○御巫
政府委員 御指摘の点、一々ごもっともでございまして、私どももそういう点をいろいろ考えながらいままで構想を進めてきたわけでございます。
まず第一番目に、WHOという
世界的な保健機構がございまして、これが各地で活躍をしているということは御指摘のとおりでございまして、この機構を
最初から相談いたしますときに、WHOの人と常時連絡をとって、WHOの事業と重復しないような分野でもってこういう機構をつくっていこうということが常に頭の中に置かれておりまして、現実にも毎回の作業部会その他
会議、それから開発閣僚
会議までにもWHOからオブザーバーが派遣されて、この審議の次第を注視して、彼らも私どものやり方について賛意を表明しておるということになっておる点をお答えしておきたいと思います。
それから加盟国の問題でございますが、新聞に出ておりました十カ国というのは、要するに東南アジア開発閣僚
会議のメンバーでございまして、たまたま東南アジア開発閣僚
会議というものが、現在ビルマが代表をまだ送ってきておりませんが、一応東南アジアの範囲の中には入っておると考えておりますので、
日本も含めて十カ国になるわけでございますが、そのメンバーの間の相談ごととしてこういう機構をつくり、今後この条約ができまして、この機構が独立して動いていく場合に、新たにこの機構にどういう国が加盟していくかということは、その機構そのものが将来決定していくべき問題であろうかと思いますが、東南アジアと私どもが従来そういう字を使います場合に、
中国とか韓国とかいうものは通常その対象の中に入っておらない。それならなぜ
日本が入っておるのかということになるわけでございますが、これは
日本が東南アジアにおける経済開発、社会開発ということの相談相手になるという
意味で
日本が入っているというふうに御理解していただければよろしいかと思います。
それから事業の
内容、それとともにまた予算の点でございますが、大体いま考えております事業は、まず医療関係の情報センターというものがかなり重要な事業であろう。これはまだ東南アジア諸国では、こういう情報センターというものはどこでも経験がございません。
日本だけがございますので、
日本の医療情報センターというものがまず東南アジア向けのサービスをやるというような
意味で、これだけは
日本がまず先立って事業を開始できるようにしようじゃないかというので、目下準備をしているところでございます。そのほかにはお医者さんであるとか看護婦でありますとか、あるいは医療関係の医師等の養成ということが大きな事業の一つになると思います。そのために研修、研究センターというようなものを各地に設けたいと考えておりますが、具体的にどういう場所でどういうものをつくるかというような点の詳細まではまだ何もきまっておりません。この条約の作業が終わりました段階で、これから
各国寄り寄り相談をしてどんなふうにしていくかきめてまいりたいと思います。
そういうわけでございますので、予算もどの程度のものになるかという点はまだはっきりきまっておるわけではございません。
各国の分担金もどの程度の規模になるかというような点もきめているわけではございません。ただ
日本がかなりの金額を負担するという意向を、
日本としてあるいは私どもとして考えておるという程度にすぎないわけでございます。
それから大病院を建設するかという御指摘でございますが、まさに御指摘のように、大きな病院で金持ちだけが入ってくるというようなことをねらっておるものではなくて、むしろ東南アジアで欠けているところの医者とか看護婦とかそういうものを養成して、漸次いままでの無医村とかそういうところへこれが散らばって仕事をしていくような方向で仕事をやっていきたいというふうに思っておるわけでございます。
それからお医者さんのライセンスの関係は、これは河上先生も御存じのように、
各国がそれぞれ非常にむずかしい基準を持っておりまして、
日本のお医者さんが東南アジアで必ずしも直ちに治療ができるというようなことにはならないし、また
各国でも同じようなことになるわけでございますが、ただ研究、研修というような、つまり一般開業医の医療の妨害にならないような範囲では従来も
日本のお医者さんが進出して、各地のお医者さんにそういう研究を指導するとか、研修をやるとかいうようなことは認められてきてもおりますし、今後もこの機構の中で活動する限りは、
日本のお医者さんが活動できるようにお互いに約束をしながらやっていきたいというふうに思っております。目下のところ直ちに
日本のお医者さんが
日本の医師の免許を持って外国へ行って、一般開業医と一緒になって治療に従事するというようなことはこの機構の中では考えておらぬということでございます。
大体御
質問の点にお答えいたしたかと思います。