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河上委員 時間がそろそろまいりますので、最後に、きょうの議題からちょっとはずれるわけではございませんが、いまその
援助問題、
援助精神ということについて論じておりますので伺いたいと思うのでありますけれども、
日本政府のこのベトナム復興
援助に対する姿勢の問題でございますが、復興
援助をする根拠というのは一体どこにあるのか。実はこの前のパリ
協定の、これは第八章になるのですか、第二十一条に、復興
援助のことに言及されているわけでありますけれども、次のように述べておるわけです。「合衆国は、この
協定がベトナム民主共和国及びインドシナ全人民との和解の
時代を開くものであることを期待する。合衆国は、その伝統的な政策に従って、ベトナム民主共和国及びインドシナ全域の戦争の傷跡の回復並びに戦後の再建に寄与する。」こういうふうに述べております。ここに述べられておりますのはアメリカの場合でありますが、アメリカの場合の姿勢がここにはっきり述べられておるわけです。大平外務大臣はしばしば、パリ
協定を尊重するという言い方をしておられますけれども、この復興
援助に
日本が参加する、まあ要望があればということでありましょうが、参加するという場合に、一体どういう根拠で臨むのかということが、これまでの御
答弁の中ではあまりはっきりしておりません。何かお祭りがあるからおつき合いで金を出すような、そういうふうな言い方では非常に不謹慎でございますが、それに近いようなことでは、たいへん困ると思うのです。ベトナム戦争当事者であるアメリカの場合はこういう言い方がしてある。このアメリカの方針に
協力するということを言明してこられた
日本政府としてはどういう態度であるのか、そこをちょっと伺うことが、
東南アジア経済援助の失敗というと非常にことばは言い過ぎかもしれませんが、それに対する
日本政府の
一つの反省のあかしにもなるんじゃないかと思うのであります。
私、このパリ
協定を見ましたときにすぐ思い起こしましたのは、昨年の十月三十日付のニューズウイークに、ファン・バン・ドン首相とニューズウイークのボルシグラーべという特派員との独占インタビューが掲載されておりました。そしてその最後のほうに次のような
質問があったのを思い起こしたわけであります。つまり、記者はファン・バン・ドン首相に対しまして、戦後の復興期におけるアメリカ合衆国の役割りをあなたはどう
考えるかと
質問したのに対して、ファン・バン・ドン首相は、
二つある、第一は、アメリカはわれわれに加えられたすべての物質的な損害に対して責任を負っておる、第二に、アメリカはわれわれの破壊された経済の再建に寄与する絶対的な義務を負うている、こういうような言い方をしておるのでございます。私は、このファン・バン・ドン首相のことば、言い回しというのが、ほぼそのまま今度のパリ
協定に載っているんじゃないかというような気がするわけでございます。したがって、パリ
協定にあることばでありますが、合衆国は、その伝統的な政策に従って、ということばの中には、アメリカとしては罪滅ぼしということはなかなか言いにくいからこういう言い方をしたのだと思うのですけれども、やはりそこに、ことばのニュアンスとしては相応じているものがあるというふうに感じているわけでございます。戦争当事者であるアメリカはこういうふうな言い方をしている。じゃ
日本はどういうつもりでこの復興
援助に臨むのか、そのことを伺いたいと思います。