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1973-04-17 第71回国会 衆議院 建設委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年四月十七日(火曜日)     午前十時二十九分開議  出席委員    委員長 服部 安司君    理事 天野 光晴君 理事 大野  明君    理事 田村 良平君 理事 村田敬次郎君    理事 渡辺 栄一君 理事 井上 普方君    理事 福岡 義登君 理事 浦井  洋君       小沢 一郎君    小渕 恵三君       梶山 静六君    澁谷 直藏君       野中 英二君    浜田 幸一君       林  義郎君    廣瀬 正雄君       渡部 恒三君    阿部 昭吾君       清水 徳松君    中村  茂君       渡辺 惣蔵君    瀬崎 博義君       新井 彬之君    北側 義一君       渡辺 武三君  出席国務大臣         建 設 大 臣 金丸  信君  出席政府委員         労働省職業安定         局失業対策部長 桑原 敬一君         建設大臣官房長 大津留 温君         建設省計画局長 高橋 弘篤君         建設省都市局長 吉田 泰夫君         建設省河川局長 松村 賢吉君         建設省道路局長 菊池 三男君         建設省住宅局長 沢田 光英君         自治大臣官房審         議官      森岡  敞君  委員外出席者         議     員 北側 義一君         自治省行政局行         政課長     砂子田 隆君         自治省財政局財         政課長     土屋 佳照君         参  考  人         (日本道路公団         総裁)     前田 光嘉君         参  考  人         (本州四国連絡         橋公団総裁)  富樫 凱一君         参  考  人         (本州四国連絡         橋公団理事)  堀  太郎君         参  考  人         (本州四国連絡         橋公団理事)  蓑輪健二郎君         建設委員会調査         室長      曾田  忠君     ————————————— 委員の異動 四月十七日  辞任         補欠選任   下平 正一君     阿部 昭吾君 同日  辞任         補欠選任   阿部 昭吾君     下平 正一君     ————————————— 四月十六日  公営住宅法改正等に関する請願外一件(柴田睦  夫君紹介)(第二七五八号)  同外一件(柴田睦夫紹介)(第二七八九号)  同外一件(柴田睦夫紹介)(第二八四〇号)  同外一件(柴田睦夫紹介)(第二八八三号)  同(柴田睦夫紹介)(第二九三三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  公有水面埋立法の一部を改正する法律案内閣  提出第一二〇号)  都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法  律案内閣提出第七六号)  住宅基本法案北側義一君外一名提出衆法第  二五号)  道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案  (内閣提出第五三号)      ————◇—————
  2. 服部安司

    服部委員長 これより会議を開きます。  去る十一日本委員会に付託されました内閣提出公有水面埋立法の一部を改正する法律案及び去る十二日本委員会に付託されました内閣提出都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
  3. 服部安司

    服部委員長 まず、提案理由説明を順次聴取いたします。金丸建設大臣
  4. 金丸信

    金丸国務大臣 ただいま議題となりました公有水面埋立法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  政府におきましては、近年における社会経済環境の変化にかんがみ、公有水面の適正かつ合理的な利用に資するため、その埋め立て適正化につとめてまいったところでありますが、特に自然環境保全、公害の防止埋め立て地権利移転または利用適正化等の見地から、公有水面埋立法の規定が不十分である旨、関係各方面からの指摘もなされているところであります。  現行公有水面埋立法は、大正十年に制定されて以来、今日まで実質的な改正は一度も行なわれていないため、最近のように、埋め立て規模大型化埋め立て地利用多様化等社会情勢に適合しなくなった面があり、現行法のワク内で行政指導を強化することにもおのずから限界がありますので、所要法改正を行なう必要があります。  以上がこの法律案提案する理由でありますが、次にこの法律案のおもな内容について申し上げます。  第一に、都道府県知事は、埋め立て免許出願事項を公衆の縦覧に供するとともに、関係都道府県知事に通知する等、埋め立て利害関係を有する者の意見を反映させる措置を拡充することとしております。  第二に、埋め立て免許基準を法定し、国土利用上適正かつ合理的であること、環境保全及び災害防止に十分配慮されたものであること等の要件を明確にすることとしております。  第三に、竣功認可の告示後十年間は、埋め立て人等埋め立て地について所有権を移転し、または使用収益権を設定し、もしくはその用途と異なる利用をしようとするときは、都道府県知事許可を受けなければならないものとし、その許可基準を明確に規定することとしております。  第四に、特に大規模埋め立て等政令で定めるものについて、環境保全上の観点からの調整をはかるため、主務大臣がこれを認可しようとするときには、環境庁長官意見を求めなければならないこととしております。  その他、追認制度の廃止、罰則の強化等所要改正を行ない、指導監督体制整備することとしております。  以上が、この法律案提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださるようお願いいたします。  ただいま議題となりました都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  近年、わが国においては、全国的な乱開発が進行しており、特に都市地域につきましては、地方中小都市地域も含め、生活環境が一そう悪化し、計画的な市街地開発が著しく阻害されております。このような現状にかんがみ、開発行為適正化をはかり、良好な都市環境を確保するとともに、大規模ないわゆる面開発事業施行円滑化をはかることが強く要請されるに至っております。  このため、開発許可対象区域の拡大、許可基準整備等現行開発許可制度を拡充強化し、また、新たに市街地開発事業等予定区域を創設するとともに、工業専用地域における建蔽率強化等措置を講ずることが必要であると考えた次第であります。  以上がこの法律案提出する理由でありますが、次にこの法律案要旨について御説明申し上げます。  まず、都市計画法改正についてであります。  第一に、開発許可制度を拡充強化することといたしました。すなわち、市街化区域及び市街化調整区域に関する都市計画が定められていない都市計画区域についても開発許可制度を適用することといたしております。  次いで、コンクリートプラントゴルフコース等一定工作物建設を目的とする開発行為についても開発許可対象に加えることといたしております。  さらに、開発許可基準として、樹木の保存、表土の保全等措置が講ぜられていること及び騒音等による環境の悪化を防止するための緑地帯等が配置されていることを加えることといたしております。  第二に、市街地開発事業等予定区域制度を創設することといたしました。すなわち、新住宅市街地開発事業等開発事業については、現行都市計画決定に先立って、区域施行予定者等内容とする予定区域に関する都市計画を定めることができることといたしました。また、予定区域に関する都市計画を定めた場合には、その後三年以内に、施行区域区域内の公共施設の配置、宅地利用計画等内容とする都市計画決定を、さらに、この都市計画決定後二年以内に都市計画事業認可等を申請をしなければならないことといたしております。  そして、その間は、建築物建築その他の行為都道府県知事許可にかからしめるとともに、予定区域内の土地所有者には買い取り請求権を付与する等の措置を講ずることといたしております。  次に、建策基準法改正についてであります。  第一に、工業専用地域における建蔽率につきましては、従来一律に十分の六であったのを十分の三、十分の四、十分の五、十分の六の四つに分けることといたしました。  第二に、製造施設等一定工作物について用途地域制度を適用することとし、このため建築主事の確認を要することといたしました。  なお、この法律は公布の日から起算して一年をこえない範囲内において政令で定める日から施行することといたしました。  以上が、この法律案提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  5. 服部安司

    服部委員長 以上で両案の提案理由説明聴取は終わりました。     —————————————
  6. 服部安司

    服部委員長 次に、去る十二日本委員会に付託されました北側義一君外一名提出住宅基本法案議題といたします。
  7. 服部安司

    服部委員長 まず、提案理由説明を聴取いたします。北側義一君。
  8. 北側義一

    北側議員 ただいま議題となりました住宅基本法案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  あらためて申し上げるまでもありませんが、住宅は、国民が円滑な家庭生活人間形成及び明日の社会活動を十分に行なう場としてきわめて重要な役割りを持つものであります。まして住生活安定向上がなくしては、家庭生活のみならず社会生活においても、また、社会秩序においても悪い影響を及ぼし、健康で文化的な生活を営むことは望むべくもないことであります。  わが国住宅事情は、過去二十数年間に一千万戸以上の住宅建設されてきたにもかかわらず、経済高度成長に伴い人口、産業都市集中化世帯細分化等によりまして、その需要は激増を続けており、また地価高騰住宅難に拍車をかけ、ますます深刻な実情となっております。  わが党は、かかる事態に対処するため、公営による一世帯住宅、一人一室の実現を目標として住宅難解消のため具体的な方策を促進していますが、住宅対策には量による不足戸数解消のほかに、質の向上をはかっていく必要があり、さらに、宅地供給促進その他住宅に関する総合的、かつ基本的な施策を強力に推進する必要があると考え、この法律案提出することといたした次第であります。  次に、この法律案要旨について御説明申し上げます。  まず第一に、国は国民に健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を確保し、一世帯住宅、一人一室の実現を目途とする施策策定及び実施責任を、地方公共団体は国の施策に準じ、その地域に応じた施策及び実施責任を持つことといたしました。  第二に、国は国民住生活向上をはかるための適正な住宅基準及び住居費負担基準を定めるものとし、国及び地方公共団体は、定められた基準に適合する住宅に居住できるようにするため、住居費補助等施策を講ずることといたしました。  第三に、国は住宅需要及び供給に関する長期見通しに即して、住宅建設についての長期計画策定と、この長期計画には宅地に関する事項を含むものといたしました。また、国及び地方公共団体公営住宅等住宅建設を大量供給する等の施策を講ずることといたしました。  第四に、国は低額所得者都市勤労者等に、適正な規模住宅供給する事業を行なう者またはみずから居住する住宅建設する者に対し、長期低利資金の融通の円滑化と税制上の考慮を払うとともに、銀行その他一般の金融機関が行なう住宅建設等に必要な資金の貸し付けに対する保険制度整備拡充をはかる等の施策を講ずることといたしました。  第五に、国は住宅地居住環境を良好に保護するための必要な施策を講ずるものとし、国及び地方公共団体宅地開発供給土地価格の安定、住宅災害からの保護のための施策を講ずるほか、公共施設整備促進等につとめることといたしました。  第六に、国及び地方公共団体は、良質で建設費の低廉な住宅建設促進するために、試験研究機関体制整備研究開発の推進などの措置を講ずることといたしました。  第七に、国は住宅に関する行政を総合的に推進するために、住宅庁設置等を講ずることといたしました。  以上が、この法律案提出する理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願いいたします。
  9. 服部安司

    服部委員長 以上で提案理由説明聴取は終わりました。  三案に対する質疑は後日に譲ります。      ————◇—————
  10. 服部安司

    服部委員長 次に、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案審査のため、本日、日本道路公団総裁前田光嘉君、本州四国連絡橋公団から総裁富樫凱一君理事堀太郎君及び理事蓑輪健二郎君に参考人として御出席を願い、御意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 服部安司

    服部委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人からの御意見質疑応答の形式でお聞きすることにいたしたいと存じますので、さよう御了承願います。      ————◇—————
  12. 服部安司

    服部委員長 次に、内閣提出道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。福岡義登君。
  13. 福岡義登

    福岡委員 前回の四月十三日の委員会で、道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案、つまり第七次道路整備五カ年計画の背景になっております経済社会基本計画が、将来の見通しにおいて非常に不安定要素が多い。したがって、従来の道路整備五カ年計画が二年半ないし三年で改定されておるというのと同じ轍を繰り返すのではないかということを、産業計画懇談会の提言であります「産業構造の改革」などを対置させながら指摘をしてまいりました、いま一つは、この経済社会基本計画が依然として生産第一主義の今日までの政策の延長線上にある、それは不当であるということも指摘してまいったのでありますが、そのことはいずれまた国土総合開発法などのときに議論さしていただくことにしまして、本日はこれに引き続きまして質疑を続けたいと思うのです。  まず、この第七次道路整備五カ年計画というものが総合交通体系の中でどういう位置づけをされておるのかという点をお伺いしたいと思うのです。経済社会基本計画で、昭和五十二年において高速自動車道路は三千百キロ供用である。昭和六十年には一万キロということが想定されておるわけであります。道路ではありませんが、関連をして新幹線鉄道が五十二年千九百キロ供用開始である。六十年に七千キロという計画があるわけであります。そのほか交通機関整備を考えられておると思うのでありますけれども、まず昭和五十二年におけるわが国の総輸送量及び輸送機関別輸送量というものはどういうように考えられておるか、お伺いしたいと思います。
  14. 菊池三男

    菊池政府委員 昭和五十二年の輸送交通需要予測でございますが、交通需要予測は、自動車保有台数予測と、それから実際に台数がありましても、それの走行が少ない場合には実際の問題としては道路上の交通の混雑には影響ありませんので、台数走行距離をかけ合わせました走行台キロがございます。その二つについて御説明申し上げます。  自動車保有台数は、昭和五十二年度末で合計三千百十六万台、これは貨物自動車乗用車バス、全部の合計でございます。昭和四十六年度が約千九百万台でございます。それからさらにその保有台数が走り回ります場合の走行台キロ、これは四千七百四十七億台キロということになります。昭和四十六年度で約三千億台キロでございます。
  15. 福岡義登

    福岡委員 経済社会基本計画国内輸送需要がここに計上されております。昭和五十二年、これは輸送人キロで計上されておりますが、総旅客量が九千億人キロに見込まれておるわけです。それから、旅客のほうは直接道路との関係はありますが、旅客よりも貨物のほうが非常に問題であると思うのです。総貨物量は五千八百億トンキロということになっておる。その中で鉄道自動車海運というように分かれておるのですが、私が聞きたいのはその点なんですね。これはここに出ているのですからあらためて聞く必要はありませんが、輸送機関別輸送能力を想定する場合に、鉄道海運あるいはトラックというように考えられるのですが、それは一体どういうように考えられておるか。昭和五十二年度、つまり第七次道路整備五カ年計画が終了する時点における輸送機関別シェアですね。それはどういうように想定されておるのか。
  16. 菊池三男

    菊池政府委員 経済企画庁で出しております経済社会基本計画、これのもとになっております交通需要予想やり方は、あるいは私ども建設省のほうで出しておりますやり方と若干違うかとも思います。私どものほうは、昭和六十年の輸送を出しまして、その昭和六十年までの長期計画の中の昭和五十二年度というものをつかまえております。経済社会基本計画の中におきましては昭和五十二年度までしかありませんので、そういう意味長期昭和六十年を頭に入れた予想と若干違うことがあるかもわかりませんけれども、基本的にはそう大きく変わらないと思います。それで、その場合に、自動車とそれ以外の鉄道海運その他との関係はどういうふうに考えておるかという御質問でございますが、実はこれは一昨年、昭和四十六年の十二月に、臨時総合交通問題閣僚協議会というものがありまして、そこで将来の総合交通のあり方というものがきまりまして、私どもに指示されております。それによりますと、やはり自動車随意性あるいは戸口から戸口へという機敏性によりまして比較的短距離の交通が主体になり、同時にほかの交通機関相互に連携する、補完する役割りを果たすということで、そういう意味の今後の交通需要は非常に大きくなるであろう。それから、特に地方中核都市あるいは中小都市、これを相互に結ぶ交通、それからさらに農山村の域内交通、あるいは農山村と生活の中心になる都市とを結ぶ交通、そういうものについては、特に最後の農山地域についてはもっと積極的にそれを促進させることを考えるべきであるというようなことが出ております。したがいまして、ただいまの高速道路につきましても、やはり地方中核都市構想というものを伸ばすために、それを相互に結ぶというような意味も含めまして、自動車の受け持つシェア、これまた従来の、過去の自動車海運、航空、鉄道、その他の受け持っている分野の実績がございますので、そういうものを加味しながらシェアをきめておるということでございます。
  17. 福岡義登

    福岡委員 具体的にお伺いしますと、経済社会基本計画のここに出ております数字を見ますと、昭和五十二年度に自動車輸送する構成比でいいますと、旅客のほうでは五四・二%、こういうことになっておるわけですね。それから貨物のほうは自動車輸送が四四%になる、こういうことになっておるわけです。昭和四十六年度よりもいずれもこれが伸びておるというわけですね。自動車による輸送量というものがふえるし、同時に、百分比からいいましてもそれぞれ伸びておる。問題は、自動車鉄道海運、こう比べましたときに、これは直接の所管は運輸省かもしれませんが、建設省としても道路建設する以上は、この交通運輸政策全体についての意思統一をしておく必要があるし、一定の方針を持つべきだという立場からお伺いしておるわけなんです。  そこで聞きたいのは、この昭和五十二年度、つまり第七次道路整備計画が終了する時点における自動車の持つシェアが諸外国に比べて非常に高いと思うのです。この見解を聞きたいのです。もう一回言いますと、旅客のほうでは自動車は全体の五四・二%、貨物のほうは四四%、こういうことになっておるのですが、これが高いと思う。建設省としては一体どういう見解なのか。
  18. 菊池三男

    菊池政府委員 道路鉄道その他のシェアの問題でございますが、ただいまお話しのように、人の動きにつきましては五十二年度で五四%の構成比ということでございますが、これは高くはないかということでございます。私ども予測段階では、人は、乗用車がふえて輸送人キロがふえるだろう。ただ貨物につきましては、シェアは現在より道路の受け持つシェアトンキロでは減るというふうに考えております。
  19. 福岡義登

    福岡委員 貨物のほうはトンキロで減らないのじゃないですか。昭和四十六年度は千四百二十六億トンキロですね。それが五十二年度には二千五百五十億トンキロになるのですからね。ふえますよ。構成比からいいましても、四十六年度は四二・九%でしょう。それが五十二年度には四四%になるのですからふえるわけです。
  20. 菊池三男

    菊池政府委員 私が貨物で減ると申しましたのは、先ほど申しました長期構想昭和六十年度時点でございます。まだ現在は貨物輸送トンキロは伸びておる段階でございますので、五十二年度につきましてはまだ若干伸びる傾向は残っておりますが、昭和六十年度の将来の予測が下がっていくということを申し上げたわけでございます。
  21. 福岡義登

    福岡委員 それでは昭和六十年における貨物の場合、鉄道自動車海運、これどういう構成比になりますか。
  22. 菊池三男

    菊池政府委員 ちょっと手元の資料では、自動車その他というふうに分けてございますので、鉄道海運の内訳がございませんが、たとえば昭和四十五年度で自動車が八八%——これは輸送トン数です。八八%受け持っておったのが、昭和六十年には八六%に下がる。したがって、その分はその他がふえるわけであります。それから輸送トンキロにつきましては、昭和四十五年度は自動車の受け持つシェアが四〇%でございましたが、六十年度の段階では三三%に下がるであろうというふうな予測をしております。その差が鉄道海運その他に振り向けられるわけでございます。
  23. 福岡義登

    福岡委員 それが適当であるかどうかということは、その程度にしておきましょう。私は結論だけ申し上げておきますと、いま説明された内容ではあまりにも自動車負担がまだ高い。もう少し海運なり鉄道というもの、あるいは最近議論され始めましたベルトコンベアですね、新たな輸送方式というものが必ず考えられるであろう、考えられなければならぬ。ですから、自動車高速道路一万キロというのはあまりにも大き過ぎるということが私の結論なんだ。  それはきょうはこの程度にしておきますが、そこでお伺いしたいと思いますのは、建設省の御見解どおりに事が運ぶといたしまして、自動車保有台数、さっきお話がありましたが、経済社会基本計画とはちょっと数字が違うのですね。経済社会基本計画でいいますと昭和五十二年度三千百七十二万台になるといわれておるわけですね。そこで、自家用車は別にいたしまして、バスなりトラックなりというものの運転手が確保できる見通しがあるのかどうか。これは直接は運輸省ですよ。運輸省ですが、建設省としてどう考えられておるか、お伺いしたいと思います。普通のトラック百三十七万台、小型トラックが九百八十五万台、バスでいいますと二十九万台ですが、これだけ多量なトラックバスができることになるわけですね。運転手は一体確保できるだろうか。私はできないと思うのです。できるという見通しなのかどうか、そこのところをまず聞かしてもらいたい。
  24. 菊池三男

    菊池政府委員 トラックが非常に伸びるに対して運転手その他が確保できるかという御質問でございますが、いまの考えでは、五十二年はトラック等につきましては乗用車ほどの伸びがございませんで、一・二倍から一・五倍くらいの見当でございますので、私どもはその運転のほうはだいじょうぶだというふうに考えております。そこまで伸びるだろうというふうに想像しています。
  25. 福岡義登

    福岡委員 その伸びに対して運転手は確保できるのかどうかということです。どれだけ伸びるかということを聞いているんじゃないです。三千百万台のうちこれこれだ、運転手の確保は可能だと思われるかどうか。
  26. 菊池三男

    菊池政府委員 五十二年の三千百万台に対しましてトラックが約一千万台、これは普通トラック小型トラックで一千万台くらいになると思います。それに対する増加分だけ確保できるかというお話でございますけれども、過去自動車が非常に急激に伸びまして、倍率が二倍も三倍も伸びたその時点でも運転の要員の確保ができたわけであります。今度先ほど申しました一・二倍ないし一・五倍という範囲であれば、運転の確保ができないからたとえば台数を減らすとかいうことまでは考えておりません。
  27. 福岡義登

    福岡委員 必要な道路建設するというのが目的なんですよ。余分な道路をつくってみても経費のむだづかいにある面ではなるわけです。私は運転手の確保というものが不可能ではないかと思うのですね。ある通運業者の見通しはどういうことになっておるかというと、こう書いてあるのです。「たとえば、昭和四十四年度においてプロのトラック運転者の数は約一三三万人(うち営業トラック運転者四二万人)と推定されていましたが、前掲の予測から計算しますと、」つまり列島改造ですね、「前掲の予測から計算しますと、昭和六〇年には四三〇万人のプロドライバーが必要となります。この数字はこんご追加される第三次就業人口の八五%にも当ります。これを確保可能性から二〇〇万人ていどにおさえてみましても年率二・五%の増加であり、これですら第三次就業人口全体の増加率〇・九%を大巾に上回ることに注目しなければなりません。」こう書いてあるわけです。どうですか、運転手の確保ができないということを通運業者自体が認めておる。道路局長はさっき、運転手の確保は不可能かもしれぬけれども自動車保有台数をそこまで押えることは考えていませんと言った。自動車保有台数とは別に、私がいま問題にしておるのは、想定される自動車保有台数になった場合に運転手の確保ができないだろう、そういう事情の中で計画どおりの道路、この場合主として高速自動車道路が問題になるのですが、依然として一万キロ高速自動車道路を考えられるのかどうか。
  28. 菊池三男

    菊池政府委員 ちょっと同じ繰り返しになるかもわかりませんけれども、五十二年の三千百万台のうちの約六〇%以上の二千万台が乗用車であるというふうに考えております。したがいまして、ただいまのお話しのトラック等につきましては一千万台ということで三十数%がそれに該当するわけであります。したがいまして、自動車の全体の伸びからいきますと、トラックばかりではなくて、乗用車のほうの伸びが、ウエートが非常に強く交通を支配しておるわけであります。それから先ほどの、いままで自動車がふえたのにトラックの運転要員が確保できたということにつきましては、十年前と比べますとトラック台数も六倍か七倍になっておると思います。それに対して運転手の確保はできておった。そうなりますと、今後も営業のトラック以外に自家用のトラックがふえるであろうということもあわせ考え、また労働力の不足の問題になりますと、これは自動車の運転ばかりではなくて、その他ほかの産業にもみんな共通したあるいは労働力不足ということにもなろうかと思いますけれども、そういうような一つの予測をする場合に、そういう要員が確保できないからこれをもっと減らすべきだということには、私ども乗用車のウエートが圧倒的に多いというようなことからもいまのような考え方で進んでよいのではないかと思っております。
  29. 福岡義登

    福岡委員 どうも議論がかみ合わぬのです。私が言っておりますのは、あらゆる面から考えてみて、あと二、三問題を出しますけれども、いわれているように経済社会発展計画というものが非常に不安定な要素あるいは不可能な要素があるのじゃないか、そういう事情の中で計画どおりの街路建設をやることが適当であるかどうかという議論をしておるわけです。そこのところの議論がどうもかみ合わない。運輸省から来てもらって一緒に議論すればこの点ある程度——場合によっては労働省も関係するのです。そこまではきょう議論するつもりはないのですが、第一そういう運転手の確保の問題がある。  次の問題は、これだけの自動車保有台数ができたときに、エネルギーの確保が一体どうなのかということが問題になってくるわけですね。どうですか。
  30. 菊池三男

    菊池政府委員 自動車のエネルギーの革命の問題になりますとたいへんむずかしい問題であります。先ほど先生の言われました産業計画懇談会というところでもその問題を非常に大きく取り扱っておるようでございます。「産業構造の改革」という中では、いまのまま進んでいくと自動車は五千万台ぐらいになりかねない、そうした場合にいまのガソリン、特に石油の輸入が世界の全輸出量の四八%ぐらいだと思いましたけれども、半数近くが日本で輸入しなければ間に合わないようになるから、それはとてもできない相談ではないか。したがって、それは交通が多過ぎるのではないかというふうな書き方で出ております。その中でも、できれば公害の発生する石油、ガソリンを燃料としない電池系統の燃料電池というようなものでいったらばいいんじゃないか。それには水素を利用した水素燃料の電池が一番いいということが書いてございます。将来そういう方向に転換していくべきである、ドイツでもそういう問題についてはすでに開発がある程度行なわれているということが書かれております。実は私どももやはり、交通は必ずしも石油資源ばかりではなくて、そういう方向へいくことも当然考えなければいけませんし、特にそういう公害の問題とからめますとそういう必要性があると思います。また同時に、第三の交通機関というものも当然考えなければなりませんし、道路利用した第三の交通というようなこともあわせ考えながらいかなければいけないんじゃないかというふうに考えております。
  31. 福岡義登

    福岡委員 ちょっといま資料が見当たらないのですけれども、私はこう思うのです。道路整備して自動車をどんどん走らすこともこれは一つの政策であろうが、限界があろう。そこでエネルギーの問題、運転手の問題を出したのですが、いわゆる短距離、一定の限られた区間内におけるトラック輸送あるいは乗用車バスというものはこれは必要だと思うのですが、多量なものを長距離運ぶ場合には鉄道なり海運整備すべきだという考え方なんですね。そこで先ほどもちょっと話を出したのですが、たとえば来年の十二月に山陽新幹線が博多まで開通するわけですね。そうすると在来線は貨物輸送に切りかえるとか、あるいは通勤者を運ぶということもこれは当然なんですが、そういう鉄道輸送なり海運輸送道路輸送というものとの関係をもう少し考え直すべきじゃないか。さっきシェアの問題で話を出しました。そういう考えなんですけれども、その辺についての見解を聞きたいと思うのです。
  32. 菊池三男

    菊池政府委員 総合交通の問題の先ほど申しました閣僚協議会におきましては、総合交通の考え方を次のように考えておるようでございます。と申しますのは、多種多様な交通需要は、輸送機関のサービスあるいは特性というようなものを見ながら選ぶんだ、そういうことが基本に書いてございます。そういたしますと、自動車につきましては百キロ未満というのがそれの主体の交通になるであろう。それでその内訳が、先ほど申しましたように地方中核都市あるいは中小都市を結ぶ高速道路であり、あるいは地方生活と結びついた農山村の道路であるというふうに申し上げたわけでございます。それで実際にただいまの高速道路を例にとってみますと、そこを利用している車の平均の走行距離は、乗用車で約五十キロでございます。トラックで百キロ。これはだんだんと前よりは平均走行距離は延びていく傾向にはあるようでございます。しかし、いずれにいたしましても、東名、名神高速道路にあれだけの交通が乗ってはおりますけれども、その主体はやはり五十キロから百キロくらいを中心にした交通で、あるものはそこでおり、あるものはそこから別の車に乗りということでございますので、やはりこれは使う需要の側で選んで、その選び方が自動車鉄道というものを自然にそういうような形で分けておるのであろうというふうに考えております。
  33. 福岡義登

    福岡委員 総合交通体系の問題は議論があるのですが本日はこの程度にしておきたいと思うのですが、非常に問題が、見直し、再検討をされなければならぬ要素があるということだけをひとつ指摘しておきたいと思います。  そこで次なんですが、具体的な道路建設計画について少しお伺いしたいのです。資料には出ておるのですが念のためにお伺いをしたいと思うのですけれども高速自動車道路建設計画関係で、昭和五十二年に三千二百キロ供用をする、こうなっておるわけですね。この三千二百キロのうち、日本列島を縦断するものと横断するものに区分しますと、それはどういう割合になっておりますか。
  34. 菊池三男

    菊池政府委員 ただいま高速道路を五十二年までに三千二百キロ供用するということでございましたが、実は私どもも、お手元の資料のように、二十一兆五千億要求しておりましたときには三千二百キロでございましたけれども、その後十九兆五千億に下がりまして、やむを得ず三千百キロというふうに変えたわけであります。それで、その三千百キロの内訳につきましては、もう御承知のように、高速道路の、日本を縦貫いたします青森から鹿児島までという背骨が一番基本になっております。したがいまして、横断する道路につきましてはまだどちらかというと建設がおくれておる段階であると思います。その比率はどうかということになりますと、まだ縦に貫く道路ということがほとんどであって、横断道路については、いま背骨に対します肋骨の道路がやっと着工になったということが現状ではないかと思います。ただその場合でも、横断といいましても形の上の横断でありますので、たとえば関越自動車道とかいうような、横断道路としての形はそのくらいしかまだできておらないのではないかと思います。
  35. 福岡義登

    福岡委員 縦断道、つまり背骨の部分をまず建設をして、それから肋骨に当たる横断的なものを考えていこう、こういう考え方なんですが、原則的にそれを認めるといたしましても、あまりにも縦断道に片寄っておると私は思うのです。いま過疎過密の現象は沿岸部と内陸部にあるわけです。縦断的にはほとんどない。そこで私は、日本海あるいは瀬戸内海、そういう列島横断の横断道というものが縦断道に並行して計画をされるべきである。まず縦断道をつくって横断道をというやり方でなくて、全部のものを同時にというわけにいかないにしましても、重要な横断道についてはこの縦断道と並行してやる。むしろ場所によっては背骨よりも肋骨のほうを急がなければならぬところがたくさるあると思うのです。その辺どうですか。
  36. 菊池三男

    菊池政府委員 お話しのとおり、横断道路の中でもたいへん重要な横断道路がございます。ただ、一つの道路のネットワークを整備する上におきましては.やはり高速道路はある程度の延長がありませんと——一般国道みたいに十キロあるいは二十キロのバイパスとというような形ではありませんので、どうしてもそれに連なる背骨というものが先になって、横断道路がおくれてきておるということでございますけれども、もう背骨のほうもだいぶ見通しができまして、これから積極的に横断道路に対して、特に過密過疎対策ということになりますと、あるいは国土の普遍的な利用ということになりますと、横断道路はやはり早急に整備しなければならないことと思います。
  37. 福岡義登

    福岡委員 ぜせそういう計画を進めていただきたいと思うのですが、一般国道を見ましても縦断的なものが最重点になって、過密過疎解消に欠かせない横断的な道路が相当立ちおくれを示しておる。高速自動車道路は縦断道を重点的にやろうということなら、せめて一般国道くらいは横断道を最優先でやるくらいのお考えがあってもいいのじゃないか。つまり、縦断道といいますのは大都市間、言いかえれば大企業の物資輸送には相当効果があろうと思うけれども、これは過疎過密にはあまり効果がないんですよ。そうしますと、いままでの方針を少し転換をしてもらわなければいけない。建設大臣、どうですか。
  38. 金丸信

    金丸国務大臣 最初から日本縦貫自動車高速道路というものが計画されて、その背骨をつくるということがまず第一だ。背骨をつくる中にも、その間に横断道路というものを考えるべきことは当然であります。いわゆる都会の再開発をやるということは都会に集中しておる産業、人口というものを分散するということでございますから、地方開発をしなければならぬ。その開発ということは受け皿をつくるということである。その受け皿をつくるために私は先生のおっしゃる横断道路というものが必要である。ひとつ十分配慮してまいりたい、こう思います。
  39. 福岡義登

    福岡委員 次の問題に移りますが、ぜひいま大臣のおっしゃったようなことを促進をしていただきたいと思います。  第七次道路整備五カ年計画の終わった時点で一般国道の舗装率は九九%になる、改良も同じく九九%になる。主要地方道の舗装は九七%になる、改良も九一%になる、こういうことになっております。それから一般都道府県道の舗装が九〇%、改良が六二%。幹線市町村道になりますと、もう舗装は四二%しかない、改良は三五%である。ましてやその他の市町村道はさらにはるかにこれよりも低いことは間違いないですね。これから見ましても、生活道路というものがあまりにも軽視されておると思うのですが、どうですか。
  40. 菊池三男

    菊池政府委員 ただいまの整備の状態でございますけれども、国道あるいは都道府県道に比べて市町村道の整備が低いというお話でございました。これは事実でございます。実は市町村道につきましては道路延長が八十六万キロございます。たとえば国道は三万三千キロ、県道で十万キロでございますけれども、それに対して八十六万キロという数字でございますので、舗装率という考え方からいきますと、やはり延長の少ないもののほうが舗装がよくなるのは当然でございます。それからまた、従来から国道が相当の交通がありながら、沿道に砂利が飛び、ほこりが舞い、迷惑がかかっていたというようなことから、やはり国道を中心に、それから県道、市町村道というふうにきた一つの経緯もございます。また、市町村道につきましては、これは市町村長、道路管理者が認定すればどんどん市町村道の認定ができるというようなことでもありますので、数が非常に多いということから舗装率は少ないのでありますけれども、今度の五カ年計画におきましてはそこら辺をしっかり頭に入れまして、市町村道の整備を急遽やるべきであるという考え方から、従来の五カ年計画に比しまして市町村道に特に予算的にもふやしまして整備率を伸ばす。それから同時に、市町村道につきましては、補助対象である道路と補助対象でない、地方が単独にやっている道路がございます。私どもは八十六万キロのうち約二十三万キロは、幹線的な市町村道あるいはまた奥地山村等の、あるいは過疎対策等の特殊立法に基づく別の意味から整備促進すべき道路であるということで、そういうものをひっくるめまして二十三万キロ程度を早急に整備したいということで、これは昭和六十年度までにおおむね完了したいというふうに考えております。それからそれ以外に地方単独で約三十万キロ整備したい。この地方単独は主として現道につきましての舗装を中心にやっております。私どものほうの補助対象は改良と同時に舗装ということでありますけれども地方単独では現道に対してできるだけ舗装延長を延ばそうというようなことで、地方単独のほうとあわせ、市町村道の整備を進めたいというふうに考えております。
  41. 福岡義登

    福岡委員 道路建設計画でも、これ以上議論はしませんが、やはり産業優先で国民福祉が忘れられておる。具体的に第七次五カ年計画を遂行される過程では、生活道路というものを優先されるように再考を強く求めておきたいと思うのです。  それから次に、道路行政の一元化ということになろうかと思いますが、たとえば自治省が地方交付税でやっております地方生活圏の道路整備がありますね。それからいまおっしゃった建設省がやっておる広域市町村圏の道路がありますね。これは特殊立法に基づくものはもちろんなんですが、農道とかあるいは林道とかいうものは農林関係が所管することは当然かと思います。しかしそれとても建設省が所管する道路計画に無関係であってはならぬ、どこかで接点があるわけですね。そこでお伺いしたい点は、道路行政の一元化を促進するべきであるという私の意見なんですが、建設省は一体どう考えられておるか。道路の本拠は建設鶴であることは間違いないですね。ところが、個々にあげればいろいろありますけれども、いま一、二申し上げましたようにそれぞれある。それで建設省との関係はどのようになっておるのか、どういう方法で調整されておるのか、ある意味ではどういう方法で指導されておるのか、そういう点をお伺いしておきたいと思います。
  42. 菊池三男

    菊池政府委員 道路整備につきましては、建設省でやっております道路整備事業のほかに、農林省でやっております大規模の営農団地の道路あるいは農免道路、あるいは公園道路等たくさんございます。また自治省でやっております、いまの地方単独でやっております事業もございます。それで、道路はやはりネットワークがありませんと道路の効用というものがつくったわりに発揮できませんので、やはり道路は一元的に一元行政でやるべきと思います。したがいまして私ども関係省庁とは十分に密に連絡をとってやっております。農林省の場合におきましては、これはまた広域営農団地の整備という農林省のほうの一つの目的があって道路をつくり、あるいは下水溝をつくり、いろいろとその中の事業をやるようでありますけれども、やはりそれが道路網の中の一環となる場合には私どものほうと事前に計画的に打ち合わせをいたしまして、建設省でやるべき、いわゆる一般生活道路であれば建設省のほうでやり、それから純然たる農業のための物資の収集、集荷等であればこれは農林省のほうでということで、事前に事業計画を打ち合わせをしてやっております。それから自治省の場合におきましても、八十六万キロの市町村道のうち先ほど申しました二十三万キロにつきましては一つの基準をつくりまして、私どものほうではもう一つの路線をきめて持っております。そういう道路につきましては積極的に補助対象でやるし、それ以外の道路でやる場合には自治省のほうの交付税で地元の単独でやるという形をやっておりまして、これもまたできるだけそういうそごのないように、十分な打ち合わせをしながら進めていっております。
  43. 福岡義登

    福岡委員 緊密な連携をとっておると言われるのですが、必ずしもそうでない具体的な例を私も幾つか知っております。まあしかしここでそれを取り上げませんが、どうも役人同士のなわ張り根性があってうまくいかぬのじゃないか。ぜひこの点は、これ以上きょうはここで言いませんが、道路行政の一元化というものについて建設省責任を持つべきではないか、こういう点を強く訴えておきたいと思います。  最後に、財源問題なのですが、他の委員指摘しましたけれども、第六次五カ年計画が十兆三千五百億円だったのが十九兆五千億円になるわけですね。約二倍近くになるわけです。ところが閣議了解では昭和四十九年度までにこれらの財源を検討すると書いてあるのだが、手探りではないと思うのですね。柱になるものが何かあるはずである。ここでいま想定されるものはどういうものであるか。たとえば自動車重量税をどうするかとか、ガソリン税をどうするかとか、一般財源をどうするかとか、いろいろ柱になるものはあると思うのですね。ですから、この道路整備緊急措置法の一部を改正する法律案審議するにあたりまして、どういうような財源を考えておるかという程度のことは明らかにしていただく必要があろうと思う。
  44. 菊池三男

    菊池政府委員 ただいまお話がありましたが、十兆三千五百億から今度十九兆五千億へ、約倍近く事業規模はなっております。それに対しましてガソリン税の伸びが、従来は対前年度十数%の伸びがあったものが、最近鈍化いたしまして、いまのところは一〇%くらいの伸びというふうに考えております。そういたしますと、全体に占めます特定財源の割合が今度の五カ年では非常に少なくなっております。前の第六次の場合は、国費について申し上げますと八二・五%が特定財源であったわけです。それ以外が一般財源。ところが今度の第七次でまいりますと特定財源が五九%になるであろう。その残りは一般財源を投入しなければならないということでございます。ここでそれでは特定財源をどうするかという問題が出てくるわけでありますけれども、これはまことにいま御返事できなくて申しわけないのですが、一年かかって考えるその一番の理由は、これは確かに一般財源を強化して入れるということも一つのポリシーだと思います。また一方、特定財源につきましても、ガソリン税につきましては昭和三十九年にいまのガソリン税の率にきめましてから、十年間も上げておりません。そういうようなことから、そういうガソリン税を上げてもいいじゃないかという議論もございます。またあるいは、最折環境の対策の問題が非常に強くいわれておりますが、環境の対策等につきましては、これは当然利用者側で負担すべきではないかというようなことから、やはり何らかの形で、自動車道路利用するほうへ課すべきであるというような意見がございます。そういうような総合的な問題でございます。あるいはさっき先生のおっしゃいました自動車重量税、これもやはり同じような考え方でございますけれども、一つの大きな政策でございますので、これは十分に検討して、軽々にやることはできない。また特定財源を値上げすればそれなりのまたほかへ影響がまいりますので、総合的に判断するということから一年間ゆっくり勉強さしていただきたいというように考えております。これは国費ばかりではございませんで、地方費につきましても同じような考え方でございます。
  45. 福岡義登

    福岡委員 まあ、どのみち相当の財源措置をしなければならぬわけですからね。私どもとしましては、この財源措置というものが結果的に大衆負担になったり、あるいは物価をつり上げるというようなことになってはいかぬというように思いますので、その点を強く要望いたしておきまして、私の質問を終わりたいと思います。
  46. 服部安司

    服部委員長 井上普方君。
  47. 井上普方

    ○井上(普)委員 ただいまの道路財源の問題についてでありますが、お伺いいたしたいと思います。  特定財源につきましていままで国費負担が八二%を占めておったものが今度は五九%しか持たないということになりますと、この計画自体が非常に不安定なものであるといわなければならないと思うのであります。   〔委員長退席、天野(光)委員長代理着席〕  大臣、この財源につきましていかなる責任をお感じになっておられるか。この方針をひとつ明らかにしていただきたいのです。
  48. 金丸信

    金丸国務大臣 この財源の問題につきましては  一年間とっくり考えるということでございますが、私は、ただいま前の質問者からもお話がありましたように、物価やその他に影響があってはならない、こういうことも慎重に考えなくちゃならぬし、またこれは大蔵省と折衝してきめたものでございますから、まず一般財源を相当数量いただくということは賢明な策であろう、こうも考えておるわけでございます。いまのところ党のほうもいろいろこの問題について模索をしておるわけでございますが、私といたしましてはただいま申しましたように、あくまでも、できるだけ国民には迷惑のかからないような方法で財源を確保したい、こういうように考えております。
  49. 井上普方

    ○井上(普)委員 その財源について模索中である、あるいは将来国民に対しまして負担をかけないようにするというお話でございますけれども、財源といえばいずれは税金かあるいは受益者負担か、これははっきりしておるだろうと思うのです。何も財源が地の底からわいてくるものではありません。明らかに財源というものは国民負担でなされるものなんであります。したがいまして、どういう形でやられるか、これにつきましては、この第七次整備計画審議する上において重要な意味を持っておると思います。第六次の整備計画の際には、政府自動車トン税という新しい構想を持ちながら第六次の整備計画に臨んだのであります。しかし、このたびの第七次の整備計画につきましては、ただいま財源につきましては模索中である。一般国費の特定財源が八二%から五九%に落ちてきておる、この現状において財源については模索中であるというのでは、われわれはこれについての審議につきましては考えざるを得ない、こう思うのであります。われわれ、この十九兆五千億についての審議責任が持てなくなるのであります。大臣、いかがでございますか。
  50. 金丸信

    金丸国務大臣 模索中と申しましたのは、いまいろいろ研究いたしておるわけでございまして、いわゆる自動車の重量税というような問題も考えられておりますし、あるいは揮発油税という問題も考えられております。あるいはまた、極端な話ですが、いわゆるギャンブル税を取れというような意見もある。そういうようなものを入れる入れないという問題は別問題といたしましても、そういうものを中心にいま考えながらおるわけですが、しからばトン税を幾ら取るかというような問題については、最少限に取るべきである。あるいはガソリン税についてもしかりである。私はそう考えて、全然目当てのない模索をしておるわけじゃないということで御理解をいただきたい、こう思います。
  51. 井上普方

    ○井上(普)委員 他の政府委員が答弁されるのならともかく、閣議了解事項として十九兆五千億のこの計画を出されてきておるのであります。したがいまして、その財源をいかにするかということは、閣議におきまして、田中内閣としましての方針を持った上でこの十九兆五千億の提案をなすのが当然であると思います。対大蔵省の問題じゃございません。政府としてこの十九兆五千億の財源をいかに考えるか、この点の見通しあるいは予測、方針を承らぬ限り、この法案の審議というものはできぬのじゃないか。われわれ、国民から負託せられた責任を果たすことができない、このように思いますので、大臣の財源についての見通し、お考え方をはっきりとここにあらわしていただかなければならぬと思います。そしてまた、特定財源が五九%とおっしゃっておられますけれども、それは一体幾らの金額になるのか、金額でひとつおっしゃっていただきたいと思います。
  52. 菊池三男

    菊池政府委員 今度の第七次の五カ年計画で特定財源が五九%と申し上げましたけれども、その内訳は、揮発油税が四兆、それから石油ガス税が八百億、合計四兆八百億でございます。これが全体に対します五九%の数字でございます。
  53. 金丸信

    金丸国務大臣 予算の問題がある程度はっきりしなければという御意見でございますが、第六次のときもそういうようなことできめていただいたわけでございますから、ひとつその辺はよろしくお願いいたしたいと思います。
  54. 井上普方

    ○井上(普)委員 第六次のときには自動車トン税というものを表面に出してきて特定財源にしたい。その配分については、国鉄に幾らにするか、あるいは道路に財源を幾らにするかということで論争があったことは御存じのとおりです。このたびの閣議了解事項では、ともかく一般国費について特定財源が五九%しかない。この中においてどういう方向を持っておるかということはやはりこの計画の中に盛り込まなければならないと思うのであります。いかがでございますか。
  55. 菊池三男

    菊池政府委員 先ほど大臣が前回の第六次のときの話を申し上げましたのでちょっと補足いたしますけれども、第六次のときにはやはり五カ年計画をきめますときに財源がきまっておりませんで、一年間勉強させていただいて、そうして自動車重量税がその後一年たったときにきまったということを申し上げたわけでございます。
  56. 井上普方

    ○井上(普)委員 これは第六次の場合というのを前例に出されては困ると思うのです。あのときは特例中の特例ということでわれわれにも説明があったはずです。これが常時こういう形になることは国政を審議するものにとってはまことに迷惑しごくです。あるいはわれわれが真剣に審議する際の資料としまして国民責任を持てない、こう思うのであります。大臣、いかがでありますか。
  57. 金丸信

    金丸国務大臣 特例中の特例でありまして、またことしも特例中の特例をしていただきたいということを私言っているわけじゃございませんが、考え方といたしましては、いま自動車重量税というようなことを中心に考えを進めておる、こう御理解をいただきたいと思います。
  58. 井上普方

    ○井上(普)委員 これからこれをやるためにトン税を中心にしてたくさん取りたい、こういう考え方でございますか。この点をはっきりさせていただきたいと思います。
  59. 金丸信

    金丸国務大臣 重量税の問題も一つの大きな財源として考えられますし、あるいはまたガソリン税を一部上げるというような問題も考えておりますし、そうして今度は一般会計から大幅に援助をいただく、こういうようなことも考えて話を進あておる。いま党といろいろ折衝いたしておる、このような現実の姿でございます。
  60. 井上普方

    ○井上(普)委員 このように、財源と申しますならばあくまでも国民の税金によってまかなわれておる、負担によってまかなわれております。したがいまして、大体五カ年の計画ができておるにもかかわらず財源について不安定であることにつきましては、私どもはどうも納得できかねます。法律の中におきましても、第二条におきまして、案を作成するときに経費の見通しというものを立てるべきであるというのが法律の本筋であろうと思います。それがこの場合できておらないことを私ははなはだ遺憾に存ずるのであります。七次計画に際しまして、大臣のおっしゃるようにトン税を上げるのだ、あるいはまたガソリン税の増徴ということも考えられるのだ、一般財源も考えられるのだ、こういうことでございますが、それなら現在のところそれに何%を、大体どれぐらいの見通しか。初めてでしょう、そういうことをおっしゃるのは。われわれはあくまでも、この案をつくる際にはそういう方向をある程度明確にして出すべきであるということを強く要求しておきたいし、今後行なわれるあらゆる計画におきまして、財源問題の見通しがつかない場合は国会の審議権を侵すものであるというぐらいの強い態度でもって大臣は臨んでいただかなければならぬと思うのです。いかがでございますか。
  61. 金丸信

    金丸国務大臣 当然計画に予算がついて回ることは常識だと私は考えております。ぜひ特例中の特例ということで御審議を願いたいと思いますが、今後はこういうことのないように、計画と裏づけの予算というものが必ずついて回る、こういうようにいたしたいと思います。
  62. 井上普方

    ○井上(普)委員 私はそういう意味合いにおいて、このたびの五カ年計画提出のしかたそれ自体につきましても非常な不満があるし、広く考えれば国会の審議権を侵すものではないか、そういうことを強く指摘しておきたいと思います。  特に財源問題につきまして、「月刊政策」という雑誌に道路局長菊池三男さんが論文を書かれておる。論文か何か知りませんが……。これは四月号ですよ。これを見てみますとこう書いてあるのです。「必要な財源」「二一兆五千億円の財源については、有料道路事業の積極的拡大を図り、」云々と書いてありまして、「かなりの財源不足が憂慮される状況にあるので、一般財源の大幅な投入を図るほか、受益者負担の強化拡充をはかることがきわめて重要である。」こう書いてあります。ここで私は、道路局長、あなた、論文を書くならもう少し正確に書きなさい。最高の責任者でしょう、事務当局とすれば。四月号ですよ。この本をずっと見てみますと、ただいま委員長席にすわっておられる天野さんもここに論文を書かれておる。この論文を見ますと、天野さんの論文によると十九兆五千億という数字がぴしゃり出ている。事務当局の最高責任者のあなたの論文には二十一兆五千億と書いてある。一体どうなんだ、これは。   〔天野(光)委員長代理退席、委員長着席〕 国民が見たら、どっちが正しいのかと思いますよ。まずその点から聞いていきましょう。
  63. 菊池三男

    菊池政府委員 両方とも事実あった数字でございます。予算の要求の段階では二十一兆五千億でございました。それで、それがきまりましたのがたぶん二月過ぎだったと思います。したがいまして、おそらくその原稿の時期によってその数字が違ったのだろうと思います。それ以外にも、いろいろ道路整備はどうあるべきかというようなときに私どもは二十一兆五千億を使っておりますし、最近は十九兆五千億という数字を使っております。
  64. 井上普方

    ○井上(普)委員 三百代言みたいなことを言うのはよしましょうよ。お役人のやるようなことを局長ともあろう者が言っておる。いまも言いましたように、天野さんの論文は十九兆五千億と出ているのだ。あなたの論文だけなんだ、二十一兆五千億は。しかもあなたは事務当局の最高責任者なんだ。だからこういうことを言っているんですよ。それは原稿の日にちがずれたことはわかる。しかし片方の原稿は正確な数字が出ている。事務当局の最高の責任者のほうが違っておる。おそらくこれは締め切りの日にちも同じでしょう。ここで言いわけがましい三百代言みたいなことを言うのはよしましょう。このことをはっきり申しておきたい。  それはともかくといたしまして、この財源問題であります。大臣、あなたのところの道路局長が「一般財源の大幅な投入を図るほか、受益者負担の強化拡充をはかることがきわめて重要である。」こういう論文を載せておられるのであります。大幅な受益者負担の強化拡充をはかる、この計画がこれなんだそうです。それだから私は申すのです。この五カ年計画を出すときには、明確な財源処置の見通しを立てなければ国民に不安動揺を与えるだけじゃありませんか。どうです、大臣。
  65. 金丸信

    金丸国務大臣 いまの数字のことを一番知っておる道路局長がそのような原稿を出したということは、これは善意に解釈していただいて、原稿の期日のずれだ、二月ごろ書いものをそこへ出されたということではないかと私は思います。実際からいえば、天野君が二十一兆と書いたのであれば了承できるけれども、局長が二十一兆五千億、許せないというお気持ちもよくわかりますが、今後予算の問題は、財源なしに五カ年計画というものを——道路計画ばかりでなくて、水道の問題もありますし住宅の問題もありますが、裏づけのない計画というものは出さないというお約束をいたします。
  66. 井上普方

    ○井上(普)委員 その点は大臣わかっていただいたようでありますので、この程度にしておきたいと思います。  続いて地方財源であります。特にこのたびの五カ年計画地方道の整備ということ、すなわち言いかえますならば生活道路整備ということを大きな柱にされておるようであります。したがいまして、地方道の地方負担が一体どれくらいふえてくるのか。金額、パーセンテージをひとつお示し願いたいと思うのであります。
  67. 菊池三男

    菊池政府委員 先ほどの国費に対しまして地方費を同じような数字で申し上げますと、先に前回の第六次のものを申し上げますが、特定財源二兆二千八百九十億円、それから一般財源が一兆九千百八十億円、それで特定財源の占めますシェアは五四・四%でございました。それが今度は特定財源の占めます分が二兆六千四百億円、それから一般財源が五兆円、それによりますと今度のシェアが三四・五%。前回の五四・四%であったものが三四・五%に、特定財源の構成する比率が変わるわけでございます。
  68. 井上普方

    ○井上(普)委員 大臣、この数字、あなたも御存じだろうと思いますが、現在地方自治体は財源不足で非常に悩んでおられることは御承知のとおりであります。しかも社会の急激な変化、経済情勢の変化に非常に四苦八苦されておると思います。その中におきまして、道路費の特定財源が第六次のときは二兆二千八百億であったものが二兆六千四百億円で、シェアが下がってくるんですね。そして一般財源は一兆九千億から五兆円になる。そうすると三兆一千億の一般財源を投入しなければならぬということになります。地方自治体はたまったものじゃないと思います。どうでございます、大臣。
  69. 金丸信

    金丸国務大臣 御指摘のとおり一般財源は全くたまったものではない。私、大臣でなくて、政治家としてそういう感じはいたします。しかしまたところを変えて考えますと、予算の確保というような問題はなかなか一朝にして、いままでこうだったからこうという伸びを示すわけにはいかない。そういう意味で、この問題については今後自治省ともよく相談しまして、特別交付税等も充てていただいてその財源の埋め合わせをするような配慮をしなければならぬな、こうも考えております。
  70. 井上普方

    ○井上(普)委員 自治省に対して特別交付税を増加せしめるといいましても、交付税に渡す金は御承知のように三税のパーセンテージで大体きまっております。このたびは二九%でございましたか、それくらいでございましょう。毎年毎年動きはある程度ございます。しかしそれも二、三%程度しか動かしておらないのであります。とするならば、この一般財源がこれほど、三兆円もよけい道路にかかるんだということになりましたならば、特別交付税でこれをまかなうということは私は不可能に近いと思うのであります。道路局長、あなたもこの計画を立てる際には地方自治体の財源は一体どうなることだろうかということはお考えになったと思うのです。したがって、この一般財源のほうにおいて三兆円余りの、ともかく六次よりもよけい金がかかることについて、いかなる方法でやればいいか議論されたと思うのです。せずにこういうような数字が出てこないと思うのです。どういう方法を考えられておるか。あるいは特定財源が六次よりも減ってきておる、この現状に対してはどう考えるのか。建設省のこの計画をつくる際の考え方をひとつ示していただきたい。
  71. 菊池三男

    菊池政府委員 地方負担につきましては、もともと考え方が、地方生活道路であるということから先ほどの国費と比べまして地方費の一般財源に占める割合が大きかったわけでございます。第六次五カ年のときも、国費に対しては八二・五%の特定財源の比率がありましたけれども地方の場合は五四.四%というように差がございます。やはり生活道路であるために、ガソリン税等の特定財源の対象となるにはおかしいという内容もございましてそういうふうに下がっておるのだと思います。ただ今度の新しい計画になりますと、その分が非常にまたさらに大きくなりまして、地方負担をどうするかということが出てまいります。私ども計画をつくりますときには当然考えたわけでありますけれども、実はいろいろな考え方がございます。先ほどから申し上げておりますように、一年かかってこの次の予算までにきめるのだということでございますので、方法はいろいろございます。しかしそれがどういう形になるか、これは単独に地方税の軽油引取税の値上げとかあるいは自動車重量税の値上げとか、そう  いうことばかりではなくて、全体の税制という問題にもなりますので、ちょっとそこら辺がきまるまでは私どももここでこういう考え方であるということが申し上げられなくて、たいへん恐縮でございますが、いまの段階ではそういうふうに御理解いただきたいと思います。
  72. 井上普方

    ○井上(普)委員 これはたちまち四十八年度から発足するのですよ。それならば、地方自治体に対してともかく一年間待っていただいてというような考え方では済まされぬでしょうが。国のほうはこのたびの四十八年度は一応つじつまを合わしたでしょう。しかし、地方自治体は独立したところなんです。そこに対して、ガソリン税の増徴であるとか、あるいはトン税の引き上げによってカバーするのは一年間待ってくれというようなことでは済まされぬ問題じゃないですか。どうでございますか、大臣。これで地方交付税の比率をこの四十八年度に上げていますか。上げてないでしょう、銭の配分方法を。どうでございますか。
  73. 菊池三男

    菊池政府委員 四十八年度につきましては、地方の財源の負担率、全体に対しまして一般財源の占める割合は対前年一・三二倍の比率でございます。そういうことでこの一般財源につきましては一応手配がついてございます。国費につきましては、これはちょっと余談になりますけれども、一・五七という一般財源の前年当初に対する比率ということでございますが、地方の場合は一・三二倍ということでセットしてございます。
  74. 井上普方

    ○井上(普)委員 ここは数字の魔術をするところじゃないのです。パーセンテージでおっしゃってください、一・三二倍ということじゃなくてパーセンテージでいままでおっしゃっているのですよ。パーセンテージあるいは金額でずっと言ってきているんだから。
  75. 菊池三男

    菊池政府委員 資料によりましてちょっと出し方が違うので、おそくなってすみませんでした。地方費の全体に占めます四十八年度の一般財源の比率は五七・四%でございます。
  76. 井上普方

    ○井上(普)委員 私が申しておるのは、いままで私とあなたの議論の中で一・何倍だとかいう数字でおっしゃったことがありますか。地方財源について、とたんにこの数字が出てきているのです。一体、四十八年度の地方財政計画道路費の特定財源は何千億円あるのか、それの道路費に占める割合は何%か、あるいはまた一般財源は一体幾ら投入しなければならないか、それの比率は何%になるのか、それをお示し願いたいということを私は申しておるのです。
  77. 菊池三男

    菊池政府委員 四十八年度の地方の分につきまして、特定財源が四千二百九十六億円、それに対して一般財源が六千四百九十二億円、合計一兆七百八十八億円ということでございます。それの比率が先ほど申し上げました比率になるわけでございます。一般財源の全体に対する比率が五七・四%ということになります。
  78. 井上普方

    ○井上(普)委員 そうするならば、ことしにおきまして一般財源の伸びは一・三二倍、道路財源におきまして一般財源の占める比率は一・五何%、こういうことになってくるとたちまちそこに〇・三五%くらいの差が出てくるでしょう。これはどうやって埋め合わせするのですか。地方に財源も与えず、いままでの方針どおりでやっていきなさいということでほうりつけるのですか。どうなんです。四十八年度はどうなっています。
  79. 菊池三男

    菊池政府委員 ちょっと私ども〇・何%ということは理解ができませんのですが、いずれにしても四十八年度の一般財源の六千四百九十二億円に対しましては交付税その他で手配ができておるわけでございます。これは対前年の数字を申し上げますと、前年は約五千億でございました。ですからそれに対して一・三二倍の伸び率であるということでございます。
  80. 井上普方

    ○井上(普)委員 対前年比で一・三倍になったというようなことをおっしゃいますけれども、私はこれはやはり大きく財源不足を来たしてきておると思いますし、もしかりにことし一般財源に占める比率を低くしておきましても、ことし減った分が来年からうんとふえてくるわけであります。そうするならば、生活道路を優先するというこの五カ年計画内容地方に追っかぶさっておるわけでありますから、看板に偽りありの結果を招かないとも限らない、あるいは招くおそれが多分にある、財源の問題からいたしますならば。こういう面を私は指摘せざるを得ないのでございますが、どうでございます。
  81. 金丸信

    金丸国務大臣 これは先生のおっしゃること、十分よく私もわかります。特定財源等の問題につきましては、先ほどお答え申し上げましたように、交付税あるいは特別交付税、こういうようなものでひとつ十分考えるということで、なお以後の問題につきましては特段の措置を配慮してみたい、このように考えます。
  82. 井上普方

    ○井上(普)委員 この五カ年計画の財源問題を一体どこに求めるんだというようなことにいけば、特定財源が占める比率が非常に低くなっておる、といいますよりもむしろ減ってきておる。こういうようなことからいたしますならば、生活道路優先というこのたびのこの五カ年計画はまさに絵にかいたもちであると私はいわなければならないと思うのであります。したがって、この財源問題をいかに措置されるか、このお手並みを拝見しなければ、このたびの五カ年計画の看板について評価を下すわけには私はまいらぬと思うのです。とすれば、この五カ年計画それ自体が産業優先の道路であると規定せざるを得ないと思うのであります。大臣の御所見を承りたいのであります。
  83. 金丸信

    金丸国務大臣 私、いろいろ配慮したいというふうに申し上げましたけれども、結局単価の負担率のアップというようなことを考えなくちゃならぬだろう。そうしなければとてもしょい切れない。国の補助率を上げるということをまず考えなくちゃならぬだろう、こう考えております。検討いたします。
  84. 井上普方

    ○井上(普)委員 大臣もこの計画それ自体の欠陥については十分御存じのようであります。私どももこういうような点で、国の財源におきましても、また地方の財源におきましても、非常に不確定要素が多いことを申し上げて、今後のあらゆる五カ年計画におきまして財源の見通しというものを十分立てられて出されなければ、われわれといたしましても国会の審議権への侵害であるという立場から今後臨みたいと思うのであります。このことを申し上げておきたいと思います。  第二番目に私はお伺いいたしたいのでありますが、東京の交通渋滞あるいは都市交通渋滞、あるいは全国的に交通渋滞は非常なものがございます。その原因は一体どこにあるのですか、お伺いしたいのであります。
  85. 菊池三男

    菊池政府委員 交通渋滞は、ただいま先生の言われましたとおり東京をはじめとする大都市交通、それから地方の中核都市におきます中心部というところに渋滞は起きておると思います。ただその場合に違いますのは、大都市の場合は特に通勤通学等におきます時間帯の交通の混雑というものがひどいかと思います。
  86. 井上普方

    ○井上(普)委員 私がお伺いいたしておるのはそういうことじゃない。なぜこのように混雑するのかということなんです。どうなんです。その原因をひとつお伺いしたいのです。   〔発言する者あり〕
  87. 服部安司

    服部委員長 お静かに願います。
  88. 菊池三男

    菊池政府委員 ただいまの御質問、なぜ混雑するのかということでございますが、やはりそれだけに需要があるからだろうと思います。そこでおそらく御質問の趣旨は、そういう需要が多いのを野放しにして云々ということじゃないかと思います。私どもも実はそういう需要に合わせるべくいろいろな手法を使って努力しておりますけれども、やはりこれには限度がございますので、大都市には特にその中へ通過交通するものは入れないということで、環状道路というようなものの早急な整備をはかっていく、中に用事のない車は入れたくないというようなことで、大都市に限りませず、地方の中核都市につきましても同じような観点で環状道路整備ということを強く打ち出してまいりたいと思っております。
  89. 井上普方

    ○井上(普)委員 私がこういうことを申し上げますのは、第七次はこのたびの経済基本計画ですかにのっとってやられておる。第六次も新経済社会発展計画にのっとってやられた。第五次も同じく国の経済社会発展計画に基づいてつくられてきて  いる。あらゆる経済計画に沿って道路計画というものはつくられるんだという御説明をいままで聞  いてきたところでありますので、その予測というものが正しければ当然それに合わした計画を遂行せられてきたはずなんであります。ところがそれが全然はずれておる。この反省は一体どこにあるのだ。計画を立てるのもけっこうです。しかし、過去の追跡調査はあなた方はやられたためしがありますか。道路整備五カ年計画はごれで第七次になる。六次の間もやられてきた。しかし、その間に、一体どこにこの計画が社会の発展とかみ合わないところができてきたんだ、その反省がなくして計画を立てては私は意味がないと思う。したがってそういう点を聞いているのです。どこに原因があるのです。社会の発展計画と合わせたと言っていつも五カ年計画を出されてこられたでしょう。このたびの第七次の計画にいたしましても、昨年十二月に策定した経済計画にのっとってこの第七次の計画を出されるのだ、こう申される。いままでの経済計画が正しかったのならば、経済計画に合わして五カ年計画をつくってこられたのであれば、このたびほどの渋滞もないし、交通問題は問題にならないと思う。どこにそのかみ合わない原因ができてきたのか、この点についての反省を承りたいのであります。
  90. 菊池三男

    菊池政府委員 第一次五カ年計画以来ずっと第六次まで続けてまいりまして、交通の混雑がなかなか解消できないということに対する反省は、これは当然私どもも反省しております。ただ、たいへん弁解がましくなりますけれども、やはりそれを上回る交通需要ということから、渋滞している場所は解消されましたけれどもそれがまたその先に持ち越されるというようなことで、実はいま渋滞の解消と交通の伸びとが追いかけっこしているような状態でございます。ただ、私どもは、先ほど申しましたように昭和六十年時点という長期な構想を持ちますと、交通の伸びはいままでよりは下がる。従来過去十年間に六倍もあるいは十倍にもなって伸びておりました交通が今後は伸び率が下がるであろう。従来二〇%くらい交通台数が伸びたことがございましたけれども、だんだんとそれが減る傾向であるということで、やはり道路整備長期的にごらんいただいてその成果を見ていただきたいというふうに考えております。特に大都市内の交通につきましては、これは都市内の道路率が東京、大阪、名古屋、すべて一二%ぐらいでございまして、たいへん道路率が少ないということから、これはもう相当な思い切った措置をしないとなかなかそれの解消はできないということで、私どもは、先ほど申し上げましたようになるべく環状的な道路でそれを防ぐとか、あるいは首都高速、阪神高速というような形でそれを補うとか、あるいはまた場合によっては交通の規制もしなければならないというふうに考えておりますけれども、そういうようなことによって対処していきたいというふうに考えております。
  91. 井上普方

    ○井上(普)委員 これまでも五カ年計画をずっと三年でとめながらやってまいりました。しかし、その主眼とするところは社会発展計画なり経済発展計画に合わせたものでやるのだというお話でございます。このたびもやはり十二月にきめた計画にのっとって、それに沿うべくこの第七次の計画が出されておる。ところがその計画ができるか、できぬか。経済計画のほうは私は行き詰まりが生ずるのではないかという感じがいたしますけれども、私どもがいま示されておりますこの道路計画がこれに合わないものであるならば、当然この交通状態というものはよくならない。年々悪くなってきているのです。あなたは長い目で見てくれ、昭和六十年を見てくれ、こう言います。そのときあなたはお幾つになります。この混雑が起こり出したときから、第一次がつくられ始めてからこれでもう何年たちますか。十五、六年を長期と言わぬのですか。まだあと十二、三年待ってくれ、こうおっしゃるのですか。(「十年じゃない、二十年か三十年だ」と呼ぶ者あり)いや昭和六十年だから。そのときは交通渋滞は緩和する、これではたまったものじゃありません。原因は一体どこにあるのだ。もう少し厳密なる反省が道路当局に必要なんではございませんか。大臣、いかがでございますか。
  92. 金丸信

    金丸国務大臣 私、中座いたしましたからいろいろ話の内容を聞いておらぬ点もあると思うのですが、経済計画の点につきましては、それに合わせたということでありますが、反省すべき点は多々あると思います。その反省の点もこの予算の中に考えながらやったということも見届けていただきたいと思うわけでございます。しかしそれで十分かということになりますと、まだまだ十分でないという意見も相当あろうと思います。現在渋滞がなおかつ起きておるというような問題につきましては、なお一そうの創意くふうをしなくちゃならぬ、こういうように私も思っておるわけでございます。
  93. 井上普方

    ○井上(普)委員 特にこの五カ年計画につきまして、将来の見通しということでいつもバラ色の幻想をばらまきながら道路計画というか、五カ年計画を推し進めてきた。しかし、年々とにかく渋滞が激しくなる現状につきましての反省という点につきましては、遺憾ながら、建設省の文書を見て、あるいは建設白書を見て、どこに計画のそごを来たす原因があったのかという点についての反省が乏しいと指摘せざるを得ないのであります。この点につきましてもう少し厳密なる客観的な追跡調査をやられる、そしてそれを発表される必要があると思いますが、局長、いかがでございますか。
  94. 菊池三男

    菊池政府委員 そういう実態をとらえますために、三年に一ぺん全国的な交通情勢調査というものをきめまして全国的にやっております。そういうことの集計によりまして、私どものやっておりますのがあるいは間違えておればそれは直すというようなことで、間違っておることがあれば謙虚に反省してやっていきたいというふうに考えております。
  95. 井上普方

    ○井上(普)委員 それは外部に発表しておりますか。たとえばわれわれに対しまして、こういうようなところの反省点があるのだ、これは今後こういうように直さなければならないというようなことをわれわれに文書にして発表された経験がありますか。どうでございますか。あればひとつ書類を送っていただきたいし、その概要について御説明を賜わりたいのでございます。
  96. 菊池三男

    菊池政府委員 いまのことは、そういうことをやっておるということでございまして、それを何かまとめて出したものはないかということでございますけれども、特にそういうものを出してはございません。
  97. 井上普方

    ○井上(普)委員 国民から、年々渋滞が激しくなるじゃないか、一体国は何をしておるのだ、道路行政は何をしておるのだというきびしい批判がございます。それにこたえるためにも、あるいはまた、これだけ膨大な国費を投入しながらともかくこの交通渋滞が解消できない、この客観的な情勢からいたしまして、反省は反省としてすなおに国民の前に出すべきである、私はこのように考えるのであります。大臣、この点をお約束できますか。
  98. 菊池三男

    菊池政府委員 実は毎年建設白書を出しております。その中では道路行政のあり方ということにつきましていろいろ問題点を提起し、やっておりますけれども、ただそれがいま先生の御質問のあったこととそのものずばりであるかちょっと……。
  99. 井上普方

    ○井上(普)委員 私は建設白書を読んで質問しているのです。そこには非常に反省点としては乏しい。言いかえますならば顧みて他を言う発言ばかりであります。すなわち、自分たちの予測というものは全部はずれてきておる。たとえば自動車保有台数にいたしましても予測がはずれておる。自家用車とトラックとの比率におきましても予測がはずれておる。はずれながらいままでの計画というものは進められてきたのであります。一体どこでその予測が間違っておったのか、ここらあたりを明確にしながらやらなければならないと思います。大臣、白書の誤りを改むるにはばかることなかれです。あやまちをあやまちとして、将来はこういうふうな方向で進むのだという方針を、反省を出す必要があると思います。あの建設白書のように顧みて他を言うがごとき態度では、私は民主的な行政当局ではないと思うのです。この点についての見解をひとつ承りたい。
  100. 金丸信

    金丸国務大臣 人間のやることですから間違いもあると思います。それは謙虚に間違いは間違いとして正せばいいことであります。今後建設白書の中にもひとつ間違いは間違いとして謙虚に出して、それに対しては今後こういうようにいたしますというようなことにいたしたいと考えております。
  101. 井上普方

    ○井上(普)委員 大臣の言明で私はその程度でおいておきます。  さらに、十九兆五千億を一体消化できるのか。あるいは一般国道の新設、改築とか、いろいろキロ数まで出されておるのでありますが、この点につきましてこれを完成できるのかどうか、私は不安を持たざるを得ないのであります。そこでひとつ角度を変えまして申し上げて質問したいと思います。といいますのは、道路建設費中に土地の補償費は何%くらい含まれておりますか。そして、この十九兆五千億の算定基礎になっておる単価といいますのは昭和四十六年を基礎として何%ずつか伸ばしてきていると思うのであります。その十九兆五千億をつくるに至る作業の内容をひとつお示し願いたいと思います。
  102. 菊池三男

    菊池政府委員 五カ年計画に占めます用地の補償の問題でございますが、これは国道、地方道、あるいは有料道路等によりましてそれぞれ個々に違いますが、一般国道では用地補償費が占める割合が二五・二%であります。それから地方道の場合が二一・七%、街路の場合が五五%。それから有料道路の場合は、これもこまかく言うとみんな違いますけれども、日本道路公団でやっております高速道路あるいは一般有料道路、合わせますと三四・六%、それから首都高速、阪神高速等が二三%から二六%ということで、総計的に申し上げますと三〇・三%でございます。
  103. 井上普方

    ○井上(普)委員 それで、この道路建設費の伸びというものは、毎年一〇%から一二、三%くらい建設単価というものは伸ばしてきておると思うのです。そして四十六年を基礎にして伸ばしてきたと私は思います。ところが地価は、四十七年におきましては御承知のように、概略申しますと三〇・何%ですか高くなってきておる。これは地価公示によって先般も示されたところであります。都市においてもあるいはいなかにおいても、列島改造論が出ましてからとたんに全国津々浦々、と申しますよりは僻地のほうもさらに高くなっておるのであります。おそらく地価の上昇というものはあなたのほうは一二、三%で計算されておるのでしょう。どうでございましょう。
  104. 菊池三男

    菊池政府委員 先ほど申し上げました数字は全体の事業に対する用地費の割合でございます。それから、その後そういう伸びを見ておるかという御質問でございますが、実はこの五カ年計画は四十七年度を中心にした単価でございます。したがいまして、将来の伸びというものにつきましては、実はこの中には単価という形では入っておりません。
  105. 井上普方

    ○井上(普)委員 それで大臣、こういうことになるのですね。十九兆五千億のうちの用地費というのは大体三〇・三%。そうしますと大体六兆円近くが用地費になっているのです。六兆ですよ。四十七年を中心としてとおっしゃいますけれども、四十七年の地価公示が先日発表されました。それによると対前年度比が三〇・何%になっておるわけであります。この調子で伸びていくならば、この用地費の単価の基準というものをどこに置いておるか。ただいまのお話でございますと四十七年を中心としてと、こう申されますけれども、四十七年度の用地取得というものは地価公示法に基づきまして四十六年の地価で買われておるはずなんであります。そうしてまいりますと、これはもうすでに用地費の面においても私は大きな誤差を生じてくると思います。これは小学校の生徒でも私はわかると思う。やはりこれを三年ごとに見直しておるのは、一つの大きい原因は、五カ年計画のできない理由としては、用地費が非常に高くなってきている、ここに私はどうも原因があるんじゃないかと思う。それで、四十七年の地価を中心にしてともかく立てたこの計画は、昨年すなわち四十七年、ことし発表した地価公示法によるあの金額と比べてみますと、地価は対前年で大体三〇・数%上がっているのでしょう。ほかの建設費の伸びは大体一〇%から一四、五%で済むでしょう。しかし地価だけは三〇%、倍の伸びを示しておるのです。しかも用地費がこの五カ年計画に占める比率はただいまのお話で大体六兆円になるということになると、地価問題でこの計画そのものがとんざを来たすのではないかと私は憂えるのであります。大臣、いかがでございます。
  106. 菊池三男

    菊池政府委員 先ほど用地費の率のときにちょっとことばが足りませんで、実は補助対象になっております事業だけについて三〇%と申し上げました。そのほかに地方単独がございますが、地方単独でやります分は用地費の割合が非常に低うございますので、全部合わせると二六%ということで、先生のおっしゃいました六兆が五兆——四兆八千億という数字でございます。先ほどそこまで申し上げなかったので訂正いたします。
  107. 井上普方

    ○井上(普)委員 いなかの地方単独事業につきましての単価といいますものが二六%ということで非常に低いようにあなたはおっしゃった。しかし去年の列島改造論が出て以来、地方の単独事業の用地費の占める比率というものはどんどん上がっております。あるいは二倍、三倍になっておる。あなたは地方の単独事業の単価が低いから用地費は二六%くらいになりますなんておっしゃっておりますけれども、それは列島改造論が出るまでの話。列島改造論が出てからこちらの伸びというものはものすごいのです。そういう実態について御存じないのですか。地方単独事業は住民の犠牲において、ともかく土地を非常に低くたたかなければ単独事業ができないような実情になっておる。この中でこういうような地方単独の用地費が去年までは非常に安かったからといってやられておることについて、私はどうも納得できないのだ。去年の七月以降ものすごい伸びなんですから、全国津々浦々、地価がぐんぐん二倍、三倍、四倍と、いなかであればあるほど上がっておる実態、そうするならばこの単独事業費に用地費が占める比率というのはさらにさらにことしは高くなってきておる。こういうような実態からいたしますならば、地価問題に対処し、地価問題に対する処置ができない限り、私はこの計画も絵にかいたもちになりかねないおそれがあると思うのであります。大臣、いかがでございます。
  108. 金丸信

    金丸国務大臣 建設省として予算編成のおり、このような土地の値上がりが続いた時点においては先の予測はできないということはおっしゃるとおりだと思うのです。しかしこの辺に置いてというめどは置いてきたわけですが、一応四十八年度の道路計画につきましては先行投資で大部分のものは買い占めておる、こういうことですから、四十八年度分に対してはそれほどの支障はなかろうと思います。しかし今度は四十八年度中に四十九年度なり五十年度の先行投資という問題になってくるときに事実上のネックが出てくる、こういうことを考えますが、先生のおっしゃられる面もわからぬわけじゃない。よくわかります。
  109. 井上普方

    ○井上(普)委員 地方単独の道路というものは全部先行投資で前年度に買っておるものじゃございません。買っておるといたしましてもそのうちの三分の一ないし四割くらいでしょう。しかしそれはそれといたしまして、ともかく地価の抑制なくしては道路建設も大きなそごを来たすということを指摘し、大臣の今後の御努力を期待いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  110. 服部安司

    服部委員長 浦井洋君。
  111. 浦井洋

    ○浦井委員 緊急措置法の改正に関連して私も財源の問題をお尋ねしたいというふうに考えておるのですが、その前に、本四連絡橋公団の問題について、ゆるがせにできないいろいろな動きがございますので、お尋ねしておきたいと思うのです。  ちょうど三年前に本四公団法が本委員会で成立をいたしまして、たまたま第六次の道路五カ年計画も同じときに緊急措置法の一部改正という形で本委員会で論議をされたわけでありますけれども、私どもはそのときにいろいろな六つほどの条件をつけましてこの本四連絡公団法の成立に賛成をしたのであります。しかしあくまでもそれは、その当時私たちが主張をいたしました条件がいれられるということで賛成をしたのであります。ところが以来三年、本四公団が発足をしていよいよいろいろな調査をやり、そして四十八年度から一部着工というような段階に入ってきた時点で、三つの橋のいろいろな面をながめてみますと、われわれが当時危ぶんでおった問題が相当表面化してきた。たとえば、いろいろなところの住民の方々は公団の非常に一方的なやり方について納得をせずに、橋をかけるのに反対だというような運動を起こしておられるところもあるし、それが反映をいたしまして、いままでの夢のかけ橋的な考え方から、橋がおれたちの地方にかかることによってむしろデメリットのほうが多いのではないかというような意見地方議会でも相当な部分で論ぜられるという状態になってきたのであります。したがって、この道路整備緊急措置法の改正が本委員会にかけられるということを機会にして、第七次五カ年でも三千億ということで第七次の一つの目玉だというふうに私どもは承知しておりますので、建設省並びに公団当局の意見をお伺いしたいということで、私はまず本四連絡橋の問題を取り上げてみたいと思うのであります。  そこで、具体的な事実について公団の総裁にお尋ねをしたいのですけれども、本年の四月十一日に公団の総裁は、Aルート、鳴門−神戸、このルートについては、水と石油の輸送管が架設できるように設計変更をしたいというふうに記者会見で発表をされておる新聞記事を私は見たのでありますが、これは事実なのかどうかということを確認しておきたいと思います。
  112. 富樫凱一

    富樫参考人 四月十一日の記者会見におきまして四十八年度の本四公団の事業説明をいたしました。その際に、水道、パイプラインはどう考えておるかという御質問がございました。これにつきましてはまだ具体的な計画は何もありません。これはA、D、E各ルートに共通の問題でありますが、各ルートとも将来石油パイプラインあるいは水道を添架しろということが予想されますので、設計荷重として余裕をとっておるということを御説明申し上げたわけでございます。具体的には何の話もないわけでございますが、これがかかる段階になりますとまたいろいろお話もある、そういうことを予想しての準備でございます。
  113. 浦井洋

    ○浦井委員 総裁はもちろん政府関係機関の総裁であるわけです。いまの政府の首班でございます田中総理が、御承知のように「日本列島改造論」という本をあらわしております。私ここにちょっと書き抜いたのですけれども、その日本列島改造論の中にはいろいろと書かれておるわけでございますが、たとえばこういうことが書いてある。神戸−鳴門のルートについて、「タンカー事故の危険を考えれば、過密の大阪湾に大型タンカーを入れるわけにはいかない。」だから橘湾や徳島臨海の人工島に石油中継基地を建設して云々、「この石油パイプラインは明石〜鳴門の連絡橋に抱き合わせればよい。」そういうふうに書いてある。さらに水について言うならば、そのあとに、「そしてなお、水に余裕があり、四国の住民が納得するなら明石〜鳴門の連絡橋に水道パイプをのせて、淡路島から阪神への分水を考えてもよい。」こういう表現で日本列島改造論には書かれておるわけでございますけれども、こういうことになりますと、総裁としてはやはりこういう一つの方向に賛意を表されて、そして将来はいま言われたようにパイプライン、石油あるいは水あるいは電信線、こういうようなもののパイプラインを敷くというお気持ちがあって当然だろうと私は思うのですが、その点もう一度重ねてお聞きしたい。
  114. 富樫凱一

    富樫参考人 これは単にAルートだけでございませんで、DにもEにも考えておるわけでございます。それは荷重の余裕として考えておるわけでございまして、もしそういうものが具体的になりますれば橋にかけるのもやむを得ない、かように考えておるわけでございます。
  115. 浦井洋

    ○浦井委員 設計に余裕を持たして将来に備えておく、そういうことになればやるのもやむを得ないという御返事であるわけなんですけれども、そうなってまいりますとまずいろいろな問題が出てくるわけであります。たとえば、公団法でいきますならば、公団法の第三十条の第三項のところに「基本計画を定め、又は変更しようとするときは、あらかじめ、道路管理者の同意を得なければならない。この場合において、県知事である道路管理者が同意をしようとするときは、その統轄する県の議会の議決を経なければならない。」これは神戸市であるとか大阪市というような指定都市も入るわけでございますが、こういうような手続がパイプラインを敷くということになれば必要になってくると私は思うのですけれども、その点はどうですか。
  116. 富樫凱一

    富樫参考人 言われますように、われわれが着工する段階になります前に基本計画の指示をいただきまして、その基本計画を出されるときには関係地方公共団体の議会にもかけまして御同意を得なければならぬわけであります。これは建設省がおやりになることでございますが、その基本計画がきまりますれば、私ども実施計画を立てまして建設大臣に認可を受けなければならない。その段階におきまして、これはパイプラインを添架するということであれば、むろんそれを入れて御同意を得なければならぬわけでございますが、とてもそういう時期にすぐこれが具体化すると思われません。ただここ数年先、そういう問題が、石油パイプラインについてもその安全性が保障され、水道管につきましてもその安全性が保障されるということになりました場合に、その橋に添架するときに、いや、それは考えていなかったということではやり直しになりますから、その分の余裕は見ておいたほうが賢明ではなかろうか、こういう考えでおります。全くの受け身の立場でございます。
  117. 浦井洋

    ○浦井委員 具体化するとは思われないということ、一方では設計の余裕を見ておきたいということでありますけれども、いまも総裁ちょっと言われたですけれども、石油あるいは水のパイプラインを橋に抱かせたときに、いろいろな面で安全性といわれるものについては公団としては研究し、検討されておるのかどうか、この点をお聞きしたい。
  118. 富樫凱一

    富樫参考人 私のほうは荷重の余裕として見ておるということを申し上げたわけでありますが、この荷重は、つり橋の長さによって違いますけれども、大体つり橋の千メートル級のものでありますと、その死荷重の二%くらいだろうと思うのです。そういうものをあらかじめ見ておきまして設計しておく。そうしますと、橋にかかりますのはその橋の下部工事だから、橋の下部工事につきましてはこの余裕は相当の余裕を見るわけでございます。死荷重の二、三%くらいはあまり問題にならないわけでございますが、上部構造になりますとこれはある程度考えられなければならない。ですから上部構造にかかる前にそういうことをきめていただきたいと思うわけでございます。  そこで、先ほど水道管あるいは石油パイプラインの安全性について申し上げましたけれども、その安全性は、むしろ私のほうでつり橋の挙動を御説明申し上げまして、それに応じて安全な石油パイプラインを設計してください、水道管を設計してください、こう注文するつもりでおります。それは一番の問題は橋の伸縮の問題、それから橋のたわみの問題、振動の問題、こういうことがございますので、それに合わせて安全なようなものを設計していただく。われわれがそれが安全であると納得できれば、それを添架するという考えでございます。
  119. 浦井洋

    ○浦井委員 総裁としての御意見は、なるべくならそういうよけいなものは抱かせたくない、設計の余裕を考え、特に上部構造については振動などのパイプラインに及ぼす影響というようなこともあるので慎重にやりたいということだというふうに私は理解するわけなんです。もしもそういうことが起これば、これは道路管理者等の同意を得なければならないし、その道路管理者は自己の統括する議会、地方議会の同意を得なければならぬ。この手続は、そういう事態になれば必ず踏みますということを確認されたというふうに私は思うわけなんですが、それでよろしいですか。
  120. 富樫凱一

    富樫参考人 そのとおりであります。
  121. 浦井洋

    ○浦井委員 そうしますと、大臣にお尋ねをしたいのですけれども、列島改造論を書かれた田中角榮氏の組織される内閣の一員であります建設大臣としては——これはAルートだけじゃないのです。DルートにもEルートにも抱かせたいというふうに日本列島改造論の中には書いてあるわけなんです。一体そういうおつもりがあるのかないのか、ひとつ大臣にお考えをお聞きしたい。
  122. 金丸信

    金丸国務大臣 日本列島改造論という総理の書いたあの本は、問題点を国民に提起したということであると私は解釈をいたしております。そういうことですから、その必要性があれば当然つくるべく考えなくてはならぬし、ことに水というような問題は、一方に京阪神を控えておるというようなことだと、四国から余っている水を持っていくというようなことができればそれも一つの策だ。そういういろいろの案もあると思います。そういうことですから、問題点を提起したということで、これからいろいろ研究、検討すべきことじゃないか、こう私は思います。
  123. 浦井洋

    ○浦井委員 そういう案があるなら検討するということでは、国会の委員会の答えにならないと思うのです。やはり建設省としてはこういうつもりでおるのだというようなお答えを願わぬことには、これは答弁にならぬと思うのです。えらい詰めるようで悪いのですが、大臣もう一度……。
  124. 金丸信

    金丸国務大臣 富樫総裁がそのような発言をいたしておりますが、富樫総裁とすればまたそのときになっては困るということでいろいろ考えておるだろうと思いますが、建設省としてはパイプラインの問題も水の給水のパイプの問題も、まだ具体的には考えておりません。
  125. 浦井洋

    ○浦井委員 まだ具体的には考えておらない。私どもが三年前に条件つきで賛成をしたときには、やはり橋というのは本州と四国、淡路島、その間に浮かぶ瀬戸内海の島々を結んで、本州と島々と四国とを実質上陸続きにするということ、だから当然そこを通るものは人を中心として車であるとかあるいは鉄道、こういうようなものを通す、そういう橋であるというふうに理解をしておるわけなんですが、そういう点で、大臣、これはもしもパイプラインを敷くということになりますと、橋の性格が根底から変わってくるというふうに思うわけであります。だからこの機会に、これは人と車に限るんだ、あるいは逆に、将来はそういうこともあるんだというはっきりした見通しをもう一度お聞かせいただきたいと思います。
  126. 菊池三男

    菊池政府委員 パイプラインにつきましては実は石油パイプライン事業法が制定されまして、これは橋梁に限りませず、道路の下にも入れて積極的にパイプラインをやるんだということで、道路の路面をタンクローリーが走る危険をなくそうというような形で、安全性のことさえ問題がなければ義務占用ということで敷設させる一般的な考え方でございます。ただ本州四国の連絡橋につきましては、先ほど総裁が申し上げましたようにたいへんつり橋の長い橋でございますので、そのパイプラインなり水道を添架したことによって、それが原因でまた何かほかの問題が起こってはならぬ、そういうことでいまいろいろ研究して、安全性が確保されれば、私は別に安全なものをそこに添架するということに対しては問題にならないと思いますけれども、そういう意味の安全性の問題が、やはり普通の土の中に埋めるのと違いまして、伸縮の問題等のいろいろな問題がございますので、そこら辺を検討してということできめられることと思います。いままだそういう意味の検討中である。また設計の荷重につきましては、これはそういう可能性というものをある程度見込んで余裕を持っておくということは、どの橋梁でもそういう将来の予測ということで荷重を考えます。それは荷重をきめるときの一つの手段として総裁が言われたことだと思います。
  127. 浦井洋

    ○浦井委員 そうしたら、最後に大臣にお尋ねしたいのです。いまの局長の答えによっても、安全性が確保されれば何とか抱かせたい、こういうふうに理解してよろしいですか。
  128. 金丸信

    金丸国務大臣 この問題は具体的にはまだ私も聞いておりません。ただそれは一般論の話を道路局長は申し上げただけのことでありまして、この橋の架橋の問題についてああする、こうするという問題ではない。ただ一般通念として橋にそういうものを抱かしていいか悪いかということになると、安全性さえ確保できれば抱かしたっていい、こういうことを申し上げていると思いますが、いま建設省は具体的にはまだこの問題に入ってはおりません。
  129. 浦井洋

    ○浦井委員 どうも怪しいわけです。だから、これは抱かせるということを考えておられるというふうに私は解釈をするわけなんです。そうなるとこれは連絡橋の性格が相当変わってくるというふうに思わざるを得ないのであります。この点については今後もっともっと追及していきたい。きょうはこのくらいにしておきたいというふうに私は思います。それで大臣からもう一ぺん……。
  130. 金丸信

    金丸国務大臣 えらく浦井先生、私を信用しないようなことをおっしゃっておりますが、実際のところ、いたしておりません。ただ仮定の問題として、あれだけの橋をつくるんだから、それが安全性があれば——私もちょっと聞いたことがあるのです。そういう富樫総裁の発言があったから、あそこへパイプラインというものを敷かれたらどういうことになるのですかというふうに聞いたところが、それは安全性という問題を精密にやらなければならぬ。たとえて言えば、あの橋の下で汽船が火事を起こした、そのときに及ぼす影響はどうだということまで研究しなければならぬというようなことを言っておりました。私は公団としてはそのような研究、討議をやってしかるべきだ、こう思うのです。しかし建設省としては、それに対して抱かせるというようなことをいま考えてはいないということだけは申し上げておきます。
  131. 浦井洋

    ○浦井委員 公団の総裁、何か一言ございますか。
  132. 富樫凱一

    富樫参考人 先ほど申し上げたとおりでございまして、何ら具体的な計画は持っておりません。
  133. 浦井洋

    ○浦井委員 今後引き続いて監視を続けていきたいというふうに考えております。  そこで安全性の問題が出たついでに、一応石油、水などのパイプラインを除いた安全性というようなことについてお聞きをしたいわけなんですが、その前にひとつ事務的なことを聞いておきたいと思います。それは、調査に関する基本計画が大臣から指示をされた。あれは二年前ですか三年前ですか、そしてそれに対して公団のほうで調査に関する工事実施計画を認可申請されて、認可がおりた、こういうことなんです。いよいよ部分的に着工ということになると、当然工事に関する基本計画なり工事実施計画というようなものが問題になってくると思うのですが、基本計画についていつごろ大臣はまず指示をされる御予定なんですか。
  134. 菊池三男

    菊池政府委員 計画がきまりますと基本計画の指示をいたします。これがいつごろかということでございますけれども、たぶん六月か七月ごろの見当になろうかと思います。
  135. 浦井洋

    ○浦井委員 そこで、橋自身の安全性の問題に移りたいと思うのですが、どの橋ももちろん安全性を確保しなければならないわけですが、特に技術的に困難なのは、一番最後だというふうに予想されておるAルートの神戸−淡路。スパンが千八百メートル有余ということでありまして、その場所は長いだけでなしに海の深度も非常に深い。さらに潮流がきびしい。しかも船の航行が非常に激しいということで、まず日本はもちろん世界的にも未経験な分野ではなかろうかというふうに思うわけです。したがってなおさら、何をおいても安全性というものが最優先されなければならぬというふうに思うわけなんです。Aルートだけでなしに全体として公団にお尋ねしたいのですが、全安性に関してどういうような体制でどういう調査が行なわれて、現在までどういう結果が出てきたのかということを、まずひとつ簡潔にお答えを願いたいと思います。
  136. 富樫凱一

    富樫参考人 本四連絡橋につきましては、本州四国連絡橋公団ができる前から調査が進められております。公団になりましてから三年でございますが、この調査はいずれも安全性をどう確保するかという調査でございます。そのために自然条件の調査をやっておったわけでございますが、まず、つり橋で特に巨大な構造物でございますので、問題になりますのが地震の問題でございます。これは現地にいろいろ観測器械も置いておりまして、地震というものはしょっちゅう起こるわけではございませんが、起こり得る最大の地震を予想いたしまして、上部工につきましても下部工につきましてもそれぞれ実験を進めております。それからもう一つは風の問題でございますが、風に対する安全性、これが非常に問題でございまして、風の観測も従来やっておりましたが、この風に対しましての実験用の模型をつくりましてそれぞれ実験をいたしておりますし、特に従来の小型のモデルでははっきり実態を把握できませんので、もっと大きなスケールの実験橋が要るのではないかと考えまして、ただいま房総の先端に十分の一のモデル橋をつくりまして、それに自然風を当てて実験をすることも計画をいたしております。これらの調査の結果、昨年十一月に中間報告を出したのですが、それぞれ十分な安全性を得られる、こう確信いたしております。しかしまだこれで十分ではございません。安全性の問題につきましては、工事中はもちろんのこと、またできてからもその橋の挙動を検査いたしまして、それぞれ安全性に対する施策を講じていかなければならないわけでございますが、安全には十分の配慮をいたしたいと考えております。
  137. 浦井洋

    ○浦井委員 耐震性と耐風性ということが安全性の中で一番大きなウエートを占めるだろうと思うわけですけれども、耐風性、風に対する問題で、いま総裁は、小型のモデルでいろいろ実験をやって、さらに大きなスケールで房総で自然風を当てるというようなことをやった、その中でいろいろ実験をした結果確信を持つに至ったというふうなお答えであったわけなんですが、風に関して限定して言いますならば、一体安全性を確信するに至ったのは、少しこまかく言うようですけれども、小型のモデルでやられた段階で確信を持つに至ったのかどうかという点をお聞きしたいと思います。
  138. 富樫凱一

    富樫参考人 調査の段階でだんだんに自信が出てきたわけでございます。さらにその自信を強めたいと思いますし、今後も、それだけで十分とは思いませんので、さらに実験、研究を進めたいと考えております。
  139. 浦井洋

    ○浦井委員 房総につくっておられるのは十分の一のスケールですか。そこでそれの実験も加味して確信を持つに至ったということなんですか。もう一ぺんお尋ねします。
  140. 富樫凱一

    富樫参考人 いままでの実験で確信を持つに至ったわけでございます。しかしさらに念を押して確かめなければならぬし、これはいつになってこれで十分だということはない問題でございますので、開通後もさらにその安全性につきましては、計器類を橋に備えましてその挙動を観察して、足らないところは補っていきたい、かように考えております。
  141. 浦井洋

    ○浦井委員 たとえば、いままでのお話によりますと房総、具体的には館山での十分の一の模型の実験というのが相当大きなウエートを占めるだろうというふうに私理解をするわけなんですけれども、館山地方で一体どれくらいの風が吹くものなんですか。
  142. 富樫凱一

    富樫参考人 これは風洞実験でありますとちょうど望むだけの風は出せるわけであります。ところが自然風になりますとお天気次第でございまして、いままでの小型のモデルの経験では、季節風の吹く時期をねらいましてやるわけでございますが、最大四十メートルくらいでございます。
  143. 浦井洋

    ○浦井委員 それで私が聞いたところでは——いま十分の一の模型をつくっておられるというようなお話であったわけですが、だからスパンが千五百メートルとすれば十分の一の百五十メートルですね。ところが現実にはそれのさらに十分の一の十五メートルぐらいの、橋の一部分がつくられておるにすぎないというように聞いておるのですが、これはそうなんですか。
  144. 富樫凱一

    富樫参考人 いままでの小型のものはそういうことでございます。それで小型のものをやはり自然風に当てまして、ことしの冬実験したわけでございます。それを風洞実験のものと比べますと、風洞実験のものよりはやわらかく出ております。風洞実験のほうがきつく出ておる。そういった関連を大きなモデルでためしたいということでございます。
  145. 浦井洋

    ○浦井委員 総裁は御存じないわけなんですね。私が言っておるのは、そういう大型のモデルを館山につくったというが、しかし館山には百五十メートルの十分の一の橋の模型のその中の十五メートル分、一部分しかつくられておらないという事実があるのですが、これはそうなんですか。
  146. 富樫凱一

    富樫参考人 いまできておるのはそうなんです。これからつくるのはその百五十メートルのやつをつくるのです。ですからいまできておるモデルは、風洞実験のものを自然風に当てたということですね。それで風洞実験と自然風とどういう関連があるかという実験をしたわけです。それは部分モデルでございますから、これを全長にわたってつくって、それを自然風に来年の冬当ててみたい、こういうことであります。そうしますとまたその関連が出てきます。もっと耐風、風に対する橋の挙動が明らかになるだろうと思っています。
  147. 浦井洋

    ○浦井委員 そこが理解が違うわけなんですが、公団の理事さんのほうで御存じないですか。すでに百五十メートルの中の一部分、すなわち十五メートル分の橋の断面があらわになったものができ上がっておるというふうに私は報告を受けているのです。
  148. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪参考人 ただいま総裁がお答えになったとおりでございまして、現在館山につくっておりますのは実際の模型の十分の一をさらに縦に切ったものでやっております。これはいまも総裁が申し上げましたように、風洞実験と実際の風とのそういう関連を見ようということでございます。これからさらに百五十メートルぐらいのもので実際に自然風に当ててやってみたいというふうに考えております。百五十メートルでやりますのは、自然風の耐風性で構造的にどこが一番欠陥が出てくるのかというところで、かなり危険な状態でやる。危険な状態で実験をするということは、要するにその橋の剛性を非常に強くすればもちろん風に対して安全ですから、剛性がどのくらい減った場合にどういうところが危険になるかというのをその実際の模型で実験しようという計画を持っておるわけでございます。
  149. 浦井洋

    ○浦井委員 私の理解とちょっと食い違うのですけれども、それはまあ別として、そうするといまから百五十メートルの模型をつくられる段階である、いままでは十五メートルぐらいの小規模のものをつくっておられた、こういうことですね。  まあそれはそれとして、そうすると、いま四十メートルぐらいまでは館山で季節風が吹く。四十メートルというのは相当強いわけですが、まあ剛性の問題と関連があるのでしょうけれども、特に鳴門から明石海峡辺にかけては台風が年に数回必ず来襲する地帯です。地上というか、われわれが住んでおる程度のところではなるほど三十メートルからせいぜいそれを少し上回るくらいだというふうに思われるわけですけれども、橋ができますと、これはAルートでも海面上六十五メートルという、相当上を橋が通るわけで、そうなったような場合の実験として、館山で四十メートルくらいの自然風に当てただけで一体だいじょうぶなのか、それで安全でございますと言えるのかどうかという点をお聞きしたいんです。
  150. 富樫凱一

    富樫参考人 いままでの観測の結果、鳴門海峡の架橋の路面の高さではかりまして四十三メートルくらいが一番強かったということでございまして、まず路面の高さで四十メートルとっておきますと、それ以上の風というものは相当期待値が大きい、もう百五十年に一回とかいうようなことになっていますので、まず四十メートルくらいの風を当てておけば安心できるのじゃないか、こう考えております。
  151. 浦井洋

    ○浦井委員 まず四十メートルくらいの風を当てておけば安心できるのではないかというのは、安全性を最優先させなければならないという要請から見て少し甘いように私は思うわけなんです。  風の実験の学術的なことをここは論争する場ではないので、その点はさておきまして、大臣に、この三つの橋は同時着工ということでかかられるわけですけれども、これは六十年までにどうしても完成をさせなければならぬわけなんですか。どうですか。
  152. 金丸信

    金丸国務大臣 どうしても完成しなければならぬという一つの至上命令はあるわけでございますが、しかしいろいろな事情もありましょう。たとえていえば、いま総裁の言われた実験等がおくれれば、いわゆる全安性というものが確保できないままに建設に応ずるわけにいかないということもあるわけでございますから、必ずしも期限つきというわけにはいかぬだろう、こう私は考えております。
  153. 浦井洋

    ○浦井委員 大臣のお答えのとおりだと私は思うのです。六十年までというふうに至上命令が下った、それを守らなければならぬというふうに公団なりあるいは現場でいろいろ仕事をしておられる方々があせると、どうしても拙速主義になってしまって、そしていざ通ったわ、事故が起こったわというようなことになり得ると思う。だから、少々六十年をずらしても、まず何をおいても、どんな場合でも徹底的に安全だというような考え方で、今後建設省のほうも公団のほうもひとつ臨んでいただきたい。安全性をまず最優先するということを確認しておきたいと思うのですが、大臣、一言……。
  154. 金丸信

    金丸国務大臣 人命尊重、まず安全性ということをまっ先に考えますことはただいま申し上げたとおりであります。
  155. 浦井洋

    ○浦井委員 そこで私、一つ提案があるんですけれども、いまこの設計には日本の最高権威だといわれる土木学会の橋に関するオーソリティーなどがたくさん参加をされて、そして非常に綿密な計画を立て、設計をされた。そしてそれについては外国からも引き合いが来ておるというようなお話も聞いておるわけなんですけれども、さらに念を入れるならば、そういうふうにやられても、結局はその基本計画は先ほども申し上げたように大臣が指示をする。それから工事実施計画について大胆が認可をするということで、建設省、公団以外のところから、そのつど、ある節の段階で安全性をチェックをするという体制がいまないし、それが必要ではないか。第三者による安全性のチェック機関というようなものを私はこの際考えられてしかるべきではないかというふうに提案したいと思うのですが、こういう問題についてひとつ建設省なり公団のほうの御意見をお伺いしたい。
  156. 菊池三男

    菊池政府委員 非常に世界的な画期的な仕事でありますので、その設計、安全性につきましては非常に問題が多いのは事実でございます。そこで土木学会の中に耐風と耐震と両方の研究のための小委員会をつくっております。一つは委員長が東京大学の久保教授であり、一つの耐震設計のほうは土木研究所の大久保さんが委員長で、大きいほうは四十数名、小さいほうが二十名近くでございますけれども、その小委員会でいろいろと研究を進めております。それで、現在公団がやろうとしております実施の設計も、そこの小委員会でつくりました設計の細目とその基準というものに従ってやっておりますので、私どもはもうこれ以上のメンバーというのはないと思います。また本四公団の中にもそういう特別の研究会をつくってさらにその上に研究をやっておりますので、それに加えたチェック機関というのはつくらなくても十分安心できるというふうに私どもは考えております。   〔委員長退席、天野(光)委員長代理着席〕
  157. 浦井洋

    ○浦井委員 公団の御意見をお伺いしたい。
  158. 富樫凱一

    富樫参考人 いま道路局長が申し上げたとおりでございます。第三者の意見は十分取り入れておるつもりでございますけれども、さらに私としましては、これは公式な機関というようなことでなくて、いろいろな人からいろいろな意見を聞いておるわけでございます。それらを勘案いたしまして、できるだけ完全なものをつくりたいと考えております。
  159. 浦井洋

    ○浦井委員 私はやはり公的に第三者のチェック機関というものをつくったほうがより客観的に安全性が確認できるのではないかということで、要望しておきたいと思います。  そういうことに関連をいたしまして、すでにいろいろと実験をされ、そして調査をされておるわけなんですが、そういうものを公開をして、そしていろいろな人の批判を仰ぐような措置が必要ではないかと思う。これは安全性だけでなしに、水産資源の問題であるとかあるいは公害関係、海の汚染とかそういうような問題もそうですけれども、そういう資料公開というものをやはりひんぱんに十分やって、そしてきわめて客観的だというふうなコンセンサスができるようなことを努力せなければいかぬのではないかというふうに私は思うわけですが、この点については道路局長、どうですか。
  160. 菊池三男

    菊池政府委員 いままでやっております調査等の資料その他にいたしましても、これは公開して皆さんの御批判を仰ぎながらやっております。公開してやっておりますので、別に問題はないかと思います。——ちょっとお答えになっておりませんか。
  161. 浦井洋

    ○浦井委員 公団のほうはどうですか。
  162. 富樫凱一

    富樫参考人 これまでの調査結果はいろいろ刷りものにして出しておりまして、マル秘のものはございません。ただこれは発行部数は限定がありまして、こちらの予算でやりますので関係方面にしか配っておりませんけれども、御要求があればいつでも見ていただいてけっこうです。
  163. 浦井洋

    ○浦井委員 そこで、各ルートによっていろいろな調査が進められ、工事がいよいよ始められるというこの段階になって、当然地域の住民の皆さん方の声があがってきておるわけです。これは大臣によく聞いておっていただきたいのですけれども、たとえばAルートなんかの場合——時間がございますならこれはA、D、Eと一カ所ずつ申し上げたいと思うのですけれども、神戸側、これは密集地帯の上を、海岸から六十五メートル上がったところを橋が通って、そして何万台という車が通り、聞くところによると新幹線が通るということで、このルート決定の問題について大きな騒動といってもよいほどの動きがAルートの神戸側ではあるわけなんです。そこでこの地域の方々が公団の神戸の事務所に行って尋ねてみますと、ルートの決定については明石海峡の地質調査が済んでから皆さん方に発表をしたい、そして相談をしたいというようなことを言われておったそうであります。しかし、そういう地質調査が済んで、こことここ、ここはやれるというようなことになってきますと、住民の側にしてみたら大体決定したのを押しつけられるというような形になるわけなんです。だから、事務所のほうとしては、あるいは公団の側としては、金をかければ少々技術的な問題は克服できるわけなんですから、だから十分な相談が地元にかけられて、ルートがどこにつくかという問題についても相当慎重に事を運ばなければならぬのではないかというように、私地元の動きを見て感ずるわけなんですけれども、まずこのAルートの神戸側の問題について、公団側からこの点についてお答え願いたいと思います。
  164. 富樫凱一

    富樫参考人 明石海峡の橋につきましてはまだ調査が完了いたしておりません。ただいまやっておりますのは明石海峡のどの部分にどういう橋をかけるかという調査をやっておりまして、その前提になる地質調査をやっておるわけでございます。その調査の目的は、最も水深が浅くて、しかもワンスパンの長さが短い、こういうことでさがしておるわけでございますが、浅ければスパンが長くなるし、スパンを短くすれば深くなる、こういう二律背反がございまして、なかなかめんどうなんです。しかしあそこに橋をかけるということは先の問題でございまして、その橋がかかればその取りつけの道路もきまってくる。ただ橋の位置というものは多少変えられますから、その取りつけ道路につきましても最も人家の薄いところをねらいたいと考えております。といいますことは、沿道に損害を与えない、最も少ないところを選びたいと考えておるわけであります。ただ、そのルートを早く示せということでございますが、そのような状態でありますので、もう少しこれは時日が要るわけでございます。それからもう一つは、基本計画の指示がないと現地にもそのルートの説明もできないというような点もございます。しかしこれはルートを早く皆さんにお示しして、それで地元の方と御相談する。御相談しながら設計をきめていきたい、こういう考えを持って、そのように考えて進んでおりますので御了承いただきたいと存じます。
  165. 浦井洋

    ○浦井委員 次にDルートに移りたいのですが、Dルートの問題では、これは坂出側なんです。これは海岸ベリに臨海産業観光道路という都市計画街路、それから南側に国道十一号のバイパスがある。将来はこれは四国横断道にまで、日本列島改造の構想からいきますと当然延ばされる。ということになってくると、非常に短い狭い地域の中で大きなインターチェンジが三つもできるということで、これも地元で騒動が持ち上がっている。ところが公団の側は、測量するのだということで、二百メートル幅で測量をいたします。その測量をしたあとで相談というようなことを言っておられるようですけれども、これもAルートと同じように、やはり住民にしてみれば二百メートルというふうに限定されるわけですから、事後承認だというふうな受け取り方が出てきて当然だと思うのです。だからこの点も十分に地元と相談をする。地元といいましても、もちろん自治体の長あるいは地方議会も含めて、地区の自治会なんかとも相談をするというようなきめのこまかい仕事のやり方が私はここでも必要になってくると思うのですけれども、この点について公団の御意見はどうですか。
  166. 富樫凱一

    富樫参考人 坂出の取りつけ道路は十一号バイパスまで延びるわけであります。その間で臨海工業地帯に一カ所、それから十一号バイパスに一カ所インターチェンジを設ける計画でございまして、ただいま二百メートルの幅で、この間で路線をきめたいから測量させていただきたいということをお願いしておるわけであります。この二百メートル幅というのは、橋の位置が、ルートがああいうふうにきまりますと、その取りつけはいまの二百メートルの中になってしまうのです。これは道路の技術的な観点からそうなるわけであります。二百メートル幅の中で地元の方と御相談して、最もいいルートをきめようじゃありませんか、こういうお話し合いをしておるわけでございますが、ちょっと事務所のほうの手が足らなかった等のことがございまして、御説明が十分でなかった点もあるやに聞いております。   〔天野(光)委員長代理退席、委員長着席〕 今後そういうことのないように陣容も強化して、十分御納得のいくような御説明をいたしまして事を運びたいと思いますが、とにかく測量をさせていただきたい。  そこでさっきのインターチェンジの問題になりますが、これは狭い部落に大きなインターチェンジができるのは困るということでございます。これはちょっとインターチェンジの場所を変えようもございません。またこちらの計画内容をよく知ってもらっておるとも思えませんので、こちらの計画をこれから十分御説明申し上げまして御納得をいただきたいと考えております。それから四国縦貫高速道路にできるインターチェンジの問題、これはただいまのところ私どもの所管ではございません。ただいまは十一号バイパスを起点といたしております。
  167. 浦井洋

    ○浦井委員 次にEルートの問題もただしておきたいと思うのです。私最近手に入れたのですが、Eルートの通過地点、因島市の市会、本年度の定例市議会で予算特別委員長が報告をされておるわけなんです。正式な文書になっている。こういうことが書いてある。「次に本年はいよいよ架橋工事が着工され、合わせて市内に自動車高速道路建設されますが、関係町においては騒音等公害の発生について憂慮しており、更に農道等が寸断され農民が不便をきたすという現象が予想されます。したがってこれら諸々の問題を処理し解決していくため関係団体あるいは地域ごとに組織づくりの動きがあります」、こういう報告が市議会に正式に提出をされておるわけなんです。私広島へ行きまして地元の方々にお聞きをいたしましても、まず自治体の側としては、インターチェンジなりあるいは道路に取りつく取りつけ道路、これの財政的な問題も含めて、これがどうなるのかということがさっぱりわからぬ。それからここに書いてありますように、居住地であるとか、特に農地が、島の中を道路が通ることによって寸断をされる、これに対する措置を公団のほうはどうしてくれるのかさっぱりわからぬというようなお話がございます。さらに渡し舟、渡船ですね。公団のパンフによりますと、そういうものがなくなって、快適に安全にお互いの島々も渡れるし、中国、四国に安全に渡ることができるというようなととが書いてあるけれども、実際問題として、どうも公団の計画なり仕事を見ておると依然として昔の渡船が必要になる。一体これはどうなるのだというようなことがさっぱりわからぬという意見を山ほど聞くわけであります。地元の広島の市議会議員さんや町会議員さんに聞きましても、こういう大きな道路が島の中を通るということになると、いままで市としてあるいは町として立ててきたいろいろな振興策がもう一ぺんやり直しになってしまう、そういう総合的な振興策との関係を国なり公団なりが一向に考えてくれないのだというような要望も聞くわけであります。また、文化人などは、島の中にいろいろな文化財がある、こういうものがつぶされてしまうのではないかという危惧も抱いておるわけでございまして、こういうものに対して一体公団はどういうようなおつもりでおられるのかということをここで一問だけ聞いておきたい。こういうことを放置しておくならば、夢のかけ橋だというようなことを言っておられても、むしろデメリットのほうの多いかけ橋になってしまうというふうに私は考えるわけであります。
  168. 富樫凱一

    富樫参考人 ただいまお尋ねの因島の件につきましては、私もよく承知いたしておりませんが、因島はただいま基礎工事の地質調査をやっておる段階でございまして、まだルートをお示しする段階になっていないわけでございます。そういう段階になりましたらよく市当局あるいは関係地元の方々と御相談して、最もいい線を引きたいと思いますし、また島の開発、発展のために必要な措置については、私どもも協力するのにやぶさかでないと思っております。
  169. 浦井洋

    ○浦井委員 私、これも経過をずっと監視してい一きたいと思うのですが、Aルート、それからDルート、Eルート、いずれにしましても、地元の自治体も含めて共通して要望したのは、全体計画を早く公団なり国の側が——直接的には公団でしょうけれども、公団がつくって、それを発表し、示してほしい。それに対する対応を早くやらなければならぬということは、きわめて強くいまそれぞれの地元が求めておるわけなんです。A、D、E以外にも、たとえば高知県であるとかあるいは愛媛県の南部でも、橋が通るのだということでもう土地の買い占めが始まっておる。そこに住んでおられる住民の方々は全体として非常に不安を感じておられるわけなんです。だから私、そういう地元の方々の意向を受けて、ここで早く全体計画をつくって、地元の自治体やあるいは住民と相談をしなさいということを要望しておきたいと思うわけなんです。  その点で具体的に申し上げますなら、たとえば、いまも出てまいりましたけれども、陸上部分のルートの問題、それからそのルートだけでなしに、一体掘り割りで通るのか、あるいは空中を通るのかというような形態の問題もありますし、その公団の管理をする道路に対する取りつけ道路を含めた全体の道路計画、こういうものも早く立ててほしいという要望が強いわけであります。それともう一つは、これは公団は関係あるわけですけれども鉄道計画、これがさっぱりわかっておらないという問題があります。それから、これは公団の説明不足だろうと思うのですけれども、どこまでが本四連絡橋公団がやるのか、ここから先は日本道路公団がやるのかというような、そこらもわからない。だから住民の側にしてみたら心配で、事情を聞きに行ったりあるいは何か交渉しようと思っても、いや県に行け、いや連絡橋公団に行け、いやそこは日本道路公団ですというようなことで、右往左往しなければならないという事態が起こっておるというふうに私は聞いておるわけでありますが、そういう点についてもっと綿密な総合的な全体計画を早く出して、それを懇切丁寧に住民に示して、住民を安心させることが必要ではないかと思うのですが、この点について公団のほうからひとつ。
  170. 富樫凱一

    富樫参考人 ただいまの件、仰せのとおりだと思います。そのように皆さんに御理解いただくように努力いたしたいと考えます。
  171. 浦井洋

    ○浦井委員 時間が迫ってきておるわけなんですが、最後に本四連絡橋公団の財政問題についてお尋ねしたいと思うのです。  まず根本的に、現在関門大橋が出資金地方負担がないのに、本四連絡橋公団というのはどのルートもそれぞれの関係自治体が負担しなければならないという点について非常に素朴な疑問があるわけなんですが、これについてはどういうお考えですか。
  172. 菊池三男

    菊池政府委員 関門大橋につきましては、実はこの本四連絡橋とだいぶ規模が違うと思います。こちらのほうは三本で一兆三千三百億。ところが関門のほうは、同じ海峡の連絡橋ではありますけれども、全体の工事が約三百億程度だと思います。したがいましてこれとその費用の負担は違う。そこで、関門橋につきましては七千六百キロ高速道路の一環という形でその中に含めておりますので、高速道路とこの本四の連絡橋ということの差はありますけれども、関門橋だけを特に抜き出しての問題ではない、かと思います。
  173. 浦井洋

    ○浦井委員 地域性という問題はどうなんですか。
  174. 菊池三男

    菊池政府委員 地域性と申しますと、やはり規模の大きさにもよるかと思います。規模が非常に小さいものは地域性ということが隠れてしまいますし、非常に規模の大きいものは地域性が出てくる。ということは、私どもいままで特に地域性という考え方がありますのは、たとえば首都公団、阪神公団あるいは本州四国連絡橋公団というものが地域性ということでありまして、関門橋はやはり高速道路七千六百キロの中に隠れてしまうものではないかと思います。
  175. 浦井洋

    ○浦井委員 どうもはっきりしないのですけれども事業量が大きいから地元負担という考え方そもそもがけしからぬわけです。それはそれとして、現在国の出資の問題が、調査の段階では国と地方自治体が一対一、今度はそれが一対一。これは一体今後とも一対二で続けていかれるのか。それともある時期、地方負担がふえていって地方財政を圧迫するようなことがあればまた考慮するというのか、その辺をひとつ。
  176. 菊池三男

    菊池政府委員 先にちょっと見通しを申し上げたいと思います。一兆三千三百億の全体に対しまして地方出資が、いま考えておりますのは約二百七十億でございます。それが約十年間に出資になり、しかもそれが関係の府県が十ございます。そういたしますと、たとえば四十八年度につきましては、出資のところは少ないので三千万、多いところで一億五千万くらいでございますけれども、ピークにいきましてもさほど地方財政を極端に圧迫することはない、かというふうに考えております。ただ、従来の一対一であったものを建設の着工の段階で二対一に変えたということでございますので、それによってそのままやれるのじゃないかというふうに私どもは考えております。
  177. 浦井洋

    ○浦井委員 三対一であるとか四対一であるというような形に今後改めていく考えはないというふうに考えてよろしいのですね。
  178. 金丸信

    金丸国務大臣 その問題は先のことでございますからどうなるかわかりませんし、いまの現状ではただいま局長が申し上げたとおりでございますが、一応地方公共団体負担あるいは縁故債が消化し切れないという場面になればまたこれは考えなくちゃならない問題だというので、絶対にだめだとか、いいとも悪いともいま覆うべき段階じゃないのじゃないか、こう思います。
  179. 浦井洋

    ○浦井委員 予鈴が鳴ってしまったのですが、自治省は来ておられますか。——自治省は三対一を要求されたというふうに聞いておるわけですが、そうですか。
  180. 森岡敞

    ○森岡政府委員 本四架橋は国家的なプロジェクトでありますが、しかし同時にその地域の利益というものも非常に大きいものがあろうと思います。そういう意味合いで出資金の割合をどういうふうにするかということもなかなかむずかしい問題だと思います。先ほど御指摘のように、当初調査段階では折半ということでございました。私どもといたしましてはできるだけ地方負担を軽減したいという気持ちを強く持っております。そういう意味合いで四分の三対四分の一ということで何とかならぬかということで建設省ともいろいろ御相談いたしたわけでございます。最終的には三分の二対三分の一、つまり二対一ということで予算がきまったわけであります。現段階におきましてはこういう形で仕事を進めていくということでやむを得ない、かように考えております。
  181. 浦井洋

    ○浦井委員 最後に大臣、公団法によりましても、国が二億円を出資をして、それに地方自治体が出資をする。それを変更することができるということになると、特にこまかく国と地方の比率をきめているわけでもないし、今後いま大臣が言われたような趣旨に基づいて、場合によっては自治体の負担を減らすというような措置があるというふうに純理論的には考えていいわけですね。
  182. 金丸信

    金丸国務大臣 地方財政を圧迫しないということを考えれば先生のおっしゃるような考え方で、政治家としてはそういう考え方を持つべきが当然だと私は思います。しかし、国の財政にも限界があることですから——しかし国の財政の限界はさておいて、地方財政の内容というものはまことに困窮度が高まっておるときですから、そういう問題も将来考えなくちゃならぬときも来るのじゃないだろうかという感じが私はいたしております。
  183. 浦井洋

    ○浦井委員 最後に委員長にお願いしたいのですが、地方自治体は出資の問題で非常に神経過敏になっておりまして、一体どこが何年ぐらいにわたってどれくらいになるだろうというおおよそのめどがつけられなくて困っておるのだという声を聞くわけであります。おそらく建設省なり公団ではそれについていろいろな角度から試算をされておると思いますから、その資料をひとつ提出していただきたいということをお願いしたいことと、もう一つは、たとえば神戸市の市議会なんかに神戸市が説明をしておるところでは、鳴門大橋ができると相当利用がふえて、供用開始後、年間おそらく二百億円ぐらいの営業収入があるのではないか、それを償還に回せば相当神戸市などは負担が減るのだというような説明をしておるわけなのですが、それには三つのルートの料金を一体どうするかということをはじめとして、プール制云々の問題がからんでくると思うのです。その辺の問題について公団か建設省、どちらでもよろしいですけれども最後にお答えを願って、私の質問を終わります。
  184. 菊池三男

    菊池政府委員 最初の、今後の見通しの問題でございますが、地方負担する見通し、これは全体の一兆三千三百億に対する見通しでございます。ただ年度別になりますと、これは事業をやる個所、それからやる仕事によってそれぞれ負担が違ってまいりますのであまり詳しいのはありませんけれども、全体のものは資料提出できると思います。  それからプール制の問題でございますけれども、ただいまのととろは三木とも別々にやっても採算がとれるということでありますし、現在プール制にするということは考えておりません。
  185. 服部安司

    服部委員長 本会議散会後再開することとし、この際休憩いたします。    午後一時五十五分休憩      ————◇—————    午後三時五十一分開議
  186. 服部安司

    服部委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。阿部昭吾君。
  187. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 いま道路の新しい五カ年計画がスタートをいたします。従来、主要地方道の国道昇格という問題は大体四年ないし五年に一度、まとめて格上げ措置をしておったわけでありますが、最近の情勢の変化は非常に大きいわけであります。そうでありますからまた今回も、四十九年までの六次計画の期間がありましたのに、第七次計画を二年間繰り上げ発足さしたという経過があると思うのです。ちょうどこの時期でありますから、主要地方道の国道格上げというこの願望は各地方団体の中で非常に大きくなっておる。したがって、この時期に主要地方道の国道昇格という問題を取り上げるべきではなかろうかと思うのですが、大臣からこの点を伺いたい。
  188. 金丸信

    金丸国務大臣 第七次道路計画の予算も通していただきまして、その暁にはいわゆる生活道路というようなものを考えながら、地方公共団体負担も軽くなることを考えなくちゃならないというようなことを考えれば、いわゆるいままでの恒例にばかり従ってはいられないということもいわれると思います。先生のおっしゃるように、十分この問題については検討して進めてまいりたいと思っております。
  189. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 お気持ちはよくわかりました。時間的にいいますと、第七次五カ年計画が今年から発足をする。したがって、この主要地方道の特に重要なるものについての国道格上げの問題につきましては、来年などと言わずに、今年度あたりの段階でやる、こういうふうに思ってよろしいかどうかということです。
  190. 菊池三男

    菊池政府委員 国道昇格につきまして少しく御説明したいと思います。  実は昭和四十四年の十二月に約七千キロほど国道昇格をいたしております。それより前は昭和三十九年でございますから、それよりまた六年前くらいですが、これが三千キロほど上げております。そんなことで、四十四年以後、国道昇格をしてほしいという地元のいろいろなお話を耳にしております。実はその四十四年に七千キロほど国道昇格をいたしまして、県道から国道に上がりましたので、県道にそれだけ穴があいたわけでございます。それでその県道を今度埋め、さらに県道をもっとふやして整備をするということから、大体二万キロくらいふやしていいんじゃないかということで、それ以後三、四年たっておりますけれども、現在作業をして、そのうちもう七千キロか八千キロくらいは市町村道から県道への格上げが終わっております。あとはまだ作業中でございます。したがって、一応国道昇格の作業行程から参りますと、国道へ上がったところが今度市町村道から県道へ昇格する。その手続が終わると一周期になって、また次の国道昇格の問題が出るのかなというような考え方でおりましたので、現在鋭意県道昇格のほうを進めております。事務的には、国道昇格はこの前やって以来三年ちょっとしかたっておりませんので、まだ早いのかなという気がいたしております。
  191. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 大臣、ぼくはいまの道路局長の答弁は聞かぬことにしておきたいのです。私が質問いたしましたのは、七次計画というのは、従来の四次計画から五次計画、五次計画から六次計画というぐあいに順次切りかえてきたものと今回の場合は相当性格が違うと思っておるのです。賛否両論の立場、いろいろありますけれども、やはり道路というものを今回考えるのには相当根本的な政策の視点というものがあるというふうに私ども認識をするのです。そういたしますると、従来の、国道昇格をやった、そのあとを県道で埋めた、そのあとを市町村道で埋めていく、大体これが片がついたところでまた次の回転を考える、こういうテンポじゃなくて、今後はやはり——これから財源問題の解明等も作業として大きな問題として残っておるわけですけれどもわが国当面の道路構造全体をどうするかということを基本的に踏まえて打ち出されたものが今回の第七次五カ年計画だというふうに私どもは認識をしておるのです。そうだとすると、従来のように上げて、また下を上げてきて、その下をまた上げてきて、一回りしたならばまたということでなくて、今回のこの時期はやはり全体のワク組みというものを鮮明に描き出すという時期なんじゃないかという気がするのです。そういう意味で、さっきの大臣答弁は気持ちとしてたいへんにわかると思ったのですが、いまの局長答弁だとまた少しうしろへ戻ったような感じで、これはひとつ大臣、前向きな答弁を期待したいところであります。
  192. 金丸信

    金丸国務大臣 事務的の立場からいうと、いろいろ準備もあると思います。そういうことですからあのような答弁をせざるを得ないと思うのですが、しかし逆も真ということもありますから、ひとつ上からまずきめるというのも一つの方法だ。そこで、四十四年度から改定をして六年たたなけれぱやらないという考え方、そういう考え方は私は間違っておると思います。私はあっちこっちまだ視察にあまり出ませんが、出るところところで県道昇格という問題は全部陳情を受けているわけですから、そういう切なる願いというものを聞いてやることが政治だと私も思っております。そういう意味で、その四十八年度においてできることであるならばやりたい。もしやれない場合にしても四十九年度には昇格をやる。この辺でひとつ考えていただきたいと思いますが、私のほうも考えていきたいと思います。
  193. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 重ねて、これは質問じゃなくて希望として……。七次計画は従来の五カ年計画改定とはその根底が違うのだという認識をわれわれは持っておるし、国民もそういう期待、地方自治体もそういう期待を持っておると思う。だとするならば、従来の周期的なそういうテンポじゃなくて、道路全体の根底がやはり変わるのだという期待は大きいわけであります。そういう意味ではこの時期に別の角度での道路構造、組み立て、これはやはり打ち出す時期だというふうな認識をみんな持っておるわけでありますので、なるべくすみやかな時期にこの問題に決断を発揮してほしいということを強く希望いたします。  次に、先ほどわがほうの井上さんから、建設白書を見ても、いろんなものを見ても、道路交通過密、混雑というものは依然として解消されない。そこで反省がないという強い指摘がありましたけれども、ここでやはりわが国の車というものをもう一ぺん再検討すべき時期にあるのじゃないか。車をどうかするということになると、これはひとり建設省の問題じゃなくて、通産省の問題から全般の問題に影響が及ぶ問題です。しかし考えてみますと、車をこのまま野放しにしておいて、昭和六十年度ごろになったならば鈍化するであろう、大体バランスがとれるようになるであろうといっても、その期間の問題というのはなかなかたいへんなんです。したがって、道路整備のテンポと車というものをどうするか。その意味では、建設省道路を預かっておるわけでありますから、車に対して建設省から問題提起をすべき時期ではないか、こう思うのです。これは通産省と建設省がある程度少々けんかをしなければならぬような問題なんじゃないかと思うのです。したがって、困った困った、だんだん道路よりもそっちのほうが進んでいって、依然としてこれだけ銭をつぎ込んで道路をやっても過密、混雑は直らぬ、こういう反省ではなくて、やはりこの機会に車に対してひとつ道路の側から問題を提起するということが必要なんじゃないか。同時にこのことは、同じ通産省のワク組みの中でも問題が起こっておるのは、油がたいへんなことになろうとしているわけです。そういう問題全体を考えると、自然の成り行きにものをまかせて追っかけていくということじゃなくて、この際やはり建設省の側から車に対してものを申す。車をやはり規制していく、この必要があるということを、建設省は政治的な観点から問題提起をすべき時期、それが必要なんじゃないかという気がするのです。いかがでしょう。
  194. 金丸信

    金丸国務大臣 道路を新しくつくりましてもまた交通渋滞が起きるというような悪循環を繰り返しておるということですから、何かここにくふうがなくちゃならぬ、これは当然だと私も思います。そういう意味で、自動車等の制限をするという問題についてはいろいろ問題点はあろうと思いますし、それも十分研究をしてみなくちゃならぬとは思うのですが、まずいわゆる交通規制というような問題、思い切った規制をやる。都内に入るためには重量のトラックをどうするとか、あるいはバス地方へ人間を運ぶとか、いわゆる路面を走る自動車に対する規制というものを、相当強いものを思い切った方法でやるべきだ。一番簡便な方法は、自動車の製造を中止してもらえば一番簡便だと私は思います。しかしそれはいまの経済事情の中では許されぬだろうと私は思うのだけれども、いずれにしてもこの事態をこのままで看過しておったのではいつになっても交通渋滞は解消しない。ここにくふうというものが必要であるということを私も常々考えておるわけでございますが、こういう面で、道路局にも十分に検討させてみたい、こう考える次第であります。
  195. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 これは局長にも同様の角度から御指摘をしてみたいのでありますが、車ですね、これはいまの状況ではたいへんなんですね。いま建設大臣も答弁されました。先ほど菊池局長も答弁されておりましたが、都心に入ってくる車を規制するとかなんとかいっても、それは車がある以上そう簡単にいきません。この間高速道路など乗ってみると、高速道路じゃなくて、乗っかったら最後、詰まったらもうどうにもしようがないのですよ。車を何とかせいという問題提起を建設省サイドからこのあたりで相当大胆にやらないと私は問題は改まらぬという判断なんです。したがって、これはぜひひとつ根本的な問題で検討してもらいたいというふうに思います。  時間がありませんから次に、これは建設省のいやがる質問だと思うのでありますが、都市区画整理というものがあります。住宅地の区画整理事業です。私自身の例ですけれども、たんぼを二反歩ほど持っておった。それが都市区画整理の区域内に入りました。そこでいろいろそこの利用を考えておったら、減歩率が三三%とかなんとかいわれて、三分の一ちょっとないのですよ。あとでよく説明を聞いてみたら、区画整理区域内に道路をとりました、下水溝をつくりました、それから公園などをつくるスペースもとるのです、一番でかいのはこの道路であります、こういう説明です。なるほど道路がなければ住宅地にはなりません。これを全部区画整理組合の事業主体におんぶさしておるわけです。最近はこの上に、前のように道路肩をつくればいいという状態から、舗装をちゃんとやらなければ区画整理事業を認めませんよ、こうなってきました。そうすると、区画整理、住宅地整備する事業の中に占める道路というものが全部、そこに住宅地を求めようとする皆さんの宅地の値段の上に上のせされていくというので、住宅地高騰の大きな根源になっておる。(「当然のことだ」と呼ぶ者あり)これは当然のことじゃないのです。土地騰貴の一つの要素にもなっておる。したがって、住宅地区域内における道路——この道路には国と自治体その他がどのようなアロケートをすべきかはいろいろ議論があると思いますけれども道路部分を全部、そこに住宅地を求めようとする庶民に対して土地代として上のせをさしていくというこのやり方は、市街地におけるマイホームを求めようとする人々の土地の値上がりを促進さしておる大きな要因になっておる。したがって、その区画整理事業の中の道路部分に対して、やはり財政から一定負担というものがもっともっとあってしかるべきなんじゃないかという判断を私は持っておるのでありますが、これはいまの五カ年計画の中にもかかわりのある大きな問題なんです。特に新しい五カ年計画では生活道路を非常に重視をするということがいわれておる。そうなりますと、その中におけるこの問題は非常に大きい問題だと思うのです。これはやはり国及び自治体の段階で、一定の区画整理事業内における道路に対して——それは登記をとる段階では全部、道路ですから換地になるわけですね。そうである以上、これを全部そこに住宅地を求めようとする人に上のせさせていくという行き方じゃない手法がこの際考慮さるべきじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  196. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 おっしゃるとおり、区画整理事業によってでき上がりますものが道路とかあるいは側溝とか一部公園とか宅地整備、こういうことでございまして、それ自体が宅地の有効利用をはかる、そのためには必要な街路を入れていくということでありまして、いわば区画整理事業の本来的性格でございます。そういう意味で、生み出されます公共施設宅地利用増進と対応するという意味合いから減歩をお願いしておるわけでございますが、しかしながら、中に相当幅員のいわば幹線的な都市計画道路などが含まれる場合などには、近年ではこれを特に道路整備特別会計からの国庫補助、その裏負担を含めまして、県、市等と国との財政をもって、実質上そういった幹線道路の用地費、築造費を補助対象として、これを区画整理事業に対し交付しておるわけでございます。おそらくこの問題は、そういった補助の体制はありますけれども地方負担関係もあり、特に区画整理組合施行の場合に県に二分の一国庫補助をするという制度になっておりますが、県としてはそのまた二分の一くらい、全体の四分の一くらいを市町村に事実上負担してもらっているというようなことがありまして、特に市町村段階での負担というような問題から思うように補助対策がなされていないうらみがあるのではないか。そういう点がもしありますれば、これはせっかく補助対象になるものをいかにも残念でございますので、今後極力指導させていただきまして、補助対象が満額いくような配慮をさせていただきたいと思います。
  197. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 そのことは私もよくわかっているのです。そのとおりになっておらぬところは、私ども特に自治体段階でいろいろな希望を出して、いろいろやっていただいておる。しかし、やはりもっと根本的に私どもが心配するのは、住宅地区域内に道路をつくらなければならぬ。当然これがいまの段階では大部分のものが全部、そこに住宅地を求める人の土地代の上に道路の用地費も築造費も上のせされる。幹線や何かはいま言われたような補助や何かがあるのです。そうじゃなくて住宅の面している生活道路、このあたりがやはりなかなかたいへんなんですね。このあたりの問題、根本的にもう一ぺん検討されて、道路の用地費その他が住宅地の上に上のせされて地価騰貴を引き起こしておるという状態にならぬような措置をすべきだ、こういう希望であります。これは時間がありませんので、あとでまとめてひとつ御答弁をお願いしたい。  次の問題、きょうは労働省の失業対策部長さんおいでだと思いますが、労働省に御質問いたします前に、これは今度の五カ年計画とのかかわりで大臣に一言だけお伺いしておきたいのでありますが、失対事業というのがあります。前々よくこの失対事業にいろいろな批判、反批判がありました。私の町などを見ておりますと、狭い裏通りとかそういうようなのがたくさんあるわけです。こういうところを一般の業者に発注するといってもなかなか、自治体の段階で検討してもらってみますると簡単にいかない。そこで、裏の小さな小路とか、どぶみたいなものを側溝みたいにきれいにするような、そういう部分は全部この失対事業でやっておるようです。かって失対事業というのは、働かぬで、何か失業救済のような、社会保障のような部分との何かまぜ合わせたみたいなもので、非常に評判が悪かった。最近私の町ではこの失対事業の運営というものを非常によくやりまして、この裏通りのいわゆるほんとうの意味生活道路、あるいはいままで非常に不衛生であった下水溝のようなものの整備など、これが非常に運営よろしきを得て、きれいに整備されるのにこの失対事業というものが非常に大きな役割りを果たしておるのです。したがって、私は今度のこの五カ年計画段階でも、特にいま申し上げましたような性格の生活環境整備道路、こういうものに対して失対事業が、私の町などを見ておりますると、果たす役割りが非常に大きい。従来この失対事業というものを政府はやっかい者扱いで、何か失業救済と何かとみんなまぜ合わせたみたいな、非常にやっかい者扱いにしておった。最近私の町などではなかなかいいことをやっているなという評価が、これは運営のよろしきを得たせいもあるでしょうが、あるのです。特にいま大体、業者などに発注いたしますると、機械か何かでやらなければなかなかペイしない。したがって、ほんとうの人間の手でやるような部分というものを業者に発注しようといっても、なかなかそうはまいらぬというので、自治体の段階ではくふうしながら、そうしてまた失対事業とのかね合わせで、生活道路整備、裏通りのような不衛生な側溝整備のような、下水溝の整備のような、こういうものをどんどんやっておるというやり方をしておるのです。この位置づけを私は建設省の側からも、従来のようにこの失対事業をやっかい者扱いにせずに——失対事業はこれからとんとんふえていく性格ではいまの段階ではありませんが、ただ、だんだんとそこの中におられる皆さんは老齢化しつつある。しかし長い期間そういう仕事をやっておりますから、運営のよろしきを得ますと非常にやり方がうまいのです。わが町なんかでは最近のやり方は非常によろしいということで、市の段階でも非常に評価が高い。  そこで、これをやっかい者扱いしてはいかぬということを私は労働省に申し上げたいのでありますが、失対事業は一カ月二十二日しか就労しちゃいかぬ、こうきまっておるのです。ところがいまみたいに非常に希望が町の中で多いものでありますから二十二日間というわけにいかない。もっと働かせたい、こうなる。ところが労働省のほうではいま二十二日しか働いちゃいかぬ、こういうわけです。いや、もっと働かせたいという自治体が、労働省のほうからの助成を受けない市の単独事業などで出しますと、二十二日の総体のワクの中から市の単独事業でやった部分だけは補助金を差し引きますというたてまえにしておるようです。これは私は失対事業はやっかい者扱いという従来の認識から一歩も出ておらないと思う。いまこの生活道路などを重視するという観点から見ますと、この裏通りのようなところの環境は大事なんです。そういう面から見ますと、建設省の側から労働省に対しても、失対事業の運営を十分労働省も監査、監督して、運営よろしきを得ておるようなところは三十二日ということにこだわらずに、国全体が二十二日だというならば、市町村段階においては単独事業やなんかで若干もっと働かしてもよろしいというぐあいにすべきだと私は思う。そうしなければ、いまの生活道路優先というこの五カ年計画を達成するということは困難であろう、こういう考え方を私は持っておるのですが、道路局長と労働省の失対部長のほうから、私の見解が間違いなら間違い、正しいならそのとおりするというぐあいに明快な見解を聞きたいと思います。
  198. 桑原敬一

    ○桑原政府委員 失対事業の運営につきましては、私どもかねがね関係者と相談をしながらその正常化につとめております。先生御指摘のように、最近は非常に地域社会に役立つ仕事をしておられると私どもも感謝を申し上げておるわけであります。御指摘のように、失対事業道路整備事業をやっております比率は、多少年をとってまいりましたので比率は下がってきておりますけれども、全国的には大体三六%程度、ほかの事業の中では一番大きい事業として道路整備事業をやっております。たとえば山形県あたりでは五十数%、そういった意味では地域社会に役立っておるわけであります。  一方、二十二日の問題でありますけれども、私ども、失対事業のたてまえとして、制度発足以来ずっと二十二日としておりますのは、屋外の労働者が大体二十日ないし二十二日お働きになっておる。公の費用で全額国費ないし都道府県の経費でやっておりますので、一般の民間の労働者の働いておる日数を最低確保する、こういう形で進めておるわけであります。その場合は、失対事業だけで働くのではなくて、民間の求人があれば民間で働く、公共事業の求人があれば公共事業で働く、そういうものを含めて民間の労働者が働く日数を確保する、こういうことでやっておりますので、二十二日の就労日数というのは妥当ではないか、こういうふうに考えております。
  199. 菊池三男

    菊池政府委員 ただいまのお話の、たとえば町の裏通り等の側溝の整備、そういう場合、維持事業に入るわけであります。それで維持事業につきましては、実はこの五カ年計画の中では直轄でやっております場合は国でやっておりますけれども、それ以外は道路管理者である県あるいは市町村の単独の事業ということになっておりますので、実はそういう清掃その他を失対でやるかどうかということまでは、ちょっと私どものほうは直接存じておりません。
  200. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 菊池局長、このあたり存じておらぬのでは、生活道路優先などというこの五カ年計画の新しいたてまえを喧伝するには少しあつかまし過ぎるのではないかと思うのですよ。  そこで、私が言っておるのは、屋外労働者は二十二日が限度だ、こういうのです。二十二日より働けないときはそれでいいと思うのです、自治体の都合によっては。最近非常に手ぎわよく、ようやる。普通の業者などに発注すると、でかい機械を持ってきてがたがたやるのに、非常に手軽に簡便に、いま菊池局長が言われましたような維持事業だけではなくて、舗装などもみんなやっておるのです。側溝事業、下水溝などもみんなつくっておるのですよ。そういう場合に、いろいろな希望があるので、自治体としてはこの期間は働かせたい。しかし二十二日より働かすということになると自治体の単独事業でやらざるを得ない。よう働いて、天気もよい、やらせようということになると、二十二日が限度なので、したがって、単独事業でさらにやった部分のものは、労働省がいっている二十二日からは補助金は引き去りますというやり方をしているのですよ。これではいま建設省計画しております生活道路優先、裏通り優先、こういうたてまえはだめになってしまうので、自治体の責任においてそういう運営よろしきを得てやっておるようなところについては、労働省ももっと十分な監督などもしながら、自治体がさらにもっとやりたいというところはやらせてもいいじゃないか。二十二日のワク内に押え、その上は労働省の補助金を引き去りますというようなことをやらなくてもいいじゃないか。失対部長どうです。私のほうが正しいと思うのですがね。
  201. 桑原敬一

    ○桑原政府委員 私どもの失対事業というのは、失業者に就業の機会を与えるという主目的がございます。その場合に、就業の機会を与えるというのはやはり民間の類似の労働者、つまり屋外の労働者が働いておる日数を確保しようというたてまえになっておるのであります。したがって、その日数の中で、いま先生御指摘道路整備あたりに十分役立てるというような考え方で積極的に御協力申し上げてまいりたい、こういうふうに考えております。
  202. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 建設大臣、どうも役人というのは石頭で話にならぬのですよ。今度の五カ年計画というのは生活道路優先というキャッチフレーズなんです。そこで、それは全国いろいろなところにいろいろなやり方があると思うのです。たまたま運営よろしきを得て、失対事業で裏通りの舗装工事なり下水溝の整備なりでたいへん成果をあげて、喜ばれておる。したがって二十二日だけでは足らない、もっとやらせたい。しかし国の制度としては二十二日間しか失対事業の就労日数は確保しない。その分の補助金しか労働省は出しておらぬのです。しかし自治体の中では、外注やるにはとてもロスがあってやれないし、これでやりたいという場合に市の単独事業でやる。これを労働省はやっちゃいかぬという圧迫をかけるわけなんです。これではこの五カ年計画生活道路優先の基本的な立場と違うのです。やはり、それは監督やその他は十分やるべきですよ。やるべきですが、運営よろしきを得ておるようなところで、自治体が強く求めておるような地帯においてその上に単独事業でやることを、労働省が圧迫をかけて二十二日のワク内にしろなんということを言うのは、大臣、これはあやまちじゃないですか。この面は生活道路優先という新しい五カ年計画の精神からいって、大臣、労働省に一言ものを言ってしかるべきだ、私はそう思うのです。これも言えぬようでは、金丸大臣ともあろう者が……。
  203. 金丸信

    金丸国務大臣 私の所管外の問題ですからあまり……(阿部(昭)委員道路のほうは所管内ですよ」と呼ぶ)失対のほうの問題は所管外ですが、お話を承っておりますと——質問にお答えになるかどうかわからないけれども、山形県の先生のほうはそういう状況だと思うのですが、私の町などは失業者がおらない、こういうことです。そして失対事業ということ自体、内容は私はそれでいいと思うのですが、ことばもまずい。この時代まで来たのだから名前も変えたらいいじゃないか。そして気持ちよく働けるような、失業救済というような考え方でなくて、しかしそれでも困っている人がいるのだから、その困っている人が失対事業で仕事をやる。そこへ一日や二日、あるいは一月のうち日曜もあることですから、日曜も休まずにやるということもどうかと思いますが、そういうことを考えると二十六日くらい、あと四日くらい足してみたってたいしたことはないじゃないか、私はこういう感じがいたします。
  204. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 その感じをぜひ大臣、労働大臣とも協議されて推進してくださるようにお願いしておきたいと思います。——時間がございませんのでもう二つ。  一つは、道路局長、最近公共事業や何かでも、きのうおとといあたり調べてみますと、セメントが足らぬために三月末までには完了しなければならぬという工期の事業が完成できなくて、現地では四苦八苦しておるのです。一体これはどういうことになっておるのかということで、現地の自治体でもどこでもほんとうに弱っているというのが現状なんです。おそらく商社の例のむちゃなやり方がここにも働いているのじゃないかと思うのですけれども、将来ともこういう状態が続きますと、この五カ年計画の目ざしておる事業の達成率と十九兆五千億というこの銭の関係は全然つじつまが合っていかぬような状態になると思うのです。当面三月末まで、年度内に完了せねばならなかった工期の道路整備事業ども、セメントが手に入らぬというようなことで達成できない状態になっておるところがたくさんあるが、この状況を、少なくとも道路局長の傘下にある事業においてどういうように掌握なさっておられるかが一つ。  それから、これは道路局長の所管なのか高橋計画局長のほうの所管なのか存じませんが、原因は一体何なのか、あるいは一体どうするのか。この間私の県などでは建設省の個所づけ発表が行なわれて、きのうあたりの新聞に早期発注はこことここだと、ものすごい事業内容が発表されました。ところが各自治体にいわせると、早期発注といわれても、いまのこの資材の入手困難、特にセメント不足なんという状況から見ると、これはえらいことになるぞというような議論が自治体段階でも盛んに行なわれております。一体この対策を具体的にどうなさるおつもりなのか、見通しはどうなっておるのか、この辺のところをひとつ簡潔にお伺いしたい。
  205. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 最初の道路のことは道路局長があとでお答えするようでございますけれども、私から建設省所管の事業につきましてのセメント不足の状況、需給の見通しについて簡単に申し上げます。  本年の二月中旬ごろからセメント不足が中国だとか名古屋方面、そういうところを中心にいろいろ起こってきました。ほぼ全国的にそういう状況が起こってきております。そういうことからいたしまして、現段階におきまして四十七年度の事業建設省所管の繰り越し分が、いまのところ確定はまだしておりませんが、大体一千億となっております。この繰り越し率が四・七%になっております。そのときによって違いますけれども、普通は大体三・五%前後でございます。その中で原因を調べてみますと、セメント等——これはセメントだけではありません。木材もあると思いますけれども、資材不足ということによりまして起こってきた繰り越しが約百三十億円というふうに見込まれております。この中に道路も入っておるわけでございます。  この原因でございますけれども、まず原因を申し上げますと、これは四十七年度の年間のセメントの需要量というものの見通しが結果的にはどうも甘かったということであろうかと思います。これは建建省所管だけではございませんで、全国について通産省で推算したもの、また業界のほうもこういう見通しを持っていたわけでございますが、当初は六千四百万トン、それから十月ごろ補正予算の関係で六千七百万トンと増加いたしております。さらに二月になりまして六千九百五十万トンということで見通しをすでにいたしております。生産もそれに伴って多くなりまして、三月末で実積は六千九百八十万トンということで、十月の六千七百万トンに比べまして大体二百八十万トンふえておるわけでございます。ついでに今後のことも申し上げておきますと、四十八年度の当初は大体七千五百万トンということで通産省が見込みを立てたのでございますけれども、今後の需要を考えまして八千八十万トンということで見通しを考え、設備能力といたしまして千三百万トンの設備能力を増強いたしまして、実際の生産は千百万トンぐらいでございますけれども、そういう増強の見通しがついておるわけでございます。こういうふうに大体の当初の見通しが甘かったのに対しまして、暖冬異変というようなことで、一月、二月におきましても非常に需要が多くなったということとか、また民間の住宅需要というものが予想よりも非常に多くなった点、さらにまた補正予算によりまして官公需が非常に多くなって、これが十二月、一月、二月というふうに重なってきたという点も原因かと存じます。それからまた二月末から三月にかけましての国鉄の順法闘争の影響によりまして、御承知のように、必要な重油の輸送だとか、つくりましたセメントの搬出というような関係に支障を来たした。  そういうようなことが原因いたしましてこういう不足が生じたことと存じておるわけでございますが、今後の見込みとそれから対策ということについて申し上げますと、先ほど申しましたように四十八年度は全国的に八千八十万トンということでございますが、建設省所管分は、繰り越しの分も含めまして年間大体二千万トン前後と考えております。ところが問題はこの四月、五月、六月でございますから、このところ通産省とか業界のほうの増産能力をいろいろ見通しをつけまして、総供給量が第一・四半期で大体二千万トンということで通産省は業界を指導して考えられておりますが、それに応じまして私ども第一・四半期の建設省事業の消化の分量をいろいろ考えておるわけでございます。年間におきましては大体先ほど申し上げた八千八十万トンが供給できますとバランスがとれるわけでございます。したがいまして、通産省の推算では六月になりますとこの需給の逼迫は大体解消されるということになっておる次第でございます。  簡単に対策を申し上げますと、一つは一番最初に申し上げました増産体制の維持強化ということ。それから第二は不足地域への緊急出荷、これは中国地方、東海地方にあれしました。それから第三といたしましては官公需の工事、特に災害復旧とか雪寒工事、そういうような緊急工事につきまして優先確保という点、いわゆる地方需給協議会を通じまして要望するという点でございます。さらにまた、これの輸出を少なくして、また輸入をふやすという措置を通産省のほうがとることになっておる次第でございます。先ほど申し上げましたように、こういう措置によりまして、六月ごろになりますとそういう逼迫が解消されるという見通しでございます。  簡単でございますが以上でございます。
  206. 菊池三男

    菊池政府委員 道路のほうの、特に私どもの直轄でやっておりますセメントの不足の状態がどうであるかという御質問でございます。直轄につきましては、実は四十七年度の繰り越しが大体八十億か八十数億と思います。その内訳のうち、セメントの不足によった繰り越しというのは二十億でございます。それ以外は用地、これは一応仮払いをして、まだ登記ができないために、支出負担行為は起こしたけれども、最終的に建物がのかないので払えないという、支出負担行為はしたけれども繰り越しになるというのがほとんどでございまして、何もかもできなかった用地が沖繩で若干、十数億ありますけれども、それ以外は大体順調に消化できておる。セメントの不足につきましては二十億は確かに出ましたけれども、その後いろいろ聞いておりますところでは、逐次セメントのほうも入る傾向になってきておるというふうに聞いております。
  207. 井上普方

    ○井上(普)委員 関連。セメント不足につきまして、先般の当委員会において論議がなされたのであります。そのときに官房長からの御答弁として、特に災害復旧工事についてセメント不足によっておくれるようなことのないように、地方通産局と相談をして災害復旧工事に優先的に配給する、こう申されたのであります。そのとおりかと思って、私の国元の災害復旧工事でセメント不足で仕事ができない、何とかしていただけないかという話がございましたので、それではひとつ県の土木部長あるいはまた建設省の出先の局長に話してごらんなさい、国会ではこういうようなことになっている、こう申しましたところが、土木部あるいは建設省の出先の御答弁は何というかといいますと、表向きはそういうことになっています、ないそでは振れません、これが実態であります。一体あなた方のここでの御答弁というのはそういう出先のことなどを知っての上の御答弁なのか。どうなんです。そのためにその仕事ができておりませんよ。
  208. 大津留温

    ○大津留政府委員 先般福岡先生の御質問に対しましてそのような趣旨の御答弁をいたしました。これは通産省が中心になり、需要者代表として建設省、農林省その他が集まりまして、中央では中央の協議会、それからブロックにはブロックの協議会、また県段階におきましては県の協議会をつくりまして、いまお示しのように災害復旧工事等に最優先に回すという申し合わせのもとに運営しておるわけです。したがいまして、市町村から県の商工部、それからブロックごとの通産局に御連絡いただけば、そういう方面には優先的に回すという申し合わせになっております。
  209. 井上普方

    ○井上(普)委員 これはたてまえだけなんです。私は一週間前にこのことをやった。そして土木部長にも話しました。表向きそういうことになっています、これが役所仕事です。災害復旧の仕事がそんななんですよ。しかもあなた方建設省はそう言う。現場の土木部長は、表向きはそういうことになっております、セメントがありませんのでそれを繰り越してください、こういう話です。話が中央での話と違うじゃありませんか。当委員会の話と違うじゃないですか。大臣、どういうようにお考えになりますか。
  210. 金丸信

    金丸国務大臣 ただいまの話を聞きまして私も意外に思っておるわけであります。もってのほかだ。速急にこの問題は、いま一回出先に厳重に通達をして——通達というより電話連絡でありますが、速急にこの道を開きたい、こう考えております。
  211. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 時間の関係で最後にもう一つ、これは財源問題です。財源問題はこれから一年やってめどを出すと先ほど大臣が答弁なさいました。例年そのようにやってきたわけであります。そこで、——自治省の財政当局おいでになっておると思うのであります。先ほど大臣は、また局長もだったと思いますが、特別交付税あるいは交付税、こういうところで地方自治体のいわば地方単独の道路事業というものにそごを来たさないようにやっていく、こういう御答弁があったのであります。今年から発足する第七次道路整備五カ年計画地方単独事業、これが四兆七千億、六次計画に比較いたしますと一・八倍であります。この財源対策に対して自治省ははたして当面どのような認識と計画を持っておるのか。先ほどの特交なんというのはうんと限られたことなんですよね。この計画でほぼ二倍に達しようとする地方単独事業、これをはたして財政的に正確にてこ入れができるかどうかということになると、私どもはそうはいかぬ、こう見ておるのです。自治省におけるこの財源対策をお聞かせいただきたい。
  212. 土屋佳照

    ○土屋説明員 ただいまお話がございましたように、国道に比較いたしまして地方道がかなりおくれておるというようなことから、今回の第七次五カ年計画では地方単独事業費が大幅な増加を来たしておるということは御指摘のとおりでございます。四兆七千億円を計上しておるわけでございます。そこでそのための財源としてはどういったふうに考えておるかというお尋ねでございますが、単独事業のみならず、公共事業を含めましての全体の事業の中身がまだはっきり私どもとしてはわかっておりませんので、それは総体の問題として検討することになろうかと思いますが、最近の地方財政におきましては、御承知のように道路財源のほかにいろんな生活関連の財政需要というものもございますし、四兆七千億円の事業を遂行いたしまして地方道の整備促進するためには、現在でも必ずしも十分ではございません。   〔委員長退席、渡辺(栄)委員長代理着席〕 地方道の目的財源、これを大幅にまた拡充をしていただきたいと私どもは考えておるわけでございまして、関係方面に御協力をお願いしておるわけでございます。そういった道路目的財源の充実とあわせまして交付税——普通交付税でございますが、そういったこと等を通じまして財源措置をしてまいる予定でございます。四十八年度はとりあえず六千二百億円の事業費——単独事業費でございますが、これを財政計画に計上いたしまして、これは道路目的財源と地方交付税、普通交付税で措置するということにいたしておるわけでございます。まあ一般的に申しまして、特別交付税というのは私どもはこういった一般的な事業には充当するということは考えていないわけでございます。
  213. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 特交はいまの第七次五カ年計画道路事業には考えておりません、こういう答弁なんです。先ほど私のお伺いいたしましたのは、交付税あるいは特別交付税、こういうもので当面地方団体の道路事業というものは円滑にいくようにする、こういうふうに私はさっき聞いておったのですが、いまお聞きすると、特交はそういうわけにいかぬ、こういうことですね。そういたしますと、私は地方自治体における地方単独事業というものはなかなかたいへんだと思うのです。道路局長、特交の考え方に対して、これはさっきの答弁といまの自治省の答弁とでは相当食い違いがあるのですが、これはどうなんです。
  214. 菊池三男

    菊池政府委員 地方の財源につきましては、特定財源としてたとえば軽油引取税とか、それからガソリン税に対する地方譲与税もございます。そういうようなもののアップという考え方もございます。それから市町村につきましては自動車取得税あるいは自動車重量譲与税、こういうものが市町村に直接入るわけでございます。それから今度一般財源として交付税がございます。そういうものを総合的に考えて今度の財源対策を考えていきたいというふうに申し上げたわけでございます。いまの特別交付税云々よりは、一般財源としての交付税が一般財源の主体であると思います。
  215. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 自治省では、あるいは道路局長のほうも、交付税で道路を完全に整備していくことができるというふうにお考えになっておるか。もう一ぺんいまの問題を戻しますけれども、二十一兆何がしの計画のときには地方単独事業の総ワクはどのくらいと見ておったのですか。
  216. 菊池三男

    菊池政府委員 四兆七千億でございます。
  217. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 そうすると、二十一兆何がしのときも四兆七千億、これがぐっと圧縮されて十九兆五千億になってもやはり四兆七千億、これは今回だけではないのです。この前の六次計画のときも、当初の計画よりも実際確定された五カ年計画は少なかったのです。圧縮されたわけです。それでも地方単独事業の部分は減らさなかったのです。今回の場合も地方単独事業というものは減らさぬというところに、ある意味で言えば、この五カ年計画のキャッチフレーズになっております生活道路優先、こういうのが出てきておるのだと思うのです。そういたしますると、この計画が達成できるかどうかの中に占める地方単独事業のウエートというものは非常に大きい。だとすると、その財源対策として、いま自治省が説明するような、いま菊池局長が先ほどの答弁をまた受けて答弁されたような、交付税とか何かでひとつがんばってやらせようといっても、私はそうはいかぬ、こう見ておるのです。いきますか。
  218. 土屋佳照

    ○土屋説明員 先ほども申し上げましたとおり、私どもとしてはいまのような地方財政の状況では、道路目的財源というものをいまでも私どもとしてはもうちょっと引き上げていただきたいと思っておる状況でございますので、これを大幅に増強していただきたい。   〔渡辺(栄)委員長代理退席、委員長着席〕 そういった措置と交付税措置と相まってこれは完成しなければならない、そういった趣旨で申し上げたわけでございます。
  219. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 まだ納得はいたしませんが、財源問題は、金丸大臣、一年間本委員会においてさらに継続的に解明をしなければならぬ問題であると思います。私が大臣に特に強い強い希望を申し上げておきたいと思います点は、最近のわが国の行財政制度を見ますと、大蔵省建設局、大蔵省農林局なんです。全部大蔵省を中心にして、同じ大臣でも何か各省大臣が大蔵大臣の下に屈しておるような印象が非常に強い。これは事実です、予算編成期などをごらんなさい。そこで、少なくとも建設省は、金丸建設行政はやはり大蔵省に対しても、自治省に対しても、あるいはさっきの失対の問題ではありませんが、労働省に対しても、独立した立場で、わが国建設行政道路行政をどう進めるかという観点で、ひとつ権威ある行動を大いに強化をしてもらいたい。財源問題についてはあらためてこれから一年間当委員会でさらに突っ込んだ論議を展開することを申し上げまして、私の質問を終わります。
  220. 服部安司

    服部委員長 瀬崎博義君。
  221. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 第七次道路整備五カ年計画がほんとうに国民の求めている道路整備計画なのかどうかという点を中心にして質問を行ないたいと思います。私が道路問題の最後の質問者のようでありますから、まとめも兼めて、あらためて第七次道路整備五カ年計画の根本的な性格をお尋ねしたいわけなんです。  日本列島改造論にいわく、「四十一年の国土開発幹線自動車建設法で決定した三十二路線、七千六百キロメートルの高速自動車道の建設は目標年度の六十年度をまつまでもなく、いまから十年以内に全部完成し、その総延長をすくなくとも一万キロメートルに拡大しなければならない。」一方、政府提案している「第七次道路整備五箇年計画(案)の大綱」によると、「国土開発幹線自動車道の全区間約七千六百キロメートルを昭和五十八年度までに供用することを目途に、中央、東北、中国、九州および北陸の各縦貫自動車道ならびにその他の自動車道のおおむね全線に着手し、計画期間内に約三千百キロメートルの供用を図るものとする。また、国土開発幹線自動車道七千六百キロメートルを延伸し、および補完する路線について調査を実施し、とくに緊急を要する区間について着工するものとする。」と説明されておる。ぴたっと一致するわけなんです。この日本列島改造論の説明とそれから五カ年計画説明との一致は偶然の一致なのか、それとも深い因果関係があるものなのか、まずこの点から大臣にお答えいただきたい。
  222. 菊池三男

    菊池政府委員 ただいまお話がありました高速自動車国道につきましては、七千六百キロ昭和五十八年度までに完成したいということ、それから七千六百キロをさらに延伸して一万キロ程度にしたいということ、これは偶然一致しております。これは実はこの前の二十一兆五千億円のときにもすでに高速道路昭和六十年達成というものをもう少し繰り上げる必要がある。それはいまの七千六百キロ高速道路網は、実は全国の国土利用のバランスを保ちたいということから国土の普遍的な利用ということをはかるについては、どとからでも二時間以内に高速道路へ乗り入れられるようにしたいというのが一つの考え方であったわけでございます。山の中からでも一番近いところの高速道路へ出ていくのに二時間以内に出られるようにしたい。いままでの七千六百キロもそういう一つの考え方でできておりますけれども、まだそれでは到達できない地区がございます。そういう意味で、そういうまだ足りない地区に補完をする必要があるであろうということが、七千六百キロをさらに延伸する必要があるのではないかということとまた結びついているわけであります。それで、実は従来から高速道路をつくりますのに大体七年ぐらいかかっております。そういたしますと、昭和五十八年度までに七千六百キロをこれを全部やるとすれば七年前に着工しなければならない。そういたしますと大体五十一年あるいは五十二年にはすべて着工していなければならないということから、今度の五カ年計画内には七千六百キロ、この全部を着工するんだということであって、これもそういうことから機械的にそういう数字が出てまいります。これもやはり列島改造と私どもの考えと同じことになろうと思います。先ほど申し上げましたように、たとえば、日本列島改造の場合は昭和六十年度で五千万台という自動車台数、私どもはいま四千二百五十万台ということでございますので、若干の差はありますけれども、最終の数字が比較的似ておりますので、全体の計画も、日本列島改造論の問題と私ども建設省で持っております長期計画とがやはり似ておるということになるわけでございます。
  223. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 中身はもう何べんも説明を聞いているからわかるのです。だから結局答えてほしいのは、一国の総理田中さんが書いたことになっている日本列島改造論と、それからいま建設省提案しているこの五カ年計画とは、全く別々に書かれ、つくられて、結果が偶然一致したことなのか、それとも何らかの因果関係を持っていることなのか、そこのところだけお答えいただければけっこうなんです。
  224. 菊池三男

    菊池政府委員 私ども建設省国土建設長期構想という昭和六十年時点の大きな目標がございまして、それに伴ってやっておりますので、日本列島改造論との直接の関連はございません。
  225. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それでは、しばしば田中総理がこの列島改造論を持ち出して、過密過疎の解消を進めるんだと言っていることと、建設省が考えていることとはこれは別々のものなんだ。田中さんはあれはかってに言っているのだ、こういうふうに理解していいわけですか。
  226. 金丸信

    金丸国務大臣 日本列島改造論というのは総理が問題点を国民に提起したということで、建設省は一つ一つ積み重ねてものを提示した、こういうように御理解をいただきたいと思います。
  227. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 だからやはりこの本の基礎には、建設省のいままでやってきた道路行政その他が含まれて書かれているということ、だからしたがっていま出てきた第七次とは当然因果関係を持ってくる。大臣の説明でいけばこういうことになるのですね。  その中で特にはっきりと目標年度も繰り上げ、しかも自動車道の延長そのものを延ばしているのが国土開発幹線自動車道なんですが、こういう高速自動車道を特に急ぐ、あるいは整備計画の中心に置く理由は何ですか。これも何回も説明を聞いておりますから、もう一度端的にまとめてお答えをいただきたいのです。
  228. 菊池三男

    菊池政府委員 急ぐ理由は、国土の普遍的な利用とやはり過疎過密の解消の問題でございます。これはもう私ども長期構想ばかりではなく、経済社会発展計画におきましてもみんな同じような目的の構想によってやっております。
  229. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 すでにこういう道路行政が行なわれて久しいわけなんですが、じゃ今日までの道路建設の成果が、いまの目的に照らしてここにあらわれているんだというような点がありますか。ありましたら一、二御紹介をいただきたいと思います。
  230. 菊池三男

    菊池政府委員 道路事業は、やりますとたちまちその効果はあらわれていると思います。一、二の例をあげてみろということでございますけれども、やはりいままでやってまいりました成果がそのまま混雑区間の解消であり、またそれが生活道路として使われておるわけで、たとえば東名をつくりますと、それができるととたんに相当な利用があるということであり、また一般のバイパスにつきましても、バイパスの工事をやればそちらのほうへ交通が回って現道は非常に楽になり、また歩道もできるというようなことでもあり、またそれ以外につきましても、舗装のないところに舗装ができたことによる利益というようなものが、もう工事をやれば目に見えてまいりますので、一、二というよりは、やはりやることそのものが全部いま生きておるのだというふうに私どもは考えております。
  231. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 国土開発幹線自動車建設法の目的のところには「新都市及び新農村の建設等を促進することを目的とする。」と書いてありますね。そして、あれもこれもという話なんだけれども、そういうふうな抽象的な表現でなしに、日本列島改造論を読みますと明確に二つの町の名前をあげて、高速道路をつくったらかくのごとくりっぱな町ができたんだということを証明しているのですが、御存じですか。
  232. 菊池三男

    菊池政府委員 列島改造論は読んでおりますけれども、その町の名前がどこであったか、覚えておりません。
  233. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 大体、日本列島改造をになわなければならない建設省のお役人がこういう状況では、田中内閣も短命かもしれませんね。言いますと、一つは滋賀県の栗東町、一つは愛知県の小牧市なんです。高速道路の最先輩格、名神高速道路が開通してすでにもう十数年になるわけなんですが、これによればこう書いてあるのです。「滋賀県の栗東町はかつて工場ひとつない寒村だった。それが名神高速道路ができ、インターチェンジが設けられるとともに、二百数十社の工場が進出し、新興工業地区へと一変した。」云々とあるわけなんです。小枚も同様なことが書いてあります。はたしてこの表現が実際にマッチしているのかどうか、御存じですか。
  234. 菊池三男

    菊池政府委員 栗東につきましては、名神高速道路でありますので非常に早い時期に開通しております。それに伴いまして栗東のインターチェンジを中心にその周辺が非常に開発され、工場が誘致されたということは事実でございますが、実態は存じておりません。
  235. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私は実際の栗東町を知っておる人は少ないと思うのです。ただしこの本を通じて栗東町を知った人は、ベストセラーになっておるくらいだから、多いと思うのです。だから、そのイメージが正しく国民に伝わっておるかどうかは、これはゆゆしき問題だと思うのです。今後道路政策を進めていく上で、こういう栗東町や小牧市をどう評価するかということが基本になるので、あえて申し上げたい。小牧のほうは私は寡聞にして調べることはできなかった。しかし、偶然にもその栗東町は私の住んでいる石部町のすぐ隣の町なんです。だから実情はずいぶんよく承知しているのです。かつて寒村であったといわれているけれども、寒村どころか、栗東町は県内有数の豊かな農村であったわけなんです。所得も高かったわけです。進出してまいりました工場は積水化学、松下電工、聯合紙器など、三万平方メートル以上の敷地を買収した二十六社を先頭にいたしまして二百社前後あるわけなんですね。これは相当安い時期に土地を買い占めておるわけなんですね。しかもインターチェンジの関係があって、あまり人を雇うほどの必要がない。しかも土地をどっさり必要とする倉庫が非常に多いのが特徴なんです。さらに、そういう状況ですから、昭和三十八年当時反当たり五十万円であった地価は、今日最低でも反当たり一千万円、つまり二十倍以上にはね上がったのです。このことがごたぶんに漏れず公共施設の立ちおくれをはなはだしくいたしまして、特に都市計画道路などはおくれているわけなんです。昭和三十四年決定の都計道路八路線十七・五キロメートルに対しまして、昭和四十五年で、工事中も含めて実施された都計道路の延長は六・七キロメートル、計画に対してわずか二七%です、十年以上かかって。その後はますます進捗率がおくれてきて、現在では年間三百メートルないし五百メートルできれば精一ぱい、こういう状態になりまして、栗東町は町の中心がどこにあるのかわからない。住宅、工場、農地のまさに混合状態といいますか、おたくらがよく使われることばで言いますとスプロール化といいますか、こういうものを出しているのです。したがって、人口二万七千の町で昭和四十七年度の交通事故件数は二百四十六件、死者八人、けが人三百七十四人、人口一人当たりの交通事故発生率は県内でずば抜けて最高、こういう結果が出ているわけですね。  ですから、こういうことをほんとうにつぶさに検討されたら、きわめて列島改造論の表現は無責任だといわざるを得ないと思う。だから、私がいま申し上げている評価をとるか、あるいは書いたことになっているこの田中総理の評価をとるかによって、高速道路役割りというものがだいぶ違ってくると思うのです。私がいま申し上げました点について、ひとつ大臣お考えになるところがありませんか。
  236. 金丸信

    金丸国務大臣 日本列島改造というキャッチフレーズで本を書いてあるわけですが、これは日本総合開発ということばにも通ずると思います。そこで都会地の再開発をするということあるいは地方開発をするということ、それは産業の集中あるいは人口の集中という都会地のこれを間引きして、いわゆる地方開発へ持っていく。これには受けざらをつくらなければならぬ。その受けざらをりっぱにつくり上げるところにこの日本列島改造という問題があろうと私は思うわけでございます。いま先生のお話しになりました栗東町の問題等につきましては、まさにちぐはぐな結果になっておるということであろうと思うわけでございますが、しかしねらいは、どちらにしても都会地の再開発地方開発というものをやらなければ均衡ある実りある豊かな地域社会というものはつくれない、あるいは所得の格差もなくすることはできない。そのねらいというもの自体については私は間違っていない。あるいは公害をなくすという意味においても、この時点においてこれをやらなくて何をやるのだ。こういう意味で日本列島改造論という田中総理のあらわしたベストセラーのこの本が、いわゆる名前が国民の胸に非常にジーンときた。きたけれども、実際問題、内容をただしてみれば、これは日本列島改造論ということであるとともに、日本総合開発ということである。その総合開発ということは、重ねて申し上げるわけですが、いわゆる公害等もなくするという意味、そして人間らしい社会をつくっていく、こういうことは田中内閣であろうとどの内閣が出ようともやらなければならぬ時点であるということは当然だと私は考えております。たまたまいま先生の例にあげられましたことについては、まさにちぐはぐな結果になっておるということを思うわけですが、しかしこれとても再開発をして、実りある豊かな地域社会にするということは今日の政治のあり方でなければならぬ、こう私は思っておるわけです。
  237. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 この栗東町の最大のメリットというものは、こういう町にしてしまったものですから、この間の総選挙で共産党の得票がこの前の総選挙の三倍、言うならば県下最高の伸びを示しておるというようなところにあらわれておるわけですね。しかしこんなことで共産党が伸びるということは決してありがたいことではないわけです。だから、まじめな為政者なら、実情を十分調べもしないで、一片の本に高速道路の評価を載せるというのが間違いじゃないか。だから、いまからでもおそくはない。結局、そのそばに住んでおる人と、それから本を執筆しておる人と、評価が違うのです。この点について、新しい道路整備計画の立案にあたって、過去の道路建設を主観的に自画自賛するのではなしに、道路地域住民の生活環境の変化等全般にわたっての科学的な調査を十分に行ない、そのデータの上に立って将来を検討する、こういう態度が必要ではないかと思うのです。その点では、この間科学技術特別委員会のほうで下水道部長やら環境庁やら来てもらって、下水の高度処理技術開発の問題も含めて、琵琶湖・淀川水系全体の総合的な治山治水、汚染対策なども科学的に検討を加えるなら、あるいは琵琶湖の水位を一・五メートル下げなくても下流にきれいな水を確保する道があるのではなかろうか、そういう調査が必要な時期なのではないかと申し上げたら、前田長官は、各省のなわ張り争い等があるから困難だけれども、しかし前向きに検討しなければならぬ問題だと答えておられるわけですね。ここに議事録があります。そういう点ではまさにこういう問題は国民生活に密着した科学技術行政の推進という分野にも入るのだから、一ぺんよく調査して、だれが見てもなるほどといえるような評価の上に立って今後の道路整備計画の基本にしていただきたいのですが、そういうお考えはありませんか。
  238. 金丸信

    金丸国務大臣 何でもつくればいいということではありませんし、反省すべきものは十分に反省して今後の道路整備計画というものは立つべきである。御説のとおりであると私は思います。
  239. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 御説のとおりだとおっしゃっていただけるならば、とりあえずこの栗東と小牧については、一度そういう科学的な手法による全般的な調査をしていただけないでしょうか。
  240. 菊池三男

    菊池政府委員 ただいまの栗東、それから小牧につきましては、先ほど言いましたように非常に早い時代に供用化した道路でありましたので、そのインターチェンジを中心とするいわゆる周辺の開発の手法というようなものが計画的じゃないというようなことからスプロール化したというようなことも若干ございます。ただ最近は、たとえば厚木等に見られますように、インターチェンジの周辺にはトラックターミナル等のそういう輸送の関連施設ができ、そしてその外に工場地域ができ、そしてさらにその外に住宅地域ができるというようなこともあります。できるだけそういうような計画的な方向でこのインターチェンジを中心とする都市開発をやっていかなければならないかと考えております。
  241. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私は、何も私のいまの評価を押しつけようとは思わないのです。少なくとも一国の総理たる人が書いたことになっている本で、小牧やあるいは栗東が高速道路の開通、インターチェンジの開設によって非常に発展したと書いてあるのですね。ですから、そういうことが今日の行政の基礎になっている以上、いま一ぺん科学的に調査をして、今後の行政の基本のデータとして何が正しいのかということを検討する必要があるのじゃないか、そういう意味で必要な、何か最近はやりの、ソフトサイエンスとかいうそうですが、そういう総合的な科学調査を進めなければならないのじゃないか、そういうふうにされる必要があるのじゃないかと聞いているわけですね。大臣、どうです。
  242. 金丸信

    金丸国務大臣 これは建設省ばかりの関係ではありませんから、各省庁よく連絡をとって、実態調査というものをやれるように努力してみたいと思います。
  243. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 列島改造でいっているところに従いますと、「産業や人口の地方分散の障害となるのは、人びとの心理的な距離感であり、情報伝達の落差である。」だから高速自動車道路等の交通ネットワークをつくって地域間の時間距離を縮めればよいのだという主張のもとに、「時間距離の短縮という角度からみると、日本列島の主要地域を一日行動圏にすること」が過密過疎解消の第一の目標だというふうにいっていますね。これは同じようなお考えなのでしょうか。同時に、もしそうだとすれば、建設省が考える一日行動圏の範囲とは一体どういう地域をいうのか、説明を願いたいと思います。
  244. 菊池三男

    菊池政府委員 実は建設省長期構想につきましても、いまの列島改造論、それが一番もとでそれから出発しているものではございませんので、いま言った一日行動圏というような考え方、これも一つの考え方としてはあると思いますけれども建設省のほうとしては一日行動圏云々のために七千六百キロが要るというような考え方ではございません。
  245. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 しかし、先ほどどなたかの質問に答えられた局長のことばの中には、中核地方都市などを結ぶ道路という説明がありましたね。さらにそれを広げると、むつ小川原とか秋田湾とか、あるいは周防灘などの大規模工業地帯とかあるいは内陸工業地帯、そして中核都市、これは日本列島改造論にいずれも出ている構想なのです。結局はこういうものを結びつけていくことになるのじゃないですか。
  246. 菊池三男

    菊池政府委員 地方中核都市相互に結んでいくというようなことを先ほど私も申し上げましたけれども、これは一つの車の走行を例にとりましても、トラックで平均が百キロという走行でありますけれども、中には数百キロ走るのもございます。そうしますと、行って帰るという一日行動という考え方をすればもちろんそういう考え方もありますけれども、それがもとになってできたのではないと申し上げたので、見方によってはそういう見方もあれば、またそのほかの見方もございます。私の申し上げたのは、そういうととが基本になって七千六百キロをきめたのではないということを申し上げたわけでございます。
  247. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 ただ、この中核都市との結合を考えた場合に、それが直ちに過密過疎の解消になるというように単純に考えられないということを証明しておくために、わざわざ先ほど栗東町の例を私は持ち出したわけです。過去の例は開通当時から問題があったけれども、今度はだいじょうぶだということになるか、ならないか、それこそ、先ほどの大臣の所信じゃありませんけれども、きちっと調査をしてからにしてほしいと思うのですね。おおむね工業の立地は分散されるだろうけれども、栗東の例が示すとおり、逆に通過地点に生まれてくる町々はそれの従属的な地位に置かれて、生活環境が破壊される率のほうが多いのじゃないかと私は心配するのです。  同時に、列島改造では高速道路整備する第二の理由として、一兆三千二百億トンキロ貨物を六十年に運ばなくちゃならぬ。そのために高速道路で処理できるネットワークの建設が必要だ、こういっていますが、こういう貨物輸送量をはじき出した根拠は一体どこにあるのですか。
  248. 菊池三男

    菊池政府委員 列島改造論の数字は、どうも私どもでつくったものではございませんので、それがどこから出たかということにつきましてはちょっと私もわかりませんけれども、これはいろんな手法がございます。将来の工業のシェア、あるいは工業のフレーム、人口のフレームということから交通予測を出すやり方もございますし、いろんなやり方がございますので、日本列島改造の場合はどうかといわれると、ちょっと私わかりません。建設省で出しております昭和六十年時点の構想のやり方はどうかと言われれば、これは私どもわかっておりますけれども。その内容についてはよくわかりません。
  249. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それではその建設省の構想を答えてください。
  250. 菊池三男

    菊池政府委員 建設省の構想では、昭和六十年時点のいろんな種類に分けました生産額等によりまして物資の輸送トン数というものが想定されるわけであります。その輸送トン数を出しまして、それを道路鉄道あるいは海運というようなことで道路の受け持つ輸送のトン数をきめまして、その輸送トン数に対して車が何台要るか。これもいろんな車種によりまして——重いものもあれば軽いものもありますので、車種、品目によりまして輸送トン数から自動車台数が出てきます。それに対して今度は一台当たりの平均走行距離をかけますと台キロというものが出てきます。乗用車につきましても、将来の人口というものと、それに対します国民所得が上がれば自動車の保有率が上がるというようなことから乗用車台数というものが出てまいりまして、それにまた平均走行距離をかけて、両方合わせた自動車走行台キロが出るわけでございますので、その走行台キロに対して道路整備をどれだけ進めたらよいかというような計算になるわけでございます。
  251. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 昭和六十年には道路輸送が受け持つ貨物輸送量というのは、その手法でいって幾らになっているのですか。
  252. 菊池三男

    菊池政府委員 昭和六十年時点輸送のトン数は、自動車の受け持つ場合は百四十二億トンでございます。
  253. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 よく使われるトンキロに直したらそれは幾らになるのですか。
  254. 菊池三男

    菊池政府委員 トンキロに直しますと四千五百三十五億トンキロでございます。
  255. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 結局それも列島改造からはじき出されてくる数字と結果的に一致してくるのです。結局その基礎は何かといいますと、国民総生産三百四兆円達成から割り出されてくるから一致してくるわけなんです。だから、計算方法はどういうふうに違っているのか知りませんけれども、もとを洗えば結局国民総生産三百兆円時代を迎えるための道路輸送計画に見合った道路建設、そういうことになるのじゃないかと思うのです。ですからそういう点では、結論的にいって五カ年計画がやはり生産第一主義、高度成長貨物輸送面を受け持つ計画にならざるを得ないというふうに私は申し上げたいと思うのです。これは一応これで打ち切ります。  さて、そういうふうな高度成長を前提にして考えた場合に、これもずいぶん論議されたことなんですが、はたして車と道路のつり合いがとれるのだろうかどうかという問題ですね、一言で言って。つり合いはとれるという前提で計画を立案されているのですか。
  256. 菊池三男

    菊池政府委員 つり合いはとれているかということでございますけれども、これは考え方によってたいへんむずかしい問題であります。私どもはいま言った走行台キロというようなことから考えますと、全国的に一応バランスはとれるというふうに考えております。ただ、しかしこれは非常にマクロ的に見ておりますので、その中では全体のマクロ的なものがバランスがとれるので、個々に見ますとあるいは、私どもが言っております生活道路と称する市町村道、県道等につきましては、これは自動車台数の非常に少ないところもございますし、また一方都市周辺では非常に混雑しているところもございます。しかしながらこれは全体の見方でいきますと、道路の資産と交通需要ということがバランスがとれているというふうに考えております。
  257. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 しかし各道路ごとには道路構造についてちゃんと一定基準が設けられているわけでしょう。その基準は何によってきまっているのですか。
  258. 菊池三男

    菊池政府委員 個々に見ますと、道路の一つの基準がございますから、その基準よりオーバーしているところもございます。先ほど言ったように逆にオーバーしていない生活道路もございます。そういう意味では個々には、オーバーしているところは、混雑の激しいところは早急にバイパスをつくる、あるいは拡幅をするというようなことで逐次解消していっておるわけでありますけれども、また一方車がふえますことによってその交通の混雑の個所が逐次移っていくというような傾向もございます。
  259. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 これは、車と道路関係だけはマクロ的に見て、すいている道路とこんでいる道路を一緒くたにして見合っていると言われたってだめだと思うのです。これはやはり一つ一つの道路についてちゃんと車と道路がつり合っているかどうか。この点については法律でちゃんと規定しているでしょう。道路法の第二十九条では、道路構造の原則として、「道路の構造は、」「当該道路交通状況を考慮し、」「安全かつ円滑な交通を確保することができるものでなければならない。」と定めて、ちゃんと道路構造令もつくっていますね。だから当然私は、この第七次道路整備五カ年計画はこの道路法並びに道路構造令に基づく設計になるような道路整備することになっていると思うのですが、その理解でいいわけですか。
  260. 菊池三男

    菊池政府委員 道路をつくりますときには、ただいま先生のおっしゃいました道路構造令がございまして、新設改築等につきましては道路構造令によってやれと書いてありますので、将来交通予測いたしまして、その構造令に基づいた改築工事を行なっております。
  261. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私が聞いているのは、第七次をやれば必ず構造令に従った道路になるということなんですか、こう聞いているのです。
  262. 菊池三男

    菊池政府委員 やる場合に道路構造令にのっとってやれということでございます。現在の道路道路構造令に合わないところはまだたくさんございます。特に交通の容量につきましてはオーバーしているところがたくさんございます。そういうものは早急にバイパス等によって整備するということでありますけれども、これはやはり時間とお金の関係がございますので一挙になくなるということはできません。けれども、少なくともやるときには構造令に合ったものでできますから、でき上がったものは余裕があるわけであります。ただ、手をつけないところがこの道路構造令に合ってないからだめじゃないかと言われても……。これは逐次直していくということになろうかと思います。
  263. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それを直すために、第六次では不十分だから第七次に切りかえたということではないですか。だから、少なくともメインストリートである国道一号線くらいは、どうですか、第七次が済んだらみな道路法並びに道路構造令に適合した道路になりますか。
  264. 菊池三男

    菊池政府委員 たとえば国道一号線につきましてのお話でありますけれども、国道一号線につきましてはいま各所でバイパス工事をやっておりますので、今度の五カ年計画の終わりにはほとんど全部なると思います。ただこれが全国的な問題になりますと、一挙にそこまではまだ行き着きかねるかと思います。
  265. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私も広くを調べることはできなかったけれども、滋賀県内の国道一号線五十五・八キロメートルについていいますと、そのうち四十七・八キロメートルは二車線区間なんです。しかもこれはいずれも道路構造令でいけば第三種一級または二級。ところが第二次改築としては第六次五カ年計画が第七次にそのまま引き継がれている以外大きな改築はないのです。したがって、この第七次が完成しても、非常に交通混雑の激しい栗東−水口区間などは現状のままだ、そういう説明を現場のほうで受けているのですが、間違いありませんか。
  266. 菊池三男

    菊池政府委員 滋賀県内の国道一号線につきましては、たとえば水口バイパスとか非常に交通の混雑しているところは現在工事中でございます。それからいまお話しの栗東にかけての区間、これはまだそこまで混雑はしておりませんけれども、いま調査はやっておりますが、ただそれが今度の五カ年計画内に、たとえば四車線あるいはバイパスという形で完成するということはむずかしいかと思います。
  267. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そういう意味で、私、たとえば滋賀県内の第六次と第七次の道路計画の違いは一体どこなんだと聞いたら、結局道路建設単価の値上がり分が一番大きな変化で、事業面からいうならば、滋賀国道事業概要、これに載っている六次以外のものは特にないのだ、こういうことなんですが、ほんとうにそうなんですか。
  268. 菊池三男

    菊池政府委員 第六次と比べますと、第七次五カ年計画の一般国道につきましては一・七倍でございます。したがいましてその一・七倍の差はそれだけ整備ができるということになろうかと思います。いまの何か値上げになるものだけで食われてしまうという御質問でございますけれども、五カ年計画は四十七年度の単価ではじいておりますので、特に値上げ云々ということは考えておりません。若干物価の変動があることも考えられますけれども、そういうものにつきましては、いろんな合理化とかあるいはそういう技術的な工法の検討というようなことで補える範囲であるということでありますので、一・七倍に伸びる分については道路事業は伸びると思います。ただ、市町村道その他のほうに今度の七次の五カ年計画では伸び率を伸ばしておりますので、必ずしも国道だけが一挙に全部よくなるということはむずかしいかと思います。全線四車線にするには、残事業量が全国的にまだ相当ありますので、この五年間だけでそれが全部できるということはむずかしいかと思います。
  269. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 特に将来の道路見通しについて、列島改造論では非常に極端なことを書いてありますね。二十一世紀の初めになれば平たん地の五分の一くらいを道路にしないと増大する交通需要についていけない、と。実際建設省もそういうことを考えていまの道路建設計画を進めているのですか。
  270. 菊池三男

    菊池政府委員 建設省は先ほど申し上げましたように昭和六十年が四千二百五十万台という自動車計画しております。日本列島改造のほうは五千万台でございます。私どものほうはあくまでもいまの長期構想に基づいて計画をしております。
  271. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それは六十年であるけれども、その後も含めて考えるならば、ほんとうに国土の五分の一くらいを道路にしなければならぬような時代が来ると想定しなければならぬのですか。建設省の見込みはどうです。
  272. 菊池三男

    菊池政府委員 たいへんむずかしい問題でございます。実は昭和六十年の時点予測ということにつきましても、これはまだ十年以上先の問題でありますので予測の技術という点からまいりますと非常にむずかしい問題でありますが、さらにそれよりも先ということになりますと、私どももちょっと想定がつきませんし、またそういう作業もいたしておりませんので、五分の一が道路になるかどうかということにつきましてはよくわかりません。
  273. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 非常に時間をせかれているようなので十分質問できないのが残念なんですけれども、滋賀県などはまだ都市化もそう進んでいないし、農村地帯も開けていないところで、本来ならば道路建設にもそう困難はないはずの県の一つだろうと思うのです。知事さんも自民党だし。しかしそういうところでも——これは実はとってきてもらった写真を持ってきたのですが、八号、二十一号バイパス、北陸縦貫道なども予定されている滋賀県の湖北地帯なんですが、現在すでに東海道線、東海道新幹線、名神高速道、こういうものが通っているわけです。もちろん八号、二十一号が通っている。そういうところでも、至るところに反対の立て看板がある。滋賀県にしても珍しい現象なんです。しかもこの中の近江町などというところは、この八号、二十一号バイパスの通過に対しては反対だという請願書を町議会が全会一致で決議しているのです。こういうふうな決議に対して、建設を進める側のまず建設省のほうは、決議との関係をどういうようにお考えになりますか。
  274. 菊池三男

    菊池政府委員 建設省の場合、地元との関連でございますけれども、通常の場合は県あるいは市町村と事前に協議いたしましてルートをきめる。そうしてそれから地元の方へおろすというのがやり方でございます。特に市街化区域につきましてはさらに都市計画決定をして、その場合に都市計画審議会にかけて都市計画決定することになっております。ただいまの八号線と二十一号線のバイパス、たぶん名神バイパスのところかと思いますけれども、その地元の方が反対しておられるということにつきましては、実はまだこれの計画決定はいたしておりません。その前の段階でおそらく建設省地方建設局が地元の、これは近江町でございますか、そこにそういう計画をおろし、また近江町の議会にはかったところが反対があるということで、またもっと別の路線を選ぶべきではないかということで、また建設省のほうでもそういう別の路線もあわせていま計画をし、地元の方と打ち合わせをしている段階でございますので、打ち合わせが終わって、これならやむを得ないということになりますと、それから都市計画決定という形になろうかと思います。
  275. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 自治省はおられますか。——今後道路建設でこういうケースが非常にふえると思うのです。その場合、地方自治体の議会の議決とかあるいは市町村長の意思等と、建設省のやろうとする建設計画とが対立状態になった場合に、自治省サイドとして考えればどういうふうな解決が正しいとお考えになりますか。
  276. 砂子田隆

    ○砂子田説明員 ただいま道路局長のほうからお話をなされたようでありますが、私たちといたしましては、地域的な問題につきましてはあとう限り地方公共団体意見が尊重されるべきであるというふうに理解をいたしております。そういう意見を尊重しておるということを前提といたしまして国の事業がまた行なわれるべきだと思います。ただその際に、国の事業実施もたいへん重要な仕事だろうと思います。そういうわけですから、地元の意見を尊重しながら、理解を求めたり協力をしたりして調整しつつ事業を執行していくべきであると理解しております。
  277. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私は、そういうものを制度化して、新しい道路整備計画に織り込んでいかないと、そのつどそのつど考えるということではもう解決しないのではないかと思うのですね。  もう一つ、滋賀県で西大津バイパスについてもルート変更を住民が求めていて、その住民の方々の代表が大津市議会の代表と一緒に昨年末建設省へ直接陳情に来られておるはずなんです。事情はよく御存じだと思うのです。そこへ絶対つくるなということでなく、住民のほうで京大、大阪市大その他の三人の学者を選んで、どういう道路構造ならば地域環境を破壊することなしにバイパスができるか検討してもらおうということになっておる。こういうことも一つの案だと思う。ただ問題は、そういう調査が行なわれた結果、あるいは行なわれる過程において、強引に見切り発車してしまうとか、あるいはそういう調査の結果が出たのに尊重されないことになると、それこそさっきの自治省のいうように、住民の意向を全く無視される。そういうことをやっては、一つや二つは強行突破できても次にはできなくなる。そういう点では、多少費用かかってもそういう民主的な結論に対して従うという態度が必要じゃないかと思うのです。そういう態度、並びに今後そういうことを何らかの形で制度化しようとする考えはありませんか。
  278. 菊池三男

    菊池政府委員 私どもも先生のおっしゃるとおりのことで仕事を進めていくつもりでおります。西大津バイパスにいたしましても、何カ所かでルート変更すべきであるという声がございます。学校の先生に地元の方が委託して調査をやっておられることも承知しておりますし、またその結果も最近出たようでございます。それは私ども承知しております。できるだけ地元の意向を尊重しながらルートはきめたいというふうに考えております。それと同時に、そのルートが変えられない場合であっても、そこの地域の方がその道路によって被害を受けないようないろいろな構造的な問題で処置していきたいと思います。西大津バイパスにつきましても、やむを得ず通る場合には、やはり何かそういう構造的な形でいくべきであるというふうに私ども考えております。
  279. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 大臣、見えますか。——これはトンネルを越えたすぐ西側の写真なんです。国道一号線のすぐそばに家が建っておる。この国道の第一次改築の際に道路のかさ上げが行なわれたから、すぐそばに建っておる家の土間が路面より一メートルほど下がってしまっておるわけです。道路から階段をおりて頭を下げないと出入りできない。そのすぐそばを大型のトラックが通っております。大臣、その辺に住んでいたらどういうお気持ちになりますか。まずその辺からお答え願いたいのです。
  280. 金丸信

    金丸国務大臣 なかなかむずかしい問題でございますが、先生も政治家でありますし、私も政治家であります。そういう意味で、被害というものについては何とか対策があってしかるべきだ、こういうような考え方を持ちます。私はそういう意味で、道路をつくるということについては十分話し合いで、納得ずくで、地方公共団体やその地域に住む住民の意向を十分そんたくしながら、対話のある道路をつくりたい、こういう考え方を持っております。
  281. 服部安司

    服部委員長 お急ぎください。
  282. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 これはちょうど四車線になる関係上、トンネルを拡幅しなくちゃならぬことになっておるわけです。こういう状態の場合、拡幅するならばどういう方法が一番いいと思いますか、いまの住民と対話しながらという立場でいうならば。
  283. 菊池三男

    菊池政府委員 拡幅する場合は、これはその沿道の人家の状態にもよりますけれども、同時に線形の問題がございますので、拡幅するときにセンターを振り分ける場合、あるいは右へ拡幅するか左へ拡幅するか、それによって若干違います。それからトンネルを広げるとすれば、今度トンネルをもう一本掘った場合の出口等にもよりますので、一がいに言えませんけれども、おそらくそこの場所につきましては現在登坂車線をつくるという形で拡幅工事をやろうとしておりますので、その場合に人家のほうへ広げるのがいいか悪いかということだろうと思います。その場合にそちらを入れて買収することもございますし、それだけうんと差がつけばこれはまた補償基準によりまして、かさ上げによってうんと下がったというような場合には補償している例もございますので、これはどちらでやろうと、何かの形でやる方法はあろうかと思います。
  284. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 結局、ここに住んでいる人はこうなったらやはり立ちのきたい。だから拡幅は家のあるほうへしてもらって、立ちのきできるように補償してほしいということなんです。ところが国道事務所は逆に山のほうを削るというのですね。カーブがひどくなるのです。そういうことがなぜ起こるのか。結局予算がないからです。そうなってくるとさっきの話とだいぶ違うでしょう。ひとつこの部分についてぐらいは、住民との対話という線でここで確約をしてもらいたいと思うのですが、どうでしょう。
  285. 金丸信

    金丸国務大臣 そういうような例はそんなにどこにもかしこにもあると思いませんが、その問題については十分にひとつ検討して、御期待に沿えるようにしていきたいと思います。
  286. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 結局安上がりをねらうと住民と問題が起こる。それから初めから秘密主義で、一定段階でこのとおりきまったのだというような形で押しつければこれも問題になる。そういう点では、ただ単に予算額やら延長を延ばすだけで整備計画を六次から七次に変えるのではなしに、道路建設やり方、つまり行政内容そのものを改めるということを含めなければ、私は新しい七次計画に変更する意味が薄れてくると思うのです。そういうことをひとつぜひ、このケースだけでなくて、全体として考えていただきたいということですね。  そういうことと関係してもう二点だけ許していただきたいと思うのです。  道路法の第七十九条ですかに道路審議会というのがありますね。あれはどういうふうに開催されていますか。
  287. 菊池三男

    菊池政府委員 道路審議会につきましては、七十九条で、建設省道路行政の重要な問題を諮問するようになっております。たしか四十七年度は年に十七、八回やったかと思います。またそのほか現在でもいろいろな有料道路の料金制度の問題がございますので、さらにその下に小委員会をつくりまして、料金制度の部会をつくって現在やっておるわけでございます。
  288. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 こういう五カ年計画をつくるときには、別段この道路審議会を通さなくてもいいのですか。
  289. 菊池三男

    菊池政府委員 審議会にかけるように道路法できめられております。
  290. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それではこの五カ年計画道路審議会にかけられてつくられている、そういうことですか。
  291. 菊池三男

    菊池政府委員 まだこの緊急措置法が通っておりませんのでかけておりませんけれども、これが通りますと道路審議会にかけ、そして閣議決定ということになる予定でございます。
  292. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 ほかの審議会と違って「建設省の附属機関」という注釈がついていますね。これはどういうことですか。
  293. 菊池三男

    菊池政府委員 道路審議会が付属機関になっておるということでございますけれども、これは建設大臣が諮問する機関でございますので、これに限らず、審議会が付属機関になっておる例はほかにもたくさんございます。
  294. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私は、こういう審議会の権限をもっと大きくして、こういうところでもう少し民主的に五カ年計画の作成が行なわれるようにすべきではないかというふうに考えるのです。時間が非常に追われておりますから申しません。  最後に結論として、道路関係法律を見ますと、たとえば道路法の目的は「もって交通の発達に寄与し、公共の福祉を増進することを目的とする。」、高速自動車国道法の目的は「自動車交通の発達に寄与することを目的とする。」、国土開発幹線自動車建設法の目的は「国土の普遍的開発をはかり、画期的な産業の立地振興」、道路整備緊急措置法の目的は「経済基盤の強化に寄与すること」というふうな形で、国民生活向上させる、国民生活環境整備するというふうなことがはっきり目的にうたってある法律がないのが非常に大きな特徴だと思う。これだけ生活環境整備がやかましくなり、生活優先といわれるようになったら、道路整備行政を根本的に変えなければならぬ。そういう点では道路関係法律内容も改めるくらいの決意が必要ではないかと私は思う。このことを一つの希望として出しておきたい。  それから財源問題は、すでに言われたとおり、十九兆五千億でしたか、これに見合う財源はまだ確定していない。一年間かかって勉強するというんでしょう。結局はね返るのは重税という形で国民のほうにはね返らざるを得ないと思うのです。そういうような点を考慮すれば、思い切って一番おくれておる市町村道、あるいは道路構造令に見合っていない道路整備、こういうことこそ五カ年計画に織り込んで、少々おくれてもたいして影響のない高速道路などは思い切ってカットしていくということにすれば、あらためて財源不足をまた一年苦労して考える必要もなければ、国民にまた税金ではね返らす必要もないと思う。そういう点で、公団がいらっしゃれば、現在の公団事業内容としてどういうところが一番もうけているか等々も聞きたいと思ったけれども、大体推察はつくのです。大手の土建業者が五カ年計画に合わせて、五カ年計画事業計画を立ててたいへんもうけていらっしゃるらしいのですけれども、そういうことを全体含めて考えるならば、思い切って、いまの高速道路中心、これによって工業開発とか中核都市づくりとか大企業に利益を与えるような道路行政から、もっぱら国民生活優先、国民の身近な道路を中心とした整備に切りかえるということにすれば、おおむねいろいろ問題点のあったところは片づくのじゃないか、こういうふうに思うのです。最終にその点で大臣のお考えを一言聞いて、終わりたいと思います。
  295. 金丸信

    金丸国務大臣 道路法の改正という問題につきましては、ひとつ十分検討させていただきたいと思います。  なお、高速自動車道路の問題につきましては、私は先生とちょっと見解を異にしておるわけでございますが、しかし生活道路の優先もしなければならぬということは御指摘のとおりであります。その点につきましては十分配慮してまいります。
  296. 服部安司

    服部委員長 次回は、来たる十九日木曜日正午委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時四十八分散会