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1973-11-08 第71回国会 衆議院 外務委員会 第39号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年十一月八日(木曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 藤井 勝志君    理事 石井  一君 理事 鯨岡 兵輔君    理事 小坂徳三郎君 理事 西銘 順治君    理事 福永 一臣君 理事 岡田 春夫君    理事 金子 満広君       加藤 紘一君    木村 俊夫君       福田 篤泰君    石野 久男君       河上 民雄君    三宅 正一君       米田 東吾君    柴田 睦夫君       沖本 泰幸君    永末 英一君  出席国務大臣         外 務 大 臣 大平 正芳君  委員外出席者         警察庁警備局長 山本 鎮彦君         外務省アジア局         長       高島 益郎君         外務省欧亜局長 大和田 渉君         外務省経済協力         局長      御巫 清尚君         外務省条約局長 松永 信雄君         外務委員会調査         室長      亀倉 四郎君     ————————————— 委員の異動 十一月八日  辞任         補欠選任   川崎 寛治君     米田 東吾君 同日  辞任         補欠選任   米田 東吾君     川崎 寛治君     ————————————— 本日の会議に付した案件  国際情勢に関する件      ————◇—————
  2. 藤井勝志

    藤井委員長 これより会議を開きます。  国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石井一君。
  3. 石井一

    石井委員 金大中事件が一応解決をいたしたということでございますが、いわゆる内外の納得のいく解決になっておるかどうか、まことに疑問な点も多いと思うのであります。特に日本国民感情としては、やはり釈然としない点があろうかと思います。そういう面でひとつ簡潔に、問題点を次々に出していきたいと思いますので、時間も限られておりますから、お答えをいただきたいと思うのでございます。  今回の政治的な解決というものに対して、国際的な慣行などとも比べてみまして、外務大臣はまず基本的に解決方法として非常によかった、こういうふうにお考えでございますか。この点はいかがですか。
  4. 大平正芳

    大平国務大臣 この種の国際的な刑事事件の事例とそれの処理の結果と今回の金大中事件処理、始末の状況を比較いたしまして、私は決して甘いものであるとは考えておりませんが、これがたいへん上できであるとも考えておりません。国際刑事事件に伴う制約下におきまして、こういう措置で外交的な決着をつけざるを得なかったわけでございますので、そういった事情につきましては御理解をいただきたいと考えております。
  5. 石井一

    石井委員 それじゃ具体的な問題について、まず国際刑事事件として真相の究明という点ではまだまだ不明確な点が非常に多いのですが、今後も捜査を継続されようとされておるのかどうか、警察庁のほうから御答弁いただきたいと思います。
  6. 山本鎮彦

    山本説明員 お答えいたします。  捜査としてはまだ不分明な点がかなり残っておりますので、依然として体制をくずさないで捜査を続行する、こういう気持ちでおります。
  7. 石井一

    石井委員 いわゆる国家主権侵害という問題がわが国にとっては非常に問題になるのだと思うのでございますけれども、この点についてはどういうふうにお考えですか、現在までの捜査の結果。
  8. 山本鎮彦

    山本説明員 お答えいたします。  九月五日に金東雲一等書記官について、この件に関しては嫌疑が濃いということで任意出頭を求めておるわけでございますが、彼の職務あるいはどういう理由でこういうことをしたのか、そういう点がまだはっきりいたしませんので、その点については私どもまだ確たる認識を持っておりません。
  9. 石井一

    石井委員 そういたしますと、金東雲一等書記官を調べたいというお気持ちで今後も捜査を続けておやりになるのか、それに関連して、金大中その他の人々の来日ということも、警察庁としては捜査を進めていく上で希望しておられるのかどうか、この点はどうですか。
  10. 山本鎮彦

    山本説明員 金東雲一等書記官については、韓国政府のほうで本人からいろいろと調べる、その結果はこちらに通報するというような話を外務省を通じて聞いておりますので、その結果をしばらく待ちたいと思っております。しかし金大中あるいは梁一東、金敬仁、こういう方々の捜査に関しての協力方は、日本に来ていろいろと話をしていただきたい、この線は相変わらず堅持していきたいというふうに考えております。
  11. 石井一

    石井委員 それじゃ金大中氏の来日ということに対してもすでに警察庁としては要望され、手続をとられた、こういうふうに解釈をしていいわけですか。
  12. 山本鎮彦

    山本説明員 そのように外務省のほうにお願いをいたしております。
  13. 石井一

    石井委員 金大中氏の来日外務省のほうは韓国側に要望されたわけでございますか。
  14. 大平正芳

    大平国務大臣 この事件が起こりまして間もなく、捜査当局の御要請を受けて韓国側にそういう要請をいたしてありまして、その要請はそのままスタンディングであると心得ております。
  15. 石井一

    石井委員 スタンディングであるということは結局韓国側回答待ちだ、日本外務省としてはすでにそういう要請をなされた、こういうふうに解釈していいわけでございますか。
  16. 大平正芳

    大平国務大臣 ずっと以前からいたしておるわけです。
  17. 石井一

    石井委員 それから、金東雲一等書記官はすでにもう処罰を受けたのか、あるいは待機中なのか、この辺の情報なり新聞報道が非常に不明確でございますけれども、これはやはり納得いく解決ということを考えますと、韓国側謝罪というのと同時に関係者処分、これが非常に重要な問題だと思いますが、この点はどうなっておるのか、韓国側からどういう御回答を受けておられるのか、お答えをいただきたいと思います。
  18. 大平正芳

    大平国務大臣 金東雲氏につきましては解職し、取り調べを進めるということでございます。そしてその結果はわがほうに通報いただくことになっております。監督者監督責任の問題につきましては、それ相応の処置がとられるものと期待をいたしております。
  19. 石井一

    石井委員 そこで、日本主権侵害されたかどうかという点に関しまして、日本警察当局としては今後も捜査を進めていきたいと考えておるわけですが、向こう大使館員処罰をされる、こういう状態に入っておるわけでございますけれども、この点に関しては外務大臣はどういう御見解——国家主権侵害という点に対してはどういうふうにこの事件を見ておられますか。
  20. 大平正芳

    大平国務大臣 ただいままでのところ、捜査当局主権侵害であるというきめ手になる証拠を握っておられるようには承知いたしておりません。それから一方韓国側におきましては、公権力がこの事件に働いたということは明らかに否定し続けておるわけでございます。したがって、われわれといたしまして主権侵害ということを断定するという立場にはないわけでございます。したがって、今回の処理はそういう立場に立ちまして外交的な決着をつけたわけでございます。  ただ、いま警察当局からも御答弁がありましたとおり、両国捜査は今後も続けられるわけでございまして、今回の事件性質がそういうものでない、つまり主権侵害にかかわるというような質的な転換がこの捜査の過程で出てくるようなことがございますならば、これはあらためて新たな問題として韓国側に提起しなければならぬという立場は留保いたしてあります。
  21. 石井一

    石井委員 そうすると、外務大臣としては現時点においては日本主権の侵容というものはなかったという想定のもとに事態を見守っておるけれども、今後新しい事態が出てきた場合にはさらにき然たる態度でその問題の責任を追及するべきである、こういうふうにお考えになっておるわけですか、この点は。
  22. 大平正芳

    大平国務大臣 主権侵害があったかなかったかを断定できないという立場でございます。それからいまお答え申し上げましたように、今後の捜査でもし新たな事実が出て、主権侵害にかかわるというようなことになってまいりますと、これは話は別だと考えております。
  23. 石井一

    石井委員 韓国側が、首相がやってこられて、田中金会談のもとに深い謝罪をされた、これはそれなりに大きく私たちも評価をしたい、こう思っておるわけでございますが、ただ、日本で伝えられておることと韓国の国会でのいわゆる議論というものにかなり食い違いというものがあります。たとえば日本捜査はもう終了したというような発言もありましたし、先ほどの山本警備局長お答えではそうではないようでございますし、金東雲の処遇に関しましても、まだ向こう待機中、考慮中というようなことを言っておる。この点も非常に不明確だと思うのでありますが、これは向こう側のことですから、そういう不明確さがあるということだけを指摘しておきたいと思うのです。  もう一点、いわゆる金大中氏が旅行目的旅券目的以外の政治活動をした、これは日本が許したんだ、だからこういう事件日本政府がもうちょっとしっかりしていてくれれば起こらなかったんだ、こういうふうな非常に飛躍した議論もあるようでございますけれども、この旅券目的以外の活動、これは日本国き然としてきめるべき行為で、いかに韓国の方であったとしても、日本国内での行動というものは向こうから左右される必要はないというふうに私は考えるのですが、金大中氏の政治活動については外務大臣はどういうふうに判断、評価をされておるわけですか。
  24. 大平正芳

    大平国務大臣 金大中氏は、最初日本に渡航してまいりましたときには、病気療養及び出版を目的とすると書かれてあったようでございますが、その後その旅券期限が切れまして、赤十字のトラベルドキュメントを携行されて法務省に出頭し、法務省が法務大臣特別滞在許可というものを与えたという姿において日本におられたと承知いたしております。この特別滞在許可というものにつきましては、何らの滞在目的の限定が行なわれていないわけでございますから、法的に申しますと特別に問題にすべき性質のものではないと私は考えておりまして、政治活動云々の問題は、金大中氏の政治的マナーの問題ではないかと思います。
  25. 石井一

    石井委員 そこで、日韓定期閣僚会議、これを再開されるということでございますけれども、おそらく問題は一応解決したというもとにこれを再開される、こういうことなのだろうと思います。その点についての閣僚会議に関する御意見と、時期を、十二月と言っておられますけれども、いつごろにされようとされておるのか、この点をまずお答えいただきたいと思います。
  26. 大平正芳

    大平国務大臣 本件は不幸な国際刑事事件である、なるべくこれの公正な解決をはかるということは政府がたびたび申し上げてまいりました。同時に、政府本件によって対韓基本政策を変えるというようなことはしないということもたびたび言明してまいりましたとおりでございます。したがいまして、また日韓定期閣僚会議につきましても、無期限に延期するというようなつもりはないということも、本委員会でも私が答弁申し上げたとおりでございます。先般、金国務総理来日の際、当方と協議が行なわれまして、本年中に開催しようという合意を見まして、具体的に何月何日にするか、また、それをどういう態様において開くかということにつきましては両政府において検討することになりました。それでそのラインに沿いまして目下検討中でございます。
  27. 石井一

    石井委員 日本国内におけるKCIAの暗躍であるとか、大使館金東雲氏その他たくさんの人がそのときにいたということですけれどもモラルと申しますか、いかに韓国側説明をそのままとったといたしましても、個人的な行動であったかどうか、大きな問題があるわけですけれども、こういう問題に対して今後何らかの——日本国内で起こることですから、政策転換をしなければいかぬ、こういうふうなことはお考えになりますか。この点は大臣いかがですか。
  28. 大平正芳

    大平国務大臣 今後この種の問題の再発はないように最善の努力をいたしたいということは、先方の大統領の親書にも見られるわけでございます。私どものほうから、在日外交官行動は、その外交官としての職務の範囲内でモラルを維持していただきたいという要請をいたして、先方もこれを了とされております。
  29. 石井一

    石井委員 事件納得のいく筋の通った解決ということになりますと、一つ事件の全貌が明らかに、真相が究明ざれなければいけない。これも私、いま議論をやってまいりましたように、かなりの疑問があります。それから韓国側謝罪関係者処分謝罪はございましたけれども関係者処分、これもまた疑問があります。金大中の再来日ということは要望をされておるようでございますから実現するということを希望しますけれども、はたしてそれがそのようになるのかどうか。解決まで日韓定期閣僚会議を延期するということも、一応政治的解決を見たということで再び開かれよう、こういう形の中で、私は野党とは立場を異にしておりますので、韓国一つ友好国だという考え方でもっと親善のきずなを強くしたい、しかし、やはりこう釈然としない形での解決をすれば、かえって関係が悪化していくという点を私は憂慮しておる、そういう立場でこの議論をいたしておるわけでございますけれども政府発言の中に、歴史的な現実というのはきびしい、過去の統治の関係であるとか、あるいは反共のとりでであるとか、いろいろな考え方もありますし、政治的解決としてはいたし方がない。外務大臣の苦労ということも私はよく理解はいたすわけでありますけれども、しかし、これを契機両国関係というものをもっとよくしていこうと思えば、やはり閣僚会議はこれまでどおりこの事件関係はないのだ、援助はそのまま続けるのだということでなく、これを契機向こう側の反省なり、こちら側の反省なりというものでやはり新しいスタートを私はこの閣僚会議を期して切っていただきたい、こういう希望を国民の一人として持っておるわけであります。この点については、大臣、どういう御所見を持っておられますか。
  30. 大平正芳

    大平国務大臣 いずれの国とも公正な、友好外交関係を維持してまいらなければならぬことは当然のことでございます。日韓の間には過去にいろいろないきさつがございましたけれども、今後は公正明朗な友好親善関係を維持してまいらなければならないと私も考えております。したがって、本件処理をあいまいな姿、国民納得のいかない姿において解決するということは、石井さんがおっしゃるとおり、公正な両国関係を未来にわたって築いてまいる支障になることと私も考えております。  で、先ほども申しましたように、本件処理に当たりまして、この種の国際的な刑事事件は諸外国におきましても起こっておるわけでございますが、その処理の目安と、そして今度われわれが両国の間の外交折衝の結果でき上がりました了解と、そしてその結果とられた措置というものとを照らしまして、私ども今回の措置は対等平等な外交関係を持つ国の間のトラブルを処理するやり方といたしまして、国際的な刑事事件制約の中で得られる答えといたしましては、国民の御納得をいただける線までどうにか来ておるものではないかというように私は判断いたしております。
  31. 石井一

    石井委員 時間がありませんが、私の見解大臣のお立場立場が違いますししますが、どうしても多少見解相違があるのじゃなかろうかという感じが残ってなりません。最近出ました「世界」に韓国野党鄭一亨という人の「掌で空を覆うことはやめよ」という一文がありますが、これは韓国野党朴政権に反対の立場の良識だと思います。私は日本の与党でありますけれども、そういう形からも何か共感を覚えます。私はそういう国民感情というものを、やはり国民外交でありますから大切にしていただきたい、そういうことによって日韓両国関係というものはもっと改善されるのだ、私はそういう一つのターニングポイントにこの事件をひとつしていただきたい、このことを強く要望いたしておきます。私が主張いたしておることは、賢明な大臣よく御理解だと思いますので、これ以上追及することはやめたいと思います。  あと数分残っておりますので、もう一点、別件でございますが、日ソ共同声明の、この間総理外務大臣が御訪問になりましたときのテキスト相違点につき問題が起こっております。なぜこのような問題が起こったのか、事情は大体伺っておりますけれども、一応政府側釈明をお伺いしておきたいと思います。
  32. 大平正芳

    大平国務大臣 先般の日ソ共同声明露文テキストにおきまして、ソ側タイプミスにより欠落個所が生ずるといろ事態が起こったことは遺憾に存じております。またその他修辞上、構文上の相違あるいは双方体制上の違い等から出た相違点があることも、私はよく了解をいたしておりますが、すべてこれらの点はあらかじめ日ソ両国間で実体について合意済みのものでございます。  先般の総理訪ソの最大の眼目は、言うまでもなく平和条約交渉でございましたが、そのための田中総理ブレジネフ書記長間最終会談は、総理一行出発日の午後一時に終了いたしまして、この会談によって今次会談合意事項につき共同声明作成することが確定されたわけでございます。その時点から日ソ双方起草委員共同声明実質的詰めを開始いたしまして、午後五時までの間わずかな時間内で作成を了したものでございます。  もちろん共同声明署名前に露文テキストについても読み合わせを行ないまして、その際に不正確な個所が発見されましたが、右につきましては先ほど申しましたように、ソ側起草委員責任者であるフィリュービン外務次官に修正を求め、その結果、ソ側は修正する旨お約束をいただいております。  ところが、翌十月十一日のソ連プラウダ紙に発表された共同声明文はそのままの形になっていたので、直ちに新関大使を通じましてソ連外務省に申し入れましたところ、ソ連側は、急いだための事務上のミスであり、日本文テキストで正しいと同意する旨を述べてこられました。これを受けてさらにそのあと折衝いたしました結果、安全操業部分欠落につきましては、問題の重みにかんがみまして、別途新関大使フィリュービン外務次官との文書による内容の確認といろ方法ロシア語テキスト欠落を補ったわけでございます。その他の点につきましては、実質的に合意を見ている以上、あらためて補正する必要はなかろうとの返事がございました。  共同声明作成は、御承知のとおり日ソ双方共同して行なうものでありまして、わがほうといたしましては相手側立場及び共同声明の性格、さらには今後の日ソ関係をも考慮して、文章上の形式的相違が残ることもやむを得ないと判断いたしたわけでございます。
  33. 石井一

    石井委員 いろいろ問題点がございますが、要するに両国最高首脳署名をするという文章、そこに欠落部分があったということの報告起草委員からはなされていない。実質的には問題がないといろけれども、また飛行機の時間だとか、時間的な問題ということはわからないことはありませんけれども現実にそういうことが起こっておるということは、やはり外務当局ミスといいますか、事務的に非常にだらけておるか、あるいは両国首脳を無視した、あと報告をしたらいいとか、あるいはプラウダに出てから、これは訂正するのだとかということは、これは総理なり外務大臣をなめたというか、これはどちらにしたってまことに大きな問題があると思います。私は外務当局の強い猛省を促しまして、これ以上追及せずに一応きょうの質問を終わりたいと思います。
  34. 藤井勝志

  35. 河上民雄

    河上委員 いま問題になりましたが、日ソ共同声明において日ソ間の公文に違いがあるという問題につきまして、質問をいたしたいと思います。  いま大臣は、この問題について大臣立場釈明がございましたが、そのタイプミスとそれから修辞上の食い違い、こうまあ二つの種類が相違点として触れられておるわけでございます。これは非常に重大な問題でございまして、当時の新聞などによりますると、安全操業などに関して欠落があったというような報道でございましたが、聞くところによりますと、これは数カ所にわたっているということでございます。したがって、どういう点がタイプミスの結果露文側欠落があったかということをこの場所でまず明らかにしていただきたいと思います。
  36. 大和田渉

    大和田説明員 お答え申し上げます。  タイプミスという場所は、共同声明の中の大平外務大臣グロムイコ外務大臣との間に定期協議が行なわれたという個所で、「第三回の」ということばが抜けております。  それから双方は、一九五六年の日ソ共同宣言以来広範な分野において関係が向上してきているというくだりがございますが、その「広範な分野において」ということばと「近年においては」という点が抜けております。  それからシベリア天然資源共同開発、貿易、運輸、農業、漁業という分野が触れられておりますが、その「漁業」ということばが抜けております。  それから安全操業の問題につきまして、「この問題についての交渉を継続することに合意した。」という点が抜けております。  それから未帰還邦人の帰国という問題につきまして、そのあとに墓参の問題が出てまいりますが、「従来から実施されている」ということばが抜けております。  それから最後のほうに「田中総理大臣は、ソ連邦訪問中に受けた暖かい接遇」という、この「暖かい」ということばソ連の原文から抜けております。  そのほとんどの問題につきまして、途中で起草委員双方で予備的な交渉をいたしましたが、ソ連案にはすべて載っていた項目でございます。
  37. 河上民雄

    河上委員 いまのお話ですと、当初報道されたよりもかなり広範、それこそ広範なタイプミスでありますし、特に、たとえば「漁業」というような非常に重要な文句が抜けていたり、ソ連側の接待があたたかいというような非常に重要なところが抜けていたり、これはちょっとタイプミスにしては非常に大きな問題でございます。ミスというのは、数ある中にたった一つということが普通ミスということばであって、数カ所あるということは、ちょっとこれは非常に問題だと思いますし、抜けていることばがなかなか意味深長であるような気がいたすのであります。  それからもう一つ修辞上、つまり外国語同士の間では当然ことばニュアンスの違いというのはどうしても避けられないと思うのでありますけれども、この修辞上というのはかなり誤訳に近いものであるのか、それから単にニュアンス相違であるのか、その場所をもう一度つけ加えて指摘していただきたいと思います。
  38. 大和田渉

    大和田説明員 お答えいたします。  修辞上あるいは修文上の問題といたしまして、日本文の第二項に、その結果、双方は、互恵平等の原則に基づいて云々というくだりがございますが、ロシア語ことばでは「その結果」ということばが入っておりません。ただこれはロシア語修文上では、その結果という受けて書くことばは通常使わないので、これは修文上差しつかえない、こう判断したわけでございます。  それからシベリア天然資源共同開発、この「共同」ということばロシア文では書いてございません。しかし、これは日ソ双方シベリア開発するという表現がございますので、特にロシア語には「共同」ということばを入れていない。ただ日本の場合は、普通こういう場合は「共同開発」というということで入っております。  それから「双方は、特にシベリア天然資源共同開発に関連して、」ということばに対して、ロシア文では「双方上記の諸分野、特にシベリア天然資源開発」といろ表現になっております。これはロシア語の場合は「特に」として分野を特記する場合には、その前に「上記の諸分野」ということばを入れるのが通常でございますので、これはロシア文に入っております。  それからあと環境の問題でございますが、日本語の文には「人間環境の保全」ということばがございます。ロシア語の場合は人間環境ということばが通常使われておりません。したがって「環境」というふうになっております。  それから技術者の交換の部分で、日本語の部分では「技術者の交換ならびに情報の交換を行なうことが有意義である旨強調した。」こうなっておりますが、ロシア文では、「技術者の交換ならびに情報の交換の意義を強調した。」こうなっております。これはロシア語においては「交換」ということばを名詞として使っております。日本文の場合にはこれを動詞として使っているということで、内容的には変わりない、こう判断したわけでございます。  それから国際連合の問題につきまして、日本文では「双方は、国際連合が世界平和の維持と」云々ということばになっておりますが、ロシア文では「双方上記に関連し」云々という、「上記に関連し」ということばが追加されております。これはロシア語修文上の必要に基づくものというふうにわれわれは了解したわけでございます。  それから世界の恒久的平和という問題につきまして、日本文では「双方は、世界の恒久的平和を確立するために、有効な国際的管理の下に」云々、こう書いてございますが、先方文章では「双方は全世界の恒久的平和を確立するために」云々、つまり「全世界の」となっております。これは日本文では「世界の」ということで、内容的にはぴったり合っているというふうにわれわれは解釈したわけでございます。  それからその次に「この目標に向かって努力する旨を表明した。」というくだりがございますが、ロシア文では「この目標の達成に向かって努力する」という、「達成」ということばが入っております。それからさらに「努力する旨を表明した。」というのは、ロシア語では「努力する意図を表明した。」となっておりますが、内容的には同じであるということで合意したわけでございます。  それからベトナム、ラオス、カンボジアの問題につきまして、ロシア文では「解決」ということばが動詞として使われております。日本文の場合はこれを「問題の解決は、」という名詞で使っております。そういう差がございます。ただし、内容的には同じであるといえると思います。  それから南アジア亜大陸における緊張緩和の問題につきまして、日本文では、これら「関係諸国の努力に対する歓迎の意を表明した。」こうなっておりますが、ロシア文では、直訳いたしますと「満足の意を表明した。」という表現になっておりますが、的確な、歓迎ということばロシア語で使いますとややニュアンスが違いますので、「満足の意を表明した」ということでわれわれは同意したわけでございます。  それから「中東における軍事行動の発生に対して大きな懸念を表明し、」というくだりがございますが、この「発生」ということに対応するロシア語としては、継続的に紛争がある場合に「再発」ということばを使いますので、先方ことばとしまして、直訳いたしますと「再発」ということばでわれわれは同意したわけでございます。  以上でございます。
  39. 河上民雄

    河上委員 修辞上の異同というか食い違いというのはもう十カ所前後に及んでおります。先ほどのタイプミスというのも六カ所になっております。  特に後者のほうの修辞上の食い違いについては、調印前に照合の中ではっきりとわかった上で、これでいいというふうにされたのでしょうか。  それともう一つタイプミスのほうは、先ほどのことばでは、案文ではこういうことはなかったけれども、実際に調印する段階の文章になったら、そういうタイプミスが出ていることが発見された、こういうふうに理解できるような表現でしたけれども、そういうことでございましょうか。
  40. 大和田渉

    大和田説明員 修文上、構文上の相違につきましては、あらかじめそのような表現双方はとるということで合意しております。  それから、タイプミスにつきましては、先ほど大臣が申されましたように、共同声明をつくるということを最終的に確定したのは総理が御出発になる日の午後でございます。ただ、事実上、双方起草委員が予備的な話し合いをいたしておりまして、その段階で幾つかの案を先方も出し、当方も出しましたけれども、その先方の案の中にすでに入っていた個所で最終的に抜けていたという個所が発見されたわけでございます。  以上でございます。
  41. 河上民雄

    河上委員 たいへん重大なことだと思うのでありまして、タイプミスというにしては何かそれを越えるようなファクターがそこに働いているような感じもするわけです。これは非常に重大でございますし、いま大平外務大臣がおられ、田中総理がおられ、そして向こう側の指導者も健在である間はいまの了解でわかるかもしれませんけれども、結局将来に残るのはこの調印された文書だけになってくるわけです。したがって、これは単に、そのときはこういうふうに了解したということで現在の責任者合意したのだということだけでは済まないと思うのですが、いかがでございましょうか。  何といっても、いまここにこれだけの欠落場所があるということを当委員会で明らかにされたわけですけれども、これは非常に重大でございますので、当委員会−国会に対し、資料としてさっそく出していただきたいと思うのです。何しろあまりにも多いので、とてもメモしきれませんし、非常に重大なことですから……。その点、委員長、いかがでございますか。
  42. 藤井勝志

    藤井委員長 いまの河上委員の御意見ですが、理事会にはかりまして、取り扱い方、御要望に沿うように努力したいと思います。
  43. 河上民雄

    河上委員 それでは外務省、これはひとつ資料として必ず出すように努力していただきたいと思います。  大臣、いまの外務省当局の説明でおわかりと思うのですけれども、事後処理について、その後どうされておるのでしょうか。
  44. 大平正芳

    大平国務大臣 先ほど石井さんに対する御答弁でも申し上げましたとおり、ソ側起草委員責任者に対しまして修正を求めて、ソ側もそれに同意されたわけでございます。その後、プラウダに修正が行なわれないまま出たものでございますので、あらためて先方に修正方を申し入れましたところ、ソ側は、取り急いだための事務上のミスであり、日本テキストが正しいことに同意する旨を述べられたわけでございます。  これを受けてさらに折衝を重ねました結果、安全操業部分欠落については、問題の重みにかんがみまして、別途新関大使フィリュービン外務次官との間の文書による内容の確認という方法で、ロシア語テキスト欠落を補ったわけでございます。  その他の点につきましては、実質的に合意を見ている以上あらためて補正する必要はないだろうという先方の答えでございまして、先ほど私が御答弁申し上げましたとおり、相手方の立場共同声明の性格、今後の日ソ関係をも考慮いたしまして、文章上の形式的相違をあくまで追及するということは差し控えておるわけでございます。
  45. 河上民雄

    河上委員 外交文書は、双方が完全に一致していないと今後の協議の基礎にならないのじゃないかと思うのです。そういう意味で、追及しないというおことばがありましたけれども、これはたいへん大きな問題だと思うのです。大臣、これは外務省としてこの責任問題をどのように明らかにしたのか。また、外務大臣自身として、国民を代表して、田中総理とともにでありますけれども、こういう外交文書に調印せられた責任というものをどう感じておられるか。このような問題について、今後、後世の日本人に大きな迷惑をかけないようにどういうような気持ち、あるいは処置をとられるつもりであるか、大平外務大臣の覚悟のほどを示していただきたいと思います。
  46. 大平正芳

    大平国務大臣 もし、共同声明におきまして双方が実体的に合意をしない部分がそのまま出ておるということであれば、事は重大だと思うのであります。そしてまた、あなたが御指摘のように、今後の外交折衝に支障を及ぼすということになりますと、これまた事柄は重大だと思うのでございますが、今回の欠落並びに修辞上の相違点というものにつきましては、双方が完全に内容的には合意を見ておるところでございまして、また同時に、日ソ外交につきまして支障は全然起こっていない、また起こることを私どもは心配をしていないわけでございますので、私といたしまして、実質的に国益をそこねたという性質のものではないと判断いたしておるわけでございます。  しかしながら、いま河上さん仰せのとおり、こういう事務上のミスといえどもミスであることは間違いないわけでございます。われわれが公務を執行する場合におきまして細心周到な注意を不断に加えてまいらなければならないことは当然でございますので、私といたしましては、起草に携わりました者に対しましては十分厳重な注意をいたしたわけでございます。
  47. 河上民雄

    河上委員 こういうことはいままで前例がなかったことと思うのでありますが、同時にこれがそろいうような態度で処理されますと、今後これは一つの前例になるおそれも十分あると思うのですね。そういう意味で、たいへん不幸なできごとではありますけれども、同時に大平外務大臣として大いに責任を感じていただかないと、これは将来にわたって非常に大きな問題を残すと思うのであります。この問題は、ちょっとこの短い時間で十分私ども納得できる答弁をいただけないかもしれませんので、今後さらにこの問題をはっきりさしておかないといけないというふうにいま思っております。  そこでちょっと、時間がもうござ、ませんので、金大中事件について同僚議員の米田委員から後に御質問がありますけれども、私からも一つ二つ大臣のお考えを明らかにしたいと思いますので、質問をしたいと思います。  まず第一に、今回の事件で筋の通った納得のいく解決をはかりたいということを大臣はいままで何度も言っておられたのでありますが、今度の解決、いわゆる決着というのはそれとほど遠いということは、両国民のみならず全世界の人が感じていると思います。一体大臣はこんな決着をもって筋の通った納得のいく解決だと考えておったのか、大臣自身はなはだ不本意であるけれどもやむを得なかったというふうに感じておられるのか、そのことを伺いたいと思います。
  48. 大平正芳

    大平国務大臣 先ほども申し上げましたように、真相を究明して、それを踏まえた上で内外の納得のいく公正な解決をしたいというのが政府の基本的な方針でこれに臨んできたわけでございます。ただこれが、先ほどもるる申し上げましたとおり、国際的な刑事事件でございまして、その事件そのものにまつわる制約がつきまとうわけでございまして、いかに私どもが究明いたそうといたしましても、国際的事件であるという壁は打ち破ることができない制約があるわけでございます。その制約の中で私どもはベストを尽くしたのでございます。と同時に、先ほども申しましたように、この種の事件の国際的処理のクライテリアという、過去の実績、過去の実例に照らしまして、今回の処理は決して甘くないものである。陳謝、将来の保障、責任者処分等、一連の国際慣例上通常とらるべき措置はとられておるわけでございますので、本件の外交上の処理といたしましてはこのあたりで落着をつけたいというのが私の考えでございます。  もっとも真相の究明ということは、そういう制約の中にかかわらず今後も続けなければならぬと存じまして、両政府捜査当局は今後も捜査を続けてまいるということでございまして、この捜査を通じまして新たな事実が出て、この事件の質を変えるというような点に触れてまいりますならば、これまた私どもの態度は保留しなければならぬと存じまして、私の態度は先方にも留保いたしておるわけでございます。
  49. 河上民雄

    河上委員 今回の事件は明らかに主権侵害という問題、それから金大中氏の人権の侵害という、そうした問題をはらんでいると思うのであります一が、政府主権侵害に対する態度というものは、先ほどの御答弁で、われわれとは違うわけでございますけれども、一応表明されておりますが、しかし主権侵害の疑いがあるということについてはいま態度を留保したという、ちょっと触れられたことばがあったのを見てもわかりますように、あるわけであります。  そうだといたしますならば、主権の相互尊重を再確認した後に政治的解決をはかるというならまだしものことでありますけれども金大中氏の自由も必ずしも完全に保障されていない、主権侵犯の問題もあいまいであるという中で、なぜ政治的解決を急いだのか。  伝えられるところによれば、韓国の予算の編成が普通の暦のように十二月であるというようなことから、先方も急いでいる、日本側も韓国への経済援助がとまっては困るというようなことで財界の圧力があった、こういうようなことで急速やったのだというようなことが伝えられております。事実そういうようなことを裏づけるような資料も幾つもあるわけであります。  そういうようなことでやったのではないかといううわさもあるわけですけれども、どうしてもっと、この今回の事件解決に当たって主権の相互尊重ということをもう一度ことで確認するような努力をしなかったのか、また金大中氏の自由が完全に保障されるまで、こういうような解決を、いわゆる決着をつけるということをしんぼう強く、力強くやり通せなかったのか、その点を大臣に伺いたいと思います。
  50. 大平正芳

    大平国務大臣 金大中氏にからまる人権問題という問題は、この事件発生当時から国の内外で問題の焦点の一つになっておりましたことは私もよく承知いたしておるわけでございまして、この問題に対する処理納得がいくようなものになればという期待を常に抱き続けて処理に当たってまいったわけでございます。最近に至りまして金大中氏が軟禁から解放されて、出国も含めて自由が保障されるということが韓国側から打ち出されてまいりましたので、私どもといたしましては、本件につきましては、そういう態度が先方から打ち出された以上、先方の今後の処理をそのラインに沿ってウォッチしていくということでしかるべきでないかと考えております。  それから、今回外交的な決着を急いだのは何かということでございますが、八月事件発生以来、私どもといたしましては、この不幸な事件をなるべく早く解決したいという念願を持っておりましたけれども、しかしこれも解決のために解決をやるということではいけないわけでございまして、一応内外の御納得がいくような解決の目安を持って処理しなければならないと考えてまいりまして、最近に至りまして国際的に一応恥ずかしくない解決のめどが出てまいったものでございますから、それを評価いたしまして、ここで落着をつけようという決心をいたしたわけでございます。厳密に申しますと、河上さんがおっしゃることを論理的に詰めてまいりますと、本件の最終的な解決ということになりますと法的手続も含めましてずいぶん長い間かかるだろうと思うのでございまして、漫然そういう時間を待つということも賢明ではないと考えたわけでございます。  経済閣僚会議を急いだから、あるいは経済援助を急いだからという理由では決してないのでございまして、もともと、政府も申し上げておりますとおり、本件本件として刑事事件として解決せにゃいかぬという立場をとってまいったわけでございまして、本来対韓政策には影響させるようなことがないように処理せにゃいかぬと考えてまいったわけでございまして、これはまた別の問題として考えてまいったわけでございますが、本件の政治的落着は、そのことを急ぐために取り急いでやったという性質のものでないことは御了承いただきたいと思います。
  51. 河上民雄

    河上委員 時間が参りましたので、結論だけ申し上げて私の質問を終わりたいと思いますが、いま金大中事件につきましては、先ほど引用されましたけれども、「世界」の十二月号、発売したばかりの本でありますけれども、その中で、先般の九月二十二日開会の韓国国会で九月の二十六日に鄭一亨議員が質問をいたしまして、いまのようなやり方は掌で空を覆うようなものだ、そういうことはやめよ、こう言っておりますけれども、私、いかに日韓両国政府の指導者の手のひらが大きくても空をおおい尽くすことはできないのじゃないか、そういう感じを持っております。今度は事件そのものがこれじゃおさまらない、まだきゅうきゅう鳴いているのではないか。そういう声に大平外務大臣も耳を傾けていただきたいと私は思うのでございます。  それからなお、最初に御質問申し上げました日ソ共同声明文章上の欠落あるいは修辞上の問題でございますけれども大臣は一応ああいうふうにお答えになりましたが、やはり共同声明というのは双方の一致が必要であるという原則から見まして、私としてはなお納得しがたいものがございますので、質問を今後に留保させていただきたいと思います。そして重ねて先ほどの欠落部分につきましては正式に文書をもってわれわれに御配付いただきますようにお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  52. 藤井勝志

  53. 米田東吾

    米田委員 金大中事件につきまして、私も二、三御質問いたします。  最初に大臣にお聞きをしたいのでございますけれども、まず金大中氏は今日現実に自由かどうかということをはっきり大臣から私はお聞きをしたいのでございます。十月二十六日に金大中氏はみずから記者会見をいたしまして、軟禁を解かれ自由になったという一つの宣言をされたようでありますけれども、その記者会見の内容自体が私は非常に疑問がありますし、その後の経過を見ましても、これはつくられた自由であって、まだピストルが彼のうしろにちゃんと据えられておる状態の中の自由であって、真の自由ではない、私はそういうような見方を二十六日以降の推移によって感じとっておるわけでありますけれども大臣はさっき答弁がありましたが、私はなお大臣に、金大中氏が自由であるのかどうかというこのことについてどういう見解を持っておられるか、はっきりまずお聞きしたいと思うのです。
  54. 大平正芳

    大平国務大臣 私は金大中氏にお目にかかっておりませんし、金大中氏の住んでいる環境をよく存じません。ただ、韓国政府といたしまして本件処理に関連いたしまして金大中氏は出国も含めまして自由を保障されるということを伺っておるわけでございまして、そういう考え方に沿って今後どのような事態が展開するか見守っていきたいと思います。
  55. 米田東吾

    米田委員 私も会っておりませんからその限りでは大臣と同じでありますけれども、しかし、大臣はわが国の外務大臣でありまして、この問題につきましては全責任を持っておる大臣でありますから、会ってないから状態がわからぬということでは、外務大臣としても、特にこの事件を外交上処理するということで進めてこられたあなたの責任としては、私はそれでは済まされないと思うのです。韓国外務大臣韓国政府が自由だと言っている、だから自由なんでしょうということは私はどうかと思うのですね。  それで、どうなんですか、出国を含めて自由だといわれておるということは私ども新聞その他で承知をいたしておりますけれども、現に外交ルートを通してあなたのほうではほんとに自由が金大中氏に与えられておるのかどうか、これは大使館もあることでありますから十分調査もされておるでありましょうし、確認の方法もあると思うのでありますけれども、その点についてはどうでありますか。
  56. 大平正芳

    大平国務大臣 国際刑事事件における被害者について、事件の起こりました国の外務大臣がどこまで責任を負うべきものであるかということにつきましてはいろいろ議論があるところだと思います。私といたしましては、先ほども申しましたとおり、本件納得のいく解決を得られるにつきましては、金大中氏の人権問題というものはないがしろにできない問題である、これについてちゃんとした回答がない限りにおいてはなかなか本件納得のある解決はむずかしいのじゃないかという認識を持って本件処理に当たってまいったわけでございまして、ようやく先ほど御答弁申し上げましたように韓国政府の保障があったわけでございますので、私はこの保障が生かされることを期待いたしております。
  57. 米田東吾

    米田委員 大臣、その保障というのは具体的にはどういうことでありますか。韓国政府の保障、保障があったというその保障、その内容は。ただ外務大臣が言った、あるいは総理日本に来られてそういう趣旨のことを話されたということが保障なんですか、何かほかに外交的に保障として十分なていさいの整った保障があるのですか、聞かせていただきたいです。
  58. 大平正芳

    大平国務大臣 本件解決の骨組みといたしまして、まず金大中氏に対する措置がございまして、それは金総理来日の前日韓国の外務部長官が言明いたしたのでございまして、金国務総理がこちらに参りましたのは、大統領の親書を持ってこられて遺憾の意を表明されることと、将来にわたってこういう事件を起こさないように最善の努力をするというあいさつに来られたわけでございまして、これがパッケージになりまして、他の顕著な有名ないろんな国際的刑事事件にからまる処理との関連を見まして、これだけのことが行なわれますならばまずこの問題を外交的に処理して差しつかえなかろうと私は決心したわけでございます。  その柱になっておる一つといたしまして、韓国政府は、金氏について別件逮捕その他をしない、一市民として出国も含めて自由を保障するということでございます。これは案ずるに、やはり金大中氏も韓国人でございますから、治外法権を持っておるわけじゃないと思うのでございまして、韓国の一市民と同様の自由を保障されるという意味に私は受け取っておるわけでございまして、そういうお話がございまして、政府がそうおっしゃるわけでございますから、どのようにそれが処置されますか、それを注視していきたいと思っております。
  59. 米田東吾

    米田委員 そうしますと、いまの大臣の答弁から私は判断いたしますに、要するに韓国人同様の市民権的なものが与えられたから、しかもそのほかに出国等についても自由だと言っているから、したがって自由になったのでしょう、こういう理解だというふうに私はとれるのでありますけれども、だとすれば、金大中氏は日本から不法に彼の人権を侵され、また日本の法律も犯されて拉致され、ソウルに連れていかれたわけでありますから、したがって、そのたてまえからいきますと、当初からあなたも日本政府も主張されておりますように、原状回復という問題が当然これはうらはらの関係においてあるわけでありますから、自由になったからだであるならば、さっそく外交ルートを通して日本に連れ戻す、日本に来ていただくという、そういう原状回復の最も中心をなすこの第一の問題について、当然外交交渉は始まらなければならぬと私は思うのでありますけれども、その点が一向に進められておらないようでありますし、たな上げされておるようでありますが、これはどうなんでありますか。
  60. 大平正芳

    大平国務大臣 私の理解をもっていたしますならば、主権侵害されたという場合におきまして、日本政府としては原状回復を要求する権利が出てくると思うのでございますが、本件につきましては主権侵害と断定できないということでございますので、米田さんがおっしゃったことを権利として要求することはできないと私は考えております。
  61. 米田東吾

    米田委員 主権侵犯の問題は、私がもらった時間が二十五分でありまして、ちょっとここでは議論がつかない問題だと思って、実はまだ私は出さないのでありますけれども、それは一応別にしても、人道上、権利として主張できなくても、日本政府の政治責任としては当然主張できるのじゃないですか。しかも金大中氏は、記者会見でもその後の各新聞関係者の直接の電話による本人の意思確認等によりましても、できればアメリカにも日本にも行きたい、おわびをしたいと操り返して言っておるわけでございます。当然あなたのほうでは、それだけの人道上の、政治上の責任を痛感されて、韓国政府に強く要求される、権利としてじゃなくても、人道の外交として当然これは強調されなければならぬ問題だと私は思うのですけれども、その点はどうなんですか。
  62. 大平正芳

    大平国務大臣 金大中氏が自由を取り戻されたわけでございまして、今後金大中氏がどのように行動されますか、彼の意思によることであろうと思います。したがって、自由は取り戻された、出国も含めて自由は保障されておるのであるという言明があるわけでございますから、先ほど私も申しましたように、今後の成り行きを注視したいと思っております。
  63. 米田東吾

    米田委員 日本国外務大臣でいらっしゃるのですから、この事件が起きましてもうすでに三カ月たっておるわけでございますね。この間じっとあなたは韓国政府のこの事件に対する措置をがまん強くそれこそ見守ってこられたわけなんです。これからも見守っていくのだということは、結局は引き続き時間をかせいで、そうして韓国側の政治的な解決に手をかすということをただ別のことばで言っているということにしかならないのじゃないかと私は思うのです。  ですから、外交というのは、やはり国益なりあるいは国民の基本的人権なり人道なりというような問題について、求めるものは求めるべきだと私は思いますし、主張すべきものは主張すべきだと思いますし、外交の面の真の友好、真の対等の外交というのは私はそうでなければならぬのじゃないか。何でものが言えないのでしょうかね。大臣、その点でこの事件解決に私は基本的に合点がいかぬのでありますけれども、もう少しものを言っていただいていいのじゃないでしょうか。どうでしょうかね。
  64. 大平正芳

    大平国務大臣 先ほどもお答え申し上げましたように、本件発生以来この問題が問題の焦点の一つである。人権問題が一つの大きな問題として取り上げられておるということを私はよく認識しておるつもりでございまして、今日までの外交折衝を通じてそこに焦点の一つを置いて努力してきたわけでございます。そしてその結果、韓国政府において自由が保障されたわけなんでございます。私の任務といたしましては、それで必要にして十分なことをやったのじゃないかと私は自負いたしておるわけでございますが、それ以上、今後金大中氏はどこへ行くべきだ、ここへ行くべきだということを私は指図する立場にないと思います。
  65. 米田東吾

    米田委員 あなたがもう自負されるほどの努力をされたということについては、国民はあまり理解しておりませんよ。あなたのほうでは発表されないし、特に大事な点になりますと、これは国際問題だとかあるいは韓国の政治事情があるとか、そういうようなことで、あなたのほうはものを言われないわけでありますから、これは理解しておりませんよ。ですから、おれが一生懸命やったのだからと幾らあなたがおっしゃっても、特に私どもはそういう事情がわかりませんだけに、そうですかというわけにはなかなかいかない。しかし、私も政治家でありますから、多少の、国際間のいろいろな事情や、あなたが政治家として努力されておることについて全然わからぬわけではありませんけれども、しかし、筋の通った解決策についてあなたがどれほど努力をされたかというようなことについては全くわからぬ、これだけはっきり申し上げておきたい。  それで大臣、どうですか。それなら金大中氏を日本にお呼びするということは大臣は全く考えておられないのですか。金大中氏が日本に来たいということを繰り返して言っておられることは承知しておられるはずだと思う。指図をする権限はないでしょうけれども日本に来ていただく、ことに日本捜査当局自身は、まだいまでも金大中氏が来るならば十分意見を聞いて捜査をして、この事件の真の解明をはかるといろ方針を変えておられないわけであります。さっきからの答弁でもはっきりしております。ですから指示、指図でなくて、あなたのやはり外交の責任として金大中氏にまず日本に来てもらうような、そういう努力がなされてしかるべきだと私は思うのですけれども、これはどうでしょう。日本に来るか来ないか、これをはっきり、あなたはどう見ておられるかも含めて、ひとつお答えいただきたい。
  66. 大平正芳

    大平国務大臣 これは先ほども金大中氏が被害者として直接同氏から捜査当局事情を聞きたいという希望は韓国政府に伝えてあるわけでございまして、御出国の場合日本に立ち寄られて、そういう局面ができればたいへん望ましいことと考えております。
  67. 米田東吾

    米田委員 それは一段の努力を私はさらにお願いしておきたいと思うのです。あらかじめもう伝えてあるという御答弁でございますけれども、さらに私は現状においてあなたのほうの一そうの努力をお願いしておきたい。  それからあわせてお聞きしておきたいのは、自由になったということで、この事件一つのポイントである原状回復はそれによってなされたのだというのが後宮大使の御意見でもあったようでありますし、あなたのほうの御意見のようにも聞いておるのでありますけれども、そういうふうにあなたのほうはお考えになっておられるのですか。この点はっきりひとつ聞かしていただきたい。
  68. 高島益郎

    ○高島説明員 先生のいまのお話は、たしか金溶植外務部長官が記者会見か何かの席で、実際上これは原状回復と同じようなものであるということをおっしゃったように伺っておりますけれども、後宮大使がそのようなことを申したという事実は全くございません。私ども、金外務部長官がどういう意味でそういうふうに説明したかという点につきましては詳しく存じておりません。
  69. 米田東吾

    米田委員 そうしますと、あなたのほうは原状回復という問題はまだ残っておる、外務省としてはそういう理解だということでよろしゅうございますか。
  70. 高島益郎

    ○高島説明員 先ほど大臣からお話ございましたとおり、本件がもし主権侵害であるという前提に立ちますれば、やはり日本政府としましては、権利として原状回復を要求するという立場に置かれるということでございまして、いままで政府といたしましては、本件解決にあたりまして権利として原状回復ということを要求したことはございませんし、今後も要求することはないと思います。したがいまして、いわゆる法律上の意味での原状回復という問題は当面ないわけでございまして、先ほど大臣がおっしゃいましたとおり、将来もしかりにこれが主権侵害であるという事実が何らかの方法で確認された場合に、初めてその問題が起きてくるということだろうと私は考えております。
  71. 米田東吾

    米田委員 大臣、一口にいって、こういうさっぱりわからない事件解決でありまして、まあ政治的解決でありますけれども金東雲氏はクロだ。しかしこれは個人がやったので公権力の介入はない。その部分については陣謝をします。あとのこの事件についての今後の続発に対する措置というようなものについては、今後こういう事件が起きないように十分な努力をして、その保障をいたしましょう。肝心の主権の問題は全く未解決。これは日本政府自身もそれにあえて触れようとされない。そういうふうにしてこの事件は、あなたの説明のように政治的に一応収拾をするということになったようでありますけれども、こういう解決のやり方というのは、ずいぶん頭のいい人が考えたのではないかと私は思います。  どうも私どもがいろいろ聞くところによると、大平外務大臣自身の発想のように聞いておるのでありますけれども、大体あなたのお考えでこういう解決策というものが出てきたのでしょうか、どうでしょうか、率直な質問でありますけれども韓国側から編み出された収拾策でなくて、あなたのほうからこれでどうだということで出された収拾策だというふうに聞いておるわけなんです。であればこそ韓国の国会において韓国外務大臣総理大臣が答えている答弁、あなたが繰り返して答弁されている日本におけるあなたのほうの説明、答弁、この食い違いの一番の原因はそこにあるのじゃないか、私はそういうふうに実は受け取らざるを得ないわけですけれども、これはあなたのほうで大体こういう方向でどうだというふうに出されたのですか、どうなんですか、お聞かせいただけませんか。
  72. 大平正芳

    大平国務大臣 日韓両国の間柄は、申すまでもなく対等平等な外交関係にあるわけでございまして、したがって、その間に起こった刑事事件でございますので、この種の刑事事件といたしまして、国際的なクライテリアに照らしましてそれより甘い処置をとってはいけないと私は思っておるわけでございまして、韓国側の誠意がそういう水準にまで参りますならば、本件を外交的に落着をつけていいと私は判断いたしたわけでございまして、最近韓国が、いま御説明申し上げましたような各アイテムにつきまして誠意を示してまいりましたので、このあたりで落着をすべきものと考えたわけでございます。
  73. 米田東吾

    米田委員 決してあげ足をとるつもりではありませんけれども相手側の誠意、韓国側の誠意ということを繰り返してあなたは御答弁されておりますけれども、ここ二、三日の韓国の国会の野党質問や何かに対する政府の答弁、あなたも見ておられると思うのです。また、ソウルの大使館からも、おそらく私は刻々とあなたのほうに通報が来ていると思うのです。一体ほんとうに相手のほうはあなたが信じておられるほど誠意があるのでしょうか。韓国総理大臣が、あなたの気持ちでは、日本に大統領の親書を持って陳謝に来られた。韓国では陳謝に行ったんじゃないということをはっきり言っておるわけですね。とにかく相手のほうのこの誠意というものは、あなたは政治的にそういうことばを使っておるかどうかわかりませんけれども、非常に甘く受けとめておられて、肝心の日本国民の感情というものを全くあなたは無視されておる。だからはなはだしいことばでいえば、日本外務大臣なのか韓国外務大臣なのか、国民はさっぱりわかりませんよ、はっきり申し上げて。この点はひとつ十分考えていただきたいと私は思いますね。  特にあなたは、たしか九月の二十七日でありますか、今度の国連総会に出席をされて、アメリカで韓国の金溶植外務大臣とお会いになって、この問題について相当の時間をかけてお話をなさったということが報道されておる。そのときあなたが示された条件がそのまま今度の事件解決の内容になっている、こういうふうに私は実は理解をしておるのです。そうだとすれば、なおさら日本外務大臣として、特にこの主権の問題をたな上げにした解決策、これは私は許せないと思うのです。  金東雲が個人でやりましたという、このことは重大な問題なんですね。しからばなぜ一体個人でどのようにしてやったかということは全然明らかにされない。あなたのほうもそれは触れられない。追及されない。ああそうですかと言って、ではこれは灰色にしておきましょう。したがって、韓国の公権力の介在云々は、これはもう全然触れない。だから主権の侵犯はこれからもないでしょうし、あなたのほうは主張されないでしょうし、おそらくこの事件についてはそういう次元でとらえることはないだろう。さっき高島局長が答弁したとおりなんですね。そういう理解をされておるわけであります。それでは、この事件のほんとうの解決になりませんよ。ましてや金大中氏が真の自由を得るなんというここは私はできないと思うのです。九月の二十七日にあなたは韓国の金溶植外務大臣とどういう話をされたのですか、これをひとつお聞かせいただきたいと思うのです。
  74. 大平正芳

    大平国務大臣 たまたまニューヨークに御出張されておりました金溶植外相から会談の申し込みがございまして、これに応じたわけでございます。御案内のように、本件について触れたことは事実でございますが、先ほどあなたに御答弁申し上げましたように、日韓両国の公正な関係を維持していく上において、国際的に納得のいく解決をいたしたいというのが日本の真意である。それ以上でもなければ以下でもないということをお伝えいたしたわけでございます。
  75. 米田東吾

    米田委員 時間がありませんから、多分に言いっぱなしになるかもしれませんが、あなたは具体的にそのときには、金東雲のクロだけは認めろ、これは日本捜査当局が承知しない、指紋が出ている以上。これはどうしてもクロだということを認めなさい、それが認められないなら灰色でもいい。こういうことばを使ったかどうかはわかりませんけれども、灰色ということは、今度の解決に当たってとられた個人の行為ということだと私は思う。それから韓国政府謝罪、これもおっしゃるとおり。これがなされなければ、日本国民納得しないだろう。あなたそういう判断をされて伝えられたということがいわれている。それから今後このような事件が起きないような保障、これもうらはらの関係でありますから、当然なされる。そして金大中氏は、これはアメリカでもやったらどうだ。金大中氏が安全で国外に出るということは、日本としてはこの事件解決のためには必要なんだから、それをやられたらどうか。大体この四条件的なものが、この二十七日のあなたと金溶植外務大臣との話し合いで伝えられたというふうに聞いておるわけなんですね。  その路線の中で、ずっと後宮大使と韓国外務省あるいは韓国政府との交渉がなされてきている。筋書きどおり、この一日に韓国外務大臣があの声明を出して政治的終結をはかった、こういうことになっているのではないかと私は思うのでありまして、こういう事件解決をした責任は、むしろあなたにあるのではないかと思うのでありますけれども、これでは日本国民納得しません。どうでありますか。
  76. 大平正芳

    大平国務大臣 私と金外相との会談を、そう創作されては困るのです。私が申しましたように、国際的なクライテリアというものを踏まえて公正に解決いたしましょうということを申したことは間違いございませんけれども、いまあなたがあげましたように、一々のアイテムにつきましてこちらが解決策を提示するというようなことはいたしませんでした。
  77. 米田東吾

    米田委員 くれぐれもこういう状態のもとで——日韓定期閣僚会議はすでに合意に達したそうでありますけれども、十二月上旬ごろに開かれるというようなことは、これはたいへんなことになりますよ、そんなことになったら。ですから、これはなお懸命に検討していただいて、この事件解決がつくまで、当然これは延期されるべきものというふうに思いますので、そのことを強くあなたに申し上げて、これは言いっぱなしで終わります。答弁は要りません。今後私も社会党として、さらにそういう運動を続けながら、あなたにお願いしていきたいと思っております。これだけ申し上げておきますから、よく御判断をいただきたいと思います。  以上で私の質問を終わります。
  78. 藤井勝志

    藤井委員長 金子満広君。
  79. 金子満広

    ○金子(満)委員 金大中事件問題について、外務大臣に単刀直入に質問をしたいと思います。  今月の一日に大臣は、この件については、主権侵害が最大の問題であることは承知しているが、いまのところ日本側のきめ手になる証拠がなく、韓国側は公権力の介入はないとの態度を貫いている、明確な回答が出せなかったのは残念だが、国民各位の理解を願いたい、こういうように記者会見で言っていると報道されているわけであります。この問題について、大臣がいままで言われたように、最大の焦点は主権侵害かどうかという、こういう問題だったと思うのです。ところが、この問題を不問に付して外交的決着、つまり政治的解決をはかった。これは疑いもない経過的事実だと思うのです。先ほどそれぞれの委員質問の中で、この問題の根本的な解決は非常に時間が長くかかるからやむを得なかった、対韓政策に支障を来たしたくない、こういう意味の答弁をされたわけでありますが、最大の焦点が主権侵害だということを主張しながら、このような形で基本問題を不問に付した解決をしたその理由、根拠というものは一体どうなのか、時間とかなんとかいうそういうものでなくて、明確にこの点をお答え願いたいと思います。
  80. 大平正芳

    大平国務大臣 一口で申し上げますと、たびたび申し上げておりまするように、これは国際的な刑事事件であるということでございます。被害者、犯人、ことごとく韓国におるわけでございまして、本件解決韓国の協力にかかっておるわけでありますことは、金子さん御承知のとおりでございまして、韓国側で公権力の行使はないとかたくなに御主張になっておるわけでございます。わがほうにもしきめ手になる証拠がございますならば、これを根拠にいたしまして韓国側要請できるわけでございますが、わがほうにもきめ手になる証拠がないわけでございまして、国際刑事事件にからまる制約であると私は思います。
  81. 金子満広

    ○金子(満)委員 刑事事件の場合には言わずと知れたことでありますが、個人の責任を追及するということになります。しかし主権侵害ということになれば、国家としての責任を問うことに当然なると思うのです。ですから、刑事事件として大臣はすぐきめてかかりますけれども本件主権侵害かどうかということは、大臣自身が最大の焦点だとこれまで言われてきたし、また七十一特別国会の本会議での総理の答弁も、この点は繰り返し言われていることですが、真相を究明し内外に納得のいく筋の通った公正な解決、こういうことを言っておるわけです。  こういう趣旨から見て、今回のいわゆる政治的決着というものは矛盾があります。だれが見ても矛盾がある。きめ手になることがないということでありますが、たとえば先ほどの委員に対する答弁の中で陳謝をした、つまり遺憾の意を表した、将来こういうことはやらないということを韓国側が言った、そして処分ということもした、こういうようなことを言われたわけですが、この問題についていわゆる政治的な決着がついたと言われたあと、たとえば金大中氏を拉致した車が発見をされた、横浜の総領事館の副領事の車であった、こういうことは捜査当局からのことでも出ているわけです。公権力が介入しないということを韓国側がどのように主張しても、これは一人ではできる仕事ではないのであります。しかも副領事の車があったという、このことを一つ考えてみても、公権力が介入したことは明らかだと思うのです。  それから、この政治的決着のときの最終合意によると、韓国側金東雲一等書記官がクロであることを認めた、このように報道されているわけでありますが、十一月六日の韓国の国会で日本に来た金鍾泌首相は、金東雲がクロであったと言った覚えはない、日本政府がクロだと言っているにすぎない、こういうことを言っています。また韓国の申法相は、金大中氏に対する法的処置は留保されている、これは海外で反国家的言動を再犯しない、言動を反省し謹慎の意をあらわすという条件がついている、こういうように述べているわけであります。  金鍾泌氏が日本に来たときの田中金会談に、大平外務大臣も同席しているわけでありますが、そこで金鍾泌氏は次のようなことを言ったといわれております。金東雲氏の犯行は個人的なものであり公権力は介入していない、事件捜査を続け、韓国の法的手続によって犯人を処罰する、捜査結果は日本側にも報告する、事件解決には日本了解が得られるよう措置する、金東雲氏に対する監督責任については相応の措置をとる、こう述べたといわれますが、ここでも、これは矛盾でなくて、全然異なったことを同じ人間が日本韓国で言っているわけでありますが、大平外務大臣、この点はどちらがほんとうなのでしょうか、その点をひとつお答え願いたいと思うのです。
  82. 大平正芳

    大平国務大臣 金東雲氏につきましては、容疑を認めて、解職して今後法的に処理いたします、で、その結果を報告するということでございます。クロとかシロとかいう表現は使っておりません。それから金大中氏につきましては、先ほど御報告申し上げましたとおり、出国を含めて自由は保障するというように承知いたしております。
  83. 金子満広

    ○金子(満)委員 そうしますと、シロかクロかわからないがということになると、容疑はある、容疑だけで韓国側がどういう措置をとったか、これは処分とか解任とか処置とかいろいろなことがいわれておりますが、容疑だけでやった。で、日本側はそれを了解した。とにかくわけはわからないけれども何となくそうだということで、まあ了解に達した。これはいわば悪いことばだけれども日本政府韓国政府の腹芸だといわれてもしかたがないと思うのです。何もはっきりしない。したものは一つもない。しかしいろいろの事実は次から次に報道され出てきている。だれが考えても主権侵害だということは客観的には立証されると私は思うのです。  たとえば金東雲一等書記官の指紋がホテルから出た。そしてこのことが九月五日に公表される。そうしますと、これ以後相次いで在日韓国大使館のメンバーがどんどん帰国をしてしまう。いままで報道されていることによりますと、十三名帰っているそうです。その中の六名については韓国側外交官の資格をはずした、そういう身分をはずした、こういうことがいわれておるわけでありますが、じゃ残る人はどうなっているのだ。これはいままでの国際的な事件、できごとの中で、一つの国に来ている在外大使館員が一度に何名も相次いで帰国をする、こういうこと自体が私は異常だと思うのです。単なる傷害事件とか何かと違って、きわめて大がかりで、きわめて計画的で、そして陰険なこの事件が、主権侵害しないでできると考えていることが私は間違いだと思うのです。しかも金東雲氏が公的な立場にありながら、韓国側で私的の犯行であるといわれているように、あるいはまた、そういうことを日本政府が、認めたか認めないか私は知りませんけれども、そういう点まで不問にしてこれを処置するということは、私は非常に間違いだと思うのです。  こういう問題を考えたときに、なぜこれを急いでやったか。大平外務大臣は先ほど対韓政策に支障を来たさないということを社会党の河上委員質問に対する答弁で言われましたが、対韓政策の支障というものはどんな支障なのか、その点も含めて御答弁願いたいと思います。
  84. 大平正芳

    大平国務大臣 主権侵害ということは、結局加害国がこれを認めない限り成立しないわけでございます。私どもは、主権侵害については確たる証拠がないということを言って、きめ手になる証拠を持っていない、韓国がこれを否定しているということを申し上げておるわけでございます。  それでは最終的な解決をいつ期待できるかということでございますが、これはわかりません。そういう状態のまま、このわだかまりをいつまでも持ち続けてまいるということは必ずしも賢明ではない。したがって、国際的な基準に照らして納得すべき処置がとられた以上は、これを認めて外交的な落着をつけるということがわれわれの任務ではなかろうか、そう考えたわけでございまして、これは外交当局として当然なすべき責任であろうと私は考えております。
  85. 金子満広

    ○金子(満)委員 証拠がないと言いますけれども、次々にいろいろ疑惑の問題が出てくる。これはやはり私は日本の外交としても追及し、それを解明していかなければならない責任があると思うのです。  それから、いつまでも解決しないままずっとこうやっていくのでは賢明でないと言われるのだけれども、なぜ賢明でないのですか。主権侵害という疑いが濃厚である。そして客観的にはいろいろなものがあがってきている。しかしこれをずっと追及していくと時間がかかるから、そういうふうにしておくことは賢明でない。その賢明でないという内容。最も賢いやり方というのは、疑惑がたくさんあるのですから、これを外交的にも、それからまた捜査当局も徹底して追及し、必要なことは権利として韓国側に要求することが一番賢明だと思うのです。それを何かやるのは賢明でないから途中で腹芸をやってしまえばいい、納得のいくことだと思う。大臣納得がいくということを自分でお考えになるのは、これは自由でありますけれども国民のだれ一人、私は納得していないと思う。これは何となくやみからやみに葬られてしまう、迷宮入りになってしまう、こういうことを感ずると思う。その賢明だと言われる内容を、ちょっと説明してもらいたいと思う。
  86. 大平正芳

    大平国務大臣 まず今度の解決の柱になっておる陳謝、原状回復、金東雲氏に対する処理金大中氏に対する処理は一応なされたわけでございます。また、とりわけ大統領の親書を携えて国務総理自身がわが国を訪問されて、遺憾の意を表明されたわけでございまして、国と国とのおつき合いにおきましてこれだけのことがなされて、しかもわれわれはそのまま放置しておくことはいかがかと思うのでございまして、このあたりでなおらいをいたしまして外交を正常に戻すということが、私は賢明な判断ではないかと申し上げたわけでございます。
  87. 金子満広

    ○金子(満)委員 大臣は、陳謝したと言われますけれども、金鍾泌氏が持ってきたいわゆる総理あての大統領書簡というものは、遺憾の意を確かに表してある。何に対して遺憾の意を表したか。たいへん不幸なことが起こったからそれに遺憾の意を表しただけで、何にという具体的なものは一つもない。それからかかる事態が再び起こらないように、かかる事態とは何のことか、これも全く不問に付したままで、ただ不幸な事態という抽象化です。大臣が言われている中で賢明だということで表現されていますけれども、私は日本政府韓国政府の深い結びつきというものをこの際指摘しないわけにはいかぬと思う。  それはすでに六九年の日米共同声明でもいわれていることでありますが、「韓国の安全は日本自身の安全にとって緊要である」このように総理大臣は述べた。これは前佐藤総理大臣であります。ことしの八月、田中・ニクソン会談で、今度は日本側だけでなくて、その共同声明の中で「両者は、朝鮮半島における新たな発展を歓迎し、」——この「朝鮮半島」といろ場合に、これは韓国が対象になっていることは次の文章でも明らかです。「両国政府がこの地域における平和と安定の促進のために貢献する用意があることを表明した。」つまり、反共的な立場日本韓国政府が結びつきを強めている。  そしていま韓国では、御承知のように、最近報道されていますが、著名な文化人十五氏が朴政権の独裁政治に反対するアピールを出す。そしてこの恐怖政治に反対をする運動が南朝鮮でかなり大がかりに広がっている。こうした中で朴政権が非常に政治的な窮地に立たされている。これは事実であります。  こうしたときに、日本政府が、賢明ということばの中で、私は主権侵害というものが明白であるにもかかわらず、その点をうやむやにして政治的決着をつける、こういうことは非常な間違いだと思うのです。  同時に、主権侵害でないのなら、公的立場にあった人が私的に行なったということであるなら、当然挙証責任というものが韓国側にあるはずであります。これは公権力は介入していないというのだったら、これこれしかじかで介入していないということを日本側に出さなければならない。それをまた、われわれ日本政府としても要求する権利があるし、義務がある、こういう点も私は指摘し、大臣その他関係者の意見を聞きたいと思います。  それから、時間がありませんから続けて質問をしますからお答え願いたいと思うのです。  原状回復の問題は、主権侵害ということが明白にならなければできないということを当然言われることはわかりますけれども、この事件の一番大事なところにすわっている者は、一人は金大中氏自身であります。これは被害者であります。そして韓国にいることがはっきりしている。自由の身になったというのだから、そして捜査当局のほうも再来日を要求しているということは、最初の石井委員質問に対する答弁の中でも出ました。そして外務大臣はその答弁の中で、事件直後は要請しておった、こういうことでありますが、政治的な決着をつけたということを言われるけれども、なお捜査は続けるということを他の面では主張されるわけですから、当然金大中氏に対する再来日捜査当局が求めているというのだったら、あらためて外務大臣外務省として私はやる必要があるし、やらなければならぬ。同時に、日本政府金大中氏に対して再来日を求めているということを公にも明らかにすべきだと思うのです。前にそういうことを要請したことがあるから、まあそのままですということでなくて、新たな時点の中で、ここでぜひ明らかにしてほしいと思うのです。  それから、金東雲一等書記官については、容疑濃厚明確であります。これはもう隠すべくもない事実なんですから、これに対しては、容疑者として当然日本側にその出頭を求める。このことを捜査当局がどう考えているか。私は考えていなかったら重大問題だと思うのです。考えているのだったら、しかるべき措置をとるように、外交ルートを通じてもやるべきである。この点もこの席で明白に述べていただきたいと思うのです。もしここが不明確であれば、どのようなことを政府側がおっしゃっても、腹の中では別なことを考えている、そうとしか思えないわけだし、とれないわけです。そういう点で、その点について明確な御答弁を願いたいと思います。
  88. 大平正芳

    大平国務大臣 主権侵害につきましては、先ほど申しましたように、加害国のほうで主権侵害を認める以外に決着方法がないわけでございまして、韓国側は公権力の行使はないという主張をずっと続けられておるわけでございます。わがほうにはこれを判定するきめ手になる証拠を持っていないということは、先ほど申し上げたとおりでございます。そういう状態でございまして、問題は、そういうことが究極において判明するまで事件決着を待つかどうかという政治的な問題が残るわけでございまして、私どもの判断といたしましては、外交的にはこのあたりで、先方の誠意が出た段階で落着すべきものと判断いたしたわけでございます。それについては御批判はいろいろあろうと思いますけれども、るる申し上げたような理由でそういう判断をいたしたわけでございます。  それから金東雲氏につきましては、わがほう捜査当局は、嫌疑が濃厚であるという確信を持たれておるようでございます。先方は、容疑はあるようである、したがって、解職の上よく調べてみる、その結果は通報をいたしますということでございまして、金東雲氏についての捜査韓国側におまかせをいただきたいということでございまして、それはおまかせいたします、ただ、日本国民納得するような御報告を期待いたしますということになっております。  金大中氏につきましては、先ほど申し上げましたとおり、依然として来日要請スタンディングになっておりますし、最近におきましても来日要請はいたしておるわけでございまして、自由を回復いたした金大中氏がどのようにこれから対処してまいりますか、ウォッチしていきたいと考えております。
  89. 金子満広

    ○金子(満)委員 最近においても金大中氏の再来日を要求している、こういうお答えですが、最近とは、いわゆる外交的決着をしたあとでもということですか。そのあとでも要請しているというのが日本政府立場である、このように理解していいですか。
  90. 大平正芳

    大平国務大臣 金大中氏が自由を回復いたしたという時点においてそういう要請をいたしております。
  91. 金子満広

    ○金子(満)委員 いや、私がその質問をしているのは一外交的決着がついたといわれる以後もこの立場を貫いている、このように理解していいかどうかということですけれども、どうですか。
  92. 大平正芳

    大平国務大臣 そのとおりでございます。
  93. 金子満広

    ○金子(満)委員 時間が参りましたから、最後に一つ……。  この事件が八月八日に発生したわけですが、それ以後、日本報道機関が韓国で仕事をしていたわけです。多分、私の記憶に間違いがなければ八月二十四日だと思いますが、読売新聞の記者、支局が、韓国政府側の一方的な通告によって、支局が閉鎖をされる、記者が退去命令を受ける、こういう事態が起こったわけです。これは全く不当なものである。韓国は確かに戒厳令下であり、言論の自由も抑圧されて、民主主義がないという状況の中で起きたことでありますけれども、これは日本に対する不当な措置であり、不当な退去命令だと私ども考えますが、この時点で、こういうような韓国側措置は間違いであるということが明白に言えるかどうか、最後に質問をして終わりたいと思います。
  94. 高島益郎

    ○高島説明員 先生御承知かと思いますけれども、八月のその時点におきまして御質問がございまして、大臣のほうから御答弁があったわけでございますけれども韓国政府に対しまして、非常に遺憾なことである、なるべく早く再開するようにしてもらいたいという希望を当時申し出てございます。
  95. 金子満広

    ○金子(満)委員 現在まで回答は何もないわけですね、措置も。
  96. 高島益郎

    ○高島説明員 はい。
  97. 藤井勝志

    藤井委員長 沖本泰幸君。
  98. 沖本泰幸

    ○沖本委員 私に与えられました時間は十五分だけなので、多くの質問ができません。そこで、かいつまんで御質問していきますが、二点についてお伺いしたいと思います。   〔委員長退席、西銘委員長代理着席〕 一つは日中航空協定その後の問題、それからもう一つは、いままでずっと質問が続きました金大中事件、二つでありますが、まず第一に、日中航空協定については、先日のテレビを見たわけですが、暗礁に乗り上げて非常にむずかしくなってきたというような報道がされておるわけですけれども、前回の当委員会では、目玉商品だから荷物を持っていかないように片づけて訪中する、こういう大臣お答えであったわけですが、その後のことで、当分これは航空協定を結べる段階まで至りそうにない、こういうことになったのでしょうか。最初に大臣お答えになったとおり、早ければ年内に、早い時期にこの問題を解決できるような方向でいくということなんでしょうか。その点大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  99. 大平正芳

    大平国務大臣 早期に解決してまいるという決意に変わりはございません。
  100. 沖本泰幸

    ○沖本委員 ですが報道によりますと、その後もいろいろな問題点が出て非常にむずかしくなってきたというような報道なんですが、大臣お答えになった時点よりはもっとむずかしくなってきておるのか。総理お答えなんかですと、解決の方向に向かっている、こういうお答えがあるわけですが、その点はいかがなんでしょうか。
  101. 大平正芳

    大平国務大臣 国内外のこの問題をめぐる感触をたんねんに検討いたしておるわけでございまして、むずかしくなった、やさしくなったという、一がいに大まかな判定はできないわけでございます。   〔西銘委員長代理退席、委員長着席〕 政府部内におきまして決断してかからなければならない事案であることは承知の上、部内におきまして鋭意検討をいたしておるわけでございまして、早期にこの種の問題は処理しなければならないという決意に先ほど申しましたように変わりはございません。
  102. 沖本泰幸

    ○沖本委員 問題は金大中のほうへ入りたいものですから、また日を変えて御質問したいと思いますけれども、前回の委員会お答えになったとおり、これが済まなければ一歩も実務協定の関係は進まないということを先方がおっしゃっているわけですから、これは間違いないと思うわけです。ですから、この問題が一番根っこになるわけですから、その点を十分御承知だと思いますけれども、お考えになってやっていただきませんと、せっかく共同声明を出したものが、その後だんだんおかしくなっていくという点を私たちは心配するものですから、その点よろしくお願いしたいと思います。  金大中事件に関しましては、先ほどからの御質問すべてに私も同じ意見でございます。ただ、いろいろなマスコミの扱い、あるいは評論家の言っていらっしゃること、そういうものをいろいろ継ぎ合わせてみますと、印象として国民が受け取る印象は、被害者のほうが加害者に非常に気を使っているという表現でいわれているところもあります。ですから、被害者のほうが加害者に一生懸命気を使って、そのためにむしろ解決が長引いたのではないか、あるいは解決の道を失ってしまったんではないか、こういう点もあるわけです。  そこで、政治的な解決という問題が出たわけですけれども主権侵害の問題に関しましても、一体主権とは何ぞやという点にかかってくると思います。国家主権とはやはり国民の上に立った主権でなければならないわけですから、国民納得できる解決をしていく、こういうお答えもあるわけですし、この納得できるような内容の現在までの段階の政府からの何らかの国民に対する表示なり、こういうことでこの問題はこういうふうにいたしますとか、ただ報道だけでなくて、現在まで至った段階なり、外交折衝の内容なり、そういうものを国民納得いくような中身で国民の前に出していただかなければ、国民はますます疑惑を深めてくる、こういうことになってくると思います。そういうことですから、原状回復といろ点につきましても、ただ原状回復という公的なものにとらわれて解決するしかたと、あるいは先ほどからお話が出ているように、金大中氏に日本に早く来てもらって少しでも前に進んで問題解決の方向に向かっていくようなやり方と、いろいろあるのじゃないか、こう考えるわけです。  その点について大臣は、現在までの段階で国民納得のいくような——前からのお話ですと、まだ納得のいく解決までには日にちがかかるということですけれども、政治的な解決ということでうやむやにこの問題が終わるのではないかという点に非常にみんな疑点を持っているわけです。そういう点について大臣からお答えいただきたいと思います。
  103. 大平正芳

    大平国務大臣 この種の国際的な刑事事件のてんまつを見ておりますと、必ずしも歯切れのいい解決になっていないケースが多いわけでございます。けれども、やはりこれは仰せのとおり、国民納得のいく公正な解決がもたらされねばならないと存じておるわけでございます。  そして第一、最大の問題である主権侵害かどうかという問題でございますが、これはやはりわがほうでちゃんと証拠があって、それを隠しておるというなら国民からおしかりを受けてしかるべきだと思うのでございますけれども、わがほうできめ手になる証拠がない。加害国である韓国側はこれを終始否認いたしておるというのがありのままの事実でございまして、それを国民の側にそのままお知らせ申し上げて、これは依然として捜査を続ける。しかしどのような完結、解明がいつ行なわれるかという点については、全く私ども見当がつかないわけでございますので、外交的なわだかまりは、所要の措置がとられたらここで一応落着をつけるという判断をしたわけでございますが、そのことが御理解いただけるかどうかという点がいまの問題であろうと思うのであります。  原状回復論は、法律的には先ほどアジア局長が申し上げましたとおり、主権侵害とうらはらになる問題でございまして、金大中氏については原状回復論から問題にしておるのではなくて、国民納得がいく、国民本件について関心を持たれた一つは、やはり同氏の人権の問題であったということでございますので、今回の処理にあたりまして、その点が何らか明らかになることを私どもは期待いたしておったわけでございますが、自由が保障されるということになりましたので、この点につきましてはしあわせな結果をもたらし得たのではないかと考えております。
  104. 沖本泰幸

    ○沖本委員 国民が知り得る内容というのは、結局報道機関から報道されるいろいろな内容と政府が答弁なされる内容によって国民は判断するということになるわけですけれども、いま国民の目の前に出ておるものはほとんどがみんなクロという形で出てきておるわけです。動かしがたい指紋がある、あるいはいわゆる拉致されるときに乗せられた車が、はっきり証言者が出てきた、こういうふうな内容が次々明らかになっていっておるのに、政治的な解決という形でこのものがうやむやになるのじゃないか。捜査は続けており、向こうからそのことについての捜査結果が知らされるということですけれども向こうがシロといえばシロで終わってしまう、こういうふうな関係では国民納得しないと思うのです。法治国家であり独立国家である日本外国人が来て、その生命財産の安全がはかられなかったということは、やはり形の上では原状回復のような形で日本に一たん来ていただいて、自由な身になっていただくという内容でなければ国民納得もできないし、また日本に在留する、あるいは渡航して来る外国人もその点については大きな疑問を持つのではないか、こういう点は素朴な考えとしてすべてが持っておるわけです。国民の皆さんは非常にこの問題に興味を持って見ておりますし、報道関係から見ましてもいろいろな点で問題点が出ておるわけです。  そこで、時間があとありませんので、大臣国際刑事事件であるので非常にむずかしいことなんだということなんですけれども、たびたび例に出される西ドイツで同じように似たような事件があって、西ドイツが強硬な姿勢をとったためにむしろ事件が早く片づいた、こういう内容もあるわけです。そろいうことを考え合わせてみますと、この事件につきまして報道から得たものからいきますと、金東雲一等書記官の容疑について、韓国の申法務大臣は、日本政府がどう言おうと韓国捜査本部はいろいろな角度から事件捜査したが金書記官が関連したという証拠を握っていない、今後捜査を続けて、証拠が出れば法律によって処理するというのが韓国政府の方針だ、こういうふうに答えているし、五日に金溶植外相は、国連総会へ向けて出発する直前に、捜査の結果シロだったら処罰はできない、こういうふうな発言をしているという報道があるわけです。  そうしますと、ここで大使館筋で最終的な折衝段階で結論を出すまでに、韓国側が、先ほどから容疑だというお話でありましたけれども、嫌疑ということばを使う点では了解した、これはあくまで日本側の捜査結果を尊重するというのが合意の前提だった、こういうふうに大使館筋は言っておるわけですけれども、これは外交文書をかわした上での確認事項なんですか、何なんでしょうか、どういう扱いにする内容なのか、その点はいかがですか。
  105. 大平正芳

    大平国務大臣 後宮大使と金外相との間の外交折衝を重ねまして、金東雲に対する処理金大中氏に対する処理、そういう点で合意点が記録されておるわけでございまして、私どもはそれを踏まえた上で今回の処置に踏み切ったわけでございます。今後どのようにそれが実現されてまいりますか、これはわれわれ注意深く見守ってまいらなければいかぬと思いまするし、また、国民納得のいくような通報はいたしますと、先方捜査結果については通報するということでございますので、それを期待いたしておるわけでございます。
  106. 沖本泰幸

    ○沖本委員 外交折衝の内容が、いま申し上げたようなはっきりした形で確認されながら進められておったのかどうか、あるいは、ただ口頭による折衝だけで、後宮大使が行って話し合いをしたという、そういう段階でこの問題の進められ方が進められておったのか、その辺はいかがなんですか。
  107. 高島益郎

    ○高島説明員 今回の事件に関しまして、後宮大使と先方の金溶植外務部長官との間の話し合いの結果を外交文書の形でまとめたということはございません。唯一の文書、文書ではございませんけれども、あらかじめ文書として相互に了解されたものといたしましては、金溶植外務部長官が十一月一日に行ないました声明文、それからこれを受けまして同じ日にわがほうの官房長官が談話を発表いたしております。この文書は相互に了解を得たものでございます。
  108. 沖本泰幸

    ○沖本委員 そういう点がすでにあいまいであって、その辺からあとうやむやになっていく根拠がその辺にあるのじゃないでしょうか。これほど重大な問題であって、こちらから幾ら言ったって向こうから他に答えが出てこなかったし、いろんな点でうやむやになっているというのが現実であるというのは、いまおっしゃったことではっきりしていると思うのです。こういう点をあいまいにするから問題がどうにもならない、こういうふうに考えられるわけです。ですからやはり今後もこの問題を重大に考えていただいて、早急に国民納得のいく方向にどうしても努力をしていただいて筋を通していただかなければ、国民は非常な疑問を持っておる。  そういう中にあって日韓閣僚会議をやるという発表があった。韓国側の国会での答えというものは、こちら側が、私たちが報道関係で受けとめたものとは全然違うような答えがどんどん出てきておるということになります。そういう中でソウル大学で反政府運動が起きた。その反政府運動の場合にいつでも問題になってくるのは、いわゆる日本からの経済援助が韓国のためにならない、国民のためになっていない、そして経済的には韓国日本の経済に侵略されてしまう、こういうふうなのが問題になって出てきているわけです。それは、韓国主権侵害を三十六年間やられたという以上の問題でとらえておる。それが大きな運動になってくる。それが反日感情に変わってきている。そこへもってきてうやむやにしてきて、向こう側でも金大中事件をはっきりしろ、こういう運動がどんどん起きてきている。そういう中で同じような内容の経済援助が続いていくと、ますます、これはむしろかえって悪い方向に向かっていくというふうに私たちは判断するわけです。  そういう点をお考えになっていただくと、単純に政治的な解決ができたからというわけでどんどん進められるべき問題ではなくて、日本の国にも問題が出てきている。韓国の国内でも問題が出ている。その問題点の、考えているところは同じになってきているということであり、この金大中事件を軸にして日韓関係をもう一ぺん洗い直すべきであるというのが大方の意見であるということを考えていきますと、これから先の問題として、外務大臣日韓関係をどういうふうにお考えになってお進めになっていくのかという点を明らかにしていただきたいと思います。
  109. 大平正芳

    大平国務大臣 本件があろうとなかろうと、われわれの対韓政策というものは、時代の要請に応じまして、また両国の世論を受けて終始改善し、吟味していかなければならぬ性質のものであると思っております。とりわけ今回のような事件が起こりまして、日韓関係につきまして鋭い評価と批判が行なわれておるということは、私どももよく承知いたしておるわけでございまして、こういう不幸な事件を踏まえて対韓政策というものを改善していく契機として、われわれ十分配慮していかなければいかぬと考えております。
  110. 沖本泰幸

    ○沖本委員 以上で終わります。
  111. 藤井勝志

    藤井委員長 永末英一君。
  112. 永末英一

    ○永末委員 金大中事件と日豪閣僚会議、二点お伺いいたします。  先ほど大平さんは、金鍾泌国務総理がやってきて三つのことをやった。一つに陳謝をいたしたという話がございましたが、何をどういうぐあいに陳謝したのですか。
  113. 大平正芳

    大平国務大臣 政府国民に対しまして、今回の事件を通じてたいへん御迷惑をかけたことに対しまして、深甚な遺憾の意を表しますと、こういうことでございました。
  114. 永末英一

    ○永末委員 金鍾泌さんは韓国政府の代表者です。それは韓国政府が、日本政府並びに日本政府が代表している日本国民に対して責任があるということを表明したのですか。
  115. 大平正芳

    大平国務大臣 韓国の国務総理立場におきまして、日本国総理に対してそういう表明をされたわけでございます。
  116. 永末英一

    ○永末委員 そう言うと言うところがわからぬのでありますが、陳謝というのは、責任を感じておるから陳謝するのでしょう。もし韓国政府がこの事件について責任がなければ、何も他国の総理大臣に陳謝する必要はない。遺憾の意を表したということがございましたが、責任を感じたから陳謝したのかどうかということを聞いておるのです。いかがですか。
  117. 大平正芳

    大平国務大臣 主権侵害ということでございますならば、仰せのとおり陳謝ということになるわけでございますが、本件の場合はそういう断定がなされていないわけでございまして、こういう段階でございますけれども日本政府国民に対してたいへん御迷惑をかけたことに対しては深甚な遺憾の意を表するということを釈明ともいい、あるいは陳謝ということばを使っておるケースも報道機関では見られるようでございますけれども、実態はいま私が申し上げたような遺憾の意が表明されたということでございます。
  118. 永末英一

    ○永末委員 陳謝というのは、あなたがさっきここで言われたことばですよ。あっち側に三つのことを措置せしめた。その一つが陳謝と言われたから私は聞いているのであって、報道機関が書いたとかそんなことじゃございません。あなたがこの会議場で一時間ほど前にあなたの口から言われたから、一体どういうことかと聞いている。陳謝とはどういうことなんですか。
  119. 大平正芳

    大平国務大臣 いま御報告申し上げましたような意味で申し上げたわけでございまして、法律的な意味で陳謝ということを申し上げたわけではございません。
  120. 永末英一

    ○永末委員 あなたは先ほど、今回の措置は決して甘くない、なぜならば、その一つに陳謝、将来の保障、責任者処罰ということが入っておるので甘くない措置だと思うとそう言われたので、陳謝ということばをあなたが使われる以上は、金鍾泌国務総理日本政府に対して陳謝したんだと受け取れますね。陳謝というならば、相手側責任を感じている。すなわち、この事件には韓国政府責任を感じなければならない何ものかがある、普通はそう思えますから伺っているのですが、じゃあ大平さん、陳謝しなかったのですか。
  121. 大平正芳

    大平国務大臣 遺憾の意を表明されたわけです。
  122. 永末英一

    ○永末委員 同じ委員会で二つ言われておるのですが、どっちでしょう。それなら、先ほど言われたことは、陳謝をしたとあなたは言われたんですよ。あれはやめですか。遺憾の意を表したのが正確であって、別に陳謝をしたのではないのだ、こう受け取らねばなりませんか。どっちですか、はっきりしていただきたい。
  123. 大平正芳

    大平国務大臣 法律的意味における陳謝ではないと思います。
  124. 永末英一

    ○永末委員 あとで速記録をもう一ぺんお読みいただいて、あのときはなるほどなあ、そういうことなのかなあ。だから陳謝ということばが入っておればこそ、あなたは国際的に見て今回の措置は決して甘くない、こう言われたのだと思います。最初甘くないというのはどういうことかよくわからなかったのですが、なるほどそうですわね、一国の総理が他国へやったきて陳謝をするというのは甘くないことですよ。だからなるほど甘くないという大平さんの形容詞を私は承認しておったのですが、いまの話になると、またぼけてきまして、甘いのじゃなかろうか、こういう感じすらいたすのでございまして、これは詰めたくてしようがないのですが、時間がございませんので残しておきます。  さて、もう一つは、将来の保障というのは何のことなんですか。将来の保障を金国務総理があなた方日本政府に対してやったというのですが、どういうことなんですか。
  125. 大平正芳

    大平国務大臣 将来かかる事件を起こさないように最善の努力をいたしますということでございます。
  126. 永末英一

    ○永末委員 これまた韓国政府の代表者が言ったのでしょう。そうすると、裏を返しますと、八月のあの事件には、韓国政府が、何らかやはり措置に誤りがあったということを告白しておるととれますね。そういうことを言っているのですか。だから今後は韓国政府行動としては将来はやりませんということを約束したのでしょうか。
  127. 大平正芳

    大平国務大臣 そういう今回の事件韓国政府がかんでおったから言うたものではないと思います。こういう不幸な、日本政府に迷惑をかけるようなことが起こったことはたいへん遺憾である、こういうことがないように韓国政府全体としてもいろいろ気をつけなければならぬという意思を表明されたものと思います。
  128. 永末英一

    ○永末委員 日本政府の場合、日本国国民が私人の立場外国でやったことに対して、もうこれは責任を持たなければならぬことがございますね。しかし、明らかに今度の事件韓国の公務員の一員が関与しておるということがはっきりわかりかけておった。そういうことを背景に将来の保障をあっちの政府首脳、最高責任者がやるとするならば、やはり裏を返せば、政府責任があの事件にはあったのだということをいわば間接的に表白したということになりますね。そうお感じにはならなかったですか。
  129. 大平正芳

    大平国務大臣 韓国政府の方が容疑を受けておるという事実を踏まえて、いまあるがままの事態において将来の配慮を表明したものと思います。
  130. 永末英一

    ○永末委員 その将来の保障をしたということは、もう一ぺん起こったら今度はストレートに韓国政府責任であるということを表明したと受け取ってよろしいのですか。
  131. 大平正芳

    大平国務大臣 法律論、政治論分けて考えていかなければいかぬと思いますが、次にかりに不幸な事件が起こったといたしまして、その事件を究明しなければ、政府責任がどうかということは判明しないわけでございますけれども韓国人によって行なわれた犯行であると推定されておるわけでございまして、韓国政府として政治的な立場において大きな意味の責任は回避できない国際的な立場にあると思いまするし、そういう意味で国際礼譲の問題といたしまして、そういう手順を踏まれて釈明をされるということは十分考えられることであると思います。
  132. 永末英一

    ○永末委員 なかなかその辺があいまいでございまして、甘いような気がしますが、三項目目の責任者処罰を約したということになりますと、それは、韓国政府韓国政府によって処罰をし得る。責任者というのは——この事件に対するある意味でのぴしゃっとかかわり合いのある者に対して処罰し得る立場韓国政府があるわけですね。どういう名目で、ある者を責任者とし、それを処罰できるのでしょうか、それをちょっと伺っておきたい。どう理解しておられるか。
  133. 大平正芳

    大平国務大臣 金東雲という人は、当時韓国外交官だったわけでございまして、韓国政府職員でございまして、それを監督する立場にあった人もあるわけでございまして、かりにそういう方の私的行為であるといたしましても、監督者立場があるわけでございます。したがって、金東雲氏につきましては、嫌疑を持っておる、そして今後調べて法的に処理をするということでございまするし、監督者につきましても、相応の措置を考慮するということでございますので、そういう文脈において考えられておるものと思います。
  134. 永末英一

    ○永末委員 この件三件とも、大臣の御説明では甘くないという評価をされましたにかかわらず、きわめてあいまいであり、甘い点が残っておると思いますが、時間なしでございますから、次に留保いたします。  最後に一問だけ伺っておきたいのは、過般の日豪閣僚会議で、あと共同声明が出ましたが、その中で、わがほうからの申し入れかどうか知りませんが、パプア・ニューギニア地域が将来独立してまいりますが、その節わがほうとしては経済協力をやりたいのだ、やっていこう、そろいうことを豪州政府との間にちゃんと話ができたと伝えられておりますが、この間のことをひとつお話しを願いたい。
  135. 大平正芳

    大平国務大臣 これは共同声明にうたわれたとおりでございますパプア・ニューギニアからはキキという大臣が参りまして、独立への進捗の現況を解説して、またパプア・ニューギニアの現行開発政策及び海外からの開発援助受け入れに寄せる関心について説明をされたわけでございます。日本側といたしましては、パプア・ニューギニアが早急に独立を達成することを希望する旨表明いたしました。で、日本がすべての分野においてパプア・ニューギニアと全面的な協力関係を漸進的に樹立することを期待しておるということを述べたわけでございます。  ただ、向こうもパプア・ニューギニア問題は、今日まで豪州の領土で豪州が統治してきた地域でございます。今日独立に至るまでも豪州がいろいろ助けてきたわけでございまするし、独立後におきましても外交、防衛等につきましては豪州が心配していくわけでございますので、日本がパプア・ニューギニア政策を展開する場合におきましても十分豪州とも協議の上円滑にやってまいるということは、豪州側にもわれわれの気持ちは伝えておいたつもりでございます。
  136. 永末英一

    ○永末委員 大平外務大臣、いまのおことばの中で、パプア・ニューギニアが独立後も外交、防衛についてはオーストラリアがめんどうを見ていくという旨の御発言がございましたが、それはことしの十二月一日完全自治以後もということなんでしょうね。独立後のことはわかりませんわね、独立ですから。完全自治後も外交、防衛にはオーストラリアがめんどうを見ていく、こういう意味でございましょうね。
  137. 大和田渉

    大和田説明員 ただいま仰せられたとおりでございます。
  138. 永末英一

    ○永末委員 終わります。
  139. 藤井勝志

    藤井委員長 本日は、これにて散会いたします。    午後零時三十五分散会