○久保(三)
委員 総理は何か勘違いしていろいろ御答弁いただいている。私は限られた時間でありますから、しかも総理
大臣に対する質問でありますから、なるべく失礼にわたらぬ
ようにしているわけなんです。ずいぶんあなたの答弁は失礼な答弁をしておりますね。私がお尋ねしていないことな
どもとうとうと答弁されていますが、私は国民の側に立ったつもりでいまお尋ねしているのですよ。物価の問題に対してもお答えはいただけないし
——それをお答えになっているのでしょうが、米は何倍とか、過去において幾らであって、いま何倍になって、汽車賃は何倍だから値上げしても差しつかえないのだという理屈は通らぬから議論しているわけですよ。そういうことをまず第一に頭に置いていただいたほうがいいのじゃないかと私は思うのです。もちろん法案を提案したから、直ちにああそうですか、じゃ直しましょうという
ようなものでないことはわかっていますよ。だけれ
ども、やはり尋ねたことに対しては、正しくお答えいただきたいと思うのです、時間があまりありませんから。
それから、運賃決定機構についても、私は国会でやることについて
反対しているわけじゃないのです。運輸審議会という制度がありながら、これを諮問しておきながら、答申も出ないのに意思決定をして予算を国会に出してくるという、あるいはそういう
ようなことを内部的にきめるという
ようなことは、これは
——運輸
大臣がわきから何か言っている
ようでありますが、これはもし答弁されるなら詭弁です、はっきり言っておきますが。いずれにしてももう少しまじめに、と言ったら誤弊があるかもしれませんが、あるものはやはり尊重して、結論を得て、そして国会に持ち上げるものは持ち上げてきていただきたいと思うのです。私は時間がありませんから、この問題をそんなに長くやっているわけにはいきませんけれ
ども……。
もう
一つは
貨物の問題についての
お話がありましたが、
貨物の問題の前に汽車賃というか、いままでの
国鉄の運賃の値上げが抑制されたという話
——それはそうですね。結果から見れば、抑制されたという結果になりましょうね。いまそれを議論していることが
一つの議論ではありますよ。ありますが、
国鉄がいままで蓄積してきた資本というのは、だれがやってきたかというのです。これは政府の手ではないのですよ、はっきり申し上げて。あなたは専門家ぐらいに知っておりますから、もう御
理解いただいていると思うのですがね。言うならば、
旅客収入というか、運賃と借り入れ金でやってきたのですよ、四十七年まで。四十七年には多少の政府出資がありましたね。多少ですよ。ことしの予算では、出資を八百億やろう、こういうことですね。いままでは長期の借り入れ金というので、全部やってきたのです。これを返してくるのには、汽車賃であがった、収入であがったもので返してきたのですよ。だから、政府からの出資といったって、八十九億、これも歴史をさかのぼれば、八十九億みんな現金じゃありません。帳簿上の、いわゆる差し引き計算ともう
一つは、駐留軍からの払い下げのぼろのバスとかトラックを金に換算したものが四十億で合計八十九億、そういうものだけなんです。
もう
一つは、税金で足し前するか、それとも運賃値上げで足し前するかという点で考えてもらいたいのですが、
国鉄運賃なんというのは、大衆課税と同じですよ。だれが乗っても、金持ちが乗っても貧乏人が乗っても、極端な話でありますが、同じ運賃ですからね。
利用者はだれかというと、大衆なんですね。結局税金で出すか運賃で出すか、極端に考えていわゆる
利用者が出すのはあたりまえじゃないかという言い方は、これは違うと思うのですね。さっき総理が
佐藤君に御答弁なさった、たとえば八十三線区の問題ですね。これにしても、国家的な
輸送サービスをそのままやっていかなければならぬという使命があれば、国家的にこれは国民に提供するサービスですよ。国の責任ですよ。だから、これは乗る人の責任で払うものじゃなくて、そういう赤字については、国の責任でこれは補てんするというのは当然じゃないですか。その額が少なくとも
——今度は幾らかよけいやるというのですよ。よけいやってませんよ、はっきり言うと。そういう
意味で、あなたのおっしゃることは半分ぐらいわかりますが、半分ぐらいはよくわからぬということですよ。
そこで時間もありませんから、先に参りますが、今度というか、去年から出しておるこの案は、
国鉄財政再建だと言うが、いままでの議論の中でもそれぞれ
お話があった
ように、十年後の
国鉄財政というのはどうなるのかといったら、長期債務が十一兆円、それから累積赤字は、いまの場合、大体二兆六千億になるというのですね。それじゃ、十年先の見通しというか、そういうものについて保証があるかといったら、ないのですよ。そこにやはりわれわれは、再建と言っては、少しこれは言い過ぎじゃないだろうかということを言っているのですよ。再建にはならぬということですよ。しかもこの十年間に四回運賃値上げをきめていくなんて予約ですよ。なるほど結果は、十年間やってみて、四回上げなくちゃならぬ結果が出てくるかもしれない、十年後は。だけれ
ども、いまきめてやることであるかどうかと言ったら、たいへん疑問がありますね。(「見通しだよ」と呼ぶ者あり)見通しじゃなくて、ちゃんと閣議決定して、閣議了解事項でそういうものをやっているのですね。そういう
計画というのは、おそらく私は、国民の
合意を得られるものじゃないだろうと思うのです。三年たったら、また運賃値上げをしますよということですね。そういうものを含めて、再建案だということでは、第二点目として疑問があるわけですね。十年後に、さっき言った
ような、長期債務がふえていく、十一兆円。したがって、三兆八千億円ぐらいから三倍、四倍近くなる。そういうものを考えると、これはいずれにしても、たいへんな再建案だということです。しかも財政再建というのは体質改善、ひとつ体質を強化するということですね。これは総理が言うところのいわゆる列島改造論にもこの案は通ずるのかもしれませんが、
新幹線七千キロですね。三千五百キロを開業、そういうものが
一つ土台になる。それから幹線系線区の改良もありますが、そういうものを含めて、体質を強めていく。それからもう
一つ、財政を再建する。不良債務というか長期債務、こういう膨大な借金をしょっているという、いわゆる健全ではない形を改良するということですね。
この
二つがあるわけですけれ
ども、なるほ
どもう
一つ、さっき申し上げた、体質を強化すれば、当然拡大再生産につながるからいいじゃないかという
ような議論もあるかもしれませんが、
国鉄は一般産業と違って、そういう
ような投資が直ちに見返りとして拡大再生産につながってこないのは、総理自身も御
承知のとおりであります。戦後ここまで何兆円かの投資をしていますけれ
ども、見返りがない。
国鉄の赤字はふえてきているのですよ。それを忘れて、単なる体質改善で、
新幹線を中心とするところの投資十兆五千億やるだけでは、これは残念ながら再建にはつながらぬ。いま
国鉄労使
——労はいませんけれ
ども、使はこっちにいますが、大体自信を持っていないのじゃないか。これは管理者といえ
ども、おそらく自信は持てないと思うのですよ。これは財政の再建について何らか手が打ってない。カバーしておるのは資本費だけですよ。しかも十兆五千億の投資に対して一割何分といいながら一兆五千億の出資をしましょうというのですね。なるほどいままでから見れば進歩ですよ。しかし、これはたとえば
新幹線の七千キロ、三千五百キロ開業して、あと三千五百キロ
工事、それに対しては、少なくとも新しく三兆九千億要るわけですね。
新幹線全体とすれば四兆七千六百億、こういうものが要るわけですよ。それに対して、少なくとも一兆五千億、
新幹線だけ
——総理が言うところの列島改造論の骨格である
新幹線をつくるだけでも約四兆七千億ですよ。それに対して一兆五千億やるからいいじゃないかと言ったって、これはすぐ効果が出るものではない。しかも
新幹線が、いまやっている三線のうち東海、山陽というか、山陽のほうは、大体
国鉄から見てもペイするだろう。それから需要というか、
輸送力拡大ということで
国鉄が始めた
仕事だから、当然これはいく。しかしあとの
調査線を含めて、五線から七線ありますが、こういうのは、そう簡単に、言うならば、ペイするとはちょっと考えられないのですね、さっき申し上げた
ように。ところが総理の列島改造論によりますれば、七千キロじゃなくて九千キロ以上必要だという
お話でありますが、これも
一つの理屈であります。しかしながら、そういうものは必要であっても、それを運営できるかどうかがやはり問題ですね。だから、そういうものに対する保証がなければ、ここにいる管理者というか、経営者ともいうか知りませんけれ
ども、そういう
方々が自信を持てないじゃないかと思うのですね。十年後の赤字はだれがしょっていくのか、十年先どうしてこれをやっていくのか。拡大再生産には直ちにつながらぬということでありますから、そういう点の解明が私は必要だと思うのです。
そこで、まあ総理に言うだけ言って、答弁を求めないでは失礼でありますから、答弁を求めるのは、いまの
計画は
新幹線は七千キロといっています。これは去年の
計画の倍であります。大体巷間伝えられるところによりますれば、四千キロくらいまでは何とか経営的にいくだろう、ペイするだろう。さっきあなたがおっしゃるとおり、ペイしなくても必要があればつくるんだという観点からするならば、この七千キロに対していかなる保証を与えるかという問題が、将来の運営について
一つありますね。
それからもう
一つは、七千キロを
建設するための
建設資金について、どうするのかという問題があります。いままでの
ような長期借り入れ資金を重点に置いて、あるいはそこに運賃の値上げを入れてやるということがはたしていいのかといったら、悪いからいま財政再建になっていますから、これを改良しなければならぬ。それには一兆五千億の投資では、残念ながらうまくいかない。大体去年から引き続きやってきている再建二法というか、再建のしかたというのは大蔵省的なそろばん勘定から出たものであって、決してこれは運輸サイドから出た再建案ではないですね。これは石田禮助総裁がいるころ、昭和三十九年か四十年、そのころにこの手を打てば、
国鉄は再建できた。そのころわれわれはそういうふうに主張した。しかも、四十四年かに、
国鉄は九百億の出資を要求したことがありますけれ
ども、大蔵省にけられた。それは総合
交通体系をきめたあとでひとつ
検討し
ようじゃないかということで一蹴された、これは四十四年。四十五年には、御
承知の
ように運輸
大臣はいまの幹事長の橋本さん、四十五年に逃げ切ったのは有名な話。総合
交通体系ができるまでひとつ
国鉄の問題はお預かりだというのです。
総合
交通体系は四十六年の暮れに、経済企画庁を中心にしてできました。できましたが、その
交通体系に基づいた具体的な総合政策は何らないですよ。あなたがおっしゃる
ように、高速自動車
道路を一万キロつくる。十九兆五千億、それもけっこう。
空港もローカル
空港にはみんなジェット機が飛ぶ
ように、これも五カ年
計画をやる。港湾も拠点港湾を入れて大いにやる。けっこうです。また
国鉄もそうである。ところが、ここに斉合性があるかといったら、
一つもないですよ。総合的なものは何にもないんですよ。さっきあなたがくしくも言ったが、トラックの運転手はそんなにできません。そのとおりです。そればかりでなくて、いまの
国鉄の経営からいうならば、中長
距離の大量
貨物は
国鉄に乗せろというならば、
道路をつくると同時に、もう
一つやらなければいけないのは、政策的にこれを誘導する誘導政策が必要なんですよ。いままで聞いていてちっともないんですよ、ありませんよ。それからもう
一つは、あなたが幹事長時代につくったと思うのですが、自動車の重量税ですね。これは分配するときには問題がある。あなたはたしか総合
交通施設整備特別会計というのを主張されたと思うのですね。その構想はいいのですよ。ところが、いまだにこんなものはできない。できないところにやはり問題があろうかと私は思うのですね。
いずれにしてもそういうものを一まとめにしてこの際は確立することが必要だと思うのですね。そのためにはせっかくあなたが総理になったのでありますから、
国鉄問題はいろいろ英知をしぼりながらあらためて再
検討して出直すことが、私は一番いいと思うのですよ。時間がありませんから、私の言いたいことを先に言いましたが、言いたいことは大体そういうところなんです。
最後に申し上げますのは、
新幹線の問題ですね。
〔発言する者あり〕