○国務大臣(足立篤郎君) 先ほど来御
指摘のとおり、食糧が過剰で困りましたときに
農協にもお願いをし、
農林省と
農協の間で合意いたしまして御努力をいただいて、
倉庫を
増設してもらったわけでありまして、そのための融資
あっせん等もいたしたわけであります。
生産調整の結果、需給のバランスがだんだんとれてまいりまして、過剰基調がだんだん薄らいでまいりました。まだ古米、古々米等の貯蔵は相当ございますが、御
指摘のとおり、
倉庫の
収容能力に対して余積を生じてきたということは事実でございますし、それが
農協の
経営の圧迫材料になったのでは、私どももいささか責任を感ずるわけであります。そうかといって、今後の見通しをしっかり立てて、これだけの
倉庫を整理するということは、なかなかまだ結論が出ませんので、とりあえずの措置として来年度予算要求に際しまして、若干の助成を考えているわけでありまして、先般も省議で決定をし、いま大蔵省のほうへ予算要求をいたしているわけであります。
なお、私としては、この
農業倉庫問題については、根本的に検討をする時期へきているというふうに思っております。と申しますのは、流通形態の合理化をはかりませんと、やはりほんとうの何といいますか、高能率農業ということにならないのじゃないかというふうに思っておりますので、単に
生産技術の改良をやって高能率の農業を実現するというだけではなくて、もう先進国並みのやはり流通形態の改革の時期にきているんじゃないかというふうにも、実は思っております。これは
生産形態と非常に関係がありますので、なかなか一朝一夕に、全部が全部理想的な流通形態の改革というものは、むずかしいとは思いますけれども、逐次、いま協業化等が進んで、大規模な
経営にぼつぼつ移りつつありますので、そうしたところにつきましては、現地に御
承知のカントリーエレベーターを整備して、もみで貯蔵をする。それをトラックでバラで運んで、消費地へ運びますれば、消費地で大型精米で調製を行なって、それから搗精を行なって、それから同時に、流れ作業でパッキングをやると、こういうふうなシステムにすれば、非常に労力を省きまして合理化ができるというふうに思っております。
先般、御
承知の箱根会談のときに、アメリカ側の要求で小麦やえさを買い付けてくれというので、私どもも円を防衛する立場から、他の、いま自由化をしてない農産物に圧力がかかるのを避ける意味もございまして、できる限り買いましょう。同時に、当時の相場は、小麦もえさもたいへん安うございましたので、このときにひとつ大量に買い付けておけば、将来どうなるかわからぬが、ともかく国益を守るゆえんじゃないかというふうにも考えまして、私も事務当局に対してできる限りの買い入れを考えろという指示をしたのでありますが、残念ながら日本には
収容能力がないわけでありまして、
倉庫は余っているけれども、普通の
倉庫は余っているが、いわゆるバラで輸送されてくる小麦とかえさとかを収容する能力が一ぱいでございまして、せいぜいランニングストック二カ月
程度しか
収容力がないというまことに情けない
状況でございます。いま、御
承知のとおり、船積みも、それから船から揚げる場合も、全部空気の圧力を使いまして荷役を行ない、船も全部バラ積みで、もう小麦といい、トウモロコシといい、あるいはマイロといい全部バラで参ります。非常に国際的には合理化されて、それによって労力が非常に省かれているわけですが、それを受け入れる日本側のほうに施設がない。したがって、安いときに大量に買い付けておけば確かに得でありますが、それができないということが非常に残念でございまして、実は大蔵大臣にも、ひとつこうしたサイロですね、米でいえば、現地でいえば例のカントリーエレベーターになるわけですが、こうした設備の完備について今後考えるからよろしく御配慮を願いたいということを申し入れはしてあるのでありますが、これは一朝一夕になかなかいきませんので、来年はひとつ十分
調査をし、検討をし、そして地域別にできるところからこうした輸送形態にして、大消費地の消費についてはトラックでバラで運んできて、大型精米でこれを一貫的に処理してしまう、こういうふうな逐次、改革をやっていく必要があるというふうに思っておりますから、まあ言うならば、いままでの
倉庫の考え方とだんだん考え方が変わってくると、相当金もかかる。したがって、国もそうした緊急
増設の分については、助成の必要があるというふうに考えております。そういうものも含めまして、場合によればもう古くなった設備の
常温倉庫等については、スクラップ・アンド・ビルドをやってもらわなければならぬ時期にきているのじゃないかというふうにも考えますので、そういう観点からひとつ総合的に今後の対策を考えてまいりたいというふうに思っております。