○下河辺
政府委員 ただいま非常に広範な御質問をいただきましたので、お答えすることが必ずしも全部にわたらない面があるかもしれませんが、まず
一つとしては、従来の
開発におきまして、
土地の買収のしかたがどういう影響、結果を持っているかという点だろうと思います。その際に、御指摘いただきましたように、
公共の
福祉あるいは
地域開発の
計画に基づきます
計画に必要な用地の買収を、いまおっしゃったようなことばでいえば、第一セクターが買うということが従来非常に多かった例でございます。そのために、第一セクターがその
地域の方々の住民対策なりあるいは地主の方々の補償を考えて、ある適正な値段で
買い取りをいたしまして、それに対してある
程度の管理費や金利等を入れた
価格でその
土地を分譲いたしますが、そのときはおおむね、一般のルールとしては売買を公表いたしまして、公募で選考するということで
土地を分譲しているのが通常の例であろうかと思います。しかし問題は、御指摘いただきましたように、その
開発目的の用地の周辺が急激に
地価が上がりまして、その
地価の上がりましたところへ民間の不動産業が入ってきましていかなりの利益を受けているということは御指摘のとおりだろうと思います。したがって、私
どもはそういう従来の
土地開発の仕組みをかなり根本的に変えたいという気持ちをもって今度の
国土総合開発法をつくったつもりでおりまして、まだ欠陥もあるのかもしれませんが、従来の方法に比べますとかなり改善したつもりでおります。
それは、まず第一は
特定総合開発地域という、
開発を進める
地域におきましては
地価についてその影響が及ぶ
範囲までその
地域の
指定を広げておきまして、その間の
土地の
取引に関して
行政的な干渉をしたいということをいっておりまして、
開発利益が
地域に還元できる、あるいは均等に還元できる手法をとりたいという精神でつくったつもりでおります。それが
一つ。
もう
一つは、
地価の凍結についての御質問をいただいたわけでありますが、
地価の凍結につきましては、私
ども憲法問題あるいは従来の
関係法令との間をいろいろと検討調査もし、法制局ともだいぶ突っ込んだ議論をいたしまして、
憲法の
改正をしない限り
土地の私有権というものは認めるべきであるということは当然であろうと思いますが、
考え方としては、今日の
土地の実情を見ておりますともはや
土地は私有でなくてよいのではないかという意見さえ一部には出てきておるような
状況でありまして、そういう精神から、どういう形で
行政が
土地の
取引あるいは使用に関して介入するかということについて検討したつもりでおります。そのときに、
価格の問題と
利用について、
公共の
福祉という問題とどのように組み合わせるかということが
一つ何か知恵の要るところではないかというふうに考えたわけでありまして、
特別規制地域の場合に、
価格を凍結するという側面と、
土地のどういう
利用を伴う場合に
取引として
許可するかという両面から考えたつもりでございまして、一般的には
特別規制地域は
価格の凍結面だけのように報道されている面もございますけれ
ども、実は
価格の面だけではなくて、
公共の
福祉という
観点からどういう
利用に値するものだけは
取引を
許可すべきかという
許可基準についてもやはり同時に御
審議をいただく用意をしたわけでありまして、その組み合わせの
行政上の運営がうまくいくか、あるいはそのときの
行政の姿勢がどういうふうに変わってくるかということに、われわれ非常に大きな関心を持っているということは事実だろうと思います。
それから三番目に、
地価の凍結を
地価公示法にあわせまして全
地域にしてはどうかという御指摘をいただいたように伺ったわけでありますけれ
ども、これにつきましては、実は三年に限りあるいは五年まで延ばすことができるということを考えた議論の中の
一つといたしまして、その間
社会資本の整備がどうしても進むであろう、ということになりますと、その
社会資本の利益を立地上受けてまいりますから、
社会資本の利益を
適正価格に反映すべきではないかということは
一つ正論だろうと思うわけです。したがって、
社会資本の整備が進みますときに、毎年とは言わないまでも、三年なり五年なりにやはり
基準価格が変わっていってしかるべきではないかということも一方にあるのじゃないかというふうに思ったわけでございまして、
社会資本によりまして
土地の効用が
向上いたしますることについて
基準価格というものをどういうように見たらいいかということが議論になったことも、ある年限を切るということになった
一つの
理由ではないかというふうに思っております。
それから
地域全体に及ぶかどうか、あるいは一部の
地域にするかどうかということについての議論の過程を申しますと、異常なる
地価を取り締まることによって全体の
地価への
政策的
効果があるのではないかというふうに考えたわけでありまして、一部の
地価のつり上げとか
地価の
値上がりというものは、まあことばが適切かどうかわかりませんが、かやのつり手論なんというものが一部に唱えられておりまして、一部の
地域が上がりますと
関連して周辺まで上がるという
実態にございますから、
地価の
値上がりの最も激しくなりそうなところを予防的に緊急に押えるということによって、全体の
地価に対して影響を与えることができるのではないかという発想から、
特別規制地域を、異常な事態の発生のおそれのあるところに緊急発動いたして押えることによって全国的な
地価に対する
政策的な
効果を
期待し得ないかということを考えたわけでございまして、
一定地域と
一定期間に限るということになってきました作業中の事務的な経過を御
説明したわけでございますが、以上のようなことで考えたのが
国土総合開発法でありまして、従来の方式でそういう
制度が非常に欠落をしていたために御指摘のような
混乱があったということは事実でありまして、それに対して国総法をぜひこの国会で御
審議いただきたいと思いますし、さらに国総法以上の
制度についても引き続き私
どもとしては勉強してまいりたいというふうに考えておるわけであります。