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政府委員(川島一郎君) 登記所の統廃合の問題でございますが、この問題は、
法務省といたしましては、ずいぶん前から何とかしなければならないと考えていた問題でございまして、いま、事務の渋滞とどういう
関係があるかというお尋ねもあったわけでございますが、それとあるいは関連する部分もあるかもしれませんが、それよりも前に、現在の登記所の組織の
基本的なあり方の問題、これと組織のあり方というものを、いまのままではいけないんではないかというところから出発した問題でございます。
簡単に問題を申し上げますと、現在の登記所は全国に約千七百あまりございます。これは明治時代に配置されました登記所というものがそのまま現在に至っていると言っても過言ではないのでありまして、非常に数が多いわけでございます。明治時代に登記所を設置いたしましたときは、交通も不便でございましたし、当時の社会
事情から見まして、この
程度のものは必要であったろうと思われるのでございますが、御
承知のように社会の情勢、ことに道路交通
事情というものが一変いたしました今日におきましては、非常に登記所の数が多いということが目立ってきておるわけでございます。それからまた、その登記所、千七百ございますが、そのうちの千百あまりというものは、
職員が一人か、せいぜい三人――三人以下のものが千二百近くあるわけでございます。こういった小規模な登記所というものは、事務の適正な処理をするについても問題がございますし、予算や
人事の管理の面から申しましても、むだや支障が生じているという実情でございます。さらに、その職場に勤務する
職員の勤務条件というものも非常に悪いというのが
一般でございます。こういう状況から考えまして、もう少し登記所を集約いたしまして、数を少なくする、そして小規模の登記所を少なくすることによって、登記所の体制というものを近代化していこうというのがそもそもの考え方の出発点でございます。その
方針に基づいて、最近問題になっておりますけれ
ども、登記所をもう少し整理統合していきたいという方策を考えておるわけでございます。
いなかの登記所に参りますと、
事件が非常に少ないところもございます。そういうところにも最低一人の
職員がおるわけでございまして、そういう登記所をほかの登記所に持っていきますと、
職員の負担量といたしましては下がるわけでございますので、そういった人員のロスを解消するという面は若干ございます。そういう
意味で、登記所を集約することによって、かえって登記所の事務が全体としておくれる、あるいは不便になるというようなことはないと思うわけでございます。ただ、いかに登記所を集約いたしましても、それによって浮く人員というものはわずかなものでございます。したがいまして、登記所を整理統合することによって人員を浮かそうということはそれほど大きな要素にはなっておりませんで、むしろそれよりも、登記所を整理統合して、そうして
行政官庁としてふさわしいていさいのものをつくって、むしろそこにおける執務体制なり庁舎その他の設備を完備いたしまして、登記行政というものを適正円滑に行ない得るように、そういう形にして国民のサービスをはかっていく、そういう
基本的な考え方に立っておるわけでございます。