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1973-04-20 第71回国会 衆議院 運輸委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年四月二十日(金曜日)     午前十一時九分開議  出席委員    委員長 井原 岸高君    理事 江藤 隆美君 理事 加藤 六月君    理事 佐藤 孝行君 理事 佐藤 守良君    理事 細田 吉藏君 理事 兒玉 末男君    理事 斉藤 正男君 理事 梅田  勝君       阿部 喜元君   小此木彦三郎君       大竹 太郎君    唐沢俊二郎君       國場 幸昌君    關谷 勝利君       徳安 實藏君    西村 英一君       羽田  孜君    宮崎 茂一君       山村新治郎君    井岡 大治君       太田 一夫君    金瀬 俊雄君       久保 三郎君    神門至馬夫君       紺野与次郎君    三浦  久君       石田幸四郎君    松本 忠助君       河村  勝君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 新谷寅三郎君  出席政府委員         経済企画政務次         官       橋口  隆君         厚生省社会局長 加藤 威二君         運輸大臣官房長 薗村 泰彦君         運輸大臣官房審         議官      原田昇左右君         運輸省鉄道監督         局長      秋富 公正君  委員外出席者         経済企画庁長官         官房参事官   結城  茂君         経済企画庁長官         官房参事官   熨斗 隆文君         食糧庁総務部長 森  整治君         運輸大臣官房審         理官室長    山崎 東夫君         日本国有鉄道総         裁       磯崎  叡君         日本国有鉄道常         務理事     原岡 幸吉君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正己君     ————————————— 委員の異動 四月二十日  辞任         補欠選任   大竹 太郎君     羽田  孜君 同日  辞任         補欠選任   羽田  孜君     大竹 太郎君     ————————————— 四月十九日  国鉄運賃値上げ反対等に関する請願大野潔君  紹介)(第二九七一号)  同(大柴滋夫紹介)(第二九九〇号)  同(金子満広紹介)(第二九九一号)  同(神崎敏雄紹介)(第二九九二号)  同(米原昶紹介)(第二九九三号)  同外一件(岩垂寿喜男紹介)(第三〇三三  号)  同(川俣健二郎紹介)(第三〇三四号)  同外十六件(久保等紹介)(第三〇三五号)  同(久保田鶴松紹介)(第三〇三六号)  同(佐々木更三君紹介)(第三〇三七号)  同外一件(村山富市紹介)(第三〇三八号)  同外三件(八木一男紹介)(第三〇三九号)  同外一件(岩垂寿喜男紹介)(第三〇七六  号)  同(久保田鶴松紹介)(第三〇七七号)  同(斉藤正男紹介)(第三〇七八号)  同(阪上安太郎紹介)(第三〇七九号)  同(嶋崎譲紹介)(第三〇八〇号)  同(田中美智子紹介)(第三〇八一号)  同(平田藤吉紹介)(第三〇八二号)  同(正森成二君紹介)(第三〇八三号)  同外一件(八木一男紹介)(第三〇八四号)  同(和田貞夫紹介)(第三〇八五号)  同外三件(板川正吾紹介)(第三一五六号)  同(石野久男紹介)(第三一五七号)  同(梅田勝紹介)(第三一五八号)  同(金子みつ紹介)(第三一五九号)  同外一件(北山愛郎紹介)(第三一六〇号)  同(久保三郎紹介)(第三一六一号)  同(斉藤正男紹介)(第三一六二号)  同(阪上安太郎紹介)(第三一六三号)  同(芳賀貢紹介)(第三一六四号)  同外一件(細谷治嘉紹介)(第三一六五号)  同外一件(堀昌雄紹介)(第三一六六号)  同(正森成二君紹介)(第三一六七号)  同(武藤山治紹介)(第三一六八号)  同(八木一男紹介)(第三一六九号)  同(渡辺三郎紹介)(第三一七〇号)  国鉄職場内の秩序確立等に関する請願高鳥修  君紹介)(第二九八〇号)  国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進  特別措置法の一部を改正する法律案反対等に関  する請願梅田勝紹介)(第二九九四号)  同(斉藤正男紹介)(第三〇四〇号)  同(梅田勝紹介)(第三〇八六号)  同(瀬崎博義紹介)(第三一七一号)  同(田中美智子紹介)(第三一七二号)  国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進  特別措置法の一部を改正する法律案撤回に関す  る請願瀬野栄次郎紹介)(第三一七三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進  特別措置法の一部を改正する法律案内閣提出  第一七号)      ————◇—————
  2. 井原岸高

    井原委員長 これより会議を開きます。  国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。井岡大治君。
  3. 井岡大治

    井岡委員 国鉄の問題を審議するわけですけれども国鉄の問題が国会で提起をされるたびごとに国民の間に大きな反響を呼んでおることは事実でありますし、大臣もこのことは十分御承知だろうと思います。それだけに私は、国鉄問題というのは慎重にやらなければいけませんし、同時にこの問題についてはほんとうにきわめなければならないと思うのです。  そこで、私はまず最初にお伺いいたしますが、三十一年の通常国会でこういうことが出されております。日本国有鉄道法の一部改正が行なわれた際に、日本国有鉄道経営調査会答申の中で、「諮問機関」として「国鉄理事会機構明確化、また監査委員会の設置などが行われれば、特別に総裁諮問委員会的なものを設ける必要もないという主張も十分成立しうるけれども国鉄重要性にかんがみ、広く国民の声を企業運営に反映させ、また重要事項についての国民意見を聞く必要もあるので、総裁諮問機関として諮問委員会を設けることをわれわれは適当と考える。この場合の諮問委員会委員は、国鉄外部の各界の有識者から広く選ぶべきであろう。」と述べているが、さように現在の国鉄はわかりにくいところがたくさんありますし、問題点も多いわけです。  しかも、この法案の審議が議了するに当たって、次のような附帯決議がつけられている。それを参考までに読んでみますと、   本法施行に当り、政府及び日本国有鉄道は左の事項について必要なる措置を講ずべきである。  一、広く国民の声を国鉄業務運営に反映させるため、部内総裁諮問機関を設けること。    諮問機関は、業務に関する重要事項を調査審議し、又は意見を述べることができるものとすること。    諮問機関は、産業経済界労働界学界等有識者をもつて組織すること。  二、日本国有鉄道財政については、已に臨時公共企業体合理化審議会及び日本国有鉄道経営調査会答申にも指摘せられているところであるが、政府はこの問題に対して速やかにその責任と方途を明らかにすべきである。   右決議する。こういうように出ておるわけです。  これによって九月に諮問委員会ができているわけですが、私はこの諮問委員会——これは国会決議ですから法的には関係はないにしても、少なくとも行政の上に十分この意見というものが反映すると思うのですが、大臣の御所見をお伺いいたしたいと思います。
  4. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 仰せのように国鉄には諮問委員会ができまして、その運用をいまも続いていたしております。国鉄のほうではそういうあらゆる国民意見を集約して、こういう運賃改定のような重要な問題にあたりましてはその御意見を十分参酌して最終的に決定をしているものと考えております。私どものほうでも国鉄に対しましては、そういう意味におきましていまお示しのような方向で、あらゆる機会を通じまして、国民方々考え方をよく、正確に捕捉するようにということを指示している次第でございます。
  5. 井岡大治

    井岡委員 これは総裁諮問機関ということではございますけれども、かなり具体的に意見を述べておるわけです。したがって、その述べられた意見というものが国鉄経営の中にあらわれてこなければならない、同時にまた、政府もその意見を尊重されて施策の上に出していかれなければならぬ、こういうように思うのですが、いかがでしょう。
  6. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 できるだけその意見は尊重しなければならぬということは当然でございまして、それを尊重することはいままでもいたしておりましたし、今後もするつもりでございますが、ただ、そういう諮問機関から答申のありました事柄を、国鉄自身が最終決定いたします場合にどこまでそれを取り入れられるかという現実の問題も、これは国鉄の実情からいたしまして生じてまいります。また、それを今度は政府機関にかけます場合に、国鉄の申しましたそういった諮問機関のようなものをもとにしてのいろいろな意見をどう反映させるかにつきましては、政府総合交通対策というような見地からもこれを見直さなければなりませんので、一〇〇%それをいつでも生かさなければならぬということになりますと、結果はそうでない場合も生じてくるわけでございます。しかしそういった一般的な各方面からの御意見が拝聴できるような諮問機関結論というものにつきましては、極力それを尊重するように国鉄も考えておりますし、われわれのほうもそういった問題につきましては最大限これを尊重するという立場で臨んでおるのでございます。
  7. 井岡大治

    井岡委員 国鉄の問題は、単に精神論じゃないわけですね。具体的に国民の要望にこたえるものでなければいけない。言いかえて申し上げますと、今日国鉄がこのようにやりにくくなった最大原因というのは、政府法律に示されたことについて怠慢であったのではないか、こういうことが考えられるわけなんです。  大臣提案理由説明の中で「一方、国鉄財政は、経済社会の変動と輸送構造変化に伴い、昭和三十九年度に赤字に転じて以来急速に悪化の傾向をたどり、国鉄が今後国民生活国民経済において果たすべき使命を全うすることができなくなるおそれが生じてまいりました。」それから「国鉄財政はさらに悪化し、昭和四十七年度には約三千六百億円の欠損を生じ、累積欠損は約一兆二千億円に及ぶ見通しとなり、」こう言っておる。このことは、この諮問委員会が三十八年に答申をしておる数字と全く同じなんです。したがって、これらの問題について、三十八年に、まだそのときには赤字に転じておりませんでした。その際に、もうすでに、このような状態を放置しておきますと、昭和四十五年あるいは七年には一兆二千億ないし三千億の赤字が出ますよということをこれの報告に書いている。そして、そのためにはどのような処置を講ずべきか、こういうことも明らかにされておるわけなんです。それをいままで政府はおやりにならなかった。ここに私は最大原因があると思うのです。ですから、この点について、一般論精神論でなくて、私は、このいわゆる答申案というものをどのように処置をされたか、具体的に聞きたいと思うのです。
  8. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 いまの御質問は、昭和三十八年度ではまだ赤字ではなかった、そのときに諮問委員会が、将来、このままでほっておくと、こうなるだろうということを書いておる、そのときになぜ実行しなかったかというお尋ねであると思います。  十年前のことで、私自身はその当時の事情はよく知りませんが、しかし、黒字から赤字になる要素がそのときからある程度予見されておったのじゃないかと私は想像するのであります。その赤字に転じまして以来、政府としましては、多少時期的にはおくれたでございましょうが、そういう諮問委員会結論でございますとか、あるいはその後に実際の事態がだんだん進んでまいりまして、赤字財政が続きまして、これではいけないということで、その実態に応じましての対策というものは毎年、毎年講じてきたのでございまして、今日出しております国鉄再建計画といいますものも、数字は一兆二千億というふうなものを対象にしておるということでございますが、その当時に諮問委員会で考えられました以上に、今日ではあらゆる方面にわたりまして政府がこの公共負担の部分につきまして、国鉄財政再建ののために財政支出をして、そして国鉄機能を回復させようという努力をしておるのでございます。その点は、黒字になっているときから、方針を変えればよかったのじゃないかということは、これはあるいは先生のおっしゃるようにそのとおりであったかもしれませんが、しかし、これは非常に交通体系全体にわたる大問題でございまして、おそらくその当時、それだけ達観をした、十年先を見ての政策というものは立てにくかったのじゃないかと思いますが、しかし、赤字に転じまして以来は、その実態に応じた、国鉄公共性というものを十分認識をして、それに応じた財政措置を講じてまいったのでございまして、今日出しておりますのも、そういう趣旨でございますから、その当時の事情につきましては、私はつまびらかにいたしておりませんけれども、姿勢といたしましては、その諮問委員会結論もあり、その後運政審結論もあり、そういったものを全部踏まえて、各方面からの御提案、各方面からの御忠告、そういったものに対しましては、常に注意を払いながら国鉄再建策を考えておるというような次第でございます。
  9. 井岡大治

    井岡委員 大臣は、当時、責任ある立場おいでになりませんでしたから、私はあえて大臣責任を追及しようとは思っておらないのです。ただ、十年前にいわれたこと、しかもそのようになっておるということ、赤字に転じてからは逐次やってきた、こうおっしゃっておいでになりますけれども政府ほんとうに真剣にこの問題を考えるようになってきたのは、四十四年です。三十八年から四十四年の間という、この間のブランクというものは、非常な大きな財政圧迫になってきているわけなんです。ですから、大臣はおやりになったとおっしゃるけれども、これは私はいただけません、やっておいでになりませんから。私たち国会でいつもこの問題で審議をしてきたわけです。しかし、いつもその点について政府はいろいろな理由をつけておやりにならなかった。ですから、私は、いまの大臣がやってきたというのは、いただけません。ですから、私はいまのお答えでは満足しない。時間が限られていますから、この問題はさらにあらためた機会大臣と話し合いたい、こう考えます。  そこで、総裁にちょっとお伺いしますが、三十二年から第一次五カ年計画がつくられた。この第一次五カ年計画というのは二年たたぬうちに、これはもうだめだといってパンクしたんですね。そうして三十五年に再び第二次五カ年計画を出した。それから三十八年ですか九年ですかに第三次を出した。私はここで総裁にお伺いしたいのは、私は私なりに考えておりますけれども、まず、なぜ第一次から第二次、第三次、全部失敗をしたか、この点についてお伺いをしておきたいと思います。
  10. 磯崎叡

    磯崎説明員 昭和三十二年に始めました第一次五カ年計画、これは主として戦災復旧ととりあえずの輸送力増強目的とした第一次五カ年計画でございまして、これが四年間でやめになりました大きな理由は、たしかベースアップの見込みが、当時、定期昇給を入れて六%見込んでおりましたが、実際には一割近かったということで、結局、設備投資は十分にまいりましたけれども、収支の採算がとれなくなったということで、自己資金がなくなって、第一次五カ年計画を四年後に破棄いたしました。  それから第二次五カ年計画は、やはり主として設備投資で、東海道新幹線の建設を主とする設備投資でございましたけれども、これも、設備投資のほうは大体予定どおりまいりましたが、やはり人件費の問題でもって四年間でやめたわけでございます。  ちょうどそのころ、いま先生の御指摘諮問委員会国鉄財政に関する云々という、ちょっと表題は忘れましたが、意見が出ました。それが昭和三十八年の五月だったと覚えておりますが、それによりまして——その意見書には設備投資の問題とそれから経営の問題と両方入っていたというふうに覚えておりますが、設備投資につきましては、もっと政府が出資するようにしろ、それから経営問題については、やはりある程度運賃を上げる、それから赤字線合理化をしろというふうなことがおもなことであったというふうに記憶いたしております。したがって、第三次五カ年計画、これは昭和四十年度に始めたわけでございますが、これは最後の大設備投資計画でございましたけれども、ちょうど三十九年から赤字に転落いたしまして、三十八年度末は累積黒字千五百億があったわけでございますが、それを取りくずしまして、三十九年、四十年からもう赤字になったわけでございまして、したがって、自己資金の欠乏ということで、第三次の五カ年計画も四年間でもって破棄せざるを得なかった。その間に、いま先生のおっしゃった昭和四十四年からのいわゆる再建計画というものに考え方を変えまして、やはり財政再建輸送力増強設備投資ということを主にしてやってまいったと思うわけであります。
  11. 井岡大治

    井岡委員 これは委員会の書類ですから、私は、これが的確なものであるとはすべてを信じませんけれども、こう書いてあるのです。「『第一次五ケ年計画』が過小であったことは、計画の実施に入って二ケ年を経過したときには既に明白であった。実をいえばそれは、計画の決つたときからすでにわかつていたことであつた。ではなぜそのような過小なレベルに計画を定めたかについては後述するが、要するに国鉄部内においては計画の三年目にはすでに改訂の必要が論じられながら、現実改訂の決意に踏み切るには、ほぼ一年の日子を要したのであった。それはまたなぜか。要するに国鉄官僚機構性が然らしめたのであつて、つまり“そういってもなかなか通るまい”とか“政府国会に対して、これでよろしいといつてスタートしたばかりの計画は、そう急には変えられない”」変更することはできない。あるいはまた、それからいろいろ政府のことを批判をしておいでになるのですが、このように今度の四十四年の再建においてもこれと同様のことが指摘をされるのではないか。言いかえて申し上げますと、政府国会に対してこういうところに問題があるのではないか。したがって再建十カ年計画、七カ年計画を立てながら、二年たってこれはもうだめだ、こういうことで昨年出しておいでになったわけです。昨年の案は幸か不幸か知りませんけれども廃案になりました。なりましたが、あの案それ自体でも私たちは満足するものでありません。同時に今回のこの案でも私たちは満足はできないのです。ここに国鉄の問題があるのではないか、私はこういうように考えるのです。この点大臣にもう一ぺんお答えいただきたいと思うのです。
  12. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 終戦以来いろいろな経過を経てきたと思います。経済状況から政府財政状況というようなものが非常に急激な変化を遂げておりまして、おそらくその当時十年先はどうなるかということにつきましては、何人もこれを予測し得なかったような状態にあったのではないかと考えます。そういう中で国民の足を守っておる国鉄をどうするかということはもちろん重大問題でございますが、一方におきましてやはり政府全体の財政計画というものもその当時からこれは非常な大きな問題であったかと思うのでございまして、そういったものを総合いたしまして、国鉄に対する財政援助というものはどの程度まで可能であるかというようなことを、おそらくその当時は政府方針としては考えたに違いないと思います。その問題は抽象的に考えますといまでも同じことだと思います。いろいろ公共事業がございまして、御承知のように日本の新しい希望のある社会を築きますためには、いろいろ公共事業につきまして、これを改善したり、あるいは拡充をしたりいろいろの手段方法を講じなければならぬことは申すまでもありません。したがいましてその中において国鉄に対してどこまで可能であるか、どうしたらいいかということを考えながら、国鉄の本来の機能を回復させるのにはどういう手段方法があるかというふうなことを総合的に考えておる次第でございまして、いまこれでも不満であるというお話でございます。これはお考えもわからぬことはございませんが、私ども財政当局との間の話し合いでいろいろな点においてなお不満な点がないことはございません。これで十二分だということは申し上げてないわけでございますが、しかし先ほど申し上げたような条件の中でつくっておる予算でございますから、こういうふうにしてやっていけば今後十年間にはただいま考えられる条件のもとにおいては、国鉄経済力を回復いたしまして、財政再建もできるし、それに伴ってもっと大事なことは、国民経済及び国民生活に必要な国鉄交通機関としての使命を達成できるようなところまで体質の改善ができるのじゃないかということを期待して、今度の計画案を出しておる次第でございまして、ことにこれは、案は参議院段階廃案になりましたが、衆議院段階におきましては各党から非常に貴重な御意見がございました。そういう御意見につきましては今度の再建案をつくります場合に十分にわれわれとしてはそれを考慮いたしまして、可能な限り各党方々がお述べになりました内容は今度の再建案の中に取り入れまして、財政事情の許す限り国鉄に対する援助を、前の案と比べますと、非常に大幅にふやしましてこれで何とかして国鉄努力をしてやってほしいということで、今度の案を出しておるのでございまして、この点は足らぬとおっしゃれば足らぬかもしれません。しかしいまのいろいろ与えられた条件のもとにおきましては、大体これで国鉄再建可能性が出てきたという希望を持ってわれわれは案を提案をいたしておるような次第でございますから、政府の考えておりますところを御了承いただきたいと思います。
  13. 井岡大治

    井岡委員 昨年の案に比べてかなりの進歩——努力なさった、このことは私は認めます。認めますけれども、まだ本質的なところに手が届いておらない。配慮が足らない、こういうように思うわけです。  そこで、昨年も同じことを言ったのですから、私もあまり同じことを言うのも好きじゃないのです。しかし事が問題だけにお尋ねするわけですが、日本国有鉄道法の一条に「目的」として「国が国有鉄道事業特別会計をもつて経営している鉄道事業その他一切の事業経営し、能率的な運営により、」——この「能率的な運営」というのは具体的にどういうことなんです。これを先に聞かせていただきたい。
  14. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 国鉄法の一条に書いてありますように、御承知のようにこれは公共企業体という性格をあらわしているものだと思います。したがいまして一面におきましては非常に公共性の強い法人であると同時に企業性を持った法人であるということがあらわれておると思います。「能率的」といいますのは、事業経営面におきまして最も効率的にその効果をおさめ得るような体制を整備するということではないかと考えます。
  15. 井岡大治

    井岡委員 この問題は三十年から三十六、七年ごろまでは盛んに論議をした問題です。これは大臣も御存じのはずだと思うのです、大臣もすでに議員になって活躍されておったことですから。しかも、私はどうしてもこの問題については同僚の細田議員の論文をさがそうと思って一生懸命さがしたのですが、出ません。これは当時三木さんと大きな論争をやった条項なんです。そこで私は、能率的というのは単にいま言うように大臣お答えになったのでなくて、もっと深いのは独立採算ということをここにあらわしているのだろうと思うのです。それが能率的だとこう言う。そうでない、官業のようにいままで親方日の丸でやってきたということじゃない。複式簿記にして貸借対照を明らかにする、こういうふうに組織を変えよう、こういうことが能率的というふうに思うのですが、この点いかがですか。
  16. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 抽象的にお答えしたのでございますが、能率的という意味は、それを制度的に引き直してまいりますと、いまおっしゃるようなところに制度的には関連を持っているものと考えます。私が先ほど企業性を持っている法人であると申しましたのも、その趣旨でございまして、企業体でございますから、いまおっしゃったように、やはり企業経営責任を明確にしなければいけない。それには企業経営を効率的に運営しなければならないということももちろんでございますが、そうなると制度的にまいりますと、いま仰せのような、これは本来企業体としては独立採算を主にして組み立てられた制度であるというふうに考えるのが、至当だと考えます。
  17. 井岡大治

    井岡委員 ところが、同列に、相反することがその次に書いてあるのですね。「発展せしめ、もつて公共の福祉を増進することを目的として」おる。国鉄というのは単に独立採算だけでいいのだ、こういうことをいっていない。ということは、地域開発あるいは国の開発、産業開発、こういうものを国鉄使命として持っているわけです。ですから、鉄道が走ることによって地域の開発ができ、あるいはまた産業の発展といいますか発達がますます隆昌して、国民全体の福祉の向上に資するのだ、こういうようにいっているわけです。ですから、この公共性の問題について、政府はどのような責任をお持ちになっているのか。これが先ほど私が申し上げた答申、この答申は、単なる総裁諮問機関でありますから、政府は知らぬのだ、こういってしまえばそれまでです。けれども国鉄を健全に経営できるようにしてやらないと、いま申し上げましたように、住民の福祉、産業の開発、地域の開発ができない。だからやりなさい。このことは私がいまさら申し上げるまでもないわけです。ですから、この公共性について、政府はいままでどのような処置をとったか、この点をお伺いしたい。
  18. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 公共企業体でございますから、さっきも申し上げましたように、非常に公共性が強い、一般の事業とは違う、これは言うまでもございません。他にも公共企業体が御承知のようにございます。日本電信電話公社のごときはそうでございます。これらの企業体が、これは初めに御質問になった点にお答えしなければならぬと思うのですが、やります仕事、これはいずれも公共性の強い仕事でございまして、一般公共の福祉につながらない仕事ではないと思います。全部が公共の福祉につながっている仕事であるといっても差しつかえないと考えます。  そういうものでございますから、この公共性の強い国鉄に対しましては、その本来の機能を十分に発揮させるようなことをしてもらわなければならない。それは先ほどお示しの独立採算でやれればよろしいのですけれども、やれなくなってきた。これは公共的な方面からの要求が非常に強くなりまして、国鉄自身財政力だけではどうにもやれないということでございますから、そういった公共的な方面からの要求に対応するような措置政府としては講じていくのは当然のことでございまして、その意味において、先ほど来申し上げておりますように、そういう公共性というものに着眼をいたしましてその観点から——国鉄が本来独立採算制で企業をやってくれるのが望ましいのでありますけれども、それができない。できない部分は、公共的な見地から国がそれに対しまして、そういう国鉄機能発揮に差しつかえないような財政措置を講じていくということを毎年続けておるのでございまして、私はこれは単に財政方面だけではないと思います。法律にも書いてございますように、たとえば用地の取得とかその他について、一般企業では考えられないようないろいろの権限を与えたり特典を与えまして、国鉄公共性を維持しようということにつとめておるのでございます。制度面にもあらわれておりますし、予算面にもあらわれておるということでございます。
  19. 井岡大治

    井岡委員 国鉄だけが公共企業体でなくて、ほかにもある。そこで電電公社のお話をされました。私も一生懸命調べた。電電公社のなにとは全く違うのですよ。電電公社法の第一条は「公衆電気通信事業の合理的且つ能率的な経営の体制を確立し、公衆電気通信設備の整備及び拡充を促進し、並びに電気通信による国民の利便を確保することによって、公共の福祉を増進することを目的として、」——まるきり違うのですよ。そしてこの答申には、日本国有鉄道だけでなしに、電通と同じように公社にしなさいとまで書いてあるのです。したがって、国鉄の公社組織と電通の公社組織は、ずっと読んでみますとかなり大きな違いを持っている。ここに私は一つの問題があると思うのです。  そこで次に行きますが、これは私には非常にわからないのです。第二条に「日本国有鉄道は、公法上の法人とする。日本国有鉄道は、民法(明治二十九年法律第八十九号)第三十五条又は商事会社その他の社団に関する商法(明治三十二年法律第四十八号)の規定に定める商事会社ではない。」電通のにはこんなことは書いてないのですよ。なぜ特別にこれを入れたか。この点についてお伺いしたいのです。
  20. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 これはただ法制上の問題であると考えます。実質的に申し上げますと、日本電信電話公社も日本国有鉱道も、これは当時の連合軍の指令に基づいてできたものでございます。その当時私も議席を持っておりましたので、その内容につきまして、政府意見も連合軍の意見も述べられましてよく知っております。両方ともこれはいわゆる——いわゆるです、いわゆる公共企業体であるということは変わりはございません。ただ、その仕事の内容その他におきまして、国鉄と電電公社とは非常に違った点がございますから表現は違うかもしれませんが、性格的なものからいいますと変わりはないと私は考えておるのであります。第二条がどうしてあったんだ、電電公社と違うのはどうだ、こういうことでございましょうが、その点は日本国有鉄道というものはそういう公法上の法人とするというような明確な規定を置いたほうが、今後の国有鉄道の発展にふさわしいということでそういう表現を使ったものとしか考えられません。一般の企業体とといっても商事会社と違うのだ、これは公法上の特別の法人であるということを明瞭にしたものでございまして、その点からいいますと、法制上の問題としましては電信電話公社よりもより明確に国鉄法律的性格をあらわしたもので、このほうが立法論としましてはよかったと私は思っております。
  21. 井岡大治

    井岡委員 先ほども申し上げましたように、ここの問題について細田さんが出してくれれば明らかに書いてあるのです。どうしても出さないからこれはもう論議の対象になりませんけれども、少なくとも商事会社でないということは、お金をもうけなくてもよろしいということでしょう、平たく言うと。そう思いませんか。
  22. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 それはおっしゃるとおりで、営利目的法人ではないということでございます。その点につきましては日本電信電話公社も同じことだと思います。もうければもうけるほどいいんだということはどこにも出ておりません。収入に余力ができました場合には、一般公共のために設備を拡充し、そうして日本の通信ネットワークをよりよくするための努力をしなければならぬということは当然でありまして、配当もありません。その利益をだれに分けてあげなければならぬということはございませんで、その点からいうと、私は性格は同じだと思います。先ほど申し上げましたように国有鉄道のほうは公法上の法人でございますから、株式会社じゃない、商事会社じゃないということが明瞭になっておるので、これは説明規定ともとれますが、当然のことでございますけれども、そういうことを法制上明らかにしたということは、私はそのほうが結果においては非常に明瞭になってよい立法であるということは先ほども申し上げたとおりでございます。
  23. 井岡大治

    井岡委員 この立法の経過というものには、いま大臣が申されたような経過もありましょうけれども、GHQが三公社を公社に切りかえたというのには、一つは労働問題も関係している、こういうことは事実なんです。ですから、私はその問題をここで論じようとは思いませんけれども、とにかくこの一条と二条が将来の国鉄に対して大きな影響のある基本なんですね。そこで私は先ほど申し上げたのです。営利会社でないという以上はお金をもうけなくともよろしい、同時に公共の福祉ということにもう一ぺん返りますと、損を承知の上で線を引かなければならぬところがあるわけです。私はここに各線別の営業係数を持っておりますが、いわゆる収支係数が一〇〇を割っているのは四つか五つしかないんですね。言いましょうか。大阪環状線の九七、これは一〇〇を切っています。新幹線の四六、東北線の九四、これは四十六年末ですよ。山手線の五九、これだけです。  そこで総裁、この線区を数えるのを忘れたのですが、何本あるのですか。
  24. 磯崎叡

    磯崎説明員 新幹線を入れて四十六年度は七線でございます。
  25. 井岡大治

    井岡委員 一〇〇を割っているのが七線である、こういうことでしょう。違うのです。私は伊東線、何々線という線は何本あるのですかと言うのです。
  26. 磯崎叡

    磯崎説明員 二百六十線区でございます。
  27. 井岡大治

    井岡委員 国鉄全線が何ぼで、この七線のキロは何ぼあるのですか。
  28. 磯崎叡

    磯崎説明員 ラウンドナンバーで二千五百キロです。
  29. 井岡大治

    井岡委員 大臣いまお聞きになられたとおりです。二万一千キロのうち二千五百キロしか採算のとれておる線はないわけなんです。これは一条にいう公共の福祉、そして二条にいう公益法人としたゆえんじゃないのですか、お伺いします。
  30. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 国鉄公共企業体でありますからどんどん赤字がふえていいということではないと思います。公共的な方面の要求は入れなければならない、それは赤字につながってくるという事実はございますが、しかし一方で、交通機関国鉄だけではございません。たとえば国鉄の貨物部門におきまして一番問題なのは、ことばは悪うございますが、一番競争の相手になりますのは自動車輸送でございまして、この自動車輸送が道路の整備と同時にどんどんふえてまいりまして、国鉄がいままで持っておったシェアをどんどん侵してくるというようなことがやはり赤字の大きな原因になっていると思います。しかし、そういう中でも先ほど申し上げましたように公共的な、たとえば通勤通学輸送でございますとか、公共的に考えなければならない輸送対策もございまして、これは相当に公共性が要求されて、そのために赤字がより増大したということは事実でございます。私どもはそういった点に着眼いたしまして、初めから申し上げておりますように国鉄の本来の機能が早く発揮されるような体制にしないと、これは国民経済の上にも、あるいは国民生活の上にも大きな影響がございますから、それをその窮境から脱却させるような対策を講じなければならぬということで財政再建計画をつくっておるのでございまして、その意味におきましては公共的な国民の要求というもの、それが相当に財政再建計画の中では考慮されまして、その点についてそれに対応した財政措置を講じておるというふうに御了解をいただきたい。
  31. 井岡大治

    井岡委員 国鉄の貨物のシェアがモータリゼーションの発達によって狭められた。私はそれはそうだと思います。そうだと思いますが、そうであるとするならば、なぜこれだけモータリゼーションが発達をしたかという原因を考える必要があるのじゃないですか。たとえば道路については、国道の場合は国は三分の二出しているわけです。補助を出している。そうしてどんどん道路をよくしていっているわけなんです。国鉄赤字の線だということがわかっておりながら敷かなければならない。地域開発、産業開発のために敷きましても、政府はいままでめんどうを見なかったじゃないですか。いま大臣ははしなくも通勤とか通学ということを言われた。それも三十九年のこれにはっきり載っていますよ。一兆二千億の赤字、これにはしなくも四十五年にはこうなりますよと書いてある。ですから、元来公共負担というものは^これは何も国鉄責任を持つのでなくて、通学であるならば、文部省が国の政策としておやりになっているのでしょう。あるいは通勤というものは、一つは国の産業政策、物価政策、こういう立場からおやりになっているのでしょう。そうだとすると、なぜ通産省がそのめんどうを見てやる、こういうようにしないのですか。外国ではみんなそういうふうになっている。あるいは身体障害者の方々に対する割引は厚生省が出す。そうでないと、国鉄は取られるものは何ぼでも取られる。四十四年から少しめんどうを本格的に見ようという形になっておりますけれども、いままでは見なかったのですよ。どうなっているんです。五十二条、そこに国鉄への大臣の監督責任、あるでしょう。いままで見過ごしてきたところに問題があるのです。そう思いませんか。
  32. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 五十二条に、監督責任が運輸大臣であることは法律に明定しているとおりでございます。そういう点を考えますから、今日のように財政再建策を講じまして、国会に御提案を申し上げている次第でございます。そういうことでございますから、井岡先生おっしゃるように、過去においてもっと早く手をつければよかったじゃないか、もっと補助が大きければこんなにならなかったじゃないかという点は確かにあったかもしれません。その点はわれわれも反省をいたしておりますが、しかしそういう事態でございますから、今度は昨年の国会におきまして御審議をいただいた点を十分に取り入れまして、これならば国鉄財政再建もできるし、それに応じて国鉄の本来の機能を回復して、いまお述べになりましたような国民に対して豊富で低廉な良質のサービスを提供し得るような国鉄に体質の改善ができるのではないかということに非常に期待を持ちまして今度の提案をしているわけでございますから、十分御審議をいただきまして、この案に対しまして早く結論を出していただくようにお願いをしたいのでございます。
  33. 井岡大治

    井岡委員 大臣、飛躍したらいかぬですよ。私は国鉄は将来どうあるべきかということを話をしているのです。それを、こう出したから早く審議をして通してくれ。これは飛躍ですよ。  私は今度の再建案を見まして非常に不愉快なことは、次に五十二年、それから五十七年、こういうように書いてあるんですよ。ほんとう大臣が言われるように、政府がいままでを反省しておやりになるというのなら、なぜそこまでひっつけてこれを出すのです。それよりは政府が反省をしました、いままで出しませんでした——これは公共負担だけで一兆二千億です。それから設備投資をしておいでになりますが、その設備投資にもようやく腰を上げたという程度でしょう。しかも全部国鉄にまかしておったのです。だから飛躍しないようにしてください。五十二条の監督責任というのはこういうようになったときに——それは大臣、当時私は大臣じゃないと言われたって、いまは大臣ですから、責任というのはこういうものだということを明らかにしてください。
  34. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 いままでにもそういう点には着目しておったと思います。ただそれが十分であったかどうかは別問題でございますが、(「国民の税金だから」と呼ぶ者あり)四十四年以来国鉄赤字が累積してまいりましたので、これでは独力ではむずかしいだろうということで、及ばずながら政府のほうでも財政的な援助措置を講じてきたのでございます。しかしその傾向が非常に強いものがありまして、いままで程度の援助ではむずかしいということでございますから、四十四年の再建法は現在実施中でございますけれども、とうていこれではいけないということで昨年もそれの改定案を提案いたしましたが、不幸にして廃案になりました。今度はそれに対しまして、やはりこのままでほっておくわけにまいりませんので、国鉄公共性というものに十分着目いたしまして、ほんとう国民経済生活、国民の生活というようなものを考えますと、このままで国鉄を放任するわけにまいりません。それで今度は事情の許す限りの財政援助をいたしたいということを提案をしているわけでございますから、おくれたじゃないかとか足りないじゃないかという御批判は、これは甘んじて受けます。   〔委員長退席、細田委員長代理着席〕 甘んじて受けますが、われわれの現在の姿勢は、そういう過去の状態をよく考えまして、今後の日本国鉄状態に十分対応できるような内容の再建案を出しておる次第でございますから、その点御了承いただきたいと思います。
  35. 井岡大治

    井岡委員 不規則発言ですから私はあえてそれを拾おうとは思いませんけれども、先日の唐沢君の話の中にもありましたが、税金だ税金だ、こういわれます。よく税金だから出しにくいのだ、こういわれますけれども、それだったら出し過ぎておるものはどうなるのです。たとえば新幹線に乗られる方々は、これは出し過ぎているんですよ。これは返してもらえますか、こういうことになるんですよ。ですから税金だからどうだというのでなくて、国鉄というのは先ほど私が言ったように、一条、二条で明らかにしているんですよ。そうしないと、おれは出し過ぎているから半分しか出さぬぞといわれたらどうするのです。だから税金だ、税金だなどということは、大臣が言っておいでになりませんから、私はあえて聞こうとは思いませんけれども、少なくとも国鉄というものを考えたら、税金だからというような論議をするということは間違いだ、こういうように思うのです、どうです。
  36. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 一般会計から出しております財政負担は、これは主として国税からちょうだいしている財源によっていることは言うまでもございません。現在も一般会計から出しておるのです。したがいまして、私は、租税を財源としておる一般会計から出すのがいけないのだと言ったことはございません。ただ、極端なことを、その当時も申し上げたと思いますが、極端に、公共性が非常に強いのだ、だから国鉄財政の足らずまいは全部税金で負担したらいいじゃないか、こういうような御議論がありますけれども、それはそうではございませんでしょう。公共的な見地から見て必要なものは財政負担をいたすことはいまでもやっておりますけれども、しかし、先ほど来問題になりました一面企業体でございまして、本来独立採算制というものは、相当これは変わってきてはおりますけれども、やはり企業体でございまして、そういう点からいいまして、やはり利用者というものがおられる。だから、若干は、ある部分は利用する人と利用しない人がございますから、利用する方が負担の一部分を自分でもしょっていくというような制度が今日どの公共事業でもございますから、水道にしても電気にしてもみなそうでございますが、そういう意味でこれを全部が全部利用者に負担をさせようというのではない。公共的な事業でございますから、その方面につきましては政府が一般会計からそれをまかなうことは当然でございますから、いまもその制度を採用しておるわけでございまして、税金という意味を、そういうふうに税金から出すのは絶対にいけないのだなんということは私は言ったことはございません。それはもちろんいまもやっておることでございまして、しかし、それだけでは、全部税金出せといわれてもそれは無理だと思います。若干は利用者の方が利用の度合いに応じて負担をしていただくのがこれが本来の姿でございましょうということを申し上げたにすぎないのでありまして、もし誤解がございましたらいま申し上げたような意味で申し上げているということに御了解をいただきたいと思います。
  37. 井岡大治

    井岡委員 では総裁ちょっとお尋ねしますが、先般の新聞に客車の、いわゆる旅客のほうは決して赤字になっておらぬ、赤字は貨物のほうだ、こういうことが新聞に載っておったわけですが間違いありませんか。
  38. 磯崎叡

    磯崎説明員 その点につきましては、各委員会におきましてずいぶん御質問がございましたが、先般もこの委員会で御質問に対しまして私が申し上げましたのはある前提を置きまして計算をいたします。そういたしますと、その前提がおおむね二つございますが、その前提を置いた上で一つの計算をすれば、そういうふうな数字が出るということでございまして、それが実態とどう直結するかはまたおのずから別問題であろう。経営分析については何の目的でそれを使うかということを頭に置いて使わなければいけないというふうに申し上げたと思います。
  39. 井岡大治

    井岡委員 本年の三月に、総裁、「客貨別経営実績の計算について」という、こういうのをお出しになっておりますね。読みましょうか。「国鉄は、その内部経営管理のために——例えば業務機関ごとの能率比較を行ない、必要な改善施策をたてる、施設整備の重点化をはかるなど——昭和初年に輸送実費を分析したことに始まり、その後調査研究を進め、昭和三十年度以降運送原価計算として部門ごとの収入と原価の実態は握につとめてきた。」というこの書類です。これによりますと、かなりこまかく分析をされているのです。これは間違いありませんか。
  40. 磯崎叡

    磯崎説明員 それは御承知のとおり、二次経営の資料であることは御承知のとおりでございまして、その前提にいわゆる線区別原価というものが出てくるわけでございます。それを二次的に分析いたしたものが、お手元の客貨別の原価ということになるわけでございます。
  41. 井岡大治

    井岡委員 そうすると二次的の結果はこうだ、こういうように理解していいわけですね。
  42. 磯崎叡

    磯崎説明員 その点が先ほども申しましたとおり、前提を置いての数字としてごらん願いたい。やはりその二次分析をします目的というものは、そこにも書いてございますとおり、やはりこれを時系列でもって見なければいけないという問題が一つございます。それから設備投資あるいは施策の改善等、いろいろな仕事をしてまいります場合に、客貨別の原価というものを私どもの内部ではもう前提がわかっておりますので、こういう前提で、こういう数字が出ておるということを頭に置きながら、投資あるいは施策の改善ということをやるわけでございます。その意味で、必ずその数字をごらんになるときにはどういう前提でこういう数字が出ている、どういう目的でこれを使うのだという角度からごらんを願いたいというふうに思うわけでございます。
  43. 井岡大治

    井岡委員 それじゃ運審の山崎さん来ていますね。申請を受けた運審は、どのようにして計算をなさるのですか。
  44. 山崎東夫

    ○山崎説明員 運輸審議会といたしましては、国鉄運賃に関しまして運輸大臣の諮問をちょうだいいたしまして、原価計算に基づく国鉄全体の経営収支状況を検討したわけでございます。その結果、国鉄は、この運賃改定を実施したとしても、当面は収支の均衡をはかることはできないということが一応結論として出たわけでございます。しかし交通企業としては、原価のすべてを償うこととなる運賃を設定するのが原則であるというふうに考えておりましたが、経営の悪化を国鉄の現状では短期間で収支均衡をはかろうとすると、運賃の改定率というものはきわめて大幅になるのではないか。しかし物価、家計への影響が大となるので、今回の改定案というものは、政府助成の強化と国鉄企業努力の徹底とを前提として、運賃改定による収入増というものは、ランニングコストの範囲内であるということでやむを得ないのではないかということで、その間公聴会あるいは聴聞会あるいは会議を何回も開くということで慎重に検討した結果、最終的にはいま申し上げましたように、今回の値上げはやむを得ないのではないかというふうな結論に達しまして、運輸大臣に対して答申をした次第でございます。
  45. 井岡大治

    井岡委員 室長、非常にうまいことを言ってくれたけれども、この間会長は違った答えを出したら大臣が困るんじゃないか、こういうようなことを新聞に記者会見の席上で言われているわけです。これはどういうことなんです。いまうまいことを言ってくれたけれども、私にはちょっと納得がいかないです。この点どういうことなんですか。
  46. 山崎東夫

    ○山崎説明員 ただいまの御質問に対して、本人でございませんが、運輸審議会というものは法律に基づいて運輸大臣の行なう行政処分等について諮問を受けまして、これに対して公平かつ合理的な決定を行なって、答申するための機関でございます。そして、その決定は運輸審議会独自の判断に基づくもので、運輸大臣の意向とは独立して行なわれております。今回の国鉄運賃改定事案の審議につきましては、審議会は先ほども御答弁申し上げましたように、学識経験者等の意見を聞いたほか、いろいろ聴聞会でも、一般関係の方の公述を二十八人からちょうだいするというようなことで、十分な論議を尽くした結果結論を出したわけでございます。ただ、記者会見の席上におきまして、実は私どもにとっては非常に不幸ではないかと思いますけれども、会長がかわりまして初めての記者会見で、非常に上がっておったというようなことがあったかとも思いますが、会長といたしましては、個人的に前々から、国鉄運賃改定の問題というものは国会審議事項である、国会での十分な審議期間を確保するために、なるべく早い時期に運輸審議会としての結論が出るならば……。   〔発言する者あり〕
  47. 細田吉藏

    細田委員長代理 御静粛に願います。
  48. 山崎東夫

    ○山崎説明員 ということで、運輸大臣といたしましては法律の改正案というものをなるべく早く国会に出すべきではなかろうかということで、運輸大臣立場というものを考えまして、それで運輸大臣を困らせないというのは、会長といたしましてはなるべく早く答申を出すのだということで、その間、あるいは委員方々は自宅に書類を持ち帰るとかいうようなことで、夜おそくまで審議するとかいうようなことで誠心誠意おやりになったわけでございます。それで記者会見のときには、会長といたしましては、大臣を困らせないというのは、その時期が二十五日で早かったのではないかというような質問もありましたので、中身については徹底的に慎重に審議をいたしましたということで、時間的には結論が出たので出したのだということで、その時期の問題について会長としては言ったつもりだった。ところが、新聞等の反響を見て実はびっくりしておるのだ、こういうようなことでございまして、会長の発言というものは時期の問題について大臣を困らせないという趣旨であったというふうに先生方の御了承をいただきたい、このように私としては考えております。
  49. 井岡大治

    井岡委員 室長をここで新聞だねをつかまえてあまり言うのも何ですから。ただもう少し、やはり公の機関ですから、大臣もその会長等を選ぶ場合は慎重な人を選んでもらわなければ、ああかってにぼかぼかやられたのでは、こっちがたまったものじゃないです。国民からは国会自体が八百長をやっているように思われるのです。私は、そういうものじゃないと思う。  そこで、問題をもとへ戻しますが、審議会は、原価計算をやった、こういっておられる。それで、これによると、これは総裁に先にもう一度聞きますが「同一線上を走る客貨の原価には、線路設備関係経費のように観念上は客貨に区分しえても、実際には個別に抽出できない共通費の占める部分が大きいという鉄道事業のもつ宿命的な原価構造が存在する。」これは先ほど言われたことだろうと思うのです。ところがこれには分けてあるのです。例が書いてある。旅客の個別費、これは出札、改札掛の経費、旅客車の入換経費、客車列車の乗務員経費、旅客車の保守費、旅客専用駅、車掌区、運転区の現場管理経費、こういうふうに客にはちゃんと書いてある。貨物のほうには、貨物掛の経費、貨物の入換経費、貨物列車の乗務員経費、貨車の保守費、貨物専用駅、車掌区、運転区の現場管理経費、こう分けてある。そうして絵までちゃんとかいてある。したがって、原価というものは、第一項の構造上の宿命的ななにがあるということは認めても、かなり正確に原価というものについて計算をなさっている、こういうように理解していいですか。
  50. 磯崎叡

    磯崎説明員 いまの御質問の点が私の先ほど申し上げた点でございますが、多少詳しくなるかもしれませんが、新幹線と在来線の場合をまずお考え願いたいと思うのでございます。そういたしますと、新幹線と在来線は御承知のとおり駅以外は全部別でございます。線路も全然別、車両も全く別でございます。こういう場合にはきわめて計算が明白に、新幹線のコストあるいは在来線全部のコストは出るわけでございます。新幹線は一応おきまして、そういうことで輸送施設あるいは輸送の車両等を共用しない場合には非常に明確に出てまいります。  ところが、在来線のように同じ線路に客貨が走るという場合、ただいま先生がお読み下すったのはいわゆる個別費でございまして、これはきわめて簡単でございます。たとえば、東京駅長は貨物には関係ございませんで、これは全部旅客である。新鶴見の駅長は全部貨物である。これはきわめて簡単で、個別費と申しますものは明白に客貨に分けられます。しかし、その個別費の集計が大体一兆数千億の中の半分でございます。残りの半分はいわゆる共通費でございます。その共通費を分けるのに客貨の分け方が非常にむずかしい。  と申しますのは、かりに線路を一つとってみますと、現在、たとえば東海道で申しますれば客貨共用区間がたくさんございますが、東海道は旅客列車なら百二十キロで走れる線路につくってある。ところが貨物だけならぱ何もそんな早い線路は要らない、八十キロないし九十キロでいいということは当然いえるわけでございますし、また駅の数等につきましてもあんなにたくさん要らない。いろいろなそういう面で、現在の客貨で共用で使っております面については、貨物について非常に過大の負担がかかっているというわけでございます。いわば、貨物のフラットに出します計算から申しますと、貨物が旅客のコストを背負っているということになるわけでございます。したがりて共通費の配分というのは非常にそういう意味で——それでは一体線路は、百二十キロで走る線路の場合と八十キロで走る場合の線路とどう違うかどいうことのメンテナンスコストを全部出すということは非常に複雑でございまして、実際にはいろいろな前提が入ってまいります。したがってその場合には、線路の現在のコストを単にパンタグラフの距離で分けるというふうな、非常に簡単な一つの基準で分けております。したがって共通費を分ける際に、客貨の現実の姿と結果の数字とは非常に違っているわけでございまして、その意味から申しまして、実はどこの国にも、非常にこういうことの分析の進んでおりますフランス、ドイツ等におきましても、客貨別のコスト分析というものはないわけでございます。これはできないというのが世界のやり方でございます。私どもはその中でも分けられるものだけ分けてみる、しかし分けられないものが約半分あるという意味で、それを単に数字から出たものだけで分ける、前提を全部除きまして、そうして数字から出たものだけで分ければこうなるという意味でございます。  さらにもう一つ、いわゆる計量化できるかどうかの問題として、もう一つ前提といたしまして国鉄の営業方針という問題がございます。これはもう御承知のとおり、戦時中の数年間を除きましては日本の国有鉄道は操業以来旅客鉄道でございます。これは非常にはっきりいたしております。旅客中心の鉄道でございます。そういたしますと、営業といたしましてはどうしても旅客優先になるのはこれは当然だと思います。たとえば、先般の動労のストライキのいわゆる順法闘争のときにも貨物列車は三割運転を休止いたしました。しかし旅客列車は五%しかしわを寄せていないという意味で、ああいう事故の際、これは非常に当委員会でおしかりを受けましたけれども、どうしても旅客をまず先にする、それで貨物をあとにする。したがって、復旧の面から見ても、たとえば先般の十七日のストライキにいたしましても旅客は大体翌日ないし翌々日には復旧いたしておりますけれども、貨物は三日ないし四日かかっております。そういう意味で、いわゆる営業方針というものはあくまでも旅客中心でやっている。いわば貨物は一種の付帯的なような感覚でもって営業をやっているというのが、よしあしは別といたしまして、現実でございます。したがって、そういう計量化できない営業方針というものがまず前提にあるわけでございます。その営業方針があって、その次に約半分の共通な配分について、先ほど詳しく申し上げましたようなさまざまな前提があるという意味でございますので、あの客貨別の数字と申しますのは、それはいわゆるコストをそのままあらわしておるものではない、たくさんの前提があった上での一つの数字である。したがって、これは運賃と直結しない問題でございます。それはもう運賃法その他にもはっきりと書いてございますけれども、そういう点をよくごらんくださった上でその数字をごらん願いたい、こういうふうに思うわけでございます。
  51. 井岡大治

    井岡委員 そうなってくると、大臣にお尋ねするわけですが、総裁はなかなか原価というものははじき出せないものだ、こういうように言っておいでになる。ところが大臣——これは私はあげ足をとろうと思っていませんよ。思っていませんけれども、全部税金で出せというのはこれは少しオーバーじゃないか。やはり利用しておる者が負担をしてもらうということでなければいかぬ、こう言っておる。利用しておる者が負担をするということ、その原則に立つのであれば、先ほど申し上げましたようにいやなことですけれども、新幹線に乗っておいでになる人たちは四九という少ない係数なんです。   〔細田委員長代理退席、委員長着席〕 かなりやはり出し過ぎているといって差しつかえないんじゃないですか。したがって、その原価というものが出しにくいだけに、私は公共性というものについてもっと真剣に考える必要があるのではないか、こういうように思うのですが、いかがです。
  52. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 国鉄総裁から申し上げましたように、先般各路線といいますか線路別に、この線は原価計算をいたしますとこうなりますというようなものが出まして、私も国鉄総裁にいろいろ聞いてみましたが、いまのような御説明でございまして、非常にたくさんの前提条件がございます。これははたして厳密に原価といえるかどうかということは非常に問題だと思いますが、しかしそれは一応おくといたしまして、この原価というものをどういうふうに運賃体系の中で押えていくかということをいま御質問であろうかと思いますが、私ども国鉄運賃政策の中で原価というものをどういうふうな程度にとらえていくかということは、運賃法にも規定がございます。その運賃法の規定の趣旨に沿って考えておるわけでございまして、かりに、問題が少しそれますけれども、いまおっしゃったように線別に原価が違う、もうかったところまで値上げしなくてもいいじゃないか、もうからぬところは、そうなるともっと運賃を上げなければならないけれども、それを公共性ということでカバーしたらどうか、こういうことに言及しようというお考えではないかと思うのですが、そうじゃないですか。違いますか。——それでは前提をまた変えましてお答えいたしますが、一般的なことから申しますと、私どものほうが考えておりますのは、そういったふうに線路別にあるいは旅客、貨物別にいろいろ考え方もあると思います。それは必ずしも方針としてあるいは理論として、それが悪いということは申し上げません。申し上げませんが、従来とっておりましたのは、御承知のように総合原価主義でございまして、地方の閑散線といわず、新幹線といわず、全体をトータルしまして、そして旅客についてはどう、貨物についてはどうというような運賃を設定しておるのでございます。ということは、線路別といいましても、年によってこれは非常に違いますが、どんどん変わってくるのです。そのたびに運賃を変えるかといわれますと、これは変えられません。やはり基本的には、いま申し上げたように、総合原価主義をとらざるを得ないということでございまして、この点は他の公共企業体でもそういった方式をとっているのが多いんじゃないかと私は思います。ですから、収入というものにつきましては、これは国鉄の内部でこんなに収入が多いんだからもっと設備投資をして旅客のサービスを強化しなければならぬとか、そういった点においてこれは非常に役に立つと思います。しかし運賃の体系といたしましては、やはり総合原価主義をとらざるを得ないというたてまえでおります。  そうしたら、お尋ねの点があるいはこういうことかもしれませんが、総合原価主義をとっておって、一方で受益者負担というのはどうか、こういうことに関連するのではないかとも思われます。その点につきましては、これは私は極端に言えば、次元の違った問題だと思います。でございますから、総合原価主義をとりながら、一方で受益者負担の方針をとりましても、これは矛盾するものではない。でございますから、受益者負担といいましても、全部を受益者に転嫁するわけではございませんで、先ほど来申し上げておりますように、財政の許す限り、公共的な方面においては国が財政的なめんどうを見ていく。しかしある程度のものは受益者のほうにも持っていただく、負担していただくことも、これはいまの国鉄公共企業体としてのたてまえ、それから今日まで長い間続いてまいりました運賃制度のたてまえから申しまして、これも国民方々に是認していただける制度ではないかというように考える次第でございます。
  53. 井岡大治

    井岡委員 原価と総合原価主義というものについてもっと深く追及をしたい、こう思うのです。思うのですが、私はこの問題について特にここで発言をしておかなければならないと思うのは、えてして、これは一部の諸君ではあろうと思いますが、国鉄を分割する、こういう意見が盛んにあるわけなんです。もしそういう意見があるとするのであれば、いま大臣が言われた総合原価主義というものは根底からくずれると思うのです。この点は大臣どうお思いになるのです。
  54. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 国鉄を分割したらどうだというような意見が一部にあることは、私も聞いております。先般も国会お答えをしたのでございますが、非常に採算点の高いものだけ国鉄経営をいたしまして、それ以外のものは国鉄から離してしまうというようなことになりますと、これはいまお述べになりましたような意味におきまして、国が全部財政のしりぬぐいをしなければならぬということにしかならないと思います。国鉄が本来公共企業体としては、補助があってもなくても本来の体質、本来の性格として、公共のためには奉仕しなければならぬ、これは当然のことでございます。引き合わないからといってやめちまえという考え方は、いまの公共企業体からはどこからも出てまいりません。でございますから、国鉄がそういう不採算な路線を切り捨てて、これは別個にしようということは、国鉄の性格からは私は望ましい姿ではないと思っております。のみならず、国鉄は全国に交通ネットワークを持っておる唯一の機関でございます。交通機関としては唯一のものでございますから、そういう交通ネットワークを生かして国民にどう奉仕するかということは、これは国鉄が設備の点もございますし、サービス面でもございますし、これは今後考えていかなければならぬ問題であろうと思います。したがいまして私はいずれの点から見ましても、国鉄の分割論というものには賛意を表することができないということを、先般も申し上げた次第でございます。
  55. 井岡大治

    井岡委員 分割論には賛成しない。私はそういうことだけでなしに、総合交通体系というものは国鉄を中心にやらなければ、国鉄を一つの大きな幹にしてやらなければ、総合交通体系などというものは立たない、こういうふうに理解してよろしいですか。
  56. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 旅客の運送部門でも貨物の運送部門でも、最近は非常に変わってきております。国鉄の貨物運送部門におけるシェアというのは非常に下がっているということも事実でございますが、しかし何といいましても、いま申し上げましたように、全国にネットワークを持っているのは国鉄だけでございます。そういう意味におきましては、日本の総合交通体系の中では中核的な役割りをしているということは事実であろうと私も考えます。
  57. 井岡大治

    井岡委員 事実であろうというのでなくて、そういう評論家みたいなことでなくて、大臣ですから、そうなんだ、こういうように言えないですか。
  58. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 ことばが足りなかったかもしれませんが、そのとおりでございます。
  59. 井岡大治

    井岡委員 そうだとすると、次に行きます。まだこの問題で少し論議をしたいと思っていたのですが、こういうことは、公述されておることだけを参考にしていただきたいと思うのです。これは去年の審議の際に……(「何ページだ」と呼ぶ者あり)九五ページから六ページです。「旅客と貨物についてそれぞれ一定のパーセンテージの値上げ申請をしているが、運賃改正に関する諸資料には旅客と貨物のそれぞれの原価が明示されておらず、運輸審議会自体にもそれぞれの原価についての資料がないということである。」ですから、運輸審議会に原価について、こういうお話でございましたけれども、その原価というのは私はどんぶり勘定だと思うのです。旅客も何も一緒にして金を入れて、そしてやったところが足らなかった、そこで何とかしなければいかぬ、こういうように理解していいんじゃないですか。そう思いませんか、総裁
  60. 磯崎叡

    磯崎説明員 その点はいろいろごらんになり方はあると存じます。しかし、やはりいまお読みになったのは去年のあれでございましたけれども、先ほど申しましたとおり、客貨別の原価を出して、それと運賃を直結させるということは不可能でございます。実際問題として不可能でございますし、また運賃はそういうことだけできまるのではなくて、国鉄、やはり交通機関を取り巻く諸般のいろいろな情勢から、外部からきめなければならぬ点もあるというふうに考えます。もちろん、ですから原価的なものは要素とはなります。いわゆる総合原価の要素になりますけれども、やはり同時に旅客、貨物ごとに交通機関の発達状況あるいはほかの交通機関運賃等も当然しんしゃくしなければいけないというふうにも考えるわけでございます。
  61. 井岡大治

    井岡委員 ですから、私はこの原価というものについて、どの程度が原価であって、どの程度が公共の負担かということについては、かなり厳密にこの際やっておく必要があると思うんです。ただ運賃法でうまいこと逃げているのですよ。第一条に「日本国有鉄道の鉄道及び連絡船における旅客運賃及び貨物運賃並びにこれに関連する運賃及び料金は、この法律の定めるところによる。」「前項の運賃及び料金は、左の原則によってこれを定める。」とあって、「一 公正妥当なものであること。」これはまあそうでしょうな。公共企業体ですから、それはむやみやたらにいまの商社みたいに、もうけたらいいんだということにはならぬでしょう。「二 原価を償うものであること。」「三産業の発達に資すること。」「四 賃金及び物価の安定に寄与すること。」そうすると、また「一」へ戻ってくるのですよ。国民の福祉というのは、初めのところ二つはうまいこと書いてあるのですが、「三」と「四」は国の政策によって運賃がきまってくるわけなんです。そうだとするとその責任はだれが負うのですか、お尋ねしたいと思います。
  62. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 国鉄運賃法の一条の二項に書いてあります四原則、これは非常にむずかしい問題であると思います。一つ一つをいまおっしゃるように分析してまいりますと、これはみな同じ方向を向いているものではない。場合によりましては相反するような考え方をあらわしておると思いますが、しかしこういった四つの原則を考えております。これは国会においても御審議の上、大体これでよかろうということに御決定になったものと思いますが、そういう意味では私はおそらく国会におきまして、運賃というものはしょっちゅう改定いたしますたびに御議論を願うわけでございますから、こういう四原則にのっとりまして国会がどういう最終的な御判断をいただくのか、これは国会の問題であると思います。しかし政府として考えますと、こういう四原則、これはやはり四項目につきましてそれぞれの方向がございますけれども、それの調和をいたしまして、どの一つにでもとらわれてはいけない。この四つの原則を調和をさして、そして現実の問題としてはどの辺がいまの状態からいって適当であるかという判断に基づいて政府提案をする。それで国会においてそれを踏まえて、それが正しいかどうか、どうしたらいいかということを最終的に御判断を願うということでございまして、責任者はだれかとおっしゃいますけれども、最終責任はやっぱり国会でおきめ願うのがこれが妥当でございまして、いまそういう手続を経ている次第でございます。
  63. 井岡大治

    井岡委員 大臣、それじゃ五十二条の監督責任というのはどうなるのです。少なくとも国鉄経営していく上において監督責任のある大臣というものは、公平妥当である、調和を持たなければいかぬ、これはそのとおりです。私はそのように思います。だけれども、それは国会がきめるのですから、こういうところに逃げられると、これから国鉄の予算というものは国会審議をしなければいけない。毎年大まかにこれだけですよと出されて、それでしまいですよ。そう思いませんか。
  64. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 国鉄に対する監督責任が運輸大臣にあることはもう言うまでもございません。でございますから、われわれはその監督責任を果たす意味で、現在の国鉄から見まして運賃の問題に関して申し上げますと、こういう四原則がある、国鉄の現状はこうである、したがってこういう運賃体制をとるのが一番いいと思うということを運輸大臣の見解としてきめまして、閣議を経まして政府の見解として国会提案をしておるのでございまして、監督責任は私は果たしておると思っております。ただ、先ほどお話しになりましたのは、一体この運賃に対してどうかということでございましたから、そういうことで最終的には国会でおきめになったことが国の最高の方針であるということを申し上げた次第であります。
  65. 井岡大治

    井岡委員 次に移りましょう。  三条に「第一条の目的を達成するため、左の業務を行う。」「鉄道事業及びその附帯事業」たくさん付帯事業、付帯事業と書いてあるのですが、付帯事業というのは何ぼくらいあるのですか、総裁にお尋ねしたい。
  66. 磯崎叡

    磯崎説明員 この付帯事業は、いわゆる六条の投資の付帯事業とは別でございまして、私どもも一時炭鉱をやっていたことがございます。これはもうやめました。現在付帯事業としてやっておりますものは、第三条の一項の付帯事業としては微々たるものでございまして、むしろ付帯事業と俗にいわれておりますものは六条の関係のものだというふうに考えます。
  67. 井岡大治

    井岡委員 そうしますとこの六条の関連事業、これのなにをお伺いしたいのですが、たくさんあるようですから資料を出していただけますか——委員長、六条の投資要綱があるわけですが、私は、投資というものについてはかなり慎重でなければいけませんし、同時にそれがあらゆる産業にどのような関連を持つか、同時に国鉄に対してどのような利益があるか、こういうことを考えなければいかぬと思うのです。そういう意味から、国鉄が出資をされておる事業の資料、これを要求したいと思うのですが、そのように取りはからっていただきたいと思います。
  68. 井原岸高

    井原委員長 理事会で協議いたしまして御返事いたします。
  69. 井岡大治

    井岡委員 そうしますとこの問題については私は留保します。
  70. 井原岸高

    井原委員長 理事会において協議いたしますから……。
  71. 井岡大治

    井岡委員 留保して出さぬというのなら問題は……(発言する者あり)だから出していただくようにお願いします、こう言っておるのですから、理事会においてそのようにはからうと言ったらどうですか。
  72. 井原岸高

    井原委員長 理事会で協議いたしますから、どうぞ質問を続けてください。
  73. 井岡大治

    井岡委員 そこで、では一つ聞きますが、そんな問題で論議をしておったってしかたがありませんから……。営業法の十五条と二十六条の問題ですが、十五条には「旅客ハ営業上別段ノ定アル場合ノ外運賃ヲ支払ヒ乗車券ヲ受クルニ非サレハ乗車スルコトヲ得ス」「2乗車券ヲ有スル者ハ列車中座席ノ存在スル場合二限リ乗車スルコトヲ得」どういうことなんですか、大臣これはどういうふうに理解しますか。
  74. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 政府委員から御答弁させます。
  75. 秋富公正

    秋富政府委員 この十五条の規定によりますと、いわゆるお客といたしましては「乗車券ヲ有スル者ハ列車中座席ノ存在スル場合ニ限リ乗車スルコト」ができるというわけでございまして、おそらく御質問はそれ以上に乗せておるじゃないかということじゃないかと思いますが、その点はこの規定には別に抵触するものではございません。
  76. 井岡大治

    井岡委員 座席というのは、じゃどういうことなんです。
  77. 秋富公正

    秋富政府委員 座席と申しますのは、いわゆるすわる席のことを座席と申します。
  78. 井岡大治

    井岡委員 そういたしますと、国鉄は新幹線で立ち席という切符を売っておいでになる。あなたの言うように乗るのが悪いじゃなくて、売っておるじゃないですか。(「本人の了解のもとに売っている」と呼ぶ者あり)そういう誰弁を言っちゃいけませんよ。それでは言いましょうか。二十六条に「鉄道係員旅客ヲ強ヒテ定員ヲ超エ車中ニ乗込マシメタルトキハ三十円以下ノ罰金又ハ科料ニ処ス」と書いてあるのですよ。
  79. 秋富公正

    秋富政府委員 これは国鉄といたしまして強制して乗せておるものではございません。
  80. 井岡大治

    井岡委員 そういう詭弁を言っちゃいかぬですよ。現実の問題は、私はこういうものを改正する意思があるかないかということを聞きたいと思っていたのですよ。そういう詭弁を言っちゃいけませんよ。毎日押しておるじゃないですか。  それでは大臣に聞きますけれども、三十円の罰金か科料を取っておりますか。
  81. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 実態に合わない点がありますといけませんので、これは将来に向かって検討をさしていただきます。
  82. 井岡大治

    井岡委員 私は将来じゃないのです。少なくともこの運賃法の改正、再建法の改正を審議しておるときに、この法律、およそこんな非現実的な、鉄監局長に言わしたら全く乗っておるやつが悪いようなものの言い方をするけれども、非現実的な法律でやっていくというようなこと、このことを改めなければいかぬ。だから大臣、これは検討するというのではなくて、大臣は、これは直しますと、こういうように言いなさいよ。
  83. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 罰則にひっかかるというようなことはたいへんな問題でございます。しかし、いま政府委員が申しましたように、国鉄が進んでこれを強制したりして乗せておるわけではないのでありますから、この罰則の規定は当然にひっかかるものではないと私も考えますが、しかし、先ほども申しましたように、実態に合わない点がございましたら、それを是正する意味で検討をいたしますということを申し上げておる次第でございます。
  84. 井岡大治

    井岡委員 そこで、投資条項があるわけですが、投資については表を出していただくようにお願いをいたしましたけれども、六条の出資をする、いわゆる投資条項のところで、運輸大臣の認可を受けて日本国有鉄道は運送事業者として使用する輸送機関事業云々と書いてあるわけです。したがってこれに対する基準というものはありますか、鉄監局長
  85. 秋富公正

    秋富政府委員 この六条の認可という点でございますが、別に法文上の認可基準というのは定めておりません。ただこの六条のいわゆる「業務運営に必要がある場合」、こういう点に照らしまして私たちは認可をいたしておるわけであります。
  86. 井岡大治

    井岡委員 基準はない、法文上に照らしてやる、私はそれではやはりいかないと思うのです。先ほど申し上げましたように、投資というものが少なくとも鉄道事業に対して十分な効果をあげるものでなければならぬし、同時にまた公共の福祉、住民の福祉、こういうものにつながるものでなければいかぬわけです。ですから少なくともこれは基準をつくっておくべきだ、私はこういうように思うのですが、いかがですか。
  87. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 いまの六条の規定は運輸大臣の裁量にまかしておると思います。非常に変転する輸送需要でございますから、どういったことが起こってくるかわかりませんから、これをあまり規則づくめで縛っておくことはかえって実際の運営に悪影響があると考えます。私のほうでは自由裁量にまかせられておりますけれども国鉄運営に必要なもの——不必要なものはもちろん認可いたしません。必要なものというので主管大臣がそういう感覚で認可をやるかやらぬかということをきめるという制度は、国鉄のような実態からいいますと、現在はそのほうがかえって運用がスムースにいきますし、国鉄実態に沿うのじゃないかというふうに考えます。
  88. 井岡大治

    井岡委員 そこでもう一つお聞きしておきたいのですが、道路運送事業、これは付帯事業か、あるいはバスというのは付帯事業だ、私はこう思うのですが、これはそういうふうに思いませんか。
  89. 秋富公正

    秋富政府委員 第三条にございますように、これは「鉄道事業に関連する自動車運送事業」というふうにいたしてございまして、これは本来の業務でございます。
  90. 井岡大治

    井岡委員 そうすると、これは独立した事業だ、こういうように理解していいのですね。
  91. 秋富公正

    秋富政府委員 日本国有鉄道におきましては、いわゆる鉄道事業、船舶事業以外に道路運送事業、自動車運送事業、これを営んでおるわけであります。
  92. 井岡大治

    井岡委員 そうすると、道路運送法の八条ですか、こういうものについてはこういうことでなければならぬという規定がありますね。「一般自動車運送事業経営する者(以下「一般自動車運送事業者」という。)は、旅客又は貨物の運賃その他運輸に関する料金を定め、運輸大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同様とする。」この中の一に「能率的な経営の下における適正な原価を償い、且つ、適正な利潤を含むものであること。」。道路運送事業というのはこういうように規定している。独立しているというのなら、この点はどう解釈していいのですか。
  93. 秋富公正

    秋富政府委員 道路運送事業につきましては、国鉄の道路運送事業、自動車運送事業につきましても道路運送法の適用を受けておるわけでございまして、これは自動車局の所管でございます。しかし、たとえて申しますと、東名高速道路のように国鉄バスも通っておりますし、あるいは民間バスも通っておるという場合におきましては、これは私の所管でございませんので、いかがかと思いますけれども、並行しております他の同一サービスをしております民間バスと同一の扱いをしております。明確でありませんが、かようなことかと思っております。
  94. 井岡大治

    井岡委員 ぼくはそれを聞いているのじゃないのです。第三条の付帯事業じゃないのだ、こう言われるから聞いているのです。一つのバスというものはなるほど大阪から東京を走っておる高速道路、これはそうですけれども、ほかのところは全部国鉄の培養線じゃないですか。国鉄に、駅まで持ってきて、それで運んでもらう、こういうものじゃないですか。これは私は明らかに付帯事業だと思うのです。そうでないと解釈が違ってくるのですよ。そう思いませんか。
  95. 秋富公正

    秋富政府委員 国鉄が営んでおります自動車運送事業鉄道事業に関連するという限定はございますが、これは第三条に規定してございますように本来事業でございます。
  96. 井岡大治

    井岡委員 それでは、これは私は総裁にお聞きしたほうがいいと思うのです。総裁は、バス事業というものは、これは元来、道路運送法で営業はしておるけれども国鉄の一環だ、こういうように理解をされておると思うのですが、この点はいかがですか。
  97. 磯崎叡

    磯崎説明員 国鉄バスの性格につきましては非常にいろいろ議論がございます。これに「関連する」と書いてございますが、関連のしかたでございますが、いわゆる国鉄線の先行あるいは代行、培養、それから補完、大体この四つが国鉄バスの原則になっておりますが、この四つをあわせて法律では「鉄道事業に関連する」という表現を使っておるわけでございます。
  98. 井岡大治

    井岡委員 これは鉄監局長を責めたってしかたがありませんが、いま言われたように、私はやはり関連事業だ、こういうように考える。そうしないと国鉄のバスというものは、国鉄の線路を廃止してこれをバスにかえるのだ、こういうことにはならぬでしょう。そう思いませんか。これは鉄監局長でなくて官房長のほうがいいかもわかりませんね。
  99. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 お答えします。  私は、やはり国鉄事業そのものだと思うのです。ただ、その関連することが、いまお話しになったように、先行、培養、代行というようないろいろな様態が四つほどございますので、その関連の度合いによって付帯事業のように見えることはあるけれども考え方事業としては事業そのものというふうに私は思っております。
  100. 井岡大治

    井岡委員 関連事業という四つの原則があるけれども、私はそれはバス事業それ自体は道路運送事業としての事業ではあるけれども、あくまでも国鉄の一環として考えていくべきだ、こう思うのです。そうでないと、一般にこれが国鉄の一つの事業だということであれば、この道路運送事業法による原価を償っておるかどうかというここにまた問題が発展してくるのですよ。あなた方総合原価主義だと言ったじゃないですか。言っておいて、これは事業だといって切り離したらどうするのです。この点をお伺いしておるのですよ。
  101. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 お答え申し上げます。  国鉄バス事業がバス事業だけで独立採算でやっているというのじゃないので、やはり先ほど申し上げたように、鉄道事業の中に関連してバス事業も取り入れて、先ほどから御論議のある総合原価主義で運賃をきめたり、原価をはじいたりしておるというふうに私は理解をいたしております。
  102. 井岡大治

    井岡委員 もう一回言いましょうか。官房長、そんなややこしい答弁をしたら問題がまた出てきますよ。これは日鉄法の中にある事業なんですよ。日鉄法第一条、第二条、私がくどく質問をしておったのはそこなんですよ。その中で、三条、バス事業とちゃんと書いてあるのですよ。どう解釈するのですかとお尋ねしたいのですよ。これは道路運送法によらなければ免許がないものだから、それにはよっているけれども、日鉄法による事業ですよ。そう思いませんか。
  103. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 先生のお尋ねのこと、はっきり私が理解できないのかもしれませんが、日鉄法の中に国鉄のバス事業が書いてあることは事実です。それから片一方、道路運送法では、国鉄がおやりになる場合には、運賃の認可にしても免許にしても、一般の規定を準用して、たとえば運賃で申しますと、承認という規定で運輸大臣が承認の行為を行なっているというふうに思います。
  104. 井岡大治

    井岡委員 わからないな。ぼくはそうでないとちょっと理解ができないのですよ。なるほど免許を受けることそれ自体は路線免許として道路運送法によって路線免許を受けるのですよ。これは受けるのだけれども、本来は国鉄のバス事業というのは日鉄法一条あるいは二条の公益法人によって行なわれておるものとぼくは理解しておるのですよ。それは違いますか。
  105. 秋富公正

    秋富政府委員 先生のおっしゃるとおりでございます。
  106. 井岡大治

    井岡委員 そこで、この問題はもうどうも明確じゃない、歯切れが悪いけれども、一応了解しましょう。  そこで、総裁にお尋ねしますが、新幹線計画の概要についてお尋ねしたいと思うのです。
  107. 磯崎叡

    磯崎説明員 新幹線計画につきましては、ただいま御審議になっております再建計画に入っておるもの、あるいは再建計画期間中にできるものとその後のものと二つございます。  この前のほうから申し上げますと、まず山陽新幹線でございます。これは来年の十二月開業を目途として現在岡山−博多間の工事を急いでおります。これは四十九年十二月開業でございます。その次の東北新幹線、上越新幹線、この二つは一応昭和五十二年度から開業いたしたいというふうに思っておりますが、同時に承認になりました成田新幹線もいま鋭意鉄建公団でやっております。一応計画としては東北、上越と同時に開業いたしたいというふうに思っております。  それから、その次が現在政府から調査命令の出ております線がございます。これはいま鉄建公団と共同で調査いたしておりますが、北から申し上げますと、北海道の函館−札幌間、それから東北の盛岡−青森間、それからいわゆる北陸新幹線。これは起点がどこになりますか、大体大阪から高崎、必ずしもまだ明確になっておりませんが、大体高崎くらいになるのじゃないかというふうに考えます。それから九州は博多から鹿児島までと博多から長崎、これが現在調査中の線でございます。これはそう遠くない機会に運輸大臣に調査の結果を御報告しなければならないことになっておるわけでございます。  そういたしますと、昭和五十七年度末、すなわち、この計画の終了いたします時点におきましては、現在開業中の東京−岡山間を含めまして約三千五百キロ開業することに相なります。それから同時に五十七年度末に工事を着工しておるもの、これは線名がまだきまっておりませんが、一応計画といたしまして、昭和五十七年度末に工事中でほぼ昭和六十年までに完成いたしたいもの、これが三千五百キロございます。したがいまして、おおむね昭和六十年度時点までに、これはまだ正式に政府で御決定になったものでもございませんで、いわば私の計画と申しますか、それが昭和六十年度までに七千キロ程度のものをつくりたいというのがいまの計画でございます。その中ではっきりいたしておりますのが昭和五十四年度までの分でございまして、あとはどの線をやるかまだきまっておらないわけでございます。
  108. 井岡大治

    井岡委員 きまっておらないということでございますから、それを深く追及することはどうかと思いますけれども、大体のアウトラインというのがわかりませんか。
  109. 秋富公正

    秋富政府委員 先般の鉄道建設審議会におきまして建議がございまして、いまの調査路線以外の新幹線につきましては、運輸省においてすみやかに調査を進めるように、こういうことでございまして、今後いろいろな面から運輸省におきまして調査を進めていきたい、かように考えております。
  110. 井岡大治

    井岡委員 わかったようなわからぬような答弁ですが、これ以上深く追及はいたしません。ただ、この五十七年から六十年までに三千五百キロの新幹線をつくる。これは再建計画のこの案の中に入っていますか。
  111. 磯崎叡

    磯崎説明員 五十七年度までに未完成でございますので、収支計算のほうは入っておりません。利子も、当然これは建設仮勘定へ入りますので、計上いたしてございません。これは従来どおりでございます。ただ建設費につきましては鉄建公団とうちの分と大体半分くらいということで、全体の十兆五千億の中に入っております。建設費だけでございまして、収支のほうは入っておりません。
  112. 井岡大治

    井岡委員 そうすると、再建十カ年計画の中にお金としては計画として入っている。しかしいまどこをどうするかということについてはさだかでない、こういうように理解していいですか。
  113. 磯崎叡

    磯崎説明員 お説のとおりでございます。
  114. 井岡大治

    井岡委員 そこで、これは監査をするようなかっこうになってたいへん恐縮ですけれども、大阪−岡山間の工事費が二千二百四十四億、こういうようになっている。もうすでに走っているわけですから、あえてこれを追及しようとは思いませんけれども、このとおりにできたのかどうか。もし若干の変更があるというのであれば、将来の建設についてどのような変動があるかもしれない。したがって、いまあなた方が資金計画としてお持ちになっているこれだけでやれるのかどうか、こういうことも知らなければいけませんので、明細をあとでもかまいませんからお出しをいただくというわけにはいきませんか。
  115. 磯崎叡

    磯崎説明員 大阪−岡山間は昨年の三月十五日に開業いたしまして、これはもう工事全部決算いたしまして、決算の報告に入っております。現在建設中の岡山−博多間の問題は、おおむね昭和四十八年度の予算で御説明した金額でもって完成できるという見込みでございます。その後の東北、上越、まあ上越は鉄建公団でやっておりますが、東北、上越につきましては、まだ全体のスケールがはっきりいたしませんが、今後の用地費の問題、これが一番大きな問題になると思います。あとの資材問題はそれほど心配いたしておりませんが、やはり用地費の問題が一番大きな問題だと思います。これを全体の中で一二、三%と見ておりますが、はたしてこれがそれだけで済むかどうか。これは絶対にいまの用地費で買えますということを申し上げるのは少し軽々かと存じますので、問題は用地費にあるということを申し上げて、あとは隧道の掘さく費あるいは公害の問題等は、おおむね現在推定できる技術の範囲内でもって推定いたしまして、これは大体やれるというふうに考えております。
  116. 井岡大治

    井岡委員 用地費の問題がかなり問題だ、私もそう思います。そこで、岡山−博多間についてはもうすでに来年の末には開通できる、こういうことですから、用地買収は済んだ、こういうように考えていいわけですね。
  117. 磯崎叡

    磯崎説明員 岡山−博多間につきましてはおかげさまで工事が非常に順調に進んでおりまして、最大の難関でございました関門トンネルは五月一日に海底部分が開通いたします。いま用地で問題になっておりますのは、私が記憶いたしておりますのは、岡山県、広島県は全部完了いたしました。山口県で二カ所ほどまだちょっと残っております。それから福岡県が大体四カ所くらい残っております。それらを除きましては、おおむね用地買収も非常に順調に進んでおりまして、いまの予定では何とか来年の十二月に間に合わせたいというふうな考え方でございます。
  118. 井岡大治

    井岡委員 そうすると、それは全体の何%くらいありますか、まだ用地買収できてないところは。
  119. 磯崎叡

    磯崎説明員 いままだ買えてないところも少しございます。これはいわゆるごね得になってもいけませんが、それほど高いということでないと私は思います。そうすると、大体岡山−博多間の全体の工事費の一三%前後ではないかというふうに考えます。まだいま不確定の部分がございますので、一応前後というふうに申し上げます。
  120. 井岡大治

    井岡委員 そうしますと東北新幹線、上越新幹線はまだ調査中、こういうように理解していいわけですね。
  121. 磯崎叡

    磯崎説明員 御承知のとおり一応工事線になっておりますので、いますでに工事を始めております。しかしまだまだ全貌がはっきりするまでに至っておりませんし、五百億程度の工事しかやっておりませんので、全体として用地費がどれくらいになるだろうかということまで申し上げるのは、まだ少し早いかと存じます。大体北のほう、東京から離れるところはおおむね順調に話が進んでおりますが、やはり東京に近づきますといろいろ問題がございます。大体いまの予定では、何とかして昭和五十一年度までには完成いたしたいという予定でやっておるわけでございます。
  122. 井岡大治

    井岡委員 この問題は今度の案ではいろいろありますけれども、少なくとも大臣に考えていただかなければいけないのは、先ほどもちょっと申し上げましたように、道路には国は三分の二を出しているわけですね。ところが新幹線についてはそう多く出しておらない。これがまた大きななににかかってくるのじゃないか、こう思います。  同時に、ついでに聞きますが、公団がやる場合は準じてやるというように載っております。その準じてやるというのはどういうことか、明確にしていただきたいと思います。
  123. 秋富公正

    秋富政府委員 ただいま御指摘の問題でございますが、国鉄、鉄建公団含めまして、新幹線につきましては本年度から一五%の出資、そして残りの工事費につきましては、金利を三・五%まで補給するということでございまして、いわゆる金利負担は三%をやや割るかと思われます。それから本四連絡橋公団につきましても、同じような助成対策を講ずることにいたしてございます。
  124. 井岡大治

    井岡委員 公団も同様の処置を講ずる、こういうことですね。
  125. 秋富公正

    秋富政府委員 国鉄、公団ともに全く同じ助成方式をとっております。
  126. 井岡大治

    井岡委員 そこで総裁にお尋ねいたしますが、在来線の複線、電化計画、これは来年中にどれくらいできるのですか。
  127. 磯崎叡

    磯崎説明員 一応電化につきましては一万キロ、複線化につきましては七千キロ、これを目標に今度の計画に計上いたしております。現在電化区間は六千五百キロでございますが、これを一万キロにしたい。それから複線区間は五千キロで、これを七千キロに延ばしたいということでございます。
  128. 井岡大治

    井岡委員 どことどこをやるというその詳細はわかりませんか。
  129. 磯崎叡

    磯崎説明員 すでに現在着工しておりますのが相当ございます。おもなところだけ申し上げますと、北から申しますと、いま北海道の複線区間は、函館本線を少しずつ虫食い的にやっております。いま工事中でございます。それから東北に参りますと、いま奥羽本線の電化をやっておる最中でございます。東北線はすでにできまして、裏縦貫の羽越線、これはすでに開業いたしましたので、まん中を走っております奥羽線を現在工事中でございます。それから関東へ参りまして、現在千葉県の各線を工事中でございます。房総東西線はできましたけれども、成田線その他につきましては現在具体的な計画が進行中でございます。  それから中部地方にまいりまして、篠ノ井線がつい先般開業いたしました。中央西線、名古屋から松本に至る線、これは松本に近いほうは、正確に申しますと塩尻でございますが、近いほうがまだ工事中で、中津川から先がまだ工事中でありまして、これはたしか間もなくできるはずでございます。  それから関西へまいりまして、現在関西線の電化をやっております。奈良から大阪の間で、これはいまディーゼルでございますが、電化計画中でございます。それから福知山線につきましては、これは電化計画ではございませんが、根元のほうの複線化計画をいま工事を始めるところでございます。  それから西へまいりまして、中国地方はなく、九州へまいりますと、一番大きなところが日豊線の複線、これは部分複線ではございますが、主要の部分の複線化と電化を現在やっています。これは博多の新幹線開業には、ぜひ間に合わせたいと思っております。なお、現在非常に御要望の強いのが長崎本線、佐世保線を含めました長崎本線でございます。これは現在検討中でございます。(発言する者あり)失礼いたしました。中国地方で伯備線がございまして、伯備線は現在複線化で計画をし、工事をやっております。  これでいたしますと、大体おもな幹線が電化されますけれども、なお四国の問題あるいは山陰の問題等、これから勉強しなければならない問題を含んでおりまして、いま具体的に線名を申し上げましたものでは先ほどの線にもちろん達しませんので、今後いま以外の問題につきましては具体的に各年度年度の予算で御審議を賜わりたいというふうに思っておるわけでございます。
  130. 井岡大治

    井岡委員 十年間に大体投資する概要というのはわかりますか。
  131. 磯崎叡

    磯崎説明員 投資内容でございますが、実はまだこれは運輸省の御承認を得たものではございません。ただ今度の案で一応十兆五千億という数字を出してございます。国鉄なりの考え方というふうにお聞きになっていただきたいというふうに存じます。もちろん各年度ごとに予算として国会の御承認を経ますので、そのときの御審議になりますけれども、概略だけ申し上げさせていただきます。  まず十兆五千億の中で新幹線の関係が四兆八千億でございます。それから大都市交通、すなわち通勤問題その他を含めまして、これが東京、大阪全部で七千億でございます。それから幹線輸送、先ほど申し上げました複線、電化その他旅客、貨物のいろいろな開業計画を含めまして、幹線電化が三兆五千億、それから安全、公害対策等を含めまして一兆五千億でございます。そういたしますと、新幹線が先ほど申しました四兆八千億、在来線の合計が五兆七千億でございます。合計いたしますと十兆五千億でございます。これは先ほど申しましたように私のほうの一つの考え方でございまして、まだ政府の御承認を得たものではございません。
  132. 井岡大治

    井岡委員 そこで、これはおもしろいことを聞くわけですが、また三条に戻るわけですが、料金というのはどういうものがあります。これは国鉄総裁に聞いたらいいと思いますが……。
  133. 磯崎叡

    磯崎説明員 運賃法に料金の定めがございますが、あそこで例示したものはたとえば特急料金、急行料金あるいは座席指定、寝台料金その他こまかいものがあるかもしれません。そういういわゆるサービスに付帯していただく料金、あるいは設備に付帯していただく料金という、いわゆる普通の料金の具体化したものは運賃法に一応書いてあるわけでございます。
  134. 井岡大治

    井岡委員 料金でこういうことを申し上げるのは非常になんでございますけれども、たとえば新幹線の料金というのは非常に高いわけですね。これは国会審議の対象にならない、こういうことです。そこで、これらの問題についてきめるときには大臣の許可を求めるというふうに理解していいですね。そういうふうに書いてある。
  135. 磯崎叡

    磯崎説明員 当然大臣の御承認を得ております。
  136. 井岡大治

    井岡委員 大臣、少なくともこの料金というものが占めておる割合は非常に高いんですよ。したがって、これらの問題は私は十分明らかにする必要があると思うのです。そうしないと、単に運賃だけを上げてこれでできるのだというのではなくて、料金も改定しなければできないのだ、こういうようにお考えになりませんか。
  137. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 国鉄運賃と料金につきましてはいろいろな沿革があると私は思います。かつてそういったものにつきましても、こまかいところまで国会の議決をされないといけないという時代もあったと記憶しております。それが国会の御審議の長い間の過程におきまして、これが一番能率的であるということでおきめになったのが現行の制度でございます。しかし、それが国会に全然無関係で通っておるかといいますとそうではございませんで、国鉄の予算を御審議いただくときにも、料金の問題はもちろん中に入っておるわけでございます。だんだん料金のほうも比重が大きくなっておるようでありまして、現在全体の三割くらいになっておると聞いておりますが、そういうことについて御審議をいただきますならば、それにつきましての資料も提出いたしますし、また御質問に対しまして御納得のいくまでお答えを申し上げますが、ただ、この制度というものはいま申し上げたような過程を経て今日に至っておるのでありますから、その点で御了承いただきたいと思います。
  138. 井岡大治

    井岡委員 制度それ自体についてはたしか三十五年か七、八年ころだったと思います、そういうようにひっくり返したのは。しかし、少なくとも三割ということであれば、かなり大きなウエートを持っておると思うのです。たとえば、今回の運賃の値上げは約二三%、こういうようにあなた方は言っておいでになるわけですが、それよりは料金は多いわけですね。そうだとすると、少なくとも参考資料として出すべきではないのか、そしてそれらの問題について十分納得のできるような方法をとっておく、こういうことが大事じゃないかと私は思うのですが、いかがですか。
  139. 秋富公正

    秋富政府委員 これは運輸大臣の認可事項でございます。このたびの料金のアップ率は平均いたしまして二二%でございます。それから料金の比率が大きくなってきておるじゃないかという御指摘はそのとおりでございます。三十五年にこれが運賃法からはずれまして以来今日に至りますまでの基本賃率と料金とのアップ率でございますが、これは決して料金のほうを高くしたという事実はございませんで、このアップ率は非常に波がございますが、基本賃率と大体同じようなものでございます。ただ、寝台とか特急とか急行とかグリーン車、こういった経済成長に伴いまして時間的節約効果あるいは快適性、こういった料金の対象となります付加的サービスの利用度が非常に高まりましたために、全体といたしまして料金と運賃との比率は料金の比率が高まってきたという次第でございます。
  140. 井岡大治

    井岡委員 これは総裁にお尋ねいたしますが、祝祭日とか、これは繁忙期というのですか、年末とか学年末とか夏休み、こういうものについて何か取っておいでになりますね。いままでは料金百円だったのがそういうときには二百円とか、三百円とか、そういうのがありますね。
  141. 磯崎叡

    磯崎説明員 たぶん、お話の点は、いわゆる座席の整理券のことではないかと存じます。これは全国でございません。東京、大阪等の大駅だけでございまして、お客さんが事前に非常に長い時間並ばれるということはお客さんにも申しわけないし、また、駅の混雑も困るということで、座席整理の実費をいただくということで、座席整理券というのを発行いたしております。値段は五十円か百円かちょっとよく覚えておりませんが、主として上野が一番大きな問題であります。東京はやっておりません。これをお持ちになれば絶対にすわれるという意味の整理券でございまして、そうして、これがあれば何日も何時間も前からお並びにならず、そのときに来ていただければいいということで、実費をいただくということで座席整理券を出しておりますが、それのことではないかというふうに思います。
  142. 井岡大治

    井岡委員 そうじゃなくて、なるほどそれも出しておいでになるのですよ。五十円か三十円出しておいでになる。ところが十二月二十一日から一月までは指定券として値段高いのですよ。三月の終わりから四月の初めが高い、夏休みのときにも高い、こういうのがあるはずです。これは指定券であるはずです、その点。
  143. 磯崎叡

    磯崎説明員 失礼しました。さっき申し上げましたのはいわゆる着席のための座席券でございますが、座席指定料金を、いまおっしゃったように閑散なときに下げるのです。ひまなときには下げるという制度でございます。これは営業上の問題といたしまして、区間を限り、日にちを限って、今度の改定におきましても基本額は三百円でございます。これは座席指定料金で、先ほど申し上げました駅における着席整理券ではございません。座席指定料金は三百円においておきまして、そして特定料金というものを今度きめております。これは百円に下げております。これは少し詳しくて申しわけないのですが、北海道、四国、九州内の相互の列車は一年間でございます。それからそれ以外の列車につきましては非常にこまかく日にちを、たとえば一月十一日から二月末日とか、いろいろ繁忙期を除きました閑散期におきましては百円にするという制度でございます。それの御質問じゃないかと思います。
  144. 井岡大治

    井岡委員 その閑散なときに下げるということ、これはいい、そのこと自体を論議をするのでなくて、たとえば昨年だったと思いますが、総理が、帰る人に対して半額にしてやる、こういうようにいっておりましたけれども、こういう問題こそ私はもう少し大臣、これは大臣でないと、国鉄自体の考えでなくて、年末にくにに帰るいわゆる働いている若い諸君がくにに帰りたい、あるいは学生がくにに帰りたい、こういうときにこそ私は考えてやるべきであって、そのときに高く、普通料金だということでもらうということは私は少し違うのじゃないか、こう思うのですがどうですか。
  145. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 国鉄運賃だけではなしに、全体のサービスを提供いたしまして乗りやすくするとか、気持ちよく乗れるとか、そういったことは絶えずやらなければならぬことでございます。その点につきまして、国鉄のいままでの努力が十分であったかどうか、これはなかなか手が回りませんで、今度再建案が通りました場合には、そういう面で各方面にわたりましてサービスを改善しよう、エレベーターやエスカレーターをつくりましたり、クーラーを入れましたりいろいろなことをしてサービスを提供する、これは言うまでもないことでございます。  ただ、割引の問題になりますと、国鉄財政が非常に苦しいものでございますから、勤労青少年が盆、暮れに帰られるという場合に、若干の割引をしていることはこれは事実でございますが、これもサービスの一つかもしれません。しかしそれを先生言われるのは、おそらくそういうところまで期待なすって言っていらっしゃるのではないかと思うのですけれども、もっとそういったものに、身体障害者もあるし、特別老人もあるし、そういう者に対して割引率を考えたらどうだというような、もしそういう御意見に関連するものといたしますと、実は私は就任以来、どういうふうな程度の財政負担が必要かということをずいぶん調べてみたのですけれども、これは非常に多額の経費がかかるわけです。この割引率につきましては、この間予算委員会でもそういった御質問がございましてお答えをしたのでありますけれども、できるだけ関係省との間で相談をいたしまして、今後前向きの検討をいたしますということを言っておったのですが、国鉄財政の中で、そういう割引率をふやしていくということは、現在の状態においては非常に財政が困難であるというような状況でございます。
  146. 井岡大治

    井岡委員 ですから、私は一番最初に言ったのですよ。国鉄の中で、いま公共負担というものあるいはサービス負担というものをするのに余力がない。そこで問題は、国の一つの政策として考えられるものについては、もっとやはり手厚い施策というものをしていかなければ、国鉄はどうなるのだということになると思うのです。だから働いておる者がくにへ帰りたいというのは、これはだれしも考えることなんです。この期間だけぐらいは帰りたいと思うのです。それについて国はやはりもっと大きな施策を出してつくってやる。そうしないと、料金というものはいま言われたように、鉄監局長は二二%今度上げました、こういっていますけれども、二二%上がる、これは実際たいへんな額なんですよ。ひとつ新幹線の例を出してみましょうか。あまり言いたくないから言わなかったのですけれども、大阪−東京間の新幹線あるいは岡山間の新幹線の料金というのはどのくらいになっていると思います。発表してください。なければ私のほうから言いましょう。
  147. 秋富公正

    秋富政府委員 お答え申し上げます。  現行法の制度におきましては、五百キロまでが運賃といたしまして二千六十円でございます。それから「ひかり」の特急料金が千七百円でございます。それから「こだま」の特急料金が千三百円でございます。
  148. 井岡大治

    井岡委員 七割から八割くらい出しているんですよ。
  149. 秋富公正

    秋富政府委員 いまの比率で申し上げますと、現在五百キロのところで「ひかり」で八三%でございます。「こだま」におきまして六三%でございます。
  150. 井岡大治

    井岡委員 ですから私は、こういう問題について、せっかく帰りたいというような方々に、せめて一年に何回か、こういうことですから、大臣、考えてやるということはできませんか、こう言っているんですよ。
  151. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 この帰郷青少年に対しましては、先ほど若干と申し上げましたが、現在やっていますのは二〇%だそうです。この割引率をさらに引き上げろということのようでございますが、これは検討いたします。
  152. 井岡大治

    井岡委員 いろいろありますけれども、私は以上の問題をお聞きをして一応私の質問を終わりますが、最初申し上げましたように、一条、二条の問題について国鉄考え方、いわゆる大臣のお考えになっていることと、私の考えていることとは違います。いわゆる受益者負担ということについてもう少し抜本的に解決をしておかないと、この十カ年の計画案というものそれ自体をおそらく近い機会にまた改定をしなければならぬ、こういうように思うわけです。ですから、これらの問題についてはあらためて討議をする場を与えていただくよう委員長にお願いして、一応私の質問を終わりたいと思います。
  153. 井原岸高

    井原委員長 午後二時三十分から再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時五十二分休憩      ————◇—————    午後二時三十八分開議
  154. 井原岸高

    井原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。梅田勝君。
  155. 梅田勝

    梅田委員 私は、これから国民の皆さんが非常に大きな注目をされております国鉄運賃値上げ、そして独占奉仕の国鉄改造計画、その法案に対しまして質問をするものでありますが、具体的な質問に入ります前に、国鉄当局、さらに運輸省、政府、皆さん方に、私どもがいままで国鉄問題の実態を解明するために、いろいろ調査をし、研究をしてきたのでありますが、国鉄当局が私たちが調べたいと思う重要な資料につきまして提出を拒むという事態が発生しております。「資料要求一覧」というものをいま持っておりますが、これはあとで委員長に提出をいたしまして、そして当委員会として正式に資料要求をしていただくようにお願いしようと考えておりますが、いままで私どもが前もっていろいろ折衝いたしたにもかかわらずこれを出さないわけであります。(発言する者あり)たとえば……
  156. 井原岸高

    井原委員長 お静かに願います。
  157. 梅田勝

    梅田委員 どういうものかといいますと、国鉄とアメリカ合衆国、在日米軍との間の輸送協定、こういうものを一体実情がどうなっているかということで調査のために要求をいたしましても、これはお出しにならない。さらに、貨物の赤字の問題と関連をして、大口荷主の貨物における契約がどうなっているか、具体的に企業ごと、事業所ごとの輸送状態がどうなっているか、その運賃収入はどうなっているか、割引率がどうなっているか、そういった事態を解明するために、顧客台帳整備基準規程というのがございますが、それに基づいていろいろ資料をつくっておられる、出していただきたいとお願いしたのでありますが、これが出されないのであります。  昨年の予算委員会におきまして、国鉄当局が資料を出したがらない、そういう点につきまして、わが党の谷口善太郎議員が強く要求したことがございます。当時の丹羽運輸大臣は「資料を隠すなんということは私は絶対にない、またそういうことはあっては相ならぬ、」「したがいまして、御必要がございましたら、委員長からお命じいただきますれば、私のほうからも命じまして、さっそく出させることにいたす次第でございます」と約束をされておるのであります。しかるに、そのような約束があるにもかかわらず、今日まで私どもが折衝いたしました範囲では出されないのであります。一体、憲法に示された国権の最高機関としての国会あるいは国会議員、これが国政調査権に基づいて要求をして、この国会の場に資料を出せないということは許されてよいものでしょうか。これは絶対許されない重大な問題であります。  そこで、私は国鉄当局にあらためて当委員会におきまして次の点の資料の提出をしていただけるかどうか、具体的な審議に入る前にお尋ねをしたいわけであります。  第一、請負業者資格及び指名中央審議会の実質的な審査基準であります。  第二、工事請負全国Aにランクされる企業の名称及び個々の業者にかかる昭和四十六年度の国鉄契約件数並びに金額。同じく鉄建公団契約件数並びに金額。この一部は鉄建公団でございますから、よろしくお願いをいたします。  第三、本年三月二十二日の新幹線鳥飼周辺における事故の交信テープ。  第四、上野保線区管内の昭和四十七年度のマヤチャートに関する資料。  第五、昭和四十一年度以降に発生した人身事故、国鉄に補償責任のあるもので死亡事故に限ってけっこうでございます。これの件名、発生年月日、死亡者の数並びに一人当たりの補償金額。  第六、昭和三十、三十五、四十、四十六年度末の私有貨車、これには米軍貨車を含みます、これの企業別、車種別一覧。特に上位五十企業と総計という点で明らかにしていただきたいと思います。  昭和四十六年度の私有貨車割引の企業別、米軍を含む割引額。これの上位五十企業と総計。  第七、国鉄とアメリカ合衆国、在日米軍との間の昭和三十五年及び四十年から現行までの各年度の次の協定について全文提出願いたいと思います。  一、公務鉄道支払い手続に関する協定。二、タンク車の登録に関する協定。三、冷凍機付き冷蔵車の取扱に関する協定。四、冷凍機付き海上コンテナの取扱に関する協晃五、駐留軍専用線に関する協定。  第八、東京第一、第二、第三工事局における昭和四十四、四十五、四十六、四十七年度の工事費一億円以上の工事件名と事業費及び当該工事の契約業者名。  第九、昭和三十、四十、四十六年度における次の資材の企業別購入数量と購入価格。  一、セメント。二、普通鋼材。三、車種別に車両。四、規格別にレール。  第十、国鉄所有地または建造物を無償貸与している相手方、所在地面積、使用目的。  第十一は、国鉄用地内での夜間無料駐車の実態。駐車数の多い上位二十駅における所有企業名別、車種別台数。  第十二、昭和三十五年度以降現在に至る国鉄関係汚職一覧。これは発覚年月、事件名、事件概要、起訴の有無と結果、部内の処分の概要。  第十三、現在工事中または土地買収中の新幹線について、一件当たり一千万円以上の買収費を要した地名、地番、面積、土地権利者の名称、買収金額。  第十四、東海道新幹線工事以降現在に至る新幹線建設工事中に発生した人身事故、これは三カ月以上の重傷、死亡事故に限ります。これの発生日時、場所、死亡、負傷者の数、事故原因。  第十五、本年度に計画されている各管理局、総局別の駅近代化計画の明細、これには駅名、近代化の内容を含めていただきたいと思います。  第十六、昭和四十六年度の本社調達品の品目別、業者名別、契約方式別の調達実績。  第十七、東海道、山陽、これは博多まで、東北、上越各新幹線建設工事について、企業名別の請負区間、契約年月日、着工年月日、完工予定年月日、当初契約金額、最終変更契約金額、これは完工に至らぬものについては現在の契約金額をお聞きしたいと思います。  第十八、今後十カ年の経営見通しについて。  一、新幹線各線別の損益見通し。二、今回分を除く三回の値上げ計画の客貨別の実収増率、客貨別の値上げ率、貨物等級制の整理計画、貨物等級別の値上げ率、旅客基本賃率の値上げ率、旅客料金の値上げ率。三、客貨別の運輸収入計画。四、旅客収入予測中、料金の占める比率。五、客貨別損益の見通し。六、定員削減の年度別計画。  第十九、昭和三十六年度以降各年度別の米軍貨物輸送について。  一、物資別、発駅別発送トン及び輸送トンキロ。二、物資別、着駅別トン数。三、物資別運賃収入と割引額。四、浜安善発横田行きの米軍貨物の輸送経路。  第二十、出荷契約トン数つき割引について。  一、出荷契約トン数つき貨物運賃割引の取り扱いについてと題する本社貨物局の指導通達全文。二、昭和四十六、四十七年度において割引を実施した次の品目に関する発駅、契約企業名、割引率、割引額。ア、セメント。イ、石油。ウ、鉄鋼及び同製品。エ、自動車。オ、飼料。カ、肥料。キ、紙パルプ。  第二十一、顧客台帳整備基準規程に基づく昭和四十六年度の発送トン数。五万トン以上の大口荷主の事業所別発送トン、輸送トンキロ、運賃収入その他の収入。  第二十二、昭和四十六年度末における鉄道債券の所有者別一覧と当該所有者の所有金額。  以上の項目につきまして資料の提出を求めたいと思いますが、出していただけるかどうかを聞きたいと思います。
  158. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 御要求の資料が非常に広範多岐にわたっているように思います。国会法の規定によりまして委員会として御要求の資料でございますれば、関係の法律案につきまして御審議を願っている際でございますから、何としても提出しなければならないと思います。  言いわけではありませんが、お述べになりました各項目を拝聴しておりますと、中にはすぐできるのもあると思います。しかしそのためにわざわざいろいろ調査をいたしまして、地方部局とも相談をした上でないと結論が出ないというものもたくさんあるようです。非常に時間がかかると思います。また国鉄の本社の中でも、地方部局と一緒になっても、そういう資料はなかなか出ないというものもあるように考えます。それらのいろんな資料がまざっておるようでございますから、御審議を願っている国鉄関係法案に直接の関係のあるものはなるべく急いで出すように督励をいたしますが、できればひとつ委員長において理事会で十分御検討いただきまして、こういうのは急ぐ、こういうのはそうでもない、また実際できないものはできないのですから、そういった振り分けをしていただきまして、誠意をもって提出することはお約束申し上げてけっこうだと思います。
  159. 梅田勝

    梅田委員 いままで国鉄が、私が読み上げました中の幾つかの例でもおっしゃってけっこうでございますけれども、出せなかったのはどういう理由であるかということを少し承っておきたいと思います。
  160. 磯崎叡

    磯崎説明員 国会提出の資料でございますが、これは先生方が法律に基づいて御要求になることが大部分だと思います。それにつきましてはもちろん所要の手続がおありになると思いますので、正式な手続を経たものにつきましてはもちろん御提出するのは当然だというふうに思います。ただ、もちろんそういう正式な手続でございますので、そういうことは万ないと私は存じますけれども、たとえば人のプライバシーに関する問題、先ほどちょっと伺いますと、けがした人、なくなった方に幾ら払ったかというようなこと、これは申し上げるべき筋合いでございません。あるいは企業のプライバシーに関すること、これも私どもはお金をいただいて仕事をいたしております。したがって相手方の御承諾のない限り出せないのは、これは社会通念だと私は存じます。したがってまた私どものほうと契約のあるいろいろな企業につきましても、具体的な特定の氏名を冠したものについては、私どもとしては資料を提出いたすわけにはまいりません。  それからもう一つ、私どものほうで部内で検討中の問題あるいは部内で勉強中の問題、それが往往にして外へ出ることがございます。これらにつきましても私どもで判断いたしまして、局部的な部分的な資料は——それは国会にお出しすることが即そのまま国民にお出しすることになります。したがってそれが一般の国民国鉄運営についての何らかの誤解を生ずる、あるいは危険を感じさせるというような、これは非常に申しわけないことでございますので、私どものほうといたしましては、私どものほうで責任をもって御説明できる資料について御提出いたします。勉強中の資料あるいは検討中の資料については提出することはごかんべん願いたいというふうに存じます。
  161. 梅田勝

    梅田委員 いまの答弁で非常に重大な問題は、プライバシーということを理由にして、大企業に対してどういう契約をしているか、どういう具体的な割引をしているかということについての解明をわれわれが要求したときに、そういう口実でもって拒否されるということになりますと、——いま国民の間で、赤字赤字だと言うけれども、実際は大企業に奉仕をする貨物に対して特定の割引をしているのじゃないか、その実態を明らかにせいというのが広く起こってきている国民の声であります。  ですから委員長にお願いをしたいわけでありますが、ああいう国鉄当局の態度では、国鉄の重大な経営問題、再建問題というものははっきりしない。そういう点で委員会として協議の上、正式に国鉄当局やあるいは鉄建公団に対して資料提出を御決定されるようにお願いを申し上げます。
  162. 井原岸高

    井原委員長 資料要求につきましては、後ほど理事会で協議いたします。  それでは質疑を続けてください。
  163. 梅田勝

    梅田委員 それでは具体的な内容に入っていきたいと思います。  いよいよこういう形で審議が始まりまして、事の成り行きを広く国民の皆さんが御注目をされております。けさの新聞にも出ておりましたが、物特で私どもが要求をいたしました資料に、大企業が、大商社が土地をどれだけ買い占めておったかということが報道されておりました。それによりますと、伊藤忠、丸紅などの六大商社が一年半で買い占めました土地の量が四千四百三十四万平方メートルに達している。これは東京の千代田区、中央区、文京区、台東区、この四区を合わせたよりも広いということで、今日だぶついた資金を持っている大企業、いわゆる独占資本といわれるものは買い占めをやり、売り惜しみをやって物価をどんどんとつり上げている。インフレの悪性化というものが進行しつつある。こういうときに、公共企業である国鉄運賃値上げを大幅にやるということは、これはたいへんなことである。何としてもそれはやめてもらいたいという切実な声があるからこそ運輸委員会審議に注目をしているのだと私は思います。そのような国民の物価安定、生活安定を願う切実な声を無視して、田中内閣はこれをどうしてもやるんだときわめて強硬的な態度で臨んでおるということは重大であります。  私どもはこの法案につきまして四つの問題点指摘してまいりました。これはわが党が単に言っているだけではなくて、まさに国民の皆さんがこの国鉄法に関して持っておられる疑問であり要求であります。  一つは、これは国民生活の生活水準の直接の切り下げをもたらす重大な問題だ。  二つには、先ほど申し上げましたような、最近の物価上昇にますます拍車をかける。三月の卸売り物価指数でありますが、これは前の月と比べまして一・九パーセントの上昇であります。昨年の同月と比較をいたしますと、二%の暴騰であります。まことに、これは暴騰といっていい。経済の基本計画というものをおつくりになっておりますけれども、その予測をはるかに上回る上昇がいま続いておるわけである。これはまさに、戦後のいわゆるインフレの激しかった時期を除きますと、戦後最高の上昇率であります。そのときに運賃値上げを大幅にやるというのはけしからぬじゃないか、当然であります。さらに第三には、しかもその値上げを十年間に四回もやろうという、これはもう言語道断であります。  さらに四つ目には、この値上げの理由が全く納得できないという問題がございます。昨年国会におきまして審議をして参議院で廃案になったという経過はもう皆さん御承知のとおりであるし、これは国民の皆さんがよく知っているのです。全く納得ができない。さらに旅客のほうは黒字だ。これは私が要求いたしました資料をいただきまして新聞で大きく報道されたわけでありますけれども、旅客は黒字なのに値上げをするとはけしからぬ、これはもう当然な声でございます。さらに、貨物の赤字に見られる大企業奉仕の実態であります。現在の貨物運賃制度、特に大企業に対する割引制度、非常に問題がある。納得できない。さらに十カ年で再建するというが、赤字は減らない。そして借金は激増していく。最終段階になると一日当たり十七億円をこえる利子を運んで国鉄は走らなければならないという事態になる。その上、国民に対するサービスはよくなるかといえば、無人駅はふえるし、貨物取り扱い駅は削減されるし、通勤電車の混雑は解消しない。そしてしかも国鉄労働者に対しては全くの合理化を強制し、労働強化を招いてくるわけであります。全く許せない。結局これは国民と労働者に犠牲をしいるものであり、大企業の超高度成長に奉仕をするものである、かように考えるわけであります。  したがってこういうものはこの際、ひとつ政府はそのような国民の皆さんの声を聞いて撤回する意思はないかどうかをお尋ねしたい。
  164. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 いろいろと御意見を拝聴いたしました。政府といたしましては、成規の手続によりまして理由を付して国会提案をいたしておる次第でございますから、成規の手続によりまして慎重に御審議の上で結論をお出し願うようにお願いしたいと思います。
  165. 梅田勝

    梅田委員 そこで、政府はそのように言っておるのでありますから、ひとつ慎重審議をやっていきたいと思います。  まずお尋ねしたいのは、運賃値上げが物価上昇に与える影響の問題であります。この点につきましては、三月八日の衆議院本会議におきまして田中総理大臣は、政府としては国民生活と物価を押えるために、公共料金の基本である国鉄運賃をうんと押えてきたということを説明されて、その証明として戦前の価格との比較をいろいろ出されて説明をなさったわけであります。また先日の当委員会におきましても、自由民主党の委員の質問に対して国鉄総裁も同様の御答弁をなさったわけであります。しかし私どもは聞いておりまして、その理由は全く納得ができない。一つの国民をだます手段としてああいう数字がひねくり回されているんじゃないかということを考えざるを得ないわけであります。なぜかといいますと、国鉄は創業以来昭和三十九年度まで、まあ一時期一時期赤字の問題がありますけれども、要するにずっと赤字に転落をするということはなかったのです。そして、国からは昭和二十五年度に四十億円出していただいておるようでありますけれども、それを除きますと、国鉄経営企業の発展、国民の輸送を確保していくという仕事は営々として国鉄の関係者が築いてきたわけであります。それだけではありません。あの戦時中には逆に国鉄財政から戦費調達ということで、当時のお金で七億円差し上げておるわけですね。そして、とにかく今日の巨大な国鉄の基礎を築いてきたわけである。先ほど来国鉄企業公共性の問題がございまして、いろいろ議論がございました。国鉄のような大きな運輸企業、これは国鉄だけではございません。私鉄その他がございます。それぞれの運輸企業においては、そこで一定の利潤というものをあげているのです。この利潤というものはどうしてあがったかといえば、単にそこに投下された資本が生んだものではございません。新しい価値というものは常に労働者が働いてそこに上積みした、全く新しい価値というものを生み出しているからこそ社会の発展というものはあるわけであります。私どもとしては、そういう点で労働者は自分の生活手段として、賃金、これを受け取りますが、剰余価値労働というものは常に資本によって収奪をされている、これが資本主義社会だ。つまり国鉄の労働者が営々として働いて、その剰余労働というものによって、剰余価値というものによって今日の巨大な国鉄の資産というものをつくり上げてきたんだということをまず念頭に置いていただきたいわけです。  そこで、盛んに昭和十一年の当時との比較が出てまいります。私は、ここであらためて昭和十一年のときの価格と今日の価格との比較を聞こうとは思いません。この間ここで質問されておりますから、重複になりますから質問いたしません。私はその反論の意味で申し上げて、国鉄当局のあるいは大臣の明快な答弁を聞くために申し上げておるわけであります。昭和十一年といいますと、御承知のように昭和四年、五年というものは日本経済状態というものは恐慌の結果、たいへんな事態になっておったことは御承知のとおりであります。そして物価が大きく下がって、昭和十一年というのは比較的安かった時期である。ところが国鉄運賃の場合には、ずっと値上げをやりまして——物価というものは比較的相対的な意味であります。諸物価と比較いたしまして、国鉄運賃が相対的に高かった時期をとってそういう比較検討をやって、安い安いということをいわれるわけであります。先ほど剰余価値労働というものが国鉄の巨大な富をつくったということを申し上げましたけれども昭和三十九年までずっと黒字が続いてきたということ自体がいかに運賃が長く高かったか、相当の運賃を取っておったかということの証明でもあります。むしろなぜ赤字に転落したかということが問題なのであります。これが第二点。   〔発言する者あり〕
  166. 井原岸高

    井原委員長 お静かに願います。
  167. 梅田勝

    梅田委員 この点についての御答弁をお聞きしたいと思います。
  168. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 御質問の趣旨と違いましたら再質問をお願いしたいと思います。  いまの最後の御質問の趣旨は、昭和十一年ごろの年度を標準年次にとっているのはおかしいじゃないか、こういうことに尽きるのじゃないかと思うのですが、しかし昭和九年から十一年という時代は、御承知のように非常に経済が安定していた時代でございました。十二年からは日支事変が起こりまして非常に動揺いたしました。でございますから、われわれ、これは古い年次のことを申し上げますが、昭和九年から十一年ということはこれはいまに始まった問題じゃなくて、一つの標準年次として採用している場合が非常に多かったのであります。それが今日でも当てはまるかどうかについては御議論があるかもしれませんが、そういう年次をとることもいまのいろいろな数字をごらんになる上で一つの参考になる年次じゃないかと思っております。
  169. 梅田勝

    梅田委員 国鉄総裁はいかがでございますか。
  170. 磯崎叡

    磯崎説明員 大臣はいま国全体のお話でございましたが、私のほうから見ますと国鉄経営をずっと百年間見てみますと、昭和十年前後が一番経済経営の安定した時代でございます。その後は御承知のとおりのような状況で、したがって私のほうといたしましては昭和十一年を基準として考えたわけであります。
  171. 梅田勝

    梅田委員 はしなくも言われたように、その当時の国鉄運賃は高かったということの証明された答弁でもあったと思います。  もう一つそういう点でお聞きしたいのは、あの比較議論に出されたのは基本賃率でございますか。
  172. 磯崎叡

    磯崎説明員 旅客は基本賃率、貨物は一トン一キロの収入でございます。
  173. 梅田勝

    梅田委員 先ほどここで議論がありましたように、基本賃率と料金との関係で、料金は今日どんどんふえていっている。それを基本賃率で比較をされること自体が一つのごまかしなんですね。詐術ですよ。だから……。(発言する者あり)何を言うんだ、黙っておれ。
  174. 井原岸高

    井原委員長 お静かに願います。
  175. 梅田勝

    梅田委員 いまやはり一つのペテンだと思うのですね。ですから私は、国鉄の営業損益において赤字があらわれてきた時点ないしは非常に不安定になってきたそういう時点ですね、そういう時点をとって今日運賃値上げをやった場合にはどういう関係になるかという議論をやることこそが、最近の問題としては一番重要であろうと思うのです。ですから、私は前の委員会では昭和四十年との比較において出しました。今回は昭和二十六年を基準としてお尋ねをしたいわけでございます。それが昭和四十七年にどうなっているかということを問題にしていきたいと思います。この間の消費者物価の上昇率は幾らでございますか。
  176. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 どういう理由か知りませんが、いろいろの年次を出されて比較をしろということでございますが、私の手元にはいまございませんから、必要でございますれば調査の上お答えを申し上げます。
  177. 梅田勝

    梅田委員 これは、あらかじめこういうことを聞くからということを言うてあります。——経企庁の方おられませんか。(「三時四十五分になったら帰ってくる」と呼ぶ者あり)
  178. 梅田勝

    梅田委員 三時四十五分になったら帰ってこられるのですか。弱っちゃったな、それまで待ちますか。
  179. 井原岸高

    井原委員長 それまでほかのことを質問しておってください。
  180. 梅田勝

    梅田委員 旅客運賃ですね。これは基本賃率だけではございませんよ。旅客運賃、料金も入れてそれで幾ら上昇しているかを言ってください。
  181. 磯崎叡

    磯崎説明員 ちょっと御質問がわからないのでございますけれども、御承知のように料金はいろいろございますし、距離によって違います。したがいましていまの御質問に対するお答えはないわけでございます。
  182. 梅田勝

    梅田委員 旅客運賃、基本賃率と料金がどのような形で上がっていっているかということです。
  183. 磯崎叡

    磯崎説明員 運賃と料金と申しましても、料金にもいろいろございます。ですから御質問の趣旨がちょっと私にはわかりかねるのでございますけれども、もう一ぺんお願いいたします。
  184. 梅田勝

    梅田委員 国鉄総裁が一番よく知っているのだよ。この間質問したときには旅客運賃は何ぼ上がっていますかということに対してお答えになっているでしょう。
  185. 磯崎叡

    磯崎説明員 旅客運賃ははっきりいたしております。料金は距離によって違いまするし、利用される方によって違いますので具体的にどういう御質問か——たとえば寝台料金を一緒にしたらどうなるか、そういう御質問をいただきませんと、ちょっと私のほうとしてはわからないわけでございます。   〔発言する者あり〕
  186. 井原岸高

    井原委員長 お静かに願います。
  187. 梅田勝

    梅田委員 それではまず基本賃率から言ってください。
  188. 磯崎叡

    磯崎説明員 基本賃率は、けさほども申し上げましたとおり現在四円二十銭でございます。昭和十一年は一銭五厘でございます。それの倍率が二百六十九でございます。
  189. 梅田勝

    梅田委員 昭和十一年との比較ではなく、昭和二十六年との比較を聞いたのですよ。
  190. 磯崎叡

    磯崎説明員 たいへん失礼でございますけれども昭和二十六年と現在の旅客の基本賃率、第一地帯賃率の倍率は何かと、こういう御質問と了解してよろしゅうございますか。
  191. 梅田勝

    梅田委員 とりあえずそれからやってください。
  192. 磯崎叡

    磯崎説明員 二・二七倍でございます。
  193. 梅田勝

    梅田委員 急行料金は幾らですか。
  194. 磯崎叡

    磯崎説明員 先ほどからるる申し上げておりますが、急行料金も制度はすっかり変わっております。二十六年はほとんど急行がない時代であります。特急が一、二本の時代であります。その後いろいろ変わってきておりますので、どことどことをどういうふう比較をするかという御注文があればすぐ計算いたします。
  195. 梅田勝

    梅田委員 旅客運賃収入はどのように変化しておりますか。
  196. 熨斗隆文

    ○熨斗説明員 先ほどの消費者物価指数の上昇率でございますけれども、消費者物価指数、御承知のようにいろいろ中途で基準など変えておりますので正確な連続ができませんが、大ざっぱな見当をつけますと大体二・五倍になっております。二五〇くらいの指数になっております。
  197. 梅田勝

    梅田委員 さいぜんのものは出ないのですか。
  198. 磯崎叡

    磯崎説明員 御質問は収入の総額でございますね。
  199. 梅田勝

    梅田委員 総額です。
  200. 磯崎叡

    磯崎説明員 二十六年度の収入とそれから四十六年度になりますか、それの旅客収入の倍率がどうかという御質問でございますね。すぐ計算いたします。
  201. 梅田勝

    梅田委員 貨物運賃の場合は幾ら上昇しておりますか。
  202. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 手元に二十六年の数字がございませんで、二十五年しかございませんが、二十五年の貨物運賃の収入でございますが、六百二十五億二千三百万でございます。
  203. 梅田勝

    梅田委員 量ですか。
  204. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 六百二十五億二千三百万円でございます。  ついでにそのときの旅客を申し上げます。二十五年しかございませんですが、七百十四億五千五百万円でございます。
  205. 梅田勝

    梅田委員 私が旅客運賃の問題について基本賃率とか料金とか、そういうものが総合して何ぼあがっておるかということを試算いたしましたら、こういうことになるのですね。   〔梅田委員、図表を示す〕  つまり、赤く書いてあるのは旅客運賃でありますが、昭和二十六年を一〇〇といたしまして、いまお答えがありましたように、消費者物価の上昇率というものは、このように二五一・八、非常に急激にふえてきております。上昇しておる。物価はどんどんと上がっておるということが数字で明らかだと思うのです。否定できない事実です。それに対して旅客や貨物運賃はどのように上がっていっておるかということを先ほどお答えにならないわけでありますけれども、基本賃率では旅客は二・二七倍だとおっしゃいましたが、料金の点が加味されていない。料金を払わなければ乗れないものもありますから、それを総合して勘案した場合には、旅客運賃は三三四・七上昇していることになるわけであります。このように関係を見てみますと、明らかに公共料金である国鉄運賃がどんどんと引き上げられていく。そういう関係によって、一般消費者物価が引き続いて上昇していく。いわゆる先導的な役割りを果たすということを、傾向は示していると思うのですね。それを今後連続四回で値上げしていくという計画を聞きますと、これはだれでもびっくりすると思うのですね。  さらにお聞きしなければなりませんのは、四回連続値上げで、実質何ぼになりますか。
  206. 磯崎叡

    磯崎説明員 先生が先ほどそこにお示しくださいました数字は、私の了解とちょっと違うと思います。と申しますことは、三三四という数字は、たしか総理府の統計からおとりになった数字だと存じます。それは国鉄運賃のほかに、物価の問題を入れた数字でございます。ですから、これが国鉄運賃の倍率ではないのでございます。これは一三〇と二一と三という加重平均でございまして、これは物価のほうの加重平均でございます。それと運賃と一緒にされて、こういういまの表はちょっと私には理解いたしかねますので、私はもう一ぺん申し上げますけれども昭和二十六年度に比較いたしますと、旅客はいまおっしゃった二・二七倍でございます。  それから、先生がいまお使いになりましたその資料の中には、料金は入っておりません。これは普通旅客運賃と定期旅客運賃でございます。それを物価の寄与率で上げたそこの数字でございますので、私ども数字ではないということを申し上げておきます。  それから、全体といたしまして、十年間に運賃収入はどうなるか。大体いまかりに先般お話いたしましたように、試算で計算いたしますと、運賃が大体現在の二・二三倍くらいになります。それは過去十年間とそれほどは違っていないという見方をいたしております。それから、二・二三倍でもって国鉄に入ってくる収入は、約七兆九千億でございます。これも先般申し上げた数字でございますが、一応念のために申し上げます。
  207. 梅田勝

    梅田委員 その際の物価上昇率の計算は、どのくらいになっていますか。十年間ですよ。
  208. 磯崎叡

    磯崎説明員 これも先般佐藤先生の御質問で申し上げましたとおり、一応私のほうでは物価そのものよりも、私のほうで使います物件費でございますね、それの上昇率は省いております。これは経済社会基本計画を中心といたします、また、人件費は御承知のとおり一二・三で見ておりますので、十年間に三倍以上になります。全体の物価水準そのものは、ちょっと私のほうの所管でございませんので、経済企画庁のほうからと思います。
  209. 橋口隆

    ○橋口(隆)政府委員 長期にわたる見通しについては、まだここに資料を持っておりませんが、今回の運賃の値上げによりまして、卸売り物価に与える影響は、貨物の場合に大体〇・一二三%という産業連関表に基づく試算をいたしております。これが消費者物価に及ぼす波及効果は大体〇・〇九%、こういうふうに見ております。また、旅客運賃の消費者物価に与える影響は、大体〇・三四%にとどまるのではないか、当面そういうふうに見ておるのでございます。
  210. 梅田勝

    梅田委員 十年後の昭和五十七年ごろの消費者物価指数は幾らくらいになるかを、聞いているわけです。
  211. 結城茂

    ○結城説明員 十年後の消費者物価指数はどうなるかということは、定めてございません。それで、経済社会基本計画では、五年間の計画としまして年四%台ということで想定しております。
  212. 梅田勝

    梅田委員 それでいきますと十年たちますと、いまあなたは正式にはきめていないけれどもとおっしゃったが、いまのテンポで十年ずっといけばどのくらいになりますか。
  213. 結城茂

    ○結城説明員 消費者物価の四%台というのは、あくまでも政府の目標ということで目標値を定めてございます。したがいまして、それを単純に十年に引き伸ばすことについても、あまりそれだけの意味はないのじゃないか、かように考えております。
  214. 梅田勝

    梅田委員 お答えにならなかったら、私がその予測でいきますと、大体十年後に、消費者物価は政府がいっているとおり五年間いくとすると、そしてあとの五年間も同じような調子でいくとするならば、一七〇%ぐらいになると予測されます。そうしますと、先ほど来旅客の運賃値上げあるいは貨物の運賃値上げによって、消費者物価に対する影響率はそうないと、盛んに強弁されますけれども、またこのグラフを出してもいいわけでありますけれども、この運賃値上げの上昇率のほうは、いま公式にお答えになった、かりに二・二三倍が正しいとすれば、片一方は二二三%の上昇率、物価のほうは一七〇%の上昇率ということになるわけで、やはり公共料金の値上げというものは物価上昇の先導的役割りを果たすことになるのじゃないですか。経企庁、どうですか。
  215. 橋口隆

    ○橋口(隆)政府委員 私どもの試算によりますと、先ほど申し上げましたように、消費者に与える影響は非常に警戒を要するところでございますけれども、それより大きいとは考えていないのであります。長期にわたりましては、あらためてこちらのほうで試算をしてお答えいたしますけれども、それほどの大きな値上がりにはならない、こう見ておるわけであります。
  216. 梅田勝

    梅田委員 経済社会基本計画によっていま御説明があったわけでありますけれども、消費者物価は年平均上昇率が四%台ということで、さらにこの資料によりますと、百十ページのところで、昭和四十八年から五十二年度の間は消費者物価指数は大体四・九%の上昇にとどめるという。四%台といっても、四・九ですから一番最後のところですね。それから卸売り物価のほうは二・三%というように書かれておりますが、これは一応予測で、今後どうなるかということはわからぬわけですね。必ずこのように押えてみせるという自信はおありですか。
  217. 橋口隆

    ○橋口(隆)政府委員 経済社会基本計画におきましてはいまのような数字を出しておるのでございますけれども、これは一応の政策の努力目標でございます。また策定当時においての経済状態から判断しましてそれくらいになるであろうと予測したのでございます。ところが、最近のこの物価上昇を見ておりますと、あるいは非常に上がるような御懸念もあるかと思いますけれども、しかし現在物資の流れを見ておりますと需給は大体均衡しております。そうして大体において繊維製品も木材も食料品も落ちついてきたような様子でございます。したがっていま国会にも提案をいたしておりますが、買い占め、売り惜しみ防止に関する法案なんかによりまして、流通経路をしっかり押えていけばそれほど異常な騰貴はしない、私はそういうふうに考えて所期の目標は果たせるのではないか、こういうふうに経企庁としては見ておる次第でございます。
  218. 梅田勝

    梅田委員 物価上昇に関して経企庁がいろいろお調べになり、予測も出し、また結果を出されてきているわけでありますが、予測と結果というものはいままでのものははっきり出ておりますね。どうですか。
  219. 橋口隆

    ○橋口(隆)政府委員 その結果につきましては、いつも実績を発表いたしておりますから、その結果は明らかでございます。
  220. 梅田勝

    梅田委員 その予測と結果が合うておりますか。
  221. 橋口隆

    ○橋口(隆)政府委員 昭和四十七年度を見ますと、御承知かと思いますが、卸売り物価は少し見通しが違っております。二・二%と予測しておりましたが、これが三・二%になっております。ところが消費者物価におきましては五・三%と見込んでおりましたけれども、年度内におきましては大体五・一%に落ちる見込みでございます。もうそういう結果も出ております。
  222. 梅田勝

    梅田委員 昨年は聞きましたが、それではそれ以前の問題を一つずつ確かめてみたいと思いますが、昭和三十五年の場合はどうでございますか。
  223. 結城茂

    ○結城説明員 お答えいたします。  昭和三十五年度の場合に、これは卸売り物価の見通しでございまして、当初見通しは一・一%というのが経済見通しになってございます。当年度の実績は〇・二%の卸売り物価の上昇ということで、見通しよりも〇・九%マイナス、こういう実績でございます。
  224. 梅田勝

    梅田委員 消費者物価は。
  225. 結城茂

    ○結城説明員 ちょっと手元に資料ございませんので、担当のほうからお答えさせます。
  226. 梅田勝

    梅田委員 両方お願いをしておったと思うのでありますよ。消費者物価のほうは、三十五年は予測は一・一で、結果が三・八でございますね。間違いございませんか。
  227. 結城茂

    ○結城説明員 消費者物価のほうは、三十五年度当初見通しが一・一%、それから年度途中に改定がございまして、三・二%になっておりまして、実績が三・八%というふうに出ております。
  228. 梅田勝

    梅田委員 それでは三十六年はどうなりましたですか。
  229. 結城茂

    ○結城説明員 三十六年度は、卸売り物価の当初見通しでございますが、〇・三%のマイナスというのに対しまして、卸売り物価の実績はプラス一・二%、消費者物価につきましては当初見通し一・一%、改定見通しが五・七%ということで、実績が六・二%ということでございます。
  230. 梅田勝

    梅田委員 昭和三十六年になりますとこれは非常に急上昇しておりますね。一・一%の見通しが六・二%にまで消費者物価が上がったわけであります。卸売り物価は安くなるだろうと予測したのが逆に一・二%上昇した。翌年三十七年、三十八年、三十九年いかがなりましたか、予測と結果は。
  231. 結城茂

    ○結城説明員 卸売り物価のほうから申し上げますと、三十七年度につきましては、当初見通しが△の二・八%に対して実績が△の一・七%、三十八年度は当初見通し横ばいと見込んでおりましたが、実績が二・二%、三十九年度は当初見通しではプラス〇・五%に対して、実績は横ばい、ゼロということでございます。  なお消費者物価のほうでございますが、三十七年度は当初見通し二・八%、改定見通し五・九%に対しまして、実績が六・七%、三十八年度が当初見通し二・八%、改定見通し七・二%に対しまして、実績が六・六%、三十九年度が当初見通し四・二%、改定見通し四・八%に対しまして、実績が四・六%、かようになっております。
  232. 梅田勝

    梅田委員 これも結局合ってない。しかも予測したよりも結果というものは絶えず上昇上昇という方向へ行っているという数字が出るわけですね。これはあとずっと毎年やっておったら切りなく続くわけだけれども、要するに、政府がお立てになっている見通しというものは大体当たらなくて絶えず悪い方向に作用するというのが事実。われわれは事実ほど大切にしなければならぬ問題はないわけです。となると、せっかくこうやって皆さん計画を立てて物価を安定するとかいろいろ書いておられますけれども、どんどん上がっていくという傾向はとまらない。われわれはかような傾向はインフレがさらに悪性化していくといっているわけでありますけれども、この傾向をお認めになりますか。
  233. 橋口隆

    ○橋口(隆)政府委員 わが国の経済は、御承知のように自由経済でございますから、正確に計画経済とは違います。そういう意味で年々の見通しは一応経済計画としての民間あるいは国の経済を主導する上のガイドライン、そういうような意味を持っておるわけでございます。したがってほかの計画経済の国のようにぴしゃっと合わなくちゃならぬというのとは違いまして、一応の見通しであればそれでいいと考えておるのでございます。ただ、政府努力目標でございますから、それに近づけるようにしなくちゃならぬ、そういうことで全力をあげておりまして、四十七年度の消費者物価は五・三%の見通しが五・一%以内にとどまった、こういえるのでございます。したがって四十八年度は、現在五・五%と見込みを立てておりますが、それに近づけるように最善の努力を傾けようということで政府は物価対策を講じておる次第でございます。
  234. 梅田勝

    梅田委員 われわれは最近の全く目に余る商品投機によりまして、あの戦後一時期のインフレを思い起こす。まさにそれの再現だというように感ずるわけですけれども、経企庁のほうは、いまインフレの問題についてはお答えにならなかったけれども、それはどうですか。
  235. 橋口隆

    ○橋口(隆)政府委員 私は戦前あるいは戦後におけるインフレとは非常に根本的に違う点があると思います。それはあの当時は御承知のように物資が足りなかった。したがってもう需給均衡がとれなかったわけでございますから、必然的にインフレ症状を呈した。ところが今回は、これは物資ごとに見てみましても、木材にしても繊維にしましても、現在需給は見合っているのでございます。しかもあり余るドル、外貨を持っておりますから、必要があれば幾らでも輸入できる。そういう体制で、需給については心配はない。ただ問題は、その途中の流通過程において買い占め、売り惜しみが行なわれている。それで今度の国会でも、そういう法的権限を与えていただけば、われわれは農林、通産、あるいは運輸省とも相談しまして、その流通過程がスムーズにいくようになればこれは必ず解消する、こういうふうに見ておるわけでございます。
  236. 梅田勝

    梅田委員 結局現在の時期は戦後のああいう混乱の時期とは根本的に違っている、物価も安定してインフレではないということですか。きょう私は大臣を要求したんだけれども来られていないが、あなたは小坂さんと同じですか。もう一ぺん言うてください。
  237. 橋口隆

    ○橋口(隆)政府委員 大臣も私と全く同意見だと考えております。
  238. 梅田勝

    梅田委員 あなたは小坂大臣とは同一の人格ではないわけだけれども、それは言い切れますか。大臣じゃないんだから、次官なんだから。
  239. 橋口隆

    ○橋口(隆)政府委員 ただいまの見解につきましては、経済企画庁といたしまして大臣、われわれ一同そういう考えをとっている次第でございます。
  240. 梅田勝

    梅田委員 統一見解ですね。
  241. 橋口隆

    ○橋口(隆)政府委員 そうでございます。
  242. 梅田勝

    梅田委員 しかし、その点につきましては私はたいへんな問題だと思うのです。先ほど来ずっと言いましたように、政府が公共料金というものを押えないで引き上げたときには物価はどんどん上がるし、ある程度押えたときには物価は比較的上昇が鈍くなる、これは経企庁自身が言っておったことだから。今回かかる大幅な値上げ——十年間で確実に二・二三倍の運賃になるということをいわれている、これは重大なことだと思うのです。  大臣にお伺いいたしますが、かかる公共料金の引き上げの先導的役割りを果たす運賃値上げについては考え直して、逆に下げるという意思はございませんか。
  243. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 いま提案をいたしておるのが政府の見解でございます。下げる意思は持っておりませんし、この提案を引き下げる意思もございません。
  244. 梅田勝

    梅田委員 それでは、今度は運賃と料金の関係をもう少し幾つかの具体例で聞いていきたいと思います。  先ほど来問題になりましたように、新幹線の場合には特に大幅な黒字だ、営業係数が四六という資料もございますし、私が質問でいただいた資料には四五、千八十八億の黒字を出している。百円の収入に対して四十五円しか経費を使ってない。しかも東京から私の選挙区でございます京都へ国民の皆さんが「ひかり」を御利用なさると、基本運賃部分は二千百五十円、そして特急料金が千九百円でございます。そうすると八八%の比率を占めておるわけですね。料金が非常に高い。その高い料金をなおさらまた上げるというので——加藤六月さんはいま頭をたたかれたのですけれども国民は頭にきたということですね。料金の部分は高過ぎると思うのです。これは納得できませんよ、新幹線を御利用なさっている方々は。営業係数四五でどっさり大もうけしているのに、なおその上に値上げするというのは。これは新幹線の特急料金を下げる考えはございませんか。大臣の認可事項ですから大臣どうですか。
  245. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 料金関係は新幹線といわず在来線といわず、それぞれ特別のサービスをしておりますので特別の料金をとっておるのでございまして、いまのところ大体バランスを得ておると思いますので、このような料金の体系をくずす考えはございません。
  246. 梅田勝

    梅田委員 特別のサービスをしているということが出てまいりましたが、超特急、特急、急行、普通の鈍行とございますが、こういう料金をとっている種類ごとの区別ですね、いろいろ理由があってとっておられるのだと思いますけれども、その基準というものはどういうものですか、具体的にお聞きしたいと思います。
  247. 磯崎叡

    磯崎説明員 いわゆる特急、急行等の客観的な、たとえば速度が何キロ以上なら何とかというほどの厳格な基準はございません。しかし、過去の例から申しまして、快速、準急を別といたしまして、急行、特急、超特急と、やはり一つのスピードと、それからそれに使います車両の関係できめておるのでございまして、たとえば新幹線のときに超特急をつくるかどうかいろいろ議論があったわけでございますが、これは到達時間からいって十分超特急であるという形にしたわけでございまして、時速何キロ以上は何という客観的な純粋な基準はございません。
  248. 梅田勝

    梅田委員 時速性というのも一つの基準になる、それから設備がよいということも一つの基準だというようなことでございますが、京都の山陰線の場合、昨年ダイヤ改正をやられたわけでございますが、非常に不満が出ておるわけです。特に急行の場合には、九本ありましたものが八本に、一本減っております。これは事実ですね。それから特急が新設されまして、四本編成されたわけでありますけれども、これは現在もそのように運行されているんですね。この事実関係をお聞きしたいと思うのです。
  249. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 列車本数でございますけれども、四十七年の時点で急行が十本、快速が三本、普通が二十二本、こういう状況でございます。
  250. 梅田勝

    梅田委員 現在八本は事実ですか。
  251. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 現在は十二本でございます。
  252. 梅田勝

    梅田委員 特急が四本というのは事実ですか。
  253. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 特急は五本でございます。急行は七本ございます。十二本の内容でございます。
  254. 梅田勝

    梅田委員 わかりました。京都発の時刻表でどうですか。
  255. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 ただいま申し上げましたのは、京都発の本数でございます。京都発の基準で申し上げたわけであります。
  256. 梅田勝

    梅田委員 ぼくはダイヤ表を持ってきたわけですけれども、その中でちょっと問題がありますのは、スピード性ということをよくいわれますけれども、「白兎」の場合、去年の十月一日ですよ。急行で「白兎」というのがございましたね。これが京都と綾部の関係で比較をいたしますと、七十七分、それが特急の関係で比較をいたしますと、「あさしお2号」というのが七十九分かかっておりますね。これは事実でございますね。京都−綾部間ですよ。
  257. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 いま御指摘の時分はそのとおりでございます。ただ、特急、急行のスピード差の問題でございますけれども、ある区間だけを特定して比較をするということは、先ほど総裁が答弁した趣旨とは違っておるわけでございます。
  258. 梅田勝

    梅田委員 ところが、われわれの京都の関係者が綾部に行く場合に、急行よりおそい特急というのは納得ができないということ、つまり、料金の点において非常に大きな差があるわけですよ。ここの場合には百キロ以内でございますから、急行の場合だったら百円の料金、特急の場合ですと六百円の料金になるわけですね。百円と六百円というのは非常な違いですよ。そうして、着くのは二分おそい。「あさしお4号」になると八十一分で、四分おそいわけです。これは非常に不合理だということで、改めてほしいという声が非常に強いわけです。これは料金を決定される場合にそういう点は考慮されないのですか。
  259. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 ただいまの比較でございますけれども、百円と六百円、その違いはそのとおりでございますけれども、特急というのは座席指定というのがたてまえになっております。そうしますと、急行の場合に、百円のほかにそれと同じような座席を確保するという観点からすれば、プラス三百円、四百円と六百円、こういう比較になろうかと思います。なお、特急は長距離利用されるということを、一応普通の利用の場合、前提としておる、こういう料金体系になっておりまして、その区間だけの比較というのは必ずしも適切ではないのじゃないか、こういうふうに考えられるわけであります。
  260. 梅田勝

    梅田委員 合理的な料金制度をお考えならば、そういう点では百キロまでに対してはもう少し率を安くするとかということが当然考えられるのと違いますか。その点、どうですか。今後そのように改正される御意思はございますか。
  261. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 御指摘のように、そういう考え方ももちろん入れておりまして、特急でも末端のある区間については、そのような輸送の列車の使命によりまして、そういうような運賃の取り方も考えております。しかし、この区間につきましては、そういうことをすることが列車の使命上適当でないというふうに考えておるわけでございます。
  262. 梅田勝

    梅田委員 わずかの差でございますけれども、その区間は特急は急行よりかおそいわけですよ、それは終着点はどうか知らぬけれどもね。京都−綾部間に関してはおそいわけだ。これだけの料金を取るならば、なぜもう少し早いダイヤを組まないのですか。それは技術的に組めないのですか。
  263. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 特急のほうが急行よりもおそいということでございますけれども、現在の時点では特急のほうが早くなっております。
  264. 梅田勝

    梅田委員 いつダイヤ改正をやったのですか。一番最近のダイヤで調べて出ているのですよ。「あさしお4号」八十一分かかるという資料出ておりますよ。
  265. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 一本同じというのがございます。特急と急行スピードが同じというのが一本ございます。
  266. 梅田勝

    梅田委員 特急は早いのもありますよ。それを聞いているのじゃない。私は全部おそいなんて言っているのじゃありませんよ。おそいのがあるということを言っておるのです。だから、おそいのをもっと早くするように変えられないのか、あるいは料金制度、こういう全く不合理な——スピードが一つの区別する基準だと最初おっしゃったでしょう。おそいのに乗るお客さんに対して急行より高い料金を取るのはおかしいじゃありませんか。
  267. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 先ほど来申し上げておりますとおり、特急は原則的に全部早いのでございますけれども、一本だけ特急と急行が同じスピードがございます。御指摘のように特急のほうを早くすべきであるということはそのとおりでございます。しかし、その区間だけの比較においてはいま申し上げましたように同じでございますけれども、その区間だけの比較でもって早いおそいということの比較は適当でないということは先ほど申し上げたとおりでございまして、現在のスピードからいって急行のほうが早い区間の利用につきましては、御指摘のような不合理といいますか、そういう問題ございますけれども、おのおの輸送列車の使命がございまして、それと運賃制度の適用の関係、こう思うわけでございます。
  268. 梅田勝

    梅田委員 さらに、国鉄がこういう料金をおきめになるときに、ダイヤとかたく結びついているわけですけれども、たとえば京都駅発のダイヤは「丹後1号」というのが九時二十二分に旧ダイヤでは発車しておる。ところが八時五十二分に特急が出ているのですね。そうして九時二十分も特急なんだ。そうして従来の「丹後1号」というのは十時十五分にならないと出ないんだ。だから、特急が二本先に出て急行があとに出る、こういうようなダイヤの組み方は、利用するお客さまの立場からすると、あの時間帯に利用したいと思っておるのが特急に変わった。だから特急に乗らなければならないということになる。大体新幹線ができることによって旧東海道の急行は、ばっさり切られて、新幹線に乗らざるを得ないという状況がつくり出されておるのと変わらないようなダイヤ編成のやり方で常に料金でがばがばと取れるような手段を考えていく。それをダイヤ改正のときにやるというようになっているといわれてもしようがないじゃありませんか。どうですか。
  269. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 ダイヤの設定につきましては、お客さんの輸送需要といいますか、顕在的なそして潜在的な輸送需要をよく見まして、それに合わしていくというのが基本的な考え方でございまして、いま御指摘のように急行を特急にし、また従来あった急行の時間帯をうしろに下げるということは、現在の輸送施設をお客さんの輸送需要に合わせるようにもっとよりよくするためのダイヤ改正でございまして、それによって急行を不便にし、特急に乗せることを強要する、こういうような趣旨の改正では決してございません。
  270. 梅田勝

    梅田委員 その時間帯に利用されていた方々から不満が出ているから私は申し上げているのです。そういうものを無視してどんどんとこういうやり方で料金を取っていくという国鉄の営業政策というものは、われわれは納得できない、国民は納得できないということを申し上げて、次に進みたいと思うのです。  グリーン料金というのが今度も改定になります。グリーン(A)の四百キロをこえて六百キロの分、ここの値上げ率は何ぼになっているのですか。
  271. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 グリーン料金の(A)でございますけれども、六百キロメートルまでのところは現在二千円でございまして、これも今度の改定案では同じように二千円でございます。
  272. 梅田勝

    梅田委員 結局そこの部分については値上げがないということでございますね。そうしたら千キロまでの分はどうですか。
  273. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 千キロまでのところは現在が二千六百円でございまして、今度の案は二千円でございます。
  274. 梅田勝

    梅田委員 ここは結局二三・一%安くなるわけですね。そうしますと、安くなるのはけっこうでございますが、基本賃率は、御提案になっているようにぐっと上げるわけですね。そうすると、普通運賃とグリーン車を御利用なされる方との運賃料金の総額、そういう関係でいきますと普通車両に乗っている一般庶民大衆のほうが全く値上げ率は高いということになるわけでありますけれども、この関係はどうですか。
  275. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 グリーン料金につきましては、ただいま申し上げた比較だけでもっては比較することができないわけでございます。すなわちグリーン料金はいままでの寝台列車と同じように特別車両料金、こういう意味合いから一回ごとの利用になるわけでございます。したがって、いままでのような長距離を利用される方は、それを継ぎ足して買っていかなければならない。そういうことで利用の実態に合わせて、いま申し上げましたような料金の比較、そこだけ見るとそういうようなかっこうになるわけでございます。
  276. 梅田勝

    梅田委員 グリーン定期券の購入方法でございますが、これは今回改正が出ておりますね。距離二十キロの場合のグリーン定期券、この場合は一カ月定期を買いますと、従前の計算方法でやった場合と今回提案されている改正方法でやった場合、計算方法を変えられたのだから、金額の差が出ていると思います。その二つの場合をひとつ例示していただきたいのです。
  277. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 グリーン料金の(B)の問題だと思いますが、これは非常に近距離のグリーン車の利用の場合でございます。これは利用の実態から刻みが小さいと非常に不便である。事務上非常に煩雑のためにかえって御利用の方に御不便をかける、そういうことで(B)のグリーンのキロの刻みを大きくしたわけでございます。その刻みを大きくしたものをそのまま定期に適用いたしますと非帯に割り高になってしまうわけでございます。したがいまして、定期のグリーン分につきましては、従来の区間に基づく料金にそのまま今度の改定率をかけまして、それを普通の料金プラスグリーンの料金としてグリーン定期料金を定めたわけでございます。
  278. 梅田勝

    梅田委員 グリーン定期を御利用のお客さまの平均距離はどの程度なんでしょうか。
  279. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 大体四十五キロでございます。
  280. 梅田勝

    梅田委員 私が計算をいたしますと、現行の計算方法で今度基本賃率が上がった場合を計算し、そして今回との差を考えていきますと、旧計算方法で二十キロの場合には一万五千円なんですね。そして新しい計算方法でいくと一万三百二十円になる。差が四千六百八十円。新しい計算方法は安くなる。五十キロの計算でいきますと二千六百四十円安くなる。これは間違いございませんね。
  281. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 いままでの刻みを前提といたしまして今度の改定をつくったわけでございますけれども、御指摘のように新しい一般のグリーン(B)の刻みをそのまま適用いたしますと、先生のような比較になろうかと思います。すなわち五十キロでは現在は一万七千八十円でございますけれども、これが改定案では二万一千二百五十円になるわけでございます。
  282. 梅田勝

    梅田委員 もっと高くなるわけだ。結局グリーン定期というものは重役通勤列車という別名が出るくらい、大体庶民大衆よりも収入の多い方が利用されている車だといわれております。そういうところは計算方法を変えてしまって非常に優遇をする。これまた料金制度の運用において重大な問題があるのではないか、こう思うわけであります。いまの御説明で、二十キロにいたしましても五十キロにいたしましても、かなりの金額が安くなるようにできているというのは動かしがたい事実ですね。
  283. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 御質問の趣旨でございますけれども、新しいグリーン(B)の制度を制度改定いたしましたのを、そのままグリーン定期に適用いたしますと著しく高くなる、ひどく高くなるのを、あまり高くならないようにするというのが改定案の内容でございます。  いま申し上げましたように、五十キロで申し上げますと、現在は一万七千八十円のものが二万一千二百五十円になる。二十キロについて申し上げますと、現在八千四百円のものが一万三百二十円になる、こういうことでございます。
  284. 梅田勝

    梅田委員 このように、以前の計算方法は、グリーン車を利用する通勤定期の場合にはグリーン料金の六十回分という計算方法だったわけですね、一日に往復一回ずつ乗るという計算で。大体そういう趣旨でしょう。そういう計算方法でいけば、グリーン定期料金は今回の値上げによってぐっと上がるから金額が大きくなる。なぜならば基本賃率を大幅に上げようとしているからそうなるんだ。重役通勤定期のお客さまに政府・自民党が御奉仕申し上げている。大企業のお客さまにおこられてはかなわぬというので、そういう……(発言する者あり)手心を加えたんじゃないかという……(発言する者あり)グリーン料金と普通車利用の庶民大衆、その相互の関係を見た場合に……
  285. 井原岸高

    井原委員長 お静かに願います。
  286. 梅田勝

    梅田委員 この関係を見た場合に、グリーン料金についてそういう手心を加えるんだったら、通勤定期は、基本賃率を上げていったら金額が大きいということで、下げるという考慮を何でなさらないかということを私は言いたいわけです。そして運賃法が制定されたときに、御承知のように等級制があったですね。一等、二等、三等、三等は庶民大衆が利用しておった。これに対して一等は何倍でしたか。(「一等なんてどこにあるんだ」と呼ぶ者あり)いや運賃法が制定された昭和二十三年。
  287. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 三等が一としますと二等が三でございます。そして一等が六でございます。
  288. 梅田勝

    梅田委員 私はグリーン料金に対して普通運賃が高過ぎるということを申し上げているのです。昔は一等は六倍、二等は三倍、一番てっぺんとは六倍の差をつけておったんだ。運賃を定める場合の一つの原則に公共性がありますね。そして負担能力に応じて配分していく、公平を期していくということがあるわけでしょう。公平というのは、大金持ちも貧乏人も全部一律にやれというわけではないわけですね。貨物だって重量だけではなくて、重量を基準としつつも、その運ぶ貨物の質、高価なものに対しては安いものよりも多く料金を取ってよろしい、これは負担能力に応じて料金、運賃というものは配分していく、そういう思想に基づいておるわけですね。だとすると、国鉄の料金政策をずっと見てきますと、明らかに庶民大衆の利用するものは高い料金を払わなければ乗れぬようなかっこうにして、片一方のほうはいろいろ手心を加える、こういう料金制度は非常に問題があると思いますので、これは計算方法をさらによく研究して、改善するという御意思はございませんか。
  289. 磯崎叡

    磯崎説明員 たいへんむずかしい御質問で、わかりにくい点もあるのですけれども、三十五年に当委員会でずいぶんその点議論になったわけです。そして一、二、三等を廃止いたしました。これは法律改正をしていただいたわけでございます。その法律改正直前の一、二、三等は一、二、四でございます。しかもそのときの一等というのは東海道線に一両しかありませんでした。ほんとうの名目だけの運賃でございました。しかしそれもやめようということで二等級にし、さらにシングルにしたわけでございまして、むしろ私どもといたしましては、そういう等級制度をやめて、どなたでも一つのクラスでもって同じ運賃で乗れる、そして病人とか子供とか女性とかということで、長距離を旅行する方を含めて、多少サービスのいい、設備のいいグリーン車をつくった。それも二等を廃止したときのなごりが残っておるわけであります。昭和四十四年の改正で私がはっきり御説明しております。それは、一挙に二等運賃を廃止いたしますと非常にへんぱなことになりますので、とりあえず二等運賃的なものを残して、次の運賃改正ではこれを設備料金にいたしますということを申し上げております。そのとおりにしたわけでございます。私どもといたしましては、昔ありました一、二、三等という階級的なものをやめて、そしてどなたでも一つの等級で乗れるということにし、さらに設備的にいいものに対してはどなたでもグリーン料金を払って乗っていただく、これを設備料金に直した、こういうことでございます。
  290. 梅田勝

    梅田委員 グリーン料金の特別車両というものは指定席で、そして快適に旅行する状態になっておる。これは定員があらかじめきまっておるわけでありますから、採算的に見てそうもうかるはずがない。ところが、山手線は営業係数が五二でございますね。ここはもうかっておる。ここの混雑率は幾らですか。
  291. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 二二〇ないし三〇でございます。
  292. 梅田勝

    梅田委員 営業係数五二を基礎にして一車両当たりの採算というものをずっと考えていった場合には、切符客では三十二名で採算が立つ、それから通勤定期を御利用のお客さまは百八十人で採算が立つ。百八十人で山手線の場合考えますと、定員百四十四人の場合には一・三倍ということですね、これは間違いありませんか。
  293. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 計算的には大体そのようになると思います。
  294. 梅田勝

    梅田委員 そうすると、切符客と定期客の平均は六十八になりますけれども、かりに通勤客ばかりが乗っておったとして、混雑率が一三〇%、実際の混雑率は二三〇%ですから、営業係数五二というものが出てくると思いますね。ところが定期運賃の割引率はグリーン定期の場合に加えられたような親心は通勤労働者に対してはなさらないのですか。
  295. 磯崎叡

    磯崎説明員 たいへん先生のおっしゃることは私どもよくわかります。その御議論を進めてまいりますと、結局それでは北海道や九州や四国の通勤を高くしろということになります。結局、山手線でもうかっているならばその分を下げろという御議論でございます。これはまさに私どものいっている線区別運賃でございます。新幹線がもうかっているから下げろというのはこれは線区別運賃でございます。それをやるということは、とりもなおさず、お客さんの少ない線区的にもうかっていないところは運賃を倍にしろということになるわけでございまして、それを新幹線なり山手線でもうけて、それを北海道や四国や九州の赤字に持っていく、これが国鉄の内部補助で、これが国鉄の全国一律運賃の一番メリットだと私存じております。したがってもし山手線がもうかっているから定期を下げろとおっしゃるならば、そうでない、たとえば総武線、これは最近通勤投資をしたばかりでございます。これをうんと上げろということになりますと、また北海道とか、仙台とかあるいはほかの地域を全部上げろということになります。そういうふうに全部線区別に定期の割引率を変えろという御議論はなかなか実行できないわけでございます。したがって、全国一律の割引率、全国一律運賃、そうすればやはりもうかっているところはさっきの新幹線のお話と同じように、出し過ぎだとおっしゃってもこれはやむを得ないのでございます。しかし、それが全国一律運賃のメリットでございまして、それでもってほかの過疎地帯の通勤者、過疎地帯のお客さんの内部補助をしている、こういうふうに御了承願いたいと思います。
  296. 梅田勝

    梅田委員 そういうところで総合原価主義という問題が出てまいるわけでありますが、これはあとでもさらに追及する予定をいたしておりますのでやります。国が今度思い切って金を出すといっておられますが、思い切って金を出す場合には、そのようにほんとう国民が必要としている赤字路線とかいうものに対して出すという姿勢ですね、そして国鉄を、ほんとう法律で定められておるように公共の用に供していく、そのようにやるのが本来の趣旨だと思うのです。ですから全く不快な状態で混雑し合ってやっているところの通勤労働者に対しては値上げをするということで——私は値上げは絶対に認めません。しかしグリーン料金に対してはそういう手心を加えておる。ならば、現在でも黒字の通勤定期客に対しては親心を持って、さらに下げるということをやっていただきたいと思うわけであります。その点を強く要求しながら、次の問題に進みたいと思います。いま、ずっと料金問題についてるるここで解明してまいりましたように、全く料金のきめ方というものが、国会の議決を経ないで国鉄で独断できめてしまう場合もある。運輸大臣の認可をもらうものもある。そういう形でどんどんと都合のいい料金体制というものが今日出てきている。これは財政法の第三条によりますと、「租税を除く外、国が国権に基いて収納する課徴金及び法律上又は事実上国の独占に属する事業における専売価格若しくは事業料金については、すべて法律又は国会の議決に基いて定めなければならない。」という財政法第三条の規定に明らかに違反していると思うわけであります。どうですか。
  297. 秋富公正

    秋富政府委員 ただいまの財政法第三条の規定でございますが、さらにその翌年に、「財政法第三条の特例に関する法律」がございまして、これによりまして、国鉄の旅客運賃につきましては、基本賃率を国会の議決または法律で定める、かようになっておる次第でございます。
  298. 梅田勝

    梅田委員 それではお伺いいたしますが、この「財政法第三条の特例に関する法律」というものは、こういうように書いてありますね。「政府は、現在の経済緊急事態の存続する間に限り、財政法第三条に規定する価格、料金等は、左に掲げるものを除き、法律の定又は国会の議決を経なくても、これを決定し、又は改定することができる。」ということで三つ規定をいたしまして、たばこと郵便、電信電話等々、それから三つ目に「国有鉄道における旅客及び貨物の運賃の基本賃率」というように書かれてございます。私がお伺いしたいのは、この「経済緊急事態」というのが法律のたてまえとして出ておりますが、これは一体どういう状態をさすのでございますか。
  299. 秋富公正

    秋富政府委員 昭和二十三年に「財政法第三条の特例に関する法律」ができました際に、同時に日本国有鉄道運賃法が制定されまして、現在国鉄運賃は、この国有鉄道運賃法の定めによって定められておるわけでございます。二十三年当時のいわゆる緊急事態ということもございましたが、国有鉄道につきましては、これは国の基幹的輸送機関でございますので、国有鉄道運賃法という法律に基づきましてこれを定めておる次第でございます。   〔発言する者あり〕
  300. 梅田勝

    梅田委員 委員長審議を尽くすということで私がやっているところに出てきて、私の質問を妨害しますから、注意してください。いまの話が聞こえなかった。  この経済緊急事態というのはいつまで続いているのですか。
  301. 秋富公正

    秋富政府委員 ただいまの財政法第三条の特例に関する法律に関する限り、現在までこの法律はまだ生きておる次第でございます。
  302. 梅田勝

    梅田委員 経済緊急事態というのは、先ほど加藤先生が横で言いましたのでよく聞こえなかったが、もう一度その解釈を言ってください。経済緊急事態——緊急事態ですよ。緊急事態というのは一体どういうことですか。
  303. 秋富公正

    秋富政府委員 いわゆる昭和二十三年と申しますと、終戦後のきわめて物価高騰の激しい異常な時代で、この財政法第三条は昭和二十二年にできたのでございますが、二十三年にさらにこれに基づきます第三条の特例に関する法律をつくりまして、いま先生の御指摘の三つの事業につきましてのみこれを定めたわけでございます。したがいまして、いわゆる緊急事態ということにつきまして、この法律に関する限りにおきましては現在まだ存続しておる、かような次第でございます。
  304. 梅田勝

    梅田委員 先ほど私がインフレ議論をやりました。そして経企庁の人——いますね。いまはその終戦直後のあの異常な緊急事態、物価上昇のインフレ時代とは違います、今日は自由な経済であり、需要は、緊急の場合には輸入しても安定することができるんだとおっしゃいましたね。そっちのほうは、その緊急状態は続いているというような解釈をいま突如としてお出しになった。これはどうですか、重大な食い違いじゃないですか。はっきりしてください。どちらがほんとうなんですか。
  305. 秋富公正

    秋富政府委員 いまの特例に関する法律は物価統制令の存続する限り存続するということでございまして、そういう意味におきまして、現在この法律に関する限りそういった解釈ができるわけでございます。
  306. 梅田勝

    梅田委員 物価統制令にいま適用している品目は幾つあるのですか。言ってみなさい。
  307. 橋口隆

    ○橋口(隆)政府委員 物統令の適用を受けているのは現在政府のアルコールと、それからふろ代でございます。
  308. 梅田勝

    梅田委員 農林省の方、来ておられますか。——お米を物統令からはずした理由はどういうことですか。
  309. 森整治

    ○森説明員 先生承知のように、お米の量から質という問題が出てまいりまして、良質なお米ということから、やはりお米の質の問題を消費から生産まで実情に合わせてやっていくというために、お米の価格を画一的に押えるということを昨年の四月から主食についてはずしたわけでございます。
  310. 梅田勝

    梅田委員 お米を物統令からはずした理由として、自由米が出回っておる、だから普通の配給米はもう下がる傾向にあるのだということをおっしゃったのじゃないですか。どうですか。
  311. 森整治

    ○森説明員 私申し上げましたのは、消費者の選好に応じたお米の価格形成を適正にはかるために物統令をはずしました、こういうことを申し上げたわけでございます。
  312. 梅田勝

    梅田委員 あなた、わけのわからぬ答弁をしてもらったら困りますよ。それでは聞きますが、物統令をお米に適用した理由を言うてみてください。
  313. 森整治

    ○森説明員 結局戦後にお米が不足しておりまして、国民の生活を安定させるために、お米の需給を安定させまして、不当な価格にならないように物統令を適用したものと思います。  なお、先ほど御説明を若干省略をした向きもございますが、四十四年自主流通米制度が発足しまして、そのころからお米の価格の一部につきまして物統令が廃止されておりまして、昨年四月から、主食として政府が配給しているものにつきましてなお物統令の価格の適用を廃止したわけでございます。
  314. 梅田勝

    梅田委員 物価統制令というのは、第一条の「目的」のところで、「本令ハ終戦後ノ事態ニ対処シ物価ノ安定ヲ確保シ以テ社会経済秩序ヲ維持シ国民生活ノ安定ヲ図ルヲ目的トス」ということで、当時はたくさんの品目に対して適用しておったわけだ。そしてわれわれの立場は、国民の皆さんは、お米というのは日本人の主食だからこれを物統令からはずすということは、政府が自由米を中心としていままでずっと価格をつり上げてきたこういう傾向に対して——そして丸紅とか伊藤忠とか米の買い占め問題が出てくる。そういう反対があるにもかかわらずやったわけでしょう。ところが経済の緊急事態、こういうものは、先ほど、経済企画庁長官はお見えになっていないけれども、次官が、一身同体で全く同じでございます、政府の統一見解でございますということをおっしゃった。これはメモしてあるから動かしがたい事実ですよ。そういう戦後の異常な事態ではございませんということをはっきりあなたはおっしゃった。われわれは今日、たいへんだ、インフレの傾向というのは悪性化している、かかるときに料金値上げするのはぐあいが悪いと申し上げた。それに対して、インフレではございません、そういう緊急異常な事態ではございませんとおっしゃった。ところがいまはまた都合が悪くなって、言い方を変えてくる。大臣、どうですか。こういう政府の答弁が不統一では、私はこれ以上質問できませんよ。統一見解を出してください。それまでやめてください。休憩しましょう。
  315. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 この問題は運輸省所管ではございませんから、経済企画庁長官なりあるいは大蔵大臣なりが有権的解釈すべきものであると思います。しかし国会におきましても、先ほど来政府委員が御説明いたしましたような解釈によりまして、毎年この特例法によりまして運賃改定をやったり電信電話の料金改定をやってこられたのでありますから、大体先ほど政府委員が申し上げましたようなことは、国会においても御了承の上のことだと存じます。
  316. 梅田勝

    梅田委員 昭和二十三年に財政法の特例法が出て、その後運賃法が制定されました。その時期における国鉄運賃収入の中で、基本賃率の部分と料金収入の部分はどれくらいの比率でしたか。
  317. 磯崎叡

    磯崎説明員 昭和二十三年には急行が何もございません。料金がございません。
  318. 梅田勝

    梅田委員 当時はそういうものがなかった。緊急事態だよ。そして料金というものができた昭和二十五年の時点の数字を私はとってきましたけれども、料金収入は五・三%、それで大部分、九四・七%の部分がいわゆる運賃収入でしたね。この数字は間違いございませんね。どうですか。
  319. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 いまの比率、大体そのとおりでございます。
  320. 梅田勝

    梅田委員 昭和二十三年四月五日に、第二回国会におきまして財政及び金融委員会が行なわれております。そこで、当時の大蔵事務官で福田赳夫という方がおられる。これはよく御存じの方ですね。現在の田中内閣の責任ある大臣です。この方が御説明されておるのに「事実上國の独占に属する事業における事業料金というものがありますが、さようなものといたしましては、郵便法に基く郵便料金、それから電信法に基く電信電話料金、それから國有鉄道運賃、これが大きなものであろうというふうに考えるのであります。」ということで、こういうものは国会にはからなければいかぬということで「國会に諮るものといたしましては、価格政策に重大な影響のあるこの三つに限定いたしまして、」と、現在の自由民主党の責任ある方で、田中内閣の現の大臣国会においてそのように言っておられる。そして当時の大蔵大臣北村徳太郎さんも同様の説明をされておる。当時念頭にあったことは、国鉄運賃といえば、まさに運賃だけであって、こんな料金というものは念頭になかったはずなんです。第三条の特例法というものは、立法の趣旨からいえばそういうたてまえでできているのですよ。それを昭和三十五年のときに拡大解釈をして運賃法の改正をやったこと自体が問題なんです。そして今日料金収入というものはどんどんふえていっているわけでしょう。四十六年で幾らになっていますか。
  321. 秋富公正

    秋富政府委員 約三割でございます。
  322. 梅田勝

    梅田委員 私が計算したら、この比率がどのように変化していっているか、昭和二十五年の料金収入に対して、昭和四十六年の料金収入は六十八・五倍になっているんですよ。昭和二十五年から比べてみても基本賃率の運賃収入部分は九・五倍だ。これをもってしても、三割になってきたということは、すでに国民生活に重大な影響があって、財政法第三条の特例をつくったときの立法の精神からはずれていっている。しかも、百歩譲ってインフレ状態でないという問題、その点については全く統一見解が出ていないわけだけれども、あれと同じような異常な事態が続いている。物統令の適用があるからだという議論をもってしても、立法の精神の趣旨からいえばはずれているのですね。だから国会にもはからずに——先ほど大臣は、予算として通っている、御審議願っていると言っておりますけれども、それならば、運賃法だって予算が通ったからいいじゃないかという議論と一緒ですよ。これは暴論ですよ。料金の問題が大きなウエートを占めてきたというときに、どんどん料金を上げるということは重大な問題だ。もう一ぺん統一見解をお聞きしたいと思います。
  323. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 私どもの申し上げているのは、このような法律に基づきまして、政府としては法律にきわめて忠実に、国会に対しまして具体的にどういうふうな基本運賃でいくかということについては、法律の命ずるところによって運賃法の改正案でいきます。それ以外のものは、法律国会の議決等を求めておりません。認可運賃になっております。認可運賃につきましては大臣の裁量にまかされておりますので、時代の変化、事態の変化に応じまして、機動的、弾力的に運営するのがかえって適切でありますということを先ほども申し上げた次第でございます。法律の命ずるとおりにやっております。決して暴論ではございません。
  324. 梅田勝

    梅田委員 企画庁はどうですか。先ほどあれほど強弁されたわけです。物価に影響がないとか、あるいは経済の激動は戦後とは明確に違うとおっしゃいましたね。これはどうですか。
  325. 橋口隆

    ○橋口(隆)政府委員 先ほども申し上げましたように、今回の物価の騰貴は、戦前あるいは戦後も直後の状態とは本質的に違う、当時は物資が足りなかった、需給が非常にアンバランスだった、ところが現在は、需給の均衡はとれておりますが流通段階でそれがとまっている、いわば買い占め、売り惜しみが行なわれている、そういうことを申し上げたわけでございます。また当時は、輸入しようにも金を持っていなかった、ところが現在は、あり余る金を持っているから、幾らでも入れられるのだ、だから基本的に非常に違うということを私は申し上げた。  国鉄運賃の問題は、今回国鉄財政が非常に窮迫しているから再建をしなければならぬというやむにやまれぬ要請によるものでございますから、物価のその状態とはちょっと話が違うのじゃないかと私は考えております。
  326. 梅田勝

    梅田委員 明確に戦後の経済の緊急事態と違うのであれば、国鉄運賃国鉄料金まで財政法の第三条の適用除外だというように見るのは明らかにおかしくなってきませんか、あなたの議論でいけば。   〔委員長退席、細田委員長代理着席〕
  327. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 財政法の第三条の特例に関する法律の解釈につきましては、先ほど申し上げましたように、要すれば財務当局に有権的な解釈を求められればよいと思います。しかし、この法律の規定によりましてそれ以来、昭和二十三年でございますか、二十三年以来何回となく国鉄運賃あるいは電信電話、郵便の料金等の改定が行なわれました。それはいずれもこの法律に基づきまして基本的なものだけを国会の御審議を終えておるのでございまして、この点は国会の御審議の段階におきましてもこの法律の存在というものは今日でも認められておるところであると私は考えておるのであります。
  328. 梅田勝

    梅田委員 全くこの点では了解はできませんね。どうしますか。  委員長、私の質問まだたくさんあるのでございますが、次回にお認め願って、きょうはこれで休憩していただけませんか。
  329. 細田吉藏

    細田委員長代理 梅田君、質問を続けてください。
  330. 梅田勝

    梅田委員 五時になりましたから、定時になりましたので……。
  331. 細田吉藏

    細田委員長代理 与野党の理事でどうするかお話し合いを願います。質問は続けてください。
  332. 梅田勝

    梅田委員 次に、身体障害者に対する割引問題をお伺いしたいと思います。
  333. 細田吉藏

    細田委員長代理 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  334. 細田吉藏

    細田委員長代理 速記を起こしてください。
  335. 梅田勝

    梅田委員 いまさまざまな料金問題をやりましたのですが、問題点が非常にたくさんあったと思います。  ところで、これから割引に関するいろいろな問題を伺っていきたいと思うのでありますが、身体障害者に対する割引の問題をお伺いしたいと思うのです。これはどういう法律に基づいて、あるいは規定に基づいて行なわれておるのかをお伺いします。
  336. 秋富公正

    秋富政府委員 これは運賃法の五条の二でございます。
  337. 梅田勝

    梅田委員 そして具体的に国鉄におきまして規則をつくっておられますね。身体障害者旅客運賃割引規則というのがございますね。これに基づいて行なわれていると思いますが、割引乗車券類の種類というものを見ますと、「(特別急行券を除く。)」というように書かれておりますが、特急料金に適用がないのはなぜでしょうか。
  338. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 先ほど、法律に基づいて身体障害者の割引を行なっておりますが、その身体障害者の割引をする規則に基づいて普通乗車券、定期乗車券の割引をいたしているわけでございます。
  339. 梅田勝

    梅田委員 急行の場合には介護人がある場合にのみ適用されるとなっておりますが、そのようなことですか。
  340. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 法律では先ほど申し上げたとおりでございますけれども国鉄の規則といたしましていま御指摘のとおりやっております。
  341. 梅田勝

    梅田委員 そうすると、法律では基本部分だけだけれども国鉄ではそういうように配慮しているということですか。そういうことですね。
  342. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 そのとおりでございます。
  343. 梅田勝

    梅田委員 これは先ほどのグリーン料金に——通勤定期の場合の国鉄当局がとった配慮に似たようなものだというように理解いたしますと、グリーン料金に対する割引はあるのですか。
  344. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 グリーン料金に対する割引はいたしておりません。
  345. 梅田勝

    梅田委員 特急料金にも適用がない。グリーン車は快適で、いろいろな方に旅行していただくのに提供しているというお話がありましたけれども、身体障害者に対してはそういう適用を認めない。正規の料金を払えば乗れるわけですよ。しかし一般に身体障害者の方々は生活条件が悪いわけですから、そういう点でずっと適用範囲を広げていくというように、国鉄が公共の立場からやっておられるとするならば、グリーン料金にも適用なさったらどうですか。
  346. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 身体障害者に対する割引につきましては、いま御説明申し上げたとおりでございますが、これの拡大につきましては、現在の事情からいたしまして、なかなか国鉄自体として実行するということは困難である、こういう状況でございますので、これを国鉄だけで拡大するという考え方は現在ございません。
  347. 梅田勝

    梅田委員 新幹線に適用はございますか。特急には適用がないですから当然ないんですね。
  348. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 新幹線は適用ございません。
  349. 梅田勝

    梅田委員 それでは旧東海道線に急行は何本走っておりますか。
  350. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 大阪まで三本でございます。  それから先ほど新幹線に適用がないと申し上げましたのは、新幹線の料金分のことでございまして、新幹線の運賃部分についてはもちろん適用がございます。
  351. 梅田勝

    梅田委員 東海道を利用しようと思えば三本しかない。しかも夜行が多いんでしょう。今日常識的に大体新幹線を御利用なさるお客さまが多い。そうせざるを得ないようなダイヤが片一方で編成されている。ところが、新幹線に乗ろうと思えば身体障害者は割引が特急料金部分にはない。これはやはり不合理じゃないでしょうか、大臣国鉄赤字だといっても、先ほどもグリーンの重役通勤列車に対しては特別な配慮をなさっている。大臣として、国鉄に対してもうちょっと考えたらどうだということをおっしゃったらどうですか。
  352. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 身体障害者に対する質疑は予算委員会でございましたときにもお答えをいたしたのでありますが、現行の国鉄運賃法五条の二の規定は、御承知でもございましょうが、これは議員立法によって各派が御賛成になって共同提案されたものだと私は記憶しておるのでございます。これはあるいは記憶違いでございますれば訂正いたしますが、私はそういうふうに記憶いたしております。  で、その当時から身体障害者に対して何らかやはり国鉄自身も寄与するようにしたらどうだということで、各派の御協議の結果生まれたのが今日の立法でございます。しかしこれ以上——もういろいろな問題について国鉄運賃を割引しろ、あるいは料金をどうしろというような御要求があることもよく知っております。ただ、今日の国鉄財政状況からいたしまして、私は先ほどもちょっと申し上げましたが、そういった問題について国鉄財政の中で全部負担をしてやるということになりますとさらに国鉄財政再建がおくれます、そういうことはこの際は国鉄としては忍びない、したがいましてこの点は、対社会福祉を考えている官庁もございます、そういった官庁におきましてこの関係の予算でも要求されまして、それが成立された場合には、われわれのほうは喜んでそういうサービスを提供することには異存はございませんということを予算委員会でも申し上げたのであります。  しかし、そういう料金関係ではなしに、国鉄として当然やるべきことが残されておるのでありまして、それは何かといいますと設備面でございます。国鉄に乗車をされる場合にいろいろな設備で、たとえば車いすがホームに入らない、あるいは盲人が電車に乗られる場合にも、非常に危険であるというようなことがございます。そういう設備面のサービスは当然国鉄が自分の手でやるべきものでございますから、その点は国鉄にも話をいたしまして、その問題について、対盲人の関係、対耳の悪い人の関係、手足の不自由な方に対する関係等におきまして、できるだけ早くそういう設備を整えるようにというのでいま努力をさしておるのでございますが、料金関係につきましては、これ以上国鉄国鉄財政の中で割引をどんどんやっていけということはわれわれとしては言いにくい、また、言うべきでもない。それは一般会計において、担当の官庁もございますから、そういう官庁で十分配慮をいただいて、われわれのほうは実施面を引き受けましょう、こういうことでいま各関係の省庁にも申しておるところでございますから、御了承いただきたいと思います。
  353. 梅田勝

    梅田委員 厚生省から加藤社会局長に来ていただいておりますが、戦争で傷つかれた方々、戦傷病者の方々に対しては、この国鉄関係の割引について国はどのような措置をとっておられますかをお伺いしたいと思います。
  354. 加藤威二

    加藤(威)政府委員 戦傷病者関係でございますが、戦傷病者関係につきましては運賃割引というのを実施されておりますが、それにつきましては運輸省のほうで予算を計上されて、そしてそれを国鉄のほうに補助されている。それによって運賃の割引をやっておられるという話を聞いております。
  355. 梅田勝

    梅田委員 国はその分について経済負担は少しもしていないのですか。
  356. 加藤威二

    加藤(威)政府委員 いま申し上げましたように、運輸省が一般会計の予算を取りまして、そしてそれを国鉄のほうにつぎ込んでいるということであります。  負担額でございますが、御参考までに申し上げますと、四十七年度で一億六千九百万ばかりでございます。
  357. 梅田勝

    梅田委員 その戦傷病者の方々が乗られるときの手続の場合には、どういう方法でやっておられますか。傷病者が国鉄に乗る場合の、その割引の手続の方法ですね。
  358. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 厚生省のほうから利用者の方に渡していただいておる証票を駅の窓口に出していただいて、そして切符を購入していただく、このようになっております。そしてその出していただいた証票を集めまして、あとで、先ほど御答弁ありました国からの経費の収受を国鉄はいたしておるわけでございます。
  359. 梅田勝

    梅田委員 そうすると厚生省は、その手帳か何か、書類は厚生省の予算でつくって差し上げているのですか、どうですか。さいぜん、ないようなことを言われたのですけれども
  360. 加藤威二

    加藤(威)政府委員 これは援護局のほうでやっておりますが、そういう証票を出す予算というのは当然厚生省の一般会計で負担していると思います。
  361. 梅田勝

    梅田委員 傷病者の場合には手帳の関係について厚生省予算で出し、実際に運用されたものについては運輸省が予算をもって国鉄に手当てをしている。いわば非常に手厚い保護が行なわれているというように見ていいと思います。ところが、一般の身体障害者に対しては手続はどうなっていますか。
  362. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 国鉄でもってその証票を印刷いたしまして、それを福祉事務所やら市町村の役場を通じまして利用される身体障害者のほうに配付される、利用者のほうに届ける、こういうことになっております。そして利用の際にはその用紙を窓口に持ってきていただく、そういうことになっております。
  363. 梅田勝

    梅田委員 結局、普通の第一種、第二種の身体障害者につきましては、福祉事務所へ使用証明書を一々もらいに行かなければいけない。そしてこれを窓口に持っていく。  昨年の十月に、京都で目の見えない方が、自分で記入が困難でありますから窓口へ記入をお願いした。ところが忙しいという理由で書いてくれない。売店の方にもお願いしたのだけれども断わられて、出札の職員に頼んで書いてもらった。ところが、記入してもらったが、間違って記入があったので結局これは認められず、目的の列車に間に合わなかったという事件が新聞で大きく報道されておりました。  戦争の傷病者の関係については比較的手を打っている。これは非常に差別だと私は思うのです。  そういう点で運輸大臣にお伺いいたしますが、いま出されました実例にも基づいて、この際手続を簡素化する。さらには予算面においても、国鉄に負わせるんじゃなくて、特急、新幹線の問題も含めて考えていくというように改善される御意向はございませんか。
  364. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 この点につきましては、先般来研究中でございましたが、今年の八月から手続を簡素化することにいたしまして、それを実行に移す予定でございます。
  365. 梅田勝

    梅田委員 国鉄当局、その内容をもうひとつ説明してください。
  366. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 現在その割引証の有効期間は六カ月ということで、六カ月では一々非常にたいへんであるから、有効期間を一カ年に改めたい、このように考えております。  第二番目に、一枚ずつお渡ししているということは先ほど来お話しのように非常に不便であるということで、大体十枚一つづりというようなことで、一冊の単位でもってお渡しする。そして、先ほど事例としてお話ございました目の御不自由な方が一々書き込むということはたいへんなのでございまして、一番上に書き込めばそれでもうそのまま使えるというふうに改めたい。このように八月から改めることで、関係のところと準備をいたしておる最中でございます。
  367. 梅田勝

    梅田委員 それとの関係で、もう一つついででございますから申し上げてお願いしたいことがございます。  特に目の悪い方々が利用される場合には事故が起こりやすいわけですね。二月十五日に高田馬場の駅におきまして事故がございました。これは御存じだと思います。ところがこの当時駅員は四人配置されておって、ホームにはおらなかったというように聞いておるのですけれども、その点、実際はどうであったでしょうか。
  368. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 当時駅の職員はホームにおったわけなのでございますけれども、ちょうど見えないところにおったということでございます。
  369. 梅田勝

    梅田委員 十カ年再建計画を見ておりますと、十一万人の合理化ということで、こういう事故が起こるとなりますと、また安心ができないということでありますので、この際、身体障害者が国鉄を利用する場合に十分安心して利用できるような施設の改善とか、見張り要員の配置とかいう点を強く要求したいと思います。国鉄総裁いかがですか。
  370. 磯崎叡

    磯崎説明員 先ほど大臣がおっしゃいましたように、ほかの面ではなかなか御協力できませんが、そういう設備の面ではできるだけのことをやりたいと思っております。御承知のとおり駅、たとえば高田馬場とか平塚とか、盲人の方々の使われる設備、学校等が大体まとまっておりますそういう特殊な駅につきましては、すでに現在やっておりますけれども、つえでもってずっとたどっていけば電車の入り口まで行けるとか、あるいはもちろん点字の自動販売機をつけるとか、あるいは階段もあぶなくないようにするとか、いろいろそういう設備でもって考える、さらに将来車いすのまま旅行していただけるようにしたいと私は思っております。それには、こまかいことになりますが、車いすの幅はこれは国際規格できまっておりますので、今後の新幹線の車両はそれに合わせてデッキをつくるというふうなことでもって、ぜひ身体障害者の方にも日本をぐるぐる回れるようにしたいというのがわれわれのささやかな気持ちでございます。
  371. 細田吉藏

    細田委員長代理 この際、五分間休憩いたします。    午後五時二十五分休憩      ————◇—————    午後五時三十二分開議
  372. 細田吉藏

    細田委員長代理 休憩前に引き続き、会議を開きます。  質疑を続行いたします。梅田勝君。
  373. 梅田勝

    梅田委員 これから貨物運賃の問題並びにこれをめぐりまして、大企業奉仕の割引問題というものを追及したいと思います。  ところで、営業割引という制度がございますが、これは法律によって公告義務があると思いますが、それはどの法律の何条に基づいておりますか。お伺いしたいと思います。
  374. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 鉄道営業法第三条の、運送条件は関係停車場に公告しなければならない、その規定に基づいてやっております。
  375. 梅田勝

    梅田委員 この公告という内容はどのように理解したらよろしいのでございましょうか。
  376. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 見たい人がいつでも見られるような状態に置いておくこと、そのように理解しております。
  377. 梅田勝

    梅田委員 見たい人がいつでも見られるというのは、どういう形式でそのようになっておりますか。
  378. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 その内容を駅に備えつけておく、そういうことでございます。
  379. 梅田勝

    梅田委員 その公告内容を駅に常時備えつけておくということは、駅長とか助役はよく知っておるわけですね。
  380. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 それは知っております。
  381. 梅田勝

    梅田委員 それではお伺いいたしますが、四月十九日に、私の地元におります秘書が国鉄の安治川口駅に参りまして、助役に公告を見せてくれと言いましたところ、助役はわからぬと言うている。これはどうなりますか。
  382. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 ただいま御指摘の、四月十九日に云々というお話は、事実は、私、承知いたしておりませんけれども、関係者が見たいというときにはいつでも見られるような状態に置いておくというふうにいたしておるのが公告でございます。
  383. 梅田勝

    梅田委員 次に、駅長に会いまして見せてくれということを要求いたしますと、駅長は、見せてあげなさいということを言って、助役が出してくるということが起こったわけです。これは最初のわからぬというのと矛盾しているわけです。そして今度は、ペンを取り出しまして写そうといたしますと、駅長が顔色を変えまして、これを書いてもらっては困るということで、妨害をしております。そして、五分間で出ていってくれということで、結局公告を見にいってその内容を写そうという目的が果たせなかった。これは私のほうでその報告を受けて確認をいたしましたら、貨物助役である三上という助役が、事実そういうことがございましたということを言っているわけです。これは重大な事件だと思いませんか。
  384. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 御指摘の事実、私は実は承知いたしておりませんですけれども、公告の趣旨からいえばそういうことはないと私は考えております。
  385. 梅田勝

    梅田委員 同じように、四月十九日午後一時四十分、尼崎駅に参りまして神崎製紙との契約書の写しはあるか、これはあります、その公告はどうなっておるかということを聞きますと、そんなことは管理局から聞いておりません。これはおろしてないのですか。
  386. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 具体的な事情、つまびらかにしない点ございますけれども、公告というものは、特定の荷主との関係を別に公告しているわけではございません。したがって、特定の荷主との関係につきましては、現場においては全くわからないということだと思います。  それから、公告しておるものについての内容の問い合わせに対する現場におけるそれぞれの応接といいますか、その点につきましては、ほかのいろいろな事情があろうと思いますので——公告本来の趣旨は先ほど来申し上げたとおりでございます。
  387. 梅田勝

    梅田委員 同じように、今度は四月十九日正午、尼崎港駅で公告を見せてくれというふうに行きました。この場合は見せてくれたんですから問題はございませんが、問題はそのあとです。貨物助役から電話がございまして、この見せたということについて、頼むから私の名前と駅名を出さないでほしいということを言っているんですね。こういうことは、大体営業割引の問題が国会で問題になって、何か大企業に対して利益の奉仕をしているんじゃないかという国民の疑惑が起こってくる中で、この割引率の内容、こういうものを鉄道営業法の第三条に基づいて公告するという「運賃其ノ他ノ運送条件ハ関係停車場ニ公告シタル後ニ非サレハ之ヲ実施スルコトヲ得ス」という公告の義務があるにもかかわらず、何かこういうように下部に徹底してない事実を考えますと、要するにマル秘扱い的なやり方を国鉄はやっておるんじゃないか。監督官庁である運輸省、運輸大臣の見解を聞きたいと思います。
  388. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 問題の提起のしかたが少し違うんじゃないかと思うのです。この三条に書いてありますのは、運送に関する条件を公告した後にあらざればということでありまして、これはだれに対しても提供し得る運送条件というものを公告するわけであります。具体的にだれがだれとどんな契約をしたかということはこの三条のあずかり知らぬところでございまして、それを一々公告しなければならぬということには鉄道営業法は書いておりません。私はその点は国鉄も、これは皆さんからいろいろ御質問がありますときに確かめておりますが、どなたに対しても同じ条件で提供するというのが営業法の精神でございますから、この精神は厳重に守っておると思います。
  389. 梅田勝

    梅田委員 いまのはちょっと誤解を受けたのじゃないですか。私が言っておるのは、公告そのものを、先ほど言いましたように写しかけたからぐあいが悪い、五分以内に出ていけとか、そういうことを言うような行為ですね。あるいは当然公告があるべきものが設置されてない。これは実際あって隠されたのかどうかわかりませんが、そういうようなことについて、先ほど遺憾であると言われましたけれども、指導官庁としての大臣の監督責任の問題を言っておるわけです。
  390. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 一般的に公告しなければならぬという条件をそういうふうによく知らないとか隠したということに問題があれば、これはいまの三条の規定をよく知らないか、あるいは知っていてもそれを順守しないかということでございますから、これは厳重に注意をさせます。しかし先ほど申し上げましたように、いまお聞きになっておる趣旨を聞きましても、どことの契約をどうしろとかいうようなことが入っておったようですね。そういったことはこれは問題外だと私は申し上げているのでありまして、だからよくその事実を調べさせましょう。そういったことはこれはもう国鉄も長年間経営しておるのですから、そういったことについて特に一般的に公開しておるような条件を隠すはずはないと私は思っております。
  391. 梅田勝

    梅田委員 それは大臣、尼崎の神崎製紙のもの、これはその神崎製紙の契約書を見せるのはけしからぬということでああいうことになったのじゃないかと思うのですよ。その関係における、いわゆる公告が出ておらぬのは、そんなものはありません、出てきておりませんということでしたので、これはおかしいじゃないかということを申し上げたわけであります。(「一般質問でやれ」と呼ぶ者あり)これはあとの問題にも重大な関係がございますから申し上げるわけであります。  そこで二月二十七日の予算委員会におきまして私が国鉄総裁にお伺いをしたわけでございますが、営業割引の率、それから割引の額というものをおっしゃいましたが、六十六億というのを営業割引の額というようにおっしゃいましたけれども、これはこれ以外にはございませんか。
  392. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 営業割引、六十六億と総裁が御答弁申し上げましたのは、一般の出荷契約トン数つき営業割引六十六億、このように申し上げておるわけでございます。その他同じように出荷契約トン数つきの割引でございますけれども、定形貨物に対する割引額十億円がございます。いま申し上げた二つがいわゆる一般的な普通出荷契約トン数つき営業割引、こう言っておるわけでありますけれども、このほかに割引といたしましては、その当時総裁も答弁されましたとおり、政策的な国鉄の営業上のリターンのない割引、いわゆる政策等級といいますか、こういう関係の割引がございます。これが四十四億、このように申し上げておるわけでございます。そのほか公共政策的な割引といたしまして、災害時無賃で物を送ったりあるいは博物館の資料を送ったり、特別な法律に基づくそういう公共割引という制度もございます。なお一応営業割引の範疇には入りますけれども、非常に趣を異にする一つの割引といたしまして、たとえば私有貨車の貨物に対する運賃の割引、このようなものを中心とするような一つの制度がございまして、その関係の額が六十二億円、このように総裁から答弁申し上げておるわけでございます。
  393. 梅田勝

    梅田委員 そういたしますと定形貨物につきましては、これは先ほど国鉄の当局からいただいたわけなのでございますが、定形貨物というのはやはり貨物の営業割引ということですね。そうなりますと、予算委員会で六十六億と言われましたけれども、実際はその分二つを合わせますと七十六億二千七百万円というように理解していいわけでございますか。
  394. 磯崎叡

    磯崎説明員 あのときの先生の御質問は、単に営業割引とおっしゃったものですから、われわれ俗称出荷責任つき営業割引というのはそれをさしておるものですから、それだけを御答弁いたしました。
  395. 梅田勝

    梅田委員 出荷契約トン数つき運賃割引実績というものをいただいたわけでございますが、割引額をいただいておりますが、割引率のほうはどうなっておるのでしょうか。
  396. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 六十六億分につきましては平均で一二・七%の割引率になっております。
  397. 梅田勝

    梅田委員 この品目別の割引率をお聞きしたいのであります。
  398. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 品類別の割引率、これは特別にアレンジして整理しなければならないので、品類別の割引率はいまのところまだ明らかになっておりません。それで品類といたしましては、農水産品、鉱産品、繊維工業品、金属機器工業品、化学工業品、その他工業品、その他という分け方でもって目下アレンジして整理中でございます。
  399. 梅田勝

    梅田委員 石油とか自動車とかセメント、こういう品類ごとの額ですね、輸送実績、それから運賃収入、割引率さらに割引額ですね。こういったものは出ないですか。出すのに相当時間がかかるのですか。
  400. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 いまのような整理をするためには、若干特別なアレンジをしなければならないので、時間がかかります。
  401. 梅田勝

    梅田委員 石油の場合大項目でいきますと、どの品類の中に入っておりますか。
  402. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 化学工業品でございます。
  403. 梅田勝

    梅田委員 そうしましたら石油が入っている化学工業品の昨年の分はまだ出てないですね。どうですか。昭和四十六年度出ておりますか。四十五年度はいかがですか。
  404. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 四十六年度のそれはございません。四十六年度のは先ほど来申し上げましたようにアレンジ中、特別なアレンジ作業をしなければならない、こういう状況でございます。
  405. 梅田勝

    梅田委員 それだったら四十五年度をお示し願いたい。
  406. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 四十五年度の化学工業品でございます。これにつきましては割引額五億八千二十五万九千円、平均割引率一五%、こういうようになっております。
  407. 梅田勝

    梅田委員 そうしますと、石油を含めた化学工業品は五億八千万円に達しておる。その中に石油が入っているということでございますね。そうすると、この石油の関係におきまして五万トン以上を輸送している大企業、それはどういう量を国鉄にお願いをして、そしてどれくらい払っておりますか。
  408. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 ただいまの資料はいまのところ整理されておりません。
  409. 梅田勝

    梅田委員 これは私は重要な問題だと思います。きょうは大体質問趣旨というのはおたくのところから聞きに来られて、私のほうの秘書が大要説明しておったと思います。資料要求それ自体は先ほど言いましたように、幾ら要求いたしましても出してくれないということで、どうですか。これは資料が出てこないとできませんね。
  410. 細田吉藏

    細田委員長代理 梅田君、質問してください。
  411. 梅田勝

    梅田委員 委員長、資料が出てきた段階で質問の続きをやらせていただけませんか。
  412. 細田吉藏

    細田委員長代理 梅田君に申し上げますが、先ほどは資料要求があって委員長理事会で相談した上で資料を出すことに回答されたと思います。質問は続行してください。資料が出てからの質疑の問題は別問題にしていただきたいと思います。いま出せと言われても無理でございますし、理事会で相談をすることになっておりますから。
  413. 梅田勝

    梅田委員 理事会で相談して資料が出た段階で検討するということでございますか。その点をはっきりしておいてください。
  414. 細田吉藏

    細田委員長代理 別な質疑をお続けください。
  415. 梅田勝

    梅田委員 前から言っておりますように、繰り返し要望しているのにお出しにならないわけですから——五万トン以上の企業から百億くらいの運賃収入を得ているはずなんですね。いまの一五%の割引率でいきますとそれだけで十一億という勘定になる。そうしますと、その資料が出たらどこはやっております、どこはやっておりませんということで私どもも納得がいくでしょうけれども、いまのままでは資料が出てこないと質問がやれないということになりませんか。
  416. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 石油の輸送荷主について五万トン以上の荷主がどのくらいあるかというお話、企業別にどうかというお話は資料について全然承っておりません。
  417. 梅田勝

    梅田委員 この内容について、私はかねてから要求をするように国鉄当局に秘書を通して言っていたわけです。そしていま私どもでいろいろ関係資料を調べておりますと、大手の二十二社五万トン以上を取り扱っているところでございます。ここの昭和四十五年の運賃収入は百二億六千六百万円というように考えておりますけれども、どうですか。これはいろいろな資料を総合しますとそうなりますが……。
  418. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 輸送量から想定いたしまして、大体そういう収入になろうと思います。
  419. 梅田勝

    梅田委員 そうしますと、先ほど昭和四十五年でこの数字を申し上げたわけです。先ほどあなたは化学工業品に石油を含めて、塩化ビニール、板ガラス等も含めて割引額は五億八千二十五万円という数字が出て、平均割引率が一五%——これは私どもがいろいろ調査しますと、割引率は一〇%でやられているようなんですけれども、平均のほうが高いというのは、ほかの製品との関係がありますから、割引率はそういう点で違うのじゃないかと思うのでありますけれども、石油の場合には一〇%でやっておられるわけですね。
  420. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 化学工業品で一五%と申し上げました。その中に石油が入っておりますけれども、大きな割引は大体石油以外のものでございまして、石油は大体原則的には割引はいたしておりません。ただ、非常に集中的に輸送されるところについてそういう場合についての割引がある。一般的な理解としてそのように理解いたしております。
  421. 梅田勝

    梅田委員 私どもが公告を先ほど問題にしましたのは、公告は足で調べたわけです。日本オイルターミナル、出光興産川崎油槽所、ゼネラル石油東京支店、大協石油川崎油槽所、東亜燃料工業川崎工場、共同石油横浜出荷事業所、三菱石油川崎製油所、大協石油横浜出荷事業所、シェル石油横浜油槽所、昭和石油川崎製油所、日本石油精製横浜製油所、日本石油根岸製油所、志村興業、以上が東京南鉄道管理局長の名前によって、割引率一〇%という公告が出ております。これは石油です。石油は割引してないといま言われたですね。大口はやっているのですか、こういうところはやっていないのですか、どっちです。
  422. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 石油は、全国的にいろいろなところで輸送いたしておりますけれども、原則的に、一般的には割引は行なわれていない。先ほど申し上げましたように、非常にまとまって輸送するというような場合の割引はございます。おそらく先生の御指摘は、いま申し上げたそれに当たる事例だ、このように思います。
  423. 梅田勝

    梅田委員 それ以外にも、ここに一つのリストがございますが、そのように強弁されるのだったら、五万トン以上の事業所でそういう割引をやっていないというところを明示できますか。
  424. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 ここに資料がございませんので、非常に正確な御説明は申し上げかねますけれども、五万トン以上で全部割引している、このようなことはございません。
  425. 梅田勝

    梅田委員 それはおかしいと思いますね。公告でこういうところについて割り引くということを言っているのだよ。  それじゃ、先ほど読み上げたところの事業所が、昨年でどれだけの輸送量がありましたですか。五万トン以下ですか、これは全部。
  426. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 先生が先ほど具体的にお示しになったのは、浜川崎の駅じゃないかと思いますけれども、その浜川崎の駅から特定の駅に行く場合の割引でございまして、日本じゅうの石油の流動について五万トン以上全部割引している、そのようなことはございません、このようにお答え申し上げたわけでございます。
  427. 梅田勝

    梅田委員 それだけだった、特定の区間は割引しているということですね。
  428. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 いま公告されている、その場所については割引されておる、そういう運送条件にかなった場合には割引されておる、そういうことでございます。
  429. 梅田勝

    梅田委員 それなら、それを全体の運賃収入で推定するならば、この五億八千万よりも多いのじゃないかという疑惑が出てくるわけですね。十一億四千百万円、一〇%でいきますと、どうですか、これは。
  430. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 何度も申し上げますように、公告いたしておりますのは、その公告されている運送条件、発駅、着駅、これらが特定されていると思います。それの場合のことでございまして、それをもって大半割引になっていない。全体の石油の輸送について、その割引を当てはめて推定するということは、ほとんど実際に合っていない推定になると思います。
  431. 梅田勝

    梅田委員 それだったら、そうでないという実際の納得いく資料を出していただかぬと、あなたの説明を聞いただけではわからぬじゃないですか。具体的にそれを否定する資料を出してください。委員長、その点で納得のいく資料ができますまで、私はこの問題で質問を留保して、資料ができました段階でなお質問をさせていただきたいと思います。よろしゅうございますか。
  432. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 先ほど申し上げましたように、四十五年度の化学工業品については、五億何千万かという割引額は明らかになっておるわけでございまして、その中にはもちろん石油が入っておる、こういうことでございます。したがって、四十六年のものにつきまして、その化学工業品が幾らになっておるか、あるいはまた、その中で石油がどれだけになっておるかということにつきましては、先ほど申し上げましたように、アレンジして整理するために若干時間がかかる、このように御答弁申し上げておるわけでございます。
  433. 梅田勝

    梅田委員 四十六年は、大きな金額で出ていますから、六億九百万円ですね。これでほぼ推定ができますから、四十五年の実態について、もうすでにあなたのほうでわかっておる資料があるはずだから、これについて営業割引は、特定の区間だけで、ほかはやっていないのだ、量の比重は小さいのだということを言われるならば、そういう材料をきちっとお出し願わないと、いまの説明ではわかりませんから、これは委員長、後日資料が出ました段階で、この件に関して質問をさしていただくように留保したいと思いますが、よろしゅうございましょうか。
  434. 細田吉藏

    細田委員長代理 資料が出てからの質疑云々につきましては、資料そのものを理事会で御相談をすると先ほど申しておりますので、理事会で御相談をすることにいたします。  発言はよくわかりました。他の問題でお進めください。
  435. 梅田勝

    梅田委員 理事会で別に審議するわけではございませんで、委員会審議するのですから、やはり出た段階で認めていただきたいと思います。
  436. 細田吉藏

    細田委員長代理 委員長から申し上げます。  御発言はわかりました。理事会で審議するということを申し上げておるわけではありません。どういうふうにするかということを理事会で御相談をいただく、他の問題についてお進めください、かように申しておるわけでございますから……。
  437. 梅田勝

    梅田委員 それではセメントの問題で聞きたいと思いますけれども、セメントは、この品目は、どこに入るのでございましょうか。
  438. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 セメントは化学工業品でございます。
  439. 梅田勝

    梅田委員 そうすると、やはりセメントも同じ部類であったわけですね。  そうしますと、セメントの具体例を聞きたいと思うわけでありますが、住友の企業関係で、四十六年度中にどれだけの貨物を扱っておられるでしょうか。
  440. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 特定の荷主さんの輸送量について、ちょっとここでお答え申し上げるわけにいかぬと考えるわけでございます。
  441. 梅田勝

    梅田委員 そこが問題なんですね。物特でも大企業の内容についてあれだけ追及が行なわれたわけですよね。住友は、昭和四十六年度だけで二百六十八万トン扱っておると思います。そうしますと、このセメントの関係の割引を考えますと、この一企業だけで約一億円まけておるということになるのですが、どうですか。
  442. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 先ほど申し上げましたように、具体的な荷主さんの輸送の量、あるいは割引の額その他、ここで申し上げるのは適当でない、このように思います。
  443. 梅田勝

    梅田委員 これはそういう関係について公告をしているでしょう。公告していないですか。この住友セメントの運びの割引について公告していませんか。
  444. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 割引につきましては公告いたしておりますから、この件についてももちろん公告されておる、こう思います。住友セメントではなくて、セメント全体について申し上げますと、国鉄が輸送いたしておりますのは年間千七、八百万トン、このようになっておるわけでございます。
  445. 梅田勝

    梅田委員 ですから、この点については、住友セメントも明らかにしてもらいたいし、それから秩父セメント、日本セメント、小野田セメント、これらもいずれもばく大なトン数を国鉄で輸送しております。そういうものをずっと計算していったら、先ほどのお話に戻りますけれども、どうも数字が怪しくなってくるということです。これは明らかにできますか。
  446. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 先ほどの数字との関連と申しますけれども、何回も申し上げましたように、割引につきましては、特定の関係の駅に公告いたしておりますが、公告の内容をごらんになられれば明らかなように、特定の着駅それから特定の期間というぐあいに、非常に具体的に条件が明確になっております。その条件を全部の運送されるセメントあるいは全部の運送される石油、これにまるまるフラットに適用して推定することは、全く全体を理解するゆえんのものではないという次第でございます。
  447. 梅田勝

    梅田委員 鉄鋼、自動車、電機、紙パルプ、全部を明らかにしていったら、何ぼやったって切りがないほどあるわけですね。たとえば、紙パルプの場合には何ぼの割引率でございますか。
  448. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 先ほどの資料に基づきますと、紙パルプ等は繊維工業品の中に入っておるわけでございまして、割引額は四十六年度で十一億三千百万円、このようになっております。これの非常に大きな部分は、新聞巻き取り紙、これが大きな額の内容になろうかと思います。
  449. 梅田勝

    梅田委員 製紙二十四社の関係で、昭和四十五年の運賃収入は幾らくらいになっておりましょうか。
  450. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 先ほど来申し上げておりますように、特定の荷主さんの集計はいたしておりませんし、わかりません。それで紙パルプ全体の収入は百七十五億、このようになっております。
  451. 梅田勝

    梅田委員 大体それでいきますと百七十五億。製紙二十四社というのは、何といったって紙パルプの中で大企業でございますから、ほとんどの部分を占めていると思うのです。そうしますと、私どもの試算によりますと、昭和四十五年、製紙二十四社からは百三十一億そこそこの運賃収入があったはずだ。そうなると、これはやはり十三億か十四億割り引いたことになるのじゃなかろうかと思うのですが、どうですか。
  452. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 それは先ほど来何回も申し上げますように、全部の紙パルプについて割引したということになればそのような推算が成り立つわけでありますけれども、割引というのは、特定の駅、特定の条件のもとで割引しているのであって、それは全部に適用しているわけではございません。
  453. 梅田勝

    梅田委員 だから証拠を出さねばならないわけです。  製鉄、製鋼の大手十社、これの昭和四十五年の輸送量はどれくらいになりますか。
  454. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 四十五年度、鉄鋼全体で約六百五十万トンでございます。
  455. 梅田勝

    梅田委員 それの運賃収入は幾らですか。
  456. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 若干推定が入るかと思いますが、百二、三十億と思います。
  457. 梅田勝

    梅田委員 鉄鋼の関係で割引はどれくらいされておりますか。
  458. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 鉄鋼は金属機器工業品という中に入るわけでございますが、四十六年度の数字で申し上げますと、十三億四千六百万円。四十五年度の数字で申し上げますと、四億六千六百万円でございます。
  459. 梅田勝

    梅田委員 具体的な一つの公告に基づいて調べたものによりますと、神戸製鋼は大体一五%ないし二〇%の割引率でやっております。そして昭和四十五年六億六千九百万円の運賃収入があるわけでございますが、中をとって一八%と考えますと、一億四千七百万円と割引をしていることになります。   〔細田委員長代理退席、委員長着席〕 この場合は、一つの製鋼所だけでそうなっておるわけでありまして、製鉄大手十社全体で考えますと、少なくとも十四億ぐらいの割引をしているというふうに、私どもの公告の関係の資料で出てくるわけですが、どうでございますか。
  460. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 具体的な荷主の割引額については先ほど来申し上げているとおりでございます。それで何回もまた申し上げますように、公告の一つ一つを全部積み重ねないと具体的にどれだけの割引になっているかということが明らかにならないわけでございまして、その一つの公告をもって全体を推則するということは、全く推定の方法として当たっていないということは繰り返し申し上げておるとおりでございます。
  461. 梅田勝

    梅田委員 これについても私どもはたくさんの一つ一つの事業所に対して契約をして、その具体的な営業の割引の内容を公告しているという事実数量、そういうものを計算をしていきますと先ほど来申し上げているような数字が出てくるわけです。だからこれが事実でないというのだったら、やはりそうでないという具体的資料を示さないと、どうも先ほど来いわれておりますような七十六億ぐらいでは済まぬということを疑問として出さざるを得ないわけです。  さらに私有貨車の問題についてちょっとお聞きしたいと思いますが、私有貨車は全体で幾らございますか。
  462. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 約一万九千両でございます。
  463. 梅田勝

    梅田委員 そのうちいわゆる石油を運ぶタンク車、これは幾らございますか。
  464. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 約三千五百両でございます。
  465. 梅田勝

    梅田委員 タンク車ですよ。間違っておりませんか、タンク車の数。   〔発言する者あり〕
  466. 井原岸高

    井原委員長 梅田君に注意します。  かれこれ、君、四時間になるのだよ。申し合わせもしていることではないですか。
  467. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 石油三千五百と申し上げましたが、石油という御質問なので石油を申し上げたのですが、ガソリンがそのほかに四千五百両ございます。
  468. 梅田勝

    梅田委員 要するにタンク車という分類でいけば何ぼになりますか。
  469. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 いわゆるタンク車の中に入るものが一万六千くらいと見当いたします。
  470. 梅田勝

    梅田委員 鉄道百年で私は見たのでありますが、私有貨車というのは一万九千二百六十五両ある。そのうちタンク車というのは一万七千三百七十両あるというように書かれております。そうすると約九割が私有貨車の比重を占めるわけですね、タンク車は。これは間違いありませんね。
  471. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 間違いございません。
  472. 梅田勝

    梅田委員 そのうち、私どものほうでいろいろ調べますと、昭和四十五年度末で大企業が持っている私有貨車、これをずっと見てみますと、大体大企業ですね、エッソスタンダードが二百八十一台、ゼネラル石油は二百九十四台、三菱石油三百四十五台、モービル石油三百八十五台、丸善石油三百八十六台、昭和石油四百四台、共同石油四百七十九台、シェル石油五百一台、出光興産六百二十二台、日本石油千三百六十七台、日本石油輸送二千七十二台、大協石油二百五十七台、合計して七千三百九十三台がこの石油関係においてタンク車を所有している。これがいわゆる大手といわれる私有貨車の私有台数だ。これは総裁、事実ですか。この台数に間違いございませんか。
  473. 磯崎叡

    磯崎説明員 昨日秘書からそういう話を承っておりませんので、数字持っておりません。
  474. 梅田勝

    梅田委員 それでは営業関係の方、いまの事実、間違いないですか。
  475. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 総数につきましては、先ほど申し上げたとおりでございまして、どこのどなたが何両持っておるということは全然わかりません。
  476. 梅田勝

    梅田委員 これはぼくは国鉄当局にいろいろお聞きして作成したのですよ。国鉄当局がこれを認めないのですか。
  477. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 先ほど申し上げましたように、そのような整理をして理解するような資料のあらかじめの準備方の要請もございませんでしたので、それは全然わかりません。
  478. 梅田勝

    梅田委員 国鉄運賃値上げが非常に重大だということで、関係資料は、およそこういうことが質問されるだろうというようなことはあらかじめ準備していただかないと困りますよ。  ところで三十トン積みのタンク車は一台幾らくらいかかりますでしょうか。
  479. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 大体四百万円でございます。
  480. 梅田勝

    梅田委員 私有貨車に対してどういう割引をしているかということは、この間私、予算委員会で聞いたのでありますが、一五%ですね、これの根拠をひとつ聞かせてください。
  481. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 私有貨車は、本来国鉄が貨車を所有して貨車輸送をすべきであるわけでございますけれども、私有という形で相手方が貨車をつくるわけでございます。したがって、この私有貨車を保有することによる資本関係の費用、これを勘案いたしまして、国鉄運賃制度といたしまして一五%引きという制度をつくっているわけでございます。
  482. 梅田勝

    梅田委員 今回貨物運賃が上がりますと——いまのいわゆる国鉄で本来つくってもいいんだけれども、大企業なり荷主さんのほうでつくっていただいた、だからそういう資本関係の面で償却費とか利子とかいうことを考慮していくということだと思いますけれども、そうしますと、先につくって今回値上げするわけですね、一五%の割引率というのは当然変わってくるということにならないですか。
  483. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 これは先ほど申し上げましたように資本関係の経費を勘案いたしまして、いろいろ他の要素もございますのを総合いたしまして、一つの貨物運賃制度として一五%引きというのをつくっておるわけでございまして、この運賃との比率だけでもって一五%が適正か、あるいは一〇%が適正か、こういう関係にはございません。また製作費というものはいろいろ変わってきます。上がってまいります。それから貨車そのもののいわゆる運用効率もいろいろ千差万別でございます。あるいはまた輸送距離によっても違いますし、積みます貨物の等級によっても違います。そういうような事情を全部総合して考えて、先ほど申し上げましたような一つの一律的な制度といたしまして一五%引きという制度ができておるわけでございます。
  484. 梅田勝

    梅田委員 それは先ほどの説明で私はわかっているわけですよ。あなたのところの言っている問題はわかっているわけだ。しかし今回値上げをしたら従前からつくっておる分については、運賃が上がるんだからそれに対して一五%だから当然そういうものが上がっていくから、きわめて不合理じゃないかということを聞いているわけですよ。そういう私の質問した意味について答えてもらわなければ困る。
  485. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 その関係につきましては、それだけを見ますとそういう関係ができる、しかしそれだけではないということを先ほど申し上げたわけでございますけれども、しかし運賃改定をする場合にはそういうような要素ももちろん検討いたさなければなりません。したがいまして、今回につきましてもそういう条件だけでもって検討した場合に、現在存在しておる私有貨車の実態をサンプル的に見まして、割引率が一五%で適正なりやいなやという検討をいたしましたら、これはごく試算でございますけれども、そういう試算に基づきますと一五%よりも割高な割引率をしなければならないという試算が行なわれているわけでございまして、今回その運賃を上げても一五%引きというものは決して不当ではないというふうに現在試算、判断いたしております。
  486. 梅田勝

    梅田委員 私有タンク車の耐用年数は何ぼになっておりますか。
  487. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 私有タンク車、いわゆる特殊貨車の償却は十五年になっております。
  488. 梅田勝

    梅田委員 十五年ということになりますと、私はいろいろ計算をしてみたのでありますが、石油の平均輸送距離というのは、貨物局で調べていただいたのですが、百五十九・一キロというのは間違いございませんか。
  489. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 間違いございません。
  490. 梅田勝

    梅田委員 その場合のトン当たりの三級で計算いたしますと七百九十二円ですね。これも事実ですね。
  491. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 そのとおりでございます。
  492. 梅田勝

    梅田委員 その数字に基づきまして十五年の耐用年数、つまり償却期間を一年間百八十日動いたと仮定して、これは日本オイルターミナル株式会社のオイルサービスでやっているところの貨車効率ですが、これは五四・八%ということを聞いておりましたので、少なく見積もって一年三百六十五日のうち百八十日動いたとして運賃収入を計算して、そして利息七%のお金で——先ほど四百万円という数字が出てきたわけでありますけれども、かりにもっと高く見積もって五百万円かかったとしても、十二年間で償却ができるという計算が成り立つのです。そうするとあとはただもうけというようになります。これは一台当たり二百万円そこそこの私有貨車を持っている企業はもうかった——この営業割引あるいは、この場合は私有貨車の割引でございますけれども、そうなると、これは台数が多いですからばく大な金額になります。トン当たりで、少なくとも大手の企業の関係で十億円ぐらいになるのじゃないかという数字がはじき出されてまいります。ですから私は、運賃値上げをしてなおかつ一五%の私有貨車割引というものを企業に対してしているというのは、いま国鉄赤字赤字で困っているわけでしょう。なおかつ黒字の旅客運賃も上げるのだとおっしゃっておるのに、こういう点もう少し研究していただいて、これは思い切って改善するということをやるべきだと思いますけれども、その点いかがですか。
  493. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 ただいま伺いました運用効率五〇%、これはもう非常に特異なところであって、そういうことがあるかもしれません。しかし、一般的には大体二〇%前後というのが一般の運用効率でございます。したがいまして、そういうような運送の実態というものも全部総合的に判断いたしまして、先ほどお答え申し上げましたとおり、今度の改定をいたしましても一五%引きというのは運賃制度として適正である、このように考えておる次第でございます。
  494. 梅田勝

    梅田委員 そこでもう一つ聞きたいのでありますが、自動車を運ぶ場合は車運車を使っておりますけれども、あのカバーシートですね。あれをなぜ国鉄側が負担しなければならないのですか、ちょっと説明していただけませんか。
  495. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 国鉄では無蓋車に貨物を積む場合の規定といたしまして、カバーそれからロープ、こういうものを備えつけなければならないという規定になっております。それによって備えつけておるわけでございます。
  496. 梅田勝

    梅田委員 現在所有の枚数は幾らでございましょうか。その単価は幾らですか。
  497. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 概数二万枚でございまして、単価は約一万四千円ということでございます。
  498. 梅田勝

    梅田委員 あれは、モデルチェンジが起こりますと合わなくなるので、使用年数が非常に短いというふうに聞いておりますけれども、どのくらい使用されていますか。
  499. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 二年償却でございます。
  500. 梅田勝

    梅田委員 まあこれだけでも非常に大きな負担を国鉄はしている。赤字赤字といっているときに、先ほどの私有貨車の問題でもほんとうに納得がいかない。一般の私有タンク車の使用効率が悪いから全体としては低いのだ、そんな使ってないのだとおっしゃるなら、日本オイルターミナル株式会社は非常に使用効率が高くて、しかもたくさん輸送しておるのですから、そういうところに対して何でもかんでも一五%割引しているというようなこと。そうして一方こまかいことについて締め上げてくる、こういうやり方というものも改善していただかないと国民は納得しない。  先ほど来私が質問しているときに、早くやめろ早くやめろと言いますけれども、一番重要な問題について資料が出ておりませんので、まだ原価償却の問題でたくさんあるのでございますが、いろいろ申し合わせされたようで、とりあえずここで私の質問を中断いたしまして、また次に資料が出たところでやらしていただきます。審議を尽くすという立場でそのようにしていただきたいと思います。
  501. 井原岸高

    井原委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  502. 井原岸高

    井原委員長 速記を始めて。  十分後再開することとし、暫時休憩いたします。    午後六時四十七分休憩      ————◇—————    午後七時十一分開議
  503. 井原岸高

    井原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。石田幸四郎君。
  504. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それでは国鉄の問題について質疑をいたしたいと思います。  まず私は、独立採算制の問題について大臣にお伺いをするわけであります。  昭和三十八年から国鉄は、それまでは黒字基調を続けてまいりましたけれども、三十九年より経営状態が悪化をしてまいりました。そのとき政府は、国鉄はあくまで公営企業という独立の企業体であるので、赤字国鉄自身企業努力で解決をすべきであるといって援助をしてなかったわけであります。これは、いわゆる独立採算制という問題を強調した立場によるものと私は思うわけでございますが、その後四十四年より利子補給が始まり、また四十六年には三十五億の政府投資が行なわれてまいりました。そして本年度に至っては、この再建措置法案によりますれば、借り入れ利子に対して三%を上回るものは全面的に利子補給をする、その他の政府投資を含めて十年間に三兆八千八百億円の大幅な政府助成が発表されたわけであります。しかしながら、この独立採算制の問題というのは、いわゆるこのように政府助成が多くなったということを考えてみますと、明らかに国鉄独立採算制というものは、企業の形式論としては残っているけれども、実質的にはその制度は崩壊をしてしまった、このようにいわざるを得ないと私は思うわけであります。この前も若干申し上げましたけれども、四十四年度の国鉄の監査報告書によりますれば、その問題についてきわめて明確に指摘をしておるわけであります。そこを若干読んでみますと、「再建措置法においても、国鉄をして将来とも国民経済および国民生活においてその使命を遂行させるため、昭和五十三年度までには損益計算において利益が生ずるよう財政の健全性を回復させ、自後過去の欠損を逐次解消することを期待しており、この意味では独立採算制の維持を前提としていることがうかがわれる。」いわゆる姿勢としては独立採算制を堅持しているようでございますけれども、しかしながら、「すべての経費を自らの収入によってまかなうという意味での独立採算制は、もはやくずれているともいえる。」これが監査委員会の報告でございます。さらに、明確に、「ここ数年続いているいわば構造的ともいうべき赤字状態が今後も避けられないとするならば、独立採算制の維持は不可能となろう。」こういうふうにもいわれておるわけであります。  さらにまた、ここが問題なわけでありますが、「単なる赤字補てんでは、経営責任が不明確となり、能率的経営への意欲をも減退させることになる。」したがってこの監査委員会は、「昭和四十三年度の監査報告書において「国家政策のための義務負担については、独立採算制をたてまえとしている国鉄の「企業経営」という角度から全般的に見直しを行ない、可能な限りこれらを免除することとし、なおやむを得ず存続が必要とされるものについては経理的にも他と分離するなどして、国鉄経営責任をより明確にできるようあわせて検討されることが望ましい。」」こう四十三年度は述べているわけであります。さらにことばを継ぎまして、「国鉄財政再建を達成させるためにも、国鉄独立採算制はいかにあるべきかについて、国において早急に検討されなければならない時期がきたものと考える。」このように報告をいたしておるわけでございます。  また速記録を調べてみますと、ちょうど前年度の四月二十五日となっておりますが、当時の内藤委員の質問に対して国鉄総裁は、やはり独立採算制はもうくずれてしまった、こういうことを明確にお答えになっているようにうかがえます。ちょっと読んでまいりますと、「大臣が非常なお骨折りで、十年間で一兆というお約束もしていただいたわけでございますが、そういう意味で、先ほども御議論の公共性ということが相当強くなり、非常に端的に、いまの私のほうの予算をごらんくださいますれば、むしろ独立採算といえるかどうか。」また「ことばの問題になるかもしれませんが、実質的にはある程度独立採算はもうくずれたというふうにいってもいいのじゃないか。」このように国鉄総裁はおっしゃっておるわけであります。これは今後の政府助成のいわゆるあり方という問題と非常に関連があるわけであります。  特に独立採算制について、経済辞典を引っぱって見てみますと、一般には公企業、いわゆる公共企業体がその経費を事業経営に伴う収入でまかなうことをいう、このようにいわれておるわけであります。これは一般的な通説です。そうしてみますと、いわゆる全部の経費を、これは営業収入でまかなうことができないわけでありますから、このいわゆる経済学の定義からいきましても、現在の国鉄経営というものは独立採算制ということができない、こういうふうに私は断定をせざるを得ないわけでありますが、まず最初に、国鉄総裁の前回の発言とあわしての御見解を承っておきたいと思います。
  505. 磯崎叡

    磯崎説明員 昨年同じような御質問がございまして、結局ことばの問題をいろいろ申し上げてもしようがないので、実質問題が問題だと思います。ごらんのとおりの予算でございまして、結局、経費の全部を収入でまかなえないという現状でございます。したがって、それじゃちょっとでもまかなえなければ独立採算制を欠くかといえば、それは一つの常識問題だと思いますが、今度の、大臣のおかげでできました再建案は、たとえば全体で申しますと約一三%ぐらいの部分を政府から補助していただいているということになります。外国の鉄道の例をとりますと、もう少し多く大体三〇%あるいは三五%になっておりますけれどもほんとうに私どもの過去にやってきた独立採算制と申しますのは、やはり収入でもって支出をカバーするということが独立採算制であったというふうに思います点から見ますれば、残念ながらいまの時点というものは独立採算制を相当欠いてきたというふうに言わざるを得ない。ことばの問題でなしに実質的に私はそういうふうに思っておるわけでございます。
  506. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 前回の予算委員会におきます運輸大臣の御答弁、これを見ますれば、そういうニュアンスでもお答えになっているようでありますし、あるいはまた勘ぐって考えればそうでもない、いわゆる十年間の政府助成という問題を考えますと、基調としては独立採算制というものが失われたと必ずしも言えないのではないかというような、どっちともとれるようなニュアンスでお答えになっておるわけでございますが、しかし国鉄総裁がいまおっしゃったように、やはり実質的には独立採算制という問題は崩壊しておる、こういうふうに言わざるを得ない現況を、全面的にとは申しませんけれども、お認めになっているような口調であります。運輸大臣、これをどうごらんになりますか。
  507. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 いまの国鉄独立採算制のもとに経営されているかといいますと、そうでないと思います。厳密な理論的な意味で、すべての支出を収入でまかなうのだ、こういうふうに考えますと独立採算ではないことは現実の問題でございます。それならば国鉄独立採算という制度から離れて別の制度の上に立っているかといいますと、そうではないと考えております。現在、公共企業体として独立採算制でスタートし、それでいくべきものが、公共的な要望が非常にふえまして、自分の力だけでは処理し得なくなったということから、赤字が非常に累積いたしまして今日のような状態になっておるのでございますから、現状は独立採算制からよほど遠ざかっているとはいいますものの、本質的にはやはり独立採算制を維持すべき企業体であるというふうに私は考えておる次第でございまして、そういう意味のことを申し上げたと思います。現に私どもはいま十カ年の計画を出しておりますが、この再建計画をいまのような形で国会においても御承認をいただきますならば、十年後には自分の力で収支黒字を出しまして、それからだんだんに累積した債務の償却もし、あるいは赤字も解消していこうということになるわけでございまして、それをねらいまして私どもは十カ年の計画を立案をしたわけでございますから、もし予定どおりにそういう状態が実現いたしますると、国鉄が発足いたしました当時と同じように独立採算制が維持できるような財政の健全化ができる、こういうふうに考えまして、それを目標にして努力しているということを、これは提案理由でも申し上げましたように、そういう意味で御了承いただきたいのでございます。
  508. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 この問題は議論をしていてもしようがないことでございまして、実質的にたとえば三公社五現業との、他の公営企業との比較におきましても、現実的には独立採算制はこわれてしまっている、こう断定せざるを得ないと思うのでございます。ただ問題であるのは、そのように独立採算制がこわれてしまった国鉄経営におきまして、やはり親方日の丸式に、ただ政府の助成だけを受けて将来の採算がとれるようにするのだという考え方ではいけないというのは、これは当局がお考えになっても、あるいは国民の皆さんがお考えになっても同様な結論に達するであろう、こういうふうに思うわけでございます。しかしながら、先ほどもこの監査委員会指摘しておりますように、いわゆる政策的な義務負担、こういうものについてはできるだけ分離をして、そして国鉄経営としての責任というものを明確にする必要があるのじゃないか、こういうようなことが提案をされておるわけでございます。これは国鉄内部における検討というよりは、むしろ政府において、運輸省もしくは政府全般におきまして国鉄のいわゆる独立採算とはどうあるべきか、また公共負担、いわゆる国費負担との関連性というものはどうあるべきかということを議論しなければならないということがこの報告書の中に明確になっているわけでありますが、いままでこういった問題に対する議論が政府内ではたして行なわれてきたかどうか、私は非常に問題だと思うのでございますが、いままでそのような経過はございましょうか。
  509. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 この問題は、御承知のように郵政審議会においても議論されておりますし、またそれを受けまして関係閣僚協議会におきましても議論をされたところでございまして、この問題につきましては、かなり関係各省の間でいろいろ議論が交換されたのでございます。
  510. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 議論がかわされたという事実はわかりましたけれども、しかし政府部内におきまして今後の方向としてどのような方向が望ましいのか、そこら辺に対する議論の方向性はどうでございますか。
  511. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 この問題については、監査報告でございますか、それの示唆しておるところが非常に広範でございまして、これは単年度ではなかなか簡単に解決し得ない問題でございますが、その根本になっておるところは、いま御指摘になりましたように、現在独立採算制、採算制と言っておりますけれども、それを堅持できないその原因は何か、その原因を早く除去して、国鉄が、先ほど申し上げましたように、ある一定期間の中で財政の健全性を取り返しまして、いわば独立採算制をとってもいいような状態にまで持っていこうというようなことが政策の基本になっておるわけでございます。この点は関係各省の間で特にその方向に向かっての議論はしたわけでございませんけれども、基本になっておる総合交通体系の中における国鉄というものにつきましてはずいぶん議論があったわけでございまして、それを受けていまのような具体的な政策を運輸省は立案をしたということでございますから、結局いまお話しになりましたような監査報告の示唆しておる方向というものは閣僚の間でも十分論議されて、そういった認識のもとに今日のような政策が立案されたというふうに御了解いただいたらけっこうでございます。
  512. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それではお伺いをいたしますけれども、この十年間の長期債務を見ましても、いわゆる長期債務は五十七年度で十兆九千八百億以上、いわゆる十一兆に近いわけでありますね。それからまた累積赤字は一兆四千四百三十五億というものが見込まれておるわけでございましょう。したがって政府助成というものは五十七年度以後においても続かざるを得ない、こういうふうに私は考えるわけであります。そうしてみますと、いわゆる運輸大臣がおっしゃるところの望ましい独立採算をとる国鉄経営の姿というのは、短期間に見ましてもおそらく十五年以上、そういうような長期見通しに立つわけであります。そうしてみますと、その十五年もかかるような独立採算制の維持、そういう方向ということでございますけれども、それらに対してやはり政府助成の原則は、今回の措置案ではあまりにも不明確ではないかと私は思うわけです。この問題を議論いたしましたときに、大蔵大臣は、何を勘違いされたか知りませんけれども、いわゆる政府方針は過去債務に対する利子補給である、それから設備投資、いわゆる工事費に対する工事費助成である、これが二本の柱になっている、このように申されましたけれども、これはいわゆる会計上の金の出し方の問題になっているのであって、その裏にあるべき政策のあり方というものは何ら明確にされてないわけです。  若干申し上げますと、たとえば、今日国鉄が膨大な赤字をかかえる要因になった、そういうような要因をいろいろ考えてみますと、たくさんの問題があるわけであります。一つは、いわゆる社会開発的な、そういった設備拡大の分野が大きくて、採算が度外視されている。これはたとえば調査五線の方向がそうでございましょう。調査五線、それすらも赤字が予想されております。それに並行して走るところの在来線は当然赤字が増大をするわけです。そうしてみますと、そういうような設備投資というものは、政策的な要因によって国鉄赤字を積み重ねていかなければならないという仕組みになっているわけでございましょう。そういう社会政策的な要因が多いわけです。たとえば貨物の問題にいたしましても、現在たいへんな赤字をかかえております。その赤字を克服するためには、単純な論理でいけば、これはいわゆる貨物部門というものを国鉄から切り捨てれば一番いいわけでありますけれども、しかし、政府の政策はそうなっておらない。いわゆる総合交通体系との関連からいけば、やはりフレートライナー方式をとりながら、漸次国鉄の貨物輸送に占めるシェアを拡大する以外に方法はないわけでありまして、これにはなお一千五百億から二千億以上の投資が必要なわけです。そうすると、貨物部門におきますところの総合交通体系の中に示されている政策的な方向というものと経営基盤というものは、全くこれは食い違っておるわけです。そういう政策的な要因が大きくて、こういうような赤字が増大をしているわけでしょう。そのほかには、この間から問題になりました政策的割引の問題あるいはまたその中に含まれております定期券の割引料金等の問題、こういうような問題も赤字の大きな原因になっておる。あるいはまた、この前の委員会では国鉄総裁から、物価との比較におきましていろいろ話がございました。いままでの物価の値上がりと国鉄運賃の値上がりとの差というものを見ると、国鉄運賃は非常に低廉に押えられ過ぎている、こういうような趣旨も承りましたけれども、これはまた公共料金としての運賃の性格、いわゆる運賃法にもありますところの物価の安定に資することという一つの重大要件があるわけでありますから、これは簡単には上げられないという要素がある。いずれにしても、国鉄運賃をきめる場合には、こういうような非常に社会政策的な要因に狭められて、その中での運賃の上昇率というものを考えなければならないという宿命があるわけです。  さて、そういった社会政策的な要因というものを考えたときに、経営という角度から見れば、これは逆の方向に行かざるを得ないわけでありますから、いわゆる国鉄再建措置案というものは、国税を主体とすべきものなのかあるいはまた利用者負担を主力としているのか、数字を見る限りにおきましては、これは利用者負担のほうが四六・七%ですから、政府負担は二二・八%でありますから、私は非常に利用者負担が多過ぎる、こう思います。しかし現在の政府の案はそうなっている。私は、この原則というものを、いわゆる国庫負担でいくのか利用者負担でいくのか、あるいは両者の併用でいくのか、その三つの方法があると思うのです。しかし、いま政府が唱えている利用者負担を主力としているような行き方についても、これはもう少し国民の納得のいく、明確な政策の論議の上から出てきた根拠がなければ、国民の皆さんの納得をいただくわけにはとうていいかない、こう私は常に思っているわけであります。先ほど申し上げましたように、今度の助成措置が利子補給である、工事助成であるといったって、それは会計の中で金を出すときの方策でありまして、その裏づけになっている政策というものが全然明確でない、こう私は考えざるを得ないのですけれども、この点に対して大臣はどうお考えになりますか。
  513. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 国鉄に課せられております公共的な要求、これはいまに始まった問題ではないと思います。前々からそういう輸送需要というのが重なりまして、それに対応するような国鉄の姿勢ができ上がらなかったものですから赤字がふえたということだと思います。そういった問題を十分考えながら今度の財政再建策はつくり上げられたのでございまして、いまお話しのような、たとえば貨物についてフレートライナーをやらなければならぬとか、いろいろ貨物輸送の改善について、これは国鉄財政をよくするための方策ですが、そういったものについてまた考えなければならぬのじゃないかとおっしゃいますけれども、これは今度の十兆七千億の投資の中で一兆何千億かのものを貨物の方面に充てるというものがきまっておるのでございます。そういったことを考えながら、今日まで国鉄は、一方では国鉄に課せられた公共的な使命、それを果たすのにはどうするかということ、一方ではそういった使命を果たすのには国がここでどの程度の財政的な援助をしなければならぬかということを考え合わせまして、そうして計画をきめたわけでございますが、それだけでは足りませんので、ある程度の利用者の負担をお願いしようということでこの運賃の改定案を出したわけでございます。  いまおっしゃいましたことは、一つ一つ考えますとそのとおりでございます。しかし、再建策ではそういう国鉄の持っております公共的な使命、そういったものを果たすのにはどうしたらいいかということ、それをなし遂げるのにはどれだけの費用が要るか、それにはこれだけの費用が要るから国はこうしよう、ある程度のものは運賃によってまかなってもらおう、こういうようにして、おっしゃったことは大体今度の再建策の中で消化されている問題でございますから、その点は御了承いただきたいと思いますし、なお御不審な点がありましたらおっしゃっていただければ、さらに御答弁を申し上げます。
  514. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それは先ほど来申し上げておりますように金の出し方の問題なんでございまして、いわゆる政府財政規模から考えればこのくらいしか金が出せないのだという議論を私はいまここでしているつもりはないわけであります。  たとえば、この前もちょっと申し上げましたけれども、それでは一体政府は、国鉄の今度の十カ年の再建計画の中で、骨子はいわゆる資本勘定に対する助成でいくのか、経費助成、いわゆる経常経費への支出もするのかというような基本的な政策の問題もございましょう。それから、先ほどのいわゆる貨物輸送の問題にいたしましても、総合交通体系の中を見ますと、中長距離については国鉄貨物輸送を主体とすべきであるというような方向が明示されております。しかし、ではそれに対する補助的な政策はどうなっているかと申しますと、全くないじゃございませんか。たとえば先ほど来問題になっておりますトラック輸送との競合問題、いまこれは全くの無原則の上の競争というような形で行なわれておるわけでしょう。私が言うのは、たとえば国鉄に中距離貨物輸送の使命を負わせるならば、将来の人的資源から考えても、トラック輸送で日本の全土をおおい尽くすということはむずかしいわけでございますから、当然そういった規制なりあるいは誘導政策なりをしなければ、国鉄のいわゆる総合交通体系の中における使命というものは十分に果たし得ない、いわゆる赤字はなくならぬのです。そういうような政策というものをもっと明確にしなければ、単にこれだけ金を出したらいいじゃないか、これだけ出せば十年後には何とか黒字基調になるんだからいいじゃないか、そういうことでは税金を納めている国民の皆さんは納得しないのじゃないか、私はこう申し上げておるのです。これについての御意見はいかがでしょう。
  515. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 御質問の趣旨が非常に広いものですから、全般的に具体的に御説明することは困難でございますけれども、いまお述べになりました貨物輸送の問題トラックとの関係などにつきまして、これを具体的な例として御説明申し上げます。  総合交通体系の中で示されているような政策を運輸省がもっとしっかり現実的にとっていかなければだめじゃないか、こういうような意味合いの御質問でございました。総合交通体系の中で、われわれは望ましい各交通機関の分担ということは、一応頭に置いていることは言うまでもございません。しかし、いまのわれわれの社会で、そういうことを強制的に、荷物の種類あるいは方向というようなものに応じまして、これはトラックで運べとか、これは国鉄で運べということは困難なことでございます。やはりその間に、荷主のほうから見まして選択というものがあり得るわけでございます。で、国鉄は、いままで貨物の問題につきましてはそういう荷主の選択で、それにうちかっていくだけの余力がなかった。それは設備方面でもそうでございますし、サービス面でもそうだったと思います。そういうために、ずるずる貨物がトラックに押されていったというのが現実の姿でございます。したがいまして、今度われわれの考えております十カ年計画におきましては、これは何もかもトラックの輸送を国鉄に持ってくるということはできませんが、国鉄の輸送にふさわしいような距離あるいはそういう荷物というものは、国鉄で取り扱いますような荷物の輸送体制というものを整備しようということで、さっきも申し上げましたように、相当大きな資本投資をいたしまして、それによって、いままでともすればトラックに流れがちな荷物を、国鉄のほうに取り返すような努力をさせようということでございます。  もっと具体的に申しますと、単にある距離の運賃国鉄とトラックと比べまして、運賃だけから見ると国鉄のほうが安いという場合でも、今日の状態ではその荷物が全部国鉄のほうに流れてくるとは限っておりません。トラックのほうに流れておる荷物が相当多いのでございます。これは先ほどもちょっと申し上げましたが、単に運賃政策だけではなしに、その荷物を運ぶについての国鉄のサービスです。荷物を運送する者としてのサービス、それがトラックに比して、利用者から見ると劣っているということからくるのでございます。これはいろいろな点がございましょうが、国鉄でよく言っております定時性でありますとか確実性でありますとか、いろいろな問題もございますが、そういった点を考えまして、トラックに負けないようなサービスの提供ということもこれから考えていかなければならぬ。設備方面もそうでありますし、そういうサービス面でもそうでございます。そういうような方策はもちろん考えておりますし、それを実行しようとしておるのでありまして、そういうことのために、今度の再建計画で相当思い切った費用をそのほうに投じようとしておるのでございます。その点は今度の再建計画の立案にあたりましても考えましたし、今後それを実行する場合におきましても非常に大きな問題として国鉄が考えなければならぬ問題でございます。
  516. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 確かに話としてはわかりますが、しかし大臣に申し上げたいのであります。総合交通体系が骨子になっているかもしれませんけれども、これはアウトラインというよりは、きわめて素朴な議論しかなされていないわけでございまして、やはり国鉄再建計画というものは、全体の旅客、貨物輸送計画の中で明確に位置づけがなされていなければならないと思うわけです。たとえば、十年間におきますところの国鉄を中心とする旅客、貨物輸送というものはどうあるべきかということについて、閣内で十分な論議が一体なされてきたのでございましょうか。あるいは旅客輸送の中におきましても、鉄道を中心として飛行機との関係、船舶との関係、あるいは高速バスとの関係——これはそう大きな問題ではないかもしれません。しかし、貨物ということになりますればやはり鉄道を中心にトラックの貨物輸送、あるいは船舶による大量の輸送、あるいは航空機によりますところの郵便物等のスピードを生命とするものの輸送、そういうようなものとの関連が十分に位置づけをされていなければ、ただ金をつぎ込むだけでは問題の解決にはならないと私は思うのです。そういった意味でこの十年間の旅客、貨物全体のビジョンというのは一体どうなっているのか、その中における国鉄の位置づけられ方はどこにあるのか、そういった点から論議をしなければならないと私は思うわけであります。  さらに問題を展開してお伺いをいたしますれば、たとえば新幹線の調査五線をこれからもつくるということになりますが、その新幹線というものは、確かに国鉄経営の十年、十五年という長期の見通しに立って行なわなければなりませんけれども、やはり採算を度外視するわけにはいかないわけでありまして、その新幹線の調査五線もこれから建設をしなければならない。その建設をしなければならないという根底にあるものは、国土開発という意味でしょう。そういう国土開発的なものをいわゆる政府財政措置の中で見ていくのか、国税でまかなうべきなのか、あるいは先ほど申し上げましたところの今回のいわゆる措置案でいきますならば、三者負担の中で見ていかなければならないのか、そういう論議も、いままでの趣旨説明ないしはいろいろの議論の中では明確じゃないわけです。  それから、先ほど問題になりました割引の問題、政策割引というものがこのように多額を占めている状況の中で、それを政府が助成する必要がないのかどうか、こういうような議論が当然あらためて問い直されなければならないと私は思うわけです。なぜならば、外国との比較においてこれを見てみますれば、フランスあたりにおきましては、通学、通勤定期についてはその損金というものは全額国が負担をする、こういうことになっております。あるいは最近の自動車のはんらんによって、従来はやらなくてよかったところの踏切対策、そういったものも当然社会的な要因としてせざるを得ない。そういう問題については、フランス政府は、これは明確に社会的な要因であるからといって経常経費の支出をしておるわけです。  そういうような議論が、少なくともここ一、二年におきます国鉄の値上げ法案を審議する段階の中には、政府の答弁としては明確に出てきてないわけです。そういったところを私はいまここで申し上げておるわけでございまして、そういった点についての御意見を承りたいわけであります。
  517. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 前段でお述べになりました総合交通体系の中で各交通機関の分担関係、こういったことについては、御承知のように閣僚協議会において——私はその当時運輸大臣でございませんでしたけれども、その当時関係閣僚の間でずいぶん議論をされまして、大体においてこういうふうな使命を持たしたほうがいい、旅客も貨物も各交通機関についてこういうふうな役割りをさしたほうがいいというような、一応の考え方が出ておるのでございます。私のほうで今度立てました案は、それから逸脱はしておりません。そういう方針にのっとりまして今度の再建計画も立案をしておる次第でございます。  それから、後段でお述べになりました公共的な需要でございます。これは今後ふえることがあっても減ることはないと思います。しかし、今度の私どもの立てました十カ年の再建策、この中では現在の時点において、いままでも国鉄はずいぶん公共的なサービスをいたしております。各方面でできるだけのことをしておると思いますが、そういういま予想されるような公共的なサービスにつきましては、この財政再建計画の中におきまして消化し得るという見通しで立てておるのでございます。しかし世の中が、非常に社会事情が変わってまいりまして、そういう中で、たとえばいまちょっとお話しになりましたが、こういったものには全額無料で運んだらどうかというようなことになってまいりますと、これはもう計算の基礎が違いまして、これは他の新しい方法を考えていただかないと財政再建計画の中では受けとめられないということでございまして、いま予想し得るような現在やっておりますようなこと、こういったことにつきましてはこの再建計画の中でまかなえるという考え方でございまして、今後社会が変動していき、もっともっと公共的な需要がふえてくるだろう、こういうことに対しましては、その時点におきまして適当な対策を立てていく以外にはないのでございます。そういうふうにこの再建計画というものをお受けとめ願いたいと思います。
  518. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 そうしますと、いま大臣のおっしゃられた方向でまいりますと、この国鉄の監査報告におきますところの、たとえば「国家政策のための義務負担については、」「国鉄の「企業経営」という角度から全般的に見直しを行ない、可能な限りこれらを免除すること」とありますけれども、そういうような方向はとらない。要するに金を出して政府国鉄が十年先あるいは十数年の先に黒字基調になりさえすれば、そういう社会的な要因も政策的な要因も全部まかなっていけるんだ、こういうような結論になりますが、それでよろしゅうございますか。
  519. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 先ほど申し上げましたように、いまの状態、この程度の公共負担状況でございますと、いま提案いたしておりますような方法を御承認願えれば、十年先には、国鉄といたしましては自分の力で更生いたしまして、そういう程度の公共負担というものには対応できるということでございます。先ほど申し上げましたように、今後そういう公共的な需要がどんどんふえてくるということに対しましては、さらにその時点において考慮しなければならぬと思いますけれども、現在予想し得るような問題につきましては対応できるという計算の基礎において、提案をいたしておる次第でございます。
  520. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 そのような御答弁でありますればさらに問題は発展をするわけでございまして、そうであるならば、たとえば北海道開発という問題は北海道開発庁長官ですか、北海道の長官をおつくりになって、そしてそこに予算をつけて、あるいはまた地方公共団体とのそういう関係におきまして開発をやる。いずれにしてもこれは税でまかなっておるわけでしょう。そういうような国土開発的なことは当然国税でまかなうべき性質のものではないかというのが私の考え方なんですけれども、いまの大臣の御答弁でいきますれば、そういったものは政府も金を出すけれども、これはいわゆる国費でございますから税金でございます。税金も出させるけれども利用者からも出させるのだ、こういうようなことになります。単純にいきますと、私はこれは税金の加重払いであるというふうに考えておるわけなんですが、この議論はこれ以上してもいたし方ありませんので、さらにもう一歩突っ込んでお伺いをいたしますが、しからば、この政府助成の三兆八千八百億というその金額はいかなる根拠でこれをおきめになったのか、それから利用者負担の七兆九千五百億円というその利用者負担は、いかなる原則、理論に基づいてそのようにおきめになったのか、明確な方針を承りたいと思います。
  521. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 これは非常に明確な数字的な理論構成をもって算出をしたものではないと思っております。たとえば今度提案しております実質一五%の運賃の改定、これはなぜ一五%でなければならないかということを数字的に根拠をもって示すということは非常に困難でございます。私は、これは政策的にきまったものと思っております。ただ十年間を通じまして言えますことは、ああいうような形でもって一ぺんに運賃を上げるのではなしに漸進的に、あまり物価にも影響のないような形でもって順次に上げていくことによりまして、先ほども御議論がございましたが、全体といたしまして二・二ないし二・三倍の運賃に十年先にはなる。その間に国民生活経済成長によって成長いたしまして、私の記憶によりますと、その間に雇用者といいますか勤労者の所得というものも大体三・三倍ぐらいになるという数字が出ておるのでございまして、そういうふうにあの計画というものは別に数字でもってかくあるべき数字であるというように、数字そのものにえらい根拠を持ったものではないと思いますが、政策的にそれならば国鉄財政を十カ年間に赤字をなくして再建するのだという前提のもとに考えてみますると、国もこのくらいの補助をしなければなるまい、その補助はどういう形がいいか、一番なだらかにいくかというようなことを考えまして、たとえば政府出資にいたしましてもあるいは債務の利子補給にいたしましても、そういった問題をすべてあらゆる角度から考えまして政策的にこういう方策をとるのが一番適当であるということを考えたのでございます。結論といたしまして、それを総合いたしますと、十カ年間に政府の補助というものはこのくらいになって、それに対応して運賃の改定というものもこの程度にすれば十カ年のうちに国鉄財政黒字基調に転換することが可能である、こういうような考え方をもって計算をしたものだと考えております。
  522. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 政府の御答弁がそういうことでございますれば、いわゆる政府助成の二二・八%の根拠というものは数字をもって示すことはできない、ただ政策的にとおっしゃいますけれども、それじゃ全くのつかみ金と同じじゃないですか。たとえば利用者負担の四六・七%ということを考えてみた場合に、これはどうしても試算の関係から、再建措置案の中におきます十七兆一百億の総経費に対して国鉄のいわゆる企業努力というものは精一ぱい見たものと私も思います。それを引いてみますれば、あと残るものはいわゆる政府助成と利用者負担ということになるわけであります。いまの大臣の御答弁によりますれば、じゃ政府の助成のしかたというのは、まあこのくらい考えたならば、このくらい金を出したならば国鉄が立ち直り得るのではないかということは、政府助成のいわゆる政府負担の問題と利用者負担の問題と、この二つの面を合算して考えていらっしゃるわけでしょう。そしていわゆる財政規模から見れば、十年間で政府が直接出し得る金というものは、財投の融資は別としまして、三兆八千八百億くらいであろうというふうになっております。それを差し引いたものが結局利用者負担である。利用者負担です。これだけどうしても値上げをしてもらわなければならないんだという根拠が何もないじゃないですか、と私は理解せざるを得ないわけですが、どうお考えでありますか。
  523. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 いろいろ数字がございますので、多少誤解をなすっている数字があるようでございます。いま出しております再建案では、十年間の政府の助成は三兆六千億、それに鉄建公団に対して同じように補助をいたしますので、四兆六千億というのが政府から出る金でございます。それから財投とおっしゃいましたが、財投の金はいまのところ九兆三千億といっておりますが、おそらくそれを少し上回るんじゃないかと考えております。そういう数字でございますが、これは数字だけの問題でございますから、そのように御理解をいただきたい。  つかみ金じゃないかというお話でございますが、この一般会計から出しますこういう国鉄のような企業体に対する補助というものにもおのずから限度がございます。足りないだけ出したらいいじゃないか、公共性が非常に強くなったんだから、公共性の強い部分は政府が一般会計で全部負担したらいいじゃないか、こういう御議論があることはよく承知しております。しかし、全体の財政の中で、国鉄のそういう財政補助という形で出し得る一般会計の金というものもおのずから限度があることも御了承いただけると思います。昨年提案いたしました再建案とお比べくださいますと、これは非常に変わってきておるということがおわかりだと思います。先ほど申し上げました三兆六千億という政府国鉄に対する援助、助成金、これは昨年はたしか二兆円だったんじゃないでしょうか。皆さんの御議論の結果、この程度ではなかなか再建はできないということでいろいろ御議論いただきましたので、そういう点を十分考えました上で、今度は政府といたしましても実は思い切って財政負担をあえてしようじゃないかということで、今度出しておるような数字になったわけでございまして、つかみ金とおっしゃれば、数字的に二、二が四とはじくような方程式で出したものでないですから、つかみ金とおっしゃればつかみ金かもしれませんが、財政の許す限度においてわれわれは最大限の努力をいたしまして、国鉄再建が一日でも早くなるようにということで、ああいう助成の方法を講じたというように御了解をいただきたい。
  524. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 私はその話にはなかなか納得しないわけでありますが、けっこうでしょう。一応、じゃその運輸大臣がおっしゃるとおりの議論で先へ話を進めてみましても、じゃ残された、政府のいわゆる可能な限りの財政措置をしたんだから、その残りは利用者が負担をすべきだという議論については、私は非常に国民の皆さんは納得しないと思うのです。なぜかならば、先ほど来議論になっておりますように、いわゆる国鉄運賃法の中の「運賃及び料金は、左の原則によつてこれを定める。」という四項目の中の「原価を償うものであること。」ということの原価、その原価の明瞭な意味が先ほどは明らかにすることはむずかしい、原価というものはどういうものであるかということについて明確にすることははなはだ困難だという御答弁があって、結局総合原価主義でいく以外にない、こういうようなことを言われていたわけですよ。しかし、総合原価主義の立場からいきましても、これはこの前申し上げたとおりいわゆる政府助成、国鉄企業努力とそれに政府助成というものを加えて、残りの金額は利用者負担である、こういうように言いましても、なおその中は二つに分かれて、貨物と旅客でございましょう。そしてその貨物の中身は、社会的な要因によって収入が限定されておるわけです。ですから、結局ばかをみるのは、旅客の運賃を上げてもらいたい、もらいたいといわれている利用者であるというふうに結論は出ざるを得ないのじゃないですか。そういうような行き方では、私は非常に納得させることはできないと、こういうふうに考えるわけなんですが、私の考え方はこれはおかしいでしょうか。
  525. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 今度の国鉄運賃の改正につきましても、国鉄運賃法に掲げてあります四つの運賃決定の原則に反しているものではないと考えております。この四つの原則は、一つ一つ考えますと非常にもっともなことでございますが、総合して考えますと、いかなる場合でも必ずこの四つが同じ方向を向いているとは考えられません。こういう四つの原則をもとにいたしまして、それを総合いたしまして政策的にこれをどういうふうに理解し、これをどういうふうに適用していくかということは、われわれが責任をもって考えなければならぬところであると思っておるのでございます。しかし、その四つの原則のあげております趣旨は、この運賃改定にあたりましては忘れてはならない原則でございまして、この点は、私ども今度の改定にあたりまして、それに背馳しているとは考えていないのでございます。いまお述べになりました総合原価主義あるいは受益者負担主義、そういったものはこの運賃の四原則、それからも当然出てくるものと私たちは判断をしておるのでございます。
  526. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 私はこの運賃設定の四原則を否定しているわけではないのです。「一 公正妥当なものであること。二 原価を償うものであること。三 産業の発達に資すること。四賃金及び物価の安定に寄与すること。」運賃が最終的に決定をする段階においては確かにこの四つの要素はからみ合って考えなければならぬことは、これはだれも異論がないと思う。しかしながら、ここでいま運賃の値上げを論議しているわけでございますから、一応の総合原価主義に基づく方向で、運賃というものはこの程度どうしても上げざるを得ないという原則論がある。それに対して公共性とかあるいは物価の問題であるとかいろいろな問題がからみ合っておりますので、これがだんだん、だんだんと下がってきて、まあこのくらいで適当なんじゃないかと、こういうような仕組みであることは私もよくわかるのです。わかるけれども、あまりにも社会的な要因にわずらわされている運賃設定じゃないかということを私、申し上げておるわけですよ。よろしゅうございますか。特に旅客運賃を問題にいたしますと、旅客の場合は、いわゆる社会開発的な意味におきましてはすでに税金を払っているにもかかわらず、再度運賃という形で払わなければならないという問題がありましょう。それから、先ほど来議論をされておりますように、旅客と貨物のいろいろな違いを見てみますと、旅客は明らかに黒字である、このようにいわれておるわけです。そういうさなかにありまして貨物運賃赤字、こういうものがあるために旅客まで値上げをせざるを得ないという現状になっているわけでしょう。それに対してはそれなりの理論の裏づけがなければいかぬと私は申し上げておるわけなんです。これとこれを差し引いて残ったものはこれである、だからあなた方はこの値上げ分を承知しなさいというようなそういうような政府の議論では、私は大衆を納得させることはできないのじゃないか、こういうふうに申し上げておるわけです。もう一ぺんひとつ御答弁をお願いしたいと思います。
  527. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 ただいまの御質問の要点は、帰するところ、この運賃決定のための総合原価主義、その点に帰着するかと思います。これは国鉄総裁からもるる御説明申し上げましたように、運賃決定の原価、これは理論的にはそれが正当だと思いますが、この原価をどうして見るかということにつきましては、国鉄総裁も言われましたように共通費というのが五〇%もあって、それをどうあんばいするかによって考え方が非常に変わってくるということは事実でございます。いろいろな条件を置きますとこういうことになりますということを、国鉄のほうでは自分たちの内部の一つの資料としてああいったものを出したんだ、こういうことでございます。しかし私は、それだからといいまして、旅客と貨物とを比べまして貨物が非常に黒字であるとか旅客が赤字であるとかいうことを言うんじゃございません。旅客の中で新幹線は、これは確かに収支が非常によろしいということはもういなめない事実でございます。しかし一方、貨物のほうを見ますと、非常に大きな赤字が出ております。財政再建させますためには、この貨物の運賃を何とか考えなければなりません。したがいまして、旅客と貨物というものを分離したり、あるいは旅客につきましても貨物につきましても、何といいますか、これはよく私わかりませんが、線区別というのですか、線区別に分離をして原価をはじいて、そこで運賃を出すというようなことになりますと、これは運賃体系が非常に乱れてくると考えます。そういうわけでございますから、全体を通じまして、貨物と旅客を一緒にして総合原価主義をとっているんだということを再三御説明申し上げているわけでありまして、もしこの再建のために必要な収入を主として貨物から得ようといたしますと、貨物運賃が一挙に高くなるということになるわけでございまして、そういうことは実際上できるはずはございません。私は、こういった国鉄運賃法の、さっき四原則を申しましたが、四原則がありましてもその適用、解釈というようなものにつきましていろいろ政策的な配慮があるものでございますから、いままでの運賃というものはいろいろな要素、沿革的にこれが築き上げられたのが今日の運賃であると思っております。したがいまして、それにはそれだけの理由があると思いますから、そういう沿革の上に組み立てられた運賃でございますから、いま急激にここできわめて理論的に、旅客は旅客、貨物は貨物、線区別というようなことになってまいりますことは、かえって運賃体系を乱して国民生活の上に非常に悪影響を来たすのではないかというようなことから、私どもはあえて旅客、貨物の総合原価主義というものをもとにいたしまして、今日のような提案をしているという事情も御了承いただきたいと思います。
  528. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 なかなか議論がかみ合わないわけでありますが、これは見解の相違ということもありましょうからこれ以上議論はしません。ただ、角度を変えて聞いてみたいと思うのですけれども、端的な例が旅客の運賃なわけです。先ほど申し上げたように、国土開発的なそういう経費も運賃の値上げの中に含まれている、これは事実ですね。それからまた貨物の赤字は、これはいろいろな社会的な諸条件があるのですから値上げをすることができない、こういうことはわかります。しかし、その値上げのできない分を、全部とは申しませんけれどもいわゆる旅客利用者が負担をさせられているということも、これは事実ではないかと思うのです。今度は角度を変えて国鉄総裁にその点をお伺いしますが、この点はいかがですか。
  529. 磯崎叡

    磯崎説明員 先ほどから拝聴いたしておりまして、確かに私ども十カ年計画をつくる際には、いわば哲学がなければいけないというふうに思いました。多少御質問からそれるかもしれませんが、いろいろ問題のある中でやはり私どもといたしましては収入が伸びないということは、これは一つの努力の裏づけにもなると思います。しかし、何ともできないのは、やはり資本費のうちの利子でございました。これは過去債務の利子と同時に、これから相当、いま先生のおっしゃったように、国土開発その他の面で積極さが要求されるときに、やはり設備投資をしなければいけない。その利子、それをいままでのように六分五厘、五分五厘ではとてもやっていけない。極端な例を申しまして三分ということを、実はかってなことでございますけれども、私どもは三分くらいならば、逆に今度は何とかやっていかなければいけないんじゃというような角度から、政府の出資を含めて、将来については三分くらいの利子でもってやれるような一つの姿をつくっていきたい。それから過去については、いわば過去債務についてはできるだけたな上げと申しますか、それに近い形にしてほしいという、今度の計画につきましては、極力利子の負担の軽減ということに実は重点を置いて、いろいろ政府にお願いしてまいりました。と同時に、もちろん国鉄といたしましての努力をしなければいけない。これは人減らしの問題もございますし、また収入増加という積極的な努力も必要でございます。そういうことでいろいろ考えて、結局直接の営業収支に対する補てん、いわゆる赤字補てん的なものではやはり全体としての、何と申しますか士気にも関する、赤字補てんよりも、もっと積極的に、利子負担という非常に国鉄としていかんともできないものは政府でめんどうを見てもらうけれども、経費については極力努力してやっていこうというポイントを一つ置いたわけでございます。したがいまして、その中で政府がどれほど利子負担を軽くしてくださるか。これはいろいろなケースがございました。それと関連して、私どもといたしましては収入の増加、いわゆる増収の努力と、それからいまおっしゃった運賃の値上げの問題、そして私どもといたしましては、必ずしも初めから旅客、貨物同列ということでなしに、初年度約二千億、全体として約八兆くらいの金をどうしても運賃、部外からお願いしなければいけない。内の努力はせいぜい五千億が限度であるということから考えましたものでもって、ことに昨年一年おくれましたことが一兆数千億の影響になっております。したがって、それも含めました上で、全体としての運賃でいただく所要額をきめまして、それをはたして何年の間隔で上げることができるかなどということも考慮の上にやったわけでございまして、最後に客貨問題というような段階になってきたのが、順序のやり方でありました。
  530. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 これはあとまたいろいろ議論があるわけですが、さすれば、議論が並行のまま進んでおりますので、もう一歩今度は突っ込んで御質問をするわけでありますけれども、利用者負担、この問題ですね。これはいわゆる貨物の利用者とそれから旅客の利用者、こういうふうに分けられる。また分けられないという議論も、総合原価主義の立場からいけば言えますけれども、しかし、大きくこれを大別することはできるわけです。厳密には分けられないにしても、大別することはできる。理論的にも分けられる。現に私は貨物を利用しておりません。旅客部門のみの利用者でございます。  そこでお伺いをするわけでございますけれども、このような利用者負担、いわゆる受益者負担という原理は、やはりその本質を明確にしなければならないと私は思うわけであります。いわゆる旅客部門の利用者は、何のために国鉄を利用するのかという目的でございます。それは通勤、通学のためもありましょう。あるいは会社の出張、仕事というような営利活動のためもございましょう。あるいはレジャーのためあるいは親類の人たちと旧交をあたためる、そういうような問題がありましょうけれども、少なくとも旅客部門の利用者は非常に多目的であって、いわゆる社会活動全般にこれが及ぶわけでございます。社会活動を満足させる手段として国鉄を利用しているのでありまして、そのサービスを受けた代価を支払っても、その代価によっていわゆる利益を再生産しない場合が多い。これがいわゆる旅客利用者の本質であります。逆に貨物輸送という問題を考えてみますと、これはある特定の品物を、たとえば東京なら東京から九州に販売する、完全な利益追求のためにこれは貨物を利用しているわけでありましょう。したがって、その輸送原価というのは商売をする品物の中に含まれておる、しかもその運賃は価格を再生産する力がある、こういうのが私は純理論的に考えて妥当な考え方じゃないかと思うのですね。そうしますと、いま貨物部門の赤字も利用者が負担をしなければならないということは、受益者負担の立場からいけばきわめてナンセンスな話じゃないか。純理論的な話をすればそういう話になるのじゃないかと私は思うのですけれども、ここら辺の矛盾はどのように政府当局としてはお考えになるのでございますか。
  531. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 おっしゃることもよくわかると思います。ただ、私たちは今度の再建案では、さっき申し上げましたように、第一に総合原価主義ということで旅客部門、貨物部門をあわせまして、きわめてなだらかな運賃の改定をしていかなければならぬということを考えております。  旅客と貨物を分けてという御意見がございましたが、国鉄の投資というものがいままで旅客部門に非常に集中されておったことは御承知のとおりでございまして、それにもかかわらず今日旅客部門における国民の要望といいますか、輸送需要というものが非常に大きくなっておることも御承知のとおりでございます。  一例をとってみましても、通勤、通学の、大都市を中心にしての国鉄の設備の充実ということにつきましては、これはとどまるところを知らないくらいにふえてまいりました。これに対しまして、これを解決するために旅客部門における設備投資というものも、これは新幹線だけじゃなしに、在来線に対しましても非常に大きな額が要るわけでございまして、それをやはりどこかでまかなっていかなければならないということでございます。もちろんそれに対しましては、先ほど申しましたように政府も投資いたします。いたしますが、そういった旅客部門における今後の需要というものを見込みますと、やはりそういう運賃体系の中においてまかなわなければならない部分もあるということは、これは事実であろうと思います。  貨物につきましては、これはもう言うをまたないところでございまして、さっきから申し上げておりますように、今度の財政再建計画におきましても、特にいままで立ちおくれておりました貨物部門の投資をふやしまして、何とかして早く貨物部門における赤字を解消するような設備をし、企業努力をしたいということで、貨物部門につきましては、それに必要な経費といたしまして国も助成をいたしますが、ある程度受益者がそれを負担していただくという措置をとる以外にはないということでございます。  それから御質問にはなかったかもしれませんが、一番初めにお尋ねになりました今度の実質一五%、形式的には二三%程度の引き上げというのは、これは必ずしも二三%でなければいけないのだというようなことではございませんが、国鉄財政再建という点から考えましても、また、一気に運賃の引き上げをいたしますと国民方々に対して与える影響も非常に大きいと思いますから、そういう点を避ける意味におきましても、とにかく十年という長期間の展望をいたしますと、このくらいの程度であれば、これは先ほど国鉄総裁も申しましたように、非常に急激な変化はないのであるから、消費者物価とかあるいは家計に対する影響もそんなに大きな影響ではないだろうというようなことを考えまして、その程度において妥当だと思われるような運賃の引き上げ率を設定したということでございます。  これは私から申し上げるまでもありませんが、国鉄事業経営いたしまして、人件費、物件費とも毎年上がっております。どこの企業でも、そういったのは企業の内部で消化することが当然であろうと思います。いまそのパーセンテージを別に申し上げるつもりはございませんが、人件費と物件費の毎年の値上がりというのは相当大きいものでございますから、そういったものも考え合わせますと、いまの国鉄運賃の改定率というものがそんなに皆さんからおしかりを受けるような程度のものではなくて、むしろこれは、いろいろな点を考え合わせるときわめて妥当なものであるというふうに御了解を願えるのじゃないかと思います。これだけ言っておきます。
  532. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 いままでの御答弁の中で、その辺の政府の御答弁はようわかっております。私はそんなことを申し上げているのじゃないのです。やはり本質論からいきまして、貨物と旅客の間におきましては、いわゆる直接的な因果関係はないということをお認めになるかどうかということをお伺いしているわけです。なぜかならば、間接的な負担ということになりますと、たとえば鉄道ができる、新しい駅ができる、そこら辺の土地が非常に値打ちが出てくる。そういうものについては、政府は、いわゆる間接的な利益というものについては非常に複雑な要因があるから、これは国鉄それ自体に何らかの形で還元するということはできないと、政府は間接的な要因というものを断ち切っていらっしゃるわけですよ。そういう論法でいけば、旅客部門の利用者というものは、総合原価主義という間接的な立場からいけば関係があるかもしれませんけれども、直接的な利益享受、いわゆる受益者という立場から考えてみれば私は何ら負担をすべき理由はないじゃないか、直接的な関係はないじゃないかということを申し上げているわけなんです。これはないんじゃないですか。
  533. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 これは理論的にはいろいろ議論の分かれるところと思いますが、私は両者の関係はあると考えております。
  534. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それでは、議論が平行線でありますから、時間も終わりに近づきましたから総合原価主義の立場についてお伺いしておきますけれども、先ほどからおっしゃっている総合原価主義というのは、私が先ほど御説明したように、いわゆる政府助成あるいは国鉄企業努力、そういうものを差っ引いたのが利用者負担であることは、これは間違いがないのですよ。その中における総合原価主義という立場を踏まえて考えてみても、いわゆる料金設定の段取り、作業行程をずっと見てみますと、やはり貨物による収入をある程度予測しまして、そこからさらに金額を差っ引いて、そうしていわゆる旅客部門の運賃を設定するというのが、いままでの国鉄——理事がいらして御説明した段階におきましては、そういうことをおっしゃっておるのです。ところが貨物には、さっき言ったそういう上げられない社会的な要因があるわけでしょう。じゃ一体、総合原価主義という中身は何なのかということになってくる。その総合原価主義の中身というものは、明確に定義づけはできないじゃないですか。まあ経済辞典なんか見ましても、国鉄運賃が総合原価主義によって——まあ主義でありますからことばのニュアンスは違うでしょう。違いますけれども、これは中身は違いますよ。じゃ一体、その国鉄のいう総合原価主義というものは、どういう要素によってそれが成り立っているのかということをもう一歩明快にする必要があるのじゃないですか。これは総裁、どうお考えになりますか。
  535. 磯崎叡

    磯崎説明員 実は、その点は昭和三十年ころの国鉄経営調査会で非常に論議された問題であります。まあ客貨問題を別にいたしまして、総合原価についていろいろ議論がありましたが、これは一般の経費を含むことは当然である、さらにそのほかに利子も当然である、償却費も当然である。この辺まではよろしいのでございますけれども、それから先に、たとえば国鉄についても民間でいえば利益的なもの、すなわちいずれ自己資金に回るような当然報酬のようなものを見るかどうかという問題、あるいはさらに退職積み立て金を見るかどうか、あるいはさらに減債基金、借金の返還の基金まで見るかどうか、どこが一体総合原価の範囲であるか、ずいぶんこれは論議いたされましく書いたものも残っておりますけれども、結局その時点、昭和三十年時点ではまだわりあい鉄道の独占性が強かった時分でございましたので、当時のいわゆる総合原価の中には、一般の経費とそれから利子、償却の資本費と、さらに若干の利益ということばはちょっと語弊がございますけれども、フェアリターンと申しますか、それをそっくりそのまま工事に回す金、民間会社ならば利益でございますけれども国鉄は利益として計上しないですぐ工事費に回しますので、ある程度のフェアリターン、それは主として保安対策とか災害防止とか、いわば資産の増加というよりも、むしろ安全の問題とか、そういう問題に使うべき分ぐらいは原価の中に入れていいだろうという意味で、昭和三十二年の運賃改正のときには、総合原価というものはこれとこれとこれであるということを明確にして、実は国会に御提案したこともございました。しかし、その後もう償却費どころか利子をカバーするのがやっとでもってとても……、だんだんいま先生のおっしゃったように、非常に年とともに総合原価の内容が縮小してきたことは事実でございます。それにさらにおっしゃったように全体の経費から政府補助を引いてしまうということになりますと、国鉄のいわゆる総合原価というものは、理論的には非常に浮動性の強いものであるということになると思います。しかし、いずれにいたしましても現時点におきましては、経費並びに利子並びに償却費ということを一応の総合原価と見るというたてまえでなっておるわけでございます。
  536. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 では、私最後の質問にいたしますが、いま総裁からも御説明ありましたように、この総合原価主義という内容は非常に不確定要素が多いのですよ。結局、それは、そのような運賃設定をせざるを得ない要因というのは、先ほど来御指摘しているように国土開発というようなこと、あるいはまた、貨物が他の競争関係とのいろんな条件において制約されているという社会的な要因、要するにそういう社会的な要因で運賃というものは考えざるを得ない、そういう要素をより多く含めて考えざるを得ないというところに問題があるわけなんです。そういうような価格決定をする前に、政策的に、政治的にやることがあるのじゃないかということを申し上げているわけなんです。先ほど来強調しておりますごく限られた国土開発というものは国税で負担をすべき分も当然あるんだ、こう考えなければいかぬというのです。それからまたいろいろな社会的な、社会が激動しておりますから、それに伴って起こる国鉄経営的リスクというものも、これはやはりある程度めんどうを見ていかないと、それは十分に国鉄財政を立て直すなんということはできない。先ほどのトラックの問題一つにいたしましても、中距離、長距離を国鉄にやらせるのだというならば、長距離のトラック輸送についてはある程度の制約をしなければならぬ。そういうような問題もやっていけば、結局国鉄企業努力の中で企業経営を安定させる大きな要素がたくさん出てくるわけです。ところがそういうような政策的な要素を何もしないで、そして金を出せばいいんだというようなやり方では、これは原則論が不明確だということを私は申し上げているわけでございます。これはいろいろ議論がまたあるところでございましょうから、これからの問題はその次にいたしまして、国鉄企業努力の問題にいたしましても、たとえばこの次にやろうと思っておりますのは、いわゆる関連事業経営のあり方、これがほんとう国鉄において経営をするというような方針でいきますれば、なお収益をあげ得るような要素はたくさん残っている。そして関連会社を、どんどん子会社、孫会社をつくって、もうけるのはそっちの人というようなケースが多過ぎる。その問題についてもこの次の委員会で具体的な事実をここに披瀝をいたしまして申し上げますので、私の意見意見として十分ひとつお考えをいただきたい。私は、国鉄を単なる運賃値上げがだめと言うているのではなくて、上げるには上げるだけの根拠を明確にすべきである、そして政治でできるものについては大いにカバーすべきである、こういうことを一応意見として申し上げておきたいと思います。  一応終わりといたします。中断いたしまして、次の質問は次回にお願いをしたいと思います。      ————◇—————
  537. 井原岸高

    井原委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案について、四月二十四日午前十時から参考人の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  538. 井原岸高

    井原委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  539. 井原岸高

    井原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次回は来たる二十四日午前十時から委員会を開くこととし、これにて散会いたします。    午後八時三十六分散会