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大平国務大臣 アジアの平和共存の状態を定着さすために
日本はもっと積極的な役割りを果たすべきじゃないか、見ておるところ、どうもはっきりそういう
状況が読み取れないじゃないかという御
指摘でございますが、申すまでもなく、われわれが
考えなければならぬことは、朝鮮問題にいたしましても
ベトナムの問題にいたしましても、いずこの国の問題にいたしましても、それらの民族自体がまず第一義的に
考えられるべき問題でございまして、
日本がとやかく干渉するということになることは決して賢明でないばかりか、事をなし遂げる場合にむしろじゃまになるわけでございます。あくまでも土着の民族のくふう、
努力によってやっていただかなければならぬ課題であろうと思うのでございまして、私
どもがなすべきことは、
ベトナムなら
ベトナム、朝鮮なら朝鮮という自体が安定し平和に向かうために第一義的に責任を持っておられる方々の御
努力をまずじゃましないように、あるいはそれを勇気づけるように、あるいはそれを差しつかえない範囲で御
援助申し上げるという、いわばそういう立場をとらざるを得ないと思うのでございます。原さんの言われる積極的という
意味は、そういう
意味においてもっと積極的であれという御趣旨に私は受け取りたいと思うのでありまして、そういう
方向でやります場合に、私
どもの
やり方が十分じゃないということでございますならば、いろいろ御
指摘をいただき、御批判をちょうだいいたしたいと思うのでございますが、根本はそれぞれの民族の肩にかかった問題であるという認識がまず第一に必要でないかと
考えておるのであります。
それから第二の御
質問の、俗に大西洋憲章といわれておる問題でございますが、これは私も読んでみまして、感じといたしましては、きわめてあたりまえなこともたいへん多いと思うのであります。たとえば
経済、社会等の分野で、貿易とかあるいは通貨とか、あるいは環境とかいうような問題につきましては、問題が世界的な規模を持っておるわけでございますから、大西洋問題という問題ではないので、いわば世界の問題なんでございまして、したがって貿易にせよ通貨にせよ環境にせよ、常にグローバルなベースでお互いに協力いたしておるわけでございますから、そのこと自体は私は当然のことを申しておるように思うのであります。ただ、あなたが御
指摘になられましたように、この構想の根本に軍事、政治、
経済等を総合的にとらえてお互いに関連づけているくだりがあるわけでございます。その点につきましてはもう原さんの御
指摘のとおりでございまして、われわれは軍事力をもって
国際紛争を
処理するなんという道は閉ざされておる国でございます。
日本の性格、
日本を十分わきまえた上で、そういうことについてはわれわれは、だれが何とおっしゃいましても、そういう問題で勇み足をするというようなことは慎むつもりでございますので、その点御心配いただかないようにお願いしたいと
考えております。
日米間で
政策企画
会議とかいうようなものを持っておること、また事実でございますが、いま日米間ではいろいろなレベルで対話が行なわれておるわけでございます。この種のものは結論を出すという目的ではありませんし、いわんや
決定権は何もないわけでございますので、お互いの
意見をざっくばらんに話し合って、何かその中で裨益するところがあればということでやっておるにすぎないものでございまして、この
会議の結論はどうであったかというお尋ねでございますならば、そういうものをねらった会合ではないのだというようにお答えするよりしかたがないと思いますが、ただ、田中総理の訪米という場合におきまして、これは大事なひのき舞台でございますので、十分
日本の立場を踏まえて、大西洋憲章といわれ、あるいは外交教書というようなものにつきまして、
日本政府の姿勢をはっきりさせていかなければならぬと
考えております。