○
佐藤(文)
政府委員 衆参の運輸
委員会で連続して
タクシー問題について適切なる御指示をいただきまして、ほんとうに敬意を払いたいと思います。
いま
先生がずっと
質問され、また参議院で
タクシー問題について質疑応答がなされましたが、大体
質問の要旨が
タクシー業界に寄せられたいろいろな
問題点を集約されておると思います。そこで、そういった
問題点を解決するためにどうしたらいいかということで、
自動車局を
中心に、
タクシー問題についての、次の時代の新しい
タクシー行政についての
検討を始めているわけです。ところが、
問題点が非常に複雑でございまして、
一つ一つ解決するためにはやはり時間が相当かかります。そこで、ただいま質疑のありましたいろいろな問題について、
一つ一つ計画を立てて是正の方向に向かっているのですが、要するに、ある日偶然
運転手さんとお客さんが同じ車に乗って、十分ないし二十分間乗りものに乗るというのは、これは
タクシーの特性であります。その利用者が一番楽しい乗りものであったという
タクシーにすることがねらいでありまして、その十分ないし二十分間、一番楽しい乗りものに乗ったという、お客さんはそれが一番うれしいと思うのです。そういう一番楽しい乗りものにするためにどうしたらいいかということはただいまの
問題点に集約されますが、私は第一点に、法人と個人の問題がいまどのようなチェック・アンド・バランスの時代に入ってきているかということを考える必要がある。たとえば、東京では二万両という法人の
タクシーに対して一万五千両という個人の
タクシーになってきておる。もうそろそろ何か限界が来たような気がいたします。それから、神奈川県では、個人
タクシーに免許を与えましたら、翌日返上に来た、もう営業ができないのですというぐあいに、需要と供給のアンバランスが見られてきたというようなケースも起こりまして、そういう問題のチェックをどうするかということが
一つ。それから、したがって大都市において市民の足というのは
タクシーである、バスである、地下鉄であるといっているが、はたして同列でいいのかどうか。イギリスのように、三百メートルごとにバスの停留所があって、完全に東京とか大阪とか、いうところの市民の足にバスがなり得たならば、
タクシーはいまよりか少し高いクラスに持っていくことも必要じゃなかろうか、それは適正な認可と適正な料金、そういうところから考えていかなければならぬ、こういうような第二点の問題が都市交通の問題で出てまいりました。
そこで、先般参議院の運輸
委員会で
タクシー協会の代表と全自交の代表の参考人の方々の意見をずっと聞いておりました。協会の代表、業者の代表の方々の意見を聞いていると、一生懸命働くのだ、働くから全部歩合制にしてくれという
運転手さんがおるそうです。ところがそれをやれば二・九通達の理想と全然反することである。したがってやはり一定の時間働いて、そして安心して固定給がもらえて、それが生活の基盤になって、努力すれば歩合給が支給される、こういう理想の
形態にやはり持っていくべきであるということを私は感じましたけれ
ども、
現実には全部歩合制にしてくれ、一生懸命働く、こういったような、
京都南タクシーみたいなことが
現実にある、こういう問題についても今後どうするかということを、これは私、
業界の代表と組合の代表と話し合った上で、その方向を、やはり今日的な問題で
現実的に片づける必要があるということで、これは三者の話し合いをしようじゃないかということをお約束いたしました。
それから
経営者と
労働者の
関係ですが、ワーストテンを、念のために、いままでは近代化センターからいろいろなデータが出てきましたが、外には発表しなかったのです。そこで、思い切ってワーストテンをやってみたらどうかということで、いままで二回やってみましたら、ある
経営者から連絡がございまして、二回ワーストに入った。自分の娘が婚約の最中だった。ところがうちの
会社とおとうちゃんの名前がけさの
新聞に出た、これでは行かれぬというので、この次は絶対ならないように努力するために、きょう久しぶりに
労働組合の代表と会って、おれだけではできぬのだ、一緒にひとつ何とかこの次はやらぬと、監査が入って免許の取り消しがあるかもしれぬというので、組合の代表からも連絡があって、初めて
労使の話し合いをしたということも出てまいりました。したがって、そういうことをやっていいかどうかということについては、ずいぶん、よい点も悪い点もあるわけですから警戒したのですけれ
ども、連続してやる方針であります。したがって、そういう前向きの姿勢が
業界に出てまいりましたので、
労使間における
賃金形態の問題も、労働省の二・九通達の方向にいくような指導ということは厳然としてしていこう、こういうことであります。そういうことでいろいろな
タクシー業界の問題については参議院の運輸
委員会でお約束しました。
労使双方、近日中にいろいろな準備をいたしまして、そして
自動車局を
中心に具体的な問題を、大体五年
計画を立てまして、そして都市交通の中における
タクシーの位置、それから
労使間の
賃金形態、それから適正な免許と適正な運賃というものがいまのようなていでいいのか。私は世界各国の他の都市に比べて
タクシー運賃は安いと思います。日本は一番安いんじゃないでしょうか。したがって、そういう適正な料金というものをどう位置づけするかということの問題についても焦点を合わして研究していきたい、こう考えておる次第でございます。