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渡部(一)
委員 私は海外における
日本人の子弟の教育の問題についてきょうは御
質問をいたしたいと存ずるわけであります。
きょうは遺憾ながら
アメリカ局長がたいへん忙しいそうでありますので、
アメリカの問題でありますが御
質問が不可能でありますから、
アメリカ局長にはこの次に御
質問をしたいと存じます。御退席してくださってけっこうであります。
まずきょうは実情といいますか、そういったことについて、私は今回
アメリカに参りました際、各地におきまして
日本人の皆さんから一様に訴えられましたことは、
日本語の教育あるいは
日本の教育制度に通じるような教育をするために、在留邦人がさまざまなくふうをいたしているわけでありますけれども、たいへん問題が多くて困っているわけであります。
私のところに書類が幾つか参っておりますので、少々繁雑になるかと思いますが、多少読み上げてみたいと存じます。これは
外務大臣のところに書類が出ているようであります。おそらく
外務大臣はお読みになってないと私は確信しておりますので、ここで私はちゃんと読み上げてごらんに入れたいと思います。
これを出して来られた方はワシントンDC地域
日本語補習学校管理運営
委員会、
委員長は河村欣二という朝日新聞の
アメリカ総
局長、副
委員は小出豊
日本航空ワシントン支店長、
委員といたしましては、上田宗良
日本開銀ワシントン首席駐在員、石丸和人毎日新聞ワシントン支
局長、畑中正一NIH在勤、昆秀夫NIH在勤、山崎泰子、これは大使館と書いてあります。加舎逸子、四分一直、これは東京銀行ワシントン駐在員事務所長であります。この要望書にどういうことが書いてあるのかといいますとこう書いてあります。
「ワシントンDC地域では、現在初等、中等の子女百十名を対象に、現地雇用の講師六名により、週一回、毎土曜日の補習教育を実施しており、すでに講師謝金の一部について海外子女教育振興財団からの補助を受けております。
しかしながら、現状は、教育内容がきわめて貧弱で、専門の施設もなく、校務は大使館夫人の献身的無償奉仕に依存するという寺小屋的なまことに不十分な
状況にあり、ワシントンに勤務する父兄の不安の種となっております。
今後はさらに児童数の増加が見込まれるのに伴い、新施設を借用して学級数、講師数をふやすとともに、内容を充実したい意向が父兄の間に圧倒的に強いのが現状であります。このようにワシントン地域の補習教育は、現在及び将来にわたって、深刻な危機に立っているといえます。
このため、当地では学校管理運営体制を強化するため、官、商工界、金融界、報道界、留学医学界など各界代表による管理運営
委員会を組織し、同校の運営を検討しておりますが、各種のきびしい事情から、
日本政府による財政
援助の増加を要望せざるを得ないとの結論に達しました。
要望の具体的内容は別添のとおりであります。正式の
予算措置としては昭和四十九年度からということになると思われますが、当地の窮状から見て、四十八年度においても暫定措置として実行可能な
援助措置をとっていただくようお願いする次第であります。
右、
政府当局並びに財団各位の格別の御配慮をワシントンDC地域の父兄の総意としてお願いいたします。」昭和四十八年三月二十六日、
大平外務大臣殿、愛知
大蔵大臣殿、奥野文部
大臣殿、水沢海外子女教育振興財団会長殿、こうなっておるわけであります。これが
一つ。
次に、私はプリンストンというところに参りました。このプリンストン大学にはノーベル賞級の学者がたくさんいらっしゃるのでも有名なところであります。ノーベル賞級の学者がたくさんおられまして、
日本からも優秀な学者が何人も行かれておるわけであります。ところがこの
日本の中の最高の優秀な頭脳の何人かの先生方と懇談するチャンスがございましたが、その子弟の教育にいずれもたいへん困っておられまして、ちょっと
ことばで表現できないような苦しみ方なのであります。ここでは、簡単に言いますと、
日本の教科書を手に入れたいのでお手紙を差し上げたのだけれども、
外務省から御
返事がなかった、こういうことがまず
一つ。それから二番目に、少人数のために教育をしていただく人を集めることが不可能である。つまり教師を雇うことが不可能である。そのためにたいへん困惑しておる。それから三番目に、今度は
自分たちの子供を
日本に連れていった場合に、
日本の激しい大学入学試験というものにかかるとほとんどが落っこちてしまう。子供に対する期待が多いだけにたいへん困難である。またそれと逆に
アメリカの教育制度の中に残そうとすると、
お金がかかり過ぎて残すことができない、こういう問題を何とかしてもらえぬだろうかというような問題がございました。これが第二の例であります。
第三の例を申し上げます。
第三の例はまことにユニークなことでありますが、四十八年三月二十二日付、在ニューヨーク総領事館から私に陳情をいただいたのであります。私のほうに陳情書が来るということは、これはまことに
外務省始まって以来のできごとであろうかと思いますけれども、これはもうたいへんに困っておられます。どういうことかというと、これは総領事館の総領事が御
自分で
資料を整えられましたので
資料としてはたいへん重厚な
資料になっております。ここにあげられていることを概要して後ほど
資料として差し上げてもけっこうでありますが、述べますと、
アメリカにいる子弟、在米子弟というのは全
アメリカで一万三千ないし四千おるが、そのうちの八分の一がニューヨークに集中しておる。そのため現在ニューヨークにおる子弟が約千三百人である。この膨大な子弟をかかえて経営能力、行政能力の上でもうパンク状態である。地域的に授業をする場所が六カ所に分かれておる。本年の秋には九カ所にしようとしておる。ここでは特に
アメリカの公立学校に子供を入れておくと、風紀上の問題が起こる場合がある。それから麻薬の問題が起こる場合がある。男女
関係が乱脈だとか麻薬の問題とかは
日本ではちょっと
考えられない問題でありますけれども、こういう問題がある。そこへもってきて
日本語教育を補習として行なっておるわけでありますけれども、実際には収容でき得るものは、
アメリカだけ
考えても、三分の一以下、四分の一以下という
状況であり、何とかこの辺を
考えていただけないだろうかということであります。
こういう実情について、まず
大臣がどういうふうにお
考えであるのか、まず総論的に、
大臣にお伺いする前に、
担当官の方々が来られておりますから、文部省の方も来られておりますし、領事事務を預かっていらっしゃる方も来られておりますので、これに対して
大臣に報告するつもりでここでお話をしていただきたい。
まず私の
質問の第一は、海外子女教育の現状はどうか、それに対してどういう援護措置をとっているかということであります。各官の御回答を求めます。