○高橋(弘)
政府委員 御
提案の二点につきまして、私ども非常に示唆に富む御
提案でございました。実はいろいろ
検討いたしておるわけでございます。
第一点の公的
機関を通じて行なう。この前視は、御質問にもございましたように、一般の土地の売買をすべて禁止する。これも一時的でなしに長期間にわたって禁止するということが前提であろうと存じます。そういうような前提で公的
機関がこれを全部買い受け、土地を必要とする者に対してこれを売り渡すということは、おっしゃるとおり、投機的な取引だとか、それから不要不急の取引をなくすという
意味においては
一つの御
提案だと思います。しかしながら一方におきまして、そういうことをしますと一般の
民間の土地取引が全くなくなって——たとえば
土地取得公団というようなものをつくって、そこの公団で土地を取得するということになりますが、一般の
民間の土地の所有者は、これを売るという、そういう意識、意欲が非常に希薄になるということになりまして、公的主体が土地を取得するということが案外非常にむずかしくなるんじゃないか、手放すのをいやがるのじゃないかという点でございます。それからもう一点は、需要者というのは、これは
国民生活上また
経済活動上非常に必要になってきまずから、この多量な需要者に対しまして供給しなければならない。いままで
民間取引なりあるいは
民間の
機関を通じまして供給できたものが、公的で一本の
機関でこれをするということになりますから、いわゆる
民間のそういうものの肩がわりを公的にすべてしなければならない。これが全部需要を満たすようなことをするには相当な膨大な組織、また資金量が必要だろうと思います。御承知のように、現在土地の売買件数、登記件数から見ますと、
全国的には三百万件、それから一都三県、
東京圏だけでも大体五十万件といわれております。こういうものに対しまして、すべてこういう方式でうまくできるだろうかどうかという点、その他慎重に
検討いたしてまいりたいわけでございます。当面は、公的な
機関でそういう必要な土地を多量に
計画的に造成しまして、需要者にこれを供給するということと同時に、先ほどから
大臣が答弁されましたような、土地の投機抑制のための、たとえば土地税制の改善とか、土地の取引についての規制の強化というようなものをいたしまして、先生の御趣旨のような目的を達したいというふうに考えておりますけれども、なお慎重に
検討してまいりたいと考えております。
それから第二点のレンタル方式でございます。これもよく従来からも
提案された
一つの
考え方でございます。先ほどの御質問の中にも、公共事業の用地についてこういう方式をというお話がございました。公共事業の中でも、御承知の道路だとか何かの用地と、
住宅用地と、いろいろございます。道路みたいなああいう恒久
施設のようなものにつきましては、賃貸方式はちょっとなじみにくい。もう
一つは、道路というようなものは線的な用地取得でございますから、比較的なじみにくいわけでございます。しかし、
住宅団地みたいなものにつきましては、確かにそういうことも考えられます。しかし、これを公的にレンタルをしまして分譲するということになりますと、公的には賃貸して、あとを分譲するということになりますと、これまたおかしな
かっこうでございますので、そういう場合におきましては、おそらく賃貸
住宅みたいなものでしたら成り立つのじゃないかというふうに考えられます。こういう方式は、確かに、土地を手放す、そういう気持ちのない大
都市周辺におきましては
一つの方法だろうと思いますけれども、この問題につきましては、いろいろ御指摘のありましたように、その賃貸料をどうするか、それからそれを一度きめたら固定するというんでは、これはどうも土地の所有者が困るわけでございますから、御説のようにスライド制だとか、いろいろこの賃貸料を上げていく。また同時に、現在の取引の慣習でございますような権利金を一時的に相当多く出す必要があります。
東京の周辺などにおきましては、御承知のように高いところは八割——たとえば那須のブリヂストンが、こういう方式で工場団地をつくったということでよくあげられますけれども、あれでも六割くらい権利金を払っておるわけでございまして、相当な金額が必要になってきます。一方ではスライドしてどんどんある程度賃貸料を上げていく。また一時的に権利金を相当の額を払わなければならないというようなことも慎重に
検討していかなければいけないわけでございます。それからもう
一つ、そういう賃貸方式をしますと、そういうスライドして賃貸料を上げていく。それの財源は結局は家賃にはね返る
かっこうにしないと採算上は困るわけでございまして、そういう家賃体系との関連もあろうかと思います。したがって、そういうようなことを十分に考えながら前向きでこれも
検討してみたいということで、土地対策要綱の中におきましても、御承知のように農地所有者が農協にこれをレンタルしまして、農協が主体になって土地造成を行なうというようなことにつきましては、これは農協法の
改正をしてやろうということでございますし、前向きで
検討してまいりたいというふうに考えております。