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渡辺(武)委員 私が聞いておるのはもっと総合的なものであって、単なる物質の量が何%かというようなことではないのです。その物質が人体にどのような影響を与えるのか。医学的な結論がどうなっておるのか。つまり大気汚染などというものは
相当長期にわたる詳細な
データがないとなかなか判定がむずかしい場合が多いのですね。いままでのいろいろな発表を見ておりましても、あるいは石神井中学の問題にいたしましてもその前に起こりました問題にいたしましても、どうもうやむやのうちに済まされていってしまっておるのです。いろいろ調べてみてもどうもわからぬ、これが実態なんですよ。新聞は新聞なりに新聞の主観をもってお書きになっておる。ところが
国民はそれを見て非常に不安に思う。実際はどうなんだろうか。私は鉛
公害の場合でも、当時環境庁がありませんでしたけれ
ども、担当
課長に来ていただいて、ほんとうにどうなんですか、一体ほんとうに私たちの人体に影響があるのですかとお尋ねしたのですが、どうもよくわからない。いろいろ調べてもらっているうちに、どうも何だか印刷工場ではないだろうかというようなことになってしまっている。ところが、一方ではそういう観念的な問題から派生してきた原因によって実際はいろいろなアクションがとられてしまっているのですよ。これがほんとうに
国民の命と健康を守ることに重要な影響を及ぼしているかというと、そうではなくて、かえって逆な面の副次
公害というものが出てくるおそれが多分にあるわけですね。たとえば低硫黄ガソリンの場合、芳香族、毒物をまぜ、それでオキシダントを発生する要因が非常に強くなり、光化学スモッグの発生する率が非常に高くなってきたという問題が出てきているのです。ひるがえって排気ガスの鉛が人体にどんなに影響を与えるだろうかという
データは何もない。
そういうことから
考えると、私は
相当慎重に、もっと詳細な
データをとる努力をしてもらわなければならないと思うのです。特に
アメリカあたりは、御
承知かと思いますが、全米科学アカデミーというものがございまして、これはたいへん権威を持っておる。わが国の科学
技術庁とも違うと思います。科学者はこの全米科学アカデミーのメンバーになることをたいへんな名誉とし、誇りとしている非常に権威のある組織があって、それが政府の諮問にいろいろとこたえて
一つの回答を出しておるわけです。
日本よりも十年も十五年も前から大気汚染に悩んでおる
アメリカはそういうことをやっておる。
日本はいま非常に
データが少なくて困っておるというときですから、当然そういう方向を
考えていかなければいかぬ。実は、早く原因追及を徹底的にやらなければいけないのだと何回となく言ってきたわけです。ところがなかなかそのような方向でやられておらずに、いたずらに安易な方向で、世論が巻き起こってくると、それに的確な処置がとれるならけっこうなんですけれ
ども、往々にして間違ったアクションがとられてしまう。それが結果的には
国民の生命と人体に悪影響を及ぼしておるという重大なことですからね。私は、本来ならばこういう問題はほんとうに真剣になっていま原因を追及し、その把握をすべきときではないだろうか、こう思うわけです。環境庁のほうに私は、発足当時いろいろな
データを要求いたしましたけれ
ども、実はまだまだ
データがありません、こういう御返事がくるわけですよ。そういうところから
考えますと、これは危険な
状態ではないであろうか、こう思うわけですから、何とかその原因が的確につかめて、ほんとうに権威のあるもので
——単なる一部の学者クループがぱぱっと発表した、それで追及されると消えてしまうというような、そういう権威のないものではだめなので、ほんとうに権威を持った正確な原因追及、究明、これがいまこそ必要なときではないかと思うのです。それをやらなければほんとうに必要な正しいアクションというのはとれないわけですよ。内またこう薬的な世論のまにまにこうやっておるだけだ。それが結果的にどうだろうかと調べていくと、たいへん
国民経済的にも問題があるし、あるいは
国民の健康的な問題が実は残されていってしまうというのがいまの
状態だと思うのです。しかも、
日本はどんどん原油の輸入量はふえております。その原油輸入量の総量の中で実際に車に何ぼ使われておるだろうか、これを調べてみましても、大部分のものは車以外に使われておる。そうなると発生源は一体どこになるだろうか、非常にわれわれも疑問に思わざるを得ないのです。ところがいつ
質問しても的確には返事が返ってこないのです。だから環境庁はほんとうは、いま新しく発生した問題について、原因の究明、把握ということに最大限の努力をされるべき時期だと思うのです。その辺をひとつしっかりやっていただきたいと思います。そうすることがほんとうに
国民の生命を守る根源につながってくるのだ。そして一日も早く正確なアクションを起こしていかなければいけないんだ。こういう
立場でものを言っておるわけです。いまも御
質問申し上げたときに、たとえばある物質のパーセンテージがこの程度ですと、こういう御返事は来ますけれ
ども、それがほんとうに人体にどのような影響があるのだろうか、どうなんであろうと追及していきますと、実はわからなくなってしまうのですよ、実際には。推定でものをおっしゃる。推定ではこういう化学的なことはアクションを起こすことはなかなかむずかしいです。そういうことですから、ひとつよろしくお願いをしたいと思います。
時間がありませんので次の問題に移りたいと思います。
道路局長に
道路の維持
管理についてお尋ねしたいのですが、
道路の維持
管理体制というのは一体どうなっておるのでございますか。たとえば橋梁ですね。橋梁なんかはあるいは何年ごとに点検をするとか、そういうことがきまっておるのかどうか。