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沢田政府委員 日照問題は発生の当初、四十年代に入りまして発生してきたように感じますが、当初はビルや二階、低層
住宅同士の間の問題から始まっておりました。この時代にはおもに私法の
関係で裁判所の
関係であるというふうな
かっこうで発生をいたしました。しかしその後だんだんと都市の様相も急激に変わりまして、あるいは
建物の形も急激に変わっております。そこでマンション問題が出てまいりました。マンションと低層との間の問題として日照問題が出てきた。こうなってきますとだんだん私法上の問題というわけにもいかない。そこでその当時といたしましては、四十五年に、基準法上も公法の
範囲内で日照に寄与する
程度のことは入れるべきだということで、四十五年度の
改正の中に北側斜線という新しい
制度を設け、あるいは住居地域を三つぐらいに分けまして、住居専用地域とか、第一種住居専用地域、低層のところです。第二種、これは中高層の住居専用地域、あるいは普通の住居地域、こういうふうに分けて、それも日照の問題に寄与する、あわせて北側斜線も設ける。かような対処をしたわけでございますが、しかしその後ますますその問題が激化してまいりますし、あるいはその裁判の判例などの傾向も次第に判例が積み重なってきております。
実は昨年に国会でやはりこれも非常に問題となりまして、私
どものほうで建築
審議会というのがございます。ここの中に市街地環境分科会というのがございまして、これがすぐれて都市
計画の問題あるいは住居環境の問題をやっておりますので、ここに日照問題の諮問をいたしました。そこで日照問題専門
委員会というのをつくりまして、その後、半年ぐらいにわたりまして非常に議論を重ねていただきまして、これのいわゆる分科会に対する中間報告というのをいただいております。この
内容は、そういうふうな日照問題につきましては終局的には都市の再整備とか再開発とか、そういうふうなところにつながるが、しかし現在のこの様相はやはり解決しなければならぬ問題だ。解決するのも、いまの
状況を見ておると単に私法上の問題だとしておくだけではだめだ、公法上の問題としてもある
程度の規制をする必要がある、あるいは妥当性もある、こういう中間報告をいただいております。私
どものほうは、そういう公法上の規制をある
程度やるということであるとすれば、一体その規制の基準をどうするかというふうな問題が非常に大きな問題でございます。この基準が将来の都市の
かっこうを、都市
計画的にあるいは建築物的に規定をいたします。そこで非常にむずかしい問題なのでございますが、それのまた
委員会をつくりまして、以後十回近い回数を重ねて、近々その結論が出てこようという
状態になっております。私
どもはこういう一連の中間報告あるいは作業、こういうものがまとまりまして、最終答申というものをいただきました上で、これらに対してどう対処するかということをきめたい。御答申の線は十分尊重した上で対処していきたいと
考えるわけでございますが、その審議の背景、あるいは私
どもの
考え方からいたしまして、現在起こっております問題といたしまして一番大きく起こっておりますのは、住居地域におきますいわゆる大
規模建築といいますか、マンション等がございますが、こういうものの問題が一番大きい。そこで私
どもは、いい町をつくり、その限られた日光というものを効率的に、しかも公平に受けられるような町にしたいということでございますから、いまできているマンションが将来のそういう姿に役に立たないもの、阻害するようなものであるとすれば、マンションなりそういう
建物はある
程度規制して、将来の姿に合うように規制していかざるを得ないだろう、こういうふうな
考え方を現在私は持っております。
また一方、それではいまの影を受けるほうの話でございますけれ
ども、現在低層の
住宅の密集しておりますこの東京の連檐地などでの
平均の宅地は大体三十坪以下ということでございます。三十坪以下のこの低層地で日照問題が
ほんとうに解決できるか、将来の姿として
ほんとうに市民が享受できる都市なのかというと、これも必ずしもそうでない。結局、そういう姿を
団地に換算してみますと、同じ人口密度でも
公団なり公営
住宅の
団地は、
平屋のいまの密度と同じでございますが、十分に日光を受けておる、あるいはそのほかの環境もよろしい。ですから、そういう
団地と同じにはなりませんけれ
ども、結局ある
程度立体化をして、そこに緑なり日光なりを取り込んでいかなければいかぬ、こういうふうな方向に私
どもは
考えておりまして、そういう姿にこの町を誘導するような規制あるいは基準、こういうふうなものを現在私は
考えておるわけでございますが、いずれにいたしましても答申の
内容というものがまだ固まっておりません。早々に固まる時点が来ると思いますが、その
段階でこれに対処したいというふうに
考えております。