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1972-10-04 第69回国会 参議院 農林水産委員会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年十月四日(水曜日)    午前十時十七分開会     —————————————    委員異動  八月十四日     辞任         補欠選任      山崎 五郎君     棚辺 四郎君  八月三十一日     辞任         補欠選任      塩出 啓典君     峯山 昭範君  九月一日     辞任         補欠選任      峯山 昭範君     塩出 啓典君  九月十三日     辞任         補欠選任      向井 長年君     栗林 卓司君  九月十四日     辞任         補欠選任      栗林 卓司君     向井 長年君  九月二十二日     辞任         補欠選任      星野 重次君     田口長治郎君  九月二十七日     辞任         補欠選任      辻  一彦君     中村 英男君  九月三十日     辞任         補欠選任      中村 英男君     辻  一彦君     —————————————   出席者は左のとおり。     理 事                 佐藤  隆君                 初村瀧一郎君                 中村 波男君                 前川  旦君                 宮崎 正義君     委 員                 梶木 又三君                 小林 国司君                 鈴木 省吾君                 田口長治郎君                 高橋雄之助君                 棚辺 四郎君                 鍋島 直紹君                 川村 清一君                 辻  一彦君                 戸叶  武君                 村田 秀三君                 塚田 大願君    国務大臣        農 林 大 臣  足立 篤郎君    事務局側        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君    説明員        農林省農林経済        局長       内村 良英君        農林省農政局長  荒勝  巖君       農林省畜産局長  大河原太一郎君        農林省蚕糸園芸        局長       池田 正範君        食糧庁長官    中野 和仁君        林野庁指導部長  松形 祐堯君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査  (派遣委員報告に関する件)  (当面の農林水産行政に関する件)     —————————————   〔理事佐藤隆委員長席に着く〕
  2. 佐藤隆

    理事佐藤隆君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  八月十四日、山崎五郎君が委員辞任され、その補欠として棚辺四郎君が選任されました。  また、九月二十二日、星野重次君が委員辞任され、その補欠として田口長治郎君が選任されました。     —————————————
  3. 佐藤隆

    理事佐藤隆君) この際、派遣委員報告に関する件についておはかりいたします。  先般、当委員会が行ないました農林水産業実情調査のための委員派遣については、各班からそれぞれ報告書が提出されておりますので、これを本日の会議録の末尾に掲載することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 佐藤隆

    理事佐藤隆君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     —————————————
  5. 佐藤隆

    理事佐藤隆君) 当面の農林水産行政に関する件を議題といたします。  これより質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言願います。
  6. 辻一彦

    辻一彦君 私、きょうは農業倉庫の問題について二、三若干の質問をいたしたいと思います。  北陸の米作地で春先から倉庫に四十五年産の米はもうないし、四十六年産の米も残り少なくなって倉庫があいていると、こういうことをよく言われております。この中で、農業倉庫経営がだんだん悪化していくということを私も歩いてみて知ったわけです。八月十一日に本委員会佐藤委員からも、この点が最後に指摘をされております。  そこで、八月の下旬に若干県内の農協倉庫を歩いて調べてみますと、私の県では四十五年産の米は在庫がゼロ、四十六年産も非常に残り少なくなっている。数字は、あとで調べますと、わずかに四十六年の産米は、福井県下では五千五百トンぐらい、こういうことになっております。そこで、ごく少数の四十六年の米を倉庫の片すみに置いて、低温倉庫の場合には、電気を動かして保管をしていると、こういう状況でありますから、これでは農業倉庫経営、維持に赤字が出てくる、こういうことは当然であると言わなくてはならないと思います。  そこで、食糧政策の上において非常に重要な一環でありますこの米の保管をする農業倉庫赤字であるということは、非常な問題を持っているというように思うわけです。少なくも何とかして政府が指定している農業倉庫、そういうものには赤字に対する対策というか、こういうことが必要じゃないか、こういう観点から二、三点を聞いてみたいと思います。  まず第一に、最近この農業倉庫が過剰と言われていますが、あるいはあいている、こう言われますが、その実態はどういうことなのか、どのぐらいの収容力を現在、持っており、どのぐらいの余裕があって、適正なる収容力というのは、どのぐらいと考えられるか。こういうことを、低温、準低温常温とありますが、若干まとめてごく簡単にひとつ報告を願いたいと思います。
  7. 中野和仁

    説明員中野和仁君) 現在の倉庫収容力が、大体一千万トン近いというふうにわれわれ見ております。ところが、生産調整をやりまして以来、最近の数字で申し上げますと、大体保管——米についていいますれば、八百万トン程度保管が最大ではないかと思われます。そこで、二百万トン近い過剰収容力があるというふうに、全体としては見られるわけでございます。
  8. 辻一彦

    辻一彦君 前の亀長長官は七月二十七日、この委員会での答弁において、米は大体配給二カ月分百万トンを繰り越しで持つということが適正なんだ、こういう発言がありましたが、新長官として持ち越し米は百万トン程度が必要である、こういうふうにお考えかどうか。
  9. 中野和仁

    説明員中野和仁君) 生産調整をやります最初から全体の需給を考えます場合に、端境期にはやはり百万トン程度があるべきではないかというふうに、農林省としてはずっと考えてきております。私もそういうふうに思います。
  10. 辻一彦

    辻一彦君 じゃ、いまの二百万トンの余剰というのは、その百万トンの持ち越し米を将来、十分確保する、こういうことを前提にしての数字ですか、その点どうですか、もう一度。
  11. 中野和仁

    説明員中野和仁君) 大体そうでございまして、ただ、その場合に、百万トン全部が産地にあるということじゃなくて、大体その半分か半分ちょっとぐらいが産地にあって、あとは当然都会のほうに出てきて、それぞれの県に張りつけておく、こういうことになるわけでございますけれども、全体としましてはそうでございます。
  12. 辻一彦

    辻一彦君 次に、二百万トンの過剰になったということ、これは大体のことはわかるわけですが、一応論議のために、二百万トンがどういう形で過剰になったかということを一応、まず伺ってから入りたいと思います。
  13. 中野和仁

    説明員中野和仁君) 御承知のように、米の生産が過剰と言われる前は大体——いつをとってみるかいろいろ問題はあるかと思いますが、たとえば四月をとってみますれば、昭和四十三年は収容力が約六百二十六万トンでございました。それが四十四年は八百三十万トンになり、四十五年は一千二十七万トン、四十六年一千二十三万トン、四十七年九百八十二万トンというふうに収容力が変化してきておるわけでございます。これは御承知のように、四十二年以降の非常な豊作、それから生産過剰というものに対応しまして、倉庫収容力をふやしたという経過をたどっておりますが、四十五年以来生産調整をやっておりまして、全体としての米の収穫が減っておるということからの差が出てきたわけでございます。
  14. 辻一彦

    辻一彦君 四十三年に公庫資金で百二十億、四十四年に七十億というように、百九十億の金が政策資金として使われて、この倉庫増設ということがずっと行なわれておるわけですが、こういうものは、かなり当時としては米を入れる倉庫が足りない、こういうことで食糧庁農林省として積極的に倉庫増設を政策的に推進をしたのではないかと思うのですが、その点はどうだったのですか。
  15. 中野和仁

    説明員中野和仁君) 当時、非常に米が過剰でありました場合、それをどう収容するかということがありまして、農林省としましては、公庫資金あっせんをしたわけであります。ただ、それはどんどん新しくつくると同時に、やはり古いものの更新ということもあわせてその際、考えてやったというふうに私は、記憶しております。
  16. 辻一彦

    辻一彦君 私の伺いたいのは、農協のほうから倉庫をつくりたいからと、こういうことだけではなしに、かなり政府米がだんだんふえていく、それを収容するためには、どうしても倉庫をふやさなくちゃいけない。こういうことで、ただ、こうあっせんというか、かなり政策的に強くプッシュしたというか、押したというか、そういう経過はないのですか。
  17. 中野和仁

    説明員中野和仁君) 私、当時そのことをきちっとやっておりませんので、いまここできちっと申し上げかねるわけでございますが、当然農林省側としましても、倉庫がなくて米があふれるということは困るわけでございますから、推進をしたし、また、農協のほうからもぜひつくりたい、この両方が合致したのではないかと思います。
  18. 辻一彦

    辻一彦君 そういう中で、私は、もちろん政府米保管をする農業倉庫の、それは担当を農協はしておるのですから、何とか入れる場がないと困るというので、農協自体もその問題は当然扱っておりますね。と同時に、政府のほうもそれだけの米を買い入れる場がなければ、入れる場所がなければ困るわけですから、積極的に推進した。両方によって一応たとえば四十三年、四十四年で百二十万トンの収容力増、こういう公庫資金が使われるというように理解をしたいのですが、それでいいですか。
  19. 中野和仁

    説明員中野和仁君) 先ほど申し上げましたように、両方の気持ちが合ったということを申し上げたわけでございますが、農林省としましては、それぞれの農協の要望、これをきちっと受けて立って、そういう制度資金の融資までやった、こういうことでございます。
  20. 辻一彦

    辻一彦君 そこで、政策資金の使用によって四十三年、四十四年にどのくらいの収容力がふえたのか、それからそのおよその棟数といいますか、何棟くらいが増設されたか、それとあわせて近代化資金でもってもかなりつくられておるわけですが、近代化資金によってつくられた四十三年から五年ころにかけての棟数収容能力、この点は、およそどのくらいになりますか。
  21. 中野和仁

    説明員中野和仁君) 四十三年百二十億分と四十四年七十億分と合計いたしまして棟数で千百八十棟、それから収容力にいたしまして百二十万トン。近代化資金のほうは、ちょっといま手元資料を持っておりませんので、後ほど調べて差し上げたいと思います。
  22. 辻一彦

    辻一彦君 近代化資金のほうをちょっと調べて、この論議の中で間に合うようにこまかい数字でなくていいですから、ごく大まかにちょっと調べてもらいたいと思います。  そこで、公庫による資金と、それから農協のほうでは近代化資金をかなり使って、そうしてかなりな倉庫をその当時つくる、こういう形で一千万トン収容できる倉庫が建設されたということは、明らかであろうと思います。それで、もう一つは、この問題の場合に、倉庫があくということは、片方では倉庫が造設されたということと、片方では生産調整、そういうものによって在庫がだんだんと減っているというこの二つによって、当然この問題が出てきたと思うわけです。  そこで、たとえば私がこの福井のほうで見てみますと、この四十五年の八月末には、これは俵数ですけれども、八月末に百八十八万四千俵倉庫に米があった。四十六年の八月末には、これは百五十三万二千俵、端数は別として百五十三万二千俵になっている。それから四十七年の八月末には六十九万五千俵と、こういうように四十五年と四十七年を比べるとたいへんな減り方をしております。四十五年対比、四十六年の八月末では三十五万二千俵、それから四十五年と四十七年では、八十三万六千俵というように——これはトン数に直せばわかるのですが、非常にこう減ってきておるわけですね。  そこで、きのう出してもらった資料によると、八月末のことしの在庫は二百四十三万九千三百トンと、こういうふうに出ておりますが、この四十五年八月末、四十六年八月末におけるその在庫の量、そして四十五年に比べて四十六年、四十七年がどの程度同じ一年で在庫量減少しておるか。この点をちょっと聞かしていただきたい。
  23. 中野和仁

    説明員中野和仁君) ちょっと八月の数字が四十六年と七年しか持っておりませんので……。四十六年は四百九十九万八千トンです。それから四十七年が二百七十万八千トンですから、かなり落ち込んでおります。それ以前の数字は、ちょっと私、持っておりませんが、四月現在で見ましても、これはまあ似たようなことになるわけでございますが、四月現在で見ますと、四十四年が七百七十五万七千トン、四十五年が八百九十二万トン、四十六年が八百三万六千トン、四十七年になりますと、それが五百二十七万二千トンに落ちるということでございます。それが八月まで四ヵ月間ずれますと、ずっと消費されるわけでございます。同じような傾向になるかと思います。
  24. 辻一彦

    辻一彦君 いまの数字、八月の時点で私ちょっと知りたかったのですが、それはあとでまた調べて出してもらえばいいと思います。  一つの県の例を見ても、たとえば四十五年の八月末と四十七年の八月末では、八十三万俵から米が、在庫減少している。こういう数字がありますし、同様にこれは全国的に拡大すれば同じような傾向の、若干違ってもほぼ同じ傾向数字が出てくると思うわけです。そこで、農業倉庫がいま赤字であるとか、こういうことが言われていますが、結局この倉庫増設をされ、一千万トンの収容能力を持つ。それから在庫は四十五年から六年、七年と年々減少している。こうなれば保管料が減っていくのは当然であると思います。たとえば私、福井のほうで一応調べてみますと、四十五年の八月末におけるその期の保管料が三千百七十九万円、四十六年が二千八百九十八万円、四十七年が千五百二十八万円と、こういうようにだんだんと減っている。四十五年と四十七年を比べると、一つの県においても、この場合には五〇%弱という数字保管料でその期において出ております。  これは農林省全国農業協同組合中央会共同調査をされた資料を私ちょっと見たのですが、これによりますと、四十五年の政府支払い保管料の総額は二百五十八億二千万円、四十六年が二百十六億二千万円、四十七年が大体百六十億ぐらいになるだろうと、こう言われておりますし、さらに、こういう傾向をいろいろ推算していくと、四十八年には百十億くらいになるのじゃないか。こうなると、四十五年に比べて四十七年は保管料が九十二億減、大体六〇%になって、九十二億減少。もし四十八年にこういう傾向を延長するとすれば百四十億減となって、いわゆる四十五年の一番多いときに比べて四二%、こういうことになるという数字農林省全中共同調査で出ておると、こういうふうに私は見たのですが、こうなると四十五年に比べて四十七年は百億の保管料減少、四十八年にもし推計すれば百四十億の減少、こういうようになりますが、大体こういう数字一緒調査されたというのだから間違いないと思いますが、四十七年、四十八年と推計してこういう数字でいいのかどうか。その点ひとつ確認をいたしたいと思います。
  25. 中野和仁

    説明員中野和仁君) 大体の数字は、そういう数字でよろしかろうと思いますが、ちょっと私の手元にある数字を申し上げますと、これは倉庫保管の場合に農業倉庫、営業倉庫両方ございます。そこで、まず合計を申し上げますと、一番ピークでありました四十五会計年度は三百八十七億、それが四十六年は三百四十三億、四十七年のこれは見込みでございますが、二百六十七億、これが四十八年になりますと、これからのことでございますが、これは推定でございますが二百十五億、そのうち農業倉庫が四十五年から順次申し上げますと、二百七十九億、四十六年が二百三十五億、それから四十七年が百八十四億、四十八年が百四十八億というふうに見込まれるわけでございます。
  26. 辻一彦

    辻一彦君 農林省全中共同調査したという資料をここに私ちょっと手に入れておりますが、ちょっと数字が違いますけれども、これはこの程度というか、かなり違いますが、この差というのは、どういうところから出ておりますか。
  27. 中野和仁

    説明員中野和仁君) ちょっと私その資料を持っておりませんので、どこがどう違うかよくわからないのでございますが、後ほど見せていただきまして、よく検討したいと思います。
  28. 辻一彦

    辻一彦君 まあ若干の数字ずれはありますが、大まかな数字ですね、傾向としては、いまのとそんなに変わりはないと思いますから、若干の数字ずれは、論議としては別に差しつかえないと思いますので先に進みたいと思います。  そこで、いま長官から伺った数字と若干少し開きがありますが、それにしても四十七年はごく目の子で見当をつけて、大体四十五年の倉庫に一番支払いが多かったときに比べて約百億近く、まあ言うと六〇%になっておりますね。百億減って六〇%。四十八年を推定すると、百四十億の減になって四二%くらいになるわけですが、この場合にそれぞれの農協、これも平均というのは非常にむずかしいわけですが、一農協あたりにすると、こういう場合にどのくらいの農業倉庫経営として赤字が出てくるのか。そういう数字は、およそわかりますか。
  29. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) ただいまの御質問に端的なお答えになるかどうかわかりませんが、私たちのほうで調べました過去の実績でございますが、農業倉庫経営の状態につきましては、四十五年度でございますが、倉庫部門経常収支で直接事業損益では、一農協当たり平均が約二百万円の黒字ということに一応なっておったわけでございますが、しかし、そのうち管理部門とか、あるいは指導部門等間接費経費を負担するというふうな計算をいたしますと、一農協当たり約六十万円前後の赤字というふうに大まかになっておりまして、四十六年度以降は、なおこの農業倉庫保管料の収入が、さらに先ほど来御指摘のように減ってきておりますので、この農業倉庫のいわゆる倉庫部門経常収支は、さらに悪化しておるものと理解しておる次第でございます。
  30. 辻一彦

    辻一彦君 農政局長に伺いますが、いまの四十五年の数字ですね、六年、七年ですね、およそ推計したような、六年はまだ出ていないのですか、あるいは七年について推計した数字はありませんか。
  31. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) 四十五年度の分がようやく集計できまして、四十六年、四十七年の部分につきましては、まだ集計が終わっておりませんので、先ほど申し上げましたように不確定でございますが、さらに悪化しておるというふうに推定している次第でございます。
  32. 辻一彦

    辻一彦君 じゃその数字について農林省全国農業協同組合中央会共同調査農協経営分析調査によると、全国平均の一農協当たり倉庫部門損益は大体ここに出ておりますが、これはまだ全部完全に集計されていないということですか。たとえばそういう調査によると、四十五年が五十九万四千円ですから六十万の赤字ということになりますね、これは管理指導部門経費を一応差し引いた数字としてなっております。それから、四十六年は八十五万一千円の赤字、四十七年は百七十一万六千円の赤字、四十八年、こういう傾向をずっと推定していくと、一農協当たり二百六十万の倉庫としての赤字になるという表が私のほうに届いておるのですが、これは農林省から出されたのではないんですが、こういう調査はある程度されて、そして数字を持っておられるのではないか。まだ公表されないにしても、集計中ではないかと思いますが、その点はどうですか。
  33. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) 集計はいたしておりますけれども、まだ実績が出ておりませんので、その点まだ十分お答えができませんが。
  34. 辻一彦

    辻一彦君 農林省の場合には、かなり厳密な資料計算をして、その上で時間をかけて発表ということでありましょうから、まだ集計中であるということであれば、公にはできないかもしれないと思います。しかし、全国農業協同組合中央会のほうは一緒調査をして、その中間集計といいますか、そういうものの数字によると、いま申し上げたような状況に四十五年から六年、七年と急速に倉庫経営がやはり悪化をしている。そして四十八年、もしこれを延長すれば、さらに一農協当たり赤字は大きくなる。これはもう、一千万トンの倉庫があり、そして在庫米がさっきのようにずっと減っている。こういう中で、当然保管料減少するということは言えるわけですから、数字傾向としては、ほぼこういうことに私もなるんではないかと、こういうふうに思うわけです。そういうおおよその傾向は、こまかい集計は別として、大体認められますか、どうですか。
  35. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) 私たちの聞いている話といたしまして、さらに倉庫保管料等が減ってきていることも事実でございまして、農業倉庫のほうの経営が逐次、あまりよくないということは事実じゃなかろうかと、こういうふうに理解している次第でございます。
  36. 中野和仁

    説明員中野和仁君) 先ほどの近代化資金による倉庫のことをちょっと申し上げたいと思います。四十三年、四十四年、近代化資金で七十八億円出ております。こまかい調査がございませんので坪当たり単価十万円として推定をしますと、収容力が大体六十二万トンになる、こういうことでございます。
  37. 辻一彦

    辻一彦君 私のほうの調べによると、ちょっといまの問題に触れますが、四十五年にも近代化資金倉庫をかなりつくっておりますね。そこいらはわかっておりますか。それから、これは坪当たり十万円というと、常温倉庫ですよ。最近においてかなり低温、準低温をつくっておりますから、これの十万円じゃちょっと上がっていないんじゃないかと思いますがね。そこいら、いまわかりますか。わからなければ、またあとでけっこうです。
  38. 中野和仁

    説明員中野和仁君) 四十五年は金額三十八億でございます。御指摘のように、いま坪単価十万円で計算しましたので六十二万トンと申し上げましたのですが、低温倉庫等にしますと、単価が十五万円くらいになると思います。そうしますと、このトン数がまた若干減るわけでございます。
  39. 辻一彦

    辻一彦君 その点はわかりました。  そこで、いま食糧庁長官から伺った倉庫増設傾向状況、それから在庫量減少傾向、それから農政局長から伺いました農業経営保管料減少に伴う農業倉庫赤字悪化状況、こういうことが詳しい数字等は別として、きわめて大まかな数字傾向としては明らかになったと思うわけです。私の福井県全体の調査農業協同組合中央会のやつを見ましても、保管料が大体四九%から五〇%、四十五年に比べて四十七年は割る、こういうふうな状況でありますし、それから全国的な傾向を見てもほぼ六〇%くらいに減ってきたんじゃないか、こういうふうに思われます。  そこで、私は大臣にひとつお伺いをいたしたいのであります。それは最近農協信用部門のほうも大都市の非常に特別な農協、これは土地なんかの代金が入って別でありますが、しかし、普通の農協信用部門がかなり頭打ちをしている、それから生産調整によって農業所得、米の代金が減少する、そういうことによって需要量がやはり減少する、停滞する、こういうことで経営自体はかなり全般として苦しくなっているというような状況にあると思うわけです。その中で農業倉庫赤字がだんだんとふえていくということは、いままでであればほかの部門でそれをひとつカバーして補っていくということをやっておったと思いますが、全般の経営状況がむずかしいという中で、農業倉庫赤字がふえてくるということは、農協自体経営、これ自体もかなり圧迫をしていくんじゃないかと思います。  それからもう一つは、さらに根本的には国の、政府指定の農業倉庫経営悪化をして赤字を出しているという、こういう状況は、私は、食糧政策上もたいへん大事な問題じゃないかと思います。そこで、大臣としてこういう数字で明確になった点を踏まえてどういうようにひとつお考えになっておるか、こういうことをお伺いをいたしたいと思うわけであります。
  40. 足立篤郎

    ○国務大臣(足立篤郎君) 先ほど来御指摘のとおり、食糧が過剰で困りましたときに農協にもお願いをし、農林省農協の間で合意いたしまして御努力をいただいて、倉庫増設してもらったわけでありまして、そのための融資あっせん等もいたしたわけであります。生産調整の結果、需給のバランスがだんだんとれてまいりまして、過剰基調がだんだん薄らいでまいりました。まだ古米、古々米等の貯蔵は相当ございますが、御指摘のとおり、倉庫収容能力に対して余積を生じてきたということは事実でございますし、それが農協経営の圧迫材料になったのでは、私どももいささか責任を感ずるわけであります。そうかといって、今後の見通しをしっかり立てて、これだけの倉庫を整理するということは、なかなかまだ結論が出ませんので、とりあえずの措置として来年度予算要求に際しまして、若干の助成を考えているわけでありまして、先般も省議で決定をし、いま大蔵省のほうへ予算要求をいたしているわけであります。  なお、私としては、この農業倉庫問題については、根本的に検討をする時期へきているというふうに思っております。と申しますのは、流通形態の合理化をはかりませんと、やはりほんとうの何といいますか、高能率農業ということにならないのじゃないかというふうに思っておりますので、単に生産技術の改良をやって高能率の農業を実現するというだけではなくて、もう先進国並みのやはり流通形態の改革の時期にきているんじゃないかというふうにも、実は思っております。これは生産形態と非常に関係がありますので、なかなか一朝一夕に、全部が全部理想的な流通形態の改革というものは、むずかしいとは思いますけれども、逐次、いま協業化等が進んで、大規模な経営にぼつぼつ移りつつありますので、そうしたところにつきましては、現地に御承知のカントリーエレベーターを整備して、もみで貯蔵をする。それをトラックでバラで運んで、消費地へ運びますれば、消費地で大型精米で調製を行なって、それから搗精を行なって、それから同時に、流れ作業でパッキングをやると、こういうふうなシステムにすれば、非常に労力を省きまして合理化ができるというふうに思っております。  先般、御承知の箱根会談のときに、アメリカ側の要求で小麦やえさを買い付けてくれというので、私どもも円を防衛する立場から、他の、いま自由化をしてない農産物に圧力がかかるのを避ける意味もございまして、できる限り買いましょう。同時に、当時の相場は、小麦もえさもたいへん安うございましたので、このときにひとつ大量に買い付けておけば、将来どうなるかわからぬが、ともかく国益を守るゆえんじゃないかというふうにも考えまして、私も事務当局に対してできる限りの買い入れを考えろという指示をしたのでありますが、残念ながら日本には収容能力がないわけでありまして、倉庫は余っているけれども、普通の倉庫は余っているが、いわゆるバラで輸送されてくる小麦とかえさとかを収容する能力が一ぱいでございまして、せいぜいランニングストック二カ月程度しか収容力がないというまことに情けない状況でございます。いま、御承知のとおり、船積みも、それから船から揚げる場合も、全部空気の圧力を使いまして荷役を行ない、船も全部バラ積みで、もう小麦といい、トウモロコシといい、あるいはマイロといい全部バラで参ります。非常に国際的には合理化されて、それによって労力が非常に省かれているわけですが、それを受け入れる日本側のほうに施設がない。したがって、安いときに大量に買い付けておけば確かに得でありますが、それができないということが非常に残念でございまして、実は大蔵大臣にも、ひとつこうしたサイロですね、米でいえば、現地でいえば例のカントリーエレベーターになるわけですが、こうした設備の完備について今後考えるからよろしく御配慮を願いたいということを申し入れはしてあるのでありますが、これは一朝一夕になかなかいきませんので、来年はひとつ十分調査をし、検討をし、そして地域別にできるところからこうした輸送形態にして、大消費地の消費についてはトラックでバラで運んできて、大型精米でこれを一貫的に処理してしまう、こういうふうな逐次、改革をやっていく必要があるというふうに思っておりますから、まあ言うならば、いままでの倉庫の考え方とだんだん考え方が変わってくると、相当金もかかる。したがって、国もそうした緊急増設の分については、助成の必要があるというふうに考えております。そういうものも含めまして、場合によればもう古くなった設備の常温倉庫等については、スクラップ・アンド・ビルドをやってもらわなければならぬ時期にきているのじゃないかというふうにも考えますので、そういう観点からひとつ総合的に今後の対策を考えてまいりたいというふうに思っております。
  41. 辻一彦

    辻一彦君 まあ、いま後半のほうには、私、時間の点もありますのであまり深く入れないと思いますが、当面の対策とあわせて、いま大臣発言のように、やはり長期における展望に立った農業倉庫の対策、これは米の生産調整等々あるいは米の生産のあり方とあわせて関連する大事な問題だと思いますから、十分これは検討をしてもらわなければならないと思います。  そこで当面の問題をもう少しお伺いしたいのですが、前の食糧庁長官は、八月十一日この委員会佐藤委員質問に対して、当面の倉庫対策に対しても具体的に考えて、近く成案をまとめたい、こう答えており、いま大臣も省議によって内容をまとめて大蔵省と交渉中であると、こういうことでありますが、その大要を一応お伺いしたいと、こう思います。
  42. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) 農業倉庫農林省としての対処でございますが、農林省といたしまして、この農業倉庫の建て増し分といいますか、増築分のうち、公庫資金から農業倉庫資金として出されました金額を対象といたしまして検討いたしたい、こういうふうに考えている次第でございます。現在、農林漁業金融公庫から出されております資金が、四十七年度末の残高でおおむね百七十七億四千七百万円といういうにわれわれ推定いたしておりまして、これに対しましてこの農業倉庫経費のかかり増し分の一部を補てんする。収入の補てんというのではなくて、かかり増しの一部を補てんするという意味で、公庫資金が六分五厘で融資されておりますので、それに対しまして三分の資金、利子相当額の経費の助成をいたすという形で現在、検討いたしておりまして、大体大臣からお話がありましたように、この方向に沿って財政当局に対して予算を要求しておる。利子相当額の経費助成といたしましては、ただいまのところ約五億三千万円というものを利子相当額の経費助成として考えておるということでございます。
  43. 辻一彦

    辻一彦君 じゃあいまのに関連して、農業団体から農業倉庫について三点ほど、幾つかの要請が農林省に出ておりますが、それらについてどういうようにお考えであるか、ちょっとあわせて聞いておきたいと思います。
  44. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) 農業団体のほうから農業倉庫対策として出ておりますのが、まず第一番目にこの金利の減免をはかってくれという要求が一つでございまして、これはただいま私から御答弁した次第でございます。  それから、さらに第二番目といたしまして、整備合理化を農業倉庫についてしたいと、それについての資金の要求といいますか、資金政府でめんどうを見てもらいたい、こういう話でございますが、これにつきましては、私たちのほうといたしまして、来年度予算におきましてこの利子相当額の経費助成のほかに、さらに農業倉庫の整備合理化計画の策定に要する経費という、まあ予算要求の名称で、この地方の都道府県の農業協同組合、あるいは全国の農業協同組合段階で、それぞれまずこういった整備合理化計画をおつくりになったらいかがですかという形で、この計画に要する経費といたしまして約五千七百万円ほどの予算を要求いたしまして、これで来年一年かかりまして倉庫の整備計画をつくってもらう。その整備計画のあとをどうするかということにつきましては、計画書を見た上で政府としては判断してまいりたい、こういうふうに考えておりまして、計画費でまず予算を要求している次第でございます。  それから、さらに第三点といたしまして、さらに農業倉庫のほうで倉庫の利用率が非常に悪くなって、まあ収入が非常に減ると、そういう意味で休業補償をしてもらいたい、こういう要求が別途出ておりますが、これにつきましては、極力われわれといたしましては整備合理化計画を進めるとともに、農業倉庫はそれ自身としていろんな努力をして倉庫の活用をはかるようにされたらどうかということで、休業補償というふうな形で政府としてめんどうは、いまのところ考えていないということでございます。  なお、そのほか食糧庁関係に、農業団体からの希望としては、倉庫保管料の検討についても御要求があったようでございますが、これは食糧庁長官からお答え願いたいと思います。
  45. 辻一彦

    辻一彦君 それでは長官あわせて……。
  46. 中野和仁

    説明員中野和仁君) 集荷手数料なり倉庫保管料なりの引き上げの問題があるわけでございます。集荷手数料、あるいは保管料の問題、毎年予算の段階で食糧庁としても大蔵省と協議をしまして、この年々いろいろな手を打ってきておるわけです。特に、この倉庫保管料の問題につきましては、ただいま先ほどから御議論の問題の解決の一つにもなるかと思います、これを引き上げることは。ただ、この問題につきましては、運輸省の営業倉庫との関連がございまして、全体の公共料金とも関連いたしますものですから、運輸省を抜きにして独自にどんどん農業倉庫だけを上げてしまうということは、なかなかこれは容易でないわけでございます。ただ、営業倉庫農業倉庫を比べてみますと、若干こちらが低いというような問題もございます。そこら辺も十分検討いたしまして、財政当局と折衝いたしたいと考えております。
  47. 辻一彦

    辻一彦君 保管料の問題は、あとでもう一ぺん触れますから、そのとき若干論議したいと思います。  そこで、いま農業団体から出された三、四点について大体考えておられることがほぼわかったのですが、私はさっき大臣が、倉庫がふえて米の在庫が少なくなって赤字が出、農協経営を圧迫するようになれば、いささか責任を感ずるという御発言でありますが、あえてことばじりを云々するんじゃないのですが、これはいささかの責任じゃなしに、かなり大いに責任を感じてもらわぬといかぬことであると思うのですよ。その点、あえてことばじりじゃないのですが、かなり大きな責任が私は、政府にあると思うのですが、その点大臣、ちょっと念のために伺いたいのですが、いかがでしょうか。
  48. 足立篤郎

    ○国務大臣(足立篤郎君) いささかというのは形容詞でございますから、お許しをいただきたいのですが、確かに責任を感じています。しかし、この休業補償というような意味で政府がまるがかえをするというのはいかがかというような感触もございますので、まあ、できる限りということで努力をしておるということで御了承をいただきたいと思っております。
  49. 辻一彦

    辻一彦君 そこで、公庫資金に対して金利を見て、これに対しては対策を立てると、こういうことでまとめられておられるので、それはけっこうであると思うのですが、私どもの県、福井県でも、先ほどちょっと言いましたが、四十三年に近代化資金で一棟、四十四年に十一棟、四十五年に十九棟、そして総額三億六千万円の近代化資金を使っておるわけですね。これに比べて公庫資金は、四十三年に十二棟、四十四年に十九棟で、合わせて三億四千万円と、まあ合わせて七億になっておりますが、これを見ると、一つの県の例でありますが、大体公庫資金近代化資金は、三十一棟、三十一棟、三億四千万と三億六千万というふうに、ほぼ同じぐらいの金額がこの倉庫建設に政府資金が出ておった、融資されていると、こういうことになると思うわけです。先ほど全国の数字長官から伺いましたが、近代化資金では四十三年、四十四年に七十八億、四十五年で三十八億、合わせて百十六億ということに合わせればなるわけですね。そうすれば、かなりな近代化資金としての額になると私は思うのです。  そこで、政策によって農業倉庫を必要だということで推進をし、農協も必要だということで一緒になって建てたということですね。同時に、政策によって生産調整で米の在庫が少なくなったと。こういう中で保管料が入らない、こういうことになれば、私は、この赤字の問題は、政策で大きくやはり解決をしなくてはならない、このように思うのですが、その点ちょっと、たいへん大まかなことですが、いかがですか。
  50. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) ただいま御指摘になりましたこの近代化資金公庫資金の融資の問題でございますが、特に福井県の例をあげて御質問があったわけでございますが、私たち調査でも、近代化資金の融資残高と公庫資金の融資残高は、ほぼ同額に近いようなかっこうになっておりまして、先ほど申し上げました四十七年度末、これは一部推定が入りますが、公庫資金の残高が約百七十七億円前後というふうに理解して、これに伴う利子相当額を経費助成したらどうかという考え方でございますが、この近代化資金につきましても、四十七年度末の融資残高がおおむね百七十二億というふうに、一応私のほうは推定している次第でございます。しかしながら、公庫資金につきましては、先ほど来食糧庁長官からもお話がありましたように、政府といたしましては、特別融資ワクを設けまして、農林漁業金融公庫の中にそういったワクを設けまして、政策的に倉庫建設の推進をしたいきさつがあるわけでございまして、これにつきましては政府としてもある程度、まあ政策的に推進したといういきさつもこれあり、利子相当額の一部についてこの際、助成をしたらどうかということで予算を要求しているわけでございますが、近代化資金のほうにつきましては、別に特ワクは設けなかった、特別融資ワクというものは特に設けずに、まあ農業倉庫のほうで共同利用という形で、この施設資金の一部を借りられたというふうないきさつ等がございますので、われわれといたしましては、公庫資金というふうに限定して利子相当額の経費助成の方策を検討したと、こういうふうに御理解願いたいと思うわけでございます。
  51. 辻一彦

    辻一彦君 まあ、そこが一つの問題点だと思うんですね。当初に若干の論議をしたように、なるほど政府のほうは公庫資金を別ワクでとって、これで倉庫をつくりなさいと、こういうことだったと思うんですね。しかし、村の農協にすれば、米を入れる場所がなければどうにもならぬということは、もう現実の問題ですね。そうすると、公庫資金のワクが十分であれば全部それによったはずです、利率からいっても。しかし、それが必要なワクがやはり足りなかったと、こういう点から、片方ではまあ米が入れる場所がないとどうにもならぬということで、近代化資金のワクを使ってそれでやった例が私は、多いと思うわけですよ。初めからこれはもう農林省のほうで公庫資金に限定をしなくちゃいかぬとか、近代化資金ではだめでしょうというようなそういう指導は私はなかったので、近代化資金のワクも活用できればひとつ使ってもいいということで、この町村の農協の必要から近代化資金を生かした倉庫建設がほぼ同額ぐらい進んだのじゃないかと、こう思うわけですね。  そうなりますと、いまの時点になって、片方公庫資金だから金利補給、片方近代化資金だからそれは全然別だと、こういうことは村へ行ったのじゃ、まあ、ちょっと受け取りにくいというか、理解しにくいと思うんですが、政策的に出てきたこういう問題をやはり対策を立てるとすれば、同じように私は扱ってしかるべき、こういうふうに思うのですが、この点大臣、どうお考えか、ひとつお伺いしたいと思います。
  52. 足立篤郎

    ○国務大臣(足立篤郎君) 緊急に倉庫をつくったという意味からすると、辻委員おっしゃるとおり、現地でごらんになれば同じだという感触、ごもっともだと思います。しかし、やはりそれぞれの町村で、その農協の組合員である農民がつくった米を政府に農民の立場から見れば買い上げてもらうために、農民を守るための組織である農協が必要な倉庫をつくるということも、これは一種の自主的な活動の範囲に入る問題だと思いますので、政府もたいへん無理なお願いをしたという点から、先ほどいささかと申し上げたら、おしかりを受けたわけですけれども、これは持ちつ持たれつでやったことだという理解に立ちますと、やはり政府が全面的な責任があると言われても、これは農協もみずからの自衛手段として、あるいは農民を守るために、また、その地域を守るために必要な米を収容する施設をつくるというのは農協の使命であるとも言えますので、それはそういう感覚だという意味で申し上げたわけであります。ただ、近代化資金は、御承知のとおり農協資金を還流するわけでございますから、これはまあ近代化資金等を使って農協がみずから必要とする施設をつくるということは、自主活動の範囲に入るというふうに私どもは認識をしております。ただ、さっき申し上げたように、それが緊急に必要性があって、急に倉庫増設していただいたという観点からすれば、現地の感覚からはあるいは同じじゃないかという御意見もごもっともだと思いますが、一応政府の側としては、特別な融資のワクをつくってあっせんをした公庫の面については、これは一応今回の予算要求に出した、こういう経過でございますので、まあ、その辺ちょっとなかなかこうはっきり割り切って説明はしにくいのでありますが、そうした見方もあるということで御了承いただけたら幸いだと思います。
  53. 辻一彦

    辻一彦君 ちょっと、あまり幸いにはなかなかならないのですがね。たとえば一つ農協公庫資金のを一つつくり、それから近代化のを一つつくる。こういう形でつくられたとすれば、それはまあ、それぞれ言うことも言えますが、実際は県の中に、県ごとに公庫資金近代化資金というのは一応のワクがあり、それを市町村に割っていくと、必ずしもそのようにいかない。そうすれば、あるところは公庫資金でやり、あるところは近代化資金で、それも急いでやる、こういう形でつくった倉庫が実態としては多いと思うんですね。そうなると、これを差別するというのは、問題があるのじゃないか。  そこで、私の県は、米と一緒に合わせて繊維の県なんですね。去年の日米繊維協定のときに、いわゆる通産省が打ち出した対策を見ると、これは日米繊維協定によって少なくとも二、三年、繊維産業は大きな危機にある。だから、元金の二年間たな上げといいますか据え置き、これは単なる利子補給じゃなしに、元金のたな上げまで二年やる。場合によっては三年もやる。こういうのを大胆にかなり打ち出して、非常にこれはまあ、いろいろ問題もあったと思いますが、繊維産業がかなりそれで救われたといういきさつがあります。  そういう点から考えると、元金を生産調整期間中くらいたな上げしてもしかるべきだと思いますが、ましてや金利補給三%程度、これは全部で五億円程度でしょう。われわれにとってはたいへんなお金ですが、全般の農業倉庫の問題を考えれば、もう少し考えて近代化資金に対してもしかるべき対策を考慮すべきではないかと思いますが、最後にひとつ大臣、どうお考えか、お伺いいたしたいと思います。
  54. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) 先ほど御答弁申し上げました中に、農業団体からの要望の中に、整備合理化資金を貸してもらいたいという話でございまして、われわれといたしましては、整備合理化の必要性は認める。しかも農業倉庫をもっと近代的にどんどんやっていったらいいじゃないかということで、先ほど申し上げましたように、整備合理化計画の計画をつくる経費を一部助成いたしまして、来年度いっぱいかかって、農業倉庫のあり方なり今後の推進のあり方について計画をつくってもらうというふうにいたしておりますので、その計画ができてくる暁におきまして、われわれといたしましては、農業倉庫をさらにどういうふうに今後政府として奨励していくかということをあわせて検討したいと、こう思っておりますので、そういう形でまあ御理解願いたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  55. 辻一彦

    辻一彦君 いや、それは農業倉庫の長期展望に、さっき大臣言われたように、立って、来年一年調査して、それから、四十九年から実施するというのはわかりますよ。しかし、いま言っているのは近代化資金の利子の問題でしょう。長期の展望はもちろん大事だからやってもらうのはいいですけれども、この近代化資金公庫と区別してやるというのはおかしいじゃないか。考えるべきじゃないか。このことについての答弁を聞きたいのですが、これは大臣から聞かしてください。どうですか。
  56. 足立篤郎

    ○国務大臣(足立篤郎君) 近代化資金を使ってつくった場合と、公庫資金農林省が積極的にあっせんをして緊急対策としてやった場合と、私そのいきさつはよく存じませんし、この点はひとつ農政局長から答えさしていただくということでお許しをいただきたいと思います。ただ、私の感触としては、おしかりを受けるかもしれませんが、近代化資金というのは、農協自身の資金を一部政府が利子相当額の経費助成をして、農業近代化に役立てる資金でございまして、いわば農協が自主的に倉庫を必要と認めてつくった。公庫のほうの金は、より積極的に政府が関与をして、これは過剰基調で困るから、何といいますか、その収容力を満たすためにつくってもらったというような、多少の、そこに比重の差があるように私は思うのですがね。当時の事務的ないきさつがよくわかりませんから、答えはひとつ農政局長でお許しをいただきたいと思います。
  57. 辻一彦

    辻一彦君 それじゃ局長の答弁の前に——私も二町歩ほどのたんぼをやって、いままあ、あまりやっていませんが、米をつくってきた。米のたくさんのときには板の間に米を置いてみたり、学校の講堂に置いてみたり、とにかく早いところ倉庫をつくらなければどうもならぬということで、とにかく使える金であれば公庫であろうが、近代化資金であろうが、とにかく活用してつくろう、こういうことでつくったので、そのときにこれはのんびりやれるのだから近代化資金、これは緊急だから公庫、そんな区別は現場ではおそらくなかったと思いますが、その点ひとつ当時の状況を詳しく御存じならお話しをいただきたいと思います。
  58. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) ただいま大臣が御答弁になりましたように、事務当局といたしましては、公庫資金につきましては、政府側におきましてあくまで相当積極的にまあ倉庫の設備強化、増設ということで、特別ワクまで設けて農業団体に呼びかけて、米の倉庫をつくっていただいた経緯もこれありまして、われわれといたしましては、政策的にはやはり公庫資金のほうに優先せざるを得ないのではなかろうかというふうに思っている次第でございます。ただ、近代化資金につきましては、やはり政府といたしましては、倉庫という資金ワクは設けなかったということで、自主的に農業団体側で積極的に倉庫を、こういうものを活用されて倉庫をつくられた次第でございますが、これにつきましては、当時の自主的ないきさつということもこれあり、政府側としては、この政策的な関与の程度が少ないというような意味で、利子相当額の経費助成の対象には今回取り上げなかった、こういうことでございますので、十分その辺につきましては、程度の差があるというふうに御理解願いたいと思う次第でございます。
  59. 辻一彦

    辻一彦君 だから私は、現場の話を——板の間にでも米を積まなければならぬ、学校の講堂にでも持ち込まなければならぬというときには、公庫だ、近代化資金だといっておられますかという現地の話を冒頭にしたわけです。だから、事務的には私も局長の言われた話、それはわかります。大臣そういう現場を見れば、もう少し政治的に考えて、これはもう一度検討していただく余地があると思うのですが、その点どうですか。
  60. 足立篤郎

    ○国務大臣(足立篤郎君) いまお話伺って、私もまあ農村の事情は一通りわかっているつもりでございますから、よくびんとくるものがございます。というのは、政府がいよいよ困って公庫のワクまできめて、さあつくってくれといって、いわば押しつけた。それに対して責任を感じで、今回利子相当額の経費助成をする、これは事務的には私は、まあやむを得ぬと思いますね。ただ現地で、より積極的に、公庫資金が流れてくるのは待っておれぬ。そこで近代化資金でも何でも、ワクはないが、知事さんの了解でも得てひとつやろうということで、積極的におやりになったところは、今度は政府のほうからは、しりぬぐいというほどの金じゃありませんけれども、見舞いもこないということじゃ片手落ちじゃないか、まことにごもっともだと思います。ただ、農林省としてこの間、省議できめて、正式に財政当局へ来年度の予算要求をいたしておりますので、これはにわかに私いまここで辻さんとお約束して、私が再検討すると言うと、必ずできるというふうに御理解いただくと困るのですが、そういう事情はよくわかりましたから、よくわかったというやはり認識の上に立って私も考え直しますが、しかし、いますぐここでじゃあ予算要求を、いまいっぱい要求しておりますので、これを振りかえてこうするというようなことをお約束はちょっとできかねますので、御了承いただきたいと思います。
  61. 辻一彦

    辻一彦君 わかって、十分よく考えるということであれば、何らかの考えがまた具体化されると思いますからこれ以上は伺いませんが、いまの点でひとつ十分考えて、わかったところで対処いただきたいと、こういうふうに思います。  それから次に、先ほどまあ休庫補償といいますか、休業補償という問題がありましたですね。政府のいまの考え、大体私、伺いましたが、米をつくるのは農家で、これはまあ政策上減反をやって休耕の補償費を出している。政府の米を預かるのが農業倉庫ですね。そこが米がなくて倉があいて赤字が出るとしたら、これに対しても、単に利子を補給するという問題だけじゃなしに、やはり考えていくということは、別に政策的にいって筋の通らない問題ではないと思うのですが、その点、大臣どうですか。
  62. 足立篤郎

    ○国務大臣(足立篤郎君) 私は、これは政府がまるがかえにした倉庫ではございませんで、先ほど来申し上げておるように、地元の農民を守るためにも、やはり政府に米を買ってもらうためにも、自衛手段としても倉庫が必要だったというような経過も私はあると思いますので、休業補償というようなことは、ちょっと理屈が通らぬじゃないか。むしろ時代はどんどん動いておりますから、この要求項目にもありますとおり、さらに近代化するために積極的にこのスクラップ・アンド・ビルドをやるような考え方で、それに対して政府が助成をしていくという行き方で切りかえていく、前向きの姿勢でむしろいったほうが本筋ではあるまいかというふうに考えております。
  63. 辻一彦

    辻一彦君 先ほど食糧庁長官からも発言がありましたけれども、農業倉庫というものは、営業倉庫とやはり性格が非常に違うと思うのですね。これは御専門で御存じのとおりですが、米以外のものは入れられないし、しかも、ある場所が辺地に大体八八%でしたか、たとえば町村に、大都市や県庁所在地よりも町村、村に倉庫は多い、こういうことで、この取りきめでも米以外のものは入れないし、かりに入れられたといっても、ほかのものを村の倉庫の中にそんなものをちょっと入れて、すぐ営業倉庫に振り向けようということもできない。そういう性格を農業倉庫は持っていると思うのですね。その点が営業倉庫と非常に違う点だと私は思うわけですよ。そういう点からかなり特殊な性格を持つ倉庫でありますから、休業補償というか、倉を休む補償ということができないとすれば、保管料においてこの問題を何とか考えるとか、そういうやっぱり考え方が、対策が必要になってくると思う。金利補給というほかに、いま休庫料、休業補償と関連して保管料の問題について先ほど若干ありましたが、かなり上げられる考えなのかどうか、そこらはどうなんですか。
  64. 中野和仁

    説明員中野和仁君) 先ほど申し上げましたように、まだどれくらい引き上げるかというところまで結論を出しておりません。ただ、先ほど来るる御議論ありましたような事態でございますので、保管料の引き上げがこの問題の解決の若干の足しになるというふうに私たち考えておりますので、適正にどの程度どうしたらいいかということをこれから考えまして、財政当局と折衝いたしたいと考えております。
  65. 辻一彦

    辻一彦君 冒頭に数字を私申し上げたけれども、四十五年に比べて保管料が四十七年で大体百億前後ですね。それから来年、四十八年になると百四十億くらいがこの共同調査の中間資料によっても大体減になる。倉庫保管料減になるのではないかと、こう言われるのですが、これは単に金利の補給程度では、なかなかこの対策が立てられないところだと思うのですが、この休庫、休む補償、もしくはかなり大幅に保管料を上げるとか、何らかやらなければ、この赤字は、自主的であるけれども、まるまる農業団体にかかると思うのですけれども、その点どうでしょうか。
  66. 中野和仁

    説明員中野和仁君) 先ほどから一番ピークのときの金額と、それから四十七年、四十八年の比較をされまして百億なら百億減っているじゃないか、それを全部保管料の引き上げでまかなえということは、これは私、不可能だと思います。やはり先ほどもちょっと触れましたけれども、倉庫保管料というのは公共料金になっておりまして、運輸省の考えもございましょうし、それから先ほども御指摘ありました農業倉庫としての特殊性もあるものですから、その辺を考えた上で合理的な引き上げといいましょうか、そういうことをこれから検討いたしたいと思っておるところでございます。
  67. 辻一彦

    辻一彦君 ちょっと何か時間がだんだんまいったようでありますから、急ぎますが、その保管料の問題は、また、その論議の時期がいずれくると思いますから、そのときに詳しくは譲りたいと思います。  ただ、一つ私、問題があるのは、端境期、ことしにおいて、たとえば十月末の米穀年度で四十六年産米は、前回の委員会での長官の答弁では、二十五万トンになるということでしたですね。事実ほとんどなくなりつつある。そうすると、どうしても新米を食いつないでいかなくちゃいけない。そこで、どのくらい早場米を食い込む予定なのか、あるいはそういうおもな産地は一体どこらになるのか、——関東にあると私、聞いているのですが、そこらの見通しを簡単でけっこうですが聞かせていただきたい。
  68. 中野和仁

    説明員中野和仁君) 御指摘のように、今度の十一月一日の米穀年度のかわりには二十五万トンの持ち越しになっております。これは去年の不作が非常に影響しまして、そういうことになったわけです。したがいまして、十月そのものは大体四十六年産米でまかなえるわけでございますが、地域によりまして、特に早場県におきましては、若干足りないということがありますので、約六万トン程度新米を食べていただく。十一月に入りますと、もう四十六年産米が二十五万トンしかありませんから、その残りの——大体二十五万トンといいますと、政府の配給します米にしますと半分しかありませんから、あとの半分は新米でまかなう。それだけ早くとれた早場米地帯の米を東京なりその他に運び込む、こういうことになるわけです。
  69. 辻一彦

    辻一彦君 そうなりますと、早場米地帯では、おそらく食糧庁のほうから北陸筋のほうには、ちょっと米が忙しいから少し早く出してくれと、こういう要請が事実月別に、九月に出していますね。そうなると、早く出せば、そういうところは出すほど倉庫があく。その倉庫があけば、それに従って保管料が入ってこない。だから、早場米を食いつながなくてはいけないという需給関係の中で、食糧庁政府の要請にこたえればこたえるだけ倉庫があいて、そのために保管料が入らずに経営がむずかしくなると、こういうジレンマが実際としてあるわけなんですよ。そういう矛盾というものをどういうようにお考えか、どう対処されようとするか、ちょっと伺いたいと思います。
  70. 中野和仁

    説明員中野和仁君) やはりこういう需給のある程度忙しいときには、先にとれたものから出していく。たとえば北海道なり九州なりというのは、来年の一月ごろからしか大量には出回りませんものですから、やはりその間をつなぐのは、早くとれて早く倉庫に収容されているところから出していくということは、いま矛盾とおっしゃいましたけれども、やはり需給の忙しいときは、いたしかたないのじゃないかというふうに思います。それでは、その分早く出したから早く出し賃出せと言われましても、やはり保管料のことでございますので、入っていないものに金を払うというのは、なかなか私も容易じゃないと思います。したがいまして、やはり基本的にはもう少し需給の緩和といいましょうか、来年の生産調整のこともありますけれども、そういうものと関連させまして、やはり端境期になるべく早く百万トン程度は持っておるような方向にもっていくのが基本的な対策ではないかと思います。
  71. 辻一彦

    辻一彦君 この問題は、八月十一日に佐藤委員からも質問がありましたが、私は矛盾点だと思う。というのは、需給が忙しいから早場地帯に米をなるべく早く出すようにと、だから米が足りないと困るから早場地帯は出しますね。出せば倉庫に置く期間がますます短くなって、そのために普通ならばかなり倉庫に置ける米が、急いで出ればどんどんあいていくということが起こりますね。こういうものは、需給からいえば当然だといえば、それは役所的にいえばそうかもわからないけれども、それを扱う倉庫のほうからいえば、そんな需給で当然だというわけには割り切れない。その点どう考えておられるのかお聞きしたい。
  72. 中野和仁

    説明員中野和仁君) 需給だから当然だということを申し上げたのではありませんで、やはり早くできたところの米を都市に送らなければ、これまた全体の配給ができませんものですから、こういう需給の忙しいときは、ある程度やむを得ないのではないかということを申し上げたわけでございます。
  73. 辻一彦

    辻一彦君 いややむを得ないというのは、早く送らなければならぬというのはわかりますよ。しかし、先ほどから論議をされている農業倉庫経営という点から考えれば、早く出れば置く時間がないのだから、保管料はどんどん減っていく、そうすれば食糧庁の要請にこたえて協力すればするほど、したところほど保管料減少していくという矛盾が、ジレンマがあるのだと、それに対して何も対策がないのかどうか、それを聞いているのです。
  74. 中野和仁

    説明員中野和仁君) 早場米の県の米を全部出してしまうわけではございませんので、一部早く出していくということでございます。そうしますと、十二月、一月になってまいりますと、おそ場の県のものもどんどん出回ってまいりますので、そうなりますと、その段階ではむしろおそ場のほうから先に出して、残った早場の県のものは、できるだけ調整という意味でおそくまで置いておくということは、きめこまかくやってみたいと思います。
  75. 辻一彦

    辻一彦君 私の福井倉庫をちょっと調べると、先ほど言いましたが、たとえばことしの春先から四十五年産の米は少しもない。それから四十六年産が五千トンほどあったのが、これが五月一ぱいで全部なくなっていると、こういうように、どこの倉庫からも順番にずっと集荷をしてくるというような計画であろうと思うけれども、実際はそういう矛盾がかなり起こっておる。この事実を考えると、私は、以前には、早場米地帯には早場米の奨励金がありましたね。しかし、それはある意味においては、倉庫保管が短かくなるから、それを補うという意味も私はあったと思う。いまは、それがないわけでしょう。そうなれば、早く出て、平均よりもかなり下回るような県とか、あるいは地域とか、そういう農協等の倉庫に対して何らかの対策を考えてもいいんじゃないかと、こう思うのですが、その点は考えないですか、どうですか。
  76. 中野和仁

    説明員中野和仁君) ただいま私が申し上げましたのは、そういう趣旨でありまして、やはり早場の県のものをどんどん先出してしまって一俵もなくしてしまう、これはまた倉庫のほうから見れば、問題があるかと思いますので、一部を出しましたあとは、おそ場の県の米をその次に使って、残ったものはなるべくあとまで置いておく。そして保管期数をかせいでいただくという調整のしかたをやるのが一番いいんではないかということを申し上げたわけでございます。  ただ、ちょっとお話のありました早場奨励金の場合は、あれは農家に払いましたものですから、特に米が不足時代に早く出せということで、農家に払ったわけでございます。倉庫料につきまして、早場県について格差をつけたというふうには、私は記憶をしておりません。
  77. 辻一彦

    辻一彦君 これでまあ終わりますけれどもね。前に佐藤委員からも質問のあった、この五期とか六期に分けて出す計画の中で、一期か二期で出ちゃうんだから、あとのことについては何か考えることはできないかという質問があって、それがきょうの論議の中にもいろいろあるわけですけれどもね。その点については、いまのところはちょっと考えることはむずかしいということですか。
  78. 中野和仁

    説明員中野和仁君) 現段階におきましては、やはり早く出したものにつきましても、入っておったことにして金を払うというのは、なかなか私むずかしいんではないかと考えております。なお、いろいろお話がありましたものですから、研究はいたしてみますけれども、やはり基本的には、ないものについて金を払うというのは、容易じゃないというふうに考えております。
  79. 辻一彦

    辻一彦君 じゃ時間がきましたので終わりますが、その問題はもう一度、さっき言いましたように、四十五年産は、ある県においては全部すっからかんになってしまっているのですよ。そういう例、四十六年もそうだというそういうむらがかなりあるから、十分実情をひとつ検討してもらって、これらについての対策を、やっぱりひとつ考えてもらいたいと思うわけです。  で、時間がないからそれ以上入りません。まあ先ほどから言いましたように、米の倉庫は、これは私、米の生産と関連して長期と短期における対策がぜひとも必要だと思います。長期の対策については、詳しくは聞くことできなかったのですが、長期展望を十分ひとつ検討しながら当面の対策に、いま御発言のように努力をいただきたい、そういう要望して終わりたいと思います。
  80. 佐藤隆

    理事佐藤隆君) これにて暫時休憩いたします。正十二時から再開いたします。    午前十一時三十五分休憩      —————・—————    午後零時七分開会   〔理事佐藤隆委員長席に着く〕
  81. 佐藤隆

    理事佐藤隆君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言願います。
  82. 中村波男

    中村波男君 先般、当農林水産委員会派遣委員といたしまして宮崎、大分等を調査、視察いたしたわけでありますが、当該地域の海岸線を中心にいたしましてマツクイムシの被害は、目をおおうものがあり、全く惨たんたる状況を目にいたしました。その他岡山県等にも昨年来、相当な被害が出ておることは、見聞をいたしてきておるわけであります。したがいまして、昭和二十年から二十四、五年にかけてマツクイムシの被害が大きくなりまして、その後少し少なくなったようでありますが、また、最近被害が目立ってきておるわけであります。したがいまして、被害状況について林野庁の関係から御報告を最初に求めたいと思います。
  83. 松形祐堯

    説明員松形祐堯君) お答え申し上げます。  ただいま御指摘ございましたように、大分県あるいは昨年来岡山県等におきましてマツクイムシがたいへん発生いたしておるわけでございます。その実態でございますが、四十二年には、国有林、民有林合計でございますが約四十八万立米。四十三年が十万減りまして三十八万。四十四年が四十万立米。それから四十五年になりまして約三十九万立方メートルでございます。四十六年は、御承知のとおり、昨年の風台風と申しますか、十九号あるいは二十三号等の台風等がございまして、被害が非常にふえまして五十万ということになっているわけでございます。
  84. 中村波男

    中村波男君 被害の実態についてただいま報告を受けたわけでありますが、しからば、これらの被害に対する対策について具体的にどのような措置がとられておるのか、また、とろうとしておられるのか、具体的にひとつ御説明を願います。
  85. 松形祐堯

    説明員松形祐堯君) ただいま申し上げましたように、このように昨年来ふえてまいりましたのは、昨年あるいはことしの台風というような異常気象等による原因が大半でございまして、特にこういう異常気象等がございますと、衰弱とかあるいは風倒とかいうようなことが出まして、それに付着いたしまして大半繁殖いたすわけでございます。したがって、私ども、これらの対策といたしましては、従来から森林病害虫等防除法等に定められまして、それに基づきまして早期かつ徹底した駆除を心がけているところでございます。防除にあたりましては、被害が非常に大きい、たとえば御指摘のございました大分とか、宮崎とか、鹿児島、そういう非常に大きいところにつきましては、法律に基づきまして農林大臣の命令によりまする国営防除事業というようなことでやりますと同時に、その他の被害地域につきましては、補助金等によります公営防除を実施いたしているのでございます。なお、そのほかに、特に県単あるいは点在しておる被害木等につきましては、森林所有者みずからやるというような場合等がございます。この実施にあたりましては、被害がすでに発生しているという樹木につきまして、松につきましては、伐倒いたしまして剥皮焼却という方法と、同時にスミチオン系統、これは低毒性の有機燐剤でございますが、これの乳剤等を散布することによって徹底した駆除を行なうことにいたしております。と同時に、まだかかってないが、かかるおそれのある自然公園とか保安林、海岸等の保安林で非常に景勝地で大事な森林である地帯につきましては、先ほど申し上げましたスミチオンとか、そういう系統の乳剤を空中散布あるいはポンプによる散布等もいたしまして予防措置をとるということにいたしておるのでございます。  予算的に申し上げまして、現在、これらの害虫防除に七億六千万ほど準備いたしておりますが、現在、手持ち一割程度保留いたしておりまして、それらをそのような重点的な被害地につきまして、配布いたしまして徹底を期するつもりでございます。
  86. 中村波男

    中村波男君 いまの説明を聞きますと、相当徹底して防除事業を行なっておるという話でありますが、現地を見てまいりますと、全く手がつけられておらない。県も、このままでおけば松という松は全部なくなるんじゃないかと……。したがって、海岸等のいわゆる景勝地の松もほとんど全滅に近いというような地域が相当あるわけでありますが、ことばの上でいかに万全を期して対策を進めておると言われましても、現地ではそれらは発動しておらない。また七億の予算があるという話でありますが、たとえば、私たちが見た大分、宮崎だけを考えても、これを完全に伐倒して、さらに蔓延を防いでいくというような措置を講ずるとするならば、十億や十五億の金ではどうにもならぬのじゃないかという感じがいたすわけですね。したがって、あれよあれよという間に、手をこまねいて見ておる間に松は枯れてしまう。こういう実態というものを指導部長は実際知っておられるのかどうかと疑いたくなるわけですね。  これは農林大臣にお尋ねしたいと思うのでありますが、この問題はもうたいへんな問題だというふうに私は、認識をいたしておるわけでありますが、したがって、問題は、完全にマツクイムシを除去するいわゆる方法といいましょうか、それがまだ発見されておらぬのじゃないか。いま指導部長から、台風等で松が衰弱しておると被害が大きいというお話がありましたけれども、現地の専門官は、そういうこととは全く関係ありませんと、こういう説を唱えておる面もあるわけですね。したがって、まだ科学的究明というものは、全くなされておらぬのじゃないか。  私は、かつて五、六年前にも本委員会で取り上げたのでありますが、そのときにも早急に国の試験官を動員して、これらの究明に当たるという答弁はあったのでありまするけれども、その後そういう試験研究というものは、全く行なわれておらないとは言いませんけれども、おざなりで今日まで過ごされてきたんじゃないかという、そういう感じがいたすわけであります。いかがですか。
  87. 松形祐堯

    説明員松形祐堯君) お答え申し上げます。ただいまいろいろお話ございましたように、なかなか徹底しにくいという実情もございます。たとえば、そういうふうな衰弱というようなことのほかに、労働力の問題とか、あるいは大分県等でごらんいただいたと思いますけれども、非常に小さい木まで近ごろ入ってき出した。したがいまして、労賃等の上昇等と同時に、そういうものは、小さい木を切って剥皮いたしました木は売れない。たとえばパルプとかチップ等にそれを向けておったわけでございますが、そういうことが非常に困難になってまいりましたし、さらには不在地主とかいうようなことで、非常に関心のない方々もいらっしゃるというようなこともございまして、奥地化等も含めまして、徹底が大体期しがたいという点はございます。  しかし、御指摘ございましたように、私ども従来の剥皮焼却とか、あるいは先ほど御説明申し上げましたスミチオンとかいうようなことだけではございませんで、実は四十三年から四ケ年計画で、農林水産技術会議に大型プロジェクトをつくっていただきまして総合研究が行なわれてまいりました。その結果、その直接的な原因というものが、実は昨年ようやくはっきりしてまいったという段階でございます。  その直接原因を申し上げますと、材線虫であるということがわかってまいりました。その材線虫そのものが体長一ミリ以下というような非常に小さいものでございまして、松の生きている体内において非常に繁殖していくというような性格のものでございます。ただ、これは幼虫でございますので、羽もなし、足もございませんので、自分で移動できませんが、それを運んでまいりますのが、マツクイムシの一種でございますマッノマダラカミキリというのがマツクイムシでおりますが、これが運ぶということがはっきりしてまいりました。しかも、それが五月、六月の松の新芽が出てまいりますときに、かみ切ったところに初めて材線虫が入ってまいります。それが、早いときには二週間ぐらいで松の木全体に繁殖するというような繁殖力でございます。そして、それが樹液が通る導管とか、あるいは樹脂、ヤニが通る導管とか、そういうものを全部ふさいでしまう。したがって、水分が上がってきませんので、一カ月ないし二カ月いたしますと、全部枯れるというようなことに大体なってまいります。したがって、私ども防除の焦点というものが昨年わかってまいりまして、現在、これを中心とした駆除対策というものを考えておるのでございます。  なお、近ごろ赤外線等を使いまして、私ども肉眼では健全木あるいは病気にかかっているらしいというのがわかりませんけれども、赤外線の空中写真等をやりますと、はっきり出てまいります。したがって、これが非常に病弱になりつつあるというものを中心といたしまして、先ほど申し上げましたスミチオン等を予防的に散布することによって、あるいは五月、六月、さらには九月、十月というようなことで二回ぐらいまくことによって徹底した駆除ができるんではないかというようなことで、私どもようやく問題の焦点というものがはっきりわかってまいりましたので、それに焦点を合わしたかっこうで対策を立てたいと、かように考えておる次第でございます。
  88. 中村波男

    中村波男君 マツクイムシの発生の原因が昨年探究できたということにおいて、今後の防除対策に一段と科学性を増すと思うわけでありますが、しかし、問題は、いま全山紅葉しておるかと思われるような、かれ果てた山をどうするかという問題も手をかけなければ、予防対策として今後考えるということでは、当面する問題にはならないと思うわけですね。したがって、さいぜんの御説明では七億の予算が組んであって、一割を保留してあるという話でありますが、実際いま各県でも皆伐等の方法を考えておるようでありまするけれども、問題は県費ではまかない切れないという実情があるわけです。したがって、これらに対して実際徹底的に駆除をやるためには、金はどれぐらい要るのか、そのために政府としてどういうふうに助成をするのか、こういう問題が具体的に明らかにされない限りは、いわゆる緊急適切な措置を講じておられるとは言えないんじゃないかと、こういうふうに考えるわけであります。したがって、近く臨時国会も開かれるようでありますが、少なくとも金があればやれるという方法が私は、あると思うんでありますが、補正予算にそれらの対策費を組む用意があるのかどうか、また組むべきではないかと、こういうふうに思うわけでありますが、この点については、農林大臣どういうふうにお考えになっておるか、あわせてひとつお聞きしておきたいと思うわけです。
  89. 足立篤郎

    ○国務大臣(足立篤郎君) マツクイムシの除去は、私も八月二十四日でしたか宮崎県へSAPの十周年記念に出まして、知事さん等からもいろいろな状況を聞きまして、いま中村委員指摘のように、まことにおそるべき状況であるということを現地で拝見いたしました。しかし、何と言いましても、これは県がまず動き出していただいて、われわれにああせよこうせよという要求が出てきませんと、私のほうで一々現地を調べて、林野庁が乗り出して全部指図してやるというわけにまいりませんので、今後の問題については、関係県当局ともよく打ち合わせをしまして、防除対策を確立していきたいというふうに考えております。
  90. 中村波男

    中村波男君 大臣、まあ県から何か言ってこなきゃ国で対策を立てるわけにいかないという話でありますが、大臣のところへは、そういう陳情が行っておらぬのかどうか知りませんけれども、各県ともこれは弱り果てて、それぞれ国に対して強い要請をいたしておる。われわれも要請文を各県からいただいてきておるわけでありまするけれども、やはりこの問題は、国において一定の方針というものをお示しいただかなければ解決しないんじゃないか。また、国有林自体についても、全くその対策というのは手ぬるいといいますか、積極的な対策がとられておらない、そういうような現実を私は見ておるわけでありますが、いかがでございますか。
  91. 足立篤郎

    ○国務大臣(足立篤郎君) 私がいま申し上げたのは、県が言ってこなければ何もできないという意味じゃございませんで、やはり防除の主体は県が積極的に動き出してもらわないと、これはなかなか徹底を期しがたいという意味で申し上げたわけでありまして、先ほど申し上げたように、関係の県ともよく打ち合わせをし、いま指導部長から説明がありましたように、技術的な問題でいままでわからない点が非常に多かったわけです。焼き払う以外にないというような単純な考え方でおったんですが、今度は技術的な見通しもついたようでありますから、そうした面で必要があれば助成措置をとるなり協力するなり、積極的に対策を講じていきたいというふうに思っております。
  92. 中村波男

    中村波男君 まあ大臣は全く消極的な考えであり、答弁でありますが、担当である林野庁は予算的にどう見ているのか。十分だとお考えなんですか、いまの予算で。
  93. 松形祐堯

    説明員松形祐堯君) 私ども、先ほど御答弁申し上げましたように、現在、九州等あるいは関西等におきましての発生状況等がようやくいま上がってきつつあるところでございます。したがって、私どもその被害の本年度における実態というようなものを確実につかみまして、先ほど申し上げましたような弾力的な運営というようなものを、とりあえずは考えておるところでございます。なお、その後につきまして、そういうオーバーするというようなことがございましたら、また、その時点においていろいろと処置してまいりたいと思っておるわけでございます。
  94. 中村波男

    中村波男君 まあ、それぞれ答弁には不満でありますけれども、時間が限られておりますから、この問題については、これで質問を終わりまして、次の質問に移りたいと思います。  農産物価格安定法に基づいて、昭和四十七年度イモ原料基準価格、カンショ及びなま切り干し並びにでん粉等の政府の買い入れ基準価格を、農安法によれば十月二十日までにきめるということになっておりますが、本年度はいつごろおきめになるお考えがあるのか、まずお尋ねいたします。
  95. 池田正範

    説明員(池田正範君) いま御指摘のとおり、イモ、でん粉の基準価格の決定につきましては、農安法の五条に基づきまして十月二十日までに決定することになっておるわけであります。そうなっておりますけれども、生産者の便宜あるいはイモの取引の円滑化といったようなことを考えまして、十日前後早く、大体十一日から十二、三日くらいまでの間にこの四、五年間は例年きめております。本年も例年と同様にこういったいろんな諸般の事情を考えまして、二十日まで待たずにもう少し早く、なるべく早い時期に決定したいというふうに考えておりまして、おおむねの時期としては、例年同様十三、四日ぐらいまでの間にきめるということで、現在作業中でございます。
  96. 中村波男

    中村波男君 私が指摘するまでもなく、バレイショのイモずりは八月から始まっておるわけでありまして、従来、生産者団体、農業団体はできるだけ早くきめてもらいたい、そういう要請に基づいて、従来の例を見ますと十月十日前後、特に十日前にきめてきたことが多いと思うわけでありますが、ことしはわずかの三日、四日ではありまするけれども、十三日か四日だという御答弁でありますが、できるだけ早くきめることがでん粉生産者の不安に、何といいますか、こたえる一つの道であるというふうに思うのでありますが、ことしは十日以前にはきめるわけにいかないという何か特別な事情があるわけですか。
  97. 足立篤郎

    ○国務大臣(足立篤郎君) これは御承知のとおり、パリティ方式で算定することになっておりますし、そのデータ等もほぼ集まっておりますので、少し早めてきめることが不可能であるとは申し上げません。申し上げませんが、これは例年やはり国会のほうの御意見も一応伺ってきめる——伺ってといいますか、別に手続上の関係ではございませんが、きょう参議院の農林水産委員会が開かれまして、当然そういう御意見が出るだろう、なお十二日に衆議院の農林水産委員会のいも、でん粉小委員会が予定をされておりますので、私どもとしては、やはり例年国会側の御意見などもお伺いした上で決定をするという運びをしておりますので、別に規制されるわけでも何でもありませんけれども、そういう一種の慣例的なことにもなっておりますから、衆議院のほうのいも、でん粉小委員会が終わりました直後あたりにきめさせていただきたいというふうに考えておるわけでございます。
  98. 中村波男

    中村波男君 さらに、大臣に強く要望申し上げておきたいと思うのでありますが、農安法に生産者団体の意見を聞くという五条の規定があるわけであります。しかし、従来、基準価格を決定されるまでに農業団体、生産者団体の意見を聞かれて、それを十分反映させるという価格決定にはなっておらないように思うわけです。したがって、ぜひこれは農安法にうたってある条項でもありますから、ぜひ生産者団体の意見を聞かれまして、それを十分反映できるような価格決定というものをされるべきではないか、こういうふうに思いますがいかがですか。
  99. 足立篤郎

    ○国務大臣(足立篤郎君) 手続上のこまかい点は、局長から答えてもらいますが、農安法の趣旨を十分尊重いたしまして農業団体の意見も聞いております。書面でも聞いておりますし、それから、同時に加工経費等につきましては、共同調査をやってまいっておりまして、これは例年の例になっておりますので、私どもは農安法の趣旨を十分尊重して農業団体の意見を聞いておるというふうに思っております。
  100. 池田正範

    説明員(池田正範君) ただいま大臣からお答え申し上げましたとおり、具体的に申し上げますと、大体毎年一年間——これはでん粉年度でございますが、農業団体と役所側とで共同いたしまして加工経費についての共同調査を実施いたしております。その過程においても、十分両者の間の意思疎通がはかられる機会がございますけれども、さらに、でん粉につきましては、御承知のように、特にバレイショでは北海道が中心になりますし、カンショでは九州ということになりますので、それぞれ現地の最も有望な主産地から要望案を出していただきまして、それでまず十分意見を聞くことにいたしております。その後、農業関係の全国団体からさらに要望書が全国統一のものとして出されております。それを十分お伺いをいたしましたあと、告示をいたします前に、さらに、全国団体のたとえば全農あるいは全澱連といったような団体から正式に文書をもって意見開陳を求め、これに対して意見の交換をするというふうなことで、御指摘の点もございますけれども、私どもとしては従来からかなり濃密に農業団体、生産者団体との間での意見交換をしてきているというふうに考えておる次第でございます。
  101. 中村波男

    中村波男君 それは見解の相違と逃げられるかもわかりませんけれども、陳情書や要望書が出たから意見を聞いたということにはならないと思うんです。やっぱり正式に代表を農林省に招致して、そうして意見を聞くと同時に、農林省の考えも開陳して、そこで相当意見の交流をはかるという、これがやはり私は、農安法にいう意見を聞く手続だと思うわけでありますが、それが従来行なわれておらない。  それから、いま大臣からもおっしゃったように、加工費調査等は農業団体と共同調査をしておる、こういうことでありますが、共同調査であればこれは当然同じ数字が出なければならぬと思うわけであります。しかし、実際問題としては、農林省の加工費を決定される価格と農業団体が共同調査に基づく数字とは、かなりの開きがあるわけですね。これでは共同調査を尊重したということに私は、ならぬのではないか。そういう点でも、ここにも問題があるのだ、だから君たち調査はここが問題であるから、これは採用できないのだというような、そういうことも含めてやはり正式に生産者団体の意見を聞かれるような公式的な機会というものをぜひつくられるべきではないかと、こう思いますが、いかがですか。
  102. 池田正範

    説明員(池田正範君) いま先生、御指摘のとおりの実は考え方を私ども持っておりまして、共同調査につきましては、十分に両者の間でその話し合いを進めて調査をいたしますけれども、現実にきめます際の基準価格は一年あとのものになります。したがって、そこで当然推定しなければならぬ問題が出てまいります。そこで、いろいろと先ほど申し上げましたように、生産者団体と申しましても、これは最終的にはちゃんと文書で責任者が来て説明をし、それについて農業団体側からも異存がないという文書の取りつけも済ませるということで、形式的にもフォームを整えるということも、よく考えて実はやっておるわけでありますが、そういうことでやっておりますので、いま御指摘のようないろいろな点について問題はありましょうけれども、私どもとしては、できる限りのことをしておるというふうに考えておるわけでございます。
  103. 中村波男

    中村波男君 時間がありませんから具体的な価格形式についての問題点については、きょうは指摘をいたしませんけれども、農業団体が強く要請をしておりますように、何と申しましてもやはり生産費・所得補償方式を基本にして価格決定をされるように強く私も要望をいたしておきたいと思うわけです。  そこで、問題になっておりますのは、来年の三月をもちましてトウモロコシの関税割り当て制度、すなわち暫定措置法が期限切れになると思うのでありますが、したがいまして、来年三月以降の対応策をこの機会に明らかにしていただきたい、こう思うわけであります。
  104. 池田正範

    説明員(池田正範君) 現在の制度は、いま御指摘のとおり来年三月で一応期限切れになります。したがいまして、それまでに現在の制度についてどういうふうに改定する必要があるのか、ないのか。あるいはそのまま存続するのか、それらを含めまして現在、内部で十分に検討中でございまして、まだ内容的にお話を申し上げられる段階にまではなっておりませんけれども、いろいろと関係団体のほうからも、現状の問題点についての指摘も受けております。したがいまして、これらを完全に解決することにはたしてなるかどうか、なかなか問題がありますが、私どもとしては、いまいろいろ指摘を受けておりますことについて、少しでもなくなる方向で検討してみたいというふうに現在、考えておる次第でございます。
  105. 中村波男

    中村波男君 大臣は北海道の稲作を畑作と畜産に転換させるという大方針をお持ちのようでありますが、北海道における畑作の主体は、バレイショにあることは言うまでもないわけでありますから、したがって、できるだけ早く今後バレイショあるいはでん粉の政府の政策あるいは価格というものを明らかにされない限りは、やはり私は、畑作転換という当面する問題と大きなかかわりあいをもっておるのではないかというふうに思うわけであります。したがって、これから十分検討するという局長の御答弁でありますが、いつごろまでに大体農林省として方針を固めるんだ、いつごろまでには大体の方針が明らかにできるんだというものを、この機会に明示していただきたいと思いますが、いかがですか。
  106. 池田正範

    説明員(池田正範君) 最終的にきまりますのは、御承知のように関税率審議会できまるという形になるわけでございます。したがって、関税率審議会のほうの審議の御日程等を考え合わせて作業をするということが、現実的なことになろうかと思いますが、従前の例でございますと、大体十二月の中ごろに関税率審議会が行なわれるということが普通でございます。したがって、私どもとしてもそれに間に合うようには、これは何としてもやらなければならないという意味で、大体その辺をめどに考えておるということでございます。
  107. 中村波男

    中村波男君 法律的に、また形式的には関税率審議会が最終的にきめることになると思いますが、その前に農林省としてはどうあるべきかというものがきまらなければならないというふうに思うわけです。したがいまして、いまの暫定措置法がそのまま存続されればよろしいという私は、観点で質問をしておるわけではないのでありまして、暫定措置法の期限を延長することは当然でありますが、この中身についてやはり変えなければなりませんし、また、これと別個に助成措置等を相当考えないと、でん粉の将来というのはないのじゃないかという考えを持っておるわけであります。したがいまして、いま、ここで何月何日までに明らかにいたしますという答弁は求めるほうが無理だと思いますが、なるべく、ただ暫定措置法の延長とか何かということではなしに、でん粉政策として、また畑作へ水田を転換させるという大方針からいいまして、農林大臣は相当お考えにはなっておると思うんでありますが、これを早く農林省の政策、方針としてきめて農民に明示されたい。農業団体にやはりその間においては、意見の開陳を求めておきめいただきたい。このことを強く要望を申し上げておきます。  それから、私は、いまも指摘をいたしましたように、従来の関税暫定措置法に問題がまだたくさんあるんじゃないかと、そういうふうに考えておるわけであります。したがいまして、大臣からイモ作安定対策について、どういまお考えになっておるのか、この機会にお聞きをしておきたいと思います。
  108. 足立篤郎

    ○国務大臣(足立篤郎君) 私、先日、かけ足視察でございましたが、北海道へ行ってまいりまして、現地でいろいろと懇談もしてまいりました。やはり、いわゆる北限地帯、道庁では積算温度年間二千五百度以下というところを北限地帯と見なして転作を奨励しているようでございますが、現地を見ますと、やり方によっては、あの小さい規模の水田にいつまでもこびりついていなくても、国がその気になって援助をして畑作なり、あるいは酪農なりへ転換してもらえば、土地にはたいへん恵まれておりますので、一部国有林の活用等も考えながらこれを解決していけば、私は、洋々たる前途が開けるという感じを持って帰ったわけでありまして、そのためには来年度取り上げていただくように予算を要求いたしておりますが、大規模な国営の畑総事業、これは規模拡大も含めて造成まで含めたひとつ仕事に着手したいというふうに思っておりますし、なお、農業災害補償法による畑作共済、これは北海道は畑作は輪作をやっておりますし、これ必然でございますから、総合的に畑作物を農災法で救済できるような制度をつくりたい。私の考えとしては、来年春の通常国会に少なくとも試験実施の法案を提出して、皆さまに御審議をいただきたいというふうに考えて、いま準備を急いでおるわけでありまして、こうした措置をとることによって北限地帯で冷害に脅かされながら無理な米作をやらなくても、規模を拡大し、農家の収入も米作に劣らぬような収入が保障できるようになり、冷害のときには農災法で救われるという保障があれば、これは私は農家も理解していただいて転換をしていただくことができる。つまり転作を定着していただくことができるという確信を持って帰ったわけでありまして、たいへん農業団体をはじめ関係者の御理解を得たというふうに思っております。  同時に、いまの御指摘のイモ、でん粉の関税割り当て制度は、申すまでもなく国内産のイモ、でん粉の優先消化のための措置でございまして、これは相当な価格差がございますので、やはりこうした制度も継続、延長する必要があるというふうに思っております。
  109. 中村波男

    中村波男君 現行のやり方の中で、一〇%のコーンスターチを国内産のバレイショでん粉あるいは甘蔗でん粉と抱き合わせて価格操作をしておるというのが、一口で言えば対策のおもなるものだというふうに思うわけでありますが、円の再切り上げというような問題も考えられるこの時点において、今日行なわれているような制度で、はたしていいのかどうかという問題があるわけでありますが、それはそれといたしまして、この一〇%コーンスターチの中でコーングリッツの生産が相当ふえておるのじゃないかというふうに思うわけですね。この実態をこの機会にお聞きしておきたい、こう思うわけです。
  110. 池田正範

    説明員(池田正範君) ただいま御指摘のコーングリッツでございますが、四十四年には十万三千トンでございましたが、四十五年十四万四千トン、四十六年は十七万六千トン、御指摘のように漸次ふえております。
  111. 中村波男

    中村波男君 このコーングリッツというのは、おもにビールに仕向けられるのではないかというふうに私は聞いておるわけでありますが、ビールの生産の伸びと比較してコーングリッツの生産の伸びは、はなはだ大きいものがある。したがって、実態としてはこれが糖化でん粉のほうへ、何といいますか、横流れをしておる。そういう点が業界等で指摘をされておるわけでありますが、この実態はどうですか。
  112. 池田正範

    説明員(池田正範君) どれだけ横流れがなされておるかということについては、実は私もつまびらかにいたしませんけれども、そういうふうなことがあっては制度の本来の趣旨にもとる、御指摘のように私ども考えまして、実は醸造量その他——承知のようにビールの醸造量の頭打ちが四十六年度ぐらいからきておりますものですから、したがって、これに用いられますコーングリッツ用の割り当てのコーンスターチにつきましても、十七万六千トンという数字を頭打ちにいたしまして、四十七年度もそれをふやさないという方向で、農林省としては措置しております。
  113. 中村波男

    中村波男君 まだいろいろ質問をしたい問題があるわけでありますが、時間の関係もありますからこの問題について質問は以上でやめまして、次に、畜産公害について若干御質問をいたしておきたいと思うわけであります。  水質汚濁防止法の施行令が出まして、畜舎の排水規制が十月から本ぎまりになったわけでありますが、そこで、まずお尋ねいたしたいのは、一年間の猶予期間があるようでありますが、これが実施されるといたしますと、これに適用する畜産農家といいますか、畜産団体等はどういう実態になっておるのか、まず明らかにしていただきたいと思います。
  114. 大河原太一郎

    説明員大河原太一郎君) お答え申し上げますが、先生御案内のとおり、今回の水質汚濁防止法に基づく政令の改正によりまして、畜産施設が指定施設として指定されたわけでございます。これに伴いまして届け出義務が、一定の規模以上の豚なり牛なり馬についての畜舎について届け出義務が生ずるわけでございます。それから、もう一つは、すでに定められております一般の水質基準の規制、これがかかるわけでございます。この二点に分けまして申し上げたいと思いますが、今回の政令の届け出規制によりまして、豚ではおおむね五十頭以上の施設、牛ではおおむね二十頭以上、馬ではおおむね五十頭以上ということに相なっております。これを本年の二月の畜産統計等から規制のあれをいたしますと、豚では総戸数の約一二%、それから乳用牛では六%、肉用牛では一・一%ということでございまして、馬は御案内のとおり頭数が非常に少ないものでございますので、われわれも確認しておらないということでございますが、それが届け出義務の対象になる、これが先生御質問の第一点でございます。  それから、規制につきましては、御案内のように水質汚濁防止法におきます水質基準でございますと、排水基準の適用は、一日の平均排水量が五十立米以上のものについて適用になるということに相なっております。これをふん尿の通常処理の水量というものから推測いたしますと、かなり大経営の農家がこの規制の対象になるということに相なるかと思うわけでございます。
  115. 中村波男

    中村波男君 現在では、総飼育数に対して届け出義務を負う事業者といいますか、畜産農家というものは少ないんですが、しかし、農林省が今日進めようとしておる多頭飼育という関係からいいますと、まだまだふえるということを考えておかなければならぬと思います。そこで、特に今回の畜産規制によって影響の大きいのは私は、豚であろうというふうに見ておるわけでありますが、そこで農家の採算から見た施設の投資限界は、どの程度であるのかお聞きいたしておきたいと思います。
  116. 大河原太一郎

    説明員大河原太一郎君) お答え申し上げます。相当専門的な御指摘でございますが、実は先生御案内のとおり、ふん尿処理につきましても、実はいろいろタイプがあるわけでございまして、また、立地なり経営に応じましてそのタイプを進めていくということであるべきかと思っております。したがいまして、たとえば液肥処理という形で畑地なり草地等に還元するという土地還元型とか、あるいはこれを施設型にいたしまして活性汚泥法で処理するという形とか、実はさまざまございます。したがいまして、この物によりましてその投資限界というのがございますので、なかなか計量的に、申しわけないのでございますが、お答えをしにくい段階があるかと思うわけでございます。  それともう一つは、これは前からいろいろ言われておる問題でございますが、先生御指摘の豚等につくふん尿処理の一番効率的な、コストが少なくて、しかも農家負担も少なくて実際の処理も効率的だという各種の施設が、ある意味では実験段階的なことで進んでおるわけでございます。したがいまして、もうしばらくこの点について最も効率的な施設、採尿処理の点においても、コストの点においても、そういう点が確立いたしました際に、終局的な基準ができるというふうに考えておるわけでございます。
  117. 中村波男

    中村波男君 そうすると、いま畜産局長の御答弁では、農林省としてはふん尿処理はこれで、この方法で指導するのだというまだ方法は確立されておらない、目下手探りではないでしょうけれども、研究中だと、こういうことですか。
  118. 大河原太一郎

    説明員大河原太一郎君) 最終的な、この方法という点について決定的な方法がいまだ出ていないということだけを申し上げたわけでございまして、農林省といたしましても、この数年各種の方式、ただいま申し上げましたような活性汚泥的な施設型の処理とか、あるいは液肥型の処理とか、さらに明年度は、豚についての屎尿分離型の新しい豚舎というようなものを助成して、とにかくその地域と経営の実態に合いました施設は、助成という形で進めておりますし、また、農家自身の判断で施設を、その還境保全の施設を導入する場合につきましては、農林漁業金融公庫資金からすでに融資制度の道を開きまして、実は明年度もその制度について大幅な改善を予定いたしまして、とにかく実態を進めながら、最も効率的な方法の確立を兼ねながら助成も続けていくという姿勢でございます。
  119. 中村波男

    中村波男君 私が専門家等の意見を聞いたのによりますと、大体豚のふん尿処理限界費用というのは、肥育豚一頭当たり枝肉一キロ分に相当する価格だと言われておるわけですね。それは金にいたしますと三百円から四百円だと、しかし、いま局長が御指摘になったように、まあ三つか四つの方法がある。活性汚泥法等については、とてもとても三百円か四百円では施設ができない。管理費がとてもかさむ、こういう実態があるわけですね。したがって、今回の畜産規制によって、一年以内には施設をつくらなければ、畜産として仕事を進めていくわけにはまいらないと、こういうことになるわけですね。したがって、もう少しいわゆる安価で有効な処理方法を発見することが、まず大切だと思うのですね。化学工業のように、たいへんな水質汚濁を防止する施設をつくっても、そのコストが生産品に上のせできるものはいいですけれども、物価問題からみて、防除施設をつくったから豚肉を高くしてもよろしいかということにはならぬでしょう。これは農林大臣もよくお考えいただかなければならぬ点だと思うのですね。いまでも高いというような声があるわけでありますから、そういう点を考えますと、こういうまあ、もう少し安くできる方法が開発されるまで、農林省として特別な助成の道を開かぬと、それでなくとも畜産が停滞をいたしております中で、多頭飼育が思うように伸びない中で、どうして畜産を育成していくのか。こういう点については、具体的な施策をこの機会に考えられないと、たいへんなことに私は、なるのじゃないか。こういう観点から質問を申し上げたわけでありますが、この点についても、ひとつ農林大臣の御所見もあわせてお聞きしておきたいと、こう思うわけです。
  120. 大河原太一郎

    説明員大河原太一郎君) お答え申し上げます。お話のとおりでございまして、この点については、生活環境保全の規制がこれは一つの大きな課題でございますが、一方ではこれに適応することが、畜産のいわば存続発展にかかるというような大きな問題でございまして、多頭飼育の問題について即応するという点で、われわれもいかにその水質規制と畜産経営を調和するかという点について、実はいろいろ検討したわけでございます。先ほど冒頭に申し上げましたように、その点の一つといたしまして、今回の水質基準ですね、基準につきましては、相当大規模な頭数の養豚農家が適用になるという程度で、現状の養豚農家の水準については、今後の努力いかんで、それに適応できるというような点を、猶予期間一年以外にも基準のとり方についても最大限苦慮しつつ配慮したわけでございます。それが第一点でございます。  それから、大きな方向といたしまして、すみやかに畜産関係の環境整備をいたせというようなことでございますが、この点につきましては、従来におきましても、いまるる申し上げましたような、各種の効率的なふん尿処理のための施設について、助成をしてまいったわけでございますが、特に明年度等におきましても、この点についていよいよ新しい段階がきたということで、畜産環境整備については、畜産関係の予算編成の最重点の一つにいたしたいということで、たとえば従来は移転型の形だけをとっておった畜産団地事業、これを畜産環境を、むしろ現状のままの旧村単位ぐらいで、畑地還元なり、あるいは一元的な集水とか処理施設とかというような型によって、いろいろこまかく申し上げませんが、そういう形で公共事業として、畜産環境整備事業を大規模に実施いたしたいというような点もございますし、先ほどちょっと触れましたが、環境保全に関する農林漁業金融公庫の融資制度につきましても、その農家負担の問題についても、いろいろ先生るる御指摘がございました点もございますので、その融資条件等についても、できるだけその条件を改善いたしたいというような点でございまして、畜産政策は各種の生産なり価格安定対策と並びまして、公害対策を最も重点の一つとして進めてまいりたいと、かように考えております。
  121. 中村波男

    中村波男君 畜産だからといって、水質汚濁防止法ができた以上、規制をしなくてよろしいということには、私は、ならぬと思うのですね。しかし、現実は今回の国の施行令以上に、府県等において上のせ条例がつくられるということも言われておるわけですね。そうしますと、畜産はどこへ行くかということになると思うのですね。したがって、私がいろいろ調べた中で活性汚泥処理をする場合でも、二千頭規模でも一頭当たり一万二千円程度、五百頭規模でも一万七千円程度の施設投資が必要になると言われております。これを利用する維持管理費が償却費を含めまして肥育豚一頭当たり二千頭規模では千百円、五百頭規模では千五百円にはね上がる。こういうことになれば、これはもう畜産としては採算が合わない、やめなければならぬと、こういうところへ追い込まれてしまうことは明らかだと思うのですね。  したがいまして、もう少しさいぜんから指摘をしておるように、早く合理的な、しかも費用の安くつくような施設を開発することは必要でありますが、それが二年たてばできますという保証はできないわけでしょう。そうすれば、これは何といたしましても、いま融資で施設をつくれといいましても、六分五厘では何ともならぬですよ。採算性の低い、生産性の低いものですから、六分五厘の金利ではどうにもならぬ。それもばく大な資金を要する。そういうことになれば、少なくとも長期の無利息の資金を手当てするとか、あるいは施設費に対して少なくとも二分の一の補助を考えるとか、そういうことをやらなければこれは私は、たいへんな問題に畜産にとってなるのではないか、こういう観点からこの問題を取り上げたわけであります。  時間もありませんから詳しく内容的に掘り下げて質問をし、指摘をすることができませんけれども、少なくとも来年度予算には水質汚濁防止法に基づく防除施設をつくるものについて、やはり具体的に助成措置を講ずる用意があるのかないのか、大臣からひとつ御答弁をいただきたいと思うわけです。
  122. 大河原太一郎

    説明員大河原太一郎君) お答え申し上げます。  御指摘のとおりの方向に進んでいくかと考えまして、先ほどるる申し上げましたように、畜産の養豚等の集団的に存在いたします旧町村単位あるいは部落単位等におきまして一体的な環境整備事業を行なうというような、集団的な環境整備事業というような点で、県営の公共事業を行ないたいという点が新規としてわれわれ構想中でございますし、また、先生融資等の問題について御指摘がございましたが、金利の問題につきましても、環境保全のコストの畜産経営の圧迫という問題を考慮いたしまして、この改善に具体的につとめたい。また、相当な融資を要しますので、その限度等についても、改善をするというような姿勢で進めてまいりたいというふうに考えております。
  123. 中村波男

    中村波男君 これは局長の御答弁で満足しないというわけではありませんが、大問題だと思いますので大臣の御答弁を求めておるわけでありますから、大臣御答弁をひとつお願いします。
  124. 足立篤郎

    ○国務大臣(足立篤郎君) 中村委員指摘のとおり、今回の水質汚濁防止法施行令によりまして畜産経営者はたいへんな場面にぶつかったわけでありまして、いまいろいろとお話がありました点、よく私も了承いたしましたので、この問題に真剣に取り組んでまいりたいと思っております。ただ、来年度予算では、畜産環境整備事業というような団体的な大規模な事業についての助成の予算を要求いたしておるわけであります。従来の考え方からしますと、御承知のとおり、農家個人個人の施設に対して国が直接補助金を出すということはやっておりませんので、そういうものの考え方をして、今後畜産団地の整備等を進めていきたいという考え方をいたしております。私も実は地方を回りますと、よく畜産農家から苦情を受けるのでありますが、たとえば十年、十五年前に人里離れたところで安心をして拠点をきめて畜産をやっておると、そのうちに知らぬ間にだんだん近所へ住宅ができ、あるいは学校なんかができると、畜産公害だ、畜産公害だというので、いわば先住民族が追い出される、裁判をやれば負けてしまうと、こんなばかな話がありますかと言われると、私も農林大臣としてまことに身を切られるよりもつらいわけでありまして、やはり今後は大きく言えば、日本列島改造ともからんでくるわけでありますが、動物たん白の供給源である畜産振興という点は、農林省として真剣に取り組まなければいかぬ問題でありますから、やはり畜産団地というものは、相当大規模なものを考えて、その周辺は一定の区域はどうなりますか、法律できめますか、県条例あたりでやっていただきますか、その他の建物等の建築制限をするというようなことをして、一つの緑地帯のようなものを考えて、将来とも追い立てを食わない、そしてその屎尿処理等、ふん尿処理等については、いま畜産局長から説明があったように、公共事業で下水並びに終末処理を考える。こういうふうなものを頭に描きながら、畜産団地の形成に努力をしていきたいというふうに思っております。  ただ、私は先般来、畜産局に指示いたしておりますのは、どうも少し日本の農業というのは化学肥料に頼り過ぎて、一番労力がかかりませんので、略奪農業になってきておるんではないか、したがって、有機質も欠乏するし、微量要素なども土壌から欠乏してまいりまして、まさに反省しなければならぬ時期にきているんじゃないか。したがって、このふん尿処理等については、ひとつメーカーあたりにも相談をして、新しい簡易堆肥製造機というようなものを開発したらどうだ。私が承知している範囲でも、かつて十数年前に、屎尿処理につきまして中小都市向けのいろいろな設備が外国から入ってまいりました。たしかベルギーでつくったダノー式というのもありましたし、スウェーデンでしたか、どこだったかよくわかりませんが、コンポストというのも入ってまいりまして、神奈川県の平塚市でつくったときに、私は農林委員会から現地を見に行ったことがあります。あれは人間の屎尿とじんあいをミックスしまして、四日間たつと熟成された堆肥が出てくるわけでありまして、そのわずか四日たったばかりの堆肥を私、自分で手にとって見たことがあります。ちっともきたないという感じがいたしません。まあ、ああいうふうな速成の人ぶん尿でもああいう機械ができておったんですから、私は家畜につきましても同じような考え方でいけば、乾燥堆肥が速成でできないはずはない。これを田畑なり、あるいは牧野に還元をすれば、略奪農業を避けることができるというように思いますので、そういった点もひとつ技術的な検討を加えて、将来農業が発展するような、まあ、もう一ぺん反省しなければならぬ時期にきているんじゃないかというふうに思っておりますので、そういう点も含めまして、畜産局に技術的な開発の問題についても検討を命じているようなわけであります。要するに中村委員指摘のとおり、これは重大問題でありますから、私も真剣に取り組んで将来の畜産発展のために全力をあげて努力をしたい、こういうことをお約束申し上げます。
  125. 中村波男

    中村波男君 今後の対策として一応の方針といいますか、抱負を大臣はいま述べられたわけでありますが、日本の地勢から見て、大産地をつくるといいましても、これは限界があると思うのですね。それからふん尿を耕地に還元するという方法は、最も望ましいと思いますが、さてこれを実施するということになれば、これも限られた地域以外にはやれないと思うのですよ。だとするならば、多頭飼育だというので二十頭以上飼え、あるいは豚なら百頭、二百頭飼えということで大体軌道に乗った人たちが、この施設をつくらなければ追い出されてしまうというところへ追い込まれておるという現実ですね。これをまず私は見きわめ、見つめなければならぬと思うのですよ。そういうことから言いますれば、やはり個人に補助を出すということは、問題があるという話でありますが、しかし、公害を除去するという立場から言いましても、畜産資源を自給するという立場から言いましても、これは考えるべきではないか、こういうふうに思いますので、それらの防除施設については、長期の、少なくとも無利子といかなければ、三分ぐらいの金融を手当てすべきではないだろうか、こういうことを重ねて要望いたしまして、見解を求めて、次の質問に移りたいと、こう思うわけであります。
  126. 足立篤郎

    ○国務大臣(足立篤郎君) 先ほど来申し上げたように、個人個人の施設に対しまして国が補助金を出すということは、従来も避けられてまいっておりますので、やはり中村委員指摘のように、融資の道を開くということで何とかこれを解決しなければならぬというふうに思っております。ただ、無利子と言われますと、なかなかこれはむずかしゅうございますが、公庫の金あたりを相当大幅な利子補給をして、まあ考えられる最低の金利で融資をして、ひとつこれを促進すると、こういう考え方で進みたいと思っております。
  127. 中村波男

    中村波男君 次は、消費者米価について時間の許す限り質問をいたしたいと思うわけでありますが、消費者米価が物統令の適用除外後、未登録業者のやみ米売買が公然と行なわれているというのが実態だと思うわけです。したがって、農林省としてこの実態調査をなさったかどうか承知しておりませんが、この点明らかにしていただけるものがあれば、この機会に御説明を求めたいと思うわけです。
  128. 中野和仁

    説明員中野和仁君) 物統令の適用除外をいたしましたあとのやみ米を扱う業者の調査ということでございますが、それは特にやっておりません。ただ、物統令の適用除外をいたしました際に、かなり新規参入を大都市を中心に大幅に認めましたので、従来よりはそういうまあ連中と言うのはおかしいのですけれども、新規参入してきておりますので、われわれとしましては、今後ともそういう秩序の回復は、やらなければならぬと思っております。
  129. 中村波男

    中村波男君 だとしますと、東京都が最近調べたのでは、東京都内だけで百八十二のやみ業者があるということを発表しておるわけですが、農林省はこういう数字は無視するのだと、こういう実態はないのだという見解ですか。
  130. 中野和仁

    説明員中野和仁君) 必ずしもないというふうに食糧庁としまして張り切って申し上げるわけにはいかないと思います。現実問題として若干そういうものがあろうかと思います。
  131. 中村波男

    中村波男君 私は、そこに認識の相違があると思うのですが、長官は若干あるというふうに言われておりますけれども、公設市場で白昼堂々とやみ取引が行なわれておるという実態。米の流通は全く混乱をいたしておりまして、言うならば、私は無政府状態だと思うのです。さらに、これは激しくなると思うのですね。そういうことを考えますと、これをほおっておけば戦前の正米市場というものが形成されると、こういうふうに私は考えて、この問題を取り上げたわけでありますが、いかがですか。
  132. 中野和仁

    説明員中野和仁君) 無政府状態まで私は、はびこっておるというふうには思っておりません。  それから、今後の問題としましても、やはり食管制度下にありまして、いろいろな改善を加えてきておりますが、そういう無政府状態をどんどん許すということは好ましいことでないと思いますので、それらの対策はとらなければならぬのではないかと思います。
  133. 中村波男

    中村波男君 その対策をとらなきゃならぬというその対策とは、内容的に何がありますか。
  134. 中野和仁

    説明員中野和仁君) 具体的に、いま、それじゃ、あすからどういう取り締まりをやるかというところまでわれわれ考えておりませんけれども、したがいまして、恐縮でございますが、まあ抽象的にそういうことを申し上げたわけであります。
  135. 中村波男

    中村波男君 無政府状態であるかないかということについては、問題があるといたしましても、少なくとも都が調査をいたしましたのによっても百八十二という、いわゆるやみ取引が行なわれておるというこれから見まして、相当な大混乱を引き起こしておるというのは、これは否定できない現実だと思うんですね。したがって、これをいままでまあ放置してきたわけでありますが、具体的にこれにどう対応されようとしておるのか、これは明らかにひとつされるべきではないかと思うのであります。
  136. 中野和仁

    説明員中野和仁君) 物価統制令の適用除外いたしましたあと、そういう風潮になっては困りますので、その際にも、都道府県知事に対しまして、そういう正規外の取引をできるだけ取り締まるようにという通達はしておるわけでございますし、それから先ほども申し上げましたが、できるだけ新規参入という線を出しまして、不正規のものを正規化するということも含まると思いますけれども、そういう考え方でもって対処をして、秩序をつけていくべきだと考えます。
  137. 中村波男

    中村波男君 まあ正米市場が現実に立っておるという話も聞くわけでありますが、そういう中で、私、農林大臣にお尋ねしたいのでありますが、九月十九日の閣議後の記者会見で、四十七年産政府売り渡し、物価値上げに触れられて、自然の価格形成が行なわれ、今後の食管合理化にけっこうなことだなどと、次のように語ったと。政府売り渡し価格改定で、自然の価格形成が行なわれるのはけっこうなことだ。今後は米の市場ができれば一番よいと思うと、こういうふうにおっしゃっておりますね。この食管法が現在ある中で、米の市場ができれば一番よいと思うというその真意ですね。具体的にどういう点をさしておられるのか、この機会に明らかにしていただきたいと思います。
  138. 足立篤郎

    ○国務大臣(足立篤郎君) そのときに記者会見で申したのは、私の実感を率直に申し上げたわけでありまして、申すまでもなく食管法を改めなければ正米市場を正規に認めるわけにはまいりません。私は着任以来、この委員会でもだいぶ御詰問をいただきましたけれども、食管制度は合理化したいということを申してまいりました。と申しますのは、御承知のとおり米の過剰基調のもとにおきまして、いま、いろいろと中村委員から長官に対して御注意がございましたが、なかなかこの自由流通の方向へどんどん向かってきた現実を、この流れをさかさに戻すということは、なかなかむずかしいんじゃないか。やはり自由経済全部が自由経済でございますから、このたてまえのほうへ向かってむしろ進めて、食管制度も合理化をはかることのほうがむしろ望ましいのじゃないかというふうに私は、考えておるわけでありますので、つい記者会見で本音が出たわけでありますが、しかし、それは食管法が厳然として今日あります時点において、正米市場などは許されないというふうに思っております。
  139. 中村波男

    中村波男君 まあ本音をはいたという御答弁でありまするけれども、これはわれわれ食管制度を守る立場におることから言えば、重大な発言でありましてね、食言だと言わなければならぬのでありますが、そこで、大臣はまあ就任直後の記者会見等でも、食管改革を自分の在任中にやりたい、こういう発言をしていらっしゃるんですが、そのスケジュールと言いますかね、見通しはどういうふうに考えていらっしゃるんですか。
  140. 足立篤郎

    ○国務大臣(足立篤郎君) いまお読み上げになられた記者会見の記事の中で、今度の消費者米価決定が、わが意を得たりと言わんばかりの発言をした覚えがありますので、その気持ちを卒直に申し上げると、いま自主流通米をだんだんふやすという政策を政府はとってまいりまして、各方面の御協力をいただいて、これは事実だんだんふえてまいっておりますし、今度は売り渡し価格にも、銘柄格差をつけたい。つまり自由価格体系になって進んできた。もちろん、一律格差でございますから、同じ指定銘柄でも本来の消費者の好みから言えば、もっともっとこまかな格差がたくさんつけられてしかるべきだと思いますが、これは役人がやる仕事でございますので、そうなかなかきめこまかにはできませんし、個人個人の好みもございまするので、必ずしもその個人個人の好みに合った価格形成を役人の手でやるということは不可能でございますが、まあ方向としては自由価格形成の方向へ向かったということは、食管を合理化するのに一歩前進したという認識を私は持っているわけです。  で、私が頭に描いておりますのは、現在の自主流通米というものがもう少しふえてまいりまして、政府は消費者のために標準価格米を買い入れて、標準価格米はどこの米屋さんでも一定の数量は必ず供給しますと、それによっていわゆる、これはいいことばじゃありませんが、庶民の生活は保障しますと、消費者にも御安心をいただきますと、こういうことができ、なお、その標準価格米を政府が買い上げることによりまして、生産者に対する最低価格保障がしっかりとできると、こういう形で食管改革というものは一歩踏み出したらどうであろうかというふうに考えているわけであります。  現在、御承知のとおり、自主流通米は、いろいろな奨励策はとっておりますが、政府の手にかからずに市販をされているわけでありますから、まあ、これ自体、食管法本来の規定からすれば、おかしいといえばおかしいわけでありますが、事実、そういう形が既成事実としてでき上がっておるわけでありますから、いま私が申し上げたような構想で食管の合理化をはかっていけばですね、一歩も二歩も前進できるんじゃないかというふうに思っています。  それから、食管合理化のこれからのスケジュールはどうかというお話でありますが、私は、できれば法律に基づいて食糧管理制度調査会というものをつくっていただいて、そこで各方面の有識者の御意見をまとめて、いま無政府状態という御指摘がありましたが、これはまあ、いろいろな見方もございましょうが、そういうおことばが出るほど流通形態というものは乱れているわけでありますから、これを私は、賀茂川の水をさかさに流すことはできぬと昔から言われますが、時流にさからって元のきびしい統制に戻せといっても、事実不可能じゃないかと思いますので、むしろ流れに沿いながら合理化をはかっていくという線で、この食糧管理制度調査会なるものをつくっていただいて、そうして、そこで御検討いただいた上で、必要な法律改正なり何なりやっていただく、こういう順序で進むのが一番望ましいんじゃないかというふうに考えております。
  141. 中村波男

    中村波男君 食管法の改正について、まだいろいろ議論がいたしたいところでありますし、さらに大臣の真意も尋ねたいのでありますが、時間が参りましたので、またこの次の機会に譲りたいと思うわけでありますが、一言申し上げておきたいと思いますのは、標準価格米を存続されたのでありますが、実際問題としては銘柄米を抜きますから、大幅な値上がりに実質的にはなったと思うわけです。まあ、それはそれとしてですね。銘柄米を八割も九割も生産をしておる府県の標準米を確保するということについては、実際食糧庁として具体的に計画があるのかどうか、また、自信を持って標準米を必ず需要者に完全に提供できるのかどうか、こういう点について私は、さらに具体的にお尋ねをするつもりで資料等も用意したわけでありますが、時間がまいりましたので、また次の機会に譲りたいと思いますが、いま申し上げた点について長官から具体的に、簡単でいいですが、自信があると、全くほしい人には絶対にこと欠かないように標準米は提供するのだと、こういうことが言えるのかどうか、そういう点についてお答えをいただきたい。
  142. 中野和仁

    説明員中野和仁君) ただいまお話しの標準価格米の原料といたしましては、三百六十万トンほどございます。現在の標準価格米の需要というのは、全国平均いたしますと平均四割ですね。ただ、これは県によりまして非常な差がございます。特に御指摘の銘柄米の多い県ににつきましては、それが同じ値段で売られていたわけでございますから、非常に標準価格米が多かったということになるわけです。今回指定銘柄米は、この標準価格米の原料から除きましたので、当然そういう県では非常に標準価格米が少なくなる。そうなりますと、自県産であとの標準価格米だけでやると非常に量が少ないということになる場合には、他県から送りたいと考えております。現に、たとえば富山、石川等につきましては、すでに十月の分としましてこれは新潟のほうからもうすでに送っております。そういうことをやりまして、今後とも標準価格米の需要の実態を見ながら、きめこまかい輸送等も計画をしまして、心配のないようにいたしたいと思っております。
  143. 中村波男

    中村波男君 それは机上計算ではできると思いますが、実態としては、私は困難ではないかということと、違いところから高い運賃をかけて輸送することが、いわゆる予算的に見て適切な措置であるかどうか。したがって、そういう点を考えて銘柄米を標準米に売らせるような措置も、百五十円とか値引きして考えられておるようでありますが、そういう点も、運賃その他の経費から考えて三百円なり四百円なり下げて、自県で消費させるというようなことも考えるべきではないか。こういうふうなことも、いろいろ具体的に聞きたいのでありますが、また次の機会にいたしたいと思います。  最後に、先般の二十号台風で相当な、農林業に全国的に七百億をこす被害を与えたと、新聞は報道しているわけでありますが、岐阜県におきましても、西南のほうに相当な被害が出たわけでございますが、天災融資法を具体的にはいつ発動される考えで準備がなされておるかどうか、お聞きしたいと思います。   〔理事佐藤隆君退席、理事村瀧一郎君着席〕
  144. 内村良英

    説明員(内村良英君) 天災融資法を発動するかどうかにつきましては、現在、農林省の統計調査部において被害の状況を鋭意調査中でございます。この調査は近くまとまりますので、これに基づいて天災融資法を発動するようにしたいというふうに考えております。
  145. 中村波男

    中村波男君 近くというのは、いつですか。
  146. 内村良英

    説明員(内村良英君) 目下のところでは、十月六日ごろの予定でございます。
  147. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 私、前回の八月十一日の当委員会で銘柄米の奨励金や銘柄格差についてのお尋ねをいたしましたけれども、十分に時間がなくて論議できませんので、きょうは引き続いて銘柄米等のことについて質問をしたいと思いますが、その前に大臣にお伺いしますのは、先ほどもちょっとお話がありましたけれども、就任をされて初めて北海道を大臣としての資格で、大臣は視察をなさいました、三日間にわたって。たいへん御苦労さまでございました。  そこで、先ほど中村委員質問の中に共済制度——畑作の共済制度も考えていくのだとか、あるいは国営でやっていくのだとかいうふうなことも、現地でおっしゃられたということも私は新聞等で承知しておりますが、   〔理事村瀧一郎君退席、理事佐藤隆君着席〕 東北を含めた北限の農政というものに対するあり方といいますか、考え方というものをまず最初にお伺いしてみたいと思います。
  148. 足立篤郎

    ○国務大臣(足立篤郎君) 私、先ほどの御質問にもお答えしたんですが、私が特に今回北海道の視察に伺いましたのは、畑作農業共済と、それから大規模な国営畑総というものによっていわゆる北限地帯といわれている冷害常襲地帯、ここで安定した農業が将来営めるような転作を定着していただきたいという気持ちが底意にございまして、やはり関係農民あるいは団体の方々の合意を得たいというような意欲もございましてお伺いをし、札幌、北見、あるいは芽室でしたか帯広の近くの、あるいは私が泊まりました阿寒湖畔でも根釧地帯の代表の方々においでいただいて、四カ所で懇談会をやりましていろいろな御意見をお伺いしたわけでありまして、私が申し上げたことは、大体御理解をいただいたというふうに思っておるわけであります。したがって、いま御質問の東北を含めて北限地帯というお話でございますが、私が特に今回焦点を合わせましたのは、北海道庁も言っている、本来、米作は無理であると言われている、道庁では年間積算温度二千五百度以下ということを言われておりますが、この辺に焦点を合わせまして何とかこれを早く解決するめどをつけたい、こういうつもりで参ったわけでございます。  いまの非常に幅の広い御質問に対して全面的にお答えすることにはなりませんけれども、そういう意味で現地へ伺ったということを申し上げておきたいと思います。
  149. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 そこで、その転作を定着さしていくというふうなお話がありましたのですが、今日の、この食糧庁の発表によりましても、四十六年度の産米政府買い入れ数量によると、五月末現在で、合計が四百七十二万トンで、北海道は四十三万七千トン、全体の約一〇%、一割の地位を占めておるわけであります。青森は二十八万四千トン、約六%の地位を占めているわけであります。したがって、米作というものに対するその意欲というものは非常に強いと同時に、国もこの一〇%の需要を北海道からとっているという、こういう立場の上から、知事が、いまの答弁によりますと、米を畑総の計画に変えていくのだというような話にあわせて米というものに対して北海道は打ち切っていくのだというふうに私は、受け取れたわけですが、いまの答弁ではちょっと意に解せないのですけれども……。
  150. 足立篤郎

    ○国務大臣(足立篤郎君) 私は、北海道や青森の米づくりを全部やめろなんというようなことは、毛頭考えておりません。やはり適地適作ということは必要でございますので、北海道でも道央から道南にかけて積算温度が二千五百度以上というところでは、技術的にいっても、米づくりが決して不可能ではないわけであります。ただ、時おりの冷害はもちろん受ける可能性はございますが、その積算温度二千五百度以下と言われる北見とか帯広方面、特に池田あたりが限界のようでありますが、ああいう地帯におきましては、きわめて不安定な農業をやっているのが米づくり農家ではないかと思います。わずかに農業災害補償法によってささえられておるということでございますから、これはやはり国から補償金がくるから生活は困らないということで、農民が唯々諾々として農業にいそしんでいるとは、私は思いませんので、やはり希望の持てる畑作あるいは酪農に転換をしていただくことができれば、国家のためにも一番望ましいと、こういうふうに考えたわけでございますから、むしろ現地の記者会見では私、積極的に申し上げたのは、道央や道南におけるいわゆる適地とまでは言えないかもしれませが、米、つくり可能な地域においては、機械化を進めて、コストを下げてメリットの多い農業にするような努力をしていただきたい。これは農林省もお手伝いを申し上げましょう、こう言ってお約束してきたわけでありまして、北海道や青森の米づくりを全部転換させる、そんな考え方で伺ったわけではございませんが、しかし、道南、道央地帯といっても、山ぞいの地域、その他で冷害を非常に受けやすいところもございますし、いままで減反等で草をはやしてしまって、なかなかもとの水田には返らないというところもございますから、そういうところは畑にかえるとか、あるいは酪農に切りかえるとかいう際には、できる限り助成の措置を講じまして定着できるようにいたしたいというふうに思っていますが、北海道の米は全部いかぬ、こう申しているのではございませんから、どうか誤解のないようにお願いします。
  151. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 その点、いま大臣の答弁の中、私も了承するわけですが、受けとめ方として非常にがっかりするわけです、ある一面においては。と申し上げますのは、米作を盛んに奨励をして、そして今度は米が余った、北海道の米はうまくないという考え方で切り捨てされるという銘柄米の問題についても、銘柄米の中に入れられない、切り捨てるというふうなことが私は問題であるんだということ、要するに、銘柄の格差をつけていくということ、これは銘柄の取り入れ方も政府が告示して指定していくのも、本来ならば今年度とれた米をそのとれ高によってとったその時点において銘柄を指定していくべきであると私は思うんです。今日までの銘柄の指定方法というものをどんなふうに考えてきているのか、この点も伺いたい一つの点でありますが、北海道でも戦前のことは農林大臣も御存じだと思います。あれはたしか、私の記憶で誤まっているかもわかりませんけれども、茨城を大体中心にした米の格づけ、いまでいえば等級づけといいますか、そういうものを選定したときに、北海道米も確かに上米の中に、大臣のおっしゃった一部の地域においては出ているわけです。  したがって、今日でも北海道の米が全部まずいかといえば、そうじゃない。大臣も北海道の米食べられておっしゃられたことが、新聞記事に出ておるんです。北海道の米もうまい、少しねばりが足りないかなというようなことをおっしゃったことも出ているわけです。で、今後北海道の米が一方的にまずいのだという考え方だけは、私はそういう格差をつけていく考え方というものは、改めてもらわなければならないと思うのです。それは青森においてもしかり、すし米なんというのは、青森のすし米なんというのはどこかといったら、もう黒石米なんです。あれは日本全国すし米というのは、黒石米だというふうに名が通っている。北海道の米でも共和米とかあるいは深川とかある。上川はできたりできなかったりということもないとも限りませんけれども、空知のほうでも道南のほうの七飯のほうにでも、相当優秀な戦前等においては大臣のおっしゃられたうまい米以上のねばりもあったはずなんですがね。そういうふうなことを考えてみて、非常に青森にしても、北海道にしても格差をつけていくということ、今後どのようにそういうことを考えていかれようとするのか、その点を伺っておきたい。
  152. 足立篤郎

    ○国務大臣(足立篤郎君) 指定銘柄米の農林大臣告示は、実は今年は七月一日に行なわれまして、私はその一週間後に着任をいたしたわけであります。前赤城農林大臣の手で告示が行なわれました。宮崎委員、指定銘柄米の告示のやり方についてちょっと誤解があるようでございますが、これは農林省の役人が一方的にこの米はうまい、この米はまずいといってきめつけたわけではございませんので、前年度から、前年秋から各都道府県から指定銘柄候補米を出していただきまして、一定の条件はつけたようであります。たとえば生産数量が三千トン以上まとまっておるとか、都道府県外に移出をする米であるとかいうような条件はつけたようでありますが、それで希望の米をお出しなさいということで、全国からまあ、いわば募集したような形でございまして、それにつきまして、東京なり大阪なり大消費地のお米屋さんの意見を聞きまして、お米屋さんが銘柄米として了承したといいますか、つまり消費者の意見を一々は聞けませんので、消費者の意向を一番よく知っているお米屋さんの意見を聞きまして、お米屋さんが判こをついたものだけ指定銘柄米として告示をした、こういう経過でございまして、産地銘柄で七十八品種できたということでございますので、決して北海道の米は、まずいと農林省が認定をして、アウトにしたというわけではございません。おっしゃるとおり、現地へ行ってみますと、私、農林二十号を二回ばかり試食いたしました。おせじは申しませんでしたけれども、決してまずくはございません。まずくはございませんが、おっしゃるとおりに粘りがちょっと足りない。  そこで、私は、こういう提案をいたしました。これはひとつパックして、袋に詰めて、特殊銘柄米としてライスカレー米とかチャーハン米とかいって、デパートあたりでお売りになれば確かに売れるのじゃないかと思う。というのは、確かにあれは私は、これは冗談抜きですね、ライスカレー米やチャーハン米には最高、最適の米だというふうに感じました。日本の米は、むしろ不適当だといわれて、逆に趣味でタイ米あたりをどうしても食わしてくれというような要求を食糧庁に申し出てくる人も、個人としてあるくらいでありますから、輸入させてくれというような。ですから、これはやはり好き好きですからね。そういうふうな宣伝のやり方もあるのじゃないか。  それから、道庁に対しては、ちょっと苦いことを言ったのですが、全国的に北海道米はまずいというらく印を押されるのはどうもまずいじゃないか、もう少しPRが足りないのじゃないか、もうこういうふうに実態は自主流通のような実態になっている今日においては、北海道庁としても、積極的に北海道米はこういう特徴がありますという、私がいま申し上げたようなことをPRすれば、北海道米は十ぱ一からげに全部これは落第だということにはならぬはずなんで、もう少し品種の改良奨励をやると同時に、対外的なPRもお考えになったらどうかという少し苦言を呈して帰ったのですがね。  以上、私の所感を率直に申し上げてお答えにかえるわけでございます。
  153. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 何だか北海道の米はいってから、豆と同じようにいって食べればうまいだろうとか、ライスカレーみたいに、ものをぶっかけて食べればうまいだろうとか、そういうふうな私は何か北海道米自体の評価というものを、もう少し長い間かかっての食味試験といいますか、そういうようなことも折り重ねていきながらやっていかなければならないと思うのです。まあ大臣は、率直な所見を私は言っただけだとおっしゃいますけれども、これは聞いてるほうは、北海道の農民の人たちはどんなふうに受けとめますか、これは受けとめ方、みんなそれぞれ違うでしょうけれども、私は、ほんとうに快い思いはいたしません。  そこで、いま、先ほど銘柄米の選定のことについて私が勘違いをしているというようなお話がございましたのですが、私は、銘柄米を選定するのにはどんな基準でもって銘柄米を選定するのか。それはことしとれたその実績のものを、とれた時点でやっていく方法がいいんじゃないか。またさらには、さかのぼっていけば、昨年なんかは冷害で相当やられておるわけですから、昨年のを基準にするのか、それともさかのぼってまたさらに三年なり五年なりした、その中から選定をしていくのかというようなことを聞いたわけなんでありまして……。  それからさらに、基準の問題が出てまいりましたので私お伺いをしたいのですが、検査規格というのは、これは私が申し上げるまでもありません。これは農産物検査法の第六条の検査規格というものがある。「農林大臣は、農産物の種類及び銘柄ごとに、その量目、包装及び品位についての規格を定める。」と、こうなってるわけです。じゃこの「規格を定める」というその基準といいますか、その基準というものがどんなふうになってるのか、伺いたいわけであります。  時間がありませんから、大臣のお時間が何か二時半までだというふうなお話でありますから、大臣の質問を主体にして私は、進めてまいりますけれども、したがって、長い質問になりますので、一つ一つお答えを願いたいと思うのですが、先ほどやみ米の話が出ておりました。非常にいま庭先滞貨米が生じておるということなんですが、昨年よりは少しは減ってきたというのですが、こういう問題も、これは大きな問題でございます。この検査法の第一条にありますように、第一条は、「この法律は、農産物について国が検査を行なうことによって、農産物の公正且つ円滑な取引とその品質の改善とを助長し、あわせて農家経済の発展と農産物消費の合理化とに寄与することを目的とする。」ということになっているわけです。そうすると、この「公正且つ円滑な取引と」ということが、この庭先滞貨米が生じておるその反面に起きている問題等、大臣は御存じなんでしょうか。  それかわさらには、この「農家経済の発展と農産物消費の合理化とに寄与する」ところが大であるというところの面から考えていきましても、この農産物の検査法の面からとらえていきましても、第六条の検査規格の基準というもの、こういうものに対しての大臣の明確な御答弁をお願いいたしたいと思います。
  154. 足立篤郎

    ○国務大臣(足立篤郎君) 宮崎委員にたいへんおしかりを受けましたが、私は農林二十号について決してひやかしたわけではございません。と申しますのは、ライスカレーとかチャーハンとかいう米は粘りがあってはだめなんでありまして、一般の日本の米は粘りがあり過ぎて実はあまりおいしくないのです、私の食べた感じでは。率直に感じを言ったのですが、これはライスカレーやチャーハン米としては最適の米だと思いましたから、私は、何でも思ったとおりものを言うたちなものですから率直に申しました。相当大ぜいの人が集まっておりましたが、決して私がただ、ひやかしてものを申したとは受け取ってはおらないと思います。私は、やりようがあると、むしろ道庁に対して少し苦言を呈したのですが、こういうライスカレーやチャーハンに一番適当な米がとれるのになぜもっと宣伝しないかと、実は言ったくらいでございまして、決してひやかして、何か侮辱を受けたような感じがするとおっしゃいましたが、決してそういう意味で申してはおりませんので、どうか御了承をいただきたいと思います。  それから、いまおっしゃいました、いまの御質問の検査基準の問題、事務的な問題でございますから、長官からひとつ答えていただきます。
  155. 中野和仁

    説明員中野和仁君) 第六条の検査規格の問題につきましては、別にこういう基準のものをこうするということではなくて、むしろ取引の実態から、そういうたとえば量目にすれば六十キロと三十キロというようなことになりますし、いま一、二、三等、四等までずっと品位をきめておるわけでございます。先ほどからもお話しの自主流通の問題につきましては、これは四十四年の自主流通米制度の発足の際に、良質米の生産奨励ということも含めまして新しく銘柄の規格をつくった、こういうことでございます。
  156. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 大臣は一つの米の試食をされたわけですか、一種類の試食をされたわけですか。
  157. 足立篤郎

    ○国務大臣(足立篤郎君) そうです、農林二十号。上
  158. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 そのほかにも、農林二十号以外にもあるわけですから、その点も私はよく玩味していただきたいということを申し上げておるわけです。ただ、それか農林二十号だけ食べて——農林大臣が一言おっしゃるということは、これは全日本的なことになるわけですから、ですから北海道の米が農林二十号だけじゃないわけですから、それをいためて食べたらうまいだろうというようなことになりますと、全部がそうだと思い込まれちゃ困るわけです。それで私は申し上げたわけです。  いま長官が御答弁になりましたけれども、農林省の告示で、農林省告示第九五一号ですか、これによって四十七年の告示がされて、これだけの銘柄があるのだ、これだけのものが銘柄だというふうに指定されてありますが、さらに先ほど大臣のおっしゃったのは、七月一日に選定をしたから私の就任前だというお話しがありましたけれども、さらには九月の二十二日ですか、農林省告示の第一七二一号によって改められておりますですね。こういう数が指定されていくものが変わっておりますね、年内において。この点何かどんなふうなことでこんなふうに追加したりなんか、ふえたりなんかさせるのでしょうか。
  159. 足立篤郎

    ○国務大臣(足立篤郎君) いまの九月になりましてから一部差しかえいたしましたいきさつについて私からお答えをいたしますが、これは実は鳥取、岡山、広島あたりで、御承知のいままで従来は銘柄米といわれていた農林二二号が七月一日の告示で的確と認められて告示されておったわけでありますが、作付けしてみますと、これが意外に少のうございまして、さっき申し上げた自主流通量が三千トンという規格にはまらなくなってしまった。たとえば鳥取県あたりの農林二二号は、わずかにことしの作付実況からすると、生産量七百トンということになってしまいまして、それでは他の都道府県に対して一応の基準量を示して申請を受け付けて、その中で審査をして決定をしたいきさつがあるのに、いわば失格のような状態になってしまったわけであります。しかし、農林省としては前に一たん告示で認めたのに、その県の農林二二号は失格であるということはいかにもどうもお気の毒であると同時に、各県からも相当強い陳情もございましたので、しからば条件にはまらなくなってしまった当該県の農林二二号は引っ込めてもらって、それにかわるべき、またさっき申し上げたお米屋さんのほうも承知をするような品種があれば出してらっしゃい、切りかえは認めましょう、こういうことにいたしました結果、いま申し上げたように鳥取と岡山と広島三県だけ差しかえを要求してまいりましたので、差しかえに応じたと、こういうことでございますので、あらためて新たに指定銘柄米を指定したというのではございませんので、御了承いただきたいと思います。
  160. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 いま大臣の御答弁がありました三千トンが規格というふうなお話がありましたけれども、私が前回のときに質問をいたしまして、もとの亀長長官から答弁が出ております。「指定法人、実需者団体の双方において十分な品質を備えているという合意があったこと、」、これが銘柄の一つの理由、それから「自主流通米の主食用として三千トン以上の流通量が予想されること、府県の奨励品種であること、その他食味等の好評等いろいろございますが、そういう基準で毎年指定をいたしておりまして、」と、こういうような回答があるわけですが、先ほどの大臣の御答弁でも、米屋が一番知っているから米屋と食糧庁がこの銘柄米をきめたのだと。その基準は、大臣は規定とおっしゃいましたけれども、三千トンというものを規定とおっしゃいました、さっきの答弁がそういうふうな答弁でございました。三千トン規定されていると答弁がありましたけれども、それならば規定されているということがあるならば、規定されている条項というのは何々があるのだと、その基準になるものは何かと私、一番最初に質問をしているわけです。その基準に対する答弁は、長官からもないわけです。ですから、長官の顔を見たら私の顔を見返しましたから、私あらためてやっているわけです。  さらに、もう一つは「その他食味等の好評等」となって、食味となっております。食味試験ということに対してどのようにやっているんですか。その規格の中から、規定の中から当然食味等という、食味試験ということも問題に出てくる。ですから基準というものがどんなふうな規定があるのかということを一番最初に聞いているわけですから、その御答弁を願いたい。
  161. 足立篤郎

    ○国務大臣(足立篤郎君) 私、先ほどのお答えの中で規定があるというふうに申し上げた覚えはないんですが、もしそういうことを申しておりましたら速記録をお改めいただいて、御訂正をいただきたいと思います。これはいわば要領とでも言うべきものでございましょうか、それほど法的根拠がどうのこうのというようなやかましいものではございません。あと基準等については長官からお答えいたします。
  162. 中野和仁

    説明員中野和仁君) 先ほど私、農検法の六条による基準というものがぴしっときまってはいないということを申し上げた。それはむしろ取り引きの実態からいろいろ関係者の意見を聞いて量目とか包装とか品位とかの規格がきまる、こういうふうに申し上げたわけでございます。  そこで、自主流通米といいましょうか、今度の指定銘柄の指定のしかたでございますが、大臣も申し上げましたように、このための手続の規定というものはございません。ただ、こういうものを指定したらよかろうという大体の内規といいましょうか、そういう基準といいましょうか、そういう事実上の内規的なものをつくりまして各県とも相談をしているということでございます。  そこで、先ほど前長官のお話があったわけでございますが、もう少し正確に申し上げますと、まず今度の場合は、産地品種銘柄をつくるというこことでございます。これは日本列島が非常に長くて地理的に、あるいは土壌的に違いますから、やはり銘柄をつくる以上は、産地品種銘柄がいいということでございます。それから、本来これの発足いたしましたときは、自主流通米制度との兼ね合いで指定銘柄をつくったものですから、やはり銘柄といいましても、ある程度の流通量がなければいけないという考え方から、主として県外に流通するものが三千トン以上あったほうがよろしいと、こういうことが二番目でございます。  それから、三番目としまして県の奨励品種であったほうがよろしい。奨励品種の場合は、普通の場合、食味も良好だということになるわけでございます。そういうことである意味じゃ客観的といいましょうか、そういう基準がある上に、そういうことだからすぐ食糧庁が採用するのではありませんで、各県での供給者側の農業団体等と、それから実需者側の米の販売業者、それから県庁が入りましていろいろ相談の結果、それからかつ消費地の販売業者の同意も得まして、そうして農林省のほうに申請がある。それがありました際に、今度は食糧庁が一方的にきめるのではありませんで、いま申し上げたそれぞれの団体の全国団体あるいはそのほかに穀物検定協会とかあるいは産米改良協会の専門家、そういう者といろいろ協議をいたしました結果、これがよろしかろうというこことできめておるわけでございます。  それから、二番目の問題として、それじゃ食味試験はどうしているかというお話でございます。これにつきましては、なかなか食味をどう判定するかというのは、非常にむずかしい問題でございます。個人差もございますし、いろいろなことがございますが、現在、食糧庁におきましてやっておりますのは、食糧事務所の単位をとりまして、食糧事務所の単位ごとに食味の評価をするパネルといいますか、試食者の分、これは二十四名で構成しておりまして、その半分は食糧事務所の職員、あとの半分は卸、小売り、農業団体、婦人団体あるいは一般の消費者という方を選びまして、そうしてその食味を評価する基準としましては、滋賀県産のマンリョウという品種を使いまして、それをまん中に置きまして、それと比べてみて、かなり多く出回っております品種につきまして、その名前をふせておきまして試食をしてみて、それがいまの基準よりもすぐれているか劣っているかというようなことをいろいろな各地のものをやってもらいました結果を統計的な処理をやりまして、いまやっておるわけであります。ただ、最初に申し上げましたように、なかなか食味をそういうことだけで出すということ自身もかなり問題があるかと思います。そこで、本年度はそれを理化学的に測定ができないだろうかということで特殊な機械も入れまして、主として粘りといいましょうか、そういう面の測定もやっておるわけでございますが、そういう機械を使うなり、あるいはいま申し上げましたように、人間の感覚に訴える評価ということだけでは、なかなか食味というものははかれない。やはりそういうものを食ってみた消費者もありましょうし、それを売っている販売業者の意向、そういうようなものが合わさったものが、食味ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
  163. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 食味の話になりましたから、食味のことを少し聞いてみたいのですが、大体いま先ほどのお話だと、マンリョウを基準にしたというお話でありますけれども、そのマンリョウを基準にした根拠、考え方、そういうものが当然なくちゃならぬはずです。マンリョウを基準として食味試験をやっているということになるわけです。そういうふうな基本的なこともあるでありましょう。また、私の聞いたところでは、四十三年にこれをやったということでありますと、これが四十三年から今日四十七年になっております。この間の私は全国のそういうテストをやった資料というものがあるんじゃないか。その資料に基づいてやはり銘柄米の基準というものを合わせながら、考えながらやっていかなければならぬのだろうと思うのです。そういう意味でそういう資料があるかどうか、その食味試験をやった資料があるかどうか。
  164. 中野和仁

    説明員中野和仁君) マンリョウを基準にしましたのは、どうもそれがまん中ぐらいだろうという単純な動機のようでございまして、私もそれ以上のことはよくわかりません。まあ、そういうことでございます。と言いますのは、もともと食味は人間が食べてみての感覚でございますから、科学的にそれが基準だということは、私もないのではないかと思います。そこで、その滋賀県のその米をまん中においてみようという、これが中ぐらいの味だろうということにしてやったようでございます。  それから、データはしばらくこういうことをやっておりますが、データは実はいろいろあるわけでございますけれども、まだいろいろまちまちでございまして、これを天下に公表をしますと、かなりうまいところに入った県なり、その品種をつくっている方は喜ばれますけれども、まずいときめつけると、またいろいろまずいというようなことがありまして、食糧庁としては公表をしておりません。ただ、これはやはり積み重ねていきましたそのデータあるいは理化学的にどの程度進みますか、いま食糧庁研究室でいろいろ研究しておりますが、その辺が進んでまいりますれば、ただいま私が指定の基準を申し上げましたようなことに加えて、こういうことも参考にすべきだと思います。ただ、まだいまのところ食糧庁の担当者のほうではこれによってすべて判定するというまだ自信があるというところまではいってないです。
  165. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 もう少しその問題を言いますが、先ほど今年度機械を入れてと言いますが、この食味試験等に対する予算はどのぐらい見ているのですか、四十七年度は。
  166. 中野和仁

    説明員中野和仁君) 四十七年度は全体で九百六十一万五千円でございます。そのうち理化学的な測定に要する予算としましては、三百四十三万三千円であります。したがって、その残りのほうは従来の食味試験の予算であるということで、これは前年度に比べまして大幅に拡充をいたしております。
  167. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 ずっとこう前から追っかけていけばよろしいのですが、時間がございませんから、この程度でやめます。非常に私は、一番銘柄をきめていくのには農林省が主体になってこういう機械を発注させて、このような粘りだとか、あるいは中の品格と言いますか、そういうものを選定していく科学的な物理計算による試験というものを当然どんどん進めていかなければならなかったはずなんです。それが非常におくれている。おくれていながら銘柄というものをきめていくという一つの矛盾、それから、先ほど御答弁がありました滋賀県のマンリョウというものが、たいがいそんなところだろうという基準を基準にしたところに、この銘柄米の指定というものに対して私は、疑義があるわけです。だから、このいまの予算を聞きましても約九百万、しかも、今度の機械を入れるために、機械が約四百万ということになります。半分近いものが機械だ、あとは何かと言うと、印刷代と、それでお米をたいて食べる、そのものしかない。これをずっと四十三年からやってきたわけです。四十七年はまだ米を測定する、試験をしていく機械というものがいまだにできてない、こんなような姿で、大臣、銘柄米を指定して、その嗜好によるとか、あるいは感じによるとか、その人の感覚によってきめていくんだみたいなことが許されていいかどうか。あくまでも農林省農林省としてこの米の食味テストというものは、四十三年からこういう動向で進めてきている、一面においては科学的にこうやっているということが裏づけられることがあるならば私は、いいと思うのですがね、そういう点、どうなんでしょうか。
  168. 足立篤郎

    ○国務大臣(足立篤郎君) 最初から私お答えしておりますように、食味の問題は、これは個人個人好みの問題もございますし、非常にむずかしい問題ですが、現実的にはやはり食味のいいものは高くても消費者が買っていただけると、こういう事実がございます。そこで、まあ先ほど来、繰り返し申し上げておりますように、指定銘柄米を設定します際には、関係農業団体はもちろん、それから米の販売業者等の意見を十分聞きまして、むしろその意見に従って指定をしたと申し上げてもいいと思うんでありまして、科学的な一定不変の基準であるとかいうようなものは、まだ確立されておりません。  それから私は、これは食味の問題の判定は一役人が権力をもってきめるべきものではないというふうに思っております。したがって、食管制度のもとにおいてこれを設けることは無理だという御説はわかりますが、私は、これだけ実態が自由流通の形態になっておりますので、むしろ食味によるある程度の格差をつけることによって、自然の流通、自然の価格形成に近づけるという努力をすべき段階が来たと思いまして、今度の消費者米価の決定にあたっても格差をつけることに踏ん切ったわけでありますが、これも、先ほども他の委員の御質問お答えしたとおり、画一的な格差でこと足りるとは思っておりませんが、なかなか役人がきめますのに、もっときめのこまかな格差をきめるというと、なお弊害が出てくる心配がありますので、むしろ私は食管法の合理化のほうへ踏み出すべき時期に来たのじゃないかというふうに考えております。
  169. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 長官、どうなんですか。
  170. 中野和仁

    説明員中野和仁君) それじゃ若干補足させていただきますが、私も銘柄の問題というのは、いわば考え方が非常に割り切りますと二つあるかと思います。非常に自然科学的といいましょうか、そういう自然科学的な基準を設けてあらゆる品種を全部分類しちゃって、こういうふうな銘柄だというものの言い方もあるかと思いますが、現実のやはり銘柄といいますのは、いま食味が非常に重要な要素であると思いますが、やはりその米の歩どまりだとか、あるいは貯蔵性の問題だとか、あるいは品質としてある程度の量があり、まあ質ととしても統一されておるとか、まあ、そういうものが全部重なった社会的な評価といいましょうか、そういう面でやはり現実の取引としては、きめなければいかぬのではないかというふうに考えるわけでございます。  ただ、いま御指摘のように、食味のいろいろの食糧庁の試験がおくれているじゃないかということを言われますれば、まあ、そうだと言わざるを得ないと思います。しかし、おくればせながら、先ほども申し上げましたように、四十六年に比べて四十七年はかなりの予算を持っておりますので、そういうことを研究を進めまして、いま私が申し上げたある意味での銘柄は社会的評価ではございましても、そういう別の面からの要素も加えていって判定をしたほうがいいんじゃないかというふうに考えるわけでございます。
  171. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 先ほど銘柄をきめる場合には、二十四名のうちに半分を農林省の職員であると、で、あとの他の半分を云々というお話がありました。それから、もう一つは、米屋さんと食糧庁が銘柄をきめるという、この消費者を含めた、この大多数の消費者をきめた点についても、消費者側のほうを私は、ふやしていくべきじゃないかと、こう思うわけですがね、どうなんでしょうか。
  172. 中野和仁

    説明員中野和仁君) 食味のことをお答え申し上げました際に、食糧事務所の職員が半分と、あとは米屋さんなり消費者なり半分と申し上げたのですが、これはいま聞きますと、どうも謝金の予算が少ないもんですから、うちの職員ならただで使えるということだけの単純な動機のようでございます。その点はまた十分研究をいたしたいと思います。  それから、銘柄をきめておりますのは、いま申し上げましたように、食糧庁の役人が半分ということではありませんで、食糧庁と実需者の団体であります米屋のほうと、それから生産者の団体である農業団体、それから産米改良協会なり穀物検定協会なり、そういう専門家も入れて協議をしてきめておるということでございます。
  173. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 私は、先ほど中村委員のときの大臣の答弁もございました食管の問題等のこともありますし、また、その消費者米価の問題についてのこと等もあるわけですが、その前に、先ほど私、庭先の滞貨米が非常に多くなっている。これは機械力をどんどん導入していきまして、省力化していって、収穫期が早くなってきた。当然そうなればそれに伴った検査の段階も、それと相まって検査がなされなければならないわけです。その庭先滞貨があることが、やみ米をふやしていく一つの原因にもなっていくというふうに考えていきますと、現にきょうあたり報道されているところを見ますと、新潟県の西蒲原等では、去年もことしもこの庭先滞貨が非常に多くなっているということで、それに伴って農協がそれをやみ米に買収をされないように前払い支払いをするというような形もできているわけですが、こういうようなことが許されていいのかどうなのか、あっていいのかどうなのかということをお伺いしたいのですがね。
  174. 中野和仁

    説明員中野和仁君) ただいま、最盛期の検査の問題と関連してくるかと思うのです。食糧庁としましては、事前に買い入れの打ち合わせ、検査の打ち合わせをやりまして、それから、それぞれの支所の管内の出張所あるいは本庁からの応援というようなこともいろいろ組んで、そして集荷団体である農協等とよく相談しまして組んでいるわけです。ただ、米が一度に出てきて、農家が庭先に置いておるということは、若干はあろうかと思いますが、われわれとしましては、できるだけそれがスムーズに、早く検査ができて早く倉庫に入るようにという方向では、毎年やっておるわけでございます。
  175. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 若干はあると思うという、その若干というのはどの程度を若干と押えておられるのかですね。これは非常に問題が大きく伏在されてくるんですがね。で、この農産物検査法の——私が申し上げるまでもなく「(検査前の買受等の禁止)」ということもございますね。この条項で、もしその庭先滞貨の米を、農協ですと一回払い、二回払いみたいにして処理をしているというようなことも報じられておったわけですがね。こういうのが許されていいんでしょうかね。検査がおくれるために、こういうような状態が続いているんだということ、しかも、ことしばっかりじゃないんだということ、これが一カ所であるんじゃないということなんですね。その点から若干ということ、非常に私は気にするわけですが、この法律と照らし合わせてみて、どんなような解釈をしたらよろしいんでしょうか。
  176. 中野和仁

    説明員中野和仁君) ただいまの法律のお話でございますが、売り渡しの前に国の検査を受けろということになっておるわけでございますから、農家としましては、国の検査を受ける前に、やみに流しては困るわけでございます。そういうことがあるもんですから、先ほど申し上げましたように、事前にはこれは毎年きちっと検査のやり方、買い入れ状況等を見まして十分末端の農協等と、もちろん県庁も入りますけれども、打ち合わせてやっているわけでございます。ただ、全国全部がものすごく農家の庭先に私は、たまっているようには思いませんけれども、場所によりましては、きょう検査と思った日に、天候が悪くてできなくてたまった。まあ、そういうようなことは、間々あるような気がいたします。  それから、もう一つは、品種が統一されてきておりますので、やっぱり出荷の時期が全く重なってしまうということになりますと、検査員のいろいろの動員はしておりますけれども、検査員の時期的な不足ということもあるいはあって、若干の停滞があるかもしれない。そう、いまおっしゃるように、相当たまって何ともならないところまでは——いま横に検査課長おりますけれども、聞いてみましても、そういう状況ではないということを言っております。
  177. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 それは実情をよく調べていただきたいと思う。私は二、三持っているわけです、そういう困っているというところ。そしてさらに、政府が禁止しているにもかかわらず、農協ではやみ売りされては困るので、一回払い、二回払いみたいにしてお金を先に出している。そしたら、その農協が禁止されていることをやっていいかどうかということになるわけです。その点が私、心配なんです。二時半になりますので大臣も行かれますので、この「(検査を実施する者)」と第九条にございますね。いま、時期的に検査する者の数が少ないから検査がおくれるのだというような答弁がありましたけれども、この実態についてもあと質問をしたいと思います。この問題は、ずっと続けていきたいと思います。  大臣がお帰りになる前に、私は別なことを一つお伺いしてみたい。  いま私が質問いたしました庭先滞貨というようなことも、これはもう機械力を導入して省力化してきたのですから、当然収穫期が早くなる。その早くなっただけの今度は手を打たなければならぬ、検査官等も。そういうふうな処置が緩慢であるがゆえに、そういう問題が起きているのだということ、これをひとつ御了解願いたいと思う。  それから、もう一つ、別の問題を申し上げますのは、先ほど二十号台風のことがありましたけれども、これはまたあとで係の専門の方にお伺いするとしまして、私は一年中に早霜とか晩霜とか、あるいは集中豪雨だとか、あるいは台風だとか、降ひょうだとかということで、天災で局地的にその被害を受けている農家の人が非常に、年間ですると膨大な損害額があると思うのです。その局地的な被害を受けた方々に対するあたたかい援助策というものを講じてやらなければならないと思うのです。  そういう点から、一つの例を申し上げますと、九月の十二日にひょうが降りまして、岩手、宮城、山形、福島、こういう県で降ひょうの被害を受けた。その中で私は、岩手県の滝沢村と、それから玉山村、この二カ村を私、実態調査に行ってまいりました。滝沢村のほうは財政規模が四億五千万ぐらいで、被害額が一億五千万にも及んでいるわけです。それで特に一本木の部落という地帯は、ほんとうに農作物が皆無になってしまった。非常に悲惨な状態で、この村の財政規模からいっても、これは特別措置をしてやらなかったら、救済、援護対策というものを考えてやらなかったら、これはえらいことになる。自創資金の五十万円限度額を、それだけでも即座に出してもらいたいと言うけれども、すでに借りているものは差し引かれてしまうわけです。差し引かれてその自創資金も支給されるわけですから、こういうのは差し引かないで、思い切って新たに援助してやる。種子を買い入れる問題にしましても、酪農関係の追肥の問題にしましても、そうでなくてもさえ借金をかかえて、その借金をかかえている中でも真剣に日本の食糧事情、食糧というものを自分たちの手で守ろうというその意欲、その意欲に立っている人たちに、これを局部的な、ちょっと気がつかない、忘れられていく、見捨てられていくというところの人の対策、救済対策というものをどんなに農林大臣はお考えになって手を差し伸べてやろうとしておられるのか、この点を伺っておきたいと思うんです。
  178. 足立篤郎

    ○国務大臣(足立篤郎君) いま局地的なひょう害の被害につきまして宮崎委員から具体的に伺ったのですが、私はこの事実は存じませんでした。しかし、ちょうど同じ期間に二十号台風による被害が全国的に相当膨大なものがございまして、いま農林省はもちろん農業施設や農作物の被害につきまして各県からの集計を急いでおりますが、政府におきましては、総務長官が災害対策本部長になりましてこれをまとめまして、天災融資法の発動、あるいは公共施設についても、激甚災が適用できるかどうかというような問題をいま詰めておりますので、その一環として、いまおっしゃるようなひょう害につきましても、当然取り上げられるべきものであるというふうに考えておりますし、また、米につきましては、申すまでもなく農業共済制度がございますので、その早期支払い等につきましては、私のほうの所管でございますから、これを急いでやるように努力をいたしたいと思っております。
  179. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 まあ、免税点等につきましても、農林大臣のほうから閣議のときに、これは当然おっしゃられておられると思いますけれども、特に融資制度のこともお考え願いたいと思うんです。いまお話を伺いますと、二十号台風と合わせながら考えていくとおっしゃっておられますので、これは私は、期待をしております。同時に、四七・七集中豪雨の被害を受けた、ダブルパンチで二十号台風を受けているところもあるわけなんです。そういう実情の中を十分に考慮していただいて、それでこういう局地的な問題がたいへんあるわけです。先ほど例をもって申し上げましたのですが、こういうことについての援護対策というものは、あたたかく手を差し伸べてやらなければいけないのだということを強く要請して、そのことについては質問を終わりたいと思います。御配慮願います。  それで、先ほどの検査の問題でございますが、この検査を実施するもの、第九条にございますが、従来の考え方とこれからの考え方、法律できめてあるもの以外に、たとえば農協の職員を、専門の職員を用いてやるとかどうとかいうようなことなんかはお考えになっておられるのでしょうか。
  180. 中野和仁

    説明員中野和仁君) 従来から、検査をいたします場合に、検査員の数は、時期によっては非常に限られておるものですから、普通は農協の職員に受検事務というようなことでお手伝いを願うというようなのが実情でございます。
  181. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 でありながら足りないということですね。間に合わないという個所が結局、滞貨ということになるわけですね、庭先滞貨ということになるわけですね。そうじゃないんでしょうか。
  182. 中野和仁

    説明員中野和仁君) それは仰せのとおりだと思います。やはり、一つの村の中で、ある時期に米が出てくるときに、それを一日に全部やれといっても、これは不可能な場合が出てくるかと思います。そこで、あらかじめ、先ほどから何べんも申し上げておりますように、食糧事務所のほうと農協のほうと打ち合わせをしまして、また農協のほうでは部落内での出荷する時期等を調整してもらいまして、できるだけそごがないようにしてもらう。やはり一時に出る場合には、若干そういうことがあり得るということでございます。
  183. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 銘柄指定問題では、やりとりを盛んにやってまいりましたけれども、法的基準というものが制定されませんと——なかなか法的基準もむずかしいかもわかりませんけれども、先ほどありましたように流通面では三千トンとかいうようなことになりますと、そういうような一つのワクといいますか、基準といいますか、規定といいますか、そういうようなことは、だんだんときめていかなければならないと思うのです。先ほどの答弁によりますと、あるというようなお話でございましたけれども、それなんかもやはり明確にされたほうがよろしいのじゃないかと私は思うのです。  長官が、NHKの朝の「こんにちは奥さん」ですか、あのときに出席されて、やりとりされたことを私、伺っておりました。あの中で、やはり一番気にされているのは、たとえばササニシキという銘柄で店頭で売られた場合、表示はササニシキというふうにして売られた場合、中身が、それが混合されたものであるかどうかもわからない。ササニシキといっても東北の五県だけに限らない。東北五県以外のところのササニシキというふうな銘柄のものでも、ササニシキという名前で買っていくのじゃないかというようなことを非常に心配されて言っておりました。確かに私はそうだと思うのです。どうして店頭で売っているものをテストしているのか、試験しているのか、チェックしているのか。ほんとうに中身と表示されたものとが合致しているのか。どんなふうにして検査しているのか、検査していこうとしているのか、その点伺っておきたいと思います。
  184. 中野和仁

    説明員中野和仁君) ただいまの消費者の段階での表示の問題でございますが、いま仰せのように、消費者段階で白米になりましたものを、これがササニシキであるか、それからほかの品種のものであるかということは、普通はわかりません、率直に申し上げまして。  そこで、食糧庁の指導といたしましては、原料玄米は、ちゃんと帳面等につけてこれははっきりしておりますから、それを帳面で受け払いをしっかりつけまして、そして単体の品種で袋に詰めるということをやります場合だけ、そういう表示を認めているわけでございます。普通の場合は、産地品種の表示をすることはいけないという指導を逆にしているわけでございます。それでなければ、消費者保護上かえって問題があるということでございます。われわれの考え方としては、そういうふうに出ました原料が、末端まで単体で運び込まれるということができる場合だけに限って、産地品種の表示を認めている、こういうことでございます。
  185. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 それが、実際の面で袋に詰めているものを、早くいえば抜き打ち検査とかそういうようなことをやって、確かに間違いがございませんというようなことをたまにやらなければ、消費者としても安心できないのじゃないでしょうか。長官が一生懸命に——全部回りの人は消費者ですから、長官一人で責められておったのです。やはりその消費者の側からして見れば、全部当然な質問です。国民全部の声だと思うのです。そしてみれば、この米屋さんで売っているのは間違いない、表示どおりのものであるという抜き打ち検査といいますか、そんなようなことをたまにやることをするかどうかですね。そういうことをやるかどうか。また、もう一つは、何といいますか、検査員が回って歩いていますね、巡回して。巡回しているだけで、袋の中を、袋に詰めたものを実際上出して検査をしているかどうか、そういうようなことを明確にひとつ御答弁願いたいと思います。
  186. 中野和仁

    説明員中野和仁君) ただいまのお話でございますが、一つは大型精米所で袋詰めする場合は、第三者の検定機関に検定をさせております。それから、巡回指導の点につきましては、現場の食糧事務所の職員が大ぜいおるわけでございます。これに毎月巡回指導をさせております。そして若干最近のデータがございますが、たとえば六月であれば、調査の件数は全部で四万四千件調査をやっております。そして、そこでいろいろ不適正なものがあるわけでございまして、必要な記載事項を記載してないものが七百七十件、それから産地品種、産年等でこれは偽りがあったというものが二十二件、それから、いろいろな不当な表示があるわけでございまして、不当表示だからやめたがよかろうと言いましたものが四百十八件というようなことで、これは毎月現場の職員を動員しまして、もちろん県庁とも協力しておりますけれども、やっておるわけでございます。
  187. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 何%ですか、不当表示というのは。率からいくと、何件に対して何%ですか。
  188. 中野和仁

    説明員中野和仁君) 六月のことを先ほど申し上げましたが、それによりますと二・七でございます。なお五月の場合は、三・八%というような指摘をいたしたわけでございます。
  189. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 消費者米価が値上げになりまして、外食等で関連物価の便乗値上げというものがもうすでに起きているわけです。これに対する防止方法をどんなふうに考えていくかということもからみ合わせてみますと、そういう不当表示されているというふうな面から見ると、消費者というのはいつもえらい目をみていることになるわけですがね。いまの検査方法なんですが、実際袋をあけてみて不当表示というふうになさったんでしょうかね。実際どんなふうにやっておられるのか。
  190. 中野和仁

    説明員中野和仁君) 不当表示は、普通は普通の米を入れておきながら日本一おいしい米とか、そういうような過大な表示をしているのが不当表示でございます。内容の問題につきましては、先ほど最初に申し上げましたように、白米になってしまったものは、これはどこのものかわかりません、実際問題としまして。そこで、さっき申し上げましたように、帳面で、ある米屋さんがきちっと帳面で何俵ササニシキが入ってきて、何俵つくったという受け払い簿を別にしましてきちっとやられているということが、確認できたものだけ表示はさせているわけでございます。ところが、そういうことをやっていないのは、先ほどまあ若干ございましたが、二十二件であると、こういうことでありまして、袋を破って、米がこれはどこのもので、表に書いてあるものと違うかどうかということは、これはなかなかわからないんじゃないかと思います。
  191. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 非常に消費者側のほうから言えば、物価の王様と言われているわけですね、お米の値上げというのは。これはもう必ずほかのものがどんどん便乗していくわけです。で、御存じのように、二十九日に発表した消費者物価指数、総理府で発表しておりますけれども、東京都の区部の九月の消費者物価指数が前月に比べて〇・九%の上昇をしている、前年度同月から三・三%も上昇している。本年度の最高上昇を今度は記録したというふうになっております。ずっと五月以降横ばいを続けておった全国消費者物価指数の総合も、八月は〇・八%も上昇している。こういうようなことを考えてみまして、二十八日の日銀の発表によると、安定の代名詞と言われた卸売り物価の九月の上昇が〇・九%になることが確実になったとも言われているし、これが一%になってくる。不況カルテルの問題もあるでしょう。大企業の寡占的価格の支配というものが大きな原因となってくるというようなこともあるでありましょうけれども、もしこれが一%になっていきますと、昭和三十八年の八月以来の異常な高値になってくるわけです。そうしたところに、物価の王様であると言われている消費者米価が値上げされたということは、これは大臣おいでになりませんけれども、ほかのものが上がって米が上がっていないのだから、まあ、うまいもの、自主流通米は上げるけれども標準米はそのままにしているから、大した値上げはしないのだと言っておられますけれども、実際はそうじゃない。先ほども中村委員質問もありましたから私は、これは省略いたしますけれども、あとの関連していくものに対する物価値上げ防止というものは、どんなふうにとらえられておりますか、その点をお伺いしてみます。
  192. 中野和仁

    説明員中野和仁君) お話しのように、米価、消費者米価の引き上げが物価値上げの起爆剤になるということがよく言われるわけでございますが、ただ昔と違いまして、現在、家計費に占める米のウエートというのは、わずかにというとおかしいのですが、三・八%です。これは平均でございます。十年ほど前は、これは一割近かったと思います。そういう場合といまとでは、かなり家計に対する影響は違うのではないか。ただ物価ということになりますと、物価指数の議論と、それから物価の感覚の議論、それから間接的な波及の問題はいろいろあるかと思います。今度の政府売り渡し価格の改定によります直接物価指数への影響は、本年度はたしか〇・一四%です。これを一年分にしましても〇・二七ということになるはずでございます。ただ、そのほかに外食に米を使っておりますので、普通いろいろ過去の経験からいいますと、米価が一上がりますと、大体四分の一ぐらい外食費が上がるという傾向が出ているわけでございます。それから、そのほかに米を直接使っておる、たとえば、みそだとかあるいはせんべいだとか、そういうものがあるわけでございます。今回みそのほうは、古々米を使っておりますからこれは上げておりません。それから、せんべいにつきましては、古々米を使う場合と、それから自主流通米を使う場合が区々であります。そういうようなことでありますので、先般、関係業界を全部集めまして、そうして今回の政府の売り渡し価格の改定の方針というのはこういうことだから、それ以上に便乗してもらっては困るという警告といいますか、注意喚起をいたしたわけであります。それから、一般論といたしましても、先般、県の部長、食糧事務所長を集めまして、米の値上げに便乗をして米関係のものを上げるというようなこと、それから、政府の売り渡し価格の改定のパーセントが平均しまして七・五ですから、それに便乗しまして倍も自主流通米を上げるということは困るということは、県庁にも注意をいたしましたし、それから、関係の卸、小売りの団体も集めまして、これも注意を喚起したわけでございます。ただ、それ以上の波及ということになりますと、よく労賃の値上がりを、たまたま米価が上がったから、米が上がったから散髪代が上がるということになりますと、ちょっともう食糧庁の手の及ぶところではないわけでございまして、やはりその辺は一般的な自粛を求める以外にはないのではないかと思うわけでございます。
  193. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 私、まだ質問がだいぶ、こんなにあるわけですが、時間がだいぶ経過したので、また銘柄のことにちょっと触れて終わりたいと思いますが、たとえばササニシキが各県で産出されますね、その各県の数の明細がわかりますか。宮城は幾らとか、東北五県ありますが、そのほかの県にもあります。  そして、さらに仕分け品種という、仕分け品種の考え方等について伺っておきたいと思います。ムツニシキは別にしても、日本晴とかあるいはコシヒカリとかいろいろあります。そういうあれは七十八種ですか、それに対する各県の生産高と、それからもう一つは、小売りに売られておりますササニシキならササニシキがどれぐらい卸から出ているかという、そういう数量は資料があれば出していただきたいと思います。当然ササニシキは、たとえば宮城県で何トンとれて、それが商店にどれくらい出回っているかというようなことも、当然わかるわけだと私は思うんですが、こういう三つの点について御答弁を願いたいと思います。
  194. 中野和仁

    説明員中野和仁君) 後ほどできます資料は差し上げたいと思いますが、たとえばいまのササニシキを例にとって、東北がわかるかというお話でございますが、岩手が四万七千トン、そのうち自主流通米に出ましたのが三万二千トン、宮城は二十七万六千トン、自主流通米に二十二万七千トン、それから秋田のササニシキは、検査しました数量が二万三千トン、自主流通米になりましたのは一万八千トン、山形が十二万五千トン、うち自主流通米十一万トン。福島が三万九千トン、うち自主流通米二万六千トンというふうになっております。これは四十六年の出回りの状況でございます。四十七年産は、まだこれからでございますからまだ把握しておりません。それが国に入りましたものは、国が卸売り業者に売るわけでございますが、卸売り業者に売る量というのは、これはいまどの程度把握——現場の事務所でやっておるか、ちょっと私わかりません。理論的に申し上げれば、これはわかるわけでございます。ただ、いま品種別にはそういうことは、はっきりは事務所の、何といいましょうか、操作としてはやってないようでございますので、これはわからないようでございます。卸から小売りにいった分は、これは追跡調査でもいたしませんと、なかなかわからないというのが実情でございます。
  195. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 まだ全部答えられてない……。たとえば三千トン、自主流通米として三千トン出ていきますね。そのことのにらみ合わせはどんなことですか。自主流通米として出しましたね、各県で。四十六年度これだけ出ているということについての三千トンとの考え方、にらみ合わせといいますか、そういうことは、どういうことでしょう。
  196. 中野和仁

    説明員中野和仁君) いまのように、三千トン、もし自主流通として農協がその県の米屋、卸売り業者に売ったとしますれば、その三千トン、ササニシキというものがはっきりしておれば、そこまでいったことはわかるわけです。今度卸売り業者が結びつきの小売りにどういうふうに分けたかということは、卸売り業者を調べてみませんと、別に食糧庁としてそこまでは把握してないわけでございます。
  197. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 これは後日の問題として、一応どの程度に、生産されたものがどの程度に販売されているか、店頭で売られているかというようなことが、当然理論の上じゃわからなきゃならないわけなんです。そういうことも、将来の課題じゃないかと思うのです。その点もひとつ御研究を願いたいと思います。  まだ、そのほかございますけれども、きょうは私この程度で、質問をやめます。
  198. 佐藤隆

    理事佐藤隆君) 本件に対する質疑は、この程度にとどめます。  本日は、これにて散会いたします。    午後二時五十五分散会      —————・—————