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1973-04-17 第71回国会 衆議院 決算委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年四月十七日(火曜日)     午前十一時五分開議  出席委員    委員長 宇都宮徳馬君    理事 松岡 松平君 理事 森下 元晴君    理事 綿貫 民輔君 理事 芳賀  貢君    理事 庄司 幸助君      小此木彦三郎君    梶山 静六君       菅野和太郎君    中尾  宏君       中村 弘海君    吉永 治市君       稲葉 誠一君    原   茂君       田代 文久君    坂井 弘一君  出席国務大臣         農 林 大 臣 櫻内 義雄君  出席政府委員         警察庁刑事局保         安部長     斎藤 一郎君         農林大臣官房経         理課長     石田貞二郎君         農林省農蚕園芸         局長      伊藤 俊三君         農林省食品流通         局長      池田 正範君         食糧庁長官   中野 和仁君         気象庁長官   高橋浩一郎君         気象庁次長   石原  明君  委員外出席者         会計検査院事務         総局第四局長  田中  稔君         決算委員会調査         室長      東   哲君     ————————————— 委員の異動 四月十三日  辞任         補欠選任   中村 弘海君     國場 幸昌君   吉永 治市君     野田  毅君 同日  辞任         補欠選任   國場 幸昌君     中村 弘海君   野田  毅君     吉永 治市君 同日十七日  辞任         補欠選任   石田 博英君    小此木彦三郎君   田村  元君     梶山 静六君 同日  辞任         補欠選任  小此木彦三郎君     石田 博英君   梶山 静六君     田村  元君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十五年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十五年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十五年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十五年度政府関係機関決算書  昭和四十五年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和四十五年度国有財産無償貸付状況計算書  (農林省所管)      ————◇—————
  2. 宇都宮徳馬

    ○宇都宮委員長 これより会議を開きます。  昭和四十五年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、農林省所管について審査を行ないます。  質疑の申し出がございますので、順次これを許します。芳賀貢君。
  3. 芳賀貢

    芳賀委員 四月十一日に警察庁当局大手商社丸紅中心とした一連の米の買い占め事件いわゆる食糧管理法違反事件について捜査に踏み切ったわけでありますが、これに対しまして、まず捜査当局から、今回の事件概要捜査方針、並びに、これを事前に告発しました食糧庁長官から、今回の一連食管法違反並びに農産物検査法違反等告発された事件内容と、また食糧庁として調査を進めておるわけでありますが、全国的に、主たる違反事件とみなされる問題等について、概要説明を求めるものであります。
  4. 斎藤一郎

    斎藤(一)政府委員 今回の丸紅の米の食管法違反事件につきまして、警察としてただいままで行ないました捜査概要をお答え申したいと思います。  まず最初に、三月十四日に食糧庁から、北海道にあります北海道辻野倉庫という石狩郡当別町にある倉庫に入っておるお米について、現在の名義人である、東京都あられ工業組合坊城という理事長名義になっておりますが、その米について食管法違反告発状を受けたわけです。それが三月十四日であります。  引き続きまして、福島にございます福島市太田町の倉庫に入っておるお米について、その所有名義人になっておる谷口右衛門というものを被告発人にした告発状が三月十五日に福島県警に出されまして、警察で受理しております。  引き続いて三月十七日に、茨城県の水戸市の倉庫そのほか四カ所の倉庫にある米について、東京都墨田区の金剛堂という製菓会社そのほか四人の者の名義になっておりますので、この四人の者を被告発人とした告発状が三月十七日に茨城県警に出されまして、受理いたしております。  このように告発状をそれぞれ三月中旬ごろに受けまして、北海道福島茨城の三つの県警では、この関係者を自後ずっと調べておりまして、その結果、その背後丸紅関係者関係しておる。で、全体を取りまとめて申し上げますと、丸紅関係者北海道福島県、茨城県などにおきまして約二千六百トンぐらいの未検査モチ米をそれぞれの業者から買い受けて、これを加工業者などに売り渡していた疑いが濃厚になったのでございまして、これらの捜査の結果を取りまとめて、裁判所の捜索令状を得まして、四月十一日に、先ほどお尋ねがございましたように、丸紅東京本社ほか関係場所を捜索しております。その結果、相当数の帳簿その他の資料を入手しておりますので、これに基づいて目下整理し、そうして関係者を呼び出して調べておるという状況であります。  以上でございます。
  5. 中野和仁

    中野政府委員 今回の告発関連します経過を若干申し上げたいと思います。  二月に入りまして、モチ米のいわゆる自由米価格日ごとに上昇してくる、これではモチ米について何らか流通段階滞留があるのじゃないかということから、食糧庁といたしましては、二月の下旬に食管法に基づきまして、倉庫調査に入ったわけでございます。重点的にやりましたのは、未検査米中心にやったわけでございます。その結果、件数にしまして八十九件、約五千八百トンの未検査米が発見されたわけでございます。未検査米でございますから、本来農産物検査法には当然生産者段階違反があるということでございますが、今回の調査は、先ほど最初に申し上げましたような価格高騰というようなところとの関連がございますので、流通過程適正化をはかるという観点からやったわけでございますので、食管法九条に基づいて、その一部を告発をしたわけでございます。大部分のものにつきましては、厳密に食管法を適用すれば食管法違反ということになるというふうには思うわけでございますが、問題が流通過程適正化をはかるのが焦眉の急というようなことから、摘発調査をやりました結果のものにつきましては、食糧庁といたしましては行政的な処分方針をきめまして、モチ米加工業者所有になっておるものにつきましては、適正在庫を上回ると認められるもの、あるいは適正在庫でありましてもやはり未検査米所有しておるというようなことから、五十トンをこえるものについては、その二割を自主流通価格基準として原料不足に困っておる加工業者に売り渡すという措置を講じたわけでございます。それから、それ以外に自由米業者が持っておるものにつきましては、全量加工業者に売り渡すという命令をすでに三月の中ごろに出したわけでございますが、それと同時に、先ほど警察庁のほうから御報告がありましたような三件につきまして告発をいたしたわけでございます。  それからお尋ね農検法との関係ということでございましたが、先ほどちょっと触れましたけれども、農検法を厳密に適用すれば、当然それにも引っかかるわけでございますが、今回は先ほど申し上げましたような趣旨でございますので、農検法に基づいての告発ということはいたしておりません。  それから、なお全国的に違反となるような事件等どうかというお尋ねでございますが、今回のモチ米関連しますものは以上のようなことでございますが、それ以外にも、たとえば新潟なり秋田なりにおきまして、指定集荷団体食管法違反事件を起こしておる、これは警察のほうでお調べのようでございますが、そういうふうな事件がありましたことをあわせて御報告申し上げておきます。
  6. 芳賀貢

    芳賀委員 ただいまの食糧庁長官報告並びに説明警察庁当局方針というものが必ずしも同じ政府部内で一致しないのですね。食糧庁の場合は、厳然たる違反事件に対して、これを行政的な措置で解決をするというふうな、そういう非常に微温的な方針のようでありますが、それはどういうことですか。
  7. 中野和仁

    中野政府委員 先ほど申し上げましたように、今回モチ米流通段階滞留をいたしまして、売り惜しみあるいは買い占めというふうなことがあってはいけない、これを未然に防止しようというねらいで調査に入ったわけでございます。食糧庁調査しました以上、その中でもやはり大量のものであって、流通過程でいろいろ問題があると思われるものについて警察告発をいたしましたということでございまして、警察当局の御見解とそれほどの差異はないと思っております。
  8. 芳賀貢

    芳賀委員 そこで、食糧庁長官告発した事件の中で、たとえば北海道においては一件あるわけでありますし、福島県が一件、茨城県が合わせて五件に及んでおるわけでありますが、この告発推定人はいずれも東京都のあられ工業協同組合あるいは谷口商店、さらにまた幾つかの製菓業者等が対象になっておるわけでありますが、実需者に対して不法な米の集荷を行なって提供した、その背後関係集荷業者については、食糧庁としてこれを明確にしてあるわけですか。
  9. 中野和仁

    中野政府委員 ただいま告発しておりますものにつきまして食糧庁のねらいは、先ほど申し上げましたようなことでございますので、現所有者と見られるものを告発をしたわけでございます。あわせまして一体前の所有者はだれだろうかということは、一応の調査をいたしました。しかし、食糧庁行政庁でございますので、そんなに追及はなかなかできません。そこで、告発しました際に前所有者、たとえば北海道の場合は北集連ではないかと思われる。それから福島谷口商店の場合は、これ自身自由米業者でございますので、前所有者はよくわかりませんでした。それから茨城県の場合の東京都あられ工業協同組合の分につきましては、大手商社の介入があるのではないかというようなことで、告発と同時に警察にもその旨通報をしてあるわけでございます。
  10. 芳賀貢

    芳賀委員 結局、現在の所有者追及はもちろんでございますが、現所有者に対して食管法違反あるいは農産物検査法違反を犯して、不法に米を集荷したその者に対して食糧庁としてそれぞれ適法に追及しないというのは、これは食糧庁長官として無責任じゃないですか。食管法というものは、罰則規定等について時の食糧庁長官の独自的な勘案にゆだねてあるわけですか、処罰規定等は。
  11. 中野和仁

    中野政府委員 私の独自的な考えにゆだねている、そういうことは私は全然ないと思いますが、告発と申しますのは、公務員が告発する場合は、その職務に関連しまして犯罪があると思量した場合に告発しなければならないという義務が課せられておるわけでございます。その場合に、やはりこれは確実なものでないとそういうことはすべきではないと思います。確実に食管法違反というのは、現在未検査米を持っておる現所有者でございます。と同時に、食管法にもございますように、そこへだれからか集めてきて、まただれかに売る、そのこと自体ももちろん食管法違反でございますので、先ほど私が申し上げましたように、現所有者とあわせて前所有者のわかるものについては、同時にそれを警察告発といいましょうか、告発書の中でそういうことを指摘をしてやっておるわけでございまして、決して現所有者だけをいじめるとか、そういうようなつもりで告発したわけではございません。
  12. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは北海道事件については、違法の集荷を行なった北集連警察当局告発しているわけですね。それはどうなんです。
  13. 中野和仁

    中野政府委員 北海道の場合は、前所有者北集連であるということを告発状の中に参考として書いて出してあるわけでございます。
  14. 芳賀貢

    芳賀委員 その場合、未検査米を保管しておった倉庫業者はどういうことになるのですか。未検査米所有者委託によって保管しておった倉庫業者、その倉庫につきましても、これは食管法に基づく指定倉庫であるか、指定外一般倉庫であるかということは、これもこの際明らかにしてもらいたい。
  15. 中野和仁

    中野政府委員 先ほど少し不正確に申し上げたわけでございますが、所在場所警察庁のほうからも話がありましたように、当別辻野倉庫であるということも告発状の中に明記をしておるわけでございます。それからそれの数量、現在の所有者、前所有者は、どういうものであるかということを書いておるわけでございます。
  16. 芳賀貢

    芳賀委員 ですから、辻野商店なるものの倉庫は、食管法規定に基づく政府指定倉庫であるかどうか、その点はどうなんですか。
  17. 中野和仁

    中野政府委員 この倉庫指定集荷業者倉庫でございますから、ちょっといま私確認しておりませんけれども、当然政府指定倉庫になっているというふうに思います。
  18. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、谷口商店が未検査米所有して、これを福島県下の営業倉庫茨城県内営業倉庫三カ所、自家倉庫一カ所、さらに茨城県の集荷業者倉庫にこれを保管してあったわけでありますが、この営業倉庫並びに集荷業者倉庫倉庫業者名前、あるいはこれが政府指定倉庫であるかどうかという点については、内容はどうなっているのですか。
  19. 中野和仁

    中野政府委員 茨城の場合は五つございまして、一つ茨城県の集荷団体水戸倉庫、それから日通下市倉庫日通水戸倉庫日通結城倉庫、これはいずれも営業倉庫でございまして、政府指定倉庫にはなっているわけでございます。  もう一つ谷口商店の個人のものは、これは政府指定とは関係ないと思います。
  20. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは食糧庁告発した違反事件三件については、それぞれ不法な集荷を行なった北集連谷口商店はそれ自身集荷したわけですが、さらに丸紅、この三者に対しては、事件当時の所有者であるものはもちろんでありますが、その違反事件をつくった原因である集荷業者については、食糧庁としても、食管法規定あるいは農産物検査法の未検査に対する罰則規定というものは、当然厳格に適用する必要があると思いますが、その点はどういう方針ですか。これはあと農林大臣出席の際に確認したいと思いますが、担当の食糧庁長官からこの点を明らかにしてもらいたいです。なお、今後食糧庁あるいは警察庁調査あるいは捜査によって、この種の違反事件等が全国的に発生しておるということが判明した場合においては、どういうような方針でこれに対処するか、その点も食糧庁として明確にしておいてもらいたい。
  21. 中野和仁

    中野政府委員 告発いたしましたものについては、現在警察当局で現在の所有者、それから前所有者と思われるもの、いろいろ捜査中でございます。したがいまして、いま食糧庁でそれについてどうするかということを申し上げる段階でないわけでございます。あるいはお尋ねがそれとの関連行政措置をどうするかということかとも存じますけれども、捜査の進展の推移を見まして必要な措置をとらなければならぬというふうに考えておるわけでございます。  それから、こういうような事態について今後食糧庁態度はどうかということでございますが、現在の食糧の米の需給事情から見まして、厳密に食管法を適用いたしますれば、生産者段階から集荷業者あるいは販売業者消費者に至るまで、と申しますのは米の通帳の問題もございまして、厳密に適用することは現実にはなかなか困難と思います。やはり米の需給事情、それから社会経済的な条件というようなものの中で違法性の高いものについては、厳正な態度でもって食管法運用として臨むべきだというふうに考えております。
  22. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、秋田県下に発生したいわゆる政府米逆ざや事件ですね。相当これは大量な数量に及んでおるわけですから、この内容について食糧庁としての現在まで判明した点について報告してもらいたいと思います。
  23. 中野和仁

    中野政府委員 秋田県の事件につきましては、四月十日の新聞報道がありましたあと秋田県警のほうで捜査中でございます。したがいまして、最終的な様子はわからないわけでございますが、現地の食糧事務所からの報告によりますと、平鹿町という町の自由米業者が、初めのうちは酒米用として未検査米周辺の農家から買い集めて酒屋に売ろうと思ったけれども、売れなかったので、その地元の増田農協というものと平鹿農協醍醐支所というところに、一俵六十キロ入りのものを合わせまして三千百七十七袋、それから九百七十七袋を生産者名前を借りて政府売り渡したというようなことでございます。これはまさに食管法の、先ほどの未検査米を扱った以上に問題にすべき事件だと思っております。そういうふうに思っております。そういうふうに思っておりましたところ、その後警察捜査が進むにつれまして、われわれが得ておる情報といたしましても、どうもそれは周辺生産者から集めたものはごく少数であって、相当部分東京自由米業者から逆流をしてきておるということのようでございます。そういうことになりますと、まさに現在の食管法に基づきまして政府買い入れ価格よりも売り渡し価格が非常に安いというその逆ざやを活用しまして、自由米業者がその差額を手に入れ、かつ農協も手数料をとっておるというふうにも聞いております。それをまた政府に売ったということでございますので、それは食管制度の維持の上からゆゆしき事件だというふうに私は考えておるわけでございます。
  24. 芳賀貢

    芳賀委員 この事件について食糧庁長官としてこう考えておるという点はわかりましたが、考えただけではなくて、一体これをどうするか、その点はどうなんですか。
  25. 中野和仁

    中野政府委員 まだ最終的に警察当局捜査が終わっておりませんので、いまこの段階でこうするということはなかなか申し上げにくいわけでございますが、過去一、二似たような例がございました。その場合は、農協に対しては売り渡し価格買い入れ価格差額の徴収、ということは損害賠償といいましょうか、そういうことは過去にやった例はございますし、やはりこれは指定集荷団体でございます、これに対する措置をどうするかということは考えていかなければならないというふうに思います。と同時に、やはり一般的に食糧需給緩和のもとでございますけれども、正規のルート生産者から集荷団体販売業者消費者というこのルートを確立するために、この際もう一ぺん各関係者にも注意を促すと同時に、食糧庁みずからも姿勢を正さなければならぬというふうに考えております。
  26. 芳賀貢

    芳賀委員 現在の食糧管理法においても、法律に基づいた独自の調査権、あるいはまた報告命令等が必要な場合には発することができることになっておるわけですからして、食糧庁として法律に基づいて厳格にその実態を調査究明するということは、これは当然行政面からも行なわなければならない任務であると思うのですよ。そういう大事な点がいままで長期間にわたって軽視され、放任されてきたというような点については、農林当局としても、食糧庁としても、これは十分反省すべき点が多々あると思いますが、その点はどうですか。
  27. 中野和仁

    中野政府委員 お話のように、戦後食糧が非常に不足しておる時代につきましては、食管法自体非常に厳正といいましょうか適用されてまいりました。それが、昭和三十年代に入り需給がだんだん緩和し、特に四十年代に入りまして過剰米が出てくるというような事態になりますと、どうしても運用といたしましては、もとの需給事情が緩和しているものですから、それに対応した措置しかとっていなかったわけでございます。したがいまして、現在食糧庁の考え方もそうでございますが、悪質な大量のものについてはそういう調査なり取り締まりはするという考え方できておったわけでございます。ただ今回モチ米につきまして、そういう中にありまして買い占め売り惜しみというようなことがいわれましたので、全国一斉にこういう調査に入りましたのは食管法始まって初めてでございます。そういうようなつもりでございますので、今後ともこういう事態には対処して、食糧庁自身調査食管法十三条に基づく調査の発動ということも必要な場合はやるべきだというふうに私は考えております。
  28. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、第三の事件として、日本通運の福島支店倉庫委託によって保管された米について、丸紅と共謀して名義の書きかえを行なったという事件が付随して生じておるわけですが、この真相に対する調査は、食糧庁並びに警察当局においてはどの程度に進展しておりますか。
  29. 斎藤一郎

    斎藤(一)政府委員 先ほどお答えしたように、丸紅に関する食管法違反事件捜査をしておりましたところ、日通福島支店倉庫に入っておったお米について、これは先ほども申し上げましたように、谷口商店名前になって告発を受けておったのでございますが、いろいろ支店長ほか関係者について捜査を進めてまいったところ、実は谷口名義のお米になっておるが、今回世間でこの米の問題が取り上げられて論議されるようになってから丸紅名義のお米をあわてて書きかえたのだ、そういうことで名義なりあるいは銘柄について改ざんをして、そして丸紅が表に出ないようなくふうをしたのだということがわかってまいりましたので、先ほど申し上げた四月十一日の丸紅捜索のときに、同時に日通福島支店倉庫に入れてあるものについて証拠隠滅を行なったという疑いで、しかもそれを指図した者が、調べてまいりますと、日通本社の者であるということがわかったので、その本社の指図した者について証拠隠滅疑い日通本社関係場所を捜索して、そうしていま、丸紅のお米の食管法違反事件証拠を明らかにすると同時に、それをめぐって証拠隠滅をした者の責任を追及しておるという状況でございます。
  30. 中野和仁

    中野政府委員 食糧庁といたしましては、行政庁調査でございますので、現所有者を確認をしましたけれども、そこまではその当時はつかむことができませんでした。
  31. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、食糧庁調査しました未検査モチ米在庫数量五千八百七十三トンでありますが、この未検査米処分方針については、先ほど食糧庁長官からおおよその説明がありましたが、その説明中、われわれとしては了承できがたい点もありますので、もう一度処分方針について明らかにしておいてもらいたい。
  32. 中野和仁

    中野政府委員 一つモチ米加工業者所有するものでございます。これは、適正在庫を上回ると認められる数量と、それから適正在庫以内と認められる場合であっても大量に持っておるという意味で、五十トンをこえるものについては、そのこえる数量の二割を自主流通米価格基準とする価格原料不足に困っておる他のモチ米加工業者に売り渡させるというのが一つでございます。  それから二番目が、登録卸売り業者または登録小売り業者所有するもの、これは、一月中旬の平均小売り価格基準とした価格消費者に供給されるよう販売価格を表示させて販売させるということにいたしております。なお適正在庫を上回ると認められる数量については、他の卸売り業者または小売り業者に売り渡させた上、いま申し上げたと同じようにさせる。  それから三番目は、自由米業者等の持っておるものでございますが、これは全量モチ米加工業者に売り渡させる。売り渡し先なり売り渡し価格については、先ほどモチ米加工業者の持っておるものと同じに扱う、こういう方針でございます。
  33. 芳賀貢

    芳賀委員 そこで、第一のモチ米加工業者所有するものについては、いまの説明によると、五十トンまでについては追及しないでその所有加工業者処置にまかせるという点でありますし、登録卸売り業者または登録小売り業者所有する未検査米については、食糧庁が指示した販売価格表示によってこれを販売させる。なおこれについても、適正在庫を上回る分については他の卸売りあるいは小売り業者売り渡しをさせる。第三がその他のもの、いわゆる自由米業者に対する処置でありますが、この一、二、三、いずれをとりましても、結局加工業者に対しては、未検査米であっても、食糧庁が認定する一定数量まではそれを所有しあるいはまた買い取りをしても差しつかえないということを立証することになるわけですね。そういう前例が一つできると思うのですよ。これは五十トンまでは未検査米を集めてもかまいませんよということに今後なるわけですね。あるいは農林大臣指定する登録卸売りあるいは小売り業者についても、未検査米所有して販売しても、それが一定の指示範囲であれば差しつかえない。第三点は、最近はやみ米ということばはほとんど用いられておりませんが、自由米業者についても、今回はその所有全量加工業者売り渡しさせれば、それで何ら追及しないというような、自由米業者なるものに対して制度的に追認を行なうような結果になると思うわけです。大臣も来られましたが、これは実に重大な問題だと思うのです。このような食糧庁食管制度運用方針というものは、今回のかつてない大量な全国的ないまわしい事件を起こした最大の要因をなしていると言っても差しつかえないと思うのですよ。この点について責任の農林大臣から、もう一度未検査米処分方針について責任のある答弁をしてもらいたいと思います。
  34. 中野和仁

    中野政府委員 ただいまの芳賀先生のお尋ねでございますが、あるいは芳賀先生のおっしゃるような見方も私もあろうかと思います。ただ今回の場合は、先ほどからるる申し上げておりますように、モチ米の高騰が、流通段階での滞留、こういうことになって、ますます上がってはいかぬというようなことでございましたので、それを実需者の手に早く渡らせるというところを最大のねらいにしたわけでございます。また一斉に調査をしたものでございますから、未検査米でございますから、いろいろな袋に入っておりまして、これをもう一ぺん農家まで戻して検査をやるということも実際問題としてなかなかむずかしいということで、今回こういう措置をとったわけでございますが、われわれの気持ちといたしましては、このことをやりますことによりまして、先ほど御指摘がありましたように、自由米業者等が未検査米を扱うことを食糧庁が公認をした、こういうようなつもりでやったわけではございません。当然一応それぞれの倉庫についてそこでストップをかけたわけでございます。かけたあと、これを解除する際にはきちっと食管法の趣旨をお話しし、始末書をとった上でやっておりますので、決して自由米業者を追認するという約束からやったことでないということだけは、ひとつ御了承いただきたいと思います。
  35. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 ただいまの食糧庁長官の御説明で尽きるのでございまするが、今回食管法に基づく調査をいたすその時点で、私ども方針を立てなければなりません。そのときに、これをやることによって、当時非常なモチ米の高騰を来たしていることに拍車をかける、こういうことではいかがか、また先般来きびしい御批判をちようだいしたわけでございまするが、過去における需給の緩和というものが背景にあって今回のような事態になっておるという経緯も一応認識いたしました場合に、今回は全く異例の措置ではございまするが、いま申し上げたようなことを頭に置きながら、そこでその調査に入る、また調査の結果が出ましたので、ただいま長官の申し上げたような措置でやむを得ない、こういうふうに私は判断をいたしたわけであります。
  36. 芳賀貢

    芳賀委員 いまの農林大臣の答弁によっても、第一食糧庁のこれに対する取り組みというものは全く基本が狂っておるのですよ。ただ在庫調査をすれば、あるいは買いだめ等の米の実態が判明して、それによってある程度出回りを促進することができるだろうという、それだけの目的で調査を開始したわけでしょう。ところが、調査が進展するに従って重大な違反事件というものが続出してきたわけです。それで調査を開始した食糧庁がむしろ驚いたわけなんですよ。こういうことになるのであれば調査なんかしなかったほうがいいだろうというふうにおそらく考えておると思うのですよ。それが本心でしょう。結局、田中内閣ができてからの一連の経済秩序破壊、つまり商品投機あるいは大手商社の集中的な買い占め、こういうものがすでに一番厳格な、国民生活を守る食糧管理制度の根幹をもゆさぶっておるというところまできておるわけです。だから問題の本質を追求しないで、小手先で行政的に微温的な処置をすれば何とかいけるなんということは、全くこれは甘い考えに過ぎないわけですよ。   〔委員長退席、綿貫委員長代理着席〕  一体政府として、食糧管理制度そのものを行政府の責任において完全に堅持する、法律に示された適正な運営をやるという姿勢がなければ、こういう問題の根絶はできないと思うんですよ。その点はいまの田中内閣として一体どういう方針でおるわけですか。
  37. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 先生には他の農林水産委員会等で私の考えや気持ちをお聞き取り願っておる機会があったかと思うのでありまするが、私はこの機会に姿勢を正さなければならないということで臨んでおりまするし、またこれを行なうまでに、いま食管制度に対していろいろ検討はしておるけれども、また前大臣は考えが違っておったが、私としては、就任以来の国際的な食糧需給の逼迫等から見て、また国内の事情を見るときに、いま食管制度についての改正を考えないということをしばしば申し上げつつ、またモチ米の高騰に際しまして、こういう機会にひとつ姿勢を正そうということで調査にも踏み切った。ただしその当時には、もう先生が十分御承知のように、一方においてモチ米がない、非常に上がっておる。それを私の措置よろしきを得ず、またさらに非常な暴騰を来たすというようなことでは、これまた国民のためにならないではないか、こういうある配慮というものは政治の衝にあるものとして考えるべきではないか。そのことでそちらのほうのことだけを先ほどお答え申し上げたわけでありますが、私としての終始一貫しておる姿勢は、この制度を有効適切に考えていかなければならないということでございます。
  38. 芳賀貢

    芳賀委員 いま大臣は、食糧管理法そのものは改正の意思がないと言われました。  そこでお尋ねします。たとえば昭和四十四年から今日までの四年間にわたって、もちろん食糧管理法そのものは各条文において改正が行なわれておりませんが、これに付随する食糧管理法の施行令あるいは施行規則あるいは米穀の売り渡し政令等については、数えることができないほど毎年毎年おびただしい政令、省令等の改正を行なっておるわけです。あるいは大臣はそれらの政令や省令の改正点について十分関心を持って取り組んでおるかもしれませんが、御存じであれば、主要なる政省令の改正が毎年どの程度行なわれておったかという点について、ここで説明をしてもらいたいと思います。大臣ができなければ、当然これは食糧庁長官からでもよろしい。
  39. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 食糧庁長官から一応御説明申し上げさせます。
  40. 中野和仁

    中野政府委員 御指摘のように、四十四年に自主流通米制度を設けたわけでございます。それから、四十五年から生産調整に入ったわけでございますが、食管法等の関係では、四十六年に買い入れ限度数量を定めるということをいたしたわけでございます。それから四十七年の四月に物価統制令の適用の除外をやりました。それからなお昨年の秋、政府売り渡し価格に格差をつけるということをやったということでございますが、この最後の分は政省令とは関係ございません。政府の米の売り渡しの態様としてそういうことをやりましたことをあわせてつけ加えさしていただきます。(芳賀委員「改正の回数や中身について……。答弁になっていない」と呼ぶ)  食管法の施行令の改正といたしましては、四十四年五月に自主流通米制度を設ける政令改正をいたしております。それから四十六年二月八日に、先ほど申し上げました買い入れ限度数量関連する改正をやっております。それから四十七年の二月十四日に物価統制令の適用除外との関連措置といたしまして特別販売業者の制度を設ける政令改正をやっているわけでございます。施行規則のほうになりますと、それらとの関連での施行規則改正を相当程度やっておるわけでございます。
  41. 芳賀貢

    芳賀委員 さすが勉強家の中野長官もなかなかわからぬでしょう、やっておるやっておると言っても、私の手元で調べただけでも、整理すると、施行令と売り渡し令の四十四年からの改正の経過だけでもこれだけあるのです。それから、施行規則については、こういう膨大な表をつくらなければわからないのですよ。何のために法律は現存して、それに付随する政令やあるいは省令というものはひんぱんに改正されたかというところに、今回の事件の原因があるわけですね。法律はそのまま改正しない。たとえば、昭和四十四年から自主流通米制度というものを、法律はそのままにして、政省令でこれを発足さしておるわけです。あるいはまた、昭和四十六年からは施行令並びに米穀売り渡しの政令を独善的に改正して、それによって生産者に対しては、政府に売り渡すべき予約米の限度数量を事前に割り当てるというような、そういう食管制度の根本に触れる問題等についても政省令でこれを政正しておるわけです。さらにまた、昨年の四月から物統令の適用を排除したわけでありますが、それと同時に、これに関係のある政省令等の改正を行なっておる。つまり法律だけはそのままにして、政府が閣議あるいは省議でどのようにもすることのできる政省令の改正をひんぱんに行なって、事実上、現在の食管制度というものは全く空洞化してしまっておるわけです。それと一番関係の深い米の流通関係業者あるいはまた実需者団体からいわゆる民法あるいは商法に基づく委任行為のいわゆる代行業者としての米の買い付け等をやらせる道を開いたのが、現在の政府食糧庁ということになるわけです。だから、これらの問題をさかのぼって検討した場合において、自主流通米制度というものが今回の事件とどういうような関係があるかということについて長官から明確にしておいてもらいたい。
  42. 中野和仁

    中野政府委員 自主流通米制度と今回の事件との関連というお尋ねでございますが、御指摘のように、自主流通米については、四十四年から発足いたしまして、これは全国に指定法人——全国農業協同組合連合会と商人系の全国集荷団体連合会というのを頂点にいたしまして、これが生産者から集荷団体、経済連の委託を受けて、そこで集まった自主流通米を政府の認可を受けた計画に従いまして販売業者あるいは実需者に販売する、こういうルートをきめたわけでございます。この制度がきちっと守られておる限りと申しましょうか、現在までこの制度自身はそのままうまく運用されておると思いますけれども、やはりその自主流通米の制度が三年、四年たってまいりますと、それの陰に隠れてというと非常に語弊がありますけれども、それとの関連で、その自主流通制度の周辺で未検米を別に取り扱うということが起こってきておるということは、あるいは御指摘があったかと思いますが、そういうことは言えるかと思います。
  43. 芳賀貢

    芳賀委員 四十四年以前の全面的な政府米としての流通管理が行なわれた時代には、大手商社等の介入の余地は全然なかったわけですね。今回の場合も、いわゆる自主流通米の流通経路の中に大手商社が経済的に介入する、そういう道ができたわけです。それは結局、委任状行為というものが常識的に横行しておるわけです。一体食糧庁としては、この委任状行為というものを、単に民法上の当然認められる行為であるということだけで済ませると思っておるのですか。
  44. 中野和仁

    中野政府委員 御指摘の自主流通米に関連します代行制度、いわゆる代行制度でございますが、これは酒米とモチ米について行なわれております。それで実態を申し上げますと、酒米についていま御指摘の商社が代行に関与しておりますのは、われわれの推定では大体三割ぐらい、モチ米については一割何分であったと思いますが、これらは、結局実需者が非常に零細な加工業者でありまして、原料調達というのは自分で産地までといいましょうか、全農に一々行ってなかなか調達しにくいというようなことから、原料調達の円滑という点、それからあるいは商社の資金力、情報収集力を活用するというようなことから今回の制度が始まっておるわけでございまして、その間、入っております商社の仲介なり代行の機能というものは、私はそれなりの役割りがあったと思います。あったと思いますけれども、やはり先ほども申し上げましたように、そういう代行制度が自主流通からはみ出していくということは、これは厳に戒めなければならないというふうに思っておるわけでございます。
  45. 芳賀貢

    芳賀委員 現在の自主流通米の仕組みの中においても、実需者団体といわゆる指定法人との需要と供給の関係というものは、決して円滑にできないというものじゃないと思うのです。そういう点は食糧庁自身が一番よくわかっておると思うのですね。酒米にしても、あるいは工業原料用の米菓業者にしても、それぞれ業種別の協同組合あるいは連合会というものは自主的に形成されておるわけでありますから、結局指定法人から必要な酒米あるいはモチ米というものを販売計画に基づいて供給を求めれば、それで取引というものは成立できると思うのですよ。全農にしても、あるいは業者団体の全集連にしても、とにかくこの二つは全国の指定集荷業者のほとんどが加入しておる指定法人ということになっておるわけですからして、米の集荷機能にしても、あるいは資金力にしても、決して大手商社に劣るというようなものではないと思うのです。しかも、その背後食糧庁が現存しておる限り、何も不便、不自由はないと思うのですよ。ただ委任状行為というものは、たまたま民法あるいは商法の規定によって介入できるということだけをたてまえにしてこういう不法な行為や違反行為がいままでもあったわけなんですよ。それを食糧庁としては、まあこの程度はということで大目に見て黙認して今日に至っておるわけですからして、この際、こうした食管制度から検討すれば、必要な行為と認めることのできないような委任状行為の指定法人というものについては、厳格に今後検討して、できる限りの規制措置を講ずることが当然必要だと思いますが、その点はどうですか。  これはほんとうは大臣が終日ここに出席をして責任のある答弁をしてもらわなければならぬのですよ。ちょいちょい行ったり来たりするから、どういうような大事な質疑が行なわれておるか全然わからぬでしょう。
  46. 中野和仁

    中野政府委員 ただいま商社の代行制度について御指摘があったわけでございますが、私が先ほど申し上げましたように、これが正規に行なわれている限りは、先生も御承知のように、実需者と商社とが基本的な取りきめをやっておりますし、それから指定法人と実需者が基本的な取りきめをやっておりまして、その間個々の動きを委任状という形でやっておる、この限りにおいては物がスムーズに流れますし、そのことは、私は、先ほど申し上げましたように、零細な企業や業者から見れば非常に利便もあるというように思うわけでございます。  ただ、御指摘もありましたように、これがはみ出すといいますか、度を過ごすということになりますと、勢い未検査米等を扱うということになりますので、これはよろしくないと思います。そこで、ここ数年間の自主流通米制度の運用にかんがみまして、また今回いろいろな経験をいたしましたので、食糧庁としてはこの代行制度のあり方について目下検討しております。もっときちっとしたものにすべきではないかということで検討しておりまして、できますれば次の四十八年産米の取り扱いからそういう方向に持っていきたいということを考えておるわけでございます。
  47. 芳賀貢

    芳賀委員 なお、警察庁斎藤政府委員出席しておりますが、大体今回のこの委任状行為というものは、本来であれば実需者が商社に対し委任状を発する場合には、その委任行為の目的と範囲というものを明らかにして、そこで委任状を発行する、その委任状を持った商社が指定法人について実需者の代行としての行為を行なうというのが常識的な順序でなければならぬのですよ。ところが今回の場合は、こういう手順というものが行なわれていないわけです。委任状そのものは商社がそれを所持しておる。そして商社が未検査米の買いあさり等をやって、一定量を確保した上で実需者に対して売り渡しを行なう。取引が成立するその時点において、形式的なものとしてそこで商社があらかじめ用意した委任状に捺印をさせる。そうして形式は委任状による代行というていさいを整えておるにすぎないわけです。こういう点は、今回の丸紅捜査等によっても、いまのいわゆる委任状行為というものが適法に行なわれておるかどうかということについても当然捜査の中で判明すると思うわけです。そういうことを一番よく承知しておりながら、いまの食糧庁長官説明というものは全く三百代言的な、これは避けることのできない民法上の行為であるからどうしようもないというようなことでは——この委任状行為というものは単に食管問題だけじゃないのですよ。たとえば国有林の林木の売り払い制度の中においても、巨大なパルプ資本を中心としたいわゆる入札の委任行為というものが行なわれておるわけです。これは先般の予算分科会においても私が指摘して、その実態の資料を求めておるところですが、国の食糧管理制度、あるいはあらゆる国民生活に重要な関連のある物資に対する正常な流通機構がこれによって破壊されるような場合が生ずるわけです。その点について警察庁並びに、これは大事なことですから、農林大臣からも明確な方針を述べてもらいたい。
  48. 斎藤一郎

    斎藤(一)政府委員 ただいま委任状の問題についてもお尋ねでございますが、先生御承知のように、食管法違反態様はいろいろございまして、今回の事件については、まず未検査米であるということで、その取引態様がどういうものであっても、扱った対象が基本的に食管法違反になるというふうに私ども食管法の罰則態様を調べまして考え、その点でどういう取引態様であっても食管法違反はまず明確である。そのほか、先ほど御指摘があったように、運搬なりあるいは保管の態様がそういう主たる違反関連してどうなってくるかという問題もございます。それから、ただいま御指摘のように、委任状の問題も、委任状をどういう形でいつ作成したかといったようなことが食管法違反全体の態様、実態とからみ合ってくるので、先ほど来御指摘のことも私ども十分に勘案をして、そしてまたこの流通過程違反者がたくさんございますが、その流通過程のどの点が食管法の精神から見て一番情状が重いかということを十分に勘案をして今後措置していきたいというふうに思っております。
  49. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 代行商社の委任状の扱い方について、これはいろいろ問題点があると思うのございますが、これは司法当局の解明を待ちたいと思いますけれども、実態的に申し上げますと、実需者との間に基本的な取りきめを結んでおいて、そして個々の買い付け活動を行なって、玉のめどがついたその段階で正式な委任状を出す、こういう行為が行なわれておるのではないか。そういう場合の委任状のあり方が適法かどうかということについては専門的知識に欠けますが、実態上はそういうような行為で行なわれておるところが今回の御批判を受けておる面ではないか、かように私は見ておるわけでございます。
  50. 芳賀貢

    芳賀委員 私の指摘しておるのは、その委任状行為そのもののあり方の問題と、もう一つは、現在の自主流通米制度の中においてもそういう代行制度というものは必要がないじゃないかという点をむしろ強調しておるわけです。自主流通米にしても未検査米は絶対扱えないことになっておるし、指定法人が全国的に集荷した自主流通米については、指定法人の手を経て初めて実需者あるいはまた卸売り、小売り、米の販売業者にそれは流れる仕組みになっておるわけですからして、そこに商社の代行制度というものを介入させなければならぬ、そういう必要は全然ないですよ。この点が食糧庁と商社あるいは業界の癒着というか、特に問題のある点なんですよ。だから責任の農林大臣としては、この代行制度というものが、食管制度の流通経路の中ではたして必要性ありやなしやという問題についても十分検討する必要があると思うのですよ。必要があるということになれば、いまの経路に何か不便とか欠陥があるわけですから、それはむしろ代行制度で補完するということでなくて、政府が管理する集荷、販売の流通経路そのものの仕組みの改善のほうがむしろ先決だと思うのですよ。早急にこの問題については大臣の手元において検討を進めて、その結果というものを国会で明らかにしてもらいたいと思いますが、いかがですか。
  51. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 ちょうど私がこの部屋へ入ってまいりましたときに、この点についての食糧庁長官のお答えが行なわれつつあったと思います。その際長官より代行制度のあり方について検討してみたいということを申し上げておったようでございますが、私も、今回のこういう事件にかんがみまして、十分検討し、改善すべきものはすべきだと思いますが、ただ一般的に、酒屋さんとかあるいはお菓子屋さんが自分で直接に米の買い付けがむずかしい、こういうことで、それはそれなりに専門的な知識も場合によっては必要だと思うのですね。そのために委任状を渡して頼んだということが、これがいけないということは一がいにちょっと言い切れない面があるのじゃないか、そういう委任行為というものが認められておるこの世の中の慣習からいたしまして。ですから、そこの辺はなかなかむずかしい問題で、今回のように大手商社が、その代行商社であるということをいいことにしていろいろ問題を起こしたというところは、これはきびしく追及されなければならぬけれども、しかしその酒屋さんや菓子屋さんが、さあどうしようか、こういうことで何トン必要だから頼む、それじゃ委任状をくださいよ、そういうような経緯の上にあるものまで、それはもう禁ずるのであるというようなふうはいかないと思いまするので、この辺は、御質問もよく検討すべきではないか、こういうことで、実需者の方々にも不便のないように、また不正の起こらないように、どういうふうにやっていくかということを十分検討さしていただきたいと思います。
  52. 芳賀貢

    芳賀委員 時間の都合で、次に、食糧管理法に基づく米麦はじめ政令で定める主要食糧の輸入業務、あるいはまた食管特別会計で扱っておる政府の取り扱い飼料、こういうものの輸入あるいは輸入業務というものは、これはいわゆる国家貿易、管理貿易で行なうことになっておるわけでありますが、この場合にも、あらかじめ食糧庁が商社を選定して、いわゆる管理貿易の代行業務を行なわしておるということになっておるわけでありますが、この場合、今回の一連事件の元凶である丸紅等についても、特にこれは政府食糧の取り扱い数量、品目においてはその首位を占めておるわけです。たとえば米については、買い入れ先のタイ、ビルマ、アメリカ、台湾、エジプト、ベトナム、カンボジア、韓国、このほとんどの輸出国については丸紅が主要な輸入業者、登録適格確認者ということで代行しておるわけですが、私は、単に今回の事件を起こした大手商社丸紅だけが政府食糧の輸入業務を行なうのに不適格であるということは指摘しておるわけではないのです。大小にかかわらず、これに類似をした違反事件とか不法行為をやっておる商社がもう通例の世の中になっておるわけです。しかし、明らかに食管法違反あるいは輸入食糧を取り扱う商社としてこれは基準に照らしても不適格であると判断された場合においては、すみやかにこの指定を取り消すということが行政的に行なわれなければならぬと思いますが、これらの輸入代行業者の取り扱いあるいは指定、その取り消し等については、今後どういう基準で厳格な態度で臨むか、その点を明確にしてもらいたい。これは長官からでいいです。
  53. 中野和仁

    中野政府委員 御指摘の点は、外国産食糧買入要綱というもので食管法によりまして政府がいわゆる国家貿易をやっておる中での具体的な手続をきめておるわけであります。その中で「売渡人」ですから、これは登録商社でございますが、それが「次の各号の一に該当するときは、そのおよぼす影響の程度に応じて登録の取消し、売渡申込みの受付の停止、契約の解除、その他必要な措置を」講ずるということになっておりまして、食管法あるいは物統令違反の行為により処罰されたときとなっております。これは「処罰されたとき」でございますから、この文面どおり解釈いたしますれば、今回の事件について裁判所の判決が出て処罰をするということになるわけでございます。ただ今回の場合、こういうふうにいろいろな問題がありますので、そのときまで待ちますか、あるいはその間にありまして捜査状況が進展し、もう少しこの事態が明確になった場合に事前にいろいろな措置を考えるか、この点は大臣ともよく御相談申し上げまして措置をすべきことだというふうに考えます。
  54. 芳賀貢

    芳賀委員 いま長官が言ったような、しゃくし定木で、その事件の最終判決を待ってということになると、これは何年かかるかわからぬですよ。最高裁まで上告するということになれば、数年かかるわけですからね。もうすでに捜査段階、発覚、告発段階、そういう食管法違反をやっておりますということを丸紅の社長も告白をしておるわけですからね。米の在庫数量というものは正直に発表します、今後国内における米の取り扱い業務からは手を引きますということを、これは世間に明らかにしておるじゃないですか。それを裁判の最終判決を待たなければといって、こういうような不当な、認めることのできない代行業者についても実績を温存させる、これは一体どういう関係があるのですか。そうした大手商社食糧庁関係、あるいはこういう独占的な大手商社と与党・自民党の関係、田中内閣との関係、そういう癒着関係がなければ、明快に事実を明らかにして、即刻指定の取り消しができると思うのですが、できないということになれば、国民から見ても、何かこれは裏がある、どうしてそういうことが行政的にできないのかという疑惑がますます拡大して、それが行政不信になるわけですね。どうしてできないのですか。
  55. 中野和仁

    中野政府委員 先ほど申し上げましたように、買入要綱ではそういうふうになっております。しかし、私申し上げましたように、今回の事件が、捜査当局がどういうふうにこれから結論を出されまして、どういうふうになっていくかという事態の推移を見ながら、その間にありましても大臣に御相談申し上げまして、適切な措置は考えたいということを申し上げたわけでございます。また、きょう御指摘のきょうの段階では、まだ警察当局の結論さえ出ていない段階でございますので、いますぐどうとかするということは、まだその段階ではないというふうに私は判断しておるわけでございます。
  56. 芳賀貢

    芳賀委員 要綱があると言っても、それは食糧庁がつくった要綱でしょう。法律にそういう規定があるので改正しなければできませんというのであれば、これは立法府において改正措置ができるが、要綱にそうなっておるということであれば、まず要綱そのものの不備な点を改正すればいいじゃないですか。これはできるわけでしょう。要綱というのは、憲法とは違うのですからね。一たん間違ったものがつくられても、欠陥が発見されても、もう是正することはできないという問題じゃない。要綱がじゃまになるのであれば、要綱の欠陥を是正して、食管法に基づく正しい輸入業務の代行ができる業者指定の要綱をつくればいいじゃないですか。これはできるわけでしょう。どうですか、大臣。
  57. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 食糧庁長官のお答えは、いまの要綱にはこのように書かれておるが、しかしこれこれと、こういうふうに申し上げておるのでございます。  そこで、私としては、違法性の程度が判断できるようになった段階、これはなかなかむずかしいと思うのですね。現在すでにその段階である、こういうことが言えるかといえば、言えないとも言えぬし、また客観的には明らかにいま御指摘のように、責任者自身も内地米を扱わぬようにしたということも言っておるのですから、すでに情勢ははっきり判断できる、こう言えるとも思います。しかし、私どもが行政上の措置をする上におきまして、やはり今後においていろいろと問題にならないように、また今回の摘発によって違法行為のものが相当あったわけでございますから、そこで一応の司法当局の段階を迎えて行政上の判断をするということについては、私はやぶさかではないわけであります。
  58. 芳賀貢

    芳賀委員 私は何も丸紅だけを対象にしてこの際厳格な取り消しをするというのじゃないのですよ。いまある要綱というものが厳格な処置ができないようなものであれば、それを直ちに是正して、丸紅といわず、政府が適格者として確認した代行業者全体の経済行為あるいは代行としての責任の適否というものを十分判断して、場合によってはいつでも取り消しができるというような迅速性のある、行政の責任で行なうことのできる生きた要綱を十分に用意する必要があるのじゃないかということを指摘しているわけです。結果はどうされるかは、あとで判明されることでありますから、この点は指摘をしておきます。  最後に、新聞によるわけでありますが、今回の事件関連した食糧庁長官の談話の中に、政府がきめた政府米の、いわゆる普通米、徳用上米、徳用米等について、これがなかなか売れない、売れ残りが生ずるというような場合においては、政府米とそのそばに並べてある自主流通米と混米して適当な価格で販売することは妥当な販売行為であるということを発言されておるわけです。その他、いろいろ問題になっておるようなことも言っておられるが、政府が二重米価制によって安売りをしておる。特に普通米、徳用上米、徳用米等については相当食管の財政負担によって安売りをしているわけです。それが売れないからということを理由にして自主流通米と混米をして、自主流通米並みの価格で販売して不当な利益をおさめても、それはやむを得ないというような、そういう食糧庁長官としての行政的な発言、姿勢は問題があると思うのですよ。これについての真意を明らかにしてもらいたいと思います。  もう一つの点は、ことしの二月に、全国の登録業者の新規参入を拡大する目的で都道府県知事に許可の権限を大幅に緩和した省令の改正が行なわれておるわけです。ところが、これが一体全国の都道府県の各地域においてどの程度期待効果をあげておるかということが問題なわけです。最近、北海道、全国でもそうでありますが、食糧管理法というものはなくなった、もう米を売るのも買うのも自由になったというような風潮がある。いまの政府の宣伝や行政姿勢によって、国民に間違って受け取られておるわけです。そういうことで、各都市等において小売り業者等の販売状況調査等を行なうと、登録業者の半分あるいは三分の一に及ぶ無登録の米の販売が行なわれておることが判明したわけです。こういう点については、一体どう対処するのか。  もう一つは、最近の全国的な要望としては、米を生産する生産者の団体である農業共同組合が、当然これは登録集荷業者になっておる、その共同組合の行なう購買事業、スーパー事業等を通じて、むしろ並列的に米の小売り販売を業務として拡大してもらいたいという声が、生産者である農家はもちろんでありますが、地域の住民からもそういう声が非常に強いわけです。ところが、今度の新規参入拡大の措置の場合においても、意図的に、市街化区域内の農業協同組合が新規参入の申請をしても、なかなか都道府県知事のもとにおいて新規許可が実現できないという問題が多々あるわけですね。これはおそらく食糧庁の指導によって、農業協同組合に対する小売り業としての新規登録はできるだけこれを規制していく、つとめて行なわないようにせいというような行政指導が都道府県知事のほうに流れておるのではないかというふうな説もあるわけです。これはまた重要な問題だと思うわけですね。この二点について、この際食糧庁長官から真実を明らかにしてもらいたい。
  59. 中野和仁

    中野政府委員 第一点の御指摘でございますが、自主流通米との混米の問題、現在食糧庁が管理しております政府米は、全体の米の流通量の中で四五%が標準価格米の原料となるということで、売却操作をやっておるわけでございますが、家計調査その他、末端のほうから見ますと、それが三六%くらいにしかなっておりません。そうしますと、九%の差が出てまいりまして、それを先ほど御指摘のように自主流通米と混米をしておるわけでございます。これは、元来お米は特定銘柄は別々に売るといいましても、千差万別品種がありますから、もともと米屋さんがお米をまぜるということは、これは否定できないと思います。ただ、その際に、自主流通米の原価は高く、標準価格米の原価は安い。それを全部自主流通米並みの価格で売っておるならば、これはかなりマージンの取り過ぎだと私は思います。ただ、現在いろいろな価格調査をやっておりますけれども、自主流通米を中心にしました高い米、上米とそれから標準価格米との間に中米の価格がございまして、かなりのウエートを持って中米として売られております。おそらく相当部分は、一部不心得者がありまして、高く格上げしているところもあるいはあるかと思いますが、これはよろしくないと思いますけれども、大部分はその高い原価のものと安い原価のものをまぜて中米をつくる。これは標準価格米を全部常置をさせておりますけれども、売れない場合にはこれはやむを得ないというふうに考えておりまして、新聞にどういうふうに出ておったかよく存じませんけれども、私自身が、まぜて自主流通米の値段で売ってよろしいということを申したことは決してございません。  それから、第二番目の新規参入の問題でございますが、先ほど御指摘がありましたが、農協だけを食糧庁がこれを入れるなという規制をしたような措置をしたことは一度もございません。現在、新規参入は、昨年の物統令適用除外との関連でこれを認めたわけでございますが、七大都市の大都市指定区域では二千二百三十四件の新規参入がありまして、そのうち農協は八十一件入ってきておりますし、それから大都市指定区域外でも、都道府県知事が人口急増地域を指定をいたしまして、新規参入を認めたわけでございますが、四月十日現在で、二千八十九件の新規登録が行なわれました中で、農協は百五十五件という新規参入も認められております。したがいまして、集荷団体に小売り登録を認めないというような指導は決していままで一度もいたしたことはないわけでございますが、ただ、いま申し上げましたように、現在新規参入が可能なのは、大都市指定区域、それからそれ以外でも人口急増地域ということになっておりますので、人口が全然ふえないあるいは減るようなところでは、知事としても新規参入はなかなか認めにくい、こういう実情にあるわけでございます。  それから、なお途中で御指摘がありました無登録業者がかなりはびこっておる、これは私も認めておりまして、特に東京都の場合はかなりの業者がおりましたのを、東京都知事が全部無登録業者に警告を発しまして、いろいろな措置を講じておりまして、できるだけ無登録業者をなくするようにつとめなければならぬというふうに考えております。
  60. 芳賀貢

    芳賀委員 それではこれで終わります。
  61. 綿貫民輔

    ○綿貫委員長代理 庄司幸助君。
  62. 庄司幸助

    ○庄司委員 時間もありませんので、私のほうからも簡明に伺いますから当局のほうにおいても簡明率直に御答弁を願いたいと思います。  私は、今度の米の買い占めの問題について、実に丸紅飯田その他のやり口を見ておりますと、これは憎んでも余りあるという考えを持っております。これはこれで物統令その他で徹底的な究明が行なわれているようでありますから、私は米の買い占めについて別な側面から伺ってみたいと思うのです。それはやはり一般的に言えば、こういった買い占めを許したりあるいはやみ米の横行を許したりするような条件が農林行政の内部にあったのじゃないか、こういうふうに考えておるわけです。これはくどくは申し上げませんが、四十四年から始まった自主流通米の制度の発足とか、あるいは買い入れ限度数量の設定とか、それから物統令の適用除外の問題であるとか、あるいは生産調整の問題であるとかいった一連のこれまでの政府の農政の施策の中にこういった問題をはびこらしてくる要因があったのじゃないか、こういうふうに考えているわけです。そして現在買い占めその他が行なわれておりますが、私は農村に入ってみまして、農村の庭先の実態を調べてみたわけです。その点から買い占めの防止あるいはやみの横行を防ぐような手段があるのではないかというふうに考えたのでちょっと伺いたいのですが、一つは、余り米というのがありますね。これは名前は自由米という名前があるいは妥当かもしれませんが、余り米の実態を見ておりますと、自主流通米とこの余り米との値段の開きが非常に大きいという問題があるわけですよ。それで伺いたいわけですが、昭和四十七年度産米について、全国の米の生産高と政府買い入れ米、それから自主流通米、これを合わせた分の差額が幾らぐらいなのか。つまり余り米として流通していくような分量、これは相当大きいと思うのです。この実態は当然農林省において把握されておられるだろうと思いますが、それが全国でどれくらい流通に流れ込んでいるのか、もちろん余り米の中には農家の自家保有米もありますから、それは当然差し引く必要があると思いますが、どのくらいの数量流通過程に流れ込んでいるのか、それをひとつ伺っておきます。
  63. 中野和仁

    中野政府委員 四十七年産米につきまして、生産は非常に豊作でございまして、千百九十万トンでございました。それに対しまして需要のほうから申し上げますと、食糧庁といたしましては、流通需要は、需要といいましょうか流通にどのくらい乗ってくるかと申し上げますと、八百十万トンと見ております。その差は農家保有ということになるわけでございます。そこで、その農家保有がいまの差でございますから三百八十万トンになるわけでございます。この三百八十万トン、それでは農家が全部自分で自家消費をしておるかと言いますと、これは残念ながら、過去十数年にわたりましてわれわれの調査でも、大体百万トン前後、これは農家が親戚にそのまま渡したりあるいは近間に売るというようなこともありまして、過去から約百万トン近いいわゆる自由米があったと見られます。ただことしの状況からいいますと、そのほかに過去にありました自由米がふえておるのではないかと思われます。と申しますのは、八百十万トンの流通需要があるということで政府が見ておりましたけれども、政府の買い入れは五百四十数万トン、まだ若干買い入れがございますから、これの確定はいたしておりませんが、その程度になります。それから、自主流通米を二百十五万トンの計画をいたしましたが、これは大体二百万トンくらいになるのではないか。それから御指摘の余り米制度、これも自主流通と同じルートに乗せておりますが、四十五万トンと見ておりましたが、最近の検査状況から見ますと二十四万トンでございます。したがいまして、その差を見てみますと、どうもことしは三十万トンから四十万トンぐらいやみ米が若干ふえているのではないかというふうに見込まれるのが現状でございます。
  64. 庄司幸助

    ○庄司委員 それで、過日熱海におきまして全国の米のブローカーが会合を持って、そこでいわゆる庭先買いの対策を練ったという新聞報道があるわけですが、この中で、この方々が庭先買いは六千二百円以上で買ってはならないというような話をきめたように伺っておりますが、こういった情報について当局は何かつかんでおられますか。
  65. 中野和仁

    中野政府委員 残念ながら熱海でそういう会合をやっておるというのは私承知しておりません。ただ、六千二百円というのは、いまの政府買い入れ価格が大体平均九千円前後でございますから、いかにも低い、そういうことでは農家は売らないのじゃないかという気がいたしますけれども、そういう情報はつかんでおりません。
  66. 庄司幸助

    ○庄司委員 だからここで一つ言えることは、余り米といいますか、いわゆる農家の自家保有からはみ出した分ですね、こういった米が言うならばやみであるとか——やみということばはいまありませんが、あるいは買い占めの対象にされていくという危険は十分あるだろうと思うのですが、その辺は長官どのように把握されますか。
  67. 中野和仁

    中野政府委員 買い占めということは定義にもよるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、過去の百万トンくらいが、もちろんこれは食管法違反の米でございますけれども、事実上流通はしておる、この段階ではもちろん買い占めというようなことはございません。それがどうもことしになりまして、代行制度について先ほど芳賀先生からもいろいろ御批判があったわけでございます。代行制度の陰に隠れてそういうやみの市場を組織化していくという傾向がだんだん強くなってきたのではないかというふうには思われるわけでございますけれども、具体的にそれではそういうやみの組織化なり何なりがどの程度どう買い占めをしているかということは、なかなかこれはわかりかねるわけでございます。先般私たちがモチ米につきましていろいろ問題が出まして調査をいたしました際にも、すでに大部分実需者の手に入っているというふうな状況でございました。
  68. 庄司幸助

    ○庄司委員 それで大体わかってまいりましたが、こういったブローカーがいろいろ全国的な組織をもってやみ市場が形成されていく。これにさらに資金の関係でもし大手商社の資金のつながりが出てまいりますと、当然これは買い占めであるとか、そういう事態になっていくわけですね。この点やみ市場の形成を徹底的に防ぐというような対策が当然なければならない、こういうふうに考えるのですよ。その辺農林省として対策をとっておられますか。
  69. 中野和仁

    中野政府委員 率直に申し上げまして、ここしばらくの間、米の需給が非常に緩和をいたしまして、なかなか全量政府集荷なり正規の自主流通に乗っけるというのはむずかしいわけでございます。農家自身もやみで流すということもありましょうし、農家のそれにつけ込んで買いにいくという従来からの、先ほどから申し上げておりますやみの流通を一挙にこの際全部やるということはむずかしいわけでございますが、考え方といたしましては、できるだけそういうことがないように、これは一つの運動としてそういうこともやる必要もあるのではないかというふうに今回いろいろ考えまして、痛感をしておるわけでございます。
  70. 庄司幸助

    ○庄司委員 それで私は若干数字を申し上げますが、農家の側からすると、やはりこういうやみ市場に米を流したい、あるいは流れていく傾向をとどめることができないようないま現実があるのですよ。そこでひとつ資料を申し上げますけれども、これは四十七年度産米についての宮城県の調査でありますが、宮城県は御承知のとおりササニシキを持っております。これはウルチでありますよ、実収高が五十七万八千百トンですね。それから政府売り渡し米と自主流通米を加えたものが予約数量等三十八万五千五百トン、この差額が結局農家保有米となるわけですね。十七万一千トンなんですね。そのうちいわゆる農家の飯米、飯米の中には贈答分が含まれているわけですが、これが約十万トンと見ておるわけですね。そうすると、七万一千トンがいわゆるやみ市場に流れていく可能性のある米なんですね。先ほど長官は、そういう可能性のあるものが全国で約百万トンとおっしゃったわけですが、この七万一千トンが実は未検査米で流れていっている可能性があるのですよ。この未検査米の問題についてはあとで申し上げますけれども、なぜこういう事態になるのかというと、これは宮城県の経済連で調べた資料でありますが、自主流通米の場合は仮渡し金の金利が七十八円で計算されております。ところが農協で扱うこの余り米の場合は百四十円で、一俵当たりここで六十二円違うのですね。それから保管料についていうならば、自主流通米は二十六円、それから余り米ですと百五円、差額七十九円、合計で百四十一円の違いが出てくるのですね、農家の手取りで、そのほかにいわゆる銘柄奨励金、これが二百円。こういった計算上から三百四十一円の農家手取りの差が出てくる。さらにこれは実態からいくと、ササニシキ一俵について農家手取りは九千五百八十二円という数字が出てくるのです。これは自主流通米の場合ですね。ところが余り米の場合ですと、九千百五十九円、四百二十三円の差がある。こういう差があるので、ついつい庭先に業者がトラックで札たば持って買いに来ると、やはり売りたくなるのが人情だ、これは当然ですね。そういう実態があるのですよ。だから、その点で自由米といいますか余り米、それについても政府がこの差額を埋めてやるような措置をとらないと、やはりこのやみ市場の形成がなくならないのじゃないか、私はこう思うのです。その点で宮城県で大問題になりまして、この間、宮城県の議会では、この余り米に対して県当局が見合ったような補助金をつけなさい、こういう論議までかわされて、六月議会でこれが予算化されそうになっている。これは農林大臣、地方自治体にこういうことをまかしておくのじゃなくて、やはり私は、国が当然この対策をとるべきだ。地方自治体は御承知のとおり、三割自治だ二割自治だという財政困難の中でこういうことさえやらなくちゃならない。これをやるならば、やみ市場に流れる米が流れないで、正規のルートを通って、しかも混米などというインチキな米にならないで済むだろうと思うのです。その点、農林大臣の御所見をひとつ承りたいと思うのです。
  71. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 現在、生産調整をやっておる、こういう需給事情にございますから、そして実際上は生産目標も与えて余り米が出ないように一応考えてやっておるのに余り米が出る、こういうことでございますから、その場合に、そういう調整をやっておるのに余り米も同じように扱え、こういうことになると、それでは生産調整の意味がなくなってしまうわけですね、したがって、余り米が出た場合は、いわばそれは農家としては出目があった、こういうことで、これを正規のルートに乗せるならば、それは買いましょう、こういうことにはなっておる。しかし、御指摘のような、そこに差があるから、そこでこれがやみ市場の誘発になるのではないか。確かにやみ市場をつくる原因の一つにもなるかと思いますが、それだからといって、それではいま調整は要らないのだということにならないと思うのであります。そういうことで、現在私どもの考えておりますのは、生産調整はしておるが、しかし都道府県全般をながめてみますと、適地適作で米がよけいとれるところもある、しかしまた一方においては生産目標にも達しないところもあるというのが実情でございますから、その間の調整をとって、少し弾力的に考えるのがよかろうということで、すでに本年の場合についてはそういう指示を与えておるわけでございます。
  72. 庄司幸助

    ○庄司委員 生産調整についてはあとで論じますけれども、こうやってやみ市場が形成されるような下地がいまの生産調整の中で出ているという問題ですね。これはやはり政府の農政の内部から買い占め問題やあるいはやみ米の横行を許すような下地を政府がつくっていると言われても私はしかたがないのじゃないかと思うのです。  それからもう一つは、なぜこういう庭先買いに回るのかという点をいろいろ調べてみましたら、食糧庁の米の検査が非常に手間を食う。これは食糧庁の数字もちょうだいしておりますが、大体十月の初めからかかって、十二月にならないと検査が完了しない、いわゆる自主流通米と政府売り渡しの分ですね。余り米の分なんかはもうそのあとになる可能性もある、こういう実情があるようですね。そうしますと、現在日本の農家は農業だけでは食えない状態におとしいれられておりますから、農業白書が明確に物語っておりますから、早く米を処分して、そうして出かせぎに行かないと、とてもじゃないが食えない。しかもこの庭先買いに来る業者のやり口を見ておりますと、いわゆる紙袋なんかは規格が何もないのです。豚のえさの袋をそのまま使ってもいいのだ、そうすると袋代も浮く。しかも札びらで、現金で買っていく。検査は要らない。そういう点で、検査の問題もそういったやみ米の横行の一役を買っている実情があると私は思うのですよ。その点で検査をもっともっと早めろというのが農民の非常に強い声なんです。その検査の問題で、検査を大幅に早めるような施策を講じられるのかどうか、いまのような遅々たる、牛の歩みのような検査状況でいいのかどうか、これはどうなのか、ひとつ御答弁願いたいと思うのです。
  73. 中野和仁

    中野政府委員 検査の問題でございますが、全国的には、いまの検査官の能力は日に七百俵でございます。お話しございました宮城の場合は、それをはるかにオーバーしておりまして、千俵やっております。人数は、全国的には約一万七千名が検査に従事しておりますけれども、やはり人員に限りがあるものですから、農家の要求どおり、ある日にみなやってしまえといっても、これはなかなか無理でございます。そこで、現在では集荷業者、これは主として農協と事前に出荷計画を相談をしております。その場合に、できるだけ農家の要望に沿うようにやっておりますけれども、いまの人員との関係から、なかなか完全に農家の要望どおりにはなってない面もあるかと思います。  そこで現在、食糧庁としましては、出張所を廃しまして、二段階制の支所制に順次切りかえておりますけれども、人数がかなり一つの支所に多くなってくるということから、ひとつ応援検査の体制をやろうということをすでに実施をしておりますが、今後そういう方向で出荷体制を農協とよく相談をしながら、検査受け入れ体制をできるだけ農家に不便をかけないようにすべきだというふうに思っておるわけでございます。ただ、いま御指摘の、たとえば検査を受けないでやみに流すのでは、紙袋はどんなものでもいいじゃないか、それは農家の気分からすればそういうことであるかもしれませんが、全国の米が全部そういうことになってしまいますと、これは米の品質の向上の上から、それから流通過程で保管を要しますから、そういうようなことを認めることは、これはできません。やはりある程度の制約があろうかと思います。
  74. 庄司幸助

    ○庄司委員 これは誤解があっては困るのですが、私は豚のえさの袋を認めたらどうかなんて質問していません。これは誤解のないようにお願いします。  それで、検査官をふやさないと、応援体制だ何だといったって、とうてい、百年河清を待つようなものじゃないですか。そこで、宮城県なんか、全国の米の約五%を生産して、検査官の配置は二・三六%です。これは、宮城県からやみ米がどんどん出てもいいというような検査官の配置でしかないと思うのです。こういう矛盾した実情はどうなんですか。これはあなた方の数字ですよ。
  75. 中野和仁

    中野政府委員 ちょっと私いま手元に各県の検査官の配置状況を持っておりませんけれどもいまの御指摘、全国のパーセントからいえばそういうことであるという御指摘があれば、あるいはそうかと思います。ただ、この検査官の配置につきましては、検査官というのは大体地元出身の方でございまして、それから農業の情勢がだんだん変わってきております。昔配置いたしました者がなかなか他県への移動が、地つきの方ですから、いかないということで、その後生産力が伸びた東北が少なくて、だんだん都市化していくような地域が相対的に多いということもあるいはあろうかと思いますが、食糧庁といたしましては、できるだけその辺の調整はしておるわけですけれども、まだなかなかぴしゃっと現在の生産に合うようなスタイルにはなっておらないというふうにも思えるわけであります。
  76. 庄司幸助

    ○庄司委員 そうしますと、これは食糧庁長官が何ぼ頭をひねっても、大臣の決意がないとだめなんですから、この検査官の問題大臣がふやすという決意、これを持ってもらわなくちゃならない。もう一つは応援体制、その他手段もあるだろうと思いますけれども、やはり絶対的に数が少ないということはこの数字が物語っておりますけれども、その点でやはり大臣の所見をひとつ明確に聞かしてもらいたい。  それからさっきの余り米対策ですね。これは生産調整の関係で出てくるわけですが、私は、この生産調整というものが、いまの世界の食糧状況その他も勘案して生産調整を見直さなくてはならない時期にもうかかっている、こう思うのです。しかもこの農業白書を見ますと、米の自給率が四十六年度九二%に落ち込んじゃっている、そういう数字があるのです。この二点大臣どうですか。
  77. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 第一の検査人員の問題でございますが、先ほど長官から御答弁申し上げましたように、そういうことに対応しての出荷計画に御協力を願ってやっていきたい、あるいは他の支所からの応援検査で応じていきたいということを申し上げておるわけでございまして、これがどのように実効があがるかをしばらく見たいと思うのであります。なお人員増の問題でございますが、これは行政管理庁との関係がございまして、現在できるだけ人員の増加をしないように、またいろいろな作業が合理的に行なわれるように指示をされておる際でございますから、なかなか人員増というものはむずかしいということを御理解いただきたいと思います。また先ほど説明があったように、地元の者でないと、他府県からの配置がえではなかなかいつかないというような実情もございます。ただ、御質問を聞いて、全国的に生産量と検査官との比例が不均衡になっておるという点については、これは私どもとしても検討をさしていただきたいと思います。  それから自給率の問題で、お示しの四十六年のことは、これはその年が不作の年でございまして、結果的にはそういう数字になったわけでございますが、その数字をもって現在行なっております生産調整をこの際もう全部やめろということにはにわかに結論が出しにくいので、そこで先ほど私が御説明申し上げましたように、現在実情が、生産目標を上回る県もあるが、また下回る県もあるし、また生産調整をしておるけれども、私がかねがね申し上げておるように、一方において能率のいい農業という点から適地適作ということを大きな眼目にしておりますので、それらの点も勘案しながら弾力的に処理してまいりたい、かように考えておるわけであります。
  78. 庄司幸助

    ○庄司委員 それでは気象庁長官いらしておるようですから……。私は、最近の気象状況が非常に冷害型に近づいてきておるんじゃないか、こう思うのです。これは農林省の作物統計課の資料ですが、冷害による水稲被害、これが昭和四十五年度一万九千四百トン、四十六年度六十万六千九百トン、四十七年度が四万七千六百トン、四十七年度は非常に天候に恵まれたと言われながら気温が上がらなかった、こういう年なんですね。こういう一つの気象の動向ですね。これは以前だれかの論文も見たことがありますけれども、世界は北半球、これが冷害型になりつつあるというお話を伺っています。全体として北極のほうが少しずつ温度が下がる。北緯七十度あたりでは三十年間に一度から二度平均気温が下がっておる。しかもシベリア寒気団の問題もいろいろあるようですが、そういう中で仙台管区気象台が、ことしも天候の変動が激しくて、晩霜、干ばつ、梅雨期の大雨、低温、早冷などの異常気象が懸念される、こう言っておるのです。その点で私は、気象庁として、北半球、特に日本に関連して気象の動向、こういった懸念される事態にあるかどうか、これをひとつ御見解を伺いたいと思うのです。
  79. 高橋浩一郎

    ○高橋(浩)政府委員 ただいまの点についてお答えいたします。大体先生がおっしゃいましたように、世界の気候を見てみますと、特に高緯度のほうで低温が平均的に進んでおることは事実であります。ただ、しかし、このことは平均的にそうなっておるということでございまして、これでもってすぐに来年も再来年も東北地方で冷害が起こるということではございません。ただ、そういったような起こる頻度と申しましょうか、そういう危険が非常に多くなっているということは大体において事実のことだろうと思います。なお、低緯度方面につきましては、あまり温度は下がっておりませんで、むしろあまり変化はしておりません。ただ干ばつや何かがございまして、やはり高緯度と低緯度地方では、そういった面では違っておりますけれども、日本の場合につきましては、どちらかというと高緯度のほうの影響を受けやすいところでありまして、やはり北日本ではこれからわりあい低温の夏があらわれる頻度がふえてくるのではないか、こんなような見解でおります。
  80. 庄司幸助

    ○庄司委員 そうしますと、農林大臣、世界的に食糧不足傾向が一つあらわれておる。それから小麦なんかもやはり不足ぎみになってきた。こういう世界の食糧事情からいっても非常に懸念される状況にあると私は思うのです。そういう中で米も自給率が下がった。その他の農作物の自給率は、この農業白書にあるとおり、どんどん下がる一方ですね。そういう点で日本の食糧の自給の問題、これはもう当然われわれ日本人として考えなければならない問題であろうと思うのです。そういう際に、しかも気候もだんだん低温の傾向にある。冷害があらわれる傾向もある。このとき米をつくりたい農民に、米をつくるなといわんばかりの生産調整が依然として行なわれるというのは、私は、少し現在のこの非常に心配な憂慮すべき事態に対して政府の考え方が甘いんじゃないか、外国から買ってくれば何ぼでもあるんだというような考えではもう通らないのでないかと思うのですよ。その辺の見直しを思い切ってやらないと、私は不測の事態が起きたらたいへんだと思うのですね。その辺で、ひとつ私は大臣に、四十七年度の端境期における政府の米の保有量、これは日本人の食う米の何カ月分あったのか、それから四十八年度の端境期では一体何カ月分くらい確保できるのか、この辺の見通しもあわせてひとつ明確に、生産調整を見直す、それから全量買い入れに移行する、食管の本来の姿に返る、これを検討し直す時期がきていると思うのですが、大臣の御所信を明確に伺いたいと思うのです。
  81. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 所見のほうについてのお答えをあとにいたしまして、昨年十月末三十万トンの古米を持って新しい米穀年度を迎えたわけであります。ことしは五十万トンを持って次年度に移る予定でございます。現在の政府管理米の販売実情からいたしますると、これがやや上回る予定でございます。それから十月末におきましては、言うまでもなく新米が政府の手元に入ってまいりますから、その新米はおよそ二百五十万トン程度はある、こういうことでございます。しかし、五十万トン程度でありますと、これは約一カ月分でございますので、これを二カ月分ぐらいの繰り越し米にしたい、こういうことで本年の場合は二十五万トンを五十万トンに上積みする、明年度の作で百万トンに持っていく、こういう考え方でございます。この百万トン、これはいま申したように二カ月分に該当するわけでございますが、二カ月分というと、十一、十二を古米を食べていただいて、そして一月から新米を食べてもらうということになります。これをさらに百五十万トン、二百万トンにふやしていったらどうかということになりまするが、そうしますと、消費者のほうで、一月、二月とずっと古米を食べさせるというふうな状況になりますると、そこに批判も出てくると思います。ですから、いまのところは、端境期、米穀年度の移り変わりのときに百万トン程度がいいのではないか、かように見ておるわけであります。  天候異変についての御懸念でございますが、その点はわれわれも、万が一おっしゃるようなことがあってはならないのでございまするから、その辺は細心の注意を払っておるわけでございまして、現在の需給事情からして、本年二百五万トンの生産調整の目標にはいたしましたが、先ほど申し上げましたように、適地適作で、米をつくるのが最もその地域の農業に適しておる、能率のいい農業をやる上にはそれがいいんだというような点については、これは弾力的に考えまして、生産目標を非常に下回る県も実際上ございまするから、その辺をよく調整をとって適地適作の考え方をここに導入していくという方針でおりますので、お話のように米をつくろうという農家に生産意欲を非常に後退させるようなことにはならないと私は見ておるわけであります。
  82. 庄司幸助

    ○庄司委員 もう時間ですからこれでやめますけれども、農林大臣は適地適作とおっしゃっていますが、適地適作の県にさえも買い入れ限度数量を示して現に生産調整をやらしておるでしょう。だから私は、大臣が適地適作で対処していくなんと言ったって、これは信用できないというのですよ。現にやらしているでしょう。米をうんとつくりたい、いい米ができる宮城、秋田、山形、新潟でやっているでしょう。そういうことをやりながら適地適作で切り抜けられるなどと言ったのでは、これは考えが甘いと思うのですよ。だからこの際、やはりそういう点で生産調整についてもう全面的に洗い直して抜本的な対策をとっていく、これが今後日本の食糧を守っていく道じゃないか、こう思うのですよ。その辺で私は大臣からもう一言、いまの点、その点だけ伺いたいのです。
  83. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 生産調整を始めましたときには、これは皆さん方に同じように負担をしていただこうということで画一的にならざるを得なかったことは過去の実情が示しておるところであります。しかし、いま私の申し上げておることは、おっしゃられました新潟や宮城や秋田などの実情を十分考慮して申し上げておるつもりです。現に新潟の場合などが一番著しい例でございますが、生産調整の目標には非常に下回ったところで生産をされておるわけでございまして、それを私は、今回二百五万トンという目標は示しておるけれども、適地適作のことも申し上げておるんだから弾力的に考えましょうと、いわば実態を相当頭に置きながら申し上げておるわけであります。いずれにしても、きょう御質問のありましたように、私どもとして、天候異変による非常な不作でも生じて、その結果が食糧問題に大きな禍根を残すということであってはいけませんので、その辺については十分配慮をいたしながら、現在各都道府県の稲作の状況を指導をしておるような次第でございます。
  84. 庄司幸助

    ○庄司委員 あと時間がありませんからやめますが、私は質問をこれで納得したわけではありません。これは質問を保留さしてもらって、これで終わりたいと思います。
  85. 綿貫民輔

    ○綿貫委員長代理 坂井弘一君。
  86. 坂井弘一

    ○坂井委員 答弁を簡明にお願いします。  現在JASの認定工場が全国で約九千五百ございますが、JASのこの規格制度につきましては、「農林物資の品質に関する適正な表示を行なわせることによって一般消費者の選択に資し、もって公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。」こういうわけでありますが、今回問題になっております千葉ニッコーのビフェニールという毒物、これが混入したいわゆる汚染油ですね、この有害食用油にJASマークがついていた。農林省は十四日の日に、あわててこのJAS認定を取り消し処分を行った、こういうことでありますが、私はたいへんな失態だと思う。そこで、簡単にこの取り消しに至る経緯をまず説明していただきたい。
  87. 池田正範

    ○池田政府委員 この二月二十日に千葉ニッコー工場において定期検査が自主的に部内で行なわれまして、その結果は汚染がないということを、これは報告でございますが、工場からは報告をしておるわけでございます。たまたま三月十五日に内部で汚染と申しますか、熱媒体に使っておりました液の減少を発見いたしまして、そして汚染発見ということになったわけでございます。それからさらに、これを表に出すことを伏せまして、三月の二十日部内で修理をいたしまして、そして製造を再開したという形でございまして、県の衛生部のキャッチによって汚染が表に出てまいりましたのが四月の十日でございます。さらに県衛生部が現地の調査をいたしまして、そして四月の十一日に製造の停止及び回収の開始ということになったわけでございます。農林省といたしましては、その四月十日の判明以後、早急に情報を収集いたしまして、翌十一日にこの団体の日本油脂協会から事情の聴取をいたしました。さらに三月二十日以降の製品の移動を全部禁止いたしました。厚生省との間で、衛生関係を含めての打ち合わせを実施いたしまして、翌四月の十二日に千葉のニッコー工場に対して承認認定の取り消しを実施いたしました。さらに同日、油脂業界に対しまして総点検の指示をいたしまして、さらに、すでにとってあります植物油脂に対しての分析の指示をいたしました。次いで四月の十三日にはマーガリン、マヨネーズ等の二次製品についての分析の指示をいたしました。さらに同じ日興の水島工場の実情につきまして、保健所との打ち合わせ等をいたしまして、昨十六日に全国の五十五社、五十七工場、これはJASの認定その他の関係がある工場全部でございますが、それを東京に緊急招集をいたしまして、そして十八日から一週間、疑いのあるなしにかかわらず、全国一斉に総点検をするということで、技術的な内容も含めて直接の指示を終了した次第でございます。
  88. 坂井弘一

    ○坂井委員 あらまし経緯はわかりましたが、植物油脂の場合のJASマークにつきましては、農林物資規格調査会が定めたチェックポイントに基づきまして、登録格づけ機関であります日本油脂協会、これが検査をして、そして認定する、こういう順序になっているようでありますけれども、ただこの問題は異物の混入検査、この異物の混入検査で、ビフェニール等の化学物質については検査を行なってないわけですね。ここに非常に大きな問題があると思うのです。食品衛生法第四条に、いわゆる不衛生食品等の販売の禁止、この第二号あるいは第四号、特に第四号は異物の混入ですね、第二号においては、これは毒性ですか、そういうことに触れまして、そうした異物の混入あるいは毒性、毒物のものは販売してはならぬ、製造してはならぬ、こういうことでございますけれども、この場合こうした化学物質の検査が行なわれていない。つまり化学物質についてはノーマークである。それでもって品質を保証してJASを付する、これは非常に私は問題があると思うのです。したがってこのJASのそうした規格等、検査内容等については再度検討し直すということの必要があるんじゃないでしょうか。いかがです。
  89. 池田正範

    ○池田政府委員 食品の安全につきましては、これはJASがついておりましょうと、JASがついておりません場合とにかかわりませず、食品衛生当局によりましてチェックされることが前提になっております。したがってJAS格づけの際にあらためてまた二重の検査をするということは、安全の上に安全を期するという意味で、でき得ればやることが望ましいとは思いますけれども、現段階では、いわば土俵にあがる前の問題ということで、私どもとしては、現在までもっぱら食品衛生監視員の年六回行なわれますところの現場立ち入り検査というものを前提に、そういうふうな形が現実に行なわれない、むしろ私どもとしては、すでに定められた品質の食品として色沢、香味食味といったような食品としての適格性を持つかどうかということについてのチェックを主体にして農林省としてはやってきたというのが一応のたてまえ論でございます。しかしながら、食品でございますから、食べられるか食べられないかの前提に疑問があるようなものについては、これはJASマークとしての品質保証に問題が生じてくることは当然でございます。できる限り安全性について検査をすることが望ましいというふうに私どもも考えます。したがいまして、今回のような事件の経験にかんがみまして、JAS対象品目であっても、たとえば今回の一つの盲点は、これが食品の中に添加される、本来混入されるものが前提になっての問題ではなくて、触媒という、一種の中に入らないことを前提とした製法、しかも、そこに使われるものに毒性があるというふうな場合におけるものの取り扱いについて、やはり私どもとしてはもう少し十二分な手当てを今後はしていくべきであろうというふうに考えておりまして、現在、厚生省との関連もございますので、両省の間でできますれば農林省としても、多少厚生省の衛生検査に関する類似の行為になりますけれども、その方法論等については十分厚生省と打ち合わせをしながら、JASのチェックの際に何回かに一度ずつは食品検査に加えて基礎的なそういう安全検査まで含めたものを実施したらどうか。たとえば、いまの先生の御指摘からいえば、ガスクロマトグラフィーがあるわけでございますけれども、これをそういった形の方向に使わずに、もっぱら食品としての性格検査のほうに使ってきておるわけでございますが、これをさらに安全検査の検討に使う。たとえば今度の問題でございますと、これに塩素を加えて、そしてガスクロマトに乗るような形にある程度事前調整をして検査をするといったような方法もあるわけでございますので、私どもとしては、今回の経験にかんがみて、厚生省と十分打ち合わせの上、そういうような方向に前向きに検討したいと現在考えておるところでございます。
  90. 坂井弘一

    ○坂井委員 私は、厚生省それから農林省の間において、こうした食品の安全あるいは品質チェックに対して、やはり一つ盲点があるような感じがしてならぬわけですね。確かに安全の面については厚生省でしょう。品質のことについては、主としては農林省ということになるのでしょうけれども、その間やはり問題は、こういう汚染油が、有毒物質が混入されておるというものが堂々とJASマークが付されて出回る。だからこれを未然に防止する方法は、今日一番やかましく言われるのがこうした有毒物質なんですから、そういう化学物質について検査が十分なされて、しかる上において安全でありかつ品質上も問題ない、したがってJASを付する、こういうことでなければならぬはずですね。かつてのカネミ油症事件、この原因になったのはPCBである。このPCBと同じ方向、同系の化学物質であるところのものが、現在非常数に多く加工食品にそうした化学物質が出回りまして、JASが表示されておる。したがって、こういう有毒な化学物質が含有されてないという保証はどこにもないわけですね。どういう要因でどうしたところから混入するかわからぬというきわめて危険性がある。ですから、今回、総点検されるということでございますけれども、そうした分析、油の化学分析等を含めて検査をされる、そういうおつもりはございませんか。
  91. 池田正範

    ○池田政府委員 御指摘のとおり、今回の五十五社、五十七工場に対しては、全部そういったガスクロを投入いたしまして、現実の毒性の検査を全部やるということでございますが、ただ問題は、そう申しましても、これは今後も非常に長い期間全国各地で工業的に製品化が続いていくわけでございますので、一時的なことだけではなかなか対応し切れない問題もございます。したがいまして、私どもといたしましては、今後この点検を機会といたしまして、御案内のような、ああいう触媒に使いますところのステンレスのパイプ、このパイプがどうも寿命一ぱいに使われているのではないか、むしろこれは一定の更新年限に若干の安全性を含めて更新年限を短く切って、そして中身は悪くなっていようといまいと、必ずその時期が来たらかえるというふうな考え方が一つとれるのではないか。それからもう一つは、この触媒体の中にたとえば悪臭を込めるといったような形で、中に入りますと製品としてすぐ使いものにならない、あるいはすぐ気づくといったような、気づき方を非常にスピーディーにするやり方があるのではないかというふうなこともございます。それから、先ほど申し上げましたJAS製品の検査の中でも、多少ダブるところが出てくるけれども、チェックのポイントの中にそういうふうな安全ポイントも加えていくということも必要であろう。それから最終的には、やはりある一定の期間をねらって、なるべくすみやかに無害の触媒というものを考えていかなければならぬ。今回は、たまたま熱媒体から問題が起こったわけでありますけれども、これはまた冷媒体にも、実際にこれからいろいろと世の中が変わってまいりますと、問題が起きないという保証もないわけでございますので、主として媒体剤に使われるものなどがおそらく食品類の中では一番御指摘の盲点の中に入ってくる可能性もございますので、これらを大体中心にして、ただいま申し上げましたようなことについて、すでに技術的な検討をするように、業界及び内部関係に対しては準備の態勢に入りつつございます。
  92. 坂井弘一

    ○坂井委員 時間がございませんので次に入りますが、全国豆腐油揚商工組合連合会、いわゆる全豆連ですね、これは農林大臣の認定機関でございますが、この組合の事業の一つに、原材料の共同購買、これがございますけれども、この共同購買にあたって組合員が保証金を必要とするというようなことが許されますか。いかがでしょう。
  93. 池田正範

    ○池田政府委員 御指摘のとうふの材料である大豆につきましては、この一月の末に、一俵当たり一万五千円という驚異的な大豆価格の高騰を背景にして、緊急にこの大豆を豆腐組合を通じて各実需者に流してくれという、末端からの、ほうはいたる要望が上がりまして、これをベースにして、政府としては、当時製油メーカーが持っておりました五万トンの大豆、これを放出するようあっせんすることをきめまして、そして、それに基づいてあっせんが行なわれた。地方によって、それぞれ県の段階を通じて行なわれておりますから、若干、やり方も違っておるようでございますが、ただいま御指摘の点は、たとえば東京等のことを頭に置いての御質問かと思うわけでございます。東京におきましては、とうふの組合、これは全豆連という全国の団体と、それから日本油脂協会という全国の油脂、製油メーカーの団体との間の一括契約で取引をされました現物が工場内のサイロで引き渡されるとき現在で現金を払うという両者の間の取りかわしで、価格をきめ、取引が行なわれたものでございます。その後、今度は、そのお金を全豆連としては、大豆の引き渡しを受ける際には払わなければなりませんので、その金の出どころとしては、その後、たとえば東京都連、東京都豆腐組合とかにいたしますと、自分の持っておりました積み立て金と、それから大体各人が買い入れを希望しておりまして、決定しました数量の代金の半額、これをもちましてメーカー側に支払ったように聞いております。あと、全体の数字の中で現物の決済がそれぞれ個人別に行なわれますと、そこで残りの半額が清算される。ただ、五万トンと申し上げましたけれども、当初のあの価格というものが、放出を契機として急激に下降してまいりました。そのために五万トン全部を当時の価格で引き取ることは、豆腐組合の事情もあってできなかったわけでございます。それはある意味で値段が下がってきたことだからいいことだと私どもも考えておりますが、そういうことのために、とりあえず豆腐組合に対しては一万八千トン、それから高野どうふ、納豆といったようなところにそれぞれ組合に千トンずつ合計二万トンが第一次分として売り渡された結果、おそらく……。(坂井委員「そんなことはよろしい、質問だけでよろしい」と呼ぶ)  そこで、豆腐組合のほうとしては、第二次分の買い取り資金というものを頭に置いて、その最初の半分の金額を据え置いたということのように私どもは聞いておるわけでございます。
  94. 坂井弘一

    ○坂井委員 つまり聞いておる趣旨は、保証金として取ってよろしいかどうかということを聞いておるのです。
  95. 池田正範

    ○池田政府委員 これは組合内部のことでございますので、私どもとしてはタッチすることではないと思いますけれども、この保証金というものは、本来相手を信用しない場合の一つの担保として取るわけでございます。通常のベースでいたしますれば、当然それは代金の立てかえ払いという形をとるか、もしくは前払いという形でやるのが普通であろうと思います。
  96. 坂井弘一

    ○坂井委員 全豆連は農林大臣の認定機関ですよ。商工組合で、定款がございます。こういう中で、いまあなたのおっしゃる前払い金ということならばいいでしょう、私わからぬけれども。この中につまり原材料の購入ということがあるのです。それから、それはそれでよろしいでしょうが、保証金というようなものを取ってよろしいのかどうか、これは認められるのかということを聞いているのです。
  97. 池田正範

    ○池田政府委員 東京都の豆腐組合の定款の五十八条に「理事会の議決事項」を規定しておりまして、同条の二で「その他業務の執行に関する事項で理事会が必要と認める事項」というのが載っております。したがって、放出大豆の受け渡し業務は、理事会が必要と認め次第、理事会の承認を得て行なっておるということでございますので、これは手続上は、一応手続を踏んでおるというふうに理解しております。
  98. 坂井弘一

    ○坂井委員 手続上そういう手続を踏めば保証金という形で取ってもよろしいという解釈ですか。そう理解してよろしいですね。
  99. 池田正範

    ○池田政府委員 私どもは保証金というのは望ましくないと先ほど申し上げたとおりでございますし、東京都連は保証金として取ったのではないというふうに私どもは理解しております。
  100. 坂井弘一

    ○坂井委員 では実態を申しましょう。組合のほうからとうふ屋さんに対して、放出大豆がある、そこで一応割り当ていたしましょう。あるとうふ屋さんは六俵分の代金として前払い金の四万五千円を組合に納めました。組合はそれに対して領収書を切りました。その領収書は、六俵分代金として領収いたしました、こういうことです。領収の日づけは二月の二十六日。ところがその後三月にその支部の会合がありまして、急遽組合員が招集されました。その席上、支部長から、前に前払い金として六俵分の代金四万五千円は一応領収いたしましたけれども、それは前払い金ではなくして保証金に切りかえてもらいたい、こういう要請があった。組合の中では、そこで非常に大きな問題になりまして、議論百出した。しかしそれに対して、どうしてもそういう形にしなければ大豆は入ってこないのだ、こういうことです。やむなくこれを保証金に切りかえた。その後そのとうふ屋んは八俵注文して、八俵受け取りました。八俵の代金五万九千六百円支払っております。つまり最初に前払い金だとして納めた六俵分四万五千円は保証金という形で、これはいまのところそういう形で、処理をされておる。東京都の組合の場合、業者が二千六百三十二軒ある。全国では二万八千九百八十一。そこで一様にそのような方法でもって前払い金という性格で保証金を取られておる。この保証金は返してもらえない、こういう判断をしておる。それが実態なんです。領収書もございます。いかが判断されますか。
  101. 池田正範

    ○池田政府委員 先ほど申し上げましたように、返さないという形で保証金を取り立てたということについては、私も初耳でございまして、そういう形が行なわれていいというふうに私も理解できませんので、実態は早急に調査をいたしたいと思います。  私どもに報告されておりますことは、金額としては、先生がいま御指摘になった金額にほぼ相当するようですが、全体の半分を前払い金として取るということでございますので、当然現物の決済が行なわれればそれが代金に組み込まれるということでなければ前払い金になりませんから、あとあとまで全部取り上げるということはあり得ない。早急に調査いたします。
  102. 坂井弘一

    ○坂井委員 事実をよく確認してください。私が申しましたように、最初に六俵分の代金として金を払った。あとで八俵、その八俵の金も払っておる。入った品物は八俵である。六俵分入っておりません。したがって最初に納めた前払い金と称する四万五千円はこれは保証金だ、こういうことに支部会の席上で決定しております。そういうような事実があれば、これは局長お尋ねしますけれども、清算させますか、返させますか。
  103. 池田正範

    ○池田政府委員 私どもといたしましては、今回の緊急放出が、政府がじかに売買に入ったのじゃございませんけれども、あっせんしたという経緯もございますので、その間にいやしくも他から疑惑をこうむるようなことがないように、これは十分ひとつ審査をいたしまして、そして疑惑のあるようなことがあれば、強力に行政指導をして、ただしていきたいと思います。
  104. 坂井弘一

    ○坂井委員 私はこの保証金の行くえというのはさっぱりわからない。ある意味では日本油脂協会から全豆連に対して、早く金を持ってこい、金を持ってこなければ大豆の放出はできないぞ、こういう話もあったと思います。やむなく業者から組合に金を集めなければいかぬ。どういう形で集めるか。最初は代金として、前払い金として集めたけれども、これを保証金に切り替えて、それだけの額を何とか納めなければならぬ。ところが、さっきおっしゃったように、最初二万トンで、一万八千トンになった。まだ未引き取り分が六千トンある。特に関西とか中部の関係のとうふ屋は、これはもうごめんだ、こう言っておるのです。ところが製油メーカーのほうは、せっかくああした大豆がないときに出そう、農林省から出せというから協力しましょうということで二万トン、特にとうふの関係には一万八千トン、それを放出することにきめた、いままだ六千トン残っておる、これは一体どうしてくれるのだ、早く引き取ってもらいたいという声が昨今ある。倉敷料もかかる、金利もかかる、このあと始末はどうしてくれるのだ、こういうことです。そういう中で、それはそれといたしまして、いずれにしても、とうふ屋さんが引き取る場合に、問題はその金ですよ。これは全豆連のことだから、こうおっしゃるかもしれぬけれども、私が前段申しましたように、これは商工組合でしょう。これは農林大臣の認定機関ですよ。やはりこの組合が定款に基づいて適正な運営がなされるかどうか、そこまで行政指導しなければならぬ責任がある。そういう中で零細なとうふ屋さんに何らかほかにもっと金融の手当てであるとか、むしろ農林省はそうしたところによく手を伸ばしてこのような事態のないようにすべきだったと思うのです。それを怠っておるというところにこういう問題が発生したのじゃないですか。したがって、そういうことも含めまして、ただいま御答弁いただいたわけでございますけれども、実態をひとつよく把握していただきたい。こういう零細なとうふ屋さんが泣いています。またそういうことであるから、とうふの値段がつり上がって一向に安くならぬ。いま未選別の大豆が五千四百円、選別代が千七百七十円、運賃だとかあるいは倉庫料であるとか手数料であるとか、何やらかにやら合算いたしますと、七千四百円にもつく、それが実情でもございます。したがって、そうしたようなことでございますから、私は東京都に限らず、一度全国的な実態調査をしてもらいたいと思う。いかがですか。
  105. 池田正範

    ○池田政府委員 御指摘をいただきますまでもなく、私どもの責任の範囲でもございますので、現在、全国的にどういう形で売買が行われているかを調査いたしております。いまご指摘の点は、おそらく売買に伴いますところの引き取るまでの期間の金利、倉敷等が当然入ってまいります。したがって、それを一体だれが負担するのかということになりますと、当然問題があとでリスクとして出てまいりますので、そこで実需者負担を軽減するというような意味もむしろ小売り業側にもたくさんございまして、当時は金よりとにかく物がほしいという実態であったものですから、おそらく先に出したその金を、二次以降の引き取り金のまた保証金と申しますか、前払い金のほうに使おうといったような考え方があって、そのことがちょうど組合員のほうから見ますと、保証金の形で取り上げられたままになったという形に写ったような場合もあるのではないかという感じがいたしますけれども、いずれにしましても、組合は組合員の気持ち、そういう問題が表に出てくることのないようによく話し合ってやるべき筋のものだと思いますので、十分御指摘の点については今後指導性を強めていきたいと思います。
  106. 坂井弘一

    ○坂井委員 時間が参りましたのでやめますが、どうか領収書もはっきりひとつ確認をしていただきたい。保証金であれば保証金、前払い金であれば前払い金としての領収書でなければならぬ。そうでないと、そこに問題があるということですね。  それからいまの保証金がいま一体どういう形で処理されておるか、そこのところまでひとつよく調査をしていただきたい。その結果を待って重ねて質問をしたいと思います。  本日はこれで終わりたいと思います。
  107. 綿貫民輔

    ○綿貫委員長代理 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時四十九分散会