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説明員(
磯崎叡君) いまの
先生のお話のように、これからやはり新幹線その他に
トンネルが非常に多くなります。これは市街部分では
——町の部分では地下になりますし、そうでないところは大体
トンネルということになるだろうと思います。そういたしますと、いまお話しのとおり、確かに
長大トンネルがふえてまいります。したがって、私どものほうといたしましても、いま実は五キロ以上の
トンネルが、いわゆる
長大トンネルと申して、これが十八ございます。そのうち六つが新幹線、十二が在来線でございます。これらの
トンネル、いままで実はたとえば丹那
トンネルのようなのはもう約四十年近くたってまだ一ぺんもこういう
事故がないというふうなことで、率直に申しまして、私どものほうの
トンネルに対する
考え方が
トンネル内の
火災ということはまあ逃げられるのじゃないか、いま
先生がおっしゃられるように、とにかく走り抜けられるのじゃないかというふうな甘い
考えがあったということは、私、率直に認めざるを得ないと思います。それをごまかして御答弁したのじゃ間違えますので、それを前提として、しからば今後どうするかという、いわば百年たって
トンネルに対する感覚を全く変えてしまうということをどうしてもやらなければいけないと。やはり
トンネルの中である程度
——万が一でも、千万が一でもそういう
火災が起こるということがあり得るので、
トンネルの中のエマージェンシーを
考えなければいけないということを前提として、たとえばいまお話しの青函
トンネル、これは五十キロございます。一体これに、これは換気の問題もございますと同時に、いまの避難の問題、これについてはずいぶん技術者もいろいろかねがね研究いたしておりますし、多少の具体案もいま出ておりますけれども、いずれも非常にむずかしい案でございまして、これはいまの英仏のドーバー海峡でも非常に問題になっておる問題でございますが、いずれにいたしましても、換気
——高速自動車道は大体七キロが最高の
トンネルになっております。それ以上は排気の
関係でドライバーが一酸化炭素にまいりますので、大体高速道路は六キロが最高というふうに承っております。これは排気がございますから、とにかくあそこはもう換気するのだ。そのかわり一たん
火災が起きたらこれはぼっと燃えてしまうわけでございます。そういうその、換気すべきなのか、火が起きたときに換気穴があったのがいいのか、それともないほうがいいのかということは、非常にいまの防災上問題になりまして、いま学者の間でも、かえって換気するとあぶないんだということを言っておられる方も相当おられます。現にあの
トンネルの場合には三カ所ございまして、これはそのために
——たいへん申しわけないのですが
——そのためにつくったというよりも、工事中につくりました斜坑でございまして、斜坑が二本入っております。それから立て坑が一本入っております。それはそのまま残してございます。これは私どもでは、換気と、それから坑内の
作業に入るのに、両端から入るよりも入りやすいものですから、線路保守の
作業などに入るためにそのまま残してございます。今度はそれは実は避難坑の役をいたしておりません。むしろ、それは非常にたいへんな黒煙が、やっぱり外から見た人が、山に斜坑の口がございますから、相当そこからやっぱり煙が出ていたというふうに聞いております。今後たとえば
トンネルのセクションをうんと大きくするとか、あるいは
トンネルのほかにもう一本
トンネルを掘って、そっちはしょっちゅうフレッシュ・エアが、エア・カーテンかなんかにいたしまして、フレッシュ・エアをしょっちゅう通わせる。そうして本
トンネルともう切ってしまう、空気の流通がないように。人は出入りはできますけれども、エア・カーテンでもってシャットしてしまう。そうして細い
トンネルのほうを避難坑にするというふうなことも実は
考えられて、非常にその
長大トンネルの今後の問題というものは、いま実は私どものほうでも数年来いろいろな学者の知恵を借りて勉強いたしておりますが、必ずしもいままでのところ、これなら絶対だいじょうぶというふうなまだ名案が確定するまでに至っておりません。しかし、まあ、いろいろの知恵を借りてやっておりますし、さしあたりは換気がどうしても必要でございます。換気はしなきゃいけない。ただ、燃えたときに、ほんとうにそこに空気を送って燃やしてしまったときに、自動車はばらばらでございますけれども、うちの車はとにかくつながっておるわけでございます。そこに非常に
一つむずかしい点があって、今度の例から申しましても、簡単に切れないということなどもございます。したがって、いま
先生のおっしゃったように、やはり火事の起きた車をかまわないから早く捨ててしまって出てしまうという、きわめて原始的なことになりますけれども、そういうことも
一つの
方法だと
——これは
対策にはならないかもしれませんけれども
——一つの
方法だというふうに
考えられますし、あるいは、中にもっと大型の
消火器を置いて、それを
乗務員が扱えるようにするということも
考えられると思います。しかし、今度の場合でも、むしろ火よりも煙でございました。私、たくさんお
見舞いに参りましたけれども、やけどをしておられる方一人もおられませんで、ほとんど煙でございました。その意味で、火事と申し上げますよりも、やはり煙でございますので、
対策が非常にその意味ではむずかしいことになるかと思います。あのとき、いろいろあとから調べますと、煙の筒になって、三百メーターぐらいの煙の筒になって、それが
列車が入るたびにこっちへ動いたり、こっちへ動いたり、煙の筒が動いているわけでございます。ですから、ある時間帯に、
今庄口が非常に楽に入れた、そのときは
敦賀口が非常に苦しかったというふうに、長さ三、四百メートルの筒状になりました煙がこうずっと移動しておったように
——それはまあ学問的にもそういうふうになるそうでございますけれども
——そうなりますと、なかなか簡単な
対策ができるかどうかわからぬ。まず第一に、やはり火を起こさないことがまず第一だと思いますし、これはもうあらゆる消防の方のお知恵も拝借いたしまして、不燃
車両については全力をあげますけれども、しかし、万が一にはやはりこういうことがあると思いますし、かりに
乗客がそういうものを持っておられて火事になるということもないわけじゃございません。そういうことで、もう
長大トンネルの中のエマージェンシーを防ぐという前提でいろいろ
考えているわけでございます。
実はこの間の千日前の
事故がございました。私どもあれを聞きましてすぐ
心配になりましたのは、やはり
トンネルと私どものほうの大きな地下駅でございます。東京の地下駅、これは地下五階、東京駅がいま使っておりますが、これはいま消防庁の方にずいぶんいろいろアドバイスをいただきまして、いま日本で
考えられる最大の消煙、
消火設備をつくってみたわけでございますが、これも
長大トンネルを使う第一歩として実はやったんでございますけれども、それも今後それをどういうふうに長い面に及ぼしていくかという点についてまだまだ残念ながら研究、勉強の余地がたくさん残っております。しかし、とりあえず、いまさしあたりはとにかく
消火器、相当大型の
消火器で、しかも、しろうとで操作できるような大型の
消火器をとにかく設置する。それからマスクでございますが、このマスクも、
先生もよく御承知のとおり、なかなか一酸化炭素向きのマスクとそうでないマスクといろいろ種類があるようでございまして、しかも、普通のマスクは大体三十分か一時間ぐらいしかもたない、すぐチャージしなきゃいけないというふうなこともあるようでございます。それらについてももっともっと勉強いたしまして、しかし、とりあえずマスクとそれから
消火器、これはもう全
長大トンネル全部備えつけるということにいたしました。
しかし、その他、これはちょっと御
質問外になるかもしれませんが、
無線は前と
うしろ、生きております。
連絡できております。つまり、
車掌と
機関士は
トンネルの中でございますれば
無線で
連絡いたしてやっております。ところが、
トンネルの中の
無線が外の駅につながっていないわけでございます。それは普通の電話でやっているわけでございます。ですから、通信がどうしても二段になっておる。今度は、何とかその
トンネルの中の
無線を駅でもってすぐ傍受できるように
——これも多少の時間がかかる、まあ一、二カ月かかると思いますが
——これは何とか至急やはり
長大トンネルに布設いたしまして、すぐじかの
情報がわかるようにしたいというような
——こまかいことになって恐縮でございますけれども
——そういう具体的な問題について、いまとりあえずの策として五つか六つの具体策を
考えまして、とりあえずきのう、おとといのうちに決定いたしまして実施いたしたわけでございまして、
先生のお話の根本的な
長大トンネルの排煙問題はもう少しやはりどうも勉強しないといけないんじゃないかと、まあ、非常に率直に申し上げて、あれでございますけれども、そういうふうに思っております。