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1972-10-11 第69回国会 参議院 災害対策特別委員会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年十月十一日(水曜日)    午前十時九分開会     —————————————    委員の異動  九月二十七日     辞任         補欠選任      足鹿  覺君     杉山善太郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         松永 忠二君     理 事                 古賀雷四郎君                 上林繁次郎君     委 員                 梶木 又三君                 柴立 芳文君                 濱田 幸雄君                 若林 正武君                 杉山善太郎君                 鈴木  力君                 宮崎 正義君                 高山 恒雄君                 塚田 大願君    国務大臣        国 務 大 臣  本名  武君    事務局側        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君    説明員        総理府総務副長        官       小宮山重四郎君        内閣総理大臣官        房審議室長    亘野  彰君        科学技術庁科学        審議官      安尾  俊君        農林政務次官   園田 清充君        農林大臣官房参        事官       澤辺  守君        農林省農業土木        試験場造構部長  大平 成人君        林野庁指導部長  松形 祐堯君        通商産業省公益        事業局技術長   和田 文夫君        建設省河川局長  川崎 精一君        建設省河川局砂        防部長      阿座上新吾君        建設省土木研究        所砂防部地すべ        り研究室長    渡  正亮君        自治大臣官房審        議官       近藤 隆之君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○災害対策樹立に関する調査  (昭和四十七年七月豪雨災害技術調査等に関  する件)  (治水ダム問題に関する件)     —————————————
  2. 松永忠二

    委員長松永忠二君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  災害対策樹立に関する調査を議題といたします。  まず、昭和四十七年七月豪雨による災害に対し政府が行なった技術調査について、本名総理府総務長官から報告を聴取いたします。本名総務長官
  3. 本名武

    国務大臣本名武君) 技術調査の御報告をいたします前に、関連いたしまして台風二十号等による災害について、また、七月豪雨災害について、その後の現況と経過を御報告いたしたいと思います。  まず、台風第二十号等による災害について御報告申し上げます。  台風第二十号は、九月十六日夕刻潮岬付近に上陸し、その後三重県、岐阜県を経て十七日午前富山湾に抜け、日本海を北上し、十八日には北海道の西の海上で停滞し、その後温帯低気圧となりました。  また、この台風に先立って九月六日より十五日にかけて熱帯低気圧の通過及び秋雨前線活発化、さらには、大陸からの寒気団流入等気象現象によって、各地局地的豪雨降ひょう、落雷をもたらせました。これらの気象状況により、西日本をはじめ北海道に至るまでの広範な地域に大きな被害が発生しました。  その被害状況は次のとおりであります。  一般被害といたしまして、死者行方不明者五十八名、このほかに船舶の遭難によるもの三十五名、建物半壊流失四百七十九棟、床上浸水一万八千百六十八棟、床下浸水十二万二千四百三十六棟、罹災者七万九千三百三十二名。  次に、施設関係等被害につきまして、公共土木施設約八百八十三億円、農地農業用施設等約二百九十七億円、農作物等約四百三十四億円、その他約三百億円、合計約一千九百十四億円となっております。  次に、災害に対してとった措置について申し上げます。この災害に対してとった政府措置は次のとおりであります。  まず、この大雨等による浸水被害の大きかった広島県福山市をはじめ合計十四市五町一村に災害救助法適用し、避難所を設置し、罹災者の収容及びたき出しを実施したところであります。  次に、施設被害の大きかった地域においては建設省農林省において応急復旧工事を実施し、緊急査定を急いでおります。  また、本災害の大きかったことにかんがみ、激甚災害法適用について各省庁検討を進めてまいったところでありますが、目下十月中旬には政令公布の運びとなるよう鋭意努力をいたしております。  一方、農林省においては天災融資法の発動について検討を進めており、これについても十月中旬には政令公布を行なえるよう手続を急いでおります。  以上、台風第二十号等による災害についての被害状況及びその後の対策を御報告いたしました。  次に、昭和四十七年七月豪雨災害に関するその後の措置について御報告申し上げます。  一、集団移転についてでありますが、今回の災害のその後の措置の中でも最も大きな問題の一つである住居の集団移転対策については、自治省を中心被害を受けた関係地方団体移転計画具体的検討関係各省間の協議を進めているところであります。  次に、防災本部についてであります。  今回の災害において、人的被害の大きかったこと、また、事前避難が適切であった場所では他と比べて人的被害が少なかったこと等にかんがみ、去る九月十九日の閣議において、台風集中豪雨等の異常な自然現象により災害が発生するおそれのある場合において、災害による人命等の損失を未然に防止するための防災対策を総合的かつ効率的に推進するため、必要に応じ、総理府防災本部を設置し、この防災本部を通じて十分な防災上の措置を講ずることとしております。  次に、技術調査団について御報告いたします。  七月豪雨災害において、山くずれ、がけくずれによる被害が多発したことにかんがみ、これらの原因及び機構の解明並びに今後の対策についての技術的検討を行なうため、八月十五日から二十三日までの九日間にわたり、科学技術庁中心に各省庁研究機関研究者からなる技術調査団各地に派遣いたしましたが、このたび調査団から報告書が提出されましたので、報告の概要を御説明申し上げます。なお、詳細についてはお手元報告書を配付いたしておりますので、それをごらんいただきたいと存じます。  今回の大災害の直接の原因は、六月末から七月中旬にかけて発達した梅雨前線による集中豪雨であります。特に人的、物的被害のおもなものは、山くずれ、がけくずれ等の山地崩壊によるものであり、山地崩壊は、気象、地形、地質土壌植生等の各要素が相関し合って発生するものであり、各調査地点ごと原因機構については、各論に詳細に記述されているが、類型別に分類いたしますと、地すべり型崩壊山腹崩壊及び山津波・土石流の三つの型に分類できるのであります。  また、今後の対策としては、山地崩壊危険個所調査点検を行ない、危険個所把握につとめるとともに、治山、砂防工事の推進並びに地質土壌等に適応した森林の育成と保護が必要であります。また、今回の調査地域の中で、従来から災害時の避難訓練水防訓練等を行なって災害意識の高揚、防災体制の強化につとめているところでは自然災害の大きさに比較して、人的被害がきわめて少なかったことにかんがみ、気象情報把握、安全に避難し得る場所の確保と避難訓練の実施及び情報網の整備が重要であります。  以上でありますが、これらの対策につきましては、第七回の非常災害対策本部会議において、各省庁に対し十分検討をするよう指示したところであります。  なお、危険地の総点検につきましては、建設省農林省において作業中であります。  また、気象観測につきましても、気象庁におきまして各省間の協力が十分行なえるような観測体制をとるように検討を行なっております。  以上御報告申し上げます。
  4. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 速記をとめて。   〔速記中止
  5. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 速記をつけて。  これより質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 宮崎正義

    宮崎正義君 ただいま長官から説明がありました台風二十号による被害の件でございますが、災害救助法適用市町村というのが出ておりますけれども、これ以外の各県の被害状況及びこの出ております個々に対する各県別といいますか、被害状況の御説明を願いたいと思います。
  7. 本名武

    国務大臣本名武君) 詳細については、審議室長から御報告申し上げます。
  8. 亘野彰

    説明員亘野彰君) 御説明申し上げます。  先ほど長官から御報告いたしました数字は、台風二十号並びにそれに伴った秋雨前線等を含めました数字といたしまして、死者・行くえ不明が五十八名等の数字を申し上げたわけでございますが、いま手元に、この中で台風二十号のみの各県別資料がございますが、その秋雨前線を含めました全体についての各県別資料はちょっといま手元に持ち合わせませんので、二十号関係についてだけ申し上げます。  二十号だけで申しますと、死者・行くえ不明は全国で三十八名というふうになっておりますが、今回の台風の特徴としまして、非常に全国的に被害分散しているわけでございます。まとまって大きいところとしては、死者・行くえ不明で申しますと、北海道が九名、それから京都が八名というふうなところでございまして、あとは一人、二人というふうに分散をいたしております。罹災世帯数あるいは建物崩壊流失床上浸水等につきましても同様の傾向でございます。たとえば床上浸水について申しますと、二十号関係だけでは全国で約一万一千棟でございますが、それにつきましても大阪府が四千九百七十というふうにかなり大きなものが目立っておりますが、あと分散をいたしております。罹災世帯数につきましても一万二千世帯でございますが、罹災世帯数で目立つのは大阪府の五千五百というところでございまして、あとは各県にまたがっておるという状況でございます。
  9. 宮崎正義

    宮崎正義君 私は、各県の状態を詳細にお願いしたいということを質問しておるわけです。ただ、いまの答弁だと、北海道死者が九名とか、京都で八名とか、大阪の分だけ取り上げて罹災世帯数が五千五百だとか、床上浸水が四千九百七十五とかいう、それだけの説明しかないのですが、私の申し上げたのは、よく質問を聞いておいていただきたいと思うのですが、この災害救助法適用市町村、これを含めて、それ以外に、これに出ていない全国の各県ごと被害を詳細に報告してもらいたい、こう質問したわけです。
  10. 亘野彰

    説明員亘野彰君) 各県ごとになりますと、非常にたくさんの県にまたがっておりまして、一がいに全部短時間で申し上げかねますので、後刻、資料としてお出しいたしたいと思っております。
  11. 宮崎正義

    宮崎正義君 資料として出されることはけっこうなんですが、たとえば北海道東北方面でどれだけの被害があって、それで、それが災害救助法適用をはずれたのだ、どういうわけではずれたのだ、これぐらいの額であるのだということを明確にしていかなければ、せっかくいま長官から台風二十号等による被害ということの報告があった以上、それらの詳細がすぐにわからないわけはないと思うのです。ですから私は伺っておるのです。
  12. 亘野彰

    説明員亘野彰君) 災害救助法適用につきましては一定基準がございまして、被害一定地域内に集中して起こっている場合に適用になるわけでございますが、具体的に個々北海道なり東北なり状況被害額あるいは災害救助法適用状況等の問題につきましては、関係各省から報告いたします。
  13. 宮崎正義

    宮崎正義君 どうもあいまいなんですがね。各県から被害状況報告が来ているんですか来ていないんですか。と同時に、もう一つは、総理府としてどういうふうなまとめ方をしているのか、その点を伺っておきます。
  14. 亘野彰

    説明員亘野彰君) 各県から直接報告が参りますのは、それぞれの、たとえば災害救助法関係でありますと厚生省公共土木関係でありますれば建設省農地農作物等被害でありますれば農林省というふうに、個々に各県の詳細な状況はそれぞれの主管省報告がまいるわけでございます。私どもはそれを総括して、各省から報告を受ける立場にあるわけであります。
  15. 宮崎正義

    宮崎正義君 どうもよくないのですね。もう少しずっと最後まで答弁なさったらいかがですか。各省報告される。それを今度統合するのはうちなんだ。じゃうちで統合したのはどうなんだという結果を言わなければならないんじゃないですか。しり切れトンボみたいじゃ困りますよ。
  16. 亘野彰

    説明員亘野彰君) 総括的な数字につきましては、先ほど長官から御報告いたしたとおりでございます。各県別のあるいは個所別のこまかい資料については各省把握しておられると思いますが、総理府では各県別の詳細なところまでは掌握しておりません。全体としての各省庁把握された結果の報告を受けて、報告申し上げた次第でございます。
  17. 宮崎正義

    宮崎正義君 それでよろしいでしょうか。そのいまの御答弁でよろしいんですか。
  18. 亘野彰

    説明員亘野彰君) 私どもは、それぞれの災害関係につきましても事業ごとに所管があるわけでございまして、それの総括、取りまとめ、調整ということをやっておるわけでございます。各県ごとあるいは個所ごとの詳細につきましては、それぞれの担当省庁からお答えすることにいたしております。
  19. 宮崎正義

    宮崎正義君 いまの御答弁は各省庁から報告してもらいたいということですか。
  20. 亘野彰

    説明員亘野彰君) はい。
  21. 宮崎正義

    宮崎正義君 どうも納得いかないのですが。長官台風二十号による被害という調査報告をなさるということは、当然それらが全部統括された上でこういう数字が出ているはずであります。こういう数字が出ているはずであれば、各県が人的被害、また建物被害、あるいは耕地の被害とか、船舶被害とか、それぞれがおのおの報告されてからこの数字がまとまってくるわけであります。そうすれば、当然各県の被害状況というのは明確に出なきゃならないわけです。ですから本来ならば、きょうの台風二十号等による被害ということを報告をするならば、各県別被害状況資料報告されていいわけなんです。それをそうじゃなくて大まとめまとめたものしか出ていないから、しかもこの内容を私は聞くために災害救助法適用市町村、それ以外の市町村、それらに対する被害状況というものがどうして災害救助法適用を受けなかったのか、受けたのはこういう理由だと、明確に受けたところと受けないところの市町村、県なりの報告が明確でなければならない、その点を私は伺っているわけなんです。与えられた時間がごくわずかであります。こんなことで押し問答しているようじゃしようがないと思うんです。長官いかがですか。
  22. 本名武

    国務大臣本名武君) 各県別被害の詳細について資料事前に御提出いたしませんでしたことはまことに申しわけないと存じます。ただいま審議室長からお答えいたしましたとおり、私のほうで取りまとめまとめ方、及び各府県の被害状況についてはさっそく県別資料を提出いたしますので、申しわけありませんが、その上で御検討いただきたいと思うわけであります。ただ御指摘がありました災害救助法適用した市町村内容につきましては十四市五町一村に災害救助法適用いたしました、この適用については、厚生省でそれぞれの検討を加えた上で災害救助法適用いたしたわけでございますが、その他の町村については被害はありましたが、適用されなかった。それらのいきさつについては厚生省においてそれぞれ資料に基づいておやりになったことでありますので、われわれのほうではこのような十四市五町一村に災害救助法適用したという、その報告まとめて、さらにはそれに加えて適用外町村被害も総括して先ほど被害の全体を申し上げたわけでございます。
  23. 宮崎正義

    宮崎正義君 それでは、災害救助法適用をやった以外のものが厚生省が知っているということであれば厚生省の方来ておりますか。厚生省の人、呼んでもらわないと内容がわからぬですね。どういうわけで適用外になったのか。と申し上げますのは、私はなぜこういうことを聞いているかといいますと、適用を受けたところは法の処置によってある程度救助されることはわかるんですが、適用外のところがその地域地域においては、町村なんかに行きますと財政規模より多く被害を受けているところがあるわけです。一年間の財政規模より被害額が多いというところがあるんです。それらに対する町村にどんなふうな手を打ったのかということをお伺いするために詳細がわかりませんと、そうした適用外のどころの住民方々はひどい生活をしているわけであります。ですからそういう日の当たらないところに眼を配って手を差し伸べてあげるのが私ども国民の役目だと思うわけであります。そういうことで詳細がわかりませんと、この地域はこうだということを申し上げることもできないわけであります。と申し上げますのは、台風ばかりじゃございません。この間のひょうが降ってまいりましたときでも、私は前回の農水の委員会におきましてその実態を申し上げました。財政規模がわずか四億しかない。ひょう被害だけでその町は一億五千万以上の被害を受けている。ある地域においては農作物が皆無だと、三分の一からの被害を受けているところがある、これは一例であります。これはひょうの問題です。特に二十号台風ということになりますれば、北海道でも相当の被害を受けている。東北でも被害を受けております。青森でも被害を受けております。そういう方面に対する考え方というものをどんなふうに思われているのかということをお伺いせんがために詳細なデータをほしいと言っているわけです。と同時に、報告もほしいと言っているわけです。厚生省適用とか、適用外だとかということをきめられたということならば厚生省の人を呼んでもらって、こうだああだと言って説明をしていただかなければ納得がいかない、こう思うわけであります。
  24. 亘野彰

    説明員亘野彰君) 御承知と存じますが、災害救助法は、災害が起こりましたときの応急のたき出しでありますとか、寝具等給与でありますとか、医療救出等関係の法的な処置でございます。これは先ほども申し上げましたように、一定基準被害状況程度によりまして災害救助法適用するかいなかを厚生省で判断なさるわけでございます。それ以外のいろいろな、たとえば公共土木でありますとか、農地農作物あるいはその他万般の被害につきましては、災害復旧の問題といたしまして、それぞれ補助の制度があるわけでございまして、七月豪雨関係につきましてはほとんどすべての事業につきまして激甚法適用があり、それから、今回の二十号につきましても農地農作物等については激甚法指定の予定で目下作業を進めておるということは先ほど申し上げたとおりでございます。  それから、各県の個々具体の問題につきましては後ほどお教えいただきましてその土地の状況、それに対する対策等につきましては資料を取りまとめまして別途御報告さしていただきたいと思います。
  25. 宮崎正義

    宮崎正義君 農林大臣がここにおいでになりませんが、農林省関係の方がおいでになっておるので申し上げますが、農林水産委員会で申し上げたのですが、そういうひょうあたり災害も二十号台風等にひっくるめて研究をして、そうして災害救助に対する考え方を取りまとめるという答弁農林大臣がなさったわけです。ですから二十号等というその等の中にそういうものも含められているのかどうかということも私はお伺いをしたいわけなんです。  それからもう一つは、いまたいへんことばじりをつかまえて相すまぬと思うのですが、たき出しということをおっしゃられましたが、たき出しは、これはもう住民人たちが、その地域に該当しない人たちでもいつの場合でもやっておるわけです、どんなところでも。ですから特に政府指定したところのたき出しとかいうものじゃなくて、罹災を受けているところは、黙ったってみんな助け合い運動をやってたき出しをやっておるわけです。ですから、単なる政府がたき出しをやったからこうだとかいうところが適用だとか、適用外だとかというようなことも、私はおかしいと思うのですが、一部分を取り上げて申し上げているわけですけどね。どうなんですか、いまの二つの点について。
  26. 亘野彰

    説明員亘野彰君) いまたき出しと申し上げましたが、災害救助法政府措置の対象になります救助の種類としまして、災害救助法の二十三条に当面の応急収容施設でありますとか、たき出しその他の食品の給与でありますとか、被服、寝具等の支給でありますとか、あるいは医療関係、住宅の応急修理等々が列記してありまして、それらに要する費用について国が指定の上においてはめんどうをみる。指定されるのは、別にたき出しをやったから、やらないからというふうなことではございません。被害程度によって基準がございまして、それによって、適用になるか、ならないかがきまるということでございます。  それから、お話しの降ひょうの問題につきましては、台風二十号と合わせまして、農地農作物等について、激甚災害指定になる見込みでございまして、先ほども申し上げましたように、今月の半ばごろ、政令が公布できるように準備を進めておるところでございます。
  27. 宮崎正義

    宮崎正義君 たき出し災害法等説明は、私も知らないんじゃないんで、説明をしていただきましたけれども。  それでは、各県というのはたいへんでございましょうから、各県のことについては詳細な報告をひとつ資料としてまとめていただきたいと思います。この点、委員長よろしくお願いします。
  28. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 続けてやってください、ちょっとあとで聞くから。
  29. 宮崎正義

    宮崎正義君 それで、この台風二十号における北海道東北等被害の問題なんかで関連しまして、これは運輸省のほうのことにもなりますけれども連絡船とか、あるいは二十号による列車の被害によって運航が停止になるとか、あるいは順法闘争等がかみ合って非常に国民方々に大きな負担をかける。それぞれの国民生活の中に大きな被害を与えたということは、御存じだと思いますが、特に長官北海道開発庁の長官でございますので、北海道状態についての実情をお伺いいたしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  30. 本名武

    国務大臣本名武君) 御指摘のとおり、交通機関、特に北海道のような地域的環境にあります連絡船はたいへん利用者方々に御迷惑をおかけしたことは、御指摘のとおりでございます。北海道につきましては、あの台風が停滞いたしまして、その期間中広い各地被害を非常にもたらしております。しかも、それが同じ町村の中におきましても、非常な激甚被害を受けたところ、あるいは全く一部には降雨さえも見られなかったというような、ほんとうに特異な気象条件災害であったと思われるわけであります。したがいまして、その調査等について、かなり時間をとったわけでありますが、まだ私のところに北海道の詳細の報告が来ておりませんが、いずれにいたしましても、非常に被害を局所的にはこうむったことは中間的に報告を受けております。ただ、人命は、北海道全体の地域死傷者等出しておりますのは、はなはだ遺憾でございますが、町村別にこれを見ますと、災害救助法適用する必要があったかどうかということは、厚生省の判断によって北海道町村指定されていないようでありますが、全体をまるめますと、北海道としてはたいへんな被害をこうむったということの中間的な報告を受けております。
  31. 宮崎正義

    宮崎正義君 長官、もう御存じのように、適用されていないところのほうにひとつ眼を配ってお考えを、ひとつ全県下にわたってそういうところを特に注視をされて、救済するものは救済してやろうというようなあたたかい手を差し伸べてあげることを私は希望いたしておきます。免税の問題にいたしましても、あるいは農業になりますと、種子の問題も、あるいは肥料の問題、肥料の問題等も相当困窮している地域があふれておるわけです。被害によっての災害を受けているところがずいぶん随所にあるわけでありますから、特に適用外のところのほうを目を届かしていただきたいということをお願いをいたしたいと思います。  先ほど四十七年七月の豪雨災害技術調査報告書というのが長官から御説明がありましたけれども、これが四十七年の九月に調査をされたというのがいま手元に、きょういただいたわけでありますが、委員会の始まる前にこの資料をいただいておったならば、委員の皆さまもこれを十分に勉強なさって、そしてここに臨まれて、初めからこの質問ができると思うのです。で、今日の対策がどんなふうになっているかということも、この調査報告というものが早く私どもの手に渡っておれば、これによってその現地もこのとおりであるかどうかということもわかるわけなんですが、残念ながらきょう、この委員会に入りましたらこれが届きましたのですけれども、この種の報告は担当の委員だけには早く、できたらすぐに届けていただきたいということを私は要望を申し上げます。  で、これはいつできたんでしょうか。
  32. 亘野彰

    説明員亘野彰君) 日取りをはっきり記憶いたしておりませんが、でき上がりましたのが先週でございまして、調査団長もいまお見えでございますけれども、先週、総務長官に御報告いただいたわけでございます。なお、委員部には先週の終わりごろお届けいたしたわけでございますが、もっと早くお届けできなかったことを申しわけないと思っております。
  33. 宮崎正義

    宮崎正義君 ちょうど約三カ月たっております。私、希望を申し上げたいことは、災害時における議員派遣、議員調査というものを直ちに行なってまいりましたけれども、三カ月、四カ月たって、現地がどんなふうになっておるのかということをもう一度再確認をしながら、さらに、救済の手を差し伸べてやるところはやる、やらないところは、この程度のことはこうしてやらなければならないとかいうよなう指示というものがなされるのがあたりまえだと思うんですが、この点について災害後三月なり四月なりたちましたときに議員派遣をするような考え方があるかないか。これは委員長も含められて、長官もひとつお答えを願いたいと思います。
  34. 本名武

    国務大臣本名武君) 先ほども簡単に御報告いたしましたが、実は、七月豪雨につきましては、非常に異例の災害でございましたし、また、災害対策本部といたしましても、従来被害の実態調査及び査定等は進めておりますが、やはり原因を究明する必要があるということで、あらためてほとんどの災害、一部は除いてありますが、ほとんどの災害地にわたって技術的な、専門的な調査を行なおうということで、八月十五日から行動を開始したわけでございます。御指摘のように、その間約一カ月を経過いたしておりますが、いろいろな準備その他の都合があっておくれたことはまことに遺憾でございますが、しかし、今回のこの調査が広範にわたって災害地を調査することができ、また、報告書をごらんいただきますとおわかりのように、かなり前向きの新しい観点からの見解が結果としてあらわれていることは非常に貴重な調査であったと考えております。まあそういう意味で、今後はやはりこの調査を基礎にし、また、今後起きるであろうと予測される災害に対する防災的な考え方も織り入れ、同時にまた、今後災害をあらためて技術調査をする必要がある場合には、早急に調査をいたして、つとめて災害原因的にも究明し、また、防災的にも対処し得るような行動をとってまいりたいと考えております。
  35. 松永忠二

    委員長松永忠二君) お話にありました災害直後の視察後に一定の期間を置いて調査をするのがいいのじゃないかということについては、理事会等で話し合いをしているところであります。確かに問題のあって解決できないようなところについてだけチェックをして、それを調査する必要があるというようなことを感じております。特に、今度どういう方向に行きますか、集団移転の問題等については、あるいはあらためて地元の要望を聞くというようなことも必要だし、あるいはきょうも御質問のありますダムの問題等については、必ずしもまだはっきりしてばかりいるというわけでもないし、話し合いをしているところです。だから、したがって、委員の皆さんから特に問題点を指摘をされて、お話があれば調査費等はすでにもうあれですけれども、これは議運等でも特別な配慮をいたしていただきますには、必要があればひとつ特にそういう点をどういうやり方でやるかということを相談をして、御要望に沿うようにまたひとつ考えていきたいと思います。
  36. 宮崎正義

    宮崎正義君 ありがとうございました。  長官がおっしゃられたように、私まだ内容を読んでおりませんから、まとめられたことはたいしたものだと思うのです。いままであまりこういうようなのを見ておりませんので、非常に御苦労なさったということはわかる。それだけに、もうまっこうからもっと早くということを申し上げたのです。それがわかるだけに、最初にそういうふうに申し上げてから、私がお話をすればよかったのですが、それをあと回しにわざとしたのです。ごめんなさい。それで非常によくできているように思えるわけですが、まだ来たばっかりで、これから内容検討さしてもらいますが、一例をあげてみますと、「災害類型別」として、(試案)として、先ほど報告のありました、aとしては「地すべり型」とか、bとしては「山腹崩壊型」だとか、cとしては「山津波型」だとかというふうにして内容まできちっと分けて、そして(オ)として「今後の見通し」これは一七ページにございますが、「以上いずれの型の災害も、大きな動きは一応終息したかのごとく見える。また、不安定な土砂は一応大部分落ちつくしたような場所もある。しかし、」というふうに、その現場の場所をとらえられて報告まとめられているということ、これは非常に今後参考になるのじゃないかと思うのです。  そこで、私、時間の関係等がございますので、一つ二つの地域にしぼってお伺いをいたしたいと思います。  これはその中にあるかどうかわかりません、読んでおりませんので。ですから、その個所がこういうところにあるとおっしゃっていただければ、私も読んでまいります。先ほど委員長からも集団移転の問題が、いまお話の中にも出てまいりまして、集団移転法というようなことも、法案を考えようじゃないかという冒頭にごあいさつがありました。非常にいいことじゃないかと思います。そこで島根県の川本町、島根県ばかりじゃございませんけれども、まあ一例あげまして、この災害の常襲地と言われる十三市町村集団移転希望というものが私の調べたところによりますと八百四十三戸あって、二千八百二十七人の希望者がある。特にその川本町は二百九十五戸という大量な希望があるというふうに聞いております。で、御存じのように、川本町というのは総面積約百平方キロのうちの九〇%以上が山地で全く山の中の町といっていいように思うわけですが、このところは昭和四十年も四十六年も災害を受けている。そして今度の四十七年の七月に大災害を受けたわけです。その住民の約七千二百名の人たちがあの山地の、山間の中で住んでいるんですから、勢い江川に沿ったわずかの平地で集中生活をしているというのが実情だと私は思うわけです。この川本町の一般会計が約六億でございます。被害総額が五十五億七千万円という、こういうふうな約十倍に近い被害総額を受けているという現況、その後の三カ月たっている川本町の現況等がどんなふうに掌握をされておりますか、御説明を願いたいと思います。
  37. 亘野彰

    説明員亘野彰君) いまお話しの島根県の川本町でございますが、技術調査団が島根県に参って、益田とか浜田とか三隅とか参っておりますけれども、お話しの川本町には参っておりません、残念ですが。集団移転の問題につきましては、後ほど自治省の事務当局が参ると思いますが、各県につきましてそれぞれ移転の希望のあるところについては実情を自治省のほうで伺いまして、それもそれぞれに即した対策検討中でございます。ただいまちょっと川本町についての資料を私どもはいま手元に持ち合わせておりませんけれども、自治省のほうで詳細な実情を伺っておることと思います。
  38. 宮崎正義

    宮崎正義君 この資料にも川本町のことは出ていないようですね。桜江町ですか。
  39. 亘野彰

    説明員亘野彰君) 調査地点は五ページにございますが、十一県三十六地区七十九個所にわたって調査いたしたわけでございますけれども、あいにく川本町は対象に入っておりません。
  40. 宮崎正義

    宮崎正義君 私は、何もねらってやったわけじゃないのですけれども、ここは長官御存じのように、全部二階まで住宅が埋没したところでございます。いまだに土砂をかぶったまんまになっているという、そこにまた川沿いなんかも夏草がはえたままになっている、夏草だけが三十センチぐらい伸びている。ですから、この災害があった後の様相というものを夏草がはねられたどろの上にはえているということから見て三カ月の歴史が物語られると思う。そういった中でこの本委員会でも、あそこは特別に将来の町づくりというものを考えて、そして三階、四階にして、二階ぐらいまでは——いろんな構想を言っておりました。豪雨が来ても、何が来てもだいじょうぶのように高層化して、そして養殖でもやれるような形につくったらどうだというような同僚委員からも、そういう質問なり希望もあった。私どもには災害地に行って見た所の忘れられない地域でございまして、それだけに、いま私がこの質問をし、お伺いしているわけです。ここは特異な場所でございます。復旧作業も、復旧工事もほんの数カ所で全く放り出されたような姿になっている。先ほど申し上げましたように、集団移転の希望も二百九十五戸もあるということから考えていきましても、全体戸数から言っても、この実情がわかるだろうと思うんです。その隣の桜江町のほうもこれには出てないんじゃないですか。ここも、やはりあの江川の工事がもう少し進められておれば、この被害も助かったろうとも言われておりますし、またもう一つは、先ほど委員長からもお話がありましたダムの問題でございますが、浜原ダムの放水が毎秒九千トンをこえる放水で、このふえ始めたもので水位が一挙に増していって、そして田畑と家を押し流していったというふうにも言われておるわけです。こうした実情なんかはどのように踏まえられておりますか、お伺いします。これは建設省の河川局長のほうからその後の対策伺います。
  41. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) 江川につきましては、御承知のように、昭和四十年代になりましてから、たびたびまあ、激甚災害を受けておるわけでございます。したがって、私どもも一昨年来かなり桜江あるいは川本こういった地域につきまして、単に河川改修だけではなくて、まあ支川等につきましては、治水ダムの建設、こういった点も合わせまして進めてきたわけでございますが、残念ながら、工事が緒についたばかりのところに、昨年のような大災害やことしのような豪雨に見舞われまして、非常に残念な結果になったわけでございますが、その後まあ、私どものほうも大臣も直接御視察をされましたので、私どもも、この際、まあ集中的に短期間にある程度のめどをつけたいというようなことで、災害復旧はもちろんでございますけれども、できるだけ改良復旧というような姿勢をとりまして、抜本的な改修をまあこの際行なう。なお、災害復旧関連事業で収拾できないところにつきましては、本来の河川改修事業も合わせて行なうというようなことで、一部予備費等からも河川改修費の増額等の処置を講じまして、できるだけまあ積極的に応援をしておるわけでございます。  なお、ダムの問題が出ましたが、浜原ダムは御承知のように、利水ダムで非常に貯水容量の低いダムでございますので、必ずしもまあ治水という点では期待のできないダムでございますが、しかし、まあ操作の方法を誤りますと、先生のお話しのようなやはり誤解を受けるおそれがございますので、これは浮戸事件以来いろいろ問題になったダムでございまして、私どもも操作規程その他については十分注意をしてまいったわけでございますが、なお、警報の連絡なり通報、こういった点ではもっと改善すべき問題もあるんじゃないかというようなことで、そういった点につきましても、さらに調査させまして、来年の出水期までには、そういった誤解のないように、きめこまかく一般の方々が周知できるといったような処置を講じたいと考えておる次第でございます。
  42. 宮崎正義

    宮崎正義君 浜原ダムは河川局長も内容御存じないようでございますので、これにはもっと私深くこの問題掘り下げていこうと思いましたけれども、本日は時間の関係でやめます。  この地元の人たちは、いま私が申し上げましたように、九千トンの放水でやられたんだということが非常に濃厚に頭の中に残っているわけですね。それで、一時も早くこの方面防災ダムというものをやはり大きく取り上げていかなきゃならない。分水の問題もあるでありましょうし、防災ダムということをぜひ取り上げていかなければならない重要な個所だと思う。そうしませんと、いつまでたってもここは解決ができないんじゃないかと思うのです。それに伴って、先ほど来申し上げております桜江にしましても、川本にしましても、膨大な雨の降るたんびに住民は心配しなければならないということになっているわけですから、この点の防災ダムをどんなふうにするかということを御答弁願いたいと思います。
  43. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) 江川自身は、御承知のように、非常に流域の広い河川でございますので、本川の流量をダムで調節するというようなことも過去には幾つか検討をされてきたわけでございます。非常にまあ効率が悪いといいますか、適切なダムの場所が選定しにくいというようなことで、調査の時点では、まあ一、二個所そういった候補地点はあるわけでございますが、効果としてはあまり期待できないんじゃなかろうかというのが現在の段階の一致した意見でございます。さらに、なお調査は進めたいと思いますが、そういった点もございますので、今後はできるだけ本川もやはりまあ築堤護岸、こういったものの増強によって、当面江川沿岸の治水の安全を守るのがまず先決ではなかろうか。なお、それぞれの部落には、流入しておる、たとえば八戸川とか、そういった支川がございますが、こういったところのはんらんによる内水被害流失被害、そういったそれぞれ支川にダムをつくるとか、こういった対策を立てようじゃないかというようなことで、当面改良復旧なり河川改修を重点にいたしまして、なお、お話しのようなダムも含めた総合的な治水対策を進めていきたいと考えておるわけでございます。
  44. 宮崎正義

    宮崎正義君 これを瞬時も早くやりませんと、災害常襲地帯といわれているところですから、特別の配慮をしていかなければならないと思いますので、この点強く要望をいたしておきます。  それから、農林省の政務次官にお伺いをいたしますが、桜江町のほうの農業はほとんど桑園地帯でございます。これで大体順調にいけば約年間二百万ぐらいの収入が得られるというところでありますが、全部この地帯は桑園の流失で、現在どのような救済の手を三カ月後つくされておるのか、この点をお伺いいたします。
  45. 澤辺守

    説明員澤辺守君) 桜江町の具体的な状況についてはいま詳細に把握しておりませんけれども、桑園の災害につきましては災害復旧で対処し、さらに、ただいまお話しのございましたような収入減に伴います営農対策といたしましては、天災融資法による融資によって対処するよう指導していると考えます。
  46. 宮崎正義

    宮崎正義君 これはまた農水でやりますけれども、この地帯は先ほど申し上げましたようにほとんど山間地帯が主体で、わずかに平地と言えば江川沿線でやってるわけです。ですから、それだけに特異——特質的な農業地帯とも言えると思うんです。したがって、こういうような災害の、水害の常襲地帯というものに、畑作という全体的な考えの上からも指導育成をして農民を守っていく行き方をしていかなければならないんじゃないかと思う。そういうことで質問を申し上げたわけです。ともあれ、こういう部分的なことですから御答弁が、調査がなされなかったろうと思うんで、私も予告をしておりませんので調べられなかったと思いますので、後日に譲ります。  で、長官も御時間の都合があるようでございますのでお伺いをいたしたいと思いますが、いま日本列島改造論で、過疎過密を同時に解消をはかると田中総理は言っておりますけれども、まず過疎地帯の災害対策の確立をやらなければならない、そこがまず先にやっていかなきゃならないんじゃないか、そして住みよい環境づくりのほうを先決にしてやっていかなければならないと同時に、山間部の人口流出とか、あるいはこういう現象の歯どめをどんなふうにしていくのか、真の改造論とはどこにあるのかということを長官にお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  47. 本名武

    国務大臣本名武君) 日本列島改造問題につきましては、それぞれ権威ある方々の一部の方にいろいろ御検討いただいている過程でありますが、まだ最終的な結論はでき上がってないわけでございます。その中でも特に、いま御指摘のございましたとおり、やはり山間部であろうが僻地であろうが純農村地帯であろうが、やはり少なくとも過疎地帯と言われる地域においては、現在お住みになる方々、現在行なっておられる生業、これがまず第一に安定するかしないかということがもう一番の先決事項であると考えております。したがって、現住民方々が御満足のいただける郷土をつくり上げるということが大前提でありまして、それと同時にやはり今後の発展、繁栄した生活を営むために、またその根幹である自治行政、財政を健全にするためには、やはりそれなりの地域における生産もあげなければならないということが次に考えられることであると思います。それは地域によっていろいろな、工業がいいのか、あるいは現在の第一次産業の二次加工がもっと高度化されるのがいいのか、それぞれその地域によって御選択をいただき、また、それに対して国ができるだけの助成をしてやっていかなければならぬ。いずれにいたしましても、御指摘のやはり現住の方々がほんとうに満足する地域をつくるということが第一の前提でなければならないということは全く同感でございます。したがいまして、私どももそのことを第一に考えながら、無理のない、矛盾のない、いろいろな矛盾が想定されます、そのことの問題を解決しながら日本列島改造をすみやかに実現いたしたいと考えておるわけでございます。
  48. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 私は、この前、八月九日に災害対策特別委員会で七月豪雨災害対策に関する決議というのが行なわれました。そこで、従来の国会の決議というものはどの程度に実行されているかというようなことは、国会の委員会にとっては非常に大事なことでございますが、とかくこの決議というのは尊重決議になって、なかなか具体的な御答弁がいただけないというふうな状態じゃないかと思います。幸いにして、この災害対策に関する決議につきましては、ただいま本名長官からお話がありましたように、いろいろな問題につきまして前向きに検討していただいているということにつきまして、心からお礼を申し上げたいし、また、先ほどこの技術調査報告書というのが出ておりますが、こういった報告書は従来ではなかなか出てこない。今回はいち早く調査団を組織されまして、災害原因なり除去につきまして具体的な提案をいただいているということは、災害対策にとって非常に賢明なやり方であるということでございまして、私は敬意を表したいと思います。  そこで、私はこの豪雨災害技術調査報告書の中身を見てみますと、がけくずれ、土石流、そういった問題についておもに検討がしてあります。しかし、残念ながら非常に問題になりましたダムの問題につきまして、従来からいろいろ言われておりますが、具体的な技術的な検討がなされてないということでございまして、この点につきまして私若干の質問をさせていただきたいと思うわけでございます。  そこで、まずダムを防災的に考える場合に、どうしてもその川なり、その地域における防災のための治水計画というのが私は今後の大きな問題であろうと思います。治水計画につきましては、今回の豪雨災害によりまして相当変更を要する川がたくさんあろう、特に中小河川にまいりましては数限りなくたくさんあるというぐあいに理解しておりますが、この治水計画の変更を要する河川、各水系等につきまして、大体どのくらいの数があるものか、おもな川はどういうものか、それらの具体的な検討の進みぐあいはどんなぐあいであるか、簡単にひとつ建設省からお伺いしたいと思います。
  49. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) 今回、七月豪雨の特色といたしましては、全国的に相当な規模の豪雨であって、各河川特に大河川もわれわれの計画規模を上回るような出水を見たということ、それからダムに対するいろいろな批判が集中したこと、この二つが一番災害に対する大きな問題として私ども受けとめておるわけでございます。その中でやはりまあ計画規模、こういったものにつきましては私どもも今後各河川の流量の検討、こういったものを通じましてやはり災害復旧なり改修計画を進めていきたいと考えておるわけでございますが、お話しのダムにつきましては、特に利水ダム等におきましては、これは在来からも河川の流れに著しい変更を与えないというようなことを根本的な原則として、在来から利水ダム等の設置を認めてきておるわけでございまして、また、操作に当たりましても、そういった考え方で操作をするということをたてまえにしてきたわけでございます。今回の災害等を見てみますと、いわゆる利水ダムは必ずしも被害を受けていない。しかし、下流の地域住民はそういった豪雨によって被害を受けておる。したがって、まあ利水を優先し過ぎるじゃないかというような批判が相当高まっておるわけでございます。ダム自身につきましては、これが倒壊するとか、こういった危険を生じますと非常に問題が大きくなりますので、私どももできるだけダム自身につきましては、これは程度の高い放流設備なり、こういったものを要求いたしまして、在来からも指導をしておるわけでございますが、半面、下流にいわゆる自然流量以上の超過放流をしないというたてまえにはなっておりますけれども、下流の河川の改修がおくれておる。そういった点では確かに治水と利水の斉合性、こういったものについては、この際私どもも反省する必要があるということを痛感しておるわけでございます。したがって、今回の豪雨によって被災した河川をまず優先的に、下流のいわゆる改修状況といいますか、そういったものを再点検をする。したがって、今回の災害復旧、あるいは改良復旧、そういったところには、できるだけその被災地点を優先をして事業の促進をはかる。なお、そういった被災はしておりませんけれども、今後、改修を促進するものについては、計画の検討をあわせまして進めたいと思っております。  なお、全国的にはお話しのように、相当数のそういったダムがございますので、これも逐次お話しのような趣旨に従って私どもも今後治水事業一つの重点的な問題として、いわゆる治水と利水の調和といいますか、そういった観点からダム下流の河川改修を見詰めていきたいと考えておる次第でございます。
  50. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 河川局長にいまいろいろ詳しい内容をお伺いしましたが、私が質問しているのは、これはあとで、具体的にいま把握されていないかもしれませんが、どの程度の川が計画変更を要する——今回の豪雨でどのくらいの川が、何本くらいの川が計画を変更しなくちゃいかぬかというような問題。それから大河川でも、具体的に川内川とか、いろいろな問題がたくさんあろうかと思います。そういったものを具体的に資料がございましたら、数だけでけっこうでございますからひとつよろしくお願いしたいと思います。  そこで、いま河川局長からお話がありましたように、ダムの問題は各方面で問題になっておりまして、いろいろ具体的に検討されまして、解決された問題もありましょうし、解決できていない問題もございます。そこで、多目的ダムの再検討は当然、国としてやられるべき筋合いのものでございますから、当然、電力の問題等いろいろほかの利水の問題ともからみ合いますから、今後十分ひとつ建設省が主導権を握って解決していただきたい。この治水容量を増すべきものは増してもらって、防災的な目的を高く持たしていただくようにお願いしたいと思います。もちろん、治水計画の問題とも関連する問題でございますので、十分御検討をお願いしたいと思います。  そこで、私は、防災計画に載っていない利水専用のダムの問題が非常に問題であろうかと思います。ことしのダムを見ましても、たとえば新成羽ダムとか、いろいろな問題が下流にかなりの災害が出てきております。浜原ダムにしても、しかりでございます。あるいは古くからたくさんのダムの災害がいろいろいわれておりまして、それぞれ処置をされているという問題もございますが、処置のない問題もございます。  そこで、私はここで、この前の災害対策委員会でも申し上げましたように、まあ水系の治水計画に従って、利水専用ダムにつきましても防災の容量を持たせること、この点につきましてお願いいたしておきましたが、まあ防災容量を持たせることにつきまして、いろいろ利水の専用ダムにつきましては補償の問題とかいろんな問題が、五十二条に伴って起こる問題と同様に起こるだろうと私は思いますが、こういう治水容量、防災容量の確保の問題につきまして、現在建設と通産と、あるいはほかの関係各省とどういうぐあいな協議を進められておりますか、簡単にひとつお願いしたいと思います。
  51. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) 利水ダムにつきましては、それぞれ一定の目的を持って建設をしているわけでございまして、しかもまあいわゆる自然流況を変えないというようなたてまえで運営されておりますので、これをまあ直接治水に参加させるということにはやはり制度上いろいろ問題があろうかと思います。しかし、まあそうは言いましても、やはり一般的な意味でそういった利水ダムも治水を十分考えて運営されるべきであるという考え方は私どもも今後貫いていきたいと思います。そういう考え方で、お話しのように、必要なものはさらに治水に転換するとかといったような場合もあるかと思いますが、一般的な場合としましては、さらに治水のために、そしてまあ放流操作その他に、もっと安全といいますか、余裕を持たせるような方向で、現在、私どものほうと通産省のほうで、いろいろなケースにつきまして、操作規則の変更を前提として検討をいたしているわけでございまして、来年の出水期までには、そういったものを整備いたしたいと思いますが、いま少し時間をいただきたいと思います。
  52. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 通産省からひとつお答え願います。
  53. 和田文夫

    説明員(和田文夫君) いま建設省のほうから御答弁があったとおりでございます。利水ダムについても、御承知のように、利水ダムは利水の目的でつくっているわけでございますが、その目的を大きく阻害しない範囲においてできるだけの御協力をしていきたい、こういうふうに考えております。
  54. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 まあ利水の目的を阻害しないという範囲内とかいうお話でございましたが、私はそのことばじりをとらえるわけじゃございませんけれどもね、やはり総合的な防災のウエートが多いか、利水のウエートが多いかということによってきめるというやり方もありましょう。しかし私は、やはり国民の生命とか財産を、特に生命を守ることはもう何にも増して大事なことではないかと思います。そういった意味でその問題の解明を、やはり今後若干転換さしていただいたり——従来はもう利水容量を減らすのが非常に大苦心でございましたけれども、最近はだいぶ通産省も前向きな姿勢をとっておられて、まことに私は喜ばしい。また敬意を表しておりますが、今後ともひとつそういった利水目的に支障のない、というようなおことばじゃなくて、下流も、十分治水の機能が達せるようにできるだけ協力するという立場に立っていただきたい。私のお願いでございます。答弁は要りません。  そこで、私はまあ利水専用ダムを、たとえば先ほどの利水の問題も、当然、水問題として非常に大事な問題でございます。またエネルギー問題として非常に大事な問題でございますので、当然必要だろうと思います。そこで、私は治水容量の持たせ方につきまして、やはりある程度の制限水位をきめるとか、あるいは事前放流の構造的なものを持たせるとか、いろんなことにつきまして今後どういうぐあいにお考えになっているか、お伺いしたいと思います。特に先ほど建設省の河川局長からお話がありましたように、下流の安全流下能力というのがまだ具体的に非常にさびしい状態であるということで、その辺の関連もございましょう。安全に流下させるのにどの程度になるかという問題もありますので、なかなかむずかしい問題だと思いますが、やはり制限容量も制限水位を、夏期制限水位と申しますか、そういったものをある程度とっていた。その前提において、たとえば豪雨期におけるところの降り始めごろからの事前放流をできるだけやっていただいて、治水容量を拡大していただくというようなことも考えていただきたいと私は思うわけですが、実はこの事前放流の施設というのが電力専用ダム、あるいは利水専用ダムには比較的ないわけでございます。この辺の問題につきましてどう考えておられるのか、ひとつお考えをお願いしたいと思います。
  55. 和田文夫

    説明員(和田文夫君) いま先生のお話は降雨時の予備放流等の問題になるかと思いますが、先ほど建設省のほうからお話がありましたように、まあ下流の無害放流の問題でございますとか、あるいは御承知のように、河川は方々の中小河川が入って本流になる関係で、そのダムだけの放流量というのは非常に下流に災害を与えないという意味で非常にむずかしい問題でございますが、そういう問題につきましても、今後河川管理に当たる建設省のほうと検討をいたしまして、前向きに対処していきたい、こういうふうに思っております。
  56. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 そこで、まあ建設省にこれはお願いですけれども、お願いというか、ぜひやってほしいのですが、下流の電力ダムの放流に相応するやはり治水という問題を早急に処置しておいていただきたい。それがないために人工災害とかいろいろな問題が起こってくるわけでございます。通産、建設で十分ひとつお打ち合わせをしていただいて、たとえば電力の専用ダムをやられるなら当然その中で事前に治水の防災の可能性をよく検討されまして、ひとつ考えていただきたいと思います。まあ今後、電力の料金問題と関連しまして、電力としては多目的ダム等によることが非常に望ましいと思いますし、そういった点も十分考えておられることだと思いますので、治水のほうも、ひとつ建設省のほうも十分そういう点につきましては御協力願うようお願いしたいと思います。  それから、ダムの問題でまあもう一つ問題がありますのは、やはり堆積の問題でございます。堆積の問題というのは各地で起きております。たとえば天竜川の泰阜ダムというのは、もう四千万トンの貯水容量に対しましてほとんど四千万トンたまっている。さらに上流の天竜峡も非常に九メートルも河床が上がったというような実例もございます。まあ幸いにしてあそこは集団移転等によりまして一応解決はされておりますが、やはり各所にこういう問題がたくさんあろうと思います。私も二、三実例は知っておりますが、まあここで申し述べるのはやめさしていただきます。まあ解決した問題で、たとえば大淀川の第一発電所のゲートの問題でいつも上流の志和池地区が侵水被害をこうむった。これは幸い九州電力の力強い努力によって解決いたしました。そういった問題が各所にあろうかと思いますので、この辺の問題をひとつぜひ調査していただきまして、ひとつ具体的にこれらの除去につきまして考えていただきたい。  それからまあ大きなダムには二次堆積という問題がございます。ダムの貯水の終端から上流に、終端から上に堆積が起こりまして、さらに災害災害を助長するといった問題もございますので、二次堆積の処置、これらの問題につきましては電力会社等もかなり真剣に考えておられるようでございますが、やはりこれは事前にやはり処置していただかないと災害原因になりますし、また、ダムそのものの機能の減退にもなります。これらの問題につきましても、十分ひとつ調査していただきまして、合理的な基準をもってひとつこれらの処理をしていただくということをお願いしたいと思いますが、この点につきましてひとつ通産省からお答えを願いたいと思います。
  57. 和田文夫

    説明員(和田文夫君) ダムの設置に伴いますただいまのお話しのバックサンド等によります河床の上昇問題につきましては、河川法でも定められているわけでございますが、事前調査をいたしましてできるだけのことをすると同時に、予想がつかないようなこともございましょう——あるかと思います。これがダムの設置に原因するものであれば、当然設置者が対策を講ずる、こういうふうに考えますので、そういう線で従来から指導しておりますし、今後も強力に指導していきたい、こういうふうに思っております。
  58. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 前向きのおことばをいただきまして、ひとつぜひこれを実施していただきたいと思います。  さらにダムの堆積の問題と関連しまして、やはり可動ぜきは比較的堆積が少ないのですが、ゲートを持ったせきですが、それは少ないのですが、固定ぜきは旧来のものがたくさんある。固定ぜきはなかなか堆砂を回収するというわけにはまいりませんので、固定ぜきの現場一ぱいに堆積しているという電力ダムもかなりございます。取水堰堤の問題でございます。そういった固定ぜきにつきましては、やはり上流の問題と関連しまして、私はこれはゲート方式か何かに切りかえていただくということをぜひやっていただきたい。もちろん災害の起こる要因がないところにはともかくとしまして、災害の起こる要因のところはかなりの個所ございます。私も今回の災害で一、二事例を見てまいっております。具体的に名前を申し上げることを差し控えますが、ぜひともひとつ固定ぜきを可動ぜき化するということにつきまして真剣に検討していただきたい。これはこの前も農林省のダムの責任の点につきましていろいろお願いしたわけですが、ひとつそういった点でお願いしたい。特に建設省にも私は、この固定ぜき化というのは治水の問題と関連しまして非常に問題の多いところでございますので、それに対する建設省の御協力をぜひお願いしたいと思っております。  それらについてひとつ通産省、建設省から……。
  59. 和田文夫

    説明員(和田文夫君) ただいまお話しのありましたような問題につきましても河川管理者のほうと十分協議をいたしまして、前向きに対処してまいりたい、こういうふうに思います。
  60. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) お話しのように、固定ぜき等につきましては、これは農業用の取水ぜき等にもやはり同じような現象が見られるわけでございまして、河川管理上も好ましくない場合が多いわけでございますので、積極的にそれぞれの設置者とも私ども協議をしまして、御趣旨のような方向で処置をしていきたいと存じます。
  61. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 そこで私、ダムの問題と関連して、ほかの災害を起こす可能性のある問題につきまして若干お話ししましたが、今後は大きな水系におきましてはたくさんのダムが設けられる、あるいは従来からもそういった発電の可能性のある地点につきましてはかなりダムが設けられる。そうしますと、どうしてもそのダムを水系全体として管理していかないと私は、今後の災害対策にはならないのじゃないかという気がいたします。利根川は全体的に多目的ダムが多うございますので、統合管理所を設けまして建設省が統合管理をやっているという状況でございますが、ほかの水系につきましても、こういった問題はたくさんあろうかと思います。したがいまして、ひとつこれらにつきまして建設省、通産省相協力してやっていただかなくちゃいかぬと思います。特に私は統合管理をやることにつきまして、統合管理をやれるだけの資料があるのかどうか、データが出るのかどうかという問題がその前提にあろうかと思います、たとえば、雨量計、水位計、そういったものが時々刻々報告される段階にあるのか、それからその防災機能を全うさせるための統合管理が、連絡システムができているのかどうか、という問題があろうかと思いますが、その点につきましてひとつ通産省、建設省に御答弁願いたいと思います。
  62. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) お話しのように、やはり治水上にいたしましても、利水上にいたしましても、広域的に、しかも有効に水を制御したり利用するという点では、やはり統合的な、広域的な管理が必要になってくるわけでございます。現在、利根川、北上川、淀川、こういったところでは、かなり昔からの資料も整っておりますので、ある程度統合管理、広域管理が軌道に乗っておりますが、残念ながら、その他の水系につきましては、まだダムの数も少ないということもございますし、あるいは技術的な資料、そういったものの蓄積もございませんので、十分システム化にまだ入れないというのが現状でございます。しかし、初めに申し上げましたような方向で私どもも当然努力すべきでございますし、これにはやはり長期的な、的確な気象予報だとか、あるいは費用負担といいますか、制度的な面等いろいろ問題はございますが、そういった面も十分検討いたしまして、やはりよりよい治水、利水の観点から、われわれも積極的に取り組んでいきたいと考えておる次第でございます。
  63. 和田文夫

    説明員(和田文夫君) 発電用のダムにつきましては、御承知のとおり、河川法関係の法令で、上流のいろいろな水の状況を測定いたしまして、河川管理者に報告するよう義務づけられております。もちろん現在それをやっております。その方法が、全体的に直すべき点があれば、これまた、建設省のほうと御相談して十分対処してまいりたい、このように思います。
  64. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 いまお話申し上げた点は、かなり連絡を密にされておったと思いますが、いろんな問題が起こるということは連絡が十分でないとか、あるいはいろんな問題で問題があるということにほかならないわけでございまして、この点につきましては、ひとつ御反省を願って各河川につきまして再検討をしていただきたい。そして、その統合管理のシステム化を十分はかっていただきまして、ひとつ具体的に、たとえばダムを設置するにしました場合に、たとえば利水専用のダムをつくる場合に、雨量計を一つ二つということじゃなくて、やはり各システムごとの雨量計をつくって、時々刻々報告できるとか、いろんなシステムをひとつ建設省と相ともに考えて進めていただきたい。洪水予報河川と称する昔からの指定河川はかなり進んでおります。ところが、その他の河川については、水防警報河川というのは、比較的進んでいないというのが私は、現況じゃないかと思うのです。そういった点につきまして、これはまあ気象庁も当然関連しましょうけれども、ひとつ具体的な防災を考えた、それらの統合管理システムを十分機能的に発揮できるようにつくっていただきたいというのが私の願いです。ひとつ御検討をお願いしたいと思います。  そこで、私は二、三資料をお願いしたいと思います。利水専用ダムにつきまして、現在どういうダムにつきまして利水容量をとろうということを検討されているのかどうか、その資料をいただきたい。それからダム堆積の問題につきまして、それらの問題につきましてどの程度の堆積状態であるか、ひとつ各ダムにつきましてお知らせを願いたい。  それからもう一つは、今後統合管理をやろうといった川につきまして、具体的にひとつ河川名をあげて、私にお知らせ願えればお願いしたいと思います。まあ、そういった資料をいただきまして、ひとつもう少し私も——私も若干専門家の部類に入っておりますので、ひとつ今後勉強いたしまして、通産、建設、関係各省とともに防災対策につきまして万全を期したいという気持ちでございます。よろしくお願いしたいと思います。  それからもう一つは、最初に申し上げました、建設省に、今回の豪雨によって計画を変更すべき水系がどの程度あるのか、その問題につきまして、ひとつ御努力を願いたいと思います。  これで質問終わりますが、いずれにしましても、ダムは人工的につくられたということでございますので、ダムによる災害というのは人工災害ということが非常に強く叫ばれます。かりに、まあいろんな人工……、自然流量を事前に放出したんだといっても、やはりそれはなかなか通らない、そういうのが現状でございます。鶴田ダムでも相当ダム操作は懸命な努力をされたと私は理解しております。しかし、残念ながらそういった問題はなかなか通らない、これが現状でございます。われわれはもっと科学的に、技術的に、その防災機能を十分検討して、ひとつ今後の問題に資するのが一番大事なことでございますので、それらの問題につきまして関係各省が、十分ひとつ密接な連絡をとっていただきまして、できれば協議会などをつくっていただきまして、ひとつ十分やっていただきたいと念願いたしておる一人でございます。特にダム対策が今後の問題でございますけれども、総務副長官に、ひとつこの問題につきまして、今後どうされるかお伺いして質問を終わります。
  65. 小宮山重四郎

    説明員小宮山重四郎君) いままでの先生の御質問をお聞きしまして、やはり災害をなくすということについては統合的に見ていかなきゃいけない、そういうことを積極的に進める。それから鶴田ダムに見られますように、放流をどういうふうにするか、また、ダムの維持をどういうふうにするかということを、やはり考えていかなければいけないかと思います。もう一つは、ダムとの関係で、情報——インフォメーションをどういうふうに下流に伝達するか、また、下流のインフォメーションを事務所にどういうふうに伝達するかというような問題も相当ございます。今後とも防災会議のほうでは、これについては鋭意事務を進めて、地元の方々が安心して生活できるような方向に持っていきたいと考えております。
  66. 松永忠二

    委員長松永忠二君) いま資料要求がありましたが、御返事をいただきますが、特にダムについて、まあいろいろ堆積の問題とか、いろいろ出ましたが、あわせて、せっかくそういうお話が——各ダムについて資料出させられるので、いまお話のあった多目的ダム、治水ダムについて操作規程を変更する必要があるのではないか、操作規程について検討を要するのではないかというふうに判断している多目的ダム、治水ダムはどういうものがあるのか。それからそれと関連するわけですが、治水容量というものを、たとえば多目的ダムの場合に治水容量をもう少し拡大をしなきゃできないとか、あるいは全然そういうことは利水ダムとして、利水ダムであるので、多目的、利水という三つに分かれるでしょうけれども、全然考えてないが、これをどうしても利水ダムであるけれども治水容量というものをちゃんとつくらにゃいかぬと、多目的ダムで治水容量を変更しなきゃいかぬ、治水ダムで、もう少しやっぱり構造を拡大して治水容量を増加しなきゃできぬと、こういうふうに考えているダムは一体どういうものがあるのか、この点をあわせて、各委員の皆さんもダムについては強い関心を持っておられますので、これは単に建設省資料ということじゃなくて、両省あわせて通産省と建設省との協議の結果大体両方とも問題にしているところ、そういうところをあわせて出していただきたい。農業も農林省関係、その点についての資料提出について。もう一つ宮崎君からお話のありました二十号台風の各県のこまかい資料、この二つについて各省から資料の要求についての御返答をひとつしておいてください。
  67. 亘野彰

    説明員亘野彰君) 先ほど宮崎先生から御要望のありました二十号関係の各県別のこまかい資料につきましては、さらに宮崎先生の具体的な御要望を承りまして、御要望に沿うような資料をつくりまして御提出いたしたいと思います。
  68. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 通産省どうですか。
  69. 和田文夫

    説明員(和田文夫君) 通産省関係のたとえば電力用ダム等のダム対策等資料はお出しできると思います。あと建設省と両方に関連する問題でございまするので、両省あわせて対処していきたい、こう思っております。
  70. 園田清充

    説明員(園田清充君) 私どもの農林関係建設省とよく相談をいたしまして御要求のあった資料は提出いたします。
  71. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) お話しの資料につきましてはいろいろ内容的には単に御要求の考え方に沿うにいたしましてもいろいろ問題があろうかと思いますので、古賀先生とも十分話をいたしまして御趣旨に沿うような資料各省と相談いたしまして提出いたしたいと思います。
  72. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 私は本年七月の豪雨災害について、その後いろいろと踏査が行なわれたようでございますが、その後の災害の結果、また踏査した結果を何点かお尋ねしてみたい、こういうふうに思います。このことにつきましては、関係各省の担当官が現地踏査を行なった、それについて報告が出されているわけです。その中に、災害の特徴としていわれていることは、崩壊危険区域の指定以外のところ、そういう指定以外のところが今回はひどくやられておる、こういった点が特徴である。こういう報告がされているわけですが、そうなりますと、これは非常にこの対策ということになりますと、いろんな面で膨大なものになる、こう考えられます。そこで今後いわゆる崩壊危険区域の指定を受けていない地域対策、この対策についてどのように考えているか、どのようにしていこうとするのか、こういった点についてひとつお答え願いたい。
  73. 阿座上新吾

    説明員阿座上新吾君) お答えいたします。  今回の技術調査団調査されました地点の中には、すでに砂防指定地域、地すべり防止区域、急傾斜地崩壊危険区域、土石流発生危険区域等に指定、または、リストアップされた分も多数ございましたが、先生御指摘のとおり、調査漏れの個所がかなりございます。このような指定並びに調査は、御承知のように、従来災害の周期性を考慮いたしまして、過去にこのような災害が発生したところを中心として調査されたものでございます。特にがけくずれ等につきましては、土地の所有主等の関係もございまして、地元市町村の申請を待ちましてというか、ここが危険であるという地元からの申告を待ちまして、調査が行なわれておったというのがいままでの現状でございます。今回の七月豪雨に見ましたように、従来、災害が非常に少なく、何十年来あるいは七、八十歳の年寄りの方も御存じないというような、非常に災害の少なかった地域に、ゲリラ的に予想外の集中豪雨があったということで、思わぬ災害が発生したものでございます。まことに遺憾なことでございます。  こういう災害状況にかんがみまして、このような地域での危険地調査につきましては、技術的に非常に困難さを痛感しているわけでございますけれども、今回はそういういままでの調査を改めまして、とりあえず地元市町村の申告というか、ということを待たずに、地形上、治水上からすべての地点を押えまして、安全であろうが、なかろうが、とにかく地形的にそういう危険なところを一応押えまして、これをすべて現地に信頼していくということで現在総点検をいたしております。十月末目標で現在総点検をいたしておりまして、この結果を待ちまして新たに計画を立て直したい、かように考えております。
  74. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そういたしますと、いま申し上げたように、危険地域の指定以外のところに崩壊が起きている。これはいまの答弁によれば、思わぬ被害を受けた、こういうことなんですが、しかしあの報告書によりますと、防災工事をしてあったところは比較的に土砂の流出が少ない。あったとしても、その広がりは非常にその範囲が狭く非常に効果があった、こういうふうにいわれているわけですね。そうなりますと、当然あなたのおっしゃるように、この十月に全国的に調査をして、その結果によって、対策を考えられる、こういうことであります。この報告によれば、すでにそういうふうに防災工事がなされているところが、こういうことがあったということを言っているわけですね。そこで、それは早急に、少なくとも危険区域に指定されておる、あるいはその他、準というか、それに準ずるようなそれに対しては、もう十月の調査結果を待たずして、来年度はこの程度防災工事というものが必要である、必要であるというか、防災工事をしていくということが重大な問題であるから、いまの時点で来年度はこの程度防災工事を行なっていく、いわゆる何個所なら何個所に。こういったものは私はわかっていないものかというように感ずるのですが、その辺はどういうふうに考えておられるか一つ伺いしたいと思います。
  75. 阿座上新吾

    説明員阿座上新吾君) お答え申し上げます。  ただいまお答えいたしましたのは、総点検をいかにしておるかということをお答えいたしましたわけでございますが、現在の災害によりまして発生いたしましたいわゆる指定個所以外の個所、あるいは調査漏れの個所につきましては、林野庁とも御相談申し上げまして、林野庁等におきます緊急治山、建設省におきます緊急砂防並びに林野庁におきます林地崩壊防止事業並びに建設省におきます緊急急傾斜対策事業という、いわゆる指定個所以外の個所に対します配慮といいますか、すでに工事が着工されております。さらにこれに付随いたしまして、危険を伴う個所につきましては、現在、予算の要求をいたしておる次第でございます。全個所、個所数と申されますとちょっと手元にあれはございませんが、いずれ資料になりともいたしたいと考えております。
  76. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 また、報告書によりますと、今度は森林関係ですけれども、森林が山腹崩壊や土砂流出の防止に非常な効果があった、こういうふうに報告されているわけです。そこで、国の森林伐採計画といいますか、昭和四十三年から五十八年の十五カ年間で十二億三千五百万立米、このように計画されているわけです。で、この報告書によると、いわゆる森林というものが土砂の崩壊あるいは防止に努果があったということを報告しているわけなんで、そうなりますと、十五カ年間の森林伐採計画というものについて再検討をここで検討しなきゃならない段階がきているのではないか、こういうふうに私は感じたわけです。その点をどういうふうに考えておられるのか、ひとつお答え願いたいと思います。
  77. 松形祐堯

    説明員松形祐堯君) お答え申し上げます。ただいま御指摘ございましたように、当報告書におきましても、山地崩壊につきまして、森林の防災機能というものが非常に大きいというふうに理解されるという記述がございます。そのとおりかと思っております。私どもはかねがねから森林のこのような防災機能、あるいは林産物の供給という両面から、常に新しい活力のある森林をつくるということに心がけてまいっております。しかしながら、ただいま御指摘のようなこういう公益性に対する世論と申しますか、あるいは今時災害におきますいろんな要請と申しますか、そういうものからいたしまして、伐採というものをここで考え直す必要があろうというふうに理解いたしておりまして、現在、森林法の一部改正といたしまして、森林の計画制度あるいは特に重要な保安林の制度とこの二つを一緒にいたしまして、森林法の一部改正を準備いたしておるところでございます。また、なお先生御指摘の長期のそういうような計画に対しまして、現在、林業基本法に基づきます長期の森林計画につきまして、その見通しにつきまして検討中でございます。近く社会経済発展計画等の再検討に間に合うように閣議決定をいただくよう準備いたしておるところでございます。
  78. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 自治省にお尋ねしておきますが、いま前回、また前々回のこの委員会で問題になっております集団移転の問題です。この集団移転の問題でありますけれども、自治省は、来年度から被災地並びに災害のおそれのある地域を対象にして大体千戸分くらいの移転をしたいと、こういうような考え方を持っているようです。これはけっこうなことだと思いますけれども、これは千戸やればこと足りたということではないと思います。今後もそういった考え方危険地域に住む人たちの移転ということを考えていかなきゃならぬ。そうなりますと、今後どの程度の移転を行なえばよいのか、この点についてひとつお答え願いたいと思います。
  79. 近藤隆之

    説明員(近藤隆之君) 自治省といたしましては、明年度の予算要求といたしまして、一応千戸というふうにつかんでおりますけれども、これは各地方公共団体に対して、今度の災害に関連いたしまして移転を希望するものがどの程度あるんだろうかということでとりましたところ、約二千戸を若干上回わる程度の要望があるという数字をつかんだわけでございます。ただ、現時点におきまして、具体的に移転計画があるというような地区になりますと、これがもっとしぼられてまいりまして、われわれがとっておりますのは七市町村、約八百戸ぐらいでございます。これは移転に対してどういった措置をするかということがはっきりしていない段階においてとったということもありますが、一面におきましてこの集落移転、自治省といたしましては過疎法によりまして手がけておりますけれども、非常にむずかしい問題でございまして、なかなか事柄の性質上はかどらないものでございます。それで、とりあえず千戸要望しておるのでございまして、その前提といたしましては一つの制度、できれば法制化もしたいというふうにわれわれ考えておりますが、災害を受けた地区あるいは災害を受けるおそれがある、そして人命に危険のある地区から移転するものにはこういった措置をとるという一つの制度をつくりまして、必要が生ずればそれを発動するという形に今後もっていきたいということで、今後どの程度災害があるか、どういった規模の災害があるかというようなことがわかりませんので、全体でどれだけ移転すれば片づくのかという御質問に対しては、的確なお答えができかねる状況でございます。
  80. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 私は、これからどういう災害が起きるかということを聞いているわけではないのです。少なくとも危険区域、こういうものが指定されておるわけです。ですから、今回指定区域外のところがだいぶやられまして、それで災害を受けた。で、どうしてもこれは山間部に住む人は移転させなければならぬ、それでなければ危険であると、特に三十五、六年あたりから台風でなく集中豪雨という被害を毎年のように受けてきているわけです。そういう中で、危険区域というのは、山間部においてはこういうところが危険であるということは、もうすでにわかっていなければならぬと思うのです。だとするならば、災害を受けてからこれを移転さすという考え方では、これは手おくれです。ですから事前に、全国的にどのくらいの移転をしなければならないかという目安は、つけてかからなければならないと私は思う。そういう意味で、私は質問したわけです。それぐらいのことは私は、わかっていなければならぬと思うのですよ。それについてわかっていれば答えてください。
  81. 近藤隆之

    説明員(近藤隆之君) 自治省の今度の千戸要求いたしました基本的な考え方といたしまして、災害を受けた地域それからまた災害を受けるおそれがある区域、これは地すべり防止法等いろいろな法律がございますけれども具体的には建築基準法で各市町村が条例で定めておると思います。が、そういった地域の中で特に現地の実情に詳しい市町村長が、ここにおることが生命、財産に危険を伴うというふうに認定した区域というふうにいたしております。したがいまして、その区域というものは面ではなくて点になるだろうと思います。現在われわれの段階では、そういった大ざっぱなことで一応地方団体からとりましたのが二千戸ということでございますので、それ以上それがどういう形に——これは住民方々の意思というものが非常に大きなウエートをもってかかってまいりますので、どの程度になりますか、一応この数字を基礎として要求しておるわけでございます。
  82. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 いまあなたの話の中であるように、そういう計画は立てるけれども、なかなかいろいろな事情があって移転というのはむずかしいと、こういう話です、結論はね。そこで、一応二千戸ぐらいを対象にしておる、来年度は大体千戸ぐらいだと、こういうことなんですがね。その千戸を対象にして移転をさす場合に、新居建設費を百七十九万円ぐらいと、こう見積もっておるわけですね。その七五%を国が補助しようと、こういうことのようです。これは家族構成とか、そういった問題を加味した上での結論なんですか。その点はどうなんですか。
  83. 近藤隆之

    説明員(近藤隆之君) この積算の基礎に、団地整備費につきましては、一戸当たり百七十四万というような数字を使っておりますけれども、実は、これは過疎法で現在われわれがやっておりますところの集落整備、それの実績というものを基礎としてはじき出しておるわけでございまして、まあ一定の単価とか基準とかいうものを設けなければならないかもしれませんけれども、実際にどの程度要るか、これは個所によりまして立地条件が違いますので、非常に差があると思います。そうして必要となった事業費の、たとえば四分の三の国庫補助というような考え方でございまして、実は、過疎の場合にもそういった積算をやりまして、結果的にこういったような数字になっておりますので、何をよりどころにしていいかということ、いまほかによるべき基準がございませんのでそれを使っておるような次第でございます。
  84. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そのことについて、もう少しあとから質問していきたいと思いますが、移転者の宅地造成、いわゆる指定地です。ここに、指定されたところに移転してくる人たち、その人たちはおそらく対象の六割ぐらい、こういうふうに見込んでおるようですね。そうしますと、あとの四割はどういう点で見込めないのかという問題が当然起きてくる。なぜ私はこんなことを言うかというと、この山間部は危険であるから、したがって生命の危険、これを守るためにはどうしても移転をさせなきゃならぬ、こういう考え方でいわゆる集団移転ということが考えられてきた。だとするならば、その造成地に移転してくるのは大体六割ぐらいの見当である、こういう考え方。そこで、あとの四割は、じゃどうするのか。これに対する対策はどのようにお立てになっておるのか。また、なぜその四割というものは移転しないのか、その点を少し明らかにしていただきたい。
  85. 近藤隆之

    説明員(近藤隆之君) われわれは、この集落移転というのは地域づくりの一環でございますので、危険地からは全部出ていくということを前提としておるわけでございますが、過疎法などの実績を見てみましても、その村で町づくりとしてきめたその地区へ入る人もあれば、町の中心部へ行きたいという人、あるいはこの際都会地へ行くというような人も相当ございます。で、そういったものの歩どまりをどの程度見たらよいかということで、これも結局、それぞれの具体的なケースによってあてはめるわけでございますけれども、過去の実績等を参酌いたしまして、そういう集団で移転する人の落ちこぼれというものも想定いたしまして、一定のパーセンテージで割り落としたわけでございます。
  86. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そこで、いまあなたの話の中で、まあこういう際だから中央に出ていこう、都心に出ていこう、こういう人もあるだろうということですね。そういうことになりますと、やはりその過疎対策という問題、これがからんでくると思うのです。そういう人たちが外へ出ていけば、それでなくても過疎地域である。そういう中でまた都市部に出ていくということになればますます少なくなる。そうなると過疎対策というものはどういうふうになるのか、これが問題になります。そういったことが私は言えると思うのですね。それは私は、一つはいわゆる集団移転をする方たちに対する宅地造成にしても、これはある程度、ある程度というか、相当魅力のある宅地造成というものを考えなければ一山幾らみたいにこの地帯は危険地帯なんだから、この辺に一応安地帯全をつくっていく、そこに軒並み同じような家をつくって、そうしてそこに移転をさせようという、ただ移ればいいという考え方では、これはいまの時代、そう簡単に危険とは知りつつも長年住んできたところから離れようとしない、そういう人も出てくるだろう、また、よそへ行ってしまうという人も、やはりそういう魅力の点、こういった問題もあろうと私は思う。  ですから、そこでお尋ねをしたいのだけれども宅地造成についての構想、どういう構想を持っておられるのか、この点について一つ
  87. 近藤隆之

    説明員(近藤隆之君) これは町づくりの一環といたしまして、市町村がこの町を将来どういった方向に発展させていこうというような観点に基づきまして、一つの計画をつくって適当な土地を物色し、立地させるというような形になってくるのじゃないかと思っております。現に、自治省といたしましては、過去三年間になりますか、過疎地域における集団移転について、国庫補助金もつけまして指導しておるところでございますけれども、先生のおっしゃるように、非常にむずかしい問題であります。それぞれの地域によりまして事情がまるで違いますので、地域の実態に合った計画を、それぞれの市町村が立てるという形になろうかと思います。それからまた、過疎地区から逃げていってしまっては過疎対策にならないじゃないかというお話もございましたけれども、これは、個人がどこへ住むかという個人の移転居住の自由の問題がございまして、われわれは、それに対する対策といたしましては、過疎地域を魅力あるものにしていく、それ以外に方法がないのじゃないかと思っております。
  88. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 それでは答えにならんですよ。いま言った魅力ある土地、宅地造成、それについてのいわゆる国としての構想、それは市町村、あなたから言わせれば逃げ道みたいなものだ。市町村の特殊性というもの、それは私も全然認めないということじゃない。その特殊性に応じて市町村にまかしておくのだ、こういう答弁であったけれども、私はもう一歩進めて、じゃ、市町村でもっていま先ほど申し上げたように、ただ危険地域から安全地帯に移せばいいんだというだけの、そういう考え方だけで移転さす場合と、その一つのあれですね、夢、そうして生活的に非常に快適な、またここへ行けば絶対心配ないだろう、そういう構想というものはあるのかないのかと、私はこう言っているのです。そうして、その構想ということですから、内容はどういうことで、それでその中に含まれるのか、こういうことです。
  89. 近藤隆之

    説明員(近藤隆之君) 移転地域につきまして、市町村がその土地につきます生活関連施設、道路でありますとか、水道でありますとか、場合によっては集会所等、それからまた、必要に応じて学校等も入るかと思います。それから、生活をしていく上におきまして共同作業場等が必要になる場合もあろうかと思います。そういった集団移住をしたその地域をどういうふうに今後発展さしていくか、それにはどういう施設が必要であるか、それを各市町村が実態に即して計画をつくるわけでございます。その計画につきまして、中央のほうで承認をいたしまして、承認があった場合に、その一定割合について、国庫補助を出すというような仕組みに持っていったらどうであろうかと考えております。
  90. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 私は、あなたがある程度答えを出してくれましたけれども、そういうやはり魅力のある宅地造成というものもやらなければ、そう簡単に移ってこないと思う。やはりそういった点からいまお尋ねをしたわけなんですが、ある程度完ぺきとはいえないだろうけれども、ある程度のこういう考え方、いわゆる集会所であるとか、あるいは学校の問題も含まれている、あるいは安全地帯の問題もありましょうし、道路の問題もあるだろうし、いろいろ問題はあると思う。そういったすべてにおいて間に合わせ的に移せばいいということでなくて、そういう一つの町づくりというか、そういった見地からやはり魅力あるものをつくらなければこれは成功しない、こう思います。ですから、この間もちょっと触れたんですけれども、自治省でやっている過疎地帯の集落整備事業にしたって、これは全国的にいったらどれだけ成功していますか。ほとんどないんじゃないか。それはあまりにも対策それ自体に魅力がないからそれに乗ってこないということが言えると思いますよ。資金面でだってそうだろうと思います。ですから、いろんな面でこれを実施するには、今後いろんな困難があるだろうけれども、その困難を乗り越えてやらなければ、この人命を守るというそういった対策ができない、こう私は思います。それは意見として申し上げます。  次に、最近、山間部が特に観光だとか、宅地造成、そういったことで開発されているわけですね。これはやはり今後、きちっとした規制を加えていくという考え方、そういう方向をとらなければならぬじゃないか、こう思うんですが、この点についてはどういうふうに考えておりますか。これはどの省になるのかな、いわゆる山間部の開発だから、農林省になりますか。   〔委員長退席、理事古賀雷四郎君着席〕
  91. 松形祐堯

    説明員松形祐堯君) ただいま御質問の山間部における開発ということでございますが、御指摘のとおりにたいへん開発が進んでまいっております。したがって、そういう開発と、あるいは私どもの所管いたしております森林につきまして、やはり開発と森林が持っております、先ほどお答え申し上げましたような公益的な面、あるいは特に近ごろレクリエーションとかいうような面からたいへん山間部に入り込み者等も多いわけでございます。したがって、そういう入り込み者あるいはレクリエーション、そういうものも山間部の一つ事業として取り上げるというようなことも考えておりますが、ただ、そのことによりまして森林が破壊され、あるいはそのことによって環境の破壊につながるというような点が出てまいりますと、たいへんな困ったことでございますので、そういう開発と保全という面、あるいは地域住民のそういう所得と生活環境の整備、そういう面からも配慮しながら進めてまいる、かように考えておるところでございます。
  92. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 この配慮といいますが、配慮だけでもってこれは、いわゆるある程度の規制ができるということですか。そういう法律も何もない。そういうことで、国のほうがなるべくそういったことが行なわれないように配慮しようということで、これを守ることができますか。その点が一つ。  それから、いま観光あるいは宅地造成の問題についてはお話をしたわけですけれども、最近、それに伴って保安林の解除申請、これが非常に多くなっているんじゃないですか。   〔理事古賀雷四郎君退席、委員長着席〕 この点について、いわゆる保安林の解除ということについての今後の基本的な考え方ですね。ということは、開発事業というものは進んでいるわけですよ。だから、それに伴ってその解除の基準というものが明らかでなければ私はならぬと思う。その点はどういうところにその基準を置いておられるのか。あるいはいままでその基準というものがあるとするならば、それでいいのか悪いのか、今後どうしていくのか、その点をひとつ……。
  93. 松形祐堯

    説明員松形祐堯君) 保安林につきまして、先ほどそういう配慮だけで規制ができるのかということがございました。私ども、森林法でいろいろ規制の道はございます。特に規制のきびしいのが保安林でございます。御指摘のとおりでございます。一般普通林につきましては、地域森林計画という計画制度によりまして、特に伐採その他につきまして規制する必要のある個所は、計画の中で地番ごとに指定いたしております。その指定された特定林分につきましては、伐採の方法あるいは伐採する数量、あるいは樹種等につきましての制限を加えておるというのが、一般普通林の中での特定林分でございます。また、普通林につきましては、現在伐採については届け出制ということがございますので、それらを組み合わせまして開発との調整をはかろうという気持ちでございます。  なお、後段の保安林でございますが、現在保安林につきましては、御承知のとおり解除申請等もございます。非常にたくさんになってきているというふうに私ども考えております。したがって、私ども、保安林制度問題研究会を設置いたしまして、先般、その答申等をいただきまして、先ほどお答え申し上げました森林法の改正の中で、保安林の解除等を含めて抜本的に改正いたしたいと思っております。と申しますのは、やはり現在の森林法の保安林制度そのものでは対処できないという面が出てまいっておることは御指摘のとおりでございます。したがって、私ども、重要な保安林を指定した以上は、現在、この保安林を解除いたします場合は、それの代替施設をつくる見込みによってこれを解除しているということでございますが、今後は非常に大事なことでございますので、そういう代替施設なり、あるいはかわりの保安林の指定があった後に保安林を解除するとか、あるいは別荘とか、そういう山地レクリエーション等を使う場合におきましては、その使う場所だけの保安林の部分的な解除にしたい。いままでは保安林の区域全部についてその区域を解除いたしておりました。その建物を建てるとか、道路をつくるとか、そういう部分的なところだけを解除して、あとは森林として保管して、あわせて生活環境も十分なものにしたい、こういうつもりで現在、法案の準備をいたしておるところでございます。     —————————————
  94. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 次に、昭和四十七年七月豪雨災害技術調査報告書の補足説明を聴取いたします。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  95. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 速記をつけて。  安尾科学審議官
  96. 安尾俊

    説明員(安尾俊君) 先ほど総務長官から概要の御説明がございましたので、若干重複するかと思いますが、お手元に提出いたしました報告書に基づきまして、総論的に御報告申し上げます。  対策本部の御決定に基づきまして科学技術庁中心になりまして、農林省、通産省、建設省、自治省の関係の試験研究機関の専門家二十四名をもちまして、三班に分かれまして、報告書の五ページにございます九州、中国、四国、中部、関東の三十六の地区、個所数にいたしまして七十九地点でございますが、この災害地に、八月十五日から八月二十三日の九日間参りまして、今回の山くずれ、がけくずれの原因と発生機構の解明並びに今後の対策についての技術的検討をしてまいりました。  今回の災害は、直接の原因といたしましては、六月末から七月中旬にかけまして発達した梅雨前線による集中豪雨がございましたが、直接の原因はこれでございまして、たとえて申しますと、高知県の繁藤におきましては、一日七百四十二ミリというような集中豪雨がございました。各地とも災害地では短期間に希有の集中豪雨が起こっております。で、この集中豪雨によりまして、山くずれ、がけくずれ等の山地崩壊が起こりまして、人的あるいは物的な大きな被害を生じたわけでございます。で、山地崩壊原因につきましては、気象条件だけではございませんで、地形、地質あるいは植生等いろいろな素因、要因が複雑にからみ合っておりますので、これらにつきまして総合的な判断をいたさなければならないのでございますが、各地区につきましては、各論においてそれぞれ御報告申し上げておりますので、これをお読みいただきたいと思います。  で、先ほど総務長官から御報告ございましたように、総論的に申しますと、今回の崩壊は三つのタイプに分かれておりまして、一つは地下水による地すべり型の崩壊、これは宮崎県のえびのあるいは高知の繁藤等でございます。それからもう一つは、集中豪雨によりまして山腹がスプーン状に崩壊するという山腹崩壊型の崩壊が起こっています。これは主として中国地区、あるいは北三河等の地帯に起こっております。それからもう一つといたしましては、堆積物が集中豪雨で一気に流れます山津波、あるいは土石流というものが天草あるいは島根県の柿木村等において見られます。  で、先ほどもお話が出ましたが、これらの地区におきましてある程度治山、あるいは砂防の工事が行なわれておりますところを見ますと、これらの工事の効果が非常に再確認されるわけでございますが、ただ、これは結果論的になりますが、もう少し支流と申しますか、そういうところに工事が行なわれておれば、さらに被害を軽減できたであろう、こういう地点もございます。特にこれは、従来、災害が全然起こらなかったような地区等にそういうことが考えられます。それから山林につきましては、山腹崩壊防止あるいは土砂の流出防止に非常に効果的でございまして、なお一部に、えびのなどでは数十年の樹齢の木が倒れておりますが、こういうところでは森林のいわゆる山腹崩壊防止機能を越えたものだと、こういうふうに判断されまして、むしろ、地質あるいは地形的な要因が崩壊に関与しておるものと、こういうふうに思われます。  それから、今回被災を受けました個所の今後の見通しでございますが、なお各地で周辺に亀裂が存在したり、あるいは崩壊面に多量の土砂、あるいは岩塊が不安定な状況で残っておるところがございます。したがいまして、これらのところでは今後ある程度の降雨があると、さらに再崩壊するおそれがございますので、こういうところでは特に実態調査を至急に行なって、十分な警戒が必要と思われます。また天草等では、今回被害を受けましたのは、主として上島でございますが、これと同様の地形、地質をしております下島等がございます。こういうところは今回、幸いにして集中豪雨を受けておりません。こういうところにつきましても、もし今後集中豪雨があると同様の被害を受けるおそれがございますので、これらの地区につきましても、十分な調査と今後警戒が必要であろう、こういうふうに思われます。  それから、今後の対策についてでございますが、危険個所調査点検をまず至急にやる必要があろう。これは特に、人家の裏山を中心といたしまして、人命尊重を第一としたこまかい調査が必要であろう、こういうように思われます。  それから、先ほど申しましたように、治山砂防工事が非常に効果がございますので、周辺の地形に順応しました工事を今後も促進する必要があろうと思います。それから森林につきましても、崩壊の拡大防止、あるいは土石の流出防止に大きな効果を持っておりますので、地形あるいは地質等に順応した森林の育成と保護が大切だと、こういうふうに思います。  それから四番目といたしまして、災害を受けた住宅地の復旧でございますが、今回の災害を十分考慮した上で、その復旧をする必要があろうと思います。なお、今回災害地を見て回りますと、次男、三男の方の新しい家がかなり災害を受けております。こういう点からしますと、今後、いなかにおきましても、宅地造成をする場合に十分指導が必要であろう、こういうふうに考えます。  それから、なお今回の調査地区で、たとえて申しますと、天草等では従来水害というものが全然なく、むしろ、災害といえば海からの台風の害、そういうふうなところでございまして、こういうところではやや避難訓練等が従来抜けておったのではなかろうかと思います。で、そういうところで特に人的被害が多く出ておりますので、今後避難態勢の確立と自主的防災意識の高揚ということが、各種の対策と同時にぜひ必要と思います。  で、その一点といたしましては、今回の災害がかなり局地的な集中豪雨によって行なわれておりますので、必要な個所につきましては、大容量の自記雨量計等をつとめて設置いたしまして、気象の条件をよく把握するとともに、自然災害の発生することに対しまして農民みずからが自主的に意識を高める必要があろうかと思います。  それから、安全な避難場所をあらかじめ十分きめておきまして、常時避難訓練等をして、極力人的被害の阻止をするような努力をする必要があろう。  それから、情報網の整備につきましては、中国のある県では、よく無線等によりまして避難あるいは救急の措置を迅速にとっております。こういうふうなことを見ますと、特に災害に対しましては情報網の整備が必要であろう、こういうふうに考えられます。  なお、今回の調査によりまして、今後研究すべき課題を九ページのところに掲げておりますが、防災計画に必要な表層地質図等の作成の手法の開発をして、できるだけ危険地の判定基準を簡易に向上させるということ。また三番目の、崩壊現象と降雨との関係研究し、その判定基準の向上に資するようにすること。それから繁藤等では、むしろ、風化岩及び破砕帯におきます崩壊でございまして、これらの機構が現在よくわかっておりませんので、こういうことも十分解明いたして今後の危険地の判定基準を向上させる研究が必要だと思います。  以上でございます。
  97. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 何か御質問ありませんか。
  98. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 一点だけちょっとお尋ねしておきたいのですが、この報告書によりますと、宮崎県のえびの市、これの山腹崩壊について、こういうふうに言われていますね。「一般的には森林は山腹崩壊防止あるいは土砂流失防止に効果的であることが各所で認められた。なお、一部宮崎県えびの市などで数十年の樹令をもつ森林斜面の崩壊がみられたが、この種の崩壊は森林の山腹崩壊防止機能の限界を越えた豪雨と森林以外の素因が大きな要素となっている。」、こういうんですね。で、私どもこれ見てきたんですよ。そうしますと、崩壊をしている部分、この部分はどういう部分かといいますと、もう大体——あの山、何という山だったかちょっと覚えてないんですが、崩壊した山——上のほうはいわゆる樹齢五十年です。そして、ちょうどその下に崩壊した部分、その崩壊した部分からは樹齢二十年、こういうふうにいわれているんですよ。そうしますと、全部樹齢五十年ならばこれは問題ない——こういった報告されていることが、これは雨量が限界を越えたんだと、こう思う。ところが上は五十年、崩壊した部分は二十年、そうなるとこれはしろうと考えだけれども、そこに何らかの欠陥といいますか、そういうものがあったんじゃないか、いわゆる接点のところに。こういう感じがするわけです。その辺については何も報告はないんだけれども、それはそんなことはないということで報告がないのか知らぬのですけれども、そのときの現地の話では、話を伺ったところでは、そういったことを言われておったわけです。ですから、私は、その辺をどういうふうに今度の調査団はとらえてきているのかということを確認をしてみたいということなんで、その点ひとつお答え願いたい。
  99. 安尾俊

    説明員(安尾俊君) 私、直接その現場に行っておりませんが、ここに、現場に参りました九州班の班長がおりますので、班長から報告させます。
  100. 大平成人

    説明員(大平成人君) いまの問題については、えびの地区は大体四、五十年の古い森林が主であると認めましたけれども場所によっては、御指摘のとおり、二十年程度のやや若い森林もございます。しいて言いますと、その樹齢の差が影響していたかもしれない要素がございますけれども、この点は時間の関係もございまして、徹底的な調査をいたしておりませんので、今後さらに詳しく調査する必要があると存じます。なお、それ以上に雨量が大きかったことと、その地質原因等の働いております深い崩壊があったために、決定的な大きな被害が起こったと認められますので、樹齢によってさほど明確な差は認められなかったので、報告書にもはっきり出しておりません。そういう次第でございます。
  101. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 私はしろうとですから、よくわかりませんけれども、林野庁関係の専門家にお伺いしたいと思うんですが、樹齢が非常に長くたちますと大木になる、そういう関係で、台風のときには相当ゆさぶられる、そういったことで、地表面の亀裂を生じたりいろんな問題が生じて、そしてそれに雨水が浸透する。そうすると雨水が浸透して、たとえば岩盤の面がすべり面になる、いろんな事象があるかと思います。  そこで、これは砂防地帯の調査で私ども行っ七まいったものですが、樹齢が四十年の樹種もございます。樹齢がある程度、四十年以上たてば、これは崩壊の問題は起こり得るというような樹種もありましょうし、あるいは樹齢が六十年こしたというような樹種もあろうかと思うのです。何かそれぞれの樹種によって私は違うような地元の御意見を承ったわけです。そこで私は、そういった——まあこれは集中豪雨だけでございまして、比較的台風などで風の問題を伴わないということで、あれに風が伴っておればまだ相当やられたという気がしますので、この辺の御研究の結果があればひとつ教えていただきたいということです。
  102. 松形祐堯

    説明員松形祐堯君) お答え申し上げます。  ただいま先生から御指摘のように、大径木があった場合に、台風等で根がゆすられることによって空間ができて浸透されて崩壊につながるのじゃないかというようなお話でございます。実は私どもそういう事例もあるということで理解いたしております。たとえばこの大径木の場合に、尾根筋に非常に多いわけでございますが、尾根筋に残っておる大径木等につきまして、風が強いということもございますし、それから根の張り方が——尾根筋でございますので、土壌等が流出いたしております。したがって、根の張り方というものが十分でない。それに大径木の樹体としての重さとバランスがとれないという点から、崩壊につながるというような場合があるというふうに私どもも理解いたしております。  ただ一般的に申し上げますと、先ほどの上林先生のお話もあろうかと思いますが、私どもそのときお答え申し上げましたように、活力のある森林を常につくるということは、常に活力のある根が張っておるということが必要である、ということにつながるというふうに理解いたしております。たとえば樹木の根と申します根が、土壌の緊縛力を発揮する深さというものが、一メーターから樹種によっては二メーター程度であるというふうにいわれております。したがって、このえびの地区のように、十メーターないし二十メーターの深層から崩壊いたします場合には、一メーターや二メーターの五十年生の杉林が、根の力によってこれを防ぐということはまず不可能であろう、やはり地形、地質、雨量というようなものからそれに崩壊が起こったものだろうという御報告があったと思うわけでございます。私ども樹種によって、たとえば松とか、杉とか、そういう深根性のものにつきましては、非常に根は数メートル下までいきますけれども先ほど申し上げましたように、二メーター程度までが土地をささえる緊縛力の発揮できる深さであるというふうに私ども理解いたしておりまして、なるべくそういう崩壊のおそれのあるような地帯につきましては、そのような深根性の樹種を植えるとか、あるいは尾根筋とか、あるいは沢通りにつきましては、天然の広葉樹というようなものと針葉樹と混合さすことによって、根の広がり、深さというものをからみ合わすことによって緊縛力を高めるというような施業方針をとっておるわけでございます。  以上でございます。
  103. 宮崎正義

    宮崎正義君 河川の関係研究課題の中には河川の問題がないように思えるんですが、これは一級河川とか、二級河川、普通河川等、これの崩壊あるいははんらん、あるいは逆流、そういった問題について、この一級河川から普通河川までの関連性の地域における総点検といいますか、そういったものに対して、今後の課題としてどういうふうにやっていくのだという、たとえば先ほど私、質問しました江川の一級河川の問題から派生していくはんらん状態、あるいは川内川等の問題で、多くの水害を及ぼしているというような、そういう問題点が何かどこにも出ていないように思えるのですが、この点どうなんでしょうか。
  104. 安尾俊

    説明員(安尾俊君) 今回の調査は山くずれ、がけくずれ、いわゆる山地崩壊のみを対象にしてまいりましたので、今回の報告書には、先生の御指摘の点は出ておりません。
  105. 宮崎正義

    宮崎正義君 そうですか。だから、これを見ていっても納得いかない点がずいぶん出るなと思ったんですが、調査員の方々が見てきましても、変だなというふうに感じたわけですが、主体性がそこにあったといえばやむを得ないことだと思いますが、問題は、この河川の根本的な調査対策というもの、これを主体にしてやっていかなければならないと思うんですが、その点、私は今後の課題として希望を申し上げておきたい。
  106. 塚田大願

    ○塚田大願君 私も、一、二思いついたところだけ御質問しておきたいんですが、まあこの調査報告を見まして、たいへん御努力は払われたと私は敬意を表したいと思いますが、しかし、この調査内容につきまして、私は、あの高知の繁藤の場合のことを考えますと、この場合には、地質学上から主として検討されたようでありますけれども、あのところへ行ってみまして感じたのは、もうあの地域は、古老や地元の方々は、雨つぼといっているほど雨が非常に多いところだと、そして雨が無尽蔵にたまると、つぼのようにたまるというので、雨つぼという古い名前があるそうであります。いまは字が変わっておりますので、そういうふうに理解できないんですけれども、もともとはそういうところです。そういう地域ですね。行って見てあの大きな災害が起きた原因をいろいろ考えてみますと、たとえばこれはまあこの前の委員会でも質問したんですが、頂上のほうを伐採いたしまして、そして新しく植林をした。これがまあ何年前ぐらいでしたか、五、六年前でしたか、四、五年前でしたか、これがやっぱり非常にまあ影響しているだろうことは地元でも問題になっておりましたし、あのがけの下の国道ですね、やはりこの道路を改修をしましてかなりまっすぐに通してしまったというふうなこと、まあそういう関係で、地盤なんかがいろいろ影響したろうとも言われておりましたので、したがって、この災害が非常に単純な形でなくて、いろんな要因が総合されまして思わぬ大災害が起きる場合もあるんではないかというふうに考えるんです。その辺は今度の調査ではどんなふうに検討されたのか、わかりましたらお答え願いたいと思います。
  107. 安尾俊

    説明員(安尾俊君) それでは現地を調査いたしました渡室長に報告させます。
  108. 渡正亮

    説明員(渡正亮君) ただいま御指摘の点は、五七ページに崩壊の図が書いてございます。先生が御指摘のとおり、上は伐採地でございます。まあ、現在たしか四年か五年生くらいの木が植わっております。しかしながら、伐採あと処置と申しますか、それは比較的よく整備されているようでございます。すべり面は、国道より相当高いところにございまして、したがいまして、国道その他が、ここでまあある程度の地ならしをしたということは、直接すべりには影響していないんではないかというふうに考えております。すべりの厚さが約十五メーターございまして、植生の点は先ほど農林省のほうからも御説明があったかと思いますが、大体以上でございます。
  109. 松永忠二

    委員長松永忠二君) ひとつちょっと聞かしてください。まあ回って歩いてみると、いろいろこの指定をされてないところに被災地があるということで、まあ急傾斜地とか、砂防地帯とかは、いろいろ建築の基準法における危険地域というものに指定をされることに法的になっているんだが、それがまあ指定をされていないところに比較的被災地が多かった。これについては、ここの七、八ページに書いてある、いわゆるそのきめこまかな調査点検を行なう努力に欠けていたのか、少しそういう調査が不十分であったというのか、それとも研究課題の中で、現在の判定基準というものがあまり明確でないというために、その指定が十分にされなかったという判断をするのか、それともまあ政治的なといいますか、ちょっとその意味で、指定地にされれば非常に地価が下がると、なかなか実際問題、工事の予算もすぐつくわけじゃないというようなことで、危険ではあることはわかっているけれども、地元でなかなか指定するに抵抗があったというような点で、そういうことが原因中心なのか。この点についてどういう判断をしているのか、その一つを聞かしていただきたい。  それからもう一つは、現在のそれじゃたとえば住居を移転しなければできない、どうしてもここに住んじゃぐあい悪いと思うような場所を、いま国なり地方公共団体が調査をしよう、きめようということになれば、現在の状況の中できめ得る可能性というのはあるのかないのか、もう少し研究しなきゃだめなのか、その点はどうなのか。それがなければ計画をつくれといってみたけれども、なかなか日本全体、どのくらいな一体危険地域で避難をさせなきゃできない場所があるのか、これが明確にならないわけですが、その点が第二点です。  第三点としては、私たち調査に歩いたときに、特に気象台長等から話があったのは、各省にいわゆる観測の……、ここにも自記雨量計を設置するというようなこともありますが、現にたとえば建設省、それから農林省気象庁、あるいは運輸省その他の持っている観測の設備もある。県は県で独自にまた持っているものもある。それからまた、地方公共団体が持っているものもある。これらの観測体制、観測の状況の連絡ができてない。もっと、やっぱり一定の降雨量になったらば自動的にその観測の結果を測候所なり、気象台に報告する義務をつけて、現在あるものをもっと有効に総合的に使う必要があるんじゃないかというようなことも出ておったけれども、まあ観測、気象状況把握という問題が出ているので、この点についてはどういうふうな判断をされておられるのか、この三つの点をちょっとお答えをしてください。
  110. 安尾俊

    説明員(安尾俊君) 今回の崩壊指定地区以外に起きたと、それはどういうことかということでございますが、ただいまの技術の面から申しますと、わかるところは指定されておったと思います。なお、これはむしろ現在の技術をもってしては、まだ事前指定できなかった、こういうふうに一応考えられると思います。  それから今後の計画につきましても、まだ残念ながら現在の防災科学の面ではわからない点が多々ございます。したがいまして、今後大いに研究をしてきめこまかい指定ができるような方向に持っていく必要があろう、こういうふうに考えております。  それから観測体制につきましては、運輸省をはじめ、各観測地点の有機的な連携をとることはもちろんでございますが、今回、特にここに指摘いたしましたのは、天草におきます災害の例を見ますと、わずか十キロぐらいのところに集中的に豪雨が降って、十数キロ離れたところではほとんど雨が降ってない。そういうふうな非常に局地的な集中豪雨によって災害が起きております。したがいまして、特に今回の崩壊地の周辺に亀裂が起こっておったところとか、そういうところは、やはりその場所で、独自に自記雨量計等を備えつけて警戒をする必要があろう、こういうことから指摘したわけでございます。
  111. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 他に御発言もなければ、本日の調査はこの程度にとどめておきます。  さっき申しましたように、このあと理事会で各党の代表者で少し御相談をしていただくことにいたしまして、本日はこれにて散会いたします。    午後一時散会