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1973-04-06 第71回国会 衆議院 外務委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年四月六日(金曜日)     午前十時十四分開議  出席委員    委員長 藤井 勝志君    理事 石井  一君 理事 鯨岡 兵輔君    理事 西銘 順治君 理事 岡田 春夫君    理事 堂森 芳夫君 理事 金子 満広君       竹内 黎一君    深谷 隆司君       福田 篤泰君    山田 久就君       河上 民雄君    吉田 法晴君       近江巳記夫君    永末 英一君       瀬長亀次郎君  出席国務大臣         外 務 大 臣 大平 正芳君  出席政府委員         外務政務次官  水野  清君         外務省中近東ア         フリカ局長   田中 秀穂君         外務省条約局外         務参事官    松永 信雄君         外務省国際連合         局長      影井 梅夫君  委員外出席者         外務省欧亜局外         務参事官    山田 淳治君         外務省経済協力         局外務参事官  菊地 清明君         大蔵大臣官房審         議官      前田多良夫君         外務委員会調査         室長      亀倉 四郎君     ————————————— 委員の異動 四月六日  辞任         補欠選任   川崎 寛治君     吉田 法晴君   近江巳記夫君     渡部 一郎君 同日  辞任         補欠選任   吉田 法晴君     川崎 寛治君   渡部 一郎君     近江巳記夫君     ————————————— 四月四日  原子力の非軍事的利用に関する協力のための日  本国政府アメリカ合衆国政府との間の協定を  改正する議定書締結について承認を求めるの  件(条約第一二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  千九百七十一年十二月二十日に国際連合総会決  議第二千八百四十七号(XXVI)によって採  択された  国際連合憲章改正批准について承認を求め  るの件(条約第一号)  アフリカ開発基金を設立する協定締結につい  て承認を求めるの件(条約第二号)      ————◇—————
  2. 藤井勝志

    藤井委員長 これより会議を開きます。  千九百七十一年十二月二十日に国際連合総会決議第二千八百四十七号(XXVI)によって採択された国際連合憲章改正批准について承認を求めるの件、アフリカ開発基金を設立する協定締結について承認を求めるの件、以上二件を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉田法晴君。
  3. 吉田法晴

    吉田委員 アフリカの問題に対する日本アフリカ各国との関係を議論する場合に、アパルトヘイトの問題を考慮に置かずに論議をすることは困難のようであります。特にアフリカ開発基金南ア共和国を除外をしておる点を考えますと、なおさらこの点は重大だと考えますが、日本アパルトヘイトに対する考え方、あるいは日本外交方針のあるべき姿について、大平外務大臣はどのように考えておられますか、承りたいと思います。
  4. 田中秀穂

    田中(秀)政府委員 わが国アパルトヘイトに対します考え方は、アパルトヘイトはつまり人種差別政策一つでございます。人種差別という問題につきましては、わが国国際連盟時代以来、率先して反対立場をとり続けております。引き続きまして国際連合設立わが国が加盟以来、同じ立場をとりまして、国連の諸決議につきましても人種差別反対政策をとり続けております。アフリカ諸国全般も独立以来、植民地支配人種差別には一貫して反対しております。南アアパルトヘイトにつきましても同様でございます。ただその具体的方策につきましては、断固対決すべしという国と、話し合いによって解決へ持っていくべしという国の二つに分かれるかと思います。近年は諸般の事情から対決ムードが高まっておりますが、わが国はこのアパルトヘイト問題、南ア問題につきましては、忍耐強く、過激な方法をとることなく、国際的な心理的あるいは精神的圧力によりまして解決方向へ持っていきたいと考えております。
  5. 吉田法晴

    吉田委員 外務大臣はあまり詳しく御存じなくて局長答弁させられたのかどうかわかりませんが、私も十分知らないでにわか勉強をしたところでありますが、関係書類を読めば読むほど問題の重要性に気づきます。そして、特に中国との間に国交を回復するために共同声明を出しておられましたが、平和五原則は私は中国との間の関係だけではない。もちろんあの中に書いてございますように、アジア諸国との間で、アジアにおける覇権主義を主張しないし、またその実現のために努力をしないということも書いてございます。高碕さんが出席されましたアジアアフリカ会議、そのとき以来の周総理と高碕達之助さんの関係が、その後LT貿易にもなり、また日中国交回復の基礎にもなったわけでございます。だから私はアジアアフリカ、特にアフリカの問題をいま論議をしておるわけでありますけれども、このアフリカ各国との間でも平和五原則という問題は大きな外交方針でなければならぬと思います。実際には混迷をしておるようであります。と申しますのは、外務省の発行された資料、「アフリカ諸国シリーズ16」の中の、これは抜粋と写しでありますけれども、「わが国南アにおけるアパルトハイト政策に強く反対しており、従来より一貫して国連等の場においてこの基本的態度を表明して来ており、南アに対してはアパルトハイト政策を始めとするあらゆる種類人種差別政策を始めとするあらゆる種類人種差別政策を撤廃し、人権基本的自由を尊重するようあらゆる機会をとらえて訴えている。」と書いてございます。しかし、わずかな渉猟しました資料の中でも、一九六二年十一月六日の、これは特別政治委員会における決議千七百六十一号だと思いますが、これには日本はフランス、イギリス、アメリカと一緒に反対をしておられます。その後、一九七一年の決議については棄権をし、南ア制裁に関する決議、その中には経済関係も含んでおりますが、棄権をしておられます。それからスポーツその他あるいは労働会議等決議については賛成をしております。そして、これはちょっと古い記事でありますけれども、現地で取材をしました記者の書きました新聞記事でありますが、これを見てみますと、日本某国駐在大使級の人がこう言ったことがあるということが書いてあります。政府要人と会っても、実はこちらから話をすることがない、相手からはよく経済援助を求められるのだが、本省のアフリカ外交姿勢がはっきりしないので答えようがない。これは少し古い記事でありますけれども、依然としてこの本質は変わらないのではなかろうか、こういうことが感ぜられます。  なお、ついでにおととしの松井代表発言をされた特別政治委員会でのアフリカ諸国代表の討論を読んでみますと、こういうことが書いてあります。「日本技術協力の名の下に、南アにおいてトラック工場建設に従事している。また、問題は奴隷状態にある黒人の犠牲において対南ア貿易が増加している」が、「日本にとり貿易が必要であることは承知しているが、」これは松井大使の、貿易日本にとって生命線だという発言があったからでありましょうが、「日本にとり貿易が必要であることは承知しているが、日本は他のAA諸国から入手し得る砂糖や鉄まで南アから購入している。」それから、ケニアの代表はこう言っております。「アパルトヘイトの目的のために日本人は白人とみなされているが、日本は二股をかけることは出来ないことを知るべきである。日本安保理に立候補しているが、安保理において、経済制裁に関して何を云わんとするのであろうか。」いわばアフリカ南アとそれからその他のアフリカ諸国と二またをかけることは許されないという発言であります。そしてまたそのことは、安保理事会に立候補しておるが、安全保障理事会理事国になって日本は何をしようとしておるのだろうかという疑問が出されております。そうすると、アフリカに対する外交方針基本に関連するものだと考えられますだけに、外務大臣方針答弁を求めるわけであります。
  6. 影井梅夫

    影井政府委員 わが国アフリカ諸国に対する基本政策は、ただいま中近東アフリカ局長から御説明申し上げたとおりでございます。人種差別、これに対して日本基本的に反対立場をとっております。ただ、この政策を実現するにあたりまして、その具体的方法といたしましては、過激な方法、また非現実的と思われるような過激な方法は避けるべきであるという態度他方でとっておる次第であります。  南アとの貿易の件につきましては、これは御承知のとおりに南アとの貿易を全面的に停止せよという提案はございましたけれども、この実効性につきましては疑問があるという意味で、それをそのまま賛成する態度はとりませんでしたが、しかしながらその趣旨、気持ちと申しますか、これはわかるということで、それが現実の姿といたしましては、わが国の対南ア貿易伸び率日本の全世界的と申しますか、全体の規模に比べましてはその伸び率が低いというところにあらわれているか、そのように考えております。
  7. 吉田法晴

    吉田委員 外務大臣、そこにすわっておられるのですが、アフリカ関係外交方針基本に関連すると思うし、それから国連での発言等にも関連をいたしますから、外務大臣の御所見を承りたいのですが、いかがでしょうか。
  8. 大平正芳

    大平国務大臣 いま両政府委員から基本について御説明申し上げたとおりでございまして、日本のそういった態度につきまして、吉田委員指摘されるようにいろいろな批判があることは私もよく承知いたしておるわけでございますが、国際関係現実的に実効ある処理をしてまいる上におきましてはやむを得ない仕儀であろうかと思っておるわけでございまして、ただわが国経済協力政策の分野から申しましても、何といって毛東南アジアに最重点が置かれておりますことは数字の示すとおりでございまして、アフリカ諸国に対しまして相対的に希薄であるということはよく承知いたしておるわけでございます。わが国経済力も漸次拡大、充実をしてまいりましたので、これからわれわれはもっと積極的な接近をアフリカ諸国に対しましてもしてまいらなければならぬと考えておるのでございますが、その場合におきましても、いま両局長が申し述べたような基本的な姿勢を曲げていくというところまで踏み切りがなかなかつかないわけでございますけれども、対アフリカ圏との接触を密にしてまいる方向につきましては十分配慮してまいらなければならぬと考えております。
  9. 吉田法晴

    吉田委員 外務大臣は両局長発言を大体認めながら、東南アジアとの関係中心にして御答弁されましたが、その中にもはっきりしないものが実はあるわけであります。関係委員会における松井代表発言も、貿易中心にしながら、アパルトヘイトに対しては反対態度を明らかにしながら、しかし経済的な貿易原則についてはあまり明らかではございません。ここで繰り返して読み上げませんが。ところが、御承知のようにアパルトヘイト反対決議のおもなものについては賛成をしながら、特定のものについて、いま答弁の中にありました極端な方法については賛成をしかねるという話がございましたが、棄権をしたりしておられますが、昨年、一昨年の諸決議についてはおおむね賛成の場合が多かった。したがって、いまの答弁の中にもありますように、人種差別あるいは人種隔離、それに伴います国際的な人権宣言に反するような行為については日本としても反対という点は決議賛成をしておられる。しかし、事、経済問題に関しまして、貿易の問題に関しましては明らかではございません。そしてその諸決議の中に、あるいは発言の中に、そういった南ア政治経済、社会についての協力日本を含みます貿易を通じてなされている点が、諸決議が実行されないゆえんだという点は、随所に発見をされます。したがって、決議賛成をしたら、その決議範囲内においてはアパルトヘイトがなくなるようにその決議を実行しなければならぬ責任が生じますが、他方では、貿易のことであるから広範な貿易を維持したいということで、アフリカ関係諸国から非難されるような行為が続けられておる。この辺に問題があるわけでありますが、これらの点についてはどういうように考えられますか。重ねて承りたい。
  10. 影井梅夫

    影井政府委員 御指摘のとおりに、アパルトヘイト政策反対するという態度は、いろいろな決議の面においてあらわれているとおりでございます。ただ、この南アに対する制裁的な意味決議と申しますか、国連決議に対しましては、はたしてそれがアパルトヘイト政策反対する、アパルトヘイト政策をやめさせるということのために一番いい方法であろうかという点につきまして、われわれは疑問を持っておりますので、これには全面的に賛成するということはしないという態度できているわけでございます。
  11. 吉田法晴

    吉田委員 決議の最初の部分については、これは弾圧あるいは殺りくを含んでアパルトヘイト政策の具体的なあらわれに対する非難決議があり、そして武器の輸出その他アパルトヘイト対策に対する、いま言われる制裁といいますか、あるいはこういうことはしないという決議があります。そのことと、それから南アとの貿易を通じてその決議実効を失わしめるような貿易をなされているではないか、こういう点が非難の的になっているわけです。先ほども申し上げましたけれども、貿易日本にとって必要であることはわかるけれども、「他のAA諸国から入手し得る砂糖や鉄までも南アから購入している」ではないか、これではアパルトヘイト反対、あるいは非難決議賛成をした日本としては二またではないか、こういうことがいわれているのだと思うのでありますが、それらの点について具体的に貿易について、あるいは経済交流について、その他についての政府指導方針というものがなければならないと思われます。これについてはいかがでしょう。
  12. 田中秀穂

    田中(秀)政府委員 アパルトヘイトに対します諸決議賛成をいたしながら貿易関係において問題があるという御指摘は、あるいは御指摘のとおりの点があるかとも存じますが、実はわが国といたしましては国連決議精神を十分に尊重いたしまして、現在行なっております経済関係通常貿易のみに限っております。したがいまして、もちろん経済的な協力あるいは投資合弁融資買鉱、そういった面の経済関係は一切やっておりません。そうした意味通常貿易が依然として行なわれておるわけでございますが、これは先ほど国連局長からも答弁がございましたようにわが国の対南ア貿易の額、これは年々伸びてはおりますが、その伸び率が減少いたしておりまして、日本の全世界に対するグローバルな貿易伸び率に比べますとはるかに小さくなっております。そうした面で政府通常貿易の面におきましてもあまりむちゃな拡大が行なわれませんようにできる限りの配慮をいたしておる次第でございます。
  13. 吉田法晴

    吉田委員 松井日本代表発言の中にいまの局長発言と似たようなものがあります。日本世界中でできるだけ広範な国と貿易をしておる、南アへの投資を差し控える、国際的義務については憲章精神を尊重してやっておる、発展途上国との貿易経済技術援助を促進する、そしてこれら諸国経済発展に資することはアパルトヘイト撤廃への強大な圧力となる重要な要素であろう、こう言っておられますが、この投資を差し控えということについて、先ほど引きましたギニア代表発言の中には、「日本技術協力の名の下に、南アにおいてトラック工場建設に従事し」たという発言がありますが、これらの点はいかがですか。
  14. 田中秀穂

    田中(秀)政府委員 南アにおいて自動車に対する合弁会社というものは、私、承知いたしておりませんし、そういうことは厳重に規制をいたしておりますので考えられないことかと思います。
  15. 吉田法晴

    吉田委員 資料を要求をいたしますが、これは通産省からいただきましたのか、外務省からいただきましたのかわかりませんけれども、「在南アフリカ共和国駐在の主要な事務所」という私がいただきました資料によりますと、いすず、それから三菱自動車、日産自動車トヨタ自動車販売会社、いずれも南アフリカ共和国に主要な事務所を持っております。それから通産省の筋から伺いますと、東洋工業も、商社を通じてではあるが、取引がある。それからそのほとんどすべてが、完全なもの、でき上がったものを輸出するというよりも、むしろ部品を輸出をして、そしてノックダウン工場ではございませんが、南アフリカ工場を持って組み立てておるということを聞いておりますが、これは国を代表して発言をされた松井さんの発言の中にも、工場は持っておりません。南ア投資を差し控えてと書いてありますけれども、ギニア代表からは技術提携をしておる、こう指摘をしてございますし、それから、もらいました資料によるといまのようなことでありますが、重ねてこの正否について答弁を願いたい。
  16. 田中秀穂

    田中(秀)政府委員 ギニア代表声明でございますが、日本の対南ア貿易というものが、やはり量的に少ない額ではございませんので、いわゆるブラックアフリカ諸国がこれに対して若干の批判を行なっておることは事実でございますが、必ずしもその批判全部が当を得ているとは申せませんで、私はギニア代表指摘した点は事実と反するんではないかと考えます。わが国は、もちろん南アに対して経済協力技術協力も全く行なっておりませんし、合弁投資関係は厳重に規制しておることは前にもお答え申し上げたとおりでございます。
  17. 吉田法晴

    吉田委員 いまの質問の後段に対してはどうですか。名前をあげて、こういう会社南ア事務所を持っておる、あるいは通産省筋の説明によると、完全な一貫作業での工場は持っていないけれども、組み立て工場ノックダウン工場は持っておるというお話ですが、その点についてはいかがですか。
  18. 田中秀穂

    田中(秀)政府委員 南ア日本自動車会社事務所があることは承知いたしております。それから御指摘のごとく、南ア日本自動車組み立てが行なわれておるということも聞いておりますが、それはどこまでも通常貿易範囲内での関係でございまして、その組み立て工場というものが合弁あるいは投資に基づくものではないことは明白でございます。
  19. 吉田法晴

    吉田委員 その辺の小さいことは論争をしてもしかたがありませんが、基本問題について、時間がありませんから外務大臣に伺いたいと思うのですが、このアフリカ基金南アを除いてアフリカ各国発展と向上に資するためにつくられると私は承知をいたしておりますが、伺っておりますと、アフリカとの貿易にいたしましても、南アとの貿易が、その他の国々を全部合わせるよりも多いと考えられるから、むしろどちらとも貿易するんだということで、アパルトヘイト反対決議には参加をしながらも、極端な方法については賛成をしかねるという言い方で、経済主義を貫こうとしておるのではないか。少なくとも、先ほど来の、これはアフリカ駐在日本大使だと思いますが、どこの駐在大使かわかりませんけれども、大統領には信任状を捧呈するときと、それから辞任退去するときだけあいさつに行って、途中で行かぬではないかという話、経済協力を求められても外務省方針がはっきりしないから返事のしようがないという話、あるいはコンゴその他における銅鉱山資源開発あるいは合弁事業等もございますが、これは双方についても、少なくともアジアアフリカ諸国に対する外交方針として、はっきりしたものがないからではないか、こういうふうに感じます。もし経済主義で終始をいたしますならば、それはアパルトヘイト反対アフリカの全民族とその国家から総スカンを食うだけではなくて、アジアの孤児になる心配が私はあると思います。そればアジアアフリカ会議におけるバンドン精神、あの平和五原則中心にしたバンドン原則もなお生きております。またそれを中国との間では少なくとも平和五原則アジアアフリカにおける平和五原則として大平外務大臣は採用され、中国との間のアグリーメントに達せられたのだろうと思いますが、私は、中国との間には平和五原則、それから東南アジアとの間にはなお依然としてアメリカ協力の反ソ国家群に未練を残し、アフリカにいっては方針がない、あるいはいずれに対しても貿易は続けるのだ、こういう方針では、これは国際政治舞台でもあるいはアジアアフリカ政治舞台でも、私は日本自主外交を進めるわけにはまいらぬと思う。資源を求めるということで、この経済貿易の点についても、それだけを中心にしますならば、エコノミックアニマルの非難をこれは甘受せざるを得ないでありましょうし、また中国に行っても渤海湾の石油開発について協力をしようというような発言になったり、外交方針経済貿易についても指導性がないならば、私は世界における日本外交の存在というものはないと思います。特にアジアアフリカ外交基本方針については外務大臣がはっきり確立をし指示をさるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
  20. 大平正芳

    大平国務大臣 外交は信用によって立っておるわけでございますので、日本政策一つの国にはこういう態度を示し、他の国に対してはこういう姿勢でいく、それが一貫性がない、あるいはこの地域につきましてはこういうプリンシプルでやるけれども、他の地域につきましてはまた別でいくということは、吉田委員のおっしゃるとおり、私は、日本外交を打ち立ててまいります場合におきまして、きわめて拙劣かつ許されない態度であると思います。一貫した態度でもって自主的な姿勢を堂々と世界に主張してまいらなければならぬということにおきましては、あなたと私と全く同感でございます。  第二点として私が申し上げたいのは、わが国といたしましての経済外交としては、原則として無差別に、より自由な経済交流拡大というものを目ざしていくべきであると思うのであります。これはその国と貿易が少ないとか多いとか、あるいは体制が異なるとかいうことを越えて、できるだけ無差別で、より自由な交流拡大というものを追求していくべき立場にあると思うのであります。したがって、私は、アフリカに対しましても、アジアに対しましても、どこに対しましても、そういう態度でいくべきであろうと思うのでございます。  ただ、しかしこれがいわば経済外交指導精神でございましても、現実の事態は世界政治というものに影響を受けないはずはないのでございまして、いまアパルトヘイトの問題が取り上げられておりますけれども、アパルトヘイト政策というものが論議の的になり、これに対しましてわが国人種差別反対する立場から反対立場をとっておるわけでございますので、この政策が生きた政策としてあらわれ、動いているわけでございまするから、それを無視してアフリカ政策がやられるはずはないのでありまして、したがって、それを念頭に置きながらわれわれとしては節度ある経済交流をやっていこうということで、そういうことで各国理解を求めなければならないと思っておるわけでございます。問題はどこまで御理解がいただけるかという問題でございまして、これは鋭意私どもが努力してまいりますならば、日本がいまとっておる立場についての理解も漸次浸透してまいることと思いまするし、またそうしなければならぬと私は思います。  それから第三に、平和五原則云々の問題でございますが、これは中国に対してはそういう顔をし、東南アジアに対しては経済侵略でいく、そういうようなことは毛頭考えていないわけでございまして、平和五原則というのは地域いかんにかかわらず、われわれが追求すべき外交的道標でなければならぬと考えておるわけでございまして、地域いかん、国のいかんによってこれを採択したり、あるいはこれをかたわらに置いたりなんかするような、そんなぞんざいなことは全然考えていないわけでございます。  政府のやっておることにつきまして十分御批判をちょうだいいたしたいと思いまするけれども、同時にまた政府がやっている基本につきましては御理解もいただきまして、国の内外を通じまして日本政府態度はこうだということに対しまして、相ともに日本立場を擁護し、また顕正してまいる上におきまして御協力を願いたいものと思います。
  21. 吉田法晴

    吉田委員 アフリカに対する外交方針にしても平和五原則あるいはバンドン精神に従ってやりたいという外務大臣発言は一応了といたしますが、いまお話の中にありました日中共同声明の中にございます過去の迷惑をかけたことについて深甚な反省をしということにかかわりのあることですから、この機会に外務大臣にお尋ねをしたいと思いますが、たいへん迷惑をかけたことの一つの中に、戦争中に中国人俘虜殉難者という、これは東条内閣時代に華工狩りをして、そして平和な中国人民を強制連行をして鉱山やあるいは港湾に強制労働に従事させたということがございます。その中からたいへんな不幸な事態が生じましたが、何百という人がなくなってその遺骨が十何体と残っておりますものを捧持をして送り返し、そして北京に保管をしていただいております八百何十体という日本人の遺骨を持って帰るという仕事が残っております。中国との関係外務省で当たっていただいておりますが、いまこの捧持をしてまいります便、それから向こうの集めていただきました八百何十体の遺骨をちょうだいをして帰る。これについて最初測量船を用意をするということでございましたから、そういうことで反省をしたということにはならぬではないか、こういうことを申して、飛行機でというところまではまいりましたけれども、詳細はここで申し上げません。しかし、これで遺憾の意を表された政府がその代表を含んでたいへん迷惑をかけた、そうして不幸な事態になりました中国人俘虜殉難者の遺骨を捧持してまいるのに、持ってまいってすぐその日に帰ってくるということでは、向こうに対してお礼も言い、あるいは遺憾の意も表し、そうして日本人の遺骨をありがたくいただいて帰るということにはならぬと考えます。それだけにその遺骨を捧持してまいります便について、あるいは向こうとちゃんとあいさつをして、式もございましょう、そうして向こうの感謝にこたえながら遺骨をいただいて帰るということについては、これは共同声明で遺憾の意を表せられました政府としては当然のことだと思いますが、やっぱり丁重な手続を経なければならぬと思います。これについて外務大臣として最善を尽くしてその関係者に御協力をいただくようにお願いをして質問を終わりたいと思いますが、これらのことについて、よく御存じはないと思いますが、共同声明精神に従ってやりますということだけは答弁をいただけるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  22. 大平正芳

    大平国務大臣 たいへんごもっともな御発言でございまして、この問題につきましては厚生省と外務省の間で御相談しながら推進いたしておる案件でございます。くれぐれも礼を失しないように丁重に処置しなければならぬものと心得ております。
  23. 藤井勝志

    藤井委員長 岡田春夫君。
  24. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 国連憲章改正条約に関連して若干伺いたいと思いますが、一つは現在国連加盟国で、しかも日本が国交未回復の状態になっている、こういうが幾つかあるはずでございますが、これについて具体的な国名をあげて御答弁をいただきたい。
  25. 影井梅夫

    影井政府委員 ただいまの御質問の趣旨、現実日本がまだ外交関係を設定していないという意味におきましてはアルバニア、それから南イエメンの二国がございます。
  26. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 国連未加盟国の場合、どういう国がありますか。
  27. 影井梅夫

    影井政府委員 これはいわゆる分裂国家である東独、北越、北鮮があるかと思います。
  28. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 それ以外アフリカ諸国その他、ラテンアメリカ、そのほうはありませんか。
  29. 影井梅夫

    影井政府委員 ただいま御指摘地域では、ないと考えております。
  30. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 国連中心主義という態度をとっておられるわけですが、国連に加盟している国に対して国交関係外交関係がないということはきわめて不自然だと思うのだが、これは国連憲章改正の場合にも非常に重要な問題にもなってくると思うのですけれども、この点は外務大臣どう思われますか。
  31. 大平正芳

    大平国務大臣 外交関係を特別な支障がない限りは持つことが望ましいと思います。
  32. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 東ドイツとは外交関係の樹立のための交渉をしていると思いますが、これはどこでやっておりまして、いつごろできるような見通しですか。
  33. 大平正芳

    大平国務大臣 モスクワでやっておりまして、第一回は三月七日、第二回は三月二十六日、第三回四月四日、三回行なったわけです。実質問題でそう大きな困難がないと思いますので、遠からず交渉は妥結するものと期待しております。
  34. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 いわゆる分裂国家というような東ドイツとも国交回復、外交関係を樹立するための交渉をしているのですが、もう一度繰り返しますけれども、国連加盟国でありながらしかも外交関係が結ばれておらない、これは非常におかしいと思うのですが、やはり日本国連内で交渉したりいろいろ話をする場合においても外交関係がないということによっていろいろ支障が起こるだろうと思うのですが、こういう点については、たとえば、私具体的に伺ってまいりますけれども、アルバニアとの外交関係については、まず第一点として、日本とアルバニアとの関係では国家承認はあるのですよ。外交関係がないのです。国連に入っているアルバニアに国家承認は認めながら外交関係を結ばない、一体これはどういうことなんだろうか。何か特別に敵視的な態度でもとっておってアルバニアとやらない、こういうようにとられてもしかたがないじゃないかと思うんだが、こういう点は外務大臣いかがでしょう。まず第一点は国家承認はあったんだという点、この点はお認めになれると思いますが、これはいかがでございますか。
  35. 大平正芳

    大平国務大臣 仰せのとおりでございまして、これからの問題は外交関係の再開だと考えております。
  36. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 外交関係の再開ということになりますと、この再開は当然具体的に国交回復のそうむずかしい手続などは必要ないと思うのです。たとえば外交関係を事実上再開するということで、ディファクトの関係で黙示上の外交関係が樹立されるという場合もあると思う、あるいはまたもうちょっと進んで交換公文でも結んでそれによって外交関係を樹立するということもできると思うのですが、大体どういう方法でおやりになりますか、アルバニアとの関係は。ひとつ伺っておきたいと思う。
  37. 大平正芳

    大平国務大臣 非公式の接触もございまして、遠からず具体化するものと思います。
  38. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 非公式の接触はいつ行なわれましたか、場所はどこで。
  39. 大平正芳

    大平国務大臣 昨年の秋からウイーンで行なわれております。
  40. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 ちょっと私質問のしかたがあれだったですが、ウイーンなら、いつごろやりましたですか。非公式の交渉、これは予備交渉と見てもよろしいですか。
  41. 大平正芳

    大平国務大臣 ウイーンにおきまして打診が行なわれておるということでございます。
  42. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 いつごろ……。
  43. 大平正芳

    大平国務大臣 去年の秋からです。
  44. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 アルバニアとの国交問題というか外交関係の再開、これは別段支障がないと思うのですが、日本政府としてはこれについてどういう見解でございましょう。これは外務大臣として、支障がないのかあるのか、この機会にはっきり御答弁を願っておきたい。
  45. 大平正芳

    大平国務大臣 別段支障があるものとは考えておりません。
  46. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 それでは支障がなければお進めいただきたいと思うのです。  というのは、前の福田外務大臣のときからアルバニアとの国交は急いでやるんだ。そして大平外務大臣になってからも、二月ごろには東ドイツと一緒に相前後してまとめてしまおう、こういう話が実は内々外務省内にはあったようですけれども、何か最近たいへんおくれているのですね。しかも手続関係はそんなむずかしい問題でないはずですから、これは早急に進めていただきたいと思うのですが、この点いかがでございますか。
  47. 大平正芳

    大平国務大臣 いま申し上げましたように特別の支障はないわけでございまして、遠からず具体化いたすものと思っております。
  48. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 ウイーンでおやりになりますか。何か皆さん方のほらの当初からの計画では、去年あたりの計画では両国の外交関係があるユーゴでやろうという話が進んでおったようですが、ユーゴでおやりになるのかどうか。そしてその点どういうように進められるのか、時間もないからちょっと伺っておきたいと思う。
  49. 大平正芳

    大平国務大臣 ユーゴでやることも考えられますけれども、そういう具体的な手順はいまわれわれのほらで検討中でございますので、特別な支障もございませんから遠からず具体化したいと考えております。
  50. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 さっきから申し上げておりますとおりにたいへんむずかしい問題じゃないし、手続関係もそうやっかいな問題じゃないと思う。これは大体どういう手続でおやりになるか、これは大臣でなくとも担当局長でもけっこうでございます。これはおそらく外交関係の事実上の承認、黙示上の承認か、あるいは交換公文程度で解決できる問題だと思いますので、外務省方針をひとつ伺っておきたいと思います。
  51. 山田淳治

    山田説明員 お答え申し上げます。  先ほど先生もおっしゃったとおりに、アルバニアに関しましては国の承認という問題はございません。したがって外交関係を現政権と樹立するということで、その方式は交換公文によることもございましょうし、あるいはそのほかの方式もあるかと思いますが、その点に関しましてはまだ最終的に形式等はきめておりません。
  52. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 外務省の場合遠からずという答弁をしょっちゅうおやりになってそのままになってしまうのですが、これはいつが遠くでいつが遠からずであるか。きわめて抽象的な御答弁なんですが、どうなんです、もっとはっきり御答弁いただけませんか。これは来月からでもやるとか、ことしの上半期には交渉に入るとか、そういう答弁をひとつ。いままで外務省の場合遠からずという程度で一年くらいたってもまだ遠からずになるから、ここら辺、外務大臣、はっきり御答弁願っておいたほうがいいと思うのですが、いかがでしょう。
  53. 大平正芳

    大平国務大臣 最高機関である国会での答弁でございますので、間違ってはたいへんだと思いますからそう申し上げておるわけでございますが、遠からず考えてまいります。
  54. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 どうなんですか、本交渉でなくて予備交渉でも。私の知っておる限りではウイーンでの接触というのは交渉ではないのです。これは接触なんですよ。接触というのは、ある国のパーティーで向こうの大使と会ってグラスを接触したのです。それだけのことなんです。それじゃ話にならないですよ。だから本交渉でなくとももう少しサウンドをしてみるとか、こういった形のものを大臣から訓令を出されて、この訓令は遠からずでなくて直ちにやれるように大臣ひとつここで御答弁いただきたいのですが、最高機関の国会でございますから、あなたも国会議員として慎重におやりになっておるのでしょうけれども、遠からずなんという話じゃなくて、そしてグラスの接触じゃなくて、もう少し交渉を具体的に進めるように大臣としてすみやかに訓令を出していただきたいと思いますが、これについてもう一度伺いたいと思います。
  55. 大平正芳

    大平国務大臣 その辺は十分心得えてやってまいります。
  56. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 十分心得てというのは、そういう方向で進むというように理解してよろしゅうございますか。
  57. 大平正芳

    大平国務大臣 遠からず具体化したいということを申し上げました以上は、その方針でできるだけすみやかにやります。
  58. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 それじゃもう一つは、南イエメンはどうして国交交渉ができないのですか。
  59. 田中秀穂

    田中(秀)政府委員 南イエメンとの国交開始は現在カイロにおいて交渉中でございます。形式はおそらく書簡交換の形式になると思います。
  60. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 書簡交換といいますと、交換公文とはまた違うわけですか。
  61. 田中秀穂

    田中(秀)政府委員 同じでございます。
  62. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 これは大体いつごろまとまる予定ですか。
  63. 田中秀穂

    田中(秀)政府委員 これは現在案文で詰めを行ないまして、いつ実施するかという段階に至っております。
  64. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 実施というのは……。
  65. 田中秀穂

    田中(秀)政府委員 実施というのは交換の日でございます。
  66. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 それじゃもう案文はできておって、その案文の交換の時期というのを考えている。そうするときわめて近い、こういうことになると思いますが、そういうように理解していいですか。
  67. 田中秀穂

    田中(秀)政府委員 そのとおりでございます。
  68. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 それじゃもう一度外務大臣に念を押しますが、南イエメンだってそういう形でもう交換公文で話がまとまるところまできているのですよ。アルバニアだけどうしてこうやって——あなたは答弁をそらされたりして引き延ばされるというか、予備折衝さえも先ほどの抽象的な御答弁なんですが、これはやはりぜひ急いで近々中にそういう指示を与えるということはぜひやっていただきたいと思うのですが、もう一度念のためにこれは外務大臣に伺っておきたい。もうこの国だけになってしまっているのですから、国連加盟国では。ですからこれはひとつ重ねて強く要望したいと思います。
  69. 大平正芳

    大平国務大臣 促進いたしたいと思います。
  70. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 時間がありませんから、もうこれで終わります。
  71. 藤井勝志

    藤井委員長 金子満広君。
  72. 金子満広

    ○金子(満)委員 先週の委員会政府側に質問をしましたが、大臣が出席されておりませんから、若干ダブる点があると思いますけれども、最初にアフリカ基金の問題についてただしたいと思うのです。  当然のことだと思いますけれども、この開発基金は領土主権の尊重そして不可侵、内政不干渉、平等互恵そして平和共存という五つの原則に基づいて行なわれるものだ、このように理解したいと思いますが、そうですか。
  73. 大平正芳

    大平国務大臣 そのとおりです。
  74. 金子満広

    ○金子(満)委員 そこで先般も私は第十五条の四項(a)の問題についてただしたわけでありますが、この中には、「その資金は、参加国又は構成国の領域内で生産される物品及びそれらの領域から提供される役務をそれらの領域内で調達するためにのみ使用される。」こういうように出ているわけです。  で、大臣がいま確認されたように五つの原則に基づいてやる、これが当然であれば、この点について矛盾を私はしていると思う。この条項の内容でいきますと、アフリカ諸国は自由に調達先を選ぶことができない。同時にまた出資している国はアフリカ諸国に対して一定の権利、特権を持つことになる。これは別なことばで言えばひもつきということもある。ひもが太いか細いかは別でありますが、そういう種類のものである、こういうように考えますが、その点はいかがですか。
  75. 菊地清明

    ○菊地説明員 お答えいたします。  まず一般問題といたしましては、アフリカ民族の民族自決というようなことがその原則問題であると思いますけれども、そういったアフリカ民族自体の利益というものがきわめて丁重に、丁寧にこの協定では保護されております。その点については矛盾はないと感じております。ことにこの協定で非常に特徴的でございますのは、アフリカ諸国が、その出資金その他におきましては全体の五%くらいの出資金で、しかもその発言権といいますか、政策決定権は全体の半分ございます。五〇%ございます。別なことばで言いますと、約十倍の発言権を持っているというようなことでございまして、アフリカ諸国の利益というものは十分以上に保護されているというふうに感じております。  それから具体的な御質問で、十五条の四項(a)でございますけれども、この点はアフリカ開発基金の資金の用途、使える範囲をきめておりますけれども、これはもちろん第一義的にはアフリカの国自体で調達することはもちろん可能でございます。それからその次には参加国つまり域外の参加国から調達することができます。それから参加国ともきわめて開放的でございまして、この協定の趣旨に賛成する国はいかなる国でも参加することができ、したがってこの調達の範囲に入り得るということであると思います。
  76. 金子満広

    ○金子(満)委員 アフリカ自体の利益ということが出ましたが、それは当然のことだと思うのですが、アフリカ自体の利益をきめるのはだれか。これは当然その国であり、アフリカ諸国が自分できめることだ。他の国からこれはおまえの国の利益になるのだというふうに解釈をしてもそれが成り立たないことは当然ですが、いまその中で、答弁にもありましたが、アフリカ自体で調達する、これが第一だ、それはそうだと思うのです。しかし御承知のように発展途上国であり、科学技術というような問題について、それに関連するものを調達しようとすればアフリカの域外にこれを求めなければならぬ。そういうときにアフリカ諸国が自分で考え自分の判断でその調達先を選定する。これは全くアフリカの個々の国々の自由であって、これに制限を加えたり、干渉したりするということはもちろん許されないことだ。ところが十五条の四項(a)というのは、それに関連をしているそういう問題があるというように思わざるを得ないし、参加国はアフリカに対して経済進出ということを当然考えておると思うのです。で、大企業が海外に進出をする、市場を獲得する、広げる、こういう意味からもこの四項(a)というものが利用されることは当然だと思うのですね。ほかの国でも参加してくればいいじゃないか、同じ取り扱いをするのだし、できるのだ、こういうような意味にもいまの答弁はとれますが、ヨーロッパの発注した資本主義国の中でもこの基金に参加していない国がかなりあるわけですね。ですからこういうような立場から考えて、今後もふえるけれども、現在の状態の中でこの十五条の規定というものが平和五原則に矛盾をしている。これは幾ら考えてもそこに出るわけですが、前回の委員会政府答弁、次官の答弁にもありましたが、金を出す国へのある程度の見返りがなければ金を出す国はないのだ、こういう意味答弁をされました。そこにおられた政府側の委員だれも反対もなかったし、それはそのまま政府の見解として通っているわけですが、ある程度の見返りがなければ金を出す国はないのだ、ということは、つまり見返りということを考えてやっておるのだ、そういうことになると思いますが、大臣、そのことに間違いはないか、政府考え方政府立場というものはそういうものなのか、その点について大臣からお答え願いたいと思うのです。
  77. 大平正芳

    大平国務大臣 私は、このアフリカ基金というのは、そういう地域開発銀行といたしましては比較的定着いたしましてよく機能しておる基金だと思うのでありまして、これは全体としてアフリカ関係諸国に対しましてたいへん望ましい地域協力銀行であると心得ております。しかしアフリカ諸国はこの道以外に資金調達の道がないかというのでなくて、どこからでもバイラテラルにでもあるいはマルチラテラルでも、道があれば資金を調達することができるわけでございまして、アフリカ基金による資金の調達も一つの道であって、そしてそれはいまアフリカ諸国から歓迎されている、信用されておる基金であると思うのでございまして、これに対しまして日本が応分の寄与をするということは、私は、すなわちそれはすなおに考えてアフリカ諸民族の期待にこたえることになると思うのでございます。かりに見返りがほしいという裸の経済至上主義から申しますと、日本は何もこういう基金に参加する必要もないわけなのでございます。  この基金は、先ほど政府委員からもお話がございましたように、どら運用するかについて五〇%はアフリカ諸国が握って、ボイスを持っておるわけでございまして、すなおにそういう基金に資金をゆだねようとする態度でございますので、私どもといたしましては、この基金によって日本経済的利益を、何がしかそれにあやかろうなんという、そういう気持ちは毛頭ありません。日本というのは素性の悪い国だから、きっとそう考えておるに違いないというところがあるいはあったといたしましても、それは意に介しないわけでございまして、私どもはまじめに考えておるということは御理解いただかなければならぬのじゃないかと思います。
  78. 金子満広

    ○金子(満)委員 裸のもうけ主義ではないとおっしゃるわけですが、ここに金を出してそこでもうけようとは思っていない、こういう答弁です。そうしますと二つ問題が出てくるのです。一つは、前回の委員会で次官が答弁されたことはいまの大臣の答弁と食い違っておることは明白だと思うのです。たとえ何らかでも見返りがなければ金を出す国はないんだという、これはもちろん、ある程度のということで、まくらことばはついていますけれども、いまの大臣の答弁との間には明白に食い違いがあるんですね。そうしますと、これは大臣の言ったことが当然外務省としての代表考え方ですから、私は次官の言ったことは間違いである、こういうように理解できるわけですけれども、そのように理解してよろしいですか。
  79. 大平正芳

    大平国務大臣 先般の委員会で次官が何がしかの見返りと言ったという、その見返りの意味ですが、日本世界の一員といたしましてやはりちゃんとしたプリンシプルによって世界の平和と繁栄のために寄与している国であるというレピュテーションを得たいということは、もう金子さんも私も持っておると思うのです。そういう意味に言われたのか、それともそれを通じて直接何がしか利得を得たいといういやしい根性なのか、私はちょっとそのときの主観的な意図がどういうようなのだったかわかりませんけれども、少なくともこの拠金を通じましてそでをパイプにいたしまして、日本が何がしかの利得を得ようなんていう、さもしい根性はないのです。だから私のほうの言明を信じていただきたいと思います。
  80. 金子満広

    ○金子(満)委員 大臣のいまの答弁はわかりますが、そこで第二の問題ということになると、それならば何がしかの見返り、そういうことは考えておらない、こんなところでもうけようとは考えていないということであれば、やはり私は十五条というものについて日本政府日本立場としてはこれはうまくない、この条項は削除すべきだという点を主張なさるのが筋道だと思うのです。ですから、こういうように考えてまいりますとやはり四項というものは矛盾がある、この点だけを指摘しておきたいと思うのです。  それからもう一つは、私はこの南アフリカ共和国は、これはもう三回目に発言をするわけですが、先ほど南アフリカ共和国の問題についてはいろいろ御質問があったわけですが、きょうは若干進めて質問をしたいと思うのです。  まず国連南アフリカ共和国に対して経済制裁をということは、これはもう日本政府も、何回もやられていることですから御存じのとおりだと思うのです。人種差別には反対である、そういう立場をとってきたように思います。しかしいろいろの制裁には疑問がある。これは先ほど委員に対する答弁の中でも言われました。そうしますとたてまえはこうだが実態は違う。悪く言えば口と腹は違うんだ、こういうことになると思うのです。これは国際社会でそういうやり方が認められるはずはもちろんありません。私も自分の仕事の関係アフリカにたくさん友人もおりますし、会議にも出ます。常に日本南アフリカ共和国に対する貿易指摘されております。国連で名ざしで指摘を受けるくらいですから、アフリカ諸国の人たちがこの問題に触れるのは当然だと思うんですね。こういう形であれば、私はほんとうの意味アフリカに対する外交というものは正常には発展しない、こういうことになると思うのです。  そこで前回の委員会南アフリカ共和国に対する貿易というのは民間ベースでやっているんだ、南アには資本は導入していない、こういう答弁でした。そして、これは通常の貿易である、しかしそこで、貿易は行政指導で押えるように努力をしてきたから、現在貿易額はふえていないのだ、こういろ答弁がありましたが、その点大臣、間違いはないわけですね。
  81. 大平正芳

    大平国務大臣 そういう政府委員から御答弁申し上げたことに間違いはございません。
  82. 金子満広

    ○金子(満)委員 そこで、次の問題について私は資料、あるいは答弁ができればきょうここでお願いをしたいわけでありますが、進出している企業、ことばが悪ければ貿易をしている企業、それがどういうものがあるか。先ほど委員の質問の中で若干の商社の名前が出ましたが、どういう商社があるか。それから、日本政府は行政指導でいつごろからどんな形でこれを行なってきたか、そしてどの企業がこれを聞いたか聞かないか、これは非常に大事な問題だと私は思うのです。その点についてまずお聞きしたいと思います。
  83. 田中秀穂

    田中(秀)政府委員 南アに進出しております企業——企業の進出という意味ではございません。商社その他メーカーが駐在員を置いておるケースのみでございます。南アに対する経済関係の規制と申しますのは、投資あるいは資本の進出、こうした面につきましては、貿易管理令によりましてこれを厳重に規制しております。これが始まりました時期は、ちょっといま私つまびらかにいたしませんが、国連決議が行なわれました後引き続いてやっておると存じます。
  84. 金子満広

    ○金子(満)委員 前回の答弁では、貿易についても、つまり資本ということではなくて、貿易そのものについてもこれを抑制するように努力をしてきた、だから貿易の総額は上がっていないのだということを言われたわけですが、いまのは資本の側の答弁として、資本に対しては貿易管理令で押えておる。貿易のほうの答弁がないのですが、その点はどうですか。
  85. 田中秀穂

    田中(秀)政府委員 通常貿易に関しましては法的措置はとっておりません。先般、次官の御発言だと思いますが、行政指導と申し上げましたのは、これは、言うなれば、国連決議の趣旨を説明いたしまして、かたがたブラックアフリカ諸国の意向を尊重いたしまして、こういう状況であるということを説明して、精神的な指導をしておる、こういうことでございます。
  86. 金子満広

    ○金子(満)委員 御承知のように、国連でこの問題が出たのは一九六五年ですから、もう八年になるわけです。そして八年間、日本政府日本貿易商社がアフリカ諸国から名ざしの非難をされておる。そうして法的措置はとらないけれども、行政指導で精神的にこれをやってきた。ですから、私は、いつ、どの商社に、どんな形でやってきたのか。実際には貿易はつながっておるわけです。私は、そういう点で、日本政府がほんとうにやらせない、やめさせるという腹であるならば、この措置はできるはずだ、そんな権威がないということはいまの日本で考えられないのです。しかし、別な話ですけれども、大商社がどんどん商品投機を行なっている、こういう御時勢で、行政指導なんかで言うことを聞くような状態でないことは一面あります。しかし、これは国内ばかりじゃなくて、国際的にも長年にわたって非難をされてきている問題です。それについてこれが押えられないというようなことは私は理解できないのです。ですから、その経緯をきょうここで答弁できればしてもらうし、もし資料がここではないならば、私は、行政指導はどこがやっておる、どの官庁がやったのか、どの商社にどういう方向でやったのか、この点を明らかにしてほしいと思うのです。これは、その点について国際的にも疑問を持っておるわけですから、それに答えなければならぬ問題もあるわけです。聞きたいと思っているのは国内の国民にもたくさんいるわけですから、その点もう一度お聞きしたいと思います。
  87. 田中秀穂

    田中(秀)政府委員 通常貿易に対します行政指導と申しますのは、通常貿易わが国の自由貿易のたてまえから政府の関与なしに通常行なわれております。したがいまして、一件一件につきまして政府が話を聞くという状態にございませんので、ただおりに触れまして各企業、商社の幹部連中に会いますときに、一般的な雰囲気を説明いたしております。かたがた通常貿易がなかなか抑制しにくいという面は、南アから輸入しております物資の六〇%が鉱物資源になっておるのでありまして、わが国にとって非常に必要なものが多いということでなかなか手を打ちにくいという事情もございます。
  88. 金子満広

    ○金子(満)委員 こういう問題は、聞くとだんだん矛盾が出てくるわけですよ。通常貿易は抑制しにくい、しかし、おりに触れてそういう話をして貿易を抑制する、あまり広げないように雰囲気をつくっている、そしてよく政府側の答弁では、節度を持ってやっている、こういうように言われるわけですけれども、いまの最後のことばですけれども、鉱物資源が六〇%だ、わが国としては必要だということになると、これは商社が必要としてやっているのじゃなくて、わが国が必要としてやっているのだということになると、問題は、民間ベースでやっています、抑制はできません、これとこんなに矛盾が出てくるのですよ。わが国として必要だから、鉱物資源が六〇%だからやらしているのです、こういうことになると思うのです。この辺は結局、最初に申し上げましたが、たてまえと実態が違う、口と腹は違う、そして都合の悪いときには、いや貿易は自由ですから、通常貿易を抑制するわけにはいきません、それで雰囲気をつくってなるべく広げないようにしておるのです、こういうことでやり、他の面では、必要だからやっております、こういうことであれば、私は、政府みずからが公に奨励はしなくとも、とにかく目をつむっておる、こういう姿勢では、雰囲気をつくって押えようたってできるはずがないと思うのです。この点について、いままで書面で、勧告というか、行政指導をしたということはあるのですかないのですか。
  89. 田中秀穂

    田中(秀)政府委員 書面での勧告というものはございません。
  90. 金子満広

    ○金子(満)委員 結局はやらなかったのだと私は思うのです。ほんとうにやる気があれば、こんなことが押えられないはずはないのです。あれこれの貿易についてもずいぶん気をつかっておったし、そうして生産第一主義、貿易第一主義をとってきた高度成長の経緯があるわけですから、こういう中で、この貿易はたてまえと腹は違っていた、こういうことに判断せざるを得ないわけです。そこで、私は、この南ア貿易について日本政府国連決議を尊重するのなら強い行政指導でもあるいは政府があらゆる可能な方法をとってやめさせるべきだ、このことを強く申し上げたいのですが、やめさせる腹があるかどうか、この点はいかがですか。
  91. 大平正芳

    大平国務大臣 わが国貿易政策は、先ほど私も申しましたように、できるだけ自由な、そして無差別貿易政策を展開していきたいということでございまして、そこで、しかしそのことは政治と無関係でないので、アパルトヘイト政策反対という立場があるわけでございまするので、少なくとも投資とか経済協力という面につきましては遠慮をいたしておりますということを申し上げて、実行いたしておるわけでございます。通常貿易について金子さんの御追及でございますが、これは原則として自由なんでございますが、こういう政策があるということにつきましては注意を喚起して、節度を求めているわけでございますが、法制的手段あるいは強制的手段を通じてまでやるつもりはないわけでございます。現に先ほど政府委員からも御説明申し上げましたとおり、全体の貿易の増加率に比較いたしまして対南ア貿易の絶対額で増加いたしておりますけれども、全体としての増加率は相対的に低い状態に置かれておるわけでございまして、政府がいま申し上げておるような政策は忠実にやっているつもりでございます。強制的にこれを規制するということをやるかやらぬかと問われますならば、私はそこまでやるつもりはありません。
  92. 金子満広

    ○金子(満)委員 政府の考えているところはわかるわけですけれども、日本には政府があるんだし、無統制で貿易が自由だからもうかってに全部やりなさいということだったら、これは全く変な話になるわけですね。節度をということも言われるわけですから、その節度の中で私は当然これは国連でも制裁措置をとるということをいっているわけだし、それに賛成しているわけですから、私は行政指導、それをもっと強めてやめるようにさせるべきだ。いやしくもわが国としては南アからの輸入が六〇%は地下資源、鉱物資源だ、だから必要だというようなことは日本政府がここではっきり言っているわけですから、これは私は重大な問題だと思うのです。それは節度がないことを意味しているのです。それは私は、やはり貿易というのは自由だからやれということで、むしろ逆な面からいえば奨励さえしている。こういう点では、私は大臣としても政府としてもこの点について六〇%が必要だからというようなことは今後言わせるべきではないし、実際問題の行政指導の面でもそういう観点でやらせるべきでない、そういうことを申し上げて、時間がありませんから、最後に一言だけ国連の問題について質問をしたいと思います。  経済社会理事会の議席を拡大するという問題で七一年十二月二十日の国連総会で決定されたわけですが、最初委員会棄権十七、ソ連を含む十七というのがあります。ところが総会では棄権が十五になった。いろいろ書いてあるわけですが、私はわかっていると思いますのでお聞きいたしますが、棄権した十七は、ソ連のほかにどこがあるか。それからまた総会で棄権の十五はどこであるか、この国名を知らせてほしいと思うのです。
  93. 影井梅夫

    影井政府委員 いま手元に国名を全部記載した資料を持っておりませんので、国名を個別的に申し上げるのは……。
  94. 金子満広

    ○金子(満)委員 それはあとで出していただきたいと思います。
  95. 影井梅夫

    影井政府委員 それはあとで調べまして答弁させていただきたいと思います。
  96. 金子満広

    ○金子(満)委員 ここにも変化があるように、そこで、これも五〇年代の終わりから六〇年代にかけてアジアアフリカの独立国が次々に国連に席を占めてきた。そういう中で、アフリカ基金の問題のときにも質問を申し上げたわけですが、アフリカに対してもアジア諸国に対しても、国連経済社会理事会がやってきた仕事というのはかなりいろいろの意味であるわけです。こういう点についても、日本政府としては平和五原則に基づいて国連が適正にやるということで要求もし、みずからも国連の一員としてそういう立場で行なうように今後とも努力を続けてほしいと思うわけです。  時間が切れましたので、この国連の問題については次回に質問をしたいと思います。  これできょうは終わります。
  97. 藤井勝志

  98. 近江巳記夫

    ○近江委員 きょうは時間もきわめて限られておりますので、答弁は大臣一本にお願いしたいと思います。  まず初めに、このアフリカ開発基金に関する問題でありますが、いままでのわが国のそうした海外援助のあり方というものを見てまいりますと、確かに毎年ふえてきているわけです。しかしわが国の援助、OECDの開発援助委員会加盟先進国の援助と比べてみますと、民間資金が政府援助よりも大きい、あるいは政府援助では二国間援助が国際機関よりも大きい、あるいは政府援助では贈与より借款が大きい。二国間贈与では賠償が大きく、技術協力が少ない、あるいは政府借款、民間信用を合わせたものが六〇%を占める借款で貿易アンバランス緩和のために与えられるものが多い。借款条件は金利、返済期間とも他国よりも条件が悪い。借款はいままですべてひもつきである。そしてわが国の援助というものが地域的に非常に偏在しておる、こういうようないろいろな問題が見られるわけです。一九七一年におけるわが国の二国間援助総額の地理的な配分を見ますと、アジア地域に偏在化しておりまして全体の六九・七%、アフリカ地域に対してはわずか八・六%にすぎないわけです。特に二国間政府開発援助におきましてはアジアが九九・三%とそのほとんどを占めております。今回わが国アフリカ開発基金で出資しようとするに至ったのは、アジア地域に過度の援助の集中化が疑惑と反発を生み出し、その結果対日批判の警戒と失望から他の後進地域へ援助政策の転換を考えるようになったからこういうようにするのか、また七一年のアフリカ地域に対する援助比率八・六%というものをどの程度まで引き上げるお考えであるのか、大臣にお伺いしたいと思います。
  99. 大平正芳

    大平国務大臣 御指摘のように、わが国経済協力アジア地域に集中的に実行されており、アフリカ方面が希薄になっておるということは御指摘のとおりでございます。けれども、アフリカ世界の開発途上国の中で特に開発がおくれております。そしてその中でもとりわけ後発開発途上国、LLDCというのが二十五カ国ございますが、そのうち十六カ国までがこの地域に集中している現状でございます。こういったアフリカ諸国の実情を踏まえて、その発展をしていきます場合におきましては、アフリカ諸国に対する国際社会の責任も大きいが、またアフリカ社会のわが国に対する期待も大きくなってきておるわけでございまして、具体的な数字の目標をどう設定しておるかと問われれば、まだそういう数字の目標を設定するまでにはまいっておりませんけれども、アフリカに対する経済協力を今後積極的に進めてまいるという決意をもちまして当たってまいりたいと思っております。
  100. 近江巳記夫

    ○近江委員 今日、通貨問題あるいは資源問題というものは非常に大きな問題として浮かび上がってきておるわけなんです。ともすれば資源政策上から開発途上国援助の地域拡大あるいは分散化を考えようとする傾向があるわけですが、そういうことであるならば、今日アジアで受けておる批判を、わが国はまたあすの後進地域におきまして、資源の一方的収奪としての批判を受けることになるのではないか、こういう心配をしておるわけですが、その点についてはいかがですか。
  101. 大平正芳

    大平国務大臣 これは弁解するわけではございませんが、わが国自体が戦後の廃墟から立ち上がりまして、みずからの経済の自立を達成しなければならぬという中で、国内の開発を進めながら経済協力もやるということでございまして、しょっちゅう国際収支のピンチに襲われて、手から口への経済をやってまいりましたことはついこの間までのことでございます。したがって、過去の経済協力の実績から見ますと、近江さん御指摘のように、わが国経済協力がきわめていびつなものであったといわざるを得ぬと思うのです。その批判を私も甘んじて受けなければならないと思うのでございますけれども、しかしわが国経済がこのような充実を見てまいりましたし、国際均衡の面におきましても大幅の黒字を出すことができるようになったわけでございますので、今後はそういったわが国に対する批判に対して、それを追い返すだけの勇気をもちまして事に当たらなければなりませんし、また私はそういうことができると思っております。
  102. 近江巳記夫

    ○近江委員 十一日から東京で開かれるエカフェの第二十九回の総会を前に年次調査報告が発表されておるわけですが、その中で、中国が展開中の社会経済政策による「自力更生の実験」を非常に高く評価しておるわけですが、この工業化偏重路線の反省と新しい問題意識の提起は、わが国の援助政策に対する批判でもあるんじゃないか、このように思うわけです。大臣としまして、このエカフェの報告をどのように受け取っておられますか。
  103. 大平正芳

    大平国務大臣 来たるべき東京エカフェ総会におきまして、中国がどういう援助方式を提案されますか、私はまだ承知いたしておりませんけれども、エカフェの一九七二年のアジア経済概観では次のような記述がございます。「生産手段の国有化など根本的な体制の相違は別として、経済、社会分野における中国の経験は、エカフェ開発途上諸国にとってもきわめて示唆に富んだものであり、体制の異なる諸国に対し重要な指針を与えるものであろう。」というような指摘が行なわれておるわけでございまして、内容は、東京総会でどういうことをいわれるかまだわかりませんけれども、中国が海外援助の八原則というものを立てられて、その方針のもとに援助を進めておることは私も承知いたしておるわけでございます。わが国といたしましては、先ほど申しましたようにこれまでたいへんいびつな状態でございましたけれども、量質ともに経済協力のやり方を改善してまいりまして、世界の期待にこたえていかなければならぬ。わが国自体も東京総会におきましてはちゃんとしたものを言わなければならぬと私考えております。
  104. 近江巳記夫

    ○近江委員 それで、エカフェ東京総会に臨むわが国として、大臣もいまちゃんとしたものを出さなければいけないということをおっしゃたわけですが、経済協力基本方針をこの機会に打ち出されるお考えがあるのかどうか、あるとすれば、今後わが国経済協力の重点をどこに置かれようとなさっておるのか、その辺をひとつ具体的にお伺いいたしたいと思います。
  105. 大平正芳

    大平国務大臣 近江委員の御指摘になりましたように、わが国経済協力では、まず政府援助、ソフトな援助が非常に少ないということでございます。したがって、政府援助の比重を高めてまいるということをしなければならぬと思います。同時に、相手側の、援助受け入れ国の希望、計画、意図というものを十分尊重して考えてまいらなければなりません。したがって、いままでひもつき援助というものが比較的多かったわけでございますけれども、原則としてこれはもうひもつきでない、アンタイな援助に持っていくんだという方針を打ち出していきたいと考えておるわけでございます。また御指摘にもありましたけれども、わが国経済援助は、先進諸国に比べまして技術援助が非常に見劣りがするわけでございます。技術国家、知識国家、情報国家としてわが国は相当の実力を持ってきたわけでございますので、この面につきましてはとりわけ格段の奮発が必要であろうと思うのでございまして、そういった技術援助の改善、強化というような点につきましても、わが国の決意を披瀝いたしたいと考えております。
  106. 近江巳記夫

    ○近江委員 わが国として、エカフェ地域諸国経済発展の足を引っぱっている農業問題について、農業開発重視の姿勢、工業化偏重路線を修正するように呼びかけるとか、あるいは地域農業機械化研究所設立構想の具体化を推進する、あるいは和平が実現したインドシナ地域経済復興、開発に積極的に協力する等の姿勢とか、何かそういう具体的ないろいろなことをお考えになっておるんじゃないですか、もう少し詳しくお聞きしたいと思います。
  107. 大平正芳

    大平国務大臣 御案内のように農業問題がここ一、二年急速に世界の注目を浴びる課題になってきたわけでございます。これは最近の天候の異変の関係もありましょうけれども、傾向的にいうと、とりわけ低開発国の人口の増大に伴う食糧需要の増加ということに基因しておるものと思うのでございますけれども、経済の開発を、自立を達成する場合に、まず第一義的に農業経済の基盤がしっかりしなければいかぬということはもうきわめて明白なことでございまして、数々の国の実例をまつまでもなく、まず農業問題というものに光を当てて、それに対して経済協力の力点を指向してまいるということは、私は当然考えていかなければいかぬと思うのでありまして、今度のエカフェ東京総会におきましては、第一の力点を私はそこに置きたいものと考えております。いまあなたが御指摘のような具体的な日本の考えておりますこともあわせて提示いたしたいものと考えております。
  108. 近江巳記夫

    ○近江委員 あと補足的に事務局の方からも具体的なそういう、固まっておりましたら、お答えいただきたいと思います。
  109. 菊地清明

    ○菊地説明員 ただいま大臣から申し上げたことにあまりつけ加えることはないわけでございますけれども、ただ一言つけ加えさしていただきますと、農業問題が非常に重視される、ことにこのエカフェ地域におきまして、農業問題が重視されるゆえんのものは、最近御案内のように緑の革命というものでもって、アジアないし世界の農業問題が解決したような印象を与えたときもあったわけですけれども、実はその後の発展を見ますと、必ずしもそうではない。緑の革命はある問題を解決したと同時にまた別の問題を生じたということなどもありまして、農業問題というものを特に重視する次第でございます。
  110. 近江巳記夫

    ○近江委員 地域農業機械化研究所というのは打ち出されるのですか。
  111. 大平正芳

    大平国務大臣 そういうつもりでございます。
  112. 近江巳記夫

    ○近江委員 こうしたエカフェ等は非常に重要な会議でございますし、中国等も十四名ですか、かなり大型のそういう編成で来るようでもありますし、特にわが国で開催するわけでございますし、こういう機会を通じて日本のそうしたビジョンなりほんとうに信頼に値する政府態度をとられるよう、強く要望しておきたいと思います。  それから、国連憲章の問題でございますが、憲章の第二条におきましては、加盟国の主権平等の原則というものがうたわれておるわけですが、一方現在の憲章下におきましては、五大国が特権的な地位にあるわけです。安保理事会におきますいわゆる拒否権、憲章百八条ですかの要件などにおきましては、主権平等の原則に反するものではないかと思うわけですが、この点大臣としてはどのようにお考えですか。
  113. 大平正芳

    大平国務大臣 主権平等という立場から申しますと、常任理事国の持っておる拒否権というものはそれに背馳する原則であることは仰せのとおりでございますが、しかし、それと同時に国連において安保理、安保常任理事国のような大国の責任というものが確立しておることが、一面たいへん現実的な必要でもございます。したがって、実際論といたしまして、この拒否権というものを廃止してしまうということはいささか性急にすぎるのではないかと思うのであります。問題は、拒否権行使の範囲をどのように考えていくべきか、これは無制限に行使されるということではなくて、国際平和を考えた場合に、その責任にこたえるコアになる問題についての拒否権の行使だったら理解できるけれども、何でもかんでも拒否権の行使という、無制限な行使というものについてはわれわれも若干抵抗を感じるのでございます。
  114. 近江巳記夫

    ○近江委員 わが国としてこの安保の常任理事国になることを強く希望されておるのかどうか、この場合常任理事国による全員一致制度を存続したままでの常任理事国を希望されておるのか、それとも常任理事国の全員一致の原則をなくした上で常任理事国となることを希望されておられるのか、この点についてはどうでございますか。
  115. 影井梅夫

    影井政府委員 ただいま御指摘の問題は、今後日本の希望がかなえられます段階で現在の安保理常任理事国がどのように考えるか、また他の非常任理事国、さらに他の国連加盟国全体といたしましてどういうことを希望するかということも勘案して考えるべき問題であって、いまこの段階で決定するということは時期尚早ではないかというふうに考えております。
  116. 近江巳記夫

    ○近江委員 本年秋の総会にも予想される東西両ドイツの国連への同時加盟が実現しますと、第二次大戦後の東西対立によりつくり出された分裂国家国連への同時加盟という画期的なできごとになるわけでありますが、このほかにも朝鮮、ベトナム等の問題があるわけですが、わが国としては北ベトナムと国交を樹立することに非常に意欲的なようでありますけれども、これらの国の国連加盟問題についてわが国としてはどのようにお考えでございますか、大臣にお伺いしたいと思います。
  117. 大平正芳

    大平国務大臣 国連総会は秋に予定されておるわけでございますので、まだタイミングも十分ございますので、私どもといたしましては今秋の国連総会に臨む態度決定までにはいろいろの情報をできるだけ手広く収集、解明いたしまして、わが国の処すべき方針を打ち出していかなければならぬと思っておるのでございまして、いまそういう勉強をやっておる段階でございますので、国会でこれこれの方針で臨むというところまで御報告申し上げる段階でございませんで、しばらく時間をかしていただきたいと存じます。
  118. 近江巳記夫

    ○近江委員 アルバニア、南イエメンの問題は先ほども出ましたけれども、これは非常におかしい状態ですね。わが国としても一日も早く国交回復をしなければならぬわけですが、なぜここまでおくれてきたのでしょうか。そのおくれた理由、大臣としてはどのように把握されておられますか。
  119. 大平正芳

    大平国務大臣 特別の理由があったわけではございません。言いかえれば、人為的にわが国が国交の再開あるいは外交関係の樹立というものを回避してきたわけでは決してないのでありまして、さしあたって現実的な必要が特に生じなかったゆえんだと思うのでございます。しかし外交のあり方といたしまして、先ほど指摘もいろいろありましたのでございますけれども、外交関係の再開等につきましては、前向きにできるだけ早く処置していきたいと考えております。
  120. 近江巳記夫

    ○近江委員 それで時期的には相当煮詰まってきておると思うのですが、大体いつごろとお考えでございましょう。
  121. 大平正芳

    大平国務大臣 もう遠からずやるつもりでございまして、何日までにという、相手との十分の手順を踏んでまいらなければなりませんので、確たる日を私は想定するわけにはまいりませんのですけれども、できるだけ早く実現するように促進してまいります。
  122. 近江巳記夫

    ○近江委員 そのことを強く大臣に要望しておきます。一日も早くそれを実現していただきたい、重ねて要望いたしまして私の質問を終わりたいと思います。
  123. 藤井勝志

    藤井委員長 永末英一君。
  124. 永末英一

    ○永末委員 大平外務大臣に伺いますが、わが国発展途上国に対する経済協力の理念とでもいうものは、どういうぐあいに考えておりますか。
  125. 大平正芳

    大平国務大臣 世界社会の一員といたしまして、日本の力に相応した貢献を世界平和のためにやらなければならぬと思うのでありまして、それにつきましては、第一に経済協力を必要とする受け入れ国側のお立場をよく考えていきたいということと、それから第二は、できるだけソフトな条件でそれを供与するようにいたしたいということ、それからできるだけ分量もまた拡大していかなければならぬと考えておりまして、申すまでもなくこのことによってわが国が見返りの利益をねらってやるというさもしい根性ではなくて、真率に相手側の立場に立っての経済協力を進めていきたいと思います。
  126. 永末英一

    ○永末委員 世界平和を保つためにという目標、それからわが国は別に具体的な見返りの利益を追及しない、はなはだ高道なおことばでございますが、その平和を保つと申しましても、全地球にはいろいろな国がございますけれども、それは一律一体に考えておられるのですか。それとも地域的にわが国とのかかわり合いを考えながら実施せられるおつもりなんですか、いずれですか。
  127. 大平正芳

    大平国務大臣 協力援助というのは押し売りしてはならないものでございまして、相手国側からの要請がございました場合に、その国との関係を考えなければならぬことはもとよりでございますが、同時にそのプロジェクト自体につきまして、その国の経済自立に寄与するようなものであり、わが国が友好に援助し得るようなものでございますものを選択いたしまして、これに対応していくということを通じて、相手側との友好関係の増進ばかりでなく、世界社会の一員としての責任を果たすということでまいりたいと思います。
  128. 永末英一

    ○永末委員 いまのお話ですと、経済協力ですから、相手方との話はまとまらなければできませんが、相手方から申し入れがあって、それを受けるということになりますと、別にわがほうは方針はないのである、相手方次第である、こういうことになりますか。
  129. 大平正芳

    大平国務大臣 方針につきましては、先方から申し入れられたもの、つまり先方の計画、もくろみ、経済自立への熱意というようなものを中心に考えていくわけでございまして、無方針では決してないわけでございます。またそれを協力するにつきましては、十分先方の期待にこたえるだけの条件を考えなければなりませんので、わが国の利益を主にして考えるというようなことではなくて、向こうさんの意図、計画というようなものを尊重しながら実行に移したいものと思っております。
  130. 永末英一

    ○永末委員 なかなか高邁な御方針のようですが、ある国では国際連合における投票、自分の国の都合のいい投票を獲得するためにやっていると思われるという評論を受ける国もあったようでございますけれども、いまのお話ですと、ともかく高道な目標が背後にございまして、そしてあとは、現実的に処理しておるのは相手方の申し入れを受けて発動する、こういうことであります。世界の平和ということばはけっこうでありますけれども、経済協力と申しましても、すべて国民の税金によってまかなわれるわけでございますから、国民にわかってもらわなくてはならない。片やわが国の安全保障のためには、具体的なことが政府の行動としてなされておる。それは防衛費であったりあるいは各国との安全保障に関する取りきめであったり、身がまえであったりしている。事経済協力になりますと、そういうこととかかわりを持ってやっておられるのか、そういうことは別にして、世界平和というようなことでやっておられるのか、どっちなんですか。
  131. 大平正芳

    大平国務大臣 すべてのことが内にも外にも理解を得てやらなければ実効もあがらないわけでございますから、当然国民の理解を得なければならぬと思いますが、私は経済協力政策に関する限りで考えますと、各政党間の大きなコンセンサスというものはすでにできておると思うのでございます。したがってこの質量ともの改善を通じて着実にやってまいるということにつきましては、国内的に大きな抵抗があるというようには見ていないわけでございまして、各党の理解と支援のもとに、これまで相当いびつでございました経済協力というものを立て直しをして、りっぱなものに仕上げていく任務があるのではないかと考えております。
  132. 永末英一

    ○永末委員 先ほどからわが国経済協力というのが、大平さんの描かれる理想像に照らしますと、いびつであったり不十分であったり不完全であるというようなおことばが出たようでありますが、私が伺いたいのは、理想とせられる姿というものは一体どんなものを考えておるのか、それがなければいびつであるとか不完全ということばは出てこないと思いますけれども、どういうことなんでしょうか。
  133. 大平正芳

    大平国務大臣 具体的に申しますと、あるいはOECDという先進国グループの中で、日本経済協力の水準あるいは内容等を比較してみた場合に、決して見劣りのしないようなものにまずしなければならぬじゃないかということ、あるいは開発途上国が結成しておりまするUNCTAD等のものさしから申しまして、わが国経済援助の姿を見た場合に、なおこういう点に改善すべきものがあるというようなことが当面のわれわれの努力目標じゃないかと思うのです。理想は高く掲げながら、現実はそういったところをめどといたしまして、まだ相当距離があるわけでございますから、さしあたってはそういう距離を埋めていくように努力したいものと思っています。
  134. 永末英一

    ○永末委員 つまりOECDというようなグループでは、GNPの一%の経済協力をいたしたらどうか。これはヨーロッパのソシアリストの発想に淵源を持つ考え方でございますけれども、その一先をどういうふうにやるのかということが確固たる根拠があるかどうかは別にして、わが国がそうでない場合に、それに達する努力をする一つのめどがあると思うのです。しかしそれはわが国の、もっと具体的な立場からいえば、きわめてぼうばくたる目標じゃないか。UNCTADにしましても、そこに集まってくる国々は、いろいろな発展途上国がある。だから、そこにいろいろ出てきておるそれにどうこたえるかという場合に、おのずからわが国わが国立場で選択があるべきだと思います。一つの問題は、発展途上国に対する経済協力と申しましても、ヨーロッパ等の国、すなわち旧植民地を持っていた国あるいは持たない国、それぞれやり方が違うのでありまして、わが国の場合にもおのずからその違いがあったはずだと思いまして、私はむしろ、先ほどからお話されておられますような、みごとなきれいな理想像のところを伺いたいと言ったのは、やはりおのずからわれわれのやってきたことは、そのときどきの制約あるいは条件があったであろうと思いますが、結局のところ選択が行なわれてきたと思うのです。今度アフリカ開発基金に金を出そうというわけでありますけれども、東南アジアアフリカとに分けて、わが国の努力というものはアフリカにはいままで非常に少なかった。しかしこれからそこに参加する国々の基金の分量から見てもわが国は非常に多いわけですから、何か政策の変更をやるつもりなのかどらなのか、この辺はどうですか。
  135. 大平正芳

    大平国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、わが国経済協力アジアに偏重されております。これはまた当然のことと思うのであります。これからの考え方といたしまして、アジアに対する経済協力を落としていくという意味では毛頭ないわけでございますけれども、われわれはこれから経済協力の質、量ともの増大にあたりまして、アジアだけに片寄るようなことがないように、アフリカにおきましても応分の拠出を惜しむべきでない。とりわけあそこには、ああいう状況でございますので、これから一そう力を入れなければならぬのではないかという気持ちでございます。
  136. 永末英一

    ○永末委員 アフリカに全然眼を投げなくていいということを申しているのではございませんが、つまりアフリカというものとわが国との関係が、アフリカとヨーロッパ諸国との関係と比べた場合、そしてそれはちょうどわが国東南アジア方面との関係とヨーロッパ諸国東南アジア方面との関係というものと並べて分量をはかった場合、わが国アフリカに対する力の入れ方というものはおのずから計算上出てくるのではなかろうかと思います。  さて、もう少し内容に立ち入って、経済協力には資金協力やボランティアあるいは技術協力というものもございますが、外務省はこれらのことを、まだ御方針ははっきりわかりませんが、いろいろなやり方をきちっとまとめて総括的に全体を見つつ、これらのやっている手法を総合的に勘案しながらやっておられるのか、それとも出たとこ勝負でそれぞれやっておるという形なんですか。
  137. 大平正芳

    大平国務大臣 経済協力政策政府部内の総合調整は外務省が担当いたしておるわけでございまして、永末さんおっしゃるように全体のバランスを見ながらやってまいらなければならぬ立場におるわけでございますが、正直に申しまして、いままでの経済協力をずっと見てみた場合に、私も先ほど申しましたように、政府援助がいやに少なかったり、とりわけ技術援助が非常に弱いというような結果になっておるわけでございますので、先進諸国経済協力等を鏡にして見た場合にずいぶん見劣りする部面も多いということでございますので、そういった点について相当大胆な修正を加えていかなければならぬじゃないか、改善を加えていかなければならぬじゃないかと私は考えております。
  138. 永末英一

    ○永末委員 その外務省の主導権というものは、大平さん、あなたの時代にきちっとやれますね。
  139. 大平正芳

    大平国務大臣 たいへん無力でございますけれども、そういう努力をしなければいかぬと思います。
  140. 永末英一

    ○永末委員 あとでまた資料を要求いたしますけれども、大平さんに伺っておきたいのは、人間を動かしている、技術協力、専門家を派遣をしたり、そしてまた青年を派遣をしたり、こういうことをやっているわけですね。その内容をちょっと見てみますと、たとえば専門家を百人以上派遣をしている国で青年協力隊は全然行っていないという国、また技術協力で、昭和二十九年から四十七年まで、実に長い年月でございますが、十億円以上技術協力費を出している国で青年協力隊の全然行っていない国、こういうものを計算をいたしますと十カ国あるわけです。それから青年協力隊だけが行っている国というのは数は十数カ国あるわけでございますけれども、別段この青年協力隊と技術協力と専門家派遣とがミックスされる必要はないのかもしれませんが、そういう配置を見ておりますと、それぞれが出発点が違うものだから違うものをやってきたといろだけであって、総括的に見ながら配置をしてやっているというふうには見られない。この辺の、技術協力だけに限りますけれども、技術協力というのは、これらを全部ちゃんと見てやっているんですか。それとも先ほど言われたように、相手方から技術協力をやってくれという場合にはそれに応ずるし、専門家派遣をいうてくればそれに応ずるし、青年協力隊の、ボランティアの派遣をといわれればそれに応ずる。ばらばらやってきた、たまたまそれが、集めてみるとこういう表になりましたというやり方なんですか。どっちでしょう。
  141. 菊地清明

    ○菊地説明員 技術協力に関しましては、仰せのとおり専門家の派遣、研修員の受け入れ、それから開発調査とか、そのほかに青年協力隊がございます。それで、専門家と協力隊をどういうふうに配置しているか、どういう方針でやっておるかということでございますけれども、基本的な方針といたしましては、発展途上国で希望のあるところには、しかも日本でそういった技術のある分野におきましては、専門家も協力隊も両方派遣したいということでございます。ただし、仰せのとおりばらつきが若干ございますけれども、これは、協力隊の場合は、前提として協力隊をある国に派遣する場合には一般的な取りきめが必要でございます。これができてなかったりしますと協力隊が派遣できない。それから発展途上国によりましては、協力隊ではなくて専門家がいい、ないしは協力隊は希望しないというところもあります。それから、国によりましては、協力隊が行っているところで、もうそろそろ自分のところは協力隊のような協力じゃなくて別の協力がほしいということを考え直している国もございます。こういったようないろいろな事情、主として相手国側の事情でございますけれども、そういったことでそういうばらつきが出ておるわけでございます。
  142. 永末英一

    ○永末委員 外務大臣の時間がだいぶ迫ってきたようですが、外務大臣に伺いたいんですが、海外青年協力隊というのは、これは本質は何だとお考えですか。要するに、相手方から、いま言われたように青年協力隊、ボランティアを送ってくれといわれたら応ずるためにやっているのですか。そしてその国に何かいいことをしてやるというのでやっているのですか。それとも、その青年たちがそんなことをやってくれば将来ためになるだろうということでやっておられるのですか。どっちなんですか。
  143. 大平正芳

    大平国務大臣 人事の交流の面と技術協力の面と二つ持っておると思うのでございまして、相手方にとりましてくむべきものがあると思いますと同時に、彼ら自身にも得るところがあると私は思うのでございまして、これはいろいろいままで続けてまいっておりますけれども、繰り返す間に十分この機能というものを開発して成果あるものにしたいものと思います。
  144. 永末英一

    ○永末委員 もともとこれはアメリカのケネディ政権時代に、平和部隊とアメリカでいわれたもの、それが日本にある意味では伝染をしてきて、そのころは日本経済協力なんというものはほとんど実質上なかったわけですけれども、ただしそのほうが先行したという歴史的な経過があって、言うならば日本における青年運動としてこれをやろうという空気があったわけです。ところが、実施されてずっとやってきますと、私の伺いたいのは、青年運動として外務省はこれを考えておられるのか、それとも技術協力の専門家派遣というような、似たような気持ちでこの青年協力隊の事業を考えておられるのか、どっちなんでしょうね。
  145. 大平正芳

    大平国務大臣 私は、その二面をあわせて持っておると思います。
  146. 永末英一

    ○永末委員 大平さんは二面というなかなかそつのないお答えですが、青年運動としてこれを盛り上げる必要があるとお考えになりますか。
  147. 大平正芳

    大平国務大臣 われわれがやっておるのはそういう形の技術援助でございまして、しかしそのこと自体がその青年にとりまして青年運動的効果をもたらさぬとは思わぬわけでございますので、そういう意味において二面性を持っておるのではないかと申し上げたわけです。
  148. 永末英一

    ○永末委員 専門家派遣の場合には大体内容は固定し、その人々も自分の仕事、職務として行くわけです。しかし青年協力隊の場合には職務ではない。むしろ使命感、任務、そして別段固まったあるポストがあってそこにはめられるために行くのではない。むしろそこに行ってから何をやるかということで苦労して、二年間の派遣期間でありますけれども、一年ぐらいは何をするかわからぬというようなことでやってきておる事例もたくさんあるわけであります。彼らを動かしておるのは一にかかって、おれたち日本の青年が開発途上国の青年たちと交わって、一緒になって何ごとかをやるんだという使命感のほうがむしろ私は多いと思うのですね。ですから、同じ技術協力とは言っておりますけれども、本質的に違う面があるはずだと私は思う。したがって、専門家は外国へ行って帰ってきましてそれでしまいでありますけれども、この青年たちはもっと別のものを期待をしつつ自分のからだを二年間いわばこの運動に投じたと思うのです。その辺の感覚は、大臣、御存じでしょうか。
  149. 大平正芳

    大平国務大臣 御指摘のような色彩が強いということは承知いたしております。
  150. 永末英一

    ○永末委員 そういう気持ちにこたえて、そういう角度でこれを運動として伸ばしていく必要があるとお考えでしょうか。
  151. 大平正芳

    大平国務大臣 そういう意図も含めて、技術援助を推進していきたいと思います。
  152. 永末英一

    ○永末委員 大臣、けっこうです。  さて、大臣に伺いましたところでひとつ外務省から資料をいただきたいのですが、東南アジアアフリカと分けて、そうしてそこで資金の援助、これはマルチプルなものもございましょう、コンソーシアムみたいなものもあるかもしれません、二国間の借款形式のものもございましょうが、そういう一覧表をひとつつくっていただきたい。それからそこに日本の企業がいろんな形で入っていますね、合弁事業とか、そういうものの一覧表、要するに日本経済力がどういうコンダクトをしておるか。技術協力のほうは表がございますが、私は資金のほうをよく知らぬものですから、これはいまなければあとでけっこうですが、出していただけますね。
  153. 菊地清明

    ○菊地説明員 そういった資料は後刻提出いたします。
  154. 永末英一

    ○永末委員 先ほどちょっと触れたことでございますけれども、資金援助と技術援助とは統括して考えられておりますか、全然別々ですか。全然ということに語弊があれば、そもそも出発点は各国の資金援助を求めてきたもの、技術援助を求めてきたものという求められるほうの趣旨に従ってやっておられるのかどうか。
  155. 菊地清明

    ○菊地説明員 仰せの資金援助、資金協力技術協力との関連というのは実はたいへん重要な問題でございまして、これをどういうふうに結びつけていくかということは今後のわれわれの研究課題でございます。その技術協力の中に、先ほど申し上げました専門家の派遣とか研修員の受け入れ、それから特に開発調査というのが、これは技術協力一つの形態でございますけれども、これと資金協力を結びつける。つまりいろんなサーベーをやって、その結果それがエフェクチュアリティーがあるというふうなことになった場合には資金協力のほうもまた考えるということでありまして、この結びつきの必要性、これは開発調査に限りませんで、専門家の場合も研修員の受け入れもそうでございますけれども、これは有機的に関連させてやっていくというのが基本的な考え方でございます。
  156. 永末英一

    ○永末委員 いままで有機的にやってこられたのでしょうか。これからやりたいということなんでしょうか。
  157. 菊地清明

    ○菊地説明員 従来もやってきておりますけれども十分とは言いがたい、これからなお努力したいということでございます。
  158. 永末英一

    ○永末委員 アフリカだけにしぼりましても、たとえば資金援助をやっている、円借款をやっているところに技術援助のうちの青年協力隊がほとんど行っておりますが、円借款がなくて青年隊が行っておるところもあるんですね。だからそれはやってできなかったのか、それともそれぞれ求め方が違ったからそういう結果が生じたのかということを伺いたい。やってできなかったのでしょうか。求め方が違ったからそういう結果になっておるのですか。
  159. 菊地清明

    ○菊地説明員 仰せのようなケースは、アフリカ、ことに北アフリカの場合だと思いますけれども、たとえばモロッコを例にとりますと非常に協力隊が出ておりますが、ここには資金協力はございません。これは沿革的に見ますと、資金協力の要請がなかったということでございます。  それから、そういった資金協力を行ないます場合には、相当の事前の調査その他が必要でございますが、協力隊の場合ももちろんそういったことは必要でございますけれども、協力隊の場合には、先ほど申し上げました一般的な協定を結んで、向こうが特に要望する分野というものが比較的簡単にわかりやすいもので、それで協力隊派遣ということになっております。一言で申しますと、準備段階におきまして、協力隊、専門家の派遣、研修員の受け入れと資金協力というものが、資金協力の場合には非常に時間がかかる、手間がかかるということではないかと思います。
  160. 永末英一

    ○永末委員 その技術援助をやっているところと資金援助をやるところとが、それぞれ日本国内では違いますね。違うから経過的にはそれぞればらばらにやっておるのではないかと思うのですがね。しかし相手方からすれば、どっちだって日本ですよ。資金が来ようと人が来ようと、その人も青年であろうと専門家であろうと日本人には違いない。外交というのは、なるほど東京では各省のセクションの機関は別々であっても、相手方には日本という一つに映っておるということを考えてやるのが外交だと思います。大臣おりませんから、政務次官、そう思われませんか。
  161. 水野清

    ○水野政府委員 おっしゃるとおり日本の対外援助に、国内の行政機関がたとえば大蔵省と外務省というふうに分かれておりまして、これがいろいろ横の連絡が若干不十分だという点はございます。しかし最近に至って、たとえばこの資金援助と技術援助の問題などは非常に緊密な連絡をとってやっておりますので、先生の御指摘のような点は今後ともさらに努力をしてみたいと思っております。  ただ御承知のように、金融機関というものはなかなか一つの融資の基準とかそういったようなものがございまして、これを実は私どもももっと国際的な水準にまで改正していきたい、こう思っているわけでございます。その点ではひとつ先生からも今後の御支援をむしろお願いしたい、こういうふうに思う次第でございます。
  162. 永末英一

    ○永末委員 これは国会の審議の面でも、輸銀がやっておることやら海外経済協力基金がやっておることの細目にわたって審議をする機会がなかなかないわけであります。まあ外務省技術協力については外務委員会でやるかもしれませんが、そういうこととも関係がございましょうが、ともかく政府のほらで、たとえば外務省が権限上、輸銀やあるいはまた海外経済協力基金の内容にまできちっとやるというようなところまでやっておかないと、なかなかむずかしい面がある。しかし、先ほど申しましたように、どういうことをやろうとも相手方には日本として映るわけであって、われわれが税金を納める場合に、国税であろうと地方税であろうと間接税であろうと、われわれのさいふは一つなんですから、そういう努力をしなければわれわれのそれぞれのセクションにおける善意が必ずしも相手方に映らない。大平外務大臣が高通な精神を持っておられましても、効果の薄いことをやったんではこれは国の納税者に相すまぬ、こういうことになると思うのです。  さて、私は青年協力隊のことで一つ伺っておきたいのでありますが、先ほど申しましたように、私はこれは青年運動としてちゃんと位置づけしてやるべきものだと思います。もともと外務省の海外技術事業団や、あるいはまた協力隊の事務局ができて技術協力の一環として位置づけされたところに日本政府のかまえとしてはいささか問題があると私は思うのです。もっと違った形でこれはやるべきだ。日本の青年に海外を見せようという試みは総理府にもありますね、船に乗せてみたり選抜して送ってみたり。これは旅行と違うのであって、もっと実質的に外の社会と溶け込んでやっておるものでございますから、たとえば青年を海外にやるという場合でも、これは外務省がやっておるけれども、総理府では青年を船に乗せたり旅行させたりしておる。この辺も大臣に聞きたかったのだけれども、ばらばらだと思われませんか。外務省は船のことをみんな御存じですか。
  163. 水野清

    ○水野政府委員 大体は存じております。ただ、先生の御指摘のような問題、単に青年に海外を見させようという、例の青年の船でございますが、あるいは今度の文教委員会で御審議をいただいている教職員の方々に海外を見ていただこうというのと、協力隊の問題とは私は本質的に違うと思っております。
  164. 永末英一

    ○永末委員 私は、青年運動だというのなら、これを運動として国民の間にもっと知らせる必要がある。たまたまその近くに船が行っても、協力隊員というものがそこで働いておるのを知らないで、観光みたいなことで回ってみたり、あるいはその辺にほかのことで政府の金で行っておる、その社会を知るために行っておるのに、すでにそこに入っておる協力隊員のことを知らないでいるということがあれば、これは国費の浪費であると思います。やっていることもございますよ。あるところに行ったときに、呼び出されて会ったこともございます。そういうものは外務省の所轄じゃないからといっても内閣としては一つなんだから、やはりきちっと連絡をとって船を回す場合にも協力隊員が努力をしておるならばせめてそこへ行ったら、国費で行くのでありますから、知らせる。こういうことをかっちりやるべきだと思いますが、どう思われますか。
  165. 水野清

    ○水野政府委員 青年協力隊は日本人同士の交流ということも先生の御指摘でございますが、相手国の人たちとの交際や交流を深めていく、そこに二年間身を投じていくということがおもな目的でございます。ただ、青年協力隊の駐在員というものは出先にもおりまして、大使館などと連絡をとって十分にやっております。先生の御指摘のように、青年の船とか総理府でやっている仕事どかそういったこととは結びつかないのではないかということでございますが、総理府がやっていることの内容は私はこまかく存じておりませんが、そこまでには至っていないのはこれはやむを得ないのじゃないかと思っております。
  166. 永末英一

    ○永末委員 あなたは副大臣ですから、あなたが御存じないことは外務省が知らぬということになりますが、それはむだだと思うのです。青年協力隊はそこの国の社会の中に溶け込んでやるということを使命として行っておるわけです。日本人同士が集まってやるために行っておるのではありません。しかし、少なくとも同じ国民の税金を使って派遣せられる同じ世代の青年たちが、自分と同じ世代の者が目的は違うけれども、そこでこういうことをやっているということを知らないで帰ってくるのが多いわけです。たまたま一日来ればいいわけですから、そういう努力をされるべきだと私は思います。  さて、青年隊員になる場合に、すでに就職をしておって、休職をして参加する者、退職をして参加する者、学校から直接来る者、いろいろ区別はございますけれども、いままでの総計の中で休職をした者は何名、退職をして参加した者は何名、それから退職をした者は二年間の勤務を経て帰ってきたときにどういうことになっておるのかという表がございましたらお知らせ願いたい。
  167. 菊地清明

    ○菊地説明員 正確な数字はあとからもう一回正確な資料で提出させていただきますけれども、過去に派遣された隊員のうち、休職で参った者が二百二十四人、これは派遣隊員総数の一六%に当たります。それから退職して出た者はちょっとつまびらかにいたしませんけれども、三〇%ぐらいではないかと思います。それで現在の新しい制度によりますと、協力隊員が二年間外国において勤務いたしております間は所属先補てん、つまり、休職で行ってまだ職がある方々に対しては、所属先の給与の補てんということをやっております。
  168. 永末英一

    ○永末委員 その所属先に対する人件費の補てんということをやっておるというのですが、やろうとするのでしょう、もうすでにやっておるのですか。それでもらった事例がありますか。
  169. 菊地清明

    ○菊地説明員 若干不正確でございましたから訂正させていただきます。昭和四十八年度の予算から実施しようということでございます。
  170. 永末英一

    ○永末委員 せっかくのこういうプロジェクトでございますから、やはり世界のことを知りたいと思う青年、あるいはまた日本の青年として、そういう一つ日本人のやっている行動に身を投じたいと思う青年がどんどん来てもらうように努力をするのが外務省の、官庁の役割りだと私は思います。その意味合いではいい人が入ってこなければ困るのであって、いままでの人々の中で、民間企業から入ってきた人、参加した人は全体の何%ぐらいですか。
  171. 菊地清明

    ○菊地説明員 各年度を通じての統計はございませんけれども、四十七年度の派遣隊員の所属先の分類から申し上げますと、民間、つまり会社員等から来られた方が百十一人でございます。全体で二百数十人のうちの百十一人くらいでございます。
  172. 永末英一

    ○永末委員 始まりましてから国家公務員や地方公務員やあるいはまた官庁ではないけれども、官庁に準じたような公共機関等から入ってきた者のトレンドと、それから民間から休職もしくは退職して参加した者のトレンドとをひとつあとで資料として出してください。
  173. 菊地清明

    ○菊地説明員 トレンドにつきましては、後刻資料を提出いたします。
  174. 永末英一

    ○永末委員 それぞれの国に、協力隊についての駐在員というものがおりまして、これが相手方の政府との連絡をとって迎え入れの仕事をやっているようでございますが、この駐在員は、現地に行きました協力隊員のその現地を全部回ってやっておりますか。
  175. 菊地清明

    ○菊地説明員 はい、回っております。それから、私もタンザニアに一回行ったことがありますが、あそこの駐在員などは、駐在員のところに非常によく隊員が集まっているようでございます。
  176. 永末英一

    ○永末委員 全部回っているって、そんなこと言うていいんですかね。それならフィリピンにおいて何人の協力隊員が行っておるのか、その地域は何カ所であるか、駐在員の数がわかっておるのでありますから、それが全部回れることになりますか。インドでは一体どうなっておりますか、全部回っておりますか。
  177. 菊地清明

    ○菊地説明員 駐在員が一年じゅうに全部回るということはもちろんできませんけれども、任期じゅうには協力隊のいるところを全部訪問するということになっております。これはその駐在員の全期間を通じてそういうことにしておるわけでございます。
  178. 永末英一

    ○永末委員 全期間というのは駐在員がおる期間なんですか、派遣された協力隊員がいる二年間には必ず一ぺんは駐在員が現地に行くということなんですか。
  179. 菊地清明

    ○菊地説明員 駐在員の任期でございます。
  180. 永末英一

    ○永末委員 新しい協力隊員が知らない土地に行く場合には、駐在員が現地のことをよく知っておって指示をしてやらなければ、初めて行ってことばもはなはだ不十分で、とんでもない苦労をみんなやっているわけです。青年らしい使命感に燃えておりますから、不足は言わないで二年間つとめ上げて帰ってきますけれども、むだなことを何カ月かやっておる。そのむだなことをやらせないためには、あらかじめ現地のことを駐在員がちゃんと知っておって、むだなことをやらないように指示をしていくということをやるべきだと思う。あなたはいまきれいなことをおっしゃいましたけれども、そうなっていないのが実情じゃありませんか。そのためには、もし駐在員が一名で不十分なのであればふやすべきである、そういうことが組織的な運動として官庁側としてやるべきことなんです。そのことが行なわれていない。しかもまた、駐在員で行っておられる方は、御本人は一生懸命にやっておられましょうが、能率という点から見れば不十分な点があるはずで、これらの点も、監督をしておられるあなた方のほうはもっと十分手を尽くすべきだと思いますが、いかがですか。
  181. 菊地清明

    ○菊地説明員 御趣旨のとおりでございまして、そういう方向で今後とも努力したいと思います。
  182. 永末英一

    ○永末委員 協力隊員が各企業に所属しておりまして、これで休職をして行くならば、その間の人件費はその半分を持とうという企てをことしから実施するようでありますけれども、これはその企業と本人だけの問題ではなくて、その企業に労働組合があれば、労働組合自体の問題にもなり得るわけであって、私はこの運動が青年運動として盛り上がるためには、やはり労働組合の協力を求め、労働組合がそれぞれの企業との間に何らかの協定を結んで、本人の身分保障をやっていくということがきわめて必要だと思いますが、いままで労働組合側にこういう運動をやっているのだということを外務省は説明したことがありますか。
  183. 菊地清明

    ○菊地説明員 ただいままでのところ、企業の労働組合に対して協力を御依頼したということはございません。しかし、今後そういう方向も重要だと思いますので、努力していきたいと思います。
  184. 永末英一

    ○永末委員 これは運動として宣伝費なるものは幾ら使っているのですか。
  185. 菊地清明

    ○菊地説明員 御質問の点は協力関係の広報活動に相当すると思いますけれども、四十七年度で四千八百四十七万円、それから今年度要求政府原案は六千二百六十八万円ということになっております。
  186. 永末英一

    ○永末委員 非常に少ない広報費ですね。外務省は、この青年たちが行って、そして帰ってくる、彼らが日本の青年として大きな運動に参加したのだという評価を十分受けているという判断をしておりますか。
  187. 菊地清明

    ○菊地説明員 私たちといたしましては十分評価されていると思います。それで協力隊員が帰国しました暁には、先輩の協力隊員その他集まりまして、それからもちろん官庁も入りまして、報告会を開いておりますので、その成果というものは十分生かされていると思います。
  188. 永末英一

    ○永末委員 それは官庁ですから成果が生かされていないというようなことは言われはしませんよ。具体的に聞きますけれども、一ぺん参加した者が事後研修というので一堂に会したことがございますか。
  189. 菊地清明

    ○菊地説明員 昨年につきましては三回やっております。
  190. 永末英一

    ○永末委員 それぞれの府県で、おれの県ではこれだけの人間がこの運動に参加したのだということで、お互いに顔を見る機会がいままでございましたか。
  191. 菊地清明

    ○菊地説明員 これは県によるわけでございますけれども、一般的に申しまして、いままでございません。
  192. 永末英一

    ○永末委員 それぞれの地域からいろいろな職種の人が出ていくわけですね。私もいろいろのことを聞いたのでありますけれども、たまたま前の人が行っておったからこの企てを知ったとかいうようなことが多いのであって、その府県から少数、数名であったり十数名であったり、多くは数十名になっておりますが、それがお互い顔を知って、はじめて運動として——広報費といってもパンフレットの作成費用だけが問題ではなくて、そういう運動があるのだということを日本の青年に知らせる、これがまず眼目でなければならない。であるならば、その府県で何人が参加して、お互いに顔を知っている、あの人は三年前に行った人である、こういう仕事をしているというくらいは事後研修としてあなた方のほうは手を差し伸べてやるのでなければ、これは運動として成り立たない問題でしょうね。そういうことをやるつもりはございますか。
  193. 菊地清明

    ○菊地説明員 これも四十八年度からの計画でございますけれども、協力隊の公募そのものを県にお願いすることになりましたので、その点今後は改善されるのではないかというふうに考えております。
  194. 永末英一

    ○永末委員 県にお願いする場合に、県に予算がついているのですか。
  195. 菊地清明

    ○菊地説明員 まだ県そのものには予算をおつけするまでには至っておりませんけれども、予算書の中の国内業務費、つまり協力隊事務局の国内業務費、これは四十八年度で三千万円ということでございますが、この中から支弁していくということでございます。
  196. 永末英一

    ○永末委員 県は全部協力的ですか。
  197. 菊地清明

    ○菊地説明員 これはちょっとお答えがむずかしい問題でございますけれども、私たちのほうの事務レベルでいままで御相談申し上げた限度では、非常に協力の意欲を示してくださった県がございます。十五、六県以上あるのではないかと思います。
  198. 永末英一

    ○永末委員 十五、大県だったら、あとの県はよくわからないという話なんでしょうな。私はそこを言っておるのであって、運動だとしてとらえるならば、各県を経由せられるなら経由せられるように、そういう予算も必要だし、三千万円といっても、一県平均すればごく微々たるものになる。だから外務省技術協力の一環だなんという考え方に固執しておると、官庁仕事になる。官庁仕事ではこの協力隊派遣をそもそも考え出された意味が失われてくる。この辺は運動としてもう一ぺん組み直して、そしてまず日本の青年隊が十分知らされるためにはどうしたらいいのかということから始まって、それに参加する青年たちが、ともかく若い世代、二年間という時間をこれに投じていくわけであるから、彼らの帰国後のアフターケアというか、これに対しては官庁としてちゃんとやはりすべきである。月に二万五千円積み立てておいて、そして二十四カ月苦労してやったら終わりだなんというようなことでやっておったのでは、これは運動として成功しない。運動として成功しないということは、せっかくやっておるにかかわらず、日本のイメージというものは、その国において決していい結果を残さないということになる。私は重要な仕事だと思いますので、この機会に申し上げておくわけです。先ほど大臣は、運動として考えましょうということですが、ひとつ外務省、本腰を入れて、この青年海外協力隊の問題はやるんだということを、政務次官、あなた大臣によく言うてください。いかがですか。
  199. 水野清

    ○水野政府委員 いま永末先生の御指摘の点は、拝聴しておりまして、非常にごもっともな御指摘を幾つか受けたようでございます。外務省の事務当局としましては、これまでその範囲で一生懸命やってまいりましたけれども、確かに御指摘のような、協力隊の二年間の義務を終えて帰ってきた人たちの横の連絡であるとかその後の行動であるとか、あるいはそれらの人たちの経験をもっと青年運動に生かしていけばいいというような点については、私は若干の足りないところがあったように感じております。ぜひとも先生の御指摘の点を生かしまして、今後この協力隊の運動というものをもっと活発化していきたい、こういうふうに思っております。
  200. 永末英一

    ○永末委員 終わります。
  201. 藤井勝志

  202. 影井梅夫

    影井政府委員 先ほど金子先生の御質問に対します調査が届きましたので報告申し上げます。  一昨年の国連総会の委員会の段階におきまして棄権いたしました国十七カ国、その国名はブルガリア、白ロシア、チェコスロバキア、ハンガリー、モンゴリアン、オーマン、ポーランド、ポルトガル、ルワンダ、南アフリカ共和国、ウクライナ、ソ連、上ボルタ、ラオス、ベルギー、コンゴ及びルクセンブルグ、この十七カ国でございます。  この委員会での棄権国は、ただいま申し上げました十七カ国でございますが、これが本会議の段階に移りまして、ただいま申し上げました最後の四カ国、すなわち、ラオス、ベルギー、コンゴ及びルクセンブルグ、これが本会議の段階では賛成に回っております。  それから、その一方、委員会の段階では反対しておりましたエチオピア及びギリシャ、これが本会議の段階で棄権に回りましたので、したがいまして、本会議での棄権国数は十五ということになる次第でございます。
  203. 藤井勝志

    藤井委員長 次回は、来たる十一日水曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後一時五分散会