○安里
委員 海洋博はどうしてもいまの予定どおり、縮小する気持ちもないし、いまの
状況において十分成功せしめる
見通しがあるという理解のもとに、私はそういう確信があればけっこうだと思いますが、私が心配いたしますのは、対外的な関係もあるし、
政府として計画されたこの
事業というものをどうしても成功させなければならないということになりますと、そこにどうしてもやはり無理が生じてくることが考えられてまいります。時間がございませんので、私はそれ以上を申しませんけれども、そうすることによっていろいろな問題というものが、
沖繩現地における、ことに地方自治体の負担あるいは地方自治体の行なう
公共事業、
沖繩自体の
需要に応ずるところの問題というものがしわ寄せが来る。いまでさえ県も大きな
事業であるところの
海洋博に埋没しておる、そのことにみんな県政というものが目が注がれているという批判も受けるのでございますが、私はそれは決して単なる批判だけじゃなくして、これを成功させなければならないというようなことからしてすべての問題が
海洋博中心になりまして、そのために起こるところの資材あるいはまた労働力、これが
沖繩における特に
中小企業、
本土における大
企業はそれでいいかもしれないけれども、そのしわ寄せが来る。市町村の自治体におきますところの
公共事業その他にも相当の負担がかかってくる。ここに無理が生じてくるのではないか。ですから成功させることはけっこうでございます。また
責任をもってやることはけっこうでございますけれども、それによって起こるところのいろいろな支障、しわ寄せというものが県自体、自治体の上にあるいは
民間の
企業の上に及んでおることを常に念頭に置かなければならないということを私は特に申し上げておきたいと思います。それに対する配慮なくして、ただ
海洋博を成功させればいいという一点に着目いたしますと、
政府の施策として非常に大きな失敗をもたらすものだ、このように思います。
そこで総体的に、
海洋博をあの時期にあの
沖繩でやるということ自体の中にも私は反省しなければならぬ問題があると考えております。目標そのものは非常にけっこうなことでございますけれども、大阪における万博の成功、こういう観念で臨んだかもしれませんけれども、時期的にも
復帰の直後のいろいろな問題を処理しなければならぬ問題があるし、あるいは狭い
沖繩に、しかもあれだけのことを一時にやる、こういったいろいろな問題というのが時期的にもあるいは地理的にも——
本土内における大阪万博をやったのとは全然わけが違うのを同じ観念でやったのではないかということが一つと、もう一つは
海洋博、万博だけにとらわれまして、これによって起こるいろいろな問題の配慮が足りなかったのじゃないか。
現にいまこれに関連をいたしまして、
地元におきまする第一次産業の破壊につながるんだ、農業破壊につながるんだという声が強く起こっておることも御
承知のとおりだと思っております。特に
沖繩の基幹産業であるところのキビ産業にも、労働力の問題もそうでございまするけれども、賃金の引き上げその他も影響いたしまして、そして
沖繩の基幹産業であるキビ作も壊滅になるんだというような心配さえも多く持っておるわけであります。ですから工事そのもの、海洋万博そのものを遂行することはけっこうでございまするけれども、それによって起こるところの、その他の産業に対する影響は非常に大きいと思っております。
農林省関係にお伺いしたいと思うのでございまするけれども、現地から強い要求もあったと考えております。次期のキビの買い上げ価格というものも、とうていこれは生産費に及ばないんだということが強くいわれております。そうなりますと、もちろん
海洋博だけの問題ではございませんけれども、それが大きく作用いたしまして、
物価の上昇、ところが農民の生産ものは上がらない、こういうことで離農する者も多くなってくる。
沖繩の地理的
条件を最も生かすべき、天然の土地というものを耕すところの農業生産というものがみんなつぶれてしまうというような心配も出てまいります。この
沖繩の糖業、これを
海洋博の実施とも関連づけましてどのように当局は考えておられるか。特に次期キビの買い上げ価格につきますところの
沖繩の強い要求があるはずでございます。これに対しまして農林省当局のお考えをお聞きしたいと思います。