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1973-09-20 第71回国会 衆議院 決算委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年九月二十日(木曜日)    午後二時三十二分開議  出席委員    委員長 宇都宮徳馬君    理事 木野 晴夫君 理事 松岡 松平君    理事 森下 元晴君 理事 綿貫 民輔君    理事 久保田鶴松君 理事 原   茂君    理事 庄司 幸助君       臼井 莊一君    菅野和太郎君       小泉純一郎君    阿部 助哉君       稲葉 誠一君    佐藤 観樹君       楢崎弥之助君    松浦 利尚君       浅井 美幸君    坂井 弘一君       受田 新吉君  出席国務大臣         農 林 大 臣 櫻内 義雄君         通商産業大臣  中曽根康弘君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      小坂善太郎君  出席政府委員         警察庁警備局長 山本 鎮彦君         経済企画庁調整         局長      青木 慎三君         外務政務次官  水野  清君         外務省経済協力         局長      御巫 清尚君         農林大臣官房経         理課長     石田貞二郎君         農林省農林経済         局長      内村 良英君         食糧庁長官   中野 和仁君         通商産業省通商         政策局長    和田 敏信君  委員外出席者         会計検査院事務         総局第一局長  高橋 保司君         日本輸出入銀行         副総裁     前川 春雄君         参  考  人         (海外技術協力         事業団理事長) 田付 景一君         参  考  人         (海外経済協力         基金総裁)   大来佐武郎君         参  考  人         (海外経済協力         基金理事)   廣瀬 駿二君         参  考  人         (海外経済協力         基金業務第一部         長)      真崎 兼五君         決算委員会調査         室長      東   哲君     ――――――――――――― 委員の異動 九月二十日  辞任         補欠選任   石田 博英君     臼井 莊一君   田村  元君     小泉純一郎君   阿部 助哉君     松浦 利尚君   佐藤 観樹君     八木  昇君   高田 富之君     楢崎弥之助君   池田 禎治君     受田 新吉君 同日  辞任         補欠選任   臼井 莊一君     石田 博英君   小泉純一郎君     田村  元君   楢崎弥之助君     高田 富之君   松浦 利尚君     芳賀  貢君   受田 新吉君     池田 禎治君 同日  理事芳賀貢君同月十九日委員辞任につき、その補欠  として原茂君が理事に当選した。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  参考人出頭要求に関する件  閉会中審査に関する件  昭和四十六年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十六年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十六年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十六年度政府関係機関決算書  昭和四十六年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和四十六年度国有財産無償貸付状況計算書  〔総理府所管経済企画庁)、法務省所管、外  務省所管大蔵省所管農林省所管通商産業  省所管〕      ――――◇―――――
  2. 宇都宮徳馬

    宇都宮委員長 これより会議を開きます。  この際おはかりいたします。  理事芳賀貢君が委員辞任されましたので、理事が一名欠員になっております。  これよりその補欠選任を行ないたいと存じますが、これは先例によりまして委員長において指名することに御異議ございませんか。   〔「異議なしと呼ぶ者あり〕
  3. 宇都宮徳馬

    宇都宮委員長 御異議なしと認めます。よって、原茂君を理事に指名いたします。     ―――――――――――――
  4. 宇都宮徳馬

    宇都宮委員長 昭和四十六年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は総理府所管経済企画庁文部省所管外務省所管大蔵省所管農林省所管及び通商産業省所管について審査を行ないます。  この際おはかりいたします。  本件審査のため、本日参考人として海外技術協力事業団理事長田付景一君の御出席を願い、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 宇都宮徳馬

    宇都宮委員長 御異議なしと認め、さように決しました。  なお、昨日に引き続き参考人として海外経済協力基金総裁大来武郎君、理事廣瀬駿二君、業務第一部長真崎兼五君が出席いたしております。  また、参考人からの意見聴取は、委員質疑により行ないたいと存じますので、さよう御了承願います。  質疑の申し出がございますので、順次これを許します。臼井荘一君。
  6. 臼井莊一

    臼井委員 きわめて時間が短時間でございますので、簡単にお答えいただければけっこうでございます。  昨日も同僚委員から、海外経済協力あり方について御質問があったようでありますが、私もこの点について一、二の点について伺いたいと思います。  ひとり韓国に対する経済協力ばかりでなく、各国に対する経済協力について共通する問題ですが、有償、無償いろいろな形態がございましょうけれども、経済協力をして結果がどうであったか。あるいはまたその中間においても、たとえば資金を出した場合において、それがどういうふうに使われたか。どの程度使われたかというようなことについてフォローする必要があるし、またチェックできるかどうか、その辺はむずかしいでございましょうが、そういうフォローのしかたを従来どういうふうに、どちらでやっておられましたか。その点について伺いたいと思います。
  7. 御巫清尚

    ○御巫政府委員 お答え申し上げます。  御指摘のとおり、海外経済協力を実施いたしまして、それがはたして計画のとおり効果を生んでおるかどうか、これをチェックいたしますことは、その国の経済発展わが国経済協力が役立っておるかどうか、また今後どういう点に気をつけていけばいいかというような種々の問題を解明するのにきわめて有効であるということでございまして、たしか昭和四十三年からであったと思いますが、インドネシアにいわゆる効果測定調査団というものを派遣することを始めまして、その後毎年、大体二つぐらいの国に対しまして五、六名からなるそういった効果測定調査団を派遣するという方法をまずとっておりますことを申し上げます。  そのほか、それぞれの場合におきましてわが国のいろいろな段階におけるチェックが行なわれておりまして、それぞれ目的のとおりに品物が渡っておるであろうかどうであろうかという点につきましては、各段階チェックがいろいろと行なわれておる次第でございます。
  8. 臼井莊一

    臼井委員 そのフォローアップについて調査団がおいでになるという話でございますが、それはどの程度の権限を持ち、またそれに政府関係の者はもちろん入っていると思いますけれども、その点は、たとえば日本国内において会計検査院が検査するようなふうにいたすものであるか。大体向こうの説明を聞いてそれでよろしいのであるか。その辺はどの程度やっておられましょうか。
  9. 宇都宮徳馬

    宇都宮委員長 簡単に、核心だけ願います。
  10. 御巫清尚

    ○御巫政府委員 わが国内のことではございませんので、相手国政府の一々の協力を要するわけでございますが、できる限り現場におもむきまして、たとえば工場である場合には、その工場そのものの隅々まで調査をして、これが効果があがっているかどうかを調べる、そういうような方法によっております。  派遣をいたしますのは政府でございますが、団長には大体経済問題に詳しい方をお願いし、その下に海外経済協力基金であるとか輸銀であるとか、また政府関係者も入りまして団を構成する、こういうふうにいたしております。
  11. 臼井莊一

    臼井委員 昨日、韓国に対する経済協力に関する資料をいただいたのでありますが、韓国に対する経済協力につきましても同様の調査をしたものと考えますが、どのくらいの程度、何回ぐらいおやりになりましたか。
  12. 御巫清尚

    ○御巫政府委員 韓国につきましては、過去に一回この種の調査団を派遣しております。これが一九六九年八月でございまして、当方から出版いたしております「日韓経済協力韓国経済産業視察団報告書」と題する報告書がすでに公刊されておりまして、これの団長原覺天氏、その下に外務省大蔵省、通産省、輸銀基金、それからアジア経済研究所の者が団員として参加しております。
  13. 臼井莊一

    臼井委員 何ぶんにも、事外国の問題でもありますから非常にやりにくい点はあろうかと存じますが、これは御承知のようにやはり国民の血税をもってあがなうものでございますから、その辺はよほど、ひとり日本ばかりでなく、援助を受けられる国民の納得のいくような方法で厳重にやっていただきたいということを私は希望するものであります。  なぜ私がそういうことを申しますかというと、またそのあり方ですが、援助方法についてもよほど検討する必要があろうと思うのは、ちょうどいまから十年ばかり前になりますか、東南アジアを回りました際にベトナムに参りましたところが、その当時、端的に言うと反米感情が相当ある、それで私は、それはおかしいじゃないか、アメリカからは相当な援助をもらっておるのになぜそう悪口を言うのかと聞いたところが、それは、アメリカ援助はほんとうに国民のためを思って使っておるのかどうかわからぬ、こういうようなその人の話で、たとえばジープ百台くれと言えば、すぐアメリカはオーケーするが、その半分の五十台はどこへ行ったのかわからぬ、あとの五十台は軍用にばかり使って、国民大衆のためにはどうも使ってくれない、結局当時のゴ・ジンジェム政権のふところを肥やすというと語弊がありましょうが、どうもそっちのほうの顔色ばかりうかがっていて、国民のほうを向いての援助でない、こういう不満からきたのでありまして、そこでインドネシアに参りましたときも、ちょうどアジアオリンピック大会の前でありましたが、日本は大きなホテルをつくっておる、ソ連ソ連でスタジアム、アメリカは道路と、こういう手分けをしてやっておったのでありますが、そこでもやはり同じ援助をもらうなら、もう少し国民の直接ごりやくのあるようなものをしてもらいたいのだがというのが一般国民の声のように聞こえました。私も帰って参りまして、当時インドネシアは衣食住に非常に困っておったのでありますから、そういう援助のしかたについて配慮しないと、せっかく好意をもって、当時日本はそう楽でもないのに援助をしても、それがあだとなってかえって国民大衆から恨まれる、こういう結果になってはならぬのでありまして、その辺をよほど考えて有効に使うように、指導というと語弊がありまするが、よく先方と話し合ってしなければならぬ、こう考えるわけであります。  もう一つは、額ばかりを多くしても消化しきれないと、かえってこれは害になって下痢を起こす。人間の食糧にしても、結局よく消化のできる程度に食べないとかえって腹をこわすようなものでありますので、そこで私は老婆心ながら、韓国に対してはいろいろこれから援助について問題が起こると思いますが、その辺を御考慮に入れて十分慎重に、ひとつ両国民がよかったという結果をもたらすようなやり方をしていただきたいということ。それからこれはひとり韓国ばかりではございませんで、他の国に対しても同様でありますので、この機会にこの点を私の愚見として申し上げておきたいのでございます。  時間が参りましたから、これで失礼いたします。
  14. 宇都宮徳馬

  15. 阿部助哉

    阿部(助)委員 私は、非常に限られた時間でありますので、端的にお伺いしたいと思いますが、経済援助の問題についてお伺いしたいのであります。その前提として、私は、政府がいろいろな国に援助をなさるその基本的な問題をまずお伺いしておきたいと思うのであります。  政府は、発展途上国に対する援助の額は、その目標としてGNPの一%とか、こう各国に国際的に約束しておられるようでありますが、韓国に対する援助はそのワクの中にあるのですか、それとも別ワクになっておるのか、まずそれをお伺いしたいと思います。
  16. 御巫清尚

    ○御巫政府委員 もちろんそのワクの中でございます。
  17. 阿部助哉

    阿部(助)委員 対外経済援助、この目的相手国民生の安定、経済自立を進めるということが大体いわれておると思うのでありますけれども、わが国朝鮮に対して援助協力を実施する場合、この一般的な民生の安定、経済自立というようなものとはまたさらに特別な意味があるのではないだろうか。それはわが国が三十六年間の長きにわたりまして朝鮮に対して植民地収奪を行なってきた、土地資源収奪はもとより、朝鮮民族からその言語を奪い、そうして生命を奪い、そうして憲兵政治の専制をほしいままにした、第二次大戦中においては朝鮮人強制連行、つまり人さらいまでやったのであります。朝鮮に対するわが国援助経済協力にあたっては、破壊された国土や資源国民生活の回復はもとよりでありますけれども、朝鮮民族民族的誇りというものに格段の配慮をなすべきである、これが原則である、こう思うのでありますが、いかがでございますか。
  18. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 お説のとおりであると思います。援助をやる場合には相手国民に喜ばれるような援助が望ましいのでございまして、相手のプライドを傷つけたり相手不満を醸成するような援助というものは適当でないと思います。
  19. 阿部助哉

    阿部(助)委員 しかし、いまわが国新聞、雑誌は、あげて対韓援助をめぐる黒い霧、汚職について書き立てておるのであります。現に韓国国際収支は極端に悪化をし、ことに対外債務元利支払いがどうなるかという点が危ぶまれておるような現状であります。韓国国際収支の足を引っぱっておる要因の一つはこの黒い霧だと極言する人もおるわけであります。韓国人たちは、このしりぬぐいをやるのに観光収入という実は韓国女性のからだでかせぐドルだと怒っておる、憤慨をしておる方々がおるわけであります。そこで、この援助資金ピンはね機関ではないか、こういわれております日韓条約付属文書第一議定書第五条によるところのいわゆる経済使節団、この使節団についてお伺いしたいのでありますけれども、この使節団は、商品の調達にあたって調達額の五%から七%のリベートを要求し、それを拒むと、割当をやらないとかいうようなことが公然の秘密となっておるようにいわれておるのでありますが、政府はこの事実を御存じかどうか、まずお伺いしたいと思います。
  20. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 そういう事実は承知しておりません。
  21. 阿部助哉

    阿部(助)委員 こういう事実を御承知ない、こうおっしゃるけれども、それならこれを調査し国会に報告をしていただきたいと思いますが、いかがですか。
  22. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 御要望でございますから調査してみたいと思います。
  23. 阿部助哉

    阿部(助)委員 しかもこの調査団の中に、金大中事件の指揮をとったLいう人物――新聞等ではLという人物になっておる。この人は使節団構成員の一人である、こういわれておるのでありますが、捜査当局いかがですか。
  24. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 お答えいたします。そういう人物は、金大中事件捜査過程でわれわれとしては承知いたしておることはございません。Lという者が捜査過程で出てきたという事実はございません。
  25. 阿部助哉

    阿部(助)委員 それなら私のほうから参考のために言っておきますけれども、このLという人物はイ・ムンスという人である、こういわれておるのであります。しかも、このような商売をやっておる使節団、買い付けの指定をするというようなところに外交特権を与えておくのは好ましくない、こう思うのでありますが、これはいかがですか。外交特権を取り消す御意思はありませんか。
  26. 御巫清尚

    ○御巫政府委員 この御指摘日韓間の協定の付属文書であります第一議定書に書かれております使節団は、その当時日本に存在しておりました賠償使節団が幾つかございましたが、それにならってつくりましたもので、それらとの権衝上、この御指摘の第五条の六項に外交上の特権を与えるということを規定したわけでございまして、韓国使節団についてだけそれを取り消すというような考え方は現在持っておりません。
  27. 阿部助哉

    阿部(助)委員 一九七〇年七月に開かれました第四回の日韓閣僚会議は、そのコミュニケ浦項製鉄所建設ソウル地下鉄、さらに朴大統領の故郷の金烏高等学校建設、これはコミュニケに麗々しくうたい込んでいるわけであります。高等学校建設等織り込んだのはあまり例がないと思うのでありますが、かつプロジェクトのないまま一億ドルのつかみ金、これの援助をきめておられるわけであります。そうして、この翌年の四月には、韓国は当時大統領選挙に向けて激しい政戦をやっておるさなかなのであります。こういうときに、この援助について、大統領選挙を控えて国内で激しく戦われておるときに、こういうような援助をするということは、これは非常に問題があるのではないか。この選挙においておおむね半数近い票を獲得した金大中氏自身がこう言っておるのであります。「三選改憲支持の“証拠”として、世界の国々が経済的採算がとれないという理由で出資を断わった浦項製鉄所日本が引受けることになった。これは日本でも経済団体政府部内に技術的な面から反対があったのだが、政治的配慮によって決定されたのである。製鉄所を作るということは、一部の国民に「韓国一流国になった」という“夢”を与え、百万票に相当するといわれていたものだ。とすれば日本朴政権支持の役割はきわめて大きかったということになる。いよいよ選挙も迫ってくると、日本韓国にとって必要でもないソウル地下鉄建設計画に全面的に肩入れするようになった。」これが選挙に大きく利用された、こう述べておるわけでありますが、こういう時期に援助を与えるということは、これは厳粛に考え直すべきだ、こう思うのでありますが、いかがですか。
  28. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 援助を行なう場合にはいろいろ事務的レベルで積み上げまして、プロジェクトごとにそれが適当であるかどうか、かなり精細な調査をいたしまして、その詰めが終わりましてから交換公文とかそのほかという形になってくるわけでございます。したがって、選挙目当てに、相手候補者を擁護するためにそういうプロジェクトを時期的に選ぶというようなことは当方としては一切やっておりません。
  29. 阿部助哉

    阿部(助)委員 皆さんはそういう意図でやられたのではないかもわからぬ。しかし、現実はそういう効果を発揮しておる、こう思われるわけであります。あなたはいまプロジェクトがなければ援助はしないとおっしゃるけれども、大体いまの新農村に対する援助セマウル運動に対する援助にいたしましても、まずつかみ金があって、それからプロジェクトの検討に入っておるというのが事実ではないのですか。また、ここに述べたような一億ドルの金も、プロジェクトがきっちりきまった上でこれがやられておるのではない。対韓援助の多くがそういう形で、一般にはあなたのおっしゃるように、下から積み上げてきて、そうして援助をやる、援助額がきまっていくというのが普通のコースであります。しかし、いままでの対韓援助には、往々にして、この閣僚会議によってきめられる、それに基づいてプロジェクトが次に検討されるということがいままでなかったと大臣は確信をもってお答えになるのですか。
  30. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 やはり両国事務当局によって討議することが合意される、そういう形でできておるようであります。つまり事務レベルにおいて合意が行なわれて、そのあと交換公文が締結される、額も正式にきまる、そういうような形になるということであります。
  31. 阿部助哉

    阿部(助)委員 私はこの問題に入ればまだ時間がたいへんかかりますけれども、大臣詳しく御承知ないようであります。らしいということでありますから、あまりこれで時間とりたくありませんからやめますけれども、韓国の場合には、そうプロジェクトが下から積み上がっているばかりではないということを私はここに言っておきたいと思うのであります。そうしてこういう選挙戦を迎えるさなかにやるなんていうことは、皆さん意図がいかにあれ、東洋の道徳に李下に冠を正さず、瓜田にくつを入れずということがありますけれも、こういう疑いを持たれるような時期、またこういう疑いを持たれるような援助、こういうものは私はやるべきではないと思うのであります。  次に外務省資料によりますと、本年に入ってから対韓援助、直接投資が非常に急増しておるわけであります。中でも馬山自由地区進出した百三社のうち九十五社が日本企業であります。この猛烈な対韓進出理由は那辺にあるのか。通産大臣はどうお考えになりますか。
  32. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 一つには韓国側から中小企業あるいは大企業等について進出してくれ、そういうような要望もあって、日本商工会議所やあるいはそのほかの経済団体に申し入れがくるのもございます。そういうわけで、それらがあっせんをして韓国側と話し合いをさせる。それで話がまとまって進出をしていくあるいは調査にいく、そういうケースも非常に多いと思いますし、また企業によっては国内労働条件やあるいは公害問題、いろいろそういう考えから韓国側に出ていきたい、そういう希望を持つものもあるでしょう。これはいろいろ事態事態によっていろいろな理由があるだろうと思っております。
  33. 阿部助哉

    阿部(助)委員 向こう要望もありましょうけれども、資本は要望されたから出ていくわけじゃないのでございまして、私は、いま大臣おっしゃったように、第一には低賃金労働、劣悪な福祉施設、そして極端にいえば奴隷労働、こういうものにあるのではないか、こう思うのであります。海外技術協力会の方がこう述べておるのであります。これは馬山地区のことでありますが、「日本に来た研修生の提言は受け入れようとせず、一方的な、日本的な尺度の業務命令だけが伝えられる。」「経営者である日本人価値観のみで、経営利潤をあげようとしている日本人をみていると「エコノミック・アニマル」日本人としか思えない」こう言っておる。そうしてここの労働者条件については、  「労働者用食堂である。六十ウォンで麦飯と、味噌汁と、キムチと、ハンペンの煮物がついていた。お世辞にもうまいものではなかった。この共同食堂を使う会社は多い。昼食時、時間差をもうけて、混雑をさけているという。各会社により、昼食補助方法はちがうようだが、食券を渡す会社が多いらしい。現金を渡すと、昼食をたべない労働者が多くなるからだ。食券で渡しても、月末給料日の十日前から、昼食をたべぬ人が多くなるという。六十ウォン全額補助でないケースでは、それ以前に、食券を使い切ってしまえば、昼食を抜いてしまうのだという。」そういうような、いまここに述べたようなたいへんな低賃金労働であります。しかも、これは釜山日報が六月六日に報道しておるのでありますけれども、韓国進出をいたしましたオリオン電子会社というところで、労働者作業ボイコットが起きた。そして、その要求は何かというと、第一に賃金の引き上げがあります。しかし、第二には、女性労働者に対する暴行の是正という要求が入っておる。こういうぐあいで、日本企業進出が、全く韓国労働者奴隷労働にするような形の中でこれが出ていくのではないだろうか。そういう点、政府のほうは、これは御承知ないとは思わぬのでありますが、いかがですか、大臣
  34. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 日本と比べますと、所得水準生活水準が違いますから、日本よりは低い程度であるということはわかります。しかし、韓国一般水準と比べてみて、日本企業がいわゆるおっしゃるような奴隷労働的な扱いをしているとは私は思いません。やはりその国の国民所得や生活水準並みの、あるいはそれ以上の待遇をしているのではないかと、私はそういうふうに想像しております。
  35. 阿部助哉

    阿部(助)委員 私はやはりそこに問題があると思うのであります。そしてこれは日本企業の問題もある、また受け入れる側にも問題があろうと思うのであります。日韓経済協会の会合の席で、呉源哲という大統領の秘書官の方が参りまして、日本の経団連会館において、こういう話をしておるのであります。まあ、日本企業に来てください、特に重工業の開発においでくださいということでありますけれども、労働時間は「韓国民は通常一日に十二時間の労働をし、労働争議は一般に社会から歓迎されません。」とか「外国資本投下に弊害を生むようなストライキなど、いかなる種類の争議の可能性をも除去すべく、真剣な行政上の努力を重ねております。」こう言っている。  韓国産業経済研究所長の宋さんという方が書いた、やはり企業誘致のPRの本でありましょうけれども、ここに出てくる韓国労働条件、またその法律、また政府の行政、こういうものから見てまいりましても、全くひどい労働条件であります。このような朴大統領の軍事独裁による低賃金、無権利の保障を種に日本企業を呼び込もうとしておるのではないか、そうしてまた、日本政府はこのような呼びかけに乗り、これをよいことに進出を促進さしておるのではないかという感じがするわけでありますが、通産大臣、いかがですか。
  36. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 企業が出ていきます場合には、やはり両国の国民感情やあるいは両国の国交を考え企業も行動しなければならぬと思います。まあ私らがいままで聞いた範囲では、やはり過去の不幸な事件をみんな頭に置いておりますから、韓国へ行った企業の場合には、わりあいに注意深く、そういう民族感情を刺激するようなことがないように、また、日本人が優越的な地位やそぶりを示すことがないように、そういう特別の感情をもって進出企業人たちは進退してきたと私らは承知しております。
  37. 阿部助哉

    阿部(助)委員 どうも現実は、大臣の御答弁とはだいぶ違うようであります。  最後に、私は今後のわが国の対韓経済協力の方針についてお伺いしたいのでありますけれども、七〇年四月、矢次一夫氏、これは大臣は御承知ですね、彼の日韓協力委員会における秘密報告がなされたわけですが、これは最近、イギリスの有名なペンギン文庫に載りましたので世界じゅうにこれが知られておるわけであります。その要点は、韓国中小企業を下請け化する。分業、協業をつくる。そうして低賃金労働者を利用するため日本の大企業を大規模に導入する。これによって日韓経済協力圏、これは西日本・関西経済協力圏、これを形成するということであります。わが国の公害企業韓国に導入するということが、これが基本になっておるわけであります。  もう少し本文のあれを申し上げますと、こういっておるのですね。「韓国で製鉄建設地区に決定されている「浦項」以南と、日本の、たとえば鳥取、山口から、北九州、大分の一部などの地区をもって、仮称「協力経済圏」とし、両国間協力上の「モデル地区」と考えてはどうか。」そうしてその次に「関西経済圏」に属させる、こういうようなことをおっしゃっておるわけでありますが、こういう発表に対して政府はどのような見解をお持ちになっておるか、大臣からお伺いしたいと思います。
  38. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その所見がいかなる価値を持っている所見であるかは私は知りませんし、そういう報告があるということもいま初めて聞いたわけで、政府は関知するところではございません。しかし、いま聞いた範囲内の内容から判断いたしますと、その関西経済圏云々というようなことは適当でないことばである、そういうように思います。
  39. 阿部助哉

    阿部(助)委員 しかし、大臣、この馬山自由地区の拡大、石油化学の大々的な進出は、矢次氏の言っておることと大体ぴったり一致しておるのではないですか。最近、丸紅、大協のグループ、アラビア石油グループ、また帝人、伊藤忠、ジ・ラインのグループ、こういうのが出ている。浦項製鉄所もさらに拡張される。そうして麗水地区などにおきましては、一地区に三十億ドルも投入をしょうなんていう、これはチュメニ油田よりまだ大きな資本投入をしょうなんていうことを考える。まさにこれはまた公害企業であります。そういうものが、大臣が否定されようとどうしようと、現実はこの矢次氏の見解と同様に進んでおるということを大臣は否定をされますか。
  40. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その点は私は意見を異にいたします。韓国政府自体が五カ年計画をつくってまいっておりまして、重化学工業化ということをいまの産業政策の基本にして強く推進しているところであります。だから、浦項の製鉄にいたしましても、日本側からやろうと言ってきたのではなくして、韓国側協力してくれと言ってきたことであります。石油化学にいたしましてもあるいは石油のリファイナリーにいたしましても、韓国側の重化学工業計画の一環として日本側に協力を求めてきている要素もまたあるわけであります。だから、日本側が押しつけて経済的支配を行なうというような考えでやっているものでは絶対ありません。
  41. 阿部助哉

    阿部(助)委員 もちろん韓国が拒否をすれば出ていくわけにはいかぬでしょう。向こうからの要請もあったでしょう。しかし、要請があったから何でもかんでも出ていっていいというものではなかろうと思うのであります。私はいま政府の対外援助経済協力について、一番冒頭にこの援助の姿勢について確認をしたわけであります。しかしながら財界等は政府と一体となって推進しておる。先ほどの一つ一つをあげてみれば、矢次氏がこういうふうに言った、その言った方向にこれは進んでおるのではないか。また援助を受け入れる側、韓国の当局もまた、先ほど申し上げましたように、大統領秘書官のお話のように、赤裸々に表明しておられるように、うちは低賃金であります。ストライキはやらせません、だからおいでくださいと、こう言う。そういうような中でこの援助が進んでおるわけであります。そうしてこれが進んでいけば、皆さんが主観的にはいかに善意であろうとも、問題は別の方向に発展をするのではないですか。  たとえば七二年二月二十九日、ここで東亜日報が報道しておるのでありますけれども、朴大統領はこうおっしゃっておるのです。ゼネラルモーターズの韓国誘致を交渉している官僚を激励する訓辞の中でこう言っておるのであります。「アメリカの大財閥が巨額の投資を行えばこれは一個歩兵師団が韓国に駐屯もしてくれるのと同じ効果がある」と、こう言っておるのであります。これはアメリカ日本を置きかえてごらんになったらいかがです。全く同じ意味を私は持つと思うのであります。  そして、これは釜山日報の七一年二月十九日付の報道でありますけれども、一九七六年から年商四億ドルないし五億ドルに達する軍需産業を持つことが予想される。そしてまた最後に、日本の支援によって韓国に建てられる総合製鉄所韓国軍需産業の主軸となるものであると、こう述べておるのであります。  対韓援助は、わが国民の税金を使うだけではなしに、韓国国民収奪する道具として大きく浪費されているだけではない、その背後には実は日韓軍事提携の強化が着々と進んでいると、こう思われるのであります。朝鮮半島の南北の分断恒久化の政策が推進されている。ここに現在進行している黒い霧に包まれた日韓経済関係の本質があるような気がするわけであります。  私は、時間がありませんので、重ねて申し上げますけれども、言うまでもなく、わが国が三十六年間にわたって植民地収奪を行なったのは三十八度線以南だけではない、朝鮮全域にわたるものであります。この朝鮮がいま南北に分断されており、そうして南たると北たるとを問わず、朝鮮民族の一致した最高の課題は南北の統一であります。  そこで、わが国朝鮮に対する経済援助協力、これは対韓援助に限定さるべきではないし、限定した対韓援助は南北の統一を阻害し、分断を恒久化することになるのではないかという点で、私はたいへんな危惧の念を持たざるを得ないわけであります。そういう点で今日の対韓援助はいろいろな問題を持っております。時間があればもっと具体的に一つ一つ企業をあげて私は追及したいのでありますけれども、時間がありません。こういう観点で大臣、もう一度この対韓援助というもの、協力というものを根本的に再検討される御意思があるかどうかをお伺いして、質問を終わります。
  42. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 対韓経済協力は平和を目的として、そして福祉と民生を念願してやっておるのでありまして、軍事的な背景などは全然ございません。これははっきり申し上げておきます。  それから、先ほど来申し上げますように、日本韓国との間には不幸な過去がございまして、日本人としても反省しなければならぬ幾多の問題が背景にあるわけでございます。そういうような感情も秘めて対韓経済協力は行なわれておるのでありまして、そういう観点からも相手国民生やあるいは国家の平和的発展をこいねがって協力するという精神で貫くべきであります。そういうような考えに立ってまた政府は実行しておるところであります。いやしくも収奪するとかあるいは支配するとかいうようなことは全然ございませんので、これは重ねて申し上げておきます。  しかし、経済協力というようなことは両国間で行ないますと、いろいろ社会の落差あるいは商慣習の相違、社会的条件あるいはそのほか諸般の問題で国情を異にしているところもあります。そういうような面から、いやしくも、かりそめにも誤解を受けるようなことがあっては国民に対しても国際的にも恥ずかしいことでもあり、申しわけないことでもあります。そういう意味において、われわれはさらにいろいろ規律を厳にして、疑いを起こすようなことは絶対しないようにしていかなければならぬ、そういうふうに考えております。
  43. 阿部助哉

    阿部(助)委員 大臣はたいへん元気よくそうおっしゃるけれども、皆さんの主観はともあれ、私がいま述べた現実は必ずしも大臣意図とは沿ってはいないと私は思うのであります。特にこれからの大企業、公害企業進出等を考えれば、まさに矢次報告がいっておるとおりになっていっておるのじゃないかという点を考えますと、大臣はだいぶ威勢よくおっしゃったけれども、現実をもう少し真筆な態度で見詰めながら対韓援助をやっていただくことを希望して、私は質問を終わります。
  44. 宇都宮徳馬

    宇都宮委員長 小坂経済企画庁長官、何か御発言ありませんか。あなたの御所管に関する事柄ですが、ありませんか。――佐藤観樹君。
  45. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 阿部委員の質問に続きまして再度お伺いしたいわけでありますけれども、昨日わが党の原委員から質問がありましたように、借款、借款とかさんで、いまの韓国経済というのは、自転車操業ということばがいいかどうかわかりませんけれども、債務の償還に今後ますます追われるであろう、こういうことは数字で明らかになったわけであります。したがって、今度は借款から直接投資に計画を変えていくということになるわけでありますけれども、いま阿部委員から御質問がありましたように、また大臣から御答弁がありましたように、やはり企業でありますから、これが進出するからには経済的なメリットがなければ進出しないわけであります。それは大臣のおことばがありましたように、安い労働力でありあるいは土地でありあるいは公害、われわれから言わせれば、公害たれ流しの企業進出していくのではないか。日本ではできない石油化学とか製鉄とかこういったものが今後出ていくのではないか、こういうことを考えますと、今後非常に問題になるのは、やはり三十六年間日本が統治をしたという忌まわしい日本の戦前の歴史がある限り、やはり反日感情、これを無視をしてこの問題というのは考えられないのじゃないか。特に私など経済のサイドからいいますと、先ほど阿部委員からもお話がありましたように、外資企業でのストライキは御法度になっておりますし、あるいは外国企業に雇用されている、日本を簡単に例をとれば、日本企業で働いている日本人は所得税免除あるいは法人の配当金とか剰余分配金は五年間免除、その後三年間は課税が半分になる、こういったような外資系の企業進出をしやすいような状態になっているわけであります。先ほど中曽根通産大臣のお話では、これは韓国がそれを求めるからわが国から出ていくんだということでございましたけれども、すでに借款が十二億ドル近くになりあるいは今日までの投資額が二億四千万近くになっているという現状から踏まえて、単にこのままどんどん日本が投資をし進んでいった場合には、この反日感情というものとわが国経済進出というものを分けて考えることはできないのではないか。きょうも韓国で国会が行なわれているわけでありますけれども、きわめて韓国の議会の中は金大中事件を中心として反日感情というものがたいへん強くなっているように聞いております。その意味においてこの日本経済進出大臣はおそらくそれは韓国が求めたものだというお答えになるかと思いますけれども、今後ますます出ていく日本企業、これと韓国にもう底辺として存在している反日感情、これについて一体どういうふうに考えていらっしゃるのか、この点については海外協力基金を担当していらっしゃる小坂経済企画庁長官にもあわせてお伺いしたいと思うのでありますが、この反日感情というものをどういうふうに考えていらっしゃるのか。ますますこれは日本が海外進出をしていく、投資をさらにふやしていけば、ますますほんとうの意味での日韓の友好親善関係というのはそこなわれていくんではないか。この点についてはいかがでございますか。
  46. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その点は部分的に共鳴するところがあります。やはりわれわれが善意でやっていることでも量的に拡大していったりいたしますと、どうしてもナショナリズムにさわるところが出やすいものであります。特に青年や学生の感情を刺激するということが無意識にやっていることの中でも起こりかねないのは国際的によく見るところであります。でありまするから、量的に無制限に拡大していくというような形になりますと、民族主義あるいは韓国民の感情に触れるということもわれわれは一面においてよく反省しながらそういう感情が起きない範囲内において、また起きないようなくふうをしながら今後とも対外経済協力、特に韓国との問題は考えていかなければならぬと思うのです。そういうことこそ日韓経済閣僚会議等におきまして、善隣友好関係を保持していくために両国の閣僚レベルでよく相談して進むべきことであると考えております。
  47. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 中曽根通産大臣が言われたことと大同小異でございますが、まあ私自身実は昭和三十五年の九月に初めて京城へ参りました。当時外務大臣として行ったわけでございますが、それ以前は李承晩政権でございまして、李承晩政権は御承知のごとく排日感情というものを基底にして、その国の国民統合の政策の具にしておったというような状況でございましたので、ちょうどこの李承晩政権が倒れて張勉が政権をとった。この機会に私はぜひ一衣帯水の間にある日韓関係の改善をはからねばならぬということで決意いたしまして単身参ったのでございます。ところが、ちょうどこのくらいの部屋に新聞記者団がもうほとんど一ぱいに詰めかけておりまして、私は約三時間にわたって質疑応答に応じました。議論の大半は日本が三十六年間にわたってわれわれを搾取した。この圧制の結果について遺憾に思わぬかということが大部分でございました。私はまさにさような点は遺憾に思うけれども、政治というものはやはり過去のことばかり言っておったのでは明るい未来が開けない。人間である以上これは当然過去のことを忘れるわけにはいかないけれども、そのことにばかりこだわっておったのではいけないので、私ども心を開いて日韓の友好関係をつくろうではないかということを申しました。私は今日に至るもその気持ちは少しも変わっておらないのでございまして、ことにこの経済協力というのは、経済援助ということばがありましたけれども、援助を受けるほうかういうと、援助ということばは非常に忌避されるのでございまして、私は経済協力ということばを用いたいと思いますが、そういうことをやはりわれわれの問題であると同時に韓国国民の立場に立って、その人たちのしあわせのために私どもは協力するという基本を失ってはいけない、さように考えております。
  48. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 われわれが思うところは、これは韓国の朴政権への援助になっていて韓国国民になってないということがきわめて遺憾に思うわけであります。  それで、いま金大中事件で国の主権が侵害をされているじゃないかということが国会で問題になっているわけでありますけれども、私はいまこの日韓経済関係を見てみると、国の主権と同時に、逆に今度は韓国経済的な主権というものを私はかなり侵害しているのではないかということをつくづく感ずるわけであります。  先ほど中曽根通産大臣のおことばにもありましたように、無制限に今後日本の投資がふえていくことは好ましいとは思わないという御発言があったわけでありますが、具体的には実際にはこれは許可をするところは大蔵省の管轄になるわけであります。ありますが、いま大臣のおことばの中には今後は何らかの形で、たとえばひとつ総ワクをきめることも具体的にはありましょうし、あるいは業種によっては公害というものについて日本の基準で韓国に出ていく、まだまだ日本の基準も甘いものでありますけれども、出ていくということも一つの方策として考えられましょうし、そういった具体的なことを頭に置いていらっしゃるかどうか、その点はいかがですか。
  49. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 隣国に対するいろいろな交渉や関係というものは国内におけるものとは違いますから、特に民族感情というものはこちらが無意識のうちにも醸成されていくものであります。  特にまた日本韓国のように過去の不幸な経歴を持っておる国の間においては、われわれの国としてはよほど深甚の配慮をしてやらなければならぬところであります。これは外交上、特に経済協力面等において考慮しなければならぬところであると思っております。  したがいまして、対韓経済協力というものを単に経済行為のみとしてわれわれはとらえておりません。やはり政治的な配慮、社会的な配慮を込めながら両国の友好親善関係がどうして永続的に成立するかということを基本的に念じながら協議していきたい、こういうふうに考えておりまして、量的拡大というものを無制限に容認するという考えは持っておりませんし、その間にはお互いで相談し合いながらディシプリンをつくるべきところはつくっていかなければならぬ、そう思っております。
  50. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 通産大臣が直接この担当相というわけではないと思いますので、量的な問題についてあらためてお伺いしたいのでありますけれども、きょうは時間がないものですから、その次の問題に移らしていただきたいと思います。  その次は新農村運動、いわゆるセマウル運動についてでありますけれども、今度開かれていたならば、日韓閣僚会議で当然議題になっていたという話であります。これもいろいろ調べてみますと、まさに阿部委員が言われるように全く計画というものがずさんというか、あいまいというか、まさにつかみ金だといわれるのは私はこういうところにあるのじゃないかと思うのであります。  まずお伺いしたいのでありますが、私は外務省のほうから海外技術協力事業団が調査をなされた韓国農業基盤整備計画調査報告書、特に挿橋川地区と界火島の地区の報告書を見たわけでありますけれども、これは今度のこの新農村運動というのは一体日本はどれほどの額を援助しようとしているのか。特にここの工事費、事業費の内訳表では内資が、内資というのは韓国の金ですね、内資が三九%、外資六一%という案と、第二案としては内資一三%、外資八七%と、たいへん日本援助が高い割合になっているわけであります。いろいろ話を聞いてみますと、当初十億ドルくらい韓国から要求されたけれども、日本は大体四億から五億ドルくらいにしぼった、あるいは本年度にしても韓国から一億ドル要求されたけれども、八千万ドルにしぼったとか、何かきわめて話がずさんというか、非常に無計画というか、そういう感じがするわけであります。これは外務省でけっこうでございますけれども、一体これはどのくらい援助することになるのか、その点はいかがですか。
  51. 御巫清尚

    ○御巫政府委員 セマウル運動につきましては、セマウルということばが韓国語で新しい農村という意味のことばだそうでございますが、むしろ初めは韓国の大統領をはじめとする韓国政府が農村の農民の生活向上とか、農村の経済力の向上とか、そういう………。
  52. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 それはわかっているので、額の点だけ………。
  53. 御巫清尚

    ○御巫政府委員 最初にそれの全体の金額を算出したときにおきまして、四十億ドルとか、あるいはそのうちの外貨所要分だけを考えれば二十億ドルとか、いろいろな案があったわけでございます。ところが、その年にはすでに第三次五カ年計画が進行を始めた後でございましたので、この第三次五カ年計画と調整をとる必要が出てまいりまして、そこで先ほど阿部先生御指摘になりましたような四億ドルとか五億ドルとかの数字までに、第三次五カ年計画との調整上日本に対する援助の要請額を縮小してまいった。日本といたしましては、昨年の閣僚会議におきまして八千万ドルの援助をいたしましょうということをいままでのところお約束しておるだけでございまして、その後につきましてはまだ何も約束をしておらないというのが実情でございます。  それからいま仰せられましたパーセンテージでございますが、これはこの派遣いたしました調査団の試案というかっこうでございます。
  54. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 私はどうも、このセマウル運動の問題についてもちっとも総ワクがきまってなくて、そのつどそのつど金が出されていく感が非常にしてならないわけであります。いろいろ聞くところによりますと、干拓の計画がたいへん不十分だ、それで八千万ドル日本から援助をしでも、これはほとんど現地の労務費とか経費なんかのローカルコストに占められてしまって、考え直さなければいかぬということを政府のほうでは考えているというふうに報じられているわけでありますけれども、この点はいかがですか、縮小するのですか。しかもいろいろ聞いてみますと、屋根の修理をするのに、結局農村の方々は政府からお金を借りて修理をする、これがセマウル運動一つの現象だそうでありますけれども、金がないものだからそれがまた借金になって農民の負担になっていくということも報じられているわけであります。このセマウル運動自体の援助について、本年の第七回の閣僚会議できめられるはずであったわけでありますけれども、縮小する考えはあるのですか、どうですか。
  55. 御巫清尚

    ○御巫政府委員 昨年の閣僚会議できめました八千万ドルにつきましては、御指摘の挿橋川というプロジェクトと界火島というプロジェクト、その他適当なプロジェクトというものに対して援助をいたしましょうということでございまして、セマウル運動全体はそういった大きなプロジェクトのほかに、御指摘の農家のいろいろの生活状態の改善とかそういう外国の助けを要さない部分も入っておりまして、そういう部分は韓国政府ないしは韓国の民間がみずからやるものでございまして、その全体のセマウル運動計画の中のごく一部分を日本に向かって援助してほしいと申しておるわけでございます。しかしながら、それにいたしましても農業開発のための援助でございますので、どうしても現地通貨分と俗称しております要するにその現場で要るお金が非常に多数を占める。そこで、これをどの程度まで援助するかという点につきまして、現在まで日本政府部内並びに韓国側とも寄り寄り相談をして、現在のところこの八千万ドルはまだ交換公文のベースにまで乗っかっておらないというのが実情でございます。
  56. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 この問題もまだまだいろいろあるのですけれども、とにかく三十分という時間だそうですので、次に移ります。  それで、きのうも不実企業の問題についていろいろと議論があったわけでありますけれども、輸出入銀行に一つだけお願いをおしておきたいわけであります。いまの輸出入銀行のシステムでいきますと結局はその借款のツケが輸出入銀行に回ってくるだけで、実際には輸出入銀行がいわゆる銀行の調査のように、この投資はだめですというようにチェックできる機構になっておらないわけであります。この辺が非常に問題があって、一体これはだれがけつをぬぐうべきかという問題についてお伺いしたいのでありますが、時間がありませんので、たしか本年の六月に韓国に輸出入銀行のほうから効果測定の調査団を出していると思うのであります。この報告書が一体どうなっているか。これについてまだできていなければ、非常に関係の深いことでございますので早急に出していただきたいと思うのでありますが、その点はどうなっておりますか。
  57. 前川春雄

    ○前川説明員 ただいまお話のございましたように、輸出入銀行が本年六月に韓国にフォローアップのミッションを出しました。これは、輸出入銀行がすでにやっております韓国に対する投資金融の効果を現実に見るという意味で出したものでございます。この報告書はまだできておりません。また、これは輸出入銀行の内部の事務参考のために出したミッションでございますので、はたして国会に公式に提出できるような報告書ができるかどうかわかりませんが、いずれにいたしましても内容がまとまりました際には、先生にお知らせすることにしたいと思います。
  58. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 せっかく来ていただいて申しわけないのですが、次の問題に入らぬといかぬものですから、次に入らしていただきたいと思うのであります。  ソウル地下鉄建設の問題でありますけれども、これは海外経済協力基金から出ている問題なんですが、事務当局でけっこうでございますけれども、これは一体何年で債務償還ができる計画になっているのですか。
  59. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 事務的なことでございますけれども、事務局から出ておりますので申し上げますが、償還期間は据え置きが五年ございますがそれを含めて二十年、それから海外経済協力基金韓国向けの直接借款としては、通常の条件と同じようなことになっております。それから韓国政府との間で合意している償還計画によりますと、一九七七年四月二十日に第一回の元本償還が行なわれる予定でございますが、利息分の償還は現在まで計画どおりに行なわれておりまして、元利ともに計画どおりの償還が行なわれるものと思われるということになっております。
  60. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 それで、この償還計画というのは労賃の値上がりとか物価の値上がりというのは入っていない計画であるわけですね。こういった基金から出るについて、いわゆるインフレ分と申しますか値上げ分というのは韓国でもかなり多いはずでありますけれども、これはどちらが持つのですか。
  61. 青木慎三

    ○青木政府委員 これは円借款でございまして円のベースで返されますので、約定どおりの金額が円で返還されるというように考えております。
  62. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 それは私も大蔵にいるからわかるのですが、おそらくかなり足りなくなってくるだろうと思うのですね。それをどちらが持つかということなんです。  そのことはいいですが、この日韓経済協力にはいろいろなうわさが流れているわけですね。経済協力基金から出ていくお金でも、日本から買う品物が普通の値段よりたいへん高く買われているということがよく言われているわけであります。いまのシステムをいろいろ見ておりますと、海外経済協力基金からお金が出ていきますけれども、現実には日本の売る企業韓国調達庁とが購買契約書を締結して買うということになっておりますので、海外経済協力基金がその契約書についてものを言う権限があるのかどうなのか。それから万が一、直接借款で買われたものが、普通の値段よりも非常に高く買われているという場合に、海外経済協力基金は、この契約書ではいけませんという権利があるのかどうなのか。それから契約というのは、入札にする場合と随意契約にする場合があると思うのですが、どういう場合が入札で、どういう場合が随意契約になるのですか。簡単に言っください。四十七分までだそうですから。
  63. 大来佐武郎

    ○大来参考人 協力基金は個々の案件についてその金額の妥当性をチェックする機能がございます。  それから全体としての、たとえばダム、地下鉄等につきまして、たとえば地下鉄一キロ当たりの建設費を日本の同種の地下鉄に比較してみまして、どの程度の相違があるかというようなことも全般的にチェックいたしておりますので、あまり一般的な単価と大きな離れがないというふうに見ております。
  64. 宇都宮徳馬

    宇都宮委員長 この際、関連質問の申し出がございますので、これを許します。松浦利尚君。
  65. 松浦利尚

    松浦(利)委員 海外経済協力基金のほうにお尋ねをいたします。  いまの問題についてさらにお尋ねをしておきますが、韓国基金との間に、これは大韓民国とソウル地下鉄に対する事業計画について、四十七年四月十日海外経済協力基金が発表した文書でありますが、おたくの高杉総裁と大韓民国政府身代表してホーリーという方の間に調印がなされておるわけであります。もちろんこれは一九七一年十二月三十日の交換公文に従った基金の事務的処理であります。その場合に、いま佐藤委員が質問をしたのですが、韓国基金とで貸し付け契約をする。そして韓国調達庁が日本の輸出業者と契約をする。そうすると、その輸出業者が外為銀行等を通じて基金からの援助を仰ぐ、こういうシステムになっておるわけです。その場合に、いま佐藤委員指摘したように、韓国と輸出業者との間に契約した場合の契約内容について基金チェックできるわけですか。間違いなくチェックできますね。簡単にお答えいただきたいと思います。
  66. 大来佐武郎

    ○大来参考人 チェックできますし、いたしております。
  67. 松浦利尚

    松浦(利)委員 その場合に随意契約かあるいは競争入札かという問題については、これは韓国側の一方的な選択によるものでしょう。基金が、これは当然競争入札が望ましいという判断は判断としてあったとしても、韓国側調達庁が行なう行為であって、随契か競争入札かはあくまでも韓国調達庁にあるわけでしょう。それについて基金ほうがいちゃもんつけられますか。
  68. 大来佐武郎

    ○大来参考人 ソウル地下鉄につきましては、日本側、韓国側両方合意いたしまして入札いたしております。
  69. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それではその点は間違いなく入札であるとすれば、経済企画庁にお尋ねをいたします。  私は経済協力基金に対して資料の提出を要求いたしました。ところが経済協力基金のほうから、八月に経済企画庁のほうから資料を出すなという指示を受けた、そのために出すわけにまいりませんという返事が来たのです。そこで経済企画庁の谷村課長を部屋に来ていただいて、そういうことは事実あったのかどうかと聞いたら、事実そういう行為をした、こう言うのです。少なくとも議員が、韓国問題でこれだけ騒がれておるときに、基金に直接資料請求したものについて、なぜ経済企画庁がその資料の提出についてブレーキをかけるのか、その点をひとつ長官のほうから明確にお答えいただきたいと思います。
  70. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 その事実をよく知りませんから、調べてお答えします。
  71. 松浦利尚

    松浦(利)委員 たいへん残念に思う。それで、私はあまり抽象的な議論は避けます。通産省にお尋ねをいたしますが、現在まで車輌の輸出を日本国の車両業界が――地下鉄の車両の輸出です。鉄道とかなんとかを抜きにして、地下鉄の車両だけ外国に輸出した経験がありますか。韓国を除くほかの地域に車両を輸出した経験があるかどうか、その点ひとつお答えいただきたい。
  72. 和田敏信

    ○和田(敏)政府委員 ただいまここに資料は持ち合わせておりませんが、担当官の記憶によりますと、車両だけ独立して輸出した実績はございません。なお、帰りまして事実に反するようなことがあれば、また御報告をさせていただきたいと思います。
  73. 松浦利尚

    松浦(利)委員 その後段は要りません。あなたのところで聞いたから、そういう経験はない。そのない理由は、競争入札のために日本の車両が高過ぎて入札に応ずるのはむずかしい、入札しても価格が高いから日本は落札できない、こういう御返事だった。ところが、今度初めてこの円供与借款に従って百十五億円支出することが予定されておる。車両の台数は百八十六両、百十五億円。間違いありませんか。
  74. 和田敏信

    ○和田(敏)政府委員 地下鉄にかかわる車両輸出はございません。地下鉄以外の車両に関しましては、ただいま資料を持ち合わせておりませんが、輸出はございます。
  75. 松浦利尚

    松浦(利)委員 韓国に対して来年度輸出計画として百八十六両、総額にして百十五億円、それがあるでしょう。これもおたくからの返事なんです。おたくが私に教えてくれた数字なんです。来年度あるでしょう。
  76. 和田敏信

    ○和田(敏)政府委員 計画といたしましては持っております。
  77. 松浦利尚

    松浦(利)委員 百十五億についてはもう契約が終わっておるでしょう。終わっておらなければ発注できないじゃないですか。もっと詳しくいえば、日本連合と韓国調達庁との間で契約が済んでおる。日本連合というのは、三菱商事を代表幹事、丸紅を副幹事にして、日商岩井、東芝等がつくっておる。しかもこの日本連合からすでに百八十六両の車両の発注が終わっておりますね。日立が六十両、川崎重工が三十九両、日本車両が三十九両、東急車両が二十四両、近畿車両が二十四両、すでに終わっておるでしょう。終わっておらなければ発注できないじゃないですか。出せないじゃないですか。
  78. 和田敏信

    ○和田(敏)政府委員 韓国向け地下鉄車両に関しまして、韓国サイドにそのような計画がある旨は承知いたしておりますが、それに対応するわがほうの輸出先あるいはメーカー等に関しましては、調査の上御報告申し上げます。
  79. 松浦利尚

    松浦(利)委員 調査の上、調査の上とあなた言われるけれども、少なくとも海外経済協力基金において契約条項その他はすでにチェックされておるわけだ。契約が終わっておるんだから。  基金にそれじゃお尋ねをいたしますが、基金のほうでは、支出は別として、すでにそういう契約は終わっておるでしょう。
  80. 真崎兼五

    真崎参考人 地下鉄の車両購入につきましては、一定の金額をもちまして車両購入用の資金が予定されていることは事実でございまして、かつ、入札が進行して契約が逐次結ばれつつあることは事実でございますが、全部が契約を終了したかどうか、ただいま手元に資料がございませんので、つまびらかではございません。
  81. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは、これは通産省の報告を求めて、単純計算ですが、百八十六両で百十五億というのは、これは一両について平均六千百万円になる。いいですか。ところがこの前日本政府韓国のほうに行って、一九七〇年十二月に都市交通計画調査報告書なるものを提出しておる。その中の九七ページ、電動車二両、制御車二両、合わせて四両ですけれども、これが交流電車の場合には一億五千ウォン、直流電車の場合は一億三千二百ウォン、これは四車両連結であります。これを単純計算をして一車両平均にいたしますと、日本の金に換算して、交流電車の場合は二千五百万、直流電車の場合には二千二百万、この計画書でいけばこういう単純計算になるのです。そこで私はおかしいと思いまして日本の業界を調べてみた。これは東京都交通局の調べです。東京都の広報室から発表した数字であります。四十六年八十二両の車を購入しております。地下鉄を。そのうち発電機械その他全然ないボデーだけで一千六百九十七万円、これがエンジンなどをつけた完成車になりますと、三千五百八十四万円。四十七年は、ボデーだけで一千七百万円、完成車両で三千五百八十八万円なんです。しかもこれを東京都交通局に納入したメーカーを調べてまいりますと、先ほど言った日本連合に加盟をしておる。しかも日本鉄道車両輸出組合構成メンバー、この中に入っておるグループなんです。日本の国で調達するものは、四十七年で地下鉄で三千五百万、これが一番最高の日本における地下鉄の車両、ところがいま韓国との間で契約されようとしておる、各メーカーが発注しておる車両は一台六千百万円。大体円借款供与というのは、韓国に高いものを売りつける、先ほど通産大臣経済企画庁長官も、韓国民生安定のため、こう言っておられるけれども、日本で購入する車両に比べて倍の車両を輸出しておるのです。しかもそれを円借款供与という形でメーカーが納めておるのですよ。こういう円借款供与のあり方は正しいと思いますか。韓国民の民生安定のためになると思われますか。しかもこれが競争入札ではなくて、全部随契で行なわれておる。それに日韓協力委員会のメンバー等がかんでおるといううわさすら出ておる。常識的に考えて、日本で一番上等の車両の倍もするような車両を輸出するというのはこれはまともな商法だと思いますか。通産大臣経済企画庁長官どうですか、その点は。私が申し上げておることが事実だったとしたらどうしますか、これは。
  82. 宇都宮徳馬

  83. 和田敏信

    ○和田(敏)政府委員 委員長……。
  84. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それはだめだ。
  85. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 ちょっと話を聞いてください。
  86. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いや、大切な問題なんだ。
  87. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 大切だから……。
  88. 宇都宮徳馬

    宇都宮委員長 通産大臣を指名したんだ、委員長は。――通産大臣を指名した。やりなさい。
  89. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 事務当局に聞いてみましたら、六千百万云々というものが発注されているという実情を全然承知してないそうです。御要望があれば調査してみます。
  90. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 私も実はこの問題初めて伺ったわけです。いま総裁のほうから基金のお考えを聞いたわけですが、最近非常に物の値が上がっておる。いま御指摘のような時点ではそういう値段があったけれども、今日では非常に車両の値段が上がっておるということと、それから韓国では直流と交流がそれぞれ用いられるような関係もあって高くなるんだというような説明でございました。なお、このお話は、先ほどのように入札によっておるということであります。
  91. 松浦利尚

    松浦(利)委員 基金に、私は海外経済協力基金業務方法書というのを読んでいただきたいと思う。この第三条の第一項に、「政府海外経済協力に関する基本施策に即応するとともに、資金の貸付け、出資及び調査の実施に当っては、資金の効率的利用を図り、その適正を期すること。」こうなっておる。私の申し上げたことが事実だとすれば効・率的な運用でないと思う、これは。早急に――だから私は経済協力基金資料を出してくれ、各個における契約があるから出してくれと、こういう要求をしたら、いや、経済企画庁から出してはいかぬということだから出せませんということになったから、私は、私の調べた範囲内の質問しかできない。この際、車両について、韓国ソウル地下鉄についての契約内容についてどういう契約になっておるのか。一時間以内にこの委員会に資料を提出していただきたい。
  92. 真崎兼五

    真崎参考人 ただいまおっしゃいました基金業務方法書に沿った効率的な資金の運用につとめるということについては、私ども日夜そのつもりで努力している、勤務している次第でございます。  それから、おっしゃいまして提出できなかった資料というのは、どの資料をおさしになっておられるのか、私ども現在ちょっとつまびらかにいたしませんが、もしかりに企画庁を通じまして資料を提出できない事情というものをお話し申し上げたとしましたら、その理由は、たとえばいま御指摘になりました契約書、これは日本の民間業者とそれから韓国政府との双方を当事者とするものでございますので、私契約である点、それからやはり一つの外国政府を当事者とする点で、その了解を得ないでこれを公表するのは国際信義にもとるというふうなことを考慮いたしまして、提出いたしたくてもそれは提出することは不適当ではないかということを企画庁に申し上げたかと想像いたします。
  93. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いまの問題、非常に重要な問題だと思うのです。実際にこの調査によっても、二千三百万程度の車両が韓国との間で契約するときには六千百万円になっておるという資料がここに現実に出てきておる、私の調査では。しかもそれを出せと言ったら、いま言ったようにこれは私契約だから出せないと言うなら、一体そういう疑問点はどこでだれが解明するのですか。全然できないじゃないですか。もうやりっぱなしじゃないですか。この協力基金というのは、ここになるほど書いてあるけれども、その判断は協力基金総裁がするだけであってわれわれ国会はできない。相手国がこれはおそらくだめだと言うでしょう、いろいろうわさのあるところだから。オーケーと言ってアグレマンを出すはずはない。そうすると一体こういう疑問点はどこで解明されますか。私は委員長に善処していただきたいと思う。資料を出してください。
  94. 宇都宮徳馬

    宇都宮委員長 委員長は、海外協力資金の運営が正当に行なわれていると思いますから、ひとつ資料を出してください。
  95. 真崎兼五

    真崎参考人 ただいまの問題につきましては、監督官庁であります企画庁とも相談の上で善処いたしたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  96. 宇都宮徳馬

    宇都宮委員長 相談は要らぬでしょう。あなたのほうの判断でやってください。
  97. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 企画庁といたしましては、この委員会の御決定に従うわけでございまして、ただいまの委員長の御判断に従うわけであります。
  98. 松浦利尚

    松浦(利)委員 出るまで質問を保留いたします。
  99. 宇都宮徳馬

    宇都宮委員長 資料を提出してください。  次に、楢崎弥之助君。
  100. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 時間がありませんから、一問だけ、一ぺんで言いますから。  最初は中曽根大臣でも小坂大臣でもけっこうです。南部の麗水地区に建設される石油精製プラント建設、これに三グループ最初応札に加わっておって、それから四グループになり、五プロジェクト。で、これに対する韓国側の許可が十七日仮許可ですか、あったという新聞報道が出ておりました。それは事実かどうか。  それから、ジ・ラインがあとから加わったと思うのですが、いつこれに加わってきたのか。最初は丸紅、大協石油、それから富士石油、アラビア石油、それから三番目に帝人、伊藤忠、その三グループがやったわけですね。それにジ・ラインが加わった。このジ・ラインがいつ応札に加わったか、それが一つです。  それから警備局長のほうにお伺いしますが、一昨日になると思いますけれども、私がある情報を特捜部のほうにお話ししたのですが、それを聞かれているかどうか。  それと、八月八日、事件の日に午前九時前後和泉ナンバー四七八七ライトバン、これがグランドパレスホテルの地下駐車場にいたかどうか。  これだけちょっと聞いておきます。それであとは後ほどまた機会があるそうですから、そこでやります。
  101. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 韓国におけるいろいろなプロジェクトの問題は、日本の民間企業韓国側企業と相談をして、そして話がまとまると、韓国政府がそれを取捨選択したりして、韓国側でいろいろえり分けをしてやっているわけです。それで、それらの話がある程度具体性をもって出てくると、ある段階になると、輸銀その他の問題にもしなりますと政府のレベルに上がってくる、政府はそれを見ていいか悪いかを判断する、そういうことになっておるわけです。  いまの石油精製の話も、私は新聞等を通じまして三グループあるいは四グループが韓国側と下話をしているということは知っておりました。それはいまお話がありましたように、アラビア石油の関係、それからフランス石油と帝人グループでございますか、とそれからもう一つそれにジャパンライン、四つ申請している、話を進めている、そういうことは聞いておりました。その後韓国側でいろいろ下話をして、政府のほうで何か基準をきめたのではないかと思います。それを統合したり振り分けをするために。これまた政府の側においても、いまアメリカ資本の石油会社がユニオンともう一つ何か二つ入っておりまして、それで日本との提携をある程度新しく出してアメリカ側を牽制するという意図もあるのではないかとも思われますし、日本側の石油事情等も見てそういう韓国側の重化学工業化へのよすがとして考えているのかもしれません。それで、原油を持っているグループとかそのほか幾つかのそういう基準をきめたやに、私は新聞等を通じて聞いておりました。  それで、最近新聞によりますと、三つのグループについて韓国政府側が内諾したとかなんとかという記事を拝見いたしました。しかしそれらはまだ輸銀とかなんとかという問題には登場してこないで、韓国側日本側がそのフィージビリティーについて調査しあるいは話し合いをしているという段階で、韓国政府が一応整理したということのようであると私は想像しております。いずれ韓国側がこれこれ、これこれのスキームをやりたいと言ってくれば、これは政府関係資金を必要とするということが出てくれば、われわれのレベルに上がってくると思いますし、そのときには両国で正式に相談しなければならぬという段階である一思っております。現在はまだわれわれのところへは到達している段階ではございません。
  102. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 お答えいたします。  一昨日の御質問の件ですね、一応承知しておりますのでお答えいたしたいと思いますが、阪本紡績の阪本社長と梁一東とそれから韓禄春、こういう三人の者が八月八日、グランドパレスホテルの地下で会っているのじゃないか、こういう趣旨の内容であったと承知いたしておりますが、その関係すぐに調べたわけでございますが、阪本氏は現在韓国に行っておる。それで顧問弁護士のほうに聞いたところ、そういう事実は承知してないということでございますが、韓国から帰ってまいりましたらその事情を本人によく聴取いたしたいと思っております。  それから韓禄春――現在、韓禄春さんは兵庫県におるわけでございます。これに当たったところ、最近上京した事実は全然ございませんと、そうしてそういう阪本氏とか梁一東氏と会ったという事実もない、こういうふうに言っておるわけでございます。  それからフジ田中組、あるいは救国同盟、こういうもの、たとえばフジ田中組の社長は韓禄春だというような新聞報道がなされたけれども、自分は全然そういう名前は知らない。それから兵庫県警が調べましたけれども、救国同盟というものは神戸地区にはいままでの調査のところ全然出てきておらない。韓禄春氏も救国同盟というものを知らない、こういうふうに言っておる状況でございます。  それから四八五二の外ナンバーの車が当時一緒にその付近にいたのではないかということでございますが、これは調べましたところ、八日の十二時二十八分から十三時四十三分の間、確かに四八五二という車がおりましたけれども……(楢崎委員「それは知っております。四七八七のほうは……」と呼ぶ)泉ナンバー四七八七、これは調べましたけれども、当日その時間帯にグランドパレスホテルの地下の車庫にはおらないということでございます。
  103. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 一言だけ。四七八七はいたという、私はこれはもし徹底的にあれするならば言いますけれども、いたのですよ。おたくのほうの関係の調べでそれはわかっているはずだ。あなたはどうしてそんなうそを言うのですか。
  104. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 当日、八日には、そういうナンバーの記録がございませんでしたが、前の日に、七日に、確かにそういうナンバーの車が中にいたということは記録に出ております。ただ泉ナンバーであるかどうかということはまだわかりません。
  105. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 あと回しにしますけれども、この金大中事件の背景をなすものと、特に麗水地域の石油精製プラント建設にからむ背景がどうもどこかでダブっておる感じがするのです。それであとのときにまたいろいろ聞きたいと思います。
  106. 宇都宮徳馬

    宇都宮委員長 庄司幸助君。
  107. 庄司幸助

    ○庄司委員 通産大臣にお伺いいたしますが、実はきのう外務大臣がこの席上で答弁したお答えの中でこういうことを言っているわけです。韓国援助について言うならばやや韓国重化学工業化を急ぎ過ぎるという感じがする、やっぱり農業基盤をしっかりする必要があるので、そのための援助がやっぱり必要なんだ、こういうふうに思う、こういう御答弁があったわけですが、きのう来、それからまたきょうのやりとりをいろいろ聞いておりますと、通産当局自体がどうかわかりませんけれども、実際の進行している方向はやはり重化学工業を重点で進行している、こういう感じを持つわけですが、その点で私、通産大臣から外務当局と通産とで若干指向する方向が違うのじゃないか、こういうふうに感じるわけですが、その辺まずお答え願いたいと思うのです。
  108. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 経済協力はその当該国の要望を受けて、われわれが受け身で大体いままでやってくるという仕切りであります。われわれのほうから、向こうから頼まれもしないのにお仕着せがましくある企業なり産業を持っていくというようなことは、あまりやっておりません。ほとんど全部やってないと思うのです。韓国の場合でも、先方は主権独立国家でありますから、当然自分のプログラムをつくりまして、みずから政府の比較考量の中で日本協力要望すべきものを言ってくるという形になっておるわけであります。韓国側がやることについてわれわれが介入したり、あるいはあまりおこがましいような発言は極力控えてきておるのは、当然の仁義であるだろうと思います。ただ、日本側としては、その回収という問題が当然出てくる問題でございますから、プロジェクトがそういう計画どおり遂行されるものであるかどうか、資金の回収が将来可能であるかどうかというようなことはもちろん考えて、それに沿った措置をしておるわけであります。  農業問題と重化学工業化の問題の扱いの問題は、韓国政府側がみずから考えて、みずからの計画に従っておやりになってきていることで、われわれとしてあまり押しつけがましいことをこちらから言うことは、あまり適当でないと思うのです。ただし先方から助言を求められたら、われわれとしてはわれわれとしての考えを申し述ぶべきものでございましょうし、また経済プログラムの妥当性について批判やらあるいはそういう見解を求められたら、われわれとしては言うべき筋にあるだろうと思います。  それで、外務大臣がどういうニュアンスのことばをおっしゃったか知りませんけれども、産業というものは調和ある発展をはかることが好ましいいということは当然であって、日本の生産の発展を見ましても、明治時代における農業関係からくる地租、あるいはそのほかの農産物の価値によって工業の資本をたくわえて、そして工業発展の段階に明治の終わりから大正にかけて発展してきた。そういうような日本の発展の経過を考え、また世界における工業国家成長の経過を考えてみると、農業関係の足腰がしっかりしていて、そして社会基盤ができて、その上に工業が発達してくるというのがやはり一つの適確な行く道ではないかという気が私たちも一般的に見ていたします。現に中国のやり方等を見ましても、農業を非常に重要視して、人民公社等によって足腰を強くするということをおやりになっているのも、そういうパターンではないかと思います。だから一般的にいわゆる発展途上国の工業化への道という点について意見を求められれば、私は同じような考えを持っておりますけれども、事隣国の問題に関して、こちらから押しつけがましいような意見相手側に強制的に出すというようなことは差し控えておるものであります。ただ、一つ一つプロジェクトにつきましては、回収の可能性とかその他あらゆる問題について検討して行なう、こういうことであります。
  109. 宇都宮徳馬

    宇都宮委員長 先ほど松浦利尚君より要求のありました資料が届きましたので、総裁にお願いします。   〔「ちょっと本人がいないから待ってください」と呼ぶ者あり〕
  110. 宇都宮徳馬

    宇都宮委員長 本人がおりませんから、ちょっと待ってください。それじゃあとからでいいです。それじゃ庄司君。
  111. 庄司幸助

    ○庄司委員 いま大臣から御答弁があったわけですが、やはり通産大臣も農業の足腰をしっかりつくって工業化へ進む、これは一般的には異論がない。大体一般論としては外務大臣と同じようにうかがわれるわけです。しかし、いま現在韓国で進行している経済発展の方向といいますか、これはやはり重化学工業重点で進められている。いまの麗水の話もまさにそのとおりなんですね。それから八一年目標の長期経済計画もまさにそのとおりだ。そうすると先ほど大臣がおっしゃった海外援助の場合は干渉がましいことはできない、相手要望によって、若干のアドバイスや何かはあってもやるのだ。ところが相手要望が外務大臣やあるいは通産大臣一般論に反して、そういう方向に進んでいる。さらにこれを進める方向として、政府あるいは通産省と関係なくだかあるだかわかりませんが、やはり日本の業界がどんどん先行している。こういう関係で、意図に反した援助の方向が朴政権と日本経済界との関係で進んでいる、こういう事態じゃないかと私は思うのですが、その点どうですか。
  112. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私は一般論を申し上げましたが、韓国の場合に、韓国韓国流の五カ年計画をお持ちで、いろいろな諸般の面も考えておやりになっているのでしょう。セマウル運動というのを強く押し出してきたのは、韓国側がみずからの判断で工業と農業とのバランスを考えて、そういう点に力点を入れてきたのかもしれません。たぶんそうではないかと思います。それならそれとして、われわれはこれを受け身に対応してみて、これをまた適当であるかどうかということをプロジェクトごとにいろいろ調査してみてそれに対応する、そういうことであります。去年の日韓経済閣僚会議で参りましたときに、セマウル運動の強い要望向こうからもありまして、当時の足立農林大臣が残りまして、現場まで行って見てきたようです。それでつぶさにその計画等も聞いてみて、二千数百万ドルでございましたか、そのプロジェクトに関して協力をきめたとかいう話を聞いております。そういうようにやはり具体的にプロジェクトプロジェクトごとにその可能性を検討しながら、そういう農業問題についてもきめられておるわけであります。
  113. 庄司幸助

    ○庄司委員 それで私が業界先行だ、経済界が先行していると先ほど申し上げたわけですが、その点で通産大臣、ことしの二月に発表された――これは発表かどうかわかりませんけれども、東洋エンジニアリング株式会社、ここでつくった「韓国主要工業基地立地計画調査報告書」、これはごらんになっていますか。
  114. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私は見ておりません。
  115. 庄司幸助

    ○庄司委員 これは私、非常に大事な問題だと思って、これは約一六〇ページありますが、これを読んで全部抜き書きしてきたのです。これを見ますと、日本経済界が韓国経済計画まで立案してやっている、こういう点が非常に明確なんですね。これは御承知でないならいまちょっと紹介しますけれども、これはことしの二月二十六日に東洋エンジニアリングから韓国政府の重化学工業開発委員会あてに送られた調査報告書なのです。これは送り状を見ますと、韓国の商工省と建設省の官僚を含んだエンジニアリングのチームによって調査されたものだ。この中身ですが、目的がきのうも申し上げた一九八一年までのいわゆる重化学工業化の計画、これをやるための業種の選定、それから業種に対応した適切な工業立地点の調査、検討、それから各立候補地区、これはいろいろありますけれども、立候補地区を各業種の性格から見て判断をしていく、こういう調査日本の一私企業がやっているのですね。作業の内容としては韓国政府関係者との育成業種及び工業立地の基本方向に関する討議、検討、あるいは候補地区中の四地区に対する政府関係者との合同調査、各候補地区における概算投資の規模の推定、どれぐらいかかるか、それから、各候補地区における工業立地計画及び開発業種に関し、必要な結論、建議の問題点を作成するのだ、こういつております。  そこで、調査が行なわれた地区は、かつては東洋エンジニアリングが麗水地区と温山地区を調査をやった、ここに書いてあります。今度は二回目だ。この調査によりますと、麗水地区と昌原地区と温山地区とそれから群山・庇仁地区、この四カ所調査したのだ、この四カ所についてそれぞれ鉄工業であるとか、石油化学工業とか、石油精製あるいは非鉄金属、機械金属、こういったものを調査を非常にこまかくやっておるわけです。その場合どれぐらいの水が必要か、電力が必要か、あるいは従業員が何名ぐらい必要か、あるいは港湾はどれぐらいの規模のものが必要か、こういうものが精細に出ているわけです。合計しますと水だけでも一日二百三万トン以上だ、電力は百七十五万キロワット以上だ、従業員は約七万人だ、用地は千二百二十万坪である。その他港湾ですね。こういうものが出ております。それで、麗水地区にあっては用地造成と港湾建設と道路、鉄道、つまり、産業基盤の問題は韓国政府が投資をする、このプラントは、これは日本とは書いてありませんが、おそらくこれは日本、こうなってきますが、約二兆円ですね、麗水地区だけでも設備投資される。それから昌原地区については、これは用地や道路だけは韓国でやって、あとはフリーゾーンにして日本企業がやってくる。日本とは書いてありません。それから三番目の温山地区については、これは石油精製、非鉄金属、パルプ、基礎化学、そうやって重化学輸出自由地域にするのだ。この韓国政府の産業基盤投資は三千七百四十五ウォンである。それに外国のプラントが二千七百八億円、それから群山・庇仁については、産業基盤については四百三十億ウォン、合計しますと、いわゆる産業基盤の整備に六千二百九十九億ウォン、日本円に直しますと、これはレートもいろいろ違いますが、約四千五百億円ぐらいです。それからプラントについては二兆一千億円をこえる、こういう調査をやって、韓国政府にこの報告書を送っているわけです。  この報告書がことしの二月に送られたわけですが、これについて最近こういう週刊誌の記事があるのですね。これは七月十三日付の週刊朝日ですが、「韓国は本年度から新たな工業化計画をスタートさせ、向こう十カ年間に総額五百億ドルの巨大投資を行う。この工業化計画の中心となるビッグプロジェクトについて、韓国政府はそのコンサルティングをわが国の東洋エンジニアリングに依頼しているが、大手商社をはじめ各社はそのリポート内容を知ろうとして暗躍中とか」こういうふうに書いてあります。  それからもう一つは、私の得た話によりますと、日本鋼管や石川島播磨重工あるいは信越化学、小野田セメント、こういった企業はもう調査団を派遣している、こういう話も聞いているわけです。こうやって、先ほど申し上げたいわゆる産業基盤の港湾であるとか用水であるとか道路、鉄道、これは韓国持ちでやる。これは当然、私は、いずれ政府に対する借款の問題として提出されてくるんじゃないか、こう思っているわけですが、これだけじゃなくて、こういった四地区に対して膨大な設備投資をしていく、二兆円、これはほとんど日本の商社なり企業なりが進出していく、これを前提にしているのじゃないかと思うのですね。わざわざ円建てで評価をしているわけです。これは通産大臣知らないでいる間か、あるいは知って知らぬふりなすっているわけか、そこまで失礼なことは言いませんけれども、そういう、通産大臣が知らないでいる間に、こういうことがどんどん進行しているとすれば、政府の対韓援助が、やはり先ほど来論議があるいわゆる韓国経済を、日本企業活動に隷属されていく方向が、これは好むと好まざるとにかかわらず進行していくであろうし、また進行しつつある現状なんだ、こういうふうに思うのです。この点が私はきのうも御質問申し上げて、これは通産大臣もお気にさわったらしいのですが、ほんとうに日本経済が、企業が、もう韓国経済の中にどっぷり首までつかっている、こうして抜き差しならない。金大中事件で、もし韓国政府のごきげんをそこねて、げきりんに触れて、何かあればほんとうにこういう問題がたいへんな問題になる。これは企業が相当心配するだろうと思うのですよ。こういった企業先行型で、ちょうど満州事変を起こしていった、「戦争と人間に」に出てくる伍代財閥のようなかっこうで、あのいわゆる軍と、あの場合は企業が一体となってずっと侵略を進めたわけですが、今度はよもや軍事侵略はないだろうと思いますけれども、やはり経済侵略が進んでいる。これは南朝鮮の人民がはだ身で感じている問題であろうと思うのですよ。だからそういう点で、私はこの東洋エンジニアリングの調査報告書、こういうことがいまやられているという問題を通産大臣どのように御認識なすっているのか、これをひとつ聞かしてもらいたいと思うのです。
  116. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 おそらく韓国政府が東洋エンジニアリングをコンサルタントとしてそういう重化学工業計画の一部について調査を求めて、その文書がいまお示しになった文書ではないかと私は想像いたします。しかしそれは韓国政府と東洋エンジニアリングの調査との関係であって、日本政府を拘束するものではありませんし、私は何ら関知もせず、いま初めてそういう話があり、内容があるということをお聞きしたわけであります。韓国政府が自己の主権に基づいていろいろ産業計画をお立てになって、そして民生の安定や所得の向上のためにいろいろ御苦労なすっている姿でもあるのではないかと思います。韓国ではずいぶん恒常的な失業問題というのがあって、大学を出ても就職口がなくて、ソウルでうろうろしている人たちがずいぶんおったわけでありますから、やはり完全雇用政策ということは韓国政府の、近代国家はどこでもやる政策でありますが、大きな関心事で、重化学工業によって失業を吸収しようという考えがあるのかもしれません。向こうには向こうのお考えがいろいろあると思いますから、われわれは、向こうから政府として話があった場合にそれを拝聴してどう評価するかという考えで相対していきたいと思っているわけであります。どこにどういう企業が出てくるとかなんとかいう話は私全然まだ、政府は関知もしておりませんし、聞いてもおりません。
  117. 庄司幸助

    ○庄司委員 だから私が言いたいのは、政府が関知していない間にこういう調査日本会社がやっている。これは韓国政府の依頼があったことは間違いないと思います。しかしこういう調査日本企業によってやられて、しかもこの東洋エンジニアリングは三井の系統の会社であることはまぎれ一もない事実ですね。三井東圧の系統会社であるといわれております。そうすると、先ほどお話があった入札の問題とかあるいは企業の張りつけの問題、これは日本企業はウの目タカの目でねらっているわけですから、当然そういう点で日本企業韓国経済の支配と見られるようなかっこうが生まれてくる。これは必然であろうと思うのですよ。それがいま大学を出ても失業者がいると大臣はおっしゃいましたが、完全雇用の観点で雇われても、あの馬山の地区の労働者のようにきわめて低賃金である、無権利である。これはやはり韓国国民、南朝鮮の人民に必ずしも喜ばれる方向じゃなくて、むしろ反日感情が高まる土台になっている。これは事実あるわけです。学生運動だけじゃありません。だからこういうものについて通産省が、政府チェックすることができないのか、あるいはチェックする気がないのか、その辺はやはり大事な点だろうと思うのですよ。いつ開くか、あるいは私どもは取りやめなさいといっておりますが、この問題は当然に第七回定期閣僚会議の議題にもほぼ出るであろうと、これは韓国筋では見ているのですね。向こうは出すだろうと思っているわけです。そういう、出た場合、やはり出てからしかこれは答えられませんというのでは話にならないので、金大中事件の問題がからんでも、やはりここで明確な態度をとっておく必要があるのじゃないかと思うのですね。その辺、通産大臣と、外務次官もいらっしゃいますからひとつお答え願いたいと思うのです。
  118. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 外国政府が私的契約でコンサルタントを雇って、いろいろ勉強して研究しているということをわれわれがチェックしたり何かするということは、これは内政干渉にもなりかねまじきことであって、そういうことは適当でありません。
  119. 水野清

    ○水野政府委員 先生の御指摘の点でございますが、韓国政府が東洋エンジニアリングという会社調査を依頼したことは事実だと思います。しかし、東洋エンジニアリングという会社は、これは別に韓国だけでなくて、ほかの外国でも調査をやっているわけでありまして、調査の依頼主が、いま先生の御指摘のように、非常に重化学工業を重視した目的で依頼をしたものであろうと、これは想像でございますが、私は思います。しかし、これは決して、先ほど通産大臣からも申し上げましたとおり、日本政府がこれを関知していることでもございませんし、第七次日韓定期閣僚協議、これはいつ開かれるかわからないわけでありますが、そこに議題に出るとか、あるいはそれに引きずられていくということとは全く別であろうと私は思うわけでございます。まして、先ほど先生が御指摘になりましたように、こういう問題があるから金大中事件が歯切れが悪いのだというようなお話がございました。これは全くの誤解でございまして、警察当局はこれだけ真相究明に努力をして、しかも政府自身が調べて、たとえば金東雲一等書記官の指紋が出てきたということを政府が公表したということは、国民の前に今後この事件がいかなることがあっても後退できない、ごまかしができないということを政府みずから覚悟してやっている証拠だと私は思う。その問題とこういう経済問題とをひとつ混同しないで御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  120. 宇都宮徳馬

    宇都宮委員長 庄司君に申し上げますが、大体時間が参りましたから。
  121. 庄司幸助

    ○庄司委員 もう一問で終わります。  いま外務次官が、私が言ったことは全く誤解だとおっしゃっておりますが、それならば一体あの明確な主権侵犯に対してなぜこういうだらだらした態度が続いているのか、これは国民全体が不審に思っている点なんですよ。だからそこには何かあるのだろうということですね。国民の目は対韓援助の問題点にしぼられてきているわけですよ、一つは。だからそういう点で私は聞いているので、これは外務次官が私の誤解だなどと言うことはとんでもないことだと私は思うのです。それからもう一つそれなら私は外務次官にお伺いしますが、農業問題と重化学工業の問題で先ほどの大臣答弁を私は紹介しましたが、外務大臣はああいう考え方で対韓援助考えている。ところが、これは大平外務大臣が就任なすって以来しばらくたってから発行した外務省アジア局「韓国通商振興調査団報告書」というのがあります。この報告書を拝見しますと、全く外務大臣とは逆のことを報告しているのですね。この重化学工業部門の発展をはかること、それから自由地域をもっとふやせ、あるいは外国投資誘致政策の再検討であるとか産業基盤をもっと整備しろとか、港湾とか道路とかですよ。あるいは輸出産業体質の強化をやれとか。この重化学工業をふやす、それから国内市場を強化する目的、これについてこういつているのです。農村の近代化はこのためにやりなさいといっているのです。つまりどんどん生産をふやしていって、農村でいわゆる近代化をやらして、いわゆるこういった重化学工業やあるいは産業、日本企業がどんどん行って工場が起きる、その消費市場としてしか農村を考えてない、こういう考え方があるのです。これは私は、きのうの大平外務大臣の答弁とこのあなたのほうの調査団報告書とどうもちょっと食い違いがある、親の心子知らずと申しますか、どうもそういう食い違いがあるような感じがするのですが、その点どうですか、これを最後に伺っておきます。
  122. 水野清

    ○水野政府委員 昨日の大平外務大臣の農業に重点を置いて経済協力をしていくべきだというのは、これは日本側の考え方でございます。もちろん先ほど通産大臣が申しましたように経済協力の問題は日本側だけで考える問題でもない、韓国韓国のお考えがあろうと思います。ただ両者が話し合った上で合意をしていく、その際日本側としては、あまり重化学工業に偏重なさるよりは下から積み上げておいでになったほうがよかろうじゃないか、私はこういう考え方だろうと思います。いまの調査団報告書につきましては後ほどまた事務当局から詳しく申し上げますが、私の聞いております範囲では基本的には食い違いがないということでございます。その中にも農業問題を重視し、さらに農業問題以外にももちろん経済協力の問題はありましょうが、たとえば社会基盤を整備していく、道路、公共投資というようなものからしっかりやっていくべきである、逆三角形のような形の経済協力経済開発というものは好ましくないということを私は指摘しているのだというふうに聞いております。
  123. 庄司幸助

    ○庄司委員 終わります。
  124. 宇都宮徳馬

    宇都宮委員長 坂井弘一君。
  125. 坂井弘一

    ○坂井委員 具体的にお尋ねします。  韓国の農業関係の試験研究機関に対しましてわが国から無償経済協力によるところの研究機器が相当量無償で供与されております。ところがこの研究機器が不完全品である。つまり欠陥品であります。そういう状態でありますので使用不可能のままで今日放置されておる。こういう事実があるのでありますが、農林大臣承知していらっしゃいますか。
  126. 御巫清尚

    ○御巫政府委員 日本からの研究機器が相当額購入されてそれが放置されたというような御指摘でございますが、これは前から出ております日韓国交正常化の際にでき上がりました財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する協定に基づく、いわゆる協定に基づくところの無償協力という形で供与された製品であるというふうに考えられます。  この無償協力の購入のやり方は、韓国側が、韓国側の業者が直接契約を結んで購入してその契約を日本政府が承認をしましてそれに必要なお金を支払う、こういうような形で行なわれるというかっこうの約束になっておりまして、結局韓国側の購入者の側において使用不可能のまま放置してしまったというような事態が起こったものではないかというふうに考えられます。
  127. 坂井弘一

    ○坂井委員 私は不完全品である、欠陥品である、こう指摘しておる。韓国側の責任だとおっしゃるのですか。
  128. 御巫清尚

    ○御巫政府委員 ただいま申し上げましたように、購入者側にその責任が持たされておるというふうに了解しております。
  129. 坂井弘一

    ○坂井委員 購入者側が不完全品を買わされたのじゃないですか。売ったほうがあるのでしょう。メーカーはどこですか。
  130. 御巫清尚

    ○御巫政府委員 先ほども申し上げましたように、この韓国側の購入者とわが国の業者との間に結ばれました契約によって韓国側が購入してまいったものでございまして、購入した際のチェックがあるいはどこかで不完全であったのかとも思われますが、購入した際の責任の所在は購入者側にあるというふうに存じます。
  131. 坂井弘一

    ○坂井委員 ずいぶん虫のよい言い方ですね、局長。  じゃ、きょうは海外技術協力事業団においでいただいておりますので、お尋ねいたしますが、私がいま不完全品であるということを指摘しました。認めになりますか。
  132. 田付景一

    ○田付参考人 お答えいたします。  ただいまお話しになりました不完全機器ということは実は私たちのほうとは関係がございません。これは無償供与で、政府のほうがやっておられる仕事でありまして、この点は私どもとの関係はないのであります。
  133. 坂井弘一

    ○坂井委員 そういう無責任な答弁ははなはだ困る。調査報告書があるじゃないですか。あなたのほうで調査なさった。わかっていらっしゃるから言っている。大臣はそのような事実を御存じなかろうから、よくここで認識をしていただきたいという意味で詳しくわかっておるあなた方に対してその状況を、実態をここに報告してもらいたいということを言っている。調査報告書の中にあるじゃないですか。不完全品ということをちゃんといっておる。なぜそういうことをおっしゃるのですか。「日本製品が不完全であるという」、その前に「全然使用不可能の状態になって放置されている。例えば作物試験場に購入されたグロースチェンバー」グロースチェンバーというのは植物培養のための人工気象室、これが三つ「全然作動しないままで日本製品が不完全であるという印象を与えている。また電子卓上計算機三台も同様に全然使用不可能の品であった。韓国の農業研究者にとっては、この研究機器の整備に期待しているのに日本から不完全品が送られている現況は誠に残念である。」日本から不完全品が送られておる。韓国側は非常に期待しておった、にもかかわらずこのような不完全品が送られたことはまことに遺憾であるというのは事業団の調査報告ですよ。
  134. 田付景一

    ○田付参考人 ただいま私の回答が不十分であった点で誤解を招きましたことをおわびいたします。これは調査団が参りましてその結果の報告でありまして、実は私が関係ないと申しましたのはそういう機械を出す出さぬということについては関係なかったと申したわけでありまして、実はそういう機械があるということを調査団がこの報告書に書いたことは承知しております。その結果、この機械が実際上不完全品であるかどうかということについては外務省にも報告して調べていただくことになっております。
  135. 坂井弘一

    ○坂井委員 外務省、お調べになったですか。グロースチェンバー、電子卓上計算機、これの製造メーカー及び輸出者、これをはっきりしてください。
  136. 宇都宮徳馬

    宇都宮委員長 御巫経済協力局長、要点をはっきり具体的に簡単に言ってください。
  137. 御巫清尚

    ○御巫政府委員 御指摘の品目、電子卓上計算機、メーカーは日本計算機販売、台数が六台でございます。金額にいたしまして総額百六十八万三千円。それから、グロースチェンバーと申すもの、これはメーカーは木屋製作所というものでございます。これは五台ございまして、二十四万五千円というふうに調査結果が出ております。
  138. 坂井弘一

    ○坂井委員 相当多量に送られておるということをここでいわれておるわけでありますけれども、そういう中にいまのようなものがある。金額的には確かに小さいかもしれません。しかし、韓国の農業研究者として、技術者として、日本のそうした農業研究機器の優秀なものを送られてくるであろうということを非常に期待した。にもかかわらず、このような不完全品が、欠陥品が送られてきた。これはまことに遺憾なことであります。まことに残念なことであります。まさにここに指摘されるとおりだろうと思うのですけれども、農林大臣、こういうような事実があるということに対して、どうお感じになりますか。
  139. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 ただいまお示しのように、報告書の中に、日本製品が不完全であるという印象を与えておる、あるいは全然使用不可能の品があったという、わが国調査団自体が指摘をしておるのでございまするから、この報告を読んで、私としては、まことに遺憾なことである、こういうような、いかに無償援助であっても、かようなことがあってはならない、このように戒めておるところでございます。
  140. 坂井弘一

    ○坂井委員 外務省お調べになったですか。なぜ不完全……
  141. 御巫清尚

    ○御巫政府委員 この調査団が派遣されました当時におきましては、この卓上計算機につきましては、あまりにも高度な機械であって、使用するための技術者の手が足りなかったということでございまして、目下は安全に使用されているという報告を受けております。それからグロースチェンバーにつきましては、機械そのものの不完全のためではなくて、これに必要といたします電気の関係で使用できておらなかったというのが、その調査団が行きましたときの状況であったということでございます。
  142. 坂井弘一

    ○坂井委員 あなたの答弁聞いておると、後退するのですよ。こちらの都合のいいことばかりおっしゃっている。そうじゃないのです。不完全品だとはっきりいっているのです。だからメーカーもお調べなさいということを私は言っているのです。メーカーに都合のいいような、そういう言い方ははなはだ困る。よろしくないですよ。改めたほうがいいと思います。  第四回の日韓定期閣僚会議、つまり一九七〇年七月の二十三日、共同コミュニケによりまして、韓国に必要な農水産業の近代化のために日本が円借款を供与するということになりました。そこで日韓の間で一九七一年二月十八日、交換公文をかわしております。その公文を見ますと、七十二億円の円価による借款、これが日本輸出入銀行から韓国に供与される、こういうものであります。  この七十二億には、二つの項目からなっております。つまり一つは、農水産開発事業計画の遂行に必要な国内資金調達するための資材の購入、これが五十四億、それからもう一つは、農水産業用機材の購入、これが十八億円、合わせますと七十二億であります。なおこの償還期限は三年の据え置き期間の後十年、利子は年率六・二五%、支出の期間は一九七一年二月十八日から二年間、こうなっておる。ところがこの二番目の農水産業用機械の購入十八億円の円借款ワク交換公文によってきまったわけでありますが、これが使われないままでそのまま二年間を経過した、つまり次の時点でかわされました交換公文一九七三年二月の十六日、ここで大韓民国に対する円借款の支出期間の延長に関する書簡の交換に関する閣議決定がされまして、交換公文が四十八年の二月十六日にかわされた。これは何のための交換公文かといいますと、つまりいま言いました二番目の十八億円、これが全然使われていない。それをそのまま一年間延長しようという交換公文であります。二年間全然使われない。それをまたさらに一年延長しよう、こういうことは私はかつてなかったと思う。理由は何ですか。
  143. 御巫清尚

    ○御巫政府委員 本件を使用しないまま使用期限を延長せざるを得なかった理由は、韓国国会の承認がおくれたということでございまして、韓国国会の承認が昨年夏に得られまして、その後使用計画を立てておるというふうに承知しております。
  144. 坂井弘一

    ○坂井委員 答弁になりませんね。さきの交換公文、つまり七一年二月十八日の交換公文では、十八億借款ワクを設定したわけです。日韓閣僚会談等においてもこれに対して当然要請もあったのでしょう。そのあとを受けて交換公文となったのです。十八億要ります。承知いたしました、二年間何にも使われていない、一銭も使われない。全然未使用。それがなぜ、そういう状態のままで来たものが次の交換公文によってこれを一年延長しなければならないのか、その理由は何なのか、韓国側だ、韓国は必要だからと言ってきたのですよ。理由にならぬじゃないですか。
  145. 御巫清尚

    ○御巫政府委員 韓国国内手続によりますと、いま国会承認と簡単に申し上げましたが、この交換公文あとにまた貸し付け契約とかいろいろ手続があるわけでございますが、その貸し付け契約についてあらかじめ国会の承認をとっておく必要がある、その承認をとる手続がおくれて昨年の夏までかかってしまったというふうに了解しております。
  146. 坂井弘一

    ○坂井委員 そんな理由では理由にならぬじゃないですか。交換公文によって二年間という期間を定めたのですよ。二年間という期間を定めた。国会の手続がおそくなった。二年間しか期限がないということは最初からわかっできめたじゃないですか。それが手続がおくれたからでは理由にならぬじゃないですか。三月や半年のことを言っているのではないのです。最初から二年間ですよと設定された。何にも使われない。あなた方はその実態というものをよく把握していらっしゃらないんじゃないかと思う。  じゃ聞きますが、この支出期限延長に関する交換公文では、あと一カ年間に全然使われなかった十八億を消化するということになるわけです。一カ年しか期限ない。これが消化できるような準備があるのか、調査をされたかお答え願いたい。
  147. 御巫清尚

    ○御巫政府委員 先ほど申し上げましたように、韓国側の国会の手続を終わりましたので、その後韓国政府は本件十八億円の使用計画を立てまして、その使用計画を現在わがほうに持ってまいっておりまして、わがほうでこれを検討して、あと一年の間にはまず使用し尽くせるというふうに考えております。
  148. 坂井弘一

    ○坂井委員 「一九七四年二月十七日まで延長することに関する取極案について合意に達した。よって近くソウルにおいて、わが方在韓国後宮大使と先方金溶植外務部長官との間でこのための書簡を交換することといたしたい。」つまり一年間、ことしの二月、来年の二月十七日まで、こういうことなんですね。  私はなぜこれを言うか。韓国は当然必要としたのだろうと思いますよ。もちろん必要でないものを、これは有償でありますし、円借款を申し出るわけはない。わがほうもこれに合意した。交換公文をかわした。二年間何にも使われなかった。使われないままにきた。期日が切れた。また延長します。これは何かあるのじゃないですか。先ほど指摘しましたが、日本から無償で贈られた農業機器が使いものにならぬ。不完全品である。使用不可能である。時代おくれの欠陥商品である。こんなものが送られてきたら困るというためらいもあったのじゃないですか。常識的にはそういうことも想像されますよ。もしかりに相手側の実情がわからなくして、ワクを設定したんだから何でもかんでもこの円借款ワクは消化しなければならぬということで、またぞろきわめて品物のよくないものを相手側に送りつけたならば、この場合送りつけです。売りつけです。韓国側は迷惑するのじゃないですか。いかがです。
  149. 御巫清尚

    ○御巫政府委員 この農水産業近代化のための借款と申しますのは、お手元にございます資料にもございますとおり、刈り取り機とか耕うん機とかそういったような機材を購入して農水産業を近代化しようという計画であったわけでございます。したがいまして、当然予想されますことは、こういったものは生産の期間も短いし、発注してから購入者の手元に入るまでにはそう長い時間を要することはあるまいというので、当初二年の期間を定めたわけでございます。しかしながら遺憾なことに、韓国国内手続がおくれたために延長せざるを得なくなったのははなはだ残念であったわけでございますが、すでに国会の関係におきます国内手続が終わっておるということでございますので、今後はこれが一年の間に十分に消化されるというふうに了解しておりまして、先ほどの不完全品というようなものとの関連は全くないものと存じております。
  150. 坂井弘一

    ○坂井委員 借款供与で交換公文をかわして、そのかわした内容が全然実行されなかったといういまの理由は別としまして、この場合十八億というワクを設定して全然使用されなかった、ほかにこのようなケースはありますか。
  151. 御巫清尚

    ○御巫政府委員 手元に詳しい資料がございませんので正確には申し上げかねますが、全体で、こういったような当初予想し得なかった先方の国内理由とかあるいはまたプロジェクトがうまくできなかったとかそういったような理由から延長をせざるを得ないようなふうに至ったケースが五、六件はあると思います。私の覚えておりますケースといたしましては、東アフリカ三国に対しまして一九六六年に円借款を供与したわけでございますが、これはその当時これらの諸国との間にわが国との輸出入のバランスが非常に悪くて、これを何とかするために円借款を供与しないとぐあいが悪いことになるというので、やむを得ず急いで円借款を供与したわけでございますが、当初予定した期間の間にプロジェクトがうまくでき上がらずに延長したというケースがございます。
  152. 坂井弘一

    ○坂井委員 一銭も使わないで延長するというようなケースはあったかと聞いている。
  153. 御巫清尚

    ○御巫政府委員 全く一銭も使わなかったということではなかったというふうに承知しております。  それからもう一つネパールに対します円借款、ごくわずかな金額でございますが、これにつきましても五分の一足らずぐらいしか使われずに使用期限を延長しているというケースがございます。
  154. 坂井弘一

    ○坂井委員 大臣お聞きになって、ずいぶんおかしいと思われませんか。二年の間に、いま全然ではないとおっしゃるのだけれども、十八億がそのまま残った、一年延長した。来年の二月までです。私は、このこと自体が、この十八億を供与することが悪いとかいいとかと言っているのじゃないのです。こんなおかしな話はないじゃありませんか。韓国側も困っているのでしょうと思います。しかしへたをすると日本からの押しつけになるようなことを懸念しているんじゃないかなというようなことも心配にもなる。だからこの一年の間に消化されるのでしょうけれども、これは韓国側も喜ぶような形でこの十八億を経済協力、無償供与しなければ何の協力にもならないということになりかねない。その点を申し上げているわけです。大臣、感想としていかがでしょうか。
  155. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 御質問のお考えについては私よくわかります。  ただ実際上韓国側にどういう事情があるのか、また韓国側としても必要があるから一年の延長の書簡交換になったのではないか、こういうふうに考えてまいりますと、私は実際上のことはわかりません、しかしその経緯からいえば、先方にいろいろ御批判の気持ちはありましょうが、できれば明年の二月十七日までにこの円借款を実行したい、向こうにもこういう気持ちがあるのではないか。そうであれば、日本側としてもその気持ちに協力をしてあげたらいいんじゃないか、こういうふうに私はただいま承っておったわけであります。
  156. 水野清

    ○水野政府委員 対韓援助でこういう形の借款というものが初めてであったためかしれませんが、韓国政府の事務当局が向こう側の議会の承認を得なくてもいいというふうに理解をしておった、ところがあとから議会の承認を必要だということで非常に手続がおくれた、それで十八億円のお金が二年間たっても残ってしまった、こういう内容でございます。
  157. 坂井弘一

    ○坂井委員 米の問題をお聞きしたいと思いますが、米穀援助であります。つまりこれは有償経済協力の中の米穀援助、その中で、これは三つございますが、貸し付けの分に限ってお尋ねをしておきたいと思います。四十四年の三月十一日の契約で三十三万三千トン、それから四十五年の二月十百の契約で三十万トン、合わせて六十三万三千トンになりますが、最初の三十三万三千トンにつきましては現場貸し付けで現物返還方式であります。十年据え置き二十年均等返還、こうなっております。次の三十万トンにつきましては、いまのことは同様でありますが、これに貸し付け料として返還の際毎年四千五百トン、つまり物利として、貸し付け料として四千五百トンずつ上積みをする、こういう取りきめの内容になっております。なぜこの二つはこう違うのでしょうか。
  158. 中野和仁

    ○中野政府委員 二回にわたります現物貸し付けにつきましての条件はいま御指摘のとおりでございます。その間の事情を申し上げますと、第一回目の四十四年の三月の分につきましては、当時韓国が非常に凶作でございまして人道的な見地から貸し付けを実施したということと、それからわが国におきましても外国に対しての貸し付けというのは初めてのことでありまして、それからまた御承知のように当時非常にこちらにも過剰米というものをかかえておりましてこれをどうしようかという議論の際に、そのままずっとこれを倉庫に入れておきますと国内でも保管料がかかるというようなこと、いろんな事情を総合勘案しまして、いわば現物をそのまま貸してあとで返してもらうというだけで利子的なものをつけなかったわけでございます。第二回目になりますと、韓国側は依然として凶作が続いておりますのでまた現物貸し付けを第一回と同じ条件でやってくれ、こういう希望が非常に強かったわけでございますが、わが国のほうはこの過剰処理というのを順次計画的にやるというようなことから当時すでに政府部内では延べ払いによる輸出制度というのを考えておりました。したがってそれを国会に提案して通りましたあとそれによってやらないかということをずいぶん提案したわけでございます。そして話し合いがかなり平行線をたどっておったわけでございますが、韓国側におきます国内の米の需給事情が非常に急迫しまして急を要するということから、韓国側からはその打開策といたしまして貸し付け料として償還期間中、据え置き期間を過ぎたあとでございますが、毎年四千五百トン米穀をプラスして償還をするからぜひ現物で貸してほしいという提案がありまして、これを受け入れまして両政府間で合意をしたというような経緯になっております。
  159. 坂井弘一

    ○坂井委員 決算委員会として要求して提出されたこの資料、これはもう少し親切にしていただきたいと思うんですね。ここには三十万トンしか出てこない。四千五百トンずつ毎年利息の分として物利として積み重ねますと九万トンふえるわけですね。そうしますと三十九万トンになりますか、確認しておきたい。
  160. 中野和仁

    ○中野政府委員 御指摘のようにいま私が申し上げました金利的な意味での四千五百トンを加えますれば返還時には九万トンふえるということでございます。
  161. 坂井弘一

    ○坂井委員 だから困るというんですよ。これだったら三十三万三千トンと三十万トンしか返ってこぬ。六十三万三千トン。少なくともこの両者は違うわけですか。そのことについてははっきりすべきだと思う。じゃ、このことについてはそれ以上のことを申しませんが、もう一点だけ聞いておきましょう。  日本米、日本から送りました米と等質の米を返還してもらう、こうなっておりますけれども、実際韓国から現物の米の返還を求めることは可能だという考え方に立って貸し付けをなさったのですか。
  162. 中野和仁

    ○中野政府委員 期限が三十年ということになっておりますから、その間韓国の生産力も非常に上がってまいりまして当時といたしましては可能であるというふうに考えて契約を締結したものと思います。
  163. 坂井弘一

    ○坂井委員 大臣に尋ねますが、可能だと食糧庁長官はおっしゃっておりますが、大臣もやはり可能ならしめるようにもちろん韓国に対する農業経済協力、農業生産というものの向上等に対しては十分配慮をされていくであろうと思いますけれども、これは大臣の見通しとしても必ず現物でもって返してもらうようにするという自信はおありなんでしょうね。
  164. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 これは両国の代表の間で現物返還方式、十年据え置き二十年均等返還、貸し付け料として返還の際毎年四千五百トンを追加受領する、こういう約束でございますから、少なくとも約束をいたした当事者の間ではこれが履行されなければ国際間の信用の維持はできない。まあ特別な事情があって何か申し出があるというようなことまで予想いたしますれば、それはそれとしてまた協議をしなければなりませんが、少なくともこの契約条件のはっきり明示されておる以上これが履行されるべきものである、このように信じておるわけであります。
  165. 坂井弘一

    ○坂井委員 じゃ、最後に一点大臣にお尋ねしておきますが、先ほどから議論がありました韓国農業基盤整備計画調査報告書、これも海外技術協力事業団の報告でありますが、つまりセマウル運動の一環として挿橋川地区、界火島地区に対する整備、これに共同コミュニケによりまして二百四十六億円までの円借款が供与されるよう協力する旨述べた、つまり八千万ドルの円借款が日本側から供与されるという約束をした、こういうことであります。先ほど外務省経済協力局長の答弁の中に、約束はしたけれどもまだきめていないという答弁がありました。つまりそれは調査団調査報告によりますと、修正すべきじゃないか、減額すべきじゃないかということになろうかと思います。その質問に対してまだ考えていないということであります。  大臣にお尋ねする前に、海外技術協力事業団に一点お尋ねしたいのですが、修正されていらっしゃいますね、明らかに。この修正はこのとおり間違いないでしょうか。内容を申しません。
  166. 田付景一

    ○田付参考人 事業団といたしましては一応調査団を構成いたしまして仕事を十分調査していただいておりますが、その結果の報告書がここに出ておるわけでありまして、調査団としての報告書としてはわれわれはこれを調査して各界関係方面に出しておる、こういうことになるわけでございます。その一部修正は確かにしておるわけでございます。
  167. 坂井弘一

    ○坂井委員 大臣にお尋ねします。  調査団調査報告の中に綿密に修正されております。工事費も修正しています。この修正は尊重されていますね。
  168. 御巫清尚

    ○御巫政府委員 昨年の閣僚会議の共同コミュニケの該当部分をお読みいただきますと、「挿橋川流域総合開発計画、界火島総合開発計画を始め適格なプロジェクトに対し、二四六億円までの円借款が供与されるよう協力する旨述べた。」こうなっておりまして、これを通常の手続といたしましては、その後種々の調査その他を加えました結果を双方において完全な合意に達した後に交換公文にいたすということでございまして、その交換公文の金額がこの二百四十六億円ぴったりそのままであるかどうかという点についても、これもまた双方の慎重な審議の対象になることと了解しております。
  169. 坂井弘一

    ○坂井委員 じゃ、お尋ねしましょう。  二百四十六億はその他適格な事業等も含めてそれを認めます。私の言うのは、挿橋川地区と界火島地区、この二つに限って、これは幾らになるか知りません、二百億であるか、百八十億であるか、それは知りません、しかし、その中で修正しなければならぬ部分があると言うのです。修正なさっていらっしゃるのです。それを尊重するか、こう聞いているのです。
  170. 御巫清尚

    ○御巫政府委員 この二百四十六億円、すなわち当時の換算レートで八千万ドルというお金を計算いたしますにはそれなりの根拠があったわけでございますが、その後のいろいろな事情もございますし、その後の調査ということもございますし、はたしてここに名をあげました二つのプロジェクトだけに限るべきものであるか、その他適格なプロジェクトをまた中に入れるべきものであるか、その点につきましても今後の日韓双方間の協議の対象になるものというふうに存じております。
  171. 坂井弘一

    ○坂井委員 答えにならぬわけです。この二つの地区に限ってと私は前置きをしているのです。二百四十六億はその他適格な事業も含めているのです。それはさておいて、この二つの地区について調査団が修正しておるのです。だからこの修正は尊重するかと、こう聞いているのです。尊重するなら尊重する、しないならしないと、こう言ってくれればわかる。
  172. 御巫清尚

    ○御巫政府委員 調査団報告は尊重いたします。
  173. 坂井弘一

    ○坂井委員 じゃ、大臣にお尋ねします。調査団報告を尊重するということであります。当然、大臣としても尊重されると思います。したがって、修正を加えるということについてはお認めになりますね。
  174. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 実は私としてはこのプロジェクトの協議に入る立場がないのであります。そこで、先ほどからお答えを申し上げているように、二百四十六億円までの円借款が供与される方向で協力する旨意図表明を行なった、だからもちろんそこに弾力性がありますね。それに基づいて昨年来の調査を行なって、いま御指摘のような報告をいただいておるのでありますから、そこでその結果を慎重に検討して結論が出る、こういう筋道になりますから、当然この意見が尊重され、額も変わってくるということは予想にかたくない、しかし、私には実はそこをいじる権限がございませんから、一応の見当をお答えすることをお許しいただきたい。
  175. 坂井弘一

    ○坂井委員 よくわかりました。よくわかりましたけれども、大臣としてはそういうこの調査団報告を尊重して、その趣旨に沿ってこれは尊重して、大臣個人のお考えとすればこの修正を十分生かされるようにしたい、そのための努力をする、こういうふうに私は理解いたします。  ただここで一点、このこと自体が修正をしろ、減額をしろということをここで私は強調しているのでは決してないということ、この点については十分ひとつ理解しておいていただきたい。つまり、ずさんな計画は困るということであります。少なくともこれは終始一貫、各委員からも言われていますとおり、対韓援助そのものが中身のある、実りのある韓国経済の発展なり民生の安定なりあるいは農業基盤の整備、韓国農業が今後発展をする、自立できる、そういうような方向に日本協力できてこそ、初めて日韓のこの協力関係というものが両国の友好に役立つものであるし、それを助長していくものである。しかし、少なくともこの経済協力の借款の中で、ある場合には不必要な、またある場合には先ほども指摘したような不完全、欠陥のある、そういうような機械が送り込まれたり、あるいはまた向こうで使用されないものを無理やりに送り込んで韓国にさらに負担を大きくさせる。やがては返さなければなりません。利子もついております。そういうものは全部やはり韓国国民の血税によってまかなわれるというような点にも十分配慮をいたして、ほんとうにそうした的確な、真に経済協力関係の実りのある、中身のある援助でなければならぬ、協力でなければならぬということを言っているわけでありますから、どうかそういう点を十分ひとつさらに再考をしていただきまして、あやまちのないようにしていただきたいことを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
  176. 宇都宮徳馬

    宇都宮委員長 先ほどの松浦委員資料要求について、大来海外経済協力基金総裁に発言を求めます。
  177. 大来佐武郎

    ○大来参考人 先ほどの松浦委員からの御質問で調査いたしまして、別室におきまして契約書については委員のお手元で御確認を願いました。  なお、この地下鉄につきまして私どもの従来調査いたしました資料の要点だけを申し上げますと、ソウル地下鉄につきましては、車両一両当たりが六千三百九十万円、これは松浦委員のおっしゃいました六千百万より少しは上回っておりますが、これは部品等を入れた結果でございます。一番最近の東京の八号線、成増明石間につきましての車両一両当たりの予算価格が五千七百七十万円になっております。これはたとえば東西線につきましては四千三百七十万円、千代田線については四千五百九十万円、いろいろその時期によりまして単価が違っておるわけでございますが、最近この一年間の機材の値上がりが相当激しかったように聞いておりますが、いまの八号線につきましては、私どもはこの「営団地下鉄のあらまし(一九七三年版)」という資料によりまして計算したんでございますが、なお先ほどの松浦委員のお話のございました数字ともう一度チェックさしていただきたいと存じております。  なお、キロ当たりの建設費は、これは条件によっていろいろ違いますので、まあ一応私のほうでは当たってみたんでございますが、ソウルの場合には一キロ当たり二十四億円、東西線の場合には四十八億円、千代田線の場合には六十二億円、一番最近の成増明石、これは予算でございますが八十六億円ということで、これは地質その他条件が違いますので直接比較できないわけでございますけれども、まあ基金といたしましては、一応全般的に見て妥当であろうというふうに判断してまいったわけでございます。
  178. 宇都宮徳馬

  179. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 ちょっと大臣がおられる間、一問だけ聞いておきたいと思います。  実は八月の十日から十二日にかけて、農林政務次官の中尾栄一議員が、山梨県の後援会、自分の後援会でしょう、山栄会の県会議員の連中を連れて韓国に行かれておるわけですね。それで、農林大臣はこの中尾政務次官が行かれることについて了承を求められたかどうか、それからどういう目的で行かれたか、もし把握しておられれば御答弁をいただきたいと思います。
  180. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 私いま詳しい事情を十分承知しておりませんが、当日休日をはさんで個人的な所用で韓国に行きたい、こういう申し出が、事務当局から政務次官にこういう考えがあるということを言ってまいりました。そこで、それについては党の意向、国対の意向なども聞いて、ほんとうにその間政務次官に、国会側に用事がないならば、それはやむを得ないかな、こういうことで私としては当時の中尾君の韓国行きについて了承いたした、そういう経緯でございます。
  181. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 ちょうど事件の八日ですからね。事件の二日後ですよ。そういう段階で政務次官が行かれるということについて、もう少し私は政治的な配慮があってしかるべきであると思うし、また外務省はこの問題を、金大中事件をずっと扱ってきたわけですけれども、外務省の了解も得て行っているのかどうか、どういう目的で行ったか、巷間いろいろいわれております。それを私はここでは言いません。しかもその国会の請暇を、許可を得ていっておるのかどうか、私は得ていないと思うのですね。何日間かいないでもいいというようなあれがあるらしいのですけれども、しかし少なくとも政務次官ですよ。それを国会の請暇許可も得ずに行かれたということについて、政務次官、来ておられますけれども、どういうふうに考えておられるのか。農林大臣外務政務次官のお考えを伺っておきたいと思うのです。
  182. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 突然のことでございますから、先ほど申し上げたように、いまここで記憶で申し上げておるんで、ただ当時そういう事件が起きておって、その段階で行ったというような時期でなかったと私思います。しかしこれはよく調べてお答えさせていただきたい。  ただ、私との関連におきましては、国会の関係で政務次官に所用があるかないか、国会対策のほうは十分連絡をとって行くようにしたまえ、これは私直接言ったんではないんです。休日を利用していくということでございますので、そういうことはよく党の国対と打ち合わせしてもらわぬと困るぞというようなことでそういう受け答えが、いま了承を与えたかどうか、こういえば私としてはやむを得ないかなというんで了承を与えたということになると思います。これは正直にお答えしておきます。しかしいまの御質問のように、何かそういう非常に問題のあるような時期とかどうとかいう、そういうことでなかったと思います。もしそうであれば、私がもっと、こういうときはぐあいが悪いぞとかなんとか、当然私としても配慮ができたと思いまするが、そうでなかったと思います。
  183. 水野清

    ○水野政府委員 普通、大臣や政務次官が海外に公用で出張される場合は、外務省のほうに便宜供与の要請がございます。しかし中尾政務次官の場合は私用であったと思いますが、便宜供与の要請は来ておりません。
  184. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 八月十日から十二日まで行かれたということは把握されておりますか。
  185. 水野清

    ○水野政府委員 要するに旅券その他の問題は法務省でございます。外務省には普通は便宜供与という形で、たとえば韓国ならソウルの大使館で出迎えをするとか、あるいは滞在中のホテルについての便宜をするとかそういう意味で、普通これは協力要請でございます。それがないわけでございますから、外務省としては全く知っておりません。
  186. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 本問題はあと松浦議員の次にまたやりますから……。
  187. 宇都宮徳馬

  188. 松浦利尚

    松浦(利)委員 ただいま海外経済協力基金のほうから御報告がありました。私契約の内容を見せていただきました。金額が一車両について六千百万でなくて、六千三百八十万相当であるということがわかりました。ただ問題は、私のほうは東京都交通局の広報室から得た資料を基準にしてお話を申し上げたわけであります。基金のほうは七三年のパンフレットの最高値をとられた。一九七三年のパンフレットの一番高いところをとられていまお話になったと思うのでありますが、私が申し上げたいのは、四十六年から四十七年にかけて、東京都交通局広報室からの発表による車両の値段は変わっておりません。四十六年が三千五百八十四万円、四十七年が先ほど上し上げましたように三千五百八十八万円、しかも納入しておる業者も日本連合から契約を受けた会社と大同小異であります。さらに一九七〇年十二月、海外技術協力事業団が調査をした資料による価格は、日本円に直して先ほど指摘しましたように電車の価格が交流電車では当時一車両二千五百万、直流電車で二千三百万、これは十二月でありますから、いまから三年前の数字であります。それが一ぺんに三倍に上がったということならこれは別であります。私はそういった意味で少なくとも韓国に供与をするわけでありますから、韓国の人に高いものを売りつけては困る。だからといって日本の業者が赤字を出して出血輸出せよということでもない。問題はやはりべらぼうに高い価格で輸出をする、そういったことがあってはならぬと思うのです。そういった意味では、この広報室から得た資料とおたくの資料についてさらに調査を進めたいと思います。  そこで一つの提起でありますが、これは私はどうも地下鉄についてとかくのうわさがあるので、車両についてだけ調査をしていってみたわけです。とかくのうわさがあるということは、火のないところに煙は立たぬというたとえがあるわけでありますが、経済協力基金としては、少なくともこの実施規定の内容に従って契約条項を効率的な運用という面からどんどんとチェックをする。これからもチェックをやってもらいたい。そして悪い場合にはその契約内容について韓国側にクレームをつけてもらいたい。いままでにクレームをつけたことはないという先ほどの理事会室のお話でしたが、いままでチェックはしたがクレームをつけたということは一ぺんもないというお話ですが、その点についてはここで確認してよろしゅうございますか。
  189. 大来佐武郎

    ○大来参考人 事務当局の従来の記憶によりますと、チェックしておりますけれども、クレームはいたした例はございませんが、ただ先ほど申しましたように、いろいろな面でコストの比較を試みておりまして、将来もしおかしいものがございましたら必ずそういう手続をとりたいと存じます。
  190. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いま言われたことは非常に大切だと思うのです。円借款供与の場合に、基金側でこれは国民感情からしておかしい、問題があるというものは積極的にクレームをつけるという立場を堅持してもらいたいというふうに思います。  それからもう一つの問題があるのです。それはこの車両の購入も、先ほど契約書を見せていただきましたが、あまり内容的に立ち入ることは私契約だそうですから差し控えさせていただきますが、ただ問題は韓国調達庁と日本連合ですね、日本連合の代表として三菱商事との間に契約が結ばれておる。ところが日本連合というのは先ほど私が指摘しましたように、今度の場合には三菱商事、これが幹事、副幹事として丸紅、そのほかに東急車両、東芝というようなものが入って日本連合をつくっておるのです。競争入札をやった、競争入札やったといわれるのですが、実際には競争入札というのは形ばかりで、内容的には日本連合というものが直接的に随契のような形で契約をしてしまうという形なんですね。明らかにこれは、談合といいますか、初めからわかり切ったものがわかり切った人に入札をする。形の上では競争入札だが、実質的には随契と何ら変わらない。こういったあり方はやはり問題があると思いますね。そういった問題についても、場合によってはやむを得ないこともあるでしょうが、国鉄の車両も含めて少なくとも全部で百八十六両、百十五億の円借款でありますから、供与でありますから、そういった意味では、日本連合だけがこれに参加をするのではなくて、少なくともほんとうの意味の競争契約、ほんとうの意味の競争入札、こういったことをするように、韓国側に対しても指導してもらいたい。指導というようなことはたいへんなことばは悪いのですが、円借款を供与する立場ですから、韓国側に対してそういった面も義務づけとして言ってしかるべきだと思う。そういった点を含めて、ひとつ基金のほうの御見解を承って、この問題はさらに調査をするということで質問を保留さしていただきたいと思いますから、御答弁をお願いしたい。
  191. 大来佐武郎

    ○大来参考人 ただいまの点、十分留意して今後もまいりたいと思います。  まあ、この連合というのは、香港の地下鉄を英国連合とか、そういう例はございますけれども、そういう連合から問題が生じないように基金としては将来できるだけ配慮いたしたいと存じます。
  192. 松浦利尚

    松浦(利)委員 質問を次回に保留いたします。  調査は二十六日までに終わっていただきたいと思います。
  193. 水野清

    ○水野政府委員 ちょっと楢崎委員に、私、先ほどのを訂正します。  中尾農林政務次官の韓国へ行かれたことを、私はさっき法務省の所管で旅券発行と言いましたが、それは間違いでございます。外務大臣が旅券を発行しておりますけれども、御承知のように最近の旅券は数次旅券でございます。何回も使える、一一外務省の了解とか連絡なしで。数次旅券でございますので、そのことについては関知をしてないと訂正さしていただきます。
  194. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 その話から入りたいと思うのですが、この国会が終了すると岸信介議員、あるいは田中龍夫議員、あるいは野田卯一議員ら十数人が韓国に行かれるという話を聞いておるのですが、皆さんそういう話を聞かれておりますか。
  195. 水野清

    ○水野政府委員 人数その他は正確ではないかもしれませんが、アジア議員連合というアジア各国の国会議員の国際的な集まりがありまして、何かその催しがあって行かれるということについては聞いております。
  196. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 政務次官、八月八日を境にして、七月から今日にかけて与党の議員で韓国に渡られた議員と、その滞在日数、目的等をひとつ資料として出してもらいたいと思います。よろしゅうございますか。
  197. 水野清

    ○水野政府委員 ただいま私のほうでは手元に資料がございません。担当者もおりませんが、資料として出せるか出せないか、ちょっと私いまここで確答を申し上げかねるわけでございますが、国会議員の海外出張でございますから私どもの知らない範囲があるわけでございます。先ほど申し上げましたように、数次旅券を所持しておられて海外にお出になる場合に、外務省で把握をし切れない問題が非常に多いわけでございます。できるだけのことは調べて、資料として提出したいと思います。
  198. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 ちょっとおかしいんじゃないでしょうかね。全然できてないのですか。入管でも調べられるでしょう。
  199. 水野清

    ○水野政府委員 旅券は先ほど申し上げましたように、いまの旅券制度はそのつど取るわけでございませんから、あと相手国の査証でございますから、把握し切れない場合もあることを御理解いただきたいと思います。
  200. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それはおかしいじゃないですか。どこにも記録がないとおっしゃるのですか。そういうことなんですか、外務省。そんなばかな話はないでしょう。
  201. 水野清

    ○水野政府委員 たいへん不十分だとお思いのようでございますが、先ほど申し上げましたように、国会議員の方はほとんど数次旅券をすでに所持しておられます。その方が海外にお出になる場合に、相手国政府の査証だけが必要でありまして、一々外務省にその出入国の連絡をしておいでになるわけじゃございません。ですからわからない場合も多い。それから、先ほど落としましたが、行政府として立法府の議員の出入国を調べて、先ほどは資料としてなるべく提出したいと申し上げましたが、提出することは、いかがなものかというふうに思います。
  202. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 どうしていかがなものになるのですか。何がいかがなんですか。ぐあいが悪いんですか、与党としては。私は、わずか三十分というんだから、この問題でそう時間をとりたくないのですけれども、これはひとつ委員長の責任で、私が要求した資料を出していただきたいと思うのですが、どうでしょうか。
  203. 宇都宮徳馬

    宇都宮委員長 これはできる限り出してください。現在金大中事件というものがあって疑惑もあるわけですから、出してください。――理事会でなくていいです。ここでいいですから出してください。それで、できる限りですから。わからぬものはしようがないね。それでは出していただきますから。
  204. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いずれにしましても、こういうゆゆしい事件が起こっておる前後に、どのような目的があるか知らないが、韓国に行かれておりますね、ばらばらと。いろいろな話を聞いておりますよ。きょうは水野政務次官しかおられぬものですからあなたに言わざるを得ぬのですけれども、これはやっぱりそういう点できちんと折り目をつける必要があると私は思うのです。しかもこの国会が終わったら岸さん以下数名の方が行かれる。せんだっては金山前大使が行かれておるわけでしょう。それから野田議員も行かれて何か記者会見されておりますね、金大中問題についてもいろいろ。こんなふうにばらばらにやっておるのを外務省はほっておいていいんですかね。どこかで何か連絡をし合いながら外務省の了承のもとに行っているんだったらまたそれなりに意味がわかりますけれども、何かばらばらに行って金大中問題に関する話を聞いてきて、あるいは向こうで何を言われたかわからぬが、そういうことでいいんでしょうかね。大平さん一生懸命やっておられるようですけれども、どうお考えですか、水野さん。
  205. 水野清

    ○水野政府委員 外務省としては、立法府の議員の方がこういう際に行かれるということについて意見を申し上げる立場にございません。ですから、それは差し控えさしていただきたいと思います。しかし私ども外務省は、そういうこととは関係なくこの問題には真剣に、国民の前に決してじくじたるような妥協とか裏取引とかいうものはしないで問題解決に当たりたいと、外務大臣以下そのつもりでやっております。
  206. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 では私は、その資料が出てきた段階で、その行かれた議員のそれぞれの立場を明らかにしたいと思います。これは金大中事件について非常に影響があると思うのです。  それから、時間がないですから、次の質問のための質問という形になるわけですけれども、政府からいただいたこの資料の中に韓国向け出資の本邦企業一覧表があります。この中に、四十七年度のものに阪本紡績というのが入っておりますね。阪本紡績とは一体どういう会社なのかご説明をいただきたい。
  207. 和田敏信

    ○和田(敏)政府委員 阪本紡績株式会社の概要に関してお答え申し上げます。  所在地は、大阪府泉南郡田尻町嘉祥寺六百五でございます。代表者は阪本栄一氏、設立は昭和二十三年三月、資本金は一億五千四百二十五万五百円、設備といたしましては、紡績機五万一千二百錘、従業員、男女合わせまして五百二十人、事業内容といたしましては綿糸、綿布、合成混紡、織布の製造及び販売、このようになっております。
  208. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 この阪本紡績は韓国に対してどのような投資をやっておるのですか。
  209. 和田敏信

    ○和田(敏)政府委員 阪本紡績が四十七年度に行ないました韓国への投資の内容は、申請書によれば次のとおりであります。  投資先邦林紡績に関しましては、四十七年七月、投資額二千八百七十万ドル、出資比率七五%、事業内容といたしましては、綿糸、綿布、合成混紡、加工布製造及び販売、提携先といたしましては、邦林紡績、それから四十八年三月潤成紡績というのに投資いたしておりますが、投資額五千二百三十万ドル、出資比率は一〇〇%でございます。事業内容といたしましては、綿糸の製造及び販売であります。
  210. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 合計すると、この出資額は約八千百万ドル程度になるわけですが、これは阪本紡績が投資したこのドルは、どのように用意されて投資したわけですか。
  211. 和田敏信

    ○和田(敏)政府委員 阪本紡績の韓国への投資資金はどこから調達されているのかというお尋ねと承りまして、お答え申し上げますと、海外投資は現在原則として自由化されておりまして、自動許可となっておりますため、投資資金調達方法については通産省としては承知をしておりません。ただ、御質問はいまだございませんが、輸銀基金の金が流れておるという事実はございませんし、またけさほど担当の局から阪本紡績に電話で問い合わせましたところ、最初に申し上げました邦林紡績に関しまして約二千八百七十万ドルと申し上げましたが、そのうちの五百万ドルを都銀から調達をいたしておりまして、残額は自己資金である。どこの都銀から調達したかという点に関しましては回答を得ておりません。これは、申し上げましたように、本日午前中の電話による調査でございます。
  212. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 為替レートの変動を入れても二百億円以上になるわけですね。資本金一億五千万円の会社ですが、どういうふうにしてこれを調達されたかは、なお、調査時間が短かったと思いますので、明確に、ひとつつかまれるところまでつかんでいただきたい。これをまず要望しておきます。  阪本栄一という人は韓国の方だと思いますけれども、韓国名は何とおっしゃるのでしょうか。
  213. 和田敏信

    ○和田(敏)政府委員 その方の韓国名がどのようなものであるか、通産省としては承知いたしておりませんが、九月十八日付の朝日の夕刊によりますと、韓国名徐甲虎というふうに新聞によって承知いたしております。
  214. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私どもの調査したところによりますと、大阪の浪速区で阪本ビル十階建て、ここで貿易や不動産会社関係を数社経営されておって、非常に個人資産も多いということをいわれておる。非常に韓国との行き来も多い。現在は、さっきも警備局長が話されておったとおり、九月十七日向こうに行かれてまだこちらに帰ってこられていない。実は第七十八回の韓国国会本会議の議事録によりますと、新民党の李鐘南議員が、この徐甲虎氏についてこういうことを質問されておりますね。邦林の徐甲虎氏について、これは時間がありませんから詳しくは言われませんけれども、非常に過去いろんな問題が出ておる。それで結局この李鐘南議員の指摘によれば、この人は在日僑胞という美名で過去にも現在にもわが国経済を混乱させ、むしばみ、皆さんと深い、何らかの黒幕があるのじゃないかと疑わざるを得ません、特にこの人はそのようなばく大な権力と勢力とお金を持ちながら、労働者賃金を二カ月、三カ月も払わず苦労さしている、こんな不正をしているのにもかかわらず皆さんはどう考えますか、どいうような一節が質問の中にあるわけです。これは二年前、七一年九月九日の本会議ですね。  私がこれを申し上げるのは、実はさっき警備局長に若干お尋ねしたのですけれども、何かどうしてもはずせない用事があってと言っていまおられませんけれども、私のほうに情報がありまして、そしてそれを慎重にいま私どもも、警察当局筋にも連絡をしながら、この裏の調査を続けておったわけです。先ほど警備局長は――この阪本栄一氏の車が八月八日九時前後グランドパレスホテルの地下駐車場にあった、私はそれをいわゆる警察筋から確かめて聞いているわけです。ところがきょうになると、前の日にあったんだというふうに変わってきた。それは局長がいないと質疑は続けられませんけれども、私どもがつかんだ情報ではそうなっているんです。その泉ナンバー四七八七、ライトバン、そして九時前後に田中という人がその地下駐車場におりまして、そこに阪本氏がおって、もう一人人物がおる。で、その阪本氏が田中氏にもう一人の人物を紹介したそうです。この方は韓国会議員の梁一東氏であると。それが一つ。それからその田中という人の隣にある車、これは韓国大使館の車だ、で、李さんが来ておるのだな、こう言ったそうです。それで私どもいろいろな情報を総合しながらこれは慎重に扱ってきたわけです。少なくとも阪本氏の車がそこにあったという事実からすれば、この情報は確度が高い。  局長がここにおられませんけれども、私は、いわゆる在日韓国人の実業家の方がこの金大中事件の背景に何人か浮かんでいるという警察筋の発表を新聞で読みました。それでこの金大中事件がいわゆる韓国の実業家とある程度どこかで結びついている可能性がある。それは警察がにらんでおるとおりであります。  そこでもう一つの情報は、金大中氏が連行されるときに、連行しておる者がおれたちは救国同盟行動隊だと言ったということを金大中氏が言われておりますね。これはほとんど確度の高い情報、まあニュースソースは言われませんけれども、この事件の前から、実は救国同盟という組織が神戸のフジ田中組の中にあるという別の情報があるわけです。そしてその社長は韓禄春氏である。大阪では有名で、通称田中禄春といわれておる。で、私に入ってきた前の情報の田中氏とその田中禄春、韓禄春氏が一致しておると私は言いませんけれども、どこかで何となくにおいがするわけであります。そういう点も含めて、警察のほうに私の資料を提供して調査を依頼しておるところであります。  いま一つは、先ほどお伺いをしました麗水地域の石油精製コンビナート建設の問題ですが、さっき中曽根さんは何かえらい長い答弁をされておりましたが、さっぱり要領を得なかったのですけれども、結局韓国のほうで三グループに内々の許可がおりた、新聞には載っておったのですが、そういう情報を通産省は把握しておられますか。
  215. 和田敏信

    ○和田(敏)政府委員 麗水地区に対しまする石油精製計画に関しましては通産省としては正式に聞いておりません。
  216. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 非公式には聞かれておりますか。
  217. 和田敏信

    ○和田(敏)政府委員 担当の一部の者が内話としてある程度の話は聞いております。
  218. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 大体新聞に載っておるとおりですか。
  219. 和田敏信

    ○和田(敏)政府委員 内話の詳細に関しましては、私どもこれを聞いたものから聴取いたしておりません。
  220. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 御答弁の趣旨がさっぱりわからないのですがね。さっきは正式には聞いていないとおっしゃったでしょう。だから、非公式には聞かれておるのですかと聞いているのです。それでその非公式に聞かれておる内容は大体新聞に載っておるとおりですかと聞いておるのです。
  221. 和田敏信

    ○和田(敏)政府委員 正式に聞いていないと申し上げましたのは、いろいろ申請書等の形をとっての関係者からの説明は受けておらないという趣旨でございます。  また、内話として聞いておると申し上げましたのは、担当の部門におきましてその話、に関しまして関係者から計画段階としての意見を聞いたという趣旨でございまして、担当者のほうからいまだ通商政策局経済協力部として正式に本件を担当しておるところには一切意見があがってくるというような状態にはないという趣旨でございます。
  222. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 これも新聞によれば、このコンビナートが完成されたらナフサを五〇%日本のほうに輸出をするという話になっておったのを、金大中事件が起こって、全然、五〇%も出さない、輸出は一切しないという意向が伝えられたということが新聞に載っております。その辺の事情はおわかりですか。
  223. 和田敏信

    ○和田(敏)政府委員 本日、本件に関しまして御質問があるという情報に接しましたので、担当の者に、ナフサの問題に関しまして何らか従来の内話あるいは新しい局面におきまして承知しておるかと電話をもって確かめましたところ、一切これを聞いていないという説明でございました。
  224. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それではもう時間が来ましたので、飛び飛びになってたいへん質問するほうもやりにくいのですけれども、いまどういう進行状態になっておるか、関係三グループにひとつ事情を聞かれて次の機会に御報告をいただきたい。よろしゅうございますか。
  225. 和田敏信

    ○和田(敏)政府委員 承知いたしました。
  226. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それでは、何を聞いてもいまのようなふうですから、二十六日に次回やるという話を聞きましたので、それまでに、二十六日に間に合うように、先ほどの外務省に対する資料要求もあわせてお願いをいたしまして、きょうはこれで質問を保留いたしておきます。
  227. 宇都宮徳馬

    宇都宮委員長 庄司幸助君。
  228. 庄司幸助

    ○庄司委員 私はいまから資料要求したいと思うのです。この間、当委員会として要求した資料については、このとおりちょうだいいたしましたが、しかし、内容からいっても、当委員会から要求したものとは必ずしも一致する内容でないと思うのです。その点でこれまでの討論の経過も踏まえてさらに詳細な資料要求をしたいと思うわけです。いまからそれを読み上げます。いまから読み上げる分は全部韓国関係のものでありますから、そのつもりで……。  第一番目は、対日請求権無償供与について。その供与の使用対象となる契約へ第一議定書第三条の一項一の日本側契約者別に、韓国側契約者氏名、契約年月日、同契約によって供与された生産物、役務名、その数量、単価、金額それから同契約支払いを対象に政府から支払われた金額、支払い年月日の一覧、これが無償供与関係です。  それから二番目、一九七一年二月十八日、同六月二十九日、同十二月三十日、一九七二年七月一日、七三年一月二十四日付日韓交換公文に基づく円借款の供与について。その供与の使用対象になる契約の購入を含む。これは一九七一年の十二月三十日付交換公文の第三項(b)です。この日本側契約者あるいは輸出者それぞれごとに韓国側契約者あるいは輸入者の名前、契約年月日、同契約によって供与された生産物、役務名、その数量、単価、金額及び同契約の支払いを対象に日本輸出入銀行、海外経済協力基金のそれぞれから支払われた金額、支払い年月日一覧。以上が円借款の問題です。  それから三番目、二回にわたる韓国の工業高校設立のための贈与について、その使用対象となる契約の日本側契約者別に韓国側契約者名、契約年月日、同契約によって供与された生産物、役務名、その数量、単価、金額及び同契約支払いを対象に政府から支払われた金額、支払い年月日一覧。  それから四番目、これは日本輸出入銀行関係ですが、その技術提供金融、輸入金融、海外事業金融、開発事業金融の業種別貸し付け残高推移の一覧。  それから五番目は、日本輸出入銀行の各種国内向け貸し付けのそれぞれについての資料です。これは貸し付け件別に貸し付け業者名、貸し付け金額、同年月日、貸し付け残高及び同貸し付けの対象となった輸出などの韓国側業者名(海外事業金融については同事業名と韓国側共同事業者名)、同じく貸し付け額、海外投資金融については日本側業者の出資率の一覧。  それから六番目、日本輸出入銀行の対外直接貸し付けの件別に貸し付け先名、貸し付け金額、貸し付け年月日及び同貸し付けの対象となった輸入などの日本側契約者名、契約金額、投資金融については日本側出資者の出資率と出資額の一覧。  それから七番目、海外経済協力基金の投資金融の貸し付け件別に貸し付け先名、貸し付け金額、同年月日、投資先の韓国側企業名、日本側投資者の出資率と出資額の一覧。  それから八番目、民間直接投資企業名、投資先名、韓国内出資者氏名、出資年月日、日本側出資者の出資率と出資額及び同投資を対象に日本輸出入銀行あるいは海外経済協力基金からの貸し付け額一覧。  それから九番目に、これはきのう通産省に要求いたしたわけですが、日本の対韓進出企業、これは合弁、出資を含んで、各産業分野に占めるシェアの問題ですね、これは生産設備のシェアと、できれば市場占有率、これもひとつ資料として要求したいと思います。  この点でひとつ委員長から理事会にはかって、委員会に出していただくようにお取り計らい願いたいと思います。以上です。
  229. 宇都宮徳馬

    宇都宮委員長 ただいまの資料につきましては、後刻理事会で協議の上提出を求めたいと存じます。
  230. 庄司幸助

    ○庄司委員 終わります。      ――――◇―――――
  231. 宇都宮徳馬

    宇都宮委員長 この際、閉会中審査申し出の件についておはかりいたします。  すなわち、決算の適正を期するため、  一、昭和四十六年度一般会計歳入歳出決算   昭和四十六年度特別会計歳入歳出決算   昭和四十六年度国税収納金整理資金受払計算書   昭和四十六年度政府関係機関決算書  二、昭和四十六年度国有財産増減及び現在額総計算書  三、昭和四十六年度国有財産無償貸付状況計算書  四、歳入歳出の実況に関する件  五、国有財産の増減及び現況に関する件  六、政府関係機関の経理に関する件  七、国が資本金を出資している法人の会計に関する件  八、国または公社が直接または間接に補助金、奨励金、助成金等を交付しまたは貸付金、損失補償等の財政援助を与えているものの会計に関する件  以上、八件について、議長に対し閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  232. 宇都宮徳馬

    宇都宮委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  次に、委員派遣承認申請に関する件についておはかりいたします。  閉会中審査案件が本委員会に付託になり、調査のため現地に委員を派遣する必要が生じた場合には、議長に対し、委員派遣の承認申請を行なうこととし、派遣委員、派遣期間、派遣地及びその手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  233. 宇都宮徳馬

    宇都宮委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  本日はこれにて散会いたします。     午後六時二十二分散会