○国務大臣(増原
恵吉君) 第二次大戦からの教訓としておあげになりました項目、項目的に
お答えを申し上げればそれに対する私の
お答えになるかと思います。
第一番に、軍部独裁その他というものを、何といいまするか、完全になくする、克服するためにシビリアン・コントロールという
考え方が出てま言った、具体的な問題としては、ということでございます。具体的にさきの予算
委員会における四次防先取り問題に関連をして、予算の削除、凍結が行なわれました。その際に、その解決の
一つの重要な問題としてシビリアン・コントロールというものが出てまいったこと、御
指摘のとおりでございます。これはもう、シビリアン・コントロールというものはあの際ずいぶん論議をされました。特に申し上げる必要はないと思いますが、これは本来、戦力——軍というものを扱う場合には、やはり時の政治の中枢というものがこれを握っていくということで、これはまあそういう形はいつでもあるわけでございます。それをやはり軍事専門家ということでなしに、政治家が軍事を完全に掌握をしていくということが
一つの私は
基本——シビリアン・コントロールの
基本ではないかというふうに
考えるわけであります。したがいまして、せんだって具体的に問題になりまして、シビリアン・コントロールという問題を
考えて具体的に取り上げ、解決をしていくと申しておるのでございます。その方向が、具体的には、
一つは国防
会議の何と申しまするか、拡充、改組と申しますか、国防
会議というものが真に政治が軍事を統括すると申しますか、そういう実を一そうよくあげ得るような形に改組、拡充をしようという問題を
考えておることが
一つございます。
そうして、まあシビリアン・コントロールの
一つ一番
基本的なものは、国会——
国民に選出された議員をもってなる国会がやはり軍事というものを
基本的な形においては統括をしていくということであるべきでありまするが、その国会がそういうことをよりよくなし得るような方向、まあ
一つの
考え方は、
防衛に関する常任
委員会を設置をするというふうなことも
考えられておるわけであります。国会の
防衛力統括という
機能がよりよく発揮されるような方向を
考えていくというふうなことであります。
なお、多少小さい問題ではありましょうが、
防衛庁内部におけるいわゆるシビリアンに属する分野が、他の制服分野の拡充に比較しましていささか拡充が不十分と思われるところもありますので、この方面の拡充をやろう、これはまあ具体的な小さい問題ではございますが、そういうことも
考えておる。したがいまして、包括的に申してシビリアン・コントロールということが具体的に
整備、拡充される方向で、いま、具体策を練りつつある、固めつつあるという状態でございます。御
指摘のとおり、第二次大戦の戦訓としてと言うまでもないことでありましょうが、やはり戦訓としてこれを取り上げておるということでございます。
次に、補給活動の方面の大切なこと、これは申すまでもございません。しかし、いま
防衛局長からも申し上げましたように、わが日本における
自衛隊の補給の面におきましては、これは全体がいま
防衛庁の
自衛隊というものは
整備の
段階でありまするので、そういう面では全般的に不十分であるわけでありまするが、補給の面も仰せのとおり不十分であるわけでございます。しかし、これは
防衛庁、
自衛隊というものがどういうふうな一朝有事の際を
考えておるかという意味の御質問のおことばがあったわけでございまするが、
防衛庁、
自衛隊のたてまえは、あくまで自衛、
防衛に徹するわけでございます。攻撃的に相手を攻撃をしていくというたてまえをとっておりません。たびたび申し上げておるとおりでございます。したがいまして、たとえば地対空誘導弾、
ナイキ、ホーク等をごらんになったということでありますが、これはもとよりわが国へ進攻してきたものを撃墜するためのものでありまして、
ナイキ、ホークで遠距離にわたって敵の
基地をたたくなどということはとうていできない性質のものであることは申すまでもない、よく御承知のとおりでございます。すべてのものが攻撃的な要素を持ったものとしては装備をしておらないということでございます。四次防においてそろえますもの、これはもう三次防の際に採用を決定したものもあるわけでございまするが、ファントムであるとか、T2改であるとかいうふうなものが相当の航続力のある、相当の積載量を持っておるということはそのとおりでございまするが、これはあくまでもファントムは要撃戦闘機としてのものでありまして、若干の遠距離航続力を持っておりましても、日本の
周辺におけるいわゆる相手国の
基地をたたくというふうな能力というものは持っておらないわけであります。そういうものを持つようなものとしての装備はいたしておらない。あくまでも攻撃をしてきた場合を、
防衛として、りっぱにその
防衛力を発揮できるという意味においてそういうものを備えようとしておるわけであります。進んで相手国の
基地をたたくというふうな
考え方は持っておらないわけであります。
したがいまして、そういう意味における補給の大切なことは仰せのとおりでございます。しかし、これは申し上げましたように、いま
整備の
段階であります。いろいろな方面で未
整備であるとともに、この補給の問題もまだ足らないところがある。しかし、補給の問題は、先ほど
防衛局長が申し上げましたように、われわれが戦訓にかんがみてきわめて重要な欠陥であり、問題でもあるわけでございます。十分、この点は心して
整備につとめていきたいというふうに
考えるわけでございます。われわれは、相手がどこから進攻してくるか、そういう相手をどういうふうに
考えておるか、脅威というものはないともいうが、あるようにも受け取っておるようにも見えるがという意味の
お尋ねであったと思います。私
どもの
考えておりまする備えというものは、やはり第二次大戦後の世界の情勢にかんがみまして、その後におきまする世界の情勢、あるいは、世界的な大戦争は幸いなことに起きておりませんが、
地域的な相当の戦乱、戦闘というものは至るところに起きておるという
事態を、現実を踏まえて
考えまして、理由はいろいろな理由が、情勢の変化、理由というものはいろいろ
考えられることでありましょうが、やはり世界の現実の各国の状況を教訓、参考として
考えましても、やはりわれわれとしては最小限の自衛の備えをしておくことがわが国を戦争から守る、わが国に対する戦争をなからしめるというために必要であるという意味で私
どもは自衛の備えをしておるわけであります。近所のどこにいわゆる脅威がある、潜在的なあるいは顕在的な脅威があるという、そういう
考え方での自衛の備えをしておる、あるいは
整備の土台をつくっておるということではございません。もとより日本の
周辺に、どういう
事態になっても、日本に対する侵略、攻撃というものをなし得るような力がどこにもありません場合には、これはもうわれわれとして自衛力を持つ必要はないと思うわけでありまして、そういう意味における
周辺の攻撃力、武力というものは、これを頭に置かざるを得ないということでございます。そういう
周辺の武力的な能力というものは
考えていかざるを得ないということであります。そうしてその能力というものを
考えまして、申し上げましたように、どういう状態のもとにか、進攻してくるものがあった場合にこれを十分に防ぎ得る態勢を整えておいて、それによって進攻を思いとどまらせる、戦争をなからしめるというのが私
どもの自衛、
防衛の力をつくる
基本的な
考え方、したがってそういう意味における日米安全保障条約というふうなものが
一つの日本の
防衛、自衛における背景というか、大きい力になっておるというふうなことであるわけでございまして、どこに脅威があるか、どういう脅威があるかということを
考えての自衛力、日本のいまの
自衛隊、自衛力の装備充実という方向では
考えておらないというふうに御了解をいただきたいと思います。