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1973-09-25 第71回国会 衆議院 外務委員会 第37号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年九月二十五日(火曜日)     午後一時四十二分開議  出席委員    委員長 藤井 勝志君    理事 鯨岡 兵輔君 理事 小坂徳三郎君    理事 西銘 順治君 理事 岡田 春夫君    理事 堂森 芳夫君       稻葉  修君    加藤 紘一君       小林 正巳君    竹内 黎一君       深谷 隆司君    宮澤 喜一君       山田 久就君    河上 民雄君       柴田 睦夫君    渡部 一郎君       永末 英一君    瀬長亀次郎君  出席政府委員         外務政務次官  水野  清君         外務省経済協力         局長      御巫 清尚君         外務省条約局長 松永 信雄君  委員外出席者         防衛庁長官官房         総務課長    水間  明君         防衛庁防衛局調         査第二課長   三好富美雄君         防衛庁人事教育         局人事第一課長 馬場 義郎君         科学技術庁原子         力局次長    生田 豊朗君         外務省アジア局         外務参事官   大森 誠一君         外務省国際連合         局外務参事官  野村  豊君         厚生省援護局庶         務課長     河野 共之君         外務委員会調査         室長      亀倉 四郎君     ――――――――――――― 委員の異動 九月二十五日  辞任         補欠選任   河上 民雄君     和田 貞夫君 同日  辞任         補欠選任   和田 貞夫君     河上 民雄君     ――――――――――――― 九月二十日  日中航空協定に関する請願上村千一郎君紹  介)(第一〇七四三号)  同(小渕恵三紹介)(第一〇七四四号)  同(北澤直吉紹介)(第一〇七四五号)  同(坂田道太紹介)(第一〇七四六号)  同(竹内黎一君紹介)(第一〇七四七号)  同(千葉三郎紹介)(第一〇七四八号)  同(藤本孝雄紹介)(第一〇七四九号)  同(長谷川峻紹介)(第一〇八四六号) は本委員会付託された。     ――――――――――――― 九月二十日  核兵器の全面禁止等に関する陳情書  (第七二一号)  日中航空協定に関する陳情書  (第七二二号) は本委員会参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  閉会審査に関する件  国際情勢に関する件  請 願   一 ドイツ民主共和国承認に関する請願(赤     松勇紹介)(第九六号)   二 同(石橋政嗣君紹介)(第九七号)   三 同(川崎寛治紹介)(第九八号)   四 同(木原実紹介)(第九九号)   五 同(北山愛郎紹介)(第一〇〇号)   六 同(高沢寅男紹介)(第一〇一号)   七 同(楯兼次郎君紹介)(第一〇二号)   八 同(成田知巳紹介)(第一〇三号)   九 同(日野吉夫紹介)(第一〇四号)  一〇 同(八木昇紹介)(第一〇五号)  一一 日朝両国関係正常化の促進に関する請     願(梶山静六紹介)(第二四六号)  一二 世界連邦建設決議に関する請願(天     野光晴紹介)(第三四三号)  一三 横須賀核空母母港化反対等に関する     請願石母田達紹介)(第一七二四     号)  一四 ドイツ民主共和国承認に関する請願     (金子満広紹介)(第三四五三号)  一五 同(柴田睦夫紹介)(第三四五四号)  一六 同(松本善明紹介)(第三四五五号)  一七 米航空母艦横須賀母港化反対及び日     米安全保障条約廃棄に関する請願(石     母田達紹介)(第四四七九号)  一八 同(石母田達紹介)(第五〇二五号)  一九 米軍弾薬輸送即時中止等に関する請     願(中路雅弘紹介)(第五六〇〇号)  二〇 同外九件(伏木和雄紹介)(第五六〇     一号)  二一 同(岩垂寿喜男紹介)(第五七七一     号)  二二 米航空母艦横須賀母港化反対及び日     米安全保障条約廃棄に関する請願(石     母田達紹介)(第五六〇二号)  二三 同(中路雅弘紹介)(第六一二五号)  二四 同(石母田達紹介)(第六二〇五号)  二五 米軍弾薬輸送即時中止等に関する請     願(岩垂寿喜男紹介)(第六六九五     号)  二六 同(岩垂寿喜男紹介)(第六八八一     号)  二七 米航空母艦横須賀母港化反対及び日     米安全保障条約廃棄に関する請願(安     井吉典紹介)(第六六九六号)  二八 米軍弾薬輸送即時中止等に関する請     願外四件(大出俊紹介)(第七二三四     号)  二九 米航空母艦横須賀母港化反対及び日     米安全保障条約廃棄に関する請願(高     沢寅男紹介)(第七四二〇号)  三〇 同(中路雅弘紹介)(第七五二〇号)  三一 同(石母田達紹介)(第七六一二号)  三二 同(中路雅弘紹介)(第八〇三八号)  三三 世界連邦建設決議に関する請願(小     川新一郎紹介)(第八六八二号)  三四 同(岡田哲児紹介)(第八七一一号)  三五 同(加藤清政紹介)(第八七一二号)  三六 同(北澤直吉紹介)(第八七一三号)  三七 同(竹内猛紹介)(第八七一四号)  三八 同(武藤嘉文紹介)(第八七一五号)  三九 同(佐々木秀世紹介)(第八七五八     号)  四〇 同(谷川和穗紹介)(第八七五九号)  四一 同(原健三郎紹介)(第八七六〇号)  四二 同(八田貞義紹介)(第八七六一号)  四三 同(西村英一紹介)(第八七八三号)  四四 同(塩崎潤紹介)(第八七八四号)  四五 同(松野幸泰紹介)(第八七八五号)  四六 同(八百板正紹介)(第八七八六号)  四七 同(石田幸四郎紹介)(第八八六五     号)  四八 同(石野久男紹介)(第八八六六号)  四九 同(臼井莊一君紹介)(第八八六七号)  五〇 同(岡田春夫紹介)(第八八六八号)  五一 同(木部佳昭紹介)(第八九三一号)  五二 同(關谷勝利紹介)(第八九三二号)  五三 同(田川誠一紹介)(第八九三三号)  五四 同(中村弘海紹介)(第八九三四号)  五五 同(福田篤泰紹介)(第八九三五号)  五六 同(藤山愛一郎紹介)(第八九三六     号)  五七 同(折小野良一紹介)(第九〇八一     号)  五八 同(塚本三郎紹介)(第九〇八二号)  五九 同(玉置一徳紹介)(第九〇八三号)  六〇 同(和田耕作紹介)(第九〇八四号)  六一 米航空母艦横須賀母港化反対及び日     米安全保証条約廃棄に関する請願(石     母田達紹介)(第九三一七号)  六二 世界連邦建設決議に関する請願(石     井一君紹介)(第九三一八号)  六三 同(加藤紘一紹介)(第九三一九号)  六四 同(久保三郎紹介)(第九三二〇号)  六五 同(鯨岡兵輔紹介)(第九三二一号)  六六 同(小泉純一郎紹介)(第九三二二     号)  六七 同(萩原幸雄紹介)(第九三二三号)  六八 同(粟山ひで紹介)(第九三二四号)  六九 同(梶山静六紹介)(第九六二五号)  七〇 同(河村勝紹介)(第九六二六号)  七一 同(小宮武喜紹介)(第九六二七号)  七二 同(田中榮一紹介)(第九六二八号)  七三 同(田村良平紹介)(第九六二九号)  七四 同(野田卯一紹介)(第九六三〇号)  七五 同(福永健司紹介)(第九六三一号)  七六 同(八木昇紹介)(第九六三二号)  七七 同(渡辺武三紹介)(第九六三三号)  七八 同(亀岡高夫君紹介)(第九九七四号)  七九 同(宇野宗佑紹介)(第一〇〇一六     号)  八〇 同(山田久就君紹介)(第一〇〇一七     号)  八一 同(坊秀男紹介)(第一〇〇八四号)  八二 第三次国連海洋法会議に関する請願     (安田貴六君紹介)(第一〇五五〇号)  八三 南北朝鮮の統一支持に関する請願(安     田貴六君紹介)(第一〇五五一号)  八四 日中航空協定に関する請願上村千一     郎君紹介)(第一〇七四三号)  八五 同(小渕恵三紹介)(第一〇七四四     号)  八六 同(北澤直吉紹介)(第一〇七四五     号)  八七 同(坂田道太紹介)(第一〇七四六     号)  八八 同(竹内黎一君紹介)(第一〇七四七     号)  八九 同(千葉三郎紹介)(第一〇七四八     号)  九〇 同(藤本孝雄紹介)(第一〇七四九     号)  九一 同(長谷川峻紹介)(第一〇八四六     号)      ――――◇―――――
  2. 藤井勝志

    藤井委員長 これより会議を開きます。  請願審査に入ります。  今国会において、本委員会付託になりました請願は全部で九十一件であります。  これより日程第一から第九一までの各請願を一括して議題といたします。  まず、審査の方法についておはかりいたします。  各請願内容につきましては、請願文書表等によりましてすでに御承知のことと存じます。また、先刻の理事会におきまして慎重に御検討いただきましたので、この際、各請願についての紹介議員よりの説明等は省略し、直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 藤井勝志

    藤井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  それでは、本日の請願日程中、第八二、第三次国連海洋法会議に関する請願は、採択の上内閣に送付すべきものと決し、第一ないし第一〇及び第一四ないし第一六の各請願は、いずれも議決を要しないものと決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 藤井勝志

    藤井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  ただいま議決いたしました各請願委員会報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 藤井勝志

    藤井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  6. 藤井勝志

    藤井委員長 なお、本委員会参考のため送付されました陳情書は、お手元に配付してありますとおり二十八件であります。この際、御報告いたします。      ————◇—————
  7. 藤井勝志

    藤井委員長 閉会審査に関する件についておはかりいたします。  本委員会といたしましては、閉会中もなお国際情勢に関する件について調査をいたしたいと存じますので、この旨議長に申し入れたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 藤井勝志

    藤井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、閉会審査案件付託になり、委員会において参考人の出頭を求め、意見を聴取する必要が生じた場合は、その人選及び日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 藤井勝志

    藤井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  10. 藤井勝志

    藤井委員長 国際情勢に関する件について調査を進めます。  この際、一言申し上げます。第七十一回国会における条約承認案件審査に際して、交換公文取り扱いをめぐって委員各位より疑義が提起されましたので、かねて外務省に対し、本件を解明するため検討するよう要請いたしておりましたところ、外務省としては、事柄の内容憲法解釈の問題にまで及んでいるため、今後内閣法制局とも十分協議を要するので、まだ結論を得るまでに至っていないが、現在鋭意検討中である旨報告がありました。  本委員会といたしましては、本件に関し外務省はさらに検討を続け、なるべく早い機会に報告するよう要請いたしたいと思いますが、外務省意向を承りたいと存じます。水野外務政務次官
  11. 水野清

    水野政府委員 ただいま委員長より御要請がありました件につきましては、目下外務省事務当局において鋭意検討中であり、すでにかなりの作業の進捗を見ている状況でありますので、内閣法制局との協議を終え、政府としての結論を得次第、御報告申し上げる所存でございます。
  12. 藤井勝志

    藤井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小林正巳君。
  13. 小林正巳

    小林(正)委員 たいへん時間の制約がきびしいので、私は日中関係の中の一、二の点についてお尋ねをいたしたいと思います。  昨年十二月暮れに田中訪中によって日中関係が回復されて以来、共同声明の線に沿って実務協定締結に向かって接触が行なわれておるわけでございますが、肝心の航空協定その他なかなかいまだに話が詰まらぬ状態のようでございます。そこでこの問題については当委員会においてしばしば取り上げられてきておるわけでございますけれども、本日は今国会最後委員会でもございますので、今日の時点における日中航空協定をめぐる一つ隘路といいますか、どういうところにネックがあるのか、あるいは中国側との交渉の段取りがどういうふうになっておるのか、その点についてお尋ねをいたします。
  14. 水野清

    水野政府委員 日中航空協定の問題は、先生も御承知と思いますが、ことしの三月、四月のころに二度にわたりまして外務省当局者向こう側担当者との間に種々の折衝を行なっております。そして航空協定のいわゆる本文につきましてはほぼ両者考え方というものは洗い出されまして、整理をされております。ただ問題は、航空協定本文よりも、御承知のように日本台湾との間にある日台間の航空路をどういうふうに扱うかという点に非常に問題点がございまして、しかもこれは日中の昨年の共同声明にもありますように、日本台湾との間の実際上の交流を妨げないという日本側考え方をなるべく通していきたい、こういう問題を踏まえていろいろいま政府としては苦慮、検討をしている際でございます。日本政府としてこの処理の基本的な考え方は、日本中華人民共和国との間は正式の国と国との国交があるわけでございますから、この国と国との国交ということを主眼に置いて航空協定の実際上の航空路処理であるとか取り扱いということをやらねばいけないわけでございますし、また同時に、台湾との間には、現在日台間には百数十——週百二十何便という航空路が開設されておりまして、その約半分が、日本航空と中華航空との便でございます。この両者の便の実際上の権益というものをなるべく維持して、日台間の民間の航路は、また引き続いて存続をきせていく、大事にしていくという精神を失わないでやっていきたい、こういう点で、この日中航空協定の仕上げを考えている際でございますが、大平外務大臣が当委員会にも申しましたように、あるいはその他公式の席でも申しておりますように、さりとてあまりこの航空協定締結を先に延ばすこともできないので、なるべく早い時期に、実務協定の大事な問題の一つとして締結をしていきたい、かように考えているわけでございます。
  15. 小林正巳

    小林(正)委員 マスコミ情報その他によりますと、航空協定一つ隘路というのは、現在日本に参っておる台湾の飛行機がつけておる旗、それから中華航空という名称にあるというふうなことを、この間もテレビの解説で、そこに隘路があるんだということを言っておりましたが、そういうことは事実でしょうか。
  16. 水野清

    水野政府委員 この中華航空の航空機に青天白日旗のマークがついておりましたり、あるいは中華航空という航空会社名前について問題があるというふうに伝えられておりますけれども日本政府に対して中華人民共和国から正式にこれまでそういうことを申し越してきた事実は全くございません。世上伝えられておりますのは、いかにもそういうことに問題点があるというふうにいっておりますが、私どもは正式な申し入れとしてそういうことを一度も聞いていないことは事実でございます。
  17. 小林正巳

    小林(正)委員 それでは、航空協定の問題はそれまでにしまして、戦前中国に渡られて、結婚その他の事情によって現在中国に居住しておる、そういう邦人がざっと四千人近くおられる。そうして、その中のある部分の方が、日本への里帰り希望しておられるというふうなことを聞くわけでございますが、これは日中間一つの問題として、人道的な見地から取り扱うべきものではなかろうか、かりに、日本政府のほうとして、そうした問題についてどういう基本的な考え方を持っておられるのか、あるいは中国側とこの問題について具体的に折衝をした経緯があるならば、その点についてひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  18. 水野清

    水野政府委員 中国に在留する邦人の実態を正確に把握するということは非常に困難な問題がございますが、外務省で、あるいは厚生省その他でいろいろの角度から推測しました内容について申し上げますと、終戦前から中国に在留をしまして、これまで帰国したことのないいわゆる未帰還者、いまだ帰還をしていない者でございますが、これが先生の御指摘のように約四千名ございます。この中には大体引き揚げ希望していると思われる者が三百名含まれております。それからさらに、戦後中国に渡って、向こうにいる人間が、約四百五十名いるわけでございます。これらの帰還希望者方々の問題をどうするか。さらに帰還希望してない、さっき御指摘のように、女の方で向こう中国の人と結婚をした、あるいは男の人でも養子にもらわれたというような方々里帰り、一時帰国をしてまた中国へ戻るという里帰り希望しているという面も多々あります。しかしこれも正確な数は、大使館も開設しましてからまだ一年未満でございますし、中国全土は非常に広いわけでございまして、なかなか正確には把握をしきれないわけでございますが、大体四千人の七割程度近親者を訪問したい、あるいは墓参をしたい、あるいは日本医療機関にかかって病気の治療をしたいというような希望から、一時帰国希望しているというふうに見られております。さらにことしの七月現在でございますが、在北京日本大使館手紙で一時帰国希望を伝えてきた人が百六十六名あるということもつけ加えて御報告申し上げます。また、これらの取り扱いにつきまして、中国政府も非常に積極的な意向を表しておられますし、ただ、日中間で正式にこれをどういうふうに運ぶかというようなことについてはまだ話し合いをやっておりませんが、中国政府里帰りについて決して否定的であるよりは、むしろ、どしどし帰してもよろしいというような態度を示しておりますので、近いうちにこの問題は大きく進捗するだろうと思いますし、実際上の所管厚生省でございますので、厚生省にも連絡をしまして早急に進めたいと思っております。  なお、ついででございますが、これはけさ、三重県の四日市に着きました三重県の主催の青年の船、「ぶらじる丸」という船だそうでございますが、それに九人の里帰り方々がこれを利用して帰ってこられたという事実がございます。必要ならばその姓名も用意しております。
  19. 小林正巳

    小林(正)委員 いまのその九人の方の名前をあとでひとつ教えていただきたいと思います。で、いまの青年の船のお話ですが、この場合は、旅費なんかはどういう扱いになっておるのでしょうか。その辺、厚生省のほうですか。
  20. 水野清

    水野政府委員 これまでは自費で帰って、要するに里帰りをしておられます。しかし今後につきましては、これだけ大ぜいの方々里帰り希望しておられますし、特に戦前渡航者については、未帰還者でございますから、取り扱いについては日本政府予算で見ようというような考えで、厚生省とも——厚生省ともではございませんで、厚生省にその問題をお願いをしておる最中でございます。
  21. 小林正巳

    小林(正)委員 このけさ着いた「ぶらじる丸」のは、そうすると、自費でお帰りになられたケースですか。
  22. 水野清

    水野政府委員 自費でございます。
  23. 小林正巳

    小林(正)委員 それで、厚生省にずっとお尋ねをいたしますが、三千人、七割が帰還希望しておられるのではなかろうかという推測です。この推測は、いかなる根拠に基づいておるのか私はわかりませんが、三千人ということになるとたいへんな数であるし、それから、日本のような社会体制の国と違って、なかなか日本へ来る渡航費を蓄積することも容易でない。いま政務次官がおっしゃったように、いずれ日本政府のほうでそれを負担して一時帰国をさしてあげたい、こういうお気持ちを表明されたものと思いますけれども、これは相手のある話でもありますし、中国側がそれに対して、何らか中国側気持ちを傷つけるものではないのかどうか。それから、予算的に、それだけの人を帰国させよう、一時帰国にしろ日本政府全額負担でさせるということになると、かなり時間もかかろうし、費用もかかろうと思いますが、その点について、厚生省のほうで何らか詰めた考えを持っておられるのかどうか、その辺をお聞かせをいただけませんか。
  24. 水野清

    水野政府委員 厚生省は来ておりませんので、厚生省のほうのことは申し上げられない点がありますが、御承知のように、この中国の未帰還者の大多数は、旧満州地区、現在東北と呼ばれている地区で、満蒙開拓団のようなことで行かれて、その後引き揚げの途中でいろいろ不幸な目にあって、中国のその地区に残って生活をされたというような方が多いというふうに想像ができますが、現在の東北地方日本人の多くが旅行しにくい地点でございますし、さらに、中国全土としても、数、所在地の把握に非常にむずかしいわけであります。これは中国政府協力にたよるしかないわけであります。まず調査が前提である。先ほどの問題でございますが、中国政府もこの点では積極的に協力してやろうという意向がうかがえますので、早急に北京大使館を通じて交渉してみたい、こう思っております。さらに、費用の問題についても、これは厚生省所管でございますが、私どもは積極的に厚生省にもお願いをしまして、来年度予算に計上してもらうなりあるいは予備費で扱うなりして、こういう方々自費で一時帰国するというようなことのないような措置をとりたいと思っております。
  25. 小林正巳

    小林(正)委員 費用の点はさておいて、そうしますと、厚生省の依頼といいますか、受けて、北京のほうの大使館中国側に具体的に大体どの程度この一時帰国希望者がおられるかという照会をしておるという事実はあるんでしょうか。   〔委員長退席西銘委員長代理着席
  26. 水野清

    水野政府委員 照会はしておりませんけれども、先ほど申し上げましたように、ことしの七月現在、北京日本大使館手紙で一時帰国希望を伝えてきた者がすでに百六十六名ございます。これだけの数を見ましても、来年、再来年にわたって一時帰国希望者が相当出てくるであろうということは想像できるわけでございます。
  27. 小林正巳

    小林(正)委員 簡単でけっこうですが、大体七割というのは、三千人という数字ですね、これは、ほんとうに感じで、腰だめ的に出しておる数字なのかどうか。それから、こちら側がそういう希望をするならば、日本におる中国人ですね、国籍問題は別として中国人が、中国に一時帰国したいという方もおられるのじゃないかと思いますが、その辺は、相互の問題なんですが、それについてはどういうお考えを持っておられますか。
  28. 水野清

    水野政府委員 日本におります中国人は、これは中国政府の積極的な政策もありまして、御本人に希望があればいつでも中国に一時帰国もできるあるいは帰国もできる、こういう状態になっております。
  29. 小林正巳

    小林(正)委員 腰だめのものか……。
  30. 水野清

    水野政府委員 これはほんとうに七割は腰だめ数字で、正確な調査に基づいたわけではございません。
  31. 小林正巳

    小林(正)委員 こういった問題は、やはりじかに非常に身近な問題として感じられる方も、この日本に関係者もおられることと思いますので、これからもひとつ前向きに中国側とお話し合いをしてくださって、何とか実現の方向に努力してくださるように希望いたしまして、質問を終わります。
  32. 西銘順治

    西銘委員長代理 深谷隆司君。
  33. 深谷隆司

    ○深谷委員 昨年の日中国交回復以来、特に経済関係はかなり拡大をされてきておるわけです。そのピッチはかなり急ピッチだと言われているわけなんですが、いままでの経済交流というのは、覚書貿易とかあるいは友好貿易というような民間協定にささえられてきたわけです。そこで、一日も早く政府間の協定でこれを実施するような方向というものが望まれているわけでありますが、八月の時点でも、この日中の通商協定についての交渉はほぼ終わったというふうに私たちは聞いておったわけであります。つまり、調印も間近である、このように理解をしておったわけでありますが、いまだに調印に達していないのは一体どういうわけなのか、まずこの辺の経緯についてお尋ねをしたいと思います。
  34. 水野清

    水野政府委員 日中間実務協定の中で一番早く合意に達しましてまとまりかけておりますのが、いま御指摘の通商協定でございます。先月中国側の代表団を東京に迎えまして交渉を行なった結果、大筋において合意を見ております。これから表現の問題その他若干の問題を詰めていこうということでやっておりますが、現在の時点では、仮調印の時期についてまだ正確に申し上げられる時点に達しておりません。しかし、すでに大筋の合意を見ているのでございますから、そう長い時間はかからないであろうというふうに私ども考えております。いずれにしましても、両国政府ともこの問題については熱意を持って積極的に協定締結に取り組んでおりますし、日本としましても、調印後できるだけ早い時期に当委員会を経まして、国会の承諾、御承認を得べく必要な手続をとる所存でございます。  これまでの問題点につきましては、こまかい点にわたりますので、担当者のほうから答弁をさせていただきます。
  35. 大森誠一

    ○大森説明員 ただいま政務次官から御説明申し上げましたように、この協定につきましては、すでに大筋につきまして合意に達しておりまして、あとは表現上の問題ないしは若干の技術的な問題の詰めということを鋭意行なっているところであります。  なお、交渉の内容の細目につきましては、先方との申し合わせによりまして、交渉妥結までこれを明らかにすることができないという点については、御了承いただきたいと存じます。
  36. 深谷隆司

    ○深谷委員 大筋において合意に達しておるということでございますが、重ねて念のために確認をしておきますが、たとえば日中航空協定のような何らかの障害があるために調印がおくれておるということはないのですね。
  37. 大森誠一

    ○大森説明員 実質的な問題でこの交渉がおくれているということはございません。
  38. 深谷隆司

    ○深谷委員 そうしますと、大体調印の時期がいつごろかという具体的なことまでは言えないというお話ですけれども、そう遠からずということだけは間違いないだろうと思うのです。その場合に、いま盛んにいわれておりますが、たとえば臨時国会が行なわれるであろうとかあるいは慣例の通常国会が年末に行なわれる、こういうような時点で、かりにいま調印まで進んだとすれば、今年中の国会にかけて承認を求めるというような手続をとるお考えがおありか、それとも調印の時期はわからないけれども、一応承認については来年の国会だというような目安を立てておられるのか、その辺のところを明らかにしてほしい。
  39. 水野清

    水野政府委員 通商協定が調印になりました時点でどの国会で御承認を得るかということについては、まだ私どもの手はずができ上がっておりません。これは決して将来先だということではないわけでございまして、臨時国会お願いをするかどうかということもまだ最終的に政府部内の合意ができておりませんので、この結論についてはしばらく御容赦をいただきたいと思います。
  40. 深谷隆司

    ○深谷委員 先ほど冒頭に申し上げましたように、いままで民間協定でささえられていたのが日中貿易でありますから、そういう点から、一日も早く調印にこぎつけて、できれば調印後直ちに、そこで当面開かれておる国会にかけて承認を求めるようにぜひひとつお願いをしたいと思います。  厚生省の方お見えになったようでありますから、ちょっと私次の点についてお尋ねしたいと思うのですが、それは中国における墓地の問題でございます。  実は私も戦後満州、中国から引き上げてきた者の一人でございまして、向こうの地におりましたときに日本人の墓地が相当数あったということを私のささやかな体験で承知しておるわけであります。この日本人墓地についての取り扱いというのはたいへん今後も重要な問題であろう、こう思いますので、まず厚生省の方にお尋ねしたいのは、中国における日本人墓地がどの程度あるのか、何かそういう資料とかいうようなものを持っておられるのかどうか、まずお尋ねしたいと思います。
  41. 河野共之

    ○河野説明員 お尋ねの件でございますが、私どもといたしましても、中国東北地区、旧満州でございますが、東北地区におきましては軍民合わせて約二十五万人の死没者がございまして、その遺骨の大部分がまだ日本内地に帰ってきておらないわけでございます。それから雲南地区におきましても拉孟、騰越地区等で四千人が戦没をいたしておるわけであります。私どもといたしましては、これらの地区におきます戦没者の方々あるいは一般邦人方々の遺骨収集、現地慰霊を行なうということを長い間の懸案といたしておったわけでございますが、政府としましても日中国交正常化が実現した今日、本件の促進に協力してまいりたい、かように考えておるわけであります。  日本人墓地の問題でございますが、私どもといたしましては、外務省を通じまして、これらの問題について解決を進めたいと考えておるわけでございます。現在日本人墓地が存在いたしておるという話は聞いていないわけでございますが、私ども中国から引き揚げられた邦人に確かめましたところでは、大体六十カ所程度の墓地が当時としてあったわけでございます。ただ、現在の状況といたしましては、御承知のように、中国国内における旅行はきわめて自由でないわけでございまして、現在の状況を直接確認することは困難でございます。
  42. 深谷隆司

    ○深谷委員 日本人墓地がいま六十カ所とおっしゃったのですが、そんな数ではないだろうと思うのです。しかもそういう実態についての調査は現在は中国国内の旅行ができないからむずかしいということでございますが、たとえば外務省を通じて調査の依頼をするとか何らかの形で前向きでやろうと思えばできないことはないと思うのですが、いままでそういうことをなさらなかったのか、あるいは今後なさるおつもりがないのか、その辺もう一回お尋ねしたいと思います。
  43. 河野共之

    ○河野説明員 ただいま六十カ所と申し上げましたのは、これは在来からの日本人墓地として東北地区にございましたものも含めまして、収容所等でもって一般の邦人を相当数埋葬してまいった、そういうものも含めて六十カ所と申し上げたわけでございます。  この慰霊巡拝の問題等につきましては、これはかねてから外務省と接触をいたしまして、できるだけこれらの実現につとめてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  44. 深谷隆司

    ○深谷委員 政務次官お尋ねしたいのですが、ただいまの厚生省の話では、日本人墓地の実際の数をつかんでいない。これは明治以降考えましてもかなりあると思われるのですが、そういうものについての実態調査をおやりになるお考えがおありかどうか。といいますのは、いま中国では農地の改造とか造成とかさまざまな開発をやっておるわけであります。そういうような状況の中にかりに日本人墓地がありますと、そのままそれがこわされて永久にわからなくなってしまって、時間的にもかなり急ぐ必要があるわけです。そういう点で調査をなさるおつもりがおありなのか。
  45. 水野清

    水野政府委員 これは今後厚生省とも連絡をしなければいけませんが、外務省としましては在北京大使館を通じて積極的に中国側調査を依頼するつもりでございます。  ただ、実は先般厚生省の山口政務次官中国側日本側の遺骨交換の問題で北京に参りましたときに蓼承志氏から言われたことでございますが、日本側の受け取りました遺骨の中には、一部はその上にある建物をこわして遺骨を発掘したというような向こう側から示唆があったわけでございます。いま先生指摘のように、日本人と中国の人たちとの遺骨に対するものの考え方が若干どうも食い違っているんじゃないかというようなことが、私どもはいろいろな接触で感じられます。日本の習慣でございますと、墓地その他遺骨の埋まっているところには普通、うちは建てない。うちを建てたりいろいろな工事というものはほとんどやらないわけでありますし、やる際には、全部骨をさらってでもそのあとにやるというのが普通でございますが、向こうではわりあいに——何も日本人の墓地だから軽視をしているとかいいかげんに扱っているということじゃないようでありますが、わりあいに簡単にその上をならして建物を建てるというような例があるのではないかと推察をいたします。それだけに先生指摘のような、どこにあったかわからなくなってしまったというような事情もこれから発生する可能性がありますので、これは主として厚生省と話し合いをいたしまして、在北京大使館を通じて中国側にその要請をしていきたいと思うわけでございます。ただそのために、前にも戦前いろいろあったような資料その他を調べませんと、向こう側には逆にほとんど資料がないわけでありますから、なるべく資料の整備をした上でこの問題に臨みたい、こう思っております。
  46. 深谷隆司

    ○深谷委員 戦没者のおびただしい遺骨、それから旧来からの日本人墓地、いずれにしてもこのまま放棄するわけにいきませんので、ひとつ厚生省がその資料をお集めいただいて、外務省を通じていち早く調査をし、これの収集に当たるようにぜひ御努力を願いたいと思います。  それから、時間がありませんから簡単にこの機会にお尋ねしておきますのは、田中総理が十月の上旬にソビエトに入ります。領土問題とかさまざまな問題がありますからたいへんなことだろうと思うのでありますが、領土問題について伺いますと時間がかかってしまいますので、一つだけ、日ソ間の問題では文化協定についてだけ触れてまいりたいと思うのです。  私は、文教委員も兼務いたしておりますから、特に関心が強いわけであります。経済関係とかさまざまの問題もありますけれども、日ソ間の文化的な交流こそ両国にとって最も大事なことであって、これがまず順調に話し合いが進み、協定が結ばれるということが望ましい、こう考えているわけでありますが、今度の総理の訪ソを機会にこの文化協定についてはどのような態度で臨むおつもりなのか、伺いたいと思います。
  47. 水野清

    水野政府委員 ただいま御指摘の日ソ文化協定というようなものについてでございますが、日ソ間には、去年の一月にグロムイコ外相が訪日をしましたときに文化交流の取りきめという形でございますが、文化交流取りきめがすでに締結をされております。現在はこの実施のための実施取りきめの締結交渉を行なっているわけでございます。  日本政府考え方は、取りきめの実質的な積み上げというものの上で交流拡大をはかっていきたいということでございますが、実施取りきめのうち特に出ております問題点を申し上げますと、学者の交換に関しましてはすでに実質的な合意を見て、一部の学者の交流もことしの夏に行なわれております。あるいは映画祭の実施につきましても合意を見ておりますが、公の刊行物の交換あるいは広報資料の配布という点につきまして、目下事務当局間で折衝しております。折衝の要点は、まあ折衝中で申し上げにくいわけでございますが、両国の広報出版物の配布についての考え方がやや食い違っている。私どもはソビエト連邦のいろいろな宣伝文書につきましては、日本国内くまなくどこにでも配布することについて異論がないわけでございますが、向こう側には若干日本側の広報資料その他政府の出版物について配布することに問題点があるような感覚を持っているように私どもは受けとめております。  しかしいずれにしましても、これらの個々のまとまっておりません取りきめをできるだけ早く締結をいたしまして、日ソ文化交流の拡大の基礎を築いていきたい。先ほど申し上げましたように取りきめの実績を積み重ねた上で文化交流協定に完成をさしていきたい、こういうふうに考えております。
  48. 深谷隆司

    ○深谷委員 文化協定についての交渉は着々進んでおるようで、たとえばいま学者の交換という点では合意に達した。どのくらいのスケールなのか、お差しつかえなければ伺いたいと思います。  それと同時に、留学生の交換ということもあると思うのですが、留学生の交換についてはいま政務次官お触れになりませんでしたが、留学生がどのような話になっておるか。  それから催しものでいきますと、たとえば映画とか展覧会等でありますが、もう少し具体的な話があればこの機会にお尋ねをしたいと思います。
  49. 水野清

    水野政府委員 学者の交換、留学生の交換の問題でございますが、いま担当者が来ておりませんので、具体的なことは申し上げられないので、お許しをいただきたいと思います。
  50. 深谷隆司

    ○深谷委員 与えられた時間にちょうどぴったりでありますから、まだ伺いたいことたくさんございますけれども、日ソ間の問題もきわめて大事でありますから、できればあとでけっこうですから、ただいまのこまかい問題については教えていただきたいと思います。ひとつ拍車をかけて進めていただくようお願いして質問を終わります。ありがとうございました。
  51. 西銘順治

    西銘委員長代理 柴田睦夫君。
  52. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 先日防衛庁から、自衛官の訪韓一覧表というものと大韓民国軍関係者来訪一覧表という資料を受領いたしました。その資料によりますと、日本からは昭和四十六年、陸上幕僚長をはじめ七回、昭和四十七年には海上幕僚長など七回、今年度に入ってからは、陸上幕僚監部永野陸将補の韓国陸軍軍事施設などの視察、それから航空幕僚監部坂崎空将補の韓国空軍及び軍事情勢視察、それから防衛研修所柏一等陸佐らの現地研修が行なわれたということになっております。  一方、韓国軍のほうからは昭和四十六年には国防部次官など五回、昭和四十七年には国防部長官など八回、今年度に入ってからはオー・チャンボ陸大視察団長、キム・ジョン ホ国防部軍需局長、チャン・ホ ヨン医務局長、キム・キュー ス海軍参謀総長、キム・サン モ海軍情報部長、ロ・ジェ ユン陸軍参謀総長、ミン・キュン チョー陸軍少将、シュ・ハ スー空軍本部施設官、オク・マン ホ空軍参謀総長、モン・ユン コ国防部人事局長、再びキム・ジョン ホ軍需局長、ヤン・ボン ジ陸軍本部情報参謀部次長、ことしだけで合計十二回にわたって来日しております。  そこで、防衛庁に伺いたいのですが、韓国軍と自衛隊が相互にこのような交流をする理由についてまず説明していただきたいと思います。
  53. 馬場義郎

    ○馬場説明員 ただいま御質問の自衛官が韓国へ参ります目的でございますけれども、先ほど先生のお読み上げになりましたとおりに研修所の卒業旅行としての現地研修、それから体育競技大会への参加、国防事情の視察研究、それから韓国国軍の日の記念行事への参加というふうなことでございます。向こうから参りますものにつきましてのあり方はほかの者から説明いたさせます。
  54. 水間明

    ○水間説明員 大韓民国のほうから来られます方方につきましては、参謀総長につきましてこちらから招待を申し上げている。それから国防次官もそうでございますが、そのほかはこちらから特に招待を申し上げたということではなく、あちらのほうからおいでになるのをお迎えしたという形でございます。特別に目的を持ちまして計画的に行なっておるという状況ではございません。
  55. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 それでは次に、日本の自衛隊が韓国軍の実態やその軍事情勢をどうして視察する必要があるのか、その必要性についてお伺いします。
  56. 馬場義郎

    ○馬場説明員 お答えいたします。  隣国たる韓国の事情につきましては、わが自衛隊といたしましてもその状況を知って勉強をしておくという必要がございまして、設置法の五条に基づく調査研究並びに教育訓練というものに基づいたもので実施をしているということでございまして、国防問題の研究のために隣国の実情を認識、理解するということでございまして、そういう状況で実施をいたしておるものでございます。
  57. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 それでは反対に韓国軍のほうが日本の自衛隊の状況を視察する必要がどうしてあるのか、その必要性についてお伺いします。
  58. 水間明

    ○水間説明員 お答えいたします。  韓国軍に限らずほかの国の国防省関係の方、やはりいろいろ各国の事情を知りたい、それから儀礼的に訪問するという場合もございます。それらの事情でおいでになるわけでございますが、特にしさいはないものと私ども考えております。
  59. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 どこの国の軍隊でも日本の自衛隊を視察する、こういうことを言われましたけれども、そのこまかい事情はどうなんですか。具体的にどこの国の軍隊がどういう点を見ようとしておるのかお伺いします。
  60. 水間明

    ○水間説明員 特別にどこということなく、諸外国の国防省関係者がまた自衛隊の一般的に非常に広範な範囲でそれぞれの興味のおありになるポイントを視察においでになるという状況でございます。
  61. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 ちょっと具体的に聞きますが、キム・ジョン ホ国防部の軍需局長は昭和四十七年八月に日本に六日間、昭和四十八年の一月に日本に十六日間、それからことしの六月に十日間、こういう長期間の間日本の施設などを視察しているわけですけれども、この韓国の軍需局長がどうしてこんなにたびたび、しかも長期間日本に滞在して日本の自衛隊の実情を視察するのか、その理由その必要性をお聞きいたします。
  62. 水間明

    ○水間説明員 一般に装備関係の来訪目的でおいでになる方は多いわけでございまして、韓国の軍需局長の場合もその例に該当いたします。比較的多いわけでございますが、その特別に多い事情が何であるかは承知しておりません。
  63. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 この国防部の軍需局長のほかに韓国の研究発展司令部の司令官や、あるいは司令部の参謀長、こうした人が来ていますし、これはやはり装備関係幹部の来日というのがこの表を見ても非常に目立っているわけです。そして特に軍需局長は松戸の補給処の視察を行なっているということから見てみましても、日韓両国軍隊の装備の規格を統一化する、そういう研究協議を行なっている、このようにわれわれは見るのですけれども、いかがですか。
  64. 水間明

    ○水間説明員 韓国はわが国にきわめて近い国でございますので、そういう地理的事情がありますために、ほかの国よりやや多くなっておりますが、そういう事情を考慮いたしますと、全体として韓国からおいでになる方が多いということにはあたらないと思います。  それから松戸の補給処の件でございますが、特に松戸の補給処をとらえて装備品の規格統一化というふうにごらんいただくのはちょっとあたらないかと思います。  なお、装備品の規格につきましては、私どものほうで陸海空の装備品の規格を統一するということを進めてきておりまして、韓国のみならず、ほかの国の方もその状況について御説明を参考までに聞かしてほしいということでおいでになります。差しさわりのない範囲で申し上げておりますが、そういう一般の視察の範囲内でございます。特に協議などということはいたしておりません。
  65. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 以上の話を踏まえて外務省にお伺いいたしますけれども、韓国軍と自衛隊が相互に表敬訪問する、それから親善友好の交流をする、相互の軍隊また軍事情勢を視察するということは、これは日本の自衛隊が陸軍、海軍、空軍、すなわち軍隊であるということを認めていることではないかと思うのですけれども、いかがですか。
  66. 水野清

    水野政府委員 私は先ほど来柴田先生の防衛庁の事務当局への御質問を拝聴しておりますが、決して私は日本の自衛隊が陸軍、海軍、空軍に相当するものだというふうには思っておりません。  御承知のように、先ほど事務当局の答弁にも私は不十分だと思って聞いておりましたので、私からも申し上げますが、自衛隊の記念日なぞには御承知のように韓国あるいはアジア諸国、アメリカのようなわれわれと同じ自由主義諸国だけでなくて、共産圏の在日武官も全部御招待を申し上げているようであります。また私の知っている範囲では北海道などで大演習をやる際にも、共産圏の在日の武官の方々もそれに参観に入っておられるようであります。日本の自衛隊というものが、ある意味では決して外国を侵略したり先制攻撃をかけるというような性格のない自衛力であるということを諸外国に認識してもらうためには、大いにそういう行動をとって実質的に自衛隊の中を見ていただいて御理解をいただくということが正しいのではないかと思っております。たまたま韓国の軍の要人の来日だけを取り上げて御指摘をいただきますと、きわめて日韓の間に緊密な連絡があるようにもとれますけれども、そのほかの国々との間にも相互に、日本の自衛隊の在外武官も向こうの記念日その他に招待をされて見ておりますし、あるいは自衛艦隊の海外訪問などもやっておりますし、私は決して行き過ぎたことではなかろうと思います。各国と同じような立場でやっているので、現在の自衛隊法その他に矛盾をしている行動はとっていないのじゃないかというふうに見て、確信をしております。
  67. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 日本の憲法では陸海空軍の保持を禁止しております。そして、自衛隊が軍隊であり憲法違反であるということは、長沼事件の判決を待つまでもなくもう明らかであると考えているわけです。その自衛隊が公然と軍隊を名のっている韓国の軍隊と陸海空それぞれにわたって交流し、視察をし合うということは、韓国軍隊に対応する日本国内における存在、自衛隊が韓国軍隊に相当するものとして日本に存在するということから、日本では政府がいろいろ説明しますけれども、対外的には、憲法違反のこの自衛隊を軍隊である、たとえば韓国の陸海空軍と同じものであるということを宣言することになると思うのですけれども、いかがですか。
  68. 水野清

    水野政府委員 韓国の陸海空軍の要人を視察に迎えるということは、日本の陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊が同じように軍隊であるという宣言とはいささか違うのじゃないか、御指摘でございますがそう思っております。
  69. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 外務省とすれば、韓国軍と自衛隊とのこうした相互訪問、相互視察ということについては当然やらるべきことである、制限する必要はないものである、このようなお考えですか。
  70. 水野清

    水野政府委員 私ども外務省の人間がたとえば外国を訪問したりしましていろいろな便宜供与その他も受けておりますが、また相手国の外交官にも日本に来た際にそういう便宜供与をしております。防衛庁としては、相手は軍という立場でございますが、こちらは自衛隊という、軍隊ではございませんけれども同じような便宜供与をし合っている、こういう立場でのおつき合いであろうというふうに私は思っております。
  71. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 その表敬訪問一つをとって見てみましても、韓国軍と日本の自衛隊との間で行なわれる。たとえば韓国軍と日本の警察との間で表敬訪問し合うということはないということから考えてみても、これはやはり軍隊同士の表敬訪問、相互の視察である、このように見るわけなんですが、いかがですか。
  72. 水野清

    水野政府委員 たびたびの御指摘でございますけれども日本の自衛隊は御承知のように自衛隊法という法律で縛られておりまして、さらに憲法九条によってその行動の制限というものがワクづけられております。韓国の軍の要人が日本に来られて視察をすることは決してそのワクの外に出るものではない、日本のほうも向こうに参りましたときに見てくるということならば、私はいささかもかまわないというふうに思います。共同で軍事演習をやるとか、そういったこととは本質的に違うのではないかというふうに理解をしております。
  73. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 では次の問題ですが、自衛隊と韓国軍の日常の交流ということは明らかになっているわけなんですけれども、その中で韓国国防部の軍事局長、また同じような仕事に関係する韓国軍の幹部がしばしば来日している。そして韓国では、いま韓国軍近代化五カ年計画というものが立てられていると言われております。そしてアメリカではこの軍事援助費が議会において削減され、計画がスローダウンを余儀なくされている。このことはニクソンの外交教書に述べられていることなんです。このほかに、この九月十三日に発表されました米韓共同声明では「米側は韓国が適切かつ相当な軍事援助を必要とすることを認め、韓国側の要求に応じるよう努力することを約した。」こう述べてあります。八月一日の日米共同声明には、朝鮮半島における平和と安定の促進のために貢献する用意があるということを日米双方で確認しているわけです。これらの事実から考えてみますと、アメリカあるいは韓国側から日本に対して、韓国軍近代化計画を援助するようにという要請がある。これも新聞報道などで詳しく言われているところで、当然こういう要請が出されているといまの情勢上思われるのですけれども、そういう事実についてはいかがですか。
  74. 水野清

    水野政府委員 御承知のように、日本の国は外国に対して軍事援助をしたりあるいは軍事的な行動をとるということはできないわけでございます。アメリカと韓国との間に韓国の軍隊の近代化が進められているというようなことは、新聞紙上その他で情報としては知っておりますが、私どもにアメリカ政府から肩がわりをしろとかいったようなことについては全く申し出もございませんし、アメリカ側も、日本の憲法その他の法律の事情から日本にそういうことを依頼すること自体が基本的に無理だということを十分承知しているようであります。
  75. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 田中・ニクソン会談のときにアメリカから、日本が韓国に対して、いま政務次官が言われたような事情を考慮して直接軍事援助にならないという趣旨かと思いますけれども、高速舟艇、トラック、通信機器、こうしたものを援助するように要請があったということが一般的に言われておりますけれども、これは事実でしょうか。
  76. 水野清

    水野政府委員 そういう事実はございません。
  77. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 そうしますと、この高速舟艇やトラック、通信機器などの援助の要請があっても、これには応じないということでしょうか。
  78. 水野清

    水野政府委員 仮定のことでございますが、もし日本側にそういう要請があっても、受けるつもりは全くございません。
  79. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 終わります。
  80. 西銘順治

    西銘委員長代理 渡部一郎君。
  81. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 私は、先ほど御説明がございました件につき、もう少し詳しくお伺いをいたしたいと存じます。  日米原子力協定改正議定書の当委員会における審議の途中、同議定書の内容がきわめてあいまいである点が散見されたため、私は、当委員会委員長に対しまた当局に対し、米国原子力委員会と再交渉の上、適当な措置をとられる旨を要望をいたしました。それに対して先ほど、フリードマン米国原子力委員会国際部長より在米大使館山崎公使あてに発出された書簡が提示されたわけでございます。しかし、この内容につきましてはなおかつ判然とせぬ面がありますため、これについて多少の御質問をしたいと存じております。  私が申し上げましたのは、特に御指摘をいたしました点は、公正の原則、先着順の原則、融通の原則というものであります。この原則は私が名づけたものもございますが、まず公正の原則というものが原子力協定の改正議定書の中に書かれておりますため、公平の原則とは何かを御質問いたしましたところ、先着順の原則があるからであるという御答弁があり、その先着順の原則というものは何であるかをお伺いしたところ、御回答がなく、そしてこのフリードマン書簡の中にそれが明らかに表示されているはずのものになっているわけであります。ところが、ここで書かれている先着順の原則はどういうふうに書かれているかといいますと、「協力協定改正議定書第一条に基づき動力用原子炉の燃料用濃縮ウランを供給するために締結される米国原子力委員会の新しい長期確定量型契約に関し、顧客は、一定量について契約を行なう用意がある場合には、米国原子力委員会の提供可能な濃縮能力の利用に関しては、「先着順」を基礎として他の顧客と競争することとなりましよう。従って、私は、他の顧客よりも早く米国原子力委員会と確定的な契約のための交渉に入り、また鋭意かつ誠実にその交渉を行なう顧客は、一般的に言つて、より遅く交渉に入る他の顧客よりも早く契約を締結することが出来るであろうと確信しております。」としるされております。この先着順は依然としてあいまいであります。それは、早く申し込んで鋭意かつ誠実にその交渉を行なう顧客は比較的早く交渉が妥結するでありましょうというにとどまっており、これでは、不当なる政策的配慮が原子エネルギーの供給に関し、わが国に課せられるおそれがあるのではないかという私の疑問に対して、明快ではないと考えるわけであります。  したがって私は、ここで政府の御答弁として、「鋭意かつ誠実に」というのはどういう程度のものをいうのであるか、この「鋭意かつ誠実に」というのはどのような意味だと解しているのかという、むしろ日本政府側の判断というものを述べていただかなければならぬと存じます。そうしませんと、この書簡は単にアメリカ側の意思を述べたものにすぎず、日本側のこれに対する解釈というものが存在しませんと、実際第一線に立ってウラン輸入の交渉をしておる契約者たちにとっては、非常にあいまいな文書として、契約交渉自体というものに対してたいへんマイナスを生ずるであろうと思うからであります。したがって、ここに書かれている先着順の原則というものは単なる予想をフリードマン氏が述べられているのと同じような形になっておりますから、私は、政府側のこれに対する見解を述べていただきたい、こう思うわけであります。
  82. 野村豊

    ○野村説明員 ただいま先生から御指摘のございました点について御説明申し上げます。  当委員会先生から御指摘のありました点につきましては、鋭意アメリカ政府とその後さらに折衝いたしました結果、いま先生から御披露ございましたとおり、九月十日付をもちましてフリードマン国際部長より書簡を取りつけたわけでございます。その中におきますところの「鋭意かつ誠実に」その交渉を行なうという意味でございますけれども、その意味は、単に将来濃縮ウランの購入を予定しているとの理由で契約の申し込みを行なって、ばく然と交渉に入るというのではなくて、具体的に一定量の買い付けを行なうために誠実に契約交渉を行なうという意味であるわけでございます。そういう意味におきまして、さらにそういった「鋭意かつ誠実に」アメリカの原子力委員会と交渉を行ない、契約について実質的な合意ができれば、そこに先着順ということで優先権といいますか契約が成立するということでございます。
  83. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 重ねてお伺いいたしますが、そうすると、実際にそのウラニウムを使用する計画があり、そして濃縮ウランを買い付けるという実際的な力がある、こういったことが「鋭意かつ誠実」の内容であると考えてよろしいですか。
  84. 野村豊

    ○野村説明員 先生の御指摘のとおり御了解いただいてけっこうかと存じます。
  85. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 参事官が述べられた御答弁でいいわけでありますが、ここのところは政府を代表して政務次官にひとつお答えをいただきたい。
  86. 水野清

    水野政府委員 野付参事官の申し上げたとおりでございます。
  87. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 それでは次に融通の原則でありますが、濃縮ウランを取得いたしました後、取得された濃縮ウランを他に融通するということに関して非常にあいまいでありましたので、私は何回かお伺いしたわけでありますが、この回答はまさに二つに分解されているわけであります。  一つは、契約については米原子力委員会の同意を得た後、契約を譲渡することができる旨しるしてありますが、濃縮ウランそのものについては、委員会の事前の同意なしに譲渡され得るようにここにはしるされております。契約と濃縮ウランと、こうやって分けてあります理由はどこにあるかをお答えいただきたいと存じます。  というのは、すでに日本に受け取られたあとについては、この前のほうの濃縮ウランの融通という形のやり方が適用されるのかどうかということでありまして、契約の譲渡と濃縮ウランの譲渡についての境目があいまいでありますから、お伺いするわけであります。
  88. 野村豊

    ○野村説明員 ただいま先生の御指摘のございますとおり、いわゆる濃縮ウランそのものの譲渡と契約の譲渡というふうに一応分けてあるわけでございます。その境目でございますけれども、一体その濃縮ウラン、つまり契約ではなくて濃縮ウランとは何かということでございますが、その意味は、この書簡の趣旨から申し上げまして、対象になる濃縮ウランが日本にすでに到着しているとかあるいはまた洋上を走っておるあるいは米国内に存在しているとかということではなくて、日本側の需要者にその所有権が完全に移ったという時点において濃縮ウランそのものの譲渡だというふうに解するわけでございます。  なお、補足的に申し上げますと、濃縮ウランそのものの譲渡と契約の譲渡というものを分けたわけでございまして、前者の場合には米国の原子力委員会の事前の同意が要らない、後者の場合には要するというふうになっておるわけでございます。これは御承知のとおり、一般にある契約を譲渡する場合には、契約当事者間で合意があるのが普通でございまして、さらに濃縮ウランに関する契約の譲渡の場合には、単に名義の変更でございますのみならず、その天然ウランあるいは濃縮ウランの引き渡し時期等に関して、契約内容を更改する場合もあり得るかと存ずるわけでございまして、そういった場合には、アメリカ側の原子力委員会にも場合によっては財政的な負担が起こるかもしれないといったようなことから、そういったものにつきましては原子力委員会の同意を要するというふうにいたしまして、それ以外のものにつきましては同意を要しないというふうにしたわけでございます。
  89. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 そうすると、いまお答えを伺っておりますと、フリードマン書簡の裏にもう一つ書簡がありそうな気がして私はしかたがない。というのは、この表面に出てくることは非常にあっさり書かれておりまして、そういったことは不明確でありますね。たとえばいま言われたことの中で、所有権を移転した時期という表現を使われましたね。所有権を移転される時期というものは、「協力協定にもとずくウラン濃縮役務供給に関する契約書(長期確定発注)」と書いた契約書を私はいま手にしております。これは実際に日本の原子力産業の方々向こうから濃縮ウランを買った場合の契約書であると承っております。これは日本語に翻訳されておるものでありますから、原文がどうか私は存じません。しかしこの翻訳されたものを見る限り、所有権を移転する時期というものについては、おたくの御説明では非常に私はあいまいだと思います。と言うのは、この濃縮ウランの引き渡しについては、米原子力委員会の指定する場所、幾つかのポイントにおいてそれを当方が引き取ることになっております。そしてその契約を結んだ時点から濃縮ウランが全部こっちのものかといえば、契約をされた時点でも、実際にでき上がってくる濃縮ウランの量については不確定要素がありまして、あるときは多く、あるときは少なくなるというのは明らかであります。また濃度についても不確定要因があるわけであります。そうしますと、非常に変動幅のある契約になっているわけであります。いまあなたはあっさりと所有権移転の時期とおっしゃいましたけれども、それは一体どこの時点なのでありますか。それは非常にあいまいな御答弁であると思います。
  90. 生田豊朗

    ○生田説明員 所有権の移転の時期でございますけれども、アメリカから濃縮ウランが到着いたしまして、それからさらに加工業者の手に渡るわけでございますが、その加工業者の手に渡りまして実際に使用が可能になった時期で所有権が移転するわけでございますから、その時期というように考えております。
  91. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 そういう答弁でいいですか。
  92. 野村豊

    ○野村説明員 それじゃ重ねて御説明申し上げます。  濃縮ウランについて、原子力委員会の承認なしに日本国内において譲渡できるものは一体何であろうかということかと思いますけれども、その御質問につきましては、この書簡の趣旨から申し上げまして、一般的には対象になる濃縮ウランにつきましては、その所有権が当方に移っているものについては同意が不要であるというふうに解してよろしいと存じます。
  93. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 参事官、いまそれを聞いているのじゃないんですよ。それはわかったんだ。だから所有権の移転はいつなんですかと聞いたら答えられなくなっちゃったのですが、所有権の移転の時期がそんなにいいかげんなことではしようがない。大きな金額のものを買うのですから、いついつですと統一見解が出るようにしていただきたい。それがいま答弁が無理だったら——無理なのはきまっているし、わかっている。これを見てその辺があいまいなのは明瞭であります。ですから、後ほどでけっこうでありますから、それについてきちんとした統一見解を出してもらいたい。ともかく原子力協定のずさんなことは前代未聞なんですから、こういうことが起こるのはやむを得ない。だから後ほど答えられるように約束されたらどうですか。
  94. 水野清

    水野政府委員 御指摘の点ございますので、外務省と科学技術庁との間でよく協議をいたしまして、次回の外務委員会に正確に答弁をさせていただきます。
  95. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 わかりました。それではこの問題はそれでやめておきたいと思います。  その次に、本協定と、こうやって実際的にAECと一つ一つの会社との間に結ばれる契約書とできるわけであります。この契約書の内容は、こういう形で世界じゅうの国と契約を結んでおるとアメリカが言っているのですから、これでやられることだろうと思いますけれども、この契約書を見ると、その融通の原則などというものについては非常にまずいやり方になっておりまして、明らかにこれではできないしかけになっております。ひとつ読み上げてみますと、九条の「解約・停止」というのに、  1、委員会が有することのできるその他のすべての権利の他に、委員会は次の場合、依頼者に書面で通知することにより、政府になんら費用の負担をかけずに、この契約を解約するか、または停止する権利を留保する。   (i) この契約にもとづき、依頼者に引渡されるべき濃縮ウランを所持する依頼者の権利が満了するか、または停止もしくは解約されている場合。 そして(ii)、(iii)、(iv)とありまして、いずれも権利関係について、解約・停止の場合につきましてこれらの濃縮ウラン等につきましては戻すことがきめられております。そのもう少し先に、今度は5というふうに書かれて、   別段の合意がない限り、この契約が解約された際には、解約された濃縮役務実施のために依頼者から引渡されていたフィード物質またはかかるフィード物質を委員会が返還できない範囲では、委員会制定の価格政策に従って委員会の決定するかかるフィード物質と等価値のウランを、依頼者の費用で依頼者に返還する。 となっておりまして、融通するということでないわけであります。返還しちゃう、こう書いてあるのです。だからこれは本協定とこのフリードマンさんの文書とは明らかに違うものでありますね、そうしますと。そうすると、フリードマンさんの文書とは違反しておりますから、違っておりますから、どちらをとるのだということになると思います。そうすると、フリードマンさんのこっちの文書のほうが、明らかにフリードマン書簡のほうが大事なんだと御説明いただくのだろうと思うのです、おそらくは。そうしてこの協定の契約書の中に、政府間協定についてはこの協定に優先する旨がしるされておりますから、それでお話のつじつまが合わせられるのだろうと私は思っております。しかし初めから間違った契約書にサインをして、そのつど紛争をある意味で起こしながら、これはこうだとかああだとか本協定まで持ち出してきて、そのつど契約についての話し合いをし合うような粗末な契約書を結ぶこと自体が非常に将来差しさわりのある問題を招くのではなかろうか。しかも紛争の起こった場合は、仲裁の規定がこれに書かれておりますが、そういう仲裁の規定を持つ契約書というものをわざわざ結ばなければならぬというのは、これはどうかと思うのです。そうすると、これはいかにも何かお粗末な契約書になる。だから契約書の結ぶ内容についてもこれは何とかするべきだという意思表示をするべきではなかろうかと私は思うのですが、いかがですか。それともこういうことは民間団体に全部やらして、おまえらは向こうとかけ合え、こうおっしゃるおつもりであるのか、そこを伺いたい。
  96. 生田豊朗

    ○生田説明員 先生がお持ちのは、アメリカの原子力委員会が最近改定いたしました新しい基準に基づきます契約書の草案であろうかと思いますので、原子力協定とその契約書の草案との関係につきまして、また再度検討させていただきたいと思いますが、ただいま私どもが了解しております限りでお答えさせていただきますと、今回アメリカの原子力委員会が基準を改定いたします前の契約書のフォームに基づきますと、アメリカの原子力委員会から譲渡を受けました濃縮ウランにつきましては、国内で他に譲渡することができないという規定があったわけでございますが、今回の新しいフォームにつきましてはその点が削除されておりますので、私どもはその削除されました点が先ほど来御説明申し上げましたフリードマンの書簡の内容と一致するものと考えております。  それから先ほど先生からも御指摘がございましたように、契約の譲渡そのものにつきましては事前にアメリカ原子力委員会の同意が必要ということになっておりますので、その点の規定が今回の新しい契約書のフォームの中にも盛り込まれている、さように了解いたしております。
  97. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 それでは、いま最後におっしゃった契約の譲渡についてはこれに盛り込まれているとおっしゃいましたけれども、私の拝見する限りでは盛り込まれておりませんし、御説明と幾ぶん相違をいたしております。したがいまして、これについてはもう一回御検討いただき、しかるべく御返事をいただくようにお願いしたいと存じます。それでは原子力はその辺にいたしておきましょうか。  交換公文取り扱いについて申し上げます。  交換公文取り扱いにつきましては、先ほど委員長の御質疑に対し政府側の御意向を代弁されて政務次官お答えになりました。鋭意現在検討中である。結論を得るまでに至っていないが、鋭意検討中であるという御説明であります。どの程度鋭意検討されて、どういうシステムで検討されているかを伺いたい。つまり鋭意検討ということばの中にある実体的なシステムにつき伺いたいと思っております。
  98. 松永信雄

    ○松永政府委員 お答えいたします。  私どもが現在検討を進めております問題点のおもなものといたしましては、憲法七十三条三号に掲げますところの条約、その範囲ないしその根拠と申しますかについて法律的な見解を詰める必要がある。それから戦後新憲法下におきましてずっと行なわれてきておりますところの国会に承認を仰ぐために提出してきました条約の範囲、従来の慣行との関連ということの検討、それから次に行政取りきめとして政府の責任において締結してきております国際約束、これの範囲及び憲法第七十三条第二号との関連におきましての法律的な見解の詰め、これも同じく過去新憲法下において政府が行なってきておりますところの慣行との関連、そういう問題を非常に幅広く実は検討を進めておるわけでございます。
  99. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 これに関してはあと、どういう措置を検討されたことがどのくらいの日数をもってどの段階で検討されればお答えになるのであるかをお伺いしたいと思います。
  100. 松永信雄

    ○松永政府委員 先ほど政務次官からも申し上げましたように、憲法解釈の問題がこれに含まれておりますので、内閣法制局とも十分御相談、協議をしなければならない。その協議の結果がいつごろ結論が出ますか、これは必ずしもこの段階で具体的にお約束申し上げる、見通しを申し上げる段階にございませんので御了承をお願いしたいと思いますが、私どもといたしましてはできる限りすみやかに何らかの結論を得たい、こう考えておる次第でございます。
  101. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 これは政務次官に特に申し上げておきたいのですけれども、いままでの間この問題は、今国会に限らず、行政権と立法権の範囲をどの程度に取りきめるかという問題とも関連し、非常に何回も問題になりながら決定的な見解というのは出なかった問題であります。むしろ率直に言えば、時代とともにこの解釈というものは進歩していかなければならぬ問題ではないかと存じます。といいますのは、アメリカにおいては行政協定の範囲内で、これら重要条約というものを行政協定の形で次から次へきめていく方向があり、それに日本側としては行政取りきめの形で応ぜざるを得ないという事情がありますゆえに、憲法の七十三条の三号及び二号の扱い方をめぐっての解釈というものはそのときどきに進歩的な前進の方向を示していかなければ実質的な立法権の確立というものができなくなってくるという可能性があるわけであります。したがって私は、単に先ほどお話がございましたように、立法関係、司法関係の内閣法制局関係とお打ち合わせするだけでなく、政府及び衆議院の国会両者において扱わなければならぬ問題であるし、その意味でも十分な検討が必要であると思うわけであります。私はむしろ内閣法制局十分協議を要するとわざわざ御説明がありましたゆえに、心配をいたしておるわけであります。というものは、現行の考え方に基づく解釈というものはそれは内閣法制局でもできるかもしれませんが、むしろこれに対しては議院内閣の当事者である内閣総理大臣以下閣僚あるいは政務次官等が積極的にこの問題に介入されて、そして前進的な回答をされることが議会民主主義を守る上できわめて重要な問題になると考えるからであります。この辺を政務次官にぜひとも御検討あるいは御注目をいただきたいと思うわけであります。
  102. 水野清

    水野政府委員 先生の諸外国における一つの趨勢をかんがみての御指摘につきましては大いに参考にしていきたいと思っております。ただ、アメリカその他が実際上交換公文で立法措置を免れて処置をしているということについて日本政府がそのままそれに追随していけるかどうかということもまたこれは立法と行政の間の重大問題でございますので、世界の趨勢を踏まえながら、また同時に国内の法体系というものを乱さないで私どもはやっていきたい、こういう二つの、あるいは相矛盾しがちな条件をいま法制局との間で整理をしている最中でございます。先生指摘の点もあわせてよく勘案をいたしまして早急に結論を出したいと思います。
  103. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 では、金大中事件と関連してのことでございますが、韓国側の言論の様子あるいは国会における質疑等を拝見しておりますと、向こう側の言い分の一つに、国権の侵害、主権の侵害と言うけれども日本側の態度も悪いではないかという議論の中に、樺太、千島列島等に戦争中日本人として居住していた人々が現在日本国籍を失い、韓国人あるいは朝鮮民主主義人民共和国の人民として居住しておる、その問題を日本側が適切に扱っていないではないかという議論があるように見受けるわけであります。すでに私の手元に入ったものでは、在樺太及び北方領土にいるこれらの人々は約四万五千、そのうち帰国を望んでいる人が七千という数字があげられております。こういう関係の問題についてまず最初にどういう認識をされておられるのか、その辺からお伺いしたいと思います。
  104. 水野清

    水野政府委員 渡部先生指摘のように、現在樺太に、まあいまサハリンでございますが、居住しておりまして旧日本国籍を持っておりました朝鮮の方は約四万人というふうに政府の資料でも推定をしております。それで、その国籍については六五%の方が北朝鮮の籍を持ち、二五%がソ連の国籍を持ち、一〇%の方が無国籍であるというふうに私どもは認識をしております。このサハリン在住の韓国人の帰還問題につきましては、日本政府としてはこれまでも人道的な立場から鋭意努力をしてきたことでございますけれども、一九六六年以来継続的にソ連政府意向を打診をしているわけでございます。
  105. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 これに対してソ連政府意向はどういう意向でございますか。
  106. 水野清

    水野政府委員 ソ連政府は、日本を通って朝鮮に、あるいは韓国へ帰るわけでございますが、日本政府の通過許可ないしは入国許可が得られれば出国を許可をする旨公式に回答してきたことがございません。ソ連政府は出国を、要するにサハリンを出ることを希望している朝鮮人がいるとは自分のほうは承知をしてない、サハリンを出たいということについて自分たちは知らぬという回答をしておりまして、そういう点からこの問題の解決は非常に困難な問題だというふうに政府は認識をしております。
  107. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 これに対して二つの立場があると思うのです。その立場から伺っていきたいのですが、これらの方々が自分は韓国人である、あるいは自分は朝鮮民主主義人民共和国の人民であって本国へ帰りたいのだとソビエト政府に申し出てソビエト政府と直接個人としてかけ合うべき問題だというふうに認識をされているのか。こういう立場が一つあるだろうと思うのです。  もう一つは、もとは日本国民であり、そしてそのまま戦争が終わったという関係で現地に居住しているのだから一ぺん日本に送還して日本を通って返すのだというふうに理解をする立場をとって、日本があくまでも責任をとるのだという立場でいかれるのか、その二つは明確でありませんけれども、どちらの路線をおとりになるのか、あるいは両方の路線をとっておやりになるのか、その辺はいかがでございますか。
  108. 水野清

    水野政府委員 先ほど申し上げましたように約四万のうちの六五%の方は北朝鮮の国籍を持っておられます。これらの方はどちらかといえば日本を——これは正確に調べたわけじゃございませんが、日本政府が関与するとかあるいは日本を通過するということについては比較的関連のない方々であろうというふうに推測をしております。これは北朝鮮の政府とソビエト政府との間の問題で解決がつくわけであります。  ただ残りの、これは主として私どもは南朝鮮、韓国政府の治下にある出身地の方々の問題だというふうに聞いておりますが、韓国政府が提出しております帰還希望者のリストは約七千あるといわれておりまして、このうちの千五百名は日本引き揚げ希望しているといわれております。ですから日本を通って韓国へ行くというよりも日本へ帰りたい、そしてこの千五百の方々が先ほど申し上げました一〇%の無国籍、積極的に国籍をとらない方々のうちに主として含まれているというふうに理解をしております。
  109. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 そうしますと日本政府としては、そのいわゆる無国籍の人々を中心としてこれらの人々の日本を経由する帰還あるいは日本に対する移住につきソ連政府と交渉されたことはどの程度おありになるのか、また今回の田中訪ソに関してこれを交渉されるおつもりがあるかどうか、その辺を伺いたい。
  110. 水野清

    水野政府委員 これまでの日本政府のソ連政府に対する交渉の経過でございますが、再三この問題について意向の打診という形でやっておりましたが、特に昨年の一月グロムイコ外務大臣が来日しましたときに当時の福田外務大臣からソ連側の好意的な検討を要請したいきさつがございます。また今度の総理の訪ソにおいてもこの問題は当然議題の一つになろうかと思います。
  111. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 これはいずれにせよ人道的な立場からこの悲劇的な問題に対する処理を早急かつ精力的になさっていただきたいということが私の希望一つであります。それと同時に、韓国政府側に対してこれを御説明を十分していただきたいと私は思っておるわけであります。なぜかというと、いまお伺いしたことだけでも韓国政府側には十分お話が伝わってないんではないか。特にこの帰還を促進されておる方々の間にこの話が伝わってないのではないかと思われる節がございます。また、先ほどのお話によりますと、こういう帰還希望する人たちがいることを承知していないとのソ連側の御説明のようでありますけれども、現在すでに来ておる手紙あるいは文書、その他によっても帰還を熱望されておる方々が相当数いることは明らかであります。こうしたことも、情報を収集していただきまして、これらに対して当たっていただきたいと思うのですけれども、いかがでございますか。
  112. 水野清

    水野政府委員 韓国政府にも、日本政府からこの問題の事情説明は最近十分にやっております。ただ問題は、御承知のように、日本とソ連政府そしてその間に、ある場合には韓国政府が介在し、ある場合には北朝鮮の政府が介在しあるいは日本に帰ってきたい、こういうような希望もこれあり、問題が非常にふくそうしております。ソビエト政府としては日本側の——日本政府としては、私どもは第二次大戦に、日本人のわれわれの先輩でありますが、やった一つのあと始末でございますから、人道的な立場からともかくこの問題の処理に当たりたいと思っておりますが、ソビエト側としては、必ずしもこの問題にこれまでは触れたがっていないような節もあるわけでありまして、問題が非常に錯綜していることは先生にも御理解いただけると思いますが、人道的な立場から今後とも鋭意この問題には当たっていきたい、こういうふうに思っております。
  113. 西銘順治

    西銘委員長代理 この際、暫時休憩いたします。    午後三時三十三分休憩      ————◇—————    午後三時五十三分開議
  114. 藤井勝志

    藤井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。岡田春夫君。
  115. 岡田春夫

    岡田(春)委員 この前の質問の留保された点についてお伺いをするわけですが、その前に、昨日の参議院本会議によりますと、金東雲なる男が現職の自衛官を使って金大中氏をスパイをしておった、こういう重大な事実が明らかになったのですが、この問題についてその後どういう経過になっているか、この真相を簡単でいいですから明らか  にしていただきたいと思います。
  116. 水野清

    水野政府委員 あの事件は防衛庁の自衛官の退職前後の問題だということは新聞紙上その他から聞いておりますが、実は外務省と防衛庁との間のその後連絡がまだできておりません。外務省としては現在まだ何も関知をしてないわけでございますので、担当者もおりませんけれども、明細なことについてお答え申し上げるような事実を持っていないわけでございます。
  117. 岡田春夫

    岡田(春)委員 この問題もこの委員会でも明らかにしていただきたいわけですけれども、おそらく法務委員会その他でこの問題を質問していると思いますので、私のほうはこの点については留保いたしまして、韓国のいわゆる経済援助の経過で、政府側が前回答弁を留保された問題について御質問をいたしたいと思いますが、前回の答弁を速記録で調べてみますと、政府委員としてこのように答えられております。すなわち金鳥工業高校についてこの予算の措置がどうなっているのかという点について私が質問をしたのに対して、「これは御承知のようにいわゆる明許繰り越しという費目になっておりまして、本年度に繰り越されてこれから交換公文を結んで使う、こういうようなかっこうになっております。」とこのように断定をされました。これについて私は「そんなことはないはずだ。本年度の予算には五億六千万円というものがあるはずなんだが、あなたはないとおっしゃるのですか」と重ねて質問をしたら、これに対する答弁として、「私の記憶に誤りがなければ、昨年度の予算の繰り越し分が金烏の工業高校につきましては残っておりますだけでございます。」   〔委員長退席西銘委員長代理着席〕 「それは幾らなんですか。」という私の質問に答えて「その金額はちょっと私資料をさがしてまた後ほどお答えをいたします。」これに対して私が「そんなことはないでしょう。あなたの説明では、第一次分は四十六年度一億三千万、第二次分三億九千万、第三次分、この中に入っているはずですよ。入ってないんですか。入ってないなら入ってないでいいですよ。五億六千万円というのは、あるはずです。」という質問に答えて「その数字そのものには確かに記憶はございませんが、第三次分というものをいま考え交換公文を結ぶ直前の段階までになってきておったことは確かでございます。」こういう答弁が返っているわけですが、やっぱりここで問題になりますのは、一番最初に申し上げた、本年度の予算の中には五億六千万円が計上されておらなくて明許繰り越しという形で本年度に繰り越されておるという事実は間違いがないのかどうか、こういう点の調査のほうの経過をまず伺いたいと思います。
  118. 御巫清尚

    ○御巫政府委員 先般岡田先生の御質問の際に、手元に適当な資料を持ち合わせておりませんでしたもので、私の答弁がはなはだ間違っておりましたり明確を欠きました点をまず深くおわび申し上げます。  先生指摘の明許繰り越しというのは、そういう制度はございますが、本件に関しましてはそういう明許繰り越しの費目ではございませんで、各年度それぞれに計上された予算の中からそれぞれ毎年支出をされるという、要しまするに第六十五回、第六十八回及び第七十一回国会に提出をいたしました昭和四十六年度、四十七年度及び昭和四十八年度各年度の外務省所管の一般会計歳出予算というものの中にそれぞれ各第一次、第二次、第三次の金額が含まれておるというかっこうになっておるという点をまず訂正をさせていただきたいと存じます。  それから、申し上げますと、第一次は一億三千万円、第二次は三億九千四百万円、第三次は五億六千三百万円で、第一次、第二次につきましては、すなわち昭和四十六年度及び四十七年度の二回につきましてはすでに交換公文ができ上がって供与が行なわれておりますけれども、第三次の昭和四十八年度分五億六千三百万円につきましては、交換公文の下打ち合わせをしておる段階で今回の事件が起こったということで、現在のところはまだ交換公文を結ぶに至っておらないというのが現在の実情でございまして、第三次につきましても明許繰り越しではなしに昭和四十八年度の予算の中に含まれておりまして、それは先生がこの前御指摘になりました資料にも若干出ておるのではないかと思いますが、私の手元にございますところの昭和四十八年度外務省所管一般会計歳出予算各日明細書と申します資料の一二ページのところに「経済開発等援助費」という「目の区分」というところにそういう目が書いてございまして、それが全体で四十五億六千五百万円で「韓国工業高等学校設立援助費等」と書いてございます。この四十五億全体が、ここに韓国工業高等学校と申しますのは先ほど来申しておりますいわゆる金鳥という名前をつけました工業高等学校のことでございますが、その他の費用をも含めました総額がここに計上されておる、こういうのが実態でございます。
  119. 岡田春夫

    岡田(春)委員 そこで問題が二つあるのですが、一つは、私があれほどまではっきり本年度予算に五億六千万円が組まれているはずだ、こういうことを再三念を押して、先ほど長く速記録を読んだのですが、これに対してもあなたは明許繰り越しである、そして数字も記憶がない、こういう答弁をされてまいりました。こういう答弁では、国会においてわれわれがこれほどまでに質問を通じて明らかにするということをいいかげんな答弁でごまかされておったということになるわけです。こういう点の責任というのは、やはりはっきりしてもらわなくちゃいかぬ。  それからもう一つは、あなたはいま韓国の工業高校設立援助費というのがこの外務省予算明細書の中にある、こういうふうにお話しになりましたけれども国会に正式に提出をされた予算予算書はこれです。これには全然書いてない。それでは一般の国会審議をやる場合にはこのような資料をもらわない限りは審議はできないわけです。しかもこれは正式な提出資料ではないわけです。そうすると、款項目の項においては経済協力費、目においては経済開発等の援助に関する必要な経費、この項、目、この二つ以外にないわけですから、韓国の工業高校に対するそのような援助費があるということはだれも正式に提出された予算の中ではわかることはできません。こういう点について国会の審議を済ましたからいいんだということでは、われわれ了解できない。議院に提出されている資料の中にはこれは出されておりません。こういう点では、私は国会の審議においてもこういう問題はきわめて重大であると思わなければならない。ここで、大臣がいらっしゃいませんので、政務次官に伺っておきたいと思いますが、いま申し上げた第一点、私が本年度の予算にあると言ったのに、そういうものはないのだ、明許繰り越しであると言ってこれほど断定的に答えられている。こういう点の外務省としての責任の問題は非常に重要であります。国会審議においてこういうごまかしの答弁をされたということでは、われわれは了解できません。  第二点については、款項目の項、目の中にはこのような説明が全然ない。それならば、われわれはそういう問題を具体的にいま言ったように質問をしない限りは、この点はわからないまま総額として承認をしていくということになるわけであります。こういう事態になってまいりました場合に、予算の中に組んであるからいいんだ、交換公文は承認をとらなくてもいいんだ、こういうようなやり方では、われわれは外交問題を審議する場合において国民に対する責任を果たすわけにいかないわけです。こういう点についての見解を政務次官から伺っておきたいと思います。
  120. 水野清

    水野政府委員 まず第一点の問題でございますが、先般の当委員会で御巫経協局長が申し上げましたことは、私は悪意とかごまかしであったとは思っておりません。本人も、うかつな答弁をしたということを後悔をしておるわけでございます。その点はいま申し上げましたように御訂正申し上げましたが、私からも重々おわびをいたしまして、今後こういうことがないように、御巫局長だけでなくて、省内全般によく通達をしておきたいと思います。  第二の問題につきましては先生の御指摘のとおりでございまして、国会予算を御審議いただく際に、確かに款項目のそれぞれの明細につきましては、これは外務省予算だけでなくて、全体問題としてもう少し明細な説明をつける必要があろうかと思います。特に今回の御指摘の点は外務省の問題でございますので、来年度の予算からでも、こういうこまかい点につきましてもなるべく予算書に明細を書き加えますように注意をしていきたいと思っております。
  121. 岡田春夫

    岡田(春)委員 いまの点では私はまだ了解できないのですが、時間の関係もありますので進めてまいりますが、御巫政府委員の答弁を続いて速記録から引用してまいりますが、そのあとで私の質問に、これは最後の質問ですが、答えて、政府委員は「金烏工業高等学校の設立援助予算は全体でもって十億八千七百万円でございます。第一次、第二次、第三次と分かれておりまして、最初の年が一億三千万、第二次が三億九千万、第三次が先ほど申し上げた五億六千万、この三次の計画をもちまして、機械工業科以下十二項目にわたりました援助を行なうことになっております。」云々、こう言っている。私のほうで調べた限りでは、金鳥工業高等学校ですね、これは調査団を派遣した。調査団を派遣したのは、昭和四十五年の十一月の四日からたしか一週間、調査団を派遣したはずです。その調査団を派遣した結果、私はこの前も質問いたしましたが、当初二百六十万ドルであったものが突然に三百十万ドルになった。この三百十万ドル、すなわち日本の円に直すと十億八千七百万円、この金額は、どういうわけで二百六十万ドルが三百十万ドルになったのか。これについて答弁は、物価の問題がございますから云々という答弁であった。これは、御巫さんのこの前の答弁はそうなんです。  そこで、この点をもう少し具体的に伺ってまいります前提として、十億八千七百万円という数字がきまったのはいつなんですか。そして、これは調査団の結果としてきめられたのですか。二百六十万ドルが三百十万ドルになったというのは、調査団の結果こういうことがきめられたのですか、どうなんですか。
  122. 御巫清尚

    ○御巫政府委員 詳細の計数をいま調べてもらっておりますが、おそらく調査団の報告があってそれを検討した上で調査団の報告を尊重して金額をきめるに至ったというふうに考えております。
  123. 岡田春夫

    岡田(春)委員 その調査団の中に外務省からは谷野作太郎、原口幸市、この二人の人が参加しているはずです。それは間違いございませんか。
  124. 御巫清尚

    ○御巫政府委員 外務省からは、当時外務省経済協力局技術協力課の事務官でありました谷野君と、それから当時外務省経済協力局の経済協力第二課の事務官でございました原口君という二人が参加しております。この経済協力第二課というのが無償協力の担当の課でございます。
  125. 岡田春夫

    岡田(春)委員 その十億円というのはいつきまったかという事実はおわかりになりましたか。
  126. 御巫清尚

    ○御巫政府委員 詳細は調べてまた後ほど御返事さしていただきたいと思いますが、第一次の交換公文をつくるときはそのときの金額、第二次の交換公文をつくるときはそのときの金額というふうに、次々と金額を正確にはきめていくというのが普通のやり方のように承知しております。
  127. 岡田春夫

    岡田(春)委員 そんなこと言っちゃだめですよ。あなたのところの資料、ここに出ているじゃないですか。ここに十一月の第一次調査団が行くときの資料は二百六十万ドルという数字で出ているじゃありませんか。第一回目は幾ら、二回目は幾らなどということはここには書いてないですよ。  そればかりじゃありませんよ。これはことしの九月四日付、経済協力第二課、この報告書。題は「金烏工業高等学校設立援助について」、この中にはっきり書いてあるじゃないですか。金額は、「本計画実施に要する資金は外資三百十万ドル及び内資三百二十四万ドルと見積られ、」云々と書いてある。そういう点の答弁も、あなた——いまの答弁では、政務次官どうですか、納得できますか。ここまで書いてあるのだから。
  128. 御巫清尚

    ○御巫政府委員 各品目のいろいろな積算をいたしまして、正確に何円何銭ということをきめるのは、交換公文の段階であるというふうな御説明を申し上げておるつもりでございまして、その前にこの資料にございますように三百十万ドルとかその他の内資が三百二十四万ドルというような見積もりというようなものは概算をされておるということでございます。
  129. 岡田春夫

    岡田(春)委員 それはいつですか。調査団が行ったとき、きめたのでしょう。違うのですか。調査団はそんなことも調べないで、行って帰ってきたのですか。それでは、調査団が行ったとききめなければ、調査団は何のために行ったのですか。それじゃ、そういう数字もきめないで帰ってきたのですか。
  130. 御巫清尚

    ○御巫政府委員 調査団は、申し上げましたように大体何百万ドルというような概数を考えてそれを報告するというふうになるわけでございますが、それからさらにそのときの実際の品物の金額であるとかいうものを積算して、正確にだんだんと金額が積み上がっていくということになるわけでございます。
  131. 岡田春夫

    岡田(春)委員 そうじゃないのでしょう。御巫さん、あなたはそのころこの担当局長をやったかどうか知らないけれども、三百十万ドルがきめられたのは四十六年の四月にきめられたのでしょう。そうでしょう。
  132. 御巫清尚

    ○御巫政府委員 私の手元にございます資料、昭和四十六年一月の調査団の報告書でございますが、これによりますと二百六十万ドルという数字を出しておりますが、その後さらにこの金額をいろいろ計算して積み上げたと存じますが、それがいつきまったか、私の手元に目下資料がございませんので、また調べた後御報告をさしていただきたいと思います。
  133. 岡田春夫

    岡田(春)委員 政務次官、どう思われますか。国会が終わって質問できないときに、調べたから御返事する。私、この間から三百十万ドルにどうしてなったのだと再三聞いているじゃありませんか。こういう点を調べもしないで、いまそういうような御答弁では、私は国会を侮辱していると思うのですよ。そう思わないですか。しかも二百六十万ドルという事実はお認めになった。三百十万ドルという数字についてはまだはっきりおっしゃらない。これは昭和四十六年の四月ですよ。私の調べた限り、間違いない。二百六十万にするか、五十万ドル積み上げるかどうかという、そういう問題について、現地に調査団が行って三百十万ドルにしたのですよ。そして四十六年の四月にきめているのです。これは間違いないが、どうです。
  134. 御巫清尚

    ○御巫政府委員 四十六年の四月にきめたかどうか、ちょっと手元に資料がございません。
  135. 岡田春夫

    岡田(春)委員 それではこの点は伺っておきましょう。二百六十万ドルがあったというのは事実だ。それが三百十万ドルになったというのも事実だ。五十万ドルの開きができた。これについて、あなた、この前こう言った、韓国の物価の問題でこのようになりましたと答えた。これはうそですよ、あなた。全然うそですよ。なぜならば交換公文を見てごらんなさい。韓国の物価によってこれは変わるのじゃない。現物給与ですよ。日本から品物を持っていくのに、韓国の物価が上がったから上がるのですか。日本の物価の変化によって云々と言うのならまだ理由はわかる。現物給与ですから韓国の物価の高騰によって五十万ドル上がったのではありません。これはあなた、はっきり取り消すなら取り消しなさい。
  136. 御巫清尚

    ○御巫政府委員 韓国の物価と申し上げたとすれば、誤りでございます。御承知のとおり、内資分と申しますか現地通貨分とそれから日本から供与されるいわゆる外資分というふうに分かれておりまして、日本から供与するものにつきましての数字がいまの数字でございますから、物価の変動というものによって影響された部分は、外貨につきましては日本の物価の変動、内資分につきましては、もちろんおそらく韓国の物価の変動が加味されたかもしれませんが、いまの二百六十万ドルと三百十万ドルの差が物価の変動であるとすれば、これは韓国の物価ではない……。(岡田(春)委員「それでは、あなた、全部取り消しますね。」と呼ぶ)取り消させていただきたいと存じます。
  137. 岡田春夫

    岡田(春)委員 政務次官もよく聞いておいてください。あなた、明許繰り越しも違う、物価も違う、全部違う答弁をしているじゃないですか。これじゃ国会審議を軽視していると言ってもこれは過言じゃないじゃありませんか。全部でたらめの答弁だったということですよ。二百六十万ドルというのは政府の案として二百六十万ドルの数字がありますね。これがあるのは事実であることはお認めになりましょう。これは再度確認しておきましょう。   〔西銘委員長代理退席、委員長着席〕
  138. 御巫清尚

    ○御巫政府委員 先ほど申し上げました四十六年一月の報告書の、勘定いたしまして報告をいたしました数字は二百六十万ドルと……。
  139. 岡田春夫

    岡田(春)委員 これは総額ですね。総額二百六十万ドルですよ。
  140. 御巫清尚

    ○御巫政府委員 工業高等学校に要する費用の総計のうち、いわゆる外資分と申しますか、つまり外貨を要する部分が二百六十万ドルと若干でございます。
  141. 岡田春夫

    岡田(春)委員 総額二百六十万ドルというものが、これは十一月の調査の段階において政府の案としてあった。ところがいつの間にか三百十万ドルになった。この三百十万ドルがいつになったかはわからない。しかし、これは当然二百六十万ドルに該当する外資の分、それが何らかの理由によって三百十万ドルになったものであるということはこれは御答弁いただけるでしょう。外資分の総額としてそれは御答弁いただけますね。
  142. 御巫清尚

    ○御巫政府委員 この報告書に掲載されました案から後に変化して三百十万ドルまでに変わっていった。
  143. 岡田春夫

    岡田(春)委員 それは総額ですね。
  144. 御巫清尚

    ○御巫政府委員 総額でございます。
  145. 岡田春夫

    岡田(春)委員 そこで総額三百十万ドルというものを日本が差し上げましょうということを合意したことは閣議の決定ですか、省議ですか、何ですか日本では。
  146. 御巫清尚

    ○御巫政府委員 その点につきましては先ほども申し上げましたように、あとは各交換公文をつくるたびにこまかい金額がきまってまいります。その総ワクの三百十万ドルをきめるということは、いつどうやってきめたかということは、手元に現在資料がございませんので御報告できませんが、交換公文はそれぞれの段階できまっているというととでございます。
  147. 岡田春夫

    岡田(春)委員 しかし、あなたおかしいじゃない。隣に課長がおられるなら課長に答弁をしていただいたほうが、足の痛いのが気の毒で私はあまり言えないのだが、課長から答弁していただいてけっこうですが、三百十万ドルを払うということは、差し上げましょうというのは調査団の結果として、——端数の数字なんかはあるかもしれない。しかし、概算総額としてはそれだけは差し上げますということは日韓両国において合意したんでしょう。合意したんじゃなかったらあなたわからないじゃないの。合意してなければこれは話にならぬじゃありませんか。足痛いので気の毒だから、課長答えてください。合意したんでしょう。合意したのじゃなかったら韓国はわからないじゃないの。
  148. 御巫清尚

    ○御巫政府委員 その三百十万ドルにきまりました時点等につきまして現在資料がないということも先ほどから申し上げましたが、それをどうやってきめたかは、もちろんその資料を手元に持ってまいりませんとわかりませんが、それをきめる際にはもちろん韓国側とも協議をしておることと存じます。
  149. 岡田春夫

    岡田(春)委員 もう一度、政務次官いいですか、二百六十万ドルという日本の案を持っていったのです。ところが、二百六十万ドルでは、調査団があれしたけれども、なかなか向こうは合意しないわけだ。三百十万ドルということで合意されたわけだ。これは当然合意があったと見なければならない。それは日付はいつであるかは知らないが、合意があったと見るべきだと思うが、これはどうですか。政務次官どう思う。
  150. 御巫清尚

    ○御巫政府委員 この四十六年一月に作成されました報告書はこのとき参りました調査団の報告書で、その中に記載されております。先ほど申し上げました二百六十万ドル等々の数字は、韓国において調査団が調べて、韓国側から韓国の計画を聴取して、そして書いた数字でございまして、それを今度はこの報告書日本政府が受け取りまして検討して、その間の若干の物価の変動等があればそれについてまた韓国と連絡しながら金額等をきめていく、こういうような経過をたどったものというふうに考えられます。
  151. 岡田春夫

    岡田(春)委員 そんな答弁じゃ困るんですよ、あなた。二百六十万ドルは韓国側の資料に基づいてそういう数字が出てきた。じゃ二百六十万ドルでも日韓両国において合意はできたわけですね。ところがあなたの答弁聞いていると、それにもかかわらず日本のほうの事情によってそれを五十万ドル引き上げてそうして三百十万ドルにしたかにも聞こえる。ますますこれは朴正煕大統領選挙にたいへん関係があるなという御答弁と私は感ずるのですが、そういう意味ですか。
  152. 御巫清尚

    ○御巫政府委員 韓国におきまして調査いたしました調査団の報告書の中に載せられました韓国側の案と申しますか、韓国の計画案というふうにこの調査報告書には書かれていますが、二百六十万ドルあったわけでございますが、その後、これは先生指摘のような時期に調査が行なわれたわけでございますが、その後の日本におきます物価の変動等によりまして、これを値段を変えざるを得ないものが出てきたということではないかと存じます。
  153. 岡田春夫

    岡田(春)委員 こういう答弁じゃ私納得できません。あなたやはりあとの機会に、なぜ二百六十万ドルが三百十万ドルになったのか。こういう点についてはあなたの御答弁をいま二回伺ったが、それはもっぱら日本の国内事情によるかのごとき御答弁である。それが真相がそうであったのかどうなのか。三百十万ドルになったというのはこれはいつの日かわからない、しかし何らかの形で三百十万ドルになったことは間違いない。二百六十万ドル総額プラス五十万ドル、これがなったことは事実である。その事実はお認めになるでしょうね。それが時期としては調査団の結果としてそういう数字が出てきた。なぜならば、二百六十万ドルという数字調査団が持っていったのですから、少なくとも二百六十万ドルまでは総額として日韓両国の間の合意があったことは間違いないでしょう。どうなんですか。
  154. 御巫清尚

    ○御巫政府委員 先ほどから御答弁申し上げていることにあるいは間違いがあったかもしれませんが、この二百六十万ドルという数字は、この調査団が調査をいたしましたときに、韓国側の計画案という数字で出されてきた数字でございまして、それを調査団がその報告書に掲載したということは、あるいはとりようによっては調査団もそれでいいと思ったのかもしれませんが、その辺のところは私つまびらかにいたしません。しかし、それによって日韓間の合意がそこにあったというふうにとることはできないのではないかと思われますが……。
  155. 岡田春夫

    岡田(春)委員 どうして。二百六十万ドルについては韓国の資料に基づいて日本政府数字をつくって調査団に持たしたのでしょう。二百六十万ドルは差し上げますよ——三百十万ドルの問題は別として、二百六十までは上げますよという合意が日韓両国の間にあったのは事実でしょう。そうじゃないのですか。それは事実でしょう。そこにも書いてあるじゃないですか。それは総額の合意があったのでしょう。
  156. 御巫清尚

    ○御巫政府委員 日本側で二百六十万ドルというものをつくって持っていって、韓国がそれを計画案として載せたというのではなくて、韓国が自分のほうの計画をるる調査団に説明して、これが外資分としては二百六十万ドルになるという、この所要資金使途別内訳の合計を見ますとそういうふうに書いてある、こういうふうに……。
  157. 岡田春夫

    岡田(春)委員 じゃお伺いしますが、二百六十万ドルはあなたがいまおっしゃるとおりなんだ。韓国のほうの数字で、それに基づいて日本のほうも調査団が二百六十万という数字を持っていったわけだ。二百六十万に関する限りは日韓両国で合意があったわけでしょう。それだけでは足りないからもう少し積み上げてくれというので三百十万になったのでしょう、そうじゃないですか。
  158. 御巫清尚

    ○御巫政府委員 日韓の合意とおっしゃるとたいへん……(岡田(春)委員「合意じゃないですよ、韓国から出された数字だ。」と呼ぶ)韓国から出された数字でございまして、調査団が調査した結果をこの報告書に載せて日本政府に報告をしたということでございます。
  159. 岡田春夫

    岡田(春)委員 日本政府はどうしたのですか。
  160. 御巫清尚

    ○御巫政府委員 日本政府は、それを受け取ってさらに検討する、これが普通の調査団のやり方でございますが……。
  161. 岡田春夫

    岡田(春)委員 それを三百十万ドルに日本政府が決定した、こういうわけですか。
  162. 御巫清尚

    ○御巫政府委員 日本がこの報告書検討した結果どういうかっこうで三百十万ドルということを決定したのか、その辺は資料がございませんのでつまびらかにいたしませんが、大体の概数をそこではじいたというふうになると思います。
  163. 岡田春夫

    岡田(春)委員 時間もないからあれしますが、三百十万ドルは、そうすると、政府のほうでこれを上げましょうということにきめたわけですね、そういうことですね。
  164. 御巫清尚

    ○御巫政府委員 その段階では、韓国とももちろん相談していると思いますから、全体の金額がこのくらいという規模がきまったというふうに考えます。
  165. 岡田春夫

    岡田(春)委員 そうしたら、やはり韓国が二百六十でいいというのに、日本のほうで三百十上げます、こういうことをきめたわけだ。日本政府として三百十上げますよ、五十プラスします、そういうことをきめたというわけですね。事情はどういう理由かは別ですよ。そういう結果になりますね。
  166. 御巫清尚

    ○御巫政府委員 金額がそこで変化したということは確かだと思います。
  167. 岡田春夫

    岡田(春)委員 そこで、あなた、三百十万ドルを日本政府が上げるということにきめたということは先ほど答弁されましたね。それはいいですね。
  168. 御巫清尚

    ○御巫政府委員 いかなる決定がいかなる時点で行なわれたかということについての資料を持ち合わせないということを先ほどから申し上げておるわけでございます。
  169. 岡田春夫

    岡田(春)委員 しかし、政府がきめたのは間違いないでしょう。
  170. 御巫清尚

    ○御巫政府委員 こういう大きな計画をやりますときに、大体の見当をきめるというようなことはよくやることですが、そういうような見当をつける程度のきまり方はあったかというふうに存じますが、その辺はさらに詳細を調べさしていただきたいと思います。
  171. 岡田春夫

    岡田(春)委員 それではこれはお調べいただきたいのですが、閣議の決定なり閣議の了解なりそういう手続を経てそういうことをおやりになったには間違いない。韓国では二百六十万ドルと言うのに、三百十万ドル上げましょう、こう言うのだから、韓国のほうにはそれを拒否する理由は全然ないですよ。二百六十でいいのですと言うのに三百十上げますというんだから、オーケー、オーケー待ってましたですよ、それは常識じゃありませんか。合意があったことは間違いないですよ。
  172. 御巫清尚

    ○御巫政府委員 その点どういう形で決定が行なわれたかどうか、私、現在資料を持ち合わせてないというふうに申し上げておるわけでございます。
  173. 岡田春夫

    岡田(春)委員 しかし、おかしいと思いませんか、政務次官もそばにおるのだけれども……。二百六十万ドルでいいですと韓国のほうが言ってきた。それに対して調査団は二百六十万と言った。二百六十万と言ったのだけれども、どういう事情か事情はわからぬ。しかし、三百十万ドル日本が今度上げると言った。二百六十万ドルに関する限りは日韓両国の間に合意があったと見られるのですよ。当然でしょう。向こうから出してきた数字を、日本調査団が二百六十万ということで持っている。今度日本政府の段階になったら三百十がいいのだということになった。そこで何らかの総額についてきめたと思われるという答弁をいまされておる。きめたのでしょう。きめてなかったら、あなた、おかしいですよ。そういう点での答弁は一体どうなっておるのかということです。おかしいですよ。
  174. 水野清

    水野政府委員 ただいまの御巫局長の説明にちょっと不十分な点があったと思いますので、私から申し上げますが、工業高校の援助は、第一次分、第二次分、第三次分と三回に分けて計画が進められております。御承知のように、第一次分と第二次分は、閣議を経まして交換公文で約束が済んでおります。三次分は、日本側予算には先ほど御指摘のように計上されておりますが、まだ閣議を経てもございませんし、韓国側に対してまだ約束をしていない段階でございます。それは先ほどから事務当局の説明を聞きますと、韓国側は二百六十万ドルで工業高校の諸設備が、これは外資分でございますが、完成できるというふうに思っていましたが、日本調査団が現地へ行っていろいろ見てきた結果では、それだけでは韓国の要望するような諸設備は物価の問題その他があってできないということで、日本側は総額三百十万ドル必要だという判定をして、総額においてそういう予算を計上している。しかし、これは両者の間でまだ交換公文も済ましておりませんし、また閣議の決定もされてない、こういう段階でございます。
  175. 岡田春夫

    岡田(春)委員 そこは、私の最後の質問にしておきますが、三百十万ドル日本のほうが上げましょう、こう言うことは、二百六十万ドルでいいですと韓国側が言ったのに、三百十万ドル上げましょうということになったら、韓国はこれは拒否するとは考えられませんね。そうでしょう。何らかの形でその合意があったと考えなければならないと思うが、これはどうですか。
  176. 水野清

    水野政府委員 要するに、これは物の援助でございますから、たとえば機械について、ABCという機械を向こう側の算定は低く見積もってあった。機械を物でくれ、こういうことでございます。ですから、金額にしますと二百六十万ドルが三百十万ドルにふくれ上がったわけでございますが、機械の品目のリストからいくと、内容は変わらない、それが日本側としては三百十万ドル所要である、こういうふうな考え方でございます。
  177. 岡田春夫

    岡田(春)委員 それではあとで出してください。二百六十万ドルのときの品目と、数字も出ているのですから、三百十万ドルになったときの品目と一致しなければならない。あとは物価の違いによって変わったのだ、こういう御答弁ですから、そういう資料お出しになれますか。内容が変わったんでしょう。
  178. 水野清

    水野政府委員 考え方として私はいま申し上げましたので、たとえば機械がAという機械が同種類のBという機械に変わっているかもしれません。あるいは台数が一台か二台ふえているかもしれませんが、考え方としてはそういうことでございます。
  179. 岡田春夫

    岡田(春)委員 私もうこれで終わりますけれども、総額を何らかの形で三百十万ドル、あるいは当初においては二百六十万ドル、それの合意があったというわけですよね。合意なくしてそんなことはあり得ないでしょう。そうでしょう、どうですか。
  180. 水野清

    水野政府委員 合意といいますと、政府政府の間の交換公文とか、そういうことでなくて内々の打ち合わせとしてこれだけがほしい、それだけはそれじゃ供与しよう、こういう意味の合意ならばあったわけでございます。
  181. 岡田春夫

    岡田(春)委員 あったというのはどういう方法で合意されたかですね。あるいは交換公文でなくて口上書もあるでしょう。いろいろな方法があると思う。そういう点が日韓両国で合意しなければ調査団を出した意味もないし、韓国のほうだって不安でしようがないですよ、幾らくれるのだかわかりませんでは。何らかの合意が行なわれたということは事実だと思うのです。私はそこで問題がある。いいですか、そこで何らかの形の合意があったとするならば、だから条約局長が先ほどから盛んに気にしてうしろから耳打ちしているのはそれなんだ。いいですか、金額については昭和四十六年の四月に合意された総額が三百十万ドル。四十六年の四月の予算に組まれているのは一億三千万円、交換公文に基づいて。その差額はどうなるのですか。その差額というのは、これだけはあげますよといって合意をしておきながら、それについてその全体の合意についての国会に対する承認をとってない、そこに問題がある、そうでしょう。カンボジアでプレクトノットというところに電力開発をやった。これは四カ年計画だ。それも全体の総額についての協定の予算というのは国会の承認をとってある。それは当然の話でしょう。それと同時にこの予算上計上をしている、プレクトノットの場合においては。これがほんとう国会に対する承認の件じゃありませんか。いまの数字からいくと、条約局長の前回の答弁の例からいくと、金額については国会の承認をとってある。その点に関する限りは交換公文をつくったけれども、この交換公文は承認をとる必要はない、こういうことがいままでの答弁だった。ところが一億三千万円の予算を組んだ分は、いま言ったような外務省の解釈どおりに一応私は認めるとしましょう。一億三千万円はいい。十億何がしから一億三千万円というのを差し引いた残り八億七千万円、この金額については合意をしておきながら、予算上の計上もしないで総額を合意したという問題について国会の承認をはかっておらないとするならば、これは明らかに国会の審議権をじゅうりんしたことになるじゃないか。その証拠にカンボジアの例をごらんなさい。カンボジアは四カ年計画でプレクトノットという協定を国会の承認をとって、しかもその上に四カ年計画だから予算上第一次年次は何ぼだということを予算の上に明らかにしている。こういう点から見ても韓国の今度の問題について、第三次のときにおいてまだきまっておらないが、これは予算の中に組まれているから、これを予算に基づいて五億六千万の交換公文を出したらそれでいいのだ、そういうものではありません。初めに約束した、その約束の総額について国会の承認をとるべきですよ。そうしなければ筋が通らないでしょう。こういう点の法律解釈まで含めて、私はきょうの御答弁では納得ができません。いつ三百十万ドルになったのか。その理由はどうなのか。そして三百十万ドルについては日本の国内においての閣議の承認が、あるいは手続があったのか。そして韓国との間にどういう合意が行なわれたのか、それは口上書であったのか、何であったのか、こういう点を私は詳しく聞きたいわけです。そうでないとこれは審議になりませんよ。そういう点をはっきりしていただくために、私は今国会の質疑はもうきょうで終わりになりますけれども、あと閉会中であろうが、次の国会であろうが、私が外務委員でなくてもかわって来てこれを伺いますよ。この点はひとつはっきりしていただかないと、こういう形であいまいにされることは私は了解できません。こういう点は誠意をもってお調べをいただけるかどうか。そして先ほどからの答弁を聞いていると、明許繰り越しも間違っておりました。韓国の物価騰貴の関係も間違っておりました。これでは国会の答弁にならないわけですよ。もしそういう国会の答弁でそのままにしたら、私はごまかされたままでそれは素通りするわけじゃありませんか。そういうことで私は了解できません。そういう点に誠意をもってお答えいただけるかどうか。これは担当局長よりも政務次官にはっきり伺っておきましょう。
  182. 水野清

    水野政府委員 先ほど来の先生の御質問に対しまして、私どもは誠意がなかったとは思っておりませんが、非常に不十分な答弁が続いて、御理解をいただけなかったことは私どもの不備であったと思っております。また御巫局長の前委員会における答弁が不十分であったことも私からおわびを申し上げますが、閉会中の審査か、いずれかの時期におきまして今度は省内きちっと整備をいたしまして、先生の御質問に正確に答えられますように、準備をいたしまして当委員会に臨みたいと思います。きょうのところはこれでお許しをいただきたいと思います。
  183. 藤井勝志

    藤井委員長 本日は、これにて散会いたします。    午後四時四十八分散会