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前田国務大臣 両
先生から、
原子力行政が国民から信頼される
行政であるべきだという趣旨の激励的御注意的御
発言だと思いまして、たいへんありがとうございます。確かに、そういうふうに
原子力局の
見解というものを
発表して何か中途はんぱじゃないか、確かにそういうふうな
考え方もあると思うのです。私も実際そういう気持ちなんです。はっきりとこういうようなものはびしびしと
反論していくべきじゃないかというようなことを私も一時は思いました。とにかくあの
藤本先生の
論文を見て、これだけのデータに対してわれわれはすぐ
対応できないのか。われわれにそれだけの
研究者というか
学者というか、技術者はいないのかということを、実は私は
考えたぐらいなのです。すぐ
——すぐというか言うたぐらいであります。私もそうじっとしておるのはきらいな
たちでありまして、言うたのです。しかし、とにかく
先生、くどいようですけれども、いろいろな
雑誌に出たのを一々論駁しておると、(「一回したじゃありませんか」と呼ぶ者あり)それも
原子力局ではしましたけれども、一々
原子力委員会としてそういうことをやっておるというのはどう
もと思って、実はそういう
考え方もあるわけなのです。
それで、従来から
原子力問題についていろいろな
意見があった場合、一々言うて
答えはしていませんですね。そういうこともあるし、と言うておるうちに、
原子力局で
見解を
発表してしまったということなんで、
原子力局の意図も、えらいおとがめをいただきますけれども、別にそう悪い
意味じゃなくて、いま申し上げたような気持ちでやったわけでありまして、
責任は全部私にあるわけなんです。
結局私は、そのときに、それじゃ
藤本先生の
論文に対して
学者はみんな賛成しておるのだろうかということを言ったら、いやそうじゃありません。相当
反対の
意見を持っておる人も多いのですということを聞いて、具体的に
名前はあげませんけれども、そういう人の
名前まで二、三聞いた。聞いて、ではその人
たちは出すのかと言うたら、出すようですな。しかしそんなものは、こっちから別に頼みにいくべきものじゃないし、私は学会というのはそういうところだと思いまして、何か盛んに甲論乙駁してやるのが学会だと、私は実は
雑誌なんか見て思っておったものですから、何か出るのじゃないかと思っておったところが、一向に出ない。何かはっきりしないねということを私は何べんも言うたのです。
どうもはっきりしないじゃないか、
藤本論文に対して
反駁できるなら、はっきり
反駁しようじゃないかということを私、言いました。ところが、
原子力委員会としては、あまり
学者の
論文にやってはどうかというふうな
意見もいろいろあって、実はそのうちにまた
藤本論文に対する
反駁の
論文を書くという人があるということも聞いたものでありますから、それではどうせ甲論乙駁が出るでしょうし、またその人がどんなことを言うかわからぬ。それに
関連した
論文を待っておって、みなそろったところで、その
論文を拝見し、その
論文を踏まえて
原子力委員会として
見解を出そうじゃないかということを
考えておるのが現在の心境でございまして、ただ原
先生おっしゃるように、いつまでも「鳴くまで待とうほととぎす」で、じっと待っておるつもりもございません。この点は、確かにただいまの御注意、御激励の趣旨に沿って、とにもかくにもできるだけそういう権威のある回答というか、そういうようなものをするようにしたいと思います。