○庄司
委員 それで、
授業料を含めた納付金全体、これについての公立と
私立の格差が非常にあるわけですね。この格差を見ますと、これは実は宮城県の
一つの
実態でございますが、
授業料についていうならば、公立高校は一カ月九百円でずっとストップしているわけですね。ところが
私立のほうは、
昭和四十一年が二万七千六百二十三円年間に納めていたわけですから、これは一カ月大体二千円ちょっとですね。それが
昭和四十七年になりますと、平均で四千五百三十五円、約倍くらいにはね上がっている。最高の場合は五千九百円取っている学校もある。最低でも三千円である。ですから、最低の
私立高校と公立高校を比べただけでももう三倍以上違う、こういう格差があるのですね。それから、公立高校にはほとんど見られない
入学金、これも一万六千九百円平均から約三万円くらいにはね上がっている。それ以外の納付金が七千百円取られる。それから入学時の納付金を見ますと、約五万円近くにも平均でなっているのですね。これに対して私学に対する県費補助、宮城県だけで見てみますと、生徒一人当たりの県費負担は、公立は十四万七千円負担しているのですよ。ところが、
私立はたった七千七百円しか負担しない、こういう数字が出ているわけです。そうすると
教育基本法、私きょう六法を持ってきていませんが、あの中には、いわゆる
教育というものは、経済的条件やあるいは門地門閥、こういうものによって差別されないのだ、この点が明確にうたわれているわけです。しかも高校進学率が年々増加しまして、もう九〇%近くなっている。これはもう少しすればおそらく九五%くらいにいく。そうなれば、高校
教育というのはほとんど義務
教育とは言えないにしても、あらゆる親御さん、あらゆる子供さんがどうしても高校には入りたい、こうなるわけですね。これがいまのような不当な差別があるのは現実なんですね。だから、このような差別によって高校にも行けない、こういう
実態が相当どこにもあると思うのです。宮城県で起こった事例でありますが、中学校の先生から、きみは成績があまりよくないから公立高校は受けてもむだだ、
私立高校を受ければ通れるだろう。ところがその家庭は
私立高校に入れるだけの財政的な
状況にないわけですね。そのためその生徒さんが二、三人集団を組んで、自転車だったかオートバイ、これをちょっと失敬して、何でも秋田県あたりまで遠乗りして、それでつかまったなどという事例も出ている。あるいは、これは事情が違いますが、別な中学校では、学校に放火するような生徒さんまで出てきている。だからこれは非常にゆゆしい問題だと私は思うのです。
もう
一つ、それを具体的にあらわしている数字を申し上げますが、これは仙台で
私立高校に入った生徒さんや家庭のアンケート調査をやったのです。そうしましたら、親や先生にすすめられて入ったというのが二九%ですね。それから他校受験に失敗して入ったのが一七%。この親や先生にすすめられるという中身は、いま行なわれておるこの現実からいいますと、いわゆる先生が、お宅のお子さんは成績が悪いから公立を受けたってむだですよ、ひとつ
私立を受けなさい、こういう進学指導が相当やられていることは、
文部大臣も御
承知のとおりだろうと思うのですよ。だから、こういう点で約四〇%くらいの人が心ならずも
私立高校に入っているという状態が数字としてあらわれている。それからもう
一つは、この学校に入学してよかったと思いますかというアンケートに生徒さんが答えているわけですが、いいえと答えた人があるわけです。その人のいいえと答えた理由、これがたいへん深刻な問題なんですね。まず、お金がかかるからいやなんだという人が二五%なんですよ。これはさっきの数字も示しておりますが、それから設備や施設に不満があるというのが二〇%。それから生徒数が多過ぎる、これはやはり詰め込みが相当やられている、マスプロ
教育ですね、これが一五%。合わせると、こういう理由でいいえと答えたのが六〇%ぐらいあるという
実態なんですね。それから、毎朝登校するときの気分はどうですかというアンケ−ト、これはしようがないから学校へ行くと答えたのが二〇%あるのですよ。それから憂うつだと答えたのが一九%です。それから、途中でどこかに行ってしまいたい、これはわれわれのほうですと山学校という
ことばになりますが、これが一四%。この三つを合わせると大体これも六〇%をこすのです。それからあとは行くのが当然だから行くのだ、非常に消極的なあれで、これは一五%。さわやかだと答えたのは一一%しかいないという数字があるのです。その点では、私はあらゆるいろいろな面での格差が
私立高校にあるのだと思うのです。いわゆるお金の問題での格差がある。それから学校の設備や施設についての格差がある。それから先生一人当たりの生徒数、これも公立と比べると多過ぎる。それから先生一人当たり、一週間当たりの授業時間数、これも公立と比べると多い。こういう
実態がこういったアンケートの結果にあらわれていると思うのですが、その点で私は、
文部大臣が先ほど非常に前向きの御答弁をなさったわけですが、この格差を一刻も早く解消願いたい。毎年一〇%ずつ経常費補助をふやしていくというのでは、やはりだいぶ時間もかかるわけですね。それから経常費だけでなくて人件費の問題もあります。人件費は経常費に入りますが、設備補助の問題もあれば、その他もろもろの問題があると思うのですが、こういった半ば義務
教育とまで言うのは語弊がありますが、大体全員高校に入るという事態のもとで私学が果たしている役割りが大きい。これは大臣もお認めになっているわけですから、そうすれば、この格差を一刻も早く解消する具体的な方策が
文部大臣はおありだろうと思うのです。その具体的な方策をひとつ
文部大臣から聞かせていただきたい、こういうふうに思うわけです。