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1973-03-06 第71回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年三月六日(火曜日)    午後一時二分開議  出席委員    委員長 浅井 美幸君    理事 國場 幸昌君 理事 佐藤 孝行君    理事 床次 徳二君 理事 中村 拓道君    理事 西銘 順治君 理事 上原 康助君    理事 安井 吉典君 理事 正森 成二君       小渕 恵三君    田中 龍夫君       加藤 清政君    渡部 一郎君       安里積千代君    瀬長亀次郎君  出席国務大臣         外 務 大 臣 大平 正芳君  出席政府委員         防衛施設庁施設         部長      平井 啓一君         沖繩開発庁総務         局長      岡田 純夫君         沖繩開発庁振興         局長      渥美 謙二君         外務省アメリカ         局長      大河原良雄君         外務省条約局長 高島 益郎君         通商産業省企業         局参事官    三枝 英夫君  委員外出席者         警察庁刑事局保         安部保安課長  相川  孝君         建設省道路局国         道第一課長   大島 哲男君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ————————————— 本日の会議に付した案件  沖繩問題に関する件      ————◇—————
  2. 浅井美幸

    浅井委員長 これより会議を開きます。  沖繩及び北方問題に関する件について調査を進めます。  外務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。大平外務大臣
  3. 大平正芳

    大平国務大臣 北方領土問題につきましては、先に当委員会において政府所信を申し述べたところであります。本日は総理府所管沖繩問題につきまして、特に外務大臣立場から所信を申し上げたいと思います。  沖繩復帰は昨年五月に実現いたしました。外務省といたしましては、去る昭和四十六年十一月二十四日の衆議院の決議を体し、また現地の要望を踏まえ、沖繩振興開発計画を推進し、民生の安定をはかるため、日米安保条約の指向する目的との調整をはかりつつ、今後とも、沖繩における米軍施設区域整理統合促進に力を傾ける考えであります。  先般、第十四回日米安全保障協議委員会におきまして、那覇空港等返還に関する原則的合意が成立いたしましたが、これを沖繩における基地整理統合の第一段階として、今後とも努力を続けてまいる考えであります。また、昭和五十年三月の沖繩海洋博覧会の開催との関連施設区域との調整をはかる必要があるものについては、できる限りの努力を払ってまいる考えであります。  次に、沖繩返還協定の実施に関連いたしまして、請求権米側による処理については米側十分連絡を保ち、またVOAについては明年五月以降将来の運営に関し米側協議に入る予定であります。
  4. 浅井美幸

    浅井委員長 質疑の申し出があります。順次これを許します。安井吉典君。
  5. 安井吉典

    安井委員 きょうの所信表明でも、米軍施設区域整理統合促進ということをおっしゃっているわけでありますが、この那覇空港が例の協定時における目玉商品だといわれながらも、いまだに返ってこないという現状、この点も前回委員会その他でもしばしば質問が出されたわけであります。きょうも十分時間がございませんので、那覇空港地位協定における位置づけ、この点が外務委員会においても、あるいは連合審査においても、この委員会においても幾度幾度質疑をされながらも、どうも何だかふに落ちないという形であるわけです。ですから、きょうはひとつ、結論的にこうなんだということを明確にしていただきたいわけです。  そこで私は、前回のこの委員会で、沖繩返還後に新たに提供したものは、基地として何があるのかという質問に対してアメリカ局長は、伊波城観光ホテルがそうですと、こう御答弁になったわけです。しかし、あらためて三月一日にお答えいただいた資料では、那覇海軍航空施設返還と同時に新規提供となっている施設であります。その点、この間は伊波城観光ホテルだけをおっしゃったのですが、そうじゃなしに、これもあるということですね。この点もやはり御訂正をいただきたいと思います。
  6. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 那覇空港につきましては、沖繩返還時におきまして日本側返還ということを当初予定いたしておりましたものが、その後、状況の変化にかんがみまして、復帰時におきまして、那覇空港のありまする米海軍航空施設を新たに施設区域として提供いたしております。
  7. 安井吉典

    安井委員 この前、その大事なことをおっしゃってないわけです。これは速記録をお調べになってもはっきりしております。その点をひとつ指摘をしておきたいわけであります。  そこで、その那覇空港とわれわれが俗にいう地域については、一応返還をされているはずです。那覇空港というのが一つあるわけです。それから、返ってきた那覇空港の一部を那覇海軍航空施設ということで、あらためて提供したわけでしょう。それからもう一つは、那覇空軍海軍補助施設という、従来からのA表提供施設がありますね。あそこに三通りあるわけですね。那覇空軍海軍補助施設という、従来からの提供施設、それから戻ってきた那覇空港、その一部を那覇海軍航空補助施設ということでまた貸したという、三通りのものがあると私は思うんですがね。それぞれが地位協定の中でどういう位置づけになっているのか、それをひとつ伺います。
  8. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 沖繩返還協定に付属いたしております了解覚書A表那覇空軍海軍補助施設というのがございます。これは返還時におきまして、地位協定二条一項(a)に基づきまして提供施設として米側使用を認めております。同じ了解覚書C表那覇空港というのがございまして、これは本来沖繩復帰の際、全部または一部が使用を解除されるものということになっておりますけれども、先ほど御答弁申し上げましたように、このうちの一部につきまして海軍航空施設ということで、地位協定第二条一項(a)に基づきまして約四十万平方メートルの地域提供施設として提供いたしております。  もう一つつけ加えますが、この地域の中にこれと相並びまして運輸大臣の所管する空港の一部でありまして、日本側の管制のもとに暫定的に使用を許すことといたしまして、滑走路並び誘導路等約四十万平方メートルのものを地位協定第二条四項(b)に従いまして使用を認めております。そこで、いま申し上げました地位協定二条一項(a)に従いまして提供いたしております海軍航空施設の中に、自衛隊、それから運輸省の駐機場、それから沖繩電力会社送電線、それから沖繩県の下水道の関係、こういうものを地位協定第二条四項(a)に従いまして共同使用を認めておる部分があるわけでございます。
  9. 安井吉典

    安井委員 那覇空軍海軍補助施設共同使用部分があるわけですね。二4(a)ですか。
  10. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 那覇空軍海軍補助施設、これは二条一項(a)による提供施設でございますけれども、この中に同じく二条四項(a)に基づきまして運輸省自衛隊、それから電力会社、こういうところに共同使用を認めておる部分があわせてございます。
  11. 安井吉典

    安井委員 きょうの御答弁で一とおりのものがみんな出たと思うのです。いままではその一部をおっしゃって、那覇海軍航空施設は二1(a)だけだというふうな言われ方をされたり、とにかく混乱をした表現があったんですが、これは実は図面でかけばいいのですよ。図面でかけば同じ一つ提供施設の中でも二1(a)の部分と二4(a)の部分と混在しているのがあるから、それで話がこんがらがってくる、こういうことではないかと思います。この間も簡単な文章だけなんですが、これはやはりはっきりしておかないと、また外務委員会でもどこでも蒸し返しに何度も何度もなると思いますよ。ですから、あの那覇空港をめぐる提供施設地位協定上の位置づけというのは実に複雑なんですからね。そしてまた、那覇空港のうち那覇海軍航空施設として新規提供した部分地域がかたまってないんじゃないですか。ばらばらにところどころ指定になっているんじゃないでしょうか、地図を見ますと。ですから、これはもうちょっと図面で明確にひとつしていただきたいと思います。どれがどの施設であって、それの部分がどういうふうな法的根拠になるのかということをもう一度明確にしていただきたい、そういう資料を出していただきたい、そのことだけひとつ申し上げておきます。
  12. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 資料を用意いたします。
  13. 安井吉典

    安井委員 そこで次に沖繩海洋博の問題について、この委員会でも、あるいはまた外務委員会との連合審査の際も取り上げられまして、今日、海洋博を進める準備体制の中でたいへんな混乱が起きているという点について質疑応答が繰り返されたわけであります。社会党といたしましても、正式に政府にその対応をやってもらいたいという申し入れもいたしました。その後、政府では当面の対策を講ずるいろいろな動きを見せておられるという答弁を承るわけでありますが、この際、その内容はどういうものかということをお聞かせいただきたいと思います。
  14. 渥美謙二

    渥美政府委員 社会党のお申し入れにつきまして、坪川長官から十分検討して早急に前向きの対策を講じろという御指示をいただきまして、事務当局といたしまして現在関係省庁とも連絡をとりながら鋭意検討を進めております。  大体海洋博関連事業というのは、振興開発のためのまさに基本的な事業でございます。したがいまして、早期にこれが達成されることが望ましいのですけれども、同時に、小さい経済規模沖繩県に一時に多額の投資がされる、こういうことでありますので、漫然とそういう投資をやっておりましたらば、いろいろな摩擦、デメリットが生ずるということは当然予測されるところでございまして、政府といたしましては、四十八年度の予算が編成されましたそのすぐあと推進本部というようなものを設けまして、またその中で関連施設部会、こういうものを関係省庁、県、協会というのがメンバーになってつくっております。そこでいろいろな諸事業の進め方につきまして、これを計画的にやっていく。一時にこれが集中したり、手戻りが起こらないように計画的に考える。したがいまして、資材労務等需給調整につきましても前向きに計画が立てられる、こういうことになってまいるかと思います。  それから中央だけでやっていたのじゃだめなんで、現地にも地方協議会というものができまして、その協議会の中にこれに対応する部会をつくりまして、一体となって円滑な執行をはかってまいりたい、かように考えておるわけであります。現在海洋博事業というのはまだ実はそれほど進んでおりません。この段階で、先般御指摘がありましたように、すでに資材労務関係、かなり逼迫してきておる、こういう実情は確かにございます。いろいろな原因が考えられるのですけれども、四十七年度の予算執行というものが復帰後の特殊事情に伴いまして、率直に申しておくれております。それが年度末に集中してきた。これがちょうど沖繩にとりましてはサトウキビの収穫期である、しかも最近の国際情勢から、台湾からの季節労務者が入らないというようないろいろな悪条件が重なって、若干混乱状態に現在あるということは確かにございます。  また、将来、先ほど申しましたように、漫然と投資を続けると、また似たような状態が起こってくるというおそれは十分ございますので、そういいったような部会を中心にいたしまして、国と県市町村一緒になりまして、きめこまかく配慮してまいりたい、かように考えております。
  15. 安井吉典

    安井委員 これは新聞の報道によるわけでありますが、いま集中的に工事量沖繩に来ている、そのことが物価や労賃の高騰を招いているというふうなことで、もう少しその集中度をやわらげて、先に延ばせるものは延ばしたらいいじゃないかというふうな考え方もその中にあるようだし、そうかと思うと一方には、五十年に間に合わせるためには突貫工事をやっても間に合わないぐらいだという言い方、両方あるわけですね。同じところに二つ出ているのですが、われわれどれを信用すればいいのですか。突貫工事で猛烈につぎ込まなければいけないのか、それとも、もう少し調子を落としてインフレ圧力をゆるめるのか、一体どちらを考えたらいいのですか。
  16. 渥美謙二

    渥美政府委員 五十年三月までというのは残すところきわめて日数が少ない。したがいまして、工事は相当一生懸命やらなければ間に合わないというのが実態でございます。ただ、その工事計画的にやります。たとえば道路をつくりまして、そこへまた水道管を掘って下水を掘るというような事態を極力避けて、急ぐ中にも諸工事調整を保ちつつ計画的に進めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  17. 安井吉典

    安井委員 何だかよくわからないのですが、その対応に迷っていて、結局どうすればいいのかということではないかと思うのですが、この点これからあとの御質問の中にもずっと出てくると思いますが、いずれにしても、海洋博沖繩開発てこにしていこうというふうな考え方が基礎にあったということはよくわかる。しかし、そのてこそのものが今日の状況のためにつぶれてしまうおそれがある、それでは困るわけですね。そういう点で、いま現に生じ、あるいはこれからさらに生じようとするさまざまな問題を克服するために、政府としては全力を尽くしてそれに当たるべきである、こういうことだけ申し上げておきたいと思います。  もう一つ、もうちょっと時間があるようですが、対米請求権放棄に伴う補償の問題についてちょっと伺いたいのですが、防衛施設庁、おられますね。  沖繩復帰に伴う防衛庁関係法律適用特別措置等に関する法律第三条で、講和前人身損害に対する見舞金支給についていろいろお進めになっているということは、私どもも一月に調査に参りまして、向こうでも現状を聞いてまいりました。しかし、申請書受理状況、それから見舞金支給決定は、当初の予算に見てあるところまでまだいっていないのではないかというふうな感じを受けてきたわけでありますが、私どもは、このような措置だけでは、協定で放棄した県民の権利を補償してあげるには足りないということを従来から主張してきています。それにしても、ともあれ立法化された、それだけはやはりきちっとやるべきである、こう思うのであります。現在の状況と今後の見通し、それからもう一つついでに、これ以外に県民の諸要求を満たすような基本法立法措置が必要ではないかと私は思うのですが、それを含めてお答えいただきたいと思います。
  18. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 御質問請求権の問題につきましては、請求権内容と申しますか、実態が相当多種多様、多岐にわたると思います。そこで、その請求権実態そのものがなかなか把握しにくい状況に現在あるわけであります。施設庁といたしましては、従来から当庁といたしまして、在日米軍との関連で、いろいろ補償その他をやっております仕事になじみますような案件につきまして、一応どういうものがあるかということで、昭和四十七年それから四十八年度にも調査費六百万円ほどを計上させていただいております。こういうことで、実態調査をまずやらなければならぬと考えておりますが、そういう点につきましては、まだ請求権中身そのものに関しまして、われわれも把握しにくいと同時に、現地におきますところの沖繩県民、その他の方々のこの請求権問題に関する御認識も、必ずしもまだ十分でない点があるのじゃなかろうか、そういった点、やはりわれわれのほうからも十分、政府としてこ請求権問題にどう取り組んでいくかということを、一般に理解していただくような点も今後努力していかなければならぬのじゃなかろうかと思います。また、当庁の関係でいろいろ調査しております段階で、当庁の関係以外の請求権等の事案も起こってくるということも予測されます。こういった点につきましては、開発庁その他関係省庁とも、そういった点を予測しながら、現在いろいろと調整させていただいておる段階でございます。  なお、これに伴います立法の問題につきましては、私どものほうといたしまして、直接的にこれをどうするかということは、直接の衝ではないので、まだ考えておりません。
  19. 安井吉典

    安井委員 それは、大きな請求権全体の問題ですが、さっき私が最初に申し上げたのは、沖繩国会で通った防衛庁関係適用特別措置に関する法律による見舞金支給状況も、この際どんな状況にあるかということですね。それをひとつ御説明願いたいと思います。いま資料なければあとでもいいですよ。
  20. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 一月末現在におきまして、借料等関連見舞金、協力者謝金等合わせて三十一億、及び補償関係見舞金といたしまして三千五百万円、これだけを執行させていただいております。
  21. 安井吉典

    安井委員 いまの三十一億のほうは、すでに支払ったという意味ですか。
  22. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 一月末現在で支払い済みでございます。
  23. 安井吉典

    安井委員 私ども一月十五日現在で聞いたところでは、申請書受理が二百五十三件で見舞金支払い決定はそのうち三十五件の二千万円余りというふうに那覇で聞いてきたのですがね。
  24. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 ただいまの御指摘案件は、いわゆる補償関係見舞金だろうと思いますが、この点につきましては、その後一月末までに四百十八件処理いたしまして、三千五百万円でございます。先ほど申し上げましたのは、いわゆる土地賃貸借契約に伴いますところの見舞金協力謝金が三十一億ということでございます。
  25. 安井吉典

    安井委員 いまの三十一億というのは、土地強制収用に伴う部分でしょう。そうでしょう。
  26. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 土地強制収用でなくて、円満に契約が成立したものに伴うところのものでございます。
  27. 安井吉典

    安井委員 きょう私が聞いているのは、それは強制か円満かというけじめをしっかりつけるように、あとでまたゆっくり質問したいと思いますが、きょうのところは、いわゆる請求権補償の問題だけを私は申し上げていたわけです。少しふえているようですけれども、しかし、全体的には県民要求にほど遠いし、しかも、これ以外の軍用地接収人身事故やその他全体的な請求権というのはたくさんあるわけですね。それに対する具体的な措置法律措置というものは、私どもはどうしても要ると思う。政府もひとつ検討していただきたいし、それから、この前、私ども各野党で話して提案した法律案もそのまま流れてしまっているわけですから、これも私どもは私どもで準備したいと思いますが、政府としてぜひ真剣なお取り組みを願いたい。  それから、最初に取り上げました那覇空港等の問題は、内閣委員会でもペンディングになっているわけですよ、「一時」という時間をどうするかという。一時使用の一時というのは、どれくらいの期間かという問題も残っておりますので、これは資料をいただきましてからあらためてまたやります。  これで終わります。
  28. 浅井美幸

  29. 上原康助

    上原委員 最初大臣にお尋ねしたいのですが、きょう所信表明沖繩関係についてなされたわけですが、この所信表明を一読してうかがえますことは、やはり「沖繩振興開発計画促進し、民生の安定をはかるため、日米安保条約の指向する目的との調整をはかりつつ」あるという表現はありながらも、ひとつ沖繩基地整理縮小については努力していかれるのだという決意の一端をあらわしたものだと受け取るわけです。  そこで、これまでもたびたびお伺いをしてきたことなのですが、今後沖繩基地整理縮小を具体的に進めていかれるテンポの問題ですね。あるいはその構想、窓口はもちろん外務省になるでしょうが、防衛庁との関係もあるでしょうし、また、せんだっての連合審査の場合に、振興開発計画を進めていく上においてどうしても基地整理縮小が必要だという点で、開発庁との関係も十分あると思うのですよ。  そこで、これまで日米安保協議委員会で大体の骨子はきめて、本土基地沖繩を含めてこれからやることでしょうが、具体的に、じゃ年内にもう一回日米安保協議委員会を持って、基地整理縮小をやるお考えがあるのかどうか。あるいはケス・バイ・ケースで、ただそのつどつどやっていかれるのか。さらにもっと具体的に言いますと、外務省防衛庁あるいは開発庁政府に、そういった基地縮小整理計画を進めていく何かの対策委員会でも設けて、積極的にやっていくお考えなのかどうか。私は、ただ、あの所信表明、ことばだけじゃいかないと思うのです、ここまでくると。そこら辺についてぜひもう少し、この所信表明中身のある説明をやっていただきたいと思うのです。
  30. 大平正芳

    大平国務大臣 ことしの一月の当方の要求によりまして、安保運用協議会というのをつくったわけでございます。それには日米双方制服も入っていただいたわけでございます。制服を入れたことについていろいろ論議もあるようでございますけれども、私としては、これからの基地問題をやってまいる上におきまして、制服も入っていただいて一緒に協力していただくことが実効的であると判断いたしまして、そのようにお願いしたわけでございます。  この運用協議会でございますが、これは目下国会が忙しい最中でございますので、この国会審議の様子を見ながらなるべく早く会合を持ちまして、いま上原さんおっしゃったような、これからの整理縮小計画について、どういう段取りで進んでまいるかという打ち合わせをいたしたいと考えておるわけでございまして、できるだけ、場当たりでなくて一つ計画を持ちまして、手順よくやってまいりたいという気持ちでおるわけでございまして、この運用協議会の活用を通じまして展開していきたいと考えております。
  31. 上原康助

    上原委員 安保運用協議会についてはまたいずれお尋ねしたいのですが、われわれから見ますと、安保運用協議会というのは屋上屋で、安保協議委員会があるのにさらにその運用協議会安保条約地位協定をどうアメリカ側立場に立って運用をしていくかという感じしか受けないわけです、率直に申し上げて。  私がお尋ねしているのはそういうことじゃなくして、ここにも基地整理縮小というものあるいは統合というものを具体的にやっていかれるということですから、それを進めていくのには、やはり何らかの積極的な姿勢がなければいかないわけでしょう。  重ねてお尋ねしますが、いま本土も、たとえば関東平野計画とか、いろいろ出されておりますね。沖繩基地の今後の整理縮小ということも、沖繩の密度の面から、広大な基地をかかえているのはこれはどなたも否定しないわけですから、沖繩を優先してやっていかれるという姿勢なのかどうか。あくまで安保協議委員会とかあるいは安保運用協議会でやっていくということであると、これは沖繩基地整理縮小というのはどうしても出てこないですよ。その点はどうなんですか。
  32. 大平正芳

    大平国務大臣 安保協議委員会というのは、原則として一年に一回持ってきたわけでございまして、これは最高機関でございまして、そう簡便に集まる手軽な機関でございませんので、従来は随時協議でやってまいったのをもう少し計画的にやってまいるという趣旨で、安保運用協議会という小回りのきく交渉ルートをつくったわけでございます。  それから、この整理にあたりまして、いま御指摘のように、沖繩内地本土でございますけれども、先ほどから申し上げているように沖繩にたいへん密集いたしておるわけでございます。しかし、沖繩は去年返ったばかりでございます。とりあえず那覇周辺を問題にしたわけでございますけれども、これはほんの手始めでございまして、重点沖繩に指向しなければならぬことはもうきわめて明らかだと考えております。といって、内地を軽視するわけでは決してございませんけれども、どちらが重点かと言われれば、明らかにこれは沖繩に力点を置いてやらなければ、内地以上のエネルギーを使わなければならぬと私は考えております。
  33. 上原康助

    上原委員 といたしますると、理解のしかたとして一月二十三日でしたか、安保協議会で一応の那覇周辺基地整理縮小計画というのは、ここにもありますように、原則として合意を見たものであるわけですが、それにとらわれずに、この間も申し上げましたように、地方自治体なりあるいは地主が返還をしてもらいたいという基地整理縮小計画というのは今後も進めていく、具体的に進めていかれるという立場にあるというふうに理解をしてよろしいですか。
  34. 大平正芳

    大平国務大臣 所信表明にも申し上げてありますとおり、那覇周辺のは第一段階であります。第二段階、第三段階ということ、当然予想しておるわけでございます。
  35. 上原康助

    上原委員 ぜひひとつ基地整理縮小計画というのを具体的に進めていかれるように、重ねて強く要求しておきたいと思うのです。  次にお伺いしたい点は、返還協定を審議をする過程でも非常に問題になったのですが、こまかいところまでは時間の関係で触れられませんが、例の水源地の問題です。返還後も米軍が引き続いて使用している浄水場あるいは水源地というのは一体どことどこなのか、ひとつ御説明いただきたいと思います。
  36. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 ただいまの御質問で、水源と申しましても米軍の専用の水源地として、米軍の施設区域の一部として持っておるものが全部で十二カ所ございます。それ以外沖繩県の企業局が引き取りました水道施設、水源地、あるいは市町村が持っております水源地につきましては、復帰の時点におきましては全部施設区域から除外いたした次第でございます。
  37. 上原康助

    上原委員 いまの十二カ所のいわゆる場所ですが、地域資料としてぜひ提出をしていただきたいと思います。  そこで、この中で特に問題は、いわゆる桑江キャンプにある水源地なんですが、これは御承知のように、陸軍病院の一帯だということで従来からアメリカが専用してきておったわけなんです。おったと思うのです。約二千四百立方メートル一日の生産量があるわけです。これについてはどうしても専用にしなければいけない事情でないと思うのです。病院という特殊な事情だということで専用にしたかもしれませんが、当然県側に返還をすべきものだとわれわれは見るのですが、なぜこれが返還後も従前どおり米軍専用になっているのか、その交渉過程におけるいきさつ等についてもぜひ説明をいただきたいと思います。
  38. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 復帰に至るまでの間、日米間で、沖繩におきまして復帰在日米軍となる沖繩米軍に提供する各施設区域の作業をお互いに詰めたわけでございます。その際に、水道施設等につきましては当時の琉球政府あるいは水道公社、そういった方面の意見等もいろいろ徴しながら作業したわけでございますが、キャンプ桑江の水源について、そのような問題点があることにつきましては私ども現在も承知しておりません。事情をさっそく調査してみたいと思います。
  39. 上原康助

    上原委員 これはそういう御答弁ですが、返還をしてもらいたいという要求は北谷村からもあるいは関係者からも出ていると思うのですよ。あの一体は全部民間地域と同様に給水できる地域なんですよ。山の上にあるナイキサイトとかそういうところとは実際は違うのです。このキャンプ桑江にある水源地についてはぜひひとつ対米折衝をしていただいて、早急に県側に移管をするように交渉していただきたいと思うのですよ。その点外務省施設庁もそのお考えがあるかどうか。いま御調査の上、検討してみたいということなんですが、当然、ここいらは返すべきなんですよ。ぜひひとつ決意をお伺いしておきたいと思うのです。
  40. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 いま施設庁のほうから御答弁がありましたように、事実関係につきましてまず調べました上で検討いたしていきたいと思います。
  41. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 施設庁といたしましても、さっそく現地那覇防衛施設局で実情を調査いたしまして、問題点の解決を促進したいと思います。
  42. 上原康助

    上原委員 いま私は一例をあげましたが、そのほかにも米側が継続して専用している水源地あるいは浄水場等についても、もう一ぺん洗い直す必要があると思うのです、特殊な事情でない限り。民間地域と同等に給水できる部面については、やはりアメリカが専用すべきじゃないと思うんですね。特にこの桑江の水源地については水の量も多いわけですよ。北谷村は従来から返還をすべきだという要望を持っておると思うのです。そういう面でこの検討、ほかの先ほど十二カ所ということがありましたが、全般的にもう一度洗い直して、できるだけ民なり地方自治体に返還するように御努力をいただきたいと思うのです。  次に、あと一点お伺いしておきたい点は、これは返還協定の第六条との関係なんですが、いわゆる国有財産の問題です。米国民政府が埋め立てた埋め立て地については、返還と同時に日本政府に移管をする、そして国有財産にするのだということが六条の三項ですかにうたってあると思うのです。その地域はどこどこなのか、どういう取り扱いになっているのか、説明をしていただきたいし、もしいますぐ御説明いただけなければ資料として提出をしていただきたいと思うのです。
  43. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 沖繩返還協定第六条三項、ただいま御指摘がございましたが、その規定に基づいて、効力発生の日に日本政府の財産となります埋め立て地の内容につきまして、米側から通報によりますと、那覇軍港地域四十三・〇七エーカー、牧港サービス地区八十二エーカー、キャンプコートニー六・五六エーカー、本部採石所十三・〇一エーカー、カルテックス・ブラックオイル・ターミナル三・二七エーカー、那覇空港地区四十五・七七エーカー、奥武山地区二十・七三エーカー、こういうのが対象となっております。
  44. 上原康助

    上原委員 これは返還後、国有財産として明確に引き継いだことになっているわけですか。台帳等も整備されておりますか。
  45. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 米側からは日本側に移されておりますけれども、国内的な措置につきまして、大蔵省のほうから詳細私ども伺っておりませんので、ただいま大蔵省のほうで処理願っているというふうに心得ております。
  46. 上原康助

    上原委員 いまの点、大蔵省等にも要望いたしますが、できたらひとつ資料としてぜひ御提出をいただきたいと思います。  最後に開発庁に一点お伺いしたいのですが、この沖繩開発金融公庫の四十八年度事業計画といいますか貸し付け計画の中ですが、きょう配付していただいた資料に「産業開発」というのがございます。仄聞しますと、何か金武湾一体にCTS基地、いわゆる石油総合基地をつくる計画が通産省あるいは運輸省で持たれている、それに融資をする資金計画はこの中に含まれているということを聞いているんですが、実際そうなのかどうか、説明をいただきたいと思います。
  47. 岡田純夫

    ○岡田政府委員 ここにお配りしました資料の中の産業開発資金につきましては、一応ワクとして設定いたしておりまして、何が幾らかといったようなことはきめてございません。しかしながら、県の振興開発のために非常に裨益する、あるいは過疎対策に裨益する、あるいは県民全般の福祉に影響があるものというものにつきましては、重点的に考えてまいらなければいかぬということから、電気でございますとかあるいは観光関係、これは海洋博とも関係がございますというようなものでございますとか、あるいはCTSというようなものも、備蓄関係でございますので考えてまいるべきかというふうに考えております。
  48. 上原康助

    上原委員 CTS基地を新しく建設するということで、政府部内なりあるいは関係者から、開発金融公庫にそういった資金の融資できる措置をとれという要望が具体的に出たのですか、出なかったのですか。
  49. 岡田純夫

    ○岡田政府委員 お答え申し上げます。  これにつきましては地元とも関係ございますので、知事さんのほうとも相談いたしまして、知事からぜひひとつ、先ほど申し上げましたように、地域開発等に非常に貢献するものでもあるし、この際ぜひやってほしいという文書をいただきまして、関係者といいますか、財政方面その他とも十分打ち合わせをいたしております。
  50. 上原康助

    上原委員 もう一ぺん確めておきたいのですが、そういう要請文が県知事のほうから出たということですか。それとも、私が仄聞するところは、通産省にそういった計画があるんで開発金融公庫の融資ワクに計上してもらいたいということで、公庫としても開発庁としても考えたということなんですが、いまの答弁はどうもすりかえのような気がするのですが、重大な問題だと私は思いますので、あらためてどういうルートからそういう要求、要請がなされたのか、もう一ぺん確かめておきたいと思います。
  51. 岡田純夫

    ○岡田政府委員 お答え申し上げます。  もちろん通産省とも協議はいたしておりますけれども、やはり私どもとしても、地域環境等の問題についても十分考えなければならぬ問題であるということで、慎重に十分検討いたしました。そうして、先ほども申し上げましたように、知事名をもちまして、現地においても検討した結果、ぜひひとつ融資してやってほしいという要請をいただきまして、それならばということでそういう心づもりをいたしておるということでございます。
  52. 上原康助

    上原委員 きょうは時間がありませんので、一応そういう計画があるということがはっきりなりましたし、また、私が承っている情報といま政府答弁なさっている点と若干違う点もありますので、これはただ地域開発、経済開発ということだけで納得できる問題じゃないわけですね。特に、公害問題なり、沖繩の今後の東海岸あるいは臨海工業地帯の問題等含めて、総合的に判断しなければいけない点だと思いますので、きょうのところはこの程度でとどめておきますが、いずれにいたしましてもCTS基地の問題等については、政府としても安易な結論を出してはいかぬと思うのです。その点を強く指摘をしておいて、きょうは質問を終えておきたいと思います。
  53. 浅井美幸

  54. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 最初外務大臣にお聞きしたいと思いますが、二十七日の沖特委でAIDの問題について触れましたときに、最後に大平大臣は、「非常に責任がありますから調査するわけでございます。あなたからいろいろお話がございましたけれども、問題はキャンプ桑江内にある機関が、地位協定上存在を許されるかどうかという問題が問われておるわけでございますので、それに必要な調査をいたしまして、政府として判断し、措置いたすつもりでございます。」という御答弁がありますが、あれから約一週間、もうすでに「その機関がどういう機能を果たしておるか、それから軍とどういう関係にあるのか」という点をいま詳細に調べつつあるわけでございますから云々と、さっきの答弁の前に言われております。これについてきょうは三回目ですから、もうすでに責任ある措置というのがはっきりこの委員会で述べられていい時期ではないかというふうに考えますので、大臣、ひとつ責任ある御回答をしてくださるよう最初に求めます。
  55. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 先般御質問のありました沖繩にありますAID事務所の実態につきまして、調査の結果をまず申し上げたいと思います。  AIDは、沖繩でアメリカの陸軍が使用いたしておりますキャンプ桑江内の施設を借り受けまして、極東地域補給事務所、それから沖繩地区の事務所と、この二つを設けておりまして、その職員は、極東地域補給事務所の関係ではAIDの職員が二名、沖繩地区事務所の関係ではAIDの職員が一名と日本人の雇用員を二名使っております。この二つの事務所のうちで、極東地域補給事務所につきましては、米軍の余剰物資を下取りして、これをAIDの援助に振り向けるための米軍との連絡調整の任務に当たっております。また沖繩地区の事務所につきましては、沖繩にあります米軍の余剰の車両、建設機材等の下取りについて、米陸軍との連絡に当たっておるわけでございます。  いま申し上げましたとおりに、AIDの事務所は、米軍の余剰物資の扱いについて、軍との連絡調整に当たっておりまして、これら余剰物資の処理、管理、積み出し等は、すべて米陸軍が行なっております。  この問題につきまして米側といたしましては、米軍の余剰物資の処理について軍との連絡調整を行なうために、米国政府の職員の身分を有する者が、地位協定に基づいて提供をされております施設区域内の建物の一部でこのような仕事をしている、こういう考え方に立っておるようでございます。
  56. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いまのは、米軍側の沖繩におけるAIDについての解釈なんですね。日本政府の解釈はどうなりますか。
  57. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 ただいま申し上げましたように、米側としましては、施設区域の建物の一部を使って、米軍の余剰物資の処理という、軍と密接な関係を持っている仕事をしているというふうに考えておりまして、軍の活動と密接不可分の業務であるという面では、必ずしも軍以外のものが独自に行動しているとは言いかねない面がありまして、安保条約との関係におきまして、直ちに違反というふうに言うべきか、そうでないというふうに考えるべきかということについては、慎重に考える必要がある点があるというふうに考えております。
  58. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 この点について、大平外務大臣の意見をお伺いします。いまこそ責任ある措置をとらなければいかぬ時期に来たっておると思いますので、はっきり御答弁を願います。
  59. 大平正芳

    大平国務大臣 AID、あなたの御指摘になりましたキャンプ桑江内にあるAIDなるものの実態は、いま政府委員が御説明申し上げたとおりでございます。  安保条約によりますと、施設区域使用できるものはアメリカの陸海空の軍隊であるということでございますので、AIDなるものがいかに軍と非常に密接な関係のある仕事をしておりましても、直ちにそれが軍であるというように認めることには、これは若干問題があるように思うのであります。したがいまして、そのあたり、事柄がさような問題でございますので、若干の時間の余裕をちょうだいいたしまして、実態をさらに詳細に煮詰めまして、これを認めるべきか認めるべきでないか結論を発見したいと考えておりますので、そう長くはございませんけれども、しばらく答弁の留保をさせていただきたいというふうに思っております。
  60. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いまアメリカ局長から話があったのは、大使館がそう説明したわけでありますか。  それともう一つ答弁をお願いしたいのは、いつから沖繩にあるAIDなるものが国務省の機関から除外されて、軍との関係だけの物資調達、処理、これをやっておるのか明確に示してほしいと思います。これが明確にならないと、あなた方はまたこの前みたいに、FBISあるいはCSGみたいな形で拡大解釈したり、アメリカのいうことを合理化したりするおそれがありますので、この点を二点明確にしてほしいと思います。
  61. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 先ほど御説明申し上げましたAIDの二つの事務所のうちで、AIDの極東地域事務所は、昨年の五月に現在地に事務所を設けております。もう一つ沖繩地区の事務所は、その前から宜野湾市にあったものでございますけれども、昨年の五月に極東地域事務所設立の際にあわせて現在地へ移っております。
  62. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 そうすると、いまの説明によりますと、返還協定締結以前からあり、以後も引き続きあるということと、もう一つは、AIDというのは米国務省機関であることはこの前もお認めになった。その米国務省機関でないのかあるのか、国務省機関であって軍との関連を持っているのか、そこら辺を明確にしてほしいと思います。
  63. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 先ほど私の答弁で昨年と申し上げましたのは、実は一昨年つまり一九七一年の間違いでございますので訂正さしていただきます。  もう一つ、AIDはいかなる機関かということになりますと、これは国務省の一機関でございまして、軍と密接な関係のある事務はとっておりますけれども、国務省の機関である点においては変わりはないというふうに考えております。
  64. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 この点が明らかになりましたので、今度は大平外務大臣にお聞きしますが、明確にアメリカ局長も言ったように、アメリカの陸海空軍の基地を提供される、施設区域を提供されるものではない、そのほかの政府機関であることは明確になっております。そうなりますと、安保条約に基づきまして、当然のことながらこの撤去を要求するというのがたてまえだと思います。したがいまして、これについての明確な、いま答弁を保留すると言われましたが、もう保留するほどのことがないんじゃないですか。
  65. 大平正芳

    大平国務大臣 確かに御指摘の点、私は疑問があると思うのであります。したがいまして、米側との話し合いを含めまして、十分なお一そう実態を明らかにいたしまして、結論を発見したいと思っておりますので、そんなに長くかかりませんから、しばらく答弁の保留をさしていただきたい。決して逃げ隠れするつもりはありません。
  66. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これは大平国務大臣、逃げ隠れすることのできるような問題ではありませんので、特にあなた外務大臣である以上、これは責任をもって解決しなくてはいかぬ。  そこで、保留、保留と言われるから、私も保留を認めたいと思いますが、いままで三回でしょう。ですから、あと一週間ぐらいあれば御答弁できるとか、あと十日なら十日と、この期限をここではっきりきめてください。そうすればこっちも調査すべき点は調査して、また撤去を要求するような前向きの姿勢になるように外務大臣をお助けしてもいいと思うのです。
  67. 大平正芳

    大平国務大臣 なるべく早く御答弁のできるようにいたしたいと思います。期日を限りますと、  一日でもおくれますと国会に対してたいへん非礼なことになりますから、その点は、たいへん恐縮でございますけれども政府におまかせをいただきたいと思います。できるだけ早くいたします。
  68. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 それに類するようなものですが、核兵器が沖繩にあるのだ、核兵器を置いたところは嘉手納の第四〇〇弾薬部隊比謝川付近にあるだけではなくて、そのほかに二カ所あるということが、きのう、沖繩においてアメリカの元空軍軍曹のホーキンスという人の口から——これは反戦兵士の会の会員でありますが、この身分につきましては、かつて嘉手納に勤務していたということは確認されております。しかも、現時点で、核兵器を現に装備し、あるいは操作したような兵隊、並びに現在嘉手納にいる核兵器に関する同じ仕事をやっている兵隊との連絡で、沖繩における核兵器を告発する県民の会において——平良那覇市長などもその会議に参加されておる。もちろんきょうの新聞報道で出ておりますが、沖繩における核兵器はないんだということを繰り返し言われたそのさなかに、おそろしい核兵器が現に存在しているということが、核兵器のある嘉手納基地元勤務員、いまも勤務しておる兵士の口から証言されております。これについて外務大臣どうお考えか、この点を明らかにしてほしいと思います。
  69. 大平正芳

    大平国務大臣 返還前は存じませんけれども返還時に、沖繩に核がないということにつきましてはたびたび米政府首脳が言明されて、書簡までわが政府によこしておることでございますので、私は、その一兵士と称する方はよく存じませんけれども、米政府の首脳を信じております。
  70. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 核兵器につきましては、それ自体の問題を私時間をかけてここに明らかにしたいと思いますが、きょう私は、AIDに関連をして出したのは、日本政府が、佐藤内閣時代もそうだったし現在でもそうであるのは、沖繩協定を締結するときにすべて調べ尽くしてやったというのが、こういったようなAIDが飛び出したりして、慎重に調べて検討しないと、地位協定などに違反するかどうかもわからぬ種類のものが出てくるでしょう。それは、日本政府がどこまでもアメリカを信じ切って、信じ過ぎたからです。ですから、核兵器があるかないかという問題については、あなた方自身調べてそれがないのだという自信からではなくて、アメリカの最高の当事者、権力者である大統領が言っているからそれを信じなさい、信ずるほかないじゃないかというのが一つの柱なんです。したがって、この核兵器が現にある、しかも三カ所にあるということを証言している兵士、むしろこの兵士の言ったことが直実性を帯びておるのではないか。またその真実性は、アメリカの出した文書の中ですら、七〇年から七一年にかけての核兵器事故が三種類に分けて書かれておりまして、二カ年間で合計七十二回核兵器の事故が起こったということが出ておる。その時点にこの兵士がおった。そして、現に一カ所ではなくて三カ所にあるということが証言されておる。したがってこの問題は、あまりにアメリカ大統領の言うことを信ずるととんでもないところに追い込まれてくる。どんなところに何が飛び出すかわからない。AIDの解決が済んだらまたこれが飛び出してくる。またこれだ、だまされ続けた結果はこうなるのだということを言わなくちゃいかぬわけだ。この核兵器の問題につきましても、この兵士の証言が真理でないということを拒否される場合に、理由は何か、大統領が言ったからありません、これでしょう。それは理由にならないのじゃないですか。国民の納得のいかない理由なんです。この点について追加説明してもらいたいと思います。
  71. 大平正芳

    大平国務大臣 核兵器の存否というのは非常に重大な問題でございます。重大な問題であればあるほど、最高の首脳の言明を私は信頼いたしておるわけでございます。  瀬長さんからAIDについての究明がございまして、AIDという大きな看板を白昼公然とかけてあったわけでございますが、私はあなたの御指摘を多とするものでございます。しかし考えてみると、アメリカ側に調べてみると軍と密接な関係をしておるからということでやっておったわけでございますが、やはり厳密な地位協定上大きな疑問はあるわけでございますから、これは何とか処置しなければならぬと私は考えておりますが、これは、あなたの目につくほど非常に歴然としておった、看板がかかっておったというのが、いわば私の一つの救いなんです。やはり人間のやることでございますから、そういうささいなところであやまちがないということは、人間社会ではおそらく期して得られないことかもしれないと私は思いますけれども、核兵器の存否などという事重大な問題につきまして、私は最高首脳が責任をもって言っていることを信ずる以上に確実なことはないと思っております。
  72. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 もう時間がありませんので、ここら辺で締めますが、いまの核兵器の問題については、もっと具体的事実に基づいて質問し、はっきりさせなくちゃいかぬと思います。  そのほかに、恩納村における爆弾処理の問題、さらに同じ恩納村における水域での演習の問題などについて結論的に申し上げたいのは、恩納村の水域を増加して演習場に使わしてくれということについては、県知事も村長も漁業組合長も断固反対しております。反対を押し切ってまでアメリカに新しく水域の区域施設を提供するつもりであるのかどうか、この一点。  もう一つは、恩納村のキャンプ・ハンセン区域内における爆発物処理について、村民はあげて、要求三つです。一つは爆弾処理をやめろ。一つは山と土地を返せ。一つはこれまでの損害を補償せよ。損害は家屋の損壊に対する破壊の損害、さらに水源地汚染に対する損害、演習のときに仕事をやめなくてはいかぬ、そういった生活に対する補償の損害要求を出しておる。これを五月十五日、協定発効前はアメリカに要求したにかかわらず、それを一文も払っていない。こういったようなあの爆弾処理の問題について三つの要求です。  もう一ぺん申し上げますと、爆弾処理やめよ。山と土地を返せ。損害を補償せよ。これに基づきまして、この恩納村民の要求、このとおりにアメリカに折衝するつもりであるかどうか。損害はだれが補償するか。補償するのであれば予算に組まれているか。水域の問題については県知事、村長、漁業組合長あげて反対しているが、この反対を押し切って水域を提供するつもりであるか。この二つの点、御答弁をお願いします。
  73. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 まず第一の恩納村の沖合い海岸におきます制限水域の新たな設定の問題につきましては、米側からそういう要望が出ておりますけれども政府といたしましては、この問題については慎重に検討したいというふうな考えのもとに、この問題に取り組んでおります。  第二のキャンプ・ハンセン内におきます廃弾処理の問題でございますけれども、これは先般の委員会におきまして、合同委員会の合意に基づいて、合同委員会で承認された時間、場所に限って行なわれるということを御指摘ございましたけれども、この問題につきまする合同委員会の合意は、施設区域外におきます火薬類の運搬に関する合意でございまして、施設区域内における廃弾の処理に関する合意ではないわけでございます。  そこで、現実にキャンプ・ハンセン内におきまして米側が廃弾の処理等を行なっておりまして、これに基づく周辺住民の被害、損害の問題が起きているということでございますけれども、キャンプ・ハンセンは米側に対して施設区域として提供いたしておりますので、ただいますぐこれの返還を求めるということは考えておりません。  いずれにしましても、施設区域内におきましても、先般御答弁いたしましたように、米軍といたしましては、公共の安全に十分妥当な配慮を払わなければいけないという義務を負っているわけでございますから、この点につきましては、必要のつど、米側に対して十分注意を喚起したいと考えております。  また、現実に被害が起きている、損害が起きているという問題につきましては、これも先般施設庁のほうから御答弁ございましたように、損害補償の問題について慎重な検討、調査が行なわれている、こういうふうに考えております。
  74. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 時間が来ましたのでやめますが、いまの核兵器の問題、AIDの問題などについては、次に引き続き御質問することにいたしまして、きょうはこれで終わりたいと思います。
  75. 浅井美幸

  76. 安里積千代

    ○安里委員 沖繩の問題は基地の問題と切り離して考えることはできない、すべてそこに根源があるわけでございますが、前回の私の質問に対しましても、沖繩全体に四万からの、日本本土の倍からの兵員がおるし、この数は韓国と同じほどの数だし、台湾におるアメリカ軍に比しますならば五倍に近いところのアメリカ軍の駐留を見ております。地域の問題でも面積の問題でも同様でございますが、私は、きょうはこの基地問題に関係します二、三の問題だけを立場をかえてお聞きしたいと思っております。  軍事基地の問題は、単に反戦平和というような立場だけでなくして、その存在に関連をいたしまして、あらゆる社会悪が生まれておるということは、戦争がなくてもたいへんな迷惑な問題だと考えております。  特に基地の存在に原因しますところのいろいろな犯罪、特に最近目立っておりますのは、アメリカの基地、アメリカの軍人を通じて行なわれますところの麻薬の輸入、これが沖繩においてたいへん激しくなっている。おそらく警察当局にもその報告はまいっておると思うわけでございますが、特に復帰後におきまするアメリカ基地関連をし、アメリカ軍人に関連をしまする犯罪、特にそのうちでも最近問題になっておりまする麻薬の犯罪状況につきまして警察庁にまずお伺いしたいと思います。
  77. 相川孝

    ○相川説明員 お答えいたします。  ただいま先生御指摘のように、沖繩県におきます麻薬犯罪は、かつてのわが国の十年前と同じようにたいへん悪化した情勢にございます。  犯罪の件数で申し上げますと全部で四十七年中の麻薬事犯の総数は二百九件になります。検挙した人員で二百十名、これを復帰前と復帰後に分けますと、復帰前が五十八件の六十名、それから復帰後が百五十一件の百五十名、こういう割合になっております。なお、この二百九件、二百十名の麻薬事犯のうち、御指摘の米国軍人や軍属が占める割合を大ざっぱに申し上げますと、約七割が米国軍人及び軍属によって行なわれている犯罪でございます。
  78. 安里積千代

    ○安里委員 お聞きのとおり、麻薬、これは単に沖繩だけの問題でなくして、また日本だけの問題でなくて国際的に重要なる犯罪であり、また国際的にも取り締まらなければならぬところの問題でございます。しかも、それがおそらくこの統計からしますならば、本土におきまするものと比較にならないところのものがあると思っております。  それでお伺いいたしますのは、これらの取り締まり、検挙、これにつきまして民間警察当局として支障はないのか、あるいは特にアメリカの軍人関係が七割を占めておるということになりますと、警察の手の及ばない、あるいは税関当局の手の及ばないところのルートからこれが入ってくる、こういうふうに考えられるのでありまして、あらわれたものを検挙するというだけでは、それはもうおさまりがつかない問題だと思うのです。すでにその間には害悪が流布されておるということになります。そこでこれを入らないようにする。特に治外法権的なアメリカの軍人、軍属の所持品、あるいはその他のものを通じて入ってくる、これに対しまして取り締まる、あるいはこれを持ち込まないようにするというような方法というものがございますか。あるいはまた、これに対してどのような措置をとっておられますか。
  79. 相川孝

    ○相川説明員 御指摘のように、沖繩県の麻薬犯罪は、私が先ほど申し上げました数字は現象面といいますか、実際に事件で検挙した数でございます。私どもそういう現象的な事犯と、もう一つ、先生いま御指摘の潜在している事犯がどれくらいあるかということをいろいろ検討しておるわけですが、麻薬事犯は、やはり潜在している事犯があると思われましても、これを現実に検挙いたしませんと、密輸ルートなりあるいは関係者の実態というものははっきり明らかにならないわけです。しかし、そういう検挙をするためにはどうしてもしっかりした体制が必要でございます。  それでちょっと経緯を申し上げますと、昨年来沖繩県の麻薬事犯というものがふえている、しかも沖繩県の警察における取り締まり体制が必ずしも十分でないという点に検討をいたしまして、ことしに入りましてからですが、二月の十五日に従来の体制を一挙に三倍ぐらいにふやしました。それから必要な捜査、取り調べのための装備、資器材がございますが、これはたとえば車両を増強するなり、あるいは双眼鏡その他の器材を増強するなりして、人、物の面で取り締まり体制の強化をはかりました。そういう関係もありまして、潜在事犯の掘り起こしというものは相当これから進むだろうと考えております。  しかし、いま先生御指摘の、米軍基地を本拠とする麻薬の潜在事犯、こういうものに対してはどうするのかということでございますが、これはひとり警察だけではどうにも実績があがりませんので、実は米軍当局、四つに分けて考えられますけれども、陸軍、海軍、空軍、海兵隊、この四つの軍にそれぞれ捜査機関がございます。そういう捜査機関関係者と警察がよく連絡をとりまして、警察として必要な申し入れを軍の捜査当局に行なうなり、あるいは必要に応じて共同捜査を行なうなり、そういうことで、基地を中心とする麻薬事犯の取り締まりというものについては積極的に進めてまいりたいと考えております。
  80. 安里積千代

    ○安里委員 先般も、アメリカ軍人あるいは軍属同士の中におきまして、この麻薬の取引を原因といたしまして殺人事件までも起こっておるような状況であります。これが単にアメリカの軍人だけの間であればまだ彼らの自業自得といわれましょうけれども、これが一般民間に流されてくる、あるいは場合によってはそれが暴力団の資金源にもつながってくるというようなことになりますと、それによって行なわれるところの悪というものはたいへんなものになってくると思います。  いまアメリカ当局のそれぞれの機関の警察、憲兵当局などと打ち合わせて連携をとって云々ということがあるわけですけれども、そうなってきますと、私はこれは警察だけの問題ではないと思うのです。私はアメリカにとっても非常な恥ずべき事態だと考えております。ことに、ベトナム戦争にこれが重大な関係があるということをわれわれは見のがしてはならない、こう思うのでございまして、ベトナム戦争の結果、ベトナムにおいて中毒した、あるいはそれを常用する、あるいは場合によっては負傷者の治療に使われたというようなことがあるかもしれません。少なくとも、これはベトナム戦争に関連が絶対にないとはいえませんし、むしろ常識的にベトナム帰りの兵隊に多いということも事実でございまして、戦争の結果であり、いかに戦争というものが、単に銃器を持って殺し合うというだけじゃなくして、しかけておるところのアメリカ自体の中にも、それから銃後にあるところの無関係の人々にも、大きな害悪を及ぼすかということを非常に思うわけです。アメリカとしてはこれに対してどう考えておるか。  私は、この一つの事実を通じまして、単に警察当局だけでこれは取り締まる、厳重にするといったってとてもできるものではないと思うのです。当然このような害悪というものが日本に、特に沖繩に及んでくるということでありますならば、これは単なる取り締まり当局だけのものじゃなくして、日米間における重大なる問題だ、私はこう思うのです。外務大臣とされましては、ただこの事態を、こういうことがあるのだということをお聞きのがしされるだけの問題では決してないと私は思います。そしてまた、警察当局だけが、それぞれのアメリカの当局と打ち合わして取り締まるというような問題でおさまるべき問題でない。  そこで外務大臣として、こういった問題に対してもっと高い立場から、これは国際的立場からも問題にすべきところの大きな問題だと思うのです。日本に関係ないところのアメリカの軍人が、こういうものを日本に持ち込んでくることはたいへんな問題です。  そこでこの問題に対して、政府とされまして、アメリカに何らかの申し入れと申しますか、あるいはこういうことの起こらないための措置を、高い立場から提起されたことがあるかどうか。ないとすれば、このまま放置されて、単に取り締まり当局にまかせるだけでいいのかどうか、その点外務大臣からお伺いしたいと思います。
  81. 大平正芳

    大平国務大臣 昨年の九月のベンジャミン事件、十二月のドイル事件等におきましては、外務省から米側当局に対しまして厳重な注意を喚起いたしたわけでございます。仰せのように、日米関係から申しましても、この事件は看過できない、この問題は看過できない問題であると考えております。  で、いま警察当局から御説明がありましたように、取り締まり捜査体制は漸次強化されてきましたし、また米軍との共同捜査体制も生まれつつあるわけでございますので、私どもとしては、共同捜査体制なるものが円滑に機能できるように、極力応援してまいらなければならぬと思いまするし、米国に対しましても事あるごとに注意を喚起し、措置を誤まらないように処理していくつもりでございます。
  82. 安里積千代

    ○安里委員 これはわれわれとしては口ばかりじゃなくて、また政府としても同じような考え方でしょうけれども、このような膨大な基地が、そして多数のアメリカ人が沖繩に駐留するということが、これはどう考えてみましても納得のいかないところの問題です。  繰り返すようですけれども、韓国と同じだけの数、日本本土の倍、台湾の五倍、こういったような数が狭い沖繩におる。私何のためによけいおるかわからないのです。ことにこういう平和、あるいは平和の幕あけともいわれる時代に、それは考えられないのです。そこで、その結果というものは、単に戦争云々という問題でなくて、戦争以外の平時において、たいへんな害悪というものを及ぼす、私はそういう立場からも、文明国としてのアメリカの恥になるようなことが日本の国土の中において行なわれておる、こういうことをとらえても、アメリカに去ってもらうということは、私は一つの大きな外交交渉の中の力になると思う。根本的には、これをなくするときはそういった軍人たちがいなくなるときなんです。さもない限り、これは取り締まると言ったって、一片のあれではなかなか私はできないと思います。  そこで私は、政府としても、基地の縮小その他については常時努力するとかねがねおっしゃっておりますけれども、もう復帰して一年になります。ほんとうに熱意があられまするならば、この基地問題から引き起こされるところのあらゆる社会悪、これを除きまするためにも、国民の、県民の健康、そしてまた単に沖繩県民だけでなくして、アメリカ自身に対しての恥ずべきこのことをもなくするためにも、恥を世界にさらさぬためにも、アメリカのためにも、私はこれは強く要求していいと思います。この点、最後に外務大臣から、そういう単に戦争云々、防衛云々という安全保障とかなんとかいう、そういうような立場で保障の必要があるとかなんとかというような論議じゃなくして、現実のこの事態から、沖繩基地問題、アメリカ軍の常駐問題、この問題を解決するだけの一つの大きな根拠があると私は思います。そのように努力されるかどうか、大臣、ひとつ口先だけでなく、これはほんとうにやっていただきたいと思うのですが、いかがですか。
  83. 大平正芳

    大平国務大臣 安里議員の御指摘のとおりに、問題は深刻で重大だと思うのでありまして、私どもといたしましても層一そう心がけてまいらなければならぬ課題だと考えております。
  84. 安里積千代

    ○安里委員 あと二つだけ施設庁関係でお聞きします。
  85. 浅井美幸

    浅井委員長 安里君、施設庁は帰りました。
  86. 安里積千代

    ○安里委員 それでは防衛庁おりますか。——施設庁防衛庁要求しておったのですけれども……。  それでは、建設省おいでですか。  簡単ですが、返還によりまして、従来アメリカの軍道でありましたのも国道になりました。そうすると、従来軍道であった地域にありました施設、たとえば保安灯だとか防犯灯、こういった施設も、同時に軍道に建設されてあったものは国道に編入されて、この施設は国道の一部として移管されたものですか。
  87. 大島哲男

    ○大島説明員 お答えいたします。  返還協定によりますと、日本国政府に移管されました道路構造物には、信号灯、道路標識、橋、その他の構築物というふうになっております。街灯もその中に含まれておると解しております。ただいまおっしゃいました街灯は、おそらく三百三十号線のコザ付近のものと思っておりますけれども、その付近の街灯につきましては電源が基地内にございまして、返還のときに電源が切られてしまいました。で、これを道路照明として利用いたしますには、配線の確認、電源の確保という手当てが必要でございまして、現在のところ関係方面といろいろ折衝しております。それの形がつき次第、早急に検討したいと思っております。
  88. 安里積千代

    ○安里委員 私がまだ質問しないところまでお答えになったのですけれども、街灯その他の付属施設が同じく引き継がれた。街灯あるいは保安灯というものは、電気がつかなければ街灯の用をなさないわけです。その施設は引き継がれたけれども、電源はアメリカが切ってしまった。これならば街灯の用をなさないはずなんですよ。どうしてアメリカはこういうようなことをしたわけなんですか。そしてまた、保安灯、街灯がありながら電灯もつかない。これは治安にも関係いたしまするし、交通にも非常に関係をしてくる問題だと思うのです。どうしてこうえげつないと申しますか、こういうことが平気に行なわれておるか。  これは、これまでの交渉の中において交渉されたことがありますか。向こうの言い分はどういうことなんですか。
  89. 大島哲男

    ○大島説明員 ちょっと先走ったような答えをいたしまして失礼いたしましたけれども、実は電源がどうなっているかということははっきり聞きませんでした。その点、たいへん手おくれというような感じがいたしまして、今後速急に詰めたいと思っております。
  90. 安里積千代

    ○安里委員 どうも時間がございませんから……。まことに小さい問題のようでございますけれども、一部には国道になったものが、今度は返還をしたけれども、一般の通行を禁止するというようなことができたり、道路返還をして国道になった、当然その施設——街灯、保安灯等の施設も引き継がれた、必要な電源はアメリカが消す、そして暗やみにする、こういうことが一体なぜ行なわれるか。アメリカ自身のけちくさいところ、電灯料が云々という問題もあるかもしれませんけれども、これはおかしいのです。電気そのものも今度は日本側から供給されるものなんです。それがいまに至るまで電灯が消えたままでおる。街灯の用をなさない。こういったことは、小さい問題のようでありますけれども、アメリカの実態、実に人をばかにしたような状況だと思うのです。これは単に建設省だけの、国道の管理だけの問題ではなくして、沖繩復帰後における統治の実態にも及んでくる問題だと私は思っておりますが、総理府、開発庁関係、この事実を御存じでしょうか。また、これに対して、あるいは総合事務局あたりで何らかの措置をとった報告でもございましょうか。もしございましたら、述べていただきたいと思いまするし、一体この解決の見通しはどうなのか。その原因までもまだ突き詰めていないのですか。なぜこんなことが放置されているか、その点明らかにしていただきたいと思います。
  91. 渥美謙二

    渥美政府委員 私どももちょっとそういう事実は存じませんでした。建設省のほうで早急に調査をして対処したいというように思っております。
  92. 安里積千代

    ○安里委員 これで終わりますが、沖繩復帰して道まで暗くなったというのは、社会も暗くなった、あらゆるものが暗くなったのではたまらぬと思います。これは早急に何らかの措置をとっていただくように要求して、私の質問を終わります。
  93. 浅井美幸

    浅井委員長 いまの質問ですが、所管はどこになるの、いまの問題は、(「やはり国道の管理ということで建設省にやっていただくということかと思います。」と呼ぶ者あり)建設省が所管しているわけですか。(管理して、あとの話は建設省のお話……」「道路法の施行の問題でございますから、建設省の所管でございます。ただ組織は現地沖繩総合事務局というのがございまして、そこで仕事をやっております。」と呼ぶ者あり)私から建設省に対して申し上げます。大島国道第一課長、責任をもっていまの件に対しての答弁は、資料をもって安里委員と私のほうへ提出してください。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後二時五十一分散会