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1973-06-06 第71回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年六月六日(水曜日)     午後二時三十二分開議  出席委員    委員長 浅井 美幸君    理事 國場 幸昌君 理事 床次 徳二君    理事 上原 康助君 理事 安井 吉典君    理事 正森 成二君       宇野 宗佑君    小渕 恵三君       北澤 直吉君    田中 龍夫君       中川 一郎君    長谷川 峻君       渡部 一郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)         (沖繩開発庁長         官)      坪川 信三君  出席政府委員         防衛施設庁長官 高松 敬治君         防衛施設庁施設         部長      平井 啓一君         防衛施設庁労務         部長      松崎鎮一郎君         沖繩開発庁総務         局長      岡田 純夫君         沖繩開発庁振興         局長      渥美 謙二君         外務省アメリカ         局長      大河原良雄君         文化庁次長   清水 成之君  委員外出席者         警察庁刑事局捜         査第一課長   佐々木英文君         環境庁水質保全         局企画課長   松田豊三郎君         文部省大学学術         局医学教育課長 齋藤 諦淳君         農林省農林経済         局金融課長   植木 建雄君         農林省食品流通         局砂糖類課長  永井 和夫君         運輸省港湾局参         事官      高橋 全吉君         労働省職業安定         局業務指導課長 加藤  孝君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ――――――――――――― 五月一日  北方領土早期返還に関する陳情書  (第三一一号)  同外一件  (第三五五号) 同月二十八日  北方領土早期返還に関する陳情書  (第四五四号)  沖繩県市町村議会議員年金制度本土並み遡  及適用に関する陳情書外十八件  (第四五五  号)  沖繩県軍港湾労働者雇用保障に関する陳情  書外二件  (第四五六号)  沖繩県米軍基地撤去等に関する陳情書  (第四  五七号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  沖繩問題に関する件      ――――◇―――――
  2. 浅井美幸

    浅井委員長 これより会議を開きます。  沖繩及び北方問題に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出があります。順次これを許します。國場幸昌君。
  3. 國場幸昌

    國場委員 長年にわたる米国支配から解放された沖繩が祖国復帰して一年有余になっておりますが、県民生活は向上することなく、かえって悪化の一途をたどり、県民の心は、かような復帰であれば復帰は考えるべきであったという声さえも聞く。物価高に悩まされ、苦しんでおるのが沖繩住民の偽らざるところの姿でございます。  この要因となすものは、復帰直前におけるところのドルの変動相場制と相まって、わが国高度成長による過剰流動性土地の投機と、長年にわたるところの低物価政策のもとで生活をなしてきた沖繩経済政策は一朝にしてくずされ去り、まともにその波をかぶって苦しみもがいておるというのが今日の沖繩住民の姿でございます。  さて、私は、時間もありませんので、まさに破滅寸前にある沖繩農業問題をどうするかについて、これから質問をいたしたいと思います。  御承知のように、沖繩農業はただでさえ狭い面積の一二・五%を軍用地にとられ、第三次産業に傾斜した産業構造の中で、生産基盤の未整備労働力の流出、質的低下流通施設の未整備復帰後の農外資本による土地の買い占めなど多くの困難な問題をかかえておるのでございます。今後沖繩農業安定的発展をはかるためには、沖繩振興開発法に基づいて農業政策の新展開をはかる必要があるということを感ずるわけでございます。  そこでお伺いいたしますが、沖繩振興開発の中で農業問題をどのように位置づけせんとするものであるか、まず開発庁長官の御所見を賜わりたいのであります。
  4. 坪川信三

    坪川国務大臣 國場委員指摘になりました振興開発における沖繩農業位置づけいかんという御質問でございますが、沖繩振興開発計画では、環境の保全を基本としつつ、沖繩県の有する地理的、自然的特殊性を活用するという基本的な考え方のもとにおきまして、農林水産業建設業、工業、観光業各般にわたるところの産業振興策を進めてまいっているような状況でございますが、その間にありまして、沖繩経済の大きなささえとなっておるところの農業の果たす役割りもきわめて重要であります。沖繩振興開発計画においては、沖繩わが国唯一亜熱帯地域であるという特殊性を十分生かして、農業振興を強力に進めてまいりたいと考えます。  具体的な政策といたしましては、基本的な問題といたしまして、やはりパイナップルの適地適作品種改良や、優良な系統の持っておるところのこうした品種普及を進めるとともに、土地基盤整備機械化栽培体系確立栽培技術開発普及などを推進し、また、畜産についてはやはり牛等を、肉用の牛を中心とした飼養技術普及をはかる。さらに野菜につきましては畑地かんがい施設の設置、いわゆる沖繩古来のダムといいますか、小さなあの水を生かしながら、土地基盤整備生産集団化等栽培技術確立に鋭意努力してまいりたいということが、沖繩農業沖繩振興開発の上に持つ大きな立場であることを考えてこれに処してまいりたい。また、その振興に万遺憾なきを期したいと、こう考えております。
  5. 國場幸昌

    國場委員 大臣のおっしゃることはよく理解するけれども、本日は農業問題にしぼって質問をするわけでございますので、細部にわたってちょっとお伺いしたいと思います。  御案内のとおり、戦後二十八年という今日に至っておるわけでございますが、沖繩農業というのは、本土に比べ二十年、三十年おくれておるということをいわれております。そこで、基盤整備機械合理化とよくいわれておるわけでございますが、基盤整備に対しましても、特別措置法からしましてでも、あの灰じんの中から立ち上がり、いまの制度の中で土地を改良するにしましても、あるいはその他の農業施設にしましても、地元負担金というのがあるのは御案内のとおりでございます。この地元負担金というのが全然負担能力がない。でありますので、その負担金に対しての何とかの方法をもってこれに対して対応すべく、御案内のとおり、農業施設に対しての設備投資は、今日まで政府予算は計上しておるけれども、その消化ができない。物価高騰と相まってこれにたえ得るところの対応費がめどがつかない、こういうようなことでございます。また前にも申し上げましたが、補助額の残りに対してのパーセンテージをもって融資は認めるのだというようないまの開発庁融資規定においては、とうてい地元としてはこれは実行することのできないというようないまの立場でございますが、これに対しまして予算を組んだものは、また十カ年計画ならその計画が実現するようにするには、いま申し上げました難点をいかようにして解決するかということに対して私は疑問を持つわけでございます。その点に対していかような御計画があるのでしょうか、お伺いいたします。
  6. 岡田純夫

    岡田政府委員 農業基盤整備につきましては、まず事業量そのものについて申し上げますと、御承知のとおり、四十八年度農業基盤整備事業費として三十億五千三百万円計上いたしております。御指摘の点は国庫負担の問題でございますけれども国営土地改良事業につきまして申し上げますと、農業用場排水施設整備事業につきましては、本土六割負担のところを、沖繩におきましてはため池は十分の十、それから一般につきましては八五%というような高率にいたしておりますし、また同じく国営事業に関連いたしまして開田、開畑について申し上げますと、本土の場合六割五分ないし七割五分のところを、沖繩の場合には七割五分ないし八割、もっとも八割は開畑についてでございますが、そういうふうな高率国庫負担をいたしております。また農林省とも御相談しまして、本土に比較いたしまして、このような国営土地改良事業のような高率負担になるように、なるべく採択基準等も特に沖繩については特別な配慮をいたしております。  そういうようなことで、繰り返すようでございますが、なるべく国営を大きくとるように、かつまたその負担率を高め、そして地元負担につきましては、地方債その他の融資措置を講ずるということによりまして極力支障のないように、かつまた事業総量も確保していくように考えております。今後ともそういうふうな考え方でもって進めてまいりたいというのが、私ども考え方でございます。
  7. 國場幸昌

    國場委員 おっしゃるのはよくわかるのでございますが、いまさっきも申し上げましたとおり、無から立ち上がったので、経済基盤というものが全然ないわけでございまして、沖繩農民所得から考えましても、御案内のとおりこれはとても耐え得る——予算をつけることに対しては特別措置ということもあるけれども、しかしその予算を消化することに対して問題があるわけでございます。いまさっきも申し上げましたとおり、その予算見返り財源は何をということになると、ことに先島のごときは、農民そのものはほとんどが二千五百ドルから五千ドル、いまの金にしますと大体百五十万円から百万円、七十万円というような負債を持っておる。ことに御案内のとおり沖繩糖業でございまして、それに対してはあとで詳しくお聞きしたりまたお願いもしたいわけなんですが、そういうような農業に対して、本土の米とか多様なるものとは違いまして、農産品生産コストとその売り上げ価格というものとの数値のバランスというのがあまりにもアンバランスである。かようにして、農民というのがほとんど脆弱であり、かようなる債務を持つというような現在の沖繩農業において、特別措置法等もあるけれども、しかしその特別措置法に盛られたところの恩恵、いわゆる土地改良にしましても八五%でもって、あと一五%は負担しなければいけないのだ、その一五%をくめんすることができないというようなことが大きな問題でございますので、その点は総理府長官沖繩に御出張あそばされたときも、市町村長は口をそろえて、復帰前においては八〇%だったけれども、五%上がった今日の制度よりはよかった。というのは、全額に対しての融資方法が認められたというようなことを話しておったわけでございますので、その点、ことに物価高騰の中で、今日予算計画どおり消費して、十カ年計画に沿うところの沖繩振興をはかるということであれば、何か抜本的な施策を講じなければいけないということは私の言をまたないわけでございますので、その点ひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。  次にサトウキビの問題でございますが、いわゆる日本本土にありましては、どの県にありましても農業をささえておるのは米作である。これは御案内のとおり、毎年毎年生産費補償方式ということでやっておられるわけでございます。ところがサトウキビというものに対しては、糖価安定法に従い、事業団買い上げによって瞬間タッチ方式でいまやっておられるわけでございますが、この砂糖以外に何か転作することを直ちに考えることができるであろうかということになると、それもとうてい不可能である。そうしますと、御案内のように農林省価格設定は六千九百五十円、それに七千円として県のほうから五十円出しておるわけでありましょうか、あるいは農林省からあの五十円というのは出されたのでありましょうか、それは別としましても、しかし、五十円とか百円とかという問題とはあまりにもかけ離れたところの現在のサトウキビ生産に対して、いわゆる数値の合わないというようなことから考えました場合に、刈り入れだけでもいまの沖繩の賃金からしますと一トン出すのに二人工かかる。その手間は最小限七千円かかる。こういうようなことになりますので、去る四十七年度収穫期に至っては四千六百二十トンですか百三十七ヘクタール、それだけのサトウキビは立ち木のまま放置したというようなことでありまして、砂糖をつくることによって負債をつくるというような今日の沖繩サトウキビづくり、祖先から受け継がれたところの沖繩においての唯一甘味資源、こういうことで、沖繩農民が幾らがんばってももうこれ以上は守ることができないというようなことで、また調査もなされてその結果をお聞きされたこととは思いますが、このサトウキビ、パイン以外には沖繩主幹産業としての農産物はないわけでございますので、何かその方法はないだろうか。そのままいった場合には、おそらく沖繩農業は壊滅するというような状態になるわけでございますが、その辺に対して政府としては、今後において、沖繩農業の中でいわゆる基幹農産物である砂糖をどうするか。これはなかなかむずかしい問題ではございますが、また、今日まで特別措置法によっていろいろ保護策も講ぜられておるといえども保護策を講じておるからこれでいいんじゃないかというときには、いまさっきも申し上げましたとおり、サトウキビというのがほとんどことしを最後にして壊滅するということでございますが、この辺に対しての今後の御計画がありましたらお聞かせをしていただきたいということをお願いするわけでございます。これは専門的でございますので、農林省の方から。
  8. 永井和夫

    永井説明員 若干所管外のことも入ろうかと思いますが、砂糖のほうの買い入れ価格の決定等所管しておりますので御説明を申し上げます。  昭和四十七砂糖年度前期価格設定にあたりましては、糖安法によりまして、サトウキビ生産者価格農業パリティ指数による基準として算出するということに基づきまして、六千九百五十円と決定いたした次第でございます。  なお、これにあたりましては、単に数字的に出てきたばかりでなく、当時の実情にも応じまして、生産費等を推定いたしまして、これが適正な価格として決定をいたしたわけでございます。  その後の各種の経済的な変動各種事業実施等によりまして、特に労賃の上昇等があって、農家の方々にこの価格についてのいろいろな御意見があるということは承知しております。しかしながらこの六千九百五十円という価格につきましても、さらに先ほど國場委員指摘のように、五十円会社実質上上のせを負担するということを実施しております。それから従来から農家負担でございました圃場からトラックへの積み込み費用実質会社負担するというような措置によりまして、実質はこれ以上アップができたものと考えております。私どもといたしましては、現在の四十七年産のキビの値段といたしましては、適正な価格というふうに考えておるところでございます。  しかしながら、その後におきまして先ほど来のような事情がございますので、昭和四十八砂糖年度につきましては、当然その後の事情を織り込んだ諸調査をもとにいたしまして決定いたすということになりますので、私どもはこれが価格政策の運用にあたりましては、そういう事情も配慮してやっていくことになろうか、かように考えておるところでございます。  なおサトウキビ作につきましては、こうした価格問題のほかに、むしろ、先ほど来國場委員が御指摘のような基盤整備の問題なり、あるいは機械化の問題がより緊急の問題としてございまして、こういうような措置によりまして、生産方面合理化によって、むしろコストを下げる、あるいは労働力の節約をはかるということが非常に重要であると考えておりますので、同じ省内でございますが、その担当部局とも呼応いたしまして、そのような生産関係の改善にも努力してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  9. 國場幸昌

    國場委員 これはなかなかむずかしい問題でございまして、いまさっきも申し上げましたとおり、一年に一回、サトウキビ収穫ができるわけでございますが、問題になるのは営農資金の問題でございます。営農資金につきましては、やはりいまさっきも申し上げましたとおり、農業をして宮古八重山のごときは一戸に対して大体百万円から百五十万円、少ないので七十万円というだけの赤字をかかえ、それで一昨年の干害あるいはまた昨年に追い打ちの干害とか、こういうようなことで年々キビ生産というのが減少しつつあるというこの姿を見ました場合に、ましてやことしになってのこの物価高騰問題に対しまして、サトウキビというのはもう御案内のとおり、肥培管理してもそれは手を入れるだけは損である。刈り取りするだけでも赤字になるので、肥培管理とかそういうような費用は全部損になるということでほとんど放任状態であって、いつもであると株立ちとかそういうものに対して草掃除をするしあるいは肥培管理をするしというような手入れをするわけでございますが、ことしに限っては、そういうような手入れをするとか肥料をやるとか、こういうようなものに対しても何ら手をつけておらないというのが現状でございます。  昨年度サトウキビ生産はたぶん百四十万トン、一番最高にできたときには二百六十万トン近くもできたというサトウキビがそれから年次ごとに減少し、いまではその約半分というところに落ち込んでおる。そのさなかにありて、ことに物価高騰の問題でことしはもう全然振り向きもしないということになっておるわけでございますが、それに対して、意欲的に今後将来に希望を託して、一時の物価問題で農業を捨てることのないようにするためには、何らかの方法をもって、この苦しい一、二年をしのがさなければいけないじゃないか、こういうことを考えるわけでございます。  ことに運命共同体とするところのあの分みつ糖工場、これがまたたいへんでございまして、サトウキビ生産者のみならず、あの工場がほとんどつぶれる。皆さん今日まで、沖繩サトウキビに対しましては政府としましても相当な援助をいただき、力を入れておるわけでございますが、しかし、沖繩の製糖戦後始まって以来株主に一銭の配当もない、逆に資本金を全部食いつぶすというようなかっこうのあの姿を見ました場合に、私は、この糖業問題に対しては、この際何とか抜本的な対策がなくてはいけないじゃないかということを考えるわけでございます。  重ねてお聞きしたいわけでございますが、営農資金の問題あるいはまた分みつ糖工場の問題あるいは離島におけるところの含みつ糖工場の問題、かようなる問題に対して何とかいい知恵がありまして、それに対する施策をどうするんだ、直ちにその確答を得られないとは思いますが、それに対するお考えのあり方を、ひとつ御所見を賜わらせていただきます。
  10. 植木建雄

    植木説明員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘いただきましたいわゆる営農資金一般関係につきまして、特にその状況を御報告申し上げながらお答えいたしたいと思いますが、御案内のとおり、沖繩につきましては、昨年復帰後直ちに御承知県信連沖繩県信連というものが発足いたしまして、いわゆる系統資金につきまして、各種資金につきましての手当てを講ずるような措置をとったわけでございます。これによりまして、いわゆる系統資金が円滑に農家の手に届くようにということで、県信連中心にいたしまして、各種措置を講じたところでありますが、とりわけ農家肥料とか農薬とかそういう一般営農資金をきわめて借りやすくできるようにということに意を用いまして、昨年農業信用基金協会というものを沖繩県に新しく発足を願うことになったわけでございます。これは系統資金を借ります際に、当該基金協会がその債務保証を行なうことによりまして、資金農家にとりまして借りやすくなる、同時に、金融機関からも貸しやすくなるというような保証措置をとったわけでございまして、この措置につきまして、昨年発足以来、漸次その利用状況も向上をしておるというふうに聞いております。  本年度におきましては、ただいま農林水産委員会のほうにおきまして本基金協会を扱っております法律に所要の改正を加えまして、利用をいたします場合にさらに便利なように保証料の引き下げでございますとか、そういう措置を加えるようなくふうをいたしておるところでございます。   〔委員長退席床次委員長代理着席〕  なおこの営農資金につきましては一部国、県が利子補給補助をいたしまして、いわゆる近代化資金と称しておりますが、そういう措置をとりまして、農家の、特に施設資金中心の需要にこたえるようにいたしております。  本措置につきましても、本年度から、六分の金利を五分五厘というふうに下げるようにいたしておりますし、加えて、借り入れ限度額と申しますか、借り受けを希望する金額につきましても、従来おおむね個人二百万円という一つの限度を設けておったのでございますが、昨今の諸事情にかんがみまして、これも五倍の一千万円まで借りられるようにというふうに、限度額の引き上げも今回講じようといたしておるところでございます。それら系統資金を補完いたしますものといたしまして、特に財政資金によりまして沖繩公庫というものを設けておることは御承知のとおりでございまして、これにつきましてもさらに所要条件改定というものにくふうをいたしまして、できるだけ農家負担が軽くなるようにという趣旨で作業を進めております。  先ほど御指摘ございました特に土地改良資金につきましては、金融面からも、その裏負担につきまして、従来の借り入れ限度額八割というものを、二百万円までは一〇〇%というようなくふうも講じてきておるところでございます。  これら系統資金と国の財政資金とを通じまして、資金面でも十全の手当てができるようにさらに努力をしてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  11. 國場幸昌

    國場委員 いまのサトウキビに対しての営農資金問題はわかりましたが、含みつ糖、分みつ糖に対する手当てをどうせんとするのであるか、お尋ねします。   〔床次委員長代理退席委員長着席
  12. 永井和夫

    永井説明員 沖繩におきます含みつ糖工場に関しましては、これは沖繩本島と先島、八重山宮古大東等の各おも立った島にそれぞれ工場があるわけでございます。特に沖繩本島とその諸島との間の工場におきまして、原料集荷あるいは販売等コスト関係で非常に大きな条件の差があるということで、琉球政府当時から格差の特別の補給金の支出がございました。本土復帰後もそれを引き継ぎまして、糖業振興臨時助成金といたしまして予算計上いたしております。復帰前はおおむね年間四億平均でございましたが、四十七年度におきましては十億、四十八年度予算におきましては八億を計上いたしまして、この離島の含みつ糖工場条件の不利を補正するような措置を講じておるところでございます。  なお、こうした沖繩におきますところの糖業振興は、基本的には、沖繩糖業操業率が最近比較的低いということがその経営を非常に圧迫しておる原因でございますので、先ほど来先生御指摘のように、サトウキビ作振興によりまして、相当の原料集荷を見込むということが非常に重要であるというふうに考えられます。そう申しましても、一朝一夕にその地域地域事情が解決するとも考えられませんので、こうした措置を続けながら、一方のサトウキビ作振興によりまして、この糖業発展をはかっていくようにいたしたいというふうに考えておるところでございます。  なお、含みつ糖につきましては、さらに小規模の島々におきまして含みつ糖工場が存在しておるわけでございます。これは特産物であるということで、現在南西諸島におきましても事業団買い上げの対象にしておらないわけでございますが、実質それにかわる措置といたしまして、推定される工場コスト、これは生産者価格を先ほどの一般の分みつ糖と同様に想定いたしまして、それの工場コストを加えましたところのコストと、これが販売されるであろう価格を想定いたしまして、その差額について国が三分の二、県が三分の一の財政負担をもちまして、沖繩県みつ糖公社を通じましてそれの補給を行なっておるところでございます。  こういうような措置によりまして、近年含みつ糖はどちらかというと特産的な価値が出て、むしろ一般の分みつ糖よりも販売条件が、非常に量が少ないせいもございましょうが、有利な条件が出つつあるということを聞いて喜んでおるわけでございます。だからといって、直ちにこれを廃止するということではございません。そういうことを続けながら、これも本来の特産の産業として成立するようにはかってまいりたい、かように考えておるところでございます。
  13. 國場幸昌

    國場委員 次に、農業基盤のできてないような沖繩においては、さっきも申し上げましたとおり、刈り入れするのに二人工の人間がかかり、それによって買い上げ価格を上回るところのコストがかかる。御案内のとおり、サトウキビ生産は七三%という高率なる人件費が必要になっておるのが現在の状況でございます。そこで沖繩農業団体から、刈り入れを何とか機械化してコスト減をはかるということで、去る四月でございましたか、陳情が来たわけでございます。そのときにはすでに予算化されて、農林省としましては、いかなることもできないが、最善を尽くそう、こういうようなことでございました。当時の陳情書によりますと、七億七千万円を第一回目の買い入れとしまして、刈り入れ機、脱葉機あるいは運搬機、大体その機械は一基をもって九名の仕事をする。これは鹿児島の某メーカーのほうでつくっておるというようなことを説明しておりましたのですが、これに対する所要の購入資金は約十一億を要する、こういうようなことでございました。さっきも申し上げましたとおり、かような窮状にある沖繩サトウキビ生産に対しまして、この機械によって若干なりとも砂糖生産に役立たせる、それを今後においても継続させるという意味から考えましても、この刈り入れ機の問題に対してはぜひ何とか御配慮をしていただきたい、これが農民団体の切なる声でございますが、これに対する政府のお考えはいかようなものでございましょうか、お聞かせをいただきたいと思います。
  14. 永井和夫

    永井説明員 沖繩サトウキビ開発におきまして収穫機械の問題が非常に重要なことは御案内のとおりでございます。私どもも、現地においてそういうような御要望等があることは承知しております。なお、そういう情勢にかんがみまして、先月三十日に、鹿児島県も含めまして県の関係者、団体等の方にお集まりいただきまして打ち合わせ会を開催し、さらに、近く関係メーカーを集めまして、これらの技術的な可能性なり今後の持っていき方を打ち合わせるというような手はずになっておるということを、私、所管ではございませんが、担当課から聞いておるところでございます。こうしたような技術的な進歩というもので機械化の見込みも出てまいりました。この収穫期の省力化、機械化をはかっていくということは非常に重要と考えておりますので、所管部局とも協議をいたしまして、そのような方法につきまして努力してまいるということをしてまいりたいというように思います。
  15. 國場幸昌

    國場委員 最後に総理府長官にお聞かせをいただきたいと思います。  御案内のとおり、沖繩軍用地の復元補償も開発庁調査をやっておるということは聞いておるのでありますが、この施設庁と開発庁沖繩の復元補償問題に対しての調査そのものは、承るところによりますと、開発庁がやるが、しかし、あとの結果、目的とするところの補償に対しては、施設庁がやるのか開発庁がそれに対しての予算をとるのか、まだそういうものに対してはさまっていない。だから、調査はやるといえどもあとに対してのあと始末、目的とするところの補償問題、このほうの所轄がまだきまっていない、こういうようなことを言っておるのが現状でございますが、それに対しまして、施設庁と開発庁と合議の上で、どこが責任をもってこれをやるのだということのいわゆる主務庁、この問題に対して、開発庁長官としましておきめなされたでありましょうか。その点に対しては、ひとしく沖繩軍用地を返還された方たちはずいぶん待ちわびておるわけでございますが、その点いかがでございましょうか、長官。
  16. 坪川信三

    坪川国務大臣 御指摘、御要望になりました問題につきましては、施設庁が中心となりましていろいろとやっていただいておるようなわけでございまして、復元補償その他を含めてでございますが、そうしたなにの折衝を施設庁が中心でやっていただきまして、その上に立って開発庁が調整等もはかってまいりたい、こういうような手順をもって進めたい、こう考えております。
  17. 國場幸昌

    國場委員 以上をもって質問を終わります。ありがとうございました。
  18. 浅井美幸

    浅井委員長 次に安井吉典君。
  19. 安井吉典

    ○安井委員 四月二十日の本委員会におきまして、上原委員が沖繩における救急医療の問題、とりわけ琉大付属病院のこれへの取り組みの問題を取り上げました際、ほんのわずかな時間ですが、私この問題をさらに詰めて、ぜひ次の委員会の段階まで開発庁長官のほうで、文部大臣あるいは厚生大臣等と意見を調整することによって、いま重大な状況にある救急医療をどうするか、その当面の問題をどうするかということが一つと、それから琉球大学の医学部の設置の問題、実に長い間の懸案でありますけれども、これについての明確な政府としての御見解をお示しを願いたい、これをひとつ宿題としておいでおいできょうを迎えたわけでありますが、ひとつそれについての政府のまとまったお考えを大臣から伺いたいと思います。
  20. 坪川信三

    坪川国務大臣 沖繩の現時点におけるなすべき課題は多くございますけれども、その中にあって、過般安井委員が御指摘になりました沖繩地区の緊急救急医療体制の確立という問題は非常に重要な問題でございます。その施設の内容あるいはベッド数あるいは看護婦あるいは医師その他の現状を見ますときに、内地の類似県と比較をいたしました場合に、四つの問題等すべてがやはり一〇〇に対して五〇%以下というような状況であるということを考えますときに、沖繩地区の重要な問題が数々ございますけれども、その中にあって、医療施設の体制の確立、緊急救急医療体制の確立ということが非常に重要でもあり、当委員会においても強く御指摘、要望に相なった点でございます。したがいまして、政府といたしまして、また開発庁といたしまして、関係省とよく連絡をいたしながら、第一次救急体制の確立は、沖繩地区の医師会の協力もいただきまして、六月一日より旧那覇病院の一部を改善、整備いたしまして、第一次救急センターを開設いたしたようなわけでございます。この措置によりまして、第一次救急を含めまして多数の夜間診療患者を受けなければならなかった中部病院は、第一次救急患者の診療から解放され、外科的な手術等を必要とする第二次救急に専念することが可能となってまいったのであります。  また、第一次、第二次の救急体制に対し協力するため、琉球大学の付属病院も、週一回火曜日には第二次救急患者を受け入れることとし、六月五日から発足をすることに相なったわけでございます。なお、今回の措置は当面の応急策として打ち出されたものであって、今後の恒久的な対策については、琉大付属病院に地域診療の役割りの一端をになわしめるべきか、また新たに地域病院を設けることにするか、県において市の意向も確かめ、目下立案中と聞いておるような次第でございます。  昭和四十九年の沖繩対策の問題の上において予算措置を十分配慮せなければならない問題は数多くございますけれども、過般の沖繩開発庁の幹部会におきまして、私も幹部諸公に対し強く指示いたしましたことは、やはり政策的な重要な問題を取り上げてこれを配慮すべきであるという指示をいたしております。  その指示の内容につきましては私なりの考えを持っておりますが、その第一に、やはり医療問題の充実をはかるということが一つの大きな四十九年度予算措置の柱にいたしたいと考えており、またこれらの問題については、厚生省及び文部省とも十分協議、連絡の上その具現をはかりたい、こう考えております。
  21. 安井吉典

    ○安井委員 救急医療の問題につきましては、この委員会でも大ぜいの委員からこれまで発言があって、政府への緊急対策の要求を続けてきたわけですが、その声は全くむだではなかったということは、いまの大臣の六月一日からの措置でわかるわけでありますけれども、この具体的な内容等については時間がきょう十分ございませんので深く伺えませんが、おそらく当面を糊塗するだけの、当座しのぎくらいなものではないかと思うのですが、それを一つの足がかりにして、ついこの間も沖繩県市長会、五月十七日付の要望書が参っておりますけれども、この中でも、救急医療体制の緊急強化というものを強くうたいあげておりますので、これらの沖繩県の要求に十分沿えるような救急体制をさらに整備していただきたい、このことをまず要望しておきます。  それから、もう一つの医学部の問題でありますが、この前も文部省側からあるいは厚生省側から御出席があって、大臣も出ておられたわけですが、いずれも非常に不明確な御発言しかないわけです。だから、私もいささか業を煮やしぎみに、この次までにしっかりした答えをつくってきていただきたいということを言っていたのですが、いま伺った御答弁では、なお検討中というふうな程度にすぎないことをたいへん遺憾に思います。  大体一九六五年の八月に佐藤総理大臣が沖繩に行って、琉球大学に医学部を設置するという発言、もうそれから始まっているわけです。そして医学部設置構想委員会がその年直ちに誕生をして調査団が派遣をされる、そういったような経過を経て、医学部への道は復帰と同時にできるのだというふうな考え方、これを沖繩県民は持っていたし、国会の私たちもそういうふうに思っていたわけですよ。ところが保健学部というふうなかっこうのまま現在にきて、病院はできたがその病院は教育病院で救急医療はやらぬのですよというようなことなんですから、ますます県民を憤らせているというのが現状ではないかと思います。いま伺ったら火曜日一日だけ、こういうことですね。あのりっぱな病院ができるときに、あの病院ができれば、もう県民全体の病気がみんななおるのだというくらいな期待を率直にいって百万の県民の人たちは持っていたと思うのですよ。その期待を全く裏切ったままになっておる。特にこれは保健学部の付属病院でしょう。いま正式には、保健学部を出たってお医者さんにはなれないのでしょう。保健学部の付属病院で教育病院だとおっしゃるけれども、これは卒業すると保健学士ですか、その人の教育であって、お医者さんの教育をしているのではないのですからね。それにもかかわらず、教育病院だからということで救急医療はお断わり、こういうのでは、これは私はどうも筋が通らぬと思います。ですからいずれにしても、この前も私が主張いたしましたように、ほんとうの地域基幹病院というものを、国立か県立か市立かできちっと建てて、これはもう教育病院オンリーにしていくというふうな体制にするか、これも一つの選択であるし、それから何よりも医学部を設けるという約束を果たしてもらわなければいけない。さっきの話では、来年度予算の中で、医療問題の充実を第一の柱として考えたいということは、あるいはその意味を含んでいるのかもしれません。どうですか、その点。
  22. 坪川信三

    坪川国務大臣 冒頭に申しましたような沖繩の医療保健体制の確立、施設の充実というのを一つの大きな柱にいたしたい、こう考えておるわけでございます。したがって、いまの保健学部と付属病院の設置だけでこと足るというような気持ちはみじんもございません。  御承知のとおり、また安井先生も非常に御協力いただきまして、いわゆる文部省におきまして琉球大学医学部設置に関する調査費も計上されておるというような状況でもございますので、医学部の設置というものはもうルートに乗せて、そのルートを動かすべき段階に入ってきつつありますから、私は来年の予算上の問題について、文部省と協力しながら、これを具現化いたしたいという方針は不動のものにいたして、ひとつ取り組んでまいりたい。十分文部省にお願いもし、文部省にも協力を強く要請いたしながら、いま御指摘になりました目標に向かって推進をいたしてまいりたい、こういう考えであることを表明申し上げておきたいと思います。
  23. 安井吉典

    ○安井委員 文部省から担当課長お見えですね。医学部の設置について、ことし三つの医学部あるいは医科大学の設置がきまって、次の順番もきまりつつあるようなことでありますけれども、この琉球大学の医学部の問題は、それとは全く違ったレベルにおいて考えらるべきであって、そのいまいわれている一般論のものとは全く別な立場から設置がきめらるべきである、こう思うのですが、文部省としてもそういうお考えでしょうね。念のために伺います。
  24. 齋藤諦淳

    ○齋藤説明員 文部省といたしましても、一刻も早く沖繩県に医学部を設置したい、このように考えておる次第でありますが、昭和四十一年から総理府のほうでいろいろ御協議いただきました、これを参考にしながら、いま保健学部、特にその病院の活動状況等も勘案しながら、医学部の設置について専門家にいろいろ調査をしていただいているわけでございます。  ただ率直に申しますと、たとえば保健学部の付属病院でありますが、四十八年度に医師の予算定員を五十三人つけておりますが、五月一日現在ではまだ三十五人しか補充されない。初め慶応大学等の教授が中心になってやっておられたわけでありますけれども、なかなかそれだけでは先生方が集まらない、教官である医師が集まらない、こういうことで、九州一円の大学にも私どもお願いいたしまして、最近慶応とかあるいは鹿児島大学とか九州大学とか、そのほか全国にも公募をされて、徐々に補充されておるわけでありますけれども、何ぶんなかなか琉球大学へは人が集まりにくい、医師である教官が集まりにくいという実態がございます。医学部の場合におきましては二百人以上も医師である教官が必要である、それで医師の教育をしなければならない、こういう実態もありますので、この点、琉球大学病院の活動状況等も十分勘案しながら、計画的に設置を考えていきたい、こう思っておるわけでございます。  なおそのほか、たとえば病理解剖でありますとかあるいは医学部教育に絶対必要な解剖体の収集等につきましても、地域の特殊性で非常にむずかしい面がございまして、この点も専門家に調査をしていただくと同時に、地域にその点の協力を、徐々にそういう考え方を浸透させていただくようにいろいろ協力をお願いしたり、あるいは現在の琉大病院の活動の中でそれをお願いしたりして、できるだけ早くこれが設置されるように努力をいたしたい、こう考えておる次第でございます。
  25. 安井吉典

    ○安井委員 私が伺った焦点は、全体的な医学部設置計画というものと琉球大学の医学部とは全く別なジャンルで考えらるべきだ。沖繩復帰というそういう形で考えられて、いままで一般論としてあるものの最優先に、それとは別に、つまり最優先順位をいつでも与えるのだ、そういう姿勢でなければならぬがどうか、こういうことです。
  26. 齋藤諦淳

    ○齋藤説明員 私どももそのような考え方で、医科大学設置調査会の中に特に琉球大学小委員会というものを設けまして、これでもっていま特別に調査をしていただいておるわけでございます。考え方といたしましては、いま先生の御趣旨に全く沿って、できる限り早期に実現するように努力をしたい、こう考えておる次第でございます。
  27. 安井吉典

    ○安井委員 私の考えの線でいかれているというふうに言われたわけでありますが、医師その他の教官充足の問題等も私も聞いておりますが、やはりほんとうにどんなことがあっても医学部をつくらなければいかぬという気持ちがあれば、それに伴う予算措置も必要だし、教官の待遇だとか、そんなこともやる方法があるはずですよ。それをほかの県と同じぐらいな扱いにして沖繩だけは集まらぬ、集まらぬやつが悪いんだ、沖繩は不利だからだめなんだ、そういうきめつけ方は間違いですよ。さっき大臣がほんとうに医療の問題を最優先に置いて来年の予算で考えるんだ、こう言われるのなら、やはりやりようがありますよ。そういうお気持ちがないからいままでぐずぐずしてきたんじゃないかと思いますよ。ぜひ文部省もそういうお考えで進んでいただきたいし、さらに重ねて大臣に、来年度一年限りで完成せよと言ってもちょっと無理かもしれませんが、少なくとも四十九年度と五十年度ですね、これで医学部の設置を完成してくださいよ。どうですか、お約束できませんか。
  28. 坪川信三

    坪川国務大臣 文部当局もいま申されたような方向で取り組んでもいただいておりますので、私といたしましても、安井委員長年にわたって要望されておるこの大事な問題については、ぜひとも御期待に沿うべく最善の努力をいたしたい、こう考えております。
  29. 安井吉典

    ○安井委員 最善の努力という、そういう抽象的なことじゃなしに、ぜひやってくださいよ。ひとつお願いします。  時間が短いので何でもかんでもというわけにいきませんが、アメリカ局長もおいでですし、防衛施設庁長官もおいでですから、沖繩基地の問題の扱いをちょっと伺っておきたいと思います。  四月二十三日の安保運用協議会あるいは五月十四日にも第二回の協議会があったり、その他事務レベルの話し合いも行なわれてきているわけであります。前回までここで取り上げた以後に、そういう動きがあるわけでありますが、最大の問題点である沖繩基地の扱いについて、その後の対米折衝、どういうふうな見通しを持っておられるか、それをひとつ伺います。
  30. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 ただいま御指摘ございましたように、四月の二十三日に第一回の安保運用協議会を開きまして、その第一回の会議でいろいろな話し合いの項目の一つとして、日米双方、今後米軍の施設、区域の目的、役割り、それから土地の使用状況について再検討しよう、そのための今後の仕事の進め方の方法についても意見を交換するということをいたしたわけでございますが、この第一回の会合を受けまして、五月の十四日に第二回の運用協議会を開きました。第一回の会議を受けまして、引き続いて日本側といたしましては、米軍の施設、区域についての話し合いを米側と行ない、この二つの運用協議会を終えまして、五月の二十九、三十日と第一回の日米安保事務レベル協議を行なったわけでございますが、その事務レベル協議の際に取り上げられました項目の一つとして基地問題がございます。  日本側といたしましては、この場を通じましても、基地問題に関する発展を強く念頭に置きまして米側と意見の交換を行なったわけでございますが、日米双方の出席者といたしましては、安保条約の目的並びにワク組みに沿って、在日米軍基地の整理統合のための努力を引き続いて行なっていこうという点について、共通理解をあらためて確認したわけでございます。  私どもといたしましては、このようにいろいろな場を通じまして、日米間でこの問題の具体的な発展をはかるべく努力をしてまいったわけでございますが、来週には、第三回の運用協議会を開きまして、さらにこの問題について話を進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  31. 安井吉典

    ○安井委員 基地の実態についても洗い直しをなされるというふうな報道になっているようでありますが、その具体的な方法はどうなのかとか、そこまでの話はいっていないのですか。
  32. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 日本側といたしましては、この問題に取り組むにあたりまして、施設庁、防衛庁におかれまして、現地の実情の把握も一生懸命行なっておりますし、そういうものを踏まえまして、米側と具体的に施設、区域の整理統合を進めるにあたっての問題の検討を引き続いて行なっている段階であります。
  33. 安井吉典

    ○安井委員 日本側の基地返還要求に対して、アメリカ側がいろいろな種類の政治的なあるいは経済的な、それより何よりも、また防衛代替というふうな代償要求をしているというふうな報道も聞くわけでありますが、それはどうですか。
  34. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 基地問題に取り組むにあたりまして、日本側が米軍に提供いたしまする施設、区域につきましては、安全保障条約の目的並びにそのワク組みに沿ったものでなければいけないわけでございますから、その観点から、施設、区域の内容につきまして日米間で話をしている状況でございまして、施設、区域の問題という観点から現在作業を米側との間に行なおうとしているわけであります。
  35. 安井吉典

    ○安井委員 具体的な見通し、たとえばいつごろまでにその洗い直しを終わるかとか、当面どの程度のものが話し合いがつきそうであるかとか、そういうような見通しを得るのはいつごろのお見込みですか。
  36. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 沖繩返還時におきまして、沖繩にありました基地の数が八十七ございますが、今日までにこれが七十九になっております。私どもといたしましては、引き続いて沖繩におきまする施設、区域の重要性にかんがみて、これを具体的な作業にのぼせたいということで折衝を急ぎ、またすでに二度の運用協議会が開かれ、五月末には事務レベルの協議も開かれたということを踏まえまして、来週第三回目の運用協議会を開くことを予定いたしておりますが、これらの一連の作業を通じまして、ある程度のものが具体性を持ってくるということを期待いたしております。その結果どういうものがいつごろということにつきましては、まだはっきり申し上げることができない段階でございます。
  37. 安井吉典

    ○安井委員 防衛施設庁長官にちょっと伺っておきたいのですが、ほんとうはこれは山中新長官がお見えになるといいと思うのですが、長官就任の最初の発言で、那覇空港のP3の移転を早める、あるいは牧港の全面返還を迫る、たいへん重大な決意をお示しになっておられるようであり、直ちにその作業に入ったというふうに報ぜられておりますが、決意もいいのですし、ぜひやっていただきたいのですが、長官のほうでどんなふうに具体的にお進めになるのですか。
  38. 高松敬治

    ○高松政府委員 新長官御就任になりまして、きょうも参議院の沖特の委員会でも御答弁がございました。長官の考え方は、私の理解いたしますところによりますと、とにかく沖繩における基地問題というものは、内地の基地問題と非常に異なっているのだ。したがって、いわば二十七年間基地の統合整理ということが行なわれなかったことに対しては、もっとスピードアップをして、早く基地の統合整理をはかるべきだというところに一つの重点があり、また、昨年沖繩復帰の際のいろいろの問題、たとえばP3の問題もそうでございますが、また牧港住宅地区の問題もそうでございますが、こういう問題についても、その当時の話し合いが必ずしも現在実現していないものがある。その際に三百三十一号線の問題も述べておられます。そういうものも全部ひっくるめまして、こういう問題について、ひとつスピードアップをはかって何とかやれないものかということもあります。私どももその線に沿いまして、従来からも沖繩の基地の整理統合については、私は本年当初以来あるいは昨年もそうでございますけれども、基地の整理統合という問題の中でも一番重点的に考えるべきものだということで、先ほどアメリカ局長が御説明申し上げましたさまざまな会議でも、いろいろそういう観点から折衝を続けてまいってきておるわけであります。たまたま山中長官のそういう御指示もございまして、私どもとしてはその線に沿って作業をいろいろ進めている、あるいは今後の仕事のあり方を検討しているというのが現在の状況でございます。
  39. 安井吉典

    ○安井委員 もう時間がなくなりましたが、山中長官が沖繩開発庁長官をやって、やめて、またなってみても、彼が在任時代に約束したものは何にも果たされていない。全く同じ状態にあって、今度は変わった長官になられる、そういうお気持ちの中の発言かもしらぬが、ただ景気よくぶっ放せばそれで済むというものじゃありませんから、これはやはりやっていただきたいし、しかしこれは山中さんも、あれは開発庁長官時代に残った仕事が終わってないということでの話なんだが、現長官もぜひ最後までの御努力をひとつお願いをいたしたいと思います。  それから、VOA放送についての移転の予算が、アメリカで下院を通らないことが明らかになったという報道がございますが、現実に沖繩のVOA放送の移転をおくらせたり、阻害したりするようなことがあるとは外務省としてはお考えになっておりませんか。
  40. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 アメリカの一九七四会計年度に行政府が要求いたしましたVOAの移転関連費というものが削除されたという話を私ども聞いておりますけれども沖繩返還協定で日米で合意されておりますことは、五年間は暫定的に継続使用を認める、沖繩返還後二年たったら日米間で協議するということでございまして、来年の五月に、協定に定められた協議の時期が来るわけでございますが、日本側といたしましては、五年以後に沖繩にVOAがそのまま残るということは想定いたしておらないわけでございますから、今回米側から報ぜられておりますことは、七四会計年度に関する限り、移転のための予算措置が講じられなかった、こういうふうに考えたいと思っております。
  41. 安井吉典

    ○安井委員 終わりました。
  42. 浅井美幸

    浅井委員長 次に正森成二君。
  43. 正森成二

    ○正森委員 御承知のように、沖繩県は日本列島の最南端に位置して、一年じゅう亜熱帯の温暖な気候に恵まれた特徴のある自然の景観をなしております。とりわけ、海と空の美しさは日本唯一の自然の宝であるといっても過言ではありません。  また沖繩県には、独特の歴史的条件下にあったために、本土には見られない貴重な文化財も非常に多い。自然保護は、復帰後国立公園として、西表島国立公園、また国定公園としては沖繩戦跡国定公園、沖繩海岸国定公園などが旧琉球政府立公園をそのまま引き継いで指定されております。  ところが申し上げたいことは、海洋博会場となる本部半島一帯はこれらの指定からはずされているということであります。また、文化財や天然記念物などの保護は一部分指定されておりますけれども、それが非常に不十分である。  そこで、私はこの間調査してまいりましたけれども、公害対策協議会の福地事務局長、これは沖教組の書記長でございますけれども、その人が、自然及び文化財の破壊が非常に著しいということを訴えております。  その一、二の例をあげますと、名護市の嘉津宇岳付近には、国の天然記念物に指定されているチョウ類や植物群叢が生息しておる。ところが海洋博のために琉球セメント、それから申し上げかねますが、國場組、本部採石工業などの採石工事によりまして破壊が非常にひどくて、その姿が消えていっておる。北山城趾などは国の文化財指定になっているけれども本土資本がホテルをつくるということで、入口近くまで整地しておるというような状況があります。特に海洋博会場内には百点以上の埋蔵文化や植物群叢が危機にさらされております。この中には考古学上重要なサチビン、風葬墓というのですか、沖繩独特のものもあります。あるいはアンモナイト、標準化石でありますが、その化石も道路拡張で破壊されておるというようなことが起こってきております。あるいは文化財である部間権現に接して、これまた國場組の採石工場があるために二つのテイラに亀裂、境内入口損壊などが起こっております。  私は現地を見てまいりましたが、海洋博の入口に塩川というのがありますが、これは川でありながら塩分がある。なめてみると塩からいという、非常に珍しい川でありますが、それがまた、これまた近くの山に國場組など三社による採石場があるために水量が約五分の一に減る、あるいは塩分が減少しておるというようなきわめてさまざまの状態が起こっております。  私は海洋博の問題について専門家に質問をいたしましたときに、やはり救急医療の問題やあるいは地方の財政の非常な窮迫の問題というのをあげましたが、観点を変えて、こういう自然や文化財の破壊という点から考えても、きわめてゆゆしい事態が起こっております。  それについてまず最初に大臣に、そういうことを御承知になっておるかどうか、なっておられるとすれば、それに対して政治的にどういう措置をおとりになろうとしているか、こまかい点をあとでまた関係当局から伺いますが、まずその点についてお答えいただきたい。
  44. 坪川信三

    坪川国務大臣 沖繩振興開発を進める場合におきましても、また海洋博の関連事業工事を進める場合におきましても、何と申しましても沖繩県の持つ特有の、すぐれた自然環境という沖繩特殊性を生かしながら、これを破壊しないということが一つの姿勢でなければならない、私も就任後現地に二回参りましたが、そのつど破壊されつつある不幸な自然環境の姿を見ますときに、関係当局に対しましても強くその防止対策を要請もいたしておるような次第でありますとともに、ことに海岸の、あの景観の持つ海岸一体の採石によるところの破壊された姿を見るときに、憂いをともにいたしておるような次第でございますので、沖繩の歴史ある文化財をどう確保してまいるか、また自然環境の保全をどう保持してまいるかということは、沖繩開発の上において非常に重要な問題でありますので、県当局も県条例等の制定を急いでおることを聞きまして意を強うしておるのでございます。  過般、屋良知事が上京されましたとき、この点も私は強く指示もいたしまして、そうした点に最大の配慮を求め、文化庁とも連絡をとりまして、これらの文化財の保護、自然美の保全、確保というような点も、建設省及び現地の開発局にも指示をいたしながら、沖繩の環境保全と文化財の保護に万全の配慮と指導をいたしてまいりたい、こう考えております。
  45. 正森成二

    ○正森委員 いま大臣からお答えがございましたが、現実に沖繩のサンゴ礁などはもう九割ぐらい全滅しておるというようなことも現地の人は言ってきておるのです。そこで、たとえば本部半島を国立または国定公園に指定するとか、あるいは国の文化財の地域指定を拡大するとかあるいは文化財の追加指定を早急に行なうとか、あるいは沖繩の文化財保護条例を早急に制定して、市町村独自の指定を促進するとかいうような具体的な措置を講じなければ、精神的な問題だけでは片づかないと思いますが、大臣及び関係当局の、どういうような措置をおとりになっておるか、あるいはおとりになるつもりかについて御答弁をいただきたい。
  46. 清水成之

    ○清水政府委員 文化財の関係でございますが、海洋博あるいはその予定地あるいは周辺地におきます点につきまして、ただいま先生御指摘の点につきましては、私どもは非常な関心を持っております。  端的に申しまして、沖繩県内におきます文化財保護の体制は、住民の皆さま方また県の当局、また沖繩開発庁沖繩駐在の総合開発事務局並びに道路公団あるいはまた県教育委員会等が中心になりまして、非常な熱意で保存に努力していただいておるというふうに私ども思っております。  具体的な問題といたしましては、先ほど沖繩開発庁長官からお答えがございましたように、私どもお互い連絡をとりまして、県の教育委員会、具体的には文化課を通じて指導しておるわけでございますが、例にあがりました北山城跡、今帰仁城あとにつきましては、工事があったわけでございますが、現在県教委の指導によりまして途中で中止をした、こういう連絡を受けております。文化庁としましては、あの城あとは草むらのあとから出てきたわけでございまして、大体私どもの推測では、いま国指定としましては、半分の地域の指定になっておるかと思うのでございますが、あとの地域につきましては追加指定をしたいという方向で検討いたしております。  それから国指定の分としてあがりました塩川の問題につきましては、これまた実は塩川自体を追加いたしておるわけでございますが、御指摘のように、採石場との関係がある、こういうことで、私ども報告を受けておりますのでは、先月末沖繩開発庁の総合事務局とそれから県の労働商工部でございますが、合同調査をいたしまして、採石場の関係で塩川の水が濁ったりそういうことのないように、採石場自体を何か別のところへできないかという観点からの合同調査を先月末にやっておる。こういうことでございまして、採石場自体設けることがいいかどうか、文化庁としての指定範囲外のことでございますので、とやこう申せませんが、私どもとしては、そういう方向が実現していただければいいんだがなという期待を持っておるわけでございます。  それから、部間権現につきましては、県教委のほうで県指定にしたいということで、いま所有者と鋭意交渉中でございますので、その実現を私どもバックアップをしてまいっておる、こういうことでございます。  なお条例の点につきましては、市町村条例が、承っておりますと、いまちょっとふえておるかわかりませんが、八市町村だけだとかいうふうに承っておりまして、準備中のところも若干ございますので、そういう面からひとつ措置を講じていただきたい。かように県教委と連絡をとっておる次第でございます。
  47. 正森成二

    ○正森委員 いまいろいろお答えがありましたが、たとえば塩川の点については本部採石、國場組、琉球セメント、この三つが採石をやっておって、そのためにいろいろ被害が起こっております。文化庁のいまの答弁を聞きますと、文化庁なりにいろいろやっておるようですけれども、なお文化庁だけでは手当てができない点については、関係当局がいろいろやらなければ、海洋博をやろうというのに肝心の沖繩の自然や文化財がつぶれていくというようなことでは、何のためにやっておるかわからないということになります。  ちなみに五月二十四日の琉球新報を見ますと、中曽根通産大臣が見ておられる。その中で「本部半島、伊江島など会場周辺地を視察してみて自然破壊がかなりあることが目についた、とくに採石場、海水の汚だく、また本部半島の一周道路の混雑などが問題になりそう。この面の対策を早急に立てる必要があり、県の監督強化も促したい。」これは明白に新聞に載っておるところでございます。  また、大臣はつとに御承知のところだと思いますが、昭和四十八年三月二十八日に外務委員会で、いわゆる海洋博に関連した政府代表の設置に関する臨時措置法案が通過いたしましたが、その附帯決議を見ましても、三の3のところに「自然環境の保全に万全の措置をとる。」ということが明白にいわれておるわけですね。したがって、私はきょうは時間の関係で、経済問題について、縦貫道路とかいろいろ問題が起こっておりますが、触れる時間がありませんけれども、それらの点について十分な配慮をしていただきたいということを申し上げておきます。  次に、御承知でありますが、五月二十八日にコザ市において、米兵による婦女暴行事件が起こりました。二十八日の未明、午前一時ごろですが、日本人の二十二歳の女性がアメリカ兵にナイフを突きつけられて、近くの米空軍の嘉手納基地内の米軍兵舎内に拉致され、そして報道によりますと、米兵十名に次々に強姦されたという事件が起こりました。これについては諸新聞に報道されておるところであります。  詳しく伺う前に、捜査当局、ここには佐々木警察庁捜査第一課長、それから関係官庁として大河原アメリカ局長も来ておられますが、現在までの捜査状況あるいは問題点について御報告いただきたい。
  48. 佐々木英文

    ○佐々木説明員 現在までの捜査状況というお求めでございますので、それにつきまして御説明申し上げます。  五月二十八日の午前三時三十分ころでございますが、嘉手納基地の米空軍憲兵司令部員が、基地内を裸で走っております被害者を発見いたしまして、事件を認知して、直ちにコザの警察署に通報してまいりました。これを受けまして、コザ市におきましては刑事課員等が現場に急行いたしまして、被害者を確保いたしまして、被害者から事情の聴取を行ないました。それから米軍の捜査機関でありますOSIと共同いたしまして、午前六時まで現場周辺で犯人の検索を実施いたしました。この検索によりましても犯人を検挙するに至りませんでしたので、この日の午前九時から、県警本部の捜査一課そのほかの応援を得まして実況検分を行ないまして、指紋三十三個、それから毛髪等の捜査資料を採取しております。これを鑑定に付しております。それからOSIに対しまして協力を要請いたしまして、七百二十五号の兵舎に居住しております黒人兵の写真を三十八枚入手いたしまして、これを被害者に示しまして、被疑者の確定を現在実施中であるというのが捜査状況でございます。
  49. 正森成二

    ○正森委員 いま伺っておりますと、犯人についていろいろ捜査をしておられるようですが、犯人の身柄の確保、それはどうなっておりますか。
  50. 佐々木英文

    ○佐々木説明員 お答えいたします。  犯人の確定にまだ至っておりませんので、したがいまして、まだ身柄の確保はいたしておりません。
  51. 正森成二

    ○正森委員 いま犯人の特定ができていないというお話でございましたけれども、一名が行なったというのではなしに、連れてきたのは一名かもしれないけれども、十人もの人間が寄ってたかってやったというようなものについて、犯人の特定ができないなどということは、国内の犯罪ではおよそ考えられない。面通しをすればすぐわかるし、第一そんなものは犯行が行なわれた場所だってちゃんとわかっているんだから。そのことはいかに米兵が、あるいは米側が協力していないかということを物語るものだと私としては思わざるを得ない。  そこで、いまから尋ねますけれども、もちろんあなた方は、この件は日本に第一次的裁判権がある事件である、地位協定の十七条によっても明白にそうだというように思っておられるのでしょうね。
  52. 佐々木英文

    ○佐々木説明員 御指摘のとおりでございます。
  53. 正森成二

    ○正森委員 そうだとしますと、地位協定を見ましても、第十七条の5の(a)について「相互に援助しなければならない。」「アシスト・イーチ・アザー」という文言を使っておりますが、そういうことばがありますね。そうだとすれば、事件が発生しましてからすでにもう一週間以上たっておるということになって、なおかつ犯人が特定できないなどということは考えられないことではないか。いままでこの種の事件が幾つか起こりましたけれども、そのときに私どもが知っておるのでは、御承知のように、第十七条の5の(c)で「日本国が裁判権を行使すべき合衆国軍隊の構成員又は軍属たる被疑者の拘禁は、その者の身柄が合衆国の手中にあるときは、日本国により公訴が提起されるまでの間、合衆国が引き続き行なうものとする。」こういう規定がありますために、実際上は日本での捜査の常識からいえば、まず身柄を取っつかまえてそして調べなければ、起訴できる資料があるかどうか、公判を維持できるかどうかわからない場合が多い。ところが、この地位協定では逆であって、まず起訴しなさい、そうしたら身柄をお渡しいたしますということになっているわけですね。そう読める。また、事実そういうことで、いままでいろいろ不都合が起こったということは、新聞紙上で報道されているとおりですね。ですから、あなたのその御答弁を聞きますと、これは、米軍の協力とか「相互に援助しなければならない。」などといっているけれども、実際上はなかなか行なわれていない。そしてまた、何らかの事情で、逮捕したいと思ってもできないというようなことが起こっているからにほかならないのじゃないかと思うのですね。  そうだとすれば、これは大臣にも伺いたいわけですけれども、日本は独立国である。日米安保条約はあるけれども沖繩はもうすでに日本に復帰してきたのだという場合に、いやしくも日本女性が基地外で平穏に生活しておるのに、基地の中へかつぎ込まれて十名もの米兵に次々に強姦されている。およそ人間のやることじゃない。そういうことが起こっておるというのについて、山中さんは大臣をかわられて威勢よく、沖繩には基地が多過ぎる、わしが大臣になった以上はそれを少し減らしたいという意味のことを就任のときに言っておられますけれども坪川さんはもちろん防衛庁長官でもなし、外務大臣でもありませんけれども沖繩の民生については責任者だ。そうなると、医療の問題も大事だ、あるいはその他の経済の開発も大事だけれども、人間の命と操、そういうのが脅かされているようでは、日本国政府として十分に役割りを果たしているといえない。そこで、この問題について所信と今後の決意を伺って、時間がそろそろきますからお帰りいただいてもけっこうです。
  54. 坪川信三

    坪川国務大臣 先ほどの御質疑の中において、非常に重要な課題は医療救急体制の確立であるということを申し上げましたが、時間の関係上まだ付言をいたしませんでしたが、その問題とともに、やはり沖繩の最も優先すべき問題は基地の整理縮小、統合、これがもう一番の優先すべき課題である。当面する物価対策というような問題も非常に重要な問題でございます。県内体制の問題として、一番緊急な課題として取り組んでいかなければならぬのは、私はこの三つであると思いますが、その中にあって、今度起きました不幸な事件、まことに遺憾千万なできごとにつきましては、ほんとうに申しわけなくも思い、またアメリカ政府当局、また駐日アメリカの大使館側からも、日本政府に対してまことに遺憾のきわみの意を表されたのでございますが、それだけで事は済むものではないと思うのであります。したがって、これからも外務及びその他の外交関係を通じ、また日米協議会の場を通じまして、これらに対するところの毅然とした態度でアメリカ側に臨むべきであるという方針は、田中政府といたしましてもとっておりますので、基地の整理縮小、また日本の大切な生命、財産に関する厳粛な問題につきましても、きびしい態度でアメリカに反省を促し、また適切なる措置を講ずるよう強く要請してまいりたいという考えを申し上げて御理解をいただきたい、こう思います。
  55. 正森成二

    ○正森委員 いま大臣からそういう御答弁がございましたが、沖繩タイムス、琉球新報その他に報道されておる那覇地検の統計によりますと、復帰後の米兵の犯罪が、これは新聞によって違うのですが、五千二百件といっておるのもあり、四千四百件といっておるのもありますが、とにもかくにも一日十数件発生しておる。しかも検挙率はやっと五〇%、特に本件のような強姦であるとか殺人であるとか凶悪犯は二二%という低い検挙率になっております。有名な、崎間敏子さんの殺害事件については、容疑者の米兵、これは担当の署長の話によれば、九九%まで黒だというところまでいったけれども、起訴するにはもうちょっと、こう思っておって、帰国を延ばしてくれ、延ばしてくれといっておるのに、とうとう米兵を帰してしまった、まことに残念だといって署長がうなだれておるということが新聞に報道されておる。もってのほかである。お互いに相互に援助しなければならない、こう書いてあるのに、身柄は自分のところで持っておって渡さないわ、起訴すれば渡すと言い、そして非常な不便を忍んで九九%まで公判維持できる、こうなって逮捕寸前にあったが、さっさと退役したら帰してしまう、こういうようなことが行なわれておっては、とても日本国として独立しておるということはいえないんじゃないかという声が起こってくるのはまことに無理からぬことだ。逆に立場をかえて、アメリカの中に日本の基地があって、アメリカ人がそういう目にあっておるのに、日本がしゃあしゃあと帰してしまったというようなことになれば、ウォーターゲート事件どころではない、どれだけ激高するかわからない。そういうお互いさまの立場に立って考えれば、これはゆゆしい問題だ、こう思うのですね。  そこで、それらについて大臣はどうお考えになるか。  特に大河原アメリカ局長に聞きたいわけですが、いろいろ不備な点はあるけれども、特に地位協定の十七条の5(c)というようなものは、米兵犯罪をすみやかに捜査し、そしてこれをすみやかに起訴に持っていく点について、非常な障害になっているというように思わざるを得ないけれども、それについてアメリカ側と交渉して、基地縮小ももちろん大事だけれども、さしあたり、こういうような不合理な規定について改廃する意思がないかどうか、また、それについては交渉をいままでにしたことがあるかどうか、それについてお答えを願いたい。
  56. 坪川信三

    坪川国務大臣 いま地位協定の適用の問題等につきましては、開発庁長官といたしまして、外務大臣にもとくと御協議とまた御要請を申し上げて、これらの点の納得のいく改正に努力をいたしたい、こう思っております。  以上お答えいたします。
  57. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 先ほど坪川長官は、まことに遺憾千万であるというふうに申されました。私も全く遺憾千万に存じております。  この事件を承知いたしまして、私どもといたしましては、五月の三十日にアメリカ局長から、在京米大使館のシュースミス公使並びに在日米軍のパースレー司令官に対しまして、強く遺憾の意を申し述べたわけでございますが、これに対しまして米側としまして、かねて厳正な軍紀の維持につとめてきたわけであるけれども、その最中に、このような不祥事件が起きたことはまことに遺憾である、今後一そうの軍紀の粛正につとめる旨、並びに事実関係の確認を米側としてもつとめているけれども、捜査にあたっては、日本の警察当局に最大限の協力をいたしたい、こういうことを約束したわけでございます。  それで現実には、捜査の問題につきましては、先ほど警察の御担当の方から御答弁があったとおりでございますが、地位協定十二条五項(c)の問題につきましては、これは米側の考えといたしましては、軍隊の構成員の保護という立場にある米側として、米側の立場とそれから裁判権を行使すべき日本側の立場と、そことのバランスの上に立った規定であって、これなくしては、米側としては軍隊の構成員の保護という任に当たり得ない、こういうたてまえの問題であるということをかねて言っているわけであります。私、アメリカ局長として着任いたしまして以来、たとえば昨年の九月のベンジャミン事件の際におきましても、この問題について、あらゆる角度から検討を私ども立場としていたしたわけでございますけれども、この地位協定の規定は曲げるわけにはいかないというのが米側の強い態度でございまして、今日に及んでいるというのが実情でございます。
  58. 正森成二

    ○正森委員 いま大河原アメリカ局長がおっしゃったことは、五月三十一日の琉球新報にも報道されて、あなたがきわめて遺憾であると申し入れて、回答がいまおっしゃったようにあったということは記載されておりますからそのとおりだと思いますけれども、しかし米側が地位協定、あなた十二条とおっしゃったが十七条の誤りですね。それについて維持したいというように言っているのは、これはやはり非常に問題だ。その点について、日本政府当局としてはもっと強い態度で臨まなければならない。なぜならここに「日本の基地」という潮見俊隆さんのお書きになった著書があるけれども、その初めのほうを見ておりますと、「昭和三八年一一月二六日、」これはまだ占領下ですが、「アメリカ国防総省は、上院にたいして、日本における駐留軍関係者の犯罪について日本の取扱いが寛大にすぎ、それが在日アメリカ軍司令官たちの間では、道徳上の、また規律上の問題にさえなっている、という報告書を提出した。」長くなるからあとは引用しないけれども、こういうことをぬけぬけといっている。つまり日本の取り扱いが寛大だから軍規が守れなくて困るんだ。軍規の悪いのを日本の取り締まりがあたかも怠慢であるかのようになすりつけた報告を出しておる。そうだとすればもってのほかだ。だから佐々木第一課長は、大河原アメリカ局長が米軍当局に言ったら、あらゆる捜査についての協力は惜しまない、こういっているのだから、十名もの人間が日本女性を寄ってたかって輪姦したというような事件について、いやしくも犯人がわからない、わかりかけたらアメリカへ帰ってしまったというようなことがないように、十分な捜査をやり、そして厳正な法の適用をやってほしい。それについてのあなたの決意を伺って、時間ですから私の質問を終わります。
  59. 佐々木英文

    ○佐々木説明員 このような凶悪事件につきまして、沖繩県警といたしましても全力をあげて捜査しておりますことはすでに先生御承知のとおりかと思います。私どもも本件のような非常に凶悪な事件につきましては、全力をあげて捜査するように、こちらからも再三指示をいたしておりますし、また沖繩県警におきましても、そのつもりで現在鋭意捜査中でございますし、絶対に近い機会に犯人を検挙するというような決意に燃えて捜査いたしておりますので御了承を賜わりたいと思います。
  60. 正森成二

    ○正森委員 ではこれで終わります。  なお、これについては、犯人がわかれば私に報告してください。
  61. 浅井美幸

    浅井委員長 次に、渡部一郎君。
  62. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 私は、まずきょうは基地縮小の問題、それからVOAの問題及びコザにおける借地料の問題、三つについてお伺いしたいと思います。  最初にお伺いいたします。まず沖繩返還協定の採決の際に国会において「非核兵器ならびに沖繩米軍基地縮小に関する決議」が行なわれたことは、列席の皆さまには御承知いただけた問題だと思います。そのとき趣旨説明をされたのは現在の特別委員長浅井美幸氏でございます。  その決議の際に、「非核兵器ならびに沖繩米軍基地縮小に関する決議」として、その第二項として、「政府は、沖繩米軍基地についてすみやかな将来の縮小整理の措置をとるべきである。右決議する。」と述べられました。これについて政府は一生懸命やっているのかどうか。大臣に伺うよりも、むしろ実際的にその問題を扱われておるであろうと思うアメリカ局長にお伺いをしたい、こう思っておるわけであります。
  63. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 四十六年十一月二十四日に、当時の衆議院の本会議におきまして、ただいま御指摘のあった決議が採択されたわけでございますが、引き続いて行なわれました翌年の一月七日の佐藤総理大臣とニクソン大統領との間のサンクレメンテの会談の際に、日本側としましては沖繩の施設、区域の問題を取り上げまして、それの整理の問題について共同声明でその旨は述べられております。その後、日米間でいろいろ接触が行なわれてきたわけでございますが、本年一月二十三日に第十四回の日米安保協議委員会が開催されました際に、いわゆる関東平野計画に関する合意と相並びまして、沖繩の基地の整理に対します具体的な合意が日米間で行なわれたことは御承知のとおりでございます。その後、四月二十三日に第一回日米安保運用協議会が開催され、その際にいろいろ話し合われました中で、基地問題に関しましては日米双方として、今後米軍施設の目的、役割り、使用の状況について再検討をすることとし、そのための今後の仕事の進め方の方法についても意見を交換したということが発表されたわけでございまして、政府といたしましては、この第一回の会合を受けまして、五月の十四日に第二回の安保運用協議会を開きまして、沖繩に重点を置いた在日米軍基地の整理統合の問題について話し合いを行なったわけでございます。この二回の運用協議会を受けまして、五月二十九日、三十日の両日行なわれました第八回の安保事務レベル協議の際におきまして、基地問題について引き続いて話をいたしました。その結果、安保事務レベル協議といたしまして、日米間で安保条約の目的、役割りに照らして、今後引き続いて在日米軍基地の整理統合の問題について話し合っていくということについての双方の理解があらためて確認されたわけであります。  私どもといたしましては、このような会議、いろいろな形での日米間の接触を踏まえまして、さらに沖繩に重点を置いた在日米軍基地の整理統合を進めるべく、鋭意作業をいたしておりまして、来週の月曜日には第三回の日米運用協議会の開催を予定いたしております。これらの会合を通じまして、具体的な作業が固まっていくことを強く期待し、また希望しているわけであります。
  64. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 米側との接触についてはただいまお話しいただいたとおりだろうと思いますが、昭和四十六年十一月において国会で決議され、四十七年の一年間が過ぎ、四十八年の一月になってようやく安保協議委員会においてそれを申し述べたという点に関しては、鋭意努力されているにしては、非常におそ過ぎるのではないかという不満を感ずるわけであります。その上に、現在までに返還されておるところはわずか七カ所にすぎず、しかも実際的に返還されたのは、ハーバーヴュー・クラブというまことにお粗末なレストラン程度のもの一カ所、コザ通信所というのを一カ所、それに尽きたのでありまして、あとの五カ所については自衛隊との共同使用であります。これだけの時間をかけてこの程度の返還をして、県民というか、国民全体の基地縮小という願望にこたえたと言い得るかどうかについては、私ははなはだ大きな不満を感じておるわけであります。それは私一人の不満ではなかろうと思います。  私は先々月にアメリカを訪問いたしました際、ハワイにおきましてSINPACを訪れました。そしてそのSINPACにおきまして、参謀長であるコーコランという将軍とお会いしました。一緒にいたのはブリガードゼネラルのスコット氏、それからピーターという大佐でありました。その際に、米軍基地縮小の問題についてお話をしたわけでありますが、私がお話をしたのは四月十日であります。そのときは安保運用協議会の行なわれる直前でありますが、沖繩の米軍基地縮小に関して、正式に日本側からの要請は受けていないと述べました。願望その他という意味ではなく、きびしい意味での返還要求を受けたことはないという意味に解すべきであろうと私は思いました。  そこで私は、一つの例を出して彼らに聞いてみました。それは、沖繩の海洋博覧会の開催に関し、この博覧会の会場に至る道路が狭いため、あるいはガードレールその他の歩道橋等の設備ができないためという理由で、米側は米軍基地の縮小に関し、非常な困惑というか、いい顔をせぬという状況にある、一部分について縮小はできているけれども、はかばかしく進んでいない状況があるではないか、こういうことは県民に対する影響もどうかと思うし、この沖繩海洋博に協力するという意味からも、この際思い切って返されたらどうかと述べました。これに対して彼らは、米軍基地としての機能の面でなく、そういう政治的な立場からの御要求はよく理解しておる、理解しておるが正式に聞いたことがない、こうも述べたのであります。私は、非常に慎重なお取り扱いをされているだろうということはわかるわけでありますが、実際に返還するにあたっての実施権限について、かなり強力な意向を持つSINPACの幹部がわからないという程度の基地縮小に対する交渉であると、これはどういうものであるかなという疑問を感ずるわけであります。なぜ向こうにそんなあまり反応のない程度でしか伝わっていないのか、私はその点を疑問に思うわけであります。答弁願えればしあわせです。
  65. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 ただいまの御発言を時間を追って整理いたしてみますと、太平洋軍司令部で担当者とお話しになられたのは四月十日というふうに伺いました。四月二十三日に第一回運用協議会が開かれ、五月十四日に第二回運用協議会が開かれました。五月二十九日、三十日に国務省、国防省の直接の担当者並びに太平洋軍司令部のG・エイツ少将並びに在日米軍司令部の司令官を含めました安保事務レベル協議が開かれたわけでございます。  私どもとしては、一連の会議を通じまして、単に日本側の一方的な片思いではなくして、在日米大使館、在日米軍司令部並びに太平洋軍司令部という現地軍を含めました国防省並びに国務省とも十分意思の疎通をはかった上で、この問題の具体的な前進をはかっていきたいというように考えており、また米側との間に基本的な了解といいますか、方法についての理解を固めた上で、具体的なものが一日も早く固まりますように作業を進めていきたい、こういうように考えているわけであります。
  66. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 そこで私は、その交渉の態度について二つあると思っているわけであります。それは、いま大河原局長が言われたとおり、在日米軍司令部を含めた国務省の人々と意思の疎通をはかりつつ、具体的に漸進的にこれを推進していくという方向、明らかにこれは私大事だと思っております。それを全面的に否定しているのではございません。ところがその前に、あなたはわがほうの片思いだけではなくと言われました。これは日本側としてこれだけはほしい、取り返したいというものがあってもいいと私は思います。(「真心から取り返すんだ」と呼ぶ者あり)ただいま不規則発言がありましたとおり、真心から取り返したいと思う部分があるわけであります。ところが大河原さんのほうは、もうアメリカ政府、国務省そのものかと間違えられるくらい穏やかに打ち合わせをしながら、どうでしょうかというお話し合いの態度に見えるわけです。私はそれは無理もないと思っているのです、実を言うと。大河原さんは無理もない。それは大河原さんが悪いのではない。私はここで大河原さんの弁解をしておきたいのです。実を言うとそれは、沖繩返還協定のときに日米共同声明がつくられました。そうしてものすごくへんてこりんな協定がつくられたわけでありまして、日米安保体制でない、次の時代の日米関係を規制するものができ上がったわけであります。暗記されているだろうと思いますが、あえて申し上げますと、第七条に「総理大臣と大統領は、施政権返還にあたつては、日米安保条約及びこれに関連する諸取決めが変更なしに沖繩に適用されることに意見の一致をみた。これに関連して、総理大臣は、日本の安全は極東における国際の平和と安全なくしては十分に維持することができないものであり、したがつて極東の諸国の安全は日本の重大な関心事であるとの日本政府の認識を明らかにした。」その次に「総理大臣は、日本政府のかかる認識に照らせば、前記のような態様による沖繩の施政権返還は、日本を含む極東の諸国の防衛のために米国が負つている国際義務の効果的遂行の妨げとなるようなものではないとの見解を表明した。大統領は、総理大臣の見解と同意見である旨を述べた。」こう書いてありますね。だから大河原さんは、アメリカがこの辺で何かやることについて、アメリカ軍の国際義務の効果的遂行の妨げにならぬようアメリカ軍の立場となり、アメリカ政府立場になり、大統領の立場になって考えながら、そろそろと取り返そうとするしかない。だから、こちらで海洋博があるから返せなんていうことは言えない。そんな大それたことを言ったら日米協定違反である。だからおっかなびっくり言うしかない。アメリカ政府の国際的義務の効果的遂行の妨げにならぬように言うしかない。こういう立場で先ほどの御答弁があった、こう理解してよろしいですね。
  67. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 一九六九年の佐藤総理とニクソン大統領との間の共同声明の件について御言及でございましたが、日本政府が在日米軍に施設、区域の提供をいたしておりますのは、安保条約の目的に照らして必要な施設、区域の提供を行なっているわけでございまして、私どもといたしましては、日本政府が安保条約に基づいて、米軍に対して施設、区域を提供しているという安保条約のワク組みの中において、なおかつ、米軍の要請にこたえつつ、日本側の希望を達成する道があるということを確信しております。したがいまして、先ほど来申し上げておりますように、日本側の事情を十分踏まえた上で米側との折衝を続けてきているわけでございまして、来週第三回の安保運用協議会を開催を予定いたしておりますが、これらのいろいろな手順を経まして、具体的なものを何とか固めたいというふうに考えているわけであります。
  68. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 私がなぜさっきから局長とぎゅうぎゅうこんな議論をしているかといいますと、あなたは安保体制のワク組みの中で、あるいはアメリカとのいろいろな諸取りきめのワク組みの中で米側の要請にこたえつつ、その中でこちら側の希望達成の道がある、こう言われましたね。いま非常に正確な答弁で私は敬意を表しているわけですけれども……。そこで、私はそのつらい立場がわかりますから申し上げるのですか、じゃ、アメリカのワク組みですね、ワクはどの辺にあるのか伺わせていただきたい。要するにアメリカのワクはどの程度のものであるか、大河原局長のそのワクの中における日本側の希望というのはどの程度のものであるか、どの程度のことをいま運用協議会で検討されているのか。そのワクすらきまっていない状況である。それを私は伺いたい。
  69. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 最も極端な御説明をするといたしますれば、米軍は、現に使用している施設、区域をそのまま全部使いたいということだと思っております。これはきわめて極端な、また乱暴な議論かと思いますけれども、そういうことだと思います。しかしながら、軍事的な効用を考えまする米側といたしましても、単に軍事的な側面だけでこの基地問題が割り切れるものじゃないということもまた十分理解いたしております。したがいまして、そういう意味におきまして、私どもとしましては米側との折衝によりまして、この問題についての具体的な前進をはかりたいと考えておるわけであります。
  70. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 アメリカ局長は思い切って言われたのだろうと思いますから、私きょうはそこまでにしでおきたいと思います。それで、明らかにアメリカ側は、基地については一歩も譲らぬという強硬姿勢があるということを私たち国民は意外に理解していないのだと思います。われわれに残された自由度というのはきわめて少ないのじゃないかと思います。これに対して、私たちはもう少し世論も盛り上げなければならないし、あなた方が苦労されている点ももう少し知らせていただきたいし、この次は、局長にその続きの話をしていただくようにお願いします。つまり、安保運用協議会等における話せる限りの米側の意向と、それに対するこちら側の主張の要点を話していただきたいと私は思っております。そうしてアメリカ側にぜひとも述べていただきたいと思っておるのは、そういう軍事的側面のみでこの安保体制並びに日米共同声明路線とでもいうべきものが維持されるものではないし、そういうことでがんばればがんばるほど、早くこの骨組みというのはぶちこわれてしまうということをアメリカは認識すべきであろうと私は忠告しておいたほうがいいのではないかと思います。  次に、VOAに参ります。VOAについて新聞報道によりますと、「沖繩のVOA韓国への移転困難に」という新聞記事を発見いたしました。六月六日各紙朝刊であります。  本体はAP電でございまして、「米下院外交委のヘイズ国家機関対外活動分科委委員長は四日、米広報文化局(USIA)当局者に対し、海外のVOA放送局を移転する費用にUSIAが見込んでいた千五百三十万ドルの支出は米上院の予算削減により出来ないと通告した。」「キオウUSIA局長はこの費用沖繩にある対中国、アジア向けVOA放送局移転にあてるつもりで、韓国と交渉を進めていたと語った。」という報道であります。一部省略して骨組みのところだけ引用いたしました。  私は、この報道については先ほど同僚議員が簡単に伺いましたからそれはけっこうでありますけれども沖繩返還協定の審議の際、われわれはずいぶんいやな思いをして審議をしたわけでありますが、このときに、返還協定の第八条でありますが、「日本国政府は、アメリカ合衆国政府が、両政府の間に締結される取極に従い、この協定の効力発生の日から五年の期間にわたり、沖繩島におけるヴォイス・オヴ・アメリカ中継局の運営を継続することに同意する。」ここから注意して聞いていただきたいのですが、「両政府は、この協定の効力発生の日から二年後に沖繩島におけるヴォイス・オヴ・アメリカの将来の運営について協議に入る。」こう述べられております。一九七一年六月十七日に作成された文書であります。これは二年間というのでありますから、ただいま六月六日でありますから、協定にサインしたときからあと十一日でその二年になるわけであります。そろそろ協議をせられてもいいんではないかと思いますが、協議の状況はいかがでございますか。
  71. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 VOAに関しまして、前段の問題は先ほど御答弁申し上げたので御理解いただいたと思いますが、後段の協議の問題につきましては、返還協定第八条では「両政府は、この協定の効力発生の日から二年後に」と書いてございまして、したがいまして、明年の五月以降ということになります。
  72. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 そうすると、それまでの間はVOAの問題はそのままにしておく、その時間が来てからやるという意味ですか。
  73. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 返還協定において正式に合意されておりますのは、効力発生の日から二年後における協議ということでございますが、ただいま御指摘ございましたように、たとえば米政府として予算措置を要求して、とれを議会から断わられているというふうな状況もあるようでございますから、そこらの実態については二年後ということを待たずに、十分いろいろ調査してまいりたいと考えております。
  74. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 ついでに、そのあとに了解覚書がついておりますね。その了解覚書で「ヴォイス・オヴ・アメリカの日本国外への移転の場合において、予見されない事情により、代替施設が同条にいう五年の期間内に完成されないことが明らかとなったときは、日本国政府は、その五年の期間の後その代替施設が完成するまでの間沖繩島においてヴォイス・オヴ・アメリカの運営を継続する必要性に対し、十分な認識を払う用意がある。」こうなっておりますね。  そうすると、私はここのところでたいへんいやな気がしておりますが、サンフランシスコ平和条約において沖繩返還という話をわれわれが詰めようとしたときに、沖繩については、アメリカが将来国連の信託統治地域として申請する場合に、日本政府はそれに対して同意を与えるという文脈において沖繩支配というものが継続されました。つまり、米軍が統治するのじゃなくて、その間のつなぎとして統治するという言い方です。今後第八条及び第八条に関する了解覚書——私はいま明らかに勘ぐって言っているのですよ。非常にひねくれて発言しているわけです。それは傷つける日本人として当然だから言っているのです。そのサンフランシスコ平和条約と同じやり方で、予期せざる事情である。予算案が否決されるなどというとんでもない事情なので、わが国は三権分立なのでやむを得ないのだ、お金がつかないからできないのだという言い方で、ボイス・オブ・アメリカをほかにつくることができない、代替施設ができない、だから出ていくわけにいかない、だからそのまま居すわるのだという口実のもとにずっとこれを延長する。また第八条本文のとおり、二年後に将来の運営について協議するだけであって、出ていくとも何とも言っておらぬ、協議だけはいつまでもやりましょう、永久にでもいたしましょうというので、VOAについての協議をずるずるやるというやり方で、主権国家日本にVOAなんという変なものを残しておく文書になっておるのじゃないか。そういうことであるかないか、私の質問が杞憂であるかどうか、どう思われますか。
  75. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 第八条に関する合意議事録は二つの条件がついておるわけであります。まず第一の条件は「ヴォイス・オヴ・アメリカの日本国外への移転の場合において、」ということであります。移転を米側が考える場合というのが一つの条件でございます。第二の条件は「予見されない事情により代替施設が同条にいう五年の期間内に完成されないことが明らかとなったときは、」ということであります。これは、「予見されない事情」というものがもう一つの条件にかぶっていると思います。そこで将来の事態を考えます場合に、米側といたしましてVOAを沖繩から日本国外のどこかへの移転をほんとうに考えるのかどうだろうか、これが必ずしも明らかになっておりません。  第二点の「予見されない事情」ということになりますと、たとえば、返還後五年たっても予算がつかないというのは、これは「予見されない事情」とは言いがたいものだ、こういうふうに考えております。(渡部(一)委員「それから八条本文の協議」と呼ぶ)そういうことでございますから、第八条にうたっております五年の暫定期間というのは、私どもといたしましては八条に関する合意議事録による了解が満たされた場合に、はたしてどうするかということが問題になるのでありまして、さもない限りは、五年をこえて沖繩で引き続き業務の運営をするということは考えられないことだと思っております。
  76. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 きょうの時点でそこまでお話しになれば私はけっこうだと思います。どうかきょう言われた精神で、ことばのとおりにがんばっていただきたいと思うのです。というのは、これで実際に協議した場合に、その話が向こうに通用するかどうかについて私は大いに疑問を持っております。なぜか。VOAはアメリカの極東戦略の一つとして考えられておるからです。ですから、極東におけるアメリカが背負っておる国際義務の効果的遂行の妨げになるとの佐藤・ニクソン共同声明七項の部分を持ち出してこられれば、その言い分は軽くはじき飛ばされるであろうということは目に見えていると私は思います。ですから、私は深い憂慮を披瀝しつつ、これから一年後だそうでありますから、いまのアメリカ局長立場で日本政府が強硬に交渉し、その交渉の際には、ぜひともこのVOAが日本からなくなるということを期待したい、私はこう思っておるわけであります。くどいようでありますけれども、重ねて局長の御見解をお願いします。
  77. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 沖繩にありますVOAの問題については、沖繩返還交渉の際のきわめてむずかしい問題の一つであったということを返還記録に照らして私も承知いたしております。また、この問題に関します国会でのいろいろな御論議も十分承知いたしております。そういうものを踏まえまして、明年五月以降の協議には十分対処してまいりたい、こういうふうに考えております。
  78. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 恐縮でございますが、コザ市周辺の山林借料について御質問する時間を欠いてまいりました。最後の一問にさせていただきます。  防衛施設庁にお伺いするのでありますが、簡単にかつ要約してお答えをいただきたいと存じます。  コザ市議会議員の諸君が先日議会を代表して来訪され、その際、コザ市所有地とコザ市民有地のうち、嘉手納弾薬庫地区の農地及び山林の借地料の単価について不均等である。率直に言えば、コザ市所有地に関しては、民有地ほどの値段ではない。そのために、たださえ緊迫を告げている地方財政の状況から、これだけはぜひとも再考慮をお願いしたいという旨を申し出られました。  この問題については、私のほうにいただいた資料によりますと、山林借料に関しましては、コザ市所有地に関しては年額、一平方メートル十七・〇四円であります。民有地に対しては一平方メートル二十二・〇八円であります。このような積算になられた根拠、そして、これからこの問題に対してどういうふうにされるか、それについて要約されて御答弁をお願いいたしまして、私の質問を終わりといたします。
  79. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 ただいま御指摘の、嘉手納弾薬庫地区の中にあります、コザ市行政区域内のコザ市市有分と民有地分の借料の差でございます。われわれ、米軍に提供します施設、区域の土地の借料に関しましては、昭和三十七年の公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱に基づきまして、当庁の内部におきまして、特に駐留軍の用に供する土地等の要綱を定めております。宅地、農地、山林、それぞれの地目に応じました借料の算定の基準があるわけでございますが、御存じのように沖繩におきましては、公簿等の整備もいまだ不十分でございます。広大な嘉手納弾薬庫の中でそれぞれ民有、市有で所有していられる部分につきましての公簿、あるいは境界の設定等も明確に行なわれておりません。ただ地目につきましては、地目上はほとんど山林になっているわけでございます。ただ、そういう公簿上の問題と、資料につきましての取り扱いのむずかしさがございます。  全体の面積を、山林の状況等をながめながら、その山林の中で、これがもし駐留軍に提供する用地でなくて、所有市あるいは所有者である個人または市がこの土地利用される場合、畑地に利用できる部分がどの程度あるか、そういった点を調べたわけでございます。  そこで、調べました結果、畑地の見込みになります土地、まあ畑地と申しまして、現地の事情ではおおむねサトウキビかあるいはパインの畑になるわけでございます。その畑地見込みの面積が、民有地の部分につきましては、コザ市関係全体の部分の約七〇%ぐらいが見込み地になるわけでございます。ところが、コザ市の市有地に関しましては、約六〇%ぐらいという計算になるわけでありまして、残りは山林ということになるわけでございます。  そこで、それぞれその面積に対しまして、先ほどの基準に基づきますところの農地及び山林の単価を計算いたしまして、これを面積に掛けた単価、それを全体の平米当たり平均単価に直しますと、御指摘のとおり、民有地が平米当たり二十二円、市有地が平米当たり十七円、そういう差がついてまいりましたわけでございまして、沖繩の借料の特性ではございますけれども、こういった事情を十分地元の関係の方にも、那覇防衛施設局から御説明はいたしております。事情そのようであることを御理解いただきたいと思います。
  80. 浅井美幸

    浅井委員長 次に、上原康助君。
  81. 上原康助

    ○上原委員 きょうは、基地公害の問題と、その他基地労働の問題で一、二点お尋ねをしたいと思うのです。  目下、国際環境デーですかが持たれておって、公害問題は国際的な課題であると同時に、私たち国民にとっても重要な政治課題になっております。特に沖繩においては、従来から基地公害の問題はいろいろな形で取り上げられてまいっているわけですが、最近の二、三の事例を見ましても、県民生活あるいは地域社会に重大な影響を与えていることがより明らかになってきております。そういう事情等も踏まえてのことかと思うのですが、環境庁は、五月の十五日から十九日まで約一週間ですか、沖繩の幾つかの基地の公害の実態調査をやったという報道もなされております。  そこで、まず環境庁にお伺いしたいのですが、基地公害の実態についてどういう調査をし、どういう把握をしておられるか、説明を求めたいと思います。
  82. 松田豊三郎

    ○松田説明員 在日米軍の施設、区域に基因いたしますいわゆる環境汚染問題につきましては、政府関係各省といたしましても、すでに各省協議いたしまして、全国の基地のうち、とりあえず十九基地でございます。そのうち沖繩関係は十一ございます。内地が八つでございます。その十九の基地につきまして、外務省を通じまして米軍側に、基地の公害関係の関係施設の概況、あるいはその廃油の処理状況でありますとか、そういうふうなものにつきまして質問書を発しまして、質問書の回答を現在求めているところでございます。  現在までにすでに、海兵隊関係の基地を除きましては回答書が参りまして、その回答書をただいま検討いたしまして、不明な点あるいは不備な点につきましては米軍側と協議いたしておるところでございます。  ところが、その海兵隊関係の基地につきましては、海兵隊の中の能力といいますかそういう点もございまして、米軍と協議のもとに、米軍の基地内に入りまして、そういう環境関係の調査をするということになりまして、この面につきましては、直接、政府関係各省共同いたしまして、米軍の基地の中へ入りまして調査するということになったわけでございます。  そういうふうなわけで、先ほど先生御指摘ありましたように、五月の十五日から十九日まで基地内に入りまして、これは沖繩の海兵隊関係の五基地、海軍関係の一基地、合計いたしまして六基地でございますが、基地内の調査を始めたわけでございます。  それでまず政府が直轄といいますか、直接調査いたしますためには、いろいろ機材その他の準備もございます。体制の整備もありまして、そういうふうな必要な点がございますが、まず第一次調査といたしましては、概況を調べる、あるいは排水口の採水地点を調査する。それに関連する公共用水域の採水地点、その他特定施設といいますか、ばい煙の発生施設でありますとか、いわゆるボイラー等でございます。それから汚水の処理施設でありますとか、それらにつきましての概況を調査いたしまして、今月の末から来月に予定しておりますけれども、本調査といいますか、その分析資料、それを採取いたしまして結論をまとめたい、その上で必要な措置を講じてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。それが第一次調査。したがいましてそれに次いで行ないます、予定しております第二次調査でございますが、その他の基地につきましては現在、先ほど申し上げましたとおり、回答を検討中でございまして、取り急ぎ米軍側と協議いたしまして、協議が得られ次第、必要がございましたら立ち入り調査をいたしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  83. 上原康助

    ○上原委員 時間がないですので、なるべく要点だけ御答弁いただきたいと思うのです。  そこでアメリカ局長にお尋ねしたいのですが、要するに公害問題であっても外務省を通してしか立ち入り調査ができないということですね、いまの御答弁は。通常、基地に立ち入り調査をする場合はどういうルートがあるのですか。
  84. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 基地公害問題が非常に重要な問題でありますので、在日米軍基地のこの面における実情に関する把握を行なうということで環境庁といろいろ御相談いたしまして、先ほど御答弁がありましたような調査書の入手を行ない、また関係の必要な部分については現地の調査を行なったということでございまして、これは外務省はお手伝いをしたわけでございまするけれども、たとえば沖繩におきまして、メープルズ沖繩の陸軍司令官と屋良知事との間で話し合いが行なわれまして、その結果、現地の調査が行なわれているという事例もあるわけでございます。中央レベルにおきましては、外務省がそのような米側との接触の窓口をいたしておりますけれども、各基地におきましては、それぞれの実情に応じて、あるいは施設局が担当してきたとか、あるいは各県市町村が直接に当該基地の司令官との話し合いをするという場合、いろいろ形態があろうかと思います。
  85. 上原康助

    ○上原委員 ちょっと御答弁が明確でないのですが、たとえば、私たち国会議員が基地内立ち入りをやろうという場合、通常二週間の期間がなければいけないというのがこれまでの外務省のしばしばの御見解なんですよね。きょうは、どうしてそうなっているのか、なぜ二週間という期間がかかるのか、その法的根拠は何なのか、それも御説明  いただきたいと思う。
  86. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 中央レベルにおきます米側との接触は、外務省が窓口となりまして米側に基地の立ち入り問題についての調整を行ないます。外務省といたしましては、御要望に接しました場合にそれを米側に取り次ぎ、米側は内部手続としまして二週間の期間を必要としているということでございまして、これは米側内部の手続の問題でございます。
  87. 上原康助

    ○上原委員 それは通常の場合ですね。じゃあ緊急事態が発生した、たとえば公害が起きたとか、人身事故があったとかいう場合は、緊急に立ち入りするということはできないわけですか。
  88. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 最初御質問がございましたのは、国会議員が基地の視察を行ないたい、その場合に二週間かかるのはなぜだということでございましたので、通常の手続を御答弁いたしました。緊急の場合に、緊急の事態が起きまして必ず二週間かかるということではもちろんないということだと思います。
  89. 上原康助

    ○上原委員 その場合も、米側が拒否した場合は、日本側としては立ち入り調査できないということになりますか。
  90. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 米側は施設、区域の管理権を持っておりますので、日本側がそれに入ります場合には、地位協定に具体的な規定がある場合を除きましては、米側の事前の調整を必要とするわけであります。
  91. 上原康助

    ○上原委員 きょうはその点、その程度にとどめておきたいのですが、それで公害問題に再び戻りますが、公害が発生をしている事実に対して、国内法の適用というのは環境庁はどういうお考えなんですか。
  92. 松田豊三郎

    ○松田説明員 御承知のとおり国内では水質汚濁防止法とかあるいは大気汚染防止法がございますが、われわれの理解しているところによりますと、法律は一応適用にはなるけれども、安保条約及びそれに基づきます地位協定がございまして、米軍の管理権がございますので、実質的には効力が働かないというふうに理解しているわけでございます。
  93. 上原康助

    ○上原委員 外務省、その点御見解を述べてください。
  94. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 地位協定の規定を見ますと、米軍は公共の安全に妥当な考慮を払わなければならないという規定がございますので、米側といたしましても、基地内におきましても公共の安全に妥当な考慮を払いつつ基地内の管理を行なう義務を負っているわけでございます。
  95. 上原康助

    ○上原委員 そうしますと、公共の安全に寄与する、あるいはさらに国内法の尊重という条項もあったかと思うんですね。ありますね、地位協定の十六条に。いまの御答弁からすると、公害関係法令は、米側は少なくとも最低限度尊重しなければいけないという見解だというふうに理解をしていいわけですか。
  96. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 具体的な環境関係の国内法令の問題でございますが、公共の安全に妥当な考慮を払うという地位協定の規定に基づきまして、米側といたしましても、わが国の公害規制関係法令の実態については、これを十分尊重する義務を負っているわけでございます。
  97. 上原康助

    ○上原委員 そこで具体的な点に触れたいのですが、これは一例にすぎないわけですが、最近明らかになっておりますいわゆる第二兵たん部隊から港川一帯に、廃水あるいは廃油が流出をして地域が汚染をされているというのが出ているわけですね。これは数字を申し上げるまでもなく、すでに情報なり資料なり入っていると思うのでこまごま申し上げませんが、これに対して環境庁なり防衛施設庁あるいは外務省は調査をなさったのか。これだけの数値基準量を上回るいろんな数値が出ているわけですね。これに対しては当然国内法の適用か、何らかの規制というものが生まれてくるべきだと思う、いまの答弁からすると。その点についてどうお考えですか。
  98. 松田豊三郎

    ○松田説明員 牧港補給地区からの汚染の問題でございますが、ただいま御指摘のありましたように、最近の浦添市の調査によりまして、これは四月、五月に計三回行なっているようでございますが、それが新聞等にも報道されまして、私どもも県を通じまして資料は入手いたしておりますけれども、確かにおっしゃるように、数値の中には現在の国内法の基準に照らせば、基準をオーバーしているというものが見受けられるわけでございます。先ほど申し上げましたとおり、牧港補給地区は、私どもの全国の調査の対象基地の中に入っておりまして、現在までに米軍側からは施設の状況でありますとか、そういうものにつきましての資料は、若干不十分なものがありますけれども、いただいてもらっておりまして、それを検討しております。これも、海兵隊に引き続きまして米軍側と協議をいたしまして、必要があれば立ち入りをするというような段取りにいたしておるところでございますが、こういうふうな事態がまた明らかになった以上、その協議を早めまして必要な措置といいますか、場合によっては立ち入りが必要であれば立ち入り調査をするということを考えてまいりたいと思っておる次第でございます。
  99. 上原康助

    ○上原委員 それは場合によって立ち入りが必要ということでないですよ。当然必要があるわけです。現地の新聞を見ますと、アメリカ自体も、めずらしいことにメープルズ司令官も、この公害問題については合同調査をしようとかあるいは独自の調査をした結果、カドミウムが検出をされて大きなショックを受けたということを実際述べておられるわけですね。そういう事態に対して、県側だけにまかすあるいは地域自治体、市町村にだけまかすということは——基地そのものは本来政府の提供でしょう、施設、区域というのは。そういう意味でも、早急に国としても対策を講ずるべきだと思うのです。そこでぜひ早急にやってもらいたいということ。  施設部長にお伺いしておきたいのですが、いわゆる公有水面、干潟は施設、区域じゃないわけでしょう。その点明らかにしていただきたいと思うのです。
  100. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 昨年の五月十五日、日米間で取りきめを行ないました牧港補給地区の提供区域は、陸上部分以外にその前面の水域に関しまして、一部いわゆる保安水域部分、排水管が出ております部分に関しましては提供水域ということになっておりますが、それ以外の水域に関しましては提供の範囲には入っておりません。
  101. 上原康助

    ○上原委員 ですから具体的に申し上げると、いま問題になって汚染をされている地域は、施設、区域には入らないという理解でいいですね。
  102. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 汚染をされている水域そのものの限定自体、まだ調査の実態を私承知をいたしておりませんので、御質問に対する御答弁、的確にそうだと申し上げるわけにいかないわけでありますけれども、いずれにいたしましても、保安水域部分以外の水域は提供水域には入っていないわけでございます。
  103. 上原康助

    ○上原委員 そこで、これは復帰前の会議録なんですが、六十八国会の予算委員会の第一分科会の会議録、三月二十四日なんです。これは私の質問に対してなんです。大石前環境庁長官は、基地公害の点でいろいろお尋ねをしたら、先ほども国内法の適用をするんだということに理解をしたのですが、大臣ははっきりここで答弁をしておられるわけです。「本土復帰後は、公害対策の中心はやはりわれわれが担当しなければなりません。そういう意味で、基地といえども日本の法律を守るように、規制を守るように十分に行政的に仕事をする考えでおります。」少なくともかつての環境庁長官、大臣がこういう答弁をしておるわけです。  復帰一年後にしてこれだけいろいろな基地公害問題が出て、やっと腰を上げた段階ではあるわけですが、要するに地位協定というものをどう解釈するか、あるいはアメリカ側に対してどういう立場で地域住民や国民の生活環境、自然あるいは健康を守るかという姿勢に私はかかっていると思うのです。せっかく国会で責任ある大臣がこういう答弁をしておるにもかかわらず、もしもこの問題に対して消極的な態度をとるという場合には、私は大きな責任問題だと思う。これに対して環境庁、施設庁、外務省アメリカ局長、どういう立場でやっていかれようとしているのか。私はいま一例として牧港の例を申し上げましたが、そのほかにも恩納にも新たな公害問題が出ておる。あるいは先ほど海兵隊関係をお調べになったというのですが、それだって事実は明らかにされていないでしょう。いろいろな基地公害がまだ残されている。このことに対して、責任を持って国としても早急に対策を講ずるという御意思があるのかどうか、いま私が指摘をした問題との関係において、責任ある答弁を求めておきたいと思うのです。
  104. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 先ほど環境庁から御答弁いたしましたように、重要な十九の基地に関して公害関係、環境関係の実態調査を行なったわけでありますし、その結果を現に環境庁において鋭意検討調査中であるというふうに承知いたしております。したがいまして、その書面での検討の結果必要と認められます場合には、現地の検査、調査を行なうということに当然なるわけでございまして、この場合に米側の全面的な協力を私ども確信いたしております。  なお、この問題に関しましては、大気汚染、水質の汚濁、いずれもきわめて重要な、また重大な問題でありますので、米軍としても、わが国の環境関係の法令の尊重については十分理解をしているということを申し上げておきます。
  105. 松田豊三郎

    ○松田説明員 調査はまだ完了いたしておりませんけれども調査の結果に基づきまして、国内法の基準と同等の基準というものをぜひ守ってもらうように米軍側と折衝するつもりでおります。
  106. 上原康助

    ○上原委員 再度念を押しておきますが、環境庁、これもまたいずれお尋ねをしてもいいのですけれども、大臣が少なくともこういう答弁をしているんですね。今度の件についてもすでに申し入れてあったのだが、どういう理由かそこまでお尋ねしませんでしたけれども、セカンドログに申し入れたが米側からオーケーがとれていないということです。これだけの事実が出ているわけですから、環境庁、早急にやるということぐらいはここで答弁してくたさいよ。外務省もそれはやってください。
  107. 松田豊三郎

    ○松田説明員 早急に米軍側と協議いたしまして、外務省を通じましてそういう方向へ努力いたしたいと考えております。
  108. 上原康助

    ○上原委員 きょうは時間がありませんから大ざっぱに取り上げたのですが、そのほかにもいろいろな基地公害の問題がありますから、この際、責任ある対策と、本土を含めて国民の納得のいく基地公害対策というものを抜本的にやっていただきたいということを強く要求しておきます。  次に、基地労働者の件でお尋ねしたいのですが、時間がありませんから簡単にまず一点。労務部長、先ほど施設庁長官お逃げになったのですが、いずれたっぷりお相手いたしますからおいでいただきたいのですけれども、ここでお尋ねしたい一点は全軍労の問題です。きょうは議論しませんが、一体県や労務管理事務所の機能といいますか、果たす役割りというのを施設庁どう理解しているのか、簡単に説明していただきたいと思います。
  109. 松崎鎮一郎

    ○松崎政府委員 お答えいたします。  防衛庁設置法並びに地方自治法に基づきまして、ただいま先生が御質問なさいました駐留軍労務者にかかわる事務提供、雇い入れ提供、給与の支払いももちろん入っておりますが、そういった問題が基地所在の各県庁に委任されております。それで、いま全軍労問題をおっしゃいましたが、全軍労関係のいろいろな問題がございますけれども、給与の支払いの問題、雇い入れの問題、それから最近はいろいろ沖繩県庁のほうから伺っておりますところでは制裁関係の問題、そういった問題でいろいろ現地で問題が起こっていると承知しております。そういう場合にどういうことを県庁はするのかというふうに、かりに私、理解しましてお答えしますと、日米間にいま、地位協定に基づきまして、たとえば陸上勤務の労働者に関しましては、基本労務契約というのがございます。基本労務契約に基づきまして、それぞれ、その中に、日本側のやるべきこと、米側のやるべきことと、手続その他についてきめられております。その日本側のやるべきことという部分について、その当該県庁でやっていただく面が非常に多うございます。
  110. 上原康助

    ○上原委員 なぜそんな質問をするかなあとお考えかもしれませんが、これをやっておると相当時間がかかりますので……。  なかなか慎重な答弁をしているわけですが、そのくらいのことは私も知って質問をしているわけです。しかし、案外あなたがおっしゃっていることが履行されていないということを私は言いたいわけなんだ。そのことに対してどう思うかということがむしろ聞きたいのだが、あんまり率直に言うとまたへんちくりんなお答えしかないからね。私が申し上げたいのは、少なくとも県側に、皆さんは、労務の採用あるいは賃金のそういった労務行政というものを委任をしているわけでしょう。法律上の雇用主でしょう。法律上の雇用主であるならば、それ相応の権能というのが労管や県にはあるはずなんです。にもかかわらず、県がこういう労務管理のあり方に対しては反対なんだとアメリカ側にも政府側にも言っているにもかかわらず、いろいろな押しつけがましいことをいまやっている。その事実についてはいずれ議論いたしますが、そこがいま全軍労のいろいろな問題、労使間の一番大きなショックになっているということだけはぜひ知っていただきたいと思うのです。  そこで、時間がありませんから、最後に、軍港湾の問題についてお尋ねしたいのですが、これまで二、三回本委員会でやってまいったわけですが、どうなっているのですか。その後の軍港湾の問題、これについて、ぜひ、簡単にでもいいですから、説明をしていただいて……。聞くところによると、近々新しい業者との契約ができるとかできぬとか、いろいろ新聞で報道されているのですが、その約束したことが履行されてきてないわけですよ。連絡会議を持って早急にやると言ったのは三月三十一日ですから約二カ月、やがて三カ月になってしまう。その間、千名余りの人は、実際路頭に迷っているのです。御答弁いただきたいと思う。
  111. 加藤孝

    ○加藤説明員 國場組の旧四種業者の離職問題につきましては、いままで六回ばかり四者会合を開きまして、そのつど米側との関係あるいは沖繩県との関係の連絡を深め対策を進めてきたわけでございますが、現段階におきます問題といたしましては、國場組にかわる業者ということで入札を二社いたしております。入札をしてそれがすんなり落札をいたしまして、そこに國場組の旧離職者が雇用される、こういう形で進んでおったところでございますが、問題といたしまして免許資格のない業者が入札に応じてきたというような関係がございまして、その辺の問題で一つ新たに米側に対して、そういう入札をさしたといいますか、あるいはそれに対してメープルズ司令官が、何とか落札をさせたいというようなことを屋良氏に申し入れてきたというような話もございまして、そういった関係について、米側に対して十分説明なり指導を沖繩県としてもされたわけでございますが、政府としてもそれをやる必要があるということで、ごく近々のうちに運輸省を主体といたしまして、港湾運送事業法の観点から、米側に対してそれらの点についての問題点を強く指摘をするということをやることをいま進めております。  それから離職者そのものにつきましては、現在そういうことで職場がございませんので、失業保険の手続が済みますと失業保険の支給をいたしておりますことと、ほかに沖繩離職者につきましても、特別対策としまして、三年間の就職促進手当を支払いながら就職促進をはかる制度がございますので、その沖繩手帳の発給をいま進めておるところでございます。今後もし港湾運送業者の、これが再び請負事業が始まりますれば、約六百五十名程度の方がそちらのほうに行かれる、こういうような一応見通しでございます。残りの方につきましては今後この沖繩手帳制度を有効に活用しながら、その再就職につとめていくことになるわけでございますが、他の港湾業者に雇用される、こういう方につきましては、一応現在ウインチとか玉かけとかそういうようなものについての職業講習を行ないまして、そうして他の港湾への再就職の道の促進をはかっていきたい、こういうことでの準備を進めております。それから港湾運送事業に従事したくない、こういう方につきましては、転職訓練をするあるいは職場適応訓練をする、こういうような形の中での体制をいま進めておるところでございます。
  112. 上原康助

    ○上原委員 時間がたって恐縮ですが、あとしばらくお伺いしたいと思うのですが、運輸省港湾局いらっしゃいますか、時間がありませんからぼくのほうで申し上げたいのですが、三月二十九日本委員会で私がいろいろお尋ねしたことに対して、高橋さんは、港湾運送事業法は適用になれますとはっきりお答えになっている。委員会でこういう御答弁をしておきながら、しかも、もうくどくど申し上げませんが、港湾運送事業法、手続面もいろいろあるわけでしょう。なぜ資格もないのが入札に応じたのか、それはどういうお考えなんですか。これはアメリカ側の責任なのか、皆さんとしてはそれでいいのかどうか。
  113. 高橋全吉

    ○高橋説明員 実はいまの問題でございますけれども沖繩の総合事務局の運輸部長と私連絡をとりまして、入札応募要領というものを米軍が四月に配りました。それは免許業者——あとで知ったわけでございますが、免許業者三社、それから免許を持っていない業者二社、このように応募要領を送付してきまして、それでその応募要領を見た段階では、運輸部長といたしましては、米軍に対しまして、免許業者でなければこれは応じられないということと、それからもう一つは、特に料金の問題でございますが、向こうの応募要領ですと、それぞれの品目によりまして、おまえのところは幾らで引き受けるかというようなことも書いてございますので、実は港湾運送事業法上は認可料金であるというようなことを申し入れております。それから、その後現地に、役所のほうに米軍を呼びましてさらに、再度このような説明をいたしております。それからさらに、今回入札に応じた丸長車体でございますが、これも呼びまして、実はおまえそういうことで入札に応じたけれども、現在の法律上はこれは港湾運送事業を行なうわけにはいきませんよということもきびしく指摘しております、会社の社長を呼びまして。  それで、いま先生がおっしゃいましたように、なぜ応じたかということでございますが、あとで知ったわけでございまして、現地からの報告によりますと、確かに今度の入札に丸長車体株式会社が応じております。したがいまして、いま申したようなことで、現地ではきびしく会社に対して指摘をしております。同時に、さらに私たちといたしましても、こういう事態でございますので、運輸省としましてはいま労働省からお話しいたしましたように、明日米軍に対しまして中央におきまして、現地でいろいろ指摘した事項等をも説明する予定にしております。
  114. 上原康助

    ○上原委員 どうも時間がかかり過ぎるような気がしますがね。まあいろいろ御事情もあるでしょうから、ぼくもまた時間がありませんので……。  この丸長車体というのは、どういう会社ですか。
  115. 高橋全吉

    ○高橋説明員 これは社長が現地の琉球バスの社長をやっておる、こういうことに聞いております。
  116. 上原康助

    ○上原委員 私は社長の名前を聞いてないのです。どういう会社かということを聞いている。少なくとも港湾事業に携わっている会社じゃないわけでしょう。ここに——何か委員長も御用事があるということであまり時間をとりたくないのですが、メープルズは一体何と言っていると思いますか。屋良知事との会見の中で、いわゆる丸長車体に請負をさせたい、なぜかというと、理由は最低額の入札だったから丸長を選んだということをぬけぬけと言っているのですよ。最低の額で入札に応じたということは、それだけ労働者に対しては不利だということでしょう。皆さんはそういう実態というのについては、もう少し私は知っていただきたいと思うのですよ。しかも、国会の答弁においても、今後はそういう免許業者でなければ入札する資格はないのだということをはっきり言っておきながら、こういうアメリカの身がってを許しているところに今日の軍港湾問題があり、旧四種雇用員の問題というのが遅々として解決できない大きな原因があるわけですからね。その点ぜひ施設庁も外務省も御理解いただきたいと思うのです。しかも、港湾運送事業法では免許はどうなければいけない、免許の申請の手続、それから、いまさっき説明ありました運賃及び料金もちゃんときまっているわけでしょう、法律で。これを無視して、こういう解体社か何かわからぬ無免許業者に請け負わせた場合は、また二の舞いを踏むのですよ。だからその点はぜひ、これは外務省も関係するかと思われるので、国内法をアメリカに守らしてくださいよ、まず国内法を。国内法も守らぬで、公害問題にしても、先ほどの裁判問題たって同じでしょう。何もアメリカが絶対に万能じゃないですよ、それは。私はそういうことについては、やはり日本が独立国のはずなんだ、少なくとも。労働者が千同名余り三カ月余りも路頭に迷って、いまさら雇用の救済がどうなるかということさえもわからない状態ですからね。そこに対しては、あなた方が持っている権利と行政権は正しく施行すべきなのが政府の責任じゃないですか。まあことばは強いかもしれませんが、ほんとうにそれだけわれわれはうっぷんを晴らしたいんですよ。しかも皆さんは、国会の公式の場で答弁をしてきたことに対してさえも十分守ろうとしていない。その責任はまあおたくの責任じゃないかもしれないんだが、もう少しはこういう問題に対して、ぜひ該当している労働者の立場、あるいは県民立場に立ってものごとというのは御判断いただきたいと思うのですよ。  どうなるのですか、具体的には今後。この丸長車体は、何か六月の四日までに免許申請をやって、合格ですか、認可されればそれに請負をさせるというのがアメリカ側の意向のようですがね。そこいらはどういうふうになっているのですか。だれがわかるのですか。おたくですか。
  117. 高橋全吉

    ○高橋説明員 現地からの報告によりますと、確かに六月四日までに丸長株式会社は免許もらってこいということを米軍から言われたようでございますが、現段階、けさでございますが、まだ免許申請は出ておりません。こういう状態でございます。  いま先生の御指摘ありましたように、現地におきましていろいろこういう交渉をさせましても、なかなか現地の軍のほうで納得していただけない点がありますので、したがいまして、先ほど申し上げましたように、明日運輸省としましては米軍の担当のほうに申し入れをしたい。それでやはり国内法の尊重を十分申し入れる予定でございます。
  118. 上原康助

    ○上原委員 もう時間をオーバーしましたのでやめますがね、これまでくどくど申し上げた免許の申請、ちゃんと運送事業法でいっていますよ、第五条で。「港湾運送事業の免許を受けようとする者は、左に掲げる事項を記載した申請書を運輸大臣に提出しなければならない。」運輸大臣に。出先の運輸部長に提出するんじゃないんだよ。そこからもちろん事務的には経過してくるでしょうが。三月の三十一日、それ以前の段階で皆さんは、次の契約者に対しては国内法の適用をやりますと言っておきながら、こういう手続も踏んでいない業者に対して入札をさせる、あるいは請負をさせるということ自体が私は問題だと思うのだ。これは何もアメリカ側だけのことじゃないですよ。やはり運輸省やあるいは労働省、防衛庁の、国内法尊重ということをアメリカ側に理解をさせていないという一つの典型的な例なんだよ。その点、ぜひひとつ十分法律にのっとったことをアメリカ側に履行せしめていくということと同時に、また逆に、そういうむずかしい問題があるからということで、この解雇になっている労働者に、これ以上のしわ寄せをさせるということも問題なんですよ。そういう二面性があってむずかしいということは私も理解いたしますが、あまりにも時間がたち過ぎる、すべての面。ややもすると、法律を犯してもまあまあしようないんじゃないかということがないように特段の解決策を要望しておきたいと思うのです。  あと一点だけです。これは開発庁にちょっとお尋ねしておきたいんですが、後日いろいろまたお尋ねしますから、これはまあ請求権の問題とも若干関連するのですが、いわゆる最近の現地の状況からして、戦災補償問題、第二次大戦中あるいは旧軍の県民にやったいろんな被害、加害に対してどうしても請求をするという動きが、戦後処理期成会ですかのほうから出ているわけですね、補償連盟。これに対して、まだ具体的に出ていないかと思うのですが、政府として何か御調査なりあるいはそれに対して対応していくお考えがあるのかどうか、その点についてまずきょうの段階では、具体的に出てきた場合にどう対応していかれようとするのか、その基本的な点だけをお聞かせいただきたいと思うのです。
  119. 岡田純夫

    岡田政府委員 戦災補償の要望ということだと思いますけれども、私ども新聞等で拝見しておるような状態でございまして、まだ書類等も出ておりません。説明ももちろん聞いておりません。ただ、こういうふうな空気はかねがねあることを承っております。それに対しまして、開発庁あるいは厚生省と見解をあれしているその考え方といたしましては、第二次世界大戦で被害を受けたのは、広い意味においては全国民が被害を受けておるということなのであって、その中で特に一般の被害とはいえない、それを越えた特殊な事情があったというふうな方々につきまして、たとえば引き揚げ者等の場合には特別交付金を差し上げる、あるいは戦傷病者戦没者遺族等援護法の該当といいますか、対象とすべきような方々についてはそのような措置をとるというような特別な措置をしてきたのであります。さらに沖繩の場合におきましては、対馬丸等のような問題がございまして、それぞれの措置をいたしてまいりました。したがって、その余の問題につきましては、全国民共通の公平の見地から対象とすべきものではないというふうな見解をとっておるのでございます。
  120. 上原康助

    ○上原委員 具体的な資料なり事例があがってきた段階で、政府としてもいろいろ検討をしてみたいというふうに受け取っていいわけですね。
  121. 岡田純夫

    岡田政府委員 いままでの私どもの見解を申し上げたのでございまして、どのようなものが出てまいりますか、それを拝見した上でなければそういう問題については何とも申し上げかねるということでございます。
  122. 上原康助

    ○上原委員 これで終わります。
  123. 浅井美幸

    浅井委員長 以上で本日の質疑は全部終了いたしました。  次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時四十二分散会