○新井
委員 それじゃもう少しお話をしますけれ
ども、いま
東京の空気というのは非常によごれております。
東京あるいはまた川崎あるいはまた四日市、これは公害ということで非常に問題になっているわけですけれ
ども、ニュヨークと
東京との大気中の浮遊微粒子の量を比べてみた場合に、
東京の場合はニュヨークより倍以上に多いということです。ニューヨークでは最高が三百十五、最低が十二、
東京では最高が六百六十二、最低が百二十七マイクロ・パー立方メートル、こういうような
調査結果が出ているのです。それから、
大気汚染のひどい地区の慢性気管支炎の患者、こういうものを
調査しますと、慢性気管支炎にかかっていない人に比べて呼吸器の疾患による死亡が約五・九倍多い。またそれ以外の病気によっても死亡が約二倍多い、こういうような結果があるわけです。
そういうことで、われわれの人命にかかわるこれを浄化するのは、さっきからもお話ししているように樹木以外にない。もちろん排気ガスの
規制ということはございます。排気ガスをどんどん
規制するとともに、樹木をふやして浄化をしていく、こういうことになるわけでございます。現在、
大気汚染だけをとりまして、公害対策費というのは
東京都だけとりましても、
東京のスモッグ対策費あるいはまた自動車公害対策費、
大気汚染防止対策費、
大気汚染調査費、そういうのを合わせただけで十一億四千百二十四万円も出ている。これがさかのぼっていままでやってきた金額からいえば二十六億三百九十五万一千円、こういうことで、非常に多額なそういう
調査研究費、あるいはまた逆に、そういうふうに病気になればそれにかかる費用というものがあるわけです。したがって、これはやはり早急に
調査を進めてやっていかなければならない。
これは一つの
調査の結果でございますけれ
ども、一つの葉っぱがどの
程度大気を浄化するかということについて神奈川県のほうで
調査をやったわけです。この
調査のやり方というのは、街路樹の一枚の葉っぱですね、これはイチョウだとかあるいはプラタナスとかアオギリだとか、いろいろの木がたくさんありますけれ
ども、一枚の葉っぱの中にどれだけのものが含まれているか。そして今度は葉っぱの表によくほこりをかぶったようについておりますけれ
ども、そういう吸い取る力といいますか、そのために吸い取られたものはどういうものがあるのかという検査をやったわけでございます。その検査の結果によりますと、これはプラタナスの葉の一枚に体内と体外を通じて吸着している鉛や銅、亜鉛、鉄、そういうようなものは最高が三十七万九千PPM、これだけのデータが出ているわけです。またほかに、PCBだとかカドミウムだとかアクロレインだとか砒素だとか水銀、そういうようないろいろなものを調べておりませんけれ
ども、たった一枚の葉の中にもそれだけのものが含まれている。したがって、大気の浄化をするということについては非常な力があるということがいわれているわけでございます。
それからまた、これは色彩だとかいろいろな問題からいわれておる問題ですけれ
ども、緑というのは疲労を
回復して安息を与える。やはり緑したたる
公園等を
会社の休み時間、お昼の休み時間に散歩するとか、またそこでいい空気を吸うとか、そういうことによって非常な活力が出てくる。病人の部屋なんかも全部緑にしてしまったほうが、色彩的なそういうような一つの学問の中では、非常に安息になって病気の
回復も早いというような研究結果も出ておりますけれ
ども、そういうような効用もあるわけです。
だから、緑の町をつくる、これを
一般の国民の方々が、そういう科学的な裏づけというものは現在おわかりにならなくとも、どのくらい望んでいるかということもアンケートの結果として出ているわけですね。そういうことで、いろいろ先ほどお話がありましたように効用というものがあるわけですね。したがって、これについては緑をふやす方向というものを明確にしていかなければならぬ、こういうぐあいに先ほどから言っておるわけです。
東京都内の街路樹というのは、国道が三万、都道が六万、区市町村道が二万二千、これを全部合わせましても十一万二千本しかない。都立
公園に二十六万本の樹木がありますけれ
ども、それを合わせて三十七万本です。そこで、
昭和四十六年度で約一千百五十万人の
東京都の
人口を例にとれば、ドイツの科学者ベル・ナッキー博士の研究で、自然に成長した十メートル以上の五十年生のブナの木一本で四人家族の呼吸に必要な酸素を供給する、こういうことからいきますと、自然に育った五十年生以上の樹木の必要総数というものは八十八万四千六百本、こういうことになるわけです。だから現在ある三十七万本を引きますとあと五十万本以上の樹木が必要だ。それは
日本は山が非常に多い国ですからそっちのほうの数を合わせればいいじゃないか、こういう議論も成り立つわけですけれ
ども、公害が発生しているのは高速
道路であるとかあるいは町の中の車のたくさん通っているところだ。したがって、そういうところに木がないということはその
地域の方々が非常に被害をこうむるということになるわけです。ヨーロッパに行きますと、あの街路樹の下にテーブル、いすを出して食事をしておりますけれ
ども、あれも街路樹があれだけある、緑がもう一ぱいだ、その中でそういういろいろなものが吸い取られ、あるいはまた一酸化炭素が浄化されて、豊かに生活ができるのだという
調査も出ておりますけれ
ども、そういうことからいくと、もっともっと緑をふやしていく、それにはやはり予定を立てて、あとでまた出てきますけれ
ども、国道なら国道の中にはちゃんと樹木というか、そういう街路樹というものを植えなければいけないのだ。あるいはまた都道にしても何にしても、そういうところにはほんとうに街路樹をふやす。もっと極言すれば、いま町の裏通りなんというものは非常に狭くて車が通れないようなところもあるわけです。そういうところにも街路樹を植える。
あるいは学校のへいを取りこわして全部緑にしてしまう。これも御存じのように、四日市の塩浜小学校において
大気汚染のために三十三名の公害認定患者が出た。ところが、身体検査をしておるとだんだんそれがなおってきて、成長もよその学校に劣らないくらいの成長をするようになった。なぜそういうような
状態になったかということについては、たぶん公害の空気になれて発育もまともになったのだろうという意見もありますけれ
ども、私は医者でないからわかりませんけれ
ども、
大阪の府立病院の衛生部長なんかの話によれば、公害だけは
人間のそういうものに対するなれというものがないのだ。そこでもう一つ何が
原因だということになれば、校庭に何百本の木を学校の校長先生が植えた。そして何年間かたったときにはその子供さん方の健康は取り戻している、こういうような
報告もあるわけです。
したがって、私たちも
都市をつくるという上で、さっきも太陽と緑と静けさというものが
都市をつくる基本だということで例をあげましたけれ
ども、一番いま大事なのは、可能な限り、
考えられる限り、そういう緑というものをどんどん推進をしていかなければならぬ、こういうぐあいに
考えるわけでございまして、この件については今後大いに検討して、
保全だけでなくて、あらゆるところで推進をするのだ。たとえて言いますとビルの上だって芝生が敷けるわけです。
考えればいろいろとありまして、それも決していまは反対をされないと思います。もうそれは当然だというようなことがアンケートの結果によれば出ておるわけでございまして、ひとつそういうことを検討していただきたいと思います。
さっきもお話がありましたが、大体一人当たり二十平方メートル、これだけの緑、芝生でもけっこうですけれ
ども、そのくらいの緑というものが必要であるということがいわれているわけですけれ
ども、それだけの緑というものをみな望んでおるわけです。これは総理府でアンケートをとった分でございますけれ
ども、住みよい環境づくりに一番必要なものは何かというアンケートについて、一つは
公園緑地、街路樹など、緑と答えたのが二八・五%です。それから上下水道、
道路、ガスなど、
都市施設二〇・一%、それから交通機関一三・八%、医療・保健施設一二・五%、そういうようなことで、やはり一番多いのが
公園緑地、街路樹、こういうことを希望しているわけです。それからまた、そういうことについて私権の制限を行なってもいいかというような問いに対しましても、半数以上の方々が、自分の木を切るときも制限をされてもしかたがないであろうというような答えがあるわけであります。そういうことで、
緑地については
保全だけではなくて、推進というものを全力をあげてやっていただきたい、これについて
大臣の
考えをお伺いしておきたいと思います。