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国務大臣(足立篤郎君) 最初の御質問は、永久農地の問題にからんで農地法を廃止するかどうかという御質問でございますが、私は、
日本列島改造論の中に示されている
基本的な構想は土地利用計画をはっきりさせる、これを、場合によれば法律によって規定をして、優良農地はどこまでもこれを温存する、維持する、こういう考え方が
基本になっていると思っております。それでなければ、いま自給率八〇%という
お話がございましたが、そういう高い自給率を維持することは不可能だと思っております。したがいまして、現在のままで、野放しに農地法を撤廃するということは、農林大臣としては考えられません。
御
承知のとおり、いま農業振興地域を逐次指定をいたしておりまして、目標の約半分近くまでいっておりますが、この農業振興地域指定によりまして、優良農地というものを確立していきたいというふうに思っております。ただ、私の気持ちを率直に申し上げると、いままでの農地法が自作農を創設し、維持してきた効果はまことに大きゅうございますが、その反面、農地の流動化を非常に阻止してまいりました。で、そのかわり、いわゆる不動産屋の投機の対象になるとか、スプロール現象が起こるとかいうことは防いでまいりましたので、非常に大きな役割りを果たしておりますが、今度は、農業の中で規模
拡大をやろうとしてもなかなか農地の流動化ができないというような問題がございましたので、今後協業化等を進めるにあたりまして、やはり農地法の一部手直しが必要だというふうに考えておりますので、そうした面で、いませっかく検討をいたしておる次第でございます。
それから二番目の御質問の、農工一体では農村が滅びるだけじゃないかというような
お話でございますが、私は全く逆の考え方をいたしております。やはり工業を農村に導入して、そこに働き口を見つけることによって農外所得もふやしながら、農業問題を解決していくということでないと、他産業並みの所得の増大ということは、これは絶対にはかれないというふうに思っております。
もちろん、地理的に非常に恵まれたところでございまして、たとえば農業
基本法に示されているいわゆる選択的
拡大の面で目ざましい効果をあげてきているところ、たとえば宮崎県でいまSAP運動というのをやっておりまして、先般、
総理大臣の表彰をしていただいたわけでございますが、こうした地域におきましては、酪農とか、あるいは養豚とか、あるいは果樹とか、施設園芸とか、そういう方面に目ざましく
拡大をいたしております。そういうところでは、そういう専業方面に農家の若い人たちがどんどん進んでいく。そうすると、いままでずいぶん手間ひまを食った水田地帯は、基盤整備をやることによって機械を導入しまして協業化をやっていくというようなことが実現できるわけでありますが、そうでない、そういう恵まれた地域でないところにおきましては
——実は、私は静岡県でございまして、私の地元なんかもそうでございますが、工場が入ってくる。近ごろは、町村が窓口になりまして、工場側と事前に十分折衝をして、男性雇用型であるかどうか
——もちろん、公害を発生しないかどうかというだめ押しは十分やった上で、たとえば男性を百人雇用するという形の工業を導入するといたしますと、それを今度は土地改良の中にも織り込めるような法律改正ができましたので、初めから計画的にその工場を設置する場所をきめて、その周辺を土地改良をやり、基盤整備をやりまして、そこに働く人々はそこで所得を得ながら、自分の農地は協業のほうに出すことによって飯米その他が保証される。こういう仕組みを将来実現したならば
——これは農地法の改正を一部やりませんとすっきりは実現できませんが、そういう形が実現してくれば、これはきわめて安定をするというふうに考えております。私の県のように米の自給度三分の一しかないというような県は、逆にそういう方面が進めやすいんですね。
一番困るのは、いわゆる米どころといわれた東北、北陸方面あたりが、なかなか気候風土が恵まれない
関係もあり、交通の不便もありまして、工場などが計画的にきてくれない。そこに私は
日本列島改造のねらいがあるというふうに理解をいたしておりますので、私としては、やはり工業を計画的に導入する。これがただかってに農村をスプロールするような形で工業にどんどん進出されたら、これは農業というものは立っていけません。あるいはコンビナートというような大がかりなものがどかっとくるというような考え方でなくて、その地域に合った規模の工場を導入していく、こういう行き方によって農業問題も解決の見通しがついてくるというふうに信じております。
それから輸入飼料の問題でございますが、御指摘のとおり、いまおもな濃厚飼料は、申すまでもなくトウモロコシとかマイロでございますが、ほとんど
アメリカに依存いたしております。最近は、小麦がソ連あたりの買い付けがありまして、非常に値上がりして困っておるわけでありますが、これが不作のときなどは、当然こういう一辺倒に片寄っておりますと問題が起きますので、私
どもも意を配りまして、最近は、タイあたりからの輸入のシェアもたいへん増加をいたしておりますし、なおインドネシア方面でも、場合によれば
——この間も、インドネシアのマリク
外相その他が見えまして、私いろいろ懇談いたしましたが、
日本から農場の経営に進出してくれないかというような話があります。これはオイルパームの問題でございましたが、同時に、飼料作物なんかも向こうへ民間ベースで、
政府の助成等によって進出して、向こうで多角的にこうしたものをつくって
日本に導入するというような行き方もありますし、御指摘の
中国とも
国交回復の暁は、当然こうしたものが入ってくると思っておりますので、私
どもも多角的にこれを入れることによりまして安定をはかっていきたいという考え方を
基本的には持っておるわけであります。
最後の……