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戸田菊雄君 今回、田中内閣が発足いたしまして、アメリカ大統領のいわば顧問制度、キッシンジャー補佐官とか、報道部長の補佐官とか、そういう体制を、たとえば
総理自体としては諮問という形で設定をされましたね。だから、あるいは
大蔵省もそういう立場で、
大臣の諮問ということかわかりませんけれども、そういうことで
理解をするなら、私はもっと
政策的な影響というものは当然持つべきだと思うんです。だから、細見さんが言われているように——どだい細見さんも長年
大蔵省におられて、数年前までは財務官をやり、主税
局長をやり、そういう意味では最高幹部だったんですね。だから、そういう方がいまの制度で顧問ということで置かれるとすれば、当然やはり
大蔵省の企画立案については参画するものという、われわれはそういう意味合いを含めて
理解をしておるわけなんですが、それがどういうことかですね。たとえば
関係職員に影響をしていくのか、
大臣だけにとどまっていくか、参考
意見として諮問程度で終わるのか、これはわかりませんけれども、
あとでひとつ説明願いたいと思うんですが、いずれにしても細見さんが具体的に提案をし、回答をしておることは、今次、第三次
円対策の五項に該当する事項を私はさしていると思うんですが、で、三次
対策の五項というものはどういうものかというと、「
福祉対策の充実」ということをいっているんですね。しかし、今回の対外
経済調整に関する法案の
作成にあたっては、この点は一言も触れられていないですね。それは確かに、関税定率二〇%何品目か下げるということになれば、イコール
輸入体制の単価というものは下がってくるから、当然物価ダウンの
方向に行くだろうという想定はいろいろと立ちます、関連のものですから。しかし、ずばり
社会福祉充実に対するいま
指摘するような
内容について、こう、こういう施策を講じましたよというものは何もない。ところが、三次
対策でどういうことをいっているかというと、「相対的に立ち遅れている
社会資本の整備を一段と
促進するとともに、
わが国が当面する緊急の課題である
国際収支の均衡
回復に資するため、公共事業等の追加を含む予算補正および財政投融資
計画追加の措置を講ずる。」、これは補正予算にやってあることを単に合法化した。後段はそうだと思うんですが、これは私は反対でありますけれども……。次に、「引き続き、今後とも社会、資本の整備、
社会保障の充実、環境保全
対策の拡充、週休二日制」ようやくここで初めて具体的な
内容が出てはきた。こういうものを「強化し、
福祉指向型
経済への転換を
促進する。」と、こうなっている。しかし、今回の補正予算の
内容を一べつしてみると、これは予算
委員会でいろいろ
審議しておりますから私は割愛をいたしますが、そういうわれわれが期待する、ここでうたわれているような具体的施策は補正予算の中にも残念ながらないんですね。ない。じゃ、四十八年度で
一つの目玉商品といわれる年金
関係はどうかといえば、いま四十八年の厚生省の主として老人
対策である年金
対策や、あるいは四歳未満の児童の医療費無料化の問題あるいは重症身体障害、いろんな底辺に苦しんでおるそういった国民大衆が相当おるわけであります。こういう問題について、この間うちの成瀬
委員が、植木
大臣に目玉商品は何かと、こう言ったら、老人
対策だ、これだけは
大臣も答えている。その老人
対策にしても、じゃ年金はどういうことをやられているかというと、わずかにこれは、いま
数字持っていませんが、私の記憶するところでは、老齢
福祉年金について三千三百円を五千円に引き上げる。母子
福祉年金についてこれは四千八百円を六千五百円に引き上げる。それから障害
福祉年金について七千五百円にする、現行五千円を。これだけなんですよ、予算要求の額、厚生省は。こんな
状況でいって、まあ、これは予算
委員会の
審議条項だから私はくどくは言いませんよ。言いませんけれども、厚生省の、大蔵
大臣や内閣
総理大臣が言っているような目玉商品はそういうところに置くんだと、こう言っているけれども、結果的に予算要求に入ってきているのはその程度しかない、やってないんですね。しかし、一方、自民党政調会にいきますと、国民年金は五万円にいたしますとラッパを吹いているわけでありますが、これは全然中身がないんですよ。だから、そういうことで、何か
産業優先化するような
方向だけでの今回の
円切り上げというものをやられていることは、どうも私は、いままで
総理施政方針演説なり植木財政演説なり、あるいは各
委員会での
答弁の
内容がきわめて空虚に感ずるんですね。こういう点、私は、ほんとうの意味で、いま細見さんが——文面として残るんですね、これは少なくとも部内広報や何かじゃないですから、一般社会人にすべて読まれているわけですから。そういう公約すらも破っていくようないまのこの
政府の姿勢についてどうも私は納得いかないんですね。こういう点をどう
一体診断し、ほんとうに実行に移していくわけですか。さっき私は質問いたしましたけれども、
社会福祉あるいは
国際協調、あるいはそうしていままで空文で通過してきたやつを今度は実行しなくちゃならぬという、これが田中
総理が言っている決断と実行だろうと思う。ところが、全然これは四十八年の予算編成にあたってもそういうものが反省をされておらぬ。国民は
一体どこを信用していいかということになるんですね。こういう問題についてどう
一体ほんとうの意味で
理解をしているのか。そうでないと、
委員会の
審議幾ら進めて、その場においてはいい
答弁もらっても、全然中身がないということになれば、国会の
審議というものは
一体どういうことでいったらいいのかということを、これは全く
基本的に考えなくちゃいかぬですね。だから、そういう問題について納得のいくような説明をひとつ
政務次官にお願いしたいと思います。