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1973-05-11 第71回国会 衆議院 建設委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年五月十一日(金曜日)     午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 服部 安司君    理事 天野 光晴君 理事 大野  明君    理事 田村 良平君 理事 村田敬次郎君    理事 渡辺 栄一君 理事 井上 普方君    理事 福岡 義登君 理事 浦井  洋君       小沢 一郎君    梶山 静六君       澁谷 直藏君    中尾  宏君       西銘 順治君    野中 英二君       林  義郎君    藤波 孝生君       渡部 恒三君    阿部 昭吾君       清水 徳松君    中村  茂君       松浦 利尚君    森井 忠良君       渡辺 惣蔵君    瀬崎 博義君       中島 武敏君    新井 彬之君       北側 義一君    渡辺 武三君  出席国務大臣         建 設 大 臣 金丸  信君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      小坂善太郎君  出席政府委員         経済企画政務次         官       橋口  隆君         経済企画庁総合         開発局長    下河辺 淳君         建設大臣官房長 大津留 温君         建設省計画局長 高橋 弘篤君         建設省都市局長 吉田 泰夫君  委員外出席者         農林大臣官房審         議官      小山 義夫君         建設委員会調査         室長      曾田  忠君     ————————————— 委員の異動 五月十日  辞任         補欠選任   小渕 恵三君     船田  中君   下平 正一君     森井 忠良君   中村  茂君     佐々木更三君 同月十一日  辞任         補欠選任   石井  一君     中尾  宏君   浜田 幸一君     西銘 順治君   佐々木更三君     阿部 昭吾君 同日  辞任         補欠選任   中尾  宏君     石井  一君   西銘 順治君     浜田 幸一君   阿部 昭吾君     中村  茂君     ————————————— 五月十日  秋田県小坂地区東北縦貫自動車道路線変更に  関する請願(受田新吉君紹介)(第四〇九四  号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会申し入れに関する件  屋外広告物法の一部を改正する法律案内閣提  出第七七号)(参議院送付)  国土総合開発法案内閣提出第一一四号)  地価公示法の一部を改正する法律案内閣提出  第一〇〇号)      ————◇—————
  2. 服部安司

    服部委員長 これより会議を開きます。  この際、連合審査会開会申し入れに関する件についておはかりいたします。  ただいま運輸委員会において審査中の国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案について、運輸委員会連合審査会開会を申し入れたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 服部安司

    服部委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、連合審査会開会日時につきましては、委員長問において協議の上、追って公報をもってお知らせいたします。      ————◇—————
  4. 服部安司

    服部委員長 去る九日参議院より送付され、本付託となりました内閣提出屋外広告物法の一部を改正する法律案議題といたします。
  5. 服部安司

    服部委員長 まず、提案理由説明を聴取いたします。  なお、本法律案参議院において修正されておりますので、その修正部分趣旨についても、便宜、建設大臣より説明をお願いすることにいたします。金丸建設大臣
  6. 金丸信

    金丸国務大臣 ただいま議題となりました屋外広告物法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  屋外広告物行政は、屋外広告物法に基づき、都道府県及び指定都市の事務として条例で定めるところにより行なわれているところでありますが、近年、国民生活環境に対する関心は急速に高まりつつあり、都市美観風致維持をはかるため、より積極的な行政要請されるに至っております。  わが国における屋外広告物規制の実情を顧みますと、屋外広告物許可件数は年々上昇の一途をたどっている一方、条例に違反した屋外広告物もあとを断たない現状でございます。  このため、これら違反広告物に対する措置を強化することと相まって、屋外広告活動の大半をになう屋外広告業を営む者に対する指導育成措置を講ずることにより、都市美観風致維持確保できるようこの法律案を提出することといたしました。  次に、この法律案要旨を申し上げます。  第一に、屋外広告物法に基づく条例に明らかに違反して表示された張り札及び立て看板で、表示されてから相当期間を経過し、かつ、管理されずに放置されていることが明らかなものについては、その表示者または管理者が確知できる場合であっても都道府県知事またはその命じた者もしくは委任した者がみずから除却することができることといたしました。  第二に、屋外広告業実態適確に把握し、及びその業務の適正な運営を確保するため、都道府県は、条例で定めるところにより、屋外広告業を営もうとする者の都道府県知事に対する届け出制度を設けることができることとするとともに、屋外広告業について、営業所ごと講習会修了者設置義務を課し、講習会修了者の置かれていない営業所については、都道府県知事がこれを置くべき旨を命ずることができることといたしました。  このほか、都道府県は、条例で、屋外広告業を営む者に対する指導、助言及び勧告を行なうことができることとする等所要規定を整備することといたしました。  なお、この法律施行は公布の日から九十日を経過した日からとするよう定めました。  以上が、この法律案提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決いただきますようお願い申し上げます。  次に、本法律案に対しまして参議院において加えられました修正趣旨を御説明申し上げます。  政府原案におきましては、第九条で、屋外広告業者は、営業所ごとに、都道府県が行なう広告物表示、物件の設置等に関する講習会受講修了者を置かなければならないこととしておりましたが、現在、職業訓練法におきまして、広告美術仕上げ技能検定が行なわれており、この合格者講習会修了者同等以上の知識を修得していると認められるのであります。  したがいまして、これら技能士等講習会修了者同等以上と認められる者が、資格者として条例で明確にされるよう改めるものでございます。  以上。(拍手)
  7. 服部安司

    服部委員長 以上で提案理由説明並び参議院における修正部分説明は終わりました。     —————————————
  8. 服部安司

    服部委員長 次に、去る四月十九日本委員会に付託されました内閣提出国土総合開発法案議題といたします。
  9. 服部安司

    服部委員長 まず、提案理由説明を聴取いたします。国務大臣経済企画庁長官小坂善太郎君。
  10. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 ただいま議題となりました国土総合開発法案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  昭和二十五年に制定され、昭和二十七年にその一部を改正された現行国土総合開発法は、狭隘な国土と乏しい資源という制約条件の中で、年々増加する人口を擁しつつ、国民生活維持向上をはかるため、戦後の荒廃した国土保全をはかり、国土及び資源の積極的、合理的かつ効率的な開発利用を期することを目的としたものでありまして、国土総合開発に関する基本法的な役割をになって今日に至ったものであります。  しかしながら、その間国土総合開発課題も時代の要請とともに推移し、重要課題ごとに多数の地域開発関連法律が相次いで制定されてまいりました。一方、現実問題として、六〇年代における経済高度成長に伴って人口と産業の大都市集中は急速に進行し、過密過疎問題は一そう深刻なものとなってきております。同時に土地利用混乱地価の異常な高騰投機的な土地取引など、土地問題も激しさを加えており、これらの問題の解決は、いまや国土総合開発にとって、最重要課題となってまいりました。  今日、国土総合開発は、公共福祉自然環境保全を優先するという原則に立ち、片寄った国土利用を将来に向かって再編成しつつ、国土の均衡のとれた発展と健康で住みよい地域社会形成を目標として、六〇年代における貴重な経験と教訓を踏まえ、現下の諸問題を着実に解決していくものでなければなりません。   このような事情にかんがみ、まず国土総合開発を進めるにあたっての基本理念を明らかにし、総合開発計画体系化をはかるとともに、土地利用基本計画の作成と土地取引及び開発行為規制に関する制度の充実をはかり、また、特定地域における総合開発を調整し、促進するための措置を講ずることが緊急に必要であると判断いたしまして、この際、現行法を廃止し、新たに新法として国土総合開発法を制定することとした次第であります。  以上がこの法律案を提出する理由でありますが、次にこの法律案要旨について御説明申し上げます。  第一は、国土総合開発基本理念についてであります。  国土利用開発及び保全は、国土が現在及び将来における国民のための限られた資源であり、かつ、諸活動の共通の基盤であることにかんがみ、公共福祉を優先させ、自然環境保全をはかりつつ、地域の諸条件に配意して、健康で文化的な生活環境確保国土の均衡ある発展をはかることを基本理念として行なうこととしております。  第二は、全国総合開発計画及び都道府県総合開発計画についてであります。  国は、全国総合開発計画を定めるものとし、まに都道府県においても、都道府県総合開発計画を定めることができるものとしておりますが、特に全国総合開発計画は、国土総合開発に関しては、国の諸計画基本とする旨を明らかにして、国土総合開発に関する計画体系化をはかることとしております。  第三は、土地利用基本計画についてであります。都道府県知事は、都市地域農業地域森林地域自然公園地域及び自然保全地域の五つの地域区分の設定並びに土地利用の調整に関する事項などを内容とする土地利用基本計画を定めるものとし、国及び地方公共団体は、この土地利用基本計画に即して、適正かつ合理的な土地利用がはかられるように、都市計画法森林法その他の土地利用関係法律で定めるところにより、自然環境保全等に配意しつつ、所要規定措置を講ずることとしております。  第四は、土地売買等届け出勧告制度についてであります。  一定規模以上の土地売買等を行なう者に対しては、あらかじめ、その価格利用目的などを都道府県知事届け出ることを義務づけ、都道府県知事は、その価格が著しく適正を欠くとき、利用目的が不適当であるときなどには、取引中止勧告等をすることができるものとし、勧告に従わないときには、公表することができることとしております。  第五は、特別規制地域における土地売買等許可制についてであります。  まず、都道府県知事は、投機的な土地取引が行なわれ、土地価格が急激に上昇し、またはそのおそれがある地域で、その事態を緊急に除去する必要があるところを、最高五年以内の期間に限って特別規制地域として指定することができるものとしております。この特別規制地域内で土地売買等を行なう場合には、都道府県知事許可を受けなければならないものとし、許可を受けない土地売買等の契約は、その効力を生じないものとしております。  次に、許可基準となるべき土地取引価格は、地域指定時の価格基準として定めるものとし、また、不許可とされた土地所有者等に対しては、土地買い取り請求権を認めるとともに、不服申し立ての道を開いております。なお、内閣総理大臣は、国土総合開発に関し国の立場から特に必要があると認めるときは、特別規制地域指定の指示などの措置を講ずることができることとしております。  第六は、特定総合開発地域制度についてであります。  まず、都道府県知事は、関係市町村及び地域住民の意向をただしつつ、新都市開発などを主たる目的とする総合開発を特に促進する必要がある地域特定総合開発地域として指定することができるものとし、その地域総合開発について計画を定めることができることとしております。  次に、地域指定後五年間は、土地売買等について一般地域の場合の特例として、届け出勧告制を強化するほか、地方公共団体等は、届け出のあった土地について買い取り協議を行なうことができるものとしております。また、特定総合開発計画の円滑な推進をはかるために必要な行財政上の措置を講ずることとしております。  その他、国土総合開発審議会都道府県総合開発審議会及び土地利用審査会を設けることとしているほか、この法律施行に要する経費の補助、大都市に対する権限の委譲、罰則等に関する規定を定めるとともに、関係法律改正を行なうこととしております。  以上が、この法律案提案理由及びその内容概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  11. 服部安司

    服部委員長 以上で提案理由説明聴取は終わりました。  両案に対する質疑は後日に譲ります。      ————◇—————
  12. 服部安司

    服部委員長 次に、内閣提出地価公示法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。阿部昭吾君。
  13. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 地価公示法、その目的とするところは、究極のところ適正なる地価形成というところにあるわけであります。しかし、今日まで地価公示制度というものが適正なる地価形成ほんとうに役立ったかどうかということになると、役立っておらないということが実態であります。そこで、今回行なわれようとする改正によりましても、この地価公示制度ほんとうに適正なる地価形成が保障されるであろうかということになると、保障されないという判断が一般的に行なわれるわけであります。政府は、地価公示制度というのは、これだけで適正な地価形成というものはできない。したがってこれを一つの指標として、目安として、他のいろいろな土地対策土地政策とのいろいろな関連において適正なる地価形成というものを確保する。したがって、この地価公示制度というのはその一環をなすもの、こういう説明が今日まで行なわれてきましたし、私どもも、そのいろいろ相関連する角度における一つの分野としての地価公示制度というものを考えるに決してやぶさかではないのであります。しかし、いまのままでまいりますと、この制度自体は事実上、ちょうどワサビのきかない何とかといわれるものと同じことなんですね。したがって、このまま地価公示制度をいろいろな角度発展さしてまいりましても、適正なる地価形成というものを保障することにはならない。そういう観点で私は若干の事例を提示しながら、土地政策全般とそのかかわりにおける地価公示制度というものの問題点をお尋ねしたいと思うのでありますが、時間の関係がありますから、おおむね一時間ぐらいをめどとして質問したい、こう思うのであります。  私は、最終的には、基本的な土地対策という考え方は、安い住宅地、ことばをかえるならば適正価格による住宅地確保国民が求めておるささやかなマイホームの希望というものを実現するに足るような、それを保障するような住宅地確保、これが一つの大きな柱だと思うのです。第二の問題は、公共用地確保が保障される。第三は、環境保全という観点での土地利用土地対策というものが保障されなければならない。こういう角度でいまの土地政策土地問題というものを考えますと、かつて田中首相が数年前に、土地に関しては私権制限というものを大胆に考えなければならぬ時期に来たと言われたのでありますが、田中内閣登場当時、国民の中に、今様太閤であるとか決断実行であるとか、いろいろな角度で大きな期待が寄せられたことは事実であります。いま、世論調査の結果にまつまでもなく、田中内閣国民からの期待と支持が急速度に冷却をし、国会の周辺を見ましても、きのうあたりの懲罰動議提案などを見ましても、与党自体が八十何名も欠席をするというような雰囲気が田中政権の周囲にいま起こっておる状況なんであります。この根源は何かということで考えてみると、土地問題の中でも、私権制限しなければならぬ時期に来たと言った田中さんの基本的な考え方、これがそうならぬわけであります。土地はぐんぐん値上がっていく。そこで今回の地価公示制度をもってしても全くきめ手にならないわけです。地価値上がりを追認することにしかならぬという性格を持つておる。  そこで、大臣とは長い長い関係でありますから、大臣の腹のうちは私もよく承知しておるので、若干の点をただしますと、私権制限ということと現行憲法との関係で何が隘路か。私はやれると思うのです。現行憲法で、異常な土地値上がり土地投機、こういうものを押えることができないなんということは私はないと思う。現行憲法の中で私権制限がどういう方法でどこまで可能だというふうにお考えになっておられるのか、まず大前提として承りたい。局長でもけっこうです。
  14. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 阿部先生土地対策に対するいろいろな示唆に富みました御提案、これにつきましては私どもも十分検討しなければいかぬ点が多いだろうと思います。その中におきまして私権制限憲法問題、これは非常に重要な問題でございまして、私がここで簡単にお答えして結論が出るというものではないとは思いますけれども、私ども考えております点を簡単に御説明申し上げたいと思います。  結局、憲法二十九条によりますと「財産権は、これを侵してはならない。」という一つの不可侵の原則があります。しかしながら第二項では「財産権内容は、公共福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。」ということになっておるわけでございます。つまり、公共福祉に適合するというふうに財産権内容がなくてはいかぬわけで、この内容法律で定めるということになっておるわけでございます。つまり、一定政策目的のために——いま問題になっております地価安定ということについていいますと、そういうある一定政策目的のために、そういう観点から憲法上これが許されるかどうかということであろうかと思います。その問題につきましては非常に慎重に検討する必要があろうかと存じますけれども、その憲法公共福祉という内容につきましては、何が公共福祉かということは具体的にはないわけであります。しかしながら、ただいまの第一項の、憲法基本的人権財産権というものが無制限にこれがあるものでなくて、やはり国民社会生活を営む以上、そこには一つ公共福祉という限界があるということでございます。その具体的な内容が何であるかということは、具体的にいろいろ書いているわけではございませんので、それはすべてその適法性を具体の問題についていろいろ検討するということになろうかと思います。その場合にその判断基準となるものにつきましては、一つは、その公共福祉を実現するための政策目的というもの、それからもう一つは、その財産権にそういう目的のために制約を加えるという必要性の問題、もう一つは、その制約というものが必要であり、かつ合理的な範囲内であるかという、制約範囲合理性というものがいろいろその基準になりまして、慎重にそういうものを総合的に勘案しまして判断するということになろうかと思うわけでございます。  さて、その地価高騰の問題につきましては、これが国民生活向上だとか経済発展というものに大きく阻害原因になるということが明らかな場合におきましては、これは地価高騰防止、それによる国民生活の安定、経済の安定、そういう公共福祉からの要請というものがあると判断されますならばいろいろな制約というものが——その制約によりましてその政策効果というものがさっき申し上げたような判断からしまして合理的であるかどうかという、そのような問題を別にいたしまして、憲法上はそういうような見地から、公共福祉からの要請があるということであれば、憲法上そういうことについては許されないということはいえないと考えるわけでございます。例といたしましても、地代家賃統制令等、そういう例がすでにあるわけでございます。つまり、そういうことですから、問題は、制約を加えるというその前提、公共福祉からの要請というものがどの程度であるか、またその実現のために加える制約はどの程度のものが合理的であるかというようなものが問題になるわけでございます。そういういろいろな政策効果を考えながら制約をする。その制約による影響だとか混乱というものと、その政策による効果というものを十分に勘案いたしましてきめていかなければならないわけでございます。そういうようなことを慎重に検討いたしまして、そういう私権制限がどの程度が妥当であるか、その範囲は、必要ありまた合理的なものであるかどうかということできめるわけでございます。  具体的に申しますと、今回におきましても政府ではそういう問題を真剣に考えまして、その結論といたしまして、ただいま企画庁長官から提案理由説明がございました、一定地域につきましては特別規制地域というような制度を設けます。これにつきましては一種の地価凍結ということを考えておるわけでございまして、これは従来の政策からいきましたら相当の前進的なものでございますし、財産権制約という意味におきましても、従来考えられなかったものであるわけでございます。そういう意味におきまして、先生のおっしゃる御趣旨につきましては、私権制限というものが今回の政府政策の中でも相当程度取り上げられているということでございますけれども、これをたとえば全国的に及ぼすかどうか、その他につきましては、先ほど申し上げました判断基準から総合的に勘案して判断をすべきものであるというふうに考えておる次第でございます。
  15. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 いまの高橋計画局長の御答弁によれば、一定政策目的、その政策目的の基礎は何かということになると公共福祉に適合する、この限りにおいては私権制限はできるということですね。そうだとすると、いま国民がささやかなマイホームの強い願望を持っている、これを達成するための安い住宅地確保、これは私は日本社会の中における公共福祉に合致する歴史の背景があり流れがあると思う。公共用地確保、これも当然公共福祉に適合するもの。環境保全を保障する、このための私権制限、これもすべて公共福祉に合致すると私どもは思うのです。そういう観点からいうと、私は、問題はやはり、田中総理がかつて言ったように、私権制限をしなければならぬ時期に来た、やるかやらぬかという問題だと思う。しかし事実上それはやられようとしておらないのです。やろうとしても、ほんのおためごかし程度というと語弊があるかもしれませんが、まるっきりそれは及び腰になっている。その根本は何かということになると、大企業の土地投機、買い占めなどがどんどん広がっておる、民間デベロッパーがどんどん土地を占領していく、その背景があるために決断実行ということがやられないという状態になっていると思う。これはやはりひとつ突き破らぬといけない時期になってきたと思うのですよ。そういう基本的なところを踏まえなければ、いまのワサビのきかない地価公示制度なんというのをどんなに広げてみても、これはどうにもならない問題だ。だから、こういう現在の状況意味をなさないものならば、膨大な国費を投じて地価公示制度を広げたところで、これはおよそナンセンスじゃないかというのが私どもの立場なんです。やるならやはり根本のところを踏まえて、その上にこの地価公示制度が機能するような、そういうものでなければ意味がないというのがわれわれの考え方であり、国民が考えておる方向だろうと思う。  そこで、憲法論の問題はさておいて、経済企画庁おいでになっておられますか。——そこで若干お尋ねいたしますが、国総法は今国会ではおそらく問題にならぬと思うのです。思うのですが、いままで地域開発とかなんとかいろいろなことが行なわれておる。その際に、第一セクターというべきか、そういう自治体などの開発公社のようなところで用地取得をするわけですね。その場合には土地収用法の発動も当然可能なんです。ところがどうも私ども見ておりますと、第一セクターと呼ばれるようなそういうものをつくって用地確保をする、これは非常に安い値段で確保するのです。ある意味では多分に先行投資的なタイミングの取り方等もあって、非常に安い価格確保する。ところがそこの開発が行なわれますと、その周辺がぐっとまた次の段階の開発が進むのです。これは第一セクターと呼ばれるようなものではない民間がやる。そうすると、この開発公社などでやるような開発、ここには大体誘致企業などでも大手のものが入っている、その周辺には下請関連のようなものが入っている。そうすると開発公社などで確保した用地は非常に安い値段で大手にどんどん提供されていくのです。そういう仕組みになっておるのです。ところが、その外まわりに民間などを使って確保されていく開発状況からいうと、下請関連のようなところが配置される部分は非常に値が高くなっていく。そうしてその外まわりの住宅地などはもっと値上がりを示していく、こういうやり方ですね。  したがって、さっきの問題に戻りますけれども政策目的のために一定地域指定して、そこでは一定私権制限をやる。しかしその私権制限をやったものは、大手企業や何かに対して安い土地を売り渡していく、確保さしていくパイプの役割りしか果たさぬのです。そこで私はやはり一定地域指定というやつがくせ者だと思うのですよ。したがって、いまの土地対策の根本はどうすべきかということになると、やはり全般的に一定制限をして、それは地価の凍結をやりなさい、私どもはこう言っている。しかし、凍結した価格に基づいて売買は大いにやらせなさい。その凍結の基礎は何かということになると、御承知の地価公示制度によってきめられた価格が守られるということならば、この公示制度は大いに意味があると思うのです。だが、いまの公示制度はそんなあれが何もないのです。地価凍結をやって、売買は大いにやりなさい。やる場合の売買は、よその国などでも例があるのでありますが、やはり許可制にするとか、いろいろなことを相当きちっとして、そのかわりその売買を許可するしないの基準は、安い住宅地の提供、公共用地確保あるいは環境保全のための用地確保、こういう基本的な柱を持っておって、それでどんどん凍結された価格で……。凍結の基礎は何かというと、いまのこの地価公示制度で適正な価格形成をして、それで凍結をする。これならいまの地価公示制度、大いに意味があると私は思う。いまのはそうじゃないのです。これは全然しり抜けで、むしろないほうがいいのです。私はそういう観点で、いまのこの国総法なんというのは今国会では問題にならぬと思いますけれども、従来のやり方の中からでも、私どもは、そういう大手企業に安い土地確保してやるにすぎないやり方、こういう点を指摘しておるのですが、どういう御見解でしょう。
  16. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 ただいま非常に広範な御質問をいただきましたので、お答えすることが必ずしも全部にわたらない面があるかもしれませんが、まず一つとしては、従来の開発におきまして、土地の買収のしかたがどういう影響、結果を持っているかという点だろうと思います。その際に、御指摘いただきましたように、公共福祉あるいは地域開発計画に基づきます計画に必要な用地の買収を、いまおっしゃったようなことばでいえば、第一セクターが買うということが従来非常に多かった例でございます。そのために、第一セクターがその地域の方々の住民対策なりあるいは地主の方々の補償を考えて、ある適正な値段で買い取りをいたしまして、それに対してある程度の管理費や金利等を入れた価格でその土地を分譲いたしますが、そのときはおおむね、一般のルールとしては売買を公表いたしまして、公募で選考するということで土地を分譲しているのが通常の例であろうかと思います。しかし問題は、御指摘いただきましたように、その開発目的の用地の周辺が急激に地価が上がりまして、その地価の上がりましたところへ民間の不動産業が入ってきましていかなりの利益を受けているということは御指摘のとおりだろうと思います。したがって、私どもはそういう従来の土地開発の仕組みをかなり根本的に変えたいという気持ちをもって今度の国土総合開発法をつくったつもりでおりまして、まだ欠陥もあるのかもしれませんが、従来の方法に比べますとかなり改善したつもりでおります。  それは、まず第一は特定総合開発地域という、開発を進める地域におきましては地価についてその影響が及ぶ範囲までその地域指定を広げておきまして、その間の土地取引に関して行政的な干渉をしたいということをいっておりまして、開発利益が地域に還元できる、あるいは均等に還元できる手法をとりたいという精神でつくったつもりでおります。それが一つ。  もう一つは、地価の凍結についての御質問をいただいたわけでありますが、地価の凍結につきましては、私ども憲法問題あるいは従来の関係法令との間をいろいろと検討調査もし、法制局ともだいぶ突っ込んだ議論をいたしまして、憲法改正をしない限り土地の私有権というものは認めるべきであるということは当然であろうと思いますが、考え方としては、今日の土地の実情を見ておりますともはや土地は私有でなくてよいのではないかという意見さえ一部には出てきておるような状況でありまして、そういう精神から、どういう形で行政土地取引あるいは使用に関して介入するかということについて検討したつもりでおります。そのときに、価格の問題と利用について、公共福祉という問題とどのように組み合わせるかということが一つ何か知恵の要るところではないかというふうに考えたわけでありまして、特別規制地域の場合に、価格を凍結するという側面と、土地のどういう利用を伴う場合に取引として許可するかという両面から考えたつもりでございまして、一般的には特別規制地域価格の凍結面だけのように報道されている面もございますけれども、実は価格の面だけではなくて、公共福祉という観点からどういう利用に値するものだけは取引許可すべきかという許可基準についてもやはり同時に御審議をいただく用意をしたわけでありまして、その組み合わせの行政上の運営がうまくいくか、あるいはそのときの行政の姿勢がどういうふうに変わってくるかということに、われわれ非常に大きな関心を持っているということは事実だろうと思います。  それから三番目に、地価の凍結を地価公示法にあわせまして全地域にしてはどうかという御指摘をいただいたように伺ったわけでありますけれども、これにつきましては、実は三年に限りあるいは五年まで延ばすことができるということを考えた議論の中の一つといたしまして、その間社会資本の整備がどうしても進むであろう、ということになりますと、その社会資本の利益を立地上受けてまいりますから、社会資本の利益を適正価格に反映すべきではないかということは一つ正論だろうと思うわけです。したがって、社会資本の整備が進みますときに、毎年とは言わないまでも、三年なり五年なりにやはり基準価格が変わっていってしかるべきではないかということも一方にあるのじゃないかというふうに思ったわけでございまして、社会資本によりまして土地の効用が向上いたしますることについて基準価格というものをどういうように見たらいいかということが議論になったことも、ある年限を切るということになった一つ理由ではないかというふうに思っております。  それから地域全体に及ぶかどうか、あるいは一部の地域にするかどうかということについての議論の過程を申しますと、異常なる地価を取り締まることによって全体の地価への政策効果があるのではないかというふうに考えたわけでありまして、一部の地価のつり上げとか地価値上がりというものは、まあことばが適切かどうかわかりませんが、かやのつり手論なんというものが一部に唱えられておりまして、一部の地域が上がりますと関連して周辺まで上がるという実態にございますから、地価値上がりの最も激しくなりそうなところを予防的に緊急に押えるということによって、全体の地価に対して影響を与えることができるのではないかという発想から、特別規制地域を、異常な事態の発生のおそれのあるところに緊急発動いたして押えることによって全国的な地価に対する政策的な効果期待し得ないかということを考えたわけでございまして、一定地域一定期間に限るということになってきました作業中の事務的な経過を御説明したわけでございますが、以上のようなことで考えたのが国土総合開発法でありまして、従来の方式でそういう制度が非常に欠落をしていたために御指摘のような混乱があったということは事実でありまして、それに対して国総法をぜひこの国会で御審議いただきたいと思いますし、さらに国総法以上の制度についても引き続き私どもとしては勉強してまいりたいというふうに考えておるわけであります。
  17. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 いまお話に出ていました一部か全部かという問題ですね。さっき私も申し上げましたように、第一セクターなどを介してやられた従来の開発方式というのは、大手の企業に対して安い土地を提供する機能を果たしたということにしかならなかった。したがって、いま私権制限というものが、先ほどの高橋局長説明のように、公共福祉に合致するならば現行憲法上許されるということになりますれば、これは一部という議論ではなくて、全体の地価をやはり一定の線で凍結をして、しかし現行憲法私権をすべて制限するというわけにはいかぬのですから、そこでは売買は行なわれる。しかし現行憲法上の公共福祉というこの線に立てば、その売買の基準は適正なる価格で。その根底は何かということになると、今日の社会では安い住宅地、たとえば住宅公団が、大都市圏において住宅困窮者が非常に多い、そこで公団住宅をもっともっと建てたいが、土地確保ができないのです。これなどは明らかに公共福祉にのっとった政策目的が達成されないという状況になっておることの端的な証明だと思うのです。そうなると、ある部分を一定政策目的で凍結をするというのですが、従来は大手企業に対して安い土地政策が介在して提供していくということの機能しか果たしてこなかった。そこで、やはり全面的な凍結という方向をやらなければならぬ。その上に立って、現行憲法上のたてまえもありますから、土地の売買を許可制にする。その基準はさっき私があげました、たとえていえば三つの観点、安い住宅地公共用地確保あるいは環境保全、こういう基準に従ってどんどん許可をしていく。これは私は現行憲法上十分、憲法改正をやらぬでも保障されておる限界だと思うのです。高橋局長、あなたの答弁は私はさっきそういうふうに受け取っているのですが、どうでしょう。
  18. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 先生いろいろ御質問でございますが、先ほど私申し上げましたように、抽象的に申し上げたわけでございますが、公共福祉に適合するということであれば、法律でこれを定めて制限はできるわけでございますけれども、先ほども申し上げましたように、これがそういう政策効果というもの、公共福祉を実現するためのものであるかどうかということ、これは非常にむずかしい問題でございます。その政策効果がどうであるかということと同時に、そういう政策をとった場合にどういうような社会経済上の影響なり混乱が起こるかということを十分に考えまして、そういうものも総合的に判断しなければならないということを申し上げておったわけでございまして、たとえば先生の御提案のように、全国的に地価凍結制度というものを設ける、これは一つの御提案であろうかと思います。そういうことになりますといま考えられますことは、一つは現在の宅地の需給関係をそのままにしておいて、そうして地価だけを凍結する、いわゆる市場性というものは持たせない価格できめてしまうわけですから、そういうことになりますとこれはいわゆる経済上は二重価格になるわけであります。いわゆるやみ、これはすでに物価統制令のもとにおきましてはそういうものがたくさんあった、そういうようなやみの価格になるということで、実質的に需給のバランスというものがとれてないという状態になるわけでございます。  それからまた、そういう価格が市場性を持たない価格で固定されるということによりまして、民間から供給する、そういうものが非常に少なくなる。ほかの物価はそのままで土地だけ価格が固定されるわけですから、民間といたしましてはそういうようなことはこれは企業としてはあまり成り立たない。したがって意欲も起こってこないわけです。そうなりますと民間が積極的にこれを供給しようというようなことはなくなる。   〔委員長退席、渡辺(栄)委員長代理着席〕 これは、そういう供給市場というものがストップするということになるわけでございますから供給が非常に少なくなってくる。ただし、そうなればそれでは公的なもので供給をふやしていったらどうだということになると思います。現に戦争中の物価統制令その他いろいろな物価統制をしておる時代におきましては、そういうことで公的な機関で生産しこれを供給したということがあったと思います。そうなりますと、これも一つの手でございましょうけれども相当な組織、人員を要します。同時に、公的なものが土地を取得しなければいかぬわけです。民間はこれを供給する、これを出すという、そういう意欲が全くない。積極的に公的なものがこれを取得するという努力を相当しなければいかぬ。努力はするにいたしましても、これは相当に国家権力というものを背景土地取得を強力に進めなければ取得はできないという問題も起こってきます。同時に、この問題につきましては、そういう土地を取得し造成し供給するということだけではなしに、すべてそういう土地を今度は配分まで公的な管理に置かなければいけないということになるわけです。これは戦時中におきましてもいわゆる割当配給という制度が行なわれました。これはなぜかといいますと、結局土地についてのそういう市場メカニズム、価格メカニズムというものがなくなるわけでございますから、すべて価格は固定されます。そういう市場性というものは全くなくなるわけでございますから、どうしてもそういう管理、配分まですべて公的なものでやらなければいけないということになるわけです。これは戦争中にはそういうことをやったわけですからできないことはないと思いますけれども、それがはたしてほんとう国民の幸福につながるかどうかという問題も十分に考えなければいけない。そういういろいろな問題を慎重に検討をして総合的に判断をして、そうして全国的に地価の凍結がはたして真に公共福祉になるかどうかということを検討しなければならない。そういうもとに判断する必要があるということを先ほども抽象的に申し上げた次第でございます。  それから、ついででございますけれども、この前からの御質問の中で、地価公示がなぜそういう市場性を持たして上昇する価格になってくるかという御質問がございます。これは、この前から申し上げておりますからその点については詳しく申し上げませんが、現在地価公示をそのまま、たとえば五千五百地点、来年にしましても約一万五千地点でございますが、その地点だけの価格を固定いたしますということになりますと、他との不均衡の問題も起こってくる。それこそ、憲法二十九条の第三項に対して、公共の用地を取得するにはこれを規準にしますから、ほかの人より安い価格で公的に取り上げるということになりますとこれは問題になるということを申し上げておるわけでございまして、全くそういう市場性をなくして、全国的に地価を固定させるということが、はたしていまのいろいろな判断からどうであろうか。そういう政策がかりに取り上げられるならば、地価公示というものは要らないわけであります。もう一つ地価公示制度について、先生もさっき申されましたようにかりに全国的なものでこれを固定するとしましても、いつの地価で、どういう価格で固定するかという問題があるわけであります。基準価格の問題、その問題のときに、地価公示制度を全国的に基盤を整備しておけば、かりにそういう議論が起こったときでもそれが役立つということがいえるわけでございます。これはつけ足しでございますが、あわせて申し上げます。
  19. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 高橋局長、私は議論をしますけれども、さっき言ったとおり、開発行為を行なう場合、第一セクターなどは大企業に対して非常に安い土地——私のところなどでいうと、大体三・三平米、整備したもので一万ちょっとくらいでどんどんできます。土地需要はどんどん出ますから、民間はその周辺を四万、五万でどんどんやらざるを得ない、こういう状況が起こってくる。公共福祉という名においてある一定地域だけを指定して、それは第一セクターなどが介在して、大企業には非常に安い土地を提供するということになる、そういう機能を果たしているわけです。一般国民のほうはどんどん値上がった土地でやっていかざるを得ないという状況が起こっている。これは不公平じゃありませんか。現行憲法上、公共福祉というものが根底になるならば、国民のほうも大手の企業のほうも、やはり同じように保護されなければならないと私は思うのですよ。従来の開発という名の政策が機能するやり方は、誘致される大手企業等に対してはものすごい安い値段で土地確保されて、民間のほうはものすごく高い土地を手にせざるを得ない、こういう状況になってきている。こんなことは実際、現行憲法上おかしいと思うのですよ。もっと公平にやられなければならぬ。そういう意味で、一部という名前をかりながら実際は大手企業に対して安い土地を提供する機能を政治が積極的に果たしているわけですね。この点を私は指摘しておきます。  そこで、時間がありませんから、農林省はおいでになっておりますか。——二月の末だと思いますが、私は岡山県へ行ってきました。あそこの備中町西山地区という、二百戸ちょっとくらいが点在する集落の地区、この地域の二百戸余りの方々が千七百ヘクタール余の山林原野、たんぼ、畑などを持っておる。ところが四、五年前に備中町当局と丸紅飯田が連合して、千七百余ヘクタールの、二百二十戸くらいだと思いましたが、その地域の皆さんの持っておる所有地のうち八〇%を丸紅飯田に売ってくれ。三・三平米平均百円くらいにしてくれ。山林原野、たんぼ、畑、一切込みで百円くらいにしてくれ。八〇%の千四百ヘクタールという計画でこの買収に乗り出したのです。現在この買収計画がどこまで進んだか、買収がどこまで行なわれているか、ちょっとお伺いしたい。
  20. 小山義夫

    ○小山説明員 御指摘の岡山県の備中町西山地区で丸紅株式会社が、約千三百ヘクタール余というふうに聞いておりますが、その程度を目標として、備中町当局が関与して、土地買収の交渉を進めているということは私ども聞いてございます。それがどの程度の面積、あるいは対価で現在まで進んでいるかということについては、私ども必ずしも的確に承知をしておりません。この中に農地がごく一部でありますが含まれております関係上、農地転用の本審査の前に事前審査という手続がございまして、これが出てまいりまして、ただそのときの内容が、かなり広範囲のものでございますし、転用計画内容が必ずしも的確でないというふうなことから、もう一度考え直せという措置をとったことがございます。それは昨年の六月の時点でございます。その後、丸紅株式会社のほうでいろいろ検討をし直した結果、昨年の秋十月に、面積をずっと縮小をいたしまして、大体の事業用地が百二ヘクタール、その中に含まれております農地が十三ヘクタールということでございますから、約一〇%くらいの農地が含まれておるという形で農地転用の事前審査が出てまいりました。その内容は、初めに出てまいりましたときには分譲別荘を中心といたしまして、その他のキャンプの施設であるとかゴルフ場だとかいうことが総合的に入っておったわけですけれども、二回目に出てまいりましたときには、その内容はゴルフ場にしぼられておる。ただ、その内容はしぼられてきた内容ではございますけれども、経緯から見ますと全体の中の一部分ではなかろうかということもありますし、関係する農家の今後の生活問題がどうなるかというふうなこともございますので、いま県当局の意見も聞きながら審査中、こういう段階でございます。   〔渡辺(栄)委員長代理退席、村田委員長代理    着席〕
  21. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 約千七百余ヘクタール中、その八〇%の千三百六十ヘクタール程度を買収したいということで乗り出していったのです。私の調査では、ちょっと表に出ておらぬ部分がある。たとえば山林原野などは買収がそのとおりどんどん進んでいくようです。ところが農地になると、丸紅飯田が農地を取得することは簡単にいきませんので、実際上は売買の約束をして、売買予約か何かの形態で金はすでに支払われている。したがって、その白紙委任状か何かを町長の手元に関係者の皆さんが出しているという部分が相当ありますから、千三百ヘクタールの、全関係者の所有地の八〇%買収計画というものは、現在の計画で一千ヘクタールまでいっているかどうかという段階だと思います、実際のところは。表で登記までみんな済んでいるのはもっと少ない、いまのようなかかわりがありますから。しかし委任状が町当局に出ておるものは千ヘクタールくらいまでいっているんじゃないかということを現地では言っておりました。  そこで私が問題にするのは、三・三平米当たり百円で込みでやってくれ、したがって山林原野等になりますと坪当たり何十円という値段、それからたんぼなんかになりますと、三百坪、一千平米で大体二十万ぐらいでずっと買収をしておるようなんです。そして、この皆さんの八〇%の土地は丸紅に売りなさい、そのかわりこの皆さんに対して将来就労の機会を保障する。たとえばゴルフ場をつくったならば玉拾いにさしてやるとか、あるいはあのあたりにセカンドハウスか何かをどんどんつくる、そういう場合にはハウスキーパーとか、そういうことでいろいろなことをやらしてやるとか、あるいはクリ園のような——これは農林省から構造改善事業か何かで相当補助金を出して百ヘクタール余のクリ園を農家の皆さんはやっている。このクリ園はそのまま丸紅飯田が引き取って、そしてそのクリ園で働く皆さんに賃金を保障する。その他いろいろな施設をつくってそこへ就労の機会を保障するから、三・三平米で込みで大体百円くらいで売ってくれというのが話の発端であった。当初は就労の機会を相当保障しました。ところがそれ以降、関係者の所有地の八〇%、千三百六十ヘクタールの買収計画がなかなかそのとおりは進まぬから、計画が思うようにいかなかったからという理由で就労の機会を保障しなかったというところから実は問題が始まったのです。私が問題にするのは、ちょうどこの買収計画に乗り出したころに中国高速自動車道の計画が立てられたんです。この地域の西山地区の周辺に東城なんとかというインターチェンジが設置されるということもきまった。そこで中国高速道の計画がどんどん進むにつれて、その当時坪当たり百円で込みで買い上げたというそのあたりの土地の値段がぐんぐん値上がりをしておるのです。したがって、坪百円で買った丸紅はいまやそこで何百億の資産を確保したということになってきている。  そこで私が農林省に問いたいのは、構造改善事業で補助金を出し、融資をした部分があるんですね。いまこれをやめたいということで、構造改善事業の補助金も返還したいという申し出が備中町のほうから農林省にきておると思うのです。この扱いはどうなさっておるのですか。おわかりですか。
  22. 小山義夫

    ○小山説明員 この備中町の西山地区にはクリ園を造成をして、農業面での新しい活路を開くというような趣旨で、昭和四十一年度から四十三年度までクリ園の造成事業をやる。そのあと上ものの施設を一年間でつくるという事業を構造改善事業でやっております。それの補助金の取り扱いにつきましては、先ほど申し上げましたその農地の転用許可を認めるかどうかということがまず先行するわけでございます。その場合には諸般の事情を総合的に勘案をいたしまして、もちろんその中にはただいま御指摘の、もし転用許可をした場合には関係の農家の人たちの今後の生活がどうなるかというふうなことまでひっくるめて勘案をして、転用許可の許否をきめるわけでございます。その結果、もし転用許可をするというふうになりますと、そのあと、それでは構造改善の補助金をどうするか、こういう話が出てくるわけでございます。もし転用許可をいたしました場合には、そういうふうに仮定をいたしますと、かつて出しました国庫補助金は当然返してもらう、こういうことに相なると思います。
  23. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 時間がありませんので、これは別の機会でもっとやりますが、許否をきめるというのは、拒むことをきめるのじゃなくて、許すかいなかをきめるということですね。その許すかいなかはどうなるのですか。補助金を出してクリ園をやらしたのです。丸紅飯田はここで村ごと全部安い値段で買い占めてしまったのです。そのかわり皆さんには就労の機会を保障するという話なんです。この皆さんは土地をみんな取られてしまって、あれから四年、五年たっているのですが、いま出かせぎしか手がなくなってしまっているんです。許否はどっちにするのですか。
  24. 小山義夫

    ○小山説明員 原則としまして、公共投資をやりました土地は転用許可の対象にはならないというのが原則でございます、当然第一種農地でございますから。ただ、いま出ておりますのは、先ほど申し上げましたように千数百ヘクタールということではなくて百ヘクタールで、その中に含まれております構造改善事業の対象になりましたクリ園は一・七ヘクタールだけがちょっと端っこのところで入っているというふうなことでございます。それでも厳格にいえばやはりそこは第一種農地ではないかということになるわけでございますけれども、全体の土地のきわめて一部分、一%程度のものでございますので、その場合には全体のその地域開発計画がどうなるか。さらにここで問題になりますのは、備中町、特に西山地区といいますのは、先生もさっき現地に行かれたというお話でございますので御承知だと思いますけれども、県下第一の過疎町村でございまして、いろいろな調査の資料を見ますと県下の中で一番過疎の比率が高くなっている。備中町当局がこの問題に関与しておりますのも、過疎の自分の町をどういうふうにしていくかという打開策と、たまたま丸紅株式会社が持っておりましたプロジェクトが結びついたというふうな経緯にあるように推測をされるわけでございまして、これからのこの町の再建といいますか開発のしかた、住民の人たちの生活の持っていき方との関連で考えなければいけないのじゃないかというふうなこともございます。ただ、私ども農林省が直接東京で判断をするにもなかなかむずかしい点もありますので、目下県当局、知事等の意見を聴取しているというふうな段階でございます。
  25. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 そこで、確かにいまゴルフ場にする部分が一・何ぽかクリ園にかかった。ところがクリ園というのは、農民がちゃんとおって、そして計画を立てて、構造改善事業で補助金をもらって、融資を受けて始めた百ヘクタール余のクリ園があるわけですね。このクリ園というのはいま実際は丸紅飯田が経営しているのです。実際は丸紅飯田が経営して、農民は丸紅飯田へ何名か就労して賃金をもらっているという形態になっているのです。これは法的立場からいうと合法なんですか、違法なんですか。
  26. 小山義夫

    ○小山説明員 どうもその実情を的確に私も把握できておりませんけれども、丸紅株式会社が直接農地の所有権ないし使用収益権を取得しているということは、御承知のように農地は株式会社に権利の移転を認めておりませんので、そういうことはあり得ない。もし万一あれば、そういうのは権利の設定なり移転そのものが法律上無効でございますので成り立たない、こういう農地法の仕組みにもなっております。ただ、先ほど先生の御指摘もございましたが、土地の八割を買収して二割は農家の手に残すというふうなことで、これは私も新聞の報道で読んだのでございますけれども、それで農家の手にどのくらいの農地部分が残されておるか、あるいはそのクリ園部分が残されておるか、丸紅が開発しようとしているのは山林原野のどの程度であるか。おそらく農地としてかなりいい部分が農家の手に残るような地割りをしているのじゃないか。これは想像でございまして的確には把握できておりませんけれども、そういうこともありまして、農家自身の手元に残されるクリ園の予定地が経営されているということは考えられますけれども、丸紅自体の手にその農地が移ったということはちょっと農地法上も考えられないわけでございます。
  27. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 これは答弁要りません。あとでまた農水かどこかへ行ってやりたいと思いますが、クリ園も丸紅の経営になっちゃっているのです。農民はそこへ何名か行って、千何百円かの賃金をもらっているのです。それから同じような牧場があるのです。これも丸紅飯田が経営している。農民はそこへ行って労働者になってしまっているわけです。表向きは丸紅飯田のものにまだなっていないのですけれども、農民は町長のほうに白紙委任状を全部取られて金をもらっているという状態なんです。ところが地価はどんどん上がって、ある場所は一万円をこえましたと現地で言っておりました、中国高速道がそこへ通ってきますから。百円で取った土地が間もなくある部分は万をこえて、ある部分は四、五千円になった、こう言っているのですよ。  そこで、この土地対策という根本の問題は、いまの地価公示制度のようなワサビのきかぬことを幾らやっても根本の解決にはなりませんぞ。きかないものに膨大な銭をかけてもむだじゃないか。きかすというならば、確かに私も前提として、土地対策地価公示制度、それだけではどうにもならぬ。そうすると、憲法のかかわりもあることは私も百も承知、しかしここでは、公共福祉に適合する限り、政策課題を設定するならば、地価の凍結も、売買を一切禁示するということではないのでありますから、一定の値段で売買は行なわれる。その売買の許可基準というのはいま言ったとおり公共目的とか環境保全とか安い住宅地とか、この限りにおいては自由に許可されていく、これが十分に現行憲法の精神に合致する、こういう認識なんです。この基本のところを踏まえないと、この地価公示制度をどんなに広げてみてもこれはもはや全然ナンセンスだ、こういう判断に立つのです。したがって、土地対策のその根本のところを大英断で踏み出すのかどうかということを私は最後にお尋ねをしておきたいと思います。
  28. 金丸信

    金丸国務大臣 先生のおっしゃられることも私も十分わかります。また土地は商品でない。またいまの時点においてこの住宅問題等を踏まえて考えますと、相当な英断をもってやらなければならない。地価公示法はそれ以外にもいろいろな目的があるわけでございますが、これも土地対策一つの大きなつっぱりになるようなことを考えなければつくっている意味もない。画竜点睛を欠くということになってはならぬ。そういう意味でひとつ私も先生のおっしゃられる精神を十分いただきまして、今後——国総法やその他いろいろの問題で解決のつかない問題があります。それだけでは解決つかないので、なお一段と、土地公共のために優先すべきであって、私有権はあくまでも抑制さるべきである、こんなような考え方で進んでまいりたい、こう思っております。
  29. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 いまの大臣答弁は、私、大賛成です。土地はあくまでもその私有権は制限されるというそのあれに大賛成です。高橋局長のさっきの御説明は、あくまでもは制限されないのですよ。それから下河辺さんのさっきの説明も、あくまでもは制限されなかったですね。部分部分だけ制限する。部分部分だけの制限は端的にいって、さっきも申し上げましたとおり、従来第一セクターなどが開発などに果たしてきた役割りは、全部政治が介在して土地を大企業に安く提供するという機能しか果たさない。いまの国総法だって同じことになりますよ。私はそういう意味で、いまの大臣答弁ならば大賛成なんです。しかし下河辺さんの意見も高橋局長の答弁も、相当程度は私の意見に賛成かのごとき態度を示しながら、依然として土地は商品である、自由取引である、この前提から離れてなかったですね。したがって、いまの大臣答弁のようにここで大英断をふるう、この前提がない限り、私ども地価公示法はむしろ廃止をすべきだ、こういう見解を持っておるところなんです。以上申し上げまして、私の質問を終わります。
  30. 村田敬次郎

    ○村田委員長代理 松浦利尚君。
  31. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 地価公示法に入る前に事務当局にお尋ねをしておきたいのですが、非常に地価に対することばづかいがあいまいなところがあるのです。相続税法では土地問題については「時価」という表現を使っております。それから固定資産税では「適正な時価」ということばを使っておるわけです。公示法では「正常な価格」という、こういう日本語が使われておるわけですが、時価、適正な時価、正常な価格というものは一体どういうことなのか、その点をひとつお答えいただきたいと思います。
  32. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 ちょっといま手元に相続税法及び地方税法がございませんので正確に見てないわけですが、固定資産税につきましてもこれは「時価」ということになっておるわけです。ただその時価は台帳価格ということになっておるわけでございますが、そういう意味におきまして固定資産税は時価、それから地価公示は「正常な価格」でございますけれども、この正常な価格というのは、この前から御説明申し上げておりますようなことで、結局はこれは交換価値、しかしその中の仲値と称するものでございますけれども、交換価値でございます。交換価値、これはやはり時価であるわけでございます。そういう意味におきまして、法令上はそんなに違いはないというふうに私ども考えております。
  33. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 局長、そういったことが公示価格では非常に問題になるのです。  そこで、この公示価格の問題については、いま阿部委員からも御指摘がありましたように、この公示価格あるがゆえに土地価格を上昇させる、極端にいうとこの公示価格はプライスリーダー的な役割りを働かしておるわけですよ。だから逆にいうと、今度三三%も公示価格が上がった、これがプライスリーダー、引き金になりまして、そして全体的な地価上昇というものを生み出すのです。だから極端にいうとこれは土地価格についての歯どめにはならないですね。もっと具体的にいうと下方硬直的な土地価格というものをこれでつくり出していくのだ、最低がこれですよ、そういったものにしてしまうという懸念がこれまで出てきておるわけですね。そのことは局長お認めになりませんか。
  34. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 御質問の御趣旨は、一つには、この地価公示によりまして地価がむしろ上がっていくのじゃないかということと、もう一つ、またそういうことによりまして最低の地価になつていくのではないかというようなことでございましたけれども、現在の地価公示の評価、どういうふうに評価するか、その表示するものは何であるかということは、再三申し上げたとおりですから簡単に申し上げますが、正常な価格だ、つまり極端に高いものその他そういう特殊な動機のものは排除していくわけです。それからいろんな計算のときに、絶えず取引価格というものは制限しておるわけです。そういう意味におきまして、チェック材料は従来からいろいろあるわけです。ただし最近のように非常に地価の上昇が激しい、需要が非常に多いという、需給のバランスが大都市地域で非常にくずれておるところにおきましては、先生のおっしゃるようにこの目安となるところの地価公示を非常に上回る取引があるということは、私どもまことに残念であるわけでございます。
  35. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 ですから大臣地価公示というのは、この法律土地対策の中では、極端にいうと政府土地価格を、ここは幾らくらいですというただ目安を与えてやるだけで、それに付随した土地政策なり、それに付随した土地価格、法的な意味土地価格といったものが存在しない限り、国民が、いま土地が高くなってくる、暴騰しておるじゃないかというものに対しては何の歯どめにもならない、何の役割りも果たしておらない法律だというふうに規定されてもこれはやむを得ないと思いますね。大臣もそう思わないですか。これだけではもうどうにもならぬ、そういう状態だというふうに認められますか。
  36. 金丸信

    金丸国務大臣 地価の追認をしておるという感じは、一応この委員会でもいろいろお話がありましたので、私もそういう感じがいたしましたから、追認ということであるなら土地対策にはならない、そういう話も局長としたことがあるわけですが、この地価公示法土地対策以外にも相当重要な面も含んでおるわけでありますし、この土地対策の中でも、これから御審議いただく、きょう提案されました国総法の問題等について関連をしてまいりますので、一つ関連性が出てきて効果もあるだろう。しかし、先ほども申し上げましたように、これで全きを得ているとは私も感じておりません。
  37. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それは大臣、高度経済成長、企業の成長というのは、土地を担保にする信用貸しによって実は企業の成長というのが出されてきておるわけですよ。いまここで、たとえば土地価格を凍結してしまいますと土地の信用価格が落ちる、ということは極端にいうと信用恐慌を来たすわけですから、経済界に大混乱を与えるわけですね。ですから逆にいうと、いままでの経済成長、いままでの政府のとってきた施策というのが、土地というものを担保にして通貨の膨張をし、その通貨の膨張によって経済の成長がなされてきたんだ、そのことを私は否定できないと思うのですよ。だから、国民の世論の前に、一応価格はこれでございますよという一つの目安的なものは出すけれどもほんとう土地そのものに対して国民の立場に立って凍結をするとかなんとかという考え方は出てこないわけですね。極端にいうと、土地を担保にする通貨の膨張でありますから、信用の膨張でありますから、いまかりにNHKならNHKのあの土地ですね、あれをこれだけしかありませんよといってばたっと価格を落としてごらんなさい、もう明らかに経済恐慌を来たすわけですから、信用の下落を来たすわけですから、そういった意味で私は、今日までの経済成長が狭い国土土地を担保にしてふくらんできたところに、今日までの土地政策の誤りがあったと思うのです。経済政策の誤りがあったと思うのです。全部だとは言いませんが、経済政策の誤りの問題というのはそこにあったと思うのですね。だから具体的に土地対策に手が出せないという状況だと思うのです。そのことについて大臣の感想を聞きたいと思うのです。
  38. 金丸信

    金丸国務大臣 会社の担保物件は土地である。私も会社を経営いたしたことがございますが、会社におきましては、会社のいろいろな内容によって違うわけですが、機械が入りますし、あるいは建物も入るし、あるいは生産された貯蔵物も入る。  こういうようなものもあろうと思いますが、しかし土地がその一つであることは間違いないことだと思います。先生御指摘の面もあろうと私は思うわけでございますが、地価公示法というものは一つの目安でもありますし、一般国民の目安でもあります。また公共事業推進の用地価格の規準にもなるということで、また固定資産税あるいは財産相続税というようなものについての三本立てというようなものを、いま地価対策閣僚協議会でこれは一本にすべきである、こういうような考え方もあるわけでありまして、そういうものも相まっていくところに今後の成果があがっていく、こう私は考えておるわけでございます。
  39. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 大臣地価の上昇というものが新たな信用をつくり出して、そうしてその信用によって経済成長が進んでおる、その経済原則をお認めになりますか。そういうことをしてきたという経済行為は認められますか。
  40. 金丸信

    金丸国務大臣 そういうものは一応あったと思います。
  41. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それで、これは局長でけっこうでありますが、昭和四十四年に土地税制がしかれました。分離課税という形になったわけであります。個人からどんどんと土地を放出させるということで。御承知のように昨年度の所得番付でも、国税庁から発表された内容によりますと、十人のうち九人は土地の売買でもうかった人。確かに土地を売買することによって所得番付に顔を出すくらいの所得を得た人が一方にありますね。それでは昭和四十四年にやった土地税制で、分離課税によってどれだけの土地が放出されたのか。少なくともこういった税制をやるときには、土地を供出させるという前提に立って優遇措置をとるわけでありますから、だとするならば昭和四十四年以降今日までどれだけの土地がこの税制によって放出されたのか。そういうデータがなければ、そういうものを把握されなければ、私は土地対策ができないと思うのです。ただ所得番付でこれだけの人が銭もうけたぞという発表だけでは国民は納得しない。昭和四十四年の税制以降一体幾ら土地が放出されたか、どれだけのものが出てきたかというその点を把握しておられますか。
  42. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 御質問の御趣旨は、四十四年の税制の改正によります個人の譲渡所得税の軽課——重課のことについてもありましたけれども、軽課の措置でございますが、あれは土地の供給を促進するという意味でつくられたのは御承知のとおりでございます。それによりまして、先生の御指摘のように相当量個人の手から売却された、譲渡されたということは言い得ると思いますが、その量につきましては、私ども大蔵省といろいろ話し合っておりますけれども、大蔵省も把握していないようでございます。ただ、毎月相当量放出されたと思いますが、問題は、おそらくそのときに法人につきましても同じような重課の措置だとか何かございましたならば、先生がおっしゃるような、これが最終需要者だとかなんとかに渡らずに法人に渡って、法人の土地ということになっておるということは避けられたと思います。それを是正する意味におきまして、今回の法人の土地譲渡所得税の重課というものができたのでございます。  それから先ほどの相続税と固定資産税の評価基礎の問題、いまわかりましたので申し上げますと、私が申し上げたとおり、相続税は二十二条で「時価」となっております。固定資産税は地方税法三百四十九条で「適正な時価」ということになっております。   〔村田委員長代理退席、委員長着席〕
  43. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 大臣、私はいまの土地対策というのは、いまもちょっと局長からお話がありましたように、昭和四十四年に土地を供給するための手段として優遇措置がなされたのです。わかっておるのは優遇措置をされた人だけがわかっておる、幾らもうけたかということだけがわかっておる。そのために幾ら放出されたかというのは全くわかっておらないところに、政府が口では土地対策をやる、やると言っておるけれども、やっておらない姿が出てきておると私は思うのです。幾ら出てきたのか。  それで、私はもっと具体的に質問させていただきたいと思うのですが、実は公明党も民社党も共産党もそれぞれ地価については調べておられます。土地についてはどういう状態かというのを調べておられるわけです。わが党も実は政策審議会のほうで土地を首都圏、近畿圏等も含めて調べたのです。これは新聞にも発表したところですから御承知だと思うのでありますが、大体首都圏で二十社により九千六百五・五ヘクタール、近畿圏で二十九社により八千四百九十一ヘクタール、これだけのものが実は法人によって買い占められておるわけですね。これを平均二百平米の土地で建てるとすれば、この首都圏だけで九十一万戸建つのです。二百平米の土地で九十一万戸建つわけです。しかもこの市街化区域における第一ランク、開発適地面積が何と四一・一%含まれておるのです。これはわが党の調査です。共産党、公明党、民社党、それぞれ調査をしておられる。再三にわたってこういう数字は国会で議論されておる。それではいまこの首都圏なら首都圏に限定して、住宅が建つ可能地というのは一体幾らあると見ておられるのか。これほど土地問題が問題になっておるのですから、法人の土地譲渡所得に対する重課その他と言っておられますけれども、そういうことをする前に、一体どのくらいのものがこの首都圏にあると把握しておられるのか。そういったものがなければ私は土地対策はむずかしいと思う。一体首都圏にどのくらいあるのか、その点をひとつお聞かせいただきたいと思う。
  44. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 いわゆる首都圏、東京圏一都三県について申し上げますと、その中の市街化区域が三十一万ヘクタールございます。その中で、すでに市街化されたものが十七万ヘクタールでございます。したがって残りが十四万ヘクタールでございます。これが全部宅地化されるということはもちろんむずかしいわけでございまして、その土地のいろいろの状況で、すべてができないわけでございます。住宅公団で航空写真で数年かかって調査したものがございますけれども、この東京圏の中で東京二十三区と横浜の三区につきましては一ヘクタール以上、その他の地区では三ヘクタール以上という調査をいたしました。それで、これは開発適地であるということで住宅公団が調査いたしましたのは約四万四千ヘクタールということになっておる次第でございます。これは市街化区域内でございます。
  45. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 その四万四千ヘクタールは一体だれが持っておる土地か。その四万四千ヘクタールは個人なのか、この前、国会で問題になった農地なのか、あるいは法人が所有しておるのか、その点の区分はわかりますか。
  46. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 先ほど申し上げましたように、これは航空写真で地形上その他から判断してつくった資料でございまして、土地の所有者がだれかという調査はまだ行なっておりません。具体的にその場所を開発していく場合におきまして調査をいたすものでございます。現況は大体農地、それから山林原野というようなものでございます。
  47. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 結局、土地対策は、土地の現況がどうなっておるかという把握から始まらなければ私は一つも解決しないと思うのです。率直に申し上げて、先ほども阿部委員から岡山の備中町の問題が出ましたけれども、伊藤忠なり丸紅が盛んに土地を買い占めておる。法人買いによる土地というものが非常に大きいわけです。私が社会党の調査を申し上げましたが、首都圏の四一・一%近くが実は建設省の第一ランク開発適地で法人が持っておるんですね。ですから、土地対策というのは、まさしくいま必要なのは法人に対してどうするのか。法人が持っておる土地をいかにして吐き出させるか。ほんとうに、先ほど阿部委員大臣が御説明になりましたように、土地は商品にあらず、土地はもうける対象にしてはならぬのだというなら、いま当面、しなければならぬのは、この法人が持っておる土地をいかにして吐き出させるかということだと思うのです。この前、商品投機の問題をめぐりまして、丸紅の檜山社長が、自治体が必要であれば適正な価格で売ります、放出してもよろしいということをいわざるを得ないくらいに、国民の批判というのはもう法人に集中してきておるんですね。だとするなら、いま土地対策で重要なことは法人が持っておる土地をいかにして放出させるかということである。国総法とかなんとかいう問題ではこれは解決いたしません。法人というものに対してどうするのか。皆さんは農地に対しては宅地並み課税ということでやられようとして、いま参議院でこのことが議論されているんですね。ところが法人に対して、それじゃそういうものはどうするのかということについては何にもないでしょう。この際、法人がこれほどたくさん所有しておる土地に対して所管大臣としてどのような手を打たれようとするのか、ひとつ明確にお答えいただきたいと思います。
  48. 金丸信

    金丸国務大臣 法人が持っておる市街化調整区域内にある土地、もちろん市街化区域の中にあるものは当然でございますが、調整区域の中にある適地であるならば、これは当然適正な価格でこちらへいただく、公共事業がいただくというようなことにすべきである、こういうことで、それについてはあくまでも強い考え方で進んでまいりたい、こう思っております。
  49. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 私はたいへん差し出がましいことを申し上げるようですが、商品の投機問題で買い占め売り惜しみがあったときに、通産大臣は商社の代表を呼びつけた。そして資料を出させた。そうなってくると、この際、首都圏に法人が持っておる土地について、一番住宅に困窮しておるこの首都圏の土地問題に対してこれを世間が問題にしておるわけですから、そういった法人組織の代表を呼びつけて、そして資料を取って、その目的も、ただ投機的に価格が上がることをねらって持っておる土地、そういったものに対しては、私はいま建設大臣が言われたように、きびしく供出させる、これくらいのきびしい姿勢がなければ、土地の買い占め行為というものは、ますます土地値上がりすることによって信用が、担保権が上がっていくわけですから、私は土地問題というのが解決してこないと思うのですが、そういう英断をやるお気持ちがあるかないかをお聞かせ願いたいと思います。
  50. 金丸信

    金丸国務大臣 大手企業にその持っておる土地の名簿といいますかを提出を願いまして、十分誤解のないように話し合いでこの問題を解決したい、そうして先生の御期待に沿うようにいたしたいと思います。
  51. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 大臣が答弁されたとおりでございますけれども、昨年の五月に私ども調査いたしましたその資料ももちろんこれはいろいろ使えると思います。またことしの一月にも私、不動産協会の幹部を呼びまして、すでにそういう土地についての調査方を依頼し、そしてそれについてはわれわれの手元にも参っておるわけでございまして、具体的にそれを住宅公団等に示しまして、目下いろいろ検討いたしておる次第でございます。その点につきまして、昨日も不動産協会が土地に対する資料としてまとめたものもございます。そういうふうに、私どももなお今後もそういうものについての実態調査を進めまして、その中で、水だとか交通だとかその他そういう条件について地方公共団体と話し合いのつくものにつきましては、どしどしこれを公的機関で開発していきたいというふうに考えております。
  52. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 私は、いま大臣が大手法人を呼んで供出するようにきびしく要請をする、そういう御発言でございますから、ぜひ思い切った手を打っていただきたいと思うのです。そうしなければこの問題は解決しないということなんです。  そこで私は宅地並み課税についてちょっと御質問しておきたいのですが、宅地並み課税の効果として、いまかりに三・三平米、一坪二十万円の土地を個人で買って家を建てられるとお考えになりますか。その点、局長どうでしょう。この前、宅地並み課税をあれだけわんわん言って騒いで通しましたね。A農地、B農地でやりましたけれども、しかし実際に三・三平米二十万円の土地を個人がお買いになると思いますか。個人が買えなければ結局また行き着くところは法人じゃないですか。その点ひとつお聞かせいただきたいと思います。
  53. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 先生の御指摘の、いまの仮説の例の坪二十万円ということになりますと、これはとうてい個人で持ち家というものは非常にむずかしいだろうと存じます。しかしながら、こういうものにつきましては公的な賃貸住宅というものによりまして、住宅困窮者にこれを賃貸するという方法で円滑に住宅を供給する方法があろうかと思います。
  54. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 今度発表になりました公示価格が坪五万円のところが大体二十万円なんです。公示価格が五万円のところは大体四倍の二十万円で個人売買のときは売買されている。これは間違いないのです。ですから、いわれるところは公示価格の五万円の土地が二十万ということなのですね。五万円なら買えますね。ところが実際には私的売買ですから二十万、こういうことになる。個人では買えない。買えなければ法人が買うということになりますね。結局、つまるところは法人のところに集まっていくだけなのです。いいですか。ですから、確かに宅地並み課税によって農地を放出させる、個人に対してはきびしい措置をすることによって放出させる。いざ放出した土地はどこへいくかというと、結局四十四年の税制措置と同じように、法人のふところに入っていくだけだ。あるいはそれを個人で建てなさいということで、農家の方が個人で建てる。ある新聞記者の調査をされた、あるいは意見を聞かれた記事を私は読みましたけれども、それによると、それを売るよりも木賃アパートみたいなものをつくって八世帯か十世帯入れる。結局いま都内で問題になっておる木賃アパート的なものしか建てられない。それを建てておけば、住宅難だから入る人はどんどんある、もうかる。こういうことで政府のいう住宅計画のワクの中に入ってこない住宅しか建たない。ですから私は、税制をやるときは必ず建設省なら建設省のプランというもの、住宅対策、土地対策というもの、こういう対策で税制措置というものが出てこないと、結局その網の目をくぐって、もうかるやつだけがもうかるというシステムになってしまうと思うのです。  それで私は大臣にお尋ねしたいのですが、今度の宅地並み課税の問題にしましても、一体建設省はこれによってどれくらいの住宅が建つという見積もりをしておられるのか。実際に宅地並み課税について合い議しておられるのかどうか。そして実際宅地並み課税についてどれだけの効果があると判断しておられるのだろうか。そういう点が私は非常に疑問なんですね。いま局長が手をあげておられるようですから、局長の答弁を聞いてから大臣の御所見をお聞かせいただきたいと思います。
  55. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 先生御指摘の宅地並み課税についてでございますけれども、これは市街化区域内農地と近傍類地のところとの不均衡を是正する、あわせて土地政策に寄与するということでこういう法律が認められたわけでございますけれども、この際におきまして、私どもとしましては供給促進の効果をさらにあげるという意味からいたしまして、御承知のように、別途これの関連で、そういう農地の固定資産税の課税の適正化に伴う宅地化促進臨時措置法案というものを提出いたしておるわけでございます。そういうことによりまして土地供給をもっと促進しようということにいたしておるわけでございますが、御質問の、それではどのくらい宅地として供給されるかということでございます。これにつきましてはもちろん自治省と建設省、十分打ち合わせをいたしておるわけでございますが、どのくらい宅地化されるかということは、これは農地所有者がほんとうにそれを宅地にするかどうかという、そういうものでございますから推定はなかなか困難なものではございますが、今回の対象となります三大都市圏内の市におけるA、B農地が、これが合計面積で約一万六千八百ヘクタールであるわけでございまして、先ほど申し上げましたようにこの農地を宅地化するためのいろいろな措置を私ども考えておるわけでございます。たとえば区画整理事業を要請して、要請されたら大体原則としてこれは地方公共団体が区画整理事業を行なう。その他いろいろな供給促進のための措置がありますが、そういうことをいろいろ考えますと、その中の、一万六千八百ヘクタールの半分が大体住宅用地として宅地化されるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  56. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 大臣、自治省と建設省とで打ち合わせして大体それくらいだという推定をしておられる。ところがよく調べてみますと、農地というのは飛び飛びにこうあるわけですね。その間に法人が所有した土地が介在しておるというところもあるわけなんです。だからそういったものは、簡単に口では言うけれども、数字的にはじかれても実態にそぐわない場合もあります。だから、やはりこういったものをするときには、首都圏なら首都圏にしぼって、もっと具体的にチェックしてみたらいいと思うのです。たとえば何々区には一体どれぐらいのものがあって、そして平均でどれぐらいの住宅ができていく、所有限度はこういうものだというものを調査した上で自治省と詰めて宅地並み課税についての税制措置が生まれてこなければ、私はいい結果が出てこないと思う。朝日かどこかの新聞でしたか、書いてあった。記者がずっと、宅地並み課税が通ったあと調べて歩かれたときに、記者の意見としてそういうことが新聞に報道されたのを見たことがあるのです。私は、その場合、やはり建設省で一つのことをやるときには、土地というものは非常に重要な問題ですから、一ぺん土地の顔、現況というものを調べた上で話し合いをする。ただ頭の中で、こうして宅地並み課税をすればこれだけの土地がくるだろうということでは問題は解決しない。実需者には土地がいかないということになると思うのです。だからそういった面で大臣が、これから土地政策というのは非常に大きな柱になってくると思うので、各省にそういった税制措置の問題等も含めて具体的に詰めていかなければならぬ問題が多いと思うのですが、その点について建設省のこれからの方針を、ひとつ大臣の個人的意見でけっこうですからお聞かせいただきたい。
  57. 金丸信

    金丸国務大臣 ものごとをきめるのには一つ一定基準というものが必要ですし、それをつくるには調査も必要であるということも言をまたないと思いますし、そういう意味で、土地政策を推進する上におきまして今後十分な調査をするということで、ただ問題は人の問題等もあることですが、しかし人の問題といっておるときではない。ひとつできるだけ厳密に調査して、これこれこうなっておる、こうやるのだ、こういうような方向でやっていきたい、こう考えております。
  58. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 ぜひ調査から出発して政策が行なわれてくるようにお願いしておきたいと思うのです。  そこで、実は大蔵省の担当官に来てもらっていろいろ話をしたかったのですが、きょう大蔵委員会もあって出席できませんという御返事でした。それで建設省と話し合いをしてきめた税制ですから建設省のほうもよく御存じでしょう、こう言われましたので、大蔵省からお呼びしておりません。  そこでお尋ねするのですが、今度の土地新税でありますね。これで御承知のように土地の譲渡税がきまりました。その場合に、これは大蔵委員会で出された大蔵省の方針、土地譲渡税について政令で定める事項についての案として議論されたのでありますが、適正利益を二七%認めておる。しかもこの適正利益の二七%というのは、極端にいうと三年間で一回転をするという見方をしておるのですよ。このことについて建設省は大蔵省と打ち合わせをされたのですか、これでいいということで。
  59. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 これを定める際におきましては、大蔵省と打ち合わせをいたしたものでございます。
  60. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 局長、大蔵省と打ち合わせをしてきめられたときに適正利潤、要するに譲渡価格における適正マージン、これは二七%、それまではよろしい。しかもこの二七%の根拠が、民間デベロッパーが銀行から金を借りてきて土地を買って、造成してそれを売って、そうしてまた土地を買う、その資金回転が三年というものを前提にして二七%というものが生まれた、こういう大蔵省の説明だったのです。これは、建設省はその三年、二七%という数字を認められたのか、こう聞いているわけです。
  61. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 この二七%の算定の根拠については、大蔵省の所管でございますから何とも申し上げられませんけれども、適正利益率というものはどういうふうにしてきめるかということは、非常にいろいろなむずかしい問題点がございますけれども、この点につきましては大蔵省が原案をつくりまして、私どももこれを了承いたしたものでございますが、御承知のように、この二七%はプロジェクトごとに算定するということになっております。それから、先生おっしゃるように三年間というようなことになっておりまして、それ以上のものにつきましては、これについてまた割り増しがあるというようなことになっておる次第でございますけれども、これのきめ方にあたりまして、現実の、実際現在そういう企業がどのくらいの利益率かという問題もあろうかと思います。これを見ますと、東証の一部上場の会社の例によりますと、金業全体の営業利益率は二一・三%でございますが、宅地造成という、そういう不動産販売部門におきましては二七・六%ということになっておるわけでございます。これは御承知の経営全体としての利潤率でございます。プロジェクトごとになりますとこれは少し高くなるわけでございます。そういうことからいたしまして、大体平均よりもやや押えぎみのところで利潤率というものをきめたわけでございます。これは平均的なものをやや押えているわけですが、もっと高いものも具体的にはいろいろあるわけでございます。そういうふうなことから大蔵省はいろいろと提案されまして、私どももこれを了承したということになっておるわけでございます。
  62. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 私は、この二七%の利益率を認めて、その利潤に対して土地保有税なり課税をしていく。そうすると、逆にいうと、計算をしますと、もう時間がありませんから詳しくはまた後刻に譲りますけれども、結局土地価格に転嫁できるような内容なんですね。土地価格に転嫁をしていくというかっこうになるのです。結局実需者がかぶるということなんです。だから、土地譲渡税そのものも、実際は、メーカーが、土地を造成したものが払うのだけれども、これはもうけから吐き出すのではなくて、実需者がその分だけかぶるということになりかねないのですよ。極端にいうと大蔵省は銭金の計算だけするのです。ところが建設省というのは、土地対策土地が実需者に安くいくというところから議論すべきであると私は思うのです。そこで、大臣にこんなことをお聞きするのはちょっと悪いのですけれども、大蔵省としては、おれのところは銭を持っているのだ、建設省何を言うのだというようなことで、逆にいうと、建設省サイドからくる土地対策ということよりも、そういった銭金のほうが優先をするという形で土地新税なり税制措置というものがきまっていくのではないか。私は建設委員ですからやっかみ半分で言うのじゃないけれども、実際これを見ていきますと、どうも土地価格を安定させるための譲渡税というふうには理解できない。逆に末端価格は上がる。だからもっと建設省はほんとう国民の立場に立って、土地をもらいたいという国民に対していかに供給するかということが前提でなければならないのに、土地を持っておる者中心の税制ということになってきておるのじゃないかという気がするのです。そういうことがなければ幸いですけれども大臣、今度の土地新税だって、建設省の意見がどれくらいというか、数字的には出ないでしょうけれどもほんとうに建設省の意見が一〇〇%通ったと思われますか。
  63. 金丸信

    金丸国務大臣 企業ですから適正な利潤ということは必要であろうと思います。また、この問題について大蔵省、建設省との折衝のいろいろな中で、先生のおっしゃられるように一〇〇%通ったかということにつきましては、一〇〇%全部こちらの思うとおり通りましたと言いかねる面も私はあろうと思います。ただ二七%、こういう利益が一番末端の土地を保有しようとする人にかかっていくという考え方、それは私もそういうことはなきにしもあらず、こういう考え方を持ちます。先生のおっしゃる点は十分拳々服膺して、今後の大蔵省との折衝につきましては万全の方法で臨みたいと思います。
  64. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 これはたいへん委員長に申しわけないのですが、いま参議院のほうからちょっと呼び出しがきましたので——自治省の方にも来ていただいて、実は土地の固定資産税、その他土地新税の問題について質問したい、それを中心として保有税の問題、こういったものを含めて、最終的に公示価格そのものについての大臣の見解を承りたいと思っておったのですが、いま参議院のほうから呼び出しがありましたので、たいへん申しわけありませんですけれども、あと残されておる質問時間はわずかでございますから、委員長で御配慮いただきまして、次の機会に、一番最後でけっこうですから、あとの質問を続けさしていただくことをお許しいただきたい。私のかってでございますから、もうだめだといえばそれでけっこうですが、やらしていただきたいという希望を申し上げまして、一応私の質問はこれで打ち切らしていただきたいと思います。
  65. 服部安司

    服部委員長 理事会で適宜検討いたします。適当に処置いたします。次回は、来たる十六日水曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。    午後零時四十六分散会