運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1973-05-08 第71回国会 衆議院 運輸委員会 第22号 公式Web版

share
  1. 会議録情報

    昭和四十八年五月八日(火曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 井原 岸高君    理事 加藤 六月君 理事 佐藤 孝行君    理事 佐藤 守良君 理事 細田 吉藏君    理事 兒玉 末男君 理事 斉藤 正男君    理事 梅田  勝君       阿部 喜元君    愛野興一郎君      小此木彦三郎君    大竹 太郎君       奥田 敬和君    梶山 静六君       亀岡 高夫君    唐沢俊二郎君       國場 幸昌君    關谷 勝利君       徳安 實藏君    西村 英一君       野田  毅君    羽田  孜君       宮崎 茂一君    山村治郎君       綿貫 民輔君    井岡 大治君       太田 一夫君    金瀬 俊雄君       久保 三郎君    神門至馬夫君       紺野与次郎君    三浦  久君       石田幸四郎君    松本 忠助君       河村  勝君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 新谷寅三郎君  出席政府委員         警察庁警備局長 山本 鎮彦君         運輸大臣官房審         議官      原田昇左右君         運輸省鉄道監督         局長      秋富 公正君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部長 住田 正二君         運輸省自動車局         長       小林 正興君         建設省道路局長 菊池 三男君         自治大臣官房審         議官      森岡  敞君  委員外出席者         経済企画庁総合         計画局計画官  小池  力君         大蔵省主計局主         計官      岡島 和男君         郵政大臣官房電         気通信参事官  関  正明君         労働省労働基準         局監督課長   吉本  実君         自治省税務局固         定資産税課長  小川  亮君         日本国有鉄道総         裁       磯崎  叡君         日本国有鉄道常         務理事     内田 隆滋君         日本国有鉄道常         務理事     原岡 幸吉君         日本国有鉄道常         務理事     加賀谷徳治君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正己君     ――――――――――――― 委員の異動 五月八日  辞任         補欠選任   阿部 喜元君     野田  毅君  小此木彦三郎君     羽田  孜君   大竹 太郎君     梶山 静六君   關谷 勝利君     亀岡 高夫君   西村 英一君     愛野興一郎君   山村治郎君     奥田 敬和君 同日  辞任         補欠選任   愛野興一郎君     西村 英一君   奥田 敬和君     山村治郎君   梶山 静六君     大竹 太郎君   亀岡 高夫君     關谷 勝利君   野田  毅君     阿部 喜元君   羽田  孜君    小此木彦三郎君     ――――――――――――― 五月一日  国鉄運賃値上げ反対等に関する請願井岡大治  君紹介)(第三四三四号)  同(板川正吾紹介)(第三四三五号)  同(勝間田清一紹介)(第三四三六号)  同(紺野与次郎紹介)(第三四三七号)  同(佐野憲治紹介)(第三四三八号)  同(横路孝弘紹介)(第三四三九号)  同(安宅常彦紹介)(第三四九九号)  同(荒木宏紹介)(第三五〇〇号)  同(浦井洋紹介)(第三五〇一号)  同(神崎敏雄紹介)(第三五〇二号)  同(木下元二紹介)(第三五〇三号)  同(下平正一紹介)(第三五〇四号)  同(多田光雄紹介)(第三五〇五号)  同(三谷秀治紹介)(第三五〇六号)  同(村山喜一紹介)(第三五〇七号)  同(山本弥之助紹介)(第三五〇八号)  同(新井彬之君紹介)(第三五七二号)  同(有島重武君紹介)(第三五七三号)  同(小沢貞孝紹介)(第三五七四号)  同(小濱新次紹介)(第三五七五号)  同(竹入義勝君紹介)(第三五七六号)  同(寺前巖紹介)(第三五七七号)  同(村上弘紹介)(第三五七八号)  同(矢野絢也君紹介)(第三五七九号)  同(渡部一郎紹介)(第三五八〇号)  同(小林進紹介)(第三六八三号)  同外一件(土井たか子紹介)(第三六八四  号)  同(土橋一吉紹介)(第三六八五号)  同(馬場昇紹介)(第三六八六号)  同(平田藤吉紹介)(第三六八七号)  同外一件(福岡義登紹介)(第三六八八号)  同(伏木和雄紹介)(第三六八九号)  同(松本忠助紹介)(第三六九〇号)  同(三宅正一紹介)(第三六九一号)  同(村山富市紹介)(第三六九二号)  同(山崎始男紹介)(第三六九三号)  同(渡辺三郎紹介)(第三六九四号)  国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進  特別措置法の一部を改正する法律案反対等に関  する請願松尾信人紹介)(第三五八一号)  国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進  特別措置法の一部を改正する法律案撤回に関す  る請願新井彬之君紹介)(第三五八二号)  国鉄職場内の秩序確立等に関する請願大竹太  郎君紹介)(第三六八二号) 同月七日  国鉄運賃値上げ反対等に関する請願岡田哲児  君紹介)(第三七四三号)  同(角屋堅次郎紹介)(第三七四四号)  同(佐藤観樹紹介)(第三七四五号)  同(田口一男紹介)(第三七四六号)  同(田邊誠紹介)(第三七四七号)  同(谷口善太郎紹介)(第三七四八号)  同(馬場昇紹介)(第三七四九号)  同(伏木和雄紹介)(第三七五〇号)  同(松尾信人紹介)(第三七五一号)  同(山崎始男紹介)(第三七五二号)  同(和田貞夫紹介)(第三七五三号)  同(渡辺惣蔵紹介)(第三七五四号)  同(井岡大治紹介)(第三八三二号)  同(枝村要作紹介)(第三八三三号)  同(江田三郎紹介)(第三八三四号)  同(木下元二紹介)(第三八三五号)  同(佐野進紹介)(第三八三六号)  同(成田知巳紹介)(第三八三七号)  同(伏木和雄紹介)(第三八三八号)  同(松浦利尚君紹介)(第三八三九号)  同(松本忠助紹介)(第三八四〇号)  同(美濃政市紹介)(第三八四一号)  同(山崎始男紹介)(第三八四二号)  同(横山利秋紹介)(第三八四三号)  同(小川新一郎紹介)(第三九一六号)  同(竹内猛紹介)(第三九一七号)  同(塚田庄平紹介)(第三九一八号)  同(成田知巳紹介)(第三九一九号)  同(松浦利尚君紹介)(第三九二〇号)  国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進  特別措置法の一部を改正する法律案反対等に関  する請願石母田達紹介)(第三八三一号)  同(石母田達紹介)(第三九一四号)  国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進  特別措置法の一部を改正する法律案撤回に関す  る請願坂口力紹介)(第三九一五号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月一日  国鉄運賃値上げ反対に関する陳情書外三件  (第二六八  号)  同外十一件  (第三〇〇号)  同外十一件  (第三四五号)  国鉄輸送正常化に関する陳情書  (第二六九号)  同外二件  (第三四六号)  国鉄紀勢本線及び関西本線の輸送力増強に関す  る陳情書  (第二九七号)  紀勢新幹線鉄道建設促進に関する陳情書  (第二九八号)  山陰新幹線鉄道等建設促進に関する陳情書  (第二九九号)  船舶油流出事故による海上防災対策に関する  陳情書  (第三〇一号)  筑豊地区山陽新幹線停車駅設置に関する陳情  書  (第三四七号)  北陸新幹線鉄道建設促進に関する陳情書  (第三四八号)  国鉄烏山線真岡線接続に関する陳情書  (第三四九号)  国鉄窪江線の開通に関する陳情書  (第三五〇号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進  特別措置法の一部を改正する法律案内閣提出  第一七号)  派遣委員からの報告聴取      ――――◇―――――
  2. 井原委員長(井原岸高)

    井原委員長 これより会議を開きます。  去る四月二十四日から二日間、国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案審査のため、第一班を宮城県に、第二班を香川県に派遣いたしました。  この際、派遣委員から報告を求めます。細田吉蔵君。
  3. 細田委員(細田吉藏)

    細田委員 第一班、仙台班派遣委員を代表して御報告申し上げます。  派遣委員は、団長をつとめました私のほか、江藤隆美君、小此木彦三郎君、佐藤守良君、太田一夫君、斉藤正男君、紺野与次郎君、石田幸四郎君、河村勝君の九名であります。  仙台班は、四月二十四日、本会議及び運輸委員会終了後、直ちに上野駅へ向かいましたが、いわゆる順法闘争のため、午後五時発車の予定が約二時間おくれの十九時十三分に発車し、翌二十五日午前一時二十分仙台駅に到着いたし、同日午前十時より仙台市の宮城県民会館会議室におきまして、現地各界の六名の方々から、国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案について意見を聴取した後、同日夜午後八時、空路によって帰京いたしました。  現地における会議につきましては、午前十時から開会し、六名の意見陳述者から、一人当たり十五分程度、それぞれの立場から忌憚のない意見が述べられ、午前十一時三十分一たん休憩に入り、午後零時四十分から会議を再開し、派遣委員から意見陳述者に対し、熱心活発な質疑が行なわれ、午後三時滞りなく全部の議事を終了した次第であります。  六名の意見陳述者意見について、簡単にその要旨を申し上げます。  まず、主婦の遠藤不二君から、今回の国鉄運賃値上げはやむを得ないものとして賛成する。諸物価値上がり人件費上昇という社会情勢の中で、国鉄運賃だけを押えることはバランスがとれない。また、国鉄赤字をすべて国民の税金でまかなうことは納得できないので、利用者がある程度負担することはやむを得ない。運賃値上げは諸物価影響するというが、実際に家計支出の中に占める比率はあまり高くない。問題は流通機構にある。国鉄への要望として、順法闘争スト旅客に迷惑を及ぼすのみならず、貨物輸送ストップが物価に及ぼす影響が大であり、荷主国鉄への信頼を失うことになるので、即時やめてほしい。早急に解決できないなら、せめて闘争時における旅客対策をもっと適切にしてほしい旨の意見が述べられました。  次に、福島県生活協同組合連合会専務理事亀山哲三君から、一住民として、本改正案反対である。国鉄運賃公共料金の柱であるので、他の諸物価値上げを誘発し、その影響は、はかり知れない。国鉄赤字は必然的かつ構造的なものであって、国や大企業負担すべき費用国鉄が肩がわりして負担している。基本的な経営体質改革が必要で、中途半端な独立採算制では赤字の発生を繰り返すだけである。国鉄は斜陽ではない。技術的な対応のもとでは、さらに重要性を増す。国鉄は将来的ビジョンを国民の福祉に合わせて考えるべきである。また、国会の立法した消費者保護基本法に定める消費者会議議長田中総理がなっていることを考えるとき、こういう値上げ法案を提出することについては再検討すべきである旨の意見が述べられました。  次に、宮城農業協同組合中央会常務理事車塚良治君から、国鉄再建のためには、運賃法再建法改正が必要であるので、基本的には賛成である。国鉄公共企業体として独立採算を貫くための経営努力労使一体となって進めるべきである。貨物運賃は、昭和四十一年以降据え置かれ、不当に低位に押えられてきた。今回の改正案においても、米、麦、野菜、鮮魚等大衆物資最低等級の適用を受けている。貨物赤字を理由に大幅に値上げするべきであるとの意見もあるが、トラック船舶などとの競争関係からいえば、今回の改正程度が常識的である。貨物赤字は、近代化のおくれによるものであるから、思い切って設備投資を行なう必要がある。貨物運賃値上げ消費者物価に対する影響は大きくないので、政府はその点をPRすべきである。問題は便乗値上げである。十一万人の人員縮減については、近代的設備の導入と職員管理体制の改善が必要であるが、特に安全確保対策を十分配慮すべきである。今回の計画には政府助成も与えているので、運賃改定については最小限必要なものとして賛成する旨の意見が述べられました。  次に、宮城民生協同組合専務理事内館勗君から、今回の国鉄運賃改正案が通ると今後十年間に四回も運賃値上げを認めることになり、国民生活にはかり知れない影響を与えるので、反対である。  宮城県は、最近諸物価の騰貴に痛めつけられている。国鉄運賃値上げ消費者物価に及ぼす影響は、〇・四四九%という人もいるが、単純な算術ではかれるものでなく、この運賃値上げ引き金となって全面的大幅な物価値上がりを誘発することは火を見るより明らかである。  今回の運賃値上げ法案目的は、累積赤字の解消ということもあるが、全国に新幹線網を敷くための資金調達にある。新幹線を敷くことにより確かに時間的距離は短縮されるが、金がかかるように仕組まれており、また、公害問題も生じるので、住民の利益を先に解決するよう検討すべきである。  また、国鉄再建十カ年計画根本的に練り直すべきである。第一に国鉄の新線工事在来線改良工事道路建設と同じく国の費用でまかなうべきであり、政府は従来の利子をたな上げにすべきである。第二に、料金体系の問題であるが、黒字旅客運賃値上げして、貨物赤字をまかなうことは、国民の納得できないことである。貨物赤字割引制度によって生じ、この割引についても、ほんとうにコスト計算してやっているのかどうか疑問である。第三に、国鉄ほんとう赤字であるのか。国民に公開さるべき国鉄の経理が明らかにされていないことはきわめて問題であるので、本改正案は廃案にすべきである旨の意見が述べられました。  次に、仙台商工会議所専務理事首藤英二君から、今回の改正案について、賛成する。国鉄財政現状から見て、このまま推移すると国鉄国民生活国民経済に果たすべき使命を全うすることができなくなるので、国鉄根本的な再建が必要である。  国鉄赤字の原因は、新線建設人件費等のコスト上昇国鉄経営のあり方にある。  国鉄再建のためには、国鉄自体近代化合理化企業努力、国の財政援助受益者による負担増を考えなければならないので、今後も利用者最小限度負担はやむを得ない。  労働争議で迷惑をこうむるのは中小企業者であるから、何らかの方策を立ててほしい。  なお、東北、北海道を一体としての総合開発必要性から見て、一、旭川までの新幹線早期建設、二、青函トンネルによる貨物輸送、三、東北新幹線日本海側との結びつきの強化について特に配慮を願いたい旨の意見が述べられました。  最後に、東北電力労働組合宮城支部長石黒達也君から、国鉄がになう役割りは、将来に向かって、その使命重大であるにもかかわらず、労使不信を招き、国民から憎しみの感を持たれていることは、公共企業としての存在価値に疑念を持つものである。政府及び国鉄関係者は、すみやかに発想の転換をはかり、いかにして国民の負託に耐え得るかという姿勢を打ち出すことが先決である。今回の法改正は、あまりにも安易な手法で問題の解決をはかろうとし過ぎている。政府は、国鉄公共企業である以上、苦境に立つ国鉄経営現状打破に役立つ総合的な改革案国民に対し明示すべきである。  国鉄再建方策根本は、経営システム改革にあると思う。すなわち、近代経営確立のための処方箋、公共負担政府補助国鉄運賃の決定のしかた、輸送構造の変化に対応する方途、国鉄事業範囲拡大等について具体的にきめこまかく対処し、特に、一、ローカル線対策、二、新幹線建設と鉄建公団との関係、三、国鉄従業員人件費予算措置、四、労使関係近代化について、関係各位相互信頼立場を保ちつつ、改革に意欲を示さねばならない。したがって、今回の財政再建法一部改正案は、前述した諸条件を整備した内容でなければならない。運賃法改正案は、インフレ促進の要因となることから差し控えるべきである旨の意見が述べられました。  以上の意見が述べられた後、派遣委員全員から、国鉄順法闘争及び国鉄スト貨物運賃値上げ独立採算制新幹線建設人員削減、国の助成、今回の財政再建対策等について、きわめて真剣かつ熱心な質疑が行なわれたのでありますが、その詳細につきましては、会議内容を速記により記録をとりましたので、それによって御承知願いたいと存じます。  なお、会議記録ができましたならば、本委員会議録に参照として掲載されるようお取り計らいを願いたいと存じます。  以上をもって第一班の報告を終わります。(拍手)
  4. 井原委員長(井原岸高)

    井原委員長 次に、加藤六月君。
  5. 加藤(六)委員(加藤六月)

    加藤(六)委員 第二班、高松班派遣委員を代表して御報告を申し上げます。  派遣委員は、団長をつとめました私のほか、阿部喜元君、唐沢俊二郎君、國場幸昌君、宮崎茂一君、井岡大治君、兒玉末男君、梅田勝君、松本忠助君の九名であります。  高松班は、四月二十四日、本会議及び運輸委員会終了後、空路にて出発し、同日夕刻、高松空港に到着し、翌二十五日、高松市の香川総合会館会議室におきまして会議を開催し、現地各界の六名の意見陳述者方々から、本法律案について意見を聴取いたしました後、同日夜、空路にて帰京いたした次第でございます。  現地における会議につきましては、午前十時から開会し、団長の私が会議座長をつとめ、まず会議開催の趣旨並びに議事順序等について説明いたしました後、意見陳述者から、一人当たり十五分間程度をもって、賛成反対交互に、それぞれの立場からきわめて有意義な意見の開陳があり、正午前一たん休憩し、午後一時から会議を再開し、座長を除く派遣委員全員から意見陳述者に対し、熱心、活発な質疑が行なわれ、午後三時過ぎ、滞りなく全部の議事を終了した次第であります。  意見陳述者意見の概要について、ごく簡単にその要旨を御報告申し上げますと、まず、協和農機取締役業務部長茂野博光君から、本案については賛成であり、昨今の物流部門に対応する国鉄貨物輸送重要性にかんがみ、基幹的な輸送機関としての国鉄の立ち直りに協力したい。四国地区における貨物輸送現状は、設備不足からして、季節的に仕向け先別割当制約等があり、輸送力増強が必要である。再建計画については、その実績を毎年公表して批判を受ける必要がある。運賃改定については、貨物平均改定率を上回る負担力の弱い特定物資については、きめのこまかい配慮が必要である。特に、国鉄労組のサボタージュやストライキの影響は、地方におけるほど大であり、国鉄への不信感増大しているので、切にその根本的解決を要望するとの意見が述べられました。  次に、国民の足を守る香川県民会議議長谷上典之君から、運賃値上げ反対する立場から意見が述べられ、国民物価問題に強い関心を持っており、国鉄運賃消費者物価影響するところの弾性値の強い公共料金であること等からして、値上げは中止すべきである。再建計画については、四回に及ぶ大幅な運賃値上げという受益者負担国鉄企業努力内容、特に新幹線網建設輸送量増大人員削減による安全性確保が問題である。また、財政再建とは単なる貸借対照表だけを黒字にすることで足りるものではない。なお、受益者負担といわれるが、旅客黒字貨物赤字関係自動車輸送における大衆側企業側運賃格差、大口と小口の輸送量比率等が問題で、これらには矛盾がある。  なお、国鉄の第三次長期計画によって、当地の大衆は、ダイヤにおける所要時間、列車の設定本数及び編成等において迷惑を受けた実例があること等について意見が述べられたのであります。  次に、株式会社浪速設計事務所専務取締役藤井義孝君から、運賃改定賛成する。国鉄独占性を喪失した輸送シェア及び財政悪化現状に比べ、道路は整備され、自動車は伸びているが、なお国鉄はその公共性からして不採算線等過重負担があり、これが赤字の一因である。四国においても、増大する輸送量に対応する近代化設備投資が必要である。財政再建のためには、国鉄経営合理化及び増収努力を強力に推進する必要があるが、それにはおのずから限界があり、政府の大幅な財政援助とともに、利用者においてもこの程度運賃改定負担は当然である旨の意見が述べられました。  次に、香川商工団体連合会会長平野理君から、本法律案反対する立場から意見が述べられ、物価の安定は国民の切実な願いであり、公共料金基本である国鉄運賃の十年間四回、二倍以上となる値上げについては、政府物価安定の誠意と熱意を疑う。国鉄値上げ引き金となり、すでにトラック便利用業者は高率の値上げを予告されており、私鉄運賃をはじめ諸物価高騰を招き、国民生活に苦痛を与えることは明らかである。また、十兆五千億円の設備投資は主として収益率の高い新幹線と大企業のための貨物輸送のもので、中小荷主通勤輸送ローカル線の軽視につながる。累積赤字増大は、財政再建とはいえず、二兆四千五百億円の企業努力内容は、十一万人の削減業務量を二三〇%に拡大するもので、事故の続発、貨物取り扱いの廃止、無人駅の増加等サービスの低下を来たす。設備投資については大企業本位をやめ、国民に必要な建設費一般会計から出資することを主張する等の意見が述べられました。  次に、香川大学商業短期大学部助教授の八十川睦夫君から、国鉄運賃改定物価問題との関係上多少の疑問は残るが、積極的な国鉄再建の意義を認めて、原案に賛成したい。今後の再建期間においては、国鉄公共性企業性の双方を追求すべきであって、完全な独立採算制企業として運営することは経営的に不可能であり、また社会政策上も望ましいものではない。この機会に、国民監視のもとに、国鉄のこれまでの公共性の名による生産性の向上及び資源の有効利用についての責任回避の傾向を是正し、その体質を改善すべきである。運賃改定については、十年間四回で二・二二倍であるが、その指数は年率八・三%であり、この程度であれば所得水準及び物価の動向から見て不当なものでなく、受益者負担させてもよいと思う。なお、一般に与える心理的影響及び便乗値上げについては特に配慮すべきである旨の意見が述べられました。  最後に、神戸商科大学教授吉田寛君から、運賃値上げには反対である。国鉄営利目的の私企業ではなく、公共的行政サービスの一環として輸送便益を提供する責務を持っており、企業性よりも国民一般立場を優先すべきであって、独立採算制による企業維持立場は、公共企業体には原則的に妥当するものではない。国鉄輸送サービスは、教育機関ないし住宅政策医療サービスと同じく民生基礎要件を構成するものであり、このことを念頭に置いて国鉄経営発想を転換すべきである。国民生活基礎輸送と密着している今日、運賃値上げ民生破壊の危険を持っており、物価高騰による生活不安は社会不安を誘発する引き金となる。運賃改定は、広く利害関係を有する者を含めた経営会議を設置して討議すべきであるとの意見が述べられたのでございます。  以上、六名の意見陳述者から意見の開陳が終わりました後、私を除きまして、派遣委員全員から意見陳述者に対し、運賃改定人件費関係四国新幹線鉄道の建設国鉄労組ストライキ、サボタージュに対する所見、貨物の営業割引の中止と物価関係四国地区における貨物輸送の実情、公共負担の是正、国鉄設備投資道路整備とのバランス、再建計画における運賃値上げによる増収額と設備投資額、財政法第三条及び財政法第三条の特例法と運賃、料金、再建計画における三本柱の区分、人件費の計上、計画の長期性とその達成の見通し、財政再建の方向、道路予算と自動車関係諸税、受益者負担と税金による国民負担、運輸収入と人件費の割合、国鉄公共性と社会福祉との関係企業努力と週休二日制の位置づけ等について質疑が行なわれたのでありますが、現地における会議の詳細につきましては、その内容を速記により記録をとりましたので、それによって御承知願いたいと存じます。  なお、現地における会議記録ができましたならば、本日の委員会議録に参照掲載されるようお取り計らいを願いたいと存じます。  以上をもって第二班の報告を終わります。(拍手)     —————————————
  6. 井原委員長(井原岸高)

    井原委員長 おはかりいたします。  第一班及び第二班の会議記録が後ほどでき次第、その記録を本日の会議録に参照掲載することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 井原委員長(井原岸高)

    井原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————   〔派遣委員会議記録は本号(その二)に掲   載〕      ————◇—————
  8. 井原委員長(井原岸高)

    井原委員長 国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案を議題として質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。太田一夫君。
  9. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 国鉄運賃並びに財政再建につきまして最初に運輸大臣、それから国鉄総裁、お二人にお尋ねをしたいと思います。  まず、その赤字の原因の確認でございますが、赤字の確認というのは、第一は膨大な設備投資、これを借り入れ金によってまかなってきたという財政的な圧迫が赤字を生み出した一つの大きな要因、第二は貨物運賃が非常に大きくコストを割っておりまして、場合によっては半額で輸送するというようなそういう実情にありますがゆえに、その割引制度赤字の大きな原因である。そういうことの結果、現在では幹線線区におきましてわずか七線のみが黒字でありまして、その他はすべて赤字線となって転落をいたしておるのであります。運賃が安いからというものではない、こういうふうに私どもは考えておるのでありますが、この赤字のおもなる原因についての御認識はいかなるものでございましょうか。
  10. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    ○新谷国務大臣 お答えいたします。赤字の原因については、いろいろな要素が積み重なっておることは言うまでもございませんが、ただいまお述べになりました中で、お客についても貨物についてもそういえるのですが、道路が非常によくなって自動車輸送にだんだん貨物もお客も奪われていったということは一つの大きな原因であろうと思います。それから国鉄の公共的な使命からいたしまして、採算がとれてもとれなくても、やはり必要な交通機関として設備を整備していかなければなりませんので、これに対しましては従来長い間、借り入れ金をもちましてその設備の整備拡大をしてきたのでありますが、その設備資金に対する債務の利子が非常に重なりまして、それが累積をして大きな赤字の原因になっておることも事実でございます。  それからなお、これはお触れになりませんでしたが、やはり国鉄の収支をごらんになりますと一見してわかりますが、年々経済成長に伴いましてベースアップをしなければならない、物件費も高くなるというのは当然でございますが、過去十年間振り返ってみましても、人件費上昇率というものが相当大きいのでありまして、平均一三%ぐらいになっております。それに対応いたしまして原価が高くなるのですから、国鉄の運賃が是正されてしかるべきであったのでありましょうが、やはり物価政策その他の考慮からいたしまして、それに対応するような運賃の改定が行なわれていなかったというようなことが積み重なりまして、今日の大きな赤字が累積したという結果になっておると思います。  その他こまかいことはいろいろたくさんあると思いますが、私の考えております非常に大きな原因は大体そういう点であろうかと思います。  なお、これは消極的な問題でございますが、そういうふうに設備投資がおくれておったために、本来国鉄がもっと設備投資をして施設を整えて経営をすれば、自動車との関係におきましても、もっと収入は上げ得たであろうというようなものがあると思います。そういったものが累積をいたしまして設備が整わない。特に貨物方面におきましては、トラックに荷物を奪われるような機会が非常に多かったというようなことも考えられるのでありまして、設備投資がもっと先行いたしておりますれば、ここまで赤字がふえなかったろうということは考えられるのでございます。私は、今日の赤字の原因というものはそういったことが主たる要因であろうかと考えておるのでございます。
  11. 磯崎説明員(磯崎叡)

    ○磯崎説明員 ただいまの大臣の御答弁でおおむね尽きていると思いますが、違った角度から少し申し上げようと思います。  御承知のとおり、国鉄昭和三十八年度までは、終戦後一、二の例外を除きましては黒字だったわけでございます。三十九年度から赤字に転落いたしまして今日まで赤字が累積しておるわけでございますが、この三十九年度を境としてその前とあと、昭和二十年代は一種の非常な混乱期でございますからそれを除きまして、昭和三十年代と四十年代と一応比較してみますと、少なくとも一番の問題点は、いまの資本費の問題も人件費の問題も、いずれも三十年代も四十年代もあったわけでございますが、それが四十年代になって非常に赤字になったという一番大きな原因は、四十年代、いわゆる三十九年度以降の輸送の伸びがとまってしまったということが一番大きな原因でございます。かりに資本費が多かろうが、人件費が多かろうが、収入が伸びてそれらを吸収できれば赤字にならないわけでございますが、総体論から申しまして三十九年度を境として赤字に転落したという一番大きな原因は、やはり全体としての企業の伸びがとまったということが一番大きな原因だと思います。その後に資本費の問題、あるいは人件費の問題もまいります。資本費のほうはおおむね昭和三十年代前半から設備投資をしてまいりまして徐々に資本費の負担はふえてまいりました。そして昭和四十年代になりましてからもずっとふえておりますが、その資本資のふえ方の率は相当大きな率でふえております。ただ額としては昭和三十年代の初期はおおむね四百億ないし五百億の投資でございますから、額としてはそれほど大した額ではございませんが、その伸び率は非常に大きな伸び率になっております。  人件費はおおむね一二、三%の割合で伸びておりますが、これも昭和三十九年以前にもあったことでございます。三十九年後にもあったことでございまして、要するにいま問題になっております国鉄赤字の一番大きな原因は、やはり三十九年度を境として企業として非常に大きな曲がり角と申しますか、そういうところにきたということが大きな原因であるというふうに、大臣の御説明を補足いたしまして申し上げます。
  12. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 言うならば新幹線とともに国鉄は衰微の兆を示すということになるわけです。これは運輸大臣も総裁もともにほんとうのことを御答弁いただいたかどうか疑わしいと思うのであります。やはり設備投資の未払いということは重大問題です。  それからもう一つは貨物運賃の大幅なコスト割れが事実であったことも、先回発表されたとおりなんです。いまの二人の御答弁の中には、貨物運賃に全然触れていらっしゃいません。だから発表された赤字というものはほとんど貨物じゃありませんか。貨物運賃がコストを大きく割っておるがゆえに大きな赤字になったということについて、あるいは未払いが大き過ぎてその負担に耐えかねたということについての御見解が非常に微弱でございましたが、あるいはほとんどなかったのでありますが、それについてもう一度大臣並びに総裁からお答えをいただきたい。
  13. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    ○新谷国務大臣 お話しのように、貨物運賃が原価を著しく割っております結果になっておりまして、これが今日の国鉄赤字の大きな原因になっていることは事実であろうと思います。この問題につきましてはいろいろ過去の経過、歴史というものがあると思いますけれども、やはり終戦以来今日まで貨物運賃について原価に見合うような運賃の値上げをいたしますと、すぐに大きく物価に響いてくるというような考慮もございまして、おそらく控え目に、控え目にということで運賃の改定をしてきたものと考えます。今日再建案をつくりますにつきまして、そういう点ももちろん考えなければならぬと思っておるのでございますけれども、貨物運賃につきまして急激な値上げをいたしますことは物価体系を非常に乱すことになりますので、今度の場合は最小限度値上げをしていただきたいということで御提案を申し上げておるような次第でございまして、過去におきましては確かに貨物運賃赤字というものが、いろいろのその当時その当時の事情があったと思いますけれども、そういう事情によりまして十分な改定ができなかったということは事実であろうと思います。
  14. 磯崎説明員(磯崎叡)

    ○磯崎説明員 ただいまの御質問でございますが、資本費のほうから申し上げますと、現在国鉄の資本費は全体の経費の約二割弱、一七、八%でございます。これが昭和三十年代には一〇%以下でございまして、したがってその意味で資本費の負担が非常に大きな経営上の問題になっていることは御承知のとおりでございます。一般に資本費の負担の場合に、これを考えます際に、いかに資本費が大きくなったといたしましても、それが収入でもってカバーできれば差しつかえないわけでございます、企業会計の原則から申しますれば。しかし国鉄の仕事と申しますのは、非常に投資の寝ている期間が長い。たとえば東京駅の前にいたしましても、十年かかってやっと使えるようになるという意味で、その間の資本費は全くただで払わなければいけないということになるわけでございます。したがって資本費が大きいということと、それから設備投資の懐妊期間が非常に長いということ、回収率が非常に低いということ、これが資本費のの負担が非常に大きな経営上の負担になっておるわけでございまして、利子負担から申しますれば、二〇%程度の利子負担ならば、現在の日本のたとえば私鉄あるいはその他一般産業から申しまして、それほど大きな利子負担ではございません。それはなぜかと申しますと、率としては大きいけれども、企業の回収率が非常に早い、回収のテンポが早いから利子負担が高くともやっていけるわけでございますが、国鉄のように非常に回収期間が長い、十年、十五年たたなければ利子さえ払えないような設備投資をするというところに、非常に利子負担の問題があるというふうに私ども考えております。したがってそれは当然長期低利の金を貸していただかなければやれないということになってくるわけでございます。  それからもう一方の輸送の伸びの問題、貨物の問題でございますが、これは先ほどちょっと申し上げましたが、昭和三十九年度以降本年まで日本経済がこれほど非常に伸び、日本のあらゆる面の生産が伸びているにかかわらず、国鉄貨物輸送量が全然伸びない、全く横ばいであるということが非常に大きな原因でございます。もしこれが伸びていれば運賃のままでもって十分やっていけるということがございますけれども、たとえば石炭の例を一つとりましても、御承知のとおり三十八年度をピークといたしまして、現在は最盛期の四分の一でございます。そういう意味で一番大きいバルキーカーゴーであった石炭がほとんど八割減くらいになってしまったというようなこと。それを埋めるべき雑貨、それが自動車との競争関係に立ったということ。それ全体でもって貨物輸送量が伸びていない。しかも二億トンをこえたりこえなかったりという約十年間の貨物輸送量の停とんということが非常に大きなことになっておるわけでございまして、人件費その他はそのままかかっていくという意味で貨物のコストが非常に悪くなるということは、これは輸送量が伸びないということに非常に大きな原因があるというふうに考えるわけであります。
  15. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 これは総裁からお答えいただけばよろしいが、四十六年度の貨物収入二千四百六十七億円、原価四千六百二十億円、その差二千百五十三億円とこうなっておりまして、原価の五三・三%しか償っていないという貨物収入、四十六年度の統計はそうなっておる。ここのところが赤字の原因の最たるものであることは事実であるし、どうしてそんなにコストを割っておるかといえば、これは各種の割引があるからだということになるわけなんです。それは石炭がなくなったからということではない。その点についてどうお考えになりますか。
  16. 磯崎説明員(磯崎叡)

    ○磯崎説明員 いわゆる貨物の原価問題につきましては数回申し上げましたが、御承知のとおり国鉄の、鉄道の原価を客貨別に分けるということが非常にむずかしいということは申し上げたとおりでございます。  これは国鉄の中には現在原価計算といたしまして、まず第一次原価計算は、線区別の原価計算をやっております。東海道線が幾ら、あるいは何線が幾らというふうな線区別の原価計算をやっております。これはほとんど実態をあらわした原価計算ができるわけでございますが、客貨別の計算になりますと、先生もよく御承知のとおり同じ線路の上を旅客貨物が走るということでございまして、結局一つの割り方の問題になってくるわけでございます。したがって、たとえば東海道新幹線のようにはっきり全く在来線と違う、線路も違えば車両も全く違う、たまたま駅だけが共用いたしておりますが、それだけしか共用部分がないということになりますと、線区別の原価計算になりますので、非常に明白に出てまいりますが、一つの線路を両方で使う、しかも輸送情勢がいろいろ時期によって非常に違ってくるということになりますと、まず同じ線路の上を使う場合の共通的な費用の配分にいろいろ問題があるわけでございます。その配分のしかたを一応単に数字的な一つの前提を置いて配分いたした場合の計算がこの赤字でございまして、したがってこの配分につきましては、いわゆる共通費の客貨別の配分につきましてはいろいろ問題があるわけでございます。したがってこれは世界のどの鉄道におきましても客貨別の原価というのが非常に出しにくいというのは通説になっております。  さらにその上に申し上げたいことは、日本の私どもの鉄道はあくまでも旅客鉄道でございます。旅客鉄道プラス石炭鉄道であったわけでございます。旅客鉄道、したがって百年間の営業政策というのはあくまでも旅客優先でやってまいりました。これは通勤輸送といわず、あるいは長距離輸送といわず、やはり日本の長い国内の交通をつかさどるためにはやはり旅客が第一である。貨物のほうは海というものがございまして、したがって旅客のほうがどうしても優先するという、たとえば、ダイヤの設定をごらんくださいましても全部旅客輸送でございますし、またその他、たとえば先般のような輸送の混乱期になりますと、貨物輸送を全部とめてしまいます。そして旅客輸送だけは最小限やるというような営業政策でございます。その他全般的に申しまして旅客中心の鉄道である。しかしこの旅客優先という鉄道の営業方針というものを変更することが非常に困難でございます。これはほとんど不可能といってもいいと存じます。したがってそういう意味で貨物といたしましては、たとえば一つの例を申し上げますと、東海道線は客貨一緒の部分と分かれた部分がございますが、客貨一緒に走っておる部分は百二十キロの列車運転ができるようになっております。貨物で申しますと何も百二十キロ運転をする必要はないわけでございまして、現に八十キロしか走ってないわけでございますが、線路の保守は百二十キロの旅客列車が走れるような線路保守をいたしております。したがって、線路保守の費用というものは単に列車キロでもって配分いたしておりますので、貨物といたしましては、当然八十キロ分の速度にマッチした保守費を負担すればいいものを百二十キロ走れる列車の線路の保守費を負担さしておる、こういうことになるわけでございます。これは線路に限らずパンタグラフから申しましても信号設備から申しましてもすべてに当たる問題でございまして、そういう意味で共通費の配分の中には非常に計算のできない面がございます。それらを全部無視いたしまして、そうしてたとえば保守費ならばパンタグラフのキロでもって割るというような単純な割り方をした結果こういう数字になるわけでございます。したがって、この数字はいわゆる運賃問題に直結する問題でないということを私は何べんでも申し上げておりますが、一つの前提を置いた、しかも営業方針を前提とした原価であるということを申し上げさしていただきたいと思います。したがってこの問題は客貨の問題、いわゆる貨物の運賃が安いということよりも、私はやはり貨物輸送量が伸びてないということが一番大きな問題であり、同時に割引の問題をおっしゃいましたが、大体割引につきましては何べんも申し上げましたが、全体で割引の額が約二百億でございます。それによって国鉄がそれに数倍する運賃収入をあげている。すなわち余っている輸送力を使ってそれを割り引きして、そうして収入をあげている。こういう一種の営業方針でもってやっているわけでございまして、したがって割引によって全体のバランスがくずれているということはないというふうに確信いたしますが、ただ同じ割引の中でも、いわゆる国の政策によって割り引きしておるものがございます。それはいわゆる見返りがございません。割引のしっぱなしでございます。こういうものばあるいはそういうお話になるかと存じますが、いわゆる営業割引としてその見返りのあるものにつきましては、見返りと割引額をよく検討いたしましてやっておりますので、そのために収入が落ちているということはないというふうに思っております。
  17. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 この議論はおそらくはんとうのことをおっしゃらないでしょうからかみ合わないでしょう。  この間朝日新聞が世論調査をやりましたのが出ています。「最近、いろいろなものが値上りしています。あなたの暮し向きに一番こたえているのは何でしょうか。」。その中で一番多かったのが衣料費でございまして、住居費がそれに続き、第三番目が交通費になっておる。三番目の一番こたえるのは交通費だ。だから、大臣、交通費というものは庶民にとっては一番こたえるんですよ。その運賃値上げ問題がいまこの委員会で審議されておるのですが、いまのようなお話だと、貨物は損をして輸送してもそれはたいしたことはないというような御見解になる。それから自動車が発展したのだから向こうのほうに荷物を取られてしまったのであって、これは自動車時代というものを何か修正しなければ何ともならぬという、これは交通政策の話ですが、それに傾いていらっしゃる御回答も、御意見もありました。だから国民は運賃、交通費というものに対して非常な関心を持っておられる。これは関心を持たねばいかぬ。  そこでお尋ねをしたいのでありますが、いま交通費としては、定期券のお客さんの場合をとってみますよ。その辺で三十円の一番安いやつを買って、それが六十円になったらたいしたことなかろうというような、そういう差し引き三十円というような話にしてもらっては困るのです。いま定期券を買っていらっしゃる人たちは三十キロ圏、五十キロ圏の通勤が一つの定型化しつつある。そういう中において三十キロ圏の定期券を買っていらっしゃる方は、今度値上がりになりますと、通勤定期は三千四百九十円が四千五百円になる。それが五十七年に、ちょんちょんちょんと値上げをしていきますというと、これは二・五、六倍になるのではなかろうか、私はそういう考えを持っておるのであります。約九千円近くなるのではないか。通学定期は現在三十キロで千百九十円であるのが、千四百六十円に値上がりいたします。それが五十七年度には二千三百円程度になるということに想像されますから、およそ倍になる、こういうことですね。  それからもう一つ新幹線は、東京−名古屋とか東京−新大阪という一つのモデルがございます。東京−名古屋を例にとりまして「ひかり」で往復しようといたしますと——まあ「こだま」には乗りません。「ひかり」でございますね。往復いたしまして七千百八十円。もちろんグリーン車じゃありません。国民大衆のふところから出ます。東京−名古屋間、往復「ひかり」で七千百八十円。これが五十七年のときには一万一千四百円くらいになるのではないか。一・六倍ぐらいになる。東京−新大阪は「ひかり」で往復いたしまして一万二十円に今度なります。それが五十七年ごろには一万七千円くらいになるのではなかろうか。とれまた一・六、七倍ということになるであろうと想像をされるのであります。この運賃は正確に出されておるわけじゃありませんから、私の当てずっぽうでございますが、そういうふうに定期券は二倍以上になる。新幹線で普通車に乗りましてなお二倍近い金額になる。そういうことになりますと、庶民にとりましては、定期券ならば月に何千円という単位の金額をよけい出す、あるいはたまにしか新幹線に乗らぬでありましょうが、四千円、五千円、六千円、こういうたいへんな金額をいまよりはよけいにつけ加えて払わなければ東京にも出てこれないし、大阪にも行けない、こういうことになろうと思うのであります。十年後の定期券の運賃は一体現在の何倍に試算をされておるのか、新幹線旅客運賃は、料金を含めてどれだけくらいに試算されておるかということについて聞き漏らしておりますので、もう一度お知らせをいただきたい。
  18. 磯崎説明員(磯崎叡)

    ○磯崎説明員 今回を含めまして五十七年までの四回の値上げの率でございますが、今回はいま御審議願っておりますが、次回以降につきましては何%にするかということはきめておらないわけでございます。ただ実収といたしまして一五%の増収を二回、一〇%を一回というふうに考えているわけでございます。かりに今回と同じような実収率と値上げ率との差があるということに仮定いたしまして、今回と同じ率を二回、それから一〇%に相当する率を一回ということで計算いたしますと、旅客運賃におきましては二・一四倍でございます。貨物運賃につきましては二・二二倍でございます。ただし旅客運賃は、いま申しましたとおり、今後の上げ方をどういうふうにするかということについて全くまだ検討いたしておらず、ただ実収一五%増という計算でございますので、これを運賃としてどう取るか、料金としてどういただくか、そこまで計算はしてないわけでございます。したがいまして、定期につきましてもまだ相当定期の公共負担が残っております。これらを今後どういうふうに是正さしていただくかということなどもございますので、それらを一応全部現在制度のままだといたしますと、先ほど申しましたとおり、大体旅客運賃につきましては、定期も定期外も一応二・一倍ないし二・二倍というふうに御了承いただきたいと思います。  重ねて申し上げますけれども、次回以降のいわゆるいただく値上げ率をきめておりません。実収率しかきめておりませんので、したがって、その他制度改正、料金問題をどうするか、あるいは定期券の割引率をどうするかなどの問題がたくさんございますが、それらを一応全部除きまして、現在制度のままで、今回改定させていただきますやり方のままであと二回、それから一〇%一回いたしますと二・一倍になります。一応現在の情勢では定期も定期外も二・一倍ないし二・二倍というふうに御了承願いたいというふうに存じます。
  19. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 そこで妥当な値上げであることというのが大勢的になるわけでありますが、国鉄運賃法によるところの旅客運賃の四条件、「公正妥当なものであること。」「原価を償うものであること。」あるいは「産業の発達に資すること。」「賃金及び物価の安定に寄与すること。」という四条件の中で、これはともに方向はちょっと違うようなものもありますが、これはすべて政策の配慮によりまして総合して同じ方向にまとめねばなりませんね。その中で一番中心になるのが「公正妥当なものであること。」ということでありまして、一つの常識が働いてくるわけです。常識が働いてくると、二倍になった運賃というものは三十円が六十円ではなくて、一万円が二万円になるということでありますから、新幹線網が完備すればするほど国民のふところというものはたいへんなことになるわけです。それから定期券というのも伸びが悪いのですけれども、定期のお客さんがふえるようでなければ交通機関としての国鉄の使命はない。そういう点からいいますと、定期券が二・何倍になるか存じませんけれども、この二・何倍も痛いですね。私はもう少しこれは押えられないものかと思うのであります。公共割引がありますので、その是正があるので、普通運賃よりも定期の倍率のほうが多いだろうと想像しますが、それだけに庶民の家庭に及ぼすところの影響は実に大だ、そう思うのです。  そこでちょっと伺いますが、この運賃値上げをすることによってどういうことになるであろうか。十年先を想像いたしますと、大都市圏の輸送というのはどの程度改善されて、すし詰め電車というのは解消するのかどうか、こういう点がありまして、この委員会においても何回か議論されたわけですね。それがどうやら週刊誌が読めるではなかろうか、こういうようなお話でありましたが、運賃を二倍払っていて、なおかつまるめた週刊誌を二行か三行だけ読めるというようなことでは、これは私はあまりサービスにならぬし、国民の同意が得られないと思うのです。それでもなおかつよろしいという人はよっぽどどうかしている。線路を増強するとか、線増するとか、車両の編成をふやすとか、ホームを延長するとか、エスカレーターもつけますとか、冷暖房もつけます、こんなことをおっしゃっていらっしゃるのでありますが、大都市圏のすし詰め電車の解消を目ざすもくろみというものはどうなっておるのでありますか。また今度の場合はどれくらいの工事費を想定されておりますか。
  20. 磯崎説明員(磯崎叡)

    ○磯崎説明員 大都市圏、ことに東京、大阪の通勤問題につきましてはいろいろやってまいったわけでございますが、ことに昭和四十一年から発足いたしました第三次の長期計画におきましては、東京を中心とするいわゆる五つの方面の根本的な改善をやったわけでございます。そのうち大部分はできておりますが、まだ東海道線ができておりません。そういう意味でまず十年計画、いわば昭和四十年から五十年前後までという長期の見通しのもとに通勤対策をやってまいったわけで、いま大体その半ばにきているというふうに申し上げられます。もちろん一方、都市の過密化はますますひどくなる。ことに過密化の現象から、先ほど先生もおっしゃいましたように、だんだん距離が遠くなってくるという意味で、通勤輸送も問題は東京都内というふうな小さなエリアではなしに、近県から東京に入ってくる輸送のほうがだんだん問題になりつつあるという情勢でございます。したがって、私どもといたしましては、まず東京付近に入ってくる五つのルートを根本的によくするということで、いままでの明治、大正以来の複線をさらに今回思い切って全線複々線にいたしたわけでございます。これはいま申しましたとおり、東海道線を除きまして一応全部完成いたしました。と同時に、都心への乗り入れをしなければいけないということで、根本的に地下鉄との直通連絡ということを始めまして、国鉄の車がそのまま地下鉄に入り、地下鉄の車がそのまま国鉄の通勤線に入るということをいたしたわけでございます。そういう意味で約五千億近い金をかけて第一次の、この間の昭和四十七年度までやったわけでございますが、四十八年度以降さらに今度の十兆五千億の中で七千億の金を投じまして東京、大阪の通勤輸送をさらに改善してまいりたいというふうに思います。  こまかい点は省略いたしますが、やはり根本的には車両をふやすあるいは線路をふやすということと同時に、先ほど先生がおっしゃいましたように通勤距離が延びております。たとえば東京でも三鷹の先だとかあるいは高崎線の奥だとか、あるいは東北線の奥のほうとか、あるいは東海道のずっと先のほう、中央線の青梅付近というふうに非常に通勤距離が延びておりますと同時に、いままでわりあいに国鉄の利用が少なかった横浜線とか川越線とか、そういう首都圏のいわば支線区に非常にまた通勤客がふえております。そういうところはまだ単線のまま残っております。そういう地域につきましても、いわゆる首都圏全般についての根本的な輸送改善をぜひ今回の計画の中ではやってまいりたいと思うわけであります。ただ首都圏の山手線の中の交通になりますと、これは私のほうというよりも、むしろ地下鉄網の整備というようなことで、都市内交通は地下鉄網の整備でやっていただく、その近県から都市の入り口あるいは都市の主要駅に至る輸送国鉄がやるというふうに分業いたしまして、やはり都市内、山手線の中などにつきましては地下鉄の整備ということをぜひ政府にやっていただきたい。それと歩調を合わせて私どもは近県からこの付近まで持ってくる、お客さまを運んでくるということに重点を置いた今後の通勤輸送改善をやりたいというふうに思っておる次第でございます。
  21. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 いまの総裁の御答弁と関連して運輸大臣はどうお考えになるのでありましょうか。先ほどの旅客の運賃が二倍強になりますね。平均して二倍強ですが、定期券の運賃というのはそれよりはるかに高いと思うのです。三倍近くになる。そういう猛烈な運賃の絶対額の値上げということに関連をし、それに対して国民の合意を得る方法というものは何かといえば、大都市通勤圏の輸送の大改善ということが早急に実現するとか、あるいは地方閑散線の廃止運動が逆に地方住民の利益のために大きな更生の声となって変わっていくとかということでないと国民の合意が得られないと思うのです。運輸交通政策の立場からと監督の立場からと、いかがでありますか。
  22. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    ○新谷国務大臣 試算でございますが、総裁が申しましたように、いまの計画でまいりますと、十年後の最終年度におきましては、運賃の上げ幅は大体二・一から二くらいになるという見込みでございます。その間、これは経済企画庁の経済社会基本方針、こういったものでもごらんになりますように、毎年経済成長が今後も続けられてまいります。したがいまして国民の所得もふえてまいります。これで十年後を一応試算をいたしてみますと、経済社会基本方針のほうでは五年間を見ておるのでありますが、その後のいろいろの前提条件を置きまして試算をいたしてみますと、国民の所得といいますか雇用者の所得というものが大体いまの三倍くらいになるという見込みでございまして、いまここで二倍というと非常に大きな数字に聞こえますけれども、経済成長が進み、国民の所得が進んでまいりますと、この二倍というものも相対的には是認してもらえる数字ではなかろうかと考えるのでございます。  それから、とにかくそういうような公共料金の引き上げ、そういうことによって国民に与えるいわゆるメリットはどういうものかということのお尋ねであったと思いますが、大都市圏の問題につきましてはただいま総裁が申しましたようでございまして、これは国鉄だけの問題ではございませんが、私どももあらゆる努力をいたしまして、人口の異常な増加によりまして停滞ぎみであります大都市圏の輸送体制というものを、私鉄、地下鉄、バスその他のあらゆる交通機関を計画的に整備いたしまして、いまのような混雑率を緩和していくためのあらゆる努力をしなければならぬと思っておりますし、——努力だけではございません、現に地下鉄あるいは大都市圏における民鉄等に対しましても所要の財政援助の措置を講じておる次第でございます。これは人口の配分がさらに変化をしてまいると思いますから、それに応じまして、それに対応したような輸送体制というものを整備していかなければならぬと考えておる次第でございまして、これにつきましては、今度の提案しております予算案にもある程度出ておりますけれども、政府といたしましても財政的な方面においてできるだけの援助措置を講じなければならぬということで、将来もこれを強化することについては努力を惜しまないつもりでございます。  なお、その他の地方閑散線をどうするかとかあるいは国民の御納得を得るための一つの問題ではありますけれども、ただいまの貨物輸送なんかにつきましては、これは国鉄の総裁を前に置いて言いにくいことでありますけれども、国鉄に荷物を預けますといつ着くかわからないというようなこと、ほんとうに安全に予定の日に着いてくれるだろうかというようなことについて、ただいまの貨物輸送体制では国民が不安を持っておられることは事実であろうと思いますが、そういう点を改善いたしまして、定時に早く安全に着くような貨物輸送体制を整備することも、これは国民に対してお約束を申し上げてよいことだと考えます。  それから、航空機もございますけれども、何と申しましてもやはり交通の中枢機関としては国鉄でございますから、国鉄を利用されるお客に対しまして、日本の全土にわたりまして安全に早く到着できるように、利用できるように、旅客方面におきましても新幹線を中心として最大限のサービスの改善をしていかなければならぬ、こういうふうに考えまして、それについての必要な予算措置をこれからも、政府もしていくつもりでございますし、国鉄に対しましてもそういう方向で計画を立てるように指導をしておる次第でございます。
  23. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 運輸大臣、あなたの運輸省には監督課というのがありますね。監督課というのは監督するのでしょう。監督するということは、国鉄は別であって、あとの民間とかあるいは飛行機だとか港だとか、そういうものだけであるというわけじゃないでしょう。もう少し今後の運輸政策、交通政策上に占める国鉄役割り、並びに何が赤字の原因であり、それを克服するにはどうしたらいいかということにつきましては、ひとつ大きく指導理念を運輸省がお立ていただくことを私は望みたい。  それはあとでまたお伺いしますから考えておいていただいて、そこで磯崎総裁にお尋ねをいたしますが、あなたは昭和四十二年ごろに国鉄ただ論というのをお唱えになったことがございますね。私は、あなたはなかなか計数に長じていらっしゃるし、ひらめきのいい、何というのですか、将来ほんとう国鉄というものをしょって立つ、日本の交通界の大きな位置を占める方におなりになると思って敬服をしておったのです。これはなかなかいいことでございますね。ラッシュの緩和をはかろうとすると、定期券のお客さん一人について四十万円——当時の金でございましょうね、四十万円ほどかかる。その利子が七分として年二万八千円の利払いを必要とする。定期券は運賃が年間平均一万四千円しかなりませんから、同じように国が投資をしてくれればただで定期客を運んでもよい、これは卓見でございますね。私は、このりっぱな御意見をいまなお存続していらっしゃると思うのでございますが、その当時を思い出して、今日いま御所見はいかがでございますか。
  24. 磯崎説明員(磯崎叡)

    ○磯崎説明員 確かに昭和四十二年に文藝春秋の本誌にいまおっしゃったようなことを書きました。ただ、そのころは全く政府の援助が一銭もございませんでした。私どもちょうど先ほど申し上げました第三次長期計画に入りまして、各方面の通勤輸送をやるのにとってもこれではできないと思って、私は思い切って書いたわけでございます。その当時、ごらんのとおり確かに通勤客からいただくお金では利子が払えないという計算になっておりました。その後、それも多少影響したせい史四十三年から政府が多少援助してくれるということになりまして、また四十四年にそれを大幅にし、また今度さらに大きくなったということで、一応書いた目的は果たしたと思っておりますけれども、しかし私個人としてはまた多少別な考えを持っております。きょうは個人のことを申し上げませんが、一応そこに書きましたことは、その方向で政府もお考えいただいたというふうに思っております。しかし、それがそれを書いた私個人としての感覚を満足させているかどうかは、これはまた別な問題でございます。
  25. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 国鉄はともかくにも日本で一流の国家的大事業でございますから、その総裁たるあなたは——かつて十河、石田、それぞれ有名な総裁がいらっしゃって、新しい風を吹き込もうとし、新しいエネルギーを注入しようとしていろいろなことをなさいました。しかし、そのたびにいろいろな事故が起きておやめになりましたね。三河島の脱線事故、桜木町の脱線事故、脱線事故から誘発された多くの死傷事故、そういうことであたら有能な人が去られたと私は思うのです。近代の経営者の責任というのはそういうふうに腹を切るというのがいいのではなくて、切腹は三島さんにとどめておいてもらいたいと思うのですよ。そこでそれほどもののわかった総裁ですから、私はちょっとこの際思いつきましたことですが、ひとつ御所見を聞きたい。  この間、四月二十八日に新幹線を平常運行に戻そうとしていろいろな要員配置をやったでしょう。大阪に泊まっておる乗務員をそれぞれ名古屋だ、沼津だ、静岡だと分けるときに、あなたのところの新幹線総局は奇しくも専用車両方式をお取りになりまして、いい指令をお出しになりました。私はこのやり方はりっぱだと思うのです。あのような中において、睡眠不足があったり、疲労度が高まったりしておりまして、次に執務についたときに大事故のもとになったら、磯崎総裁、あなたもまたおやめにならなければなりませんよ。そういうときによくも二両の車、「こだま」であったけれども、十六車両のうち二両を貸し切って、そしてその間は鉄のとびらでございますから向こうの一般客車からは見えない、こういうような車を貸し切りにしておやりになったのはりっぱだと思ったが、どういうことかそれが非難をされて、その責任者が戒告とか訓告をお受けになったと思うのです。私は磯崎総裁の国鉄ただ論、こちらの岸を突いて船を向こうへやるという考え方、そういう点からいきますと実に配慮が十分行き届いておるような気がしまして、勇気もおありになると思いますから、いまの処置もりっぱだったと思う。しかし、りっぱだりたのを、国民がちょっとくだくだ言うと、あなたは戒告するというところにふと私は信じがたきものを見つけておるのでありますが、あなたはこれについて何か御所見がありますか。
  26. 磯崎説明員(磯崎叡)

    ○磯崎説明員 私もあの晩ずっと徹夜しておりまして、いかにしたら土曜日、二十八日に一刻も早く常態に戻せるかということを考えました。したがって乗務員を——毎日東京の乗務員が大体百二十人大阪に泊まります。大阪の乗務員がやはり百三十人東京に泊まっております。したがって、この連中をそのまま乗せるか、一ぺん帰すかということが一つございますが、この連中をどうしても一ぺん早く帰すということが先決問題でございました。したがって、たとえばうちの国鉄バスで帰すとかあるいは飛行機で帰すとかいろいろ考えましたけれども、やはり新幹線で帰すのが一番早いということを考えました。したがって私は、新幹線で帰したことは間違ってないと、いまでも思っております。  ただその際に、百二十人の人間を二両の車に乗せてしまった。初めは一両ということできちっと話をしておったものが、何か二両になってしまったというこのあいまいさが私は非常にいけないと思うのであります。一両でもって、帰ってすぐ勤務につく人はすわってよろしい、しかし公休になる人は立ちなさい、こういうふうにきちっと分ける、そうすれば、四十人が公休で八十人が勤務でございますので、勤務につく人は大体すわれるくらいの数でございます。したがってこの点は、お客さまの御了承を得て、これからすぐ勤務につきますから八十人だけはすわらせていただきたい、しかしあとは立たせておきますと、堂々と公表いたしますればよろしかったのに、何かこそこそと陰に隠れて、車が故障であったとかあるいはカーテンをおろすとか、実にお話にならない、率直に申して私は恥ずかしいと思います。逆に東京から下った乗務員は、手配がたいへんよろしくて、一両で、相当立って参りました。一応お客さまにもこういう事情でございますということを御説明申し上げました。やはりお客さまはわかっていただきました。それだけの手配をすればよかったのに、上ってくるほうについてそういう手配をしなくて、何か二両に横になってきたような印象を与えたことは、私は非常に恥ずかしかったと思います。したがって、新幹線で送るべきであったということは間違いございません。しかしその送り方に非常に配慮が足りない、手当ての行き届かない点があったことは、私ほんとうに深くおわびを申し上げます。これはやはり私自身の責任だというふうに考えておりますが、もちろん一人一人の乗務員のモラルの問題もございます。赤ん坊を背負ったおかあさんが何時間も立ってこられたというふうなことに対するモラルの問題もございますが、それはやはり職員全体の問題として今後とも十分考えていかなければならないと思います。  繰り返して申し上げますが、新幹線で送ったことは私は正しかったと思います。しかしその送り方がいかにも配慮が足りない、しかもうそをついたというふうな印象を国民に与えたことは、これはまことに私の不行き届きの点で、深く厚くおわび申し上げます。
  27. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 言うなれば総裁としての責任のおとりのしかたのお話だったと思います。事情は私のほうも聞いておるのでありますが、ああいう暴動のあと暴動に対する備えというものも必要です。国鉄職員に対してうらみのようなものがあったのです。国鉄の第一線の職場にあった者が何かしら国民の世論の攻撃を受けて非常に苦しい立場に立たされておるという現実は、あのとき非常に顕著でしたね。それで上野、赤羽、新宿等をはじめとする首都圏、あるいは大阪においてもあのような暴動が起きて、そしてその第一線では国鉄の職員各位が非常な苦しい目にあいました。しかし今度、一応事態がおさまって新たなる輸送体系の整備を始めるというときにおきましては、その人たちに対して安全にしてかつ十分なる職責の遂行を求めていかなければならない。その際に十五、十六号車に乗ったというのは、十五号車のところの境が向こうのほうから見えないということもございましょう。普通の車で仕切りますと中が見えるわけですね。見えてまた割られる云々ということになってはいかぬという問題もあったことは配慮しなければならぬ。ですから、いまのように国民の合意を得てそして運賃の値上げもしようと考えていらっしゃるという御答弁がありました。国民の合意を得て、そしていろいろな輸送力の整備計画、交通体系の整備をやろうという御発想もあるように承りました。国民的な合意の中には従業員を除外していいというようなものじゃないので、労使間に風が吹いたらその事業なんというものは成り立たないのです。そういう点はよくお考えいただいて、二十八日の問題はいささかの戒告程度のことですから取り立ててあれじゃありませんけれども、テレビや新聞等に出ておりましたので、この際私はあなたの国鉄ただ論というものから想起いたしまして、この斬新な、そして奇抜な——奇抜と言ってはなんですけれども、最も近代的な輸送体系の責任者としてがんばっていただくことを期待したいと思うのです。あまり簡単に悪かったとあやまってしまったり、懲戒にすれば事が解決するというようなことではないと思うのです。  そこで次の問題に移りますが、先ほど、総裁がおっしゃいましたように、ラッシュに対する国鉄の責任分野というのが、私は少し違ってきたような気がしますが、運輸大臣、大都市圏の通勤ラッシュ、混雑というもの、これはますます顕著化しょうとしております。その際、七千億の工事費をもちまして何かをやろうとおっしゃる。この七千億の使途が明らかじゃありませんが、しかし、いつやら発表されましたように、通勤新幹線という構想がございましたね。これは運輸省としては認めていらっしゃらないと思うのです。これはつくることまかりならぬほうじゃなかろうかと思うのですが、たとえば、成田七十キロ、水戸百二十キロ、宇都宮百キロ、高崎百キロ、甲府百三十キロ、小田原八十キロ、都心を中心といたして、計六百キロ建設をしようとする、時速百六十キロスピード運転計画というのが発表されておったことがあります。これは、今度の七千億じゃやれないでしょう。ですから、どこに入っているか知りませんが、おそらくいまのところは、私はたな上げではなかろうかと思います。  そうすると、いま磯崎総裁がおっしゃった、運輸大臣もお触れになりましたが、交通機関のラッシュの責任は国鉄の責任ではない。地下鉄、都市公営企業、民鉄の責任、それから、道路網という建設省の責任、こういうようなぐあいに分化されて、総合されていくべきものだという気がするのです。これについて、運輸大臣として御所見をいただきたい。
  28. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    ○新谷国務大臣 御意見のとおりでございます。国鉄だけではございませんで、総合してあらゆる交通機関がお互いに関連を持ち、お互いに対応しながら大都市圏の通勤輸送体制というものをつくらせるように指導をいたしておりますし、それについて必要な財政的な援助もしておる次第でございます。
  29. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 そうなりますと、四十六年七月三十一の運輸政策審議会が答申をしました総合交通体系の問題というものに入らざるを得ないと思うのでありますが、それには幾つかのことが書いてあります。過密過疎の弊害をなくしてとかいろいろありますが、その中に、政策による交通量の誘導と規制が必要だ、それからもう一つは、地方線というのは住民本位でなければならない、だから、それを住民を代表する地方公共団体の第一次責任と負担のもとに行なうことも必要だ、こういうようなことがあるわけです。そうすると、政策による交通の誘導と規制、これは一体何のことでございましょうか。必ずしも大臣でなくてもいいんですが、総合交通政策ですから、運輸省からお答えをいただきたい。
  30. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    ○新谷国務大臣 概括的にお答えをいたします。  その総合交通政策に書いておりますことは、非常に抽象的でございまして、具体化するのにわれわれも非常に考えなければならぬ点が多いのでございますが、しかし、この交通政策によって自然に流れてくる、つまり、乗客の選好によって交通機関が選ばれるわけでございますが、その流れを非常に大きく変えていくということはなかなか困難でございます。しかし、一例を申し上げますと、バスにつきましては、専用レーンとかその他方法を講じまして、バス輸送が円滑に行なわれるようなことは実行いたしておるのでございます。  それから民鉄と国鉄との関係でございますが、これもサービスの内容によっていろいろ変わってくるわけでございますけれども、民鉄と国鉄と並べて、それを協力をさせてどういうふうにするのが一番効率的かというようなことは運輸省で考えておるところでございまして、必要な部分に対しましては、民鉄に対しましても財政援助をする、資金の貸し付けをするというようなことによりまして、場合によりましては鉄建公団にそれをつくらして民鉄に貸し与えるというようなこともやりまして、できるだけその総合交通体系の線に沿っていま努力をしているのでございます。  なお、具体的な問題につきましては政府委員から補足をさせます。
  31. 原田政府委員(原田昇左右)

    ○原田政府委員 お答え申し上げます。  交通需要の具体的な調整策といたしまして、一昨年の十二月に臨時総合交通問題閣僚協で決定いたしました総合交通体系におきましていろいろ記述されております。  その中のおもなものを申し上げますと、たとえば具体策といたしましては、大都市交通におきましては、通勤通学の混雑を緩和するために、特定時間帯にできるだけ通勤、通学を集中させないようにするために、時差通勤通学を強化するとか、あるいはタクシーについては、新規参入、運賃等に対する事業法上の規制を緩和して、競争による効率化をはかるとか、あるいは道路を利用する貨物につきましては、輸送の節減、合理化をはかるとともに、夜間配送等によりピーク時における輸送量の軽減を検討するとか、こういったような措置が出ております。
  32. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 そういうみみっちい話を聞きたくてお尋ねしたわけではないのです。時差通勤通学だなんていうような大東亜戦争のころを思い出すような話は、どうも私の質問の本旨じゃない。総合交通政策として大都市圏輸送をどうするのだ、七千億の予算がありますという国鉄総裁のお話から考えまして、その七千億で何をおやりになるのでしょうかと私は思っておりますので、そこで、総合交通政策について四十六年の運輸政策審議会の答申というものを考えてみると、これは相当政策として流れを変えていかなければならぬというものがあるような気がする。だから国鉄の分野は何ですか。もう大都市圏の通勤時代というものは、国鉄解決する問題ではなくて、ほかの総合した乗りもの、輸送機関全体の時代になりました、こういうことであるのか、いや国鉄が依然として、先ほど申し上げました新幹線ですね、通勤新幹線六百キロの建設を進めていこうと考えていらっしゃるのか、それはどうだ、こういうことをお尋ねしておる。
  33. 秋富政府委員(秋富公正)

    秋富政府委員 お答え申し上げます。  国鉄の使命といたしましては、都市間旅客輸送あるいは大都市通勤通学輸送でございますが、先ほど国鉄総裁からもお答えいたしましたように、現在国鉄におきましては、首都圏におきましてはいわゆる五方面作戦で、このほうに主力を注いでまいりまして、今後はさらに大阪方面にもその整備をしていくわけでございますが、これと同時に、大手私鉄あるいは地下鉄、こういったものの輸送力の整備というものはきわめて顕著に行なわれているわけでございます。現に、今後大手私鉄におきましては、四十七年から五ケ年間におきまして、約七千四百億の投資をいたしまして輸送力増強あるいは本工事をいたすわけでございます。また地下鉄につきましても、今後五カ年間に東京、大阪、名古屋、ここで約一兆の投資をいたしまして、大都市におきます通勤通学輸送の整備をしていく、かようなわけでございまして、大都市におきます通勤通学輸送というものは、大手私鉄あるいは地下鉄、こういったものの占めるシェア、使命というものが大きくなってくるわけでございます。運輸省といたしましては、こういったことにかんがみまして、地下鉄につきましては、本年度からその助成を、従来の五〇%方式から六六%方式に強化してきたわけでございます。また、いわゆる民鉄につきましても、この工事がきわめて多額の経費を要し、また金利を要することにかんがみまして、鉄道建設公団におきまして民鉄線の建設、こういったものを昨年から始めたわけでございますが、本年度におきましても、三百六十億の投資をするわけでございます。またその金利も昨年は六・二%でございましたものを、本年から五%までその金利を助成する、かようにいたしまして、政府といたしましては大都市におきます通勤通学輸送につきまして、国鉄と同時に地下鉄あるいは大手私鉄、かようなものにつきまして総合的にその対策を講じているわけでございます。
  34. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 そうすると国鉄のみならず都営交通、いわゆる地方公営企業並びに民鉄というものの鉄道分野におきましても、相互に相調和しつつ受け持つ輸送分野があって、それを総合交通政策の中で考えられておる、こう理解します。  磯崎総裁、七千億のこの大都市通勤予算というのはしからば何にどうお使いになるのですか、内容がちょっとわかりましたらお知らせ願います。
  35. 磯崎説明員(磯崎叡)

    ○磯崎説明員 これは私のほうのまだプランにすぎません。それから毎年毎年の単年度予算におきまして、国会の審議を経るわけでございますので、一応国鉄の試案というふうにお聞きとり願いたいと思いますが、七千億を東京と大阪に分けまして東京四千億、大阪三千億というふうに考えております。  東京につきましては現在やっております東海道の湘南線と横須賀線を分ける、現在横浜でいろいろ問題になっておりますが、この問題、いわゆる東海道線の四複線化の問題。それから横浜線あるいは川越線等複線化の問題。南武線は編成長の増大でございます。それからその他いまやっております千葉県関係の工事が相当ございます。これは複線化でございますが、大体東京付近で複線化のキロは百六十キロというふうに考えております。  それからターミナルの改良といたしまして、これは東京の地下駅、現在半分できておりますが、残り半分、横須賀線が入るための工事をやっておりますが、東京地下駅あるいは千葉、これは東京−津田沼間の複々線化になりますので、その関連で地下のターミナルあるいは立川、池袋等のたくさんのターミナルの改良をいたします。  それから車両の増備がございます。それから冷房化も相当進めてまいりたいというふうに思っております。これらでおおむね東京付近で十年間に約四千億という見込みでございます。  それから大阪につきましてこまかくなりますが、大体いま三カ所ばかり着手いたしておりますが、これらの継続といたしまして複線化百二十キロを考えております。  それからいろいろと東京と同じように混雑が問題になっております天王寺、京橋等のターミナルの改良をいたします。あるいは車が非常にふえますので車の基地をつくらなければいけないので、これが三カ所ほど。その他東京と同じように車の増備ということでありまして、これが約三千億でございます。  合計七千億ばかりございますが、一応これは先ほど申しましたように私のほうのプランでございまして、正式に政府のほうの御認可をいただいたものではありません。
  36. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 運輸大臣、そうすると先ほど申しました東京中心の百キロ圏新幹線構想というのは、いまのところ全然まだ工事の中に芽を出しておるというものではございませんですね。
  37. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    ○新谷国務大臣 いまの国鉄計画の中にはその構想は入ってないようでございます。
  38. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 そういうことになりますと、今度運輸大臣としては国鉄の大きな力をもって首都圏なり大都市圏の交通ラッシュを解消するということの一辺倒方式というのは少し是正されておるようでありますから、総合的に各種の交通機関の能力を発揮させていかなければならぬわけでありますから、そういう点について明確な指導方針をお打ち立てになっていっていただきたいと思うのです。そうしませんと、いまの磯崎総裁のお話では、国鉄は原則として在来線強化方式でございますから、そういう意味で考えてまいりますと、このラッシュというものはなかなかそう簡単には解決できない。あまり混雑するから冷房でもして汗の出るのを少し節約して頭を冷やしていこうというのは妙案の一つでございましょうけれども、ほんとうの首都圏の交通体制として見ますると、斬新なものがないわけです。しかもそれは猛烈な金がかかる。私は四千億というのは、いま少しおっしゃいましたが、少し少ないじゃないですか。東京付近はこの程度では一番金額が少ないですね。合理化とか安全等一兆何千億ときておるでしょう。あなたのほうもそこのところ何か具体的な、私のほうだけの腹案でございますとおっしゃいましたから、七千億はその程度に聞いておきましょう。  そこで、しかし借金経営ということになってみますと——どっち道借金経営だからそういうことですよ。大蔵省はあまりはっきりと何かおっしゃらないのじゃないですか。いまの国鉄、運輸省の意気込みというものがだんだん元気がなくなってきておるところにも大都市圏については、いや地下鉄も六六%の建設費の補助金、助成金を出せ、再建債の利子も補給しろということになってくると、国鉄ばかりじゃない、あちらもこちらもそう出せるものかという大蔵省の何か意図が動いてブレーキでもかけておるのじゃないかという気がしてしょうがない。大蔵省のほうからこの件についてちょっと御意見を述べてくれませんか。
  39. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    ○新谷国務大臣 私から、大蔵大臣との折衝をいたしました関係でお答えいたします。  今度の再建計画、これは皆さんがごらんになりますとまだ足らぬじゃないかというような意味の非常に御好意のある御質問と拝聴いたしました。まことにありがとうございますけれども、実は前の、昨年出しました案とお比べくださいますと、非常に今度の案は前進しておると思います。十年間の計画でございますけれども、あらゆる方面におきまして実は大蔵大臣とひざ詰め談判で最後まで折衝いたしまして、あそこまで、とにかく財務当局も国鉄の置かれておる現状それから将来国鉄負担すべき役割りというようなものを考えまして、あそこまで財務当局も協力をしてくれたわけでございます。しかしこれは大都市の人口の配置と申しますか、人口の状態が非常に変わってきておりまして、流動的でございます。これに対応するような輸送対策というものは必要でございますから、ただいま予見し得る程度において今度の案を立てましたが、今後さらに情勢の変化がございました場合には、私どもも将来に向かって積極的にそれを解決するための努力は決して惜しむものではないという気持ちだけは申し上げたいと思います。財務当局も今度は非常に協力してくれておりますし、今後も協力してくれると思っております。
  40. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 大蔵省の岡島主計官が来ていらっしゃるようでありますが、私があらかじめ御連絡しました事項に該当しておらないかもしれませんし、いまの話は予算中心の問題ですから、大臣間の折衝であったと思います。大蔵大臣がいらっしゃらなければ質問してもあるいは申しわけないかと思いますから、いまのお話でおよそ想像しておきますが、運輸省があまり大蔵省はものわかりがいい、いいとおっしゃると、これでものわかりがよければこの次はもう少しものわかりを値引きするかブレーキをかけるかとなりますから、いや運輸省から見ると足らない、大蔵省の考え方は古くさい、古くさいというくらいのことをおっしゃっていただきたい。  そこで岡島主計官、私はもうちょっと新しい質問もつけ加えますから、一括してひとつ所感をお答えいただきたいのですが、国鉄財政再建推進会議等で言いましたこの考え方の中に三つの柱がある。それはどうしたら国鉄財政再建されるかというと、一つは政府資金の利子はたな上げする。完全に孫利子じゃないですね。鉄道建設公団への出資はやめる。それから鉄建公団のつくった線路の使用料、これは七年計算を三十年計算等にするということがある。その中で、政府資金の利子はたな上げする、言うなら旧債たな上げ論というのは、国鉄がかかる破産状態になったときには、会社更生法じゃありませんけれども、あるいは地方団体の財政再建特別措置法の精神じゃありませんが、少なくともその会社更生法とか地方自治体のあるいは地方公営企業財政再建と同じように、相当思い切った対策をとらないといけないわけです。地方の公営企業等が赤字になりましたときにはどうするかというと、それは大蔵省が言うとおりに何かの助成金が出ます。利子の助成金が出る。しかし、それでなお足らないところはどうするかというと、地方団体は市町村も、県も足らぬだけのものを一般会計から繰り入れているのです。国鉄には一般会計から入れてもらえる親がない。親とはどこだ、大蔵省だ。その大蔵省はまま子のようなことをいりているから、国鉄はたまったものではないと思うのです。だから、会社更生法を適用するような破産会社だと私は言うわけではありませんけれども、その精神を国鉄財政再建に生かして、相当思い切った助成をするということでなくちゃいかぬと思いますけれども、大蔵省の庁内のいろいろな審議の過程においてはそういう問題はどういうふうに議論されましたか。岡島主計官の御承知の範囲内でけっこうですから、一言お願いいたします。
  41. 岡島説明員(岡島和男)

    ○岡島説明員 お答えいたします。質問がたいへん広範でございますので、私から十分答えられるかどうか疑問でございますけれども、私がやっておりました範囲内でお答えいたします。  国鉄財政再建問題につきましては、予算要求の段階から、大蔵省といたしましては運輸省、国鉄と十分相談を続けておったわけでございます。今回の再建対策では、十カ年間というものを見込みまして、実は昨年廃案になりました十カ年計画でも、同じような考え方をとっておったわけでございますけれども、運賃改定国鉄合理化それから国の財政援助という三本の柱を骨格として、国鉄を十カ年間かかりまして再建の緒につかせる、国鉄財政再建をはかるということを基本といたしまして、工事費に対する助成とか利子補給あるいはまた出資とか、そういう全体的な財政の助成を大幅に強化することによりまして、国鉄が日本の基幹的な、基本的な輸送手段としての役割りを果たすことができるというような考え方に立って、諸般の財政措置を講じた、こういうことでございます。  それから、ただいまちょっと財政再建について地方公共団体の財政再建というお話がございました。私、地方公共団体の財政再建につきまして、それほどつまびらかにしているわけではございませんけれども、国鉄のような公共企業体という性格のものと、それからまた地方公共団体といいますか、一つの行政活動を行なっております団体におきまして、財政再建というものは、ことばは同じでもそれぞれの実態に応じました財政再建があるのではないか、このように考えているわけでございます。したがいまして、国鉄財政再建という問題につきましては、国鉄が将来の日本の輸送手段としてりっぱにその使命を果たすことができますことを考えまして、先ほど申しましたような財政措置を講じた、こういうことでございます。
  42. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 大蔵省の岡島さん、いまのお話で借り入れ金の利子たな上げ論にはお答えがありませんが、その利子をたな上げする、会社更生法なら、会社更生がきまったときに、その現在時点の債権は全部たな上げされまして、利払いがストップするわけでございます。そういう意味から、それと同じことではないと私は申しているのです、それと同じではないが、それくらい思い切ったことをしませんと、資本を出しておらなかったのですから、出資金という方面について非常に手控えであった。国鉄財政に対するわが国の態度というものは、この際思い切った飛躍をしないと、単に国鉄国民と国の三つの責任でなどという作文では、将来、百年河清を待つがごとし、十年河清を待つがごとし、十年再建を待つがごとし。十年先、同じ問題が出てくる。こういう気がしてならないのです。  そこで主計官にお尋ねいたしますが、たとえばこういう場合はいかがですか。国鉄がひとつ資産再評価をやってみる。これが何十兆になるかわかりませんけれども、一説には四十兆か六十兆になるという。資産再評価をいたしましたときには、その再評価に見合うだけの出資金を国が出すということについては、わが国財政の立て方の中から何か問題があるでしょうか。
  43. 岡島説明員(岡島和男)

    ○岡島説明員 お答えいたします。  国鉄の財産の資産再評価の問題は、私どもも予算編成の際に若干議論したことがございますけれども、資産の再評価と出資とは必ずしも結びついていかないのではないか、このように思います。
  44. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 運輸大臣、監督官庁として国鉄に現存するほんとうの資産はどれくらいだと推定されているのですか。そして、かって利益したときには国の一般会計にこれは戻入しておった、貢献しておったのですから、この際そのものを取り上げて戻していただいて、資産の再評価だけのものは資本があったっていいじゃないですか。この件について、いかがですか。
  45. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    ○新谷国務大臣 固定資本の評価のしかたで、これは非常に変わってくると思いますが、いま国鉄総裁の意見を聞きますと、固定資産でもって大体三兆ぐらいと言っておられます。しかしこれは評価のしかたによって非常に変わりますから、必ずしも三兆だとか五兆だとかいう数字を的確に申し上げることはできないと思いますか、先ほど主計官から説明いたしましたように、この固定資産とそれから政府の出資とは、こういう公共企業体においては必ずしも相関連して考えなくてもいいのじゃないか。私も主計官のいま述べましたような説明に賛成でございまして、必要であれば、もっと新しい投資がふえていくのですから、それに応じまして出資はふやしていってもらってもいいのじゃないかと考えます。
  46. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 大臣、資本金のことでございますね、いま私は資本金が少ないという点を特に指摘した。今度一兆五千億お出しになる。一兆五千億の出資の増加が十カ年計画の中に盛られておりますね。しかし一兆五千億というのも、いまの固定資産の再評価から見てその資産の半分のところにめどをつけられたのかどうか知りませんが、三兆なんという数字は少ないのですよ。簿価は一体幾らになるのですか。帳簿価格というものがあるのでございますか。総裁にお尋ねいたします。
  47. 磯崎説明員(磯崎叡)

    ○磯崎説明員 国鉄の固定資産、これは三月三十一日の貸借対照表で申し上げますけれども、御承知のように昭和三十年に再評価いたしまして、これは一般民間企業と同じやり方の再評価をいたしました。詳細な区分は省略いたしまして、固定資産が三兆七千五百五十四億でございます。土地はたしか一兆足らずだったと思いますが、何なら、すぐこまかいものを出しますけれども、一応固定資産として三兆七千億。ことしの三月三十一日の貸借対照表の固定資産でございます。
  48. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 それは昭和三十年に一応評価がえをしたようでありますが、十五年もたっておりますし、それから偉大なる経済発展があったというようなこと、インフレーションの長足なる進歩というのがあるのですから、これはそんな金額であるはずはない。私は、先ほど四十兆とか六十兆と申し上げましたけれども、いろいろ見方はあろうが、少なくとも二十兆円が常識的な資産の総額であろうといわれておる。大体そのくらいでないと合わないのではないでしょうか。これだけの大きな二万キロの鉄道を持って、そうして全国ネットワークの国鉄に三兆円というのでは、どう考えても理屈に合いません。合いませんが、それは決算報告から出ました数字ですから、そのことはそれでよろしいです。よろしいですけれども、実際の価格というもの、評価額というのは帳簿に一々載っておるのでしょうかね。そういうものはありませんか。
  49. 磯崎説明員(磯崎叡)

    ○磯崎説明員 もちろん固定資産につきましては財産台帳ができておりまして、財産台帳に取得価格を明確に記入してございます。ただ、やはり先生のおっしゃったように、非常に国鉄に含み資産が多いというようなお話がございますが、やはり問題は土地の問題をおっしゃるのだろうと思います。国鉄の線路敷あるいは国鉄の駅前広場というものにつきましては、これが財産のほとんど大部分でございますが、大体琵琶湖くらいの面積がございます。実際には資産再評価いたしましても、これは全然何らの使用価値のないところで、たとえばよく問題になります東京駅の駅前広場でございますが、これは時価にいたしましたら坪当たり一千万円どころじゃきかないような土地だと思いますが、実際には経済価値はゼロでございます。むしろあれにつきましては私どもは固定資産税を東京都にお納めいたしておるようなかっこうでございまして、そういう意味で鉄道会社の持っておる資産というものは、結局鉄道を撤去してそれを売ることができるかどうかという問題になることだと思います。いわゆる土地の含み資産と申しましても、ほんとうに遊休土地は別でございますが、そうでないところにつきましては、資産再評価いたしましても、それは単に帳簿上の問題にはなりましても、財政上の問題にはあまり影響ないということになるのじゃないかと思います。非常によくそういうお話がございますが、土地の問題で駅前広場なんかよく例に出ますが、実際にはほとんど東京駅の駅前のように経済的に価値がないということも申し上げざるを得ないと思います。
  50. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 これは総裁も決意をしていただかなければいけないが、運輸大臣も、国鉄をどうするんだというときに、借り入れ金はどうするんだ、資本金はどうするんだという問題があるのですよ。国鉄自身の一番大事な財政的なワク組みの中で、借り入れ金をどうするんだ、これは孫利子を補給していただきます、それではなかなか再建できませんよ。これから大きな万里の長城のような新幹線をつくろうというときに、そんな孫利子補給なんて——再建債、それから工事費も借り入れ金によるわけで、その金利三分とか三分五厘をこえる部分について利子の補給を受けるとかというようなお話でありますが、これまたこそくなんです。そんなものじゃない。これは英断をもって、資本利子のかからないといっちゃ何ですが、配当は必要はありませんから、出資金を増大してもらって資本をかためつつ、そうして借り入れ金の金利についてはこれを国費の負担とするという大原則を何とか確立するという方向に持っていかなければ、これから先大きな十兆五千億の大工事を控えておって、どうしてそういうものがやりくりできますか。だから、五十七年度になって初めて黒字が出るようになっておりますけれども、数字は数字としてあなたのおっしゃる見込みの数字でございましょうから、必ずしも天、地、人ともにこれを認めたというわけにいきませんね。そういうわけでありますから、そういう点で資本の問題についてはよほど議論をされてよかったと思うのですが、運輸大臣、再建策を考える場合に、資本の問題は出資一兆五千億に落ちついた理由をちょっと御発表いただけませんか。
  51. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    ○新谷国務大臣 大蔵大臣との折衝の過程におきまして、資本の政府出資をどうするかという問題だけを特別に議論をしたわけではございませんで、資本の出資を一兆五千億にし、そうして——いま、それじゃだめじゃないかとおっしゃいますが、大体国鉄の資本に対する利子負担というものが財政の上の非常な重圧になっておりましたから、それを平均いたしまして三%程度に押えよう、そうして運賃の値上げもして、それから財成の助成もいたしまして、総体的に国鉄がとにかく十年間で再建できるような仕組みをこしらえようというので今度は努力をしたのでございまして、一兆五千億というこれはもちろん絶対的なものじゃないことは当然でございますが、全体の中でそういうふうにしてまいりますと十カ年間で再建計画が達成できるというようなめどをつけた次第でございます。
  52. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 そこで、国鉄総裁、十兆五千億の工事費の内訳でございますね、先ほど七千億の大都市圏通勤対策費は御発表いただきましたが、あとの分についてもう少し御説明いただけませんか。
  53. 磯崎説明員(磯崎叡)

    ○磯崎説明員 十兆五千億の内容を簡単に申し上げます。  新幹線関係が、新しい建設が三兆九千億でございます。それに現在線の新幹線の改良その他がございます。これが九千億で、新幹線合計が四兆八千億でございます。  それから通勤輸送が——これは東京、大阪だけでございますが、これに七千億。  それから幹線輸送と申しましていろいろ入りますが、合計三兆五千億でございまして、これには電化、複線化、あるいは一般貨物のターミナルの増強あるいは車両の増備等、全部入っております。これが三兆五千億でございます。  それから安全、公害対策、合理化等、これが一兆五千億でございます。  そういたしますと、新幹線に対しまして在来線の合計が五兆七千億でございまして、合計いたしますと十兆五千億でございます。
  54. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 新幹線の四兆八千億でございますね。この内訳はございませんか。
  55. 磯崎説明員(磯崎叡)

    ○磯崎説明員 線別でよろしゅうございますか。——まず山陽新幹線、これはいまの新幹線でなくて現在線の改良工事でございますが、これはちょっと除かせていただきます。これは岡山−博多間三千二百億ございますが、これは一般の在来線ということでことしが最高の工事費でございまして、それを除きまして、東北新幹線国鉄の投資額が八千八百億でございます。それから上越が——これは鉄建公団でございますが、これが四千八百億、これはうちの予算に入っておりません。これが工事線でございます。  成田新幹線国鉄の予算ではございませんが二千億、一応鉄建公団で見ております。  その次に、現在調査中の線がございます。これは御承知の東北の盛岡−青森間、それから青森−札幌間。青函トンネルは、これも鉄建公団でございますので除きます。  それから北陸の東京−大阪間、それから九州の福岡から長崎及び鹿児島、これは実はまだ運輸省に対しましてこれの調査線の調査結果を報告してございませんので、各線別に具体的な工事費を申し上げる段階でございませんが、一応全体で約手六百キロで一兆四千五百億、これは鉄建公団と大体半々で工事をすることになるだろうという予想でございまして、全体の二兆九千億の予算に対しまして、そのうちの一兆四千五百億を計上いたしております。  そのほかに五十七年度末で開業いたしませんで、工事中の線がございます。これが三千五百キロございます。その三千五百キロを入れまして、全体で七千キロという計画でございます。すなわち五十七年度、今度の再建期間最後の年におきましては、まだ残りの三千五百キロは工事中でございます。それの再建期間中の所要工事費が一兆五千億でございます。そのほかに車両がございます。車両が開業用、増備用合わせまして五千八百億ございます。いま申しましたのを全部合計いたしまして、そうしてさらにそれに先ほど申しました山陽新幹線の四千億を加えまして四兆七千六百億、ラウンドナンバーにいたしまして四兆八千億ということでございます。  ちょっとおわかりにくかったと思いますが、もう一ぺん申し上げます。東北の東京−盛岡間が八千三百億でございます。それから調査線の調査五線のうちで、一応調査五線は国鉄が半分工事をするであろうというふうに想定をいたしまして、調査五線の総工事費が二兆九千億でございます。その二兆九千億の二分の一を計上いたしまして、これが一兆四千五百億でございます。そのほかに五十七年度末で開業いたしませんで、まだ工事中のもの、すなわち五十八年度以降に開業するもの、これは工事を始めなければいけませんので、その工事中のものに対する建設費が一兆五千億でございます。それにさらに一番手近の岡山−博多間の在来線の線増としての工事費が四千億ございます。さらに車両をつくらなければいけませんので、車が全体で五千八百億でございます。これらを合計いたしまして四兆七千六百億、ラウンドナンバーにいたしまして四兆八千億というふうに申し上げております。
  56. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 したがいまして、新幹線の四兆八千億というのは、これは半分国鉄が持つ場合の調査五線の二分の一でありまして、あとは鉄建公団が同じように一兆四千五百億受けるわけでございますね。新幹線四兆八千億だけでもずいぶん大きいと思いましたけれども、さらにこれが大きくなるのです。国鉄総裁として、この資金をほとんど借り入れ金によってまかなわれるわけであると思うのでありますが、これの逐年、十年間の新規借り入れ金と十年間に返済をされる借り入れ金、こういうものを政府債とそれから縁故債とに分けて、何かまとまったものはあるのでございましょうか。ありましたらちょっとおっしゃってください。
  57. 磯崎説明員(磯崎叡)

    ○磯崎説明員 十年間の所要資金でございますが、ただいま先生おっしゃいましたように、工事費が十兆五千億でございます。そのほかに、現在借りております金を返すものがございます。もちろんじかにそのまま返せませんので、借りかえになるわけでございます。その借りかえ分が約七兆でございます。合計いたしまして十七兆五千億でございます。その中で、政府出資が一兆五千億、それから国鉄の自己資金が二兆五千億ございますから、合計いたしますと四兆。この四兆を除きましたものが全部借り入れ金でございます。いま先生の御質問の返還分は、実は返還できませんので、借りかえで返還してまいります。すなわち、同額を借りて同額を返すということになりますので、結局出ず入らずということになります。右から借りて左に出すということになりますので、その部分を借りたことに含めますと、十七兆五千億でございます。それを何から借りるか。これはそのときの政府の資金事情によりまして、財投の中でも預金部にたよるかあるいはほかのものにするか、あるいは公募債にするか、あるいは国鉄の自己調達と申しまして、国鉄が自分で調達する金がございます。国鉄がいわゆる政府のお力を借りないで国鉄だけで借金する金、これも予算上認められております。すなわち国鉄の自己調達とそれから政府にお願いする金と二つに分けまして、政府にお願いする金の中でも預金部から貸していただけますもの、それから公募債と申しまして、一般政府のシンジケートによって債券を募集する方法とございます。それらを合わせまして十七兆五千億でございますが、実際にその中で手取りと申しますか、実際に生きて使えるのは十兆五千億ということになるわけでございます。
  58. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 それは長期債務の償還計画といっても償還計画はないのであって、全部借りかえでございますね。私はあると見ていましたが、それがないとなったら、これだけの資金の重圧というものは、しょせん皆さんにとりましても国民にとりましてもたいへんなことでございます。この再建計画を読む場合に、借りかえ七兆円の債務は利子補給はございませんか。対象になるのですか。また孫利子は補給されるのですか。
  59. 磯崎説明員(磯崎叡)

    ○磯崎説明員 御承知のように、借りかえいたしますと全然債務の性質が変わってまいりますので、新規債務になります。したがって、これには利子補給はございません。
  60. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 運輸大臣、国鉄の総裁から見るとそうせざるを得ないですね。七兆円も返さなければならぬ。返さなくちゃならぬわけだけれども、これはいまの財政再建法にいう四十七年度末の旧債ではございませんで新債というわけだから、これは孫利子補給はない。孫利子の補給さえない。だからまともに利払いをしなければなりませんね。そういう点から見ますと、この十年の長期収支表といういただいたのがございます。この長期収支表の数字というものは信憑性があるかなというとどうも用語が悪いのでございますが、これでなおかつ五十七年度において償却後黒字になる、そういう計算というのはよほどの運賃値上げがなければ——一五%、一五%というけれども、そうじゃない。実質はもっともっと大幅値上がりがあるとか何かないと、これはほんとういうと成り立たぬでしょう。不安はございませんですか。不安というものはお感じになっていらっしゃいませんか。
  61. 秋富政府委員(秋富公正)

    秋富政府委員 ただいま国鉄が試算いたしております十カ年間の収支におきまして、いわゆる利子の支払い金額は約四兆五千億でございます。しかし今回の再建計画におきまして、昨年の御審議にもかんがみまして、四十七年度末の全債務、すなわち現行再建計画におきましては政府管掌債務だけでございましたものを、昨年の廃案におきましては政府保証債まで拡大いたしましたが、昨年の御審議にもかんがみまして今回は一般債務まで再建債を発行し、その利子を政府が補給するという制度にいたしたわけでございます。これによりまして十カ年間に政府が補助いたします金額は約五千三百億でございます。それからそれ以外に、いわゆる今後の工事につきましても三・五%までの利子補給をいたすわけでございます。この金が一兆五千億でございます。  そういたしますと、四兆五千億の利子の支払いはするわけでございますが、一方におきまして、利子の高率補助金、こういったもので二兆余入るわけでございますので、実際に国鉄におきまして利子の支払いは四兆五千億の中から約二兆五千億、こういうふうになるわけでございます。そういたしまして、これはいわゆる今後輸送量の伸びということを考えますと、十カ年後にこの利子の支払いということはきわめて可能である、かように考えておるわけでございます。
  62. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 純利子支払いは二兆五百億でございましたか、五百でしょうね、五千ですか。
  63. 秋富政府委員(秋富公正)

    秋富政府委員 私、間違えたかもしれません。二兆五千億でございます。
  64. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 純利子支払い額二兆五千億、こういうことになるわけですが、これが経営に打撃を与えないと運輸省の局長さんとしておっしゃっておいていただければわれわれとしてもそうかと思いますが、一般的に財政再建をする場合に、地方公営企業等におきましては、困ったときの資本というのを、帳じりはどうするかといえば、国の補助金のほかは地方公共団体の一般会計から繰り入れというのがあるというのです。そうしているのです。そうしないで、それでなければやれるものじゃないというのがいままでの地方公営企業の実態でございましたが、国鉄の場合は利子を払いなおかつ赤字赤字で残しながら、その後々において、十年先においては黒字になるとおっしゃるのですから、それは運賃値上げだとか、合理化がついておるのですから、これはたいへんなことでございますけれども、相当自力更生でございますね、自力を持って更生する。ほんとう独立採算の制度に戻って、とことんまでこの程度でやろうという——さらにこれでやれるものならということをいまおっしゃったことは、やれるということであったと思いますが、それでは、そこでちょっと私は伺いますが、市町村納付金というのが十年間に二千七百十二億円、これくらいなものは小さなものですね、感想としてこれは国鉄総裁から。
  65. 磯崎説明員(磯崎叡)

    ○磯崎説明員 納付金も決して小さいものではございません。
  66. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 運輸大臣にお尋ねいたしますが、そこで、いまの市町村の納付金のことをちょっとお尋ねします。  国鉄は、自力でもってはい上がろうとするその際に、国民に大きな迷惑をひとつ頼む。それは運賃の値上がり、十年後は運賃すべて二倍以上になるという大きな値上がりを求める。定期券なんかは三倍に近い、こういうような運賃値上がりを頼む。国民了承するかどうか知りませんよ。私らの耳に聞く声は、そんなことは困る。朝日新聞の世論調査を待つまでもなく、これは非常に第三番目に頭の痛いことだ、国民は。  それからもう一つは、労働者に対して十一万人の整理をする、こういうわけだ。これから七千キロも新幹線を敷くというときに人間を減らそうという、これなんか、私どもからいわせますと、算術としては成り立ちませんが、何かむずかしい数学をお使いになったんだろうと思いますけれども、普通のことならそれはとてもじゃないが人が足らなくてしようがない。新幹線構想に在来線を廃線にするわけじゃありませんから、地方路線はなお地方開発路線として残そうというときに、そういうような計画を立てられておることはどう考えてもわからない。そこで、国鉄の市町村納付金の問題につきましてちょっとお尋ねをいたします。  納付金はいまどれくらい一市町村当たり納めておるものでございましょうか。
  67. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    ○新谷国務大臣 数字は政府委員のほうから御説明させますが、市町村納付金についてはわれわれとしましては国鉄の財政状態にかんがみまして、なるべくこれを廃止してもらいたいという希望を持っておるのであります。昭和四十四年から軽減措置が講ぜられておることも御承知のとおりでございますが、市町村の財政状況からいいまして、これを全廃するというのはなかなか困難でございます。しかしこういったものも含めまして、いつも言うことでございますが、そういう市町村の納付金等すべて含めまして、国鉄の財政の再建をするために政府が利子補給をいたしましたり工事の補助をいたしましたり、あらゆる方法を総括して行なっておるというふうに御理解をいただきたいのでございます。数字は、いま政府委員から申し上げます。
  68. 秋富政府委員(秋富公正)

    秋富政府委員 四十三年度におきます納付金は百二十五億でございます。四十四年におきまして、納付金につきまして軽減措置がとられたわけでございます。その結果、四十四年は百七億に軽減しております。その後も軽減措置は毎年とられておるわけでございますが、一方におきまして、資産の増加というものが伸びておるわけでございますので、四十五年におきましては百十一億、四十六年は百十四億、四十七年は百十八億、こういう状況でございます。
  69. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 そこでこれは自治省にお尋ねをいたしますが、三公社と一口に申しまして、国鉄、電電公社、専売公社、この三公社につきましては、それぞれ固定資産税をお取りになっていらっしゃる。それが市町村納付金であろうと思うのです。電電公社等の場合は二百十四億ほど納めていらっしゃるそうでございますから、これは国鉄よりも非常にたくさんの金額を納めていらっしゃる。国鉄はそこのところは評価額のさじかげんか何かを御依頼なさいましたのか、協定ができましたのか、比較的少ないのですね。いまのお話でいいまして二百億になるのははるかに先でございますから、二百億になるのはようやく五十三年でこれでございますから、少ないといえば少ないですが、新幹線網を七千キロも敷こうという経済開発長期計画ですか、そういうときに、納付金の問題というものはこれは大問題でしょう。そんなやさしい問題で済まぬと思うのです。それに対して私は自治省の御見解をひとつ聞きたいのですが、三公社それぞれ平等に取っているのだから、国鉄だけ特別扱いにしてやめるというわけには相ならぬ、こういうことでございますか。それとも市町村納付金というのは、市町村の赤字時代を救うために創設されたものですから、国鉄赤字になったときには考えなければならぬと考えていらっしゃるのかどうか、その辺のところをちょっと自治省からお答えをいただきたい。
  70. 森岡政府委員(森岡敞)

    ○森岡政府委員 国鉄、専売、電電公社、三公社のいわゆる市町村納付金は、御承知のように固定資産税とのバラスンというふうな税制上の観点と、それから地方財政に対する財源付与と両方の観点からこの制度が設けられておると思っております。率直に申しまして、いまも御指摘がございましたように、国有鉄道につきましては、電電公社、専売公社それぞれ資産価額の二分の一ということにいたしておりますが、国鉄はそのほかにさらに新線建設については私鉄とのバランスなど考えまして、相当の軽減措置を講じておるわけでございます。国鉄財政、まことにたいへんではございますが、一方、また地方財政も御承知のように四十六年度、四十七年度、四十八年度と交付税の特別会計借り入れをいたしまして、その総額は約四千億円近い借り入れを、先食いをいたしておるわけでございます。そういう実態でございます。税制のバランスということもございますので、端的に申し上げまして、国鉄だけの納付金をやめるという考え方は、現在のところとり得ない、かように思っております。
  71. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 この間、地方財政計画の決算報告が国会になされまして、そのときには非常に多くの団体が黒字団体となりましたという御報告が自治大臣からなされておりましたが、私は、黒字になられて、親元のほうの国鉄赤字でございますから、これは理屈が合わぬなんと思って聞いておったわけでありますが、いまの話で、なおかつ交付税の先食いがあるとするならば、これは地方自治体の財政の足らないのも交付税率を上げてもらい、そうしてその財政の健全化をはかるということに本筋を置いてその折衝をなさるべきだと思うのです。国鉄から取るというのは、国鉄の百十八億をこえる何百億という何倍かの交付税のプラスがあれば、あなたのほうはそんなには問題にならぬわけです。国鉄のほうも無理して、おれは大きいんだから、大きな企業だから、それはやせても枯れても払うぞなんといういいことを言って百十八億を払っていらっしゃらぬでもいいと思うのですよ。どうして交付税のほうの率を引き上げするような交渉ができ上がらないのでございましょうか。
  72. 森岡政府委員(森岡敞)

    ○森岡政府委員 たいへん重大な問題でございますので、非常に役不足でございます。ただ、国と地方との財源配分の一番中核をなしております地方交付税率でございますので、その地方交付税率の引き上げを行なうということは、自治省といたしましては、地方財政強化のためにぜひ実現をはかるように、かねがね努力はいたしておるつもりでございますけれども、現実にはなかなか困難でございます。そういう問題も含めまして、地方財政需要が増高いたしておるわけでございますので、将来引き続いて努力をいたしたいと思います。  ただ、しかし、納付金の問題は、やはり事柄が違うのではないだろうか。お金の多寡の問題と負担のバランスの問題というものもございますので、その辺のところを整理をいたしまして考えなければならないというふうに思っておるわけでございます。  なお、黒字の話が出ましたが、決算の黒字というのは、交付税の先食いのほかに地方債で片づけましたものも相当ございまして、地方財政は非常に問題がある。国鉄赤字だから何とか考えろという御指摘、必ずしも当たらない、私はかように考えておるわけでございます。
  73. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 だから審議官、大臣の演説の原稿には地方団体は黒字になった、黒字団体がふえましたなんということをおっしゃらないで、赤字でございます、赤字でございますといわなければ、大蔵省が交付税を引き上げる動きなんか出てこないのじゃないですか。その辺をしっかりしてもらわないと、国鉄も泣いておるが、地方団体も泣いておるでしょう。  そこで利用債についてお伺いします。  新幹線がどんどん延びるに従って新幹線の資金をつくるために何とか利用債を引き受けてちょうだいという話を国鉄のほうから持っていったら、あなたのほうは、自治省は、そういうものは拒否しろという指令を出された。これはどういうことでございますか。
  74. 森岡政府委員(森岡敞)

    ○森岡政府委員 国鉄の利用債問題は、先生も御承知のように、昭和三十年代からいろいろ紆余曲折を経た問題でございます。端的に申しまして私どもは、地元との受益関係がきわめて明瞭な、たとえば駅前広場でありますとか、立体交差、駅舎改築、そういったようなものにつきましては、これは地元の地方公共団体のあっせんというようなことを通じまして資金調達に御協力をするということがあっていいんじゃないか。しかし、その当時からもう幹線電化でありますとか、そういう輸送基本になる工事の資金、これはやはり国鉄自体でお求めになるのが当然じゃないだろうか。かてて加えまして、地方団体に協力を求めておられます利用債の金利が、実質的に非常に低うございます。一般政府保証債あるいは他の国鉄債券に比べましてかなり低くなっておりまして、その結果、その金利であっせんをするということになりますと地方公共団体が持ち出さなければならない、一種の利子補給をやらなければならないということになるわけでございます。これも御承知のように、地方財政再建促進特別措置法では、地方公共団体は国や三公社にお金を出してはいけない、寄付をしてはいけないという財政秩序確立の観点からの規定があるわけでございます。そういうことも考えますと、利用債というものは、いま申しましたような受益関係の明瞭な地域的なものに限定すべきではないか、かように考えております。新幹線につきましてはまさにナショナルなプロジェクトでございますので、これはそういう意味合いにおいて、利用債、しかも金利について非常に問題がある利用債でもってその一部を地方公共団体にしわ寄せをしていくということはいかがなものであろうか、かように思います。
  75. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 あなたのおっしゃることはわかります。地方団体主義でいく場合はそうでありますが、そもそも利用債を利用するかどうかも、一がいに地方自治体にとりましてはきめがたいものだと思いますから、自治省が一本で、応諾するな、ノーと言いなさいという返事の指導をするというのは、いささか行き過ぎではないか、私はそのように思います。  それからもう一つ自治省にお尋ねしますが、道路公団の道路というのは、これは政府の出資でつくられておりますが、非課税になっておりますね。道路公団の有料道路がどうして固定資産税が非課税になり、そして市町村納付金がないのでございますか。
  76. 小川説明員(小川亮)

    小川説明員 ただいまの道路でございますが、これは有料の場合、償還が終わった場合は無料で開放するということになっておりますので、そういう観点から、いまの地方税法の中にあります公共の用に供する道路ということで非課税にされておるわけでございます。
  77. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 国鉄は公共の用に供されておらないのですか。国鉄の施設と比べてみて、有料道路も公共の用であるけれども、有料でございますから、通行料を取って供用開始しておるわけでありますが、経済社会発展計画によって敷設し、改良し、新設をして、そして料金を取って乗せておるという点においては、国鉄も何も変わりないじゃありませんか。それを道路公団は、やがて採算がとれたときにはただにして開放されるから、それは別だとおっしゃる理屈がそこで成り立つのでしょうか。なぜ国鉄のほうには町村の固定資産税にふさわしい税金を払わなければならぬのか、有料道路には払わなくて済むのか。上を通る人は一緒でしょう。有料道路の上も個人が通るのですよ。公共というけれども、公共というのを具体的に焼きつけしてみると、だれだれさんであり、何々君であり、何々会社でしょう。一緒じゃないですか。
  78. 小川説明員(小川亮)

    小川説明員 いまの道路の場合は、有料ということに問題があるかと思いますけれども、ただいま御説明しましたように、償還が終わったら無料で通すようにするということでございます。鉄道の場合は、私鉄におきましても固定資産税を取っておりまして、そういった関連もありましてこれは納付金を納めていただいているということでございます。
  79. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 運輸大臣にちょっと所見を伺いたいのですが、いまの市町村納付金はあまり大きな金額でないように国鉄のほうで言われておるのでありますが、しかし私どもから見ると、この有料道路とのアンバランスというものはどうも納得できない。だから、この際新しい制度を設けるというぐあいにかじをとっていただかなければならぬ問題じゃないかと思うのですが、どうなんでしょうか。
  80. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    ○新谷国務大臣 国鉄の総裁が申しましたように、百数十億というのは決して小さい金額とは考えておりません。従来もこの点につきましては関係省と絶えず協議をしているのでございますが、今後におきましても、先ほども申し上げましたように、市町村納付金というものはやめていただくことが望ましいことは言うまでもございませんので、その方向に向かいまして努力をしたいと考えます。
  81. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 そこで一つの例でございますが、国鉄のほうにお尋ねをいたしますが、広島の三江線の収入と市町村納付金、この関係でこの数字が非常に似通っていますね。地方ローカル線は納付金によって経営の赤字ということになり、それから地方ローカル線沿線の市町村というのはそういう納付金によってまた運営されていくという関係のようでございますが、三江線のその資料ございませんか。
  82. 磯崎説明員(磯崎叡)

    ○磯崎説明員 三江線は南線、北線ございますが、一応別々に申し上げます。  三江南線は広島県でございますが、これは二十八キロ、納付金が八百六十九万円でございます。収入が二千四百四十万円でございますので、収入の約三分の一が納付金に当たるわけでございます。  それから三江北線、これは島根県のほうでございますが、五十キロでございます。納付金が千六百四十万でございまして、収入が九千七百二十万でございます。したがって、やはり四分の一くらいが納付金に当たっている、こういうことでございます。
  83. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 自治省の固定資産税課長さん、いまの三江北線、南線というのは、いうなら非常な過疎地帯でございますから、国鉄としてはやめたいところの線路になっておるだろうと思うのですよ。ところが、そこにある数字は、三分の一あるいは四分の一というのは納付金で占められておる。ところが、その沿線の市町村にいきますと、この納付金がないとまたやっていけないのです、過疎地帯ですから。そういうところはあなたのほうは特別交付税でめんどうを見る、特別交付税を納付金以上にめんどうを見ることによって、納付金のほうの支払いを、一応こういう線は限定してもいいから、そういうローカル線等は一応受け取らない、支払いを免除するというふうなことにするような配慮というものは考えられないものでしょうか、将来のことです。
  84. 森岡政府委員(森岡敞)

    ○森岡政府委員 先ほども申し上げましたように、納付金の問題はいま御指摘の、ある特定の市町村に対する納付金の納付と、それからその地域におけるローカル線赤字の問題あるいは収入の問題というふうに特定して割り切ることはなかなか困難ではないか、かように思うわけでございます。やはり先ほど申しましたように、税制の負担のバランスとかあるいは地方財政全体の問題ということでお考えいただかなければならない。具体的な問題といたしましていまのようなお話がございましたが、それでは先ほど御指摘の地方公営企業の大都市地域におきます今後の赤字処理の問題、一般会計で相当な負担をしてもらわなければなりません。それについて一体どういう財政措置を講ずるのかということになりますと、私どもまことに頭の痛い問題をかかえておるわけでございます。過疎地域、過密地域全体を通じまして財政的に非常に窮迫の度を加えている実態でございますので、個別の事情に応じましてそういう措置を講じますことは困難ではなかろうか、私どもはかように考えます。
  85. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 それでは自治省さんについでにお尋ねをいたしますが、地方公営企業助成というのはあなたのほうでいろいろ苦心をなさっておる。もう一度、現行の地方公営企業赤字をどのようにして補てんされ、今後の運営をどのような制度で調整されていこうとなさっていらっしゃるか、これをあらためてお尋ねをいたします。
  86. 森岡政府委員(森岡敞)

    ○森岡政府委員 地方公営企業の場合には、地下鉄の問題と、それから電車、バスといういわゆる路面交通の問題、この二つに分けて私ども整理をいたし、所要の予算措置を大蔵省と協議してきめておるわけでございます。  地下鉄につきましては、先ほど来お話が出ておりますように、国鉄とほぼ見合うような措置を国の助成及び地方公共団体の一般会計負担によりましてやってまいるという考え方でございます。細部につきましては若干違います。簡単に申しますと、将来の建設費に対しましては、これは先ほどお話しございましたが、従来純工事費の五割、八年分割の補助でございましたのを六割六分、六年分割の補助に改善をする。それから既往の過去債の償還につきましては、四十六年度以前の既往債、これは従来政府資金債だけを孫利子補給をして償還しておりましたのを、縁故資金分まで全部たな上げをして孫利子補給をする、こういうことにいたしたわけでございます。  路面交通につきましては、御案内のように路面電車をだんだん撤去いたしております。それがバスに切りかわってきておりますが、路面渋滞によりまして非常に混雑の度で締められております。その不良債務がおそらく四十七年度末で大体八百億円をこえるであろうというふうに考えているわけでございます。それにつきまして、まず再建債を発行いたしましてその不良債務のたな上げをいたしたいと考えております。再建債の元利につきまして、まず利子は大部分を国に補給してもらうということにいたしました。元金につきましては、公営交通でございますので地方公共団体の一般会計負担をして、それで再建計画期間内に償還をする、これは公営交通の将来の収入でもって措置をすることができないという見通しを立てまして、一般会計によって措置をするということにいたしたわけでございます。  なお、このほかにいわゆる行政路線という問題がございまして、不採算線ではあるけれどもどうしても運行を継続しなければならない路線について、赤字の援助をしてほしいという要請が地方団体に非常にあるわけでございます。しかしそれにつきましてはなかなか認定が困難でございますので、これにかえましてバス購入費について一定期間補助金を国庫から出していただく、こういうふうなことにいたしました。  しかし、そういうふうな措置を講じつつ一番大事なことは、路面交通の渋滞あるいは混乱を整理するということがどうしても必要であると思います。公営バスのみならず、民営バスも含めまして公共交通機関の優先通行を中心といたしました交通環境の整備を思い切ってやっていく。これは自治省だけでどうにもなりませんので、運輸省あるいは建設省、関係各省と十分御相談をいたしまして進めてまいる、そのように考えております。
  87. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 運輸大臣、いまのお話等をお聞きになって、企業外で措置されていって企業がたいして大きな負担を負わなくてもいいようになっておる地方公営企業の場合と、国鉄のように企業外の負担ということはなかなかありませんで、最後になってくるとほとんど国鉄負担にのしかかっておるような場合と、少し扱い方が違うような気がするのです。名前が違うからそうなのか、どういうわけなんでしょうね。少し地方公営企業のほうが再建策と具体策というのはあたたかいじゃありませんか。その点はいかがですか。
  88. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    ○新谷国務大臣 おそらく沿革もあるし成り立ちも違いますからお説のような結果になっているかと思いますが、私どもとしましては地方公営企業との関連よりももっと広く、全国的なネットワークを持っている国鉄でございますから、これが全体としまして国民全体の利益になるように再建をしようということで、先ほど申し上げましたが、いろいろの角度から、赤字の出る点、経営のやり方に対して補助をしなければならない問題、いろいろございますが、それを全体総括的にひっくるめまして、さっき申し上げましたような今度の再建策の基本方針をきめたということでございます。  なお、場所によりましてはおっしゃるような点が出てくるかと思います。まあこれらにつきましては今後も検討いたしまして、国鉄がその地域においても非常に劣勢な地位に置かれないような配慮をしなければならぬと考えております。
  89. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 非常に国鉄再建を考えてみますと、複雑になってまいっておるような気がいたします、世帯が大きいだけに。そして、もうすでにそのようなことを何回も何回も繰り返していた地方公営企業等は、どちらかというと、この場から見るならば、手厚い保護を受けているように感じられる。ですから、国鉄再建についても公営企業をひとつ見習う必要もあるような気がいたします。  それはそれとして、そこでもう一つ心がまえを承りますが、国鉄には出資金というのがございますね。この出資金が現在、全部でどれくらいありましょうか。一千億近くあるじゃありませんか。政府の出資金じゃありませんよ。国鉄がそれに関連する会社、団体、いわゆる投資会社等に出資しておる金、これが一千億ぐらいあるじゃありませんか。これはたとえば、帝都高速度交通営団に百八億とかあるいは日本鉄道建設公団に七百二十六億、これは小し数字が古いかもしれませんので、あれでございますが、京葉臨海鉄道五億、神奈川臨海鉄道五億、日本交通公社三億、名古屋臨海鉄道七億、日本オイルターミナル株式会社四億、全国通運株式会社四億、日本飼料ターミナル四億、こういうようなぐあいに幾つか、何億というのが出てくるのでありますね。その他、一ぱいございますが、これはいま現在、どのような状態でございますか。いま、私が申し上げた数字はたぶん違っておるのじゃないかと思いますので、大まかなところを、どのようなところに幾らぐらい出していらっしゃるか、総裁からひとつ……。
  90. 磯崎説明員(磯崎叡)

    ○磯崎説明員 国鉄の出資には、単独法に基づく出資と、国鉄法に基づく出資と二つございまして、いずれも法律に基づくものでございます。  単独法に基づくものといたしましては、いま先生御指摘の東京の地下鉄、すなわち、帝都高速度交通営団、これがいまおっしゃった百六十億三千四百万円でございます。出資比率が五七二%、これは国鉄と東京都の共同出資になっております。それからもう一つ、単独法に基づくものは、日本鉄道建設公団でございます。これが七百二十六億五千四百万円、これは相当現物出資いたしておりますので、こういうふうに金額が上がっております。これは出資比率が四六・三%、これが国鉄政府の出資のものでございます。この二つは特別法に基づく出資でございます。  そのほか、国鉄法の第六条によりまして、関連事業に出資することを認められております。この関連事業の出資の合計が、現時点におきまして二百十億でございます。内容は、政令でもって業態別にきまっておりますが、具体的に申し上げますと、まず乗車券の代売事業でございます。それから、バスターミナルの運営事業、臨海鉄道、民衆駅でない旅客ターミナルの施設の建設事業、これは最近始めたものでございます。それから、物資別のターミナルの運営事業、それからこれは日本通運でないほうの通運事業、パイプラインの運営事業と、これらでもって合計三十六社でございます。そのうち、現在開業いたしておりますのは二十四社でございます。  以上でございます。
  91. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 合計幾らになりますか。
  92. 磯崎説明員(磯崎叡)

    ○磯崎説明員 先ほどは資本金の合計でございまして、国鉄の出資額は八十億七千九百万円でございます。三十六社、開業いたしておりますのは二十四社でございます。
  93. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 いまの八十億とおっしゃったのは三十六社でございますが、日本鉄建公団等の金額七百二十六億とかいうのを加えますと、ずいぶんたくさんあると思うのです。そうすると、いうなら、そのメリットと申しますか、これが国鉄にいかなる寄与をしておるのか。巷間うわさするところによりますと、一つの投資会社がふえるごとに何十人とか何百人の国鉄のどうやらこうやらという人たちが助かるというようなうわささえあるときでありますが、いかなるメリットをお考えでございますか。
  94. 磯崎説明員(磯崎叡)

    ○磯崎説明員 大まかに分けまして、国鉄の営業増進と申しますか、旅客貨物の収入増加をはかる方法が一つと、それから旅客に対する接遇と申しますか、ターミナルにおけるお客さんのサービスというような面の問題、これはバスターミナルを含めまして、そういうターミナルの問題と二つあると思います。そのほかに、間接的にはもちろん配当の利益も考えなければいけませんが、これは非常にわずかでございます。  まず国鉄の営業増進という立場から申しますと、乗車券の代売事業、これは二社でございますが、日本交通公社と日本旅行でございます。これは国鉄のできません市内のいろいろなところに案内所あるいは乗車券の販売所をつくりまして、そして一般のお客さんが駅に来ないでも切符を買っていただくというようなたてまえでもって、国鉄の窓口をうんとふやすという意味の投資をしておりまして、過去の実績から申しましても、国鉄の窓口の収入の伸びよりは、市内の便利なところの窓口の収入の伸びが非常に大きいということになっております。  それからバスターミナル、これは三カ所でございまして、これはわずかなものでございますので省略いたします。  旅客ターミナルといたしまして、いままでいわゆる民衆駅という方式によってやっておったわけでございますが、民衆駅と申しますと、どうしても国鉄としてのいろいろな監督なり、支配ということばは不適当でございますが、何と申しますか影響が弱いということで、やはり出資をしてきちっと国鉄の営業規模の中に入れなければいけないというふうなことで、最近でございますが、平塚、名古屋、岡山等八カ所に旅客ターミナルの駅を、いままでの民衆駅と似たようなものでございますが、国鉄の出資する民衆駅をつくったということでございます。これは工事中でございまして、いずれもまだ開業いたしておりません。  それから臨海鉄道、これは十二社ございます。これは最近各地にできます新しい港、そしてそれらの臨海工業地帯、これをほっておきますと、全部トラック、船に荷物が逃げてしまいます。そして鉄道輸送にはほとんどかからない。性格的に申しましても材料輸送——原料輸送はほとんど海外からまいりますが、せめて製品輸送でもひとつ国鉄輸送したいということで、その地元の府、県、市、それと関連企業等と共同いたしまして臨海鉄道会社をつくりまして、そこでもってせめて製品のうちの相当部分を鉄道貨物輸送するということで、これは間接、直接に鉄道の収益をふやすという形でやっております。  それから物資別のターミナル会社、これは九社ございます。これはやはり同じような趣旨でもって、特殊なものにつきまして、そしてそれを鉄道輸送に乗せるというたてまえで出資をいたしまして、そして荷主として、また株主として国鉄を利用してもらうというやり方でございます。  それから全国通運につきましては、これは共同通運施設の運営事業ということで、国鉄の通運事業を円滑にするために、日本通運以外の新規免許店を糾合いたしました全国通運に国鉄として投資いたしております。  それから、まだ開業いたしておりませんが、パイプラインにつきましては、現在パイプラインのトランクラインと申します本線のほうは国鉄が直営でやりますが、各製油会社から集める集油設備、ギャザリングラインと申しておりますが、それは国鉄と石油会社の共同出資でもって会社をつくりまして、これはいま工事をやっておるところでございまして、まだ開業いたしておりません。  以上、直接間接に国鉄の収入増加をはかるという意味でやっておるわけでございます。  また、地下鉄に対する出資は、これは御承知のとおり国鉄がとても都市交通全部をやり切れない、先ほどお話もございましたが、そういう意味で国鉄が出資いたしますと、それの十倍の交通債券を法律で発行できるようになっておりますので、たとえば十億出資すればそれが百億になって生きてくるという意味で、地下鉄に出資し、また鉄道建設公団には、これが国鉄から分かれた法人でございますので、設立のときに新線建設のものを全部鉄道建設公団に出資いたしまして、これはほとんど全部が現物出資でございます。そのほか若干の現金出資がございますが、ほとんど全部現物出資でもって建設中の隧道だとか路盤だとかいうものを出資したわけでございます。  以上でございます。
  95. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 言うならばその中で引き揚げ可能なものを私は引き揚げてはどうかという意見です。九百億も一千億もそういうところに投資する必要が今日の国鉄にあるであろうか。口さがないスズメどもはそれは国鉄のそれぞれの考えのある人たちが天下るための職場の造成だ、こう申しておりますが、一千億の道楽はちょっと痛い。もしも帝都高速度交通営団だとか鉄建公団等に投資が必要とするなら、その趣旨は貫きつつこれを国において肩がわりしてもらうというようなことを、この際御研究なさることが必要であろうと思うのでありますが、いかがでございますか。
  96. 磯崎説明員(磯崎叡)

    ○磯崎説明員 その点は全くお説のとおりでございまして、実は建設公団につきましては、一昨年から——それまで毎年五千億前後の出資をいたしておりますが、とても出資できないということで一昨年からやめまして政府に全部肩がわりをお願いいたしておるわけでございます。現在は出資いたしておりません。  それから地下鉄のほうは先ほどの通勤輸送と申しますか、都市交通の緩和でもってどうしても国鉄と営団というものは一体になって都市交通をうまくやっていく。ことに最近はいろいろな直通運転等の問題もございまして、国鉄、私鉄、営団というふうなものがいわば一つの企業体のような形になってやっておる関係上、資本的なつながりというものは必要じゃないかというふうに思うわけでございます。
  97. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 同じことを運輸大臣どうですか。投資引き揚げという引き揚げ論に対する所感。
  98. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    ○新谷国務大臣 この問題は一般的には申せないと思いますが、個々の具体的な問題について具体的な考え方をまとめていかなければならぬと思います。御趣旨はよくわかります。個々につきまして検討いたします。
  99. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 それから郵政省の関電気通信参事官が来ていらっしゃいますね。郵政省監督の電電公社というのは同じ三公社でありながら、運輸大臣とは違って非常に監督のしやすいように中がきれいに区処されておるように感ずるわけです。最近承りますと、公社の決算というのは非常にようございまして、四十八年度の予算等を見ましてもこの償却がそのまま建設勘定に入るというようなほんとうに健全な経理、予算の仕組みを発表されております。私は実にみごとなものだと思うのですが、三公社と一口に言いますけれども、苦労しても苦労しても泣きの涙の国鉄と、ふところ手でプッシュボタンの電話をお使いくださいなんといって気持ちのいいPRをテレビでおやりになります電電公社とは、どうして兄弟公社でありながらこんなに違うかと思う。郵政省の電気通信参事官関さんにお尋ねをいたしますが、電電公社はこのようにいまのところは健全な財政の仕組みでございますが、どこかに危機があったのか、将来の危機が予想されるのか、このことについて少し御所感をいただきたいことと、PRの宣伝費を二十億ほど使っていらっしゃるそうです。私は宣伝も非常に必要なことと思いますが、電電公社は独占でございましょう。独占であるのに宣伝費が二十億くらい出ておるというのですが、それは何をねらっていらっしゃるのか。私は将来の事業そのものの安定をはかるために、将来の発展計画だろうと思うのです。そうだろうと思いますけれども、私がそんな想像をしては不遜の至りでございます。電電公社の経営内容についての御所感と、PR二十億についての意義をこの際ひとつ御説明をお願いしたいと思います。
  100. 関説明員(関正明)

    ○関説明員 お答えいたします。  まず第一に、電電公社の経営がたいへん健全に行なわれてきたという点でございますが、いろいろな要素が考えられるかと存じますが、何と申しましても電気通信、特に電話に対します旺盛な需要というものが、電電公社の経営を健全にしたという第一の事柄であろうかと思うわけでございます。  それから第二に、申し上げるまでもなく電信電話事業は技術中心の事業であるといっても過言でないかと思います。特に電気通信に関する技術というものは非常に発展の度合いが目ざましいものがございまして、電信電話事業といたしましてはその成果を十分取り入れて事業の合理化近代化ができたということがあげられるかと存じます。  それから第三に、電信電話事業も国鉄と同様に非常に膨大な設備資金を要する事業でございますが、その資金調達につきまして利用される皆さまからたとえば電話をつけていただく際に、東京ですと十五万円というような電信電話債券を引き受けていただくという制度がございます。いわゆる受益者負担の制度、こういったものが公社の経営の健全化に非常にあずかって力があったと思います。  なお資金調達の点につきまして付言いたしますと、昨年度からいわゆる公募債の発行等も電電公社が行なえるような措置をとりまして、資金調達の多様化をはかるというふうな方法を講じておるわけでございます。しかしながら四十六年度におきましては実は設立以来初めてでございますが、四十三億円の赤字を出しております。これは四十六年度の経済事情等にいろいろ影響されたわけでございますが、こういう事実がございます点と、それから最近における各種経費の増高等の傾向を見ますと、これまでのような健全な経営を維持するということにつきましてはなかなか困難性が今後は出てくるのではなかろうかということを私ども考えまして、公社と十分連携を保ちながらそういう事態の起きないような努力をいたしたいと存じておる次第でございます。  それから御質問の第二の点でございますが、公社のPR経費といたしまして御指摘のような金額を使用いたしておりますが、電電公社といたしましては、PRの目的はまず第一に制度の中身を利用される皆さまに十分知っていただきたい。こういう点でこれを重点的に振り向けておるわけでございます。特に昨年度から本年度にかけましては、いわゆる広域時分制というような新しい制度を実施いたしておるわけでございます。利用される皆さまにこの制度の中身を十分御理解いただきまして、電話をお使いいただくということに重点を置いておるわけでございます。またプッシュホンの点につきまして御指摘ございましたが、プッシュホンというものはなかなか新しいいろいろなサービスが提供できるまことに便利な機械でございまして、これを大ぜいの方々に御利用いただくことによりまして、電電公社の財政面にも結果的にたいへんプラスになるというような点もございますので、電電公社といたしましてはたいへん力を入れてPRをいたしておる次第でございます。  いずれにいたしましても、電電公社、もちろん公共事業でございますし、また独占企業でございますので、PRにつきましては節度あるPRを行なわなければならないと存じますから、この点につきましても電電公社の指導等、私ども十分配意してまいりたいと存じておる次第でございます。
  101. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 電電公社の現況というのは、ほんとうに独占企業でございますから、恵まれた点があります、無理がきくわけでございますね。そういう意味でお話を聞きました。あなたのほうは無理がきく。国鉄のほうはそれがきかない。独占がくずれたという前提がありますので、同じように論ずることはやはりできないですね。しかし、独占でありながらなおかつ二十億の宣伝費を投じていらっしゃる。これはむだなお金であるのか、ほんとうに合理的であるのか、私も判断できませんけれども、そこで国鉄の「ディスカバー・ジャパン」のポスターの話に移りますが、総裁あれは何のねらいでございますか。
  102. 磯崎説明員(磯崎叡)

    ○磯崎説明員 あの宣伝は、実は万博が昭和四十五年の九月何日かに終わりました。万博で二百何十億の収入をあげましたが、その後非常に急激にお客さんが落ちることが想定されました。たしかあの年の夏少し前くらいから、九月以降どうやってお客さんをとどめるか。ことに万博で出てしまいますから、秋になってもたぶん人が出ないだろうという想定のもとに、何か新しい企画で国民に呼びかけるというようなことをすべきであるということを考えました。そして、いままでのいわゆる観光施設というふうなことでなしに、日本を見直そうという、ちょうど川端先生のあのお話もございまして、何か日本を見直すという角度から、いままでのただ温泉の宣伝だとかスキーの宣伝ということでなしに、日本全体を見直すというふうな立場から、国鉄が宣伝をする。そして僻陬の地にまで人に行っていただく。ことに女性の旅行者が非常にふえたということもありまして、そういう方々にも、ぜひ日本のいままで見なかった、人の行かなかったところへ行ってもらう、見てもらうという立場から考えましたわけでございます。私どもといたしましては、昔からやっておりました、いわゆる旅客宣伝の非常に新しい面を開くつもりでやったわけでございます。
  103. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 いまのお話は、客の落ち込みを防止するためにおやりになった。万博以後の何か危機感に備えての対応策のように承りますが、しょせんは観光地の宣伝でございましょう。そうすると、国鉄の使命は、観光地にお客を呼び寄せる、あるいはまたどこどこの温泉町を有名にするということが目的ではない。そういうところにお客さんが行けば、もちろん国鉄も利用してくださるであろうし、観光バスも利用するかもしれない。そういうことをおやりになるのは、いまのあなたの投資会社の中の交通公社でしょう。交通公社がおやりになるならいいが、国鉄がおやりになる。どうしてそういうことを、投資会社の交通公社が引き受けないのでございましょうか。
  104. 磯崎説明員(磯崎叡)

    ○磯崎説明員 もちろん交通公社もやっておるわけでございますが、ただ交通公社としては海外あるいは国内、両方をいろいろやっておると思います。私どもといたしましては、お客さんに乗っていただかなければ、やはり仕事にならぬ。ことに、なるべくできれば遠距離を乗っていただきたいという気持ちがあるわけでございます。したがって、あれをごらんくださいましても、いままでいわゆる観光地としてそう宣伝されなかった、たとえば奥能登だとか、あるいは町でいえば倉敷だとか、山陰のちょっとひなびた町だとか、いままでと違ったところにポイントを置いて、そしてそういうところをお互いに日本美の再発見をしよう、というと多少おこがましいとおしかりを受ければ別でございますが、私どもといたしましては年間数千億のお客さんを運ぶ以上、何かそういうこともしなければならない。そしてあわせてそれを国鉄の収入の足しにもしたい、こういうような気持ちでございまして、交通公社は交通公社で海外宣伝とあわせて国内宣伝も若干やっているようでございます。やはり私どもといたしましては、私どものお客さんでございますから、海外旅行に先がけて何とかまず国内を見ていただきたいというふうな気持ちでやっているわけでございます。
  105. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 運輸大臣にお尋ねしますが、交通公社というのは二つあるのでしょう。どういうふうに分けられておりますか。
  106. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    ○新谷国務大臣 株式会社と公益法人と二つあるということを聞いております。その内容につきましては、政府委員からお答えさせます。
  107. 秋富政府委員(秋富公正)

    秋富政府委員 昔は、日本交通公社は一つの公益法人でございましたが、それを二つに分けまして、一つはいわゆる観光開発、その他一般の観光におきます公益的な使命というもので公益法人が存続してきまして、もう一つは、いわゆる営利に徹するという意味におきまして、新しく株式会社の日本交通公社ができたわけでございます。
  108. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 そうすると、交通公社の場合を論ずるのには、われわれは株式会社交通公社を論じなければいけないということになりますね。ですから、その株式会社交通公社は国鉄の乗車券を売り、そして「ディスカバー・ジャパン」に示されたいろいろな名勝あるいは景勝の地を発見されたところに行く団体を募集し、というようなことになるのでしょうね。同時に、株式会社、営利法人、商事会社でございますから、それこそもうけなければならぬわけです。国鉄との相関関係においては、国鉄一般の会社と同じように見ておるのか、それとも先ほどのお話の、自分の分身のごとく見て、そしてそこに投資なさったのか。どういう関係に置かれているのでございますか。
  109. 磯崎説明員(磯崎叡)

    ○磯崎説明員 株式会社交通公社のほうにつきましては、やはり私のほうの窓口、それも国鉄でできない面の窓口をふやすということが主でございます。したがって最近も非常に窓口をふやしておりますけれども、私のほうの駅の窓口でできない、たとえば切符と旅館のあっせんをくっつけるとか、あるいは鉄道とバスの一貫した切符を売るとか、そういう意味の旅行の総合的な案内をさせるという趣旨でございまして、分身と申しますが、いまでは実は私のほうからの収入が半分以下になっておりまして、交通公社の収入を調べますと、国鉄の収入よりも、ほかの飛行機会社あるいは国内の旅館のほうの収入が多いわけでございまして、分身というと、公社の方々から非常にしかられますのでそういうことは申しませんが、ただ私のほうといたしましても、あれを使うことによりまして窓口をふやして、そして旅客の誘致をはかる、こういう趣旨でございます。
  110. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 投資会社ですから、何億かの金が入っているわけでございますから、そういう意味で、国鉄は交通公社をどう見て、これをどう活用していくかという相関関係はもう少し明らかに解明されておらなければならぬと思うのです。  そこで、私はいまの宣伝費のことをちょっと承っているのですが、国鉄は年間そういうことでどのような宣伝費をそこへ使っているかをお示しいただき、あわせて交通公社のほうは、ここにございますように、日本交通公社の発行のものはエースと申しますね、国鉄の御発行なさいますものはエックと申します。こういう二色にする必要があるのかどうかという点を、私もふしぎに思うのであります。国鉄が商売熱心なのはいいのですが、しかし交通公社のほうが中心となっておやりになって、あなたのほうの宣伝は公社のほうでおやりいただくというふうなことになってこそ、相関関係は緊密になり、そして交通公社が存在し、国鉄が投資しているという理由もあると思う。わずかの配当があるか存じませんけれども、それでは間に合わない。もう少しその辺のところを、不即不離と申しては、交通公社のほうは、いや国鉄のほうにそうお世話になっておらないよということになるかもしれませんが、少なくとも国民は交通公社と国鉄関係はきょうだいのように思っていますから、どこそこの管理局がこういうポスターをつくった、どこどこの鉄道管理局がこういうポスターをつくったと、ポスターの競演を行なって猛烈な宣伝費を使うというようなことでなしに、その辺のところがもう少し有機性というのは考えられないものであろうか、いかがでございますか。
  111. 磯崎説明員(磯崎叡)

    ○磯崎説明員 たいへんごもっともな御質問だと思います。私どもといたしましても交通公社に、たとえば増資に応ずるような場合には、私どものほうから出した金を何に使うかということをはっきりさせます。たとえば、もちろん金に色目はございませんが、うちの出資相当分は何に使うかということをはっきりさせます。これは主として案内所の増設と申しますか、国内における窓口の増設に使わしておりまして、それを外国の支店をつくるとかということには一切使わせないということは厳重にやっておるつもりでございます。ですから、先ほどちょっと申しましたように、大体交通公社の収入の半分くらいは飛行機、旅館その他いろいろ外国のエージェントもやっておりまして、そういうほうからきておりまして、必ずしも全体のウエートを国鉄だけに置けということはなかなかむずかしいのじゃないか。やはり交通公社としては海外旅行その他のことも十分考えなければいけないということで、私どもとしては私どもなりの宣伝というものはやらなければいけない。しかし、先生のおっしゃいましたように、時によりましては交通公社と共催でもって新聞広告をするというふうなことをやっておるわけでございます。  また国鉄の宣伝費は十五億でございまして、全体の収入に対しまして約〇・一四%ぐらいの宣伝費でございます。ただ、この宣伝費の中にはいろいろなほかのいわゆる広報関係も入っておりまして、一応十五億でもってやっておるわけでございます。
  112. 井原委員長(井原岸高)

    井原委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  113. 井原委員長(井原岸高)

    井原委員長 速記を始めて。  本会議終了後再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時四十四分休憩      ————◇—————    午後四時二分開議
  114. 井原委員長(井原岸高)

    井原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。太田一夫君。
  115. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 最初に、経済企画庁小池計画官がおいでになっていらっしゃると思いますのでお尋ねをいたしますが、国鉄でいう地方閑散線、ローカル線あるいは地方開発線と申しますか、こういう鉄道の線路の今後の使命でございます。一時は非常に多くの、八十三線を撤去したいというような話もあったことがあるのでありますが、いまは国土開発計画に従いこれを存続する、強化するという方向に進んでおるように思えるわけであります。  そこでお尋ねいたしますが、いままで新産業都市と鉄道という問題が論ぜられたことがあります。新産業都市の建設促進法をつくりましたときにもこれは非常に交通の問題が付帯的に論ぜられまして、そうしてその後におきまして新産業都市は北海道の道央、青森の八一尺宮城仙台湾、福島の常磐郡山地区、新潟、富山高岡、松本諏訪、岡山県南、徳島、東予、大分、それから日向延岡、不知火有明大牟田、こういうように相当数の市と町村を包括いたしまして新産業都市が建設されておる。この新産業都市は失敗したと言う人もあれば成功したと言う人もありますけれども、新産業都市と国鉄というのは切っても切れない関係があると思うのです。これまた切っても切れない関係が出てこなければうそでありまして、そうでなければ交通体系というものは存在しないと一緒であります。この関係は今日以後どういうふうに考えていらっしゃるかということと、あわせて地方開発促進法と国鉄関係でありますが、地方開発促進法と国鉄関係においても、やはりこの地方開発促進法の対象地域のそれぞれは、国鉄なくしてはこれまた成り立たぬものでありますから、そういう関係におきまして地域開発と鉄道というテーマになろうかと思いますが、どういうように経済企画庁はとらえていらっしゃるか、この点についてお尋ねをいたします。
  116. 小池説明員(小池力)

    ○小池説明員 お答えいたします。  四十六年十二月に、臨時総合交通問題閣僚協議会で総合交通についてという取りまとめができています。この中に、地方閑散線の問題につきましては、閑散線の道路輸送への転換につきまして、地域の交通事情あるいは鉄道としてのネットワークの維持、他の交通機関との比較における経済性等を勘案いたしまして、現在路線のうち鉄道としての特性に適合しないと認められる路線を順次自動車輸送に転換していくということがまとめられてございます。今度の再建案でございますと、地域開発の見通し等を勘案して弾力的に進めるということになってございますが、基本的な考え方といたしましては、当該地域の実情あるいは代替交通機関の状況等を考慮の上、地元の同意を得て積極的に行なうということになっておりますので、総合交通体系の観点とは一致しているのではないかというふうに考えております。
  117. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 国鉄総裁にお尋ねいたしますが、新しくできた新産業都市とその経済活動に協力する国鉄という関係については、国鉄としてはどうお考えになっていらっしゃいますか。
  118. 磯崎説明員(磯崎叡)

    ○磯崎説明員 新しくできました新産都市、またこれからつくろうという新産都市の中には、まずほとんどの物資の集散が鉄道によるものが大部分だと思います。したがって、そういう地域につきましては、極力輸送力増強いたしまして客貨の輸送に万全を期していきたいというふうに思っております。
  119. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 経済企画庁にお尋ねしますが、経済社会基本計画というのは、一体いまの新産業都市とかあるいは地方開発地域とかいうような計画との関連においてはどういうふうにこの中に解明をしておりますか。そういう新しい都市づくりをする場合においては、国鉄というものに依存するのでなくて、物資流通はトラックとか道路に依存するのだということでございますか。
  120. 小池説明員(小池力)

    ○小池説明員 経済社会基本計画でございますが、これにつきましては、国全体の今後の経済運営の方向につきまして述べてございまして、特に地域の問題について、いま御質問のございました新産業都市をどうするかというようなことについては触れてございません。御承知のとおり、現在新全国総合開発計画の見直しをやってございますので、こういった過程の中で、地域問題につきまして一そうきめこまかい検討がなされるかと思います。  さらにお尋ねの地方閑散線の問題でございますが、先ほど申しましたとおり、大きな方向といたしましては、地域内の輸送と申しますのはやはり全部自動車道路に依存いたします交通が非常に随意性、機動性等の観点から見ても望ましいのではないかというふうに考えてございます。で、代替輸送機関確保に合わせまして漸次自動車輸送に転換をしていくということが、総合交通体系の観点からは望ましいわけでございます。しかしながら、地域開発の見通し等もあわせて、あるいは代替輸送機関の整備といったものとテンポを合わせながら、こういった方向を順次はかっていくというふうに述べてございます。
  121. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 重ねてお尋ねをいたしますが、地方開発促進法、これは日本全国ほとんどくまなく網羅されておるようなものでございますが、北海道、九州、四国、中国、北陸を中心として真に開発促進を必要とする地域におきましても、あるいは首都圏並びに中部圏、近畿圏等のある程度開発された地域の開発促進法にいたしましても、その中心が鉄道と道路であることは事実で、道路のみであるということはあり得ない。いまのお話なら国鉄再建は不要だということであります。これは重大問題じゃありませんか。
  122. 小池説明員(小池力)

    ○小池説明員 どうも失礼いたしました。私、申しておりますのは、地方の交通手段というものが、総合交通体系の上でどういうふうに位置づけられているかという点でございます。何度も繰り返すようでございますが、先ほど来申してございますように、鉄道としての特性に適合しないと認められる路線につきましては、漸次自動車輸送に転換していく。そのためには、先ほど来申してございますような地域開発の見通し等を勘案いたしまして弾力的に進めていくし、それから当該地域の実情あるいは代替交通機関の状況等を考慮いたしまして、地元の同意を得て推進してまいったらいかがかというのが総合交通体系の考え方でございます。
  123. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 小池さんと押し問答になっては、これは私も本意じゃない。地方ローカル線の問題をお尋ねするのは、鉄道の幹線を否定するという思想は私はどこにもないと思うのです。何々本線といわれるものは、ローカル線であろうとなかろうと、それを否定する意見というのはわが国内にはない。けれども、その他の線というのは、いまの開発促進法の対象地域にたくさんあるのです。しかもこれは相当幹線になっておるところがあるのです。だから私が言うのは、地方のローカル線、閑散線といわれておりますが、ローカル線のバスへの転換輸送がどうかということだけのことではない。それはこの経済社会基本計画では、おっしゃるように鉄道の使命を終わって、バスに代替できるところは代替していこう。だから今度の計画を見たって、年間ほんのわずかしかない、こういうことでありますが、しかし、地域開発と鉄道という問題は、代替できるから代替しようなどというものじゃなくて、もっともっと大きな使命を鉄道は持っておるんだ。鉄道は公共の福祉を増進するというのが第一使命で生まれたものであって、営業利益、利潤追求方式ででき上がったものではございません。  そこで経済企画庁に、この新しく出ておる経済社会基本計画、こういう読みにくい本の中にどう書いてあるかということを端的に教えていただきたい。それは特に新産業都市で新しい都市が生まれてきておる。まあ新産業都市論なんかで古い話でありますが、その中にできた、現実にあらわれたところがある。それも鉄道なくしてはいかぬ。鉄道を否定することができない。鉄道が大事な役割りをになってきておる。ましてや地方開発促進法によるその地域、それは北海道から東北からあるいは甲信越から中部圏から近畿圏から九州、四国、中国に至るまで、これはもう鉄道網が、完全に赤い血が流れておらなかったらその開発ができぬということが基本計画になっておるはずだ。だから、そういうことの関連において鉄道の位置づけは、経済企画庁はどう考えていらっしゃるのですか、こういうことです。それは鉄道は大切だろうと思うのです。あなたの意見だと、どうもちょっとほんの盲腸線か何かの話を考えて、バスに代替できればバスとおっしゃいますが、それはあってもいいですね。それはあってもいいかもしれません。けれども地方開発線、地域開発と鉄道という関係では、もっと大きな命題になってくるじゃありませんか。そのことをちょっと教えていただきたいというのです。
  124. 小池説明員(小池力)

    ○小池説明員 御質問の趣旨を取り間違えまして地方閑散線のことばかり述べてまいりまして、どうも失礼いたしました。  経済社会基本計画におきましては、国土利用の再編成ということを強く考えてございますが、その中で交通通信ネットワークの占める役割りというものは非常に重視してございます。特に鉄道につきましては高速性あるいは大量性、確実性、安全性といったような輸送機関としての特性がございますし、さらに日本列島が御存じのように細長い形になっております。こういった地理的条件にも鉄道輸送は非常によく適合するということがございますので、都市間の旅客輸送あるいは中長距離の大量貨物輸送、そういったものにつきましては国鉄の、鉄道の占める役割り、あるいは大都市の通勤輸送等につきまして国鉄の果たすべき役割りは非常に大きいというふうに考えてございます。
  125. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 運輸大臣、それでは、いまの地域開発と鉄道という関係では、鉄道の使命は相当いま大きくなっておると私は認識しておるのですが、この再建計画とそれから経済社会基本計画との関連においてそう考えてよろしいのでしょうか。
  126. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    ○新谷国務大臣 そのようにお考えくだすってけっこうでございます。昨年提案いたしましたのと運用上下地方のローカル線につきまして、この委員会でも申し上げましたが、若干その考え方を変えておるのはその点でございます。
  127. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 そこで申し上げます。  運輸大臣、あなたのほうの運輸省の立場というものでありますが、国鉄と運輸省の関係というのは現業機関とそれから行政機関でございますから、あなたのほうには相当国鉄に対する指導監督という大きな任務があるわけでございますね。そこでひとつお尋ねしますが、監査報告などというのは、いろいろと指摘された、マークされた事項が羅列してあります、あれを見ると。この指摘事項というものは運輸省としてはどう扱ってこられましたか。それから運輸省が国鉄に対しまして、どのような指導監督をいままでやっていらっしゃったか。何か御遠慮なさっていらっしゃったのではなかろうかというような感じがいたします。今日の国鉄の財政の行き詰まりというのは、実は運輸省の指導監督というのが少し控え目であったがゆえに一蓮托生、そうなってしまったのではないかという気がするのです。借り入れ金の問題であろうが、あるいは営業の内容の問題であろうが、国鉄国鉄にまかしておけということではいかぬのでありまして、その点、運輸省の監督指導の内容というのはどんなことでございましたか。
  128. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    ○新谷国務大臣 日本国有鉄道法の条文の中にいろいろ運輸大臣の監督規定が列挙してございます。これは絶えずこの条文によりまして報告を受けましたり、あるいは報告を命じたり、そういうことは事あるごとにやっております。年々また定期的に報告もとっております。必要に応じましてそれに基づいて指示をいたしております。そのほかに、通輸大臣といたしましては一般的な包括的な監督権があるわけでございまして、そういったものを援用いたしまして、たとえば御心配をかけました北陸のトンネルの事故がありましたような場合には、それにつきましてさっそく監査委員会に監査を命じる。その結果の報告を待ちまして、運輸大臣から具体的に今後の事故防止のための指示をいたしておるような次第でございます。  そういう日常の問題のほかに、お述べになりましたような国鉄の財政がどうなるか、将来どうしたらいいかというようなことにつきましては、これは一般的な包括的な監督権に基づきまして国鉄に対してわれわれも遠慮なしに意見を申しまして、国鉄に指示をする場合もあるわけでございます。今度の再建計画につきましても、そういう点からむしろ運輸省が指導的な立場に立ちまして、再建計画をつくらしたということでございます。ただ、日常の国鉄の、これは企業体でございますから、絶えず企業国鉄自身がやってまいりますのには、あまりこまかいことまで干渉がましくやりまして、企業体としての職責を尽くすのに差しつかえがあるというようなことにつきましては、これは公共企業体の法令のどこにも書いてございますが、自由濶達に事業の推進をやるようにということが一つの本旨になっておりますので、この点につきましては国鉄総裁の自由濶達な企業の経営をやらせるという方針でおることは言うまでもございません。
  129. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 そこで一つ伺いますが、かつて国鉄が総武線の新工事をなさいましたときに、隅田川の地下の工事というのは、運輸省の工事の認可を得ないままに国鉄が着工したといううわさがその世界に流れておりました。これははたしてそういう事実があったのかどうか、私もつまびらかに調べたわけではございませんが、そんなようなことがあったのでございますか。
  130. 秋富政府委員(秋富公正)

    秋富政府委員 先生の御指摘の問題につきましては、正式に四十一年に工事実施の認可申請が出まして、これを認可いたしまして後に国鉄が工事に着工いたしております。
  131. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 国鉄のほうから何かそういう疑惑を招いたようなことがあったのでございますか。
  132. 内田説明員(内田隆滋)

    ○内田説明員 そういうようなうわさがあることは全然聞いておりません。私のほうといたしましては、これは国鉄法の五十三条に基づく認可事項でございますので、運輸大臣の認可を得た後、約半年後に入札をいたしております。
  133. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 まあ、それでけっこうです。そういうことになればよろしい。この問題はあまり深くお聞きはいたしませんが、指導監督という点につきまして、運輸省は国鉄に対してそう御遠慮なさることもなければ、国鉄のほうも運輸省というものをじゃまにするということもなかろうと思いますから、この大きな再建計画というものを手がけなさるには、今後お互いの立場というものは明らかにして、守るべき分は守り、守る手続は守っていくということでないといけないと思うのです。ただ、そのたてまえ上、旅行あっ旋業法の認可を得なくても旅行あっせんができるとか、あるいは道路運送法上では国鉄はフリーな立場であるとか、そういう非常な一つの特権があるんですね。その特権というものが、とかく何か手続を軽く見るというようなことになるのじゃなかろうか、こういうような感じがいたします。ぜひその点は秩序立ったことに今後は大いに気をつけていただきたい。  そこで、地方交通線の問題について経済企画庁さんにお尋ねをいたしたわけでありますが、国鉄のほうに、特に営業係数の問題をちょっとお尋ねをしてみたいと思いますが、幹線線区という六十八線区におきましても、黒字線は七つでありまして、営業係数が一〇〇台のところが三十五、二〇〇台のところが十七、三〇〇台が七、六〇〇台が二となっております。こういうように、必ずしも幹線線区というのはもうかっておるというわけではございませんから、そういう点においては、今後の運営については幹線だからだいじょうぶだということではなくて、幹線にも赤字の原因があるということをさらに追及していかなければならぬと思います。地方交通線百九十二線については、営業係数が一〇〇台が四、二〇〇台が五十五、三〇〇台が四十六、四〇〇台が三十、五〇〇台が十一、六〇〇台が十七、七〇〇台が七、八〇〇台が五、九〇〇台が六、一〇〇〇台一、一一〇〇以上十、こういうようなぐあいに、非常にわずかなものは悪いのがありまして、地方交通線というものは一つの大きな宿題を投げかけておると思いますが、ナショナルミニマムという点から見まして、そう容易にこれの存廃が議論されるべきものじゃないわけであります。そういう意味で、地方交通線というのは、どうしたならばこれが存続できるかという点を大いに探求をしてほしいと思います。  そこで、具体的な点についてひとつお尋ねをしますが、岡多線というのがございますが、八・七キロ、そして営業係数七八八とあります。これは旅客の人キロ欄が空欄でありますから、お客さんは全然動かさない。貨物だけを動かしておるのでありますが、こういうのをとにもかくにも何年間このままにしておいて、それから先への旅客輸送というものの使命があるはずだが、それは一向に着手されなかったのはどういうわけでございますか。
  134. 内田説明員(内田隆滋)

    ○内田説明員 岡多線は、岡崎からC線といたしまして豊田まで現在工事中でございます。この工事は四十八年度末に完成をいたしまして、豊田までの旅客運転を開業する予定になっております。
  135. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 それは将来のことでありますが、いままでどうして車運車によるところの自動車輸送だけをやっていらっしゃったか。その自動車輸送をやって七八八の営業係数になるために開業を急いだというような傾向があるわけでありまして、これが天下大衆国民の中から、国鉄というのは大資本にべったりの営業政策をとっておるのだ、赤字が出るといったってあたりまえじゃないか、それは大資本のほうに負担してもらったらどうだ、それを旅客運賃値上げだとか定期の運賃値上げなどによってまかなうなどとは何事だという議論のもとになるわけです。その岡多線には東枡塚という駅がありまして、そこが自動車を「ク」という車運車に載せる基地でございますが、その先かなりのところまで線路が開通いたしております。その開通しておるガードに、上郷−トヨタ一号橋、上郷−トヨタ二号橋というふうに、道路との立体交差をしております鉄橋の横腹には大きくトヨタの宣伝がなされておる、こういうような点からいって、土地の人たちの感じというのは、あまりにも地元の人たちといいますか、国民の感情をさかなでするものではないかと言っておるのでありますが、何かこれにつきまして別の考えがございますか。
  136. 原岡説明員(原岡幸吉)

    ○原岡説明員 岡多線の北野枡塚までとにかく部分開業いたしたわけでございますけれども、それにつきましては北野枡塚までで約八十億の工事経費を投入したので、なるべく早く使ったほうが国民経済的に有効に活用するゆえんではないか、こういう考え方が基本的にございまして、それからこの北野枡塚に自動車を集中することによりまして、自動車輸送そのものが、いままで名古屋の各地に分散しておったものを集結して、一括して輸送することによって輸送上のメリットが非常にあるということと、もう一つ、名古屋地区で自動車輸送のためにいろいろな場所をいろいろな用に供しておったわけでございますが、フレートライナーその他一般輸送需要にこたえるために、これをわきに移しましてそのあとを活用する、こういうメリットをねらいまして部分的に開業したわけでございます。  具体的には白鳥駅の自動車基地あとに笹島駅の紙を扱う場所を移しまして、笹島駅からフレートライナー五本を新設することができた、こういうような状態でございます。それから小荷物中継基地、これも名古屋の駅の小荷物中継基地を熱田の自動車のあと地に移しまして、名古屋の駅の旅客輸送の円滑化に貢献する、こういうようなことを総合的に考えまして、北野枡塚までの開業について、部分開業をいたした次第でございます。
  137. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 広告の点は……。
  138. 内田説明員(内田隆滋)

    ○内田説明員 御指摘の橋梁でございますが、これは上郷から北野枡塚までの間の鉄道の途中にあるわけでございます。これは御承知のようにトヨタの専用側線でございまして、トヨタ自動車がお金を出してつくったわけで、これは専用側線の規定によりまして、管理は国鉄でございますが、保守その他につきましてはトヨタの会社が持っているということでございます。ただし、こういうようなけたに広告まがいの字を書くことにつきましては、県条例の広告の規定に違反するのではないかというふうに私のほうは考えますので、この点につきましては県とよく相談いたしまして、どういたしますか、もし差しつかえないということであればそのままにいたしますし、善処いたしたいと思います。
  139. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 それからこの地方線と幹線との分け方でありますが、身延線を例にとりますと、身延線の西富士宮−甲府間七十六・五キロというのは、これは地方交通線という中に入っております。それから富士から西富士宮間十一・九キロというのは幹線系線区という中に入っておるのでありますが、どうしてこの一本の線をそういうところで切ったのでございましょうか。
  140. 磯崎説明員(磯崎叡)

    ○磯崎説明員 幹線系と地方交通線に分けまして財務諸表に掲上いたしましてから二年でございますが、この分け方は、私のほうでは鉄道のほんとうの特性を十分発揮できる、また発揮しなければならない線区と、それから輸送量が比較的少なくて鉄道の特性が発揮できない、しかし裏から見てナショナルミニマムを維持するために必要であるというような、いわゆる赤字黒字でなくて、輸送量あるいは輸送の濃淡ということで幹線系と地方交通線に分けたわけでございます。したがいまして同じ線区におきましても、たとえばいま御指摘の身延線でございますと、東海道寄りのところは非常に輸送量があって、これは幹線系として成り立つけれども、それから先のほうは非常に輸送量が減ってくるということで、これは一つの観念的な分け方でございますけれども、たとえば山陰線でも同様になっておりまして、ただいま浜田でございますが、それで幹線系とそれから先は地方交通線であるというような分け方をしております。こういうところが二、三カ所ございます。これはあくまでも、さっき申しましたようにいわゆる赤字黒字の問題ではなくて、輸送量がそこで非常に大きな段差がつく、輸送の単位が小さくなってくる、そういう意味で幹線系と地方交通線を分けたわけでございます。
  141. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 その分け方が、都合のいいようにお分けになったような感じがいたしまして、どうも私どもそれはすばらしいアイデアもあるものだなと思うのですが、しかし、一般の人が見てみるとわからないのですね。一般国民の常識から言うとわからないのです。身延線は身延線でございますから、交通量の多いところは幹線区であって交通の少ないところは地方線区だというお話は、そうすると東海道線もそのうちに幾つか切られる。そんなことをするひまがあったら、ほかのことをするほうがいいと思います。  さて、そこで先ほどお話の出ました岡多線に関連いたしますが、貨物輸送のことでございます。貨物輸送の問題についてお尋ねいたしますが、最近貨物の動向が非常に悪いということをしばしばおっしゃいました。車扱いのほうがどんどん減っておるということは事実でありまして、これは憂慮すべき状態である。それが反面道路交通を混雑させておるわけでございますから、車扱い貨物の減少傾向なんというものは何ともがまんがならぬことだと思うのです。それで最近のトンキロで見ますと、昭和四十年を一〇〇といたしまして、四十一年は九七とちょっと下がりましたが、一〇四、一〇五、一〇七、一一一と四十五年までは少しでも伸びていましたが、四十六年、四十七年が一〇九、一〇七というぐあいで下がっておる。この貨物の伸びの低下というのは全くもってたいへんなことだと思うのです。  そこで、国鉄におきましては貨物の大口割引があります。それから専用線割引がある。私有貨車割引というのもある。こういうように各種の割引制度がございます。いまそれだけの少ない貨物でありますが、たとえば割引に該当をしておる貨物というのは、その中の輸送量としてはどの程度のものでございましょうか。
  142. 原岡説明員(原岡幸吉)

    ○原岡説明員 貨物割引でございますが、先般来いろいろお答え申し上げておりますけれども、営業割引といたしまして、輸送力を活用して出荷を増進し、減量を防止する、こういう観点から割引しておるもの、それからまた同じようなねらいでございますけれども、定形契約というような形で割引しておるもの、これらのトン数を申し上げますと、最初に申し上げました営業割引をすることによって増送しておるトン数が千九百万トンでございます。それから二番目の定形割引という形で増送いたしておりますトン数が千九百万トンでございます。その他営業と一応カテゴリーを別にいたしまして、生活必需物資に直接関係の深い物資につきまして、等級を引き下げることによって割引をしておる荷物の数が二千八百万トンでございます。それから先ほど私有貨車割引、こういうものも御指摘ございましたけれども、これはいわゆる営業割引とは若干カテゴリーが違うのではないかと思いますが、こういう割引関係が三千五百万トン。以上のとおりでございます。
  143. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 そういたしますと、国鉄輸送する一億九千万トンに対して、いまの割引貨物というものはどれくらいに当たるのですか。一億九千万トンという数字が違っておるかもしれませんから、総貨物のどれくらいを割引対象にしていますか。
  144. 原岡説明員(原岡幸吉)

    ○原岡説明員 総輸送トン数約一億九千万トン、こう考えまして約五%でございます。
  145. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 総裁、感じとして正しいですか、たった五%という考え方が。大口貨物、定形貨物それから専用線、私有貨車と……。
  146. 磯崎説明員(磯崎叡)

    ○磯崎説明員 いま申しましたのは、数字が若干違っておると思います。全体の輸送量は一億九千万トンですから、営業割引が約千九百万トン、定形割引が千九百万トン、両方で三千八百万トン。一億九千万トンですから約二〇%です。そのほかの政策割引、これは同じように足すのはちょっとおかしいかと思いますけれども、これは初めから政府の御命令と申しますか、農林政策と申しますか、そういう社会政策的な意味で、初めから何ら鉄道に対するリターンなしに引いておるものが二千八百万トンございます。これは同じように足すのはちょっとおかしいと思いますが、もしかりにそれも足すといたしますれば、いまの三千八百万トンに二千八百万トンを足しますと、約六千万トンくらいが割引貨物でございます。
  147. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 さらに私有貨車三千五百万トンがあり、専用線というような制度を使っておるとしますと、六十何%になるのじゃなかろうか、大ざっぱに特殊扱いしておるのがそれくらいあるのではないか、一般に駅に持ってくる貨物よりはそういう特殊な、大企業、大産業とのタイアップ輸送というのが非常に多いのではないかという気がいたします。  そこで、何といったってこの貨物赤字が、昨年度の発表された数字から見ても、国鉄赤字の大原因でございましょう。そういうことになるならば、国鉄貨物のコストに対して大きく割れておる運賃収入をどうやって合法的に引き上げるかということでありますが、これは運輸省のお立場からいいますと、ここの運賃というものは国鉄が自由に使う。ここで運賃表を出されますと——このたびまた貨物の運賃表というものが出ておりますよ。しかし、それはおそらくほとんど過半数以上お使いにならない割引制度ですね。これはある程度まかされておるのでございますか。
  148. 秋富政府委員(秋富公正)

    秋富政府委員 運賃法第八条によりまして、これは国鉄の自主性にまかしておるわけでございます。これは単に営業割引だけではなくて、たとえば災害救助の場合の一割引きあるいは学生割引、その他いろいろな割引をしていますが、その一環として八条を適用しておるわけでございます。
  149. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 だからまかせておるということは、国鉄は運賃表として国会の承認を得るのは別にあるけれども、実際にはそれを大きく下回った運賃によって、言うならば半額の運賃によって輸送しておる、こういうことになろうと思う。主要貨物というのは、ほとんどこれは五円か六円でございますから、そういうふうになってくると半分ですね。このいわゆる公定価格の五割引き、そういうことについては、鉄監局長、どうお考えになりますか。
  150. 秋富政府委員(秋富公正)

    秋富政府委員 国鉄貨物輸送が伸び悩んでおるということにはいろいろの原因があると思います。それはやはり輸送のスピードがおそい、あるいは到着日時が不明確、こういったことが大きな原因でございますが、同時にいわゆる自動車輸送というもの、あるいは自家用自動車、こういったものの発達に対しまして、国鉄貨物運賃というのはきわめて固定化しているということにつきましては、過去におきましてもしばしば国鉄諮問委員会その他の委員会におきましても、国鉄貨物運賃の弾力性、こういったことについての改善をはかるべきだ、もう少し経済の実態に応じていくべきだ、それでないと独占時代を去った国鉄貨物輸送は伸びないということがしばしば指摘されておりまして、こういった点から、国鉄貨物運賃というものにつきましても弾力性を設けて、またそれが活用されているという状態でございます。
  151. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 国鉄総裁にお尋ねをいたしますが、貨物、特に車扱い貨物を対象にいたしまして、大口の貨物等は、いまの鉄監局長のお話のように、自動車に流れていくということの感じですね。どの程度ほんとうに流れていっているとお考えでございますか。実際流れていっておるのですか、それだけ安い運賃で輸送していて。
  152. 磯崎説明員(磯崎叡)

    ○磯崎説明員 最近の輸送は、必ずしも運賃だけによらないというのは、これはもう御承知のとおりでございまして、運賃と、それからやはりその正確さと申しますか、非常に流通過程が問題になっておりますので、非常に正確に着くか着かないかということ、それから荷主の自分の好きな時間に使えるかどうかということ、それらが非常に大きな輸送の問題になっていると思います。したがって、単に運賃だけで輸送機関の選択をしているとは私は思わないのでございますけれども、先ほど申しましたとおり、やはり現在は、どちらかと申しますれば、海陸の輸送機関として一は雑貨——一般に雑貨と申しますが、雑貨をどう取るかということが一番問題だと思います。バルキーカーゴーは大体荷筋がついておりまして、これはあまり大きな変動はございませんが、たとえば石炭のように、もとが減ってしまうのは別でございますが、そうではなしに、いわゆる雑貨的なものが非常に日時がきまってない、これの取りっこと言っては非常に語弊がございますが、それの荷主がどちらの輸送機関を選ぶかということが問題でありまして、これは運賃の問題と、それから流通過程の問題が一番問題になってくるわけでございまして、そうした点からいって、確かに国鉄の流通過程は、ほかと見比べて見劣りがするということを申し上げざるを得ないと思います。
  153. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 総裁、それは雑貨というものは、コンテナ輸送ということに入ってくると思うのでありますが、いまいい荷物が自動車に流れておることは事実でありますし、これはおっしゃるように、戸口から戸口への便利さというものがあると思うのですけれども、しかし国鉄は、総合交通政策という立場からいいますと、いわゆる中長距離の貨物というものは、国鉄において輸送するというのがたてまえでございましょう。そうでなければ、わが国の道路投資はどんなにやっても追いつかない、あるいは交通取り締まりをどれだけやってみても事故はなくならない。さらに無限ではない、有限のガソリンを使って自動車が走るということでは、私は、非常に前途寒心にたえないものがあると思うのです。したがって、中長距離貨物を鉄道で輸送しようというときに、鉄道のほうに自信がないということでは交通政策が完成されておらぬという気がする、そう思うのです。  そこで、これは総裁と運輸大臣、両方からお答えをいただきたいのですが、貨物トラックに取られておるというような恐怖感が国鉄にある。それから現実にその国鉄貨物は伸び悩んでおる。そういう点から、今後の中長距離の貨物はどういうふうにして国鉄に載せるようにするか、これについて何か具体案がありましたら、双方から御発表を願いたい。
  154. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    ○新谷国務大臣 具体的なことは総裁からお答えすると思いますが、おっしゃるように、中長距離は運賃面から申しますと、また総合交通体系の中の交通機関としての役割りから申しましても、これは国鉄が優先的に運ぶべき使命も持っておるし、そのほうがいいということでございます。ただ、総裁も先ほどちょっと申し上げましたように、ただ単にこれはそのほうが運賃面で利益があるとかいうことだけでは解決しないのでありまして、私は、ほかの委員会でも申し上げましたが、これについては、やはり輸送そのもののサービス内容が問題だと思うのでありまして、そういうことがございますので、従来でも国鉄としましてもその方面にもっと設備投資をして、サービスの改善をしなければならなかったわけでございますけれども、それが赤字赤字でもって十分にそういう結果をあげるようにいかないということでおくれておりますが、最近やっておりますように、先ほどあなたからもお話がありましたような、たとえばフレートライナー、そういった点に特に重点を置きまして、利用者である荷主が満足するようなサービス内容を提供していくということによりまして、本来ならば国鉄で運ぶべき荷物がトラックのほうに流れておったとすると、それの回復には、そういうサービスの向上によってこれを取り返していくということも可能であるし、またそうしなければならないというふうに考えるのでありまして、また、先ほど例にお引きになりましたドア・ツー・ドアというような問題も、やはりトラックとの協力輸送といいますか、一貫輸送といいますか、そういったものをもっと強化いたしまして、利用者が満足するような内容のサービスを提供することによってこれは回復できる、私はそのように考えておるのでありますが、なお具体的な問題については、総裁から御説明すると思います。
  155. 磯崎説明員(磯崎叡)

    ○磯崎説明員 私は、これからの貨物輸送に三つのポイントがあるというふうに考えております。  一つは、いま大臣がおっしゃった陸上交通におけるトラックとの問題でございます。これは運賃の問題だけでなしに、やはり正確さあるいは便利さということについて、鉄道が何かトラックとの結合輸送あるいはコンテナ輸送を考えて、そのトラックの持っておる利点を鉄道に導入するようにするということが第一点でございます。  次は、二番目は流通の——これも前回申し上げましたが、世の中全体の物流の中に鉄道輸送が溶け込まなければいけないというふうに私は思います。物流と鉄道輸送は全然別であって、その結合点に非常に大きな節があったのではだめなんであって、世の中の物流自体の中に鉄道輸送が溶け込むにはどうしたらいいか、これは流通ターミナルの問題でもあるし、また輸送力自体の問題であるというふうに考えます。それが第二点であると存じます。  第三点は、これは全然別な問題でございますが、鉄道貨物輸送のソフトウエアと申しますか、たとえば通運面の問題も考えなければいけないと思います。私は現在、先生のおっしゃる車扱い貨物につきましては、いわば手足のないだるまのようなものでございまして、手足を全く通運業者が持っておる、通運業者とのうまい結合を考えると同時に、通運とのほんとうの意味の一体対策をとらない限り、鉄道輸送は末端における何の神経もない。これでは私は、輸送面はだめではないかというふうに考えます。  その三つのほかに、日本は、特殊な場所といたしまして海の問題がございます。これは少し別の問題になりますが、しかし、今後海上輸送との調整問題は、非常にまた大きな問題になるというふうに考えております。  以上でございます。
  156. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 四十五年度の統計で見ますと、鉄道のシェアは約二〇%、トラック四〇%、内航船四〇%というように鉄道の物資輸送の分野というものが非常に狭められていることは何としても残念なことであります。ところがトラックというものが、何でそんなに一番国鉄の強敵になっておるか、あるいは国鉄を荒らし回っておるかというと、実は自家用の白トラではなかろうかということがいわれておるわけです。  そこで、自動車局長にお尋ねをいたしますが、中長距離は国鉄が運搬したほうがいいという総合政策があるのです。ところが、トラック自身の運賃のたてまえから見ますと、やはりせいぜい三百キロ内であって三百キロ以上は自動車によって輸送するのは不合理だということになると思うのでありますが、その点いかがでございますか。
  157. 小林(正)政府委員(小林正興)

    小林(正)政府委員 鉄道輸送に比べまして自動車輸送が非常に発展してまいりまして、ただいま先生御指摘のとおり、シェアとしては国鉄の約二〇%に対しまして、トンキロで四割以上という多きを占めているわけでございます。その際に、自動車輸送と申しましても、ただいまお尋ねのいわゆる自家用のトラック、それから営業用のトラックとあるわけでございます。当然、交通機関として能率的な総合交通体系のもとにおける円滑な輸送を果たすためには、能率的な営業用のトラックを指導し、助長していきたいということで、行政をやっておるわけでございます。  その一つの具体的なあらわれといたしましては、営業用のトラック国鉄輸送と共同一貫輸送をはかっていきたいという方針で、最近国鉄がフレートライナーに非常に力を入れてまいりましたので、それに呼応してトラック輸送がフレートライナーを十分利用して、そして自動車の特性と鉄道の特性をマッチできるような輸送体系を樹立したいと思っておるわけです。  もう一つ自家用自体の問題でございますが、これは先ほど来荷主の選好によってきまるというお話がございましたが、単に運賃の問題だけでなくて、物流と申しますかそれ以上の消流との関係で、たとえば販売活動あるいは工場の倉庫と工場との間、工場からさらにストックポイントへ出す、そういった輸送についてそれぞれの荷主さん方が、随時随所に、コストの面を離れて便利な自家用車を使うという面も相当多いわけでございます。そういった点については、これも一つのトラック輸送でございますが、最近の動向としては、それぞれの荷主さん方が産業別にトラック輸送を、単なる自家用車じゃなくて、倉庫あるいはその以外の販売活動ともからみました別会社を立てて輸送体系をつくっていく、こういうような動きがございます。私どもとしては、そういったものにつきましては、先般の国会で特定貨物運送事業というようなことで、一般の事業とは別個に、簡易な許可制度をしいておるわけでございます。  いずれにいたしましても、非常に変革期にございます物流の問題に対処して自動車の特性が十分発揮できるように、また鉄道との協調輸送ができますように指導していっておるわけでございます。
  158. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 自動車の特性を十分発揮できるようにと言って、自動車の特性を発揮してほしいと私は言っておったわけじゃない。それは総合交通体系、鉄道のになう物資輸送の任務は中長距離の貨物輸送であるということになっておりますから、それならばトラックが三百キロをこえて走っておるというようなことは、幾ら考えても無理な話ではないだろうか。これはいまあるトラックの保有台数五百七十六万七千台のうち営業用トラックが三十七万台、自家用が五百四十万台というような、営業用に比べて十四・六倍と非常に格段に多い。それでは自家用が物資をどれくらい運んでいるかというと、自家用が六百七十三億トンキロ、営業用が六百八十五億トンキロと、逆に営業用のほうがたくさん運んでおる、こういうような点からいきまして、トラックというものは、自家用車という形に隠れて実ば白トラとなってかなり動いておるような気がしますが、それが国鉄貨物運賃影響し、国鉄貨物運賃の安さというか、専用線から出る荷物が非常に多い。大口貨物割引が多い。  そういうようなぐあいで、大企業のいろいろな独占物資が非常に安いので——トラックの運賃も運輸省は許可しております、認可しておりますよ。認可しておる運賃なんか、変動相場制でございまして、そんなものは守っておるものはございません。まじめな人が少し守るだけで、これは参考にしかすぎないプロートしているわけです。そういうことを見のがしておるということが、トラックと鉄道という分野を確定しなくて無用な競争を繰り返して、国鉄赤字になるわ、トラックのほうはどうなるかというと、トラックのほうは今度労働強化となって事故多発、それでむだな資源の浪費ということになっておるわけです。そういう点を私は申し上げておるのでありまして、この際、自動車は三百キロ未満、これをきめたらどうかと思う。タクシーは、一日の走行キロは三百六十キロ。トラックのほうに走行キロの制限がないのがおかしい。ただ一つありますね。  労働省の方にお尋ねをいたします。労働省の吉本監督課長がおいでになっておるようでありますから、せっかくの理事さんの促進の御意見もありますからお尋ねしますが、吉本さん、いかがなんですか。トラックには労働基準局長の通達があるはずでありますが、いまはまるでそんなものを守る者はない。仮眠所に泊まるなんということを考えないで、何百キロ走ってもちょっと寝るだけで、あるいは休んでコーヒーを飲んだだけですぐトンボ返りをやっている。こういうのが見のがされている。この点はどうですか。今後きちっと路上において取り締まるとか、事業所において取り締まるという御意思はありますかどうですか。
  159. 吉本説明員(吉本実)

    ○吉本説明員 ただいまの御質問でございますが、私ども、ただいま御指摘にありましたように、四十二年以来、基準法との関係を考慮しながら、交通安全も加味して、改善基準という形で別個の基準を設けて、いろいろな規制を加えているところでございます。御指摘のように連動の禁止等も行なっておるところでございますが、その実績は、四十二年当時は八割方の違反でございましたが、若干の改善は見るものの、なお依然として基準法違反の実績は多いわけでございます。そういったような次第でございますので、私どもは、問題の事業場あるいはその地域の特殊性に応じまして重点的な監督をさらに極力実施してまいりたい、このように存じております。
  160. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 それはやらなければならぬわけですね。いまそうなっているのだ。通達はあるわ、労働基準法はあるわ、あるにもかかわらず、それが守られないでしょう。それはきちっときゅうを据えなければいけませんが、いままであまりきゅうをお据えになったことはないのですか。
  161. 吉本説明員(吉本実)

    ○吉本説明員 私どもは、大体毎年春秋の交通安全週間を中心にしながら、自動車関係についての監督を実施しているところでございます。全体といたしまして、そのウエートのかけ方も、一般の事業場に比して、特に自動車の運転者を使用する事業場に対しましては監督を厳重にやってきているところでございます。今後御趣旨を体しまして、さらに監督を強化してまいりたいと思います。
  162. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 これは運輸大臣にお尋ねしますが、運輸省は、自動車の運転手の労働基準法の取り締まりではなくて、今度は自動車道路運送法上の監督があろうと思うのです。それで分野をある程度きめるなら、三百キロなら三百キロの線を引いてしまう。一日三百キロ以上の物資輸送に従事しては相ならぬ。三百キロの往復で六百キロ走るものは、一夜どこかに泊らなければならない。そのことを厳重にきめるために、三百キロという限界線を引くのです。一日の貨物走行、同一運転手による同一車両の運行三百キロ、こういうことについてはお考えになったことございますか。そういうことをお考えになる意思はございますか。
  163. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    ○新谷国務大臣 具体的に三百キロという線で考えたことはございません。ただ、いま御質問がございましたように、自動車が非常にふえまして、自動車の運送事業が盛んになっておる。そこで、ともすると自動車による運送事業のいわゆる秩序が守られてないということは考えられます。先ほどお述べになりました認可運賃でございますけれども、これは前後一〇%くらいのフロート制のようでございますし、それを越えて運賃を要求するようなこともないことはないと思いますし、また道路運送法で一般に自家用のトラックが有償で荷物を運びますことは法律違反でございますが、そういったことのないように取り締まることは、これはいままでもやっておるといいますけれども、これだけ数がとかえて非常に多様化しておりますと、それが実現があやぶまれるという点は確かにあると思いますから、これは法の秩序を維持いたします意味で十分取り締まりをさせるようにしたいと思います。  なお、三百キロということで人為的にそういう線を引っぱって、これから先は自動車は走ってはいけないのだということは非常にむずかしい問題だと思いますけれども、国鉄のサービスにいたしましても、経済的には国鉄を利用したほうが利益であることには間違いないのでございますから、それに対応するような国鉄貨物運送の改正を整えさせるように一方では努力させなければならぬと思いますが、いずれにいたしましても、そういう点につきましてはいまの非常に大きな国鉄赤字の原因になっていることは事実でございますから、私も十分検討させていただきたいと思います。
  164. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 基準局の吉本課長、道路上の基準法の取り締まり、チェックということをおやりになる必要があると思うのですよ。これは私はぜひ今後とも励行してほしいと思う。そうでなければ、基準法なんか何をいっておるのだという調子で非常に無理な運行があり、それは貨物輸送秩序を乱すことで、社会の福祉そのものを破壊しておるわけでありますから、その点について路上なら路上において取り締まるという決意を、一ぺんできましたら明らかにしてもらいたいと思うのです。
  165. 吉本説明員(吉本実)

    ○吉本説明員 ただいまの御質問でございますが、路上におきます監督につきましても、かつて春秋の交通週間のときに実施したこともございます。御趣旨もございますので、さらにそういった時期をとらえまして御趣旨に沿うべく監督を実施してまいりたい、このように思います。
  166. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 それから運輸大臣、いろいろな運賃でございますね。一トン一キロ当たりの運賃というのは、最近の傾向を見ますと大量の貨物が非常に下がっておりまして、砂利とかあるいは油、セメント、機械、繊維などというものはどんどん下がっておるのでありますが、最近こういうことがあるのであります。  青梅線の奥多摩から浜川崎に送られておる石灰石の輸送専用列車というのがある。これはホキ四二〇〇型という貨車に積みまして、十六、七両の編成によって南武線を通って、それから浜川崎に着いておる。このブレーキが——運賃が安いからといってそのために車両というものがおんぼろでございます、ブレーキがきかない。それで規定どおりのブレーキがきかないから、ここは千分の二十の勾配が多いところでございますので、そこで普通の減圧をしたくらいのことじゃブレーキがきかぬというので、たいへんな危険な状態が生まれておるわけです。そこで、そこは奥多摩工業という株式会社の荷物でございまして、奥多摩のその会社の荷物を積んでおるが、その貨車も私有貨車なんです。これはそれだけの編成では暴走事故を起こすというよりしかたがないので、前後に国鉄の車等をはさみまして、どうやらこうやら減速運転をして現在しのいでおるような状態でございますが、こういうことを御存じでございましょうか。
  167. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    ○新谷国務大臣 具体的なことは存じません。
  168. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 国鉄のほう……。
  169. 原岡説明員(原岡幸吉)

    ○原岡説明員 ただいまの貨車はその会社の私有貨車でございますが、この私有貨車につきましては、国鉄の車両管理規程という規程に基づきまして、国鉄の貨車と同じように管理いたしておるわけでございます。  それで、そのブレーキの問題でございますけれども、これはそのブレーキ関係で、勾配の関係で四十五キロに制限をいたしておりますけれども、別にその貨車が特別おんぼろだからというようなことでそのような扱いをしておるわけではございません。   〔発言する者あり〕
  170. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 これは、私は質問したいことはたくさんあるが、実はたくさんの質問をして——たくさんということよりは大事なことで質問しているのは、まじめにこの運賃法というものに取り組んでいこうという気持ちからにほかならないのですよ。委員長も早くやめてもらいたいと午前中にもあったし、またいま理事の一部の方々から、もうやめてくれ、もうやめてくれという話があります。私もほんとう言うと幾らでもあるが、できるだけこれを少なくして、そうして早く——せっかくの理事の御方針なら、委員長の御方針に協力しようと思いますが、これは伏してお願いしますから、この問題だけ一つ終わらしてください、(発言する者あり)いろんなことをおっしゃらないでくださいよ、向こうの答弁が聞こえないから。   〔発言する者あり〕
  171. 井原委員長(井原岸高)

    井原委員長 理事会できめたとおりに……。
  172. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 だから、そこでこの問題も、そういう特定な私有貨車によるコスト割れ貨車を輸送する実態でありますが、それが運転上あぶない。新宿でタンク車が炎上したときはこの車が脱線した。由緒深きホキ四二〇〇型。これが今日ブレーキがきかないままに青梅線、それから南武線の千分の二十の勾配を下がっておる。そこでこの間、現場の従業員の方々国鉄の西局の方々と何とか改善の方策の相談があった。そのときに、国鉄のほうはこういうことをおっしゃるそうですね。あれは私有貨車だから、金がかかることはものが申せない、だから混合運用が精一ぱいで——混合運用というのは、おんぼろ貨車に国鉄のほかの貨車をつけてやる。それが精一ぱいです。牽引を減らして、輸送力が減るけれどもそうするより方法がない。こんなことを回答しておられるそうでありまして、まことにもって私どもとしては残念千万だと思うのです。こんなことはあり得るのかどうか。これは新宿のタンク車炎上もこの貨車でございましたでしょう。その件ですね。なぜそれが一向にブレーキの作用が、ブレーキのききがもとになるように、補修することを命ぜられないのか。
  173. 原岡説明員(原岡幸吉)

    ○原岡説明員 現地の管理局でどのような話があったかは私は承知しておりません。ただ新宿で、四十二年でございましたか、事故を起こしたタンク車とぶつかった貨車はこの貨車でございます。これはその当時とブレーキも同じでございますけれども、新宿で起こした事故はブレーキそのものの故障ではなくて、ブレーキ扱いの不良といいますか、そういうことが原因でございまして、ブレーキそのもの、貨車の性能そのものに原因したものではございません。
  174. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 このホキ四二〇〇というのは荷積みをするとブレーキがかからない。普通なら、荷積みをするとブレーキがかからない、ブレーキの扱いが間違ったから脱線したということにはならぬと思うのです。どうしてあぶない貨車が新宿に行っておったかふしぎでありますが、帰りは新宿経由中央線で青梅へ戻っておるのでございましょうか存じませんが、とにかくそのとき脱線しておったのもホキ四二〇〇。いままたホキ四二〇〇に安いコスト割れの石灰石を積みまして、そうして浜川崎へ毎日送っておる。このときに、その貨車を直そうとすれば、それは私有貨車だからものが申せないとか、相手の会社が金のかかることについて国鉄がとやかく言うわけにはいかない、これは理屈にも合わぬことなんですね。総裁、だれかもう少し事情がわかっている方ありませんか。私はこの問題は通告してありますよ。
  175. 原岡説明員(原岡幸吉)

    ○原岡説明員 ブレーキを性能をよくするために改良するから金がかかる、私有貨車であるからそれができない、そういうようなことは全然考えられません、あり得ません。改良するためにはもちろん金がかかると思いますが、これが改良しなければならないかどうか、これはまた別問題だと思います。もしあぶないということになれば、どこが負担しようが、金の問題ではなくて直ちに解決しなければならないということになる、かように考えるわけであります。
  176. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 会社のほうがブレーキ改良を申し入れたら、それは金がかかるからできないのだということを言ったということも伝わっておるわけですよ。だから、それに対して国鉄のほうはそんなことは知らない——知らないというのはどういうことか知らないけれども、今日まで放置してあるということは事実なんだ。ブレーキがきかないということを今日まで放置してあるのだから、放置されている理由というのはどういうことか。少なくとも私有貨車というのは国鉄の管理下にあるのでしょう。それがほったらかしになったら、将来東海道線フレートライナーなんて、あぶなくてあぶなくて走らせられないでしょう。
  177. 磯崎説明員(磯崎叡)

    ○磯崎説明員 いまおっしゃったようなことは私どもの生命に関する問題でございまして、絶対にそういうことはございません。
  178. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 とにかく国鉄の運賃に対する世論というのが非常に大きく動いている。世論でも第三位に非常に心の重い問題であるというときに、その問題に対する質問ですから、私は五分や十分のことをとやかく言ってもらったのでは困る。しかし、そういうふうにいろいろなことをおっしゃると、私も精神が統一されませんから質問ができません。不本意でありますが、これで終わります。
  179. 井原委員長(井原岸高)

  180. 神門委員(神門至馬夫)

    ○神門委員 ただいま上程されておりますいわゆる国鉄二法について質問を申し上げます。  ちょうど私が前回当選して出ましたときの四十四年にもこの運賃値上げ問題が上程をされ、第一回の国鉄十カ年計画が提案されたときであります。またこういうようなめぐり合わせでこの国鉄問題に質問するわけでありますが、そういう中で、特に前回、今回を通じて非常に疑問な点と申しますか、不自然な点があると感じられるわけであります。それは運輸省と日本国有鉄道、運輸大臣と国鉄総裁のいわゆる権限範囲と申しますか、当事者能力権限と申しますか、それらの問題についての範囲、区分というものが一体どういうふうになっているのか。これは日本国有鉄道の経営的な面においてもそうでありますし、あるいは労働問題においてもこれは混然となっておるところであります。   〔委員長退席、細田委員長代理着席〕  今日、日本国有鉄道という公共企業体そのものに非常に大きな関心を持って、その実態そのものを国民が究明しようとし、この法案審議にあたって政府なり国鉄当局はそれを知らせていただかなければならないし、私たちの質問の趣旨も、いまいろいろと騒がしいようでありますが、いたずらに時間を引き延ばすということが目的ではなしに、その実態を国民に知らせてもらう、知らすという次元の高い立場に立っております。そういう意味でひとつ時間をあせらずに答弁をお願いしたいし、質問をしていきたい。私の質問の中には決していわゆるひっかけるとかいうような問題はございません。初めから申し上げておきますので、その点はひとつ皆さん方のまじめな御答弁、国民に知らすという立場でひとつお答えを願いたいと存じます。  まず国鉄総裁の立場でありますが、日本国有鉄道の経営者の権限は一体どの範囲にあるのか。これはしごく簡単なようでなかなかむずかしい問題ではないかと思うのです。そこで私なりにこの問題を見てみますと、日本国有鉄道法の第九条の二項には「日本国有鉄道の業務の管理及び運営は、理事会が決定するところによる。」こういうふうに言っておりまして、いわゆる経営ということばはありません。業務の管理、運営については理事会がきめ、理事会がその責任者となる、こういうふうにあるわけであります。そうして三項には、理事会できめなければならない事項が七項目にわたって明確に明示してあります。そうして第十条に、「理事会は、総裁及び副総裁並びに理事十一人以上十七人以内をもって組織する。」そして「総裁は、会長となり、会務を総理する。」とあります。  そういう点を一々条文解釈を求めるわけではありませんから続いて申し上げますと、十三条に「総裁等の職務及び権限」が明示されておるのでありますが、「総裁は、日本国有鉄道を代表し、理事会の決定に従い、日本国有鉄道の業務を執行する。」代表して理事会の決定の業務を執行する、こういうふうにいっております。  そうして第四章にいきますと、第三十六条から第五十一条までずっと予算、会計制度上に関する運輸省、大蔵省あるいは国会との関連、その拘束の中にこの国鉄の会計全般が運営されることを明記をいたしております。特に、いつも日本国有鉄道の問題で焦点になります独立採算制は第四十一条において明記をしてあるところでありますが、そうして第四十七条に「大蔵大臣との協議」条項、予算制度監督と申しますか、予算上の監督を大蔵大臣が持つようになっております。  そうして第五章でありますが、第五章に「日本国有鉄道は、運輸大臣が監督する。」、「総裁は、日本国有鉄道を代表し、」「運輸大臣が監督する。」、こういうふうにございます。そうして、それは「監督事項」としての内容が五十三条及び五十四条に明記されておるわけであります。  そこで、この日本国有鉄道法の第一条の「目的」を見ますと、「国が国有鉄道事業特別会計をもつて経営している鉄道事業」、いわゆる日本国有鉄道とは、国が特別会計をもって経営する事業である、国の経営事業である。これはわかり切ったことでありますが、こういうふうにいっており、第三条においてはその「業務」というものの範囲を示しております。そうして、こういう全体の体系の中にあって、さきの第四章の「会計」の中で、日本国有鉄道の総裁が経営上のいわゆる経営権と申しますか、権限範囲、いわゆる弾力条項というものが第三十九条あるいは第三十九条の六「予備費」、第三十九条の十一「補正予算」、こういうふうな中にのみ総裁としての自由に泳げる権限のワクがはめられておるわけであります。これらのような点が、今後私がいろいろと質問を申し上げますけれども、いろいろたいへんな関連を持ってまいります。悪いことばで言えば、失礼な言い方かとも思いますが、日本国有鉄道総裁は雇われ社長という性格なものなのか、日本国有鉄道の経営に対しては雇われ社長的な範囲にのみしか発言も管理運営もあり得ないのか、この点をまず総裁にお伺いをしたいと思います。
  181. 磯崎説明員(磯崎叡)

    ○磯崎説明員 非常に広範な御質問でございますが、最終の結論だけ先に申し上げますと、日本国有鉄道総裁は国有鉄道を代表いたしますので、あらゆる国有鉄道の業務遂行についての責任は全責任を負うわけでございます。しかし、その責任の裏づけとなると申しますか、責任を負う一番大きな原因である権限というものにつきましては、まず法律によって国会の承認を得なければならない、たとえばこの運賃の問題等がございます。それから、いま先生のお読み上げになった「会計」の規定あるいは「監督」の規定等、政府のいろいろな角度からの制約を受けております。したがって、責任は全責任を運営上負いますけれども、権限は全権限はございません。あらゆる法律あるいは規則の範囲内における権限だけでございます。したがって、責任と権限との範囲は若干食い違っておるというふうに申し上げていいと思います。
  182. 神門委員(神門至馬夫)

    ○神門委員 責任と権限との範囲が食い違っておる。この意味が、いまあなたがおっしゃっておる意味自体が非常に抽象的でわからない点がある。もう一ぺんそれを砕いて、もうちょっと具体的な事例等あげてひとつ御説明願いたいと思います。
  183. 磯崎説明員(磯崎叡)

    ○磯崎説明員 普通の全然こういう特別法のない会社等で申しますれば、いわゆる社長という代表権を持っておる者は、株主総会あるいは役員会の制約のもとにあらゆる権限を持っておるというふうに考えられます。しかし国鉄におきましては、その法律上きめられました理事会、会社で申しますればいわゆる取締役会になりますが、その理事会のほかにまず国会そのもののいろいろな御監督と申しますか、法律上の制約がございます。運賃一つにいたしましても、もちろん国鉄総裁が決定するわけにはまいりませんでございます。それからその他の政府の承認を得なければならない事項につきましては、国鉄総裁は自分の考えがこうだと思いましても、それを政府によって承認されない限り実行できないということになるわけでございます。したがいまして、一般の民間の会社、一般の株式会社等における代表権のある社長とは相当、権限に対する外部的な制約がたくさんあるというふうに思います。しかしながら、かりに権限上の制約がいかにありましたといたしましても、またそれが直接、間接にいかに業務に響いておりましても、業務の遂行の結果というものについては責任を負わなければいけません。これは当然だと私は思います。たとえば国会で運賃を承認していただかなかったという事態があったといたしますと、それによって非常に経営が困難になったあるいは従業員のベースアップができなくなった、それでいろいろな問題が起きたという場合の責任は、国会が承認してくれなかったから国鉄総裁は責任がないとは申せないと思います。これはやはり、そういう場合でも国鉄総裁には責任があるというふうに私は考えます。
  184. 神門委員(神門至馬夫)

    ○神門委員 わかったようでわからない。いわゆる責任と権限、これは今日国鉄をこういうふうにした原因の抜本的な根源である、こういうふうにも考えるわけであります。  そこで、総裁にお尋ねしますが、そのような制約された、しかもすべての責任は代表者である総裁が持たねばならないという立場は、この国鉄二法を審議する場合に、常に運輸大臣の主張することをそのまま心に反することでも弁護しなければならないような立場なのですか。いかがなのですか。
  185. 磯崎説明員(磯崎叡)

    ○磯崎説明員 たいへん形式ばったことを申し上げて恐縮でありますが、私が今日こうやって出席させていただいておりますのは、私は説明員でございます。すなわち、政府の国務大臣あるいは政府委員に対する私は補助者でございまして、私としての独立した意見なり何なり述べる資格のない立場だと私は思っております。しかし、先生方のほうでおまえの意見を言えとおっしゃっていただきますれば私は申し上げますけれども、正確に国会の法律等をよく拝見いたしますと、私は単なる説明者でございます。したがいまして、説明者と申しますれば、やはり政府の国務大臣あるいは政府委員の御答弁の補足と申しますか、それを説明するという役割り、これは非常に形式的なことを申しますが、そういうものではないか。一方、参考人でもございません。したがいまして、私はあくまでも、ここにおります限り、政府のワクの中で国務大臣の御答弁の補足をするというのが私の本来の法律上の立場ではないかというふうに考えます。
  186. 神門委員(神門至馬夫)

    ○神門委員 本日こうやって国鉄二法が審議されるに至りました経過を期日的に見てみますと、一月五日に国鉄より運輸省に運賃値上げの申請がなされております。これが発端であります。そうして一月八日に運輸省は運輸審議会に諮問するという、全く官庁事務ではないような段取りのよさ、そして一月十四日には国鉄財政再建対策要綱が大蔵大臣、運輸大臣、自由民主党政務調査会長、国鉄再建問題懇話会座長、この四名の連名をもって提示されている。二月二日に国鉄運賃法、国鉄財政再建促進特別措置法両案が閣議決定になって、今日のこういう審議の段階になっておる。そうしますと、いろいろと制約はあるといたしましても、法案が国会に提出になりました契機、転機あるいは原因者というのは日本国有鉄道の総裁であります。これはわかり切ったことであるし、そのとおりだろうと思うのであります。いま総裁は、私は説明員であって手足を縛られておる、その範囲内で言うのが法律上の私の立場だ、こういうお話でございました。しかし、国鉄そのものの経営に対するいわゆる管理、運営ということばが正しいかもわかりませんが、事の結果あるいは大蔵、運輸、国会という三つの拘束第三者の意向のいかんにかかわらず、代表権者としての責任の帰結するところはすべて私にあるのだ、こうおっしゃった。そのような責任を持っておるあなた、日本国有鉄道総裁は、当然日本国有鉄道のあり方について、運賃なり十カ年計画というまさにこの国会の重要な、最大法案といわれる、あるいは対決法という名前でマスコミが取り上げているそういうことに国民の焦点が向いている一つの問題は、日本国有鉄道を直接経営している国鉄総裁の考え方は一体どういうことなのか、これが国民が聞きたい点ではないのですか。いわゆる現在のいろいろと混同した政策の中に日本国有鉄道そのものの運営が従属して、心ならずも将来の見通しのないまま今日まで来たのかどうなのか。私は、国民が知りたがっているというのはそこだろうと思うのであります。三月二十八日の参議院予算委員会で、磯崎総裁は非常に勇ましいことを言っておられることが出ておりますが、私磯崎も男でございます、針のむしろ、イバラの道を踏み越えようとも問題解決当たります、こういうふうに予算委員会で御答弁をなさっている。このように胸を張って、国民に対して国鉄の将来を何とか考えていかねばならない、こういうふうに予算委員会でおっしゃっておる国鉄の総裁の立場というものが、手足を縛られてこの運輸委員会で自主性のない、そして責任的裏づけのない、政府、運輸省に気がねをして、その範囲内で述べなければならないのだということでは、ここの運輸委員会でこの重要二法を審議する価値というのは、全くないとは言いませんけれども、国民の求める集中的な関心がそこにあるとするならば、それを裏切ることになるのじゃないか、こういうふうに思うのです。  先ほど権限問題をお尋ねしました。私、たくさん議事録を読んでみましたが、これらの根本について論じられた経過というものはそうありませんので、たいへん意地の悪いような質問でありますけれども、このような点についてこそこの運輸委員会で論じ、そして国鉄再建なり運賃問題が提案されるときに、いつも天下をあげての大混乱が起こるような根源というもの、悪循環をどうしてもどこかの機会に正さねばならない、こういうことでこの問題をこのように日鉄法上の立場から、あるいはいまあなたがおっしゃったように相離反する責任と権限という矛盾、その矛盾を持ちながら、あなた自身がそうおっしゃりながらも、なおかつ自覚してその範囲内でしか答弁できないとするならば、これはまさに運輸委員会そのものがロボットであり、国会に顔向けならないことになるのじゃないか、こういうふうに思うのです。  ちなみに、三月一日の朝日新聞が「“火の車”国鉄」という特集をしておりますが、私これは非常に適切であると思って、関心を持ってスクラップいたしておりますから、その一部分を読んでみますと、こういうふうにいっております。「しかも、この再建案は、政府助成運賃値上げで、十年後には単年度黒字になる、というだけで、単なる“数字合せ”にすぎない、という批判が強い。逆にいえば、十年後の黒字から逆算して、運賃値上げ政府助成を決めたようなかっこうだ。」こういうふうにこの再建案について一つの問題を提示し、「示されぬ国鉄自身の考え方」、これはお読みになったかとも思いますが、「それよりも不思議なのは、国鉄自身の再建計画らしきものは、」……。(「全然だめだ、定足数が足りないじゃないか」と呼び、その他発言する者あり)
  187. 細田委員長代理(細田吉藏)

    細田委員長代理 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  188. 細田委員長代理(細田吉藏)

    細田委員長代理 速記を始めて。  神門君、質問を続けてください。   〔発言する者あり〕
  189. 細田委員長代理(細田吉藏)

    細田委員長代理 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  190. 細田委員長代理(細田吉藏)

    細田委員長代理 速記を起こしてください。  神門君、質問を続けてください。
  191. 神門委員(神門至馬夫)

    ○神門委員 たいへんこちらがまじめにやっているのに定数がないというようなことは、特に時間をやかましく言われ、そして早期に成立をはかられる与党の皆さんがこういう熱意のないことに全く失望し、憤りを感じますし、いま約十分も中断をせざるを得なくなりましたが、先ほどの質問を続けます。  この記事にはこういうふうに載っております。もう一ぺん繰り返して申しますと、「示されぬ国鉄自身の考え方」「それよりも不思議なのは、国鉄自身の再建計画らしきものは、いつも明らかにされないことである。われわれの前に出てくるのは、まず自民党の部会案であり、党案であり、政府案である。国鉄にいわせると「その段階で常に国鉄意見はいっているし、国鉄の考え方はかなり反映されている」という。しかし、当の国鉄が、赤字線問題や貨物問題、運賃などについてどう考え、どうしようとしているのか、自民党や運輸省という“フィルター”越しでは、もうひとつはっきりしないのだ。もっとも、赤字転落以来、国鉄政府の意にさからうことを極端におそれ、とても自身の意見をいう立場にはない、ときめつける向きもある。国鉄幹部の一人も「くやしいけれど、そういう意味での当事者能力は、いまの国鉄にはありませんな」と自嘲(じちょう)気味。」こういうふうに、まことに国民が知りたがる、私たち自身が常に、前回のときにも問題としていたそのことずばりをいっております。  私は、非常にことばは悪いけれども、雇われ社長というような立場ですか、こういう言い方をしたのは、このように、すべて今日の責任が、あなた自身全部私にあります、こういうふうにおっしゃる。それは、私磯崎は男でございますという立場ではなしに、その責任を感じて、いわゆる卑屈な立場から、国鉄が今日考えていること、あらねばならないことをも制限をして言わないのか、この辺は、私は説明員という法律論の問題ではないと思います。あなた自身が国鉄はかくあってほしい、こういうふうにおっしゃることこそが、国鉄を代表しておいでになる日本国有鉄道の総裁が、こうやってこの運輸委員会に出席される理由があるのじゃないですか。もしそれが必要でないとするならば、運輸省のみが出席されればこと足りることだと思う。言わんとするところは、私は、いわゆる有限な予算の中でこれを制限しようとする大蔵省なり運輸省、直接監督者で運輸省、それと経営の苦労をしておいでになる国鉄の代表者とは当然意見が違うところがあってしかるべきだ。その違うところが出たからそれは大きな食い違いで失敗だ、いや反政府的だというような問題をもしわれわれが追及しようという立場であるならば、これも正しいことではない。私は、その食い違いが出てくるのが当然だという考え方に立つわけです。いかがでございますか。先ほどの答弁と朝日新聞の論説——論説というより主張と、そして私がこれまであなたにあれした日鉄法からの経営上の当事者能力、それで説明員としての発言権の範囲、それとこの実体論、この辺のかね合いはどのようにお考えになりますか。
  192. 磯崎説明員(磯崎叡)

    ○磯崎説明員 お示しの朝日新聞の記事は私も読んでおります。いろいろな角度の見方があると思いますが、私と申しますか日本国有鉄道総裁は、日本国有鉄道法によって仕事をするということがきめられておるわけでございまして、それには当然国会、政府の制約があるという前提になっております。したがいまして、再建案をつくるにいたしましてもあるいは運賃の値上げをお願いいたすにいたしましても、結局これは法律という形でもって国会に提案する以外に方法がないわけでございます。国鉄総裁として国会に御陳情申し上げるというのはいささか筋違いの考えではないかというふうに考えます。  したがいまして、私どもといたしましては国鉄再建問題をどう取り上げるか、それが法律になるのか法律にならないのかは別といたしまして、もしかりにこれを法律でなければできない、政府からどうしても多額の援助をもらわなければやっていけないということになりますれば、法律による以外にない。また運賃を改定するにいたしましても、これも法律を改正する以外にないということになれば、まず政府にお願いして、そして政府ほんとう国鉄の問題を取り上げて、法律として国会に提案するというところの意思決定までしていただかなければ、国鉄としてはいかんともできない立場にあるわけでございます。もちろん個人としていろいろなことを言う場合もございますけれども、やはりそれは法律の定めるところに従って政府の案として国会に提案され、国会の形でもって国民全体の御批判を受けるというふうな筋道で持っていくのが筋だろうというふうに考えます。  したがいまして、私どもといたしましては国鉄自身の案、これは昨年六月十六日に昨年の案が、不幸にして——私どもから申しますれば、不幸にして国会で廃案となりました。その翌日から、いかにしてもう一ぺんこの問題を取り上げるか、いかなる角度でこの問題を取り上げるか、いろいろ考えました。そしてその考える過程におきまして政府とも十分御相談し、政府意見も十分お聞きした上で、私どもの案と政府の案とを約半年かかって調整をして、そして昨年の暮れ、予算案として初めて案ができ上がったわけでございます。  したがいまして、現時点におきまして国会に御提案いたしておりますこの法律案につきましては、国鉄としても当然これは納得し承諾した案でございまして、もしこれが国鉄でいれられない、非常に国鉄総裁の意見と食い違うということに相なりますならば、予算編成の段階において、もちろん私は職をなげうって政府にお願いする、職をなげうってこれはお引き受けできないと言うべき筋合いのものでございます。しかし、今度の案は、私といたしましては現在の状況からいってまあやむを得ない、この程度ならばひとつやってみょうという気持ちになったわけでございます。したがって、現時点におきます御提案申しております案は、国鉄総裁として一応納得した案であると考えるわけでございまして、その意味で私は国務大臣の補佐をするという形でこの席に出ておるわけでございまして、先ほど説明員と申しましたのは法律的なことというふうにはっきりと私は申し上げておるわけでございまして、私がここで申し上げておるのは必ずしも説明員の域の範囲だけでなくして、個人意見の気持ちで言っておるつもりでございますが、形としてはそういうことだと申し上げたわけでございます。
  193. 神門委員(神門至馬夫)

    ○神門委員 重ねてお尋ねをいたしますが、そのむずかしさというものは、いわゆる日鉄法上の権限問題から出ておる。そのことは一番最初にお尋ねしたことでわかる点です。しかし、問題は、やはりその中で直接国鉄経営全体がわかっている国鉄総裁としては、どういう点がどういう問題でどうあらねばならないのだという、こういうような点はこの審議の過程で、当然その法案を支持する立場に立ちながらも、総裁としての意見は質問にお答えいただけますか。
  194. 磯崎説明員(磯崎叡)

    ○磯崎説明員 これは、御質問の内容によりまして、お答えできるものはお答えいたしますし、また、お答えできないものはお答えできないというふうになると思います。
  195. 神門委員(神門至馬夫)

    ○神門委員 それでは質問を具体的に一つ一つ出してみて、そしてそれに対する考え方、これはいわゆる国鉄再建にかかわる私としては重要な問題である、こういうふうに考えるからでありますが、その点についてひとつお尋ねをいたします。  まず、昨年廃案になりましたこの二法、それがほとんど手直しにならないまま再提案をなされた。それに対する代表的な責任、政治的ないろいろな意見もございますが、それはさておいて、この昨年廃案になったものと、いま審議をされておりますこの二法とを比べて、二つの大きな特徴がある、こういうふうに思うわけです。  一つは、この新幹線そのものが、これまで四新幹線を五十六年末にというのを五十四年に繰り上げて、山陽、東北、上越、成田を完成させよう、さらには調査線そのものを工事線に繰り上げて、昭和六十年に完成させよう、こういう大きな国鉄のネットあるいは経営の土台としてはまことに重大な大きな方針がなされております。そして、その予算としては、一兆九千三百億の負担が増になる。もちろん政府からの出資補助というものも増加はしておりますけれども、あれは昨年とことしの案の大きな違いであります。これを新幹線、いわゆる三千五百キロを七千キロにするという、あるいは三千五百キロを繰り上げにしていくというそのことは、日本国有鉄道のほうから積極的に意見が出されたものなのか、それとも運輸省のほうから国土総合開発上の立場に立って積極的に国鉄のほうに働きかけられて成案になったものか、まずこの辺をお伺いしたいと思います。
  196. 磯崎説明員(磯崎叡)

    ○磯崎説明員 昨年の案に比較いたしまして、今回の案が先生の御指摘のとおり、新幹線問題を繰り上げているという点が一つの大きな違いでございます。前回の案におきましては、主として国鉄だけの立場から、いまの輸送力の行き詰まり状態その他から見て、いわゆる工事三線のみを完成して、そして調査五線のほうは計画の期間が過ぎたあとということで計画しておったわけでございますが、これは日本全体としての国土再開発と申しますか、過密過疎の解消が非常に急務であるというふうな御要請もございまして、これはぜひ繰り上げるべきだという御意見によって繰り上げたわけでございます。
  197. 神門委員(神門至馬夫)

    ○神門委員 政府のほうから、いわゆる今日の状況の中で繰り上げてやるべきだ、こういうような立場で要請をされて、国鉄側がそれを受けて立った、こういう御答弁でございますね。
  198. 磯崎説明員(磯崎叡)

    ○磯崎説明員 その点は、政府がおっしゃったことも事実でございますし、また私どもは、昨年の案では国鉄サイドだけで考えたら五十七年以降でということで考えておったのでございますが、新しい鉄道の生命というものをぜひここで考えるべきだというふうな御意見のもとに、私どももそれに賛成していれたわけでございます。
  199. 神門委員(神門至馬夫)

    ○神門委員 政府の要請があって、それに賛成をして、そしてこれに応じたのである、こういうこと、実はこういう点が、非常に何かささいなことを言っているようでありますが、私たちとしてはきわめて知りたいことなんです。国民もおそらくそういうような点を知りたい点だと思いますから、さらに二つのもう一つでありますが、四十六年の一月二十七日に総合交通閣僚協議会が開かれまして、いわゆる宣伝をされました総合交通体系なるものが誕生いたしました。非常に抽象的でありますけれども、しかし、そういう名前のものが誕生した。その総合交通体系の中の一つの柱になっておりましたのが地方閑散線三千四百キロの廃止であり、国鉄公共性という立場からそれを廃止するということについては、私のこれまで生活をいたしておりました島根県という地域から見るならばこれは反対でありますけれども、しかしそれはそれとして、総合交通体系、いわゆる交通政策というものがそこに形ができた。そのために六百億という予算がついております。ところが、これが御承知のとおり大転換をされまして、そのような地方閑散線の廃止というふうなものについての百八十度の方向が変わった。文書では残してありますが、予算を見る限りこれは間違いない。この点についてはいろいろと今日まで御主張になってきました。日本国有鉄道総裁としてそのような立場を主張されてこうなったのか、あるいは運輸省のほうから日本列島改造論という立場で新しく国土総合開発をしたい、大臣がそう言っているので、それにひとつ協力をという立場で応じられたのか。積極的な意味にある新幹線の繰り上げと、真反対の逆にある閑散線のまま、今日現状維持ということは、まさに思想としてはうらはらのことであります。この点については、どちらからの意思でありますか。
  200. 磯崎説明員(磯崎叡)

    ○磯崎説明員 まさに新幹線の繰り上げ問題とローカル線の政策の転換、これは先生のおっしゃったとおり、一つの一貫した考え方というふうに言っても差しつかえないと思います。いわゆる過疎対策と申しますか、国土再開発に鉄道が必要なりやいなやという観点からの問題であるというふうに考えます。その点につきましては、むしろ私どものほうといたしましては、ローカル線問題について実はここ数年間非常に苦労してまいりました。実際問題としてずいぶん苦労して、私どもの出先は非常に苦労に苦労を重ねて今日まで来たわけでございますが、実績は、実は約三年かかって百キロという非常に惨たんたる現状でございました。しかし、ここで考えなければならないのは、昨年この衆議院あるいは参議院におきましてやはりこの問題がずいぶん論じられまして、そしてローカル線問題というものは単に国鉄の収支の問題だけでない、これはもっと大所高所から考えなければいけないというお話が相当先生方からございました。私どもも、国鉄財政上の問題と国鉄の持っておる公共性の問題、これをある程度考えなければならないというふうに思ったわけでございます。したがいまして、赤字が出ることははっきりしておりますので、それについて総括的な国からの補助なり何なりをいただくならば、将来これを使う時期が必ず来るということが明らかである以上、ローカル線の廃止問題については若干スローダウンして、そしていままでの実績どおり大体毎年三十キロというふうに非常にスローダウンした計画に直したわけでございまして、その点は昨年おっしゃった六百億——これは単年度百五十億でございますが、この百五十億は残念ながら昨年度予算を流してしまいました。実際流さざるを得ないような状況で、現在もう各地におきまして約三、四十キロの廃止の折衝をいたしております。これは私どもから見ましても、もう将来も鉄道としての用をなさないであろうというものについてお話をいたしておりますが、それすら非常に難航いたしております。そういう意味で私はローカル線の廃止問題は絶対ギブアップいたしておりません。ただ、いままでのようにやりたいと言ってもなかなかできない、ことに地域住民方々の御賛同を得なければやってはいけない、これは昨年の強い御主張でございましたので、それを前提として考えますと、やはり幾らやっても年に三十キロくらいしかできない。別な立法でもいたしまして、そしてもうやみくもにやってしまうというなら別でございますが、いままでのようなやり方をしている以上、年間三十キロが実はせいぜいなところであろうというふうに考えましたので、これは一種のスローダウンをしたというふうにお考え願いたいと思います。
  201. 神門委員(神門至馬夫)

    ○神門委員 その辺の意向というものは、むしろ国鉄として出先現場が苦労をしているという今日的な実態、まさに日本国有鉄道が国民から何かしらん非常に評判が悪い、きらわれる大きな根源はこれによってできた。これと都市の過密輸送であります。大都市圏の輸送がこの十カ年計画の中で、五千三百億の前年の廃案に対して七千百億になっております。新幹線は一六八%になっておりますが、大都市圏の輸送については一三四、三四%しかこれはふえていない。地方ローカル線そのものについての積極的な意思はいま反映されましたけれども、この監査報告書が示しておりますように、通勤輸送の混雑状況という、四十六年度の監査報告書が各線の東京周辺あるいは大阪環状線等の数字を出しておりますが、これらが緩和されないまま、後ほど質問いたしますけれども、今日的事件の原因の大きな要因にもなっている。それらのものについては三四%しか手当てがなされていない。前回の廃案に対する今度の新しい十カ年計画全体の予算は約五割、一五〇%でありますね。その水準にも達していないのであります。これは国鉄のみがこの都市輸送の責任に当たるべきではないというような考え方なのか。あるいはこの問題については非常に大切な資料がございます。いわゆる地方閑散線を維持することよりか、いま山手線をつくって、乗車率が二〇〇であっても二五〇であっても、その単年度赤字の累積というものはものすごいスピードになって、原価割れになってしまいます、こういう計算等も出た資料がございますが、こういうような点もあるから、いわゆるもうけにならないというような考え方で、大都市圏輸送の問題について割合としてはそのような三四%というふうにとどまったのか、この辺の考え方はいかがでございますか。   〔細田委員長代理退席、委員長着席〕
  202. 磯崎説明員(磯崎叡)

    ○磯崎説明員 私どものほうでいろいろ投資をいたします際に、もちろんその投資効率を考えるのは当然でございます。いやしくも利子を払って仕事をする以上、一体利子が払えるのか払えないのか、借金が返せるか返せないか、これを考えるのは当然でございますが、事通勤輸送になりますと、もうそれを考えていたのではとても計算にならないわけでございます。したがって私どもは、いわばとにかく緊急事態であるということを前提として、通勤輸送に対する対策をとってまいりました。現に前回の昭和四十四年度における、あるいはその前の昭和四十年度からの計画におきましても、何といっても通勤輸送が最大の眼目として取り上げられまして、通勤輸送新幹線という形でまいっております。したがって、むしろそのために地方の幹線の複線化あるいは電化等が押えられてきているというふうな結果になっております。  一方、ひるがえって東京の現状を見ますと、私どもは、いままでは大体通勤距離がせいぜい二十キロ以内というところを考えてまいりました。すなわち、東京に入ってまいります五つの放射線、それの一番の問題は、一番東京に近いところにあるというところに問題の重点を置いてまいりました。これは昭和の初期以来ほとんど改良のなされてなかった問題でございます。したがって、東京の中心点に近いところに全力をあげて、いわゆる五方面作戦をやってまいりまして、これはほとんど複々線ないし三複線にでき上がったわけでございます。したがって一番金のかかる、一番問題の多い、東京の通勤の一番都心に近いところは、一応国鉄といたしましてはこれで一段落したわけでございまして、これが非常に大きな金がかかってきたわけでございます。したがって今後やりますのは、先ほども太田先生に御答弁を申し上げましたとおり、むしろ首都圏から若干離れた、五十キロ前後のところの輸送力増強をやりたいというふうな考え方でございまして、それによって初めて先から根元まで太くなるということでございます。しかしながら、先を太くすればやはり根元をもっと太くしなければやっていけなくなるわけでございまして、その根元のほうは、現在の国鉄の在来線を使ったのではとてもやっていけないということで、これはむしろ地下鉄その他の地下交通でもってやらなければいけないという考え方でございまして、国鉄といたしましては、二十キロ以内については一応一段落している、二十キロ以内を今後増強するとすれば、これは地下構想でもってやる以外にない、むしろ国鉄の重点は今後ドーナツ現象の外側のほうの山、すなわち五十キロ前後、いわゆる首都圏の近県の輸送力増強をぜひやらなければいけないということでございまして、その意味で金額が落ちているというわけでございます。用地費もわりあいに安い、工事もそうむずかしくないということで金が安いわけでございます。私どもといたしましては、昭和の初期にできましたこの首都圏の交通網を、一応二十キロ圏内におきましては根本的に複々線にし三複線にしたので、これで一応一段落、これから先はその先をやる、いわゆる五十キロ付近のドーナツのところをくずしていくというところに重点を置かなければいけないというふうに思ったわけでございます。ただ、その中で一つおくれておりますのは、先刻申しました東海道の問題でございます。これが一番大きな問題で、残念ながらまだでき上がっておりません。これはいずれ来年、昭和四十九年の秋には何とか湘南と横須賀線を分けまして、そして東京駅に横須賀線を乗り入れるという通勤の最大の眼目を行ないたいというふうに思っておりますが、いろいろ土地の問題で難航いたしております。したがいまして私ども、いま申し上げましたとおり、通勤輸送につきましては今度の計画だけでなしに、昭和四十年代からの長い年次でひとつごらん願いたいというふうに思うわけでございます。
  203. 神門委員(神門至馬夫)

    ○神門委員 新しい案についての三つの問題点について、国鉄当局の考え方というものが示されました。  そこで、総論的なものになりますが、この十カ年計画再建計画そのものというのは、いわゆる三方一両損という名文句を国鉄当局でお考えになった。しかし、税金は国民が出すもので、三方一両損という論理にはなかなかならないというふうに私は考えておるわけであります。しかし、それはいいでありましょう。そして十カ年計画の最終年度の昭和五十七年には三千七百九十二億円の黒字が出るという数字に、私たちは数字合わせだと思っておりますが、なっております。そうしないとなかなか今日の運賃値上げが説得性がない、私はむしろ、そういうような意味からではないかというふうに思うのです。これはあとから申し上げたいと思うのです。  しかしながら、結論といたしましては、昭和四十七年を基点とする十カ年計画、そのしまいの帳じりは、累積赤字が二兆六千億になる、そして借り入れ金が十兆九千八百億になる、こういう計画案になっております。日本の国鉄がいわゆる借金によって今日の危機状態を迎えた。ここに根源があるのですが、最終年度に黒字という算術はしてありますけれども、このように借金なり累積赤字が現在の三倍増、倍増するというようなそのことを、総裁は心から了承されたのでありますか。
  204. 磯崎説明員(磯崎叡)

    ○磯崎説明員 いわゆる財政再建という問題をどう考えるかの問題が第一だと思います。  普通ならば、財政再建といえば長期債務が減ってくる、あるいは累積赤字も減ってくるという姿が普通の財政再建だと思います。ただ、国鉄におきましては、一般企業財政再建と違いまして、やはり縮小再生産的な財政再建はできないという非常に大きな一つの命題がございます。一般再建などを少し勉強してみましたが、やはりどんどん切ってしまって、なるべく小さくして、そして生き残るといういわば縮小再生産的な再建をやっているのが大体の企業だと存じますが、残念ながら国鉄の場合にはそれができない。いわば経営的に見て切らなければならないものも切れない、あるいはむしろ通勤輸送のように十年、十五年もうからないとわかっていても投資をしなければならないというふうな、財政再建という一般企業でいう観念と全然違う、いわゆる公共的角度というものがあるんだというふうに思わなければいけないと思います。したがって、普通の収支のベースを合わせるということ、これは財政再建として必要であっても、そのほかに国土の開発なりあるいは通勤輸送の改善という、財政的に見たら短期間では絶対に収支の合わないような投資をしなければいけない、そこが国鉄企業の非常に大きな特色だろうと私は存じます。  かりにもし今度の再建計画の中から全部投資をとってしまって、十兆何千億を全部投資をやめてしまうということができたといたしますならば、これは姿はわりあいによくなる。しかしながら、そうした場合には、はたして輸送が伸びるか伸びないか、非常に問題があるということも考えられます。実はそういう考え方をとったこともございます。もう徹底的に投資を押えて、老朽取りかえと保安対策だけぐらいにして、じっとして生き延びることができるかどうかということも考えてみました。しかし、これでは国鉄は次の世紀には生きていかれません。ただ自滅を待つのみだということになります。したがって、やはり通勤輸送にしても新幹線にしても、投資をしなければならないものは投資する、そして十五年、二十年先にやっとこれが実を結んでくるということを考えなければ、単なる財政の再建だけではいけないという意味で、財政再建のほかに大きな——ほんとうに民間の方に言わせると、そんな財政再建があるかとおっしゃいますが、財政再建設備投資という一種の再建的な面から見ると相矛盾するようなことを同時にやるというところに、今度の再建の非常にむずかしい点があるというふうに私は考えます。  したがいまして、いまおっしゃった累積赤字が二兆六千億になる、あるいは長期債務が十兆をこすということになりましても、これは収支の問題になりますが、大体経営規模が現在の三倍になる。収入が約五兆になります。現在一兆何千億ですが、約五兆になります。五兆の収入で十兆の長期債務というのは、必ずしもそう大きな債務ではないというふうに考えられます。また、二兆六千億の累積債務につきましても、かりに五十八年度以降非常に悪い傾向に落ち込むのだということではいけないと思います。しかしながら、いまの投資が五十八年度以降だんだん実を結んでくれば必ず収入増加に結びついてくるということになりますれば、五十七年を中心といたしましてその前数年から、若干経営状態がよくなってくる。そうなれば五十八年以降も——そう六十数年まで計算はなかなかできませんし、架空になりますが、ごく数年間だけ計算してみますと一応上昇傾向になるということで、二兆六千億の累積赤字というものは解消の方向に向かうというふうに考えていいと存じます。したがいまして、お説のとおり、確かに財政再建ということばから見ますと、いまの私どものほうの長期収支は、まるで頭がおかしいんじゃないかといわれるかもしれません。しかし、そうではなしに、相当膨大な投資をして国民の違う要請にこたえる立場を同時にとらなければならないという点でこういう姿になったわけでございまして、その点、私といたしましては、そういう点から見ますれば矛盾を感じていないというふうに申し上げざるを得ないと思います。
  205. 神門委員(神門至馬夫)

    ○神門委員 実はその辺が重大な問題なんです。いわゆる国鉄再建問題でその辺が国民として理解できない。われわれとしても、いまの説明では理解できない点なんです。それはこれから一つ一つお聞きいたしますけれども、もちろん公共性を持ち、国策に沿う公共企業体でありますから、縮小再生産という私企業原理そのものをとることはできないということはわかった前提であります。問題は、先ほど質問の中にも申しましたように、そのように拡大をする新幹線の七千キロなり、あるいは地方閑散線そのものの性格の転換なり、それは国土総合開発という国策上の協力、それに積極的に参加のために、国鉄の代表者としても総裁は協力したんだ、こうおっしゃっております。そのこと自体は私は、今日の世の中の仕組みにおいて、それならそれでよかろうと思う。問題はどこにあるかといいますと、いわゆる日鉄法四十一条にいう独立採算制の合理的基準を何ら確立しないまま、言うならば土俵を広げたり縮めたりするのは、そのときそのときの政府の自由のままにしておいて、そして十年先の絵をかいたらこれだけおまえのほうびにやるからしっかり働け、労働者のけつをたたけ、十一万人の首を切れ、こういうところに実は問題があるのではないか。やはり合理的基準のないところに、この論争が常に果てしなくこうやって展開されるのです。  この前の質問で公明党の石田さんでしたかおっしゃっておりますけれども、そのときそのときの思いつきによるつまみ金が国鉄に出されて、そのつまみ金のために、先ほども言うように、国鉄総裁は手も閉じられ、足も閉じられ、口も閉じられる。このようなことで、そのときそのときの行きずりばったりで運賃が値上げされたり、首を切られたりしてはたまらぬというのが、労働者、国民の感情じゃないでしょうか。私はその問題についてはあとから申し上げますが、総裁、その辺にあなたと私たちできわめて大きな違いがあるのです。私はあなたの口からその辺のねらいが出るだろうと思っておったが、それは歴史は古いのです。あなたはそういうふうにおっしゃっておりますけれども、実はたいへんな資料がたくさん、あなたもおっしゃっておるようにあると思います。  昭和三十年に、日本国有鉄道経営調査会の記録というふうなものがございまして、その中にも明確に——三十年でありますよ。まだ国鉄黒字の段階において、公共負担の問題等についてこういうふうにいっているのであります。「根本的には運賃が常にインフレこう進の歩調に遅れをとらされたことと、十分な設備資金を仰ぐことができなかつたことに」今日の国鉄の苦難の原因があるんだ、「企業として必要な経済原則と自主性」はと、こういうふうに国鉄がこの文書でまとめております。「以上のような国鉄財政現状を打破し、経営改善をはかるためには次のとおり企業として必要な経済原則を確立するとともに政府の監督もこの点に沿つたものでなければならない。」こういっているのです。そうしてその(1)としては「運賃は、減価償却費、減債基金等所要経費を含めて全体として輸送原価を償うに足る適正なものとする。社会政策又は産業政策上の運賃割引はこの原則の範囲内で行うこととし、これを上廻るものについては、国の補償が考慮されなければならない。」こういうふうに一つのものがぴっちりと、黒字の時代から今日を予想して明確にして出している。そうして「いわゆる公益命令その他の法令に基く措置によつて国鉄が受けた損失に対しては政府が補償する義務のあることを明らかにする。」「運賃決定に当つては、専門的見地から経済原則に基づいてこれを行うため、別途独立の運賃決定機関を設ける。」これらのような合理的基準を設定した後において、たとえばいろいろの制度的なものが確立されること、それは非常に大切なポイント、根本になると思うのであります。(「古い、古い」と呼ぶ者あり)いま、古いというお話がありますから、まだ新しい問題が幾らでもあるのであります。  実は非常に重要な資料がございますが、これは国鉄当局のほうで本日御持参を願うように要請をしておきましたが、それから八年たって、そのあとであります。いわゆる昭和三十八年五月に「国鉄経営の在り方についての答申書」がございます。この答申書は、非常にいま意義があるのは、昭和三十九年から赤字に転落するその直前であるからであります。直前に出された答申書であるから、これは非常に私は大切な、諮問委員会が真剣に国鉄のあり方を考えて出されたものだ。そうしてこの中に、メンバーを見ますと、これはいわゆる経営者陣がずらりと並んでいる。そのときのトップクラスが、全体を網羅した約三十四、五名ばかりの日本国有鉄道諮問委員会という組織をつくられて、国鉄のあり方について諮問されている。ここにも明確に、今度は具体的に今日の国鉄の予想をして方向づけをしております。これはすでに皆さん、連絡しておきましたから十分お読みになったと思うのであります。くしくもそのときに試算いたしました、昭和四十五年という先にこのまま行けばどうなるかという試算をしておりますが、これが二兆四千億、ところがもらいました資料では二兆六千億であります。こうすればこうなるということはぴったりと、それ以上の、国鉄経営が今日のようにそれを上回っておる赤字、それをしながらこういうような今日の基準というものをつくられていない、ここに実は問題の根源があるのではないのですか。私はそういうふうに具体的な資料でひとつ総裁に——先ほど借金そのものが累積して三倍増、二倍増するけれども、それはまだ展望の持てるものだ、こうおっしゃっておるけれども、私は、そういうようなことになかなか承知できない点があるわけであります。この前書きの中に——これは三十八年の五月、いま昭和四十八年の五月でありますから、ちょうど十年前、そしてくしくもこの五月でありますが、「昨年の九月十四日に国鉄総裁から、「国鉄経営の在り方について」これから先きどうしたらいいか、その点を御教示願いたい、」という要請を受けた、こう書いてある。それで「引続いて国鉄事務当局から、極めて豊富なる資料によって、国鉄現状並にその未来図が示されたが、それによって状況の深刻さは十分に看取された。」わかった。「当諮問委員会は事の重大なる驚き、」とこう書いてある。そして「政府始め関係各方面において、本答申の内容を十分に検討審査せられんことを望みたい。」こういうふうにまさに切実な訴えがこの中には盛られております。そしてこの中にはいろいろと書いてありますけれども、第一次長期五カ年計画昭和三十二年に始まります。このときもずいぶんいろいろと論議されたものでありますが、この昭和三十二年から始まった五カ年計画が、昭和三十二年から三十五年の四年間で挫折をしております。昭和三十六年からまた始まった第二次五カ年計画は四十年で、また四年で挫折をしております。第三次七カ年計画、五年では短いというので今度は七年にされました。それがやはり四年で挫折をしております。そして国鉄再建特別措置法という名のもとに、昭和四十四年に十カ年計画が出されました。このときには私も国会におりました。それは昨年通っておれば、これまで四年間の寿命が、三年で御破算になったというものです。しかし、それもことしまで四年、まさに四が四、四の上に四を重ねるというごろ合わせのように、四の連続が今日のような状態になっておるのであります。ついに、この提案のときに総裁が説明されたように、借金はすでに三兆七千六百七十七億、累積赤字が一兆二千億にも及ぶという、こういう今日の現状になっておるのであります。  このように国鉄当局なりあるいはこれが早くから——古いという話がありましたが、古くてもいいことはいいことだ、こういうような考え方に立つならば、予見をいたしておりました経営調査会の記録なり、この国鉄の経営のあり方に対する答申書は、まさに今日をそのまま的中させておるのであります。そして、そのようなことをおそらくそのときの十河さんは、この内容に基づいてこういうふうにあってほしいということを時の政府に要請されておるんだろう、こういうふうに私は思うのであります。ところが、されないまま今日の状況になってしまった。そしていま総裁は、そのようなずっと国鉄が積み上げ、主張してきたことにまるっきり触れずに、そのようなつまみ金的な、その場当たりのいわゆる助成、出資というような何ら基準のない、そのときの政策が変わればぐるりとひっくり返ってしまうような、前提も努力目標もないようなことを、ありがたい、やむを得ないものだ、こういう立場で私は賛成した、こういうふうにおっしゃっておるのであります。その点、私は先ほど申しましたようにきわめて重大だ。これは国鉄として今日まで主張してきたことときわめて違うことだ、こういう点をいま申し上げておるわけでありますが、その点についてまだ申し上げたいことがございますが、一応あなたのお考え方と、今日まで、三十年、三十八年というように——その間もあるのですよ、資料を出せとおっしゃればそのような資料を出しますが、これはきわめて代表的な区切りのときのものでありますから、三十二年の五カ年計画、そして赤字に突入しましたその前の三十八年度の国鉄諮問委員会、そういう中からのものでありますから、その点に対しての総裁の意見を聞くのでありますが、いかがでございますか。
  206. 磯崎説明員(磯崎叡)

    ○磯崎説明員 ただいまお示しくださいました二つの資料は、国鉄の経営にとって非常に重大な資料でございます。  まず、昭和三十年の経営調査会、これは有澤廣巳先生が会長でございました。それによりまして、二度目の諮問委員会の資料にもちょっと書いてございますが、その三十年の経営調査会に基づきまして三十二年に運賃改定をしたわけでございます。そのときに実は相当大幅な削減にあっております。それは三十八年のほうに詳しく書いてございます。すなわち三十二年に、国鉄の主張である大幅な運賃改定にもかかわらず一三%という、もう最小に押えられた。それに昭和三十年の経営調査会の中には、いまお読み上げになりましたとおり、減価償却をフルに見る、しかも減債基金まで運賃で見るべきだというところまでおっしゃったわけでございます。そういう御意見は全部無視されて、一三%ということできめられたわけでございます。これはずっと前の話でございますが、それがございました。そのためにも非常に自己資金が減ってきた、収支状態も悪くなったということがございました。  それから次に、三十八年の五月の諮問委員会、これは、私ごとで恐縮でございますが、私がちょうど浪人中のできごとでございました。私が副総裁に戻りまして、すぐそういうものが出ているのを知りまして、実は私はそれを石田前総裁とともに非常に詳しく二人で読んだことがございます。それで何とかこの線にいきたい。その三十八年の、これは木内先生がお書きになったものでございますが、文章が歯にきぬを着せないで、われわれとしても非常に言いにくいことをずけずけおっしゃって活字になっております。明快な文章でございます。そこで一番おっしゃっていることは、公共負担の是正でございました。とにかくあれだけの公共負担をしょって、これでどんどん悪くなっている、国鉄はやれないじゃないか、すなわち何とか公共負担を是正してもらって、自己資金をふやせということに尽きると思います。したがって、その後私どもといたしましては公共負担の是正とそれから政府の援助と申しますか、それらを含めての政府助成に全力をあげてまいったわけでございますが、不幸にして三十九年、四十年、四十一年、三年間かかってどうしても実現いたしませんでした。石田前総裁もずいぶん努力してくださいましたけれども実現せずに、やっと四十二年から三年になりまして、大蔵省でも少し国鉄に補助をしなければならないなというふうな気分になってまいったわけでございます。  それが今日のもとになったわけでございまして、私どもといたしましては、三十年の経営調査会、三十八年の諮問委員会、これが最近の国鉄の大きな経営の指針でございます。それを決して忘れているわけでございませんが、それを実施するにあたりまして、運賃についてもいろいろ切り下げられる、あるいは政府援助も思うとおりいただけないということで今日の姿になったわけでございます。私どもはその両答申につきましては非常に高くこれを評価し、この線でもってやってまいりたいというふうに思っている次第でございます。
  207. 神門委員(神門至馬夫)

    ○神門委員 いろいろうしろのほうで話があるようでありますが、それはどちらの反対があったというようなことではなしに、いまもおっしゃいますように、三十八年の答申そのものは運賃の一八%がかなえられなかった。その当時には借り入れ制度そのものが非常に制限されておったわけですね。それで運賃に求める以外に方法がなかった。しかし、それを借入金で全部やるとするならばどうなるのか。運賃値上げでやるとするならば、これはとても国民の了とするところではない、いわゆる国策的な投資でありますから、こういう一つの立場で主張いたしております。いまおっしゃいますように、その基本的なものを国鉄当局としては十分三十八年当時は——総裁は当時病気でしたか、浪人されていた。そして今日こうやって国鉄の中の最も国鉄を知る総裁として出られた。であるならば、私は、当然そういう公共負担の問題にいたしましても、独立採算制の合理的な経理のしかた、こういう一つのことが出されなければならない。それらの問題が明確にならないまま、今日こうやって運賃問題なり再建問題が論じられるところに、さいの川原の川原積みのような不安さが国民の中にも説得性を持たない、こういうふうに思うわけです。ですから、そのような基本的な考え方を今日なお継続して持ちながら、先ほど申しますように、これはいいことだということで賛成した、このことがまことに反対で、一致しない。今度の場合、そのようないわゆる制度的な問題は、これは国有鉄道法の改正にもかかわることです。いわゆる具体的な条項でいうならば、日鉄法の三十九条以降、四十一条を頂点として会計の変更に関することです。それらの問題についてじっくりと——昨年廃案という痛い大きなダメージを受けられた国鉄当局としては、そしてその全責任を負うという先ほどの総裁のことばからするならば、それを強く政府のほうに要請されたのか。要請されたのを、なおかつ政府として、運輸大臣としてそのような方向に賛成しかねるといって拒否されたのか。その点、総裁にお伺いしたいと思います。
  208. 磯崎説明員(磯崎叡)

    ○磯崎説明員 もちろん昨年の六月十六日廃案になりましてから、これをいかにすべきか、いろいろ考えたのは当然でございますが、やはり問題といたしましてはそうたくさんないわけでございまして、たとえば運賃上その他の公共負担をどうするかという問題が一つと、それからいわゆる赤字線の中でも特に国鉄がソーシャルミニマムとして維持しなければならない赤字線の赤をだれが負担するかという問題と、それから非常に懐妊期間の長い国鉄の工事に対して七分というような高い金ではとてもやっていけない、極力安い金でやる、これにもちろん政府出資でもって薄めるということもけっこうでございますけれども、とにかく長期低利の金を貸していただきたい、おおむね集約すれば三つになると思います。  すなわち、公共負担の問題と、それから赤字線から出る赤字負担の問題、それからもう一つは利子負担の軽減の問題と、この三つをおのおの筋道を立てて、たとえば赤字線の負担はどこまで政府が負うか、あるいは公共負担はどこまで政府がめんどうを見、あるいは利子負担はどうするというふうに、一つ一つ区切りをつけてめんどうを見ていただくのが筋かと思います。お説のとおりだと思います。そういう点、もし今度のような再建計画の中でそういうふうな御説明ができましたらたぶん御納得がいくのかと思います。すなわち区切りをつけて、赤字線というものはここまで政府がめんどうを見る、あとは国鉄が自分でやってみろというふうな考え方、あるいは公共負担は、一回にはとてもめんどうを見られないが、三回なら三回のうち一回は何とかめんどうを見る、あるいは利子はここまでめんどうを見る、こういうけじめをつけて政府から金をもらえばいいじゃないか、納得できるというふうなお話だと私は思います。確かにそのとおりだと思いますが、まあ、お出しになる側からすれば何を出そうと一緒なんだ、とにかく全体としてこれだけのものを出す、政府も出資をしてやるということでもって、これが総合的な国鉄に対する補助である。すなわち、イギリスやフランスやドイツのように項目をきめないで、それをつかみ金といわれてしまえばそれっきりでございますけれども、一応政府としてはこれだけの金をやる。したがって、これでもって、これをどういうふうに使うかはおまえたちのほうのかってだ。これを利子負担でしようがあるいは赤字線でしようが、それは国鉄側の考え方次第だ。したがって、金は出す、しかし名目はひとつ国鉄側で考えたらいいだろう。しかし、金を出す以上、政府として国民の税金を出す以上、やはり前向きな金でなければいけない。前向きに役立つ金だということになると、やはり利子に集中したほうが一番話が通りやすいんじゃないか。国民が納得しやすいんじゃないか。国鉄赤字を出せば赤字を補てんしてやる。たれ流しだ。これではとてもだめだ。経営上こんな無責任なことは許さない。あるいは公共負担公共負担で、むしろある程度関係官庁に持ってもらうし、ある程度利用者負担だというふうな考え方もいろいろあろうと思います。そういう意味で、筋道として三本立てに分けないで、一本で政府助成をいただいたというところに非常に御不満があるというふうに私は思いますが、それは、私のほうはそれを承知の上でいただいて、そしてそれを考え方として一応分析してみる。  しかし、いま一番問題なのは、やはり利子負担でございます。将来の利子はともかくとしても、過去のいま負っている三兆数千億に対する利子、すなわち年間二千億に近い利子、全体の二〇%に当たる利子負担をどうするかという問題、これは過去の問題でございますが現実に負っている、昭和四十七年度末の債務の利子をどうするかという問題。これはいわゆるたな上げ方式もございます。しかし、今度のように再建債でその利子を見るという、方法としてはきわめてわかりにくい方法でございますが、一応資金的には一切たな上げと同じ結果になるという意味においては、了承できない点もない方法だと存じます。また、今後の工事費の利子につきましては、政府出資で薄めますと三分というほとんど日本の金融史上かつてないような低利の金を考えたということでございます。これはただにしてもらえば一番いいわけでございますが、まあそうはいかない。いやしくも国民から何かの形で集めた金である以上、これにある程度利子をつける。三分という利子は私は相当低い利子、考え得る利子の中では相当低い利子ではないかというふうに思います。そういう意味で、徹底的に利子問題に集中して問題を解決するという方向でこれを私どもとしては受け取ったというわけでございまして、いろいろお考え方は先生のおっしゃるとおりよく私はわかります。しかし、三つに分けて受け取らないでまとめて受け取ったということに対しては、これは私は、さしあたり最重点を利子に置いて受け取ったというふうに御了承願いたいと思います。
  209. 井原委員長(井原岸高)

    井原委員長 政府側の答弁はできるだけ簡明に……。
  210. 神門委員(神門至馬夫)

    ○神門委員 総裁、なかなか言いづらい点がよくわかって、質問から焦点をはずそうとされておるのもよくわかります。しかし、そのような点ではなしに、いわゆる仕組みの点について一貫して国鉄はあらゆる機会を通じて政府に要請をしてきた。それが利子負担なり出資金の増額という形になってきた。それは今日の借金に苦しんでいる国鉄としてはありがたいことだ。まあ前よりふえたということはありがたいことだ、こういうようなことの御答弁ですが、それがやはり諮問委員会の答申書がいっておりますように、いままで国鉄当局がいたずらにそのような状態に盲従してきたとがめは認めるべきかもしれない。まことにしかりであって、そのことはまた次に述べる公共負担の問題についてもほぼ同様だ、こういうことをいっておるわけです。それはこのときにおいても、何かの金で利子助成的な、いわゆるお恵み的な金、その場当たり助成というふうなものを求めよという言い方というものは、今日まで出ていないのであります。国鉄の考え方は出ていない。それは明確に一定の基準を与えてもらって、その上で一生懸命に走らせてくれ、一生懸命にやらせてみてくれ、絶対独立採算制ができないようにしておいて、赤字になればこれだけ見てやろうというようなやり方で、何の自信と誇りをもって国鉄が国家の国鉄としてやっていかれるのかという、この辺のいわゆる憤りと誇りとをまぜての要請がこの諮問委員会の一貫した筋なんでございます。三十年の、先ほど読みました意見についても一緒なのであります。あなたのおっしゃることとは、これは次元が違うのであります。その点は言いづらいかもわからないけれども、しかしそれは当然このように、最近姿を消すような状態になりましたけれども、一貫して出されねばならないことだと思います。私は、磯崎総裁が副総裁のときに、やがてあの磯崎さんは総裁になられる人だ、国鉄の星は磯崎さんだ、このように教えられてきた。その磯崎総裁のときに、いまこういう中にそのような主張が全然主張されないということ、これは私にはどうしても納得できない。また、そのような三本の条件ではっきりと区切りをつけて金をもらえば、あなたは了解されるかもわからぬ、そういうような神門至馬夫が了解するとかなんとかいうようなちゃちな問題ではないのですよ。現在問題になっている点は実はその辺にある。合理的な独立採算制の将来への基盤というものを、納得する基盤によって、しかる後に運賃を上げなければならないものは上げていくという国民の納得する基準を一つ設けられなければならない。それでない以上は、これは皆さん御承知のとおり、六四%の田中内閣が二六%とかいうふうに有史以来の短期間で信頼がなくなった政府に、十年先のことをひとつまかせろということにはならないのじゃないですか。私はその点は実は非常に大事な点だ。その基準を設ければ、内閣はだれになろうとも、評判がよかろうが悪かろうが、それは関係なしに、その上で一生懸命に国鉄再建のために働き、適当なものであったら適当な運賃値上げ賛成しようという国民の気持ちになるのじゃないでしょうか。その点であります。(「そうだ、そうだ」と呼ぶ者あり)えらい応援が自由民主党のほうからも多いようでありますから、ひとつしっかりと御答弁願いたいと思います。
  211. 磯崎説明員(磯崎叡)

    ○磯崎説明員 ただいまのお話の中のことに三十八年の諮問委員会のほうでございますが、このときは主として公共負担の是正に全力を注いだわけでございます。当時の支払い利子はたしか三百億弱でございまして、収入が五千億でございましたから、利子の絶対額から申しましても、また割合から申しましても支払い利子はそれほど大きな問題でなかったわけでございます。一番問題は、当時たしか七、八百億あったと思いましたかの公共負担を、何とかして政府で出せということにほとんど最重点が注がれました。その後、おかげさまで公共負担は、まず通勤定期につきましてはほとんど解消さしていただきました。若干まだ残っておりますが、大体法定限度に近いところまで修正をさせていただきました。通学定期は、まだこれはまるまる残っているわけであります。約二百数十億残っておりますが、あと貨物運賃のほうも、公共負担的な割引は政策等級以外は全部是正していただきました。したがって、当時の公共負担の中でおもなもの、通勤定期の問題と貨物公共負担の問題は一応現時点におきましては、昭和四十三年、四十五年、四十六年となしくずしに解消をさせていただきました。  そこで残りましたのがやはり利子の問題でございます。したがって利子につきましては、先ほど申しましたとおり今度いただいた金は全部利子の補給に充てて、そしてとにかく三分の利子というものを固定してしまう。今後政府から借りるものは、三分以上のものは借りないという非常に安い利子を固定したかったことが一つ。ということは、これから投資がなければそれは問題でありますが、これから非常に大きな投資をしなければいけない。その場合に一番利子が問題でございます。したがって、利子を政府出資を入れて三分、入れないで三分五厘に固定するということは、国鉄の長期経営にとっては非常に重大問題でございます。過去債務はいずれ消えていくものでございますけれども、これから三分五厘にするという意味で、今後非常に大きなウエートを占めてくるであろう利子につきましては、今度の措置でもって大体歯どめが——歯どめができたということは非常に政府に失礼かもしれませんが、私は歯どめができたというふうに思っております。  残るのは、やはりあとは赤字線の問題であります。これはまたいろいろ政策問題ともからみますので今後の問題となると思いますが、一応私は、いままでの考え方といたしましては、利子に政府助成を集中したということは、三十八年のときのいきさつから申しまして、必ずしも私の主義主張を曲げたということではないというふうに思っておる次第でございます。
  212. 神門委員(神門至馬夫)

    ○神門委員 それならば、三分に利子を押えて、それ以上のものを助成するようにした、それは将来に向かって何か制度的に、法律的に確約されたものですか。
  213. 磯崎説明員(磯崎叡)

    ○磯崎説明員 一応それは、先ほど先生がお読み上げになりました今度の閣議の了解によりまして、今後の工事費については、再建期間中はこれこれこうするということをきめられ、それを受けて今度の再建法の中に、別途法律で定めるところによって利子を補給するというふうに書いてございますので、その点は、再建法自体には利率は出てまいりませんけれども、予算でもって利率がきまり、その予算のもとになるのは本年の二月二日の閣議了解であるというふうに私は了承しておりますし、また、政府の出資につきましても、ことしだけ出資したのだというのでは困りますので、今度は国鉄法という法律があるにかかわらず、再建法政府出資の法律を入れていただいたということは、やはり今度の措置を法律でもって最小限の措置として確定するというふうに私は了承しているわけでございます。
  214. 神門委員(神門至馬夫)

    ○神門委員 それは善意にとられてのことであって、どこまでも、昨年、四十四年の十カ年計画改正され、昨年の案が一年たって今日また改正されておる。あなたがおっしゃるように、将来これがある意味の制度的に約束されたというようなものは、道義的なものであって、はっきりしたものはないんですね。ですから、その点が、私が言っておりますこと、国鉄当局自身が考えておりますことは、そのような今日までのパターンではなしに、やはり構造的な合理基準というふうなものを求めよう、こういうことが一貫して国鉄当局の考え方であって、先ほど私も読み、あなたも御了解なさった点なんですね。それがそういうふうな、期待はするという不確定なものである。国鉄の予算というのは年度予算で、毎年承認を得なければなりませんね。そのとき初めて確定をするという仕組みになっておる。これは国鉄法上、明確になっておるのです。制度的にそのものが確立するということではない。ですから、どこまでも私たちが国鉄当局に要望することは、そのような主張を運輸省になされたのかどうかという、そのことについては、いま、したともしないとも御答弁がないんですが、ここの場所では言いにくい、言われないということなのか、あるいはしなかったものか、この点はひとつもう一度お答え願いたいと思います。
  215. 磯崎説明員(磯崎叡)

    ○磯崎説明員 御承知のとおり、昨年の再建要綱は実は閣議にはかってなかったわけでございます。それで、いろいろ国会で問題になりました。今度は、少なくとも二月二日の閣議におきまして閣議了解として再建要綱がきめられ、その再建要綱の中に御承知のとおり出資の問題、金額の問題、利率の問題、全部数字が入っております。それと、いま提案されております再建措置法、これは法律でございますから詳しくは書いてございませんが、毎年予算の定めるところによって、国鉄にこれこれしてやるというふうに書いてございます。したがって、その予算の定めるところは、当然ことし二月二日の閣議了解の線を下回らないということは、これは私ども絶対政府信頼する以外にないと思います。したがって、私は、今度の閣議了解と今度の法律の改正と、この二つによって今後の国鉄再建の最低線だけは確保したというふうに考えるわけでございます。
  216. 神門委員(神門至馬夫)

    ○神門委員 どうも質問に対してそのままお答えにならないのですが、まあその辺は言いづらいのではないかというふうな気がいたしますが、三月六日の朝日新聞に「磯崎国鉄総裁が以前からいっているように「国策として必要な新幹線赤字線なら、その建設、運営費は国鉄予算とは別会計で出すべきだ。国と国鉄との役割分担をはっきりしないと、国鉄も迷惑だ」ということになる。」朝日新聞が、三月六日、七日にわたって、磯崎総裁がこのように言っておられるというふうにいっておりますが、このような主張は朝日そのものが誤りで、決してそういうような主張は持っておいでにならなかった、政府のほうにされなかったということなんですか。
  217. 磯崎説明員(磯崎叡)

    ○磯崎説明員 その朝日の記事を私は記憶が確かではございませんが、迷惑とかなんとか、そういう問題は言うべきことかどうか、これはもうお察し願いますが、ただ、私どもといたしましては、新幹線建設というものと在来線の運営というものとは一応本質的に違うのだということを申したわけであります。新幹線建設は新しいものをこれからつくっていくのだ、しかも在来線とは何も関係のないものをつくっていくのだ、もちろん輸送上の関係はございますけれども、物理的には何も関係のないものをつくっていくのだという意味で、新幹線建設あるいはその建設に要する利子等につきましては、一応在来線の運営とは別に考えたほうがいいのではないかということを申したわけであります。申したといたしますれば、私は、かねがね私の主張でございます、東海道をつくりましたときにもそういう話がございまして、いまでも私どもの監査報告書などをごらんになりますと、東海道についての収支計算書は全然別に出しております。そういう意味で、いままでの百年たった鉄道と違った新しい意味の鉄道の運営なりそれの建設なりというものは、一応観念的に離してやるべきだ、それは企業体が別だという意味ではございません、同じ国鉄の中でやっても、勘定として離してやったほうが話がこんがらがらなくていいのだ、また経営がはっきりしていいのだという意味の主張を私はかねがね持っておりましたので、あるいはそれを記者会見の席で申したのがそういうふうに書かれたのではないかというふうに思います。
  218. 神門委員(神門至馬夫)

    ○神門委員 あなたのそのような答弁は、昨年の議事録をずっと読んでみますと、わが党の金丸さんの質問におっしゃっておいでになりますが、しかし、いまのとは全然異質のものでして答弁にはならぬですが、これまで繰り返しお尋ねしてもなかなかそれに対するそのままの答弁がなされないようでありますから、これでその問題については、そのお答えはまた別におきまして、私がそこまで言うことは、この監査報告にいたしましても、一貫して、お読みになったと思いますが、これは国鉄職員の再建意欲が第一だ、あるいは公述人の意見の中にも、再建意欲を持つか持たないかが再建の要諦である、こういうふうに話がされておりますし、この委員会でも、事あるごとに国鉄労働者の再建意欲は一体あるのかどうなのか、幹部の再建意欲があるかどうかということが論議されておりますが、まことにこれはしかりであります。そういうような立場からいうならば、やはり総裁は総裁として、直接現場の総司令官である総裁は、それなりにやはり妥当的な合理的なものを、基準を主張される、それを政府がやってくれない、これは政府にもいろいろ問題はむずかしい点があろう、何を優先的にやるべきかという点でいろいろあるのだろうから。しかし、こういう主張をした、こういうような立場がやはり大切ではないかと思うのであります。そういう点で一貫してこれまで国鉄が掲げていた基本的な、いわゆる独立採算制の合理基準、公共負担等の政府負担、あるいは今日で言うならば一切の政府負担によるしかない、こういうようないろいろな問題がこれには関連してきて、そういう一つの主張がなされるかどうかという点にやはり再建意欲というふうなものが出てこようし、国民自体もなるほどという一つの理解度というものが出てこようか、こういうふうに、その基本にかかわる問題でありますから、実はしつこく言ったわけであります。  この前の四十四年のときの石田総裁でありますが、ずけずけとものをおっしゃる、隣に運輸大臣がおっても。運輸大臣は苦虫をかみつぶしたような顔をしながら横を向いている。しかし、言いたいことは言う、こういう一つの立場でございまして、それがいいか悪いかは、私は皆さんの世界がわかりませんからこれはどちらがいいのかわかりませんけれども、国民立場に立つならば、やはりそれらの主張をする、こういう点がやはりよかろうと思うのです。私は国鉄の総裁石田さんがおやめになるときには、ささやかな金を出しながら送別会をしてあげた。そのときには、ほんとうにこんなに総裁の喜んだ顔を見たことがない。それはそれなりに、やはり一生懸命に国鉄の問題についてやっておいでになる姿がそこにあらわれておる、そのことが実は大切ではないかというふうに思うわけであります。忌まわしいマル生問題というふうなものも解決されてきつつありますけれども、後遺症が残っております。そういういろいろな問題点について、やはり職員の意欲というふうなものをぴっちりと、労働者が期待することあるいは納得する——期待というよりか納得すること、あるいは国民が納得する、そういう基準というふうなものがその中には出されねばならぬじゃないか。こういうき然とした主張はしました、しかし政府の都合があって、今日の段階においてはこういうような方法しかないのだろうということでやむなく了解した以上は、これで磯崎は一生懸命やります、こういうような答弁を実は私は期待しておったのでありますが、ついにあなたからお聞きすることはできなくて、実は非常に残念であります。そのことは、こういうときに答弁をじょうずに逃げるとかどうとかいうことでなしに、一番最初に申しましたように、やはりもうちょっと素朴に国民にこたえる気持ちがほしいから私は申し上げたのであります。  総裁のみに質問を申し上げましたけれども、やはり国鉄の総裁は被害者の立場にある、一般的にそういうように考えられております。私もそういうふうに考えておるわけです。しかし、それかといって、総裁のおっしゃったように全責任は私にあるのだという、それを逃げることはできません。それから逃げて第三者的な立場でいろいろと責任を回避することはできないから、いろいろと総裁にお尋ねをしたわけであります。  そこで、大臣にお尋ねいたしますが、先ほど申しますように、三十八年の諮問委員会国鉄当局のいわゆる政府の言うままに盲従したとがめを免れない。しかし、よく考えてみると、その根本は明瞭である。大臣はそれをお持ちにならないかもわかりませんから、ちょっと……。「しかしながら事態を全体的に精査してみれば、原因は国鉄当局側に求むべきではなく、政府の側に求むべきであることは明瞭であつて、」こういうふうに言っておるわけであります。おそらく総裁という立場で——いま説明員という立場が法律的にどのように拘束するか、私も不勉強でありますけれども、いまのような一貫して考えられたこと、あるいは私が第一回に当選いたしましたときに副総裁であった磯崎さんの部屋に行きましたときに、いろいろと話す中に、そういう方向しか生きる道はないかもわからぬというようなお話もありましたけれども、私はそれがやはり本心だろうと思う。しかし、それは主張されていれられなかったのが実態ではないかと思うのであります。そうして今日の膨大な借金に苦しむ国鉄現状になった。こういうふうな点について、これは別に諮問委員会の答申を待つまでもなく、客観的にいままでの議論をお考えになって、それはやはり政府にその責任がある、こういうふうに考える、今日の国鉄経営破綻の原因者は政府だ、こういうふうに率直にお認めになりますか。
  219. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    ○新谷国務大臣 総裁との間の質疑応答を聞いておりまして、私は昭和三十八年あるいはそれ以前の詳しい具体的な事情はよく存じません。しかし、あなたの御質疑を通じて、その当時から国鉄当局がどういう態度であったかということは一応了解したつもりでございます。しかし、私の意見を申し上げますと、そういうような意見が積み重なりまして、国会において昭和四十四年でございますか四十三年でございますか、財政再建法というような法律ができて、この方式でもって国鉄の財政の再建をしようということに国会も御決議になったのだと私は存じます。その方式に従いまして、御承知のように、いまお示しになっておりましたが、四十四年に関係の予算を提案し、そして十年間の再建計画をお立てになって、それでやってみたところが、これが現在の再建案でございますが、それが事情の変化、社会事情の変化、輸送事情の変化等によりまして、このままではとうてい再建はできないということが明瞭になったものですから、おそらく昨年度の新しい提案になったものと私は了解するのでございます。この中にはもちろんいまお述べなりましたような点も含め、それに対する政府のその当時からの見解も入りまして、そこに調和点を求めて法律もできたのでありましょうし、それに基づく再建計画もできてきたのだと私は了解するのであります。  政府に責任がないか、私はそんなことは申しません。政府に責任があると思うからこそ、政府にといいますか、公共的な負担が非常に大きい、これは国鉄の本来の使命かもしれませんけれども、国鉄の能力を越えておる、これに対しては政府一般会計から経費を出して助けていかないと国鉄再建はできないということで、いま申し上げたような計画ができたのだと思います。これは廃案になりましたが、私は昨年における国会の会議録をつぶさに拝見をいたしました。今度の四十八年度の計画をつくりましたときにも、実は全部が御決議にあったわけではございませんけれども、審議の過程を通じましていろいろ有益な御意見が各委員から出ておるのでございまして、そういう点を取り入れられるところはできるだけ取り入れまして今度の新しい案をさらにつくったというのでございまして、さっき総裁との間にいろいろ応答がございました。予算は単年度でございますから、毎年変わるじゃないか、だれがあとを責任を負うのだ、こういうお話もございますが、これは言うまでもなく、再建法によりまして今度出しております改正案が両院を通過いたしますと、それに基づきまして国鉄自身がこの再建計画を出してまいりまして、それをもとにいたしまして閣議決定をいたします。でございますから、いまは閣議了解でございまして、これは政府が一向責任を負わぬじゃないかというような御議論に対する回答でございまして、閣議了解をとりました。今度は法律に基づきまして閣議決定をしてもらいまして、十年間の計画の骨子をきめることになるわけでございまして、これは一例でございますが、その他政府助成が少ないじゃないかというような点、あるいは地方の閑散線の問題、こういった問題につきましても御議論のあった点を十分拝聴いたしまして、政府のほうでもそれに反省を加えまして、今度の新しい再建案をつくったという経過でございます。  昨年の焼き直しじゃないかというような御議論もございますけれども、骨子はそうでございますけれども、中身は昨年のそういった委員方々の御意見も十分取り入れ、そうして情勢の変化に応じまして、これならば国鉄再建は可能であるだろうという見通しをつけまして、財務当局にもずいぶん私としては最後まで無理を言いまして、あの最後の案ができ上がったという経過でございます。その点は御承知かと思いますけれども、あらためて申し上げて御了承を得たいと思います。
  220. 神門委員(神門至馬夫)

    ○神門委員 そういう経過につきましては非常に大臣が努力され、総裁が喜ばれて、大蔵大臣の折衝が終わったあとに顔を紅潮させて出てこられた、こういう新聞記事もそのときの状況をとっておりますけれども、その努力につきましては敬意を表します。そのように努力をされましたこの再建案なりあるいは運賃値上げ法案、この二法がこの国会の最大の対決法案だとマスコミはいっております。国民反対をし全野党もこれに反対をする。なぜそれならば、そのように御努力になったこの二法に国民も野党も反対をするのだろうか。この点をどのようにお考えになりますか。
  221. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    ○新谷国務大臣 これは率直に申しましていまの物価高の経済情勢、その中において国鉄の運賃の引き上げということを考えるよりも、さらにもっと政府が努力をすればいいじゃないかというようなことが根本にあるのではないかと思います。しかし、私どもは、その点も感情としてはもっともだと思っておりますけれども、その上げざるを得ない事情をあらゆる方面から説明をいたしまして、国民方々の合意を求めるべく努力をしているのでございまして、問題は根本的には、あるいはなかなかこれは氷解し得ない部分が残るかもしれませんが、しかし、どういう点についてこの合意が得られないかという争点でございますね。そういったものは、少なくとも国会の審議を通じましてはっきりと国民方々にわかっていただくことが、この問題の解決に私は非常に役に立つのじゃないかと思いまして、皆さんの御質疑に対しまして実はあらゆる努力をして誠意を持ってお答えをしておるような次第でございますから、どうぞその点につきましては、御不審の点がございましてお尋ねくださいましたら、具体的に知っている限りのことを申し上げて、御答弁をしたいと思っております。
  222. 神門委員(神門至馬夫)

    ○神門委員 運輸大臣は長らく官僚生活もしておいでになりましたし、なかなかまるみのあるいろいろな答弁を今日まで聞いてまいりました。ひとつ焦点をはずさぬように、いま大臣のほうから御要望でございますから、ひとつ御答弁を願いたいと思います。  先ほど読み上げました朝日の三月七日の「国鉄再建案を考える」という中に、伊藤善市東京女子大教授がこういうふうに言っておられるわけです。「高速道路建設に必要な電力などのエネルギーは、鉄道建設に比べて四倍、自動車で一トンの荷物を運ぶのに必要なエネルギーは鉄道輸送より六倍かかるとの試算をし、「鉄道と道路投資のあり方を総合的に考え直すべきだ」と主張している。」こういうふうにこの記事の中に書いてあります。私が新聞を使うのは、私が考えるというなら、おまえは社会党だからというので話にならぬじゃないかと思うので、もっと客観的にものを見ておるであろうというこの記事等をたくさん使ってお尋ねをするわけでありますが、そういう一つの状況で、そこに大臣、四十六年度の監査報告書がございますか。その二三ページをごらんいただきたいと思います。「国内輸送機関貨物輸送量」というのが報告をされておりまして、いわゆる鉄道は、民鉄の場合はほとんど問題になりませんから、いわゆる国鉄でありますが、その構成比は年々ずっと下がっておりますが、四十五年、四十六年に下げどまりが一応なされております。反対に、これまで一番首座を占めておりました内航海運の構成比が、全く同じような比率トラック輸送と逆転をしておりますね。内航海運のトンキロのほうです。これはそこでおわかりのとおりだと思います。そして一一八ページを見ていただきますと、四十年から四十六年までの「国内設備投資額」というのがずっと出ております。その中で、いま総合交通体系なり交通政策と、このように去年鳴りもの入りでうたわれたその観念の具体的な現象は予算であります。それから投資を見ていただきますと、国鉄投資は、昭和四十年度を基準にいたしますと四十六年度は一三五、道路のほうが二七四、港湾が二八九、こういう比率になっておりますね。これは監査報告書、あなたのほうから見れば権威あるものであって、決して借りものではございません。  そういうような一つの投資比率、それは規模等ございますから、絶対額そのものというものは、これは直ちに比較にならないのでございましょうが、問題は四十五年度と四十六年度の増加分、さっき申しましたような国内貨物トンキロ輸送のシェアを持ちながらも、なおかつ道路のほうに、あるいは港湾のほうにその投資の割合がぐっと多いということでありますね。問題は全投資額のパーセンテージじゃなしに、対前年比の数字そのものが政府の支出となってあらわれてくる。このような状態から言うならば、一体、真に再建を考えているとおっしゃっているこの政府の考え——運輸大臣は何でも聞いてくれとおっしゃっているそのものの中に、数字的にはたしてあらわれているかどうか。それは四十七年、八年から始めるのだとおっしゃっているけれども、これは継続をして今日まで来ているところであります。  さらに、それならば今後ということになれば、たまたま道路整備五カ年計画はことしから始まります。国鉄再建計画も、用意ドンでことしから始まります。ところが道路のほうの予算を見ますと、十九兆五千億であります。これは五カ年間に十九兆五千億。ところが国鉄は十年間に十兆五千億、その数を対前年比等に——おそらくまだ数字を当てはめておりませんが、明らかに対前年比増加割合、その類別の増加比というものは道路のほうがずっと多い、あるいは港湾五カ年計画の場合も、まさに私はそうなると思います。田中総理大臣は、将来に向けて、昭和六十年への予想から現在四〇%を、内航海運で約その半分をはかしたい、こうおっしゃる、港湾法の改正のときに運輸大臣もそういうふうにおっしゃった。そうすると、一体再建の精神と、これが競争的関係にある陸海空の輸送機関とのこの比率というものは一体どういうことになるのか。あるいは海もトラックも運輸大臣の監督下にあります。その行政下にあります。ところが道路建設省であって、あなたの部下ではございません。建設省と運輸大臣がそのような総合交通体系なり物流の将来展望に立って、新幹線の走るところを縦貫道路計画をされている、まさに並行的な今日までの弊害がそのまま図の上には図式となって今日あらわれようとする。これは国務大臣として御承知のとおりであります。それらの建設省と運輸大臣とのこの五カ年計画、十カ年計画の綿密なる打ち合わせが、いついかにしてどのようになされたか、この説明をお尋ねいたします。
  223. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    ○新谷国務大臣 具体的に関係省庁と一々相談をするというようなことはあまりないことでございますが、そういった問題につきましては、一昨年の十二月でき上がりまして、いまお示しの総合交通体系を立案をされます場合に、関係閣僚の間で一応アウトラインでございますけれども、荒筋の協議をしたはずだと考えております。しかし、今度の問題につきましては、一応御承知のように、経済社会基本計画というのが企画庁を中心として立案をされました。その際にも、大体いまのこの道路による輸送状況、それから国鉄輸送状況、海運による輸送状況というようなものは、一応経企庁を中心にして、これは将来の見通しもつけまして、それに対応したような社会資本の充実をしていこうということは経企庁がやりまして、われわれ運輸省のほうでもそれに参加をしたはずでございます。でございますから、私どものほうは、全然、道路あるいは港湾とこの陸上輸送というものと無関係で、ばらばらな計画をしておるわけではございません。おそらくこの道路につきましては、自動車がどんどんふえてくる、もう渋滞をして動かない、道路を何とかしなければ困る。これはおそらく道路の整備が今日まで、国民輸送需要から言いますと、非常におくれておるというような点に着目されまして、いまお示しになったような社会資本の投下をする予定であるということになったものと考えるのでございまして、だから昭和四十年を基準年次にして、それからの倍率あるいは絶対額の増加、それだけでもって倍率が、たとえば国鉄のほうが道路の半分だから、国鉄に対しては半分しか努力をしなかったのじゃないかというようにこの数字だけで御判定になることは、私はこれはいかがかと思うのでございまして、国鉄国鉄、それから自動車輸送自動車輸送、海運は海運、それぞれの実情を見まして、その実情に応じて国土の発展にも、あるいは国民生活の向上にもつながるような輸送計画を立てていくのにはどうしたらいいかということを総合的に、これは経企庁も判断いたしましょうし、内閣としてもそういう見地から見ているものでございますから、それだけで国鉄をいかにもないがしろにしたというようにお考えになることは早いのじゃないかというふうに私は考えるのであります。
  224. 神門委員(神門至馬夫)

    ○神門委員 まあ単純計算で、そのものずばりが出るというふうに私も申し上げていない。しかし、数字を求める以上は、このような数字をもって御説明願う以外にないし、私が尋ねることもそれによる以外には、他をさがしてみても見当たりません。ですから、やはりその数字を根拠にしていかねばならないし、問題は、いまあなたがおっしゃったようなことではなしに、言うことは矛盾しておると思うのでございますが、今日このように国鉄のシェアそのものが、大きく独占的な輸送がくずれて縮小され、そしてトラックあるいは内航に大きくこれが回っておる、そういうような中からさらにそのものに投資額というものが増大されていくという事実は、これは間違いないわけですね。ですから、そういうようなものが、実は大臣も、いま具体的に建設大臣と打ち合わせをしたことはない、こういうようにおっしゃっておる。これは実は政府の縦割り行政の最も矛盾であり、総合交通体系というものは、しばらく前からいろいろ議論される中で、どうしてもこのなわ張りというものははずされないのです。これは率直に、これまで大臣のほうからも答弁されてきた点です。ですから、何かそのような総合的な交通体系というもの、政策というものを規律するものをつくろうじゃないかという点で苦労をされた。これがさっきの総合交通体系をおつくりになった閣僚協議会であろうと思うのでありますが、これは概念であって、具体的にみんなが求めるようなものにはなっていないのですね。ですから、具体的には、やはりそれらの問題についてひざを突き合わせて、財政を持っておる部局が——部局と申しますか財政を持っておる省そのものが直接やりませんと、これは総理府がやっても企画庁がやっても、銭を持っておるところが一番強いのですから、言うことを聞かないのが今日までの経過であったわけなんですね。ですから、決して、いまおっしゃっておりますような状態になされないまま今日まで来ておるのに私は間違いないと思うのであります。ですから、その点について、よく言われることばで、いまからでもおそくないと思います。朝令暮改をされる今日の国鉄再建計画であり、あるいは五カ年計画——五カ年満足になされたものは、今日までただ一つもないのじゃないかと思います。そのような問題について、ひとつ運輸大臣と建設大臣という今日の輸送問題に対する直接の大臣が、これに対して協議をしていく、そして調和をとっていく、総合輸送体系そのものの期待にこたえる、このような御意思はございますか。
  225. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    ○新谷国務大臣 これは政府の正式の意向として申し上げるのはまだ早いのでございます。しかしながら、いまお話しのような点は十分考えております。単に建設大臣だけではございません。先ほどお述べになりましたような大都市圏における通勤通学をどうするのだ、こういう問題、これはやはり建設省あるいは住宅公団、その他民間の住宅会社というようなものとの関連において、どうしても考えていかなければならぬ問題でございまして、さあ団地ができたから、あと自由に運んでくれということでは困るのでございます。でございますから、そういう点もわれわれとしては考えなければならない。それから、物資官庁も同様でございます。どこに工場ができる。どこに生鮮食料品を供給する場所ができる。それが輸送問題と関連なしにつくられますと、一番困るのは運輸省でございます。ですから、私はいまも非公式でございますけれども、提案をいたしております。あなたからごらんになると、いまからでもおそくないとおっしゃるけれども、ほんとうはおそいと思っていらっしゃるだろう、たいていこれはおそいと思います。おそいですが、総合交通体系をもう少し実のあるものにいたしますためには、単に建設大臣だけではございません。物資官庁、住宅所管の官庁等々あるいは学校もそうでしょう、と十分に打ち合わせをいたしませんと、いまの総合交通体系の中身ができてこないことを痛感いたしておりますので、そういう点につきましては、微力ではありますけれども、関係閣僚に呼びかけまして、これを何とかもう少し実のあるものにしようじゃないかということを、いま提案をしておる際でございまして、もう少し結果はお待ち願う以外にないのでございます。
  226. 神門委員(神門至馬夫)

    ○神門委員 西ドイツではレーバー方式といわれるように、一九六八年に時の運輸大臣が国鉄と鉄道とトラック関係、最大の問題はやはり陸運の二大勢力がここでありますから、この調整をして成功をおさめているということは、あまりにも有名でありますし、この監査報告書の一六三ページにわざわざ「諸外国鉄道の経営収支」というふうな表を添付してあります。監査委員会の任務は指導監査を行なう。そこに任務の一つの特質があるのは御承知のとおりでありまして、これはだてやていさいで載せたものではない。大臣はほんとうにこれをごらんになったことがございますか。おそらく部下が読んで、大臣は見ていないのじゃないか。ですから、西ドイツでなされたように、いまベテラン運輸大臣でありますから、もう重大な段階にきたこの際に、ひとつ決断をもって新谷方式といわれるような、いわゆる総合調整の交通政策を打ち出してもらう、こういうことを特にお願いしておきたいと思うのでありますが、そういうような中で、先ほど総裁に失礼ながらいろいろとしつこく質問いたしましたけれども、これは今後の問題としてきわめて大事な問題であります。いまの利子補給方式、若干の数字合わせの出資方式では、おそらくまた行き詰まります。これはもう皆さんも心の中ではそう思うておいでになるだろう、こういうふうに思うわけでありますが、そういう中で諸外国でやっているような一つの独立採算を前提とするならば、何か合理的な基準をつくる。いわゆる励みになるような、赤字になればそこで折衝して、つかみ金をつけるということでなしに、何か合理的基準をつくる。あるいは東京都が都営交通事業の独立採算制についてというのを、ことしの一月に出しております。この内容は読むまでもないと思うのでありますがそういうようなもの、あるいは先ほどの三十八年五月の国鉄経営に対する答申書、諸外国の例、こういうようなカルテがたくさんいま出ている中にあって、暗中模索と申しますか、いわゆるもんもんの状態で、いつもいつも五カ年、七年、十カ年計画が死に死にの状態で今日まで続いてきている段階において、何かそれらの問題について検討をなさるべきだと思います。  私がいまいろいろと去年の議事録を読んでみて感じますこと、あるいは国民が何か生理的に国鉄の運賃に反対する、こういうような気持ち、物価が高くなるから、高くなるのはいやだ。これは理屈でない理屈でもあるわけです。しかし、それはそれなりに合理的な説得性がないところに問題がある。たとえばこの国鉄財政再建対策要綱なるものを見ますと、国鉄の運賃申請に伴って四十八年一月十四日に、大蔵大臣、運輸大臣、自由民主党政調会長、自由民主党国鉄財政再建問題懇話会座長、言うならば四名とも自由民主党の人たちです。これは自由民主党の人たちもけっこうでございます。それでいかぬと言うのではないが、こういう長期のものをつくろうとするならば、そこに——国民の足だ足だとおっしゃっているけれども、実は政府の考えておいでになることは、国鉄国民のげたと考えておいでになるのじゃないか。ほんとう国民の足だとお考えになるならば、その主人公であるところの国民の意思を反映させて、そして国鉄の将来の経営のあり方あるいは独立採算を焦点とする公共負担等をどのように分担をしていくかという問題、これらの問題についてまず検討されること、こういうようにしませんと、いつまでたってもこのような悪循環——まさかこの運輸委員会では強行採決はないと思います。ですが、このような課題があるにかかわらず強行採決されるとするならば、これはおそらく二六%が二〇%とまだ下がるというような、天つば問題になるということをここできびしく申し上げておきます。ですから問題は、国民の足をいたわる、その主人公の国民意見を考えて、国民の将来の足のあり方をどうするかという、このことをぜひともいまこそ、新谷大臣、先ほど決断をもって決意をもってとおっしゃっておりますが、やられるべき時期に来ております。  そのためには、やはり国鉄法を改正して、制度的に合理的な基準をやる、こういうことがどうしても出てまいります。現在の日鉄法四十一条ではどうにもこうにもならない段階にきているわけでありますから、これをどうしてもやる。あるいは公共負担の適正な分担あるいは出資金の適正な金額は一体どうあるべきかというようなものを民主的にやっていただく。こういう一つの、去年ことしになったような四者、いわゆる大臣二人と自由民主党の役員二人というような一党の中で、国民の足のすべてが独断できめられる、というものの言い方が悪かったら訂正いたしますけれども、そのような内部で閉鎖的にきめられるのではなしに、ひとつこのような方向をいま考えられるべき時期だと私は考えるわけであります。  大臣、この際、政府の考え方という立場ではもちろんいまは言えないでしょうが、運輸大臣として、そのような制度的な問題に対して具体的に研究立案をする何かの、たとえば委員会のようなものをここで設ける意思はございませんか。なければならないはずだと私は考えるのでございますが、いかがでございますか。
  227. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    ○新谷国務大臣 われわれは法律の中で現在の制度を尊重しながら仕事をする以外にはないのでありまして、仰せのようなことをしようといたしますと、おそらく法律を出して制度をつくらないとできないことだと思います。  今後の問題は別といたしまして、私ども、一応四人でもって相談をいたしました。自由民主党というものは、皆さんと立場は違う点があるかもしれませんが、やはり国民を代表しておりますので、いろいろな意味におきまして役所だけで、両大臣だけできめるよりも、もっと幅の広いアドバイスもしてくれるというようなことも考えておるわけでございます。しかし、現在のこの運賃決定の場合の制度でございますが、決定に至りますまでには、それは形式だけだろうとこうおっしゃるかもしれませんが、私どもの内部でもいろいろの委員会、審議会等にはかっておりまして、公聴会をやりましたり聴聞会をやりましたり、いろいろいたしまして、それはそれなりに国民方々の御意見も聞いてきておると思います。  それから、もっとお考え願いたいと思いますことは、外国の例を見ましても、運賃決定を国会の審議にまかしておるところはほとんどないようですね。これはおそらく、鉄道の非常に重要視されている国では日本だけだと思います。この問題は、ある方面では、運賃とかそういう料金についてなるべく国会に出さなくてもいいじゃないか、出さないようにしたほうがいいんじゃないかという意見もあるかもしれません。しかし、私どもは従来からこの運賃について国会の御審議にまかしておるわけでございまして、国民を代表しておられる方々であり、最も民主的な形で御決定を願えるものと確信をしておるのでございます。でございますから、考えろとおっしゃれば、将来に対しましていろいろ制度的な問題につきましても検討してみます。検討してみますけれども、それならば現在のやり方がいかにも役所が自由自在に、かってに、国民の感情を無視してやっているかというと、そうではなくて、他の国に例を見ないような国会の御審議にまかせまして、国会において御決定を願っているという制度でございますから、これは他の国にも例のないような民主的な方法で国民方々の意思を入れて決定されているというふうにお考えをいただきたいと思います。
  228. 神門委員(神門至馬夫)

    ○神門委員 その点についてはいろいろ意見もありましょうが、いまの国鉄経営全体のあり方というものは、端的にいえば政府の恣意によっていつでも赤字にできる、そして慢性赤字にすることができるというような仕組みになっているのですね。そうではなしに、一つの合理的な基準をつくられた上で、その中で独立採算制をやる、あるいは財政法上の束縛を抜けて、その中で運賃は自主的にきめるということも起こり得るかと思いますよ。問題はその基盤をつくるかつくらないかという、このことなんですね。ですから、どうしても早くこの段階でそれをつくっていくべきだ、もう踏み切るべき時期に来ているんだ、こういうことを言っておるわけなんですよ。ですから、そういう意味で、どういうふうにやるかということになれば、運輸大臣もまだ上に総理大臣というえらい人がいますから、即断はできないでしょうが、運輸大臣としてはそういう方向に検討する何かを持ってみよう、こういうようなお考えがあるかないか。こういうことをお聞きしておるわけであります。
  229. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    ○新谷国務大臣 先ほど御答弁申し上げましたように、私はただいまの制度でもきわめて民生的に御決定を願っておると思っておりますけれども、いまのアドバイスでございますから、さらに十分これは検討してみましょうということを申し上げたわけでございます。  この運賃決定の問題につきましては、現在でもやはり私たちは法律のワクの中で仕事をしなければなりませんが、御承知のように非常にむずかしい法律でありますけれども、国鉄の運賃決定についての四原則がございます。これをどういうふうに理解し、どういうふうに実際運用していくかということは非常にむずかしい問題で、おそらく学者の先生方も、これについてはいろいろ意見が分かれるところだと思いますが、この四原則を調和をとりながら生かしていくというような考え方でやってまいりますと、一つは、運賃をきめる場合に大事なことは原価を償うということ——これは先ほど来、もうその時代じゃないとおっしゃいますけれども、やはりその点から見ますと原価主義ということが中心になってまいります。それから、公正であり、妥当なものであることというようなことになりますと、あるいは公共の福祉というようなことを考えますと、ただいま国鉄がやっておりますように、公共機関として当然公共的な方面に大いに力を入れなければならぬということにもなります。そういった点は単なる原価主義ではいけません。でございますから、われわれとしましては、政府としてそれに見合ったような可能な限りの財政負担をしようというようなことでこの運賃の構成を考えておるわけでございまして、いまの運賃決定の四原則の線に沿いまして組み立てておるつもりでございます。これは先ほど国鉄の総裁といろいろ御議論がございましたので、私の考えを申し上げておく次第でございます。
  230. 神門委員(神門至馬夫)

    ○神門委員 国鉄運賃法第一条の四原則そのものが、この間公述人ひとしく言いましたように全部じゅうりんされ、無視されている。このことは、どちらから出た者を問わず、大体公述人の一致した意見でございましたね。だから、その点、調和をとっていまきめているなんという大臣の答弁自体はどういう意味で——その辺で議論をしていこうとは思いませんけれども、それは答弁用としては通用しても、現実の問題としてはもう通用しないのです。自由民主党のほうから推薦されました憲法学者の何とか先生は、第一条は、この運賃四原則は廃止すべきではないか、こういう御意見を公述人として述べられております。それほど法律が、実は政府のほうのやり方によって無視されてきている。だから、そこでもう法律が殺されている、こういうような言い方をしておいでになります。運輸大臣、あなたはいま、それを生かしてどうやるかというふうに答弁用の答弁をされましたが、今日の運輸委員会の答弁はそれではいけない、こういうことであります。そこに矛盾が出ているから、何とかして日鉄法等の改正、いわゆる制度的なものを展望しながら検討する一つの委員会等をつくっていくということが、公述人全体の意向からしても、国鉄が将来生きる道からしても、この際大事だと思います。これは総裁のほうから言いにくいことばでありますから、監督者としての大臣からぜひともお答え願いたい。先ほどのような、何かの研究をするものについて検討していくというようなお答えでもいただけないものですか。
  231. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    ○新谷国務大臣 先ほど御答弁を申し上げたとおりの姿勢でございます。それで御了承いただきたいと思います。
  232. 神門委員(神門至馬夫)

    ○神門委員 大もの運輸大臣も、公の立場ではなかなかそのような課題についての発言ができない模様でありますから、それ以上求めません。  次は総裁にお尋ねいたしますが、この十カ年計画の中で昨年もことしも十一万人の合理化問題が出ておりますね。それで、これが三本の柱になっております。その十一万人というものについて、これまでもいろいろと質問が出ておりますが、きちっとした根拠というものはいままでどうも明確に答弁されておりませんが、どのような根拠でおきめになりましたか。
  233. 磯崎説明員(磯崎叡)

    ○磯崎説明員 十一万人の削減につきましては、御承知のとおり、四十四年のときにすでにお話しいたしておりますが、その後四十四年、四十五年でもって二万五千人減っておりますので、実際は現時点では八万五千人でございます。十一万と申しますが、正確に申しますと十万八千人でございますから、残りは約八万くらいということになるわけでございます。  この算定の根拠と申しますものは、むしろ現在のわれわれの人員構成が一つの問題点でございます。この人員構成をたどっていきまして、かりに五十五歳の定年を維持いたしますと、十年間に大体何人減るという数字が出てまいります。その中から実際必要な、ほんとうに新規採用しなければならない若い職種がたくさんございます。これは全部採るというふうにしてまいりますと、相当、数が減ってまいります。  一方、そういうことを別におきまして、機械化、近代化の問題が当然出てまいります。これは国鉄近代化、いわゆる設備投資をして近代化して、人がおのずから浮いてくるという方法は当然考えなければいけません。これと両方で詰めてまいりまして十一万人という数が出たわけでございまして、これは現在の需給関係現状並びに職員の年齢構成及び今後設備投資をしていく際の内容等につきましていろいろ検討した結果、出た数字でございます。ただし、この一々につきまして、一応毎年組合と団体交渉いたしますので、毎年毎年の正確な何千何百人とまでは出ませんけれども、一応毎年平均何人ぐらいということでもって合理化を推し進めていきたいというふうに思っているわけでございます。
  234. 神門委員(神門至馬夫)

    ○神門委員 これもつかみで十一万人というものが出されておるというふうに、いまの答弁ではそう受け取る以外にございませんが、しかし四十四年に出されまして、昨年の案でも十一万人ですね。いま地方閑散線そのものの撤去の方向が大きく変わりました。新幹線の繰り上げ開通というこの二本の大きな方針を見ても、十一万人の根拠というものは大きく違うはずであり、狂うはずでありますが、それがまた変わらないという根拠はどこにありますか。
  235. 磯崎説明員(磯崎叡)

    ○磯崎説明員 もちろん先ほどの二つの問題は人を要することは事実でございます。  まず、初めの地方閑散線の合理化問題でございますが、これはやはり残すにいたしましても地方閑散線は極力合理化してまいりたい、これは当然のことだというふうに考えます。  それから同時に、今後の新幹線の所要人員は、輸送量その他でいろいろはじいておりますけれども、この所要人員は、やはり合理化を進める——今度の設備投資によりまして、相当多額の近代化合理化ができます。ことに、たとえば電化計画などはずいぶん計画以上に進めております。そういうことによる昨年の計画に対する減の要因が相当出てまいりますので、それらを勘案いたしまして、新幹線の所要人員の増加に充てたいというふうに思っております。
  236. 神門委員(神門至馬夫)

    ○神門委員 その辺につきましても抽象的で、まあ立場はわかります。わかりますが、問題はやはり先ほど申しましたように、合理化ということについて、何でもかんでも十一万人という人身御供を総裁は出して、われわれの首を切ろうとしているのだ、そして労働強化をしようとしているのだ、こういう気持ちがある。それに対する説得性がなければならない。こういう立場で、その問題についてもまだ入りたいのでありますが、いろいろと苦衷がございますから、その点につきましては、そういうお考えを一応前提といたしまして、この減少状態を見てまいりますと、ここに組合員と非組合員の増減の問題を私の手元に資料として持っております。それによると、昭和三十五年と四十七年を比べますと、非組合員、いわゆる当局側の全体の割合というのは、昭和三十五年と比べて一二九%、それから人件費になると三八三%。組合員の数になりますと、これがずっと減って九七%、人件費が三〇三。片方は二九%ふえておるに対して、組合員はマイナスの三%という人員人件費は三八三に対して三〇三という数字が出ておるわけでありますが、これはいま皆さんのほうで数字をお持ちになっておりませんから、議論にならぬと思いますが、たとえば具体的に今度は東京の数字をもらって——私は各職場の代表に集まってもらって聞いてみましたが、たとえば東京の機関区、客貨車区、電車区、この三つのものを調べてみますと、非合員の数というのは、何と六八%もふえておるのだ。そして、そのほかの、これはやむを得なかったとおっしゃればそれまででありますが、東鉄の三分割に伴って、差し引き人員は二百五十二名、一局よりか分割したことによってふえ、予算も相当の人員がふえておる。あるいは首都圏本部の設置によって、それらを加えますと相当の人員がふえておる。組合員の大幅な減少に対して、非組合員全体としてはこれがふえているというような傾向がございますが、これは数字的には皆さんのお持ちの中でいろいろ違うかもわかりませんが、全体の傾向としては、これは私も現場の実態を見て、間違いないところであります。このように、組合員の数はずっと減らされ、非組合員の数は想像以上にふえていくというような傾向は、労務管理上の問題でございますか。あるいは私のほうに入手している資料に間違いがございますか。
  237. 加賀谷説明員(加賀谷徳治)

    ○加賀谷説明員 ただいま非組合員の数がふえているというお尋ねでございますが、確かにふえている面につきましては、あるわけでございますが、新幹線の開業とか新駅の開業とか、いろいろなそういった要素がありますし、それからまた、私どももいろいろ全職員につきまして、時短とかそういったものも行なっておりまして、時短を行ないますと、非組合員といえどもふえるというような形が出てまいるというようなことでございます。それから、合理化によりまして業務のあり方といいますか、態様と申しますか、営業のあり方といいますか、そういったような業務の態様の変化によりまして、そういった部面に少しふえておるというようなことは確かにあると思います。  それから管理部門の問題でございますが、確かに東京の局を三分割いたしましたときには要員がふえております。それはそれとして、そういう管理要員がふえてもそれだけのメリットがあるということで踏み切ってわれわれやったわけでございまして、五万、六万という数は管理の能力を越えておるということから発するわけでございますから、確かにふえております。しかし、管理要員につきましては年々かなりの合理化を進めてきておりまして、われわれも、この十年計画を進めるにあたりましては相当数減らしていくというような計画で臨んでおります。全般の非組合員につきましても、できるだけむだにふえることがないように、私どもこれから心がけてやっていくつもりであります。  以上であります。
  238. 神門委員(神門至馬夫)

    ○神門委員 メリット論につきましてはいろいろと主観のあるところでありまして、そういうお考えについて、それはそれなりに意見として伺いますが、非常に不自然な姿が出ている。こういうことを一言申し上げて、またの機会に具体的な問題を提示したいと思います。  それから先ほど総裁がおっしゃいましたように、具体的な諸条件、たとえば昨年とことしという、この十カ年の展望、基本的な大きな変化があるにもかかわらず十一万人が変わらない。この辺の無理がどこに一番集中するかということでありますが、やはりこれはいわゆる外注であります。この業務の外部委託の問題、ここに、言うならば十一万人にしても十二万人にしても、ある意味においてはやれるわけです。それは国鉄職員という鉄道の服を着せない、他の会社の職員、労働者をそこに入れればいいわけですから。しかし、外部委託によるところのメリットというものが一体今日の状態でどのくらいあるのか、ひとつお答え願いたいと思います。
  239. 加賀谷説明員(加賀谷徳治)

    ○加賀谷説明員 お答えいたします。  国鉄の業務の外部の委託というのはかなり早くから行なわれております。昭和三十二年ごろから行なわれております。と申しますのは、国鉄の仕事の中できわめて単純な労務、作業、そういったようなものにつきまして、特に国鉄職員でもってやらなくてもいいんじゃないかというような仕事がたくさんございまして、戦後間もなくの非常に人のたくさんおった時代から一歩抜け出た時期から、そういったような判断でかなりのそういった作業をやっておるわけであります。したがって、要員の合理化の一番初めの考え方としましてもそういったような、特に国鉄職員としてでなくてもそういう簡単な労務の提供ができるといったようなものがありましたものにつきましては、できるだけ委託をするという立場をとってやってきておるわけでございますが、最近でもいろいろ合理化を進めまして、いろいろなそういう委託業務というようなのが出てきておりますが、さらに最近では高度の、たとえば特殊な技術が要るものとか、そういったものについては特殊な設備を施し、特殊な技術を持つ者を養成してやるといったことの不経済、そういったような面も勘案いたしまして、外部にそういったものを扱える組織なり何なりというものを利用できるというようなことがありますれば、そういったものには、やはり国鉄自体で養成してかかえてやっていくということでないほうが大いに経済的なメリットがあるということになるわけでございますから、そういったような面のものもたくさん出てきておるというようなことで委託業務が進められているということでございます。
  240. 神門委員(神門至馬夫)

    ○神門委員 この委託業務は、先ほど申しますように十一万人そのもののはけ口として、そこに無理が出てくる。この問題がどうしても考えられるわけですね。この監査報告の中でも、四十六年度二千三百人、いわゆる職場の切り売りと申しますか、外部委託によって二千三百人ほど減っておるわけです。全体の縮減が九千四百名、浮かした人員はまだほかにありますけれども、縮減九千四百名の四分の一程度が外部委託によってまかなわれておるわけです。いわゆるこの外部委託で私たちがいうところの日交観、鉄荷、整備、臨海、こういうような人員がいま二万六千八百九十二名それらの会社におる。そういう国鉄の本来と申しますか、これまで国鉄の職員の職場で、これだけの多くの人間が働いて、そのために国鉄の定員というものが相当数減少をされてきておる。これにどうしても無理が出てくるだろうと思うのであります。  監査報告の中にも「業務の部外委託」の中に、「荷扱い、清掃等の業務委託については、委託会社における労働力の確保が困難になるとともに労務賃金の上昇率も大きくなっており、業務委託費の増こうを招く一方委託会社の経営も圧迫されてきている。」こういうようにいっておるのであります。いままで低賃金であるがゆえに、そこへメリットを求めて委託した。しかし、いつまでもそういう会社の労働者も低賃金で甘んじません。生活のできない物価高の中に対応する賃金を求めていく。そこにこの経営というものが困難な状態になってきておるということをこの監査報告の中にいっておるのであります。私も、二、三日前にこれらの会社に働く労働者の皆さんとちょっと会ってみました。その点の意気込みというものは相当強いものがございます。ですが、十一万人合理化というものをきめておけば、極端な例を言いますと、国鉄と同じ賃金、あるいは高くても国鉄労働者の賃金では払ってない、人件費を払ってない部外委託の他の会社のものにしてしまう、いわゆるその他の人格の従業員にしてしまうというようなことによって十一万人という合理化そのものはなし得ることができる。しかし、その辺に非常な問題点がありはしないか。  そこで、この問題を具体的に一つ出してみますが、国鉄の本社のほうからもらった資料に「宇都宮貨物ターミナル駅講内の車両入換作業委託契約書」というものをいただきました。ここでは、宇都宮貨物ターミナル駅構内で他の会社に委託して入れかえ作業をなしておるのであります。その会社の名前は宇都宮ターミナル運輸株式会社、こういう会社でございますが、十一名おりましたのが三十一名になっております。このように、直接運転に携わるような、国鉄の本来使命とするような、この宇都宮ターミナル駅構内における入れかえ作業を外注にした個所というものは、現在何カ所ありますか。
  241. 原岡説明員(原岡幸吉)

    ○原岡説明員 構内の入れかえ作業を部外に委託しておる個所は十七カ所ございます。
  242. 神門委員(神門至馬夫)

    ○神門委員 それで、その契約書の中にいろいろと、たとえば構内という運転職場であり、運転そのものは人身傷害を最も起こしやすい、国鉄の職員の人身傷害の多くの部分をこの構内作業で出しておるわけであります。そういうような危険な中でありますから、一体どういうような契約のもとにこのような下請、外注がなされておるかという点について聞きたかったものでありますから、この契約書なるものを資料として御提出を願ったのでありますが、そこの契約書の第六条には、「国鉄の定める運転関係従事員採用規程に基づく資格又は同等の知識を有し、」その「適性考査及び規程、技術の試験に合格した者でなければならない。」こういう内容がございます。適性考査をしなかったら運転にはあぶないということで、きびしい国鉄内部の規制がある。ところが、実際現地の状況を聞いてみると必ずしもそうではない。国鉄当局のほうから五回も六回も試験というふうなことでおいでになるようでありますけれども、四万円や五万円でそう国鉄職員と同じような試験に合格するような能力の人たちが率直に言って来るはずもないし、五十五歳を過ぎたような人でその試験を受けること自体がなかなか問題点がある。この契約書どおりにそれらの考査なり試験が確実に行なわれておりますか。それをまず第一にお聞きしておきます。
  243. 原岡説明員(原岡幸吉)

    ○原岡説明員 本社が直接その実行を監査しているわけではございませんけれども、管理局長がこの契約書に基づいて契約のとおり実行いたしておるものと思っております。
  244. 神門委員(神門至馬夫)

    ○神門委員 外部委託の問題につきましては事前に連絡をいたしておるつもりでありますが、本社では把握をしておいでにならない、こういうことでございますね。
  245. 原岡説明員(原岡幸吉)

    ○原岡説明員 本社が直接その実行を監査しているわけではございませんと申し上げたわけでございまして、管理局長において実行いたしております。
  246. 神門委員(神門至馬夫)

    ○神門委員 その点はわかります。機構上そうなっておりますから、この下請会社との関係というのはみな共通でありますから。把握をしておいでになるかどうかということであります。本社のほうにおいて実態の把握をしておいでになるかということであります。
  247. 原岡説明員(原岡幸吉)

    ○原岡説明員 把握いたしております。
  248. 神門委員(神門至馬夫)

    ○神門委員 それでは先ほどの質問にお答え願いたいと思います。
  249. 原岡説明員(原岡幸吉)

    ○原岡説明員 管理局長が監査いたしております。契約のとおりやっております。
  250. 神門委員(神門至馬夫)

    ○神門委員 管理局長が契約どおりにしている。その問題は運転等の国鉄職員と同等の資格、条件を持たなければならない一番大切な運転業務ですね。この辺について、管理局長に命じてそのようにしておる、こうおっしゃっております。その辺はわかりますが、具体的にそのような資格を取得した者が運転をし、それらのすべての運転関係に従事をしているか、この具体的なものについては一々は把握しておいでにならぬのですね。
  251. 原岡説明員(原岡幸吉)

    ○原岡説明員 具体的な人間を基準に合った考査によってどのようにあれしているかどうかということは、一々は把握しておりません。
  252. 神門委員(神門至馬夫)

    ○神門委員 現在急速にふえまして三十一名おります。その中で、おっしゃるような資格を取得しておる者についてひとつ具体的に調べて、あとから資料を出してください、これ以上追及いたしませんから。  そこで、この契約書によって、請け負った業務の中の損害はこれを補償することになっておりますね。
  253. 原岡説明員(原岡幸吉)

    ○原岡説明員 補償するようになっております。
  254. 神門委員(神門至馬夫)

    ○神門委員 ところがたいへんいろいろ問題がある。先ほどの運転従事員としての資格要件について、はたして持っているかどうかという点も、十七カ所全体についていま一度本社としては監査をされる必要があるし、そのような重要な運転部門、構内部門の外部委託をされるときに、本社においてそれがチェックされてないというような放漫な経営のやり方については、実は重大な問題があろうと思います。しかし、これはここで追及して、別にきょうの私の質問はあげ足を取ろうということではございませんから、ひとつその点についてはしっかりした把握をしておいていただきたいと思います。  そこで、この宇都宮ターミナル駅の場合、三日に一度くらい事故を起こしている。それは、ふなれな者が入るわけですから、なかなかうまくいかないでしょう。報告書もここにありますけれども、報告書の中にあがっているのでも相当数あります。しかし、実際の問題としては二月二十日に、これは現地で直接あちこち聞く中でわかったのでありますが、国労のほうから調査団がたまたまその現地に行った二月二十日に、その構内で車どめを突破する事故をやっている。ところが駅長に聞いてみますとそれは全然知らない。知らないままその車両はすでに連結されて本線に運転に出ておった。これが国鉄職員の場合だったら、一応それは休止して点検して出します。しかし、それを明るみに出しますと賠償の責を免れることはできない。だから、とにかく目をつぶって次の駅まで行きさえすればその責任を免れるというような一つの現実が具体的に出ておるのであります。これはこういう公の席上で私が言うのでありますから、もし間違いがあったら私はおわびいたしますが、確信をもって申し上げるのであります。まさに非常な危険な状態がそれらの十七の委託された構内から、この契約に基づいて、いわゆる損得論の中から、なるべくやみからやみに葬りながら、びっこを引きながら走っている。走ることのできないものが引きずられて、引っぱられているというような状態も、この一事をもってやはりあるのではないかというふうに思うわけです。ですから、十一万人合理化のそのしりぬぐいとして無理なこういう外部委託等のやり方については、どうしてもこの点は考えていただかねばならない。十一万人に固執されてはならない。こういうことを、いま宇都宮ターミナルの一例を合理化問題に関連して申し上げているところでありますが、それについていかが総裁はお考えでございますか。
  255. 磯崎説明員(磯崎叡)

    ○磯崎説明員 ただいまのお話、非常にこれは重大な問題でありますので、私どもよく調査いたします。もちろん私どもといたしましても、十一万人をやみくもでやるわけじゃありませんで、十分組合と相談してやりますので、合理化のための合理化ということでなしに、十分安全を確認した上で成果のあがるようなやり方をしてまいりたいというふうに思っております。
  256. 神門委員(神門至馬夫)

    ○神門委員 重ねて申し上げますが、十一万人合理化という一つのイメージというものは非常に暗うございます。また、私きょうここへ持ってこようと思ったのでございますが、首は切られなくても広域配転等、異職への転職、こういうようなことで新婚の中で不和が起きるという問題が起きておりまして、そういう中でこの十一万人の合理化内容というものは、ただ再建のために再建のためにという、昔の、日本のために、天皇陛下のためにというようなことではとても納得することではないのでありますから、このようないわゆる十一万人合理化そのものを、無理な方法で数字合わせをするということのないように、ひとつぜひともこの合理化問題でお願いをしておきたいと思います。  いま、四月二十四日の騒動の問題あるいは上尾事件あるいはこの間のストライキの問題、これらのいろいろの問題をめぐりまして、この労使関係の問題というのは国鉄当局も非常に苦慮なさっておることがよくうかがえます。この点については、このおい立ち等についていまから別に触れようとは思いませんけれども、最近、公労委の委員長でありました今井さんがこの公労法そのものについての考え方というものを述べておいでになる。これは文献として、生き証人として非常に大切なものでありますが、それに触れるまでもなく、「国鉄経営の在り方についての答申書」の注の(六)にこういうことがあります。   〔委員長退席、加藤(六)委員長代理着席〕 「国鉄公共企業体となつた経緯。開業以来、国営事業として運営されてきた国鉄は、昭和二十四年六月一日、公共企業体としての「日本国有鉄道」となつた。国鉄がこのような新しい経営形態に切り替えられたのは、非能率な官庁経営方式を改めて、能率的企業的な運営を行わせようというにあつた。しかし、直接の動機としては、昭和二十三年七月二十二日付で連合国最高司令官マックアーサー元帥から内閣総理大臣にあてて発せられた国家公務員法改正に関する書簡に基いて、労働問題の解決のための措置の一環としてとられた措置によるものであつて、経営自体の問題として提起されたものではなかった。」こういうことをいっておるのであります。  労働問題としてこのような公共企業体になり、公共企業体そのものというのは、先ほど総裁にもいろいろ質問いたしましたように、はっきり明確にされないまま、労働対策としてこれが進んだがゆえに今日の弊害があるんだ、こういうことの説明の資料として出されておる。しかし、今日の労使問題というものは、実はこれが今日まで尾を引いて重大な関係になっている。この点をやはり理解しておいていただく、このことは私はきわめて大事なことだと思うのであります。こういうふうにいっておりますが、たくさんの文章でありますから、ちょっと一部分を読んでみますと、「主として軍事上の要請によって、国直営の事業に統合されて約四〇年、戦後の経済復興のためには、どんな経営形態をとるのが最も適当かは、実に大きな問題である。少なくとも両三年の期間をかけ、あらゆる方面の意見をきき、過去の功罪をトコトンまで追及し、英知を結集して検討しなければならないほどの重要性をもっている。それを全く日本側の意見をきかないで——私の知る限りではそうである——ヤブから棒に「国鉄を公社に改編せよ」といって来たのである。」こうして今井さんが言っておいでになるのであります。一般に、国鉄の悪いところは、国営の悪いところと民営の悪いところを兼ね備えたようなことで評判が悪い。しかし、それはマ書簡があまりにもむぞうさに公社化を命じたことにある。「占領軍の労働政策の転換の都合上あわててこしらえたのが現行の公企体である、」こういうように、そのときずっと関連しておいでになりました今井さんがおっしゃっておいでになる。  私がこのようなものを持ち出しますのも、繰り返して申しますように、この労使間の不信感をなくしていく、これは特に自由民主党の皆さんが事あるごとにここに立ちまして、労使間の信頼関係一体どこにあるのか、これを正すことが国鉄再建基礎だ……(「国鉄だけではなく、全部だよ」と呼ぶ者あり)そうです。そういうふうにおっしゃっておいでになる。もちろん私どももそうだと考えております。ですから、そういうことでこの点について私は申し上げるのでありますが、こういうような経過につきまして、私は今井さんの、これはぜひとも読んでおいていただきたいと思いますが、四十七年七月二十五日の公労委季報であります。ここに公共企業体になったいきさつというもの、労使間の問題というのが、まさにその当事者として今日詳しく書かれておる。そして、その人は、御承知のようにいわゆる革新とかなんとかいう立場の人でないところに、皆さんにもこの説得力があるだろうと思うのであります。ですから、その点はひとつぜひとも理解をしておいていただきたいと思いますが、そのようないきさつについて、いまさら私が申し上げるまでもなく、総裁のほうあるいは大臣、それぞれその点については御承知いただいておりますか。
  257. 磯崎説明員(磯崎叡)

    ○磯崎説明員 昭和二十四年に公労法ができましたとき、私も当時、いま残っている数少ない関係者の一人でございまして、マ書簡が発せられましてから公労法、国鉄法ができる間のいきさつは、十分私は承知いたしております。
  258. 神門委員(神門至馬夫)

    ○神門委員 それで、公労法ができて、この諮問委員会の答申書の中に出ておるのでありますが、政府はこの公労法の精神を尊重せず、労働組合は闘争する、そのようなことで現状は職場規律が乱れている、こういうことを非常に客観的にこの諮問委員会の中に書いております。そして私が調べました中におきましても、昭和二十四年の四月に施行され、六月に改正になって施行されたのでありますが、二十四年の十二月二日の第一回仲裁裁定以来、五回もいわゆる予算上ということでこれが履行されなかった。そういうところに二十七年、主としては二十八年ごろから仲裁裁定を完全に実施しようという闘争が起きまして、それで闘争によつくこれは公労法、日鉄法によって処分が起きて、今日解雇された者が五百七十一名国鉄におりまして、全体の処分されましたのが二十二万四百九十八名おるわけであります。それで処分をする、処分を反対という、こういうきっかけが、実は代償機関を設けるからスト権を制約するんだといった中途はんぱなおい立ちがそこになじめないといいますか、この仲裁裁定そのものを拒否していく。いわゆる国鉄はその当時赤字ではありませんでした。そういうときにもなおかつこれを拒絶して、その繰り返しが今日のような悪循環を生む原因になっておる、こういうことであります。その辺の経過についてはやはり十分、今日公制審がすでに何回か持たれて、十年間会合を重ねられてなかなかその結論が出てこない、こういう中にも、これはただ単にあいつがこいつがということじゃなしに、歴史的にずっとさかのぼってみますと、敗戦という大きな災難の中から生まれました紆余曲折が今日の労使問題を生んでおるわけであります。  そういうような点から考えて、この処分問題あるいはストライキ権の問題等、その悪循環解決のためにも、いまたくさんの資料を持ってきておりますが、各新聞の論調を持ってきておりますが、そうたくさん時間もないようでありますから一応おくとして、やはり積極的に解決をする、これは公制審が結論を出すまでということではもうだめだ、やはり政府自体がそれに対する回答を出すべき時期だ、こういうふうに言っておるのでありますが、運輸大臣、その点についてはいかがでございますか。
  259. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    ○新谷国務大臣 私もマッカーサー指令が出ました当時参議院におりまして、政府からいろいろ相談を受けました。その間の事情はよく知っております。政府が提案をしたのにつきましても、いろいろ意見を申し述べたことがございます。いまお述べになった結論でございますけれども、これは私が運輸大臣としてそれについて結論を申し上げるような立場にございません。でございますから、これはまた、またかとおっしゃるかもしれませんけれども、いま公制審で審議しておりますからその結論を尊重いたしますということを、先般の総評との間におきましても、官房長官はじめわれわれ関係大臣が一緒になりまして話し合いましたのでありますから、あの七項目の結論、覚え書きというものにつきましては誠意を持って当たるつもりでございます。
  260. 神門委員(神門至馬夫)

    ○神門委員 積極的な発言というものが重要な問題でありますから、運輸大臣個人の考え方ということでもなかなかいま言われない、こういうふうにおっしゃっております。この労使問題につきましても、もう少し大臣なり総裁の考えをこういう場でただして、そして労使の何かそこに障害があるならば信頼関係の回復をして、国鉄の真の回復ができるようにしていくべきだと考えるのでありますけれども、一応この問題につきましては、まだ委員会がございますからその機会にでもひとつ深めていきたいと考えております。  そこで、この四月二十四日の騒動事件、この問題自体は、いまのような労使関係労使不信の問題、あるいはいろいろな問題について、これは言うならば集中的にそこに爆発したというような関係にあるのじゃないか、こういうような関連でひとつお尋ねをしてみたいと思うのでありますが、論調もこういうふうに言っております。  四日二十五日の読売新聞が「首都圏乗客“爆発”の背景「上尾」忘れた甘い認識」こういう言い方であります。これはいわゆる交通政策の問題あるいは労使間として国鉄再建なり輸送問題にどう当たるかということについての論としてここで言っておるのでありますが、「善良の乗客をここまで追いこんだ責任は、政府労使双方にあることは明白である。すでに先月十三日の“上尾暴動”で、乗客の忍耐にも限界があることを知りながら政府はじめ関係者は「上尾」の教訓を生かさないどころか、これを自らに有利に利用してきたフシさえある。それが結局は、今日の事態を招いたといえよう。最大の問題は政府側の態度にある。」こういうことを言っておるのでありますが、政府側にあるということをいまここで私が追及し、こっちがいいんだ悪いんだと、こういうことではないのでありますが、問題は、このようなことが再び起こる可能性という条件というものは一体どこにあるのか。私は、きっかけはこれは順法闘争にある、国鉄労働者の闘争にあるということについて、それはそうではないなどと言う気持ちは毛頭ありません。きっかけはそうであります。しかし問題は、そのようなきっかけで起こったほんとうの根源、根本原因はどこにあるかという点がいま問われている段階なのであります。でありますから、この辺の問題は非常に大切な点だ、ストライキそのもののみに根源を置こうとするところに、これは労使の問題とあるいは政府なり労働者の問題いろいろの国民に対する問題として非常な不自然の状態が生まれてくるのではないか、こういうように思うのです。  同じ四月の二十五日でありますが、こういうふうに言っております。これは毎日新聞であります。「つもる物価、土地の不満交通無策で爆発」「識者の見方」としてここにいろいろと書いてあるのであります。千葉大学の望月さんは「住宅、物価など大衆は不満がいっぱいだ。だが、その正体がわからない。だからいちばん手近な弱いところにぶつかる。」それがこの根源だ、こういう言い方をいたしております。また蔵園さんという武蔵大学の教授は「今度の闘争は、賃上げとスト権の二面を持っているが、政府はベースアップについては組合と話合うが、スト権については、同じテーブルにつこうとしない。しかし同じ鉄道労働者でありながら、私鉄と国鉄では違った扱いをされるというのは、やはりおかしな話だ。政府も時代の流れの中で前向きに取組んでほしいと思う。」こういうふうに蔵園さんが言っております。あるいは大島藤太郎さんという人はこういうふうに言っています。これは私がこういうように考えるということではなしに、非常に大きな事件であり、国鉄再建と重要な関係があるからあえて私は出したのでありますけれども、大島藤太郎さんは「根本的な原因は交通政策の貧困だ。通勤客の積重なっていた日ごろの不満が一度に爆発したもので、上尾事件以後このムードは続いていた。上尾事件のあと磯崎国鉄総裁が“高崎線沿線の人口が急増、通勤客を運べなくなった”と語ったが、私もそう思う。」このような平素の不満がここで爆発をしたのだ、こういうふうに一連の論評というものがなされております。  いわゆる二十四日の夜から始まって、二十四日の夕刊等の論調から、二十五日、二十六日、さらには私はあらゆる週刊誌やら全部買い集めてみましたけれども、非常に論調が変わっていることを皆さんお気づきになっていると思うのであります。でありますから、そういうような点についての直接のきっかけは確かに国鉄の労働者の順法闘争であります。しかし、それほどにこのような問題が爆発したかどうか、あるいはそこにいろいろ計画的な背景があるかどうか、こういうような点をいろいろと、このたくさんの論調を持ってきておりますけれども、いわれておりますけれども、しかし根本にはいま二つの新聞をとりあえずここで読みましたように、そういう大きな交通政策、物価の問題、いろいろの不満の問題等のうっせきというものがきっかけとして、そういう順法闘争によって爆発した。こういうような関連については運輸大臣はいかにお考えですか、あるいは国鉄総裁はいかがお考えでございますか。
  261. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    ○新谷国務大臣 先般本会議で御質問がございましたので私の考えを述べたのでございますが、それに尽きております。それはいろんな原因があったかもしれませんが、とにかくあのような形でもって、国民立場を忘れたような違法な争議行為によって国民の足が奪われたということについて、しかもそれが頻発したということについて国民の怒りが爆発したんだ、私たちはこのように考えておるのでございます。しかし、いまいろいろお話しになりました中で、私の立場として考えますことは、運輸大臣が国鉄労使の間に入って、その労使問題に直接タッチしていくことは避けなければならぬと思っております。しかしながら、そのよって来たるところが非常に国鉄については遠く、深いものがあるように考えられます。でありますから、本会議の席上でも申したのでございますが、こういう問題についてはふだんからお互いにもう少し努力をしていただいて問題を煮詰めて、そうして最小限度の争いにして解決するような努力を絶えずしてもらいたい、そこに自然に労使間の信頼感もまたよみがえってくるんではないかと思いますということを本会議でも申したのでございますが、そういう意味でふだんから労使とも平常な状態においても問題点を煮詰めて、お互いの感覚を狭めていくという努力を絶えずしてもらいたい、いまでもさように考えております。
  262. 神門委員(神門至馬夫)

    ○神門委員 この問題につきましては非常にたくさん根がありますから、これもまたの機会にこの委員会で、たくさん集めております資料に基づいていろいろ政府なり国鉄当局等の考え方につきましてただしていきたいと存じますが、きょう山本警備局長おいでになっておりますか。——私はすぐ翌日現地に参りました。それは上野、新宿、赤羽、品川電車区、そういうところにずっと参りました。そうして二、三日前に関係の駅の国鉄の労働者の皆さんに集まってもらいました。そして皆さんすでに御承知のとおり、たくさんの週刊誌が追跡調査をいたしております。それは私たちが具体的に現地に行って見たこととあまりにもぴったりいたしております。そういう中で、この背景があるとかないとかいろいろ議論をされました。されましたが、この問題につきましても労使間の信頼回復のために非常に大事なことは、何かそこに背景があるんじゃないだろうか、こういう一つの所信を持っているわけでありまして、この点につきましては私たちも積極的にその解明に努力することをもちろんここで誓うわけでありますが、特に私たちが行きまして見たことも、あるいは現地の各駅の労働者が身の危険を私服に包んでいろいろ見たことも、特に駅長、助役、公安官という、あの週刊誌に名前が出ておりますね、その人たちにみなあとから当たってみました。そういう人たちの意見も同じようでありますが、何かそこに必ず二、三人の具体的な扇動していた者がおった、こういうことを言っていたのであります。  ところがこの二十五日の毎日の朝刊に——二十五日の朝七時ごろまで騒動があったんですね。新宿なんか六時、七時ごろまでありましたが、朝刊に、「偶発的な騒ぎだ 高橋幹夫警察庁長官の話 報告を総合すると、午後六時の大宮駅にはじまった一種のイモづる式の遅れで、各駅にたまった乗客が騒ぎ出したようだ。騒ぎは偶発的なものだと考えられる。この日は法政大学に中核派約百人が集合していたが、この騒ぎには関係がない。またその他の組織が意識的に起こしたという情報もない。」こういうことが二十五日の毎日新聞の朝刊に出ておるわけです。  そうして夕刊には一斉に出ております。内容は読みませんが、百三十八名を逮捕して、その内容というものを調べてみたところが、おれはこうこうこういうわけで、これには一切の背景はないんだ、こういうことが夕刊に一斉に警視庁のほうから発表がされておるわけですね。ところが現地の助役さんやら駅長さんやら、あるいはそこに働いている職場の諸君やらに聞いてみますと、いわゆる仕掛け人というのですか、まあ計画的にやったと思われるような人たちは騒ぎを起こしてすぐ逃げている。そしてつかまった連中は、いわゆるそのあとの雰囲気の中で一ぱい飲んで帰った連中、新宿の場合には弘済会の店をひっくり返してウイスキーを出す、地方物産店の中からかん詰めを出して開いて、そして気勢を上げては、やれ、やれ、というような連中が逮捕されている。それが百三十八名の分析の中から、その背景がないんだ、こういうようなことをいっております。私は決して、この背景というふうなものに大きな思想的なものがあるとかないとかいうことは、そういうようなことはわかりません。わかりませんが、現象的に何かそういうものが計画的にやられた。いわゆるプラットで暴動を起こし発煙筒をたき、そして運転室をこわす人間と、機を逸せず金庫のあるところ、金のあるところを襲う人間と、アジ演説をやる人間とが同じようにあるわけです。同じようなパターンがそこにあらわれておるわけなんですね。ですから、その点については非常にくさいと思う。  ところが、これも四月二十五日の毎日新聞でありますが、「四月二十四日夜、東京の国電“同時多発騒動”のドキュメント(警視庁警備本部情報より)」と、こういうのが出ております。これが日時的にずっと各駅をなにしております。そして警視庁関係の場合、「二十二時十分 警視庁、各駅に停車中の電車を機動隊が守り、これ以上の投石を許すな、と指示。」「二十二時十三分 警備本部は、集まっている乗客に振替え交通機関を指示して、立去るようにPRせよと指示。方面機動隊の最大動員を指令。」「二十二時二十五分 警備本部は駅員が持場を離れないよう駅長に申入れよ、と各方面警備本部長に指令。また上野駅では、駅員全員が駅長室に逃げ込んで業務ができないので救助せよ、」「二十三時十一分 赤羽駅精算所から現金を取った男検挙。」検挙は十一時十一分、一番最初です。午後の十一時三十分になって「警視庁は、事件拡大防止、国鉄運行の確保、悪質者検挙の方針を打ち出し、出動全警官に指示。」「二十三時四十分 警視庁は、機動隊三千人、私服の公安警察官千三百人をはじめ警察官一万八千人を出動。」そして「零時五十分警備本部、被疑者の徹底検挙を各現地警備本部に指令。」と、こうあるわけです。  で、同じように言っていることは、機動隊が来たけれども、警察が来たけれども、そこで物をこわしたり物を取ることを、機動隊も警察の人も、何もしない、機動隊がこう来て、通過をして、機動隊が来るから、かまえてやじを飛ばす、ところが、機動隊がそのまま何もしないから、帰ったから安心して破壊をした、こういうようなことを——これは非組合員の人ですよ。組合員だったら、おまえのほうの味方で、それは信憑性がないとおっしゃるでしょうが、そうじゃなしに、駅長さんや助役さん、公安官の人がそう言うのです。  ところが、この点を見てみますと、警視庁が、それならば逮捕せよといったのは十一時三十分。悪質者は検挙の方針を打ち出した。それまでは、悪質な者は検挙しろとかなんとかというものは出さなかった。二十三時三十分になって初めて検挙の方針を打ち出した。零時五十分に、警備本部は、被疑者と思われる者は全部逮捕せよ——そのときにはもう、計画した者はほとんどみんな逃げていて、何か物取り上げに切符なんかのマニアが出て見ておったそうです。そして、たてを持ってわっと寄ってきて、連れていかれた、私もあわやその中に入りそうになったというような現況を言っていたというのです。  この一つの騒動というものは、国鉄労使間の不信の問題と今後の交通問題全体に、その職場に働いている労働者、あるいは今後の運輸省としての交通に対する監督、あるいは直接の責任者である国鉄総裁として、これはゆゆしき問題なんです。  そして、こういうようなことを言っていたということをその労働者が話をしていた。変に、騒いでおる民衆に手を出すな、民衆と警官とけんかすることになるから、こういうことのささやきも聞いた、こういうことを言っているわけであります。これは私、そういうことを言ったということを言っておりますので、これは警察庁のほうからの指示ではないと思います。あれだけの群衆でありますから、人間としての警官も、身の危険を感じたことでありましょう。しかし問題は、警察庁として、目の前でそのような犯罪を犯しているその者を、現場におった人たちが確認するように何もせずに、手をこまねいていたという、こういうことであります。  これは他のマスコミも、いま一斉に出しております。私たちも現地に行きまして、これはおそらくマスコミの追跡調査が起こるに違いない、この実態というものは、ストライキそのものに耐えかねた者によって爆発した、こういうことだけでなしに根が深いぞというようなことを私たちは直感として感じ、そして、そのようなものが、あとからマスコミもずっと追跡調査が始まってきている中で結論的に出ておるものが、この内容とはぴったりと合うわけであります。  こういう点につきまして、時間がありませんから、私のほうから多く演説をして、そして短い結論を得るということになるのでありますが、しかし問題は、いつでも爆発状況にあるこのような大都市周辺の今日の状況下にあって、警視庁なり警察庁がとられる態度というものはきわめて大切な問題であります。具体的な描写等の問題につきましてはここではいま申し上げませんが、この経過なりとられた措置、いまマスコミ全体が取り上げておりますような現象、こういうようなものに対してどういうふうにお考えになるのか、お聞かせ願いたいと思います。
  263. 山本(鎮)政府委員(山本鎮彦)

    山本(鎮)政府委員 お答えいたします。  ただいまの二十四日の事件についての御質問でございますが、大体、警視庁の管内で検挙された者は百六十三名ということでございます。その後取り調べをいたしておりまして、現在においてもまだ勾留している者もございます。その調べと、それから二十五日にかけて実況見分を徹底的にいたしました。それから国鉄の職員あるいは公安職員その他見ている人、そういう参考人、そういう方からも逐次、多数の刑事を動員して、現在もまだ調査を続行中でございますが、現在までにいろいろと調べ上げた結果を大ざっぱに結論的に申し上げますと、やはり、いわゆる順法闘争によって非常にいらいらしておった。しかも国鉄その他のいろいろな指示、態度、そういうものについてやはりその不満が爆発して、群衆心理によってああいうことになった。そういう形で百六十三名の者が全部自供を完全にいたしまして、その間の自分の行為について反省いたしておりますが、動機としてはそういうようなことを言っております。  それから、いまいろいろと御指摘のありました機動隊のいろいろなことについて、これらについてもいろいろ調査はいたしておるのでございますが、都内で、三十カ所の駅でそういうようないろいろな紛議が引き続いて時間的に接着して起こりまして、また同じ駅の中でも東口、西口、右、左という形で、機動隊も限りがあり、署の警備力にも限りがありまして、いわゆる振り回されたような結果になった事実もあります。そういう場合に、一点から一点に移動するときに、個々にあった事案も見のがしたような場合も起きたというふうに想像されますが、一応の機動隊なり警察官の捜査に対する方針としては、そういう現行犯のような違法事犯、これはいかなる場合にもこれを制圧する、逮捕する、こういう方針であることは変わらないわけでございますが、その間いろいろの事情もあったということを御賢察いただきたいと思います。
  264. 神門委員(神門至馬夫)

    ○神門委員 この一番最初の発端になりました大宮駅でありますが、これは埼玉県にありますね。そしてこの前事件が起きました上尾、このほうには、この二十四日以前に再びそのような事件を起こしてはならぬということで、警察のほうから積極的に連絡があったわけです。大宮駅がなぜあのように被害が少なくて終わったのかということを調べてみますと、駅側の、いわゆる駅長の要請によって直ちに警察機動隊のほうから飛んで来られて、そしてそこに暴動を起こさないように、いわゆる初動行動において制圧をした。それでそこに大宮で起こるべき大きな騒動が起こらずに、赤羽に起きた。赤羽のほうその他の場合には、ほとんど、そういう要請から相当な時間がたってなされている。ですから、私はこの辺の区別が、どういうふうなときに、範囲かなわ張りか知りませんけれども、この大宮等におきましてとられた警察の措置というふうなものは、具体的にそこの人に聞いてみますと、非常に積極的に、騒動そのものの初動行動で成果をおさめている。それに反して他の場合においては、ああいう、言うならばやりっぱなしの状態が起きてきた。一ぺんに多発しておりますから、三十カ所ともいわれ帆三十三カ所あるいは三十八カ所ともいわれておりますから、人員に制限があったと思うのでありますが、しかし、このような内容というものは、いかにきっかけが順法闘争——その順法闘争がけしからぬというような大きな声で言ったところで、やったその行為そのものは、これは見のがしてはならないことだろう。この辺は大事な点ですね、これはいつ、どちらに向いてこういうような行動が起こるかわからないわけでありますから。そういう暴力行為は許さないというき然とした基本的なものがとられなければならないのではないか、こういうふうに私は、背後関係云々の問題よりか、これは常識として非常に大切な問題だろうと思いますし、これほどマスコミがあげて、いわゆる警視庁なり警察庁のとられた措置について批判が出るということは、これもまさに法と秩序を主張される警察当局としてはゆゆしいことではないか。これは国鉄労使間の正常化の問題そのものに関連してお尋ねをしたわけでありますが、やはり労使間の正常化信頼を回復して、将来国鉄再建をはかるためにも、もちろんこれはただ単に国鉄当局、運輸省ということでなしに、すべての機関があげて、われわれも一緒になって当たらねばならない大問題であるがゆえに、四月二十四日の問題をここに取り出してお尋ねしたわけであります。  理事会のほうで時間も一応制限をされたようでありますから、具体的にお尋ねしたいのでありますが、以上をもちまして私の質問は終わります。非常にくどく質問した点はありますけれども、一番最初申し上げましたように、基本的な問題において質問し、お答えを願った。しかし、残念ながらまだまだ十分なる答弁をいただかない点もあります。それはまた同僚議員に引き続いて質問をしていただくことにいたしまして、私の質問を終わらしていただきます。
  265. 加藤(六)委員長代理(加藤六月)

    加藤(六)委員長代理 紺野与次郎君。
  266. 紺野委員(紺野与次郎)

    ○紺野委員 私は最初に、この前に梅田委員が要求いたしました資料要求ですね、これについて質問いたします。今度この資料要求に対して幾つかの資料が出てまいりましたのですけれども、これを全部調べてみますと、非常に重要な資料がやはり渡っておらないということで、これはどうして、なぜこの国会の審議の場に提供されないのか、なぜできないのかということについて質問したいと思うのです。  というのは、たとえば来ておらないものにはこういうものがあるのです。たとえば本年三月二十二日の新幹線事故、鳥飼駅付近のあの事故ですね。ここであの事故に伴ってわれわれが要求しましたところの新幹線の運転士さんとこちらの中心部との間に交信テープがあるということが、もうその存在ははっきり確認されております。ところがこれが出てこない。  それから上野の保線区においてマヤチャートがある。これは非常によく線路の状態を機械でもって記録しているところの、最も近代的な資料でありますけれども、この資料をどうしてこの国会に出すことができないのか。御承知のように高崎線、東北線、これが乗ってみてもわかるように非常に動揺が激しいですね。この線で社会的にも動揺が激しかったわけでありまして、ああいう事件も起きたわけですけれども、それはゆえなきにあらずで、まさにあの線が非常に悪い状態にある。これをどんなに悪いかということをマヤチャートは記録しております。これをやはり出して、安全な国鉄を早くつくるというふうにするために、国会にこういうことの最新の資料を出してもらったほうがいい。それをどうしてこれを秘密にしておくか、なぜオープンにできないのかということです。  それから五番目に昭和四十一年度以降に発生したところの人身事故、これは死亡事故でありますけれども、その件名、発生年月日、死亡者の数、一人当たり補償金額ですね。こういうことは、いまでは公害問題についてあんなに補償金の問題が人命についての尊重の度合いということを示す、いわばバロメーターみたいにもなっているわけなんですね。でありますから国鉄が安全なる国鉄国民のための国鉄、こういうふうにいうとすれば、やはりこういう事故についてどんなに人身事故についての補償を出しているか、こういうものを出すことはちっともおかしくない、当然のことだと私、思うのです。そういうものが出ておらないのですね。  それから六番目の昭和三十年、三十五年、四十年、四十六年度末の私有貨車、これは米軍を含む企業別、車種別一覧。上位五十企業の実態、その総計。昭和四十六年度の私有貨車割引企業別、米軍を含んだ割引額、上位五十社、こういうものがやはり出ておらないということで、ほんとう国鉄のいまの最も新しい輸送システムといわれているところのこの実態をつかむのに、これは非常に必要だ。ところがこういう資料がやはり出ておらない。  それから七番目、国鉄とアメリカ合衆国、在日米軍との間の昭和三十五年及び四十年から現行までの各年度の次の協定全文、これは一、公務鉄道支払い手続に関する協定。二、タンク車の登録。三、冷凍機付き冷蔵車の取扱。同じく海上コンテナの取扱。駐留軍専用線。こういうことについてもやはり外務省のほうで出さないのか。こういうことをほんとうに外務省との間に運輸省のほうで十分交渉して、そしてこういうことになったのかどうか、こういう点についての資料がやはり来ておらぬ。  それから十二の昭和三十五年度以降現在に至る国鉄関係汚職一覧ですね、こういうものがやはりこれは隠したいのでしょうかね。それはすでに発覚されたものについての事件のいろいろなことでありまして、こういうこともやはり出してもらう。  最後に十七でありますが、東海道、山陽、東北、上越各新幹線建設工事についての企業名別請負区間、契約年月日、着工年月日、完成予定年月日ですね、契約金とか、その最終変更契約金額等等について、やはりこれからの十カ年計画というものについて十分にわれわれが審議を尽くすために必要だ。  その他出荷契約トン数割引等に関するもの、それからいわゆる鉄道債券に関するもので、だれが持っておるのか、どういう金融機関が持っておるのか等々についてのものと累計残高の数字がやはり出ておらないわけですが、われわれのこれからの質問にとってどうしても必要なものであるので、これらについての資料提出を重ねて要求いたしまして、なぜこういうことができないかについて一応大臣のほうから御答弁願って、質問に入りたいと思います。
  267. 磯崎説明員(磯崎叡)

    ○磯崎説明員 御答弁申し上げます。  たくさんの資料の中で若干お出しできないものがあったことはたいへん残念でございますが、一応各件名につきまして具体的にその理由を申し上げます。先般梅田先生からお話がございましたときに、お出しできない理由を総括的に申し上げておきましたが、具体的な各資料につきましての御質問でございますので、各資料につきまして申し上げます。  まず第一に、三番と四番、これは先般も申し上げましたとおり、また交通安全特別委員会でも申し上げましたが、私どもの部内の、たとえば事故なら事故その他のいろいろな資料の一部の資料だけを御要求になって、そしてその一部の資料だけで御判断くださることは全体を非常に誤るものでございまして、もし御質問があれば、質問全体につきましては幾らでも御答弁申し上げますが、事柄の一部の資料だけを出せとおっしゃいまして、それだけでいろいろ判断されることは非常に困ります。またお出しすることは即これが公表されることでございまして、総合的な資料のうちの一部だけが公表されることは全体を非常に誤るという意味におきまして、私どものほうでは三番、四番をお出しするわけにまいらないのでございます。  それから五番の人身事故の一人当たりの補償金額でございます。よその企業のことは私は詳しく存じませんが、私のほうではいままで長年こういうことをやっておりますが、補償の際には必ず大部分の方々から、この金額はお互いに言わないでほしいという御注文がございます。こういうところで申し上げるのはなにでございますが、これはいわゆる相続問題等いろいろプライベートなこともおありのようでございます。したがって、こういうことは申さないというのが被害者に対する私のほうの、何と申しますかこれは非常に古いこと、ばでございますが、仁義のような形になっておりまして、お約束でございます。申し上げないということを被害者に申し上げた以上、それは個人のプライバシーの問題でございますので、私のほうで申し上げることはごかんべん願いたいと思います。  それから私有貨車の車種別、企業別の問題、これもその企業から申しますれば、自分のところがどれだけの私有貨車を持って商売をしているかということがわかるわけでございます。したがいまして、こういう問題につきましては相手方の了承がない限り、相手方が困るとおっしゃればお出しするわけにまいらない。これは当然のことだと思います。  また七番目の問題、これは運輸省を通じまして外務省にいろいろ伺いましたところが、外務省からは、先とのいろいろな話があるので出さぬほうがいいというお話でございまして、これは私のほうの意思でなしに、むしろ外務省のほうの御意向であるというふうに考えております。  また十二番の汚職の問題でございます。これはたいへん申しわけないことではございますけれども、すでに済んだことでもございますし、また私どもといたしましてもその後十分気をつけるというふうに申しておりますので、すでに済んだものの名前を出すということはどうかごかんべん願いたい、こういう意味でございます。  それからその次でございますが、十七番の東海道線、山陽線及び東北、上越各線の企業別、区間別、着工年月日、完工年月日、当初契約金額、最終契約金額、これは非常に膨大な資料でございまして、たとえば東海道全線につきましても数百の区間があります。また山陽はもっとございます。これらの区間について全部出すことは、短期間にはとうてい不可能でございます。その意味でお断わりいたしました。  最後に、出荷契約トン数割引の部内の資料でございますが、これは私のほうから管理局長あてにこういうふうな指導でやれ、こういうことでございまして、部内の純粋な指導の要領でございますので、これもお出しする必要はないというふうに考えたわけでございます。  以上、各件名につきまして一応具体的に御説明を申し上げました。
  268. 紺野委員(紺野与次郎)

    ○紺野委員 いまの資料の問題については、私自身がこれからいろいろ聞くことについて関係の深いものについて特に聞きました。なおこれの全体については、理事会で梅田理事のほうからあらためて問題にしてもらうことにして、質問に移りたいと思います。  しかしいまのことでもおわかりのとおりに、国会に対して非常に信頼しない言い方をしているんじゃないですか。たとえば、鳥飼の交信テープとかマヤチャートとか、こういうものを見せれば、しろうとの国会議員はこの一部のものを全体として判断して判断を間違うであろうという、そういう御心配ですね。これは国会議員を非常に軽視した発言じゃないかと私は思うんですね。むしろそういう例があったならば十分に説明し、そのほかのことについて説明すればいいのであって、近代的な最も合理化の先兵といわれる機械でやったものが信頼に値しないようなものであるかのように言うことは、やはり国会を軽視するということじゃないか、こういうことだと私は思うのです。  さて、それならば私の質問を始めます。私は、おおよそ次のような問題について質問をやってまいりたいと思うのです。それは国鉄赤字の問題ですね。これを三つの方向から原因を追及いたしましてやっていきたい。そしてまた、これに基づいて再建計画の是非ということを明らかにしたい。そしてこれと新幹線計画についての問題、いまこれらの問題は国民が注目している非常に重要な問題でありますから、これらについて明らかにするように質問をやっていきたいと思っております。  それで最初の質問の赤字の問題については、この赤字がどこからどうして生まれてくるか、一体その赤字の原因は何ものかということについてお聞きしたいと思うわけでありますが、一つは運賃体系から出てくるもの、二つは減価償却のからくりから出てくるもの、三つは構造的な赤字ということでお聞きしたいと思います。  それで、最初にこの赤字問題の運賃体系から出てくる赤字ということについてお聞きしたい。これは磯崎総裁が、この前梅田議員の資料要求によって出てまいりました、貨物のほうから出る大きな二千数百億の赤字と、それから十億の旅客黒字というあの資料の発表以後、ずいぶんいろいろ言いわけをしているのじゃないかと私は思うのですけれども、弁解的なことをだいぶこの委員会でも言ったと思います。あれは私は、やはりやめたほうがいいのじゃないか、ちょっとみっともない感じを受けます。多少の違いがあっても、それを言いわけするようなことを言っている。事の根本は、やはり原価の半分も割って運んでいるという、あの貨物運賃体系の中からごっそり出てきているということについては、疑いのないことでありますが、これらのことについて、なおきめこまかく、もう少し深めて明らかにしておきたいと思うのです。  最初にお聞きしたいのは、旅客黒字の中身は、いわゆる純粋の旅客だけのものなのかどうか、十億というものは。郵便、それから手荷物、小荷物、新聞、雑誌、こういうものも旅客の中に入っているのではないか、このことをまずお聞きしたい。純粋の旅客黒字なのかどうか、その中にこういうものが入ってないかどうか、このことをまずお聞きしたいと思います。
  269. 磯崎説明員(磯崎叡)

    ○磯崎説明員 お答えいたします前に、客貨の問題でございますが、私は弁解をしているのではございませんで、事実を申し上げているのでございます。お聞き苦しい点がございましたらごかんべん願いたいのでございますが、私は、あえて弁解とおっしゃられますと、そうでなしに、事実この数字が出るに至った過程を申し上げているのでございまして、私は弁解のつもりではございません。事実を申し述べておるつもりでございます。  さて、ただいまの四十六年度の収支でございますが、これは、まずはっきり申し上げますが、旅客とおっしゃいましても、まずこれを新幹線と在来線に分けなければいけないということは、けさほど太田先生に申し上げたとおりでございます。したがって、まず新幹線から申し上げますと、新幹線で四十六年度は千八十八億の黒字を出しております。それから、在来線の旅客で千七十八億の赤を出しております。在来線の貨物で二千百五十三億の赤を出しております。新幹線貨物はございません。したがいまして、いま御質問の手小荷物、これには御承知の新聞が非常に膨大な割合で入っております。雑誌も入っております。これらの新聞、雑誌を含めました手小荷物の赤字は、四十六年度で三百六十一億でございます。手小荷物は在来線だけでございますので、手小荷物の赤三百六十一億、これを引きますと、七百十七億が純粋の在来線の旅客の赤でございます。いわゆる手小荷物と申しますのは、私のほうは、郵便車あるいは手小荷物車は旅客列車につけておりますので、一応旅客のカテゴリーに入っておりますが、この内容を申し上げますと、三百六十一億のうち、いわゆる純粋のお客さまの手荷物、小荷物の赤字が二百二十一億でございます。新聞輸送の赤が六十一億でございます。雑誌輸送の赤が五十七億でございます。新聞、雑誌合わせまして百十八億の赤字を出しております。そのほかに託送郵便物の若干の赤字がございまして、全体で三百六十一億の手小荷物の赤、それが先ほど申し上げました在来線の旅客の赤の中に入っておるわけでございます。  以上でございます。
  270. 紺野委員(紺野与次郎)

    ○紺野委員 そうすると、そういうものを入れて、全体として旅客黒字が十億なんですね。そういうものの赤字を十分に入れて合算して、そして新幹線旅客というものの黒字と、それから在来線の赤字と、それに新聞雑誌、手小荷物、郵便というものの赤字その他をプラスマイナスして、残が十億でしょう。
  271. 磯崎説明員(磯崎叡)

    ○磯崎説明員 さようでございます。新幹線でもうけた千八十八億が、在来線の小荷物を含んだ赤字の千七十八億と相殺されまして、十億の黒が残る、こういうことでございます。
  272. 紺野委員(紺野与次郎)

    ○紺野委員 そうすると、純粋の旅客だけの黒字というのは三百六十一プラス十イコール三百七十一億じゃないですか。
  273. 磯崎説明員(磯崎叡)

    ○磯崎説明員 千七十八億の赤字の中に三百六十一億が入っておるわけでございます。したがって、それは三百六十一億を消しますから、お説のとおりでございます。
  274. 紺野委員(紺野与次郎)

    ○紺野委員 だからこの点においても、十億の黒字旅客黒字だというけれども、ほんとうは、純粋に分析してみますと、試験管にあらわれるのは三百七十一億が旅客ほんとう黒字であるということなんです。そうですね。
  275. 磯崎説明員(磯崎叡)

    ○磯崎説明員 さようでございます。新幹線を含めてでございます。
  276. 紺野委員(紺野与次郎)

    ○紺野委員 そういう点で、純粋な旅客黒字はもっと実は大きかったということを天下に明らかにしてもらわなければいけない。やあ十億かというのと、三百七十一億かというのでは、国民の心臓に与える影響がたいへん違うということでございますから。  私がいま磯崎さんに申し上げた最初のことは、多少いらいらして弁明をしておる、その弁明がぐあいが悪いのです、こういう弁明は。でありますから、そういうことはやはり国民に欺瞞的な印象を与えますから、私は、そういうことをしないように抗議をしておきます。  次に私は、こういうことを今度は大臣に質問を申し上げます。大臣は、いろいろ質問応答の中で、われわれにもたいへんなじんだことばがあります。それは公平の原則ということなんです。あなたはときどき、というよりも、しょっちゅう言われるわけですけれども、大企業のためになどということはこんりんざいない、だれに対しても同一条件で提供することが国鉄の公平の原則であるということを言っておられます。これは鉄道営業法の精神でありますから、そのことを強調しておられると思いますが、これは現在でもそのとおりでございますね。
  277. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    ○新谷国務大臣 そのとおりでございます。
  278. 紺野委員(紺野与次郎)

    ○紺野委員 ところできょう出していただいた資料の中で、さっそく資料を出せば、いかにわれわれがりこうになるかということを証明するためにも申し上げますけれども、東海道線の彦根駅、ここにセメントの割引の例が載っております。私有貨車割引一五%、それに一割近い割引率が加わります。ただし条件は、私有貨車によること、半年間に九万八千五百六十トン以上発送するという条件で、どなたさんでもこの条件があればこれを適用します、こういうことが大臣のいわゆる公平の原則でございまして、梅田委員の質問に対してもそう言っております。だれでもこの条件を満たせばその運賃で送れるのだから、まさに公平なんだということをおっしゃっておったわけであります。それで、私は実はそれを聞いてちょっとむっとしたわけでありますが、私はマルクス主義者なんで、ものごとを階級的に見る能力を持っておりまして、たとえばこういうことなんです。中小企業でセメントの専用車、ホッパー車というものを持っておるだろうか。またそういうものを持っておる中小業者というものはどれだけいるだろうか。それから半年に十万トンも送れる中小企業というのが、はたして中小企業なのか大企業なのか。こういうふうに考えますと、やはり私がむっとするのも当然でありまして、実際に彦根駅でセメントにこのようなふうに積み込むことのできるのは住友セメント以外にありますか。これがほんとうの公平というのか、これをちょっとお聞きしたいと思います。
  279. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    ○新谷国務大臣 私の承知している範囲では、専用車のことをおっしゃいましたが、これは専用車というものは資本投資がないから、それに見返りに若干の割引をしておるということでございまして、専用車の中に何トン荷物が積んであるからよけい割引しようということではないと私は理解しておるのであります。その意味におきまして、専用車というものは利用者が自分でつくって資本投資がないのですから、だれに対しても同じようにその割引率を適用しているものと了解しておるのであります。
  280. 紺野委員(紺野与次郎)

    ○紺野委員 やはり大臣はそこへいくと詭弁に聞こえるわけであります。特定の大企業しか満たし得ない条件をつくって、そしてこれを満たせばだれでも割り引くのだ、だから公平であるということでありますけれども、これはあくまでもほんとうの公平かどうか。こういうことは不公平じゃないかと思うのですけれども、現実には不公平の公平なんだというように思いますが、どうでしょうか。
  281. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    ○新谷国務大臣 いま申し上げたとおりに私は考えております。鉄道営業法の規定によりまして、同じ条件でどなたにでも利用していただくということでございまして、この鉄道営業法の規定が不公平だとおっしゃるなら別でございますが、鉄道営業法の規定は皆さんの御審議の上できたものでありまして、これはどなたに対しても公平にでき上がっておるものと私は了解しております。
  282. 紺野委員(紺野与次郎)

    ○紺野委員 だから実際には、つまり中小企業が実際にはできない条件をつくって、さあここまでいらっしゃい、来ればしてあげましょうという公平でありまして、現実にはそれはきわめて大企業だけが享受することのできる公平さであるということであります。  さてその次にお聞き申し上げたいことは、こういう点なんです。つまり、旅客の場合は急行あるいは特急あるいは座席券、みんな料金を取られるわけです。国鉄のほうでは取っているわけですね。ところが貨物のほうは、最近特急フレートライナーあるいは地域間急行、物資別専用急行列車、こういうふうにどんどん近代化が進んで、そうして専用列車というか急行列車が貨物線にどんどん出てまいりましたけれども、こっちのほうは料金を取っておらないように思うのですね。これは不公平じゃないでしょうか。
  283. 磯崎説明員(磯崎叡)

    ○磯崎説明員 貨物のほうの特急サービスの問題でございますが、地域間急行というのは、旅客でいえば快速列車程度のものでございまして、旅客も快速列車の料金は取っておりませんプレートライナーその他は、これは非常に速いものでございますので、コンテナ料金は相当高い料金を全般的にいただいております。コンテナは御承知のとおり内容によっておりません。コンテナー個幾らということでございますが、コンテナそのものをうんと高くしておりますことと、今度は若干の料金をいただくことにしております。そういう意味では、貨物のいままでのいわゆる急行サービスというのは、実は車両も同じ車両を使っておりましたし、速度もそれほど速くないということで、旅客でいえば快速程度のものであったということで、今後急行ぐらいのものができてくる場合には、これは料金をいただくということでございます。
  284. 紺野委員(紺野与次郎)

    ○紺野委員 ですからやはり乗客には優等列車ということでちょっと速いともう料金をいただきます、もっと速いともっとたくさんいただきますというふうになるけれども、貨物のほうはなかなかそうやらないという、この公平の原則に反することがどうもおかしいじゃないかということでありまして、そして貨物に対しては大きな割引を廃止をしていない、しかし黒字旅客からはたくさんの運賃と料金を取るというこのことに対して、やはり国民はそのことを知れば知るほど、しかも今度の運賃値上げによって料金もどんどん上げられるということで、貨物との対照を比較してみると、その不公平さに対して国民はやはりおこっている。そういうことはあたりまえじゃないか。どうでしょうか大臣、その点についてひとつ。
  285. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    ○新谷国務大臣 貨物には貨物の運賃体系があると思いますし、旅客には旅客の運賃体系があると思います。私が公平と申しましたのは、どなたに対しても、旅客については旅客運賃を適用、貨物についてはどんな事業の方でございましても同じ制度でもって料金をいただく、これが公平だと思います。貨物旅客とを比較されて、一方のほうは急行料金を取っているけれども一方のほうは取らないじゃないか、これは不公平だということは、旅客貨物の運賃体系を一緒に考えられるからそうなるのでありまして、私は旅客旅客貨物貨物で別の運賃体系があってしかるべきだと思います。
  286. 紺野委員(紺野与次郎)

    ○紺野委員 しかしそういうことは現在の全体としての運賃体系の大きな矛盾であるということ、したがってここにやはり重大問題が存在しており、また赤字貨物からの大量の発生ということと関連しているものであって、それを大臣がいまおっしゃったようなことでは、私通じないのじゃないかというふうに思います。  さてその次は貨物近代化についてお聞きしたいと思うのです。  それは、大体昭和三十年から第三次長期計画が行なわれて、非常にたくさんの投資がされたことはいままでるる言われたわけでありますが、その結果近代化が進んだ中で、特に貨物輸送のコスト、つまり国鉄のコストというのじゃなくて、荷主及び企業者の側の輸送ストですね。つまり荷づくり、包装あるいは荷役、在庫保管費などの流通経費、これが相当低くなったんじゃないかというふうに思うのですけれども、これを国鉄の側で計算されたと思いますけれども、ひとつ四十年度と四十六年度を比較して、具体的にその数字をお示し願いたいのです。
  287. 原岡説明員(原岡幸吉)

    ○原岡説明員 四十年と四十六年を比較いたしまして、あるいはコンテナ化あるいはパレット化あるいはフレートライナー網の整備というようなことをいろいろやっております。それでいま御指摘の、いろいろな荷づくり、包装費その他の経費を含めまして、荷主が利用する場合にどれだけ関係経費が軽減されておるか、こういう御質問でございますが、全体をマクロで全部トータルしたものはございません。具体的に事例として把握しているものがございますので、その事例を申し上げたいと思います。  まず、えさ関係、えさというのは飼料でございますが、これは昔はいろいろ袋詰めにしてやっておったわけでございますけれども、これをばら輸送するための貨車をつくりましたし、到着駅をばら荷役ができるような整備をいたしました。そういうことで、この近代化によりまして、トータルいたしまして、その以前の状態よりも三〇・三%取りおろしその他荷づくり等の費用が軽減される、こういう計算ができております。  それから、ビールを送る場合にパレットで荷役をする。これはそのために一般のワム車よりもちょっと容積の大きいハワムというパレット積みを前提とした貨車でございますが、これによってビールをパレット荷役することによりまして、これも特定の区間でございますが、八・一%のそういう関係経費が軽減される。  それから新聞巻き取り紙、これも、いま申し上げましたパレットで、大きな貨車、ハワキといいますが、これに積み込んで荷役するということによりまして、新聞巻き取り紙につきまして一二・〇%の関係荷役費の軽減がはかられる。  それから、コンテナ化は相当進んでおりますが、コンテナにおきましては、たとえば引っ越し荷物の場合、これは御案内のように、荷づくり関係の経費が非常に軽減されまして、約半分は軽減される。これもいろいろ具体的には変わり方があろうと思いますけれども、一応の推定として五〇%は軽減されるであろう。  それから医薬品、これはコンテナに非常によく積まれるわけでございますけれども、医薬品の場合は約一九%軽減される。  それから、コンテナの中でも、いままで冷蔵貨車によって送られておったバターというものを冷蔵コンテナでよく送られますが、この場合には約一三%軽減される。  いろいろその推定の根拠はございますけれども、結論的な数字を申し上げますと、以上のとおりでございます。
  288. 紺野委員(紺野与次郎)

    ○紺野委員 昭和四十一年の九月に国鉄が出しました「これからの国鉄」という文書では、コンテナ及び物資別適合輸送だけで、四十六年一年間の予想として、千八百億軽減されるであろうということを試算しているのですね。これは国鉄で出した「これからの国鉄」というのに出ております。でありますから、これは試算をしたのですから、実際はどうだったかということを、国鉄の側で今度は実績を検討されているんじゃないかと思いますけれども、どうでしょうか。
  289. 原岡説明員(原岡幸吉)

    ○原岡説明員 現在、全体的にどれだけの経済効果といいますか、荷役関係の経費の軽減の効果があるかという全体の試算はやっておりません。
  290. 紺野委員(紺野与次郎)

    ○紺野委員 いろいろこまかいことを報告があったわけですけれども、なお、「鉄道受験」という雑誌の七二年三月号に、国鉄貨物局営業開発室泉沢さんという人がやはり冷延コイルとか冷延薄板ですか、そういうようなものの諸経費がどんなに低下したかということを書いております。大体冷延コイルは、従来九百四十九円かかったものが、現在では四分の一以下の二百十六円に下がっているということをいっているんですね。でありますから、こういういろいろのことが研究されており、また実際に試算がずっと前に行なわれたのでありますから、ぜひこれは国鉄のほうでかつて発表したあれを実績に基づいて事実計算をして、ひとつ知らせていただきたいと思います。そういうことで資料として御提出をお願いしたいと思いますが、どうでしょうか。
  291. 原岡説明員(原岡幸吉)

    ○原岡説明員 その昔試算したという資料は、個人的な研究に基づく資料じゃないかと思いますが、国鉄として研究したものはないものと理解しております。  なお、それを試算するためには相当なる研究をしなければ簡単にはできない、こう思います。
  292. 紺野委員(紺野与次郎)

    ○紺野委員 この審議会の審資第一号、これは知っておりますか。——知らないのですか。昭和四十一年九月のりっぱなこういうものにちゃんと試算の表が出ておるんですよ。これをあなた方、試算から今度は実績の検討に入っていないということはないと思うのですね。もう近代化で日もなお足らず奔走しておられるあなた方ですから。ぜひこれは実績を資料としてつくっていただきたい、そういうようによろしくお願いします。  もう時間もなんですから、要するにこういうことなんですよ。非常にばく大な設備投資近代化、特に貨物輸送のために行なわれているということから、こういうふうに輸送流通コストが非常に低下してきている。これはあなた方が鼻を高くしている部分じゃないかと思いますけれども、そのことをなぜ隠す必要があるか。これだけ流通コストが低下した、万歳、さあ、運賃体系の中にその成果を合理的に取り入れた全体としてのそういう時点における運賃体系というものがやはり考えられて、そうしてあの不名誉な赤字が出てこないように、特に運賃体系の中でこういう実績に基づいてやはり再検討するということがどうしても必要なのではないか。結局やっていることを見ると、大企業のためにひたすら奉仕して、これらの内容的な改善を隠蔽しているのじゃないか。そうしてばく大な負担をむしろ黒字の乗客に転嫁しているということをやはり指摘せざるを得ない。私は、そういう点で一つの新しい転換を国鉄はここでやるべき重大なときにきているのじゃないかということを申し上げまして、きょうの質問を——もう皆さんの肉体的な限界にも来ていると思います。それは聞く者も言う者もすべてそういうことになっていると思いますから……。
  293. 加藤(六)委員長代理(加藤六月)

    加藤(六)委員長代理 質問を続けてください、まだ時間があります。紺野君、質問を続けてください。   〔「散会、散会」「まだ時間があると」呼び、その他発言する者あり〕
  294. 加藤(六)委員長代理(加藤六月)

    加藤(六)委員長代理 次回は、明九日午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。    午後九時五十二分散会    派遣委員宮城における意見聴取に関する    記録 一、期日    昭和四十八年四月二十五日(水) 二、場所    宮城県民会館会議室 三、意見を聴取した問題    国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建    促進特別措置法の一部を改正する法律案に    ついて 四、出席者  (1) 派遣委員    座長 細田 吉藏君       江藤 隆美君   小此木彦三郎君       佐藤 守良君    太田 一夫君       斉藤 正男君    紺野与次郎君       石田幸四郎君    河村  勝君  (2) 意見陳述者         主     婦 遠藤 不二君         福島県生活協同         組合連合会専務         理事      亀山 哲三君         宮城県農業協同         組合中央会常務         理事      車塚 良治君         宮城民生協同         組合専務理事  内館  晟君         仙台商工会議所         専務理事    首藤 英二君         東北電力労働組         合宮城支部長  石黒 達也君      ————◇—————    午前十時二分開会
  295. 細田座長(細田吉藏)

    細田座長 これより会議を開催いたします。  私は、衆議院運輸委員会派遣委員団長細田吉藏でございます。私が、この会議座長をつとめますので、よろしくお願いを申し上げます。  この際私から、派遣委員を代表いたしまして、一言ごあいさつを申し上げます。  皆さま御承知のとおり、ただいま本委員会におきましては、国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、審査を行なっているところであります。  当委員会といたしましては、同法律案の審査にあたりまして、国民の各層から意見を聴取すべく本日高松市と御当地におきまして、この会議を催し、各界の代表者から忌憚のない御意見をお伺いしようとするものであります。御意見をお述べいただく方々には、本日はまことに御多忙にもかかわらず、御出席いただきまして感謝申し上げる次第でございます。厚く御礼申し上げます。  まず、この会議の運営につきまして申し上げます。会議議事は、すべて衆議院における委員会運営についての議事規則及び手続に準拠して行ない、議事の整理、秩序の保持等は、座長であります私が行なうことといたしております。  発言をなさる方々には、必ず座長の許可を得て発言していただきたいと存じます。  なお、この会議におきましては、御意見をお述べいただく方は、派遣委員に対しての質疑はできないことになっておりますので、あらかじめ御承知をお願いいたす次第であります。  次に、会議の順序につきまして申し上げます。まず午前中に各意見陳述者から順次御意見をお述べいただき、休憩し、午後再開後は、派遣委員から質疑が行なわれることになっております。したがいまして、時間の関係上、御意見陳述の時間は一人十五分程度にお願いをいたしたいと存じます。  それでは、本日の御出席の方々を御紹介いたします。派遣委員は、自由民主党から江藤隆美君、佐藤守良君、小此木彦三郎君、日本社会党から斉藤正男君、太田一夫君、日本共産党・革新共同から紺野与次郎君、公明党から石田幸四郎君、民社党から河村勝君、以上の方々でございます。  次に、本日各界を代表して御意見を述べていただく方々を御紹介申し上げます。主婦遠藤不二君、福島県生活協同組合連合会専務理事亀山哲三君、宮城農業協同組合中央会常務理事車塚良治君、宮城民生協同組合専務理事内館晟君、仙台商工会議所専務理事首藤英二君、東北電力労働組合宮城支部長石黒達也君、以上の方々でございます。  それでは遠藤不二君から順次御意見を述べていただきたいと存じます。遠藤不二君。
  296. 遠藤不二君(遠藤不二)

    遠藤不二君 御紹介にあずかりました遠藤不二でございます。私はあくまでも主婦の立場から今回のことに触れてみたいと思います。これから申し上げる簡単なことによりまして、国鉄運賃値上げということは当然じゃなかろうか、やむを得ないのじゃなかろうかという意味で賛成いたしたいと思っております。  それで一つは、諸物価値上がりが皆さま御存じのとおりあるわけでございます。あるいは人件費上昇という非常に目まぐるしい社会情勢の中で、国鉄運賃だけが、旅客では昭和四十年以来、それから貨物では四十一年以来据え置き一になったわけでございます。それで片や別な方ではどんどんと上がる一方でございますのに、国鉄の運賃だけが据え置きになっておるということは、いろんな面でバランスがとれない。したがいまして、やはり当然ではなかろうかということでございます。  それから国鉄赤字というものが、これは国民負担に全部なるということが非常に私は抵抗を感じます。なぜならば、この利用者はいろいろ千差万別でございまして、山の中にいる者あるいは都市化の中に住んでいる者、いろいろ別でございますから、そういう意味で赤字を税金で負担するということは、これは絶対やめてもらいたい、しかし今回の再建計画を見ますと、相当思い切った政府助成があるようでございます。たとえば今後十年間の政府助成が約五兆円というふうなことでございます。もしこのことがなければ、もっともっと上がるのじゃなかろうかと、簡単な考え方ではございますけれども、このようなことも考えます。そしてまた国鉄自身の合理化そしてさらにその努力なども、いろいろ資料などを見てまいりますと、相当徹底するようにもなっているようでございます。したがいまして、必要最小限度での利用負担は、これは当然やむを得ない、そしてこの国鉄を利用する利用者が利益負担をすることは、公共性の問題から考えましても当然じゃなかろうかと思うものでございます。  それから三番目には、運賃の値上げというものが、いろいろな諸物価に大きな影響を与えるということは、たまたま主婦の声としても聞くものでございます。私もときどきそういうふうなことを考えておる一人でございますけれども、これを資料に基づいて首を突っ込んで考えて見ますと、物価の問題というものは運賃の値上げとはあまり関係がない、しかし全然これは関係ないとは言われませんで、むしろこの物価の諸問題というものは、こういうような運賃値上げよりかけ離れて、流通機構のほうにもっと主婦の目は首を突っ込んで勉強する必要があるのではないかということを考えておりますので、この運賃値上げが、即物価につながるという極端なものの解釈のしかた、これはもっと主婦の立場から別な面で考えていかなければいけないと思っております。そういう意味も含み、また今回の運賃が値上げされることによりまして、もし物価に及ぼす影響があるとするならば、これは前に比べまして約〇・三%程度だと言われておりますし、またこれは私のいささかな資料からの研究でございますけれども、本年一月のある築地市場の卸し場の売値を見てみますと、東北でございますので、青森のリンゴについて見ますと、リンゴ一キロの安値は、約八十一円三十銭でございます。高値の場合は約二百六円三十銭でございまして、その幅は約百二十五円の幅があるわけでございます。これを運ぶ運賃を見てみますと、平均してこれが三円五十一銭でございます。改定後はこれが幾らになるかと申しますと、四円五十三銭で、その差はわずかに一円と二銭程度だということでございます。これを見てもわかりますように、物価というものは、さほど運賃とはほとんど無関係になっていると考えてもいいのじゃないかという資料から基づきましても、さほど心配したものではないと考えておるものでございます。  簡単ですけれども、以上のように今回の運賃の値上げ賛成するものではございますが、しかし賛成するとはいいますものの、私は条件とか、あるいはそういうきびしいことではなくて、要望と申し上げたらよろしゅうございましょうか、そういう意味で、賛成しながらも、付帯事項と申し上げますか、そう申し上げたほうがいいと思いますけれども、二、三申し上げたいことがございます。それはぜひ国鉄さんに御要望を申し上げて置きたいことがあるのでございます。  最近順法闘争などが行なわれておりますけれども、ほかのストを合せますと、大体一年に四日おきにストがあるというのがいまの日本の国内の状況でございます。しかし労組の存在というものは認めざるを得ません。法的にもございます。これはあくまでも労組皆さま方の活動というものは、あくまでも国鉄の労組であるならば、労組の協力を得て、国鉄合理化の促進にあるべき労組の形態が、私はほんとうにありがたいものだと思っております。こういうものでなければいけないものが、このストによりまして、昨日からけさにかけましてテレビで放送されておりますが、社会問題にまで及ぼすような影響がありますと、どっちがいいか悪いかという判断のもとに立ちました場合に、国民の目は、非常にこれに及ぼす影響からふんまんやる方なく、また別な破局的な行動に出てくるということになりますと、これは、いまの全部の国民は、一体どうなんだと、労組が悪いのか、国鉄が悪いのかという考えで見ていると思うのです。私はこういうふうな状態を見ますときに、まあ順法闘争はやめていただきたいと申し上げる前に、やはりこの前に立つ国鉄側にも、何らかの御措置があってもいいのじゃないかと、こういうふうなことをひとつお願いしたのでございます。  具体的に申し上げるならば、早急に解決できないのなら、せめて闘争時における旅客輸送対策をもっと敏速にやってもらいたい、それはできないものかということでございます。さらにまた貨物輸送ストップによって、貨物ストップしているわ、しかし運ばなくちゃならないお客さま、運んでやらなければならないお客さまを荷物同然にあの車に押し込められるという、しかもアルバイトを使ってまでやらなくちゃならない国鉄側の御措置、この点についても、もっとぴりっとした御措置でここで予算化されてやっていただけないものか、貨物と人間尊重の生命を守るという、こういう意味からストップをしている荷物と人間を一緒にされるような、あるいはまた見方によりましては動物以上のような扱い方をされるということでは、これは国民がだまって見ていられるものではないと考えます。そういう意味から、またこの貨物輸送ストップによって、これが物価を上げていくというような印象を与える、これが主婦に非常に大きく響いております。こういうふうな口実を与えないような御措置をとっていただきたい、こう思います。そしてまたたび重なる闘争で、貨物を運ぶ荷主さんが、国鉄への信頼を失いまして、トラックなどを盛んに利用して輸送するということのスピードアップ、それからお客さまに対するサービスなんかで、トラックなんかを非常に利用しておられるということも聞いております。確かにそうでございますので、やはりこういうことも国鉄に対する信頼感からくるとするならば、であるとするならば、やはり国鉄さんに考えていただきたいと、こう思います。要するに国鉄再建というものは、やはり労使の協力態勢が第一前提であると私は考えます。  やはり先ほど申し上げましたように、労組の協力を得て合理的のできる国鉄であっていただきたい、そして労組もまたそういう意味に立って紳士的に、やはり国鉄といえども、国といえども、人間がみなつくり上げ、人間がものを考え、人間が企画を練り、予算をとるのでございますので、人間対人間の良識のある判断で、あまり社会に迷惑をかけないようなことを考えていきながら、いろいろな再建計画検討していただきたいと、こう思います。  最後に、運輸審議会というものがあるのでございますけれども、非常に期間が短かいような気がいたしてならないのでございますが、この点はいかがでございましょうか、それからその委員の構成でございますが、これにはやはり国民の代表という意味で、もっと入れていただきまして、利用者側の立場に立った貴重な御意見なども参考にして、もっともっとやっていただくならば、そういうふうな労組との対立なんかも避けられていくのではないかというふうな気もいたします。  何はともあれ、国鉄値上げのやむを得ないという賛成論の前に、さらに強く申し上げたいことは、順法闘争のようなごときストは、即時あしたからやめていただきたい、それにはやはりいろいろな施策なんかもございましょうけれども、国鉄と労組さんの、ほんとうに紳士的な理解がある態度で臨んでいただいたならば、やはりこの受益者負担が優先であると考えますこの国鉄値上げのことについても、国民が納得して、それほど騒がないで済むのじゃないかと、こう思います。  以上のようなことで、時間もございませんので、私は今回の国鉄運賃値上げにつきましては、やむを得ないということで、賛成ということにいたしておきたいと思います。以上でございます。
  297. 細田座長(細田吉藏)

    細田座長 ありがとうございました。  それでは次に、亀山哲三君。
  298. 亀山哲三君(亀山哲三)

    亀山哲三君 口述人の亀山哲三です。  一住民として反対であるという意見を申し述べたいと思います。いろいろしさいに入ります前に、全く市民の感情として、伝え聞いているところでは、今回の値上げは、第一段の値上げであって、今後五十七年度まで四回にわたって値上げがあると、実質で一五%、料金の額からいえば二〇%強の値上げが、最初三回連続して続いて、最終年次では実質一〇%と、こういうことでありますから、現在に比べますと二〇〇%近い値上げである、これは単に国鉄の料金、運賃だけではなくて、公共料金の中の柱であるということからいっても、他の諸物価値上げを誘発することは必至である。生鮮食料品、米、麦そのものについて特に値上げの幅が高いというあたりも、大企業のコストと比べて問題であるというふうに思います。特に最近大企業の倫理観が欠如している、買い占め、そういうことで何でもかんでも手あたり次第もうかるものならやるということで、強い円を背景に日本列島を飲みにかかろうというふうに見えます、倫理観が欠如している中では、この一般値上げの口実を国鉄が与えることになる、ないしは国が与えることになると、こう思うのでございます。したがってその影響する物価値上げは、はかり知れないものがあるだろうというふうに考えます。  それから私ども、田中総理議長になって、国民の消費者保護会議議長であるというふうな、一応お持ちであることを承っております。昭和四十三年五月三十日に法律第七十八号をもって消費者保護基本法というものが定められました。基本とは「基い」であるということだと思うのであります。従来ともすれば産業界に傾斜したと申しますか、生産に傾斜したというふうな、いろいろ行政のあり方を改めて、多数の国民の消費生活の面に視点をあてた国としての責任あるいは地方自治体としての責任、あるいは産業界の責任、こういったものが、この基本法の中に明記されております。消費者保護会議議長である人格を今回の値上げは否定することになるのではないだろうか、全く率直なこれは市民の感情として、そう申し上げたいと思うものでございます。したがいまして、今後は国民の生活、社会の福祉、福祉とはよりよい生活、暮しということだと思いますから、そこに円を描く場合のコンパスの中心を置いて、いろいろ御配慮をいただきたいものだと思うのでございます。  先ほど委員長から、各界の忌憚のない意見をというふうに御指導がありましたので、全く忌憚のない意見を続いて申し上げたいと思います。  水平思考とかいいまして、思考のしかたを変えるということも非常に重要かと思いますので申し上げたいのでありますが、まず、今回の法改正の提案理由、それから鉄道監督局の改正にかかる趣旨説明書でございますが、これを受け取りまして、よく読みました。よく読んで、今回の値上げが一つは運賃値上げ、いわば応益負担という考え方、それから政府助成強化、これは国鉄公共性という考え方それから国鉄自体企業努力、いわば民間で言う生産性という問題だろうと、この三つが再建の三本の柱だということは一応わかったわけであります。形としてわかりましたが、内容的にはわからない、理解がいかない、こう思うのでございます。したがいまして、いままでそうであったように、そういう思考の経過を受けて、今回多少の改正をしてみても、同じことになりはしないだろうかというふうに心配をいたします。公企業であって、しかも独立採算性の公企業であると言いながら、政府の対応も中途半端であったと、こう思うのであります。赤字はさらに増大をするのではないだろうか、悪循環がよいほうに行くならともかくも、悪いほうに循環のサイクルが回わりそうな感じを率直に持ちます。そういう中で、赤字再建のために値段を上げる、いわばお店にたとえて見ますと、国鉄のお店という赤字店であります。赤字店の再建について運賃を高くする。これは値上げをすることであります。売り値を高くすることに通じます。これは最も経営の政策として愚の骨頂であります。売り値を高くするということはまずやらないで、客の多数の利用者の側にやらないで、その中身ですね、もっと本質的な、構造的な面について反省と、必要な政策とか手を講ずるというのが、これは赤字店の経営の基本であろうと思うのでございます。  今回の案にありますような多少の助成、多少の合理化努力、そして多くの運賃改正、日本語の多少というのは、少のほうにアクセントがあるわけなのですが、そういう意味で、多少の企業家努力、そして多くの運賃改正ということではだめだというふうに思うのであります。  それで忌憚のないところで続けて、私の国鉄観でありますが、国鉄が斜陽だというふうな言い方をする人もあるようであります。モータリゼーションとの関係で、特にそういうことが言われるようでありますが、そしてまた赤字増大ということでそう言われるようでありますが、国鉄が斜陽だという考えは持っておりません。はやらないところが斜陽なのであります。テレビを見て映画を見にいかないというのがほんとうの斜陽であります。国鉄の統計によりましても、客にしても貨物にしても、時間がかかりますので省略いたしますが、非常に国の発展と相まって、輸送量、人数がふえているのであります。それほど利用が増大していてなおかつはやらないということでございますから、いわゆる斜陽というのには当たらない、私いま大体時間を守るほうなのでありますが、定刻に三分おくれました。福島を朝七時に出まして、三時間あれば十分この会場にこれると思って来たのでありますが、岩沼からこっちに来まして、ここに来るまで一時間かかりました。日本のモータリゼーションが、このような状態でここ十年、二十年いくのではないだろうかという心配を一入きょうも思ったわけでございます。島国の日本で、国土が狭隘で、山が険しくて、しかも北のほうは雪が降って、南は台風のコースでというところでは、定点輸送ですかな、点を定めて輸送をする、いわば国鉄のような、この種の仕組み、これは絶対必要である。ヨーロッパ大陸の平地における以上に、日本では国鉄の今後の位置づけは重要であると、こう私は考えます。斜陽化というふうなことで言う問題ではないだろうと思うのであります。  次に、私の提言を申し上げます。いままでの中で申し述べたつもりでありますが、過去及びこの説明にあるような問題のとらえ方では不徹底である、非常に浅薄だというふうに感じます。国鉄が気の毒だとすら覚えるわけであります。いわば国の産業政策あるいはまた社会政策負担すべき費用国鉄がフウフウして負担している、こう思います。もっと正確に表現をすれば、本来大企業が肩がわりすべき費用、これを国鉄が中途半端な、この独算制というしがらみを与えられて、この中でヒーヒー悲鳴をあげながら負担しておるというふうに私は思います。したがいまして、累積しております赤字も、全く遇発的な赤字ではない、もう必然的な、出るべくして出た赤字である、いわば構造的な赤字であると、こう思うのであります。したがって再建方策も、もっと大きな次元で、あるいは広い深い基礎的な次元で討議されないといけないであろうというふうに感じます。  これは考え方でありますが、そういう中で国鉄のビジョン、将来構想、さっき斜陽化ではない、むしろ非常に大きな任務を負うているものだと申し上げました、その考えを受けて、国鉄のビジョン、将来構想、これを国民の福祉ビジョンと結合せしめて、いわば国民の福祉ビジョンの一部を構成する、こういう形で明らかに国民に示すということが必要であろうと思います。くどいようでございますが、申し上げておきますと、これは産業界サイドのビジョンであってはいけないということでございます。国民の生活、社会福祉のサイドからのビジョン、これを強調いたしたいと思います。そういう点では国鉄さんも、いささかいままでは、少し反省を加えてもらわなければならない点もあろうと思います。デイスカバージャパン、どこの駅にもありますけれども、もうちょっと国鉄の将来をデモンストレートするといいますか、こういうことで国民利用者にですね、ふだんから努力をお願いしたいものだと思います。  老後の問題さっきちょっと出ておったようでありますが、国鉄一家内でのヒューマンリレーションというふうなこともちろん大切でありますが、そればかりではなくて、地域社会、国との関係、いわばパブリック・リレーションというあたりですね、ディスカバージャパンをやるなら、もうちょっと強いアクセント、継続的なアクセントが必要ではなかろうかと思うのであります。  次に、基本的な経営体質改革を進めることが必要だと、いままで申し述べましたことを受けてでありますが、必要だと思います。基本的な経営体質改革、一つはゼニであります。福島の人間なんで、お金のことであります。ゼニ——いわば会計用語でいう財務だと思うのでありますが、いままでのような中途はんぱな独算公企業というふうなことではだめなのではないだろうかと思うのであります。そういう点では東京都の交通対策専門委員会、独算制を廃止するというふうな実例も自治体によって見られております。この辺を十分玩味する必要があろうと思うのであります。ゼニコのことのついでで、この現在の借金を良質なものにかえるという配慮も必要でございます。良質なものにかえていただきたい、そういうことを申し上げますと、予算に限りがあってというのが、その水平思考でない思考からよく出てくるのでありますが、私、申し上げて、予算があるのではないだろうかと思う点で申し上げます。  これ日本の外務省が出している一九六八年の、「今日の日本」という、在外公館あたりで日本のことを知ろう、日本を紹介する冊子でございます。富士山があって、富士山のふもとを新幹線が走っております。これはフランス語で出ておるやつでございます。この中で日本の皇室のことから、文化のことからいろいろ載っております。ページ数が九四ページぐらいあるようでありますが、この中の産業について、パンフの八四に飛行機の写真を添えまして、国の自衛、国家自衛ということで三行ほど外国に出ております。九四ページのうちたった三行であります。それに写真一葉、これを見ますと、六八年ですから、ちょうど五年前の日本の紹介誌でありますが、この戦闘機いま見ると漫画みたいなんですね、えらい型が古くなっちゃって、お笑いぐさなんでありますが、なぜこういうところに大きな金を使うのであろうかということに疑問を感じます。持時間が一ぱいのようなので、四次防数字には触れませんけれども、ばかばかしい話だと、こう私は思います。住民の一人として思うのであります。こういうところへ使う金を、この冊子にも紹介してありますような農業や、あるいは図書館や、学校の視聴覚教室や、地下鉄や、住宅というあたりに、それこそ傾斜して使うべきが政治のほんとうの姿ではないだろうかというふうに思います。特に最近一ころと情勢が変わりまして、一九六〇年代の時と変わって、国際収支も黒字になって、しかも世界中がうらやむほどドルを保有するような実力がついております。十何年か前なら無理であっても、いまならそういう政策が財源的にもとれる条件が日本に整ったと、こう私は思うのでございます。  次に、経営にあたる人について、あるいはまた経営の政策を定めるいろいろな会議について、また忌憚のない意見を申し上げますと、一つは、これはいろいろ入手いたしました資料で見ましたならば、国鉄赤字再建委員会国鉄財政再建委員会とかいうのがあって、いろいろ御討議、それからの答申を受けて今回の法改正になっているのだと、こういうことでございますが、この委員を見ますと、ちょっと不思議な感じがするのであります。東芝の社長さんとか、新日鉄の社長さん、私は個人的に何のうらみもないのでありますが、そういう方が入っておる、あるいはまた国鉄に金を貸している金融機関の代表が入っておる。国鉄再建の「再建」の字が間違っているのではないかと思うのであります。この方々は債権者であります。債権者の「債権」であって、再び建てる「再建」とは字が違う、こんな感じを持つのであります。もっとほんとうに再び建てるという角度であるならば、この取り引き先、言うならば利害関係人であるわけでありますが、そういう方々と別な、もっと若い人方で、ほんとうにどうあるべきかということで論じられなくてはならないのではないか、こう思うのでございます。全くこの辺は漫画のような気がするのであります。個人的には全くうらみ、つらみもないのでありますが、そんなふうに感じますので、率直に申し上げます。  最後に冒頭申し上げました消費者保護基本法、せっかく内閣で四十三年衆知を尽くして国権の最高機関できめて、基本法という位置づけをしておるわけでありますので、そういうことを、もう一度吟味そしゃくいただきまして、御検討をお願いしたい、したがって、いま出ておりますような、いささか私は浅薄だと思うのでありますが、こういう値上げについては反対でございます。
  299. 細田座長(細田吉藏)

    細田座長 ありがとうございました。  次に、車塚良治君。
  300. 車塚良治君(車塚良治)

    車塚良治君 今回の国鉄値上げに関しましては、国鉄運賃法の改正と、国有鉄道財政再建促進特別措置法と、両々相まって検討する必要があると思うのでございます。  現在の国鉄累積赤字がすでに年間の運賃収入に迫るという状態をこのまま放置していいかどうかということについては大きな問題があると考えます。したがいまして、運賃の値上げということは、好ましいことではありませんけれども、国鉄現状からして、やむを得ない措置ではないかというように考えまして、基本的には賛成する側に立って意見を開陳したいと思います。  国鉄赤字内容につきましては、なお、単に人件費値上がりそれだけの問題でなく、減価償却費の問題なり、あるいは借入金の利子負担の問題なり、さまざまの要素がございますので、なお検討の余地があるとは考えますけれども、しかしこのような赤字というものを、財政支出だけによって負担するということだけでいいのか、やはり利用者負担ということを、負担の公平という側面から主張するこの議論も、全然無視するわけにいかないではないかというように考えます。そこで国鉄のこの赤字というものを、財政負担だけによってまかなうということによって、その国鉄経営努力というものが減退する要因になるのではないかという点も考えるわけでございまして、言うなれば親方日の丸というような考えで、企業的努力を十分なさないで、それを国民の税負担だけに頼るという考え方であっては、やはり公営企業としての経営努力を拡充するという点からして問題があると考えます。いまの国鉄再建につきましては、やはり経営者側も、労働組合側も一体となって経営改善に対する努力を払うべきであるという考えを持つものでございます。したがって、いま順法闘争というようなことが年中行事的になって、国鉄はすでにこの状態に麻痺状態になっておりまして、もはや何とも言いがたいものであるという、このあきらめと、不信感を持っておる状況でございます。そのような状況を改善していくために、やはり労働組合側も反省する必要があると考えるわけでございます。もちろん経営者側にも全然責任がないのかとは言えないわけでございますけれども、しかしあまりに国民に迷惑のかかるような、この闘争行為というものをひんぱんに行なうということにつきまして、労働組合側も、もっと良心的にそれを考えていくべきであるというように考えるものでございます。  次に、貨物運賃関係でございますが、これは昭和四十一年以来据え置きとなっておりますが、この間の物価上昇と、人件費高騰というような点を考えますと、今回の運賃改正はやむを得ないのじゃないかというような考えを持つものでございますが、しかしただこれは無条件に賛成するというわけではございません。  今回の改正案内容によりますと、貨物運賃の四等級を三等級に整理するということでございますが、その中で米であるとか、あるいは野菜その他生鮮食品というものは、ほぼ三等級に据え置かれるということで、その面においては国民生活というものを考えて、比較的低い料金に押えるという配慮のあとが見られますので、この点については賛成するものでございますが、しかしいま私たち農家といたしましては、生産者米価というものが、常にこれも物価問題からの犠牲となって、据え置かれているというような状況を考えますと、ただこれを無条件に賛成するというのではなくて、そういうようなもろもろの諸物価との関連において、こういうものは十分配慮の上に値上げを考えるべきであると思う次第でございます。  なお、この貨物運賃値上げによりまして、消費者物価に対するはね返りというものがある程度あると思うのでございますけれども、試算によりますと、たとえば米について申しますと、いま私たちが東京に送っております米に関して見ますと、小牛田と東京の隅田川間において、一俵六十キロ当たり二十六円程度値上がりになるということでございますが、しかしこの二十六円程度値上がりというものは、末端の米の消費者価格にそう大きく影響するはずはないと思うのでございまして、むしろ運賃の値上げに伴う物価便乗値上げということが問題であると思うのでございます。したがって国鉄といたしましては、また政府といたしましても、今回の運賃の値上げによる物価に対するはね返りというものが、どの程度のものなのであるかということを、国民によく周知させ、PRする必要があると考えるのでありまして、消費者側が、その便乗値上げを十分監視できる体制を取るべきだと考えます。  次に、貨物輸送赤字だということは事実だといたしましても、ただその貨物輸送赤字であるからというだけで、これを貨物運賃値上げだけによって解決できるものではないと考えるものでございます。むしろ貨物輸送量の減退が大きな問題だと考えますので、今後貨物輸送合理化をはかって、もっと貨物国鉄に集めるその努力をする必要があり、また荷主側に対して要望にこたえられるような輸送体制をつくることによって、国鉄貨物量の増大をはかること、その両々相まって解決するのでなければ、貨物運賃値上げが、さらに貨物量の縮小につながるという悪循環をもたらして、解決にはほど遠い問題になるのではないかと考えるわけでございます。  なお、貨物輸送赤字の原因につきましては、やはり陸路運送の発達の関係からいたしまして、非常に競争関係にあるわけでございますが、その陸路輸送というものにつきましても、やはりいろいろな問題がございますので、あとで触れますけれども、やはり国鉄貨物輸送近代化をはかる、そのことのための再建促進措置法による、この施設拡充計画というようなことが対応して行なわれるならば、やはり荷主側としても、この程度値上げは承諾せざるを得ないのではないかと考えております。したがってこの輸送サービスの向上のための設備投資というものを思い切って行なって、国鉄の競争力を持つ、この貨物輸送体系をつくり上げまして、そして物的流通の中で長距離大量高速輸送というような鉄道貨物の特性もございますから、その点は十分に発揮できるような基盤を確立する必要があると思います。そして一般に汽車を利用する旅客方々のほうからいろいろ問題が提起されておって、貨物輸送のほうが、とかく第二義的に見られる傾向もございますけれども、むしろ今日の国鉄の経営が、この貨物輸送赤字ということに大きな原因があるとするならば、貨物輸送の面をもっと考慮した輸送体系というものを考えていく必要があると思うものでございます。  なお、今後予想されますことは、このようなモータリゼーションの時代におきまして、道路交通の混雑というものはますます深刻化するということでございます。そして陸路輸送につきましても、これはやはり排気ガスの問題なり、あるいは騒音の問題なり、交通事故の問題なり、こういったようなさまざまの公害等を増大させる原因にもなるわけでございますから、むしろ国鉄の使命としては、そのようなものを国鉄の使命として、そのような問題を解決する方向にこの輸送力の強化をはかるべきであるというように考えるものでございます。そしてこのことは、こういう問題につきましては、やはり国民的な要望事項であり、国民的な合意が得られるものであると考えるものでございます。  次に、今回のこの再建計画によりますと、政府も相当の財政援助を考えておるようでございますが、いままでの国鉄に対する政府の援助は、あまり少な過ぎたのではないかという考えを持つものでございます。それは国鉄の持っている固定資産に対し、政府の出資が七百八十億円程度という、きわめて小さな額であるということでございますから、これは政府の出資のもっと飛躍的な拡大をはかるべきであると思うのでございますが、今回の再建計画にはそのようなことも盛られておりますので、ある程度了解すべき事項であると考えておるものでございます。そして国鉄が一日も早くこの近代的な設備を整えまして、さらに交通網等を整備いたしまして、国民の要望にこたえるような体系で再建されることを望んでおるものでございます。  次に、労務の問題でございますけれども、昭和五十三年度までに十一万人を縮小する、ほぼ四分の一の人員を縮小するという案でございますけれども、確かにいまの国鉄経営の状況からして、人件費をなるべく増大させないという対策は必要であろうかとは思いますけれども、しかしこれは十分綿密な計画の上に案を立てられたと思うのでございますが、しかしこの人命を預かって運行する旅客列車等につきましては、安全確保対策というものを十分に配慮しなければならないと思うのでございまして、これは人間の注意力には限界があると思うのでございます。これをどこまでも従業員の労働強化の方向によって解決しようとするならば間違いであると思うのでございます。これはやはりその従業員が十分安心して安全運転が確保できるような、その機械化設備なり、その他の諸対策が伴わなければ、このような人員の縮減は不可能ではないかというぐあいに考えるものでございますので、この点については、すでに十分検討されておると思うのではございますけれども、さらにもっとこの点十分に配慮していただきまして、安全運転の確保ということを優先的に考えて人員の縮小等も考えていただきたいと思うのでございます。  なお、旅客運賃の問題につきましては、いろいろ社会政策的に負担すべきものを国鉄負担しているということを、先ほどの陳述者が申されたところでございますが、いま農村の通勤出かせぎというものが非常に多くなっている状況の中で、ある程度定期の割り引きなり、また、特に学生の割り引き等につきましては、これをあまり削減していくということについても、いろいろな問題があろうかと思うのでございまして、これはやはりある程度現行に近い線で残すべきではないかというぐあいに考えるものでございますが、ただ、その旅客運賃値上げにつきましては、通勤労務者なり、あるいは通学の学生の、この通勤途上における疲労というものを考えますと、そのラッシュのときにおいてほとんどすわることができないというような中で、非常に苦労してエネルギーを消費しているという状況を考えますと、このような状況が改善されるということでありますならば、これは運賃の値上げというものは、そういう利用者のほうとしても納得できる線ではないかというように考えるものでございます。  これから東北にも新幹線が貫通しました際には、長距離輸送新幹線ローカル線は主としてこのような仙台等に通う、そういうものになると思うのでございますが、その方面を、もっと車両を増発し、そのような混雑を緩和するというような方向で考えますならば、これは通勤通学する人たちにとっても大きな利益をもたらすものでございますから、そういう点と相まって運賃値上げというものを承認する方向に合意に達することができるだろうと考えるものでございます。したがいまして、今回の運賃法並びに再建法改正につきましては、いろいろな要望も含めまして、基本的には賛成するという側で私の陳述を終えたいと思います。
  301. 細田座長(細田吉藏)

    細田座長 ありがとうございました。  次に、内館晟君。
  302. 内館晟君(内館晟)

    ○内館晟君 私は宮城民生活協同組合の専務をしております内館でございます。  本国会に上程されております国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案——私たちはこれを国鉄運賃値上げ法案と呼んでいますが、——に対し、私は消費者の生活を守る上で重大な関心を持っております。かりに国鉄運賃法案が通りますと、それでなくても深刻な状況にある家計に追い打ちをかけることになり、しかも今後十年間に四回も運賃値上げを認めることになるわけですから、この法案は国民生活にとってはかりしれない影響を与えます。私はこの運賃値上げ法案反対する立場から意見を述べたいと思います。  宮城県民は、最近の物価騰貴に痛めつけられております。ここ三カ月間だけでも驚くほどの値上がり状況なのです。最近各種商品の代表者によります買い占め、売り惜しみから綿、毛糸、大豆、木材、水産物などの関連商品が大幅に値上がりし、その波及効果によって、仙台市においては、三月度一カ月で、前月対比二・六%の消費者物価値上がり記録しております。ここ三カ月で三・三%の上昇率にもなっているわけです。卸売物価も、三月度において、前年同月対比一一%も上昇していると報道されております。この状況は非常に深刻です。このままでいきますと、年間一〇%以上確実に消費者物価上昇するからです。最近買い占めがうわさされております品目の値上がり状況をあげてみますと、ひどい値上がり状況になっています。まず刺身の代表格マグロですが、年末に上がったきり下がりません。それも百グラム百二十円であったものが百八十円と、五〇%も値上がりしているのです。これでは豚肉の二倍の値段であり、とても庶民の晩酌のお供というわけにはいかなくなっています。大豆の値上がりは関連する食品の大幅な値上がりをもたらし、とうふは三〇%、納豆五〇%、みそ一五%、しょうゆ一八%、本来円切り上げで値下げすべき食油までも値上がりしています。しかも大手食油メーカーは、この機をねらって出荷を押え、製品の不足状況をつくり出しています。一方、ニッコーサラダ油に見られるように、毒入り油を出荷するようにもなっています。衣料品の値上がり状況も深刻です。聞くところによりますと、羊毛も綿花も決して不足ではなく、自然現象においては、値上がりする理由はないとのことですが、実際には羊毛においては四十八番手双糸一キログラムが一年前に八百五十円であったものが、いまや三千円をこえているのです。綿を利用するメリヤス素材も、ここ一年間で二倍以上になっており、シャツを縫う糸も三倍以上になっています。しかも今後天井がわからないというのですから、ますます消費者としては不安になっています。その上中小企業には製品が入手できないというのですから、ひどいものです。こうして着る物も着れなくしておいて、その上暖房灯油の大幅な値上がりです。ここ仙台におきまして、多くの消費者がぶり返した寒波にふるえながら、配達されない灯油を待っているという事態が起こったのです。それは灯油の需給計画を誤った結果なのですが、この不足状況につけ込んで、灯油の価格は一挙に十八リットル当たり四百円にはね上がりました。この三カ月の間に、第二の主食と言われる牛乳も、二百CCで四円値上がりされています。こうしていろんな日常諸物資が値上げされて、ここにあげた品目だけでも、昨年暮からここ三カ月で、驚くなかれ四千円もの支出増になっていると、私たちの生協組合員でつくっております家計簿研究グループでは報告しています。これでは四けた賃上げを行なっても物価値上げを吸収できません。このままいけば年間五・五%の消費者物価値上げという政府の予想は、全く砂上の楼閣とならざるを得ません。国鉄運賃値上げは、この物価騰貴の状況に、火に油を注ぐようなものです。日本生活協同組合連合会が昭和四十七年九月に全国的規模でまとめた家計簿研究グループの交通費調査によりますと、国鉄に支出されている家計負担分、これは通勤定期等の会社の負担分を除いたものですが、全国で月額二千百十円となっています。ですから、今回の国鉄当局の値上げ案を実施しますと、一年間に六千四十八円の支出増になります。さらに私鉄十四社が申請しております値上げ分が、国鉄運賃が上がれば認められるという予想がされておりますが、それを認めますと、八千六百八十八円の支出増となってきます。さらに利用者に悪いことは、四十四年に設定された財政再建十カ年計画に従って、一日乗客八百人以下、貨物利用八十トン以下の駅を整理しようとしており、たとえば仙台と山形を結ぶ仙山線において、四十五年四月現在九駅あった一般駅が、四十七年四月になると三駅しかなくなりました。そして山寺や作並などを含めて、八つの駅で貨物が取り扱えなくなっています。こうした統廃台を、仙台鉄道管理局管内で、旅客七十二駅、貨物七十三駅もリストにあげています。仙台でも、南仙台、名取、東仙台などの駅で貨物が扱えなくなるといわれておりますし、すでに米どころ大崎地方の米の出荷にも、その付近の統廃合は大きな影響を与えています。仙山線に熊ケ根という仙台の通勤者が多く利用する駅が無人化されまして、冬の雪の日にストーブもない、便所もきたなくて利用できない、汽車がくるのかこないのかもわからないというように、著しいサービス低下を招いているのです。その上今回の値上げ案で、魚、お米、タマネギ等生鮮食品の運賃が三〇%も値上げされるのですからたまりません。今回の国鉄運賃値上げによって生ずると予想される消費者物価に及ぼす影響は、〇・四四九%から〇・四八七%と算出している人もありますが、インフレムードの中における今回の運賃値上げ影響は、単純な算術では推しはかれるものではありません。しかも今回の法案が、今後四回の値上げを組んでいるのですから、この運賃値上げ引き金となって、全面的大幅な物価上昇を誘発するであろうことは、火を見るよりも明らかなことです。今回の運賃値上げ法案目的は、在来の累積赤字の解消ということもありますが、それだけでなく、全国に新幹線網を敷きつめる資金の調達にあることは言をまちません。確かに新幹線によって時間的短縮は、東京−仙台間等で二時間以下に短縮されることになりますが、そのことと引きかえに、在来線が貨物輸送中心となり、特急や急行の本数を減らし、長距離の旅行は、いやがおうでも新幹線に乗らなければならないように仕組まれ、乗れば運賃と同額以上の特急料金をとられるようになるわけでありまして、国民がはたしてそのようなことを望んでいるのかどうか、私は疑問に思います。ましてや、新幹線は騒音公害という新たな社会問題を提起していますが、現在の国鉄には、仙台市で提起している七十フォン以下に押える能力もないのですから、もっと住民の利益を先に解決するよう検討すべきであります。現在の国鉄赤字問題は、現在のあり方を根本的に改めない限り、開発をして赤字をつくり、それを運賃値上げでまかなっていくというパターンを克服できません。その意味から、国鉄再建十カ年計画根本から練り直すべきであると考えます。私はこうした立場から、次の点をもう一度考慮していただきたいと思います。  第一に、国鉄の新線工事あるいは在来線の改良工事は、すべて独立採算ということで借入金でまかなっているわけですが、これら工事は道路建設と同じく国の費用でまかなうべきであり、利子の支払い対象とさせるべきではないと思うものであります。国鉄赤字の大半が支払い利息によるものであることは、皆さん先刻御承知のとおりであります。そして新しい路線の決定計画は国がきめるわけですから、それによって投資を要求され、利子支払いを要求される国鉄にしてみれば、国で収支の責任を持てという意識が生ずるのも当然であります。政府はこの際責任をとって、従来の利子たな上げ、一般会計よりの補給金の支出を行なうべきであります。このことによって、現在かかえている赤字の大半は解決できると思います。  第二に、料金体系の問題です。前から、旅客黒字貨物赤字であるといわれてきました。確かに、四十五年の発表数字によりますと、旅客では四百三十七億円の黒字貨物収支では千八百三十二億円の赤字となっています。にもかかわらず、今回の料金値上げ案におきましては、旅客運賃も二三%以上引き上げているわけでありますから、私たち国民はとうてい納得するわけにはいきません。普通の感覚から申しますと、赤字だから値上げするのでしたら、赤字のところを値上げするのがほんとうです。ところが、いままでの値上げも今回の値上げ案も、貨物赤字旅客運賃値上げでしりぬぐいをする形になっているわけであります。しかも貨物収支の赤字は、多くの割引制度によってつくられています。たとえば、国鉄労働組合仙台地方の資料によりますと、大昭和製紙のある岩沼の貨物取り扱いの実態を見てみますと、割引の制度が非常に入り組んでおりまして、場合によりましては、普通貨物輸送料金の半額になっているのではないかと思われます。たとえば、定形貨物割引で、同一品目、着駅指定、一日定量発送、一カ月契約の場合に適用を受けるものでありますが、この適用を大昭和製紙は受けておるわけであります。その上、トン戸口扱いというものがありまして、年間に何万個送ると契約すれば、一割二分から二割の割引になるというのです。さらにその上、空車回送車を使いまして運んだ場合、東北輸送計画室承認ということで、年間取り扱い額の一〇%から一五%の運賃が返還されるというのです。こうした処置に重ねて、貨物営業規則に定められている貨車留置料、貨物留置料、貨物保管料を全然とってないという話であります。大量に輸送する場合、コスト安になることはわかりますが、ほんとうにコスト計算をして割り引いているのかどうか、私ははなはだ疑問に思うわけであります。こうした割引制度は、ほぼ大企業に適用されているものですが、今後の計画を見ますと、貨物輸送力増強のためにここ十年間で三兆八千億円もの投資を行ない、フレートライナーの基地やコンテナ輸送の増加を計画していますが、反面庶民の一般貨物は取り扱い駅を減らすとともに、昭和四十七年度八千四百八十一万トンの取り扱い高を、五十七年には二千七百五十七万トンと、実に三分の一以下に減らす計画を持っているわけです。したがって、特別の割引について再検討をしない限り、貨物赤字はよりひどくなるばかりであると思うのであります。  第三に、国鉄ほんとう赤字かということです。国民に公開されるべき公共性を持つ国鉄の経理が明らかにされていないことは、きわめて問題です。今回のように、今後十年間の計画を設定するに際しては、実態を深く掘り下げて検討する必要があるわけでありまして、この点がどうも納得できません。今回の運賃値上げ法案は、従来のパターンの踏襲であるとともに、輸送力三倍増を掲げた列島改造に従って、より大規模に大企業本位貨物輸送力増強と、それに関連する新幹線建設計画を推し進めるわけですが、その資金のうち八兆円を運賃の値上げによってまかない、国は一兆五千億円しか出さないというわけでありますから、国鉄政府で言っているような三方一両損などとは、とても言えたものではありません。私は今日軒並みに上がる物価によって、国民の生活がとことんまで苦しめられているとき、さらに物価値上げ、サービス低下をもたらす今回の運賃値上げ法案を廃案とされることを強く主張するとともに、あらためて、国民の利用しやすい国鉄にするための計画を、国民各階層の意見を取り入れてつくり上げることを要望するものです。どうも御清聴ありがとうございました。
  303. 細田座長(細田吉藏)

    細田座長 ありがとうございました。  次に、首藤英二君。
  304. 首藤英二君(首藤英二)

    首藤英二君 それでは、首藤でございますが、私から申し述べます。  私は今回の両法律案改正については、やむを得ないものと思いまして、賛成立場に立っておるわけでございます。両法案の賛成をいたしますために、ちょっと前提といたしまして、国鉄再建必要性があるのかないのかということで申し述べてみたいと思います。  私は、日本国有鉄道は、これはどうしても再建の必要があるものと考えております。それにつきまして、ちょっと国鉄の財政の現状について申し上げてみたいと思うのでありますが、国鉄の財政は、経済社会の変動と輸送構造の変化等によりまして、昭和三十九年から赤字に転落しまして、その後急速に悪化を来たしておりまして、四十七年度末の累積赤字は、実に一兆二千億円、長期債務残高は約三兆八千億円に達しておるということでございます。このような悪化の状態が今後も継続するといたしますと、国鉄国民生活国民経済に果たすべき使命を全うすることができなくなり、国の経済に重大な支障を来たすこととなるのではないかと憂慮するわけであります。したがいまして、この際、国鉄財政ばかりでなく、国鉄全般にわたり思い切った根本的な再建が必要ではないかと存ずるわけでございます。それで、赤字がどうして出てきたかということは、これは本日は運輸委員会の先生方がおいでになっておりますので、申し上げるのは釈迦に説法でございますが、しかし、申し述べます順序の都合で一応言わしていただきたいと思いますが、第一点といたしましては、新線建設あるいはその経営にあたりまして、すなわち、国鉄は地域経済社会の要請によりまして新線建設に、企業的に考えてみては困難性のある路線の建設を行なわざるを得なかったことでございます。また、不採算路線の経営をも余儀なくされておったことであります。  第二点といたしまして、運賃の立て方と、人件費をはじめといたしますコスト上昇にあります。国鉄の持つ公共性に基づきまして、運賃の設定についても、社会的、経済的考慮を払わなければならなかったこと、他面に、わが国の経済の高度成長を背景といたしました諸がかりの上昇、特に国鉄は労働集約的の企業でありましたために、人件費上昇増加が大きく、これが経営を圧迫したことであると思います。  第三には、国鉄の従来の経営のあり方であります。先ほどもどなたかお触れになりましたが、何と申しますか、公共企業で、その財産は国のものである。うしろに日の丸がついているのだというような考え方が、あったかないかよくわかりませんが、また一方赤字財政のために、設備投資、特に貨物につきましてそうでございますが、設備投資のおくれがあるのではないか。また、先ほど申し上げましたような理由で、経営の近代化合理化に真剣に取っ組んでおられたのだろうと思いますが、十分でなかったという点で、合理化近代化がおくれているのではないか。この国鉄の経営態度に問題があったのではないかとも思われるわけであります。国民の大きな財産を預っておられます国鉄の経営者、これは従業員の各位を含めまして、特に私はこの際この経営の仕方については、遺憾の意を表せざるを得ないのではないかと思うわけでございます。  それから、国鉄再建のための対策でございますが、まず第一番には、国鉄自体企業努力についてであります。私どもは部外者でございますので、国鉄の経営につきまして十分に理解しがたい点もございますが、先ほど申し上げましたように、国鉄の努力、労使ともに不十分な感がございます。こういうことを申し上げると、先生方にしかられるかもしれませんが、私企業におきましては、終戦後血のにじむような努力をいたしまして、近代化合理化を行なってまいりました。そういたしまして、それに失敗いたしました。中小企業、特に東北は中小企業ばかりでございますが、中小企業の数多くから、年々多数の倒産者を出しておるわけでございます。こういう点にかんがみますと、いま少しく国鉄におかれましても、徹底的に合理化あるいは近代化の努力をしていただいたらよかったのではないかと思うわけでございます。また、積極的にさような努力をしながら設備投資の効率的な設備投資を推進していただいておったら、あるいはかような状態が幾らかでも軽減をされたのではないかと思うわけでございます。さようでございまして、第一番は、国鉄の経営自体についてお考えをいただきたいということでございます。しかし、それだけで現在の国鉄の財政の悪化を救済するわけにはまいらないと思います。  それから、前に述べましたように、国鉄におきましては、経済社会等の要請によりまして、いろいろと施策をし、新線を敷き、あるいは輸送をしなければならなかったわけでございますから、国鉄財政再建のためには、国からも財政的援助をしなければならないのではないかと思うわけでございます。しかし国の助成につきましては、その内容をつまびらかに私は存じておりませんが、主として国民の税金からまかなわれるわけでございますので、援助にあたりまして、またこれが使途につきましても、慎重に考慮をして、最も効率的に利用されることが望ましいと思う次第でございます。  それから三番目には、先ほど、どなたかから三方一両損とかいうお話しがございましたが、貨物を送ってもらい、あるいは人を運んでもらっております受益者も、ある程度負担はやむを得ないではないかと思うわけでございます。したがいまして、必要最小限度の料金の改定値上げと申しますか、これはやむを得ないものと存ずる次第でございます、最小限度と申しますと、おそらく最小限度、それは何なんだという御質問が出るのではないかと思いますが、これはいろいろの見解の相違もございましょうが、しかし今度お示しになりました運賃改定法あるいは国鉄財政再建法に盛られている程度のものについては、これはやむを得ないのではないかというふうに考えますので、この両法案の改定につきましては、賛成をいたすわけでございます。  それから、はなはだ申しわけないのでございますが、本日わざわざ国権の最高機関であられます衆議院の運輸委員会委員の各位が、各党おそろいで当地においでをいただきましたので、お許しを得まして、東北地方の要望について一、二述べさしていただきたいと思います。  東北と北海道地区は、一体として総合的に開発を推進いたしまして、経済圏の拡大及び日本経済の発展を推し進めることが必要であると考えまして、北海道と東北地方は緊密な連絡をとりながらこの開発に、われわれ経済界のものはつとめております。私ごとにわたりますが、北海道の商工会議所の連合会と東北の商工会議所の連合会は、毎年会合いたしまして、これの根本的な対策について相談をいたしておるわけでございます。さような点からいたしまして、その動脈であります新幹線が、今度東京から盛岡までできます。それから青森まで延びます。あるいは青函トンネルを渡って北海道にまいるのですが、それにつきましては、なるべく早い機会に、北海道の旭川くらいまでは、まずひとつ新幹線を開通さしていただきたいものだと思うわけでございます。それから青函トンネルには、新幹線のルートで敷かれると思いますが、この青函トンネルにも貨物輸送をせられるように、ひとつお考えをちょうだいいたしたいと思うわけでございます。それで、なお太平洋側のほうに早く新幹線が出てまいりますので、これと日本海側との連絡、たとえば仙山線等のスピードアップと申しますか、をいたしまして、日本海側と太平洋側との結びつきの強化をお願いをいたしたい、かように思うことでございます。  また、国鉄労働争議につきまして、けさほど東京都内では異常な事態が生じておるようであります。組合のほうは非常に強気のようでございます。政府でもいろいろ御施策をなさっておるようでございますが、何と申しましても迷惑をこうむりますのは中小企業でございます。大企業のほうはいろいろと対策がございますが、ひよわい中小企業はこれに対策がないと申し上げていいのではないかと思いますので、なるべく、先ほどどなたかございましたように、四日に一ぺんずつストライキがあるというようなことでは非常に困りますので、これに対しまする何らかの方策がございましたらお立ていただきまして、早期に解決いたしますよう懇願をいたす次第でございます。
  305. 細田座長(細田吉藏)

    細田座長 ありがとうございました。  それでは次に、石黒達也君。
  306. 石黒達也君(石黒達也)

    石黒達也君 私は労働者の立場からの意見としまして、提案内容にまつわる条件整備は現状認識が不十分ではないのかとの判断から反対意見を述べたいと思います。  なるほど国鉄がになう役割りは、提案にもありますとおり、将来にわたって、国民生活、経済面でその使命の遂行が強く期待されているにもかかわらず、これまでの企業動向というものを見た場合には、率直に申し上げまして、これほどまでに労使不信を招き、その事象が、国民から嫌悪と憎しみの感を持たれながら、なおかつ日ごろ国民に、何らかの企業努力による行動や施策も見せていないとありましては、もはや公共企業存在価値に多くの疑念を持たざるを得ません。ましてや、政府並びに国鉄首脳陣が、再建の具体策を第一義的に留意しなければならぬと思うのでありますが、現状は、いまなお能力と実行力を持った体制の確立というものを生み出せないでおり、加えて、事大主義に基づく経営理念に対するむとんちゃくさは、企業に従事をいたす者への社会的訓練や組織的訓練をないがしろにして、ひいては職場での規律、秩序、統制等、管理体制の対応策は、全く無視をしているかのように私どもは考えるわけであります。私はさような現況を判断するとき、国鉄関係者はすみやかに発想の転換をはかるのでなければ、いかに資金内容の裏づけというものができたといたしましても、事足り得るというものではないと思います。いかにして国民負担にたえ得るかという確固たる姿勢を打ち出すのが先決ではないであろうかと思います。国鉄が人間尊重の時代の趨勢にさからって、利用者不在の行為を、しばしば至るところで見せ続けている段階では、今回の法改正は、あまりにも安易な手法で問題の解決をはかろうとしすぎているのではないかと、指摘せざるを得ないのであります。たまたま私は今月二十二日の日曜日、NHKテレビで、本問題に関する国会討論会を視聴していたものでございますが、その内容は、時間の制限があったにせよ、御出席の大臣を含めかわされた意見は、われわれ国民が期待する問題の核心に触れることを避けまして、きわめて抽象的論議であったり、エゴが先行しているかのように受け取れ、結果的には討論の焦点をぼやかしたまま終始したとの感を強くしたわけであります。そのために、印象としましては、せっかくの機会にありながら、本問題への関心なり認識、あるいは法改正への必要性をすなおに受けとめ得なかったのでありまするが、こうした傾向というものは、一般国民の意識にもかなりあったのではないかと推測をいたします。たとえば、政府見解の財政悪化の要因というものが、昭和四十四年度以降の推移として、自動車輸送の発達等による輸送量の伸び悩み、または人件費の大幅な上昇等にあると限定したり、あるいは現行の再建対策の効果が十分でない旨の判定点がすっきりしていないなどでございます。もちろん国鉄経営は、事あるごとに、世論を顧みない順法闘争に強調されますように、救いがたい重大な局面にあるかのようでありまするが、そうだとするなら、政府は、国鉄独立採算制の建前をとる公共企業である以上、みずからの事業範囲と責任分野を決断をもって打ち出すよう指導し、さらには緊急の事態の収拾策にも、ひとり国鉄当事者にだけまかしておくのではなく、少なくとも日本国有と名のつく公共事業体としてのあり方や、有効な計画樹立の際は、政府をはじめ各政党が、超党派的な角度から、積極的な施策と提言をまとめた上で、苦境に立つ国鉄経営現状打破に役立つ総合的な改革案を、国民に対し納得できる方向で明示すべきではないかと思います。私自身見聞した範囲での国鉄再建方策根本は、ずばり申しまして、経営システム改革が緊急課題ではないかというような気がいたします。すなわち、経営の基本方策ともいうべき近代経営体制確立のための処方せんというものはないのか。また、公共負担政府補助国鉄運賃決定のしかたは、現状どおりで妥当なのかどうか。さらには、輸送構造の変化によりまする競争条件の変更に対し適正を期す必要はないのかどうか。また、国鉄経営の安定をはかる事業範囲拡大のぜひについてはどうなのか等々の具体的問題に、さらにきめこまかく対処する中で再建策を講じ措置するのが当然と思いますし、特に現状の問題点と目されまするローカル線対策新線建設等、鉄道建設公団との関係、また、国鉄従業員人件費予算措置労使関係近代化等には、従来の経緯というものをあからさまにしつつ、関係者各位が相互信頼立場を保ち、正しい理解とより一そうの改革に意欲を示さなくては、国鉄再建の前途というものは、想像以上に多難であると思われます。したがって、今次財政再建促進特別措置法の一部改正案には、前述をしました諸条件を整備することにつとめた内容でなければならないし、運賃法改正についても、インフレ促進の要因となることから、差し控えるべきであると思います。また、本件を取り扱う過程では、国民感情のうっせきする不満を軽視することなく、しかもこの種公聴会の開催が、隠れみのとの印象にならないよう、綿密な上にも慎重を期し、公正な態度で対処していくことを望みまして、意見の陳述を終わります。
  307. 細田座長(細田吉藏)

    細田座長 ありがとうございました。  以上で御意見を述べられる方々意見の開陳は終わりました。  この際、午後零時三十分再開とし、休憩いたします。    午前十一時四十分休憩      ————◇—————    午後零時三十七分開会
  308. 細田座長(細田吉藏)

    細田座長 休憩前に引き続き会議を開きます。  派遣委員からの質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。江藤隆美君。
  309. 江藤委員(江藤隆美)

    ○江藤委員 本日皆さん方にはお忙しい中をありがとうございました。ちょうど質問者と答弁者の時間合わせて、これは申し合わせの時間が三十分でございまして、私も端的にお尋ねしていきますが、ひとつ恐縮でありますけれども、率直にそのままのお気持ちで御意見を聞かしていただくとたいへんありがたいと、こういうふうに思います。  御存じのように国鉄が一兆二千億の赤字をかかえておる、三兆八千億の借金をかかえてもう民間会社ならとっくの昔につぶれてなくなっておる。そうしながらもまだこうして営業が続けられておる。これがいまの国鉄で、まさに国鉄は危急存亡のときにあります。ですから私どもは、いろいろ御意見ありましたように、物価値上がりの最中に、こうした国鉄財政再建の問題をやるということは、ほんとうはうれしくないのであります。しかしほっといたらつぶれてしまう。もっといまの状態よりか悪くなる、こういうことを憂慮するがゆえに、今度国鉄財政再建法、それから運賃改定法の二法案を国会で審議しておる、こういうことをあらかじめ御了解をいただいて、率直に御意見を賜わりたいと思います。  私どもも昨晩は上野を乗りまして、汽車が順法ストにひっかかって、けさ一時半に着きました。いま国鉄当局からの報告を聞きますと、東京都内は本日は完全な交通麻痺状態であるそうであります。これは利用者はもちろんのこと、物価に与える影響というものはきわめて大きい。先般の順法ストで、東京都内の生鮮食料品は五割方値上がりいたしました。ですからたいへん心配しておるわけです。そこで亀山さんと、それから車塚さんにお尋ねいたします。このストについてどういうふうにお考えになっていますか。端的にひとつ、感想と、それからどうしたらいいかについて。
  310. 亀山哲三君(亀山哲三)

    亀山哲三君 運賃値上げとは、その向きの御質問が先生から出ようとは全く思いもよらなかったわけでございますが、やっぱりこれは出るべくして出ているのではないだろうか。先ほど申し上げました国鉄の位置づけ、現在あるいはまた将来、国民の福祉とのかかわりの中で、大きな道筋を申しますか、ビジョンが示されておりますと、相当程度いま起こっておる労使間の問題なんかも、そう先鋭化しないというふうな面があるんではないだろうかと思います。先の見通しが不確かな中で、一方的ないろいろな問題が、これは出やすい条件があって出ている、こんなふうに思うのであります。大事なことは、国鉄の労働者も含めまして、生活者でありますから、そういう中で、自分の企業国鉄の将来というあたりが明らかにされることが大事だというふうに私は考えます。これは全く群盲像をなでるのたぐいで、象のしっぽにさわってみて、象はこういうもんだとか、足の裏を見て、こういうもんだとか、いわば現在起きている紛争、きのう来のこと、そのことだけで国鉄全体のものは論じがたいのではないかというふうに思います。
  311. 車塚良治君(車塚良治)

    車塚良治君 私は労組の主張を全然否定するわけではございませんけれども、しかし国鉄、あるいは動力車労組の主張する意見は、一般企業会社の従業員が会社に要求するのとは、だいぶん違ったものがあると考えるのであります。いま一兆三千億円の累積赤字をかかえており、しかも年間の運賃収入がそれに匹敵するものがあるということになりますと、普通の会社でございましたならば、当然倒産すべき会社だと思いますけれども、それを国の財政援助によってこれをまかなっておるということにつきましては、国民としてはこのような公共的輸送機関を是認した上で税金からそれを支払うことを同意しているわけです。したがって賃金要求という面を考えましたならば、やはりこれは国民に対する要求でもあるんだということを考えますから、したがって、その要求というものが国民的にコンセンサスの得られるものでなければならないのだ。それを国民に大きな迷惑のかかるようなそういう争議行為を続けながらその合意を得るということは困難なことである。むしろもっと国鉄労組のアッピールのしかたとしては、国民に向かって、その労組の給与改善なり、あるいは安全確保の問題等について別な訴え方で国民の合意を得た上で、それを実現する方向に考えるべきで、いままでのようにすぐ順法闘争というようないき方で、国民にいわば圧力をかけながら解決しようとする争議行為のいき方には賛成できないわけでございまして、私はこういう公営企業ストライキ権というものを認めることはできないと考えております。
  312. 江藤委員(江藤隆美)

    ○江藤委員 これは亀山さんね、私は財政再建ということは、皆さんから御意見がありましたように、やっぱり労使の協力がなくてはできないという意味から、これまでの危急存亡のときに、依然として国民に迷惑をかけて、そしてストライキを繰り返して、三日に一回、四日に一回という話がありましたが、やっておりますね。そういうことで一体どうだろうかという気を持つから、まあ枕ことばとしてお尋ねしたわけであります。  そこで、いまもう資料で御存じになっておると思いますが、四十七年度の貨物旅客運賃、料金収入、約一兆二千四百八十億です。それから人件費と物件費合わせまして一兆一千九百二十五億ですから、差引きますと、もう五百なんぼですか五百六十億そこそこしか残らない。それがいまの国鉄の実態だ、こういうことをひとつ念頭に置いてお答えいただきたいと思います。  亀山さんは、感情的にも反対だ、この再建案というものはたいへん浅薄なものだと、こういうきびしいあれをいただきましたが、そうしますと、こういうことでしょうか。旅客の運賃は上げちゃいかぬ、貨物運賃を上げろ、大資本のあれをやっているんだから貨物運賃を上げろと、こういうことでしょうか。もちろん国の援助もありますね。国の援助もあるが、今回、値上げをする必要があるとするならば貨物を上げるべきだと、こういう御意見でしょうか。
  313. 亀山哲三君(亀山哲三)

    亀山哲三君 より高いところに視点を当てた検討をということをここでもまた申し上げたいのでありますが、先ほどの労働問題については、政府も、労使双方が入っている国際労働機構があるわけなんで、ILO勧告あたりを受けて日本での労使慣行を近代的国際的な水準に持ち上げるということが必要であるし、そういう中では労働基本権を認めるというのが正しい姿であると、こう考えます。  それから後段の問題でありますが、これもまた象をめくらがさわるみたいな感じを実は受けるわけでありますけれども、いわば全体の問題ではなく部分の問題、こういうふうな感じがするわけでありますが、とにかく私は赤字の問題は、先ほど構造的な赤字ではないかというふうに申し上げたわけでございます。出るべくして出ている必然の赤字だと、こういうふうに現在の運賃体系なり、その辺を見る見方、分析するし方、これが必要ではないかと、こんなふうに私思うのであります。一番の赤字の、構造的に見るとか、高いところにメスを当てて見るとかいうことでは、先ほど申しましたように、本来国が、社会行政とかあるいは経済的な行政とか、国民の福祉行政とかいう点で負担すべきものを独算制というワク組みを与えて国鉄にやらせている、その辺に一番大きな問題があるのではないか。そういう条件つきでは、いかに有能な人が労使関係をうまくしてやろうとしても出るべくして出る赤字だという状態は脱却できないんじゃないだろうか、そういうふうに私は思います。
  314. 江藤委員(江藤隆美)

    ○江藤委員 ですから、今度の場合、旅客はいかぬが貨物は上げてもいいということですか、どうでしょう。
  315. 亀山哲三君(亀山哲三)

    亀山哲三君 どちらも浅薄な中で、はたしてまたまた一部をとらえての是非論は大体討議できる条件がないのではないかというふうに思うのでございます。
  316. 江藤委員(江藤隆美)

    ○江藤委員 たいへん浅薄だと言われて恐縮ですが、公務員制度審議会で、いまスト権の問題は十分議論をされておるわけです。これは御存じのとおり。それから独立採算制というのは、独立採算制がいかぬということですか。独立採算制がいかぬならば国営にせよと、こういうことですか。
  317. 亀山哲三君(亀山哲三)

    亀山哲三君 私はそうではございません。私はこういうふうに、何と申しますか、簡単に結びつけているつもりはございません。公企業だ、いわば国有にしてしまえばいいんじゃないかという話も考えておりません。公企業なので、やっぱりそれはそれ企業的な、いわば生産性の向上というあたりが、必要にならなければならない考え方であろうというふうに思います。その点はそう思いますが、さっき言いましたように、ワク組みを与えて、その中で独算制というあたり、はんぱなところを感ずるということでございます。
  318. 江藤委員(江藤隆美)

    ○江藤委員 首藤さん、ちょっとあなたに伺ってみますが、当然社会福祉面、公共的な面から政府負担すべきものを国鉄負担しておる、そういうところに赤字があるのじゃないか、こういうふうな御意見ですね、先刻からの御意見は。貨物割引、これはいろいろな制度があるわけでありますが、政策等級もあれば一般貨物に対する割引もあり、あるいはその他の営業割引もあります。これは規則によって定められているわけです。これが大体ことしで百二十億ぐらいだろうと私は思うのでございます。これを大企業に対する割引と言えばそれまでですが、しかし、これは農産物なんかも優遇措置は考えられるし、小さな貨物もいろいろなことをやっています。何も大企業だけじゃない。ところで、学割、通勤、それから身体障害者、そういう人たちに対する割引、社会福祉的なもの、これが私は約四百億ぐらいだろうと思うのですよ。そうしますと、大体いまの亀山さんの御意見からすると、五百億ないし五百二十億程度のものが公的な、あるいは公共的な、あるいは福祉的な面からいって、国が当然負担してもいいんじゃないかと思われる面であろうと思う。そういうものが赤字の原因でしょうか。それともほかに赤字になる体質があるんでしょうか、簡単にひとつ。
  319. 首藤英二君(首藤英二)

    首藤英二君 私はいまのような問題ではないと、さっき私ちょっと公述のときに申し上げておいたんですが、国鉄の経営サイド、これは労使を含めたサイドでいままで、ことばは悪いかもしれませんが、放漫であったというふうに、私企業のようにシビアな運営をしなかったうらみがあるのではないか。これはこれであとは申し上げませんが、こういう点が相当重要な原因になっているのじゃないかというふうに考えます。私、専門家じゃないからよくわかりませんが、そういうふうな感じをいだいております。
  320. 江藤委員(江藤隆美)

    ○江藤委員 内館さん、さっきいろいろ御意見がありました。この値上げ案をやらないようにしてもらいたいという御意見でありましたが、私どもも値上げをせずに皆さんに負担をかけずに再建ができるものならばそれが一番いいと思う。そこで、かりにことし、今度再建案が通らなかったら、四十八年度だけで国鉄赤字は、当てずっぽうでけっこうです。どのくらいふえると思います。
  321. 内館晟君(内館晟)

    ○内館晟君 四十七年度の赤字が三千六百億円になっておりますね。そのうちの利子の補給額が二千億円、利子の支払い額が二千億円以上あるわけでございますね。それで先ほど申されました人件費、物件費の収支では一応とれているけれども、とれているけれどもと言いますのは、五百六十億円ぐらい残るんだというふうにおっしゃっていましたけれども、人件費、物件費のほかでありますと、減価償却費と、それから銀行への利子の支払いということになるわけでございまして、そこのところをきちっと考えれば収支は一応合っていることになるわけですね、いまの計算でありますと。三千六百億円以上の赤字が当然出てくるわけであります、いまの計算方法でありますと。しかしそこのところを私のほうで考えていただきたいと思いますのは、利子の支払い額が収支状況の中で赤字の部分の相当部分を占めているということでございます。そこのところを、いままで新線を引くとか、改良工事をやるとかで、かなりの支出をしているものに対して、これは全部借入金でも払ってきたという事情があるわけです、三兆円以上の……。
  322. 江藤委員(江藤隆美)

    ○江藤委員 あなたのお話しで、国は一兆五千億しか出さないんだというお話しがありました。ちょっとこれは全体のことですから、国の出資が一兆五千億ですね。それから政府のいろいろな助成が二兆五百億、大体三兆六千億、その他合わせまして五兆円、そのほかに鉄道建設公団に対する政府の出資が一兆円、そういうことになるわけですね。そこで、そのことはいいんですが、ことしはそれを、財政再建ができないと四千億以上の赤字がことしだけでも出る。そうすると、もう四十八年度末は赤字だけでも一兆六千億をこえる。こういうことになるわけであります。  それから私ちょっと一つ気にかかったことがあるのですが、あなたのお話の中で、どうせ新幹線騒音は七十ホン以下には下げられない、新幹線ができると、いままでの在来線というのは、これは近距離輸送やら貨物輸送にやられて、東京や大阪に行くときには、いやでもおうでも新幹線に乗って高い料金払って、そして庶民の負担がふえるからいかぬのだと、こういう意味でありましたが、そういうことでしょうか。私は九州ですから、いま二十五時間かかりますが、新幹線をつくると七時間半で東京へ行けるんですよ。だから、いろんなことありますけれども、なるべく早く新幹線を通したいと思ってやっている一人です。東北の皆さんもずいぶんはがきを下さいます。早く新幹線をつくれつくれといってたくさん手紙をいただきます。きょうは地元の長谷川先生もさっきわざわざいらっしゃいましたけれども、一生懸命やっていらっしゃる。だから新幹線はいらないという意味なのか、あるいは国が全部みろということになりますと、これは財源に限りがあるわけですから、十年間で十兆五千億ですから、それをやるというと、あなたの防衛五カ年計画が四兆六千億でしょう。ことしの防衛庁の予算は九千六百億、あなたがおっしゃる五カ年計画は四兆六千億です。そうすると、国鉄の今後の投資は十兆五千億ですか、十カ年間ですけれども、それだけのものを国が全部やっていけということになったら、それはいつの日かできるでしょうけれども、とてもいまの状態では東北新幹線が五十一年に開通することもできないであろうし、われわれ九州の新幹線が実現するということは、われわれの足腰の立つ間にちょっとどうかいなと、あれがある。そこで端的に新幹線は要るのか要らぬのかということを。
  323. 内館晟君(内館晟)

    ○内館晟君 新幹線を要らないというわけではないけれども、いまのやり方で新幹線を進めてまいりますと、私たちの負担はものすごくふえるということなんでございます。それともう一つ公害の問題もあるということでございますね。それらの問題が解決しないまま新幹線の料金はとにかくどれだけ上げてもよろしいというようなことで進められることについては反対だということを言ったわけなのでございまして、新幹線そのものに決して反対するわけじゃないんです。ただ、東北新幹線を進めてきておりまして、ものすごく土地が上がっているわけですよ。実際問題として仙台市でも昨年一年間に三五%土地が上がったというふうに言われておりますし、それでこれが物価に与える影響というのは非常に大きいんですよ。現在、坪五万円の土地を宅地で——仙台はいままで安かったんですけれども、坪当たり五万円なんという土地は求められなくなっているんですね。そういう状況が一方にあるということですね。そういう点を総合的に考えながら、その新幹線の問題も考えていかないといけないんじゃないか、ただ新幹線が通ればいいということだけでは住民は納得しないんじゃないかというわけです。
  324. 江藤委員(江藤隆美)

    ○江藤委員 関連質問がありますから、先ほど石黒さんがおいでにならなかったのでお一人だけ質問を残しましたから……。石黒さんは、こういうストがあったりゼネスト状態になったときに、緊急時の対応策を十分考えておく必要がある、こういうことを漏らされましたけれども、端的に言ってどういうことを意味しておるんでしょうか。
  325. 石黒達也君(石黒達也)

    石黒達也君 これは単に国鉄だけではなしに、労使関係というものがそれぞれルールがあると思うんですね。ただ私どもの聞いている範囲では、国鉄の中にはそういう労使関係の常識的に考えられるルールというものが存在をしていないというふうに聞いているわけです。たとえば民間の場合ですと、団体交渉の前に事前の協議制というような制度をとり入れまして、そこでたとえば労使の経営協議会とか、いろいろな事前協議をする制度を持っているわけですね。そういうような制度というものが全くない。いきなり団体交渉、そもそも私ども交渉というものの理解は、交渉というものはお互いに妥協するという意思がなければ、いくら交渉しようったって問題の解決にはならない。最初からもう反対だ、最初から抵抗するんだと、こういうものは交渉というものではおおよそないのだと思うんですね。交渉というものはベトナム問題もそうでしたけれども、やっぱりお互いに妥協しようという意思があるから、それが一般的に交渉ということばが成立しているのだろうと思います。そういうものが現状国鉄労使関係の中に存在しているであろうかというと、ないというふうに私は理解しているわけです。これは誤っておれば指摘をしていただいてけっこうです。そうしますと、そういうような制度がない中での労使関係ですから、こういうような緊急事態というものは目に見えていままで明確であったのじゃないかというふうに思うんです。ですから、そういう点にメスを入れないというところに問題があるんであって、そういうところにメスを入れるような具体的なものを労使意見を聞きながら、対応策を聞いてほしいと、こういうような考え方です。
  326. 江藤委員(江藤隆美)

    ○江藤委員 石黒さん、もう一つだけ、いろいろ考えて年金ストだとか順法ストだとか名前をつけておりますが、あなたは労働組合の幹部でもいらっしゃいますから、端的に言って、これは順法というに値するストだとあなたは思いますか。それとも違法なストだと思いますか。
  327. 石黒達也君(石黒達也)

    石黒達也君 やっぱりこれは国民全体的な考え方からいって、いまやっているようなストライキは順法ではないと、こういうぐあいに私は見ております。
  328. 江藤委員(江藤隆美)

    ○江藤委員 ありがとうございました。これで私のは終わり。
  329. 細田座長(細田吉藏)

    細田座長 小此木委員
  330. 小此木委員(小此木彦三郎)

    ○小此木委員 どうも御苦労さんです。江藤委員の質問を補足する意味でちょっと聞きたいんですが、私一ぺんに申し上げますし、それと、やりとりいたしませんので、簡明にお答え願いたいと思います。  まず亀山さんに伺います。  亀山さんが赤字再建のために値段を上げるということは経営政策として愚だ、もっと企業の中で反省すべきじゃないかと言われましたけれども、具体的には、それはどういうことか。具体的にどういうことかというと長くなりますので、あなたの言われた国鉄観、あるいはあなたの提言、それがそういうものの中に含まれるのか、あるいはまた、あなたがこれを、何といいますか経営体質根本的に改革しろという中で、いま江藤さんともちょっとやりとりありましたけれども、独算制を廃止するのだということですが、われわれ考えてそういうことは、あなたがちらりと漏らされましたけれども、そういうことは、管理費とか人件費とか、そういうものと運賃収入でまかなって、建設費はほかの面で出すべきだ、国で出すべきだと、革新の地方公共団体でもそういうこと考えているじゃないかというようなことがありましたけれども、しかし人件費そのものが運賃収入の七、八〇%を占めていると、あるいはそういうことを考えているところの革新公共団体、そういうものが運賃収入一〇〇%近いと、要するに人件費が一〇〇%近いというようなところがあるわけですね。そうしますと、ちょっと皮肉な言い方になるかもわかりませんけれども、運賃収入そのものが人件費でまかなう場合に、人件費そのものが一〇〇%こしてしまったというような場合には運賃値上げはやむを得ないじゃないかということも考えられるわけですね。そういうことについてどう考えられるか。  それから車塚さんにちょっと聞きたいんですが、あなたが集荷と輸送体制の増大をはかれというようなことを言われましたが、その中でちょっとお聞きしたいことは、宮城県の農協関係貨物で、要するにいま国鉄を利用する面と、そしてトラックを利用する面と、そのパーセンテージはどのくらいであるか、それをお尋ねします。  もう一つは、われわれいつも思うのでありますけれど、国鉄の資産利用というか、そういうもので、たとえば鉄道敷であるとか鉄道林であるとか、そういうものをもっともっと地方の中で活用したらいいのじゃないかということをどこでも考えるわけなんです。そういう面で宮城県のために国鉄の資産を利用してもらいたいというようなことが数多くあるんじゃないかと思うのですが、この点どう考えるか、これは首藤さんにも聞きたいことでありますけれども、仙台市内で国鉄の資産をもっともっと活用してもらえれば、仙台市のために、あるいは仙台市の経済のためにもっともっと力になってもらえるのではないかというようなことがたくさんあると思うのです。そういう点でちょっとお答え願いたいと思います。  それから、内館さんにちょっと聞きたいのですが、あなたさっき家計消費支出の負担が現在の運賃でいくと二千百十円、値上げされた場合には六千幾らというようなことを言われましたけれども、それは数字をあまり早くおっしゃられましたので、ちょっと私メモしそこなってしまいましたけれども、もう一回その点聞かしてほしい。そして家計消費支出そのものの基本ですね、それはどのぐらいに見ておられるのか、それをお聞きしたいです。と同時に、それはどこの調査でもってそういう数字が出てきたか。そして、その家計消費支出の運賃分がその家計消費支出そのものの何%ぐらいになるか、それをちょっと聞かしてほしいのです。  最後に、石黒達也さんにお聞きしたいのですけれども、あなたがいまの国鉄経営システム改革の緊急課題としていろいろなことを言われましたが、その中に事業範囲の拡大について国鉄はもっともっと思い切った考え方を出すべきだと言われたんですが、それはたとえば不動産事業に手を出したらいいじゃないか、あるいはデパート的なことをやったらいいじゃないかというようなことではないかと思うんですが、その点、石黒さんが考えるいわゆる事業範囲の拡大、それはどういうことを考えておられるか、以上ちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  331. 細田座長(細田吉藏)

    細田座長 亀山君から順に願います。
  332. 亀山哲三君(亀山哲三)

    亀山哲三君 一つは赤字人件費一〇〇%営業も含めまして、赤字財政にかかわる御質問でございました。私ども手元に持っております四十八年三月八日国会関係議事録抜粋を見ますと、実は与党議員の方も私が申し述べましたような趣旨の発言を意見ということで申し上げ、表明しておるようでございますね。申し上げますと、「三兆八千億の長期債務は今回政府はたな上げをして、孫利子補給ではなくて子利子補給というふうにした方が国鉄財政再建のためには適当ではなかったかと思うが、総理の見解どうか」というあたり、これは与党議員がおっしゃっております。それからまた、財政再建については野党議員も根本的な解決については、過去の債務は思い切ってたな上げをし、工事関係については国庫負担をすべきではないかという意見、それから赤字の原因が不公平な大企業奉仕の運賃体系にあった、ついては一般会計から建設資金を支出しろというあたり、赤字の一番の原因は利払いで赤字になった、経営が破綻しているのだ、したがって税負担において直接的にこれをただすのが正道ではないかというふうな各議員方の意見があるようでありますし、その中には、与党議員の意見表明もあるように私ども議事録を見ております。私は赤字が何で出たか、その辺深く対処をすること、そうでないと部分的な現象にまどわされて、国鉄十年、百年の大計ができぬだろうと、こう申し上げておるわけでありまして、赤字の最大の原因は、この中途はんぱな独算制というワクのはめ方、それらが遠因しているのであって、原因になっているのであって、そういう中では金利負担が一番問題だというふうに考えます。人件費以上に金利負担が問題であると思うのでございます。先ほど良質な資金をというふうに申し上げたのは、ちょっとやわらかくその辺を表明したつもりであります。  独算制そのものについてどうかというふうに御質問になったようでありますが、私はいろいろなワク組み、条件をはめて独算制ということをやっているから、独算制本来の効果が出ないのであって、その辺の条件整備が前段必要だ、深いところで検討し直しをと、こう申し上げておるわけであります。必ずしも国有にしろということを申し上げておるわけではございません。これは公企業独立採算を一応標榜した公企業という形が望ましいかといまの段階では考えております。あまりにも条件、制約がありすぎるのではないか、そう思うわけです。
  333. 車塚良治君(車塚良治)

    車塚良治君 農産物関係国鉄依存の輸送が何%かという御質問でございますが、このことに正確な数字は用意しておりませんけれども、まあ農家の販売の一番のものは米でございますが、米についてみますと、県外に輸送する大部分が国鉄でございます。したがって県内で販売される米のうちの県内消費を除いて、大体七〇%程度国鉄にたよっていると思います。それから農家が使用する生産資材でございますが、これは肥料等につきましてはほとんど県外からの輸送でございますから、これはほとんど国鉄に依存しているという状況でございます。それから今後農産物の国鉄に委託する貨物をどう考えるかということでございますが、いま家畜等の輸送につきまして、もっと配車が円滑になって、そのスピードアップがはかられるというような状態になりますと、現在トラック輸送にたよっている県外、あるいは県外からの輸送、こういうものは国鉄により多く依存すると思います。大体そういうようなことでございます。
  334. 首藤英二君(首藤英二)

    首藤英二君 経済界としての国鉄依存ということでございますが、これは全体的な問題は少し言われておりましたが、ここの東北の関係では、わりあいにわれわれの方と連絡をいただいておりますし、仙台でデベロッパー委員会というものをつくって、国鉄の方も入っておられまして、緊密に連絡をとってやっておりますので、特に何をしていただきたいということを申し上げるつもりはございません。
  335. 内館晟君(内館晟)

    ○内館晟君 先ほどの調査の数字についてということでございますけれども、これは日本生活共同組合連合会、私たちのほうが属しております生活共同組合の連合会で全国的規模で家計簿研究グループというものをつくっておりまして、そのグループの方、これは四人家族で四十歳台の方なんですけれども、これを抽出して調査を依頼して、いろいろな物価統計資料に使っているわけなんですけれども、それで調査いたしました結果でございます。支出の額がどれくらい値上がりになっているのかと、ここでは月額二千百十円というのが国鉄に対する支出額の平均になっておりますけれども、それで年間、今度の値上げ案が実施されますと、直接的なもので六千四十八円というふうになっているわけです。それがどれぐらいのパーセンテージを占めるかということになりますと、家計費の負担が直接的なもので〇・四%ということになります。で、これは二千百十円という支出の家庭といいますのは平均してこうだということになりますけれども、しかし通勤者がどなたかいらっしゃるとか、それから通学に二人やっているとか三人やっているとかいうことになりますと、全然違った数字になってまいりまして、大体個々の共通数値としてこういうふうに出ているということでございます。  それで、交通費の割合がどれくらいであるか、全体の割合にして大体家計費の五・三%になっております。これは、そうなりますと、国鉄運賃値上げというのはいままでもそうでございましたけれども、今度も私鉄十五社が申請しておりまして、これが全部認められる可能性が非常に強いわけですね。国鉄運賃値上げと抱き合わせということですか。そうなりますと、極端に影響が違ってまいります。  さらに、地方の状況を申し上げますと、私のほうでは宮城交通というバス会社がありまして、これが毎年運賃の値上げ申請をしているわけですよ。それで大体国鉄が上がると認められるというケースが非常に多いんですね。そうしますと、これは全然違った数字になってまいります。そういう点を非常に憂慮しておるわけです。
  336. 小此木委員(小此木彦三郎)

    ○小此木委員 いま二千百十円というのが家計費の全体の中の〇・四%ということですか。
  337. 内館晟君(内館晟)

    ○内館晟君 いやいや値上げ額、値上げ影響値上げ分だけでございます。
  338. 小此木委員(小此木彦三郎)

    ○小此木委員 わかりました。
  339. 石黒達也君(石黒達也)

    石黒達也君 事業範囲の拡大の問題ですが、これは結論的には国鉄企業性というものを制約している現行の日本国有鉄道法というものを改正しなければならないんでしょうが、私なりに考えた場合に、日本における私鉄の場合、これは土地開発とか、あるいはホテル、ビルの経営、あるいはレジャー施設というような部面によって鉄道部門をはるかに上回る収益をあげている。こういう現状ではないかと認識しております。それから外国の場合においても子会社、あるいは資本参加会社というものを数多く有しておりまして、かなりの実績をあげている、こういうような実例もいろいろな資料で見ているわけでございます。したがって、そういうようなことからすれば、国鉄経営の安定を期すためには私鉄なり、あるいは外国等におけるこういうような実例を取り入れてやるということが鉄道利用を促進する事業経営なり仕事の拡大を、多角的な経営に対して抜本的に検討を加えればいいものができるのではないだろうかという感じを持っております。ただ、これの事のよしあしは別問題でございます。
  340. 細田座長(細田吉藏)

  341. 佐藤(守)委員(佐藤守良)

    佐藤(守)委員 簡単に申しますと、実は先ほどから皆さんの御意見を聞いておりまして、いろいろな条件が整いましても、基本労使問題に落ち着くかと思っております。その場合に、実は昨年、四十七年度で約一年に三日に一回ずつサボタージュ、違法ストが行なわれたわけでございますが、この損害がどのくらいかといいますと、約二百億でございます。貨物で五十億、旅客で百五十億という数字でございます。しかも、こういう状態が続きますと、十年間で二千億ということでございまして、一年分の運賃値上げを食うということでございまして、これは大きな問題になっているわけでございます。  そこで私は実は、これは新聞、マスコミ、あるいは国鉄政府等のPRが不足でございまして、よく順法ということば使われているわけでございますが、実はこれは全部サボタージュ、違法ストでございます。英字新聞等を見ればゴースローダウンということばを使っておるわけでございますが、それで実は現在の順法闘争と言われていることについて、先ほど石黒さんにはお聞きしたわけでございますが、ほかの五人の委員にお聞きしたいのですが、はたして順法かどうかということを簡単にお答え願いたいと思うわけでございます。遠藤さんからひとつ……。
  342. 遠藤不二君(遠藤不二)

    遠藤不二君 たいへん申し訳ございませんけれども、よく聞きとれなかったんでございますが、いまのストが順法であるかどうかということなんですか。順法闘争の順法のことばの意味ですか。
  343. 佐藤(守)委員(佐藤守良)

    佐藤(守)委員 実際それを順法と御理解されていますか、あるいは違法ストと御理解されていますかということをお聞きしたいわけです。
  344. 遠藤不二君(遠藤不二)

    遠藤不二君 そのものずばり違法だと存じます。
  345. 佐藤(守)委員(佐藤守良)

    佐藤(守)委員 けっこうです。亀山さんにお願いします。簡単にお願いします。
  346. 亀山哲三君(亀山哲三)

    亀山哲三君 労働基本権の存在と、そのストを認める正当なものであると私は思います。
  347. 車塚良治君(車塚良治)

    車塚良治君 私はやはり順法の名をかりた違法闘争だと思います。
  348. 内館晟君(内館晟)

    ○内館晟君 私はやはり労働者の基本的な権利でありますストライキ権は認めて、その上で労使のびしっとした慣行を打ち立てるべきであって、それが不正常な中で行なわれているといいますか、いまスト権が剥奪されておる中でやられておりますから、そういうことで順法ということになっているわけでありまして、その点をきちっと解決しないとうまくないというふうに思います。いまのやり方も、そういう中でやられているものであってやむを得ないというふうに思います。
  349. 首藤英二君(首藤英二)

    首藤英二君 私は法治国家のもとにおいて法律に違反した闘争をすれば順法ではないと思っております。
  350. 佐藤(守)委員(佐藤守良)

    佐藤(守)委員 ありがとうございました。
  351. 細田座長(細田吉藏)

    細田座長 次に、斉藤正男君。
  352. 斉藤(正)委員(斉藤正男)

    斉藤(正)委員 斉藤です。きょうは御苦労さまです。私は公述人として御出席をいただいております六人の方々全員に二点ばかり総括的に考え方を伺いたいと思いますので、すでに意見の陳述で触れている点もありますけれども、もう一度の念のために遠藤さんから順次お答えをいただければ幸いです。  その第一点は、国鉄当局はもっと一生懸命経営姿勢をただして近代化合理化を進めるべきだ、どうも一般民間企業に比べて、そういう点がおくれている、こういう発言が共通してあったようにも思います。そういう点で、たとえば人員削減国鉄職員を削減をしていくということで、今度も十年間に十一万人という案が出ておりますけれども、すでに昭和四十四年に四十五万九千三百四十三人あった国鉄職員は、四十五年には四十五万一千三百九十四人に減りました。そしてまた四十六年には四十四万二千三人というように減っておりまして、この二年間に一万七千三百四十人削減をいたしておるわけであります。この中には皆さん御承知のように、無人駅をつくるだとか、あるいは貨物の集配駅を整理統合するだとか、あるいは御承知のような二人制乗務であった運転士、機関士を一名にするとかいうことが行なわれておるわけであります。ひとつこの近代化合理化というものが人員削減にもある。国鉄は職員が多すぎるという観点に立つならば、これを是認する面もあるいはあるかと思いますし、一方、この安全運転、正確、快的な輸送ということからすれば、やはり問題もあるというように思うのですけれども、専門家でない皆さん方にたいへん失礼だと思いますけれども、こういう人員削減国鉄職員を減らすというようなことについてまだこういう点が不合理じゃないのか、こういう点がまだやればできるのじゃないかというような点、もしあったら具体的にもお示し願いたいし、このようなことは国鉄本来の使命である安全、正確、快的な輸送との関係、あるいは住民サービスとの関係において、国民へのサービスというような関係においてどのようにお考えになっているのか、まず伺いたい。  ついでに、二番目の問題として全員にお答え願いたいのは、昨年の国会でときの大蔵大臣水田さんは、公営企業赤字なんというものは、もし発生したならば直ちに手当てをしなければ手おくれになる、こういう発言をされました。今度の再建案を見ますと、御承知のように昨年よりはある程度ふえていますし、政府などに言わせれば、たいへんな努力だというように言っておりますけれども、先ほどからお話しもございましたように、昭和三十九年、国鉄赤字に転落してから長い間、実は全然やらなかったというわけではないですけれども、政府出資、あるいは助成等々についてはなおざりにされてきた。このことが独立採算制公共性の二律背反的な性格を押しつけられている国鉄の宿命的なたどる道として今日の財政状態を生んだというように私どもは思っているわけであります。したがいまして、赤字の原因はいろいろありますけれども、いろいろあるそのうちで、ただ一つだけ政府出資なり、あるいは助成という点に思いをいたしましたときに、いままで三十九年以来放任してきたと言っても言いすぎではないと思いますけれども、政府のとってきた態度に私どもはたいへんな不満を持っているわけであります。こういう点についてそれぞれから、二点にしぼっておきますから、御意見を伺えれば幸いであります。
  353. 遠藤不二君(遠藤不二)

    遠藤不二君 第一の御質問の人員削減の点でございますが、これは削減される人員国鉄退職者の方々だと私聞いておりますが、いかがなものでございましょうか。であるとするならば、定年退職ですか、そういうふうなことであろうと思いますので、これもまたやむを得ない。国鉄ばかりじゃございませんので、ほかにもあることでございますから、これは自然現象なようなもんでございまして、やはりしかたないんじゃないか。ただ、私の思いますのは、それによって予算をこうすることもありましょうけれども、人員削減の中にこれから考えていただきたい。国鉄というものは賃金のアップもいろいろありましょうが、私はそれ以上に賃金がかなり高くなっても、さらに大事なことは安全性ということ、人を運ぶ、生命を守って目的地まで無事に送るというお金にかえられない非常に大きな使命が国鉄の職員の方々にはあるのでないか。その上に立って政府もまた考えるべきじゃないか。そういう広い、もっと心のある助成の上に立っての五兆なり十兆でたければいけないんじゃないか。そういうことから考えますと、このようにこんとんと順法が何だと騒がれております今日、人員削減された中にも国鉄そのものの企業対策、サービス、それから合理化、これらに技術、あるいは能力のある方がおられたならば、そういう方をも、また復元して使っていただくような方法もおとりになって、引っこ抜き作戦といいますか、ことばは悪いんでございますけれども、人材の能力を認めて、国鉄合理化促進のためにあたるようなことができないものかどうか。そういう点を女の立場で考えております。  それから二番目でございますが、政府云々の、やり方云々で赤字が出たというおことばがございましたけれども、私は議員でもございませんので、そういうふうな政府の予算面のほうまで残念でございますが、あまり首を突っ込んで研究してまいりませんでしたけれども、もしかりに、いまそちらの先生がおっしゃったようなことで、ほんとう政府そのもののやり方が悪くて、その赤字の予算が国鉄にあったとするのが、もしほんとうであったとするならば、それに甘んじている国鉄の上司さんがいるのはたいへんだと私は思います。したがいまして、いずれにいたしましても、政府というものは助成を出すべきの政府でありまして、国鉄はその助成をもらいながら、いかに国鉄の向上をはかるかは、政府よりもむしろ国鉄側の、基本方針が国鉄にあると思います。昔から一分一秒の時間にかたいといわれた国鉄職員の方々の流れもございますから、私は、そういう面で政府云々のことよりも、そこをうまく利用されて国鉄の上司の方々が今後もやっていかれるものと信じております。これはむしろそういうふうにおっしゃる方々、いまの先生の御意見、行き過ぎでは決してないのでございましょうけれども、少し何ですかね、私はいつもイデオロギーコンプレックス——政治意欲のコンプレックスで、イデオロギーですべての行政面が左右されることによって市民、県民、国民が左右されることに非常に抵抗を感じます。ですから、そういう意味合いのもとに、自民党さんも社会党さんも、すべての野党さん方も、政府追及もいいでございましょうけれども、国鉄側と政府のタイアップ、よく中身わかりませんけれども、もっとうまく指導していただきたいと思います。お願いします。それだけです。
  354. 亀山哲三君(亀山哲三)

    亀山哲三君 「私権ノ享有ハ出生ニ始マル」というふうに民法第一条になっていると思いますね。ところで先ほど近代的法治国家ということばが出ておったんですけれども、私権の享有は出生に始まって権利として民法上確定しておりますが、近代的法治国家として労働関係についてはまだ定まっていないというふうに思うんです、基本的な権利が。そこいらが非常に大きな私は基礎的な問題ではないだろうかというふうに思います。  それから国鉄近代化合理化の問題でありますが、この安全、正確のための条件を整備するということが、これは政策の面で特に重要な部分ではないだろうかというふうに考えます。その条件整備、そういった条件を整備してやって、そうしてあと求めるものを求めるという形が、これは順序でなかろうかというふうに思うのでございます。  それから、いままで政府の対応について、昭和三十九年度以降赤字に転じて以来悪化の傾向を急速にたどってきた、その種のいきさつは、この運輸省鉄道監督局の、きょうの会議の招集にかかわる関係資料の中にあるわけです。ここいらで私、政治あるいは行政の衝に当たる方々の責任が私はあると思うのです。目先のことを処理するのは政治じゃないというふうに聞いております。先々を見越していま必要な手を打つことが、いわば孫子のために必要な措置をいま打つことが政治だというふうに聞いておりますが、この三十九年の当時、いわばそのままいけば赤字増大するであろうということが当時想定できたと思うのであります。その種の意見も内部で相当あったのではないかと思います。そこで、そういう情勢をとらえて、いわば困難が国鉄におそいかかってくるであろう。困難がおそいかかることそのことが新しい時代をつくる動機にならねばならない。困難のきざし、それが新しい時代を告げる鐘だ、こういうふうなとらえ方、基本的な取り組み方、その辺に先ほど来浅薄とか言って御注意を受けているようでありますが、やはり甘さがあった。このことが一番問題でないだろうかというふうに思います。昭和三十九年というといまから九年くらい前ですかな、一九六四年、そうしますと、戦後も終わって、経企庁が経済白書を出して、国際収支が徐々によくなるような、いわば赤字赤字の国際収支が、国に力ができかかった。そういうまた一面いいきざしもあった時代であると思うのであります。その辺やっぱり甘さがあったと思います。
  355. 車塚良治君(車塚良治)

    車塚良治君 人員削減の面につきましては、これは雇用した当時不要な人員を雇用したものではないと思うのでございますから、これを縮減するには縮減する、つまり人力にかわるべきものを設備する必要があるということは当然であると思うわけでございます。その措置がとられるならば、やはり人件費節減上これは縮減することが望ましい方向であると考えます。そこで具体的に一つ、二つの例を申し上げますと、たとえば駅の構内における線路の切りかえ、転轍操作、これは誤まりますと非常な問題でございますので、このためには非常な神経を使っておるわけでございますが、こういうようなものを機械化して自動化するというようなことで誤まりない転轍操作ができるというような点ができれば、その方面の従業員のエネルギーの消費も少なくなり、人員の縮減も可能である。また踏切等は、これは国鉄だけの問題じゃございませんけれども、これは立体交差にするということによって、踏切を通過する際に強度に要求される運転士の注意力というものが相当緩和される等々の面を考えましたならば、そういう施策を講ずることによって人員の縮減をはかっていくことは望ましいことであるというように考えます。  それから、国の財政援助の問題もございますけれども、国鉄合理化がおくれているということにつきましては、いまの花形産業の企業合理化に比較いたしますと、まだ国鉄には蒸気機関車の区間もあり、あるいはディーゼル機関車しか運転できない区間もあるというような点、非常に立ちおくれております。こういうことについては思い切った先行投資をすべきであったのだと思うのでございまして、合理化をはかるためにはやはりそのような投資が当然必要でございます。その投資をどのようにしてまかなうかということは、やはり国鉄の努力も必要でございますけれども、政府の思い切ったこれに対する投資が必要であるというように考えるものでございます。  以上でございます。
  356. 内館晟君(内館晟)

    ○内館晟君 私はいまの国鉄に働いている人たちの人員削減が具体的に地元住民の利用に大きなサービス低下となってあらわれているということを先ほども指摘したわけでございますけれども、そういう意味で現在進めている人員削減には反対であります。必ず住民のサービス低下に結びつくからであります。ここに仙台鉄道管理局内の要覧図というものがありまして、これは国鉄からもらってきたわけでありますが、これを見ますと、仙山線という仙台と山形を結んでいる線がありますが、普通駅が二年前は九つあった。これは普通駅といいますか、一般駅といいますか、貨物も客車も扱うという駅なんですけれども、これがいま三つになっている。六つ減らされているということであります。そこの減らされた状況はどうか、減らされて機械化によってできているかというと、そういうことにはなっていないわけです。たとえば、駅の待合室みたいなところがありますけれども、雪が降ったってストーブをだれも入れてくれないというような状況もありますし、それから便所はいつ掃除するかわからないというようなことで、利用できないような状況になっているわけです。しかもだれも連絡員がいませんから、汽車が来るのか来ないのかもわからないというような状況になっておりまして、これは著しいサービス低下であります。さらに、貨物の荷扱い駅も、一般駅では扱えたわけでございますけれども、たとえば仙台近郊で非常に有名な温泉場であります作並駅が貨物の取り扱いができなくなりまして、そこから二つ離れた陸前白沢という駅があるんですが、宮城町というところはそこだけが貨物の取り扱い駅になっていて、何里も運ばなければいけないというような状況になっているわけです。国鉄国民のため、地域住民の福祉を向上させる一つの重要な機関だろうと思うのですが、これがますますサービスを低下させながら合理化計画を進めていくということは、これは国民のための国鉄になっていないんではないかというふうに私は考えるわけでございます。そういう点で近代化を進めるのもけっこうでございますけれども、こういうサービスをますます低下させながら近代化をするということはまことに片手落ちではないか。特に私たちいなかに住んでおりますから、そういうところがますます圧迫されてくるということについては反対であります。  それから、公営企業赤字でありますけれども、いま国鉄に新しい路線を敷く、それから線路の改良工事をするというようなことも、全部とにかく自分でやれというたえまえになっているわけでございますね。そして国としてはいろいろやってみても赤字になったからしようがない、そこで何とかめんどうを見てやろうかというような、そういう関係になっている。それは国鉄の国の中に占める位置からしまして、非常にやり方がまずいというふうに私は考えておるわけです。いま道路を敷くといいましても、全部国で金を出すわけですし、どこも金を出すということがないわけですが、そういう道路と同じような位置を国鉄は持っているんじゃないかというふうに私は思うわけでございますよ。ですから新しい路線を敷く、改良工事をやるという費用国鉄に負わせるのではなくて、あらかじめそれを国で用意すべきであるというふうに思うわけです。それからフレートライナーを国の施策としてどうしても貨物輸送のためにやらなければならないとか、それからコンテナ輸送をふやさないと、どうも列島改造がやりきれぬとかいうような問題についても、これは国の施策としていやが上にも国鉄がやらなきやならぬように押し込められてくるわけですね。そういう点の投資の問題について国できちっとめんどうを見たあとで、おれはここまで責任を持つからおまえはここまで責任を持てよというふうにきちっとするのであれば、これは話はまた別になってくるし、国鉄当局の責任も明確になってくる。そこが不明確なままに、いま公営企業の独算制という形でやられていることに対して私は反対するわけです。
  357. 首藤英二君(首藤英二)

    首藤英二君 端的に申し上げますと、近代化合理化というのは、私は部外者でございますが、今度の闘争や何かでも合理化反対という名前がついております。これはことばどおり合理化には反対するんだということでございます。ところが、これは常識的に考えまして、先ほど私は鉄道は労働集約型産業だとは申し上げません。あったという、これがだんだんと近代化合理化されればそれを出していくのがあたりまえではないかと思いましたから、あったと、こう申し上げましたが、これはおそらくそういうふうにいままで考えてみて労働集約型の仕事であっても皆さんの英知によって、それが労働集約型でなくなっている企業はたくさんあるわけでございます。だから鉄道でも、そうあったと私は申し上げているわけです。ですから近代化合理化しまして、人にかわる機械を使うというのは、これはやっていかなければいけないことじゃないかと思います。それからサービス低下につながるという問題でございますけれども、サービスの問題も、これはちょっとこういう例を引いてははなはだよろしくないと思いますけれども、昔は東京のホテルあたりでも各部屋に新聞を持ってきてくれておりました。最近は新聞を持ってきてくれないで、エレべーターの前にちゃんと置いて代金箱がついている。そういうふうにサービスの考え方も変わってきているのじゃないかという点があるわけです。だから、必ずしも人員整理、合理化近代化がサービス低下につながらない面でいろいろとあると思います。サービスに対するわれわれの要求のしかたについてもここらで反省してみなければならない面もあるのではないかと思います。  それからもう一つ、三十九年の赤字のときにすでに対策を立てればよかったんだと、こういうことでございますが、しかし私どもいま申し上げましたような一番と二番は関連性があるわけでございまして、国鉄自体が襟を正しく近代化合理化をどんどんやっていくのだ、そして、それでも赤字になるのだということであれば、これは当然補償してあげなければならない。こういうことからお考えになって相当の金額、われわれではちょっと想像もつかない金額を政府からお出しになるということになって、これは財投で出すのか税金で出すのかよくわかりませんが、無限に金があるわけないんで、最後にはわれわれの税金にはね返ってくるという問題があるわけでございます。そういう点を考えて、さっき出されるにしても効率的に慎重に出してくださいと、こう申し上げておったわけでず。
  358. 石黒達也君(石黒達也)

    石黒達也君 簡単に申し上げます。私は合理化の問題は、合理化即首切りという考え方、そういう意識が経営側にあるとすれば、それは根本的に改めてもらわなきやならぬ問題だと思います。もちろん合理化というのはむだをなくするということですから当然のことなんでしょうけれども、問題は合理化即首切りをするんだという考え方が、やはり国鉄の従業員意識の中にあるから紛争がいろいろな意味で拡大しているのじゃないかと思います。したがって私どもが見た場合に、人員の適正配置といいますか、そういうものに欠けている面がかなりあるのじゃないか。端的な例としまして、たとえばお盆とか暮れとかに切符を買うにもなかなかたいへんで、上野駅にかなり出札口が数少ないためにテントを張って何日も待たなきゃならぬという事例が毎年毎年繰り返されているわけですね。これは窓口をもっとふやすとか、それに携わる人をふやすとか、そういろ意味で何か人員の配置というものが片寄った姿でやられているから、そういう結果を生んでいるんじゃないかというような気がします。したがって人員合理化問題につきましては、適正配置というような問題についてもっとメスを加えていかなければならぬ問題ではないかと、こういうふうに思います。  それから、財政悪化の問題ですが、いま先生もおっしゃったように、いろいろの問題があるということを言われたわけでありますけれども、やはり外部的な諸要因に対して、あんまり政府が施策を放棄しておった、こういうのが根本的問題ではないだろうかというふうに私は思います。
  359. 斉藤(正)委員(斉藤正男)

    斉藤(正)委員 ありがとうございました。
  360. 細田座長(細田吉藏)

  361. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 社会党の太田一夫ですが、四人の方にこまかい具体的な問題をお尋ねをします。簡単でいいですからお答えください。  最初主婦の遠藤さんにお尋ねしますが、国家の助成というのを税金による負担だと、こういうふうに規定づけて、あまり好ましいことではないと最初のときにおっしゃいましたが、一般の主婦の方は、自分の子供さんたちが学校に通う、あるいはどこかに就職した娘、あるいはむすこが工場へ通うときの定期券が、月に五百円なり千円と上がってきたというときに、それはもう君たちが出すのだ、あるいは親が出してあげようと、こういうのが一番正しいとお考えでしょうか。それともやっぱり国鉄というのは公共性があるんだから学校へ通うのは通学費に対する助成という意味でいままで割引があったんだから、もしそんなに上げるならば国のほうでめんどうを見たほうがほんとうだと、こうお考えになるのでしょうか、この点を定期券の値上げについてお答えをいただきたいと思います。  それから、次には亀山さん、それから内館さんのお二人は大体私と御意見が一緒でございますから省略さしていただきまして、宮城農業協同組合中央会常務理事の車塚さん、それから仙台商工会議所専務理事の首藤さん、お二人に同じ問題をお答えを願いたいんですが、それは地方公共団体の国鉄に対する助成の問題です。それは先ほどからそれぞれの立場でおっしゃっておられるんでありますが、車塚さんの場合、あなたの場合は今後新幹線ができることは歓迎する、しかし在来線も増発しなさいということをおっしゃいましたし、国鉄の経営の合理化と申しますか、社会公共性ということについて相当強く御主張なさっていらっしゃいますのでお尋ねするわけですが、新幹線になりますと旅客はほとんど新幹線へ行きますし、在来線というのは東北本線といえども貨物が中心になります。そういうときに、在来線の旅客も列車も増発をしてくれということになるならば、社会公共、地域開発のために地域住民福祉のために頼むということになろうと思う、そうなると、その定期券だとか旅客収入、貨物収入でまかなうだけでなくして、当該市町村並びに所在する府県、たとえば宮城県なり福島県なり仙台市なりが応分の助成をするということも考えていいのではないかという気がしてきますが、その点はいかがでございますか。  それから、首藤理事国鉄自体企業努力を非常に強調されているように思うわけです。企業努力によってやるというても株式会社でないわけでありますから、そこで公共性採算性の板ばさみになるわけです。国鉄は公共輸送機関でありまして、採算制を中心とした商行為を行なう株式会社ではないわけです。そこで、どっちみちそろばんというのはいささかほうり出したようなこともせにやならぬわけでありますから、仙台市なら仙台市、宮城県なら宮城県としても在来線増強、あるいはローカル線維持のためには応分の援助をすべきだと、こういう思想につながると思いますけれども、それはいかがでございましょうか。  それから、最後に石黒さんにお尋ねしたいことは、イコールフッティングの思想をおっしゃいましたが、競争条件の均一化ということは確かに必要だと思うんです。ここが欠除しておりますので国鉄は悩んでおるわけです。そこで、あなたのほうの専門のことですが、組合の支部長さんやっていらっしゃいますが、会社側ではどのようなことをやっていらっしゃったか存じませんので単刀直入にお尋ねいたしますが、国鉄に供与する電力料金、この値段というものはどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。あなたのほうももうけにゃならぬでありましょうし、国鉄公共性もありましょう。あまり電力料金が高かったら、ますます電化する時代において国鉄経営が成り立ちません。そこでコストという問題がありますね。売り値をどこまで下げるか。いまどういうようなものさしと申しますか、考え方によってお売りいただいておるでありましょうか、もし御存じでしたら御発表していただきたい。以上であります。
  362. 細田座長(細田吉藏)

    細田座長 じゃ、遠藤さんから順々に願います。
  363. 遠藤不二君(遠藤不二)

    遠藤不二君 国鉄赤字の上に税金負担と、それから教育のあり方の助成の問題の負担ということで、政府から出た場合のありがたみはどうかというようなお話しでございましたけれども、国鉄に対する助成の問題と、それから赤字を税金で補てんするということと、それから教育の問題と一緒にするほうがおかしいんでございまして、教育法というのには義務教育もございますし、義務教育は国家が必ず学校へ入れということで、大なる者も小なる者も一緒になって教育を受けさせるための助成、全面負担でございますので、中学校がそれまでですし、高校になれば、入った学校をよくしようということで、PTAなどが盛り上げていくために心ある方の篤志寄付もお出しいただきまして、学校の発展のために、内部充実のためにやっておるものでございますので、そういう方面への助成でしたならば、これはやはりいただいたほうが主婦としてはありがたいものでございます。また国鉄さんの公益利益のために受益者負担をして合理化をはかるというように、先ほど申し上げたように高校が高校の発展のためにPTAが協力すると同じような問題だと私は思います。先ほど先生がおっしゃいました税金の負担を、国家の税金で負担するのはこうだとおっしゃいましたけれども、トップにお話しさせていただきましたけれども、国鉄赤字を税金で負担するということは均衡を欠くと私は心得ているのでございます。やはり一番多く利用価値を求めて使うお客さまがその受益を負担して赤字を補てんしていくというのが、これはほんとう公共性に応じた国民の行き方、あり方じゃないかと思うから、むしろそうやって赤字を補てんすべきであって、政府が税金で国鉄赤字を補てんするということは国民に対しても申しわけないし、それから国民全体の問題ではないので、やはり一番多く利用する人がみんなで力を合わせてするのが至当ではないかという解釈の点から申し上げているのでありまして、少しでも助成を出していただくほうが家庭を持つ主婦としては何でもありがたいこと。したがいまして、物価値上げ反対であるし、国鉄値上がり反対したいのでございますけれども、しかしそこにはそこの世の中のあり方がありますので、何もかも反対と言ってもいけませんし、いまの田中総理大臣が、このような状態であるけれども断じて物価を上げないということでやっていただくならば、もうあしたから手を合わせて拝んでいきたいくらいのもんでございますけれども、そういうもので物価というものは守れないと思いますので、ある程度良識判断をいたして、良識判断のもとにやっぱり反対すべきものは反対し、出すものは出す。やはり義務を果たして権利を守るということが平和尊重の一番のあれだと思います。ですからいま先生が私に御質問なさいましたけれども、国鉄労組の皆さんにも、御家族があり、主婦もおられると思います。したがいまして、国鉄赤字補てんをもし政府にやらせたいという、労組の中で終始一貫した思想が、考え方があるとするならば、それは国鉄の組合員が労組の組合員の主婦の立場で団結なされて、こういう点は高くなって困るから、もし高くするんだったら困るとか、せめて学校の通学費の中を補てんしてくれるかというふうな、そういうふうな異なった意見ストをやられる、闘争をやられるということが順法闘争の有意義なあり方だと思うのでございます。それでそういうことの考え方をなくして、ただいたずらに暴力をふるうような、社会に迷惑をかけるようなことを続けていけば、もうよしあしを別にして国民全体の問題として怒りを生ずる。それが夕べからけさにかけて起こったことでございます。その結果出てくるものが何億となれば、もはや何をかいわんやで、国鉄赤字値上がりを云々する何ものもないんじゃないかと言いたいのでございます。以上でございます。
  364. 太田委員(太田一夫)

    太田委員 遠藤さん、私の言いましたのは、さてそこであなたのむすこさんやお嬢さんが通学定期が、したがいまして大幅値上げになりますよというときに、いいことだなとおっしゃいますかというお尋ねでございます。
  365. 遠藤不二君(遠藤不二)

    遠藤不二君 だから、いま申し上げましたけれども、上がるということは何でもかんでもいいわけではない。しかし何でもかんでもいただけないといえば、世の中の秩序も何ももてなくなる、バランスもとれなくなるということを、やっぱり総体的に考えるべきだという意味において、中の内容を考えてから反対したり賛成したりしたいと考えております。ものに応じて解釈をしてからしたいと思っております。
  366. 細田座長(細田吉藏)

    細田座長 次に、車塚さんから……。
  367. 車塚良治君(車塚良治)

    車塚良治君 新幹線が開通した後に、在来線の運行を増発してもらいたいということについての御質問でございますが、新幹線を利用する人は新幹線を利用したほうが便利であり有利であるから利用するのでございまして、その人たちは新幹線に乗ることを何ら苦痛とは考えておらないわけでございます。ただ在来線の問題でございますが、これは新幹線が開通することによって在来線のダイヤは相当緩和されるということになりますと、貨物輸送力ももっと強化されると期待が持てます。それから通勤通学等につきましては比較的近距離でございますから、こういうものの混雑を緩和するために、もっと緩和されたダイヤの中でその列車を増発するという等の手段は講じられてしかるべきだと思うのでございます。ただその場合に、在来線が運営上赤字になるんではないかと、そのために地方公共団体からそれを援助すべきであるというような前提でおっしゃっておられるようでありますけれども、私は今回の運賃法改正はやむを得ないものであると認めた前提の上に立って申し上げておりますので、したがってこのことによって在来線が赤字に転化するのだという予測は立てておらないのでございます。しかし、もしもそれが赤字になったからといって地方公共団体が援助するのがいいかどうかはまた問題があろうかと思います。それは公共団体が公共団体の収入によって、その国鉄利用者に対して助成金を出すという、こうした迂回した事務手続が必要になってくるのでありますが、そういうことは全体的に見ればそれだけの事務量が国全体としては増大するということでございますから、そういう事務量というものを節減するために、それは地方公共団体の助成というような、そういう迂回した措置をとらないで、それが直接国鉄利用者負担するなり、あるいは国のほうである程度めんどうを見る考えがあるようでございますから、そういう方向で解決したほうが国全体としての能率向上につながるのではないかと、こういう考えを持っておるのでございます。以上でございます。
  368. 首藤英二君(首藤英二)

    首藤英二君 地方公共団体が、赤字が出た場合に助成をするのがいいか悪いかということと、これは私ども先ほど申し上げましたように、この運賃改正と、それから再建法によりますれば、十年間に国鉄再建できるんだということで議論しているわけでありますから、それが根本的にくつがえって赤字が出ると、それでは仙台市が幾ら負担するか、宮城県が幾ら負担するかということについては、いま私は考えておりません。また、そういうことがあるのではこの改正は意味がないと思います。
  369. 石黒達也君(石黒達也)

    石黒達也君 競争条件の整備に関する問題でございましたが、私の考えておりますのは、新輸送機関といいますか、自動車等の機関でありますが、これとの間に競争条件のアンバランスがかなりあるのではないだろうかなあというふうに思います。たとえば、これは聞いた話でありますが、鉄道の場合ですと路盤等の補修に全額負担しているのに対して、自動車道路負担率はおよそ七〇%程度だという話を聞いておりますし、その中で特に道路の破壊が大きいトラック、バス等が政策的に非常に少ない負担になっておると、こういうことでありますし、また空港整備に対する航空機の負担は、着陸数量などの関係できわめて一部を負担しているにすぎない、こういうこともまた聞いているわけであります。したがってこういう負担率のアンバランスというものを、当然これは解消していかなきゃならない問題ではないかと思っております。  さらにそれに関連しまして電力料金の問題でございますが、きょうは資料を持ってきておりませんから詳しくは存じませんけれども、確かに電力料金そのものも、たとえば大手企業だとか、そういうものに対するところの負担率といいますか、いわゆる割引の面についてはかなりのアンバランスがあると、こういうことでございます。やはり料金の適正化、こういうものについては私どものサイドで経営側に対して協議を通じて改善をはかる、こういうことでございます。
  370. 細田座長(細田吉藏)

  371. 紺野委員(紺野与次郎)

    ○紺野委員 皆さんが貴重な御意見をお述べいただいたことを念頭に入れ、かついままでにまだ十分に触れられていなかったこともあわせて、ひとつ最初に皆さんにお聞きしたいことは、今度の財政再建案というものがほんとう財政再建になっているというふうに判断できるかどうかということについて、次の点を述べまして御意見を賜わりたいと思います。それは赤字がたいへんだからこれをなくすために再建案をやるんだというふうに一つは言われているわけですけれども、この赤字が、いままで皆さん討論されたところを見ますと、第一番は、赤字の原因は運賃体系からきております。運賃体系の中で旅客黒字なんですけれども貨物赤字、しかもその貨物赤字の原因は、主として原価を割って輸送している、特に大きな大企業貨物輸送に非常に大きな原因があるという点ですね。貨物赤字があって、その原因は、原価を割って輸送していること、しかも割引制度とか、いろんな優遇を与えていること、大企業ほどそれで優遇されていること、こういう欠陥からきております。その次には、政府が金を出さなかったこと、これは皆さんみなひとしく言っているところで、じゃ結局何でしたかというと、借金と運賃の値上げであります。国民に対する運賃の値上げをそのたびごとに要請するということと、あとは借金です。そのために借金が非常に累増いたしまして、四十八年度の累積残高長期債務は、四兆四千億ですよ。そして赤字の累積は一兆二千億です。そうして赤字と言われているのは二千億円ですけれども、これは内館さんもさっき言われたように、この利子負担だけ二千三百億です。赤字の単年度の、ことしの赤字より多い利子負担、二千三百億をやるというふうに、借金によるところの利子支払い、これが大出血であります。国鉄にはガンが発生していて、それが借金経営と、そこから出血が行なわれているという不治の病のような状態になっているわけであります。   〔座長退席、江藤座長代理着席〕  それからもう一つおかしなことは償却費でありまして、償却制度がこれまた二千二百億償却しておりますけれども、この半分は工事費に回されていくところの過大見積もりによる償却といわれまして、実際はやり過ぎですね。国民の目には償却になっておりますけれども、半分はほとんど他の修繕や改良費に回っていくようなもので、ほんとうの減価償却とはいえないといわれている性格のものであります。こういうふうな独特の国鉄体質からしてできているのであって、赤字というもののほんとう解決は、実はいま言いましたようなところにあって、政府がいまこそほんとう国鉄に金を出すということに大方針をきめていかない限り、これは拡大再生産されまして十年後にどうなるかといいますと、長期債務は十一兆円になります。十兆九千八百十九億、十一兆円に長期債務がふえます。そうして一年間の利子の支払いは何と六千億です。十年間の利子の支払いは四兆五千億円の利払いをすることになりまして、そうして累積赤字はさらに十年間に一兆四千億ふえますから、合わせて二兆六千億の累積赤字がなります。でありますから、この間に四回の運賃値上げをやって八兆円を国民から出していただきたい、こういうふうになっているのが今度の再建案であります。八兆円を四回にわたって国民のほうから運賃を出してもらおう。そうしてこの赤字を何とか補てんしていきたいという形になっているのでございまして、それで解決するかというと借金はもっと大きくなり、累積赤字が大きくなる。これで一体財政再建といえるのかどうか。もっとひどいことに苦しまなくていけないようになるようにちゃんとなってるじゃないか。これはたてまえを変えて、政府が利子のつかない金で国鉄というものは建設をしなくてはならないというふうにやらなくちゃいけないんではないかという点で、今度の再建案はほんとう再建というものの名に値するか。それとも依然としてガンは取り除かれず継続して出血が続くということが明らかである以上、これは再建案としては落第であるというようにわれわれ考えるわけですけれども、これについての御意見を皆さん方ぜひ聞かしていただきたいと思います。簡単に全員の方から。   〔江藤座長代理退席、座長着席〕
  372. 細田座長(細田吉藏)

    細田座長 遠藤さんから順に……。
  373. 遠藤不二君(遠藤不二)

    遠藤不二君 赤字財政に関しての再建がございましたけれども、このことにつきましては、一家の中ででも、赤字が出た場合、なるだけ赤字を出さないように持っていくのが家計の持ち方なんでございますけれども、子供の成長にからみましていろいろな世の中のおつき合いの幅も広くなります。世の中も五年、十年と変わってきますといろいろな変動がございまして、一定のワク内でとめようと思いましてもそれがとめられなくなったり、どこで歯どめをしたらいいかわからなくなったりしてついつい赤字が出てしまうというのがあれでございます。そういうふうなときに立って、それをだれが一体埋めようかとしましたときに、主婦的に家庭にちなんで見ますと、やはり収入源を有する一家の長にまかせるのではなくして、大きくなったら大きくなった子供たちが親のそばにいるうちにみんなが協力をして、そしてその一家の経済を埋めていかなきゃいけないんだという協力体制が必要でございます。そういう意味から、やはり国鉄赤字というものは国鉄自体解決していただきたいなという問題が一番大きいだろうと思いますけれども、そこに立って政府助成がありました場合には、これはやはり国鉄でございますから、政府もその上に立って出す責任もあるんでございましょうし、なるべくいただくように声をあげて叫ぶこともしかりでございましょう。足らなければ足らないと言うこともしかりでございましょう。その上に立って、政府は指導的立場に立って国鉄を監視し、また助け、また国鉄側は受けるものを受け、足らないところは叫んでとり、そしてそれを企業対策の中に持ち込んでいって、そうして出てきた赤字を、どのようにやってきたということをやはり政府にばかり言われるのでなくて、政府も見なければいけないけれども、国鉄の幹部の方々がそれにタイアップしていくべきであり、その上の合理化をはかるための協力体制の労組がありますから、やはり労組さんあたりの意見なども尊重しながら、労組に対する労務対策なども考えながらやっていただくのがほんとうだと思います。そういう点でございまして、こういうことしか主婦の立場から、私といたしましては申し上げられません。よろしくお願いいたします。
  374. 亀山哲三君(亀山哲三)

    亀山哲三君 先ほど再建案は、これは三方一両損だという御意見がありました。うまいこと言ったもんだなあと思ったんでありますけれども、この三方一両損、これは落とし話、その場の笑い話であって、今後とも国の機関であるべき国鉄再建案かどうかということになっていないと思います。先ほど来申し上げておりますように、こんな不確かなことでは赤字増大のサイクルのほうを明らかに走ると私は考えるわけです。先を読むことが政治の責任だ、そういうことで先ほど申し上げたわけでありますが、もう一つ、この政治の責任、政治のあり方という点であるのではないだろうか、赤字克服、再建方策も含めてもう一つあると思います。それは政治というのは視野が広くなければならないということだろうと思うのであります。先ほど来申し上げております日本の最近の力、経済的な力、たいへんなものだ。諸外国が好意を持っておった国も最近おそれるほどの力だというふうに言われております。十年後の世界の貿易高の一五%近く日本が占めるんではないだろうか。かつて五つの大陸を支配していたイギリスが引っ込んでしまう、アメリカも沈む、こういうふうなことを未来学者の人方が言っております。そういったことで、日本へのおそれを抱いている。それほどの経済的実力を持っている、こう言われます。私は豊富な、このたまった黒字をそういう中で、ほんとうに民衆の、国民の生活をよくするというところへ、漫画のような飛行機を用意するのではなくて、戦闘機を用意するのではなくて、向けるということが、諸外国との関連、視野の広さ、あるいは先を見る中で政治のなすべきつとめではないだろうか、こう思うのであります。
  375. 車塚良治君(車塚良治)

    車塚良治君 この国鉄再建案について、私はこの内容というものを、とてもこの再建案を立てた人ほどにはわからないわけでございます。しかし、これが現在の経済情勢、諸制度の中において十分検討されて可能であるという計画の上に出されたものであると思いますので、一応これを信頼するよりほかに方法はないかと思います。しかし十カ年間という歳月は相当変転の激しい時代でございまして、今後十年間にGNPが二百五十兆円になるのか三百兆円になるのかという、そういう予測もなかなか正確には当たらないわけでございますし、国民所得も今後十年間に倍になるのかどうかというようなことも正確には予測できないと思います。ただこの国鉄再建案の中で今後四回にわたっての値上げというものも予定されておりますけれども、これが国民所得がもしもこの十年間に倍になるという予測のもとに立てられたとすれば、その間における負担能力の限界というものを考えますと、これは決して無理な計画の立て方ではないのではないかというように一応考えるわけでございます。したがって、今後の経済情勢の変化によって、この計画どおりきちんと成功できるものだとは考えませんけれども、一応いまの段階においてはこれを信頼して対処していただくよりほかに方法はないのではないかというように理解しております。
  376. 内館晟君(内館晟)

    ○内館晟君 私は、今回の再建案は再建ならないというふうに思います。と言いますのは、三年前にやはり十カ年計画を立てておるわけです。今度の提案の中でも、前にも立てたんだけれどもうまくいかなかったことを反省してまた新十カ年計画を立てると言ったわけですね。しかも、この提案の内容を見てみますと、先ほど私の意見のところでも申し上げましたけれども、ほとんどこの国民負担が圧倒的であって、三方一両損という話、一番最初に私が出したんですけれども、そういうふうになってないわけですね。ほとんど国民負担だというようなことになっておるわけです。そしてまた十カ年間になりますと、また運賃値上げが必ず出てくる。しかも、この十年間のうちに四回値上げするという案ですけれども、前の十カ年計画を立てた際に、十カ年ということですから計画をかなりきちんと立てられたと思うんですけれども、それが三年間のうちに破綻するように、やはり今後投資はどんどん進むと思うのですよ。国鉄の投資はどんどんやると思うのです。しかし、その収益がいまのやり方で十分まかなえるかといいますと、これはますます支出のほうが多くなりましてまかなえないという形になりまして、それでまた十年春たたないうちにもつと大幅な値上げを私たちに押しつけてくるんじゃないかというふうに私は考えるわけです。ですからうまくやれるはずがないし、いまのやり方でやりますと、必ず私たちの負担増にはね返ってくる。いまの再建案の根本がいままでのやり方の踏襲でありますから、結局運賃値上げによって大体まかなっていくんだという形の踏襲でありまして、そういうことをやる限り、必ずまたいままでの二の舞いを踏むであろうというふうに私は感じております。
  377. 首藤英二君(首藤英二)

    首藤英二君 紺野先生からの御質問なんですが、私は鉄道の専門家でもございませんし、いま先生がお示しになった数字はわれわれの知らない数字でございます。でありますから、私は衆議院の事務局からお届けいただきました資料によって、あるいは国鉄からちょうだいした資料によって、それを考えて御答弁申し上げたんです。先生のような資料がほかにあるなら、お示しをいただかなければお答えをするわけにはいかないわけです。まだ研究もいたしておりませんから、どうこうというお答えは申し上げられない。さっき車塚さんがおっしゃったように、十年先のことだから多少動くかもしれないと、これは私も思います。しかし一応こういう案が正式に出た以上は、その案をもとにしてわれわれはお答えするのが当然のことだろうと思いますので、ちょっと先生の御質問にはお答えがしにくいんでございます。この点はひとつ御了承いただきたいと思います。
  378. 石黒達也君(石黒達也)

    石黒達也君 過日のテレビ討論会で、最終的な発言の際に、与党の方が今回の資料というのは、あらゆることをコンピューターにかけて出てきたもので、しかも各党からそれぞれ意見を聞いたものである。ただし、そのときには出席されておった共産党の方が、私のほうではそれには入っておらぬからと、こういうようなことで、あとは何か口論みたいで変な幕切れになったというぐあいに私は記憶をしております。しかしいままでの意見の中に出ましたように、確かに前の財政再建策というものは、すでに初年度から破綻を来たした、こういう経過があるわけでございます。したがって今回もそういった過去の例から見て、かなりこれは不安があるのではないか、もちろんいろんなコンピューターに入れて得たものであるからまさに自信をもって定かなものであると、こういうことを言われても、なかなかわれわれ国民側からすれば非常に不安だ、結論とすれば、巨額の負債を負いながら再建をはかろうとする場合には、やはり抜本的な経営対策とあわせて、個々の問題点の解決に積極的に取り組むということが再建の道に通じていくものではないんだろうか、こういうことで、あとは、細部について意見を述べた内容のとおりでございます。
  379. 紺野委員(紺野与次郎)

    ○紺野委員 それで、今度はこれから何をするのか、十年間に。その十年の新しい工事計画というのが出ているわけですけれども、それは結局新幹線中心主義でありまして四兆八千億、それから幹線増強に三兆五千億、通勤に七千億、安全その他に一兆五千億で、十兆五千億です。ですから、やっぱり新幹線が目玉になるわけですけれども、それで二点について何人かの方にぜひ聞かしていただきたいのは、一つは新幹線が非常にブームを呼んだといわれておりますけれども、仙台にも通じてきまして、いままでのところこの新幹線の案が出たために土地買い占めや、あるいは土地の値上がり、いうふうなことは県内でどんなぐあいに出ているのか、こういうことについてひとつ内館さんに聞いてみたいと思います。
  380. 内館晟君(内館晟)

    ○内館晟君 私も公表された数字でしかお答えできないんですけれども、昨年一年間で仙台市の土地の騰貴状況は三五%といわれておるわけです。これはいままでにない土地の値上がりであります。なぜそういうふうに上がったかというと、やはり東北新幹線の問題と東北自動車縦貫道の計画が明らかになり、そのまわりの土地が買い占められるというような状況の中からこういう数値が出てきていると思うんですけれども、私たちのほうでも、組合の人たちがうちを持とうと思いましても、先ほども述べましたようになかなか土地が安く買えない。いままでちょっと仙台の近郊に行きますと三万ぐらいで買えた土地も、五万以上しないと買えないというふうな状況がこの一年間でつくり出されているわけでございますね。そういう点で非常に大幅な土地の値上がりになっているんじゃないかというふうに私は思っております。大手の会社はそれを見越して山や原野を高くといいますか、農家から安く買いましてそれで宅地を造成して、大体千円で買ったものを四万円ぐらいで売るというような実態でありますから、非常にやはりこの間利益を上げておるというような状況でありまして、これが環境破壊の問題ということとの関連で相当大きな問題になっているということであります。そういう点で先ほどもちょっと申し上げましたけれども、新幹線もこれはいいわけでございますけれども、そういう点の総合的な配慮なくして、ただ来ればいいんだというような考え方は、住民の利益の立場からしますと問題があるというふうにお話ししましたけれども、そういう実態になっておるわけです。
  381. 紺野委員(紺野与次郎)

    ○紺野委員 それからもう一点だけ。それはつまりそういう新幹線を主にして、十兆五千億のうち四兆八千億やるわけですが、新幹線のあとの在来線、それを貨物の列車、貨物線にいたしまして、そして高速度の貨物列車をどんどんつくって進める。ですからお客さんのほうは新幹線に乗ってください、非常に高いものに乗ってください、あとは大体貨物が通過するんですというダイヤ中心に変わるわけですね。そういうことで、小さなじゃまになる中間駅が、先ほどのお話しにも仙台の管理局の中で七十二の駅が廃止されるとか整理されるとか、七十三の貨物駅が整理されるとか、こういうふうな案が出ているようであります。でありますから、つまりこのことですね。一方で新幹線のほかにこのように在来線が貨物線が主になって、そしてそのしわ寄せが農民の方や地元産業や、土地の方々に対してかえって大きな迷惑になるのではないか。この点について、たとえば次のような点から見て御意見を二、三の方からお願いしたいと思います。  それは、まず今度の運賃改正によりまして、手荷物のほうは六一・一%の値上がりになるんです。これはずっと多いんです。それから小荷物は六六・七%の値上げであります。小口扱いの貨物のほうはやめまして、そして小荷物に振りかえます。そのために三一%の値上がりになります。こういうふうなことがありまして、結局大きなコンテナに乗せて中間駅を飛ばして、大きい駅をすっ飛んでいく急行列車ができるわけで、もしこういうふうになった場合、農協の方の立場から見て、——ですから車塚さんですね。こういう状態で農協や農民の方々にとってこれはどういうことになるのか、たいへん不便な列車になるんではないかというふうな点でどうでしょうか。  それから、生活協同組合の亀山さんと内館さんの立場などから見てどうか、地元産業や、そういう地域の方々が見て、そういうことはどういうことなんだろうか、御意見ひとつ聞かしていただきたいと思います。
  382. 車塚良治君(車塚良治)

    車塚良治君 私たちは農民でございますけれども、実際は農民団体としての荷主側に立つわけでございます。したがって新幹線が開通することによって、在来線の貨物輸送がもっと従来よりも円滑に強化されるということは望ましい姿であると考えます。ただ、その中間駅をますます集約化していくという方向については問題がございます。これをあまりに集約するということになりますと、私たちの横持ち運賃というものが非常に増大いたしますので、結果的にそれはすべて最終的に消費者の負担増、あるいは生産者の負担増ということになるわけでございますから、その点についてはそのような悪影響の出ないような配慮はぜひやっていただきたいというように考えるわけでございます。新幹線の開通によって在来線の貨物輸送が強化されると、そのことに期待を持っておるものでございますから、そのよい面を十分生かすような配慮をしていただきたいということでございます。
  383. 亀山哲三君(亀山哲三)

    亀山哲三君 運賃体系の中で、現在の大企業の使う原材料、鉄鋼、機械、車両、生鮮品、米、麦等の運賃の格差があること、そしてまたその格差を今後とも継続していくというふうな改正については、全くこれは不合理だと思っております。今回の改定で、特に遠隔地、北海道の干ものなんというのが福島県の農村部を含めて非常に需要の高いものでありますが、ここいらのはねっ返りまず一番大きいなと、こんなふうに心配をしておるわけであります。それから、さらに私、冒頭に申し上げたのでありますが、一般企業がもうかりゃいいんだというふうなことで倫理観が欠除しておるという中で、この運賃改定がいろいろな商品面に、これは運輸省やいまの段階の国会論議以上に私ははねっ返りが出てくるのではないか、運賃改定に口をかりた値上げというのは、倫理観の薄い中で非常に高いものが出てくるのではないかということを心配いたしております。  それから地方の都市、貨物駅やなんかの問題でありますが、そこが私は国鉄でまた果たさなければならない任務だと、公共性——公共の独算制と、こうなっておるわけでありますが、公共のものだと言うあたり、積雪寒冷地で、あるいはまた台風のコースで、さっき申し上げましたが、これはどうしても国鉄さんが今後とも担当していただかなければならない面だというふうに考えます。したがって単にその分だけではなくて、さっき申し上げました、いわば点を定めて定点間輸送といいますか、こういう点でひとつ深い御検討を今後ともお願いをしたいと思うのであります。
  384. 内館晟君(内館晟)

    ○内館晟君 貨物駅の、何といいますか、間引きといいますか、それはこの資料見て話したんですけれども、たとえば大崎地方の米の輸送基地であります西古川というところがありまして、これもやはりこの二年間のうちに貨物扱いをやめてしまったわけですね。そうしますと農協といいますか、そういうところの団体は結局自分で車で陸前古川まで運ばなきゃいけぬというようなことがありまして、それが肥料の運搬だけで年間三百万ぐらいの支出増になっているという報告が、これ以前の数字ですから、あるわけです。さらにこういう形でずっと統合されてまいりますと、米の集荷その他も全部自分で中央の駅まで、農協やなんかのを使ってですけれども、車で配送する、いままで地元の駅に着けてたのが全部それがやれなくなるというような状況になりますと、これは膨大な金額に宮城県では米の集荷だけとってみてもなるんじゃないかというふうに思うわけです。たとえば、仙台ではタマネギとかジャガイモとかいいますのは北海道から引いているわけでございますけれども、大体十五トン貨車で宮城野のところに直送されるわけでございますね。それが今度ちょっと試算してみますと、一つの貨車あたり一万一千円上がります。そうしますと、これはタマネギとジャガイモ合わせまして年間七百万円近くの運賃値上げだけでの支出増になってくるというような形になってまいりまして、これも消費者の価格にそのままおっかぶさられるとしますと、このことだけで〇・七%というような率になってくるわけです。それがまた卸段階、小売り段階ではね返してきまずから、これはそんな小さい額にならないわけですね。これが二品目でそれくらいのところですから、ピーマンとかなんかは全部高知から引いてくるわけでございますね。全部といいますか、個々の数字で言いますと大体六割ぐらい高知のピーマン使っているわけですよ。わざわざ高知から運んできてやらなきやならなくなっているわけです。これは集団栽培が非常に産地栽培を生んでおりまして、農業が集約化されている結果なんですけれども、地場産業がだんだんだめになりまして、そういうところから引いてこざるを得なくなってきているんですけれども、それなんか合わせますと、これは膨大な金額になる。これはまだ試算してないんですけれども、相当の金額になるだろうというふうに思うわけです。これは全部やっぱり消費者価格におっかぶさってくるだろうというふうに思うわけです。そういう点で今回の中間駅をなくするというようなこと、あるいは運賃値上げで食料品に与える影響といいますのは決して無視できない数字になるというふうに私は思います。
  385. 細田座長(細田吉藏)

  386. 石田(幸)委員(石田幸四郎)

    ○石田(幸)委員 私はこの十年間の再建計画につきまして、その負担比率利用者が八、政府助成が五、国鉄企業努力が五というふうに、八・八・五というようなそういう負担率になっているわけでありますけれども、物価政策の立場からいたしますれば、十年間に四回もの値上げをするというのは、物価高騰を誘発する可能性も非常に濃厚であるし、非常な高負担と思う、こういう立場に立つものでございます。そこで国鉄再建計画それ自体は、国鉄国民の財産でありますので、また将来の輸送手段の軸になっておることは言うまでもないので、どうしても再建をしなければならない。しかし、この間の運輸委員会で私質問いたしましたけれども、国鉄はもはや独立採算制をとることができない、そういう公共企業体である。いわゆる国鉄独立採算制というものはなじまない制度であるということは確認をされました。そこで、この独立採算制が崩壊をしたわけでありますので、政府のいわゆる助成がかなり大幅にこの十カ年計画の中には盛り込まれているわけであります。そこで、これを国の助成に重点を置くのか、利用者負担に重点を置くのか、あるいは再建計画に必要なお金を全額国費負担にすべきなのか、いろいろな議論があると思うんですが、私はこのうちの最初に申しました国費負担政府助成に重点を置くべきだと、こういう立場に立ちます。  もう一点基本的に申し上げますが、よく国鉄運賃を外国の鉄道運賃との比較において、日本はまだまだ安いと、あるいは諸物価高騰に比較をして考えてみても上がり方が少ないと、そういうような議論が多くありますけれども、私は外国と比較して安いとか、他の物価と比較して安いというのは非難をされるべき性質のものではなくて、むしろ私は誇りに思うべき、そういった性格のものでないかと思うのでございます。しかしここで運賃値上げ反対をしていらっしゃる三人の方にお伺いをするわけでございますが、全面的に国費負担というのも非常な無理があると思うのでございますけれども、私がこの運賃値上げ反対している原因はですね、政府助成の原則というのが明確じゃない。この間もいろいろ詰めてみましたけれども、結局政治的な数値であると、こういう運輸大臣の答弁であります。また利用者負担の原則、これも非常に明確でない。そういう意味で私は運賃値上げ基本的に反対をしておるわけです。  そこで、三人の方にお伺いするわけでありますが、この十カ年の中におきまして、若干は運賃値上げを認めてもいいのか、あるいは全く認めることができないのか。あるいはいま私が申し上げましたように、そういう原則論が明らかになってから反対をなさるのか。そういった三つの観点があると思うのでございますけれども、これについて亀山さん、内館さん、石黒さん、お伺いをしたいと思います。
  387. 亀山哲三君(亀山哲三)

    亀山哲三君 構造的な赤字だと、私申し上げておるわけなんで、その赤字が出るという構造をどう改善するかというあたりですね、私ども国民がわかるようにしていただきたい。理解がいく分については落とし話の三方一両損ではなしに、それぞれ考えられるだろうというふうに思うのであります。いまのようなとらえ方ですと、私申し上げました浅薄と言ったのがあれのようであります。
  388. 石田(幸)委員(石田幸四郎)

    ○石田(幸)委員 簡単にひとつ……。
  389. 亀山哲三君(亀山哲三)

    亀山哲三君 忌憚なく言えば、その辺やっぱり、何と申しますか薄っぺらな、表面的なとらえ方のように感ずるわけでございます。その辺明らかに、建物の構造が鉄筋で、壁が何材で、それでこういう建物になってますよと——そっちでビルつくっているようでありますが、あんな形で見ることができる、理解することができれば、そういう中で、全く国民的な合意の中で値上げは理解されるのではないでしょうか。私申し上げましたのは、国鉄当局もいろいろそういうようなことを地域社会との関係、PR——パブリッフレーションということを申し上げましたのは、将来の国鉄の任務などを明らかにする中で、もっと広く知らしめるということが必要ではないかと愚言を申し上げたわけです。
  390. 内館晟君(内館晟)

    ○内館晟君 いまの亀山さんがおっしゃったようなことに基本的に私も同意見なわけです。現在、国鉄赤字だといいましても、赤字の中身が実際には国民の中にわかるようになってない。それと、それから今回の値上げの大きな要因といいますのは新しい開発の——もちろん赤字の解消ということもありますけれども、新しい開発のためにやっていくと、そのためにこれだけの資金が必要だからこれを負担せいといろ形で出されてきている。その開発のあり方が、はたして国民のためになっているのかどうかという点の問題があるのだということなんです。ですから、私は運賃値上げを認めることはできない、こういう計画では。で、私の意見の最初のときにも申し上げましたように、まずどこまでが国鉄の責任であり、どこまでが政府の責任であるかという形が、石田さんおっしゃっておるように明らかになってないということなんでございますね。その上でですよ、運賃値上げだけわれわれに押しつけてくるということについては納得できないわけです。明らかにそこは国の投資という問題については、国の施策の問題ですから、これは明確に国が負担すべきである。その上で国鉄企業努力なり何なりを要求すべきであって、これが不明確なままに要求されておるからうまくいかないのであるというふうに私は申し上げたんですけれども、そういうことでいまの運賃の値上げ賛成するわけにいかないわけです。
  391. 石黒達也君(石黒達也)

    石黒達也君 どちらかといえば、いまおっしゃった原則論が明らかでないと、こういうことですね。
  392. 石田(幸)委員(石田幸四郎)

    ○石田(幸)委員 それでは次の問題をお伺いしますが、車塚さんにお伺いいたします。お仕事の性格上もあると思うのでございますが、実際に米の運搬等については、いわゆる政策割引というような形で料金の割引が行なわれているわけであります。ここに私、国鉄からもらった資料がありますが、運賃上の公共負担額の推移というものを見てみますと、大体年間に通勤通学定期を含めまして、政策割引と全体的に計算をしてみますと、約五百億前後でございます。年間に五百億前後でございます。そして二十四年から四十七年までのこの累積数を見ますと一兆二千億をこすのであります。現在の四十七年度の累積赤字が約一兆二千億といわれておりますから、ほぼこの累積赤字に匹敵をするわけでありますが、私はこういうような公共負担額、いわゆる政策的な割引というものは、政府が政策的に国鉄にやらしているわけでございますから、こういうような通常経費というものは、本質的には政府が国費で負担をすべきであると、こういうふうに考えているわけでございますけれども、この点について車塚さんはどういう御意見をお持ちでしょうか。
  393. 車塚良治君(車塚良治)

    車塚良治君 もちろん政策的に行なわれる割引については、これは国鉄の責任ではないと思いますから、当然それは国のほうで負担すべきだと思います。しかし、この国鉄収支の内容を見ますと、この中に政府の援助も相当入っているわけでございます。つまりこれはどこまでも独立採算制を追求するというならば、こういう割引制度というものは別の形において助成するということをすべきであると思いますけれども、実際にその取り扱い手続上の問題として、その通勤通学の人たちにそういう助成措置を講ずると、そういうことは非常に複雑、膨大な事務作業を伴ってくる、こういう問題を考えますと、国全体の問題として、それは決して合理的でない。そうすると、これを国鉄の中において負担するとするならば、それはやはり政府が援助すべきだ。したがって、援助すべきでありますけれども、いままでの国鉄の収支の内容の中に政府の援助もあり、今後の政府の援助も入っておるということであれば、ある程度了解できる事項ではないかと考えておるところでございます。
  394. 石田(幸)委員(石田幸四郎)

    ○石田(幸)委員 この議論をここで長くするわけにいきませんので、次に石黒さんに再度お伺いをするわけでありますが、いま内館さんからも意見の開陳がございましたけれども、国土開発的な設備投資、いわゆる政策的な設備投資、そういうものについて私は少なくとも七、八割は国で負担をすべきではないかと考えております。と申しますのは、その設備投資によりまして利子の拡大もございますし、いわゆる政策的にこれを行なうわけでありますから、国が大半の費用を持ってもいいんじゃないかというのが私の意見なんでございますけれども、これに対する石黒さんの御意見はいかがでしょうか。
  395. 石黒達也君(石黒達也)

    石黒達也君 いまのは公共負担政府補助という関連でございますか。
  396. 石田(幸)委員(石田幸四郎)

    ○石田(幸)委員 関連しますね。
  397. 石黒達也君(石黒達也)

    石黒達也君 私はこの種公共負担については、原則的に廃止を要求すべきだと思います。もし政策的に存続の必要があるとするならば、それは国庫負担を要求すべきものではないだろうか、こういうふうに考えております。
  398. 石田(幸)委員(石田幸四郎)

    ○石田(幸)委員 最後に、首藤さんにお伺いをいたしますが、利用者負担の問題でございます。これはいま国鉄再建計画にあたっては三本の柱といわれている中の一つでありますが、いわゆる貨物サービス、あるいは通常の旅行サービス、そういうものを受ける受益者というふうに言われております。しかし私が考えますには、旅客受益者というものは、本質的にたとえば代価を払ったとしても、その代価に対する値打ちを再生産しない。たとえば東京から仙台の間にいろいろ人的交流が行なわれておりますけれども、たまたま親戚の間の交流を深めるとか、そういうようないわゆる総合的な社会的行動全般がこの旅客サービスの中には含まれているわけでありまして、こういうものは価値を再生産いたしません。しかるに貨物受益者というのは、たとえば仙台から東京へ物を送ります場合に、その輸送原価というものは商品の中に含まれております。そしてさらにはまた価値を再生産されるわけであります。そういった意味におきまして私は全くこの受益者という意味におきましても、この二者は全く異質なものであろうと、このように思うわけであります。そういう角度から貨物赤字旅客に転嫁させるというようなことは、これははなはだまずいのではないかと思います。これに対して国鉄当局は、総合原価主義に基づくからこの両者を区分することはできない、そういう答弁を再々しておりますが、しかしこういった計数が一つあらわれておりますけれども、ある特定の想定をいたしまして、いわゆる貨物黒字赤字の分析を一応はしているわけであります。そういう角度から見ましても、明らかにこれは四十六年度までの数字が出ておりますけれども、ほとんどがこれは貨物赤字になっているわけであります。そういった意味で私はこの両者は明確に区分できるものではないかと考えているし、またそうしなければならないのではないか。したがって貨物赤字が出た場合の方途というものは、旅客受益者にそれを分担させるのではなくして、政府並びに企業努力におきましてこれを原則的に埋めるべきものだと考えておるんですが、これに対する御意見を伺いまして、私の質問を終わるわけであります。
  399. 首藤英二君(首藤英二)

    首藤英二君 先ほど旅客がたまたま乗ったのは再生産しない。しかし鉄道のしたことによって再生産があるかないかということが運賃の度合い、人の差ということではなくて、これは物を運んだ、人間を運んだということが運賃の原価だろうと思います。どういう目的で——国会議員さんが旅行される、われわれが旅行するということの目的によって運賃の価格に差はないはずです。  それから、いま貨物赤字旅客に転嫁するということでございましたが、しかし貨物に付随して旅客が動いているのもあるわけで、私はそういう点から考えておそらく鉄道では総合原価主義でこまかく分けていないんじゃないかと、こう思うんでございます。したがいまして、必ずしも貨物赤字旅客に転嫁しているということに言い切るわけにちょっといかないんじゃないかと、これは議論があることと思いますが、私はそう考えております。
  400. 細田座長(細田吉藏)

  401. 河村委員(河村勝)

    河村委員 亀山さんと、それから石黒さんにお伺いをいたします。亀山さんのさっきの公述の中で、提言という項目の中で二つお伺いしたいことがあるんです。一つは、現在の状態では国鉄は大企業負担すべき費用負担をしていると、これを直さなきゃならぬというのが一つありましたね。それからもう一つ、再建の考え方として国民福祉ビジョンとの結合がなければならない、こういうことを言われましたね。これは一体具体的にどういうことを言っておられるのか、ちょっと伺いたい。
  402. 亀山哲三君(亀山哲三)

    亀山哲三君 相当程度率直に言って、国鉄独立採算という中で、国鉄のみが持つのではない、いわば地域の開発とか、あとあとの地域のいろいろな生活条件の福祉につながりあるような、いわば投資——固定資金ですな、そういったものなどが相当程度、そのことによって余得を受ける大きな企業負担をすべきだと、こういうふうな考え方でございます。それが本来産業政策あるいは社会政策として負担すべきもの、それを国鉄負担しているというふうに申し上げたわけでございます。その辺全く国鉄に、いわばよけいな負担がいっているという面があるんではないかというふうに考えます。
  403. 河村委員(河村勝)

    河村委員 そのあとの国民福祉ビジョンとの結合というのはどういうんですか。
  404. 亀山哲三君(亀山哲三)

    亀山哲三君 同じです。これは消費者保護基本法を定めて、消費者保護会議議長を首相がやっておられますね。そういう人格も一面お持ちだ。それで一九七三年は福祉の年だというふうにおっしゃっておられます。全くよりよい生活、暮らし、また暮らしの条件をつくる、これが福祉という意味でありますから、そういう角度でいわば経済、産業界サイドではない、国民のよりよい生活というところに視点を当てた構想をお立てくださいということでございます。そういう中で国鉄が何を担務するかという形のものを示していただきたい、こうさっき提言をしたわけです。
  405. 河村委員(河村勝)

    河村委員 すると、別段大企業でなくともいいわけですね。要するに大企業というところにアクセントがあるわけでなくて、一般に地域開発のために国鉄はよけいな金——よけいな金というか、資本投下をしたという面が多いから、その分は国でめんどうを見ろと、こういうことですか。
  406. 亀山哲三君(亀山哲三)

    亀山哲三君 余得を受けているのが、ほとんど大企業が受けている、こう私は思っております。国鉄に伴うですね……。
  407. 河村委員(河村勝)

    河村委員 そうすると、大企業にどうやってその分を負担させようということになるわけですか。
  408. 亀山哲三君(亀山哲三)

    亀山哲三君 いろいろなこれは不合理な運賃体系——私も不合理であると先ほど申し上げました。この辺の改定ということもありましょうし、これはいろんな資金あるいは費用負担ということは考えられるだろうと思います。いろんな点で考えられるだろうと思います。柔軟に考えられると思います。
  409. 河村委員(河村勝)

    河村委員 それじゃ石黒さんにお伺いをいたします。あなたの現在の国鉄現状分析の中で、再建できるだけの経営体制がないというところで、従業員の訓練不足、それから管理体制の欠除ということをあげておられましたが、あなたがいろいろな経験の中から、あるいは客観的に外から見ておられて、具体的にどういう点を強くこの点について感じておられるのか、その点をお伺いをしたい。
  410. 石黒達也君(石黒達也)

    石黒達也君 これは普通の企業の場合、管理者と従業員という間においての規律なり秩序なり統制というのは、やはり一つの企業のルールに従ったものできちっと管理体制というのは引かれているのが当然ですし、そういうのが私は常識だと思っておるわけです。たまたまこれは私たちが現実に見聞する中で、いろんなアジビラを国鉄構内のいろんなところに張ると、それを遠くで管理者が見て、ぞうきんを持ってそれを一生懸命はずして歩く、そうすると今度はその張った人間から、おまえ不当労働行為じゃないか、何だと、——どだい管理者の日常の職務の中で、そういったとてもぼくらでは考えられないような行為が行なわれるというようなことは、まさにこれは社会的訓練、組織的訓練ということを言ったんでありますが、そういったような管理上の教育訓練と申しますか、むずかしく言えばしつけと申しますか、そういうものがはたして管理上行なわれているんであろうかと、こういうことが非常に考えさせられるわけですね。全体的な企業の中では、いま教育訓練というものを盛んにこれは採用しているわけであります。これは何も労働者従業員をそういった経営感覚のみで訓練をしているというものではなくて、そういったような教育の訓練、手法というようなものについては、労使の中で、こういう近代社会に対応するためにどういうような教育手法なり、というものを導入していかなきゃならぬのかということが完全に話し合いをされて、そういうような教育訓練の制度というものを導入をしている企業というものが非常にふえてきているわけですね。それは言ってみれば社会的な常識というものを、これは全体的に取り入れるという、そういう意欲的なものから生じているんだろうと思うのでありますが、何か国鉄現状を見るときに、階級対立的な要素のみがありまして、なるほど私どもの労使の中には、雇うものと雇われるものの中には利害の対立があるということは、これは否定をいたしませんけれども、何か階級対立というような意識がなければ、これはどうにもならぬのだというような、そういったような風潮というものがあまりにもあり過ぎるのではないだろうか、しかもそういうものに対して管理体制ということで国鉄当局の首脳者をはじめとして一体何らの手も打っていないのではないか、こういうことが非常に気になっているところである。ですからそういうような意味合いでは、そういうような内部体制をきちんとまずすることも大事なことではないのだろうかと、こういうことで先ほど意見陳述をしたわけであります。
  411. 河村委員(河村勝)

    河村委員 終わります。
  412. 細田座長(細田吉藏)

    細田座長 これにて質疑は終わりました。  この際、ごあいさつを申し上げます。  意見陳述者方々におかれましては、長時間にわたりまして貴重な御意見を述べていただき、まことにありがとうございました。拝聴いたしました御意見は、国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案の審査に資するところきわめて大なるものがあると信じます。ここに厚く御礼を申し上げます。また、この会議開催のため格段の御協力をいただきました宮城県庁など、関係各位に対しまして、深甚なる謝意を表する次第であります。  以上をもって散会いたします。    午後三時四分散会    派遣委員香川における意見聴取に関する    記録 一、期日    昭和四十八年四月二十五日(水) 二、場所    香川総合会館会議室 三、意見を聴取した問題    国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建    促進特別措置法の一部を改正する法律案に    ついて 四、出席者  (1) 派遣委員    座長 加藤 六月君       阿部 喜元君    唐沢俊二郎君       國場 幸昌君    宮崎 茂一君       井岡 大治君    兒玉 末男君       梅田  勝君    松本 忠助君  (2) 意見陳述者         協和農機株式会         社取締役業務部         長       茂野 博光君         国民の足を守る         香川県民会議議         長       谷上 典之君         株式会社浪速設         計事務所専務取         締役      藤井 義孝君         香川県商工団体         連合会会長   平野  理君         香川大学商業短         期大学部助教授 八十川睦夫君         神戸商科大学教         授       吉田  寛君      ————◇—————    午前十時一分開会
  413. 加藤座長(加藤六月)

    加藤座長 これより会議を開きます。  私は、衆議院運輸委員会派遣委員団長加藤六月でございます。私がこの会議座長をつとめますので、よろしくお願い申し上げます。  この際、私から派遣委員を代表いたしまして、一言ごあいさつ申し上げます。  皆さま御承知のとおり、ただいま本委員会におきましては、国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案につきまして審査を行なっているところであります。  当委員会といたしましては、同法律案の審査にあたりまして、国民各層から意見を聴取すべく、本日、宮城仙台市と御当地におきまして、この会議を催し、各界の代表者から忌憚のない御意見をお伺いしようとするものであります。  御意見をお述べいただく方々には、本日はまことに御多忙中にもかかわりませず御出席をいただきまして、感謝申し上げる次第でございます。厚く御礼を申し上げます。  まず、この会議の運営につきまして申し上げます。  会議議事は、すべて衆議院における委員会運営についての議事規則及び手続に準拠して行ないます。議事の整理、秩序の保持等は、座長であります私が行なうことといたしております。発言をなさる方々には、必ず座長の許可を得て発言していただきたいと存じます。  なお、この会議におきまして御意見をお述べいただく方は、派遣委員に対しての質疑はできないことになっておりますので、あらかじめ御承知をお願いいたす次第でございます。  次に、会議の順序につきまして申し上げます。  まず、午前中に各意見陳述者から順次御意見をお述べいただきまして、午後再開しまして、派遣委員から質疑が行なわれることになっております。したがいまして、時間の関係上、御意見陳述の時間は、一人十五分程度にお願いいたしたいと存じます。  それでは、本日御出席の方々を御紹介いたします。  まず、自由民主党から阿部喜元君、唐沢俊二郎君、國場幸昌君、宮崎茂一君。日本社会党から兒玉末男君、井岡大治君。日本共産党・革新共同から梅田勝君。公明党から松本忠助君の方々が出席されております。  次に、本日各界を代表して御意見を述べていただく方々を御紹介申し上げます。  協和農機株式会社取締役業務部長茂野博光君、国民の足を守る香川県民会議議長谷上典之君、株式会社浪速設計事務所専務取締役藤井義孝君、香川商工団体連合会会長平野理君、香川大学商業短期大学部助教授十川睦夫君、神戸商科大学教授吉田寛君。以上の方々でございます。  それでは、茂野博光君から御意見を述べていただきたいと存じます。  茂野博光君お願いいたします。
  414. 茂野博光君(茂野博光)

    茂野博光君 私、ただいま紹介にあずかりました茂野でございます。  国鉄貨物輸送役割りにつきましては、いまさら申し上げるまでもなく、従来まで国の経済発展とともに、物資流通の中枢をになってまいりました。さらに将来においては、今後ますます増大するだろうと思われます物流環境の中にあって、昨今のような交通戦争的な道路事情、また、労働力の確保の一段のきびしさ、これらから総合しまして、今後の生産流通量に対しまして、肝心の物流部門ではたしてさばききれるかどうか、はなはだ大問題を提起されておる現状であります。  私は、欧米先進国に見られますように、国鉄貨物への早急な見通しめ時期、これは早急に到来するものであろうと確信をしております。また、国鉄の動脈としての使命は、かような状態からますます高まっていくものと考えておる次第でございます。こうした中から、国鉄が早急に健全な経営基盤を回復しまして、名実ともに国の基幹的な輸送機関として立ち直ってもらうことを切望しておるものでございます。しかしながら、現在の国鉄の財政事情を考え、また、従来までのあり方を見まして、利用者としてその立て直しのためには一部協力をせざるを得ないと考えますし、さらに四国地区の特殊な輸送、きびしい輸送環境を率直に申し上げまして、私からは賛成立場から、以下公述を申し上げたいと思います。  さて、国鉄貨物運賃が最近著しい人件費並びに諸物価高騰の中で、昭和四十一年度以降ほとんど据え置かれ、国の施策の甘さ、これによる財源不足等による極端な貨物輸送設備の立ちおくれを来たしまして、これがために他の輸送機関の発展に比べまして、ますます国鉄財政を悪化させる一要因となっており、当四国地区では国鉄設備不足からくる能力不足より、結果的に利用者がかえって不利益をこうむる結果となっておるんであります。輸送の条件は一口に言って、御承知のように、安くて、早くて、安全にということがいわれております。しかしながら、さらに最も必要なことは、生産量に見合う適切な時期に適切な輸送量確保するということが私は一番大切なことでなかろうかと思うんです。しかるに、四国地区では、ローカルのための従来からの設備不足が現在集中的に表面化しております。量の確保はもとより、本土に比べましてスピードにおきまして、また、適期の輸送力におきまして、また、さらには適合貨車の大幅な不足、さらには、ますます深刻化してきております仕向け先別の割り当ての制限等、たいへんな配車不足に悩んでいるのが現状でございます。最近の実績では、北海道向けは申し込みに対しまして二五%、東北地区では一一%、富山の地区では二八%、九州では何と一六%という状態と聞いております。これらの能力不足や制限地区向けの輸送は、結局、国鉄輸送以外のトラック船舶、それからフェリー、これの利用に逃げ道を求めざるを得ない状態にあるわけでございます。しかし、これらの運賃単価はどうかと申し上げますと、島内物資は、総じて農産物その他比較的低級のランクのもの、こういう物資が多うございます。島国事情のための制約条件、それからまた、島国のための航送料金の負担、これらが割り高となりまして、大幅な運賃の高負担となります。したがって、かえってコストアップを招き、売価高へしわ寄せせざるを得ないという結果になっておるわけでございます。もとより企業にとりましては、経営合理化のため、流通経費の節減には常日ごろ苦慮しているところであります。国鉄運賃の今回の値上げにつきましても、決して好ましい材料ではありませんが、いま申し上げました四国地区の特殊な事情よりしまして、今回の値上げはある程度やむを得ないと考え、基本的には一日も早い本四架橋の実現を切望いたしますと同時に、それまでの期間は、むしろ財源調達によりまして、積極的な近代化、航送力の増大、ターミナルの新設増強、拠点駅のすみやかな改良、こういうことによりまして四国地区の産業発展と輸送力増強のために、貨物設備の近代化に対して特段の御配慮をお願い申し上げまして、長年のわれわれ荷主の不便を一挙に取り除いていただきたい、こう思うのでございます。  次に、国鉄再建対策が国の財政援助、それから国鉄企業努力及び利用者負担の三本柱となっております。この再建計画の底に流れる精神は、従来のような親方日の丸式の管理の甘さを脱皮していただきまして、実施部門の各セクションが綿密な細部計画に基づいた明確なる管理目標を持ちまして、確実に責任を負担することにあるのではないだろうかと私は思うわけでございます。ただ単なる選挙公約的な内容であったり、よく一般に見かけます事業の不振の結果、責任のなすりつけ合いをするというようなことにならないように、今後は年間ごとに実績を公表をいたしまして批判を受ける、これを謙虚に受けるきびしさが必要でないかと私は思うわけでございます。これがために当然ではございますが、国鉄自身の合理化をより精力的に推進することはもちろんでございますが、利用者側もときには大乗的な立場に立って経営の合理化に協力すべきだと思うわけでございます。  次に、今回の運賃改定内容でございますが、旅客二三%アップ、それから貨物が二四%で、実質増収が一五%となっております。特に貨物の場合、物資別によって市場価格に影響を受けまして、原価的に非常に弱い物資がございます。また、貨物値上げ率が平均二四%となっておりますが、特定物資に至りましては、平均値を相当上回っておるものもある。つきましては運賃改定にあたっては、これらの負担力の弱い貨物については、過大の負担とならないように実情を十分調査をしていただきまして、きめのこまかい御配慮を願い、また、アップ相当のものになります特定物資については、何らかのサービスの還元をお願いを申し上げたいと思います。  次に、近年の国鉄労組のサボ並びにストについて苦言を呈したいと思います。  本年度に入りまして、御存じのように、二月、三月、さらに今月の四月、現在も大混乱を呈しておる順法の闘争中でありますし、さらには、そのあと七十二時間というような交通ゼネストの話も報道されております。まさに国民不在の年間を通じるどろ沼的行事と化しているのでございますが、この影響はまことに甚大でございます。スト影響につきましては、大都市ほど影響があって、地方にいけばいくほど影響は少ないように思われがちでございますが、貨物の場合は全く逆でございます。ストのあと正常に回復するまでの期間、これは地方ほどそのしわ寄せを受けている状態でございまして、ストの期間中と合わせてそのあと、一回やりますと、そのあと毎度一週間程度は全くお手あげの状態になる、こういうことをひとつ地方の実情もあわせて御認識をお願い申し上げたいと思うわけでございます。そうでなくとも四国地区は、抜本的な事故防止対策がなされないまま天災事故が続いております。一たび事故が起きますと、昨年の繁藤の大惨事事故のごとく、一カ月、あるいは四十日の長期に支障を来たしまして、全く目をおおうような状態となります。その結果、国鉄への不信感は一そう強まっております。私は、まず何よりも労使紛争の基本的な解決を急いでいただきまして、信頼の挽回を期していただきたいと思う次第でございます。  最後に、企業は人なりといわれますが、問題の国鉄再建計画は、基本的には労使協調の成果しかないと思います。どうか国民不在の大混乱の解決の糸口を早急につかんでいただきまして、真にわが国経済の動脈としての使命を果たし得ます国鉄に生まれることを強く要望し、私の運賃値上げ賛成の公述を終わりたいと思います。
  415. 加藤座長(加藤六月)

    加藤座長 ありがとうございました。  次に、谷上典之君にお願いいたします。
  416. 谷上典之君(谷上典之)

    谷上典之君 ただいま御紹介受けました谷上でございます。  まず、私は、国鉄運賃値上げ反対立場から御意見を申し上げたいと思います。  まず、現在、日本列島は、まさに悪性インフレの中で国民大衆が生活を余儀なくされておるわけでございますが、最近の各企業、各社のいろんな調査機関ございまするけれども、そこで統計をされた国民世論調査がございまするけれども、いま一体国民は何に最も強い関心を示しているかということでございまするが、まずもって、何よりもみずからの生活に最も関係の深いものに強い関心を示しています。なかんずく最近では、おはよう、こんにちは、というあいさつのあとで必ず出てくるのは、ときの話題として出てまいりますのは物価問題だと思います。それほど今日は物価に対する意見を非常に強い立場国民が持っているということであろうかと思います。かかる時期に、国鉄運賃値上げ問題が国会の中に提起をされてきたということで、また強い関心を示していると思います。それでは一体物価が上がることに関心を示しておるのか、あるいは物価が安くなることに関心を示しておるのかということについてでありまするけれども、もちろん物価が上がることに強い反対の意思表明を持っている証拠だと私は思うんであります。  そこで、国鉄運賃物価とのかかわり合いが、どのような形で行なわれるのかということについてでありまするけれども、過般、私は四国総局の役員さん、えらい方に上げないでほしいという申し入れに参りました。その際に、御説明のあったことは、国鉄運賃を上げても、たとえば、貨物運賃を上げても、昨年の統計でしたか、一昨年の統計でしたか、お示しがございまして、〇・〇〇一しか卸売り物価には影響しないんだという御説明があったことを記憶いたしております。私、思うのに、単にその統計を信ずるといたしましても、それはそれなりの統計の出し方があったと思います。私は、いろんな先生方に御指導賜わるわけでありまするけれども、単純に国鉄貨物運賃が卸売り物価影響するのは〇・〇〇一だという説があったといたしましても、片やの先生の御意見では、国鉄運賃値上がりが卸売り物価影響し、そして、いま国民大衆が一番懸念をいたしておる問題は、やはり何と申しましても消費者物価の問題であります。消費者物価にはどのように影響するかということについて、私も含めて関心を寄せているところであります。ある先生の御意見では、国鉄運賃と卸売り物価、そして、そこに影響したものが消費者物価、小売り物価影響するのを弾性値と呼んでおられますが、その弾性値たるやたいへんな影響力を持っている。しかも、その弾性値というのは、はずみのぐあいでありましょうから、これは各産業の商品それぞれによって弾性値が異なっているということでございます。最も弾性値の高いもの、影響力の強いものは、何としても公共料金であるということがいわれてございます。この国鉄運賃問題は、明確に公共料金でございまするから、私は消費者物価に与える影響というのはきわめて大きいであろうと、また、大きい経験を私どもはしておりまするので、この際の国鉄運賃値上げについては、ぜひとめていただきたい、上げないでほしいという意見を申し上げるところであります。さらに、この公共料金がそういうふうに諸物価値上がりの刺激材になり、諸物価値上げするリーダー役をつとめると私は思っておりまするし、たいへん適当でないかもわかりませんけれども、とうふの値段が上がったから、国鉄運賃を上げざるを得ないという言い方は聞いたことがございませんです。国鉄運賃が上がったから、とうふや油あげを上げざるを得ないという言い方をよく聞くんであります。この点が何といたしましても、私は心理的な最近におきまするインフレ、物価上昇機運の一因ではないかというふうに思うところであります。  次に、最近の物価問題と戦後の物価問題を思い起こすんでありまするが、戦後、かつてはお米一俵マル公で一千五百円、やみ価格が一俵六千円という時代があったかと思います。その時代には、上京して勉強しているむすこに補給するために、トランクに入れて詰めて行けば官憲につかまって、何か物価統制令、あるいは経済事犯ということで、日本国民の多くの方が検挙され、苦い経験を持っていることを私も子供ながらによく承知をいたしておるところであります。ところが、最近におきまする各商社、あるいは大手の買い占め、そういうものが最近、ごく最近はいろんな機関に報道されておりまするけれども、この種、官憲当局が検挙したという事例を見たことがないんであります。ごく最近は丸紅飯田でしたか、手入れがあったようでありまするけれども、これとて、これは率直に申し上げまして、ある検事さんがおっしゃっているんです。あんなに、いつ、もうガサを入れるぞ、もういくぞと、新聞に報道して一週間も十日も前から報道して、いくぞ、いくぞといって手を入れるという、きわめて甘い政策手段というものが今日の国民をしてきわめて不満な意見としてあがっておると思うんであります。  そういう事例から考えてみますると、今日的な物価上昇要因について、もっと国会の場、政府の場において真剣に御討論を賜わり、施策の中に取り入れていただきたいものだというふうに私は考える次第であります。そういう時期に、国鉄当局が国鉄財政再建計画十カ年計画をお出しになっていらっしゃいますけれども、あの計画を見ますると、毎年、将来十年間にわたって一五%から二〇%運賃値上げが実施されるという中身でございます。今回の値上げは、私から申し上げるまでもなく、旅客二三・二、貨物二四・一という大幅値上げであります。問題は、後ほど申し上げまするけれども、三本柱の中で大衆負担受益者負担、あるいは当局のお示しになっていらっしゃる企業努力の中身、その辺が私は問題であろうと思うんであります。そのことは国鉄当局の皆さんが、えらい方がおっしゃるには、国鉄のサービスもよくします、安全も確保します、したがって、多少の上がることをしんぼう願いたいという、こういう言い方であります。それをこの十カ年計画の中身をちょっとのぞいただけでも、私はそういうことになっていない裏づけがある。  一つは、まず安全性の問題についてでありまするが、新幹線をどんどん敷設していく、輸送量をふやしていく、そうなりますると延べキロ数がふえるんでありますから、当然要員が必要でありまするけれども、十一万五千人という要員が必要にもかかわらず、それは何とかの努力によって採用しないという言い方であります。この点では、たいへん私どもは不安を持たざるを得ませんし、そういう点について、もっと安全性の問題を真剣に御議論をいただきたいというふうに思うところであります。  時間がございませんので、はしょって以下申し上げますが、そうなりますると、問題は、確かに国鉄企業貸借対照表は合うかもしれません。いまの計画からまいりますると合うようになっています。そのものの計画が日本の全産業をりっぱに守っていただけるとすればそうなるかもわかりませんが、たいへんあやふやだと思いまするんですが、要するに大衆利用者を抜きにして、とりあえず貸借対照表だけ黒字に転換したら、それが国鉄財政再建計画の成功だと、そういうふうに見るところに私は問題をはらんでいるように思うんであります。  大衆無視の例を一、二申し上げてみたいと思うんでありますが、貨物の問題、すでに最近までは旅客赤字だと、あるいは貨物を含めた赤字だと、こうおっしゃっておったようでありまするけれども、ごく最近は、旅客部面は黒字だということを公表していらっしゃいます。かりに貨物赤字だといたしますると、その貨物の中身は大衆利用、大衆無視の実例を申し上げますると、東京−仙台間が自動車一台を輸送する場合に、大衆利用、国民大衆が送る場合には、東京−仙台自動車一台につき一万七千二百十円、企業側が送る場合には、自動車一台が四千七百円、こういう数字になってございます。しかも、いまの国鉄貨物輸送量の約八〇%が大口利用でございます。あと二〇%が小口大衆利用ということになっておりまして、その赤字の原因が那辺にあるかは明確だと思います。そういう旅客黒字だのに二四・幾ら上げる、あるいは貨物はそういう事情であるにもかかわらず、さらに大衆には受益者負担という言い方から、同じように比率で上がっていくということをたいへん私は矛盾を持っているんではないかというふうに指摘をせざるを得ないと思うんであります。しかし、帳じりを合わすために、あの計画が組まれてございまするが、何と申しましても、そういうふうに一般企業、民間企業のレベルでものごとを判断することと、国鉄そのものの企業サイドでものごとを判断することと、私はたいへん矛盾があると思うんです。  その一例は、十カ年計画で十兆五千億とかいう膨大な数字が出ていますけれども、ほとんどが新幹線その他設備投資に要する資金だと明確に出ています。そういう設備投資に対する資金の持ち込み方、一般民間企業レベルで考えますると、どうもおかしい。それを大衆負担でやらせる、受益者負担でやらせるということ、はどうも納得ができないということを指摘せざるを得ないと思うんであります。もちろん、この設備投資をするということになりますれば、国鉄の財産ではありまするけれども、これは究極にはやっぱり国の財産でありますから、当然これは政府、国が設備投資をしてやることが一番いい方法ではないかと私は思うんであります。すでに西欧先進国におきましては、そういう設備の投資のしかたをいたしておる国々がたくさんあることも私自身承知をいたしておる次第であります。  次に、時間がございませんので、四国島内の問題を若干御披瀝申し上げてみたいと思うんでありますが、まず第三次国鉄長期計画昭和四十年ごろから出てまいりました。いかに大衆利用者に迷惑をかけているかという点を御披露申し上げてみたいと思うんでありますが、高松−高知間百五十九・一四キロメートル、昭和四十年時代には所要時間が四時間三十分でありました。現行は、同じくキロ行程でありまするけれども、百五十九・一四キロメートルのところを高松−高知間五時間四十分所要しているということ。高松−多度津間、昭和四十年当時三十二・六キロを四十分程度で走っている。ところが、最近、現行では七十分要している。三十二・六キロです。それを四十分から七十分に伸びているというこの実情はたいへんだと思うんであります。  さらに、通勤列車にもひどいしわ寄せがきておることも事実でありまして、高松−多度津間、四十年当時三十分程度で快速というものを走らしておりましたものを、最近では六十分というふうな所要時間でございます。これが島内におきまする大衆サービス向上といえるかどうか。私はいえないと思うんであります。  さらに、四十七年三月ダイヤ改正で、四国総局は、当時、列車三十二本、二千四百キロを削減いたしました。とたんに沿線住民利用者から意見が出てまいりました。高知県議会、あるいは須崎市議会はその中心的母体になりまして、四国総局に対しまして猛烈な陳情運動が起きたんであります。ということは高知県須崎高等学校の定時制の諸君が、列車削減によりまして定時制へ通うことができない、下宿しなければ学窓に学ぶことができないという事情になったんであります。で、ものすごい運動が起きまして、四国総局は、十月のダイヤ改正を待たずに九月に切り上げてこれは改正をいたしましたけれども、そういうものが現実にあるわけでございます。  さらに、いま二両編成の車が四国島内に走っておりまするけれども、かつて二両ともだれでも乗れる。一般旅客が乗れる列車でありました。ところが、最近は二両しか編成していないローカル列車の中で、一両は座席指定をしている。片方のほうには倍以上、定員倍以上のお客さんが乗っている、片っ方はがらがらっとしている。これでサービス向上といえるかどうか、私は御指摘を申し上げたいと思うんであります。
  417. 加藤座長(加藤六月)

    加藤座長 時間をお守りください。
  418. 谷上典之君(谷上典之)

    谷上典之君 次に、総務部長との会見の中で発言がありましたので、この点だけ最後に一分だけいただきたいと思いますが、いま国鉄は、テレビを見ましても、うしろから押せ押せで、押し込み屋というのがいますが、定員というものについて、どういうふうにお考えになっていらっしゃるんですかと、こう申し上げたところ、総務部長いわく、そんな定員法などというのはもうとっくの昔に死文化しているとおっしゃいました。この点について、私もいろいろ事情調査をいたしたんでありますが、今日、法律そのものが日鉄法、あるいは営業規則その他いろいろ漸次年間何回か補強され、改正はされておりまするけれども、明確に変わったという足跡はございません。考えてみますれば、国会に審議をわずらわす手続はしないでも、確かに本社営業規則、あるいは国鉄総局の規則、基準規程によって発売券の停止などを改正をされておるようでございまするけれども、この種が国会の議決を経ないで、単に一企業のサイドにおいていろんな規制、制限がなされておることについて、私は重大な問題だと考えておるところであります。そういう点もつけ加えてこの際意見として申し上げ、真摯な将来の国会の場における御議論をちょうだいいたしたいものだというふうに考えるところであります。  多少の時間オーバーしましたことをあしからずお許しいただきたいと思います。終わります。
  419. 加藤座長(加藤六月)

    加藤座長 ありがとうございました。  次に、藤井義孝君にお願いいたします。
  420. 藤井義孝君(藤井義孝)

    藤井義孝君 藤井でございます。  ただいまより賛成意見を述べさしていただきます。  私は、今回の国鉄運賃改正につきまして基本的に賛成するものであります。  国鉄は、開業以来百年をこえたようでありますが、その間わが国の社会、経済、文化発展のため、常に動脈的役割りを果たし、国民生活の向上に尽くしてきたことは疑うことのできない事実であり、私もそう確信しているものであります。ところが、最近、自動車や飛行機などの目ざましい発達によって、この十年間ぐらいの間にその独占的地位が失われております。聞くところによりますと、国鉄輸送量はわずかながら伸びているものの、輸送シェアは年々減少して、旅客においては昭和三十年五五%から四十六年の三一%と大幅に減少し、また、貨物においても五二%から一八%と、これも大幅に減少となり、その結果、事業損益についても、昭和四十六年度には二千億円以上もの赤字を出し、累積赤字昭和四十七年度において一兆二千億になると聞いております。これではやっていけないのが当然で、民間企業であればとっくに倒産しているものと思います。  私たちの身近な四国を例にとってみても、国鉄は開業以来大きな改善がなされていないのに比べ、並行ずる道路はよく整備されて、乗用車の保有台数も年々増加しております。五年前に比べますと約五倍にふえております。このような状況下におかれても、公共性の強い国鉄は、採算制の合わない過疎地域に対しても、地域開発や地域住民の要望によって新線建設を進めており、これが赤字の一因にもなっているように聞いていますが、私は、国鉄という立場から当然やらなければならないことだと思っております。  四国の鉄道においても車両の近代化、本四連絡船の大型化によるスピードアップ、その他ディーゼル化するなど、サービス向上に努力していると思われますが、大型バス、フェリー等のそれと比較いたしますと、まだまだ不足しております。今後、愛媛県の南予レクリエーション都市をはじめ四国各地の観光開発及び本四架橋に伴う産業の発展にも伴い、当然輸送量増大するものと思われます。これらを考えあわせますと、いままで以上の近代化新線建設を進めていかなくてはならないように思うわけでございます。  私は、一般国鉄職員は勤勉であり、一生懸命増収に励んでいると思いますが、しかし、一部には闘争で列車をみだりにおくらせたり、そのために発車時刻がはっきりしない、到着時刻がわからないというようなことを繰り返して行なう者がいて、旅行のスケジュールが立たず、ほとほと泣かされております。このような労使関係の不和は、赤字続きという経営状態の悪さが基因しているのではないかと思いますので、この面からも経営の立て直しが必要だと思います。私は、国鉄に対し経営の合理化企業努力を強く求めます。  このような現状を打開するために、まず国鉄自体合理化増収努力を強力に行なわなければなりません。私も職業柄よく国鉄を利用しますが、指定券を買いに行っても満員で断わられることがたびたびあります。また、近くへ急ぎの用事があって駅へ行っても、ローカル列車の間合いが長いため、結局自動車にすることもありました。貨物等につきましては、郷土産の新鮮なくだものを関東地方の知人に例年送っておりますが、現状では日数がかかりまして、国鉄の貨車では送れません。また、新幹線が岡山まで来て、大阪、東京方面へは非常に早く行けるようになりましたが、五十年ごろには博多まで延びて、松山地区からも広島を経由すれば非常に早く行けると聞いております。これらを有効に生かした企業努力を行なえば、おのずと収入の増加に結びつくのではないかと思います。  私は、国鉄に対し企業努力等を強く求めましたが、それにはおのずから限界があり、政府においても大幅な財政援助がなされるやに聞いております。半病人の国鉄の健康を取り戻し、将来とも国民の足として力強く育てていくためには、利用者においても、この程度運賃改定は当然負担するべきであるものと思います。  以上で私の賛成意見を終わらしていただきます。
  421. 加藤座長(加藤六月)

    加藤座長 ありがとうございました。  次に、平野理君にお願いいたします。
  422. 平野理君(平野理)

    平野理君 御紹介にあずかりました平野でございます。  私は、現在審議せられている国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案基本的に反対する立場意見を申し述べます。  また、私は、交通運輸の専門家でなく、ごらんのとおり、一介の町工場の経営者にすぎません。したがいまして、主として商売人の見た香川県の実情をお話し申し上げまして、せっかく高松に出向いてくださいました理事委員の諸先生に聞いていただきたいと、かように思うわけでございます。  まず最初に、相次ぐ物価値上がり、特に昨今の物価高の中で、物価を安定させてほしいということは、私たちの回りを見ましても、また、世論調査の結果から見ましても、国民の最も切実な願いであります。政府の内政上の最大の責務や使命もここにあると考えます。公共料金値上げは、過去の例から見ましても、物価値上がりの起爆薬になっております。特に、鉄道運賃は、田中総理公共料金基本であるといわれたと聞いておりますけれども、この鉄道の運賃を旅客については二三%、貨物については二四%値上げをし、さらに十年間に四回の値上げを約束して、十年後には二倍強にするというのが今度の計画であり、政府は、はたして国民の切実な願望にこたえる誠意と熱意があるのかどうかを疑うとともに、声を大にして反対をせざるを得ないと思います。  現に、小康を得つつありました内地産の木材、特に北海道材のごときは運賃も上がることだし、値上がりはしませんよという声を聞きますし、また、トラック便を利用している業者はガソリンの値上げもありますけれども、運賃値上げを見越しまして、非常に高い率の運賃値上げを予告されておると聞いております。もし、この計画がこのまま実施されますと、これが引き金となって私鉄の運賃をはじめ、すべての物価高騰を招き、国民生活に耐えがたい苦痛を与えることは火を見るよりも明らかであります。  次に、私は、この公聴会に出席するにあたりまして、つとめて多くの方に会って意見を聞くことにつとめました。その結果得た結論は、国鉄が私たち中小業者や庶民からだんだん遠のいた存在になっているのではないかという疑問であります。  次に、幾つかの例をあげますと、第一例は、予讃線を利用している方の意見でございますが、この方は、ときどき利用している方でございます。以前は、特急とか急行に乗るのに非常に待たなければならなかったのが、最近は普通列車に乗るのに非常に待たなければいかん、こういう意見でございます。  第二例は、高徳線を利用して通勤している人の意見でございますが、この人は造田という駅から月額二千八百八十円の料金を払いまして高松へ通勤しております。通勤時に非常にこんでやりきれぬという意見と、もう一つは、その方のお友達が何人かおられるんでございますけれども、列車がこむのと、もう一つは、列車の便が少なくて不便であるということで、二千八百八十円で通勤できるところを、償却とかガソリン代とか修理代とか含めますと、大体月に二万円の費用を出してマイカーで通っておるということを申しておりました。それで増発とか増結をしてもらえないものだろうかということを話しておりました。  第三例は、県下の特産の漆器の業者の実情でございますけれども、確かにコンテナで送りますと荷くずれもいたしませんし、製品がいたまぬで非常にいいんでございますけれども、運賃が自動車便よりも高くついて、時間も名古屋で一日で着くのが、おそいときには四、五日から一週間かかると、東京の場合も自動車便の倍かかると、そういうことで、ほとんどが自動車便になってしまっております。  それから、第四例は、鬼無の盆栽業者の実情でございますけれども、ここは三年ほど前に貨物の取り扱いを中止した駅でございます。当時、非常に業者の方が集まりましてお願いしたんですが、とうとう貨物の取り扱いを廃止したということで、そのときから自動車輸送に切りかえておる。それで現在は秋の出荷時に百個程度のコンテナで出しておるんでございますけれども、コンテナの中にたなをつけられるようになっておりまして、御承知のように、盆栽は非常に手間をかけて枝をつくりますので、段にせぬとたくさん入りませんし、また、枝をいためるということで、何回お願いしてもそれが聞き届けてもらえないということを訴えておりました。  次は、木材輸入、県外から木材を県内へ輸入しておる業者の実情でございますが、北海道からこちらへ木材を輸入するのに、去年、生鮮食料品の、たしかそのときであると思います。生鮮食料品の割引が廃止せられたと同時に、遠距離の輸送割引料金が廃止せられた。それで非常に困って運賃元払いで送ってもらっておるという話をしておりました。また、去年の年末にはなかなか配車してもらえぬで、しようがなしに船でもって木材を引き取りに行ったということでございます。また、鳥取県から栃材を輸入しておる業者は、これは二年ほど前に、おそらく日通とも関係があるんだろうと思いますけれども、丸太の太いやつには特別に割り増し料金をもらわにゃいかぬということになって、運賃が高くついて自動車便に切りかえた、それでことしの初めだったと思いますけれども、運転してきた自動車に乗りまして、自宅から離れた木材置き場へ行った帰りに、土手の上から川へころげ落ちて奥さんが非常なけがをしたという話をしておりました。これは国鉄が利用できないので、無理をして長距難トラックで運転してきて、その疲れから明け方起こした事故でございます。  なお、この三例から見ましても、ほとんど私たち中小業者の荷物が国鉄を利用できないような状態でないかと思います。  六番目の例は、元山駅の無人化反対の運動とその後の経過についてでございますけれども、予讃線の元山駅というのは、一日の乗降客が八百人以下ということで、おととしの暮れに無人化にするという通告を受けたわけです。それで町をあげて、それでは困るということでお願いをしまして、調べたところが七百名だ、あと百人でこれを切ってしまうのは非常に気の毒だということで民間委託にした、現在、非常に年とった人がそこでお仕事をなさっておって、耳が遠うてちょっと不便だ、なお、荷物の受付が八時から五時までであるので、八時前に持っていった人はそこで待っておったり、あるいは最寄りのほかの駅へ持っていって非常に不便であるということを話しておりました。  第七例は、新幹線との接続についてでございますけれども、終の新幹線で岡山へ来て高松へ着きますと零時四十五分ですか、そのころに高松に着くわけですが、予讃線はそれに連絡した列車がございますけれども、高徳線の場合は、四時何分かまで接続した列車がないという状態が出ております。それで東京から帰られた方が高松でうろうろしておった、こういう例がございます。  私は、運賃値上げがこのような不便や不満の解決に回されることを期待しとったわけでございますけれども、だんだん資料を調べていくうちに、期間中に十兆五千億にのぼる投資が主として新幹線貨物の大量高速輸送につぎ込んで、国鉄収益率の高い新幹線と大企業のための貨物輸送中心の輸送機関にかえようとしておるものであり、逆に中小の荷主とか通勤輸送ローカル線の軽視につながる計画であるというふうに考えるに至りました。しかも、累積赤字が十年後に現在の倍になるというに至っては、私たち商売人の感覚としましては、とても財政再建といえる計画ではないというふうに考えます。  さらに、看過し得ないのは、国鉄二兆四千五百億円の企業努力の中身が、国鉄労働者十一万人の人員削減し、しかも国鉄業務量を五十七年度には現在の二三〇%に拡大するという内容で、新幹線でも在来線でも続発しております事故がさらにふえ、多くの駅が貨物取り扱いを廃止したり無人駅ができるという、利用者へのサービスの低下を来たすことは免れないと思います。私は、国鉄を真に公共の福祉のための国鉄にするために、何よりも大企業本位のばく大な設備投資をやめること、国民にとって真に必要建設費は、原則として一般会計から支出することを主張します。  最後に、今後の審議にあたりまして、審議に必要な資料を洗いざらい提出して、国民の合意を得るまで徹底審議することをお願いいたしまして、私の意見陳述を終わります。
  423. 加藤座長(加藤六月)

    加藤座長 ありがとうございました。  次に、八十川睦夫君にお願いいたします。
  424. 八十川睦夫君(八十川睦夫)

    ○八十川睦夫君 八十川でございます。  結論を先に申し上げますと、先ほど来反対の陳述の中に、三人の方すべて述べられてました物価問題に関しましては、今度の法案でいささか疑問点が残りますけれども、今度の国鉄再建についての負担の問題、これは私から見てほぼ公正なものと思いますし、今度の再建計画というものの積極的な意味というものを高く評価して、原案に賛成したいと思います。  いままでの原案に対する反対意見、私テレビも拝見さしていただきまして、要約しますと三点になるんじゃないだろうか。一つは、これが、長期計画がはたして長期計画たり得るのかどうか、ほんとうに効果があるのか、実現可能性どうなんだ、そういうふうな批判。もう一つは、旅客運賃黒字でもって貨物運賃赤字を補てんしている、これが大企業に奉仕するような運賃体系である、こういう批判。もう一つが物価問題といいますか、インフレ抑制ということが強く要請されている時期において、四回もの値上げ計画の中に組み込むこと自体おかしいじゃないか、こういう御意見、この三つだったと思います。その三点を中心にしながら、私の賛成意見を述べさせていただきたいと思います。これ三点を個々に取り上げてというんじゃなくて、私の論述の間にまぜこんでいきますので、その点はちょっと未整理で申しわけないと思います。  まず、国鉄のことに関しましてよくいわれるのは、公共性ということと企業性の問題なんですけれども、国鉄公共性という意味がこれが非常にあいまいであって、ややもすると社会福祉的な要請も公共性の中に混同されているんじゃないだろうかという気がします。社会福祉というのは、本来はこれは社会的に弱い立場にある人、これを余裕のある人が助けると、そういうことが本来の趣旨なんです。そういう点の社会福祉と、それから、もっと別の、いま大きく問題になりますのは国土の有効利用、こういうために企業性をある程度犠牲にしなきゃいけない。あるいは環境保全のために採算制を度外視しなきゃいけない。あるいは、いま起こりつつあろうとしてます資源問題、これに日本の経済全体が対処するために、ある程度国鉄が犠牲を払わなくちゃいけない、こういう面、これは社会福祉とちょっと次元が違います。私は、この点はっきり分けて考えていきたい。私は、後者のほうを公共性と呼びたい。この公共性があるがゆえに、国鉄企業性と両方を追求していきながらも、どちらにも徹し得ない点があるのじゃないだろうか。社会福祉ということはあまり考えてはいけないと思います。というのは、あとで述べますけれども、利用者負担の原則という一つの理念がありますが、負担能力が十分ありと私は判定しております。むしろ私疑問に思っているのは、ちょっと話が横にそれますけれども、社会福祉ということ、これをもし表面に出すならば、国鉄が今後老人とかあるいは身障者に対する何かの割引を考えるとか、それから、いまの学割り制度なんかを発想をかえまして年齢割引にかえるとか、そういうことが必要じゃなかろうか。学生割引なんですが、僕は学生割引反対なんです。学生というのは、これはいわば特権階級でして、同年齢の経済的に恵まれない人、それから生まれつきの遺伝的素質に恵まれない人、そういった人が大学へ行けずに営々と働いている、片一方でそういった国の費用によって勉強できている。しかも、それが将来社会の幹部になっていく、つまり将校、片一方は永久に下士官でとどまらなくちゃいけない人が営々と働いている。そういった将校になるその急行券を得ているものになおさら特権階級の特権を付与するなんてことは、これはちょっと話の筋が合わない。しかも、このために窓口業務がかなりふえてます。こういったところに何か公共性というものの解釈があいまいであるばかりに妙な発想が出てきているんで、この点ぜひ考え直していただきたい。  それで、今度企業性なんですけれども、私の申します企業性というのは、国鉄の場合には決して片一方の私の申しますような公共性との関係において、完全な独立採算ではこれは運営できないものです。国鉄に要求される企業性というのは一体何なのかといいますと、ちょっと普通企業の場合とは違いまして、いわばフィロソフィーみたいなもの。その一点は、民間企業で働いている人の、ほんとうにはだで感じているようなきびしさ、あるいは責任の重さというもの、これを国鉄側が身につけることが一つ。  もう一つは、科学的な経営管理の姿勢、あるいは業務の遂行、ほんとうの意味での科学的な、エモーショナルな面じゃなくて、科学的な思考ができるということ、これが国鉄に要求される企業性じゃなかろうか。この意味で、この企業性というものを育成する意味で今度の国鉄再建計画とのかかわりあいを見ますと、反対意見の中でよくいろんな政府側の補償というか、これはどんな形になるか、個別補償になるのか、あるいは赤字の補てんか、いろいろありますけれども、すぐ政府がめんどうをみるべきだ、国が何とかするべきだ、こういう意見がすぐ出てくるわけです。多分にスタンドプレー的な面もありますが、これはまた日本人の精神構造に帰りますけれども、これも変なところがございまして、何でもお上が悪いという形の発想、これが責任が一体どこにあるか、責任の所在を不明確にしているという悪い現象をもたらしております。  それでこの際、国鉄側がいま作成しております十年の長期計画、これを一応実行していって、この計画が私完全なものとは思っておりません。しかし、また国鉄が積極的にこれを自分の都合のいいように数字をごまかしてつくったものとも思われない、一応妥当なものができているだろう、現在得られる情報の範囲内において。これは必ず将来、予測とそれから実績値の間にズレが起こります。そのズレがどういう形で起こるのかということを比較対照するちゃんとした計画があるわけです。そこで原因を追求しながら、将来の交通体系の中において国鉄がどうなくちゃいけないか、特に、国の補助なり形がどうあるべきかということを科学的に分析する材料がここに初めて整ったわけです。それでいままで非常に国鉄は気の毒な立場にありまして、赤字だ、赤字だ、立て直しをしろ、立て直しをしろと、だけれども、片一方の運賃をいつ上げてくれるのかという保証が全然ない。国鉄のいら立ちがあるわけなんです。運賃問題は、いつも政争の具に使われていまして、あやふやな立場においてしりをたたかれると、そのいら立ちが経営側にも、それから組合側にもあらわれてきて、いろんな問題が発生しております。いまだこういった十年という長期の計画、しかも四回にわたるこういった運賃の値上げという保証のついた計画のもとに国鉄が経営されたことがないわけなんです。行き当たりばったりで、回りでわいわいつつくばかりで、非常にこれは気の毒な立場にあったと思います。初めてこういうふうな長期計画ができ上がった。それがまた政争の具に使われて袋だたきにあって一度流れたというところ、私は非常に同情的な立場にあるわけなんです。とにかく一度やらしてみたい、やる過程において将来の国の補助というものを考えて、どれだけが利用者負担すべきものか、国が補助すべきものか、それから国鉄の努力によるべきものか。三本の柱といわれてますが、それを評価してみようじゃないか、評価のいい機会だと、こういう意味で一度実施したいということで原案に賛成します。  と同時に、さっき言いかかったんですが、こういった再建計画にわれわれ国民利用者として運賃を負担するという形で参加するということ自体、これ非常に大切なことなんです。すべて親方日の丸でお上がやっているということ、これでは戦後の日本というものが草の根民主主義ということを前提にしながら、精神構造の上ではそれが育ってない。何でも親方日の丸でやってきたと、エリート指導型というほめことばもありますけれども、国鉄の問題に運賃という形でわれわれは参画するといろこと、これ自体かなり意義があると思うんです。これ一時、NHKの受信料の不払い運動なんていうのがありましたけれども、一体NHKの経費を政府からまるまる出すということになったら、どんなおそろしいことになるか。そういった問題に対する疑問というのは新聞なんかに出てこなかったです。ああいったところに日本人の根本的な欠陥がある。負担することについてわれわれは発言するんであって、積極的に意味があるじゃないか。私は、これも少し声を大きくして叫びたい。  しかも、この負担なんですが、ちょっと負担のほうにいきますけれども、大体過去の十年間の国鉄運賃の動き、これは連続的じゃございませんで、段階的に値上げされてきましたけれども、これを年率平均にしますと八%程度です。これに対しまして物価指数の動きは六%ぐらいの値上がり、これは消費者物価指数。それから、賃金係数のほうは大体一三%ぐらいで上がってます。そこに物価六%で上がっているのに国鉄の運賃が八%の率で上がっておる。これけしからぬじゃないか、こういう御意見もあると思いますけれども、元来、交通産業というものは、これは労働集約的でありまして、急に生産性をあげるというわけにいかない。一番極端な例をとりますと散髪屋さん、これ一時間に一人しか散髪できない。国民の所得が倍になれば散髪の料金が倍になるのは、これは当然なんです。物価値上がりの中で上がるのが当然だという物価も、これもあるということを消費者の皆さんは知っていただかなくちゃいけない。それからいきますと、物価六%の値上がりに対して国鉄八%の値上がり、これ決して高いものじゃないということ。しかも、賃金指数のほうは一三%上がってきていると、五%分だけはこれは楽になっているわけです、負担が。  これをまた別の面で、家計支出の中で国鉄旅客運賃にどれだけのものが支出されているかという比率なんですが、過去十年間ばかりちょっと調べてみますと、大体八%前後のところ、改定のたびにぽんと上がりまして、大体横ばいとみていい。だから家計の中での国鉄運賃負担というのは大体横ばいなんです。横ばいであるにもかかわらず、国鉄の運んだお客さんの人キロ、これは伸びてます。だから家計の中における負担が同じであるにもかかわらず、たくさんの旅行ができているわけです。たくさんのトリップ、より長いトリップができているということは明らかにこれだけ負担が軽くなっているという、これ数字的な事実なんで、これはどうもこうも批判の余地がないと思うんです。こういうことを考えてみますと、将来の十年間に二・二二倍ということ、四回もの値上げで二・二二倍というと、何か大きいような感じがするんですけれども、これを複利の計算でいきますと八・三%、で、この間に国鉄は大体一二・三%程度人件費値上げを予定しておられる。そういったものに対して八・三というものがほんとうに不合理なものかどうかということを考えてみますと、これはほぼ妥当な線じゃなかろうかというように思われるわけです。  ただ、最初に申しましたように、物価問題というのはきわめて心理的な要素を多く含んでおります。心理的な影響が大きいし、また便乗値上げの危険性、これも私否定できないと思います。こういう点で政府側が慎重な態度をとってもらいたいのと同時に、消費者の側も物価物価ということをあまりいら立たずに、所得政策との関連性のもとに、ほんとうに科学的に経済をみてもらいたいわけです。今後、物価が上がる、つまり普通インフレといってます。インフレかどうかわかりませんが、物価が上がることはこれは避けられません。絶対に避けられない。どんなに国がりっぱな経済政策をやろうと、これは避けられないんです。この一つの徴候が資源問題にあらわれております。今後、原料高の製品安という形で日本の経済が圧迫される、これは明らかなことです。そうしますと、そこの日本全体の所得の伸び率の縮小がどんな形であらわれるかといいますと、コストインフレといいますか、片一方の賃上げのプレッシャーが大きいと、賃上げ幅を同じに保つとすれば、片一方物価のそれのほうでカバーして、実質所得の上昇の幅が縮まってくるのはあたりまえのことです。これはもっとわれわれりこうになって、賃上げ幅のほうでわれわれが自粛するということできますけれども、これおそらくできないでしょう。そういうこと不可能だと、今後も物価上がります。上がるけれども、所得政策との関連性において考えていただきたい。  それで、ここでちょっとまた話がそれますけれども、いまの所得政策をも含めた物価問題で一番犠牲になっているのは年金生活者、それから、何というか、退職金なんかの定期預金で、そういったもので生活しておられる方、これは物価値上がりのもろのあれをかぶっているわけです。被害をこうむっている。現に働いている者はそうじゃないんです。実際のところいえば、もろにかぶっているのはその階層、これに対する政府側のいままでの施策というものは貧弱だった。これはっきり申し上げますと、老人というのは保守的でわれわれの味方なんだと、ちょっと甘く見過ぎていた。ところが、最近いろいろ年寄りの方と話しますと、背に腹かえられないと、私は保守的なんだけれども、どうもその点だけは、老人に対する所得政策の面だけは、政府のやり方というものに納得しかねるという声がだんだん強くなっております。こういった意味で、そういった所得政策とからませて物価問題を総合的に考えていただきたいということを条件にしまして、賛成意見を陳述いたしました。
  425. 加藤座長(加藤六月)

    加藤座長 どうもありがとうございました。  次に、吉田寛君にお願いいたします。
  426. 吉田寛君(吉田寛)

    吉田寛君 吉田でございます。  意見を陳述申し上げますが、基本的に反対立場でございます。  理由を申し上げますが、まず若干のポイントを取り上げますが、いままでの賛成意見を見ておりましても、受益者負担の原則というのが出てまいりましたが、そういう受益者負担の原則に基づく独立採算経営、そういう方針が国鉄に妥当するかどうか、このことを考えてみたい。  日本国有鉄道の昭和四十六年の監査報告書を読みまして、その中の総説にこううたってあるわけです。「国鉄は、国民生活基礎をなす輸送機関として、国民一般に交通の便益を提供する責務を有するものである。」これは国鉄が社会的サービスを提供しなくてはならぬということを正当に認識していると評価できます。ところで、そういうことは国鉄が営利原則に立脚し得ない、そういうことを意味していると思います。受益者負担の原則によって独立採算をとるということは、国鉄経営に本来なじみません。国鉄は、輸送という社会的便益を国民に提供する責務を持っておるのですから、国鉄による輸送サービスというのは、教育であるとか、医療であるとか、住宅政策であるとかとともに、国家の行政サービスとして位置づけられなくてはいけないでしょう。国民に低廉な価格で提供されるべきものであるはずです。小中学校、高等学校から、さらには国立大学に至るまで受益者負担の原則をとっているでしょうか、そういうものはとっておりません。国及び地方自治体というものは、そういうものを実施できないことを明確に認識しているわけでございます。これが大学における授業料値上げ問題でも社会問題になっておる証拠でございます。住宅政策にしても、今日の物価高騰のために社会問題が生じております。この上、さらに国鉄運賃値上げしますと政治不信が生じます。そうすることは政治を預かる方々のやるべきことではないと思います。もし、それをやりますと、民生を破壊すると私は危惧せざるを得ません。これが第一点でございます。  第二点は、運賃値上げを伴う赤字経営の是正と再建方策の間には矛盾があるということを指摘したいと思います。  さきの監査報告書によると、国鉄の負債資本の合計に対する負債の割合は八八%、営業収入に対する人件費の割合は六七%です。しかも、この傾向というものは慢性化している。昭和四十年以来連続して赤字であるという資料が出ておる。こういう状態では通常の営利企業であればすでに倒産であります。また、経営者はその責任を問われているはずであります。運賃値上げ賛成論は、こういう事態を賛成論の一つの根拠としておられます。  しかし、ここで考えてみたいことは、赤字だから黒字にするために料金を値上げすべきだという単純な論理は誤っているということであります。国鉄は、先ほど言いましたように、国家の行政サービスの一部であります。その存在理由というものは、低廉で効果的な輸送サービスという社会的指標によって評価されるべきであります。自衛隊の国防費を独算制で評価しようとしたことがあるでしょうか。軍事予算というのは防衛努力によって評価される以外にはありません。国鉄輸送サービスという物量的な社会的指標によって評価されるべきであります。つまりこれだけ赤字を出し、債務超過でなければ経営できないということが実証されているものは、本来独算制になじむものではないということの証明だと思います。こういうことは再建策なり、将来計画における資本需要の膨大なことをみても明らかであります。国鉄は、社会資本として掲載されるべきものであって、営利資本として受けとめられるべきものではありません。国鉄経営発想をすべからく転換していただきたい。赤字という事実、債務超過の事実、膨大な資本需要があるという事実、これがそれを証明しておると思います。  第三点、国鉄運賃値上げ民生を破壊する要因ではないかと、こういうことを申し上げます。  国鉄運賃は、言うまでもなく公共料金であります。したがって、これを値上げすることは公共事業主導型の物価騰貴を招くことは事実であります。今日は、諸物価の軒並みの高騰でわれわれの日常生活はきわめて苦しいものです。国鉄運賃値上げすると、それはさらに加速されます。そして社会不安を招くと思います。心理的要因ということを十分考慮すべきであります。かのケインズの経済理論でも心理的要因というものが十分に考慮されて構成されております。  第四点は、自由競争原理による運賃体系の設定は、国鉄には妥当しないということを申し上げます。  輸送サービスの自由選択の可能性が国鉄利用者に存在するでしょうか。わずかな都市交通を除いてその可能性はございません。したがって、国鉄運賃の据え置きによって私鉄経営に脅威を与えるという心配も不要でございます。もし、そういう理由によって国鉄運賃値上げするとすれば、国鉄運賃値上がり私鉄運賃値上げを誘導するということになります。このことはわれわれがすでに経験している事実でございます。また、運賃体系の設定について、しばしばフルコストをカバーしなさいということがいわれます。これは国鉄には当てはまりません。申し上げましたように、国鉄は行政サービスであって営利企業体ではあり得ないものなのであります。  第五点は、国鉄の経営体制の変更こそ急務であるということでございます。  今日は、通常の営利企業でさえもが社会的貢献指標をつくらなければならないと思っております。財界がみずからそういう音頭をとっております。社会監査が試みられようとしております。国鉄は、このことをどういうふうに受けとめようとしているのでしょうか。社会的貢献は、国鉄にとって安くて安全で迅速な輸送以外にありません。このことは、国鉄利用者としての国民一般に対し国鉄の負う責務であります。したがって、国鉄の経営は国民一般とより深く結びつくものでなければならないと思います。そういう意味においては、大企業、あるいは財界依存型の経営体制を改めて、広く利用者の参加を求めるべきだと思います。運賃値上げを認めることが利用者国鉄への参加では全くございません。この観点からしますと、国鉄労働組合の主張しております国鉄経営会議は非常に望ましいものだと思います。もっとも実際の実施にあたっては、十分慎重に検討しなければならないことがあるのは言うまでもありません。ところで、現実はますます商業主義、営利主義の色彩を強めております。監査報告書を見ましても、規格商品ということばを使っております。そういうふうにして営利を追求するという方向に転換しているのはまことに残念。そういうことは国民不在の経営を指向していると思わざるを得ません。そういう営利企業発想を捨てて、行政機関としての国鉄立場を再確認していただきたい。運賃の改定は、この機関によってまず慎重に検討していただきたい。  以上によって、今回の国鉄運賃値上げには残念ながら反対申し上げます。
  427. 加藤座長(加藤六月)

    加藤座長 ありがとうございました。  以上で御意見を述べられる方々意見の開陳は終わりました。  この際、午後一時まで休憩をいたします。    午前十一時三十分休憩      ————◇—————    午後一時一分開会
  428. 加藤座長(加藤六月)

    加藤座長 休憩前に引き続きまして会議を開きます。  派遣委員質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。阿部喜元君。
  429. 阿部(喜)委員(阿部喜元)

    阿部(喜)委員 たいへん皆さん、貴重な御意見を聞かせてもらいまして、いろいろ考え方、立場等で意見の異なる方もございますが、これはやむを得ぬところでございますが、いろいろ参考になる点が多々ございまして、感謝をいたしております。  与えられた時間が十五分間でございますから、私、一、二点だけ申し上げたいと思いますが、発言の中に、運賃値上げによって何か新幹線をはじめ、投資に使うような印象の発言がございましたが、大体この十年計画で約八兆円の増収がございますが、この十年間にベースアップが約七兆五千億、わずか五千億しか差がないわけです。われわれ自民党は、どろをかぶってこの運賃値上げに取り組んでおりますが、支払われるところは七兆五千億というベースアップに大体大半いってしまうと、こういう事実をよくお考え賜わりたいのでございます。特にスト権奪還というようなことを言われておりますが、日本の鉄道の名のつくものにおいて一年間に輸送される人は百五十億人でございます。アメリカは十八億、西ドイツは十二億、ちょっとアメリカや西ドイツとは、日本のこの輸送機関の構造というものは性質が違うのでございます。そういう観点から今日、昨夜ニュースで皆さんごらんのとおりのような闘争をやっておりますが、大体一年間に百二十六日ストをやっております。三日に一回やっておるわけですが、四〇%これでいろいろ物価が上がっておるというふうに聞いておりますけれども、こういういまのような手段、方法についてどうお考えになるか。皆さんから御答弁を賜わると時間がかかりますので、八十川先生にひとつお願いをいたしたいと思います。  第二点、私は皆さんと同じ四国の生まれです。愛媛県第三区の選出の阿部と申しますが、新幹線についていろいろ言われておりますが、騒音の問題とかいろいろ問題を提起いたされておりますが、残念ながら四国新幹線が橋の関係でまだきまっておりません。新幹線の宣伝ではございませんが、大阪−東京の新幹線が三千五百億円、これをひとつ御認識願いたいのは、いまちょうど五億人運んでおります。大阪−東京間が昔は十二時間だった。私たち学生時代は十二時間乗って行った記憶がございます。新幹線のできる前は八時間でございましたが、かりに十二時間から、いま三時間ですから、九時間の時間の節約を考えますと、一時間労働賃金五百円に換算いたしますと、三千五百億円かかりましたけれども、現段階においていわゆる二兆円の金を国民に還元をしておると、なかなかひがんでものを見ますといろいろ見方もあろうかと思いますけれども、速くていいなと言うとっても、なかなか人間というものはぜいたくになればなるほど欲求不満が起こるのだろうと思いますけれども、われわれ運輸に取り組んでおる者、また国鉄の苦悩、営業方面からいけば赤字路線なんかこれは廃止すべきですが、なかなかこれは廃止できない。こういうことをわれわれは考えておりますが、私は特に新幹線の価値を考えますときに、三番目の方でしたか、南予レクリエーション基地という話もございました。また、ストの後遺症が一週間かかると、これは四国の特異性だろうと思います。きのうわれわれ飛行機に乗ってきましたが、四国がおくれる一つの原因には、天候のかげんでフェリーが年間六十日ストップするように聞いております。そこらにもわれわれが本土におくれる理由がある。南予レクリエーション基地にしましても、一日十万人と言いますけれども、橋がかりにできたとしても、日本はいま完全雇用で、運転手のなり手がない。やはり大量輸送四国新幹線にあらざればほんとう四国の発展はない。われわれの子供や孫のために四国新幹線の実現をはかりたいという希望を持っておる一面、きょう県庁にまいりまして、副知事さんに私冒頭聞いたんですが、観光のほういかがですかと伺いましたら、岡山まで新幹線ができましたので、一二%でしたか、観光客が一二%ふえましたと、こういう話を承りました。北海道はもう新幹線用のトンネルを掘っております。北海道五百万、われわれ四国四百万、気候があたたかいから、ほんとうはこれは四国から先やるべきだったと思うんですが、そういうことでやはり九州からトンネルで四国へ渡って本土につなぐ新幹線というものは、一番これは大切なものでなかろうかと、この四国新幹線に対して皆さんひとつ、これは全員賛成反対か、御意見を承りたい。  いろいろおられますから、この二点を申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。  失礼をいたしました。
  430. 八十川睦夫君(八十川睦夫)

    ○八十川睦夫君 第一点について、私の考えを述べさせていただきます。  その前に、休憩中に私の発言について注意を受けたことがあるんです。それは、国鉄が今回初めて長期の計画のもとに経営の立て直しをやっていると、長期計画というのは四十四年現在にもあったじゃないかというような、これ私ちょっと口が足りなかった点ですが、私が申したかったのは、国鉄公共性企業性という両方の要請からして完全な独立採算制はあり得ない、やはり再建計画に必要な費用というものは国が負担し、かつ利用者負担し、それから国鉄経営努力もそれに加わるという、そういう合理的な形の長期計画でなくちゃならない。そういう合理的な長期計画、その合理的なということばが抜けていまして、誤解された向きがあるんじゃないかと思います。  今度の長期計画で初めて国が、数字的には皆さん方のほうが御存じだと思いますが、この国鉄公共性ということを重視しまして、大幅な援助を行なっております。この援助の内容につきまして、この性格があいまいじゃないかとか、あるいは再建計画の十年実施後にもかなりの累積赤字が残るじゃないか、あるいは長期負債が残るじゃないか、いろいろな批判がございますけれども、この十年間の計画の後に国鉄の収入に対するいわゆる長期負債の利息負担というものは低下してまいります。一三%から一〇%ぐらいに現に低下してまいりますし、それから、その長期計画の間にこういった長期負債を全部消してしまうと、累積赤字をなくしてしまう、これは暴論でございます。それで、その時点において、そうしたら今度国鉄のその公共性という要請にこたえるためには、どういう負担の体系にしなければいけないのかというのをそこで初めて議論し得る。つまり国鉄が自己の責任を果たし、生産性を向上し、それから、いろいろな遊休施設の利用もはかった時点で、それが実現した時点で議論すべきことを、いまの段階に持ち込んでいるという矛盾があると思うんです。それで、この点国鉄のほうでは、パンフレットの中に四本の柱というような形で出ています。この三者の負担国鉄側の企業努力、それから利用者負担、それから国の援助というもの、これを総合して考えまして、先ほど申し上げましたように、利用者負担、決してこれは過重なものじゃない。きわめて合理的なものだ。国の負担というのは、これは結局は国民の税金でまかなわれる。国民の税金でまかなわれる部分と利用者でまかなわれる部分と考えてみますと、これは国鉄を現に利用する方が負担する、一人当たり負担する金額というのは、単純な計算でも、国民が税金で負担する額よりも低いわけなんです。むしろ、ですから、国のほうが利用者より多く肩を持っていると、それだけに本腰で今度国鉄に経営の改善をやってくれ、それだけのことをしているんだから、やってくれと、そういう意味の合理的な計画が初めてここでできた。われわれはこれをいまさらこまかいところをつついて、流してしまうというのは非常に惜しいことなんで、あくまでもこの線で押し通して、そして、その後数値なんかの科学的な分析によって今後の費用負担は考えていったらいいじゃないか、こういうふうに考えます。  以上で答えになりましたでしょうか。足りないところがありましたら、申し上げたいと思いますが……。
  431. 阿部(喜)委員(阿部喜元)

    阿部(喜)委員 ストについてどう思われるか。
  432. 八十川睦夫君(八十川睦夫)

    ○八十川睦夫君 ストライキの件、これは私も合法性、違法性というようなところになってきますと、はっきりした解釈はしかねますけれども、これは一つは、やはり国鉄側のいままでの再建計画というものが国の明確な援助なしに、ただ単に合理化と、それから利用者負担運賃値上げを通じての利用者負担というような、主としてこの二つの形で問題が国鉄に投げかけられた。こういう無計画計画と言いますか、無計画性からくる国鉄のほうのいわゆるいら立ちと申しますか、どうしていいかわからない。自分の責任は一体どこまでなのかということがはっきりしないような形で進められてきましたことで、やはり労使双方にかなりの反省すべきような点が出てきた、そういう点で今度の紛争につきまして、全くストライキ側ばかりも非難できない、そういうふうな気がいたします。で、そういう点で、この計画にもっと積極的な意味を持たして、今後やっていただきたいと、そういうことです。
  433. 加藤座長(加藤六月)

    加藤座長 ありがとうございました。  これから先ほどの阿部委員の御質問に対して意見陳述人の皆さん方にお答えをいただくんですが、大体一人当たり十五分、往復で十五分ということにいたしておりますので、なるべくお答えをいただくのを簡潔にひとつお願いいたしたい。全員委員さん方の均等な御質問時間をとりたいと思いますので、よろしく御協力のほどお願い申し上げます。  それでは茂野さんからどうぞ。
  434. 茂野博光君(茂野博光)

    茂野博光君 私、午前中申し上げましたように、四国の生活圏がだんだん広くなっておる現在、盛んに四国の強い要望として現在申請中でございます。本年度から順次着工という形を期しておりますけれども、それまであれこれと何とか地域格差を是正してもらうような設備その他の御配慮をいただきたい。基本的には、なかなか個々の設備投資、あるいは改善だけでは基本的に改善できないものがたくさんあるんです。つきましては、はなはだ簡潔な御返事になりますけれども、ぜひ十年先と言いませんで、むしろ五年、あるいはもう四年、五年のうちに、技術的に可能であれば、大賛成でございますので、早急にかかっていただきたい、それが私の答えです。
  435. 谷上典之君(谷上典之)

    谷上典之君 いま瀬戸大橋架橋という話もございました。あそこまでは岡山から延びてくるんでしょうが、そこを出て四国島内へ上がった場合に、そこからローカルに乗るというのは全く不自然なわけですから、そういう意味では私も新幹線敷設には期待を持っています。ただ問題は、やはり料金による大衆負担、このことについては、そこから何か資金を生み出してと、そういう計画ではなくて、もっとほかの計画を、午前中も御主張申し上げてありますので、そういう方向で考えていただきたい。
  436. 藤井義孝君(藤井義孝)

    藤井義孝君 私も地元の一人として、ぜひとも新幹線をつけていただきたいと思うわけですが、まずそれ以前にやはり本州のほうの、本線のほうの改善も必要ではないかというふうに考えております。現在の新幹線もここ数年先にはパンク状態ではないかというふうなことも出ておるようです。また、今後自動車増大、そしてその中で道路網も従貫道路、横断道路というふうなことで言われておりますが、やはりこれからの交通体系を考えた場合には、ぜひともそういう線路による輸送力、やはりこれに変わらなければならない、そういう感じがいたします。そういうことからも、ぜひとも新幹線網四国へも乗り入れていただきたい、かように思います。
  437. 平野理君(平野理)

    平野理君 先般ドイツへ行きましたときに、向こうの商売人がこちらへまいりまして、日本の新幹線すばらしいということを言っておりました。私も四国におる者として、ないよりはあったほうがずっといいわけですが、資料を持っておりませんが、午前中にお話しましたけれども、先般予讃線を利用しておる人に会ったときに、四国の予讃線を走っとる特急と急行はわりかたすいとる、これはその人が言うたんで、はっきりわかりません。これは全国的な立場で見て、非常な負担になって、また大きな赤字をかかえるということになるのであれば、考えなければいかん問題ではないかと思います。  以上です。
  438. 八十川睦夫君(八十川睦夫)

    ○八十川睦夫君 新幹線、ぜひこれは建設していただきたいので、これによって長距離の旅客輸送をこちらのほうへ回して、在来線を有効に使いまして、現在のところ四国、いろいろ貨物輸送とか、あるいは短距離の旅客輸送に問題がありますけれども、われわれとしましては、これ新幹線、橋がかかり、新幹線が通るのを待っているわけです。その時点で解決できるというわれわれ住民の気持ちというもの、これを実現のほうへ持っていっていただきたい、こういうように思っております。
  439. 吉田寛君(吉田寛)

    吉田寛君 原則的に賛成でございます。と申しますのは、四国新幹線だけじゃなくて、わが国の国鉄全部をリプレースする時期でございますから、新しい新幹線、全線移しかえていく必要がある。賛成でございます。ただ、財源をどこに求めるかについては別の問題である、こういうように思っています。
  440. 阿部(喜)委員(阿部喜元)

    阿部(喜)委員 どうもありがとうございました。
  441. 加藤座長(加藤六月)

    加藤座長 それでは、次に唐沢俊二郎君。
  442. 唐沢委員(唐沢俊二郎)

    ○唐沢委員 各界の貴重な意見を聞かしていただきまして、ありがとうございました。  私がこれから御質問いたしますのは二つでございまして、また同僚議員がいずれ理由なり御意見を伺わしていただきますので、結論だけ教えていただきたい、かように思います。  その前に、先ほどの御陳述で、私ちょっと気になりました点がありましたので、確かめさしたのでございますが、谷上さんのおっしゃいました、自動車一台運ぶと一万七千二百円かかる、それから、業者が運ぶと四千七百円である、大口優遇ではないかというお話でございました。大体数字はそのとおりでありまして、一台だと一万七千三百円、それから業者がたくさん運んだ場合五千百六十三円でございますが、しかし五千百六十三円は八台を専用の貨車に乗せた場合でございます。そして、これは民間の業者が集めた場合も同じでございます。  それから、平野さんからのお話で、国鉄貨物運賃は高いではないか、名古屋とか東京に運ぶ場合でございますね、というお話がございました。私、いま調べさせましたところ、高松−笹島間五トンの貨物でございますが、民間トラックで二万五千円、国鉄のコンテナで一万六千百円でございます。それから、高松−汐留間が同じく民間トラックで四万二千九百五十円、それから国鉄トラックで二万二千八百円でございますので、これからまいりますと、国鉄のほうが安いわけでございますので、一応申し上げておきます。  まず第一、ストの問題を伺いたいわけであります。  昨日も東京では大混乱をいたしておるわけでございます。実は、昨年国労、動労のスト並びにサボは合計百三十日、一年の三分の一に当たるわけでございます。これによる国鉄の損害が二百八十億といわれております。特に三月五日から十数日にわたりましたストによりますと、国鉄に百億の損害を与えたということを除きまして、八千四百万人の乗客に影響を与えて、九十二人の負傷者も出ておる。さらに一番問題は、物価に与える影響でございます。ストによりまして、一匹のサバが二十八円上がっております。今回の値上げによりますと二十七銭、けたが違うわけでございます。同じくリンゴの場合は、ストによる値上がり分が一個二十円、そして運賃値上げによって今度予定されておりますのは九銭でございます。そういうことで、ストやサボの影響というものがいかに大きいものか、よくおわかりだと思うわけでありますが、これをどういうふうに見ておられるか。このストの中には、沖繩返還協定反対ストというような純然たる政治ストも含まれておるわけでございます。しかも国鉄の収支に占めます人件費の割合でございますが、これは運賃の七〇%を占めておる。非常に大きいわけでございます。今回の運賃値上げの七兆九千億、約八兆ですね、七兆九千億に対して人件費のアップが合計で七兆四千億といわれておるわけでございます。そういうおりでありますので、スト反対だという方があるわけです。ですから、ここでは国鉄当局はもちろんだけれども、労働組合の皆さんも国民負担がかかるんだ、だからこれからはもうストはやらない、サービス向上につとめましょうといって、えりを正すのが筋ではないかというような意見があるわけです。ストが法律上禁止されている違法ストであるということを除きまして、国民に迷惑を与えているという点で、このストに対してこれを容認される、あるいは賛成されるか、あるいは反対されるか、皆さんに結論だけをお伺いしたいわけでありますが、じゃお三方に伺いたいと思います。谷上さんと平野さんと吉田さんに結論だけをお伺いいたしたいと思います。
  443. 谷上典之君(谷上典之)

    谷上典之君 賛成であります。
  444. 平野理君(平野理)

    平野理君 やむを得ないと思います。
  445. 吉田寛君(吉田寛)

    吉田寛君 反対です。
  446. 唐沢委員(唐沢俊二郎)

    ○唐沢委員 次に、代表して吉田先生に伺いたいんでございますが、国鉄がバランスをとることばかり考えておる、しかし、国鉄というものは元来受益者負担による独立採算はなじまないんだというお話がございました。それでは一体どうしたらいいでしょうか。それであるいは合理化をするという方法もある。しかし合理化反対されている方もここにおられました。では支出面ではなかなかむずかしいとなると、収入面だと、それでは運賃値上げか、政府が出せということは、税金を使えということでございますね。結局一般国民負担をするか、あるいは受益者負担なのか、吉田先生のお話では、学校と同じようにお考えになっていらっしゃる。だから、これは政府が全部やるべきではないかというお話なんでございますが、実は運賃値上げと今度政府の出す、要するに税金を使わしていただくんですが、その合計が十年間で十三兆です。一年に直しますと一兆三千億でございます。これを国民で、三千五百万世帯で割りますと、一戸当たりの増加負担が一年当たり三万七千円になる。とっても大きいわけです。これを、じゃ運賃値上げは一切認めぬ、じゃこれを一般会計から出せ、一般国民負担をさせろということがはたしていいかどうか。さっき学校のお話が出ましたけれども、特権階級で大学へ行っている人が運賃を払っているんだと、これを負担するのは中学を出て一生懸命働いている勤労青年にかかるんだ、それではたしていいだろうか。国鉄を全然利用しない人もおるわけです。ですから、やはり半分くらいは国民全部が見ましょう、半分くらいは利用者が見なければいけないんじゃないかと、こういう意見もあるわけであります。特にわが国の場合は特殊事情がございまして、運賃が外国に比べて格安に安いわけです。たとえば日本、アメリカ、西ドイツ、フランス、イギリス、この先進五国でございますが、ここで日本より安い料金というのはアメリカの貨物だけだ。旅客運賃でいきますと、西ドイツなんか日本の倍なんです。一キロメートル当たり日本が四円十九銭、西ドイツは八円六十銭、そういうように諸外国に比べて非常に運賃が安いんだ。そして一般国民負担をかけておると、一そう負担をかけていいか、そういうあれをお含みの上、それでも国民一般負担したほうがよろしいか、あるいはある程度運賃値上げをして、受益者負担にすべきなのか、その点を結論だけ伺いたいと思います。
  447. 吉田寛君(吉田寛)

    吉田寛君 それじゃ申し上げますが、私は運賃をとるなとは言っておりません。今回の運賃値上げに対して反対しておる。その理由は、私が監査報告書で見ましたように、とても運賃値上げを要求できる立場にないんです。満足なサービスをしていないものが運賃値上げを要求するということは全くおかしい。したがって、今回の運賃値上げはできませんというのが一つの理由。  それから、もう一つは、大学と比較いたしましたのは、日本の場合、国鉄は非常に特殊でございますから、したがって、国土開発と結びついた事業なんです。そういたしますと、この膨大な資本需要は一般予算でまかなっていく方向をとるほうが達成できる。スズメの涙ほどの運賃値上げでとてもできるものではないということは、先ほど議員さんもおっしゃいました。
  448. 唐沢委員(唐沢俊二郎)

    ○唐沢委員 そうすると、一般国民負担しなさい、そのほうが好ましいということ、はいわかりました。  次に、谷上さんにお伺いいたしたいのでございますが、国鉄貨物の扱いは大企業優先である。大口の割引をしておるというようなお話があったように考えます。ところで大口割引をしている品目、数十品目ございますが、私、大体知っておるんですが、たとえば石油ですとか、お米ですとか、いろいろあるわけです。こういうものの運賃を割り引かないで、高くなった場合は、これは大企業を経由するかもしれないが、しょせんは、最後は末端の消費者物価影響をするのではないかと思うんでありますが、それは影響するとお思いでございましょうか、それはしないんだというお考えでございましょうか。
  449. 谷上典之君(谷上典之)

    谷上典之君 結論を言いますと、ストレートでそのままいきますと、大口利用者値上げをするとそれは当然影響するんです。しかし、それは大体午前中申し上げましたように、上げないで、むしろ国なりの中からそれを負担していくという方向を求めるべきである、こういうことです。
  450. 唐沢委員(唐沢俊二郎)

    ○唐沢委員 そうすると、それは大口のほうは割引はそのまま続けてよろしい、一般貨物運賃値上げをしないで、その分は国民の税負担でまかなえという御意見ですね。
  451. 谷上典之君(谷上典之)

    谷上典之君 ですから、十カ年計画そのものについて新幹線を直ちにやろうとするところに問題があるんですから、その点だけで大口利用のものを安くするのか、高くつり上げてもいいのかということだけの論点では、私は問題解決はつかない。結論だけ言えといっても、そのことだけでは結論はちょっと申し上げられない、こう思います。
  452. 唐沢委員(唐沢俊二郎)

    ○唐沢委員 もう一問、ひとつ今度は平野さんにお伺いいたしますが、いま、もし私の解釈が違っておったらお許しいただきたいんですが、政府国鉄に金を出しておるんだ、政府国鉄にもかなり金を出しておる、しかし、これは新幹線建設とか、そういう建設に非常に出しておるんだと、これは大企業奉仕なんで、いろいろなしわ寄せを大衆に、たとえば運賃値上げの形でやるのはけしからぬというように私は承ったのでありますが、たとえば新幹線建設、岡山まで延びて一億人が利用しておるのでございますが、こういう新幹線建設や何かが私は国民全般に福祉をもたらすものだと思っておりますが、その点はどういうふうにお考えになっていらっしゃるか。
  453. 平野理君(平野理)

    平野理君 田中総理の列島改造論の中に、工場を全国に疎開をして、その間を有効に結びつけにゃいかぬ。それがためには新幹線建設して、旅客新幹線に吸収して、在来線を貨物輸送に活用するということが述べられております。そういう点から見まして、私はそういう判断をしたんです。
  454. 唐沢委員(唐沢俊二郎)

    ○唐沢委員 そうすると、やはり新幹線にウエートを置くということは、国民のために奉仕するよりも、むしろ大企業に奉仕しておるんだと……。
  455. 平野理君(平野理)

    平野理君 発想根本がそういうところから出てきておるというふうに考えます。
  456. 唐沢委員(唐沢俊二郎)

    ○唐沢委員 そうすると、たとえば東海道新幹線を年間一億人が利用しておるという事実があるわけですが、これはどうごらんになりますか。
  457. 平野理君(平野理)

    平野理君 それは、できれば便利ですから、そちらを利用するのが当然だと思います。
  458. 唐沢委員(唐沢俊二郎)

    ○唐沢委員 時間になりましたので、どうもありがとうございました。
  459. 加藤座長(加藤六月)

    加藤座長 次に、兒玉末男君。
  460. 兒玉委員(兒玉末男)

    兒玉委員 まとめて御質問したいと存じます。  第一点は、茂野さんにお伺いしたいと思うんですけれども、当四国の場合は、非常に仕向け別の貨車がたいへん不足をされていると、こういうことでございますが、その対象となる企業というのは大企業関係なのか、中小企業関係なのか。  それからもう一つは、今回の値上げはやむを得ないという御意見のようでございますが、具体的に申し上げますと、今度のたとえば貨物の制度の場合、いままで最低三十キロの制度の小荷物制度があったわけですが、これが五十キロということになりまして、四国の場合、中小企業なり、先ほど平野さんのお話もありましたが、そういう小口輸送が非常に多いということをお聞きしたわけですが、たとえば今度五十キロの場合、運賃改定は東京−名古屋間で百八十円が四百五十円、比率で約一五〇%、東京−大阪で三百八十円が六百七十円、七六・三%、東京−福岡間で現在の五百三十円が八百九十円、約六四%、こういうふうに非常に中小業者のお送りになる小袋の貨物の運賃というのは非常に高くなるわけです。平均の二四%から考えますと、これは私はやはり影響するところ、きわめて大きいんじゃないかと思うんですが、これらについて、特におそらく企業関係の責任者でございますが、どうお考えになられるか。  それから第二点は、これは八十川先生にお伺いしたいわけでございますが、学生の割引は金持の子弟だから、やらなくてもよろしいと、こういうふうな御意見に受けとめられたわけでございますけれども、私はやはり国鉄の学生割引というのは、中学、高校、大学含めて割引制度をとっているわけでございまして、必ずしも金持ちの子弟だけが高校生であり、大学生でないと思うんですけれども、この点きわめて影響するところ大と思うんですが、これに対する考えと、それから十カ年計画については、この際保証があるんだから、とにかくぜひやるべきだという御意見でございましたが、やはり私は、国民生活への影響というものはきわめて大きいので、国民的な合意ということがきわめて必要ではないかと思う。そうでないと、この計画が国の方針がくりくり変わりまして、今度三回目の再建案でございますので、なるほど私は、やはりあらゆる階層から十分な検討を加えた段階でこの実施に移るべきじゃないか、慎重な配慮が必要だと思うんですが、これに対する御見解。  それから、藤井さんにお伺いしたいわけでございますけれども、四国の場合を例にとられまして、非常に道路関係、他の輸送関係が非常に整備されて、国鉄の占有率というものが狭まってきたと、こういう御指摘があったわけですが、御承知のとおり、今度の国鉄の場合、十年間で輸送増強のため十兆五千億の金を使うことは御存じのとおりですが、反面、道路の場合は今次の第七次五カ年計画では、五カ年間で十九兆五千億という巨大な金を投ずるわけです。そういう点等から考えますと、もう少し国鉄に対する国からのいわゆる出資規模、国鉄の場合は、これは利子を払わにゃいけません。道路の場合は、これは全部一般財源でございますので利子は要らない、こういうところにも今後の国鉄輸送の将来性というものを考えましたならば、われわれ社会党としては、やはり即受益者負担ということをまともに出さないで、こういうふうな総合的な交通体系というものを考えながら、バランスのとれた国家財政の私は活用ということが必要ではないかと思うわけですけれども、特に先ほどその比較を言われました点から、藤井さんの御所見を承りたいと思います。  それから、谷上さんにお伺いしたいわけですけれども、先ほどいろいろとストの件やら労働者の人権のことが指摘されたわけでございますけれども、やはり国鉄は少なくとも赤字に転じてからも学割り、通勤割引、あるいは政策割引、こういう点で約一兆円程度の政策的な割引をやってきているわけです。そういう点を私は運賃割引にかえて、国がその分だけでもこれを国鉄に返していくという趣旨をとれば、値上げの必要はないと思うわけですが、先ほど言われたように、通勤者、通学関係の非常に便利が悪くなっておるという御指摘がありましたが、この際地元の労働関係の責任者でもおいでのようですが、やはり利用者団体を広く糾合されまして、今後の改善関係の組織的ないわゆる中小企業者、通勤、通学生など広範な組織をつくって改善への意向が反映されるように私は努力することが必要ではないかと思うんですが、これについての御見解を承りたい。  以上でございます。
  461. 加藤座長(加藤六月)

    加藤座長 それでは、いま児玉委員から御質問になりました順番にお答えいただきましょうか。
  462. 茂野博光君(茂野博光)

    茂野博光君 お答えします。  第一番は、貨車不足に対しまして、中小各企業の不足分というものをおっしゃいました。われわれは一企業でございますので、よそさまのものがどうであるかということまではちょっとわかりかねますけれども、ただ申し上げますのは、当社の場合も同様でございます。極端な季節輸送不足の場合は、これはやはりトラック、あるいはフェリー、そういうことで不足分はカバーしようとしておる段階でございます。  それから二番目でございますが、比較的短距離の値上げ、これについての御質問でございます。私は、従来から国鉄企業性をとうとぶべきだということを盛んにある半面は言っておるわけです。こういう面から考えまして、現在の設備あるいは輸送形態から考えまして、やはり国鉄輸送というものは、これはもう中長距離に徹底的に依存をしまして、その面でより以上大きく貢献をするということが私は妥当じゃないだろうか、また今後ともするべきでなかろうかというふうに考えております。その辺から御判断をいただきたいと思います。
  463. 八十川睦夫君(八十川睦夫)

    ○八十川睦夫君 まず学生割引のことなんですが、これは私申し上げたのは、経済的なハンディキャップ、それから遺伝的な素質、育った家庭環境、そういった種々のハンディキャップによって大学に進学できない子弟がかなりいるわけです。片一方は恵まれた環境にある者、これにそういった形の学生割引をするということは、不平等をさらに格差を広げているようなものです。これは所得の配分のほうの政策で解決をすべきものです。企業に対する課税だとか、あるいはサラリーマンに対する必要経費、そういうような形で解決をすべきものじゃないか。この不平等の格差を是正するようなものに国鉄はさらに人件費をつぎ込まなくちゃいけないという問題があるわけです。窓口業務とか、私も経験がございますが、学生割引をもらうために、お客さんが四人も五人も並んで待っている。そういう点を指摘した。  それから、第二点については、これは全く同意見でございまして、これは国民全体の合意をもちろん前提とすることでございます。この同意を得るためのディスカッションの段階で、ややもすると俗受けするような面ばっかりが反対意見の中で、そういう俗受けのする議論がよくなされている。ほんとうに核心をついた意見というものから、ややはずれているような気がするんです。つまり感情論だとか、あるいはスタンドプレー的な要因が多過ぎる。もっと建設的な態度で、問題の核心をつくような議論を徹底的にやって、そして一般的な合意を得ていただきたい。その過程に問題があるんじゃないか、そういうことを申し上げたわけです。
  464. 藤井義孝君(藤井義孝)

    藤井義孝君 いま国鉄と、それから道路に対する問題をやるべきであるということでございますが、私先ほどの意見の中でも申し述べたと思いますが、やはり間接的にそれを国民負担すべきか、あるいはある程度は直接利用する者が負担すべきであるか、その辺の限度のところ、私の判断なり、まあまあいま出されておる案が妥当じゃないかというように考えておるわけでございます。これは直接国鉄新線であるとか、今後近代化するとかいうふうな投資につきまして、政府からいま以上の援助をする、あるいは全面的に値上げをしないことによって間接的に税でもって全部われわれ国民負担するんだということになりますと、先ほど唐沢先生のほうからの御意見にもあったと思いますが、実際に国鉄を利用しない者も年間一戸当たり三万七千円もの負担をしなきゃならないというふうなことであります。また、道路国鉄という問題につきまして、道路につきましては、一応設備をしてしまったあとは、われわれが直接車でその上を走ったり、そして歩いてみたりということで、もちろん有料道路であるとかいうことで、また還元もしておるようでございますが、国鉄の場合は、やはり設備しただけでもいけませんし、あとあとこれを何十万という人たちが運営をしていく。当然人件費も年々上がっていくというふうなことから見ましても、現在のような案が私は妥当でないかというような判断をしておるわけです。
  465. 谷上典之君(谷上典之)

    谷上典之君 学割りとか通勤割引の保証を政府がやって、少しめんどうを見たらどうだろうかという、きわめて前向きの御意見を持っていらっしゃるようにおうかがいできるんですけれども、そうなりますと、私は当面出ている十カ年計画そのものを認めた前提に立つんではないかという危惧がいたしますので、当面のやいと張り方式の国鉄救済政策はあまりやらぬほうが国鉄当局のためになるんじゃないか、もっと十カ年計画をシビアに国会の場で詰めていただいて、そんなに日本列島全体を直ちに新幹線を引きまくろうと言わなくったって、いま国民はもっと安心して、ゆとりのある生活を求めているわけですから、そういう方向でひとつお考えをいただきたいというふうに思います。
  466. 兒玉委員(兒玉末男)

    兒玉委員 この際谷上さんに再度お伺いしたいわけですが、先ほど自民党議員のほうから、非常に労働組合のストライキはけしからぬという御意見が出されたわけでございますが、戦後二十数年間の経済成長の陰に、今日のこの高度経済成長の原動力は、私はやはり労働者の力じゃないかと、こういうように認識をするし、同時に先ほど、これから十カ年計画の中で人件費のアップ分が約七兆五千億ということを言われたわけです。しかし、労働者も物価が上がり、生活の足がやっぱりかかっておる以上は、アップはやむを得ないと同時に、逆に政府の案は十一万五千人のいわゆる首切り、これによって二兆五千億の生み出しをしようという計画になっているわけでございますけれども、このような労働者の基本的権利の問題につきまして、谷上さんの立場から、ILO勧告なり等の面からもひとつこの際御意見を承りたい。
  467. 加藤座長(加藤六月)

    加藤座長 兒玉さん、首を切るんじゃないんですから、誤解をしないように、その点はっきりしておいてください。
  468. 兒玉委員(兒玉末男)

    兒玉委員 合理化です。実質的にそれだけ減るということです。
  469. 谷上典之君(谷上典之)

    谷上典之君 かつて私は四国総局に、例の午前中申し上げました高知の問題がありまして、おうかがいしたんですが、その際に、これまた総局の三役の方からまともに聞かれたんですけれども、あなたたちは本気で労働基本権を返してくれと、こう要求しているんですかと、こういうふうな不見識な発言がありました。私どもはうそ気でこんな犠牲を乗り越えてやっているつもりはありませんので、そういう点はこの際申し上げておきたいと思います。要するに、四国総局の三役の皆さんは失言が多過ぎます。  それで問題は、十一万五千人の問題なんですけれども、これはいまの十カ年計画からまいりますと、日本全土には相当の要員を必要とする。そうなりますと、安全性の問題ですから、私は安全性があって、しかも迅速で、しかも国民が便利だということについて何も反対はない。ですけれども、最近でも国鉄の非常な重大惨事というものが起きていますので、私ども利用者といたしましては、十一万五千人必要だという場合には、それこそ労使間でシビアに検討いただいて、それが合意に達した暁には、私は十一万五千人が十万人になってもやむを得ないと思いますけれども、合意に達するまでうんと時間をかけて詰めるという努力をしていただきたいというふうに思います。
  470. 加藤座長(加藤六月)

  471. 梅田委員(梅田勝)

    梅田委員 日本共産党・革新共同の梅田勝でございます。きょうは皆さん方お忙しいところを貴重な御意見を聞かしていただきまして、ありがとうございました。  きょうの意見陳述者の御意向を承っておりますと、賛成反対それぞれあったわけでございますけれども、賛成なさる方でも、かなり条件をつけて、ストレートに政府の言っているとおりでは承知ならぬということで御意見を述べられた点で、昨年とは少し違ってきているというように私どもは思うわけでございます。  そこで御質問に入ります前に、私どもの考え方を少し申し上げて、そしてその上で皆さん方の御意見を承りたいと思うわけでございます。  私どもはまず、いま出ている案につきましては絶対反対でございます。そして、値上げなしで財政再建の方向をとるべきだというのが基本的な態度でございます。  問題は、赤字の原因を解明するということが解決の一つの前提であると思います。現象的には、一つには、旅客黒字なのに貨物は大きな赤字だ、二つには、幹線は黒字なのに地方線は赤字である、さらに三つには、経費と人件費が絶えず増大する、四つには、借金がふえ、金利がばかにならないというような現象がございます。しかし、私どもにとって大事なのは、そういう現象の本質はどういうことにあるかということでございます。私どもはその本質を二つに分けて考えますと、一つは内的要因といたしまして、大企業が主として使っている貨物運賃体系に問題がありはしないか。その特別の営業割引、これは国鉄当局がすでに明細を明らかにしましたものだけで七十六億円に達しております。さらに、過大の設備投資と金利の増大の問題があります。これはどんどんといままで三十二年以来の長期計画設備投資をしてまいりまして、これが借金で行なわれる。借金には当然金利がつくということで、現在でも一日当たりの元利返済が十億円をこえておる、こういう状態は今日の国鉄赤字に悩まされるという一つの重要な原因になっている。さらに、過剰の減価償却も行なわれている。そして、つくられた赤字というものがあるのではないかという問題がございます。  次に、外的な、外からの要因といたしまして、政府がとってまいりました過密、過疎をつくり出す、いわゆる高度成長政策の当然の帰結として、地方線における赤字問題というものも出ているし、大都市における混雑が非常に激しいという問題も出ている。また経費の増大といいますのは、インフレ政策の結果ではないでしょうか。さらに貨物トラックにとられるという問題は、これはずっと、道路の投資に戦後ずっと力を入れまして、先ほども出ておりましたように、現在の長期計画は十九兆五千億も投下されている。このようなモータリゼーション政策のもたらした当然の結果ではないか。このような主として政府が行なってきた、政府の施策の失敗から起こってきた問題が国鉄経営に響いてきているということがございます。そこで、私どもはこういう国鉄財政根本的に解決するためには、何よりも国の財政経済政策の基本を転換するということが大事だ、二つには、国民が必要としている工事費については、国が負担するということ、そしてみずからの政策の失敗から生まれている赤字については、国が当然負担する、この原則の方向で解決すべきだろうと思うわけでございます。  そこで御質問をしたいわけでございますが、先ほども八十川先生は、人件費は、当然物価上昇するんだから、当然値上がりは避けがたいということをおっしゃいました。また一方では、現在の案によりますところの運賃値上げ、こういったものはほぼ公正なものだということをおっしゃったわけでございます。そこで具体的にお聞きしたいわけでございますが、運賃値上げ分というのは約八兆円でございます。ところで十カ年計画の投資計画というものは、十兆五千億でございます。先ほど自民党の委員の方から運賃値上げの大部分を人件費に食われるという議論がございましたけれども、十カ年計画設備投資計画のほぼ八割を運賃値上げ分で負担しているということも数字上言えるわけであります。ですから、人件費値上がりというのは、先生の御議論のように、物価上昇するというのでありますから、これは当然避けがたい、その物価上昇というのはインフレで発生しておるわけでありますから、これは当然政府責任で負うべきだと、こういうことになりますと、負担はほぼ公正なものとおっしゃいますけれども、また国は最小限の負担国民の皆さまにしていただきたいとおっしゃっておりますけれども、しかしながら、国がお出しになっているのは出資金が十年間で一兆五千七百億円でございますし、利子補給をいたしましても二兆五百億円、そして鉄建公団等の分を入れましても四兆六千億円でございます。そうなりますと、はるかに国民負担のほうがでっかい。国は最小限の負担国民の皆さんにお願いすると、三方一両損の故事を持ってきておっしゃっていますけれども、ここらあたりは非常に矛盾するように思うんですけれども、先生はこの点でどういうお考えでしょうか。簡単にひとつお答え願いたいと思います。
  472. 八十川睦夫君(八十川睦夫)

    ○八十川睦夫君 いまの金額の中で、一つは国鉄負担区分、これに触れられてなかったので、これは大体合理化からはじき出されるプラスのもの、それからいま遊んでいます施設、不要な不動産、そういったものの売却益、これにもう一つ増収というものがございます。サービス向上、あるいは施設の充実による増収、こういったものを大体五兆円、これらをのけますと先ほどのような割合になるんですけれども、これを入れますと、大まかにいって国の五に対する国鉄負担が五に、利用者負担が八になる。片一方の入るほうばっかりの政府の八と、それから運賃収入の八といわれますけれども、出るのを防ぐ数字というのも入れなければなりません。そういう点でほぼ、三分の一というのは言い過ぎですけれども、五、五、八という形になる。それで、政府負担の中で、先ほどのお話で工事費五兆の内訳、私が聞いておりますのは工事費の補助、これは利子補給という形で一兆五千万、それから長期債務のほう、利子補給ですか、これが五千三百万、それから利子相当額のこれの貸与ですか、これが一兆ございます。それから鉄建公団の借用軽減と、こういったものを含めまして、これの全体の足し込んだものが、ですから最小限運賃改定の国の八に対して五というものが公正か不公正かというと、これはやはり多次元的に評価しなきゃいけない。その一つの評価の軸というものが、負担がどうかということですね、要するに。これに関しましては、最初の陳述で申し上げましたとおり、利用者負担というものは、いま現在のところ軽減の方向にある。決してこれは過重な負担を要求するものではないと、これははっきり申し上げておきます。  それから、片一方のほうの五兆円と申しますのは、これはやはり、これも二度目の陳述で申し上げましたが、税金からもまかなわれる、その分を考えてみますと、双方比較してみて、これはほぼ妥当じゃなかろうか。これはまあ主観的と言われるとしかたがありませんけれども、私の見方としては、ほぼ妥当だと考えます。急激に国にもたれるということは、かえって国鉄体質改善を妨げる。そういう面に弊害が出てくるんじゃなかろうか、こういうように思います。
  473. 梅田委員(梅田勝)

    梅田委員 物価上昇というのは政府の責任でございますから、国が出資金とか、いろいろな形で利子補給というような形で出しましても、それは政府の責任の帳消しになる部分でありまして、結局新しい再建計画、十カ年の工事計画というものの八割までは国民の皆さんの御負担でやるというのが計画でございますから、そこのところははっきりしていただきたいと思うんです。  ところで、運賃値上げ物価上昇にどういう影響を与えるかということにつきましては、財政法の第三条というのがございますね。先生御存じですか。
  474. 八十川睦夫君(八十川睦夫)

    ○八十川睦夫君 読んでいただきたいと思います。
  475. 梅田委員(梅田勝)

    梅田委員 財政法第三条によりますと、「租税を除く外、国が国権に基いて収納する課徴金及び法律上又は事実上国の独占に属する事業における専売価格若しくは事業料金については、すべて法律又は国会の議決に基いて定めなければならない。」ということで、御承知のようにたばこでありますとか、あるいは郵便料金でありますとか、そして国鉄運賃ですね、こういうものは国会の議決を要するようになっております。ところが、それがきめられましたのは、要するに国鉄運賃というものが国民生活にどれだけの大きなウエートを持つかというところから出発をしております。しかし、現在財政法第三条の特例に関する法律でございまして、基本賃率は国会の議決にかけるが、しかし特急料金とか、あるいはグリーン料金の改定等は国鉄がかってにやってよろしい、ただ運輸大臣の認可を受けなさいということになってきて、先日国会で議論になりましたけれども、約三割の部分を今日料金が占めております。こうなりますと、やはり国会にきちっとそういうことをかけずに、どんどん料金をとっていくと、新幹線をつくりましても、在来線のダイヤは改正して、それに乗らざるを得ないというようなことをやっておりますから、結局実質的な料金の値上げになっていく、こういう制度についてどういうお考えでしょうか。
  476. 八十川睦夫君(八十川睦夫)

    ○八十川睦夫君 運賃以外の料金というもの、これは確かにおっしゃるところ、そういう意味でやや不合理な面もあることは、否定はできないんですけれども、ただやはりある程度国鉄企業性というものを持たせる上で、早急な意思決定、いわゆる需要の変化とか諸条件の変化に対応するような要因というもの、ある割合は残さないことには、これは企業経営意欲すらもそいでしまうようなことになりかねない。そういう弊害も出てくるんじゃなかろうか。両方が、側面がありますので、これはこうすべきだとは言い切れません。
  477. 梅田委員(梅田勝)

    梅田委員 その問題は、やり出しますと非常に時間がかかりますので、一応終わりまして、藤井さんにお伺いしたいのでありますが、民間企業で減価償却をやられておりますけれども、これは税法上何ぼまでの分から減価償却というものは適用になりますか。要するに、資産勘定で経費に落ちるものと、資産として残して、毎年減価償却する分がございますね。あなたの会社では何ぼでやっておられますか。
  478. 藤井義孝君(藤井義孝)

    藤井義孝君 私、ちょっとその点についてあまり……。
  479. 梅田委員(梅田勝)

    梅田委員 御存じないですか。そしたら、茂野さんはいかがでございますか。
  480. 茂野博光君(茂野博光)

    茂野博光君 私は、財務関係はあまりやっておりませんので、金額的には弱うございます。
  481. 國場委員(國場幸昌)

    國場委員 あれは物によって耐用年限というのがきめてあるんですよ。
  482. 梅田委員(梅田勝)

    梅田委員 しかし、少額の資産関係は税法上控除いたしておりますね。それは年額何ぼでございますか。
  483. 茂野博光君(茂野博光)

    茂野博光君 金額的にはわかりません。
  484. 梅田委員(梅田勝)

    梅田委員 経営者の方でございますので、よく御存じだと思いましたけれども、普通の民間では五万円以下の少額のものは経費としてその年に落とせるようになっております。しかしながら、国鉄は百万円以下になっておりまして、駅に備えつけてありますところの切符の自動販売機、これなんかは百万円以下だということで、年々の償却になっております。それから、車両につきましても、いわゆる償却年数が過ぎましても、まだどんどん使うという事態が起こっております。それから、昭和三十六年から償却方式を定額法というのを定率法に変えるとか、あるいは三十九年から取りかえ資産を減価償却でやっていくというような方法をとりましたために、私の計算によりますと、昭和三十六年から四十六年まで五千五百六十二億円の余分の減価償却をして、赤字赤字だと言っておると、この額は非常に大きいわけです。その時点における赤字の約七割に相当しております。ですから、やはりこういった問題につきまして、皆さん方から国鉄赤字だと言っておるけれども、ほんとうかということについて御疑問が出ると思いますけれども、こういった国鉄の経営のあり方について、平野さんから一言だけ言ってください。
  485. 平野理君(平野理)

    平野理君 大きな赤字を生み出した原因は徹底的にやはり出して、それに基づいて論議をしていかなければ、まともな解決ができないと思います。  以上です。
  486. 加藤座長(加藤六月)

    加藤座長 ありがとうございました。  次に、松本忠助君。
  487. 松本(忠)委員(松本忠助)

    松本(忠)委員 公明党の松本忠助でございます。  きょうは六人の意見陳述者方々、公私ともに御繁忙のところ、ほんとうにありがとうございました。  私ども、この再建案に対しましては、反対の態度を表明しておる公明党でございますが、国鉄の幹部が特に口をあくたびに言うことは、国鉄国民の足だと、こういうことを言います。ですから、私どもは再建しなければならないことは当然のことと思いますし、ぜひとも再建したい気持ちは一ぱいでございます。しかし、こうなった赤字の原因、このようになってしまった原因、そしてまた再建するためにはどうしたらいいかということについて、いろいろと皆さん方の御意見を伺ったわけでございますが、私どもこうなりました原因の一つに、国としての総合交通体系というものの確立がなかったという点を非常に残念に思っております。これは全く政府の責任だと思います。それからまた、国鉄の幹部が企業努力がなかった、いろいろ実例をもって申し上げればたくさんございますけれども、その企業努力の欠如というものが今日このような赤字を生んだものだと思います。  さらに、労使の協調という面を私は実に残念に思っておるわけでございますが、御承知のように、いま国労、動労が政治ストを行なっておるわけでございまして、これは非常に東京も混乱をしているというニュースが入っております。こういうことを考えますと、この再建というものが、りっぱな再建案がかりにできたとしてみても、それが実行に移されるまでには何としても労使の協調というものがなければできない、こういうことを私どもは強く強く訴えているわけでございます。そこで、きょうは六人の方の中で、時間の関係もございますので、お三方にだけ御意見を伺いたいと思います。  まず藤井さんにお願いいたしたいと思います。  再建計画の三本の柱の中に国鉄企業努力、いまちょっと申し上げましたその企業努力、これは営業収入の増加、これをもくろむ面が一つ、それから十一万人の人員削減、あなたも先ほど陳述の中で労使間の不和が赤字を生むと、経営の合理化企業努力、増収の努力をはからなければならないということをおっしゃいました。全く私同感でございます。そこで、この現在の労使対立の状況から見まして、国鉄がもくろんでいるところの増収の努力というものがはたして達成できるかどうか。増収が期待できるかどうか。こういう点を私非常に不安に思うわけでございますけれども、あなたはどう思われるか。そしてまた、十一万人の削減につきまして、すでに三万三千人はできているわけでございます。残りの七万七千人、これをやるわけでございますが、これにつきましてもはたして計画どおりいくかどうか。簡単でけっこうでございます。お答えを願いたいと思います。
  488. 藤井義孝君(藤井義孝)

    藤井義孝君 増収についてでございますが、私も賛成意見ということで、当然政府の援助と政府の出資であるとか、金利の負担であるとかいうふうなことのほかに、やはり企業を安定してこそ、初めてサービス面もある程度行き渡るんじゃないか、そういうことによって、やはり増収もはかれるように思います。それについては、やはり財源としては、政府側の援助と、それから利用者負担というものがやはり必要だと思っております。  それと、十一万人の削減をして、企業合理化をはかろうじゃないかということでございますが、これは当然いまの機械化といいますか、いろいろ人間にかわるコンピューターであるとか、そしてまた、いままで機関車に石炭をたく人とか、いろいろそういう機械もどんどん進んでおります。そういうふうな面から考えまして、当然機械化をし、することによってやはりこういう十一万人の削減といいますか、基本的には首切りではないんだ、これから十年間でもってこれだけの合理化をはかると、当然それもしかたがないというふうに考えております。
  489. 松本(忠)委員(松本忠助)

    松本(忠)委員 私の意見もありますけれども、あなたのお答えを聞くだけでけっこうでございます。  それから、八十川先生にお伺いいたしたいわけでございますが、日本国有鉄道の財政再建促進特別措置法の中の第八条の中に、国鉄再建期間中の毎事業年度に再建計画の実施状況を明らかにする報告書というものを出すことが規定されているわけでございます。その報告書がすでに四十四年、四十五年、四十六年と、三回にわたりまして出ておりますが、これを拝見いたしますと、四十四年につきましては、収入が予算に比べまして五百二十一億マイナスになっております。支出においても人件費が仲裁裁定に基づく平均一三・四%、これは定期昇給も含んでおります。ベースアップによるところの人件費増がございましたために、四十四年度においては千三百十六億の純損失になっているわけでございます。さらに四十五年度におきましても、収入の面では対予算百四十五億のマイナス、それから経費の面では百四十八億予算よりも上回っております。その原因は、人件費が仲裁裁定の実施よりも八百七十二億金額において上回ったと、この結果が全体におきまして千五百十七億の純損失になっています。四十六年度におきましてもこれは同じことでございまして、収入に対しましては百三十三億のプラスでございますが、営業経費が非常に高く、こういったために二千三百四十二億の純損失を招いているわけです。こうした過去三カ年間の例から見まして、新再建計画、四十八年から五十七年の新再建計画におきましても、人件費は一二・三%アップというふうにこれを見ているわけでございますが、はたしてこの一二・三%の範囲でおさまるというお見通しを先生はお持ちになっているかどうか。これで間に合うかどうか。現在の予算はそのように計画が長期収支の中では組まれているわけです。それではたして間に合うかどうか。  もう一点は、物件費のほうも年ごとにインフレが高まっております。このような情勢の中で、年三%アップしか見ておりませんが、これではたしておさまるかどうか。これでおさまれば問題はないわけです。五十七年度においては、単年度収支で赤字がなくなって、黒字になるわけですが、五十七年だけの話でございまして、これも値上げをするから黒字になるだけの話で、これは先生も御承知のとおりと思います。おさまるかおさまらないか、これは先生のお考えを聞きたいわけでございますが、これにいままでの過去三カ年間の例でいうと、いずれもおさまっていないわけでございます、人件費も物件費も。こういう例からしまして、今後インフレ、このことを考えて、あるいはまた人件費のほうも週休二日制、あるいは定年制の問題等々がございますので、はたしておさまるかどうか疑問に思うわけでございますが、この赤字がなおふえると思えば当然のこと、再建は不可能だというふうになるわけでございます。私は、これらの面については全く人件費、物件費ともにあまりに過小に見てあるために、再建不可能と断定しておりますが、先生の御意見を伺いたいわけでございます。
  490. 八十川睦夫君(八十川睦夫)

    ○八十川睦夫君 この経済の予測というのは非常に微妙な問題でありまして、現在得られる情報を最大限に利用して行なう。その中には必ず不確定要因というのがございます。その不確定要因がどう動くかということ、これはもうここで私に意見を述べろと言われたところで、これはほんとうに第六感的なものになって、意味がないと思います。そういう意味ではなくって、一応一二・三%、これが実績値としてどういうものになってくるか。その実績値という場合の、じゃいま立てる予測、そういったものが国鉄の収支にどういうように影響してくるか。それを全部総合的にこの計画を各年度において評価しておきまして、それを材料としながら、そこに国鉄が対策を立てていく。必ずしもこの計画どおりいかなければいけないというものではないんです。ある程度のズレはあるんです。これは神さまではないからわからない。大まかなところを、ほぼこのあたりでいけるんじゃないかなということで、一応黒字傾向が定着するような方向に持っていく。そこに意義があると思います。初めから負担がどうだという議論を取り扱っても、これは積極的な意見じゃないと思います。もしこの人件費が一三%予測の伸びをこえるようなことがありますと、そのときにはそれだけ、国民所得もそれ相応に伸びているわけです。それから物価指数も上がっているでしょう。そういうときにおいては、また国の負担も増加している。税収も上がっているわけなんです。それに応じた体制というのは、基本的な計画を立てておれば、その予測値の乖離というのは、これは処理できるわけなんです。そういうところの少々のズレというものを問題にして計画ができてないんだというのは、これは計画ということば自体を否定するようなものじゃないかと、そういうように考えております。
  491. 松本(忠)委員(松本忠助)

    松本(忠)委員 御意見を伺っておきまして、私参考にいたしたいと思います。  それから、最後に吉田さんに伺いたいわけでございますが、国鉄の財政というもの、御承知のように昭和三十九年に三百億円の赤字になりました。過去の繰り越し利益を食いつぶしまして、四十一年からは繰り越し損益も赤字に転落しまして、今日に至っているわけでございます。この間第一次の五カ年計画、あるいは第二次五カ年計画、さらには第三次の長期計画等々がございまして、そしてまた、現行の四十四年の再建計画が立てられて今日に及んでいるわけです。そして昨年計画が出ましたが、これは廃案となり、新再建計画が出てきたわけでございます。いずれにしましても、四十四年度の現行の計画にいたしましてもまずい点があるので、これが新再建計画が出てきたわけですから、そういたしますと、いままでのこの計画、第一次から第二次、第三次の長期計画、さらには四十四年の再建計画までひっくるめまして、食いかけていつもいつもそれが計画倒れに終わって今日に及んでいるわけでございます。確かにこの変動の非常に強い昨今、特に十年間という長期にわたりまして、これがはたして再建できるかどうかということ、非常に私どもは疑問に思っているわけでございます。そういう点から考えまして、再建計画というようなものはもっと短期間に立てるべきではないかという考え方、これが一つ、それから、はたして十カ年間のこの再建計画というものが、計画倒れになることが予想されるか、それとも達成できるとお思いになりますか、この二点について、ひとつお願いいたしたいと思います。
  492. 吉田寛君(吉田寛)

    吉田寛君 まず再建計画を短期化すべきかどうかという問題につきましては、企業でも短期計画、中期、長期とございます。したがって、十カ年の計画というのは当然年度計画で見なくてはならぬわけです。そこへいきますと、この計画の中では十分な調整ができていないんじゃないか、そういう感じがします。ただ再建しなくちゃならないという方針だけがあって、そしてそれは、まあ十年一昔といいますから十年、ところが何回もこれは切りかえていますから、そこに大きな問題がある。それは私は財源のよりどころに問題があるんじゃないか。それは午前中申し上げたような趣旨でございます。  第二の、見通しでございますが、これについては、私は専門家といたしまして会計の実績というものを見ますと、監査報告というものをずっと調べてみますと、これではできませんということになる。慢性的にこういうことをやっておって、国鉄の経営者は一体国民に対する責任をどう考えておるのか、こう思います。それが政府にはね返っていくわけです。したがって、責められるのは国鉄でありながら、実際は政府が責められておる。ここで、こういう状況で運賃値上げを認めていこうとするならば、喜ぶのは国鉄当局で、損をするのはやはり政府であり、自民党であり、国民です、これは。だから、こういう不確なものを提出すべきではない、こう思っております。  以上でございます。
  493. 松本(忠)委員(松本忠助)

    松本(忠)委員 たいへんどうもありがとうございました。
  494. 加藤座長(加藤六月)

    加藤座長 どうもありがとうございました。  次に、宮崎茂一君。
  495. 宮崎委員(宮崎茂一)

    宮崎委員 きょうは皆さん方の御意見をいろいろ聞かしていただきまして、ありがとうございました。  私が聞いておりますと、大体皆さん方、国鉄を何とか再建をしなきゃならぬというふうな御意見のようでございます。御承知のように、昔の国鉄といまの国鉄とだいぶ違っております。交通体系の中に占める割合も海運とか、自動車とか、そういったものに食われておりまして、旅客で三割ですか、貨物で一六%というようなトンキロのシェアになっておるわけでございますが、それにいたしましても、先ほど四国新幹線の話も出ました。国鉄近代化をどうしてもしてもらいたい。あるいはまた、国鉄再建しなきゃならぬという点においては、皆さん大体一致しておられる、その再建のしかたが国民の税金であるのか、運賃であるのか、あるいはまた国鉄企業努力、どの程度をやるのかという点だけが違っているようでございますが、もし私の理解に対して御反対であれば手をあげてひとつ意見を言っていただきたいと思いますが、その点はいかがですか。はいどうぞ。
  496. 谷上典之君(谷上典之)

    谷上典之君 国鉄再建の方向では意見一致と、こうおっしゃられるんですけれども、私は少しクレームをつけておかなきゃいかぬと思うんですが、要するに私どもは輸送のレールを保つということ、これについての再建については意見一致を見たと見ていられて、私はそのワク内でよろしいと思うんです。ただ、いま再建計画、十カ年計画と銘打たれておりまするけれども、民間ベースで考えますると、なぜ赤字に落としたのかという、その企業責任者がいないんです。企業責任者がいない。そこに私どもは追及しようとしても、なかなか追及のできない問題点をはらんでいます。昨今もありましたけれども、問題はやっぱり労働集約的な要素の高い輸送交通産業ですから、私はやっぱり、経営者と対産業に働く労働者との対話があって、協調がなければ、これは再建しようったって、なかなか無理な話なんだろうと思うんです。しかも企業の責任者がいない。赤字に転換さした責任者がいない。次々と高級官僚がまた吸血鬼のごとく、レールはレールで再建したいけれども、かつての高級官僚はどこかに吸血鬼として巣くっておるわけです。そういうものにメスを入れないで、再建計画を単に政府が出そうとしているところに、自民党さんもどろをかぶっておる、どろをかぶっておると、さっきから何度もおっしゃっていますが、まさにどろをかぶっていらっしゃると思うんです。そういう意味で、もっとメスを入れていただかぬと、私は国鉄再建での意見一致というワクの中ではありませんから、そのことだけ申し上げておきます。
  497. 宮崎委員(宮崎茂一)

    宮崎委員 私も意見はございますけれども、きょうは皆さん方の意見を聞くことになっておりますので、その程度にとどめておきます。  それからあと、私がいつも感じておりますのは、国鉄赤字だと、貨物が非常に赤字なんだと、旅客黒字なんだというような説があるわけですが、私はそうはっきりと言えないんじゃないかと思うんです。いわゆる新幹線、これは旅客だけ運んでおりますが、これは千何百億の黒字になっておるわけです。ですから、新幹線を除きますと、やはり旧来の旅客部門でも一千億以上の赤字があるわけなんです。  それからそのほかに、国鉄当局の話によりますと、なかなか共通経費というようなことで割り切れないんだというような話もありますが、私はこれは皆さん方に、もう時間もございませんから、御意見を伺おうとは思いません。これはやめときましょう。  それから、その次の点でございますが、吉田先生と藤井先生にちょっとお伺いいたしたいと思いますが、いわゆる交通機関というのは、特に国鉄の場合は、自動車との競争ということがよく言われるわけです。御当地は、瀬戸内海は、これはあるいは私は船との競争が一番貨物輸送に似た問題だと思うわけですけれども、日本は地形上海上輸送が、非常に内航海運が盛んになっております。しかしながら、私は交通というものは、日本の交通というものはそのおのおのの国鉄あるいは海運、自動車、おのおの特質を生かしてやらなきやならぬ、それがいわゆる総合交通体系でございますけれども、しかしながら、一面においてこれはやはり競争する面があるわけでございます。つまり陸運に転換したとか、あるいは海運に転業したとか、こういうことは競争性があるということでございますね。ですから、どうしてもこれは比較論議されるわけでございますが、先ほど吉田先生の話を伺いますと、たとえば開発的なものだろうと思うんでございますが、新幹線でございますとか、あるいは新線建設とか、建設投資に対しては全額国だというふうな御意見のようでございましたが、それじゃ道路との関係について言うとどういうことでございますか。どういうような御意見ですか、ちょっとお聞かせ願いたい。投資だけについてどういうような御意見かですね。
  498. 吉田寛君(吉田寛)

    吉田寛君 投資については、道路についても鉄道についても、これはやはり公共投資で政府、地方自治体が持つべきものです。国鉄の収支の問題は、経営収支についてだけ見なくちゃならぬ、資本勘定のほうは別にしなくちゃいけないと、これはイギリスでも複会計制度をとっておりますが、その場合に資本勘定と一般勘定は分けております。アメリカの場合、大学でも資本勘定と経営勘定と分けております。そういうように二つに分けないといけない。形式的には、日本の国鉄は分けておりますが、財源のほうになりますと分けていないわけですから、その辺を明確にしていただきたい。
  499. 宮崎委員(宮崎茂一)

    宮崎委員 イコールフッティングというようなことばがございますが、御存じかと思いますが、結局輸送機関として競争するのに、同じ立場から競争させろと国鉄が一時主張したわけでございますけれども、つまり基礎施設をやるのに、大体国民の税金から同じぐらいの金を出してくれということだと私は思います。しかしこれは、あとでそこの上を走るものが非常に違うわけです。国鉄は自分でその中でおやりになるけれども、道路のほうは一般の人が使うわけです。全額民間のほうで負担をするということですから、非常になかなかむずかしい問題だと思いますけれども、かりに私は道路予算というのはどうなっているかと申しますと、ちょっと調べてみましたけれども、四十八年度の例をとりますと、一兆一千億ぐらいの工事費を使うわけですね。ガソリン税というのをだいぶん負担をいたしております。つまりこれは、私は受益者負担だと思うんです、自動車を消費するやつですから。そうしますと、残り国が税金を出すのは三千四、五百億、ガソリン税を除きますと三千七百億ですか。来年度は、道路のほうは。その上にまた考えてみますと、自動車から税金を取り立てますね、大体は。自動車重量税というのは千何百億あります。また、そのほかに自動車を買うときに税金を取られるわけです。ですから、これはやっぱり道路を使うと、そのほかに道路というのは一般のわれわれが、人が歩く、自転車が通るという使命も非常にございますが、道路のほうで国鉄と比較する、鉄道と比較するような道路を取り上げてみましても、せんじ詰めるというと受益者負担ということに大部分がなるんじゃないか。そういたしますと、今回政府が出しております、まあこれはいろいろ利子補給とかいろいろございますが、ここに資料がございますが、国鉄企業努力が五億だと、あるいはまた国の税金から出すのは五兆だと、これは利子負担、いろいろ鉄建公団もございますが、そういったものはありますが、これをお考えになって、先生どういうふうに、いわゆるイコールフッティングじゃないと、国鉄に対する税金の投じ方が少ないというふうにお考えでしょうか、いかがでございますか。
  500. 吉田寛君(吉田寛)

    吉田寛君 まず税金の投じ方が少ないか多いかですが、少ないと思います。というのは、逆にいえば、受益者負担の原則ではまかなえないという事実が出ています。そういう事実を踏まえますと、一般論では言えないわけです。ここ十年来の赤字を見ておって、それを準用するとしますと、これは受益者負担ではできない、運賃収入を上げましても追いつかない問題だと思うんです。開発投資がございますし、それからリプレースの問題もございます。第一、減価償却費が先ほど過大ではないかという御意見もありましたが、私は、むしろ過小ではないかと思います。それはどうしてかといいますと、取りかえ原価で償却しなきゃならない。取得価格で償却しても無意味である。オランダの場合にも、企業は取りかえ減価償却をやっている。そういうことを考えれば、全然いまの償却は少ないんじゃないかと言えるわけです。逆に考えれば。そういうことから考えても、受益者負担は無理であると、限界にきておると思います。
  501. 宮崎委員(宮崎茂一)

    宮崎委員 私も議論はございますけれども、藤井先生は、私のいままで申し上げました吉田先生との間の議論に対して、何か御議論があれば承りたいと思います。
  502. 藤井義孝君(藤井義孝)

    藤井義孝君 私は、全く宮崎先生の御意見に賛同いたします。
  503. 宮崎委員(宮崎茂一)

    宮崎委員 どうもありがとうございました。
  504. 加藤座長(加藤六月)

    加藤座長 次に、國場幸昌君。
  505. 國場委員(國場幸昌)

    國場委員 貴重な参考意見を賜わりまして、われわれは政治の場におきましてこれを大いに反映せしめるべく努力するといえども、しかし、いまこの国鉄再建するにはどうあるべきかということで、これをいつまでも放置しておくというようなことになるとますます病は大きくなって、ひいては国民負担利用者負担というのが大きくなるわけでございますので、いやがおうでもこれは今日まで何回となく措置せにゃいかないということの国鉄再建問題、これは一日も早くやらなければ病は大きくなるという見地からしました場合には、どういうような方法でやるかと、あらゆる英知を結集して実現に結ばすというようなことに、国民はもちろんのこと、私ども国会におきましても努力せにゃいかないということは御案内のとおりでございます。  そこで、私はいまさっきからの意見を聞きますと、公共料金を上げるによって物価が大きく影響を受けて上がると、こういうようなことでございますが、わが国は御案内のとおり、世界の共産圏を除外しますと第二位といわれるだけの経済発展を来たしております。それに伴い、国民生活もやはり向上しておるということは、これは事実でございます。そこで、物価問題というものに対して、まず、ここに資料がありますが、参考までに申し上げますと、昭和十一年との比較で、はがきが六百六十七倍、理髪が千四百七十五倍です。それから入浴料が七百八十四倍です。それから米にしますと六百六十倍です。しかし国鉄運賃は、旅客運賃が二百六十九倍、それから貨物運賃が三百十倍と、他の物価に対しましてやはり上昇率というのが約半分でございます。その国民生活においてのウエートから見ますと、交通費が大体三・二四%です。それにバス、タクシー運賃は一・七〇%、国鉄運賃は一・五四%なんです。そうしますと、やはり公共料金によってとよく言われますが、だれでもこれを上げるのは反対であるというようなことは、これはやはり心理的にもそうなるでしょうが、しかし国鉄は、いわゆる国家としましても、いまさっきの各説明にもありましたとおり、国家としましては約十三兆六千億ですか、それだけの国家は、もちろん新幹線に対する十兆余りの出資もありますが、そのほかにおいての五兆余りは、これはほとんど赤字補てんに国の税金から出されるわけなんです。そういうようなことで、これだけのいわゆる国としての負担、これは国としましては三方一両損方式ということで、国は国鉄再建のために出すべき負担はしましょうと、三等分ですね、それから国鉄企業に努力しましょうと、その運営に対してですね、それから一般受益者もそれ相応の負担はしてくださいと、こういうようなことなんです。それに対して話を承りますと、これは原則的にはそうなるにしてでも、受益者負担させるのは、これは極端に言いましてもいかないということでございましょう。そうしますと、いずれにしても間接的には国家がこれを全部負担するということは国民の税金の負担である、かようなる結果になるわけなんですが、これに対して、それじゃこの立法がおくれるにおいて、いまさっきからの説明によりますと、いままで行為をなしたのはだれの一体責任であるか。これは一体自由民主党の責任じゃないかとか、あるいは管理経営するところの国鉄側の責任じゃないかとか、こういうようなことでございますが、しかし、御案内のとおり、総収入に対しての約七〇%が人件費なんです。いずれにしましても、その三〇%というワク内において幾ら企業努力しようとしておっても、これはたかが知れておるんです。だから、問題になるのは、やはり受益者に対しての応分の負担をして、ひとつ国鉄再建に実現させるべく協力してもらいたいと、こういうようなことでございますが、私がいままで申し上げた点に対していかようなお考えをお持ちであるか、吉田先生ひとつ……。
  506. 吉田寛君(吉田寛)

    吉田寛君 それでは、いまの最後のほうがよくわかりましたので、粗収入のうち七〇%が人件費だから、応分の負担受益者がしてくれと、そういう答えはダイレクトには出ないんです。と申しますのは、七〇%に困ると財源をどこに求めるかということは、いろいろな案があり得るはずです。私が主張しておりますように、税金という案があるわけです。だから、直ちに受益者負担ということにはいかない。それを申し上げておきたい。これは論理上の問題です。  それから、もう一つ、こういう人件費が七〇%というような企業というのは見られないんです。これは五〇%になりますと、もうとても倒産ですから、三〇%程度のものでおさめなくちゃならぬのです。ここまできまして、そして困ったから運賃を上げるというのでは、負担国民だけにかけることになりますね、利用者に。そうじゃなくて、人件費削減ということも考えなくちゃならない。そういう意味においては、合理化というのは私は原則的には賛成です。企業努力ということをおっしゃるのであれば、国鉄が自分は企業であるとおっしゃるならば、人件費を出しましてこうなりました、困りますから運賃を上げてくれ、こんなばかなことを言って経営者としての自覚はゼロです。そう申し上げたい。それを国会のほうで受けて、こういうふうに運賃をほかへ持っていかれることが私はもう一つ納得がいきかねる。助けてあげようという気持ちはわからないではないんですが、ところが、もう一つ申し上げたいのは、国鉄というのは、諸外国とは全然違う特殊な事情があります、日本の場合。国民の足としてこれは定着していることは異論はございませんですが、そうしますと受益者負担だけを考えなくたって、ほかの予算のことも考えていただきたい。それは防衛予算のことでございます。あれは非常に大きい。防衛予算と国鉄予算ということをひっかけて一度考えていただきたい。国土を守る防衛も必要でしょうが、そうすると日常の国民の生活を守るものも必要でしょう。だから防衛予算というあのごついものと、それとよく比較してもらいたい。
  507. 國場委員(國場幸昌)

    國場委員 防衛は、これは互いの政党の考え方の相違でございまして、それまで発展させますと、国の防衛というのと、国防的な施設は一切否定するものとは、政党的な性格の相違がありますのでその問題には触れませんが、しかし私は、受益者負担といいましても、これによる収入から見ました場合には、国の負担するのが大きいわけなんです。だから、この新幹線に対してでも、また、もっとゆっくりと段階的にやればいいじゃないかと、段階的な予算でやっておるのは御案内のとおりなんです。総合開発計画に対しては、やはり五カ年、十カ年計画ということでやっておりますから、わが国はいま太平洋ベルト地帯とよく言われておりますが、それを解消するためにおいても、適正なる人口の分布をはかるためやはり新幹線は絶対必要であるというようなことは、いまのような過疎化するような、一方的には一割というところに三割の人口が集中するという不自然さ、それを解消する以外においても新幹線というのは早くこれを実現さして、適正なる人口の分布状態の国の形成に持っていくというようなことでなくちゃいかないわけなんです。おのおの予算というものに対しては、あらゆる角度から、一つだけじゃなくして、十四兆二千八百億という膨大なる予算といえども、それにはやはり目的のある、有効に国民に対して将来百年の大計を誤らないようにというようなことでやっているのが政権を持つわが自由民主党の責任でもあるし、やっております。だから、私はそういうことには発展はしません。ただ問題は、これはやはりいまさっきも申し上げましたとおり三方一両損方式、これはだれが聞いてでも、やはり一方ではやはり経営者のほうでも努力をする、経営に対して運営に努力する、それから受益者負担する、それから国も大幅なるいわゆる再建のためには出資または助成をするというようなことでございますので、それはいろいろ不満もあられる人もおるし、また、それはそれで大いにこれを促進さしてもらいたいと、こういうような声でございますが、その点に対しまして、まず八十川さん、ひとつ、いまの皆さん全く正反対のことをおっしゃっておりますので、賛成なる演説をしていただきたいと思います。
  508. 八十川睦夫君(八十川睦夫)

    ○八十川睦夫君 同じことを三回繰り返しになりますので、ちょっと退屈されるんじゃないかと思いますけれども、私が国民負担能力という面から見て、これは負担に耐え得るものであるか、これについては第一回の陳述で申し上げたし、それから、今回の計画が、政府の補助というのが大幅に増加しておる。従来の運賃改定などにまかせっぱなし的なものじゃない。非常に合理性を持ったものであると、それを高く評価したいということを繰り返さしていただきます。  それと、もう一つは、私申し忘れていたんですが、今回の計画実現の可能性があるのかという質問に対して大事なことを申し忘れていましたので、つけ加えさせていただきますと、昭和四十四年ごろと違いまして、現代というのは予測の的中率と申しますか、予測が格段にやりやすくなっているという条件変化がございます。一つは、いわゆる交通産業における戦国時代、これの乱戦模様がようやく大都市周辺においておさまって、輸送パターンが大体定着したきた、需要予測が非常にやりやすくなってきたということが一つ。それから新幹線というもの、これは御存じのように、非常にいままでの予測が的中して、むしろ予測以上にいい結果が出ているという面がございます。今後新幹線の収入の割合が増加していくということは、それだけ科学的な計測の可能の精度が高まるということ。それから、もう一つは、最近の資源問題でガソリンなんかのことが出ていますが、むしろ今後国鉄貨物輸送の条件がやや国鉄に有利に展開することも考え得るということ。こういった三点から、今後長期計画の実現性なんですが、過去よりも格段に予測の精度が高まっているんじゃないか、そういう点をつけ加えさせていただきたいと思います。
  509. 國場委員(國場幸昌)

    國場委員 どうもありがとうございました。
  510. 加藤座長(加藤六月)

    加藤座長 どうもありがとうございました。  最後になりましたが、井岡大治君。
  511. 井岡委員(井岡大治)

    井岡委員 お忙しいのに、たいへん長い時間おつき合いいただきまして、ほんとうに参考になる御意見をいただきましたことを厚くお礼を申し上げたいと思います。  そこで、最後でございますし、皆さんがいろいろおっしゃっておいでになりますから、多くを聞く必要はないと思いますけれども、国鉄の問題を論ずるときに、私は国鉄というのは一体何だろうかと、こういうことをまず考えてみる必要があるのではないか、こう思うのです。運賃の問題を何回か私たち論議をしてまいりましたけれども、そのときには必ず企業性の問題、それ採算がどうであるとか、どうでないとかと、こういう論議に陥ってしまうわけです。そしてそのあげくの果ては、これは自民党の諸君に苦言を呈しておきたいと思うのですが、すぐ問題を税金か、運賃かと、こういうところに飛躍をする。このことは、私は国鉄を論ずるのに大きな欠陥が原因じゃないかと、こう思うんです。それで、こういう話は別にいたしまして、そこで先ほど八十川先生が午前の陳述の際に公共性企業性のことを論じられて、公共性のところで社会福祉とはき違えているんじゃないだろうか、社会福祉というものは元来弱い者の助け合い運動だと、こういうように言われたわけですが、私は国鉄公共性というものは、こういう社会福祉の問題でないと思うんです。地域開発、損だということはわかっておっても、そこを開くことによってそこに産業開発ができる、地域開発ができる。そういうことで住民福祉へつながってくる、こういうことだと思うんです。したがって、これは単なる社会福祉としてとらえるべきでない、こういうように思うのですが、この点についてお伺いをいたしたい。
  512. 八十川睦夫君(八十川睦夫)

    ○八十川睦夫君 私、そう言いたかったんですけれども、何かことばに不適切なものがあったんでしょうか。
  513. 井岡委員(井岡大治)

    井岡委員 そうですか。そうすると、社会福祉でなくて国鉄の持つ公共性というものは、いわゆる国の要請に基づく公共性、国の求めるという表現が適当であるかどうかわかりませんけれども、とにかく絶対的なものだと、これはあっちへやったりこっちへやったりするものでなくて、これはもう絶対必要なものだと、こういうように理解していいですか。そういうように先生もお考えになっておいでになりますか。
  514. 八十川睦夫君(八十川睦夫)

    ○八十川睦夫君 絶対的なものとはどういうことでしょうか。
  515. 井岡委員(井岡大治)

    井岡委員 ここは損するから引かなくったっていいんだと、こういうことでやめてしまうことのできるものかどうか、こういうことです。
  516. 八十川睦夫君(八十川睦夫)

    ○八十川睦夫君 それは、国土の有効利用ということから、当然要請されてきまることで、そういう面で企業性を発揮されちゃ困るわけです。
  517. 井岡委員(井岡大治)

    井岡委員 そうですね。はいわかりました。  そういうことでありますと、企業性という問題について、これは茂野さんにお伺いしたいんですが、私たち国鉄企業努力をしろ、企業努力をしろということ、私は、経営者である限り企業努力を怠るということ、これは経営者の資格はないと思うんです。そういう意味から、当然企業努力というものはしなきゃいかないものだと思うんです。そこで、会社を経営なさっておいでになりますから、いまの国鉄でどういうところをどう改めたらいい、こういうようにお考えになるところがありましたら、御参考までにお教えいただきたいと思います。
  518. 茂野博光君(茂野博光)

    茂野博光君 むずかしい条件ですが、われわれ民間人が国鉄の中味までは、表面はわかりましても中味までわかりませんと、改善案というものはなかなか出てまいりません。むしろあなた方先生方が大いに勉強していただきまして、やっていただくのが近道じゃないかと思います。
  519. 井岡委員(井岡大治)

    井岡委員 そうしますと、じゃ私がたとえば各総局ごとに経費諮問委員会というか、皆さんの意見を出していただいて、各総局ごとに皆さんが持っておいでになる考え方、あるいは国鉄の考えていること、そこにギャップがある、こういうようなものを是正するために、たとえば諮問委員会といいますか、経営委員会と申しますか、そういうようなものをつくる必要があると考えますかどうですか。
  520. 茂野博光君(茂野博光)

    茂野博光君 国鉄側の皆さんの話をときおり聞きますと、現在すでにそういうことを何らかの方法でおやりになっておるように聞いております。やり方については、多少おっしゃられたこととは違いますけれども、私自身としましては、大いにやるべきじゃないか、大いにやるべきじゃないか。もちろん北海道、九州、四国、これらは午前中私が申し上げたように、大都市周辺とはたいへんな格差を持っておるわけです。新幹線や本土を横断といいますか、縦断といいますか、あれが完成すれば間接的にはわれわれのほうに影響がまいりますけれども、こちらまでそれが入るまでの一期間をとらえますと、これはさらに格差がつくような感じがするわけです。そういうようなことで、ローカルローカルによって、あり方は当然に違います。この格差ができるのはやむを得ぬとしましても、これをできるだけ短縮しまして、短期間にこれを総括的に現在やかましく言われております列島改造論に結びつけるということが大事であって、全部が全部一ぺんにするということは、これは不可能なことですが、そういう意味でも総局の地方別要望を取り上げていただくということについては大賛成です。
  521. 井岡委員(井岡大治)

    井岡委員 私は列島改造の論議をここでしようとは思いませんから言いませんが、これは八十川先生が言われたモータリゼーションがある意味において行き詰まった、もう十年、十五年先になると国鉄というものはもう一度見直されるんじゃないかと、こういうような意味のことをお話なさいました。私もそうだと思うんです。そういうように考えてくると、私は単に、どう言うんですか、本土と四国とを早く橋をつけてくれと、こういう問題だけでなしに、国鉄とはどうあるべきかということで民間の知恵、あるいは第三者の知恵、こういうものが必要ではないか、こういうように思うのです。ですから、いま大なり小なりやっておいでになるんじゃないかと、こういうことでございますが、これをさらに発展をさすと、そしてできれば官制でやる、こういうようにすることが私は企業努力への一つの足がかりだと、こう思うのです。そういうことでいまお尋ねをいたしました。  それから次に、これは谷上さんにお尋ねをするわけですが、ことしの八月の人事院の勧告に、佐藤人事院総裁は国家公務員に対して週休二日制について政府は勇断を持ちなさいということを勧告すると、こう言っているわけです。そこで私は、十一万人首を切るんじゃない、こういうように言っておいでになりますけれども、人手が足らなくなると思うんです。交通というのは労働集約型ですから、私は六五%、七〇%といったからといって、そう、なんじゃありません。どの交通企業を見ていただいても、いわゆる付帯事業をやってない、不動産事業をやってないとか百貨店をやってない事業は、ほとんどが六〇%、七〇%以上の人件費を払っているんです。そういう点から考えてみると、ここで国鉄問題は税金か運賃かの論議をするのでなくて、そういう点から考えて、いわゆる週休二日制に対する考え方、あなたは国鉄の職員じゃないからわからないかもわかりませんけれども、とにかくやはりそういう運動が起こってくる。これは総裁も、いままでは四十四時間三十分だったのを、この間の十七日の日に、四十二時間三十分にする、そして二、三年のうちにこうやると、こういうように話ができたんだ、こう言っておいでになりますが、国鉄の賃金というのは、ヘビがカエルを頭でのんだところみたいで、下のほうがないんです。ここに何が問題、ですからこれらの問題を解決しないと、国鉄の給与体系というものはなかなか解決がしにくい。そういう意味で企業努力の中における週休二日制というものの位置づけをどのようにお考えになっておいでになりますか。
  522. 谷上典之君(谷上典之)

    谷上典之君 佐藤人事院総裁が言ったとか言わぬとかいう話よりも、まさに政府主導型で今月の二十九日ですか、ダブリは翌日に持ち越すと、こういうふうな政府主導型の週休二日制がいまやここ一、二年で急速に進もうとしていますから、私どももその意味では大いにありがたいなと思っているんですけれども、最近では労働省あるいは地方自治体の県当局の間でそれなりの懇談会が持たれて、これまた自治体主導型で進もうといたしておりますから、この趨勢はきわめて早いテンポで流れると思います。そうなりますると、十一万五千人をそこで食とめるかどうかというこそくな手段でありませんけれども、当然労働時間の関係ではね返りますから、この点では当局のほうはもう明確だと思うんで、これはそういう意味で趨勢はここ一、二年早いスピードで実現してくるのではないかというふうに私は想定をいたします。  最後に、質問事項でありませんけれども、一つだけ申し上げておくんですが、これはもちろん先ほど宮崎委員さんでしたか、おっしゃられた労働集約制で、非常に管理部門が高い、七〇%とか八〇%というようなお話がございましたけれども、まさにこの種産業はそういうのが実態でございますから、やむを得ないと思うんでありますが、問題は、やはりいま私どもの働き過ぎからドルがたまり過ぎて、アメリカの国会議員の皆さんからも指摘されておることでございまして、社会資本にもっと投下しなさい、投資しなさいということが言われておるわけです。私は午前中来申し上げておりまして、この種国鉄再建については、いままでの、まだ当面いらっしゃる管理者を含めまして、もっと企業責任を感じていただくということを国会の中できびしく追及をいただく。そして社会資本、いよいよレールを私どもは確保したいという立場で、ドルのたまり過ぎを、社会資本ですからそこへ投下していただきたい。しかし、これも国民大衆がかせいだもので、貴重な財産ですから、これは私どもは軽々に国が見るとか、政府が見るとか言っておりますけれども、これは血税であり、高い犠牲を払った資本ですから、もっとやっぱり私はあくまでも今日までの、今日に至らした企業の責任をきびしく追及して、軽々に十カ年計画を国会の場で認めないように御議論いただきたいということを申し上げておきます。
  523. 井岡委員(井岡大治)

    井岡委員 最後に、八十川先生に、いままで国鉄が債務で困っておる一兆二千億という金は、これは公共負担という額、たとえば先生は学割りのことについてお話しになっておりました。学割り、通勤割引、あるいは産業開発なり国の物価政策からくる物価、こういうものに影響を持つために、政策割引、こういうものがある。私たちはこれを公共負担、こう言っておるわけですが、公共負担について政府はもっと責任を持つべきだとお考えになりますか、それはいままでどおりでよろしいと、こういうようにお考えになるか、この点だけをお伺いしたいと思います。
  524. 八十川睦夫君(八十川睦夫)

    ○八十川睦夫君 公共負担については、今度の長期計画を達成して、国鉄の血液の入れかえができ上がった段階で、これはきちっとしたルールに基づいて国が負担すべきものだと思います。
  525. 井岡委員(井岡大治)

    井岡委員 私たちが今度の運賃値上げはおやめなさいと言っておるのは、とうふが上がったから運賃が上がるのでなくて、国鉄運賃を上げれば電力を上げるでしょう。私鉄も上げてくるでしょう。こういうように誘発をするおそれがある。しかも国鉄の最大の赤字を出しておる原因は、いわゆる公共負担が積み重なって、そのしわ寄せが拡大をして、そして今日経営が悪くなったんだ、だから、まずこれについて政府が態度を明らかにしなさいと、こういうことを言っているわけです。したがって、先生は、今度のが再建ができてから区分を明らかにしなさいと言っとったら、なかなかそれは政府はやってくれません。ですから、私は、この運賃問題、再建問題のときにこれを明らかにする必要があると思うのです。ですから、この点については先生と見解が違うようでございますから、また私たち国会のほうで論議をしたいと思います。  どうもありがとうございました。
  526. 加藤座長(加藤六月)

    加藤座長 これにて質疑は終わりました。以上で会議を終わります。  この際一言ごあいさつを申し上げます。  意見陳述者方々におかれましては、長時間にわたりまして貴重な御意見を述べていただき、まことにありがとうございました。拝聴しました御意見は、国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案の審査に資するところきわめて大なるものがあると信じます。厚く御礼を申し上げます。  また、この会議開催のために格段の御協力をいただきました関係各位に対しまして、深甚の謝意を表する次第であります。  これにて散会いたします。    午後三時五分散会