○国務大臣(
佐々木秀世君) 伊部先生の御
質問に具体的にお答えする前に、一言おわびを申し上げたいと存じます。
このたびの
北陸本線のたいへんな
事故が起きまして、多数の
死傷者並びに
負傷者を出しましたことにつきましては、何と申し上げてもおわびの申し上げようがございません。その
責任者の一人といたしまして、常に運輸問題を御心配くださいます
委員の皆さま方に心からおわびを申し上げる次第でございます。
また、なくなられました
方々に対しましては、私、
委員会の開会中ではございましたが、さっそく
現地に参りまして御冥福をお祈りするとともに、たくさんの
負傷者の
方々に、できる限りの方方とお会いいたしましてお慰めを申し上げてまいった次第でございます。
時間をとりませんで、ごく
——留守をいたしたものですから、
委員会に出なかったという
責任がございますので、
現地に行きましたごく簡単な御
報告を申し上げたいと存じます。
六日の午後四時の新幹線で参りました。ちょうど
ハイジャックの問題が起きておりましたので、
お客さんが三台のバスに乗り移ったという
報告を聞きながらほっといたしましてすぐ
現地に向かったのであります。しかし、まだ飛行場が平常になっておりませんでしたから新幹線を利用いたしました。
現地に着きましたのは夜の八時でございましたが、できる限り遺体の安置されておりまする場所に参りまして、お参りが済みましたのは夜中の三時ごろでございましたが、遺族の
方々に心からおわびを申し上げ、お参りをさせていただいたのであります。次の日は、大体、
敦賀と武生の各
病院、
敦賀は六ヵ所、百三十九人、武生はまたこれも六ヵ所、百三十四人、合計二百七十三人の比較的重い
方々に一人一人お会いしておわびを申し上げてまいりました。また、いろいろな
方々の多数の御協力によりまして、どうやらこうやら救出のほうは、十分とは申されませんが、消防とか
警察とか、あるいは市役所とか、こういう
方々のたいへんな御協力をいただいたそうでありますから、この方面にも十分お礼を申し上げまして、昨日十一時五十分羽田着の飛行機で帰ってまいりました。留守中、
政務次官をして現状を皆さま方に御
報告申し上げたということを承りましたが、以上のような私の行動によって
委員会を欠席いたしましたことを心からおわびを申し上げます。
ただいまの御
質問につきまして、確かにこれからの
トンネルということにつきましてはたくさんの問題があると私も考えます。また、現場も見せていただき、すっかり焼けただれた
食堂車のあの現物も見てまいりました。
お話のように、もちろん
トンネルの中の
事故でありますから悲惨きわまりないものがあります。同時にまた、あの
火災が起きた中で停電したということについては、これはその被害をほんとうに大きくしたということはもう
お話のとおりであります。
それで、停電したということについていまだに私納得がいきません。現場に行きましてどうして停電したんだということをいろいろと探究してみましたけれ
ども、食堂の上の電線が焼けて溶けたんであろうというようなこともありますが、私はどうしても納得がいかない。私は私なりに学校も電気のほうをやったものでございますから、上の屋根が抜けていないのに、上の屋根のあんな薄い鉄板が溶けていないのに電線が溶けるなどということは納得がいくわけがありません。しかし、現実に停電したのでありますから、十三・数キロのあの
トンネルの中を被害を受けた
方々がどんなにかはいずり回ってお困りになったろうということを想像するとき、この停電というものを徹底的に究明しなければならない、こういうように痛切に考えて帰ってきた次第でございます。
しかしながら、これからの新幹線の建設等につきましては多くの
トンネルが必要となるんじゃないか
——お話のとおりであります。あるいは
都市交通などにおきましても地下鉄などという問題を考えますと、この隧道交通を無視してはこれからの交通というものが解決できないのではないかということを考えますならば、このいわゆる教訓を生かして、
トンネル交通というものに対する徹底的な究明と、新しい技術をここに投入いたしましてこれからの交通
対策を講じなければならないんじゃないか、こう考えるものでございます。私は、そういう技術部面のことに安易なような
意見を差しはさむことはできませんけれ
ども、あらゆる知恵をしぼって今次のいわゆる原因と将来の
対策を講ずる覚悟でございます。
ただ、この問題につきまして、御
意見のありましたいろいろ
責任者の問題、あるいは具体的に申しますと
国鉄総裁の罷免の問題、いろいろ出ております。しかし、私は何としても、ある一人や二人の人をやめさせるとかどうとかいうよりも、この原因をどうしたらなくすか、こういうことが第一の、現下置かれている私としての
責任でありますから、そのことをまず第一に究明し、そうしていろいろな総体的な問題を含めて考えなくちゃならないのじゃなかろうかと思います。もちろん皆さん
御存じのとおり、
総裁の任命というものは内閣にございますからということじゃございません。私にも
責任が、大いにまた内閣の一人としてありますから、いろいろな観点から総体的にこの問題の、いわゆる再び
事故のないようにするにはどうしたらいいかということから、先決問題を考えて、いろいろな方面の
対策を講じたい、こういうふうに考えております。