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渡辺(美)
委員 まあ大事な
運賃法の審議の最中ですからそういう
答弁しかないんでしょうが、私はやはり、いま
大臣の話の中からも出ておるように、独占性が失われておるということは競争相手ができておるということだし、競争相手があるということは、何もそれがなければ国家、
国民がすぐ困ってしまうということでもない、裏から言えばそういうことになるわけですね。しかしながら、国の重要幹線については、まあ国防上の見地ということは申されませんが、
国民生活全体の重大な問題として公共的機関の
国鉄があることが望ましいということは、いまにおいてもやはり
一つの理屈が私はあると思う。しかしながら、現在、
日本国有鉄道が所有しておる路線全部が公共的なものとして、国が
助成をしてめんどうを見ていかなければならないというように私は思わない。ことに今回、新幹線というものが
計画をされて、でっかいことはいいことだということかどうか知らぬが、去年五千キロの新幹線が七千キロにふくれ上がっちゃって、そうして新しい動脈がまた並行的につくられようとしておる。そのほかに、この間
新聞を見ると、もう
一つ何か特別速い汽車なんか、東京からどこか、名古屋だか京都のほうまで将来できるというのですな。三本、東海道線できるわけだ。それも欲ばってみんな持っていますか、全部。そうですか。そうして一方においては競争相手ができるのですから、競争相手ができればお客を取られるのですよ。
運賃をあなた、あんまり上げればお客を取られる。取られないためには、
運賃をあまり上げるわけにはいかない。そのときには、ともかく法律で、
国鉄以外に乗せた者は懲役だとか何か罰金でも何でも取れるような法律でもつくるのかどうか知りませんけれ
ども、まさかそうはいかないでしょう。そこで、幾ら力があっても、その企業の
努力そのほかに生産性向上というものがはかられなければならぬ。ところが、
国鉄は、生産性向上運動をやったら何かごたごたしちゃって、
国会に来てあやまっているようなことがあるらしいのだが、どうもこういうふうな経済の大原則に反したようなことを、
日本全国に網を広げてやろうとするところに根本的な無理があるのですよ。食管制度と同じなんですよ。生産者米価を高くしろ、消費者米価は下げろ、悪いことをするんじゃないという話と同じことなんです。生産者米価が高かったら、農家で売りに出して、米屋から買い直してまた農協から
政府に納めたというのが秋田かどこかにあったようだが、二回売るんだ。仕入れ値が高くて売り値が安いんだから、またその安いのを買って売ればいいのだから、これは幾ら丸紅ばかり取り締まったってだめなんだ。こういうような矛盾を置く限り、浜のまさごは尽きないんだ。そんな監視つきなんて、米屋の一軒一軒に警察官を張りつけておくことはできないんだから、これは経済の大原則に反しておるからこういう問題が起きる。
国鉄だって同じですよ。あなた方、にこにこして笑っているけれ
ども、笑いごとじゃない、実際の話が。
こういう大原則に反することはだめなんだ。やはり公共で負担する場合には、
ほんとうに国家的見地から必要欠くべからざるものに限る。その他は、
民間との競争をやるのですから、大いに生産性向上をやったらいい。ところが、それは役人組織ではできない。仕組みがそうなっている。だから、
国営企業というのはろくなものがない
——なんと言うと、また暴言だといわれてしかられるかもしらぬが、ろくなものがあるとはなかなか思われない。
国有林野事業がそうじゃないですか。国営事業は、幾ら片一方で一生懸命働いたって、働いた人に月給をよけいくれるというわけにいかない。一生懸命働いた人を、係長ぐらいにすることはあるかもしれないけれ
ども、その人にボーナスのときに、そのほかの人が一・五カ月だったら、三カ月分やるなんということはいまはできないでしょう。ですから、創意くふうで、
ほんとうに働けば働くだけわれわれの実入りがよけいになるというなら働くのですよ。幾ら働いたって月給も同じだ、
総裁までなれる見込みもないということになって、係長にもなれないということになれば、やはり一番働かないところが月給の標準になってしまう。だから、国営事業というものは、やはり公務員組織の中においては、生産性を上げて効率的に事業をやるということがもともと無理なんです。だけれ
ども、国家的必要があってそういう無理を
承知で置くというならば、洗いざらい全部ひっくるめて全部持つ、それはそんなに欲ばらなくたっていいのですよ、そんなこと言ったって持ち切れるものじゃない。どうです、
大蔵省。第二新幹線、第三新幹線とどんどんできてくる。だから、全部ひっくるめて、国家的必要があるから持って、十カ年
計画の中でめんどうを見てください、そういう
考え方はどうですか。
大蔵省は
大蔵省としてのあれを持っているんだから、とにかくそんなことでふらふらしちゃだめですよ。正しい、出すべきところにはぱっと出す、出さざるべきところには出さない、あなた方の考えをもう少しはっきり述べたらどうですか。きょうは、またこれで
運賃法案がストップしちゃ困るからかんべんしておきますが、いずれにしてもそういうところは拳々服膺してもらわなければならない。いいですか、
総裁、拳々服膺してくださいよ。拳々服膺の
一言をひとつ……。