○内閣
総理大臣(田中角榮君) 竹入君にお答えいたします。
まず第一番目に、日中正常化と
国民世論の成果について申し上げます。
御指摘のとおり、日
中国交正常化は、
国民世論の強力な支持のもとで
政府が努力をしたから実現したものでございまして、先ほども申し述べましたが、多年にわたって日中関係の改善と交流の促進のために努力をしてこられた方々に対して、重ねて敬意を表するものでございます。
日中共同声明はなぜ国会の承認案件としないかということでございますが、先般の
日中共同声明は、
政治的にはきわめて重要な意味を持つものでございますが、法律的合意を構成する文書ではなく、憲法にいう条約ではございません。この
共同声明につき国会の承認を求めないということでございます。しかし、この
日中共同声明につきましては、事柄の性質上、非常に重要な内容も含んでございますので、国会において十分御審議を願いたいと
考えております。
アジアの平和
構想を確立するため、日米安保を解消し、非軍事的な日米友好条約を結んではどうかという御
発言でございますが、毎々申し上げておりますとおり、日米
安全保障条約は、
日本の安全と独立を確保するために必要なものとして、これを廃棄するとか変更するとかという
考えは全く持っておりません。しかも、日中の
国交回復につきましては、これは日米
安全保障条約というものと関係なく日中の国交の正常化が行なわれたものでございまして、日中の国交正常化が行なわれたから、
安全保障条約を別なものに変えなければ親善友好の関係が保てないというものでは全くないわけでございます。
極東の
範囲につきましても、
台湾条項につきましても、先ほど申し上げたとおりでございまして、これを変更する必要はない、こういうことを基本的にいたしております。
日
中国交正常化の結果、
台湾との問題についての御質問がございましたが、日中正常化の結果、
わが国が
台湾との
外交関係を維持し得なくなったことは御
承知のとおりでございますが、
政府としましては、
台湾と
わが国との間の民間レベルでの交流を今後ともできる限り継続をしていくということを希望しておりまして、これがために必要な処置を講じつつございます。
それから、日
中国交正常化の結果として、日華平和条約は終了したものと認められるので、同条約第三条において予想されていた特別取りきめによる日台間の財産、請求権問題の処理は行なえなくなったのでございます。
それから、
アジアの不安定要因はどこにあるのかということでございますが、これは安定をしておって、すべてをなくするような
状態にないということを申し上げておるのであって、これはよくおわかりになると思います。これはいま平和な方向に向かってはおりますが、
ベトナムにも問題はございます。南北
朝鮮も、
話し合いの機運の中にはございますが、まとまったという
状態でもございません。いろいろな問題があることは、いま日中の国交の正常化ということが行なわれただけでございまして、まだまだ東南
アジア諸国だとか、また、
中国と
アメリカと
ソ連との利益も完全に一致はしておりません。このようなことは十分御
理解がいただけることだと思うわけでございまして、
アジアの不安定要因はこれとこれでございますというように言えるものでないことは、御
理解いただけると思います。
開発途上国に対する援助
政策についてでございますが、これは御
承知のとおり、GNPの一%を主要工業国は援助することになっております。
日本の実績から申し上げますと、もうすでに〇・九六%ぐらいになっておりますので、申し合わせのGNPの一%にはなるわけでございます。しかし、問題は質の問題でございます。
政府ベースの問題が問題になっておりますが、去る日のUNCTADの
会議において、愛知
わが国代表は、七〇年代末を目標にして、この現に〇・二三%である
政府ベースの援助を〇・七%まで引き上げたいということを申し述べたわけでございます。これが実行されると南北問題に対しては非常に大きな貢献ができるわけでございます。実際、〇・七%まで拡大できるのかどうかという
現実問題が議論せられておることは御
承知のとおりでございまして、
アメリカでもGNPの〇・七%
政府援助を行なえるかどうかということでございますから、この問題がいかに大きいかということは御
理解いただけると思います。この〇・七%ないし八%というのが、くしくも
日本の
防衛力に必要な金額と大体同じなのでございます。ですから、水田前大蔵大臣は、〇・七%とやすく言うけれども、
日本の
自衛隊と同じような金額を開発途上国に提供しなければならないというのであるから、これは相当腹をきめてかからなければならないことでありますと、こう述べておるのは、その間の事情を申しておるわけでございます。
そういう意味から申しますと、人のためにもやらなければなりません。
日本は国際的の中で当然信頼される
日本にならなければなりませんし、貿易
中心の
日本でありますから、当然開発途上国に援助もしなければなりませんが、同じように、人にも援助をしなければならぬが、自分の生命、財産を守るためにもこの程度の金は使わなければならぬ、こういうことにもなるわけでございます。(
拍手)そこらをひとつ、
日本の
防衛費とこれからの国際的援助という問題とのバランスを
考えると——バランス問題じゃありませんが、やはり真剣に検討すべき民族的課題である、こう思います。(
拍手)
自主・等距離・中立
外交のお話がございましたが、
アジア諸国との中立、平和、連帯のための
構想、
アジア太平洋平和
会議というようなものの提唱についての御
発言がございました。
わが国は、
政治信条、社会体制のいかんにかかわらず、すべての国との友好的関係を維持してまいりますが、そのことが即等距離・中立の
外交とはなり得ないのでございます。あくまでも自主
外交でありますが、構造的に見ても、量的に見ても、
わが国の
平和外交は自由
主義陣営の一員として、これと密接な関係の上に立って進めることが、より効率的であると
考えておるのでございます。その意味で、
アジア太平洋地域において平和な国際環境づくりのための提案がなされるならば、これを十分検討するにやぶさかでないということで御
理解をいただきたい、こう思います。
日ソ平和条約交渉につきましては、先ほどもお答えをいたしましたが、すでに開始をされており、去る日、
大平外務大臣がモスクワを訪問したときに第一回の会談が行なわれ、第二回会談以後は来春を期して行なわれることになっておるのでございます。なお、御指摘がございました四つの島々、歯舞、色丹、国後、択捉、この四島につきましては、これは
日本人の悲願であります。でございますので、御指摘のとおり、この四島の祖国復帰を前提としてねばり強い交渉を続けてまいりたいと存じます。御声援のほどを切にお願いをいたします。(
拍手)
朝鮮問題についての御
発言がございましたが、これは、現在の時点としましては、南北
朝鮮の対談ということを特に歓迎をいたしておりますということで御
理解をいただきたい。
それから、
緊張緩和のもと、四次防というのは撤回しなければならないじゃないかということでございましたが、これは先ほど申し上げたとおり〇・七%。GNPに対する金額でございます。これと匹敵するものでございますし、この四次防というものは、三次防と比べてみると非常によくわかるのでございます。これは三次防の事実上の延長でございます。四次防の初年度であることしの
防衛庁の費用が八千億でありますから、これを五カ年間そのまま延ばすと五、八の四兆円でございます。それに六千三百億円というものをまずおおよそのめどとして付加しておるということでございまして、内容をしさいに見ていただけると、これはもうこの程度のものは最小限必要であるということが御
理解いただけると思いますし、この程度のものを持っていることで、
アジアの国々が
脅威を感ずる、そんなことはありません。そんなことは絶対ありません。
なお、なぜこれほどの軍備
増強をするか、
日本に対する
脅威の実体とは何かとか、自衛力の
限界を示せ、
兵器国産化は産軍複合体の危険がある、兵器輸出禁止法をつくったらどうか、こういういろいろな御指摘をいただきましたが、
わが国国防の基本方針は専守
防衛を旨とするものであり、四次防は、
アジアの
緊張を高めるような軍拡や軍備
増強の
計画では全くないということは先ほど申し上げたとおりでございます。現在、
わが国に対する差し迫った侵略の
脅威は存在せず、
わが国をめぐる
情勢は好ましい方向に進んでおります。しかし、限定的な武力紛争の生ずる可能性を否定することはできないということは、先ほど申し上げたとおりでございます。四次防は、
わが国が自衛のために必要とする最小限の
防衛力を
整備していく過程のものとして策定したものでございまして、
防衛の
限界を定めなければ
計画の立案ができないという性質のものではないわけでございます。
しかしながら、
わが国の
防衛力は、一次防以来の各
防衛力整備計画によって逐次充実されており、今後どこまで伸びるかという問題に答える必要はあると思いますので、おおよそその
整備目標を検討するよう
防衛庁に指示をしてあるわけでございます。
それから産軍複合の問題でございますが、
わが国の
工業生産に占める
防衛生産の比率はわずかに〇・四%でございます。そういう意味から
考えまして、まあ飛行機等の別な部分は別でございます。
防衛庁
生産以外にない飛行機のシェア等は別にしまして、
防衛生産と純
工業生産というものとの比率を
考えると、〇・四%というものであって、
世界各国等の例に徴してもこれが産軍癒着というようなものでないということはもう申すまでもないのでございます。(
拍手)
それから、兵器輸出禁止法案というものの提出ということは、間々問題になっておる問題でございますが、兵器は輸出しないという三
原則を十分守っておりますので、その後、法律案として必要があるかないか、これはまた
状態を見てまいらなければならない問題だとして御
理解をいただきたいと思います。
政府は、
沖繩国会の決議に基づき、基地の整理縮小に取り組むべし、御指摘のとおりでございまして、過去長いことかかって、皆さんの御
協力も得て、基地はだんだん整理縮小、合理化の段階になっておるわけでございます。この後も整理統合につとめてまいりたい、こう思います。真剣に整理縮小のために関係各省で検討し、また米軍とも相談をしてまいりたい、こう思います。
それから
経済政策の問題についてでございますが、まず、
経済政策の根本的な問題を申し上げますと、いままでは確かに御指摘のとおり
生産第一
主義といわれてもやむを得なかったんです。それは、三十年代の
国民所得の
状態や
国民総
生産の
状態を見れば
数字的に明らかでございます。初任給八千円などという問題が国会で大きく問題になったのでございます。まず
生産を上げ、
給与を上げなければならない、こういう大きな大前提がありましたので、
国民所得増大のためには、やはり
生産を前面に押し出さざるを得なかったわけでございます。しかし、その結果、ようやく
国民所得は
西欧諸国と比肩するような
状態になったことは御
承知のとおりでございます。そういう意味で、
生産については
生産第一
主義から
生活第一
主義に、重化学
中心工業から知識集約的な工業に移らなければならない、こういうことを
政府は大きく
国民の皆さまの前に押し出しております。ただ、そういう過程における社会福祉の問題は西欧に比べて非常に少ないじゃないか、そのとおりであります。
社会福祉というのはどういうことかというと、まず
国民所得を上げることが第一であります。その次には、生きていかなければならない、
生活していかなければならないという前提に立つ社会資本の不足を補い、われわれの
生活環境を
整備をするということが第二なのであります。そうして第三は、必然的に社会福祉の拡大へとつながっていくのであります。われわれは、しかし、いま第一の
国民所得の平準化というものをなし遂げつつございますが、まだ自分の家の問題やいろいろの問題とあわせて
社会保障を向上せしめておるのであります。その意味で、社会的蓄積の多い
西欧諸国に比べて、いま
社会保障費が低廉であるということは、いままで事実でございますが、今度は先ほどから御指摘にありますように、国際収支も黒字でございますし、ようやくわれわれもこれから本腰を入れて
社会保障と取り組めるような前提ができたというのであります。成長を確保せずして、所得を確保せずして、その前提がなくて
社会保障の拡大ができるはずがありません。(
拍手)
そういう意味で、これから
社会保障の理想的な姿を描き、強力に進めなければなりません。(
拍手)
まず、御指摘がございました、西欧より低いが、西欧並みにするために全力を傾けるかということでございますが、当然のことでございまして、ある時期には西欧を上回るように、地球上の最大の目標に向かって努力を進めなければなりません。(
拍手)しかし、ここで申し上げるのは、
社会保障の拡大は必ず
生産の向上、
国民所得や
国民総
生産のコンスタントな向上というものを前提にしていくから、初めて大きな理想的な
社会保障体制ができるのだということをひとつ十分御
理解いただきたい。
それから
社会保障に対して年次
計画をつくるか。これはつくらなければなりません。ただ、ここで、与野党を問わず申し上げておきたいのは、やはり
西欧諸国の
社会保障を見ましても、イギリスの
社会保障でも
フランスの
社会保障でも、その国の
状態を見まして、必ずしも
日本がそのまままねができるものでないということは御
理解いただけると思います。
日本には
日本に最も理想的な
社会保障が確立されなければなりません。
そういう意味で、私は
昭和六十年展望に立った全国の列島
改造論を前面に押し出し、理想的な青写真をかいて、それを前提にして
社会保障の年次
計画ができ上がるということを申し上げておるのでございますから、まじめに御検討賜わりたいと思います。(
拍手)
それから、老齢
年金の拡充を来年重点的に行なうということは先ほど申し上げましたが、竹入さんは、
年金の引き上げは明年から大幅に引き上げるのではなく、
昭和六十年から実効をあげるのだというふうに御指摘ございましたが、これは明年からできるだけ
年金は引き上げていくということでありますので、この点はひとつ誤解のないように御
理解を賜わりたい。
それから、
公害問題につきまして申し上げますと、
公害は、これはもう
公害を除去するためにいろいろな
政策を行なっておるわけでございます。私は、
公害問題はこの二、三年間急に大きな問題になってきたわけでありますが、先進工業国と比べて
日本は、
制度、いろいろな問題に取り組むに対しては非常に積極的であるということだけはいい得ると思います。ただ、先ほども申し上げましたように、東京、大阪、名古屋というような拠点に過度に集中をいたしておりますのと、
四日市やいろいろな過密な新しい拠点に複合
公害というものが起こっておるのでございますので、このような轍を踏んではならない。いま過密のものは地方にだんだんと疎開をしなければならないし、新しいものは新しい立地によって建設をしなければならない。そして
工場がふえることが
公害の拡散だなどと
考えておることは、もう問題にならない議論であります。(
拍手)それは、
工場をつくれば全部
公害の拡散だという
考えで、もうそれは論議以前の論議でございます。(
拍手)それは
公害基準、
立ち入り検査というようなものを強くすることによって
公害は防除できるのです。また、
公害は防除しなければならないのであります。だから、排出基準をきびしくすることによって、そして
工場法をつくる等によって、環境は
整備され、
公害のない
生産は拡大をするのであります。(
拍手)
また、無過失賠償
責任制度につきましては、民法の過失
責任の例外をなすものでございまして、無過失
責任を典型
公害のすべてに適用するかどうかにつきましては、今後引き続き検討してまいりたいと存じます。
それから、御指摘ございました自動車の排気ガス
規制につきましては、
規制の抜本的強化をはかる方針であり、
昭和五十年度以降、
世界で最もきびしい
アメリカのマスキー法による
規制と同程度の
規制を行なうことといたしております。したがって、自動車メーカーに対しては、その方針に適合する自動車を早急に実現させるよう、今後さらに一そう指導、助成を強化してまいりたいと存じます。
土地問題について申し上げますが、最近の金融緩和を背景として法人による投機的な
土地買い占めが進行しております。このような投機的
土地取引を抑制するため、税制上の処置については現に検討いたしております。
それから、全国の
土地利用に対する基本法をつくれということでございますが、これはもう一日も早くつくらなければならぬのでございます。これは都道府県知事及び市町村長を
中心にして全国
土地利用
計画ができるとすれば、
土地の供給量はぐんとふえるわけでありまして、そういう根本的、抜本的な
制度が
土地問題の最も基本にある
政策でなければなりません。その意味で、全国的
土地利用
計画に対する基本法の制定に対しては、皆さんの御意見も十分しんしゃくをいたして早急に立案をはかってまいりたい、こう
考えます。
それから、
土地投機を行なった法人の利得を制限するようにというような問題、これは税制上の問題について可能な限り措置をすべくいま検討をいたしておるのでございます。
それから、千平方メートル、すなわち三百坪以上の
土地の売買を禁止するという一つの提案、これは提案として
理解できますが、ただ反面、
土地の取引件数や面積から見て、これをやるとすると膨大な機構と予算、人員を伴うという問題もありますので、かかる問題は慎重に検討してまいらなければならない問題だと思います。
それから、道路、公園、学校等の公共用地につきましては、本年の十二月一日から公有地の拡大の推進に関する法律が適用をされ、先買い
制度が施行されるわけでございますので、効力を発すると思います。
土地の保有税等に対しても、いま鋭意検討いたしております。
それから、
物価の問題に対して申し上げますと、卸売り
物価は確かにこの二、三カ月、対前年比上昇しております。ただ、内容をしさいに検討しますと、先ほども申し述べましたように、鉄鋼、繊維、それから木材等でございます。鉄鋼は、カルテルの問題がございますので、このカルテルをどうするのか。これはもう、当然この問題は処置しなければならない問題である。また処置することによって、いまの消費者
物価にはね返っておる面は十分是正できるという
考えに立っております。それから繊維及び木材は海外市況の影響でございますが、これは処置できるという
立場に立っております。しかし、卸売り
物価がいままで
世界に類例のない横ばいを続けておったにもかかわらず、一面ではございますが、このような
状態になっておる現況に徴し、推移を十分注視をしながら適切なる処置をとってまいりたい、こう
考えます。
それから公共料金の抑制、これはもう厳に抑制をしてまいりたいというのが答弁でございますが、ただ問題は、公共料金というようなものは普通から言うと応益負担が
原則でございます。応益負担が
原則であるものを一般会計でまかなうために、市町村のバスや鉄道の赤字を全部一般会計でまかなうために、ほんとうに市町村や国がなさなければならない業病とか重病とか難病とかいうものの患者を全部引き取るようなところに金が回せないというようないろんなものがある。だから、限られた予算の中で効率的に行なうにはおのずから取捨選択をしなければならないことは言うまでもありません。そういう意味で、公共料金の全面的ストップというのは
政治姿勢としては当然貫かなければならないことでございますが、しかし、
政府や地方公共団体が当面して
国民に果たさなければならない
責任というものの中で取捨勘案せられるものであるということは、ひとつ十分御
理解をいただきたい、こう思います。
管理価格の
規制に対して法制化を行なってはどうかという御指摘でございますが、本件に関しては、独禁法等の運用によって十分配慮してまいりたいと存じます。
最後に、調整
インフレの回避の問題でございますが、調整
インフレとは学問的なものでございまして、いま調整
インフレ政策をとるなどということは全くありませんので、御懸念のないようにいただきたいと思います。
円対策は不十分ではないか。今度の国会のほとんどの使命は国際収支対策でございます。この法律も、この御審議をいただいております予算も、ほとんどが円対策、国際収支対策といっても過言ではありません。しかし、去年の七月の七項目、八項目、今度の対策等、相当努力をしてまいったわけでございますが、ほんとうにこれが万全であって、すべての国際収支対策になるのかということでございますが、全力をあげていまの時点において最善のものとして御審議をお願いしている、こう申し述べる以外にありません。しかし、われわれは、四十八年度予算編成に際しても、この国際収支対策というものが、お互いが望ましい
日本、国際社会環境にあって最も信頼される
日本とならなければならないと言っておりながら、この国際収支対策が万全でなければ、すべてが水泡に帰するという
状態でございますので、困難な問題ではありますが、これは両三年の間にGNPの一%以内に経常収支の黒字幅を押えられるまでは精力的に
政策を進めてまいらなければなりません。しかし、自由化や関税引き下げに対しても、たいへんめんどうな問題があります。その意味では、与野党を問わず事実の上に立って御
理解を賜わりたいと思うのでございます。(
拍手)
それから、国際分業や産業調整という問題にお触れになりましたが、これはほんとうに重要な問題、
日本の産業構造そのものをほんとうに根本的に
考えないと、ほんとうの国際収支対策にはならないということは、もう御指摘のとおりでございまして、
政府も在野の英知を結集して、この問題に対しては勉強してまいりたいと思います。
最後に、
政治資金規正法の問題でございますが、成田君にもお答えを申し上げました。
政治資金規正法改正の問題については、政党
政治の消長、
わが国の議会制民主
主義の将来にかかわる重大問題でありますが、幾たびか改正法案が国会に提案され、廃案になった経緯があることは周知のとおりでございます。先ほど申し上げましたが、重大な問題だからもう一ぺん同じことを申し上げておるのです。
これを今日の時点に立ってみますと、金のかかる選挙
制度、あるいは政党の
あり方をそのままにして、これを具体化することにいろいろと無理があることを示しているように思われるのでございますが、お互いがくふうをすることによってはその方法も見出し得るものと
考えられるのでございます。特に現在、政党本位の金のかからない選挙
制度について、選挙
制度審議会が鋭意審議いたしておるときでありますので、このような
情勢を踏まえ、徹底した検討と論議を積み重ねてまいりたいと
考えます。
以上。(
拍手)
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