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和田参考人 雇用状況全般について申し上げまして、具体的な例について御説明申し上げたいと存じます。
先生にいま御
指摘いただきましたように、私
どものつくります雇用促進住宅が常にある
程度の空居を持っていなければならぬことは御理解をいただいておるようでございますが、そういうような状況に
関連をしまして全体について申し上げてみますると、本年の四月末現在で、運営をいたしております戸数が七万八千二百九十八戸でございます。これに対しまして入居ができておりますのが六万三千八百九十五戸でございまして、入居率は八二%弱でございます。
これを一年以上と一年以下に分けてみますると、運営を始めましてから一年以上の住宅につきましては入居率は八五%でございます。これに対しまして運営開始後一年未満の宿舎は四二%、たいへん低率になっておるわけでございます。この点は、運営を始めましてすぐ人が入るという状況でございませんで、公共職業安定所の紹介がありました者について漸次入居を認めてまいるというシステムになっております
関係上、一年以上の場合と一年未満の場合ではいま申しましたように大きな差のあることは御理解をいただきたいと存じます。
しからば、どうして九割
程度を考えておるのに全体として八二%弱
程度なのかという問題については、全般的なことについてちょっと申し上げさせていただきますと、実はこの移転労働者用の宿舎につきましては、全体として、ある地方で大きな工業団地設定がある、あるいは商業団地設定が考えられている、そういう
計画に合わせて従業員の人に他地方から大ぜい来てもらわなければならない。各会社のほうももちろん社宅その他でいろいろ考え、都道府県におきましても公営住宅その他で考える向きもございましょうが、県あるいは
市町村のほうからこの従業員のための移転労働者用宿舎をつくってほしいというようなことで具体的な
計画を持ってこられまして、私
どもと労働省のほうでいろいろと相談をしまして、これは相当確実にそういう見込みが立つであろうというような先を見込みまして、ある
程度宿舎
計画を立てるわけでございます。そういうのが最初のうちは、まあ戸数の問題も総体として少なかったせいもございますが、順調でございましたけれ
ども、四十六年ごろからの例のドル・ショック以降、あるいはその他いろいろの
経済事情がございまして、なかなか各地方公共団体でお立てになっております団地
計画、産業
開発計画というのがそちらの面から順調に進まないというような事情もございまして、そのために必要な従業員の方がその地方に来られないというような、いわゆる
計画と実際とがやむを得ない事情等の悪化がございまして吻合しない、そういうために住宅の入居率が思うようにうまくいかない、あるいは極端に非常に悪い、こういうのがここ二、三年の傾向であるというように私
どものほうの
考え方では分析をいたしております。
具体的な例について申し上げてみますると、具体的なことになりますので、
関係の
市町村あるいは県に多少迷惑があるかもしれませんが、ちょっと申し上げさせていただきますと、茨城県の鹿島郡大野宿舎というところで四百戸つくりまして、業務開始をいたしましたのが四十六年の八月からでございますが、本年の四月末現在では入居率が一一%というような非常に極端な例がございます。これは、いま申し上げましたところの名前で御理解をいただけると存じますが、鹿島臨海工業地帯に隣接する
地域でございまして、当時茨城県におきましてあの付近全体として大量の工場建設が予定されておったのでございますが、四十六
年度以降の状態あるいはその他、まあ公害問題等もございまして、鹿島の臨海工業地帯のいわゆる予定どおりの推進というのが非常に困難な状況があるようでございますので、そういうことで現実に従業員を集めないということからくる極端な例が生まれたと思います。
北海道の旭川市の神楽岡宿舎という、これは八十戸でございまして、四十七年、昨年の六月から運営を始めておりますが、本年の四月末現在、これはまだ一年たっていませんが、入居率が四三%でございます。これも、この設置
地区におきます都市
計画の整備による町村合併とかあるいは企業誘致というような
地域開発の進展が必ずしも順調でなかったというようなこともございましたし、
経済事情の変動ということで、あの地方にありました企業、紡績とかあるいは木製品加工というような企業が倒産をいたしまして、そのことで離職者が発生をするというようなことがございまして、そこで発生をした離職者がそこにあります
地元の企業に就職をされるということで、他から人を集めてくるよりもむしろそういうような特殊な事情で
地元で調達ができるというようなこともございまして、入居率が悪いというような例等がございます。
以上、あとまだ具体的な例がございますが、あまり申し上げても
関係市町村に悪かろうと思うので、一応二つ
程度でとどめさしていただきますが、そういうように、それぞれにつきましてはやはりいろいろの客観的な動きの事情もあるということを具体的な例として申し上げたいと存じます。