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1973-06-07 第71回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年六月七日(木曜日)     午前十一時九分開議  出席委員    委員長 石野 久男君    理事 藤波 孝生君 理事 嶋崎  譲君    理事 原   茂君 理事 瀬崎 博義君       稻葉  修君    加藤 陽三君       梶山 静六君    湊  徹郎君       井上 普方君    清水 徳松君       山原健二郎君    北側 義一君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      前田佳都男君  出席政府委員         科学技術庁長官         官房長     進   淳君         科学技術庁原子         力局長     成田 壽治君  委員外出席者         原子力委員会委         員       山田太三郎君         原子力委員会委         員       武藤俊之助君         通商産業省公益         事業局技術長  和田 文夫君         運輸省船舶局検         査測度課長   国部  淳君         運輸省自動車局         整備部車両課長 飯塚 良政君     ————————————— 本日の会議に付した案件  科学技術振興対策に関する件(原子力安全性  確保に関する問題)      ————◇—————
  2. 石野久男

    石野委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興対策に関する件について調査を進ります。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上普方君。
  3. 井上普方

    井上(普)委員 先般私、この委員会質問し、要求いたしました資料はできておりますか、どうでございます。いただけますか。
  4. 成田壽治

    成田政府委員 井上先生要求された資料というのは、伊方の議事要旨との関連の問題であったと思いますが、それはいま準備しております。
  5. 井上普方

    井上(普)委員 要求したのでございますから、できたらすぐにいただきたいと思います。
  6. 成田壽治

    成田政府委員 でき次第すぐに持ってまいりますが、ただ内容については御説明できる状態になっております。
  7. 井上普方

    井上(普)委員 議員要求した資料というのは、できたらすぐにいただかなければならない。これは十日たちますが、いま私が要求しまして、いま持ってまいりますというのは、これは国会に対してまことに不届きな所作だと思うのです。大臣、どうでございますか。この前だってあなた方のほうは、参考資料がなかなか手に入らなかった。私はわざわざ延ばしたのだ。
  8. 成田壽治

    成田政府委員 ただいまわれわれのちょっと記憶違いがあったのかもしれませんが、あの日、原先生から要求のありました資料については、美浜の資料と原研の漏れの問題、これは五日以内に早急に提出しまして説明しておりまして、井上先生からの資料要求という形で事務局はちょっととってなかったようで申しわけないと思っております。
  9. 井上普方

    井上(普)委員 私は日本語でしゃべっているんだ。英語でしゃべったりフィリピン語でしゃべっているのじゃないのです。私は要求し、あなたのほうは提出しますと言っておるのです。あれは資料要求じゃないと。しかも委員長からわざわざ大臣に、出せるかということを念を押してやられておるのです。まことに委員長、残念であります。その資料が来るまで私は質問を保留したいと思うのです。お取り計らいのほどお願いします。
  10. 成田壽治

    成田政府委員 非常に勘違いがありまして申しわけないと思っております。いまデータができておりますので、早急にまとめて御提出します。申しわけないことです。
  11. 石野久男

    石野委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  12. 石野久男

    石野委員長 速記を始めて。  原茂君。
  13. 原茂

    ○原(茂)委員 この間要求した資料のうち、約束どおり二つ資料が参りました。あとはまだ十日程度かかるそうですから、全部そろいましてからこの問題は約束どおりもう一度やりたいと思います。なるべく早く、たしかあと十日くらいの約束だったと思いますから、これも井上先生じゃありませんが、そのときに来ていないということのないようにお願いしたいと思います。  きょうは、先日のペンディングになっておりました公聴会問題につきまして、一項、一項、これは大臣あるいは関係者の御答弁をいただきたいと思います。  政府のおきめになりましたこの要領というのをお持ちになっておると思うのですが、大臣ありますね「原子炉の設置に係る公聴会開催要領」という、五月二十二日のこれをひとつごらんいただかないと、一項、一項でお伺いすることができないわけですから、ごらんをいただきたい。  この間も申し上げたように、第一に政府要領を問題にしたいと思いますのは、対象原子炉だけだというふうに解釈できるのです。この点、この間私が申し上げたときに、原子力局長だかがちょっと首を横に振っておられた。そうじゃないような印象もあったのですが、私の勘違いかもしれませんから、これをひとつ御答弁願います。
  14. 成田壽治

    成田政府委員 五月二十二日原子力委員会決定公聴会開催要領によりますと、これは原子炉だけを対象にしております。社会党の御要望を見ますと、原子炉だけでなくて、燃料再処理工場廃棄物貯蔵施設等が除外されているのはおかしいという御提言でございまして、われわれは、いま東海でつくっておりますところの動燃の再処理工場は、認可関係を全部終わりましていま工事をやっておりますので、これは対象外考えておりますが、今後つくられる第二の再処理工場がつくられる場合は、これは発電炉でさえ地元の理解と協力を得る必要がありますので、第二の再処理工場については、当然公聴会という形で意見を聞くことになると思います。  それから、廃棄物貯蔵施設でございますが、これは現在原子力発電所構内に貯蔵しておりますので、これだけ離れて対象という扱いでなくて、原子力発電所公聴会対象の中の一つ施設として考えられますので、ここで原子炉だけになっていますが、われわれは再処理工場あるいは廃棄物貯蔵施設についてはそういうふうに考えております。
  15. 原茂

    ○原(茂)委員 いまの御答弁でほぼわれわれの趣旨と同じになるわけですが、第二の再処理工場に限定しないで、既存の再処理工場、既設のものに関しても必要があれば、ということは、住民要求があれば、これはあとで問題になりますが、要求があればやはり公聴会対象にする必要があると思うのですが、廃棄物処理施設に関しては、確かに発電所構内にあるのが原則でございますから、公聴会対象に自然、自動的に入るという解釈であろうと思いますから、この点は、はっきりそういう御答弁があれば満足いたします。再処理工場に対してはもう一度御答弁を願いたい。
  16. 成田壽治

    成田政府委員 現在東海でつくっておりますところの動燃の再処理工場は、工事認可等一連認可が終わって工事が進んでおりまして、四十九年度の初めごろには完成されますので、われわれは、あらためてこの段階公聴会という形における地元意見を聞く必要はないというふうに考えております。ただ、再処理ですから、いま現在でさえいろいろな地元要望なり何なりが出ておりまして、それに対してはそのつどわれわれ、あるいは動燃側からいろいろなお答えをしている次第でございます。
  17. 原茂

    ○原(茂)委員 それがあとでまた問題になるんですが、この公聴会対象になるものが、現在建設中のものであっても、一度許可をして建設が始まり、稼働がたとえば四十九年だという場合でも、その途中においてもほんとうの稼動の認可許可を与える前に、やはり住民要求があるなら公聴会を開くべきだというのが私ども考え方。また、そのくらいにやってしかるべきものだ。非常に重要な影響が、しかも未知数のものが非常に多いんでございますから、したがって当然その種のものに関して住民要求があるなら稼働の前に、建設が終わりましても実際にこれを動かす前に、最終的な稼働認可を与える前にやはり公聴会がその間に必要だ、持ってもらいたいという要求が出たときには、当然これに応じて十分住民意見を聞き、また住民を説得するという場をやはり持つべきだと思うのですが、もう一度この点の御答弁を願います。
  18. 成田壽治

    成田政府委員 原子力委員会開催要領にありますように、いま委員会考えておりますところの公聴会は、地元のいろんな意見を聞いて、これを安全審査なり環境調査等に反映させて、指摘された個所についてどういうふうに安全審査その他で検討するかというそういう考え方でありますので、安全審査が終わって規制法による許可が出て初めて工事が始まりますので、それについては——そこがまた委員会社会党公聴会考えの基本的な違いになるんでありますが、委員会開催要領によりますと、それは公聴会という形にはふさわしくない、あるいは審査の結果等の説明をやる機会とか、そういう形に必要な場合にはなるんじゃないかと思いますが、公聴会としては、委員会の構想による公聴会では安全審査の始まる初期の段階、そしてそれを安全審査なり環境調査に反映させるという考えでありますので、許可が出て工事中のものについては公聴会という形では考えておらないのであります。
  19. 原茂

    ○原(茂)委員 これは長官に御意見をお聞きしたいのですが、いま御答弁があったように、しかし原子力関係科学技術というものは、国際的にいっても絶対これならだいじょうぶだというものがまだ出ていない。歴史も浅いものですからいろいろな問題が起きてきている。それをあとから追っかけては対策を講じていく現状ですから、建設中のものといえども、すでに設計データ、そういうものによって委員会において許可を与えた、しかしその間にも日進月歩している科学技術が、あるいはアメリカその他で不測の事態が起きたのをやはり現在建設中のものにも日本では参考にこれを取り入れる、当然そういう態度でなければいけないわけです。したがって、もうすでに許可を与えた、だから許可前における公聴会は必要だけれども許可後においては、建設中のものに関して稼働をしようというときにまで公聴会を持つということは必要としないというたてまえのようなんですが、そんなに自信をもって言い切れるものでしょうか。全然問題がない、すでに一度出た建設計画なり設計というものは絶対にこれは無傷のものだ、今後建設中といえども、国際的にどんな問題が起きてそれが参考にされようとも、決して住民に不安を与えるものではないという解釈に立つというのが、ずばり言いますと局長のいまの答弁になりますね。私はもっと謙虚に原子力問題に関する限りは考えて、とにもかくにも住民の側で絶対安心してもらえるということが前提でなければいけないわけですから、もう何回でも必要によっては公聴会が持たれていいんじゃないかと思うのです、この種のものは。あるいは立場の違う学者皆さんと共鳴をする学者、いろいろ日本にもおります。学者先生方の御意見で、建設中といえどもアメリカその他で起きた事態参考にしながら、これはこうすべきではないかという意見が出るかもしれません。あるいはそういうことが住民の側から提起されるかもしれません。ということに対しては、もうすでに許可をして建設が始まっているんだから、ものを言ったり言わせたり、あるいは説得する機会は、公聴会というような機会は持たないんだ。いま局長はそこを少しぼやかすために、説明会みたいなものが持たれることはあり得る、こう言っていましたが、いよいよでき上がりました、これから稼働をいたします、その説明をいたします説明会、確かに住民に対してものを言うことになるわけですが、これはやはり公聴会とはおのずから性格が違うのであります。やはり公聴会をお持ちになったということは、これは大臣の画期的な事績だと私は思います。確かに敬意を表しますし、たいへんいいことだと思うのです。思うのですが、やはり最初ですから、いろいろと公聴会の将来あるべき姿を想像しては、当局当局としていろいろな配慮のもとに、こんな、おそらく私どもからいわせるとめちゃめちゃに批判をされるようなものが出てきていると思うのです。この立場もわかります、最初ですから。わかるのですが、どうも、最初にしてももうちょっと、一体住民の側に主体を置いて公聴会を持つのか、企業政府の側が住民を説得する場として公聴会を持つのかということぐらいは、明瞭にこの全体に思想性として出てこなければいけないと思う。これを見ますと、どうしても悪口を言うのでなくて、前回にも申し上げたように、企業の側の考え方住民に押しつける、その場に利用をする、端的に言うとそういうような性格公聴会だ、こういわざるを得ないのです。事が原子力ですからですよ。ほかの問題でしたらそういう解釈は出ないかもしれませんが、原子力に関する限りは、何といっても全世界的に関心を持ち、まだまだ未解決の問題をかかえながら、なおかつ国民の需要にこたえるために原子力利用していこうとする平和利用というものの必要性も、人類の文化の発展とともに高まってきているわけですから、これをストップしたりとめるということは、これはもうすべきではないでしょう。利用することは利用しなければいけないと思います。ただ、利用するのに、住民の側が絶対安心だ、住民の側に不安があったときには、その不安を徹頭徹尾解消してから原子力利用を行なう、これがほんとう意味国民的な平和利用なわけです。  公聴会開催要領を見ましても、くどいようですが、そういう点で非常に逆になっている。どうしても企業側のやりたいというのが先に立って、その企業がやりたいということを、住民にいかにして説得するか、いかにして形式的に公聴会を持って、とにかくいろいろとやるべきことは済んだんだ、こう言いわけができるがためにこの公聴会を持ったような、ずいぶんひどい言い方ですが、そんな感じになるわけです。そういう点を少しずつ緩和して改めていくためにも、あとでも出てまいりますように、公聴会は、建設中のものに対して、あるいは稼働直前において、住民要求があったら公聴会は開催するというところまで踏み切りませんと、せっかくの公聴会というものをお開きになっても、私は、それとは逆に、政府企業の側に立って住民を形式的に納得せしめたということをやろうとする手段にしかすぎない、こういう解釈住民が受け取っていますし、そうされたのでは、せっかくの仏ができても魂が入らないわけですから、この点少し考え直したほうがいいのじゃないかと思うのですが、いかがでしょう。
  20. 前田佳都男

    前田国務大臣 ただいま原先生からるる御質問でございますが、非常に貴重な御意見だと私は拝承いたしました。原子力安全性につきましては、いろいろな議論があることは、私もよく存じております。そういう点からいたしまして、建設中の原子力発電所並びに再処理施設等の問題につきまして、建設中のものについては、稼働許可を与えるまでの時間においてはやはり公聴会を開くべきじゃないかという御意見だというように拝承いたしました。これは非常に示唆に富んだ御提言だと私は思います。  しかし、私たちがいま考えておりますのは、くどくど申し上げるようでございますが、内閣総理大臣から原子炉許可の基準の適用について諮問を受けた場合、原子炉安全審査会調査、審議するにあたりまして、公聴会で陳述された意見参考とすることができる時期に開催するということを、われわれがそういうふうなねらいといたしましてああいう要領を発表したわけでございまして、どこかに区切りをつけなくてはいかぬわけでございます。  その区切りつけ方でございますが、われわれは、原子炉安全審査会に反映することができる時期というその区切りをもちまして、現在の公聴会制度というものを考えたわけでございまして、その点について住民の不満というか、住民要望があれば、いつでも開くべきではないかという考え方もあると思います。  しかし、私たちは、そういう考え方は、まことに先生とは意見が違いますけれども、簡単に申しますと、とっておりません。いま局長が御説明申し上げたとおりでございまして、また、その後においていろいろな疑問等があれば、先ほど局長説明いたしましたように、説明会公聴会と違うじゃないかというような御意見でございますが、性質は違うかもしれませんけれども、できるだけそういう不安を解消することに努力することはまたわれわれの仕事考えておりまして、そういう点で努力をいたしていきたいと考えております。  とにかく私、決して自分で自慢するわけじゃございませんが、こんな実のない公聴会というようなお考えかと思いますけれども、こうしてたとえ何センチでも進んだということも、非常に努力をしたのだといって決して私は自慢を言うわけじゃございませんけれども、その点もお考えいただいて、あるいはいろいろ御批判もあると思いますけれども、私たちは、この現在の開催要領というもので進んでいきたいというふうに考えておる次第でございます。
  21. 原茂

    ○原(茂)委員 公聴会を開催することになったのは何センチでも前進だ、それはそのとおりだと思いますから、確かに自画自賛されなくても評価はいたします。ただ、この公聴会の持たれる背景が、結果的にはやはり政府企業側が、住民が納得しないのに納得したはずだという口実にこの公聴会をする、そういう手段に用いられる危険があるというのがわれわれの不安だし、そういう解釈があるのですから、これは確かに立場相違だとおっしゃればそのとおりですが、一体、この種の問題でいま貴重な時間をこうしてさいているのですが、やがて安全審査会意見が反映できる、許可前に意見の反映ができるそのときに公聴会を持つ。で、建設が始まりました、実際に稼働しました、問題が起きました、住民にとにかくたいへんな被害が与えられました、不安が与えられました、といったときの責任はどうなるのです。人事を尽くして天命を待つということばがありますが、この種の未知の問題の多い案件に関しては、十分過ぎるほど手を尽くして、住民もなるほど言うだけは言った、そうして当局意見も聞くだけは聞かしてもらった、また、こちらの意見も言ったが、なるほどこの段階ではほかに知恵もないし、それではそれでよかろうという十分な納得をした後に発生する事故に関しては、責任がないとはいえませんが、住民の側が考えましても、ある程度やむを得ない、対策をどうするかということを一緒にまた考えることがあり得る。ところが、すでに住民の側からも、こんな公聴会じゃ困る、建設中のものといえども、あるいは稼働直前においてでも、不安が起きたり疑問が起きたときには、要求をして、公聴会を開いてもらって、十分に意見をお互いに交流をする、ディスカスをやってみたい、こういうことがあるのに、いま論議されているのに、それは意見の違いだ、立場の違いだというので、そのことをおやりにならなかった、しかも結果的には大きな問題が起きたときに、一体その責任はどうなるかということを考えますと、私はやはり政治を担当する者としては、事前に十分な手当ては尽くしたということを、この種の問題に関しては、十分過ぎるほどにやっておいた後でなければ、ほんとう意味の行政ではないだろうと思うのです。これを簡単に、大臣とわれわれとは立場が違う、見解相違だ、と言わんばかりに簡単に割り切ってしまって、公聴会でやっていくのだ、一度開催要領をきめたのだから、この要領どおりやるのだという態度は、後世非常に大きな問題になるだろうと思うのです。現在アメリカ上下両院のいろいろな審議の状況を私が言わなくても御存じだと思いますが、この種の問題があったときに、そういう意見議員の側から出たときは真剣に取り上げていますよ。真剣に訂正してます。一度政府がきめようとどうしようと、なるほどと思ったときには、委員会意思決定があれば変えてますよ。ですから私は、民主的に政治がある程度だんだん育っていくと思う。自民党過半数を占めている議会だから、委員会においても過半数自民党の数で、とにかく委員会できめろといったってきまらないだろう。確かにきまらないかもしれません。われわれは努力します。自民党の諸君にも、こうじゃないかという説得はしますが、結果的には最後の採決で通らないかもしれません。しかし、通らなかったからやむを得ないというのでは、私などのような、政治自分思想のもとに、思想というより哲学ですね、そのもとに処していこうと考える者にとっては、私の良心にかけて、やはり関与した以上は、できるだけの討議を尽くし、改むべきは改めるということをしていただくように、長官の側にもお願いをして、そして、とにかく十分話し合いをした、十分検討もしたのだ。それで、あの当時考えてみると、人事を尽くした、知っているだけの科学技術を駆使して十分に対策も講じた、公聴会を何回も開いて、そのようなディスカスが行なわれたんだ、なおかつこれが起きたのでやむを得ないという、この考え方住民の側にも当局の側にも生まれてくるように、政治のあしたを考えておくことが、私はどうしても現在議会仕事をする人間の良心的な立場ではないかと思う。この種の問題を見解相違だ、立場相違だということで割り切ろうとすると、後世たいへんな問題が起きるのじゃないか。問題が起きないかもしれませんから、いまの技術屋さんに言わせると、だいじょうぶだ、自信があるのだ、とおっしゃるかもしれませんが、そのことはやはりそういう立場学者先生、そうでない学者先生おいでになることも、この間参考人を呼んだときにもよくおわかりになっている。ということになりますと、やはり国民の側は、十分に自分たち意見が、心配ごとがくみ取られ、しかもそれを説得させるだけの努力をしてもらうということが、当然民主主義下における住民パワーに対する政治そのものの姿勢でなければいけないだろう。きのう環境問題、公害問題で先生方おいでになりました中にも、やはり二、三の先生から、あの公害問題というものが今日これほど大きな問題となり、政府もこれに力を入れて、公害が一つ一つ対策という形で処理をされるようになったのも住民パワーの問題だ、住民運動がなかったらここまで来なかったろうということを極言していました。私もあれは全く同感なんです。これからも一番被害を受ける、はだで被害を感ずる者が、おのれの生命の恐怖を感じている者が、ものを言うということが中心で、メーターで測定したからまずだいじょうぶだ、それがいつもある時間たってくるとだいじょうぶでなかったということが、PCBでも何でも出てきているわけです。ですから、いかに機械文明の今日といえども生命を一番大事にする人間自身が、とにかく自分生命中心にはかっているこの計器のほうが、ほんとうにできている測定器よりはまだまだ信頼するに足る。足るどころではない、これを中心にやはり考えるべきだ、こういうふうなきのうの先生の御意見もあり、全く私も同感したわけであります。ということを考えますと、やはりこの問題も全く同じなんで、どうも少なくとも建設中のものに関しても、建設中のものに関しても、必要があり、住民の側が、ばかや気違いじゃありませんから、何でもかんでも反対をするためにやるんだということがあったら、われわれもまた責任をもってこれを押えることに皆さん協力をいたします、これはあたりまえですから。  原子力平和利用に関する限りは、これを利用してはいけないという立場をとっていないわけです。これはこれからはとれない。したがって、それが絶対ということばは使えないにしても、住民の側もなるほどと納得するだけの安全性に対する意見の十分な一致、いわゆるコンセンサスが得られた、これは、企業の側と政府の側と住民の側の三者が、そういう意味了解点に達したということをやる手段としての公聴会開催ですから、私は、もうすでに原子力委員会安全審査の結果これは許可したんだ、建設が始まっている、だからそういうものに関しては、その後同じ炉に対して、アメリカその他でどんな事故が起き問題が起きても、これが中心になって、住民が、一体これはどうなんだ、こう言ったときに、それに対する公聴会は持たないという姿勢、考え方政治家としていいんだろうか、そういう考え方をどうしても捨て切れないのですが、もう一度大臣に……。
  22. 前田佳都男

    前田国務大臣 原先生からまことに御親切な御提言をいただきまして……。この公聴会が単なる見せかけの手続であってはいけない、口実のための手続であってはいけないという御趣旨だと思いますが、そういう考え方はさらさらございません。ただわれわれは、この公聴会要領についていろいろ御批判はあると思いますけれども、とにかくこうして踏み切ったことに、私自体としては、決して自慢するわけじゃございませんが、非常に自信を持っております。  いろいろあれがいかぬ、これがいかぬという意見も、また先生のほうから御提出をいただきました社会党としての御意見も、よく拝読させていただきまして、いろいろ示唆に富んだ考え方を持っておられるということも私よく存じております。私たちは、もちろん住民の御意見というものを決して無視するわけではございません。しかし、現在ある原子炉安全審査会というものにも私は非常な信頼を実はいたしておるわけでございまして、それについて責任は一体どうするかという御質問でございますが、責任は確かに、原子炉安全審査会の答申というものを尊重した原子力委員会にあることは申すまでもございませんので、その点、先生の非常な示唆に富んだ御提言を私よく拝聴いたしておりますけれども、現在のところわれわれは、この「公聴会開催要領」というものをいろいろ検討した結果、これをもって進んでいきたいというふうに考えておるわけでございます。
  23. 原茂

    ○原(茂)委員 これは時間がかかっても改めてもらうように、これから私どもはあらゆる機会にまた努力をします。事態がいろいろ悪い意味で発生すれば、なおさらそれを材料にして反省を促し、急速に改めてもらう、追加をしてもらう、変更してもらうということをあきらめません。いま、当分やりたいとおっしゃるのを認めるわけにいきませんが、とにかく私どもは、あきらめずにこの要求を実現できるまでやっていく、それが正しいと政治家として考えているということを申し上げておきます。  そこで、いま原子力委員会なり安全審査会責任云々というお話がございましたが、私はやはり、この種の行政上の政治責任というものは、それを審査した安全審査会というものにあるんだということにはならないと思うのです。これはもう何といっても国家的な仕事でございますから、当然政府全体の責任ということになりますのが、責任論からいうなら、そういったきわめてきびしい責任を負っていただく、特に国務大臣としては負っていただかなければいけない、こう思います。  その審査会が出ましたので、この間も問題になっておりましたのを、ついでに先に申し上げておきます。  お願いをしておいたのですが、御検討願ったかどうか知りませんが、少なくとも、わが国の原子力行政の三原則というもののたてまえからいっても、必要があれば安全審査会審査の内容が詳細に公表されるようにしなければいけないということを強く申し上げておいて、大臣は、速記をとれという私の要求に対して、できるだけ詳細に、局長は、要項をメモで、そんな手はないというので押し問答をしました末、速記録をとらせるということまでおっしゃっていなかったのですが、私は速記録をとらせるように検討してくだざい、とらすべきではないか、必要があればそれを公開すべきではないかということを申し上げたのですが、その後の御検討の結果、速記録をとることにしたかどうか。これはきっと御存じだと思いますが、アメリカあるいはヨーロッパにおいては、同じこの種の問題の委員会安全審査委員会においては全部速記録を詳細にとっています。決して、大臣がおっしゃったように、欧米の原子力関係の技術者が速記録をとられているからどうも思ったことが言えないなんてばかなことはない。日本学者だって、ここにもおいでになる先生方にしても、おそらく速記をとられているから安全審査に関する技術屋としての十分な意見を言いにくいなんということは、私はないと思う。むしろ責任を負う立場で喜んでおられると思うのですね。速記録はやはりとるべきだと思う。  それをどのようにして公開するか、どんなときに公開するかは、これはまた政府の側あるいはわれわれの立場相違もあるでしょう。しかし、企業の秘密だ何だという点に関してだけどうも公開をはばかるというのですと、これは納得いかない。われわれの立場を始終申し上げてきました。企業の側の秘密なんということを考えているために、きのうのお話ではありませんが、公害はとにかく深刻な問題になってきたわけですから、今後、確かに企業秘密なんということは非公開の理由にはならぬというふうに思っておりますが、これはまた、保守党の政府として性格上の相違もありますから、ことによると、幾らものを言っても現段階では平行線をたどるかもしれません。しかし、かといって、原子力における三原則というものは、もう国が方針としてきめたことであり、天下に宣明したわけでありますから、そういう原則にもとるようなことは、政府責任者であればあるほどにできるはずがないということがある限り、やはり必要に応じて公開をする、その記録は速記でとる、欧米並みにやるということがされなければいけないと思うのです。  要項をメモしておくなんという成田さんのお考えでは、これはとてもじゃありませんが、近代国家とはいえない。だから、近代的な議会制民主主義というものをほんとうにお互いに守る義務があるわけですから、そういう意味からいうならば、議会で議決をし、政府が順守している三原則に基づいたこの種のものが、いつ必要があったときにでも、各学者意見が詳細に提示できるようにする、このことだけは最小限度、前回のペンディングになって御検討おきを願う約束だったのですから、長官からお答えをいただきたい。
  24. 前田佳都男

    前田国務大臣 私、お答えする前に、私より長く原子力委員をやっております武藤委員から、そういう安全審査会の点をよく知っておりますので、先に御説明いたします。
  25. 武藤俊之助

    ○武藤説明員 いまお説のことをよく承りまして、私の感触を申し上げさせていただきます。  安全審査会では厳正中立な立場で自由な討議が行なわれるということが一番望ましく、また、それが客観性を保持するゆえんだろうと思います。そういう意味におきまして、その自由な意思の表示が多少とも干渉の懸念があるということは、できるだけ避けたいという気持ちを持っておるのでございます。そういうことから、たとえば原子力委員会におきましても、安全審査会の中でどのようなことが行なわれ、またどういうふうに進められていくかということに関しては、完全に自主性を持たしておるようなわけでございます。その点をひとつ御了解いただきたいと思います。
  26. 原茂

    ○原(茂)委員 いま武藤さんのおっしゃった、自主性を持たせるということと速記をするということと、いま問題になっておるのはその関連なんです。私は、完全に自主性を持たせるということは、自由な発言を何か阻害をする、自由な考え方に影響を与えることを避けたい、これが自主性の問題、それはよくわかります。学者にそうあってほしい。そのことが速記をとられていると、どうも技術屋が技術の問題を論議するのに自主性をそこなわれるという説明なんですが、速記をとられることがその自主性をそこなわれると言うんなら、大至急にアメリカなりヨーロッパの審査会を実際に日本学者はごらんになるといい。全部速記とってますよ。詳細な速記をとっているのですよ、その場で。これはあれから特に調べたのです。それでわかったのです。正式に回答をもらったのです。おそらく科学技術庁でも調べたかもしれませんが、調べてみたらわかる。こういうことが、欧米の学者は自主性がそこなわれないで、日本学者速記をとると自主性がそこなわれるというのは、どういう違いがあるのでしょう。日本人と欧米の学者との違いを、想像でいいですから言っていただきましょう。
  27. 武藤俊之助

    ○武藤説明員 その懸念があると申しましただけなんでございます。つまり、だれそれがああ言っている、こう言っているというようなことを言われますというと、とかく自由な意思の表現が阻害されがちになることがございますと想像いたします。  たとえば私が一つ仕事を研究する、ちょっと類推をいたしまして、するといたします。そうすると、ある結論に到達するまでに試行錯誤を繰り返すわけでございますね。その途中のことというのは自分として責任はとれないわけです。最後に到達しました結論、それを論文あるいは研究成果の形で出します。それに対しては全面的に責任をとるという形になっているのでございます。  それで、審査会でいろいろ御議論をなさるんだろうと思います。私、実質は知りません。しかし、その席上でいろいろな意見が取りかわされまして、初め、たとえば私が審査員の一人だと想像いたしますと、自分はこう考えると申しましても、またいろいろな人の意見を拝聴しているというと、なるほど自分意見にはここが足らなかった、じゃあ、ここを直そうというようなことが大体行なわれるのだろうと思います。そして最後に結論に到達されたのが、この安全審査会から出される報告だと私は理解しておるのでございます。そういうようなアトモスフィアでございますので、そこへなるたけ外部からの何らかの精神的にも実質的にも干渉の懸念のない、また自由の意思の表現がそこなわれる懸念のないようなアトモスフィアで十分客観的に、しかも厳正中立の立場でやっていただきたいというのが念願でございます。
  28. 原茂

    ○原(茂)委員 どうも抽象論議になってしまっておかしなものですが、いまのお話を聞いていると、日本学者はもやしみたいなものだ。ちょっとでも、そよとも風に当たったんじゃだめだ、欧米の学者は強靱だ、こういう違いが出てくるのですけれども、そんな、確かに試行錯誤する、われわれもそうですが、その経過、プロセスに関して、一々発表されたらたいへんだという心配もあるかもしれませんが、そんなことをおそれるのではなくて、審査会なら審査会が責任を負うべき結論というのは、そのディスカッションの中で出てきた結論、その結論で責任を負うんですからね。その経過で何を言ったかで責任を問われることはないわけですよね。許可すべきだとかすべきではない、かくかくの理由で、こういう結論が出るわけでしょう。その出たときに、その結論に対する責任を負うのが委員責任論なんですよ。その間に何を言ったかによって責任を問われるということはないわけですからね。  私は、武藤さんにも、もちろん言わなくてもおわかりだと思うのですが、原子力の三原則というものが、これは日本の場合、国是ですよ。世界に例を見ないわけです。日本の国是ですから、これをやはりお互いに国民として守る義務があると思うのです。その三原則がある限り、いつでも必要があったら公開ができる準備をする義務がある。それを、要領をメモするなんというものではいけないという立場でものをずっと言ってきているわけですよ。そういうたてまえです。  これは私は武藤さんの良心にかけても、一国民としての義務からいっても、その点は御理解いただけると思うのです。ということになると、必要があれば一体どこが問題になって、どういうことが論議をされたのだろう、そのときに一体どういう経過でその結論が出されたのだろうかということを、やはり日本の学界全体が必要があれば見ることができるようにしなければ、この種の技術の進歩というものはあり得ない。経過は、全然何があっても絶対出さない、詳細にわたって学者に対して、住民に対して知らせることはしないのだ。そうして、権威者といわれる何人かの審査会のメンバーが結論をここに出したら、これに従え、安全なんだ、絶対安全だと言わんばかりの態度で、押し切るのと同じように理解をされてしまうわけです。私はこれは間違いじゃないかと思うのです。やはり三原則のある限り、これは非常に重要な問題なんで、何が何でも私は公開の原則というものだけは基本的にいつでも準備をしておく。欧米は公開するしないは、これは当局の側の厳正な審議の結果公開するしないをやっています。あたりまえの話ですよ。日本の場合はそうはいかない。公開の原則がある。これは確かにおくれた日本原子力技術から言うなら、私は公開の原則というのは、幸いに非常に国民全体の大きな英知というものが集めやすい、いろいろな発言を求めることができる、自然発生的に技術的な意見が出てくる、あるいは住民の側から、おそれているいろいろな予想される問題が提起されてくる。これをやっぱりこなすことによって日本原子力技術というものが、非常におくれてはいるけれども、進歩していくもとになるから、公開の原則というものは、日本にとって私はプラスなんだというふうにすら考えている。  つくったものが安全であることは絶対必要なんですから、しかも安全性審査という点からいくなら、その意見が必要以上に各学者から、各住民から出てくることが好ましい。出てきたものをこなして、まずまずこれでいこうではないかというほんとう意味のコンセンサスができたときに、それが形になってあらわれていくようにすべきなんだ。何か塔に立てこもって、権威者が、政府によって任命されたのだから、これがやっているんだから必配するな、こういうようなことに結果的にいまなっているわけです。そういう原子力行政というものは非常に間違いだし、私は原子力の進歩発達のためにも避くべきだと思うのですね。  したがって、その意味からも、公開の原則というものは非常に大事なんだ。守らなければいけない。いつ公開の必要があっても、詳細にわたって公開ができるように、詳細にわたって再検討ができるように、そのメンバー自身でも再検討ができるように、原子力委員皆さんが、審査会の実際の技術的な討論をやったその足あとを見て、いや、こういう意見もあったじゃないかというようなことが、少なくとも同じ側の核の中にある原子力委員自体が、少なくとも目を通そうとしたときには目が通せるように、最小限度ですよ、そのためにも速記録をとるということだけは絶対やるべきだ。まるでもやしの学者みたいに、何かちょっと変な音がしておるとものが言いにくかったり、試行錯誤しているとたいへんだからというので言いづらくなったり、そんなばかげた——日本学者先生方はそんなものじゃない、欧米の学者と比べて遜色はない。したがって、制度そのものを大胆に変えていったらいい。しかも、何もこれは法律を変えるわけではない。院の議決が必要なわけではない。少なくとも原子力委員長が、とにかく政治家の良心にかけて、速記録をとりなさい、と言ったらそれで終わるわけです。それでものが言えない学者があったら取りかえるよりしようがない。そんな人はいないと確信をします。私はやはりこれは原子力委員長としての政治家の良心の問題だと思うし、そのことは学者自身も、前から申し上げるように、私は、好ましいことだと考えるに違いないと思うのです。何でびくびく、おずおず、わざわざ学者をもやしみたいにしてしまうのか。これは非常におかしい。長官、ひとつ良心にかけて速記をとる。公開のことは別問題、それをいつ利用するかは別問題です。速記録だけはとっておくことが、もう一度審査会のメンバーの諸君が、あのときはああだったがこんな問題が起きた、再検討するときになって、そんな要領のメモ程度でもって済んでいるなんというんだったら、学問の進歩発達に非常に悪影響があると思う。もったいないという観点からも、やはり審査会の速記録はとるべきだと思いますが、いかがですか。
  29. 武藤俊之助

    ○武藤説明員 るるお話を承っておりますと、それなりに私としても理解できます。しかし、先ほど申しましたように、だれがこう言った、だれがこう言ったということに関しては、私はどうもまだちょっと懸念を払拭しきれません。しかし、報告として出されるものは、いまお話のございましたように、どういう理由でどういう検討の結果こうなった、これは私個人としては出すべきだと思います。そうしないと、第三者が判断の資料に使えないわけでございますね。それが当然だろうと思います。
  30. 原茂

    ○原(茂)委員 少し妥協案を出すようですか、それなら原だとか武藤だとか前田という名前を速記録に出さないで、ABCでもいいですよ、暫定的に。どうしても学者先生がいやがるとおっしゃるなら。そんなもやし学者だったらしようがないから、ABCでも私はいいと思う。いいじゃないですか。記録だけは、技術屋が、こういう過程でこういう結論が出たということを再検討できるように、詳細にわたってとっておくことがどうしても必要だ。これはあとになってごらんなさい、必ず必要ですから。民間の企業を経営するのに、少なくとも技術屋の、ほんとうにむずかしい技術の討議に関しては、十分過ぎるほどの速記を最近はとるようになっています。どんどんテープレコーダーでとりまして、あとみんな記録に残しています。これは責任を問うためじゃない。後の学者、研究者のためなんです。おそらく、原子力のような重要な問題に関して、あとになって、原のやつああ言ったけれども、やはり速記録をとるべきだという時期が来ると私は思うのですよ。そのために言うのじゃない。日本のこの種の学術の進歩発展のためにも、同じ審査会のメンバーが、次の代になったときでも再検討できるように、これは一度建設が終わってもいろいろ生きていくわけですから、生きていく中で不測の事態が起きることを予想しなければいけないのですから、長いのですからね。先生方は、いまの審査会の先生がずっと、原子力のある限り、発電所のある限りやっているわけにはいかないのですから、再検討が十分できるように、名前がいやだったらABCでもいいじゃないですか。どうでしょう。
  31. 武藤俊之助

    ○武藤説明員 御意見よくわかりました。ただABCでつけましても、大体わかってしまうんですね、実際問題といたしまして。ただ、この点は非常に傾聴に値すると思います。確かに、委員の方々がおかわりになっても、前にやった審査の過程でございますね、どうしてそういうふうな結論に至ったのか、こういうものは当然残しておくべきものだと私個人は考えます。
  32. 原茂

    ○原(茂)委員 個人は考えるんなら、それを実行するかしないか、させるかどうかも、前田長官もひとつ……。
  33. 前田佳都男

    前田国務大臣 公開の原則はどうしても絶対守らなくちゃいけない原則であるということは、原先生御指摘のとおりでございます。また、討議の内容について、その討議の内容を記録しておくという必要性についても、原先生御指摘のとおりでございます。それが速記という形式で、そういう姿でそれを事こまかに記録をすべきであるか、それとも、その審議の経過が要点がわかりますように記録すべきであるかという、おそらくその方法の違いに議論が分かれておると私は思うのでございます。その点につきましては、先生が先ほどもやしのような学者とおっしゃいましたが、もやしか何か知りませんけれども、やはり心理的な影響というものを相当受ける場合が、具体的なケースで過去においてもあったようでございます。それで、実はある会合の席上で相当な追及をされて、いろいろな圧迫を受けたというふうなことも聞いておりまして、そういう点もこれあり、直ちに速記いたしますというお答えは実はいたしませんけれども先生の御趣旨はよくわかっておりますから、速記に負けぬように、その討議の内容というふうなものをよくわかるようにわれわれは記録したいというふうに考えております。その辺で御了承いただきたいと思います。
  34. 原茂

    ○原(茂)委員 了承はしませんけれども、これだけに終始するわけにいきませんから、前段申し上げたように、しつこくわれわれの意思が実現できるまで、こっちのほうからお願いをこれからもずっとやります。  いまのお話の、少し何とかしようという、どうしたらいいかわかってないようですが、もう一度要所だけ言っておきますと、公開の原則がある。原子炉そのものはこれから生きて動いていく。問題の発生があるかもしれない。長い間にわたって生きていくわけです。審査会のメンバーはかわっている。問題が起きたときに、一体どういう先輩たちの論議の結果これが安全だと決定をされたのかということを、技術者が検討をするのだけ考えても、私は詳細な速記がなければいけないと思う。これは学問の進歩発達のためにもやるべきだ。特に原子炉に関する安全審査の問題を要領ですっ飛ばして書くような、そんな簡単なものじゃない。非常に緻密な、私などしろうとで全然わかりませんが、いろいろなデータを見せてもらっただけでも、読めないぐらいむずかしいいろいろ計算方式を論じているわけです。したがって、そういうようなことを詳細にわたって記録があって、それを、あとの検討を行なって、なるほどこういう結果でこうなったのか、しかし、この意見とこの意見のかみ合わせのここに問題があったんだ、で、現在に至ってこういう事故が起きたんだというようなことが究明されるということは、何といっても原子力発達のために必要なものです。その意味で、絶対に私は速記録が必要だという立場ですから、何らかの方法をお考え願えるかもしれませんが、これは期待を申し上げて、機会あるごとに、またどうなっていますかとお伺いをし、事故があればあるで、もちろん即時やっていただくように、とにかくこれはこっちが陳情ですね、お願いをする、どんどんやりますということで、私ども意見だけをお聞きおきをいただきます。  資料は来たんですね。井上委員のお待ちになっている資料が参りましたので、あと公聴会問題は次の機会に、これも前回の約束ですから、いま少し入り始めたのですが、譲らしていただきまして、はなはだ残念ですが、速記録問題でほとんど時間を消費しましたが、十分私の意思をくみ取っていただくようにお願いをして、一応終わります。
  35. 石野久男

  36. 井上普方

    井上(普)委員 いま、この紙二枚いただいたのですが、これが全部でございますか。私の要求した全部とお考えになっておられるのですか。どうなんです。
  37. 成田壽治

    成田政府委員 先生から要求のありました資料は、この議事要旨安全審査会報告書との、四国の伊方発電所に関する違いが一点で、それがこの資料でございます。  それからもう一つ、伊方発電所に関する原子力委員会の月報の記載ミスがいろいろありまして、その辺の経緯を書いたものをいま作成中でございますが、その二つのうちの一つだと思います。
  38. 井上普方

    井上(普)委員 大臣、これは私は、会議の持ち方について非常に問題があると思う。これは武藤さん、あなたもお聞きになっていただきたい。こうやってわれわれはここで速記をとっているのです。そしてしゃべった。発言して要求し、出しますとおっしゃったことが実現できていないのです。  大臣、あのときの質問は、速記録はとっておりますかと申しましたら、とっておりませんとおっしゃった。それでは、速記録もとっておらぬ、議事の内容についてもメモもとっておりませんと言うので、私がこの議事要旨をと言いますと、そうしますと、私のほうはメモをとっておりますと、こうおっしゃった。それじゃそのメモを全部出していただきたい、こう申したら、あなたのほうは、よろしゅうございます、出しますと、こう申された。速記を見ていただいたら、よろしい。人間の記憶というのはこれだけ——あるいは意識的にごまかそうとしているのかもしれません、役所のほうが。これは何です。その当時の議事のメモですか、これで。国会を、何といいますか、この委員会をないがしろにしている態度としか思えません。これが原子力委員会のいままでの態度ではないか、国民に対する態度ではないかということを私は強く指摘し、非難したいと思うのであります。  大臣、どうです。この二枚で、私が先般要求しただけの資料とお考えになっていますか、どうですか。
  39. 前田佳都男

    前田国務大臣 井上先生からたいへんきびしいおしかりを受けましたが、私たちは決して井上先生並びに科学技術特別委員会をないがしろにするなんて毛頭考えておりません。ただ、この出した資料を私は実はちょっと、まだ詳しく拝見してないのです。これが先生の御指摘にこたえて出したものだと私は思っているのですが、いまにわかにそのお答えはできないのであります。
  40. 井上普方

    井上(普)委員 こういうような要旨で、これを見てごらんなさい。伊方部会議事要旨審査会報告につけ加えたい、これは何です。私が、あなた方が、メモを持っておる、そのメモのコピーを出せ、全部出せということを強く要求している。あなた方もお出しになると言っていた、これは何ですか。何ですか、これは。
  41. 成田壽治

    成田政府委員 あるいは私の記憶違いだったかもしれませんが、安全審査会は議事録が、従来言っておりますようにないのであります。ただ、出ている担当者がメモをとったりしておりまして、今度これが国会の要求がありまして、担当者のメモでまとめたのがこの議事要旨になっているわけであります。その担当者のメモを出すということを、私たちはここで約束したとは思っておらないのであります。
  42. 井上普方

    井上(普)委員 冗談言っては困る。委員長からわざわざ、それを出せますね、メモを出せますね、とおっしゃり、私は、それを電子コピーにとまで申したのですよ。電子コピーでとればすぐそのまま出てくるのだから、そのままをいただきたいということをここで念を押してあるのです。一体、あなた方は何を聞いているのです。このような態度が、現在の科学技術庁並びに原子力委員会に対する国民の不信を招いておるのであります。また、私も不信を抱かざるを得ないのであります。  先ほど来議事録の問題について話をされておりました。質問をしておりました。こういう立場からいたしましても、私自身、原子力委員会を信頼することができない。ましていわんや、一般国民は信頼を置かず、置けないのは当然であると私は思います。  大臣、いまも、担当者がメモをとったりしたものをと、こうおっしゃるのであります。このことばは、特にここでは科学技術を扱うところでございますので、大事に使いましょう。局長、大事に使いましょう。メモをとったりしたものがありますという話じゃございませんでした、先般は。担当者がメモをとっております、それが議事要旨でございますとおっしゃったのだ、あなたは。それに抜けておるから、それを出しなさい、そのまま出しなさい、一行も書き変えてはなりませんよ、そのとおりお出しなさい、出します、というお話で先般は終わっておるのです。これは何です。このような態度原子力委員会態度が、あらゆる面でともかく問題になってきておるのであります。住民原子力委員会のおっしゃることに対しまして信用しないのは当然であります。武藤先生、いまおっしゃられましたけれども、議事録をとれば学者が自由な発言ができないというようなお話がありましたけれども、それ以前の問題として、議事録をとっておるこの現状においても、原子力委員会の発言が正確に反応しないところに、国会をごまかそうとするところに、問題の重要さもあると思うのであります。少なくとも真理を追求し、日本科学技術の進歩をはかろうとする学者先生方は、少なくとも自分責任をおとりになる、十分発言を天下に知らせることこそ私は必要ではないか。役所であると同時に、学者の良心にかけてやるためにも、私は、議事録は、先ほど原さんから要求があった議事録は、とるべきであると私は思うのであります。  いずれにいたしましても、委員長要求いたしました資料が出てまいりません。このような科学技術庁事務当局態度に対しまして、私は大いなる不満と憤りを感じます。私は、この問題について正確なものが出てくるまで質問を保留さしていただきます。
  43. 石野久男

    石野委員長 委員長から一言当局に要請したいのですが、いま井上委員は、資料が出るまでは質問を保留すると言いました。本委員会は、御承知のように今国会では審議すべき法案を持っておりません。国会運営の立場からすれば、この委員会がどういうような形で議事が進もうとも、政府が提出した法案には一向に支障を来たさないという安易感が政府当局にあるのかもしれませんけれども、これは非常にまずいと思うのです、国会運営の上からいきまして。資料は、やはり要求されたものは出すべきだと思いますから、早急にひとつ資料は出してほしい。  それからいま一つ井上委員質問を中止しているということは、一にかかって現地における発電所設置についての安全審査に対する不信からきているのでありますから、この問題の解明されるまでは、できるだけ原子力委員会は現地の発電所設置に対する問題についても十分な配慮をすべきだ、むやみに工事などの進行をするということはまずいんじゃないかというように考えもいたします。  そういう配慮からも、資料をひとつ早く出して、国会における不信は、同時に現地民の不信を代表しているものでございますので、そういう点を意図して、ひとつ政府のほうで十分井上委員の要請にこたえられるように資料提出をしていただきたい。このことを委員長から特に要請しておきます。
  44. 前田佳都男

    前田国務大臣 ちょっと私、お答えいたします。  提出法案がないから特にこの委員会に安易感を持って臨んでおるということは全然ございませんので、その点ひとつ御了承をいただきたいと思います。  それから、その資料の点につきましては、政府委員からちょっと補足して説明をいたしたいと思います。
  45. 成田壽治

    成田政府委員 この議事要旨は担当者のプライベートメモでありまして、そのメモでまとめてこれをつくったのでありますが、これ自体も審査会の確認を得ておらないのでありまして、担当者のメモという形でここへ提出する次第のものでもないし、また前回も、あるいは勘違いがあって申しわけないのでありますが、担当者のメモをそのまま出すという約束はしてないというふうに了解して、非常に申しわけないのでありますが、そこに手違いの原因があったのではないかと思います。
  46. 井上普方

    井上(普)委員 あなた方、議事録を調べなさい。あなた方は、担当者のメモがあります、それを出しますとお約束しているのです。それを、いまになって何です。大臣はいま釈明されましたけれども、このような安易な態度でやられておることに対しまして、私は大いなる不満を持ちます。同時に、私は問題にいたします。伊方原子力発電所安全性についても、このような科学技術庁、原子力委員会態度一つを見ましても、安全性自信のないゆえんであると思います。これを私は天下に公表すると同時に、これから地元において一大反対運動をやります。原子力委員会のこの態度をもって、いかに自信がないかがよくわかると思うのです。これを天下に公表すると同時に、われわれもこれから国民とともに進むことを宣言いたしまして、私の質問を打ち切ります。
  47. 石野久男

    石野委員長 次に、山原健二郎君。
  48. 山原健二郎

    ○山原委員 私も、ただいま井上先生が言われました問題につきまして非常に不満を持っております。こういう一片の項目メモをいただいただけでございますが、伊方原発の問題につきましても、前にも数回取り上げましたけれども、今度異議申し立てが出されまして、五月三十一日にそれに対する決定書が出ております。この決定書の中を貫くものは、最高の学者をもって構成しておるんだから心配はないんだという思想がもう至るところに出ているわけですね。住民はそういう要求はしていないと思うのです。もう少し科学的に判断をしてほしいということで、反対運動あるいは異議申し立てが行なわれているわけでございまして、その点についても、井上先生の言われた資料が出るまで、私も質問ができるのかどうかちょっと心配しながらここに立っておるわけですが、それはあと質問をいたしたいと思います。  最初に、今回横浜市の市長さんから出されました使用済み核燃料の積み出しについて、横浜港は使わせぬという問題が提起をされております。当局に聞きますと、市長さんはまだ当局のほうへは直接お見えになっていないということでございますけれども、新聞その他で見る限りにおきましては、当然の要請として出されているのではなかろうか。核燃料の運搬あるいは使用済み核燃料の積み出し、運搬というものがどういう形になっておるのか、この点について聞いていきたいと思います。  まず最初に、今度の横浜市の市長のこの発表につきまして、どういう見解をとっておられるのか伺っておきたいのであります。
  49. 成田壽治

    成田政府委員 横浜市長の、使用済み燃料の輸送についての六月四日の記者会見、これはまだ正式に長官にも申し入れが来ておりませんし、文書も来ておりませんので、正確な情報はわからないのでありますが、新聞等で伝えられるところを見ますと、市長は、次のような理由から、横浜市における使用済み燃料及びこれに関連する機器等の輸送のための岸壁の使用許可、それから特殊車両通行許可、これは市長の権限になっておりますので、これは打ち切る、今回はいいが、今後はやらない、そういう結論を出しております。  その理由としましては、横浜市における船舶あるいは道路交通のふくそうが非常に極限に近づいておるので、住民の不安が深まっておるということが一つ。それから、使用済み燃料の輸送容器やその運搬に関連する基準は科学技術庁の内規にすぎなくて、政府責任をもって安全基準を守るということがまだ法制化されておらない、そういう政府の姿勢が非常に不十分であるということ。それから、十分な安全性が確保された場合には原子力平和利用には反対しないけれども、過密市街地や商業港を利用するのは適当でない、こういう見解に基づいて、今後横浜港で使用済み燃料を外国へ輸送するのは断わるというような内容になっております。  これに関連しまして、現在使用済み燃料の輸送がどういうふうになっておるかという点を簡単に申し上げますと、電力会社等から委託を受けた輸送業者が道路等で輸送する場合は、昭和三十三年の運輸省令第十六号、放射性物質車両運搬規則、この法令によって規制されておるのであります。これは道路運搬の場合であります。それから海上運送あるいは航空運送の場合は、船舶安全法なり航空法によって規制されております。  それで、科学技術庁としましては、使用済み燃料の輸送容器いわゆるキャスクといわれておりますが、この安全審査を、核燃料物質輸送容器の安全審査基準、これは昭和四十三年五月の原子力委員会で御了承を得た基準でありますが、これを公表して——これは専門部会で、専門家が集まって輸送容器の基準をいろいろ検討した結果できた安全審査基準であります。これによりましてそのつど安全であるかないか検討して、安全である場合はその旨の証明書を輸送容器の使用者に出しておるのであります。これは、使用済み燃料を受け入れる国あるいは途中通過する国が、輸出先の日本政府の安全であるという証明がないとなかなか受け入れないというたてまえになっておりますので、そういう基準をつくって証明を行なっておるのであります。  この審査基準というのは、専門家が専門部会をつくって検討した結果でありますが、内容は一九六七年のIAEA、国際原子力機関の放射性物質安全輸送規則、こういう国際的な基準、勧告が出まして、これを参考として、専門部会をつくって、そして四十三年五月に原子力委員会の了承を得たものであります。このIAEAの基準は一九七二年、去年改定になっておりますが、これは使用済み燃料輸送容器に関する内容については、むしろ規制が緩和されたというかっこうの内容になっておりまして、いまの安全基準でやっても安全上は問題ないというふうに考えておりますが、いろいろな改定個所がありますので、現在原子力局に放射性物質輸送検討会をつくって、このIAEAの改定に関しての審査基準の見直しをやっております。  ただ、使用済み燃料の輸送に関してはむしろ緩和された形のものになっておるので、現在の審査基準で問題ないというふうに考えております。したがいまして、横浜市長の今後は認めないという考え方、港なり周辺の道路が非常に錯綜している、だから認めない、そういう事情についてはわれわれは別に反論できないのであります。ただ、安全性について十分でないというような理由も、先ほど申し上げましたようにあったようでありますが、科学技術庁に関する限り、輸送容器の安全基準に関する限り、専門部会で十分検討し、国際的な基準を参考にして検討した結果によってやっておりますので、輸送容器の安全性に関しては、市長さんが言われるような不安はない。したがってその点は、今後機会がありましたら十分説明してまいりたいというふうに考えております。
  50. 山原健二郎

    ○山原委員 横浜市長の発表は六月四日になされておるわけですね。そして新聞記事によりますと、あと三、四日すれば正式の通告を政府に対してしたい、こういう要請でございますから、六月四日から、きょうは七日でございますから、まだそう日数はたっていないので通告は来ていないと思いますが、この今回の発表に対しまして、科学技術庁としては、何か会議を持たれて、それに対する、横浜市長に対する回答といいますか、どういう態度をとるというようなことについてはお話し合いになっておりますか。
  51. 成田壽治

    成田政府委員 こういう新聞情報がありまして、われわれも使用済み燃料、これは外国に持っていかないと、いまのところ再処理工場——まだ東海の再処理工場は五十年でないと動きませんので、非常に重要な問題で、われわれも局内でいろいろ検討会をやって、どうやってやっていくかという点を検討しております。  考え方といたしましては、私が先ほど言いましたように、横浜港内の混乱、錯綜という問題はわれわれの問題ではありませんのですが、運輸省ともよくこの問題については相談してみたいと思います。安全性につきましては、市長かあるいは事務局の人が近く来ると言っておりますので、これも新聞情報でございますが、来た際には、十分先ほどの事情を解明して、安全性については問題ないという点を十分わかってもらって、今後対処していきたいというふうに考えております。
  52. 山原健二郎

    ○山原委員 いま言われました一九七二年度のIAEAの放射性物質安全輸送規則、勧告ですね、これには使用済みの核燃料については緩和されておるというお話がありましたが、新しいいわゆる使用済みでない核燃料ですね、これについてはいままでの一九六七年の報告とどうなっていますか。
  53. 成田壽治

    成田政府委員 一九七二年の改定によりますと、使用済み燃料につきましては緩和されたかっこうになっております。これはいろいろな最大放射線線量の定義だとか、あるいは放射能強度の表現の方法、非常に現実的に、しかも緩和されたかっこうになっております。  それから新しい燃料等については、いろいろな強化という点もあるのかもしれませんが、いろいろ検討しております。ただ、新しい燃料については、使用済み燃料のように放射性の問題はほとんど問題ない。むしろ取り扱いの問題とかそういうところに大きな問題があるのじゃないだろうか。放射性の問題があるのは使用済み燃料がこれが一番、そのために十分安全なキャスク等を要請されておりまして、新燃料については新基準で、いろいろな取り扱いの新しい点もありますが、これはむしろ放射性の問題としては、使用済み燃料に比べますとそれほど大きな問題はないというふうに考えております。
  54. 山原健二郎

    ○山原委員 この横浜市長の横浜港を使わせぬという通告が来ましたときには、皆さんはどうされるのですか。そういう通告が来たときにはどうされるのですか。
  55. 成田壽治

    成田政府委員 先ほど言いましたように、安全性について十分説明して、まあ非常に混乱してない、港に余裕がある場合とか、そういう場所と時をはかって、そしてできるだけ従来どおり横浜港からやってもらいたいと思っております。  ただ、どうしてもいかぬという場合には、これはまたほかの港あるいはほかの輸送方法等も考えなくちゃいけないのでありますが、いまのところは、安全性について十分解明して、そして横浜埠頭あるいはその周辺の道路の混んでない道を選んで使わせてもらうように交渉したいと思っております。
  56. 山原健二郎

    ○山原委員 この核燃料の日本へ入ってくる場合、それから使用済みの核燃料の搬出というのは、全体としてはどうなっているのですか。さっぱり私どもにはわからないので、今度の横浜港の問題を契機にして、大体搬入の場合にどこの港が使われており、それから使用済みの燃料がどこから搬出されているか、これは運輸省のほうになりますか、伺っておきたいのです。
  57. 国部淳

    ○国部説明員 ただいまの使用済み核燃料の輸送実績を申し上げますと、四十四年以降から四十八年の六月ただいままで、日本船での輸送は六件でございます。それから外国船での輸送は十三件で、合計十九隻でございますが、その内訳を申し上げますと、横浜から出ていきましたのが六隻、それから日立から出ていきましたのが七隻、それから敦賀から出ていきましたのが一隻、それから入ってきましたのは、横浜へ全部入ってきているわけですが、これは五隻でございます。
  58. 山原健二郎

    ○山原委員 昨年度神戸港で、この核燃料搬入問題についての問題が起こりまして、神戸港に大量の核燃料が入ってきたという状態、しかもそれを港湾管理者である市長も港湾管理局長も知らないという事件が起こっておりますが、知っておりますか。
  59. 国部淳

    ○国部説明員 私、聞いておりません。
  60. 山原健二郎

    ○山原委員 ただいまの答弁では、横浜から搬出をしておる、それが六隻というふうなお話がありましたけれども、そういうところに私は問題があると思うのです。  最近のできごとでありますけれども、神戸港で関西電力高浜発電所用の核燃料の輸送について調査をいたしました。そうしますと、品名は核燃料集合体、低濃縮二酸化ウランでございますが、荷主が、出荷ウエスチングハウス・エレクトリック社、荷受けが関西電力株式会社、輸入扱い商社が三菱商事株式会社、荷役業者が日新運輸倉庫、輸送業者が上組株式会社、そして運んでまいりました船の名前は一万一千トンのエクスポート・コマース、入港は本年五月三十日、数日前ですね。そして、これが荷役後、神戸港から阪神高速道路、名神高速道路、彦根、国道八号線、国道二十七号線、高浜発電所、これは御承知の福井県大飯郡高浜町でありますが、この間二百八十キロを六時間をかけまして六台のトレーラー、予備車、レッカー車、指揮車、パトカーなど十数台の隊列を組んで高浜へ送られているわけです。積み出し港はアメリカのジョージア州のサバンナ港でございます。この事実知っていますか。
  61. 国部淳

    ○国部説明員 使用済み核燃料を船舶により輸送する場合には、船舶安全法に基づきます危険物船舶運送及び貯蔵規則によりまして、一船一船運輸大臣の指示を受けるとともに、実際に積む場合には、船積み地を管轄する海運局長あるいは海事検定協会の検査を受けておるわけでございますけれども、新しい燃料を入れてくる場合には、やはり危険物船舶運送及び貯蔵規則によるわけでございますけれども、所有者に対して包装なり、容器なりあるいは標札なりというものについて規制をいたしておるわけでございまして、私どものほうに届けてくるようなことはございませんので、その辺のことをつかみかねておるわけでございます。
  62. 山原健二郎

    ○山原委員 では、新しい核燃料の日本に入ってくる分についてはどこでわかるのですか。その運搬あるいはその他取り扱い、あるいは監視体制というものは全く必要ないというお考えですか。
  63. 成田壽治

    成田政府委員 新燃料の入ってくる場合は、港湾管理しているたとえば神戸市港湾局あるいは横浜市港湾局等が十分タッチして当たっておるのでございます。五月三十一日に、問題になりました関西電力の高浜原子炉の初装荷用の燃料、これは一部反対があっていろいろ問題があったようでありますが、その場合も市の職員が立ち会って測定をして、危険がないということを確認して処理されたというふうに聞いております。したがいまして、港湾を管理している市当局等が十分把握して処理していると思います。
  64. 山原健二郎

    ○山原委員 市の職員が立ち会った程度で問題があるとかないとかいうことの判定を下して、しかも、これは横浜港の場合、市長さんが心配されておると同じように、これは名神高速道路と、全く自動車の最も錯綜する地帯を運ぶわけでございますから、その程度の認識でよろしいのかどうか。今後も原子力発電所が至るところにつくられようとしておるこの現状において、この搬出、搬入の問題あるいは運送の問題、これは重大な問題だと私は思っているのですが、そういう全く無防備な体制でいいのかということなんです。これはどこかに欠陥があるのじゃないですか。
  65. 成田壽治

    成田政府委員 新燃料の場合は、先ほど申し上げましたように、放射性の問題はほとんどないのでありまして、むしろ非常に大きなものでありますので、道路運送上のいろいろな問題が問題としては出てくると思います。これは運輸省の車両運搬規則、道路法等の関係の問題として運輸省が十分管理して、地方公共団体等にもやってもらうと思いますが、そういう形で安全を期するたてまえになっております。
  66. 山原健二郎

    ○山原委員 それ以上、私はいま新しい問題として指摘しているわけで、しかも港湾管理者も知らないということですね。こういう状態で一業者、荷受け業者あるいは運送業者にまかす、これはたまたま今度市の管理者ですか、市の職員が立ち会ったのは、問題になったから立ち会ったんですね。いままではほとんど知らないままにきている。また政府も、新しい核燃料の搬入の分については、どこの港に入っているかも全然わからぬというような状態、しかもそれでたくさんの原子力発電所が次から次へ計画されておるという状態ですね。これはこのままでほうっておいていいのか。神戸の場合も、今回の輸送は関西電力高浜原子力発電所の初期燃料なんです。五月三十一日が第一船、これを皮切りにして七回にわたり九月まで運ばれる計画があります。第二船はエキスポート・バーナー号、これは六月七日に、本日神戸港に入港する予定になっております。これらのことが、どこも管理もできなければ、全く業者まかせという状態でいいのか。これは長官に伺いたいのですが、実際に、放射性物質車両運搬規則というのが先ほど出されましたようにありますけれども、これでいいんですか。
  67. 成田壽治

    成田政府委員 高浜の燃料が五月三十一日初回でありまして、七回ほど入って、第二回目が六月八日という、あしたですか、そういうことも聞いております。これは港湾管理者の許可を得てそのつど搬入し、また輸入等の貿易管理上の、あるいは税関等の手続も十分とられておりますので、われわれは輸入なりあるいは港湾管理の面では十分な体制にあると思います。ただ陸上輸送については、これは運輸省の体系で処理しておりますので、これも非常に整備された安全管理の体系になっておりますので問題ないと思いますが、ただわれわれも、今後こういう燃料が、非常にふくそうしておる神戸、横浜等に入ってくるという事態、さらに十分実態をつかんで運輸省なり港湾管理者とも十分連絡をとって、安全に安全を期してやっていくべきだというふうに考えます。
  68. 山原健二郎

    ○山原委員 市の当局に聞きますと、いままでについては全くどこからも連絡がないということです。そして日新運輸倉庫ですか、これは入港届けだけ港湾法で出しているわけで、一般貨物、危険物の輸送と全く同じ状態ですね。いま原子力安全性についての国民的な感情というようなものは否定できないものがあるわけでしょう。だから安全性の問題についてこの委員会でもしばしば問題が提起されておる状態でございます。そういう中で、全くだれも知らないという状態で大量の核燃料が列を連ねて高速道路を走るというこの状態、これは異常な状態だと私は思うのです。そういう意味では、ほんとう安全性の確認とか、それから輸送体制の公開、こういうことが行なわれなければならぬのではないかというふうに思うわけです。ところが、管理者も知らないということでございます。  これは運輸省のほうにも伺いたいのですが、いま横浜の市長さんの出されておりますのは、錯綜する港湾、横浜港の問題として提起されておりますけれども、陸上輸送の面について一体、何も規制もなしに、ただ一般の危険物程度の輸送でいいのかということ、その辺検討されたことがあるのかどうかです。
  69. 飯塚良政

    ○飯塚説明員 使用済み核燃料の輸送の安全関係につきましては、御承知のように放射性物質車両運搬規則と申します運輸省令で現在規制をして、運送業者の申請があった場合には、容器あるいは包装の基準とか、あるいは積載方法、あるいは混載の制限、あるいは運搬標識、あるいは包装の標札等を規制いたしましてチェックをしております。そうして、その上通達によりまして、荷送り人あるいは荷受け人の氏名、名称、住所とか、あるいは運搬実施者の氏名だとか、その人数だとか、あるいは放射性物質の化学的な状況あるいは物理的な状況、容器あるいは包装の構造、あるいは運搬する車両の概要、それから、従事する運送事業者の従事員に対する教育訓練内容、あるいは運搬要領、あるいは荷役作業の要領等をチェックをして許可をしているところでございます。
  70. 山原健二郎

    ○山原委員 では、この輸送業者というのは日本に現在どのくらいありますか。
  71. 飯塚良政

    ○飯塚説明員 数は、これは専門的なものでございますので、総計幾つというのは現在のところわかりかねますけれども、たとえば日通だとか、あるいは上組だとか千代田保安用品とか、そういうふうな会社が現在のところ統計の上では出ております。
  72. 山原健二郎

    ○山原委員 申請があった場合にチェックするという体制ですね。申請がない場合にはこれはどうにもならぬという無防備状態ですか。
  73. 飯塚良政

    ○飯塚説明員 使用済み核燃料の場合には、全部申請をしなければならないようになりますので、現在のところでは申請をしていることと思います。
  74. 山原健二郎

    ○山原委員 全くたよりない話で、と思います、というような状態ですね。これはやはり、核燃料、原子力安全性の問題、あるいは自主、民主、公開という原則から申しまして、精密な態度をとるのが当然の措置だと私は思うのですよ。しかも、先ほども言いましたように、方々にどんどん原子力発電所ができるということの方針でございますから、日本へどこから入ってきて、どの業者が運送しているのか、あるいはそれに対して、実際業者の中には免許状——どういう免許状か私もよくわかりませんが、免許状を持ったものがおるわけですね。あっさりいえば、運送業者まかせというのが今日の状態です。使用済みについても、いまのお話によりますと、これは必ずしも、全く正確な監視が行なわれておるとは思えないのです。使用済みと使用済みでない新しいものとの違いというのはどこで判別をするわけですか、この輸送上の問題としては。法律上はどういうふうになるわけですか。
  75. 成田壽治

    成田政府委員 使用済み燃料であるか新燃料であるか、これは当然大きな違いがありまして、それは当然わかるわけであります。それから使用済み燃料については、放射性の、キュリー数が高いといいますか、そういう安全の問題が非常に大きな問題でありますので、外に対して放射能を許容量以下に押えるために十分安全なキャスク、運搬容器の基準をつくって守らせておるわけであります。  新燃料については、先ほど言いましたように、放射性の問題はなくて輸送上のいろいろな問題がむしろ大きな問題ということでありまして、これは取り扱いが整然とわかって、取り扱いも違った取り扱いになっております。  それで使用済み燃料については、われわれはたとえば原研とかあるいは京都大学等の研究炉、あるいは敦賀、東海等の発電炉について、今度英国へ送るとかアメリカへ送るという計画は事前に十分聞いておりまして、実態も十分把握して安全が確保されるように指導しておるわけであります。
  76. 山原健二郎

    ○山原委員 それは輸送上法律では違いをつくっているわけですね。使用済みの核燃料輸送の場合の省令の違い、あるいは新しい核燃料の運搬の場合ですね、それが一つと、もう一つは、東海村からどういう経路を通って横浜へ行っておるのですか。それから京都大学の場合はどういう経路を通って横浜へ送られてきているのですか。陸上輸送の場合はどうなっているのですか。
  77. 成田壽治

    成田政府委員 法律上の問題としては、新燃料の場合も使用済み燃料の場合も、放射性物質車両運搬規則、運輸省令の対象になると思いますが、ただ、先ほど言いましたように、輸送用キャスクの安全基準が非常に違って、片一方は非常に厳重に安全を要請しておりますので、したがって、同じ法律でありましても取り扱いが非常に違ってまいると思います。  それから東海から横浜へ来る場合は、これは道路管理者である県等に連絡をして、茨城県から陸送で横浜港へ来るわけであります。  それから京大の場合は、これは従来とも、横浜港へ九回にわたって熊取——京大は熊取にありまして、これがトレーラーあるいは一部鉄道を使った場合もあるようでありますが、横浜の埠頭へ運ばれ、九回ほど運ばれております。  以上でございます。
  78. 山原健二郎

    ○山原委員 これは千万たよりないお話で、使用済みの場合、東海村から、東京都をおそらく通っていると思うのですが、横浜へ持っていかれる。しかもそれは新しい核燃料よりは危険性を持っておる。それから京都大学といえば、京都ですからね、京都からどこを運ぶのか知りませんが、規制がないんですよ。だから一つの法律で核燃料と使用済みのものとを区別してやるというのは、指導上の問題だけでございますね。したがって、法律、省令的に見たならば、確かに不備があるのじゃないですか。しかも、先ほど言ったように、原子力の大型発展を期しておる政府考え方として、不備があるのじゃないですか。しかも、横浜港における問題は、たまたま市長さんの今度の発表から問題になりましたけれども、では、東京都のどこを通っておるのか、全く私たちは知りませんけれども、そういうものについてのもう少しきちんとしたものはないのですか。全くいまの成田局長のお話によりましても千万たよりない。単なる東海村あるいは京都大学に対する指導が行なわれておるだけで、その間の長距離の——京都の場合は幾つもの県を通るわけでしょう。しかも、おそらく国道一号線も通ると思うのですけれども、そういう場合の規制というものは全くなしにやられておるのですか。事故が起こったらどうなるのですか。
  79. 飯塚良政

    ○飯塚説明員 いま手元に、日本通運株式会社が、京都大学の原子炉の実験所から横浜まで送付するという申請書がございますけれども、この申請書では運搬経路等は全部記載をしていただきまして、それをチェックして、そして認可をしております。  この申請書を見ますと、京都大学の原子炉実験所というのは、大阪府泉南郡熊取町というところにございますが、ここから百済駅まではトレーラー輸送でございまして、そして百済駅から東横浜駅まで国鉄の貨車輸送になります。そして、東横浜駅から横浜港まではトレーラー輸送というふうなことで、運搬経路はそのつどとって提出をしていただきまして、そしてそれをチェックをして認可をしているという状況でございます。
  80. 山原健二郎

    ○山原委員 チェックをするということはいいわけですけれども、積みかえもやるわけですね。トレーラーで行って、貨車に積みかえるというような操作も行なわれるわけですね。神戸港の場合に、高浜へ行くのは、夜間に相当のスピードで、パトカーをつけて突っ走っているのです。それも今度初めてそれが行なわれているわけで、いままではこれもわかりません。ただ、これは新しい核燃料だから危険性がないからいいのだというお話であれば、何をか言わんやでありますけれども、使用済みのものまで業者が申請してチェックするといったところで、おそらく監視員もついてはいないだろうと思いますし、本省においてこの道路を通るのだなということが検討されて、あるいはそれに警察当局のパトカーをつけろとかいう程度のことが行なわれているだけだろうと私は思うのです。実際にこの安全性の問題を考えましたならば、この体制では不備だ。どう考えても不備なんです。だから、この省令、大体火薬類は、法律行為で火薬類の運搬についての厳重な規制があるわけですね。むしろそれより、火薬類も危険ではありますけれども、放射線あるいは原子力に対する安全性についての国民的な合意にはまだ達していない今日の状態ですね。そして、原子力発電所が来るといえば至るところで紛争が起こる、そういう状態。しかし政府のほうは、安全だ安全だ、こう言うわけです。しかし、住民のほうにはそれに対する不安が依然としてあるという状態。その住民のどまん中を使用済み核燃料が横浜へ向かって通る。しかもその積みかえが行なわれる。全くそこの場合はまさに業者まかせの野放し状態でございます。だから私は、この点でははっきり政府として体制を立て直す、きちんとした法律並びに省令の改正を行なって、そういうことについての輸送上の安全あるいは搬入状態の点検、そういうことをやるべきである、こういうふうに考えるわけです。  横浜市長に対する回答はともかくあとから出ると思いますが、それはそのときにいろいろ問題が起こると思いますし、また質疑も行なわれると思いますが、私がいま出しました横浜港、そして神戸港の例でございますけれども、たとえば四国の伊方に原子力発電所ができたら、これはまたどこから運ぶのか。その使用済みのものは、今度は瀬戸内海のあのまた危険な区域を通るのか、そんなことは私たちはかいもくわからぬわけですね。そういうことは原子力取り扱いの全くの新たな問題として検討する必要が私はあると思うのです。その点について長官見解を伺ってみたいのです。これはぜひとも早急に私は解決してもらいたい、こう思います。
  81. 前田佳都男

    前田国務大臣 ただいま山原先生から非常に熱のこもった御指摘をいただきまして、私ども先刻来問答を聞いておりましたが、この原子力安全性ということについては、皆さんの御理解をできるだけいただくようにしなければいかぬということは御指摘のとおりでございます。この使用済み燃料の輸送容器という問題の安全審査については、当庁といたしましても、相当完ぺきのつもりで実はそういう基準をつくっております。また、輸送の問題は、私の所管外でございまして、所管外で逃げるわけではございません。私は原子力委員長でございますから逃げるわけではございませんけれども、すぐに私が胸のすくような回答は実はできにくいかと思いますが、とにかく安心がいただけるように、輸送の点につきましても、関係当局といいますか、運輸省でございますが、十分協議検討をいたしたいということを、これは口先だけで言うのではなくて、十分協議検討いたしたいというふうに考えております。
  82. 山原健二郎

    ○山原委員 そういう点をはっきりさせていただきたいと思います。それがないと、横浜の市長さんの言われる横浜港がそういう基地になるとか、あるいは神戸港がそういう基地化されて、常時それが使われていくという心配なども出てくるのは当然でして、また住民が運送方法についての公開を要求するのも私は当然だと思いますから、これはぜひ検討していただきますように、あらためて要請をいたしたいと思うのです。  次に、五月三十一日に東海二号炉の問題と伊方の原発に対する異議申請の棄却が行なわれております。東海二号の場合に、大体両方とも理由なしということで、内閣総理大臣田中角榮氏の決定書が出ておるわけでございますが、東海二号炉の場合には、二つの異議申請がなされているわけですね。そして、その一件が棄却された、こういう状態で、残りの一件についてはどう取り扱うお気持ちであるか、あるいは口頭陳述をしたいという希望も出ておるようでありますが、これに対しては、それをしてもらう用意があるのかどうか、伺っておきます。
  83. 成田壽治

    成田政府委員 五月三十一日に伊方と東海第二発電所の異議申し立てを却下したわけであります。御指摘の東海の発電所につきましては、二つの異議申し立てがなされておりまして、一つは永井一郎外三名による異議申し立て、それから二番目は、寺沢廸雄外五十五名による異議申し立ての二つであります。それで、内容はいろいろ違う点もありますが、安全性その他の問題また共通のところもありまして、われわれは十分検討しまして、この東海発電所の二つについての棄却する準備をいたしておったのでありますが、寺沢廸雄外五十五名による異議申し立てにつきましては、五月二十九日に代理人から口頭陳述をこの異議申し立てについてやりたい、それで行政不服審査法の規定、これは口頭陳述の規定がありまして、こういう要求があった場合は陳述を受けるという規定がありますので、われわれは、内容的には棄却の内容を用意しておったのでありますが、手続的に口頭陳述の直前でありますが、そういう要求がありましたので、これはそういう機会を与えてやる必要があろう、これは電話連絡でありましたが、これも正式であるかどうかわかりませんが、とにかくそういう連絡がありましたので、そういう機会を持ちたいというので、これはまだ未決定の状態にして、そういう要求のなかった永井一郎外三名の異議申し立てについては五月三十一日付で棄却の手続をとったのでございます。
  84. 山原健二郎

    ○山原委員 茨城県知事の岩上二郎氏が三十一日に日本原子力発電株式会社の東海第二発電所の建築確認を出しておる。その理由は二つの異議申し立ての一件が棄却されたからである。他の一件はまだ棄却という判定は少なくとも正式には出てないわけですね。しかし、同じものだろうという推測のもとに県知事が建築許可を出しているわけですが、これは適法ですか。
  85. 成田壽治

    成田政府委員 県の建築確認は、これは県の法的判断でやるのでありまして、われわれは法律的に、科学技術庁に対して異議申し立てがあって、これを審査中に建築確認ができないという法律的な関係はないと思っておりますが、県の判断で、今回の場合異議申し立てとあるいは結びつけて考えておって、そして一つのほうが棄却になりましたので確認をしたという、まあ新聞等ではそういうふうに聞いておりますが、これは法律的には関係ないと思いますが、そういう実質的な判断は、県の独自の判断で行なったものと思います。
  86. 山原健二郎

    ○山原委員 こういう姿勢ですね、私もいま新聞のみがたよりでございまして、よく内情は知りませんけれども、二つの異議申し立てが出ておって、一つが却下されれば、あとは同じだから却下されるであろうという、そういう推測のもとに建築許可を直ちにおろす、五月三十一日に決定書が出まして、同日付で建築許可を出すという、こういう行政の姿勢というものにも問題があると思っているのです。もう時間がありませんからそのことはいま申し上げませんが、同時に、いろいろな点から見ましても、いわゆる県、市町村という行政単位の態度、それから企業側態度というのが住民に対して非常に大きな不満を呼び起こす原因となっています。  その一例を申し上げますと、伊方の場合、これは通産省のほうに伺いたいのでありますが、伊方原発の建築許可を通産省がおろしましたのはたしか四月十六日であったと思いますが、間違いありませんか。
  87. 和田文夫

    ○和田説明員 電気事業法に基づく工事計画の第一回の認可がありましたのは、先生がおっしゃったとおり四月十六日でございます。
  88. 山原健二郎

    ○山原委員 通産省の認可がありまして、それから四国電力は隠しているのですよ。これは愛媛県政記者団、県経済記者会というのがございます。これは十四の新聞社が加盟をしておりますが、この記者団が四国電力社長の大内三郎氏に対しまして五月三十一日に抗議書を手渡しています。その中身は、四国電力の伊方原発建設の問題について、四月十六日に通産省認可がありながら、五月十八日、一カ月をこした後におきましても、認可はまだだと発表しています。そしてついに認可があったという事実が判明をいたしますと、認可は小さな手続で発表しなかった、こう言っているわけです。この二つの事実は、「原子力基本法のいう民主・自主・公開の三原則に反し見過ごすことができないとの判断から」両記者クラブの抗議が行なわれているわけです。これはさらに八幡浜の八つの新聞社で構成されております記者クラブも、四国電力社長に対する抗議を行なっていますが、その中には「四国電力の秘密主義が公正で真実の報道をめざすマスコミの根幹を傷つけたことは許しがたい」こういう抗議が出されているわけであります。  私は、伊方原発の問題について、四国電力側の今日までとってきたいろいろの住民をだますような姿勢について、事実をあげて今日まで言ってまいりましたが、実際に新聞記者の人たち認可はおりているのではないかと言うと、おりておりません、四月十六日に通産省の認可はおりているにもかかわらず、それを五月十八日に質問をしても、まだおりていないと言う、こういう態度ですね、こういうところにいまの原発問題の一つの焦点があるわけでございますが、こういうことに対して通産省はどういう認識を持っておるか。おそらくこの抗議文についてもお聞きしておるのではないかと思いますが、これについての見解を伺っておきます。
  89. 和田文夫

    ○和田説明員 うちから出す工事計画の認可は、御承知のように、申請者側からの申請が一定の要件が整っていますれば認可をするわけでございまして、申請者としてはもちろんそれを公表する義務はないわけでございますが、いろいろ問題になりましたときに、事実を私あまりはっきり知っておりませんが、もしかりにうそを言ったとすれば、これは会社側の態度として厳重に注意いたしたい、こういうふうに思っております。
  90. 山原健二郎

    ○山原委員 行政不服審査法の異議申し立ては、該当者がその認可決定を聞いてから六十日というふうになっておりますけれども、そういうことを考えますと、認可が通産省から出まして、それを場合によっては住民に知らす、そして住民が不服審査法に基づく異議申し立てをやる権限を保障していく、これが企業としても当然の企業道徳なんです。それを住民にはもちろん知らさない、しかも、公的権関としての新聞報道の義務を持つ新聞記者の方たち、しかも、それを構成している記者クラブが正式に、認可の問題がどうなっているかといって質問しても、認可はおりていない、こう言ってだます。全く住民はつんぼさじきに置かれるのは当然のことです。報道の義務を持つ報道関係すらごまかす、そして住民をごまかしていく、こういう姿勢ですね。  これは通産省に伺いたいのですが、こういう四国電力の態度に対して、あなた方はどうされるのですか。これは何も通知する必要はないのだから、黙っておってよろしいのだという態度で臨まれるか、そういう姿勢は少なくとも誤りだという指導をされるのか、この点伺っておきたいのです。
  91. 和田文夫

    ○和田説明員 工事計画の認可につきましては、たとえば原子力発電所の場合には、従来の例でございますと、建設にも長年月を要しますし設備も複雑でございますので、具体的な設計ができた段階で、その具体的設計及び工事方法につきまして十数回に分けて工事計画の認可を行なっております。さようなことでございますので、一連の事務手続でございますので、これを会社側が積極的に発表する義務はないと思いますが、さっき申し上げたようなことで、もし故意にそう言っているとすれば厳重に注意したいと思います。  ただ、先生のおっしゃる不服審査法との関係は、行政処分があったことを知った日から六十日以内ということでございまして、行政処分のあった日から六十日以内ではございませんから、その点は不利にはならないと思います。
  92. 山原健二郎

    ○山原委員 行政不服審査法はそういう表現にはなっておりますけれども、これは認可が行なわれた場合に、しかも伊方原子力発電所問題というのはずいぶん問題があり、いまも井上先生のほうからも質問をする用意をされておるということで、国会でもそういうように問題になっている状態でしょう。だから、認可があったといえば、また新聞記者から聞かれたといえば、義務はないといったところで、それは発表しまして住民に知らせて、住民の防御の体制を保障してやるということが当然のことなんです。聞いてから六十日たっていいんだという法律上の規定だからかまわないと言うけれども、その六十日という間はたいへん重要な段階なんですね。認可がおろされた、どうしてだろうという住民のそれに対する反撃、あるいはそれに対する受け取り方がまだ熱を持っておる時期、それを冷却して、知ってからあとでいいんだ、だから発表の義務はないのだ、だから新聞記者までだます、こういう姿勢ですね。  だから私は、通産省のほうに伺っておきたいのですが、この点については調査をしていただいて、新聞社の方たちがどういう抗議文を出したかも調べていただいて、そして四国電力がそれに対してどういう態度をとったのか、これはあとで御報告をいただきたいと思いますが、こういうことは許されないことなんです。義務はないというこで許されていいことではなくして、企業倫理として断じて許せないことだと私は思うのです。そういうことの積み重ねが、今日住民の大きな不満を呼び起こす原因になっておるということを肝に銘じていただきたいと思います。  それからあと、今度の五月三十一日に出されました総理大臣の決定書につきましても、いろいろ問題があるわけでございますけれども、せっかく井上先生資料要求されてあと質問をされる前に私が質問をするのはちょっと遠慮したいと思います。またそのときに質問をいたしたいと思うのですが、ただ一点だけ指摘しておきたいことがあるのです。  それは水の問題ですね。私はこの委員会で二月二十八日に成田局長に対して質問をいたしました。伊方原発の水の問題はどうなのかということに対しまして、成田局長は、水の問題については心配はないのだ、保内町の水をとるということについてるる説明がありました。それから三月二十八日になって、突如四国電力はこの計画変更書を出してまいりまして、水は保内町からとるのではなくて、海水を淡水化するという方式に出てきたわけですね。これは現在、世界の原子力発電所をさがしました場合に、海水を淡水化して使っておるところがあるかという問題です。ありますか。
  93. 成田壽治

    成田政府委員 原子力発電所としてはないのでありますが、ただ関西電力の大飯発電所の一号、二号炉、これも当初川の水、地下水をとる予定だったのでありますが、これがいろいろ地元との問題がありまして、途中で海水淡水化の計画変更になって、いまこれは建設中でございまして、そういう面ではまだ実施しておりませんが、関西電力大飯発電所が多段フラッシュ型のパー・デー二千トンの水のもの二基の淡水化の計画をもっていま建設中でございます。したがいまして、伊方は二番目のケースというふうに考えております。
  94. 山原健二郎

    ○山原委員 この海水の淡水化をします場合の一トン当たりのコストですね、これは私は百円程度だろうというふうに思っておったわけですが、百円をこすだろう、いろいろやり方によってはコストダウンすることもできるかもしれませんけれども、確かに今日の段階では、海水を淡水化するということは常識になっております。しかし、そういう問題と、いま電気料金の値上げ問題が、関西電力、四国電力を中心にして政府に対して申請がなされようとしておる段階でございます。現在の四国における工業用水の単価は大体トン当たり四円です。それが百円もする水を使うということは、これは地元住民に対して目の先を糊塗して政府認可を早く得たいというところから出てきたのではないか、そういうふうに考えるわけです。これがまた電力料金の値上げ問題と関連をするということになりますと非常に重大です。だから、環境的にはまさに適切でない場所に伊方原発というものの設置がなされようとしておるのではないか、水の問題から考えましてもそういうふうに考えるわけでございます。この点について、科学技術庁として何かお考えになっておれば伺っておきたいのです。
  95. 成田壽治

    成田政府委員 四国電力の海水淡水化の場合のコストというのは、われわれも正確にはつかんでおりませんが、御指摘のように、トン百円をこえるだろうと思います。この点は電力会社あるいは県と十分相談をして、コスト的にはかなり高くなるけれども、保内町からの取水については、需給上は問題ないのでありますが、地元の不安感あるいはいろんな長期的な見地から踏み切ったのでありまして、決して経済的に非常に損になるという計算だけではなくて、やはり総合的に、いろいろ政治的な地元の不安感の解消等も考えて、これが合理的だというので踏み切ったものだと考えております。  これと料金値上げとの関連については、われわれの所管外の問題でございまして、一がいに言えないのでありますが、ただ取水計画の問題としては、かなり高い淡水化に踏み切っても、長期的あるいは総合的にはこれがベターであるという、四国電力あるいは県当局の判断もあってなされたものと信じております。
  96. 山原健二郎

    ○山原委員 ベターなことはないわけです。だからそれまで保内町から取水する、地下水をとるということで申請をしてきて、三月二十八日に突然海水の淡水化ということが出てきたのです。私はこの問題についてはこれ以上申し上げませんが、この淡水化装置というのは、原子炉が動いてできるわけですね。だから、最初原子炉を動かす水はどこから持ってくるのかという疑問もあるわけです。  さらに公有面積の埋め立ての問題、あるいは七百メートル以内に個人の所有地がまだ依然として売却されないまま残っておるというような問題等々、たくさんの問題が伊方原発の場合には存在をしております。そういうまだ未解決の問題をかかえながら、さらに四国電力は、徳島県の阿南市に原発をつくるということを発表しておるという状態なんですね。もう至るところで紛争の種をまき散らして、そうして住民をだまし、新聞社をだまし、そういう形で進んでいく。それを一つ一つ政府認可していくという形態、ここに私は問題があると思いますが、それらの点については、また後日あらためまして質問をいたしたいと思いますので、本日の質問は、これで終わります。
  97. 石野久男

    石野委員長 次回は、来たる十三日水曜日午後一時より理事会、一時十五分より委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十一分散会