○山田(耻)
委員 大蔵
大臣、お時間がないようなので順序として先にお尋ねするわけですが、その
あと運輸大臣なりあるいは労働企画、
お願いいたしたいと思います。
大臣、
国鉄の財政が非常に窮迫をしておりますことば御存じのとおりです。こうした
状態が起こり始めたのは今日急なことではございませんで、
国鉄の会計監査報告書、あるいは
国鉄に対して
昭和三十二年以来
再建計画を、国としてその
措置を行なうようなことなどしてきたわけでありますが、今日ここまで
国鉄の
状態が悪化してまいりまして、何となく従来のような小手先で、あるいはマンネリ化した
再建方策というものであるならば救済できない。
昭和三十二年の第一次五カ年
計画から
昭和四十六年まで四回にわたって
再建計画を出したわけですが、どれもこれもみんな途中でくずれてしまった。今回財政
整備十カ年
計画を出してきておるわけですけれ
ども、出し方の金額、発想については若干の差異は見られます、特に
利子補給等についてはその意味で私は若干の前進を認めます、あるいは出
資金についても認めるわけでありますけれ
ども、こうしたものではとうてい追っついていかない、そういう基礎的
条件を
国鉄は備えている。こういう立場から大蔵
大臣においでいただいたわけでありますが、端的に言いまして、
国鉄の経営というのは独立採算制でございますね。いわゆる
国鉄の収入によって原則的には経営を維持している。その財源の中心は運賃である。
昭和二十三年に制定されました運賃法を見ましても、運賃は「原価を償うものである」、これが運賃法の第一条の第二項ですね。一体この運賃で原価を償うものとして客貨の運賃にどう振り分けるか、これが技術的にむずかしい、共通性があるのだということを
国鉄総裁も過去に何回か
答弁され
ている。
私は話題をちょっと変えてみますけれ
ども、この間、大蔵
大臣と伊東光晴教授とのテレビ対談を私は見ておりまして、まあ最近の経済の構造というのは大きく変わってきたし、この
状態の中で物価上昇というのは避けがたい必然性を持つ、その
一つの促進剤としてイコールフッティングの問題が取り上げられております。私は、
国鉄というのが資本主義社会における平等な競争原理の上に立って、運賃法の第一条第二項の公正であるべきもの、このことと相関的にあわせて
考えてみるならば、
国鉄は線路を敷く土地もてまえが買わなくちゃならぬ、線路も自分が敷かなくちゃならぬ、管理も自分がしなくちゃならぬ。それに引き比べて競争の相手である道路は、バスは、トラックは、この五カ年で十九兆五千億もかけて国がつくっている。飛行機のほうは、これまた国や
地方自治体が金を出して飛行場をつくってある。そうしてそこに払う航空料金というものは——最近着陸料がふえてきました。
昭和四十四年で着陸料は三十億です。飛行場の管理費が三十一億。この着陸料は飛行場の管理費にも相当いたしません。だからもちろん航空料金というのは、こうした飛行場の造成費、土地、こういうものとは無
関係です。港の船だってそうでございましょう。港湾はみんな国がめんどうを見てやる。ひとり平等な競争原理に立つべき
国鉄がてまえで土地を買い、てまえで線路を敷きなさい、こういう
一つの競争原理の
状態というものでは、少なくともこのような高度な経済発展を遂げてきたわが国の社会では適合できない、こういう
一つの気持ちを私は持つわけです。
大蔵
大臣、時間がございませんので私の
意見を先に述べますけれ
ども、いまの
国鉄の運賃法の中で、原価を償うもの、第二項にあると冒頭申しましたが、そのうちで土地とか線路とか建物とか、いわゆる固定資産に属するもの、こうしたものは、競争原理を求めるその立場が片一方と、そうして片一方では原価を償うことができないから総合原価主義というものをとるわけです。客貨に振り分けることができないから、総合原価主義をとる。そこに今日の幾つかの混迷が発生をしてきておる。だから、この際、思い切って
国鉄にもいま申し上げた土地とか建物、線路とかいうもの、下部構造とかりに私は名づけます。この下部構造の資本に対しては国が全額出資をする。上部構造である
列車とか自動車とかそこに積んで走るお客さんとか荷物とか、こういうものを独立採算制で見る、こういたしますと、最近とみに、いろいろな要件はございますけれ
ども、客貨の
輸送量のシェアが減ってきております。こういうものに対置して
国鉄経営というものがこれからどういう安定度を示していくかという大事なかぎがそこにあるように思うわけです。この
国鉄の固定資産
部分に相当するいまの下部構造に対して国は資本金を一兆五千億
程度ふやしたい、
昭和四十八年には千五百億
程度になりましたけれ
ども、しかし、
新幹線の増設については国が金を貸してやりましょう。ただ成田は若干違うようです。公団に移っておるようであります。そうした
建設費を含めて十兆五千億をこの
再建十カ年
計画の中には国は貸してやろう。これはしょせん
国鉄が将来背負っていく宿命の負債です。これをかかえたまま財政
再建十カ年
計画を進めるということは、いまのイコールフッティングの問題、平等な競争原理の立場から見て、私は
国鉄は斜陽の一途をたどるものと見ております。ここらあたりでこういう十カ年
計画の財政
措置をなさるよりか、思い切って下部構造に対して国が
長期計画を立てて全額出資をする、こういう立場をおとりになる用意はないかどうか、あるいはそういうお
考えがあるのかないのか、検討する必要があると思うか、ないと思うか、そこらあたりについてひとつお聞かせをいただきたいと思います。