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1972-08-11 第69回国会 参議院 農林水産委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年八月十一日(金曜日)    午前十時二十分開会     —————————————    委員の異動  八月九日     辞任         補欠選任      辻  一彦君     伊部  真君      塩出 啓典君     柏原 ヤス君  八月十一日     辞任         補欠選任      伊部  真君     辻  一彦君      柏原 ヤス君     塩出 啓典君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         亀井 善彰君     理 事                 佐藤  隆君                 初村瀧一郎君                 中村 波男君                 前川  旦君                 宮崎 正義君     委 員                 河口 陽一君                 鈴木 省吾君                 高橋雄之助君                 鍋島 直紹君                 温水 三郎君                 平泉  渉君                 星野 重次君                 堀本 宜実君                 辻  一彦君                 戸叶  武君                 塩出 啓典君                 塚田 大願君    国務大臣        農 林 大 臣  足立 篤郎君    事務局側        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君    説明員        科学技術政務次        官        藤波 孝生君        環境庁企画調整        局研究調整課長  川口 邦供君        環境庁水質保全        局水質規制課長  山中 正実君        大蔵省主計局主        計官       山口 光秀君        厚生省環境衛生        局環境整備課長  折田 貞雄君        農林大臣官房参        事官      大河原太一郎君        農林省農林経済        局長       小暮 光美君        農林省農林経済        局国際部長    吉岡  裕君        農林省農政局長  内村 良英君        農林省農地局長  三善 信二君        農林省畜産局長  増田  久君        農林省蚕糸園芸        局長       荒勝  巖君        農林水産技術会        議事務局長    加賀山國雄君        食糧庁長官    亀長 友義君        林野庁長官    福田 省一君        水産庁長官    太田 康二君        運輸省海運局総        務課長      二宮  敞君        海上保安庁警備        救難部長     船谷 近夫君        建設省道路局国        道第二課長    藪本 健作君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査  (当面の農林水産行政に関する件)     —————————————
  2. 亀井善彰

    委員長亀井善彰君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  当面の農林水産行政に関する件を議題といたします。  これより質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言願います。
  3. 戸叶武

    ○戸叶武君 足立農林大臣に対して質問を行ないます。  足立農林大臣は、食管制度の運用を合理化する必要ありとの積極的な考え方をお持ちのようでありますが、大ざっぱな構想というものは、すでに新聞雑誌その他この前の委員会においても示されておりますが、食管制度は形骸化してしまったから、その実情に即応して改正するという点を強調していることと、もう一つは、長い間の農協マンとしての食管改正を行なう場合でも、農民が安心できるような価格保障は確立する考えだというふうに言い切っておりますが、その辺のところをもっとこの委員会で具体的に示していただきたいと思います。
  4. 足立篤郎

    国務大臣足立篤郎君) いま戸叶先生おっしゃいましたとおり、私この前、米価の問題で開かれたこの参議院農林水産委員会で関連的な御質問がございましたので、私の所信は表明いたしたつもりでございますが、いまおっしゃいますとおりで、私は、食管制度は三十年の歴史を経て、いろいろと果たしてきた役割りも変わってきたし、その間に米を中心とする経済事情もたいへん変わってまいりまして、法律厳然とありながら形骸化している部分も相当出てきておる。これは法治国家として守られない法律厳然とあるということは、順法精神にも影響する重大な問題という認識に立ちまして、何とかすっきりとした姿に直したい、こういう提言をいたしているわけでありまして、いま私の考えを示せという御質問でございますが、私は、決して逃げるわけではございませんが、私が頭の中でこうこうこうあるべきだということを固めてしまって、もうてこでも引きませんよということで、これを押し切っていこうという考え方では、実は毛頭ないんでございまして、むしろそういう提言をすることによって関係農業団体をはじめ消費者関係、その他学識経験者あるいは国会の諸先生方にもお知恵を拝借してどうしたらいまおっしゃるとおり農民も安心できる、そして形骸化した部分は、これをゆぐい去って新しい衣がえをしても、消費者のほうもがまんがしていただけるというような姿ができるであろうか、こういうふうなひとつ努力をしていきたい、こういうように思っておりますので、私が考えを固めてしまってこうだということではございませんので、どうかその辺はひとつ御理解をいただきたいと思っております。
  5. 戸叶武

    ○戸叶武君 私は、この前の足立農相の発言を記録した速記録も持っておりますが、その問題にこだわらずに、足立さんも今度は前のようなラフな表現でなく慎重な態度に立て直ってきたようですから、それでこの食管法を改正すると言っても、これはあなたが直観的に考えているような一面的なものの考え方によって変えられたらたいへんなことになりますので、この委員会等においても十分な論議をしないと、また、いろいろな官僚制度を悪用して政府審議会などというものをつくっちゃ責任を転換するところの虚構制度の上にあぐらをかく傾向がありますので、この際、私は、足立さんに、どうも田中内閣なり今日の官僚制度の上に依存している歴代内閣議会政治をおろそかにして憲法を無視して、たとえば総理大臣国会によってきめられるのに、事実上は自民党総裁選挙というような形において暗室で決定される、内容的には憲法違反です。また、このいろいろな意見でも、国会ではおざなりの答弁ではぐらかして、どんどん政権を握っておれば何でもまかり通るというやり方を、特に農政の問題で食いとめなければたいへんだと思いますので、私たちのほうもそのよい悪いは意見を承りましてからの意見にしますが、大体いまの足立さんの言った食管制度を形骸化したのはだれか、歴代農林官僚ではありませんか。歴代内閣ではありませんか。農業基本法というものを今日のような魂を抜いた状態に導いたのは、安上り農政によって農政の部門に対して他産業との均衡を是正するという基本的な姿勢をくずしたのは、歴代の保守党の財政金融政策大蔵官僚に引きずり回されたふぬけの農林官僚並びにその上に乗っかっていた歴代農林大臣のもたらしたことであって、そのことはやがて具体的な問題で私は、論戦いたしますが、足立さんが御承知のように、今回の米価貫徹農民大会というものは、全国的な下部にまで浸透する勢いで農協も私は、運動をやってきたと思います。その中において農民意思というものは、第一に、米生産農家意思を結集し、第二に、三年間据え置き米価をはね返し、第三に、要求米価実現と米穀に関する基本農政を確立するまでがんばろうということになったのですが、第三の問題はこれからです、また三年間据え置き米価の問題に対しては、あなたはこれは何とかしなければならぬ、やはり農協マン的な同情をもって見ておったようですが、赤城農政の継承という形ですけれども、あなたが打ち出した、米審に対して提出した原案というものは三・〇三%、これを諮問にかけて、そうして最後に政府米価決定というものは、基本米価は五・六%、それに銘柄奨励金がついて六・一二%ということになったというが、政府の出したものを大体われわれもそれ以下ということはないと思いましたが、六・一二%ときめる過程において米審答申を別に尊重したわけじゃない。国会の意向を別に尊重したわけではない。自民党政府との暗室の中における取引において米価決定をやったのは事実である。新聞自身が、米審答申以上に水ぶくれした政治米価、総選挙目当てのおおばんぶるまいという見出しで書き立てたのも、この間のいきさつを明らかに暴露したものだと思うのであります。こういう形ですべてのことが今後もきめられていくならば、国会も要らない。審議会も要らない。自民党独裁のもとに、米価決定であろうが何であろうが、国の重要な政策を決定すれば、それでまかり通るのであって、一党独裁のファシズムが米価決定において如実に示されておるのだが、これであなたはよいと思うのか。それとも、若干反省する点があるか。こういうことが改められないならば、国会は、あげて、あなたに対して十字砲火を浴びせて、この爆撃から始めていかなければならないと思うがどうか。お答えを願いたい。
  6. 足立篤郎

    国務大臣足立篤郎君) 戸叶委員は、いま、私が、米価決定に際して、米価審議会答申を尊重していないというふうにおっしゃいました。また、国会意思も全く聞いていないというふうにおっしゃいました。  米価審議会は、二十五人で構成されておりますが、この前の、米価に関する農林水産委員会のこの席上でも、私、概略の経過は御質問に答えて申し上げたつもりでございますが、最終日、三日目には、午前から午後にかけまして、全委員の一人一人の意見の開陳を私は、終始拝聴いたしました。で、自分ながらに、どういう方がどういう御意見を吐いたかというのを、類型別に分けましてメモをとってございます。ただ、米価審議会は公開されておりませんので、どなたがどういう御意見であったということは、ここで御披露申し上げるわけにまいりませんが、その結果だけを概略申し上げますと、二十五人のうち、もちろん会長と副会長は遠慮なさいまして意見を開陳しておられませんし、当日欠席された方が二人ばかりございましたので、まあ二十人余りの方が意見を開陳されたわけでございますが、私のメモでは、三・〇三%程度の値上げならばこれは認めてよろしいという方と、それははなはだ不満である、もっと上げろという方を合わせますと、十八名おります。言うならば、ともかくこの際、三年間据え置きになったのであるから、米価はもうできるだけ政府としてもふんばって上げてやれと、こういう方向答申であることは間違いございません。  したがいまして、私は、その答申の意を尊重いたしまして、できる限り努力をいたしたつもりでございますし、なお、米審が終わった翌日開かれましたこの農林水産委員会におきましても、やはり米価については考慮すべきであるという御意見が大勢を占めておったと思うわけでありまして、決して米価審議会国会の御意思を無視して私が三・〇三%よりも引き上げたというわけのものではないと私は、考えておりますので、どうかその辺の事情を御了承いただきたいと思います。  なお、自民党との間に暗室の中で取引したという酷評でございます。これは、新聞がいろんな報道をすることは自由でございますが、決してそういうやみ取引的なものではないということは、私は、確信を持ってここで表明いたします。自民党自民党なりに組織をつくっておりまして、熱心にこの米価について研究するのは、これは政党として当然なことだと私も考えております。しかも、最終段階で、私ども関係閣僚と党の最高幹部人たち総理官邸折衝をしたのでありますが、いままでのことはいざ知らず、今回に限っては、私、はっきり言い得ることは、すべて米価審議会諮問をいたしましたあの案に基づいて、あの積算基礎に基づいて、たとえばこの農林水産委員会でも強い御意見がございましたが、災害農家のいままで二〇%以上を除外したのを今回一〇%以上除外するということはけしからぬじゃないかというおしかりがあったのでありますが、この点は自民党におきましても同様な意見でございまして、これは従来どおり二〇%以上を除外をするということで、これは米価引き上げの要因になるわけであります。  それから、都市労働者通勤手当、これは、私、ここで実はいままでがむしろ間違いであったということをはっきり表明したのでありますが、党のほうにおきましては、いわゆる激変緩和農林大臣の言うことは認めるが、一ぺんにこれをとってしまうと米価にはねっ返りが大きいから、激変緩和でこれを圧縮しようということになりまして、結局いまおっしゃった五・〇六%というのが基本米価として党との間にきまったわけであります。  あとは、例の指定銘柄奨励金、これは、党の政策でぜひ上積みしてくれという強い御要望で、私も慎重に考慮いたしましたが、これは政策的効果がきわめてはっきりしておる、これは消費者が喜ぶようなうまい米を増産してくれという政策効果がはっきりしておりますから、これはやはり取り上げるべきものじゃないかというふうに考えましたので、これを財政当局の了解を得て最終的には取り上げることにいたしました。  したがって、いまおっしゃるとおり六・一二%という基本米価引き上げになったような次第でございまして、決していわゆるつかみ金で、政治米価で、暗室の中で何か妥協をしたというような性格のものではないと。いずれも私は、方向としては、米価審議会の御意見も、国会において御論議になりました御意見も、その方向に沿っておるというふうに確信をいたしておる次第でございまして、どうか戸叶先生、そういう誤解を解いていただきたいというふうにお願い申し上げます。
  7. 戸叶武

    ○戸叶武君 この委員会におきましては、積算基礎の問題に対しては、両方の立場、われわれ野党側と違っておりましたが、政府米審答申を忠実に守ったということでありますが、米審答申を聞くまでもなく、三年間据え置きして諸物価が上がり、労賃も上がっているときに、この前の委員会足立さんが言っているような言い方でもっては米価決定は困難ということは、常識を持っていればわかったはずであります。それに対して、当委員会においては明快なる回答をせずに、政府がでっち上げた米価審議会の言い分ならばそれを守る。さらに、この委員会でもってわれわれが指摘したことに対しては、いろんな弁解をして逃げていながら、自民党との談合の場合においてはそれに応ずる、こういうやり方の筋というものが私は、間違いであるということを、少なくとも国会をないがしろにするやり方であるということを指摘して、見解の違いかもしれませんが、今後の注意を促します。  そこで、あなたが、いわゆる銘柄奨励金に対して、政策的効果がはっきりしているものであるからこれをとったといいますが、これと昨年の良質米奨励金との比較において、あなたは、雑誌においては、「昨年は良質米奨励金というようなわけのわからないものをつけて、一等から五等まで全部つけたから、何のことはない政治米価で、基本米価の上に上積み」したこれはやり方である。「今度は違う。消費者の喜ぶ米を増産してもらおう、農民の意欲をかりたてようという政策目的がはっきりしている」銘柄奨励金だというふうに言っておりますが、さような御見解ですか。
  8. 足立篤郎

    国務大臣足立篤郎君) いま戸叶先生読み上げられましたとおり私は、考えております。
  9. 戸叶武

    ○戸叶武君 それでは、前のはでたらめで、今度のは正しいという意味ですか。
  10. 足立篤郎

    国務大臣足立篤郎君) 生産費所得補償方式にのっとりまして、データの取り方はいろいろいままで変遷しておりますが、農林省が事務的に是なりと信じた方法で計算をしたものの上に、いまおっしゃったように、昨年は良質米奨励金というものが上積みになりました。これが基本米価に繰り入れられたわけであります。そういたしますと、この良質米奨励金というのはばく然といたしておりまして、いま読み上げられたとおり、一等から五等まで上積みになったわけでありますから、これは政策目的がきわめてあいまいであるということを申し上げざるを得ないと思うのであります。でたらめという表現は、口がすべったわけでありまして、ある雑誌社でしたか、新聞社でしたか、来たときに、つい激しいことを言った記憶がございますが、でたらめとまでは言えませんが、ともかく一たん計数的に出した基本米価の上にきわめて政策目的のはっきりしない、良質米奨励金という名目であるが、一等から五等までついたんでは、これは政策目的がはっきりしていると私は、言えないと思うのでありまして、それに比べますと、今回の場合は、指定銘柄奨励金ということで、大体全国で生産される米の四割程度のものがこの恩恵を受けると思いますが、これはさっきも申し上げたように、消費者が喜ぶおいしいお米、良質の米を増産していただこうという政策目的がはっきりいたしておりますから、前年のやり方と比べれば、政策的にはっきりした線が出ているというふうに私は、存じておるということを申し上げたわけであります。
  11. 戸叶武

    ○戸叶武君 だから、それによって、あなたの御意見は、結局は良質米奨励金をもっと技術的に手直しして、発展して銘柄奨励金という形において打ち出したんだという程度で、あまりオーバーな表現は今後はやはり慎んでもらいたいと思うのです。  そこで、はっきりしてくるのですが、指定銘柄奨励金というのはうまい名前ですが、池田さんがかつて、貧乏人は麦を食えと言った思想を継承するものであって、貧乏人はまずいけれども安い米を食べよ、金持ちは幾ら金を出しても、いわゆる銘柄奨励金を出したおいしい米を食べるようにしたらいい。この素朴な考え方農政の上に乗せたのが、これは足立農政であり、これは足立さんだけでなく、その親分の田中首相日本列島改造論の中に貫かれている思想であります。あなたより田中さんのほうが大胆で、勇気があって素朴だが、彼は北海道あたりでは米をつくるなということを断言しているのです。これはあなたのは、それを幾らか若干やはり水割りをやっている。「北海道でも北見あたりまでは米をつくるのは無理だ。あの辺で米をつくっているのは、米をつくるほうが有利だ。それは三年に一ぺん収穫皆無になっても、政府災害融資で金を貸してくれる。水田地帯で米をつくってさえいれば、農業災害補償法で規模が大きい農業経営者は一軒で二百万円、三百万円ももらえる。だから、米をつくるんだ。これはけしからぬ。」ある半面はついていますが、この農業災害補償法を当てに、三年に一度はほとんど皆無にひとしいような災害にあっても、米をつくらなければ農民として生きていけないというようなところへ追い込んでいる農政を進めているのは一体だれであるかということを、今度は農林大臣、あんた初めてだから、あんたの責任というわけじゃないが、このことをもう少し考えてもらいたいと思いますが、あんたはそういうお考えですか。
  12. 足立篤郎

    国務大臣足立篤郎君) 前段、戸叶先生おっしゃいました、貧乏人は麦を食えというのと、指定銘柄奨励金と似ている、同じ考え方だという御指摘は、私の考えを率直に申し上げれば、全く違う問題だというふうに私は、考えております。と申しますのは、先ほど来申し上げているように、消費者が喜ぶおいしい米を一粒でもよけいつくって消費者のためにサービスするというのは、やはり農林大臣としてのつとめじゃないかと思います。そういう意味で、政策目的のはっきりしたお米を増産していただくための手だてとして、指定銘柄奨励金制度を設けるのは、私は、非常に意味があるというふうに実は考えているわけでありまして、貧乏人は麦を食えという思想とは全く違う、むしろ皆さんに喜んでいただくようにおいしい米の増産をはかりたい、この気持ちにほかなりません。  それから、北海道の問題は、私も着任以来この点に最も重点を置いていま、これから政策の展開をやりたいと思っておるわけでございまして、いま御指摘のとおり、私も北見地方の冷害の惨たんたる状況を農林水産委員会から視察に何回か行ったことがございますが、一歩畑作地帯へ入りますと、農業災害補償制度の裏づけもないまことに片手落ちな農政になっておる、しかも、あの北限のいわゆる亜寒帯まで無理をしてつくらなければならぬということは、これはやはり私は、農政の貧困であると言われても弁解の余地はないんじゃないか。省内でもはっきり関係局長には指示をいたしているわけで、大蔵省とも折衝をいたしております。したがいまして、畑作についてできるだけ国のフェーバーを与えて、米だけにたよらなくてもいいような誘導政策をとることが、農政の眼目だというふうに考えておりますので、すぐ一ぺんにあらゆる手段方法ができるかどうかわかりませんが、全力をあげてそうした誘導政策をとって、北限地帯の無理なところで米を無理につくらなくてもいいような農政を展開したいというのが、私の強い念願でございます。
  13. 戸叶武

    ○戸叶武君 池田内閣以来の考え方というのは、あなたはわからない。病膏肓に入るというと、お医者さんにもなかなか手が届かないので、やはり結果的には、おいしい米をみんなに食べてもらうと言うが、金のないやつは、おいしい米は食べられないというような形のシステムに入っていく危険性があるのです。いつでも米の問題は、米がないという形だけで米騒動や何かの暴動が起きるんじゃないのです。結局、おいしい米を買いたい、食いたいといっても、米屋や何かがそれを買い占めて、あとで問題にしますけれども、湯河原会談以来のあんたたち河野農政にまつわる不気味な因果話ですが、結局この米屋の買い占め、大正八年における米騒動でも、神戸の鈴木商店や何かが買い占めしちゃって、米が買えない。全国米屋が買い占めしている。富山の滑川の遠洋漁業をやっている留守宅を守る主婦が、米が買えない、金がない、そこで暴発したのが五十三年前の米騒動じゃありませんか。あのときの世情というものを最も正直に表現しているのが、たしか安成二郎君かだれかの歌に、豊葦原瑞穂の国に生まれ来て、米が食えないとはうそのような話。米はあるのだといっても、現実において米が食えないというような、うそのような話をくみとることのできない、待合政治の上にあぐらをかいておっては、金権政治の上にあぐらをかいておっては、農民の心、消費者の苦悩というものを農政の中にくみ取ることができないんじゃないかと思いまして、私は、これは論争はあらためて本会議や何かでやることにして、忠告だけしておきます。  問題は、北海道のことですが、ある意味においては、あなたは農業共済農協におけるベテランで、やはり私は、ある一面は正直に見てきたと思うんです。私も三年続きのあの災害があったとき、参議院農林水産常任委員長として三たび北海道の広野をたずねまして、ほんとうに涙が出ました。だれがこんなに、米が一粒も三年に一回ぐらいはとれないというようなところまでよくも米を引っぱってきたものだと、涙がこぼれたんです。それは歴代農林省の中におけるエリートの動き方を見ておればわかりますように、米の問題と取っ組み、品種改良をやらなければ農林省における技術者も成功はしない。品種改良というものに重点を置いて、熱帯、温帯地方でできた米を岩手県や北海道や、あらゆるこの地帯研究研究を重ねて、北海道でも米ができるようにした。北海道の中南部においては、内地とそう変わりはありません。あなたが引いているのは北見でありますが、しかし、そこでなぜ農民が米だけにかじりついているかというと、農業基本法をつくられたときの農村の家庭において、私たちは重化学工業の成長率と所得と、この成長率が低く所得が低い農業とは違うのだから、主要農産物の価格を安定させるような価格支持政策を行なわなければならない。  西ドイツの農業基本法の精神に従って日本でも行なえと言うのに、日本の保守党と農林官僚は、安上がり農政、金を出さないでどうやって農民をだますかという農政、それで米だけにしぼって価格支持政策を行なった結果というものが、ほかのものをつくったのでは満足が得られない。米さえつくっていれば、できなくても、一つもなくっても、農業災害補償法によって、それによって金が入る。あなたが言うほど二百万も三百万も、何もとれなくて入るかどうかは、あなたは調べているからはっきり知っているだろうが、そういうでたらめ農政をつくってきたのが、歴代の保守党の農政じゃありませんか。この食管法の間違いを是正すると言うが、当初から安上がり農政において価格支持政策をゆがめてきたのです。われわれは米だけでなく麦においても、果樹においても、蔬菜においても、畜産においても、食生活がどんどん変わっていくのだから、日本人の食糧全体を考えて、主要農畜産物の価格安定を目ざして価格支持政策を行なえということを、どれだけ農林水産委員会でもって戦ったかしれない。  当時、緑風会におけるいまの河野議長、社会党左派における江田君並びに右派における私たちが、森副議長もそのときは緑風会で良心的なほうだった。そういう形において政府を責め上げても、理論的にはわれわれが勝っても、権力を握り銭を握っているんだから政府が出さない。そういうやり方が蓄積して、今度の農政におけるヘドロとなっているじゃありませんか。公害の最大たるものです。つらを洗い直してください。  そういう意味においても、もっとまともに私は、農政に取り組んでもらいたいと思うんだが、私は、曲がりなりにも足立さんは、今度は農林大臣としては処女ですから、やはり謙虚な形においてその処女性を発揮して、素朴な農政でもいいから、われわれは小さなあげ足取りはやらぬから、もっとまともな農政をやる意欲があるかどうか、それを私は、あらためて承わりたいと思う。
  14. 足立篤郎

    国務大臣足立篤郎君) いま戸叶先生から過去のことにわたってるるお話がございまして、私どももまさに反省をしなければならぬ時点だと考えております。ただ、おことばを返すわけじゃございませんが、戦争中から戦後三十五、六年までの米不足時代、御承知のとおり、なけなしのドルを使いまして、それこそ現在はドルが余っておりますが、当時のドルは血のにじむようなドルを使って、あのうまくもない外米をばく大に輸入をせざるを得なかった、あの当時の実情というものを思い起こしていただければ、北限地帯まで米が伸びたという経済的な背景というものは、御理解いただけると思うのでありまして、これはあながち農政が間違っておったとばかりは私は、言えないと思います。ただ、転換すべきときには思い切って勇断をもって転換しませんと、とまどうのは農民だけでございますから、私は、やはり思いやりのある農政、先の見える農政をやらなければならぬというふうに考えておりますから、先ほど来るる御注意のありましたような点、私も積極的にこれを取り組んでおりますので、どうか今後とも御鞭撻をいただき、いろいろとお教えをいただきたいと思っております。
  15. 戸叶武

    ○戸叶武君 足立さんは戦後のドルの不足の荒廃期の事例を述べましたが、私は、昨夜、外交問題と二十五年八カ月取り組んできた私のなくなった妻の戸叶里子のメモを繰り広げてみましたところが、やはりあの荒廃期における農政の中の具体的な間違いとしては、一九六七年までの五年間に米国から二百九十七万トンの外米を押しつけられた。日本においては一九六八年、昭和四十三年ですが、二百六十五万トンの米が余った、こういう事実が明確にはっきりしているのに、具体的な事実を基礎として、そのときそのときに農政というものが改められなきゃならないのに、MSA協定の圧力のもとにずるずると日本の農政というものが自主性を失ってきたのですが、足立さんの名字は足で立つというので、自立性を意味するのでしょうから、この辺でもう少し自立的な農政をやはり確立して、名実ともに伴うような足立農政を確立してもらいたいと思いますが、そこで足立さんは正直に、この前にも、いままでの日本の農業政策はカチューシャ農政だと言っていましたが、それはどういう意味か。私たちも子供の時分、須磨子のカチューシャを聞いたことがありますが、これは行くには行けないし戻るには戻れない、シベリアの広野で立ち往生したカチューシャのような悲劇的な立場に日本の農民を置いていくのが日本のいままでの農政だということを、やはり農協マンの執念で率直な直感から申したんだと思いますが、せっかく農協から出て農林大臣になったんだから、その農民の心にひそむ慣りのカチューシャ農政の実態はいかなるものか、それをどう変えていくかということを、積極的な姿勢でお示しを願いたいと思います。
  16. 足立篤郎

    国務大臣足立篤郎君) いま御指摘のカチューシャというのは、これは冗談話である雑誌社が来たときに申したことですが、農政全般についてカチューシャ農政なんということを申したわけではございません。私は、この前の農水委でも少し露骨なことばで申し上げたのでありますが、生産調整ですね、たとえばいわゆる銘柄米をどんどんつくれるようなりっぱな美田を、ペンペングサをはやして国民の税金から補助金を出すというようなばかばかしいことは、農政をやったものから見れば、身を切られるような思いであるという表現をいたしましたが、そのことに関連いたしまして、いま御承知のとおり一時的な休耕は三万円の補償金、それから一時的な転作をするもの、これは三万五千円、永久転作をするものは四万円という奨励金をつけておりますが、その三万五千円の組のことをカチューシャ農業といいますか、という冗談話をしたのでありまして、あまり米価が上がりますと、転作しようかと思って様子を見ておった農家が、また米へ戻ってしまう。それで私の気持ちとしては、いま申し上げた美田を草だらけにして休耕するというようなことは、なるべく早く結末をつけたい、転作するものは転作のほうへ定着してもらいたい、その誘導政策農政としても力強く積極的にやるべきだと。行こうか戻ろうかとしているその三万五千円組が、ほんとうに腹をきめて転作をしてもらうようなことをやらないと、いつまでも尾を引いてこの生産調整なんというような無理なことを長くやらなきゃならぬということは、農政にとっては悲劇であるという意味のことをある雑誌社に冗談話に申したのでありまして、日本の農政がカチューシャ農政だと、こういうことを申し上げたのではございませんから、どうかひとつ誤解のないようにお願い申し上げたいと思います。
  17. 戸叶武

    ○戸叶武君 足立さんは一種の詩人で、冗談のほうが直感で正直にものを言っている。それは日本のいままでの農政は、明らかに農林省の言うことをそのまま受けてやったらば損をするぞ、逆をやらなければ農民は生きていけないぞというのが農村における古老の言い伝えであります。やはり私は、農林水産委員長のときにアメリカをたずねたのは、アメリカにおきましては、やはり養蚕の将来ということを私は、見たかったのであります。日本の農林省では桑を抜け、蚕をつくるな、もうだんだん貿易自由化の時代が来、ほかから蚕の養蚕の攻勢が始まる、絹ではやっていけない。それに人絹というものができたから、これは養蚕の将来はないぞ——アメリカへ行ったらまっ赤なうそで、イタリア産の玉繭のような素朴のようなものがどんどん歓迎されて、日本の絹はドイツあたりと比較して染料が非科学的でその当時は色がすぐさめちゃう。太陽光線に弱い。けれども夜会服には、何といっても肌ざわりは絹にこしたことはない。玉繭から織ったようなものが歓迎される。そういう形で絹は暴落しなかったんです。今度は急いで抜いた桑を植えろと言ったって、もう農林省の言うなりにいったやつは、もう桑は枯れちゃってどうにもならない。また桑を植えて養蚕。いまだに養蚕のほうは安定しております。こういうふうに、たとえば三日景気のときのビートでもそうでしょう。自民党や時の内閣は、ビート糖でもけっこういけるから、えらい金がもうかって笑いがとまらない砂糖会社の連中のもうけ金を税金でまき上げることをしないで、北海道へ投資させてビート糖をつくらせた。北海道でビート糖があまり成功しない。私は、やはり冷害のときに見たが、西ドイツの東ドイツに近いハノーバーにおいて、私はドイツの食糧農林大臣であったリベック博士の要請を受けて調べたときにも、やはり飼料ビートはいいが、このビート糖は成功しないということを説明されましたけれども、そういうことは農林省なり何なり十分研究してやったのだが、北海道ヘビート、ビートと言っても、三日景気によって結局は、全面的に敗退してしまった。一つも農林省のやることに科学的な一つの実験を基礎とした慎重な農政というものがない。こういう点から私は、やはりあんたの言っていることは動物的霊感というか、この直感がやはり私は、すなおだと思うのです。  そこで、問題はいまの貿易自由化の問題ですが、自由化の問題に対しては足立農林大臣は、非常にはっきりものを言っている。きのうの衆議院の農林水産委員会でも、制限品目の自由化をはかるつもりはないと断言しております。その制限品目の明示と、その断言どおり実行してニクソンと田中さんのハワイ会談のようなことでくずれるようなことはないか、その点を承りたい。
  18. 足立篤郎

    国務大臣足立篤郎君) 制限品目を明示せよというお話ですから、まず事務当局からその点は、はっきり申し上げさせます。
  19. 吉岡裕

    説明員(吉岡裕君) 現在農水産物で二十四品目の残存制限品目がございます。大きく分けまして乳製品で三品目、肉及び肉加工品で二品目、米麦の加工品で三品目、果実、野菜、その加工品で六品目、でん粉類で二品目、雑豆、落下生等の地域農産物で三品目、水産物で四品目、その他食糧調整品というふうな調整品のくくりがございまして、それが一品目、合計二十四品目でございます。
  20. 戸叶武

    ○戸叶武君 足立さんの言明は、衆議院の昨日の農林水産委員会の言明どおり受け取ってよろしゅうございますか。
  21. 足立篤郎

    国務大臣足立篤郎君) いま事務当局から申し上げましたとおり、わが国の残存制限品目は、二十四品目でございますが、これは国際的に見まして、決して多過ぎるという数字ではないと私は、確信しております。現にフランスは三十九品目、西ドイツ、イギリス等で十九品目、アメリカでも実際は十二、三品目制限品目がありますので、先進国並みになっておると申し上げて決して言い過ぎではないと思います。のみならず、これらの残存輸入制限品目は、それぞれ一品目ずつ見ますと、かりにこれを自由化しましても、輸入される金額というものは、そう大きなものではございません。おそらくざっと計算して全部自由にしても、まあ一億ドルかそこらというふうに考えますが、それをやることによって日本の農業が壊滅状態になると私は、確信しておりますので、全く意味がないというと語弊がありますが、さような自由化というものは、いかに先方の都合で要求がありましても、認めるべきではないというふうに考えております。
  22. 戸叶武

    ○戸叶武君 足立さんのその見識と勇気には、率直に敬意を表します。そこでアメリカ農林省の発表によると一九七〇年会計年度によれば、米国の対日農産物輸出は十億八千九百万ドルに達し、一国に対する農産物輸出が十億ドル以上をこえたのは、合衆国として開聞以来ということになっておりますが、昨年度の日本への米農産物の流入は十二億六千万ドルに増加し、ことしは十億ドルに達するであろうとまで言われ、アメリカ政府は一九八〇年までには二十億ドルにふやせと、対日要求にきびしいものがあるということでありますが、そのことは外務省との関連において承っているかどうか。これは今度のハワイ会談においてそういうことが具体的に出てくるかどうか。農林省としての受け取り方はどうかを承りたい。
  23. 足立篤郎

    国務大臣足立篤郎君) いまおっしゃいましたアメリカからの輸入につきまして、漸増いたしておりますが、そのおそらく五〇%強が飼料だと思います。具体的には事務当局からお答えをさせます。
  24. 吉岡裕

    説明員(吉岡裕君) 先ほどお話のございましたように、アメリカの農産物にとりまして現在、一カ国で取り上げますならば、わが国が最大の農産物の輸出先国になっておることは、ただいまもおっしゃいましたとおりでございます。こういうふうにわが国への輸出がアメリカから増大をしておるということでございますが、その中の一番大きなものは、いま大臣がおっしゃいましたように、わが国の畜産の振興に伴いますえさ穀物のわが国への輸出というものが非常に顕著に伸びております。手元に詳細な数字を持っておりませんが、約一千万トン相当分のえさ穀物と大豆等がアメリカからわが国に輸出されております。  以上でございます。
  25. 戸叶武

    ○戸叶武君 日本の畜産というものが、徐々に伸びていくのは一つの趨勢でございますが、問題になっているのは、やはりえさ代が高いという点であります。いままでアメリカに依存していたが、貿易自由化の促進と近隣諸国との友好関係というものが促進されている今日におきましては、隣の中国なり朝鮮なりから安い飼料が入るような段階になってきておるのでありますが、それらの問題と足立農林大臣は、今後どういうふうに取り組もうとしておりますか。
  26. 足立篤郎

    国務大臣足立篤郎君) いま飼料が高いという御指摘がございまして、私もこの数年来その点は痛感いたしておりますが、円の切り上げの影響等もございますし、またアメリカが過剰生産になっておりまして、いま、えさの値段は相当下がっておりまして、日本としては、いまは非常に有利な取引をしているわけでございまして、現に国内の販売価格も相当下がってまいっております。  それから、中国との関係でございますが、いままで正式に国交が開かれておりませんので向こうの様子はつぶさにわかりませんが、大豆等は入っているものは相当入っているんでありますが、また日中貿易も相当な部分が農産物であることは先生御承知のとおりでございますが、えさ類については向こうからもそれほど強い輸出したいという要求もないようでございますので、向こうの事情がよくわかりませんが、日中国交回復ムードも盛んになってまいりまして、これが正式な国交が開ければ向こうの様子もよくわかりまして、安いものが入ってくるならば、日本の農家のために私としては、歓迎したいと思っております。
  27. 戸叶武

    ○戸叶武君 私は、アメリカで土地銀行をつくって作付制限をやった当時アメリカを視察したことがありますが、前後五回アメリカ旅行の中でなるほど富める国の悩みというものは、こういうものかと思うほどとにかくあり余った小麦を貯蔵しているのに骨が折れるような、入道雲のような倉庫が各地に建てられておって、南極にでも船で持っていかないとどうにもならぬという悩みを訴えられたのを見たことがありますが、昨年はソ連の冷害その他による不作で、今回行なわれた米ソ協定では最低七億五千万ドル、十億ドルにのぼるであろうというような小麦その他の食糧がアメリカからソ連に送られることになっているということでありますから、日本だけに前のようなニクソン一流の強引な押しつけはないと思いますが、それにしてもやはり田中さんや足立さんは、日本の農業の転換期における危機において日本の農民に生きがいを感じさせないようなやり方をやると、とんだつまずきになるから、その点は私は、十分注意してもらいたいと思います。  私が当初に大正八年、五十三年前の米騒動のときを思い起こさせたのは、足立さんもまだ子供の時代でよく記憶していなかったかもしれませんが、それ以上にやはり深刻であったのは、昭和四年から五年の世界経済恐慌を背景として昭和八年の農村の私は、危機感だったと思います。あの危機感を受けとめないで太平ムードの中におったがゆえに、農民の子弟、青年、及び農村を背景として出てきた少壮将校に昭和七年の二月九日に井上準之助が殺され、やがて、団琢磨が殺され、五・一五事件では犬養総理大臣総理大臣官邸で殺されたのです。私は、当時朝日新聞記者をしておりましたが、だれがあのような事変が突発的に起きると思っていたでしょうか。やはり社会の底流に流れている暗流というものに触れていかないと、太平ムードの中に元禄の変事があったように、私がこわいのは底流の爆発です。特に米の問題で一歩誤ると、端境期には、この間の委員会においても追い詰めた話によると、五十万トンじゃない二十五万トンだといったら、なかなか食糧庁長官は正直に答えましたが、食糧庁長官、いまの持ち米はどの程度にほんとうのところなっているのですか。あぶなくないですか。買い占めが行なわれていますよ。
  28. 亀長友義

    説明員亀長友義君) 本年度の全体の需給計画から最初に申し上げますと、御承知のように四十七年度の、昨年十一月でございますが、このときに政府としては五百八十九万トンの古米を持っておりました。このうち四十五年産米が百五十九万トン、古々米が四百三十万トンでございます。その上に供給量といたしましては四十六年産米が出てまいりまして、これを六百八十五万トンというふうに考えております。以上の供給に加えまして、需要の側といたしましては、七百六十万トンの配給計画を立てておりまして、このうち前年産米を百万トン消費をするという既定計画によりまして、四十六年産米は六百六十万トン配給をする。以上のような計画のほかに、古米の過剰処理として二百三十万トンの過剰処理を考えております。その結果、年度末の政府持ち越し在庫は、四十六年産米が二十五万トン、古々米が二百五十九万トン、合計いたしまして二百八十四万トンとなる予定であります。しかしながら、以上は四十七年産米の、今度の新米の供給を全くの計画外に置いた数字でございますから、現実の問題といたしましては、四十七年産米が四十七年の十月末までには、大体二百七十万トン見当出るという計算をわれわれ立てております。したがいまして、四十七年十月末の政府の在庫見込みといたしましては、四十六年産米が二十五万トン、四十七年産米が一応二百七十七万トンというふうに考えております。以上のほかに四十五年産が五十三万トン、四十四年以前産が二百六万トン、この十月末の米穀年度には合計五百六十一万トンの政府在庫というふうに考えております。当面、このうちで配給に当てますのは四十六年産米の持ち越し分二十五万トン並びに新米の四十七年産米、これが二百七十七万トン、こういう状況にございますので、四十七年十月末前後の、すなわち九月、十月あるいは十一月という段階におきます需給操作に関しましては、私どもは何も不安はない、かように考えておる次第でございます。
  29. 戸叶武

    ○戸叶武君 私の国のほうの新聞によると、流通米がだぶついて、買い占めておけば米が少なくなるんでもうかるぞという意味から、至るところで買い占めが行なわれて、たいへんな混乱が起きているというようなことの報道がありますが、私は、これは大正八年の米騒動の前後のことを考えると、政府が明らかに端境期の危機を伝えているし、農協の倉庫はどこもからっぽですから、古々米などと言っても、古々米なぞはなかなか食べたくないという人間的な本能が非常に強いですから、この九月、十月、十一月あたりを気をつけないと、足立農政御破算時代が来ないとも限らないから、私は、簡単にそれは警鐘だけをしておきます。  最後に、私は、足立農林大臣に承ります。日本の農業政策の位置づけでありますが、今日のようなグローバルな時代に、世界経済の流れの中における日本経済、その中における農政のあり方というものを位置づけなければ、この農政の小さなワクの中で生産性があまり高くなく、所得も低いこの農業を具体的に保護していくという施策が貫かれない以上は、私は、農政の貧困がそこに起きると思うのでありますが、そこに社会的混乱が誘発される危険性が内蔵していると思いますが、あなたはその点は何ら心配しておりませんか。
  30. 足立篤郎

    国務大臣足立篤郎君) 日本農業の位置づけという、たいへんこれは一口でお答えしにくいむずかしい問題だと思います。しかし、私は、農政をあずかる責任者といたしまして、日本列島の南北に長く横たわった非常に特性のある地理的条件を一〇〇%に生かしまして、いわゆる適地適作の実をあげて、農民に希望が持てるような農業を実現したい、こういう熱意に燃えております。同時に、この日本列島の気候、風土、特性を生かしまして、できる限り自給度を高めていくという考え方に徹していきたいと考えております。私も長い間農民と接触してきた人間でございますし、日ごろの生活も密着いたしておりますが、それぞれ地方によっての、地域の状況は違うと思いますが、私が承知している範囲では、いわゆる農業基本法に述べられている選択的拡大といわれている専業部門、たとえば果樹とか畜産とか施設園芸とかそういう方面、あるいは肥育——畜産の中にもいろいろございますが、そういう方面に伸びていった人たちは、非常なはずみをもってそれぞれの事業の拡大に努力をしていらっしゃると思います。  問題は、一番手間ひまのかかる稲作農業でございまして、これを赤城農林大臣が提唱された団地営農制度の確立に私は、邁進をしたい。それにはいろんな基礎的な条件が満たされませんと、うまくまいりません。ただ土地改良やればそれで済むというわけではございませんが、各般の施策を集中いたしまして、希望の持てる農業にし、先ほど申し上げたような自給度を高めて、なるべく外国の農産物に依存しなくて済むような努力を続けるべきだというふうに考えております。
  31. 戸叶武

    ○戸叶武君 近代国家における国の行なう経世の学として、学的な形成がなされたのは経済学の分野、政治学の分野で、やはり私はそこに経済学のマーカンティリズムの前におけるフィジオクラットの果たした役割りというものは多いと思うのです。いま、フィジオクラットの重農主義の立場の政策をここで繰り返すというのではないのですけれども、その当時において、その国の民心を安定させる意味において、いかに農業政策が重要であったかということは明らかなのでありますが、今日のような高度経済成長政策の中においても、このことをおろそかにすべきではないと思うのです。私は、自分の一生をアメリカの大学とカナダの大学でフィジオクラットの研究をしてきておりますけれども、そういうことは別として、いまの土地問題の混乱におきましても、日本には資本主義経済学者なり社会主義経済学者なりいろんな立場は持っているけれども、結局、マルクスの剰余価値説というものにこだわり過ぎて、いまから百年ほど前のイギリスにおける日本と同じような高度経済成長政策の資本主義安定期にかもされた混乱としての剰余価値説では、土地価格の変動は説明できない。不労所得説によらなければならないというリカードなりジョン・スチュアート・ミルの説があったように、ものを実証的に具体的に研究し、対策を講ずる施策というものが政策の中に流れていないので、結局現象形態にだけこだわって、前のカチューシャ物語じゃないが、行こか戻ろか放浪している、よろめいているのが今日の農政の実情でありますが、百年前に日本が近代国家としての体系をつくったときの明治五年の国勢調査によると、当時の日本の人口は三千三百十一万人、その八三%は農民であって、農民の自給自足は大体なされておったのであります。それ以後において、人口も食糧の生産もおのおの三倍になったのですが、今日の問題で基本的に考えなければならないのは、日本の食糧自給を一〇〇%にしようということは言いませんが、いままでは八〇%、いまでは七〇%程度にくずれておると思いますが、西ドイツのように、陸続きの近隣に農業国がある国は別として、日本ではどの程度の食糧自給が必要だと足立農林大臣はお考えかどうか、それを承りたいと思います。
  32. 足立篤郎

    国務大臣足立篤郎君) これは非常にむずかしい御質問でございまして、学者によってはいろいろな議論をしておりますし、私もできる限りそういう資料等も読ましていただいておりますが、現在は、先ほど来繰り返し申し上げているように、生産調整という、せっかくの生産力を持った美田を、草をはやしておけば補助金を出すというような、全く通常の農政では考えられないような無理なことをいたしておりますから、これは自給度が下がってきておるのは私は、当然だと思っております。先ほども御説明申し上げたように、飼料等については、いま畜産振興のために相当な輸入をいたしておりますので、その面からも自給度が下がっております。これが八〇%がいいのか、七〇%がいいのかということは、これからの経済発展、または日本列島改造なんていう問題も出てまいっておりますが、そういうものでどういうつぶれ地が出るのかということも考え合わせませんと、ただ土地がないのに、自給度だけ高い目標を置きましても、これは実現不可能であります。しかし、私どもは、一応従来の関係から、いま申し上げましたようないろんなマイナス面がある程度解決されれば、自給度の目標としてはやはり一応八〇%程度は目標にして努力を続ける、こういう心がまえが必要だというふうに考えております。
  33. 戸叶武

    ○戸叶武君 食糧庁長官、現在、どの程度の自給度がなされているのですか。
  34. 亀長友義

    説明員亀長友義君) 大河原参事官から。
  35. 大河原太一郎

    説明員大河原太一郎君) お答え申し上げます。  四十五年度の概算でございますが、食糧につきまして、これは食糧でございますので、水産物を含みます総合食糧自給率が八一%、それから食糧農産物の自給率が七六%、米を一〇〇%——米が、大臣からいまお話があったように過剰でございますが、米を一〇〇%とした場合には、七五%でございます。
  36. 戸叶武

    ○戸叶武君 日本の食糧自給がくずされているのは、食糧全体があり余っているというのではなく、政府の施策が総合的な指導性がないから、結局アメリカの余剰農作物を受け入れ、その圧力のもとに日本の自給度というものはくずされているのです。こんなばかなことはないのです。それをしなければ、アメリカが日本の物を買ってくれない。電気製品にしても、その他の製品にしても買ってくれないから、農民が泣いてくれ、カチューシャじゃあるまいし、年じゅう泣いてばかりはいられない。こういう私は、隷属国家的な農業政策というものは、もうごめんだというのが腹の底から農民の中から出てくる、出てきつつあると思うのであります。そういう意味において、私は、いつも農業政策の文献ではカウツキーの農業問題を高く評価しますが、それ以上に第一次世界戦争に敗れて、ナチに葬られる前の軍部の鬼才ハンス・ホン・ゼークトが書いた、ドイツ再建の基本問題として食糧問題を取り扱っている名著の中において、彼はドイツが敗れたのは軍事力で敗れたのじゃない、食糧暴動で敗れたのだ。食糧の自給体制がなかったために、敗れたのだということを具体的に問いております。ゼークトは右の人で、軍部の鬼才ではあったが、政治全体はわからなかったでありましょうが、しかしながら、敗戦ドイツの混乱だけでなく、ロシアの例を見てもわかりまするように、暴動のきっかけはいつも食糧問題です。瑞穂の国で米の問題をへたに取り扱うと、必ず政府は転覆します。あのビリケン寺内内閣は、長州軍部全盛の期においてシベリア出兵をやって、大正デモクラシーの怒濤の中に倒すことができなかったが、滑川の女性の抵抗の中に、全国的な食糧暴動を押えるために戒厳令を布いたが、ぺちゃんこになってしまいました。殷鑑遠からず、私は、この一、二年の間におけるこの日本の第四次防衛計画のあのでたらめさ、外国の軍需産業と結んで、アメリカにおいても軍部と軍需産業によってベトナム戦争が遂行されているあの不生産的なやり方がアメリカを破綻に導いておるように、日本の軍国主義の復活とアメリカに迎合する自主性のない日本の農業政策が、日本の保守党の命取りになることは明らかです。どうぞ心して、今後における足立農相、どうぞ自立農政をつくって、田の中のかかし同様の目に田中さんをあわせないように注意していただきたいということをあえて警告し、今後における論戦を通じて、おそらくは適当なときに選挙をやるのでしょうが、選挙の前にわれわれは堂々の対決をやって、この田中内閣を少なくとも日中国交正常化なりソ連との平和条約に対しては協力を惜しみませんが、その他のでたらめ政策に対しては、とどめを刺すつもりだから、さよう心得て堂々の対決をやってもらいたいと、こういうことを私は、今日あえて果たし合い状を通告する次第であります。
  37. 佐藤隆

    ○佐藤隆君 つい一カ月前まで私は、そちら側にいたわけでありますが、どうもこの変身ぶりにいささかちゅうちょをいたさないでもないのですが、しかし、それだけまた時の流れが変わっている、流れが速いということでありますし、たまたま日本列島懇もすでにメンバーがきまりましたが、この日本列島改造計画の進みぐあいについて、いささか農山漁民あるいは農林漁業に関心を持っている人たちが多少の懸念をいたしております点は、それは農林漁業の論理というものがやはりあろうかと思います。その農林漁業の論理でやはり十分な議論を尽くすべきではないか。  そのためには、やはり生産基盤の整備、環境の整備ということをあわせてその上での改造計画、農山漁村社会は一体どうなるのかというようなことで、議論を詰めてもらわなければならぬと思います。その場合のスタッフが、どうも水産関係と林野関係はほとんどいないではないか、そうしたことでスタッフについていろいろ意見も出ていることは、すでに農林省当局も御存じだと思いますので、この点については答弁は要りませんが、そうしたスタッフもでき得れば入れられて、そうして農林漁業の論理をもって十分議論をしていくということにぜひお願いをいたしたいと、提言を申し上げておく次第であります。  そういうことで、これからいろいろな形の中で農政の転換が次から次へとはかられていく、少なくとも現状でよろしいという保守的な考え方は誤りだと思います。いろいろ農業問題を議論していく中で、現状のままでいいのだ、新しいことはいけないという議論もわれわれは耳にすることがあるわけでありますが、少なくともやっぱり転換をはかっていく、これは必要だと思います。  時間がございませんのでかいつまんで申し上げますが、その中で従来、農林省が示してきた地域分担、ガイドポスト、これを一体これからの農政の転換にどう利用していこうとするのか。ここで長い議論をしようとは思いませんが、でき得れば、実は私も在任中いろいろこのことについてあらゆる機会をとらえて議論をしてまいりましたが、できれば地域分担の思想というものは、これはやはり貫くべきである。そうしてこれがやはり農政の転換の一つの基礎ともなるべきである。北海道農業という問題について、北限農業という形で特殊なものであるからということで、道庁、農林省を主体として、そしてそこに北海道開発庁も加わって北海道農業連絡協議会というものも、実は四月に発足ができた。これをやはり進めていって、私は、農林省が示したガイドポストと、それから今度各県ごとで詰めたガイドポスト、これをあわせてみて、そうしてどこに無理があるか、どこに新しい要望があるか、それを一々拾って詰めていかなければならぬということを主張してきたのでありますが、そういうやり方を、日本全国一度にやろうと思ってもなかなか無理でありますから、せめて、じゃ北限農業、北海道をどうするか。南方農業ということで沖繩農業は、特殊な位置づけがすでに理解されておりますから、北海道農業ということをほんとうに真剣に考えていかなきゃいかぬのではないかと、こう思っておりますが、それは今日の新しい局面を迎えた農政の転換期にあたって、そういう考え方で進んでいくということで理解してよろしいかどうか、その点一言でいいですからお答えをいただきたいわけであります。
  38. 足立篤郎

    国務大臣足立篤郎君) 佐藤さん、いま前段の御意見には返事は要らぬということでございますが、返事をさしていただきますが、日本列島問題懇談会のメンバー、当初は何か総理は三十人くらいとお考えのようでございました。ところが、いまおっしゃるようにいろいろ関係団体がございますし、それ以外に評論家とか学者とかいろんな方にやはり入っていただかなきゃならぬ関係からだんだんふえまして、この間第一回やったんですが、驚くなかれ七十五人という大世帯になりました。いまおっしゃるように、その中に最後の段階で水産関係の代表の方が二人加わりまして、私のほうも一々露骨な注文はつけなかったんでありますが、官房長官のほうが何かもの忘れでもしていると困ると思って、水産が二人入ることは農林省としてまことに歓迎すると、しかし、国土の大部分を占める森林関係の専門家が入らぬということは、まことに片手落ちじゃないか、意見を聞くにしても片手落ちだということを申し入れいたしまして、森林関係の代表の方も二人程度は入っていただくということに内諾を得ております。ただ、この間のあれに間に合いませんで、もう招集してからそういう水産関係が加わったということがわかって、実はいささかあわてたもんですから、正直に申し上げますと。間に合いませんから第二回九月中に必ず開くということになっていますが、そのときにはその森林関係の代表も加えるという官房長官の内諾を得ておりますから、いま最初のお話は、私のほうも配慮いたしておるということを御報告申し上げさしていただきます。  それから、日本列島改造に関係して北海道の問題にまで触れられましたが、佐藤さんが政務次官在任中非常に御熱心に取り組まれてこの地域指標、これはコンピューターがはじき出したそうでありますが、そのコンピューターはもともと人間が動かすものでございますから、原動力になられたのは佐藤政務次官だということを伺っておりますが、私は、正直にいいますと、この指標はやはりデータは人間がコンピューターにぶち込んだものでありますから、少し妥協し過ぎているように思います、正直に言って。もっと正直な数字が出てしかるべきだと思いますし、いまおっしゃるような地域の特性を生かしての私は、適地適作と言っていますが、その基礎になるこの地域指標は、もっと出すものははっきり出して、それに取り組むという姿勢が農林省としては必要じゃないかというふうに思いますので、北海道の問題につきましても、おっしゃるとおり真剣に取り組んでいきたいというふうに思っております。
  39. 佐藤隆

    ○佐藤隆君 実は私は、北海道へ在任中に視察に参りますと、その地域分担進めるというと、おまえ米どころだからそういうことを言うんだろうと。しかし、地域分担というのは稲作だけの問題ではなくて、まさに日本農業の問題であると理解してほしいということで御理解を願ってきたわけでありますが、ここで私は、きょう米の問題が主体でありますから、米のことについて質問させていただきますが、米どころの生産調整というものをやはり誘導指標に基づいての生産調整、これは四十六年度よりも四十七年度というぐあいにだいぶ地域分担の思想考え方を含めて濃度を濃くしてきているのが実情でありますが、これから行く先のことについても、たとえば来年度のことについても、この機会に触れていただけるならば、簡単でいいですからひとつお答えをいただきたい。
  40. 足立篤郎

    国務大臣足立篤郎君) 実はその問題につきまして、先般の米価審議会でも御質問が出まして、私は、少し大胆過ぎるような御返事を申し上げた。というのは、もう四十六、四十七と二年生産調整を進め、幸いに全国農民の非常な御理解をいただいて、予想以上に生産調整が進んでおる。しかし、これはやはり定着させなければ、将来とも減反というような無理なことを私は、続ける気はないので、早く転作を定着さしたいと思っておる。それにはもともと米しかできないというところに生産調整を割りつけて、さあそこで転作を定着せよったって、初めっから無理な問題が含まれておる、そう私は、信じます。したがいまして、そうしたさっきお話しのあった地域指標というものを十分に考えて、来年の生産調整につきましては、ほんとうに将来転作を定着していただけるような施策をあわせて、そして各県と談合という露骨なことばを使ったんでありますが、これは行き過ぎかもしれませんが、よく協議をしまして、頭からコンピューターで割りつけるということでないように、それぞれの地域の特性を生かして話し合いで納得のいく生産調整の割りつけをいたしたい。割りつけというと語弊がありますが、お願いをいたしたいというふうに考えていますから、いま農政局長に宿題を与えていますので、農政局長だいぶ頭が痛いようでございますが、私の方針は、そういう方針で臨みたいと思っています。
  41. 佐藤隆

    ○佐藤隆君 食糧管理についてお尋ねをいたしますが、私は、食管法というのは必要だと思っております。そういう意味において食管堅持賛成、こういうことであります。しかし、食管法も先ほど冒頭に申し上げたように、あらゆる農政の多角的な面において現状のままでいいとは言い切れないと申し上げましたが、食管法それ自体の中身についても、いまのままでいいのかどうか私は、若干の疑念を持っております。まあ、積極的に改善ができるものならやはり検討してやっていくべきである。米穀管理研究会ですか、こういうものも大臣の諮問機関であるわけでありますから、そこでひとつ十分練っていただいて、いま宮脇農協中央会長農協食管論なんというものもあるとかないとか、あるいは大臣もそれと同じだとか、いや実は中身は違うのだとかいろいろ揣摩憶測されておりますが、この議論はここではいたしません。  いずれにいたしましても、現状でよいのか、現状ではよくはない、やはり積極的に検討を進めていくべきであるという考え方をひとつ申し上げるということでとどめておきたいと思います。  それにいたしましても、実は米の主産地域における農業所得の低下とかあるいは農協経営の不振とか稲作農家の不安感というものは、この間の米価決定後も依然として続いております。そうした中で四十七年産米の検査あるいは買い入れ、このことについて実は質問をいたしたいわけであります。  少なくとも米作地帯農民の生産意欲の減退にならないような形で、そうした大前提としてのそういう考え方をひとつお忘れないように答弁をしていただきたいと思うわけであります。  いま、コンバインや何かどんどん入りまして、非常に取り入れ時期、したがって出荷時期が短期間になったわけであります。これは米どころの実情であります。そうしたときに前からの計画でありますが、食糧庁においては食糧事務所機構の合理化というか、二段制の統配合、言うなれば出張所廃止問題、こういうことが計画としてあるわけでありますが、しかし、全国的に見て、やはりこれは先ほど申し上げた地域分担の思想にもつながるわけでありますが、その地域その地域によって違うのではないか。しかし、一たび二段制ということでこれを進めていくときに、まず第一はデスクプランが必要だ。そのデスクプランに基づいて進めてきた。しかし、現状はいろいろ、その後いろいろな不平不満、そういうものがある。これは現実であります。そうした中で、私は、やっぱり当初の計画を全然曲げないということではなしに、当初の計画は計画として、やっぱり実情に合った進め方をすべきではないか、計画どおり強行するというようなことは、これはちょっとどうかな、それはやめていただきたい、こういう考えを私は、持っているわけであります。いままでの検査体制それ自体について、実は農民は少なくともこのままじゃどうするんだと、あるいは検査員が五時になればぴしゃっとやめてしまう、庭先にもう米は積んだままだ。もう少し弾力的なお役所仕事ができないものかどうか。これはまあ、ひとつの労働基準法上の問題とか、あるいは服務規程、そうしたことに関連する、あるいは役所の中でのやはり経営者側と組合側という、そうした中での議論もいろいろあろうかと思います。あろうかと思いますが、その点やはりもう少し弾力的に何か考えられないものかどうか、こういうことについての不満があるのが事実であります。そういう不満のある中に、その不安にまた新たな不安を持ちかけているのが出張所の廃止なんです。だから十分理解してもらう、そのための話し合いはやはり必要でありますし、県とかあるいは農協とか、そうしたところにやっぱり相当な協力を呼びかけて、そして現地の食糧事務所がその運用に万全を期する、これが必要だと思うわけであります。私の地元にもそういう具体的な問題もありますけれども、全国的なやはり問題として、一体検査体制はどうなっているのか、それをひとつお尋ねしたいわけです。食糧庁長官
  42. 亀長友義

    説明員亀長友義君) 食糧事務所に配置してあります検査員が食糧の出荷の検査に当たるわけでございますが、御承知のように政府には一般的に公務員の定員削減計画というものがございまして、これは計画的に実施をいたしております。したがいまして、検査員を問わず、全般的に各省庁とも定員の削減計画が進捗をいたしております。そのような状態のもとで、当然食糧事務所の職員にも、この削減計画が一般的計画のもとに及ぶわけでございます。また片方には、御承知のように食糧庁の食糧事務所の職員のうち約八割近くが検査員でございまして、一年のうち数日しか仕事がないじゃないかというような御批判も、かなり行政管理庁等から御指摘をされておるわけでございます。また一方、従来の出荷体制というものがむしろ出かせぎ等の多い地帯においては、ますます短期間に農家が出荷を要請をしてくるということになりまして、非常に最盛期にいつも完全に対応する人間を、最盛期の期間というものはごく限られておるのでありますので、周年雇用するのかどうかという問題がますます深刻になってきておるのが実情でございます。そこで、私どもは、こうした問題を少しでも解決をし、また最近道路等の交通事情も昔と変わってきておりますので、従来、原則的に村、村に配置しておりましたものを、支所に統合する。この支所は、大体郡単位に設けられております。郡単位以外のところもございますが、大体その程度のところに統合をして、相互に協力をして機動的に職員を運用するというような方針で、昨年来食糧事務所の二段階制という再編成の整備計画を立てまして、これを一応五カ年計画で予定をいたしております。ただ、御承知のように、この問題にはいろいろ各県の事情によりまして、かなり違った事情もございますので、私どもも一挙にこれをやるということもなかなかむずかしい問題であるし、また場所によりましては、施設の建設等の必要性もございまして、これも昨年も、今年も予算に計上いたしまして、かなり実行に着手をいたしておりますが、何ぶん農家にも非常に関係の深い問題でございますので、二段階制による新支所との統合という問題は、あらかじめ地元関係者との間で了解のととのったところから、逐次着手をするという態度をとっております。そしてまた、十分に了解が得られていない、必ずしも一挙にやるには実情に合わないというところにつきましては、十分時間をかけて了解が得られた段階で実施をする、直ちに強行するようなことはしないと、かような態度で臨んでおりますので、先ほど先生御質問のような趣旨で私ども運用いたしておるつもりでございます。  一例を申しますと、富山県にもどちらの新支所にするかというような問題が、まあ地元の誘致とも関係をいたしまして、まだ解決をしていないところもございます。また新潟県で申しますと、新津支所というところが統合の予定地になっておりますが、白根出張所、その他をいつごろ統合するかという問題につきましては、地元におきましてもいろいろな御意見があるようでございます。私ども先ほど申し上げましたように、十分時間をかけまして地元と話し合いの上、これはあくまで処理すべきものだと、かような考えで臨んでおります。  なお、今年度出荷時期にあたりまして、現在の最盛期問題をどうするかという現実の問題が始まっておるわけでございますが、これにつきましては、地元につきましてもいろいろ御協議を願い、また米の出荷計画等につきましても、あらかじめ農協等から御提示を願いまして、弾力的に職員を配置をいたしたい。場合によりましては、他の本所、支所からも応援を出す、あるいは補助員的なものを臨時雇用する、かようなことによりまして、地元の農家、農協に御迷惑をおかけしない。また、そのかわり農協のほうでも計画的な出荷に御協力をいただくというふうな協力体制もお願いをいたしまして、万全の措置を講ずるよう努力をいまいたしておる次第でございます。
  43. 佐藤隆

    ○佐藤隆君 よくわかりましたが、まあ、そういうことで、ひとつ不安のないような検査体制を着実に進めていただきたい、お願いをいたしておきます。  特にいま、まあ他県からの、あるいは他支所からの救急的な応援体制とか、そういうことにもちょっと長官は触れられましたが、そしてまた臨時雇用的なこともちょっと触れられましたが、検査員の中でもまあOBといいますか、退転した人たちをやはり臨時的に集めて、そうして補助員として検査に協力をさせる、仕事をさせると、こういうようなことも県によっては考えているところもあるようでありますから、そういうことになりますと、また若干の予算的な銭の裏づけ、絶対額としては大したことはないと思いますが、銭の裏づけ等もまた必要になってくるかと思いますが、そういうことも含めての答弁だと理解をいたしておきます。  それから、実は、ことしもまた余り米というものが出ると思うのです。政府買い入れ、マル政、マル自、マル超ですか、超過米ですか。そこで、そのマル政から検査をしているその検査順序についていろいろな議論があるわけであります。しかし、私は、これはまあ、あまり超過米から先にやれなんということは、これはちょっと理に合わない話でありますから、それは私は、申し上げませんが、余り米がやっぱり——ことしは、このままでいけば相当作況はいいようであります。少なくとも北陸筋においてはいいようでありますから、相当余り米がやっぱり出てくるのではないか。その検査体制についても、ひとつ万全を期せられたいということをぜひお願いをいたしておきたいと思います。特に臨時の検査員制度というのは、四十五年度まで現実にあったわけでありますから、そういうものも大いに活用してやっていただきたい、これをひとつお願いをいたしておきます。  それから、いまその米の需給状況によるわけでありますが、たとえば新潟県の場合なんか、四十六年産米は、もう八月末でわずか二万四千トンくらいになりますか、二万六千トンくらいしか残らないくらいに、もう農業倉庫は、実は空いているわけであります。そこへもってきて九月、十月、これは今度四十七年産米、まあ、ことしの米ですね、ことしの米を九月、十月に県外へ移送をするというようなことが当然行なわれる措置であろうと、私は推測しているわけであります。そうすると、もう新米からどんどん出てしまう。農業倉庫は依然としてからっぽの状況、これがまた非常にいまの農協の財務をいろいろ圧迫をしてきているというと大げさかもしれませんが、困っているわけであります。そこで、実は私が古い仲間から聞いたことでありますから、できればお調べをいただきたいし、わかっていればお答えをいただきたいと思いますが、昔は、これはおそらく食管法が十七年にできたわけでありますが、その前、直前くらいなのかもしれませんが、倉あき料的なものがあった。私は、それを聞いてそんなばかな、あけばまた補助金、そんなばかなと一瞬思いましたけれども、考えてみれば政府保有米を保管する農業倉庫である。ところが政府の都合によって、まあ当初計画によると十分保管料が入ってくることになっておるのに、早く出せと言うからあいてしまった。そこで、若干の財務状況に異変が起こる。こういうことはやっぱり何か考えてやらなきゃいかぬじゃないか。いたずらに倉があいたら、また銭をよこせと結びつける議論でなくて、じゅんじゅんと話し合っていけば、なるほどなというような気がしないでもございません。たとえば五期に分けて米を出します。だからこれだけの期間が要ります。ところが、需給状況なかなか逼迫しておるものだから、特に早く早場地帯出しなさいよと。これを五期の予定したものを三期には出す。あとの二期分はどうするんだと、それはやっぱり保管料、倉あき料という名前でなくても何らかの形でこれを援助する。これはやっぱり必要だと思います。そうしたことをひとつ積極的に考えてみてはどうかと私は、思うわけであります。まあ、この辺の問題について農林省、食糧庁の考え方を承っておきたい。
  44. 亀長友義

    説明員亀長友義君) 最近御承知のように、過剰米も非常に順調に片づき、また生産調整も達成率が非常によいものでございますから、自然農業倉庫というものがあいてまいるということになって、私もこの問題については、非常に頭を悩ましております。昨年予算のときにも倉庫科の引き上げを、保管料の引き上げを行なったわけであります。これは私どもとしては、相当思い切った引き上げを行なったわけでありますが、何ぶん入ってない米に保管料を払うわけにまいりませんので、味のよい米の県ほど御迷惑が多いという、あまり売れ行きの悪いところにかえって保管料値上げの利益が及ぶという関係になっておりまして、私どもとして非常に処理に苦慮いたしております。そこで、農業団体の倉庫問題は、何か抜本的な解決がいるんじゃなかろうかということで、農業団体側からもいまそういうふうな要請もございます。保管料という問題で片づけるということは、必ずしも合理的じゃないというふうな気持ちで私どもおりますので、保管料の問題は、これはもちろん物価、人件費の高騰によりまして、毎年度適切にこれは考えていかなければならないと思いますけれども、農業倉庫の過剰問題は、私は、やはり基本的に何らか考えるべきだろうと思いますし、農業団体からもいまそういう要請もございますので、四十八年度の予算編成も控えておりますので、いま私のほうの関係部局と農業団体といろいろ会議をもって検討中でございます。その検討の結果をもちまして農林省農政局も含めまして善処いたしたいと考えております。  それから、いまお話しの倉あき料の問題でございますが、実は私も、この間陳情に見えた方から初めて聞きまして、まだ実は前例を調べる間もないものでございますけれども、当面今年度の問題として予算的にもこれはまだ実は何も考えておりませんでしたので、一体そういうことをやる理由なり余地が十分あるのかどうか、なお検討いたしたいと思います。非常に深刻な問題でございますから、われわれとしてもできる限りの努力はいたしたいと思いますが、きょうまだお答えするほど話も煮詰まっておりませんので、いろいろ検討中ということで御了承願いたいと思います。
  45. 佐藤隆

    ○佐藤隆君 もう時間もなくなりましたので簡単に進めますが、いまの問題は、十分ひとつ考えていただきたい。新農山漁村建設事業が始まった時代からずっと農業倉庫がどんどんできてまいりまして、いまや農業倉庫は過剰の傾向にある。それもやはり地域別にひとつよく検討いただいて、そうしてたとえば早場米、早出し地帯関係については、何か米が入っていないのに、その保管料ということではなしに、何かほかの名前をひとつ考えて、ぜひひとつやっていただきたい。大臣からの答弁は別に要求はいたしませんが、大臣も先ほどからうなずいておられますから、おそらくは各関係局を督励されて、四十八年度予算には必ず何か総合的な農業倉庫対策というものとあわせて、ひとつやっていただきたいし、やっていただけるものと、こう理解をしておきたいと思うわけでありますが、まあ事務方の最高責任者である食糧庁長官、ひとつそういうように理解してよろしうございますか。
  46. 亀長友義

    説明員亀長友義君) 御趣旨のようなことで、私どもも最善の努力をいたしたいと考えております。
  47. 佐藤隆

    ○佐藤隆君 最後に、指定銘柄奨励金、先ほども話が出ましたが、この制度ができたわけであります。良質米というのは、まさに国民の選好がそうしたほうに進んでまいります。だからそれにあわせて、しかし、貧乏人は麦を食えというわけではなくて、消費者米価を上げる場合にも徳用米は据え置くとか、いろいろなことがいわれているわけでありますが、いずれにいたしましても、良質米をひとつ多収穫できるような方向で、地域分担もそれに即してやはりやっていく必要がある。しかし、これを奨励金というような形のものでなくて、やはり制度化をしていく必要があるのではないか。これも実は米の主産地のそれぞれの県では、相当これは関心を持っておりますので、地域品種銘柄制度というようなものをやはりつくるべき段階ではないかなあと、そういう意味において、このたびの指定銘柄奨励金というのは一歩、二歩前進であったと私は、考えているわけですが、その点はひとつどう考えておられるか、意見を承っておきたいと思います。
  48. 亀長友義

    説明員亀長友義君) 御承知のように、こういう食糧事情のもとで、消費者の米の品質に対する関心というのは非常に増大をいたしてきております。米審でもこの銘柄格差を設定すべきかいなかと、いまそういう時期かどうかということについて非常に真剣な議論がございました。大体答申には記載されませんでしたけれども、やはり銘柄格差をつける方向で順次進むべきであろうということは、これは大多数の御意見であったというように私、了解をいたしております。そういう事情でございまして、今回米価決定に際しまして、指定銘柄奨励金というのをつけました。これは指定銘柄の生産を奨励しようという趣旨でございますが、銘柄格差ということに相なりますと、これはやはり市場における取引の実態ということも考慮をしなければなりませんし、私どもとしては、やはり買い入れ価格よりも売り渡し価格のほうに最初に導入されるような性格のものではないか、それがやがて買い入れ価格にも逐次反映するのじゃないか、そういう段取りを本来たどるべきものであろうというような私は、気持ちがいたしております。いずれにいたしましても、米価審議会におきましても、非常に多くの方からこの問題に関する意見が出されておりますので、審議の経過等もよく勉強いたしまして、今後検討を進めてまいりたいと思います。
  49. 佐藤隆

    ○佐藤隆君 制度化の方向にぜひひとつ進めていただきたい、これは強く要望いたしておきます。終わります。
  50. 亀井善彰

    委員長亀井善彰君) 暫時休憩をいたします。    午後零時九分休憩     —————————————    午後一時十五分開会
  51. 亀井善彰

    委員長亀井善彰君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  午前に引き続き、質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言願います。
  52. 中村波男

    ○中村波男君 本日は、七月の集中豪雨におきます災害について、それの復旧対策並びに今後の対策等について質問を申し上げ、時間が限られておりまするけれども、食管法の改正あるいは銘柄格差導入による消費者米価の値上げ等の問題について質問を進めてまいりたいと思います。  質問の順序を少し変えまして、木暮部長が所用で時間がないようでありますから、最初にお尋ねをいたしたいと思うんでありますが、今回の災害によりまして岐阜県におきましても激甚地指定を早急に適用してもらいたいという要望が強く出ておるのでありますが、聞くところによりますと、激甚法につきましては、来たる十五日の閣議で決定がなされ、十七日の官報で告示をするという予定があるやに聞いておるわけでありますが、天災融資法につきましても、同時適用を考えておられるのかどうか。さらに、農業近代化資金のすでに貸し付けてあります金について、償還延期措置を講じてもらいたい。あるいはこれは一般論でありますが、金利の引き下げ等もありまして、農業関係の資金についても金利を引き下げるべきである、金利の引き下げができないのであろうかという、こういう意見も強く出ておるわけであります。それらについて、まず政府のお考えをお聞かせいただきたいと存じます。
  53. 小暮光美

    説明員(小暮光美君) 天災融資法の問題につきまして、あるいは大臣から御方針についての御答弁があるかと思いますが、いまの具体的な問題につきまして、ただいま事務的に準備いたしております考え方では、岐阜県を含めまして天災融資法について特別被害地域の指定をいたしたいという方向で鋭意事務を取り進めております。  それから、第二点の問題でございますが、農業近代化資金につきまして災害等の場合に、すでに貸し付けましたものの償還期限の問題が災害のつど一つ問題になるわけであります。これにつきましては、実は農業近代化資金におきまして法令的に定めております償還期限、これはかなりたつぶり法令上の限度はつくってございます。実際には、これは営農計画等を参考にいたしまして返還可能と思われる年数で実際の貸し出しをいたしております。したがいまして、災害だけでないわけですけれども、特別の事情で償還の問題が起こります場合には、特に災害の場合には、特に親切にこれを相談いたしまして、法定の期限の範囲内でこれを延長するという形で、従来、大体具体的に処理がついておるわけでございます。  なお、金利の問題につきましては、御承知のように、近代化資金全般きわめて基本的な問題でございます。近代化資金の金利を災害との関連で現在改定するという計画はございません。ただ、天災融資法につきましては、昨年の北海道冷害の機会に一部手直しをいたしまして、天災融資法のほうの金利を三分と六分五厘の間に、特に五分五厘という段階を設けて、逐次改善をいたしておるような次第でございます。
  54. 足立篤郎

    国務大臣足立篤郎君) 天災融資法の適用の問題でございますが、六月上旬から七月中旬までの断続した豪雨及び台風六、七、九号による被害に対しまして、これらの災害を一連の災害として天災融資法を適用することに政府の腹がきまりました。このための政令案を目下つくっておりまして、来週初めの閣議に提出して決定をする段取りになっておりますので御了承いただきたいと思います。
  55. 中村波男

    ○中村波男君 それでは、去る十二日から十三日襲いました岐阜県、愛知県の災害について実態を簡単にお話し申し上げて、その対策をお聞きしたいと思うわけであります。  御承知のように、東濃一帯の中で、特に今回災害を受けました地域というのは、いわば丘陵地帯でありまして、二百とか三百というような山は少ないわけでありまして、五十とか百ぐらいの山が重なり合っておるという地帯であります。そういう地勢の中で今回の災害の特性といいますか特徴と申しますか、かつて伊勢湾台風で大災害を引き起こしましたあの災害の実情というのは、大雨によりまして谷川に水が流れ込み、集中して谷川を洗いまして、谷川を洗ったことによる土砂の流出によって大被害、大災害を引き起こしたわけであります。しかし、今度の災害地は谷川等の被害、谷川を洗って土砂を出したという事例はほとんどないようであります。したがいまして、大被害を受けた河川についても、あるいは山林につきましても、危険個所の指定等は全くされておらない地域であります。したがって、被害を受けた住民のほとんどが山くずれの危険というのは全く考えておらなかった、注意はしていなかった。ただ自分の部落の中心なり前を流れております河川の濁流に注意をし、いわゆる河川の災害というものに警戒をいたしておったわけであります。そういう中で、裏山なりあるいは近くの山がくずれ落ちてきまして、家屋もろとも二十七人という岐阜県だけにおきましても人命を失うという、こういう結果が出たのであります。したがいまして、これについて岐阜大学の教育学部の地質学を専攻しておられます河合政治助手は、今回の災害の特徴をこのように述べておるのであります。いま申し上げましたように、谷へ土砂流が押し出して被害が出たケースではない、ほとんどの谷は無傷だった。崩壊地点は山の尾根からやや下がった中腹が中心である、それも一度くずれたところの崩壊は皆無で、すべて森林地帯や高地の反対側の斜面など思いもよらないところがくずれている。まあ大臣の前にも写真を届けておいたんでありますが、全くわれわれの従来の経験、また、その地域の人たちの常識からいいましても被害があると、山がくずれてくるなどという危険を一度も感じたことのない、こういう地帯が大被害を受けた。これは私は、今次災害の東濃地方の特性、特質でなかろうかというふうに思うわけであります。したがいまして、山くずれ地点の地質というのは、花こう岩が風化した辰砂層、あるいは花こう岩の中に変わった岩質が多く含まれている地層、あるいは花こう岩が粘土化した地層、この三つに分かれておると専門家は言うのであります。したがいまして、河合助手の調査の結果の考えとしては、地下水の排水がよく欠壊しなかった、くずれた地点は地中の地下水の圧力が高くなって抜けた、こういうようなことを指摘をされておるわけでございます。したがいまして、こういう地層に起きた災害というのは、林野庁なりあるいは科学技術庁といたしまして、他にこういう地層における災害の経験というのがあるのかないのかもお聞きいたしたいんでありますし、こういう地層における被害でありまするから、従来の災害復旧の工法を施しましても、これは実効をあげることについて、はたしていいのかどうか、こういう私は、疑問を持つわけであります。したがいまして、科学技術庁としても、ぜひ現地を厳密に調査を願いまして、でき得るならばこれらの地域を選んでいただいて、実験地をつくり実験を願いまして、これらの実験結果をいろいろと集めていただいて、そうしてそれに基づく災害復旧の工法あるいは今後の予防治山としてのやり方等々を科学的に究明した上で行なっていただきませんと、根本的な対策、また不安のない災害復旧工事にならないんじゃないか、そういうことを考えますので、科学技術庁からも御出席を求めまして、お願いをし見解を求める次第でございます。
  56. 藤波孝生

    説明員(藤波孝生君) 先生の御指摘のとおりに、効果的な対策を樹立をいたしますためには、やはり発生機構の究明をいたしまして、あくまでも科学的に原因を究明していくという態度が必要である、こんなふうに私どもも前々から考えまして、そういった気持ちで取り組んできているわけでございます。特に最近の豪雨等による被害の状況、また人命の損傷などを考えあわせまして、さらにその感を深めておるわけでございます。  で、本年七月の集中豪雨の被害に対しましては、昭和四十七年七月八日に総理府に昭和四十七年七月豪雨非常災害対策本部が設けられまして、七月二十五日の第四回本部会議におきまして技術調査団を派遣をすることが決定をいたしまして、科学技術庁がその取りまとめをいたしまして、科学技術庁のほかに建設省、農林省、通産省、自治省などの各研究機関の研究者による技術調査団を編成をいたしまして、もう目前にまいっておりますが、八月十五日から二十三日までの間に一班は九州、二班が中国、第三班が中部、四国関東の三班に分かれまして、各地区において主として山くずれ、地すべり現象についての原因と気候及び対策の技術的な調査を行なうことにいたしておるわけでございます。まさに先生の御指摘のとおり、現地をつまびらかに調査をいたしまして対策を確立する必要がある、こういうことで取り組むことにいたしておるわけでございます。  なお、今回の調査をいたしました結果、さらに研究を必要とする技術的な問題点が残りました場合には、関係各機関が相寄りまして、さらに具体的に研究を進めることにいたしておるわけでございます。御指摘のとおり科学技術庁といたしましては、もう全面的にこの問題に取り組ましていただきまして、その調査の結果でどういうことになりますか、先生の御指摘のような実験地を設けて、さらに具体的に突っ込んでいく必要があるかどうか、調査の結果を待ってそれらの対策も確立をしてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  57. 中村波男

    ○中村波男君 大臣に、特に要望しておくわけですが、私が指摘をするまでもなく、災害基本法にいたしましても、台風、津波を基準にして構成されておるのではないかという私は、感じを持っておるわけです。したがって、集中豪雨に対する防災行政の立ちおくれはいなめない私は、事実だというふうに考えるわけでございます。したがって、ひとつ田中内閣の有力な大臣である足立さんでありますから、この際、集中豪雨に対する災害の究明という立場で科学技術庁なりあるいは災害の何と申しますか、取り扱いの中心の省である総理府なりに十分ひとつ意見を出していただきまして、万全な対策を立てるような御努力をひとつお願いしたいと思うわけです。いま科学技術庁の次官から技術調査団を中部地方にも派遣をするのだというお話でありますが、これは中部地方の中で岐阜県の東濃ももちろん含まれておると思うのでありますが、この日程等がわかればこの機会にお聞かせいただきたいと思うわけです。したがって、もちろん調査をしていただかなければそのあとの対策というのは、いまここで言明を願うわけにはまいらぬことは十分承知いたしますが、さいぜんも私は申し上げましたように、実際的なテストを行なって資料を集めて、地層ごとに災害発生の法則というものを見出していただかぬと、根本的な対策にはならないのじゃないか。そういうことを考えますので、調査団の報告をお聞きいただいた上で、ぜひ実験的な調査等を一段と進めていただくように強く要望を申し上げておきたいというふうに思うわけです。
  58. 藤波孝生

    説明員(藤波孝生君) いま具体的に先生から御指摘のありました岐阜県につきましては、調査団が入りますのは大体二十日ごろになるかと思いますが、岐阜県につきましては、災害の中心でもございました瑞浪市を中心にいたしまして調査をすることになろうかと思いますが、いま県のほうと折衝中でございますので、いずれ具体的に日程等きまりましたら、先生にも御連絡をさしていただきたい。御指摘のとおり、できる限り綿密な調査を進め、同時に調査の結果をなるべく早く取りまとめて、今後の災害復旧の資料にするように全力をあげて取り組ましていただきたい、このように考えておる次第でございます。
  59. 足立篤郎

    国務大臣足立篤郎君) 農林省の守備範囲の点につきまして申し上げますが、いま中村先生の御指摘の点は、いわゆる予防治山事業ということになろうかと思います。この問題につきましては、かねがね農林省といたしましても、積極的に取り組む姿勢でやってまいっておりますが、御承知のとおり、昭和四十七年度を初年度とする第四次治山事業五カ年計画を策定をいたしまして、初年度の予算はすでに国会で御承認をいただいているわけでございますが、その中でも特に予防治山事業につきましては、この前の第三次五カ年計画の内容と比べますと、金額等も三・二倍というふうに飛躍的に増額をいたしまして、この面に力を注いでいるわけでございます。しかしながら、私も実は着任早々でございましたが、熊本県下の災害の様子を災害直後に視察に参りまして、各地を拝見いたしましたが、実はいま中村委員も御指摘のように、私も実は長い間、国会農林水産委員会に所属をして、災害はありとあらゆるというと、ちょっとオーバーでございますが、この種の災害地はずいぶんいままで現地を視察いたしましたが、今回のこの集中豪雨の被害は、私も実はびっくりいたしました。全く予想もされないようなところが、がけくずれ等を起こしております。しかも、事前に地質診断等いたしましても、まず異常がないというふうなところが、もうむざんにやられておるということでございまして、いままでの想像を絶するような集中豪雨が降ったもんだということを直感いたしたわけでございますが、こうした事態に対処して今後災害を未然に防ぐということになりますと、これは相当な努力をしなければならぬというふうに考えております。  したがいまして、ふだんの森林の診断といいますか、山の診断、こうした点も国有林のみならず、民有林に至るまで、私は、国の力で思い切ってパトロール等をふだんやりまして、ちょっとした亀裂などにも注意を怠らずに警報を出すというふうなことで、それに対する対策を手を打っていくというような、いわゆる臨機応変な弾力的な運用ができないと、こうした災害を防ぐことはできないのじゃないかということを実は感じておりますので、これから先のことはちょっとはっきり申し上げられませんが、いま林野庁に対しましては、いま申し上げた森林パトロールというような考え方で対策を講ずるように、立案するように指示をいたしておるような次第でございます。
  60. 中村波男

    ○中村波男君 いま大臣から御説明があったように、なるほど治山事業の拡充が四十六年に比べまして四十七年度は金額にして八十九億円ふえておる、それは私も承知をしておりますが、   〔委員長退席、理事佐藤隆君着席〕 災害地を復旧するということについては、三年という進度があるわけでありますが、これをできるだけ初年度の進度率を高めてもらう必要があるというふうに思うわけです。  それから、もう一つ、この機会にお尋ねしておきたいと思うのでありますが、この四百七十億の治山事業の中で復旧治山と予防治山との二つの予算が大きく分けられておると思うわけでありますが、この内訳、これはどういうふうになっているか、長官からお聞かせをいただきます。
  61. 福田省一

    説明員(福田省一君) お答えいたします。  第四次の治山事業五カ年計画の全般につきましては、ただいま大臣からお答え申し上げたとおりでありますが、治山事業の全体は大別しますというと、先生御承知かと思いますけれども、復旧治山、予防治山、防災林造成、保安林整備、地すべり、大体そういうふうな分類になっておるわけでございます。そこで、第四次の事業費、これは人件事務費を実は加えてございますが、第四次事業費総額は国有林、民有林を合わせますというと、五千八百億になっておるわけでございます。そこで、復旧治山がそのうちで、概略で申し上げますと、三千三百億でございます。予防治山が第四次では一千六十億でございます。防災林造成が二百八億でございます。保安林整備が三百五十億、地すべりが六百十六億、その他人件事務費でございます。そういう中身で、大体全計画に対しまして治山事業全体では約二倍でございますけれども、先ほど大臣が申し上げましたように、予防治山、これが約三・二倍、同様に地すべり事業費が約三倍になっております。特にこういう予防治山と地すべりの事業に重点を置いておるわけでございます。   〔理事佐藤隆君退席、委員長着席〕
  62. 中村波男

    ○中村波男君 私が尋ねようとしたのは、四十七年度予算についてお尋ねしたわけでありますが、いま長官から御説明のあったように、第四次治山事業五カ年計画を見ますと、第四次は五千五百億だと、そこで災害復旧は当然やらなきゃなりませんし、まあ、やってきたわけでありますが、災害が起きてから復旧するということは、いわば経済性から言いましても、それによってもたらす財産、人命等の被害等から考えましても、災害が起きない前に予防するという、こういうことが当然要求されておると思うわけです。したがって、いまの御説明でも、いわゆる復旧治山費に比べますれば、予防治山費というのは三分の一弱じゃないかというふうに予算的に言えるわけですね。少なくとも予防治山費を復旧費と同額ぐらいに増額する、そういう計画に立てかえる必要が私は、あるんじゃないか、こういうふうに考えて、この点についても大臣の所見をお伺いしたいと思うわけです。  続きまして第四次治山事業五カ年計画の国有林の関係ですね。これを見ますと、なるほど第三次は七百億であったが、第四次は千三百五十億が考えられておると思うんです。したがって、第三次との比較においては一九三%。問題は、こういう計画は立てましたけれども、いまの国有林の独立採算制のワクの中ではたしてこの計画どおり予算化が進むのかどうか。なるほど本年度一般会計から治山事業費六十六億——六十何億ですかが投入が初めて行なわれましたけれども、国有林財政が赤字を続けるということは、否定できない今後の問題だと思うわけです。また、治山の問題から言いましても、公害の問題から考えましても、これ以上国有林の増伐は許されないと思うわけです。極端なことを言えば、もう木を切るのは極端に減らしてもらわなければならぬと思うわけです。そういう前提に立ちますならば、千三百五十億というこの計画も私は、多くないと思いますが、これだけの財政見通しをほんとうに持っておるのかどうか、この点についてまず長官からお聞きをいたしまして、大臣にまた答弁を求めたいと思うわけです。
  63. 福田省一

    説明員(福田省一君) 御指摘のように、治山事業は従来はすでに崩壊したあと地の復旧治山、そういうことに重点を置いてきたことは、事実であると思います。ただいま御指摘のように、今回の災害は、特に予想し得なかったところに発生した事実でございます。そういうことも考えまして、予防治山というものについては、特に今後は重点的に配慮していきたいと、かように考えているわけでございますが、特別会計はやはり四十七年度におきまして積み立て金がなくなりまして、今後はそういう意味では非常に木材の売り上げ代金だけで事業をまかなっていくということは、困難な情勢に立ち至っております。したがいまして、現在国有林で実施しております事業の内容を徹底的に合理化することは、まず考えなければならぬと思っておりますが、そういう前提に立ちまして、公益的な機能を持っております森林の保全、特に治山事業につきましては、一般会計等の財政負担をお願いするというふうに考えなければならぬと思っておるわけでございます。  四十七年度は、ただいま先生御指摘のように六十六億、約半分でございます。四十八年度以降の予算につきましては、この経費は全額一般会計の負担をお願いしたいというふうな構想のもとに現在作業を進めておるわけでございます。  まあ、そういうふうにいたしまして、今後は特に予防治山、くずれる前に、先ほど大臣申し上げましたように、パトロール等も重視しまして、重点的に危険なところをよくこちらが調査して、それに対する予防治山というものを強化してまいりたい、かように考えます。
  64. 中村波男

    ○中村波男君 大臣、長官はまあ国有林会計の中では、とてもとてもまかなえない、したがって、一般会計から繰り入れを願う以外にないといういま御説明があったわけでありますが、いまの国有林の特別会計があります限りにおいて、国有林の治山事業について、一般治山、民有林のいわゆる治山と同じように一般会計でまかなっていくと、こういう原則をこの機会にひとつ打ち立てないと、計画は立っておるけれども、絵にかいたもちに終わるのじゃないか、やりようがないという結果に私は、なるのじゃないかというように思うわけです。したがって、ほんとうに独立採算制を打ち破るためには、事務的な手続として国有林特別会計の会計法をやはり改正をする必要があるのじゃないか。利益が出たときには二分の一ずつ積み立てをいたしまして、一般会計へ今度は繰り出すという、こういう特別会計の規定を残しておいて、そうしてその一般会計から治山事業を全額入れてくれということは、手続的にも矛盾しているのじゃないか。だから、もうそういうことは林野庁の特別会計ではできぬのだから、したがって、これはもう特別会計から一般会計へ繰り出すなどということは、これはもうやめにするんだと、こういう立場というものをこの際、明らかにされる必要があるんじゃないか、特にこれは大蔵省との折衝になると思うんでありますが、これらの点について大臣がやはり大きく政治的に——言い方は悪いのでありますが——取引を願わないと、国有林特別会計というワクの中でもがいてもがいて、結局災害災害を引き起こす。あとから私は、具体的な例をあげて御指摘をいたすつもりでおりますが、住民に対して被害をもたらしていくという、こういう悪循環が続くのではないか、こういう立場で尋ねるわけであります。
  65. 足立篤郎

    国務大臣足立篤郎君) 先ほど申し上げましたように、この予防治山事業は、私は、国土を守るための費用だと思っておりますし、一般的に治山事業というのはそういう性格でございますが、国有林自体が森林経営をやります場合に、当然やらなきゃならぬ分野と、いま御指摘の一般会計が負担をしてしかるべきだという国土保全のための事業と、これはなかなか区別はつけがたいと思います。しかし、私としては、ことしの今度の災害のにがい経験からいたしましても、先ほどから申し上げたとおり、今後予防治山というものには最も力を入れなきゃならぬと思っておりますし、さっきもちょっと申し上げたように、パトロール制度なども考えまして、相当ひとつ災害の予察をやるといいますか、その警告によって予防治山をやっていくというような処置を確立していきたいと思っておるのでありまして、そうした治山事業や、あるいはパトロールというような問題については、できる限り一般会計で負担をしてもらうように、実は、せんだって大蔵大臣にも会いまして、事前に申し入れはしてございます。しかし、それだからいま特別会計をすぐ改めるかどうかということについては、いま即答をちょっといたしかねます。と申しますのは、これはたいへん問題が複雑でございますし、ことに自然環境保全法が成立いたしまして、これから国有林であっても、なかなか手がつけにくいというような地域も相当出てくる。そうかといって、いま大ぜいの職員をかかえ込んでおる。これをなま首切るわけにもいかぬという事情に、両方から押し詰められておりますので、この解決は相当思い切ってメスを入れないと、解決しない問題でありますので、いま私も慎重に考えております。私が着任して一番頭の痛い問題は、正直に申し上げて国有林問題でございますから、しばらく時間をおかし願って、私も真剣に取り組んでおりますから、時間をおかしいただきたいと思っております。
  66. 中村波男

    ○中村波男君 木村建設大臣が災害復旧、あるいは予防的な災害の工事については、金に糸目をつけぬということを盛んに言われるわけでありますが、そう言われたからといって、実際そういうことができるとは私たち期待できません。しかし、国有林については、国有林財政が今後も相当長期の間悪化していく、赤字経営にならざるを得ないということを考えますと、この治山事業というものについては、何としても、これは一般会計でやるという原則を制度的にも財政的にも打ち立てていただきたいというふうに、いま強く要求をするわけです。本名総務長官が新聞記者との対談において、こういうことを言っておられるわけでありますが、土佐山田などくずれないといわれていた場所がくずれた。乱伐説も有力なので徹底的に究明したい。確かに国有林は特別会計がある限り、独立採算のたてまえから収益中心主義となる。山を守る、環境として緑を守る点と、防災として山を守る両面から、国有林制度は必然的に改める時期にきていると、これはひとつ足立農林大臣田中内閣の有力な閣僚でありますから、本名さんにこういうことを言わせる前に、やはり農林大臣がこの姿勢でこの問題の解決にひとつ全力をあげていただきたい。私たちもそのためにはひとつ激励をいたしていきたいと思うわけでありますから、重ねて所信をお伺いいたします。
  67. 足立篤郎

    国務大臣足立篤郎君) 先ほども申し上げましたように、国有林の問題は非常に問題が複雑でございまして、いま本名長官が言われたということは、私もそのとおり考えますが、そうだからといって、簡単にいま中村委員のおっしゃるように割り切れない要素もあるわけでございます。これは私が申すわけではございませんけれども、早い話が例の直営直用方式でどんどん人間がふえておりまして、いまホワイトカラーが三万九千弱おると思いますが、ほぼそれと同じ数の直用作業員がおる、これは国有林によって生活をしている方々でございますから、仕事が減ったから、簡単にやめてもらうということができにくいんですね。これができれば、普通の会社なんかなら、当然定員の削減はやるでございましょう。それが簡単にできれば問題はないわけです。一方において自然環境保全法等によりまして、国有林であっても、思うように森林経営ができない、伐採ができない、それに加えて今度の災害の経験から、特に尾根すじや、それから渓谷等で原生林であっても、これをうっかり手をつけて植林いたしますと、災害の原因になるおそれがあるというところは、温存しなければならぬというような問題も加わっております。そうなると国有林自体の仕事の量は、まず減るとしてもふえることはないわけでありまして、そこで定員は大ぜいかかえ込んでおる、そこに大きな悩みがあるわけでございまして、これを何とかうまい方法で解決はできないかというので、いま苦心をいたしておりますので、総務長官にそんなことを言わせるまでもなく、所管の大臣がもっと積極的に考えろという激励のおことばはよくわかりますが、私は、私なりに大きな悩みを持っておるわけで、これはほんとうに腹を割って皆さんと御相談したいくらいな気持ちでおるわけでございますので、しばらくひとつ時間をおかしいただきたいと思います。
  68. 中村波男

    ○中村波男君 国有林の経営問題については、きょう時間がありませんから、また別な機会に質問もし、意見も申し上げたいと思うのでありますが、いま端的に農林大臣が国有林の財政、経営について実態というのをお話しになって、悩み多しという状態というものをお話しいただいたわけでありますが、それはわかります。それだけに少なくとも治山事業だけぐらいは、これはやはり一般会計でまかなうんだ、したがって治山計画についても国有林と一般とを分けなくて、一緒でやるようなそういう体制と申しますか、そういう財政的な方向というのを、今後つくり上げるべく大臣がひとつ先頭で全力をあげていただきたい。特に要望を申し上げておくわけであります。  次に、今回の災害で、岐阜県恵那郡岩村町に国有林が相当面積あるわけでありますが、この国有林が今回の集中豪雨によりまして崩壊をいたしまして、地域の民有地その他に大被害を与えたわけであります。幸い今回は人的被害は、そのためにはなかったことは不幸中の幸いでありますが、この国有林について、地元は前々から危険を感じまして、昨年の暮れでありますが、町民七百三十名が署名請願書を町当局へ出したわけです。その請願書の趣旨というのは、国有林が直接民家及び農耕地に接続している地形上から、特に林地の崩壊、山地災害を誘発するような過度の伐採の防止と、水資源の涵養のための林地保全等について万全の措置を講じてもらいたい、こういうような請願が出されましたわけでありますが、もちろん町当局は請願が出されるまでもなく、常に中津川営林署あるいは名古屋の営林局に対しまして治山に万全を期してもらいたいという強い要望を出し続けてきたわけでありますが、残念ながら今回の集中豪雨によりまして、長官のところへは報告がきておると思いますが、大きな崩壊を見たわけです。したがって、この被害につきまして早急に、現地の実情を林野庁としても調査願ったと思いますが、復旧対策に万全を期してもらいたいというふうに思うわけであります。特に地元が不安を大きく感じておりますのは、この新しい崩壊個所のふもとに総貯水量十八万六千八百十立方メートルの大貯水池があるわけであります。これが決壊した場合には、これはたいへんな人的にも大惨害になることは明らかであります。それだけに不安も大きいわけでありますから、ぜひひとつ早急に復旧対策を講じていただくと同時に、工事にかかってもらいたい。強いまた地元の要望でありますし、私も現地を見まして、たいへんなことにこれはなるぞ、早くやっておきませんと、はかり知れない被害をもたらすということをおそれて本日質問をいたすわけであります。  したがって、これは一度に十五町歩とか二十町歩皆伐をやったのではないわけでありまするけれども、御承知のように花こう岩の風化地帯、第三紀層の地質でありますから、こういうところの、面積の多い少ないももちろん考えなければなりませんけれども、皆伐というのはできるだけやめるべきではないか、こういうふうに思うわけです。それから、特に、土砂の流出防備林として今後はこの地帯の木を切ることについては、できるだけひとつやめて、土砂流出防備林としての機能を果たせるような山にしておいてもらいたい、こういうことを思うわけであります。時間もありませんから詳しくは説明いたしませんけれども、これについてのお考えをお聞かせいただきたいと思うわけです。
  69. 福田省一

    説明員(福田省一君) 恵那郡岩村町のことにつきましては、前もって陳情の内容も伺っておりましたし、実は本日、地元の方々が上京されておるので直接お話を伺いたいと思っていたのですが、ちょっと出かけておりまして、あとでお目にかかりたいと思っております。  この地区につきましては、伐採の方法でございますけれども、従来は十町歩までの制限で皆伐を行なっておったわけであります。従来、ここは御指摘のように花こう岩の辰砂崩壊土壌でございまして、百何十年生の安政時代からの造林地のりっぱなものがありましたので、心配なかろうということで十町歩の制限で伐採をし、そのあと造林し、現在十年くらいの造林地になっておるところが多いわけであります。古いところは、大体そのくらいの被害を受けていないんでありますけれども、聞きますと、若い造林地というのはやはり被害を受けております。そういうことも考えまして、この地帯につきましては、今後は施業方法、つまり伐採の方式は変えていくように検討したいと思っております。つまり、禁伐あるいは択伐の方式を導入していくというふうなことによりまして山地の保全をはかってまいりたい、かように思っております。  それから、崩壊しました場所につきましては、さっそく調査をいたしまして、年度内に緊急治山でこれを実施する。なおまた、予防治山なりあるいは残りました個所についての復旧治山も、重点的に実施してまいりたい、かように考えております。  そういうことで、地元の皆さま方がいま心配なさらないような一つの新しい対策を打ち立てて御了解いただくようによく説明してまいりたい、かように考えております。
  70. 中村波男

    ○中村波男君 大臣も先ほど、国有林の今後の伐採については、いわゆる環境保全、治山治水という面から大きな制約が出てきておるということを認められたわけでありますが、財政上やむを得ず皆伐をやってきたという面も否定できない今日までの林野庁の方針だったと思うわけです。したがって、できるだけひとつ保安林等については、特にいま二十町歩というワクをはめておるのでありますが、二十町歩についても検討を願いまして、また皆伐をする場合には、下流といいますか、山のすそ等については木を相当残すとか、いろいろ技術的にあるわけでありますが、そういうような方法というのを早急に確立を願いまして、ひとつ万全を期していただきたいということをお願いしておくわけであります。  建設省来ていただいていますか。——先般の岐阜県を襲いました七月豪雨で岐阜県の国道がいわゆる通行どめになりまして、そのために牛乳あるいは野菜等の出荷がとまり、農民が相当な被害を受けたわけであります。したがって、国道に危険度があります限り、通行どめをしてはならぬなどと私は、考えておるものではございません。しかし、国道といいましても、その国道によっては八十ミリ規制の国道もありますし、百二十ミリ規制の国道もあるわけでありますが、その他どういう規制が雨量によってなされておるか、参考までにこの機会にお聞きしておきたいと思います。  問題は、八十ミリ規制というような状態でいつまでこれ放置とは言いませんけれども、状態というものが続くのか、こういうことを考えますと、できるだけ早くひとつ防災対策を急いでいただきまして、少なくとも百二十ミリ程度までは通行どめを行なわなくても危険度がないという国道の状態にすべきではないか。できたら全然雨によって通行規制を行なうなどという状態がなくなることを願うものでありまして、そういうために一そう予算を投入願わなければなりませんし、それに向かって道路局としても努力を願いたいところでありますが、現実に起きました問題でありますので、この機会に実態を御報告いただきますと同時に、今後の対策についてひとつお聞きをしておきたいと、こう思うわけであります。
  71. 藪本健作

    説明員(藪本健作君) 岐阜県の国道のうち一五六号線につきまして調べてみたわけでございますが、交通どめの実績が昨年度は五回ございました。本年は、本日までに三回ございます。で、建設省といたしましては、道路の危険個所に対しましては、まず第一に人身事故を起こさない、人命保護を第一とするというふうなことから、過去の実績、落石の実績だとかあるいは土砂崩壊の実績、それと気象状況の実績を調べまして道路の各区間ごとに規制基準を定めまして、これによりまして交通通行規制を実施しておるわけでございます。で、それとともに、こういった通行規制をしておる危険個所ができるだけ早く解消するように防災事業を進めておるわけでございます。  で、岐阜県の国道の一五六号線につきましては、特に白鳥町から県境にかけましては未改良の区間でございまして、地形も複雑でございますので、現在連続雨量で八十ミリ、時間雨量で三十ミリということになりますと、事故を未然に防止するために通行規制を行なっているような実情でございます。これに対しまして防災事業は、昭和四十七年度におきましては、ただいま申しました白鳥町から県境までの間におきまして約七億円、それから改築事業が約七億円でございます。それから、災害防除事業費九千万円をもって事業を促進しておるというのが実情でございます。それから、改築事業の目標といたしましては、五十二年ごろまでに解消できるということを目標にして整備を進めておるわけでございます。  で、一般的に申しまして、昭和四十七年度におきます全国的な防災事業費は約四百億でございまして、前年が百五十億ぐらいですから二・六倍にふえておるわけでございます。四十八年度におきましても、最重点施策として推進する方針でございます。  以上でございます。
  72. 中村波男

    ○中村波男君 いまお話のあった白鳥から県境までは、特に未改良だという話でありますが、この間通行規制をいたしまして農民が被害を受けたのは白鳥までの間なんですね。したがいまして、いわゆる美濃市から白鳥間が通行規制になりまして、したがって、白鳥等で酪農家がいわゆる牛乳を捨てざるを得なかった。あるいは高須村等で高冷地野菜を最近軌道に乗りまして生産がふえたわけでありますが、運搬ができない、こういう事態があるわけです。また国道四一号線につきましても、美濃加茂から萩原、小坂の間で規制がありましたために牛乳、野菜等の出荷ができなかった、こういう実態があるわけです。したがいまして、いまのお話では五十二年に解消すべく工事費をできるだけ多くつぎ込んでいきたい、こういうことでありますが、できるだけ予算をふやしていただきまして、これは岐阜県のみならず全国的に言えると思うんでありますが、道路だけをまずつくる、そういう山くずれ、がけくずれ等はあとにやるんだという、こういう道路のつくり方についても、私は、問題があると思うわけです。  それから、もう一つは、いわゆる通行どめの警報を出せば、もしその警報の出ておるのに通行をして山くずれによって被害を受けた、あるいは死んだというときには、建設省は責任がないんだと、規制を守らなかったほうが悪いんだと、まあ、こういうことになると思うんでありますが、これはあまりにも無責任な行政と言わざるを得ないと思うわけです。したがいまして、危険であるのに規制をしてはならぬと、こういう私は、立場で質問をするのではなくて、いま申し上げますように一五六号線の例をとれば、百二十ミリまでぐらいは規制をしなくても安全に通れると、こういう山くずれの防止対策をもっと速度を早めてもらいたい、こういうことをお願いをいたすわけでございます。  以上、この問題については質問を終わりたいと思いますが、できるだけひとつ五十二年の解消を一年でも早く進度を伸ばしていただくように御努力を強く要請を申し上げておきます。
  73. 藪本健作

    説明員(藪本健作君) ただいまの一五六号につきまして過去の実績は大体六十ミリ程度で崩落が始まりまして、八十ミリをこしますと災害が急にふえてきておるというのが実情でございます。新しく改築工事が竣工したところにつきまして、安全であるならばもう少しこの基準を上げろという御指摘でございますが、過去の実績がそういうことでございますので、竣工したらばどういうことになるかという、そういう竣工後の実績をよくながめた上であらためて規制基準を検討いたしたいというふうに考えておりますので、よろしくお願いします。
  74. 中村波男

    ○中村波男君 時間が迫ってまいりましたから、簡単に項目的に御質問いたしますので、大臣なりそれぞれの局長からお答えをいただきたいと思うわけです。  農業施設の災害復旧についてでありますが、改良復旧ということは私は、当然な措置だというふうに思いますが、できるだけ建設省がやっておりますように助成事業と申しまするか、大幅な改良工事を取り入れる、こういうふうにひとつ農林省におきましても取り計らう必要があるんじゃないか、これが第一点であります。  それから、水稲、蔬菜、桑等の病虫害防除対策の関係でありますが、やはり樹勢回復なりあるいは農薬散布による病虫害防除等の費用が相当県あるいは市町村で負担をいたしまして、督励をして実施をいたしておるわけでありますが、これらについてもいわゆる国において、農林省において負担をできないものであろうか、すべきではないか、こういうふうにまあ考えております。  それから、恵那郡の山岡町と恵那市にまたがりまして共同利用模範牧場というのを建設しておりますが、まだこれは県に聞きましても災害の調査が的確に進んでおらないようでありまするけれども、まあ概算二千万ぐらいの被害があったんじゃないか。したがって、まだ建設中でありますから、これを現行の補助率の五〇%で災害復旧を現実的にやらなければならぬということになりますとたいへんでありますので、災害復旧として高率補助の適用措置を講じてもらいたい。こういうのが第三番目の質問であります。  以上、三つを質問いたしまして、災害関係に対する質問は、本日は一応これでやめたいと思います。
  75. 三善信二

    説明員(三善信二君) 農地、農業施設の改良復旧につきましては、私ども大幅にこれを認めていきたい。現実に大臣の指示もありましたし、査定をする場合にまずそういう計画をつくる必要があるわけでございます。県、農地事務所その他に指令をしまして、できるだけこの改良復旧ということを今回は取り上げていくようにということで措置をしているわけでございます。
  76. 内村良英

    説明員(内村良英君) 病害虫防除費の助成の問題でございますが、確かに水害等の場合に、いもちが発生しやすくなる、あるいはアワヨトウムシが発生するということがございますので、防除の必要なことは、先生の御指摘があったとおりでございます。そこで、農薬費の助成につきましては、農林省といたしましては、新しい病気すなわち農民が防除の方法を知っていないような病気が出た場合に、県に防除の計画をつくってもらいまして、それを一部補助するというようなやり方をやっておるわけでありますが、この災害あとの防除の問題は、そのような計画をつくってどうこうということではできない非常に緊急な場合が多いわけであります。したがいまして、いろいろな過去の経験にかんがみまして、農林省といたしましては、昭和三十八年から四十三年の間に約五億の金を使いまして、緊急のそういった場合の防除組織の整備事業というものをやって、約千五百台の大型防除機を各県に配ったわけでございます。したがいまして、災害の場合には、そういった機械を必要な市町村に貸すというようなことで、これをもって対処したいというふうに考えておりますし、現にそうやっておるわけであります。しかしながら、そのような大型機械があぜの関係等で入らない、ヘリコプターを使わなければならぬというケースがあるわけでありますが、そういった場合にはヘリコプターの利用防除について若干の補助をするということをやっているわけでございます。
  77. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) 地勢回復用の肥料という御質問でございますが、過去政府がある時期におきましては、こういう天災に対しまして地勢回復用の肥料というものを補助した例もございますが、その後災害に対します農林省の諸制度というものが整備されてまいりまして、特に天災融資法なり、あるいは自作農創設維持資金制度というものがその後整備され、また農業共済等も整備されてきておりますので、こうした災害に際しましては、低利の融資を中心といたしまして肥料等の購入の円滑になるようにしてまいっておる次第でございます。
  78. 増田久

    説明員(増田久君) 先生の御質問のありました山岡町の模範牧場についてでございますが、この模範牧場につきましては、その事業を行ないました基本法であります農地開発機械公団法、その法律の中で、災害復旧の場合の特別の高率補助という規定が実は規定されていない、そういうことで、残念ながら現在の制度のもとにおいて高率補助ということは、非常に残念ながらできないということになっておるわけでございます。そういうことではございますけれども、それはそれとして、現在の運用の中で何らかの高率補助の適用はできないものか、こういうことで、実は大蔵省なり会計検査院と何か便法と申しますか、考えられないものかということで、いまも検討を願っておるということで、残念ながら今日まで結論を得ていないわけでございます。それはそれといたしまして、公団事業の運営の中において、できるだけ地元の方の御期待に沿うような配慮は十分してまいりたいと、かように考えておるわけでございます。
  79. 中村波男

    ○中村波男君 いろいろまだお尋ねしたいことがあるわけでありますが、私の割り当て時間がすでに超過をいたしておりますので、もう一点だけ大臣にお尋ねをしておきたいと思うわけです。  けさ戸叶先輩からも御質問があったわけでありますが、去る八日の日本記者クラブの昼食会において、当面の農政の課題について大いに農林大臣が語られたという記事を見たわけであります。そこで、時間がありませんからいろいろお聞きしたいことがたくさんあるわけでありますが、一つだけお伺いをいたします。消費者米価を一〇%値上げをする、その方法としては、販売面で銘柄格差を導入して操作をする、こういうことが新聞その他で大臣の方針として固まったとか、固まりつつあるとかというふうに受け取っているわけでありますが、これは実際どういうお考えでありますか。
  80. 足立篤郎

    国務大臣足立篤郎君) 私は、前から申し上げておりますので、末端逆ざやというものは、これからの農政推進上いろいろの面で障害がございますので、農林大臣という立場におきましては、なるべく早く、せめて末端逆ざやだけは解消したいという念願を持っております。ただ、いま新聞に出ておるからとおっしゃいますが、実はきのうは朝から晩——夜まで、衆議院の農林水産委員会にくぎづけでございまして、一昨日はお伊勢参りのお供で十二時間労働をいたしておりまして、実は記者会見もいたしておりませんし、新聞記者と会った覚えもございませんし、電話等もした覚えもございません。農林大臣が不在でどうして政府の方針がきまったのかと思って、けさ新聞を見てびっくりぎょうてんしたわけでございまして、さような事情でございますから、新聞記事については私、責任を持てませんので、いま申し上げたような末端逆ざや解消の方向で、これから政府関係機関の話を何とかまとめたいと思っておるところでございまして、まだ何ら結論を得ておりません。
  81. 中村波男

    ○中村波男君 時間がありませんから、詳しいことは聞くことができませんのは残念でありますが、けさ戸叶先輩の質問に対しても、大臣は日本記者クラブで話したのは、自分の構想を語ったに過ぎないのだ、これから皆さんの意見を聞いてお話しするのだ、こういうことで逃げられた感じが強いわけです。しかし、新聞記事は、これは一紙や二紙にとどまらず、相当詳しく報道しているわけです。したがって、大臣の発言というものは、院外では相当大胆な提言をしておられる、また自分の考えを率直に述べておられる。ここへ来られますと、国会の中では実に答弁が慎重で、これから検討いたします、これから考えてきめますということになってしまう、これは私は、おかしいと思うんですよ。外で言われたことは、これは少なくとも大臣のお考えでありますから、さらにこの場でこれについてはこうこうこうなんだというふうに補足的に、さらに掘り下げた説明をされてしかるべきではないかと思います。そういうことで、もう一度ほんとうのお考えを明らかにしていただきたい。
  82. 足立篤郎

    国務大臣足立篤郎君) 八日帝国ホテルにおける日本記者クラブとの懇談でございますが、最初昼食を含めて二時間というお約束で出席をいたしました。昼食がすんでから、私から農政全般について一応の抱負を語れと言いますから、私どもも日本のマスコミの代表の方々を相手の話でありますから、慎重を期しまして一応書いたものを読み上げまして、農政全般についての私の所信の一端を申し述べたわけであります。それからあと質問に入りまして、一時間余り質問の時間があったわけでありますが、水産の問題等の質問がたいへん多うございまして、むしろ日本記者クラブのメンバーの方々の御意見拝聴の時間が多かったのです。実は約束の二時がきた瞬間でございましたが、あるマスコミの方から足立農林大臣は、着任早々から食管制度の改善を行なうと言っているが、一体真意はどうなんだと、だいぶ評判が悪いぞといってだいぶはったりをかけられました。私は、そのときに答弁に立ちまして、実はお約束の時間がきてしまって、私のからだは一分刻みでしばられているので実は困っているので、いまの食管問題については私もぜひお答えしたいと思っておったし、心がまえもあるので、前もって御質問があればゆっくりお話ができるのだが、時間が全くなくなってしまったが、せっかくの御質問だから許される範囲内でお答えしますというので大急ぎでお答えしたのでありまして、そう深く突っ込んで広範な話をしたつもりは絶対にございません。  新聞記事の問題でありますが、相当に推測記事が各紙で発表されているのを見て、これまた私もびっくりいたしましたが、その新聞の名前を具体的に申し上げるわけにいきませんが、ここに切り抜きを持ってまいっておりますが、ある新聞はきわめて短な報道でありますが、私の申したことをそのまま正直に伝えております。これを簡単ですから読み上げさしていただきます。「足立農相の発言の要旨は次の通り。  現在の食糧管理制度は米の需給事情の変化などから実態に合わない面が出ている。その改善方法については米穀管理研究会の正式報告など関係者の意見を聞き慎重に検討したい。しかし食管制度の改革は二十年来の懸案であり、在任中に何らかのメドをつけたい。その一つの方法として全国農協中央会の宮脇朝男会長政府に代わって米穀の管理を行なう米穀管理制度構想を打ち出しているが、農協が統制の上にあぐらをかくのでなく、自由経済の原則に基づき真に農民の立場に立ってこうした構想に取り組むことは大歓迎である。」こういう内容が伝えられておりますが、これはまさしく私の申したことをそのまま正直に伝えている報道でございますので、御披露申し上げて御理解いただきたいと思います。
  83. 戸叶武

    ○戸叶武君 関連。  ごく簡単ですが、いまのその書いたもので発言したという資料を当委員会にも配付を願いたいと思います。  それから、「日本農業新聞」にも二回にわたって詳細にありましたが、ここで食管制度の改正というものは、これははったりじゃなく一般に与える衝撃というものは大きいのです。あなたは大胆に素朴に正直に——その上に何かついていますが、問題を提示しておりますけれども、受け取っている農民全体、農協なんかでも非常に衝撃を受けています。  それからもう一点、宮脇さんとの——政府農協で米の集荷並びに流通の面を担当するというようなことも、内容が十分でないですけれども、大見出しでとにかく発表されておりますが、私もその問題に対する質問は若干遠慮したのです。これは農協の、あなたは農協マンで宮脇ペースにそのまま乗っかったという印象ですが、これは農協が九〇何%まで集荷しているというけれども、与える影響というのはきわめて大きいのでありまして、簡単に農林大臣がそういう発言をしていいのかどうかというものも疑念があります。せっかく走り出しが野兎のごとく出てきたのだから、あまりやるとまたウサギが腰抜かしたようになるとだめだから、率直にものを言うのはいいが、大臣の発言というのはあとでまた取り消しがききませんから、ですから、いままでの足立さんの新聞に出た放言集を全部集めてくださって、どれまでが間違いでどれまでが正しいのだ、それに対する弁解なり何なりしないと、悪事千里を走るでやっぱりごっちゃになって、この農政動揺期に足立放言集というものをさがしてどれがほんとうのあれか、どれが新聞でつくったのかはっきりしないと、やはりこれはあなたとの論争ができなくなるから、毛沢東語録ほどの権威があるものでなくてもいいが、池田放言集と田中放言集と足立放言集は、いまの農政を語る段階においてたいへん重要ですから新聞記者にだけ、新聞社にだけ責任を転嫁すると佐藤さんの最後の往生ぎわみたいなことになりますから、どうぞきれいな戦いをやるために資料だけは正確に、農林省、めんどうくさいかもわかりませんが、出していただきたい。
  84. 足立篤郎

    国務大臣足立篤郎君) 最初の御要求の、私が日本記者クラブで原稿を見て話したというその原稿は、御要求がございますれば差し上げます。  それから、放言とおっしゃいますが、私は決して放言をしている気持ちは毛頭ございません。この委員会で御質問に答えると同じ態度、同じ考え方でものを言っております、これは絶対に間違いがありません。それ以上に余分な尾ひれをつけてかってなことをしゃべっているとおっしゃいますが、これは私の部屋で個人的に話すときには、多少行き過ぎもあったでございましょう。さっきおっしゃったカチューシャ農業だというのは冗談話に申したことでございます。なお、いま私が読み上げた、新聞名は申し上げませんが、明らかに新聞に出ていることでありまして、そのキャッチのしかたでこうも違うものかと思って私もびっくりしているわけでございますし、それから、きのうきょうと、きのうは食管制度、きょうは消費者米価、相当トップ記事で大きく出ておりました。これも新聞名は申し上げませんが御承知のとおりでございます。これは全く根拠がございません。私は、さようなことを申したこともございませんし、これだけは決して、佐藤さんの末期のようだとおっしゃるが、佐藤さんの気持ちもよくわかるわけでございまして、決して私は、ぐちをこぼす気も弁解をする気もございません、真実を申し上げているわけであります。
  85. 中村波男

    ○中村波男君 時間が来ましたので、またいつか会を改めまして詳しくお聞きしますが、大臣、もう一つだけ確認しておきますが、消費者米価値上げは全く考えておられないのか、考えておられるわけでしょう、上げなければならぬと。その時期等も十一月一日からということが新聞が伝えておりますが、十一月一日には幾らになるかパーセントは言えないにしても、消費者米価を値上げをするというお腹であることは間違いないでしょう、いかがですか。
  86. 足立篤郎

    国務大臣足立篤郎君) 先ほど来申し上げておりますように、末端逆ざやというのは、いろいろな支障がありますので、私としては、何とかこれは解消するようにしたいということは、言いかえれば消費者米価の値上げは避けられないということだと思います。時期につきましては、これは記者諸君も常識でございまして、十一月一日が端境期でございますから、上げるとすればその時期以外にないというように見当をつけられるのは、これまた当然じゃないかと思っておりますが、そのパーセンテージや上げ方、しかも経済企画庁のほうは消費者米価の値上げは反対であるという意向を持っておりますので、これは政府部内の調整がなかなかたいへんでございまして、何とかくふうをいたしまして企画庁長官も言っておりますが、庶民の米は上げないと言いますが、庶民とは何ぞやといいますと、これまた私どもも大臣をやっていれば何だか格がつきますが、大臣をやめればとたんに庶民でございますから、これはなかなか定義はむずかしゅうございますが、そうしたくふうをいたしまして、何とかその影響が少ないような方法で末端逆ざやの解消を何とかはかっていきたいと、こういう気持ちでございます。
  87. 河口陽一

    ○河口陽一君 私は、米価を生産調整、二点について発言いたしたいと考えていますが、午前中戸叶委員と佐藤委員から北海道農業について御親切な御発言がございましたことは、まことに感謝にたえません。いまほども論議がございましたが、戸叶発言の中に、田中総理が北海道の水田をやめさすと断言されておるという御発言がございましたが、私ども、それに近いような足立発言が新聞記事に載りましたので、これは総理にも足立農相にも確かめまして、先ほど来やりとりのあったようなことで、私どもも了承をいたしております。どうか、北海道の農業を刺激するような発言は、ひとつ差し控えていただきたい。というのは、私は、日本農業の基地は北海道であると自負をいたし、農民もそのように考えて取り組んでおります。前向きでやっておりますんですから、それに水をかけるような議員なりあるいは当事者なりの発言は、これは今後慎重を期していただきたいと、要望を申し上げておきます。  米価の問題については、皆さん御承知のとおり、毎年、年中行事のような大規模な、大騒ぎが行なわれておることに対して、皆さんが、知恵を出し合って対処することをくふうされておると思います。そういう立場から、農林大臣も、先刻来新聞にいろいろな記事が出ますが、これも、前向きで取り組む考えで対応されておると私どもは、考えておるわけでございますが、米価決定にあたって、農林省農民の味方であるという一つの信頼官庁としてわれわれは考えておるんですが、どうもそのやられることは、何か農民に負担をしわ寄せしていくような行動になっておると、考えと行動が一致しておらぬように受けとめる。私のひがみかどうか知りませんが、そういう感じがいたしますので、こういう問題をひとつ払拭するような対策はないもんかと私なりに考えたんです。  まあ、終戦後の混乱時に労働運動が非常に盛んになりまして、官庁といわず民間企業といわず、問題が行き詰まるとストライキをやって、企業なりあるいは私鉄がとまってしまう。これではいかぬというので衆知を集めた結果、皆さん御承知の人事院というものができて、そこで適正な賃金の計算が行なわれた。そうして政府はその人事院勧告に対してはまじめに取っ組んで、これを実施するという態度になりましてから、そうした官公庁のストというようなことが解消されたように私は、受けとめております。  私は、そういう経過から考えて、農林省は、農民の賃金である米価に対して、人事院的な立場でこの米価というものを試算をしていただくならば、私は、こういう年中行事の大騒ぎは起こさなくても済むんではないか、こういうことが考えられて、自民党のベトコン部隊でもこういう発言をいたしておいたのでございますが、ひとつ、発想の転換という、まことに新しい適切なことばが生まれております。大臣もたびたびそういう発言もされておるようでございますが、米価の試算については、もっと理解のできるような試算のやり方がないものか。しかし、米が余り、生産調整もしておる場合であるから、試算の結果はこういう金額になるが、そういう客観的な経済的な諸情勢から、この程度はひとつ農民もがまんをせいという、それがほんとうの話し合いの結論でなかろうかと思うのです。  頭から、こういう計算しかならないというて、三・〇三%値上げすれば再生産が確保されて食管制度に抵触しないというような態度であるがゆえに、農業団体農民がこれに反駁を加える。しかも、要求した四千円近い値上げに対して、五百円に足らぬ値上げで事を終わらす。これは、先ほど戸叶議員は自民党の密室と言われておりますが、自民党員一人として、あのベトコン部隊の議員は満足したわけではございません。事情やむを得ないというので、涙をのんでこれを了承せざるを得なくなったというせっぱ詰まった考えで、この米価を了承せざるを得なかったというのが実態でございます。  そういうことで、議員も、国民を代表して、そうして最終決定権を持っておるように選挙民からは言われて、考えておられる。その議員自体は要求が達成されない。農林省も、農民のことに対してはどの省よりもお考えをいただいておると思います。決して、この米価農民が喜ぶ米価というお気持ちで出しておられるものではないことは明白であります。まあ、そういうぐあいに、みんなが困って、みんなが行き詰まっておるというこの事態に対して、やはりこれだけの知恵者がおれば、もっとすっきりした米価のきめ方があるはずである。私は、いまの農政の行き方を見ると、うしろ向き、あと追いの農政しか行なわれておらぬと考えるわけでございまして、近代化された時代において、従来馬でがた馬車を引っぱってそれに乗っておった者が、これを自動車に乗りかえると言ったら、だれ一人不平を言う者がないはずであります。したがって、農政を推進するにあたって、農林省の負担を軽減して、そうして農民にしわ寄せをするような農政をやるから農民から反駁が来るので、がた馬車から自動車に乗りかえるような農政を、ここで発想の転換で樹立をされれば、農民、国民は、あげてこれに賛成をするはずである。  国内の経済の推移、あるいは社会的情勢など、これは、最近においては、われわれが地方に帰って報告する前に、テレビ、ラジオが徹底をいたしておりますから、むしろわれわれよりも農民のほうが農政を知っておりますよ。もう日本国民の知識は、経済についても、政治についても、同じレベルになっておるのです。その中において、われわれが帰って報告をいたしましても、二番せんじ、三番せんじの報告にとどまるというのが、日本の現状の文化の状態でございます。だから、ここでそれだけの知能を持つ農民を相手に農政を立てられる限りにおいては、ひとつ、がた馬車から自動車に乗りかえるような農政、それが発想の転換と私は考えるので、そういう発想の転換をこの際やっていただけば、問題は解決すると思います。農民にしわ寄せをして犠牲を払わすような発想の転換であれば、これはあくまで与党といえども、抵抗せざるを得ないというのが私の心境でございます。そういう意味で、北海道農業も、この北限地帯の水田については、私ども以上に農民は心配をいたしております。いろいろ苦心をいたしております。したがって、そこにがた馬車から自動車に乗りかえるようなあたたかいと申しますか、前途に対して希望の持てる農業政策なり予算なりを配慮願えれば、これは文句なしに北限地帯の農業は転換をいたします。転換いたしたくてしょうがないというのが農民の心情でございますから、首切り農政のような発想でなく、もっと、いま申し上げたような、抽象的な発言でございますが、知恵を出して、農林省にはエリートがたくさんおられるのですから、ひとつ知恵を出して、こうした考え方のもとにこの米価問題に対して、明年まで一年間ありますから、ひとつ御研究を願って対応していただきたい。まず米価決定にあたっては、明年も全国農民代表が何万人も東京に集まってきて、あの経費だけでも私は、膨大なものだと思います。そういう経費があるならば、使わすならば、その時間があるならば、農業政策に対して国がもっと積極的にやっても、何もむだづかいにならぬと考えます。どうか皆さん、知恵を十分に発揮して、幸いベテランの足立農相でございます、経験も豊かでございます。どうか農民にしわ寄せをするという農政でなく、農民が喜んで乗りかえのできるようなひとつ農政をぜひともお願いをいたしたい。  米価に関する私の発言は以上で終わりますが、これに対して大臣、何か御意見があったら承りたい。
  88. 足立篤郎

    国務大臣足立篤郎君) 前段おしかりをいただきました北海道農業の問題でございますが、河口先生と私、個人的にこの問題であまりお話ししておりませんので、たいへん誤解を受けているようでございますが、私の気持ちを率直にこの点だけ申し上げさしていただきます。  私は、何とかして北海道農業を将来とも安定した希望の持てる農業にしたいという気持ちで一ぱいであります。ですから、私は、着任以来この問題と真剣に取り組みたいと思っております。田中総理は、御承知のような人柄でございますし、世間で評してコンピューターつきブルドーザーというだけに、私どもにものをおっしゃるときにも十秒か二十秒しかおっしゃいません。私どもは一時間も二時間もかからにゃわからぬことを、あの方はのみ込んでしまうと見えまして、また気が短いのか何だか知りませんが、きわめて簡潔におっしゃいますので、いまおっしゃるような誤解を受けるんだろうと思います。で、私は、北限地帯の水稲の話は、この前の米価に関する農水委員会のときにも申し上げたのでありますが、これは農民も決して喜んで、安心をして、はげみを持って、あの三年に一ぺんは冷害を受ける、それを承知で稲作にいそしんでいるとは思いません。一方、畑作のほうにつきましては、国の制度といいますか、保護政策も非常に希薄でございまして、わずかに大豆とかビートとかバレイショとかというものに、弱いながらも価格安定制度があるというだけでございまして、その他の畑作物については、農災法の適用もなければ、価格安定の措置もとられてない。一方、水稲のほうは、かりに冷害を受けましても、相当な共済金がもらえるという制度になっておりますから、これはいや応なしに国の農政というものが、ああいう無理な北限地帯で稲作に農民を追い込んでいる。これは私は、農民にとっても悲劇だと実は思っております。これは農政の貧困だと言われても、弁解の余地がないじゃないかということを私は、着任以来、関係局長には申しているわけでありまして、これは何とか解決したい。それにはやはり北限地帯においては、酪農とか畑作とか、北海道に一番向いた一番適当な農業に転換してもらうように誘導政策をとるべきであるし、その誘導政策をとるためには、稲作に与えておると同じようなフェーバーを、恩恵を、保護政策畑作についても行なうべきじゃないかということでございます。ただ、北海道畑作は、たとえば農災法を適用するといたしましても、これはローテーションをやっておりますので、四種類、五種類の畑作物を一軒の農家が同時に作付いたしておりますから、品種別に農災制度をつくりましても解決できませんので、いわば農家単位の包括引き受け制度というような仕組みを考えなければなりません。なかなか共済の技術からいきましても、むずかしい面はありますが、米でも農家単位あるいは果樹でも農家単位という制度をやっているのでありますから、これは現地の農業共済組合が評価等で苦労はすると思いますが、やってやれないことはないという私は、確信を持っております。ただ、アズキの問題が少し障害になっているわけでありまして、この間も大蔵大臣のところへ行きまして、私は、いま申し上げた意見を述べまして、主計局長立ち会いで話し合ったんですが、主計局長からすぐ異議が出たのは、アズキのように投機の対象になっている、露骨に言えば、ばくちの対象になっているものを国が共済制度で補うということは、大蔵省としては納得できませんというような話がございまして、そうした難点はございますが、私は、いま申し上げたように、すでに積極的に取り組んでいるわけでありまして、そうなければ佐藤前政務次官が非常に御苦心になったその地域差の問題でありますが、地域指標の問題でありますが、あれをそのまま見ますと、北海道の水田は、現地の七割に減らすべきだという答えが出ておるわけです。これは正しいかどうかわかりませんよ。さっき申し上げたように、データは人間がぶち込むんですから、コンピューターは正しくてもデータのぶち込み方によっては違った答えが出ますから、絶対にこれは正しいと私は、申し上げませんが、それは私は、北海道農業の悩みの一面を物語っているものだと思います。したがって、こうした問題を解決するために、私は、真剣に取り組みたいと思っていますので、北海道御出身の先生方には御理解をいただき、なお御鞭撻と御支援をいただきたいと思っているくらいでありまして、どうかひとつその点は十分な御理解をいただきたいと思います。  なお、米価の問題でありますが、私も実は以前四年ばかり米価審議会委員をやりまして苦労した思い出話をこの前いたしたのでありますが、昔は例のパリティ方式でやっておりました。三十五年からですか、生産費所得補償方式ということで、農民の生活向上をはかろうというので、いわゆる当時は政治米価と言われたのでありますが、この政治米価に乗り移ってまいりました。現在は、需給事情を反映するということから、この前の農水ではずいぶんこの問題で議論があったのでありますが、そういうことから、データーの取り方を逐年いろいろ手をつけまして、そしてかげんをしてきた、この辺にいまの河口先生のおっしゃる問題があろうかと思います。ですが、私も何とか生産費所得補償方式というものは一応固定をしたのですから、その実績を基礎にして、物価の変動その他につれてもう少し機械的に議論の余地なく出るような制度にいたしたいという気持ちを持っております。詳しいことは、専門家が隣におりますから、専門家から答えさせますので、ひとつ今後とも御理解をいただきたいと思います。
  89. 亀長友義

    説明員亀長友義君) いま大臣から算定方式について御答弁がございましたけれども、私、専門家——まあ担当でございますけれども、昨年もずいぶんこの問題を研究いたしましたけれども、結局名案がなかった、ことしも名案がなかったというようなことでございまして、私ども、いろいろ学者の方の御意見も聞いておるのでございますけれども、何とかして今後ともそういう努力を続けてまいりたいと考えております。
  90. 河口陽一

    ○河口陽一君 短い時間でこの問題を詰めてしまうのは不可能と思いますので、別の機会に譲りたいと思いますが、意見だけ私は、申し上げたのでございます。  それから、あとの人の時間がなくなるようでございますので……、生産調整の中で、実は北限地帯の名寄市で植物性薬物の北海道生薬公社というのを設置いたして、薬草栽培を大々的に始めております。これの機構は北海道が五百万出資をし、名寄市が四百万、その他協同組合、金融機関、商工会議所、まあ名寄市をあげてこういう生薬公社を設置をいたし、道もこれに協力をいたしまして一千五百万円の会社を組織して、生産調整の転作物に薬物をつくっておるわけでございます。非常に私は、けっこうなことと考え農林省もけっこうなこととお考えであろうと存じます。そこで、これらに対して私は、こういうせっかく北限地帯の稲作転作にこういう事業が始められておりますから、これの試験研究機関を設置していただきたい、そういうことであとの方の何か時間が詰まったようでございますから、この希望に対して農林省はどのようにお考えか、お考えがなければひとつ明年度予算で、名寄に農事試験場もございますから、これを活用をして、こうした薬物の試験研究に積極的に取り組んでいただきたい。以上申し上げて質問を終わります。
  91. 加賀山國雄

    説明員加賀山國雄君) ただいまのお尋ねでございますが、最近北海道において、ただいま先生がおっしゃいました生薬でございます薬草の栽培がたいへん盛んなように伺っておりますが、元来、薬草の栽培関係の試験研究は、厚生省の国立衛生試験所の扱ってまいったようなことになっておりまして、ただいま御指摘の名寄に薬用植物栽培試験場というのを置いております。これは三十九年設立になったわけでございますが、まあ、そういうことで厚生省が中心にやっておりますが、まあいろいろ研究者の数等ともまだ十分じゃないというふうに伺っております。ひとつ稲作の転換の作物として、こういう薬草をやったらいいじゃないかという農家の方々の声も強いわけでございます。われわれのほうも稲作転換作物として非常におもしろいと考えておりまして、できればこういう場面についての試験研究についてわれわれももし協力ができるならば、何らかの方向で協力いたしたいと考えておりますが、厚生省とも十分に打ち合わせをいたしまして今後検討してまいりたい、かように考えております。
  92. 河口陽一

    ○河口陽一君 ここに写真もございますが……。
  93. 加賀山國雄

    説明員加賀山國雄君) 持っております。
  94. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 私、時間が全くないので個条書きに個条をあげて申し上げますので、簡単に明確に御答弁を願いたいと思います。  大臣の北海道に対する非常に積極的なお話を伺いまして、非常に意を強くした一人であります。北海道だけじゃなく、東北を含めた北限農政というものに対する総合的なお考えを聞かせていただきたい。これは次回の委員会等でけっこうでございます。  きょうは時間の関係で私は、銘柄加算金ですか、奨励金、これの米価引き上げをした理由のその根拠、これが一点。  それから、銘柄格差、銘柄品種のない産地の生産意欲を失わせていくんじゃないか、格差についての具体的なその指向を示してもらいたい、銘柄品種のない産地に対する具体的な指向。銘柄というものに対する定義。午前中、佐藤委員のほうからも要望があったようでありますが、制度をどう考えていこうとするのか。銘柄地域指定について、今日まで銘柄品種を一生懸命に奨励して、いい米をつくれ、良質米をつくれといって奨励してきて、今日まで全国各地につくらしてきた。それが今日までのその銘柄の種苗といいますか、それらの収穫等の成果に対する責任をどんなふうに考えて今後いこうとするのかということでありますが、さらにもう一つ北海道のことにつけ加えていきますと、戦前の北海道米の等級格差のあることは御存じだと思いますが、北海道米についても、戦前と戦後との考え方があるはずであります。そうしますと、一概に北海道米といって切り捨てていくようなことがあってはならないと思います。これは青森もしかりだと思います。で、特に北海道と青森は銘柄の指定を受けないというようにも聞いております。こういう点で、こういう格差をつけていくということに対しては非常に不満でございます。この点について御答弁を願いたいと思います。
  95. 足立篤郎

    国務大臣足立篤郎君) 基本的な問題につきまして私の所信を申し上げた上で、食糧庁長官のほうから具体的な問題について答えをさせますので御了承いただきます。  けさほど午前中の御質問でも、私、申し上げたのでありますが、指定銘柄奨励金というのは、今回米価決定にあたって最終段階で与党である自民党の要求でああいう制度を設けたわけでございますが、私は、あの前年やりました方式と比べますと、政策意図がきわめて明らかになっておるということから、これに賛意を表して決定をいたしたわけでございまして、いま北海道等においては、銘柄指定のものがないからというようなお話がございましたが、実はかく申す私の出身県、静岡県も銘柄米は一つもございませんで、私も地元から恨まれておりますが、これは心を鬼にいたしまして、やはり消費者に喜んでいただけるおいしい米を増産するという政策目的を達するためには、暫時やむを得ない処置だというふうに割り切っておるわけでございます。あと具体的なことにつきましては、長官からお答えいたします。
  96. 亀長友義

    説明員亀長友義君) 今回設定されました銘柄米の奨励金、これはあくまでも銘柄、これをどう定義するかという御質問でございますけれども、結局これは味のよい米ということになると思います。ただ、この味のよいということの評価はむずかしゅうございまして、結局市場取引、生産者と実需者の間でそういうものの判定というものが生まれてくる、そういう性格のものであろうかと思いますが、私どものほうで四十四年に自主流通が発足をいたしましたときから産地品種に着目した米の取引の円滑化をはかるために、指定法人、これは農業団体がおもでございます。現在の全農あるいは経済連、それと全国実需者団体、これは米屋さんの団体、こういう流通担当者及び産米改良者の意見を聴取いたしまして、銘柄米として検査時において証明を付するにふさわしい品質であることについて関係者の意見が一致したものにつきましては、毎年検査上の規格として農林省告示で通常七月一日にいたしておりますが、告示をして設定をいたしております。この指定の基準といたしましては、指定法人、実需者団体の双方において十分な品質を備えているという合意があったこと、自主流通米の主食用として三千トン以上の流通量が予想されること、府県の奨励品種であること、その他食味等の好評等いろいろございますが、そういう基準で毎年指定をいたしておりまして、ことしも四十七年の七月一日に指定をして告示をいたしております。こういうものが現在のところ自主流通という形を通じまして、銘柄米として扱われておるわけでございまして、今回そのようなものに一俵二百円の奨励金を出すことにいたしたわけであります。これはあくまでもそういうものの生産を奨励するという趣旨でございます。したがいまして、ある程度すでに市場にそのような銘柄米として十分納得し得る事実が先行しておりまして、それを取り上げて指定をいたし、それに対して今回一俵二百円の奨励金をつけておるわけでございます。まあ二百円という数字の根拠になりますと、これはあくまで奨励金でございますので、明確な根拠は率直に申し上げてございません。ただ、現在の市場で言われておる価格から申しますと、決して二百円というものは、普通言われている差よりもはるかに少ないものであると言われております。もっともっと実質上は差があるんだというふうに言われております。まあ、あくまで奨励金でございますから、決して格差全部をカバーするというようなものではございません。まあ何がしかの奨励的な気持ちをあらわした金額だと、私どもかように考えております。  今後これをどういうふうに指定をしていくかという問題でございますが、これにつきましては、明年もまた七月のころに来年度の銘柄米の告示をいたしたいと思っております。これにはやはり今年度における流通の模様等も調査をいたしまして、一定の基準のもとに指定をいたしたいと思います。したがいまして、現在指定をされておるものでも実際上そのような取引が行なわれなかったということになれば、当然脱落するものもございます。入るものも出てまいるかと思います。  それから、集荷上の問題でございますが、このような米を私どもが大体全国の四割というふうに予想いたしまして、奨励金をつけることになっておりますが、もちろんそれ以外の六割の米というのも、当然これは集荷しなければ配給上困るわけでございまして、もちろんこれらの米に対しましても通常の米価は、当然きまった米価は支払われるわけでございますから、決してこの特別の指定銘柄にまあ二百円程度のものが支払われたからといって、他のものの生産が大きく影響するというようなことは、私は、ないと考えております。  それから、北海道、青森の問題でございますが、先ほど申し上げましたような、この指定銘柄の指定の考え方でまいりました関係上、従来の北海道米の売れ行き、青森米の売れ行きから申しますと、そういうふうな基準には乗っかってこなかったというのが率直な事情でございます。しかし、これはそれぞれの県の今後の産米の改良なりによるわけでございまして、現に青森県は昨年までは全然ございませんでしたが、本年の七月一日の指定では、青森県津軽地方のムツニシキを新たに指定銘柄にいたしまして告示をいたしました。したがいまして、青森につきましては、すでに津軽地方のムツニシキにつきましては、指定銘柄奨励金が交付されるわけでございますので、決して私ども地域的に予見をもって、ある地域はだめだと、こういうふうに考えているわけではございません。これは結局米の生産者と実需者の間、経済連等とお米屋さんとの間の取引でやはり銘柄米として扱う、そういうものが市場的にも了承されるという時代がくれば、どこの府県の米でも該当いたしますし、また、それに該当しなくなれば現在入っているものでも脱落する。その辺は実際に即して、毎年毎年の指定で、一定の基準で弾力的に考えたいと思っております。
  97. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 自主流通米が制定されたときに、そのときに銘柄米のもう位置づけができてたのじゃなかったですか。結局流通米、良質米を即銘柄米というような考え方で位置づけができたとすれば、それから考えていきますと、いまの基準なんかのお話を伺ってみて、当然もうこれは法制化して明確に国民にもわからせていくというような考え方が出なきゃならないわけだと私は、思うのです。しかも、今回は銘柄奨励金、銘柄加算金というものを公表したわけです。それにはこういう理由があってこうなんだということが明確になっていかなければいけないのじゃないかと思うのですがね。先ほど申し上げましたように、その北海道の米だってうまい米があるんですよ。それは北海道の米の昔は、戦前の一区の米を持ってきまして、そしてそのササニシキを持っていってもわからないのですよ、実際のところ見ても。米を持って、袋に入れて持っていってもわからぬですよ。したがって、極端な言い方をすれば、ササニシキの一等米と五等米とをまぜて、これがササニシキだと言って袋の中に入って売られた場合ですね。こういうようなことだって銘柄ということだけで処理をされていくような考え方があってはならないと思いますが、やってないと私も信じておるわけですけれども、いずれにしましても、そういう先ほど申しました自主流通米の制定したときから、そのことは明らかになってたと思うわけですが、この点どうなんですかね。
  98. 亀長友義

    説明員亀長友義君) 御承知のように、自主流通米というのは政府買い入れ価格以上で売れる米ということでございますから、当然これは一般の米よりも一般の消費者価格、政府売り渡し価格よりも高く売れる米と、そういう意味でおいしい米と申しますか、よい米というふうな感じで扱われております。四十年の自主流通制度の発足のときに、県産品種別にそういうものをある程度指定をして、そういうものは全販連のほうでも優先的に自主流通米として買うと、こういうようなことから発足したわけでございます。その後、数年たちます間に、そういうものが逐次また種類もふえましたし、現在に至っておるわけでございまして、四十四年当時に何か非常に先験的にある品種があって、それだけを固定的に扱っておるということではございません。品種もまた変わってまいりますし、ある県でよい品種があった場合に、それを隣りの県に持っていって、隣りの県でもいいものが同じようにできたというようなことから、県産品種が一つふえるということもございますし、その辺は四十四年の自主流通発足から固定的ではなくて、逐次発展的に拡大をして、今年の指定の告示に至ったと、こういうふうに御理解を願いたいと思います。  それから、また対外的に公表すべきだという点でございますが、私ども従来この選定方針につきましては、食糧庁と関係団体で協議をして、そこで一致したものだけを採用いたしております。それを農林省告示という形で、当然これは公表いたしておるわけでございますけれども、まあこのように奨励金がつくということになりますと、もう少し審査基準と申しますか、そういうものもできるだけ早目に明らかにして、また、それの審査にも従来のような非公式でなくて、もう少し委員会のような形にして、そのような方向に向かってまた農家の方々も努力目標ができるようにいたしたいと、さように考えております。そんなことで明年度に関しましては、できるだけ早く私ども今年度内にでもこの審査基準というものを明らかにして、農家の方々にもお役に立つようにいたしたいと考えております。
  99. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 あとその奨励金をどう流していくか、支給していくかという問題でありますね。それと、それから手続関係については、いまお話がありましたので幾らかわかってきたのですけれども、明らかに、先ほども言いましたように銘柄奨励金という銘打って出したわけですから、したがって、手続関係のことでも、手続の関係等のことにつきましても、これはもう明らかにしていかなければならないと思うわけです。  この二つの点と、もう一つは、いままではとかく生産量の問題だけが討議されてどんどん米がふやされてきたわけですね。そして生産調整という今度は時点になってきて、今度は銘柄奨励金というような形になってきていくわけですが、今度は品物を見るわけですから、米を見るわけですから、その米がいいとか悪いとかというこのチェックは、非常にむずかしいのじゃないかと思うのです。そういったような点についても、非常に私は、心配をしているのです。先ほど申し上げましたように一等米と五等米をまぜてこうだと言われてもなかなかわかりませんし、うまい米とまずい米と、これはもう去年もずいぶん論議をされてきましたが、いま私、時間がございませんので以上三つの点について御答弁をお願いしたいと思います。
  100. 亀長友義

    説明員亀長友義君) 銘柄奨励金の払い方でございますけれども、これはまだ大蔵省といま交渉いたしております。最終的に決定はいたしておりません。しかし、おそらくは米価に加算をして払う、この分だけ足して払う、一俵に対して二百円だけ、これだけ加算をして個々の農家にお渡しをする、こういうことになると思います。  それから、銘柄奨励金といいましても、交付するのは指定銘柄に該当する米だけでございますから、指定銘柄に該当する米は、作付時から検査員がこの農家はコシヒカリを何反つくっているということはわかりますから、そのコシヒカリならコシヒカリの米一俵に対して支払うわけでございますから、私は、混乱はないと思います。もう一つは何でございましたか。
  101. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 もう一つはね、チェックをどこでするか、品質のチェックをどこでするか。
  102. 亀長友義

    説明員亀長友義君) これは買い入れ時の問題でございますので、検査員が農家の持ってきたものを検査いたします。その際に、持ってきた米をこれは等級からいえば二等である、これは等級でございますから、二等の等級をつける。それからさらに、これが指定銘柄に該当する、たとえば青森の場合青森県産のムツニシキであるかどうかということを見て、それがムツニシキに該当しておれば二百円の加算金を付する、こういうことでございます。持ってきた米そのものによっても、もちろんこれは長年の経験によっておおむね判定はつきますけれども、平生からその人のムツニシキの耕作面積、それ以外の耕作面積というものは把握をいたしておりますので……。
  103. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 話の途中ですけれども、私の聞いているのは食糧事務所へいって、それから卸へいく、それから小売りへ行きます。そういう卸から小売りにいく段階でどんなふうになっていってチェックできるのか、そういう点なんですがね。
  104. 亀長友義

    説明員亀長友義君) いまのは、むしろこれは銘柄奨励金の問題ではなくて、政府が農家から買い上げたものを……。
  105. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 銘柄奨励金、銘柄米についての品質のチェック。
  106. 亀長友義

    説明員亀長友義君) 政府が銘柄米として買い上げたものを今後米屋に売る場合にどうするかという問題でございますが、政府が買い入れました銘柄には、全部票筆がついております。これは新潟県産コシヒカリならコシヒカリの票箋がついておりますから、その票箋に従って売却をしていく。ただし小売りから先になりますと、これはすでに俵からくずれておりますから、消費者の段階におきましては。それは表示という問題があとに残るわけでございまして、私どもとしては表示に際しては、特定の銘柄を表示する場合には、きわめて限定的にしかすべきでないという表示に関する指導を行なっておりますので、そのような方法で最末端は行ないたい、政府——卸、卸——小売りの間は俵で取引いたしますので、これは検査員の検査をした証票で確認できると思います。  以上でございます。
  107. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 これをもっとずっと現実的な話をして詰めていきたいのですが、私の時間がないので。  それで御存じのように二十七品種ですか、銘柄の、それを今度は各産地との組み合わせで七十八種類、品種ありますですね。組み合わせていってふえてきますね。今後将来もそうなるだろうと思うのです。そこで、銘柄品種のない産地、先ほど大臣も自分の静岡県は銘柄のもののない産地の一つだと言っておりますが、消費地と今度は生産地と、消費が主体であるところと生産が主体であるところと、これはおのずから考え方は違ってくると思うのです。こういう点に考えを及ぼして、組み合わせていって銘柄をつくっていくということは考えられているわけですね、新しいものを。
  108. 亀長友義

    説明員亀長友義君) どうも私、御質問の趣旨がよくわかりかねますけれども、組み合わせというのがちょっと理解いたしかねるのでございますけれども、新潟県産のコシヒカリというものが銘柄になっておるわけでございます。でございますから、神奈川県のコシヒカリというのは、かりに現存をしておっても、そういうものは銘柄米とは認めない、こういうことでございますから、組み合わせというのがちょっとわかりかねるのでございますが……。
  109. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 時間がないからこれでやめます。まことに残念ですけれども、私の言わんとする意がなかなか達しないようですけれども、私の時間がありませんのできょうはこれでやめさせてもらいますけれども、次回に譲ってまた質問します。
  110. 前川旦

    ○前川旦君 理事会でお約束をいたしました時間が三十分という短い時間でございますので、簡潔に質問させていただきたいと思います。どうか御答弁のほうも結論を先になるべく簡潔な答弁をお願いしておきます。  私は、この七月、八月瀬戸内海の東部で発生をいたしました大量のハマチの被害、一千万匹をこえるハマチの斃死、この問題についてだけお伺いをいたしますが、たいへん悲惨な状態です。これは実際に見た者でなければ理解できないかもしれませんが、ある人のごときは、年寄りですけれども、海岸に打ち寄せられたハマチを、その死骸を自分の子供のようになでて泣いているというたいへん悲惨な状態です。借金はたくさん筒一ぱい借りております。しかも八月に出荷をして、その価格で手形も落とすと、これを予定しておりましたところの直前にやられました。政府としてとうてい捨てておくことのできない、問題であると思います。したがって、この救済措置についてどういうことを考えておられるのか、まずこの点についてお伺いいたします。
  111. 太田康二

    説明員(太田康二君) 御承知のとおり、今回の瀬戸内海におきます赤潮の発生に伴いますハマチ養殖の被害というのは、たいへん多額にのぼっておりまして、従来、例を見ないような被害であることは御指摘のとおりでございまして、私どもが八月十日現在で各県からいただいた報告によりますと、兵庫県が九億六千六百万、香川県が十八億九千七百万、徳島が十九億五千四百万、岡山県が三百万、合わせまして四十八億二千万という被害を県報告でいただいております。そこで御承知のとおり、私どもは、養殖共済につきましては漁業共済制度がございますから、漁業共済の対象になっているものにつきましては、もちろん人災による場合には別でございますけれども、人災による場合にはそちらからの補償を受けるということを前提に、天災と見られるものにつきましては、被害額等をすみやかに確定の上に共済金の支払いを行なうよう組合の指導に当たる、これが第一点でございます。  それから、第二が赤潮に伴います漁業者の当面の被害の救済措置ということで、いまの共済制度もあるわけでございますけれども、私どもといたしましては、今回の赤潮が、この発生機構というのはたいへんむずかしいいろいろな見方があるわけでございまして、まだ必ずしも十分なる究明ができていないわけでございますけれども、私どもは、今回の場合には暴風雨によりまして河川の水が流れ込みまして塩分濃度が非常に低下をした、あるいは日照、高温が続きまして水温が非常に上昇した、しかも風向き等の関係で水が停滞をした、それらはいずれも異常なる自然現象によってそういったことがあって、人為的な、何と申しますか、よく言われますところの屎尿の投棄とか、都市下水の問題とか、工場の排水の問題、こういったものにそれがプラスをされまして、異常なる赤潮の発生があったと、こう見ておるわけでございます。そこで、私どもといたしましては、今回の場合には、やはり被害の救済には私どもが持っております制度としての天災融資制度、これをぜひ適用したいということで、現在大臣等からの指示もございまして、私ども財政当局折衝に当たっておると、こういう段階でございまして、すみやかにその結論を得て救済に当たりたいと、かように考えております。
  112. 前川旦

    ○前川旦君 きょうの日経ですが、二階堂官房長官の記者会見として、「天災融資法を適用するとの考えを明らかにした。」という記事が出ております。したがって、いまの天災融資法の問題については折衝中とのことでありましたけれども、その見通しについては、どのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  113. 太田康二

    説明員(太田康二君) 私どもが官房長官の、何と申しますか、お話として、私のほうから出向いておる人間から聞きました範囲では、前向きに検討するというようなことをおっしゃったようでございます。そこで、実は赤潮につきましては、先ほど申し上げましたように、発生の機構の問題が人為的なものにプラス異常な天災ということで、私どもは天災融資法の発動を言っておるわけでございますから、実際に水温の上昇がどういう状況にあったかと、あるいは河水が流入して塩分濃度が低下したという状況がどうであったかというような、何と申しますか、科学的な資料を現在取りそろえておりまして、現地の兵庫県の水産試験場に関係者集まりまして、私のほうの係官も出向きまして、これら資料の収集に当たりまして今夜帰ってくることになっておりますので、これらを取りそろえました上、農林省で調整しまして、大蔵省と至急に折衝に当たりたいと、かように存じております。
  114. 前川旦

    ○前川旦君 それではこまかく分けまして、漁業者は現在ずいぶん借金をして経営をしております。ある者は人から担保を借りたり、親類から借りたり、筒一ぱい借金をしておりますが、この返済そのものができないと、まずこの前段の問題があります。したがって、この被害を受けた漁業者が現在借りている制度金融あるいは系統融資等について、これは政府の指導で支払いの延期をする、そういう指導をする。かりに支払いの延期ができても、それらに利子が加算されたのでは、払うときに結局たくさん払わなきゃいけませんから、利子のことも考える、そういうような生きた政策をまず前段の問題としてとるべきであると思いますが、その点はいかがですか。
  115. 太田康二

    説明員(太田康二君) 私どもといたしましては、災害の起こるつどそういうことを実施いたしておりますわけでございますけれども、制度金融等につきましては、その実情に応じまして、いま御指摘のとおり、償還期限の延長、こういったものを金融機関にお願いをいたしまして措置をいたしてまいりたいと、かように存じております。この点はぜひ実行いたしたいと考えております。  それからなお、天災融資法が発動されるかどうかということが、まだ必ずしもはっきり発動するという段階まで来ていないので、私どもはできる限り折衝を急いで天災融資法の発動決定をみたいと思っておりますが、その間、決定になりますれば——決定になりましても、実は具体的に政令等出しましたり、金額を決定するのにまだちょっと時間がかかるだろうと思います。というのは、被害がまだなお継続しているというようなことがありますから、その間は、私どもといたしまして県にお願いをいたしまして、発動するという決定さえ下れば、県といたしましてもつなぎ融資等の措置は、従来の例等におきましても当然講じておるわけでございますから、そういった指導に遺憾なきを期してまいりたい、かように存じております。
  116. 前川旦

    ○前川旦君 国のあらゆる金融の方策をいろいろ検討して、どんな制度でもいいから幅広く適用して金融措置をしていただきたい。そういうことで、いま天災融資の問題が出ましたが、たとえば農林漁業金融公庫の業務方法書を見ますと、「沿岸漁業を営む者が疾病、負傷、災害、海難、不漁又はだ捕により」云々ということばで、「必要とする資金に充てるための資金を」貸すことができるという条項がありますが、この条項を利用してどんどん金を出すということにはならぬのですか。これはどうなんですか。
  117. 太田康二

    説明員(太田康二君) 私どもの漁業被害に対する現行の金融制度といたしましては、天災融資法が一番の何と申しますか、対策として通常適用される制度であるわけでございますけれども、農林漁業金融公庫もございますし、農業近代化資金もございますが、これらは御承知のとおり、原則として施設についての資金でございまして、今回のような赤潮の場合に、施設そのものの被害ということも、私どものいままで承知しておる限りでは、施設そのものの被害というのはないようでございますので、実際上、農林漁業金融公庫あるいは農業近代化資金等がございますけれども、それの融資の道があることはあるわけでございますけれども、今回の場合にこれが直ちに適用になるということは、あまり期待ができないのではないかというふうに存じております。
  118. 前川旦

    ○前川旦君 いまの業務方法書を、時間がないから最後まで読まなかったけれども、「漁船、漁具等を売り渡す等その者の漁業経営に著しい支障を及ぼすことなしにはその償還が困難であると認められるもの」、これは設備じゃなくて経営資金ということで書いてあると思いますので、何かその辺でくふうする余地があるように私は、思うんですけれども、これはあとでいろいろ考えていただきたいと思います、本論じゃありませんから。  そこで、天災融資の問題ですけれども、地元の漁業関係者も、天災融資法の適用をしてもらいたいという強い要望があります。私も考えてみて、これ以外に一番近い適当な方法はないだろうというふうに思います。ただ、問題になりますのは、大蔵当局と折衝なさっていらっしゃると思うんですが、そのときでもいろいろ問題になるのは法律論であろうと思うんです。つまり、天災とは何かとか、あるいは赤潮が一体天災に入るかどうかといった法律論であろうと思うんです。したがって、法律論で問題を論議している限り、私は、なかなかこれは困難ではないか。一応法律論はたな上げして、政治論、実体論、人情論ということで割り切っての政治的な判断をするということでなければ私は、むずかしいと思うんです。それを法律論にとらわれていると、いろいろな問題が起こると思いますが、この点についていかがですか。
  119. 足立篤郎

    国務大臣足立篤郎君) きのうも衆議院の農林水産委員会で同じ御質問がありまして、私の見解を申し述べたわけでありますが、赤潮というのは昔からございました。実は私、釣りマニアでございまして、磯釣りが得意でございますが、せっかく出かけまして、いいポイントへ上がりましても、赤潮が来ますと食いがぱたりととまりまして、嘆いて帰ったことは何回かございます。ただ、最近瀬戸内海における赤潮は、その頻度がたいへん多くなっておるようでございますが、それは、いわゆる公害ではないかという議論があるようであります。しかし、かりにこれが公害であったとしても、いわゆる私は、複合公害だと思うのでありまして、原因者が明らかでない。ですから、たとえばいま水産庁長官がお答えした漁業共済の場合に、人災であればこれは共済金は支払えませんが、原因者から補償を追求せよということになっておりますが、それは、相手がございませんから救済の余地はないわけでございます。それに加えて、今回は、先ほど長官が申し述べたように、異常な降雨、水が流れ出たと、塩分の濃度が下がったと、また気象条件が異常で、非常に高温であったというようなことから、いわばああいう狭い地域でございますから、塩がわき立ったという関係じゃないかと思うのでありますが、それが異常なる赤潮の発生の原因であるということでございますから、これは、いわば公害の部分が多少原因しておったとしても複合災害だ、これは言いかえれば天災であるというふうに私どもは割り切っておりますので、いま仰せの点につきましても、天災融資法の問題につきましても、ぜひこれが実現できますように、急速に話を詰めたいと思っておりますが、このデータが今晩にならぬとそろいませんので、いまここで確答ができないことを非常に残念に思っております。  なお、私、けさ成田委員長からも御要求、御要請を受けたわけでありますが、現地の方々はこの旧のお盆前に手形の決済をしなきゃならぬので、何とか融資を早くしてくれというお話でございますが、これは天災融資法の発動がきまれば、適用がきまれば、現地各県であっせんをしていただいて、いわゆるつなぎ融資をやっていただく、場合によれば県費で利子補給をやっていただくというような処置もできようかと思いますので、何とか急いでこの結論を出したいというふうに思っております。
  120. 前川旦

    ○前川旦君 私が法律論をたな上げしてくれと言いました趣旨は、何かといいますと、赤潮の原因はまだ一〇〇%解明されていると言いがたい、しかし、人災であるという面が非常に大きい、つまり工場排水等もその責任があるわけです。工場排水等の人災——公害ですね、それが要素になっていながら、それを天災というふうに政府が認めてしまうということは、これからあとの公害に対する漁業者の被害補償の請求等について、非常にこれは悪用をされる危険があるということを私は、非常にこれをこわがるのです。非常にこわがる。そのことを私は申し上げたい。ですから、いまいろんなのを考えてみて、天災融資法しか考えるところありません。これは一番近いところですね。救済措置として一番近い。ですから、この赤潮の被害は原因がよくわかりません。しかし、本筋から言うと、赤潮の原因をつくった企業なり何なりに、原因を追及して損害賠償の請求をするというのが本筋でありましょうけれども、それをやるには長い年月と膨大な資金が要ります。あしたをどうするかという漁民には、それができません。したがって、法理論を一応のけろというのは、一種の緊急避難のような考え方で、もうやむを得ない、このほかにはない、これしかないから一時適用せざるを得ない。やむを得ない。しかし、一時適用するんだけれども、一方ではあくまでもその原因を追及していって、並行してその努力を怠ってはいけない。もし原因、加害者がはっきりしたときには、それに対する請求権を一方では留保する、こういう態度でないと、私は、あとあと、とにかく天災融資法やらなきゃいかないのですけれども、あとのことを考えた場合に落とし穴があっちゃ困りますので、そういった法理論じゃない政治論あるいは緊急避難のようなものだというような割り切った態度で取り組むべきじゃないか、というのがまあ私の考えなんですが、その点いかがでしょう。
  121. 太田康二

    説明員(太田康二君) たいへん的確な御指摘をいただいたわけでございまして、私どもといたしましても、まあ赤潮を含めての漁業公害に対しまして、漁民が立ち上がりまして賠償を要求しておるというような事例があることをよく存じ上げておるのでございます。したがいまして、私どもが漁業共済を実施する場合にも、先ほど申し上げたようなことで実は実施をいたしておるわけでございまして、明らかに加害者が判明した場合には、加害者からやはり請求するということで、漁済の支払いは免責になるわけでございます。ただ、現実の問題といたしまして、私ども共済の場合でも支払っている場合が多いわけでございますけれども、まあこの場合に、実は赤潮による被害ということを前提に保険の組み立てが必ずしもできていない。と申しますのは、もしそういう組み立てをいたしますと、結局、公害を漁民の負担において解決するということになるわけでございますので、たいへん何と申しますか、痛しかゆしの点もあるわけでございます。  そこで、今回天災融資法を私どもが発動したいという意味のものは、まさに御指摘のとおりな趣旨で私ども考えておるのでございまして、実際にそのことが一切赤潮は天災だから、今後たとえば訴訟等の場合に、これが不利に働くというようなことは、私は、なかろうというふうに考えておる次第でございます。
  122. 前川旦

    ○前川旦君 私は、その点が心配でありますから、どうしても天災融資法しかない。ありません。ですから、天災融資法を適用していただきたい、漁民のこれは願いです、いまほかにありませんから。しかし、その場合でも、その点の、いま指摘した点の何というか手当てをやはりきちっとしておかないと、ただ何もなしに国が天災融資法の適用をしたという事実だけが残れば、あとこれは企業側にどのように利用されるか、悪用されるかわかりませんので、その点を私は、きちっとやはりけじめをつけておいていただきたい。そのためには、くどいようですけれども、法律論としてではなくて、やむを得ざる政治的判断、緊急避難のようなものと、こういうことで処理をしていただきたいということを、くどいようですけれども繰り返したいのです。  それから、共済の話がありましたけれども、共済の支払いは、こういう考え方であろうと思うのです。人災のものには支払いできない、免責される。しかし、人災であるということがはっきり証明できないから暫定的に支払う。証明できたときには、その人から返してもらう。私、この考え方をそのまま適用してもいいのじゃないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  123. 太田康二

    説明員(太田康二君) 実は、そういうことで支払いを実施いたしておるということでございます。
  124. 前川旦

    ○前川旦君 共済の話が出ましたついでに共済について若干御質問しますけれども、せっかく共済の制度がありながら、非常にこの適用がむずかしい。というのは、共済の条文を調べてみますと、漁業災害補償法の施行令に、十四条に表がありますが、小割り式ハマチしか適用になりませんね、養殖業では。ところが、この小割り式のハマチが一〇〇%に近いのであればこの点救われますけれども、そうではない水門を閉じてその中で、広い所で飼っているようなのは、これは適用になりません。まずここに問題があります。それから一年物と二年物は適用がありますが、三年物は適用がありません。もう一つは、これは私、先ほど調べましたけれども、掛け金が非常に高いですね。高い。これは私、さっき大急ぎで調べた数字ですから、あとで皆さんと数字は合わしてみなければいかぬと思いますけれども、私が調べてみたところでは、共済のかける金ですね、かける金が一年物で一匹二十六円十銭についているようです。それから二年物で、一匹三十一円についているようです。共済金額は一年物は四百五十円ですか、それから二年物千円というふうに見て、そうしますと大体一匹三十円ぐらいの共済掛け金。一千万匹の被害なんですね、一千万匹をこえているわけです。二百万、三百万を養殖している人がたくさんいるわけですね、百万匹単位で。かりに百万で考えると幾らになりますか。平均三十円として三千万ですか、掛け金だけで。一匹三十円で百万匹となりますと、三千万ですか。とてもこれは負担能力がないわけです。したがって、共済があっても、なかなかこれが実体が伴わないという面があります。この点について、将来の問題としてどのようにお考えになっていらっしゃるか、あわせてお伺いをしておきます。
  125. 太田康二

    説明員(太田康二君) 漁業共済の制度は、制度がたしか三十九年にできまして、今日までもちろん手直し等もいたしておるのでございますが、全般に現在検討の段階に入っておりまして、近く正式に私どもの中に学識経験者を集めまして検討して、制度改正に取り組むことにいたしております。もちろんその際漁獲共済の問題あり、養殖共済の問題あり、それぞれの問題があるわけでございますけれども、まず御指摘のハマチの問題につきましての小割り式だけが対象になっておる、これも一つの検討課題になっております。と申しますのは、築堤式等につきましては、現在、共済の対象になっていない。これは技術的な問題として被害の認定等いろいろ問題がございますので、従来対象にしていなかったというようなことでございますが、この問題も当然検討の課題に入っておるということでございます。  それから、掛け金の問題が、高いではないかというようなことでございますが、現段階におきますデータ等につきまして、さらに私ども漁業の連合会等に対しまして、電子計算機による計算をしてもらっておりまして、これらのデータが近く出ることになっております。これに基づきまして、今後どういうふうに制度の改正をはかっていくかというような検討もやることになっておるのでございまして、その過程におきまして、私どもは十分いま御指摘のような問題点を含めまして、制度の改正に取り組んでまいりたい、かように存じております。
  126. 前川旦

    ○前川旦君 大蔵省見えていると思いますけれども、時間が詰まって大蔵省に直接質問することは、時間の余裕ありませんが、先ほどから聞いていただいたと思うのです。  ハマチというのは、大体一キロ六百円ぐらいで魚価が長いこと安定してきました。これら魚価の安定の養殖ハマチというものがずいぶん大きな貢献をしているのです。ところが、このハマチがばあんと一千万匹死んだでしょう。大阪の値段が千円ぐらいばあんと大阪の中央市場で上がりました。いまちょっと落ち着いております。おそらく年末には千円をこえる。そうしますと、ほかの魚価をずうっと押し上げる波及効果があります。そういう大きな影響を及ぼす。そしていま漁民は絶望的になっておるのです。これだけ大きな被害を受けて、もう立ち上がれない。再々こういうことがくるんであれば、もう養殖だめじゃないか、できないのじゃないか、非常に絶望的になっている。もし、そういうことで営業から去っていく、やめていくということになると、物価政策上非常にゆゆしい問題になります。でありますから、とにかく八月、九月、この手形の期間がくるわけですね。八月のお盆に出荷をして、その金で支払いに充てるというのがいままでの慣例であったわけです。ですから急いでいるのです。いろいろ先ほど、くどいようですけれども、法理論上いろいろ理屈があるでしょうけれども、どうかひとつ政治論という立場で何とか天災融資法、あるいはそのほか一切を駆使して当面救ってもらいたい、このように思いますが、いかがでしょうか。
  127. 山口光秀

    説明員(山口光秀君) ただいまの問題につきましては、農林省のほうからおりに触れまして、いろいろお話を承っておりますけれども、まだ私どものほうに持ち込むだけの準備が十分でない様子でございまして、早急に農林省でも準備を進められていることと思いますが、私どものほうに話がございましたら、早急に検討して結論を出したい、かように考えております。
  128. 前川旦

    ○前川旦君 それでは次にまいりますが、もうあと五分になりましたので、環境庁にお尋ねをいたします、この際。  これは当面の問題でなくて、将来のこれからの赤潮予防の問題ですけれども、瀬戸内海における屎尿の海上投棄は、来年三月三十一日で終わりになりますね。禁止されることになります。この時期を少しでも繰り上げてもらうという方向で御検討いただけないものかどうか。これが第一です。  もう一つは、海上の屎尿投棄は、これはまあそれで少なくとも三月三十一日はとまりますね。一万隻もの船があそこを往復してですね、瀬戸内海で一万隻と言われておりますが、これはたれ流しなんですよ。これはどう考えていらっしゃるのか、まずお伺いしておきます。
  129. 山中正実

    説明員(山中正実君) お答え申し上げます。  屎尿の海洋投棄につきまして、先生御指摘のように、内海の投棄は、来年の三月三十一日で一応禁止するということになっております。これは繰り上げてはどうかという御指摘でございますけれども、御承知のとおり、現在屎尿投棄船というのは平水海域といいますか、比較的近海しか出られない船でございますので、早急にその船の準備をする必要がございます。それと同時に、いわゆる遠海域といいますか、そういうような船の場合には、比較的大型の船になるものでございますから、そういうことでいわゆる陸上の施設、貯留施設もやはりつくらなければいけないことになってくるわけでございます。さらに、その貯留施設と、それから船の用意、そういうことである程度の暫定期間というのを設けざるを得ない現状でございます。  それから、船のほうの投棄の問題でございますけれども、これは環境庁が直接所管しているわけでございませんでして、一応海洋汚染防止法によりまして、運輸省が所管しておりますので、私どもから直接——非常にむずかしいことになっております。一応ただ現在考えられておりますのは、百人以上の客船につきましては、しかるべく処理装置をつくるということになっております。  以上でございます。
  130. 前川旦

    ○前川旦君 それでは、下水道あるいは屎尿処理場、これはいま第三次五カ年計画ですか、何とか第何次何年計画ということをやっていますね、建設省の所管で。環境庁がまあ交通整理をしていらっしゃるのだと思うけれども、これも繰り上げて実施するという繰り上げ実施のアクセルをかけるというお考えはあるのかどうか。やるべきだと思いますがどうかということと、それから、いまの屎尿処理場の設備では第二次処理だけですから、窒素分と燐分がそのまま海に流れ出ますということは、同じ赤潮の原因になります。したがって、屎尿を外へ、遠くへ持っていったほうが、これは瀬戸内海という非常に狭いセクトで考えてみると、まだそのほうがましだという妙な結論が出てくるのですね。ずっと周辺が屎尿処理場になってしまえば衛生的ではあるけれども、窒素と燐はだあっと流れますから、やっぱり同じ赤潮の原因になる。第三次処理まで結び付けた形での屎尿処理場あるいは下水道の整備というものを繰り上げて実施すること、非常に急がれていると思うのですけれども、その点についてのお考えいかがでしょうか。
  131. 山中正実

    説明員(山中正実君) 下水道の三次計画によりますと、一応瀬戸内海の現在の普及率二四・三%、大体四〇%近くまで引き上げることになるわけでございますけれども、環境庁といたしましては、なかなかこれでは十分でないので、一応第三次計画の繰り上げといいますか、第四次計画の策定といいますか、そういうことを早急にお考えいただきたいということを現在、建設省に要請中でございます。  それから、先生御指摘の三次処理といいますか、超高級処理という、いわゆる脱窒、脱燐の技術でございますけれども、これを一応一つの企業規模といいますか、相当大量規模にやっている例というのは世界でもあまり例がございませんので、現在、建設省の土木研究所のほうで鋭意検討中でございますけれども、先ほど御紹介申し上げました下水道の三次処理の後半段階において、これを採用するというふうなことを建設省では考えているようでございます。  以上でございます。
  132. 前川旦

    ○前川旦君 環境庁にもう一つお尋ねしておきます。  工場排水には、トータルの総量規制がありませんね。濃度の規制だけですね。これは非常にしり抜けになっています。ですから、瀬戸内海に流れ込む工場排水、汚水のトータルで、総量で規制をしなければどうにもならないところまできているということは、もう皆さん御承知のとおり。この間の新聞で、長官がもうその時期がきているという新聞談話を発表しておられました。これは私ども興味深く読みました。私も同感です。ですから、環境庁としては、トータル規制という方向へいかれる考えがあるのかどうか、ぜひ考えを持っていただきたい。持っていただきたいですよということが第一点と。  それから、私も排水を、汚水を流している工場を見ました。見ましたら、近所の人が何を言っているかというと、あんたら見にきたってだめや。晩になったらそのまま流しおりますぞ、こう言うわけです。監視体制が不十分なんです。はっきり言うと、たとえば新居浜では、大気の汚染の監視体制ができています。一定の汚染が進むと、集中的にこの一カ所のコンピューターに電気が通じてブザーが鳴りまして、するとすぐその工場に電話して火を落とせと、こういう指示を市がやっている。そこまで排水口に自動的なやはり常時監視ができるような体制を開発して、やはりやっていかなければ……、あの焼却炉は、きょうは動いていますなあ、皆さんが見てきたから動いている。いつも動いておりませんわと、こう言う。近所の人が言う。夜になって見てごらんなさい、みんな流しておりますと、こう近所の人が言う。これじゃ実効あがりませんから、その点についての環境庁としての姿勢、態度をお伺いをしたいと思います。
  133. 山中正実

    説明員(山中正実君) 先生御指摘の第一点のほうでございますけれども、私どもも現在の濃度規制で十分だとは考えておりませんので、早急に総量規制に切りかえていきたいと、こういうふうに考えております。  ただ、私どもの立場を御紹介申し上げますと、一応現在の濃度規制でございますけれども、一方環境基準というのがございまして、その環境基準を守るために、どうしてもさらに規制をきびしくしてやらなければならぬ。その場合には、いわゆる排水量に応じて一応規制していく。一応考え方としては、総量規制の考え方を導入はしているわけでございますけれども、それをさらに拍車をかけまして、漸次総量規制の方向に持っていきたい、こういうふうに考えている次第でございます。  それから、第二点の常時監視の問題でございますけれども、従来、大気の監視測定に比べまして、水質の監視測定は、分析法その他が非常に複雑でございまして、なかなかロボット・モニターといいますか、自動監視の設備がつくりにくかったわけでございますけれども、分析機器も相当進歩をしてまいりましたものですから、一応ロボット・モニターは四十六年度、四十七年度、試験的に環境庁といたしましても設置いたしまして、四十八年度から本格的に設置するように努力していきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  134. 前川旦

    ○前川旦君 時間がまいりましたから、最後の結論ですけれども、また赤潮に戻りますが、一つの自然災害があって、集中豪雨になる、それからすぐ時間をおいて赤潮が発生した。そして塩分の濃度等を見ると、淡水の被害の要素が非常に強い、いろいろ複合的になっている。こういうようなときに、これは天災とみなすというようなことは、ここで理屈としては比較的つけやすいと思う。それも私は、いろいろ問題があると思いますけれども、そうすると、これからいろいろ赤潮が発生します、八月段階で。いろいろ出てきますが、そういう赤潮は、これは工場排水あるいは生活排水が原因になって赤潮が発生する。直接には自然の台風とは直接関係を持たないという場合がこれからずっと出てくる。その場合にも、被害は同じなんですね。被害は同じなんです。したがって、そういう場合に、企業の責任を免責するということではなくて、その危険があっては困る、企業の責任を、汚水をたれ流した加害者の責任を免責してしまっては困るんですけれども、そうではなくて、実際に漁民は困り切っているわけです。原因追及するには何年もかかる、裁判に何年もかかる、金もかかる、そのときには間に合わない、それまでに生活できない。したがって、そういう人を緊急に救うためのやはり単独の新しい制度を創設するとか、金融措置を創設するとかいうことが私は、どうしても将来は必要になると思います。今度のには間に合いません。今度のは緊急避難としてやむを得ない、これをやるしか方法ありません。天災融資法しかありませんね、いまのところは。やむを得ないからこれでいくべきです。将来の問題として、そういうことを考えざるを得ないと思いますが、その点について、これは大臣にお答えいただきましょうか。御見解をいただきたいと思います。
  135. 太田康二

    説明員(太田康二君) 御指摘のとおり、赤潮による瀬戸内海の被害というのは、年々規模におきましても、件数におきましても増加をいたしておりまして、これによる漁業被害がかなり多くなっていることは御承知のとおりでございます。そこで、先ほど大臣の御答弁にもございましたように、加害者がはっきりしておるということでございますれば、まあ必ずしも簡単と言うと語弊がございますけれども、加害者に損害賠償の請求をするというようなこともできるわけでございますけれども、かような複合汚染等の場合に、簡単に加害者がだれであるかということを一義的に決定をすることができないわけでございます。まあ、たいへん迂遠なことを申し上げるようでございますけれども、私どもやはり基本的には先ほど来議論になっておりましたように、せっかく水質汚濁防止法あるいは海洋汚染防止法等もあるわけでございますから、これらを厳重に運用いたしまして、いま以上、漁場の汚染を出さないということをやらなければならぬと思います。しかし、それにはかなり時間もかかりますし、一朝一夕になることではございませんので、その間に発生した漁業被害をどう考えるか。先ほど申しましたように、異常な何と申しますか、自然条件が加わったというような場合でありますれば、私どもが今回考えているようなことで、まあ、ひとつ天災ということで、その天災のところを強調して天災融資法適用ということも考えられるわけでございますけれども、一般的に通常の何と申しますか、自然条件のもとでも赤潮が発生いたしておる事態もあるわけでございますので、御指摘のとおり、これらの点につきましては、そういったことでございますれば、直ちに救済するというような手もないわけでございます。そこで、私ども明年度の予算のことになるわけでございますけれども、何らかの赤潮を除去する方策あるいは赤潮が発生した場合に、これを回避して生産の被害を受けないような対策、こういったものをいま検討いたしております。しかし、これとても全面的にこれを実施するというわけのものではないわけでございますし、なお、これが直ちに効果的な対策であるというわけにもまいらぬと思いますので、いま御指摘のような点につきましては、現在の金融制度のもとでは救済されないということもあるわけでございますから、十分御指摘の点を勘案いたしまして、私ども今後の検討課題であるというふうに考えております。
  136. 前川旦

    ○前川旦君 時間がなくなりましたのでこれで終わりますが、かりに天災融資法をこのたび適用するとしても、適用するということになったとしても、私は、やはり加害者に対する追及を一方で忘れてはいけないと思うんです。でないと、これは自然災害ということで免責みたいな顔をして逃げてしまいますから、加害者が。ですから、今回かりに天災融資法が適用されるとしても、私は、一方ではやはり加害者を追及するという姿勢と、実際に追及をするということをやっていただきたい。そうして加害者が明らかになったら、そのときにはそのほうに損害賠償を請求するという権利を一歩留保しながら緊急にこれを適用すると、こういうような形にしていただきたいということを強く要望いたしまして、時間が若干オーバーしましたけれども、終わりたいと思います。
  137. 塩出啓典

    塩出啓典君 それでは、農林大臣は所用があるそうでございますので、大臣に対する質問を先にいたしますが、足立農林大臣になりまして今日までの農林水産委員会を通して非常に私が感ずる点は、大臣は食管のいわゆる末端逆ざやをなくしたいと、そういうことを非常に強調されているように思います。一方では、食管というものは根本的に変えるのではなくして、現在実際に有名無実、名前があっても実体がない、そういうところは変にるけれども、抜本的には変えないと言っておるけれども、そういう点、非常に逆ざやをなくするということが、これが大きな政策目標であるならば、これは食管制度の抜本的な問題点じゃないかと思うんですね。そういう点で、政府としてもちろん逆ざやがなくなるのは好ましい、それは当然わかりますけれども、これはあくまでもいろいろな施策を講じたその結果、そうなっていくのが当然であって、逆ざやをなくするということが第一のスローガンのようになるのは非常に間違いである。だから、足立農政としても、あくまでもこれは食管法の中にちゃんと消費者米価あるいは生産者米価というのは、それぞれ根拠があってきめられていくわけですから、今後やはり農業における構造改善等もやって、そうして生産性も上げていくと、あるいは適地適作制度、そういうものをやはり推進して、その結果、やはり逆ざやがなくなっていくことは好ましいわけでございますし、逆ざやをなくするということがあまり表に出るということは、これは非常にとんでもない間違いだと、そのことはどうですか。
  138. 足立篤郎

    国務大臣足立篤郎君) 末端逆ざやの問題は、先ほど消費者米価を上げるのかどうするのかという御質問がありましたから、私は、それについて末端逆ざやだけはせめて早く解消したいという見解を申し上げたんです。食管制度の改善の問題とは、これは直接関係はございません。末端逆ざやを解消することが食管制度の改革などとは、私は、思っておりません。その点はひとつ御理解いただきたいと思います。
  139. 塩出啓典

    塩出啓典君 いまやはり食糧管理法には逆ざやをなくせなんというのはどこにもないでしょう。やはり生産者米価というのは第三条の二項できまるわけですし、それから政府の売り渡し価格、これが第四条の二項できまるわけですから、だから実際逆ざやが出てきた場合に、それを消費者米価の値上げあるいは生産者米価の切り下げで、それで償っていく、あるいは税金で償っていくかということは、これは国全体として考えていくべき問題であって、そういう慎重な検討もなしに逆ざやをなくするということは、これはあくまでいろいろな検討の結果そうなっていくんならいいけれども、足立農政というのは、そういうものを一番最初に掲げているということは、これはやはり現在の二重米価というものをなくするわけですから、これは根本的なやはり改革だと思うんですよ。
  140. 足立篤郎

    国務大臣足立篤郎君) だいぶ誤解があるようでございますが、私が米価審議会委員をやったのは、たしか昭和二十六年ごろからでございまして、だいぶ古い話でございますが、その当時米価審議会でよく議論になった問題は、中間経費は統制があるための経費なんだから、消費者に負担さすべきではない。したがって、食糧庁の役人をはじめ検査員、その他そうした経費は少なくとも国が負担すべきであるという議論からスタートしたんです、実は、もとをただしますと。ところが、今日はどうなっているかと申しますと、そんなものはとっくにずっと行き過ぎてしまって、いわゆるいまの議論は、コスト逆ざやの問題になるわけです。これはたいへんな開きが出てしまって、明らかに二重米価になっていると思うのです。のみならず、いわゆる売買逆ざや、これも相当な開きが出ております。私が申し上げているのは、いかにも農政推進上、障害になると思うのは末端逆ざや、つまり政府農民から買います米価、生産者米価、それよりも消費者がお米屋さんの店頭で手に入れる米のほうが安い。これは末端逆ざやでございます。これはさっき申し上げた中間経費どころではない。全部が全部含めてともかく逆ざやになっているわけでございまして、そうなると、早い話が農家はとれた米は全部政府に売ってしまって、自分が食べる米は、自家用の飯米は政府から買ったほうがはるかにもうかる、こういう結果になるわけですね。また制度上はできませんが、理屈だけ申し上げますと、政府の米をどんどん買っておいて、また政府に売れば幾らかでももうかるという、そういうことはできませんけれども、できませんが理屈上はそうなる。ですから、いまの自主流通米制度をやりましても、末端逆ざやがだんだん開けば開くほど、自主流通米というものが非常に窮屈になりまして、そこに値ざやがありませんから、自主流通米の運用がうまくいかないということになりますし、私としては、末端逆ざやだけは何とか解消したいというのは、消費者米価を上げるかどうかという御質問にお答えしたんで、根本問題ではございません。これは根本問題ではない。  それよりも食管制度について私が提言をしているのは、三十年の間に食管が果たしてきた役割りというのは非常に変わってきて、時勢の変化に応じてたいへん変わって、形骸化した面が多い。これは法治国家としてほうって置くのはいかがであろうか。ほかの法律を犯せば、すぐつかまって懲役何年ということになるのに、食管法を犯したのは何ら、みんなが、国民全部が、官民が全部ほっかぶりというのはおかしいじゃないか。これは順法精神にも影響する問題だと、私は考えておる。ですから、守れる制度にいたしたい。  そこで、いまの食管制度の果たしている役割りは何かといえばくどくなりますが、農民にとってみれば完全に価格が保障されておる、心配がない。これが一番の眼目だと。消費者にとってみれば、まあ企画庁長官は庶民の米と言いましたが、ともかくいま物統令を廃止しても、最低価格は保障されている。こうした役割りは、いまのように戦争中からないものを無理やりに農民からもぎ取って、乏しきを分かち合うということで、相当無理をしてつくった、ずいぶん規制だらけの現在の食管法そのままでなくても、目的は達し得るんじゃないかというふうに私は、考えているから、あえて提言をいたしまして食管制度をこの面で改善をして、衣がえをして、すっきりしたものにして、みんなが守れるような法律体系に直したらどうであろうかという提言をいたしておるわけであります。
  141. 塩出啓典

    塩出啓典君 私は、やはりそういう逆ざやがなくなるのが好ましいことは当然わかりますが、やはり生産者の立場、あるいは消費者の立場、そういうものをやっぱり非常に犠牲にしてやるんではなくして、あくまでもそういう立場を尊重して、そこにやはり足立農政政策のよさをもってそれを解消していく。これはあくまでも解消するということは結果であって、犠牲にすることよりもなくすることのほうを優先するべきだと思うのですね。これは異論がないと思う。私は、そういう主張をしていきたいと思うのです。  それから、二番目に、いまも前川議員からいろいろ赤潮の問題もありましたけれども、これはすでに赤潮が年々瀬戸内海におきましても非常にふえておるわけでございまして、たとえば四十四年は六十七件、四十五年は七十九件、四十六年は百三十三件と、そういうように非常に赤潮というのは急速な勢いで伸びてきているわけですね。そうして田中総理の日本列島改造論等によりますと、昭和六十年には国民総生産も四倍になる。石油の消費量も四倍になる。そういうようなことを言っておるわけでございますが、いまの状態でも、このように急速な勢いで赤潮が発生しているのに、しかも六十年後に四倍になると瀬戸内海はどうなるのか。そういうわけで、田中内閣としては、瀬戸内海というものを死の運河にするのか、それともほんとうに魚の住める生きたきれいな瀬戸内海にするつもりなのか、その点をはっきり答えてもらいたい。田中総理にかわって答えてください。
  142. 足立篤郎

    国務大臣足立篤郎君) 田中総理にかわって答弁するわけにはまいりませんけれども、私も日ごろ接触しておりまして、総理のお気持ちはよくわかっておりますが、田中内閣は七夕内閣でございまして、七月七日に誕生いたしました。いわば累積したいろいろな問題のあと始末にいま取り組んでいるわけでございまして、さっそく小山環境庁長官は、この間、瀬戸内海の洋上会談に臨みまして、いろいろと意見を発表しておりますが、これは総理も、さっきから前川さんの御質問でしたか、御意見のあった総量の規制をやろう、つまり個々の排水の水質基準の規制、排水基準の規制をやりましても、総量が多くなれば何にもならないということでございまして、総理は、ちょうど伊勢における記者会見でも、そのことが質問にありまして答えておりましたが、たとえば四日市の例で出たのですが、煙突を高くする。なるほど煙突のすぐ下におる人たちは、高くすれば一時助かるかもしれない。しかし、全部の煙突が高くなって、どんどん煙を出せば、総量を規制しなければ何にもならないという例を引いていらっしゃいましたが、瀬戸内海の汚染の問題は、まさにこの例にはまるものだと思いますので、そういう方向でこれから政策が進められるというように私は、期待をいたしております。
  143. 塩出啓典

    塩出啓典君 大臣に対する最後の質問。  これはちょっと順序が逆になるわけですけれども、先ほどの瀬戸内海の赤潮の原因はさだかではありませんけれども、屎尿投棄とか、そういう工場排水、そういうものが非常に大きな原因になっていることは、これはまぎれもない事実だと思うのですが、屎尿投棄は禁止されてもいわゆる屎尿処理施設であっても、窒素や燐は流れているわけですね。そういうわけで、ほんとうに屎尿処理計画が済んだから、あるいは下水整備計画が済んだからといって、はたしてそれでよくなるかどうかは非常に疑問なわけですね。そういう点から私は、昔は、屎尿というのは全部肥料に使っておったわけですね。私も子供のころは肥桶をかついで、一生懸命手伝いましたけれども、やはり現在は、そういうせっかくできた屎尿というものは海に捨てられて、一方では、日本は外国よりも五倍も七倍もの化学肥料を使って、また、そういうものが公害になっているわけですね。そういう点で、私は、この屎尿というものをやはり肥料に使う。これはもとに返るわけで、そうすると農業の生産性は下がるかもしれませんけれども、しかし、屎尿というものをほんとうに屎尿処理、屎尿を使って肥料をつくる。製造工場でも屎尿を使って、そうしてやはり農業に使う。そうすれば多少農業の生産性は下がったとしても、そちらに対する補助金を出すのと公害対策に金を出すのと、そういう点やはりどちらがいいかどうかということは慎重に検討をしてみる必要があると思うのですね。そういう点で私は、農林省といたしましては、屎尿のいわゆる農村還元、あるいは屎尿から肥料をつくるという、そういうやり方がはたして是か非か、そういう点の研究を進めるべきであると思うのですが、そういう考えはないだろうか。
  144. 足立篤郎

    国務大臣足立篤郎君) これは私がお答えするにはあるいは適当でないかもしれません。これは専門的な技術的な検討を要すると思いますが、常識論でお答えするとして、屎尿を肥料としてそのまま使うということについては、衛生面その他から多分に問題があると私は、思っております。
  145. 塩出啓典

    塩出啓典君 そのままでなく加工して使えばいい。
  146. 足立篤郎

    国務大臣足立篤郎君) それで加工の問題は、実はいまから十二、三年前ですかね。中小都市における屎尿処理施設、小型な、ポータブルな屎尿処理施設として、コンポストというのが一時はやったことがあります。これはどっか北欧か何かの技術であったかもしれませんが、あるいはスイスだったかもしれません。日本に入ってきまして、実は私、なぜそれを知っているかといいますと、私の地元の浜松市でも三方原という台地がありますが、そこへその施設を設置いたしまして、私も現地で見学をしたことがありますが、それは都市で出てくるじんあいと、それから屎尿とをブレンドしまして、そうしてコンポストという大きな円筒の中に入れまして熟成させるわけですが、四日くらいたつとすっかりかわいた堆肥が出てくるわけで、私も現場に行って手に取ってみましたが、手に取ってみても少しもきたないという感じが出ません。それで浜松市の三方原台地というのは赤土でございまして、土壌がやせておりますので、農民はこぞってそれをもらい受けまして、自分の茶畑に入れたり、あるいは蔬菜畑なんかにも入れまして、いわゆる堆肥のかわりに使ったので、あの当時たしか試験したデータははっきり覚えておりませんが、窒素分が九%くらいあるという相当高い濃度を持った肥料であったわけでございます。ところが、その後屎尿処理は、そういう小さな設備ではとっても追っつかないということになりまして、厚生省あたりの奨励もあり、補助金等も出まして大型の屎尿処理施設が各地にできてまいりまして、コンポストはほとんどいま実用的に動いていないんじゃないかと思います。当時、神奈川県の平塚でもたしかこのコンポストを設置したことを私も記憶しておりますが、使用してないのじゃないかと思います。先生のおっしゃるのは、そういうふうな加工をして農地へ返せば略奪農業にならぬじゃないかという御趣旨かと思いますが、これは実は畜産公害が最近盛んに言われておりますので、私は、着任以来畜産局長にはもう一ぺんこのコンポストを研究し直してみてくれ、しかし、じんあいが大体フィフティ・フィフティにありませんとうまくいきませんので、屎尿だけではなかなかその熟成がうまくいきませんから、これは専門家に頼んで技術的な研究をする余地は多分にあると私も思っておりますが、ただ、そういうふうな体験を私も持っておりますから、御参考に御披露を申し上げて、なお、これは私のほうでも検討はいたしますが、きょうここでどうこうという即答は避けさせていただきたいと思います。
  147. 塩出啓典

    塩出啓典君 それじゃ、まず最初に赤潮の問題につきましては、被害救済については先ほど質問もありましたので、まず最初に水産庁、それから海上保安庁にお聞きしたいのですが、ともかく赤潮は、いまさっき私、件数を申し上げましたように、昭和四十三年が六十一件、四十四年が六十七件、四十五年が七十九件、四十六年がほとんど倍近く百三十三件、そういうことで非常に赤潮は急激にふえておる。また海上保安庁、これは広島の第六管区が発表しました海上保安庁の掌握によりましても、いままでは赤潮というものは夏場になって出てくるわけですが、ことしあたりは燧灘を中心に一月に二件、二月に二件、三月に五件、昨年の発生は四月だっだのに比べて、もうすでに一月、二月、三月と合計九件もやはり発生しておる。それでまた最近は日本海のほうですね。あちらのほうにも赤潮が発生しておる。そういうことで、ともかく非常に赤潮発生というものは急激にふえておるということを私は、感ずるわけですが、水産庁あるいは海上保安庁としても、それを認めるかどうか、そのとおりだというのかどうか、その点簡単でいいですから……。
  148. 太田康二

    説明員(太田康二君) 私どもの調査によりますれば、御指摘のとおりでございまして、四十六年度におきます赤潮の発生件数というのは、四十五年よりもはるかにふえておりまして、前年が七十九件の百三十六件というふうに理解をいたしております。ただ漁業被害を伴った赤潮の発生件数というのは、この中で何件かあるわけでございまして、これも前年より増加いたしておりますが、昨年は幸いなことに一応被害としては、わりあいに規模の小さいものが多かったということに相なっております。しかし、発生件数が急激にふえておるということはおっしゃるとおりでございます。
  149. 塩出啓典

    塩出啓典君 海上保安庁……。
  150. 船谷近夫

    説明員(船谷近夫君) うちのほうの認識しております件数は、若干は異なりますけれども非常に急激にふえておるということは事実だと思います。
  151. 塩出啓典

    塩出啓典君 そこで、この赤潮の原因究明につきましては、御存じのように、昭和四十二年から三カ年計画で科学技術庁が中心となりまして、内海水域の赤潮に関する総合研究、そういうものを徳山湾を中心に行なわれたわけですね。ところが、その結果はっきり結論は出ないということで、それで昭和四十六年から海上保安庁、水産庁等の協力を得て環境庁が中心にこの対策をやっておる、そのように聞いておるわけですが、対策の内容について、私、いただきました資料にいろいろ載っておりますので、ここを説明していただくのでは時間がかかりますので、予算だけ、昭和四十二年から三カ年間の赤潮対策のための予算が大体どの程度であったか、それからまた昭和四十六年、去年から始まっておるそういう対策、これの予算というのは一体どの程度の予算でやっておるのか、予算と人員、大体の数でいいと思うのですけれども、それについてお伺いいたしたいと思います。
  152. 太田康二

    説明員(太田康二君) ちょっと私、手元に本年度の関連予算しか持っておりませんので、それでお許しをいただきたいと思いますが、一つは私どもの東海区水研、南西海区水研、水産大学校、農業土木試験場で共同研究いたしておるものといたしまして、微量汚染物質の環境生態系に及ぼす影響に関する総合研究というのを実施いたしておりまして、この金が千四百三十七万九千円でございます。それから農林水産生態系における汚染物質の環境と指標生物に関する総合研究というのを東海区水研、南西海区水研、水産大学校で実施をいたしておりますが、この経費が四千六百八十七万五千円ということに相なっております。それ以外に私どもやはり四十七年度の新規事業といたしまして、瀬戸内海、伊勢湾、三河湾、有明海、こういったところの赤潮の多発地域におきますところの自動海洋観測装置の設置事業を県に補助をして九カ所、ブイロボットを設置をする予算がございまして、この金が約八千九百万円、かような状況に相なっております。
  153. 塩出啓典

    塩出啓典君 これは環境庁から全体の……、いまのは水産庁だけですね。
  154. 川口邦供

    説明員(川口邦供君) ただいまの御質問に対しましてお答えしますが、四十六年度の予算額が千八百四万七千円でございます。次に四十七年度の予算でございますが、千七百六十七万一千円の、これは微量汚染物質の環境生態系に及ぼす影響に関する総合研究関係がそうでございます。さらに四十七年度から水域における汚染物質の循環と指標生物に関する研究としまして、新たにこれは環境庁がセットをいたしまして、四千六百八十七万五千円、これだけが赤潮の関連として新たに追加されております。以上でございます。
  155. 塩出啓典

    塩出啓典君 そういうこまかい研究の内容は、いろいろ聞いても私もよくわかりませんが、この研究問題につきまして先ほどもお話しが出ておりましたけれども、いわゆる脱燐、脱窒素ですね。こういう研究を建設省の土木研究所ですか、あそこでやっておるようですけれども、やはりこういう屎尿処理等のそういう問題についても、やはり環境庁としてこれを取り組むべきではないか。これにはやっぱしそういうのが必要だと書いているわけですけれども、必要と書いているならば、それは早くやらなければ、とにかくのんきなことを言っておったのじゃ間に合わないと思うのです。  それと、もう一つは、海の底の底質、底の土質というものが非常に影響していくんじゃないか、そういうことは考えられると思うのですね。そういう点でひとつ試験的に、いま瀬戸内海の底というのはビニールとかいろいろな、たとえば輸入木材の木皮とか、そういうのが海の底に一ぱいあるわけですね。まあ、そういうようなのを試験的に海の底の大掃除をして、まあ都道府県でやっているところもありますけれども、掃除するとともに、今度は海の底の土を引っくり返して、あるいはヘドロを取りのけて、そういうことをひとつどこか一カ所ぐらいやってみたらいいんじゃないかと思うのですけれどもね。これにはそういうこともやらにゃいかぬと、そういうことが書いてあるわけです。どうもくつの上からかくようなきらいがして、来年度の予算ぐらいで瀬戸内海の底を全部さらうことはできませんけれども、部分的にも赤潮の発生するようなところをさっと海を掃除して、まあ海の土を入れかえて、そういうような二つのことを早くひとつもっと力を入れてやるべきじゃないか。そういう点、どうですか。
  156. 太田康二

    説明員(太田康二君) いま御指摘のような、実は私たちどぶさらい予算と言っておるんでございますけれども、しゅんせつしたり水脈をつくったりする。生産力の低下した漁場につきましては、加害者が明らかでない場合には、国が補助をする制度が現在ございます。実は先般瀬戸内海で関係県が漁船を総動員しまして、その事業を実施したのが総額で一億でございますが、そのうち私どもから四千万の補助が実は出ておるわけでございます。まあ、これとても瀬戸内海全般に比べればわずかでございますが、私どもは明年度、さらにこの予算を拡充して、瀬戸内海の汚染の漁場につきましてのしゅんせつ等の事業を実施してまいりたいと思っております。  それから、いまもう一つ御指摘の、海底のどろをポンプ等で吸い上げて、ひとつ攪拝したりして、赤潮の発生を何とか防ぐことが考えられないかという点につきまして、実は、これはまだ私ども限りで検討しておることでございますので、まだ農林省として正式に決定したものではございませんけれども、そうしたこともぜひ私どもとしては、これはあくまでまだ実験事業の段階でございますけれども、そういった構想も現在、考え農林省の内部で検討いたしておる段階でございまして、私どもといたしましては、ぜひこれを四十八年度には手がつけられるように今後努力してまいりたい、かように存じます。
  157. 塩出啓典

    塩出啓典君 それから厚生省、ちょっとお急ぎのようでございますので、ひとつ順序をかえて——厚生省いらっしゃいますね。  屎尿の件でございますけれども、先ほどからお話がありまして、来年の三月末で瀬戸内海の海洋投棄は禁止になりまして、まあ各市町村では屎尿処理の設備をつくる、あるいはどうしてもできなければ何市町村か共同で大型船をつくって、あるいは民間に委託して高知の沖のほうに捨てると、そういうようなことをやっておりますが、大体その各市町村において屎尿処理施設をつくる。で、非常な問題点は一つは土地なんですね。住民ぐるみ反対をする、そういう問題に。それともう一つは、やはり金の問題です。で、まあ三分の一の補助でございますが、これは実勢単価の半分ぐらいがその基準単価でございますので、まあ市町村は三分の一の補助というけれども、まあ五分の一かそれ以下になっているわけなんですよ。そういう点で、いま瀬戸内海がこのように問題になっているならば、こういう助成の面においても、まあ瀬戸内海の沿岸は特別にその助成をもっと上げる。これは瀬戸内海沿岸だけじゃなくて、全国をあげればなおこしたことはありませんけれども、せめてもっと助成率を上げる、あるいは基準単価をもっと上げる。それと、もう一つは、この屎尿処理の設備についても、厚生省はもっと研究すべきじゃないかと思うのですね。聞くところによりますと、アメリカの技術でジンプロというやつはかなりコンパクトで、まあ同じ面積をとっても、いままでよりも非常に高度によりたくさんのものが処理できるわけですね。そういうやっぱり屎尿処理設備のあり方というものを、もっとやはり厚生省は研究すべきじゃないか。私が先般いろいろお伺いしましたところによりますと、大体屎尿処理設備というのは、大体完成の域に来ておるからもう研究する必要ないんだと、これはおそらく心ない人が言っておるんであって、厚生省の本心ではないと思いますけれども、そういうことを言っておるんでは、これは大問題だと思うのですけれどもね。しかし、実際には屎尿処理施設をもっとやはりコンパクトに、もっと能率よくつくると、そういうようなやはり研究があまりなされていないんじゃないかと思うのですけれどもね。これはもう日本全国一億の人が使う屎尿処理でありますし、最近は豚なんかそういうような動物の屎尿というのも、これは大体ああいう動物は人間の十倍ですからね。だから、全国六百万頭おるというのですから、そうすると六千万人ですから、人間とともに、動物の屎尿のほうが人間よりも上回るのじゃないか。そういうことを考えると、二億人分のやはり屎尿処理をするわけですからね。そういう設備がちょっと技術的によくなったということは、これは偉大なやはり前進じゃないかと思うのですけれどもね。そういう研究費なんかすぐもとは取ると思うのですよ。そういう点で、もう少しそういう研究に力を入れてもらいたい。この二点、どうでしょう。
  158. 折田貞雄

    説明員(折田貞雄君) ただいまの先生の御意見に対しまして、まことにごもっともだと思いますし、私どももそういう心がけで、まず第一の点につきましては、屎尿処理の国庫補助につきましても、年々改善の努力をするようにつとめてまいっておるわけでございます。ただ、先生がおっしゃられましたように、あとでも御追加されたように、瀬戸内海だけに重点というわけにもいきませんので、しかしながら、できるだけ問題の地域については考慮するという考えで整備をはかっていきたいと、そういったぐあいにいま考えておるわけでございます。  それから、建設用地の取得に関しましては、これも御承知のように、相手が相手でございますので、非常に地域住民とのいろいろな問題がございます。この点につきましても、地域住民を説得をし解決をはからなければならないいろいろな問題があるかと思いますが、その中でも特に処理施設の周辺の悪臭防止とか、それから輸送の問題、まあ、そういったような問題で地域住民に不快の念を起こさせないような配慮をすると同時に、最後に先生がおっしゃられました技術開発をも含めまして、そのような施設がまいりましても、その地域に公害をもたらさないような高度な、しかもコンパクトで効率のいい機械の開発をはかっていくということが必要かと思っております。したがいまして、私どもといたしましても、先ほどちょっと例にあげました湿式酸化処理方式ですか、ジンプロと申しますのは。それからクロレラによる光合成作用を利用した方式等、いろいろな開発を進めてまいりたいということで、いろいろ施設の研究開発をも進めております。  それからまた、そのほか、さらにちょっといろいろな燐の問題その他の問題が出ましたが、そういう三次処理といいますか、そういう問題につきましても、私どものほうには国立公衆衛生院というものがございますので、そちらにお願いをして研究開発を進めておる次第でございます。
  159. 塩出啓典

    塩出啓典君 まあ研究やっていると言うけれども、あまりたいした研究はやっていないのですよ、いまはね。だから、そういう研究の予算を出してくれと言っても、いままで出たことがないのですから、もっとひとつ来年度からは本式にちゃんとそういう項目ぐらい設けて、しかも先ほど農林大臣言いましたように、屎尿から肥料もつくると、そういうひとつ研究もこれは厚生省のほうで、農林大臣はだいぶ前の話をされましたけれどもね。あれからだいぶ技術も進歩しているのですからね。もっといいやつできると思うのですよ。そういう点もひとつあわせてやっていただきたい。このことを要望しておきます。  それから、次に環境庁にお伺いしますが、環境庁はいまいわゆるマスタープランですね、これは瀬戸内海のマスタープランをつくっておる。やはり瀬戸内海というのは、一つの非常に入り口の狭い限られた池みたいなものですから、当然その瀬戸内海のいわゆる自然浄化力というものの限界がどこにあるか、そういうのを調査して、当然やはりそこに流入する汚濁負荷というのをある限度以下おさめなければ自然浄化はできない。いまはもうオーバーロードですから、悪くなっている一方だと思うのですね。そういうわけで、ある限度以下に下げなければいけない。まあ、そういう点で、いま環境庁中心になりまして、瀬戸内海の許容汚濁負荷量の調査とか、そういうものをやっていると私は、聞いておるわけですけれどもね。これがまあ、おそらくマスタープランじゃないかと思うのですがね。そういうマスタープランというのは一体いつまでにできるのですか、大体いつ完成の予定ですか。
  160. 山中正実

    説明員(山中正実君) お答え申し上げます。  確かに先生おっしゃるように、ある一つの目標といいますか、そういうふうなマスタープランを現在、検討中でございますが、ただ、先生もやはり御指摘のように、瀬戸内海の自浄能力、いわゆる環境容量的なこともやはりつかんでいなければ、一応瀬戸内海の環境保全対策というのは非常にむずかしいわけでございます。そういうことで先生も御指摘なりましたように、現在、瀬戸内海の環境保全調査と称しまして、年四回、大体予算としまして七千六百万円ぐらいの予算を使いましてやっております。現在、すでに五月の二十二日と八月の一日で二回終了いたしまして、さらに十月と来年の一月、年四回やりまして、その結果を待ちまして、一応いろいろな計算結果が出てくるものでございますから、それをたたき台といいますか、検討の基礎といたしましてマスタープランの作成を続けていきたい。そういうことで、あと、どういったらよろしゅうございますか、一、二年はかかるんじゃないか、こういうように考えております。
  161. 塩出啓典

    塩出啓典君 一、二年もかかって、それから計画立てたんじゃもうおそいと思うのですけれども、そういうのはどうなんですか、もう少し馬力出して、それはもちろん金をつぎ込んだからといって早くできない問題もあるかもしれませんけれども、私は、こういうやっぱりマスタープランなんていうのは、まあ一年四回測定をすれば、それを何も二回繰り返さなくても早くできるんじゃないかと思うんですけれども、環境庁としては、このマスタープランの完成は、大体いつまでにするかという目標はないんですか。大体一、二年後、二、三年後にやればいいということなんですか。
  162. 山中正実

    説明員(山中正実君) 一応海域の状況というのは、春夏秋冬、四回やればわかると思いますけれども、なお、来年度もう一回補足調査をやりまして、それから四回終わりました時点におきまして、一応マスタープランの作成作業に入っていきたい。その間、補正すべきところは、さらに補足調査でやっていく。少なくとも四十八年度末ぐらいまでには、一応のプランというものをつくりたいと、こういうふうに考えておるわけです。
  163. 塩出啓典

    塩出啓典君 まあ、あなたにいろいろ文句を言っても始まりませんけれども、われわれの感じとしては、もっと早くやってもらいたいですよ。水産庁長官もひとつそういう点にもどんどん意見を述べて、水産庁が被害の立場なんですから、やっぱり水産庁長官がしっかりしてもらわなければ困ると思うのですね。そういう点で、そういう点はすみやかにひとつやってもらいたいと思うのです。それで、やはりこの間の瀬戸内海の洋上会談におきましても、関係市町村あるいは県知事等からも要望がありましたように、瀬戸内海環境保全立法というものをつくって、まあ下水道は下水道、屎尿処理は屎尿処理、工場は工場、ばらばらにやっておったんでは始まらぬと思うのですよ。やっぱり瀬戸内海全般として、いまさっき農林大臣も言ったように、田中内閣は瀬戸内海をほんとうに魚の住める瀬戸内海にするつもりならば、ほんとうに、当然環境庁が中心になって瀬戸内海海域保全立法をつくって、そしてやはり汚濁負荷量はこれだけだから、これだけで押えなきゃ瀬戸内海はきれいにならないんだと、そういう立場で、本気でやってもらわなければ、ぼくはいけないと思うのですね。瀬戸内海環境保全立法もつくろうとしない。先般も環境庁長官はことばを濁して、マスタープランができてから何だかんだと言っているわけです。そういう間に、もう来年はまたもっと赤潮もふえてきますからね。それじゃ取り返しがつかないわけですよ。だから、私は、環境庁としては、ほんとうに瀬戸内海を生きる海にするならば、やっぱり当然これ、つくらなきゃ話にならないと思うのですけれども、そういう点どうなんですか。まあ、いまの環境庁の考え方、どうなんですか。
  164. 山中正実

    説明員(山中正実君) 先生も御承知のとおり、先般の洋上会談で、私どもの大臣も一応立法の必要性というのは表明したとおりでございます。ただ、環境保全対策のための立法でございますから、その内容がはたしてコンクリートになっていないときに、先に立法だけ急ぐというのも非常にどうかという考え方でございます。で、先生も御承知のとおりの大臣の意見表明ということになったわけでございます。
  165. 塩出啓典

    塩出啓典君 そういう方向にはいくと、そういうように考えていいわけですね。それで、いまさっきありました総量規制なんていつからやるんですか。その方向で検討する、検討するといったって、そんなにのんびりしているときじゃないと思うんですけれどもね、大体いつをめどにやるんですかね。やっぱり企業のほうも政府の態度がはっきりしないと、総量規制をいつまでにやるというならその考えもあるわけで、大体の方向ぐらい示しておかなければいけないと思うのですけれども、そういう点どうなんですか、いつごろをめどにやるつもりなのか。
  166. 山中正実

    説明員(山中正実君) 総量規制というのは、まあ一般的にいいまして考え方、二つあると思います。一つは、地域なり、水域なりを限って、その中に投入される総負荷量といいますか、それともう一つ、現在の濃度規制、排出一別の濃度規制に対する、一応工場から出てくる総量規制という、二つの考え方がある。それで、前者のほうでございますけれども、これは瀬戸内海につきましても、先ほどから御紹介申し上げましたように、一応環境容量というのを現在の四回の調査を終わりまして、ある程度の線が出てくれば、そこに投入される量というのは、おのずからきまってくるわけでございます。それにつきましては、なるべく早くある程度の線を出していきたい、こういうように考えます。  それから、各排水日別の総量といいますか、各企業別の総量といっていいのかもしれませんけれども、これは一応現在も先ほど前川先生のときにもお答え申し上げましたが、環境基準に適合するように排水基準というものを漸次上乗せしていってきびしくしていくということになっているわけでございます。ある程度の総量規制の概念が入っているわけでございますけれども、何ぶん排水規制の場合には、排水の瞬間的な排水量というのは、そのときそのときで非常に変動をしておりますし、水質も非常に変動してくるわけでございますから、それを的確に把握する技術というものは、現在ないわけでございます。それを一応総量といいますか、量的規制でもっていくというのは、まだ相当の時間がかかるのじゃないか、そういう意味で、それではいつになるかということになって、非常に問題出てきますものですから、一応私どもとしましては、排水量と水質の二本立ての規制と、つまり排水量は排水量で規制し、水質は水質で規制していくというのを現在、検討している段階でございます。
  167. 塩出啓典

    塩出啓典君 いつからやるかということがはっきりわからない。ひとつそれは早くやるようにやっぱり態度をきめて、非常に微妙な問題もあると思いますけれども、大体いつからやっぱりやるかというぐらいの方向をきめなければ、工場側にも考えがあると思うのです。急にできる問題じゃないのですからね。その点ひとつ環境庁にもよくそのことを伝えてやっていただきたいと思います。  それで、やはりいま瀬戸内海が実際にどうなっているかということはわからないわけですね。ただ、赤潮が発生しているそういう件数でわかるわけであって、いろいろ何回か測定をやっておりますけれども、やっぱり場所というのは、はかる場所が変われば非常に状況も違うわけですから、そういう点で前々からやっぱり瀬戸内海に自動ロボット計、これはまあロボットをブイをつけて浮かしておけば、そこの何かのデータは電波でぱっとわかるわけですからね。これはまあ大体千数百万ぐらいでできるわけで、幾らかこれはつけているようですけれどもね。現在、そういう瀬戸内海の自動観測ロボットですね、これが大体何ヵ所ぐらいあるのか、また将来何カ所ぐらいふやしていくのか、そういう計画を環境庁からまとめて大体わかりますか。やっぱり病人を診断するのに、病人の病状もわからぬで治療はできないわけですからね。やっぱりそういう観測体制を整備しなければ、瀬戸内海の病状がどういうものかということはわからないと思うのですよ。これをやっぱりほんとうに急がなければいけないと思うのですけれども、そういう点はどうですか。
  168. 山中正実

    説明員(山中正実君) 水上に浮かべるといいますか、洋上に浮かんでいるロボットというのは、現在瀬戸内海にはないと思います。ただ、先ほど水産庁の長官もお答えになりましたように、水産庁のほうで本年四カ所、一応ロボットモニターといいますか、ブイ式の監視装置をつけられる計画のようでございます。環境庁といたしましても、その設置については現在、検討中でございます。  それから河川等に一応設置しております自動監視装置でございますけれども、これは瀬戸内海沿岸、大体河川でございますけれども、大体二十台ぐらい現在、整備されております。
  169. 塩出啓典

    塩出啓典君 今後はどうですか。
  170. 山中正実

    説明員(山中正実君) 環境庁としましては、今後こういうものは非常にふやしていきたいというように考えております。一応河川等について、いわゆるブイ式じゃなくて、河川の両岸といいますか、岸べにつくる。これは漸次ふやしていきたい、このように考えております。
  171. 塩出啓典

    塩出啓典君 海の上はまだやってないんですか。これからやるお考えはないんですか。
  172. 山中正実

    説明員(山中正実君) 現在、検討中でございます。
  173. 塩出啓典

    塩出啓典君 検討中ということなら早く検討して、ひとつ来年度予算では、これはまあ非常に、たいして高くない——高くないこともないですけれども、やっぱり人件費に比べればこういうものは非常に役立つと思うのですよ。これをひとつ推進してもらいたいと思いますね。  それで、これは水産庁にお願いしたいんですけれども、非常に瀬戸内海はビニールが多いんですよ、海の底にね。それが魚を——底びきなんかやって前はエビの中のゴミを取り出したけれども、いまはゴミの中からエビをえり出さなきゃいかぬと、そういう状態で、特にビニールなんて非常に腐らないから悪いわけですね。そういうわけで、船でとるでしょう、ビニールがありますね、それをまた海に捨てるわけですよね。これをやっぱりもっと市町村——あるところでは、買い上げ制度をとっておるところもあるんですよ。ぼくはやっぱり水産庁、こういうせっかく漁民の人が魚を一生懸命やってビニールが入っていた場合、そのビニールを買ってもらうところがあればそれを持って帰って、非常にいいんじゃないかと思うんですがね。そういう制度をやっぱり指導してもっと推進したほうがいいんじゃないか、その点どうですか、そういう考えがありますか。
  174. 太田康二

    説明員(太田康二君) 先ほど申し上げましたように、私のほうはそういった、何と申しますか、漁場が、生産力の低下したような漁場につきましての生産力を回復するためのしゅんせつ、あるいは漁場づくり等の事業に対しましては、助成を申し上げておるわけでございます。まあ、そのときに取り上げましたビニールを買い上げるというようなことにつきましては、いまのところ考えておりませんけれども、なお実際に行なわれている実情等も調査の上、検討いたしたいと、かように存じます。
  175. 塩出啓典

    塩出啓典君 それから運輸省にお願いしたいんでございますが、いわゆる海洋汚染防止法ができましてから、いわゆるタンカーからの廃油というのは規制されておるわけですね。そしておもなる港には全部廃油処理施設というのができておるわけでございますが、私の調査のところでは、非常にその廃油処理施設というのが全く利用されてないわけですね。たとえば私の住んでおる岡山県の水島港におきましては、大体一ヵ月に千五百隻ぐらいのいわゆる黒もののタンカーが入るわけですね。まあ白もののほうは、これは規制の対象ではないですから。千五百隻ぐらい入るわけでございますが、ところが、まあ、もちろん千五百隻の船はからでバラスト水を積んでくる船と反対に石油を積んでくる船と両方ありますから、まあ、その半分がからでくるとすれば、やっぱり七百隻ぐらいはそういうからの船がくるわけですから、そういう船がもし半分がバラスト水を積んでおるとすれば、千五百隻はバラスト水を積んでおるわけですね。そうすると、当然廃油処理施設で、七百隻の半分ですから三百隻ぐらいはその廃油処理施設を使わなければ、これは海洋汚染防止法の違反になると思うんですけれども、ところが、昨年のデータによりましても、七月に二隻、八月に十八隻、九月に八隻と、まあ二百五十か三百隻ぐらい利用しなきゃならないのに、実際は、このようにわずか十隻前後ぐらいしか利用してないわけですね。だからせっかくつくったこの廃油処理施設も大赤字なんですよ。やっぱり大体これだけは必要だと思ってつくった設備がこのように遊んでおるということは、その他の船は全部たれ流しをしておると、そういうことじゃないかと思うんですけれども、この点もやっぱりこれからどんどんタンカーなんかの油というのは、これが蓄積をして漁業に対する被害も多いわけで、環境保全にはよくないと思うんですね。そういう点で、運輸省としてはどういう指導をしているのか、今後どういう対策を立てるのか、その点をお伺いしておきたいと思います。
  176. 二宮敞

    説明員(二宮敞君) お答えいたします。  内航につきましては、内航タンカー海員組合等を通じまして事あるごとに陸上の廃油処理施設を利用するように指導しております。ただいま先生がおっしゃいました水島につきましても、私ども調査いたしたわけでございますけれども、水島につきましては、大部分の船は荷主である石油会社——三菱石油でございますとかあるいは日本鉱業でございますとか、そういう荷主の処理施設を利用させてもらっておるというのが、大部分の状況になっておるというふうに聞いております。  それから、外航につきましては、タンカー会社三十数社の共同出資によりまして日本集油船株式会社を設立させまして、これはいま二千トンクラスの船を含めて四隻持っておるわけでございますけれども、その集油船会社等を通じまして有効に陸上施設を利用するように指導しております。
  177. 塩出啓典

    塩出啓典君 だから、そういうことをおっしゃっていますけれどもね、実際は、そうなっていないわけですよ。それはもう海上保安庁の方は御存じだと思うんですけれどもね。瀬戸内海の第六管区の調査によりましても、大体去年に比べて四倍くらい油濁件数がふえているわけですね。そうでしょう、海上保安庁。大体去年よりは、ことしのほうが油濁件数が四倍くらいふえているわけです。油によってこのようにやはりほんとうに悪くなっているわけですから、そういう点、そういう油のたれ流しという事件がなければ、ぼくたちもそれはあなたの御説明で納得しますけれどもね。もう少しやっぱりいろいろその点、検討してもらいたいと思うんですね。実際、廃油処理施設で油をその設備にかければ、やっぱり時間もかかるし料金も取られるわけですね。そういうのは荷主が負担している場合と船の業者が担当している場合があるわけですよ。だから、そういうような場合は、やっぱりできれば荷主というのは油を持っているお金持ちですからね、荷主のほうが出すとか、そういうようなこともぼくは検討すべき課題じゃないかと思うんですね。そういうような——時間がきましたのでもうこれで終わりますが、ひとつそういう点を、実際に油の油濁件数というのは四倍くらいふえているんですから、そういう立場でひとつ検討していただきたいと思います。  それで、きょうはほかに宍道湖の問題等もやる予定でしたけれども、時間がなくなりましたので建設省関係の方がお見えになったまた次の機会にいたしたいと思いますので、これで終わりたいと思います。
  178. 亀井善彰

    委員長亀井善彰君) 本件に対する質疑は、この程度にとどめます。  本日は、これにて散会いたします。    午後四時五十八分散会