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1973-03-07 第71回国会 衆議院 建設委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年三月七日(水曜日)     午後一時十分開議  出席委員    委員長 服部 安司君    理事 天野 光晴君 理事 大野  明君    理事 田村 良平君 理事 村田敬次郎君    理事 渡辺 栄一君 理事 井上 普方君    理事 福岡 義登君       小沢 一郎君    小渕 恵三君       奥田 敬和君    野中 英二君       林  義郎君    廣瀬 正雄君       渡部 恒三君    渡辺 紘三君       清水 徳松君    下平 正一君       中村  茂君    松浦 利尚君       渡辺 惣蔵君    浦井  洋君       柴田 睦夫君    有島 重武君       北側 義一君    渡辺 武三君  出席国務大臣         建 設 大 臣 金丸  信君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      坪川 信三君  出席政府委員         内閣審議官   粟屋 敏信君         内閣審議官   藤井 直樹君         経済企画庁総合         開発局長    下河辺 淳君         環境庁大気保全         局長      山形 操六君         環境庁水質保全         局長      岡安  誠君         建設大臣官房長 大津留 温君         建設省計画局長 高橋 弘篤君         建設省都市局長 吉田 泰夫君         建設省河川局長 松村 賢吉君         建設省道路局長 菊池 三男君         建設省住宅局長 沢田 光英君         自治大臣官房審         議官      近藤 隆之君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      藤仲 貞一君         林野庁指導部長 松形 祐堯君         自治省税務局市         町村税課長   四柳  修君         建設委員会調査         室長      曾田  忠君     ————————————— 委員の異動 三月五日  辞任         補欠選任   瀬崎 博義君     山原健二郎君 同日  辞任         補欠選任   山原健二郎君     瀬崎 博義君 同月六日  辞任         補欠選任   浦井  洋君     不破 哲三君 同月七日  辞任         補欠選任   塚原 俊郎君     渡辺 紘三君   渡部 恒三君     田中 榮一君   不破 哲三君     浦井  洋君   新井 彬之君     有島 重武君 同日  辞任         補欠選任   田中 榮一君     渡部 恒三君   渡辺 紘三君     塚原 俊郎君   有島 重武君     新井 彬之君     ————————————— 三月二日  屋外広告物法の一部を改正する法律案内閣提  出第七七号)(予) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  住宅金融公庫法の一部を改正する法律案内閣  提出第六四号)  工業配置・産炭地域振興公団法の一部を改正  する法律案内閣提出第五六号)  建設行政基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 服部安司

    服部委員長 これより会議を開きます。  去る二月二十日本委員会に付託されました内閣提出住宅金融公庫法の一部を改正する法律案議題といたします。
  3. 服部安司

    服部委員長 まず、提案理由説明を聴取いたします。金丸建設大臣
  4. 金丸信

    金丸国務大臣 ただいま議題となりました住宅金融公庫法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  住宅金融公庫は、昭和二十五年設立以来国民大衆住宅建設に必要な資金を融通することにより、国民住生活の安定と社会福祉の増進に寄与してまいったところでありますが、さらに、良好な居住環境確保個人持ち家取得の負担の軽減をはかることは、現下の急務であります。  この法律案は、以上のような観点から、公庫業務範囲を拡大するとともに、貸し付け条件改善等を行なおうとするものであります。  次にその要旨を申し上げます。  まず第一に、公庫の貸し付ける関連利便施設建設資金及び関連公共施設整備資金につきましては、現在、新住宅市街地開発事業等宅地造成事業を行なう者に対してのみ、当該宅地造成資金にあわせて貸し付けることができることとなっておりますが、新たに、一定規模以上の一団地住宅建設をする者に対しても、当該住宅建設資金にあわせて貸し付けることができることといたしております。  第二に、公庫の貸し付ける個人住宅建設資金関連利便施設建設資金関連公共施設整備資金等にかかる貸し付け金利率償還期間等につきま、して、現行の貸し付け条件を改善することとし、利率については、法律に定める限度範囲内で政令で定めることといたしております。  第三に、公庫事業者に対して貸し付ける宅地造成資金特定中高層耐火建築物建設資金等の適切な運用をはかるため、これらの貸し付け金限度利率償還期間等政令で定めることといたしております。この場合、利率につきましては、当該貸し付けの対象となる事業促進されるように配慮するとともに、銀行その他一般金融機関貸し付け利率及び公庫借り入れ金利率を勘案しなければならないものといたしております。  第四に、これらの改正に伴い、所要規定整備を行なうとともに、産業労働者住宅資金融通法北海道防寒住宅建設等促進法等について所要改正を行なうことといたしております。  以上が、この法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださるようお願い申し上げます。(拍手
  5. 服部安司

    服部委員長 以上で提案理由説明聴取は終わりました。      ————◇—————
  6. 服部安司

    服部委員長 次に、去る二月二十七日本委員会に付託されました内閣提出工業配置・産炭地域振興公団法の一部を改正する法律案議題といたします。
  7. 服部安司

    服部委員長 まず、提案理由説明を聴取いたします。坪川総理府総務長官
  8. 坪川信三

    坪川国務大臣 提案理由を御説明申し上げるに先立ちまして、一言ごあいさつ申し上げたいと思います。  ただいま議題となりました政府提案にかかわる重要なる法案は、当該建設委員会に御審議を賜わりますことは、まこに恐縮のきわみでございます。  何とぞ、皆さまのありがたい御理解と御審議を十分賜わりまして、この法案の成立に何とぞ格別の御配慮と御教導を賜わらんことを切にお願い申し上げます。  ただいま議題となりました工業配置・産炭地域振興公団法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  人口及び産業大都市地域への過度の集中により生じた環境の悪化や土地利用混乱等の弊害を是正し、豊かで住みよい地域社会を形成してゆくためには、大都市人口及び産業地方へ分散するとともに、地方の総合的な開発整備を進め、国土の均衡ある発展をはかることが肝要であります。  このためには、工業活動学園流通業務等計画的な誘導と相まって健全な地方都市を先行的に整備育成し、また、環境保全に留意しつつ地域開発発展の核となる総合的かつ大規模事業を適切に実施してゆく必要があります。  これらの事業は、総合的計画のもとに一体的に実施すべきものであり、高度の技術、有機的な施行体制、大量の資金等を必要といたしますので、これを積極的に推進してゆくためには、各行政機関地方公共団体、既存の公団等のほかに、これを専門の業務とする新たな機構を整備する必要があります。  一方、国土総合開発のための重要な施策である工業配置業務を行なう機関として、すでに工業配置・産炭地域振興公団が設置されております。地方都市開発整備等業務は、その目的事業内容から見て工業配置業務と密接な関連を有することを勘案しますと、両者をあわせ行なわせることが、国土総合開発を効果的に推進するための最善の方途と考えられます。このため、現在の工業配置・産炭地域振興公団を改組拡充して国土総合開発公団を設置することとしたのであります。  以上が、本法案提案した理由であります。  次に、この法律案概要につきまして御説明いたします。  第一に、工業配置・産炭地域振興公団を改組拡充し、その名称を国土総合開発公団に改めることとしております。  第二に、国土総合開発公団目的及び業務改正であります。国土総合開発公団は、大都市からの人口及び産業地方分散地域開発発展をはかり、及び石炭鉱業の不況により特に疲弊の著しい産炭地域における鉱工業等計画的な発展をはかるため、従来の工業配置促進及び産炭地域振興に必要な業務のほか、新たに次の業務を行なうこととしております。  すなわち、人口及び産業が過度に集中している大都市及びその周辺地域以外の地域において、地域社会中心としてふさわしい都市開発整備のため必要な宅地造成、これと関連する利便施設及び公共施設整備等に関する業務を行なうほか、総合的かつ計画的に、実施すべき特定地域開発整備のための大規模事業施行に関する業務等を行なうこととしております。  第三に、これらの新しい業務実施につきましては、地方自治体の意思を尊重する見地から、公団地方公共団体の要請をまって行なうものとし、さらにその業務を行なおうとするときは、事業実施基本計画を作成し、関係地方公共団体の長に協議するとともに、内閣総理大臣及び主務大臣の認可を受けなければならないものとしております。  第四に、公団の経理について、地方都市開発整備等業務工業配置業務及び産炭地域振興業務を区分し、それぞれ勘定を設けて整理することとするほか、業務内容の拡充、強化に応じて役員の増員をはかる等、公団業務実施体制整備を行なうこととしております。  第五に、公団の監督については、一般管理業務に関しては原則として内閣総理大臣がその任に当たることとするとともに、事業実施に関しては、その内容に応じて、通商産業大臣建設大臣等がその任に当たることとし、内閣総理大臣は、その権限の一部を国土総合開発庁長官に委任することができることとしております。  第六に、公団は、現在日本住宅公団が行なっております筑波研究学園都市建設事業を引き継いで行なうこととし、所要規定を設けております。  最後に、この法律は、公布の日から起算して六カ月以内に施行することとしております。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同下さるようお願いいたします。以上。(拍手
  9. 服部安司

    服部委員長 以上で提案理由説明聴取は終わりました。      ————◇—————
  10. 服部安司

    服部委員長 次に、建設行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柴田睦夫君。
  11. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 建設大臣所信表明の中で、道路整備の問題についてお尋ねしたいと思います。   〔委員長退席天野(光)委員長代理着席〕  まず最初に、道路をつくる場合、今年度も道路整備ということが強調されておりますが、この道路をつくるなどの整備の中で、従前からそこに住む人々に対しては犠牲をしいる。特に人口密集地においてはただでさえ騒音大気汚染などのたくさんの問題をかかえている。そういうところで道路を通すとなりますと、住民のほうはこれはもうたいへんな被害を受けることになります。そういうところから見まして、この道路整備と、住民をその被害から守るということを、いずれを優先して考えるか、結論的な考えをお聞きしたいと思います。
  12. 金丸信

    金丸国務大臣 私はしばしば申し上げておるわけでございますが、いままでの建設行政というものは、つくればよろしいという考え方であった。しかしこの時点においては、いわゆる人間尊重ということをまず第一に考えなくちゃならぬ。そういう意味で、道路をつくる場合にいたしましても、騒音の問題もありましょう、あるいは交通安全の問題もありましょうし、あるいは排気ガスの問題もあろうと思います。そういうものを勘案しながら、地域住民の意志を尊重して、いわゆる対話がなければならぬ。そうして対話の上に立って、産業道路にしてもいろいろの道路にしてもつくるべきである。ただ私は、道路というものはあくまでも、道路のあるところに産業発展もあるし、あるいは文化の発展もある、経済の発展もある、こういうことですから、道路がなくてよろしいということではないと、こう思うのですが、あくまでも対話のない道路建設はない、こういうことでございます。
  13. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 いまの見解につきましてはまたあとで触れることといたしまして、具体的な問題といたしまして、昭和四十一年以来国会においてもしばしば取り上げられてもおりますし、また関係住民の間においても大きな問題になっております東京外郭環状線のことについてお尋ねいたします。ここに先月首都高速道路公団が出しました首都圏道路地図がありますが、ここにあります外郭環状線路線図、このとおりの計画が立てられているわけですが、この計画路線につきまして建設省としては現在のところどういう計画段階にあるのか。また将来の実行についてどういう計画であるのか。その要点について伺いたいと思います。
  14. 菊池三男

    菊池政府委員 ただいまお話のありました外郭環状道路につきましては、これは東京中心に半径おおむね十三キロか十五キロの円をかいた環状道路でございます。それで、そのうち一部東京湾の埋め立てを使います湾岸のところを除きますと八十六キロほどの外郭環状の延長になります。これは先ほど先生言われましたように、昭和四十一年から逐次都市計画決定をいたしまして、現在西側のちょうど羽田の空港付近から多摩川に沿いまして、多摩川杉並に至る間がまだ抜けておりますが、それから杉並西荻窪付近から石神井付近までが都市計画決定をしており、それから和光市が一部抜けまして、それ以外は全部都市計画決定が四十一年から四十四年までの間に決定いたしております。そのうち国道十七号線の新大宮バイパスというのがございます。それから西側のほう、江戸川左岸に沿いまして湾岸に至りますまでの区間、これを国道二百九十八号線の認定をいたしまして工事に着工いたしております。  それで、実はその区間にいろいろ地元方々反対等でまだ測量のできていないところもありますし、それから一部もう地元の方の御了解も得て用地買収にかかり、あるいはおそらく本年度末には埼玉県分につきましてはまあ五%くらいの用地が取得できるのではないかと考えております。それから、実はこの環状線につきましては、東京中心とした西側のほうには環状七号線、八号線等ございますけれども、この東側につきましては環状七号線が、まだ完成は全部しておりませんけれども、それ一本しかない。これはそういう意味環状的な性格を持った道路であると考えております。
  15. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 埼玉県分について五%の用地確保ができている。そのほかの部分についての用地確保というのはどういうことでございますか。
  16. 菊池三男

    菊池政府委員 埼玉県分で五%といいますのは、実はこれが事業に着手したのがわりあい最近でございますので、そういう意味でまだ時間的にそれしかできていないということでございます。
  17. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 そのほかの部分で、公共用地でないところの用地確保の状況はどうなんですか。
  18. 菊池三男

    菊池政府委員 全体について申し上げますと、西側杉並−世田谷に当たりますところにつきましては、実は先ほど申しましたように都市計画決定しておりますけれども現在まだ着工できない状態であります。それから多摩川のところと、先ほど和光市がまだ計画決定してないと申し上げましたけれども、これはなるべく早い機会に都市計画決定をいたしたいと考えております。それから国道十七号線の新大宮から東側につきましては、先ほど言いました埼玉県側の中で、草加あるいは浦和の一部に反対ということがございますけれども、そのほかのところは大体測量も済み、用地買収にかかっておる。それから千葉県に入りまして松戸地区市川地区、これは住宅地区を通りますために騒音その他によります公害ということから地元の方とまだ話し合いができませんで、何回かやりましたけれども、まだお話し合いがつきませんので、これからも詰めてお話し合いをしてまいりたいというふうに考えております。
  19. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 お話を伺っておりますと、この計画の具体的な実行ということから見ますと、それはなかなか進行していない。おそらく最初の予定から見ますとずっと進行がとまっている状態じゃないかと思うのですが、そのように建設省計画がずっと進行していないという、その基本的な理由はどこにあるのでしょうか。
  20. 菊池三男

    菊池政府委員 実はこの環状線の使命といたしましては、東京に車が集中してまいりますのを分散させ、そして分散して都内に入れる。あるいは都内起終点を持たない車につきましてはバイパスをさせて東京都内に入れない。また同時に、先ほど申しましたように、東側環状的な道路がございませんので、いまでも市川松戸地区ではわりあい狭い道路のところにそういう目的の車が走っておりますので、そういうことを考えると環状線というものはどうしても必要である。ぜひ早くつくりたいということでわれわれは考えておりますけれども、いま先生おっしゃいましたように、これが進みません理由は何か、これは少なくとも千葉県の松戸市川地区につきましては、われわれの考えております道路と、それから地元の方の意見がなかなか合わないということだろうと思います。私どもも当初、こういうものができますということで地元の方とお話しいたしておりますけれども地元の方は、ここに道路をつくらずにほかの場所に移せないかというような言い方で言っておられます。私どもも、計画決定いたしますまでには十分調査をいたしまして、ここにルートをきめたわけでございます。ただ、それだからといって、どんな道路ができて地元の方が迷惑してもいいんだということは決してございません。先ほど大臣から言われましたように、これはできるだけ公害の少ないような形でつくっていくべきである。私どもも十分それは考えておりまして、ルートは変えられませんけれども地元の方に特に迷惑をかけずに済むようないろんな構造やり方がございますので、われわれのほうも十分検討しておりますけれども、それを地元の方ともお話しして、十分御納得を得て進めたいというふうに考えております。
  21. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 市川松戸地元の人と話をした、こういうことを言われましたが、これはいつごろ、だれと話をされたということなのでしょうか。
  22. 菊池三男

    菊池政府委員 地元の方という、その地元の方の内容につきましてはこれはいろいろございます。県という地元もございます。あるいは市町村という地元もございます。あるいはもっと地域に分けた各ブロック地元ということもございます。   〔天野(光)委員長代理退席委員長着席〕 ちょっと私ここに、何月何日というのは持っておりませんけれども、少なくとも松戸につきましては、地元の各ブロックに分けたところともお話し合いしておりますし、それから市川につきましても、市あるいは地元の代表の方とお話し合いというか、そこで反対という問題がいま出ておるわけで、われわれはなるべく地元の方と具体的なお話し合いをしたいというふうに考えております。
  23. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 地元と話をしたという回答があったのですけれども、実際はこれはこういう計画を発表したということにすぎないのではないか。ですから住民のほうから見れば、全然そういう話はない、こういうふうに理解しているわけですが、それでいいでしょうか。
  24. 菊池三男

    菊池政府委員 発表したということも確かでございます。その発表をしたところが、地元方々がそれでは困るということになっております。それから私も実は前に国道課長をしておりましたので、地元の方とも二、三回お会いしております。それで一応話は承っております。
  25. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 地元話し合いをしたことはあると言われますけれども、実際上はなかった、このように理解されると思いますが、次に進みます。  計画が立てられた段階と現在とを比較した場合において、一つは、道路の敷地上に居住する住民の数が非常に増加しておると思うわけです。また、この道路計画実行されるということになれば、騒音排気ガスやその他で被害を受ける住民の数がこれもまた年々ふえているということは事実だと思うのです。計画最初から見た場合に、どの程度住民の増加があるか、どれだけの人がよけい被害を受けるようになったか、この点についてお答えをいただきたいと思います。
  26. 菊池三男

    菊池政府委員 計画時点と仕事を実施する時点と、どのくらいふえておるかという御質問でございます。ちょっと私ここに数字は持っておりませんけれども、これを計画調査しました時点昭和四十二年、三年で、計画決定が四十四年でございます。そのときから比べれば、それ以後この市川松戸地区は相当人家がふえておりますので、人家は相当ふえていることは確かだと思います。
  27. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 それでは、この計画を立てた時点でこの道路を通る自動車通行量をどのように推計していたか、また現在ではどのような推計に変わってくるか、この点について伺いたいと思います。
  28. 菊池三男

    菊池政府委員 この道路をつくりました暁における交通量推計というものは、これは推定でございますからいろいろな推計やり方がございますけれども計画といたしましては、一般国道の分を四車線、それから専用道路的な、これは私ども一応高架構造を考えておりますけれども、それが四車線、合計八車線道路ということでまいりますと、大体十万台ないし十万をあるいはこえる。これは想定でございますが、道路キャパシティーからしてもその程度になろうかと思います。
  29. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 計画を立てた段階で十六万台と発表されたんじゃないですか。そしてその後の自動車一般的な統計を見ても、予想していたよりももっとふえているということから、それがまた変化してきているんじゃないか、こういうことです。
  30. 菊池三男

    菊池政府委員 これは交通の推定の年次によって、何年先を推定したかによって違うと思います。十六万台というのはおそらく計画しました当時に二十年先とか十五年先とかあるいは昭和六十年とか、そういう考え方でやったのかと思います。実はいまの推計でまいりますと、車がどんどんふえてまいりますとそれが十三万台であるとか、あるいはもっとふえていくかとも思いますけれども、このふえる分については、さらにふえればまたあるいは別な場所にもう一本確保するということも考えられますし、この道路だけについて見ますと、専用道路部分と下の道路と合わせると十二、三万台というのが通常のキャパシティーであるというふうに考えております。
  31. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 騒音にかかる環境基準というのが一昨年定められておりますが、この外郭環状線建設についてはこの基準は守るということになるのかどうか。現在の状態から見ますと、この場合、上が高速道路、下が一般国道、二階建ての道路になって、ここで市川松戸、この区域を見ても道路標準幅が四十メートル、最高は六十八メートル、こういわれておる道路が通って、いまの答弁によると一日十万台ないしは十二、三万台、あるいは私たちが考えております十六万台、こういった自動車が通行するという場合に、この環境基準をはたして守れるだろうかという疑問を持つわけですが、環境基準を守るということについてはどういう対策を持っておられますか。
  32. 菊池三男

    菊池政府委員 環境基準につきましては、私ども環境基準を守ってつくっていきたいというふうに考えております。実は当初この東京外郭環状線の基本的な構想といたしましては、先ほど申しましたように二車線ずつの一般道路があり、まん中に高架構造で四車線の専用部分があるという基本的な形でありますけれども、いま考えておりますのは、たとえば市川地区のように住宅の専用、あるいは専用でなくとも住居地域であるというようなところを通る場合には、やはり音が基準を上回ることが考えられますので、実は私どもは一部地下道にする、あるいは高架にする、そして一番音の影響のある平面の部分をなるべくなくしたらどうかとか、いろんな考え方がございます。場所によっては防音壁を立てる、あるいは木を植えるというようなことで環境基準を守るという形もございますし、また市川地区は特に学校、病院等がその道路の沿線にたくさんございます。そういうようなことから、そういう地区はなるべく騒音をなくすべきであるというようなことで、そういうような具体的な構造的な問題でいま詰めておりまして、できるだけ早い機会に、こういう構造でいけば音はだいじょうぶなのですよということで地元の方とお話ししたいというふうに考えております。  それから、先ほど交通量の問題が出ましたけれども、もうちょっと詳しく申し上げますと、四車線専用道路は一応七万二千台というのがわれわれの通常の考え方でございます。それから一般道路は四車線で四万八千台というのが通常の考え方でございますので、それを足しますと十二万台ということで、若干それよりもこむということもありますので、まあ十二、三万台が将来の推計であろうというふうに申し上げたわけでございます。
  33. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 環境基準を守る、こう言われましたが、その環境基準が守られるようなそういう構造計画されない限り、住宅密集地域である市川松戸こういうところにおいては道路を着工させない、このように考えてよろしいでしょうか。
  34. 菊池三男

    菊池政府委員 環境基準が出ております限り、私どもはそれに合わせた形でつくっていきたい。それから先ほどちょっと、市川のことだけ申して松戸のことを申し上げておりませんでしたが、松戸地区につきましては、大きなカットする形で、ちょうど丘を両側から切っていく形の構造でありますので、地形的にもわりあいふたをしやすいというようなことから、そこはふたをして、一部緑地をつくり、あるいは一部公園というようなこともあわせ考えるという形で進んでいきたいと思っておりますけれども、いずれにいたしましても環境基準は守ってつくっていきたいというふうに考えております。
  35. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 東京環状七号線、この東京環状線最初、こうした道路で、東名、中央、関越、東北縦貫あるいは常磐などの東京に入ってくる自動車をさばこうとしていたけれども、これではさばき切れない。そのように自動車がふえてきたわけです。そこでこの外郭環状線計画が立てられる。このことはいままで国会においても建設省のほうで述べられているところなんですけれども、そういう意味から見ますと、外郭環状線のほうもまた同じような目的をもってつくられるわけですから、この環状線周辺の被害が非常にひどいということからこのことも考えてみなければならないと思うわけです。  東京環状線について、その周辺の人たちの被害の状況についてはいろいろ調査の結果が発表されておりますけれども、ともかく一口にいえば非常にひどい状態である。家の壁やタイルがこわされる、夜は騒音で目をさまされる、かぜを引いてもなかなかなおらない、陸橋部分から車の積み荷やあきびんやあるいはタイヤチェーン、ときには鉄板さえ降ってくる、こういう調査の結果が出ております。外環線の計画は、私たちの見たところによるとこの環状七号線などを上回るような道路計画であるわけです。ここに大量の自動車が走る。大型のダンプやタンクローリー、そういった貨物輸送車がものすごい音を立てて、またものすごい排気ガスを出すわけであります。これは東京環状線の状況から見ますと、この外環も当然こういうことになるということが推測できるわけです。そうしますと沿道の人はほんとうに住めなくなるのではないか。千葉県の市川市だけ見てみましても、ここは十一・二キロメートルの範囲ですけれども、この住宅密集地で数百軒の人が立ちのかなければならぬ。しかも、先ほども言われましたように、この地域の周辺に信篤小学校、稲荷木小学校、鶴指示学校、平田小学校、菅野小学校、一国分小学校、中国分小学校、こういった小学校をはじめ、あるいはたくさんの幼稚園または高等学校、大学、公共施設があり、こういった影響を及ぼすところを通り抜けるわけです。そうして市川市全体とすれば、この道路によって東西に二分されてしまう。道路は二層式の計画ですから、下の道路の通行音が反射してその騒音はいよいよひどいものになる。この立ちのきや、騒音排気ガス被害、また日照権や電波の障害、それだけでは済まないわけで、幼稚園や小学校の生徒、これも友だちと別れ別れにさせられてしまう、こういう状況を住民は敏感に感じ取って、それから大きな反対運動が起こり、ますますこれが広がっているわけです。  こういう中で東京都知事は、住民が必要としない道路はつくらない、必要な道路だけをつくる。それから千葉県でも県知事が、住民反対ならつくらない、こう言っております。また、市川松戸の市議会も一致して反対の決議をしておりますし、市川市長も今度、外郭環状線建設はもう不可能である、こういうふうに宣言しているわけです。建設省もいままで、地元の人が反対されるならばこれは強行しないということを国会でたびたび言明しています。この、地元の人が反対すればやらない、着工しないという考え方、これは現在においても変わりないかどうか、あるいは何らかの修正があるかどうか、確認の意味で伺いたいと思います。
  36. 菊池三男

    菊池政府委員 この問題は前にも国会で問題になりまして、この工事は地元の方の御了解を得てやるということを前から言っております。したがいまして、私ども地元の方と十分話し合って、御了解をしていただいて着工するということにいたします。(柴田(睦)委員「着工するの」と呼ぶ)御了解いただいて着工したいということでございます。
  37. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 もう八年前から問題になっておるその計画がまだ現在生かされておって、まだ着工したい、こういうことを言われるわけですか。住民はいつでもそういう不安な中で生活しているという状態になっております。この路線のことについて、埼玉県ではもう計画路線内の土地の売買が長い間禁止される、それから全体的に建物の建築が禁止されたりあるいは制限されたりしている、こういう状態が続いているわけです。これを見て、みんなをこの道路の上からいびり出すことを計画しているのじゃないだろうか。長い間不安の中で、忙しく署名を集めたり、みんなに訴えたり、あるいは陳情したり、こういった運動を続けてきているわけですが、そしてそういった人たちは非常に神経も使うわけです。そういう中で、安心して生活がしたい、そのようになりたい、一体どうしたら安心して生活ができるのか、住民をどこまでいじめるのか、疲れさしてしまって、まいるのを待っているのではないか。いろいろ言われるわけです。しかしどんなことがあっても決して自分たちのこの町に道路をつくらせない、どこまでもがんばるという決意がさらに固まっているわけです。そして市民を代表するといわれる地方自治体のほうですでに反対の意思を明らかにしているのですから、地元反対すればやらない、こういうことを言うならばやめるのが筋じゃないだろうか、これが住民の気持であるわけです。それにもかかわらず、計画はまだ続けられようとしておる、こう言われるわけです。  そこで伺いたいのは、建設省がいままで言われております、地元とかあるいは住民反対があるならやらない、着工しない、こう言われておりますけれども、こういう場合の地元とか住民とか、こういう意味、こういうことばの実際上の内容がどういうことをさしておられるのか、このことをはっきりしていただきたいと思います。
  38. 菊池三男

    菊池政府委員 先ほど申し上げましたように、地元という考え方はたくさんございます。県も地元でございます。それから市町村も地元でございます。それから場合によっては市町村の議会にお話しすることもございます。それから地元の、ほんとうにそこに住んでいらっしゃる地元方々、これがたくさんおられまして、その一人一人、全員に全部説明して歩くということはたいへんむずかしいと思いますので、私どもは、もしそういう場合には、いろんな地区がございます。その各地区の方々の代表の方を早くきめていただいて、そういう代表の方と打ち合わせをする。その代表の方がまたどういう形で地元の方におろされるかわかりませんけれども、これはいろいろのやり方があると思いますが、そういう形で地元の方とお話し合いをしてまいりたいというふうに考えております。
  39. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 そうしますと、千葉県の場合、県のほうでも反対しておる、市川市のほうでも反対しておる、松戸市でも反対しておる。そうしてまた住民が、この国会にも請願の署名が五万数千人も出ておりますけれども、それだけの反対があればこれはやらないということになってしかるべきものではないでしょうか。
  40. 金丸信

    金丸国務大臣 お答えいたします。  お話の答弁になるかどうかわかりませんが、道路をつくったために、東京あるいは六大都市に非常に悪循環を来たしておるという傾向があると思うのですよ。その悪循環を来たすという道路を、いやがるものをなおつくるということについては、これは考えなくちゃならぬだろう。私は、その予算はいなかの市町村道に持っていって張りつけたらよほど喜ぶだろう、こういうふうに思っております。そこで、いま局長説明申し上げました点につきましては……。   〔発言する者あり〕
  41. 服部安司

    服部委員長 お静かに願います。
  42. 金丸信

    金丸国務大臣 局長説明申し上げましたことにつきましては、概念として、計画が出ておる、こういうことですから、局長としてはこれをやめると言うことはできぬと私は思います。私はこの問題については、県、市町村、そして住民がまっぴらごめんだ、こういうことであればこれはとりあえず取りやめるべきだ、こういうふうに考えております。
  43. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 非常に積極的な御意見を伺いましたが、現在この外郭環状線は、一般的にいえば凍結、再検討ということになっておりますが、いま大臣のおことばにありましたように、これからさらに発想の転換をして、一歩進めて、住民が大きな不安感を長い間与えられておる、こういう現実を踏まえて、これを白紙撤回の方向で検討されるように求めたいと思います。  では、この環状線の問題はここで終わりまして、一般的な問題にいたしますが、先日私、名古屋に参りまして、高速道路建設のことについて調査をしてまいりました。また千葉県からも、干草台団地のすぐそばを通る道路、十六号線のバイパスの問題、いろいろ道路の問題についてたくさん訴えられております。時間がないのでこういう件については別の機会にいたしますけれども道路整備をするという場合に、人口密集地において道路を通しあるいは道路を広げるという場合、そんなところではすでに道路公害騒音大気汚染、振動などが住民の生活上の大問題になっているわけです。その上に多くの人々の生活の根拠を奪って立ちのきが迫られたり、周辺の人々に新しいひどい道路公害を生じさせる、そして道路が二倍になれば自動車は四倍になる、こういわれております。混雑の緩和などこれじゃできないわけで、道路の増加は自動車の増加に追いつかないというのがいままでの経験から一般的にいわれているわけです。そしてまた道路には限度があるわけで、しかも自動車はいまなお成長産業になっている。建設省道路整備にあたって、いつも道路の混雑を緩和するということをいわれますが、はたしてこういう状態で混雑が緩和できるか。たとえばこれから五年間の日本の自動車の保有量、それはどれくらいになるのか、また道路のほうはその五年ぐらいの間にどれだけふやす計画になっているのか、こういうことをお聞きしたいと思います。
  44. 菊池三男

    菊池政府委員 ただいまのお話で、道路整備すればするほど車がふえるというお話でございます。実はいまの実態はそうでございます。これはそれだけの需要があるからやはり車がふえるのだろうと考えております。現在のところはおおむね二千万台ございます。厳密にいいますと千九百万台だと思いましたが、約二千万台、それが今度の五カ年で考えております昭和五十二年度末にはおおむね三千百万台になるであろうということを想定いたしまして私ども作業を進めております。(柴田(睦)委員道路のほうは」と呼ぶ)それは交通量でございます。交通量が全部で三千百万台になるであろうということで、道路整備五カ年計画の基本の数字としております。
  45. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 その五カ年間に道路はどのくらいふえるわけですか。
  46. 菊池三男

    菊池政府委員 この五カ年計画の中身でどれだけふえるかということについては、ちょっとまだ私、五カ年の最終的な数字が出ておりませんので申し上げられませんけれども。幅を広げるところもございますし、バイパスでふえるところもありますので、総延長がどう伸びるかということについてはいますぐちょっと御返答いたしかねますけれども、これは私ども一つのものさしとして道路資産というものをつかんでおります。これは道路を一つの資産勘定として、それに見合う交通量、それが、五年後には道路資産がどれくらになるという、こういう計算のしかたをしておりますけれども、ちょっといままだここに数字を持ってきておりませんのでまた後日……。五カ年計画の最終的な数字がきまりますと——まだ、五カ年計画、実は閣議決定しておりませんので、最終的などれが幾らということはきまっておりませんが、それが出次第わかると思います。
  47. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 それでは推定の問題になりますけれども、二千万台から三千百万台に自動車がふえる。そして五年間の間に道路のほうは一倍半くらいにはなるわけですか。
  48. 菊池三男

    菊池政府委員 実は道路のほうは私もちょっと数字を持ち合わせませんが、一倍半にはならないと思います。と申しますのは、現在でもまだ道路のキャパシティの余裕のあるところがございます。そういうところを走る限りはいまの道路でも間に合うことになりますし、それから実態が、たとえばいままでは昼間だけしか走っていなかったのが、昼間がこんでまいりましたために夜へ延びていくということになりますと、一日の交通のキャパシティは、同じ道路であっても時間帯が延びれば伸びるということもあって、そこまでは、同じような倍率では道路は伸びないと思いますけれども、相当まだ余裕がある範囲にふえていくだろうというふうに考えております。
  49. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 いまの点は日本全体の問題だと思うのですけれども道路の混雑緩和という意味で一番重要な、そしてまた必要だとされているのは、やはり何といっても大都市のほうだろうと考えるわけです。ところが大都市のほうにおいては道路の伸びもやはり少ない。そしてまた自動車はなおふえる。こういうことから見ますと、日本の道路整備計画では自動車の増加に追いつかない。特に都市部においては追いつかない。こういうことになれば、特に都市部において、また全体的に見ても混雑が緩和するどころか反対の方向になるのじゃないか、このように考えるわけです。その点いかがですか。
  50. 菊池三男

    菊池政府委員 実は相当こんでおります大都市、そういうところにつくればますますこむと思いますけれども、今度の五カ年計画考え方も、なるべく大都市には入れない、環状的なもので押えたい。先ほど外郭環状の話が出ましたけれども、それからそれ以外につきましても、やはり過疎を解消するということで国土の普遍的な利用ということを今度の五カ年計画で強く考えておりますので、そういう意味では、大都市とかそういういま混雑しておるところへ道路をつくって集中させることよりも、それをもっと分散させるという意味高速道路であり、あるいは一般国道であり、特にまた市町村道の整備ということを今度の五カ年計画では強く考えております。
  51. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 道路整備緊急措置法が昭和三十三年に制定されたわけです。このころから日本の自動車の保有台数が急速にふえてきました。道路対策は自動車の増加に従属する、そういう状況を示していたのが現実だと思うわけです。建設省道路整備によって、いまも過密過疎の問題を解決するということをいわれまするけれども、新産業都市建設促進法、これは大都市における人口集中防止という表向きの目的を掲げて昭和三十七年に制定されましたが、この時代においてはもう過密過疎の問題が重大な問題になっていたころです。その後十年間の間、問題の解決ができませんで、道路の混雑とか過密過疎の問題も一そう進行しているという状態になってまいっております。この十年の間に道路は幾らか整備がされてまいっておりますけれども、結局、目的の一つであります過密過疎の解消はできなかった。こういう実績から見てみまして、建設省がいま進めております道路づくりによっては過密過疎の問題は、いままでのようなやり方ではこれは解決できないということはすでに過去の現実が示していると思います。この点について何か特別な新しい対策、こういったものを講じられているかどうか、この見解を伺いたいと思います。
  52. 菊池三男

    菊池政府委員 何か新しい対策と申されましたけれども、新しいかどうかわかりませんけれども、少なくとも例を高速自動車国道にとりますと、骨幹的な道路網をつくって、どこの過疎の地域からでもその高速道路へ乗れるというような網ができますれば、これはやはり産業の立地にもなりますし、そういう意味ではやはり過疎解消の大きな要因であろうと思います。また、例を国道等に見ましても、国道バイパスは従来、地方中核都市等にいたしましても比較的利用しやすいようにということで、わりあいに町のまん中のほうへつくっておったわけでありますけれども、なるべくそういうバイパス中心から離しまして、やはり通過する自動車は町の中へ入れないというようなことでいきたい。そして、町中を通らずに行けるということは、さらにそれに市町村道等の生活道路整備をすれば、それが集落からそういう地方中核都市あるいは中心都市へ簡単に行ける。そうして交通混雑のない段階で行ける、ということになりますと、やはり私どもは過疎の解消の一番の早道は道路整備ではないかというふうに考えております。
  53. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 今年度の予算を見てみましても、やはり幹線道路、これが中心になっていると思うわけです。しかし、私が考えるには、国民が求めているのはやはり自分たちに便利な安全な生活道路だ、こう思うわけです。ところがこの点、道路局の公共事業の採択基準、これを見てみましても、生活道路といわれる市町村道で国が補助するものは、特殊立法などに関連して緊急に整備を必要とする道路、また他の公共事業関連して緊急に整備を必要とする道路、これに限られておりまして、一般市町村道については補助がなされない。市町村道は御承知のとおり非常に整備がおくれている、こういう実情だと思うのですけれども、本年度の幹線道路中心とする計画では、国民が一番大切に考える生活道路、このほうがやはりなおざりにされるのではないか。このことについてどのように考えておられるか、お聞きをしたいと思います。
  54. 菊池三男

    菊池政府委員 市町村道の整備につきましては、いままでは先生が言われましたとおりでございます。山村等の特殊立法によるものあるいは他事業との関連でやるものということになっておりましたけれども、四十七年度ごろから、特に四十八年度からはそういう道路以外に、いわゆる生活道路、先ほど私申しました地方集落から主要の都市あるいは主要の道路へ出られるという市町村道、これを私どもかりに幹線市町村道と呼んでおります。内規で一級市町村道、二級市町村道というものをきめまして、これが特殊の立法のものと合わせまして約二十三万キロございます。ちなみに市町村道はいま全体で八十六万キロございます。そのうちの二十三万キロにつきましては生活道路ということできめまして、これを補助対象にして積極的にやってまいりたい。これは四十八年度からももちろんやりますし、今度の五カ年計画におきましても相当大幅にそういう思想で市町村道の事業費をふやすことになっております。それから、実は四十八年度の予算のことでございますけれども、市町村道につきましては四十八年度は四九%くらいの対前年の伸び率になっております。一般道路事業が二六%でございます。そういう意味では相当大幅に伸ばしてございます。またそういう大幅に生活道路をやろうという姿勢はわりに最近でございますので、まだ初めのほうはそう急激な伸びはいたしません。それにしましても四九%ということでございますが、今後ますますそういう意味では伸びていくであろうと思っております。
  55. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 生活道路に取り組むという問題ですけれども、やはり全体から見ますと、幹線道路産業道路高速道路、こういったものが非常に大きな比重を占めていると思うわけです。ですから、この生活道路整備、これを特に急がなければならないし、そのためには力を尽くさなければならないと思うわけです。  そして、国民は自分たちの安全な道路を必要としているわけです。現在、道路は歩道と車道とが分離されておる、これが非常に率からいっても少ないという現状なんですが、この交通の安全、車より人を優先して考える、こういうことに関してどういう計画であるか。車道と歩道の分離、人を大事にするということについての対策をお聞きしておきます。
  56. 菊池三男

    菊池政府委員 ただいまの先生のお話、ごもっともでございます。私どもも歩行者の安全を守るということから、実は特定交通安全施設等整備事業五カ年計画というのがございます。それによって、特にいま歩道の設置あるいは横断歩道橋——人道橋といっておりますけれども、そういうものの設置あるいは車道の整備ということを極力実は進めております。ただ特定交通安全事業は現在ある道路に対してつくるというのが基本的な姿勢でございますので、そういうところにはだいぶつけまして、もうつけられるところは相当つけてございます。したがいまして、われわれのほうではさらに積極的にそれをやるために、改築事業で、たとえばもう歩道をつくる余地がない狭いところでは小さなバイパスをつくりまして、そこに車もろとも移してしまう、そうして歩道をつくるというような、小規模バイパス事業といっておりますけれども、そういう事業を、特定交通安全事業のおそらく三倍くらいに当たる事業量をそういうことでやっておりまして、先生おっしゃいますように、歩行者の安全ということを十分に守っていきたいと考えております。
  57. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 次に、住民の生活に直接的にかかわりのない幹線道路、これはまた一面、人の生活を破壊するという現状があるわけですから、そういうところから見ますと、幹線道路は人の居住区域、こういったところは通さない、その外側を通すように計画をすべきであると考えますけれども、いかがですか。
  58. 菊池三男

    菊池政府委員 道路の路線を選定いたしますときには、なるべく人家をはずし、なるべく被害の少ないようにということを念頭に置いてやっております。ただ、道路は一つの構造の規格がございまして、勾配あるいはカーブ等が構造令できめられた基準がございますので、必ずしも全部よけていくことはできませんけれども、これはルーティングの際の基本的な考え方でございますので、十分そのような考え方でまいりたいと思います。
  59. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 国民はもちろん安全で便利な道路を求めているわけです。このためにはどうするか。一番このことを知っているのはやはり地域住民だろうと思うわけです。ですから、地域住民が住みよい町をつくるという計画の中で、道路計画住民の合意に基づいてできる。そして市町村でそれをつくる。そして都道府県がこれを調節する。そしてまた国がこれを全体的に調節する。こういうふうに下から道路計画が町づくりと並行して進められる、こういうように進められなければならないと考えますが、このことを最後に申し上げて、時間が来ましたので終わります。
  60. 服部安司

    服部委員長 松浦利尚君。
  61. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 私はきょう主として土地問題に対する行政、特に姿勢の問題、この問題について焦点をしぼって質問をさせていただきたいと思います。  この問題は予算委員会一般質問で、すでに質問通知をして、する予定でしたけれども、時間がなくなりましたために省略をさしていただいてきょうに持ち越した質問であります。内容的には一般質問の時点の通告でありますから相当建設省のほうは調べておられると思いますから、こうした問題についても建設省の見解を含めながら具体的に御答弁をいただきたいと思うのです。  まずその一つは、いままで高度経済成長のもとで、財投資金を入れてどんどん公共投資をやってきたわけでありますが、こういった問題が不動産会社に利用されておる。現実に今日では土地の買い占め、あるいは株、こういったところに過剰流動性が動いておるわけでありますが、そうした中で建設行政の果たしておる責任というのは私は非常に重大だと思うわけであります。そこで、いろいろ抽象的な議論をしておったのでは始まりませんから、一つ一つ具体的な事実を取り上げてその見解を求めていきたいと思うわけであります。  その一つは、政府は常に、土地は投機の対象ではない。本会議において、佐藤総理時代から、土地はもうかるものではないのだということをいつも言っておられたわけであります。そのことは、政府の答弁については私もよく理解しておるつもりでありますが、そういった政府の行為がただことばだけでありまして、具体的に一つも効力をあらわしておらないわけであります。ここに私は大和観光株式会社の土地を売買するための「研修要項」、お客さんと対応する「応酬話法」というのを持っております。もう一つ、東宝商事のパンフレットを持っておりますが、この中身を御紹介いたしますと、たとえば土地を買いませんかとセールスが質問した場合に、余裕がありませんとお客さんが答えた場合にはこのように答えろというふうに例示してあるわけであります。「土地は借金して買っても得ですよ」、そして物価と比較した資料を見せる。「ここが儲かる人(得をする人)と利益から見放される人の別れ道じゃないですか。」こういったことを言え。あるいは会社そのものを信用させる目的をもって、「当社は完造協会大手四社が政府の施策(首都圏整備法案、新都市計画法)に協力する開発を行なう為に大同団結した会社です。我が社の首脳人は、不動産業界の指導的立場にあります。その信用をお買上げ下さい。」こういうことを言えとしてあるわけです。そして、他に、もうけ口があるぞ、こういうふうにお客さんが答えた場合は、「頭や体を働かせなくとも土地は儲かります。不動産以上の儲け口があると云うのは耳よりですね。私にひとつ教えてください。」  政府が、土地はもうからない、土地は投機の対象にあらず、こう言っておるにかかわらず、現在の不動産会社から言わしめれば、政府の施策に協力しておる大手の会社であるという宣伝の背景に、まさしく土地は投機の対象になるという宣伝をしながら土地を売り歩いておるのです。ゆゆしき問題だと思う。しかも聞いてみますと、こういうものに対して政府が介入して、こういったセールスのあり方について規制を加えた、少し行き過ぎだからやめてくれというような指導があったという話はセールスマンの諸君からまだ一ぺんも聞かない。むしろますます土地はもうかるということで、いままで買い占めておった土地を高い価格で放出する、投機の対象として土地を売買する、こういった不動産の売買が今日公然と行なわれておるわけであります。商品取引と同じようにこれは商取引であるから問題ないと言われればおしまいであります。しかし、今日土地問題はきわめて大きな政治課題であります。しかも佐藤内閣から常に言われておることであり、建設大臣も常にその所信において、土地問題は責任ある立場から施策その他に訴えられてきた内容であります。ところがこういった事実が横行しておる。これはそういった国の土地に対する施策というものが、直接携わっている不動産会社には影響を与えていないということだと思うのです。一つの例でありますが、筑波学園都市という問題があります。筑波学園都市をつくるという、とたんにあの周辺では、政府が行なう筑波学園都市というものを対象として土地がもうかるという宣伝をしております。道路ができ上がるとその道路というものを中心にしてその辺の土地はもうかるという宣伝をして歩いておるわけであります。こういうものに一体政府はどのように具体的に規制を加えようとするのか。野放しにしておくのか。まずこの点について建設大臣から明確な御答弁をいただきたいと思います。
  62. 金丸信

    金丸国務大臣 土地問題はいま大きな政治問題であることは言をまちません。また、ただいま仰せのようなお話を承りまして、土地を一つの商品化して、そして詐欺的行為のような商売をやっておる、まことに許しがたいし、国民の敵だという感じもいたすわけでございます。そういう意味でこの問題につきましては、今度提出され、また御審議願わなくてはならない土地要綱等によって——私はくどくは申しませんが、関係閣僚協議会で閣議了承いたしました土地対策要綱等によりましてひとつそういうものを締め出していくというような考え方、その他その中にも税制の改善というような問題もあるわけでありますが、そうしてそういうものの入る余地のないような方途を講じていかなければだめだ、こう感じておるわけでございます。
  63. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 事務当局でけっこうですけれども、いま政府が予定しておる土地対策要綱ではこの問題は入ってこないと思うのです。いままでもこういうことは、土地は投機の対象でない、こう言ってこられた。ところがいま政府が用意しておられる内容では、こういった投機的に走っている行為というものを規制するものではないのです、売買行為そのものを規制しておらぬわけですから。私がいま具体的に指摘をしているのはこういったセールスのあり方ですね。土地をあたかも投機の対象にする。極端な言い方をするとギャンブル的なものと一緒ですよ。これは買っておきさえすればいつかはもうかります、こういう行為に対してどのように規制を加えていくのか。いま大臣は、お聞きするというとこういうことも法律で規制できるというお話でありますが、そのとおり法律で規制できるという内容のものかどうか、その点をはっきりした上で、もし法律で規制できないとすればどうするのか、その点をひとつ具体的に事務当局からお聞かせいただきたいと思います。
  64. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 土地の取引、土地の売買の差益によって多大な利益を得るということにつきましては、土地の特殊な性格からいたしまして、私ども前々からそういうことがあってはならないというふうに考えている次第でございます。したがいまして、今後の不動産業、デベロッパーのあり方としましては、そういう従来のような土地の売買差益だけでこれをもうけるということでなしに、やはりいい環境のものをつくる、国民の求める住宅地をつくって、良好なものにして、そしてこれを供給する、ソフトな環境のよさを売る、そういうところに今後の方向を求むべきであるというふうに考えておりまして、そういう意味におきましては先生と同じでございます。業者団体、不動産業業界その他につきましても、私どもも常に、最近そういう指導をいたしまして、何かそういうことについての心がまえ、倫理要領というものをつくるべきじゃないかという指導をいたしている次第でございます。  大臣がただいま答弁申し上げました土地対策要綱でございますが、そういうものの考え方から新たにいろいろな対策を講ずるわけでございますけれども、やはり根本は、土地でもうけられないという仕組み、投機的な売買というものが抑止できる仕組みというものが必要であろうかと思います。その一つの対策としましては、御承知の国総法を大改正いたしまして、土地利用規制の強化をはかるということでございます。御承知のように、全国的に土地の売買には届け出をさして、そしてそれの中で、価格が著しく標準の価格よりも高いとか、土地利用計画に合致しないようなもの、そういう場合におきましては中止勧告もできるという道も考えております。同時に、地価の高騰を来たすようなおそれのある地域におきましては、ただいま、売買を許可制度にする、価格につきましてもこの際凍結できるような、そういう許可制度を鋭意検討中でございます。第二点としましては、そういう正面からの規制の仕組みとともに、土地税制によりまして土地ではもうけられないという仕組みをつくる点についてでございます。個人につきましてはすでに昭和四十四年におきまして譲渡所得税の高率の課税というものができておりまして、土地では多大の利益を従来のように得ることはできないという仕組みになっておる次第でございます。問題はやはり法人でございます。一番最初お話しございましたような法人の土地の買い占め、売り惜しみ、こういうものによって土地の騰貴を来たすことは困るわけでございますから、土地の売買でもうけられないような、そういう仕組みということで、七割の譲渡課税ができるという仕組みのもの、及び土地を保有しておれば税金がかかるという特別保有税の税制を考えておる次第でございます。そういうようなものが土地対策要綱の内容でございますけれども、先生のおっしゃることはよくわかりますので、今後ともさらにこの有効な方法につきまして御指導いただいて検討してまいり、実現してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  65. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 いまの問題については法案が出た段階で本院でも議論になる内容だと思います。ただ問題はこういったセールスですね。何ぼそういうふうに言ったって、第一線のセールスマンがこういうことを言って歩いたら何にもならないのです。しかも法案内容を見てくれば、こういう業者は除外されるわけですよ。しかも、私はデベロッパーということばが非常に問題があると思うのです。いま言われたように、すべての環境を、道路その他をぴしっと開発する、これがデベロッパーなんです。ところがいままでは、何か宅地造成しさえすればみなデベロッパー、デベロッパーという。デベロッパーということばの乱用があるのですよ。だから私はデベロッパーということばの使い方を、きびしく規制を加えるべきだと思う。何かちょっとすればもうデベロッパーだ、こういうふうな言い方でしょう。これは問題があると思いますね。いまのあなたの御答弁を聞いておってもそういう気がするのですよ。だからそういう意味では、私はいまの法案が出てきたときに、こういった問題は解決するかどうか、また具体的に議論いたしますけれども、実際に第一線のセールスマンがこういう教育を受けて走り回っておるのですよ。私はこの大手業者のこういった売買行為の自粛ということを監督するか、あるいはきびしく法律で規制する必要があると思いますね。こういった売買行為についてはきびしく規制を加える、そういうことが私は必要だと思いますね。この際にもう一ぺん事務当局の御答弁をお聞かせいただきたいと思います。
  66. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 先ほど御答弁の中で申し上げようと思いましたのをちょっと申し落としましたけれども、セールスマンの問題につきましては、これは先生の御指摘なさる問題点があるわけであります。実はこの問題も数年前の建設委員会でも論議されたことがあるように聞いておるわけでございますけれども、業者の幹部その他につきましてはいろいろな指導をし、法の規制が加わるわけでございますけれども、現実に一般消費者と接しているのはセールスマン、このセールスマンの質の向上、研修方法というのは非常に問題でございます。宅建業法におきましても「重要事項の説明」というような項目を出して規制したり、また契約の押印その他につきましては取引主任者がみずからこれを行なうということに改正をすでに一昨年いたしたわけでございます。そういうようなこと等を通じまして、セールスマンが一般消費者に損害を与えるというようなことのないように私どももいたしておる次第でございますけれども、先生の御趣旨に沿いまして、私どももセールスマン教育ということにつきまして十分意を用いてやってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  67. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 消費者のほうに事故がある場合もありますが、セールスマンの行為によって、土地はもうかるもの、土地は投機の対象になるというイメージが国民の間にもう広がっているわけですから、そういう点についてはぜひきびしく措置していただきたいということを申し上げておきたいと思うのです。  そこで私は具体的な問題として一つの例を申し上げたいと思うのです。これは東宝商事株式会社が行なっておる「ふる里」という別荘団地の問題であります。地目は山林であります。この「ふる里」という東宝商事が行なっておる別荘の分譲というのはどういう形で行なわれておるかといいますと、実は「ふる里」という一つのクラブ、ビレッジクラブをつくりまして、そうして会員規則を持っておるわけです。その内容というのは、この「ふる里」で実はいろいろなレクリエーション施設とか老人ハウスとかあるいは温泉施設、こういったものを使うんだということを理由にいたしまして会員の募集を行なっておるわけでございます。個人の場合は十万円、法人組織の場合は二十万円をもって取得をするわけでございます。それで会員を募集する。それで会員になった者だけがこの「ふる里」の別荘団地というものの分譲を受けるわけであります。しかもこの会員権は、自由に脱退をするときには利子を一切つけずに十万なり二十万円返してもらえる。極端な言い方をすると、これはゴルフの会員制度と同じように明らかに税の入らない金であります。まことにこの東宝商事が行なおうとする「ふる里」というのはみごとなことを実はやっておるわけであります。しかも、もうすでに第一期、第二期終わりまして、六千人がすでに土地の売買を終わっておるわけでございます。しかも行ってみますと、別荘が建っておるのがわずかであります。数えるほどしかありません。全部そのままの、別荘地という名の土地であります。  こういう状態で一体どういうことが行なわれているかというと、完全にこれは投機の対象としてセールスされておるわけです。持っておりさえすればいつかは必ずもうかるぞ、ですから買っておきませんか。この「ふる里」というのは霞ケ浦の湖畔であります。しかもこれは土地利用計画などは全くありません。地目は山林でございます。業者はこういった指定区域外を投機の対象として別荘という名の分譲を、しかも会員を募ってどんどん行なっております。こういう行為が一体認められるのか。先ほどいろいろ大臣から言われましたが、法律で規制するとかなんとか言われておりましたけれども、現実にこういう行為があちらこちらで行なわれておるわけです。たまたまこの霞ケ浦の「ふる里」団地をとりましたけれども、こういった行為は全国至るところで行なわれております。北海道でも行なわれておるのであります。沖繩県でも現実に行なわれておるわけであります。こういうことを野放しにしておきますと、全国の土地利用計画が云々と先ほど御答弁になりましたが、そのときにはすでに全部土地は買い占められてしまっておる。しかも山林という名の別荘によって区画されてしまってそういう状態が生まれてくると思うのです。こういう行為が今日の法体系の中では全くしり抜けであります。規制する方法がないのでございます。こういう状態に対して建設大臣はもうすでに調査をされたと思いますが、こういう行為についてどのように御判断になっておられるのか。こういう問題に対して今後どうされようとしておられるのか。これはたいへん大きな重大な問題でありますから、政策的に大臣の御意見を伺ったあと、事務当局から答弁してもらいましょう。
  68. 金丸信

    金丸国務大臣 私も新聞でけさ見せていただきまして、まさに盲点をつかれたという感じがいたしますが、さようなことは消費者である国民に非常な迷惑をかけるということになる。これはゆるがせにできないと思います。直ちに調査を命じまして、これに対処するようなことを考えていかなくてはならない、こういう考え方を持ったわけであります。
  69. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 いろいろ先生から御指摘がございまして、昨日夜から調査をいたした次第でございますが、私らの調べ、県とそれから業者から調べたわけでございますが、第一点の先生の御指摘のありました、会費を取って会員にして、会員に対して別荘団地の分譲を行なうという点についてでございます。これにつきまして、その会社の会則を見ますと、ビレッジクラブという会でございます。この会則の中の第六条に、「正会員とは、「ふる里」区域内の土地の所有権を有する家族会員または法人会員とし、所定の入会保証金を払い込んだものをいう。」そのほかいろいろございますが、そういうことで、会社の申し立ても、またこの会則によりましても、ここの土地を分譲で買った者がこの中の、プールだとかその他のいろいろな施設をその会社がつくっておるようでありますが、そういう娯楽施設とか観光施設、そういうものを利用するための会であるというふうに書いてある次第でございまして、その会員を調べますと、この販売済みの人員は千二百十九人ということになっておる次第でございます。第一期が八百六十六名、第二期で三百五十三名となっております。その会員になった者は千二百名のうちの五百名というような会員の数のようでございます。そういう実情でございますから、そこに居住する予定者、つまり別荘を買いまして将来そこに住む、そういう者が、その周辺のいろいろな施設を利用するための会であり、そのための会費であるという、ふうに理解いたしておる次第でございます。  しかしながら、その点はそうでございますけれども、先生のおっしゃるようにこの対象地域というものは都市計画区域外でございます。したがって何ら、建築基準法につきましてもその他の制約につきましても規制の及ばないところでございます。この点につきまして、土地利用計画その他が立たないうちに乱開発が行なわれるということについてはまことに残念でございます。今後につきましては、これはもうすでに茨城県もこの点につきまして、昨年、昭和四十七年十二月に、都市計画区域外につきましても開発許可を受けさせる、そういう条例をつくりまして、ことしの一月十日からこれが施行になっておるわけでございまして、おくればせながら今後はこの条例で規制するということになっておる次第でございます。ほかの県でもこういう条例をつくって規制する例が多くなっておる次第でございます。政府といたしましては、御承知のように国総法の大改正をいたしまして、土地利用計画をつくって土地利用規制を行なうわけでございます。その中におきまして御承知の関係法律改正いたしまして、開発許可を拡充強化する措置を検討中でございます。たとえば都市計画区域内におきましては、線引き区域外につきましても開発許可を行なわせるよう改正し、十分に御審議をいただくことになっております。そのときにおきまして、この対象地域は山林でございますが、森林法、これをやはり基本的な部分改正いたしまして、従来は森林法によりますとこの目的どおり林業保護だとか、したがって伐採の際の規制だけであったわけでございますが、今後は国土保全とか環境保全、そういう見地からの開発許可規制が行なわれるように、目下これは農林省を中心に検討中でございます。そうなりますと、ここは地目は山林——民有林のようでございますが、こういうところも今後は規制が加わるということになる次第でございます。先生の御趣旨に沿うように、今後とも私どもも努力してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  70. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 いまの、今後私の意見に沿うようにしたい、こういう答弁ですけれども、それじゃ具体的に別荘というものに対して——現在は別荘というものに対しては規制がございません。何を別荘というかという規定もないですね。こういった別荘に対して規制を加えるというお考えですか。別荘というものはこうでなければならぬ。公正取引委員会が来ておられれば別荘の定義も聞きたかったのですけれども、事前に通知しておらなかったですから……。別荘というものはどういうものをもって別荘というのか。しかも、こういった山林については森林法の規制によってやっていくんだ、こういうことでありますけれども、実際に、現実にいまこの「ふる里」というのは各人が分筆して持っておるわけでありますから、こういうところに別荘を建てるというのは開発行為に入るのかどうか。各人が別荘を建てるのですから、具体的にどうなるのか、その点をお聞かせいただきたい。
  71. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 ただいま申し上げましたのは別荘だからということではございませんで、都市計画区域外無指定のところにおきましてもこういう開発行為の規制は行なわなければ今後の日本の国土をよくすることはできないという考え方から、全国土にわたりましてそういう開発行為の規制を行なうということでございます。したがいまして、今後こういうような対象地域におきましても、こういう地域の例でございますから、これについては森林法の規制が行なわれるということでございますけれども、現在すでに土地を購入しましたものにつきましては、これは今後のことでございますから、規制は加わらぬということになると思います。
  72. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 指摘されたから、今後こうする、というときにはすでに終わっているわけですよ。「ふる里」は確かに千二百戸です。ところが霞ケ浦周辺はもう茨城県で調べて、六千戸近くこういう形で買い占められておる。これがこれからできる新しい法律の盲点でしょう。(「いまさらしようがない」と呼ぶ者あり)もういまさらしようがないという不規則発言がありましたけれども、政府のほうもいまさらしようがないというお考えならそういうふうに答弁していただきたい。現実にもうすでに終わっている。北海道でも至るところこういう状態で山林が買い占められてしまっておる。しかも、これが大手の不動産会社が持っておるならこれは別です。しかし現実に放出されて各個人別に分筆されて終わっておるのです。まだ別離は建っておらないわけですよ。土地は分筆されておるけれども、別荘は幸い数えるほどしか建ってない。だからこういうものに対して、いま計画局長が言っておることは、開発行為として別荘を建てるときには規制を加えることが可能なのかどうか、具体的にお聞きしておるのです。だめならだめ、こういうふうに御答弁いただければいいと思う。将来のことはわかりました。
  73. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 森林法の改正は御承知のように農林省が中心でやっておりまして、私ちょっと明確に御答弁申し上げないのは、いわゆる開発行為の規制の中で都市計画法等の建築行為もこれで規制できるようになっておるかどうか、ただいまのところ実は確認いたしておりませんので明確な答弁ができないわけでございますけれども、私どもとしましては十分ひとつ農林省とも協議いたしまして、その点を確認し、入っていなければ、そういう建築行為につきましても何かの規制ができるようなことは法案に盛り込めないだろうか、ひとつ申し入れてみたいというふうに考えておる次第でございます。
  74. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 大臣、いま言われたことは私は非常に重要な意味を持つと思うのです。ですからもう一ぺん確認いたしますが、いま事務当局から言われたように、すでに別荘地として個人が持っておる土地に別荘を建てるときには規制を加えられるように法改正をする、そういうふうに事務当局は答弁なさったのですが、念のために、そのように理解していいかどうかということを大臣から答弁してください。
  75. 金丸信

    金丸国務大臣 この問題は、先ほど来のお話は一つの事例でありまして、全国的には相当あるだろうと思います。これもこのままほうっておくということは大きな社会問題を起こすと思います。ただこの問題は、農林省といま話し、農林省がこれをやっておるということですが、私のほうからこれを強く申し入れて、ひとつそのような方向へ持っていくという決意を持っていることを御了承願いたいと思います。
  76. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 大臣、決意はわかったのですけれども、私たちはやはり決意じゃなくて実現をさせてもらいたい。それでなければ日本の国土を、山林を、別荘という名で侵食されてしまいますからね。大臣が土地という問題に対してあれほど重要な所信を表明しておられるわけでありますから、だから努力じゃなくて、それを実現するのだということで農林省のほうを説得してもらいたい。農林省のほうもこれに反対する理由はないと思うのですよ。
  77. 金丸信

    金丸国務大臣 十分説得につとめまして、積極的に果敢にやります。
  78. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 この問題は、そういう規制ができた段階でその結果があらわれるわけでありますから、私たちも積極的に建設省を応援しますからね、やろうという腹さえあれば。ぜひ努力をしていただきたいと思うのです。  そこで、ちなみに申し上げておきますと、私の手元に実は計数で来ておるのです。この「ふる里」の土地を購入して別荘地で分譲していくために幾らくらいの単価が要ったかというと、大体仕入れ単価が、用地購入費から地主に対する接待費とかあるいは測量とか、こういったもろもろの問題をずっと計算をした積算単価にしますと、昭和四十五年十二月で大体坪八千二百七十五円の仕入れ単価になっておる。ところがこれを一般の方に売ったときは幾らかというと、二万円から二万二千円で売買されておる。これは四十五年十二月ですね。あの山林を一区画わずかに八千円くらいの投下によって、四十五年ですでに三倍近くで売買されておる。しかもそれは土地投機のもうけの対象になりますよと言ってセールスが売って歩いておるわけです。いかにこういった形で不動産会社がぼろもうけをしておるかという一つの例だと思う。だから、こういったものに対しては、土地税制、譲渡税について、政府の案よりももっときびしくやってしかるべきだと思う。これはまた法案が出たときに議論をさしていただきたいと思うのです。  ところが、こういった問題をからめてもう一つこういう事例があるのです。実は、やはりこれも同じ一つの例として申し上げておるわけでありますが、東宝商事株式会社が茨城県の牛久というところに団地を造成したわけであります。この団地はいつ造成をされたかといいますと、実は昭和四十二年にやはりセールスマンがこういう形で、「牛久トーホーランド」という形で土地を分譲していったわけであります。私の調べによりますと、昭和四十二年に売り渡したわけであります。ところが昭和四十五年十一月二十九日にこの牛久というところは調整区域に編入をされておるわけであります。ところが調整区域に編入する以前にすでにこの土地は売られておったわけであります。ですから茨城県庁のほうも、もうすでに家を建てるために売られておるということで開発を許可したわけであります。ところが昭和四十七年十一月、今度は東宝商事株式会社がその土地を逆に買い取っておるわけであります。どういうことで買い取ったのかというと、これがまたこういう、これは私が手紙を読み上げます。「最近、大勢のお客様より当社へ買上げ希望が多数出され、会社としても出来る限りこれら要望に応じている現状です。購入してから五年経過後の現在ですと税法上長期譲渡の優遇措置もございます。この機会に地主の皆様のご意向を確認いたしたくここにご通知申し上げる次第です。お手数ながら必ずご返信下さるようお願い申し上げます。」といって、四十二年に売った土地——買ったほうは土地投機の対象で買っておるわけでありますから、家をつくろうとする気がない。しかもこれは宅地で売られておるわけでありますから、四十五年十一月二十九日に調整区域に編入されましたが、開発許可は当然茨城県としてはおろさざるを得ない。そういう条件が整ってきたところで、逆に今度は東宝商事が一割増しで買っておる。売りたくない人には、羽鳥というところに今度は土地をあっせんするから、そこと等価交換をしてくれ、こういうやり方をしておるわけであります。しかもここに建てた家は、新聞広告によりますと三DKで五百万くらいで売られております。まさしく土地が投機に使われ、しかもその投機を利用してさらに不動産会社が大もうけをするという行為が公然とこうして行なわれておるわけです。こういうことがわかっておって、現実に現在の法体系の中では規制が加えられない。これは「ふる里」の例とまた違った、これは明らかに宅地造成でありますけれども、こういうケースも現在の法律の中で、都市計画法で線引きが行なわれた中でこういう行為が行なわれておるのです。これは今日のこの法体系の中で規制を加えることが可能ですか、不可能ですか。その点について大臣からひとつ御答弁いただきたいと思います。
  79. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 最初に経過について簡単に私のほうで調査いたしました点について申し上げます。  ただいま御指摘のありました牛久の緑台というところでこの東宝商事がやはり宅地造成をいたしまして、私のほうの調べでは、四十三年から販売を開始いたしておるわけでありますけれども、大体四十五年十一月ごろまでには全区画を分譲したようでございます。御指摘のように線引きが四十五年十一月に行なわれております。その結果調整区域になったわけでございますので、御承知のように原則としてこれは建築ができないということになるわけでございます。ところが経過措置がございまして、六カ月以内に届け出をすればこれはいいというのがあります。したがって、会社はその点につきましてやはり通知を出しております。四十六年に直ちに通知を出しまして、新都市計画法の施行に伴いまして、買い上げた分譲地については、これは調整区域の適用を受けるので、既存の権利者であるところの届け出を茨城県知事に届け出ないと今後建築することがむずかしいことになりますから、ひとつ届け出を茨城県庁住宅課までお送りくださいますようお願いいたします。なお届け出の期限は四十六年九月十五日になっております。期日におくれないように御注意くださいと一いう意味の通知を出しております。したがいまして、この中で大部分の人は届け出をして、そうして建築できるような措置をみずからとっておるようでございます。ところが、そういう調整区域に指定されるような土地をなぜ販売したのだという苦情があったり、買い戻してくれというようなそういう苦情があったために、昭和四十六年三月、先生のお読みになりましたような通知を出しまして、そういう買い上げてくれという希望につきましては買い戻しますというようなはがきを出しまして、売りたいと答えた二百七十名につきまして、当時の販売価格の大体倍ぐらいの値段でこれを買い戻しておるようでございます。ところが、買い戻したのを今度はさらに区画がえをいたしまして、これをいま分譲中であるというような経過になっておるわけでございます。こういうような線引きの決定に伴う経過措置の関係でございますが、会社といたしましては相当程度そういう経過についての配慮をして、そうして消費者にも十分周知させながら、そういう苦情のあるものにつきましては買い戻すという措置をとっておるようでございます。買い戻したあと、これをそのままでは会社も困るので、またさらにこれを区画がえをして分譲しているというようなものでございまして、確かに一度売ったものをさらに買い戻してまた売るというようなこと、これについては、これは一般の民事売買でございますから規制するものはございません。現在のところ、そういうことにつきましての規制はできないことというふうに考えている次第でございます。この事例につきましては、いま申し上げましたようにそういう線引きに伴う経過措置のことであろうというふうに考えております。
  80. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 私はいまここで一つの例をあげたのですが、こういうケースがまだたくさんあるわけです。土地の投機で買い占めておった。線引きがあった。それで土地の長期譲渡分離課税の例の昭和四十四年のあの法律を使って買い戻す。そういうことが宣伝に書いてあって、そういう方法で買い戻しておる。そこで土地の値段が上がっておりますから、相当の値段でそれをまた分譲するというケースが、これだけではない。たまたま一つの例ですけれども、こういうことを建設省のほうで調査を加えて、少なくとも線引きの調整期間というものがそういう投機の手段に使われないようにしてもらいたい。なぜこれを申し上げるかというと、こういう土地の問題は経過措置を置いたら必ずやられるのです。今度の法律が出たときにまた議論いたしますけれども、今度の土地関係の法律についても経過措置があります。この経過措置の中で全部やられてしまうのです。土地というものは即決でなければいけないのです、規制を加えるのに。これは一つの例として申し上げておる。今度の法案についてもそういった面が出れば議論いたしますけれども大臣のこれに対する御所見を承っておきたいと思います。
  81. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 経過措置につきましては、確かに法律の経過措置のむずかしい問題があるわけでございます。したがいまして、いろいろな経過措置を法律規定いたしておりますけれども、それがいやしくも業者に悪用されるということがあってはならないと思います。したがって、そういうことのないよう十分に指導してまいりたいと思います。
  82. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 大臣に質問したのですけれども、これは大切な問題です。指導だけではこの問題、解決しない。現に解決しなかったのですから。ですから、大臣の土地に関する方針に対して、こういう経過措置についてどうするのか、明快な大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  83. 金丸信

    金丸国務大臣 経過措置の問題につきましては、政治的な感覚からいえばあなたのおっしゃるとおりだと思います。できるだけあなたの御意見をくみまして、そのような方向で進める考え方でいきたいと思っております。
  84. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 これはまた法案のときにそれぞれの立場で議論さしていただきますが、ぜひこの経過措置という問題についてはきびしく対処していただきたい。できれば法律の中で規制を加えることが必要である。できれば経過措置を置かないほうがいい。一年間という長期の経過措置は必要でないということを意見として申し上げておきたいと思うのです。  そこで、環境庁の方が来ておられると思うのですが、環境庁の方にお尋ねしたいのです。霞ケ浦のこういった別荘団地の開発行為、これは今後の霞ケ浦の環境保全に重大な影響を与えると思うのです。承るところによると、霞ケ浦の環境というのは琵琶湖よりも悪化しているということを環境庁の担当官から聞きました。ところが実際にここのこういった山林、原野を分譲して別荘をつくりますと、家庭排水は霞ケ浦にたれ流しであります。しかもあの周辺では上水道が通っておりませんから、公共用施設は全くないわけでありますから、全部井戸であります。六千本の井戸をどんどんあの周辺に掘っていくということになれば、いまですら水位の問題がいろいろ議論されておるのでありますが、こういった水位の問題というものが出てくる。しかも霞ケ浦は御承知のように東京都民の重要な水源であります。幸いに琵琶湖のほうは法律ができたのでありますけれども、霞ケ浦は野放しであります。こういう問題に対して、環境庁から見て、こういったでたらめな開発行為、現に開発が行なわれてしまっておるものに対しても、あるいは別荘として分譲されておるものについても、環境という面から私は規制を加える必要があると思うのです。この点について環境庁のほうから、ひとつ霞ケ浦の環境保全の問題についての意見を聞かせていただきたいと思うのです。
  85. 岡安誠

    ○岡安政府委員 霞ケ浦の自然環境保全、そのうち特に重要なのは水質の保全だというふうに考えております。霞ケ浦の水質は御承知のとおり諏訪湖に次ぐくらいよごれておりまして、これを早急にきれいにしなければならぬ。特に霞ケ浦の水は工業用水のみならず上水道にも利用されておりますので、私どもはできるだけ早い機会にこの霞ケ浦の水を、水質基準で申し上げればAの基準にしたいということで、いろいろ施策実施をお願いいたしておるわけでございます。お話しの乱開発等によりまして住宅ができますと、そこから家庭排水が出るわけでございますが、水質保全法のほうでは家庭排水につきましては直に規制はかけておりません。私どもは、一般的に申し上げれば、家庭排水については下水道を整備いたしまして、下水道の終末処理場によって浄化された水を排出してもらうということにいたしておりますが、非常に広範な地域にばらばらに点在をする場合にはなかなか下水道の施設というものもむずかしいというふうに考えておりまして、それらにつきましては、やはり各家庭からの排水については、現状におきましては指導によらざるを得ないと思いますけれども、浄化槽というか、そういうものを経て公共用水に出るように、そういう指導をしていく以外にはなかなか有効な手段はないというふうに考えております。
  86. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 局長に再度お尋ねをしておきますが、こういう指定区域外ですから、全国の土地利用計画がいつできるかわかりませんけれども、実際に現実には指定区域外ですから、公共投資はありません。公共下水道もないし、もちろん上水道の施設もないわけです。ですから、かりに別荘をつくったとすれば、公共用下水道がありませんから、全部そのまま直に霞ケ浦に流してしまうのです。こういう問題について、私は環境庁から建設省に対して、あるいは林野庁に対して、こういったものに対する規制についていままで話し合ったことがおそらくないと思われますが、やはり霞ケ浦の水質保全という立場から、こうしたものに対しては一言あってしかるべきだと思うのです。今後建設サイドに向かって、あるいは林野行政に向かって、こういったものについての規制を環境庁の立場から申し入れて善処する気持ちがあるのかどうか、その点をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  87. 岡安誠

    ○岡安政府委員 霞ケ浦周辺につきまして、個々の別荘等につきましては、少なくとも水質汚濁の面からいえばたいした負荷量じゃないと思いますが、これが相当大規模に開発されまして、大量の人口が住むというような場合には水質その他にも影響があるわけでございます。そういうことに対処いたしましては、先ほどから建設省のほうからもお答えがございますとおり、国土総合開発法の一部改正に伴いまして、森林法、都市計画法、また私どもの関係では自然環境保全法等の一部改正を考えております。それらを総合的に運用いたしまして、おっしゃるとおり、特に水のよごれております霞ケ浦につきましては、開発につきましても自然環境保全の趣旨で十分な規制ができるように、関係省庁と協議してまいりたい、かように考えております。
  88. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 湖というのは自然の浄化作用がないから、私は規制を加えるところは早く規制を加えておく必要があると思います。別荘という名で六千戸もあの周辺にやられたら相当なものだと思うのですね。面積からいえばたいしたことはないでありましょうけれども、現実に汚染されておる状態の中に、さらに汚染源が加わるわけでありますから、浄化するどころか、Aクラスになるどころか、だんだん悪くなるという状態でありますから、その点私は、環境保全、水質保全という意味からも、いま局長が言われておる積極的なこの問題に対する取り組みについて御配慮いただきたいということを希望として申し上げておきます。建設大臣も、ぜひそういった意味で、この乱開発についてはきびしく対処していただきたいということを希望として申し上げておきたいと思います。  そこで、もう私の時間は最後になりましたが、この前の予算委員会一般質問で、途中で討論を終了いたしました例の宅建業法三十三条についての問題であります。御承知のように、消費者保護の立場から宅建業法三十三条はきびしい広告の制限を加えております。ところがさらに、首都圏の宅地建物公正取引協議会で業者が集まりまして、公正競争規約というものを公正取引委員会の指導で行なっておるわけであります。これはまことにきびしい公正競争規約であります。法律をさらにきびしく解釈をしておるわけであります。これによりますと、法律を補完する意味で、この三十三条では工事に着手した後でなければ広告してはならぬ、こういうふうに制限を加えておるのですが、工事に着手した後とはこういう場合をいうのだぞという、その工事に着手した後という法律用語をさらにこの公正競争規約はきびしく規制を加えておるのです。これは私はまことにりっぱな公正競争規約だと思います。ところがどういうわけか、四十七年七月二十二日に不動産業室長の名前で「いわゆる予告広告について」という通知を出しておられます。この通知は、これほどきびしく制限を加えておるにかかわらず、広告のすみのほうに、これは開発許可、建築確認を受けておりませんよと書いておきさえすれば広告してよろしい。それから、販売予定である旨を明示した場合は三十三条違反になりませんよという、逆に公正競争規約を薄める通知を出しておるわけですね。それを受けて今度は公正取引協議会のほうでは、この通達はこういうことをいうのですよということで、またこの通達の内容について、これは日照、通風あるいは見晴らし、プライバシー、こういったものに限定されるのですよ、こういうふうに出しておるわけです。ですから極端な言い方をすると、三十三条をきびしく解釈した公正競争規約というのをつくった、ところが三十三条をさらに薄めるような通達が建設省から出された、そこでやむを得ず、法律と公正競争規約の中間的な補完をこの公正競争規約の運用の中で、業界、公正取引協議会のほうで行なったという、まことに目まぐるしい変化がここで行なわれておるのです。  そこで、何でこういった不動産業室長の名前で通知を出さなければならなかったのか。一体その背景はどこにあったのか。しかも、こういった三十三条の解釈を、室長が局議あるいは省議にもはからずに、要するに不動産業室長の名前で発送される、そういうことは現在の行政の中で許されておるのかどうか。極端にいうと、これは法律解釈、運用であります。これは室長の権限に属するのかあるいに局長の権限なのか、このことについても、なぜこういうことをしたかということに加えて御説明いただきたいと思うのです。
  89. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 御指摘のように、宅建業法の三十三条は二年前に御審議いただきまして、消費者保護の立場からこういう規定が入ったわけでございます。これは宅地造成とか建築の工事というものが完了以前に広告を出すことについては、開発許可とか建築確認というような、そういう処分前にすることを禁止されておるわけであります。この趣旨は、そういう開発許可とか建築確認とか、そういうふうな処分がある前に無制限に広告できますとしますと、その広告どおりにできないという場合があります。そういう場合におきましては、購入者、これは消費者でございますが、その人にとっても不利でございまして、紛争のもとになるわけでございます。こういう弊害を防止するために設けられたわけでございますが、当時御審議いただくときの私どものこの三十三条の解釈におきましても、いわゆる予告広告というようなもの、直接、販売とか予約につながらないというものにつきましてはこの中に入らないという解釈で、当時の答弁資料にも実は記載されておるわけでございます。御質問がありましたならば、記憶はございませんが、たしかそういうふうにお答え申し上げたと思いますが、そういうふうに私ども当時から考えておったわけでございます。ただむやみにそういうことについてそれはいいということは、これは消費者保護の立場から困りますから、消費者保護の立場を考えて一定の要件を具備したもの、先ほど先生のおっしゃったような、開発許可、建築確認を受けていないということをはっきり明示する。さらにまた、具体的な形状とか構造を示さないもの、第三に、販売予定であり、直ちにこれは販売するものじゃないという、この三つの要件、これは相当きびしい条件でございますけれども、そういう条件をつけたものについては、これはいわゆる予告広告でございまして、この三十三条の広告に入らないというようなことであったわけでございまして、それにつきまして都道府県からそういう解釈を求めてまいりましたので、当時からそういう解釈を建設省ではとっておりましたから、室長が連絡事務という形でこれを出したというふうに私ども承知いたしておるわけでございます。そういうことでございまして、特別に特殊な経過、背景があるというふうには私ども考えていないわけでございます。  それから、公正取引協議会におきまして自主規制を行なっておるわけでございまして、この点につきましては、私どもも自主規制は大いに奨励して、自主的にそういう自粛をすることはいいことでございますからそういう方向で指導いたしておるわけでございますが、ただいま申し上げました三十三条の解釈につきましては、これの違反になりますと行政処分なり罰則がかかるという法律の解釈でございます。それでございますのでこれは正しい解釈をするということでございますが、公正取引協議会におきましてはそういう法令ということに関係なく、自主的にみずから規制をするというものでそういう基準をつくっているわけでございまして、そういう意味におきましてそういうふうな、さらにみずから法律よりもきびしくしているという次第でございまして、これについての違反については、御承知のように協議会できめました、協議会から警告をする、それから百万円の違約金を取るというようなことの処分があるわけであります。私どものほうの解釈につきましては、これは何度も申し上げますが、違反すれば行政処分または罰則が加わるというものであります。御質問につきましては大体そういう点についてお答え申し上げます。
  90. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 業者のほうはきびしいのですよ。三十三条というのはまことにきびしい法律ですね。これは処分も加えた非常にきびしい内容の三十三条です。それを業者のほうが、建設省の意見も聞き、公正取引委員会の意見を聞いて公正競争規約というものをつくったのです。それがこの法律よりもさらに制限を加えておるのですよ。こういうふうにやるのですよ、三十三条の解釈はこうだということをきびしくしておる。言われるとおり、きびしくすることは業者にとってけっこうだと言われるならば、そのとおりだと思うのです。そうならこういうふうに指導すべきですよ、政府は。業者自身がきびしくやろうというんだから、そういうふうに全体をきびしく指導すればいいのに、何でこういうふうにしり抜けに、三十三条の穴抜けになるような、こういうふうにすれば違反になりませんよという通知をなぜ出す必要があるのか。いいですか、こうこうこういうふうにした場合はこの三十三条に違反しないものとして取り扱うということを何で通知する必要があるのですか。こういうことは必要ないでしょう。三十三条という法律はきびしいのですから、しかも業者みずからが、建設省の意見なり公正取引委員会の意見を聞いて、さらにきびしい規約をつくったのです。だからそういう意味で、なぜこういうふうにわざわざ建設省が三十三条の非常にしり抜けになるような方法を具体的に教えてやる必要がありますか。これがおかしいというのですよ。法律の解釈でしょう。条文の解釈ならなぜこの室長でいいのですか。そういう解釈なら、これは当然局議なり省議を開いてやらなければならないたいへん重要な問題ですよ。公正取引委員会はこのことは聞いちゃおらぬですよ。かえって公正取引委員会は迷惑だと言っているのです。建設省の意見はこの公正競争規約をつくるときにもうすでに聞いておるのです。建設省の意見を聞いてこれをつくっておる。何でそれをこういうふうにゆるめる必要がありますか。こういう重大な問題を室長だけでいいのですか。それならそれでいいです。こういうのは局議を開く必要なし、省議を開く必要なしというふうに考えておられるのかどうか、一点お聞きします。  もう時間がないそうですから、それと、こういった問題については、私はたいへん建設行政そのもののあり方を示していると思うのです。国民のサイドではない、どう考えても業者に顔を向けるような解釈の資料ですよ。その解釈の資料になるようなことを現実にやっておられる。あなた方はそうでないと言われるけれども、私たちはそう思わざるを得ない、現実に見た限りでは。こういう問題について建設省の姿勢を正してもらわなければいかぬ。特に不動産会社に対する姿勢、開発業者に対する姿勢、これはき然たるものを持ってもらわなければいかぬと思うのです。だから、局長から答弁をいただいたあと、大臣の御所見を、最後の決意をいただいて私の質問を終わります。
  91. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 ただいまもお答え申し上げましたように、この三十三条の解釈につきましては当初から私ども、この立法趣旨からいっていわゆる予告広告というようなものにつきましては範囲に入らないということでございましたから、室長がそういうような解釈を各県の要望に従ってこれは連絡したというふうに私どもは考えておるわけでございまして、ことさら最初からきびしいものをゆるめたというものじゃ決してございません。最初からそういう解釈で、この法律の違反となりますと行政処分また罰則がかかってきますから、その法の限度であろうかと私ども考えるわけでございます。しかしながら、先生の最後におっしゃいましたような、業界に対しましての指導、厳然たる指導、これはもうごもっともでございます。今後私ども十分注意してまいりたいと思います。
  92. 金丸信

    金丸国務大臣 実はこの間予算委員会で先生の質問を承りまして、私もなお局長といろいろ話し合ったわけでございますが、話し合った結果は、かようなことを申しておったわけでございます。どちらにいたしましても国民が疑惑を持つような行政であってはならない。何でも官僚式であればよろしいということばかりでなくて、いわゆる不信を招くようなことをやってはいかない。文書にいたしましてもいわゆる不信を抱くような文書であってはならない。こういうように私は考えていますから、今後行政の面につきましても厳に戒めてまいりたいと考えております。
  93. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 時間が経過してまことに申しわけないのですが、局長が答えておられないのですよ。局長がそう言われるなら、これは四十七年七月二十二日の通達ですよ。こういう解釈を出すなら法律が通った段階で早く出すべきですよ。この通達は四十七年七月二十二日です。だから、こういう法文の解釈について、それは室長でいいんですか、局議やら省議やら開かなくていいのですか、そのことについてお答えになっておりません。
  94. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 内容、解釈につきましては、私どもとしてきめたものがあったわけでございます。それの連絡を都道府県にしたというふうに私ども解釈しますから、一応室長が連絡業務で連絡したというふうにお答え申し上げたわけでございます。ただその法律の解釈はどうであるか、どの解釈が有権解釈であるかということにつきましては、室長の権限ではございません。これは省としてきめることでございます。
  95. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 もうこれで終わりますけれども、大切な問題、公正競争規約、これを公正取引委員会建設省、業界が話し合ってつくって、そしてそのあとこれをゆるめるような通達をあらためて出す、そういうときに、ただ室長くらいの通知じゃなくて、少なくとも公正取引委員会なりそういったところと連絡をして、明確な方針をとるということになれば、局長名なりそういった形でやるべきだ、私はそういうふうに意見を申し上げて、これ以上言っても——いいのだ、おれたちのやっていることはこれでいいのだ、こういう御答弁ばかりですからこれ以上やっても水かけ論になりますが、しかし私はそういうふうに思います。そのことについてどう理解されるのか。建設省は、いやそれは室長でいいという御答弁ですから、これ以上幾ら申し上げてもしようがありませんから、私はそういうふうに思うという意見だけ申し上げて、私の質問を終わります。
  96. 服部安司

    服部委員長 井上普方君。
  97. 井上普方

    ○井上(普)委員 私は大臣所信表明につきまして、先般大臣が述べられました事柄につきましてこれから質問をいたしたいと思います。   〔委員長退席天野(光)委員長代理着席〕  最初のところは決意の表明のようであります。「以下、当面の諸施策について所信の一端を申し述べます。」と、こうございまして、まず第一番に土地対策が書かれているのであります。ここで土地対策についての文章を読んでみますと、「いまや、国民的課題である土地問題につきましては、公益優先の観点に立って、土地が広く公正に国民に利用されるよう、総合的な徹底した土地対策を強力に実施する必要があることは言うまでもありません。」こうおっしゃられておるのであります。それで私は、「公益優先の観点に立って、」ここまではわかるのであります。「土地が広く公正に国民に利用されるよう、」というのはどういう意味を持っておるのですか。これがわからないのであります。御質問いたします。
  98. 金丸信

    金丸国務大臣 土地を広く国民に利用ということばにつきましては、いま土地問題が大きな政治問題であることは御指摘のとおりであるわけでございますが、私はその中で住宅問題というような問題を考えてみますと、非常に住宅を希望している人たちが多いわけであります。また、その住宅に入れない、希望しているけれども土地もない、こういう多くの国民というふうに解釈を願えればいいと思います。
  99. 井上普方

    ○井上(普)委員 そこで、これは文学青年の文章じゃないのですから、政治家としてのお答えをしていただきたい。「土地が広く公正に国民に利用されるよう、」ということはどういう事柄を含んでおるのか。政策としてどういうようにされるおつもりであるのか。この点をお伺いしておきます。
  100. 金丸信

    金丸国務大臣 これは予算委員会でも、当委員会におきましても、一つの問題点であります。いろいろな問題が提起されておるわけですが、そういう問題がないようにするということがまず第一に必要であろうと思います。そうして、土地を一般国民に安く、そうして住宅を安易に得られるようなことを考えてやるべきである、そういう意味で私は申し上げているわけでございます。
  101. 井上普方

    ○井上(普)委員 私は、この「土地が広く公正に」というのは、「広く」というのは土地のスペースのことをいっているのか、あるいはまた「公正」というものの形容詞であるのか、これははなはだどうもわからないのでありますが、これはさておきましょう。  その次に、「総合的な徹底した土地対策を強力に実施する必要があることは言うまでもありません。」というふうにあって、その次に「地価対策閣僚協議会において」云々とあって、地価対策要綱のことを暗示せられておる文章になっておるのであります。そこで土地対策要綱——あれは土地対策要綱と通常いっておるようでありますけれども、事実は、文章の表現は土地対策についてとか、当面の対策とかいう文章になっておるようであります。あれで十分だとお考えになっておられますか、どうですか。
  102. 金丸信

    金丸国務大臣 あれで十分だとは考えていませんが、ひとまずあれでやって、なおひとつその上に。やらないよりまずやるということで、あの案をもってやるべきだ、こういう考え方。なお、あの案で足りるか、こういうことになりますと、私は、まだ未熟、そういう感じがいたします。
  103. 井上普方

    ○井上(普)委員 それでは私は、あれで足らぬところを、あなたのお気づきのところをお示しいただきたいと思うのです。どの点が土地対策要綱で足らないとお考えになっておられるのか。その点はどうでありますか。
  104. 金丸信

    金丸国務大臣 土地が希望しておる国民に安易に入る方法は、あれだけではうまくいかない。そのためには、税制等の問題につきましてもいま少し考えなければならぬだろう。その他、申告制を許可制にするとか、いろいろ問題が私はあると思います。そういうような問題を私も頭の中で考えておるわけであります。
  105. 井上普方

    ○井上(普)委員 私はあの対策では全く不十分だと思います。これは党を離れて、一個人考え方から言いますならば、私は、土地国有論、国有制度を打ち立てるその一里づかを本国会あたりでも法律として出すべきではなかったか、このように思うのであります。まあそれはともかくといたしまして、いまの資本主義、あるいはまた当面、盛んに政府は、いまは自由主義経済の世の中であるから云々と言いまして、長い資本主義体制を固執せられるような言が最近ちらほら出ておるのでありますけれども、この資本主義の体制の中におきましてもいろいろと矛盾が出てきて、修正せざるを得ない事態になりつつあると思うのであります。そこで、土地に対しましては再三再四、当委員会におきましても、あるいは国会全体におきましても、また国の世論といたしましても、土地というものは国民、民族に与えられた天恵の資源であるという観点に立って、土地によって金もうけをするということを規制しなければならない、こういう社会的な要請にまで及んでおると思うのであります。  そこで私は、この地価対策につきまして考えますときに、次に書かれております「まず、」の文章からであります。「まず、全国土にわたる土地利用計画を策定し、土地取引の届け出勧告制と開発行為の規制を強化し、適正な土地利用確保をはかることとしています。」こう大臣所信表明にあるのであります。しかし、「全国土にわたる土地利用計画を策定し、」とありますが、現在の日本の国土全体を見渡しましたときに、土地規制といたしまして、まず第一番に都市計画法による市街化区域と市街化調整区域がございます、大きく分けまして。そのほかに工業地域あるいはまた振興法とか、いろいろ土地政策が出されておりますが、当面私ども住宅問題の解決のための土地問題ということを考えましたときには、これは市街化区域並びに市街化調整区域とその他の地域という三つに大きく分けられると思うのであります。そこで、市街化調整区域の開発行為というものは厳に禁止せられておりますし、その場合の開発というものは、これは届け出しなければならないことになっております。その他のところはいまのところ、あるいは農振法であるとかあるいは工業開発特別地域指定とか新産都法とか、いろいろの法律はございますけれども、まず大体野放しと考えていいでございましょう。しかし、市街化区域におきましては、御承知のように建築基準法というものができまして、この用途地域というものが法律で規制せられるようになっておる。としますというと、この住宅のみに限って考えますれば、市街化区域における用途地域はこれは法律でできておる。それならば、土地利用計画というものが市街化区域内においてはできておるとするならば、これはもう住宅問題については利用計画というものはできておるのだという認識に立たざるを得ないのであります。そうするならば、あらためてここで全国土にわたる土地利用計画を策定しなければできないのだというようなことはいえぬのではないか。それならば、この市街化区域における、あととるべき処置というものはおのずから限定されてまいると思うのであります、土地政策としてとる方法は。それをいかにとるか、今後市街化区域における土地対策につきましての大臣の方針なり御決意を承りたいのであります。
  106. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 仰せのとおり、市街化区域の中では用途地域もきめまして、もっと精密に土地利用計画ができておるわけでございますが、なお、都市計画法の開発許可の制度が主として建築物の建築のための土地の形質の変更にとどまっておる。その他の工作物の開発行為に及んでおらないとか、あるいは開発許可基準について、緑の保存のような観点のものが抽象的に過ぎて不足しているとかという、まだ不足の面がありますので、そういうものを補強したいと考えております。土地利用計画をさらに積極化するという意味においては、その市街化区域の中ではそのような程度のことでございますが、最も重要な市街化区域内での土地の供給対策というようなことにつきましては、これは都市計画法とは別個に、いろいろな法制あるいは実際面での事業の拡大というようなことによって進めていきたいというようなことで、たとえば市街化区域内の、特に大都市圏域内の一定地域内につきまして、宅地供給を促進するための何か制度的な新しいものを考えることを検討したいということで土地対策要綱に書いてあるわけでありまして、今後こういった方策を十分拡充強化するようにいたしたいと考えております。
  107. 井上普方

    ○井上(普)委員 私は、問題になっております住宅問題の解決、これはやはり市街化区域内での問題であると思います。そうしますというと、いま説明されましたけれども、実際問題といたしましては、お役人が、土地の体制として、制度として考えられるすべての制度を今度の国会に出すおつもりがあるのかどうか。それは一体何々なのだ。そうしてまた残っておるのは何々なのか、ひとつ具体的に一つ一つお示し願いたいと思うのであります。
  108. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 建設省で所管として考えておりますものは都市計画法の改正案でございます。これによりまして、市街化区域内については先ほど申し上げました二点の追加をいたしたいと思いますが、……。
  109. 井上普方

    ○井上(普)委員 それは何々なのだ。
  110. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 工作物のための開発行為についても開発許可の対象にするということと、緑地保全のような観点からの許可基準を追加するというようなことでございますが、そのほかに、現在市街化区域、調整区域に分けていない都市計画区域について開発許可制度が及んでおりませんが、これを対象区域に加えたいというようなことでございます。都市計画区域についてはそういうことで建設省所管法律で対処したいと考えておりますが、その他の地域につきましては現在経済企画庁所管で……。
  111. 井上普方

    ○井上(普)委員 そういたしますと、いま建設省都市計画法の改正によりまして工作物の規制、緑地保全の問題、この二つ並びに都市計画区域内において市街化区域と市街化調整区域との線引きができていないもの、この三つで大体土地制度というものは完ぺきになると考られておられるのですか。どうでございます。
  112. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 以上のほか、申し落としましたが、建築基準法も同時に一部改正いたしまして、工作物についても用途規制をその対象とする。したがって、建築物以外につきましても、工作物についても一定のものは確認が要るということにいたしたいと思います。そのほか都市計画区域内での土地利用の規制につきましては、どこまでやれば完ぺきかといわれますと、いろいろ考えられることもあるかもしれませんけれども、現段階においてはそこまでやる。さらに、過般御審議いただきまして成立を見ました建築基準法の改正案による新しい用途地域の指定、これを今年度中に終えるように進めておりますから、そういうことをやれば用途地域も八種類ということになってかなりの純化ができますので、相当進歩するのではないかと思います。用途地域の区分けにつきましてさらに精密にしたほうがいいとか、あるいは八種類でも、やや用途の混在を認めているような、現状と妥協しているような用途地域も残っているわけでございますけれども、いろいろ現実との対比その他を考えまして、現在のところこの制度によって対処してまいりたいと考えております。
  113. 井上普方

    ○井上(普)委員 私はいままで、都市計画法並びに建築基準法の審議を通じまして、市街化区域内における土地利用計画というものはまずほぼ完成に近づいておるものと解釈しておるのであります。補完的問題といたしまして、ただいま都市計画局長から御説明のあった、市街化区域と市街化調整区域とをまだ分けていない土地あるいは緑地保全というような問題は私はまだあるだろうと思いますが、これは枝葉末節にすぎないと思います。そういたしますならば、これから市街化区域内における住宅問題を解決するために何を政府としてはなさなければならないか。先ほどの大臣の「広く公正に国民に利用されるよう」という御説明とここが関係してくるのであります。そういたしますと、何と申しますか、次に出てまいります税制の問題が密接に関係してくると私は思います。いままでは、土地税制をつくって、これによって地価の安定をはかれ、あるいはまた国土開発を行なえということを、盛んに私ども一社会党としましても申してまいりました。そのときにいつも政府は、税というものは補完的な性格を持っているものである、そういうふうに言ってまいったのであります。しかし先ほど来の都市局長の話あるいはまた大臣お話からいたしますならば、市街化区域内における土地利用計画というものはまずできておる、とするならば、あと残っておるのは土地税制ではないだろうか、このように考えられるのであります。  そこで土地税制につきましては「土地の投機的投資と売り控えを抑制するとともに、地価公示を拡充して、公的評価体系の整備をはかります。」と大臣はおっしゃっておられるのであります。しかし、先般私は予算委員会におきまして土地税制につきまして質問をいたしましたので、この点につきましては私は申し上げません。ただこのたびの、政府が提示いたしております法人の土地投機につきましては売買利益につきましての二〇%課税というもの、これは赤字会社でなければ土地を売らなくなるであろう、本業のほうが赤字にならなければ土地を売らなくなるであろうというおそれもあります。このことは先日も私は指摘いたしました。そのほかにも、土地税制におきましては、庶民大衆に対しましては、特にサラリーマンにつきましては土地の分離課税を認めておる現在、土地の分離課税は厳格に行なうべきであるとあのときも私は主張いたしました。やるべきであると私は思います。そして高率の分離課税をかけることによって土地の投機的な扱い方、特に法人のやり方を規制する必要があると思います。もう一つ、売り控えの問題でありますが、売り控えの問題には、先ほども申しましたように会社の本業が黒字の場合でありましたならば、あの税制によりますと土地は土地税制として七一%から二%課税いたしますけれども、本業が赤字の場合は二〇%の税金を納めればよいということで、一つには会社本業のほうが赤字会社にならなければ土地を売り惜しむという傾向が出てくるのではないかと私は心配するのであります。もう一つは、でありますから、そういうことのないよう本業とサイドビジネスである土地投機とを厳格に分けて、そして片方においての高率なる分離課税をとるべきであるということを私は主張いたしたのであります。しかしそれをやらずに、ああいう税制につきましては、私どもといたしましてははなはだ抜け道がある税制であるといわなければならないと存じます。  それと同時に、先般も本会議におきまして地方税法の改正で質疑がございましたが、どうも政府側からの御答弁はなかったようでありますけれども地方税の改正によりましてあの特別土地取得税並びに保有税、これにつきましてえらい、五十数項にわたる例外措置を認めておるようなんであります。自治省から来られておりますのでお伺いいたしたいのであります。その第一は、地方財政計画を私ことし拝見いたしましたところが、当年度、初年度でありますが、土地取得に関する税収入としては十一億でございました。そしてこれが平年度におきましては三十億という算定をされておるのであります。保有税につきましてはどうもその数字が出ておりません。しかし平年度三%の税金でございますので、三十億といいますと大体一兆円弱の土地取引としか考えられないのであります。そうすると、いま国内、日本全土において土地の取引額が、これはいろいろ説をなす方々もおられましょうけれども、大体五兆円から六兆円、あるいはまたもっと大きいと言っておる方々もおられる。その中で一兆円しかあの特別土地取得税の対象になっていないというのはどうも合点がいきかねるのでありますが、そこらあたりをひとつ解説していただくと同時に、五十数項目にわたる例外措置を認めておりますので、とするならば、あの税金のかかるのは一体どんなところなのか、これをひとつ御説明願いたいと存ずるのであります。
  114. 四柳修

    ○四柳説明員 第一点の財政計画の点でございますけれども、御指摘のように財政計画に乗っかっています数字は取得分だけでございます。それから四十八年度は七月一日からの取得分の課税でございますから、やはりその分が捕捉が若干おくれますから、半年よりちょっと短い期間、大体五カ月くらいの分でございます。その取得分を平年度化しました分が三十一億でございます。そこでその保有分の数字でございますけれども、私どものほうは、実は四十八年度の固定資産税の関係の概要調書というものがございますが、これを市町村からとってまいりまして、その概要調書の中であの税金がかかります要件、つまり免税点以上の面積のものと、それから四十四年以降の取得のものと、それからいろいろ非課税規定の該当あるもの、これを全部はずしてみませんと幾らになるか、いまのところは正直なところ全然わかりません。ただ、いま一兆円云々というお話がございましたが、私どものほうもこの数字を出しますときに、たとえば法人企業統計がございますが、これは法人企業の、たしか大体資本金一億円と思いましたけれども、一億円以上の企業は悉皆でございますが、全国で約二万近くの企業につきまして年報ベースと季報ベース、つまり一年間の分と四半期ごとの分につきまして、法人企業統計でバランスシートあるいは財産目録にあらわれました土地の価格が大体出ております。これを私ども参考にいたしまして、大体四十三、四年ごろが四半期ごとに三千億ないし四千億でございましたか、四十七年の三月期以降が大体六千億とか九千億とか、そういう非常に大きな数字になっております。ですからいま御指摘の一兆円云々というのは大体その程度の数だと私ども承知しております。ただその一兆円弱の中から、いま申し上げました基準面積以上の分を名寄せします分で、これは実は相当落ちるのだろうと思います。市町村ごとで名寄せいたしますし、それから指定都市の場合あるいは東京都の場合は区別に名寄せいたしますものですから、しかも一年間なら一年間という期間で押えますから、正直なところどうしてもいま言った数字の一割から二割くらいしかないのじゃないかという見当で実は十二億という数字を出したわけでございます。その取引のうちの大体一割ないし二割くらいがそういう意味基準面積以上のものではないだろうかという形で出したわけでございます。それから非課税規定につきましていろいろはずしたわけでございますが、取得分につきましては大体十一億、三十一億という数字でございますが、保有分につきまして、いまちょっと数字は何とも申し上げかねると思います。  それから二番目の非課税規定の問題でございますが、これはいろいろ経過がございましたけれども、大きく分けまして、人的非課税という形で、国なり地方公共団体がお持ちになっている分がまず一つのグループでございます。それから二番目に、相続とかあるいは公共事業の収用の関係とか、そういったいわば取得の原因がどちらかと申しますと土地の投機とかそういったものに関係のないグループがございます。これが二番目のグループでございます。それから三番目のグループとしまして、いわゆる用途非課税という形で大きく分けまして、産業関係のものと、環境保全等の関係のものと、それからその他のものと、こういった形でございますが、産業関係のものは、たとえば農業にいたしましても、あるいは地域開発関係の工業立地にしましても、あるいは中小企業関係にしましても、いままで国がいろいろ計画とか法律とか予算等で助成措置を講じてきたものとの、いわば政策の斉合性という意味ではずしておるわけでございます。そういう意味で、御指摘の、かからないものは何かという点になりますと、そういういわば政策にそぐわないと申しますか、あるいは単独でおやりになったものはかかるものだろうと思います。特に問題になります法人の山林買い等につきましては、私どものほうも政令できめますときに、森林法の施業計画を持っていない法人の所有する森林につきましては、これは税金をかける予定でございます。それから、二番目のグループの環境関係のものにつきましては、これはやはりいろいろ公害防止施設とかあるいは騒音対策ですとか、そういった関係では、これは非課税とする。どちらかといいますと、かからないものというよりは、そういう配慮でかけないものをはずすわけでございますから、とりわけそのほか、かからないものは何かということにつきましては御想像いただければけっこうだと存じます。第三のグループは、収用法の関係とかあるいは現在地方税で非課税にしておるグループ、そういうものでございまして、それ以外のものはやはりかかるということになろうかと思います。
  115. 井上普方

    ○井上(普)委員 ただいまのお話を承りまして、大体取得分のうちでかかる部分はわずか一割か二割くらいという想定でございましょう。そうするならば私は、かかる分は何なんだといってお伺いしたほうが早いと思うのです。この特別不動産取得税ですか、それのかかるものは一体何なんだ、このほうを聞いたほうが早いと思うのです。いまあなたは、この基準面積は六百坪になっていましたね。それを三段階に分けておったようでありますが、法人の山林買いなんかはかかる、こうおっしゃったのだけが具体的なお答えなんです。かかるのは一体何なんです。取得のうちの一割か二割なんです。何なんですか。このほうをいうのが国民には手っとり早いんじゃないですか、どうですか。
  116. 四柳修

    ○四柳説明員 この税が政策税制という形でお願いしておるわけでございますから、つまり国の政策的意図ではずしておるわけでございますから、そういう意味で、国の政策とは全然別個に、それぞれの企業のベースなり個人の考えで、いわば土地利用計画上そぐわないものにお使いになったものにかかるものだろうと思います。
  117. 井上普方

    ○井上(普)委員 わかりました。はなはだ抽象的でございますけれども、国の方針と違ったものがかかる、こういうことを抽象的におっしゃった。そうすると、あの基準面積はそれでいいのでありましょうか。その面についてはどうですか。
  118. 四柳修

    ○四柳説明員 基準面積の三つの段階をとりました考え方でございますけれども、指定都市等の二千平方メートルというのは、御承知のように公有地の拡大の推進に関する法律で、市街化調整区域におきまして土地の取引の場合に知事に対する届け出の面積が二千平方メートルであります。つまりその程度の面積というものは、これからは当然届け出の対象になるのではないだろうか、当然規制があってしかるべきじゃないだろうかということが、まず発想のスタートでございます。それから一万平米でございますが、これは工業配置促進法の規定で、これから移転促進地域から誘導地域に工場がおいでになった場合に、新設工場が旧工場の敷地面積の五倍までというものが一応特例の対象になります。あるいは所得税等の買いかえ資産の特例が五倍でございます。そこで二千かける五倍の一万というものを頭に置いたわけでございます。ただ、これでは荒過ぎるという形で、都市計画のあるところについては中間に五千という数字を入れたわけであります。
  119. 井上普方

    ○井上(普)委員 実はまことに大ざっぱなきめ方をなさっておると私は思うのであります。いま法人の土地取得は、もう日本のほとんどの会社がサイドビジネスで不動産の売買をやっておる。これをとめるために一つの政策目標として保有税と取得税をかけようというんでしょう。いま市街化区域の中にあって、二千平米あるいはまたひどいところになったら一万平米——これは一万平米の場合はまた別でしょう。しかしそういうのをたくさん持つということは考えられませんか。転々として、そして税金のがれをやる。ともかく税法をつくったならば税金は公平にかけるものでなければなりません。抜け道が少しでもあるものは防がなければならない。われわれがいま予想される、頭の中で考えられる抜け道というものは全部防いで、税の公平さを示さなければならないと思うのであります。そこで指定都市の二千平米あるいは一万平米、このきめ方というものがまことに大ざっぱであって、これは土地の思惑買いを規制する税法とはなりがたいと私は考えます。しかも、先ほど来お話しのように、三%の取得税をかけまして——大体保有税につきましてはあなたの自治省の悩みはわかります。いままでの固定資産税というものは非常に評価が低くて、そしてそれによる統計しかないのでございましょうから、実際の取引との面においてはだいぶ差があると思いますので、その点については実施しなければわからないというのが実情だろうと思います。しかし取得税のほうは私は予想がつくと思うのです。そうするならば、建設省当局に、これは御存じなのは計画局長ですか、一体日本でいま年間にどのくらいの土地の取引があるのです。三百万件というものがいわれておりますが、どのくらいありますか。
  120. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 これは法務省の売買登記件数で三百万件であります。東京圏で申しますと五十万件でございます。
  121. 井上普方

    ○井上(普)委員 金額でどのくらいかということを聞いておるのです。
  122. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 手持ちの資料には件数だけしかございませんからあとで調べまして申し上げますが、金額は法務省の統計であるかどうかわかりませんが、できる限り調べましてまたお答え申し上げたいと思います。
  123. 井上普方

    ○井上(普)委員 これは大臣、困ったことですね。あなたは国土開発の中心的役割りをされる、建設行政国土総合開発の中核的役割りをやられるという、その中において、いま土地税制あるいは土地問題というのは非常に大きいウエートを占めておる。ほとんどと言っていいでしょう。その中で一体いま年間国内でどれくらいの取引が行なわれておるのかということがわからなければ、これはちょっとぐあいが悪いと思うのです。ともかく土地税制をやるにいたしましても、三百万件というのはよく聞いておりますが、しかし大体概略でもおつかみになっておらなければならないと私は思うのです。先ほども土地の取得税につきましては三%で、大体平年度三十一億の税金といっておりますから、この特別土地取得税がかかります税金といいますのは、対象は一兆円に満たないんです。年間の日本の三百万件に及ぶ土地の取引が一兆円というような数字でないことはおわかりだろうと思う。いまも自治省の市町村税課長お話によりますと、かかるのは一割から二割というようなまことに大ざっぱな話です。一割と二割というたら倍になりますからね。こういうような統計があって初めて政策というものが出せるんじゃございませんか。どうです、大臣。私は大臣にもう少し緻密なものを策定をしていただかなければならないことを強調いたすのであります。いま本省に帰れば資料があるんですか。どうなんです、局長
  124. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 私のいま手持ちに持っているもので申し上げますと、これは自治省の作成の資料でございますけれども、四十四年の民間の土地購入量を金額であらわしたものは五兆五千億となっております。
  125. 井上普方

    ○井上(普)委員 四十四年から今日、三年たちますと、一億総不動産屋あるいは一億総ブローカーといわれるような時代になっておるのでありますし、また金融緩和がこの中に入っています。そうしますと、この四十四年の民間の土地取引は、いまの資料から五兆五千億の三倍ないし四倍になっているのじゃないかと想定せられるじゃございませんか。ここらあたりの最も新しい、そして的確なる資料を私らにお示し願うことを強く要求しておきたいと思います。それは私も、保有税につきましてはわかるのでございますが、取得税につきましてはもう少し的確なものをお出しにならなければ、あの地方財政計画ではちょっと困ると私は思います。そしてまた、税金がかかるのは一割か二割だというまことに大ざっぱなお話ではちょっと私はいただけぬのでありまして、これはもう少し、いかに税金が作用するかを考える場合に、やはり的確なる資料というものはおつくりになる必要があると思うのであります。それはそれといたしまして、この点、御注意申し上げると同時に、注文をつけておきたいと思います。  それから次に、地価公示を拡充しつつあるんですね、大臣。次の文章に「地価公示を拡充して、公的評価体系の整備をはかります。」とあります。私はこの間も予算委員会で大蔵大臣に質問しておりますと、現在の地価公示そのものに対しては、大蔵大臣はその権威というものを非常に否定なさるような御発言がありました。これは大臣もおられたからよくわかると思うのです。将来、権威ある地価公示額というものを決定いたしたいというようなお話で、いままでつくられておるこの公示制度を、政府閣僚の中で、しかも重要閣僚である大蔵大臣が地価公示制度を否定されるような御発言は私はどうも受け取れなかったのであります。いまの公示価格というものは事実そのとおりになっておると思います。いまの公示価格というものは、国なり公的機関買収する場合の標準価格になっておるのです。しかし民間取引におきましては、これは最低価格になっておる。ここに公示価格の権威がない一つの大きい理由があると思います。しかも現在、この間のNHKの敷地とそのお隣の公正取引委員会の土地との差を見れば、こういうことは一目りょう然なのでありますが、しかし、公示価格というものをつくっただけでは意味がございませんので、これを、「公的評価体系の整備をはかります。」とありますが、一体どういうようにやられるおつもりなのか、お伺いしたいのであります。  また、大蔵大臣は、固定資産評価額とそれから相続税評価額と地価公示の価格を一本にするような方針も将来考えてみたいなどという発言もせられておるように承るのであります。ここらの関係を建設大臣としてはどういうようにお考えになっているか、将来の公的評価価格というものをどういうように今後していかれるおつもりであるか、お伺いいたしたいのであります。
  126. 金丸信

    金丸国務大臣 公示制度の問題につきましては、まだ国民に周知徹底してないという面もあろうと思いますし、また公示をしておる地点が少ないという面もありましょう。ことし御審議願っておるのは五千四百ですか、将来市町村にもこの公示制度の地点をつくるということを考えておるわけですが、まあ二十四、五万地点を考えておるわけでございます。そこで、このままの体系であるならば有名無実だ、こういうような説でございますが、まさにいまの状況ではそうだと思います。しかし、この間もお話ししたのですが、NHKの場合は売買ということでなくて入札ということでございますから、それに逓信委員会がまだ高く売れという決議までいたしておるという話で、そこら辺ちょっと事が違うとは思うのですが、どちらにいたしましてもあれは論外で、あんな値は論外だ、こう思うわけでございまして、この問題を、いわゆる公示制度を定着させるためには私の省だけでやるべき問題ではない。そこで、自治省、大蔵省と十分話し合って、できるだけ早い機会に一本にしてまいりたい、このように考えております。
  127. 井上普方

    ○井上(普)委員 近い将来、固定資産評価額と相続税評価額とそれから地価公示を一本にするお考え方は、これは政府で統一しておるのでございますか。どうなんですか。思いつきだけでは困るんですよ。これは正式にお答え願いたい。
  128. 金丸信

    金丸国務大臣 これは政府、各省間で申し合わせて検討するということになっておりますから、間違いありません。
  129. 井上普方

    ○井上(普)委員 検討することになっておる。これは正式に決定したのでございますか、どうでございます。そこらのところをもう少し明確にお答え願いたい。
  130. 金丸信

    金丸国務大臣 一本化するということで申し合わせをしておるわけですから、これは近い将来必ずできる、こう私も信じておりますし、信じていただきたいと思います。
  131. 井上普方

    ○井上(普)委員 それは田中内閣の方針だと、こう解釈してよろしいですか。
  132. 金丸信

    金丸国務大臣 それでけっこうです。
  133. 井上普方

    ○井上(普)委員 それから次に、「あわせて、宅地開発事業を強力に推進するとともに、公有地の拡大と国公有地の活用等により、宅地の大量かつ計画的な供給をはかる所存であります。」こうあるのでありますが、この具体的な方法としては一体どういうことが考えられておるのか、この点をお伺いいたしたいと思います。
  134. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 宅地の開発、供給についての具体策でございますが、先ほどから御質問ございましたように、まず市街化区域内、これは宅地に元来すべきところでございますので、これを宅地化して宅地供給をふやしていくということが必要になってくるわけでございます。たとえば東京圏について申し上げますと、御承知の市街化区域内が大体三十一万ヘクタールございます。その中でDID面積、市街化されている区域が十七万ヘクタール、残りが十四万ヘクタールあるわけでございます。この中でそれぞれの地域によりまして、その団地としてのまとまり、その他あると思います。したがって、まず個別にいろいろ宅地化されていく部分、それから市街化区域の中にある介在農地の部分、これはいろいろな税制その他で処置されると思います。私どもといたしましてまず考えられるところといたしましては、一団のまとまりのあるところ、これをまず考えて、その候補地について強力に事業を進めていくということでございます。そういうことで、住宅公団が航空写真で調査をいたしますと、東京圏にもそういうまとまりのあるところが大体四万ヘクタールということになっておる次第でございます。この市街化区域内についての宅地を具体的に供給する方策といたしましては、新しく考えておりますのは、地価協の土地対策要綱といわれるものにもございますように、まず宅地開発の予定のそういう区域というものをきめまして、その中で土地所有者——農地の所有者が多かろうと思いますけれども、そういう農地の所有者が組合をつくりまして自主的に宅地化を進めていく。そのためのいろいろな財政、税制上の助成措置を考える。そういうための手段は現在もいろいろな助成措置がございますが、さらにこれを強化していく。そういうことで土地の所有者が自主的に宅地を供給する。それで、ある一定の期間、いろいろな事情でできない場合におきましては、これは公的な機関が乗り出しまして宅地造成を行ない、供給を進めていこうというふうに考えておるわけでございます。そういうふうにいたしまして、まず自主的に、同時にまた公的な宅地開発事業を進めてまいりますその手段、方法といたしましては、御承知のようにいろいろな手段、方法がございますけれども、第一番に問題になりますのは、特に東京圏におきましては関連公共施設の問題であります。水と鉄道の問題、そういう問題でございます。したがいまして、そういう関係の地方公共団体、特に都道府県知事と十分協力体制をしきまして、特に関連公共施設等につきましては四十八年にも相当これを進めるための予算措置もとられております。こういうことを十分に武器にいたしまして今後の宅地開発事業を推進してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  135. 井上普方

    ○井上(普)委員 私は、ただいまの御答弁を承りまして痛切に感ずることでありますが、それは、先般わが社会党が土地利用調査特別委員会で実は発表した数字であります。これは、首都圏におきまして御承知のように三十一万ヘクタールの市街化区域がある。その中におきまして市街化されておるのは十七万ヘクタール。ところが、私ども調査いたしましたところ、先般も発表いたしましたけれども、大手二十社の持っております市街化区域内における土地というものが九千六百ヘクタールであります。すなわち、残る二十分の一は二十の大手の会社が持っておると考えて差しつかえございません。再々言われますように、大手企業というものはサイドビジネスとして不動産の取得あるいは土地取得をやっておる、この現状からいたしますならば、大手法人が持っておる首都圏における宅地といいますものは、大体九千六百ヘクタールの数倍に及ぶだろうということは想像にかたくないのであります。としますならば、法人の思惑買い、これに対してきびしく規制を加えて、これを吐き出させる方法を早急にとるならば、直ちに首都圏における宅地の不足というものが解決するのであります。ところが、このたびの税制によっては不十分であるということを私は指摘いたしたいのであります。同時にもう一つの問題といたしましては、区画整理組合あるいはまた都市が行なっております区画整理事業、これを早急につくって、これの土地を市場に早く追い出していく。ここ一年で大手不動産が持っておる土地あるいは大手法人が持っております土地を吐き出させ、区画整理組合あるいは都市がやっております区画整理による宅地供給事業、これを政府が一年間助成する、そしてこれを市場に追い出すならばたちまちにして宅地供給は過剰ぎみになります。そうするならば地価の安定ということはたやすいことであるし、庶民大衆は土地の取得にきゅうきゅうとすることはありますまい。そしてまた、土地を持ちさえすれば土地は値上がりするのだというこの神話を打ち破ることができるし、国の土地政策としても目ざましい発展をなすことができると思います。勇気と決断を看板にせられる田中内閣に、はたしてそれだけの御決意ありやいなや、お伺いいたしたいのであります。
  136. 金丸信

    金丸国務大臣 御高説拝聴いたしまして、私も非常に感銘いたしたわけでございますが、どちらにいたしましてもこの問題を解決しなければ今日の政治はないということまで極言されておるわけでございますから、あくまでもひとつ果敢に取り組んでこの問題を解決いたしたい、こう決意いたしておるわけであります。
  137. 井上普方

    ○井上(普)委員 時間が参りましたので、最後に私は、大手法人の土地を吐き出させること、並びに区画整理組合あるいは自治体における区画整理事業、このあとの二つにつきましては国が補助金を大幅に出すことによって、早急に、ここ半年くらいでもいま計画中のものは市場に出すことができます。それからもう一つの、法人につきましては税法の問題、あらゆる手段を駆使いたしまして出すならば、首都圏における宅地不足なんというものは一発で解決するし、地価の安定に役立つということを申し上げて、大臣の果敢なる実行を期待いたしまして質問を終わります。
  138. 金丸信

    金丸国務大臣 ありがとうございました。
  139. 天野光晴

    天野(光)委員長代理 浦井洋君。
  140. 浦井洋

    浦井委員 大臣所信表明に対して、共産党の三番手として私質問をしたいわけなんです。引き続いて土地問題についてお尋ねをしたい。   〔天野(光)委員長代理退席委員長着席〕  いまもお話が出ましたけれども、この所信表明を見てみますと、大臣は、「第一に、土地対策についてであります。」と、同じ文章でありますが、「公益優先の観点に立って、土地が広く公正に国民に利用されるよう、」ということで、いまのお話ではこの後段が問題になっておったわけなんですが、私はひとつ「公益優先の観点に立って、」というのは一体どういうことなのかという点について、しばらく大臣お話をしてみたいと思います。公益優先の観点をどういうふうに考えられるのか、どういう観点なのか、まず大臣のお考えを聞きたいと思います。
  141. 金丸信

    金丸国務大臣 私は土地の問題につきましては、土地は商品ではないという考え方、そして土地は公益を優先すべきものである、土地は私有権というものを相当抑制できる、こう考えておりますし、公益優先とは、いわゆる国民大衆の願いと申しますか、希求しておるものを政治的に解決する、こういうことであろうと私は考えております。そういう意味で、この土地問題については、先ほど来申し上げましたように、この問題を解決しなければ国民住宅問題の解決はできない、宅地問題も解決できないという意味で、こういうことが公益優先。その中でもちろん公共の仕事をする、道路の問題もありましょう、住宅の問題もありましょう、いろいろあろうと思うけれども、そういうものをひっくるめたものが公益優先、たとえば土地を持っている個人だけを対象に考えるべきじゃない、こんなように考えています。
  142. 浦井洋

    浦井委員 土地がどんどんと生産される商品でない、そして国民大衆が希求するようなものを政治的に与えたい、こういうことが公益優先の、大臣の言われる定義だというふうに私理解したわけなんです。私も抽象的には異議はないわけなんですが、公益性、あわせて公共性というものの中身をもう少し問いたいと思うわけです。  私、つい最近読みました新聞報道で、ある学者が「公共性の中身について」ということで書いておられるのです。要するに、公共性というものもある程度時代によって推移する。何のためにだれが公共と認めるかという問題がある。だから私が思うのには——これは学者ですが、一般的には、だれでも自由に利用でき、特に社会の弱者、弱い者を保護するものでなければならない、これが公共性の中身の問題です。こういう意見を述べておられるのを私拝見したわけであります。私は妥当な意見だと思いますが、大臣、こういう意見はどう思われますか。
  143. 金丸信

    金丸国務大臣 私が申し上げた中に、いま浦井先生がおっしゃったことも含んで私は考えております。
  144. 浦井洋

    浦井委員 先ほど大臣お話の中で、公共の土地の問題に触れておられたわけなんですが、確かに小学校や中学校の用地であるとか公園であるとか、さらには住宅、こういうような住民の生活環境の施設のために使う土地は、憲法にいう公共の福祉に適合するものであるというふうに思うわけなんですが、これは大臣どうですか。
  145. 金丸信

    金丸国務大臣 そのとおりであります。
  146. 浦井洋

    浦井委員 しかし、最近いろいろ批判があるわけなんですけれども、きょうは企画庁から下河辺局長も来ておられるわけなんですが、臨海工業地帯の開発について、あるいは産業道路をつくるとか、最近はよくいろいろなところに流通業務センターをつくるということがずっと行なわれてきた。いまもなお行なわれておるし、今後も行なわれる可能性が非常に強いわけです。こういうものの土地利用というのは一体公共の福祉に適合するのかどうか。真の立場からいって、国民の望む公益、公共の立場に適合するのかどうか、その辺のところを大臣にお伺いしたいと存じます。
  147. 金丸信

    金丸国務大臣 流通機構の整備という点から私は必要だと思います。ただ、その流通機構が一つふえたために国民にそれがしわ寄せになるのではいかぬ。そういうものができることによって国民はその負担が軽減される。負担と申しますか、いろいろのしわをかぶるにいたしましても、軽減されるというようなものでなければつくった意義がない、こう考えております。
  148. 浦井洋

    浦井委員 流通業務センターですか、こういうものについては大臣の御意見をお伺いしたのですが、たとえば公共の立場でつくるのだというふうにいわれておる広い産業道路、だれが見ても産業のための道路のようなものであるとか、あるいは先ほど申し上げたような、すでに瀬戸内海沿岸などにどんどんつくられておる臨海工業地帯の造成、こういうようなものは一体どうなんでしょうか。
  149. 金丸信

    金丸国務大臣 いろいろその場所場所によりまして、地域住民の状況もありますし、環境もありますし、その状況によって判断すべきだと私は考えております。
  150. 浦井洋

    浦井委員 地域の状況によって判断すべきだという。ということは、公共の福祉に適合しておらなかったようなものもあったということなんですね。
  151. 金丸信

    金丸国務大臣 なかったかということについて私はつまびらかにしておらないわけでございますが、先生の御質問でございますからあえてお答えをいたしたわけでございます。
  152. 浦井洋

    浦井委員 私、医者でございますが、大臣、少しおからだの調子が悪いというふうに仄聞しているわけなんです。やはり心にもないことを言われるのは病気にも悪いわけです。思っておられることをひとつ率直に出していただきたいと思うのです。  そこで、ちょっと角度を変えましてもうしばらく大臣お話をしたいのですが、いま当委員会でも土地問題の解決が非常に叫ばれておるわけです。国民大衆も土地問題に関心以上のものを持っておるわけなんですが、国民の望んでおる、あるいは必要としておる土地というのは、大臣、一体何なのか。先ほどの話でこれに合わしてみますと、住宅あるいは公園、そういうような生活用地なのか。それともいままでの産業道路であるとかあるいは公害を発生するような工業地帯なのか。一体どっちなのか、端的に。大臣は庶民政治家であるというふうに私は考えておりますので……。
  153. 金丸信

    金丸国務大臣 私は住宅だと思います。
  154. 浦井洋

    浦井委員 よくわかりました。その点をひとつ私も記憶に残しておきたいと思います。  それからもう一点、大臣にお聞きをしたいのですが、そういう大臣のお考えからいきまして、いまも問題になっておりましたいわゆる大商社、大不動産業者、こういう企業が非常に広い土地を買い占める。明らかに投機的なねらいを持ってやっているわけなんですけれども、こういうこと一般について大臣としてどういうふうに思われるか、この点を聞きたいと思う。
  155. 金丸信

    金丸国務大臣 大臣としてということより政治家として、私はこういう姿を見て、ことに土地不足を国民が訴えているのに、大商社あるいは法人がこういうものを買い占めて利益追求に走っておるということについては非常に憤りを感じております。企業ですからもちろん営利も考えなくちゃならぬと思いますが、しかしそれには限界がある。国民の今日のこの切実な住宅に対する要求というものはちょっとはかり知れぬものがあるだろう。そこに今日私権の抑制という問題も、先ほど来から申し上げました公益優先という立場もおのずと出てきた、こういうことで私は考えております。
  156. 浦井洋

    浦井委員 非常に大企業、大不動産業者の投機的な土地買い占めに対して怒りを持っておられる、憤激を持っておられるということなんですが、その怒りの状態、憤激の状態のままでひとつ私の質問を聞いていただきたいと思うのですが、自治省は来ておられますか——。  具体的な問題を自治省にお聞きをしたいのですが、岡山県の久米郡久米町で、三菱商事と三菱地所が事業主体になって久米開発事業というものをやるために約四百ヘクタールの土地を買い占めた、こういう事実を自治省は知っておられますか。簡単に答えてください。
  157. 近藤隆之

    ○近藤(隆)政府委員 けさほど県のほうへ問い合わせまして、そういう事実があったことを承知しております。
  158. 浦井洋

    浦井委員 ところが、久米町、岡山県、企業、それから岡山県の開発公社、四者の協定書なるものを見てみますと、役割りがそれぞれ書いてあるわけなんです。まず、岡山県の開発公社は現地の用地を取得するために企業にあっせんするということが書いてある。そうして、そのあっせんが円滑に行なわれるように岡山県と久米町はこれに協力をするということがこの協定書に書かれてあるわけなんです。現に私、岡山県のわが党の県会議員などに問い合わせてみますと、その当時、これは四十六年ごろですね、岡山県の開発公社は三菱のために——ためにといいますか、結果的にはためにということになるのですが、土地を県の開発公社が買いまくって、三菱商事、三菱地所の代行をやっておる。県の開発公社というのも、実際には岡山県の企画部の地域開発課がやったという報告を受けておるわけなんです。それから久米町の当局も、そこに住んでおられる農民の方々に、町の発展のためだからひとつ売れというような、住民の立場から見ればやはり圧力になるようなやり方で土地の売却を迫っておるわけなんです。こういう事実も知っておられますか。
  159. 近藤隆之

    ○近藤(隆)政府委員 久米町は御承知のように過疎団体でございまして、その地域振興をはかるために、先生のいまの御指摘よりも相当前になりますが、昭和四十四年に久米町の議会のほうにおきまして、工場あるいはレジャーランドといったようなものの誘致をしたいということで、この種の土地の買収を県のほうへ頼んでおるというような事実がございます。
  160. 浦井洋

    浦井委員 私は、久米町の町長さんなりあるいは議会なりが、過疎を何とか防がなければならぬということでいろいろな努力をされておることは認めるわけなんですが、ここで指摘したいのは、こういうように地方自治体だとか県あるいは県の開発公社が、三菱という大企業のために土地買収をするというようなことは、これは自治省の側から見てはたして許されることなのかどうか、これについてひとつお聞きしたいと思います。
  161. 近藤隆之

    ○近藤(隆)政府委員 三菱という特定の企業がやることがいいか悪いかという問題ではないのじゃないかと実は思います。その地域をどのように町づくりをしていくかという問題でございまして、その町づくりにふさわしい開発を行なっていくかどうか、問題はそこが焦点になるのでございまして、どこがどうという問題では実はないのではないか、そのように了解しております。
  162. 浦井洋

    浦井委員 事業主体は三菱地所と三菱商事でしょう。どこがどうということはないでしょう。
  163. 近藤隆之

    ○近藤(隆)政府委員 この場合におきましては、その地域をレジャーランドといたしまして三菱商事のほうが開発するということでございますので、町のほうでそういうレジャーランドをつくるということであるなら、それが地域にふさわしいような形ででき上がるようにいろいろその会社等とも協定を行なって開発していけばいいのじゃないかと思っております。
  164. 浦井洋

    浦井委員 ものの見方が全く反対になっておると私は思うのです。だから私はその返事にはびっくりしたわけなのですが、これはもう全くの序論でやろうと思っていたのでどんどん話を進めますけれども、ところが三菱商事は当初、四十六年に着工して五十一年の三月に完成をするという目標だった。そこでそれに間に合わせるようにということで、県の開発公社も、それから久米町もどんどん農民を慫慂して、農民は用地を売って受け入れ体制を整えた。ところが三年たった現在に至るまでもいまだに着工をしておらない。当然その間、三菱が買収した用地というのは地価がどんどん上がっておる。現地からの報告によれば五倍から十倍に上がった。五倍というふうに仮定しても三十億ぐらいもうかっておるということになるわけなのです。だからそれと逆に久米町全体は非常に大きな損失を受けたし、特に用地を売ってしまった人たちはその後生活設計も立てられないということになるわけですね。だからそういう状態に対して自治省は、いまのお答えの観点からいくと私はむしろ、それはそうかもわからぬですけれども、国としてもやはり責任があるのではないか。政策として久米町なら久米町の過疎を生んでおいて、犬におなかをすかさせておいて、そこへまんじゅうを与える。飛びつくのはあたりまえですよ。その中に毒が入っている、こういう現象なんですよ。私は国に責任があると思うのですが、自治省どうですか。
  165. 近藤隆之

    ○近藤(隆)政府委員 この土地につきましては、四十六年の十二月に三百八十九ヘクタールの用地を県公社から三菱地所に譲渡した旨の登記が行なわれております。それから農地の転用の許可でございますけれども、これは使用目的についていろいろ論議されたこと及びこの地域に文化財が埋没しておるというような関係がございまして、農地の転用許可がおりましたのが四十七年の八月であるということを聞いております。それで四十八年になりまして着工しようとしたところが、この地域がちょうど中国縦貫道の地域に当たっておるとかいうことで値段が非常に上がってきておる。だからむしろ安い値段で売ったのと均衡がとれないというようなことで、住民の一部の方々からこの一月になって問題が起きてまいりまして、現在、町におきましては賛成派、反対派が入り乱れて議論をしておるというような状況でございまして、県は町民の意向がどういうようになっていくのかということを現在見守りつつ適宜指導していくという態度をとっております。
  166. 浦井洋

    浦井委員 三年間工事がおくれた。理由はたとえば文化財があるのだとか町の住民の意見が分裂しておるとかいうような、そういう、現地に責任をなすりつけておるわけなんですけれども、現実に、私が申し上げたように三年間土地を寝かしておいただけで三十億ももうかっておるわけなんです。しかも三菱地所なり三菱商事なりはそれによって企業として担保能力が高くなって、またほかで、目に見えないところでずっともうかっているわけなんです。この事実を一体どうするのかと私は聞いているのです。  時間がないからその次の問題に進みますけれども、そこで、いまあなたが言われたように地元がもめておるという問題がある。ここでもとの地権者がレジャーランド対策協議会をつくって、これには四百十二名のもとの地権者の八〇%から九〇%加盟しておるということなんですが、そこで三項目の要望を出しておるわけなんですね。ちょっと読み上げてみますと、売った価格と現在の地価との差額を支払え、これが一つ。第二は、耕地の大部分を売った者には雇用を保証せよ。三番、これらが聞き入れられないときには全部の土地を返せ、という要求を三菱地所と三菱商事、すなわち事業主体に突きつけておるわけなんです。私はこれはもっともな要求だと思う。だから国として——いまの自治省の答えでは、その姿勢ではなかなかうんと言わぬでしょう。こういう住民の協議会に入っておる人たちの要求が実現できるような援助措置を私は講ずべきだと思うのですが、どうですか。
  167. 近藤隆之

    ○近藤(隆)政府委員 御承知のように、これはその地域をどのような方向で今後発展さしていくかという町づくりの一環の問題として起きているわけでございます。先生の御指摘のような、一部の方々からそういう意見が出ておることも事実でございますけれども、それに反する意見もございまして、現在、町の中で町議会が二つに割れていろいろ論議をしている最中と聞いております。町の意向が、この収拾がつきましてどのようになっていくか。その過程におきまして県も適宜指導をするということでございますし、われわれも適宜情報をとり、必要な指導は行なっていきたいと思っております。
  168. 浦井洋

    浦井委員 一部の人というが、さっき私が言ったように、四百十二名のうち八〇%から九〇%の人が結集しているわけですよ。そうしてこうした三項目の要求を企業に対して突きつけておるわけなんです。適宜指導というようななまっちょろいことを言わぬで、やはり自治省は住民の立場に立たなければいかぬと思う。  そこで具体的に、農民が土地を売ったのは四十四年ですか、四十四年に土地を売るときの条件として、三菱グループがレジャーランドをつくって、土地を失う農民を雇用するということになっておる。そのレジャーランドができてないわけなんです。これは地元の人に聞きますと、個々の契約書の中には書いておらないけれども、明らかに紳士協定としてそういうことをかわしたのだ。しかもさっき言いましたこの協定書にも雇用の問題がはっきり書いてあるわけなんです。ということになると、契約違反か協定違反か、そういうものになると私は思うわけです。これは県やあるいは公社に責任があるというふうに思うわけですが、これについての自治省の見解はどうですか。
  169. 近藤隆之

    ○近藤(隆)政府委員 その協定書の内容がどうこうにつきましては、そういうこまかい点まで私現在の段階で承知いたしておりませんけれども、そういうことも含めましていろいろ町の内部で現在論議がされておるようでございます。そうしてこの問題はまさに地方の意向を最大限に尊重するということが、私は地方自治の本旨ではないかと思っております。
  170. 浦井洋

    浦井委員 ことばの上ではかっこうのいいことを言われて、内容は全くなっていないわけなんですね、自治省は。こういう例は私は全国至るところにあると思う。自治省も御存じのように、同じ岡山の備中町にはもっと大規模なこういう話があるわけなんです。そこでは土地を初め売り渋ったために村八分をされるというような現象が起こっているわけでしょう。これはもう報告受けているでしょう。それから兵庫県の波賀町、ここでは町長と西武化学が覚え書きを交換して、町は開発事業に他の業者と契約をしない、町は国有林の払い下げ買収に協力するというようなことを交換して、西武化学から町に百万円を供与しておるというようなことで、これが問題になって、町長は辞職をして、町議会は去年の十月解散する。その後選挙をやりまして、おかげでわが党は躍進をしたわけでございますが、そのほか至るところにこういう話がころがっているわけなんです。これはやはり自治省として考えなければいかぬと思う。過疎の町が困っておることにつけ込んでデベロッパーが入っていく。当然町の実力者と癒着をして、その中でいろいろな違法行為や脱法行為や、ときには汚職まで生んでおる、こういう実情なんです。それでデベロッパーは一方でどんどんもうける。農民は土地を失って流浪の民になるわけですね。だから隣近所のいままで保たれておった平和な関係、近隣関係、こういうものも破壊されていっておるわけです。こういうこと全体に対して一体自治省はどのように認識をし、どのように指導されておるのか、最後にひとつ聞きたいのです。
  171. 近藤隆之

    ○近藤(隆)政府委員 各地域に開発が行なわれるに伴いまして、いろいろなそういう摩擦が生じておることは承知しております。それに土地問題が非常に大きな輪をかけておるという気がいたします。基本的にはそういった問題の解決ということが必要なんでございましょうけれども、われわれといたしましては、先ほど来お答え申し上げておりますように、自分たちの地域は自分たちでつくる、それがまさに地方自治でございますので、その地域住民の意向を最大限に尊重して、それが生きるようにいろいろな援助の手を差し伸べていきたいと思っております。
  172. 浦井洋

    浦井委員 非常に抽象的な美文調のお答えをせられたわけですが、そんな措置で私はデベロッパーの横暴は押えられないと思うのです。そうことばの上で言われるなら、もっと実態に即した、ほんとうに住民の立場に立った行政指導をやれということを私は要求したいと思うのです。  少し話を変えまして、そういうことを大臣に聞いていただきながら建設省にひとつお尋ねをしたいのですが、これは建設省住宅局ですか、四十六年から五十年の五カ年の間に九百五十万戸の住宅を建てる。それに伴って宅地供給計画を持っておられるわけですが、これは七万五千ヘクタールですか。そうですね。この計画の進みぐあいをひとつ教えていただきたいのです。
  173. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 御質問の第二期住宅建設五カ年計画の新規必要宅地供給量、これは七万五千ヘクタールでございます。この中身は、御承知の住宅公団とか公共団体というような公的機関施行するもの、これは地方団体の区画整理事業も含めましたものですが、そういうものが大体四割でございます。これの四十六年度の進捗率は大体一七・三%。それから区画整理組合施行の土地区画整理事業、それから民間デベロッパーの個別宅地造成、そういうような民間のものが大体六割でございますが、これの四十六年度末の実績は大体二〇%ということでございまして、合計しまして四十六年度は一八・九%、これは当初計画と大体まあまあでございます。なお、四十七年度につきましては実はまだ出てないわけでございますけれども、大体の傾向を申し上げますと、公的な宅地開発事業、特に公団事業はややおくれぎみでございます。しかしながら区画整理事業、これは当初の計画より相当伸びておりますので、まあ四十七年度までは大体当初計画どおり進むのじゃないかというふうに考えております。
  174. 浦井洋

    浦井委員 予定どおり進んでおるというが、一〇〇%が五年間のうちにやらなければならぬノルマですから、あまり安心もできぬと思うのです。その中で公団の話が出たのですが、住宅公団の首都圏における四十七年度の実績、これはどうですか。
  175. 沢田光英

    ○沢田政府委員 御存じのように、公団宅地に関しましては二つの部門がございます。一つは住宅建設に伴います宅地の需要、もう一つは宅地造成でございます。そして四十七年におきます目標、これは両者を合わせまして大体七百三十ヘクタール、目標はもう少し大きかったわけでございますが、七百三十ヘクタールというところになろうかということでございます。なお、四十八年度につきましては千三百六十ヘクタールを目標に買い進もう、あるいは造成を進めよう、こういうことでございますが、先ほどの四十七年度の七百三十ヘクタールの中身が、二百二十ヘクタール、これは私先ほど申しました住宅建設部門でございまして、五百十ヘクタールが宅地開発部門でございます。また四十八年度につきましては三百九十ヘクタールが住宅建設部門でございまして、九百七十ヘクタールが宅地開発部門でございます。これらの結果、私ども住宅建設の所管のほうでどういうことになっておるかと申しますと、大体四十七年度につきましてはほぼ建物を建てる敷地はあるわけでございます。ただそれがなかなか建たないという現実があるわけでございます。それから四十八年度につきましても、住宅建設につきましては相当部分の用意がすでにできておる。ただそれが今後建たなくなるかもしれない。そういうよなことでございまして、むしろ住宅建設部門では宅地の量の問題よりも建設実行できるかどうかというところに、特に関東周辺ではそこに問題があることをつけ加えておきます。
  176. 浦井洋

    浦井委員 計画局長住宅局長お話、少しニュアンスが違う。沢田さんのほうが実態をある程度言われておるというふうに私思うわけなんですが、そこで公団の場合ですね、これはもう新聞にもよく報道されておるように、四十八年度に公団住宅を、分譲、賃貸合わせて差し引きマイナス八千戸ということになっています。公営住宅のほうの建設もやはり、先ほどのお話からも推測されるようにあまり進んでおらない。四十七年十二月現在で予定の五〇%に満たないというような数字を聞いておるわけなんです。建たないというところにいろいろな原因があるだろうと思うのですが、土地が一つの大きな問題であることは私間違いないというふうに思うわけなんですが、沢田さんどうですか。
  177. 沢田光英

    ○沢田政府委員 公団につきましては先ほど申し上げましたようなことで、四十八年度までの相当な手配をすでに土地につきましてはしておる実態でございます。しかし買うところがだんだん遠隔化していく、そういうようなところでまだ問題が残っていっております。また、端的に申しますと、いま公営住宅の問題が出ましたけれども、これは大体年度末で三大都市圏では七〇数%いきますので大体よろしゅうございますが、ただ東京に着目をしてみますと、ここに大きな宅地問題が出てまいっております。たとえば多摩を急速に早める、そういうふうなことはございますけれども、あとはやはり営々として土地を買うよりしようがない。こういうことで、東京都につきましては四十七年度につきましての年度末の発注量というものはおおむね二〇%程度になるだろう。これはもちろんその後引き続いてやるわけでございますが、さようなところにやはり買いにくさの問題も出てまいっておるかと思います。
  178. 浦井洋

    浦井委員 大臣、一月の末のある新聞だったと思うのですけれども公団の幹部は頭をかかえ込んでおる、金やあき地が幾らあっても宅地確保については絶望的だというような記事を私読んだ記憶があるわけなんです。やはりいまのお話なんかを聞いていただきながら大臣にお伺いしたいのですが、政府の供給計画もなかなか進まないようですし、これはやはり特に首都圏なんかの場合、デベロッパーなんかの買い占めというようなところに相当大きな原因が私はあるように思うのですが、大臣、御見解はどうですか。
  179. 金丸信

    金丸国務大臣 首都圏の中、ことに東京はもちろんですが、埼玉千葉、神奈川、こういうところでは、いわゆるもう人口のふえることを喜ばない、そういう考え方、そうしてその人口がふえることを好まないということは、いわゆる公共施設関係とか、その他それに関連する公園もつくらなくちゃならぬだろうし、あるいは下水道もつくらなくちゃならぬ、そういう負担が多くて困るという点もあってなかなかむずかしい点もある。また先生の御指摘の点もあるだろう、私はこう思います。
  180. 浦井洋

    浦井委員 デベロッパーの問題を一応確認していただいたわけなんですが、そこで三番目の問題について建設省にお尋ねしたいのですが、これは計画局長ですね。首都圏の市街化区域、調整区域内、両方合わした地域のデベロッパーの買い占めの実態は把握されておりますか。
  181. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 これは土地保有状況調査で、すでに何度も申し上げております東京証券取引所の一部、二部上場会社について、昨年の五月のころの調査でございますけれども、これによりますと、四十一年の四月一日から四十七年三月三十一日、六年間の土地の取得状況でございます。お尋ねは、市街化区域、調整区域、いわゆる線引き区域での取得状況のようでございますが、しかも首都圏の状況でございますが、合計四千三百八ヘクタールということになっておる次第でございますが、これは御承知のように千三百社について、しかも回収率五七%でございますので、実際私ども都道府県にいろいろ当たって資料も多少承知している点もございますけれども、やはりこれよりも多いというふうに私ども推定いたしております。
  182. 浦井洋

    浦井委員 法人の土地取得状況の調査というのは、建設省ではそれ以外にはもちろんやっておられないわけですね。
  183. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 法人だけの土地保有状況の調査というのは現在までいたしておりません。これからの計画、四十八年の計画はございますけれども、従来はいたしておりません。
  184. 浦井洋

    浦井委員 いま言われたのは東証一部、二部上場企業についてアンケート形式でやられたというふうに聞いておるわけなんですが、私どもその資料をいただいたのですが、その注にこういうことが書いてあるんですよ。注の四に、「この資料は東証一部、二部上場企業に限定され、回収率が五七%であるので、別途各県から聴取した情報等を勘案すると、実勢はこの三、四倍になると見込まれる。」いまも局長さん言われたわけなんですが、これは、建設省としては思い切ってこういうアンケート調査をやられて、とにかくいろんなところで利用されておるし、一応政府が出したこの方面の資料としては権威がある数字だというふうに考えておったわけなんですが、これを読んで、これはどうかなと思った。三、四%というようなことなら話はまだわかるのですけれども、これの三倍から四倍になると見込まれるというようなことでは、私は数字として全く実用的でないといいますか、話にならぬというふうに私感じたわけなんですが、これは回収率が一〇〇%になるまで作業は続けられるわけなんですか。私はもっと、せめてこれは五七%を一〇〇%にすればもう少し精度の高い数字が出るのではないか。実態が把握できなくて一体どういう対策を立てられるのかなと、非常に心細くなったのですが、どうですか。
  185. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 私ども、先生の資料要求に対しましてそういう注釈をつけましたのは、何度も申し上げますように、千三百社、しかも五七%であったので、もっと多いだろうということで、こういうものに限ったらこうであるということで資料を差し上げたわけでございます。先生のおっしゃるように、もっとこれはわれわれは実態を把握したいわけでございます。したがいまして、第一点といたしましては、四十八年度は、予算はこれが大体とれておりますので、資本金一億円以上の法人六千五百社につきまして調査を行なうというふうに考えておるわけでございます。先生のおっしゃるのは、こういうアンケート形式にやりますと大体五、六割のところが普通でございますから、そういうことでなしに、もっと義務づけたらどうかということだろうと思います。その点につきましては私どもも、こういう来年度の土地の統計調査以外に、何か土地のセンサスみたいな、国勢調査に準じたようなものが必要じゃないかというふうに考えまして、御承知のように国勢調査のほうは相当の準備期間が要ります。二、三年くらいの準備期間が要ります。だから私どももこういうものに準じたような準備をいたしまして、土地のセンサスをぜひ行なうべきであるという気持ちで、行管などとも実はいろいろ打ち合わせをしておるわけでございます。さしあたって当面は四十八年度にそういう六千五百社についての調査。もう一つ、これは法人だけではございませんが、土地の保有、移動の状況調査として、来年度一千万円新たに予算が実はついております。これも五十分の一ぐらい程度調査になります。そういうことを通じまして実態の把握に努力してまいりたいと思います。
  186. 浦井洋

    浦井委員 やらないよりはましだと思いますけれども、これだけ土地問題、土地問題と騒がれておって、それが建設省計画局でセンサスのようなというような形で、のんびりし過ぎているのではないか。いま局長言われたように、年次報告というようなものを義務づけるという方向で進んでいただきたい。さっそくやっていただきたい。住宅については実態把握調査というものがあるわけです。土地についても自治省などと協力すれば、固定資産税の帳簿であるとかあるいは登記簿なんかで、やろうと思えばやれるわけです。だから、ぜひこの点はひとつやっていただきたいというふうに思うわけです。  そこで、ひとまず建設省おきまして、経済企画庁にお尋ねをしたいのですが、土地対策要綱が出たわけです。これは新聞報道でありますけれども、下河辺さんは開発の天皇だ、拠点開発から新全総、今度の列島改造に至るまで、常にその中心部にすわっておられるというお方なんですが、あまり時間がないので二、三お尋ねしたいのです。今回の土地対策要綱の中の例の特定地域ですが、これはどういうところを指定される予定なのか、ひとつ意見を聞かしていただきたいと思います。
  187. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 特定地域で、いま国総法の改正で検討しておりますのは四種類に分けて考えておりまして、一つは、新たに都市あるいは市街地をつくる場合の指定でございます。二番目は、レクリエーション関係と自然の保全とを合わせました場合の特定地域でございます。三番目は、産業基盤関係でありまして、工業、酪農、森林その他産業関係の基盤造成をする場合の特定地域であります。四番目は、交通の結節点としてのインターチェンジの周辺なり新幹線の駅なり、港湾周辺の総合開発を進めるべく、特定地域のその四種類について検討しております。
  188. 浦井洋

    浦井委員 四種類ということなんですが、最近、総合開発法改正案ということで、例の特別規制地域、これと特定地域というのはどういうふうに関係するのですか。
  189. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 特定地域のほうは開発を目標にいたしまして所要の手続をしたいということでございますけれども所要の手続につきましては、地域方々の御意向を十分伺うべき十分な手続が必要であるということを考えておりますので、この指定の段階と、それを越えて次に計画をつくる段階と、かなりの時間をかけて慎重にやりたいということがございますので、その間に不動産業その他がその地域であばれることを避けるためには、やはりその特定地域制度とは別に、その不動産業その他があばれますのを押えるべく、特別地域制度をつくりまして、まずそれで押えた上で十分指定計画について慎重さを期したいということで、別の地域指定として考えております。
  190. 浦井洋

    浦井委員 そうすると、まず先に特別規制地域の問題についてお尋ねしたいのですが、これはたとえば首都圏の近傍などに指定されるのかどうか、具体的にどういうようなところを指定されるのか聞きたい。
  191. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 まだ検討中でありますけれども、私どもの腹づもりといたしましては、特定地域制度をやります場合の事前の行為として必要であるということが一つございます。それを典型的な例として検討しておりますが、今日、大都市の周辺におきます宅地供給からかんがみて、やはり異常な事態であるという場合には特別地域制度が指定できますように現在検討しております。
  192. 浦井洋

    浦井委員 そうすると、近い将来に首都圏などでもこの指定は行なわれる可能性は多分にあるというふうに理解していいですか。
  193. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 現在その方向で各省と相談を始めております。
  194. 浦井洋

    浦井委員 前に返りまして特定地域の問題なんですが、四つ言われた。私は一、二にも少し問題があるだろう。都市公園の問題など、いろいろわが党として反対をしたいきさつから問題があると思うのですが、一、二はそれでも理解はできる。ところが三、四ということ、三番が産業基盤、四番がいわゆる交通ネットワークということになってまいりますと、これは特定地域ということで今度の土地対策要綱の非常な目玉商品ということで喧伝はされておるけれども、やはりいままでの産業優先型から脱却しておらない。脱却しておらないというよりも、むつ小川原、志布志というようなところが当然三番などに指定をされるということになってくるわけですから、これは国民の現在願っておる生活用地確保のための指定というようなことからは全く逆になってくるのではないかというふうに私は思うのですが、その辺の御意見を聞きたい。
  195. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 いま検討しております特定地域制度は、その一つの特色といたしまして、現在の土地利用その他生活環境が一つの開発の目標によって変化していくということが一つの特色でありまして、その変化をどのように調和あるものとして進めるかということの、開発計画の段取りをつける法律として一つ考えております。そのために、いま御指摘いただきました三番目、四番目の特定地域につきましては、工業を開発することが産業優先であるというふうに考えるのではなくて、工業を開発する際に地域方々との話し合いなりあるいはその調和というものをどのような点に求めるかということが実は重要であって、その際に地域方々の生活環境なりあるいは自然環境をどのように保護しながら工業開発を進めたらよいかということを、その場でディスカッションしていただくものとして特定地域をつくりたいと考えておりますので、御了解いただきたいと思います。
  196. 浦井洋

    浦井委員 話が一番の核心に入ってきたと思うのですが、私は反対なんですよ。そういう、下河辺さんが言われたようなことが実際に日本の国の中にどこで実現をされたのかということを私は問いたいと思うのです。やはりいままでのそういうやり方、今回考えておられるようなやり方をすれば、もう時間がないので端的に結論を申し上げますけれども公害を日本列島全体にばらまくというようなものにならざるを得ないのではないかということを私は指摘をしたいと思うのです。そうして、先ほど出ました特別規制地域の問題についても、これは私どもがこれから言いたいと思うのですけれども、やはり住宅逼迫地域というようなところの土地売買を許可制にするというようなことで、われわれの要求しておったような方向に一歩近づいたのではないかというふうに考えるわけでございます。しさいを検討してみなければわからぬわけですけれども、そういう方向で特別規制地域というものをひとつ活用してもらいたいということを私は思うわけです。あめとむちで、あめだけにしていただきたい。むちはもうとっていただきたいというふうに思うわけです。  もう少し長くやりたかったわけですが、時間が二十八分ぐらいですから、最後に建設大臣あるいは建設省にお伺いしたいのですが、もうすでに私どもの主張は大臣御承知だと思うのですけれども、関東農政局調べによりますと、関東地域一都九県で民間の土地所有は三万三千四百ヘクタールある、こういう数字もあるわけです。だからこういう土地の一部を国民の、あるいは都民の望んでおる生活用地に回すならば、いまの土地問題というものはかなり解消するのではないかというふうにわが党は前から主張をしておるわけなんです。それをたとえば成文化いたしますと、当面住宅難のひどい東京五十キロ圏、大阪四十キロ圏、名古屋三十キロ圏の三地域を指定して、そうしてこの地域内の大企業、大土地所有者の土地を適正な価格で自治体などの公共機関が収用をして、住宅用地などの公共用地として活用する。私は決して無理な政策を言っておるつもりはないわけなんです。ひとつ大臣、この私の提案を十分に検討をしていただいて——もう都民、国民は土地問題を基盤にした住宅難のために非常に困っておるわけなんです。だから、はやりことばでございますけれども大臣の決断と実行を期待をしたいのですが、大臣の決意はどうですか。
  197. 金丸信

    金丸国務大臣 土地問題は住宅問題を解決するということでありますし、また先般私は恒例の財界の人たちと懇談会がありまして、そのおりも土地問題を訴えたわけでございますが、そのときある財界の一人は、この際適正な価格でこの土地の困窮しておるときに提供すべきである、利益追求すべきではないというような考え方を述べてくれた人もあるわけですが、私は土地というものは商品ではない、こう申し上げた。あるいは土地というものは国民のいわゆるともに持つ領土だ、こういう考え方からいえば、この際当然勇気をふるってやらざるを得ない。そうして、一番政治問題になっているこの問題を一日も早く解決したい。そこで、大手業者にできるだけすみやかに出してもらうような方法をわれわれはいまもなおやっておるわけですが、なお一段と手放してもらうようなことを要請をいたしたいと考えております。
  198. 浦井洋

    浦井委員 きょうの委員会でも大臣は財界人と懇談したということを再度言われたわけですが、財界人と懇談をされるのなら、ほんとに住宅やあるいは土地に困っておる庶民ともじかにひざを接して懇談をしていただきたい、こういうふうにも思うわけなんです。それはいいですから……。  そこで、きょうはデベロッパーの問題を取り上げたわけですが、総論的に申し上げますと、これはもう、たとえば転売の意味も、さっき言われたようにころがすというやり方、売り渋るというやり方、一部だけ売ってあと値上がりを待つというやり方、さまざまなやり方でどんどん地価が上がっていくということで国民の憤激を買っておるのは大臣も十分御承知だと思うのです。こういうような民間デベロッパーの土地所有のあり方というものは、憲法二十九条でいう公共の福祉に適合しない状態であるというふうに私は思うわけなんです。大臣所信表明のことばをお借りして言うならば、さっき言ったように「公益優先の観点に立って、土地が広く公正に国民に利用されるよう、」というおことばともこれは矛盾をするし、一致しないというふうに私は思うわけなんですが、大臣どうですか。
  199. 金丸信

    金丸国務大臣 大手業者、大手企業あるいは法人、こういうものの持っておる土地を法律的にこれをやる、そして提供させる、こういう問題は相当検討しなければならぬとは思うのですが、姿としては、今日この土地の問題に対しては、土地の私有権の抑制という問題も相当前進してきておるということは浦井先生も認めておられるように、私はこの問題はそういうような考え方でいくわけですが、いま右から左に、浦井先生のおっしゃるようにこの問題を法的に収用するようなことはできないんじゃないかと考えます。どちらにしても、土地は私物ではない、こういう観点で私たちは強く要請いたしたい、こう考えております。
  200. 浦井洋

    浦井委員 これはやはり大臣も徹底した土地対策を実施したい、こういうふうに言われているわけですから、私この一時間申し上げたように、公共の福祉に合わないような土地所有形態というものは、合うように改めるべきだ。これは大臣異存なかろうと思うのですが。だからさしあたっていま問題になつておるデベロッパーの買い占めの土地というものは、私は収用してもよいと思うのです。収用法を見ましても、あれは第三条の三十号ですか、そういう点では、公団や公社、自治体がやろうと思えばやれるわけでしょう。だから、非常に市民の憤激のもとで地価のつり上げをやっておるところの民間デベロッパーの非常に不正常な土地保有の状態にメスを入れるべきだというふうに私は主張をしたいと思うわけです。この点についてひとつ大臣の御意見と決意を聞かせていただきたいことと、もう一つは、先ほどからずっと強調されておるように、総合商社であるとかあるいは金融機関であるとか私鉄であるとか、本来宅建業者でない事業の企業がいまどんどんと宅建業の免許をとって土地買い入れに精を出しておるというような事実も、これは明らかなんです。だからこういうものも禁止すべきだというふうに私は思うわけなんですが、この二点について最後に大臣の御意見と決意を聞かしていただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  201. 金丸信

    金丸国務大臣 私は収用という問題につきましては、建設省はほんとうによだれのたれるほど土地はほしい、こういうことですから、いかような方法にしても土地をいただくことについてはいただきたい、こう考えておるのですが、しかし政府というものは建設省だけではありません。しかし先生の考え方は十分傾聴させていただきます。私も、土地というものは私物でない、いわゆる公共優先だ、こういう考え方でいきたいと思います。また全然営業の違うものが宅地の免許を持っておる、この問題につきましては、宅地業法という問題についていま一回考え直さなくちゃならぬだろう、こう考えていますから、十分研究してみたいと思います。
  202. 浦井洋

    浦井委員 考え直したいというのはどういうことですか。それだけ。
  203. 金丸信

    金丸国務大臣 考え直したいということは、前向きに洗い直してみたいということでございます。
  204. 服部安司

    服部委員長 有島重武君。
  205. 有島重武

    有島委員 貴重なお時間をいただきまして、若干の質問をさせていただきます。  田中総理の日本列島改造論によりますと、「これまでの道路整備は延長を伸ばすことに重点がおかれていた。これからは質の時代である。騒音排気ガス、ホコリなどの〃道路公害〃を解消しなければならない。そのためには道路と沿道の土地利用を一体的にとらえ、幹線道路には植樹帯をたっぷりとって、緑のベルトを日本じゅうにめぐらすことが必要である。」まあ列島改造論、いろいろ批判はありますけれども、こうした部分は私も心から賛同したいと思うわけであります。そこで、昭和四十八年度から昭和五十二年度にかけまして第七次道路整備五カ年計画実施されようとしておるわけでありますが、この第七次五カ年計画におきましても環境整備ということが非常に重要なことではないかと私は思っておりますけれども大臣の御見解まず承っておきたい。
  206. 金丸信

    金丸国務大臣 お答えいたします。  道路の問題につきましては、昭和四十八年度を起点として五カ年計画を改めるということでございますが、私は、先生からもいまお話がありましたように、いわゆる道路整備、こういうことについては非常に共感を持つものであります。ことに、道路はいままではつくればよいということであったが、これからはまさに質と量で、たとえば交通の安全のことも考えなければならぬでしょうし、あるいは排気ガスのことも考えなくちゃならぬだろうし、いろいろ考えなければならぬと私は思います。その一環の中でいわゆる人間尊重という立場で考えるならば、酸素、窒素という立場から考えてみましても、炭酸ガスという立場から考えてみましても、青いものというものは当然多く、植えられるところはできるだけ植えるべきだ。ことに私は、東京のいわゆるあいているところにどこでもいいから木を植えたい、こういう考え方まで、極端ですが、持っておるわけでございます。
  207. 有島重武

    有島委員 総額十九兆五千億円、こういうことになっておるようでありますが、大臣環境整備についてはこの中でどのくらいの予算をお考えですか。
  208. 菊池三男

    菊池政府委員 総額十九兆五千億の中の環境整備費に幾らかという御質問でありますけれども、実はまだ五カ年計画の細部の点が確定いたしておりません。現在作業中でございます。総額はきまりましたけれどもその内訳がきまっておりませんので、実はまだここではっきり申し上げかねます。それからもう一つ、環境対策費というものの考えが、どこまで環境対策として御質問に答えたらよいかわかりませんけれども、たとえばその中の騒音公害等も環境対策でございますし、いまこれは大臣も申されましたように緑をふやすというのも環境対策でございます。そのどの数字で申し上げたらよいかわかりませんが、たとえば緑の問題だけについて申し上げますと、今度の五カ年の総額といたしましては、五カ年計画の十九兆五千億の中に地方が単独でやる事業が入っておりまして、こういう道路は直接環境対策云々とは関係がないかと思いますので、それをはずしますと十四兆三千億であります。その中のそういう緑に対する事業が七百億くらいにはなるのじゃないかと思っておりますけれども、これも先ほど申しましたように正確なもとの数字がまだきまっておりませんので、もうしばらくして五カ年計画が閣議できまるとはっきりいたします。もう一、二カ月先になればはっきりすると思います。
  209. 有島重武

    有島委員 緑に関する部分だけ、おおむね七百億円と推定される、そういうお話でございますけれども、この環境整備の予算が大体総予算の中のどのくらいのパーセンテージを占めなければならないか、そういうことについて、従来はそれじゃどうであったか、このことについて少し承っておきましょうか。たとえば国道あるいは市町村道における街路樹の本数というのはキロ当たりどのぐらいであるか。街路樹に使用している木ですね、これは値段にして幾らぐらいになるか。
  210. 菊池三男

    菊池政府委員 たとえばいま直轄で管理しております国道の指定区間内六大都市について見ますと、たとえば四十八年度を例にとりますと、管理延長は約五百キロございます。そのうち歩道がある延長が延べで約八百キロございます。そこに街路樹として三万八千本ございますので、これはキロ当たりどのくらいになるか計算をいたしますと、そうするとキロ当たり三十本か四十本くらいになると思います。それでそれに対する管理費が七千万円という数字が出ております。それから一本植えるのに大体五万円くらいの見当だろうと思います。
  211. 有島重武

    有島委員 キロ当たり八本とおっしゃったですか。
  212. 菊池三男

    菊池政府委員 キロ当たり四十本でございます。
  213. 有島重武

    有島委員 局長に伺いますけれども、今度の第七次の五カ年計画におけるうたい文句からしまして、従来の国道とは非常にけた違いに緑をふやさなければならないということは当然でございます。それからグリーンベルトということもあります。従来の道路一キロあたりの緑の値段の占めるシェアといいますか、そのパーセンテージはどのくらいになっていますか。
  214. 菊池三男

    菊池政府委員 実はこの歩道におきます植樹につきましては、歩道の幅がある程度ございませんと植わらないわけでございます。先ほど申しました歩道の延長というものは、歩道の幅が一メートル五十あるいは二メートルという幅の歩道もある延長でございますので、そういうところに木を植えるということはたいへんむずかしいわけであります。したがって、キロ当たり何ぼということは、その幅の狭い道路がたくさんある限りはそのキロ当たりを事実上植えることができませんので、ちょっと数字の比較にならないかと存じます。ただ、先ほど私申し上げるのを忘れまして恐縮でございましたが、たとえば直轄の、歩道に街路樹を植える幅があってまだ植えてないところが若干ございます。それを数字を申し上げますと、たとえば三千五百キロぐらい街路樹を植える可能性のある幅の道路がございますが、そのうち現在二千七百キロ程度が木が植えてございます。まだ残りの八百キロは木が植わってございませんので、これは今度の第七次の五カ年計画では積極的に植えていきたい。それから、これは現在の歩道についてでございますけれども、先ほど、たとえば次の五カ年で植樹をするのに七百億かかると申し上げましたけれども、これは木を植えるだけの費用でございます。ところが実際に歩道の幅がある程度ないと植えられませんので、今後積極的に木を植えるとすれば歩道の幅も従来より相当広くとらなければならないと思います。そういうような幅を広げるのにもほんとうをいうと相当費用がかかるわけでございますが、直接費として七百億と申し上げたので、そういう歩道の幅を広げるものまで入れますとまたさらに大きくなりますし、それから私ども実は公害の対策あるいは環境対策ということをあわせ考えまして、非常に幅の広い道路あるいは主要交通道路住宅地を通る場合には、できるだけグリーンベルトをつくっていきたいというようなことも積極的に考えております。これはまだ実はいろいろ検討している最中でございますが、できるだけそういうものが前向きに積極的にできるようにということで進めております。そうなりますとまたこの緑に対する費用というものが相当大幅にかかると思います。
  215. 有島重武

    有島委員 いまの御説明では、七百億円というのは木を植えるだけの費用であって、これがさらに大幅になるということは想定される、そういうお答えであったように思います。——そちらはうなずいていらっしゃるから、そうです。  そこで、環境庁来ていらっしゃいますね。——交通公害と申しますか、排気ガス対策ですが、御存じのように、特に一酸化炭素というものはほとんどこれは自動車排気ガスから出るといわれております。現在走っているのは、この資料では昭和四十六年度で一千八百九十八万四千台、約二千万台というふうに報告されておりますが、これだけの車が走っておりましてこの排気の量が大体どのくらいになるのか。それからさらに、六十年度になりますとこれが四千二百五十万台、こう推定されておりますが、この時点になりますとその排気ガスというものは路面及び路面の付近にどのくらい充満するものであるか、これについて伺いたい。
  216. 山形操六

    ○山形(操)政府委員 ただいま先生の御質問の日本全体の総排気量の資料をいま持ってまいりませんでしてまことに申しわけございませんが、東京湾地区で大気汚染物質の発生源別の排出総量の計算をしたことがございます。そのデータを申し上げますと、一酸化炭素は昭和四十五年で九十四万三千トンでございます。それで五十年の予想データとして百八万二千トンになります。このデータしか持ってございませんので……。
  217. 有島重武

    有島委員 それは東京付近だけに限っているわけですね。
  218. 山形操六

    ○山形(操)政府委員 一都三県に限ったものでございます。
  219. 有島重武

    有島委員 一酸化炭素が土壌の中に住んでいるバクテリアによって吸収されていくという研究が、これは昔からあります。これが実用化されるかどうかということについて、いま京都市の衛生研究所、またその他の機関で明らかにされております。このことはもう御承知であろうと私は思うのです。こうした既存の国道が三万二千キロ、歩道が約一万キロある。それがいまのところはもうほとんどコンクリートでもって閉ざされておる。この道の中にグリーンベルトであるとか歩道であるとかいうように、可能な限り土化された面積をふやしていく、このことが非常に大切な問題になってこようかと思います。公害の問題は当然その発生源を制限し規制していくということが第一番です。一番だけれども、これを吸収することが必要です。すでに、私たちの試算によりますと、東京都でもって一年間約五十万トンの一酸化炭素が自動車から出ている。これは燃料からの逆算であります。風で飛ぶのもあるでしょう。東京国道、都道、おもな道にかりに大体一メートル幅のグリーンベルトをつけたといたしますね。そうするとこれは年間でもって一酸化炭素を再十万トンから始末できる。しかもこの土がしめってまいりますとさらにその効果が倍加するという報告が出ております。これは知っていていただきたいことでありますし、もし御存じなければこれは大いに研究しなければならない問題じゃないかと思います。特にこれから二十兆かけてやるわけでありますから、これが大きな効果を持ち縛るということ、これは十分考慮に入れていただかなければならないのじゃないかと思います。  それから、さっき環境庁でもってまだ調査が中途はんぱなデータしかないとおっしゃったけれども、お帰りになったならば、全部あるとすれば、これは当然第七次五カ年計画に付随して、こうした自動車がこれだけふえればこれだけの排気ガスが出る、これはどう始末しなければいけないか、そういうようなことはぜひとも考慮に入れていただきたい。環境庁のほうもよろしゅうございますね。それから建設省のほうでも当然そのようにしていただきたいと思うわけであります。こういったことをもし考えないでやったとしたらこれはたいへんなことだと実は心配していたのですけれども、いまやってくださるというお返事だから……。
  220. 金丸信

    金丸国務大臣 私はその学説は初めて聞きまして、非常に貴重な意見だと思います。いま道路局長と話したのですが、十分研究いたしたいと思います。
  221. 有島重武

    有島委員 それから次に、あまり時間がありませんから大臣に、街路樹及び芝生を込めて、コケも入れて、全部込めて緑というもの、緑の効果というものについて、大臣は先ほどもちょっと申されまして、私は釈迦に説法じゃないかと思いますけれども、いままでは山なんかの地くずれを防ぐという効果がございましたですね。それから水を保つという効果があった。これは都会に持ってきてもやはり水を保つ童は、一本の木にして大体四トンから五トンくらい根に水を保つわけです。木があるとないとではいろんなことが、まず保温が違ってくる。夏は涼しく冬はあったかいということがございます。それから空気の乾燥度合いが全く変わってくるわけであります。それから火事のときに街路樹のあるところは逃げやすい。全くないところは、コンクリートでもってきっちりなった道というのは火が横に走るのですね。これは防災上きわめて重要な意味を持つわけなんです。  あるいは、樹木が排気ガスでもって枯れるというような説がございますけれども、これについても種々の実験がいま重ねられておりますが、排気ガスを相当多量にやらないと木は枯れないということがわかった。確かに影響はこうむるけれども、木が枯れていくのは根に水がないからであります。これはきわめて単純なことなんですね。いま都会の中の木はほとんど根に水がいかない方式になっておりますね。高いところに植えてありますね。狭いところに、ますの中に植えてありますね。あれは昔、日本の国は雨が多くて、雨が降ったらば早くその水を始末して、湿地帯にならぬようにしなければならない、そういう要請に従って道路構造、下水の構造ができていたわけです。昔の人たちは、いまこんなにコンクリート、アスファルトにおおわれてしまうということはだれ一人考えていなかったはずです。そのときの道路構造令がいまやはりまかり通っておるわけです。ですから下水がはんらんする。どんなに下水の直径をふやしても、コンクリートで遮蔽された面が多くなりますから、緑のないところが多くなりますから、それに従って下水はどんどんはんらんする。この下水そのものを、チューブを大きくするなんということはどえらい金がかかるわけでしょう。最初に申しました根の保水作用、こうしたことを特に都市計画の中に取り入れていかなければならない。そういうことを私は別な委員会でもつてやったことがあるのですけれども大臣もそんなこと御承知かと思います。  それからもう一つ、葉っぱを調べてみますと重金属を非常に吸っておる。普通、交差点なんかで鉛のPPMが五くらいあるということなんです。これは相当ひどいことなのでございますけれども、そこの木を調べてみますと二百から四百あるいは千というディメンションでもって吸っておるということが明らかにされております。木がないところというのは人間が吸うわけですね。木があるところは木が吸っていてくれるわけです、木は葉っぱを落とすわけですから。さんざん吸って落っぱを落とす。そういうような操作はわれわれはあまり知らなかった。鉄の粉に至っては一枚の葉っぱが何万PPMというものを吸っております。そういったことも、よく知っていらっしゃる  ことならいいのですけれども、もし万が一知らなかったら御研究いただきたいわけです。  それからもう一つは、有害ガスをどんどん吸収するわけです。さっき、酸素を出してくれる、それから炭酸ガスを吸ってくれるというお話がございました。そのほかに有害ガスをやっぱり吸収しておるのですね。吸収してまいってしまうということもあるけれども、まいるのは水が足りないからまいる、そのことが明らかになってきたわけです。それからもう一つ、ドライバーの人たちに聞きますと、街路樹のたくさんあるところに行くと非常に気分がなごやかになるというのですね。これも、こういった気分が鎮静する、視覚的に何か非常にいい感じがするというのは、本来われわれの生理作用に緑というものが非常にいい効果を持っているがゆえに、おそらく神経も視覚もそのように働くのであろう。  私はしろうとながら思いますけれども、こうした緑の効用ということについてよく御認識の上に、いま七百億が最低であると伺いましたけれども、少なくとも二十兆のうちの二兆円まで、一〇%くらいは思い切ってこの予算をつけるべきではないか。これが新しい日本の国土づくりのきめ手になっていくのではないか、そのように思うわけであります。では大臣から一言伺っておきましょう。
  222. 金丸信

    金丸国務大臣 貴重な意見を承りまして非常に感銘をいたしたわけでございますが、非常に示唆に富んだお話で、十分研究して、その研究の結果必要ということが十分わかるということになりますれば、予算の問題についてもひとつよく考えてみたい、こう思います。
  223. 有島重武

    有島委員 林野庁に対して……。緑化の問題、分けて考えますと、都市の緑化ということと、それから市外地の山、農村、その緑化ということと、二つに分けられるかと思うのですね。都市の緑化につきましては積極的に、都市公園を増設する、完備する、あるいは学校の緑化を進めるとか、あるいは道路の緑化をする、工場の緑化をやる、そういったことになります。もう一つ、都市緑化の中で消極的なものといえば、いままであるものを枯れないようにする、そういったことになると思うのです。それから市外地区についてはおもに用材の確保といいますか、植林ですか、そういったことが大ざっぱにいって緑化の中の問題になろうかと思うのです。  ここでお伺いしたいことは、これからたいへんな緑化ブームが起こるであろう。一兆円の緑化産業が起こるであろうなんということがいわれているわけです。そこで、いま国道の緑化の問題が出ておりますけれども、この街路樹などの需給のバランスがどうなっておりますか。供給できる体制が整っているかどうか。国道の緑化に対してどのくらい要るのか。それは確保できるのかというようなことを協議なさっているか、まだいらっしゃらないか。その辺のことをお聞きしておきたい。
  224. 松形祐堯

    松形説明員 お答申し上げます。  ただいま先生の御指摘がございましたように、都市緑化の部分と、私ども二十数万ヘクタールずつ山に植林いたしておりますが、この二つに分類できるかと思います。したがって、ただいま道路等についての緑化需要につきましてのお話かと思います。この生産体系につきましては、全国的に現在たいへんブームを呼んでおります。しかしながらきわめて零細な方々の生産体系がようやく緒についたというような段階でございまして、私どもこれから積極的な生産の指導ということに取りかかる段階でございます。しかし、この爆発的な緑の需要に対しましては、建設省と十分連絡をとりながら、需要に対応しました生産指導ということを心がけてまいるように現在検討いたしておるところでございます。
  225. 有島重武

    有島委員 重ねて聞きますけれども、最近の樹木の価格の暴騰はどのくらいになっているか、キャッチしていらっしゃいますね。
  226. 松形祐堯

    松形説明員 お答え申し上げます。  この価格の暴騰の度合いとか、どの樹種が、あるいはどういう高さのものが、あるいはどういう直径のものがというような市況につきまして、私ども十分詳細は承知いたしておりません。需要に対して生産が非常に追いつかない関係から暴騰しているという事実は承知いたしております。
  227. 有島重武

    有島委員 いま国道の話をしておりますが、さっき建設省局長さんのお話だと、植えるのに一本大体五万円するだろうと言っているのです。そういうような話が出ているのですよ。それから東京都なんかでも、いままでも大体一万五千円から二万円ぐらいのものを植えているわけです。これは林野庁なんかから考えたらびっくりするようなことだと思うのです。ですから、国道の緑化をすることだけについても、ただ業者まかせにしておくか、あるいは林野庁が一つの構想を立てて確保して、そうしてその値段がつり上がらないようにするか、この辺のところが大きな問題になる。同じお金でもってたくさん植えられるか。やろうと思いますけれども金が足りませんなんということを建設大臣に言わせてはならないと私は思うわけです。その辺はどうですか。
  228. 松形祐堯

    松形説明員 お答え申し上げます。  ただいまお話がございましたように、緑化樹木の生産につきましてたいへん長い期間、最低七、八年は要するわけでございます。したがって、私ども山引きと称しておりますけれども、現在山に立っておる適当なる樹木を根回し等いたしまして、大体三カ年ぐらいたちまして緑化樹として利用するべく準備をいたしております。  なお、先ほど申し上げましたように、需要と生産とがきわめてアンバラになっているから値段が商いのだろうというふうに私ども理解いたしておりまして、その生産に対しましては現在計画的な生産を指導する必要もございますし、あるいは緑化樹の流通とかそれの流通面の合理化というふうなことがたいへん必要と思っております。したがって、生産情報、需要情報等を収集分析し、あるいはそれらの技術的な指導をするために、四十八年度、大蔵等の理解を得まして、日本緑化センターというものをつくるべく準備いたしております。予算といたしましては二億政府が出すことになっておりまして、現在この発足につきましては建設省と一緒になりましてこの設立準備を進めておる段階でございます。なお国有林等につきましては、直接山で生産いたします関係から、四十八年度は五億円程度の予算で五十三万本程度を生産する予定でございます。
  229. 有島重武

    有島委員 私実際山で聞いてきたのですけれども、従来林野庁でやっていらっしゃるのは、都市緑化ということについては意識があまりなかったらしいということです。それで最近になりまして庁の職員さんを山に連れていって、これは公害に強い木だとか、これは街路樹にも使える木だとかいって、それこそ、いまおっしゃったように何かチェックして係員に認識させたり、サンプルとして持ち帰ったり、その程度のことであったらしい。私の知る限り、国土緑化、その中の重要部分である都市緑化、特にこうした道路の植樹ということについて、いままではほとんどゼロに近かったのじゃないかと思われてもしかたがない程度であったらしい。今度日本緑化センターというものができたそうで、建設省ともよく関連を持っておるということでございますけれども建設省でもそうですか。
  230. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 都市緑化センターの設置につきましては、林野庁とかねてから打ち合わせを進めているところでございます。
  231. 有島重武

    有島委員 重ねて申しますけれども、いま国道のことだけでなしに各方面で緑化がたくさん行なわれていると思います。値段がつり上がらないようにということを特に厳重に申し上げておきたい。  それから、大蔵省の方来ていらっしゃはますか。——いままで経過を聞いていらっしゃって、予算編成の段階で、第七次道路整備五カ年計画、この五カ年計画環境整備に重点を置いた計画であるという触れ込みであったわけです。それで約二十兆円の予算が計上された、こうなっておる。いま聞いておりますとその中身は何にもきまっておらぬ。そういうような状態で大蔵省というのは二十兆円ものお金をぽんと出すのですかね。これはごまかされて出しちゃったと言っちゃ悪いけれども、大蔵省の方針はそれでよいのですか。
  232. 藤仲貞一

    藤仲説明員 お答えいたします。  第七次道路整備五カ年計画の策定につきましては、これは今度の新経済計画、経済社会基本計画におきます公共投資の配分、その一環として一応十九兆五千億円という総ワクを決定された次第でございまして、これは今後五年間に実施すべき投資の額をきめたわけでございます。五カ年計画の場合は、毎回同じでございますけれども、その具体的な内訳につきましては、先ほど建設省道路局長からお答え申し上げましたとおり、詳細な内容は現在建設省のほうで御検討中でございまして、私ども協議を受けまして、その具体的な内容を今後決定してまいる、そのような運びに相なっております。
  233. 有島重武

    有島委員 ここにおられます渡辺理事がかつて文部省の政務次官でいらっしゃったときに、私、文部省の関係で緑化の問題を取り上げました。それで、政務次官のお計らいによったのだと思うのでございますけれども学園緑化に二億円の予算がついたわけなんです。なかなかそれはたいへんなことであったわけです。わずか二億円、予算というとこれはたいへんなことになるのですね。大きなワクになりますとまかり通ってしまって、その内容が趣旨に沿っているか沿ってないのかということはあと回しになってしまう。これはいかがかと思ったものですから私は質問いたしました。なお、いまずっと緑化の話になりましたけれども学園緑化などのことについても、先ほどからお話を聞いていらっしゃいまして、重要なことでございまして、まだ二億円というか、ほんとにスズメの涙みたいなものだということを大蔵省のほうに御認識いただきたいわけなんです。ひとつそのほうもがんばっていただきたい。係は学校のほうと建設省のほうと違いましょうけれども関連があることだと思いますので一言だけ申し上げたい。
  234. 藤仲貞一

    藤仲説明員 いま先生から御指摘ありましたように、私の所管外のことも含んでございますのでその限りの答弁はごかんべんいただきまして、第七次道路整備五カ年計画の具体的な内容をきめるにあたりましては、先般来いろいろ御議論のありました点につきましては建設省道路局ないしは都市局とも十分御相談いたしまして、極力御趣旨に沿うように努力したいと思います。
  235. 有島重武

    有島委員 もう時間もなくなったようですから、日本住宅公団事業計画の中で環境対策費、特に緑化の予算がどのくらいになっているか、このことを伺っておきましょう。
  236. 服部安司

    服部委員長 有島さん、住宅公団は呼んでおらないです。
  237. 有島重武

    有島委員 それじゃ時間もないですからこれは宿題にさしていただきましょう。大体その緑化の科目すらあまり明確になっていないという状態であるようです。公団住宅が建って、そのまわりの地価が暴騰するわけですよ。それでなかなか自分の土地も買えない。そういったような状態になっています。それから、都市環境の中でもって食いものや着物は困らないけれども、健康がむしばまれているわけですね。まわりにやっぱり広場がほしいということです。住宅公団にせめて事業費の中でもって緑化の位置づけをしっかりやっていただくということが、いまの道路と同じように非常に重要なことであろう、このことを御提案したかったわけでございますが、それは委員長のほうからお計らいいただくようにいたしまして、私の質問をこれで終わります。大臣から一言……。
  238. 金丸信

    金丸国務大臣 住宅局長から答弁すべきでありますが、きょう住宅局長がおりませんので……。緑化の問題につきまして、道路ばかりでなく、住宅も十分関係のあることでございます。殺風景な住宅環境ではいかぬと思います。そういう意味で、ひとつその問題について鋭意努力いたします。緑化することに最善の努力をいたします。
  239. 服部安司

    服部委員長 次回は、来たる九日金曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。    午後六時十六分散会