運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1973-06-12 第71回国会 衆議院 建設委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年六月十二日(火曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 服部 安司君    理事 天野 光晴君 理事 大野  明君    理事 田村 良平君 理事 村田敬次郎君    理事 渡辺 栄一君 理事 井上 普方君    理事 福岡 義登君 理事 浦井  洋君       小沢 一郎君    小渕 恵三君       梶山 静六君    澁谷 直藏君       野中 英二君    羽田  孜君       浜田 幸一君    林  義郎君       廣瀬 正雄君    藤波 孝生君       渡部 恒三君    清水 徳松君       中村  茂君    松浦 利尚君       森井 忠良君    渡辺 惣蔵君       瀬崎 博義君    寺前  巖君       中島 武敏君    村上  弘君       新井 彬之君    北側 義一君       渡辺 武三君  出席国務大臣         建 設 大 臣 金丸  信君  出席政府委員         近畿圏整備本部         次長      石川 邦夫君         首都圏整備委員         会事務局長   小林 忠雄君         環境政務次官  坂本三十次君         環境庁自然保護         局長      首尾木 一君         林野庁長官   福田 省一君         建設大臣官房長 大津留 温君         建設省都市局長 吉田 泰夫君         建設省都市局参         事官      大塩洋一郎君  委員外出席者         環境庁自然保護         局企画調整課長 新谷 鐵郎君         林野庁指導部長 松形 祐堯君         自治省税務局固         定資産税課長  川俣 芳郎君         建設委員会調査         室長      曾田  忠君     ————————————— 委員の異動 六月八日  辞任         補欠選任   梶山 静六君     倉石 忠雄君 同日  辞任         補欠選任   倉石 忠雄君     梶山 静六君 同月十二日  辞任         補欠選任   石井  一君     羽田  孜君   船田  中君     小渕 恵三君   佐々木更三者     中村  茂君   瀬崎 博義君     村上  弘君   中島 武敏君     寺前  巖君 同日  辞任         補欠選任   小渕 恵三君     船田  中君   羽田  孜君     石井  一君   中村  茂君     佐々木更三君   寺前  巖君     中島 武敏君   村上  弘君     瀬崎 博義君     ————————————— 六月六日  秋田小坂地区東北縦貫自動車道路線変更に  関する請願福岡義登紹介)(第六三三八  号)  建築設計監理業法制定に関する請願外五件(島  田安夫君紹介)(第六三六九号) 同月十一日  秋田小坂地区東北縦貫自動車道路線変更に  関する請願清水徳松紹介)(第六八四三  号)  建築設計監理業法制定に関する請願佐々木秀  世君紹介)(第六八四四号)  同(藤波孝生紹介)(第六八四五号)  地代家賃統制令に係る建設省告示第二一六一号  の撤廃に関する請願渡辺武三紹介)(第六  八四六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  都市緑地保全法案内閣提出第九〇号)      ————◇—————
  2. 服部安司

    服部委員長 これより会議を開きます。  内閣提出都市緑地保全法案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。村上弘君。
  3. 村上弘

    村上(弘)委員 都市緑地保全法案と、それに関連して幾つかの質問を行ないたいと思います。  まず第一に、大都市、特に大阪東京など大きな都市とその周辺の緑や自然はいまどうなりつつあるか。もしこれをほっておいたらどういうことになるか。法案を提出されておる政府当局現状認識はどんなものか、こういうことについて少しお聞きしておきたいと思うのです。これは五月九日のある新聞社説ですが、こういうふうにいっています。「大都会工業地域の自然は、もはや手もつけられないほどみじめであり、人間生存に必要な最低限の自然をよみがえらせるために、必死で緑化運動などが行なわれている。」自然環境保全法が四月から施行されたわけですが、さらにこう述べています。「自然を守るための理論づけも、資料もきわめて不十分」「政府や自治体は早急に具体的な自然保護対策を急ぐべきである。さもないと、大都市工業地域に現にみられるような惨たんたる自然破壊全国的規模で起こりかねまい。」政府当局は当然この程度現状認識ではおそらく一致しておるであろうと思うのですが、建設省環境庁見解をまず聞いておきたいと思います。
  4. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 近年の人口産業大都市地域への集中勢いが強いものですから、これに対応しまして住宅地の需要が非常に強い。したがいまして、既成市街地周辺に非常な勢い市街化が進んでおるわけでございまして、その過程で、市街地が進むこと自体はやむを得ないとしても、適所に適正な規模公園とか緑地を配置しつつ市街化されるということでなければ都市環境は全うされないわけであります。そういう意味で、従来も風致地区とかいうふうな地区制度、あるいは都市公園予算を伸ばしましてこれに対処するというようなことをやってきたわけでございます。  たとえば風致地区のような制度では、これは受忍義務範囲内で、ある程度建築物工作物等を認めながら若干の規制をするという程度のものでございますので、どうしても緑そのものを確実に保存するというものではないわけでありまして、したがって風致地区であっても市街化は進むという状況であります。公園予算はおかげさまで伸び率としてはここ二、三年来かなりの伸びを示しておりまして、一昨々年から昨年にかけては約二倍、昨年から本年度にかけましては一・七五倍程度伸びをしておりますが、もと数字が小さいものですからなかなか必要量を確保するというところまでは至っておりません。  このようなことでありますので、今後は積極的に公園緑地予算をさらに力を入れてふやしてまいりますとともに、今回御提案申し上げました緑地保全地区という、現状凍結的な規制ができる制度を新たに設けまして、公的空間並びに私的空間において緑が最小限確保されるように、そういう町づくりができるようにいたしたい。またそうしなければならない情勢に立ち至っていると考えております。
  5. 村上弘

    村上(弘)委員 大臣、どうですか。
  6. 金丸信

    金丸国務大臣 人口都会集中いたしまして、昭和六十年になると全人口の七割が都会集中するというようなことになってきておる。あるいは土地の騰貴というようなことから土地細分化というような問題になってくる。そういうようなことが非常に緑地をなくしておるというのはいなめない事実でありまして、自然環境保全法というような、いろいろの風致地区に対する法律等もあるわけだけれども、たすきには長し帯には短しというような法律で、都会緑地を残すということができ得ない。緑地のないところに人間生存はでき得ないということを考えてみますと、河川敷公園にいたしましてもあるいは都市計画公園にいたしましても、あるいは道路緑地地帯にいたしましても、あらゆる空間をできるだけ緑で埋めるというようなことをやらなければならぬというのが、今日現実に差し迫った問題であろうと私は痛感をいたしておるわけでございます。
  7. 村上弘

    村上(弘)委員 ちょっと答えが的に当たっておらないのですが、現在の自然や緑の状態はどうなっておるのだ、どれくらいつぶされておって、そしてほっておいたらどうなるのだ。いま新聞社説も引用したのですが、自然の破壊は危機的であるといっているのです。それから、大都市工業地帯人間生存に必要な最低限の自然も破壊されておる、こういっているのです。さっきの都市局長答弁では、最低限を守ると言っている。現在、もう最低限の自然も破壊されておるのだ。こういう認識の出発が大体違うのです。だから、環境庁のほうは現状についてどう見ておるのだということを、まず大前提として聞いているわけです。
  8. 坂本三十次

    坂本政府委員 最近の自然保護という声は、これはやはり国民の声であると私は思っております。大都市近郊においての緑の破壊というものはやはり相当に進んでおる。特に環境庁におきましても、自然公園の中だけの保存という消極的な面だけではとてもこれは不十分でありますので、自然環境保全法をつくりまして、これに基づいて全国一斉の緑の国勢調査をいま準備中でございます。今年一ぱいにでもひとつ全国の緑の状況十分調査をいたしまして、そして正確な資料に基づいて今後の保全対策を進めてまいりたい。地域指定を積極的に進める等、積極的な前進をはかっていきたい、こう思っております。
  9. 村上弘

    村上(弘)委員 非常に単純な質問を最初にしたのですが、大都市周辺においてはもう緑や自然が破壊されておって、その状態は危機的であるということが一般にいわれておるのに、そう思うておるのかおらぬのかということを聞いたのです。そして人間生存に必要な最低限の自然も破壊されておるというふうに、これは一般新聞も主張でいっておるわけです。そういうことについて、たとえば都市局長最低限を守らなければいかぬと言って、まだあるような認識でおるようです。それからいまの環境庁の発言では、破壊は相当進んでおると言うが、それは危機的である、もう最低限破壊されておるのだという認識なのかどうか、一向明らかでない。緑の調査をいまからやるんだ。つまり現状認識は全くできておらぬ。やみくもに法案が出されたというふうにしか言えないのが現状だというふうに言っていいんじゃないかと思うのです。  参考までに、実はここに三枚の地図があるんですが、これは大阪高槻市の地図です。十五年前に畑や山の緑がどうであったか、それから五年前はどうであったか、現在はどうであるかということを調べた、市民運動で足で歩いてつくり上げた貴重な地図があるんです。これから環境庁が緑の国勢調査をやるらしいのですが、自然を守りたいという市民の熱意がすでにこういうものをつくり上げているのです。これは高槻市の十五年前の状況で、黄色いところは畑です。緑のところは山林です。それから、よく見えないかもしれませんが、この赤いところが宅地で、こういう状態になっているわけですが、これが五年前はどうであったかということになりますと、いわゆる生産緑地といわれる畑がどんどんつぶされていっている。山林もどんどん侵食されていく、こういう状況です。つまり、畑の緑というものはほとんど半分ばかりがもうつぶされていっている。そして山林のほうにずっと宅地その他がのぼっていっておるわけですね。これが五年前の姿です。それから現在です。現在一体どうなっているか。こうです。これはもうほとんど畑なんというものはないわけです。そして宅地開発が非常に貴重な山林をどんどん破壊して、緑と自然を破壊して、いわゆる民間デベロッパーというものがどんどん食い込んでいって、こういうような状態がいま進行していっておるわけです。皆さんは緑の国勢調査ということをいっておられるわけだけれども、すでに現状はこういう状態にあるんだ。まさに危機的な状態破壊的な状態が進行しておるということが言えるわけです。しかもそのスピードがたいへん速くなってきておるというのが特徴であって、これの原因は、産業人口大都市集中する、いわゆる政府高度成長政策の結果であるということは言うまでもないと思うのです。こういう状態根本にある限り、都市緑地保全法というものが出されておるのですが、緑と自然の破壊というものは大局においてまずとまらぬのじゃないかということを言いたいわけです。   〔委員長退席天野(光)委員長代理着席〕  お隣の茨木市その他、もう大阪周辺都市はみな同じですが、たとえば、いま電力料金の値上げをいっております関西電力その他の系列の会社昭和土地というのがサニータウンを造成するということで百四十ヘクタール買い占めている。阪急電鉄が百三十六ヘクタール買い占めておる。その他合計すると三百ヘクタール以上の山がすでにこの数年のうちに削られ、あるいは削られようとしておる、こういう状況があるわけです。昨年大阪府が調べた資料によると——これは建設省報告した資料で、確認のできるものですが、千七百九十六ヘクタールの山林がさっきいったような大会社民間企業に買い占められておる。ところが農民団体が自主的に調べたのを見ると、実際には三千ヘクタール、約九百万坪が買い占められておる。三千ヘクタールということになりますと大阪府の森林面積六万六千ヘクタールの五%近い数字で、箕面の国定公園三つ分にも相当するわけです。  こういう状況をなお全国的に見ると、昭和三十年から昭和四十年の十年間に敷地面積三千平方メートル以上の工場の七五%以上が首都圏中京圏近畿圏集中している。また昭和四十年から四十五年の五年間に人口の四割以上急増都市が、東京の五十キロ圏、名古屋の三十キロ圏、大阪の四十キロ圏に集中しておる。こういうことももう明確になっておるわけです。そこで東京ではその結果、これは昭和四十七年度の公害白書に出ていますが、昭和七年当時八割あった東京都の緑が昭和四十四年には三割になってしまったということが出ております。また「東京都広報」の自然環境特集号、これは一九七二年の発行のものですが、これによると、昭和三十七年から昭和四十四年のわずか七年間に三十七年の緑の半分に減っておる。つまり減る速度というものが急速になっておる、こういうことが出ておるわけです。  そこで、この法案を提出した建設大臣にお聞きしたいわけですが、このように大都市周辺の緑や自然が急速度破壊され、危機的になっておる。最低限度の自然すらいまや失われておるというこの事態の最大の原因自民党政府高度成長政策にあるということ、そして建設省は実はその高度成長政策先頭に立ってきた、これは否定できないことじゃないかと思うのですが、これについてのあなたの御見解を聞いておきたいと思います。
  10. 金丸信

    金丸国務大臣 今日のこの乱開発が起きておることは高度成長の結果だ、自民党政策のひずみがここにきておるのだという御指摘でございますが、昨年の暮れあたりの金融の緩慢、ゆるみというものの影響もあったと思います。そこでこの時点においては、これは田中内閣であろうとなかろうと、人間本位福祉国家を建設するということが当然の政治課題であろうと私は思います。そういう意味において、戦後、着るものもない、住む家もない、食べるものもないというときには、何でもつくればよろしいということだったわけでございますが、この時点になれば、ただつくればいいということでなくて、あくまでも人間本位ということを考えなければならぬところに問題点がある。私はそういう意味で、今日まできたこのひずみに対しては謙虚に反省をして、直すべきものは直し、そうして新たな国土建設をやるべきだ、こう考えております。
  11. 村上弘

    村上(弘)委員 ひずみがある、謙虚に反省しなければいかぬと言われたわけですが、自民党が進めてきた高度経済成長政策の結果であり、建設省もその先頭に立ってきたということ、これは否定できぬことじゃないかという点についてはどうなんですか。もう一ぺんはっきりお答え願います。
  12. 金丸信

    金丸国務大臣 建設省もそのひずみを拡大する先頭に立ってきたじゃないか、先達じゃないかというような御指摘でございますが、あるいは考え方を大きくしてみますと、産業発展のためにこういう道路をつくらなくちゃならぬということで道路をつくったということであれば、その影響というものは認めざるを得ない、こう思うわけでございます。しかし、今日このように経済成長をする、日本の所得もふえてきた、世界第二位の経済国になるというこの時点までになるについては、私はいろいろの見方もあると思うけれども、先生の御指摘のそればかりが大半の罪であるというように御判断願うということはちょっと思い過ごしじゃないか、こう私は思います。
  13. 村上弘

    村上(弘)委員 ちょっと驚きましたね。それが大半の罪でないと言われたら、もう反省ことばだけであるということになると思うのです。そういう認識もと建設省がこの都市緑地保全法案を出されたわけです。これ自体は悪いことではないと思う。いいことだと思うのです。だが、はたして本気かどうかということを実は聞きたかった。まるでこれはオオカミが羊の番をするようなものじゃないかという気がするわけです。そういう声もなきにしもあらずです。いまの大臣答弁ではまさにそのとおりだ。大半がその罪でないというような見地であれば、これはちっとも根本は変わっておらぬ、こういうことになるわけです。  もう一ぺんお聞きしておきたい。なぜ自然や緑は守らなければならないのか。この都市緑地保全法案主要命題は自然と緑を守るということにあるわけです。なぜ守らなければならぬのか。そして開発との関係はどうなんだ。さきの新聞社説によると、この破壊、危機的な状況に対して対応するにあたって、生産第一主義の経済政策によって自然環境破壊されておるのだから、これを改めるには「最近の地域開発にみられるような野放図な都市化工業を放置するのでなく、自然環境を優先した開発計画」に変えなければならぬ、こういうふうにいっていますが、あなたは開発優先なのか、自然環境保護を出すにあたってその根本考えばどうなのか、もう一ぺん問うておきたいと思います。
  14. 金丸信

    金丸国務大臣 私は先ほども申し上げましたように、この時点になれば人間本位政策でなければならない。人間本位考えずして別なことを考えたらこれは政治にならぬじゃないか。そういう意味自然環境保護ということはまず第一にやるべきだ、こう考えております。
  15. 村上弘

    村上(弘)委員 いまのおことばをしっかりと確認しておきたいと思うのです。自然保護が第一である。  そこで、これは科学技術庁の専門家検討会がことしの四月四日に出した報告書ですが、これによると、首都圏五十キロ圏範囲内では大気汚染宅地造成などで環境破壊は三八%に及んでおる、そしてこれを回復するには日比谷公園の四千倍の緑がないと自然の復元はできない、こういう報告政府機関の一部から出ているわけです。  そこで環境庁のほうにお聞きしたいのですが、あなたのほうはまず第一に、これ以上大都市周辺の緑や自然はつぶすべきでない、これは当然言えると思うのですが、それを確認するかどうか。  第二は、自然、緑の保全ということがこの法案でいくと主要な命題になっていますが、この現状から言えば保全と同時に回復、これがもっと大事なのではないか。この点、この法案の大もとの主眼に対して力点をもっと入れる必要があるのではないか。回復という問題をもっとしっかりと位置づける必要があるのではないか。  第三点として、建設省はこの自然の回復復元どころか、とにかくこれ以上つぶさない、保全するということだっていま超高度経済成長政策もとでは私はおぼつかないと思うのです。大臣はいま決意を言われたわけですが、いまの田中内閣もとでの日本列島改造計画でいくと、昭和六十年までに国民総生産を四倍に引き上げる、太平洋ベルト地帯工業生産を引き続き三倍にする、こういうことになっているのです。したがって東京だって大阪だって、人口産業都市への集中というのはまだまだ進むということを考えなくてはならぬ。そういう状況もとでこれは実際に守れるのか、それ以上に回復ができるのか、環境庁考えを聞いておきたいと思います。
  16. 坂本三十次

    坂本政府委員 御指摘のように、特に都市近郊においては緑の破壊はもう急速に進んでおる、その認識は同感でございます。   〔天野(光)委員長代理退席委員長着席〕  これはいかぬということでありますから、保全は当然のことでありますが、やはりもっともっと緑をふやして、かってのものに回復をするように努力をいたさなければならぬということは当然であります。そのために私どももやはり地域指定などをやって、そしてこれ以上は侵されまいとすると同時に、またその範囲もふやしたりして、そして回復に向かって前進をしていきたい、こういうことでございます。どうしてもやりたいという決意は御了承を願います。
  17. 村上弘

    村上(弘)委員 答弁がずいぶん省略されておりますが、大都市周辺の緑や自然はこれ以上破壊してはならぬ、この基本がすわっておるかどうかということと、保全すると同時に回復復元というほうがもっと重要なのではないのか、その関係ですね。ともに必要だというだけでなしに、いまはそれがきわめて重要なんだという認識があるかどうか。その点でこの保全法案は弱点があるのじゃないのかということを聞いておるわけです。
  18. 坂本三十次

    坂本政府委員 もうこれ以上の破壊は当然やめてもらわなければなりませんが、御指摘のようにそれ以上大事なのは回復ということでございましょう。それにつきましてこの緑地保全法が欠陥があるかというような問題でございますけれども、これはやはり建設省のこれからの法の運用を待ちまして、そしてまた私どもも協力を申し上げて、そしてあなたのおっしゃるように、これ以上の破壊をやらないばかりではなしに、かっての緑の回復に向かって努力をしていきたいという決意は重ねて申し上げておきます。
  19. 村上弘

    村上(弘)委員 建設大臣自然保護を第一としてこれから臨んでいく、環境庁のほうはこれ以上つぶさない、当然だと言い、さらに回復にもっと力を入れるべきだということを確認されたということを前提に置いてさらに進めたいと思うのですが、大阪近郊緑地保全区域内の開発昭和四十七年度において届け出のあったものが、保全区域四万ヘクタールのうちで百三件の開発届け出があり、二百九十二ヘクタールに及んでおる。そのおもな中身はゴルフ場だとか土石の採取行為になっておって、それが全体の開発行為の五割以上を占めておるわけです。こういう状態があるわけです。  これは首都圏近畿圏整備本部にお聞きしたいわけですが、現在、整備法が施行されて以後、この首都圏近畿圏において近郊緑地保全区域内の開発行為というのがどれくらい申請されておるか、知事に届け出されておるか。それから第二に、その開発に対して、それをとどめいくためにその緑地を買い上げるなどの財政上の補助は一体どの程度やられてきたのか。この二つの点について、総件数あるいは開発申請の中で買い上げの総面積は一体どれくらいか、補助総額は一体どれくらいのものか、これをお聞きしたいと思います。
  20. 小林忠雄

    小林(忠)政府委員 現在首都圏整備委員会指定をしております首都圏近郊緑地保全区域の総面積は一万二千ヘクタール余でありますが、そのうち許可を必要といたします特別保全地区は約一割程度でございます。この緑地保全区域全体のただいままでの届け出件数について統計が手元にございませんので、四十七年度について申し上げますと九百件弱でございまして、これに対しまして関係都県知事の助言、勧告件数が約五十件でございます。しかしこれは正式に開発届け出法律手続をとったものがこれだけでございまして、実際は、土地所有者なり開発者が事前に関係市町村なり県庁なりに行ってその意向を打診し、指導を受けている件数はおそらくこれの数倍に及ぶものというように考えております。買い入れ総額につきましては、首都圏につきましては、昭和四十七年度におきましては計上されておる国費予算が約一億円でございまして、ただいままでの買い入れ総額は約四億円余でございます。
  21. 石川邦夫

    石川政府委員 お答えいたします。  近畿圏整備本部関係で申し上げますと、近畿圏には約八万一千ヘクタールの近郊緑地がございます。そのうち四十三年度から四十七年度までの一定の行為についての届け出は五百五十八件となっております。特に四十七年度以降がふえておるわけでございます。それからこのうちで約六百ヘクタールが近郊緑地特別保全地域になっておりまして、これにつきましては都市計画が決定されておるわけでございますが、そのうち四十一年から四十六年度までに約六万九千平米買い上げております。このための金額は約二億円ということになっております。
  22. 村上弘

    村上(弘)委員 いまの数字でも明らかなように、保全区域の中でもどんどん開発申請がされておって、実際には開発がやられておる。しかもそれに対してそれをとどめる措置というのは全くやられていない。ただ特別保全区域の中だけはいささかやられておりますが、それはまさに総面積に比べればコンマ以下。首都圏の場合は一万二千ヘクタールの保全区域の中で買い上げ面積は四十八ヘクタール、買い上げの補助が四億円、こんな状態です。近畿圏でも、いまお話ありましたが、保全面積四十九万ヘクタールの中で買い上げたのは六ヘクタール、一億九千万円。全く焼け石に水以下といいますか、そういう状況だと思うのです。  結局、従来の自然公園法や首都圏近畿圏保全整備法などではほとんど開発規制されておらないし、特別の保護もよくされなかったということが言えると思うのです。これは本年三月の行管庁の勧告でも指摘されておるとおりである。法律違反が放置されておる、開発行為はほとんど無規制である、そして管理体制はほとんどゼロに近いということが行管庁の勧告によっても裏づけられておると思う。ということは、せっかくこうして特に都市緑地保全法案が出されておるわけですが、いままでのような状況であればこの法案の運命もおよそ推察できるのではなかろうかと思うのです。  そこでもう少しお聞きしたいのですが、大阪で一番ひどい問題の一つになっております金剛生駒国定公園地域の四条畷市の清滝地域の問題です。これは参議院の予算委員会分科会でも取り上げられた問題ですが、あそこの問題について三木環境庁長官は、事は重大であるからすぐ調査を指示する、対策をとるということを言われておるわけです。この調査でどういうことが明らかになったか、その結果とその報告、現在どういう積極的な対策をとっておるか。とりわけ、大阪府の報告によると、環境庁の現地調査による口頭指導を受けた、こういうふうにいわれておる。これは参議院でも写真その他で示されたわけですが、こんなにひどいですね、もう全く……。   〔村上(弘)委員、写真を示す〕 これが生駒山の現状なんですが、こんなにひどい状態が現在進行しておるが、これについて現地に行った環境庁の役人は、地域を定め、回復を条件とした継続行為を認め、緑地復旧を推進する、こう言っておるのです。結局いろいろなことを言っておりますが、継続行為を認めるというのです。土石の採取行為の継続行為を認めるということになっておるのです。これはもう明らかに中止ではないわけです。参議院での討論の際には、中止をさせます。場合によれば採取の取り消し、登録の取り消し、中止命令、原状回復命令、告発というようなことまで相川説明員は述べておったのですが、実際にはこういうことになっておる。一体これははたして言ったことと合うておるのか、継続するということについての責任は一体どこにあるのか、環境庁はこれについてどう考えておるか、お聞きしたい。
  23. 新谷鐵郎

    ○新谷説明員 御指摘の金剛生駒国定公園内の土石の採取の問題でありますが、参議院の予算委員会質問がありましたあと、四月十二日に私どものほうの係官が現地の状況調査をいたしました。その時点調査結果を申し上げますと、現地の状況は、先ほど写真で示されましたように、国道沿いのかなり広範な地域にわたりまして非常に無秩序な土石の採取が行なわれておる、そのあと地が露呈しておるというまことに遺憾な状態であったわけでございます。その時点では、四条畷市管内で全部で十八カ所の土石をとりました現場がございまして、その十八カ所のうち許可を受けて採取をいたしておりましたものが三カ所、それからすでに工事が完了いたしまして、いわばあと地になっておったというものが四カ所ございます。それ以外の十一カ所につきましては大阪府が中止の勧告をこの前の段階で出して、さらにそれでも聞かなかった者につきましては中止命令を出しまして、十一カ所についてはその行為を中止させた。最終的には採取行為を中止させたという状況がございます。調査時点で現に土石の採取を行なっておりますものは、大阪府が許可をいたしました三つの業者が採取を行なっておったという状況でございました。  この問題につきましては、先ほど申し上げましたように国定公園内の風致を維持するためにまことに遺憾な状況があったわけでございまして、許可をいたしたものにつきましても、その許可条件が必ずしも十分に順守されていないという点もございましたし、まして許可を得ずして行なわれた行為については遺憾としか言いようがないわけでございます。  この問題につきます今後どういうふうに対処していくかという基本方針につきましては、去る五月十八日に関係省庁集まりまして——実はこの地域近畿圏の近郊緑地指定を受け、また砂防の指定地にもなっておりますので、そういう関係環境庁建設省近畿圏本部、それから採石法の関係で通産省、集まりましていろいろ協議をいたしまして、今後の処置の基本方針といたしましては、まず、現在進行中の三つの許可を与えました業者につきましては許可条件の順守を強く指導いたしまして、今後の行為の拡大を阻止するといち方向で措置をいたしたい。それから採取が完了していわばそのあと地になっております部分につきましては、そのあと地が非常にみっともない状態になっておりますので、その整備、緑化、それから修景のための植栽等の指導を行なう。それから今後採取するものにつきましては、公道だとか公共施設周辺地とか主要景観地等の隣接地域では許可をしないという方針を確立する。以上のような方針で大阪府に対して指示をいたしておるところでございます。その結果につきましては大阪府のほうからあらためて最終的な処理方針を国のほうで受け取るということにいたしておるわけでございます。  先ほどお話がございました、現地の係官が行為の継続を認めるというような趣旨のことを言ったという点につきましては、実際にその場でどういうふうな言い方をしたのか、直接は存じませんけれども、問題はとにかく国道沿いにああいう形で非常に無秩序な土石の採取が行なわれることは今後絶対にないようにしなければならない。しかし既存の、大阪府が条件つきで許可をいたしましたものにつきましてはやはり、これはもちろん期限を切った許可でございますけれども、その条件の順守ということを指導することによって、許可期間内の土石の採取はやむを得ないのではないかというような判断をしたものだというふうに考えます。以上です。
  24. 村上弘

    村上(弘)委員 いま継続している三つの業者の土取りの面積と、それはいつまで続くのかと、いうことについてなお聞いておきたい。
  25. 新谷鐵郎

    ○新谷説明員 面積資料まで持っておりませんが、許可条件は一年ということになっております。
  26. 村上弘

    村上(弘)委員 結局、一つも歯どめはかかっておらぬということです。私、きのうあらためて現地を見てきましたけれども、広範なところが引き続きやられておるし、それに伴う災害その他、参議院で論議になった問題も一向解決がついておらぬというのが現状であるわけです。そこでこの四条畷市が要望しておることは、土砂採取をすぐやめてほしいということです。それから大阪府はどう言っておるかといえば、何とかして中止したい。ただ、中止をすれば損失補償の要求が出てくる。ところがそれについては大阪府としては補償能力がないということでいま出ていますが、きびしい条件、安定勾配だとか段切りなどの工法だとか、あとでの緑化樹種の指定など条件をつけてやっておる。これは許可が一年といいますが、毎年毎年これは更新しているんですね。しかも、初め契約した面積が広範なものがあって、毎年毎年更新するけれども全体の契約は残っておるわけだから、毎年契約更新して同じ条件でこれはずっと続くわけですよ。  そこでこの状態に対して、本年の三月十九日に大阪府から環境庁長官あてに要望書が出ておる。第一は、自然公園区域の自然環境を積極的に保全するために、損失補償についての予算措置を十分取ってほしい、これが第一。第二は、昭和四十七年度から実施される国立公園に対する買い取り制度、これはされていますが、これを国定公園まで拡大されたいということを言っておるわけです。こういうことに対する対応策なしに、ただきびしく云々といったってそれは現状を追認しているだけのことであって、一つもとまらぬのですが、これはどうですか。
  27. 新谷鐵郎

    ○新谷説明員 確かに、御指摘のように、許可をきびしくすれば、国定公園と申しましてもその中には民有地があるわけでございまして、その許可を受けられなかったことによる補償の問題等が当然出てくるわけでございまして、そういう意味ではわが国の地域性の国立公園あるいは国定公園の持っている非常に、何と申しますか、基本的な困難な問題であるわけでございます。したがいまして、いまお話がございました国立公園の中の土地の買い取り制度が四十七年度から発足いたしましたことは、今後こういう問題を解決するためのきめ手になる施策であるというふうに私ども考えておるわけでございますけれども制度が発足いたしました当初は、やはり国立公園の中の特別保護地域であるとかあるいは特別地域であるとか、これは財政措置との関係で限られた範囲地域を買い取りの対象にするということで発足をいたしておるわけでございます。私どもといたしましては、やはり将来の問題といたしましては、国定公園につきましても事情は同じでございますので、そういう方向に拡大できるように努力をいたしたいと考えております。
  28. 村上弘

    村上(弘)委員 将来の方向としては拡大したいということですが、もういまどんどんつぶされていっておるわけです。ですから、この大阪府の環境庁に対する要望は直ちに検討するというふうにできないのかどうか。とりわけこの生駒の西斜面の問題は、六年前に近畿圏保全区域の整備に関する法律案が審議されたときに、政府委員答弁で、あの「六甲の一定の地域と生駒の西斜面は当然特別地域指定すべきであると思う」、ここには議事録がありますが、と言っているのです。そのときからすでに言っておるのです。ところが、どういうわけか知らぬけれどもはずされておるのです。そうしてこういう状態が進んでいっておるわけです。  そういうことから考えても、この都市周辺の全く貴重な国定公園地域がこんな状態になっておることについて、直ちに国立公園の買い取りを適用していく、これが必要ではないか、もう一ぺんお聞きをしたいし、これは建設省にもお聞きしたいのですが、この地域都市緑地保全法を適用して少なくとも三分の一の補助——特別地域の場合は三分の二になっておりますが、そういうことをせめて建設省みずから、これは重複してすることになるかもしれませんが、やる気があるかどうか。とにかく保全とあわせて回復ということを急務としておるこの事態について、直ちに財政的な裏づけをやることなしに、ただこれはとめると言っておってもとまらないので、もう一度お聞きしておきたいと思います。
  29. 坂本三十次

    坂本政府委員 国立公園の中の特別地区を一部買い上げの段階でございますけれども、あなたのおっしゃるように、特に都市近郊などは、私どもの気持ちは国立公園だけにとどまるわけではないのであって、国定公園であろうと国立公園であろうと、それは国民の、市民の皆さんから見てやはりここは大切なところだ、買い上げしなければならないという、そういう点については、国定公園、国立公園、別に区別はありません。ただ、制度発足当時、財政的な事情もございまして国立公園ということに限定されておりますが、おっしゃるように、この次からは国定公園地域内につきましても、その緊急度の高いものについて検討をいたしたいと思います。
  30. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 国定公園の区域内につきましても、この法案による緑地保全地区指定が重複できないわけではございません。要件もいろいろ違っておりますので、必要な個所につきましては環境庁とも協議の上、本法案による指定を行ない、補助対象にすることも考えております。
  31. 村上弘

    村上(弘)委員 いま積極的な検討をやりたいというような趣旨の発言がありましたので、ぜひこれは急いで検討をお願いしたいと思う。  もう一つ検討する必要があるのは、中止を言うだけではだめで、補償が要るということとあわせて、土石が必要だという問題がある。この点で建設大臣に聞きたいのですが、土石などの骨材の需要、これは現在開発行為の進行に伴ってますます必要になってきておるわけです。道路、港湾などの開発でたくさんの土石が必要になっておる。大阪の場合は万博と関連して先ほどのような爆発的な破壊が進んでいるわけです。その後これが継続しておる。昭和四十八年一月の大阪府の統計では、大阪府下九十六カ所でこの土石採取のための破壊が、山が削られるということが行なわれておる。そのうち約半数の四十五カ所が近郊緑地保全区域内になっておる、こういう状態があるわけです。今度の都市緑地保全法案でこれがとまるかどうか、そういう保証があるかどうかということとあわせてさきの検討をお願いするとして、こういう土石の採取の問題これについて建設省は別途の対策を講ずる必要があるのじゃないか。この都市周辺のほんとうに限られた貴重な自然や緑というものが事もなげに削られていっているわけです。この建設資材は一体どこから入手するのかということについての指導や助成というものなしに、ただストップするだけじゃ困るわけです。大阪府や大阪府下の各自治体が事業をやっていろいろな建設を進めるときに、この生駒山の土石を使えという指定までされているような状態がまだあるのです。こういう状態に対して、建設省としてこういう骨材に対する特別の措置をとらなければ、これまたストップはかけられぬ。業者の補償なども含めて考えるべきじゃないかと思うのですが、どうですか。
  32. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 強い許可制を伴い、かつ現状維持的にこれを押えようという緑地保全地区のごとき制度は、近郊緑地保全区域に全面的にかけるというわけにもなかなかまいりません。その中でも特に枢要な部分をこういう許可制の対象にすることになると思います。  骨材の需要の対策としてはいろいろ建設省考えておりまして、できるならば河川砂利というようなものも考える必要があるだろうし、またいわゆる山砂利にしましても、緑を完全に守るということの必要性のない場所を選びましてこれを求めるということにせざるを得ないと思います。一方において住宅宅地の需要に対処する必要もございますので、その辺は、骨材の供給が完全にストップするようなことのないような場所を見出し、あるいは方途を講じまして、調和のとれた施策を講ずる必要があると考えます。
  33. 村上弘

    村上(弘)委員 いまのような答弁では、都市近郊のこういう山から土石を取るという行為はとまらぬ。最初の、これ以上自然や緑はつぶさないのだ、自然保護優先だと言っている大臣などの発言とは全く食い違っておる。もっと真剣に、この自然を守り、緑を守るという見地から建設資材の骨材などの採取の問題について、大きな視野で全面的な検討をすべきじゃないか、このことを要望しておきます。  時間があまりありませんのでちょっと急ぎますが、この金剛生駒国定公園の問題とあわせて、大阪のもう一つの国定公園、箕面国定公園というのがある。これは御承知のように、昭和四十二年十二月に明治百年を記念して、自然環境に恵まれない大都市住民に対して、貴重な、新たな設定を行なったわけです。ここは日本三大昆虫多産地ともいわれるような、そういう意味でも非常に貴重な国定公園でもあるわけです。ここがまたたいへんな状態にいまなりつつある。すでにこの国定公園に隣接する土地がどんどん民間企業によって買い占められていっておる。日本機械土木が四百三十三ヘクタール、阪急電鉄が五百八十四ヘクタール、別の地域には三百三十ヘクタール、こういうのをいろいろ合わせてみますと千三百八十二ヘクタール。これも把握できる範囲です。もっとたくさんあるわけです。   〔村上(弘)委員地図を示す〕 ここが箕面の国定公園ですが、ここの国定公園周辺がずっと破壊されていっているのです。全く境界線に接して買い上げが進み、宅地造成が進んでいっておる。箕面のあの滝のすぐ近くの美林までつぶされておるような状況が起こってきておる。  こういう状態に対して現地の人たちは、この国定公園は最も新しい国定公園です。また日本で一番規模の小さい国定公園です。その小さいところまでがまわりがどんどん攻めていかれておるという状態に対して、もっと国定公園地域を広げるべきじゃないか、こういうことがまず第一にあります。同時に、今度の都市緑地保全法でこういう周辺地域緑地保全地域に少なくとも指定して、もうこれ以上破壊が進まないような措置を早急にとるべきじゃないかということが望まれておるわけです。  いまのところ、いろいろ指定されても、この都市緑地保全法保全地域指定されても、すでに着手されている地域、これは簡単に規制できない、今度の法案では。大阪府の自然環境保全条例の場合は半年間に限ってこれは経過措置があって、あとはすぐ禁止する、こういうことになっているのですが、この都市緑地保全法案でいくと、こういうふうにまわりがどんどん開発されていっておる、少しでも手がかかっておればこれはとまらないわけです。既着手行為に対する何らの中止措置がないわけです。こういうことで、はたしてこういう貴重な自然が守られるのかどうかということがたいへん問題になるわけです。こういう点について環境庁及び建設省見解を聞いておきたいと思います。
  34. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 おっしゃるとおり、緑地保全地区指定しました際に、すでに着手しておる行為については許可制は適用除外になっておりますかわりに、届け出及びそれを受けました知事の助言、勧告という規定を置いております。ぴしゃりと即時に開発行為を押えるという意味ではなまぬるいわけでございますが、やはり既得権として行為を始めてしまったものについて、全国的な法律制度としてはまあこの辺が穏当じゃないか。ただし、その助言、勧告という、一応法律的には拘束力はございませんけれども、これは府民等の声をバックにいたしまして、強力にその効果を発揮するような助言、勧告を行なうということにいたしたいと思います。
  35. 新谷鐵郎

    ○新谷説明員 国定公園に隣接する地域の問題でございますが、一つは国定公園の拡大と再見直し範囲の見直しというような問題もあろうかと思いますが、いまお話しのような地域の事情でございますと、私どもといたしましてはむしろ都市緑地保全法で、やはり残っているところを守っていくという対策の問題ではないかというふうに考えるわけでございます。すでに開発されて宅地になってしまっておるところにつきましては、まことに遺憾でございますけれども、それをもとへ戻すという方法は、建設省のほうからお答えありましたように、やはりできないのではないかというふうに考えております。
  36. 村上弘

    村上(弘)委員 危機的な状況が進行しておる。これに対しては急速に対処しなければならぬ。保護が第一であるというような最初の発言は、実際の問題に直面すると全部雪のように消えてしまうというような状況になっておる。いま言われた点では結局そうなる。だから重ねて、国定公園地域の拡大の問題、さらにその地域緑地保全地区指定の問題、指定したところがすでに着手しておるところの問題についてあらかじめもっと——大阪では六カ月という期限を設定しているのです。これでいくと、法案が実際に発効していく間がどれくらいの期間かわかりませんけれども、かけ込みがどんどん行なわれ、ちょっと手をゆるめるとそうなるという状態になる。ですから、もっとこれについてはきびしく対処すべきだということを言っておきたいと思うのです。  それからもう一つ、箕面国定公園の中にいまダムがつくられようとしておるのです。それは治水上必要な面があるのですが、このダムをつくらなければ治水ができないものかどうかということも科学者の間ではいろいろな意見がある。そうして、そのダムに沿うて七メートルの道路をあそこの奥にある高山のところの墓地公園に通そうとしている。これは、ねらいは結局地価のつり上げをねらっている勢力が大いに促進しておる、こういうことがいわれておるのです。ですから、こういう貴重な国定公園の中にダムをつくるような場合は、治水の問題と自然破壊の問題について慎重な検討が必要だと思うので、再検討すべきではないかということ。と同時に、道路をつくるようなことについては、せめて治水のためにダムが要るのなら、観光道路なんか要らないわけだから、この国定公園の中にそういう自動車の排気ガスがどんどんふえていくような道路計画はこれは改めるべきであるということを言っておきたいと思うのです。これはあとでまとめてお答え願いたい。  それから、時間がありませんから最後に、いまいろいろな点を質問してきたわけですが、結局大都市周辺もとより、日本の自然を守るということについて見ると、抜本的な法体系の検討が要るのではないかということが根本にあると思うのです。同時に、それを実際に実行していく管理体制、この面で全面的な強化が必要ではないかと思うのです。同時に、もっと必要なことは財政的な裏づけです。結局、こういう破壊は全部業者の利益のためにどんどん進行していっておるので、何らかの財政的な補償なしにはストップがかからない。もっと大規模予算を組まなければこれはとてもとめられないという状況だと思うのですが、念のために、ことしはスタートですから、来年度はこの補償のための予算は大体どの程度考えておるか。それがとりわけ建設省の全予算の何%くらいを占めるのか、それを聞いておきたい。さっきの箕面公園の再検討とあわせてお答え願いたい。
  37. 新谷鐵郎

    ○新谷説明員 箕面国定公園の中の問題につきましては、地元のいろいろな御意見も聞いておりますので慎重に検討いたしたいと思います。
  38. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 本年度は年度途中からこの制度が発足し、法律施行後具体的に各府県において調査検討の上、逐次緑地保全地区指定が行なわれるということで、初年度はあまり多くは見込めないものと考えております。予算としては、事業費一億五千万、補助は三分の一でございますから国の予算としては五千万円を用意しております。しかし、四十九年度になればこれは平年度化いたすわけでございまして、年度当初から十二カ月間が働きますし、緑化保全地区の指定も急速に進行すると思いますので、思い切って必要と思われる額を要求したい。初年度の額を若干の上積みというような要求でなくて、抜本的に平年度としての要求をいたしたいと考えております。そういった国の予算としては五千万円でございますから、建設省全体の予算に比べればちょっとパーセントにもならない数字でございます。
  39. 村上弘

    村上(弘)委員 来年度はどうですか、大体ことしの予算と比較して。
  40. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 予算要求の額につきましては、これから九月一日の要求時期までに省内で詰めてまいるわけでございますが、いま申しましたように、私個人としては十倍くらいのものは要求したいと思います。
  41. 村上弘

    村上(弘)委員 何%くらい……。
  42. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 建設省予算は治水、道路、住宅、それから下水道等直接事業をする予算が大部分でございまして、これに対しましてはその事業に必要な経費が年々若干の伸びを示しつつふえているわけでございまして、この買い上げ補償に要する補助というものは、一ぺんにここ一年、二年で必要なだけ指定されるとも限りませんし、おそらく何年かかかってほぼ目標のところまで達するのじゃないかと思いますから、そういう意味では、平年度化するといいましても来年度期間的に十二カ月分がフルに働くという意味で、指定面積としてはまだ急速に伸びるとも思いません。そういう意味で、そういった根幹事業、社会資本投資といわれるそういう根幹事業に対する予算全体との比較ということは私ども考えておりませんで、この制度を生かして動かしていく上にどの程度のものが実額として要るかということを、各府県の要望なども承知しながら不足のないように対処したいという考えでございます。
  43. 村上弘

    村上(弘)委員 数字は、一部は時間をとらずに答えられるのです。ところが何を考えておるかわからぬようなことで時間をとるから若干超過してしまうわけですが、結局、建設省の総予算との対比からいえば数字に出ないような状況に来年度以降にもあるということがいま言われておると思うのです。羊の番をするオオカミじゃなかろうか。この都市緑地保全法案は看板と中身がどれほど一致するのだろうかということで危惧を持っていたことが、まさにこれは当たっておるということになると思うのです。  そこで、この法案に対する要望を最後に申し上げたいと思うのです。  この法案はないよりはあったほうがいいと思うのです。しかしながら先ほど言ったような、全く現状には焼け石に水以下だ。コンマ以下の数字も出てこないのだという状況にかんがみて、第一に、この法案の適用範囲に該当する土地や区域はもうほとんどなくなっているのだ、巨視的に見た場合。したがって、大都市においては、この法案を実施するにあたっては保全と同時に回復にうんと力を入れなければだめなんだということをぜひ要望しておきたい。特に具体的にこういうことを要望したいわけです。首都圏近畿圏にある国有地、約数百ヘクタールありますが、これは緑地可能な国有地の面積です。この国有地に対してはすぐ自然林の保護育成をやってはどうか。首都圏近畿圏に数百ヘクタールの緑地可能な土地があるのだから、これはすぐやるということをひとつやってほしいし、約束してほしい。  第二は、この法案では知事には許可権があるし、立ち入り検査権もあるし、原状回復命令もある程度出せることになっておる。しかし、同様の権限は市町村長に要るのです。ですからそれを与えること。また、住民の意思、住民の力がもっと影響するように、さっきの緑の国勢調査でもこれは住民がやるからこういうことができるのです。こういうことをもっと生かせるような法律にすべきじゃないか。  第三は、何といっても損失補償の問題。国の補助はこの法案でいくと三分の一です。しかもこの買い上げの土地取得の価格は時価ということになっておる。だから都道府県の財政負担等はたいへんなものです。ですからもっと補助率を引き上げる。予算措置を大規模にとることは言うまでもありません。これをやるべきじゃないか。  以上の点をこの法案自体に即して要望し、御意見を聞いておきたい。  もう一つ、もっと具体的な、これは法案にあるなしにかかわらず、すぐやってほしいことを出しておきたい。  第一は、環境庁が緑の国勢調査ということをいっておるわけですが、まずそれをやるにあたって、首都圏近畿圏などの大都市周辺の緑と自然を守り、回復するというこの緊急性にかんがみて、この首都圏近畿圏などの近郊緑地保全区域内の破壊の実情をすぐ全面的に実態調査を早くやる必要がある。特に現状、横の線だけ見ないで、縦の線、五年前、十年前と比較してどうかということもあわせてやるべきだと思うがどうか。同時に、すぐ回復の手だてや計画もあわせて立てる必要があるのじゃないかということを提起しておきます。  第二は、全国四十八カ所の国定公園、これを、緑と自然の現状について全面的な健康診断をすぐやるべきじゃないか。特に生駒や箕面あるいは東京でいえば高尾などの、大都市近郊国定公園に対する健康診断をすぐやる必要がある。これを要望したい。  第三は、とりわけ生駒、箕面、東京の高尾などのかけがえのない近郊の国定公園に対しては、政府として特別の保全措置、国立公園と同様の対応策、助成策をすぐとるということが必要じゃないか。  以上三点を行政施策の面で要請したいし、法案に対してはさきに述べた三点を要望したいと思うのです。以上、最後にお聞きしておきたいと思います。
  44. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 市町村長に権限を与えることにつきましては、この法案の中に、指定都市については知事にかわりまして指定市の長が許可権を持って監督行政を行なうということにいたしておりますが、それ以外の市町村には委任いたしておりません。これは、指定市は県並みに地域も広いし、いろいろな法案でも同様に扱われておりますが、一般の市町村になりますと、やはり少なくとも県で統一した程度の判断で許可の実務がなされるということが望ましいのではないか。もともとかなり広域的な制度でありますし、実際の指定も、市町村の境界にまたがるような山の尾根とか川筋をはさんだような地区が指定されることも考えられますので、その意味で市町村ごとに判断をするということは必ずしも適切でないと考えております。もちろん実際の運用として、知事が許可等を行なう際に、必要に応じ市町村長の意見を聞くということもあるかと存じます。また住民の意思の反映につきましては、都市計画で緑地保全地区を定めるわけですから、都市計画法の一般原則に従いまして、計画決定に先立ち公告、縦覧、意見書の提出等の手続がありますほか、特に相当強い規制を行なう地区でありますから、一般都市計画以上の慎重な配慮をもって住民とのコンセンサスにもつとめたいと思います。  なお、損失補償の買い上げの経費につきましては、初年度ははなはだわずかでございますが、今後の指定状況も見ながら大幅にこれを増額するようにつとめたいと思います。
  45. 坂本三十次

    坂本政府委員 緑の国勢調査というのは、いまある公園であるとか、それからいま御指摘の問題になっておる都市近郊、そういうようなところとか、そういうものが一切含まれる。それで日本の列島を全部一キロメッシュで切ってしまって、そうして自然の状態調査するわけでございまするから、一切入るわけでございます。特に御指摘のように、かつてはこんなに緑があったのに現在は非常に破壊されておるではないかというようなこともこれは非常に注目すべきことでございまするので、そういう過去にさかのぼっての調査というものも大都市圏の周辺で一部いま考えておるというのが現状であります。
  46. 村上弘

    村上(弘)委員 答弁は不満な答弁だと思うのですが、重ねて、私が最後に要望した法案に対する要望事項及びすぐやるべき点での三つの要望事項について積極的な検討を要望して、質問を終わりたいと思います。
  47. 服部安司

    服部委員長 新井彬之君。
  48. 新井彬之

    ○新井委員 私は、都市緑化保全法案につきまして質問をさせていただきます。  初めに、自然保護をはかるあるいはまた緑地保全をはかるということについては、法律がほかにもあるわけでございますけれども、この緑化ということについての位置づけということについて初めにお伺いしたいと思います。  フランスの都市計画家ル・コルビュジェが言っておることは、町づくりの三要素というのは太陽と緑と静けさである、こういうことで、確かにヨーロッパ諸国等のお話を聞いたりいろいろする中で、縁というものが非常に大切にされております。そういうことで、それによって生活環境が非常によくなって、豊かな生活になっていく、こういうことが言えるわけでございますが、わが国における緑の位置づけ、あるいはまた都市政策において緑地というものがどのように取り入れられているかということについて初めにお伺いしたいと思います。
  49. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 わが国は、そもそも国土面積も狭いわけでございますが、大都市地域にその人口が非常に集中しているわけでありまして、大都市だけを考えてみると、世界でも非常にまれな高密度社会になっていると申せます。そういう意味で、広い意味の緑というものは非常に不足しているということでありますので、少なくとも現に残っている緑を極力保全するということと、それからすでに市街地等で失なわれてしまっている緑につきましては、公園整備事業とか街路樹の整備、その他もろもろの事業に伴いました施策をもって緑の復元ということに極力当たらなければならない。わが国における緑というものは、諸外国にも増してその必要性が高いと考えております。  また都市計画法の中では、緑の保全あるいは緑化の対策というようなことについて、基本的に都市計画というものは健康で文化的な都市生活を目ざすものでなければならないということがうたわれておりまして、それを実現するための制度として、たとえば都市施設というものの中に公園緑地その他の公共空地というものが規定されております。また別途公園整備の五カ年計画等により、鋭意事業量の拡大をはかっているところであります。その他都市計画法の規定による開発許可制度、これに伴う許可基準、あるいは区画整理その他の市街地開発事業の設計基準等におきまして、たとえば三%の公園なり緑地を確保するようにというような基準が定められておりまして、こういうことによって、開発しながらも最小限必要な緑地を残しつつ、あるいは生み出しつつ開発するようにということが行なわれております。これだけでは少し足りませんので、別途今国会に都市計画法の一部改正案を出し、開発許可基準についての強化、すなわち樹木の保全、表土の保存、緑地帯、緩衝帯等の配置を加えるということを考えておりますが、そういったことで都市計画としても緑地保全、緑化ということに関する規定がございまして、それを受けて実際の施策に反映させているところでございます。
  50. 新井彬之

    ○新井委員 ただいまお話がございましたが、結局、都市の中にあって、住宅であれば二LDKがいいんだとかあるいは三LDKがいいんだとか、こういうような環境基準という一つのものがあるわけでございます。いまもお話が出ましたように、いろいろなところでそういう緑の保全をしていくんだ。いままでの法律を見ますと、確かに保全ということについてはうたわれておりますけれども、緑化を推進していくということについては、そこまでのことはいわれていない。科学技術庁なんかの警告によりましても、これは去年の新聞に載った問題ですけれども、あと五十年たてば緑が全部なくなってしまうのだ。先ほど全部樹木の調査をするというようなお話がありましたが、いまの局長答弁とは逆に、街路樹にしましてもいろいろのところの樹木にしてもだんだん減る傾向にある。たとえて言いますと、昔、「植えてうれしい銀座の柳」というのがございましたけれども、あの柳でもいまもうほとんどなくなっている。  そういうことで、実際問題それじゃ東京なら東京一つの例をとって、どれだけの樹木、街路樹にしても公園の中に植えるものでもけっこうですけれども、どれだけの樹木というものが科学的に必要だと考えられておるのか。それに対して十カ年なら十カ年計画というものをもって樹木を植えていかなければいけない、そうなりますと、それにはいろいろなまた苗木の問題から発展するわけでございますけれども、そういう一つの一貫したものがなければ、ただ保存をしておくだけでは、これはやはりこれからの緑と太陽に包まれた都市というものはできてこない、こういうふうに思うわけでございます。先ほどの答弁は非常にけっこうでございますけれども、現実的には、街路樹一つにしても、それじゃどのようにそれが進展をしているかということについて、もう少し具体的にお聞かせ願いたいと思います。
  51. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 部分的には確かに昔あった街路樹が取り払われているところもございます。しかしながら近年は街路の建設等にあたりましては、少なくとも歩道のとれるようなところ、街路樹を植える余地のある街路につきましては極力街路樹を植えるように指導しております。もちろん補助対象にもしておるわけでございまして、全体としては街路樹はかなりふえているはずでございます。ただ、街路樹の維持保全も、水の不足その他によりましてどうしても弱りがちでありますので、そういうことに対処しまして、十分水を吸い込めるような、たとえば街路樹を植えるところのますを大きくするとか、その他大気汚染に強い樹種を選ぶ、そういったくふうは今後ともなお必要だと考えております。  まあ街路樹とか、樹木そのものにつきましてははなはだ手薄でございまして、今後とも公園整備の最も大きな費目として樹木の植栽というようなものに割り当てたいと思いますし、その他、河川敷の利用とか、本法案による緑化協定等の奨励を通じまして、積極的に緑の増大ということにもつとめたいと考えます。
  52. 新井彬之

    ○新井委員 そうしますと、科学技術庁が五十年後には東京には木がなくなるんだというようなことを発表されております。これはまあこれからそういう保全をはかる、いろいろのことをやるということで行なわれていくということですけれども、それをどこまでやるんだという指標的なものはないわけですか。いまでも植えられるところには全部植えるんだという答弁でございますけれども、これは非常にあいまいなことばでございまして、植えられるところがいいか悪いかということの判定もむずかしいと思うのです。やはり科学的にどれだけの樹木が必要か。たとえて言いますと、私たちが一日に吸う空気というのは一万リットル、その中で大体二千リットルが酸素だということをいわれております。グラムにすると五百グラムですか。そうして大体五十年生のブナの木一本で一家大体四人家族が吸う酸素の量というものが供出されているんだ。酸素というのは樹木かプランクトンか、そういうものしか供給能力がないために、緑がなくなるということについては、極端な言い方をすれば非常に酸素の欠乏をあらわす、こういうようなことも出ておるわけです。したがって、そういうような観点から、東京なら東京人口あるいはまた密度、そういうことを考えて、どの程度の樹木というものを今後やっていかなければいけないかということも考えられると思うのですけれども、そういうようなことについてはどのようにお考えですか。
  53. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 緑とかあるいは緑地の持つ非常に多元的な効用ということから見まして、それぞれから緑の必要性、必要量というものが考えられるわけでございます。いま申されましたような、その周辺に住む人間の必要とする酸素、これがどれだけの樹木から生産されるのかというような観点での調査も、個人的にはなされているようでございますけれども建設省でもかつていろいろ調査をしたことがございます。一応緑なり緑地というものがどういった効果を持つかというようなことで、いま申されましたような酸素の必要量ということばかりではなくて、広く環境衛生の効果あるいは防災上の効果あるいは都市形態をつくり上げるという意味の効果、その他心理的等の効果が広くあるんだということであります。しかしながら、かなり多岐にわたる効果、特に精神面、心理面の効果ということにも及びますので、これは多々ますます弁ずとは言えましても、どの程度必要量として科学的に言えるかという点はなおなかなか明確には申し上げられる段階ではございません。この法案におきましては、法定要件に該当する自然的環境のいい場所で一、二、三号に該当するような場所はできるだけ多く緑地保全地区に逐次指定して、それをもって、積極的に片一方でつくる都市公園都市緑地の足らざるを補い、両々相まって市街地に住む住民の方々の緑への欲求というものを満たすようにしなければならないと考えております。
  54. 新井彬之

    ○新井委員 だから、その要求を満たすためには、建設省がそういうことで緑地保全をやるあるいはまたこの推進をするというときに、やはり目標が何もないというのはおかしいわけですね。開発をされてしまうと緑がなくなるから、だからそういう保全の法の網をかぶせるんだ、これはよくわかることでございますけれども、緑、樹木というものについての効用というのはやはり世界的にいろいろ文献が出ております。空気の清浄の問題、あるいはまた公害を除去する問題あるいはまた環境のそういう私たちの心身に及ぼすような問題、そういうことに対する非常なプラスがあるわけですね。したがって、それについては環境庁かあるいは科学技術庁か、あるいは実際に担当する建設省公園緑地課か、そういうようなところにおいてやはり情報をキャッチして、それに見合うような施策というものを打っていかなければいけない。ほんとうにいま緑したたるような東京であればどのくらい住みよくなるかということについてのいろいろな意見というのはたくさんあるわけです。そういうことで、やはりそこには公園公園といいますけれども、御存じのように公園というのは日本は非常に少ないわけです。特に東京においてはまだまだ都市公園法にきめられておるようなそういう公園もできていない。この前の進捗率等、まあ進んでいるとはいいながら、それができてもまだまだ少ないわけです。したがって、こういう目標というものを設定をしなければならぬ、私はこのように思うのですけれども、いまはそういう目標がない、まだ検討されていないということです。環境庁になるかあるいは科学技術庁になるのか、あるいは建設省ではそれば無理だというのか、あるいはまた当然担当の建設省が緑の問題はやります、こういうような結論になるかは別といたしまして、そういう目標をもってやるということでなければならぬということですけれども、そういう件についてはどういうふうにお考えになりますか。
  55. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 科学的にこれだけは必要だという、そういう目標の結論を出す程度にはまだ、いろいろな要素があり過ぎて研究が進んでおらないということを申し上げたわけですが、そういうことは頭に置きながら、私ども建設省としては昭和六十年までに都市公園面積を一人当たり九平方メートルまで持っていきたい。これは現在三平方メートル程度でございますから約三倍にするというわけでございます。それと、この緑地保全地区というものを、その対象地を各府県の担当者に調べてもらいましたところ、早急にやりましたものですからなお十分吟味は要るのですけれども、一応各都市、各府県におきまして都市計画面積の一ないし五%ぐらいがその対象地となるという調査が出ております。これを平均すれば二%強ぐらいでありまして、かりに二%ぐらいを逐次指定していくとしますと約十五万ヘクタールということにもなります。人口一億人と見ますと一人当たりは十五平方メートルということになります。都市公園と合わせますと二十四ないし五平方メートルぐらいになるのではないか。これは先ほど申したように、必ずしも科学的にそれで足りるかということは申しがたいのでございますけれども、一応建設省はそういう目標で、それをもとに五カ年計画を実施している次第でございます。
  56. 新井彬之

    ○新井委員 それじゃもう少しお話をしますけれども、いま東京の空気というのは非常によごれております。東京あるいはまた川崎あるいはまた四日市、これは公害ということで非常に問題になっているわけですけれども、ニュヨークと東京との大気中の浮遊微粒子の量を比べてみた場合に、東京の場合はニュヨークより倍以上に多いということです。ニューヨークでは最高が三百十五、最低が十二、東京では最高が六百六十二、最低が百二十七マイクロ・パー立方メートル、こういうような調査結果が出ているのです。それから、大気汚染のひどい地区の慢性気管支炎の患者、こういうものを調査しますと、慢性気管支炎にかかっていない人に比べて呼吸器の疾患による死亡が約五・九倍多い。またそれ以外の病気によっても死亡が約二倍多い、こういうような結果があるわけです。  そういうことで、われわれの人命にかかわるこれを浄化するのは、さっきからもお話ししているように樹木以外にない。もちろん排気ガスの規制ということはございます。排気ガスをどんどん規制するとともに、樹木をふやして浄化をしていく、こういうことになるわけでございます。現在、大気汚染だけをとりまして、公害対策費というのは東京都だけとりましても、東京のスモッグ対策費あるいはまた自動車公害対策費、大気汚染防止対策費、大気汚染調査費、そういうのを合わせただけで十一億四千百二十四万円も出ている。これがさかのぼっていままでやってきた金額からいえば二十六億三百九十五万一千円、こういうことで、非常に多額なそういう調査研究費、あるいはまた逆に、そういうふうに病気になればそれにかかる費用というものがあるわけです。したがって、これはやはり早急に調査を進めてやっていかなければならない。  これは一つの調査の結果でございますけれども、一つの葉っぱがどの程度大気を浄化するかということについて神奈川県のほうで調査をやったわけです。この調査のやり方というのは、街路樹の一枚の葉っぱですね、これはイチョウだとかあるいはプラタナスとかアオギリだとか、いろいろの木がたくさんありますけれども、一枚の葉っぱの中にどれだけのものが含まれているか。そして今度は葉っぱの表によくほこりをかぶったようについておりますけれども、そういう吸い取る力といいますか、そのために吸い取られたものはどういうものがあるのかという検査をやったわけでございます。その検査の結果によりますと、これはプラタナスの葉の一枚に体内と体外を通じて吸着している鉛や銅、亜鉛、鉄、そういうようなものは最高が三十七万九千PPM、これだけのデータが出ているわけです。またほかに、PCBだとかカドミウムだとかアクロレインだとか砒素だとか水銀、そういうようないろいろなものを調べておりませんけれども、たった一枚の葉の中にもそれだけのものが含まれている。したがって、大気の浄化をするということについては非常な力があるということがいわれているわけでございます。  それからまた、これは色彩だとかいろいろな問題からいわれておる問題ですけれども、緑というのは疲労を回復して安息を与える。やはり緑したたる公園等を会社の休み時間、お昼の休み時間に散歩するとか、またそこでいい空気を吸うとか、そういうことによって非常な活力が出てくる。病人の部屋なんかも全部緑にしてしまったほうが、色彩的なそういうような一つの学問の中では、非常に安息になって病気の回復も早いというような研究結果も出ておりますけれども、そういうような効用もあるわけです。  だから、緑の町をつくる、これを一般の国民の方々が、そういう科学的な裏づけというものは現在おわかりにならなくとも、どのくらい望んでいるかということもアンケートの結果として出ているわけですね。そういうことで、いろいろ先ほどお話がありましたように効用というものがあるわけですね。したがって、これについては緑をふやす方向というものを明確にしていかなければならぬ、こういうぐあいに先ほどから言っておるわけです。  東京都内の街路樹というのは、国道が三万、都道が六万、区市町村道が二万二千、これを全部合わせましても十一万二千本しかない。都立公園に二十六万本の樹木がありますけれども、それを合わせて三十七万本です。そこで、昭和四十六年度で約一千百五十万人の東京都の人口を例にとれば、ドイツの科学者ベル・ナッキー博士の研究で、自然に成長した十メートル以上の五十年生のブナの木一本で四人家族の呼吸に必要な酸素を供給する、こういうことからいきますと、自然に育った五十年生以上の樹木の必要総数というものは八十八万四千六百本、こういうことになるわけです。だから現在ある三十七万本を引きますとあと五十万本以上の樹木が必要だ。それは日本は山が非常に多い国ですからそっちのほうの数を合わせればいいじゃないか、こういう議論も成り立つわけですけれども、公害が発生しているのは高速道路であるとかあるいは町の中の車のたくさん通っているところだ。したがって、そういうところに木がないということはその地域の方々が非常に被害をこうむるということになるわけです。ヨーロッパに行きますと、あの街路樹の下にテーブル、いすを出して食事をしておりますけれども、あれも街路樹があれだけある、緑がもう一ぱいだ、その中でそういういろいろなものが吸い取られ、あるいはまた一酸化炭素が浄化されて、豊かに生活ができるのだという調査も出ておりますけれども、そういうことからいくと、もっともっと緑をふやしていく、それにはやはり予定を立てて、あとでまた出てきますけれども、国道なら国道の中にはちゃんと樹木というか、そういう街路樹というものを植えなければいけないのだ。あるいはまた都道にしても何にしても、そういうところにはほんとうに街路樹をふやす。もっと極言すれば、いま町の裏通りなんというものは非常に狭くて車が通れないようなところもあるわけです。そういうところにも街路樹を植える。  あるいは学校のへいを取りこわして全部緑にしてしまう。これも御存じのように、四日市の塩浜小学校において大気汚染のために三十三名の公害認定患者が出た。ところが、身体検査をしておるとだんだんそれがなおってきて、成長もよその学校に劣らないくらいの成長をするようになった。なぜそういうような状態になったかということについては、たぶん公害の空気になれて発育もまともになったのだろうという意見もありますけれども、私は医者でないからわかりませんけれども大阪の府立病院の衛生部長なんかの話によれば、公害だけは人間のそういうものに対するなれというものがないのだ。そこでもう一つ何が原因だということになれば、校庭に何百本の木を学校の校長先生が植えた。そして何年間かたったときにはその子供さん方の健康は取り戻している、こういうような報告もあるわけです。  したがって、私たちも都市をつくるという上で、さっきも太陽と緑と静けさというものが都市をつくる基本だということで例をあげましたけれども、一番いま大事なのは、可能な限り、考えられる限り、そういう緑というものをどんどん推進をしていかなければならぬ、こういうぐあいに考えるわけでございまして、この件については今後大いに検討して、保全だけでなくて、あらゆるところで推進をするのだ。たとえて言いますとビルの上だって芝生が敷けるわけです。考えればいろいろとありまして、それも決していまは反対をされないと思います。もうそれは当然だというようなことがアンケートの結果によれば出ておるわけでございまして、ひとつそういうことを検討していただきたいと思います。  さっきもお話がありましたが、大体一人当たり二十平方メートル、これだけの緑、芝生でもけっこうですけれども、そのくらいの緑というものが必要であるということがいわれているわけですけれども、それだけの緑というものをみな望んでおるわけです。これは総理府でアンケートをとった分でございますけれども、住みよい環境づくりに一番必要なものは何かというアンケートについて、一つは公園緑地、街路樹など、緑と答えたのが二八・五%です。それから上下水道、道路、ガスなど、都市施設二〇・一%、それから交通機関一三・八%、医療・保健施設一二・五%、そういうようなことで、やはり一番多いのが公園緑地、街路樹、こういうことを希望しているわけです。それからまた、そういうことについて私権の制限を行なってもいいかというような問いに対しましても、半数以上の方々が、自分の木を切るときも制限をされてもしかたがないであろうというような答えがあるわけであります。そういうことで、緑地については保全だけではなくて、推進というものを全力をあげてやっていただきたい、これについて大臣考えをお伺いしておきたいと思います。
  57. 金丸信

    金丸国務大臣 新井先生のお話はまことに貴重な意見として私も承っておったわけでございますが、いま都会緑地というものは非常に危険にさらされておるという状況でございますし、また緑地というものは一人に二十平方メートル必要である、それが一つの理想なことだろうと私も推測をいたすわけでございます。先ほど九平方メートルと都市局長が言っておるわけですが、それは九平方メートルしかいまのところ目標にできないということですが、現実としてはそういう大きなところに目標を持ってやらなくちゃならぬということとあわせて、人間の生命尊重という立場から、いまPCBだ、なんだと言っておる非常な公害問題、排気ガス等大きな公害を度外視して政治はないと私も思います。そういう意味で一木一草たりともおろそかにすることなく、空地というものは緑地で埋めるべきだ、私権の制限もときにやってもしかるべきだ、こうまで私は思います。
  58. 新井彬之

    ○新井委員 林野庁が森林機能というものを金に換算したデータがありますけれども、これによりますと年間に十二兆八千億円にのぼるということで出ておるわけです。緑の効用ですね。そういうことでお金には換算できませんけれども、そういうようないろいろな問題というものをひとつよく詰めていただきたいと思うのです。  それから、いま街路樹のことについて少しお話をしておきたいと思うのですけれども、街路樹がよく枯れたり何かするということでありますけれども、この街路樹の研究というものについては、局長、どのようにおやりになっていらっしゃいますか。
  59. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 街路樹の維持、保全は、どういうふうにすれば枯れたり弱ったりすることがないようにできるかということはかねがね研究しております。
  60. 新井彬之

    ○新井委員 自動車の排気ガスが樹木を枯らすというようなことが大体定説になっておりますけれども、この前、神奈川県の農業総合研究所で実際問題どの程度の排気ガスが枯らすのかという研究について結果が出ておりますので、これを参考までに大臣も聞いておいていただきたいのです。屋外につくったガラス製の人工気象室に、わりかた感受性の強い樹木を七月、八月に入れまして、そうしてそのまま自動車からの排気ガスをつないで、八日間、どういう状態になるかということでやってみたわけです。そうしますと、その試験に用いた排気ガスの濃度というのは二〇〇〇PPMの場合と二〇〇PPM、それから四〇PPM、こういう三種類に分けて排気ガスの実験をやったのですけれども、二〇〇〇PPMの場合はわりかたいろいろな状態が出たようでございますけれども、四〇PPMの場合は樹体にも樹葉にもわずかに水分の不足が見られただけで、あとは何も異常はなかったということが出ているわけです。ちょうど東京でも、あの牛込柳町の公害の状態というものから見ましても、あそこは一九PPMですね、そうすると樹木には全然関係がない、こういうような結果が出ておりまして、東京でも、排気ガスとの関係から見ますと、必ずしも自動車が多いところにそういう濃度の高い一酸化炭素があるというわけじゃないのです。そこに街路樹がちゃんと植わっているかどうか、その街路樹もいい街路樹かどうかということですね、それによって非常な影響があるということがやはりはっきりしているわけでございます。  そういうことで、樹木を枯らすということについては、ただ単に自動車の排気ガスだけが多いというのじゃなくて、結局は水分が少ないという問題ですね。いままで道路構造令なんかを見ましても、やはり道路から五センチでも十センチでも上に上がったところにワクをつくる、したがって雨が降った場合水が全然そこに入ってこない。外国なんかの例を見ても、必ずそういうワクがなくて、五センチでも十センチでも低目にしてあるということで、いつも雨水が入ってその水のために樹木が枯れないという。だからそういう点もよく考えていただかないと、幾らやってもよく枯れるというようなこともいわれているわけです。街路樹は一生懸命やっておりますけれども枯れましたので……。ここにもデータがありますけれども、そういう国道だとかあるいは都道だとか、そういうところでもほんとうにもつたいないくらい枯らして、いままで推進はしたけれども、それをどのように補って育てていったらいいか、そういうことも一貫したものがなければ、ただ表面だけの植えるということだけではならないということです。そういうことでその件についてもひとつお願いしたいと思いますけれども、いま私の言ったようなことで、研究をやっておられると言われましたけれども、お考えを聞かせていただきたいと思います。
  61. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 確かに、街路樹が弱ったり枯死するという一番大きい原因は、排気ガスというよりもむしろ水分の不足にあるという結果が出ております。したがいまして、まず樹種の選定ということが大事でございますが、それに加えまして水分の不足を来たさないような植え方、これは結局街路の舗装、構造にも関係するわけですが、少なくとも街路樹を植える場所のますといいますか、ますの大きさを相当とる。中央分離帯などですと歩道として使っておりませんから全部土のままでおけるわけで、こういうところは確かにわりあい枯れないわけでありまして、歩道に植える場合には水分の吸収を極力確保するようなますの大きさ、それから樹種の選定、さらに実際の植え方、こういうことが大事だと思います。これらは、街路担当の課には必ずしも専門家がおりませんから、私どもでいえば公園緑地課という植物についての専門家が集まっておる課でありますので、こういう課とよく相談して、植えたが枯れたというようなことのないように十分連絡をとらしている次第でございます。
  62. 新井彬之

    ○新井委員 公団住宅の植林の場合もわりかた指摘されておりますけれども、たくさん木が枯れているところがあるようでございます。その原因というのは、地上から七十四センチも高い囲みで、その植え込みも広さわずか十メートルにも満たないような状態になっている。したがって、こんな箱庭づくりの中に幹まわり二メートルもある大きな木を植えるわけですから根つくはずがないのだ、専門的にそういうふうに言っておるわけです。この木だって一本買えば十数万円するだろう。それをほんとうに育てるような技術がなければならないということもありますので、至るところにそういう問題が広がっていると思いますけれども、よくひとつ検討していただきたいと思います。  そこで、いま職員の問題が出ましたけれども、そういうようないろいろなことをやっていく上においては、公園緑地課としても職員がいまの状態でできるのかどうかという問題になります。そういう点についてお伺いしたいと思います。
  63. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 緑の保全復元ということにつきましては、国及び直接担当する地方、ともに十分な職員、特にそういう専門的知識を持った、あるいはそういう訓練を経た職員が必要なわけでありまして、多少ずつ地方などは組織、人員を増強しているようであります。特に大都市地域ではかなり力を入れているようでありますが、まだまだ不足しているという状況であります。本省の職員につきましても、課長以下専門家がおるわけでございますが、なお専門家を入れ、あるいは人員、機構の拡充ということに今後努力したいと思います。
  64. 新井彬之

    ○新井委員 これもいろいろと聞きましたけれども、非常に充実されていないわけですね。したがって、各市町村にしても都道府県にしても、そういうものを充実してやっていこう、それは、どの程度そういう緑化していくことについて重きを置いていくかという姿勢できまってくると思うのです。いま一番大事だから言っておるのですからそういうことで——ただおざなりの五カ年計画だとか、こういうことも一つはやっておくのだというのじゃなくて、やはりアンケートを見ましても非常にこれに対しては要望があるわけですね。しかし私の知っているデータではなかなか推進しにくいわけです。そういうこともよく考えてやっていただきたい、このように思います。  それから国有農地の売り戻しの件についてちょっとお伺いしておきたいと思うのですが、四十六年四月六日に佐藤総理が根本建設大臣に、国有農地の旧地主への売り戻し代金でちびっこ広場や運動公園をつくってはどうか、こういう指示があったというぐあいに聞いておるわけです。それで根本建設大臣が事務当局と検討して、国が国有農地の売り戻し代金のうち百億円を支出する、これに地方自治体が二百億円を用意して、合計三百億円で、大都市を中心とした都府県に公園緑地用地として三百五十ヘクタールを確保するという建設省案をまとめるという話を聞いておったのですが、これはその後どのようになったのですか。
  65. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 おっしゃるとおり、昭和四十六年ごろに都市における公園緑地等の確保をはかるための財源対策の一つとして御指摘のような構想が打ち出され、検討したわけでございます。要は公園に対する予算額の確保であるということでございますので、そういった構想も踏まえながら四十七年度、四十八年度の予算要求も進めてまいりました。その結果、昭和四十七年度を初年度とする都市公園等整備五カ年計画というものが初めて設定されまして、その機会に予算も一躍伸びたわけであります。本年度はその二年度目になりますが、これまた対前年度比一・七六倍という伸びを示しておりまして、国費で申しますと約二百二十億というものがついております。これは前年度当初の百二十五億に比べて約九十五億円一年間でふえているわけであります。さらにその前年度に比べれば非常に大きく伸びているわけでありまして、必ずしも国有農地の売り戻し費用を当てにした国費百億円というものを充てなくても、別途一般財源をもってそれだけの措置がされたわけでありますので、今後はこの新しい五カ年計画というものを間違いなく達成する、そのために毎年大幅に伸ばしていきたいという方向に切りかえている次第でございます。
  66. 新井彬之

    ○新井委員 では別途五カ年計画に入ってしまっておるということですね。——三百五十ヘクタールといえば日比谷公園の大体二十三倍の公園であります。東京大阪とか、そういうところの七都道府県、これは前に公園緑地用地として千百三十七ヘクタールのものをとられているわけですけれども、その後自作農創設のための農地に転用されて、その後公園用地として買い戻された、それは三百九十ヘクタールしかないというのです。昔はまだ千百三十七ヘクタールの公園用地があったのだけれども、それが戻されたのが三百九十ヘクタール。あと残りの七百四十七ヘクタール、この半分に相当する三百五十ヘクタール、これを東京とか大阪とか、前に取り上げた七都道府県に優先的に配分しようというようなことで聞いておるわけでございます。昔より公園が減るということはおかしなことでございまして、そういうこともあったということで、ますます力を入れていただきたい。  それから日本緑化センターについてお伺いします。これは建設省と農林省でタイアップして設立準備を進めておるようですが、日本緑化センターの予算、業務内容、目的、性格、そういうものはどのようになっておるか、お聞かせ願いたいと思います。
  67. 松形祐堯

    松形説明員 お答え申し上げます。  緑の効用と重要性につきましてはただいま先生の御意見があったとおりでございまして、この緑化につきまして現在建設省と鋭意詰めながら、八月を目途にして発足の準備をいたしております。なお、この予算につきましては、緑化センターの事業費補助金といたしまして用意いたしておりますのが約二千二百万円。三カ年間で基金造成補助をやることにいたしておりますが、初年度分といたしまして二億円を準備いたしております。  なお、業務内容でございますが、五つほどございまして、一つはモデルの緑化計画の策定と、展示モデルを造成したい、これは三十カ所程度のタイプに分けまして五カ年計画でございます。二番目といたしまして、地方公共団体等が計画いたします緑化に関するコンサルティングをやることにいたしております。三番目といたしまして、緑化の形態がやや変わってまいっておりまして、私ども高木と称しておりますけれども、これの生産と需要をセットするための情報の提供でございます。四番目といたしましては、先ほど先生がいろいろ御指摘ございましたような緑化に関する技術がずいぶん変わってまいっておりますので、総合的な調査研究をいたします。五番目といたしましては、御指摘のとおり緑化技術者の養成研修、こういうことの五つを目的といたしておるわけでございます。
  68. 新井彬之

    ○新井委員 この緑化センターというのはそういう意味においては非常に今後大事な役割りになると思います。これにやっていただかなければならないことがたくさんあると思いますけれども東京都にしましてもまた大阪にしましても、街路樹一本植えるにしましても非常にその街路樹がないというような状態になっていますね。これは新聞でも御存じのように、いまはそういうものが買い占めの対象になるというようなこともありまして、そういう一つの供給をしていく情報も流すということでありますけれども、そういう生産ということについては今後街路樹は間に合うような状態になりますか。
  69. 松形祐堯

    松形説明員 お答え申し上げます。  先ほど建設省からお答えございましたように、ただいま私お話申し上げました高木の生産につきましては需要と供給というのが十分セットされてないというのが現時点では実態でございます。したがって、このような情報が一番大事であるというようなことで、全農あるいは農協系統でございますけれども、森林組合あるいは苗木の生産業者、そういうものを現在指導いたしまして団体をつくりながら、そして生産を軌道に乗せてまいりたい。同時に、森林の中で種から育てるというのでは間に合いませんので、山にあるものをある程度抜きながら山の緑の木を都市へ移すというようなことを重点といたしまして生産計画を現在立てて指導中でございます。
  70. 新井彬之

    ○新井委員 公明党としましても、都市緑化促進ということについては国民の皆さんのいろいろな御要望から法案をつくらなければいけないということで、要綱だけはつくったわけでございます。その一番の骨子は、さっきから言っておりますように、まず国の都市緑化総合計画を策定しなければこれは進まないのだということで、それをうたってあるわけでございます。公明党の案としましては、これは保全法ではなくて促進法である。また都市緑化の事業の実施の年次計画、こういうものもちゃんとやらなければならない。それから樹木の新規植樹及び保存維持計画、こういうものも明確にしておりまして、その中で特にいっていることは、一つは都市緑化公債というものを発行したらどうかということをいっておるわけでございます。現在、地方公共団体としましても、予算的な問題でなかなかできないということがありますけれども、そういう点についてはどのようにお考えになりますか。
  71. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 まず、各都市で緑のマスタープランをつくってもらうように考えておるわけですけれども、これを総合いたしました総合的な都市緑化の総合計画というものが考えられるわけでございます。私どもとしては、今後そういったこともおいおい必要になるのではないかと思いますが、現在のところそういう制度をつくりましてもまだ急速に動きそうもありませんので、まず各都市ごとのマスタープランから出発して逐次積み上げた上で、なおおっしゃるような方向に向かって検討したいと考えております。  都市緑化公債という御提案がございます。私どももあらゆる財源を使いまして緑地保全及び積極的な緑化につとめなければならないと思います。先ほど申しましたように、まず都市公園の五カ年計画を樹立し、それに必要な急激な予算の増をまかなうに足る一般会計予算を要求しておるわけでございます。それでうまく予算化されて現在に至っておりますが、今後ともさらにこの勢いで伸ばしていきたい。この財源は国の一般財源でありますのでどの財源が使われたかわかりませんが、本年度あるいは昨年度と、かなり建設国債という形での国債も伸びておりますから、そういった意味での国債財源というものも相当入っているのではないかと考えられます。なお地方債につきましては四十八年度から、従来都市計画事業という中にまぜこぜに入っておりましたものを独立してもらいまして、小項目として公園緑地事業というものができました。起債充当率その他、今後この独立を契機に大きく伸ばしていきたいと考えます。こういった国債、地方債の手当てによりまして実際には、都市緑化公債というような目的的なものではありませんけれども、財源対策としては逐次行なわれてきているのじゃないかと考えております。
  72. 新井彬之

    ○新井委員 この都市緑化保全法案を見ますと、いろいろと問題はあるわけでございますけれども、結局一つは、「緑地の適正な保全と緑化の推進に関する措置を講じなければならない。」ということがありますが、それに合う一つの前提条件のきちっとしたものを策定すべきである。また国としての予算が三分の一補助である、それも初年度予算は五千万円だというようなこととか、いろいろ見ますとこれで実行可能かということについてはまだまだ非常に弱いという感じがするわけです。そういうことで、さっきも言いましたように、予算面についての都市緑化公債、あるいはまた国が、地方公共団体がやる場合の援助をする措置として都市緑化のための最も適当な樹種の選定、苗木の供給確保のための措置並びにその基礎的研究、それから苗木のあっせん、街路樹等の育成、保存に関する基礎的研究、こういうようなこともやはりやっていかなければいけない。あるいはま地方公共団体に対して国有地の無償利用、それは河川だとかいろいろあると思いますけれども、そういう無償利用をさしてあげなければいけない。あるいはまた樹木をどんどんふやすことにおいては、樹木の保存台帳をつくって、そうして木を育成していく。また財政上及び技術上の助成。そういうようなことをほんとうにやっていかなければ、この保全だけでは、いままでも法律はありますけれども、やはり樹木はだんだん減ってしまうということを考えるわけでございます。先ほどからいろいろと、緑の効用ということの一番基礎的なそういう必要性、それが建設省にわかっていただいて、国民の皆さんにもわかっていただくところに、街路樹も成長し、みんなでそれを育てるというような気風も出てくるのじゃないか、こういうぐあいに思うわけでございまして、今後これの運用につきましては全力をあげてひとつやっていただきたい、このように思うわけです。そういう件について最後に大臣に所見を伺いたいと思います。
  73. 金丸信

    金丸国務大臣 新井先生の貴重な御意見を承りまして、非常に参考になると思います。十分ただいまの御意見を体しまして、予算等につきましても、来年度の予算はひとつできるだけの盛り上げをして、これが空文でない法案にしたい、こう考えております。
  74. 新井彬之

    ○新井委員 終わります。
  75. 服部安司

  76. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 大臣は飛行機に乗って上空からわが国をごらんになったことがございますでしょう。私自身もわが日本列島を上空からながめておりますが、実はわが国は国土の七〇%以上が緑におおわれておる。ヨーロッパ各国を上空からながめますと、こんなに緑におおわれている国はそんなにないわけです。にもかかわらず、われわれ国民の間に、あるいは特に都市生活者の間にたいへん緑が欠乏しておるという感じを与えておる。これは一体何が原因であろうか、疑問に思うわけですが、大臣いかがでしょうか。
  77. 金丸信

    金丸国務大臣 産業人口都会集中というようなことによりまして、また、先ほども申し上げたのですが、土地の騰貴等によって空地の細分化というような問題が起きてくる。ましてや緑地と  いうものがそのような関係都会にはだんだん少なくなってくる。その上に自動車は排気ガスをまき散らしておる、自動車の生産高も非常に上がってきておるというようなことが今日の人身に及ぼす公害ははかり知れぬものがある、こう私は思うわけでありまして、そういう意味で緑を回復しなければならないし、緑と酸素、酸素と炭素、こういうようなものの関連性を考えてみますと、緑というものがいかに重要であるかということが考えられるわけであります。そういう意味で、現在の東京の、あるいは都会の緑というものが非常に少なく、減りつつある、こういう状況を制止するわけにはいかない、いろいろな法律もありますが、それらの法律では規制できないところもあるというようなことで、今回の法案を出したというようなわけでございます。
  78. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 答えが質問の趣旨とだいぶ違うのですが……。よろしいですか、日本の国は上空から見ると七〇%以上が緑におおわれておる。ヨーロッパ各国ではこういう例はない。にもかかわらず、国民の間では、特に都市生活者の間では、たいへん緑が欠乏しておるという感じを抱かしめておる。これは一体何が原因だろうか、こういうことを実はお尋ねしたわけです。大臣はあたかも自然にそうなっていってしまったのだ、たいへん困ったことだというような見方のようでございますが、私はそういう認識が非常に問題だと思うのです。つまり私は、少なくともこれは代々続いてきた為政者の大きな責任だ。これだけ緑があり、これだけ国土が緑におおわれておるにかかわらず、国民の間にはたいへん緑が欠乏しておるという感じしか抱かしめていない。これは都市計画にも問題があったことでございましょう。いろいろな産業を発展させてまいりましたその行政にも問題があったでありましょう。私は明らかに為政者の大きな責任である、こういうふうに考えるわけですが、その辺の御理解をなさっていらっしゃるでしょうか。
  79. 金丸信

    金丸国務大臣 いわゆる戦後の日本は、つくればよろしい、何でも製造すればよろしい、こういう考え方が今日の時代をつくっておるという、その責任は為政者にも私はあると思います。
  80. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 そういう観点からながめてまいりますと、今回のこの法律自身がいわゆる都市緑地保全法案でございますから、この法律の題名からいきましても緑地保全するのだ、これが主体になるわけですね。そうではなくて、いままでの政治がたいへん間違っておったのだ、いまやそのひずみが都市の中に非常に残存をしておる、こういう前提に立つならば、私はむしろ積極的にその緑化を推進するという方向——いまある緑地保全する、これはもちろん大切なことでございますが、すでに破壊をされてしまって、都市生活者の中には緑がたいへん少ないのだという感じを与えておる、こういう現状をすなおに認識するならば、本来的にやはり都市の大改造が必要でありましょう。そういう意味ではむしろ緑化を推進するという方向に主眼が置かれていかなければいけないのではないか。もちろん大前提としていまある自然をこれ以上破壊しないということは必要でございましょうが、もうすでにひずみが出てしまって、そういう状態の中で国民自身がたいへん緑が少ない、こう感じておるその感じを是正をするためには、やはり積極的な緑化の推進、このほうがむしろ大切ではないだろうか、こう考えるわけですが、いかがでございましょうか。
  81. 金丸信

    金丸国務大臣 先生のお説のとおり、私もそのように思います。そういう意味都会の再開発をやって、空地ができたらそれは緑地にすべきだ、一木一草たりともみだりに切ってはならない、推進をしながら緑地をふやしていくというようなことを考えていくことがこの法案の趣旨であろうと私は思います。
  82. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 私は大前提を踏まえてこれを見ていきますと、確かに保全という面にはある程度の力が入れられておるのですが、ひずみが生じてしまった市街地、これを是正をするために一体何があるであろうかというふうに見ていくと、いわば緑化協定というようなものがこの法案の中に書いてある。すなわちその緑化協定なるものはどういうものであるかを見ていきますと、これはやはりいわば民間依存といいますか、国民に依存をしておるという部分が大部分でございまして、国が積極的に緑化をはかっていこうという方針ではないのではないだろうか、こういうふうに実は思えてならないわけですね。本来、このような民間主体の協定というようなもの、これに類似いたしました問題として建築基準法による建築協定等がございますけれども、協定ができ上がってからもうすでに十年以上経過しておる現在、この建築協定がほんとうにどのような効果を及ぼしておるだろうか。見てまいりますとたいした効果を及ぼしていない。この緑化協定もそのような方向で、一応ことばの上では緑化を推進する、こうなっておりますけれども、ほんとうに効力があるだろうか、たいへん疑問に思うわけですが、いかがでしょうか。そういったことだけで、いまのすでに発生してしまった市街化、矛盾を多くかかえた市街化、これの緑化の推進がなされるのでございましょうか。
  83. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 緑化の積極的な推進ということになりますと、まず第一に都市公園の整備ということであります。さらに街路樹の整備とか河川敷公園の整備とか、あるいは公団、公営等の住宅団地における緑化とか、そういうものがまず公的な直接の施策として必要なわけであります。しかしながらそれだけではやはり限りがありますので、本法案におきまして緑化協定という制度考えました。おっしゃるとおり民間依存といいますか、民間の方々の自主的な発意、それを受けまして市町村長がオーソライズする。それによって、その土地をあとで譲り受けた者に対しても拘束力を生ずるという制度でありまして、類似の制度としては御指摘のとおり建築協定があるわけでございます。私ども、建築協定の内容に比べれば、この緑化協定で考える内容というものは、建蔽率等の関係で当然非建蔽地となるような場所の位置をそろえまして、そこを緑化の対象の場所にするとか、その他適切な樹種を選んで木を植え、育て、あるいは枯損の防止につとめるというようなことでありますので、さほど経費はかからずにその地区内の居住者御自身にとっても非常にいい環境が、全体の意思として統一されて実現せられるという魅力があるのではないか。なお、建築協定は条例をさらに定めることを必要としておりますが、この緑化協定につきましては法律の規定によって直接全国の各市町村に適用されますので、その意味でも、地方公共団体当局の熱意と努力、PRあるいは技術指導等の実をもって当たれば、相当程度の希望が出てくるのではないかと思います。なお、本法案ではさらに、既成市街地で全員合意方式の緑化協定のほかに、宅地開発事業主体がまだ分譲を始めない段階で、一人の意思で市町村長の承認を得て分譲を受けた者に対して拘束力を持つ緑化協定を用意いたしておりますので、この両々相まちまして、緑化協定はかなりやりようによっては進むのではないかと考えております。
  84. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 私が最初から基本認識をお伺いしておるのは、総面積的に見ればたいへん緑は多いのだ。にもかかわらずこういう問題が起っておるというのは何が原因であるのだろうかということを考えていくと、政治上の原因が非常に多い。そうなりますと、従来のような発想ではなかなかむずかしいわけですよ。従来の発想の延長では、いまこの矛盾が生じた市街化をどうして緑化していくかということは非常にむずかしいのです。だからそういう意味ではもっと発想の転換が必要ではないだろうか。街路に樹木を植えることもけっこうでございましょう。けっこうでございますが、もっと根本的な発想の転換をやらないと非常に至難な問題がたくさんあるのではないだろうか。本来ならば、いままでの既成の法律でいろいろやられていけばいいのだという考え方が根底にあり、それらを手直ししていけば事足りるということであるならば、いままでもいろいろな法律があったわけですね。緑化に関する法律というのはたくさんの法律があるんですよ。にもかかわらず、こういうような状況がどんどんと進行してしまっておる。そういう中であらためてこの都市緑化保全法案というものが提出をされておるわけです。確かに、先ほども討論されておりましたように、ないよりはあったほうがいいでございましょうけれども、私はもっともっと抜本的な問題を考えていかなければいかぬ。もっと国が積極的にならなければいかぬ。既成市街地の中で緑化を考えている。何であろうかと見ていけば、いまも討論をしておりますように、民間依存の緑化協定だけ。そして何とか都市公園とも相まって、こうおっしゃっておりますが、都市公園そのものも、確かに都市公園法の施行令に住民一人当たりの基準面積というのが出ておりますけれども既成市街地でこの施行令の中できめられておる基準面積を有しておる都市公園はいまだにない。欧米に比べますれば、もう十分の一、二十分の一というような狭い申しわけ程度公園、こういうものしか実はできていないんですよ。そういう面から見ますと、せっかくこの都市公園の基準面積が設けられておるにもかかわらず、ほとんどがそれに達していない。もう半分もないというところが非常に多い。そういう手ぬるい行政が行なわれてきておる。その集約がいまのような、国民に対してたいへん緑が欠乏しておるという観念を抱かせてしまった、こういうことですからたいへん問題があるのではないだろうか。もっともっと強力な緑化法案、もっと緑化を推進する法案というくらいに進めていかないと、緑地保全をするという法案だけでは問題が将来残っていくのではないだろうか。開発と比較して、まだ開発のほうが早く進んでいってしまうのではないかというおそれすら実は生じてしまうのです、従来の経過からかんがみて、そういう意味で、たいへん失礼だとは存じましたけれども基本認識からお尋ねをしていったわけでございますが、二、三お尋ねしている中にも、私はそういうような基本認識がまだまだ転換をされていないのではないかという実は疑念を持たざるを得ないわけでございます。  時間もございませんから基本認識だけを実はお尋ねをしたわけでございまして、あと二、三、法律の疑問点についてのみお尋ねをしたいと思います。  この緑化地区に指定されますといろいろな制約が加えられますので、たとえば自己の土地に家屋が建てられない、そういう場合に買い上げの申し込みができることになっておる。それを地方自治団体なり国家なりが買い上げる場合に、いわゆる「時価」によって買い上げるのだ、こういう字句が法律の中にございますけれども、その時価によって買い上げるということはどういうことでございましょうか。私がお尋ねをしたいのは、建設省が主体になって、全国市街化の中では、ことしも発表になりましたけれども土地の公示価格というものがあるわけでございます。建設省みずからが発表なさっている土地の公示価格をなぜ採用なさらないのか、なぜあえてここに「時価」ということばを用いられたのか、こういう疑念があるわけでございます。
  85. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 地価公示法の適用を受けますのは、森林とか採草放牧地としての取引価格ではございませんで、そういう場合は公示価格の対象外としております。一方、この緑化保全地区に指定されます地区は大部分が森林なり採草放牧地なりであろう。もちろん宅地も多少入らぬわけでもないでしょうけれども一般的にいえばそういう地価公示法による公示価格の適用を受けないような地目としての取引ということが多いのではないかということで「時価」と書いた次第でございます。
  86. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 どうも理解しかねる答弁でございまして、一部にでもあれば、少なくとも建設省みずからが告示をされておる公示価格というものを建設省みずからが空文化するような方向で別の法律ができていくということ自身、私は実は問題があると思うのです。せっかく土地を売買するときの適正な基準を示すためにこういう価格を設けるのですよ、こういうふうにその法律のときには説明をしておきながら、たとえ一部であるにせよ、他の法律によって売買をするときには時価によって売買をする、買い取りをするのです、こういうような、建設省みずからがいわば公示価格をあってなきがごとくに取り扱うこと自身に問題があるのではないだろうか。当然、宅地の一部にもそういうものがあるとするならば、それはやはり建設省みずからが告示していらっしゃる公示価格によって買い入れるのだという基本方針がなければ、一体何のために公示価格を設けたのだかわけがわからぬ。その法案を討議するときによって、そのときそのときによって実際には答弁が変わってくるのですよ。全然皆無ならば別ですよ。一切そういうのはありません、この都市緑化地区は市街化形成区域の外にあって、いわば公示価格がきめられているようなところは全然ないのだ、こうおっしゃるなら別ですけれども、そうではなくて、たとえ一部にでもあるとするならば当然それを守るべきではないだろうか、私はこう考えるのですが、いかがですか。
  87. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 緑地保全地区の対象に、おっしゃるとおり多少は地目が宅地というものも入ると思います。そういう意味ではおっしゃることもよくわかるのでございますが、私ども、その例が少ないことと、たまたまその近傍類地に地価公示がなされておれば、宅地の場合には「時価」という表現の中に公示価格ということも当然含まれる。つまり公示価格は毎年一回調査した時価でございますから、一致するものと考えております。
  88. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 公示価格が設定をされておるところには公示価格を適用するのだ、こういう理解でよろしいわけでございますね。
  89. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 宅地としての取引の場合ということですから、森林なり採草放牧地としての取引ではその公示価格を適用除外になっておりますので、宅地の場合というふうにお答え申し上げます。
  90. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 わかりにくく答えないで、保全地区として指定をされた地区、その中には宅地地区もあるでしょうし、いろいろな問題があるでございましょう。しかし実際に買い上げるのは、公示された価格がすでにきまっておる地域保全地区に指定をされ、それをたまたま買い上げるというようなときにはその公示価格で買い入れますよ、こういうことではないのですかということを聞いているのですよ。
  91. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 宅地の場合にはおっしゃるとおりその価格で買うということでございます。
  92. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 買い入れる場合に、その費用の一部を国が補償するということになっているわけですが、その補助率が大体三分の一だ、こういう規定でございまして、これはほかの同僚委員質問したかと思いますが、積極的に緑化を推進していこうとするならばするほどこういう問題は大きく考えなければいかぬ。そうなりますと、いま非常に緑が少ないという問題があるわけですから、緑を多くしていこうとする地方自治団体が善政をしこうとすればするほど、自分の財政が圧迫をされるという結果になるわけでございます。したがって、この三分の一というような費用ではなくて、本来ならば全額国が支出してやるのだ、国民の健康と命を守る大切な基本になる政策でございますから、全額国が出してやるのだというくらいの気持ちがなければ本来的に緑化運動なんか進みませんよ。地方自治団体はやりたいと思っても財政が破綻をしてしまうからできません、こういうことになってしまうわけですから、その辺、大臣は今後どうしていかれるのか。この三分の一でけっこうだと思っておられるのか。これは私はたいへん不足だと思いますので……。
  93. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 既存の、歴史的風土の特別保全地区とか、首都圏近畿圏特別保全地区は国家的な観点が強いということでかなり高率の補助になっております。それに比べましてこの制度は各都市、各地域における緑地保全ということでございまして、国として総体は非常に重要なんですけれども、個々の場所につきましては国としての観点というよりもその地域としての観点ということであろうと思いますから、そういう意味で同じ補助率というわけにもいかないのじゃないか。一方、都市公園の整備予算におきまして、上物を建設する、植樹とか施設などの建設費は現在補助率二分の一に引き上げられておりますが、用地の取得費が三分の一なのでございまして、公園として積極的に整備する施設に対する用地費三分の一というものとの関連を考えますと、この緑地保全地区というものによって民有地のまま緑地保全していきたい、しかしながら許可を受けられないということによって買い入れの希望が出た場合に買い取るという場合のつり合いということがありまして、当面三分の一ということにして発足させていただいた次第でございます。
  94. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 局長答弁はけっこうでございますから……。先ほどの基本認識の上に立って私は聞いておるわけです。その延長ですから、そういうことからいって従来の延長ではいけないのだ、こういう前提に立って大臣決意を聞きたい。
  95. 金丸信

    金丸国務大臣 地方自治団体に経済的な圧迫を与えるということになれば、望むべくして望めないということになりますから、その問題につきましては十分に考えなければならない。三分の一では私は少ないと思います。少なくとも二分の一とかそれ以上のことを考えなければならぬだろう、こう考えておるわけでございますが、ことしはことし、来年はその方向でひとつがんばってみたいと思っております。
  96. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 ひとつ大いに勇気を出して大蔵省との折衝をし、ほんとうは全額を国が見てやるのだというくらいの決意で緑化を強力に推進されんことを要望いたしまして、質問を終わります。
  97. 服部安司

    服部委員長 この際、午後二時三十分まで休憩いたします。    午後一時十七分休憩      ————◇—————    午後二時三十分開議
  98. 服部安司

    服部委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。森井忠良君。
  99. 森井忠良

    ○森井委員 都市におきまして緑地保全する法律というのはいろいろ重複をしておりまして、一般の国民から見ますと非常にわかりにくい仕組みになっておると思うわけです。たとえば都市計画の風致地区、これに対して今度緑地保全地区というふうなものが入ってくるわけでありますし、そのほか、ほかの法律によりまして緑地等を保全する中身がいろいろあるわけでありますが、私はやはり都市におきます緑地保全の最たるものは都市公園であるという理解をしておるわけであります。本来でありますと都市公園を順次充実をいたしまして、言うなれば今回の緑地保全法等は影をひそめるべきであるという基本的な考え方に立つわけであります。その意味で、本案を審議いたします場合に、何といいましても都市公園等整備五カ年計画の進捗状況をないがしろにするわけにいかないと思いますし、これが諸外国並みに都市公園が広がっていくということになりますと、本法案緑地保全地区というものが順次影をひそめていくような趨勢になるのではないか、こういうふうに理解をするわけであります。一応この前、都市公園等整備五カ年計画の進捗状況についてはお伺いをしたわけでありますが、これは最終的に五年後予定どおりでき上がるのかどうなのか、まずこの辺の見通しについて再度明確にしていただきたいと思うわけです。
  100. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 昨年度から発足しました公園五カ年計画、まだことしの予算を入れまして二年目でございますが、初年度の昨年及び二年度のことしと相当大幅に予算を伸ばしておりますので、平均伸び率は相当高い五カ年計画でございますが、ぜひとも達成したいと考えております。
  101. 森井忠良

    ○森井委員 基本的な点についてまず聞いておく必要があったと思います。私は冒頭申し上げましたように、本来、都市緑地保全という観点から見れば都市公園を最大限に拡充強化をしていくべきである。この点についてお考えはどうですか。
  102. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 何と申しましても、都市公園として公的機関が土地を取得した上で、所要の植樹あるいは各種施設を整えまして、広く国民、市民の利用に供するという積極的な施策であるところの都市公園の整備というのが中心であろうかと思います。ただ、それだけではやはり人口に対する所要の緑地保全というところに不十分な面が出てきますので、いわば緑の総量をふやすということと、あえて買い取って施設を整備してまでやらなくても、緑地として保存されているということに意味のある、そういう地域もあるはずでございますので、そういうものをこの法案ではとらえまして、原則として民地のままで、行為の規制を加えることにより存在緑地としての性格、機能を期待したわけでございます。おっしゃるとおり、最も重要なのは都市公園としての整備でございます。
  103. 森井忠良

    ○森井委員 私はなるべく議論の重複を避けたいと思いますが、建設省で出しておられます四十七年版の「国土建設の現況」を見ますと、七五ページの「都市公園の整備」には「昭和三十年以降の経済の高度成長による産業基盤施設の整備が急速に進んだのに比し、生活基盤施設等の整備の立ち遅れ等社会資本の相対的不足が表面化し、都市環境の悪化、とくに公園緑地等オープンスペースの欠乏は都市の構造的問題として都市住民に深刻な影響を与えている。」これは建設省がお出しになったものでありますが、当然そういった深刻な度合い、しかも、いま読み上げましたように昭和三十年代以降いわゆる産業基盤の整備が着々と進んだけれども、それに伴ってたとえば過密というようなことが都市では深刻な問題になってきておる。それに対してやはり打つ手を打たなかった。その結果が、気がついてみましたらこれだけ深刻に都市では緑が不足をしておる、あるいは公園が不足をしておる。このことが明らかになり、最も近くでは去年の都市計画中央審議会等でようやくこの問題がクローズアップされて今回の法案になった、こういう理解を私はしておるわけですね。これはおそらく建設省としてもこの理解のしかたに違いはないと思うわけであります。そういたしますとやはり私は、まず第一にこの都市公園の整備というものを考えるべきである、都市公園の整備を徹底的に最大限の努力をしてやる。しかし社会的な条件その他でできないものについては、やむを得ずこういった緑地保全地区等、民間の所有地を主として利用して緑地等を保全する、こういう順序でなければならないと思うわけです。  そこで、そういう形でいきますと、やはりいまの都市公園の整備の状況について私はこの際考えていただきたい点があるわけですね。五カ年計画を見ますと、最終的に四万二千ヘクタール、これは一人当たり四・二平米になるというふうに書いてあるわけです。その間若干それぞれの地方公共団体等については補助率をアップしてこれを促進する、こういうふうな形になっておりますが、それにいたしましても五カ年計画が完了いたしましたときには四・二平米。けさほど来建設省のお考えを聞きますと、これはもっと、まあ外国都市並みとまでいかないにしても、かなり都市公園をふやしていきたい、こういうお考えのように聞いたわけであります。また田中総理の日本列島改造論を見ますと、都市公園につきましては一応一人当たり六平米という、これは建設省が言ったと書いてあるわけでありますが、けさほどの議論を聞いておりますと建設省としてはもう少し数字を多く見ていらっしゃるようにも思えるわけであります。一体、この日本における現状からして、都市公園については最終的に一人当たり何平米ぐらいを建設省として考えておられるのか、お伺いしたいと思うのです。
  104. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 先ほど申し上げましたように、昭和六十年までの建設省の長期構想といたしましては、都市公園を一人当たり九平方メートル確保したいということで、その長期構想に即して各五カ年計画を今後積み上げていこうと考えております。現在の都市公園法の施行令では一応都市公園の基準として一人当たり六平方メートルという数字がありますが、まだそれにも及ばない段階でございますけれども、いまから十二年後くらいの昭和六十年というものを見通したときには、それを突破して九平方メートルにしたいという建設省の構想でございます。
  105. 森井忠良

    ○森井委員 九平米といいますと、この都市公園等整備五カ年計画が完了いたしますときのとりあえずの数字よりも倍以上になるわけですね。そうしますと、いまの答弁は確認をしておきたいと思うわけでありますが、昭和六十年に一人当たり九平米ですから、これはもうちょっと正確にいいますと、全国都市計画区域に占める一人当たりの比率というふうに理解をしてよろしいですね。
  106. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 そのとおりでございます。
  107. 森井忠良

    ○森井委員 そうしますと、都市計画区域の中で、大体市街化区域と市街化調整区域に大ざっぱにいって分かれると思うわけでありますが、一体それだけの土地を確保しようとするときに、今回の緑地保全地区もしくは緑化協定の地区との関連が私は出てくるような気がしてなりません。つまり、いまおそらく都市公園はそれぞれ各都市において目一ぱいとれるところはとっておるような感じを受けるわけであります。しかし、いま都市局長が言われましたように、都市公園を広げていく、つまり文字どおり国や地方公共団体の力で公共の都市公園をこれから広げていくわけでありますが、そうしますと、今回提案されております緑地保全地区もしくは緑化協定の地区あたりをこれから逆に狭めていって都市公園を広げていく、こういうふうに理解をしていいですか。
  108. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 都市公園は、公園がそこに存在するということよりも、やはりその中に入って、公衆に開放されて利用に供する、一般人の方々の利用の場ということに主眼があるのに対しまして、緑地保全地区は、その中に入っていくというよりも、緑というものを保全する、確保しておくということに主眼があるわけでございます。そういうわけで、必ずしも緑地保全地区の適地と都市公園の適地が一致するとも限りませんが、もちろん良好な自然環境のところに多少の人工を加えて、利用もできるような公園にするほうがいい場合も多いわけでございますので、そういう場合には緑地保全地区の中から都市公園の適地を生み出していくということも大いにあることだと思います。しかし基本的には、都市公園都市公園として整備し、緑地保全としての存在緑地は一応別個に考えていく。両方あわせまして、利用、存在、両面から緑の恩恵が市民に行き渡るようにしていきたいと考えております。
  109. 森井忠良

    ○森井委員 都市局長東京大阪といった大都市はもちろんですけれども、地方の中核都市あたりをとってみても、いまあなたが言われるように、緑地保全地区、この法案が通ればそういうことになるわけでありますが、それを度外視をして都市公園を本気で広げていく、先ほどの話では昭和六十年に九平米まで持っていきたい、ということになりますと、一体どこに土地があるのだろうかということなんです。やはり常識的に考えられることは、これは前回の委員会でも、けさほども出されましたけれども全国都市計画区域の二%を大体緑地保全地区にしたいということなんですね。この根拠についても明確には承っておりませんけれども、ともかくその数字をそのまま信用するとしても、これはちょうど風致地区と同じくらいの広さになっているんですね。風致地区はたしか十四万ヘクタールぐらいでしょう。ほぼ同じくらいなんです。だから、ねらえるところはやはりねらっていくとすれば、これから都市公園を広げていこうとすればこの法案に見られる緑地保全地区を必ず食わなければならない。なぜ私がこのことをしつこく聞くかというと、やはり基本的に都市公園でほんとうは緑を保存していくべきである。これはおそらく外国にも例がないのではないかと思うのですが、こういうふうに私権を制限して、そして緑を保存をしていくという制度、これは言うなれば市民が自前で、あるいは国民が自前で緑を残せということなんで、役所の行政的なあり方としては私はやはり基本的に疑問を持たざるを得ないわけです。そうしますと、おそらくこの緑地保全地区がかりに次から次へと指定をされていったとしても、当然買い取り請求の問題が出てくるだろう。買い取りの姿勢とも当然関連を持たせなければならぬ。そうしますと私はやはり思い切って買い取りの姿勢を出すべきである。その基本的な裏づけはやはり、くどいようでありますけれども都市公園でほんとうは緑を補っていくべきであるという基本的な考え方に私は起因をしておるわけであります。ですから、そういう意味からするとやはり私は、緑地保全地区というものと都市公園との関係からいえば、あるいは風致地区もそうですけれども、もう都会では残された緑の場所というのはさまっておるような気がするのです。それをいまはこの緑地保全法でとりあえず緑を残していくとしても、少なくとも、いまあなたは昭和六十年のことを言われましたけれども、七十年、八十年と続く間には、やはり都市公園を外国並みに近づけていくその努力をしてもらわなければなりませんが、それにはやはり緑地保全地区を確保することによって、あるいは部分的でもどんどん買い取る姿勢を持つことによって初めてそれが実現をするというふうに私としては考えられるわけです。再度その点について明確にしていただきたいと思うのです。
  110. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 おっしゃいますとおり、都市公園として積極的に土地も確保し、施設も整備し、植林もし、一般の公開の場として利用してもらうことが最も基本的な、また効果のある緑化対策であると思います。各都市の実情によりまして、都市公園用地を予定どおりとりつつ、そのほかにも緑地保全地区を相当とれるという場所もありましょうし、なかなかそうもまいらない、適地も限られているというような場合もあろうかと思います。全国的に見てのお話を申し上げたわけでありますが、個々の都市につきましては、その都市にふさわしい緑のマスタープランというものをつくってもらって、ここは緑地保全地区として存在効果を考える、ここは積極的に都市公園として整備する、ここは風致地区としてある程度市街化を認めつつ最小限の抑制をしていくというようなことに区分けいたしましていくべきだと思います。その際に、場所によりましては、緑地保全地区を一そう積極的に都市公園に取り込んで切りかえていくということも大いに考えなければならないと思っております。
  111. 森井忠良

    ○森井委員 建設大臣にお伺いをしたいのですが、都市公園等整備五カ年計画、これはあくまでも五カ年ですね。都市局長答弁によりますと、昭和六十年までに一人当たり九平米、ですから五カ年計画完了時よりもさらに倍の都市公園を拡充をしたいという答弁があったわけでありますが、ただそれだけではどうも具体性がないように思いますので、いま立てていらっしゃいます五カ年計画が終わりました暁には、さらに九平米に向かってまた五カ年計画等をお立てになる必要があると思うわけでありますが、この点、大臣から御答弁をいただきたいと思います。
  112. 金丸信

    金丸国務大臣 どちらにいたしましても、この緑の問題については人間と切り離して考えることのできない問題でありますから、五カ年計画が終わったからといってそれで終わりということでなくて、なお継続して鋭意この問題には全精力をつぎ込んでやるべきだ、こう考えます。
  113. 森井忠良

    ○森井委員 この問題であまり時間をとってもいかぬので、次の質問に入りたいと思います。  そこで、この法案で大別いたしまして、都市公園は別にいたしまして、二つの形で緑を保全していくということになっておるわけですね。一つは緑地保全地区、もう一つは緑化協定、こういうような形になっておるわけであります。いままでしばしば都市局長が御答弁になりました、いわゆる都市計画区域の二%程度緑地保全地区として確保したい、こういうことでありますが、具体的な問題について若干私も危惧の念を持つわけです。  第一は、これはあなたとしては、いままで寄り寄り調査をした結果この程度でしょうという目分量であったわけですね。しかしこの委員会でしばしば二%、十四万余ヘクタール、こういったものが出されてきておるわけでありますが、緑地保全地区というのは、指定をするのは当然都道府県知事がやるわけであります。都市計画ですから国がじかにおやりにならない。もちろん建設大臣の認可は要りますけれども、あくまでも緑地保全地区指定をするのは都道府県知事であるという観点からすれば、いままで答弁のありました二%の緑地保全地区の確保ということは、言うなれば都道府県知事の姿勢にかかっておると思うわけです。たとえば開発の非常に激しい県は二%なんかできないというところが出てまいりましょうし、また知事によっては積極的にもっと確保されるところもありましょう。全国的な平準化の問題で心配をするわけであります。したがって都道府県まちまちになる可能性もありますけれども、この点の指導方針はどうですか。
  114. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 この緑地保全地区指定をしますのはおっしゃるとおり知事でございます。そういうわけで、知事と申しますか、各府県の段階での判断及びその決定のための準備というようなものが、この法案ができましたときの、実際に緑地保全地区がどの程度どういう段取りで進められていくかということの死命を制するわけであります。私どもはこの法案を提出するにあたりまして、各府県での事務段階での判断、そのもとになります各県庁所在地におけるそれをモデルと見まして、この法案の要件に該当するようなところがどのくらいあるかというような意味合いをごく大ざっぱに調べた結果が、各都市によりまして違いますが、一%から五%程度の分布を示し、平均すれば二・四%くらいになっておったというところから、いまの段階で二%くらいを期待したい、こう申し上げたわけでございます。実際にどれだけ指定されるかは、確かに知事さんはじめ県当局の判断によるわけでございます。指定は知事といいましても、やはり実際には市町村の判断というようなものも十分に加味されることと思います。各府県あまりばらばらでも好ましくないとは思いますが、しかしながら、その地域その地域における緑の必要量、それからその緑をどういう手法によって確保するかということの判断につきましては、あまり画一的に規制するのもどうか。さりとて市町村単位というのも実際を考えますと狭過ぎる、その境界にわたることも多いだろう、こういうことでありまして、府県単位に指定されるのが一番適当ではないかということで知事指定にしたわけでございます。今後の推移を見まして、あまり極端なことにならないように十分連絡をとりつつ実施に移したいと考えております。
  115. 森井忠良

    ○森井委員 そこのところが大事なんですね。第三条では「公害又は災害の防止等のため必要な遮断地帯、」というふうなことがありますね。全国各地で、緑を守るよりも公害防止という観点のほうが強くなりますけれども、そうすると国としてはどうしてもここはやってもらいたいという個所が出てくると思うのです。ところが緑地保全地区指定については一切がっさいを都道府県知事にまかすというわけで、これは政令事項になっていないわけですね、この法案を見ますと。もちろん類型はありますけれども、どこをどうしてと強制するものでない。これは指定することができるという仕組みになっておるわけですね。いま申しました公害であるとか防災上の問題等は、国が積極的に押しつける姿勢があってもいいくらいに思うわけです。この法案を流れておりますものは、もとが、先ほど言いました国民自前で緑を保全しろというような観点があるものですからそれを受けたのであろうと思いますが、とにかく、やろうと思えば都道府県知事が指定をしなさい、逆に言えばしなくてもいいですよ、そういうふうに受け取れてならないわけです。そうしますと、いまのあなたの説明だけでは、都道府県まちまち、やり方によってはアンバランスが出てくるという点を心配するわけでありますが、特にこまかく一つの類型等をきめて都道府県を指導される御意思はないのかどうか、お伺いしたい。
  116. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 この法文の要件をもう少しかみ砕いて説明する必要があるかと思いますが、基本的には、やはり各都市の実情に応じまして、その必要量あるいは必要な場所が変わってきますと一つ一つの緑地保全地区規模ども違いますので、そういう意味でなかなか一律にはいきがたいのじゃないか、こういうことでございます。これが首都圏近畿圏近郊緑地保全区域であるとか歴史的風土の特別保全地区のような、まさにずばり国家的、あるいは県をこえた広域的な見地からもぜひともやってもらわなければならないというようなものは、上位計画におきまして国が策定する。それに即しまして知事が個々には都市計画決定するというシステムをとっておりますが、本法ではそういうことなしにいきなり都市計画決定するということになっておりまして、そういう点では、都市公園都市計画決定であってもやはり知事が決定していくわけですから、都市計画の仕組みとしては、知事とか市町村という段階で、地域の段階で発意してもらい、それが国の関心事であるものは国の承認にかけるというような一貫した制度をとっておりますし、この制度もそれでちょうどふさわしいのじゃないかと考えております。
  117. 森井忠良

    ○森井委員 次の問題として、もう少し緑地保全地区についてお伺いしたいわけですが、この法案が出まして、私自身も身のまわりをずっと考えてみまして、先ほども申し上げましたように、一体緑地保全地区指定されるようなところはこの都市ではどこだろうかと具体的にやってみると、いわゆる完全な市街化を構成しておるようなところではなかなかそうはいかない。むしろ市街化調整区域を含めて広く物色しなければならぬということにどうしてもぶつかるわけです。そうしますと、そこでぶち当たるのはやはり民間デベロッパー等のいわゆる土地投機等にむしばまれている土地がずいぶん多いということです。特に市街地もしくはその周辺では、いま緑として残っているところはたいてい買い占められておる。特に日本列島改造論が打ち上げられて以来、私が申し上げるまでもなく土地投機の現況からして、緑地保全地区にしたいようなところはそういった企業の土地の買い占め等がかなり見受けられると私は思うわけであります。そういたしますと、今回この緑地保全地区指定をされる、本来の利用価値がなくなったから買ってくれというケースがあちこちから出てくる場合が考えられると思うわけです。これは逆にいえば、法律のほうがあとからできたわけでありますから買い占めを先に許しておったわけでありますけれども、一体こういう場合、建設大臣いかがでしょうか、現実に買い占められておる場合、しかもこの法案では買い取り請求権というものを認めておるわけでありますが、こういったデベロッパーの土地の買い取り請求等についても応じられるのかどうか、お伺いしたいと思います。
  118. 金丸信

    金丸国務大臣 環境の良好な状態のものがあるならば、私は、デベロッパーであるとかないとかということは別問題として、地域指定することはあってしかるべきだ、こう考えます。
  119. 森井忠良

    ○森井委員 そこで具体的に、買い取りは時価であるという。そして、値段が折り合わなければそれ相当の手続がここに書いてあるわけでありますが、こういった問題、デベロッパー等が買い占めた土地を逆に買い取り請求を受けた場合に、売買のテクニックその他いろいろあるわけですが、いわゆる公示地価をもとにしまして——先般通過をいたしましたけれども、あれが法律としてでき上がった場合には、やはりできるだけ公示地価に近い価格で買い取るというふうに認識をしていいものなのかどうか、その点いかがでしょうか。
  120. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 先ほどお答えいたしましたが、宅地であれば、地価公示がなされておればその価格ということになりますが、宅地以外の森林であるとか採草放牧地である場合には、そういった地目の取引価格は公示価格の適用がありませんので、そういう場合にはこういう価格とは別個に、そういう地目としての適正な取引価格を鑑定して買い取る、こういうことになります。
  121. 森井忠良

    ○森井委員 次に、緑地保全地区指定をする場合に住民の声をどういう形で聞くかという問題がやはり残ってくると思うのです。都市計画の区域決定でありますからそれ相当の手続があるわけでありますが、もとはといえば該当する緑地を民間の力によって保存をしていきたいということになるわけですから、それなりに、こういったふうに私権を制限されるという形になると逆に、住民の側からいえばじっくりわれわれの声を吸い上げてもらいたいという要求が出てくると思うのです。その場合に、都道府県知事は当然市町村長の意見を聞くという形にはなりますけれども、該当する住民の声はどういうふうな形で吸い上げていくのか。つまり土地所有者の声を吸い上げる場所はどこなのか。この点をはっきりさしてもらいたいと思います。
  122. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 この緑化保全地区の指定都市計画として決定するわけでございますので、指定しようと思います場合には、知事はその案を公告し、縦覧に供します。それを見まして関係者の方は意見があれば意見を提出する。その意見は都市計画審議会でその可否を論ぜられる場合にも審議され、その結果として意見が取り入れられるものは取り入れられ、取り入れられないものはやむを得ませんが、そういう形で審議会の議を経て決定されるというわけでございます。まあ、この地域につきましては特に私権の制限も強いわけでございますから、そういう法定の手続以外にも、できるだけより親切な説明会等を事前にやることが望ましいと考えております。
  123. 森井忠良

    ○森井委員 これは要望でありますけれども、いわゆる市街化区域、市街化調整区域の線引きの問題一つをとってみましても、形の上では住民の声を十分聞くということになっておりますが、全国各地でせいぜい申しわけ的に公聴会等を開いているにすぎないわけですね。そういうことがありますので、今回の緑地保全地区指定にあたっては住民の声を積極的に聞くように、その機会を持たれるように国としても強い指導をしていただきたい。このことは強く要望しておきます。  次に、緑地保全地区内の制限行為でございますが、第五条に四つ五つ例示が載っておるわけであります。「建築物その他の工作物の新築、改築、又は増築」以下ずっと載っておりますね。私が足りないと思うのは、こういった緑地保全地区内の土地を売買をする場合に、許可その他一切要らないような形になっているわけですね。ほんとうは、そういった緑地保全地区内の土地を売買するというような場合には、当然利用上の制限等が出てくるわけでありますから、本来それぞれ許可が必要なのではないか、むしろそうすべきじゃなかったかと考えるわけでありますが、この点については、いかがですか。
  124. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 緑地保全地区緑地をほぼ現状に近く保全しようということでございまして、したがって開発行為、樹木の伐採等がかなりきびしく制約をされるわけであります。そういう行為の規制さえあれば足りるのではないか。もし売買がなされましても、その買った者も同じ規制に服するわけでありますので、所有者がかわるということ自体緑地保全の趣旨に別段反しない、こう考えまして、売買までは規制することを考えなかった次第でございます。
  125. 森井忠良

    ○森井委員 わからないでもないのですけれども、現実の問題としては、不動産の売買はそれぞれの登記簿に基づいてまず確認をするわけですね。あるいは民法上の明認方法という方法があります。地区にはそれぞれ表示されるわけでありますから、むしろこれは一種の民法上の明認方法に近い土地の確認のしかたになると思うのです。その点は私も認めるわけでありますが、せっかく指定をしても、肝心の役所の側で所有者が常に把握できておるという状態でないと、いろいろな意味で不便が出てくるだろう。少なくとも所有者等がかわればそれが届け出られるくらいに、許可制でなくても、せめて届け制くらいには何らかの形で規制をしていくべきである。こういうふうに私としても前から強く感じておったわけであります。このままでは、なるほど緑地保全地区というものはあっても所有者が次から次へとかわり得る、それを役所がチェックできないということについては、私はやはり問題があるように思うわけです。この点、いまの御説明ではどうも納得がいかないわけですね。もう一回御説明願いたいと思うのです。
  126. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 所有者の変更というものは登記簿等で大体現実に即してわかると思うのですが、まあ許可制はともかく、少なくとも届け出制を考えたらどうかという御指摘でございます。いまのところ、行為自体規制して、とにかく緑地として保全できる体制、制度をつくるということだけから見れば、所有者の移転を届け出制までかけて一々追いかけるということは必ずしも必要でないと考えておりましたが、なおよく今後検討させていただきたいと思います。
  127. 森井忠良

    ○森井委員 ちょっとあとの歯切れが悪かったですね。どういうことですか、もう一回。あとよくどうするのですか。つまり、実際には土地の利用に制限があるところをほんとうは買うはずがないように思うけれども、現実には先ほど言いましたとおり登記簿には何も載っていないわけです。やはり同じ地区で売買が行なわれるであろう、このことを非常に憂慮するわけですね。目的は、本気で都市緑地を残そうということなんでしょう。私は何らかの形で役所でチェックできるようにすべきだと思う。ほんとうは土地の形態を変える。緑には変わりはなくても、売買というのが緑地を残すか残さないかということで一番重要なポイントになってくるような気がするのです。いまあなたの御答弁によりますと、今後どうなるわけですか。もう一回よく検討されるわけですか。そこのところだけもう一回お聞かせ願いたいと思います。
  128. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 いまのところ、届け出制までかけて、その所有権の移転をその場その場で確認していくというまでの必要はないのではないかと思いますが、御指摘でございますので、今後その必要性の有無を私どもとしてもなおよく検討させていただきたい、こういうことでございます。   〔委員長退席天野(光)委員長代理着席
  129. 森井忠良

    ○森井委員 次に、やはりひっかかるのは補助率の問題です。例の首都圏近郊緑地保全法関係あるいは古都保存法の関係からいけば、三分の二以上の補助を出していらっしゃる。それで今回の緑地保全地区の買い取りその他は三分の一という問題です。これはやはりひっかからざるを得ないのです。差をつけた理由、これはもうちょっと明確にしたいわけですけれども、片や首都圏整備の問題は国の守備範囲である、守備範囲の問題だというふうに私は確かに理解をしたわけです。ところが基本的に、冒頭念を押しましたように、緑地保全法をつくらなければいけないよってもっての理由というのは、やはり大きな意味でいままでの政府自民党がとられた政策の修正であるという点からすれば、大臣も先ほどどなたかへの御答弁で、反省すべき点は反省しというふうな答弁があったわけでありますが、補助率三分の一というのはいま申し上げました安上がりの緑の保存法なので、もともとから民間の土地に依存をして緑地保全地区という網をかぶせて、それで緑の保護をしていこうという考え方なのですからこれ自体がもう安く上がっておるわけですね。しかし、先ほど言いましたとおり、積極的にこれは買い上げて、将来はこれを都市公園にしていくべきであるという考え方からすれば、私は補助はもっと上げてもいいのではないか。どうもこのままですと、われわれがあたかも三分の一を認めたような感じになっているものですから、これはほんとうにごく近い将来にやはりこの首都圏近郊の緑地保全地区等と同じくらいな補助率にすべきである、こういうふうに思いますが、その点はいかがですか。  それからもう一つ、維持管理の費用についてはこれは全く補助の対象にはなっていないわけですね。これも都道府県でかってにやりなさいという形になっておるわけです。これも片手落ちだし、積極的に国はこれにも補助をつけていくべきだと思うのです。この点、むしろ大臣から御答弁をいただきたいと思います。
  130. 金丸信

    金丸国務大臣 緑を残すということは、民族的、国家的使命だと私は思います。そういう意味で、先ほど来もお話しありましたように、助成の額としましてはまことに僅少だという感じもいたします。来年度の予算につきましてはこれを上回る予算をとりたい、ぜひこういうことを私のほうからお願いするということで、筋はおかしいのですけれども、附帯決議にひとつ盛り込んでいただいて、われわれ運動しいいように激励をやっていただければなおいいと思います。
  131. 森井忠良

    ○森井委員 大臣答弁がありましたので、それでは続いて緑化協定についてお伺いしたいと思うのです。  この法案を読んでみまして、一口で申し上げたいと思ったことは、一体できるのだろうかどうだろうか。たとえば、この緑化協定の成立要件は、これは地主全員の合意なんですね。一人でも反対したらできない、こういう形になっておるわけです。同じようなことで、たとえば区画整理組合等がやられる場合の土地区画整理等につきましては、これは三分の二なら三分の二、それだけの賛成があれば、あと三分の一反対があってもできるという形になっておるわけですね。今回のこれは全員の合意という形なんですね。これはどこにそういうふうな理由を求めておられるのか、まずその辺からお伺いしたいと思うのです。
  132. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 緑化協定は、確かに公益性もありますけれども、原則として住民の方々御自身の自主的な判断、それがある程度地域において全員まとまったときにその協定を結んでいただいて、その当代の人はもちろんのこと、その間に売買が行なわれて、権利を新しく取得された方にも拘束力を及ぼすということを考えたわけでございまして、今後の実態の推移を見てまいらなければならないと思います。  まず、全員の同意というのは非常に至難のようにも見えますが、しかしそう大きな地域をまとめるというわけでもありません。一街区くらいをまとめればいいわけでありますから、そこに緑化という意味合いでみずからの住環境も非常によくなるのですから、そういうものを一人一人ばらばらでなくて、大体意見が合致するということは、いまのように緑の希求、希望というものが高い時代になってくればあり得ないことはないのではないか。もちろん一人や二人反対があってできないということは非常に残念でございますが、その一人や二人の反対を押し切ってということになりますと、たとえば区画整理組合の結成とか、そういう程度の非常に高度な公共性というものを持たなければなりません。そういう点も、先の問題としては考える必要がある時期がくると思いますが、現在は何らの制度もございませんので、まず発足する制度としては、自主的な判断、全員の合意というものを基礎に、住民の方から盛り上がったものを市町村長が受けとめるという形で始めることが適当ではないか、こう考える次第でございます。
  133. 森井忠良

    ○森井委員 ぴしっと幾何学的に三人なり五人が同じくらいの広さを持っておる地域があるとすれば、それはあなたの言われるとおりになるでしょう。この法案が通れば、極端な言い方で恐縮でありますが、ネコの額ほどの地主が反対しても、あと大部分ではできないわけでしょう。もっと申し上げますと、これは文字どおり国民の自発的な申し入れに基づいて私法上の契約ができる、こういうことに尽きると思うわけですが、それを市町村長も手をこまねいて待っておりまして、おまえらが緑化協定をつくるなら認可をしてやろう、こういう立場なんですね。これは県知事は直接にはかまわないわけですね。窓口は市町村長でしょう。しかも市町村長は何もすることなしに、ただ待っておる。民間のほうがまとまればしてやろう。さてまとまったものがどうなるかというと全くメリットがない。たとえば税金一つとってみましても、緑化協定を結んでくれたら税金でも安くしてやるというようなことがあるかと思うと、全くないわけです。たとえばこの点は、緑化保全地区のほうは買い取り請求があれば一千万円の譲渡所得がただになるということがあるわけです。ところが緑化協定についてはそういう意味では全くメリットがないわけです。しかも、その土地を持っておる人は文字どおり自分の土地でありますから、緑に不自由はしていない。むしろほんとうに緑がほしいのはその地主以外の不特定多数の国民であり市民であるわけでしょう。そういう意味で、緑化協定というものは、口は悪うございますが、私は紙にかいたもちにしかならないというような気がするわけです。  ですから、少なくとも役所が、この場合ですと市町村長になりましょうけれども、かなり積極的に指導、助言をしていく制度を何らかの形でつくる必要がある。それが一つ。それから二つ目は、やはり緑化協定を締結をしてくれたら、これは全く公共的に見て緑を残したいというわけでありますから、いままでの議論では税の立場では緑地保全地区に限っておりましたけれども、緑化協定を結んだら固定資産税は減免をするという積極的な姿勢がほしい。この点については、自治省来ておられますか。——来ておられるならば自治省のほうから、緑化協定内の地域であっても税の減免をする御意思があるかどうか。これは絶対にされる必要があると思うのですが、その点についてもお伺いしたいと思うのです。
  134. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 緑化協定を進めていくにつきましては、この法律上のメリットは、申されましたようにないわけでありまして、それだけに特に市町村などにおきまして、まず緑の必要性及びその住民自体のメリットになる、効用があるというようなことの指導とともに、直接的にも樹種の選定であるとか病害虫の駆除であるとか、そういった緑に対する技術指導というものも行ないまして、多少なりともそういう機運を盛り上げつつ、そういう機運が盛り上がった地区については即刻技術者を派遣してまとめていくというだけの積極的な姿勢が必要だと思います。  緑化協定自体について税制その他で優遇措置を講ずるということができればけっこうなんですけれども、なかなか一つの土地の中で区分して減税対象にするということもむずかしゅうございますし、区分しないで全地区を減税対象にするということもまた、緑地の比率等の問題もありましてなかなかむずかしいことだと思います。  なお、この法案の第二十条には、開発事業者がまだ分譲開始前に、その事業者一人の意思によって緑化協定をあらかじめつくっておいて、分譲後の人にその効果を及ぼすという制度があります。このほうはやりようによっては相当動いていくのではないかと考えております。
  135. 川俣芳郎

    ○川俣説明員 固定資産税は、元来固定資産に対しましてその価格を課税標準として課される一般的な物税でございまして、単に土地の利用につきまして規制がございますとか、あるいは緑化協定区域であるということのみの理由で一律にこれを減免いたすということは適当でないと考えておるわけでございます。また規制等がございますことによりまして実際の取引価格が影響を受けるということに相なりますと、売買実例価格を基礎といたしております評価額にこれが反映されるということになるのが通例でございまして、規制等の内容と評価額との関係につきまして調査をしてみる必要があるというふうに現在考えておるところでございます。現行法制上も、自然公園法によります特別保護地区等の規制がございますし、また今国会でも都市緑地保全法のほかに国土総合開発法改正案等、新しい土地利用規制の立法が数多く現在審議されている状況にございます。したがいまして、それら土地利用規制制度の整備状況を総合的に見きわめながら、実情を十分調査いたしまして、全体として調整のとれる税制上の措置を今後慎重に検討してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  136. 森井忠良

    ○森井委員 第一の都市局長の御答弁でありますが、あとのほうのくだりで、そうすると市町村が技術指導したり、あるいは場合によっては苗木その他を配給したりというふうなところまでいくわけですか。そうしますと、その予算的な裏づけ等についてはどういうふうになるのか、もうちょっとはっきりしてもらいたい。くどいようですけれども、とにかく市町村は、民間が自発的に緑化協定を結んだら判こを押して認可しますというだけのことですね、いまのところ。それ以外にありますか。ないと思うのです。建設省としてはほんとうは市町村の側からも積極的に指導してもらいたいわけでしょう。いまのあれでは何もしない、市町村はただ待っていればいい、民間の協定ができたら判を押そうという立場だけです、認可をするだけですから。そこに市町村の指導とか助言ということは何もないですね。これでは済まないじゃないか。ですから、ぼくは緑化協定を無数に結ばせるという立場でいきたいわけですよ。そうしますといまのままではこれはずいぶん大きな抜け穴じゃないか。しかも、ほんとうに利益を受けるのは、土地の所有者は緑を持っておるわけでありますから、むしろ土地の所有者以外なわけです。そこのところを考えるとこのままではいけないのじゃないか。もう一ぺんこの点、今回間に合わないのなら具体的にこうするとか、あるいは行政指導なりその他でこういうふうにしますというところまで明白に話していただきたい。それが一つ。  それから、先ほど自治省の答弁があったわけでありますけれども緑地保全地区内の土地については、あなた来ておられたかどうか知りませんけれども、先般の建設委員会では、ことしは間に合わなかったけれども前向きに考えようという答弁のように私は承ったわけです。そして気がついてみると、この緑化協定地区内の土地については言及されていないというふうに判断をしたわけです。しかし、いま申し上げましたように、現実の問題としては緑化協定というのは都市の緑を残すという意味で、やりようによっては非常に有効な施策であるという判断をすれば、当然それに対して何らかのメリットを与えるべきである。これは固定資産税の目的とは別ですと言われるかもしれませんが、現実にはそれで国民が利益を受けるわけでありますしするので、しかも確かに、この緑化協定が結ばれますと、土地の利用、収益、処分についてそれぞれ制限を受けるわけですね。そうしますと評価そのものにもやはり影響してくるかと思います。形はともかくとして、これも同じように固定資産税の減免に向かって検討すべきじゃないか、こういうふうに考えて申し上げておるわけです。その点再度御答弁をいただいておきたいと思います。  時間が来たようでありますから、最後にもう一つだけ緑化協定でお伺いなり要望を申し上げておきたいと思うわけでありますが、問題は工場群と市街地を結ぶいわゆる遮断地帯ですね、これも緑化協定の対象にもなるし、やりようによっては緑地保全地区にもなり得るわけですね。どちらにもなると思うのでありますが、当然建設省のほうでは、やはり広さとの関係で必ずしもこれは画一的にはいかないと思うけれども、むしろそういった工場群と市街地を結ぶところには緑化協定をどんどん結ばせていく、もちろん企業の土地を出させてやらせるということになるわけでありますが、これはむしろ逆に強力な指導が要るのではないか、こういうふうに私は考えるわけです。この点どういうような御指導をなさるのか、あわせて御答弁いただきたいと思うのです。
  137. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 緑化協定は、制度の仕組みとして土地所有者等の方々の自発的な判断、それが協定という形になるのを市町村がオーソライズするという仕組みでございます。しかし、そのための市町村の積極的な姿勢がないということでは、制度ができてもなかなか進まないという御指摘はそのとおりだと思います。現在でも、こういう法律の規定がなくても市町村長の御判断でいろいろ緑化協定のたぐいのものを実行しておられるところ、それに伴いましていろいろな技術指導とか、中には苗木のあっせん供給等まで丁寧にやっている市町村もあるわけでございます。今後この法律ができますれば、そういった従来ともに積極的な市町村はもちろんでございますが、その他の一般の市町村におきましても極力緑の必要性と、それからそれがその地区そのもののイメージアップ、生活のための効用があるのだということのPR並びに技術的な問題として病害虫をどういうふうに駆除するか、あるいは肥料をどういうふうにやるかといったことのこまごました指導もやっていく必要があると考えております。できれば苗木の供給あっせんなどもやれますといいのですけれども、各市町村すべてにこれを期待するということもむずかしいかもしれません。私どもも今後大いに苗木の確保というようなことを通じまして、各地方公共団体において積極的な姿勢がとれるような体制を考えていきたいと思います。  次に、工場群と市街地の遮断地帯につきましては、基本的には緑地保全地区のほうに期待されるのではないかと思います。個々の宅地ということになりますと遮断的な効果というものがなかなかむずかしいので、そういう意味緑地保全地区というもののほうがふさわしいのではないかと考えます。なお、相当大きな工場等の敷地につきまして、その周辺を遮断的に張りめぐらすようにするという点につきましては、本法案と別個に本委員会に提出しております都市計画法の一部改正案に、開発許可の基準といたしまして一部追加いたしておる次第でございます。
  138. 川俣芳郎

    ○川俣説明員 現在土地規制を内容といたしております法律といたしまして、自然公園法でございますとか自然環境保全法、古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法等々でございます。これらの法律に基づきまして、特別保護地区等における工作物の設置等が許可制になっておるというようなものがかなりあるわけでございますが、現在の地方税法におきましてはこれらの地区について特別の軽減措置をとるということをいたしておりません。ただ、先ほども申し上げましたとおり、今回審議されております都市緑地保全法案あるいは国土総合開発法案等におきますところの各種の土地規制も含めまして、さらにはただいま御指摘のございました緑化協定の場合も含めて、今後どのように固定資産税として対処するか、慎重に検討してまいりたい、かように考えております。
  139. 森井忠良

    ○森井委員 最後に大臣にお伺いしたいわけでありますが、いま指摘を申し上げましたように、たとえば補助率の問題、それから緑化協定を結ぶ場合の市町村の指導の問題、その他数多くの問題がまだあるように私思うわけであります。法案ができた段階でありますから、運用してみなければわからないというような問題も含めまして、これからの本法案の推進につきまして大臣の所信を承って私の質問を終わりたいと思います。
  140. 金丸信

    金丸国務大臣 緑化協定の問題につきましては、先生御指摘のように、非常に理想論であって現実味に乏しいという点があると思います。また予算の裏づけもないというような面もありますし、ただ理想ばかりでものごとができるというわけではない。こういうことを考えてみますと、これに相当なものを加えていかなければだめだということは言をまたない、こう私も思いますので、今後の処置として、前向きにひとつ予算措置等につきましても考えてまいりたいと思いますし、また助成の問題等につきましては、先ほどお話し申し上げましたようにまだまだ不十分である。極論からいえば全部国が見てもいいという見方もあるわけでございますから、できるだけ来年度の予算には大幅に助成率をとるように、ぜひまた先生方の御協力を心からお願い申し上げる次第であります。
  141. 天野光晴

    天野(光)委員長代理 松浦利尚君。
  142. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 まず、局長にお尋ねをしておきますが、この緑地保全法案というのは、自然環境保全法の附則第二条でしたかを中心にしておつくりになった法律でございますか。
  143. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 そのとおりでございます。
  144. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 もうすでに大部分の方がいろいろ質問をなさっておられますので、基本法であります自然環境保全法が親法でありますから、これを中心として生まれた緑地保全法案であるという立場からひとつ基本的なことだけお尋ねをしておきたいと思うのです。  先ほども地図その他もごらんに入れたようでありますが、私もここに一、二写真を持ってきておるわけであります。この写真を見てわかりますことは——これは名古屋近郊の鳴海、人口二万のところですが、当初は非常に緑に囲まれておる状況であります。ところがそれが一たびデベロッパーの手で開発に入りますと、ごらんのようにこの緑というものはもう完全に失われてきておるわけであります。たいへんな乱開発であります。それから古都保存法によって保護されておるはずの奈良でありますが、この奈良関係を見てまいりますと、これが従来の緑に囲まれた奈良であります。ところが一たびこれが乱開発されると、当然法律で保護されておるはずの奈良が今日ではこういう、この写真でごらんのようにたいへんな乱開発をされておるわけであります。あるいは緑の地仙台といわれておるのですが、この仙台を例にとりますと、これは元の写真がないのだそうでありますが、これを見られておわかりになるように、緑がここに出ておるわけであります。前は仙台は緑に囲まれておった。ところが現実には乱開発が進んで緑がずっとここまで後退をしてしまっておるわけであります。まさしく緑の破壊が完全に行なわれてしまっておるわけであります。  そこで基本的な問題として大臣にお尋ねをしたいと思うのです。これは鳴海の例でありますが、鳴海はこのように乱開発されましたが、確かにこのあたりに緑が現存しておるわけであります。ところがこの緑のところはもうすでに開発許可がおりておる。現に造成が進んでおるわけであります。写真では確かに緑ではありますけれども民間デベロッパーによってもうどんどんこれが造成されつつある、造成されつつある。だからどうしてもここは緑を置いておかないと、それこそ法律の目的である、あるいは自然環境保全法のいう自然の環境は保たれない。ところがそういったものに対してはこの法律は何ら作用を起こさないのであります。いま必要なことは、現にデベロッパーの手で開発されかかっておる、もう造成の許可がおりて、その緑にいまやブルドーザーが入ろうとしておるのをいかに守ろうとするか、これを抜きにしては都市計画区域内の緑地というものは保たれないというのが現状だろうと思うのです。ところがこの法律はそれがないのです。こういった点について大臣はどのようにして規制をするのか。もうしかたがないからそのままブルドーザーの走りっぱなしにまかせるのか。それとも、この法律では規制できないが、この基本法である自然環境保全法という立場からいうならば、どうかやって網をかけて守ろうとする意思があるのかどうか。この法案の中からは出てきませんので、これは政策的な意味でひとつその点を大臣のほうから、あるいは事務局のほうから、補足的に説明があればお聞かせ願いたいと思います。
  145. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 この法案提出がおそきに失したということで御指摘を受けているわけでございますが、本法案が成立すれば、その後は緑地保全地区に所要の地区を指定することによりほぼ現状を維持できると思います。けれども、この法律案が通りましても、緑地保全地区指定の際にすでに開発行為に着手されておる場合につきましては、この法案におきましてもそういう既得権的な既存の行為に対しましては許可制をはずしておりまして、届け出義務しかございません。届け出を受けまして知事が必要な助言、勧告をするという道は開かれておりますが、助言、勧告でありますから、法律的な中止命令といった強力なものではないわけであります。そういうことで、法制的には、すでに着手されている行為について、はなはだ無力であるという御指摘でございます。法律はそのとおりであろうかと思いますが、極力その住民あるいは開発者の理解と協力のもとに、既着手の行為につきましても、その助言、勧告を通じてある程度是正させるというようなことができはしないかということを考えております。この法律に限って既存の手続を経ているものを、具体的に着手の始まっているものまですべて即時許可対象にすることができなかったわけでございまして、今後できるだけ早くそういった指定を進めることにより、今後の事態に対処したいと考えます。
  146. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 いいですか、もう一ぺん、これは奈良の写真で、見て下さい。緑地が現にここに残っておるのです。ところがこの緑地はもうすでに造成が始まっておる。ブルドーザーが入っておる。しかしまだ全部には手つかずで、たとえば一〇〇なら一〇〇が許可がおりておった。七〇は造成してしまってもう地はだが出ておる。あと三〇緑がある、これをどうかやって残そう、これが私は自然環境保全法だと思う。自然ですから、自然のものを残さなければだめなんです。これをどうかやって都市計画上残したい。市町村長さんも残したい。それがなくなったらたいへんなことになるから残したいと思うが、すでに造成に着手しておる。そうすればこの緑ははがれるわけです。いま必要なことは、先ほども森井委員からもお話がありましたが、現に都市計画の中で造成が進行しつつあるところの緑をどうするのかを抜きにしては、私は都市における緑地保全というものはあり得ないと思う。これは私は非常に問題だと思うのです。いまのような形でははがれてしまうのです。鎌倉でもはがれてしまう。ブルドーザーが入って現にやっておるわけですからね。  そこで、先ほど言いましたようにこの法律からはそれは防げないわけだから、それであるとするなら大臣のほうで、自発的な好意に待つのではなくて、何らかの形でそういう緑に対しても網をかけて買い上げる、残された部分は造成をやめさせて買い上げる、そういった方途をある程度考えないと、これはあと追いであって、結局法律が施行されたときにはもう緑はない、そういう結果に終わってしまう。その点をもう一ぺん、これは政策的でいいですから、大臣からお答え願いたいと思うのです。
  147. 金丸信

    金丸国務大臣 この間実は私も奈良へ行ってまいりました。そういうような場所を私も見せつけられて、これは何とかしなくちゃならないという感じもいたしました。この法案はいわばしり抜けのところがあるわけでありまして、現実の問題は、許可になっているものに対しては規制が及ばないという状況でありますが、しかしこれは何とかしなくちゃならぬ、こういうことですから、私も都市局長に十分命令しまして、凍結する方法を考えてみたい、このように考えております。
  148. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 凍結する方法を考えたいということでありますが、私もこれは凍結する必要があると思うのです。  そこで環境庁にお尋ねをしておきたいのです。私は環境庁のほうにもすでに質問は通告しておいたわけですが、このように現に自然が破壊されておる。しかも、いま大臣からお話がありましたように、現実に何らかの形で凍結をしない限り緑ははがれてしまう。現に造成中のものは手が出ない、そういう状態があるわけです。都市部における自然というものはほとんど民間デベロッパーが買い占めてしまいまして、現に造成のブルドーザーが入っておる。ですから、このブルドーザーが入ったこういったものに対して、自然環境を守るという意味でいま建設大臣は凍結することを考えたいということでありますが、環境庁としては、いま建設大臣が言われたように、この親法である自然環境保全法というものから見て、そういった自然を残すという政策を全面的に打ち出すという御意思があるのかどうか、その点をひとつお伺いをいたしたいと思います。
  149. 首尾木一

    首尾木政府委員 現行法におきまして法的な手段としてこれを凍結するということは、現在の法律におきまして既着手工事についてはこれを対象とできないということでございますので、現行法としてはこれはできないわけでございます。しかし、ただいま建設大臣からお話がございましたとおり、また御質問の御趣旨のように、現に進行している緑の破壊というものを防止したいという気持ちにおいては、これは私ども当然そのように考えておるところでございまして、今後どういう方法をとればいいかというようなことにつきましては引き続き検討をしてまいりたい、かように考えております。
  150. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 これは建設省からいただいた資料なんですが、「緑で代表される都市の自然的環境の変化」というこの資料がありますね。私はこの資料はこの法律を審議するために非常に重要な意味を持っておると思うのです。これは建設省が、一九三二年を一〇〇として、そして「市民が自由に利用できる緑被地が存在する地区」とか、あるいは「生産緑地」とか「自然の緑被地」とか「水面とそれに接した水辺の緑被地」とか、こういったものを一九三二年を一〇〇とした資料をとっておられるのですね。これは一九六九年の資料です。私はりっぱな資料だと思うのです。これを見ますと、乱開発によってもう完全に緑が失われてしまっておるという統計が東京の場合もここに出ておるのです。この資料がもしあるとすれば、これは各委員の方にも配ってあげていただきたいと思うのです。  ですから、先ほど大臣も言われたように、都市緑地を守るというのは、現在開発中のものの必要な緑地をどうやって保存させるかという体制ができない限り、どんどんとこのカープは下がるばかりですね。上がるということはない。そういう意味では、先ほど大臣が言われた凍結をする、そのことを検討を加えるということでありますから、ぜひ早急に環境庁長官と打ち合わせをしていただきまして、いかにして凍結するのか。この法案が通る通らないは別にして——もちろん私は賛成です、ないよりもあったほうがいいわけですから賛成はしますけれども、しかしそれ以上に重要なことはいま申し上げたことなんです。ぜひ今国会中に結論を出して、どうするのかということを今国会に御提示いただきたい。法律でなくてけっこうですから、政策としてどういうふうにする、こういったことについてお約束をしていただけるかどうか、大臣からもう一ぺんひとつお聞かせ願いたい。
  151. 金丸信

    金丸国務大臣 関係各官庁とも十分連絡をとりまして、十分検討をいたしまして、国会中に御返答いたします。
  152. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それでは林野庁のほうにお尋ねをしたいと思うのですが、実はこの計画を見てまいりますと都市計画法によって線引きをするのですね。ところがその中に山が入り込んでおるときには無指定になる場合が多いのですね。山だから、こんなところはまさか都市計画区域内に入れなくてもだいじょうぶだろう。だからその山はそのままにしておいて、ずっと都市計画法に従って市街化区域、調整区域に指定する。ところが何のことはない、うしろの山からブルドーザーが登り上がりまして、あっという間にその無指定地域がさっと造成されてしまって、市街化が無制限に広がっていく。極端な言い方をすると、現在の緑を持った山、都市近郊の山、これがねらい撃ちされて、実は造成されてしまっておるわけなんですね。この無指定地域の緑、これと都市計画区域内の緑というのは無関係であるようだけれども、実質的には非常に関係が深いのです。いつの間にか造成されて住宅ができ上がってしまっておるわけですから、そういった意味では、この都市区域に近接する無指定山林ですね、民有林、国有林を問わず——もちろん国有林というのはあまりないが、民有林、そういったものに対していかにして緑を保全しようとお考えになっておるのか、その点をひとつ林野庁の立場からお聞かせいただきたい。
  153. 福田省一

    ○福田政府委員 ちょっと範囲が大きい話になりますけれども、三千七百万ヘクタールの国土のうち約七割の二千五百万ヘクタールが森林になっております。そのうち国有林が八百万ヘクタールで、残りが千七百万ヘクタール、これが民有林でございます。この民有林の千七百万ヘクタールというのが問題でございますが、その中に保安林とかその他いろいろ法制で規制されておりますものを除きますと、全然いわゆる規制のない白地というのが一千万ヘクタールございます。   〔天野(光)委員長代理退席委員長着席〕 これが都市近郊の森林、その他奥地、いろいろ分散しているわけでございます。いままでは森林につきましては保安林の制度で、それぞれ伐採なり土地をいじることを規制しておりますけれども、その一千万ヘクタールについて非常に手抜かりがあったわけでございます。御指摘のように特に都市の近郊が大開発をされているという問題もございますので、今回森林法を改正いたしまして、こういう地帯に対しましては許可制を導入するということにしたのでございます。許可制をする場合の判断の基準につきましては、特に国土の保全、具体的に申しますと土砂の崩壊とかあるいは流出を防ぐ。あるいは水の関係が大事でございます。水の涵養に影響する場合が第二点。第三点としましては環境、つまりじんあいの防除であるとかあるいは騒音の防御であるとかあるいは風景とかいった点を基準にしまして、大体大きな点では三点でございますが、それに対して許可制を導入してまいるということを考え法律を改正の提案中でございます。
  154. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 長官に具体的にちょっとお尋ねをしますが、現に都市近郊の無指定の民有林について現在造成されておる。ところがそれは、今度森林法なら森林法の改正が国会を通った場合は、施行された場合には、かりに造成中であったとしてこれを食いとめることができるわけでしょう。届け出をすることによって、許可を与えなければいいわけでしょう。森林法の改正によってそういう手続になるのでしょう。——もう一ぺん言いますよ。都市近郊に山がある。その山に宅地造成がデベロッパーによってやられておる。ところが森林法の改正が済んだとたんに、かりに造成中の山であったとしても、その森林の形、地形が変わる場合については届け出が必要だ。それで許可がなければ、それは造成許可がかりに行なわれておったとしても、それ以降は許可をもらわない限り不可能になる、押えることが可能だ、こういうふうに理解をしているわけですけれども。まだ具体的に森林法の審議に入っておりませんからわかりませんけれども、それは森林法の改正によって可能なんでしょう。どうなんですか。
  155. 福田省一

    ○福田政府委員 森林法の改正が成立するということになりますと、その場合に御指摘のような、すでに計画に基づいて——それがどういう形でできましたか、たとえば県が一つの指導をしまして、県の計画であるいは進んでおったのか、それはわかりませんですけれども、一応そういう現に工事が進んでおるというものについては、これははずすということになっているわけでございます。ところがその程度が問題でございまして、ちょっと土をいじったとかなんとかいう——事前にたとえば県の段階でもって十分それを認めて、宅地造成か何かそれはわかりませんですけれども、そういう計画が事前にきちんとできておって、それで進んでおるというなら、これははずすという考えになっております。ただ、法律ができるんだ、これは急いで開発しなければというかけ込みは一応指導で防ぐという考え方をいたしております。
  156. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 もう一つ具体的に例を申し上げますと、これは法律とあまり関係がありませんけれども、やっぱり都市近郊緑地という立場で、長官に質問する場合の例としてちょっとかけ離れますけれどもお聞きしたいのですが、いまかりに別荘をつくる。別荘をつくるため分譲が終わっておる。そこで現に開発を始めておる。しかし、この森林法なら森林法の改正が通ってしまったら、それに対しては届け出が必要で、許可が必要だ。許可を与えなければ、かりに別荘地であろうと何であろうと、別荘地として造成しておろうがどうしようがストップをかけられるということじゃないですか。それは着手しておるからもう放任だということになるわけですか。
  157. 福田省一

    ○福田政府委員 宅地の計画が進んでおる場合ですが、一体森林はどこまでかという問題も一つあるわけでございます。宅地の中にぼつぼつ、その場合には森林と解釈しておりません。宅地の周囲に相当な森林があるという場合には、宅地計画の外に森林が相当ある場合においては、御指摘のようにそれは検討しなければならぬと思っております。
  158. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 もっと具体的に聞きましょう。芦ノ湖ですね、これは国立公園の中ですが、あそこに行くと姥子というところがありますね。国有林の中に姥子というところがある。芦ノ湖のすぐそばですね。ところが姥子へ行ってみますと、すでに道路ができて、別荘地として分譲されておるのです、Aさん、Bさん、Cさんに。しかし別荘なんか全然建てておらぬですよ。緑をはいで別荘をつくろうとすることだけははっきりしておる。その場合には、森林法改正が通っても、もうしかたがない。こういうふうに理解をするのですか。私が説明を聞いた範囲内では、それは食いとめることができる、こういうふうに事務当局からお聞きしたのですがね。そういうことはないのですか。
  159. 福田省一

    ○福田政府委員 森林法の規制の目的は、いずれにしましても乱開発を防ぐというのが基本的な考えでございます。ですから、いま御指摘の姥子の計画というものがどういうものかまだよく承知いたしておりませんけれども、計画があるとして、それがどこでどういう公的な計画に基づいてできたものかは存じませんけれども、森林法改正ができましたならば、それが公に一応認められたいわゆる公共的なものの住宅計画ということがすでにきまっておるものであるならばこれは規制からはずしますけれども、その辺の判断がむずかしいところでございます。現に森林の状態であるならば原則として乱開発規制するという精神でございますので、これは許可制に入れてできるだけ防ぐようにしたいという精神でございます。その姥子の例につきましては現地の実態をよく承知しておりませんので、どういう計画か、また御指摘があれば御答弁したいと思います。
  160. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 そのことがここで議論の中心じゃないのですけれども環境庁のほうに申し上げておきます。私が聞いた範囲内では、無指定地域、要するに森林ですね、山林について、別荘その他によっての乱開発を防止するために森林法の改正というものがあるのだ。だから、現に別荘等で開発が行なわれておるものについても、つつあるものについても、これについては森林法の改正が終われば規制できるのだ、そういうふうに理解をしておったものですから、林野庁長官においでをいただいて、現にそういうことができるならばなぜこれでできないのか、これでもできるのじゃないかというふうに私はここで申し上げようと思ったのですけれども、あなたが言うようなことならばこれと全く同じですから、もう一ぺん自然環境保全法という立場に立ち返って、森林法、それからこの都市緑地保全法あるいは自然公園法、古都保存法、こういったものの中で緑を保全するためにどう調整をするのか、どうあるべきかというのを、ひとつ環境庁のほうで各省と打ち合わせをしていただいて、この建設委員会に、この法案と無関係でけっこうですから、資料を出していただきたいと思うのです。私が事務当局から聞いておったのと長官が言うのとだいぶ違うわけです。  私が事前に事務当局から説明を聞いたのでは、かりに別荘等がつくられておっても、森林法が改正されれば規制するのですよ、できなくなるのですよ、場合によってはそれはやめさせることもできるのだという理解をしておったものですから……。そうだとすれば、これは森林法でも都市緑地保全法でも何でも、結局着手して現に緑がはがれようとするものについては手が出ないということだと思うのです。ですから、その点はひとつ環境庁のほうで調整して、どうするのか、本委員会にそれを出していただきたいということを、これは希望として環境庁のほうに申し上げておきたいと思います。それでは、長官と私と事前の打ち合わせが悪くて意思統一ができておりませんので、けっこうです。  それでは戻りますか、大臣——事務当局てもけっこうですが、この前、宅地並み課税ということで、農地の固定資産税を宅地並みにすることによって農家から土地を手放さす、あるいは農家自身の手によって住宅をつくらせる、こういった政策がすでに地方行政委員会を通っておるわけですけれども、問題は、都市部における緑地保全という立場から生産緑地をどうするのかということが非常に重要だと私は思うのです。この生産緑地を全部住宅にしてしまったのでは、これはせっかくある緑地もなくなってしまうわけでありますから、そういった都市部における緑を残すという意味生産緑地に対してどのようにお考えになっておられるのか。これを全面的に宅地に転用させるという政策で進むのか。そういった点について、生産緑地の扱いを今後どうされようとするのかを、建設省サイドで、都市局の考え方でひとつお答え願いたい。
  161. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 市街化区域でございますから原則としては市街化させていくわけでありますが、その市街化のさせ方が問題でありまして、農地をすべて家や建物で埋め尽くすということではもちろんないわけでございます。市街化をはかりながらも適所に適当な規模公園緑地等が建設されあるいは保全されるということによって、その新しい市街地に住まわれる方々を含めた全体の市街化区域内の都市環境保全を全うしていくということでありますから、御指摘のように市街化区域内農地について宅地並み課税の法律が通りましたが、その際の附帯決議にもありますように、都市計画としての生産緑地制度化を検討すべきだということでございまして、建設省としてもこれを受けまして前向きに検討する所存であります。その場合には都市計画法の地域、地区の一つとして考えることになろうかと思いますが、その意味合いは、農作物という緑、そういった緑地を含めましたオープンスペースというような機能を考えていくことになろうと思います。そういうことで今後関係方面とも折衝しながら次の通常国会をめどに作業を進めていきたいと思いますが、その生産緑地というのはオープンスペースであり、宅地化を押えるということであろうかと思います。宅地化を押えるからこそ宅地並み課税を適用除外する、こういう関係にもなろうかと思いますから、そういう意味で建築行為等は非常にきびしく許可制等によって押えるということは当然だろうと思います。そのほか、都市計画上どのように位置づけていくかということはなお検討を要しますので、先ほども申しましたように、次の通常国会を目途として鋭意検討しておるところでございます。
  162. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 政策法律がちぐはぐに出ますと——宅地並み課税というのはもう本国会を通ってしまったわけですね。いま言われるように生産緑地に対する政策としては次の通常国会に何らかの法案を整備したい、こういうことですね。実際に法案ができたときは、都市緑地保全法と同じで、もうすでに進行してしまっておる、進行中のものには手が出ない、こういう結果のあと追いということになると思うのです。せっかく都市緑地を残すのだ、こういうことであれば、当然これに付帯して生産緑地というものも私はこの法案の中に盛り込まれてしかるべきだと思うのです。しかしいまここで言ってもしかたがありませんので、少なくとも次の通常国会に、いま局長が言われたように、生産緑地に関する法律を早急に整備をして出していただきたいというふうに思います。  それから、もう時間がなくなって、最後ですけれども、これは簡単なことだと思うのですね、われわれしろうとから考えて。一つ、二つのことをお尋ねしたいと思うのですが、結局、先ほども森井委員その他の委員から指摘がありましたが、破壊された緑をもと復元するということは私はむずかしいと思うのですね。残されていることというのは植栽だと思うのです。はげたところに木を植えさせるという行為だと思うのです。ところがこれは自発的な行為を待っておったのではなかなか話が進みませんので、建築をする場合に建蔽率が基準法できめられておりますが、この建築基準法の中に植栽の義務づけ、樹木を必ず植えなければならぬという植栽の義務づけということは、この都市計画における緑地保全という立場から実施できないのかどうか。  それからもう一つは、セメントジャングルですね。東京のようにこういう荒廃したセメントジャングルといいますか、こういった林立しておるビルの屋上あたりに、国会でも現に芝が、グリーンが植えてあるわけでありますが、台風その他にも耐え得る低い樹木等を屋上に植栽させる。そのために屋上に乗っける基準ですね、工法基準というもの、セメントの厚さその他、そういったものについて法律によって行なわしめるというようなことは考えられないかどうか。  この二点について、ひとつ事務当局のほうにお尋ねをしておきたいと思います。
  163. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 第一点は、建築基準法の中に植栽を義務づけることを考えるべきではないかということでございます。そこまでいけば非常に徹底するわけでございますが、私、考えますのに、やはりこの非建蔽地区と申しますか、家の建たない空地というものは、各敷地ごとにいろいろさまざまな機能を有し、いろいろな土地利用が行なわれる可能性を持った私的な空間でありまして、自発的に植樹してくれるとか、あるいは緑化協定によってそれを一団の土地として確保してもらうことが非常に望ましいわけでありますが、一歩進めましてこれが基準法上の義務づけというところまでいくということは、やはり私権の制限の程度から見て、いまのところ不可能ではないか、こう考えております。  次に、ビルの屋上を緑化するということはまことにけっこうなわけでありまして、これも自発的には最近いろいろと行なわれておるところでございます。セメントのジャングルの中で、わずかにいこいを見出せるあらゆる場所を活用するという御見解はまことにそのとおりだと存じますが、これも人工地盤と植栽の関係、そういうセメントの床にどういった土かぶりを用意し、どういった構造で排水その他の問題を処理するか。低い木とおっしゃいましたので風の問題はさほどないかもしれませんが、やはりそういった風の問題とか、いろいろ技術的な問題もあるわけでありまして、そういったことも今後十分研究さしていただきまして、都市があらゆる場所で極力緑化がはかれるようなことを研究してまいりたいと思います。
  164. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 もう時間が来ましたから、最後に要望だけ大臣にお願いして、御返事をいただきたいのです。  一つは、やはり植栽ということは、これほど都市部における空気の浄化というものが問題になってきておるときには、いろいろな委員指摘しましたように、私は私権の制限とかなんとかいうことは議論の外だと思うのですね。少なくとも都市部における建築というものは植栽というものを抜きにしては考えられないのだという、そういった感覚を植えつける意味でも、やはり基準法上明記すべきだ、そういうことは考えてしかるべきだ、私はこういうふうに思いますので、その点をひとつ大臣の御答弁をいただきたいということが一つ。  それからもう一つは、都市計画区域外の無指定地域ですね、これが乱開発、たとえばゴルフ場、別荘、こういったものに対しては、この際建設省が中心になって、ぜひ大臣の御発議で、そういったものに対しても、せっかくある自然ですから、これがそういったことによって、都市計画の区域外だからということで乱開発にならないように、先ほど環境庁にはお願いしておきましたが、大臣のほうからもぜひ提起をして、こういった問題に対する対策を早急に打ち立てていただきたい。  二つの点を最後に大臣にお尋ねをして、終わりたいと思います。
  165. 金丸信

    金丸国務大臣 建築基準法と植栽の問題につきましては、私は一提言だと思います。ひとつ十分に検討して、いわゆる緑がないところに家を建てるときは緑が必要だ、植木を植えなければ家が建てられないという認識を持たせることは国民の上に必要だという感じがいたします。そういう意味で十分検討してまいりたい。  なお、いろいろデベロッパー等の土地乱開発があるわけであります。これにつきましては十分な配慮をいたしまして、未然に防止するようなことを今後期したい、こう考えております。
  166. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 終わります。
  167. 服部安司

    服部委員長 寺前巖君。
  168. 寺前巖

    寺前委員 お疲れのところまことにおそれ入ります。よろしくお願いいたします。  委員長、お願いなんですが、説明をしやすくするために、ちょっと大臣関係のところの地図だけお渡ししたいと思います。  きょう私がお尋ねしたいと思いますのは、都市緑地保全法という法案が出されました。これを読んでいると、都市における緑地保全及び緑化の推進のために、国及び地方公共団体がちゃんと任務を持って、そうしてこれこれのことについてはこういうふうにしなさいといういろいろな指摘がしてあります。私は今日の都市破壊状況から見るならば、こほような緑地保全というのはもっと早い段階にすべきであったというふうに思います。おそまきながら保全することは私は非常にいいことだと思います。  ところで、この保全法案を見ておりまして、私自身が自分の出身地のことを言って恐縮ですが、京都において、すでに七年も前になりますが、古都保存法という法律ができまして、その中身と非常に似ているわけですね。古都を保存するのだ。目的のところを読むと、「この法律は、わが国固有の文化的資産として国民がひとしくその恵沢を享受し、後代の国民に継承されるべき古都における歴史的風土を保存するために国等において講ずべき特別の措置を定め、もって国土愛の高揚に資するとともに、ひろく文化の向上発展に寄与することを目的とする。」ということで、国が非常に責任をもってやろうじゃないかというように、こう指摘してあるわけです。私はその点では、社会的な遺産あるいは国民の生活環境を保全する上において積極的な施策に移れるということは非常にいいことだと思うのです。問題は、ほんとうにここに、法律の目的に書かれておる趣旨が現実的に生きてくるのかどうか。問題はここにあると思うのです。結局その地域に住んでいる人たちの責任に転嫁されるようなことになっては、せっかく意図するものがその意図をつぶしてしまうことになる。私が一番心配するのはそのことなんです。  そこでお聞きしたいのですが、この都市緑地保全法案といわゆる古都保存法との間の違いなんですが、部分的な違いはいろいろありますが、一番大きな違いというのは、古都保存法の場合には国の責務というのが、その計画そのものが総理大臣の手元においてなされるというふうに出ているように、都市緑地保全法よりも古都保存法のほうが国の責務がもっと大きいんだというふうに理解をしていいのかどうかを最初にちょっとお聞きしたいと思います。
  169. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 おっしゃるとおりであります。
  170. 寺前巖

    寺前委員 そこで私は、私の住んでいる京都のいわゆる北嵯峨という、これは嵐山というたくさんの人が観光にお見えになりますが、すぐその横のほうに有名な大覚寺とか広沢池、大沢池というような池があって、京都の人にとってはふるさとを思い起こすというような、昔の景観をそのままもっている地域なんですね。そういう地域があるのです。面積にしてそんなに大きな面積でなくて、大臣にお渡しした地図をごらんいただきますと、六十世帯の農民がここでたんぼを耕している。そして背面に山がずっとある。だから面積そのものは全体を入れても二百二十四ヘクタールです。山林を入れてそういうものですから、たいして大きな地域じゃありません。これがいわゆる古都保存法の特別地区になっているわけです。  ところで、この特別地区になっているのですが、お渡ししました資料でいいますと、たとえばナンバー1というしるしがしてあるところがまん中辺にあります。これは約六百坪の農地を、平林滋三さんという人がこれを買ってくれということを申し出たわけです。六百坪というのですから二反ですか、二反の土地を買ってくれと申し出たわけですね。この特別地域においては、それぞれ国、自治体に買ってくれという制度がありますから、したがって買ってくれ。いろいろな制限を受けているから建物もつくれないし、非常に個人の責任になってしまっているわけです。ところが、それを申し出てからもうすでに二年から三年になるのですが、いまだにその話がつかないのです。その土地はそこの地図の中にちょっと書いてありますように、その横でもって古都保存法の特別地区との分かれ目になっているわけです。横の土地の人が一体それでは土地が何ぼくらいで売れているのかといいますと、そこに書いてありますように一昨年の暮れで、十六万から十八万ぐらいで売れているのです。最近では二十万、二十五万、三十万というふうにずっと上がっているのです。ところが、そこに一メートルほどの川があるわけですが、わずか一メートルの川でもって人為的にこちらが特別地区と名をつけられるとたんに、そこの土地は自由に建物をつくることができないということで、したがってそれを自治体で買ってください、こう言ったら値がなかなかつかないのです。そして口頭で、漏れ承るところによると、三年前の値段の二・五倍ぐらいであるというように言われるというのです。値はいまだに出てこない。三年前の二・五倍くらいのお金というと、三年前の売買の状況を見ると坪当たり三万前後というお金になっていますから、その二・五倍というと七万前後のお金になる。川一本隔てたこちら側は特別地区の指定がされていないために、とたんにそこでは二十万、三十万となる。ですから四分の一から六分の一ぐらいの値段にそこではなるわけです。それから、お渡ししました地図でいいますとナンバー1のずっと下のほうにナンバー7というところがあります。ここでもやはり三年前に、ここの平林さんの御隠居さんが、むすこさんが交通事故を起こしたので弁償しなければならぬ。そこで急に金が要るようになった。しかたがないから土地を売りたいということでやはり話をしたのです。いまだに値がつかない。それはなぜかというと、当局自身も値を言いづらいんですね。隣の土地と比べるとやはり四分の一、六分の一の非常に低い値段なのです。  だから、ここが特別地区でございますよという線が一本入ったとたんに、それは歴史的に見ると地域を保存するという名誉ある地域指定されたかしらない。だけれども個人的負担というのは、その地域六十世帯の人の責任に全部転嫁されてしまうという結果が売買の場合に出てくるわけですね。これではほんとうに残そうというその地域の人の気魄にこたえることにならないと思うのです。私が提起している問題、間違っておるのであったら事務当局の人が率直に言ってほしいのですが、私はこれは当然改善しなかったら国の責務においてこれらの地域を保存することにならないと思うのですよ。なぜこのような状態が長期にわたって依然として続いているのだ。そこの地域の人にとっては、事故がおこる、それを売りたいといっても売れない事態のまま今日にあるということは非常に不幸なことです。これでは当該の人は意欲を持って地域を保存しようということにならないというのです。  私はもう一つ言うと、この前面にたんぼがある。ずっと裏が山で、その山の頂上線の裏側はもう特別地域じゃないのです。全く目に見える範囲だけなんですからね。ところがその裏の地域はすでに宅造が始まっている。その山の上の裏の宅造されているところはもう二十万でずっと売買されている。そうするとほんとうにこの地域だけが、たんぼの一番道に近いいいところでさえも七万ぐらいの値をつけられておった日には、冗談じゃないということをいわざるを得ないわけですね。  この問題点は一体どこにあるのか。先ほどのお話によると、緑地保全法よりも古都保存法のほうが全面的に責任を負うというに近い状態にあるのだ。聞くところによると補助金も十分の八だ。これだけの姿勢があるならば、国が十分の八持つというそれだけの責務を持つところの法律なのに、なぜそういう個人の犠牲によるところの値のっけ方をいつまでもしておかなければならないのか。私が提起している問題に間違いがあるのか。間違いがなければなぜ改善しないのか。改善するつもりでおるのか。一体どういうことになっておるのか、聞かせてほしいと思う。
  171. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 古都保存法が国の責任を表面に出した制度であるというのは、先ほど申されたような国の補助率の違いに出ておるわけでございまして、さらにいろいろな古都保存のための上位計画というものが立てられるというようなところに違いがあるわけでございますが、地区内の土地につきまして許可が得られないために買い取りを申し出るという場合の買い取りの価格につきましては、どの法律も同じ制度をとっておりまして、適正な時価で買う。その時価というものは鑑定士等の評価によるということになっております。御指摘の場所を具体的に私把握しておりませんが、その土地の時価というもの、専門家の鑑定士によって評価される額によって公共団体側も買おうという、地主の方も売るということで買い取りは成立するわけでございますが、少し離れておりましても、やはりその土地柄の価格の差というものが出ているのではなかろうかというふうに思います。個々の具体的な事例に即しませんと、どれほどの差が当然出てその値が開いているのか一がいには申せませんけれども、必ず近くの土地と同じ値がつくというわけでもないと考えております。
  172. 寺前巖

    寺前委員 しかしこれは一体どうなっているんでしょうね。この話はもう七年来建設省にはいっている話でしょう。こういう話は従来から問題になっているんですよ。しかも総理大臣あてに、この北嵯峨野自治会長であり、右京区農業委員である野村嘉一さんという人から、ことしの三月に綿々たる内容の文書がいっているわけですよ。それから前の小山さんが環境庁の長官のときに現地を見て、これはいいところだけれども問題だなということを現地で言ったために、現地でも話題になっている地域なんですよ。これは建設大臣もおそらくお聞きになったことがあるのじゃないかと私は思うのですよ。何もこの地域だけじゃないと私は思う。よその古都保存法の特別地区だって同じ問題が起こっていると思う。なぜ時価ということではうまくいかないのか、研究されたこともないのですか。研究されたこともないということになったら、一体国民の声をあなたたちは何と聞いておられるのか。私は腹が立ってきますよ。従来から出されている話じゃないですか。私はこの間担当の方にもこの話はしてある。ほんとうにあなたこれで国が責任を持っているということになりますか。なぜかというと、その横の地域市街化地域になっている。その地域は調整区域になっている。したがって取り扱いが変わるということで時価が変わってくる。ところが現実的にはそこのところだけが、まさに特別地域だけがそういうことになっておるのであって、しかも狭い範囲さっきも言った六十世帯の地域範囲ですよ。見える山のその裏はもう開拓されているんです。開発されている。特別な状態の中で調整区域に入れておいて値段を下げているというやり方自身を変えたら済む話でしょう。ちょっと調べてみたらすぐわかる話なんです。総理大臣の手元までいった声が、自治会長の名前で出た話がすぐに敏感に考えられないようなことで、緑地を守るというようなことをおくればせながらつくったって、これのほうが国の責務が小さいということになったら、無責任がもっとひどいことになるということになるでしょう。こんなことは即刻、聞いただけでも改善するのがあたりまえだと私は思うのですよ。私は率直に、この話を直接事務的に聞いておらない大臣に聞いたほうが話が早いと思う。どうでしょう、大臣
  173. 金丸信

    金丸国務大臣 この話は京都ばかりでなくて、別のところにもあるのじゃないかと私も思います。指定を受けたために不公平な取り扱いを受けるというのは、これは問題点もあると思いますが、これは十分に私も本省で検討しまして、早急に解決をするように努力いたしたいと思います。
  174. 寺前巖

    寺前委員 それは大臣が解決すると言うんだから、解決してもらわなかったら話にならない。即刻やってもらいたい。  それで、続いて私は問題を提起したいと思うのですが、今度は、買ってもらった土地を京都市がみずから農場にしているところと小作に出しているところとあるわけですよ。それでたんぼの維持をやっているんですね。そうすると、京都市の場合に、たとえば四十八年の三月二十五日の京都市都市開発局の調べによると、その市営農場の維持管理費というのがどうなっているかというと三百七十万円の予算でやっている。三百七十万円の予算のうちで単費持ち出しが二百三十八万円です。単費を持ち出さなかったら農場の維持ができないんですよ。小作をやらせたらこういう農場の維持ができないのです。要するに公的機関がやったらそれだけの維持管理費が要るわけですよ。逆にいったら、その地域でたんぼをやっている人自身がこの自然の景観を残す維持管理のために赤字を出しているということに近いわけですね。個人のものを公的機関と同じように扱わないにしても……。もう大臣も御存じだと思いますが、道路一本にしたって、その特別地域外は全部舗装してあります。しかしその特別地域道路は舗装したらだめだ。自然の景観が残らないというので舗装も何もできないわけでしょう。昔のままに残しておこうというわけです。したがってたんぼのほうも昔のまま、こうなる。そうするとどういうことになるかというと、それをそのまま残すために、そこの住民が赤字を出してでもやらなければならぬ。だから、むしろ自然景観を残すために御苦労になっているのだから、維持管理をするために、自治体に対しても維持管理費を出してやらなければいけないし、個人に対しても、いわばこの景観を残すための維持管理のために御苦労願うということで、国が借金するとか借りたみたいな形で金を出すとか、何らかの形で、自然景観を残すために御苦労になっているところに対して謝礼をすべきだと私は思うのです。これはどうでしょう。これはもう大臣に聞いたほうが話は早い。こんなのは政治論だ。
  175. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 維持管理につきましては、実は維持管理費そのものに着目した補助はしておらないわけでございます。その維持管理費の標準的な支出額等がなかなか積み上げにくいのではないかというようなこともありまして、それにかわる意味で、実は当初買い取り費の補助五分の四でやっておりましたが、買い取り費の中に初めは一%程度しか事務費を見ておらなかったわけでございます。その後これを拡大しまして二%とし、さらに昭和四十五年度から四%にいたしました。買い取り費と維持管理費とは必ずしも一致しないうらみはありますが、ほぼ対応するとも考えられますので、そういった形において国の補助が出ておるということであります。
  176. 寺前巖

    寺前委員 あなたそう言うだろうと思って私も計算したんだ。大体京都市に維持費として二億くらいがきているわけだ。そうして四十五年度までは九八%の用地費と事務費が二%だった。一%じゃない、二%だ。それが九六%の、事務費が四%というふうに変わってきているわけだ。事務費の内訳は、二億円として、そのうち人件費旅費などが七五%で、土地維持管理費はそのうちの二五%程度になっている。計算していくと結局二百万円ほどが維持管理費という数字になってくるわけだ。ところがこれを計算に入れても、先ほども言いましたように、実際には維持管理費というのは単費を持ち出ししてまで二百三十八万円の赤字が現に出ているわけだ。だから実際問題としては、維持管理費というのは金額的にも、少々は検討してあるけれども、非常に少ないわけだ。だからこれは再検討してもらう必要があるし、問題は、自治体の場合でもそうだけれども、個人の場合には全く計算のらち外に置かれているのです。この景観を維持するためにお世話になっておりますよということで、何らかの形で補償をすべきだ。これは私はぜひ検討してもらいたいと思う。同じことは税金の面においても、遺産相続をした場合に、景観を残すために遺産相続していくのだから、こういうところの遺産相続なんというのは税金を取るべきではない。おやじさんの代のものをそのままあとあと残してくださってありがとうございますということで、そんなものは税金取らないとか、私はそのくらいの措置をやるべきだと思うのです。その話はもう事務の話じゃないから大臣に聞きますよ。
  177. 金丸信

    金丸国務大臣 十分検討してみます。
  178. 寺前巖

    寺前委員 それで、景観の問題は大体これまでにしますけれども、国が責任を持ったところでさえもそういうことになると、緑地保全法の場合だと国の責任がもっと薄らぐ、知事さんの権限のほうに移ってくる、こういうことになるわけでしょう。そうすると、実際問題としてはもっともっと個人の責務になってくるんじゃないか。私はその点を心配するので、今後財政的にもよく検討してほしいということをつけ加えておきたいと思う。  同時に、私はちょっとついでに聞きたいのですが、京都の中にたとえば清水寺というお寺があります。あの清水寺の横に産寧坂という町並みがずっと並んでいるわけですね。この町並みは味があるということで残そうということになるわけですよ。町並みを残すということになると、これまた維持するためにかってに改造できなくなっているのですね。改造をかってにできないのに今度は制限だけ受けて、何らの補助金も出ないわけですよ、自治体で若干のめんどうを見ているけれども。こういう問題だって、やはり国が融資をするということだけではなくして、そういう地域の町並みそのものを残す場合に、自治体も美観条例をつくって保護しようということをやっているわけだから、国自身も積極的に打って出るというようなことをぜひとも考えてほしいと思うのですが、どういうことになっているのでしょう。
  179. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 町並みの保全までは対象としておらないわけであります。
  180. 寺前巖

    寺前委員 とにかくあなた、姿勢が悪い。法律だけつくって、あとは個人の責任じゃというようなことではこれは問題だと思うね。大臣、古都保存法を全面的に再検討してみてください。どうです。大臣の御意見を聞いて、私は終わりたい。
  181. 金丸信

    金丸国務大臣 いまの、いにしえの文化を後世に伝えるというようなことは、現代に生きる現代人がやらなければならぬ仕事であると私は思います。そういうような意味で古都保存法というような問題を考えてみますと、政府も力を入れてやることは当然だと思うのです。一個人が歯を食いしばってやらなくちゃならぬということではいかない。そういう点について十分検討したいと思います。
  182. 寺前巖

    寺前委員 終わります。
  183. 服部安司

    服部委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました     —————————————
  184. 服部安司

    服部委員長 これより本案を討論に付するのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  内閣提出都市緑地保全法案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  185. 服部安司

    服部委員長 起立総員。よって本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。(拍手)     —————————————
  186. 服部安司

    服部委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、天野光晴君、井上普方君、浦井洋君、新井彬之君及び渡辺武三君から、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者から趣旨の説明を求めます。天野光晴君。
  187. 天野光晴

    天野(光)委員 ただいま議題となりました都市緑地保全法案に対する附帯決議案について、自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元に配付してあります。  御承知のとおり、本法案は、近年、都市化の進展に伴い、市街地が急激に拡大し、都市における緑の滅失が顕著となっている状況にかんがみ、都市計画区域内において、良好な自然的環境を有する緑地保全するとともに、緑化の推進をはかろうとするものでありますが、広域的、長期的観点に立った計画的な緑地保全の推進、土地買い入れ等に対する補助率、補助額の引き上げ及び維持管理、緑化協定に対する助成、保全地区内の土地の固定資産税の非課税及び譲渡所得税の特別控除制限額の引き上げ、道路等、公共土地の緑化推進、保全地区内の行為制限の適用除外規定、保全地区と農地の取り扱い及び苗木等の買い占め防止等の措置については、審議の過程において特に議論された重要な問題でありますので、政府においては、本法の施行にあたり、これらの諸点について留意し、その運用に遺憾なきを期するよう強く要望する必要があると思うのであります。  以上が、本法案に附帯決議を付さんとする趣旨でありますが、委員各位の御賛同をお願いいたす次第であります。     —————————————    都市緑地保全法案に対する附帯決議(案)  政府は、本法の施行にあたり、次の諸点について留意し、その運用に遺憾なきを期すべきである。 一、 計画的な緑地保全の確保とその維持管理が図られるよう広域的、長期的な観点にたつて、本法に基づく緑地保全地区及び緑化協定の制度の活用をするとともに、都市施設としての公園緑地等の整備を更に積極的に推進すること。 二、 都市緑化を推進するため、次の措置を積極的に行なうこと。  1 国庫補助率及び補助額を大幅に引き上げるよう努めること。  2 保全地区の維持管理に必要な経費について、国が当該地方公共団体に対し、補助するよう検討すること。  3 緑化協定に対し、助成措置を構ずるよう努めること。  4 固定資産税の非課税及び譲渡税の特別控除制限額を一定の限度において引き上げるよう検討すること。 三、 公共的土地道路、河川、学校等)に植樹、緑化等を積極的に行ない、都市環境整備の総合的推進を図ること。 四、第五条ただし書の政令の定めについては、できるだけ「行為の制限」をきびしくするよう努めること。 五、 第三条の後段の「これらと一体となつて、良好な自然環境を形成しているもの」に農地をも対象とすること。 六、 植木苗木の品質管理、量的生産の確保を図り、また、買い占めなど投機の対象にされないよう充分な措置を講ずること。   右決議する。     —————————————
  188. 服部安司

    服部委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  本動議に対し、別に発言の申し出もありませんので、これより採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  189. 服部安司

    服部委員長 起立総員。よって天野光晴君外四名提出のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、建設大臣より発言を求められておりますので、これを許します。金丸建設大臣
  190. 金丸信

    金丸国務大臣 本法律案の御審議をお願いして以来、本委員会においては熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって議決されましたことを深く感謝申し上げます。  審議中における各委員の御高見につきましては、今後その趣旨を生かすようつとめるとともに、ただいま議決されました附帯決議につきましても、その趣旨を十分尊重し、今後の運用に万全を期して、各位の御期待に沿うようにする所存でございます。  ここに、本法律案の審議を終わるに際し、委員長をはじめ委員各位の御指導、御協力に対し、深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。ありがとうございました。(拍手)     —————————————
  191. 服部安司

    服部委員長 なお、おはかりいたします。  ただいま議決いたしました本案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  192. 服部安司

    服部委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  193. 服部安司

    服部委員長 次回は、明十三日水曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開く本日は、これにて散会いたします。    午後四時四十八分散会