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1973-04-03 第71回国会 衆議院 運輸委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年四月三日(火曜日)     午前十一時一分開議  出席委員    委員長 井原 岸高君    理事 江藤 隆美君 理事 加藤 六月君    理事 佐藤 孝行君 理事 佐藤 守良君    理事 細田 吉藏君 理事 兒玉 末男君    理事 斉藤 正男君 理事 梅田  勝君       阿部 喜元君   小此木彦三郎君       大竹 太郎君    唐沢俊二郎君       國場 幸昌君    關谷 勝利君       徳安 實藏君    西村 英一君       宮崎 茂一君    綿貫 民輔君       井岡 大治君    太田 一夫君       金瀬 俊雄君    久保 三郎君       神門至馬夫君    紺野与次郎君       三浦  久君    松本 忠助君       河村  勝君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 新谷寅三郎君  出席政府委員         運輸政務次官  佐藤 文生君         運輸省海運局長 佐原  亨君         運輸省港湾局長 岡部  保君         海上保安庁長官 野村 一彦君         建設省河川局次         長       川田 陽吉君  委員外出席者         環境庁自然保護         局計画課長   宇野  佐君         水産庁漁港部長 矢野 照重君         運輸省港湾局管         理課長     鈴木  登君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正己君     ――――――――――――― 委員の異動 三月二十九日  辞任         補欠選任   渡海元三郎君     宮崎 茂一君     ――――――――――――― 三月三十日  国鉄運賃値上げ反対等に関する請願岩垂寿喜  男君紹介)(第一八四九号)  同(紺野与次郎紹介)(第一八五〇号)  同(佐野進紹介)(第一九四二号)  同(辻原弘市君紹介)(第一九四三号)  同(平田藤吉紹介)(第一九四四号)  国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進  特別措置法の一部を改正する法律案反対等に関  する請願新井彬之君紹介)(第一八八一号)  同(板川正吾紹介)(第一九七一号)  同(稲葉誠一紹介)(第一九七二号)  同(上原康助紹介)(第一九七三号)  同(小川省吾紹介)(第一九七四号)  同(勝間田清一紹介)(第一九七五号)  同(金瀬俊雄紹介)(第一九七六号)  バス事業の振興に関する請願井出一太郎君紹  介)(第一九三九号)  国鉄小海線電化促進に関する請願井出一太  郎君紹介)(第一九四〇号)  国鉄運賃値上げ反対に関する請願谷口善太  郎君紹介)(第一九四一号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月三十日  国鉄運賃値上げ反対に関する陳情書  (第一七六号)  同外二件  (第二一〇号)  同外一件  (第二四六号)  東九州新幹線鉄道等建設促進に関する陳情書  (第一七七号)  国鉄輸送正常化に関する陳情書外二件  (第二四五号)  国鉄小浜線近代化に関する陳情書  (第二四七号)  北陸新幹線鉄道建設促進に関する陳情書  (第二四八号)  国鉄線合理化計画に関する陳情書  (第二四九号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  港湾法等の一部を改正する法律案内閣提出第  七三号)      ――――◇―――――
  2. 井原岸高

    井原委員長 これより会議を開きます。  港湾法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。斉藤正男君。
  3. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 港湾法の審議が続いているわけでありますけれども、いろいろ論議がかわされました。私は逐条お尋ねしたいことがたくさんあるわけでありますけれども、立法の段階において論議をされ、特に原案めいたものができて、次官会議等でこれの調整が行なわれました。その際、いろいろな議論が出た中で、特に港湾の本来的な使命、そしてまた従来から港湾管理者によって管理されてきたいわゆる自治権の問題あるいは国民生活優先国民福祉向上といったような問題について、どうも大幅に後退したではないかと思われてしかたがないわけであります。  重複を避けたいと思いますけれども、概括的な問題として、たとえば第一条の目的で、国民経済の健全な発展に寄与し、及び国民福祉向上に資するというようなことばが削除されたとか、あるいは第二条において廃棄物埋め立て施設を「廃棄物埋立護岸」、あるいは展望台、遊歩道及び便所といったものが削除されたとかいったようなこと、逐条ずっと見ていきますと、冒頭申し上げましたような国民生活優先あるいは国民福祉向上といったものが全面的に後退をして、やはり経済成長が前面に出てきて案がまとめられたというようにしか思えないのでありますけれども、いままでの論議をまとめた中で、みじんもそういう考えはない、原案原案であって、出てきたものが万全だというようなお考えかもしれませんけれども、審議するわれわれの立場からするならば、二歩も三歩も後退したではないか。視点国民生活向上なり国民福祉向上という点にしぼった場合には、はるかな後退というようにしか思えないのですけれども次官からその辺のことを冒頭お答えをいただければと思います。
  4. 佐藤文生

    佐藤(文)政府委員 いままでの考え方が、御承知のとおりに護岸建設、こういうようなことで港湾建設ということの重点一本であったのを、グリーンランドの建設とかあるいは海水の汚染に対して積極的な政策をとるとか、そういう面に出ていったということは、住民福祉向上に非常に関係のある部面に積極的に出てきた、こういう内容になっておりますので、先生の言われる御趣旨が十分に盛られておるのだ、こういうぐあいに考えておる次第でございます。
  5. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 なるほど生活環境整備あるいは公害の防除といったようなものは時代の要求でありますし、今度の法案の中に盛られていることは事実であります。この点は私どもも、十分だとはいいませんけれども、評価しないわけではありません。ありませんが、全体的にどうも、あってしかるべきことば、文字が法案から消えていった。そして改正案に集大成されたというようにしか思えない点があります。これはまた同僚議員から積み残しの質問もあります。これから残っている質問者お尋ねをすると思いますので、政府として基本的な考え方がいま述べられましたけれども、後刻の質問者に譲っていきたいと思います。  そこで私はきょう、一点にしぼってお尋ねをいたしたいと思うわけでありますけれども、三十八条で臨港地区指定をし、三十九条において分区の指定規定追加をされております。現行法によりますれば、港湾管理者臨港地区内において指定できる分区は、一つ商港区、二つ目特殊物資港区、三つ目工業港区、四つ目鉄道連絡港区、五つ目漁港区、六つ目バンカー港区、七つ目保安港区というようになっております。改正案によりますと八、九が追加をされて、マリーナ港区そして修景厚生港区の二つ追加をされております。  私がきょう集中的にお尋ねしたいのは、マリーナ港区であります。港湾法に初めてマリーナ港区という規定がなされたわけでありますが、どうして今度の改正案マリーナ港区が新たに出てきたのか。その必要性あるいは必然性といったような社会的な背景があったに違いないと思うわけであります。したがいまして、この新たな項にマリーナ港区というものが設定されたその必然性必要性といったようなものを港湾局長からお答えを願いたい。
  6. 岡部保

    岡部政府委員 マリーナ港区をここに新たに設けました理由について御説明申し上げます。  最近の一つの社会的な情勢と申しますか、いわゆる一般国民の欲求というものがいわゆるレクリエーションと申しますかレジャーと申しますか、そういうようなものに対して余暇活用ということで非常にそういう問題を重要視してきているということは御案内のとおりでございます。そこで、このような余暇活用という意味から、私ども港湾施設あるいは港湾管理という面から見ましても、いわゆる海洋性レクリエーションというものに対して十分認識を新たにするべきである、しかも、港湾をそのために十分活用すべきであるということを考えておるわけでございます。  そこで、いわゆるレクリエーションに対して、港湾がどういう関係を持っているかということをごくかいつまんで申しますならば、いままでで申します商港区の中に旅客船の埠頭、港湾施設というのがございます。こういう観光旅客用港湾施設というものが明らかにレクリエーション施設としての一つ港湾施設の意義であるかと存じます。さらに最近の動きで、みずから船に乗って海洋性レクリエーションをしようということから、モーターボートでありますとかヨットでありますとか、そういうものを利用して遊ぼうという考え方レクリエーションにそういうウエートが非常に大きくなってきている。そのウエートが大きくなってきたことによって、どうしてもヨットモーターボート等のそういう船に対する港湾施設というものをどういうふうに考えたらいいかという問題が一つとして出てきたわけでございます。  そこで、これはずいぶん御指摘をいただいて御叱責もいただいたわけでございますが、たとえば一般海岸海水浴場においてモーターボートが暴走して事故を起こしたということもございます。こういうようなことから、あるいは逆に港湾施設の中でヨット等が非常に本船の航路をじゃまをするというような航行安全上の問題もございます。そのようないろいろな問題から、どうしてもこれだけ盛んになってきたヨットモーターボート等船舶の利便に供するという施設港湾施設の中で分離する必要があるのではなかろうかという考え方が、このマリーナ港区というものを新たに設けるという考え方に立った理由でございます。したがいまして、このような特別の港区を設けまして、これのマリーナとしての機能等港湾管理者として十分専門的に注意をしていくということがこれからの海洋性レクリエーションプラスになりますし、また港湾管理の上にもプラスになるというふうに判断したからでございます。
  7. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 マリーナ港区を指定するということの必然性あるいは必要性といったようなものの答弁があったわけでございますけれども、最近海洋レクリエーション大型化あるいは大衆化というようなものに伴って、いわゆる港湾施設の中へマリーナ港区というものを設定する時期がきた、これはわかるわけであります。一方政府大型海洋レジャーセンターとしてのマリーナ的なもの、こういうものの計画を立てられて、すでに実施段階に移っているというように聞いているわけでありますけれども現状、この海洋大型レクリエーション基地としての建設、これはいわゆる一般港湾とは別に、主として大型海洋レクリエーション基地としての構想もあるやに聞いているわけであります。その辺は現状、どうなっているのでありましょうか。
  8. 岡部保

    岡部政府委員 ただいま先生のおっしゃいましたいわゆるマリーナ基地現状がどうであるかという点についての御説明をさせていただきます。  いわゆるマリーナと申しましても、それこそピンからキリまでございまして、これは昨年の八月調査をいたしましたデータでございますが、わが国で五百隻以上のモーターボートセールボート収容できるマリーナというものは一港しかございません。これは例の湘南港でございます。江の島でございます。それから三百隻以上五百隻未満収容能力のございます港が三港でございます。それから三百隻未満で百隻以上の収容の港が二十二港。以外は収容能力百隻以下でございます。  それで、いわゆるマリーナと称しておりますのを全国的に見ますと、大体百八十港あるわけでございます。したがって、百八十のうち百隻以上収容できるというのがわずかに二十六カ所であるというような非常に設備としてはまだまだとうていこのようなものでは足りないという問題があるわけでございます。  それからもう一つ、御質問よりもさらにいささか説明が出てしまうかと思いますが、これをいわゆる地方公共団体公共的なマリーナ民間企業実施しておる民間的なマリーナというふうに考えて分類をいたしてみますと、こういう非常に大規模マリーナで、先ほど申しましたように、一番大きなものは江の島湘南港でございます。これは確かに公共的な性格を持っておりますが、百隻以上の収容能力のある公共的なマリーナというものはわずか五カ所しかございません。そういうような調子で、いわゆる民間企業のつくっておるマリーナというものが非常に多いというような点がございます。  そこで、今後の問題といたしまして、私どもこれから整備をいたす考え方からいたしますれば、やはり民間企業でおつくりになるのもけっこうでございますが、公共性格の強いマリーナをそこに整備をするべきではなかろうかというような考えから、昭和四十七年度予算から公共的なマリーナ港湾整備事業として公共事業整備するということに踏み切りまして、これは財政当局の同意も得まして、こういう考え方に立ち始めた段階でございます。まだまだほんのわずかしか手をつけておりませんが、今後といたしましては、こういう公共的な性格マリーナを大いに整備していくという考え方に立っておるわけでございます。
  9. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 質問が通告してございますので、お答えが早くて質問のほうが追いついていけないような状態なんですけれども、私がお尋ねしたかったのは、その最後の段階お尋ねしたのですよ。昨年から予算もつけて、大型レジャーセンターとしての公共マリーナ建設に入っている。それは実態はどこがどうなっているのかということを聞いて、それからお答えをいただいた方面に入っていこうと思ったのですけれどもお答えのほうが早いのでぐあいが悪いのです。最終的にお答えになった部門をもう少し詳細にお答えください。
  10. 岡部保

    岡部政府委員 いわゆる港湾整備事業といたしまして四十七年度実施をいたしました港の数は四港でございます。静岡県の榛原港、福井県の和田港それから滋賀県の大津港、鹿児島県の上屋久元浦港の四港でございます。四十八年度はさらにあと数港を加えようということで現在計画中でございますが、ただいまの考え方で一応はっきり申せますのは福岡県の博多港と三重県の津松阪港のマリーナ整備には必らず着手しようという考え方でございまして、その他の地方港湾については現在検討中でございます。したがいまして、四十八年度では少なくも先ほどの四十七年度着工いたしました四港とさらに二港は追加する、さらにもう数港追加いたしたいという考え方でございます。  そこで、いま申しました六港につきまして、大体収容能力をどのくらいのマリーナ考えておるかという点について申しますと、榛原港はさしあたり五百隻程度収容能力に持っていきたいという考え方でございます。和田港につきましては七百隻、大津港につきましては九百隻、上屋久元浦港につきましては五百隻、博多港につきましては五百隻、津松阪港におきましても五百隻、この程度マリーナ整備いたしまして、さらにその様子によりましてはこのうちの数港につきましてはさらにもう少し拡張をしてもいいのではないかというような考え方でございます。
  11. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 現状並びに今後のいわゆる公共施設としてのマリーナ建設展望はわかったわけでありますけれども、私はもう一度原点に立ち返ってマリーナとは何だ、一口にマリーナマリーナと言いますけれどもお話にもありましたように、三隻か五隻係留するような、簡単にいえば、河川なり湖水なり、あるいは海岸へ棒くいを打って簡単な渡り廊下みたいな桟橋を一本出して、三隻でも五隻でもつないでおいてもこれでもマリーナ、いまお話のように五百隻、千隻というような施設をしてもこれまたマリーナ、しかも、それは個人経営のものもあれば、あるいは公共団体設置したものもある。全く千差万別であって、その規模は一がいにいえません。しかし、マリーナというのは一体何なのか、マリーナとして最小限備えなければならない機能というのは何なのかということから考えていかないと、ちょうどプレジャーボートのいろいろな問題が派生をしてほうっておけないということからマリーナ港区の指定になり、あるいは船舶安全法改正になり、船舶職員法の一部改正になっていくというような展望の中で、マリーナというのは一体何だ、俗称マリーナといっているけれどもあんなものマリーナじゃありません、船着き場です、あるいは簡単な個人の船の係留所ですというようなことなのか、あるいは一隻でも係留すればマリーナなのか、その辺が明らかにされていかないと、港湾行政としてはお考えになっているような点であるいはいいかもしれませんけれども、いわゆる海上交通安全というような立場視点を置きますと、これは必ずしもそうではない、ちょうどプレジャーボートの急速な増加に伴ういろいろな事故の発生と同じようにこれを規制するのでなくして、むしろ拍車をかけていく一因になりはしないかということも考えているわけでありますけれども、そういう考え方からいたしましたときに、マリーナというのは一体何だ、後ほど私はマリーナとはしかじかかようなものではありませんかというようなことを言いたいのでありますけれども、一応港湾局としては、マリーナというのはどういうように規定をいたしますか、伺いたい。
  12. 岡部保

    岡部政府委員 私ども厳密にマリーナという定義をこういうふうにするという統一見解をつくったわけではございませんけれども、私ども港湾局として現在考えております考え方を取りまとめて申しますと、マリーナとは、いわゆるプレジャーボートを安全に収容するとともに、プレジャーボート媒体として行なういわゆる海洋性レクリエーション活動のために必要といたします保管でございますとか修理あるいは給油あるいは人間のほうの休息等各種サービス施設を有して海洋レクレエーション基地となる港湾マリーナというと、私ども考えておるわけでございます。  そこでこういうような施設、もちろんいま申し上げましたのは例示したわけでございますからまだまだいろいろな施設ございますが、こういうような施設を実態的にながめて見ますと、たとえばいまの日本の実情で申しますと、百隻以上の収容能力を持っておるいわゆる総称してのマリーナにおきましては、こういう施設が大体ついておるということがいえるかと存じます。ところがもうこれ以下になりますと、非常に設備のいいのがまれにはございますけれども、まずあまりそういう施設設備整備されておるというものではなくて、こういうものではどうもいわゆるマリーナと申し上げるのはいかがかという感じを持っております。
  13. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 その点は私の考え方とほぼ一致をいたしておるわけでございますが、そうするといわゆるマリーナというものの規模は百隻程度という線が引かれる。そしてその機能としては、いま言われましたような形でプレジャーボートを安全、確実に収容し、プレジャーボート媒体とする海洋レクリエーションを楽しむ上で必要とされる各種サービスが提供される海洋レクリエーション基地となる港湾マリーナというというのはそのとおりだと思うのですよ。これから国並びに地方団体等設置をしようとするマリーナというのは、いま局長からお答えがありましたようなものが一つの形として出てくる、また運輸省当局もこれを指導すると思います。問題は百隻以下、百隻以下といいましても九十九隻から一隻までありますから一がいには言えませんけれども、この俗称マリーナと称するものが、なお時代の趨勢とともにふえていくと思うのです。しかし行政当局としては、やはりマリーナをつくるならば、こういうものですよということで一つのサンプルが示される。しかし立地条件あるいは設置者経済能力その他で、これはまた必ずしも規格に合わないものもできていくと思う。これらは河川法なりその他いろいろな法律によって規制をされてしかるべきだと思うのに、実は規制をされていない。こういうマリーナの資格のないマリーナというものは、これは設置者なり何なりの自発的意思にまかせるのですか。それとも何か指導し監督をし、あるいは場合によっては運輸省規制をするというようなことになるのでありましょうか。運輸省としてはこれしかできませんというワクは、私はわかるような気がするのです。しかし実際は湖沼でも河川でもあるいは海岸でも、いろんな形のものが続出しているのが現状であろうというように思うのですが、もちろん港湾法ではこれは規制はできませんね、どういうことになるのでありましょうか、伺いたい。
  14. 岡部保

    岡部政府委員 ただいま先生の御指摘のございました点、私どもとしても非常につらい点でございます。現実に必ずしも満足すべき施設ではないというようなもの、あるいは非常に規模が小さいというようなものが出てくる可能性はございます。  そこで、港湾区域内にこれをつくるという場合でございますれば、当然港湾管理者がこの水面を提供し、どこにどういう計画でやるというのをタッチできるわけでございます。したがって管理者の指導によって、こういうふうにしなさい、これが現実民間施設で、それが非常に不備なものであれば、そんなものはここではつくらせませんということは管理者の権限として言えるわけでございます。したがって港湾区域内の場合はよろしいわけでございますが、先生承知のように、港湾区域外で、現実には港湾施設と全く同様なマリーナ施設でございますが、港湾区域外現実にそういうものができるという例がございます。そこで、そういうものに対して、私どもではせあてこういう港湾区域外水域におきましてマリーナのようなものができたときに、その港湾施設と同様な港湾施設と申しますか、こういう施設技術的安全性だけは少なくも確保しなければいかぬぞということで、今回の法改正でまず第五十六条の二というところで、港湾施設に関する技術上の基準というものを、運輸省令で定める技術上の基準にこういう港湾施設は適合するようにしなければいかぬという一つの条文を設けたわけでございます。  さらに第五十六条の三というところで、この港湾区域以外の水域におきましてこういうようなものができた場合、この施設が、先ほど申しました技術上の基準に合わなければならない、そういうふうにその所在の都道府県知事がこれを規制することができるようにここに五十六条の三という規定を設けたわけでございます。そこで、これは港湾施設技術的な安全基準でございまして、ほんとうのマリーナの運営とかそういうようなところまではとても及んでおりません。その点ははなはだ残念でございますけれども、一応少なくもこういう施設技術的な安全面だけはこれで確保するべきではなかろうかという考え方に立ったわけでございます。
  15. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 御答弁のように、この港湾施設に関する技術上の基準というのが五十六条の二それから三等で指示をされておりますね。これによりますと、特に五十六条の二「水域施設外郭施設係留施設その他の政令で定める港湾施設は、他の法令規定の適用がある場合においては当該法令規定によるほか、運輸省令で定める技術上の基準に適合するように、建設し、改良し、又は維持しなければならない。」ということで、これはかなりシビアなんですね。このとおり適用していけばそうむちゃくちゃな外郭施設だとか係留施設その他の政令で定める港湾施設といったものはできないわけであります。したがいまして、五十六条の三等に都道府県知事に届け出るという制度が規定されておって、知事は変更その他についても届け出によってチェックするということが規定をされております。しかしこのことは地方自治体、特に都道府県等々に、この五十六条の二なり三を新たに設けた理由等々は、詳細に連絡しなければわからないと思うのです。現実河川法なりその他の公有水面の利用については許可事項になっておりまして、めちゃくちゃにはできないのですよ。ところが実際は許可も取ってないいわゆる不法な建設が多い。特に小規模になればなるほど多いのです。これを今度の港湾法改正にあたって港湾施設に関する技術上の基準が設けられ、それぞれ運用されていくということになりましたときに、すでに既得権は持っている——それは何も許可を受けたものじゃない、不法であっても、既得権を持っているかのごとき主張をし、行政当局の言うことを聞かないという場面が、私はもう明らかに目に浮かぶし、想像できるわけですけれども、都道府県との関係、あるいは市町村との関係、これはどういうように一体やっていくおつもりですか、運輸省としては。法律をつくったんだから、そして省令をつくったんだからばっちりこれでやるんだということであっても、現実には、特に都道府県知事等はたいへんな行政上の混乱に当面をして、抜きさしならぬようなことになりはしないかというように思うのですけれども、その辺の配慮はいかがでございますか。
  16. 岡部保

    岡部政府委員 いま先生指摘のございました点を、私ども現実の問題として非常に問題があると考えております。このような規定を法定された場合、現実にこれをどういうふうに進めていくかというような問題で、これは都道府県におきましてはいわゆる土木部に港湾課という課がほとんどの県にはございます。そういうところにはこういう港湾の専門の技術者もおりますし、またこういうものを監督するという行政になれておる連中もおるわけでございます。そこで、そういう都道府県の部局に十分この趣旨を徹底させまして、今後監督させていきたいという考え方でございます。ただ、現実にすでにでき上がったもの、これはこの法のこれから改良でもするときには当然それにかかってまいりますけれども、すでにあるものについてはこの法の適用はないというような場合に、先生のおっしゃったとおりの問題が出てまいると思います。でき得る限り、ほんとうに危険なものについてはこれを改善させるようなことを慫慂するというようなことに現実にはなると思いますけれども、その点は十分注意して周知徹底をさせたいと思います。
  17. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 あらためてまた聞きますけれども、この五十六条の二、三等は港湾施設に関する技術上の基準であって、これはやっぱり指定されている港湾の中の施設に関する技術上の基準でありましょう。港湾の中の水域施設であったり、外郭施設であったり、係留施設をいうのだと思うのです。実際は、港湾でないところに不法というか無法というか、めちゃくちゃな俗称マリーナというものができているわけなんです。これらがこの港湾法の適用を受けるものとは思われない。これはやっぱり港湾法でなくて河川法その他の法律で、不法施設だというようなことで取り締まる以外にない、こういうのでございましょうね。何か港湾法そのもので、港湾施設でないものが取り締まれますか。あるいは指導できますか。いかがですか。
  18. 岡部保

    岡部政府委員 私の説明がちょっと舌足らずでございましたために疑問をお抱かせしたかと存じますが、五十六条の二の「港湾施設に関する技術上の基準」と申しますこのいわゆる港湾施設技術上の基準ではございませんで、「港湾施設に関する」のこの「の」が意味が非常に広いわけでございまして、実は港湾法にいういわゆる港湾施設というものと、これに準ずるような同じような施設港湾区域外にあっても港湾施設と同じようなものというものをこれに含めて考えるという考え方でございます。したがって、この施設は、たとえば河川区域の中にあります港湾施設と同じような施設であれば、河川法上のチェックも受けるし、この規定のチェックも受けるという考え方で立法したわけでございます。
  19. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 そうすると、いわゆる港湾施設でなくても、たとえば先ほどからお話のあった今度新たにマリーナ港区というようなものが指定をされるわけでありますけれども、これはもちろんできることでありますが、そうでなくて、一般マリーナマリーナだといっているけれども、それは港湾施設の中ではない。ましてマリーナ港区ではないというものであってもこれで規制できる。もちろん河川になれば河川法というものの適用が当然だけれども、いやしくも係留施設というようなことばの中にプレジャーボートを係留するというマリーナ等も入るというように解釈してよろしいのか。
  20. 岡部保

    岡部政府委員 そのとおりでございます。現在先ほども百八十カ所ほどマリーナがあると申しましたけれども、いわゆる港湾区域内、それから漁港区域内にあるもの合わせますと、約七割ぐらいが港湾区域漁港区域の中にございまして、それ以外のものが三〇%近くございます。そういうもの、現実にもうできておるものについては、ちょっとこの法の適用は無理かと思いますけれども、そういうような港湾区域外の問題が非常に大きいという感じから、いま先生のおっしゃったとおりの考え方でこの法を制定したわけでございます。
  21. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 いまいみじくも出てまいりましたけれども、これからそういうところへつくろうというのは、もうばっちり適用されるということで、十分に監督指導できると思うのですね。都道府県もまた、土木部港湾課等がこの法律を知悉をし、十分な指導ができる。これはたいへんけっこうなことであって、今後のマリーナ建設一つ規制には十分役立つというように思いますけれども、問題は、いままでのものだと思うのです。これは不法なものは、やはりそれにそれぞれの法律規制がありますから、それを適用していけば十分できるというように思いますけれども、たとえば湖沼等で簡単なマリーナと称するものをつくろうとするときには、当然公有水面の利用ですから、占用許可願いを出して、許可が出なければやれないわけなんです。ところが現状はどうかというと、いま一番やかましいのは、内水面漁業権なりあるいは区画漁業権、地先漁業権等を持っている漁業権との話し合いだけでほとんど片づいているわけです。それで自治体や市町村や県もあまりこれに立ち入った干渉をしない。一番やっかいなのが漁業権だ、漁業権さえ話がつけば、すなわち漁業協同組合との話し合いがつけば、もうオーケーだというような認識が強いわけであります。しかも、その施設は不完全きわまるものであるけれどもマリーナマリーナだといっている。立法の精神からいけば、この五十六条の二の新設によって、新しくつくるものはしかじかかようなんだよということであれば、古いものもやはり直接これに該当しないまでも、何とか規制しなければならぬじゃないかというように思うのですけれども、その点今度の港湾法改正で何か言及しているところあるいはこの条項の適用でいけますというようなものがございましょうか。いかがですか。
  22. 鈴木登

    ○鈴木説明員 私からかわってお答えいたします。  先生の手元にあります港湾法等の一部を改正する法律案関係資料の五五ページ、すなわち経過措置の第二条第五項というのをごらんいただきたいと存じますけれども、そこには「新港湾法第五十六条の三の規定の施行の際現に水域において、新港湾法第五十六条の三第一項の政令で定める水域施設外郭施設又は係留施設設置している者は、同条の規定の施行の日から起算して三月を経過する日までに、運輸省令で定めるところにより、当該施設に関する事項に関し、都道府県知事に届出をしなければならない。」というふうになっております。その届出をしました者に対しまして都道府県知事が、非常に安全基準が守られていないというようなことになりますと、五十六条の三のほうに戻りまして、その設置者に対して改善勧告をするというふうな手順になってまいります。
  23. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 そうすると、私が懸念をした問題もこの経過措置の適用によって適用できる。したがって、既設の施設であろうとも、精神だけじゃなしに現実にこういう手続が行なわれるんだ。したがって御心配要りません、こういうことなんでございましょうか。
  24. 岡部保

    岡部政府委員 先ほどの私の答弁、誤りでございまして、いま先生のおっしゃったとおりでございます。
  25. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 これで私もお尋ねしたところは解明できました。公共施設としてのレジャー港あるいはマリーナといったようなものが、そういう形でいくことが私は法制の上では当然であろう、こういうように思っておるわけでございます。  そこでお尋ねしたいのは、先ほどからお話もありましたけれども、千隻以上係留できる能力を持っているところあるいは五百隻、三百隻、種々雑多でありますけれども、この設置者並びに管理者は、先ほどお話のあった四つなりあるいは本年中には必ず着手できるであろう二つ等を含めて、いずれも地方公共団体が多いわけであります。特に、いままでなぜこのようないわゆるマリーナと称するものができてきたかというと、東京オリンピックやあるいは毎年行なわれている国民体育大会に備えてつくられたものが多うございます。したがいまして、設置者並びに管理者はいずれも地方自治体にあり、特に教育委員会管理者になっているものがたいへん多いわけでありますね。この点、単独のマリーナとして管理者に一番ふさわしい機関、これは港湾局にはそんなものはありません、地方自治体にまかせておりますということなのか、どうも東京オリンピックとかあるいは国民体育大会ということが契機につくられたものだから、教育委員会がふさわしい、それは県の教育委員会の場合もあるしあるいは市町村教育委員会の場合もありますけれども運輸省としてはそれじゃだめですとは言えぬと思いますけれども、ふさわしい港湾管理者というのはどのようにお考えですが、むずかしい質問だと思うのですけれども。しかし、今後たとえば昭和四十七年に予算措置のとられた四つの海洋レクリエーション基地としてのレジャーセンターは、私は運輸省に構想があると思うのです。いままでほとんど放任といっていいほどの形で自然的に発生してきたもの、今後も発生するでありましょうそういうものの管理者というのは、どういう団体がふさわしいと思いますか。むずかしい質問だと思いますけれども、しかし、いやしくも港湾運営の責任ある港湾局は、その辺の構想はあってしかるべきだと思うのですけれども、いかがでございましょう。
  26. 岡部保

    岡部政府委員 確かに先生のおっしゃいましたとおりでございまして、過去にこういう公共的なマリーナをつくるという場合は、私ども港湾施設整備事業として財政的にも御援助したという対象のものは、オリンピックに対するヨットハーバーである湘南港、それから各県で国体の際にお使いになるヨットハーバー等の際だけでございます。したがって、こういうものの運営主体が県の教育委員会あるいは市町村の教育委員会というような例があったわけでございますが、先ほども申しましたように、四十七年度以降、そういう国体であるとかあるいはオリンピックとかそういうことではなくて、いわゆるマリーナというものを一つ国民全般の必要性というものから重要視して、港湾施設整備事業として財政資金も投入していこうという考え方に立ったのでございまして、結局その考え方施設管理者としては私はやはり港湾管理者である地方公共団体、これが施設管理者であってほしいという考え方でございます。ただ、これを現実に運営する際にどういう団体がいいのか、これはもちろん公共的なものでございますから、この港湾管理者である地方公共団体がお選びになる問題でございますけれども、私どもどういう主体が運営してもらわなければ困るというような考え方はまだ固めておりません。しかし、少なくも施設管理者港湾管理者である地方公共団体が必ず管理してもらいたいというふうな指導をしていきたいつもりでございます。
  27. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 管理と運営というのが一体の場合が現実にあるし、想像される。それから管理港湾管理者であるけれども、実際の運営は別なものがやるということもあり得る。これは先進諸国をごらんになればわかるように、マリーナそのものが、大体わが国では歴史のきわめて浅いものであるし、これからのものだ。したがいまして、私は管理者が必ずしも運営しなければならぬとは実は思っていないわけであります。先進国といっていいと思いますけれども、アメリカやヨーロッパにおきましても管理者と運営の実務をやっている者とは違うというものもたくさんあります。私は、やはり民間に運営はまかせるということがマリーナ本来の目的達成のためにも非常に意義のあることだというように実は思っているわけであります。  その理由は、まず第一は、もちろんルールはありますけれども、あくまでも海洋レクリエーションであり、一種のスポーツだという観点があります。それから二番目にはとかくお役所仕事というのが一つのパターンがあります。とにかくあれもいけない、これもいけないということで規制ばかりで弾力性がない。したがって一つの鋳型をつくってそれにはめ込むというような傾向が強い。それから、これはばく大な投資が必要な施設でございますから、当然そういう経費の捻出、あるいは収支のバランスというようなものに対する、言っては悪いけれども役人、お役所の考え方よりも、経済ベースを持つ民間のほうがくふうをする、さらに言うならば決定的な条件である、機能、機構を通じてのサービスについても、お役所というものは十分ではないではないか、同時にシップマンにはマナーというものがあるわけであります。このマナーというふうなものは教えて強制してできる面もありますけれども、やはり自発的な、自主的な発想に基づかない限りどうにもたらぬというようなことも考えると、私はこの運営というものは非常にむずかしいけれども、必ずしもお役所仕事でやれるものではないというように思うわけであります。先ほど局長から、これは今後の問題で十分検討をしていきたい、管理はあくまでも地方公共団体にやってもらうけれども、運営についてはまだ固まっていないので検討をしたいというおことばがありましたけれども、私は力点を民間に置いて検討をいただくべきだというように思うのですけれども二つ、三つその理由を申し上げましたけれども局長いかがお考えですか。
  28. 岡部保

    岡部政府委員 私残念ながらまだそこまで深く突っ込んでおりませんので、ただいまの先生のおことばを参考にさせていただいて今後検討させていただきたいと存じます。
  29. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 今度の改正案マリーナということばが初めて出てきて、しかも関係条章で過去にさかのぼってまでいろいろ規制をし、どちらかといえば野放しになっていたこういうものも、今度は法のもとに規制できる——必ずしも法の規制が最高のものだとは思いませんけれども、しかし現状を分析したときに私はやはりこのままではだめだ、まずレジャーボートを規制するというならば、その根拠地であるマリーナ規制からいかなければならぬ。同時に、規制だけでなくてこれに対する大幅な助成、補助といったようなものが当然付随していかなければ、われわれが願っているようなものにはなっていかないというように思うわけであります。しかもその運営についていま私が申し上げましたようなことを十分考慮いただく中で、ひとつ前進の方向で善処をいただきたい。次官、あなたは船を持っておられるそうでございますから、この点では精通をされていると思うのですけれども、自分でセールしてみてこのマリーナ対策あるいはプレボート対策といったようなもので今度の港湾法にも頭を出してきているわけでありますけれども、今後の方針、展望といったようなもので一言御意見を伺えれば幸いです。
  30. 佐藤文生

    佐藤(文)政府委員 マリーナの問題について先生がたいへん的確な御質問をなさって、実はそこが一番痛いところで、現状を申し上げますと、きわめて平たくいえばめちゃくちゃでございます。したがって港湾法改正で、マリーナをある規格をつくって、安全基準をつくって、そして示したということは、これは一歩前進で非常にけっこうなことだと私は思っております。ただ運営面につきまして、もうお気づきだと思いますけれども、外洋帆走協会、外洋のみを走る帆走協会があってみたり、国体を中心に高校生を中心に訓練しておるスナイプあるいはフィンクラスとかいったような種類がございまして、それが縦の線の団体はできておりますが、横の連絡はめちゃくちゃでございます。ですからマリーナをつくりましても、それがどの場所に入るかというだけでけんかをするような現況である。それからヨットモーターボートは全然異質なものですから、それに乗る者の考え方が違う。ですからモーターボートに乗っておる者は、マナーの悪い者はマリーナの中でフルスピードで飛ばしてしまって、ヨットの舷側でもって破損するぐらいな波を立てていくといったようなマナーのない走り方をしてみたり、それを注意しますと、そこで暴力ざたが起こる。何を言っているのだといったようなのが実はローカルの、先生の一番指摘された基準に達しないいままでの現況であったわけなんです。したがって今後の運営につきましては、管理者としてはマリーナ建設、それからあとの管理はやっていく、たとえば各県の知事部局でやっていく、そして係船料は取っていく。しかし運営面については、先生の言われたとおりに民間団体にやるべきであるという原則は私も賛成であります。しかしその民間団体が行政面でよほどのお世話をしないと、放置しておくと、一年たっても二年たってもその融合がとれないために、マリーナの中でほんとうの意味のマリーナ建設の精神が生かされないという面がありますので、こういう面については十分にこの法案作成の過程で私は先生と同じような意見を申し上げて、今後の指導体制と申しますかそういうものをひとつ強化する必要がある。  それから御承知のとおりに、国体のときに全然権限のない県がヨット種目をやるというので急に人を集めて、そして簡単なヨットの競技場をつくる。ところがつくったあとはその指導者がまたよその県に渡り鳥のように移ってしまって、あとは全然だれもいないということなものですから、そのマリーナの小型はできておるけれども、指導者が全然いないために、りっぱなこういう港湾法ができても魂を入れるのに非常に苦労するといったような面が、私は国体をずっと回ってみて、あとペンペン草がはえておるヨットハーバーなんかあるのもこの目で知っておりますので、そういう運営面については十分指導体制を確立していかないと、港湾法の精神とマリーナ建設の精神が生かされない面がございますので、十分そういったようなことを考えまして今後の行政面における指導というものを配慮していく必要がある、こう考えておる次第でございます。
  31. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 次官答弁でほぼ了解をいたしました。いみじくも今国会には船舶安全法の一部改正、あるいは船舶職員法の一部改正等々も出ているわけでありまして、今度の港湾法の一部改正、いろいろ問題はありますけれども、このマリーナに言及し、そこまで規制をされる、あるいは規制だけでなくて助成もされるということについては意義のあることだと私は思うわけであります。したがいまして、ぜひ三者一体の中でこの海上交通の一つである大型海洋レクリエーションあるいは庶民のレクリエーションとしてのセールボートモーターボートを含めたレクリエーションに対して十分な配慮をお願いいたしたいというように思うわけであります。  最後に、私は港湾局長と海運局長にちょっと伺っておきたいのですけれども、全然別な問題であります。内陸コンテナ基地というのが日本にただ一つかと思いますけれどもあるのですけれども、この内陸コンテナ基地というのは主として輸出品をその内陸の基地でコンテナ化して一つ港湾から船積みをして持っていくわけであります。この内陸コンテナ基地港湾施設であるのかそうでないのか、いまだに明らかでありません。水一滴、船一隻ない内陸ですから——水一滴というのはちょっと大げさですけれども、いやしくも少なくとも海の水なんかはないわけですね。これは一体港湾施設なのか。あるいは陸上運送施設であることは間違いないのですけれども港湾施設でないとすれば、これは何なんですか。目的は、輸出専用のコンテナ基地なんですね。輸出といえば港、船ということになって、ほかのことは考えられない。飛行機というようなことも考えられますけれども、これは現状は航空輸送に持ち込めるようなものではないという場合に、内陸コンテナ基地というのを港湾施設とできませんか、いかがでございましょうか。
  32. 岡部保

    岡部政府委員 ただいま先生から御指摘のございました内陸コンテナ基地と申しますか、こういうものについての実例、一つ考え方があるということはよく存じております。これを港湾施設として認定するかどうかという点、私ども港湾局内でも非常に議論をしたところでございます。港湾施設は、御案内のとおり、原則的には港湾区域あるいは臨港地区内にあるものをいうのは当然でございますけれども、区域外にありましてもこの施設を認定するという行為は法的にも、例外的な措置ではございますが、認められておるわけでございます。そこで、内陸コンテナ基地でありましても、特定の港との関連と申しますかつながりと申しますか、こういうものがきわめて強くて実質的にその港の一部とみなされるようなものであれば、特定の港の施設として認定するということも可能であるという考え方に私ども考え方はまとめております。  それで現段階現実のこの問題に対しましては、そこら辺の現状がどうであるかというような点について、これの港湾管理者に対して御説明を求めておるというような段階でございます。  そこで今後の問題といたしましては、ケース・バイ・ケースでそういう点を考えていきたいという考え方港湾局としては考えております。
  33. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 わかったようなわからぬような御答弁なんでして、これからも内陸コンテナ基地はつくられようとしているし、狭い日本の国土ですからそう数多くの毛のができるとは考えられませんけれども、いずれにしてもすでにつくった、そしてそれは特定港湾と密接というよりもほかの港湾とは全く関係ない、もう一〇〇%そこへ持っていって、そこで船積みしているわけなんです。言うならば、弾力的に解釈ができるというならば、私は一刻も早くそういうものは港湾施設として認定いただくということが当然ではなかろうかというように思うのです。現にそこには関係の深いその特定港湾の税関支署の出張所も大蔵省は認めて設置をしたのです。さらに、検査機関もそこにできている。全く港湾の業務の一部をやっているわけなんですよ。にもかかわらず、なかなか御認定いただけないというのは、港湾管理者の意見というよりもむしろコンテナ基地管理者の意見のほうが大事なんですよ。港湾管理者とコンテナ基地管理者の意見が対立しているのならばまた別ですよ。港湾管理者のほうは、とんでもない話だ、しかしコンテナ管理者のほうは、いやぜひやってもらいたいのだというのなら別ですけれども、むしろ港湾管理者もさることながら、コンテナ基地管理者の意見を十分聞いていただくことが先ではなかろうか。私はあえて場所をあげていないのですが、局長は十分御承知のはずなんですね。このコンテナ基地設置者といいますか管理者といいますか、そこから具体的なお願いがいっていると思うのですが、まだ局長のところまではいっておりませんか。
  34. 岡部保

    岡部政府委員 私どもいままで具体的な問題についての要請を承っておりますのは、港湾管理者からだけでございます。
  35. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 そうだとするならば、これはコンテナ管理者のほうの怠慢もあるわけでございまして、私はそういうことであるならば、コンテナ基地管理者もそのつもりになるように申し上げますけれども、ぜひ昭和四十七年度ですべてが完成をし、四十八年からはフル活動をする。貨物の取り扱い量もそんなに少ないものではないのですよ。ぜひ御検討をいただいて、一刻も早く港湾施設としての認定をちょうだいいたしたいというように思うわけです。  そこで、海運局長に伺いたいのですけれども、これは私不勉強でわからなかったのですけれども、ターミナルステータスの指定にあたって、運賃同盟なるものがあって、この運賃同盟の指定がない限り非常にむずかしい問題だ。というのは、内陸コンテナ基地から港湾までトラック輸送がありますから、そのトラック輸送の運賃は海洋運賃に入らないわけなんですよ。別になってしまう。しかし、この運賃同盟の承認をいただければ、それはいわゆる船賃として認められるということで、たいへんな利便があるわけでありますけれども、これがなかなか容易でない。しかし、聞いてみると、何か運賃同盟というのは民間でやっている国際間の協定であって、政府はタッチしないというのが原則なんだということを聞きました。なかなかむずかしいしかけになっていることが明らかになって、県なり地方自治体というのはなかなか運賃同盟に働きかけるなんといったことは能力も技術も稚劣なんですよ。したがいまして、運輸省の指導なり口添えがあることが望ましいと思っておったわけでありますけれども、運賃同盟は民間の自主的な協定であって、政府不介入の原則というものが国際的にも確立をされているということを承って、私もびっくりしたのですけれども運輸省として、ここまではできる、不介入の原則ではあるけれどここまではできるのだ、そうして要請があればやりますよというのはどの点まででございますか。
  36. 佐原亨

    ○佐原政府委員 先生ただいま申されましたとおり、国際的な慣行といたしまして、少なくとも先進海運国では運賃同盟に対して政府は介入しないたてまえになっております。俗にCFS、コンテナ・フレート・ステーションと申しますか、同盟の内部のルールにCFSという規定がございます。CFSの機能といたしまして、荷主がCFSまで荷物を持ち込みますと、そのCFSで船社が受け取りまして、それ以後コンテナ詰め、それからカーゴー詰め、横持ち、コンテナ船への船積み、これは船社が責任をもってやる。しかもその費用も船社の負担となって、それは運賃となってタリフに組み込まれております。  それから内陸コンテナ基地の場合は、先生おっしゃいましたように、それから陸上埠頭までの横持ちの費用がかかる。これはタリフに組み込まれておりませんので、船社はとても負担できません。したがって、現在の同盟の扱いとしてはあくまでもポート・ツー・ポート、水ぎわまでで区切られておる。現在のCFSはコンテナヤードのすぐ背後地につくられておって、内陸まで想定されてつくられておりません。したがいまして、その費用負担の問題がございまして、なかなかむずかしい問題だろうと思います。ただ、理論的にはそういったCFSについて、その実費は荷主に負担させる、そういった場合は可能かとも考えますが、運賃同盟の中にはコンテナ船を持った船会社だけでなくて、在来定期船もやっておるメンバーも入っております。そうしますと、CFSを一カ所でもつくりますとコンテナ化を促進することになります。そうすると、その荷物はコンテナ船だけに流れて、在来船はとられて、在来定期船側の反対がかなり予想されますので、非常にむずかしい問題が予想されます。  政府不介入でございますが、一応われわれ日本船社だけではございません。外国の船社もメンバーに入っております。非常にむずかしい問題でございますが、一応日本の船社を通じて御要望の趣旨は取り次ぐと申しますか、お伝えすることはできますけれども、そこから先は政府としてああする、こうするという約束は非常にむずかしいかと思います。
  37. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 これはその地域、地域の産業にたいへんに影響のあること、またこの港湾施設の混雑あるいは背後地の狭隘といったようなこともありまして、あえて内陸コンテナをつくったわけでありますが、しかし運賃同盟の承認を得ることができないということになりますと、やはり設置の意義というものは半減すると思うわけであります。さればといって、政府不介入の原則が国際的に確立をされておるのに、ここで政府の介入を強要するわけにはまいりません。しかし、そういうことも含めてぜひ適切な御指導をいただきますようにお願いいたしたいと思うわけであります。  以上で私の質問を終わります。
  38. 井原岸高

    井原委員長 速記をとめてください。   〔速記中止〕
  39. 井原岸高

    井原委員長 速記を始めて。神門至馬夫君
  40. 神門至馬夫

    ○神門委員 先日の質問の続きの中に、改正法と現行法の中にありますことばの解釈等は統一見解が出ましたし、さらに管理者権限の縮小の問題等につきましてもその後の機会に相当突っ込んで、すれ違いではあっても質疑がなされたようでありますから、一応そのほうは置きまして、その前の質問の続きがありますから、それにお答えを願いたいと思います。  まず、この港湾法改正が、この内容を見ますと、非常に不十分のまま出されておるようでありますが、また来年あたりこの港湾法改正を行なうというような意思が運輸省におありかどうか、この一点をお聞きしたいと思います。
  41. 岡部保

    岡部政府委員 先日の、あるいは以前の御質問にもお答え申し上げたわけでございますけれども、現行の法律でいわゆる補助体系についてまだ再検討する必要があるという問題があることは事実でございます。そこでそういう問題をこれから検討いたしまして、政府としての見解が早い機会にまとまれば、これはやはり法改正をお願いしなければならないという問題にはなると思います。ただ何と申しましてもそういう補助問題をどういうふうに持っていくかという問題、まだまだこれから検討していかなければなりませんので、そういうものが意見がまとまった際にはまた改正をお願いするということになるかと存じます。
  42. 神門至馬夫

    ○神門委員 この改正法案の中に特に新しく航路の保全あるいは港湾の保全についてと、「保全」ということばが入っている。それとあわせてこの出湾法改正の目的が国土の全般的な開発、いわゆる総合開発計画の中の位置づけとして出されている。そういうようなものがねらいであるとするならば、これは現行法の四十二条の各項及び四十三条あるいは港湾法の附則の五項、これらのものが相関連をして改正されるとか、あるいは特定港湾施設整備特別措置法の「目的」の問題、これらも、今日の諸情勢の中で、明確に港湾法改正が提案されましたそのままの趣旨と相反する面がたくさん出ておるわけであります。たとえば特定港湾施設整備特別措置法の第一条の「目的」を見ますと、「この法律は、輸出貿易の伸長及び工業生産の拡大に対応して、」云々、こういう目的になって、輸出振興政策のもとにこの特定港湾施設整備特別措置法というものがある。いわゆる輸出第一、外貨獲得第一主義の経済基盤の確立が第一であり、それに伴うところの港湾整備緊急措置法というものがそのあとにまた二年おくれで出ておるわけであります。そして港湾整備緊急措置法に基づく今次第五次の計画がなされておる。このような状況からいうならば、一貫して私たちの質問が、中央集権化する目的がこの法改正の本意ではないかというこのことに対して、そうではないとおっしゃるならば、当然この費用の負担あるいは補助、こういうものがなされなければ、片一方の車が飛んでいると一緒な理屈になる。これは先日も局長のほうからも、そのことはそのとおりであるというふうな趣旨の御答弁があったと思うのでありますが、これがなされないと体系として言われる趣旨と沿わないことになって、ただ権限を集中化していく、この改正法の目的がそこにあると言わざるを得ない。ましてや相当マクロ的な立場での巨大な港湾建設でありますから、先行投資的な負担が地方自治体に課せられることになります。それらの措置が、この内容としては何ら経済的、財政的なものが考えられていないのであります。そうすると、それらのものがこの港湾法を提案なされるときに運輸省としては十分論議をされて、そして特にあなたのほうの場合は企画庁と大蔵省の関係だろうと思いますが、これらのものにそれらが十分論議をされての今次改正法案の提案であったかどうか。論議されたとするならば、このような港湾法の中途はんぱな提出の状態を見ますと、その経過は、特に企画庁と大蔵省の意見は真反対の立場での意見が出たものだと推測されるわけです。この辺の経過について御答弁をお願いしたい。
  43. 岡部保

    岡部政府委員 先ほども申しましたように、補助率問題、補助体系の問題と申しますか、こういうものが今回の法改正に入っていない点、これは車の両輪といえば、それの片方で済んでいるのじゃないかというような御指摘、これはある意味では私はそのとおりだと思います。  それからもう一点、御指摘のございました同じ港湾施設整備に関してもいろいろな法体系がございます。これの間での矛盾がないかというような御指摘、これにもある点で確かにそういう感じがいたさぬわけではございません。この辺確かにこういう各種法体系の整理と申しますか、そういうことをやって、ここで一つの大きな流れとしての御審議をいただくというのが私は確かに本筋だったかと思いますけれども、現段階までに残念ながらそこまでのまとまりを得ませんでした。と申しますのは、先ほどの御質問の最後にもおっしゃいましたように、当然各関係方面との折衝でそういうことがあったのではないかという御質問でございますけれども、むしろ残念ながらそれ以前の、私ども自体でまだ、ほんとうを言って補助率体系等の問題でもう少し整理しなければいかぬと思いながら、現実になかなか考えがまとまっていないというのが実情でございます。いつも申し上げるのでございますけれども、たとえば私ども考え方からいって、ただ単に補助率を上げる、国がよけいに財政負担をすればいいんだというものではないだろうと私は思います。したがって、一つのバランスと申しますか、何かでそういう体系的なものがなければいかぬ、そこの辺が非常にむずかしいものでございまして、明らかにいまバランスを欠いておるという点もございます。その点を少しでも端から直せばいいじゃないかとおっしゃられればそのとおりでございますけれども、まことに申しわけございませんが、そこの辺はもう少し時間をかしていただきたいという考え方でございます。
  44. 神門至馬夫

    ○神門委員 このむずかしい補助率にかかわる法体系、関連法律改正等、たくさんの問題が一貫して、これをめくってみますと出てまいります。それらがなされないままのこの港湾法の権限問題と私は考えるわけでありますが、基本計画及び港湾計画との関係において、これが集中されて直ちにこの法律は動き始めます。そのときにあなた方がお考えになっているものは、特に工業港等を中心にした第三セクターによるところの、プライベート港とまでは言いませんが、それに近いものを考えているのではないか。そうしますと、この企業合理化促進法に基づくものは云々と四十二条の一項にあるわけですね。いわゆる補助率はそのままにしておいて、企業主から求めるものに応じた港をつくっていく、こういうようなやり方をしますと、予算的な面においてはある程度現行の補助率あるいは負担そのもので進むことができる、こういうような方法も仕組みとしては考えられますね。地方公共団体の負担を軽減するというようなことは考えられる。そうすると、それらのことを特に考えて、いまおっしゃるようにたくさんの問題点があって、関係各庁なり関係法規全体を体系的に整備しなければならない。それらのもののまだ結論を得てない段階でこの港湾法そのものが提案されたという意義は、実は国土総合開発というこの趣旨説明、あるいは今次改正法の第一条の目的、さらにはこれまで運輸委員会で何回か御答弁になりました工業法や地方都市開発、ブロック開発その他に関係した港湾の配置あるいは機能、こういうようなものを考えていきたいという意思が如実に出ておるのではないか。そうしないと、この港湾法改正いたしましても、実はいまのように補助そのものが港湾設置の大きな問題でない以上は、港湾局長のいまおっしゃったことばと相いれないことになるのじゃないか。広大な将来のビジョンを考えての先行投資的なものを持っていく。これまでの何次かの五カ年計画は、すでにあと追いの状態になって、常に扱い貨物た追いつかれ、追い越されている。こういうようなことがこの港湾法提案の趣旨でもありますから、そうなってくるとますますそれら先行投資的な負担の面においてこれが整備されてこそ、港湾法改正法案そのものに魂が入るはずなんです。それがなされないままにいくとなれば、そのようなプライベートを港をつくっていく、それによって専用埠頭をどんどん拡大する、港湾の大部分を専用埠頭化していく、こういうような構想が実は運輸省、運輸大臣のほうにあるんじゃないか、そうしかこの関連として解釈はできない、こういうふうに思うのですが、大臣いかがですか。
  45. 新谷寅三郎

    ○新谷国務大臣 港湾関係法律が非常に多岐にわたっております。関係の行政官庁を見ましても、これは運輸省だけでなくて、実質的にいいますと通産もあり農林もあり、その他最近ではやはり国土の自然といいますか、環境を守るための環境庁なんかの意見というのも相当反映しなければならぬ。実に港湾行政につきましては、運輸大臣が一応主管大臣でございますけれども、非常に関係する方面が多いわけでございます。港湾法関係法令法律改正しようというのにあたりましては、ほんとうはおっしゃるように、もっと基本的に今後の日本港湾というものをどういうふうに位置づけていくか、陸海の交通の接点に当たっておりますから、それをどういうふうに活用させるのが国民の福利というものから考えましても、地域の開発からいいましても、一番適当であるかというようなことを、もっと全体を見直してやるのが至当だったかと思います。しかし、これには相当時間がかかると思うのです。運輸省で提案しております今度の案は、もちろんそれから遊離して、将来はどうなってもいいんだというものではないことは事実でございますけれども、しかし、そういったことを考えながら当面、御承知のように、いまの日本港湾というものは非常に機能が変わってきております。また環境も変わってきております。そういったものに応じて必要最小限度、いまどうしてもやらなければならぬようなものを拾い上げまして、一応その改正案をつくって、今後当分の間向かうべき方向を示そうという趣旨でございますので、基本的にお考えになるとそれはいろいろな意見が出て、われわれもまたこの点については十分国会におけるいろいろな御意見を伺って、今後の港湾行政の基本方針を設定しなければならぬとは思いますけれども、しかし、当面の改正案を提案いたしました理由はそういうことで、もうほうっておけないような問題がたくさん起こりまして、港湾というものも当面かくあるべきだというような点を拾いまして、その重要なものを改正案に盛ったということでございますから、その点は先ほど局長もそういう方向で御説明をしたかと思いますが、私もそう考えておるのでございます。  それから、いま具体的にお述べになりました専用埠頭等の問題でございますが、これは必ずしもそういう企業に対して特別の特権を与えて、港湾というものを私企業が排他的にそれを利用させるというのは趣旨ではございませんけれども、しかしたとえば石油とか鉄鋼とかそういった方面で、日本の産業全体に基礎産業として寄与している部分が相当ございますから、それに対しましては運輸大臣が一般港湾船舶の利用というものを阻害しないようにそれを調整をしながら、そういう専用的な埠頭も業者の負担において運輸大臣が設計とか工事の施行とか、そういったものについては十分に監督をしながら進めていくというようなことは、いまの港湾の状況からいいまして、これを放任して一般の埠頭と共用さして、そして一般船舶が非常に迷惑をこうむるということよりも、専用埠頭をこしらえまして、それに対して運輸大臣が適当な監督をし、調整をしながら運営さしていくというほうが、かえって港湾機能を充実させるゆえんじゃないか、こういうふうな考え方から、ある種の港湾につきましてはそういった専用埠頭をこしらえましたりいろいろの措置をとらしておりますけれども、それによって港湾全体がその企業者のかってに運営されているというようなところにはならないように、やはり港湾港湾の本来の使命がございますから、そういう専用事業者の利用というものを考えながら、一般公共的な利用ということは決して忘れてはいない、そういう方向で運用しておりますということを御理解いただきたいと思います。
  46. 神門至馬夫

    ○神門委員 いま運輸大臣のほうから、港湾の全体の、そういう企業中心運営にならないように、管理を運輸大臣が、運輸大臣がということばがたくさん出たわけですが、その辺が本音じゃないかと思うのですが、実はいまのことばはたいへんな間違いなんですね。これは基本計画にのっとって港湾計画をする、そのワクの中でというこれまでの論争の中からいって、その基本計画をつくるときにその辺は配慮するという意味だったらわかるけれども、その管理にあたっては運輸大臣がということを三回もいまおっしゃっておる。これは大臣がおいでになるならばたいへんな問題点だろうと思うし、衣の下からよろいが出る、そのたとえではないかと思うのです。そういうようないまの考えで、権限の問題はいろいろありますが、港湾整備緊急措置法が改正されまして、昨年の三月、それに伴ってこの第五次五カ年計画が策定をされております。それでこれらの構想と、そこにいろいろの審議会等でビジョンなるものはすでに今日までもいろいろと検討をされてきたはずなんです。今日的状況に対応する港湾法改正ということなんですが、この五カ年計画なり港湾整備緊急措置法そのものの決定を見ましたその段階に、すでに港湾法改正はずっと以前から、第四次計画に入られるころから、実はいろいろいわれているような環境整備等の問題については表面に出ていたはずなんですね。その緊急措置法なり五カ年計画が閣議で決定をされるそのあとに港湾法改正について運輸省としては着手をされたのか、その前に港湾法改正をずっと検討され、作業は進めておいでになったのか、その点をお聞きしたいと思います。
  47. 岡部保

    岡部政府委員 港湾整備五カ年計画をいわゆる港湾整備緊急措置法に基づきまして改正をいたしまして、これが四十六年度から五十年度までの五カ年計画というのが現行の五カ年計画であるわけでございますが、これが閣議決定されましたのが四十七年の三月、四十六年度の年度末でございます。それでその決定された以前にすでにこの港湾法改正というものが考えられ、発議されておったのではなかろうかという御質問だと存じますけれども、私どもこれは港湾法の不備と申しますか、いろいろな点での問題点は絶えず検討はいたしている次第でございます。しかし、今回の一つのいわゆる予算関係法案としてお願いしておるという問題、これは環境整備関係で、こういう施設に対する補助の根拠規定というものをはっきりここに織り込まなければいかぬ。これにつきましては、四十八年度予算の要求時点で、一応港湾法改正し、そしてこういう予算を要求するということを省としてきめたわけでございます。したがって四十七年の七月、八月の時点でございます。それから実際にこれが予算要求の完全にそのままの姿ではございませんけれども財政当局にもいろいろと相談いたしました結果、一部は残念ながら認められませんでしたが、ある範囲の成立を見ました。予算案としてただいま御審議いただいておるものにこれだけは織り込もうということが認められたという段階で、これは直ちに法律案として具体的な問題としてまとめて、それで国会に御提出いたしたという経緯でございます。
  48. 神門至馬夫

    ○神門委員 予算関連法案としての本改正法案の中に、環境整備等が特に新しく補助対象としての予算の増大が見込まれる関連条文になっておりますね。しかしそういうふうな周辺の問題でなしに、本体であるそのこと自体がネックになっている、それを解決しようとするところに港湾法改正がある、こういうふうに思うのですね。またそういうように御提案になっておる。とするならば、当然先ほどから申しますように、補助体系の整備等がなされ、関係各省との折衝もなされ、そして予算を組むにあたっての基礎法的なものがきっちりなされねばならない。予算を立てるときの法律体系がきっちりなされなければならない。そのようなものがなされないままに、そのような予算編成時である昨年の七月、八月ごろにこの発意をした、こういうことは田中内閣が登場して、何か緊急に、思いつき的にこの港湾法というでっかい基本的なものを権限だけで中央に集中しようというようなことが、どうもこの改正法の体系の中からもあるいは時期的にも考えられるのですが、これはこれまでもいろいろと議論をなされたのですが、いわゆる日本列島改造論という、あなた方がきらわれるそのことばから、緊急にどろなわ的にやはり出ておるのじゃないですか。
  49. 岡部保

    岡部政府委員 私ども考え方のもとに、そういう列島改造論自体から緊急にこういう発想がまとまったのではなかろうかという御質問でございますけれども、私どもは決してそういうことではございません。むしろ私ども考え方から申しまして、さらにざっくばらんな言い方をさせていただきますが、列島改造論がいろいろ議論された当時、早くこの港湾整備五カ年計画も改定したらどうかというような御意見がたまたま私どもの耳に入ってきたことは事実でございます。いろいろな御意見がございましたが、私どもはそういうものではないと思いまして、まことにそういう意味ではぱっと機を見ると敏でなかったのかもしれませんけれども、そういう意味で直ちに五カ年計画を改定するというような方針はとっておりません。むしろいろいろな事情が変わってきて——バックグラウンドが変わってきたということから、五カ年計画を変えるにいたしましても、その考え方をまとめるというのには相当時間がかかります。したがって、そういう一つ考え方から、ぽっと応じて計画を改定するというような問題にはとても応ずる意思もございませんでした。ということよりは、むしろずっと絶えず考えておりまして、あるいはバックグラウンドになる情勢が変わってきたというようなことに応じて、そのときそのときでわれわれとしてはこれをどういうふうにしていったらいいかということを絶えず考えておるその一つのかたまりが、ここに法改正案として出てきたというふうに御了解いただいたほうがむしろよいと私は考えております。
  50. 神門至馬夫

    ○神門委員 その辺はそうだとはなかなかおっしゃらないようですから、そのままにいきましょう。  それでこの第五次五カ年計画ですが、この五カ年計画の中で一三ページの港湾整備五カ年計画要請別表、お持ちですか。——五カ年計画との関連で質問すると言って通告しておいたはずですがね。ないですか。  それでは続けましょう。この中に、三十七年三月に閣議決定され、これを試算された経過というのは、相当前にさかのぼると思いますね、もちろん三十六年七、八月ごろからこれに当たられたと思う。このときにはやはり外国貿易を中心とする、国内においては景気浮揚対策を前提にしての計画がその精神になっておることは間違いございませんね。そのとおりでございますか。
  51. 岡部保

    岡部政府委員 そのとおりでございます。
  52. 神門至馬夫

    ○神門委員 そのようなことだろうと思います。特にこの一三ページを見ますと、I、IIの欄に外国貿易港湾整備、国内流通港湾整備、こういうふうないわゆる内航、外航の種目に分けての予算、及び差引増減比等がある。それはこれまで港湾法改正の精神というものが全然出ておりません。それから一七ページの、昭和五十年が一応この目標になされておりまして、三十三・八億トン、これを目標に——これは総理大臣のほうから話がありましたように、内航において物流の五割をはかしたい、こういう前提でお話しになっておりますね。そうしますと、必然的に外国貿易及び内航、そのシェアというのが当然比率が変わってくる、あるいはその増減がここには生まれてくるのじゃないかというふうにも考える。数字がよし三十四億トン程度でありましても、その外貿、内貿の変化に伴ったところの港湾の任務というものは必然的にこれも相関連して変わってくるはずなんですね。そうしますと、それらの基本的な精神及びこれらの五カ年計画の中に一貫して流れております内容からいうならば、この五カ年計画もこの港湾法改正の趣旨に従って、ことしは間に合わぬでしょうが、また来年度は改正をされなければ、ものの用に立たないと思うが、いかがですか。
  53. 岡部保

    岡部政府委員 いまのお話でございますが、先生のおっしゃいました点で、ちょっと三百だけつけ加えさせていただきたいと思いますのは、あの三十数億トンの目標値をきめましたプロセスでございますけれども、たとえばこれは先ほど御指摘ございましたように、外国貿易の貨物量、それからいわゆる内航貨物でございますが、国内の港湾取り扱い貨物量に分類してまず考えております。輸出貨物につきましては、政府経済計画と申しますか、輸出金額の想定、これとの相関で考えてまいります。したがって、ここに輸出を大いに進めなければならないという影響が入ってくるのは、当然でございます。それから次に、輸入のほうの貨物量というのは、工業原材料のウエートが非常に大きいわけでございます。したがって、鉱工業生産指数の伸びというものを、一つのバロメーターにして考えております。したがって、ここで工業、いわゆる今後の産業構造の変革というものをどういうふうに考えるかということで、これは当然変わってまいります。それから国内の貨物につきましては、いわゆるGNPとの相関で考えるのを普通にやっております。特に中で特殊な貨物について、いま外貿で申しましたような、特殊な扱いをする部分がございますけれども一般的に申しますればGNPで考えております。それからいま申しましたものを、全部もう一度GNPとの相関で考えてみるというようなチェックをしております。  したがって、いま先生のおっしゃいましたように、こういう想定の貨物量というものが、一つ経済計画が変わり、国の考え方が変わってくれば当然変わるというのは、全くそのとおりだと思います。  したがって、先ほど最後に御質問のございました、新たに五カ年計画を改定する意思がないかという御質問でございますけれども、例の経済社会基本計画という経済計画の新しいものがつくられたわけでございますが、これは四十八年度からの五カ年計画でございますけれども、私ども考え方では、あの考え方を受けて四十九年度以降の五カ年計画というものに改定をしなければならないのではなかろうかという考え方で、現在準備はいろいろ作業をしている最中でございます。
  54. 神門至馬夫

    ○神門委員 その工業構造なり、GNPそのものの今後の経済成長との見通しから、五カ年計画等の変更も用意しなくてはならぬだろう、こういうお話があったのですが、そうなりますと先ほど申しますように、これは運輸大臣のほうから御答弁になったような、いろいろな精神から見ても、その運輸大臣のお話の中にはちょっと判然としないものがありましたけれども、当然この港湾法及び関係関連法案の中における地方公共団体が苦しまないように、あるいはさりとてプライベート港的な、公共性がそこなわれるというような港の構造設計にならないように、こういう配慮が当然なされるべきものじゃないか。そうすると、必然的に港湾法を中心にして関連諸法の改正が伴わないと、その五カ年計画自体が画餅にひとしいことになるのじゃないか、こういうふうに考えるが、いかがですか。
  55. 岡部保

    岡部政府委員 確かに、補助率体系でございますとかあるいは港湾整備に関連あるいろいろな法律体系であるとかそういうもので、一つ考え方からいって是正しなければならぬ点があることは先ほども認めた発言をさせていただいたわけでございますけれども現実の問題として私どもこの五カ年計画をたとえば改定する——これはまだ改定すると運輸省としてきめたわけではございませんから、私一存で申し上げるのは言い過ぎかもしれませんが、四十九年度からの新しい五カ年計画考えていくというような場合に、まず今回の法改正においていろいろお認めいただいた環境整備関係ウエートがずっと大きくなってくると思います。そういう意味でいままでの五カ年計画とは内容が非常に変わった姿になってくる、これは当然のことだと存じます。しかしさらに、そういうものを考えるときに、その一連の法律体系を整理すべきではなかろうかという点につきましては、私どもの率直な考え方を言わしていただくならば、補助率体系にしてもあるいはそういう一連の法体系にいたしましても、整理できるものについては今後検討さしていただきたいという、私どもいままで申し上げているのと全く同じ考え方をいま持っているわけでございます。ただ、いまここでこの港湾法改正にそれが織り込まれていないのが変ではないかというのが先生のおっしゃっている御趣旨かと思いますけれども、私ども少なくもいま言われることで、それが、これを改正いたしましたためにそのほかの法体系の整理とかなんとかにマイナスになるものがあれば、これはそのとおりだと思いますけれども、そういうものはないと信じておりますし、また現実に具体的な問題としてこれから問題が起こり次第、これを整理していくというふうな考え方で今後も処していきたいという考え方でございます。
  56. 神門至馬夫

    ○神門委員 ほかの法体系の相関連として障害になるものが云々ということでなしに、もし積極的に全般的な国土開発という、ある意味の均衡ある民主的な念願から生まれたとするならば、当然、いま特定重要港湾が受けているような補助等の特典を受けなくてはならないのではないか。日本における貿易に対する考え方というものが相当大きく転換したわけでありますから、そしてGNPそのものが今後も九・四%ずつの伸長をするとするならば、生産されたものはおもにその半分が内航海運によって動かなくちゃならない。こういうような発想がやはりあなたのほうにある。そうすると、重点はその内航のほうに移る。内航のほうに移るとするならば、先ほど申しますような補助体系そのものが重点的にいままでの外国貿易よりかそのほうに移っていかなかったら、この港湾法改正の精神にもとるのではないか、こういう私の論旨ですね、そのことを申し上げているわけであります。
  57. 岡部保

    岡部政府委員 先生の仰せ、よくわかりますが、私ども考えている点を率直に言わしていただきますと、いまのような考え方で新しい補助体系、補助率を適用していく。そして五カ年計画をいまの四十八年度予算でもそういう意味ではずいぶん直してまいりましたけれども、四十九年度以降、たとえば五カ年計画を改定いたしましてそういうものをやっていく。それの際の補助率体系というものがこうあるべきだというような問題、これにつきましては私どもこれからその点の作業をいたしまして、四十九年度予算の要求に際して財政当局とも相当に詰めるつもりでございます。そこで、先ほども申し上げましたように、もしもそれが具体化できるような段階になれば、当然その段階港湾法のそういう関係改正を御審議いただくという方向にもってまいりたいという考え方でございます。
  58. 神門至馬夫

    ○神門委員 いまのように、全体系を完成するには相当な時間が必要だ、こういうふうにおっしゃっておりますが、私ども考えとして、それが真に国民のサイドに立っての国土の全面的な開発、そのことはいいわけなんです。そういう前提であるとすれば、それに伴ったところの予算措置がなされなくてはならない。それが今日の行き詰まった重要港湾の背後関係、環境整備というふうなものを中心になされておる。ただ、法律体系全体として客観的に見ても、これは中央集権の目的以外にないのではないか。いかにそうではないというふうに言われたとしても、この運輸委員会における質疑を通してみても、基本計画に反する港湾計画は補助を認めないというような御答弁なり、あるいはそのワク内でという方針からするならば、これは権限問題ほど集中化していくということしか考えられない。こういうことが、一貫して私たちのこの問題に対する疑問な点であります。  そのことにつきましてはもうすでにここで長時間やりとりをして、ある程度その実態を認めながらも、結論的にはそうでありませんと言って一貫して御答弁になっておるので、いまからそれを追及しても、またそうではありませんとおっしゃるだろうと思うから、その点は申し上げませんが、そのように重要港湾が特定重要港湾的な扱いをされる、いわゆる四十二条の五項的な準用をされていくというようなことになってきますと、港湾管理者の及ばないいわゆる複合管理権的なものが、予算の伴わない港には、企業合理化法案に基づいて、専用埠頭的なものが、どうしてもいまの実例からいっても拡大してくる。そうなってまいりますと、そこにいろいろと問題があったときに、この改正案の何項でしたか、いわゆる専用港あるいは専門港、あるいはその他の場所等のアンバラ、船の到着、係留等のアンバラがあるときに、要請するのではなしに、もう少し強い権限を与えなくては、ほんとうはその目的は達成しないのじゃないか。これまでも要請等は当然なされていると思うのですね。精神規定としてはこれはなされましたけれども、もう少しこれに権限を強化しないと、管理者管理権というものは、実際的に複合管理構造的なものになって、それが弱まってくるのじゃないかというふうに思いますが、その点このような条文になりましたことは、これで十分足りるというふうにお考えですか。
  59. 岡部保

    岡部政府委員 この四十五条の三の「滞船の場合における要請」という問題について、いわゆる港湾管理者が、いま先生おっしゃいましたように、要請するということではなくて、もっと強い権限を持たせるべきであるという御意見があったことは事実でございます。私ども、これは強くできるかということでずいぶんいろいろ検討いたしましたが、いま先生、現行でも実際はやっておるではないかとおっしゃるのですが、現行では要請もあまり行なわれていないのでございます。そういう点では、ほんとういって、一つの港の中にこういう管理者の違う施設があるということに対して、確かに港湾管理者の不満があることは事実でございます。そういう点でこの要請するということを入れただけでもずいぶんのプラスであることは事実でございます。ただ、これをもっと強くする、そのかわり強くすれば当然何か正当な対価を保証するとかなんとかという規定が入るのかと思いますが、そこまで考えるかどうかということでずいぶん議論いたしまして、現段階ではこの要請にとどめたというのがほんとうの考え方でございます。
  60. 神門至馬夫

    ○神門委員 それらの問題につきましてはまだ議論があるところでありますが、答弁のほうに客観性がなくて、そういう意味の見解の相違が多過ぎてたいへん困るのです。問題は、先ほども大臣おっしゃったように、さも港湾管理権が運輸大臣にあるというふうな思想がどうもことばの中でも出ておりましたが、そういうような港湾法改正の精神、そこに実は重要な意義があるし、問題があるし、そういうような意思が、先ほど局長も認められましたように、予算的な裏づけが片手落ちになったまま、権限問題がこの改正案の中に出されて、そしてさらに検討の意思というものを十分持ちながらもなおかつ長期間それを検討しなかったら、その補助体系なり関係法案改正というふうなものにも今日なおかつ着手できないという状態、こういうような状況から見ましても、いわゆる港湾管理者権限を縮小して中央集権化になるという、この法案の心配というものがたくさんあると思うのです。私は、そういう点につきましては、先日もいろいろと質疑をいたしておりますから、その疑問が解消できないまま質問を終わるわけでありますが、今後は五カ年計画等が、あるいは来年も再度港湾法改正等が用意される状況に、この中途はんぱな改正法の内容を見ると思考されます。こういうようなときに、その点等につきましても十分検討を加え、質問をしてみたい、こういうふうに考え、この質問を終わります。
  61. 井原岸高

    井原委員長 この際、暫時休憩いたします。    午後一時二十九分休憩      ————◇—————    午後五時二十分開議
  62. 井原岸高

    井原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。松本忠助君。
  63. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 建設省の川田河川局次長、お見えになっていますか。河川法の目的についてまず伺いたいわけでございます。  河川法の目的についてはこのように書かれております。「この法律は、河川について、洪水、高潮等による災害の発生が防止され、河川が適正に利用され、及び流水の正常な機能が維持されるようにこれを総合的に管理することにより、国土の保全と開発に寄与し、もつて公共の安全を保持し、かつ、公共福祉を増進することを目的とする。」このように書かれてあると思います。これはお間違いございませんね。
  64. 川田陽吉

    ○川田政府委員 ただいま先生から御説明のあったとおりの内容でございます。
  65. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そこであなたの見解をお尋ねするわけでございますけれども、この条文の中にございます「公共福祉を増進する」ということば、それと「国民福祉向上に資する」、こういうことばがあります。この趣旨についてあなたは同じと思いますか。この条文に書かれてある「公共福祉を増進する」ということばと、「国民福祉向上に資する」ということばがここにあるとします。そのことばと比べてみた場合に、その趣旨について同じと思いますか、違うと思いますか。
  66. 川田陽吉

    ○川田政府委員 内容におきましてはほとんど同じものと考えております。
  67. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 同じという御答弁でございます。  そこで建設省としてこの「公共福祉を増進する」という字句を河川法の中から削除するということについて、もしそういう事態が起きたときに、あなたは「公共福祉を増進する」という字句を削除する、こういう考えがありますか、ありませんか。
  68. 川田陽吉

    ○川田政府委員 たいへんむずかしい御質問でございますが、法律の目的、しかもこれは河川という国民生活に非常に密接な関係を持っております公物でございますが、それを管理する基本原則として究極の目的をこのように「もつて公共の安全を保持し、かつ、公共福祉を増進することを目的とする。」ということになっておりまして、また第二条におきまして「河川は、公共用物であつて、その保全、利用その他の管理は、前条の目的が達成されるように適正に行なわれなければならない。」というふうに第一条、第二条が有機的に結合しておりますので、かりにという御下問ではございますが、河川法のたてまえとしてこの目的を改正するということは、現在の段階においてはまず不可能ではないかと考えております。
  69. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 わかりました。私は川田河川局次長の御意見に同意であります。全くそのとおりだと思います。  そこで農林省の水産庁ですか、矢野漁港部長見えていますか。——あなたに伺いますが、漁港法の目的、これは私ちょっと読んでみますから間違っているかどうかよく法文と照らし合わせてください。「この法律は、水産業の発達を図り、これにより国民生活の安定と国民経済の発展とに寄与するために、漁港整備し、及びその維持管理を適正にすることを目的とする。」、このようにありますけれども、間違いありませんか。
  70. 矢野照重

    ○矢野説明員 お答えします。間違いございません。
  71. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そこで私これからもう一つ言っておきますが、「国民経済の健全な発展に寄与し」という字句がある。いま読んだ漁港法のほうには「健全な」という字がないだけでありますけれども、「国民経済の発展に寄与するため」という字句と、「国民経済の健全な発展に寄与し」、こういう字句、この表現、「健全」という部分だけが違うわけでございますけれども、趣旨は全く同じだと私は思うのです。  そこでめんどうですから聞いちゃいますが、農林省としてこの漁港法から「国民経済の発展に寄与する」という字句、この部分を削除する考えはありますか。
  72. 矢野照重

    ○矢野説明員 お答えします。考えておりません。
  73. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 建設省、農林省ともにこの条文、このただいま申し上げた字句は削除する必要がない、これを削除したらたいへんだということと思います。確かにこの河川法にしましても、あるいは漁港法にしましても、この目的というもの、「公共福祉を増進する」、「国民経済の発展に寄与する」、これは大事な大事なことでございます。  そこで政務次官、あなたに伺いますけれども、このいまのことば、「公共福祉を増進」、「国民経済の発展に寄与する」ということがこの港湾法の中に盛り込まれるべきであると私は思っていたところが、この港湾法の目的の中からこれが削除されているわけです。実はその第一条の目的のことにつきまして、去る三月六日の審議の際に井岡先生からも御意見がありました。特にこの第一条を修正したいという意見が強かったように私は記憶しておりますので、会議録を見ますと、やはりそういうふうになっております。そこでさらに港湾局長がこの問題で井岡委員質問に答えまして、こういうことを言っていますよ。「確かに私ども原案原案というような段階でこういう字句が入っておったことは事実でございます。そうしていろいろ法制局の審査を受けまして、いろいろ協議した段階ではこれが省かれたわけでございます。」、こういうふうに局長は答えられておるのです。とにかく「国民経済の発展に寄与し、国民福祉向上に資する。」、こういう文字がこの原案段階ではあったことは間違いない。ところがそれがいつの間にかなくなった。これは法制局の段階においてなくなった、こう港湾局長は言われましたけれども、私がいろいろ内部から調べてみましたところが、次官会議段階でこれが削除されたというふうに私は聞いておる。あなたは次官会議に出ていらっしゃるわけでしょう。事務次官会議ですか政務次官会議ですか。あるいは事務次官会議だとすればお出になっていらっしゃらないかもしれませんが、いずれにしましても、私はこの字句はどうしても残すべき字句だろうと思うのです。この点は井岡委員もはっきり言われております。目的ははっきりしないと困ると私は思うのです。大臣も提案理由説明の中でそう言っておられるのですよ。確かにこの字句がなかったということについては、それは「港湾法は、昭和二十五年という経済基盤の強化に主力を置いた時代に制定された法律でありますので、公害防止等港湾の環境の保全あるいは国土の適正な利用及び均衡ある発展等、現在、社会的に重大となっている諸問題に対する配慮に欠けるところなしとしません。」、確かに港湾法昭和二十五年につくった。たいへん時間的な経過もありますし、内容が変わっておる。ですから、今回目的も変えるのだとおっしゃったわけです。ところでそういうことになれば、私は当然、大臣も発言されておりますように、「国民福祉を決して忘れているものではない。」、こう会議録の中でも言われているのです。はっきり言っておりますよ。三月六日の会議録の一九ページの上段の中ごろに「国民福祉を決して忘れているものではない。」、こうはっきり大臣も言明されておる。だとしたら、私はいまのことば、これは残すべきじゃないかと思う。削除すべきではなかったと思う。運輸政務次官がその会議に出ていたならば頑強にがんばらなければならなかったと思うのです。ですから、要するに港湾の適正配置というものが欠けている、どうしてもそれを適正な配置にしなければならない、そういうところから最近むつ小川原の開発の問題とかあるいは志布志湾の開発の問題とかこういうのがあります。いろいろ問題になりますけれども、いずれの場合でも自然環境を保全するとか公害防止、そして地域住民の福祉が大きく叫ばれている。あらゆるところでこういうものがないということについては絶対反対だ、福祉優先だ。内閣総理大臣も福祉優先を言われているんだ。だとするならば、港湾法の目的の中に国民福祉優先を明確に書き入れるべきではないか。これを入れないということはいかぬ。井岡委員も言われたように、修正すべきだ、大事なところだ、これがないとはいかぬじゃないか、こういうふうに井岡委員も言われましたが、私も全く同意見なんです。この点について、この字句がないということについては私は全く不可解でならないわけです。ひとつ責任ある答弁次官からお願いしたい。
  74. 佐藤文生

    佐藤(文)政府委員 私の聞きましたところを申し上げますと、原局が立案をいたしまして、法制局と協議をし、立法措置をいたしました。私はその政策過程で相談を受けました。その過程で、事務次官会議、政務次官会議でこの問題は一切原案どおり、何らそこで削除をするとか、そういうことは聞いておりません。  そこで、この港湾法改正の内容について予算折衝の過程で私が痛感しましたことは、経済的にバランスのとれた施策をやっていくという上において、一歩進めて港湾法の内容を改正して、そうして先ほどから質問がありましたとおりに、一定の基準から非常に疎外されたような地方のペンペン草のはえているような港湾でも、あるいは重要港湾でも、ある一定の基本計画をきめて、そうして安全に、しかも海水の汚染に対しての積極的施策をとり、しかも環境の整備のために積極的な施策をこの法案の中に盛り込んであるという内容を見まして、私は、バランスのとれた経済政策の上に立った港湾法改正でもあるし、また公共福祉にかなった積極的な内容の法案をつくり上げたものと考えまして、私はこの港湾法改正について原案どおり賛成をして内部の仕事を進めたわけであります。
  75. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 原案原案段階でこれがあったということは港湾局長が言っておるのですよ。それを政務次官は御存じないのですか。
  76. 佐藤文生

    佐藤(文)政府委員 私は聞いておりません。
  77. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それは港湾局長が一九ページの三段目の七行目に言われておる。「確かに私ども原案原案というような段階でこういう字句が入っておったことは事実でございます。」これはうそでございますか。政務次官が知らなかったといっても、政府委員である岡部港湾局長原案原案という段階で入っておったと明確に言っておるのですよ。政務次官たるものが知らないというのはおかしいと私は思うのです。原案原案段階で入っておった、間違いなくこう言っておるのです。政務次官の御答弁を願いたい。
  78. 佐藤文生

    佐藤(文)政府委員 原局で素案をつくった際におけるその素案の内容までは政務次官は存知いたしておりません。素案をつくり上げてさらに一歩前進した案の段階においては私は承知いたしておりますけれども、素案の素案の一番もとである段階においては政務次官承知いたしておりません。
  79. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 しかしそういう経過があったということは当然御存じなければならないし、また大臣もこの間しみじみ言いましたよ。参議院のほうへ出ているので会議録をよく読むことができない。いろいろな会議録を取り寄せて読んでみると、自分の答弁についてもいろいろどうも至らないところもあった、こういった意味の御発言がありました。そういう点から考えて、政務次官もやはり運輸委員会で審議されている事項については会議録ができれば当然のことごらんになるのがあたりまえじゃないかと思うのです。その段階になって、原案原案にこういうことがあったということは事実なのかと港湾局長を呼んでお聞きになるのが当然じゃないかと思うのです。いかがでしょうか。
  80. 佐藤文生

    佐藤(文)政府委員 それは連絡不十分であった点と私の勉強不足もありましたが、ただいま先生の意見をお聞きしまして、そういう討論があったということを知りましたので、あらためて確認をいたします。
  81. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 了解しました。それではけっこうです。とにかく原案原案段階で、あったということをお認めくだすっておいて、ぜひこれを残さなきゃいかぬということについて、私は大臣ともう一度この点を煮詰めてみたいと思うのです。  それから川田河川局次長あるいは矢野漁港部長が言われましたように、河川法にしても漁港法にしても、この港湾法にしても親戚みたいな法案だと私は思うのです。全然山のものと海のものとの違いとは違うのです。やはり関連性のある法案だと思うのです。その中で「公共福祉を増進する」あるいは「国民経済の発展に寄与する」、こういうことがどちらの法律にも目的としてはっきりうたってある。こういう点から考えて、しかもこれを削除する考えなんか毛頭ありませんとお二人の政府委員が言っていらっしゃる。こういう点から考えて、私は関連のあるところの港湾法においてもこれらの字句がないということは、まことに画竜点睛を欠くのじゃなかろうか、仏つくって魂入れずということがありますけれども、そうだと思うのですよ。この点ひとつ大臣が来たらもう一ぺん伺いますが、この点再考してもらいたい、修正をしてもらいたい、私はこう思うわけでございます。そこで川田河川局次長と矢野漁港部長、お引き取りいただいてけっこうでございます。  次に移りますが、第二条の五項の九というところがあります。この関係資料の法律案新旧条文対照表のほうの三ページのところでございますけれども、そこに港湾公害防止施設についての定義がございます。このように公害防止のための施設を定義し、施設することはまことにけっこうなことだと私は思うのですが、そこで肝心のことが抜けていると私は思うのです。それは港湾汚濁の現状からして——汚濁させないための施設も必要でございますよ。ですけれども、最近のモラルの低下から見て監視体制の確立が必要じゃないかと私は思うのです。この監視体制がここには書かれてないわけですね。これはどうもいろいろ聞きますと、やはりこの監視体制というものはあったように聞いているのです。  それからもう一つ、その次のページですが、十の二というところがあります。ここにも港湾管理施設について規定されておりますが、原案ではこの中に公害監視施設があったわけなんです。それもどうしてなくなったのか。一番大事なものが二つなくなっているのです。この点についていかがでしょうか。
  82. 岡部保

    岡部政府委員 ただいま先生指摘になりましたいわゆる公害監視に関する施設と申しますか、そういうものが港湾施設の定義の中に入っていないということで、第二条五項九号の港湾公害防止施設の中にいわゆる公害を防止するという施設ではなくて監視の問題も入れるべきではなかろうかという御説があったわけでございます。それから十の二号で公害の監視施設と申しますか、監視所と申しますか、そういうものが原案にあったのがなくなったのはどういうわけかという御説かとも存じます。  先ほどもありましたように私どもの素案でございますが、私ども考えておりました素案には、ただいまの御説の十の二というところには確かに公害の監視所というような字句を明記してございました。それから十四号の港湾管理用移動施設というほう、ここで清掃船、通船というのがございますが、そちらのほうに水質の監視船等のものを、いわゆる公害監視船というものを書いたらどうかという考え方でございました。これは原案のときにそういうものを書いていろいろ各省と折衝などいたしたわけでございますが、これを港湾施設としていわゆる港湾管理者がやはり公害防止、特に水質が中心かと思いますが、こういう公害防止に対してこういう監視をするということは望ましいことであると思いますが、ここに「公害監視船」あるいは「公害監視所」というような字句を入れること自体が公害の監視というものを何かすべて港湾管理者がやるように見えるのではなかろうかというような疑義が出ました。そこで、これはたとえば公害監視船、いわゆる港湾区域内の水質を監視するというような意味の問題は港湾管理者としても業務として当然やるべきだと思います。そのようなものは、この「港湾管理用移動施設」の中で読めるのだという解釈で、特にここで例示をするというのをやめたというふうに私どもはこの表現をしているわけでございます。
  83. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 港湾管理者の領分、それともう一つは海上保安庁の領分、もう一つは公害防止、港湾公害除去という立場からの環境庁の領分、私はこの三つの領分があると思うのですね。その公害監視というのはだれの役目かというと、この三つの中のだれかがやらなければならないことなんですね。これは一体だれがやるべきなんですかな。いま言うように、公害防止、港湾公害除去という立場からいえば、私は環境庁が大きな網をかぶせるのではなかろうかとも思います。それから、そこへ野村長官が見えておりますが、公害たれ流し、いわゆるタンカーの廃油のたれ流し、こういったものの監視に当たるところの海上保安庁の責任なのか、あるいはまた港湾の環境保全、水域の清掃、廃油の除去、廃棄物の埋め立て護岸管理運営、こういったものをやるよろにこの法案の中で示されていますな、港湾管理者の業務として。一体この三人の中で、この公害監視というのはだれの役目なんですか。まず野村さんひとつお答えになってみてください。
  84. 野村一彦

    ○野村政府委員 お答えいたします。  公害の監視という意味でございますが、これは広い意味、狭い意味、いろいろあると思います。私ども海上保安庁といたしましては、海上保安庁法に定められました海上保安庁の権限及び責任というものに基づいてやるわけでございますが、それは先生御案内のように、「法令の海上における励行、」それから「海洋の汚染の防止」というようなことが書いてございまして、そうして海上における、つまり一切の法令を励行する、そうしてさらに違反があったならば、その違反を犯罪として捜査をする、そういう任務を持っておるわけでございます。したがいまして、いわゆる港湾等におきまして公害その他の発生がありました場合には、発生があるかどうかという事態を見て、これがいわゆる監視にもなるわけでございますが、そうしてそういうものがはっきりした場合、その違反の態様に応じてそれを犯罪として捜査をして、そうして、検挙その他の措置を講ずるということでございまして、私どもはみずから法令の何たるを問わず、海上において行なわれている法令の励行、及びこれの違反の捜査ということを任務としておるわけでございまして、これはひとり公害のみではございません。海上におけるあらゆる法令についてそのような責任と権限を持つ、こういうふうに了解をいたしております。
  85. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 環境庁の宇野計画課長、あなたはどう思いますか。
  86. 宇野佐

    ○宇野説明員 お答え申し上げます。  私直接の担当ではございませんので的確なお答えになるかどうか、ちょっと申しわけございませんが、環境庁といたしましては、水質汚濁防止法の関係あるいは海洋汚染防止法の関係基準の作成ということでは環境庁の所管事務になっておるというふうに存じております。
  87. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そうすると、環境庁は基準の作成だけをするということですね。そうですね。そうして要するに海上保安庁の野村さんは、今後海上における違反があった場合——何も油に限らないけれども、その違反の捜査をする、こういうことだとおっしゃる。そうすると、やはりこれは港湾におけるところの業務の中に書いてあるように、環境保全という立場から港湾管理者がこれらのものをちゃんと設備をすべきではないかと私は思うのです。どうしてそれを抜いてしまったのですか。これは港湾局長ひとつ答えてください。
  88. 岡部保

    岡部政府委員 まずただいまの先生の仰せでございますが、こういう環境保全行政の一次的な責任者は都道府県知事であると理解しております。したがって、都道府県知事がたとえば監視等やるべきであろうと私は考えておるわけでございます。そこで、それじゃ港湾管理者が全然それをやらぬでいいかというと決してそうじゃございません。当然先生のおっしゃるとおり、港湾管理者港湾の状況を十分良好な状態に保つという意味から申しますれば、水質を保全しなければいかぬとかいうような意味での監視というものは当然必要だと思います。  そこで、いま先生がそういうものを省いてしまったとおっしゃったわけでございますけれども、決してそういうものを港湾施設として整備してはいけないということを先ほど申し上げたわけじゃございませんで、そういうのを例示するのが港湾法としてちょっと問題があるということで例示をやめておりまして、実際に当然港湾管理者の業務としてやる範囲においてはそういうものを整備すべきであるという考え方に立っておる次第でございます。
  89. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 ですから、そういうたてまえならば、たてまえとしてはっきりそれを条文の中に残しておけばいいじゃないか。最初はそれがあったのだから、それを何も切ってしまう必要なかった。ちゃんと監視の体制も監視の施設もきちっと置けばいいのだ。それを、いわゆる私どもが勘ぐっていえば、要するに、環境庁、海上保安庁、港湾管理者のなわ張り争い、そのためについに置くことができなかったというのが真相だといわれているのですよ。これは私の言い過ぎかもしれません。言い過ぎだったら取り消さないといかぬと思いますけれども、そういうなわ張り争いのために肝心な監視体制にしても監視の施設にしても置くことができなかった、ついにそれを切ったのだ、こういう私は話を聞いているのです。そういうことがあってはならぬと私は思うのです。これは一番必要なことではないか、こう思うのです。  もう一つ、さっき局長が言われました第二条の第五項の十四号、あなたさっき先ばしって言ってくれたけれども、十四号の中には「消防船」「公害監視船」、原案にはこれがあったわけです。これがなぜなくなったかというと、これまた同じ理由だといわれているのです。大体この法案は、皆さん方が御審議なさるのをずっと聞いておりましても、御答弁伺っておりましても、列島改造論に刺激されて、何といいますか促成栽培の野菜みたいにぱぱっと短時間につくったような気がしてならない。大事なことを詰めないで出してきたのじゃないか、こんなふうに思われるのです。第一条の目的、これも大きく変更したでしょう。この港湾法そのものが大変革だ。だからこれを直すのだ。第一条の目的が大きく変わった。変えようとしている。ところがそれに対して大臣と事務当局の答弁の食い違いというものがいままでありましたよ、どうも変なところにおいて。この前も答弁の食い違いが浮き彫りされている。こういう点考えますと、この法案によってほんとうに港湾を新しい時代に沿ったところの港湾につくり上げるための港湾行政をきちっとしようというところから出たものか、あるいは単に中央集権的に広域行政で取り上げてしまおうという意図から出てきたものか、まことにどうも不可解な問題があるわけです。私いま伺いました第二条の五項の十四、ここにも「消防船」「公害監視船」、こういうものがあったわけなんです。こういうものがなくなってしまった。  そこでお伺いしたいのは、ほとんどの巡視船艇、これは野村さんのほうの管轄ですが、消防設備を持っておるといっても、そのうちで港湾において消防活動ができる船艇というのは限られてしまうのじゃないかと私は思うのです。特に専門の消防船艇は全国で十隻足らずじゃないかと思います。双胴船のすばらしいのもできました。しかしそれはほんとうにわずかな、東京に一つ大阪に一というような状態でしょう。それ以外のものも老朽化して、性能が低いものもかなりあるわけです。今後港湾においてタンカー事故、火災事故等の多発も予想されるわけです。そうした段階において根本的な対策を講ずるべきじゃないかと思うのです。この面については、いままでも予算の獲得の段階でわれわれも応援したことがあります。いま長官もうなずいていらっしゃるように、事実なんです。それで海上消防機能が現在満足なものであるかどうかという認定、判断ですよ。これは保安長官どう思いますか。現在の海上消防機能が満足なのかどうか、この辺の根本的な対策を樹立する必要があるのかないのか、この辺のところの長官のお話を伺っておきたい。
  90. 野村一彦

    ○野村政府委員 お答えいたします。  現在、海上保安庁といたしましては巡視船艇を三百五隻持っておりますが、この中で化学消防能力を持っておりますのは、いわゆる消防の専用船を含めまして百二十二隻、全体の約四〇%でございます。これを東京湾、伊勢湾それから瀬戸内海というところを重点に配置をしておるわけでございますが、残念ながら船舶ふくそうの現在、またいろいろとタンカーの入港状況その他から見まして、私どもはこの消防能力をもってしては不十分であると思いますので、今後巡視船の代替建造をするときに、すべての巡視船に化学消防能力を持たすということでさらに強化をしていきたい、かように考えております。
  91. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そこで、いまの御答弁でわかるように、私はやはり消防の機能の充実ということは必要だと思うのです。局長、十二条の六のところにありますね。「消火、救難及び警備に必要な設備を設け、」あとのほうは油の問題がありますけれども、この「消火、救難及び警備に必要な設備を設け、」というのは、港湾管理者が設けなければならないというふうでしょう。港湾管理者の義務でしょう。だとしたら、私は港湾管理者自身が独自に消防艇を所有し、管理する埠頭に配備して、その防災に即応できる体制をとる。同時に海上保安庁のほうも消防体制をカバーする、こういうふうに両々相まってやるべきじゃないかと思うのです。当然消防艇をつくるということになれば、多額な事業費が必要だと思います。海洋清掃船同様に、明確に港湾施設として義務づけるべきじゃないか。十二条の六にははっきりと「消火、救難及び警備に必要な設備を設け、」これが港湾管理者の責務としてここへ載っかっている、仕事として載っかっているわけでしょう。だとへたら、いま私が申し上げたような消火の設備というものを除いてしまうということはどうも考えられない。消防船あるいはまた公害監視船、こういうものを除いてしまうということはどうも納得がいかないのですね。どうでしょうか。まあひとつ局長答えてみてください。どうしても必要のないものなのか。何も定義づけなくていいのだ、そのことがわかっていればそれでいいのだということでしょうけれども、やはりはっきり書いてあるのとないのとでは違うんですよ。
  92. 岡部保

    岡部政府委員 先ほどのお答えを繰り返すことになりますけれども、この定義の書き方によってそういうものも読み得るということで、確かにはっきり書いているのといないのと違いがあるかもしれませんけれども、これで私どもは解釈をするという考え方に立っております。
  93. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 政務次官、何べん聞いても同じなんです、局長答弁というのは。もうできちゃった法案をこのまま無傷で通そうということなんですから、政治的な配慮で大臣なり政務次官がそれはいかぬぞ、直そうじゃないかという考えが出ない限り、局長としてそれ以上の答弁はできないと思うのです。いかがでしょう。
  94. 佐藤文生

    佐藤(文)政府委員 私どももこの法案作成の過程で万全の注意を払って、完全なる法案を作成いたしまして御審議を願っているわけであります。いまの消防の問題にいたしましても、私はやはり港湾管理者に、その港湾建設の過程において港湾の中における消防施設、そういうものも含まれておる、こう考えております。したがって、いま先生が言われたところまで含んでの問題について、明確にそれを書かなくてもこれで十分果たせる、こう私は考えておるわけであります。
  95. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 もうこれは繰り返しになりますからやめますけれども、要するに港湾は水の上なんですからね。陸上のほうの港湾施設、上屋であるとかあるいは埠頭であるとか、そういったほうの火災は、当然のこと港湾管理者が陸上を走るポンプを持ってきて消すわけです。しかしそれの場合も、海上保安庁のほうの巡視艇にあるいは消防設備があるならば、沿岸のところまできて、同じように協力して消すのが当然じゃないかと思うのです。あれは陸上のほうだからおれは知らぬぞと海上保安庁いっていられないと思うのです。海の上で起きた事故にしてみても、やはり陸上の施設に延焼を防止する立場から、港湾管理者が当然のこと消防船というものをつくっても差しつかえないと私は思うのです。含まれているからというようなお話でございますけれども、やはり私ははっきり書くべきではないかと思います。これはそこまでにとどめておきますが、そちらでは理解しているのだ、わかっているのだというけれども、これだけの大事な大事なことが抜けているという点、私は重ねて指摘をしておきます。  時間の関係で先に進めますけれども、三ページのところですね、ここにも港湾環境整備をするのだということが示されている。第二条五項の九の三、一番最後。「港湾環境整備施設 海浜、緑地、広場、植栽、休憩所その他の港湾の環境の整備のための施設」をつくろうということになっておるわけですけれども、たいへんけっこうなことだと私は思うのです。具体的にこれはどういう形のものを考えておられるのでしょうか。たとえば横浜港でいうところの山下公園であるとか、あるいは東京湾の海上公園みたいなものなのか、あるいはまた住民のいこいの場所的なものなのか。この機能も当然両方兼ね備えたものだということもいえると思うのでありますけれども、一体どういうものをつくるのかというところが一つ。それからもう一つは、この海岸線を利用するいわゆる遊歩道、こういったものも健康増進の上から必要ではなかろうか、こう思うのでありますけれども、これも除かれたということを聞いているわけです。こういう点は、局長、重ねて同じような答弁になるのじゃないかと思いますけれども、念のために聞きます。どうですか。
  96. 岡部保

    岡部政府委員 まず御質問の第一の緑地と申しますか、ここで申します港湾環境整備施設の中で、緑地等の整備をする施設という点で実例をもって御質問があったわけでございますけれども、私ども考えておりますのは、先生のお考えになっているのとほとんど同じようなものであるかと存じます。たとえば海浜公園であったりあるいは埠頭の中の緑地であったりというもの全部を総称して緑地と考えております。ただしここで、いわゆる都市公園で実質整備のできる緑地、公園と、それからこの港湾法港湾管理者整備するような緑地というものは、現実の姿としてはそんなに変わりませんけれども、両方で整備をあわせてしていきたいという考え方でございます。したがって、常識的に申しますれば、たとえば山下公園のような非常に大規模な都市公園は、都市公園の整備でおやりいただく。ただもう少し規模の小さいものについては、都市公園の手が伸びないならば港湾整備のほうで御援助いたしましょうというような考え方でございます。それから遊歩道等の問題がございましたのですが、これは全く全くどうも先回りして言われてしまったわけでございますけれども、このいわゆる例示の中にあげていないということでございまして、これは実際に整備をしていくものの対象としては考えようという考え方でございます。
  97. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 まあ必要だと思うものがなかなかうまいぐあいに表現されていないところ不満でありますけれども、時間もありませんから先に進めます。  そこで、環境庁の方にも聞いておいてもらいたいのですが、これは運輸委員会のほうの調査室でつくってくれた資料の中にございますけれども昭和四十八年度の港湾環境整備事業、この緑地の造成について港湾管理者から港湾別に要求された事業費についての資料の提出がありました。これです。私これを拝見したのですが、これを見ますと、これは港湾局でおつくりになった原案を整理をなさったものと思うわけですね。ここで総計で二十二億三千五十七万円、こうあるわけです。トータルが出ています。これはもちろん実施案はまだまだの段階のもので、単なる計画だと私は思います。とにかく緑地の補助ということは本年から初めて発足する事業でございますから、まだまだ詰めができていないことはわかるのでありますけれども、ここで一平方メートル当たりの基準といいますか標準といいますか、これをちょっとはじき出してみますと、特定重要港湾九港の合計が十八万三千二百五十六平米で、十一億七千八百万円になるんですけれども、平米当たり六千四百円になる。港湾局長、はじき出していませんか。やっていませんか。重要港湾は二十五港ですが、これが二十五万五千百六十平米で八億五千六百二十万円、平米当たり三千三百円、地方港湾になりますと、わずか四港でありますけれども、四万四千五百平米で、七千四百八十万円、平米当たり千七百円。そうしますと、特定重要港湾が平米当たり六千四百円で、重要港湾が三千三百円で、地方港湾が千七百円、あまりにも格差があり過ぎるように思うのですよ。どうしてこんな格差をつけたのか。港湾というものはずっと北から南まで点在しているわけですよ。なぜこういう格差をつけてこの資料ができているのか。まだまだこれは実施に移すまでにはいろいろ研究されなければならない問題だと思いますけれども、言い合わせたように重要港湾と特定重要港湾地方港湾に格差があるのです。この辺の格差の理由ですな。
  98. 岡部保

    岡部政府委員 私もうっかりしておりまして、いま御指摘を受けて初めてこの事実を知ったわけでございますけれども、実はここに書いてございますように、港湾管理者の要求の港別の内訳でございまして、これは先ほど先生もおっしゃいましたように、いままで例のないこういう要求をひとつ管理者として考えてくれということで、管理者がこれはぜひこういうものをやってもらいたいという要望の出たなまの数字でございます。  それで、この前も御説明申し上げたわけでございますが、四十八年度予算が通過いたしました暁に実施する際にもう少し考え直して、各港湾管理者としてほんとうにどういう事業が必要かというような調査をいまいたしております。実はそこのデータがまだ全部出そろっておりません。しかしながら、どうも要望はここで見ましたよりももう少しふえておるようでございます。現段階ではまだ全部集計が終わっておりませんので、はっきりしたことを申せません。したがって、そこの辺でだいぶ内容的にも詰めてまいったと思いますので、内容的にそういう差が現実にまだあるのかどうか、その辺もチェックいたしまして、ただいまの御意見を十分に私ども参考にさしていただきたいと存じます。
  99. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 実施に至るまでの段階といたしまして、いろいろ検討しなければならぬ面もあると思うのですけれども、とにかくこれは一つの例ですが、東京湾平米当たり九千八百円ですよ。これが同じ東京湾の中の木更津は平米当たり二千九百六十二円、これはもう港湾の格づけが違うといえばそれまでです。名古屋が三千八百五円です。堺泉北が四千八百十三円ですから、名古屋を一〇〇とすれば、堺泉北は一二六となり、二割六分高い。名古屋三千八百五円で、四国の坂出を考えてみると、名古屋を一〇〇とすれば坂出のほうは二十六にしか当たらない。四分の一だ。こういうあまりにも差があり過ぎるという点についてもう少し検討を加えるべきじゃないか。まだまだこれから数字も出てくるでしょう。そこにどれくらいの緑地面積ができ上がるのかということについての試算がありますか。  たとえていいますと、三十八の内港について見ましても、それが実施されますと緑地面積がどれくらいになるのか、あるいは三十八港の臨海地区面積がどれくらいあるのか。これと対比してみた場合に、臨海地区面積に対して緑地面積はどれくらいの割合になるのか、こういったものをやってみましたか。ただ予算はとったけれども、それに対してどうしようというような考えが全くないのじゃないかと私は思うのです。この点どうですか。
  100. 岡部保

    岡部政府委員 緑地整備考え方、こういう計画をマクロ的に見ております際に、私ども考えましたのは緑地率と申しますか、臨港地区の面積に占める緑地の率でございますが、これをどのくらいに持っていく必要があるのかということで、これはパーセンテージだけ本日資料を持ってきておりますが、現在臨港地区の緑地率は〇・二%でございます。ほんのごくわずかであるということでございます。それで、私どもはこれをせめて一〇%に引き上げ、最終的には二〇%程度の緑地率に持っていきたいということを考えております。
  101. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 とにかくいままで港に緑というものを全く考えないでいた。環境整備、緑地造成ということについて何も港湾管理者考えていなかったと思うのです。これから始まることですが、いままでそういったことを全然やってなかった。いまの局長の御答弁で〇・二だというのですね。それを一〇%ないし二〇%まで持っていきたい。その理想はわかりますよ。しかし、木を植えたって一ぺんに育つものではない、菜っぱと違うのですから、やはり計画をもってやらなければいかぬと思うのです。これがいま一番大事なことです。今度法律を変えるというのも、そこいらに大きな理由があると私は思うのです。それを、あまりといえばあまりにもそれに対する計画といいますか計算といいますか、そういうものが粗雑過ぎますよ。私はそういう点についてもう少し——一体どういうふうな木をどんなふうに植えたらいいのだろうか。潮風の吹かない単なる陸地と違うわけです。潮風の吹いてくる陸地に植えるのですから、どういうものを植えたらいいかということですよ。これについて環境庁のほうに——計画課長ですからそれはどうかわかりませんけれども、一体どういうものを植えたらいいかということについて、港湾局のほうからお問い合わせなり何なりがあったですか。そういうことに対してあなたのほうでは研究なさっていらっしゃいますか。港湾に対して植樹をする場合どういうものが適性があるかとか。これも基準をつくるだけだから私のほうは知らぬ、林野庁あたりに聞いてくれと言われるかもしらぬけれども、環境全般に対する行政面を担当する環境庁としては、そういう面に対してもやはり知っていなければいけないのじゃないかと私は思うのです。それはともかくとして、まず港湾局から何か問い合わせでもありましたかありませんか、その点からひとつ……。
  102. 宇野佐

    ○宇野説明員 私のところでは現在のところ聞いておりません。お問い合わせがあったとは聞いておりません。
  103. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 港湾局長いかがですか。そういうものに対してお考えになったこと、あるいは問い合わせなすったこと、あるいは林野庁あたりに聞いたことありますか。
  104. 岡部保

    岡部政府委員 この問題につきましては、港湾事業調査費をもちまして調査をした実績がございます。これは四十四年度に実績調査をいたしました。これは日大の清水教授であると思いますが、日大の先生を中心にして調べていただいた調査報告も出ております。以上でございます。
  105. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 とにかくいろいろの港湾施設を完備充実するということが義務づけられておりますし、やらなければならないことだと思います。植樹の問題にしてもそうでありますけれども、とにかく地方としますと非常に持ち出しが多いと思うのです。財源だけでも大きな負担となると思うのですね。この財源確保のために国としてもいろいろと費用の分担ですることにはなっております。しかし、まだまだこういう面では私どもこれでは不足だと思うわけでございます。  そこで政務次官にひとつ伺いますけれども、岸壁とか桟橋の使用料、こういったものが収入になってるわけです。ですけれども、最近経費が非常に高くなっておりますのでまかない切れない、こういうのが現状だと思うのです。ましてや港湾施設、こういったものを減価償却を考慮した場合において、港湾管理者のいわゆる財政上の赤字といいますか、これはたいへん大きなものじゃないかと私思います。そこで一部法律改正しまして、港湾環境整備施設等を充実しよう、しても必ず財政面で行き詰まってしまうと思うのですね。この点四十八年度の予算、前年度から比べますと増加されていることは事実でございますけれども、事業量からいってまだまだ不十分だと思います。こうした財政状況からいって、いわゆる無収入施設考えられていたもの、防波堤であるとか、航路、こういったものからも対価として港湾法に基づいて一応重要港湾管理者は料率を定めて大臣の認可を経て入港船舶から入港料を徴収する、こういうことになっているけれども、事実はできていないですね。これをどうしても私はやらなければ港湾管理者はまいってしまうと思うのですね。そういう点について、入港料を確立する点について政務次官としてどのようにお考えになるか、要するに財政を十分の潤いをさせるために国の補助だけではとうていやっていけない。
  106. 佐藤文生

    佐藤(文)政府委員 この港湾法改正にあたりまして補助率の改正とか、あるいはただいま先生が言われたようなところから徴収して収入をあげていくといったようなこういう面については非常に重要な面がございます。これはとりあえず今度の港湾法改正は御承知のとおりに基本計画を策定して、そうして緊急やむを得ない措置を一応この港湾法改正で前向きに考えていく、こういうことにしぼりまして、ただいま先生が言われたような問題もいろいろ算定する場合にトン数によってどうするかといったような面についてまだまだいろいろと賛否両論がありますので、これは前向きに将来継続して検討すべきである、重要な課題であると考えております。
  107. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 とにかく地方の港湾管理者としてたいへん財政が緊迫していることはお認めになっていられると思います。そこで、時間も何ですから先に飛ばしていきますけれども港湾法の四十二条によりますと、特定を含めた重要港湾及び避難港においては「水域施設、外かく施設又はけい留施設施設又は改良の重要な工事をする場合には、その工事に要する費用は、国と港湾管理者がそれぞれその十分の五を負担する。」というようになっております。しかし、地方港湾におきますと、四十三条の三項にございますけれども、ここで見ますと四十三条の三号のところに、地方港湾におきましても、「水域施設、外かく施設、けい留施設又は臨港交通施設建設又は改良の港湾工事については十分の四以内」しかも四十三条の中に、「予算の範囲内で、」ということばがあるぐらい、港湾に対しては非常に制約を受けておるわけですね。こうしたことを考えましたときに、地方港湾も重要港湾並びに負担の割合を十分の五にする、こういった考えはないかということなんです。とにかく地方港湾というのは、たいへんな財政的に非常な苦しみを受けていることは局長も御存じだと思う。そういったところから「予算の範囲内で、」あるいは「十分の四以内」というようなことでなく、やはり重要港湾並みにこれを上げるべきじゃないか。そうしなければ、地方港湾管理者は非常に窮屈な思いをする、こう思いますが、どうでしょうか。
  108. 岡部保

    岡部政府委員 ただいまの先生の御説、非常に問題点のある点でございます。私どもたしかこの席でも御説明申し上げたかと存じますけれども、今回の法改正には、こういう補助率の改正の問題は残念ながら織り込むに至らなかったわけでございますが、これは今後とも検討していきたいということでございます。  そこで先生のおっしゃるように、たとえば地方港湾が四割の補助である、それから重要港湾は五割の負担である、こういう考え方が一体どこから出てきたのかという問題があるかと存じます。これは港湾法の制定当時の考え方から申しますと、重要港湾は国の利害の度が強いのである。地方港湾になればなるほどローカル型になってくる。したがって国の利害の関連度が強いものに対しては、国はよけい負担をするのだという一つの発想法でこういう体系ができたということでございます。ところが現段階でその後のいろいろな法律、たとえば離島の問題等で、あるいは北海道の問題もございます。こういうような地域的に高率負担をし高率補助をしなければならぬ問題とからみ合わせてみますと、こういうこと自体が、どうもそのままでいいかどうかという点は確かに問題ございます。そこで私ども先生のおっしゃった、重要港湾地方港湾も全部同じにしたらいいじゃないかというお説でいいかどうかということは、ここで私確と御返事申し上げるだけの自信がございません。しかしこの点については十分検討いたしまして、なるべく早い機会にこういう一つの体制を直していきたいという考え方でございます。
  109. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 大臣、いま御出席になりましたので、いまのお話地方港湾のほうは十分の四以内、重要港湾のほうが十分の五、こういうことになっているわけですが、それは長い期間かかってもぜひレベルを上げたい、こういうふうな局長答弁でございますけれども、この点について大臣やはり同意見でございますか、お認めになりますか。
  110. 新谷寅三郎

    ○新谷国務大臣 ただいま港湾局長から御説明したとおりに考えております。
  111. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 ぜひひとつ地方港湾についても特別の御配慮を願いたいと思います。なるべく早い機会にそれをやっていただきたい、こう思います。  そこで二条のところでだいぶひまかけてしまいましたので、第三条のところでございますけれども、三条の二の2に「基本方針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。」「一 港湾の開発、利用及び保全の方向に関する事項」この「港湾の開発、」ということでございます。その「港湾の開発、」ということは一体どういうことをなさろうとしているのか、この構想を一応お伺いしたいわけです。  そこで時間がありませんから、私ひとつ言ってしまいますけれども、聞くところによりますと、開発のためのいわゆる特殊法人の設立をもくろんでおるということを聞いております。特殊法人をつくって、そこに官僚天下りがなされるという例はしばしば聞いておるわけであります。運輸省だけの例をとりましても、昨年法案審議をいたしました道路運送車両法の一部改正、いわゆる軽自動車の車体検査の実施です。これも車体検査の軽自動車検査協会が設立されました。この最高首脳陣はすでに決定されております。開始を待つばかりとなっておりますが、いずれも運輸省の出身者であります。なお四つの部がありますけれども、そのうち三人までが自動車局の関係者であります。  こういうことを考えますと、どうも役所はいろんな機構をつくりたがるものだ。それからまた現に交通安全対策特別委員会において審議を予定しております自動車事故対策センター、これも交通遺児への奨学資金の貸し付け、損害賠償判決があっても不履行のために泣き寝入りをしている被害者への立てかえ、貸し付け、こうした業務をすることになっております。これも特殊法人を設立するというような話でございます。それから同じ交通安全対策特別委員会に付託になっております船舶安全法改正、これも小型船舶の検査が義務化されることになりますと、モーターボートの安全性の検査や型式証明業務を行なうための小型船舶検査機構というものが設立されなければならないわけです。そうなれば現在運輸省で小型船舶の検査まではとうてい手が回りませんので、これも当然つくられるのじゃなかろうかと思うわけです。さらにまた、当委員会に付託になっておりますところの公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律の一部改正、この案の中にも大阪空港のジェット機騒音の問題を根本的に解決するために、運輸省、大阪府あるいは兵庫県が共同出資でつくるところの第三セクター、この法案は問題法案でございますけれども、これも自民党のゴリ押しであるいは通るとすれば、空港周辺の緑地化、民家の移転、これも四十八年度から十カ年計画でやる、これはたいへんなことです。五千三百億円という事業を計画している。こうなりますと、これも運輸大臣の認可法人だということになります。  こういうふうにいまかかっているものだけを見ましても、とにかく軽自動車検査協会を加えまして、ことしの法案が可決されますと三つの運輸大臣認可法人ができることになります。本法においても、もし開発のための認可法人ができるということになったならば、これまた四つになる。一体これはどういうことになるか。この開発に対してどのような構想を持って大臣はおやりになろうとしておるのか、この点について、簡単でけっこうでございますが、御答弁を願いたいと思います。
  112. 新谷寅三郎

    ○新谷国務大臣 この「港湾の開発」という字は非常に新しい字というわけではないと思いますが、いま事務当局に聞いてみますと、特別の意味を持ったものではなくて、港湾建設という字を使ってもよかったのだけれども建設ということになると非常に技術的な土木工事のような印象を与えるので、「開発」という字を法制局と一緒になって使ったのだということを言っておりますが、そのとおりだと思います。  それから、これに関しまして特殊法人でもつくるのじゃないかという御質問でございますけれども、この問題についてはそういう意図は全然ございませんから、その点御了承いただきたいと思います。特殊法人をつくります場合は、役所が自今でやりますよりもむしろそういう法人に実際の事務をやらしたほうが住民との関係において円滑にいくというような場合に限りまして認めておるのでございまして、これは何も運輸省だけの方針じゃございませんで政府全体の方針でそういうかてまえをとっておるのでございます。しかしこの港湾法改正にあたりましてはそういう意図は全くないということでございますから、御了承いただきたいと思います。
  113. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 開発に対しまして特殊法人をつくる意図は全くないという大臣の答弁でございますので、私も了解いたします。たいへん失礼なことを申し上げましたけれども運輸省、非常にたくさんつくられることは大臣もお認めだと思うのです。そういう点から、この開発ということをあまり勘ぐって考えますと、開発のための特殊法人をつくるのじゃなかろうか、こういうことを思いましたので、たいへん失礼なことを申し上げました。  そこで、三条のほうはいろいろありますけれども、先へ飛ばしまして十二条の二号。ここに沈廃船の問題が出ていますが、港湾管理者といたしましてもこの処理についてはずいぶん頭を悩ましているのが事実じゃないかと思います。運輸省としてもどのように沈廃船の現状をつかみ、対策を考えておられるのか、大臣から方針だけ伺いたい。こまかい点につきましては局長から伺いますから、まずこの対策、方針、ひとつ大づかみに述べていただきたい。
  114. 新谷寅三郎

    ○新谷国務大臣 具体的な問題になるとよくわかりませんから関係局長からお答えさせますが、これは別にここに書いてあるこの字句にえらい特別な意味を持たしたわけではないのですけれども港湾管理者にもこういった仕事を積極的にやってもらおうということで、沈廃船の事務もその中に含んでおるのだということを書いただけでございまして、特別の意図はございません。必要があれば局長からでも答弁させます。
  115. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 意図のことでなくて、沈廃船に対してはどういう対策を立てられるのか、どういう方針で沈廃船の処理をなさろうとしているのか。まず沈廃船の現状もつかんでおらなければならぬと思いますが、そういったことは局長から聞くとして、この対策は一体どう考えるのか、方針はどうなのかという点をお聞きしたいわけです。
  116. 新谷寅三郎

    ○新谷国務大臣 これは仕事としては、いま申し上げたようなことで、港湾管理者にもやってもらわなければならぬということでここに入れましたが、実は予算折衝の過程におきまして、運輸省としましてはこれに関する相当の予算を要求したのですけれども、財務当局との折衝の間にこの予算は今度通らなかったわけです。この問題は各港湾で非常に問題を起こしておることはよく知っております。横浜港とか神戸とかそういう大きな港でも廃船がそのままになって、港湾機能を非常に阻害しているという事実はよく知っておるのでありますが、これについてはわれわれのほうももう少しやり方を——実はこれは本来ならばその捨てていった人たちが自分できれいにしてくれるのがあたりまえなんですけれども、今日になるともうだれがどこへ所有権を移転したのかわからなくなってしまいまして、つまり原因者というのをつかむのに非常に骨が折れるわけでございます。そういう点を考えて、原因者がわからない場合でも国が相当めんどうを見ましてこういったものは処理するような方策を考えなければならぬということがございまして、これはもう少し根本的に関係各省とも相談をいたしまして、これこそ港湾管理をしている人たちの意見も聞きまして、その上で来年度は少し思い切った予算要求をするつもりでいま計画を練り直しておる際でございますから、そういう趣旨で、今度はせっかくこの法律案を出しましたけれども、これに伴って直ちにこの沈廃船についての具体的な処理をいますぐにできないということは残念でございますけれども、もうしばらく猶予をいただきまして、来年は必ずこれは予算化しまして御期待に沿うようにしたいと思っておる次第でございます。
  117. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 大臣、来年はぜひひとつこの問題に対しても積極的にいまの御答弁のようにやっていただきたいと思うのです。  そこで、三月の六日にわがほうの石田委員から質問いたしましたことに局長が答えていますけれども、廃船処理法としての廃棄物焼却施設というのは、現在、大阪と横浜の二港にあるだけだ、こういう答弁がございました。問題はその補助の道が開けた事実であります。しかし港湾管理者といたしましても、この廃船の処理についてはたいへんな費用がかかるということなんですね。この施設を運営管理していくのはとてもじゃないけれどもそろばんが合わない、これが現状じゃないかと思うわけです。横浜の場合でも、調べてみますと施設は横浜市、運営は横浜回漕協会あるいははしけの協会がやっているようであります。処理数にしましても、四十四年百三十隻、四十五年八十九隻、四十六年九十二隻、平均百隻ぐらいの処理数しかないわけです。現在東京、川崎、千葉等から依頼をされているということがございます。しかし、廃船の傾向を見ましても、木造船がだんだん少なくなってくる、そうして鉄鋼船になってきている。しかもまた工事用の鉄製の台船など、こういうものも放置されている。これは、局長も御存じのとおりだと思う。こういうものは埋め立て以外に処理の方法がないと思うわけですね。なかなかこれを解体してくず鉄のスクラップにするということもたいへんでございますし、こうなってまいりますと、廃船処理用の焼却施設というものをつくりましても、つくろうとするそのこと自体消極的にならざるを得ないと思うわけですね。こういったところから考えまして、補助の道は開けたけれども、——やはり、こちらの廃船の処理よりも、問題は沈んでいるもの、沈船の引き揚げというものに対して、この補助があるのかないのか、これが問題じゃないかと思う。おかにあるものあるいはいわゆる岸壁にあるものならば、これは処理が比較的しやすいのじゃないかと思うのですけれども、問題は沈んでいるものです。これに対しては補助があるのかないのか、ちょっとその点を私は聞いてみましたが、疑問な点がございます。四十三条の費用の補助というこの規定が、沈廃船の引き揚げ費用、この引き揚げの処理についても適用をされるのかされないのか、この点をひとつ伺いたいと思います。
  118. 岡部保

    岡部政府委員 ただいまの御質問の点、いわゆる沈船を引き揚げる事業に補する補助、これについては残念ながら補助は認められておりません。四十八年度予算の要求の際に、いわゆる港内の清掃事業の一環として、この予算を要求いたしましたのですが、残念ながら認められるところまでまいりませんでした。私どもとしては、どうしてもこれは補助をしなければいかぬという先生の御説と全く同意見でございますので、今後とも要求をいたすつもりでございます。
  119. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そうなりますと、やはり十二条の二号にございますように「港湾区域及び港務局の管理する港湾施設を良好な状態に維持すること(港湾区域内における漂流物、廃船その他船舶航行に支障を及ぼすおそれがある物の除去」これはいわゆるいまの沈船の除去ですよ。あるいは浮遊物の場合もありますけれども、とにかく除去するその作業に対して補助がないということは、私はこれは片手落ちじゃないかと思うのです。港湾を清掃しろ、港内を清掃しろ、きれいにしろ「水域の清掃その他汚染の防除を含む。)」などと書いてありますけれども、実際問題として、それに対してまるまるの持ち出しです。これでは地方の港湾管理者はまいってしまいます。少なくとも私は、こういうものに対しては、沈船の引き揚げなどに対しては十分の十、全額国庫補助をするべきではないか——顔をしかめていらっしゃいますけれども、そうしかめつらをしないで、あなたが出すのじゃないのだから。とにかく、十分の十の意気込みを持って大蔵省に当たらなければ、とてもじゃないけれども削られてしまうと思うのです。これは大臣、ひとつぜひとも来年は、この沈船引き揚げの費用というものに対して、前向きに要求をして十分の十で、落ちつくところは十分の五ぐらいのところで落ちつけるようにがんばってもらいかいと思うのです。
  120. 新谷寅三郎

    ○新谷国務大臣 沈船の問題は、さっきもちょっと申し上げましたが、これは非常に場所によりすして、港湾のせっかくよい設備をこしらえましても、その港湾機能を阻害することが著しいものがあるわけでございますから、これは何とかして沈船を引き揚げてそれを処理するような方法を考えなければならぬと思います。予算的措置については局長が申し上げたとおりでございまして、今度の予算は非常に中途半ぱなもので、十分でないことは私も御説明申し上げたとおりでございますが、これはできるだけ、やり方につきましてもいろいろくふうをいたしまして、そして財務当局が乗ってくれるような方法で、これはできるだけ私も努力をいたしまして予算の要求をして、そういう港湾機能の障害になっているようなものを取り除くような手段をぜひ講じたいと思いますから、御了承いただきたいと思います。
  121. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 了解しました。ひとつがんばってもらわなければいかぬと思います。  そこで保安庁長官に伺いますけれども、廃船の不法投棄などの取り締まりについてはどのように対処をされておりますか。
  122. 野村一彦

    ○野村政府委員 お答えいたします。  廃船の不法投棄につきましては、海洋汚染防止法の四十三条に、何人も海洋に船舶を放棄してはならないということが、政令で定める例外の場合を除いて規定をしてございます。したがいまして、私どもがそういうものを発見したならば、当然これを法律違反として検挙するわけでございまして、最近におきましても、二月中旬に実施いたしました一斉取り締まりの際に、神戸港におきまして、このような違反十一隻について処罰をいたすべく措置をいたしました。またその後、さらに他の地域におきまして十隻を撤去させておる、こういうことでございますので、要するに海洋汚染防止法に定めます、何人も海洋に船舶を放棄してはならないという条項、これの励行及び取り締まりということを極力やっておりますし、今後ともやりたいと思っております。
  123. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いま保安庁長官が言われるまでもなく、この港湾法の中にも四十三条の八というところに禁止行為がありますよ。ここでも、「何人も、開発保全航路内において、みだりに、船舶、土石等の物件を捨て、又は放置してはならない。」こうあるのですよ。こうありますけれども、なかなか海上保安庁にしても監視体制が十分じゃないと思うのです。とにかく捨てようというほうは、見つからないようにやみ夜に乗じて捨てるわけですから、あなたのほうはそれを取り締まろうと思っても、神戸港で取り締まったようなわけにはなかなかいかないわけです。実際問題とすると、いつの間にか捨てられていて、現場をつかまえればいいのですけれども、現場はなかなかつかまえられないように一方は逃げてしまうわけでしょう。ですから結局は、そうやって捨て去られたものであっても、港湾管理者がこれを除去しなければならない責任があるわけです。ですから私は、十二条の二号でこういう責任をつけているのだから、何としてもこれの費用というものは十分見なければいけない。いま海上保安庁のほうでそういうものに対して除去して、要するに何人も放棄してはいかぬ、こういうふうにいっていて、法律があることはだれもわかっているわけですけれども法律の裏をかくわけです。そうしていつの間にか捨ててしまうわけです。現場でつかまえない限りだれが捨てたかわからない、しりの持っていきようがないのが現状でしょう。結局しりぬぐいをするのがだれかといえば、港湾管理者なんです。だから私は、そういうものに対しては、私がさっき言ったように十分の十の国庫補助をすべきじゃないか。港湾管理者が補助をもらっても、その単価が低いのです。実際問題として単価が低いから間に合わない。実際、十分の十もらっても足りないのですよ。きめられた時点よりも、実施されてお金が出てくる時点にはずっと時間的経過があるのです。いまのようにいわゆる人夫賃といいますか、労務賃がどんどん上がっていく段階では、予算に組まれて、実施されてくる段階においては、単価が低いのですから、その単価を直さなければいけないことが一つと、十分の十もらっても、それで完全に地方の港湾管理者が持ち出しをしないで済むか、そうはいかないのです。こういう状態を十分踏まえて大臣がやっていただかないと、港湾管理者はいつもいつもたいへん苦しい目にあっていなければならない、こういうことなんですから、この点、是が非でもひとつ前向きに、いまの大臣の御答弁にありましたけれども、一そうこれはやってもらわなければいかぬと思うのです。  それから、時間もございませんから先に飛ばしますが、最近、木材の輸入が非常に多くなってまいりますと、沈木の事故があるのです。二年前にも東京港において豊州丸という船のスクリューを沈木によって破損された。しかし、これが一体原因者がだれだかわからなかった。ついに被害者から港湾管理者の責任だといって損害賠償を訴えられた、こういうケースがあったわけです。そうなりますと、この沈木の処理というものはたいへんな問題だと思う。それから、この間の金瀬議員も質問されましたけれども、いわゆるビニールなどの海上の浮遊物です。このためにスクリューにからんでしまって動きがとれなくなってしまう。こういう事態があるわけです。この補助もやはり十分しなければならないと私は思います。こういう意味において沈木に対する処置あるいはビニールに対する処置、こういうものについて、下に沈んでしまえば、金瀬さんも質問で言われましたけれども、下の生物が死んでしまう。中間に浮遊しておればスクリューにからむ。まことに処置ないものなんです。これを全部きれいにするという港湾管理者の苦労というものはたいへんだということをよく知ってもらわないと、国のほうは法律をつくって、そのまま流してしまえばそれで港湾管理者がやるんだというふうに義務づけておる。義務づけておるけれども、かんじんなお金は出さない。それじゃ片手落ちだと私は思うのです。そういう点、もっともっと仕事をやらせるならやらせるように十分なものを出してやらなければいかぬと思います。その点について大臣にひとつがんばってもらわなければいかぬのですけれども、ひとつこの点の御答弁を重ねてお願いしたい。
  124. 新谷寅三郎

    ○新谷国務大臣 海洋でそういう原因がわからないで被害を与えているというような事故がどうも多いのでございます。お話にございませんでしたが、海洋汚染の油のような問題も、ある意味においては同様かと思います。  これに対しましては、港湾関係では、これは責任者も非常にはっきりしておりますので、どうしてもここに書いてありますような方法できれいにしてもらわなければならぬわけでありますから、この点につきましては、今度この法律案が通って施行されます段階で、そういう漏れた点につきまして十分検討いたしまして、必要な予算措置は考慮するように私も考えてみたいと思います。他にもたくさん原因者不明の問題では同じようなケースがあちこちに出ておるのでありまして、こういった問題について基本的にどうするかというようなことを政府としては考え段階にだんだんきておるのじゃないかと思いますので、それらの大きな方針に合わせまして、いまお話しのような問題も処理をしていかなければならぬだろうと私は考えておりますので、結論を申し上げるのをしばらく御猶予をいただきたいと思います。しかし予算的には、いまおっしゃるような意味で、これはだれがやったか知らぬけれども、とにかくそれで被害を受けるものがあることは確かなんですから、それを除去する、除去するについては国はどうしたらいいかということは、きわめてシンプルな考え方ででもわかるわけですから、それについては努力をいたしますということで、きょうはひとつ問題をあとに残しておいて、十分に考慮させていただきたいと思います。
  125. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 この間、三月六日に金瀬委員が触れられた問題でございますけれども、先ほど読みました十二条六号の後段のところに「オイルフェンス、薬剤その他の資材を備えること。」というような義務づけが出ているわけでございます。ここにはっきりこうしたということは、私は一歩前進だと思うのですよ。とにかくオイルフェンスそのものに対しても、この間の金瀬委員の議論でいろいろございましたが、波が高ければ使いものにならないとか、薬剤にしてみてもいろいろ問題があるとか、こうありましたけれども、とにかくこうして義務づけたことはけっこうなことだと思うのでありますけれども、まだまだこれでは不十分な点が多いのじゃなかろうか。単に義務づけといいますけれども、やはり港湾に入ってくる、たとえばタンカーのトン数、隻数、そういったものにマッチしたところのオイルフェンス、薬剤、そういった量をはっきりさせませんと、ただ義務づけて、こういう資材を備えることとありますけれども、一体どれくらい備えたらいいのか、そのおのおのの港湾に入ってくるタンカーの量によっても、それからタンカーの隻数、トン数、そういったものによって、万が一の場合を考慮したならば、やはりこれらの点についての確たる目安といいますか、そういったものを全部考えておかなければ、単にここで資材を備えることというだけでなくて、どれくらいの量を備えたらいいのかということについての目安といいますか、そういったものは港湾局として考えているかどうか。
  126. 野村一彦

    ○野村政府委員 港湾局考えておられる考え方も私ども考え方と同じだと思いますので、一般論として申し上げますが、海上保安庁で指導いたしております場合には、オイルフェンスを備えるべき長さと申しますか、そういうものは大体船の長さの一・五倍ということを基準にいたしておるのでございます。そういうオイルフェンスを備えることを基準にして指導いたしておりますが、ただ先生指摘のように、オイルフェンスの材質、仕様等がメーカーによって違います。したがいまして、相当大幅なオイルフェンスを使わなければならないときは幾つもこれを接合しなければならない、そのジョイントのところがうまくいかぬという問題がございますので、もちろん使用する材質、規格をなるべく斉一にするということが望ましいわけですが、現段階の私どもの指導としては、現在ある幾つかの種類のオイルフェンスのジョイントをうまくやるということを当面の課題としてやるということを研究いたしております。港湾局あるいは港湾管理者においても、こういうような方向でいろいろと具体的な措置を講ぜられるものと考えております。
  127. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いま私が指摘しようと思ったジョイントの問題ですが、大臣、これはもうほんとうに早いところやらないと、せっかくオイルフェンスを広域港湾行政として、千葉にもある、それから東京港にもある、あるいは川崎にもある、そして東京湾の中で大きなタンカーの火災事故が起きた、油が流出する、そういった場合に、各署から、東京湾の中ですから、各港からこれを集めるとしましても、実際ジョイントの結合ができないのですよ。これは保安庁長官が言われましたけれども、至急に手当てをしませんと、宝の持ち腐れになる。せっかくのものを持っていてもだめになる。  それから、いま船の長さの一・五倍と言いますけれども、荷役をしているものは一回に一そうだけで、万が一の場合があったらそれを取り囲めばいいといいますけれども、あるいはその爆発によって近接している船がまた爆発するというようなおそれも、ないとは言えないわけですから、これは私はあり余るほど用意しておいてしかるべきじゃないかと思うのです。それが、こういうところで薬剤その他の資材を備えることというだけで、何らそこにどれだけのものを備えることという規定はないわけです。私は規定しておくべきじゃないかと思いますので、ひとつ研究しておいてもらいたいと思います。  それから私は話を先に進めますが、きょうの新聞に公有水面埋め立て規制の問題が出ております。改正する意思があるように、毎日新聞ですか、出ておりました。これによりますと、いままでの野放しで何でもいいから海を埋めろ、埋めて使えというような促進の方向から規制の方向に変わる。確かに海面をよごすという面からいえば規制すべきが当然と思います。しかし存外、この記事の中でもいっておりましたけれども、飛行場をつくるといったような場合これは非常に大きな問題になってくるだろうと思います。これはおそらく関西新空港の問題がすぐ出てくる問題だと思いますが、これが海を埋めてつくるということができなくなる。そうなってくると、この新聞にもございますように「フローティング工法や大規模な桟橋工法を採用せざるをえないことになりそうだ。」とあります。事実こうなると思いますけれども、問題は私は飛行場の問題よりも、ごみを現在捨てている、これは桟橋の上に積んでおくおけにいかない。やっぱり海の中へ捨てていかなければならない。そうすれば当然よごれるわけです。よごれるわけですけれどもやむを得ない。現在そうやっておるわけです。これを現在認めてきているわけですね。これは確かに基準をきびしくし、しかも環境庁長官に協議権を与えるというような前向き、これはたいへんけっこうだと思うのですよ。ここで岡部さんがこんなことを言っていますよ。「埋立ての野放し状態を規制する必要からだ。」これを提案する理由ですね。「関西新空港問題はこの法案が成立すると否とにかかわらず、自治体や住民の同意を得て進めなくてはならない点に変わりはない」こういう説明があるのですが、ちょっと説明が足りないような気がいたします。補足する点はありませんか。あなたの話が出ているのですよ。「岡部港湾局長」あなたですよ。新聞をこのまま信じておいてもよろしいかどうか。何か言い足りない点があるのじゃないかと思いますので、念のために聞くわけです。
  128. 新谷寅三郎

    ○新谷国務大臣 建設省が主になりまして、この埋め立ての問題についてさしあたり必要な改正案を出したいということは聞いております。われわれのほうも原則的には非常にむずかしい問題が背後にございますけれども、今度の改正案につきましては一応われわれも賛成をいたしまして、近いうちに国会に提案することになるんじゃないかと思っております。しかし特にいま例としてお示しになりました関西国際空港、これは私はそのようには、新聞に書いてありましたようには考えておりませんのでございまして、どういう規模でどういう場所につくるかということは、まだ具体的な答申がございませんから、いまここで関西国際空港について具体的なことを申し上げるのは早いのでございますけれども、新しい埋め立て方法ができましても一切の埋め立てばもう禁止するんだということではございません。でありますから、埋め立てについてのいろんな公害が起こってまいりましょうから、それを防ぐことによりまして、そうしてまた環境庁長官が協議を受けるというふうなことによって環境庁の主管であるいろいろの環境の保全の問題等に支障がないということであれば、海に空港をつくるということも可能であると思っております。  なお、これはあなたよく御承知だと思いますけれども、かりにそういうことになりました場合でもいろんな工法があるようでありまして、私は技術者ではありませんからわかりませんが、いろいろな工事の方法があるようでございますから、そういった点を十分考えまして、関西国際空港というものにつきましてはその埋め立て法の趣旨からいっても認容せられるものであり、あるいは地元の方々からいっても認容せられるものである、そういった方法によりまして、よい場所によい国際空港をつくるための努力をわれわれとしてはしなければならぬと思っておるのであります。それに、これが出たからといって、関西国際空港はいままでの構想でいくともう余地がないんだというふうにお考えになることは、これはちょっといまの法律の提案の趣旨とは違うんじゃないかと私は思っておる次第でございます。
  129. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 時間もございませんから、ちょっと念のため伺っておきますが、要するに関西新空港をいずれどこにつくるか、泉南沖かあるいは神戸沖か、そういったこともきまっていないわけですから、つくるとすれば埋め立て方法ではなくてやはりこういった、要するにフローティング工法とか桟橋工法を採用せざるを得なくなるんじゃなかろうか。どこでおやりになるとしても、埋め立てでおやりになる考えですか。この点はどうなんですか。
  130. 新谷寅三郎

    ○新谷国務大臣 その方法はまだきめておりません。場所もきまっておりませんし、規模もきまっておりませんから、そういう段階できめていくつもりでございまして、極端に申し上げますれば海の中につくろうということも何もきまっておりません。ですから、今後どの場所がいいか、どういう規模がいいかということについて関係の皆さんが、権威者が集まられまして、そうして具体的な方法を答申していただけるものと思っておりますので、この点はその答申がありました段階で、運輸省としましてはどうするかということをきめるのでありますから、必ずしもそれと密接不可分の関係ではないということだけははっきりと申し上げられるのであります。
  131. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 もうそれ以上追及しません。とにかく関西空港のことじゃなくて、いま港湾法のことなんですから追及しませんけれども、とにかくいま海上につくるということも考えていないというような御発言がございましたからね。(「あげ足をとるなよ、きまっていないと言ったんだよ」と呼ぶ者あり)あげ足をとるわけではありませんが、きまってないのですから、海上につくることもきまっていない、陸上につくることもきまっていない、こういう段階だから何とも答えられない、こういうわけですけれども、実際問題として陸上にはできないというのはこれは定説です。そういう点これから十分御考慮の上でのいまの御発言だろうと思うのでありますけれども、本筋に返ります。  それで、四十五条の三のところで「港湾の円滑な運営が著しく阻害されていると認めるときは、」云々と、この「著しく」という問題があったのです。この問題については井岡先生もやっておりますので、私深く追及はしませんけれども、この結論をやはり私は詰めておきたいのです。井岡先生も言われましたけれども、やはり私権の制限になる云々という問題です。覚えていらっしゃると思いますけれども、三月六日のことでだいぶ前になりましたので……。  そこで私はこの滞船等の場合の著しく公共埠頭の運営に支障を来たしている、こういう場合には、やはりそれを命ずることができるとかあるいは指定することができるというふうに直すべきじゃないか、こういう意見は、私も同意見でございます。この点も申し上げておきます。  それから最後でございますが、まん中を飛ばしまして五十六条のところです。五十六条の六に「強制徴収」ということがございます。五十六条の六に「強制徴収」ということが規定されておりますけれども、いままであまり例を見ない規定のように思うわけでございますけれども、前例がありますか、私も法律、不勉強でございますのでよくわかりませんけれども
  132. 鈴木登

    ○鈴木説明員 お答えいたします。  同様の規定は道路法の七十三条、海岸法第三十五条、公害防止事業費事業者負担法第十二条、その辺にもございます。
  133. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでは聞きますけれども、この港湾工事にかかわる処分によって納付すべき負担金をその納付期限内に納付しない場合、これは当然督促状が出る、こう考えております。督促状を出してもなお納付しない場合はどうなるのかといいますと、運輸大臣は、国税滞納処分の例によりまして負担金と延滞金を取ることになっております。しかし事実延滞金がふえるというだけで、延滞金を払えば、いつまでも負担金は払わなくてもいいのかどうかという問題でございます。ほんとうに負担金を払わなかったら一体どういうことになるのか。延滞金さえ払っていれば、負担金は、そのもとのほうは払わなくてもいいのじゃないかというふうにも理解できるわけですね。延滞金はどんどん重なっていく。延滞金だけ払えば、負担金そのものは払わなくてもいいのかどうか。ほんとうに負担金を払わない場合には一体どうするのか。この二点だけ聞いて終わりにします。
  134. 鈴木登

    ○鈴木説明員 お答えいたします。  同条第三項の、先生のお持ちの資料の一番最後のほうに、「第一項の負担金及び前項の延滞金」というふうになっておりまして、負担金も同時に徴収するようになっております。  それからもう一つの御質問であります、具体的に全然取れない場合、たとえば相手が倒産したような場合というふうなことにつきましては、普通一般にこういう国庫の国税の滞納処分の例によりまして数年間置いておきまして、最終的には徴収不能処分にしておるのが通例でございます。
  135. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 計画倒産されますと、これは全然払わなくて済んでしまうのです。いま倒産、そういう事態が起きますと払わなくて済む。これはまずい問題なんです。私のほうも意地の悪い質問かもしれませんけれども、これはほんとうに負担金を払わないで、仕事だけさせて、利用だけさせて、延滞金だけ払っていく、こういうケースも起こり得るのです。いまのように払わなければいけないと言ったって、実際払わなかったらどうするのですか。
  136. 鈴木登

    ○鈴木説明員 強制執行いたします。
  137. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いろいろとまだあるのです。やる気ならまだ幾らでもあるのですけれども、だいぶ飛ばしまして、時間もだいぶたちましたので一応これでやめますけれども、今回の改正案全体について私言えることでございますけれども港湾管理者の権限というものが現行法に比べまして非常に不明確な点が多いと思うのです。第一条の目的の点について大臣がお見えになる前にもやりました。特にきょう大臣のお見えになる前にいたしましたのは、河川法、それから漁港法、こういったものを例にとりまして私申し上げたわけです。いずれにいたしましてもこの不明確な点をはっきりしなければいけない、こう思うわけでございます。  それから今回の目的改正という面を極端な言い方をすれば、地方公共団体港湾管理者としての主体性を全く無視して、国の権限を高めるというか、こういうふうに解釈せざるを得ないわけなんですね。どこまでも港湾管理者としての立場、主体性というものを尊重して港湾を充実させていくべきものと私は考えるわけでございます。したがいまして、港湾法の精神からいっても、最大限に地方自治の主体性を持たせるたてまえから、政府のほうは監督、規制は必要最小限にとどめる方向でやらなければいけない、こう思います。政府考えは広域港湾行政を強化して、自治体の港湾管理権の抑制をはかる、こういうふうに私どもには感じられるわけでございます。この法案そのものに対して、非常に考慮を払わなければならない法案であるというふうに私ども思っておるわけでございます。  いろいろと長いこと質疑をいたしましたが、時間も参りましたので一応これで終了させていただきます。
  138. 井原岸高

    井原委員長 本日はこの程度にとどめ、次回は明四日、午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開くこととし、これにて散会いたします。    午後七時二分散会