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渡辺(惣)
委員 討議の資料としてつくったものが社会的に流されるということはしばしばあり得ると思いますが、そのことがどういう
ような社会的影響、打撃、波紋を描いておるかということをひとつ配慮しなければならぬと思うのですよ。
都市を中心とした
土地問題、地価対策の問題が数日来論議されておりますが、こういう文書が出れば出た先からすぐ地価が上がっていくわけなんですね。どこか固定の
場所とか地方を指定されると直ちに地価が値上がりをする。それは、値上がりする根拠は、そういう
一つのコンビナートに参加しておりますデベロッパー、いわゆる三井、三菱、住友その他の大企業がすでに
開発業者として参加をしてきておりますから、そういう人たちがもうここ十年来、
公共企業体と一緒になって第三セクターをつくったり何かして不動産業に合法的に介入することの利権を獲得して、手口がわかったから今度は先制攻撃でどんどん
先買いをしておるのです。これは町の小さな不動産業者などを取り締まることも大事ですが、根本は、国の政策に癒着して、国の政策を先取りする大不動産業者が日本全土を荒らしておるのですよ。その全土を荒らしておるのは、たとえば最近の傾向を見ますと——これは国税庁が去年の七月一日現在で発表しました。ごらんになっていらっしゃると思いますが、首都を中心にして全国四十七カ所を指定して、相続税や贈与税の基準をつくるために一年間に何%地価が上がったかという
調査をしておりますが、これを見ますと、二〇%以上上がったのが十六、二五%以上上がったのが十、二〇%以下が二十、たとえば
東京、
神奈川県における
横浜市等だけです。この表を見て、時間がありませんからこまかな
都市の名前を言うのは避けたいと思いますが、
都市における値上がりは限界にきておる。たとえば
横浜の場合を見ると二〇%以下に属するのですが、名古屋も二〇%以下、
千葉も札幌も二〇%以下のランクに入っておるのですね。これはもうすでにそういう
都市はこれ以上伸びられなくなって、たとえば
川崎だとか鎌倉とかその他のわきの
土地がどんどん倍率が高まっていっておるという
状況で、このことだけでは地価の評定が出ないと思うのですね。地方
都市とか地方の町村、農村段階に値上がりがどんどん進行してきておる。こういう
状況はどこから発生しておるのかというと、それはみなこの
政府の
関係の流しておるものが地価値上がり奨励運動をやってくれておるのですね。皆さんのほうがぼんぼん文書を出したり、無
責任に放言したりするために。値上がりの元祖は田中角榮になるわけですよ。日本列島改造
計画そのものが
土地の値上がりを誘発し、激発し、爆発させている。元祖は内閣総理
大臣の田中角榮である。
建設大臣がその二番目である。——これはよけいなことでありますが……。先ほどから
都市における
土地問題あるいは
線引きの問題等を盛んに議論されておりましたが、田中角榮氏の日本列島改造
計画をまつまでもなく、おそらく下河辺さんも同じ
意見ではないかと思うのですが、ここに指摘しております彼の説によれば、現在、
昭和四十五年の日本国土における工場ができておる工業
地域は十二万ヘクタールだ、こう書いてありますね。しかし、六十年を目途として生産が四倍にふくれ上がっていく場合、推定されるべき日本国土の工業
地域は二十八万ヘクタールになる、こういう想定を立てていますね。これは
都市でないのですよ。特に工場、工業
地域にそれだけの
土地が必要だという、ばく大な
土地が指摘されているわけです。現在十二万ヘクタール、十二年後にはこれが二十八万ヘクタールということになりますと、一体その主体になるのはどこだ。あなた方が発表しておりますのを見ますと、たとえば大規模工業基地、コンビナートなどは、私の近くの苫小牧東部
開発というのはこれはいまのところ全国随一ですね。これは一万二千ヘクタール。
東京都の環状線を新宿から上野から
東京駅から品川を回って、環状線の中の
土地の一・七倍に相当する
土地を一挙にいま造成しておるわけであります。青森のむつ小川原は八千ヘクタール、鹿島臨海工業
開発は三千三百ヘクタール、志布志は三千ヘクタール。それから秋田湾、周防灘というのが大規模工業団地に名前をあげておりますね。筑波学園のごときでさえ五千二百ヘクタール。そのほかに中規模団地として千ヘクタールから千五百ヘクタールのものがずっと十幾つ並んでおります。これは皆さんの文書の中から拾った分だけでもそうなのですからね。そうすると、そのたびにこういう地帯がどんどん地価が上がっていく、先がけて上げていくということになるのですが、一体この
土地問題、地価問題——いま
都市問題だけを論議して、多く
都市を中心にして論じますが、この
ような大規模工業団地、コンビナートが
土地問題に対してどういう影響を及ぼしているのか、いまどういう地位にあるのか、条件にあるのかということについて
大臣の答弁をわずらわしたいと思います。これは通産
大臣の所管かもしらぬが、
土地問題を含めてひとつお答えを願いたいと思います。