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1973-08-30 第71回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年八月三十日(木曜日)     午前十時二十三分開議  出席委員    委員長 石野 久男君    理事 木野 晴夫君 理事 藤波 孝生君    理事 藤本 孝雄君 理事 粟山 ひで君    理事 嶋崎  譲君 理事 原   茂君    理事 瀬崎 博義君       稲村 利幸君    湊  徹郎君       山原健二郎君    近江巳記夫君       玉置 一徳君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      前田佳都男君  出席政府委員         内閣官房長官 山下 元利君         科学技術庁長官         官房長     牟田口道夫君         科学技術庁原子         力局長     田宮 茂文君  委員外出席者         文部省社会教育         局社会教育課長 澤田  徹君         文部省体育局体         育課長     五十嵐 淳君     ————————————— 委員の異動 八月三十日  辞任         補欠選任   内海  清君     玉置 一徳君 同日  辞任         補欠選任   玉置 一徳君     内海  清君     ————————————— 本日の会議に付した案件  科学技術振興対策に関する件(原子力開発に関  する問題)      ————◇—————
  2. 石野久男

    石野委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。原茂君。
  3. 原茂

    ○原(茂)委員 きのう当委員会におきまして、二十八日の閣議の席上で、田中総理発言内容各紙に相当大きく取り上げられておりまして、この問題を中心前田長官からも長官真意というものを一応はお聞きしたわけでありますが、とても納得のいく内容ではございませんでしたので、きょうあらためて、できましたら総理に、最悪の場合でも官房長官には同席を願いまして、前田長官と一緒にもう少し真相を突っ込んでお伺いをしたい、こう思っていたわけでありますが、御都合があるそうで、山下長官においでいただきましたので、一応きょうこれから私はじめ各委員がお伺いをいたしますが、万が一どうしてもこの重要な基本的な問題についてわれわれの納得のいく線が出てまいりません場合には、あらためて総理出席を必ずお願いをするという前提で、いま理事会でも話し合いをいたしたわけであります。それにはいろいろ手続もありますが、できる限り、特に副長官閣議にも御出席になっておられたそうでありますから、納得のいくような、ひとつあったことをそのまま御答弁をいただくようにお願いをしたい、こう思います。  最初に副長官にお伺いしたいのですが、どうなんでしょう。いまのように原子力発電というものが、日本ばかりでなくて国際的にも非常に問題が包蔵をされていて、現時点ではこれをもうだいじょうぶなんだといって実用化商業化に入るということがすこぶる危険で、一号炉、二号炉というものを動かしていけばいくほどに、予測できなかった事故というものが出てきて、その事故の原因が何だかということすらがまだはっきりとつかめない。当然のこととしてその対策が具体的に生まれてきていない。アメリカですらそういう状況にあり、いわゆるその弟子のような日本が、アメリカに右へならえで今日ほとんどを進めている現状からいいますと、残念ながら日本が百十万キロだ、百十七万キロだなんというものの建設をいま始める状態というものは、およそ暴走といっていいくらい危険なものだ、こういうふうに考えるわけなんですが、現在のような原子力政策の進め方、こういうものを一体副長官としてこのまま推進していいとお考えになるか。私はやはり国民的な立場でいうなら、住民のために開発をし、原発建設するわけですから、その住民にとにかく膨大な、非常に大きな不安と危惧を与えている現状考えましたときには、まず軽水炉型のこういうものなら、こういう措置を行なえば、こういう事故が起きたときにはこうすればよろしいということが判明した。したがって安全性はかくかくの手段によって確立できたという段階までは、現在のような原発——原発どころか乱発的な建設をやるような方針は変えなければいけないというふうに考えるのですが、そういう点は副長官としてどうお思いになりますか。
  4. 山下元利

    山下(元)政府委員 冒頭、官房長官がお伺いできず、私からかわりまして答弁申し上げることをあしからず御了承を賜わりたいと思います。  ただいま御指摘の点につきましては、原子力安全性については、政府といたしましても、従来とも、また今後につきましても、十分それを確保するために努力してまいっているところでございます。この点については、住民の不安のないように今後とも努力せねばならぬ、このように考えておる次第であります。
  5. 原茂

    ○原(茂)委員 それだけに時間をとるわけにいきませんので、やむなくはしょるわけですが、いまのような御答弁しかできない程度にしか、この問題に関して政府全体の関心が薄いというふうに実は判断をするわけであります。少なくとも現在までの間に、副長官記憶で、原発事故原発建設中心にして住民の不安をどう取り除くかというような問題が閣議で論議されたことありますか。
  6. 山下元利

    山下(元)政府委員 閣議におきますところの閣僚発言等につきましては、一々申し上げることはできないことに相なっておりますので、その点を御了承賜わりたいと思いますが、最近におきまして、いま御指摘のような問題につきまして、こまかくと申しますか、閣議の席上でいろいろ話があったということはないように記憶いたしております。
  7. 原茂

    ○原(茂)委員 そこらがもうどうかしているんで、日本電力危機というものを、これはある意味の宣伝もあるといわれていますから、そのまままともに受けていいかどうかはまた別途の問題ですけれども、少なくとも将来を考えたときに、原子力発電というものも非常に大きな重要な材料として考える、わが国電力政策の基本の一つとして考えていくことは当然だと思います。しかもその費用たるやばく大なものがかかる、同時に、万が一これが失敗したときの、住民あるいはその地域全体に及ぼす影響の大なることを考えましても、原発なんという問題は、これはもう当然閣議で何回か爼上にのぼっているようにならなければ——ほかにどういう問題が論議されていたかはもちろん詳細には御記憶ないでしょうし、個々発言は言えないとおっしゃいましたが、少なくともこの種の問題の論議されたことがないという御記憶というのは、きのうの前田長官の御発言とも一致するわけです。今日の政治社会、経済、外交も含めまして、科学を抜いては一切考えることができないまでに科学が非常に重要な地位を占めてきた。重要というよりは、科学国民生活の中にもうすっぽり入ってきているわけです。政治そのものも、科学を論じなければ政治を論ずることができない段階にいま来ているというときに、科学の、ある意味においてはいま日本において一番重要なこの原子力発電原子力そのもの中心に、閣議での発言、論議がないようなわが国のいまの自民党政治のあり方を考えると、たいへん心細い感じがするわけです。こういう状態では、国民のための政治をになっていく内閣としては非常に不適当ではないかというふうに思いますが、どうですかね。感想がありましたら……。
  8. 山下元利

    山下(元)政府委員 科学重要性、特に昨今の政治科学をはずしては考えられないという御指摘の点、まことにそのとおりでございまして、政府もそのとおりに考えております。したがいまして、一々の案件について申し上げることはできませんけれども前田科学技術庁長官から、時々科学問題等につきましても報告があるということは事実でございます。ただ、仰せのございましたこまかい問題についてどうかということで、私は先ほどのような答弁を申し上げた次第でございます。
  9. 原茂

    ○原(茂)委員 何かこうあげ足をとるわけじゃないのですが、前田長官原発問題を閣議で論議したことはないときのう言われたことは、山下さんのいま言われたのと一致したわけなんです。しかし、原子力中心科学全体の問題は、技術庁長官として閣議の席上でもいろいろ御発言があった、そのとおりに考えておきますが、少なくともいま原発の国家的な重要な問題を提起しているときには、もっとこれ自体プロパー閣議の問題として論議されるようなそういう方向が望ましいし、そうなければいけないというふうに思いますから、これは総理なり、また長官も必要に応じてその発言をされ、もう少し閣議全体がこういう問題を重要な問題としてとらえる思想を閣僚全体に持っていただくような、そういう努力をしてもらうことが必要だろうと思います。そこで、具体的に二、三お伺いしたいのです。まず最初長官にお伺いいたしますが、きのうはお伺いしなかったのですけれども新聞各紙とも一斉に、ある程度同じなんですよね。どうしてこういうふうな新聞の取り上げ方がなされたのでしょうか。きのうの長官の御答弁では、それは全然言っていない、総理もそんなこと言っていやしないんだ、私が言ったのは、「むつ」のことをちょっと言っただけなんだ、こうなっている。ところが、その「むつ」に関しても確かに長官発言があるのです。「反対運動原子力船むつ実験運転反対運動がきっかけとなっているようだが、各地反対運動についてはさらに実情を調べたうえ対処したい」こう言っているのですが、その「各地反対運動」というのはどういうことなんでしょう。その前に、そんなことを言ったことがないのに、だれかがかってに書いたんだというならそれでけっこうです。
  10. 前田佳都男

    前田国務大臣 きのうも原先生の御質問に対してお答えをいたしましたように、総理は、原子力問題ではいろいろ問題があるようだが、科学技術庁長官、しっかりやってくれ、と言うて、私の顔を見られて、総理一流のあのタイプで言われたわけです。それに対しまして私も、実は原子力船むつ」の問題で、地元でいろいろ反対の問題が出ておりまするが、この問題についてもこういうことだという、ごく簡単な経過を御報告しただけでございまして、「各地反対運動」というようなことを言うた覚えはございません。
  11. 原茂

    ○原(茂)委員 いまお聞きになったとおりなんです。副長官閣議に同席しておられて——きのうの新聞は大体ごらんになりましたね。田中総理は、一体この問題に関してどういうことを言ったんでしょうか。その真意はとかなんとかいうんじゃなくて、御記憶にあるだけ、こういうふうに言いましたと、さらっと言っていただけませんか。
  12. 山下元利

    山下(元)政府委員 閣議におきますところの田中首相発言について報道せられておりますことは、私どももその報道を読ましていただいております。ただ、閣議発言を一々申し上げることができないことは重ねてお断わり申し上げますけれども、ただいま科学技術庁長官からお答えになりましたような感じの御発言程度であった、このように考えております。
  13. 原茂

    ○原(茂)委員 副長官隠れみののように閣議内容を一々言えないということは、一度お聞きすればもうわかるのですよ。三回も四回も言わなくてもいい。そんなものを隠れみのにしたくても、新聞でこんな大きく書いて問題になっているから、いま論議しているのですからね。一々閣僚発言をこまかく、どう言ったか聞こうなんというのじゃないのです。総理の責任をひとつ追及しようという前提にいま立っているわけです。こういうことを言ったかどうかをお聞きしたいわけです。もし首相がここにあるようなこの状況でずばっとものを言ったとすると、いわゆる原子力の三原則による自主、民主公開、その公開の前の民主が根本的にくずれる問題だというので、私というよりはわが党全体、ある意味では国民の大部分が危惧をし、これはたいへんな問題だと、こう考えているのですから、この問題に対する解明をしたいので、こまかいことをどうこう言うんじゃない。新聞ごらんになったんなら——首相は、前田長官に言わせると、もう何にも言ってないみたいに、ちょこっと言っただけだ、しっかりやれよと言っただけだ、こうおっしゃっているのですが、それがこんな記事になったという経路もあとでお聞きしますけれども、とにかく総理が、この問題に関してどういうことを言ったのかをさらっと、言ったとおり、御記憶にあることを言っていただきたい。前田長官の御記憶は、いまお話があったように、おい、とにかくいろいろ問題があってたいへんだな、しっかりやれよと、こう田中総理は言ったんだという御記憶だ。副長官はどういうふうに記憶しておられるか。
  14. 山下元利

    山下(元)政府委員 その程度でございまして、新聞報道に一部ございますように、住民の意向を無視してとか、あるいは住民反対があってもというふうなことのようにいわれておりますけれども、そうした発言がなかったことだけは私からはっきり申し上げておきます。
  15. 原茂

    ○原(茂)委員 もう一つ状況をお伺いしたいのですがね。総理のこれに関する発言が簡単であろうとされたときに、官房長官はどうしておられましたか。
  16. 山下元利

    山下(元)政府委員 官房長官はいつも総理の近くにおられるわけでありますが、官房長官自身としては特に御発言はなかったように記憶いたしております。
  17. 原茂

    ○原(茂)委員 官房長官発言しなかったのですが、官房長官田中総理発言をされたときに聞いていましたか。山下さんと同じように、官房長官もやはり総理発言ですから聞いていましたか。
  18. 山下元利

    山下(元)政府委員 お聞きになっておったと思います。
  19. 原茂

    ○原(茂)委員 官房長官官房長官も忙しいと見えて、きのうからきょうにかけてのわれわれと官房長官が会った話や何かの打ち合わせができてないのですね。せっかくこういう問題で来られるときには、もう少し官房長官と副長官が、官房長官がどうしてもガットの問題で来られないというなら、打ち合わせをもうちょっとして来られないと、意地悪く言いますととんでもない間違いなんです。そんなことをいま言おうと思いませんけれども、もうちょっと慎重に打ち合わせして来ないと全然話が違っているのです。  いまのような問題を前段にして私はこれから取り上げていこうと思うのですが、あと個々のもう少しドリリングした問題をまた他の委員からも追及があると思いますが、次にお伺いしたいのは、一体、新聞がこうして同じようなことを、たいへんどぎつく、首相発言並び前田長官のそれに対する答えというような形のものが、ほとんど大同小異で出ているのですが、これは新聞がでたらめを書いたのでしょうか。いまのお二人のお話を聞きますと、こんな材料が出てくるはずがない。にもかかわらず出てきているということは、これは新聞がおよそでたらめなんだ、こう解釈してよろしゅうございますか。
  20. 山下元利

    山下(元)政府委員 私ども新聞報道報道として読ましていただいておるわけでございますが、おそらく閣議におきます閣僚発言等につきましては、必ずしも報道ニュアンスのようではないということは申し上げられると思うわけでございます。  そこで、先ほど先生から、いろいろ真意などは言わなくてもいいから、そのときの状況だけを申せということでございますので、簡単に申し上げておきましたけれども、お許しをいただきまして発言させていただきますが、田中首相としては、かねがねいまの電力事情の問題であるとか、あるいはエネルギー問題等に非常に心痛いたしておりまして、もちろん住民意思を無視してとか反対をかまわずというようなことは一切申しておりませんけれども、やはりこうした問題について科学技術庁長官に、ひとつしっかりと勉強してほしいというふうな御発言があったことは事実でございます。  ただ、新聞等につきましては、そうした首相発言は実はこうでしたということを申し上げられませんので申しわけないのですけれども、決して住民意思を無視してでも、何が何でもやるのだというふうな御発言がなかったことだけは、私ここではっきりと申し上げる次第でございます。  それからなお、先ほどちょっと御指摘ございましたけれども官房長官ともこの問題につきましては、官房長官もたいへん忙しい、打ち合わせ中でございましたけれども、十分承ってまいっている次第でございます。
  21. 原茂

    ○原(茂)委員 官房長官は、きのう閣議の席上で総理がこの件に関して発言をちょうどしたときらしいが、金大中事件で隣の大平外相と夢中で話をしていたので知らなかったと。ですから申し上げたので、きのうからきょうにかけての話し合いぐらいは聞いておいでにならないといけませんよということを注意申し上げたわけですから。  そこで、新聞が事実を報道するものだろうというのに、しかもおよそお二方のきょうの御意見を聞いたのによると、これはどこから出てきたのかわからない。  もう一つ次にお伺いしたいのは、これは長官もはっきり言えるなら言っていただきたいのですが、長官なり官房長官以外のどなたか閣僚の一人がこれを記者発表したというか、記者に聞かれて発言したものだ、こういうふうにお考えになりませんか。
  22. 前田佳都男

    前田国務大臣 私、実はその閣議あと、いつも定例で、科学技術庁へ帰りまして科学技術庁記者クラブ閣議報告といいましょうか、どういう点が問題になりましたということを報告するようになっております。そのときにも私は、総理の御指示は特に新しい指示じゃない、ただしっかりやれというお話でありますので、特に記者クラブ発表するほどの問題じゃないと思って、実はこの問題には全然触れておりません。それ以外のことは存じません。
  23. 原茂

    ○原(茂)委員 いや、長官のおっしゃることは、長官は正直だと思って私は信頼していますから、長官ほんとうのことを言っているなときのうから思っているんですよ。ですから、長官にも想像して答えてくれと言って、気の毒なんですけれども、だれか何か言わなければこんなに各紙が一斉に書かないのじゃないかと思うんです。長官あとでけっこうですが、副長官どうですか。これはどなたかが言っているのじゃないですかね。官房長官は言ってないと言うのですよ。前田長官は言ってないでしょう。にもかかわらず閣議内容が、らしいものがこうして、しかも各紙が同じニュアンスでずっと書いているわけでしょう。そうするとだれかが言ってるんじゃないでしょうか。それを知りたいんです。
  24. 山下元利

    山下(元)政府委員 閣議事項新聞発表につきましては、公式には官房長官発表いたしますことが公式の発表でございます。その他それぞれ各省の長の所管事項につきましては、所管大臣の御発表が公式にあると思うわけでございますが、この点につきましては、官房長官、また科学技術庁長官、それぞれ閣議直後の会見では御発表になって、おらないわけでございます。その点はどのように報道せられたかについては私どもつまびらかにいたしておりませんけれども科学技術庁長官がそのときに仰せられなかったのは、特段に新しい指示とは考えないというふうにお受け取りになったようでございますが、私どもも聞いておりましてそのような趣旨に理解いたしております。
  25. 原茂

    ○原(茂)委員 長官なり副長官にお伺いすると、首相はそういう新聞が伝えているようなニュアンス発言はなかった、こうおっしゃっているにもかかわらず、各紙が一斉に同じように書いているということになりますと、閣僚のだれかが言っているんだろう。なぜお伺いするかといいますと、少なくともいまの内閣に、総理はこんなことを考えていないんだ、こういうファッショ的なことはと言うなら、閣僚の一人にいるのじゃないかという危惧を持つ。その閣僚はやはり追及しなければならぬ。そういう人が閣僚の一人としていること自体が問題なんだ。少なくともいまのように原発が国際的にも非常に大きな問題——日本的にはなおさらです、になっていて、これからどうするかを、われわれもあるいは皆さん担当の人々もおそらく心痛している。国民的な課題です。これをどう解決するかと言っているときに、とにかく問題があったら補償すればいいんだ、とにもかくにも電気が必要なんだから推進しろ、こんなばかげたことを言ったら、いまの民主政治なんというものは要らなくなるし、根本的に民主政治というものを否定する考え方なんです。先ほども言ったように、まさにファッショ的な考え方、この問題に関する限りこういう態度をとるとすれば、これはもうおよそいまの民主制議会から言うと違反者なんです。ということを考えると、非常に重要ですから、この問題をこんなふうに考えて、しかもお二人の言うことを聞いていると憶測が入っているのだろうと思えるのですが、そいつをこれほどに発表した閣僚がいないはずがない。その閣僚がだれであるかということを追及し、もし副長官でわからなければ官房長官に、おそらく官房長官は迷惑してその後調べたろうと思うのです。きのうの前田長官の御答弁を聞いていても、何か私は、長官がそういうことを言ったのじゃないのですが、ことばの裏から、どうも迷惑千万な、だれかがものを言ったのじゃないかと思うと腹の底で思っておられるのじゃないかというふうに長官の腹を私は類推するわけです。ということからいって、これが追及されない限り、田中さんがおっしゃらないというならだれが言ったんだということをどうしても追及されないと、この問題を新聞に出たままで、なるほどいまの政府は、全体としてはこんな考えでいるのかということを国民に、いわゆる誤った認識を与えっぱなしで終わってしまう。このことは、内閣自体はいいかもしれませんが、われわれ議員にとっては非常に迷惑なんです。今日の民主制議会をすこぶる中心的に考えながら議会運営をしていこうとする議員にとっては、こういう考え方を、議会を含めて国民から持たれることは非常に迷惑です。非常に迷惑ですから、こういうことの解明できるまでは追及をさせていただく以外にない、こういうふうに考えておりますことを申し上げて、あと他委員に譲ります。
  26. 石野久男

  27. 嶋崎譲

    嶋崎委員 いま原議員が問題にされております首相発言そのものずばりでは私の場合は問題を出しませんが、首相発言にあるような、住民反対運動というようなものに対して、原子力委員会並びに現地でのいろいろなこの地域における動きの中に、首相発言を裏づけるような事実が幾つかあるように思いますので、そのうちの一つを取り上げて質問させていただきたいと思います。  昨日は公聴会に関する問題で参考人の方を委員会にお呼びしたのですけれども、今度福島の二号炉に関する公聴会の件に関連して、昨日来公聴会要領についての質疑を行ないましたが、昨日の議論の中で一つ新たな事実は、最初公聴会要領をつくった段階では、地元利害関係者代理人という問題については非常に制限的な考え方であったと思うのです。  私たちが成田局長を呼んでこの要綱についてヒヤリングをしたことがあります。そのときにその要綱について地元利害者のいわば代理人の問題を聞いたときに、その代理人は、地元の関係している人にのみ発言権があるので、科学者とか学者とか弁護士にまで広げるというようなことは、要綱最初つくられた当時はないという考え方原子力局長は、成田さんですね、おっしゃっていました。ところが、昨日の委員会での討論の中でもありましたように、この代理人範囲が、最初要綱をつくった当時の考え方に比べて広くなってきたというふうに、変化が起きたというふうに、きのうの討論の過程で判断できたのですが、長官、その点いかがですか。
  28. 前田佳都男

    前田国務大臣 この代理人範囲の問題でございますが、私は特に新しい変化であるというふうには実は考えておりません。この点は原子力局等にもよく私の考え方を初めから伝えておりまして、その線に沿ってやったわけでございまして、ただそれがいっどういうかっこうで成田君がどこで発表をしたか、私実は存じませんけれども、特に初めからそういう制限をして、できるだけチェックして、なるべく来ていただかないようにしようとか、そういう考え方では全然なかったわけでございます。
  29. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そこで、ちょっとお聞きしますが、大体あの要領の細則が発表された日は何日ですか。
  30. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 「原子炉の設置に係る公聴会開催要領の実施細則」が決定されましたのは七月二十四日でございます。
  31. 嶋崎譲

    嶋崎委員 国会が延長にならなければ、その日で終わるわけですね、七月二十四日というのは。要領発表されたのは五月の二十二日ですね。そして七月の二十四日まで細則が発表されなかったわけですね。  私たちが、この要領が出たとき、細則の問題が出ましたから、早く細則を出して、どういうふうに具体的に運営するのかをただしていました。ところが、延びに延びて、発表された日がたまたま六十五日の会期延長がありました、国会が終わるであろうという二十四日に要領発表されている。これについても私たちはたいへん危惧というか、なぜそういうぎりぎりの日になって発表したかということについてたいへん——要領なんというものは、要領ができたら細則についてはもっと早く発表して、公聴会のあり方を、全貌を、われわれ国会で審議できるような、そういういわば機会というものを与えるべきだと思いますが、そのぎりぎりの会期切れに発表したというのは偶然なんですか。
  32. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 何ぶん、先生御承知のとおりに、この原子炉の設置にかかわる公聴会は初めてのことでございますので、事務局がその実施細則を詰めるに際しまして、いろいろ考えつかないところが出てきたりいたしまして、その細則を策定いたしますのに時間がかかった、こういうことでございます。
  33. 嶋崎譲

    嶋崎委員 さてそこで、福島のあの公聴会の意見陳述者の申し出ですね、これの締め切りは何日ですか。
  34. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 八月の二十五日でございます。
  35. 嶋崎譲

    嶋崎委員 その前日、八月二十四日に原子力委員会が開かれていますね。
  36. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 開いております。
  37. 嶋崎譲

    嶋崎委員 その八月二十四日の原子力委員会で、原子力委員会の内部でどういう討議があったか知りませんが、あくる日の八月二十五日の福島民報には、現地の公聴会に関連して、八月二十四日の原子力委員会で、初めにこの公聴会要領発表した当時の、地元のいわば利害関係者の意見陳述者ですね、その範囲が、この八月二十四日の委員会で広がって、そしでその一種の代理人的なものが、かつて考えられたワクよりも少し広がったというふうに、変更があったという記事がありますが、八月二十四日の原子力委員会でその点についてどういう討議があったのか、実情をお聞きしたいと思います。
  38. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 ちょっといま記憶をしておりませんので、調べて御報告いたします。
  39. 嶋崎譲

    嶋崎委員 八月二十四日に原子力委員会が開かれて、私の調査によりますと、この委員会では、初め要領をつくった当時の意見陳述者よりも一定程度範囲を広げていく。たとえば科学者とか、それからその利害関係についてかなり運動と密接なつながりがあった人たちを加えてもいいということを、原子力委員会で申し合わされているというふうに私は理解しております。そのことがおそらく八月二十五日の現地の福島民報に載ったんだろうというふうに思うのです。この福島民報の記事は、はっきりその範囲が広がったという趣旨の書き方であります。ところが、陳述届け出は八月二十五日が締め切りですね。ところが、二十四日に原子力委員会があって、そういう変更があったにもかかわらず、あくる日の福島民報の夕刊にはこれが載っているのです。夕刊に載ったときには、現地で新しい意見陳述の希望者を申し込むことはもうできないわけですね、締め切っちゃっているんですから。ところが、原子力委員会が二十四日にそういういままでの範囲の変更らしきものをきめたと思われるのに、その日なぜ発表しなかったのか。それは、いままでと方針が変わってないというならば、それは成田さんが私たちに説明したのと、長官がさっき説明したのと、もう明確にこの公聴会のあり方について意見が食い違っています。  そうしますと、ここで問題なのは、そこでお聞きしますけれども、きのうも出ましたが、その現地の公聴会に際して意見陳述者は、その運動にかかわり合いのあった人たちの科学者であれば、福島県に住んでなくとも、たとえば東京に住んでいても、ときには大阪に住んでいても、意見を述べることができるわけですね。申請すれば許可するということですね。いかがですか。
  40. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 そのとおりでございます。
  41. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そうしますと、また現地と原子力委員会が全く食い違っているのです。こういうふうに違っているのです。現地のほうでは福島県労評を中心にして、この福島の原発についての対策会議ができている。その対策会議が、八月二十四日、原子力委員会があった日ですね、原子力委員会のあった日に共闘会議が県に申し入れをして話し合いをしているのですね。そのときに副知事は何と言っているかというと、いま言った科学者というような代理人的性格のものは認めないと言っているのです。わかりますね。原子力委員会で私がかつて成田局長に聞いたときには認めないという考え方だったのです。  ところが、さっき長官は、いや、前から変わっておりませんと、こう言いましたね。ところが、八月二十四日の原子力委員会では、どうも範囲を広げたらしいということがあくる日の福島民報には載っている。そのときにはもう締め切っておりますよ。その同じ日に現地の共闘会議が知事に申し入れたときに、副知事は、代理人というものは認めない、現地の利害関係者だけです、こう回答しているのです。いいですか。ところで次に、八月二十七日に再度現地の共闘会議が福島県知事に申し入れているのです。県知事はどう言っているかというと、また皆さん方と違うわけですね。県知事はこう言っているのです。前とは違ってワクは広がりました、利害関係者の意見陳述者のワクは広がりました、ただし、県内に住んでいる弁護士や科学者に限ります、こういうふうに県知事は言っているのです。それを知事が答弁しているのですよ。  そうしますと、いま原子力委員会のほうで八月二十四日に、かりに新たな変更がなかったとしましょう、長官の言うように。そうすれば、もともと全国的に運動に利害関係を持った科学者、弁護士は意見陳述者として申請すれば許可するということでなければならぬ。それを現地には全然インフォーメーションが行なわれていないという事実がまず明らかであります。  今度は、第二番目に、成田さんがかつて言っていたときには、範囲は狭く言っていた。しかし、いま長官が言うように変化はないけれども、もし八月二十四日の原子力委員会でその範囲を広げるということが申し合わされたとすれば、今度は第二番目の場合を仮定した場合、その場合には現地には全然そのインフォーメーションが行なわれていない。福島民報があくる日の新聞で抜いただけであります。しかも、その日は意見陳述者の届け出が締め切りの日です。いいですか。そうするとどうなりますか。きのう長官は、この公聴会制度という問題のあり方については、現地には十分伝達がいって理解ができていると思いますとおっしゃいましたね。全然理解ができてない。これがいまの公聴会なんです。  いまの公聴会がこれだから、現実に締め切ってしまっていますから、科学者や弁護士が利害関係者だということで届け出ができないという前提に立ってこの公聴会に対処せざるを得なかったのです。だとすれば、きめた公聴会要領は現地の知事にも理解されてない。ましてや現地の住民には伝えられてない。これで公聴会民主的に開かれるということになりますか。いかがですか、長官
  42. 前田佳都男

    前田国務大臣 私はその公聴会に意見陳述をする方々をできるだけ排除するとかチェックしようという考え方ではないという考え方で進めておりまして、ただ今度初めての公聴会でありまするので、その点、いろいろ事務当局なり県がかむことも事実だと私は思います。その点で、福島県当局との間にも何か連絡がまずかったのではないかと思います。その点は、実際にやっておりまするのは原子力局長がやっております。原子力局長よりもむしろ次長が実際やっておるのであります。きょう来ていないようでありますが、その点、事務当局から少し説明させます。
  43. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 御指摘の県との行き違いにつきましては、よく調査して御返答をいたしたいと思いますが、一つ申し上げておきたいことは、成田前局長は制限的なことも言われたようでございますが、御質疑に応じまして陳述人の範囲については弾力的に考えたいという答弁をされているようにも聞いております。その趣旨を受けまして、事務局といたしましては、当初から細則をきめますにあたりまして、地元のなまの声を聞くことが目的でございますけれども、その範囲内において一定の方について代弁人と申しますか、そういう範囲をきめたいというふうに初めから思って検討をしてまいりました。そのきめ方につきまして、いろいろ時間的に考え方が内部的に変化したりといったようなことはございますが、当初から代弁人というものは認める方向で検討をしていたことは事実でございます。
  44. 嶋崎譲

    嶋崎委員 しかしそれは、原子力局や長官要領をつくったとき、それから細則をつくる過程でかなりフレキシビリティーにそれを考えていたというのはわかりますよ。ところが、初めて開かれる第一回の公聴会が来月開かれるわけでしょう。その締め切りが二十五日なんですよ。その二十五日の締め切りが終わって三日後に現地の共闘会議が知事と話し合いをしたときには、全然理解が違うわけですよ。ですから、もう届け出ができないわけですよ、もう締め切っちゃっているわけですから。そうでしょう。そうしますと、公聴会には地元の運動と利害関係を持った科学者や弁護士が今度の公聴会には出ないことになりますよ。現実に出てないわけです。ということは、いかに原子力委員会がそういうふうに柔軟に運営すると理解をしていても、現地の知事が理解しなければ、現地の住民は全然理解してないわけですよ。そうして交渉してみたら、ワクも違ってきているんですよ。二十四日に聞いたときには副知事は——副知事と知事もこれ意見が違うんです。副知事は、いや、そういうものは認めませんと言っているんですよ。二十四日の日ですよ。五日に締め切るんですから、前の日に聞いているんですよ。認めませんと言ったでしょう。今度は締め切ったあとの二十七日になってから、ワクは広げますと言ったけれども、今度は県内というふうにワクをはめているんですよ。そうすると、原子力委員会がいかに第一回目の公聴会について地元住民の意見を聞くといってみたところで、すでに皆さん方の了解と現地の知事との了解が違うわけだ。自治体との了解が違うわけだ。まして住民には全然インフォーメーションがいってない。そういう中で今度の公聴会が開かれる、こういう事態になっているということですね。この事実をどう思いますか。これで民主的な公聴会が開かれると思われますか。
  45. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 地元との問題につきましては、いまここでつまびらかでございませんので、後刻調査して御返答いたしたいと思いますが、公聴会の五月二十二日に発表されました「原子炉の設置に係る公聴会開催要領」では、「意見陳述希望者の意見要旨の届け出等」といたしまして、事案に係る原子炉の設置に関し、地元利害関係者として、公聴会において意見陳述を希望する者は、委員会に対して申し出ることができる、こうなっておりまして、この時点におきましては、この要領に関する限り制限的なことは出ておりません。  それからもう一つ申し上げますが、現在陳述人の希望がたくさん出ておりますが、その中で、私の知っております限り、いま先生の御指摘になりました代弁人と思われる方も二、三はおられます。
  46. 嶋崎譲

    嶋崎委員 現地の住民がそういうわけで——いまのは答弁になってないんですよ。その文書が出ていたからといって、現地は了解してないのですから。そうでしょう。副知事と知事の答弁も違うでしょう。二十四日に質問したときと二十七日で、知事と副知事、答弁が違っているんですから。ワクはだめだと言っているのと、やや広げたという答弁なんですから、その要領をいま説明されても、それは答弁にならないと私は思いますね。  そういう意味で、第一回目の公聴会を開くにあたっての、いま二、三の科学者と言われましたけれども、その二、三の科学者が、幾つかの運動の中の一つをになっていることに関連した科学者が出てくるかもしれません。しかし住民のたくさんのこの原発の問題に不安を持っている人たちが選ぶ科学者や弁護士が出てくるかどうかは疑問ですね。現にこの共闘会議が申し入れるのにあたって、どういう人を申し出るかということを現地では聞いているんですから。そうでしょう。ところが、現地で聞いたにもかかわらず、ワクがはめられているから届け出を出さないのでしょう。そういう実態があるということですね。ですから、これでは第一回目の公聴会は少なくとも問題が起きると思います、それに関連して。そういうわけですから、いまの公聴会の一定のワクが、原子力委員会の了解と現地の了解が違っている。そのために、この公聴会に対する評価が違ってくるわけですね。そこで、公聴会の開かれる前日に現地の県労評ですか、が中心になりまして、原発に関する科学者を集めての自主的な公聴会みたいなものを計画しているわけです。その点御存じですか。
  47. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 詳しくは存じませんが、そのような考え方があるというふうなことは聞いております。
  48. 嶋崎譲

    嶋崎委員 前の日に、その二日前からですけれども、九月十六日と十七日に原発対策に関するいろいろな会議が開かれる、地元でその正式の公聴会には行けないというふうに判断をしたものですから、それならば自分たちが自主的に推薦する人たちを呼んで公聴会をやらざるを得ないというわけで、前日に、表現はどうか知りませんが、国民公聴会と書いてありますけれども、そういう公聴会を開かざるを得なくなったということですね。  さて、そこで文部省の体育局関係の方お見えになっておりますね。お聞きしますが、国民公聴会という名の双葉体育館の借用の届けが出ているのは御存じですか。いや、そんなことは知っていらっしゃるはずないので、きのうからたいへん連絡が悪くて申しわけありませんでしたが、そういう実情について現地にお問い合わせをいただけたと思います。
  49. 五十嵐淳

    ○五十嵐説明員 けさほど双葉町の教育委員会に問い合わせまして若干のことを事実につきまして電話で連絡を受けました。
  50. 嶋崎譲

    嶋崎委員 前日に公民館はお借りすることになっていますね。ところが、私の得た情報、調査によりますと、八月の十七日に第一回目の双葉公民館を貸してくれという申し入れをやっております。続いて八月二十一日に再度双葉公民館の借用の申し入れを現地でやっております。ところが、二回目の八月二十一日のときにはお貸しいたしましょうとオーケーが出たのです。わかりますね、オーケーが出た。ところがその後、この公聴会原発反対考え方公聴会になるという理由がおもなる理由でその借用を取り消してきたわけですね。そこで、あらためて現地の県労評がこの借用について再度申し入れをして、そしていま結論が出てないという実情にあると聞いております。その点、問い合わせてみた現地との関係はいかがだったでしょうか。
  51. 五十嵐淳

    ○五十嵐説明員 けさほど双葉町の教育委員会に問い合わせてみましたことと、先生のおっしゃいますことと若干食い違いがあるように存じております。
  52. 嶋崎譲

    嶋崎委員 どう違いますか。
  53. 五十嵐淳

    ○五十嵐説明員 私、けさ電話で連絡いたしましたところが、八月九日の日に社会党の双葉郡支部の浦野さんという方から口頭で、九月十六日と十七日の二日間にわたって町立町民体育館を貸してもらいたいということの申し入れがあったということでございました。十六日の日には全国の原発活動者会議を行ないたい、十七日の二日目には原発反対公聴会を行ないたいということを口頭で申し入れがあった。そこで、八月十日の日に教育委員会にはかりまして、九月十六日の第一日目の会議についてはお貸しいたしましょう。しかし十七日の反対公聴会につきましてはお貸しすることができないということを、八月十日の日に口頭でもって浦野さんに御連絡申し上げた。文書は八月十一日に貸してくれという文書が到着しておるということでございます。そういう連絡を受けております。
  54. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そうすると、私の現地との連絡が電話や何かの連絡ですから正確でなかったと思います。いずれにしても、そうすると公民館は貸しますが体育館は貸しませんということになっているのですか。
  55. 五十嵐淳

    ○五十嵐説明員 私、けさ連絡を受けましたところでは、両方とも体育館を貸してくれという話だということでございます。九月十六日、九月十七日、二日間にわたって体育館を貸してくれということであるという連絡であります。
  56. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そうしますと、その前日の代表者会議とそれからその国民公聴会ですか、それに体育館を貸してくれ、そういう申し入れをしているということですか。
  57. 五十嵐淳

    ○五十嵐説明員 私の連絡を受けましたところではそのように理解をいたしました。
  58. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そこでお聞きしますが、国民公聴会というのは、内容的には、先ほど言いましたように、あくる日に原子力委員会公聴会があるのです。ところが、その公聴会がさっき言うような手違いがあって、手違いか、現地との連絡が悪いのか、意識的かどうかは別として、肝心の科学者たちを利害関係者代理人として届け出をしてないわけですね。そのためにわれわれの主張というものを住民の中で聞いてもらおうという意味で、二人の科学者、学者が現地に行くことになっております。ですから、反対のための公聴会というのは、おそらく教育委員会側の理解でしょう。公聴会というのは反対するためにやるのではないのですから。同時に、電力会社側、それからその他関係の人も呼んで——あくる日公聴会がありますからおそらく来ないのじゃないでしょうか。しかし公聴会である以上は、いろいろな立場の人を呼んで意見を聞こうという考え方で、自主的に計画しているものと考えられます。私もその計画のこまかな点を聞いておりませんが、原子力委員会及び東京電力の責任者が意見陳述に来てほしいという申し出をするような手続をとるように文書に書いてあります。ですから、ただ単なる反対のための公聴会というふうに割り切って理解をしているのは、実態的な理解でしょうね。公聴会というのをそういうふうに理解していいかどうか、私はそれは疑問だと思います。  そこで、いずれにせよ公民館を、前日の全国代表者会議にはいわば一度は貸しているわけですね。体育館が貸せないということは、文部省の社会教育のいわば社会教育法の考え方からして、片一方の公民館は貸せるけれども体育館は貸せないというようなことの根拠はありましょうか。
  59. 五十嵐淳

    ○五十嵐説明員 体育館の使用につきまして、文部省といたしまして格段の指示と申しますか、こういう場合には貸してはいけないとかというような格段の指示はいたしておりません。私どもといたしましては、地方自治法の二百四十四条の二でございますか、公の施設でありまして、その公の施設の管理運営につきましては条例でもって定めるということになっておりまして、その条例で定める範囲によって体育館を使用させるということを考えておりまして、格段条例をつくる場合に、こういう場合には貸してはいけないとかというような指示はいたしておりません。もちろん体育館というのは、体育の振興のために利用することを本旨といたしておりますから、双葉町の条例におきましても、やはりそういう趣旨でもって条例はつくられているというふうに理解はいたしております。
  60. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そこで、もちろんこういった公民館にしたって、体育館にしたって、地元の自治体が自主的に判断して、そしてそういうことをきめていくことでありまして、文部省自身が上からこうせいああせいという性質のものでないことは明らかであります。問題は、うわさですけれども、東京電力がこの体育館に寄付をしている、そういう関係で、あくる日開かれる原子力委員会公聴会があるのだから、その前に原発反対科学者が来る公聴会というのはおもしろくないという圧力がかかっているといううわさがあるのです。事実かどうかは、真偽は明らかでございません。ただそんなうわさがあるということであります。  そこで、できればこの原子力問題については、文部省のほうは、中身についてその専門的な担当行政官庁ではありませんから、いろいろ専門的な議論をしても始まりませんけれども、いま原子力委員会がやろうとしているところの公聴会の制度そのものが、非常にわれわれには民主という観点から見ると問題がある。そこへもってきて、かりに要領前提にして、実施細則を前提にしても、先ほどから問題にしているように、現地と原子力委員会との間に、その代理人についての範囲についてかなり意見の違いといいますか了解の違いがある。そういう中で開かれようとしているために、代理人として出したかった科学者たちが、自分たちの手で国民のための公聴会みたいなものを開かざるを得ないという事態になっていると思うのです。  そういう状態でありますから、二つの公聴会が、おかしな話ですけれども住民の人たちの自主的な一つ公聴会が前の日にあって、あくる日原子力委員会公聴会が開かれるという、ある意味では非常に印象的ですけれども、その事態が現地に起きつつあるということであります。そのときに、体育館は今度は貸しませんというようなことが現地の地方自治体の内部で行なわれるということになりますと、今度は原子力委員会考えている公聴会と、その運営についてミスがあったと私は判断いたしますが、そういうミスがあったということがはね返って、国民のための公聴会を開こうとしたら、今度は地元の圧力で会場を貸さないというかっこうでこれが押えつけられるということになると、客観的には原発反対運動ないしは原発についての住民の不安というものを、力で押えるということに結果としてならざるを得ない、こういうふうに私は判断いたしますが、長官いかがですか。
  61. 前田佳都男

    前田国務大臣 体育館問題につきましては、私実はいま初めて嶋崎先生から承ったのでございますが、私はそういう圧力とかそういうことは実はないものというふうに思っておりますし、この点について、私の所管ではございませんので、いかんともお答えするあれはございません。
  62. 嶋崎譲

    嶋崎委員 それを聞いているのではなくて、きのう以来問題になった公聴会制度というもののあり方について、たとえば代理人範囲という問題が、先ほど言うように原子力委員会と現地の知事との間に了解の違いがある。そして、現地の共闘会議範囲を詰めたのに対して、副知事の回答と知事の回答がまた違っていたわけですね。先ほど御説明申し上げたとおりです。それで、結局現地のほうの代理人を立てる窓口がなくなってしまったわけです。そのために、そういう人たちは独自に自分たちで科学者の意見を聞き、そして原発問題についての公聴会的なものをやらざるを得なくなったわけです。ところが、それを開こうとしていくのに対して、現地の地方自治体が、条例といったってそんなものは理由にならないと思いますけれども、そんなものに貸さないというものはないのだから。おそらく政治的中立に関連する社会教育法の考え方でしょう。それでもって貸さない。結果としてそういう事態が起きるということは、原子力委員会が企画した公聴会制度の持っている欠陥が、現地にそういう状態をつくり出した結果、それを封ずるということになるという意味で、客観的には原子力問題に関して地域住民が非常に不安を持っている世論を封ずるということになりませんか、こう聞いているのです。それについての意見をお聞きしているのです。
  63. 前田佳都男

    前田国務大臣 われわれが考えております公聴会について、昨日来いろいろ御批判がございます。また、少しその間の説明で食い違っておったのではないかという御説明もございました。しかし、くどいほど申し上げておりますように、今度の公聴会制度というものにわれわれが踏み切った趣旨、考え方も御理解をいただいて、どうぞひとつわれわれの公聴会に御参加をいただきたいと思うわけでございます。  今度の体育館問題は、そういう言論弾圧というか、そういう趣旨に通ずるというふうには私は考えておりませんです。
  64. 嶋崎譲

    嶋崎委員 時間が参りましたので締めくくりますが、いま長官おっしゃいましたが、知事に申し入れたときには、福島県と範囲を限定されたのですよ。副知事のときにはそれもだめ、代理人的な科学者や弁護人もだめということですよ。それは締め切った二十五日ですよ。わかりますね。そうしますと、もしいまのように参加してくださいというならば、いまの公聴会は延期をしなければならないと思いませんか。
  65. 前田佳都男

    前田国務大臣 私は特にそういう作為的なことをやったつもりは全然ございません。その点よく事務的にもさらに先生の御指摘の点は詰めてみたいと思います。けれども、われわれ現在考えておる公聴会は、いろいろまた、こういう点ああいう点、批判もきのうからよう聞いておりますけれども、とにかく初めてのこのわれわれの現地のなまの声を聞くという趣旨に御賛同いただいて、くどいようでありますが、どうぞひとつ御参加をいただきたいということを繰り返すだけであります。
  66. 嶋崎譲

    嶋崎委員 いや、ぼくの聞いているのは、したがってさっき言っている二十五日の締め切りの時点で、原子力委員会と現地との間に、その代理人範囲についてさえ意思統一できていないのですよ。そして締め切られちゃって、そして意見が述べられないから、国民のための公聴会が出てくるわけでしょう、片一方に。そういう事態になっているとすれば、今度の正規の公聴会に協力してくださいと長官おっしゃるけれども、それ以前に協力できないように封じられちゃったわけですよ。だから国民のための公聴会が出てきたのでしょう。だとすれば、今度の公聴会に協力せいとおっしゃるならば、少なくとももう一度公聴会を開くというようなことが配慮としてあるのかないのか。さもなくばそういう現地と原子力委員会との間に指導上のミスがあるとか、それはミスがあったと認めていいでしょう。知事が違うことを言っているのですから。ですからそうだとすれば、かりに今度の公聴会については、現地と原子力委員会との間に十分なインフォメーションがなかったから、この際はもう一度そういう問題を取りつけてみて、一カ月先とかないしは二週間先とか、そういうふうに公聴会を延期するというような判断があってしかるべきだと私は思うのです。  体育館の借用の問題とひっかけて問題を明らかにするために私は申し上げているので、本質はどこにあるかといえば、いまの公聴会制度そのものの原子力委員会の了解と現地の了解が全然インフォメーションができていない、そのために混乱が起きているということですよ。そういう混乱のままでその公聴会を開くというのは早計じゃございませんか。だからその意見陳述者が入れるようなことを配慮すれば、もうちょっと公聴会を延ばしてみる、そして公聴会のあり方についてもう一度検討してみる、そういうことはできませんかということです。
  67. 前田佳都男

    前田国務大臣 再度の嶋崎先生の御質疑でございますが、結論を申しますと、延期する考え方はございません。
  68. 嶋崎譲

    嶋崎委員 たいへんなものですな。それが首相発言じゃありませんか、その発想が。長官、つまり原子力問題について住民反対がある、不安がある、そういうものについて、不安があったって強行せいという趣旨の首相発言が問題になっているんでしょう、各党が問題にしてきていることは。そういうことであってはならないから、民主ということをもっと守るようにしようじゃないか、それが原子力基本法の理念でしょう。その民主について、公聴会の運営について、原子力委員会と現地との間に事実認識について違いがあるのですよ、現実に。そしてそれについて発言者が発言できるかできないかについて届け出の討議を現地でやってみたときに、チェックされて入れないでしょう。入れないから別に公聴会をやるということでしょう。そういう事態が起きているのに配慮してみようとか検討してみようというような意見じゃなくて、しゃにむに十八日か十九日か知りませんが、それにやるということの結論というのがその発想ですよ、そのものの考え方が実は首相発言と同じじゃありませんか。新聞で問題になった首相発言と同じだと思いませんか。いかがですか。
  69. 前田佳都男

    前田国務大臣 首相発言は、先ほどからもたびたび申し上げておりますように、住民意思を無視してでもやれというふうな考え方では毛頭ございません。その点だけは、官房長官も申しましたように、絶対そういうことはおっしゃっていないわけでございまして、公聴会というようなものに踏み切った趣旨も、いろいろ御批判はございますけれども公聴会についても、実は先生、いろいろ意見があったのです。これに踏み切った趣旨も、とにかくなまの声を聞いていこうという趣旨から踏み切ったわけでございますので、決してわれわれは住民無視、住民不在の原発行政を進めようというような考え方は毛頭持っていないということは、よく御理解をいただきたいと思います。
  70. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そんなことで、逃げ答弁じゃありませんか。さっきの局長の理解、長官の理解で、要領で運営していく公聴会のやり方についての理解と、現地が違っているという客観的事実は明らかになっているんですよ。そして現実に発言が制限されたいるんですよ。そしていま開かれようとしているわけですけれども、まだ日があるんですよ。検討をするだけの日がずいぶんあるんですよ。そういう日があるのに、こういう事実が客観的に明らかになっていても、まだ依然としてその日以外に変更する意思はない、そういう人たちの意見を代理人として入れるための手続について、変更する意思がないというのは、これはまさに住民意思を無視するもの以外の何ものでもないじゃないですか。私はそう思います。ですから、もし、住民意思を無視してないと口でおっしゃるならば、それを証明しなさいよ。これを強行すれば証明できませんよ。  だからきのう言ったでしょう。強行になるんですよ。それは住民意思を無視することになると私は思う。そういう公聴会の発足は、原子力委員会が意図した、日本のエネルギー政策というものの中で、電力不足をどういうふうにして電力を開発しなければならないかという国民的な課題に対して、国民的な課題ですよこれは。党派の問題じゃないですよ。そういう問題について、しかも科学技術の問題は客観的な真理の問題ですから、党派の問題じゃありません。そういう国民的な課題について、国民民主的ないわば世論を統合していくための手続として、公聴会をきめたんでしょう。客観的にはそうならないじゃないですか。それについて、いや、そうなりますと言うてみたって、こんなものは回答になりませんよ。私はそう思いますね。そういう役人みたいな答弁を大臣にしてもらっちゃどうにもならぬ。もっとほんとうに、日本原子力行政について、国民の立場に立って、科学技術的な観点から、原子炉についての事故なら事故についても、客観的な真理をどういうふうにつかむかというふうに考えてもらわなけりゃならぬ。  同時に、特にこの民主という考え方をとるんだとすれば、その民主というものを公聴会に反映させる。制度的な仕組みの中に、つくった制度の運営においてミスがあったとすれば、それを改めるにやぶさかではないというときに初めて民主じゃありませんか。現地と全然食い違っておって、そしてまた原子力委員会の言っておることは、まるで知事が悪いみたいな話じゃありませんか。知事がいいかげんに封じたという話で、原子力委員会関係ありませんという、そういう原子力行政、これが問題なんじゃありませんか。そういう回答であれば私はやっぱり断固抗議しますね。検討してみるとか、それからそういう現地の反対世論について、ないしは公聴会について、原子力委員会も一ぺん現地とのコミュニケーションをやってみるとか、それから知事ともう一ぺん連絡をとってみて、締め切ってはあるけれどもそれについてどう対処するということについての回答を寄せるとか、幾つかの手続があるんじゃありませんか。そういう手続を一切無視して、ただやるということだけをおっしゃるのは解せませんね。  私、時間がきましたから、その抗議だけを申し上げまして、私の質問を終わります。
  71. 石野久男

    石野委員長 次に、山原健二郎君。
  72. 山原健二郎

    ○山原委員 昨日理事会におきまして、総理または官房長官出席を要請されたと思います。それほど重要な問題として本日の委員会が開かれているわけですが、総理または官房長官がこの席に出席できなかった理由を説明をいただきたいです。
  73. 山下元利

    山下(元)政府委員 委員長のお立場から政府側に出席要求がございましたが、諸般の事情からいたしまして、総理大臣、官房長官出席いたしかねましたので、まことに申しわけない次第でございますけれども、私が政府を代表いたしまして出席させていただいている次第でございますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。
  74. 山原健二郎

    ○山原委員 副長官出席をされているわけですが、たしか昨日の話では、何とかして、少なくとも官房長官には出ていただいたほうが事態がはっきりするのではないかということで、要請をされたと思うのです。ところが、この事態の重要性というものの認識が欠けているのではないかというふうに思うわけです。二十八日の総理閣議における発言は一斉に新聞報道されておりますし、これが現地の住民に与えている衝撃というものはきわめて大きいのです。しかもその内容は、この新聞で見る限りにおきましては、原子力基本法第二条に全く違反をしておる。すなわち原子力基本法は原子力の憲法でありますけれども、その中に特異的に表明されている自主、民主公開の原則を踏みはずして、それからまた、原子力委員会設置法の第三条を見ましても、これは内閣総理大臣の任務は明確に書かれているわけですね。その第三条にも違反をしておる発言内容となっているわけです。しかも、それが今日さまざまな問題を起こしておるところの地域住民に重大な衝撃を与えておる。この認識がどうなのかということですね。  いろいろお仕事があることは私たちも承知をいたしておりますけれども、これだけ重大な問題、しかも昨日も、社会党の原委員あるいは共産党の瀬崎委員あるいは公明党の近江委員のほうからも、冒頭にこの質問が行なわれて、その重要性というのは相当おわかりになっておると私は思うんです。これをこの委員会に積極的に出席をして、事態の真相あるいは総理発言真意というものを明らかにするという態度をなぜとられないのか。私はその点に対して非常に大きな不満を持っておりますので、再度副長官の今日の事態についての見解を明らかにしていただきたいです。
  75. 山下元利

    山下(元)政府委員 先ほどお答え申し上げましたとおりに、諸般の事情、外交案件等につきまして、やむを得ざる事情がございまして、官房長官本日出席いたしかねましたことを御了承賜わりたいと思う次第でございます。  なお、御指摘の点につきまして、内閣総理大臣はあくまで法の精神を尊重してまいることはもう当然であります。私どもは、御指摘の点につきまして、事の重要なことは承知いたしておりますけれども、ただ一部報道せられておりますことが必ずしもそのとおりでないというふうに思っておりますので、またお尋ねに従いましてその点は明らかにさせていただきたいと思っております。
  76. 山原健二郎

    ○山原委員 報道の中身につきまして逐一申し上げることはできませんけれども、たとえば、ある新聞は見出しに「住民反対あっても原発建設促進せよ」、こういう見出しの記事になっております。それから他の新聞もほぼ同様の趣旨に基づいて書かれているわけですね。これはもう明らかなところです。もしこれが、たとえば先ほどの前田長官発言のような、あるいは報道関係の誤解であるとか、あるいは、そういうことを言わなかったのだとか、あるいは私に対して、ただしっかりやれという気持ちで、日ごろのああいう勢いの強い発言をする人だから、そういうように受け取られたのではなかろうかというようなことでこの問題は解決しないわけですね。だから、明らかにこの報道が誤りであり、あるいは誤り伝えられたものであるとするならば、この報道に対して政府として、また総理として何らかの態度をとるべきだ。あるいはあらためて記者会見をして、私の真意はこうだというのか、あるいは誤報だというのか、あるいは誤り伝えられておるというのか、訂正をするというのか、その辺の態度を明確にしなければ問題は解決しないわけです。ただここでやりとりをして、ああではなかった、そうではなかったということでは解決しないのです。これだけの重要な報道をされた政府機関としての態度は一体どうするのか、これを聞いておきたい。
  77. 山下元利

    山下(元)政府委員 新聞等報道せられましたことは、私どもそのように読ませていただいております。先ほども申し上げましたように、総理閣議の席におきまして、その新聞の見出し等々に伝えられるようなことは絶対に言っておりません。しかもそのことにつきましては、官房長官がこの閣議直後の記者会見におきましても触れておりません。ただ、こうして国会の委員会におきまして、公式に政府の立場を代表して御答弁申し上げれば、それが一番私はこの問題についての対応のしかたでないかと思うわけでございますので、はっきりと、このように住民反対があってもというふうな感じのことばはございません。  なお、つけ加えてそのときの状況を申し上げますと、実は閣議の終了近くになりましてのことだったと記憶いたしております。いろいろ問題があるけれども科学技術庁長官、ひとつしっかり勉強してくれ、というふうな趣旨の発言であったわけでございまして、この住民意思を無視してでもというふうな、反対があってもというふうな、このような発言はなかったことだけは政府を代表いたしましてはっきり申し上げる次第でございます。
  78. 山原健二郎

    ○山原委員 そういう発言がなかったということをなぜ天下に公表しないのですか、報道を通じて。これは、先ほど言いましたように、重大な、憲法ともいうべき原子力基本法あるいは原子力委員会設置法にも違反する内閣総理大臣の発言、それがかりに誤り伝えられたとするならば、それをなぜ訂正する行動をとらないのか、私はそのことを答弁を要求しているわけです。
  79. 山下元利

    山下(元)政府委員 実は、先ほども申しておりますとおり、閣議における閣僚発言につきましては、これは大体公表せざることを目的といたしております。したがいまして、私どもとしては、その決定いたしました事項につきましては発表いたしておりますけれども、一々の発言につきましては発表しないことがたてまえでございますために、いまおっしゃったように、このように報道はせられておりますけれども報道機関を通じてそうであるとかないとかいうことは申し上げないのでございます。ただ、事柄が重大でございますし、当委員会におきましてお尋ねがございましたために、国民の御理解を得るために、内閣総理大臣が住民意思を無視してでもやるというふうなことは言ったことは絶対ございませんと、こういう公式の国会の場におきまして私どもは申し上げる次第でございます。その点、政府の態度を御理解賜わりたいと思う次第でございます。
  80. 山原健二郎

    ○山原委員 ある新聞はこう書いております。原発建設について「地域住民反対があっても、必要なものは工事を進めるべきであると指示した。」これが一つ新聞です。もう一つ新聞は、電力節約の問題に関連して特に「電力事情考えると、反対の立場もあるが、原子力発電所の建設を推進せざるを得ない。万一、事故があった場合は補償その他で国が責任を持つことを明確にして、地元の協力を求め建設を推進せよと関係閣僚指示した。」この事実はないわけですね。はっきりないのですか。
  81. 山下元利

    山下(元)政府委員 ございません。新聞報道にはそのように伝えられておりますが、それは報道でございまして、私どもとして閣議に出ておりまして、そのような詳しい指示をしたということはないのでございまして、それは科学技術庁長官お答えになったとおりでございます。  ただ、一言申し上げますと、総理大臣といたしましては、政府としての責任を感じておるわけでございますので、いろいろ電力事情等についてはたいへん心痛いたしておるわけでございます。電力問題についても非常に心を配っておるわけでございまして、そうした意味でと思いますが、科学技術庁長官にいろいろと勉強してほしいというふうな話はございましたけれども、こまかくそのような報道せられているようなことについて話されたことは絶対ございません。その点ははっきり申し上げておきたいと思います。
  82. 山原健二郎

    ○山原委員 日本新聞報道機関がかなり報道問題について、ニュースについで、また政府のいろいろな諸決定に対して、機敏に、しかも正確な報道をしておるということはこれは否定できない事実です。しかも一つ新聞がそういうことを書いたとするならば、かりに誤りあるいは聞き間違いがあるかも知りませんが、幾つもの新聞が一斉にそのことを報道しておるということになりますと、これは、だれかそのようなニュースを与えなければ書かないわけですね。日本報道関係が総理発言を捏造するということは考えられないわけです。そう考えるとすればこれは重大な問題です。そうすると、だれかがこのような記者会見をするなりあるいは総理発言を故意にゆがめて報道したのか、あるいは発表したのか、その点は内閣としてどういう態度をとられるのですか。全部日本報道機関の責任に転嫁をしてこれを終わらすという態度をとられるわけですか。
  83. 山下元利

    山下(元)政府委員 何度も申し上げるわけでございますが、閣議で決定されましたことは、正式に記者会見等において発表されておるわけでございます。この件については、閣議で決定されたようなことではないのでございます。そこで、それ以外の閣議における閣僚の国政全般にわたりますところの討議、発言等は、一々これを発表しないのがたてまえになっておるわけでございまして、この件につきましても公式には発表いたしておりません。ただ、報道機関がいろいろ御取材になったことはその報道機関の御自由でございますが、政府といたしましては、閣議の席上でこのような発言総理大臣がいたさなかったことだけは私ははっきり申し上げる次第でございます。
  84. 山原健二郎

    ○山原委員 閣議報道をしない発言がかりに誤って伝えられ、国民に重大な不安を与えるという事態が起こったときには、これに対しては、閣議内容発表すべきものではないという理由のもとに、一切何らの手を打たないというそういう政府の方針ですか。
  85. 山下元利

    山下(元)政府委員 問題をはっきりするために申し上げますが、閣議におきまして総理大臣から、原子力発電のみならず、いろいろ全体の問題を踏まえてのことだと思いますけれども科学技術庁長官にいろいろとしっかりやってくださいというふうなことは申しました。それはこの席上ではっきり申し上げます。実はこの点も、私ども閣議の正式決定以外のことにつきましては申し上げないたてまえになっておりますけれども、事柄でございますから申し上げますけれども住民反対があってもとか、あるいは住民意思を無視してでもというふうに、いやしくも基本法等の精神に違背するがごときことを、内閣総理大臣が重要な閣議の席上で発言することはあり得ないことでございます。これは絶対ございません。ただ、原子力発電等につきまして科学技術庁長官に、先ほど来長官お答えになりましたように、私が申し上げているような趣旨の発言はあったようでございますが、こうした新聞に伝えられるようなことは絶対ございませんので、御了承賜わりたいと思います。
  86. 山原健二郎

    ○山原委員 では、これは処置もおとりにならないということですね。私ども委員会、各党の方々が心配をしまして、その真相はどうなのか、あるいは総理発言が誤って伝えられておるのではないかということも考えながら質問をしているわけですね。皆さんがやっているわけです。そういう心配をみんなしているわけですね。それに対して、こういう事態、これだけ問題になってきているわけですから、総理真意が伝えられなかったのだとか、あるいは誤って伝えられたとか、真意はそうではなかったとかいうような措置というものは、一切この問題についてはとらないという決意でここに出てこられておるのでしょうか。
  87. 山下元利

    山下(元)政府委員 閣議発表等についての政府の態度については、もう繰り返し申し上げているとおりでございまして、この件につきましては、当委員会におきまして御審議の過程において政府としてはっきり申し上げれば、私はそれで、それがまた十分であり、一番国民に対して理解を得るためによい機会である、このように考えておる次第でございまして、これ以上のことを申し上げることもございません。
  88. 山原健二郎

    ○山原委員 二十八日の閣議に突然この問題が出てきたのはどういう理由からですか。これは前田科学技術庁長官伺いたいわけです。かりに住民反対があってもということばはないにしましても、突然二十八日の閣議において総理のこのような強い発言がなされた理由は何でしょうか。
  89. 前田佳都男

    前田国務大臣 先ほど山下長官も御答弁いたしましたように、閣議内容は言わない、言う必要もないということになっておるようでありますが、私の記憶では閣議の一番終わりごろ、もうこれで閣議が終わりますというちょっと前でございました。時間にして二分間程度でありました。それだけは間違いございません。ほんとうに短い時間でありまして、私の顔をごらんになって、原子力問題はいろいろあるようだけれども科学技術庁長官、しっかりやってくれ、ということを言われたというだけでございまして、私はきのうも申しましたように、山原先生、これは別に弁護で言うておるんではないのです。ちょうどその一週間前でした。閣議の始まる前に、原子力の特に安全性の問題——いろいろ予算もあるものですから、いまわれわれ予算の概算要求のテーマとかいろいろやっておる最中ですから、そういうことに関連してではありませんけれども原子力安全性というものはこういう点に力点を置かなければいけません、私もこういう点を安全性を強化していきたいのだということを実は総理に話したのです。それをちょうどこのぐらいの紙に書きましてごらんに入れて、ごうごうと説明したことがあります。総理は非常にもの覚えのいい人ですから、そういうことが頭におありになったんじゃないかと思うのです。別にどういう過程を経てどういう理由でこういうことを言ったのかということはわかりませんけれども、そういうことが常に総理の念頭におありになったので、それで私が先ほど言いましたように、安全性というものを十分考えつつやってくれというふうな意味に私は私なりに受けとめたわけでございます。
  90. 山原健二郎

    ○山原委員 この閣議のありました二十八日の前日の二十七日に、愛媛県伊方原発の問題について住民の訴訟が提起されております。これは御承知のように、二十七日の夕刊あるいは二十八日の朝刊、そしてテレビ等を通じましてかなり大きく報道された事件がこの閣議の直前にあるわけですね。そういう住民反対、しかも住民のさまざまな手段を講じての反対運動というようなもの、それが一つの訴訟という形態で出てきて報道されている。それが田中総理の頭にあったんではなかろうか。これは、中身を見ますと、報道関係はそういうふうに把握をされておるようですね。私はその把握のしかたが実際は正しいと思っております。おそらくそういうことがあったから田中総理が、声を大にしてこのことを閣議の最後に、たとえ二分間でありましてもぱっと出してきたのではなかろうか、こういうふうに思うのです。  ところで、その真相をいまここで明らかにするわけにもいきませんけれども、ある新聞によりますと、前田長官はこの田中総理発言に加えまして、「むつ」の場合も地元の漁業者らの反対が強く、予定通り就航できず困っていると述べ、首相は青森県知事ら関係者を招き、自ら直接に事態の処理と説得にあたる意向を示したといわれる。」こういうふうに新聞に出ているのです。この事実はどうですか。
  91. 前田佳都男

    前田国務大臣 その点は、私きのうも御答弁いたしましたように、総理の御発言がありましたときに、その総理の御発言は、繰り返して申しますけれども、伊方の問題等は全然触れておりません。その問題も全然触れておりません。そのときに私は、ちょうど総理から原子力お話がありましたので、実は原子力船むつ」の問題、これは官房長官もよく御存じでありますし、関係の閣僚が知っているわけでありますが、こういう問題についてごく簡単に経過を御報告したわけでありまして、特に総理からそれについて具体的にどうしようこうしようという、その点の御指示はございませんでした。
  92. 山原健二郎

    ○山原委員 前田長官は、その直後に記者会見をされておるわけですか。もう時間がありませんから簡単に答えてください。
  93. 前田佳都男

    前田国務大臣 記者会見いたしております。科学技術庁に帰りまして、定例のとおりやっております。
  94. 山原健二郎

    ○山原委員 「「むつ」の場合も地元の漁業者らの反対が強く、予定通り就航できず困っている」、こう述べた事実はありますか。
  95. 前田佳都男

    前田国務大臣 地元反対と申し上げましょうか、そういう従来のいきさつですね、ただ漁業者の反対をいかにもクローズアップして私が言ったような印象を与えておるかもしれませんけれども、そうじゃなくて、従来漁業組合のこういう反対の意見もあり、青森県知事の竹内さんにも会い、こういうようにしておりますということは、きわめて簡単にお話しいたしました。
  96. 山原健二郎

    ○山原委員 この報道関係の記事だけで私は質問しているわけですね。「「むつ」の場合も」ということばが新聞には使われている。だから、伊方とか福井大飯あるいは福島の問題をはじめとして、住民反対の問題がおそらく総理の脳裏にあり、それが最後の二分間の発言ではあろうけれども、語気強く出てきた。それに答えて前田長官が、「むつ」の場合も地元反対があり困っているのですよ、という形になって、閣議の全体の雰囲気としては、いろいろ否定をされておるけれども、やはり住民反対というものを意識されながら、それはあるけれども建設は遂行せよという総理考え方というもの、これは新聞報道の関係についていろいろ憶測も入りますけれども、流れとしてはそういう考え方ではなかったのでしょうか。  そこで、副長官にお伺いしますが、新聞にはさらに二階堂官房長官発言が出ております。これも記者会見で発表されたと思うのですが、「反対運動があっても、何が何でも押し切ってやれ、といったわけではない」、これは弁解になっているわけですね。これは、総理発言真意が誤り伝えられることをおそれて、何が何でも反対を押し切ってやれと言ったわけではない、こういう言い方なんですね。このことばの中に出ておることは、その前段の総理発言というものが、何が何でもということではないかもしれないけれども、少なくとも住民の相当の反対があっても押し切ってやれということを裏づけた二階堂官房長官発言になっていると私は受け取らざるを得ないのです。この二階堂官房長官発言が事実かどうか、山下長官御存じでしたら発表いただきたい。
  97. 山下元利

    山下(元)政府委員 その二階堂官房長官の会見に私立ち会っておりませんので、はっきり申し上げることはできませんが、おそらく報道機関のお尋ねに対してそのように答えたのではないかというように思っておるわけでございます。  なお、総理真意等につきまして申し上げたいと思いますけれども、いろいろ先生からのお話がございましたけれども、実はその少し前の閣議におきまして、総理は運輸大臣に対しまして、成田空港のことにつきまして指示をしておることは報道せられておるとおりでございますが、要するに空の問題とかエネルギーの問題等につきまして政府としてなすべき責任というものについて、総理大臣は総理大臣としての責任を感じておる次第でございます。もちろんそれはいろいろの法律を尊重しつつ進めていかなければならないのではありますけれども、果たすべき責任というものについて非常に痛感しておるところでございまして、このような発言もそのようなことから出たものと思いますので、その前日にどのようなことがあったからどうだとかというようなことでは決してない、私はかように考えておる次第でございます。
  98. 山原健二郎

    ○山原委員 二階堂官房長官のこのことばをはっきりさせてもらいたいので、私は委員長お願いいたしたいのですが、一委員としましても、二階堂官房長官出席を日を改めて御要請をいただきたいと思うのです。たとえば、住民反対があっても何が何でも押し切ってやれなどという発言をする総理大臣がいないことは当然のことです。それは気違いの言うことです。しかしながら、何が何でもとは言わなくても、相当の反対があっても押し切ってやらなければならない、電力事情はこうなんだ、必要なんだからやるのだという、昔の殿さまの発想ですね。そういうものがあったのではないかということを、私はこの二階堂官房長官発言、何がなんでも押し切ってやれと言ったわけではない——必死になって、総理発言を何とかそこでカバーしょうとしておられるようでありますけれども、しかし、かなりのことが言われておるということは、この二階堂官房長官発言からも予測ができるわけでありまして、そういう感覚が田中内閣総理大臣の頭の中にあるのではないかということを、これは非常に重大な問題だと思うわけですね。単なることばでは言わなかったとか言ったとかということよりも、その背景にある思想性の中に、相当な反対があっても電力問題は必要なんだからやれというような考え方があるのではないか、この点を私は問題にいたしておるわけです。  もう時間がなくなりましたから、たとえばいま私が名前をあげました愛媛県の伊方原発の場合でも、私は実はこの委員会でこの問題は四回取り上げているのです。これは副長官に認識していただきたいのです。これは、私だけでなくて各党の議員の方もここで取り上げました。それだけに、たとえば四国電力あるいは行政側の非民主的な行為というものが住民に対して非常に不信感を与えておる。それを一つ一つ事実をあげて、私たちは論議をしてきたと思っております。  たとえば水の問題にしましても、水は地元の地下水を取るんだという、これが当初の四国電力伊方原発の計画書であったわけですね。それで国は昨年の十二月に実際短期間で認可をしてきたのです。ところが、三月になりますと、その取水はやめた、計画変更をしまして、塩水の淡水化で水は取得するんだという。いま国際的にもそんなことをやっておるところはほとんどない。塩水を淡水化して使うんだという、このまだほんとうに商品化されてもいないような新たな計画が出てくるわけですね。それも認可するというような問題。あるいは土地の問題にしましても、住民に対しては、原子力発電所ができるなどということを言わないで土地を取得しておる。そして判をつかしたあと原子力発電所であるということを発表する。こういうような問題。あるいはまた、本年の四月十六日に通産省が設置認可をいたしておりますけれども、それを新聞記者クラブに対しては、一カ月以上新聞記者が尋ねても、そういう認可はおりておりませんと四国電力社長は発表する。こういうふうに、住民もあるいは報道関係をもだましてきた。こういう経過があるわけですから、この田中総理発言というものは、そういうことを背景にして考えると、非常に住民にとっては重要な、大きな衝撃になることは当然のことだということを、これはお考えになっていただきたいのですよ。  それから、いま嶋崎先生が言われました福島の公民館、体育館の借用の問題ですけれども、これも福井県の大飯町の中央公民館の問題があるわけです。これは日本科学者会議等がここで原発シンポジウムを開くために大飯町の中央公民館を貸してもらいたいというと、これを貸さないということになってまいりまして、これが福井地方裁判所に執行停止の仮処分申請がなされて、その判決が出て町側が敗訴し、公民館を貸すべきだという結論が出た。そうすると今度はこれを上告する。その上告の結果は私もよく知りません。上告の結果はまだ出ていないかもしれませんが、とにかく公民館という開かれた社会教育の場所ですね、そこで科学的なシンポジウムを行なう、その中には反対の意見が多く出るかもしれません。それはわかりませんけれども、そういうものに対しては貸さないという。ところが、調べてみると、大飯町と関西電力の間に協定書が結ばれている。その協定書の中に、反対勢力に対してはそういう公的な機関は貸さないということが出ておるということを聞いておるわけです。そういう事実があるのか。原子力発電所をつくるときにはそんな協定書まで結ばれるのか。これでは住民反対の声あるいは住民の不安の声というものを圧殺する以外の何ものでもない、行政と企業とが癒着をした姿だと私は思うんです。それが、くしくもいま嶋崎先生から福島の問題が出され、そして私がまた大飯町の問題で、ごく最近のことです、八月の二十四日から二十六日にかけてのことでありますけれども、そういう問題が起こっております。これは原子力局長伺いますけれども、そんな協定書まで原子力発電所の問題については結ばれるのか、どうですか。
  99. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 大飯町の中央公民館の借用の問題につきましては、私もあの新聞報道等で知っておる程度でございまして、またその大飯町と関西電力の間の協定書の中にそのような条項が入っておるということは承知しておりません。
  100. 山原健二郎

    ○山原委員 そういうことが平気で行なわれる。公民館という、これはだれでも使えるものとして設立をされておるものが、反対の集会には貸さないなどということを、企業と町当局とが協定書に結ぶなどということは、これは正しいことですか。これは文部省のほうにも伺いたいんですが、文部省どうですか。そんなことはあってよろしいことですか。
  101. 澤田徹

    ○澤田説明員 お答え申し上げます。  公民館の管理あるいは運営、使用許可等につきましては、現在社会教育法で設置当局でございます市町村が条例の定めるところによってこれを許可する、こういうふうなたてまえになっております。御承知のように、公民館は住民全般の教養、文化の学習の場所でございますので、市当局がそういった公民館の運営について、良識をもって運営されることを文部省としても期待いたしております。
  102. 山原健二郎

    ○山原委員 そういうことまでここで論議をしなければならないほど、住民反対意見、あるいは政府のやろうとする電力事情のために推進せよという、こういうにしきの御旗のもとで非民主的なことが行なわれる。これは原子力の自主、民主公開の原則に反しておる。これでは真の意味国民のしあわせを追求することはできないという一つの事例として申し上げまして、時間が参りましたので、私の質問を終わります。
  103. 石野久男

  104. 近江巳記夫

    ○近江委員 昨日の理事会におきまして、総理発言の重大さ、これが大きく取り上げられまして、きょうはどうしても総理官房長官に来てもらおうという理事会の決定をしまして、委員長のほうから申し入れをしてもらったわけです。にもかかわらず、きょうは総理官房長官出席できないということで、官房長官が代理として出席されておられるわけです。  そこで、先ほどからの山下長官お話聞いておりますと、総理は絶対に言ってないということを重ねておっしゃっておられるわけでございますが、言わないのになぜ報道されたのか、もう一度、ひとつ根本的なことを聞いてみたいと思うわけです。  それで、政府としては、事の重大さを認識しておるということを副長官もおっしゃっておられるわけですが、それだけ事の重大さを認識しておられるなら、なぜ言わないのに報道されたのかということについて、これはもう相当検討もされておられると思うのです。その辺の過程といいますか、それをひとつお聞きしたいと思うのです。
  105. 山下元利

    山下(元)政府委員 お答え申し上げます。  総理大臣が原子力発電に触れまして、閣議の席上前田科学技術庁長官お話があったことは、すでに長官からもお話ありましたし、私から申し上げている事実でございますけれども、繰り返して申すようでございますが、住民反対があってもやれというふうな発言はございませんでした。これはもうはっきり申し上げておく次第でございます。  その点と、重大なことにつきましては、私どもこの問題が非常に重大な問題であるということを考えておる次第でございます。これは、報道機関が報道せられることにつきましては、先ほど来申しますとおりに、それはそのように読ましていただいておりますけれども、ただこうしたことを総理発言があったかなかったかということにつきましては、当委員会におきます御審議の過程ではっきり申し上げれば、それが一番事柄をはっきりさせることではないかと思って、私どもはそう考えて先ほど来御答弁申し上げている次第でございますので、御了承賜わりたいと思う次第でございます。
  106. 近江巳記夫

    ○近江委員 言わないのに報道されておる。これは他の委員からも話が出ておりますが、一紙だけではないのです。何紙も出ているわけですね。言わないのになぜこれだけ報道されているかということなんですよ。これはどう考えたってわからぬわけです。どうなんでしょうか。
  107. 山下元利

    山下(元)政府委員 その点も、報道機関の御取材につきましては、私どもとやかく申すことはできないわけでございますけれども、少なくとも閣議の問題につきましては、正式に決定せられましたことは官房長官また所管大臣から発表いたしておりますが、その他の閣議におきますところのいろいろな発言等につきましては、これは発表しないことがたてまえでございます。  ただ、通例といたしまして、いろいろな模様が何となく世間に伝わるようなこともございますけれども、これは政府としての正式の発表ではございませんで、正式に申し上げますならば、総理大臣はこの原子力発電につきまして科学技術庁長官お話があったことは事実でございますけれども、その話については実は申し上げることは、ほんとうはたてまえとしては控えさせていただきたいのでございますけれども、そういうことがあったことははっきりお認めさせていただきますけれども住民反対があっても、意思を無視してでもというふうに、いやしくも原子力基本法の精神に違背をするがごとき誤解を与えるような発言内閣総理大臣がいたすことは絶対ないわけでございます。ありようはずはございませんし、また、事実なかったことだけを、委員会の席上で政府を代表して私からはっきり申し上げさせていただく次第でございます。
  108. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうすると、閣僚の一人がそれぞれの省庁へ帰られて、クラブの人と記者会見のときにそういう発言をした、このように言われるわけですか。
  109. 山下元利

    山下(元)政府委員 さようなことも私は全然承知いたしておりません。いろいろと報道機関としては御取材されたと思うのでありますけれども、このことを閣議として正式に発表したことはございませんし、また、それじゃそうした発言があったかというふうなお尋ねがございましたならば、この国会の委員会におきまして政府を代表して御答弁申し上げておるわけでございまして、住民反対があってもやれというふうなことばをもって総理大臣が科学技術庁長官に申した事実はございませんので、御了承賜わりたいと思う次第でございます。
  110. 近江巳記夫

    ○近江委員 いま原子力安全性あるいは環境破壊の問題につきまして、非常に全国的な問題になってきているわけです。それで、安全性の問題につきましても、ゼネラル・エレクトリックの沸騰水型の原発について出力削限を米原子力委員会がやっておりますし、わが国でもどんどん採用されている。非常にその不安というものが高まってきておるわけですね。そういう中でのこういう報道なんです。これはほんとうに権力をかさに着た発言でありますし、全く国民全体にとりましても重大な問題であるわけです。政府として重大さを認識しておるということをおっしゃっておるわけですが、そしてまた、その釈明について国会の場での発言が一番いいということをおっしゃっておるわけです。それならなぜきょう総理なり官房長官が来ないかということなんです。何も山下官房長官でだめだということで私は言っておりませんが、事の重大さを認識するならなぜ来ないのですか。これはもう一度、きょう総理がいま何しているか、官房長官は何しているか、お聞きします。
  111. 山下元利

    山下(元)政府委員 総理大臣、官房長官は、諸般の重要国務につきましてどうしても手が放せませんものでございますから、かわりまして私から申し上げる次第でございますが、そのことは、事の重大な点について政府はどう対処するかにつきまして、たまたまきょう官房長官が出られませんで申しわけございませんけれども、はっきり政府として申し上げる次第でございます。  ところで、いまお話のございましたように、総理大臣といたしましては、おことばにありましたような趣旨でこのような発言をいたしましたことは絶対にございません。あくまで総理大臣といたしましては、政府としての責任を痛感いたしております。法律の定めるところに従いまして内閣総理大臣としての責任を遂行するために、日夜苦心いたしているわけでございまして、空の問題であるとか、あるいはエネルギーの問題等々、やはり日本をめぐりますいろいろな問題につきまして責任を痛感しております関係上、この発電の問題につきましても、ひとつしっかりやってくださいというふうなことを申しましたけれども、具体的に、権力をかさに着て住民意思を無視してやれというふうな指示は絶対いたしておりませんので、その点だけははっきりと申し上げたいと思う次第でございます。
  112. 近江巳記夫

    ○近江委員 きょうは政府を代表して副長官が来られておるわけですが、しかし幾ら総理が言ってないと言っても、これだけ各紙にも出ておるわけですよ。その点は幾らおっしゃられてもわれわれ釈然とせぬわけです。ですからこの問題につきましては、後日におきましても、ひとつこれは重大な問題でありますし、総理並びに官房長官出席をしてもらって、じかにひとつもう一度確認をしたいと思うのです。その点ひとつ委員長におかれましても御配慮をお願いしたいと思うわけです。また、あと理事会でも開いていただきまして協議をお願いしたいと思います。  それから「前田長官は、原子力船むつ」の場合も地元の漁業者らの反対が強く、予定通り就航できず困っていると述べ、首相は青森県知事ら関係者を招き、自ら直接に事態の処理と説得にあたる意向を示したといわれる。」このように報道されているわけですね。そこで、この問題につきまして、当然山下長官もその間の事情は御承知かと思いますが、この「むつ」の問題につきまして、その首相発言についてはどうなんですか。どういう意向でおられるのですか。この報道どおりですか。
  113. 前田佳都男

    前田国務大臣 私から「むつ」の経過につきまして反対で困っておるということを、特に反対反対ということを強調したわけではございませんけれども、こういう関係で、漁業組合との関係がこうなっており、また青森県知事の竹内さんが、この問題で地元の代表としていろいろ御意見を聞いて折衝しておりますが、まだいまのところ結論を得ていないということを述べました。それに対しまして総理は、自分もまた竹内君に会ってみてもいいなあという話をごく軽くされた程度でございまして、その点も特に私から報告するほどの問題でもございませんでしたので、科学技術庁記者会見のときも、私からその問題は何も言わなかったくらいでございます。
  114. 近江巳記夫

    ○近江委員 いや、この報道におきましても、現実に総理がそのことを言っているわけですね。ですからこの報道というものは、やはりあくまでもそのときの発言に基づくそのことを報道されておる。あとに載っていることだってそのとおり発言しているわけですし、ですから、ますます疑問が広がる気持ちがするわけです。  それで、この「むつ」の問題ですけれども、問題は、総理みずからが乗り出すということになってきたわけですが、この問題に対する基本的態度を明らかにしてもらいたいと思うのです。これはひとつ科学技術庁長官山下官房長官お願いしたいと思います。
  115. 前田佳都男

    前田国務大臣 原子力船むつ」につきましては、多額の国費をかけて完成をいたしましたのが去年の八月でございます。自来現在に至るまで約一が年の経過を経ておりまして、出力上昇試験を行なわなければいけません。それにつきまして、地元の方々ともいろいろ接触をいたしておりまして、今日までに及んでおります。その詳しい経過は原子力局長から御説明をいたしたいと思いますが、簡単に申しますと、最初やる予定だった岸壁でできなくなった。そして湾内の岸壁から七キロくらい離れたところで試験をするというのもむずかしい。それで、さらにまた日本海でやるという案もございました。次は太平洋ということになりまして、太平洋の案も実はいろいろの意見が出ました。その間われわれは決して無為に過ごしておるわけではございません。一生懸命に、漁業組合等にも関係団体にも御理解を得るように努力しておるわけでございまして、それに対しまして、いろいろその経過を省略いたしまして、一番最近の事柄といたしましては、ちょっと日は忘れましたけれども、青森県知事が最近いらして、そしてこの問題は単に科学技術庁だけの問題ではない、やはり水産庁であるとかあるいは運輸省であるとか、そういう役所もやはり関連があると思うから、そういう出力上昇試験について円滑に進めるための協議会をつくっていただいてはどうでしょうかというふうな御提案がございました。その御提案がございましたので、実はその御提案に対しまして、これは科学技術庁だけの問題ではございませんから、二階堂官房長官も青森県知事に会っていただきまして、そしてそういう対策議会を開いて目下協議中であるというのが現在の段階でございます。
  116. 山下元利

    山下(元)政府委員 もう私から申すまでもございません。いまの前田国務大臣お話で御了承賜わりたいと思います。
  117. 近江巳記夫

    ○近江委員 今日のようにこれだけ原子炉が次々と事故を起こしておりますし、こういう状況下にありましては、原子力船安全性について根本的に検討すべきではないか、私はこのように思うわけです。そういう点で多少時間がかかっても、この際あらためてその安全性についても十分な検討を行なうべきである、こう思いますが、この点についてひとつそれぞれお考えをお聞きしたいと思うわけです。
  118. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 御承知のように原子力船むつ」の原子炉は加圧水型でございます。そして、その出力は現在運転中の地上の原子力発電所の約十分の一程度の小さなものでございます。そして加圧水型でございますので、一次冷却水は船内にとどまりまして船外には出ない、二次冷却水の海水だけである。それから運転中に排出しますいろいろな廃棄物等は船内から外へ出さない、こういうことで安全性は十分に確保されていると思いますが、御指摘でございますので、さらに念を入れて検討してみたい、こう考えております。
  119. 前田佳都男

    前田国務大臣 原子力船むつ」の安全性につきましては相当自信を持っておるつもりでございます。しかし原子炉の問題についていろいろ問題が起こっておりますので、なおこの安全性について十分考えるようにいたしたいと思います。
  120. 山下元利

    山下(元)政府委員 大臣の御答弁のとおりでございます。
  121. 近江巳記夫

    ○近江委員 それではこれで終わりますが、いずれにしましても、きょうは山下長官出席をしていただきましたが、山下さんは一生懸命いまお答えになっているわけですが、納得ができませんでした。そういう点で、先ほど委員長お願いしましたように、あとひとつ理事会を開いていただきまして、再度委員会としてのまとめをしていただいて、出席できるようにお取り計らいをお願いしたいと思います。  終わります。
  122. 石野久男

    石野委員長 この機会に委員長から一言大臣と山下長官にお尋ねをいたしますが、実はきょう山下長官においでいただくについては、官房長官のおいでがないので、ぜひ官房長官が再び出なくてもいいような御答弁お願いすることを前提として出ていただきましたが、いまのような事情でございますので、あと理事会ではかった上、あらためて官房長官の御出席ないしはまた総理に対する出席を求めるようなことがあると思います。お帰りになりましたら、あらかじめひとつそのようにお伝えくださるようにお願いしておきます。  私、長官に一言お尋ねしておきたいのですけれども、今度の新聞報道の件について昨日来の御答弁を聞いておりまして、私もはなはだふに落ちないものが多いのです。長官は、この新聞記事をごらんになったときに何とも感じなかったのだろうかどうだろうかということを、まず最初に私はお聞きしたいのです。  この新聞を私どもが見たときに、この新聞記事の題字は、各社とも原子力基本法の平和利用の三原則というものをまっこうから踏みにじっているという受けとめ方で、少なくとも原子力に関係している者として受け取ったわけでございまして、特に私は本委員会委員長として、これではたいへんだという感じで受け取ったわけでございます。  したがって、こういう記事が出たそのニュースソースがどうであったかの追及一つありますけれども、こういう記事をこのまま政府として放置しておいていいかどうかということの疑問を持っていたわけでございます。昨日来の御答弁を承っておりますると、そのことについて一言も触れていないのです。大臣はこの新聞記事に対してどういうふうに対処されるのか、その考え方だけ一言お聞かせ願いたいのです。
  123. 前田佳都男

    前田国務大臣 ただいま委員長からのお尋ねでございますが、おとといの夕刊だったと思いますが、私あの記事を見まして、これは科学技術庁長官としてほんとうに誤解を招くような記事だと思いまして、実はこの点については驚きました。私が記者会見で発表も何もしていないことでありますし、どうしてこういう記事が書かれたのだろうかということで、確かにそういうしっかりやれと総理がおっしゃったことはあるということは私も知っておりますが、総理との話は、いつも安全性のことばかり従来からやっておったものでありますから、そのことでしっかりやれとおっしゃったことだというふうに思うて、いつもの御調子で話をされたなあというふうに思っておっただけに、住民意思を無視して原発をしっかり強行せいというふうな、表現はどうだったか忘れましたけれども、これは誤解を招く記事だなあと思って、何かの機会があればひとつ私もそうじやなかったのですということを申し上げたいなあというふうに思っておりました。ところが、この問題につきまして、きのう委員会で御質疑をいただきましたので、公式の科学技術特別委員会の席上で、閣議内容というのは言うべきものではないということを知っておりますけれども、私はきのう、ほんとうの姿はこうであったということを申し上げる機会を得ましたことはむしろ非常によかったと思う。それはいかにもおかしな御答弁になるかもしれませんが、実は私はそういうふうに感じておるわけでございます。
  124. 石野久男

    石野委員長 もう一問だけ聞かしていただきますが、先ほども山下長官から、国会で答弁すればそれが施政の考え方だ、それでいいんだというような意味答弁がございましたし、いま長官も、そういうような意味を含めて、もうこれですべて終わりだというような意味の御答弁でございますが、各社の報道した記事についての否定には必ずしもなっていないと思うのです。もしこれが誤られて報道されたり、だれもこのニュースを新聞社に発表した者がないのに、各社がこういうようなことを書き得ようはずがないとむしろ私たちは思っておるのですが、しかし各社ともこう書いておるのです。だとするならば、政府はやはり各社の書いたものに対して、あらためてクラブの皆さんにその真意をはっきりさせるべき責任があると私は思うのです。もちろんわれわれ院内においてもこういうことを当然追求しなくてはいけませんが、それだけではやはりなかなか一般にもはっきりしないものがございますから、そういうことについて各社に対してこの記事の誤りを訂正させるような措置、方法というものを、官房で何か考えられるかどうか、そういう点についての意見だけちょっと聞かしておいていただきたいと思います。
  125. 山下元利

    山下(元)政府委員 いまの委員長お話につきましては、御意見のほどよく承って対処させていただきたいと思っております。  ただ、先ほど来各委員の御質疑に対しましてお答え申し上げておりますとおり、この件は政府として正式に発表したものではないのでございます。その点だけは申し上げさせていただきたいと思います。そしてまた、そうした住民意思を無視してなんということはなかったことも、これは私この席ではっきり申し上げておりますので、実は国会の委員会におきまして、このような公式の場でそういうように申し上げるということが、一番事態をはっきりさせる方法であるというふうに考えておりますけれども、ただいまの委員長の御指摘につきましては、十分承りまして対処させていただきたいと思います。
  126. 石野久男

    石野委員長 あと理事会にもまたはかりました上でこの問題に対処いたしますが、いまの官房長官お話では、委員長としてもまだ納得しておりませんので、その点をはっきりさせておきたいと思います。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後零時三十二分散会