○鈴木省吾君 次の問題に移りますが、総合農政をやっておるから
米価は上げられないんだと、これはやっぱり考えなければいかぬというような
意見がかなりあります。しかしながら、現在の総合農政というものを悪口を言うわけではありませんけれ
ども、これからやっぱり、米が過剰であるならば、必要な肉とか、あるいはその他の畜産物、あるいは園芸作物等を伸ばさなければならぬと思います。この点については、予算的に見ますと、まだ、私の調べたところによりますと、依然として畜産
関係では、農林予算の一兆三千億に近い予算の中で、畜産物はわずか三%ぐらいじゃないか。あるいはまた、野菜等は四%ぐらいじゃないか。大部分やっぱり米、しかも食管繰り入れとか、あるいはまた
生産調整とか、
うしろ向きみたいのことに金を使われております。ただ、農業
生産基盤の整備、これにはかなりの金を使っておりますけれ
ども、しかし、これにしましても、大部分が、米の増産のためのような土地改良をやっているんじゃないかと思います。こんなことでは、やっぱり総合農政といっても、依然として米に片寄った農政になり、補助を打ち切った場合には、また米に戻っていくというようなことになって、決して転作というものは定着しないというふうに私、考えます。
それで、時間もありませんから、結論だけ大ざっぱに申し上げますけれ
ども、たいへん使っておりますこの基盤整備、土地改良の仕事の
内容をひとつ
農林省で思い切って検討してもらいたい。日本の五百万町歩ですかの土地のうち、三百万ちょっとが水田ですか、これをいままでのような、依然として稲をつくるための土地改良だけやっていたのでは、やはりこれはいまのような農業状態が変わっていかない。日本の農業をこの際、思い切ってほんとうに総合農政をやるならば、米と畜産と園芸作物、三本立になるような農業にする。それにはたんぼの基盤整備というものを、いまのような単に稲を植える基盤整備でなくて、これを一メートルぐらい排水を下げて、いつでも畑に使えるような基盤整備をやってもらわなければならぬと思います。そしてそこに私は具体的に提案いたしますけれ
ども、牧草をつくらせる。牧草だって西南暖地に行けば、二十トンぐらい取れます。乾燥にして四トン、現在買っておるのが大体キロ三十円、三十五円ぐらいです。そうすると反当十万、十二、三万になります。まあ、そんなに取れないと
農林省の技術者で言う人もいるかもしれませんけれ
ども、取っている人もあります。稲のように草も研究していけば必ず取れますから、そうして三年ぐらいは五十万町歩とか、あるいは六十万町歩とかというものは、常に牧草を植えさして、そうして稲作との輪換、ローテーションをやらせる、こういう農業をやらなければ、私はいつまでたっても、これはいまの農政はだめだと思う。そういうことをひとつ、総合農政、総合農政と言っても、ただ上っつらのことをやらないで、そういった掘り下げた総合農政を検討していただきたい、かように考えます。そうしなければ、五十年になって補助をなくした段階で、また、みんな米に戻って、同じような騒ぎを毎年しなければならぬと思います。これは時間もありませんから、提案だけにしておきます。どうぞひとつ
大臣、在任中に部下を督励して、そのくらいのひとつレールを敷くぐらいのことはやっていただきたいと思います。
それから、最後にひとつお
伺いしたいことがありますが、これは
大臣が就任直後各新聞社からインタビューを求められて抱負を述べられたようでございますが、その中に各新聞にも出ておったと思いますけれ
ども、朝日新聞を持ってまいりましたが、
食管制度というものをある程度メスを入れるという談話が出ております。朝日を見ましても、
食管制度に手をつけるお考えのようだが、それに対して、「ともかく、今の米の制度はウソだらけというといい過ぎだが、形がい化している。
食糧管理法のうえでは、米は配給制度になっているが、だれが配給通帳で買っていますか。制度と実態が、こんなにかけ離れているのはおかしい。こんな
統制を続けているなんて世間が納得しませんよ。米の
統制はやめて、
価格保証制度に切替えます。」「
食糧管理法を
廃止するんですね。」「
廃止というか、実態にあった制度をつくるんだね、
食糧庁長官から」云々と言っておりますが、とにかく新聞の記事、あるいはインタビューですから、意を尽くしていない点もあろうと思います。しかし、これを見た
農民というのは、非常にショックを受けたのではないかと思います。この米の過剰時代にいろいろと
食管制度の根幹を守ると、前内閣、あるいは前々内閣がたびたび言明されたにもかかわらず、なしくずしにいろいろ
自主流通米であるとか、あるいは
買い入れの制限であるとか、物統令の適用の
廃止であるとかやってきて、外堀を埋められたという感じを持っている人もある。いよいよ今度は本丸に火がつくかと、こういう何かの新聞に出ていたような記憶もございますので、まさか
大臣そういうお考えではない、まあ悪いところだけ直して
農民に心配のないようにするというお考えのようでありますけれ
ども、この際、ひとつ
農民にあまり心配、動揺をさせない意味でも、真意のほどを伺って私の
質問を終わりたいと思います。