○清水
政府委員 いまお尋ねいただきました件は、海外子女教育の問題といたしまして、非常に重要な点であるというふうに感じております。
お話の点でございますが、これは小中の場合とそれから高等学校の場合、それから公立の場合と国立及び私立の場合と、また
考え方というか、スタンドポイントを少し変えて
考えなければならぬ、かように
考えているわけでございます。
しかし、先生がおっしゃいました冒頭の言語障害等によります自閉症等にかかる、こういう問題につきましては、すでに海外子女の教育の研究協力校の研究結果からも報告されておりまして、これをどういうふうに持っていったらいいかということにつきましては、なおその研究校で
検討中でございますけれ
ども、一つの方法といたしまして、現在とられておりますのが、海外子女教育財団と、それから御承知のとおり、端的に申しまして、ファミリースクールというのがございます。これは教育心理学者の波多野先生がやっておられる学校でございます。そこで、帰ってきた場合に、
日本語をある期間教えてからそれぞれの正規の学校へ行くというのが、海外子女教育財団で一つとられております。
それからもう一つの研究結果からまいりますと、これは東京都の渋谷の区立のほうでの一つのいい例でございますけれ
ども、初めから別のところへその生徒だけ入れてしまうというのはかえって
日本の生活、風土への復帰がおくれたりあるいは
日本の児童生徒との人間関係、こういう点からどうか。そこで普通の学級に入れまして、そして在来からおります
日本人のこちら側の児童生徒との人間関係もはかりつつ、
日本語等につきましては特別教育活動として別個に教えてまいる。こういうほうがあとの運営がうまくいくのではないか。
それから一方そういうことによりまして、特別教育活動をやります場合に、頭から
日本語、
日本語ということではなしに、せっかく身につけてきました英語なら英語等のものを加味しながら、徐徐に
日本語に特別教育活動で持っていくというのが効果があるのではないか。こういうことがとられておりまして、そういう点が一つ教育方法論として推奨をされておる点でございます。
それから行財政上の措置の問題でございますが、国立につきましては先生御承知のように小学校、中学校について国立の東京学芸大学の大泉のほうに特別学級を小学校につきましては四、五、六各学年に一学級ずつ定員十五名、それから中学校につきましては、一、二、三学年それぞれ各一学級定員十五名、それから神戸大学の付属の住吉中学に一学級一、二、三、これは中学でございますが、設けておりまして、九十名のワクを持っておるわけでございます。
小中につきましては以上でございますが、なお私
どもの
立場としましては国立のほうで付属で、たとえば小学校等をもう少しふやせないかということをいま所管の大学局と相談、
検討中でございます。
それから、いまお話が出ておりましたが、小中の場合におきましては、これは帰ってきた場合義務教育がもろに適用されるわけでございまして、私
どものほうといたしましては昭和三十五年以来県教委に向けまして、公立の場合でございますが、帰ってきた場合には原則としてその年齢相当学年に編入すべきものである、そういうたてまえである。ただしいまお話しのように、言語等の問題で困る場合には
保護者と相談の上、ある時期低学年に入れるとか、あるいはまた別のところにやってまたもとの年齢相当のところに戻るとかいう措置をとってもらいたい、こういうふうに義務教育につきましては指導をいたしております。
それから高等学校の場合とそれから国立、私立の場合につきましては、高等学校、公立も同じでございますが、これは義務教育でございませんので、試験を取っ払えということはこれは私
どもの
立場としてもまた制度としても申し上げにくい点でございます。それで、しかるべきところへお入りをいただくということでございますけれ
ども、最近に至りまして、ことしからとった措置としましては、現地の中学三年なら三年が、現地からこちらの本土の高等学校に申し込みをいたしまして、直接選考試験を受けて入学を許可する、こういうようなことを始めたわけでございます。若干の県の公立につきましてはそれが実施をされました。
それからまた帰ってきた場合の途中進学の場合でございますが、都立につきましては、普通でございますと夏休みにこれまで欠員がある場合にやっておったわけでございますが、特殊事情のある場合につきましては、まだ十分ではございませんが、年三回試験をやって入れる、こういうふうに協力をいただいておる点でございます。
しかし高等学校の受け入れ
体制につきましては、御
指摘のとおり十分でもございませんし、また国立大学にそういう受け入れがないということで、これまた何とか実現をしたいという意欲のもとに大学局と相談をいたしておるところでございまして、今後とも御鞭撻をいただきまして充実を期してまいりたい、かように
考えております。