○今井参考人 主としてパイプライン問題についてお話しする前に、先ほどの先生御
指摘の点について一、二お答え申し上げます。
私は、先ほど用地取得の問題についての関連で、私
どもの全力をあげての建設工事にもかかわらず、どうしても工程が延びてきたというふうに申し上げましたが、これは特に必ずしも代執行を含めての反対運動というだけに私は重点を置いてお話を申し上げたのではないので、先生も御存じのように、代執行終了後におきましても、四千メートル滑走路の北端には農家が一軒残りました。それから、現にいま撤去中でございますけれ
ども、南端には平和の塔というものが、まだ敷地内、四千メートル滑走路のすぐそばに残りまして、これは全く話し合いによってようやく最近片をつけたという状況でございまして、平和の塔が存続する以上は、南側から、あるいはまた北側からのフライトチェックも、どうしても完全にできないというような状態でまだ現在おるわけでございます。私
どもは、農家との話し合いにおきましても、あるいはまた平和の塔側との話し合いにおきましても、私自身直接出向きまして折衝して、ようやく話し合いをつけたという現況でございまして、そういった点も含めて実は申し上げたわけでございます。
それから、その次に外国航空会社の
関係でありますが、これは先生から後ほどお話があると思いますけれ
ども、南棟工事の問題につきましては、現在の外国航空の大体の航空旅客の需給
関係から申しますれば、五十一年度の五百四十万人という国際旅客を想定しての計画でございまして、それが私
どもとして、今年の六月開港を目途とした工事の完成区分というものは、必ずしも南棟については全部をつくる予定では実はなかったわけでございます。北棟だけで十分現在の
羽田程度の航空旅客の消化はできるわけでありますが、しかしこれは、外国航空会社のほうから、南棟のディパーチャーレベルはどうしてもつくってもらわなければ困る、さらにまたバックオフィスについては、北棟から南に移るということは非常に不便だから、あわせてつくってもらわなければ移れないというお話でございました。私
どもも、外国航空会社の御要望に沿うようにしないと円滑な移転ができないというようなことで、南棟部分の建設に実は着手いたしたわけでございますが、そのバックオフィスの
所要面積、あるいはまた中の内装等についてのお問い合わせに対する航空会社の御返事が、やはり本社とのいろいろなお打ち合わせその他あったと思いますけれ
ども、非常におくれて、ようやくこの八月ごろに出てまいった。まだどうしても出てこないというものについては、見切り発車で行こうというようなことで現在ターミナルを急いでおるというような状況でございまして、そういうふうな事情を概括的にお話し申し上げた次第でございます。
またパイプラインにつきましては、御
指摘のとおり、全く私
どもとして不行き届きな点があったことを心からおわびいたすわけでございますが、当初私
どもが考えました点につきましては、成田から千葉までの四十四キロのパイプラインにつきまして、もう
昭和四十二年からパイプライン埋設について、主としてパイプの材質の問題、あるいはまた溶接の方法等についての十分な安全上のいろいろな
措置を
関係方面とお打ち合わせをした上で結論を得まして、埋設工事そのものは比較的簡単にいくのではないかというのが当時の私
どもの想定でございました。これは御
承知のように、私
どものほろにも限られた施設、機械
関係の
職員と、それから土木の
職員がおるわけでございますが、ほとんど全力を空港のほうに投入しておったという状況でございまして、パイプラインについては土木
関係の人たちの所属しない施設部を中心にして実はやっておったわけです。こういう人たちは、パイプの埋設の安全性の問題等についての検討をすると同時に、
関係市町村、成田まで参ります際には、先生よく御存じでございますが、千葉、四街道、佐倉、酒々井、富里、成田という数カ町村の地先を経由して成田へ至るわけでございます。こういったふうなところの御了解を得なければ、用地をかりに取得してあっても埋設はオーケーにならないという現況でございまして、そういうことで、その各
関係の市町村のオーケーをとるために非常にいろいろ努力してまいって、ようやくそれがとれたというのが実は去年の暮れからことしの春にかけての問題でございます。
さていよいよ、空港の中の各施設の工事も大体順調に進んでおる、これで公団の全総力をあげてパイプラインの建設に取り組もうということになりまして、パイプライン建設
実施本部というものをつくりまして、各班に分けて実は工事を始めるということで、初めてそこに土木陣を投入したわけでございます。
そこで、従来私
どもとしては、河川については、先生も御存じだと思いますけれ
ども、高崎川あるいは鹿島川というようなところ、または千葉市の国道十四号線、それからまた総武本線、京成千葉線というようなものも、河川について言えば川幅で、また鉄道についても高架で通していただけるのではないかというふうな、これは御
指摘のように、私
どもが甘いというふうに言われれば全くそのとおりでございますけれ
ども、そういうつもりで実はおったわけでございます。しかし、パイプの埋設については、御
承知のように、パイプライン事業法も通りまして、その埋設の設計、施工については非常に厳重な基準が定められるということになりまして、河川について申し上げますれば、改修計画のあるところが、その改修計画をベースにしてシールド工法でパイプを通すようにというお話になってまいったわけであります。私
どももそういう御
趣旨に十分従って施工しなければならぬということになったわけでございます。そういうふうな
関係で、ことしのごく最近といいますか、瀞の終わりから初夏にかけてのころでございますけれ
ども、技術陣のほうから、とてもたいへんな工事が数カ所あるという問題が起こってまいりまして、私
どもとしても、本年六月というのは、いろいろな
意味で場内の工事そのものも最終的な仕上げの段階に入っておらない段階でございます。そういうことで、パイプラインの問題というものが、空港の建設、開港と非常に大きな問題になってきたというのが現状でございます。