○庄司
委員 この問題はこれくらいにしますが、いずれにしても日米安保条約の体制のもとではこういう不備がある。その点でやはり安保条約の問題はどうしても国民の重大関心事にならざるを得ない。このことだけは申し上げておきます。
次に、私は全国至るところにあります日本の石油コンビナートの防災体制についてお伺いしたいのでありますが、これは
通産省のお調べですと、全国の石油油槽所は四十六年十二月末でタンクが六千三百八十六基、容量は八百八十二万五千キロリットルある。それから全国の製油所でありますが、これは四十七年十二月末でありますが、タンクが六千七十五基、容量は五千四百五十万七千キロリットルだ、こういうお調べがあるわけであります。もし火災が
発生すればまさに新潟並みの大火災になるというようなおそれのあるところが至るところにあるわけです。そのほかに昨年の新潟のユリアナ号の事故の例もありますし、また室蘭のタンカー火災の事例もあるわけですが、こういう大事故が頻発する可能性を持っているのじゃないか。私の調べでありますが、川崎市だけとってみましても、四十年から四十七年の間に、これはほかのあれも含みますが、危険物施設の事故が百四十三件あるわけです。そのうちの約六割のものは石油関係の事故なんです。さらにはこれに、この間
発生したような黄燐火災、こういう危険物の火災もあるわけでありますが、このほかコンビナート出入りのタンカーが油のたれ流しを相当やっておる、こういうような事例も至るところにあるわけです。こういう中で住民の不安がつのる一方なわけでありますが、こういう事態に対して、通産
当局が石油コンビナートの数さえも
把握していない実態があるのじゃないか。これはたとえば消防庁の
調査ですと、石油コンビナートは二十七都道府県にあって、五十六地帯ある。これが消防庁の
調査なんです。ところが通産のほうは化学第一課の調べだと十七カ所である。それから工業保安課の調べたと十四カ所である。こうして消防庁と
通産省の間の概念の不統一が一つあると思うのですが、その上に通産部内でさえもばらばらな問題がある。しかもコンビナートの防災体制は全く実態に即していない。これは通産御
当局もお認めになっている文書があるわけです。
たとえば、これは
通産省が特殊法人高圧ガス保安協会ですか、ここへ委託研究した結果によりまして、こういうふうに書かれているわけです。コンビナートについて「しかしながら、その内容は個々の施設、
設備あるいはプロセスごとの保安に重点がおかれており、必ずしも大型化、広域化しつつあるコンビナートの実態に即したものとなっていない。」こう書いています。
それからもう一つは、これは
昭和四十二年、だいぶ古いのですが、消防審議会の答申でも、この問題を非常に憂慮している答申があるわけです。
それから、これは一つの具体的な例になりますが、たとえば仙台新港の東北石油のコンビナートがありますが、この東北石油コンビナートの防災をやるために消防訓練をやってみた。そうしたら、タンカー火災の訓練の際は、岸壁に係留中のタンカーに陸上からポンプ車で放水してもタンカーまで届かなかった、こういう実例がある。それから第二回の今度は石油タンク基地の火災訓練をやったわけですが、このとき県で購入した
設備のあわ放射砲二門を主軸にして防御行動を起こしてみたが、砲一門について消防ポンプ車五台が必要だ。だからそういう点でポンプ車が十台必要だ。これを緊急集合させるまでには火災の進展、拡大ははかり知れないものがある。こういう結果が出ているのですよ。そういう点で私はいまの石油コンビナートの
災害について、これは通産のほうで、立地させる側でありますから、当然責任を持って十分な体制を、前から騒がれているわけでありますから、とらなくちゃならないのじゃないか。それが非常に手おくれになっている。そういう点で私は大臣にお伺いしたいのですが、大臣は中央防災
会議の非常に重要なメンバーの一人であります。この防災
会議で通産大臣はこれまで一体何を主張してこられたのか。この
会議の経過をずっと調べてみますと、三十七年九月から四十五回
会議をやっております。ところが、この石油コンビナートの問題で具体的な討論をなされたのは四十六年八月の一回だけしかない。こういう
状況なんですよ。だからこれで通産が防災体制についてほんとうに
行政指導上の責任を果たしてきたのかどうか、私はこれは非常に疑問だと思うのです。よく世間ではいわれるわけでありますが、高度経済成長は通産が先兵になってやってきた、これは通り相場であります。ところが、こういうことはやってきたが、防災の問題になるとあまり手を打っていないのじゃないか。その点で私は、これまでのやってきた経過と、それからこれから一体こういう事態に照らして本気になって取り組む気があるのかないのか、その辺を大臣にお伺いしたいと思うのです。