○庄司
委員 これは私、非常に大事な問題だと思って、これは約一六〇ページありますが、これを読んで全部抜き書きしてきたのです。これを見ますと、
日本の
経済界が
韓国の
経済の
計画まで立案してやっている、こういう点が非常に明確なんですね。これは御
承知でないならいまちょっと紹介しますけれども、これはことしの二月二十六日に東洋エンジニアリングから
韓国政府の重化学工業開発
委員会あてに送られた
調査報告書なのです。これは送り状を見ますと、
韓国の商工省と
建設省の官僚を含んだエンジニアリングのチームによって
調査されたものだ。この中身ですが、
目的がきのうも申し上げた一九八一年までのいわゆる重化学工業化の
計画、これをやるための業種の選定、それから業種に対応した適切な工業立地点の
調査、検討、それから各立候補地区、これはいろいろありますけれども、立候補地区を各業種の性格から見て判断をしていく、こういう
調査を
日本の一私
企業がやっているのですね。作業の内容としては
韓国政府関係者との育成業種及び工業立地の基本方向に関する討議、検討、あるいは候補地区中の四地区に対する
政府関係者との合同
調査、各候補地区における概算投資の規模の推定、どれぐらいかかるか、それから、各候補地区における工業立地
計画及び開発業種に関し、必要な結論、建議の問題点を作成するのだ、こういつております。
そこで、
調査が行なわれた地区は、かつては東洋エンジニアリングが麗水地区と温山地区を
調査をやった、ここに書いてあります。今度は二回目だ。この
調査によりますと、麗水地区と昌原地区と温山地区とそれから群山・庇仁地区、この四カ所
調査したのだ、この四カ所についてそれぞれ鉄工業であるとか、石油化学工業とか、石油精製あるいは非鉄金属、機械金属、こういったものを
調査を非常にこまかくやっておるわけです。その場合どれぐらいの水が必要か、電力が必要か、あるいは従業員が何名ぐらい必要か、あるいは港湾はどれぐらいの規模のものが必要か、こういうものが精細に出ているわけです。合計しますと水だけでも一日二百三万トン以上だ、電力は百七十五万キロワット以上だ、従業員は約七万人だ、用地は千二百二十万坪である。その他港湾ですね。こういうものが出ております。それで、麗水地区にあっては用地造成と港湾
建設と道路、鉄道、つまり、産業基盤の問題は
韓国政府が投資をする、このプラントは、これは
日本とは書いてありませんが、おそらくこれは
日本、こうなってきますが、約二兆円ですね、麗水地区だけでも設備投資される。それから昌原地区については、これは用地や道路だけは
韓国でやって、
あとはフリーゾーンにして
日本の
企業がやってくる。
日本とは書いてありません。それから三番目の温山地区については、これは石油精製、非鉄金属、パルプ、基礎化学、そうやって重化学輸出自由地域にするのだ。この
韓国政府の産業基盤投資は三千七百四十五ウォンである。それに外国のプラントが二千七百八億円、それから群山・庇仁については、産業基盤については四百三十億ウォン、合計しますと、いわゆる産業基盤の整備に六千二百九十九億ウォン、
日本円に直しますと、これはレートもいろいろ違いますが、約四千五百億円ぐらいです。それからプラントについては二兆一千億円をこえる、こういう
調査をやって、
韓国政府にこの
報告書を送っているわけです。
この
報告書がことしの二月に送られたわけですが、これについて最近こういう週刊誌の記事があるのですね。これは七月十三日付の週刊朝日ですが、「
韓国は本年度から新たな工業化
計画をスタートさせ、
向こう十カ年間に総額五百億ドルの巨大投資を行う。この工業化
計画の中心となるビッグ
プロジェクトについて、
韓国政府はそのコンサルティングを
わが国の東洋エンジニアリングに依頼しているが、大手商社をはじめ各社はそのリポート内容を知ろうとして暗躍中とか」こういうふうに書いてあります。
それからもう
一つは、私の得た話によりますと、
日本鋼管や石川島播磨重工あるいは信越化学、小野田セメント、こういった
企業はもう
調査団を派遣している、こういう話も聞いているわけです。こうやって、先ほど申し上げたいわゆる産業基盤の港湾であるとか用水であるとか道路、鉄道、これは
韓国持ちでやる。これは当然、私は、いずれ
政府に対する借款の問題として提出されてくるんじゃないか、こう思っているわけですが、これだけじゃなくて、こういった四地区に対して膨大な設備投資をしていく、二兆円、これはほとんど
日本の商社なり
企業なりが
進出していく、これを前提にしているのじゃないかと思うのですね。わざわざ円建てで評価をしているわけです。これは
通産大臣知らないでいる間か、あるいは知って知らぬふりなすっているわけか、そこまで失礼なことは言いませんけれども、そういう、
通産大臣が知らないでいる間に、こういうことがどんどん進行しているとすれば、
政府の対
韓援助が、やはり先ほど来論議があるいわゆる
韓国経済を、
日本の
企業活動に隷属されていく方向が、これは好むと好まざるとにかかわらず進行していくであろうし、また進行しつつある現状なんだ、こういうふうに思うのです。この点が私はきのうも御質問申し上げて、これは
通産大臣もお気にさわったらしいのですが、ほんとうに
日本の
経済が、
企業が、もう
韓国経済の中にどっぷり首までつかっている、こうして抜き差しならない。
金大中事件で、もし
韓国政府のごきげんをそこねて、げきりんに触れて、何かあればほんとうにこういう問題がたいへんな問題になる。これは
企業が相当心配するだろうと思うのですよ。こういった
企業先行型で、ちょうど満州事変を起こしていった、「戦争と人間に」に出てくる伍代財閥のようなかっこうで、あのいわゆる軍と、あの場合は
企業が一体となってずっと侵略を進めたわけですが、今度はよもや軍事侵略はないだろうと思いますけれども、やはり
経済侵略が進んでいる。これは南
朝鮮の人民がはだ身で感じている問題であろうと思うのですよ。だからそういう点で、私はこの東洋エンジニアリングの
調査報告書、こういうことがいまやられているという問題を
通産大臣どのように御認識なすっているのか、これをひとつ聞かしてもらいたいと思うのです。