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1972-09-13 第69回国会 参議院 決算委員会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年九月十三日(水曜日)    午前十時八分開会     —————————————    委員異動  九月十三日     辞任         補欠選任      梶木 又三君     小枝 一雄君      川野辺 静君     石本  茂君      橋本 繁蔵君     小林 国司君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         成瀬 幡治君     理 事                 世耕 政隆君                 温水 三郎君     委 員                 石本  茂君                 河口 陽一君                 小林 国司君                 中村 登美君                 二木 謙吾君                 前田佳都男君                 鶴園 哲夫君                 水口 宏三君                 森中 守義君                 中尾 辰義君                 藤井 恒男君                 青島 幸男君    国務大臣        厚 生 大 臣  塩見 俊二君        運 輸 大 臣  佐々木秀世君        国 務 大 臣  小山 長規君    事務局側        常任委員会専門        員        佐藤 忠雄君    説明員        厚生省環境衛生        局長       浦田 純一君        水産庁長官    太田 康二君        運輸大臣官房長  薗村 泰彦君        運輸省港湾局長  岡部  保君        運輸省自動車局        長        小林 正興君        会計検査院事務        総局第三局長   桜木 拳一君        日本国有鉄道総        裁        磯崎  叡君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和四十五年度一般会計歳入歳出決算昭和四  十五年度特別会計歳入歳出決算昭和四十五年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和四十五  年度政府関係機関決算書(第六十八回国会内閣  提出) ○昭和四十五年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第六十八回国会内閣提出) ○昭和四十五年度国有財産無償貸付状況計算書  (第六十八回国会内閣提出)     —————————————
  2. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  昭和四十五年度決算外二件を議題といたします。  本日は、運輸省及び日本国有鉄道決算につきまして審査を行ないます。  この際、おはかりいたします。  議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれもこれを省略して、会議録の末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) 御異議なしと認め、さよう決定いたましす。それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 森中守義

    森中守義君 いま委員長のほうから概要説明は省略されましたけれども運輸大臣説明書の中で、一般会計で二十八億二千三百五十二万円余の次年度への繰り越しがある。それから、その中で十八億七千四十三万円余が繰り越しであり、九億五千三百九万円が不用額、こういうふうになっております。それと各特別会計は例外なくかなり剰余金がある。その中でも自賠責の場合は一千五百四十億六千六百万円、剰余金としてはちょっと異例に属するような巨額な剰余金が出ております。これはどういうことですか。一般会計でも不用額が九億、繰り越しが十八億、それと自賠責特別会計で一千六百億近い剰余金が出たということは、予算積算それ自体に甘さがあったのか、あるいは予算執行を手控えたのか、四十五年度予算審議の際に、少なくともこういうゆとりのある予算だという説明はなかった。私どもこの予算審議に参加して、運輸省としては目一ぱい仕事をやらしたいということで財政当局予算要求をした、こういう説明があったが、結果におきましてはこういったように二十八億の一般会計剰余金が出る、繰り越し金が出る、特別会計ではいま申し上げたように自賠責等は一千六百億近い剰余金が出た、こういうことを考えますと、どうしても、その理由は何なのか、つまり仕事を手控えたのか、積算に甘さがあったのか、状況がどう変化したのか、その辺がよくわかりません。まず、その辺からひとつお答え願いたい。
  5. 佐々木秀世

    国務大臣佐々木秀世君) だいぶ具体的な問題のようでございますから事務当局から答弁させます。
  6. 薗村泰彦

    説明員(薗村泰彦君) お答えします。  まず一般会計で、先生指摘のように、不用額が九億五千万円余ございます。それから特別会計のうちの自動車損害賠償責任保険特別会計は差し引き一千五百四十億円の不用額が出ております。これはまあ別個の問題でございますので、特別会計についてはその内容をお答えします。
  7. 小林正興

    説明員小林正興君) 概要書に書いてございます自動車損害賠償責任保険特別会計について申し上げますと、この説明書にございますとおり、収納済み歳入額は二千八百八十二億二千六十一万金余支出済み歳出額は千三百四十一億五千四百六十一万円余になっております。したがって、当該年度剰余金といたしましては千五百四十億六千六百万円余、このとおりでございますが、この剰余金というものの性質は、あるいは御案内かと思いますが、当該年度現金ベースで入った収入から現金で支払われたその差額でございまして、いわゆる一般企業会計等で申します損益、こういうものとは全く性質が違うわけでございまして、特にこの保険関係で申し上げますと、保険収入というようなものは——保険料収入というものは、当該年度の分として入るわけでございますが、その支出というようなものはその後発生いたしまして、現金ベースと実際の発生ベースとは結果的に違ってくるわけでございまして、いわゆる損益の問題から申しますと、このような大きな剰余金はまだ出てないのでございます。
  8. 森中守義

    森中守義君 官房長官ね、ちょっと答弁が簡略過ぎてわからない。私が聞いているのは、一般会計で総計二十八億の剰余金が出る、その中で十八億が次年度繰り越しであり、九億が不用額。よろしいですか、それと特別会計でも、たとえば自賠責のように一千五百億もの次年度繰り越しがあるというのは一体どういうことなのか。つまり、予算編成の際に、予算審議の際にこういう剰余金が出る、不用額が出るという説明はなかったんです。むろん、審議の際はそうでしょうがね。だから予算要求の際の財政当局の話し合いが甘かったのか、あるいは予算執行で手控えたのか、その理由が何だと、こう聞いているんで、いまのように数字をそのとおりだと言われたんではかないませんよ。それでは、答弁にならない。理由を言ってもらいたい。
  9. 薗村泰彦

    説明員(薗村泰彦君) 先生指摘のとおりでございまして、予算のときはもちろん当初から不用を出したり、繰り越しをしたりということはできるだけ少なくするように考えておりますけれども、やはりある程度の次年度への繰り越しというのは避けられないような事情がございますし、不用となった額が九億にのぼったことは——できるだけ少なくするという趣旨で予算を組むべきだと思っております。
  10. 森中守義

    森中守義君 官房長、こういうように特別会計一般会計で余ったという理由は何ですが。仕事を手控えたのか、あるいは積算が甘かったのか、その辺の答えがぴちんと出なければ答弁になりませんよ。
  11. 薗村泰彦

    説明員(薗村泰彦君) 一般会計特別会計とにはそれぞれ違った事情があると思います。一般会計である程度次年度に繰り越すというような事情がございましたのは、やはり事業が予定どおり進まなかったというような点が原因かと思います。特別会計にはそれぞれかなり金額が残っておりますけれども、これはたとえば自賠責で申しましたら、いまお答えしたような特殊な事情があって、別にこの金がそのまま剰余で残っている、不用で残っているということではないというふうに御理解願いたいと思います。
  12. 森中守義

    森中守義君 理由は何ですか。
  13. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) もう少し丁寧に答えてください。
  14. 薗村泰彦

    説明員(薗村泰彦君) 一般会計不用だとか、次年度への繰り越しが残りましたのは、やはり事業遅延だと思います。大きな原因事業遅延予定どおり工事が進まなかった、したがって、次年度への繰り越しが出たり、不用が出たりという結果になったと思います。特別会計別個理由があると思います。
  15. 森中守義

    森中守義君 どうも抽象的でいけませんな。二十八億といえば予算規模の何%に当たるんですか。かなりの比率になりますよ。それで事情とは何なのか。予定どおり仕事が進まなかったというその内容は何なのか。
  16. 薗村泰彦

    説明員(薗村泰彦君) 不用の額のうちで一番大きかったのは三億五千万港湾事業費でございますので、その事情港湾局長から御答弁を申し上げます。
  17. 岡部保

    説明員岡部保君) ただいま官房長が申しましたように、港湾事業費で三億五千万不用額が立っておるわけでございます。これは先生御承知と思いますが、私ども港湾整備事業をいたしまして、これは公共事業でございますので、予算総則に定められておりますように、一年間は明許繰り越しができます。一年明許繰り越しがございまして、それ以降は事故繰り越しになります。それで、最近の港湾工事で、これは現実の問題といたしましては、事業として過大な積算と申しますよりは、実施面で、たとえば、漁業補償が当然成り立つはずであった。それがその時期にどうしても成り立たない。したがって、こういう事業をするための予算であるということで計上いたしておりますので、ほかのほうに流用いたすわけにまいりませんので、したがって、その事業について一カ年は明許繰り越しをして、それで何とか漁業補償をしようということで折衝いたすわけでございますが、残念ながらさらにその明許繰り越し期間中にも漁業補償の交渉が成立しなかったというようなものが主体でございます。大体こういうような事業が実施できなくなって、一カ年たってもできないということで不用額に立てざるを得ない。したがって、その事業についてはどうするかと申しますと、次年度において予算計上いたしまして、さらにどうしても継続して折衝するという場合と、それからこれはとうてい不可能であるということで計画を変更する場合と両方ございますが、一応こういう不用額が立ったというのは、主体としてそういう理由でございます。
  18. 森中守義

    森中守義君 いまの港湾関係の三億五千万というのが二十八億の中も高額のものである、こういうお話しのようですが、そうだとすればまだ二十五億近くあるわけですね。二十五億の残りの中は——港湾が三億五千万あとこういうものだというのをちょっと幾つか列挙してごらんなさい。
  19. 薗村泰彦

    説明員(薗村泰彦君) ちょっと私発言を間違えたかもしれませんけれども、三億五千万が一番大きいと申しましたのは、不用額九億五千万内訳でございます。九億五千万内訳では、三億五千万が一番大きい港湾事業費不用額でございます。その次に大きいのは航空関係の一億九千万でございます。その二つが九億五千万の中では大きい項目と思います。
  20. 森中守義

    森中守義君 少しかみ合わないのは、私は不用額の九億だけ言っておるのじゃない、総額二十八億を分ければ繰り越し不用額に分かれる、それは理解しておりますよ。けれども、二十八億というのが余ったというのは手控えたのかどうなのかと、こう聞いているわけだから、よろしいですね。二十八億の内容は、これとこれとこれだという答えがすぐ出るのじゃないですか。どういう仕事がうまく進まなかったのか、それを聞かしてもらわなきゃ答弁にならない。
  21. 薗村泰彦

    説明員(薗村泰彦君) いま数字を調べますので、しばらく御猶予を賜わりたいと思います。
  22. 森中守義

    森中守義君 官房長、これはちゃんと報告書の中にきちんと数字を整備して出されておるし、大体どういうものが二十八億の中身であったかというのはすぐ答えができるようになっていなければいけませんよ。私ども国会という立場からいけば、予算審議決算というのは、入り口と出口の関係だから、少なくとも、予算審議の際に非常にゆるやかな予算で、場合によれば不用額が出たり、あるいは繰り越し金が出ますよという、こういうような答弁を一回も聞いたことがない。そういう意味では、予算審議権というものに対する責任を持っていないということになりますよ。聞いた答弁がすぐ出ないというのは、別にこういうところまで通告をしていないからわからぬといえばそれまでだろうけれども、二十八億の剰余金といえば、かなりの額ですから、これは中身ぐらいきちんと整備しておいてもらいたい。すぐあとで調べて答えてください。  それでちょっとこの関係のついでみたいで悪いけれども、さっき申し上げた特別会計自賠責の場合、一千五百四十億六千六百万円という、いわば剰余金としては異例に属する高額なものです。内容をちょっと見ますと、四十五年度に使ったものが一千三百四十一億五千四百六十一万円、一年分まるまる残っている。   〔委員長退席理事世耕政隆君着席〕  これは、いま自動車局長から何か理由がありそうなお話だったけれども自動車を持っているものが払っている保険料、これは四十四年の改正によりましてかなり負担増になっている。そういうところにもってきてこういう高額な剰余金があるというならば、少しこれは考えてみたらどうですか、運輸大臣自賠責施行令で。いま死亡者が五百万ですね、あとはそれぞれ項目が分かれている。最近のたとえば航空機事故であるとか、そのような事故等々で人命が失われた場合、もちろん、人命を金高によって評価できるものじゃありません。けれども、こういうように高額に剰余金が出るならば、この支払い額をもっと高めていくとか、あるいは負担率を軽減するとか、何かそういうことをこれは考えてみる必要がありはしませんか。むろん、自動車局長のほうからはゆえなくこういうように余ったもんじゃありません、こういう説明らしい話がちょっとありましたけれども、しかし私などからすれば、なんだ、一年分も剰余金があるならば、五百万円をすっと上げたらどうだ、あるいは負担率を軽減したらどうだ、こういう理論に発展していくのは当然なんです。どうですか。倍額ぐらいに支払いませんか。死亡した場合の五百万円を一千万円にする、あるいは五十万円の傷病の場合の医療費、これはへたなことをするとみんなお医者さんに持っていかれますよ。親や兄弟や奥さんたち交通事故で病院していても、とてもそういう手当にもならぬような、五十万じゃ話にならぬ。だから死亡した際の支払い額を五百万円を一千万円に直すとか、五十万円を百五十万円に直すとか、そういう改正を考えてみたらどうなんですか。
  23. 佐々木秀世

    国務大臣佐々木秀世君) お話しのように多額金額が、これは剰余金というのか、事務的な呼び方はよくわかりませんが、いずれにしても掛け金の金でございますので、それらの用途の問題あるいは掛け金問題等につきまして再検討をいたしているということは承っております。しかし、具体的な問題は局長のほうからひとつ答えることにいたしたいと思います。
  24. 森中守義

    森中守義君 ちょっとその前に。これは四十四年に改正された。それで四十四年以前はどうだったのか。少なくともその料率を改正していますから、こういう高額なものになったと思うのですよ。そのときにいま私が指摘したような死亡による損害が五百万円、こういうのは全然変わっていないでしょう。支払い額だけは留保されている。取り立てのほうだけどうも少し調子が悪いから値上げをする、こういうようなことからまあ今日のようにこういう高額になったんだ、こういう理解を私はするんですよ。まあ、理由はいろいろありましょう。あるだろうけれども、こういう高額になっておれば、何も自動車局長答弁をさせるというのじゃなくて、上げなさいよ。五百万円は安過ぎますよ。私なども払っております、こういうのはね。相当やっぱりきしみますよ。それでもやはり事故というのを考えると、道路運送上の秩序を保たにゃなるまい、人命が重視されなくちゃなるまいということでやむなくしんぼうをしておるんですが、上げませんか。ほかのことではよく審議会等に相談されるようだけれども掛け金をとるような場合は。支払い額をふやすという場合のお考え等はこの際ひとつ明らかにしてもらって、一ぺん審議会にはかってみたらどうです。五百万円では安過ぎる。
  25. 佐々木秀世

    国務大臣佐々木秀世君) その内容について、まだ十分私自体検討が浅うございますので、これから一そう検討さしていただきたいと思います。
  26. 森中守義

    森中守義君 とにかく一千六百億に近い金が余ったという理由ははっきりさしてもらいましょう。
  27. 小林正興

    説明員小林正興君) お答えいたします。  この決算上の剰余金と申しますのは、先ほども答えしましたとおりに、当該年度現金で入ってきた収入から当該年度保険金として支払った金額差額でございまして、いわゆる現金ベースの収支の問題でございます。剰余金という名前から考えられますような、いわゆる損益というようなものとは全く性格が違うわけでございます。その理由といたしましては、保険事故発生いたしまして、保険金支払い請求というようなものは、三年間の請求時効という規定もございまして、その年度内に請求があり、支払いが完了する性質のものでないわけでございます。で、こういった性格から全体の保険規模が相当多額になっておりますので、常時この程度の、千数百億の剰余金といわれるものが滞留資金として現金ベースにおいては国庫に預けられておるわけでございます。したがって、この剰余金を目当てに、この剰余金があるからといって直ちに保険料の引き下げに充てるとか、あるいは限度額を上げるとかという際のめどにはつながらないわけでございます。正確には先生御摘の負担限度額を上げるとか、あるいは保険料を引き下げるとかというような場合の損益については別途損益計算をいたしておるわけでございまして、その観点から申し上げますと、昭和四十五年度において保険勘定で約二百五十三億九千五百四十三万円余の損失を生じておるわけでございます。現状におきましては、この保険勘定のそういった実際上の損益計算、こういったものを十分注意深くその推移を見守って、今後限度額を引き上げるか、あるいは保険料を引き下げるとか、そういった政策問題に対処してまいりたいと思うわけでございます。     —————————————
  28. 世耕政隆

    ○理事(世耕政隆君) 委員異動について御報告いたします。  ただいま、川野辺静君及び橋本繁蔵君が委員を辞任され、その補欠として石本茂君及び小林国司君が選任されました。     —————————————
  29. 森中守義

    森中守義君 これは大臣、中を少し掘り下げていきますと、もっとこれは議論が果てしなく続きますが、いまの掛け金限度額支払い限度額、これは保険計数的にきちんとしておりますか。むしろ、私はその辺が問題だと思う。ですから、これはまた機会があれば、運輸委員会あるいは大蔵委員会所管でもありますし、別な時期にももう少し手をつけたいと思っているんですが、要するにその限度額というのがいずれの場合もきちんと保険計数的に確実なものであるかどうか、まあ、これはひとつこの際ははっきりさしてもらいたい。逆説的にいえば、私はいまの五百万円という規定は低過ぎる。むしろこれは倍額までぐらいに引き直す必要がある。そういったように、一つの着想を持ちながら掛け金限度額なり何なりをもう一回検討する時期に来ているのじゃないか、こう思うんです。五百万円、これをどう思われますか。それから五十万円の医療費、こういうものはこれでいいと思われますか。
  30. 佐々木秀世

    国務大臣佐々木秀世君) 単に五百万円とか五十万円とかいう金額だけで、これでよろしいとか、これを改正しなくてはならぬというような結論をここで直ちに出すわけにまいらぬと思います。ただ掛け金の問題などで私のところにいろいろ陳情が見えております。A地区とかB地区とかいろいろでこの掛け金を直してもらいたいというような問題がきておりますので、お話のように、それに見合うところの支払い金などということも重要な問題だと思いますので、十分これらとにらみ合わして私も真剣にこれを検討してみたい、こう思います。
  31. 森中守義

    森中守義君 まあ、いまのお話は、できるだけ据え置かないで改定をしたい、こういう御意思であるというように受け取ってよろしいですね。
  32. 佐々木秀世

    国務大臣佐々木秀世君) 改正をしたいという前提でなくて、全体をにらみ合わしてどうすべきかということを検討さしていただきたいと思います。
  33. 森中守義

    森中守義君 まあ、一応示唆ある大臣の見解として前向きのものであるというように理解しておきましょう。  そこで自動車局長、これの資金管理はどうしているんですか。
  34. 小林正興

    説明員小林正興君) 自動車損害賠償責任保険特別会計というのにつきましては、特別会計法がございまして、この会計管理というものは、運輸大臣が行なうということになっておるわけでございまして、自動車局においてその事務処理をいたしております。
  35. 森中守義

    森中守義君 いや、そういう抽象的なものでなくて、実際の現金の、つまり資金管理ですよ。運輸省で持っているのか、あるいは大蔵省で持っているのか、どっちなんです。それは業務委託というがありますね。保険会社等特例事項を除いて委任することができるという委任事項があるわけだ。そういう委任事項というのはある意味では資金管理にもなるだろうから、実際の資金の扱いがどうなっておるのか、そういうことを聞いておるんです。
  36. 小林正興

    説明員小林正興君) 支払い上の現金管理といいますか、これにつきましては法律によって資金運用部に預託するということになっておるわけでございます。  それから最後に御質問の保障勘定についてですが、この保障勘定というのは、保険とは一応別に、引き逃げあるいは無保険という際に国がみずから一定の賦課金前提として保障金を支払う、こういう保障勘定でございますが、これについて保険会社に委託するという事務の取り扱いができるようにおるわけでございます。
  37. 森中守義

    森中守義君 保険会社に相当の現金を渡しておくという意味ですか。  それと、資金運用部に入っていく場合、金利はどうなるのか。特別会計金利として元金に追加していくんですか。それとも運用部のたとえば財投の原資に回る場合もあるでしょうし、資金としてそれは操作されるのですか、特別会計金利になるのですか。
  38. 小林正興

    説明員小林正興君) 当然、特別勘定預託金利子収入ということになっております。
  39. 森中守義

    森中守義君 それでは、その五百万の問題をひとつ先の問題として、大臣答弁改定があるものというように理解をしながら先に進めていきましょう。  港湾整備特別勘定の中で、海水の汚濁防止施設整備補助事業というのがありますね。この問題に関してですが、最近、熊本県議会もしくは知事から、御出席いただいた運輸大臣環境庁長官厚生大臣、まあこういうそれぞれの所管に対して、熊本県に当初より発生をしている水俣病ですね。これの海底にある水銀ヘドロの撤去、除去について陳情を受けられたことがありますか。
  40. 小山長規

    国務大臣小山長規君) 知事から格別の陳情はありませんでしたが、県の議会からそういう話がありまして、この調査が四十七年中に終わりますので、四十八年にはできるだけ実施計画を立て、そしてチッソ側負担割合をきめて工事が始まるようにしてみたいんだ、こういうふうにお答えしたことがあります。
  41. 森中守義

    森中守義君 これは大体どこの所管になります、こういうことは。おそらく厚生省運輸省環境庁、まあかなり範囲が広がっておりますがね。むろん、いままで海底のヘドロを除去するという、こういう事業はあまり行なわれていない。
  42. 小山長規

    国務大臣小山長規君) このヘドロの問題につきましては、まずどういうものについてどういう基準でヘドロを除去するかということはこれは私どものほうの所管であります。そこで、いま除去の基準というものをつくりたいというので。中央公害対策審議会の水質部会にその基準をつくっていただきたいということで、その答申を求めておるのであります。そこでしかしながら、この除去基準をつくるのを持っておったのでは、水俣湾の現状に即しませんので、私どもとしてはできるだけ早くこれが除去できる方法を考えたいと考えておるわけでありますが、熊本県においてはどういう措置をとっておるかと申しますと、四十七年六月に、熊本県から熊本大学へ除去すべき範囲、その工法、工程というものについての調査を委託してきたのでありますが、その結果が、四十七年の六月にまとまりまして答申を熊本県側に出したようであります。で、熊本県側としては、来年の四月をめどに次の調査を行なうことにしまして、補正予算を近く組む予定とのことであります。その調査内容は何かといいますと、二次汚染の防止対策、つまり、ヘドロを除去します場合に、やり方によっては、底にたまっております有機水銀が拡散しまして、また別の公害を起こすおそれがありますので、その公害を起こさない方法をどうしたらいいかというふうな二次汚染の防止対策、それから埋め立てやしゅんせつすべき範囲、こういうものはどういう程度にしたらいいか、こういうような問題について調査を行なうことにしておるようであります。その調査結果がまとまりますのが、大体、来年の四月ごろであろうということでありますので、その調査結果がまとまりましたら今度はチッソ側が一体幾ら負担するのか、こういう問題が一つ出てまいります。それから実施計画はどういうふうにすればいいかという問題が出てきますので、その調査結果を待って来年この調査に入れるようにしてほしいというようなことを、われわれも熊本県側とお話を進めておりますが、実際の実施はこれは運輸省がやるわけであります。
  43. 森中守義

    森中守義君 厚生大臣、これはおそらく厚生省にも熊大あるいは県から届いていると思いますがね。県の衛生部が熊大に委託をして海底の調査をやっておる。その結果がこういうように出ているのですよ。水俣湾のみにとどまらない。対岸の御所浦地区と有明地区にもすでにもう被害が発生をしておる。で、これは先般、認定委員会なども入りまして御所浦地区の全部落を対象にしてやったところが、かなりの水俣患者が発生している。その原因をいま追跡していると、こういっているのですがね。水俣湾内の汚染魚が回遊してこの辺に行ったんじゃないかという説、有明海も同様です。あるいは海底のヘドロが潮流の変化等で御所浦あたりまで流れ出ているのではないかこういう説もあるのです。この関係については厚生省はどういうふうに見ておりますか。
  44. 浦田純一

    説明員(浦田純一君) 水病の発生当時の問題につきましては、当時厚生省環境衛生局のほうで所掌をしておりましたが、環境庁の発足に伴いまして、この点のところは環境庁のほうに所掌が移りましたので、詳細は環境庁のほうからお聞き願いたいと思いますが、私ども所管しておりました当時のことを申し上げますと、当時から、ただ単に、水俣湾の直接日窒からの排水が流入するという海域だけでなく、かなり遠く離れた場所からも、海岸からも、水俣病の患者が発生しておるという事実があったわけでございます。また、その当時、泥質の、泥の中に含まれている水銀の量は、排出口を遠ざかるに従いまして漸次薄まっていくということでございましたけれども、やはりある程度の水銀量というものは、先ほど申しました遠く離れた海域、海岸地区の泥質からも若干は発見されておるといったようなこともございまして、それらの相互の関係につきましては、究明をする必要があるというふうに指摘されておったのでございます。その後、調査がまた繰り返されて行なわれているというふうに聞いておりますが、その詳細につきましては、環境庁のほうからお聞き願いたいと思います。
  45. 森中守義

    森中守義君 日付が四十七年の四月、県の衛生部が出したこれをお持ちでありませんか。かなり詳しく出ておりますよ。魚類の汚染率、全部出ている、それと地域も。——お持ちじゃない。
  46. 浦田純一

    説明員(浦田純一君) ここにはただいま持ち合わせはございませんが、昨年の六月のことでございまするので、私どものほうは報告を受けております。
  47. 森中守義

    森中守義君 水産庁長官、いまこの周辺の漁家はどうしておりますか。たしか三十二年に水俣問題を私が一番最初に持ち出したときに、当時の記憶では——ちょっと会議録はさがし出しませんけれども、強制的に魚をとってならぬという区域指定するわけにはいかないけれども、あぶないから自粛をするように行政指導したい、こういう実は答弁であった。それがさらに発展をしまして、それならば所定の区域外に出ようという場合に、まず船の問題がある、漁区の問題がある、あるいは漁業調整委員会の調整の問題がある。非常に現地で困ったのですよ。ところが、最近ちょっと行ってみましたけれども、ほとんどこの辺の漁民というのはお手あげの状態ですよ。それで私は、この中に、実は県の衛生部が調べ上げた中で魚仁類の汚染量を一応出しております。お持ちでないようですからちょっと読んでみますがね。湾外つまり八代地区では総水銀量が〇・〇〇五から〇・〇四九PPM、それから御所浦地区が〇・〇一四から〇・一四一、倉岳地区というところまで発展しているのですよ。倉岳地区のほうは〇・〇二三から〇・四四二。メチル水銀が、やはりちょっとこれより落ちるようですがね。ほぼ数字としては同じような数字が出ている。ですから、この一帯の有明、不知水海の魚というのは、そういう意味では非常に危険な状態になっているのだ、こういう実は報告になっている。水産庁では資源を確保するという意味から、この辺の実態をどう把握されているか、あるいは沿岸漁民の実際の操業状態をどういったように把握されているか、これはどうなんですか。
  48. 太田康二

    説明員(太田康二君) 私どもが県からの報告を受けておりますその結果によりますと、四十五年十月、若干古い調査でございますが、魚類につきましては、四十五年度においては、一PPMをこえるものが三十一検体中一例、他はすべて〇・六九PPM以下である。貝類につきましては若干高い数値が見られておるようでございます。で、これは要するに、先ほどの環境庁長官のお答えにもございましたように、まあやはり問題は底のどろにかなり水銀が含まれているのではないか、海中にはそれほど問題はないんじゃないか、したがいまして、魚類等はあまり——もちろん汚染はされておるわけでございますけれども、汚染濃度はそれほど高い濃度ではない、こういうふうに承知をいたしております。  そこで現在の実態でございますが、先ほど先生のおっしゃいましたように、当初は水俣湾につきましては、漁業の自主規制ということをいたしまして、操業中止をいたしておったわけでございますけれども、まあ、もちろん根本的な問題の解決にはヘドロのいわゆる除去対策、埋め立て、あるいはしゅんせつ、この問題があるわけでございますが、それも先ほど環境庁長官お話しになりましたように、海底のどろを攪拌することによりまして二次汚染が出るのではないか、こういう問題もございますので、これらにつきましては私どもは、たしか本年の九月にこの調査に当たられました方々が出てまいりまして話を伺うことになっております。これらにしたがいまして実際の水俣湾におきます埋め立てというようなことになりますと、運輸省のほうにお願いをするということになるわけでございますけれども、私どもは、やはり二次公害の汚染というもの。起こることは、水産動植物の保護上問題がございますので、やはり工法については慎重でなければならないというふうに考えております。  そこで、漁業につきましては一応自主規制はいたしておりましたが、最近は一応自主規制は解いたようでございますけれども、実際には水俣湾においては操業はいたしていない。現在の操業実態は不知火海のほうでほとんど操業をしておりまして、湾内では操業はいたしていないというふうに聞いております。特にクルマエビ等の増殖事業につきましては、当然、湾内ではなしに、湾外で行なっておるというふうに承知をいたしております。
  49. 森中守義

    森中守義君 ですから、これは小山長官が言われますけれども、県のほうでは非常に積極的に動き出しております。おそらく十月くらいには水俣裁判が地裁において結審になるでしょう。ところが、ヘドロ問題というのは一向に進まないんですす。これもさっき申し上げたように、三十二、三年に一度ここへ持ち込みまして、ヘドロは急速に措置する必要がある、こう言いながら、結局が所管なのかわからぬような状態で、あとは患者の救済にむしろ全力をあげたようなかっこうだったものですから、この問題がやや埋没をしておったんですが、   〔理事世耕政隆君退席、委員長着席〕 県は、さっき御指摘のように、九月県会でもかなりの調査費をつけるという連絡を受けている。しかしこれは静岡の本州製紙の問題もありますね。こういったように公害による海底の汚染の処理というものは、いま少し政府におかれても、急速にしかも積極的に意欲的にやっていただく時期がもうきたと私は思うんです。  水産庁長官も、これは何としても、いま沿岸漁業がこういう状態ですし、かなり深刻な場面を迎えていると思うですよ。水俣あたりでは、もう完全に専業の漁家が廃業をして転業するとか、むろん半分は病人ですからね、若い人なんかおりませんよ。ところが、わりあいにこのあたりは資源としては豊富なところだったがもう完全に枯れておる。こういう状態なんです。  そこで、いまそれぞれのお答えから実施官庁は運輸省である、こういう実はいみじくも御発言がありました。いままでこの所管はどこなんだ、こういうことがしばしば議論されていても、なかなかいい答えが出なかったんです。ですから、この際ひとつ運輸大臣、確かに実施官庁は運輸省である、海上保安庁である、あるいは港湾局である、そういうことが言い切れますか。まずそれからひとつお聞かせいただきたい。
  50. 佐々木秀世

    国務大臣佐々木秀世君) お話のように、運輸省といたしましては、港湾の汚染問題でございますから、この問題に対する結論が得られまして、そうして県並びに環境庁と十分な連絡をとりましての運輸省としての実施官庁でございますから、一日も早くこれを除去するなりあるいはその方法をやはり科学的に十分検討した上で実施するという方向に進まなくちゃならぬ、こう考えております。
  51. 森中守義

    森中守義君 非常に正確に実施官庁は運輸省であるということが確認できましたから、話もだいぶやりやすくなりました。  それで、港湾局長、さっきお話が出ていましたけれども、やり方次第では二次汚染、三次汚染の可能性がある。どういう方法でおやりになるのか検討されたことがあるのかないのか。あるいは、専門官としてこういう処理方式をとれば二、三次汚染というものは発生しないであろう。まあ、そういう何かお考えはありませんか。
  52. 岡部保

    説明員岡部保君) 結論を先に申させていただきますと、現在、二次汚染というものを完全に防ぎ得る工法というのは非常にむずかしいと存じます。まあ具体的に申し上げれば、たとえば現在の汚泥の部分を、これはまあ熊本大学で県が委託された結論にも出ておりますが、非常に濃度の濃い汚泥のところは埋め立ててしまえという考え方、これは確かに埋め立ての外ワクを先につくりまして、それで中に埋め立てをしていくということで封じ込めるようなかっこうになりますので、これは確かに一つの考え方だと存じます。ただ、濃度の薄い汚泥については、しゅんせつをして、別のところに運び去るという問題でございますが、これは非常に問題がございます。現実にしゅんせつをいたしますときに、どうしても攪拌をいたします。そうすると、その汚泥が水中に若干拡散する。それをできるだけ沈降させながら拡散をなるべく防ぐような工法というもの、これはたとえば少し金はかかりますが、沈降剤のようなものをあわせながらしゅんせつするという方法がございます。また埋め立てをいたしましても、その余水、いわゆる水と一緒に吹き込むわけでございますから、その埋め立て地から外へ流れ出る水というものが問題でございます。したがって、そこにも汚泥の拡散というものをなるべく沈降させてやるというような科学的な手法が考えられます。ただ、これが完全に十分に防止できるかどうかという点については、まだ残念ながら自信がございません。したがって、これはできる限り二次汚染というものを少なくするように、これからも研究していくという考え方でございます。     —————————————
  53. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) この際、委員異動について御報告いたします。  ただいま梶木又三君が委員を辞任され、その補欠として小枝一雄君が選任されました。     —————————————
  54. 森中守義

    森中守義君 環境庁長官にお尋ねしておきますが、先ほど諮問をしているというお話がありましたね。答申はいつごろの予定ですか。それが一つと、いま一つは、実際の話し合いというのはまあこれからのことでしょうが、一応政府としてお考えになるのは、要するに、実施官庁は運輸省でありますから、どうしても環境庁あたりがかなり中心になっていろいろやってもらわないといかぬと思う。その際における国の負担率、あるいは自治体の負担率、さらに企業の負担率、私はものの考えとしては、因果関係がこれほどはっきりした今日ですから、これは全額でも企業に負担させるべきですよ、筋論からいきますとね。しかし、それは一応おくにいたしましても、大体三者で持ち合おう。分け合おうという比率は、どの程度が理想的とお思いになりますか。
  55. 小山長規

    国務大臣小山長規君) 先ほど申しました中央公害対策審議会に諮問しております除去基準は年度末、来年の三月末にはその答申を得たいということでお願いをしております。  それから負担率については、まだ現在のところ、どういう割合が一体いいのかというようなことは、われわれとしてはちょっと判断しにくい。結局われわれが判断しなければならぬわけでありますけれども、現在のところその判断をするまだ段階にきておりませんのは、元来はPPPの原則によって加害者であるチッソが負担すべきものなんですから、幾らかそのチッソ側の軽減をする要因が一体どういうところにあるのかというようなことを考えませんと、その割合は出しにくい、こういうことなのであります。
  56. 森中守義

    森中守義君 これはなかなか慎重な配慮も必要でしょうけれどもね、一定の処理方式と負担率というものはきちんときまっていきませんとまずいと思う。むろん熊本県の場合には、みずから進んでやろう、しかし県の能力だけではどうにもならぬと、こう言っているわけですよ。ですから、そういう意味からすれば、これはやっぱり国、自治体、企業、本来的には企業が全額負担すべきということは筋からいけばあたりまえだと思う。ですけれども、いまのような答弁ですと、これはさて四十八年度予算にたとえば調査費をつけるとか、あるいは実施計画に入るということが可能かどうか私は危ぶむ。もうすでに予算の概計が相当進んでいるでしょう。いま概計の作業の段階で環境庁あるいは運輸省関係の向きでこの程度のものをひとつ調査費につけるとか、あるいは実施計画をつくるという、そういう考えがありますか。
  57. 佐々木秀世

    国務大臣佐々木秀世君) あらゆる条件が整いまして結論が出た場合に、実施に支障を来たすような、予算上で支障を来たすようなことはないようにいたしたいと、こう決意をいたしております。
  58. 森中守義

    森中守義君 これはいま申し上げますように、予算の編成の作業段階にありますから、いま両大臣のお答えではどうも承服しかねるのですよ。県がいまもうすでに六月県会、さらに九月県会で、調査費をつけて調査に入ろうとしている、もう入っているのですよ。そこで国のほうが持ち合い、出し合いは別の問題としましても、とりあえず湾内に何メートルぐらいのヘドロが堆積しているのか、この程度の調査ぐらいは四十八年度ですぐ手をつけるべきじゃないのか。それと、いま港湾局長からある種の方式の構想が示されたわけです。こういうことを着実に詰めていくには、どうしても四十八年度予算である程度きちんとしなければまずいんじゃないですか。先がどうもこうはっきりしないような答弁ではちょっとぐあいが悪いですよ。しかも実施官庁は運輸省であっても、環境庁でも、水産庁でも、厚生省でも、それぞれ関係がありますよ。もう少し統一した見解をお示しいただくわけにはまいりませんか。
  59. 佐々木秀世

    国務大臣佐々木秀世君) こういう国民の重大な関心の公害問題というものは、時期を失してはいけないということはよく承知をしております。ただ、こういうことを私申し上げてどうかと思いますけれども熊本の県会から私のもとにまいりました情報を判断いたしましても、九月四日付で私のところに県からの実情、こうしているということがまいっておりますが、熊本県におきましても、九月に調査費計上を具体的に取り組むことになって調査費を計上したいと、こういうことでございます。で、われわれのほうでも、それに見合っておくれないように、先ほど局長が御答弁申し上げたように取り組んではおります。しかし、いろんな、環境庁長官お話ししたように、科学的な調査等のとりまとめ等もございますので、実施ということになりますと、どういう方法の実施をしたらいいかという最終結論にはまだ至っておりませんので、予測いたしましての予算計上というものはなかなかむずかしゅうございますので、そういう結論が早く出た場合は、予備費などという方法もございますので、予算上のことで実施がおくれるというようなことのないように努力したいと、こういうことで御理解を願いたいと思います。
  60. 森中守義

    森中守義君 やや具体的になりましたがね、さっき申し上げたように、大体その海底のどの地点に何メートルくらい堆積しているのか、そういうのがかいもく見当つかずにいるのですよ、いま。そういうことを県が手はじめにやろうという趣旨だとも思っておりますが、これはひとつ、どうなんですか。その程度のことは、無限に広大な海洋じゃありませんからね。局限をされた地域のことであり、しかも海流が、どういうような状態で潮流が対岸のほうに流れ込んでいるのか、そういう包括的な調査くらいはすぐでもできやしませんか。そういうふうな基礎的なものが固まらないと港湾局長が言われたような方式もきちんと方向がきまらないと私は思いますよ。大体何百万立米ぐらいあるのか、どの地点にどのぐらいあるのか、その辺のことの調査はすぐでもできやしませんか。
  61. 小山長規

    国務大臣小山長規君) これは先ほど申しましたように、今度、熊本県が計上します補正予算の調査項目で先ほど申し上げましたように、熊本県側としては二次汚染の防止対策をどうすると、具体的な方法のことを言っているわけです。それから、埋め立て、しゅんせつ工事の基本構想というのは、どの辺までを埋め立てをし、どの辺までをしゅんせつをするのかと、これが当然入ってくるはずでありまして、こういう調査を熊本県側が来年の四月をめどにしてやりますから、その四月の段階では、この調査結果は全部まとまるわけであります。そこで、それを実施に移す場合に、先ほど運輸大臣が申しましたように、実施に移します場合には、予算上の制約はないようにということを運輸大臣が申しておりますから、これでよろしいのじゃないかと思います。
  62. 森中守義

    森中守義君 それはよろしくはないですよ。それは県に発生したことだから県の出るのを待っていると、そんなばかなことはない。まさに熊本県は被害県ですよ。だから県のほうでも、自己能力というのはおのずから限界がある。それで中央に話を持ち込んだ、こういうことなんですから、それに対応できるような国の施策というものをやってもらいませんと、熊本県は気の毒ですよ。だから、私、さっきから言っているように、もう何もかも単年度でやってしまえ、そういうことを言っているのじゃない。港湾局長が専門的な視点からこういう方式があると述べているわけなんであります。それを裏づけるような調査ぐらいすぐできやしませんか。むしろそういうことを急いでほしいと、こう言っているわけですよ。で、しかも在来は、どこに一体、もの言いに行けば、話がきちんときまるのかわからないというような手探りの状態であります。このことが、いまや実施官庁は運輸省である。こういう点がきちんとなったわけだから、この際やっぱり運輸大臣、これは通産省も加害者の側に立っておりますが、運輸省はそういう意味では、実にあと始末をやるようなことになりましたが、それが中心になって、どうなんです、四十八年度予算で大々的な調査をやってみる、そのために予算措置を講ずるという、こういうことはできませんか。もちろん、これは他の汚染地域にも重大な影響がありますね。水俣方式というものが本州製紙の関係にも、どこにもやっぱり影響しましょうから、慎重であることはけっこうですけれども、そういうことのために、自治体、地元で過大な負担にあえぐようになっちゃ困ると思うのです。どうですか、ここに三閣僚がおられるのだから、一ぺんひとつ協議の上で四十八年度でやってみようというようなお答えができませんか。
  63. 佐々木秀世

    国務大臣佐々木秀世君) 最も被害者でありまする地元熊本県の考え方や、あるいは御要望を尊重しようということでございまして、熊本自体にわれわれが一方的な考え方で、ああしなさい、こうしなさいということではございませんので、その地元の考え方を尊重するために、今年度をめどとして熊本の考え方を出していただきたい、こういう御要請を申し上げておるのであります。同時にまた、科学的な問題については、熊本大学に早急に研究の結論を出してもらいたいということで、こうしたことがすでに実施に入る——考え方によってはもう前進的な実施の段階に入っておるとわれわれは考えております。ただ、工事段階になりますと、こういうものが全面的にとりまとめができませんと、はたしてどの程度の埋め立てにするのか、どの程度のヘドロを移動するのかというようなことがきまりませんと、予算的措置がとられませんので、先ほどから申し上げておりますように、結論が出て実施ができないというようなことは断じてさせませんということを申し上げておりますので、その点で御理解を願いたいと思います。ただ、予算だけ組みましても、実施いたしまするやり方、方法がきまりませんと、予算だけをとっておいて、宙に浮かしたのでは何にもなりませんから、われわれはこのヘドロ、ことにこの公害に対する熱意のあるところだけは御理解願いたいと思います。
  64. 森中守義

    森中守義君 いまのそれぞれのお答えでは、あまり熱意があるとは思えません。県に調査をしてくれ、その結果を待って受けて立とうというようなことですからね。それで運輸大臣、これは一挙に何百億という予算を組めと言っているのではない。つまり工事のための前提となる基礎調査をやらないか、こう言っているんですよ。県でもこれは二百八十万ですか、それでも県にしますと、かなり高額の調査費ですよ、県の場合では。それならば、少しぐらい県のほうに調査費を落としますか。そのくらい援助してやったらどうなんです。さもなければ、県とペアで合同調査でもやろう、そういう意欲を示してこそ初めて、積極的であり意欲的である。こういうことが言えると思うのですが、いまの答弁では、ちっとも意欲的でも積極的でもありません。被害県の熊本では、御承知のように、話は少しさかのぼりますけれども、もう三十一年以来実に深刻なんですよ。胎児性患者、これはごらんになりましたか、厚生大臣。胎児性の患者を見られたことがありますか。母親のおなかに入っているときにもう病人なんですよ。見る人のほんとうに涙を誘う、そういう患者が一ぱいいるんですよ。やっとそういうことがどうにかこうにか日の目を見ようというときに、依然として、その原点であるものに手がつかない。積極的に手をつけようとしないというのでは話にならぬじゃありませんか。そういう意味で、ほんとうに公害に対する、国が責任を持たなければならぬということであれば、四十八年度に何がしかの調査費をつけて、実施を前提として調査に入るということは無理じゃないと思うんですが、こんなこと財政当局だって、おそらく拒むことはできないじゃないですか。そのくらいの約束は大臣なさいよ。話になりません、いまの答弁では。それと、環境庁長官はできるだけ、企業がどういう責任を感じているか、繰り返すようですけれども、この責任は企業ですよ。全額負担すべきですよ。それでも百歩譲って、国、自治体でやろうと、こう言う。それを企業がこれほど因果関係がはっきりしながら、金は出しませんということでは済まされない。その辺の話もはっきりしたほうがよくはないですか。私は、実際にぶつかって、どの程度の持ち合いかという、それは話し合いですから、ここでは言わないとしても、大体国、自治体、企業、三者がどういう持ち合いをするかぐらいのことは言われても、ちっともおかしくないと思いますよ。どうでしょう、両大臣予算を組んでもらわなければ困る。
  65. 佐々木秀世

    国務大臣佐々木秀世君) 先ほどからお答え申し上げているとおり、すべての要件が整いますれば、実施には決して差しつかえないように努力いたします。
  66. 小山長規

    国務大臣小山長規君) この費用の担負は、PPPの原則からいって、当然チッソの負担すべきものでありますが、何か国なり県なりでも負担をすべき——工事その他の設計から見まして、その理由があるかどうか、それによって、私は、国なり県が幾ら持つかということであろうと思いますので、実際の実施計画その他が出そろう段階で、両方の、県なり国なりは幾らか出すのか、また、出すべき理由があるのかという検討をすべきことであろうと思っておるわけであります。
  67. 森中守義

    森中守義君 小山長官、それは、ものの考えとしては私も同感ですよ。それは、出す必要があるかないかということを考えていけば、出す必要はありません、筋論からいけば。ただし、そういうことだからといって、行政指導をやる、チッソにそういうクレームをつける、あるいはチッソがそういう責任を感ずるということだけで終わりますか。第一、時間的に待てませんよ。とても、チッソに、何年の何月までに泥土を全部撤去せよ、こう言ったところで、やや実現の可能性というのは乏しい。そういう意味で、やはり国なり自治体というものが、理由はどうであれ、沿岸漁民の立場であるとか、あるいは海洋の汚染ということを考えるならば、手をかしていくというのは、これは国としては当然なことじゃないですか。もしも長官がそういうお考えで処理されるならば、直ちにチッソと交渉に入ってみてください。交渉やったことありますか。そういうことができるならば、これは何にも言うところはありませんよ。さっそく、チッソに、ヘドロの除去作業を開始せよ、そういうことを進めてみたらどうですか。やれますか、それ。もう十数年たって、その問題が決着がつかないというのは、経過が如実に示している。そこで、国、自治体、企業の具体的な持ち合いは、どういうことにしようという話に発展をしていかないと、国と企業、県と企業、幾らやってみても、ヘドロはむしろ異積を増加するだけで、ちっとも根本的な解決になりませんよ。依然として、そのお考えをお捨てにならなければ、それなりに私ども考えがあります。どうですか。
  68. 小山長規

    国務大臣小山長規君) この問題は、もう何度も申しますように、どの程度埋め立てをするのか、また、どこから先は埋め立てでなくて、ヘドロを吸い上げるのか。第一その規模がきまらなければ、全体の数字がきまらぬわけですね。全体の数字がまずきまらなければなりませんし、それから、その埋め立てたものを企業が使うのか、国が使うのか、県が使うのか、それによって、それならば国なり県なりが費用を負担してもいいじゃありませんかという、そういうような筋合いになるのだろうと思うのであります。全部吸い上げてしまうならば、これは全部チッソがやるべきでしょう。その計画なりそういうものを国が実施をして、その費用なチッソが持ちなさいと——それを実施するのは運輸省であったりしますが、負担をするのはチッソですよと、先ほど来申し上げているのは、そういうことなんです。しかし、埋め立てをしたものを、国なり県なりが使うということであれば、国なり県なりはそれだけの利益が出るわけですから、その分は国が持とうじゃありませんかと、こういうふうになるのであって、まだその計画自体がきまらない前に、チッソは幾ら持ちなさい、国と県はその残り幾ら持ちましょうというふうに、そういうふうに、何というか、割り勘のきめ方みたいな、勘でもってきめる問題ではないと思います。国なり県が負担するという以上は、これは国の税金、県の税金で負担するわけですから、当然負担すべき理由がなければいけないと思うのであります。その負担すべき理由は何だということを詰めるのが調査の結果であり実施計画であろう、こう思うわけであります。
  69. 森中守義

    森中守義君 どちらにしても、それは、いろいろ、環境庁環境庁に考えもありましょうが、ただ、一日も除去、撤去を急ぐというこの事実には変わりない。よろしゅうございますか。ですから、持ち分を前にきめてからやる。まあ私は、本来は企業が持つべきであるから全部企業に出させろと。しかし、それがもう現実的に困難なので国、自治体、企業、それぞれ持ち分をきめてみたらどうかと、こういう意見を出したまでのことであります。それにはこだわりません。けれども、どういう処理をするかというのも、一つの方向が港湾局長から出ているわけだから、そういう基礎的なものを早く手をつけてもらいましょう。これはもう運輸大臣から一つ答えが出ましたからね、四十八年度中には何かそういうかっこうらしいものが出るであろうと期待をしておきますよ。しかし、環境庁長官のように、原則論にあまりこだわり過ぎるとね、進みませんよ。いままでやったことないでしまう、それは。チッソを呼んで、ヘドロを処理したらどうだい、早うやらぬかいと言ったことありますか。一回もないじゃないですか。ただ熊本県の議会で問題になり、急がなければならぬというので、こういうふうにやっと話が進んできたわけですから、これはひとつ、県に大いに激励をする、国みずからも基礎調査に入るという、このくらいのことは、どうしても四十八年度予算の中で姿勢を示してもらいたい。  これがこの問題の最後になりますが、どうですか、その姿勢をお示しになりますか。これは、実施官庁と、それからその責任官庁の環境庁、両方から答えてもらいたい。
  70. 佐々木秀世

    国務大臣佐々木秀世君) 実施官庁の運輸省といたしましては、先ほどからお答え申し上げているとおり、ことに港湾関係の汚染問題については重大な国民の関心事でありますし、事、ことに人命に関する問題でございますから、これを時間的遅延することは許されないという決意のもとに、あらゆる方法をもってただいま、検討中でございますし、また、科学的な調査等もお願いしているのでございますから、その結論が出次第、実施には決して支障を来たすようなことのないようにいたしたい。この考え方に変わりはありませんし、先生の、熱意が足りないというおことばでございますが、その熱意の点におきましては、先生の御心配のないように、運輸省あげて懸命の努力をいたしたい、こういうことで御理解を願いたいと思います。
  71. 小山長規

    国務大臣小山長規君) 熊本県側が非常に実施を急いでおられます。したがって、その調査結果は、三月あるいは四月には出ると見ます。その出ますときには、当然先ほど言いましたように、負担割合はどうする、実施の手順はどうするということをきめていきたいと思いますので、先生のおっしゃるように、スピードアップできると思っておるわけであります。
  72. 森中守義

    森中守義君 運輸大臣、この一般会計の委託費の問題ですがね、これはかなり数多い委託をされておりますが、それぞれ必要があるからしたんだということなんでしょうけれども、たとえば輸送実態調査委託費でこの中身は、貨物地域流動調査とか、旅客地域流動調査というように、各項目に分けた委託費があります。これはどういったように理解すべきでしょうか。つまり、運輸省の行政能力としては、こういう調査ができない、よってこういう機関等々に委託をするという意味ですか。
  73. 佐々木秀世

    国務大臣佐々木秀世君) この業務の一部を、ことに調査などの委託をしているということを聞いてはおりますが、詳細にわたっては、事務当局から答えさしていただきます。
  74. 薗村泰彦

    説明員(薗村泰彦君) 先生のお尋ねの件は、一部運輸調査会などに調査の業務を委託していることに対するお尋ねかと思いますので、その関係について、情報管理部長からその作業の内容をお答えを申し上げたいと思います。
  75. 森中守義

    森中守義君 官房長、通告をしたことの中の一つの例をあげたことで、非常にこだわり過ぎるものだからそういう答弁になる。そうじゃなくてね、委託費というのはたくさん項目がある。それぞれの金額が委託費として出されているわけですね。これは、運輸省の行政能力が、ここまで手が届かないからこういうところに委託をしているのかどうなんだと、こう聞いているわけだから、こういうのはまたあとに聞きますから、大綱的なものとして、行政能力が対応できていないのかいるのか、それを答えてもらえばいいのですよ。
  76. 薗村泰彦

    説明員(薗村泰彦君) こういった統計業務について、できるだけ運輸省みずからの手でやりたい、これは基本的な考えでございます。ただ、やはり能率の点で、委託をしたほうが能率があがるという場合もございますので、その統計の内容によって、運輸省の手でみずからやるか、あるいは委託に出すかということを検討して、より能率的なほうをとっていきたいということが考え方でございます。
  77. 森中守義

    森中守義君 いま運輸省の機構の中に、統計を専門にしている部署がありますか。私は、どちらかというならば、最近のようにこういう行政需要が非常に繁雑になってくれば、何としても数字が中心です。ことに運輸の場合はそうだと思う。それで、いま専門的に扱っている運輸省の調査統計機構というのは、どういうのがありますか。
  78. 薗村泰彦

    説明員(薗村泰彦君) 大臣官房に情報管理部というのがございます。そこで統計、解析、情報管理ということを所管してやっております。
  79. 森中守義

    森中守義君 そうなると、その機能だけでは、たとえばその数字の把握ができない、統計がとれない、だから委託をすると、こういう意味ですか。
  80. 薗村泰彦

    説明員(薗村泰彦君) 先生のおっしゃるとおりでございまして、まず自分の手でやりたいということを考えますけれども、能率的に外部に委託したほうがいいというような場合には、外部に委託するということでございます。
  81. 森中守義

    森中守義君 これは、大体何年ぐらいこういう形式が続いていますか、いままで。委託という制度を何年ぐらいやっているか。
  82. 薗村泰彦

    説明員(薗村泰彦君) 統計業務について委託というのは、かなり長い間続いてきたと思いますか、何年間というお答えについては、ちょっといま調べたいと思います。  それから、情報管理部というのは、前は統計調査部というのがございまして、これが発展的に現在の機構の情報管理部というものになっております。
  83. 森中守義

    森中守義君 ちょっといま私、数字は合わしていないけれども、この委託関係の経費は幾らになりますか。それと、毎年前年度に対して何%増というそういう方式をとっているのですか。私はいま四十五年度の便覧を持っています。前のがない。ないというよりも持ってきていませんから。四十五年度で総計、委託費は幾らになり、四十四年度は幾らですか。つまり、年率どのくらいの委託費の増加を見ておりますか。
  84. 薗村泰彦

    説明員(薗村泰彦君) 運輸省所管の委託費全体では、四十五年度は四億七千八百万円、それから、四十四年度は二億六千百万円でございます。
  85. 森中守義

    森中守義君 これは数字的にいまお示しになったのを見ると、四十四年度と四十五年度で約二億違いますね。かなりの伸びです。そこで、これは在来設置法の改正等も何回も行なわれておりますが、こういう調査統計機能を充足強化しようという意見をかつて聞いたことがありません、私は。ところが、実際、委託されている経費等を見ると、自前の機能を強化する、そのほうがメリットがあるのか、こういう委託のほうがメリットがあるのかということになると、情報管理機能、さっき言われましたね、それの機構をもっと強化するほうがむしろコスト安になりゃしませんか。国家経費からいくならば、そのほうがより効率的な運用ができる。それと、委託をされているそれぞれの団体等、それも逐一どういうものかということはわかりません。けれども、こういうのが実はしばしば指摘をされる天下り人事であるとか、何か変な話があるというようなことに、えてして結びつきがちなものなんですね。やはりこれは、国家行政組織法によってきちんと行政機構というのがあるわけですから、できるだけ運輸省が自前で仕事ができるように、しかも、年間四億あまり金を使っているならば、情報管理機能というものを、たとえば、人を二十人ふやしても三十人ふやしても、四億、五億にはなりませんよ。それのほうがむしろ行政機能をより強化するという意味では効率的であり、効果的じゃないですか。どう考えますか。
  86. 薗村泰彦

    説明員(薗村泰彦君) 先生指摘のように、まず国の手でやる、それから、誤解を避けるためにも民間の委託を十分吟味して行なうべきであるというお説は、まことにごもっともだと思います。ただ、一々の内容はそれぞれやはり特性がございますので、役所でやるとあまりにも人手がかかって、集中的な面で人手が足りないというような場合には民間に委託するというようなことも、それぞれ統計の内容によって考えていかなければならぬ場合もあろうかと思いますので、その辺を十分今後とも吟味していきたいと思います。  なお、先ほども申しましたように、新しい情報管理の動きに応じて、従来の統計調査部を情報管理部に変えてきたということは、運輸省としてそういった関連の仕事が大事であるということで、発展的に現在の組織に至っておる。今後もまた、そういうことを中心に考えていきたいということを御理解いただきたいと思うのであります。
  87. 森中守義

    森中守義君 これはずっと項目を見ますと、小額なもので、貨物輸送シェアの動向要因分析、これが二十八万五千円、六十万とか、こういう小額なものもあり、かなり高額なものもある。ただ、これをずっと見てみると、何か年度予算運輸省が配分をしてやる、こういう感じを私は受けるんですよ。それと同時に、逆説的に言うならば、一体、それならば、調査研究を依頼した結果というものが、どういったように行政効果をもたらしているのか、その辺があまりつかめない。また、運輸関係をしばしばいろいろ拝見しておりますけれども、こういうところからこういう答えが出たとか、こういう意見が出たという、つまり、行政に具体的に反映されたという事実はあまり聞いたことがない。だから、少し言いづらいし、聞き苦しいんだと思いますが、何か年間の予算を、今度はあの団体に幾ら分けてやらなければいかぬ、つまり、運輸省予算の分け合いをこういう団体にしているんじゃないかという、こういう極論も私は、あながち的はずれではないように思う。まあそうでないという反論があるかもわからぬけれども大臣、これはやはり行政機構にすべからく集約すべきが本質ですよ。だから四億五千万も毎年使っておる、れれが行政効果としてどういうメリットがあるかということもはっきりつかめない。まあこういう現状を私は指摘しておきたいと思う。  で、そうなれば一挙にこれをやめてしまえとか、沿革もありましょう、歴史もありましょう、特定の団体にある種の育成強化とか、あるいは助成とか、しかも、そういうものを通じて調査、研究、統計ということもあり得るとは思う。が、極力こういうものは制限をする、逆に機能を強化する、こういう一つの方向をとられるのがいいんではないか、こう思うんですが、どうなさいますか。
  88. 佐々木秀世

    国務大臣佐々木秀世君) お説のように、行政官庁としては、原則的になさねばならぬ行政事務はその役所においてなすべきであるという考え方には変わりありません。ただ、運輸省の窓口は広うございますし、言いわけになるかもしれませんが、まだ二カ月そこそこの就任では、不敏にして全体に目が届いておりません。正直に申しまして。いま先生お話のようなことを承って、やはり予算というものは効率的に、国民の税金でございますから、ほんとうに一銭なりともむだづかいをしてはいかぬという精神だけは持っておりますから、十分それらの点をこれから検討いたしまして、お説のような方向に進まなくてはならぬと思います。ことにまた、われわれは政治家でございますから、行政面のことは非常にうとうございまするし、ことに数字などにかけては全くのしろうとでございますから、御指示に従いましてこれから十分勉強もいたしたいと思いますが、ただ、こういうことは考えられます。先ほど二億幾らの予算が急に四億になったと、しかし、最近は情報化時代でございますので、それらのことが少し重点的な情報化時代の予算になっているんじゃないかなと思いますので、これらもまだ私のただ瞬間的な考え方だけでございますから、十分実態を把握して善処したいと、こう思っております。
  89. 森中守義

    森中守義君 磯崎総裁、なかなか困難な状態を継続されておるようですが、これからどうされますか。具体的に言えば再建計画並びに運賃、料金の改定、これは将来の考えとしてはどうなんですか。
  90. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 先般の国会でいま御指摘の二法案が審議未了になりましたことは、非常に私ども計画には大きなそごを来たしました。その後、御承知のように、とりあえずベースアップの問題を控えておりまして、六月十六日に審議未了になりまして以来、六月二十三日にベースアップだけはとにかくやるということを前内閣できめていただきました。そうして具体的な労使の配分問題が先般きまりましたので、それと時を同じゅういたしまして、やはり新内閣で閣議できめていただきまして、とりあえず、緊急の措置として長期の金を八百数十億拝借いたしまして、そうしてベースアップだけは実施するようにいたしたわけでございます。現在具体的な各個人あての配分作業をやっておるところでございます。今月中には配分いたします。しかし、御承知のとおり、そのほかに政府の出資が約六百十六億、これもいろいろ法律の解釈がまだきまっておりません。まだ実は、政府の出資を受けておりません。私どもは何とか国鉄法による出資でお願いしたいと申しておりますが、やはりいろいろな法律のたてまえもあるかと存じまして、まだ運輸省と大蔵省の間でお話し中のようでございます。  実はことしの予算工事をやるのに、約五千五百億という工事計画いたしておりますけれども、すでにことしは予算の成立が少しおくれましたが、景気浮揚その他の関係で相当工事を前広に出しております。したがって、工事経費の財源としていまの六百十六億、そのほかに約千七百億ぐらいの繰り入れ金がございますが、合計いたしまして二千三百億の原資に穴があいております。予算は成立いたしましたが、その法律が成立いたしませんので、金を使えませんので、実は、来月ごろになりますと新規工事の着手ができなくなります。間もなく冬になりますので、東北、北海道においては工事ができなくなるというふうな状況も考えまして、私どもは、とりあえず政府の予算の成立した六百十六億の出資をしていただきたいということをお願いいたしておる、これができますれば債務負担行為その他でもってできるだけ、泳げるだけ泳ぎまして、私どもといたしましては、国会で成立した五千五百億の予算工事をやりたいというふうに思っております。しかし、これはもう私どものかってな希望でございますが、いずれにいたしましても、六百億かりに出資を受けましても、千七、八百億の穴があいております。これは今後どういうことになりまするか、私どもなりの希望を持っておりますが、まあこういう席で申し上げるまでに具体化いたしておりませんし、これは私どもがかってに申し上げても効果がないことでございますので、十分政府にお願いいたしまして予算措置あるいは法律的措置を講じていただかない限り、非常に大きな工事のそごを来たすということがきわめて明白でございます。  したがいまして、大きな問題といたしまして、先般の二法案の廃案のあとのベースアップの問題、政府出資の問題、それから千七、八百億の穴の問題、この三つございましたが、片づいたのはまだベースアップの問題だけでございまして、その他の二点につきましては、いろいろ今後の運賃問題等ともからみまして、非常にまだ目鼻がついていないと申し上げのが率直な私の見解でございます。非常に実は困っております。工事も冬になりますと、できませんですから、何とか十月中には六百億をいただいて、そしてそれをもとにして債務負担行為をつけて工事をしたいというふうに思っておりますが、それがなかなか進みませんで、非常に実は困っておるわけでございます。いろいろ政府にお願いして何とか——よその省はみんな四十八年度予算お話でございますが、私どものほうは四十七年度予算が実行できるかできないかわからないという状況で、非常に実は困っておる次第でございます、率直に申しまして。
  91. 森中守義

    森中守義君 これは大臣も、私がここでお尋ねする前にいろいろとお話があっていると思いますが、債務負担行為と六百億の政府出資があれば、とりあえず工事は何とかできる、こういう総裁のお話ですが、六百億、お出しになりますか。
  92. 佐々木秀世

    国務大臣佐々木秀世君) ただいま総裁がお話しになったように、いろいろ点で国鉄は困窮しておりますので、足元に火のついたものから一つ一処理しておりますが、とりあえず、お働きになっておられる方々の仲裁裁定完全実施ということで、先般、八百三十億の長期借り入れを決定してこれを処理いたしましたが、工事の問題になりますと、この債務負担行為等の問題とからみます六百三十億の問題は、ただいま大蔵省と検討中でございますので、国鉄の要望にこたえたいと懸命の努力中でございます。
  93. 森中守義

    森中守義君 要望にこたえるということは、その措置をとるという意味だと思いますが、ただ、基本になる問題ですね、これはまだ私どもは、政府のほうから正確に日本列島改造論という改造方式などを聞いておりません。ですから、そのことを踏まえて原則としてまだ議論をするには早過ぎる、こういうような意見を持っております。そこまできょうは言いませんが、かりにそういう方向にこれからの政策が展開をされるという場合、運輸交通体系というのはかなり変わりますね、変わらざるを得ない。そのことの是非は別ですよ。一応の想定論としましてね。そういうことになれば在来の再建方式、ことに赤字線の処理の問題、これなども非常に大きな変貌を来たすことになると思う。ついては、廃案になりました二案、これをどう扱っていかれるのか、私は、もうこれで断念をされて、自今、一切この種問題はお出しにならないものだ、こういうように理解をいたしておりますが、いやそうじゃないんだ、もう一回何とかしたいんだと、こういうような考えがあるとするならば、従前の廃案二案ではとうてい対応できる筋合いのものではなかろう、こう思うんです。したがって、どういう構想をお持ちなのか。詳細は運輸委員会でまたお尋ねをすることにいたしまして、決算の機会ですので、大臣から運輸委員会でまだ所見の表明も聞いておりませんから、いささか場違いのような気もしますけれども、その辺の構想をひとつこの際明らかにしていただきたいと思います。
  94. 佐々木秀世

    国務大臣佐々木秀世君) 運輸委員を長くおやり願って、しかもまた、前国会においては国鉄財政再建法や運賃改正の問題を十分御審議になった森中先生に、私のようなしろうとが、これからどうするのだというような考え方を述べることは、何かこう釈迦に説法のような気がいたしますが、しかし、現在の地位におりますと、どうしてもこれを処理しなければならないという責任がございますので、いろいろ考えに幼稚な点があるかとも思いますが、一応申し上げますならば、やはり前回の国会に提出いたしました国鉄関係法案というものは、いろいろな方々の英知をお借りしてでき上がった法案だと私は信じております。しかし、その法案の内容につきましてもなお一そうのお考えがありまして、あるいはその法案に幾多のお気に召さない点があったからこそ廃案になったと、こう私は考えます。その廃案になりました法案を、内閣が変わったからといってすぐそのままその形のままで次の国会に提出するというような考えは持っておりません。ただいま私は、前国会において御審議をなさったいろいろな御質問なり、それに対する前内閣の関係者の答弁なりを十分読ましていただいております。同時にまた、ただいま総裁の言われたような国鉄の実情、ことにまた最近、田中総理大臣の日本列島改造論、それによりますと全国に九千キロの新幹線をつくるのだ、あるいは新全総も七千キロの新幹線という意見もありまするし、これらをどう調整したらいいのか、あるいはまた閑散線、あるいはA・B線、これらのいわゆるローカル線などを含みまして今後の対策を真剣にただいま検討中でございます。  そういうことから申し上げますと、やはりある程度このローカル線などに対する考え方も幾分違ってまいるのではないかというように予想されます。あるいはまた運賃の改正などにいたしましても、あるいは政府の出資のパーセンテージなどにいたしましても、ある程度の手直しをしなければ御賛成をいただけないのではなかろうか、こういうような考えを持っておりますので、何せ大きな問題でございますので、いま一生懸命勉強をしながら、どうしたならば御理解を得られるか、どうしたならば国民の御協力をいただけるか、こういうことで全力をあげてただいま検討中であるということで御理解をいただきたいと思います。
  95. 森中守義

    森中守義君 大体御趣旨のほどはわかりました。そこで、具体的にちょっと少し聞き過ぎるかわかりませんが、臨時国会もしくは通常国会が目の前に迫っております。おそらく、もしそういう処理をおとりになるというならばいつの時期ですか。
  96. 佐々木秀世

    国務大臣佐々木秀世君) 私は、国会に出していただいたのが終戦後第一国会からで、それからずっと今日まで国会運営ばかりやってまいりました。いわゆる国会の舞台回しばかりでございますから、国会の運営には多少の経験と体験を持っております。こういう大法案が短時日のうちに両院を通過さしていただけるとは思っておりません。今日の状態でまいりますと、野党から臨時国会の要求が出ておりますから、これはどんなことがあっても政府は臨時国会を開く義務を負わされております。しかし、最近の現状を見ますと、近く総理が中共においでになるということは、これは野党も与党も御理解のようでございますから、これらの点を考え、あるいはまたいろいろな諸問題等を考えまして、おそらく臨時国会というのが九月末や十月の初めには開かれないのじゃないだろうか。開かれても十月の末か、あるいはまた十一月にでも開かれるようなことにでもなれば、もう十二月中には通常国会を開かなくちゃならぬというのが国会法にありますから、そういうことを考えると、やはり臨時国会の期間というものは非常に短い審議日程しかないということが想定されますので、やはり、こんな大法案というものはそういう短日月の国会ではとうていめんどうであるという私の判断でございます。しかし、政党政治でございます。政党のほうで、自民党のほうでこれに対する結論が出れば、これは政党政治家として党の指示によりますことは、これは当然でございますけれども、私のいわゆる長い国会対策の経験からいたしますと、あるいは非常に困ってはおりますけれども、通常国会にお願いしなきゃならぬような状況になるんじゃなかろうかというような見通しで心配いたしている最中でございます。
  97. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 時間が非常に少なくなっておりますから、たいへん短い時間でお伺いすることになるのですが、二つのほどいま運輸大臣から答弁がありまして、その前に国鉄総裁のほうからも答弁がございまして。それとるる関連いたしまして二つだけお尋ねをしたいのですけれども、それはいまお話のございました赤字路線あるいは地方閑散線といわれる問題ですね。これがついこの間出ました四十六年度の国鉄の監査報告といいますか、監査報告書、それからその前の四十五年度の監査報告書、これを見ますと、ローカル線に対する地方閑散線に対する考え方が非常に変わっているのですね、出ている内容が。四十五年度の監査報告では、とにかく、赤字路線というのはどんどんひとつ廃止していくんだという非常に強い考えですよ。しかも、これは国鉄としては地方自治体との同意書も要るが、なかなか同意書が得られないでたいへんな労力と時間を費やしている、しかし、必要があればそういう同意書なくして直接国鉄は運輸大臣に対して廃止の申請書を出す必要があるというぐらいまで締めくくって非常に強く言っておるわけですね。ところが、四十六年度の監査報告になりますと全然ないのです。全くそういうものがなくなって、けろっと変わっちゃっているのですね、たいへんな変身ぶりですよ。そして、むしろ国が基本方策をきめてもらいたい、こういうやり方に非常に変わっちまったですね。  で、先ほど大臣がおっしゃるように、これは地方の閑散線を含めて、新幹線の問題にいたしましても、これは相当根本的に考え直すところにきているんだろうと思うけれども、それにしても私は、どうもこの数年の間にたくさんの学識経験者が集まってさんざん練りに練って、そうして赤字対策の最も重要な政策として地方閑散線というものは廃止するんだ、廃止するんだという結論が出ておったものが、くるっと何かひっくり返ったような感じを受ける。いかぬですね。しかも、四十六年度の監査報告にもう出てくるのですね。これは、国鉄総裁はどういう自主性を持っておられるのかと思いますね。いや、私は善悪を言っておるのではなくて、自主性の問題を言っているわけですよ。しかも、監査報告に出てくるのですね。とにかく、実際これだけ数年の間問題になってやってきたものがくるっとひっくり返ったような感じを受ける。この点についてのまず国鉄総裁の見解をお聞きしたいと思うのですよ。運輸大臣の見解も聞きたいと思います。
  98. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) ただいま先生からるる御指摘のございました監査報告書の問題、これは御承知のとおり、監査委員会は身分は私のほうに属しておりますが、全く私と独立の機関でございます。大臣の任命された機関でございます。私は、一切これに対して意見を差しはさむ力を持っておりません。独立の機関でございますので、その点は私からお答え申し上げるのはかえっておかしいと思いますので、申し上げません。  ただ、これと同じようなことが私自身の問題として、けさの新聞にも出ておったと思います。きのうの新聞にも出ておったと思います。若干誤解と申しますか、もございますが、私、きのうこれは衆議院の運輸委員会に、いい機会でございましたのでお話し申し上げ、けさ、それが新聞に出ておりますけれども、私は、鉄道という輸送機関は、あくまでもやはり鉄道というものの持っておる技術的な機能、それに最もふさわしい輸送をすべきものだという考え方には変わりございません。したがって、ある程度以上の輸送力、ある程度以上の輸送量がなければ非常に鉄道としてはむだがある。これはもうだれが見ても、私は変わらない問題だ思います。したがいまして、従来、ローカル線問題として、鉄道では大き過ぎるのだ、道路輸送で十分だというところについて道路輸送に転換すべきであるということがいわれてまいりました。私自身もその方向に浴って約百キロ以上の線路をやめてまいりました。確かにその考え方には全く変わりはございませんです。  ただ最近、先ほど森中先生からもお話がございました日本列島改造論その他でもって、いわゆる人為的に国の過密、過疎を直すのだというふうな御意見が一部にあるようでございます。そういたしますと、たとえば、例を申して、非常に具体的な例で恐縮でございますが、鹿児島県の志布志湾、あるいは青森県のむつ・小川原、あの付近に廃止すべきだといわれた線がやはりございます。まあ今後、たとえばいまの二つの地域がどういうふうに開発されるか、これはよくはわかりませんけれども、ほんとうに国家的なプロジェクトとして志布志湾なりむつ・小川原が開発されるといたしますれば、単に国鉄経営——単にローカルの輸述は自動車でいいのだという問題だけでは済まなくなるという全然違った角度から、この問題を取り上げる必要が場所によっては起きてくるということを考えなければいけないのじゃないかというふうに思っております。私は、したがってこの監査報告書の、国の基本的な政策として具体的な方策を樹立されなければならない、これは実は非常に、批判をして申しわけございませんが、私はいただけないのでございます。  すなわち、各線ごとに各地域ごとに、これはこういうプロジェクトを持っている、これはもう使う方法はないのだというふうな具体的な国の過密、過疎解消の方策としていまのローカル線の地域が問題になるなら、これは考えられる。しかしし、そうでなくて、ただこういうふうな希望だとかいうふうなことだけでは、私はおかしいと思います。国の基本的な政策というのは、ローカル線をどうすべきだということについては、私は、もう基本政策としてはきまっておると思うのです。ただ、各地域の具体的な問題について国としてはこういう計画を持っているのだ——たとえばこの間、これは政府の意見ではないようでございますけれども、通産省、自治省、建設省、それぞれいわゆる二十五万都市の構想を発表されておりますけれども、私、新聞で見ましたけれども、この二十五万都市の構想の中に、やはりいまの私のほうの廃止したいと思ったローカル線線が一、二入っております。そういう場合に、どういうふうにそれを調整するか、これは考えなければいけないと思いますが、全体としていわゆる鉄通の使命の済んだ、鉄道の輸述量としては——もう鉄道では大き過ぎる、とても鉄道ではずうたいがでかくて不便でしようがないというようなところについては、私としては、これは物理的に必要ないということには変わりはないと思います。しかしながら、いま申し上げました全然別な角度から、過密、過疎の解消という角度からそれが必要なんだという国家的な使命が具体的に与えられたならば、それを考え直さなければいかぬというのが私の考えでございます。  したがいまして、逆に申しますとそれは経営外になると私は思います。先般の国会でいまお話の廃案になりました二法案は、主として国鉄の財政再建ということで考えておりました。したがって財政をどう十年間に直すべきかという角度からこの問題を取り上げております。したがって、私は、財政的な角度からいえば、この前の御審議願ったあの考え方にそう間違いはないと思っております。もちろん、三つの柱のうちのバランスの問題は、ウエートの問題はありますけれども、方針としては間違いないと思います。しかしながら、それ以外に、いま申しましたように過密、過疎解消、国土の再開発というふうな全然別な見地から、このローカル線は要るのだ、これは将来使うのだという御意見、これは経営外の問題として、もしそれでもって赤字が出れば、黒字になるまでこれは政府でめんどうを見ていただくというふうな違った観点で、経営問題とごっちやにしないで改造論と取り組む、私はそこまで政府の御意見がきまったかどうかわかりませんが、私自身のいまの考え方としてはそういう態度でいくべきだ、改造論でもって国鉄の財政がごちゃごちゃになっちゃうということではいけないと思います。あくまでも、いまの財政はそのままとにかく維持して、そしていまの改造論というのは、やはり十年、二十年先の、あるいは二十年、三十年先のお話だと思います、実際できますと。したがって、あれによって新幹線をつくり、ローカル線を残しましても、五年、十年で国鉄の経営がよくなるということは全然ございません。むしろ悪くなります。しかし、それが日本の将来にとって必要だとすれば、それは全然別な見地からやるんだ。いわゆる鉄道の経営外の問題。もっと具体的に申させていただきますならば、国鉄の中にいわば独立勘定みたいなものをつくりまして、その独立勘定の面は、新幹線の先行投資をやる、あるいはローカル線を残すという経営外のものを独立勘定にして——私、昨日独立会計というふうに申し上げましたが、間違いでございまして、独立勘定にして、国鉄の中に独立の勘定をつくりまして、そしてそれで運営していく。それから赤字が出れば、これは国全体の方法として国で持っていただく、こういう私の考え方でございます。したがいまして、先ほどの先生の御質問の監査委員会のことはちょっと……。私の考え方だけを申させていただきました。
  99. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 運輸大臣
  100. 佐々木秀世

    国務大臣佐々木秀世君) 営業を担当しております国鉄総裁から、総裁の立場からの考え方を申し上げましたが、総裁の考え方としては当然だろうと思います。何せもう赤字に悩まされ、借金に骨身を削るような苦しみをしてるんですから、赤字路線に対しては深刻な考え方を持つことは私は当然だろうと思います。しかし、私はこの国鉄を監督する立場の、運輸行政を担当する立場から申しますと、国有鉄道という本質から見ますと、やはり赤字路線だからといって直ちにこれを廃止し、黒字路線だけを残すというようなことになりますと、何も、われわれの自由主義経済を標榜している立場から言うならば、国有などにしなくてもよろしいという極端な考え方になるのであります。そういう鉄道を、国が国有鉄道としてやらなくちゃならぬという意味合いは、やはり地方開発というような公共性を多分に持つがために国有鉄道というあり方を是認し、この運営をどうするかということにお互いが知恵をしぼっているんだと、こういうように考えております。  ただ、先生指摘のように、数年前の考え方あるいは先般の国会に財政再建法や関係法案を出したときの考え方といまの考え方とは変わってるんじゃないかと、こういうお尋ねでございますが、正直に申しまして、やはり内閣がかわり、運輸大臣がかわり、それに関係する人がかわるということは、大きく根本的な変化はないにいたしましても、多少の変わり方はこれは当然だろうと思います。ことに総理大臣であるわが党総裁は、日本列島改造論という、一つの従来の都会中心の工業の現在の繁栄のしかたを、地方分散をしようじゃないかという大きな政策を国民の前に発表し、これを実現するんだという一つの公約でございますから、われわれ田中内閣の閣僚といたしましては、これが国民のために是なりと信じた以上は、その政策を実行するために、いろいろなくふうをしなくちゃならぬと、こう考えておりますので、そういう点からいたしましても、前の考え方と多少の変化は来たしていると思います。  申し上げるまでもなく、鉄道は人間のからだでいうと動脈的な役割りをしておりますので、ことに地域開発、地方開発ということになりますれば、やはり毛細血管も必要でございますから、新幹線だけの動脈では十分な地方開発はできない。従来のやはり閑散線あるいはいまから赤字であろうとも計画しておりまする線の建設、これを十分検討いたしまして、しかしながら、必ずしも自動車の発達している今日でございますから、道路もだんだんよくなっている時代でございますから、輸送状況自動車輸送に切りかえのできるところは自動車に切りかえていくと。しかし、やはり今日から六十年を目途としての改造論によりますと、人の輸送は二・六倍とか、あるいは貨物輸送は、今日から計算しまして、五倍とか六倍という数字になりますと、自動車だけでは、五千万台とか四千万台という数字が出ますと、やっぱり自動車輸送だけではなかなか全国的な完全な輸送は困難だということになりまして、地方鉄道なども十分活用した輸送体系をつくりたいという方針になっているのでございますから、やはり地域を走っておりまする地方ローカル線の使命を達成させたいと、こういう考えを持っております。ただ単は赤字だ黒字だだけでその鉄道の運命を決しようという考えは多少変わってきておると、こういうことを御理解願いたいと存じます。これからもあるいはそういう問題が出てくるかと思いますが、しかし、どこまでも全部が全部赤字であっても残していくんだということではございません。やはり一本一本の鉄道を、十分にその鉄道の持っておりまする使命の状態を勘案いたしまして、たとえばこの鉄道は、地下に眠っている地下資源の開発に役に立つんだと、あるいは地上資源の開発に役に立つんだとか、あるいはこの鉄道は観光事業に非常に貢献するんだとかいうような点を緻密に検討いたしまして、しかもその上に黒字が出ればこれはけっこうでございますけれども、しかし、そういう使命を果たすためには、一年や二年で必ずしも黒字になるとは考えておりませんので、そういう時間をかけた赤字というものは、国民の理解のもとにごしんぼうを願って、今後ともにこのローカル線のあり方を検討したいと、こういう考えでおります。
  101. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 大臣お話を承っておりますと、これは考え方としては非常に変わってきてますよ、言うなら、国鉄の経営収支の問題が重点になって、閑散線の問題がこの数年の間非常に論議されてきた。ところがいまの話を承りますと、考え方としては、地方開発とか、あるいは国の経済的な立場とか、そういうものが一本入ってくるということになるわけですよ。これは考え方としては相当変わっている。現実として、どういうふうに動いていくかは別にして、考え方としては非常に変わってきたというふうに見なきゃならぬと思うのです。何のためにこの数年間われわれ苦労をしたかと言いたいぐらいですね。ですから、私はこの問題については、これだけの考え方の変化を生ずるなら、これはやはり責任問題は必要だというふうに思います。このままでは済まない問題だと私は思っています。これを一つ。  それからもう一つですね、先ほどの総裁の答弁と関連するのですけれども、処分の問題についてひとつ伺っておきたいと思います。新聞等の報道によりますと、あすだというような話、そうして九月一日に裁定の完全実施の財政措置を閣議でした、その見返りとして処分をするんだというような報道が行なわれている。あるいは職場では、これは国鉄運賃法案が廃案になったその報復だというようなことが盛んに言われているというような言い方が行なわれていますね。私はここに非常に大きな問題があるように思うんですね。まあ国鉄の労使関係が荒廃しきっているというふうに言われている。これは各紙とも取り上げている。荒廃しきっている、荒れ果てているじゃないか。敵対関係がますます激化するんじゃないかというふうな言い方が行なわれていますですよね。だから新聞等の報道にもございますように、すでにいままでに十七万名という者が処分を受けていると。昨年は最大の処分だというふうに言われて約二万五千名。今回はさらにそれを上回って空前の処分だと、三万五千名だという言い方が行なわれております。国鉄の職員の半分が処分を受けているということになりますよ。私も処分をかつて受けたことがある。これは、戒告以上の処分というのは、御承知のように一生ついて回るんですよ。死ぬまでついて回るんですよ。私はこのやり方はおかしいと思うんですけれども、一回戒告を受けるというと一号昇給ストップする。これは国鉄につとめている間一号低いわけですね。毎月もらう月給が一号低いわけです。これは期末、勤勉手当にはね返る。これは国鉄をやめるまで退職金にはね返る、年金にはね返る。だからこれは、減給受けた者は二号下がっている。だからこういう処分が、国鉄の中で半分も処分を受けているというようなことになりますと、これは職場の中でどうだこうだと言ってみても始まらぬのじゃないですか。私は国鉄総裁はじめ、国鉄当局、これは運輸省も入るんだろうと思うんですけれども、ただ安易に処分をするということにあまりにもあぐらをかき過ぎているんじゃないか。もっとほんとうに労使関係というものを考える必要があるんじゃないかというふうに思いますんですけれども、一生それがついて回る、死ぬまでついて回るという処分が行なわれて、それが半数以上占めてくるとなった場合に、職場にどうのこうのと言ってみても始まらぬと私は思うんですが、先ほど国鉄の運営の問題について、基本的な考え方が変わりつつあるようです、思想としては変わってきているというように思います。私はいま言った、何か処分さえすればいいというような安易な考え方というものを変える必要があるというように思いますが、なお周囲の情勢というものは、これは非常に変わってきておるんじゃないでしょうか。マッカーサー元帥によって争議権というのは取られたわけですね。私もかつて国家公務員でありましたからよく承知しておりますけれども、しかしその後、これは争議権の問題については裁判所も認めている、基本的に認めているんですね。で、正常なストライキというものは、これは刑事罰から解放されてきている。解放されたといっても言い過ぎじゃない、解放されている。さらに行政罰そのものも、まだ地方裁判所の段階ですけれども、処分撤回の判決がすでに出てきている。こういう状況の中で、いたずらに処分さえすればそれでいいという、何万名という膨大な処分をしてそれが一生ついて回る。一生ついて回るということにも問題があると思いますけれども、そういう処分で問題が片づくと、そして労使の健全化だとか職場を明るくだとか、国鉄の再建にどうだこうだというようなことにならぬのじゃないかと私は思いますですけれども、その点についての国鉄総裁と運輸大臣の見解を聞きたい。
  102. 佐々木秀世

    国務大臣佐々木秀世君) ただいまの先生の最初のおことばの中に、仲裁裁定を実施してそれから処分するという、ひとつの何かあめ玉式なやり方でないかと、こういうことが新聞にも報ぜられていたことを私は拝見いたしました。そういう見方は非常に遺憾だと私は思います。そんな考えは毛頭持っておりません。やはり仲裁裁定などというものは完全実施すべきが当然である。私自体も労働者上がりの政治家でありまするし、働くものの立場というものは十分理解しているつもりであります。しかし、与えておいて首切るんだ、あるいは処分するんだというような、そんな考えは毛頭持っていないということだけはひとつ御理解を願いたいと存じます。  ただ国鉄の処分ということは、人を処分するということは非常にいやなことでありまするし、そんなことが、一つの手段によってやるなどということも、私は非常に残念なことだと思います。ただやはり法律に規定されておりまして、私からこれは申し上げるまでもございませんが、やはり公労法にちゃんと規定されておりますることが、やはり残念ながら、違法を犯したとか、それからストライキをやっていけないのにストライキをやったとか、あるいは職務に対するところの責任をとっていないとかいうことになりますと、法治国家としては、それにやはり法律のたてまえ上残念ながら処分という結果になるということについては、私も非常に残念だと思います。ただ処分のやり方あるいはただいまいろいろ数字をあげられましたが、そういう現実の問題になりますと、管理者でありまする国鉄が、われわれの指図でどれだけ処分しなさいとか、どれだけの数字を出しなさいというようなことは、われわれのほうではやっておりませんが、あるいはそういう多くの人たちが、いま申し上げたような公労法とかいろいろな規定に反したことになったのじゃないかとまことに残念なことだなあと、こういうような考えを持っております。  精神的には、今後ともに労使間の協調というものがなければ、やはり国民の信頼というものを失うと、また国鉄の運営についても、ほんとうにりっぱな国鉄運営はできないということだけは十分承知しております。
  103. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) ただいま大臣がおっしゃいましたように、先生の御質問の冒頭のことでございます。  九月一日に仲裁裁定を実施することになりますることと、九月二日でございましたか処分の第一次通告と、全くこれは関係ございません。実は七月の下旬の予定でございましたが、ちょうど非常に災害が多うございまして、いろいろ輸送上の支障がございましたのでこれを延ばした。たまたま九月まで延びたと、こういうことでございまして、仲裁裁定と処分問題とは問題でございます。しかし、私といたしましては、先ほど森中先生の御質問にお答えいたしましたように、あの二法案が廃案になり、全くどうしていいかわからないというときに、仲裁だけはやらなくちゃいかぬという信念のもとに前運輸大臣また新しい運輸大臣にいろいろお願いし、あるいは総理にじかにお願いいたしまして、とにかく実施するまでこぎつけたいと思いまして、私も、いわゆる公労法にきまっている仲裁を完全に使用者側は実施すべきだというこの公労法の精神には私は全く同感でございますし、いままでも、昭和三十年代以降常にいかなる財政状態のもとにおきましても完全実施をしてまいったことだけは、これははっきりいたしております。ただ、その同じ公労法にきめられております争議行為の禁止の問題、これも先生の御承知のとおりでございますが、これが不幸にして五月、六月の時点で、私どもの説得にかかわらずああいう事態になったことは非常に私は責任者として遺憾でございまして、この点は、いま組合の諸君がきのうきょうあたり言っていることなどは、結局さっき先生がたまたまおっしゃった、いわゆるストライキ権をどうするかという問題、そこに実は焦点を当ててあしたからいろいろやるというような話もあるようでございますが、もうこれは御承知のとおり、私のほうの労使問題を離れて、公制審なり何なりの場にいってしまっており、むしろ国会の問題、国民御自身の問題、私どもがいかにあれしようと、ストライキ権について国鉄の使用者側そして労働者側で話し合いのできる段階ではない段階になっております。いわゆるスト権奪還という闘争でございますと、私どものほうといたしましては、全く残念ながら手のつかない闘争だと思います。もちろんそのストライキ権を与えることがいいか悪いかということにつきまして、私個人の考えはございますが、これは別といたしまして、いまの段階で、ストライキ権奪還のストライキというものが認められていいのかどうかということは、これはおのずから判断は国民側としてなさることというふうに思います。  ただ、私もずっとこの仕事をいたしておりまして、まあ十八万人累計になっているのも大体知っております。非常に私といたしましても、処分しなければ法律が守られない、法律を破ったら処分する、きょうの新聞などに書かれた悪循環について、私も非常に反省している点でございまして、何とかしてもっとお互いに国鉄経営の危機をくぐり抜けて、そして、それで働く諸君の生活が楽になるというふうに、そんな無理しないで、無理して件裁裁定実施をしないで、楽に件裁裁定が実施できるような財政状態に持っていく以外に方法はない。これが私は国鉄再建の基本でありり、労使関係正常化のもとであるというふうに思いますが、微力にしてなかなか一挙にそこまでまいれませんが、私は、ことしはちょうど国鉄百年、先生がたまたまおっしゃった新しい歴史と申しますか、新しい転換と申しますか、そういうことを頭に置きながら、まあ明日から差し迫った問題ではございますけれども、具体的な事態に対処してまいりたいというふうに思っております。全力をあげて私は今後の労使問題の改善と申しますか、には取り組むのが私の仕事であるというふうに思っておる次第でございます。
  104. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 最後。これだけにしますけれども、だいぶん時間がたちまして恐縮なんですが、私は、国鉄総裁ね、日本の労使関係の中で最もでかい処分をやっている国鉄なんですし、しかもそのためにと言っていいと思うんですよ、労使関係は非常に荒廃し切っている。次から次へ処分していく、こわれちゃうわけですよ。いままで、どっかでこの関係をぼくは切らなきゃいけないと思うのですよ。処分というのは、これは総裁も御存じのように、何かぴしゃっと法律で基準がきまっておってやるわけじゃないんですから、次から次に処分をやってきて、職員の半数も処分してきた。しかしそれじゃあ労使関係がよくなったり、職場の関係がよくなってきているのかというと、全然そうじゃないのですよ。どっかでこれは切らなきゃならないということを総裁として当然考えるべきだと思うのです。それを、私はさっきから言うように、何か処分万能主義でぱっぱっぱっと、こうやってどんどん職場いうものを、労使関係というものを荒廃さしてしまうというやり方は、これは全然反省がないんではないかというふうに思います。処分を受けている側は労働者です。おこっているのは労働者です。どっかでこれは、私は国鉄総裁は切る必要がある、切らなきゃいけない。従来の単なる処分に安住してきたやり方を切る必要があるというふうに思います。  さらに私は、いま申し上げましたように、最大の処分を出して、そうしてこういう状態になってきておるのだからという、そういう労使関係の使用者側の長として、これは日本の長としてでも、日本を代表してでも考えていただきたいと思うのですね。それからもう一つ運輸大臣に。これは私は、やはり国鉄の労働者にストライキ権を法律によって認めないという事態ではなくなっているのだと思いますですね。まあ世界の労働組合の、国鉄労働者を取り上げてみても、みんなストライキ権がある。オランダがないのだそうですが、持っているという状況ですよ。私鉄と国鉄がどこが違うか、同じような労働をやっているわけですね。私鉄にストライキ権があるが国鉄はストライキ権がないという事態もなるほどおかしい状態だし、裁判の状態も御承知のような状態だし、国際の関係からいっても、御承知のようにぎりぎりの関係にきておるのだから、政府はストライキ権の問題について、正式に、すみやかに取り上げて検討する必要があると私は思いますですね。そうでない限り、国鉄再建とかなんとか言ってみたって、そんなものは単なる口頭禅だというふうに私は考えております。運輸大臣のひとつ御見解を聞きます。
  105. 佐々木秀世

    国務大臣佐々木秀世君) これは、単に運輸省、国鉄だけの問題ではございませんで、ことに三公社五現業、公労法の適用を受ける労働関係の大きな問題だと存じます。御指摘のように、労働問題というものは、やはり労使間の協調ということが基本にならなければならないと思いますので、先生の貴重な御意見は御意見として承って、私の将来の勉強の一つの資料にさしていただきたいと思います。
  106. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 もう一つ。運輸大臣、私は大臣に言っておりますのは、国鉄の労使関係。最大のこれは組合ですよ、公労協の中でも最大の組合。それが非常な処分を食って、そうして労使関係は非常に荒廃し切っている。荒廃してもうたいへんです。そういうところを管轄しておられる運輸大臣だから、運輸大臣として、これは国鉄のストライキ権というものを、労使関係というものについてもっと本格的に考える必要がある、検討する必要があるというふうに私は主張しておるわけです。
  107. 佐々木秀世

    国務大臣佐々木秀世君) 現状のようなイタチごっこを繰り返しているような状態を、決して私はこれが正常な状態とは考えておりませんので、お説は十分尊重して今後に処したいと、こう考えております。
  108. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) 他に御発言もないようですから、運輸省及び日本国有鉄道決算につきましてはこの程度といたします。  次回の委員会は、明十四日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十七分散会      —————・—————