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1972-11-06 第70回国会 衆議院 内閣委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和四十七年十月二十七日)(金 曜日)(午前零時現在)における本委員は、次の 通りである。    委員長 前田 正男君    理事 加藤 陽三君 理事 佐藤 文生君    理事 坂村 吉正君 理事 野呂 恭一君    理事 山口 敏夫君 理事 大出  俊君    理事 伊藤惣助丸君 理事 和田 耕作君       赤城 宗徳君    伊能繁次郎君       奥田 敬和君    笠岡  喬君       菊池 義郎君    近藤 鉄雄君       中馬 辰猪君    中村 弘海君       中山 利生君    葉梨 信行君       古井 喜實君    三原 朝雄君       上原 康助君    川崎 寛治君       木原  実君    土井たか子君       横路 孝弘君    鬼木 勝利君       鈴切 康雄君    受田 新吉君       東中 光雄————————————————————— 昭和四十七年十一月六日(月曜日)     午前十時十六分開議  出席委員    委員長 前田 正男君    理事 加藤 陽三君 理事 佐藤 文生君    理事 坂村 吉正君 理事 野呂 恭一君    理事 大出  俊君 理事 伊藤惣助丸君    理事 和田 耕作君       赤城 宗徳君    石井  一君       海部 俊樹君    金丸  信君       菊池 義郎君    中川 一郎君       中村 弘海君    羽田  孜君       藤田 義光君    三原 朝雄君       山村治郎君    上原 康助君       木原  実君    横路 孝弘君       河村  勝君    東中 光雄君  出席国務大臣         法 務 大 臣 郡  祐一君         外 務 大 臣 大平 正芳君         建 設 大 臣         国家公安委員会         委員長     木村 武雄君         国 務 大 臣         (内閣官房長         官)      二階堂 進君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      本名  武君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 増原 恵吉君  出席政府委員         人事院総裁   佐藤 達夫君         人事院事務総局         給与局長    尾崎 朝夷君         総理府人事局長 宮崎 清文君         防衛政務次官  箕輪  登君         防衛庁参事官  大西誠一郎君         防衛庁参事官  長坂  強君         防衛庁参事官  岡太  直君         防衛庁長官官房         長       田代 一正君         防衛庁人事教育         局長      高瀬 忠雄君         防衛庁衛生局長 鈴木 一男君         防衛庁経理局長 小田村四郎君         防衛庁装備局長 黒部  穰君         防衛施設庁長官 高松 敬治君         防衛施設庁総務         部長      河路  康君         防衛施設庁施設         部長      薄田  浩君         防衛施設庁労務         部長      平井 啓一君         法務大臣官房長 香川 保一君         法務省入国管理         局長      吉岡  章君         外務省アメリカ         局長      大河原良雄君         外務省条約局長 高島 益郎君         建設省道路局長 高橋国一郎君  委員外出席者         運輸省航空局監         理部長     山上 孝史君         運輸省航空局飛         行場部長    隅  健三君         参  考  人         (新東京国際空         港公団総裁)  今井 榮文君         内閣委員会調査         室長      本田 敬信君     ————————————— 委員の異動 十一月六日  辞任         補欠選任   伊能繁次郎君     金丸  信君   奥田 敬和君     海部 俊樹君   笠岡  喬君     中川 一郎君   中馬 辰猪君     山村治郎君   中山 利生君     羽田  孜君   葉梨 信行君     藤田 義光君   古井 喜實君     石井  一君   受田 新吉君     河村  勝君 同日  辞任         補欠選任   石井  一君     古井 喜實君   海部 俊樹君     奥田 敬和君   金丸  信君     伊能繁次郎君   中川 一郎君     笠岡  喬君   羽田  孜君     中山 利生君   藤田 義光君     葉梨 信行君   山村治郎君     中馬 辰猪君   河村  勝君     受田 新吉君     ————————————— 十月二十七日  行政管理庁設置法等の一部を改正する法律案  (内閣提出、第六十五回国会閣法第二八号)  労働省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出、第六十五回国会閣法第九二号)  法務省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出、第六十八回国会閣法第一一号)  航空事故調査委員会設置法案内閣提出、第六  十八回国会閣法第四四号)  防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内  閣提出、第六十八回国会閣法第五四号)  一般職職員給与に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第一号)  特別職職員給与に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第二号)  防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内  閣提出第三号) 十一月二日  法務省設置法の一部を改正する法律の一部を改  正する法律案内閣提出第九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内  閣提出、第六十八回国会閣法第五四号)  一般職職員給与に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第一号)  特別職職員給与に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第二号)  防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内  閣提出第三号)  法務省設置法の一部を改正する法律の一部を改  正する法律案内閣提出第九号)  国の防衛に関する件      ————◇—————
  2. 前田正男

    前田委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についておはかりいたします。  今会期中、国の行政の改善をはかり、公務員制度及び給与の適正を期する等のため、  一、行政機構並びにその運営に関する事項  二、恩給及び法制一般に関する事項  三、国の防衛に関する事項  四、公務員制度及び給与に関する事項  五、栄典に関する事項 以上の各事項について、小委員会設置関係各方面からの説明聴取及び資料の要求等の方法により、国政調査を行なうこととし、議長にその承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 前田正男

    前田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ————◇—————
  4. 前田正男

    前田委員長 次に、内閣提出、第六十八回国会閣法第五四号、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案、並びに今国会提出一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案及び防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案の各法律案議題といたします。
  5. 前田正男

    前田委員長 この際、おはかりいたします。  内閣提出、第六十八回国会閣法第五四号、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案につきましては、第六十八回国会におきましてすでに趣旨説明を聴取いたしておりますので、これを省略いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 前田正男

    前田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  7. 前田正男

    前田委員長 次に、今国会提出給与法律案について、順次趣旨説明を求めます。木名総理府総務長官
  8. 本名武

    本名国務大臣 ただいま議題となりました一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  本年八月十五日、一般職職員給与について、俸給表及び諸手当改定等内容とする人事院勧告が行なわれたのでありますが、政府としては、その内容を検討した結果、人事院勧告どおり本年四月一日からこれを実施することとし、このたび、一般職職員給与に関する法律について、所要改正を行なおうとするものであります。  次に、法律案内容について、その概要を御説明申し上げます。  第一は、全俸給表の全俸給月額を引き上げることとしたことであります。  第二は、医療職俸給表(一)の適用を受ける職員初任給調整手当について、支給月額限度額を八万円から十万円に引き上げるとともに、支給期間限度を三十年から三十五年に延長することとしたことであります。  第三は、扶養手当について、配偶者についての支給月額を二千二百円から二千四百円に引き上げるとともに、満十八歳未満の子のうち二人までについての支給月額を六百円から八百円にそれぞれ引き上げることとするほか、配偶者を欠く職員の子のうち一人についての支給月額を千四百円から千六百円に引き上げることとしたことであります。  第四は、交通機関等を利用して通勤する職員に支給する通勤手当について、運賃等相当額全額支給限度額月額二千八百円から月額四千円に、運賃等相当額が四千円をこえる場合における加算の限度額月額千四百円から月額二千円にそれぞれ引き上げるとともに、自転車等を使用して通勤する職員に支給する通勤手当を、自転車等使用距離が片道十キロメートル未満職員にあっては月額千円、その他の職員にあっては月額千五百円、その他の職員のうち人事院規則で定めるところにより通勤が不便であると認められる者にあっては月額千八百円とすることとしております。  なお、交通機関等自転車等を併用して通勤する職員に支給する通勤手当についても、その支給月額改定することとしております。  第五は、非常勤委員、顧問、参与等に支給する手当支給限度額を、日額九千円から九千八百円に引き上げることとしたことであります。  以上のほか、附則において、この法律施行期日適用日及び最高号俸等の切りかえに伴う所要措置について規定しております。  以上、この法律案提案理由及びその概要について御説明申し上げました。  何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。  次に、ただいま議題となりました特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  政府は、本年八月十五日に行なわれた人事院勧告に基づいて、本年四月一日から一般職職員給与改定することとし、別途法律案を提出して御審議願うことにしておりますが、特別職職員給与についても、一般職職員給与改定に伴い、所要改正を行なおうとするものであります。  次に、法律案内容について、その概要を御説明申し上げます。  第一は、特別職職員俸給月額を引き上げることとしたことであります。その内容を御説明いたしますと、内閣総理大臣俸給月額は九十万円とし、国務大臣等俸給月額は六十五万円とし、内閣法制局長官等俸給月額は五十二万円とし、その他政務次官以下の俸給月額については、一般職職員指定職俸給表改定に準じ、四十五万円から三十八万七千円の範囲内で改定することとしております。  また、大使及び公使については、国務大臣と同額の俸給を受ける大使俸給月額は六十五万円とし、大使号俸は五十二万円とし、大使号俸及び公使号俸以下については、一般職職員指定職俸給表改定に準じ、四十四万円から三十三万五千円の範囲内で改定することとしております。  なお、秘書官については、一般職職員給与改定に準じてその俸給月額を引き上げることといたしました。  第二は、委員手当について、委員会の常勤の委員日額手当を支給する場合の支給限度額を一万八千五百円に、非常勤委員に支給する手当支給限度額日額九千八百円に引き上げることとしたことであります。  第三は、秘書官について寒冷地手当を支給することとしたことであります。これは寒冷地に所在する高等裁判所長官秘書官がこのほど発令されたことに伴い、規定を改めることとしたものであります。  なお、附則においては、この法律施行期日適用日等につき規定するほか、旧沖繩復帰のための準備委員会への日本国政府代表俸給月額大使号俸に準じ、四十四万円に引き上げることとしております。  以上、この法律案提案理由及びその概要について御説明申し上げました。  何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  9. 前田正男

  10. 増原恵吉

    増原国務大臣 ただいま議題となりました防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  この法律案は、このたび提出されました一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案の例に準じて、防衛庁職員給与改定を行なうものであります。  すなわち、参事官等及び自衛官俸給並びに防衛大学校学生学生手当一般職職員給与改定の例に準じて改定するとともに、営外手当についても従前の例にならい改定することとしております。  なお、事務官等俸給扶養手当通勤手当医師及び歯科医師である自衛官または事務官等に対する初任給調整手当等につきましては、一般職職員給与に関する法律規定を準用しておりますので、同法の改正によって同様の改定が行なわれることとなります。  この法律案規定は、公布の日から施行し、昭和四十七年四月一日から適用することとしております。このほか附則において、俸給の切りかえ等に関する事項につきまして、一般職におけるところに準じて定めております。  何とぞ、御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  11. 前田正男

    前田委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     —————————————
  12. 前田正男

    前田委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大出俊君。
  13. 大出俊

    大出委員 総務長官、また人事院総裁、御両所とも、本年の公務員給与勧告また勧告実施をめぐりまして、たいへん前向きに御努力いただきました点について感謝申し上げたいと思いますが、かくて歴史的な懸案である四月一日実施というところまで、人事院の十年の実績の上に来たわけであります。したがって、時間のない国会でもございますから、その件について掘り下げてということは避けたいと思うのでございますけれども、ただ、冒頭に一つ承っておきたいのは、沖繩公務員諸君についての扱いでありますが、法律のたてまえからすると、五月十五日復帰であるからということで、したがって、分けて言うのはおかしいのですが、本土公務員という立場方々は、国家公務員、地方公務員含めて四月一日になる。ところが沖繩皆さんについては五月十五日からになる。これは私はたいへん大きな矛盾であるという気がするのであります。  勧告が出ましたときに、四月一日になったので、沖繩公務員諸君もたいへん喜んでいたわけであります。まして、円・ドル交換の問題その他を含めまして非常に苦労してきた方々でありまして、一例をあげれば、本土の学校、大学に子供さんをやっておる方々などは、三百八円のあのときに、いままで送っていた月額の月謝その他を、ドル建ての計算ですから、とたんに二十ドルから三十ドルぐらいよけい送らなければならぬことになった。私ども現地に行って、皆さんからずいぶん苦しい実情を聞いてきたわけでありますが、本土復帰というのは一体何だったんだと言うのですね。そういう苦労を重ねた方々だから、やはりこの際、沖繩公務員皆さんについては、実質的に四月一日、つまり本土公務員と変わらない措置があってしかるべきである。だから、この給与法提案する以前にそうした配慮があらかじめあって、その上で提案をなされる、これが筋だったと私は思うのです。出てきた法律案をながめてみて、そこで私どものほうから理事懇談会にはかるということになっておるわけでありますが、これは総務長官の所管の立場から見て——きょうは現地皆さん代表団本土に送ってきているわけでありますが、つまりそれも、現地公務員皆さんのいたたまれない心情から出てきているわけであります。まして総務長官は、円・ドル問題をめぐりましても、何らかの措置を別途考えたいという、新任早々沖繩に対してたいへん前向きな御発言をされました。そういう長官立場から見て、これは何とかしなければならぬ問題である、こう私は思うのですが、いかがでございますか。
  14. 本名武

    本名国務大臣 沖繩復帰につきましては、国民の皆さんとともに喜ぶべきことであると同時に、沖繩に勤務しておられた琉球政府時代からの職員方々ほんとうにお喜びであろうと思うのです。それだけに給与をはじめとして諸施策について、諸待遇について関心をお持ちになり、またある意味では、お説のとおり期待も持っておられたと思うのです。特に、八月十五日の人事院勧告によりまして四月一日実施ということについては、確かにお説のとおり、向こうの職員方々のお気持ちを察すると、期待があったとは思っております。思っておりますけれども、もう大出先生承知のとおり、いろいろな給与関係制度は五月十五日をもって切りかえられたとわれわれは承知をいたしております。したがって、現行の制度からまいりますと、本州と同じように四月一日にさかのぼるということはなかなか容易ではないのではないかというふうに考えております。
  15. 大出俊

    大出委員 この五月十五日復帰をめぐって、現職の公務員皆さんが、沖繩方々を、本土給与法のたてまえ、あるいは国家公務員法のたてまえ、あるいは地方公務員法のたてまえで受け入れる。このときに、給与体系がそれぞれ違いますから、どこかで本土給与体系とクロスする点が出てくる。若い方々の場合には沖繩のほうが高い、こういう現象があって、そして消し込み方式などということ——私はこういうことばは使いたくないけれども、高い分を消していく技術的措置をとった。これは長官理屈じゃないのですよ。理屈じゃない。ならば一体、歴代の日本政府は、沖繩皆さんを、もっと早く本土復帰に踏み切るような、四半世紀もほっておかないでなぜそういう措置がとれなかったかということになる。だからこそ、理屈でないことをあえてやって、本土公務員皆さんから見て、沖繩方々が損をしないようにする。それでも損はしておりますけれども、できるだけ心情的に御納得を願えるようにということで、法的措置の面からいけばできがたいことをたくさんやってきた。私も責任者でございますから、知らぬことはほとんどない。前山中総務長官もそこは百も承知で、各省の窓口になって、大蔵省からいろいろ文句を食いながらもまとめてきた。だから、本来ならば、人事院が五月一日勧告をする、これはいままでの経過である。それでも五月一日から十五日までというのは残るのですから。つまり、そういう意味での差別取り扱いをしない、本土公務員並みにするというたてまえで、本来、人事院においても、あるいは総理府においても、勧告にあたってすでに考えておかなければいかぬことなのだ。  つまり、この勧告実施をされれば四月一日にさかのぼるのですから、その以前に沖繩においては給与勧告は出ておったわけです。郵政、電電公社等についても勧告は出ておった。公務員についても出ていた。その扱いも含めて実は復帰にあたってものをきめたのですから、言いかえれば、これは勧告の時期、実施時期の関係があってズレがあったということだけであって、復帰に伴ってあらかじめこの点はきめておくべき筋合いのもの、こういうことが言える。だからそういう意味で、まず一体、これは沖繩公務員皆さん気持ち心情的におわかり願えるのか願えないのか、ここをひとつ明確にしていただいて、おわかりを願えるならば、いま申し上げた理屈があるのですから、四月という時点は、これはもう人事院勧告というのは明らかに、五月になるか四月になるかだけだったのだから、その時点ほんとうは考えておかなければならぬ筋合いで、野党の私どもがいままでいろいろものを言ってまいりましたが、本来明るい復帰を受け入れようということで皆さんがおやりになったのだから、だとすれば、そのときに政府が考えておかなければいかぬことです。それが、たくさん問題がありましたから、たまたま勧告の時期が八月であるから、そういう意味でこの問題がたな上げになったままになっている、こう解釈していい。だから、そこのところがおわかりになるならば、これは心情的に理解できるのだから、おそらくそこのところは御理解いただけると思うので、その上に立って善処をする。法的にどうなのか。あるいは差額手当ということを私は申し上げましたが、差額手当というものも、これは国がつくろうと思えばできる。われわれ国会が認めればいい。そこに踏み切れないとするならば、しからば一体どういう政治的な手をお打ちになるかという問題、そこらに触れてもう少し前向きにお答えをいただきたい。いかがでございますか。
  16. 本名武

    本名国務大臣 御指摘のありましたように、琉球政府からの切りかえに際しまして何がしかの処置をなされたことは、お話のとおり承知いたしております。ただ、そのことが適切であったかどうか。あるいは内容によっては五カ年間の期限を切ってそれぞれ均衡をはかる処置をとるという取りきめもあったように記憶いたしておりますが、そういうことを考えてみますと、やはり、五月十五日復帰、切りかえ日を前提として、琉球政府時代にすでに四月からそれぞれの措置がなされたのではないかと考えております。  ただ、御指摘もありましたように、心情論からいたしますと、私は、いろいろな過去の琉球政府本土政府との、特に給与を中心にしていろいろな意味での処遇等については御意見があろうと思いますし、したがって、心情的には何か考えていいではないかと思うくらいでございますけれども、ただ、給与という厳然たる制度の上に立って処置していくという場合には、先ほど申し上げましたように、給与に関する法律制度その他が、なかなか的確にずばりと四月に持っていくという処置がとり得ないのが、実は心情的にわれわれも苦しんでいるような状態でございます。そういうことですから、この扱いについては、ただいま私のほうからこういう処置をいたしますということは申し上げられないような実態にあるということをお含みいただきたいと思います。
  17. 大出俊

    大出委員 これは、先般のこの委員会理事懇談会で、私のほうからこの問題を追及いたしまして、たしか総理府の小宮山さんですか、来ておられたわけでありますが、その席上で、何とかひとつ早急に相談をしたい、時間がないので、六日に給与法審議をする、それまでに、こういうことで別れているわけであります。心情的には理解できるという前提に立っているのですね。  いまの総務長官の答弁からいたしまして、心情的には私ども非常に苦しいところである、ただ、給与に関する法のたてまえからいって、なかなか法律的にとり得ない、だからそういう意味で、心情的にはわかるのでいろいろ苦しいところなんだ、こういう実はお話なんですね。したがって心情的には御理解がいただけるということなんであります。私もその後の経過の中で、どういうふうな政府部内の話をしてきたかということについて、それなりに聞いていないわけではない。つまり総理府としては総理府部内で御相談を願う。あるいは自治省との関係も出てくる。大蔵省との関係も出てくる。いろいろある。そういうふうなところで合議が必要であるといって、少しお詰めになっておられたようでありますが、その結果として、給与法法律のたてまえ上いかんともなしがたい。あるいは私が口の端にのぼせておりますような差額手当というふうなものを考えることもなかなか踏み切りがたい。じゃ一体ほかに方法があるか。なかなかその方法はむずかしいのでというような意味の検討の中身があるように私はそれなりに聞いている。  ということになると、いまここで総務長官に確たる結論を求めるということは、政府部内の論議がそうなっているのですから、無理であることは、私はわからなくはない。だがやはり、あとへ残すにしても、この国会ならこの国会の会期中に何とかひとつ心情的に御納得をいただける努力をするということでなければ、私は幾ら何でも沖繩公務員皆さんにお気の毒過ぎると思うのですよ。だから、いまここで結論を直ちにということは申し上げないけれども、それじゃひとつこれから先、たいへん方法論としてはむずかしいのだけれども心情は理解できるから、何とか心情的に御納得を願いたいということで最大限御努力をいただくというぐらいなことは、総務長官に言っておいていただきたいのですが、いかがでございますか。それもだめだと言われると、これは開き直らなければならぬ。いかがですか。
  18. 本名武

    本名国務大臣 先ほども申し上げたように、心情的には私も、十分ではないにしてもよく理解できるのでありますけれども、やはり給与法その他の制度の上からいってまことにむずかしいことである。それではいかぬから、おまえは少し政治的に判断して何とかしろと、こういうふうに——それからおことばの中にも、差額手当であるとか諸手当に関連しまして、何か方法はないかという意味にも私は聞き取れたのでございますが、いずれの手当にいたしましても、やはり制度の上に乗っかっていかなければ手当としては出せない。そうするとやはり何か別途に考えなければいかぬじゃないか。名目は何とつけますか別にしましても、心情的ないろいろな事情を賢察して処置しろというおことばであろうと存じます。  私、実は、別途私の所管いたします開発庁等につきまして、総合事務局等々と一昨日連絡をとりましていろいろやってみましたが、これはひとり開発庁のみならず、一方かりに決意をいたしまして、額のことはともかくとして何がしかの処置をする、心情に対してお報いしたいということでやるにいたしましても、財源の問題がある。特に、大蔵とはまだ接触いたしておりませんけれども、大蔵省等々の問題もあります。同時にまた、郵政省をはじめといたしまして非常に数多くの省庁にまたがって、しかも六千五、六百人の引き継ぎの諸君がおられるというようなことになりますと、やはり各省庁の事情もよく検討していかなければならぬということもあります。事務的にはある程度各省庁とは接触しているとは思いますけれども、その上ではなかなか名案が出ないのではないかと私は想像しております。  そこで、御指摘のありましたように、私も冒頭申し上げたように、心情としてはまことに理解できますので、何とかしたいという気持ちがあることはもうさっき申し上げたとおりなんですが、これを処置するのには、やはり各省庁とも十分打ち合わせをしなければなりませんし、ちょっと時間をおかりして検討してみたいと思っております。
  19. 大出俊

    大出委員 四月一日実施、さて復帰が五月十五日ということでありますから、一カ月半のズレがある。一カ月かりに八千円だということになりますと、金額的にいえば一カ月半で一万二千円という金額になる。だが、こまかく計算をしてみないとわかりません。私も時間がないからやっていないので、わからないのでありますが、あるいは一万円くらいでおさまるのかもしれぬという気もする。したがいまして、ざっくばらんなことを言ってしまえば、単なる形式上の計算でありますけれども、超過勤務の単価計算をしていって計算をすると、二十時間くらいのことになるのだろうという気がする。そういうようなことがありまして、いま各省庁がとおっしゃったが、これは法のたてまえその他がありますから、なかなか言いにくいことではあるけれども、これは超勤単価幾ら幾らと見て、プラスアルファ何時間などというようなことを、五現業なんというのはよく団体交渉の幕切れにやる。これは単なる過去の例ですけれども、そういうことはよくやる。だから全くないと言われてしまうと、こういう席だから私はそこから先は言わないのだけれども、私も長く公務員の組合をやってきた人間ですから、たいていのことはそこはわかっているわけでありまして、だから、いま最後にお答えになっている、各省庁多岐にわたる、財源ということになると、おのおの持っている給与財源もある、そういうふうなこともあるから、かつまた財政当局、大蔵省もある、なかなか簡単にいかない、こういう点が最後に出てきたわけであります。そこを理解いたします。したがって、心情的にはわかる、多岐にわたる、法のたてまえもある、したがって非常に苦しいところもある、だがしかし、各省庁の財源措置その他を考えると時間がかかる、だから少し時間をかけて努力してみたい。ここが落ちならば、時間もありませんから、きょうのところは、そういうことでひとつ担当の総務長官、大臣にお預けをしてあとの論議を進めたいのですが、そう理解してよろしゅうございますか。
  20. 本名武

    本名国務大臣 いまここでお話しを聞いて、心情については私も数日前から大体私なりに理解はいたしておりましたが、いま具体的に超勤手当というお話もございましたけれども、さっき申し上げたように、超勤手当に乗せるということ自体は、私としてはなかなかとりにくいじゃないか。とりにくいというより、むしろとれないのではないかとさえ思っている。しかしそうかといって、それはできません、これもできませんではいけないので、結果はどうなるか別として、ひとつ検討してまいりたいというつもりであります。もちろん私一人でなく各省庁とも相談いたしますけれども。  ただ、超勤手当で単価や時間を計算したと同じように、あるいは八万円平均ベースを十二万円に、差額の四万円の計算でどうこうということになりますと、私のほうの検討も非常にしにくくなってくるので、その辺は少しおまかせいただかないといけないことになるかもしれませんが、まあひとつ、私ここで申し上げられることは、はなはだ私、独断で申し上げるようなことで、政府、各省庁にたいへんおしかりを受けるかもしれませんけれども、一応検討さしていただきたいと思います。
  21. 大出俊

    大出委員 これは沖繩公務員皆さんが、復帰にあたりまして、一五%という特別昇給のワクがある職種もある。本来この特別手当というのは、それなりの立法の趣旨があるわけでありますが、その制度をかりに使ったとした場合に、制度的には、つまりその制度に乗ったわけですから形式は整う。だがしかし、その立法の趣旨からすれば相いれない実は技術的な方法であった。これも厳密にいえば問題のあるところですよ。つまり、それはなぜそうなったかといえば、復帰という時点本土にある制度にどう乗せて——理屈が通る通らぬにかかわらず、実は復帰という時点に立って、沖繩皆さんの長年の御苦労というものを考えれば、形式の整う制度的なものに乗せて、趣旨とは違うけれども事態の処理をしたというのが中身なんですね。だから私は、そういう意味でいま超勤ということを口にしただけのことであって、つまり、制度的にどういうふうにすれば乗せられるか。そのときに理屈を言い合ってみたって、こういうことが将来何回もあるというわけじゃないですから、四半世紀にわたって全く縁が切れた形でほうりっぱなされた方々なんですから、そうだとすれば、そこを制度に乗せるということを考えてやった過去のケースが幾つもあるわけだから、そういうところまで含めて、苦しいところであることはお互いにそうなんですから、考えていただきたいということであって、そういう趣旨で御検討くださるというのでありますから、ぜひひとつそういうことで、何とか心情的に御納得をいただける、こういういまお話のあった趣旨に沿った御努力をいただきたい。最後にこれはお願いをいたしておきたいのであります。時間がありませんから先に進みます。  ところで、時間がなくなりましたので、個条的に承ってまいりますので、お答えを願いたいのであります。  四十七年の給与勧告に伴ういわば賃金の合理化措置、実はこういう感じのする幾つかの問題がございます。一つは調整額の算定率の切り下げ。これは言ってみれば予備勧告のような、人事院が最近よくおやりになることで、ここでものを言っておいて将来と、こういうのですが、この問題等につきまして、現行四%を三%にしよう。これは前に私の質問でお答えになっておりますが、つまり切り下げによる損失、ここらの問題は、支給額の凍結であるとか、ベ・ア、定昇というようなものを使うとか、いろいろとあるようでありますが、どうもこれは少し納得のいかない点がありまして、多くを申し上げますとこれだけでまた三十分くらいかかってしまいますから、簡単に申し上げたのですが、そこらのところをまずどうお考えなのか、承りたい。
  22. 尾崎朝夷

    ○尾崎政府委員 現在の俸給表は、御承知のとおり昭和三十二年に改正になりまして、特殊な職員に対する給与の優遇措置という関係につきましては、三十二年以前におきましては、いわゆる調整号俸ということで、俸給に一号とか二号とかいうことでやってまいったわけでございます。それが、昭和三十二年に新しい俸給制度になりましたときに、特別俸給表関係につきましては、いわば同じように調整号俸制度になっておりますが、片っ方の側におきましてはいわゆる定率、その当時は四%でございましたけれども、そういう形で同じ優遇措置というのが二つの系列に分かれてまいったわけでございますが、御承知のとおり、その後十年間初任給がどんどん上がってまいりまして、いわゆる昇給率というものが当時四%でありましたのが、現在では三%を切るという状況に相なっておるわけでございます。そういう関係でまいりますと、今後も初任給はやはり相対的には上がっていくという傾向が見られるものでございますので、やはり、当時の優遇措置のあり方がその後二つに分かれたという点で、相互に非常に不均衡を生じてきておるという面があるわけでございます。そういう意味で、当時の四%というのは、現在では三%、ないし、今後を見通しますればさらに下がる可能性を持っているんではないかという実情にあるわけでございまして、そういう相互間の不均衡という関係は、今後、優遇措置のあり方というものを根本的に考え直すということが必要であろうというふうに現在考えておりまして、今後そういう点を検討してまいりたいということであります。
  23. 大出俊

    大出委員 賛成いたしがたい面もあります。ただこれは、今後どうするかという点は技術的にも相当問題がありますから、そこまで触れるとまた論議が長くなりますので、そういう態度である、考え方であるという点だけを申し上げておきたいと思います。  それからもう一つ。特地勤務手当の級地の改正ならいいのですが、どうも悪くなる。これも実は調整手当一つめぐったって、前のほうにいた総務長官がうしろに回ってきて、私に答える側の方が、おれのところが落っこっちゃうんで、というような人が出てくるように、なかなかむずかしいのですね。ですから、これは規則制定権の関係ですけれども沖繩復帰に伴って、奄美群島の中、与論島、沖永良部、徳之島の三つの島、この現行五級地を四級地に切り下げるということですね。片っ方、宮古、八重山、あるいは八重山群島と言ったほうがいいのかもしれませんが、現行二級地を少し三級くらいに上げたいというんですね。ここらも、来年の一月なら一月から実施するということになりますと、やはり少し前もって話すところは話す、詰めるところは詰めませんと、いきなりこれを持ち出されても、やはり現地におられる公務員方々にすれば非常に大きな問題でございますので、現給保障という問題なども、あるいは技術的にはあるのかもしれません。理屈が納得できればの話。だからここらのところも、いまの問題と同じように少し慎重にお考え願わなければいかぬと思いますが、そこらのところはどうでありますか。
  24. 尾崎朝夷

    ○尾崎政府委員 いま特地と申しておりますけれども、実態はいわゆる隔遠地手当でございますが、隔遠地の不便さに対する手当といたしましては、現在たとえば西南諸島の格づけといたしましては、鹿児島を基準にいたしまして、だんだん遠くのほうにいくに従いまして非常に高くなるということで、従来は沖永良部ないし与論島等が一番遠い地点でございましたので、そこが二〇%という形になっておったわけでございます。ところが、沖繩復帰してまいりまして、たとえば那覇のように、人口三十万を持つような相当の都会が入ってまいりますと、やはり沖繩の中における隔遠地手当のバランスということもまた考えなければならないわけでございまして、那覇を中心にしまして、こちらのほうでいえば、沖永良部等にいろいろ交流ができてきておるという状況がございます。さらに、那覇を中心にしまして宮古、八重山のほうへ格づけを高めていくという面もあるわけでございますが、現在の格づけ、五月十五日の格づけといたしましては、当面、沖繩において実施されておりました隔遠地手当の格づけをそのまま踏襲してまいっておりまして、それを新しく詳細に格づけし直すということが当面の問題でございます。  そういう関係で申しますと、宮古、八重山につきましては、一級地、当面やはり引き上げる必要があるというふうに考えておるわけでございます。こちらのほうの奄美のほうで、那覇から非常に近い徳之島あるいは沖永良部、与論につきましては、正しく格づけしますとかなり落ちるという面があるわけでございますが、当面やはり、復帰の状況、交流の状況等も考慮しまして、とりあえず一段階の調整ということが必要であろうというように考えておるわけでございますが、その時点をいつにするかとか、あるいは現地における職員の状況、保障の措置とか、そういうことを現在いろいろ検討しているところでございます。
  25. 大出俊

    大出委員 これも、ぜひひとつ現地の実情というものを把握をいただいて、またこの問題で現地から出かけてくるとか、いろいろこう問題が発展をいたしますと、それぞれまたたいへんな苦労をされるわけでありますから、ぜひひとつ、これはそういう意味で慎重に話し合っていただきたいと思うのであります。  もう一つ、人事院規則の十−四、これは職員の健康保持に関する規則でございますが、この勤務時間の短縮ですね。これは三十日をこえた場合減額措置がありますね。三十かける八時間、二百四十時間ということですね。これについて私は、何もここまでやらぬでもいいのじゃないかという気がするのですがね、簡単にいえば。つまり、期末、勤勉手当との関係でいま人事院がどう考えているのか、ひとつこれは触れておきたいと思います。
  26. 尾崎朝夷

    ○尾崎政府委員 病気のために勤務時間を軽減されて、若干の時間早く帰るという職員がおるわけでございますが、その若干早く帰る時間というのは、いわゆる病気休暇という形になっておるわけでございます。その一般の病気休暇につきましては、三十日を限度にいたしまして、一応勤勉手当にはね返らせないということにいたしておりますが、当面の問題も病気休暇の範疇でございますから、そういう三十日の中に算入してもいいではないかという考え方があるわけでございますけれども、その辺は、健康管理のあり方、あるいは勤勉手当の今後における制度改正の問題、こういった問題ともからむ問題でございますので、今後どうするかということを現在いろいろ検討しているというところでございます。
  27. 大出俊

    大出委員 あまり無理をなさらぬように、これはしていただきたいと申し上げておきます。またあらためてどこかで議論をしなければならぬ問題だと思いますが……。  それから、給与法それ自体について一つだけ。これはもう前に私取り上げておりますから、多く言いませんが、四十六年六月の労働省の賃金センサスについて前に何べんか取り上げましたが、ここで、三十五歳の高校卒男子の実在者の平均賃金と、これは改定前のベースで言うわけですが、同条件の公務員の言うならば制度値ですね。これが大体一万六千円くらい開く。これは前に一ぺん申し上げましたから多くを言いませんが、これはどういうところからくるかといいますと、私の長年の経験で、心配は人事院の官民格差の算定の方式、まあ総裁はいつも、調査諸表というのを一ぺんみな出せなんと言うと、そんなに信用しないのかと言っておこるのですが、それにしても、どうも、四月にけりがついたから新しいものを言うんじゃない。そこのところは前から言っていることなんです。新しい問題を提起しようというんじゃないのです。これは防衛庁でもみな同じなんですけれども、少しひどくはないかと思ってかつて賃金センサス問題を取り上げたのですが、それには、途中採用であるとか、あるいは比較対象のしかたの問題が——これはこの前ちょっと人事院の調査をしてみたいなんというのもありましたが、どうも官民格差の算定のしかた、あり方というのが気になる。人事院に仕事がなくなっちゃうと困りますから、やはりこの辺のところはひとつこの次の課題として、もう一ぺん真剣に御検討いただけませんかという気がする。官民格差の算定の方式、ここらにいろいろ問題があるんじゃないかという気が私はするわけでありまして、これは一点だけひとつ御検討を願いたい、こういう言い方をしておきたいのであります。  それから、時間がありませんから、あと申し上げてしまって一括御答弁を願いたいのでありますが、寒冷地手当ですけれども、なかなかこういう時期に議論しにくい問題なんです。これはまあ調整手当その他諸手当そうでありますが、かといってこれはほってもおけない。北海道地域における定額加給の改正という問題がある。また、四十三年の改定級地の指定基準によりまして、現行級地のうちの問題になっている三級、ここらのところを人事院一体どういうふうに考えているのか。いつか私が質問したときにも、落ちるところもありますが上がるところもありますという言い方をしましたが、私はなかなかそう簡単にいかない問題が歴史的にあると思いますので、一体、その勧告をどういうふうに扱われるかということを含めまして、現在の人事院の考え方を聞かせていただきたいのであります。
  28. 尾崎朝夷

    ○尾崎政府委員 二点ございますけれども、第一点は労働省の賃金構造基本調査の調査結果といたしまして、たとえば学卒直ちに採用された高卒の男子三十五歳、勤続十七年という標準労働者を想定されまして、それが四十六年六月においては九万六百円であった。それに比べると、高卒三十五歳のこちらのほうの公務員の場合は相当開きがあるではないかという点が一点でございます。この関係は、高卒の男子三十五歳、学校卒業後直ちに採用されたという条件があるわけでございまして、そういう職員一体どういう会社におられるかということを詳細に調べてみますと、やはり大会社。そういうずっと直採用で勤続十七年もおるという方々は、大体大会社におられます。そして大都市に大体おるという状況がわかっておるわけでございますが、そういう関係で、こちらのほうと比較をしてみますと、たとえば本年の勧告におきましては、こちらを五等級と想定いたしますと約千円ぐらいの差がある。六等級と想定いたしますと八千円ぐらいの差が出るわけでございますけれども、現在官民比較をいたしておりますのは、職種別、学歴別、年齢別に非常に詳細に比較をいたしておりまして、ただいま御指摘のところは、高低あるわけでございますけれども公務員がいわば相対的に最も低いというところをお取り上げになっていらっしゃるところでございます。公務員のほうがいろいろ高いところもあるわけでござ  いますけれども、最も低いところをお取り上げになっていらっしゃいます。そういう関係で、確かに三十歳前後のところは公務員が相対的に低い。年とったところは高いけれども、その辺が低いと  いう面がございますので、私どもとしましては、その三十歳前後、二人、三人世帯のところは毎年重点を置いて改善をするということをやってまいっております。そういう方向が一つの方向でございます。  それから官民比較の問題におきましても、直採用という問題も、勤続何年という要素も一つの問題点でございますので、少し試みの調査をやったわけでございまして、そういう関係を今後さらに検討してみようというふうにいま考えているわけでございます。^それから第二点は寒冷地手当の問題でございますが、寒冷地手当では、地域の問題と、それから北海道のいわゆる北海道手当の問題とあるわけでございますけれども、その両者につきましては、現在関係者の御意向をいろいろ伺いながら検討しておる、調査をやっておる。石炭価格の調査あるいは石油価格の調査、消費動向の調査といったようなことを現在いろいろこまかくやっているところでございます。
  29. 大出俊

    大出委員 これでおしまいにいたしますが、年内勧告をするんですか。それともそうでないのか。それから級地の切り下げというのはいろいろ問題が起こると思うので、それはおやりにならぬほうがいいのじゃないかと思っているんですが、そこらのところどうですか。
  30. 尾崎朝夷

    ○尾崎政府委員 ただいま申し上げましたように、現在真剣に検討しておるということでございます。  それからなお、基準に合わないために下げるかどうかという点につきましては、やはり慎重に検討する必要があるというふうに思います。
  31. 大出俊

    大出委員 総務長官に退職手当についてちょっと承っておきたいのですが、これも深くは議論をいたしません、時間の関係もございますから。ただ私は、国家公務員のこの退職手当は、機会はそうないわけでありまして、年々人事院勧告をするというわけじゃありませんし、三十二年ごろから今回初めての機会だろうと思うのでありまして、民間の動きその他ながめてみまして、資料をいろいろ持っておりますが、このせっかく人事院が予算を多少なりとも捻出をして調査をした、また職場の公務員皆さんもたいへん大きな期待を持っているという時期でございますから、こういう時期をはずすとまた退職手当をいじる機会はない、こういうふうに私考えている。少し執念めいたものを持っております。  そこで、制度的に何か手直しをするというようなお考え方があることは知っておりますけれども、本来、たとえば中途採用者をめぐって、それを二十五年に押えるとか、三十年に押えるとかありますが、私は、大多数の方々がこのくらいは上がるのだというふうな形のものに今回はすべきではないか、こう思うのです。そこで、たとえば横浜市などで言いますと、三十五年勤続の方の退職手当は八十四カ月くらいです。だから、これを額的に計算をしてまいりますと、いまの退職手当をあるいは五割くらい上げなければならないことになる。これを低く見ても三割五分くらい上げなければならないことになる。こういう数字が出てくる。そうすると、一つのめどをやはりそこらに求めていただいて、将来に向かってもう機会はないんですから、この際やることができなければ、へたをすればまた十年くらいそれきりになりかねない、そういう性格のものです。  今日の公務員皆さんには、戦後採用の一つの山があったり、また一山がきたりという、最初の大量に雇った山の方々がやめていくわけですね。そうだとすると、機会としては私は非常に好機である。大蔵省の方々いろいろ理屈を言いまして、主計局におってさいふの口を握っているときだけはがたがた言いまして、退職手当をふやすなんて、そんなことはできないと言うが、その人がほかへ行くと、上げなければいけないということになる。そういうものなんです。私はお手盛りではなくて、前回何べんもものを言っておりますから多く言いませんが、時期的にいつごろまでに結論をお出しになるのかということと、こまかいことは言いませんが、大筋として、この際得がたい機会ですから、しかもそれなりの予算も使ってきているのだから、決断をする、そういう方向で私は進んでいただきたい。それが実は、戦後大量に採用した方の一つの山がきているわけですから、安心する方法でもあり、納得をする方法でもあろう、こう思いますので、長年つとめた方ですから、その大筋について一、二点お触れをいただきたい、こう思うのであります。
  32. 本名武

    本名国務大臣 さきのこの委員会においても、たしか大出先生からだと思いますが、退職手当についての御指摘がございました。当時も申し上げましたように、せっかく人事院が御苦心いただいていろいろと御調査をいただきまして、その調査に基づいて検討いたしてみたわけでございますが、その中にはやはり高きあり低きあり、対比してみますとそれぞれ問題がある。それから、いまお話ありましたが、市町村の退職手当、地方公共団体等の退職手当にも影響することも当然でありますし、これにもまた高きあり低きあり、こういうことで、おしなべて公務員として一体どうすべきか、国家公務員としてどうすべきか検討しなければならぬ。それからもう一つは、公庫等の勤務年数を通算して、退職手当法の上で通算して処置するかどうかというようなことをいろいろ検討しているわけでございます。  そこで、いま時期的にも一体どういうめどでやるか。お話のとおり、いい機会である、私もそう思うわけですけれども、なかなか、その機会がきたからといって、右から左とずばずばときめられないところにむずかしさもある。せっかくいま検討中でございますので、もうしばらくお時間をいただきたいと思います。
  33. 大出俊

    大出委員 それでは最後に、木村さんお見えになりましたので、一つだけ承っておきたいのです。  ハイジャックの問題ですが、いま羽田の上を飛んでいるのですが、国家公安委員長、責任のあるお立場でございますから、さっきからいろいろお話が周辺でも出ておりまして、テレビでは外国人が一人乗っているなんということも出ておりますけれども、人の命に関する問題であります。そういう意味で、一体現状どうなっておるのか、何が一体起こっているのか、そこらを御報告願いたいと思うのであります。
  34. 木村武雄

    ○木村国務大臣 現在の情報によれば、羽田から福岡行きの飛行機が大島上空に差しかかりましたところ、二人、乗務員室に入ってまいりまして、  一人は日本人、一人は外国人。最初は外国人だけじゃないかと思っておりましたところ、搭乗人名からいきますと、日本人はツルオカキミオ、これが本名かどうかわからないのですけれども、外国人はホップピット。これは日本コッパーという会社があるそうですけれども、日本名の会社ですね。そこの社員になっておるのですが、その二人が中に入りまして、ピストルを突きつけて、自分は十キロ爆弾を一個ここに持っておる、それから一キロ爆弾一個を持っておる、それから三キロ爆弾二個ここに持っているんだ、それからもう一つはタイマーつきの爆弾を荷物に入れてトランクにしまっておる。そして、この飛行機でこのままメキシコに飛べ、こういうような命令を出したんですね。ところが、福岡行きの飛行機なるがために、燃料は大体四時間くらいしか積んでいないのです。だからこのまま向こうに行くわけにいかない、こういう話をしたところが、それでは別の飛行機を用意しろ、DC8型の別の飛行機を用意せよ、その中に米ドルで二百万、しかも新しい札でない古い札を積め、こういう話を持ち出している。こちらとしては、百二十人もの人が乗っておる関係上、人命を尊重することを第一義として、いまその準備を一切して、乗りかえるときにどうするか、こういうことでいま万全の対策を立てておるときなんです。ぼくも責任者ですから向こうに行っていたいのですよ。警備関係は全部向こうにやりました。しかし、相談にくるものですから、判断するのに参加してあげないと困るものですから、向こうに行っていたいのですが、お許しを得て向こうにやらしていただきたいわけであります。  非常に警戒を厳重にしておりまして、御承知のように、人が出入りするときなんかはすぐに発見できるような装置までやっておったのですけれども、今度のやつを見ますと、とてもそんなものじゃ足りない。そういう装備の点ではもっともっといろいろなことを考えなければならないのではないか、こういうことを考えたものですから、現場に参りましていろいろなことをやはり考えさしてもらいたい、実はこう思っておりまして、現状そういうような状態なんです。  そうして、テレビを見ておりましたところが、まだ向こうの乗っておった飛行機が着かないことになっておりますけれども、警察の情報では十時四十五分に着いた。ところが出てこない状態なんです。どうして確認をしたらいいか、いまわからない状態なんでありまして、何としても百二十人以上の人が乗っておりますから、万全の対策を立ててみたい、こういうように考えております。
  35. 大出俊

    大出委員 そうであろうと思って、いま伊藤さんに給与の問題お譲りをしなければいかぬのですが、私、発言したのです。やっぱりこの点はおいでいただいて、無理をなさらないで、ともかく人命の安全、何があってもそれだけは考えていただきたい。例のオリンピックのときじゃありませんけれども、いろいろなことを考えてみたが、結果的に人が死んだということでは意味がありませんので、ぜひそこのところは、何よりも人の命のことですから、その安全ということについてはくれぐれも対処していただきたいのであります。きわもの的なことをお考えになると、前回の例ではございませんが、いろいろなことが起こりますから、くれぐれもひとつ御注意いただきたい。この点を申し上げて、どうかひとつ建設省、公安委員会、警察関係のことについての質問がございますが、おわかりになる方をお残しいただけばけっこうでございます。私が実は質問通告いたしましたので、私は了解いたしますから、現場においでいただきたいと思います。それだけ申し上げておきます。
  36. 木村武雄

    ○木村国務大臣 どうもありがとうございました。高橋道路局長を置いてまいります。それから警察関係では警備の幹部全部向こうに行っております。いま次長も派遣したのです。御趣旨を体してよくやります。
  37. 前田正男

    前田委員長 伊藤惣助丸君。
  38. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 給与問題で二、三の点について聞きたいのですが、ただいまもお話しございましたように、ハイジャックの問題について関連して質問したいと思います。  ただいま国家公安委員長からハイジャックの経過について伺ったわけでありますが、防衛庁長官にハイジャックの点についてお聞きします。  ただいま経過を国家公安委員長から聞きましたけれども防衛庁としては、このハイジャックに対しまして、どういう形で対処されていらっしゃいますか。
  39. 大西誠一郎

    ○大西政府委員 情報がただいま入りましたので、私から……。  自衛隊では九時三十八分にハイジャックの情報が入りまして、松島からF86F二機を発進をさせました。しかしながら、あまりそばに接近をして刺激をするというような点もおもんぱかりまして、九時五十四分に帰投を命じております。現在すでに羽田にハイジャックの飛行機はおりているそうでございますから、自衛隊として特に特別な措置をとるということは現在考えておりません。そういうような情報が入っております。
  40. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 たいへん不幸な事件でございまして、私も、何よりも人質の人命を尊重して慎重な行動というものをとっていただきたい、こう思うわけであります。  やはりスクランブルで松島基地から立った、しかし羽田に着いたので帰投したということでありますが、防衛庁としては、今後この問題についてどういうふうに対処されていくのか。おそらくハイジャックは、DC8に乗りかえてまた飛び立つのではないかというふうに考えられるわけでありますが、防衛庁としてはどのように考えて処置をとられるか。
  41. 増原恵吉

    増原国務大臣 ハイジャックの問題について防衛庁で措置すべき事項というのはたいへんむずかしいあれでございまして、先回第一回のいわゆるハイジャックがありましたときもこの86を随伴飛行をさしたことがあるのです。今度も、いま報告を受けますると、随伴飛行のようなものをさせたのですが、あまりそばに寄るとまたかえって危険を生ずるだろうということで、遠くのほうで随伴飛行をした。そしてそれもいま帰投をしておる。ハイジャックについての措置は、現在のところ防衛庁、まあ航空自衛隊ということになりましょうが、これでは特別にどういう手を打つことが適切であるか、まだ私、関係者の意見等も聞いておりませんけれども、非常にむずかしい問題で、やはり警察のほうで予防措置を講じてもらうということに重点を置くということになるんではないかというふうなことであります。
  42. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 ちょっと心配なんですが、前回も727が北朝鮮へハイ・ジャックされたことがありますね。あのときも、一たん福岡におりたときに、自衛隊としてもスクランブルをかけてだいぶ動いたようでありますが、今回はしないわけですか。そしてDC8に乗りかえてもし日本から出るようなことがあれば、どこまで自衛隊が随伴していくのか。その辺はいかがですか。
  43. 増原恵吉

    増原国務大臣 せんだってが第一回の経験で今度は第二回でありますが、いまのところ警察庁、運輸省などと協力、協議をしまして、防衛庁、まあ航空自衛隊でございますが、航空自衛隊でなし得る、あるいはなすべき適当な方策があれば、これを実行したいということだそうでございます。
  44. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 警察庁と運輸省と話し合って自衛隊の役割りを明確にして行動をとる、こういうことですね。
  45. 増原恵吉

    増原国務大臣 はい。
  46. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 それじゃ、給与問題について二、三人事院総裁に伺いたいんですけれども、今年度からようやく四月にさかのぼりまして勧告が完全実施される。これはたいへんけっこうなことだと思います。それでよく見てまいりますと、将来の問題についてでありますが、人事院勧告は常に民間追随ということを唯一の旗じるしにしてきたわけですね。私はやはり公務員の特殊性に基づく自主的な給与体系がなければならぬと思うのです。人事院としては、こういった問題についてどういうふうに考えておられるのか。その点、まず第一にお伺いをしたい。
  47. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 従来もときどき申し上げておりましたが、私の気持ちといたしましては、本来公務員にはまた公務員に適当する適切な給与制度があるはずだという一点に考えをしぼりまして、公務員の勤務の実態なり、あるいは生活の条件、あるいはまたその体面の保持というような立場から、民間などにかかわりなく給与を策定するという方式が一つの理想として考えられるところではないか。実は戦争前、われわれが給与関係のことを内閣法制局でやっておりましたころは、そういう気持ちでやっておりましたが、そういう点についていまだに郷愁を持っておりますということを申し上げたわけであります。しかし、それはいまのところ夢でございまして、現在の経済情勢あるいは一般の賃金情勢というようなことから申しますと、やはり民間の水準をとらえて、これに合わせていくということが、一番手がたい、かつ無難な方法であるということで、当面その方式をとっておるわけであります。世界の先進国におきましても実はわれわれの行き方に追随しつつあるというようなこと、またそれは当面の処置としては一つの重要な取り柄を持っておると思いますので、いま直ちにこの方式を変えようとは思いませんけれども、本来は、先ほど申し上げましたような、そういう姿にあるべきではないかなという気持ちを常に心に抱いておるということだけを申し上げておきます。
  48. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 実はその気持ちを伺いたかったわけですけれども、なかなか聞けませんので、次の機会にまた詳しく伺いたいと思います。  この俸給表とかいわゆる給与体系全般を見ますと、たいへん複雑多岐にわたっていますですね。私たちは、行(二)なんというものはなくて一本化すべきだ、こういう考え方を持っております。人事院は抜本的な改正を行なうべきではないかというような考え方もあるようですけれども、総裁の御見解を伺いたいと思います。
  49. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 俸給表その他が非常に精密であるということは、これは私はある意味では誇るべき面だと思います。すなわち、公務員のそれぞれの職務と責任に応じて適切なる給与を配当するという立場から申しますと、これが精密であればあるほど正しいという見方が成り立ちますので、私どもは、現在やっております方式が間違っておるとは思いません。しかし、何ぶん長年、昭和三十二年以来手直し手直しを続けてまいりまして、私どもが見ても非常に複雑でかつわかりにくい点があり、相当継ぎはぎだらけの点があるじゃないかという面もございます。かたがた、先般勧告の際に御説明申し上げましたように、これを一つの大きな踏み切りの機会といたしまして、そういう点も含めて、根本的にひとつ給与問題を洗い直してみようじゃないかという気持ちをもって今後に臨みたいと思っておるわけでございます。
  50. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 こまかい問題はたくさんございますが、きょうはあまり時間がありませんから割愛しますけれども、やはりそういった基本的な考え方がはっきりしませんとこういった問題は解決しないと思いますので、また次の機会に御見解を承りたいと思います。  それで、防衛庁職員給与法の一部改正について質問をしたいのですが、私たちは四次防の問題を通じまして、三次防の二倍以上であるとかいろいろ申し上げております。これはまた午後からの質問で長官に伺いますけれども、私は給与法の問題で一ついつも思いますことは、たとえば政府・与党の立場に立ちましても、自衛官が非常に定員より不足している。全国すみずみまで募集の広告は出し、いろんなマスコミを通じて自衛官の募集をやっておるようでありますが、なかなか定員が充足されない。そういうことを考えますと、ただ単にいまのパターンを繰り返すだけでは、私はなかなか定員というものを充足させることはできないんじゃないか。  よく考えてみますと、そういう政府・与党の立場に立っても、自衛官の処遇が非常に悪い。これがいつも防衛費の増加と反比例している。装備費、いわゆる新型の航空機とか艦艇とか車両、あるいはまた戦車などはたいへんに高いお金を使うということに反比例しまして、職員の処遇というものは非常に低い。私もたまたま国政調査のおりにそれぞれの基地を歩いて回りますけれども、たいへん古い建物、隊舎、宿舎、あるいはまた営外居住を認められている方についても、実際には予算の関係上営外居住というものが認められてない、こういう実態があるわけです。  まず、そういった面で伺いたいわけですが、一つは、営外居住者といわれる人たちがいますね。してもいいといわれている人たちもいます。どのくらいいて、実際にはどのくらいしか入っていないのか、その点の実態について防衛庁のほうから伺いたいと思います。
  51. 高瀬忠雄

    ○高瀬政府委員 ただいまお話しの営外居住者というのは、曹のクラスの問題であろうと思います。従前は非常に営外居住者となるための資格を厳重に考えておりました。たとえば妻帯者でなければならないとか、そういうことでもって非常に厳重に考えておりましたけれども、最近は処遇改善の一環ということでございまして、家族がある者、あるいは扶養する者があるというような者にまで広げまして、そうして営外居住者の範囲を広げております。また一方、曹が営外に出る率が多くなりますと、今度、営内間における隊員に対する監督や何かの問題もありましたりいたしまして、なかなかこれを曹全部に及ぼすというわけにはまいりません。そういったことがありまして、その辺のかね合いをどうするかということで、最大限のところまで広げようということで鋭意検討しております。  と同時に、営外に出ます場合におきましては、今度は出る者に対します公務員のいわゆる宿舎の問題を考えてやらなければならぬわけでありまして、これも通勤の都合とかいろいろなことを考えまして、適切なところに公務員宿舎をつくらなければいかぬというような問題もございます。それで、さっきちょっとお話がありましたけれども、四次防におきましては、隊員の処遇改善というようなことで、公務員宿舎も、営外隊員に対しましては、できるだけ全部に行き渡るようにという見当でもって努力をするという方針でおります。
  52. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 要するに、営外居住を希望してもできていない、それが実態ですよ。この間も聞きましたけれども、五カ年くらいで何とかしますというんですよ。私はそんな予算は幾らでもないと思うんですよ。  具体的に伺いますが、練馬第一師団で営外を希望している人がどのくらいあって、実際にはどの辺まで希望がかなえられておるか、数字で伺います。
  53. 高瀬忠雄

    ○高瀬政府委員 いま先生の御質問の的確な資料を持っておりません。というのは、ただいま、練馬の駐とん地におきまして、営外希望者が何人おるかという数字を押えておりません。これはちょっとあれが違うのでありますけれども、現在、公務員宿舎の希望者につきまして申しますと、必ずしも全部充足されておりませんで、現在の充足の状況は七四%程度でございますので、いまだ営外には出ておるけれども住宅が不足しておるというような状況でございます。先ほど申し上げましたように、現在どれだけの者が営外居住を希望しておるか、ちょっと数字をつかんでおりませんので、なお部隊につきまして調べませんと出ないかと思います。
  54. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 長官、要するに平均して七四%が充足されて、あとは希望がかなえられていないということなんですが、都市の中にいる部隊というのはうんとひどいんですよ。住宅は都会にいる部隊の人ほど困るわけですよ。そうでしょう。私の調査では、練馬の自衛隊などは半分くらいです。ですから実際に希望者があってもかなえられていない。一つの防衛の任務からいっても、そんなに遠くには住めない。安い埼玉県とか三多摩地区に行きたいと思うけれども、やはり緊急時においては三十分以内とか時間の制限があるわけです。こういった隊員に対する処遇が、幾らでもない金額を何カ年計画でやっておるなんというところに、定員が常に満たされない原因がある。いい兵器を持たされながら自分が粗末にされておる、そこに不満を持ちながら新しい戦車などに乗っておる、こういう実態が実はあるわけです。だから、それを四次防期間中に何とかということでなくて、すみやかにすべてに優先して処遇改善を実行すべきだ。少なくとも都会にある部隊、あるいはまた都市周辺の非常に住宅事情の悪いところに住む隊員の処遇改善については、少なくとも来年度の予算の中において、至急に営外希望者、あるいはまた国家公務員の住宅を含めて解消するようにやるべきだ、私はこう思うのですが、長官どう思われますか。
  55. 増原恵吉

    増原国務大臣 たいへん御理解のある御質問をいただいたわけですが、いま申しましたのは、住宅を供給するパーセンテージを申し上げたわけであります。仰せのとおり、特に都会地——都会地といっても東京が一番ひどいわけですが、そういう営外居住者の住宅供給が非常にむずかしい。そうして共済組合等で年賦で住宅を提供するあれをやっております。これは地方ではわりあいにいい成績でありますが、都会地では転任ということが地方より多いため、そういう共済組合で住宅を供給するというのがうまくいかないという点もあります。したがいまして、そういう住宅の供給というものをしっかりやる。しかし、これはなかなか一ぺんにやるというわけにまいりませんので、住宅は、いわゆる四次防期間中に一〇〇%要望にこたえるようにしたいということで計画を立てたい、そういうつもりでおります。一ぺんにやることができればけっこうですが、なかなかそうはまいりかねるという事情でございます。
  56. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 私、四次防期間中に何とかするという話を聞いているんですよ。そこで、私はそんな事務レベルで質問しているのではなくて、やはり防衛庁長官が、今後隊員を募集したり、あるいはまた新しい兵器を運用する場合には、どうしても不満のないような処遇改善をしなければならぬじゃないか。これは緊急を要する。私は事務レベルでものを考えるのではなくて、改善しなさいというのですよ。そんなおそい期間ではなく、この問題については五カ年間だなんて言わないで、やろうと思えば、それこそ長官の勇断と実行力でできないことはないのですから。幾らでもないのです。はっきり申し上げまして、ファントム一機、完全にミサイルや兵器を装備しますと、やはり二十数億円かかるじゃないですか。そういったものを一機節約したって完全にできるじゃないですか。そういった点で処遇改善すべきだと私は思うのです。  私は行ってみましたが、厚生施設もたいへん悪いです。それから医官の充足率も非常に低い。それからまた、夏にプールの施設があってもいいようなところでも、プールがない。私はまず、四次防なんといってたくさん兵器のほうに金を使う前に、そういうところに使うことを長官として考えてはどうか。いわゆる情勢分析の見積もりだとか、あるいは要求を考えるのではなくして、そういう方向において長官がやるべきじゃないかと私は思うのです。少なくとも都会地に住む自衛官皆さんのそういう不足、不満というものを早く解消するためには、いままでのきまった一つの体制ではなくて、前向きで改善してもらいたい、私はそれを申し上げているのです。いかがですか。
  57. 増原恵吉

    増原国務大臣 その点は、特にこのたびのこれからの長期計画、いわゆる四次防について十分われわれも考えたところであります。最初、事務的には住宅の供給も一〇〇%の案が出ておらなかったわけですけれども、四次防期間中に一〇〇%にするということで案をきめたのであります。その他の施設の改善についても、今度は四次防における一つの重要項目として掲記をいたしまして、努力をしておるということでございます。
  58. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 ひとまず給与問題については終わります。
  59. 前田正男

    前田委員長 次に和田耕作君。
  60. 和田耕作

    和田(耕)委員 今度の人事院勧告で、一〇・六八%という勧告が行なわれたのですけれども、私いつも思うのですが、物価というものを、この勧告をつくる場合にどのようにお考えになっておるか。その点はいかがですか。
  61. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 物価、生計費は重要な要素であることは申すまでもございません。ただ、私ども勧告に際しまして、民間給与を十分に調べて、その水準に合わせておるというたてまえをとっておるわけでございますので、いまの物価あるいは生計費というものは、民間給与の中にもうすでに織り込まれておる。したがって、そういうものを織り込み済みであるところの民間水準をとらえて、それと合わせれば、これらの点の問題もすでに解消されているという基本的な立場でおるわけでございます。
  62. 和田耕作

    和田(耕)委員 そういうたてまえのことはわかりますけれども、物価の問題は、民間のほうの賃金のアップということにはまかせるということになるわけですね。そういうことではなくて、やはり公務員の問題は、今度この給与の場合は、やはり六%近いアップを考えられるわけで、実際それを考えると、一〇・六八%というのは四%くらいの事実上のアップになるわけですね。四%ぐらいの事実上のアップになるということは、これは昨今の事情からいって非常に少ないアップになるということにもなろうかと思うのですね。そういうことで、人事院総裁あるいは総務長官として、物価の問題について特別の意思表示をいままで内閣の中でなさっておられるのか。あるいは、その問題も他のほうにまかせて、人事院あるいは総務長官としてノータッチの形で過ごしてきておられるのか。そこらについてお伺いしたい。
  63. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 申すまでもございません、先ほど申しましたような重要な因子になるわけですから、この夏、勧告と同時に提出しました給与関係の報告書のほうで、これは毎年の例でありますが、物価の趨勢にも触れております。それから生計費の関係にも触れております。しかしながら、御承知のように、幸いにして物価の上がりは、まずまずそう極端なところまで、ことしの場合はいっておりませんので、その点で安心したわけであります。いずれにいたしましても、先ほど申しましたように、物価分は民間給与の問題としても共通の問題であり、その物価の上がりに対して民間給与はこれだけでがまんしてくだすっておるということでありますならば、公務員としてもそれに合わせざるを得ないというような気持ちに立っておるわけであります。
  64. 和田耕作

    和田(耕)委員 つまり物価のスライドというような問題を、総裁どのようにお考えになりますか。
  65. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 これは物価のスライドでまいりますと、われわれの勧告よりも率が非常に下回るわけです、ことしのような場合で言いますと。したがってそこだけに集中するわけにもこれはまいりません。やはり民間の給与全体の水準をとらえることが一番賢明であろう、また手がたいであろう、そういう立場に立っておるわけでございます。
  66. 和田耕作

    和田(耕)委員 これは誤解されたら困りますけれども、物価のスライドという意味は、一定の給与のアップの上に物価のスライドを考えるという意味を申し上げておるわけで、物価が上がっただけ賃金上げろというのではむろんないわけで、これでは困るわけです。やはり物価の問題について、公務員給与の側から絶えず関心を持って、そして物価政策に対して発言をするとか申し入れをするとかいうような態度がこれから必要だと思うのですね。そのことをぜひともお願いしておきたいと思うのです。  今度のこの勧告になかった住宅の問題について、アップの勧告をしなかった理由は、どういう理由からですか。
  67. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 住宅手当関係は、これはまだいろいろ宿題をかかえております。たびたび御指摘を受けておるわけでございますけれども、私どもの現在の制度のたてまえは、要するに、公務員宿舎に安い料金で入っておる人と、高い借家に住んでおる人とのバランスの是正という一点にしぼっておりますから、その点から申しますと、現在のままでこれはいいという結論になります。   〔委員長退席、野呂委員長代理着席〕 ただ、新しい問題としては——新しくもございませんけれども、たびたびいわれる問題は、自分の持ち家に住んでおる人、あるいはたいへん借金をして家を建てた人、そういうような人の犠牲あるいは負担はどうしてくれるかという話は、これは私ども最初にこの住居手当提案いたします際にも、すでに問題になっておった点でありまして、これはなかなかいろんな事情がその人その人によって個別的に違うものですから、そう簡単には踏み切れません。しかし検討は十分進めてまいりましょうという立場で、そのほうの問題は宿題としてかかえておるというのが、率直ないまの段階でございます。
  68. 和田耕作

    和田(耕)委員 現在の住宅手当の三千円ですか、この基礎はどういう基礎なんです。
  69. 尾崎朝夷

    ○尾崎政府委員 現在三千円ということで出しておるわけでございますけれども、これはたとえば東京における民間の借間、借家の代金の平均が約九千円であるということ。それから公務員の住宅の関係とのバランスを考えておるものでございますので、公務員住宅の平均が三千円、そういうものを控除いたしまして、その控除したあとの半分を支給するということで、三千円ということで出したわけでございます。
  70. 和田耕作

    和田(耕)委員 いまの住宅の家賃、間代等から考えてみて、三千円の手当というのは、いかにも低いという感じですね。そういうふうにお考えになりませんか。その算式の基礎はわかりましたけれども
  71. 尾崎朝夷

    ○尾崎政府委員 金額をどの程度支給するかという点が問題点でございますけれども制度の立て方でございますが、やはり公務員住宅に入っている人は有利だという場合に、そういうものを支給されていない者との関係で、非常にたくさん出しているという場合には、ある程度足切りをして、その残りについて考慮していったらいいんじゃないかという考え方が一つございまして、そういう足切り的なことを一つ考える。それからもう一つは、その足切りをしたものの残りは全額支給するかどうかという点でございますけれども全額支給するとやはりいろいろバランスがございますので、現在、半分を支給するという制度をとっているわけでございます。  この制度を立てましてからもう一年有半たったわけでございまして、そういう点から申しますと、若干低目にはなってきておるという点はあろうかと思いますけれども、今後そういう関係をよく調べまして、かつ持ち家の関係もございますので、そういう関係も調べまして、制度の立て方をさらにそこから検討するようにいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  72. 和田耕作

    和田(耕)委員 安い公務員住宅をずっと全面的に支給できるような見通しがあれば、それはそれでいいんですが、そういうことはなかなか困難だとした場合に、持ち家を持っておる、あるいは借家をしておる、借り間をしておるというようなケースが今後も相当長く続くとすれば、この間の問題については、かなり根本的に検討してみる必要があると私は思うのです。   〔野呂委員長代理退席、委員長着席〕 単にいまの公務員住宅の家賃をベースにして、それに対する足切りとかなんとかいう形ではなくて、この問題はひとつ至急に検討してみる必要があると思うのですね。とにかく三千円という現在の手当というものは、これは実際問題としてあまりにも低過ぎるという感じを私持つのですけれども、ぜひともひとつ、この持ち家、借家、今後の公務員住宅の補給等の問題とあわせて検討していただかなければならぬというふうに思うわけです。その点をお願いしたいと思います。
  73. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 公務員住宅のお話は全く御同感でございまして、私ども、この住居手当の問題が起こりますころからすでに、公務員住宅が十分整備されておればこういう問題は起こらぬはずであるというようなことで、時の大蔵大臣に相当しつこく申し上げてきたわけでございまして、おかげでその公務員住宅の整備については近年非常に整いまして、近ごろではほとんど入っておる。むしろ今度は入る側の方のほうのえり好みの問題がありまして、あそこは遠いからいやだというような面も出てきつつある。これはちょっとオーバーな話かもしれませんけれども、私どもはその点では大いに安心しつつ、かつまた通勤に便利なところにぜひ建てていただきたいというふうに今日では言っておるわけであります。  その一方、手当が安過ぎやしないかという問題がやはりありまして、先ほど申しましたように、一つの宿題ではありますけれども、ただ、これはまた、ゆっくりいろいろ質疑応答していただくと、申し上げたいことはたくさんございますけれども、一口に申し上げますと、われわれとしては、これは給与の全体の配分の問題である、どれだけを住居手当に回しどれだけを本俸に回すかという問題でありまして、根本的に言いますと、衣食住の衣も本来給与でまかなってもらうべきだ、食も給与でまかなってもらうべきだということになれば、住もそうじゃないかという論も一つあるわけです。しかし、それではいかぬ、もっともな点もあるというわけで住居手当を踏み切ったわけでございまして、全体の配分の問題といろいろにらみ合わせて考えていかなきゃならぬ問題だという面もあることを御理解いただきたいと思います。
  74. 和田耕作

    和田(耕)委員 先ほど物価の問題を指摘いたしましたが、今度、通勤手当支給限度額を若干上げて四千円にしたということですね。つまり限度額を四千円にしたということと、最近の公共料金の値上げによって運賃がかなり大幅に上がる。まあ国鉄のほうはああいう事情でとまっておりますけれども、やがてこれは上がってくるということになると、それだけはやはりかかるわけですから、こういう手当も上げるというふうに物価に見合った考え方をしておかないと、この通勤手当の問題なんというものは、四千円以上は出しませんというふうにきめるべきものではないんじゃないかという感じでするんだけれども、この点どういうお考えをお持ちですか。
  75. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 極端な考え方としては、もう全額払え、どんな遠いところから通っている人でも、よけい運賃を払っておる人はそれをそっくり払えということが、一つ考えに浮かぶわけであります。これはまた、非常に非常識な遠い距離から役所に通ってもらっては困るわけでありますし、それを一々全額手当として差し上げるということも、これはまた非常識であろうという面もありまして、両々兼ね合わせた形で現在のわれわれの制度ができておるのであります。これを民間の制度に比べますと、自画自賛でございますけれども、なかなかよく考えた制度だなということで、近ごろでは民間でも、われわれのやり方のほうにならっておられる向きも、だんだんふえつつあるというようなことでございまして、ただその限度額等は、これはやはり、民間調査でそれぞれの企業の通勤手当の支給ぶりを詳しく検討いたしまして、その結果に基づいての措置であるわけでございます。したがいまして、大体今日の、ことに今度勧告申し上げた通勤手当は、まあ私から申しますと、よくできておるんじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
  76. 和田耕作

    和田(耕)委員 これで終わります。
  77. 前田正男

    前田委員長 次に東中光雄君。
  78. 東中光雄

    東中委員 給与に触れる前にちょっと聞きたいのですが、防衛庁、先ほどのハイジャックの問題ですね。その後どうですか。
  79. 大西誠一郎

    ○大西政府委員 まだ報告を受けておりません。報告が来次第御報告いたします。
  80. 東中光雄

    東中委員 総務長官にお聞きしたいのですが、今度の給与法一般職の場合は、俸給表でいきますと、平均で七千七百九十二円のアップであります。個々に見てみますと、たとえば一番低い点でいきますと、行(二)の五等級一号俸の場合はアップ額が四千四百円、アップした結果、改正法案でいって三万二千二百円であります。非常に低いわけです。非常に人の多い、適用の非常に多い行(一)の七等級四号俸でアップが五千九百円、改正額で五万一千六百円であります。これと比べていわゆる特別職の問題でありますが、総理大臣の場合は二十三万三千五百円のアップになります。国務大臣で十六万六千八百円、法制局長官で七万円と、給与額総額と比べてもアップ額のほうが倍近くにもなる。給与というのは、生活というところから問題を考えていくべきである。もちろん、物理的ないわゆる衣食住だけじゃなくて、文化的ないろいろな問題もありますけれども、それにしても上厚下薄といいますか、あまりにもひどい。国民感情からいったらどうしても納得のいかぬことだと思いますが、総務長官、どういうふうにお考えになっておるかをお聞きしたいと思います。
  81. 本名武

    本名国務大臣 御指摘のとおり、数字の上ではたいへん目立った数字になっていることは御指摘のとおりでありますが、やはりとれには、私どもとしては、二つ三つ基本的に考えて今回は措置をしたわけでございます。一般職の方も非常に大事な国家の行政をになっておられるのですから、たいへん御苦労なことはわかるわけでございますが、特に特別職は、その職務の複雑な内容であるとか、あるいはまた困難性であるとか、まあ失礼な言い方でありますけれども、責任の度合いとでも申しますか、そういったものがいろいろと重要さを増しているのではないかと考える。したがってそれなりに高額な給与がなされていたと思うのでありますが、実は総理大臣等の特別職につきましては、四十四年の改定以来全然手をつけていなかったということで、今回手をつけることにいたしたわけであります。もちろん従来は、御承知のとおり一般職給与アップに合わせて上昇していたのでありますが、そういう四十四年からの給与引き上げを停止していたといういきさつもあるわけであります。それからさらには、他の一般職特別職との間の給与の格差がだんだんと詰まってまいりまして、給与体系の上からいっても、均衡が不合理を生じてきたというような点もありまして、特別職全体の中において検討いたした結果、今回引き上げをはかったわけであります。
  82. 東中光雄

    東中委員 全体の引き上げ云々ということでありますけれども、私の申し上げたいのは、一方では四千四百円しか上がらない、上がった結果でも三万二千二百円だという人がいるのであります。それなのにアップ額だけで二十三万三千円をこす。これは体系そのものが問題なのであって、国民は納得できない問題を持っているのではないか。根本的に給与というものを考えてみなければいかぬのじゃないか、こう思うわけであります。この点を指摘しておきたいと思います。  次に、先ほど御質問もありましたが、特地勤務手当について、沖繩復帰に伴って、与論島なり沖之永良部島は、いままで六級地二五%の手当が三級地か四級地にしかならないような、そういう方向を考えておられるようであります。これはなるほど、那覇市からの距離とかそういうことを言われるのはわかりますけれども、しかし与論島なりあるいは沖之永長部なりの僻地としての状況というのは何にも変わらぬですね。いままでどおり変わるところはない。沖繩復帰したことで、まわりの条件が変わらないままで実際には下がっているというのは、これまたはなはだ奇妙なことになっていると思います。そういう点についてこれは何らかの措置をされると思いますけれども、どういふううにお考えか、伺っておきたい。
  83. 尾崎朝夷

    ○尾崎政府委員 従来、隔遠地手当の格づけといたしましては、鹿児島を基準にいたしまして、だんだん沖繩のほうに向かって高くなっていくという形できておるわけでございます。ところが、沖繩復帰に伴いまして、沖繩の那覇という三十万の都市が返ってくる。沖繩の内部においても隔遠地手当の格づけが従来行なわれておりまして、那覇を基準にしてその中で格づけをされておるという関係があったわけでございますが、当面五月十五日現在におきましては、これをそのまま踏襲をするということでまいっておりますけれども、その後、ただ踏襲するというだけではなくて、やはり南西諸島全体を通じまして均衡のとれた格づけをしていくという必要があるわけでございます。そういう点から申しますと、やはり那覇を基準にしてこちらのほうにも格づけをする必要がございます。那覇を基準にして宮古、石垣のほうに向かって格づけをするという必要がまた出てくるわけでございます。そういう点で、新しい格づけをいたしますと、奄美諸島の中で沖繩のほうに最も近接したところにつきましては、中における均衡上どうしても調整せざるを得ないということが出てくるわけでございますが、実態といたしまして、那覇あるいは沖繩本島の最も北のところから、与論島、沖之永良部島への交通というのも若干増加をしてきておるという状況もございます。そういう点を考えますと、現在直ちに機械的に二段階も三段階も下げるというわけにはまいらないと思いますけれども、やはり当面、そういう実態に即しまして一段階は調整せざるを得ないというのが現在の考え方でございます。やはり沖繩を中心とした中におけるバランスということもまたとらなければならないという状況になっているわけでございますけれども、その時期等につきまして、あるいは補償方法等につきまして、現在いろいろ検討しておるという状況でございます。
  84. 東中光雄

    東中委員 現にあるものについての賃下げになるような、そういうことはないのでしょうね。その点だけちょっと伺っておきたい。
  85. 尾崎朝夷

    ○尾崎政府委員 金額的には補償措置は講じなければなるまいというふうに考えております。
  86. 東中光雄

    東中委員 もう一点、退職手当について質問しておきたいのです。国公共闘では、二、三年前の調査で、勤続三十年時点における水準は、民間の場合、会社都合の退職金が三百五十万円から四百万円、自己都合の場合はやや低くなって三百五十万円前後になっておるようですが、その後、賃金水準や退職金支給率が大体平均して年一〇%ぐらい上がっていますので、現在では、会社都合で約五百六十五万円、自己都合で四百五十万円前後というふうに見ておるようであります。それに比べて国家公務員の労働者の退職金は、高校卒あるいは旧中学校卒の勤続三十年というところで見ますと、賃金が大体行(一)四等級十一号俸月額にして十万二百円、この場合の退職金は当局都合で四百九十五万円余り、自己都合で四百十二万円余り、こういうことになります。したがって自己都合の場合は、官民格差は四十万円くらいになるわけであります。行(二)の労働者の場合は、勤続三十年、五十五歳前後の者で、俸給月額は五万から七万でございますから、勧奨退職の場合でさえ二百万円から三百五十万円くらいにしかならない。ずいぶん差が出てくるわけであります。退職手当についての処置の問題、これをひとつぜひ早急にやられなければいかぬと思うのですが、いかがか、お聞きしておきたいと思います。
  87. 本名武

    本名国務大臣 いま例をお述べになって御指摘がありましたが、退職手当につきましては、人事院からいろいろ精細な、厳正な御調査をいただきまして、検討いたしておる最中でございます。  御指摘のありましたように、個々の問題を取り上げてみますと、なるほど差のある点もないわけではございません。また一方において、たとえば千人未満の民間企業の場合には、むしろ公務員のほうが高いという例もあるわけでございます。そういう例もあったりいたしますので、なかなか簡単に結論が出ないで、はなはだ遺憾に思っておりますけれども、いろいろ御指摘の点なども十分考慮しつつ検討を続けてまいりたいと考えております。
  88. 東中光雄

    東中委員 長い間国家公務員として働かれて、退職したあとの老後の生活保障も十分にできないというふうな状態というのは、非常に遺憾なことだと思うわけであります。それは年金の問題もありますけれども、これは掛け金をかけての年金であり、しかもそれを含めてもなおこの退職金では生活が十分保障されない。特に物価上昇が非常に進んでおる状態で、先の見通しというのは非常に不安な状態というのがあるわけですので、こういう点についての退職金規定処置というものを早急にやっていただきたい、こう思うのですが、御見解をお聞きして質問を終わります。
  89. 本名武

    本名国務大臣 お話のありましたとおり、公務員には年金制度等もございますけれども、これは別といたしまして、御指摘のように、十分各角度から判断いたしまして検討いたし、つとめて早い機会に結論を出したいと考えております。
  90. 東中光雄

    東中委員 時間が参りましたから、終わります。
  91. 前田正男

    前田委員長 次に大出俊君。
  92. 大出俊

    大出委員 順序が逆になりそうですが、官房長官にお忙しいところを御出席をいただきましたので、率直に承っておきたいのでありますが、ここには東京新聞の記事がございます。これを見ますと、「背後に秘密確認書」、こういう見出しがありまして、下のほうは「米軍車両の通行自由化」、こういうことですね。つまり今回の戦車問題についての社会党の私どもと二階堂官房長官はじめ官房の皆さんとの間での、つまり言いかえれば政府と社会党との間におけるいろいろなやりとり、九月十一日の石橋書記長、私どもと二階堂さん、後藤田さんとのやりとり等をめぐりまして、「背後に秘密確認書」、こういう見出しで、中を見ますと「政府筋は十六日、車両制限令改正に関連して、政府が一転して強硬方針をとった背景として、先月社会党の石橋書記長らと問題決着を前提にした確認書をとり交わしていたことを明らかにするとともに」と、こうなっているのですね。これは新聞に書いておるところでありますから、「政府筋は」と、こういっているのですが、その政府筋がどこかわかりませんが、私の知る限りでは、どうも官房以外にない。ここに、背後に秘密確認書があった、こういうわけです。「この確認書は、先月十一日、首相官邸で横浜の米軍戦車問題解決のため石橋書記長ら社会党代表団と」——これは私が入っているのですが、「政府側から二階堂官房長官らが話し合ったさいとり交わされたもの。タブロイド判四ページ、十数項目にわたる詳細なもので、立ち会った政府側の一人がこれを読み上げ、双方で確認し合ったあと、政府、社会党がそれぞれ一通ずつ持ち帰ったといわれる」、こういうわけですね。これは実は私は、市民に迷惑がかかってもいけないし、何とか前向きでまとめたいのです。七市町村にわたる長い道のりですから、けが人があっては困る、そういう突き詰めた気持ちがありましたから、そうでない結果になっているわけですから、その意味では、事実に反することがありましても、私のことならばがまんします。しかし、どうもそうでない雲行きがございますので、そうなると、どうも私個人の問題として黙っているわけにいかない。それで実はこんな質問をする気になったわけでございますが、そういう意味でお聞きいただきたい。  まず、十数項目にわたる確認書がある、こういうのですが、私は確認書なるものの草案一つもらった覚えはない。この際ですから申し上げておきますが、私は確かに政府関係の方から、三枚にわたります、きわめて簡単でございますが、メモをもらった。これはあくまでもメモです。これには日にちが入っておりまして、九月六日でございましたね。一枚のメモは段取りであります。中身は何もない。何月何日ごろどういうふうにするという段取り。もう一つは閣議了解の案文、長官の発表についての簡単な要旨。もう一つは、ベトナム向けに持っていくなということについて、社会党から提起してもらいたい、政府は社会党の立場に理解を示したいという中身。これは私のところには三枚しかない。これ以外に私は、いかなる案文もいかなる文書ももらったことがない。これは私以外の人がやったことになるじゃないですか。本人でございますから、本人がないと言っている。もし皆さんのほうで、そんなことはない、大出さん、あるのですとおっしゃるなら別ですよ。  しかもこれは、東中さんのおられるところで共産党の諸君のことを言うのはなんですけれども、私の足元にビラがあって、見たら、共産党の方々のビラです。そうすると、このビラに「社会党秘密確認書」というわけですね。そこで詳細な中身があるというわけですよ。ずっと読んでいってみて、どうもこのビラは異なことを書いておるわいと思って見ていったら、そのビラに、東京新聞の記事によると小さく書いてある。共産党の皆さんけしからぬと言ったら、いや、東京新聞の記事による、こうなると、しりの持っていき場所がない。しかもどうも皆さんのほうから、だれか横浜においでになって、何か書いたものを持っていって、横浜の皆さん関係のほうへお見せになった方があって、市議会で確認書について質問するとおっしゃる。だけれども、ないものを、そういうことをおっしゃられても迷惑です。  したがって、まず一つ、これは一つずつ承りたいのですが、この戦車問題の十一日の石橋・二階堂会談、十二日の閣議了解、長官の発表、この問題をめぐってと、こう書いてありますが、この問題をめぐって確認書というのは、私は何ももらっておりませんがね。案文ももらってなければ、先ほど申し上げたように、メモ三枚だけでございますから、あったとお考えであるのかないのか。政府筋がというのですが、政府筋とは一体どこなのか。そうでなければ、これは新聞の全くの誤報なのか。いかがでございますか。
  93. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 いつだったか忘れましたが、先々日、参議院の内閣委員会にも呼ばれまして、いま大出さんがおっしゃったようなことを質問受けました。私はその際にも、秘密文書というものは全くございませんということを明確にいたしておきました。これは御承知のとおり、戦車問題は非常に大きな社会問題でもありましたから、私ども立場を御説明申し上げ、またできるだけ円満に事態を収拾しようということで、大出さんも地元のいろいろな人々の意見も交えて話し合いをされておりましたし、私どもも、できるだけ不測の事態などが発生しないようにということを心がけながら、話をしてまいったことは事実でございます。  九月の十一日でございますか、石橋書記長と大出さんお見えになりまして、先ほど大出さんから、メモだとおっしゃったようなことについて種々懇談をいたしたことは事実でございます。それも、できる限り事態を円満に解決いたしたいという趣旨に基づいての話し合いをいたしたことは事実でありますが、その結果、私が九月十二日に、閣議了解事項と、なお官房長官の談話として発表したことも御了解いただいておるところと思いますが、そういうことだけでございまして、その十数項目にわたるものを文書に取りかわした、大出議員に一枚、私どものほうに一枚ずつというふうに持ったような事実は全くございません。あるかないかお考えになっておるならばとおっしゃるが、考える余地はございません、ないのでございますから。明確に申し上げておきます。
  94. 大出俊

    大出委員 石橋さんと私が出席をいたしましたが、私、当事者でありまして、皆さんのほうも副長官がおいでになりましたが、それが当事者でありまして、その間、日程の打ち合わせその他をいたしましたが、ここにあるメモはそのとおりの日程でございますから、私どもも天下の公党でございますから、国民に責任を負わなければいけない。戦車をとめたことも、事実社会党がとめたわけでございますから、その意味の責任を負わなければいけない。だから、当然政府との間のやりとりをする、これはあたりまえであります。  そこで、閣議了解、これはもう発表されているとおりでありますが、「相模総合補給廠の戦車修理部門の縮小ないし機能停止を検討するものとする」。案文をメモしていただきました。「閣議後の長官の発言として、閣議了解を紹介し、政府としては一両年を目途としている旨明らかにする」、こういうことであります。「ベトナム向けの修理されたもの、M48、113などがベトナムに送れないようにするなどの点は、石橋書記長、二階堂官房長官による申し入れの形で提起し、これに対して政府は社会党の立場に理解を示す」、これだけであります。だからこれしかない。長官も否定なさいましたが、両当事者でございますから、世の中の誤解は解いておかないとお互いの立場が困りますから、明らかにさしていただきたいのであります。  ところで、この問題に関連いたしまして、ここに新聞記事がございますが、「一通ずつ持ち帰った」「十数項目にわたる詳細な」というのですが、こういう事実もないことはお認めになりましたから——認めるも認めないも、初めからないとおっしゃいますから、これはそれで問題ない。そこで、ほかの新聞にも載っておりましたが、当事者でございますので、事実ないことだけを明らかにすればそれでいいわけでありまして、あとは対国民という形で、お互いの立場が違いますけれども、できる限りひとつ国民の皆さんに対して納得をしていただけるようにという、私どもは私ども立場政府政府立場でものごとは進んできておる、こういうことだと思うのです。  さて、そこで承りたいのですけれども、大平さんがおいでにならないのですけれども、官房長官が、大平さんの発表のあとで、新聞記者の皆さんにお答えになっておる。だから官房長官立場で承りたいのですが、このたびの閣議報告というものは、一体本物であると理解していいのかどうかという点がまずある。というのは、戦車修理機能、こういうことになっていたのだが、戦車並びに自走砲あるいは戦闘車両を含むことにした、つまりそういう機能、こうなるわけですね。この点が一つございまして、さて、いま米軍が計画しているものを搬出したあと、原則として運び込まない、つまり搬入をしない。それからもう一つ、自後、修理されたものについては原則としてベトナムに持っていかない。三点あるのですね。ただ、修理機能の縮小なりあるいは停止なりということについての時期的なことについては、いつということについては述べておられない。したがって二つ承りたいのですが、このいきさつは、その後の米側との折衝、こうなっているのです。つまり具体的にどういうかっこうか。言えないというならけっこうでありますが、アウトラインを知りたいのであります。どういうかっこうでこういうことになったのか、時期的には一体どういうことになるのか。官房長官は、一貫してやってきた、閣議了解以後は政府の方針が米側との間でここまできた、こう言っておられる。そこのところはどう理解をすればよろしいのか、長官の口から承りたい。
  95. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 いまのお尋ねにつきましては、後刻外務大臣が参ると思いますから、外務大臣のほうから詳しく事情を御聴取願いたいと思いますが、私は九月十二日の記者会見、閣議了解事項等でお話しを申し上げたとおり、市民感情、県民感情等もありますから、政府立場立場といたしましても、できるだけ相模総合補給廠の機能の停止、縮小というものは、ひとつ政府としても急ぐ方針で米側にも申し入れをいたしました。なお、ベトナムに戦車を送ることについても、そういうことがないように善処をしていただきたいということを申し上げておいたのです。  ところが、その数日たってからでございますが、アメリカの公使かどなたかが、戦車はどんどんベトナムに送るのだなどというような新聞記事が——これまた新聞記事でございますけれども、出ましたから、私は記者会見におきまして、はなはだ不愉快きわまることだ、当然のことを私が言ったのに対して、戦車はどんどんまたベトナムに送るなんということを言われたのでは困る、はなはだ不愉快きわまることでございます。私は厳重にそういう報告を記者会見のときにいたしておきました。それに対して、少し言い過ぎがあったというようなことで、外務省を通じて、私のほうにもどなたかが来られたという話は承りました。全く言い過ぎである、遺憾である、そういう姿勢でこの戦車の問題、相模補給廠の機能の停止の問題については、国民の考え方、市民の感情というものを政府は当然訴える責任がありますから、そういう姿勢で私は今日までも努力をいたしてまいったつもりでございます。そのことは、先日外務大臣から米軍当局との間に合意いたしたことを御報告になったということになっていると思いますから、それらの詳しいことについては、外務大臣からまた御説明があると思いますが、私のとりました姿勢は、一貫して記者会見の後段において申し上げたような姿勢で米当局に伝えたということでございますから、御了承いただきたいと思います。
  96. 大出俊

    大出委員 官房長官にもう一点だけ承りたいのですが、先ほど来、十数項目にわたる詳細な確認書が政府筋から出てきたという記事がございまして、これについては、中身に触れるまでもなく、確認書がないのだという御答弁をいただきました。私も持っておりませんし、見てもおりません。警察の供述調書というものも判こを押さなければ成り立たない。見てもいないものですから。だから、その点は明確になりましたからよろしいのですが、ついては、横浜に官房の方がどなたかお出かけをいただいたそうでございまして、政党の神奈川県連から出てこいということだったのだと承っておりますが、おいでになって、そうしてこの戦車問題をめぐる各般の事情の説明をされた。その際何か書いたもの——書いたものというて、印刷したものだと思いますが、いろいろ書いてあるものを見せたというのですね。だから見た方々何人かおいでになるのですが、こんなふうなことであったということは耳にしております。それを私にくれないかと言ったところが手に入らない。実は見たけれども写してないからと、こういうお話なんですね。だが、おいでになったことだけはそれで確認ができる。  そこで何かお見せになったとすれば、これは私の想像ですけれども、私と二階堂さんと問題の解決のためにいろいろ話をした。そのときに政府側の記憶、覚えを、こう話をするというのをあるいはメモされておって、それをごらんになっていろいろ言われた。これはものごとをまとめるのですから、多少やりとりはある。それをまた御記入になったというふうなものがあるいはあるのかもしらぬ。それを私は見ていない。いただいてもいない。だから、そういうものをもし持っておいでになったんだとすると、いま警察の話をしましたが、相手方である私が口でものを言った、それを相手方のセンスで御記入になったとすると、こういうやりとりというのは、ことばは微妙でございまして、だから、許可していただきたい、許可しましょう、市長はそんなふうに考えておるといったところで、方法だとか期間だとかに触れてないわけですから。これは一例ですけれども、だから、そういうふうな私が全く知らないものを、相手方が、交渉当事者が知らないものを持っていかれて説明をされて、市議会で質問だなんて話になってくると、全く相手がないところで相撲をおとりになることになる。そこらはまた、私どもから言うとまことに迷惑なんだけれども、そういう事情について御存じでございますか。
  97. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 これも、日にちは正確に記憶はしておりませんが、このいきさつについて、自民党の神奈川県連本部のどなたからか、われわれも新聞記事などを見てわからぬ点もあるから、だれか説明によこしてくれないかという話がありました。そこで山下副長官に対して、適当な時期に、県連のほうの要求でもありますから、よくわからないということでもあるから、その話を説明をしてきたらどうかということは申しましたが、しかしその際も、大出さんもメモを持っておられますから、私はここでメモを持たないわけでもありません、同じようなメモを持っておるわけでありますから、そういうメモのことを向こうに行って説明したものではなかろうかと私は推察をいたしております。しかし、どういう文書を持っていって——あるいは署名捺印したものでないことは、先ほど申したとおりでございますから、大出さんがお持ちになって、先ほど御説明されたようなもの、それ以上のものであるはずはありません、もしメモがあるとすれば。だから、そういうものを基礎にして説明なさったものではなかろうか、私はかようにいまは推察をいたしておるわけでございます。署名捺印したものは一切ないわけでございますから、その点は重ねて明らかにしておきたいと思います。
  98. 大出俊

    大出委員 私、さっき三枚のメモを、九月の六日でございますが、これは長官がおっしゃるように、長官のお手元にもこの三枚だけあるはずでありまして、中身はいま読み上げましたからもう言いませんが、また外務省の方々のほうにもこの三枚だけはあるはずでございまして、それ以外のやりとりしたメモはない。これはここで読み上げました。だから、それをさされるというなら私も了解できます。事実私も認めておるメモでございます。ただし、中身はさっき読み上げたとおりです。  そこでもう一つ、これで終わりますが、いまの関連でございますから。  そのときにどうも不穏な話がありまして、これはまた私も迷惑千万な話なんですが、横浜にモータープールという三万坪の米軍の区域、施設がございます。これは実は私、中に入りまして、防衛庁の皆さんもお見えになっておりますが、大蔵省、防衛庁、運輸省、横浜市、民間の会社、まあ実は長い間四苦八苦してまとめた経緯があります。ちゃんとまとまりまして、横浜市は南部下水処理場をつくり、その土地の所有者は別のところに埋め立てをする。全部まとまっている。で、十一月の十日ごろを目途にこのモータープールに関しては事務的な話が決着して、返しましょう、金は幾ら幾ら横浜市が出します、そしてこっちのほうに建物をリロケートするというふうに済んでいるわけですよ。ところが、そういうものはいつになるかわかりませんぞ、一つ間違えば無期延期になりますぞ。  それからもう一つ、本牧に米軍一号住宅地というのがございますが、四百二十六軒、米軍の宿舎がございます。本牧の市電の通りの海寄りの側でございますが、これまた私も長いこといろいろやってまいりまして、横須賀の市議会の皆さんに、わがほうの諸君に一日つるし上げを食ったりいたしましたが、まとめて、実はブリグス湾、泊湾という構須賀の基地の中の湾を埋めたりいたしまして、そこにこの米軍の一号住宅地の宿舎を持っていく。これも話が、私、中に入りましていろいろやってまとまりまして、その方向にもうすでに進んでいるわけでございますが、これもいつになったら返るかわからぬぞ、そういうお話を承り、官房のいま山下さんというお話が出ましたが、そうなれば副長官は山下元利さんでありましょうが、そちらからそういうお話があった、こういうことでございます。  そうすると、これは横浜市にたいへんな迷惑をかけることになりはせぬかということを、皆さんの側から横浜市のある人たちに話がある。これは私にすると、江戸のかたきを長崎式の報復措置になるのですね。そうなると、ちゃんとそれは防衛庁も御存じですけれども、おのおのの立場があって、また旧地主の方々もあって、ずいぶん苦労してこれはまとめてきたのですから、たとえば戦車問題で横浜市憎しということで、かりに、米軍側あるいは米側、あるいは政府立場があったとしても、だがしかし、これは事住民にかかわること、市民にかかわることでございますから、おのずから筋道が違うだろうと私は実は思っております。だから、あえて報復措置をとるとおっしゃるならば受けて立たざるを得ませんけれども、まさかそういうことをお考えになることはなかろうと思うのでありますが、はっきりしておいていただきたいのでありますが、御存じでございますか。官房からお見えになった方の口から出たというふうに、横浜市の市長は直接その聞いた方から承っておりまして、名前をあげるのは不見識でございますから申し上げませんが……。
  99. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 そういうお話、いま大出さんから初めて聞きましたが、そういう話があったかどうかについては、いままで聞いておりません。また、もしおっしゃるような、そういう意図で発言をするようなことは、政府としてはお考えになる方はおらないと思いますし、私どももそういう考えは毛頭ございません。まだ聞いておりませんから、いまお話がありましたからよく聞いてはみましょうが、しかし、そういう考えはないということを明確に申し上げておきたいと思います。
  100. 大出俊

    大出委員 これは長官、市民対象でございますから、関係者がたくさん町の中におりまして、苦労した地主もおられるのですから、本牧の米軍一号住宅地なんというのは、そのために期成同盟までつくって、早く返してくれといっていろいろ苦労されて、だから私も一生懸命やったわけですから、そういうところまでまさか政治レベルの問題で波及させるということは筋が違う。邪道です。だから、そんなことはない、こう私は頭から否定しておりますが、出てきた話でございまして、十二月には市議会もございますから念のために承ったのですが、そんなことがあるはずはないという官房長官のお話でございますので、そうでなければならぬし、私も、それは筋が違うと、そうなれば申し上げざるを得ないので、これはそういう形にならぬように御配慮をいただきたいのであります。よろしゅうございますか。
  101. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 はい。
  102. 大出俊

    大出委員 長官に最後に一つだけお願いがありますが、これはいま公務員給与審議いたしておりまして、採決の前でございますが、沖繩公務員皆さんが五月の十五日からでないと差額をもらえない。四月一日から本年は給与改定実施をするのですが、復帰が五月十五日であるということのために、五月十五日からになってしまう。それで沖繩から代表団方々が出てきたりしております。  そこで私は、やはりこれは政治的にひとつ、つまり沖繩皆さん心情——円・ドル問題でもずいぶん苦労して、物価が上がる中で損失をこうむった実例があります。だから、そういう方々ですから、給与法のたてまえやいろいろ制度のたてまえがありますが、それを克服してきたのが沖繩復帰の諸対策でございますから、本名さんに前向きの御答弁をいただきましたが、あわせて政府という意味で、官房長官にもぜひお含みおきをいただきまして、心情的な理解をお示しをいただきますように、これはお願いしておきます。
  103. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 いま大出さんのおっしゃったとおり、そういう心情は私も十分心得て持っておるつもりでございます。なお、総務長官のほうでいろいろ苦労して、いま取りまとめをしておられる段階だと思いますから、それ以上いま私のほうからとやかく申し上げませんが、そういう気持ちで取り組んでまいりたいということでございます。
  104. 大出俊

    大出委員 それじゃ私は長官には、先ほどの秘密確認だとか密約だというのが出てきましたから、当事者相互に話してしまったほうが世の中明らかになりますから、そんなことをいわれていたんじゃお互い困りますから、おのおの公党でございますから、また政府でございますから、それで申し上げましたが、やぼに聞こえたかもしれませんが、やはりこれははっきりさせておかなければいけませんので、御了承いただきたいと思います。給与の問題を離しまして御答弁いただきましたので、官房長官への私の質問はこれで終わらせていただきます。  そこで、外務大臣に承りたいのでございますが、いま二階堂さんにいろいろ承りましたのですが、外務大臣からお答えをという実はお話でございます。それは例の相模原の総合補給廠をめぐりまして、九月の十二日の閣議了解がございます。この午後、私、大平外務大臣に質問をいたしておりますが、この日の朝、外務大臣の発表もございましたが、以後今日まで努力をされた経緯として閣議報告をされたようでございます。官房長官の記者発表もなさったようでございます。  三つ要点がございまして、いま搬出計画を持っておる米軍の計画がございます。この計画が終わったあととういことになるのだと思うのでありますが、一つは整理、縮小という方向を米側と了解点に達した。そうして搬出以後、戦車のみならず自走砲あるいはその他の戦闘車両含めまして、原則として搬入をしない。もう一つ、修理されたものを原則としてベトナムに持っていかない。「原則」という文字がありますが、中身は三点であります。これはどうも時期的な明示がありません。そこらのところから、どうもM48戦車を運び出す前提としてここまでのことをおっしゃったのではないかという疑問等も、新聞の記事の上では出ております。事実、市民その他の中にも、そういう見方をする諸君もなくはない。したがって、簡単でけっこうでございますが、その後の経過を、つまりどういう筋道でこういうことになったのか、要点をお述べいただきたいのと、ベトナム戦争の関係がいろいろ出ておりますが、そこらとの関係をどうごらんになっておるのかという点を、まず簡単に御発言いただきたいと思います。
  105. 大平正芳

    ○大平国務大臣 九月十二日に、いま御指摘のような閣議の了解がございましたし、それに関連して、二階堂官房長官からベトナム向け云々の談話が発表されたわけでございます。その後、この問題について米側との折衝がどうなっておるかは、いずれ外務省のほうで御報告しなければならぬ筋合いのものであったと思うのであります。  ベトナムの戦局が、御案内のように、ようやく本格的な終息段階を迎えておりますことも手伝いまして、現在の状況のもとでは、いま大出さん御指摘のような方向で処置しようということになったわけでございます。現在の状況のもとではというのは、ベトナムの停戦が実現するという濃厚な期待の上にあるわけでございまして、これがおかしくなってしまうと、またこれ私どもも困るわけでございますけれども、一応まあだいじょうぶだろうという想定をいたしまして、一応そういう了解に達したことは御報告をする必要を感じたわけでございます。  それが一つと、それからいま言った戦車の搬出問題がございます。これは正直に申しまして、いまたしか相模総合補給廠には七、八十台あるはずでございます。その他兵員輸送車等が千台ばかりあるわけでございまして、現在あそこにある戦闘車両の修理は続ける。それで、済んだものはできるだけ早く搬出しなければいかぬわけでございます。しかし、今度搬出をお願いするにいたしましても、九月十二日の閣議の了解の線で外務省当局は何をやったんだというようなことについて、国民に御報告もしないままでお願いするのも、これはまあ筋が立たぬ話でございますから、私どもといたしましては、早晩これはお願いしなければいけないので、これは逃げも隠れもしないわけで、ごまかすわけにいかないわけですから、これをお願いする場合に、やるべきことはやっておかなければいかぬのじゃないかということが第二でございます。  それから、それではいつどれだけ搬出するかというような問題は、実は車両小委員会でございますか、日米合同委員会の車両小委員会のほうでおきめになるわけでございまして、私のほうは、いついつこれだけ運べというわけにいかないわけでございます。それは、早晩御計画が立ちましたら、道路管理当局のほうにお願いしなければならぬのじゃないかと思っているわけでございます。事情はそういうことでございます。
  106. 大出俊

    大出委員 これは二つ聞いておきたいのですが、一つは、戦車修理機能のみならず自走砲あるいは各種戦闘車両の機能の縮小あるいは停止、M48等の戦車のみならず、自走砲であるとか、あるいは各種戦闘車両であるとかいうふうなものを含めてその修理機能の縮小ないしは停止、こういうふうに——閣議了解のときには戦車が主になっておりましたが・機能という問題については、それはそういうふうに受け取って間違いないかという点が一つであります。  それからあわせて、これは時期が明らかにされていない、あるいは目途が明らかにされていない。一両年という線でかぶしたものは前にございますけれども、この中間報告に見合ってのいつごろまでにという時期的な明示がございませんので、戦車のM48運び出しの前提として、いま善意でおっしゃっておりましたが、世の中には必ずしも善意にとらぬで、そのための布石ではないか、またあとで運んでしまったら変わるのじゃないかという見方も実はある。そこのところについて、時期的なもの——今度お出しになったのは、単にM48を運ぶということだけではなくて、そのためだというのではなくて、これこそ本物なんだという理解がなされているのかどうか、そこのところをはっきりしてください。ポイントでございます。
  107. 大平正芳

    ○大平国務大臣 九月十二日の閣議了解は、御承知のように「戦車」と書いてありましたけれども、その後話し合いをいたしまして、いま仰せのように、自走砲とか兵員輸送車も含めるということに確認しました。その修理機能の縮小ということで、閣議では停止ということを了解しておるわけでございますけれども、いま三つの事情がございまして、それは「原則として」ということにかかってくるわけでございますけれども沖繩に若干海兵隊がおる。在韓米軍も若干おる。それからベトナムの停戦が行なわれたあと、北と南がだんだんと武器の始末をしていきます。向こうも一台減らしたらこっちも一台減らすということになるのじゃないでしょうか。そういうような、全然武器がなくなるのではなて、縮小はされますけれども若干まだ保有しておるわけで、その入れかえとかなんとかいうことが例外的に起こり得るわけでございまして、そういうこともありますので、全然停止ということになりますと、うそになりますから、正直に縮小を大幅にやりますけれども、停止まではいかぬということ。  それから、ベトナム向け等の場合も、「原則」という文字を入れさせていただいたわけでございますが、これはあくまでもそういう趣旨のものでございまして、ここに大きな含みがあるわけでは決してない。たぶらかそうなんという気持ちは毛頭ないです。  それから、期間の問題でございますけれども、これはベトナムが停戦になりましてどうなりますか、アメリカ軍のアジアにおけるプレゼンスという問題がどのようなぐあいにこれから展開していくか、実は私どももよくわからないのです。おそらく非常に閑散な状況になると思いますけれども、それがいつまでにこれをどうするというめどが、この段階ではこうなる、この段階ではどうなるということをいまの段階で立てろと言われても、なかなかむずかしゅうございます。しかし、いずれにせよ、ベトナム停戦を契機といたしまして、もう大幅に縮小することは間違いないことでございまして、戦車を運び出すので、いまうまいことを言うといてやれという気持ちは毛頭ございませんから、絶対に政府はもうよそに引っ越すわけにいかぬですから、うそは言いません。でございますから、その点はありのまま掛け値なくひとつ御了解をいただきたいと思います。
  108. 大出俊

    大出委員 どうも、政府に引っ越しされちゃったり、たぶらかされちゃったりじゃ、この期に及んでまじめなまとめの努力をしたつもりでおりますから困るのですが、そうではない。  そこで、この「原則」ですが、二つあるんですね。原則として搬入をしない、原則としてベトナムに持っていかない、二つある。そしてその「原則」は、御説明によれば、韓国あるいは沖繩に戦車があって、この修理をする場所がないという意味でということになる。そうすると、ここで修理をしたM48などというもの、あるいは戦闘車両などというものが、「原則として」とは言うんだが、また大量に行っちゃったんじゃないかということになると、これは困るんです。これはあくまでも原則なんだからと、こういうひっかかりがここにある。  そこで、分けて聞きますが、いま48をお運びになるというのだが、これはいまのベトナム戦局のとらえ方によりますけれども、これを持っていってまたばたばた始まるという使い方なのか。主として米軍の輸送計画、搬送計画というものを現時点でとらえたときに、かけ込み搬入ということばがございますが、おっしゃるような認識で、良好な結果を生む、停戦、こういうことであるとすれば、それは近いという認識のようにさっき承りましたが、近いと見ていいか。近ければ、かけ込み搬入という形のもの、置いておいて停戦になれば持っていけない、こういうことなのか。これは私は政府ではありませんから、ベトナム戦局を詳しく聞いておりません。新聞で見ている限りです。そうでない、いま戦闘なんで、全部それに使わなければならぬのだという緊急事態があって、48はどうしても近々のうちに運ぶ、こういうことなのか。そこらのところはどうですか。
  109. 大平正芳

    ○大平国務大臣 そのあたり、われわれはベトナム戦争の当事国じゃございませんので、あまりはっきりしませんけれども、あなたの言うかけ込み搬入というようなことは毛頭考えておりません。  問題は、いま七、八十両あるという戦車を——いま私のところへ、きょう午前十一時から合同委員会の車両小委員会が開催されて、米側よりかねて要請のあったM48戦車の相模補給廠からノースピアへの搬出を条件つきで確認したというメモが入りましたが、これは、いま修理済みのものが七、八十台あると先ほど申しましたものについて、車両小委員会で早く搬出してくれということだろうと思うのでございます。しかしこれは、ベトナムの戦局につきましては、先ほど申しましたように、本格的な停戦交渉もサインする直前にいっておるようでございまして、万々これは動かないものと思いますので、これがまた新しく搬出されて、ベトナムの戦局に尊び火を吹くというような事態は、私ども全然想定いたしておりません。ただ、あそこに修理済みのが若干残っておるものの、搬出だけの問題として御了解いただきたいと思います。
  110. 大出俊

    大出委員 時間の関係上はしょりますが、もう一点ここで承っておきたいのは、48戦車、合同委員会の車両小委員会、ここできまって、通告はすぐ出るのかどうかという点ですね。通告はおそらく市なら市にじきにあるだろうと思います。それを、いつになる、どのくらい、今明日、明後日のところで搬出するということになるのかどうかという点と、もう一つ、さて修理機能の縮小ということに伴うトラックなんかの修理機能が残る云々ということもあろうと思います。縮小ですから。これと兼ね合っての人、駐留軍におつとめになっている皆さんの人の動き、ここはどういうふうにお考えかという点。これはあと、それならそのように全力をあげてやらなければなりませんから、その問題。防衛庁の関係だと思いますが、そこのところ……。  それからあわせて建設省の御見解を聞いておきたいのですが、これは横浜市と建設省の間に村雨橋と千鳥橋をめぐりまして技術的に詰まっている、これは私も認めはいたしますが、かといって、それではよろしい、こういうことになっているわけではない。これは市長が新聞でものを言っておるとおりであります。ここのところで、こういう形でという実は技術的な点がここにございます。重力を分散していこうというわけですね。重力を分散をして上に載せるものを載せるというわけでありますが、覆工板等を載せていくということですね。それで何日くらい最終的にかけるつもりなのか。三日といわれ、一週間といわれ、あるいは一日といわれるわけでありますが一そこらのところ建設省はどうお考えなのか。  時間がありませんから、重ねて聞いてしまいますが、十六号の国道を横須賀に向けて走るということはない、こう考えてよろしいか。  あわせてC5Aが横田に来ておりますが、緊急にというので、あっちに持っていくようなケースが何かから出てくることがあるのかないのかという点。あわせて防衛庁に承っておきたいのですが、七、八十台とおっしゃるが、48とすると、そこらの数字は正しいかどうか。  以上、ちょっと個条的に言いましたが、答えてください。
  111. 大平正芳

    ○大平国務大臣 建設省のほうからもちろんお答えがあると思いますけれども、いまの台数の問題ですが、私は七、八十台修理済みのがと申しました。そのうち五十台搬出するということでございます。
  112. 高橋国一郎

    ○高橋(国)政府委員 村雨橋につきましては、覆工板でカバーいたしまして、徐行するだけで通れるわけであります。千鳥橋につきましては、ただいま路面上鉄板を敷き、Iビームを並べ、覆工板を置くことによりまして、強度上は全く十分でございますので、それでこれを許可と申しますか、そういう協議に先ほど応じております。そういうことの条件で通れるということを通告しております。したがいまして、別に通知を出すことはございません。
  113. 大出俊

    大出委員 時期的には……。
  114. 高橋国一郎

    ○高橋(国)政府委員 時期的には、工期は、覆工板を上に並べるだけでございますので、二、三日あれば十分でございます。
  115. 大出俊

    大出委員 この人のほうの動き、ちょっとあわせて具体的に……。
  116. 高松敬治

    ○高松政府委員 相模補給廠の機能の縮小に伴う人員整理の問題につきましては、現在のところ、そういう動きを私どもは全然承知いたしておりません。
  117. 大出俊

    大出委員 これで終わりでございますが、村雨、千鳥一本でございますね。横田とか十六号とかいうものはない、そう理解してよろしいですね。
  118. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 現在私ども承知しておりますのは、その路線だけでございます。
  119. 大出俊

    大出委員 ほかにありませんね。
  120. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 さようでございます。
  121. 大出俊

    大出委員 外務大臣に最後に承りますが、ベトナム戦争の良好な終局、つまり調印がきわめて近い、大筋は固まって万々火を吹くことはない、こういう見通しだとすれば、これは前から何べんか実は外務省等にも私申し上げてきているのですが、ここでまた騒ぎを起こして、そこまでのことをして五十台とおっしゃるのですが、運ばなければいかぬのですか、どうしても。だとするならば、かけ込み搬入だという。万々火を吹くことはないとおっしゃっているんだが、持っていっておく。そこのところ、どうなんですか。またここまで来て、ここまで御努力を願っているならば、ここのところはどういうふうにお考えになっているのか。いかがでございますか。
  122. 大平正芳

    ○大平国務大臣 なぜ何台、いついつ搬出をしなければならぬのかという事情は、不敏にして私もよくわからぬのです。それは米軍側の都合だと思うのでございますけれども、しかし政治的に見まして、もう調印直前まで来ているし、停戦交渉というものはもう帰らざる川にさおさしておるわけでございますから、私どもは、これが新しくまたベトナムの戦局を逆戻りさせるようなものとは毛頭考えていないわけでございまして、修理済みのものを搬出したいというのなら、早く搬出していただいたほうがいいんじゃないかという気持ちでございます。
  123. 大出俊

    大出委員 国内法を優先させることについてお認めになった政府でございます。ならば、土俵を広げるということでなくて、つまり車両制限令の改正ということでなくて、私はもっと話を進めるべきであったと思います。そういう意味でまことに残念でありますが、最後までどうもこれは、何がしかのお互いに立場上やるべきことをやり合わざるを得ないというところまで来たような感じがいたしますが、真意は承りました。終わりたいと思います。
  124. 前田正男

    前田委員長 次に伊藤惣助丸君。
  125. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 私は相模原の問題について質問します。  外務大臣は、八月八日の内閣委員会で、私たち野党側の質問に対しまして、国内法は十分尊重させる、法の改正は考えていない、国内法と調整をしながら十分今後は話し合っていきたい、こういうふうにあなたは、議事録にもありますけれども、答弁なさっております。しかし、その後突然に車両制限令というものを改正してしまった。先ほど、大出委員と官房長官並びに外務省側ですか、密約じゃないけれども、いろいろ話し合ったメモはあるというお話でございますが、やはりいま大出委員の質問で明らかになったように、話し合いといっても、その際に何も密約のようなものはなかったということなら、こういったことを当該委員会において発言しておきながら実際にやってしまった、そのことは食言ではないか、私はそう思わざるを得ないわけであります。大臣、いかがですか。
  126. 大平正芳

    ○大平国務大臣 仰せのように、当委員会並びに参議院の内閣委員会等におきまして、国内法の改正はしないでいきたいということで私が発言したことは事実でございまするし、あの時点におきまして、私はそのように考えておったわけでございます。われわれが安保条約並びにその関連取りきめの運用をやる場合におきまして、しゃくし定木、法規一点ばりでなくて、やはり十分話し合いの上円滑にやらなければならぬ。十分話し合ったほうが事実うまくいくわけでございまするし、私はいまなおそう考えております。  ただ、四月一日の政令改正後、道路管理権を持たれた御当局側で道路管理令に準拠されて認否をいろいろ御判断されるだけであればよろしいわけでございますし、そう望ましいわけでございますけれども、こういう問題はえてして政治性を持ってくるわけでございまして、政府がもう一生懸命お願いしておるのでございますけれども、なかなかたき木がなま木で燃えてくれないということで、政府もじんぜん日をむなしゅうしておれば、政府の義務を果たすことができないことを心配いたしまして、政令改正に踏み切らざるを得なかったのでございまして、これは非常に残念なことだったと思うのです。  伊藤さんから食言だと言われたわけでございますけれども、私はあの当時正直にそのとおり思っておったわけでございますし、またそのこと自体もそういう方向で解決が望ましいし、また解決できるものと判断してそう申し上げておったわけでございますが、若干意思にたがえた状況になりましたことは、私自身非常に残念に思っておる次第でございます。
  127. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 この問題は、要するに条約上のそういう解釈があったとしても、やはり国民感情にそぐわない。安保条約というものがあって、日本の平和と安全を考えるならば、それはそのまま日本人の生命、財産を保障することにほかならないんだから、国内法をどこまでも尊重していくべではないか、調整していくべきではないか。これはわれわれが考えるだけではなくて、大臣の考えでもあったわけですよ。そうして、そういう発言があったあと、九月の、正確に言うと十九日ですか、参議院の内閣委員会で大臣は、そういった問題については安保条約上問題ないと、いわゆるまた振り出しに戻って統一見解を出したわけです。それじゃ、何のために外務大臣はここでそういう発言をしたか。それから、国民の感情を考慮に入れて勇断をもっていろいろな問題を話をするのかと期待をしておったわけですが、実はそうではなくて振り出しに戻った。非常に残念に思っているわけです。車両制限令ですか、これを改正するときに、木村建設大臣は、車両制限令と建設省令の改正についてこう言っているのですね。私としては最後まで話し合いで解決したかったが、外務、防衛両省庁から強い要求があり、改正に踏み切らざるを得なかった、このような発言も実はあるわけですよ。だから私としては、どうも大出先生のお話を聞いておりまして、密約はないとおっしゃいましたけれども、何か社会党さんと外務省さんと、あるいはまた官房長官で話し合いをして、そういったことについてはある程度のめどをつけてこういう態度になったのかなと実は疑惑を持ったわけです。しかしながら、そういったことがないとするならば、外務大臣、ますますそれは、そういう気持ちだったけれどもできなくて残念だったなんというような簡単なことでは済まされない問題であると私は思う。このことは何も、相模原補給廠から物が運ばれる、ベトナム戦争は終了するからいいじゃないか、そういうことでなしに、沖繩も同じことでありますし、そしてまた、今後ますます極東あるいはまた周辺諸国の防衛の義務のために沖繩を米軍が使うということを考えてみればいろいろ問題が出てくる、こういうことで私はたいへん問題を重大視しているわけで、大臣のいまのそういう答弁では納得いかないのです。  それで委員長、予算委員会の時間も十五分だというふうに聞いておりますし、この問題はまたあとでいろいろ質問したいと思いますが、もう一つ伺いたいことがあります。沖繩の基地問題であります。  一つはB52の問題です。御存じのように、これがグアム島から百三機ですか、飛来した。しかし外務省側とすれば、それは事前協議の対象ではないと言っておりましたね。われわれとすれば納得いかないのです。なぜかならば、事前協議の対象としては、戦闘作戦行動であるとか、配置の転換であるとか、あるいはまた装備の変更、こういった三つになっているわけですが、このB52の飛来については、いわゆる装備の変更の中の口頭了解事項の一つだと思うのです。陸の場合は一個師団以上、あるいはまた飛行機の場合は一飛行師団以上、あるいはまた海でいうならばワンタスクフォース、一行動艦隊以上、こういったものが日本に寄港する場合は事前協議の対象になると書いてあるのです。  そこで私は、しかしながら緊急避難の場合は別だと言いますけれども、あの場合、グアム島周辺にはそういうようなこともなかったように思いますし、沖繩だけが基地ではなくて、実はフィリピンにもタイにも大きな空軍基地があるにもかかわらずB52が飛来した、それをまた政府が認めた、しかも米側に有利な線で認めた、こういったことについては全く納得のいかない点であります。こういったことについて、どういうように考えられてそういう態度をとったのか、お伺いいたします。
  128. 大平正芳

    ○大平国務大臣 事前協議の対象にB52の嘉手納基地飛来が当たるか当たらないかという法律解釈、条約解釈論といたしましては、たいへん遺憾ながら私は伊藤さんと見解を異にするわけです。それは、あそこに飛来して、そこを本拠として駐留するのでございませんで、台風の避難で、天候が回復したらすぐ帰島するわけでございますから、そういう解釈から申しまして、事前協議条項にかかるとは思いません。  しかし、これはあくまでも条約論でございまして、先ほど御指摘の相模補給廠の撤出問題につきましても、私のほうで条約論を示せと言うから条約の解釈を示したものでございますが、私は何も、それだからこれに従って、おれのほうは行政権を行使してしゃにむにやるぞなんというつもりは、一つもないのでございます。事前協議条項にひっかからないけれども、これにつきましては再三米側に申し入れて、真にやむを得ない緊急避難のときだけでございますよ、そしてこの天候が回復をしたらすぐ立ち去ってもらわなければいけないのですよ、つまりあれが定型化しないようにしてもらわぬと困る。米側が権利として行使すれば、これはしかたがない仕組みになっておりますけれども、それじゃ困りますからといって、こっちからもの言いをつけまして、そのように運営をしておるわけでございますので、その点は私どもが苦心しておりますことを御理解いただくと同時に、私どもの申し出に対して米側も理解を示していただいておるということでございますので、しゃくし定木に条約解釈論一点ばりで私ども仕事をしているのではないということは、ひとつ御了承いただきたいと思います。
  129. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 それが御了承できないから申し上げているわけですけれども、やはりそういう条約上の義務が非常に拡大解釈されるおそれがあるということで口頭了解事項ができておるわけですよ。口頭了解事項なんというのは、何も書類にしないでお互いの了解事項でいることはおかしいから、もう少し事前協議事項というものは厳格にしかもきちっとしなさいということは、しばしばわれわれが申してきました。  そこで、口頭了解事項の中で私たちが外務省から聞いている点から申し上げますと、これは何も基地を持ったり新しく大部隊がそこに定着をする、そういうことではなくて、要するにそういうものが移動するといったときには当然事前協議の対象になるのだと私は伺っているわけです。そういうことから考えても、名目上は緊急避難、台風避難とは言っておりますが、ちょっと実態が違った場合、当然こういった場合には事前協議対象にしますよということくらいは、やはり警告あるいは注意を喚起するという立場から、これは外務省としてはきびしく言うべきではないか。日本政府立場を理解するというならば、そこまで言うべきではないか、こう私は思うのですが、いかがですか。
  130. 大平正芳

    ○大平国務大臣 仰せのように、そこを本拠にして駐留する、定着するというようなことになりますと、断然われわれとして黙っておれないことでございまして、そういうことを許すつもりは毛頭ございません。
  131. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 何か最後のほうがちょっとわからなかったのですけれども、要するに、もしこの次に同じような状況でまたもう一回こういったことがあったとすれば、外務省としてはやはり認めざるを程ない、そういうことですか。
  132. 大平正芳

    ○大平国務大臣 天候その他緊急やむを得ない避難の場合だけに厳重に限るということ、そしてそれが定型化するようなことは一切ないという方針はあくまで貫いてまいるつもりでございます。
  133. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 今回の場合、私は現地に行ったわけじゃありませんけれども、実際に台風はこなかった、ただ単にそういうようなことの名目で来たのではないかというふうに思えてならないわけです、われわれ野党側から見ますと。ですから、実際に起きもしないのに、しかもフィリピンやタイの基地があるのに何もわざわざ日本に来る必要がない、そういうように私は思うわけですよ。そこまで日本政府が国民感情を考慮に入れるならば、私は外務省として積極的に、あのようなことはやめてもらいたい、もう二度とああいったような使い方をしてもらいたくない、こういったような考え方で米軍と話し合う考えはないか、こういうことです。
  134. 大平正芳

    ○大平国務大臣 台風の来ることがそのまま適中する場合と、あるいははずれる場合と現にあるわけでございまして、ある一定の予測の上に立って計画的に避難に要する時間帯を考えてみますと、この前の飛来は一応うなずけるわけでございます。しかしながら、伊藤さんが御指摘のように、それは嘉手納ばかりねらわぬで、ほかにいろいろ代替基地があるじゃないか、分散して避難すればいいじゃないかということは、私どものほうも厳重に申し入れまして、したがいまして、米側もほかの、たとえばタイの飛行場等の受け入れ能力を考えまして、そちらに分散した結果、予定されておりました百二十機があの程度におさまったことでございますので、いま御指摘のような警告は、いつもわれわれもいたしておるわけでございますし、今後もやってまいらなければいかぬと考えております。
  135. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 時間がありませんから急ぎますけれども、最後の一問になりますが、北ベトナムにおいて、にせ紙幣がこの九月中旬から終わりにかけて一千五百万枚くらいまかれた、こういうニュースがあります。しかもそういったことについては、琉球新報のある記者が現地の米軍と話し合った結果、やはりそういった作戦は行なっているという話も実は報道されているようであります。こういったことについていろいろ疑惑といいますか、沖繩の基地というものがやはりベトナム戦争に重大なかかわり合いがあると同時に、いままでの使われ方をそのまま延長している。われわれ日本人から見れば、安保のワクを越えてやはり重大な作戦基地として使われている、こういうふうに思うわけでありますが、こういった問題について、外務省ですでに沖繩方々からもそういった問題を聞かれているようでありますから、簡単にその状況をまず御報告していただきたい。
  136. 大平正芳

    ○大平国務大臣 たいへん恐縮でございますが、これは私、新聞を通じて初めて知ったわけでございます。ベトナム戦争におきましては、私ども日本は当事国でございませんので、実態をよくわかりませんけれども、新聞に報道されていることが事実とすれば、たいへん残念なことだと思います。ただ、これがいまの国際法あるいは国際慣例に従ってどうかという条約論から言いますと、それにひっかかるものはないようでございますけれども、政治的にも人道的にも、これはたいへん残念なことである。したがって、こういう禍根を一掃する上におきまして、一日も早くベトナムの終息を急がなければならぬ。そういうことで各当事国には強く停戦協定の早期成立について要請をいたしておるところでございます。
  137. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 それで要するにこういった問題はだれがやっているか。第七心理作戦部隊である。しかもその中にある第十五心理大隊である。そして物はミカン箱十箱ぐらいに入っておった。にせ紙幣は、向こうは一ドン、二ドン、五ドンという三種類のものがあるそうですが、一ドンは日本円にすると九十四円ぐらいだそうでありまして、それが沖繩で紙の袋に包装し直して、そして持っていった。  御存じのように、そういういわゆる心理作戦部隊のビラまきの担当はといいますと、これはいままで明らかになっておりますようにSR71で、こういう任務を過去においてもやってきているわけです。私はいままで外務省の皆さんにこの委員会で何回か質問しました。そしてそのSR71というものは、嘉手納基地から毎日のように二時間ないし三時間は飛行して帰ってきている、定期的に行ってきているということに対して、外務省としては、いわゆる他国の領空を侵犯して飛行している、そういうおそれはないといままで申してきておりました。しかし、こういったことがかりに事実だとすれば、SR71の飛行任務は謀略作戦であり、また第七心理作戦部隊にSR71が所属しているという現実からいっても、実際北ベトナムにまかれている、SR71がいわゆる他国の領空を侵犯しているという疑いが実はある。  私はその点について、これは外務省はまた米側に必ず照会すると思いますが、照会して、そんな事実関係ありませんということが必ず出ると思いますけれども、私はこの際申し上げたい点は、核問題、毒ガス問題、あるいはこういったSR71の問題を含めまして、いつも外務省の答弁は、アメリカ側に立って、アメリカ側の回答をそのままうのみにして、だからありません、そういうことはありませんというようなことをいままで繰り返してきました。私はこの際外務大臣に申し上げたい点は、こういったようなことを何回繰り返しても、またこういうような質問を何回繰り返しても、同じパターンでは決して国民の疑惑が晴れない。安保条約というもの、あるいは米軍というものが、ほんとうに日本の平和と安全という立場に立ってものを考え運用されていくというならば、こういった疑惑や不安の問題に対して、前向きに納得できるような一つの方向で対処すべきでないか。  一つの問題として、沖繩における核、毒ガスの立ち入り検査の件について、この国会にも決議してくれというような案文を来ているようでありますが、私は、そういったことも含めまして、外務大臣に、国民の疑惑や、あるいはまた不安や、あるいはまたこの運用の問題について、いつも同じパターンを繰り返すのではなくて、何らか前向きの形で対処していただきたい。このことを申し上げたいわけであります。大臣の前向き、率直な答弁をお願いします。
  138. 大平正芳

    ○大平国務大臣 日米両国の間は安全保障条約を取り結ぶほどの友好関係にあるわけでございます。それをささえておる根底には日米間の不動の信頼がなければならぬと思うのでございます。不動の信頼をお互いに保持していかないと、日米間がうまくいかないばかりか、日米両国とも世界に信を失うだろうと思います。したがって私どもは、アメリカ当局が最善を尽くして、条約違反というようなことはない、それは単に出先の当局が言うばかりでなく、最高当局がそう言い、かつ国会でもそういう証言をおごそかにいたしている以上、私はそれを信頼するというのがわれわれの立場ではなかろうかと思うのでございます。それはなまぬるいじゃないか、一ぺん中に入ってたもとの中を調べてみなければいけないじゃないかという気持ちも理解できないわけじゃございませんけれども、私どもとしては、そういうことでなくて、不動の信頼をこわさないように厳正に運用してまいるということに全力をあげるべきではないかと考えておるわけでございまして、そういう方向で不断に周到な注意を怠らないつもりでおります。
  139. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 最後に。私は、日米間の信頼関係が非常に大事である、よくわかります。しかし、その日本政府が国民に不安を持たれて政治をやる、これのほうがマイナスが大きいのではないでしょうか。やはり国民の信頼関係の基盤に立って、そして政府が代弁する。多少のいさかいがあったとしても、日本国民から政府が信頼される、そういう道を歩むことのほうが現在の政府にとって大事なことではないか。ただ単に自民党政府と米国側の信頼関係がうまくいっても、日本国民に不安があっては何もならない。現在の不安はますます大きく増大してきている。安保を認め、皆さん方の立場に立つ人でも不安を大きくしている。これが現実です。そういった点を指摘しておきます。  終わります。
  140. 前田正男

    前田委員長 これにて給与関係法律案に対する質疑は終了いたしました。
  141. 前田正男

    前田委員長 ただいま委員長の手元に、野呂恭君より、内閣提出、第六十八回国会閣法第五四号、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案に対する修正案が提出されております。
  142. 前田正男

    前田委員長 提出者より趣旨説明を聴取いたします。野呂恭一君。
  143. 野呂恭一

    野呂委員 ただいま議題となりました防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元に配付いたしてありますので、朗読は省略さしていただき、その要旨を申し上げますと、原案では、この法律昭和四十七年四月一日から施行することにいたしているのでありますが、すでにその日が経過いたしておりますので、これを公布の日から施行し、本年四月一日から適用することに改めようとするものであります。  よろしく御賛成をお願い申し上げます。
  144. 前田正男

    前田委員長 これにて修正案についての趣旨説明は終わりました。
  145. 前田正男

    前田委員長 これより、ただいま議題となっております各法律案及び修正案を一括して討論に付するのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  内閣提出、第六十八回国会閣法第五四号、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。  まず、野呂恭一君提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  146. 前田正男

    前田委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいまの修正部分を除いて原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  147. 前田正男

    前田委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。  次に、一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  148. 前田正男

    前田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  149. 前田正男

    前田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  150. 前田正男

    前田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、ただいま議決いたしました各法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  151. 前田正男

    前田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  152. 前田正男

    前田委員長 次に、法務省設置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案議題といたします。
  153. 前田正男

    前田委員長 まず趣旨説明を求めます。郡法務大臣。
  154. 郡祐一

    ○郡国務大臣 法務省設置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明いたします。  この法律案は、第六十七回国会において成立し昭和四十六年十二月十三日公布された法務省設置法の一部を改正する法律中、羽田入国管理事務所を廃止し、成田入国管理事務所を設置する部分につき、附則において定められた施行期日を定める期間内に当該部分を施行することが新東京国際空港開港の状況から見て不可能となったため、附則改正し、施行期日を新東京国際空港の供用開始の日としようとするものであります。  以上が法務省設置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案提案理由であります。  何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますよう、お願いいたします。
  155. 前田正男

    前田委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  法務省設置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案について、本日、参考人として新東京国際空港公団総裁今井榮文君に出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  156. 前田正男

    前田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  157. 前田正男

    前田委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、これを許します。木原実君。
  158. 木原実

    木原委員 何か手元に運輸省のほうからハイジャックについての報告が回っておりますので、少し聞きたいことがありますけれども、これはあと回しにいたしまして、本題の質問から入りたいと思います。  この法律は、説明がありましたように、いわば手続のようなものだと思います。しかし、それにいたしましても、昨年成立いたしました法律が施行できない、こういうことで手続上の改正を求めてきておるわけなんですが、旧法を作成するにあたって法務省は、たとえば成田空港の開港時期についてどういう判断をしておられたのか。あるいはまた、関係の運輸省なり公団のほうからどういう説明を受けて出してこられたのか。その辺をひとつ説明をいただきたいと思います。
  159. 吉岡章

    ○吉岡政府委員 ただいま御質問の点につきましては、昨年十二月本法律が公布されました当時におきましては、新東京国際空港の供用開始の時期は本年六月というふうにわれわれは承知いたしておりまして、したがいまして、本法律実施部分の施行を法律公布の日から一年以内というふうに定めたものでございますが、右期間内に設置できなくなりましたことは、われわれとしてはまことに遺憾に存じておる次第でございます。  当時の状況といたしましては、本年六月ということでございますから、多少の誤差があってもあと六カ月の期間がございますので、その期間中に十分本法律施行公布ができるものとわれわれは考えておった次第でございます。
  160. 木原実

    木原委員 そうだろうと思うのですけれども、ただ、これは考えてみますと、やはり行政上のある意味では重大なミスだと思うのです。あとでこれはいろいろ詰めた話を聞きたいと思いますけれども、当初想定をしたように供用開始に至らなかった。これにはまた別個の大きな問題があるわけでありますけれども、そういうことがある意味では行政の分野にいろいろな影響を及ぼして、現にこういう法律のやり直しをやらなければならないというような事態を招いておるわけでありますから、これは行政上の問題としては看過できない大きな問題だと私は思います。  そういうことなんですが、これは法務省にとりましては、おそらくそれ以上の判断のしようがなかったと思うのですが、新しく今度出されたことにつきましては、「供用開始の日から」云々という説明の文言がございますけれども、それはいつごろを想定しておりますか。
  161. 吉岡章

    ○吉岡政府委員 現在われわれが受けております連絡によりますと、来年三月には供用開始ができるだろうということでございますが、航空燃料の輸送パイプの敷設に関しましてまだ問題が残っておるやに聞いておりますし、そのためには、三月に供用開始をいたしますには、何らかの便宜措置が講じられなければならないということも聞いておりまして、三月ということがあるいは確定できないのではないかという意味で、「供用開始の日」ということにいたした次第でございます。
  162. 木原実

    木原委員 法務省といたしましては、供用開始の問題はいわば当事者じゃないわけでございますから、あとでいろいろの措置を聞きたいわけですが、公団の総裁においでいただきましたのでお伺いいたしたいと思いますけれども、いろいろたいへんおくれてきたわけです。そのおくれてまいりました理由が幾つかあると思うのですが、この機会にひとつ、そのおくれました理由を明らかにしてもらいたいと思います。
  163. 今井榮文

    ○今井参考人 先ほどの入管局長の御答弁に対しまして、空港建設を担当する私どもとして、御迷惑をおかけしておりまして、まことに申しわけないと思います。先生のただいまの御質問にお答えいたします。  おくれた理由といたしましては、一つは、当初から空港につきましていろいろな問題が多うございまして、御承知のように、用地の取得につきましても、用地買収交渉から、また敷地内におけるいろいろな問題の解決のために、非常に手間をとったというふうなこともございます。それからまた、ターミナルの内装につきまして、特に外国航空会社とのバックオフィスの設計あるいはその内装についての協議がおくれたこともございます。それからさらに、先ほどお話の出ました燃料輸送方法の問題でございますが、これにつきましては、私どもとしては当然に、早ければ四カ月、あるいはまた七カ月くらいかかれば、千葉港頭から成田までのパイプが引けるのではないかというふうなつもりでおったのでございますけれども、いよいよ各工区に分けまして土木工事の設計、施工についての実際の調査をいたしました段階で、河川横断、あるいはまた国鉄総武線、京成線の横断に非常に難工事の個所があるということで、とうてい間に合わないということになりまして、こういうふうな事情によって皆さま方に非常な御迷惑をおかけしておるというのが現状でございます。
  164. 木原実

    木原委員 きょうは久しぶりでございますので、供用開始の問題について少し詰めた話をしたいと思うのです。  幾つか理由をおあげになりました。最初におあげになりましたおそらく反対運動、いろいろな経過ございました。おあげになるのはごもっともだと思いますけれども、しかしながら、いまの問題として言えば、御案内のように、第二次代執行は昨年の九月に一応終わった。その直後、政府なり公団側から公に出されました見解の中では、これで大きな山は越えた、終わった、こういう想定が出されまして、私ども聞き及んだところでは、あるいは本年の三、四月のころないしは六月には供用開始に至る、こういう見解が出されたわけなんです。したがいまして、その後の経過を見ますと、総裁が第一におあげになりました、反対運動が強かった、こういうことを理由にされて、この時点に来てなおおくれておるということは、むしろ反対をやった諸君行政上の責任までかぶせることになるのではないか。確かに長い深刻なトラブルがありました。それは完全にはまだ終わってないという状態はもちろんございます。しかし、それを十分計算に入れても、昨年第二次代執行が終わった時点で法務省の方が言われたように、六月には開港に至るだろう、こういう想定をされたわけですね。私は、反対運動がおくれた理由の中に入らないとは言いませんけれども、当事者としては、反対運動が強かったからと、またここで反対運動のことを出されるのは、やはり多少責任転嫁ではないか、こういうふうな印象を受けるわけでございます。  それからまた、第二におあげになりました、外国の航空会社との折衝がおくれたということ、わからないわけなんですけれども、あそこに国際空港をつくるということは、これはもう何年も前からきまっていて、さまざまな航空写真等も出され、当然のことですけれども、新しい空港の中に入る航空会社の措置なり何なりというものは、これはもう当然事前に話が済んでいてしかるべきものじゃないかと思うのです。   〔委員長退席、野呂委員長代理着席〕  これはお伺いいたしますけれども、航空会社がいろいろと難問を持ち出したかどうかわかりませんけれども、おくれました理由一体何なのか。あそこに移るのはいやだというのか。その理由は何なのか、これはひとつあとで説明をしていただきたいと思うのです。  それからパイプラインの問題につきましても、あとでいろいろ伺いたいと思いますが、パイプラインの問題につきまして、総裁、そう申してはあれですが、公団当局は、総裁を含めましてたいへん私は楽観的だったと思う、振り返って考えましてね。一昨年ごろでございましたか、私は、運輸委員会かあるいはこの委員会かで、それについてもちょっと触れたことがあるように記憶いたしております。パイプラインについては御心配要りません、こういう答えが返ってきたのをよく記憶をいたしております。何か三カ月かせいぜい半年もあれば、これは深刻な問題はございませんからすぐできますというようなお話があった。われわれはしろうとでございますから、あるいはそうかなという印象を当時受けておりました。ところが、この段階にまいりまして、パイプラインもまた難関だ、こういうようなことを言われたのでは、一体公団というのは、たいへん苦しい仕事をしょわれたわけですけれども、それにしては、全体の計画なり、あるいは事業の遂行なり、あるいは工事の設計、施工なり、たいへん何かずさんな側面があったのではないか。あらためて問題にせざるを得ないような感じがするわけであります。いかがですか。
  165. 今井榮文

    ○今井参考人 主としてパイプライン問題についてお話しする前に、先ほどの先生御指摘の点について一、二お答え申し上げます。  私は、先ほど用地取得の問題についての関連で、私どもの全力をあげての建設工事にもかかわらず、どうしても工程が延びてきたというふうに申し上げましたが、これは特に必ずしも代執行を含めての反対運動というだけに私は重点を置いてお話を申し上げたのではないので、先生も御存じのように、代執行終了後におきましても、四千メートル滑走路の北端には農家が一軒残りました。それから、現にいま撤去中でございますけれども、南端には平和の塔というものが、まだ敷地内、四千メートル滑走路のすぐそばに残りまして、これは全く話し合いによってようやく最近片をつけたという状況でございまして、平和の塔が存続する以上は、南側から、あるいはまた北側からのフライトチェックも、どうしても完全にできないというような状態でまだ現在おるわけでございます。私どもは、農家との話し合いにおきましても、あるいはまた平和の塔側との話し合いにおきましても、私自身直接出向きまして折衝して、ようやく話し合いをつけたという現況でございまして、そういった点も含めて実は申し上げたわけでございます。  それから、その次に外国航空会社の関係でありますが、これは先生から後ほどお話があると思いますけれども、南棟工事の問題につきましては、現在の外国航空の大体の航空旅客の需給関係から申しますれば、五十一年度の五百四十万人という国際旅客を想定しての計画でございまして、それが私どもとして、今年の六月開港を目途とした工事の完成区分というものは、必ずしも南棟については全部をつくる予定では実はなかったわけでございます。北棟だけで十分現在の羽田程度の航空旅客の消化はできるわけでありますが、しかしこれは、外国航空会社のほうから、南棟のディパーチャーレベルはどうしてもつくってもらわなければ困る、さらにまたバックオフィスについては、北棟から南に移るということは非常に不便だから、あわせてつくってもらわなければ移れないというお話でございました。私どもも、外国航空会社の御要望に沿うようにしないと円滑な移転ができないというようなことで、南棟部分の建設に実は着手いたしたわけでございますが、そのバックオフィスの所要面積、あるいはまた中の内装等についてのお問い合わせに対する航空会社の御返事が、やはり本社とのいろいろなお打ち合わせその他あったと思いますけれども、非常におくれて、ようやくこの八月ごろに出てまいった。まだどうしても出てこないというものについては、見切り発車で行こうというようなことで現在ターミナルを急いでおるというような状況でございまして、そういうふうな事情を概括的にお話し申し上げた次第でございます。  またパイプラインにつきましては、御指摘のとおり、全く私どもとして不行き届きな点があったことを心からおわびいたすわけでございますが、当初私どもが考えました点につきましては、成田から千葉までの四十四キロのパイプラインにつきまして、もう昭和四十二年からパイプライン埋設について、主としてパイプの材質の問題、あるいはまた溶接の方法等についての十分な安全上のいろいろな措置関係方面とお打ち合わせをした上で結論を得まして、埋設工事そのものは比較的簡単にいくのではないかというのが当時の私どもの想定でございました。これは御承知のように、私どものほろにも限られた施設、機械関係職員と、それから土木の職員がおるわけでございますが、ほとんど全力を空港のほうに投入しておったという状況でございまして、パイプラインについては土木関係の人たちの所属しない施設部を中心にして実はやっておったわけです。こういう人たちは、パイプの埋設の安全性の問題等についての検討をすると同時に、関係市町村、成田まで参ります際には、先生よく御存じでございますが、千葉、四街道、佐倉、酒々井、富里、成田という数カ町村の地先を経由して成田へ至るわけでございます。こういったふうなところの御了解を得なければ、用地をかりに取得してあっても埋設はオーケーにならないという現況でございまして、そういうことで、その各関係の市町村のオーケーをとるために非常にいろいろ努力してまいって、ようやくそれがとれたというのが実は去年の暮れからことしの春にかけての問題でございます。  さていよいよ、空港の中の各施設の工事も大体順調に進んでおる、これで公団の全総力をあげてパイプラインの建設に取り組もうということになりまして、パイプライン建設実施本部というものをつくりまして、各班に分けて実は工事を始めるということで、初めてそこに土木陣を投入したわけでございます。  そこで、従来私どもとしては、河川については、先生も御存じだと思いますけれども、高崎川あるいは鹿島川というようなところ、または千葉市の国道十四号線、それからまた総武本線、京成千葉線というようなものも、河川について言えば川幅で、また鉄道についても高架で通していただけるのではないかというふうな、これは御指摘のように、私どもが甘いというふうに言われれば全くそのとおりでございますけれども、そういうつもりで実はおったわけでございます。しかし、パイプの埋設については、御承知のように、パイプライン事業法も通りまして、その埋設の設計、施工については非常に厳重な基準が定められるということになりまして、河川について申し上げますれば、改修計画のあるところが、その改修計画をベースにしてシールド工法でパイプを通すようにというお話になってまいったわけであります。私どももそういう御趣旨に十分従って施工しなければならぬということになったわけでございます。そういうふうな関係で、ことしのごく最近といいますか、瀞の終わりから初夏にかけてのころでございますけれども、技術陣のほうから、とてもたいへんな工事が数カ所あるという問題が起こってまいりまして、私どもとしても、本年六月というのは、いろいろな意味で場内の工事そのものも最終的な仕上げの段階に入っておらない段階でございます。そういうことで、パイプラインの問題というものが、空港の建設、開港と非常に大きな問題になってきたというのが現状でございます。
  166. 木原実

    木原委員 困難な事情はわかるのですけれども、少し具体的にお伺いしたいと思うのですが、一つはパイプラインからまいりましょう。そうすると総裁、千葉から成田に至るパイプラインというのが完成するのはいつごろの見通しですか。
  167. 今井榮文

    ○今井参考人 その前に全体のあれを申し上げますと、現在、千葉港頭のタンクはすでに御承知のようにでき上がりまして、埋め立て地の埋設工事は現在進んでおります。それからまた、成田から東関東自動車道の起点でございます宮野木の工事も現在進みつつある状況でございまして、四十四キロのうちで現在十六キロ以上はもうすでに管の埋設は終わっておるというのが現状でございます。  一番焦点になりますのは実は千葉市内の問題でございまして、これは市長さんとの間に非常にむずかしいお話もございまして、それからまた千葉市議会にも御迷惑な問題をいろいろ取り扱っていただいたのですけれども、最終的に千葉市内のルートがまだ未決定であるという現況でございます。したがいまして、何とかして早く千葉市との間の交渉を再開して、千葉市内ルート四キロ、この埋設個所についてのお話し合いの決着をつけたいというのが現状でございます。したがって、四十四キロのうちで千葉市内ルート四キロについての話し合いが、まだ遺憾ながら最終的にできておらないというのが現状でございます。
  168. 木原実

    木原委員 多少私も事情は知っておるつもりですけれども、ここで申し上げてもせんないことですけれども、やはり公団の、たとえば千葉市とのいままでのやりとりの関係。何といったって、このために千葉市の市議会はこの春大混乱におちいるというような、よけいな付録までつく始末なんです。たいへんわれわれ地元の者としては迷惑しごくなことなんですけれども、それに対しましても、市内四キロの話をつけるために、市長なりあるいは三者会談をやるような何か提案ども行なわれたり何かしておりますけれども、話は一向に進みそうにありませんか。
  169. 今井榮文

    ○今井参考人 当初、千葉市と私どもとの間で話し合いがつきました路線というものが、検見川の人家地区を通るというふうなことで市長も非常に苦慮しておられたようでございます。できれば将来は、新しいハイウエーができればそちらのほうへ移していただけないかというのが千葉市長の希望のようでありました。それが、先ほど申し上げましたような工事上のいろいろな事情で工事がおくれる。全体として、千葉市との問題でなしに、技術的な理由で工事がおくれるということになりまして、開港に合わせるためには何としても暫定輸送の方法を考えなければいけないというふうなこと。また千葉市に対しましては、せっかくいままでいろいろ交渉してきたのに、そういうふうに従来のパイプラインがおくれるということであれば、初めから新しいハイウエーに埋めるという計画でいってもらったほうがいいじゃないかというふうな実はお話になってきておるというのが現況でございます。
  170. 木原実

    木原委員 暫定のほうはどうですか。鹿島から送ろうというほうはだいぶ難航しておるようですが、これはどうですか。
  171. 今井榮文

    ○今井参考人 暫定輸送は、構想として申し上げますれば、先生ももうすでに御存じでございますけれども、まず成田市の土屋地先に私どもが十万平米で砕石の取りおろし場をつくって、場内に砕石を搬入しておったのでございますが、第一期工事の終了と同時にその砕石集積場は使わなくなるということで、そこから国道五十一号線をわずか使いまして、資材の専用道路に入るわけでございます。したがいまして、私どもとしては、鹿島地区並びに京葉地区からタンク車、貨車によって私どもの集積場まで、これはすでに線路ができておりますから、中継基地をつくれば十分タンク車は使用できるわけでございます。そこまで運んで、そこからしばらくの間、成田の空港まで全体で約七キロ程度だろうと思いますが、タンクローリーで運ばしていただけないかという要望を出しました。これに対して成田市としましては、早期開港はぜひ成田市としても希望する。しかし国道五十一号をわずかでも横断するという問題もございますし、また季節によっては成田市そのものが、新勝寺のいろいろなお参りのお客さんというふうなことも考えられるし、あるいはまた空港そのものの旅客もふえてくるだろうというふうなことで、土屋の集石場から空港までパイプラインでやったらどうか、暫定的でもやむを得ないから、暫定的なパイプラインを埋設して、それで空港のオープンに間に合わせたらどうか、こういうのがいまの成田市の公の態度でございます。  これがまず第一点でございまして、もう一つ大きな問題は、鹿島港をそのために基地として使うという問題でございまして、これは現在茨城県との間に、鹿島港そのものを県でああいうふうに建設されたいろいろな経緯もございますし、それとの関係の判断についてまだ最終結論には至っておらない。私どもも、緊密に現在茨城県と接触をして、何とか鹿島港から貨車を出していただいて成田まで持ってこれるようにという折衝をいたしておる。  それから、もう一つの問題は、これは石油連盟等の関係でございますけれども、現在、京葉地区で航空用燃料を陸揚げいたしておるわけでございます。また本来のパイプラインができますれば、千葉港まで持っていけば、そこからパイプでもって空港まで持っていける。鹿島港へ入りますと、その間に燃料の経費のコストアップという問題が出てくるわけでございまして、これをエアラインに転嫁できるかどうかという点については非常に心配しておられる。何とかコストアップについての分を公団で見てもらえないかというのが現在石油業者の空気でございます。したがって燃料パイプラインについては、全体としては、現在は一応解決の方向に向かって進んではおりますけれども、いま申しましたように、成田市の暫定パイプライン問題、それからまた茨城県の問題、それと石油連盟との交渉、この三つが非常に大きな柱として私どもが現在取り組んでおる問題でございます。
  172. 木原実

    木原委員 事情はわかるわけですけれども、それにいたしましても、計画の食い違いというか、破綻が大き過ぎると思うのですね。たとえばパイプラインの問題等につきましても、私どもいろいろな機会に御指摘申し上げたと思うのですが、一つにはこれだけの油を運ぶのだ、タンクローリーよりもパイプラインのほうがと、こういうようなことであった。しかし暫定とはいえ、ある部分はやはりパイプラインを使わなければならぬだろう。あるいは鹿島港の事情という問題が、これは背に腹はかえられぬということで出てきた。そうすると、住民の感情、気持ちとしますと、そんな代替案があるなら、たとえば千葉の市民に言わせれば、過密なところをわざわざ通さなくてもいいのじゃないか、こんな話が出てくる。市長だっておそらく判断に苦しんでいるわけですね。そういうところから率直にいいまして、これまた公団不信みたいたものが出ておりまして、何か間に合わせ間に合わせで、次々手の内が変わってくる、こういう側面も出ているわけなんですね。  ですから、私はここでお伺いしたいのですが、事情は了解ができるわけですが、しからば千葉市の計画なさっていらっしゃる本管といいますか、千葉から行く管が最終的に通るだろうという見通し、これは開港の時期と関連をいたしますから、あるいはその間暫定というならば、暫定的に油が運べるようになる時期というのはいつごろというふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  173. 今井榮文

    ○今井参考人 その点で、先ほど入管局長からもお話ございましたように、その暫定輸送にどうしても切りかえないと早期開港ができないということを、私どもとしては決断せざるを得なくなった時期がことしの八月の初めでございました。そのときに実は運輸大臣から、大体公団としては暫定方式を採用していつごろ開港ができるんだというふうなお話がございました。私どもとしては、いま言ったいろいろな問題をかかえてはおりますが、各方面の御協力が得られるならば、単に、たとえば成田の土屋地先に中継基地をつくるとか、その中継基地に必要なタンクの建設、あるいはまた積み込み施設の発注、製作、それから鹿島における若干の施設、それからまた場内にはすでにタンクはできておるわけですが、それへの受け入れ施設というふうなものの工期だけで計算し七いけば、大体半年ぐらいででき上がります。こういうことで、運輸大臣から、それでは来年の三月をめどに全力をあげて努力せよ、こういう御指示を実はいただいたわけでございまして、私どもはそれに従いまして、全力をあげて現在やっておるのでございます。一部私どもとしてすでに内々準備をいたしておるものもございますけれども、いま申し上げましたように、成田市との関係、それから鹿島港の問題、それともう一つは石油連盟との最終的なお話し合いの問題というものが若干遅延いたしておるという感じがいたしておるわけでございます。私どもは、何としてもこれは早くやり上げなければ、空港そのものはもうすでにほとんど年内に各施設ができ上がってしまって、来年の一月からはもうそれぞれ関連のテナントと申しますか、売店、食堂その他の関係設備も、内装をどんどん始めるということになりまして、それに投資される方々の金利負担だけでもたいへんなことになるんじゃないかという点で、実は心痛いたしておるわけでございます。
  174. 木原実

    木原委員 聞き漏らしましたけれども、千葉県の本管のほうは、完成のめどといいますか、時期は立てておりませんか。いま暫定のほうの時期のお話がございましたけれども
  175. 今井榮文

    ○今井参考人 先ほどお話し申し上げましたように、先生も御存じのように、千葉市内のルートの問題について、千葉市との間が現在ちょっと交渉がとぎれておるという状況で、早急に市長さんとの間の接触を再び持たせていただいて何とか話をつけていきたい、こういうふうに考えております。
  176. 木原実

    木原委員 私は、これはいずれもむずかしいと思うのです。総裁は、それぞれ公団のサイドで、土屋地先の問題等についても地元との折衝をやっておられると思います。あるいはまた、千葉市長との関係等につきましてもいろいろ御配慮があると思うのですけれども、どうもやはりなかなかそうはいきませんよ。というのは、発端が欠けちゃっているわけですから。一口に言えば住民感情みたいなものでしょうね。それから公団のいままでの進め方についての不信感が前提に立っちゃったわけですね。ですから、いろいろと供用開始の時期をおおむね設定して、何とかそれまでにきちんとした血液を通す、油を通す施設をくっつけていくんだ、こういうことでの御努力はわかるのですけれども、私は容易なものじゃないと思うのです。ですから、土屋地先に集石場のあとに基地を建設をしてその間と、こういうことですが、あるいはこれについても、折衝ですから解決するめどが立つかもわかりません。しかし、そうなりましたら、それならばそっちがやってくれと、千葉市のサイドのほうは当然そういう形になってまいります。つまり、きちんとした形で当初計画をしたとおりにいくまでには、まだなかなか容易ならぬ山があるような感じがいたします。暫定のほうにつきましても、いろいろなことは御存じだから申し上げませんけれども、なかなか話が詰まるようで詰まりません。  そういう事態をかかえていて、私どもがお尋ねをしたいことは、三月にほんとうにテープが切れるのかどうか、こういう問題があるわけです。ほかにも関連をするいろいろな問題がありますが、結論から先お伺いをするわけですが、三月の供用開始に必要な条件ですね。パイプラインの問題はいま出ました。あといま航空会社の関係、これは見切り発車もやむを得ない、こういうお話がございましたけれども、しかし公団法によれば、この空港の建設、運営を通じて国際的な親善に寄与するんだというような文言がありました。これはなかなか容易ならぬことだと思うのです。しかし、これまた折衝ですからいろんなことがあろうかと思いますけれども、私は問題が残っているような感じがいたします。  さらに、もっと具体的な問題になりますと、例の妨害鉄塔の除去を事前にやらなければならないだろうというような問題も残っているのです。  それから、私どもとして一番関心を持つわけなんですが、開港にはなるけれども騒音対策というのは一体どういうことになるんだ。これにつきましては、私はこの春の国会の中でも、ここで少しばかりお伺いをいたしましたが、ある意味ではまことに不得要領です。きょうは監理部長も飛行場部長も運輸省のほうからお見えでございますけれども、地元としては、開港はするだろうけれども、そのときにこれまた見切り発車でやられるのだろうかという、何か懸念といいますか、心配があるわけです。  それから、これはあとでもう少し伺いたいのですが、空域の調整その他の問題がきっちりいっているのかどうか、こういう懸念が残るような感じが私はいたします。   〔野呂委員長代理退席、委員長着席〕  総裁に結論的なことをお伺いしたいのですが、そういう開港の条件を満たすさまざまな問題をいま思いつくままに申し上げましたけれども、三月、年度末にはそれらがいずれも満たされて空港の供用ができるのか。それとも、かなりな部分は見切り発車でもとりあえずテープを切る、こういうかっこうで供用開始に至るのか。これはいろんなことが考えられるわけですけれども、その辺のことについての腹づもりをひとつおっしゃってくださいませんか。
  177. 今井榮文

    ○今井参考人 一体いつ開港になるのか、ほんとうに三月開港できるのかという点につきましては、先ほど私が申し上げましたように、まだ私どもとしても十分政府の御協力を得て解決しなければならない問題がございますし、それからまた、それが解決した場合に、今度はいよいよそういった暫定輸送のための施設をつくるために相当数の日数も必要でございますというふうな点から、いまこの段階で、来年三月は確実ですというふうな御返事は、なかなか私としては申し上げられないんじゃないか。いずれにしても、空港の早期開港のために私どもとしては全力をあげてやるというふうに申し上げる以外に方法がない。  なお、先生のおっしゃるいわゆる部分開港といいますか、あるいは見切り発車でもって開港のテープを切るのかという点でございますけれども、これは私どもとしては、羽田の国際線全部が成田に移転するという点についてはっきりした見通しがつかなければ、開港というふうなことをはっきりさせることはできないんじゃないか。たとえば暫定輸送の問題がかりに片がつきまして、それからまた、先ほど先生の御指摘にございました妨害鉄塔の除去についての私どもとしての何らかの見通しが立った段階において、おそらく政府のほうから、成田空港をいつオープンするというふうな正式なお話が、エアーラインに対してもあるのではないかというふうに期待いたしておりますので、いまの段階では、私どもとしては全力をあげて開港に持っていく、そのためには暫定輸送を何としても早く軌道に乗せていただく。同時に本格パイプラインについても、千葉市との交渉を何とか再開させていただくようにひとつ御協力をいただきたい、こういうことだろうと思います。
  178. 木原実

    木原委員 これはきょうの本題である法務省のほうとは関係が出てくるわけですが、運輸省のほうにお伺いをしておきたいと思うのです。  いま総裁からお聞きのような御答弁で、三月、これは努力目標だというようないまの御発言、これは率直な御答弁だと思うのです。それといま一つは部分開港ですね。これは公団としてはやらないというか、やりたくない、こういうようなお話がございました。そこで再度運輸省のお考えを聞きたいのですが、部分開港ということは、運輸省のほうとしてはやる腹はございませんか。たとばえ三月なら三月にテープを切って開港はした、しかしながら実際にはいろいろな問題が残っていて完全な使用はまだ不可能だ。しかしながら、羽田が増便でなかなかラッシュが続く、特に夏場にかけては臨時便やチャーター便が多い、とりあえず臨時便、チャーター便でも成田のほうに飛ばせたらどうだ、こういうことになる懸念はございませんか。どうですか。
  179. 隅健三

    ○隅説明員 お答えいたします。  新東京国際空港の開港は非常におくれておりまして、各方面の皆さまにたいへん御迷惑をおかけしておりますことを深くおわびいたします。  われわれといたしましては、新東京国際空港の開港は、当初の予定どおり、国際線全部を移しまして開港するというふうに計画をいたしております。一部の線、たとえば臨時便とかあるいはチャーター便だけを新空港のほうにおろすということは、全然考えておりません。これは、大蔵省税関当局、あるいは法務省入管当局、あるいは厚生省、農林省の検疫御当局についても、たいへんな御迷惑をおかけすることでございますので、運輸省といたしましては、国際線全部移転させ、そして開港するという方針を変えておりません。
  180. 木原実

    木原委員 それははっきりいたしました、そうしますと、運輸大臣もいつか新聞紙上で、三月開港間違いなしというたいへん断言的な御発言があったように記憶いたしておりますけれども、三月開港ということについては必ずしもこだわりませんね。
  181. 隅健三

    ○隅説明員 本年の八月、大臣が就任いたされましてから、新東京国際空港の工事の進捗状況につきまして、公団当局及びわれわれ航空局の幹部を全部呼びまして詳細に検討いたしました。それで、ただいま空港公団の総裁からもお答えのとおり、問題点がいろいろ出てきたわけでございます。その問題点をいかに解決するかという点について、ことに燃料輸送の千葉から空港に至りますパイプラインの建設につきましていろいろ検討いたしまして、公団からの意見も聴取いたしました。公団のほうとしては、各方面の協力が得られるならば三月までには暫定的なパイプラインができるという見通しを持ってまいりました。この事実を検討いたしまして、われわれとしては、三月中に空港の供用を開始するよう指示いたしましたけれども、ただいまいろいろ毎日のように事情を聴取いたしておりますけれども、もし総裁がおっしゃるように、三月の開港が非常に困難であると  いうことになりました場合には、さらに検討を加えなければいけないというふうに考えております。
  182. 木原実

    木原委員 結論の部分の話になっているわけですけれども、私はやはり冒頭申し上げたような理由で、完全な飛行場にして開港する、こういうのが趣旨だろうと思うのです。しかしながら、いろいろな理由や、それから当事者としての公団の苦労なさった経過は、私も反対をしてきた一員ですからよく承知いたしております。しかし、そのことと、もうすでにおくれにおくれて、公団もちょっとおっしゃいましたけれども、あそこに関連をする幾つかの企業はもうすでにいろいろな施設をやって、金を投じて金利がかさむというような悲鳴もあがっておりますし、きょうの審議の問題にいたしましても、行政上やはり法律の手直しをやらなければならぬという問題が出ておるし、御迷惑をかけたというお話がございましたけれども、こうなりますと、行政上の責任というものを私は少しはっきりしてもらいたいと思うのです。これはかなりの金を使っているわけですね。ですから、延びた理由についてはそれなりに私は理解をいたします。反対の立場でよく理解ができるわけですけれども、そうかといって、いままでも何回か、来年三月高尾が来るじゃありませんけれども、この時期に、この時期という話が非公式に行なわれてきた。国会の場の中でも何回か、この時期には開港いたします、こういうことが前提になっていろいろと施策が講じられてきたわけです。そしてまた、ここへきて来年三月、しかし必ずしもこだわらないという。  これはある意味では、十分な施設を整えて開港するというのが安全上の問題その他からいっても大事なことですから、そのことに私はいやおう言うわけではございません。しかしながら、いままでのやり口の中では、そのことが、成田空港の問題をめぐって、当事者である公団に対する一般の不信感、あるいは行政当局のこれに対する指導なり監督なりのありようというものが、私はやはり問われていると思うのです。ですから私は、開港の時期の問題について詰めたお話をしたいと申し上げましたその前提に、何かやはりこの辺で、理由はありますけれども、しかし理由でなくて結果においてわれわれは責任を問われるという立場だと思うのですね。そういう点で行政上の責任、これはあなたの領分ではない、大臣に聞くべきことかと思いますけれども、その辺はやはりきちんとしたけじめをつけて事に臨んでもらいたいと思うのですが、どうですか。
  183. 隅健三

    ○隅説明員 ただいまの木原先生のお話、十分上司のほうにお伝えいたしまして、本日のこの経緯につきまして、また行政責任につきましても、真剣にわれわれといたしましては検討いたします。
  184. 木原実

    木原委員 もう少し総裁に細部のことをお伺いいたします。  パイプラインの敷設にあたりましては、御案内のようにパイプライン法というのが新しくできました。この法律に基づいて、従前とはやや違った工事なり何なりをやらなくちゃならぬと思います。特に千葉市が一番難渋いたしておりますのは、住民のパイプラインの安全性についての不安といいますか、そういうものが前提にありまして、しかもそれが、御案内のとおり、かなり過密なところを通るという計画になっております。それがいわば発端であり、現在直面をしておる問題の一番根にある問題だと思うのです。パイプライン法はすでにできておるわけなんですが、先ほどもちょっとお話がございましたが、公団としては、千葉から引くパイプラインについて、少なくとも過密なところを避けて通る安全上の配慮から、たとえばかなり大きく路線を変更をするというようなことについては、もう検討の余地はないわけですか。
  185. 今井榮文

    ○今井参考人 そういった問題については、今後さらに、先ほど申し上げましたように、千葉市との交渉をできるだけ早く再開したいという点でやはり検討せなければならぬ問題じゃないかと思います。特に千葉の市長さんは、現在、従来の旧水道道路ルートというものが人家の多いところを通る関係上、新しいルートで恒久的なものをつくるべきじゃないかというお考えを持っておりますので、十分ひとつ千葉の市長さんとも御相談をいたしたい、かように考えております。ですから、旧水道道路というものに私どもとしては現在固執をいたしておるということではございません。
  186. 木原実

    木原委員 それから、公団がかかえておりますもう一つの問題は、鉄塔の問題があります。平和塔の問題について先ほど総裁のほうからお触れになりました。撤去はこれはすでに始まっているわけでしょうから、これは早晩、おそらく工事だけの期間だと思いますけれども、この鉄塔についてはどういうお考えですか。
  187. 今井榮文

    ○今井参考人 御存じのように、あの鉄塔の所在する場所は四千メートル滑走路の南の、しかも敷地外の進入方向の真下にございまして、この用地そのものは、全く空港公団の用地とは関係がないところに障害物として存在するわけでございます。したがって私どもは、運輸省のほうとも御相談をいたしまして、裁判所に対して撤去の仮処分の申請をするということで、裁判所から決定をいただいた上で執行官の手によって除去していただくということになろうかと思います。しかしながら、裁判所に対して私どもが仮処分の申請をする時期につきましては、やはり開港の一応のスケジュールが立つ段階、つまり先ほどから申し上げておりますように、場内施設はもうほとんどでき上がりつつある状況でございますので、結局、燃料輸送についての暫定措置が軌道に乗るということが、私どもが鉄塔除去についての除去申請をする段階ではないかというふうに考えております。
  188. 木原実

    木原委員 鉄塔の問題については私は少し申し上げたいことがあるのですが、これはきょうはおきまして、別の機会に申し上げたいと思います。  その次に騒音の問題です。いろいろ聞きました。これは運輸省のほうからもお考えをひとつ出していただきたいと思うのですが、具体的にいろいろと騒音対策なるものが伝えられております。それからまた、おそらく県なり何なりとの折衝もおありなはずなんです。しかしながら、この騒音問題については、一つには、たとえば騒音の調査についてほんとうに行き届いた調査ができているのかどうかという、との前提になる資料についても、私どもはあまりお示しをいただいてない。騒音のコンターですか、何かができておりまして、説明は聞きましたけれども、関西空港の予定地についてはいつか飛行機を飛ばしましたですね。たとえばDC8の程度のものでもいいから一ぺん飛ばしてみたらいいのじゃないか、私は前からそう言っているのですけれども、そういう計画はありませんか。
  189. 隅健三

    ○隅説明員 騒音につきましては、空港に関しましての基本的な問題でございまして、先生のおっしゃるとおり、いろいろの調査あるいは施策を考えております。関西新空港につきましては、いままでに六回にわたりまして、DC4あるいは747のボーイングジェットを使いまして、予定地の騒音調査をいたしました。そこで、現在の成田につきましては、空域、飛行経路等について、ただいまいろいろ慎重に検討を加えております。最も重い飛行機がどの経路で飛んだ場合にどのような騒音になるか、こういう想定につきましては、いろいろ検討を加えて、目下公団とも寄り寄り協議をいたして作成中でございますが、現在のDC8を成田の上空を飛ばしてその騒音を詳細に調査をするという計画は、具体的に現在のところ持ってはおりませんけれども、将来この点については、われわれといたしましても、開港までにある程度の騒音の調査を実際機を使ってする必要があるのではないかと考えております。  また一つには、羽田を飛び立ちました飛行機が、ちょうど五千フィートのところでどのくらいのホンが出るか、これは747あるいはDC8、行き先によってそれぞれわかっておりますので、そういう調査は最近全部いたしました。大体机上の資料から得られますホンと実際上の音というものの調査をただいまいたしております。それらを総合いたしまして、将来については、一ぺん実用機を使って成田の騒音調査をしなければいけない段階がくるのではないかというふうに考えております。
  190. 木原実

    木原委員 この騒音問題につきましては、いまの騒音防止法の二キロ、六百、このある意味ではジェット以前の飛行機の時代の何かなごりですね。特にこの成田空港については、当初のふれ込みでは、SSTを想定をして、やがてSSTの時代がくる、こういうところで四千メートルの滑走路を中心にかなり大きな飛行場をつくるんだ、こういうことであった。ところが騒音対策のほうは、いまの法律のワクの中でいきますと、やはりかなりかみ合わない施策しかできないしきたりになっているわけですね。ですから、いろいろ施策を講じられておるわけなんですが、一つは、騒音対策を立てようにも基本的データについての確たる裏づけがないもんですから、県なんかがとりあえず防音の建物をつくるのにひとつ補助を出そう、国のほうも何とかめんどうを見てくれ、こういうことであったり、あるいは公団が考えておられましたような形の、たいへん美しい青写真は設計は出る。しかしながら、飛行機の飛び方や機種によっては、思わざるところがやはり騒音のちまたにさらされる。そういうところは一体どうしてくれるんだ、こういう問題もあるわけです。  そこで伺いたいのですが、いまの法律を成田開港というようなことに合わせてかなり思い切った騒音対策を立てるために改善をしていく、拡充をしていく、こういうお考え方は全然ございませんか。
  191. 隅健三

    ○隅説明員 騒音防止法の改正につきましては、現在、大阪国際空港、いわゆる伊丹空港の騒音は非常に大きな問題になっております。それで、その伊丹空港で得られました貴重な経験を生かしまして、たとえば民家の防音工事、これは現在の法律改正いたしませんとできません。そういう点、あるいは空港の土地利用につきましては利用計画、ゾーニングと申しますか、そういうようなことも今度法律改正いたしまして、騒音防止の一助として施策に取り組みたいということを寄り寄り考えております。次の通常国会におきまして騒音防止法の改正を考えて、ただいま検討中でございます。
  192. 木原実

    木原委員 法律の問題が一つあると思うのです。それと基本的なデータが必ずしもはっきりしない。したがって、施策がある意味では思いつきと言っては悪いのですが、しばしば計画それ自体に変更がある。また施策を講じましても、騒音防止上どれだけの有効性があるのかというようなことが絶えずわれわれの中にもあるわけなんです。  ここであわせて聞きますけれども、SSTについては、将来導入をするという計画はどうなんですか。たとえばこれは日航が買い入れるかどうかという問題と、いま一つは、日本がかりにSSTを持たなくても、たとえばコンコルドがこの間試験飛行で参りましたけれども、あるいはソ連のTU144やコンコルドがやはり入ってくる。そういうものは将来にわたって断わるのかどうか、その辺についてのお考えはどうですか。
  193. 山上孝史

    ○山上説明員 お答え申し上げます。  SSTあるいはその他の新しい機種の採用につきましては、航空企業の責任と負担のもとにおいて決定するわけでございますが、本件のSSTにつきましては、来年二月一ぱいにどうするかという検討を航空企業において行ない、さらに当方もそれを受けて最終結論を得たいということでございます。
  194. 木原実

    木原委員 ちょっと監理部長さんではお答えをいただけにくいかと思いますが、やはりかなり政治的判断を要する問題だと思うのです。で、この春のこの委員会の中では、おそらくアメリカがSSTの製造を禁止したなんということのあとを受けて、SSTは当分持つ考えはございませんといったような前運輸大臣のお話がございました。しかしながら、航空企業としては、やはり国際的な企業の立場、競争上いろいろな条件がありまして、あるいは買うことに踏み切る可能性だって全然ないわけじゃございません。しかしそういう際にも、SSTは政府としては導入をしないという方向でいくのかどうか。企業まかせなのかというようなことが一つなんです。それと、繰り返すようですけれども、コンコルドあるいはTU144あたりがすでに就航するという時期が来たときに、日本の中に入ってくることを断わるのかどうか。ある程度政治的な判断を要する大きな問題なんですけれども、その辺についてのお考え方は運輸省としては定まっていないということですか。お考え方があるのですか。
  195. 山上孝史

    ○山上説明員 SSTの導入につきましては問題点が幾つかあると思いますが、そのうちの一つといたしまして一番大きな問題点は、先ほど来御指摘ありました騒音問題だと思います。さらに、そのほかにも経済性等の問題がございますので、そういった点を詰めて、航空企業と協議をして最終結論を得たいと思っております。
  196. 木原実

    木原委員 そういうお答えしかできないだろうと思うのですが、この空港は、繰り返すようですけれども、当初はSST時代に備えるといううたい文句があった。私はよく記憶をいたしておるわけなんです。しかしその後、世上あるいは航空界はいろいろな問題が出てまいりました。しかも、アメリカがこの製造を禁止する、放棄をする、こういう問題になってきた。おっしゃったように、SSTそのものに経済性の問題やあるいは騒音の問題がある。騒音の問題については、もっと消音装置を強化するような技術も開発が行なわれるのだとか、行なうのだとかいう話も実は伝わっております。ただ現実の問題としては、先般参りましたSSTが、もうすでに木更津の上空あたりで、かなり音を消したと思われるような低空の中で、ものすごい騒音を出した。これはもう経験として国民が持ったわけですから、これは容易ならぬことですね。そういうことが一つあるわけですから、当初の計画はSSTを入れる空港だということで出発をし、いま新しい事態を迎えていると思うのです。ですから私は、このSSTの問題は、そういう意味ではいままでもいろいろなことを言われました。成田に入っても沖に出るまではなるべく音のしないような飛ばし方をするのだ、そういう説明が二、三年前にもございました。しかし、来年の二月といいますと、もうかなり時期的にも差し迫っておる。そこに成田の供用開始が重なるということになりますと、この辺でかなりはっきりしたSSTに対する考えを定めてもらいたいと思うのです。私自身の意見は、これはアメリカ並みというとおかしいのですけれども、少なくともSSTについては、当分の間は、これの受け入れも、あるいはまたこれを持つこともいけないという方向でやってもらいたいと思うのですが、いかがですか。
  197. 山上孝史

    ○山上説明員 先生御指摘の問題点、幾つかありますので、そういう点につきましては慎重に検討してまいりたいと思います。
  198. 木原実

    木原委員 それからいま一つ、これは運輸省にお伺いしたいのですが、空域の調整についてはすべて作業は完了いたしましたか。
  199. 隅健三

    ○隅説明員 空域の調整につきましては、すでにあそこに百里基地がございます。それから羽田空域がございます。その点も、部内におきましては全部問題点を提起いたしまして、最後の詰めに入っております。もちろん防衛庁とも、この空域の調整につきましては話し合いをし、最後の詰めで非常に微妙なと申しますか、高度あるいは方向に至るまで詳細な検討をいたしております。
  200. 木原実

    木原委員 この空域の問題につきましては、百里の特徴性の問題があがりましたけれども、ほかに障害になるというか、ほかに調整を要する部分はございませんか。
  201. 隅健三

    ○隅説明員 問題は一つ、この成田リバーサルと申しますか、一ぺん飛び立ちまして、成田の空港の上を通って羽田のほうへ行きます空路がございます。西のほうに参ります、韓国だとかそちらへ参ります空路が。これが羽田の上空を通るようになりますので、この点につきましては、回数は非常に少のうございますけれども、いろいろの問題がございますので、この空域については慎重に検討をいたしております。
  202. 木原実

    木原委員 それから話が違いますけれども羽田の地先をいま少し埋め立てているのですか。羽田空港のほうの問題ですが、埋め立てておりますか。
  203. 隅健三

    ○隅説明員 われわれとしては、部内で内々の検討はいたしておりますけれども、埋め立てについては一切の準備をいたしておりません。ただ、聞くところによりますと、東京都といたしましては、ごみを捨てる場所を羽田の地先海面に考えているということを聞いたことはございますけれども、航空局といたしましては、埋め立てその他の一切のあれはいたしておりません。
  204. 木原実

    木原委員 もうそろそろ結論に入りたいと思いますけれども、私が考えますような幾つかの供用開始に必要な条件を満たすのには、まだ幾つかの難問があるような感じがいたします。また、あるのがある意味では当然だと思いますけれども、繰り返すようですけれども、やはり初めからこの空港にはかなり無理があった。しかもでき上がってそれから先にさらに難問がある。私は一人の政治家としていえば、当事者の総裁がいて申しわけないのですけれども、やはりこの政策は初めから政策的に選択を誤ったのじゃないか、こういう感じがするわけです。だから、ほんとうの国益という立場からすれば、いまでも廃港にして、あるいは第三の方法を考えるほうが、これはほんとう意味で国民のためになるという考えを、どうも変えるわけにまいらないような条件があまりにも多過ぎるような感じがいたします。しかし、それはきょうの議論ではございません。  ただ、一つはっきり申し上げたいことは、いままでずいぶん公団当局も仕事をするという立場からは御苦労なさいました。しかし、その御苦労にもかかわらず、やはりスケジュールに多くの乱れがあった。公団の中に、いろいろとずさんな計画や、あるいは善意の思い違いもあったでしょうけれども、大きな錯誤があったのではないか。しかし、一つ一つの理由は承れば、それは立場をかえてみれば了承できることでありましても、結果において、いろいろな意味での迷惑をかけておるというおことばがございました。明らかに行政上にも悪い影響を及ぼしておる。そういうようなことを考えますと、私はやはり開港については、三月とか何月ということに必ずしもこだわらないで、十分の措置ができるということを前提にしてやってもらいたい、こういうことが一つ。  それから、それにもかかわらず、やはり行政上といいますか、責任の所在だけはきっちりと明らかにしてもらいたいと思うのです。国民の多額の税金を投じてかなり無理な仕事をやってきたわけでございますから、言いにくいことですけれども、それなりの責任を明らかにしながら開港をやってもらいたい、こういうことです。そして決して無理な仕事をしないように、こういうことです。したがいまして、法務大臣せっかくお見えでございますけれども、残念ながら私どもは、この問題につきましてはなお多くの問題が残されておりまして、法務省のほうはいわば被害者の立場でございます。そういうことですから、そうですかといって、この手直し法案についてにわかに賛成をするわけにはまいりません。法務省に必ずしも私どもが恨みを持っておるわけではございませんけれども、事のいきさつ上、賛成するわけにはまいりません。そういうことで、政府部内におきましても、国家的事業という名目でやってこられたわけですから、ひとつ十分意思統一をされて善処をしていただきたい、こういう要望を申し上げておきます。  以上で本題につきましての話は終わりますけれども、せっかくハイジャックについての御報告をこの委員会でもいただいておりますが、いまどういうことになっておりますか。
  205. 山上孝史

    ○山上説明員 御報告申し上げます。  今朝、日本航空の三五一便が七時三十六分に東京国際空港を離陸し福岡に向かいましたところ、同機が名古屋上空に差しかかったころ、乗客のうちの一人——その後あるいは二人ということの情報も入っております。それがピストルを突きつけ、二百万ドルの現金を要求いたしますとともに、その飛行機をDC8型機にかえ、バンクーバー、メキシコ経由でキューバに行くように命じました。  同機は国内専用のボーイング727型で、加藤機長他乗員五名、乗客百二十名が搭乗しておりました。犯人はタイマーつきの爆弾を持っているとのことでございます。同機は十時四十六分に東京国際空港に着陸いたしました。いまC8の誘導路付近に駐機しております。それ以後、乗員、乗客はいまだ機内に閉じ込められております。  日本航空では、犯人の要求どおりに二百万ドル現金を用意いたしますとともに、キューバ行きのDC8型機を東京国際空港に用意いたしまして、出発できるようにいま待機しております。その後二百万ドルは十二時半にDC8に搭載をいたしました。また日本航空からは犯人のほうに、金を用意した、そこで旅客をおろすように目下折衝中でございます。  さらに犯人は、DC8機をいま乗っております727の横に並べるように要求しております。さらに犯人は、727に載っておりますバッグを、飛行機からおろしてDC8のタラップの下に置けという要求も出しました。これに対しましては、犯人の荷物引きかえ札の番号がわかりましたので、727からおろしましてDC8のほうに移しかえました。その後犯人からは、DC8にだれかが搭乗しているのではないかというような質問があったり、あるいは日本航空側から、だれも乗っていないという答えがあったり、応答がございました。いずれにいたしましても、この乗り移しの際にどういう措置をとるかということにつきまして、現在、現地の合同委員会において協議中でございます。  そこで、運輸省におきましては、とりあえず九時二十分に、東京国際空港に空港事務所と空港警察、日本航空の三者で構成される対策本部を設置し、内村航空局長が直接陣頭指揮をとることにしておりましたけれども、十一時に航空局長、警視庁警備部長、日本航空の斎藤専務、この三者によって構成される羽田ハイジャック事故対策合同委員会、これを東京国際空港に設置いたしまして、いま申し上げました対策本部を吸収して、乗客と乗員の人命の安全の確保を最優先に万全の措置を講じつつある状況にございます。
  206. 木原実

    木原委員 このハイジャックの防止につきましては、彼が活動した以後いろいろと現実の問題になってきたわけで、それなりに運輸省においても対策を講じてきたと思うのです。どういう対策を講じられましたか。たとえば国際的な関係、あるいは空港の管理上の問題その他についてどういう対策を講じられたのか、ひとつ御説明をしていただきたい。
  207. 山上孝史

    ○山上説明員 先生御指摘のとおりに、「よど号」のハイジャック事故を契機といたしまして、その経験にかんがみまして幾つかの対策を講じてまいりました。  以下、若干申し上げますと、第一には、いわゆる東京条約、航空機内で行なわれた犯罪その他ある種の行為に関する条約、これを批准いたしました。その内容といたしましては、航空機もしくはその機内の人命、財産の安全を害する行為、または機内の秩序及び規律を乱す行為に対する機長の権限等を定めたものでございます。これに基づきまして国内法の措置を二つお願いいたしました。  一つは航空法の一部改正でございます。これは四十五年の五月二十三日から発効しておりますが、内容といたしましては、機長に対し、航空機内における安全阻害行為、秩序違反行為等を防止するための拘束、あるいは機からおりろというような権限を新たに付与いたしました。  もう一つの国内法の措置は、航空機の強取等の処罰に関する法律でございます。これは四十五年五月十八日に公布されておりますが、内容といたしましては、ハイジャック行為を処罰するため、航空機の強取の場合に無期または七年以上の懲役に処する。さらに、その結果乗客等に死亡があった場合には死刑または無期懲役という内容でございます。  それからさらに空港の保安委員会という制度設置することにいたしました。これは四十五年の九月八日に設置しておりますが、空港における全般的な保安対策の開発、実施をはかるため、定期便の発着する空港に、空港事務所、警察、税関、入管、航空会社、空港ビル等で構成するものでございます。現にこれは羽田設置されております。今度のその事故対策本部は、そのうちの少数を限りまして設置したものでございまして、この背景には空港保安委員会がございます。  それからさらに、航空機の不法奪取防止対策の徹底といたしまして、四十六年の三月に運輸大臣の通達を出しております。その内容といたしましては大きく二つございまして、一つは旅客と手荷物の取り扱いでございます。これの具体的な措置といたしましては、旅客の氏名、住所及び連絡先の確認、危険物持ち込み禁止等の警告文の掲示、受託または持ち込み手荷物の点検、それから必要な場合のそれらの開梱、ふたをあける、それから凶器発見器による凶器類の事前探知の諸対策を確実に実施するという内容でございます。  それからもう一つは機内における防止対策でございます。それにつきましては、操縦室ドアの施錠、監視窓または客室用の工業用テレビによりまして客室内の監視を行なう等の措置でございます。  このようなことをすでに措置してありましたけれども、さらにその徹底方について通達をした次第でございます。
  208. 木原実

    木原委員 これで終わりますけれども、事態はまだ進行中のようでございますし、大出委員も先ほど申しましたように、これは何をおいても、起こった事故に対しては人命第一で対処していただくことを要望したいと思います。ただ、これからの施策としましては、いろいろおっしゃいました施策にもかかわらず、また起こったわけなんです。しかも、これがもし乗客その他の人命の損傷なく、しかし犯人はまんまと二百万ドルの金を身につけてキューバに飛んだ、成功したということになりますと、これまただんだんとアメリカ並みに日常茶飯のことになる可能性があるわけですね。処罰の問題その他すでにかなり強固なものが出ておりますけれども、ある意味では容易ならぬ事態だと思うのです。しかも最近も、西独等におけるああいう国際的な波紋を呼ぶような事故もあった直後ですし、ですからこれはなかなかむずかしい問題であることは間違いないと思うのですが、やはりもう少し国際的な協調の中で詰めるところは詰めていく。だんだん対岸の火災ではなくなってきたわけですから、われわれの側から、やはり十分にこの対策の知恵をしぼってこの防止に万全を期する、こういう措置が望まれるわけなんです。ですから、当面の問題につきましてはひとつ万全の措置をやっていただくのですが、これからの再発というのですか、わが国では再々発になるのですが、再々発を防止するために、いままでの施策上の欠陥なり足りないところなりなんというものも十分に洗い直して、さらに、国際的な協調や、動向や、さまざまな経験や、そういうものを入れながら、ひとつ施策の上で万全を期してもらいたい、こういう要望を申し上げまして質問を終わりたいと思います。
  209. 前田正男

    前田委員長 本案に対する質疑はこれにて終了いたしました。     —————————————
  210. 前田正男

    前田委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  法務省設置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  211. 前田正男

    前田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  212. 前田正男

    前田委員長 御異議なしと認めます。そのように決しました。よって、そのように決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  213. 前田正男

    前田委員長 次に、国の防衛に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。東中光雄君。
  214. 東中光雄

    東中委員 きょうから航空自衛隊が総合演習をやっていると聞いておりますが、その規模、それからいつまで、どういうふうにやられているか、簡単に言っていただきたい。
  215. 箕輪登

    ○箕輪政府委員 きょうから十一月の十九日まで、約二週間にわたって航空自衛隊の総合演習をいたします。その規模につきましては、参加する航空機は要撃機が約二百八十機であります。その他輸送機が三十機等、四百四十五機が参加する予定でございます。
  216. 東中光雄

    東中委員 その演習の空域はどういうふうになりますか。
  217. 大西誠一郎

    ○大西政府委員 日本の領土の周辺、主として訓練空域を中心といたしました空域でございます。
  218. 東中光雄

    東中委員 いま主としてと言われたのですが、訓練空域外もやっているということですか。その空域はどういう地域なんですか。
  219. 大西誠一郎

    ○大西政府委員 いま主としてと申し上げましたのは、訓練空域では要撃戦闘を行なうことにいたします。それ以外の通常の飛行は飛行可能空域で行なう、そういう趣旨でございます。
  220. 東中光雄

    東中委員 昨年の八月七日に航空交通安全緊急対策要綱が出されて、その後防衛庁と運輸省で協議をされて、自衛隊機専用の回廊の設定、その他訓練空域の設定というものをきめられたと思うのですが、今度はこの演習については、その回廊その他を広げてやっておられるのかどうか。回廊以外のところをも何らかの形で使うという方向をとっておられるのかどうか。その点はいかがでしょう。
  221. 大西誠一郎

    ○大西政府委員 ただいまお話がございましたように、昨年の事故以来、緊急対策要綱に基づきまして自衛隊の航空機の飛行方式、訓練空域等について運輸省と協議してまいりました。その結果、訓練空域については、高高度十一カ所、低高度九カ所、回廊十二カ所というものが設定されました。そこで、それ以外の問題につきまして、すなわち航空路における有視界飛行をどうするかというような問題につきましては、それと並行いたしまして運輸省と話を進めてまいりまして、すでにその一部、たとえば災害派遣の場合の飛行とか、あるいは救難、写真偵察、流氷観測、そういうようなものについては差しつかえないということで話が進んでまいりました。  今回の演習につきましても、有視界飛行の問題についてどうするかということがございますので、そういう点について話し合いをいたしております。しかしながら、これは先生御承知のことと思いますが、緊急対策要綱で規制をすべき部分というものは、「訓練飛行等」というふうに限られておりまして、その「訓練飛行」というのは、航空機の姿勢のひんぱんな変更を伴う飛行及び試験飛行というふうに考えております。したがいまして、水平飛行で航空路の中を飛ぶというようなことは、その緊急対策要綱の規定には該当しないというふうに解釈をしております。
  222. 東中光雄

    東中委員 緊急対策要綱の二項では、有視界飛行方式による訓練飛行等を行なうことができる空域は、「航空路における計器飛行方式による最低安全高度より一〇〇〇フィート低い高度以下の空域」、それから「航空航通管制区における最低高度より一〇〇〇フィート低い高度以下の空域」というふうに限定的にきまっていますね。この「訓練飛行等」の中に水平飛行は入らない、こういうことですか、いま言われているのは。
  223. 大西誠一郎

    ○大西政府委員 もう一度申し上げますと、「訓練飛行等」の中には、航空機の姿勢のひんぱんな変更を伴う飛行と試験飛行が含まれるということでございます。
  224. 東中光雄

    東中委員 私がいま端的に聞きたいのは、今度の演習について、訓練空域に行く場合に、設定されておる回廊以外のところを使用しているのかどうか。航空路及び航空交通管制区を横切る場合に、設定されておる回廊以外のところを使用しているのかいないのかという点、それをひとつはっきり答えてください。
  225. 大西誠一郎

    ○大西政府委員 今回の演習はきょうから始まりますが、実飛行は九日間ということになっております。これにつきまして、先ほど申し上げましたように、緊急対策要綱の外の問題ではございますが、航空安全という点を考慮いたしまして、防衛庁として自主的に規制を行なってきた部分がございます。これがいわゆる訓練飛行でない飛行による航空路の飛行ということで、このうち、先ほど申しましたように、たとえば救難飛行とか写真偵察とか、そういうようなものについては、すでに運輸省も了解をしてやっております。それ以外のものについて、たとえば部隊と部隊の間を連絡飛行するとか、あるいは人員、物資を輸送するとか、そういうような問題につきまして、現在運輸省と協議中でございます。
  226. 東中光雄

    東中委員 いま言われている今度の演習で、演翌空域へ行くときのことをぼくはいま具体的に聞いたのですよ。あなた、全然違うことを言っている。
  227. 大西誠一郎

    ○大西政府委員 訓練空域への往復は、従前どおり回廊を使うということを原則としております。
  228. 東中光雄

    東中委員 どうも、主としてとか原則としてとか言われると、非常にひっかかるのです。原則としておるけれども、今度の演習ではどうなのか。そういうことはないということなのか、あるいは原則としておって、例外的にいまやっておるのか、そこがはっきりしないから、くどいようですけれども、率直に答えてください。
  229. 大西誠一郎

    ○大西政府委員 演習にあたりましてはいろいろの形態の飛行がございます。そこで、回廊を使わなくてもいい飛行については回廊を使わない。たとえば航空路の下を行くとか、そういうようなケースについては使わない。しかしながら、従前、訓練空域へ訓練のために往復する場合には、定期的に回廊を使って飛んでおりますので、そういうようなものについては従前どおり回廊を使って飛ぶということでございます。
  230. 東中光雄

    東中委員 いま防衛庁から運輸省へ申し入れて協議をしておると言われておるのは、一体その従来の分からどこを拡張しようとして申し入れておられるのですか、そういう角度からお答えください。
  231. 大西誠一郎

    ○大西政府委員 有視界飛行のうち、従来、運輸省との間でまだ協議が終わっておりません、たとえば部隊間の連絡飛行とか人員、物資の輸送飛行、そういうような問題につきまして運輸省と話し合いを進めております。
  232. 東中光雄

    東中委員 先ほど、救難とか写真撮影などの飛行について、有視界飛行の場合は運輸省と話し合いができた、こう言われましたが、それはいつそういう話し合いができたのですか。そして従来とどういうふうに変わるのですか。
  233. 大西誠一郎

    ○大西政府委員 ただいま御質問がございました写真偵察等の飛行につきましては、昨年の十二月に運輸省と話し合いがつきまして、それ以降やっております。
  234. 東中光雄

    東中委員 だから、十二月にできて、そのできる前とできてからあととでは、どういうふうに変わったのかと聞いているのです。
  235. 大西誠一郎

    ○大西政府委員 これは飛行の形態については従前と変わっておりません。
  236. 東中光雄

    東中委員 どうもあなたの言われることはよくわからないんだけれども、話し合いがついてそういうふうにやることになったと言われるが、話し合いがつく前からそういうふうに防衛庁はかってにやっておった、こういうことになるわけですか。
  237. 大西誠一郎

    ○大西政府委員 ただいまお答えいたしましたような内容の飛行につきましては、事故の起こる以前はやっておりましたけれども、事故が起こりましてからは、防衛庁としては自粛をしてやっておらなかったわけです。全面的に取りやめておった。それを運輸省と話し合いをいたしまして、実際に飛行の態様等について運輸省のほうでも十分理解をされて、そうして事故の起こる前の状態で行なうということについて話がついておるということでございます。
  238. 東中光雄

    東中委員 それは全体についての基本的な所管は運輸省ですからね。だから結局、話し合いがつくまではやってなかったけれども、十二月に話し合いがついてやるようになった、こういうことですね。そのほかに、たとえば航空路を横切る回廊の増設といいますか、そういう要求でいま話し合いをしておられるのですか、おられないのですか。
  239. 大西誠一郎

    ○大西政府委員 回廊の増設についての話し合いはいたしておりません。
  240. 東中光雄

    東中委員 そうしたら、どうも先ほどから言われていることがよくわからないのですが、何について防衛庁から言われて協議をされているのですか。
  241. 大西誠一郎

    ○大西政府委員 先ほどお答えいたしましたように、部隊間の連絡飛行、人員、物資の輸送飛行等の有視界飛行について運輸省との間に話し合いを進めております。
  242. 東中光雄

    東中委員 有視界飛行については、安全対策要綱の二項ではすでにもうきまっていますね。これは「訓練飛行等」と書いてあって、この「等」の中に入っていないというふうにあなたは防衛庁として解しておって、そしていま新たに出しておるというふうに言われておるようですけれども、それではいままでは、そういう飛行についてはどうされていたのですか。
  243. 大西誠一郎

    ○大西政府委員 先ほど申し上げましたように、第二項にいうところの「訓練飛行等」というものについて運輸省と話し合いをいたしました結果、これは、航空機の姿勢をひんぱんに変更する飛行と試験飛行がこれに該当するということで、双方の解釈がいま一致しております。それまでの間、航空路を横断する場合、あるいは航空路内の飛行につきましては、IFR、つまり計器飛行方式で飛行をいたしております。
  244. 東中光雄

    東中委員 そうすると、これからは安全対策要綱の二項の解釈を縮めて、そこに入ってない部分について、あらためて入ってないということで協議をする、そしてその部分が広がっていくということに結局なるわけですね。対策要綱自体は、あらゆる場合が入っておるたてまえでつくられたんじゃないですか。
  245. 大西誠一郎

    ○大西政府委員 ここにあげております第二項に、あらゆる場合が入っているかどうかということは、これをつくった段階においてはきまっておりません。しかしながら、航空機の安全ということはたいへん大事なことでございますので、防衛庁としては、十分に再開後の飛行を慎重に行なうという考えから、これに該当するしないにかかわらず、防衛庁として安全についての見通しを得るまで、航空路外の有視界飛行については自己規制をするということでございます。そこで、昨年の十二月には、そのうちの一部の分野については防衛庁の自己規制を解いたということで、緊急対策要綱をゆるめたということではない、そういうふうに了解しております。
  246. 東中光雄

    東中委員 いま防衛庁が運輸省との話し合いで、この二項にいう「訓練飛行等」というのは、これは先ほど言われた、急激に姿勢を変える飛行及びテスト飛行——テスト飛行というのも同じ性質を持っているわけですから、それ以外のものは何も対策要綱ではきまっていないから、だから自由にやれるのだ、自由に有視界飛行で安全を確保するようにさえやればいいんだという解釈を防衛庁はいままでとってきたし、これからもとっていくということになるのですか。それなら運輸省と相談する必要はないわけですし、そこらの点はどういうふうになっていますか。
  247. 大西誠一郎

    ○大西政府委員 この緊急対策要綱は、御承知のように運輸省が一方的にきめたものではございませんで、中央交通安全対策会議を経て閣議できめているものでございます。したがいまして、ここに書かれております規定の実際の運用につきまして、技術的にそれぞれの規定について運輸省といろいろ話し合いをしてまいりました。そこで、その話し合いについて合意ができるまでは、できるだけ防衛庁としては安全をとって、少しでも疑問があるものは遠慮をしておった、そういうのが事実でございます。そこで、だんだん双方が技術的に詰めて、そして運輸省としても安全上差しつかえないということで、先ほど申し上げましたように、逐次防衛庁が行なっている自主規制について、それをゆるめるということは差しつかえないじゃないかというふうに運はれてきたわけでございます。
  248. 東中光雄

    東中委員 どうも、部隊間の連絡その他、いわゆる試験飛行や、あるいは極端に姿勢を変える飛行ですか、ややこしい言い方をしますけれども、それ以外の飛行については、そうすると、いままでは自主的な規制であって、技術的にだいじょうぶだと思えば、防衛庁はその分については有視界飛行で範囲を拡大していく、そういうたてまえでやっておられるということになるわけですね。そう聞いていいですか。
  249. 大西誠一郎

    ○大西政府委員 対策要綱の解釈としてはそういうことでございます。しかしながら、航空の安全というものは、たとえば現在航空法できめてないことについても運輸省が行政指導でいろいろやっておりますと同じように、運輸省と防衛庁の間で安全を確認しながら航空機の具体的な運用をきめていくということでございまして、具体的な例を申し上げますと、YS11という飛行機がございます。これは自衛隊では輸送機として使っておりますが、民間でもYS11は使っております。そのYS11が、航空路の中で民間では有視界飛行で飛んでいるわけです。それと同じような飛び方をするものについて、それが安全であれば、自衛隊機であるがゆえに安全でないというふうに考える必要はなかろうというような趣旨でございます。
  250. 東中光雄

    東中委員 そうしますと、演習なんかの場合はどういうことになるのですか。アメリカとの安保条約関係の航空交通管制に関する合意第三附属書では、いわゆる防空業務に従事する航空機だけじゃなくて、あらかじめ計画された戦術的演習に参加する航空機も最優先権があるというふうにされていますね。この附属書は、去年の事故後変えるということであったけれども、いまなお変えてない。それとの関係で、優先権をなお持って演習というのはやられているのではないですか。現にいまやられている演習はどうなんですか。
  251. 大西誠一郎

    ○大西政府委員 いま御質問がございました米国との合意附属書につきましては、安保条約に基づく地位協定の第六条の問題でございまして、外務省なり運輸省からお答え申し上げることが適当だと思いますが、これにつきましては、すでに先生御承知のように、政府からは、これによって自衛隊が権利を行使するというようなことは毛頭考えておらない。つまり事実上、米軍との関係は私よく存じておりませんが、形骸化しているというふうに理解しております。したがいまして、今回行ないますところの防空演習における自衛隊の演習のやり方につきましては、航空法、それから航空交通安全緊急対策要綱、さらに、ただいままで私どもが御説明をいたしております、自衛隊として安全を確認できる範囲、そういう範囲内で実施をするという考え方でおります。
  252. 東中光雄

    東中委員 私の言っているのは、安全を確保しないつもりでやるというような飛行なんというのはありやせぬのですから、何ぼアメリカ軍であろうと、自衛隊の戦闘場面であろうと、当然のことなんですよ。問題は、自衛隊が安全だと思ったら何でもやっていくということがいいのかどうかということがいま問題になっているので、自衛隊が安全だと思ってやるのだというふうなことをわれわれ言っているわけじゃないわけです。だから、チェックのしかたの問題を言っているわけで、自衛隊がそう思いさえすれば、有視界飛行は、いわゆるテストないし曲技といいますかに類するもの以外は全部よろしい。そうすると、自衛隊の判断で安全を確保するということでやれば、それでよろしいという解釈をいまとっておられるということになるわけですね、いまあなたの言われておることを聞けば。
  253. 大西誠一郎

    ○大西政府委員 自衛隊だけが安全だからいいということは、われわれは毛頭考えておりません。したがいまして、緊急対策要綱の解釈として、これはもちろん解釈としては、自衛隊だけの解釈ではなくて、運輸省を含めた解釈の中で該当しない部分についても、自衛隊が主観的に安全であるということについて、航空行政全般を担当しております運輸省の目で見て、運輸省としてもだいじょうぶだという了解を得てわれわれはやろうとしておるわけであります。したがいまして、ただいま運輸省と話し合いをしておるというのは、そういう意味で話し合いをしているわけでございまして、第三者が見ても安全であるということがわかった上で実施をしよう、そういう趣旨でございます。
  254. 東中光雄

    東中委員 もう繰り返しませんけれども、そうすると、対策要綱のたてまえからいえば、運輸省にそういうことを認めさせる、あるいは承認を得なければならないという立場には防衛庁はない、そういう前提に立って防衛庁のやろうとしていることを、運輸省、要するに第三者も安全だと認める、そういう合意を取りつけてからやるというたてまえで話し合いをしている、言われていることはこういうことなんですね。
  255. 大西誠一郎

    ○大西政府委員 そのとおりでございます。
  256. 東中光雄

    東中委員 時間がありませんので、私、質問をやめますけれども、それでは、運輸省を防衛庁側に巻き込んでおるだけにしかならないわけですね。私たちは、いままで安全対策要綱で出されてきたそれの範囲内で、客観的に安全性が確保できないという部分を防衛庁がやめておった、こういうふうに理解をしています。それを今度は、防衛庁の解釈でこれは安全であるというふうに思う部分は、もともと対策要綱のらち外だ、「訓練飛行等」の「等」の解釈のしかたでそれを拡大していって、そして今度は運輸省に、必要でないけれども念のために承認を得ているというだけの態度で進めていかれたら、これは運輸省としたら、もともと対策要綱の範囲外だというたてまえでおるのでは、どんどん拡大していくということになります。  ちょうど一年たったので、ほとぼりがさめてきたからどんどん侵食しだしてきたという感じが非常に強いわけですけれども、訓練飛行というもの、あるいは軍事的飛行というものは、どうしてもそういうふうに拡大していくように必然的になります。私も軍用機に乗っておったから。そんなことを気にしておられぬということに法則的になっていくものであります。いままさにそういう方向に向かって進んでいっている。きょうから始まる演習でも、そういう形でワクが広げられていく。二年に一回の演習だからこの機会に広げられる、こういう形になると思うのですが、政務次官、私ども、そういう方向はとるべきじゃない、安全をほんとに第一に考えるということ、そういう立場をとるべきだと思うのですが、御所見どうでしょうか。
  257. 箕輪登

    ○箕輪政府委員 東中先生おっしゃるとおりでございまして、防衛庁といたしましても、安全優先のたてまえを貫きたいと考えております。特に従来と違いますことは、従来レーダーサイトに飛行安全幹部というものを置いておりませんけれども、今度の演習にあたりましては、レーダーサイトには必ず飛行安全幹部、これは専門家でありますが、これを配置いたしまして、飛行安全専用のスコープで参加航空機の飛行を全部監視いたしまして、適宜適切な助言、監督を実施いたしまして、航空の安全を、有視界であっても全部レーダーによって把握し、レーダーで指導いたしますので、特に、おっしゃるとおりのような民間航空路の場合等を考えますと、民間航空が飛んでいないような早朝だとか、そういうことをレーダーで全部把握してやりたい、こういう考えでおります。万々一年前の事故のようなことを起こさない体制をとりながら、いま、こういうふうにやるんだからということで運輸省と協議中でございます。
  258. 東中光雄

    東中委員 終わります。
  259. 前田正男

    前田委員長 次回は、来たる十三日月曜日、午後一時理事会、午後一時半より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十六分散会