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磯崎説明員 貨物の集約につきましては、実は各地でもっていろいろ問題を起こしまして、たいへん申しわけなく存じておりますが、三千数百ありましたときには、二万キロでございますから駅と駅の間が約五キロ弱でございます。荷馬車が一日のうちに行動する距離ということで昔貨物駅が配置されたというふうに聞いておりますが、最近のトラックになりますとやはり行動距離が相当延びますので、私どもといたしましてはああやって四キロや五キロに一カ所ずつとまっていたのでは全然貨物列車の役をなさないということで、これは駅を少なくする、そのかわり集約駅においてはいいサービスをする、そして全体として正確に、しかも早く着くというサービス、貨物
輸送全体の能率向上をはかって、そしてお客さんにそれをリターンするということが一番いいのではないかということで考えておったわけでございます。
〔
委員長退席、細田
委員長代理着席〕
大体一応いま
一つのめどに到達したわけでございますが、今後、先ほどおっしゃったように自動車につきましても、いままでのように簡単に自動車でもって何キロ走れるという時代からまた少し変わってきて、道路交通が非常にふくそうしてきたというふうな問題もございますので、今後の集約問題につきましては十分そういうことを考えた上でやらなければいけないというように思っておる次第でございます。
次に貨物の割引でございますが、これは大きく分けますと、私のほうではいわゆる政策的に割り引く割引の問題と、それから営業的にコマーシャルベースで割り引く問題と二つの方法がございます。政策的に割り引くというのは
国鉄の
収入にとっては何らの見返りはございません。ただ割引の引きっぱなしでございます。これは金額から申しますと約四十四億くらいの割引をしております。これは後ほどお答え申し上げます等級をつくる際に、あらかじめその等級で下げておくわけでございます。その典型は米でございますが、本来ならば二級のものを四級にしてしまうということで、等級で下げておきます。それでもって四級の運賃しか取らないというやり方でございまして、これを私どもは政策等級と申しております。これはトン数から申しますと二千八百万トンくらいございます。これは六十数品目ございますが、平均の割引率は一割くらい、主として
生鮮食料品でございます。私どもといたしましてはこういう政策的な割引は農林省その他の、いわゆる全体の流通経費の中で見ていただきたいということをお願いいたしておりますが、まだその点は実現いたしておりませんで、今回も政策等級はそのまま残してございます。
それから、これはごく特殊なものでございますが、昔からやっておったのは、たとえば荷づくり用品を返すという場合の運賃の割引でございます。たとえば最近よくございますパレットというふうなおさら、木でつくったさらでございますが、それを返すときに運賃を割り引く。これはもう一ぺんさらにそれが荷物になって帰ってくるという
意味で、古くから、パレットのできる前は荷づくり用品としていろいろなものを引いておったというようないきさつでございます。これが六十億ばかりございます。
それからそういう政策的なと申しますか割引と同時にコマーシャルベースの営業の割引がございます。これは大体申し上げますと、私のほうの
輸送力と申しますのは時期的に非常にアンバランスがございます。たとえば秋冬繁忙期、秋から冬にかけては非常に
輸送が繁忙である。しかし夏とか冬になると非常に
輸送が閑散になってしまう。それから日本全体の物資の流れから申しますと、やはり原材料は東京、大阪へ集まってきて、そして製品が東京、大阪から地方へ行く、こういう物の流れがあることは御
承知のとおりでございます。したがって、これは使う貨車が違ってまいります。したがってどうしても貨車が半分からで帰るということがあるわけでございます。そのからを利用する、いわゆる
輸送余力を活用するというような営業割引がございます。これは、それを割引をしなければその荷物が来ないという
意味で、六十六億ほどの割引をいたしまして、これによって三百二十三億の増収をあげております。運んでおります貨物は千九百万トンくらいございます。それと同時に、その
一つの変形と申しますか、やはり同じような形でございますが、定形
輸送と申しまして、旅客で申しますれば団体割引のようなものでございますが、一度にたくさんの物をきちっと出荷してもらうということになりますれば、空車の距離も短くなるしあるいはヤードも使わないというふうなことで、コストが非常に下がってくるという
意味で、それらの貨物につきましては、これはわずか十億ほどでございますが、割引をいたしまして、これで七十七億ほどの
収入をあげておるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては貨物全体として非常にむずかしい営業をやっておりますが、その中でやはり少しでも貨物をふやすという
努力をしなければならない、腕をこまねいていたのでは荷物が来ないという
意味で、余剰
輸送力を活用する、あるいはコストの安い
輸送をするというようなことで、
収入の増加とコストの低下をはかるということを考えておるわけでございます。
それから最後の御質問の等級でございますが、これも非常に古い制度でございまして、いきさつを申しますれば、陸上交通機関として鉄道しかなかった時代の
一つのなごりでございます。鉄道しかございません時代には、もう鉄道にたよる以外ございませんので、貨物運賃というものは、ちょうど税金と同じように、高い値段の物からは高く取る、安い値段の物から安く取るといういわゆる従価主義の運賃制度をとっております。これはもうすでにトラック等でとっくにやめてしまった制度でございますが、従価運賃主義はまだ
国鉄に残っております。それを具体的にあらわしたものが一級から四級までの等級でございます。四級と一級の運賃を比較いたしますと、いま、四級一に対しまして一級は一・五でございます。五割増しでございます。したがって等級の高い貨物、すなわちその物の値段の高い貨物は高い運賃を払ってください、安い貨物は安い運賃でけっこうです、こういう考え方でありますので、同じ一トンなら一トンの物を送りますのに一級と四級では五割も値段が違っているわけでございます。したがって、これが競争時代になるとどうかと申しますと、ほかの交通機関は原則としてそういう従価主義的な考え方でなしに、もっと物理的に重さだとか形だとかあるいはよごれとか、そういうような物理的な形でもって運賃を取っているわけでございます。したがってその物が高かろうが安かろうが同じ運賃である。トン数が同じで形が同じならば運賃は同じだ。ところが鉄道の貨物は値段が高ければ運賃が高いということでございますので、どうしても高い値段の物は鉄道から逃げてしまうということになります。すでに従価等級の運賃はもう外国でどこもやっておるところはございません。すっかりやめてしまいましたが、これを一挙に廃止することはなかなか困難でございますので、徐々にこれを直しているわけでございます。したがって、今回も四等級を一等級減らしまして三等級にしたいということでございます。減らすためにはやはり上を下げて下を上げるという操作をいたしますので、これに一定の運賃の値上げをいたしますれば、どうしても一級のほうは上がり方が少なくて下のほうが大きいということになります。しかし結果的に見ますればまだまだ五割増しか四割増しというような形で残っているわけでございまして、その
意味で、今回のような高等級貨物についての
値上がり率を低くいたしましても、まだなお一級と三級との間には相当大きな格差があるということになります。したがって、こういう古い百年来の貨物運賃制度、全く独占時代の貨物運賃制度をそのまま残しておいては——実はさっきの貨物
輸送のハードの面を幾らやりましてもソフトウェアの面で同じことをやっていたのではいけないということで、いずれこれは徐々に廃止していく方向にいかなければいけないというふうに考えるわけでございます。先ほど申しました政策等級はこれのあらわれでございまして、米は本来ならば、値段で申しますならば二級の貨物でございますが、これを四級に下げて、そして二級より数割低い運賃を取っておるというのが現状でございます。したがいまして、私どもといたしましては、等級制度は、急激にはできませんが、徐々に価格を圧縮して、
一つのなるべく物理的な価格というふうに、トラック運賃と同じような
感じの価格に直していきたいというふうに考えておるわけでございます。