○芳賀
委員 私は日本社会党を代表して、ただいま
委員長から提案されました
昭和四十五年度
決算議決案に対し、反対の意見を表明するものであります。
すなわち、議決案の内容につきましては、第一項に掲げる
昭和四十五年度
決算の
審査の結果といたしまして、
政府において予算の効率的な執行上あるいは予算の執行が所期の成果を十分達成していないという点につきましては、おもな実例として指摘を行っておるわけでありますが、
政府が
委員会の指摘に対して、
国会の意思として次の常会の初めに本院にその結果を報告すべきことは当然のことであります。ただ、この指摘事項については、九項目の事例をあげた指摘事項でありますので、これをもって指摘すべき事項は他にないということにはならないわけであります。その内容といたしましては、先ほど
質疑の中で総理
大臣に指摘いたしました民間企業から
政府機関に対しまして民間
会社の
職員を出向させるような変則な人事については、特に
政府と民間企業との癒着等についても
国民の疑惑を増すことになるわけでありますからして、この点について根本的な人事
行政上の刷新をはかることは当然であります。
第二の、原子力発電所の設置に関しては、その安全性や環境保全の問題等について十分な調査と
国民不安を除去するために努力することは当然のことであります。
第三の、予備費の使用については、この点は、憲法においても、予備費の使用については
国会の承諾を必要とするという議決案件になっておることにかんがみましても、最近の
政府の予備費使用の実態については、予算に計上し、あるいは補正予算に計上して政策実行に当たるべき問題についても安易に予備費使用に依存しておるような、こういう間違った予算執行の態度については当然根本的に姿勢を改めて、
国会の議決を経るように努力すべき点もまた当然であります。
第四の、国有財産の
処分方法の適正化の問題についても、当
委員会においてしばしば実例をあげて指摘したところでありますので、今後、国有財産というものがあくまでも
国民の財産であるというところに留意して、根本的な国有財産の管理運営に当たるべきであります。
第五番目の、国立大学における予算執行の権限と適正な執行の問題等についても、
政府としてこれらの指導あるいは適正な管理について幾多欠ける点がありますので、かかる点については再びこのような事態がないように、経理の適正化等について十分な指導をはかるべきところであります。
六番目の、私学振興財団の
政府の助成を受けて行なう事業あるいは運営の内容等についても、幾多適正を欠く点があることは言うまでもありませんので、今後
政府としては、私学の持つ文教政策上の重要な役割りから見ましても、補助の充実をはかることは当然でありますけれ
ども、今後
政府から支出された補助金の経理の適正化については
責任をもって
政府が運営に当たるべきであるということは当然であります。
七番目の、民間における社会福祉施設の充実、発展の問題等については、今
国会においても社会保障の発展というものが
国会の論議の
中心になっておったことにかんがみまして、本来は国の
責任で行なうべき社会福祉等を一部民間がかわって担当しておるという実態にもかんがみまして、今後国庫負担の増額はもちろんでありますが、適正に民間の社会福祉事業あるいはその施設が拡充強化されるように、
政府として十分な配慮と予算確保等につとむべきことはけだし当然であります。
八番目の、食糧管理制度の適正な運用の問題については、本年になりましてから、大手商社の丸紅を
中心といたしまして、一連の米の買い占め
事件あるいは全国的な食糧管理法の違反
事件というものが発生しておることは御承知のとおりであります。しかもこの事態の発生というものが、
政府の食糧管理制度の運用上の間隙に乗じて不祥事態が発生しておるというような誘因にかんがみまして、
政府としては厳重に食糧管理法の目的と
精神を体して、食管制度の有効適切な運用をはかるべきことは当然であります。
九番目の、国庫補助負担事業にかかる地方
公共団体の超過負担の解消の問題等についても、地方
公共団体の持つ重要な使命というものを
政府においても認識して、今後補助単価の引き上げ等については、財政秩序を確立する
立場の上に立って
改善を行なうべきであると思うわけであります。
以上は
委員会において十分に
審査を尽くした指摘事項ということになっておるので、この点について社会党としては決して異議を主張するものではありません。
第二項の、
昭和四十五年度
決算検査報告につきましては、憲法九十条の規定に基づきまして会計検査院が
決算の結果を検査して、この内容の適正を確認するということになっておるわけでありますけれ
ども、四十五年度の会計検査院の検査の結果を見ましても、不当事項として指摘されました事項は百四十六件、金額にして十二億六千六百五十万円に及んでおり、これらは
政府の予算執行上毎年不当指摘をされておるにもかかわらず、予算執行上の
改善の実があがらないことはまことに遺憾にたえないところであります。
政府としては、これらの指摘事項については、その原因というものを十分明らかにして、今後制度の刷新、
行政機構の整備等をはかり、特に
行政担当の
立場にある
政府の
職員に対しても、
綱紀を
粛正して、再びかかる不当事項の発生がないように万全を期すべきであります。
さて、議決案の第三項でありますが、「
決算のうち、前記以外の事項については異議がない。」と述べられておりますけれ
ども、この点は、当
委員会の
各省別
決算の
審査の経過においても明らかなとおり、指摘事項としての九項目に限定して、それ以外は異議がない、不当の支出がないというふうには決しかねるわけであります。したがって、日本社会党といたしましては、この議決案のうち第三項の「前記以外の事項については異議がない。」という点については決して同意を表明するわけにはまいらないわけであります。
最後に、
昭和四十五年度の予算の成立の経過を見ましても、私
ども社会党といたしましては、四十五年度予算案の審議の経過の中で
政府提案の予算案に対しましては基本的に理由をあげて反対した
立場におきましても、
昭和四十五年度
決算については、これを是認することに反対するものであります。
以上、私は四十五年度
決算の議決案に対しまして反対の主たる理由を明らかにして、討論を終わるものであります。(拍手)