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1973-09-13 第71回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年九月十三日(木曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 石野 久男君    理事 木野 晴夫君 理事 藤波 孝生君    理事 藤本 孝雄君 理事 粟山 ひで君    理事 嶋崎  譲君 理事 原   茂君       稲村 利幸君    湊  徹郎君       渡辺美智雄君    堂森 芳夫君       山原健二郎君    北側 義一君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      前田佳都男君  出席政府委員         科学技術庁長官         官房長     牟田口道夫君         科学技術庁研究         調整局長    千葉  博君         科学技術庁原子         力局長     田宮 茂文君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    杉岡  浩君         行政管理庁行政         監察局監察官  佐々木晴夫君         科学技術庁原子         力局次長    伊原 義徳君         文部省大学学術         局学術課長   七田 基弘君         資源エネルギー         庁公益事業部原         子力発電課長  児玉 勝臣君         気象庁観測部長 木村 耕三君         建設省住宅局建         築指導課長   佐藤  温君         国土地理院参事         官       檀原  毅君         消防庁防災課長 藤江 弘一君         日本国有鉄道施         設局長     篠原 良男君     ————————————— 本日の会議に付した案件  科学技術振興対策に関する件(地震予知及び原  子力安全性確保に関する問題)      ————◇—————
  2. 石野久男

    石野委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  この際、前田国務大臣より発言を求められておりますので、これを許します。前田国務大臣
  3. 前田佳都男

    前田国務大臣 わが国原子力行政に関する政府基本方針につきまして、この際、次のことを明確にいたしたいと考えます。  わが国原子力行政基本については、原子力基本法に明らかに規定されておるところでありまして、政府としましては、従来ともその精神にのっとり運営をはかってきたところであり、この方針は、今後ともこれを堅持してまいる所存でございます。  なお、政府としましては、今後ともその運営にあたっては住民の意思を十分尊重してまいります。
  4. 原茂

    ○原(茂)委員 ただいま長官の御発言をお伺いいたしておりまして、少なくとも問題の起こりは、総理発言がきっかけで、わが国原子力行政上重大な問題だというので、各党ともにこの問題はないがしろにできないという立場をとって今日に至ったわけであります。  長官も御承知のような、官房長官との話し合いなども陰ではやりながら、依然として満足できないという結果から、さきに山下副長官の当委員会における出席を求めて、大臣も立ち会いのもとでのああした討議があったわけですが、依然として総理発言の真意、これに対する解明各党ともに行なわれていない。少なくとも各新聞に一斉に、総理すなわち政府を代表する立場でのああいう強い発言がありますと、いわゆる原子力基本法による三つの基本的な条件の一つを根底からくつがえすという、わが国にとって重大な問題を、国民大衆に、こういう強権の形でやっていくのかという印象を与えっぱなしになっていることは、善意に考えましても、許しておけないというのが各党とも基本的な態度でございますので、いま御発言の内容には総理発言云々すらが触れられておりませんので、依然としてこの問題に関する限りは、やはりもっと真剣な、しかも突っ込んだ各党基本に関する問題として取り上げてまいりたいと思いますので、委員長においておはからいをいただきたいのですが、一番早い機会に、当委員会においてこの問題の討議を行なうということにさせていただきたいと考えます。  各党理事先生方ともいま話し合いましたが、そうしたいという御意向もございますので、私が代表してこのことをお願いするわけですが、委員長において取り計らいをお願いをいたしたいと思います。
  5. 石野久男

    石野委員長 いま原委員からの御発言がありましたが、そのように取り計らいたいと思いますので、御了解いただきたいと思います。そのようにいたします。  引き続いて、質疑の申し出がありますので、これを許します。原茂君。
  6. 原茂

    ○原(茂)委員 きょうは、きのう参考人の方においでいただいた地震中心の問題の、やはり国会の終わりでございますために、きのうまだお伺いができなかったものを、ざっぱくではございますが、締めくくりのように、これだけはお伺いしておきたいという点を、順不同で引き続きお伺いをしたい、こう思います。  きょう、多くの説明員の方々においでいただいておりますが、時間もございませんので、きょうは全部、これはと思うことだけはお伺いしたいという私の念願でございますので、お答えのほうも、要点だけひとつできる限り簡潔にお教えいただきたい、こういうふうに考えているわけであります。最初に、建設省建築指導課長がおいでになっておりますので、二、三お伺いをしたいのです。  わが国のいわゆる構造力学上、構造物建造物建物等に関しては、力学上の耐震性というものは、学問上、技術上確立している状態なんでしょうか。これを先にお伺いします。
  7. 佐藤温

    佐藤説明員 建築物耐震対策につきましては、人命の安全確保と財産の保護を目的といたしまして、建築基準法、それから同法の施行令及びこれらに基づきます技術基準で必要な規定は設けてございます。  建物構造設計原則といたしましては、構造耐力上主要な部分につり合いよく配置すること、そのほか構造耐力上主要な部分には必要な剛性、それから粘り強さ、こういったものを持たすように構造原則を設けてございます。そのほか、建築に用います構造部材許容応力度、それから建築物に作用いたします力の計算方法、それから基礎の安全性、そのほか帳壁安全性等に関するものを設けてございます。  さらに、個々の木造、それから鉄筋コンクリート造等構造種別ごとにそれぞれ構造基準規定してございまして、建築物地震力等に安全なように取り計らうように規定を設けてございます。  確立されておるかというような御質問であるかと思いますが、地震に対します建築物構造耐力につきましては、地盤、それから地震に対します解明をすべて終わっているわけでございませんので、地盤建物の問題、どう地震の力を受けて共振現象を起こすか、こういったものにつきましてはすべて解明されているわけではございません。各界でそれぞれ研究をされております。これの解明をされました段階におきまして、法律的にも措置をしてまいりたい、かように考えております。
  8. 原茂

    ○原(茂)委員 地震に関しては、おっしゃるとおり、あらゆるファクターが、しかも未開のものが多いわけですから、したがって的確な構造物地震との関連における耐震性というものが、学問的、技術的に確立されたという状況にはなかなかならぬ、おっしゃるとおりだと思う。前にもちょっと申し上げたかどうか知りませんが、たとえば中国なんかは地震考古などという、単なる日本でいう考古学ではなくて、地震そのもの考古学上の見地から現代に適用するような学問的な追求をやっているわけですね。たとえば、簡単にしろうとわかりしやすく言うなら、過去、たとえば北京なら北京に百二十年に一ぺんはでかいやつが来る、そういう歴史が三千年くらい前からずっと中国の場合記録があるわけですから、そういうものを調べた上で、どうも百二十年なら百二十年たつとマグニチュード幾つぐらいのものが来るという前提で、したがって震度六なら震度六に耐えられるような構造物以外建ててはいけないという配慮をしながら、国の指導で、建造物というものが、過去三千年来の地震歴史の上から、そういう簡単な現象だけをとらえながら耐震性というものを考え建築をやっているわけです。これは中国全土に及ぼしているわけです。  日本の場合どうなんでしょう。東京の例をとってみたら、めちゃめちゃだろうと思うのですが、やはり過去の記録の上から、少なくともこの地帯においては耐震性という点ではこの程度耐震性がなければいけないのだということを指導する、学問追求が全部終わった後に何かを確立するのではなくて、やはり中国地震考古という考え方も非常に貴重だろうと思うのですが、わが国でも多少やれているんでしょうか、それが一つ。  もう一つ、たとえば構造線上の建物、これは危険がありそうだと思うような線上にも新幹線の路線がしかれてみたり、あるいはその他のいろいろな重要な施設があったりというようなことに関しては、やはりチェック建設省でしながら、そういったことに対する配慮を十分にした上でなければ、一切そういうところに構造物を設定することはいけないというようなことが、中国地震考古ではありませんが考えられていいんじゃないかと思うのです。そういう指導なり考え方前提に立って、たとえば建設省全体としての指導が行なわれているのか、そういう法規上の何かができているのか、この二点についてひとつ。
  9. 佐藤温

    佐藤説明員 まず一点の、地震歴史的な経験に基づいてその建築物対策考えているのかどうかというような御趣旨の御質問であったと思いますが、これにつきましては、日本建築基準法におきましても、当然過去の地震による被害状況等基本になって組み立てられてまいっております。しかし、その百年に一回来る地震に対して建築物が安全であるように設計をするか、二百年の幅をとるか、こういった問題は、非常にいろいろの観点から考えていかなければならない問題だと思います。現在の考え方といたしましては、長期の間に一回起こるような大きな地震についての配慮ということではなくて、もっと百年程度地震に対して耐えられるような考え方、関東大地震程度のものに対しては安全であるような構造設計するような考え方に立っておると考えております。  それから、地域的に地震に対する配慮をしておるかどうかということでございますが、建築基準法では、建築物設計に用います地震力につきましては、水平震度の値を一般的に〇・二ときめてございます。地域的にはたとえば何々地方、何々県、こういったような分け方はしてございません。地盤状況によりましてその基準を変えることができるようになっておりまして、たとえば地盤が著しく軟弱な区域水平震度の値を〇・三にとる、それから、また一方地盤の堅固な区域では一般的な値を軽減することができる、こういうような規定をいたしております。  それからもう一点、地方的にはこれは地盤の形では、地盤の性質と申しますかではなくて、過去の地震活動状況などに応じて基準の二分の一以内を減らすことができるというようになっております。たとえば北海道とか九州とか、こういったある程度地震が過去の実例から申しましても少ないような地域には減らすことができる、こういうような一般的なきめ方をしております。
  10. 原茂

    ○原(茂)委員 そうすると、ある程度建設省にはちゃんと基準指導理念、そういうものがあって、法規上各地域によってどのくらいの耐震性を持たせるということがきめられて、そのとおりやられているわけですか。そういうお考えがいつごろからやられているんでしょうか。
  11. 佐藤温

    佐藤説明員 いま申し上げました基準法におきます地震力とり方につきましては、これは建築基準法ができました当時からこのような方法を(原(茂)委員「いつですか。」と呼ぶ)昭和二十五年でございます。それから、現在建築物に対します地震応力度とり方につきましては、建築基準法に基づきます計算方法を用いますことは当然でございますが、その計算過程におきましては建築基準法ではきめておりません。ただ外力計算方法、それからその外力によって各部材におきます応力度許容の限度におさめなさい、こういうような仕組みになっております。
  12. 原茂

    ○原(茂)委員 また二つちょっとお伺いしますが、一つは、基準法が発足した二十五年以前の建物、これが一ぱいありますよね。こういうものに対してはどういうようにしているのでしょうか。もうできちゃったものはしようがないというのでほっているのか。二十五年以前のものが多いですよね。それはどうしているのか。  それからもう一つは、家にしてもけっこうですが、家なら家ができ上がったときに、そういう耐震性というものを中心にした検査なり何かが行なわれる仕組みがあるのでしょうか、法律はありながら、実際にできた家というものはおよそいいかげんな家だってあるように、しろうとだからわかりませんが、思うのです。そういうものはやはり耐震性というものの立場から検討して、これはいかぬというようなことが指導的に行なわれていますか。
  13. 佐藤温

    佐藤説明員 建築基準法によって初めて建物耐震設計というものに対してやったわけでございます。これは以前の市街地建築物法時代からの引き続きでやっておるわけでございます。基準法以前のものにつきまして耐震的に問題があるのではないか、そういう点については同様な規定を設けてあったわけでございますから、必ずしも以前のものであるからといって危険であるということではなかろうかと思います。  それから、建物ができ上がったあと耐震性についてチェックしているかというような御質問でございますが、これは特に耐震性についてチェックをしているというようなことではやっておりません。基準法に合致しているかどうかということを検査をする立場でやっております。むしろ地震に対しましては、設計段階におきまして、地盤状況等を考慮した耐震設計をするようにむしろ指導しておる状態でございます。
  14. 原茂

    ○原(茂)委員 国の立場でやはり地震というものを真剣に取り上げていくことは、そういう意味で不適格な建造物があるということはまわりに非常な迷惑を及ぼすわけです。耐震性が確立されていない建造物があるということを通じて、ちょっとした地震によってそれが倒壊をする、火災を発生するというようなことが至るところに起きたらたいへんなわけでしょう。したがって、国の立場では、このペーパープランができたときに、その上でこの検査をして、耐震性がこれだけの計算になっているのだ、材料はこういう材料だからいいんだというだけではなくて、建築ができ上がる過程、あるいはでき上がったときにそういうものをチェックするような方式がないと、今後都市再開発でございますとか、あるいは地震そのものにどう対処するかを考えていこうとする政治にはならないというように思うのですが、この点はどうなんでしょうか。  それからもう一つは、この間何かの新聞で見たんですが、地震との関係におけるいわゆる耐用年数変更をしようというようなことが、ちょっと何か新聞で見たような気がするのですが、建設省耐用年数耐震性というものから割り出して再検討しようというような動きがありますか。新聞はうちにはあるのですが、持っていないのですが、その点はどうでしょうか。私はこれはいいことだと思っているのです。少なくとも、既存の建造物にしても、もう一度チェックをするくらいのことを国の立場でやらないと、そうして補強なら補強をすべきものは補強させるというところまでいかなければ、地震対策を国がやっていることにならないと思うので、建設省の重大な仕事としてこういうことを考えていいんじゃないかと思うのです。  その意味からいっても、地震前提としたときの耐用年数耐震性変更考えようとすることは間違っていないと思うのですが、そういう検討をするようなことを何か新聞で見たのですけれども、この二つをまたお聞きしたい。
  15. 佐藤温

    佐藤説明員 建築物建築される段階で、耐震性についてもっとチェックをする方式考えるべきではないかという問題でございますが、この点につきましては、おっしゃるように、たいへん重要なことであろうかと思います。  しかし、現実の問題といたしましては、個々建物につきまして、それぞれ建築主事一つ一つチェックをするということに対しましては、非常に困難な問題もあろうかと思います。一般的に、構造につきましては、それぞれ設計段階チェックもされておりますし、施工段階で厳密に施工管理者立場で工事をやってもらうように、特に強く指導をしていくべきでなかろうか、かように考えております。  それから、耐用年数耐震性の問題につきましては、ちょっと私不勉強で申しわけございませんが、聞いておりませんので、お答えをしかねるわけでございますが、おっしゃいますように、耐用年数から耐震性につきまして再チェックをしていくという問題につきましては、非常にたくさんの建物を、年代別と申しますか、建築年次をそれぞれ調べてやるということも、非常にむずかしい問題であろうかと思います。  特に、私どもで考えておりますのは、単に地震だけでなくて、地震に伴います火災問題等ございますけれども、単純に火災が発生したとき等の被害状況を見ましても、大衆の出入りするような建物につきましては、今後そういう防火それから耐震的な問題については、調査をしてまいるように考えておるわけでございます。
  16. 原茂

    ○原(茂)委員 建設省地震との関係耐用年数を再検討するということは各紙に一斉に出ている。ですから一度検討していただきたい。御存じなければやむを得ません。  前段の、設計時において許可をするときに、紙の上で見ている、あとチェックすることは非常に重要で必要だと思うのだがというお話でしたが、そういうことをすることが、この地震が国民的に心配されている現段階における政治として必要なんだ、こういう立場でものを言っていますので、課長さんもそういうことは重要だと思う、やらなければと思うのだったら、そういうことを帰ったら建設大臣にも進言をしていただくようにお願いしたいのです。  設計段階許可を与えた建造物が、建築途中でたいへん大事なところが至るところ設計変更をされてできていることを御存じないようですけれども、私はずいぶん建物をつくってきました。極端にいうと二十幾つつくってきました、工場にしても何にしても建物を。それは私がぐるぐる回っているうちに、しろうとのくせに、こんな耐震性なんか考えていないのですから、これはだめだ、ここはこのほうが便利だからこうしろというので、大事なところをずいぶん変更させました。そのつど一々許可を得に行くかといったら行かなかった。行かないでもどんどん変更しました、耐震性にしろどこにしろ。というようなことで、でき上がったときに、あるいは完成直前チェックするということは実に重要だなあということを、実は私の体験から割り出している。ですから、そういうことを重要だとお考えになるのでしたら、やはり現段階において——単にもう、一ぺん見たからあとはいいんだというようなやり方をしようとはしていないでしょうけれども、結果的にはずるずるとそうなってきているわけです。そうでなく、新しく地震というものを考えたときに、国家的な見地で何をするかという建設省一つの大きな仕事としては、こういうことを取り上げる必要があるだろうというふうに実は考えていますので、この点はここで、大臣にひとつ強く必要な機関に対して進言をしていただくようにお願いをしておいて、建設省関係への質問を終わります。  次いで、国土地理院のほうからきょうは檀原先生が来ているようですが、最初参事官のほうにお伺いしたいのですけれども、この間琵琶湖西岸異常隆起をしているという発表が、これは特に檀原さんの名前で指導的に、新聞発表がどうなされたのだか知りませんが、されました。そのときに、沈下傾向地域隆起現象があらわれたり、またその逆になったりということは、あまり変動のない地域でそういうような変動、上がったり下がったりということが起きるようになると、危険な地震のある前兆ではないかというような発言参事官からされたわけです。  参事官現地へも飛んでいってこれをお調べになったはずなんですが、琵琶湖西岸における異常隆起中心にした、危険な前兆ではないか、しかし、前に調査した測量というのは非常に古い測量だから、大至急にひとつ国土地理院としても、その他の機関への応援も頼みながら、精密な測量をやろうというようなことで締めくくられているようですが、この琵琶湖西岸における異常隆起というものを、これも私は簡単にある程度もので見ておりますから、それを前提にしながら、結論的にどんな手当てをいましようとしているのか、その手当てをしたらこういう結果が出ると思うので、そうなったら琵琶湖西岸に関して、当分の間危険があるとかないとかというある程度結論がいつごろ出るということをお聞きしたい。
  17. 檀原毅

    檀原説明員 お答えいたします。  琵琶湖西岸につきましては、特定観測地域に指定されていたのでありますけれども、ということは、過去に地震が繰り返されまして、最近起きていない、そういう場所の一つであるからでありまして、それで特別に注意していたわけでありますけれども、いま先生おっしゃいましたように、一八九二年ころから四回ほど水準測量をいたしました。ですから六、七十年の記録があるわけですが、それがいままでは沈下をしていたわけです。この沈下地盤沈下というような人為的なものではない、これは現地を見て確かめたわけであります。そういうところで、一九七一年にもう一度水準測量をやりまして、いままで沈下していたところが隆起に変わっているというような異状が見つかったわけであります。  これは新潟地震でもそういう例があるわけでありますが、長い問の傾向が変わった、そういう変わったのが本ものであるかどうか、それからそのほかのいろいろな現象に、同じようなといいますか、それに対応するような異変が出ているかどうか、そういうことを突きとめるのが大切であろうというようなことでありまして、これはさしあたって、七一年に測量をやったわけでありますから、ことしやりますと七三年で、二年、間がありますから、その間にどう変わったかというようなことがわかる。  それからもう一つ、最近ショルツが言い出しました地震波の横波と縦波、特に縦波の変化でありますが、これは京都の西のほうにたくさん地震が起きておりまして、その地震をうまく使えば、あそこを通る地震波がどう変わっていくか、それがわかるはずであります。その調査京都大学お願いしてありまして、その結論がまだ出てまいりません。大体その結論が出ますのが、ことしの十一月の末に連絡会がありますが、その辺で一応のめどがつくんじゃないかと思っております。
  18. 原茂

    ○原(茂)委員 ショルツ理論といいますか、ショルツさんばかりじゃないんですが、こういう理論をわりあいに震源が浅そうだということから確かめやすいということがあるんでしょうか。
  19. 檀原毅

    檀原説明員 震源が浅いかどうかということは、起きてみないとわからないのでありますけれども、あそこで起こればたぶん内陸性地震であろう。ですから、四十キロとか五十キロとか、そういった震源の深さが想定されるわけでありますけれども、そういう深さでありますと、あるいはその上の部分ももちろんひずみがたまっていると思いますが、そういうところを通過してくる波というものはかなり変化してよろしいのではないかと考えております。
  20. 原茂

    ○原(茂)委員 わかりました。それでは結論的には、十一月末に一応琵琶湖西岸における異常隆起中心にしてこんなふうになるだろう、こういう状態だという何か発表をなさる、こう考えていいわけですね。そういうようにお伺いしました。
  21. 檀原毅

    檀原説明員 あくまでいまの段階を申し上げましたので、十一月の末に必ずそう結論が出るというわけにははっきり断定はできないと思いますが、一応その辺をめどにしましていろいろ検討してまいりたいと考えております。
  22. 原茂

    ○原(茂)委員 できるだけあらゆる機関を動員してひとつ的確に、そうたいして狂わない機会に早く私は結論を出してやる必要があるだろうというふうに思います。  ついでに、例の山形県の酒田地方の、問題になりましたね、これは参事官がおいでになったりなんかしてないんですが、ついでにお伺いするのですが、一つは、酒田地方における異常を言い出しました東北大の先生方考え方の中に、ショルツ理論というものを現に過去のものに当てはめていろいろ論議することができているが一いま酒田地方に起きつつある異常というのは、ショルツ理論をとにかく追求していこうとする上で非常に現に起きているという意味では、あの理論上の線を非常に的確に固めていこう、あるいは検討していこうという好個の材料になっているんだというような考え方先生方にあるようですが、そういうふうに考えていいんでしょうか。
  23. 檀原毅

    檀原説明員 東北大学の高木先生のグループがおやりになりました、酒田地方の地震波速度の変化でありますけれども、これは八月に開かれました二十二回の連絡会におきまして検討されたわけであります。そのときの資料をいろいろ見せていただいたわけでありますが、まだ非常に不完全な面がありまして、すぐあそこが異常であるという結論にはならなかったわけであります。  それで、先生のいまの御質問でありますけれども、私たちは一応その地震波速度がどう変わっていくかということを、その場所をきめる場合の目安としまして、地震活動の非常に少ないところ、これは空白地帯になるわけでありますが、そういうところをまずねらえばよろしい。高木先生のは、地震活動が少ない空白地帯が酒田地方にありまして、酒田から本荘にかけてその辺にねらいをつけて調べられた結果でありますが、その中の空白地帯が全部一度に埋まるような大きな地震になるか、あるいはそれをかじるような小さな地震であるか、そういうことはわからないのでありますが、一応の目安としましては、そういう空白地帯に目をつける。それからもう一つは、たとえば水準測量で異常が見つかった、そういうようなところをねらいをつけて地震波の変化を調べればよろしいのではないかというように考えております。
  24. 原茂

    ○原(茂)委員 これは、東北大から特に要請があって国土地理院も即刻精密測量をやろうというようなことも要請によってやることになったか、やり始めたか、何かしているのじゃないかと思うのですが、そういうことはありますか。それが一つ。  それから文部省、どなたがおいでになっているのですか。学術課長がおいでになっているようですが、これはおわかりになるかどうか知りませんが、こういうようなことをやると、たとえば東北大ではこの地方に臨時観測所をすぐつくる、あるいは移動観測所を何カ所かつくっていくというようなときの予算というのはどうなるのでしょうか。これは、そういうことを見越した本年度の予算の要求というものが来年度に対する予算の中にも入っているものか、始終こういうことが起きるだろう、これからひんぱんに起きるのじゃないか、ちょっとでも異常があったときに、これはと思う地域に関しては、直ちにそういったことを必要な機関がどんどん金をかけ、設置をしていける、たいした金じゃないのですから、という意味からも、そういうようなものが、今回全体では二十一億、そういう予算の概算要求をなさる中にちゃんと盛り込まれているのかどうか、文部省の事例だけでいいからお伺いしたい。  現実には東北大のこの臨時観測所なり移動観測所をつくるという、そういったような費用というものは一体どこから出るのか、実際には出し得るのかということと、この来年度の予算要求の中に、そういうようなことが各関係機関ともになければいけないと思う。そういうものがどのくらい入っているのか、それをお伺いしたい。  総じて私、きのうも申し上げたのですが、この種の問題が起きたら、集中的に各機関がたいへん人的には無理だろうと思うのですが、とにかく何とか人はやりくりできるのだが、金がないということのないように、間髪を入れず集中的にこの観測というものをあらゆる角度から行なうということがいま行なわれないといけないのじゃないか、従来と同じようなスピードでやっていたのじゃ困るのだという前提に立って、実はいま言ったようなことを両者にお伺いするわけです。
  25. 檀原毅

    檀原説明員 初めのほうの御質問お答えいたします。  国土地理院におきましては、七月に高木先生からそういう連絡を受けまして、それで直ちに過去の資料を整理しまして、その結果、上下変動には異常はあらわれていないということがわかりました。それでその過去の水準測量のうち、一番新しいのが一九六六年でございましたけれども、だいぶ期間があきましたので、ちょうどことしあの付近まで平常観測が行っておりまして、多少変更しまして、酒田から山形へ抜ける線をやることにしまして、それが十月ころにたぶん行なわれるであろう。国土地理院としましては、一応それだけの対応を考えております。
  26. 七田基弘

    ○七田説明員 いま御質問のございました件につきましては、従来も各大学からお話がございました場合におきましては、科学研究費、あるいは国費といいますか、公費のほうで必要な援助をいたしてきたわけでございます。明年度以降のいわゆる地震予知の経費の中にそれは入っておりませんが、それプラス文部省のほうで一応保留いたしております金、あるいは科学研究費のほうに研究補助金がございますので、必要に応じて出す。これは今後ともその体制で進んでいきたいというように考えております。
  27. 原茂

    ○原(茂)委員 そうしますと、千葉さんはお喜びになるかもしれないが、時間があったら千葉さんにまたあらためて全体的にお伺いするのですが、総額大体二十一億という要求をしましたね。そのほかに、実際にはまだプラスアルファが各省からそういう場合には出せると見ていいわけですね。そういうものの過去、本年度、昨年度でもいいのですが、実際にはそういった種類の地震関係するものが違ったところから、地震の予算といわれるもの以外にこれだけ使われているのだというのがわかったら出してもらいたいと思うのですが、どうでしょう。
  28. 千葉博

    ○千葉政府委員 実は、いまこまかい資料を持ち合わせておりませんのでございますが、たとえば私のほうにございます特別研究促進調整費、こういったものから必要なときに、たとえば緊急に必要だという事態が起きましたときは出しております。  それから、そういったもののほか、文部省におきましては、先ほど学術課長の答弁にございましたように、科研費の配分のときに手心が加えられるというようなこともございます。それから、各省の中で、たとえば気象庁あたりですと、観測関係の予算の中でのやりくりが若干できる。これは大きなものはできないと私は思いますけれども、そういったことになっております。  たとえて言いますと、昨年からいろいろ活動が活発になって噴火が起きている。それでこれにつきまして国会でもいろいろ問題となりまして、気象庁からこれの測定の強化、観測の強化、研究、これに金を要するのでということで、特調費で三、四千万のものを出そうかということをいままた検討しておる、こういったようなことがあるわけでございます。
  29. 原茂

    ○原(茂)委員 数字を出してもらえますか、去年も本年も。
  30. 千葉博

    ○千葉政府委員 それでは、昨年度のほうがいいかもしれません。その辺のところで数字を先生のところにもお出ししたいと思っております。
  31. 原茂

    ○原(茂)委員 たとえば山形県の酒田地方なんかは観測強化をやっていく。具体的にやっていった結果は、観測強化区域だとかあるいは集中区域だとかいうようなことで、新たに指定をして、格上げ——格上げじゃない、何というのですか、そんな危険なやつの格上げはいいことじゃないですが、そういうこともすぐやることになるのでしょうか。これは檀原先生に。
  32. 檀原毅

    檀原説明員 先ほど申しましたように、東北大学で発見したと言っておりました地震縦波の変化、速度の変化でありますが、これはまだはっきりそう言える段階ではないということで、まだ異常がつかまったわけではありません。したがって、現在のところ特定観測地域でありますけれども、これを観測強化地域に格上げするということは考えておりません。
  33. 原茂

    ○原(茂)委員 速度変化などが非常にはっきりしてきたようなときには、そういうことを考えるのですか。
  34. 檀原毅

    檀原説明員 定義によりますと、何らかの形で異常がつかまったときに、その異常が本物であるかどうか、あるいはほかの現象にも出るかどうか、そういうことを確かめるために観測強化地域にする。そのときにはまだ地震につながるかどうかは必ずしもわからない。もし地震につながる可能性が非常に高いということがそういう結果わかりますと、今度は観測集中地域に指定しようというような考え方でございます。
  35. 原茂

    ○原(茂)委員 たとえば酒田地方で地震関係してかくかくの変化が見出せた、したがって強化地域にするとか集中地域にするというようなことになったとき、予算的にはどうなんでしょう。金を使う面ではいまと何にも変更はないのですか。そういうようなときには、やはり新たに何か特別な機関あるいは施設をつくるとか、あるいは人間がよけい動くというようなことから、いま要求している予算のほかに、そういうときには何か金がかかるのですか、かからないんでしょうか、どうでしょう。
  36. 檀原毅

    檀原説明員 その点、私たちに限らずほかの省庁でも同じであろうと思いますが、非常に弱い点が確かにございます。私たちのところでは、そういうところが見つかりますと、経常観測的なものをある程度そちらに回して仕事をする、そういったことがございますが、事が重要であれば多少は経常費を犠牲にしてもしかたがないというようなやり方でございます。
  37. 原茂

    ○原(茂)委員 大臣も千葉局長もお聞きになったとおり、そういったときに経常費用のほうをさいてやる。どうも地震に関する限りそれでは困るんですよ。各省予備費を相当とっているわけですね。そういうときに、経常費すなわち恒常的な観測の費用が削られてしまうようなことが絶対にないようにするためにも、この要求をしあるいは予算を編成するときに、その種のものを過去の実績からいってアローアンスを相当見ながら、予備費なら予備費をきちっと持っていないと、どうしてもやらなければいけない、常時やっているやつが、何らかの形で少しでも削られて、そっちへ向けなければいけない——向けなければいけないことは事実です。こういう事態が起きたときには集中的に観測する必要がある。その予算が、過去の実績に照らしてある程度計算しながらぴちっとプールされていないと、予算要求というのはやはり的確ではない。適正ではない。現に地殻というものは非常に動いているのですから、どこでどんな現象が起きるかわからない。起きたときにそれっというのでこれをつかまえにいくわけですからね。そいつをやるために経常費のほうをさいてやるなんということをやっては、おそらく先生方ずいぶん困るだろうと思うんです。これは国民的な損失ですからね。冗談ごとのようですけれども、戦車三台ぐらいやめておけばそんなもの何でもないんですからね。そんなことをやれという意味じゃありませんよ。冗談に言えばそのぐらいのものですよ。金額はたいしたことないんです。どうでしょうか、こういうものを入れなければ……。
  38. 千葉博

    ○千葉政府委員 実は、この地震予知につきましては、科学技術庁といたしましても、先生御指摘のとおり、重要なる研究課題であるということでこれを推進しております。それで、こういった研究の中で予算に要求してなかった。ところが、いま先生御指摘のような緊急な研究課題が出てきたという場合には、これは私のほうの特調費でございますが、特調費の中の緊急研究に対する部分がございますので、これは二億から盛っております。こういったものから支出するというのが、この政府全体の研究を進めるたてまえになっておりますので、今後も必要とあれば特調費にも載せるということにいたしたい、このように考えております。  たとえば根室の問題がせんだってからいろいろ問題となりまして、実は科学技術庁としてもあれから先、今後あれはどうしても緊急に研究を強化することが必要ならば特調費を出すことも考えるということで、連絡会議でいろいろやってもらったのでございます。まあ不要であるということでございますので、これについては出すことはやめたという経緯があるわけでございます。
  39. 原茂

    ○原(茂)委員 いま千葉局長のお話があったので、檀原先生も、そこらは弱いんだなんて言っていないで、建設省であろうと何だろうとかまわないから——きっと出せるだろうと思うのです。出すつもりのようですから、ひとつそういうときがあったら出してもらう。ずいぶん、省が違うのにそれができるような、全体の科学技術の面からの調整費だろうと思うから、ひとつ大胆に、予算ではあまりちゅうちょしないでやってもらうようにひとつお願いしたいと思うのです。そんなことがほんとうにできるかどうか、あとで実際の経過の中で聞かしていただくし、事実、局長おっしゃったように、やるつもりで各省に働きかけながらやってもらわなければいけないのじゃないかという感じがします。  そこで、時間がないからまたその点はこれではしょるのですが、次に遠州灘のことをちょっとお伺いしたいのですけれども、総体的に言うなら、その危険性は五分五分だというようなことで一応ピリオドが打たれている。これは端的に言って、こういう五分五分だという結論が出たあと、従来と同じように観測をやっていけばいいのか、もっと観測を強化、こういう点でやらなければいけないと思っているのか。いままでどおりの観測のしかたでいいんだ——五分五分というのは非常に危険の確率が高いわけですからね。ほんとうは五分五分じゃないんだとおっしゃるのかどうか知らぬけれども、全体的に、おっしゃっていることを総合すると、五分五分だといったような感じに受け取っているのですが、その点が誤りかどうかを一つと、もしそうだとするなら、従来と同じような観測を各機関がやっているだけでいいのか。もっと思い切って新たな施設なり金をかけて、ここにもっと超集中的な観測をやる必要があるのじゃないかというふうに思いますが、そんな必要はないということになるのか。五分五分というやつに対する結論が、遠州灘に関していつごろ出せるのだろうという三つお答えいただきたい。これは檀原さんですかね。
  40. 檀原毅

    檀原説明員 この問題につきましては、昨日萩原先生からある程度お答えがありましたので、あまり重複しないように申し上げたいと思いますが、遠州灘が近く大地震が起きるであろう。これは、力武先生が確率理論で最近言われておるところでありますが、それで力武先生仕事自体は別にどうということはないのでありますが、何しろ過去の統計理論と申しますか、過去の地震を使って、それから現在の駿河湾から御前崎にかけての沈下ですね、ああいった量を使いまして確率を出されておりまして、現在遠州灘におきましては、九〇%というような高い確率がその結果出てまいったのであります。それで非常にマスコミにも騒がれておりますが、私たちとしましては、この地域もやはり特定観測地域に指定してありまして、力武先生理論も、これは確率論だからいけないというんじゃなくて、それはそれなりに評価いたしまして、私たちの地震予知の方策といたしましては、やはりいろいろな精密な計器で計測でつかまえていく。地震前兆というものをつかまえる。たとえば、長い間御前崎から駿河湾にかけて沈下している。これはやはり七十年ぐらい沈下を続けているわけでありますが、そういったほぼ一様な沈下がたとえば隆起に変わるとか、そういった異変があれば、地震といいますか、ほかの観測手段も集中していく、そういう手がかりになるわけでございます。  いまのところ、水準測量はこの前やりまして、この前、連絡会で報告を行なっておりますが、今年度あすこにおきましては、例の光波測距儀を使いましてひずみ測量をやっている。それから、あすこに前々から設置してありました菱形基線でありますが、それをもう一度繰り返してはかっていこうというようなことを考えておりますが、そういう結果を見まして、これは今年度中に終わりますので、これもやはり今年度末ごろには結果が出てくるであろう。そういったことをやりまして、そのほかにあすこには大学のほうで身延山のところに地殻変動観測所、それから三河に名古屋大学の地殻変動観測所、それからもちろん気象庁のいろいろな大中小の地震観測のデータもありますし、そういったものを総合いたしまして、東海地方がどうであるかというようなことを検討してまいろうと思っております。
  41. 原茂

    ○原(茂)委員 わかりました。  この点で沿岸の沈下に対する特別の測量は必要としないのですか。長い間に二十から二十五センチ沈んでいますね。そういうものに対する特別な測量を必要としますか。
  42. 檀原毅

    檀原説明員 最近七月、八月に行なわれました水準測量の結果を見ますと、これはほとんど前の運動をそのまま継続しているようでございます。
  43. 原茂

    ○原(茂)委員 ありがとうございました。これも次にまたお伺いする機会を求めてやります。  次いで気象庁にお伺いしたいのですが、たぶん気象庁の管轄だと思うのですが、全国でA級火山があるわけですが、これの現状——近くもう危険は何もない、この間浅間山ですか、終息宣言というのか何か知りませんが、出されました。これについてもお伺いしたいのですが、全体的にA級火山の現状をちょっとお聞かせいただきたい。
  44. 木村耕三

    ○木村説明員 現在桜島は相変わらず活発に活動しております。ただ幸いなことに、同じ穴からふいておりますので爆発力はそれほど大きくありませんで、ただ回数だけが非常に多いというような状態で、まだ警戒状態であります。  その次に、浅間山でございますが、浅間山は五月二十四日に噴火いたしまして、それからずっと、地震はありましたけれども減少してまいりまして、監視体制を最近平常に戻しました。火口にも測候所の者が上がってまいりまして観測しておる、こういうふうな状態でございます。  それから阿蘇山でございますが、ずいぶん長いこと火山規制をしておりましたけれども、これもおさまってまいりましたので、火山規制は解きました。  それから三原山はずっと穏やかでございます。  A級火山は以上のような四カ所でございます。
  45. 原茂

    ○原(茂)委員 簡単なことをお伺いするのですが、浅間山に関して、ああいう活動を始めるのに周期があるのかないのか、あそこは過去ずっと記録がずいぶん古くあるのでしょうけれども、大体何年くらいでああいった活動を始めて、どのくらいで終息しておる、一応おさまるというようなインターバルがあるのか、そういう点を浅間山の例でけっこうですから……。
  46. 木村耕三

    ○木村説明員 浅間山につきましていろいろ古くから資料がございますので、そういうものが見つかれば非常にわれわれ助かりますので一生懸命調べておりますけれども、残念ながら見つかりません。  それから、一回活動を始めてから何カ月続くかということも、これは長短いろいろございまして、今度のは非常に短いので、かえって気味が悪いと思われるくらいであります。
  47. 原茂

    ○原(茂)委員 やはりそうですか。つかんでないわけですか。私どもにもよくわからないのですが、これはどうしてもつかむ必要がありますね。ほかの火山に対しても、そういうことをデータとしてどんな困難をおかしてでもつかんでおかないといけないような気がするのですが、浅間山は特にその点困難ではないかと思うのです。ということは、逆に言うと、一応いま終息しておるのだけれども、いつまたやるかわからぬということになるわけですね。そのことがある程度わかっていますと、ある程度は、過去のあれからいって、まあまあこのくらいはいいんじゃないか、いろいろな測量をやった結果、その他の測量も科学的にコンバインして考えた結果、このくらいの期間はいいのじゃないかということがいえると思うのですが、浅間山に関しては、いや、またいつごろになると大きな活動を始めるんだというようなことがいえるのですか。いえないのでしょうか。全然わからないのでしょうか。
  48. 木村耕三

    ○木村説明員 残念ながらわかりません。われわれもそういうことは知りたいのでございますが、わかれば非常にありがたいと思って調べておるのでございますが、非常にまばらで、かってきままに活動しておりまして、残念ながらわかりません。
  49. 原茂

    ○原(茂)委員 そこで、五カ年で今度十五億円、この種の観測を中心にして予算の要求をされておるわけですね。していますね。そうすると、今度はどのくらい要求したのか、二億かそこら要求しておるのかどうか。これは、こまかいことはよくわからないのですが、一体何に使うためにことしから特に火山関係調査するための予算要求をしたのでしょうか。何に使うのが前提でしょうか。
  50. 木村耕三

    ○木村説明員 火山関係にしぼりますと、四十九年度要求は一億六千万円ほどでございます。  その内容は、機動班というのがございまして、たとえば昨年からことしにかけて出ましたのは、青森県の岩木山が地元でもって非常に地震活動が多くなり、岩木山が爆発するのじゃないかという騒ぎが起こりましたので、地震計を持っていきまして、そこで一カ月くらい観測してまいりました。一応これは火山活動には関係ないということで結論が出まして引き揚げてまいりましたが、そういうことをするための機動班というのを二班持っております。これの機械が古くなりましたし、しかも旧式なものですからあまり機能を発揮しませんので、しかも機動班といいながら、臨時に出ていくためには、トラックを準備して持っていかなければならないような大型な機械なものですから、しかも人間がずっといなければいけないというような状況にありますので、そういうことをしなくてもいい近代的な機械に取りかえようということと、それから来年度は阿蘇と桜島でございますが、これについて火山観測の施設をさらに整備しようという二点でございます。
  51. 原茂

    ○原(茂)委員 そうですか。時間がないからいけないのですが、浅間山なんかも私はまだやることがあるだろうと思うのです。それが全然、何かがなければ移動班を派遣しないだろうし、新たな予算要求をしても、従来とあまり変わらない観測をただ続けるだけだというふうになるだろう。一応事が終わっちゃったとなると、それに対してもつと科学的に突っ込まなければいけないものがあるのだけれども、それが予算の関係でできないのか、いや、もう何もやらないで、従来と同じでやっていけばいいのだ、何かが起きたらそのときにやればいいのだというような考え方になっているように思うのですが、そういうものでしょうか。
  52. 木村耕三

    ○木村説明員 浅間山に関しましては、実は昨年、暦年でことしでありますけれども、活動を開始しましたので、臨時にあそこに整備いたしましたのと同じものを来年度予算要求して、桜島、阿蘇に整備しようということでございますけれども、一応現在技術的には浅間は整備した。まだ整備したいものはございます。たとえば赤外線で観測するとかいうのがございますけれども、これはまだ技術的に十分実用にたえ得るかどうかもテストしてございませんので、これは研究所のほうで要求いたしまして、実際に使えるかどうかをテストしてそれを実用に持っていこうという計画であります。
  53. 原茂

    ○原(茂)委員 これはまたあとにいたします。  ついでに、順序不同で申しわけないのですが、文部省の学術局ですか、学術課長さんおいでになっているからお伺いしたいのですが、東大地震研、これは一応三つの部屋が解放された、こういうことになっていますが、問題の解決というのは全面的に解決をしたという状況になって、地震研全体が、先生あるいは職員全体を通じて、あの紛争の起きる三年前以前の状態でフル活動ができるという状況にはいつごろになりそうですか。それが一つ。  それから、今年度とにかく、千葉局長のおっしゃるように、二・七倍の予算が要求としてはされた。東大地震研に関する予算というのは、一体本年度と今度の要求とどうでしょう。額が違うのか、違わないのか、その二点。
  54. 七田基弘

    ○七田説明員 地震研の紛争につきましては、原先生から七月に決算委員会で御指摘がございまして、それ以来われわれも紛争の解決といいますか、大学当局あるいは地震研当局ともいろいろ非公式に話し合いをしてきたわけであります。特に昭和四十九年度の予算編成といいますものが、七月から八月にかけまして各国立大学から予算を聞きましてそれをまとめるという作業もありましたことから、その間に何らかの紛争の解決というものが期待できればというように考えておったわけでございますが、遺憾ながら時間切れ八月三十一日までになってしまったということでございます。この三年余にわたります紛争というのは非常に残念なことでございます。  そこで、九月の三日に、大学学術局長名で東京大学学長あてに地震予知研究体制とも関連いたしまして、地震研のあり方について十月末日までに御回答いただくように文書で照会をするという、これは異例の措置と新聞に出ておりましたけれども、したわけでございます。私どもといたしましては、一応組合との話し合いは、さき十一日の組合の大会でも紛争終結というようなことがございましたけれども、過般の情勢からいきまして、まだしばらくこれを見守る必要があろうというように考えております。さらに周辺の地震学者あるいは測地学審議会の関係におきましても、地震研がやはり地震研究中心の地位にバックするためには、今後相当の努力といいますか、新しい体制づくりといいますか、そういうものが必要ではないかという御議論もございますし、今後東京大学当局、地震研とも相談いたしまして、さらに測地学審議会とも相談いたしまして、できればなるべく早くこれを解決いたしたいと思います。一応私どもとしては、少なくとも昭和五十年度の予算が始まりますまでにはその解決のめどをつけていきたいというふうに考えております。
  55. 原茂

    ○原(茂)委員 予算のことをちょっとお答えがなかったのですが、でもフルに動き始めるのを、五十年度予算の中ではそれを組み込んでいきたいと考えているのだけれども、そうすると、来年度の要求の中には、おそらく本年度と同額のものくらいは入れてあるのか、それとも全然あそこの活動の予算なんかも値切ってしまったのか、どうなんでしょう。
  56. 七田基弘

    ○七田説明員 予算のことを落としまして申しわけありませんでした。実は予算につきましては、昭和四十七年度は東大の地震研が大体五億六千万程度でございます。四十八年度におきましては、決算額はもちろんまだわかりませんが、たぶん六億程度ではないかと思います。それで、これは大体人件費がかなりの部分を占めております。それから教官当たり積算校費といいますか、通常の研究費がかなりの部分を占めておりますので、実際に地震研に行きます金は、昭和四十九年度におきましても六億に近い額になるのではなかろうかという気がいたしております。  ただ、先般から申し上げておりますように、第三次の地震予知計画からは除外したということがございましたので、新しい地震予知計画に基づく経費はいかないということでございます。
  57. 原茂

    ○原(茂)委員 とにかく早くフル活動できるようにしないともったいないと思いますので、予算はまたでき上がったときに予算中心にもう一度質問させてもらいます。  ついでに、消防庁にちょっとお伺いしたいのですが、この間九月一日、東京都主催で訓練が行なわれたのですが、これを一緒にごらんになったはずです。ごらんになつく簡潔でけっこうなんですが、一体どういうことに一番はだにあわを生ずるような、こうしなければいけないという欠陥を見出したかという点を、項目でけっこうですから、お知らせいただきたい。
  58. 藤江弘一

    ○藤江説明員 御承知のとおり、九月一日に東京都で耐震対策を想定いたしました防災訓練が実施されたわけでありまして、これにつきましては、こういうような訓練がしばしば行なわれることによりまして国、地方公共団体、住民を通じて地震に対します対応力といいますか、そういうものが徐々に形成されていくということを期待いたしたいと考えておるわけであります。  なお、先生御指摘がありました、はだにあわを生ずるというふうなことではございませんが、将来こういう点について力を入れたいと考えておりますのは、まず第一に、やはり避難地、避難路の確保という点でございます。これは、根本的には、現在の都市構造を耐震構造といいますか、不燃化するとかオープンスペースを確保するということが基本的にはあるわけでありますが、そのためにまた建設省サイドで防災拠点というふうな構想がありまして、現在進捗しておりますが、これにはやはり基本的には土地問題につながるという点からいたしまして限界がございまして、私どもすでにありますところの避難地、避難路の安全というものをどういうふうに確保していくかという点にいままでも力を注いでおりますし、これからも力点を置いていきたいと思っております。  具体的な措置といたしましては、たとえば現在江東地区を中心といたしまして避難路の周辺に、私どもが補助を出しまして百トンの耐震性貯水槽を配置する。なお、これには平均して一つの貯水槽につきまして大体一・四台程度の可搬式の動力ポンプを備えるということで、避難路の安全を確保したい。将来これを避難地にも拡大するというふうな方向で現在検討しておるわけであります。  なお、これらを操作するにあたりましては、御承知のとおり現在の消防力では十分に対応し切れない面がございますので、できるだけ自主防災組織といいますか、そういうものを育成するというふうな方向で考えたいということで現在努力中でございます。  なお、御承知と思いますけれども、江東地区を中心といたしまして市民消防隊が何カ所か形成されているということは新聞報道で御承知と思います。また、避難路誘導体制につきまして、これは来年度以降の施策でございますけれども、安全誘導のためにはヘリコプターに積載したテレビ電送システムによりまして、指令センターにダイレクトに通報する、それに基づきまして、指令センターのほうで安全な誘導をはかるというふうなことを考えておるということで、これは来年度予算に要求中でございます。  それからもう一つの点では、避難路と並びましてとにかく火事を出さない、また初期消火につとめるというふうなことでございますけれども、これらにつきましては、これも根本的にはやはり不燃化を進めるという建設省サイドの問題が基本的にあるわけでございますけれども、私どもといたしましては、そういうふうな火に対する備えを、住民に十分やってもらうような啓発を中心として進めております。  なお、施設の面では、消火器等をできるだけ各家庭にも備えるようにというふうなことを、これは助成等を通じましてやっておる区もございますけれども、それをなお進めてまいりたいというふうに考えております。
  59. 原茂

    ○原(茂)委員 なるほど、大体そうだろうと思いました。  二点だけ申し上げたいのですが、いまもちょっと触れられたように、反復とは言わないまでも、九月一日に恒例の行事としてああいう訓練をやるだけではとてもじゃないがだめだ。住民自体がほんとうにそのことになれると言ってはいけないかどうか知りませんが、そういう九月一日以外の訓練というものは必要なんだということは感じておられるようです。私も同感なんだ。そういうことが予算上今度の要求の中に含まれているんでしょうか、相当の費用がかかるわけなんですけれども。四十九年度の予算要求をするんだけれども、四十九年度中はそんなもの全然途中でやろうと考えていないのか。これほど地震地震と国民的な課題として騒がれているときに、何をおいても国民自体が、地震に自己防衛するという意味の訓練は必要なわけですからね。そういうことをやってやらなければ、だれかが指導してやらなければという意味では、当然来年度の要求の中にはそういった訓練のために、一回やるとか二回やるとかというようなことは、国家的な見地なりあるいは拠点的に東京とどこというんでもけっこうでなければいけないと思うのです。消防庁でも、そういう配慮のもとに、来年度の予算要求の中に入っているかどうか。
  60. 藤江弘一

    ○藤江説明員 訓練の主体はあくまでも市町村ということでございますが、これを促進する意味で補助金等を出したらどうかということにつきまして、現在大蔵省といろいろ折衝中でございます。
  61. 原茂

    ○原(茂)委員 そうすると、四十九年度の中にそういうことを前提にした補助金その他をどれくらい入れてあるんですか、要求の中に。
  62. 藤江弘一

    ○藤江説明員 現在要求の中には入っておりませんが、それが入れられるかどうかということを現在折衝中でございます。
  63. 原茂

    ○原(茂)委員 要求の中にそういうものが項目をあげて入るぐらいにしなければいけないと思うんですよ、地震に関しては。各省がどこかに寄りかかっているような、あなたのところだけでも真剣に、そういうことをおやりになることが必要なときが来ているんだという意味です。要求の中に入っていないということは非常に残念なんですが、そういうことをお願いをしたいし、今後そういう考え方、心がまえというものをお持ちいただかないと、全体がレベルアップしないと思うんですよ。そういう意味です。ありがとうございました。  あと行管庁にちょっとお伺いしたいんですが、やはり行管庁が各省庁における地震関係する機関がどのようにいま仕事をしているか、動いているかというようなことを、最近機関をきめて検討をして、行管庁は行管庁としての地震対策上こうあるべきだという機構の問題も含めてでしょうが、こうすべきだというような意見を出そうというので何か動き始めたと聞いたんですが、そういう点、ざっくばらんにひとつ、福田長官の意向は、美濃部と田中の間を取り持つようなことも含めて何とかかんとかと新聞に変な説明までありましたが、そんなことは別問題にして、確かに行管なのか、あるいはこうあるべきなのか、もっと突っ込んでは、やはり地震というものを総合的にひとつ指導もし、管理もできるような強力な機関が必要だというような検討までするつもりでお考えになっているのか、その点ひとつお伺いしておきたいと思います。
  64. 佐々木晴夫

    ○佐々木説明員 いま言われましたように、行政管理庁では、ただいま大都市における震災対策につきまして行政監察を実施いたしております。その項目といたしましては、中央・地方を通ずる防災体制、それから防災計画並びに応急措置、関連対策、それからまた恒久対策といったようなことを一応考えておりまして、いま先生が言われたような問題も検討をいたす予定にいたしております。
  65. 原茂

    ○原(茂)委員 これは行管庁専門にまた機会がありましたらお伺いしたいことがたくさんありますので、いま私の質問したことにも別に的確なお答えがなかったわけですがペンディングにしておきたいと思います。  それから、もう一つは国鉄にお伺いしたいのですが、鉄道というものを考えていくときに、地震というものはもうないがしろにできないという意味で、あらゆる橋梁あるいは線路そのものの土盛りというようなものが、地震で実際にはそこが一番弱くてくずれてみたり、大雨が降るとその土盛りがぐっと掘られてしまって線路がぐっと沈下したり曲がったりというようなことがある。その災害の一つとして、やはり地震というものは常に考えなければいけないのですが、橋梁あるいはいまの線路が、地震に関して耐震性というような意味、土盛りそのものの耐震性もある、橋の耐震性もあるというものを、これは大至急に検討しなければいけないだろうと思うのですが、現在そういうような検討が国鉄当局として行なわれているのかどうか、ひとつお伺いしたい。  時間がないから先に言うのですが、たとえば新幹線なんか、きょうの毎日の続きものの中にも出ているように、相当配慮して、気を配って、震度六あるいは震度七というようなものに対して、こういうようにしよう、ああいうようにしようという前提でいまいろいろなことを技術的におやりになっているのだけれども、それでもまだこういう点が弱さがある、こういう点に欠陥がある、これが心配なんだというようなことが、当局の皆さんから新幹線においてすら語られている。  私は、全国の何千キロという鉄道の施設を見たときに、建物はもちろんですけれども、海岸線における敷設された状況なりあるいは橋梁の状況なりを見たときに、一体ここらで大きな地震があるかもしれないといわれている個所においてすら、もしそれがあったときにどうするかという意味で新たに耐震性中心にした、いわゆる災害対策というものを中心にした検討がされていないように思うのですが、そういう点、検討されているのかどうか、特別にいまお聞きになっているような状況で、相模灘にしても、あるいは遠州灘にしてもどこにしても、酒田地方にしても何にしてもというようなことがある。もしそれが大きな地震に通ずるようなことがあったとき、一体だいじょうぶなんだろうか、この程度のことが起きたらどうなんだろうというものを、古い鉄道の施設に関して点検、チェックが大至急に行なわれなければいけないと思うのですが、そういうことも一つ。  それからもう一つは、ずいぶん小さい問題ですが、私たち汽車に乗っていますと、すりに気をつけろなどと車掌がアナウンスしてくれますね、ああそうかなと思ってここらに手をやってみたりするんですが、まわりの歴史的な風景の説明をしてくれたりするのですが、もし何かがあったら車掌の誘導に従ってこうしてくれ、あるいはおまえたちが自分で逃げようとするときには、こういうところからこうやって逃げるように、どこかのあれをこうすればいいんだとかいうような放送をしていることがないのです。ずっとこまかい下の問題をすっ飛んで言うのですが、やはり災害対策というからには、旅客に対する車掌のアナウンスの中にも、こわがらせない程度の、必要最小限度の、汽車の走っている最中における災害、地震等の起きたときにこういう指揮に従ってこういうふうにやってもらいたい、こうしてもらいたいというようなことぐらいは、私は国鉄の災害というものを考えたときに、そこまできめこまかにやっていいんじゃないかという気がするのですが、時間がありませんから、その二点だけお伺いしたい。
  66. 篠原良男

    ○篠原説明員 最初の点御説明いたしますが、関東大震災が起こりましたあと、関東大震災のあれを経験といたしまして、新しく地震に対する設計基準というものをきめまして、先ほど建設省から御説明がありましたように、水平に対して〇・二、垂直に対して〇・一ということで、アメリカの公共物の設計基準の大体二倍ないしそれ以上あると思います。  それから、地域的には過去の実例から、具体的な場所、たとえば四国は高知、徳島、それから本州は大体全線、それから北海道。九州の場合はこれを除くというように、地域的に係数をかけてみる。それから地盤及びその深さによって係数をかけるようにしておりますし、新幹線の場合にはそれにもう一つ係数をかけるようなことで、いわゆる設計の指針をきめております。したがいまして、震災以後つくっておる構造物については、大体関東大震災級の地震に対しては自信がある、構造物についてはそのように判定しております。  なお、それじゃ震災前の構造物についてはどうだという先生の御質問がございましたが、震災前の構造物で残りましたものは、過去三回にわたりまして点検してまいりました。そして経年で取りかえるものは全部取りかえてまいりました。そういうような状況でございます。  先ほど先生から御質問のありました盛り土でございますが、盛り土はおっしゃるとおり普通のトンネルあるいは橋梁の構造物と比べますと非常に弱うございます。したがいまして、技術研究所で過去の地震の経験からいろいろなデータをとりまして、大体三十四度よりもゆるくしよう、それから補強的にくいを打つというようなことで処置をしております。  しかし地震に対しては、それだけではありませんで、たとえば関東震災以上の地震がある、あるいはそれ以前に運転規制というような方法で処置しております。と申しますのは、たとえば新幹線の例をとりますと、沿線に数十カ所変電所のところに地震計を置いております。これが四十ガルになると作動いたします。四十ガルになると作動いたしまして停電します。したがって新幹線は全部とまります。四十ガルのときに停電いたしますと、五分間電車をとめまして、それから徐行で走らせなさい、このように規定してあります。八十ガルになりますと、これは全線とめまして、保線の人間が全部歩きまして、全部点検をいたしまして、そして確認をしてから再開、このようになります。したがいまして、一昨年新幹線で百三十三ガルが働きまして約一時間半ぐらいとめたというのは、現地の人間が全部徒歩巡回をしまして、安全を確認してから発車させたというケースでございます。  現在線の場合はやはり全国で二百二十数カ所地震計を置いております。特に老朽化しておる橋梁については橋梁だけに置いてございます。そして北海道の場合には震度三、四、それから本州の場合には四、五ということで、四になると列車は徐行、五になると全部とめまして点検後再開、こういうように指示してございます。  それから二番目の点でございますが、私、土木の保守と建設をやっておる施設局長でございますけれども、先生の御趣旨ごもっともだと思いますので、そのような避難口あるいはそういう場合の避難の指揮者、そういうものにつきまして、車内放送その他でよく徹底させるようにPR方を、帰りまして関係局長のほうに連絡いたすことをお約束いたします。
  67. 原茂

    ○原(茂)委員 時間がないから、お伺いするのじゃないのですが、ATS、自動停止装置なんというのは地震とどういうふうに関係するのかというようなことが一つ。  それから、国鉄が出している九月一日の「国鉄通信」というのがありますが、これなんか見ましても、防災に関してたまたま研究している。ここに二項目書いてきたのですが、集中豪雨だ何だということに対してこうだああだということは書いてあるけれども、地震ということばが出てこないという点で、何かいまのお話も、多くの皆さんに申し上げたように、いまや日本政治の課題の相当大きな部分を、各省庁ともに関係機関地震というものを頭に置かなければいけないという意味では、この「国鉄通信」なんか見ても、どうも不満足だということをついでに申し上げておきます。  それから最後に、中央防災会議にお伺いしたいのですけれども、どうでしょうか、中央防災会議はこの間の訓練をごらんになったし、常時防災を中心考えておられるのですが、中央防災会議立場で、地震、特に予知などに関係したときに、現在のような各セクションでいろいろやっていて、及ばずながら科学技術庁、文部省がある程度取りまとめをやったり、中心的にやっていこうということに一歩、半歩前進したようなかっこうですが、これでいいとお思いになるかどうかを一点お伺いしたいわけです。  それから第二点目には、この間東京都が防災計画を出しました。この出した中に、きのうもお話ししたのですが、国の管理する建物だとか民間の建物は、これはわれわれの管轄じゃないということで素通りしている。こういうようなものに対しては、もっと積極的に、これは地域会議があったときには国の立場でものを言うんだということをおっしゃるのですが、そういうことを待たずに、東京都が防災計画を出したというようなことがあったら、やはり中央防災会議としても、今度は国家的な視野で防災計画、特に地震なら地震中心の計画というものを大至急つくって国民にアピールすることが必要じゃないかと思うのですが、そういう点をお考えになっているかどうか。やることがあるのかどうか。そういうことをやるとするなら、その面の来年度の予算要求なんかもできているかどうか、ということをお伺いして終わりたいと思います。
  68. 杉岡浩

    ○杉岡説明員 お答えいたします。  初めの地震予知その他震災対策全般に関する中央防災会議、狭い意味の事務局の態度でございますけれども、先般の七月六日でございますけれども、中央防災会議、これは大臣以下出まして地震予知あるいは地震防災化その他万般の事項につきまして申し合わせをしたわけでございます。たとえば現在千葉局長が座長をやっておられます気象庁の地震予知会議がございますが、これに関しましては、絶えずわれわれのほうも出席いたしまして、地震予知の体制が一日も早く強化され、それが防災につながるようにするように、科学技術庁とも連絡をとってやっておる次第でございます。  それから、都市防災等につきましても、四十九年をめどにいたしまして、公共団体の都市防災化の事業を国も積極的にそれを取り上げてやっていくという必要がございますので、建設省あるいは消防庁、こういうところと連絡をとりながら計画化を推進しておる次第でございます。その他もろもろの、たとえば避難あるいはいろいろないわゆる震災対策のソフト面がございますけれども、震災対策というのは、先生もただいま御指摘がございましたように、関係省庁非常に多くわたるわけでございまして、たとえば二省庁あるいは三省庁が会合するときには、必ずわれわれも入りまして、その両省庁あるいは数省庁の施策が円滑にいくようにできるだけやっておる次第でございます。  それから、その次の東京都の計画でございますけれども、東京都で八月に予防計画をお出しになったわけでございますが、東京都は現在あの計画をつくりまして、これから東京都の地域防災計画にあれを盛り込まれるわけでございます。これは十月ないし十一月ごろに震災編という形で出ると伺っております。そういった地域防災計画が出るときには東京都も、関係省庁、あの中で相当ウエートを占めますのが都市の防災化、たとえば建設省関係あるいは消防庁関係その他もろもろございますけれども、ああいったところと十分協議をされて計画されるわけであります。  そういう段階におきましては、この前も九月一日に総務長官、自治大臣あるいは建設大臣等も江東等を視察いたしまして、こういった江東等の防災化についてはこれからも非常に協力するというようなことを言っておりますので、これからも積極的にああいったものに協力して推進していくというようなかっこうでまいりたい、こう思っておるわけでございます。国の立場といたしましては、やはり地域防災計画を通しまして、国と地方の関係をつなげていくということでございます。
  69. 原茂

    ○原(茂)委員 ありがとうございました。  時間がないのでやめますが、地域防災計画がどうのこうのといういまお話がございました。私はやはり中央防災会議とすれば最小限度これだけのことをやるのだ、いまお話を聞いただけでも膨大な仕事なんですが、こういうことをやる、最小限度これだけはやらなければ、あっても意味がないということを前提にするならば、やはり人員的にもこんな人員でできますかと言ってけつをまくるぐらいに、強い要求が四十九年度の要求の中に入っているのかどうか。そういうものを入れないと、思い切って本気で仕事をする気になったら、とにかくあんな人員でできるはずがないんだというふうに、われわれしろうとだから判断しちゃうわけですが、そういう点、もうちょっと真剣に防災に関しては取り組んでいただくような姿勢が、予算要求の中にもぴしっと出てくるというようなことが望ましいと思うのですが、そういう点、何か意見があったら最後にお聞きして終わります。
  70. 杉岡浩

    ○杉岡説明員 中央防災会議の事務局の仕事でございますが、これはいわゆる関係省庁の調整をいたしておるわけでございまして、予算額というよりも、むしろただいま先生が御指摘されましたように、人員等の強化ということだろうと思うわけでございます。現在、災害の調整事項につきましては国土総合開発庁、あれが現在設置法等も出しておるわけでございますけれども、総理府の災害対策の調整につきましては、これは国土総合開発とそれから災害対策、防災というものの相関をはっきりと持たせるべきじゃないかということで、国土総合開発庁の中に災害の総合調整事務を組み込むということで、現在設置法を国土総合開発庁系統で出しておるわけでございますが、その中を見ますと、現在災害対策につきましては、たとえば私いつも出てまいりますわけでございますが、これは課長クラスじゃなくて、今後は局長クラスのいわゆる災害対策の専門を置きまして、その下に必要な室長あるいは必要な参事官等を置くということで、そういう面で強化してまいりたい。特に総合開発とそれから防災というものを十分両方でチェックいたしまして、その防災体制が万全になるというふうな考え方でおるわけでございます。
  71. 原茂

    ○原(茂)委員 どうもありがとうございました。終わります。
  72. 石野久男

    石野委員長 次に、嶋崎譲君。
  73. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 先月の二十九日に、今度福島の第二号炉をめぐって行なわれる公聴会に関しての参考人の御意見をいろいろお聞きしまして、続いて三十日に公聴会の問題で質問をいたしました。その後の調査に基づきまして再度公聴会の問題についていろいろ質問をさせていただきますが、昨日委員長長官に、十八日に開かれる公聴会の手続、それからその民主性というような問題について、委員長立場で御質問になって、少し丁寧な回答があるかと思いましたが、たいへん木で鼻をくくったような回答をなさったようであります。そこでもう一度、十八日に開かれようとしている公聴会の開かれる経過並びにそのプロセスについて幾つか疑義がありますので、質問をさしていただきたいと思います。  最初に、その前日の今月の十七日に、この間委員会でも申し上げましたように、本来ならば、原子力委員会が主催する公聴会に、当福島の原子炉に関係のある利害関係人並びにその代理人が参加して意見を述べるということのために、現地ではかなり努力が行なわれた。しかし、原子力委員会考えておられた代理人の範囲の理解と地元の副知事や知事との間の意見の違いといいますか、了解の違いがあったために、十八日の公聴会には、たとえばその代理人としての科学者とか弁護士なんかを出すことの手続がとれなかった事実があることは、すでに委員会で申し上げたとおりであります。  そのために、前日に、十七日に国民のための公聴会という形で現地の福島の双葉公民館で集会が持たれます。これが国民のための公聴会という名前だと会場を貸す貸さないという問題がありまして、原子力安全性をめぐる討論集会ということに切りかわっております。そこで、この公聴会、原子力委員会がやろうとされている十八日の公聴会の前日、十七日に地元で五百人か七百人ぐらいの人が集まって、科学者、学者を呼んで原子力の問題に関する実質的な公聴会的なものが開かれるわけでありますが、それに際しまして、原子力委員会とそれから設置者側東電に対して、その集会に御意見をいろいろお聞きしたいので来ていただきたいという要請が行ったと思いますが、届いていますか。
  74. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 九月五日付でいただいております。
  75. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 それで、その要請に原子力委員会はどういうふうな回答をなすったのですか。
  76. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 今週火曜日の原子力委員会におきまして、本件について審議をいたしました。十八、十九日に原子力委員会が公聴会を福島市において開催すること等にかんがみまして、今回の御出席は御遠慮するというふうに委員会としてきめました。
  77. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 なぜ遠慮するのですか。
  78. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 原子力委員会が原子力委員会の主催におきまして住民のなまの声をお聞きするために、十八、十九日に原子力委員会主催の公聴会を開催いたしますので、その機会に住民のなまの声はお伺いできる、こういう趣旨でございます。
  79. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 前回、八月三十日の委員会で私が申し上げましたように、その委員会には利害関係者の代理人やそういう人たちの範囲をめぐって了解が違っていて、二十五日締め切りの前日の原子力委員会並びに現地の交渉の中では、応募したいけれども応募できないという形をとったために、二十五日締め切り前に現地のほうの考え方が変わった。原子力委員会は変わらぬとしましょう。変わったために、代理人を参加させることができなかった。そのために、前日に自主的に公聴会的なものを開くということになったわけですね。  この経過は、前回の委員会で私が申し上げたとおりであります。そういうことを前提にした上でも、参加する必要はない、あくる日は、つまり十八日の原子力委員会の公聴会は、住民の意思を十分に反映できる公聴会だから、前日のものには参加する必要はない、そういう判断ですか。
  80. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 その経緯でございますけれども、前回、先生の御指摘に対しまして、まだ現地等の事情が明らかでないので調査して御回答するというふうに申し上げた記憶がございますが、その後調査いたしましたところ、御承知のように、五月二十二日に「原子炉の設置に係る公聴会開催要領」というのを原子力委員会発表しております。その中には「意見陳述希望者の意見要旨の届け出等」というところで「事案に係る原子炉の設置に関し、地元利害関係者として、公聴会において意見陳述を希望する者は、委員会に対し、その利害関係の内容および陳述意見要旨をあらかじめ委員会が指定する日までに届け出なければならない。」こう書いてございます。  それから七月二十四日に発表いたしました公聴会開催要領の実施細則におきましては、その六でございますが、「委員会は、地元利害関係者と認められる意見陳述希望者のうちから意見陳述者の指定を行なうものとする。」と、こうございます。  なお、八月一日に発表いたしました「原子炉の設置に係る公聴会の開催」におきましては、四の備考のところに「公聴会に出席して意見を述べようと希望する者は、住所、氏名、利害関係の内容および意見の要旨を記載した原子力委員会委員長あての届出書を作成し、」八月二十五日までに到達するように提出すること、という趣旨が述べてございます。  この段階におきましては、以上読み上げましたように、意見陳述者の範囲を限定するようなことは公表してないわけでございます。  そこで、先生御指摘にございましたように、八月十三日に福島県副知事と関係二部長に対しまして、公聴会阻止県民共闘会議が会見をされまして、申し入れ書を手交されました。県は、科学技術庁に照会して二十四日までに回答することを約束しております。その申し入れ書の中の質問の項目といたしまして、「住民の推せんする科学者や弁護士等を陳述者として認める。」ということがございます。  そこで、科学技術庁といたしましては、本件につきましていろいろ検討いたしました。八月二十二日、二十三日に至りまして、ほぼその件についての見解が固まりまして、この段階で県側に意見を申し上げております。その意見の内容は「地元と特に利害関係を有する科学者等であれば陳述者になり得ると考えるが、この公聴会の趣旨は地元住民の生の声を聞くのがねらいであり、代理人という形で科学者等を陳述人とすることは考えていない。」こういう趣旨でございまして、これは実際は口頭で申し上げたわけでございますが、意見の食い違い等があるといけませんので、福島県側でこれをメモにいたされたわけでございます。そして二十四日に至りまして、原子力委員会の打ち合わせ会におきまして、以上福島県側に申し上げました見解を原子力委員会の打ち合わせ会で確認した、こういう経緯でございます。  それで、一方二十四日の日に、福島県の副知事、関係二部長は、公聴会阻止共闘会議と会談をされまして、このときにこのメモを共闘会議側に差し上げておるという経緯のように、先生の御質問に対しまして調査いたしましたところ、私どもはこういうふうに考えております。  したがいまして、意見陳述人として委員会が申しましたその中の科学者、技術者の範囲の問題といたしまして、こういう手順で地元側に申し上げたわけでございまして、二十四日までと県側が申し上げたぎりぎりの日に御返事をしたいという点は申しわけないのでございますけれども、一応十三日の時点において共闘会議のほうもそういう疑問を持たれまして、そして御質問をされて、二十四日までに回答するという御返事をしておりますので、そこは間にお合いになる点もあったのではないかというふうに考えております。
  81. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 前回の質問のときには、たいへん経過はあいまいでしたけれども、その後の参議院の質問もありましたし、経過はたいへんよく整理されているようであります。  前回のときには、福島民報に載ったのは二十五日の夕方で、それで原子力委員会が公述人の範囲を、特に代理人の範囲を広げるという方針変更があったという記事が福島民報に載って、その日が締め切りの日であるということで、たいへんこの申し出に対して条件が整ってなかったなということを質問したつもりであります。  きょうの説明は一応かっこうはつきますけれども、しかしその後、二十八日に共闘県労評を中心にして知事に質問をしたときに、そのときには範囲は福島県に限りますと回答しているんですよ。ですから、いかに原子力委員会が、一般的な要領と細則と、それから地元の問い合わせに対して意見をまとめたといっても、現地では了解ができないままにその間に一定の混乱があったということは認めていただきたいと思います。  そこで、また戻りますが、九月十七日の討論集会という名の公聴会ですね、それに参加しなかった理由は、要請にこたえなかった理由は、あくる日の十八日以降の原子力委員会の公聴会が十分に住民の意思を反映するということが考えられるから、したがって前の日のものには出ないでもいい、そういうふうに判断されたのですね。
  82. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 ほぼそのとおりでございます。
  83. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 そこで、お聞きしますが、十八日の原子力委員会の公聴会に公述人の応募数は何人くらいありましたか。
  84. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 千四百四人でございます。
  85. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 そのうち福島第二号炉の設置に賛成の意見はどのくらいですか。
  86. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 そのうち反対と思われるものが約六十通でございます。
  87. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 そうしますと、まあ千四百名足らずの応募者の中で、反対の意思を持っておられると想定される人が六十名くらいだった。圧倒的多数賛成の人が応募したという事実がありますね。  そこで、お伺いしますが、そのうち正規の公述人になったのは幾人ですか。原子力委員会できめられたのは何人ですか。
  88. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 四十二名でございます。
  89. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 その四十二名のうち、賛成が何名、反対ないし批判派はそれぞれ何名ですか。
  90. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 反対と思われる方が十五名、それから賛成と思われる方が二十七名でございます。
  91. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 そうしますと、公述人に応募した人が千四百名おって、わずかの六十名の人が反対だったと想定されますね。ところが、正規に今度は公述人として原子力委員会が指定したのは四十二名になって、そのうち賛成が二十七、反対とおぼしき者が十五という割合に変わったわけですね。たいへん割合が変わっていますね。その基準は何できめられたのですか。
  92. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 御指摘のように、千四百四名のうち反対と思われる者が約六十でございまして、その比率からいたしますと、公述人として選定いたしました比率は案分比例ではないわけでございますが、原子力委員会といたしましては、陳述人の選定にあたりましては、この公聴会の趣旨にかんがみまして、賛否の意見の色分けよりも、個人、団体の地元関係者の各階各層のいろいろバラエティーのある御意見をお伺いすることが公聴会設置の趣旨にかなうと思いまして、賛否の色分けよりも、いろいろな御意見が聞けるというつもりで選定をいたしました。したがいまして、バラエティーという意味では、反対の方もなるべく意見が聞けるように、そういう見地で選定いたしたわけでございます。
  93. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 そこで、お伺いしますが、陳述者が、応募したときに千四百名の方が出ていて、そうして反対が六十くらいですね。そのときに、えらい賛成者が多くて反対の人が少ない、なぜだろうかということは原子力委員会でどう考えましたか。
  94. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 反対の数はえらい少ないなという感じはいたしました。
  95. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 この前から言うように、それが討論集会という名の国民のための公聴会が前日に開かれている背景なんですよ。そこには住民の人たちは相当集まるわけですよ。その人たちは公募に応じてない。その事実をまず確認しておいていただきたい。  ですから、公に募集したのに対してこたえた千四百名というのは、そういう人たちが参加してないで、六十名の方々が、まあこれは政府のやる、原子力委員会のやる公聴会だから、おれたちも意見を述べようという人もあれば、できたら自分たちの意見を少しでも反映させようといって善意で参加された人たちもおると思います。ですから、この千四百名という数字は、現地の住民の意思が公述人に応募する意思として反映したというふうには私は読み取ることができない。その点、原子力委員会は、形式的にそれが世論だというふうに考えていますか。
  96. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 先ほど来御説明いたしましたように、原子力委員会といたしましては、地元に利害関係のある方は賛否を問わず御参加いただくつもりで手続をしてまいりましたし、また御参加がいただけるものと思っております。
  97. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 そこで、お伺いしますが、こういう事実を御存じですか。現地の市会議員で賛成されている人たちが、公述にあたってはこういうふうに意見を述べなさいという印刷物を持って公述人のところを回っているという事実を御存じですか。
  98. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 存じません。
  99. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 知らないですね。そうすると、その文書もありませんね。
  100. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 持ち合わせておりません。
  101. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 そういう事実があったということは確認してありますから、できれば原子力委員会でその資料を集める努力をしていただきたい。あとの問題に関連しての一つの資料要求です。  さてそこで、次の質問をいたします。  現実に市会議員さんが、公に応募して選ばれた人はこういうふうな発言をしなさいという、東電側がこしらえた文書を持ち歩いているんですよ。そして反対側の市会議員さんのところにそれをまた持ってきておるんだ。間が抜けておるのも最高だけれどもね。私のところに現物はありますよ。だけれども、正規にそういう文書が動いているという事実を知らなかったとしたら、それを調べて、その文書を原子力委員会として確認していただきたい。いかがですか。
  102. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 調査をいたします。
  103. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 さてそこで、今度は傍聴人についてお聞きします。  この公聴会に傍聴人として届け出をなすった数はどのくらいですか。
  104. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 一万六千百五十八でございます。
  105. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 その傍聴者の中から何名にしぼったのですか。
  106. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 十八、十九の両日にわたりまして、各日二百十名ずつ、合計四百二十名でございます。
  107. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 その傍聴の申し込みは原子力委員会に届いていますね。
  108. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 届いております。
  109. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 その中に、活版刷りで名前だけ書いて原子力委員会に届けるはがきがあったと思いますが、いかがですか。
  110. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 そういうものもございました。
  111. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 それはありましたね。それからガリ版刷りで、もうすでにあて名が書いてあって、名前だけ書いていけばいいような仕組みのはがきがありましたでしょう。
  112. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 ございました。
  113. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 じゃ、その正規の活版刷りのはがきはどのくらい現地で出ていると予測していますか。
  114. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 そのようなものが合わせましておおむね五割強と推定されます。
  115. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 私の調査では、その正規の活版刷りのものは六千枚から七千枚ぐらい出ていますよ。  そこで、お聞きしますが、あのはがきにきれいな活版刷りの印刷物、これはだれが印刷したと思いますか。
  116. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 存じておりません。
  117. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 私の推定では東電です。その金は東電から出ています。そして、名前さえ書き込めばいいそういう活版刷りのはがきを大量に配布して、そして傍聴者に対して一定的な多数派工作をやっているというふうにこの事実を見ますが、いかがですか。いま私の申し上げた事実を前提にしたらどう考えますか。
  118. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 その点につきましては、いろいろ御推定もございましょうけれども、私どもといたしましては、地元に各種の団体等もございますので、ある程度そのような便宜をはかった向きも賛否ともにあるんではないかというふうに思っております。
  119. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 そこで、これも原子力委員会にきているわけですから、その活版刷りのはがきと、それからガリ版刷りのはがきと、それから何でもないのと、そのコピーしたものを資料として提出願えますか。
  120. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 コピーならいいとも思いますが、個人の名前が出ているものでございますので、その点いかがかと思いますので、ちょっと相談をさせていただきたいと思います。その上で先生に御回答をいたしたいと思います。
  121. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 原子力委員会は今度初めて公聴会やるんですよね。そして、あと質問いたしますけれども、この安全性について問題が一ぱいある。それで住民の御意見を聞くために原子力委員会がなさった公聴会に、東電側が住民を組織し、事前にいろんな工作をしているという事実は幾つもあげることができます。証人を立てようと思えば何ぼでも立てられます。そういうような動きの一つの証拠として、そういう活版刷りのはがきの費用がもし東電側かどっかから出ていたというようなことがあるとすれば、これはたいへんな問題だと思いますが、もしそれが事実だとしたらたいへんな問題だと思いませんか。
  122. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 ただいまの時点ではその事実関係がよくわかりませんので、ちょっとすぐにはお答えしかねるかと思います。
  123. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 東電に限らないんですよ。私の地元の石川であの赤住に原発問題が起きています。それから七尾に火力発電所の問題が起きています。そのときは全部電力会社が先行しているんですよ。ひどいのは札束でほっぺたをはたいていますよ。そういう事実が一ぱいあるんだから。ですから今度の公聴会に対してそういう動きを、つまり賛成側をどのようにこの公聴会設置に向けて組織していくかという動きを、もしそういう電力の企業がやっているということになれば、原子力委員会主催の公聴会は中立性がなくなりますね。事実であるとすればという仮定でしたらいかがですか。
  124. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 本日も申し上げましたように、この公聴会は賛否を問うという形の公聴会ではございませんので、なるべく地元住民の方の賛否ともいろいろバラエティーに富んだ御意見をお伺いいたしまして、それで安全審査、許認可等の参考にいたしたいということでございますので、その趣旨で、先ほど申し上げましたように、わりあいに少ない反対のほうを陳述人としてたくさんお選びしているわけでございます。
  125. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 そこで、ちょっともとに返りますが、そのはがきの資料の提出を、私がいま言ったのに対して、名前が入っているから検討させていただきたい、こうおっしゃったのですね。では今度参加される公述人、それの氏名を資料として公開はできないのですか。
  126. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 それはいたす所存でございます。
  127. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 資料としてあしたぐらいまでに提出できますか。もう全部できているのでしょう。
  128. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 資料としてはお出しできますけれども、いろいろプライバシーの問題がございますので、その公表につきましては、できるだけおそい時期と申しますか、公聴会開催に近い時期にお願いしたいというふうに考えております。
  129. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 プライバシーって何ですか。
  130. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 プライバシーというのはちょっと私のことばが間違いましたが、地域におきましていろいろと問題が起きてもと、こういうふうに思いましたのですが……。
  131. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 公述人が公に募集されたのにこたえているわけでしょう。そして出られる人の氏名はなぜ公にできないのですか。何がプライバシーですか。
  132. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 先ほどお答えいたしましたように、公にはいたしますけれども、できるだけ公聴会に近い時期に公にさしていただきたい、こういうことでございます。
  133. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 それはおかしいじゃないですか。おかしいと思いませんか。直前までなぜ公にできな  いのですか。工作があるからですか。
  134. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 工作というわけでもございませんけれども、いろいろ隣に反対の方がおって隣が賛成だとかというようなこともあると思いまして、公表はいたしますが、できるだけ公聴会に近  い時期、こういうふうに考えております。
  135. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 そうしますと、心配されていることはこういう向きでしょう。応募された人たちが公述人に選ばれた、しかしそれが公述人として公聴会に出るということが早く公になると、いろいろ地域から問題が起きるかもしれないので、直前までなるべく伏せておきたい、こういう御趣旨ですね。
  136. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 そうでございます。
  137. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 それではそれを裏返しまして、では東電という設置者が、住民に対して積極的に意見を述べるように工作をすることは、これはプライバシーと関係ありませんか。
  138. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 私、プライバシーということばは取り消したわけでございますが、その正当な理由を申し上げて納得をいただくということであれば、やはり一つの企業のPR活動ではないか、こういうふうに考えております。
  139. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 企業のPR活動、それはどういう意味ですか。
  140. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 東電は当該地点に発電所を建設したい設置者でございますので、その発電所についていろいろと安全性その他を地元住民の方におわかりいただくように、正当な理由で、正当な中身で説明をするということは、企業のPR活動ではないか、こういうふうに考えております。
  141. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 いまから公聴会を通じて原子力委員会が、原発の安全性について現地の住民が持っている疑問を聞いて、安全審査の材料にしようというのでしょう。そうですね。そのときには、原子力委員会は、東電が何と言っていようが、これから審査しなければならないのでしょう。そうですね。設置者は安全だと言うにきまっていますよ。いままで政府もみんな言ってきたのですから。安全だというのに一ぱい事故が起きるんですから。ですから、設置者がそういうPRをすることを一方で認めておいて、そしてそういう人たちが、一方で公聴会の多数派工作をやっているということになりますと、原子力委員会は、それ自身を認めるということにいまの発言はなりませんか。
  142. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 私は一般的に申し上げたわけでございまして、地域に原子力発電所をつくりたいというものが、その地域の住民の方に、当該原子力発電所の安全性その他につきましてPR活動をやられることは、従来もやってきましたし、そういう活動はなされてもしかるべきだというふうに考えるというふうに申し上げました。
  143. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 原子力委員会が主催する公聴会というのは、住民の意思を聞くんですね、賛成、反対のいろいろな意見を。そして安全性についての審査の参考に資するわけですね。ですからこの公聴会は、少なくとも中立的である運営が必要だと思いませんか。
  144. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 そのとおりでございます。
  145. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 だとすると、そういうPRという場合でも、そのPRで原発が安全だというPRをなさるのでしょう。ところが、その原発が、安全審査をかりに通っていても、その後いろいろな事故を起こすというような現実があるわけですね。その場合に、PRというものは、実際には将来つくるものは安全ですよということを前面に押し出していますね。ところが、それに対して住民がいろいろな批判をいま持っているわけですね。そうしますと、原子力行政というのは、そういう経験を踏まえて、実際に稼働しているものにも次々と事故が起きてくる、そういう原子力安全性という問題について住民が不安を持っているわけだから、その不安というものについて、安全審査にあたって、解消するための材料として公聴会を開くのでしょう。そうですね。だとしたら、そういうPRみたいなものが不当に大きいという判断ができるような場合には、それを事前にチェックするというようなことは、原子力委員会としてはやる必要はないと思われますか。
  146. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 先生御指摘のように、原子力委員会の行ないます公聴会は、地元住民のなまの声を聞きまして、中立的な立場で安全審査に取り上げるべきものは取り上げ、ほかの問題はまた各省等の意見も聞きまして、審査に万全を期したいという趣旨でございますから、その設置者のPRとは無関係に、公正にやるつもりでございます。
  147. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 そこで最後に、この問題はこの辺で中止しますが、今度開かれる原子力委員会主催の公聴会というものが、まず最初の経過としてひとつ確認しておいていただきたいのは、前回私が質問したときには、公述人並びにその利害関係の代理人、その範囲について、先ほど説明がありましたように、原子力委員会のほうでは、一定のかなり柔軟な幅の広いものとして了解をしていた。そして現地には、二十五日締め切りの直前に、二十四日にはその考え方を知事におろしているというふうにおっしゃっているわけです。したがって手続的なミスはありませんというのが原子力委員会考え方ですね。ところが、現地では、二十五日の締め切りの日に、副知事は代理人というものを認めぬと発言した。そして二十八日には、福島県内の人間に限るとまた言っているわけです。したがって、二十五日に締め切った今度の公聴会の公述人並びにその利害関係者、そういう人たちが応募するにあたって、現地の知事や自治体当局とそれから原子力委員会との間にに、助言指導関係があるとすれば、原子力委員会では十分だと思っているが、二十四日ぎりぎりにしか事は処置されていなかった。そのために現地では正規の政府の公聴会に公述人を出すにあたっても、これは政府の宣伝的な公聴会じゃないかというような意味の批判が一方に出てくる。同時に、科学者や弁護士を実は利害関係者として立てたかったのに、それに立て得ない現地側のミスもあったでしょう。そういうことのために、この正規に開かれる原子力委員会の公聴会には、相当な現地の住民の声が反映しないで今度開かれるという事実は、私はそういう事実を確認いたしますが、その点は全然ミスがないと考えていらっしゃいますか。
  148. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 県側にお伝えいたしたのは、先ほど申しましたように、二十二、二十三日でございます。それを原子力委員会としてその方針を確認していただきましたのが二十四日でございます。それから十三日にこの御質問がございましたときに、二十四日までに御回答する、こう申し上げておるわけでございます。あと副知事、知事が何を申し上げたか、これは私ども現場に立ち会っておりませんので証言能力がないわけでございますが、そういう誤解を避けるためにも電話で、電話と申しますかことばで申しましたのをメモにして確認し合っておるわけでございまして、おそかったとかそういうようなことはございますのでしょうけれども、そういうふうな経緯でございます。
  149. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 まずいまの点で、前回私、委員会で聞いたときは、電話の話もそのメモの話もおっしゃらなった。今度は何かそういうものがちゃんと資料がそろっている。そういう程度の了解なんですよ。そこにやはり一つの、前回私が聞いたときには、二十二日から二十三日に現地から要請があって、討議をして二十四日におろしたというようなことも局長の口から出なかった。そして二十四日の日に現地にそういう指示をしたということも、あのときでも答弁がなかった。それから二週間たった今日、そういう新らしい事実が御報告に回答が出たわけだ。そういう程度のいわば事実の認識ですから、現地の地方自治体と原子力委員会との間で了解の違いが出てくるということは、客観的にぼくはあり得ると思う。  そういう情勢の中で、十八、十九日の政府の原子力委員会の公聴会、それからそれにはみ出た住民の公聴会、討論集会という名のものが開かれる、こういう客観的な事実が現実に進行しているというわけですね。ですから、まずこの事実から見ても、今度の開かれる公聴会は、現地住民の相当な人間の意思が反映しないまま開かれるという点が一つ確認ができると私は思うのです。  そんなことありませんと原子力委員会は言うでしょう。ところで、今度十八日に開かれる公聴会に関連して、いままでの質問ではっきりしてきたことは、公に応募する人が非常にたくさん、千四百名いた。反対派が非常に少なかった。それを現地の反対派の意見をたくさんくみ入れるために、その六十人の中から割合としてはたくさんの公述人を出してきた。ところが、そういう公聴会みたいなあり方は、本来の現地住民の意思を反映することにならないという判断があるから、前の日に聞かれるわけですね、新しい別なやつが。ですから、原子力委員会の側から見れば、千四百名のうちの六十の反対があって、その人たちをできるだけバラエティーを富まして意見を反映させようと思っても、前日にそういう集会が開かれるということは、住民の相当な意思の人間が、六十プラス何ぼになるか知らぬけれども入ってないということが、これまた客観的な事実ですね。わかりますね。そこへもってきて、そのいわば名簿を公募していく際に、現地の市会議員が、東電側の説明資料というものを、こういうふうにやってくれという資料を持ち歩いて一方で説得工作をやっている。その事実が一つ。  それからまた、この傍聴者について七千枚ないし八千枚の活版刷りの、名前さえ書き込めばいいという、かなり経費のかかったはがきが事前に配布されて、署名だけでばっと届け出が出ている、こういう事実もある。したがって私は、客観的に見て、今度の公聴会には、そういう反対派を実際には客観的に排除したかっこうになっていて——反対派とあえて言うならば、前日にとにかく公聴会が開かれるのですから、そういうものを排除した形になっておって、今度開かれる政府の原子力委員会の公聴会には、かなり現地の設置者側も動き、そういうものが動いてかなり多数派工作が行なわれながら傍聴人が考えられ、そして現地の公聴会が開かれる、こういう仕組みに実際なってあらわれていると思うのです。  そこで、再度資料要求としてお願いしたいのは、現地の市会議員でそういうものを配布しているというその事実があるかどうかを調査した上で、あればその資料を出していただきたい。なければ次の委員会で私が明らかにします。  それから、はがきですね、活版刷りのはがき並びにガリ版刷りのはがきですね、それの資料を提出していただきたい。この点を確認をさせていただきたいが、いかがですか。
  150. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 先生御指摘の前の資料につきましては調査いたします。  あとの資料につきましては、先ほど申しましたように個人の名前が出るものでございますので、ちょっと相談をさしていただきたいと思います。
  151. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 個人の名前といったって、十八日に開かれるんでしょう。来週の資料だったら楽にできるでしょう、済んじゃっているのだから。
  152. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 もし公述人として選ばれました人の中にそのようなものがございましたら、それはお名前も出ることでございますから、調査いたしまして御返答いたします。
  153. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 その公述人として選ばれたという、とにかく傍聴者ですよ。傍聴者として届け出ている。ですからあるはずでしょう。だから何もそんな選択せぬでもいいです。現実に客観的にあるのですから。だからそれを現実に、しかも十八、十九と開かれるのでしょう。委員会は来週までないのですから、何で資料提出をしぶるのですか。
  154. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 しぶるわけではございませんけれども、とにかく特定の人の名前が、プリントいたしますと出るものでございますので、あるいは表だけでしたらこの場でお約束できると思いますが……。
  155. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 だって、さっき局長は、公述人の名簿は前日になって明らかにすると言ったでしょう。傍聴者の場合でも、それは四百何名ですか、その中に入ってないかもしれませんよ。入っている人だったらいいわけでしょう。政府許可した四百何十名の傍聴者の中に、そういう活版刷りのはがきがあれば、それはすぐ公にできることじゃないですか。
  156. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 先生の御指摘、ごもっともだと思いますが、ちょっと検討させていただきます。
  157. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 何でそんなに秘密にするのですかね。公開というような、公聴会なんというものはフェアにやればいいんですよ。だって、事前に工作が片一方にあるかもしれぬと言うけれども、賛成の工作だって現実に一ぱいあるんですから。意見を述べろと言って紙を持って回っているんですよ。これこそ本人の意思と無関係に強制しているのと同じこと。賛成だといったって、賛成の中にはABCDといろいろな意見があるでしょう。そのABCDの意見の中で、東電側の回答してほしいという文書を強制するんですよ、これでやってくれというのは。本人は強制でないかもしれません。しかし実際には、そういう個人に対して、意見を述べるのに一定のワクをはめているんですよ。そういう事実が客観的にあって、そして名前が公になると圧力になるかもしれないから、そっちは伏せておくとか、そういうつまり何かものの考え方といいますか、そういうのがほんとうに住民の意思を尊重しているのかどうか、たいへんに私は疑問を感ずるのです。  それで、もう私に与えられた時間がありませんが、御発言がありますか。
  158. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 公聴会は公開でございますが、私どもが気にしておりますのは、公聴会に参加されます個人のお名前が出るという内容でございますので、そう時間はとりませんけれども、ちょっと部内で検討させていただきまして、できるだけ早く先生のもとに御返事をいたしたい、こう思っております。
  159. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 それで、先日九日の新聞に、これは共同が流したのでしょう、地方の新聞が載せていましたから。美浜のまた一号炉の事故が出ておりますね。これはあそこの加圧器のスプレーバイパスの弁がゆるんでおったのだ。それで締め直してまた動きだしたということのようだし、その後の新聞でも、もうすぐ動きだしたということが出ております。しかし、これはちょっとお聞きしますが、この美浜の一号炉というのは、今年の三月に定期検査をやっているわけでしょう。検査をやっているのですね。この前も福島の一号炉についてやはりバイパスが締まっておるか締まっておらぬか問題になった。どういうのですかね、放射能漏れ。しかもこれは一万五千カウントですよ。量にしたら相当なものですよ。そういう大量のものが漏れたというのは、バルブがゆるんでおったのだといって、締めてやり直した。片方のほうでも中レベルの放射能が漏れた、それも安全弁の問題だったというようなかっこうでいっているが、しかもそれが一年も二年も定期検査してないならいざ知らず、数カ月前に検査しているんですよ。そして、動き出してこんな事故を起こすというのはどういうことですかね。原子力委員会ではこれはどう思いますか。
  160. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 その件につきましては、伊原説明員に説明させたいと思います。
  161. 伊原義徳

    ○伊原説明員 ただいま御指摘の美浜一号炉の事故につきまして、事実関係を簡単に御説明させていただきます。  美浜一号炉は、先生御指摘のように、定検を終わりまして、出力二十万キロワットで運転中でございましたが、九月八日午前三時二十分ごろ、格納容器の中に備えておりますダストモニター、それからガスモニターの指示が上がり始めましたので、調査をいたしまして、蒸気漏れが加圧器の付近であるということが判明いたしましたので、六時四十五分ごろ負荷を落としまして、八時三十分に原子炉を停止いたしております。直ちに格納容器内の点検を行なったわけでございますが、加圧器という装置がございます。そのバイパス弁のパッキングから蒸気が漏れておったということが判明いたしました。調査の結果、パッキングの締めつけが不足ということでございます。で、至急このパッキングを取りかえまして、なお念のために各種点検を行ない、ほかに、全体で六個のパッキングを取りかえまして、蒸気漏れがないということを確認いたしまして、九月十一日の午前十時二十七分に発電を再開いたしております。  この被害のことでございますが、格納容器内に多少の放射能がありましたが、周辺の環境には影響を及ぼしておりません。  なお、先ほどの一万五千カウントと申しますのは、モニターの警報が鳴り出す指示、何と申しますか、その設定の点が一万五千ということでございます。
  162. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 それで、たびたびここで、当委員会参考人を呼んで意見も聞いた。そしてまたすれ違いなんですよね。軽水炉というのは、われわれは、実験炉なんだ、こんなものはとてもまだ正規に応用できるような性質のものではない。しかし、長官も原子力委員会も、いや、そうじゃない、もう実際にこれは実用できる性質のものなんだと言っておるわけです。ところが、最近の事故は、燃料棒の破損でしょう。それから蒸気発生器の細管の事故でしょう。しかもこのB型は、アメリカで原子力委員会では、出力のダウンをやっておるでしょう。制限しておりますね。現在実際に動いているものだって、四〇%もダウンしているわけでしょう。こんな実情が続いていて、そして依然として原発は、安全審査会の審査結果は安全だ、言ったとおりですと、しらを切って言えますか。いままでの事実経過から見て、いままで安全だ安全だと言ってきたが、この程度の事故ならば安全の内部であってたいしたことないと、原子力委員会考えて言っておられるのですか。長官いかがですか。
  163. 前田佳都男

    前田国務大臣 いろいろ最近の事故の問題に関連しまして、私も心を痛めておることは事実でございます。この点については、安全審査会等にも調査を命じたり、あるいは通産省並びに私のほうでも十分に調査をいたしております。まあ軽水炉についていろいろそういう御批判もございます。しかし私は、従来とも安全性ということについては、原子力行政の重点といいましょうか、ほとんどすべては安全、安全ということで進んでおりまして、予算的に見ても、安全研究のために四十八年度五十一億使っております。それからまた来年度は、八十億くらい予算を計上しようと思っておるくらいでございまして、全精力をあげて、実はこの問題に努力をいたしておるというわけでございます。  それにつきまして、軽水炉はまだ試験段階じゃないか、おまえのほうはもう実用段階だと思っておるようだけれども、その点が、先生もたびたび御指摘をいただく点でございますが、私は、原子力の開発をいたしましてから相当の年数がたち、もちろん常にわれわれはチェックをしなければいけません。けれども私は、研究段階ではない、やはり実用の段階であるというふうに考えております。その点は、嶋崎先生のいろいろ御指摘の点でございますが、まだそれは研究段階だというふうには私は考えておりません。その点だけをお答え申し上げておきます。
  164. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 それで、最後に締めくくって御質問いたしますが、この間、公聴会のときの参考人、早稲田大学の牛山さんでしたかね、あの方が、最近の裁判所の判例をあげて、憲法における地方自治と生存権並びに幸福追求権という観点から出た最近の一連の判決を述べておられましたね。この一連の判決は、四十六年五月の広島地方裁判所の判決、これは広島県の吉田町で屎尿処理施設と廃棄物の焼却場をつくるのに対して差止請求をした。それに対して、住民の意思を尊重して差止請求を認めた判決ですね。  それからまた、大阪地方裁判所が、昨年の四月、それを受けまして岸和田支部で同じ決定が行なわれておりますね。これも牛山教授が述べられた。それで、この場合でも、実際に火葬処理場を建設して操業しようとしたわけだけれども、地元の住民の同意を得ないで操業しようとしたのに対して差止請求をしたのに対して、いわば差止めの請求を認めた判決ですね。  この二つの判決を牛山教授はあげながら、行政や立法は何しているんですか、いまの憲法できめられた地方自治並びに生存権、それから幸福追求権という観点に立って、現地住民の納得を得ないそういう性急な、火葬処理場であれ屎尿処理場であっても、それに対してそういう判決を下されているということから、もっとそういうものに本来行政や立法のほうが、当然それに対応していかなければならないというおしかりを受けたと思うのです。そのとき長官は、こう回答されているのです。それに対して長官は、たいへんいい判決で、おしかりを受けました、こう言ったあとに、われわれは現地住民の「同意を得るというい同意というのじゃなくて、公聴会というふうなものに踏み切ったのも、実はそういう趣旨から踏み切ったわけでございまして、」こう答えられている。つまり、原子力委員会が今度やる公聴会というのは、あたかもこの二つの、広島の地裁の判決や大阪の地裁の判決で出たように、住民の意思を尊重して、そして原発というものをつくるという観点から見て、原子力委員会がやる公聴会はそういう住民の意思を尊重するものだというふうに発言をなさっておられるわけですね。それはいまも変わりませんね。
  165. 前田佳都男

    前田国務大臣 さようでございます。
  166. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 ところが、今度の原子力委員会の公聴会に関しては、私たちは何度か延期できぬかといままで提案してきました。しかし原子力委員会は、延期はできませんという通り一ぺんの回答でした。そして、その延期するのにずいぶん余裕のある時期にわれわれは提案しているわけですけれども、その十八日に公聴会をやるというそのやり方について、現地住民では納得のできない事態のまま、いわば二つの公聴会みたいなものが開かれるんですよ。そうですね。そういう住民の意思の分裂した姿が現実に公聴会にあらわれているとすれば、長官は、この広島の吉田町の広島地裁の判決、それからまた、大阪地裁の岸和田の支部の判決、こういう判決から、憲法にいうところの地方自治や住民の意思を尊重して公聴会を開くといわれるような、しかもこっちの場合は火葬場や屎尿処理場ですね。ところが、いま問題になっているのは原子力発電所、原発ですね。しかも原発については、先ほど言いましたように、五基のうち三基まで年じゅう故障を起こしているわけだ。そしてフルに動いていないんですよ。四〇%もダウンしているんですよ。そういう状態ですから、全国の、原発を設置される地域の住民はたいへんな不安を持っている。そういう不安があるという状態のときに、その不安の住民の意思というものを公聴会に十分に反映させる手続が十分でないまま十八日に依然として開かれようとする。何ぼ延期できぬかと、これにわれわれの側の、つまり現地で科学者や弁護士をもっと入れたいというような意思も十分に吸収できないまま、十八日に現実に開く、その方針を変えないとこう言ってきた。そうしますと、長官が、このかつて参考人に述べられている、住民の憲法にいう地方自治ですよ、しかも生存権、幸福追求権というものを頭に置いて住民の意思を尊重する、特に原子力委員会は、原子力基本法によって、民主というのはほかの場合よりもより積極的なそういう内容を持った法律ですね。こういうたてまえと現実の裁判所の判決、そういうものを受けて今度やられる公聴会というものは、まだ依然としてやはり住民の意思を十分に反映できるという判断の上に立って行なわれることになっていると思いますか、いかがですか、長官
  167. 前田佳都男

    前田国務大臣 嶋崎先生御指摘の、早稲田大学の先生の御指摘の判決でございますが、私もほんとうにその述べたとおりでございまして、注目すべき判決だと思っております。公聴会という制度を考えましたゆえんのものも、そういう住民のなまの声を聞きたいという趣旨から出たわけでございます。公聴会をやったけれども一向にぱっとしないじゃないか、ほんとうの公聴会じゃないのじゃないかという御指摘は、実は先生をはじめ皆さんからたびたび御指摘を受けております。けれども、私は私なりに公聴会に踏み切ったという点に、実は私、非常に自分で満足をしておるというか、自分で陶酔しておるわけではありませんけれども、実は公聴会に踏み切るについても、なかなかいろいろございましたけれども、これを私も踏み切らせていただいて、そしてやはり原子力行政一つの前進であるというふうに私は考えております。  ただ、第一回の公聴会が一向民意を反映しないんじゃないか、手続に非違があったのじゃないかというふうな御指摘、この点についても、まあ委員長からもきのうも御指摘をいただきますし、また嶋崎先生からもいつも御指摘をいただきますししておりまして、その点は実は私よく、その手続の点において何か行き違いがなかりしかという点を、先般も事務次官並びに原子力局長、担当次長等をみな集めまして、その点を私なりに相当きびしく詰めたのでございます。そうしましたところが、局長が先刻嶋崎先生お答えいたしましたような経過でございまして、実は前のとき答弁できなかったのは、どうもはっきりしなかった点があるのじゃないかという御指摘でございましたが、決して、にわかにそれをつくろって、そんな作文をつくったわけじゃございませんで、確かに私は、その後において関係課長を呼んで相当きびしく詰めたことは事実でございます。その意味におきまして、私は今度の公聴会は民意を反映していただくものだという考え方を持っている次第でございます。
  168. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 ことばじりをとるようだけれども、課長を呼んできびしく言ったということは、局長や大臣が、地元との了解が十分でなかったということを証明しているじゃありませんか。そうなりませんか。
  169. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 前回先生の御指摘に対して、私がよく調査して御回答申し上げるということで即答ができなかった点のおしかりでございますけれども、あらましのことは私も承知しておりましたのですが、先生の御指摘が非常に時間的に正確でございましたので、その辺の関係をよく調査いたしませんと、間違った御答弁になると思いまして調査した次第でございます。
  170. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 時間がありませんから、そこで私は二つの点を最後に長官に申し上げておきたいと思います。  一つは、私はいままで、前回の委員会で、公聴会の開催の手続、特に原子力委員会現地との間に十分なコミュニケーションがないために、今度の公聴会にたくさんの住民の意思を反映し得ないで、逆に言うと、ボイコットしていくような形の新しい集会が持たれるようになった。そういう意味で、現地に今度は十七日、十八日、十九日、混乱が起きます。確実に混乱が起きますね。その混乱の責任は原子力委員会にあるし、原子力委員会がそういう正規の手続を踏まなかったところに原因があるという点を、ここで申し上げておきたいと思う。そう思いませんかと言うてみたって、思わぬということになるのですから。起きますよ、確実に。それが一つ。  それと、最近まで設置した原子炉が、かくも事故が起きるということについて、原子力委員会の責任者として長官は、安全だと言ってきたものが、こんなに無数に事故が起きるということについての責任はどうなんですか、その点についての意見を聞きたい。
  171. 前田佳都男

    前田国務大臣 混乱の問題は、私は混乱が起こらないように努力をいたしたいと考えております。  次に、事故の問題でございますが、事故の問題は、現在起こっておる事故に対しましては、いつももう私厳粛に受けとめて、すぐに調査をさせておるわけでございまして、ただ口先だけでどうだこうだというわけにまいりません。これが大きい事故に発展して人に危害を与えるということになってはたいへんでございますので、その点は現実の行政について、発電の過誤についても十二分の注意はいたしますと同時に、この研究も、アメリカに依存するというんじゃなくて、軽水炉は確かに外国から来たものでございまするが、日本独自の研究に取り組むように、実は四十九年度の予算要求においても、この点に重点を置いて話しておるということを申し上げたいと思います。
  172. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 最後に、今度美浜の一号で起きたのは、本来のたとえば燃料棒とか、それから蒸気発生器の細管とかいう、そういう基本的なものではないという判断がありますね。しかし、これは原子力行政としてはたいへんなミスですね。そういうのが今後起きたときはどうしますか。いままで何回かやっても、いや、運転についてミスがあったんです、というようなことで逃げてきておるわけだ。今後こんな事態が起きたら、原子力行政は、少なくとも中レベルの放射能が漏れた福島の場合ですね、それに美浜の今度のようなバイパスの場合のバルブですね、こういうような事態が、検査があったあと数カ月でこういう事故が起きてくる。こういうのは、少なくとも絶対に起きないというだけの指導はできますか、責任をもって言えますか。
  173. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 美浜のバイパスのパッキングの漏れは、先ほど説明員が申しましたように、締めつけ不足のために起きたものでございまして、パッキングそのものについては何ら異常がないわけでございます。したがいまして、またこのマニュアルとしましては、定検のときに十分調べ、それから漏れましてもモニターでもってつかまえる、こういうしかけでございますので、これは原子炉の本質的な問題というよりはむしろ運転者のミスといいますか、そういうことでございますので、その点は十分注意をいたしまして、今後この種の事故の起きないように厳重に注意をいたす所存であります。
  174. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 それじゃ、これで質問を終わりますが、今後そういう運転上のミスみたいなものが起きた場合、それからまだまだ事故が起きるとぼくは予言しておきますけれども、そういう事態に対してもうそろそろ、いままで言ってこられた立場から、自分たちの責任という問題もやはり考えてもらわなければいかぬ。つまり、原子炉の安全性という問題は、普通の安全性の問題と違うだけに、法のたてまえやなんかもたいへんにきびしく考えているわけです。ですから、こうしょっちゅう事故が起きて、いや、運転上のミスでした、今後とも厳重にいたします、と言うてみたって、また同じことをやってくる。そして、燃料棒とそれから蒸気発生器の細管の事故については、これはいまだにインタラゲーションマークですね。材質問題なのか。それで、アメリカのほうでも、原子力委員会では、現実に出力ダウンをして、その点検討を始めているわけです。ですから、インタラゲーションマークです。これはもう、決して単なる、いや、たいしたことはございませんと言われるようなこととして処理できない性質のものだと私は思います。  まだ勉強は足りませんけれども、科学者たちと勉強してみて、私の理解した範囲では、事かなり重大であると考えます。ですから、それだけに今後そういう事故や運転上のミスみたいなものが起きるというようなことが続いたら、やはり長官、真剣に、いままで言ってきたことに対して、責任を持っていただくような態度を確認しておいていただきたいと私は思います。
  175. 石野久男

    石野委員長 この際、ちょっと委員長から長官にお聞きしておきますが、嶋崎君の質問に対して、混乱が起きないように努力するという御答弁がありましたが、この意味はどういうことをお考えになっていらっしゃるのか、この点ちょっと聞いておきたいと思います。
  176. 前田佳都男

    前田国務大臣 努力するといいますのは、具体的に、作為的に努力すると、いろんなかっこうをつけるという意味、工作をするという意味では毛頭ございませんで、公聴会開催要領の線に沿って誠意をもって事に当たりたい、そういう意味でございます。
  177. 石野久男

    石野委員長 次に、山原健二郎君。
  178. 山原健二郎

    ○山原委員 休憩なしでやっていますから、端的にお伺いします。  一つは、福島の今回の公聴会問題、もう一つは美浜の二号炉の事故の問題この二つに分けて主として質問をいたします。  今度の公聴会の公述人の賛成の立場で公述をされる方と、反対の立場で公述をされる方との人数はどうなっておりますか。
  179. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 総数四十二名のうち、反対と思われる方が十五名、賛成と思われる方が二十七名でございます。
  180. 山原健二郎

    ○山原委員 公述人の選定にあたっての基準といいますか、これはどんなふうになっておりますか。
  181. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 今回の公聴会の趣旨が、当該原子炉の設置にあたりまして、地元のなまの声をいろいろお伺いして、それを安全審査等に反映したいということでございますので、賛否の意見の色分けよりも、個人、団体の地元利害関係者の各界各層のバラエティーに富んだ意見ができるだけ多く聞けるようにいたしました。
  182. 山原健二郎

    ○山原委員 この「原子炉の設置に係る公聴会の開催について」という要領を見ますと、「最近における原子力利用の進展に伴い、国民生活とのつながりが増大してきているが、一方で地元住民の間に種々の懸念が生じているので、その懸念を解消し、一般の正しい理解と協力を得るための方策として、必要に応じ地元の生の声を求めることにある。」これは「地元住民の間に種々の懸念が生じているので、その懸念を解消し、一般の正しい理解と協力を得るため」と、こうなっていますが、これが基礎にならないと私はぐあいが悪いと思うんですよ。どうもその辺の把握のしかたが違うんではないか、こういうふうに思うのです。  先ほど嶋崎さんからもお話がありましたように、当該の企業が多数派工作をするなんということはもってのほかです。そんなことで公正な公聴会ができて、りっぱな判断のできる資料が生まれるはずはないわけですよ。私は、これは前に決算委員会で、今度の電力料金の値上げ問題で四国電力が公聴会を開く、その開くときに、営業所等を通じて賛成の立場の人を工作している、その文書も出てきているわけですね。九百人の公述人が応募してその中の七百何十名が賛成派なんですね。四国全体を考えたら、四つの県議会全部電力料金値上げ反対、町村長も反対しているのに、圧倒的に電気料値上げに賛成派が公述人に出てくるという、これはもう四国電力という企業の工作なしにこんなことは絶対に生まれないのですね。しかもその公述内容というのはほとんど一緒なんです。提出しておる陳述人の要旨も一緒なんですよね。これでほんとうに公正な公聴会ができるかということを申し上げたのですけれども、結果は、何しろ人数が多いものですから、電気料金の場合、百名の公述人が出まして、五十名までは二十五、二十五で賛否二十五名ずつを出して、あとは応募者の賛否によってあとの五十名は比例配分しているわけですね。そうすると、公聴会の結果は賛成という結果が出てきたのですね。だから、今度通産省はこの電気料金値上げの認可を与えるという。こういう作為的なことが行なわれているんですね。  いまお話を聞いておりますと、また今度の場合もそういうことが行なわれている。私はここへ公述人のお名前と陳述内容をいただいたわけですが、これを見ますと、二十七名の方が賛成で、反対の立場をとっている方が十五名、その賛成の方たちを見てみますと、町長さんであるとか、町会議長さんであるとかいうような方、しかも賛成の立場に立っておる理由は、たとえば安全性は万全だ、こういうふうに出ている。放射能の心配はない、こういう立場ですね。それから、賛成者の方は地域開発、過疎がなくなるとか、地域開発に寄与するとかいうようなことを、ほとんどもう同一の陳述理由になっておるわけです。これではほんとうに、いま読み上げましたところの「種々の懸念が生じているので、その懸念を解消し、」こういう公聴会を開く原則的な立場を踏みはずしているのではないか。むしろ皆さんが公聴会をやろうとするならば、種々の懸念を持っている方々を集める。そこから出てくるところのさまざまな不安とか、あるいは危険性の問題とか、そういう問題をえぐり出していくという、そういう立場が必要だと思うのですよ。これはもう、これだけ見ましても、今度の公聴会は、残念ながら結論は賛成多数ということになるわけですが、こういう公聴会のあり方をどう考えるか、伺っておきたい。
  183. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 先ほど申し上げておりますように、今度の公聴会は賛否を問うという趣旨で開いておりません。したがいまして、その比率にかかわりませず、できるだけネガチブの意見を持っておられる方も陳述していただきまして、その御意見の内容を安全審査等に反映してまいりたい、こういうつもりで先ほどの公述人の比率も選んだわけでございます。
  184. 山原健二郎

    ○山原委員 賛否の意見を聞くというわけではないということですけれども、少なくとも地元には賛成をする方もおいでると思うのですね。それから強烈に反対をしておる人、また住民組織というものもあると思いますね。ところが、そこへ設置の該当の企業が作為をするなどということは、これはもう許してはならぬことなんですね。これは完全にとめなければ、ほんとうに今後公聴会の問題を考えましても、全く企業側が結局公述人の大半を組織するというようなことになってまいりますと、せっかく皆さんが要綱の中でうたっておる精神が全くないがしろにされてしまうという結果になりますから、この点については厳重な何らかの方法をとらなければ、今後の公聴会にも影響してまいりますので、そのことについては、先ほど嶋崎さんのお話についても、これは十分調査をして、そういうことがないという歯どめの措置を講じなければならぬと思うのですが、どうですか。
  185. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 十分調査をいたします。
  186. 山原健二郎

    ○山原委員 調査をしてそういうことがないようにしますか。活版刷りで流すとかそんなことを許してどうして公正な公聴会ができるかということですから、調査をされまして、先ほどの資料も提出されるそうですが、どうされるかという問題です。
  187. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 まず調査をしてみたいと思います。
  188. 山原健二郎

    ○山原委員 調査をした結果は当然われわれにもお知らせいただけると思いますが、どうですか。
  189. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 当然お知らせいたします。
  190. 山原健二郎

    ○山原委員 もう一つの問題は、こういう公聴会というのは、もうすでに要綱に出ておりますように大型化、集中化あるいは県知事の要請あるいは新型が出た場合ですね、そういうときに限られておるわけですけれども、たとえば福島は百十万キロワットですから、大型化といえば最大のものがあるわけですね。そうすると、それ以上のものでなければ公聴会は開かぬというようなことになると思いますが、公聴会というのは、これは当然どこでもいつでも行なっていくということが必要ではないかと思うのですね。それから、既設のものにつきましてもいままでずいぶん事故が発生をしているわけです。そういう点から考えましても、既設のものについても公聴会を開いていくことが必要だと私は思うのです。その公聴会の中身については当然もっともっと民主的な運営をしていくということが必要ですけれども、単にこの四つの条件だけでなくして、既設のものについても、また新しく設置をしようとするものに対しては、必ず公聴会を開いていくという態度が必要だと思います。そういう態度を一歩前進をさすという気持ちを持っておるかどうかですね、これを伺っておきたいと思います。
  191. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 ただいまのところ、先生が御指摘になりましたような大型化、新型それから集中化それから地元の知事の御要請によります場合に公聴会を開くという方針でございます。
  192. 山原健二郎

    ○山原委員 それ以上広げるつもりはないと、こういうことですか。
  193. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 そうでございます。
  194. 山原健二郎

    ○山原委員 これはいままで、たとえば美浜の問題にしましても、安全性については、この前の参考人の方たちもずいぶん言われましたが、事故が発生をしているわけですね。それから、私がしばしば取り上げました愛媛県の伊方の場合にしましても、たとえば一例をここでお伺いしますけれども、いま国土地理院の方がおいでておると思いますが、伊方の場合ですね、たとえば原子力委員会が出しましたこの決定書を見ますと、伊方の場合に、破砕帯の問題です。破砕帯は当該敷地内には破砕帯がない、こういう結論が出ています。ところが、地理院が出しておりますところの資料を見ますと、どうもこの図面だけでは中央構造線の中へ入っている、こういう状態でありますが、おいでてますかね、これをちょっと説明していただきたい。
  195. 檀原毅

    檀原説明員 お答えいたします。  地震予知連絡会におきましては、伊予灘、安芸灘のこの海域一帯を特定観測地域に指定しております。その理由としまして、この海域は、記録に残っておりますので、一六四九年から一九〇五年まで六個、大体マグニチュードで七前後の地震が繰り返し起こっております。一九〇五年以降そういう大きな地震は起こっていないというようなことで、七程度地震が起こる可能性のある土地としてここを特定地域に指定してございます。ただしこの七程度というのは、過去の記録でございまして、これは被害のほうから出しました大きさでございまして、現在、最近の計測からつかまえた大きさと、それから昔の被害地震から出しました記録、そういうものの重複するものを調べますと、コンマ五くらい違うのではないかというような話もありますので、必ずしもその七程度というのは正確であるとまでは断定できないのでありますが、要するに地震の起こる可能性がある土地として特定地域に指定してございます。
  196. 山原健二郎

    ○山原委員 ただいま御説明がありましたように、ここに持ってきておりますのは「地震とその予知」、地震対策のために建設省国土地理院が出しておる資料ですね、これを見ますと、二五ページには、いまおっしゃったように特定地域として伊方四国電力の原発のできる地点が入っているわけです。それから二一ページを見ますと、「一九七〇年における地区別の地震放出エネルギー」、このところでは全く四国の愛媛県伊方原発のできる地域に、ここへ集中してマルじるしがついているのです。こういうことを一方で政府機関である建設省国土地理院が出しておられる。  ところが、この決定書を見ますと、「原子炉設置に問題となるような活断層および破砕帯のないことは地質調査等により確認されている。」こういうことで、地域住民の不安に対しては、一発のもとにはね切っているわけです。これお伺いしますけれども、これはどこが調査したのですか。
  197. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 ちょっと先生御引用の文書の名前を聞きのがしましたのですが……。この地方の破砕帯の問題につきましては、国土地理院から御答弁がありましたとおりだというふうに承知しておりますが、安全審査にあたりましては、破砕帯につきまして、一号炉心部でほぼ東西方向の最大幅四十センチ以下の破砕帯及び北東方向の同規模の破砕帯が認められる。しかし基礎岩盤の岩質は新鮮で健康な状態にあり、緑色片岩の一般的特性にあげられる異方性やはげやすい性質は顕著でない。中央構造線に近接する個所で一般に認められるような地質状態が見られず、したがって中央構造線の直接的な影響はないと考えられる。安全審査にあたっては、以上のような破砕帯の状況を踏まえて審査が行なわれることはもちろんでございますが、工事認可を受けて行なう使用前検査、これは通産省でございますけれども、基盤検査時点でその事実を確認しつつ工事を進めさせるということにしているわけでございます。
  198. 山原健二郎

    ○山原委員 もう一つ、これは朝日新聞が特集をしております「地震列島第一部」の7、これを見ましても、これは愛媛原発の地点に中央構造線がはっきりと通っているのですね。だから通例のこととしては破砕帯の問題が問題になるのですけれども、事科学技術庁に関する面ではこれはのいているわけですね。問題はないという形で突っぱる。ここなども実際は住民の疑問というのはそれだけでは消えないわけですね、決定書だけでは。  実際こんなものがあるわけですから、こういうことに対して学問的な、また調査の結果としても全く心配はないのだというようなこと、そんなことが、住民が納得できるようなそういう態度というものが必要なわけですよ。それをこういう形でいろいろ説明をしておるけれども、この説明では、こちらの地理院の出した資料とか、あるいは朝日新聞の特集されておるものとか、これ説明しきらぬわけでございます。だからこのすでに決定をしておるところでも、また既存のところでも、こういう疑問が、一つの例として申し上げたわけですけれども、実際たくさんあるわけです。  そういう点から考えますと、ほんとに公聴会を開いて、広範な不安や疑問、また懸念と皆さんが呼んでいるものを、積極的に解明をしていく。この原則に立たなかったら、先ほど言ったように、公聴会をやったって、それは企業側が多数派工作——金を持っているわけですからね。当該企業がそういう活動をするというような、全くふまじめなことが起こってきまして、長官は、公聴会を開くということに対して非常に自負の念を持っておられると言われましたけれども、その気持ちとは全くうらはらな結果が出てくるということは、ほんとうに厳重に警戒しなければならぬと思いますので、このことはなお強く要請をしておきたいと思います。  もう一つは、今度の公聴会を見ましても、率直にいいまして、ほんとに反対の方たちはかなり切実な気持ちを持っていろいろなことをなされているわけですが、賛成の方たちの理由を見ますと、やはり地域開発とか安全だとかいう断定のもとに立っておられる、そういうものが出ています。ほとんど地域開発ですね。地域開発のために必要だ、だから賛成だ。むしろ原子炉の安全性というようなことよりも、そういう政治的問題と地域開発ということが主になっているんですね。これでは、ほんとに、公聴会を開きましても、実のあるものになるかどうかということをかなり疑問があると思います。そのことを全く不必要だとは申しませんけれども……。  そうすると、ほんとに専門家の間の公聴会ということですね。たとえばエネルギー問題を含めた広範な疑問にこたえていくというふうな場所、これをぜひ私はつくる必要があると思うのです。たとえば原子力学会とかあるいは原子力安全協会あるいは日本の科学を内外に代表する日本学術会議、こういったものを中心とするほんとに専門家の公聴会を開くということが、これほど事故の多い段階では必要じゃないが、皆さんは原子力安全審査会があるからだいじょうぶだとおっしゃるかもしれませんけれども、現実の問題としては、全く事故が絶えないという中で、また最近においても頻発をしておるという状態の中で、そういう専門家によるところの公聴会、また社会科学的な面からも、先ほど言いましたいろいろな環境問題なども含めた総合的な公聴会、これを開くというこの大胆な姿勢というものをとらなければ、私は、いまの国民の懸念というものに対して正しく対処することはできないと思いますので、この点を提起したいと思いますが、これについては長官の見解をぜひ伺っておきたいのです。
  199. 前田佳都男

    前田国務大臣 山原先生の非常に御熱心な御指摘でございますが、私たちいま考えております公聴会なるものは、具体的なるその原子炉の施設にあたりまして、その行政処分をする前に、それについての安全性とかその他の問題について、現地のなまの声を聞いてその行政処分の方針に反映さしたいということでございまして、一般的に原子炉の安全性という点についての勉強は、この公聴会とは別に、それはいつもわれわれやらなくてはいかぬと思っております。その点は、したがいまして、日本学術会議と原子力委員会との間で年に四回程度、原子力についての勉強会といいますか、討論会でもございませんでしょうけれども、そういう会議を持っておりますのもそういう趣旨でございます。  ただ、私がいま考えておりまする公聴会は、具体的な、あるいは福島の問題とかどこの問題とかというときに、これを開くということを考えておりまして、一般的な原子炉の安全性問題等は、このときには、関連はしていろいろ論議されると思いますが、それはまた別にそういう勉強の機会も持ちたいというふうに考えておるわけでございます。  それから、原子力委員会はすべての炉にみなやったらいいじゃないかという先生の御指摘でございますが、これは非常に有力な御意見だと思います。しかし私たちは、原子力委員会は、かってに気ままに開いたり開かなかったりするのじゃないかというふうな御意見とおとりになるかもしれませんけれども、われわれは決して恣意的な、自分だけの判断で自由裁量ができないように、自律的に新型、大型、集中というふうな場合あるいは知事の要求というふうな場合、そういう場合をずっと列挙いたしまして、恣意的に開かなかったり開いてみたりというふうなことが、原子力委員会として、たとえ原子力委員長にどんな人になってもそういうことができないような、そういう規制もみずからもってしておるわけでございます。  知事の要望ということについて、住民の要望じゃなくて知事の要望自体がおかしいじゃないかという御指摘、これはいつも委員会で問題になる点でございますけれども、私たちは、民主政治におきまして、やはり選挙によって選ばれたる知事というものが民意を代表するものである、もしそれ住民の意思を無視して行政をやれば、その次の選挙にはきびしい判断をされるということになると私は考えておりまするので、その点はすべての場合をカバーしておるというふうに考えております。それだけ申し上げておきます。
  200. 山原健二郎

    ○山原委員 知事の問題は、いろいろ論議があるので、時間がありませんからやめますが、公聴会を開きますと、これはいろいろな意見が出るわけですね。これを見ましても、たとえば用水問題あるいは水道、農業用水の影響などというようなものも反対者の中から出ていますし、あるいは放射能の遺伝性の問題も出ていますし、それからさまざまなことが出るわけです。社会科学的な問題が出てくるわけですね。単に原子炉の安全性の問題だけじゃないわけです。公聴会を開けばそういうことが出るのは当然なことですね。ところが、たとえば環境審査の問題にしましても、私がいま地質の問題を一つ例として出しました。少し見解は違うわけですね。それから温排水の問題についても、温排水はたしか通産省か、それから水の問題につきまして、水利問題については建設省かどうか知りませんが、埋め立てについては建設省、運輸省あるいは潮流の問題については水産庁とか、そういう問題が各省にわたってあるわけですが、そこから結局は報告を聞く程度に終わっているわけでありますけれども、公聴会を開けばそういうものがさまざまに出てきて、原子力発電所の適否の問題が総合されて出てくるわけですね。それに対処するためには、ほんとうに原子炉についての安全性の問題の専門家あるいはこれらの諸般の環境に対する専門家など、社会科学的な立場に立って、あるいは自然科学的な立場に立つ方たち、そういう方たちを集めた専門的な原子炉問題についての公聴会、という言い方が正しいかどうかそれはわかりませんけれども、権威があり、なおかつ一方的な立場に立たない、そこに賛否の両論も出ると思いますけれども、そういう国民がほんとうに信頼できる、安心して聞くことのできる機関というものですね、これをつくる、それこそほんとうに中立公正な立場に立つ行政庁の態度だと思いますけれども、そういうものを私は要求しているわけです。そうでなければ、この伊方の原発に対する決定書を見ましても、次から次に疑問が出てくるのは当然でして、これで満足せよなどといったって、だれも住民の間に満足するものはおりません。だから、そういうことを私は今後考えていく必要があると思うんです。  もう一つの問題は、福井の美浜の今度の事故について調べてみますと、非常に問題が出てくるんですね。御承知のように、八月二十八日の午後一時四十六分に関西電力美浜原子力発電所二号機で感電と爆発の併合と見られる事故があった。そうして作業していた三菱重工の下請日本建設工業株式会社の渡辺班の作業員藤本藤雄さんが顔面、右大腿部と、左足一部のやけど、背面打撲を負って酸素ベッドに収容されたという事件でございます。  最初御承知のように、会社側は午後六時ごろ県に対して、二号炉の冷却水ポンプの故障で運転を中止した、こういう発表をしております。引き続いて当日の午後七時ごろアニュラスの中で作業員がスパナか何か落とし、電線ケーブル端子に触れたらしく、短絡し、電源が切れ、自動的に運転を中止し、目下原因を調査中である、こういう発表をしておるわけです。  ところが、実際このときにはこの藤本さんという方が大やけどをしているわけですね。そのことを関電は報告してないのです。人身事故については、重大な問題として報告しなければならないということは御承知のとおりでありますが、これだけの事故が起こっているのに、報告もしてない。これは一体どういうことですか。
  201. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 先生御承知のように、原子炉の場合には制御棒というのがございまして、そこでどこかが、まあこの場合は原子炉のスクラムと申しましてとまったわけでございますが、そのときにはその故障個所を示す場所に赤ランプがつくことになっております。それでおそらくは、まあ関西電力側のあれでございますけれども、やけどをしたことはすぐ気がつきまして、それは人命救助をやりましたけれども、そのスクラムの問題とそのやけど、人身事故との斉合性と申しますか、その辺に気がつくのがおそかったんではないか、こういうふうに考えております。
  202. 山原健二郎

    ○山原委員 相当なやけど事故が起こっているわけですよね。だから新聞を見ますと「関電は事故ひた隠し」という見出しの記事も出ておるという状態ですね。そして次には、関西電力はその事故の原因を作業員のミスだというふうに言っているわけです。その報告がこういう形で書かれているわけですね。  藤本さんが定められた安全通路を歩かずに近道をしようとして端子に触れたもので、作業上の初歩的なことを守らなかったため思わぬ事故を起こした。また端子はテープが巻いてあり、普通は触れてもショートはしないが、たまたまテープの巻き方が不完全であった上、藤本さんの作業服が汗でぬれて電流が流れやすい状態にあったのではないかと発電所は言っている、こういう発表がなされているわけなんです。ところが、調べてみるとそんな状態ではないわけです。  その経過を少し追って説明をいたしたいと思いますが、この場所におきましては、この事故が起こりましたすなわち八月二十八日の一週間ほど前から補修作業を行なっているわけです。ところが、排気が悪く、作業中ガスを吸い込み気分が悪くなった人が何人もおり、頭が痛く吐き気がしたため、労働者が要求して携帯用ファンを使ったが、排気管もないため、従業員はビニールホースを利用して排気しながら作業した状態である。しかもそのことは三菱重工やこの日本建設株式会社の職員も認めているわけであります。一週間前からこういう状態があったわけですね。  次に、この八月二十八日は溶接、切断作業をするためにその中に置いてある酸素ボンベ、アセチレンガスなどの工具で作業をしておったわけでありますが、藤本さん、この負傷した方のお話によりますと、一時五十分ごろ、中に入ると、とたんにボーンと爆発音とともに全面まっかになり、はねとばされたように思う。すぐ、おれだ、助けてくれとどなり救出されたように思うが、あとがよくわからない。しかしズボンもシャツもぼろぼろになっていた。これが藤本さんのことばであります。藤本さんが入っていったとたんに爆発をしておるという状態、それが、先ほど言いましたように、作業員のミスという形で報告をされているわけであります。  それからその次に、その事故発生の直後、関西電力、三菱重工の職員が数名やってきまして、現場にあった溶接、切断用の工具や電線その他一切のものを片づけた。また日本建設の従業員に片づけ、掃除するように命じています。従業員がなぜそんなことをしなければならぬのだと問うと、ここにこんなものがあるといかぬのだと、すぐ作業するように命じています。ここで証拠隠滅が行なわれるわけですね、大きくいえば。そして八月二十九日になりまして、関西電力はやっと重傷事故について、人身事故について県に報告したわけであります。これは二十八日、前日の夜になって人身事故について報告をしていますが、その報告は、実情とは私の調査では違っておるわけです。  次に、二十九日の朝のことでありますけれ・ども、事故現場すなわちアニュラス部ですが、中に入って作業していた従業員が日建の所長に呼ばれまして、あすは労働基準監督署が調査に来るので口を合わせておかぬといかぬので、みんなはよけいなことはしゃべるなと言われているわけであります。  次に、三十日の夜、従業員の報告によりますと、けさの新聞では——先ほど私が読み上げましたような幾つかの新聞ですが、事実と違うではないかと職場の中で話題が起こりまして、みんな協力して日建の所長に話し合いに行っております。所長はこう言っています。この問題は、いろいろ段階があるので私にまかせてほしい、きょうは作・業をしなくてもよろしいと言いまして、その日は休みになっております。しかし、それでも従業員の中には、どうも気持ちがおさまらない、いままではアニュラスの中でのペネトレーションの修理、取りかえ、ガス切断、グライダーのはめ込み、電気溶接など危険なところへ運転をしながら入れて作業をさせておったが、会社は定期検査、これは九月の中旬に定期検査が行なわれるわけですが、定期検査のためとめてから入ったことにしてくれと従業員に言っているわけです。これはもってのほかだという気持ちが従業員の中にありまして、そういうことが話し合われております。  次に、九月二日になりまして、日建の所長、藤井さんですが、この人に従業員の人が呼び出されまして、君たちもここでめしを食っていくからには協力してほしいと要請をされております。で、九月二日には敦賀警察署のほうに日建の監督、日建の所長さんが呼び出されております。その中身はここでいま申し上げません。  九月三日に至りまして、朝従業員が勤務に出ますと、関西電力の四階会議室に従業員の方四名と日建の幹部が呼び出されまして、関西電力の幹部四名が出席、そして常務の方がこう言っております。警察に調べられたとき、一、私は入り口に待機していたので、中に入らなかったと言うように。実際はこの人たちは中に入っておったのです。それから二番目は、作業内容についてはペネトレーションの点検に入ったと言うように。大体この二つですね。  そこで、ある従業員が、これは名前をあげてもよろしいです。この四名の中の一名ですね。警察は調べがじょうずだから、誘導尋問されたときにはほんとうのことを言うかもしれませんよと言いますと、会社の幹部は、そんなことは警察は聞かないだろう、こう言っております。また、この点検作業の目的は、一系統を二系統にするための点検で、溶接器具は一切入れていなかったと言ってもらいたい、こう言われておるのでございます。御承知のように、ペネトレーションの切断、溶接する場合は、通産省の許可を受けてやらなければならないことは電気事業法の四十六条によって明らかでございますが、このような場合は、通産省お見えになっておると思いますが、通産省の許可が要るのでしょうか。どうですか。
  203. 児玉勝臣

    ○児玉説明員 先生御指摘のとおり、溶接に関しましては、電気事業法四十六条によりまして、通産大臣の認可及び検査を受けなければ使用できないことになっております。
  204. 山原健二郎

    ○山原委員 ここのところを会社側が一番おそれているわけですね。だから、現場の爆発事故がありまして、けがをしておる。その責任は藤本さんの個人的なミスとして発表していく。そして、現場にありましたところの溶接器具その他については、証拠を取り払ってのけてしまうということですね。それから今度は、労働基準監督局あるいは警察に呼び出された場合にはこういうふうに答えなさいという指導がなされる。しかもこの職場でめしを食っていくためにはこれだけのことをしなさい、こういう工作がなされているのです。これは、私は証人もおりますし、十分調査した上で申し上げておるので、いつでもこの方たちはこういう事実については証言もしてくれるという確認を得ましていま申し上げているわけでございます。  こうなってまいりますと、事故は多発する。美浜一号、二号の事故が起こる。そして、事故が起こった場合に、人身事故があっても、それを何とかひた隠しに隠そうとする。そして、その事故の原因を隠滅をしたり、あるいは理由を変えたりしていくというような状態ですね。そして現認をしておるところの従業員に対しては、その事実関係を明らかにすることを、強要してそれをゆがめるというようなことになってまいりますと、これは原子力安全性などといったところで、ほんとうに企業の立場からするならば、事故が発生したときの真相究明すら困難だということになるわけでございますから、これはもうたいへん重大な問題であります。  私はいま事実をずっと申し上げました。そして従業員の皆さんに、藤本さんの場合もそうですけれども、何がこのパイプの中を通っておるのかということも知らされていないのですね。ここにふさわしい技術的な指導と申しますか知悉さすというようなこと、一体どういう職場で、どういう危険な中で働いておるか、またどういう注意をしなければならないかというようなことの指導もなされていない、こういう状態なんですね。皆さんが安全審査会についてとやかく言われておりますけれども、これでは日本の原子力の発展というものはたいへんなことになるわけでございまして、私のいま申し上げましたことが事実かどうか。おそらく皆さんも点検をされておると思いますので、これについての見解を伺っておきたいと思います。
  205. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 先生のいま御指摘になりましたこと、私どもとしましても初めて耳にするようなこともたくさん入っておりますので、よく調査をさせていただきたいと思います。
  206. 山原健二郎

    ○山原委員 これは長官にも最後に意見を伺いたいのですが、私のほうは、私の党の県会議員その他を通じまして、事件の経過についての誤りをネグってはいけませんので、ほんとうに事実の確認を正確に行なっていくという立場で、この問題を調査して出しておりますから、私のこの調査にはほぼ誤りがないという確信を持っています。それで、いろいろ作為をされると困りますけれども、これは科学技術庁として、この経過については綿密に調査をしていただいてその調査書を提出していただきたい、こう思います。また、それに基づいて申し上げたいこともありますが、こういうことではどうも問題は大きいわけですね。  それからまた、この前にも出しました大飯町の場合に、たとえば現地の反対しておる共闘会議の住民組織の皆さんとか、あるいは科学者会議の方たちがシンポジウムをやろうとしましたら、公民館を貸さないという問題が出てまいりまして、この間少し質問をしましたけれども、なぜ貸さないかということの理由が、これが町と電力側が結んでおりますところの協定書の第三条だというのです。第三条というのは、甲及び乙は丙の大飯原子力発電所の建設に協力するものとする、この条項なんですね。大飯発電所をつくることに対して町当局は協力するというこの協力条項によって、だから反対をしておる人には公民館を貸さない、こういうふうにストレートにいくわけですね。地方裁判所の決定ではそれはいけないということが出ておりますが、名古屋高等裁判所のあれは、福井の分室ですか、そこのところへ出されておりますけれども、その場合の判決の結果は、非常に事務的な結果でありまして、これについての法律上の判決とはなっておりません。  しかし、いずれにしましても、公民館が反対派だから使用できない。使わせない。しかもそれが企業側と公機関であるところの町側の協定書の中で約束されておるのだから、これを使用させないのだということになってまいりますと、これは知る権利を持つ憲法上の問題として非常に重要でありますし、また憲法上の問題までいかなくとも、常識的に考えましても、そういうことで企業の横暴というものが、結局反対派の声を、公的な機関も使わせない、正当に出てくる状態一つ一つ芽をつみ取っていくということになるわけですね。だから、そういう点でも重大な問題だと思いますが、これはこの前調査をしていただいたわけでありますけれども、これからも原子力発電所をつくるといえば賛成も反対も出てくる。これは当然のことです。そうすると、反対派の声というのは、公的な機関は使わせない、学校は使わせない、公民館は使わせない、こういうことになると、これもまた今日の原子力問題の底流をなす一つの重大な問題として私は看過できないことだと思うのですが、これらの一連の流れというものに対して、長官の見解をぜひ伺いたいのです。
  207. 前田佳都男

    前田国務大臣 先刻来山原先生から具体的な事実をあげていろいろ御注意をいただいたわけでございますが、私は初めて聞いた事実、ほとんど初めてお伺いしたことばかりでございます。いずれにいたしましても、原子力施設の安全性というものにつきましては、あくまでもわれわれは、原子力委員会といたしましては、中立性を守りつつこれにきびしい態度で臨んでいきたいという一語に尽きる次第でございます。
  208. 山原健二郎

    ○山原委員 もう時間がありませんが、通産省のほうですね、いま溶接問題を出しましたけれども、通産大臣許可なくしてこういうことが行なわれて事故が起こっている、こういう現実でありますが、この場合には通産省は調査をされるわけですか。あるいは科学技術庁としても、その経過については実際に現地へ行かれて調査をする、そしてそれに対して行政上の措置を講ずるということをなされるのですか。だから私は、いま科学技術庁のほうと通産省のほうに対しては、私の出しましたこの経過について調査をしていただいて、その報告をしていただくということと、その処理ですね、こんな場合はどうされるのか、それを伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  209. 児玉勝臣

    ○児玉説明員 このたびの事故に関しましては、たまたま若狹方面に通産省の検査官が出張しておりまして、この事故と同時に直ちに美浜の発電所に行かせまして、事故の大要を調べさせたわけでございます。  それで、その結果につきましては、ただいま先生御指摘のような溶接機を入れてあるとかいうような話はそのときには全然聞いておりません。したがいまして、そういう問題が新たな事実としてわれわれのいわゆる調査の対象になろうかと思います。  また、先ほど申し上げました四十六条の問題といいますのは、これはいわゆる原子炉の重要な施設についての溶接問題でございまして、小さな部分的な溶接についてはこれは四十六条を必要といたしませんが、どういうような溶接をするために溶接機を入れたのか、そういう事実について、よく科学技術庁のほうと協力しまして調べたいと思います。   〔委員長退席、原(茂)委員長代理着席〕
  210. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 通産省と共同いたしまして調査をいたします。その結果につきましては、それぞれの法令に触れるようなことがあれば、それに定めておりますような処分をとります。
  211. 山原健二郎

    ○山原委員 従業員がその部屋に入っておったとか入っていないとかいうことは、調べればすぐ明らかになることですよ。それから、いま言いましたように溶接、切断用の工具や電線その他の機材というものがあったわけですが、それを片づけたか片づけないかというようなことも、少し調べれば事実は明らかになるわけですから、そういう証拠隠滅が行なわれて事件の真相があいまいにされるなんというのはもってのほかですから、この点は、ほんとうに私は皆さんの調査を期待して待っておりますから、その調査が出ましたらまた質問をいたしたいと思います。  質問を終わります。
  212. 原茂

    ○原(茂)委員長代理 次に、石野久男君。
  213. 石野久男

    石野委員 長官にお尋ねしますが、私は昨日、委員長席で長官に公聴会問題について、一問一答を避けて、できるだけ長官の答弁のしやすいようにと思って実は質問をいたしました。しかし、それに対して全然意見が述べられませんでしたので、そのことに関連して質問させていただきたいと思います。  まず最初に、原子力委員会の安全審査部会が出しますいわゆる安全性についての審査結果について、最近各電力会社で事故が頻発しております。たとえば、福島においても、あるいは美浜においてもそうでありますが、その他幾つかの問題が次から次へ出てきているわけです。特に美浜などでは、もう幾つか重なる事故が次々に起きていますし、福島でも、たとえば廃液漏れだとか、あるいは燃料棒の問題だとか、いろいろな問題が出まして、結論的には、美浜においても、福島においても、出力低下をしなくちゃいけないというような事情が出てきております。このことは、アメリカのAECがGE等に対して出力低下を命じたことと符合することでございますけれども、日本の原子力委員会の安全審査専門部会の結論というものは、AECがどうあろうと、それにかかわりなく、責任を持たなくちゃならぬものだ、こういうふうに思うのです。  そういう観点から、原子力委員長として、こういう安全審査部会が出し、しかも委員長がそれに認可を与える、そして総理が最終的には認可を与えるというような、こういうことに対しての責任の問題、信憑性に対する責任の問題を、委員長はどういうふうにお考えになっておられるか。その点について先にひとつ……。
  214. 前田佳都男

    前田国務大臣 昨日は委員長から御意見をお述べいただきまして、私に何か言うことはないかというふうなお尋ねでございましたけれども、特に新しく変わった意見もございませんでしたので、実はお答えをしなかったわけでございまして、その点は御了承を賜わりたいと思う次第でございます。  なお、ただいま委員長お尋ねの安全審査体制と事故との関係の問題でございますが、私ども原子炉の技術的な問題についてはしろうとでございますけれども、現在の安全審査会というものはほんとうにまじめに、熱意をもって一生懸命に取り組んでおる。その姿を私は高く評価したいと思うわけでございまして、決していいかげんと申しましょうか、安易な態度で審査に臨んでいないということだけは、私なりに確信を持って、いつもその点は感謝をしておるわけでございます。  しかし、そんな自信を持っておるのに事故があるじゃないかという御指摘かと思いますけれども、原子力というものがまだ歴史もそんなに長い歴史ではございませんし、その意味におきまして、事故がないと思っておったことが、幾つかの事故が出てきたということについても、起こった場合はそれに対してすぐにきびしい態度で臨んで調査をするという姿勢が必要であろうと思いまして、先般のGEの問題のときも、そういう姿勢で、すぐに原子炉安全審査会にその調査を命じますし、また、アメリカにも派遣したという態度をとっておるわけでございます。
  215. 石野久男

    石野委員 原子力委員会なり安全審査部会がまじめに真剣に取り組んでいることには敬意を表しているという長官のことば、これは一生懸命やっていることば私たちも別に長官がそういうふうに思うことに対してあれこれ言うことはできませんが、しかし安全審査部会というものは、国民に対して安全であるよということを保証するためにできているものなんですね。ただまじめに取り組んでいるからいいのだということじゃないと思うのです。長官はそういう点についてはどういうふうにお考えになりますか。
  216. 前田佳都男

    前田国務大臣 確かに委員長御指摘のとおりでありまして、幾らまじめに取り組んでおっても、事故がどんどん出てはつまらぬじゃないか、御指摘のとおりでございます。しかし、そういう事故を発見した場合、できるだけすみやかにそれに対する処置を講ずるというのも、私は安全審査会の体制であろうかと考えております。
  217. 石野久男

    石野委員 安全審査部会が出した結論に対して、学者、科学者の中、あるいはまた技術者等、多くの面から違った意見もたくさんあるわけです。そして、そういう違った意見の方々の指摘するところの状態が具体的に出てきているというのが実情なんです。ですから、長官が言われるように、予測されないことではなくて、立場の違う方々といいますか、意見を異にしている人々がすでに指摘していることが次から次へ事故としてなってきているということになりますと、長官のようなそういう安易な考え方では済まされないと思うのです。長官は、ある一方的な考え方だけで判断をしてはいけないと思うんですね。学問についていろいろな——学問の真理は一つだと思いますけれども、まだ原子力については経験が乏しいからと長官も言われたが、まさにそのとおりでありまして、いろいろ研究しなければならぬものがたくさんあります。だから、意見がいろいろまちまちなものがあるということは長官自身がお認めになるのですね。
  218. 前田佳都男

    前田国務大臣 原子力の施設についていろいろ学説並びに意見があるということをよく存じております。
  219. 石野久男

    石野委員 だとしまするならば、違った意見のものをこの際十分この問題について吸収しなければ、ほんとうの意味における原子力委員会の安全審査はでき得ないということもまた言えるわけですね。私ども国会の立場でこの問題を論議するときは、当然それを追及しなければいけない、こういうふうに考えますが、長官はどういうふうにお考えになりますか。
  220. 前田佳都男

    前田国務大臣 いろいろ御意見を拝聴するのがわれわれの姿勢だと考えております。
  221. 石野久男

    石野委員 拝聴だけではいけないので、そういうことを論議して、行政的ないろいろな施策を出していかなくちゃいけないだろうと思うのです。  そこで問題は、たとえば美浜の問題にしましても、福島の問題にしましても、事故が、修理はできたからそれでいいんだというわけにはいかない。結論的には、美浜の場合は三十四万キロワットの発電炉が二十万キロワットで操業したけれども、またこれを出力低下をしなければならぬような事態になってしまいました。おそらく半分以下の出力でしかないと思うのです。これは関西電力の営業用炉だということから見まするならば、これは営業的価値はほとんどないものといわなければいけないと思います。福島の場合においてもそうですね。出力低下が命じられてきている。だとするならば、これは実用炉としての満足な条件を満たしていないのであって、これはやはりまだ実験過程であるというようなことをそのまま具体的にあらわしているものだ、こう見るわけです。長官のほうは、事故があるのはしかたがないじゃないかということかもわかりませんけれども、しかし少なくとも安全審査をやるときには、設計上瑕疵がないということで安全審査を出しているのだろうと思いますが、その点について長官はどういうふうに見ておられますか。長官から答弁してください。
  222. 前田佳都男

    前田国務大臣 私は、出力制限をしておるということは、これはやはり原子力施設だけに、万一被害があってはたいへんだという非常な慎重な配慮のもとにそういう出力制限の措置をとっているものだと考えております。そして安全審査会においては、そういう故障がないという安全、安心感といいましょうか、そういう判断のもとに私は許可をしたものであるというふうに考えております。
  223. 石野久男

    石野委員 安全について十分だということで審査をし、それに対して一定の審査結果を出している。われわれもみなそういうふうに見てきているわけです。ところが、これはある耐用年数を過ぎたあとに事故が出てきているのじゃなくて、まだ施設が行なわれてから二年、三年というきわめて短時日の期間の間に、先ほど嶋崎委員からも質問があったりあるいは山原委員からも質問がありましたように、事実上検査をしてものの一月か二月の後に事故が次から次へ出てくるような状態になっております。  いまここに再処理工場についての安全審査委員会結論の出ておるのがありますが、これによりますと「審査した結果、本再処理施設の設置に係る安全性は、十分確保し得るものと認める」こういうふうになるわけですね。どの安全審査結果もみなこういう結論が出ているわけです。したがって、やはり国民はみなこれを信頼するわけです。それから地方自治体におきましても、各地方自治体のおもだった方々は、みんなこの安全審査の結果を前面に出して、だいじょうぶだ、だいじょうぶだということになるわけです。  先ほど山原委員からも提起されましたように、今回の公聴会問題について賛成する人々はみなこれを前提にして言っているわけですね。ところが、事実はこれとは違って、二年、三年の間に事故が次から次へ出てきて、設計能力でフル回転はできないというような事情が出てきておるとすれば、安全審査委員会の審査に瑕疵があったということをいわざるを得ないのですが、その点はどういうふうに長官はお考えになりますか。
  224. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 先生御承知のように、安全審査に際しましては、設計を審査いたします。それから重大事故、仮想事故を想定いたします。したがいまして、一口に申しますと、安全審査は事故があっても安全である、こういう審査でございます。そして、先生の御指摘のいろいろな故障等でございますけれども、これは本質的な故障とそれからそうでないものとがございまして、たとえば燃料棒の破損の問題でございますが、燃料棒の破損というのは定検のときに検出するというのがデザインフィロソフィーでございます。実際問題といたしましては、バーンアップが上がらない時点におきます燃料棒の破損がありますが、これは品質管理が悪いということでございます。
  225. 石野久男

    石野委員 局長がいま言われるように、事故があっても安全だということが審査の内容なんだ。そのときの限定はどういうことかというと、設計能力は常に保持されるということでしょう。それまでも認めないという安全ですか。
  226. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 先生御指摘のように、設計能力で運転いたしまして、そして事故があっても安全だ、こういうことでございます。
  227. 石野久男

    石野委員 炉が設計能力を出し得なくなったときには、その安全性の確認はどういうふうになりますか。
  228. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 設計能力を出さない場合は、安全性と直に関係がございませんので、むしろ営業上の問題だと思います。
  229. 石野久男

    石野委員 逃げことばはだめですよ。ここで設計能力を出さないのは、安全性が出ないから出さないのじゃないですか。安全性が十分ならフル回転したらいいんじゃないですか。そんな三〇%も五〇%も低下させるような能力で、経済上の問題だとかなんとかということで——経済上の問題だったら炉を廃止したらいいじゃないですか。そんな逃げことばをここでやっちゃいけませんよ。あなたは炉を管理する立場に立つんですよ。安全性の問題を管理する立場に立っている。その安全性の問題を管理している者が、経済性の問題でございますというようなことなどで逃げるということは、全く私どもの立場からすると、あなたのことばを信頼することはできませんよ。事実問題として、美浜においても、福島においても、あるいはGEにおいても、みんな安全性が確保できないからこれは出力低下を命じているのではないんですか。
  230. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 私の申し上げようが悪くて失礼をいたしました。私の申し上げたいことは、その出力低下をした状態では安全である、こういうことでございます。
  231. 石野久男

    石野委員 出力低下をした状態では安全だけれども、出力低下をしなかったら不安全だということなんでしょう。
  232. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 出力低下をしたほうがより安全だ、こういうことでございます。
  233. 石野久男

    石野委員 同じことですね。出力低下をしたほうがより安全だということは、出力低下をしないままでやったならば不安である、危険である、そうなんでしょう。
  234. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 危険であると申しますか、より安全である、こういうことだと思います。
  235. 石野久男

    石野委員 美浜の炉で八千八百五十何本の細管が、二千九本めくら閉じをして、これは現実にもうフル運転はできないでしょう。これは経済性も何もなくて、フル運転をしたら事故を起こすんじゃないですか。そうでしょう。
  236. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 美浜の場合は、フル運転をしないほうがより安全でございます。
  237. 石野久男

    石野委員 フル運転しても安全ですか。
  238. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 フル運転いたしますと安全性が少なくなると考えます。
  239. 石野久男

    石野委員 安全性が少なくなるということはどういう意味なんです。
  240. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 先生御承知のように、原子炉のみならず、一般的なこういう技術上のでき上がったものは、安全度というものがとってございます。そして美浜の場合には、フル運転いたしますとその安全の余裕度が少なくなる、こういうことでございます。
  241. 石野久男

    石野委員 私どもが美浜を視察したときに、安全度を二〇%とってあると言いました。しかし、もうこれでは二〇%以下になっているんですよね。安全度はなくなっているのですよ。危険なんですよ。語るに落ちたような答弁はやめたほうがいい。  いずれにしましても、安全審査部会は、フル運転をする場合に、その余裕度をとったことを前提として安全だという審査をしたものと私たちは思います。ところが、事実上はそうでなく、事態は全然違っている事情が出てきておる。これは、ただ単に日本の美浜の事態だけではないんですね。これを製作したウエスチングハウスの場でもありますし、また福島は福島でGEの場でもありますから、当然のこととして、アメリカのAECは出力低下を命ずるようになりました。それはアメリカの実情です。それを受けとめておる日本の原子力委員会は、当然やはりこういう基本的な立場でもうだめなものを点検することができないわけだ。できないで安全性の確認をしているわけですね。そこには誤認があると思うんです。誤認の実在がこういう形になってきたのだとぼくは思うんです。だからこれは、率直に言って安全性についての再審査をすべきだ。そのくらいでなければ、国民は安心感を持つことはできないと私は思います。少なくとも国民は、いままで原子力委員会の安全審査部会の出した結論に対して、全幅の信頼を置くという立場に置かされるように、政府並びにそれぞれの地方官庁において、あるいはまた企業側のPRにおいて宣伝をされてきましたが、しかし、それはそれに対して疑義を持つ人々の声の正しさをいま明確にしてきているのですから、政治の側面からすれば、その正しい方面をささえていかなければいけないと思います。誤っているところはそれを改めなければいけないと思うんです。そういう態度が原子力委員会において十分とられるべきだと私は思いますが、その点について長官はいかが考えますか。
  242. 前田佳都男

    前田国務大臣 先生に申し上げるのは釈迦に説法でございますけれども、原子力行政は、結局安全性をどうして確保して平和利用を推進していくかということでございますので、とにもかくにもわれわれは、安全性の確保ということに取り組み、安全審査会にも今度の、たとえばGEの出力制限の問題につきましても、すぐにこれを調査するようにわれわれは命じたわけでございます。われわれは、安全審査会というものがほんとうに国民の信頼にこたえ得るように、ますます充実してまいりたいというふうに考えております。
  243. 石野久男

    石野委員 アメリカの調査を命じただけで済むのじゃないのですよ。現に美浜では、美浜の第一号炉は、三十四万キロワットの発電炉がもう二十万キロを割るような、この前二十万キロワット程度でやったのだけれども、また事故を起こしてしまったのでしょう。そういうような事情になれば、それを安全審査した安全審査部会の、原子力委員会の責任があるはずですよ。その責任を全然問わないのかどうかということを原子力委員長に聞くのです。
  244. 前田佳都男

    前田国務大臣 責任がどうだこうだという問題もございますけれども、とにかく、責任といえば責任でございますけれども、その審査をしたということについては、その審査した炉がこういう出力制限をしておるということでありますから、アメリカにもちろん調査をするためにわれわれは派遣をいたしましたし、原子炉安全審査会みずからに、この点はすぐ調査しなさいということを命じて、これはどういう結果でどういうことでございましたかということを、いま詰めさしておる段階でございます。
  245. 石野久男

    石野委員 責任をとるというのは、やめさせるとかなんとかというふうな責任というのではないんですよ。審査内容についての間違いですか、瑕疵ですね、気がつかなかったこと、そういうようなことは率直に認めて、審査のすでに出したところの結論について、それは不十分であったと、われわれが気づかなかったものが次から次へと出てきているのだから、それは認めざるを得ないということになれば、審査結果に対して修正なり何かしなければいけないでしょう。審査結果をそのまま通すわけにはいかないのじゃないですか。  私の責任をとるということの意味は、すでに出したものについて、あれはだめだからこうせいということをもちろん含みますけれども、それ以上にやはり、自分たちがやった審査についての内容に至らないところがあった、気がつかないところがあった、われわれのまだ研究不足であるというようなことを明確にする。この問題は国民全般に対して公表している問題なんです。しかもこの問題があるからこそ、地元でいろいろな反対の意見が出てきているわけですよ。安全部会がこういう結論を出して、そのことによって押しつける行政が行なわれているから、それに対して地域住民は意見を述べようということで、各地で立地条件の非常に困難な事情が出てくるような事態が出てきているわけなんです。  ですから私は、原子力委員会は、この出した審査結果について誤りがあったら誤りがあったということを、率直に認めるような態度を早急にとらないと原子力行政を誤らすことになる、そう思うのです。だから長官にそのことを真剣に考えてもらいたい。いかがですか。
  246. 前田佳都男

    前田国務大臣 全く石野委員長のお考えのとおりでございまして、審査結果について勉強不足、研究不足、調査不足の点がなきやどうかということも含めて早く調査しなさいということを命じておるわけでございます。
  247. 石野久男

    石野委員 このことは明確にしておいてほしい。地方に行きますと、審査結果がこうだからだいじょうぶなんだ。この押しつけがどこへ行ってもまだ依然として行なわれておる。しかし、事実上はこうして美浜においても福島においてもいろいろな問題が出てきております。だからその問題について、同型のもの、もういまはGEとウエスチングハウスしか来ていないのですから、コールダーホール型はすでにあれで終わりですからね。そうすると、GEとウエスチングハウスだけの型のものなんです。そうすれば、同じ型のもので事故が起きれば、必ず同種事故が他のものにも出てくると予測しなければいけません。これが科学者のとる道だと思うし、政治家としてもまたそういう配慮をしていかなかったら危険が出てくると思います。だとしまするならば、現在日本に輸入されている軽水炉というものは、ほとんどみな同じような経路をたどって事故に直面するだろうといわざるを得ないのです。だから全面的な再検討をする必要があると私は思います。その点、長官はその意図があるかどうか、いま一度お聞きしておきます。
  248. 前田佳都男

    前田国務大臣 先ほどお答えいたしましたとおりでございまして、現在そういう問題になっておる点等を検討するにあたりまして、従来の審査結果というものについて勉強不足の点がなかったかという点も含めて、十分調査させたい所存でございます。
  249. 石野久男

    石野委員 それはぜひやっていただきたい。私どもがここで本委員会としてこの問題を取り上げていくのは、やはり原子力問題についての放射能公害というものは、何べんも申し上げておるように、他の重金属部門の公害にも増して危険であるし、そうしてまた、遺伝的なものも具体的に出てくる公害でございますから、そういうことを未然に防ぐためにこのことをいろいろ論議しているわけです。  そういう立場から、各地における原子力施設について地域住民が非常に心配をします。したがって各地におけるところの問題が出てくるので、かねてからわれわれは、公聴会をやって地域住民の声を聞く、それが平和利用の三原則、いわゆる民主の方向に沿うものであるということで、かねてから公聴会をつくるようにということを要請した。長官はもう、それこそ清水のなにから飛びおりるような気持ちで公聴会を設置する大前進をしたとみずから言っておられるように、公聴会をつくったこと自体は決してわれわれは反対しません。しかし、公聴会の内容が非常に問題であるということについて、私はここで一々申しませんが、先ほど嶋崎委員からもお話があったように、非常につくられた公聴会という傾向が強い。特に今回の公聴会は第一回目の公聴会でありまするから、本委員会としても非常に重大視しております。そうして同時に、関係する業者の方もそうですし、あるいはまた、これに関係するいろいろの運動をしている人もみんな福島の第一回の公聴会というものを重視していると思う。したがってこの公聴会に対しては、長官が意図されるように、地域のなまの声が反映されることが望ましい。そのなまの声がほんとうに反映されなければ無意味だといわなければいけないと思うのです。  なまの声とは何だということになりますると、ただその地域ということばの意味は、原子力については福島だから福島であるのだということではないはずです。最初子力委員会のほうも、それから県当局も、この地域という問題は、福島というよりもむしろ設置場所に限定する傾向があったようであります。ところが、その後いろいろな反対運動とか意見の陳述があって、それが福島県だけだということになり、それが今度は全国的に関係する部門、こういうふうに理解が進んでいったと思うのです。この理解の変化過程において、やはりこれに、公聴会に応ずるか応じないかということについての意見が地域住民においては分かれたわけです。そして八月二十四日の段階に至って、関係する全国的な場での関係者がそれに入り得る可能性の答弁が出てくるようになったようであります。  しかし、地域においては、この問題について必ずしも科学技術庁なりあるいは原子力委員会考えていたようには県知事段階では表現されていなかったようであります。この食い違いから、結局二十五日の締め切りの期日には、これらの人々は参加をすることができない。要するに九月十八、十九日の二日間に行なわれる公聴会に参加する——先ほど応募したといわれる千四百四人の公述人の中に六十人の反対があったということは、賛成になっている方が千三百四十四人おるわけですね、結局は。この反対の六十通の中にいま申した人たちは入れなかったわけです。事実上入っていないのです。したがって長官が、地域の声なりあるいはバラエティーのある色分けによって参加がいただけると言われた局長の意見がここには十分反映してないわけなんです。私はこういうような公聴会は決して望ましいものでないと思いますので、昨日も実は長官に対してそのことを申し上げたわけです。  十八日の公聴会については、そういう経緯をたどって、公述人にしましても問題がありますし、また傍聴者に対しても、先ほどから申し上げたように、賛成あるいはまた賛成の立場で公述をし、あるいは傍聴する人々には、いろいろとやはりその間東電なんかが印刷物を回すとか、あるいは市会議員があれこれ回っていわゆる工作をした傾向が顕著であります。そのことについて嶋崎委員から資料の提出を要求しておりますから、これはもう早く出してもらいたいと思いますが、もしこういうようにいろいろと工作されたという実情が出てくるとすると、これは、われわれにとっては十分意を尽くしたものにならないと思うのです。  局長は、公述人の問題について企業者が正確な理由を説明する企業のPR活動であるからそれは当然だ、こういうような答弁をしておりましたが、公聴会にこういうようなPR工作を公然と原子力委員会が認めてかかるというこの問題がきわめて重大です。私は、原子力委員会がそういうような立場でこれを認めていくとするならば、この公聴会は、意図された、最初に私たちが考えているようなもの、あるいは一般の住民の声を聞いているものでは決してないということを主張しなくてはいけない。だから、そういう点で私は、やはり公聴会というものは、いろいろあるけれども、二十五日の締め切りに間に合わなかった多くの人人もかかえ込むような公聴会にするのがいいのではないかということをたびたび申し上げているのです。これを入れるために、半年も一年もおくれるはずはないはずです、わずかに一月か一月半の時日があれば十分それができるのでありますが、委員長は、それでもまだこのことについて再考するお気持ちはないかどうか。もしそれを再考しない場合には、先ほど山原委員やあるいはまた嶋崎委員から言われたように、不測の事態が起きる可能性さえあるから、私たちはそういうことを言うのです。地域住民の意向というものは、先ほど言ったように千三百四十四ですか、それと六十というようなふうに分かれるような事情じゃないのですから、それについてひとつ長官の御意見を聞きたい。
  250. 前田佳都男

    前田国務大臣 ずっと前から石野委員長はじめ諸先生から、公聴会のあり方について御指摘をいただいております。また、先般石野先生を筆頭として三宅先生並びにその他社会党の諸先生が私の役所にもおいでいただきまして、じかに先生の御意見もあの席上においても聞きました。  それで、あのときは原子力局長が実は同席しておりませんで、私は先生方との御面談が終わりましてからあと、実は事務次官並びに原子力局長等を呼んで、いわゆるなまの声を反映するために、地元というものの解釈についての食い違いの問題、そういう点が主たる論点だったように思いますので、その点も事務当局には十分詰めたわけでございます。この問題は、原子力局長だけでもいろいろな電話の応答とかそういう点がはっきりしなかった点もあるのでありまして、あるいは関係の次長であるとか課長であるとかそういう者をみな呼んで、その点の食い違いを詰めたわけでありますが、その点は、先刻田宮君から御答弁いたしましたとおりでございまして、別に食い違いはございませんというわけでございます。  また、企業側が何か工作しておるのじゃないかというような御指摘、この点については先ほど局長が、御要望によってその点については調査といいましょうか、どういうことかということを調べるというようなことも申したと思いまするが、私たちは、賛否いずれにいたしましても、そういう工作がありましても、そういう工作には左右されないという姿勢で実は臨んでいきたいと思います。別に賛否の決をとるわけでもございませんしいたしまするので、そういう工作というものにはわれわれは全然耳をかさない、また心を奪われないという姿勢で、予定どおりにこの公聴会は進めていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  251. 石野久男

    石野委員 二十四日に考え方が変わって、二十五日までの締め切りには間に合わないという事実があり、そしてその期間の、二十四日の変わった科学技術庁、原子力委員会の意向というものがそうであるならば参加しようとした人はたくさんおる。(「しかたないじゃないか」と呼ぶ者あり)こういうような人たちを、この公聴会に参加させないということは非常に不合理ではないですか。
  252. 前田佳都男

    前田国務大臣 その点は、非常に考え方の異なる大事な点でございますので、その間の事実をもう一ぺん田宮君から御説明いたします。
  253. 石野久男

    石野委員 それはしかたないじゃないかという声もありまするけれども、しかたないじゃないですよ。その間私は、問題はこういう点があるからと問題提起をしていろいろ交渉しておったわけです。それで原子力委員会の側が考え方を変えたわけです。そういう変えたことであるならば参加しようという人たちはみなおるわけです。ところが、この参加しようとする人たちは、全然このことについて締め切りに間に合わないわけです。そういう事実があるのにこれをやれということになれば、全く片手落ちになってしまいます。長官の言われるような公平な立場も出なくなるし、賛否はとらない、とるにかかわらず、こういう事実があるのに、あえてしも押し切ってやらなければならぬほどの緊急性がなぜあるのか。もしそういう方々が参加するというなら喜んで参加させるべきではないか。そこで初めて自主、民主、公開の原則が出てくるのですから、私はこのことは当然やるべきだと思うのです。これはひとつもう一ぺん再検討すべきであると私は思います。長官にその点もう一ぺん念を押したいと思います。
  254. 前田佳都男

    前田国務大臣 どうも石野先生、私たちの考え方が、原子力委員会として公聴会に参加させるいわゆる地元の解釈に変化があるのじゃないかというふうな御指摘かと思うのでありますが、私たちはこの地元という点につきましては、前々から弾力的に考えておるわけでございまして、その点特に変化したというわけではないということも御理解をいただきたいと思うのでございます。その点たびたびお答えいたしておりまするように、十分私はこの点を、実は先生が御来庁いただきましたあともきびしく詰めたのでございますが、食い違いがないという判断に達しまして、予定どおり公聴会をやらせていただきたいということでございます。
  255. 石野久男

    石野委員 これは現地のそういう問題について意見を持っておる人たちが知事の意向として聞いていることと、それから原子力委員会の意向としておるところに食い違いがあるということを言って、そしてこの前の委員会において、原子力委員会は原子力委員会の意見を出した。ところが、各委員から詰められると、結局は現地で知事が言っていることと食い違いがあるということ、それを調査しようということになって、いまは食い違いがないということだけれども、事実上食い違いがあるわけです。そういうことを十分わかっているのに、原子力委員会が食い違いがないというようなことを言うとするならば、私どもはやはり、この原子力委員会がすでに出してきたことのこういう審査結果の問題等についても、一貫して出ているような考え方がそこに出てきているように思うのです。  先ほど、原子力委員会が安全審査問題についてもう明確に自分たちの審査結果の内容について再考しなければならぬものがあるということは長官も認めた。そういうような事情が出てきているときにはやはり率直に直さなければいけません。長官が二十四日の日に従来の考え方と変わったものを出しておって、手続も何もできない形の中で締め切りが行なわれて、それをまた強行するということになると、これはきわめて非民主的だ。長官は非常にものやわらかに話をされますけれども、しかし実際に考え方の根底を貫いておるものは、まさに総理がこの前の閣議で言ったといわれるように、住民の反対があっても強行しろということを拳々服膺してやっているように見受けられます。私はそういうようなことは許されないと思うのです。ほんとうにもし長官が民主的な考え方があるとするならば、よし、いいじゃないか、そういう諸君も入れてやろうじゃないかということをなぜ言えないのだ。そんなに紋切り型で、二十五日に締め切ったから一切だめだというようなことを言っているような段階じゃないでしょう、実際問題として。私はそういう問題について長官がもう少し民主的なものの考え方をすべきだと思うのです。これだけ私があなたに言っても、もし長官がなおそれに対して答えられないとすれば、全く頑迷固陋だといわなければいかぬと思うのです。のみならず、そのことが地域住民にとってはきわめて不信感になってくるのです。非民主的な立場を証明していることになると思います。  もう何べん言っても、もし長官がそれに対して答えがないとするならば、私は現地でこの千四百名の中で六十名だけの反対があるというような認識でいくと、どっこいそうはいかない。それの三倍も四倍もの反対があるというような事態に直面するという、そういう実情が出てくるだろうということを長官にはっきりと認識しておいてほしいと思う。長官のいま一度のそれに対する考え方をあえて私は聞きたいと思いますから、御答弁ください。
  256. 前田佳都男

    前田国務大臣 私、いろいろ申し上げましても、委員長には御理解をいただけない。前田佳都男は頑迷固陋であるという御非難を受けるわけでございますが、私は原子力行政というものを民主的に行ないたいという一路から、実は委員長も先ほど御指摘のように、長谷の舞台から飛びおりる以上に私は高いところから飛びおりるつもりで、実は公聴会制度ということに踏み切ったわけでございまして、その熱意というものをよく御理解をしていただきたいと思います。しかしまだ、この公聴会が非民主的じゃないか、やり方がいかぬじゃないかといういろいろ御指摘もございますが、私は何べんもしつこく言うようでございまするけれども、その点十分事務的に、委員長が御来庁いただいたあと、実は予想以上に、とうてい表現できないくらいきびしく局長並びに関係の者にも詰めたわけでございますが、その点は食い違いがないということでございまして、どうぞその点御理解をいただきたいと思うのでございます。
  257. 石野久男

    石野委員 最後に、ことばは幾らでも何とでも言えますが、審判は大衆が下します。大臣の言っていることが正しいか、私の言っていることが正しいかは、大衆がそれに対する審判を下すだろうと思います。そういう点について今後の原子力行政のあり方を十分配慮されてくださるように、私は特にお願いしまして私の質問を終わります。
  258. 原茂

    ○原(茂)委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時五十六分散会